映画館の再開に伴いチケット販売アプリ開発のAtom TicketsがSnapchatのミニアプリ提供を開始

カリフォルニア州サンタモニカ拠点のチケット・売店購入アプリ開発のAtom Ticketsが、Snapchatでのチケット販売を開始する。

Atom Ticketsの新しい映画チケットは、Snapchatアプリ内で直接サービスを提供するために、Snapの新しいミニアプリ配信プラットフォームを利用する。好みにアプリには、瞑想アプリのHeadspaceなどがある。

Atom Ticketsは、ミニアプリは今夏の初めに発売する予定だったが、新型コロナウイルスの感染蔓延の影響で全国の映画館が閉鎖されたため、その計画は頓挫していた。現在は映画館が再開し、「Tenet」「Bill and Ted Face the Music」「Wonder Woman」「The New Mutants」などの新作が銀幕に登場する中、新サービスを売り込むのに適した時期になったようだ。

「場所の安全対策と映画に戻ることを熱望する映画ファンと、我々はタイミングがSnapchat上でAtomのチケットの経験を起動するために右だった知っていた “マシューBakal、共同創設者とAtomチケットの会長は、声明の中で言った。”私達は映画ファンが欲しいものを与える安全な、無接触のデジタルサービスを提供して幸せである-映画を脱出し、楽しむ少しの時間。私たちは、社会的なプラットフォームとしての私たちの既存のDNAに基づいて構築された新しいMovie Tickets by Atom Miniが、映画を見に行くことをより簡単にし、友人を一緒に連れてくることを確信しています。”

Atom Ticketsの共同創設者で会長のMatthew Bakal(マシュ−・バカル)氏は声明で「安全対策が整っており、映画ファンが映画館に戻りたがっていることから、SnapchatでAtomのチケット販売体験を開始するのは適切なタイミングだと考えました」と述べた。「私たちは、安全で非接触型のデジタルサービスを提供することで、映画ファンは欲しいものを手に入れられます。Atom Miniの新しい映画チケットは、我が社の既存のDNAをベースにしたソーシャルなプラットフォームによって、映画をより身近にして友達を結びつけるものです」と続ける。

Snap Miniは、Snapchat内で提供されるミニアプリサービスで、同社のメッセージングインターフェースからアクセスできるのが特徴だ。Movie Tickets by Atomでは、ユーザーはチケットを購入し、ダイレクトメッセージ、グループチャット、ストーリーで詳細を投稿して共有、友人が近くの席を見つけられるようにリンクを含めることもできる。

SnapのプラットフォームパートナーシップのディレクターであるAlston Cheek(アルストン・チーク)氏は「Movie Tickets by AtomがSnapchatに登場することに、これ以上の喜びはありません。Atom Ticketsは、Snapにミニアプリとしてシームレスなeコマース体験を構築し、北米のSnapchatユーザーに最高のものを提供するでしょう」と声明で述べている。

Atom Ticketsは、AMC Theatres、Cinemark、Harkins Theatres、National Amusements’ Showcase Cinemas、CMX Cinemas、Landmark in Cinemas of Canada、Studio Movie Grill、Malco Theatres、Landmark Theatres、ArcLight Cinemas、Larry H. Miller Megaplex Theatresなど、新しくオープンしたばかりの映画館と提携している。

画像クレジット:Sunil Ghosh / Hindustan Times / Getty Images

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(翻訳:TechCrunch Japan)

資生堂がMS TeamsやZOOMで最新メイクを楽しめるARフィルター提供、カメラアプリ「Snap Camera」経由

資生堂がMS TeamsやZOOMで最新メイクを楽しめるARフィルター提供、カメラアプリ「Snap Camera」経由

資生堂は8月21日、SnapchatのPC用カメラアプリ「Snap Camera」(スナップカメラ)を介して、PC用オンライン会議ツール上でメイクアップブランド「マキアージュ」の最新メイクを楽しめるARフィルターの提供を開始した。Microsoft Teams、ZOOM、Skype、Google Hangoutsで利用できる。

ARフィルターには、8月21日限定発売の「マキアージュ ドラマティックスタイリングアイズ」を含む4パターンがあり、最新メイクの塗布感や色・質感をディスプレイ上の自分の顔で楽しめる。

働き方の多様化が進む中、場所や時間にとらわれない柔軟な働き方「テレワーク」や、プライベートでの「リモート飲み」など、オンライン上でのコミュニケーションが定着化していることを背景に、他ブランドでのARフィルターの展開も視野に入れ、顧客接点の拡大を目指すとしている。

また資生堂の美容総合サイトワタシプラス内「TeleBeauty」特設サイトでは、4つのメイクパターンの詳細を紹介。気に入った商品は、資生堂のECサイトでも購入できる。

資生堂がMS TeamsやZOOMで最新メイクを楽しめるARフィルター提供、カメラアプリ「Snap Camera」経由

資生堂は2016年、ディスプレイ上でメイクを楽しめる「TeleBeauty」(テレビューティー)という考え方をコンテンツ化し、自動メイクアプリ「TeleBeauty」を試験運用(現在は運用終了)。今回は、コロナ禍によるオンライン上のフェイス トゥ フェイス コミュニケーションの機会拡大と、通信環境の改善やオープンリソースが活用できる環境を踏まえ、博報堂ケトル協力のもと、2020年版「TeleBeauty」として開発した。Snap CameraのAR技術を利用し、ディスプレイ上でメイクアイテムの塗布感や色・質感を再現する同社ノウハウを活かしたフィルターという。

マキアージュメイク ARフィルターを利用するには、まずWindows 10またはmacOS用アプリ「Snap Camera」をSnapchatサイトからダウンロードした上で、インストールおよび起動する。その後Skype、Google Hangouts、Teams、ZOOMなどのオンライン会議ツールも起動し、ウェブカメラデバイスとして「Snap Camera」を設定すると、マキアージュメイク ARフィルターの効果を得られる。

同フィルターは、Snap Camera内に開設されている「TeleBeauty」アカウント内で提供されており、マキアージュの4つのメイクパターンをディスプレイ上の自分の顔で楽しめる。TeleBeauty特設サイトでは、各フィルターを見つけるためのURLリンクが用意されている。Snap Camera上で「TeleBeauty」を検索することでも発見できる。

資生堂がMS TeamsやZOOMで最新メイクを楽しめるARフィルター提供、カメラアプリ「Snap Camera」経由

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Snapchatが動画に音楽を付けられる新機能を今秋展開、TikTokユーザー取り込み狙う

Snapchat(スナップチャット)がTikTok(ティクトク)を狙っている。Snapchatは米国8月3日、ユーザーがスナップ(動画)に音楽を付けられるTikTok似の新機能のテストを開始すると発表した。トランプ政権がデータプライバシーの懸念から中国テック企業の禁止を検討しているためにTikTokユーザーは代わりのアプリを探していて、Snapchatは新機能でそうしたユーザーの一部を取り込めるかもしれない。

TikTokユーザーが代替アプリを確保するにつれByte(バイト)、Triller(トリラー)、Dubsmash(ダブスマッシュ)、Likee(ライキー)などのアプリがアプリストアのランキングで順位を上げている。Instagram(インスタグラム)もまたTikTokユーザーのニーズを満たすために音楽を取り込んだReelsという機能を立ち上げた。

Snapchatの場合、ユーザーはSnapが約束している「しっかりとした」音楽カタログから音楽を選び、ビデオを撮る前後に追加できる。これはWarner Music Group、Warner Chappell、Universal Music Publishing Group、NMPAパブリッシャー会員、Merlinなど音楽産業パートナーとの提携によるものだ。こうしたパートナーがSnapchatアプリでの音楽使用のライセンスを与える。

新しいスナップを音楽付きで受け取った人は、スワイプしてアルバム画像や曲のタイトル、アーティスト名を閲覧できる。そして「Play This Song」リンクも利用できる。クリックすると、スニペットではなくユーザーがSpotifyやApple Music、SoundCloudといったお気に入りのストリーミングプラットフォームで曲をフルに聴けるようにするLinkfireのウェブビューが開く。

これはTikTokとは異なる点だ。TikTokでは、ビデオクリップの「サウンド」リンクをクリックすると、同じ曲を使った他のビデオクリップを特集するページにジャンプするだけだ。しかし、人気のミュージッククリップを制作したアーティストにユーザーを完全につなげる機能がTikTokになくても、ユーザーはお気に入りのTikTokアーティストをストリーミングサービスで追跡していたため、TikTokのパワーはヒットを生み出し続けてきた。

ただSnapchatは、音楽機能でファンがアーティストや音楽とさらに深い関係を築くことができると話す。親しい友人向けのツールであることも影響力があり、強みだと語った。これは主に、若いユーザーが友達から友達へのレコメンデーションに価値を置くからだ。Snapchatは今では米国の13〜24才の90%にリーチしていて、この割合は Facebook、Instagram、そしてMessengerを合わせたよりも大きいとSnapchatは話す。13〜34才でも75%にリーチしている。TikTokは世界に多くのユーザーを抱えるが、Snapchatは公開されているデータをもとに、同社の米国人ユーザー数はTwitterとTikTokの合計よりも多いと主張する。

新機能に関連して、Snapchatの広報担当は「当社は絶えず音楽産業と関係を構築しており、アーティスト、レーベル、ソングライター、出版社、ストリーミングサービスなど音楽エコシステム全体が我々との提携に価値を見出せるようにしている」と述べた。

Snapchatは新機能を今秋、英語圏マーケットで展開するとしている。

画像クレジット:Bryce Durbin/TechCrunch

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(翻訳:Mizoguchi

SnapchatがTikTokスタイルの垂直スワイプで移動する操作をテスト中

Snapchatが、TikTokに対するより直接的な挑戦の準備をしているようだ。同社は、Snapchatの公開コンテンツを垂直方向のスワイプで移動できる新しい操作方法をテストしていることを認めた。この操作はTikTokによって普及したビデオ切り替え方式だ。Snapchatによると、この機能はコミュニティコンテンツのための、さまざまな没入型ビジュアルフォーマットを探究する実験の1つだ。

このテストは友達のプライベートストーリーではなく、Snapchatディスカバーに公開されているコンテンツに焦点を当てている。ただし、ストーリーは様々な要素で構成されているので、ユーザーはこれまでと同様にタップしてストーリーを進めることもできる。しかし今回の新しい実験では、左右を問わず水平方向にスワイプすると、これまでのようにストーリーの切り替えを行うのではなく新機能は終了してしまう。

TikTokに多くの時間を費やすようになった人にとっては、いまや垂直スワイプが、ビデオを移動するためのより自然な方法のように感じられるようになっている。そうしたユーザーは、水平スワイプが使用されているSnapchatやその他のアプリに戻ると、方向感覚を失ったような気分になるのだ。

このテストの存在は、ソーシャルメディアコンサルタントのMatt Navarra(マット・ナバラ)氏によって、Twitterユーザーの@artb2668からの投稿を引用する形で最初に報告された(Twitter投稿)。そこでシェアされた写真の上には、新しい機能をどのように操作すれば良いかを示すアプリのポップアップが示されており、そしてその操作感覚を示すビデオも添付されている。

Snapchatはこのテストが初期段階にあることと、ごく少数のユーザーにしか提供されていないこと以外の、テストに関する具体的な詳細を提供することを拒否した。

「私たちはいつでも没入的で魅力的なコンテンツを、モバイルファーストのSnapchatコミュニティに投入する方法を試しています」と広報担当者はTechCrunchに語った。

もちろん、Snapchatによるテストのタイミングは興味深いものだ。

トランプ政権は現在、TikTokが中国と緊密な関係を持っていること、そしてアメリカ人の個人ユーザーデータが最終的に中国共産党の手に渡るのではないかという恐れから、TikTokを米国で禁止するぞという圧力をかけている(The Wall Street Journal記事)。このアプリは、同様の理由ですでにインドでは禁止されている。米国時間7月10日には、Amazonは従業員に対して、会社が発行したスマートフォンからTikTokアプリを削除するように指示した(The NewYork Times記事)が、5時間後にはその要請を撤回した。2020年初めにはペンタゴンの警告を受けて、米軍の各部門も同アプリへのアクセスをブロックしている(The NewYork Times記事)。一方、Musical.ly(このアプリがTikTokとなった)は、中国のByteDance(バイトダンス)による買収により、米国の国家安全保障レビューを受けている(The NewYork Times記事)。

TikTokが削除の脅威に晒される中で、競合するソーシャルアプリであるByte、Like、Triller、Dubsmashなどが、アプリストアチャートで上昇している。一方Instagramは、TikTokに似たReelsをインド(未訳記事)を含む新しい市場に拡大している。最近はYouTubeでさえ、TikTokのようなエクスペリエンスのテストを開始した(未訳記事)。

TikTokの米国ユーザーをすぐに手に入れられる可能性を考えると、Snapchatが自社のユーザーベースでも同じことをやりたがるのは当然のことだ。

このテストは、ソーシャルアプリのユーザーエクスペリエンスの支配力に対して、TikTokがどれだけ影響力を持つようになったのかも示している。Snapchatはかつて、Instagramを含むほとんどすべての他のソーシャルアプリによってそのショート形式のストーリーのコンセプトを盗まれたが、いまやTikTokのスワイプ可能な垂直フィードがみんながコピーする対象となったのだ。

画像クレジット:Denis Charlet / AFP / Getty Images

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(翻訳:sako)

Snapchatがトランプ大統領の投稿をDiscoverタブに掲載しないと発表

Snap(スナップ)は米国6月3日朝、先週のトランプ大統領のTwitter(ツイッター)投稿を受けて、大統領のコンテンツをDiscoverタブに掲載しないと発表した。ツイートの中で大統領は「抗議する者は『獰猛な犬』と『不吉な武器』に直面するかもしれない」と脅した。

Snapchat(スナップチャット)の対応は多くの理由で注目に値する。中でも、ソーシャルメディアプラットフォームは人気のアカウントがプラットフォーム利用規則を破ったら注意するだけにとどまる傾向にあったことを考えると、かなり興味深い。Snapchatユーザーは、トランプ大統領のフィードを購読したり、アカウントを検索したりすればコンテンツにアクセスできる。今回Snapは単に大統領のアカウントをオーガニックリーチに限定し、Snapが管理するフィードから排除しているだけだ。

「我々は人種暴力や不平等を煽動する人にDiscoverでの無料宣伝を提供することでそうした人の声を拡散させることはしない」とSnapchatの広報担当は声明で述べた。

Snapchatの対応について、トランプ大統領の陣営は「有権者の抑圧に積極的に関与している」と非難(トランプ大統領のウェブサイト)した。

SnapchatのパーソナライズされたDiscoverフィードは、ニュースメディアやSnapchat上のアカウントのコンテンツをソースとしているが、TwitterのMomentsスレッドのような競合するプロダクトに比べてよりエンターテイメントのニュースに偏っている。一方、Momentsはニュース速報に重きを置いている。

今週はじめに、SnapのCEOであるEvan Spiegel(エヴァン・シュピーゲル)氏は最近の抗議についてのレターを共有し、その中で「米国の黒人と有色の人の扱いに心を痛め、憤りを感じた」と記した。Snapのサイトに投稿されたレターの中で、シュピーゲル氏はまた「真実、調停、賠償に関する多様で、党派に属さない委員会」の設置を求めた。

Snapの決断は、Twitterが「暴力の称賛」を禁止するTwitterのルールを破っているとしてトランプ大統領のミネアポリスの抗議についてのツイートの1つを非表示にしたことを受けてのものだ。Twitterはその前に郵送投票に関連するトランプ大統領の2つのツイートに「要事実確認」の警告を表示した。

Facebook(フェイスブック)はCEOのMark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏がTwitterに投稿されたのと同じコンテンツをニュース価値があるとして同プラットフォームからの削除を却下し、同社は今週内部からの批判を浴びた。一部のFacebook従業員がリモートでのストを実行し、ザッカーバーグ氏を含む経営陣にこの件について社内会議を開催するよう要求する事態に発展した。

画像クレジット: Getty Images

[原文へ]

(翻訳:Mizoguchi

人気C向けアプリはいかにして初期ユーザー1000人を獲得したのか?

【編集部注】本稿は米国スタートアップやテクノロジー、ビジネスに関する話題を解説するポッドキャスト「Off Topic」が投稿したnote記事の転載だ。

こんにちは、宮武(@tmiyatake1)です。これまで日本のVCで米国を拠点にキャピタリストとして働いてきて、現在は、LAにあるスタートアップでCOOをしています。Off Topicでは、D2C企業の話や最新テックニュースの解説をしているポッドキャストもやってます。まだ購読されてない方はチェックしてみてください!

はじめに

元Airbnbのグロース担当のLenny Rachitskyさ(レニー・ラチツキー)さん「How the biggest consumer apps got their first 1,000 users」の記事を直接許可を頂き翻訳しました。レニーさんのコンテンツをもっと読みたい方はぜひ彼のメルマガにご登録ください!Lennyさんの「マーケットプレイスの作り方」の翻訳もしていますので、そちらも気になった方はご一読ください!

C向けサービスがいかにして最初の1000人を獲得するかしっかりまとまってる記事は意外とありませんでした。レニーさんの記事は、実際に創業者のヒアリングを行い、過去インタビューを遡り、Twitterで質問したりした事実に基づく濃密なレポートです。UberやTikTok、Tinder、最近話題のSuperhumanなどの著名スタートアップの学びをシェアしたいと思います。

サマリー

  1. C向けの初期グロースは7つの戦略に分けられる
  2. Product HuntやPinterestは複数使ったが、ほとんどのスタートアップは1つの戦略で成長する。3つ以上使って成功した事例は今のところ見てない
  3. 一番人気な戦略はオンラインでもオフラインでも直接ユーザーに行くこと。スケールしないことをやろう
  4. 戦略を実行するために、ターゲット層を狭く定義づけることが大事
  5. 最初の1000人の獲得と1万人までの獲得方法は変わる

初期ユーザー獲得戦略は以下の7つの戦略となる。

  1. オフラインで直接ユーザーと会う
  2. オンラインで直接ユーザーと会う
  3. 友達を招待する
  4. 取り残されることへの恐れ(FOMO)を作ること
  5. インフルエンサーを活用
  6. PR・メディアを活用
  7. コミュニティを作る

1. オフラインで直接ユーザーと会う

Key Question
初期ターゲットユーザーは誰で、どのオフラインの場所で集まっている?

■大学キャンパス
Tinder:創業メンバーのWhitney WolfeとJustin Mateenは南カリフォルニア大学で走り回ってフラタニティとソロリティでTinderを紹介してた。ほかの独身の人とつながれる、そして自分に興味があるかを知りたいニーズに合わせられたのでバイラルになった(Jeff Morris Jr.氏)。

DoorDash:初期バージョンはpaloaltodelivery.comと言うサイトでパロアルトのレストランメニューにPDFが載っていただけ。社長のTonyとDoorDashチームはチラシを印刷してスタンフォード大学でバラまいた。6ドルのデリバリーフィーで需要があるかを知りたかった。単純にPDFメニューのサイトとチラシで始まっただけ(Micah Moreau氏)。

■スタートアップのオフィス、駅や交通ハブ
Lyft:周りのスタートアップの各社にドアノックをして、無料でカップケーキやドーナッツと一緒にLyftの無料クーポンを渡していた(Emily Castor氏とBenjamin Lauzier氏)。
Uber:Streetチームをかなり使った。SF内の各Caltrain(カルトレイン、郊外向けの通勤列車)駅に行ってリファラルコードをばらまいていた。元CEOのTravisさん自身がTwitter本社に行ってリファラルコードを従業員にばらまいていたと。これが後ほどUberのグローバルアンバサダープログラムとなった(Andrew Chen氏)。

■ショッピングモール
Snapchat:CEOのEvanは一人ひとりに見せ始めて、使い方を教えたり、なぜ面白いかを説明した。アプリのダウンロードまで彼が代わりにやってあげていた。ユーザー獲得のために何でもやった。ショッピングモールに行ってSnapchatのチラシもばらまいてた。ショッピングモールで「消える写真を送ってみたいか?」と聞いて、よく断られてた(Billy Gallagher氏、How to Turn Down a Billion Dollars, The Snapchat Storyより)。

■近所のHOA(Home Owner Association、管理組合)
Nextdoor:当時は創業チームは近所のSNSのコンセプトを受けれて検証してくれる場所を探さないと意味がないとわかっていた。どの場所を選ぶかが重要だった。その場所はLorelei(ローレライ)だった。小さく親密なコミュニティであり、カリフォルニア州で最も古い管理組合がある場所だった。すでにコミュニティ内でコミュニケーションの取り合いをする方法があったのでNextdoorに合うと思った。管理組合の上層部に連絡したら話を聞いてくれた(Sarah Leary氏)。

■クラフトフェア
Etsy:米国中に開催されているクラフトフェアに行くことにした。そこで売り手を探しに行った。売り手は買い手をどうやってサイトに誘導させるのをわかっていたので、売り手を囲い込むのが大事だった(Thales Teixeria氏)。

■アップルストア
Pinterest:正直、かなりヤケクソなことをやってた。家の帰り道のアップルストアに入って置いてあったパソコンをPinterestページを表示するようにした。そしてその後にちょっと後ろのほうに行って「へーこのPinterestと言うサイトはバズっているんだなー」と他の人が聞こえるように言ってました(Ben Silbermann氏)。

2. オンラインで直接ユーザーと会う

Key Question
初期ターゲットユーザーは誰で、オンラインのどこで集まっている?

■Hacker News
Dropbox:CEOのDrewは簡単なプロダクトのデモ動画を2007年4月にHacker Newsに投稿した。そのタイトルは「My YC app: Dropbox – Throw away your USB drive」(僕のYCアプリDropbox:USBドライブを捨てよう)。その動画で初期ユーザーを集めた(John Popel氏)。

■アプリストア
TikTok(Musical.ly):当時はアプリストアに秘策があった。アプリ名をすごく長くできた。そしてアプリストアの検索エンジンはキーワードよりアプリ名にウェイトをかけるのを知ってた。なので、アプリ名を「make awesome music videos with all kinds of effects for Instagram, Facebook, Messenger」にしたら検索からの流入が入ってきた(Alex Zhu氏)。

ProductHunt:初期3000人はProductHunt初日とその1日、2日後で獲得できた。3000人から2万人ユーザーは初期ユーザーが入っている組織のエヴァンジェリストを探し、1対1の関係性を作った。そして2万人以降はPMのシステム(同僚を紹介するたびに5ドルのクレジット、50ドルぶんまで)で獲得(Shahed Khan氏)。

■既存のオンラインコミュニティ
Netflix:ユーザーとつながるためにCorey Bridgesをユーザー獲得するために採用した。彼はライターとしての才能があった。Coreyが気づいたのはDVDオーナーはネットのウェブフォーラムなどで集まっていたこと。そのコミュニティに入り込もうとした。CoreyはNetflix従業員とは名乗らず、映画好きな人として会話に参加したり、友達を作った。そこで、徐々にコミュニティ内のモデレーターや一番リスペクトされてたユーザーにNetflixと言う素晴らしいサイトを宣伝し始めた。ローンチ前から大きく種まきをしてくれてた(Marc Randolph氏、That Will Never Workより)。

Buffer:最初の9カ月はゲストブログ(自社ではないブログ)に書き続けただけで10万人を獲得できた。徐々に上がった感じだった。9カ月間で約150件投稿した。まったく流入しなかったものもあったし、徐々にしか改善されなかった。最適な投稿頻度を見つけるまで時間がかかった(Leo Widrich氏)。

3. 友達を招待する

Key Question
自分の友達は初期ターゲット層に当てはまるか?当てはまっていれば、サービスに招待したか?

Yelp:初期ユーザーは自分たちのネットワーク(ほぼ元PayPal同僚)を招待して獲得した。自分たちのネットワークに周りの友達を招待するようにお願いした。スタートアップを経験したメンバーが多かったので、お互い助け合うことに慣れてたのでいろいろ招待してくれた。そこだけで1000人ぐらいまで行った。一人のリファラルネットワークを侮らないことが大事で、招待させるインセンティブや方法を考えるのが大事(Russel Simmons氏)。

Lyft:ウェイトリスト制度を始める前には友達へメールにて招待状を送っていた(Emily Castor Warren氏)。

Facebook:Thefacebook.comは2004年2月4日にローンチした。普通の寮で過ごす夜だった。Mark Zuckerbergがサイトを完成させた時に数名の友達に共有した。その友達が学生寮「Kirkland House」に住んでいる300人が入っているオンラインメールリストに送ることをお勧めした。十数名が入って、その時にはすでにほかの寮にサイトの話が回ってた。夜の終わりには部屋にいた人たち全員が登録したユーザー数をひたすら見ていた。24時間以内で1200〜1500人が登録してくれた(Dustin Moskovitz氏、New Yorkerより)

Quora:Quoraは2010年1月にローンチした時のユーザーは主にAdam D’AngeloとCharlie Cheeverの高校・大学時代の友達が集まっていた。そのおかげで初期Quoraの情報を見ると、Cheeverが育ったペンシルベニア州のピッツバーグでのおいしいレストランなどの情報が多かった。サイトに他の人を招待できる機能を入れてユーザーを増やした(Wiredより)。

LinkedIn:LinkedInのCEOであるReid Hoffmanはプロダクトの初期は成功した友達やつながりに入ってもらった。憧れられるブランドを作るには初期ユーザーの質が重要だと理解してた。成功している会社や人ほど常に次の採用する人材を探しているので、成功した人たちを初期から入れてなければ会社は成功しなかった(Keith Rabois氏)。

Slack:ほかの会社で働いている友達に頼み込んで試してもらってフィードバックをもらった。最初の6社から10社はこう言うかたちで獲得した(Stewart Butterfield氏)。

Pinterest:アプリをローンチした時に友達全員にメールした。最初は誰もサービスの良さを理解しなかったが、ある小さいグループだけ使い続けてくれた。それはアーリーアダプターっぽくなく、一緒に育った友達や知り合いだった。彼らは人生の一環として使ってくれて、家や食べ物写真を上げてくれた(Ben Silbermann氏)。

4. 取り残されることへの恐れ(FOMO)を作ること</h2.

Key Question
・ユーザー生成コンテンツ「UGC」に頼るプロダクト?初期コミュニティはキュレーション型にすることを検討するべき
・強い企業価値があるか?その場合はウェイトリストを検討するべき
・ソーシャルなプロダクトか?その場合は既存ユーザーに新規ユーザーの招待させるように検討するべき

■初期コミュニティを制限、キュレーション
Clubhouse:プライベートテストフライトを見てると面白い(Todd Goldberg氏)。

  • キュレーション(クオリティー担保)
  • 制限・招待制(FOMO: Fear of Missing Out)
  • 早い改善とアップデート(アプリストアのレビュープロセスが必要ない)
  • 初期ユーザーは信頼できるネットワークからのリファラル

Instagram:プロトタイプと検証をしてたときにTwitterフォロワーが多い人に渡したのがよかった。しかもそれはある一定のコミュニティでのフォロワー数が重要だった。そのコミュニティはデザイナー、オンラインウェブデザインのコミュニティだった。我々がフォーカスしている写真やビジュアル要素がこのコミュニティに最もアピールすると思った。彼らがTwitterで共有してくれたおかげで、ほかの人たちは「これはいつローンチして、いつ使えるのか?」と聞き始めて、そのタイミングでローンチした(Kevin Systrom氏)。

Pinterest:最初は招待制のコミュニティだった。初期ユーザーはSilbermannが呼びかけたデザインブロガーだった。呼びかけた人たちにはユニークなアイデアとクリエイティブな人たちにしか招待するなと教えた。そうやって2012年まで招待ベースで伸び続けた(Entrepreneurより)。

■事前登録、ウェイトリスト
Mailbox:iPhone用のメール管理アプリのMailboxがリリースされた時にすでに70万人のユーザーがウェイトリストに登録していた。これはMailboxのサーバーに異常なる負担を与えないためと、需要をより増やすマーケティング戦略だ(Darrell Etherington氏)。

Superhuman:初年度は開発している最中にLP(ランディングページ)を公開した。Squarespaceで作った最小限のダメなLPを2時間だけかけて作り上げた。LPにはメールアドレスしか入れられないようにした。そしてメールアドレスを入れた際には2つの質問が自動送信された(Rahul Vohra氏)。

  1. どのメールブラウザーを使っている?
  2. メールの不満は何?

Robinhood:リリースした際には初期サイトがバズるとはまったく思ってなかった。そのためシンプルなコピーを入れて、登録するためのボタンを押して、メールアドレスを入力してもらってウェイトリストにジョインできるようにした。そしてウェイトリストの何人中、何番目かを表示するようにした。プレスを出すその前の金曜日の夜にウェイトリストの準備をしていた。その次の日の土曜日にGoogle Analyticsを開くと600人ぐらいの同時アクセスユーザー数を見かけた。何が起こったかを見たらほとんどのユーザーはHacker Newsから来ていた。Hacker Newsを見たら3番目にRobinhoodについて投稿されてた(Business Insiderより)。

■既存ユーザーからの招待制
Spotify:2008年にSpotifyがベータ版をローンチ。正式ローンチまでは招待制オンリーで進めていた。Spotifyの初期成長はこの招待制度が鍵だった。Spotifyのグロースをコントロールできたのと、よりバイラルな要素をサービスに与えた。ユーザーは最初に5人の友達に招待できるようにしてた(TNWより)。

5. インフルエンサーの活用

Key Question
ターケット層のインフルエンサーは誰で、どうやって自分のプロダクトについて話してもらえるか?

Twitter:以下図が初期ローンチのグラフだ。最初にインターネットでTwitterについてメンションがあったのは7月13日のEvan Williamのブログだったが、その前日に登録が結構入ってたのがわかる。そしてOm Malikの投稿で次の日には250人が登録。まだ600人ぐらいしかいなかったときだった。Evanの人気度とOmの推薦をもとに最初にバズるような状況を作れた(Pete Warden氏)。

Product Hunt:インフルエンサーを見つけた時に私かNathanが個人的にメールを送って、プレスでProduct Huntに言及していたPandoDailyやFast Companyの記事にリンクして我々のストーリーを説明した。マニュアルなプロセスだったが、いい寄稿者を採用するのにいい方法でよりフィードバックをもらえやすい状況を作っていた(Ryan Hoover氏)。

Instagram:創業者は初期ユーザーを慎重に選んでいた。良い写真家、特に高いTwitterフォロワー数のデザイナーを選んでた。その初期ユーザーが最初のトーン、良質なコンテンツを出した最初のInstagramをプロモーションするインフルエンサーキャンペーンと言えるだろう。Jack DorseyはInstagramの一番の営業マンだった。最初は彼の投資が(Instagramの前身のサービスである)Burbnではないアプリに行くことに対してショックだったが、すぐにInstagramをBurbn以上に好きになった。そしてInstagramが2010年10月6日にローンチした時に、Jack Dorseyが共有してくれたおかげですぐにバズった。アップルのアプリストアのカメラアプリの中でいちばんになった(Sarah Frier氏、No Filter: The Inside Story of Instagramより)。

6. PR・メディアの活用

Key Question
プレスやメディアにピッチできる新しく、面白く、そしてユニークなストーリーとは?

Superhuman:プレスをうまく使うのは時代精神的な瞬間に入り込むこと。我々の場合はMailboxがシャットダウンする時だった。私はかなり読まれたM&Aの生き残り方についての記事を書いたが、それはMailboxのシャットダウンと合わせて書いたもの。投稿はMediumで出したが、qz.comにも転載された。時代精神的な瞬間に入り込めた。その記事を書くのに3日間それだけに集中したのと、あと1日記事をいろんな人に共有するのに時間をかけたので、合計4日間フルフルかかった。でもその4日間で5000人の登録が入ってきた(Rahul Vohra氏)。

Product Hunt:FastCompany記事のようにゲスト投稿をテックメディアで書いて認知を得た。初期はプレス・メディアで登録を伸ばすのに効果的だった。TechCrunchを読む人はProduct Huntを見る人と同一だった。さらにProduct Huntでローンチしたいいプロダクトを知り合いの記者に情報を流すようにした。記者の興味に合わせてプロダクトを送り、それについて記事を書いてもらってProduct Huntにリンクしてもらった。しかもそれによってよりクリエイターやアーリーステージの会社に認知を与えてた(Ryan Hoover氏)。

Airbnb:ターニングポイントはコロラド州デンバーで行われた2008年の民主党全国委員会(DNC)だった。Airbnb創業メンバーはイベントのキャパの4倍以上の人が参加すると知っていて、その影響で部屋のレンタルの需要が高まると知ってた。部屋を譲ってもらうのは簡単だったが、知名度がなかったのでその部屋に宿泊してもらうことが難しかった。

それを解決するためにまずは小さいオーディエンスを持っているブロガーに当たった。直感に反するかもしれないが、小さいブロガーがAirbnbについて投稿することによって大きめのメディアが取り上げる必要があると感じた。それがどんどん加速して、最終的には全米に放映するNBCやCBSがAirbnbの創業者をインタビューしていた。

DNCはAirbnbにとってよかったが、結局1週間しか続かなかった。創業者がイベントからのインパクトを最大限に広げられないかとキッチンで座ってたときに、シリアルを売って黒字化するアイデアを思いついた。2人ともデザイナーで名門ロードアイランド・スクール・オブ・デザインの卒業生だった。嘘のシリアルの「Obama O’s, the Cereal of Change」と「Cap’n McCain’s, a Maverick in Every Box」を考えた。箱のアートは彼ら自身で考え、カリフォルニア大学バークレー校の生徒にお願いして安く箱を印刷してもらった。箱はフラットな長方形で印刷されたので、1つひとつ形を切り取って手作りした。
創業メンバーはいろんなテックブロガーに箱を送り、それについて記事を書いてもらった。その後に一箱40ドルで売った。Obama O’sが売れすぎて、Cap’n McCainを無償でつけるようになった(Pandoより)。

Slack:ベータ版をベータ版と呼ばなかったのは、そうするとサービスがあまりよくないと思われるからだった。チームの過去の経験を活用してプレス戦略を行った。それでSlackを使うリクエストが遅れるようにした。初日に8000人、2週間後に1万5000人まで上がった。ローンチ時のメディアの力は強い(Stewart Butterfield氏)。

Instagram:PR会社を使わずに直接プレスにコンタクトした。これは正しい戦略だったとKevin Systromが語る。いいプロダクトと熱い創業者からピッチするといい記事となる。プロダクトを好きになりそうな人に関しては躊躇なく連絡した。それがうまくいった。New York Timesとかに連絡する意味がないといろんな人から言われたが、NYTは話すだけではなく、直接会いにきてくれた。そして2010年10月にローンチした同日にプレスが出て、サーバーへの負担がハンパなかった(TNWより)。

7. ローンチ前にコミュニティを作る

Key Question
あとあと活用できるコミュニティを今作れるか?

Product Hunt:Linkydinkと言うメルマガツールを使ってメルマガとしてスタートした。Product Huntを開発している間にMVP版に貢献してくれる人たちやプロダクト関連の人にモックを共有してフィードバックをもらってた。これは顧客開発のためだけではなく、共有してた人たちにプロダクトに貢献してプロダクトの一部として感じてもらうようにしていた(実際に貢献してくれてた)。その5日後、MVPが完成した。Product HuntのURLをサポーターたちにメールして、周りに共有しないようにお願いした。サポーターたちは自分たちが開発に貢献した感情を抱いてたので、プロダクトにすぐに愛着が生まれた。それで最初の30人を獲得した。週の終わりには100人集まったので、公開できると思った(Ryan Hoover氏)。

Stack Overflow:創業メンバーのJoel SpolskyとJeff Atwoodは過去の経歴のおかげで大きなフォロワーコミュニティを持っていた。お互いのコミュニティに対してプライベートベータ版に招待した。コンテンツが最初からないと微妙に見えるので、招待する前に創業メンバー自らコンテンツを作っていた(Jon氏)。

おさらい

最初の1000人を獲得するには、以下7つの戦略が使われた。

  1. オフラインで直接ユーザーと会う
  2. オンラインで直接ユーザーと会う
  3. 友達を招待する
  4. 取り残されることへの恐れ(FOMO)を作ること
  5. インフルエンサーの活用
  6. PR・メディアの活用
  7. コミュニティを作る

どの戦略にフォーカスするべきか決めるために自分に聞くべき質問は以下のとおり。

  1. 初期ターゲットユーザーは誰で、どのオフラインの場所で集まっている?
  2. 初期ターゲットユーザーは誰で、オンラインのどこで集まっている?
  3. 自分の友達は初期ターゲット層に当てはまるか?当てはまっていれば、サービスに招待したか?
  4. ユーザー生成コンテンツ「UGC」に頼るプロダクト?初期コミュニティはキュレーション型にすることを検討するべき
  5. 強い企業価値があるか?その場合はウェイトリストを検討するべき
  6. ソーシャルなプロダクトか?その場合は既存ユーザーに新規ユーザーの招待させるように検討するべき
  7. ターケット層のインフルエンサーは誰で、どうやって自分のプロダクトについて話してもらえるか?
  8. プレスや¥メディアにピッチできる新しく、面白く、ユニークなストーリーとは?
  9. あとあと活用できるコミュニティを今作れるか?

NFLのLAラムズがSnapchatとMadden NFLで新ユニフォームをARで公開

新型コロナウイルスのパンデミックによって社会的距離の確保(ソーシャルディスタンス)が強いられ、米国中で神聖なる国家的娯楽の大々的な再開を待ち望む中、スポーツチームは新しい時代のファンとつながりを持とうとソーシャルメディアやビデオゲームといったデジタルツールの新しい波に目を向けている。

Los Angeles Rams (ロサンゼルス・ラムズ)は、この流れに乗ったばかりのNFLのチームだ。今年後半にNFLで最もハイテクなスタジアムがオープンするのを前に、ソーシャルメディア大手のSnap、そしてEA Sportsのアメリカンフットボールゲーム「Madden NFL」シリーズと協業して、新しいユニフォームのデザインを発表した。このユニフォームは、SnapchatのAR(拡張現実)レンズをカスタムメイドしたもので、ラムズファンの行動を駆り立てる機能が備わっている。

ARを使ってユニフォームを披露するという驚きのアイデアは、カリフォルニアで施行された社会的距離規制によって決断されたものだが、全NFLチームの中でも初めての試みだ。またラムズは、Madden NFLシリーズのゲームに登場するラムズの選手に、新ユニフォームを着せるというスニークプレビューも行った。

Instagramでも、新スタジアムのオープン前にその本拠地で新ユニフォームのインタラクティブなコンテンツを見ることができる。

「私たちは、ARをどのように使うか時間をかけて話し合いました」とラムズでパートナー・マーケティング責任者を務めるLexi Vonderlieth(レクシー・ボンダリエス)氏。「ユニフォームに命を吹き込む方法を探りました。ちょっとだけ見せて興味を引きつける方法です」。

Snapのレンズから見える世界では、Jared Thomas Goff(ジャレッド・ゴフ)やAaron Donald(アーロン・ドナルド)が、ユーザーのアパート、居間、ガレージなどに現れる。Snapの自撮りモードを使うと、ユーザーは新しいユニフォームとラムズのヘルメットを着用できる。

ロサンゼルスを本拠地とするSnapは、以前からラムズと親交があった。地理的に近いこともあるが、ロサンゼルスのビジネス界でのつながりだ。本日の新ユニフォーム披露は、Snapにとっては初めての、NFL全体ではなくひとつのフランチャイズとの共同事業となった。

今シーズンは、このフィルターの使用より前にもNFLのドラフトに向けたSnapのフィルターやカメラが登場している。Snapは、ファンが贔屓のチームの称賛し応援できるように特別なカメラを公開している。

NFLは実際、Snapのレンズの歴史に大いに貢献してきた。スーパーボウルで勝っているチームの監督が仲間の選手からゲータレードを浴びせかけられるという、あの有名な「ゲータレードかけ」の伝統が味わえるレンズは、Snapが開発した最初のレンズのひとつだった。

「ARを楽しく使うことで、どれだけ素晴らしいつながりが生まれるかを私たちは見てきました」と、グローバル・クリエイティブ・ストラテジー上級ディレクターのJeff Miller(ジェフ・ミラー)氏は言う。「Snapは、親しい友だちや家族とつながるために作られたプラットフォームです。そうしたつながりの中で、スポーツの情熱が発散されるのです」。

画像クレジット:Electronic Arts

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(翻訳:金井哲夫)

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【Twitter、Snapchat編】米国SNSの最新事情とZ世代が新しい場所を求める理由(その1)

【編集部注】本稿は米国スタートアップやテクノロジー、ビジネスに関する話題を解説するポッドキャスト「Off Topic」が投稿したnote記事の転載だ。

こんにちは、宮武(@tmiyatake1)です。これまで日本のVCで米国を拠点にキャピタリストとして働いてきて、現在は、LAにあるスタートアップでCOOをしています。Off Topicというポッドキャストでは、D2C企業の話や最新テックニュースを解説しています。まだ購読されてない方はチェックしてみてください!

はじめに

Facebook、Twitter、Instagram、Snapchat、TikTokなど、さまざなSNSが日々使われている中、米国では「次のSNSプラットフォーム」をVCたちが探している。もうすでにSNS市場は成熟していると思う読者もいると思うが、実際は違う。今新しいSNSを立ち上げるには絶好のタイミングなのだ

SNS第1世代と言われるFacebookやTwitterは、2004年~2006年にサービスを開始。第2世代は、2010年~2011年にかけて写真をメインとしたInstagramやSnapchatが誕生した。そしてMusica.ly(現TikTok)が2014年にローンチ。過去の傾向からみると、3~5年の間で新しいSNSが誕生している。その理由は、新しい行動変化や既存のトップSNSへの不満を感じ始めるからだ。その不満については記事の後半で説明する。

まずはFacebookを除いて、今米国でのSNSを見てみよう。各SNSをどう使うべきなのか、どう言う戦略を考えているのかなどをまとめた。この記事では、TwitterとSnapchatの最新事情について紹介する。InstagramとTikTokの最新事情についてはこちらの記事、注目の次世代SNSについてはこちらの記事を参照してほしい。

知識やニュース共有の場「Twitter」

Twitterはエンターテインメントというよりは、知識やニュースの共有場として成り立っている。企業としては今のステータスの共有が出来るし、個人はInstagramやTikTokでは集められない層にリーチして、エンゲージが出来る。ほかのSNSの中でも最も有名人や業界のリーダーとフランクに話し合える場とも言える。いまだと大学の単位よりもTwitterアカウントのほうが価値があると言う人も出てきている。

事例1:スレッド機能で小出しにプロモーション
有名な事例では、Disney+はローンチ時に素晴らしいTwitterのスレッドを展開した。まさにTwitterに合わせたコンテンツで、スレッドで700以上の返信、ローンチ時でリリースする作品を1つずつ紹介。自社のIP(知的財産)の強さと深さをうまく表現するプロモーション方法だ。

公開を少しずつ小出しにしていき、常にタイムラインにDisney+の情報が載るように時間をかけて投稿し続けた。

作品を別々のツイートにすることによって作品のファンがリツイートしやすいようにしている。こちらがそのスレッドをツイートした数日後のエンゲージメントの数字。やはりかなり高いことがわかる。

引用:Convivaデータより

Netflixも似たようなキャンペーンを行った。2020年に公開する映画をツイートスレッドで発表したが、ちょっと物足りなかった。

比較すると違いがわかる。コンセプトアートを含めているDisney+のほうが圧倒的にシェアされる気がする。

NBAの方法にも注目だ。NBAはスポーツ業界の中でSNSを一番うまく活用していることは、去年末に投稿されたツイートを見ればわかる。過去10年のトップ20のダンク集を1つずつ出すスレッドを投稿しで各動画に出たプレイヤーやチームのファンがリツイートできるようにしたのだ。

さらに、YouTubeではトップ100のダンクまとめ動画を公式で公開。YouTubeだともっと長いコンテンツが見られるし、それでより広告収入も得られる。

事例2:著名人への質問を飛ばすQuora的な使われ方
最近TwitterがQuora化している風に見える。Q&AやAMA(Ask Me Anythin、なんでも私に聞いてね)を実施している人が増えている。

事例3:メッセージ性のあるプロフィール名の変更
プロフィール名を変えるだけで、一番伝えたいメッセージを多くのユーザーに伝えられる。過去にWendy’s(ウェンディーズ)、Slack、Airbnb、Chipotle(チポトレ・メキシカン・グリル)など行っている。ウェンディーズでは、人気メニューの復活キャンペーンでプロフィール名を「WENDY’S SPICY NUGGETS ARE BACK!!!」(ウェンディーズのスパイシーナゲットが帰ってきた!!!)と告知した。

Slackではダークモードのリリース時に「Slack *does* have dark mode now, yes indeed.」(Slackにはダークモードが「あり」ます、本当に)と変更。

Airbnbは300以上の新しい動物に関しての体験を提供開始したことを合評した。

直近での面白い事例は、メキシカンチェーン店のChipotleがプロフィール名にSMS(ショートメッセージサービス)の番号を公開。この戦略を使って、ワカモレ(メキシコ料理のサルサの1種)を無料で提供。しかもこれはCTA(行動喚起)が明確で「SMSしたらどうなる?」ときになる人も多いだろう。

事例4:「あえて」ハッシュタグを使わない
マーケティングがうまいApple(アップル)とDisney(ディズニー)の広告を見ると、ハッシュタグを入れてない。意外とハッシュタグを入れたほうが悪い結果になるときちんと理解しているのだ。

入れない理由はいくつかある。まず、多くのブランドがハッシュタグを入れてきたせいでみんな見なくなり、スパム扱いとなっていること。そしてブランド側としては広告を出して自分のランディングページに行かせるのが目的なのに、ハッシュタグを入れると違う場所にユーザーが行ってしまうチャンスを与えるのは意味のないこと。

毎日のコミュケーションのひとつ「Snapchat」

Snapchat CEOのEvan Spiegel(エヴァン・スピーゲル)氏は面白い視点でSNSについて思っている。ミュンヘンで開催された「Digital Life Design 2020」イベントで同氏は、Snapchat、Instagram、TikTokを1つのピラミッドでポジショニングの違いを説明した。

引用:Evan Spiegelの2020年登壇内容を基に作成

このピラミッドの下層、一番キモとなるのは日々起きる友達同士の「コミュニケーション・自己表現」。スピーゲル氏はここにSnapchatが入っていると主張している。Snapchatは、友達間での心地よいやり取りを可能としているプラットフォームだ。

そしてピラミッドを上がるにあたり、「ステータス」のレイヤーに入る。初期のSNSはほとんどここに入っていると説明している。「いいね」やコメントを求めて自分の価値を表すプラットフォーム。ただ「コミュニケーション」レイヤーよりはアピールがなく、よりハードルが高い。それはなぜかというと、ステータスに見合うコンテンツ作成(いわゆるインスタ映え写真)を常に投稿するのは難しい。そうすると頻度が落ちるのとともに、全ユーザーが共感するコンテンツを制作できない。

そして一番上が「タレント」領域。数時間かけてダンスを学ぶ、もしくは数時間かけて面白いネタやストーリーを考えるコンテンツクリエイターがそろっている。そうするとクリエイター側はより狭まる。難しいダンスをわざわざ学びたい人はインスタ映えを撮れる人より少ない。ただ、コンテンツを見ると時間をかけているぶん、「ステータス」レイヤーよりも面白い。そのためTikTokがInstagramを超える可能性があるとスピーゲル氏は話している。ただ、Snapchatに入るには圧倒的に機能の変更とユーザーの行動変化(TikTok上で会話)が必要なため、恐らくスピーゲル氏はTikTokを恐れてない。

同氏の説明を聞きたい読者は以下動画を参照してほしい。

Snapchatはこの「コミュニケーション」レイヤーをまず固めている。1990年代後半~2000年生まれのZ世代の中では使う頻度が多少下がっているかもしれないが、実際には圧倒的にSnapchatは使われている。日常のコミュニケーションツールとして使われている中、Snapchatは去年あたりから本格的に次のステップ、いわゆるFacebookやInstagramを対抗するための秘策を売っている。

その戦略はSnapchatをほかのプラットフォームに広げること。対等にSnapchatはFacebookやInstagramと戦って、かなり苦しんだ。元々Storiesと言う非常にニーズにあったコンテンツフォーマットを持っていたのが、Instagramにコピーされてしまった。そこでスピーゲル氏は別の作戦を採った。過去にFacebookログインのように、Snapchatはここ数年行ったこととは、自社機能をどうSNS以外の成長しているプラットフォームに乗れるか。アイデンティティー、コンテンツフォーマット、そして開発キットをリリースしたのがこの戦略を明確にしている。

Bitmojiからのアイデンティティー共有

過去のNote記事にも記載したが、Snapchatは過去に買収したBitmojiをうまく活用している。Snapchat上で作ったアバターがほかのプラットフォームで見るようになると、Snapchatで作り上げたものが自分のライフスタイルの中心となってくる。その気持ちをうまくキープできるかがSnapchatの今後の見どころ。Snapchatは明らかに通常のSNSからエンタメ(ゲーム・番組制作・AR)にシフトしている。SnapchatはFortnite(フォートナイト)やゲームが次世代SNSになり得ると感づいてこの取り込みをしている気がする。

Facebookもそれに気付き、直近でFacebook Avatarsをローンチした。

関連記事:Facebook Avatars, a Bitmoji competitor, launches in Europe

Snapchat Stories機能の広め方

SnapchatはStories(ストーリーズ)機能を出したときは大ヒットし、そのあとInstagramにコピーされた。その次にFacebookとWhatsappにも同じ機能が出た。そしてStoriesと似た機能がYouTube、Twitter、LinkedIn、SoundCloudなどで開発されている中、スピーゲル氏は去年Snapchat Storiesをほかのプラットフォームで投稿できるように発表、そして2020年3月末にリリースした。

Facebookファミリー(Facebook、Instagram、Whatsapp)が圧倒的な強さを見せる中、ほかのプラットフォームと一緒に組むことで勝ち筋を作りに行っているのはほかのプラットフォームには過去なかった戦略。ただ、Bitmojiをはじめ、Snapchatとしては自然な展開となっている。Snapchatを起点にコンテンツ制作・アバター制作をすると、自然とほかのアプリ・プラットフォームでも同じアバターとコンテンツが出てくる。他社プラットフォームとしてはエンジニアのリソースをStoriesコピーに使わなくてよく、Snapchatのオーディエンスからの送客としても使える。

そしてSnapchatはこれによってどういうアプリにコンテンツやアバターが存在するのかがわかり、よりユーザーのデータを取得。そのデータと、よりコンテンツがさまざまプラットフォームに出ているのでマネタイズ(広告)がしやすくなる。Snapchatは10代から二10代前半のリーチができていて、メッセンジャーを起点とした戦い方を示している。それを加速させるために第三者の開発ネットワークを作った。

Snapchat Kitのすごさ

このStoriesとBitmojiの裏側にはSnapchat Kitと言う開発キットがある。さまざまなパートナーがSnapchatの各種機能と連携して、お互いベネフィットを生み出せる仕組みを作っている。過去には、Netflix、GoFundMe、VSCO、AnchorなどがSnapchatのステッカーを使えるようにしたり、Washington Post(ワシントン・ポスト)の記事をSnapchat上で共有できるようにしたり、Zynga(ジンガ)やZeptoLab(ゼプトラボ)がチャット内でゲームをプレーできるようにもしている。さらにSnapchat Kitの中にはFacebookログインと同じLogin Kitが存在する。

過去1年で最もダウンロード数が上がったアプリを見ると、多くのアプリがSnapchat Kitをベースに作られている、YOLO、Hoop、LMKなど、もしくはSnapchat Kitと連携している、TikTok、Triller、Yubo、Venmo、Audiomackなどがリストに載っていた。

引用:Damir Becirovic氏のTwitterから

買収したスタートアップを機能に落とし込む能力

Snapchat Kitを含め、Snapchatのプロダクトを見ると多くの機能は買収したスタートアップからきた事がわかる。

  • 2億1300万ドルで買収したZenly→Snapchat Map
  • 1億6600万ドルで買収したAI Factory→Cameos
  • 1億5000万ドルで買収したLooksery→Lenses
  • 6500万ドルで買収したBitstrips→Bitmoji
  • 5000万ドルで買収したScanMe→Snapchat Code
  • 3000万ドルで買収したAddlive→Video Chat

今後もSnapchatの買収戦略、そしてプロダクトの広め方、Facebookとの優位性の付け方に注目するべきだろう。

引用記事
Snapchat will launch Bitmoji TV, a personalized cartoon show(TechCrunch)
What’s trending: Experts decode Gen Z(DIGDAY)
NO. 330: GEN Z ARBITRAGE(2PM)
The Era of Participatory Social(Medium)
The Sound of Silence(Posthaven)
Snapchat launches privacy-safe Snap Kit, the un-Facebook platform(TechCrunch)
Snapchat preempts clones, syndicates Stories to other apps(TechCrunch)
To stop copycats, Snapchat shares itself(TechCrunch)
Clubhouse voice chat leads a wave of spontaneous social apps(TechCrunch)

Scanpchat開発元が多額の債券発行により800億円超の資金調達を目指す

好調な決算報告を終えたばかりのSnap(スナップ)は米国時間4月24日、新たに7億5000万ドル(約810億円)の資金調達を検討していると発表した。SnapはSnapchatを提供している。

2025年5月1日に満期となる7億5000万ドルの転換社債で構成される今回の債券発行は、適格な機関投資家を対象とした第三者割当増資であり、Snapは将来的に1億1250万ドル(約121億円)相当の社債を確保するオプションを買い手に提供することも視野に入れている。

Snapの第1四半期の収益は投資家に好印象を与えたが、同社は依然として多額の現金を失っており、デジタル広告市場の低迷の影響が第2四半期の収益に影響することは明らかだ。Snapは今週火曜日に、同四半期の売上高が4億6250万ドル(約497億円)、純損失が3億600万ドル(約329億円)だったと発表した。

新型コロナウイルス(COVID-19)危機は、民間企業や上場企業にバランスシートを厳しく精査するよう促している。有利な立場にある企業にとって債務の調達は、迫り来る市場の不確実性に対処するための魅力的な選択肢である。

Snapが社債発行を検討するのは、これが初めてではない。同社は2019年8月に、11億ドル(約1182億円)の債務募集を発表している。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

Instagramはその拡散力を生かして正しい新型コロナ対策の伝達にひと役買う

Instagramは常にたくさんの人が利用しているという特徴を生かして、ホーム画面を新型コロナウイルス予防情報のニュースページにしてしまった。一部の国ではそこに、WHO(世界保健機構)とその国の保健衛生機関などへのリンクとともに「新型コロナウイルス(COVID-19)の拡散防止のために、保健衛生関連機関からの最新の情報をチェックしよう。厚生労働省へのリンク」といったメッセージが表示される。

Instagramのスポークスパーソンによると、これらの注記はウイルス被害の大きい国から順に表示しているという。

またCOVID-19関連の拡張現実エフェクトは、合法的な保健衛生機関とのパートナーシップで作られたもの以外は検索できない。これはウイルスに関する不正確な情報や、無神経なジョークの拡散を防ぐためだ。Instagramはすでに偽情報をファクトチェッカーに送っており、新型コロナウイルス関連の検索結果上部には公的保健医療機関のリストがある。

この緊急事態への集中を維持するためにFacebookは、ARによる顔写真フィルターを始めるために2016に買収したMSQRDアプリを閉鎖した。このアプリを4月13日に利用できなくなるが、その技術はすでにFacebookやInstagramに完全に統合されている。

一方Snapchatは、パートナーが偽情報を共有するのを禁じ、同社のクローズドなプラットフォームだけを利用している。それはFacebookといったオープンなプラットフォームを悩ませている、ニュースデマを防ぐためだ。SnapchatはDiscoverのパートナーであるテレビ局や新聞社、通信社(NBCのStay Tuned、Sky News、The Wall Street Journal、The Washington Post、CNN、NowThisなど)などがシェアしている健康情報を強調表示しており、以下のようなものがある(ただし、モバイルでしか見られないコンテンツもある)。

  • Washington Postには手の正しい洗い方の説明がある。
  • WSJはCOVID-19の世界的拡散の様相を説明している。
  • 英国のSkyNews Explainsは自分を隔離する方法を列挙している。

現在、多くの人が伝統的なニュース媒体よりもソーシャルメディアを頻繁に見ることをよく知るソーシャルプラットフォームの賢明な取り組みだ。Instagramの月間ユーザーは10億人あまりで、Snapchatは1日のユーザーが2億人を超えている。彼らには重要な情報を広める力があり、新しいかたちの緊急放送システムとして機能することができる。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

NBCとSnapchatが東京五輪コンテンツ制作で提携

Snapchat(スナップチャット)とNBC Olympicsは、米国のユーザー向けのオリンピックコンテンツ制作で再びタグを組む。今回は、今夏開催される東京五輪のものだ。2社は2016年のリオ五輪と2018年の平昌五輪でもコラボしている。平昌での冬季五輪では4000万人超の米国ユーザーにコンテンツを提供し、この数はリオ五輪から25%増となった。

加えて、そうしたユーザーの95%は35才以下だった。

多くの人が購読型の有料テレビや従来の放送局の視聴をやめ、Netflixのようなオンデマンドストリーミングサービスを利用するコード・カッティングの時代にあって、若い世代に視聴してもらうことは難しくなりつつある。これは広告主の視聴者へのアクセスを制限し、NBCの収支に影響を及ぼす。

この問題を改善するのにSnapとの提携が役立つ。というのも、テレビをさほど、あるいは全く観ない若年層のファンにアクセスしたい広告主から広告を出してもらう方法としてNBC Olympicsを提供できるからだ。今日では、米国の13〜24才の90%がSnapchatを利用している。そして2億1000万人がSnapchatを毎日使用している。

Snapとの提携による、競技に関するカスタマイズされた新たなコンテンツの独占セラーだ、とNBC Olympicsは話す。

今年はこれまでよりも多くのコンテンツを扱う。五輪開催前と開催期間中に、4つのデイリーSnapchat番組で70超のエピソードをリリースする計画だ。この数字は2018年に提供したエピソードの3倍となる。

そして今回初めて、2つのデイリーハイライト番組をSnapchat向けに制作する。これはほぼリアルタイムでアップデートされる見込みだ。この番組にはオリンピックでのその日の必見シーンが含まれる。

加えて、2つの台本なし番組が期間中に放送される。それぞれ1日あたり2つのエピソードを扱う。1つは、平昌五輪でデビューした「Chasing Gold」で、米国選手団をフォローする。もう1つは、Snapchatユーザー向けに精選された最も心に残る場面のデイリーリキャップで、今年初めての試みだ。どちらもNBCUniversal Digital Labがプロデュースする。

今回の提携ではまた、五輪期間中にSnapがデイリーのOur Storiesを精選する。こちらは以前の五輪でも行なった。Storiesにはファンからの写真やビデオ、そしてNBC Olympicsからのコンテンツが含まれる。

「Snapのオーディエンスがオリンピックゲームを好きなことはわかっている」とNBC Olympics会長のGary Zenkel(ゲーリー・ゼンケル)氏は声明文で述べた。「2つの五輪での成功を受け、提携を次のレベルにもっていき、より多くのコンテンツやSnapchatユーザー向けの番組を制作することを楽しみにしている。Snapchatユーザー向けのコンテンツは、若年アクティブ層へのアクセスを模索している多くのNBC Olympics広告主に直接恩恵をもたらすはずだ」。

しかしオリンピックのコンテンツが視聴できるのはSnapchatだけではない。NBCとTwitterは、限定されたライブのイベント放送やハイライト、デイリーオリンピック番組をストリーミングすることですでに提携している。NBCがSnapchatの代わりにTwitterを選んだのか、提携が発表された時点では明らかではなかった。そして今日、そうではなかったことがはっきりした。実際、Snapとの提携はこれまでよりも大規模だ。

これより前に、NBCUはNBCやNBCSN、オリンピックチャンネルなどでも放映される2020年東京五輪の広告売上として12億ドル(約1300億円)超を期待していると述べている。

[原文へ]

(翻訳:Mizoguchi

Snapchatが自分のアニメ動画を作成できるBitmoji TV提供へ

Snapchat(スナップチャット)で最も人気があるが活用しきれていない機能が2020年にようやくスポットライトを浴びる。来年2月にグローバルでリリースされる機能で、カスタマイズ可能なBitmojiアバターがBitmoji TVと呼ばれるフルモーションアニメシリーズのスターになる。チャットステッカーやマンガ仕立てのストーリーで使われるにすぎなかったBitmojiにとって、大きな進化だ。

Bitmoji TVはユーザーが自分でアニメ動画を作成できる機能で、作成したアニメはディスカバーに表示される。アニメはコピーができない。Bitmoji TVにより、YouTube、Facebook Watch、TikTokなどの多数のショートビデオプラットフォームからの差別化が可能になる。Bitmoji TVでディスカバーのクオリティが向上するかもしれない。現在のディスカバーは、単純に目を引いたりクリックを促すのが目的の、露出度の高い女性、おぞましい画像、その他の衝撃的なコンテンツでいっぱいの写真週刊誌が並んだ書棚のようだ。

Bitmoji TVを利用すると、スター・トレックの宇宙船の乗組員になったり、秘密エージェントになったり、ロボットに恋をしたり、ゾンビになったり、定期的に予定されている冒険にユーザーとその友人のアバターが登場する。予告編のSnapchatは、Netflix(ネットフリックス)のビッグマウス(ネットフリックスのアニメシリーズ)を思わせるアニメーションスタイルのプレビューをリリースした。

TechCrunchは、エピソードの長さやリリースされる頻度、広告を含めるのか、どこかの会社を買収したのか、シリーズ制作のために著名な人材を引き抜いたのかなど、詳細についてSnapに問い合わせた。  Snapのスポークスマンは詳細な回答を控えたが、次の声明を出した。「Bitmoji TVはまだ利用できないが、間もなくのグローバルプレミアに注目してほしい」

Bitmoji TVのSnapchat Showページは2020年2月に発表される。ユーザーはモバイルからこのサイトでBitmoji TVの利用登録をすると、ディスカバーページに目立つように表示したり、新しいコンテンツに関する通知をオンにしたりできる。

SnapはBitmojiの価値を実現する

Snapはここ数年苦しんでいる。主要機能の多くがFacebook(フェイスブック)ファミリーのアプリによって容赦なくコピーされているからだ。Instagram Stories(インスタグラムストーリー)は、ストーリーの発明者からこのメディア形式をを事実上盗み、何年もの間、Snapの成長の息の根を止めた。Facebookはまた、ARフィルターを強化し、より短いメッセージの機能も追加し、SnapchatディスカバーのライバルとしてWatchを始めた。

2年前、筆者はFacebookがBitmojiと競合しないのはクレイジーだと書いた。半年後、Facebookアバターが開発中であることをTechCrunchが最初に報じ、今年オーストラリアでメッセンジャーチャットステッカーとしてリリースされた。2019年か2020年初頭にグローバルリリースを計画している。だが、Facebookの緩慢な動き、Googleの中途半端な参入、Twitterに動きが見られないことなどが、SnapchatのBitmojiにとって幸いした。Snapは今、ついにそのチャンスを捉えた。

「TV」は、実のところ、Bitmojiのルーツへの回帰だ。スタートアップのBitstripsはもともと、髪や服などをカスタマイズしたアバターが登場するマンガを作成するアプリを提供していた。Snapは2016年にたった6420万ドル(約70億円)でBitstripsを買収した。10億ドル(約1100億円)弱でInstagramを買収したFacebookと似たような動きだった。Snapchatがアバターをチャットステッカーとして提供し始めるとすぐに、スタンドアロンのBitmojiアプリが爆発的にヒットした。Sensor Towerによると、Snapchatがメインアプリでアバターを作成できるようになったにもかかわらず、4月の時点で3億3000万回を超えるダウンロードがあった。

最終的に、SnapはBitmojiの用途を拡大し始めた。2017年、Bitmojiは3Dに移行し、SnapのARキャラクターとして使えるようになった。翌年、Snapはグラフィックスを改善し、Snap Kit開発者プラットフォームとBitmoji Kitを発表した。これにより、Snapchatにログインせずさまざまなアプリに組み込むことが可能になり、Bitmojiをプロフィール写真として使えるようになった。すぐにFitbitスマートウォッチの文字盤に登場したほか、Venmoや、Snapchatの物販商品であるTシャツやマグカップでも使えるようになった。競争相手にコピーを許すのではなく、本物を使用させることでコピーを打ち負かすことは賢明な戦略だ。これが「Snapback」と呼ばれている復活を後押した。Snapの株価は2019年の初めの5.79ドルから現在は16.09ドルに上昇している。

Snapの最も優れたイノベーションの1つが、Bitmoji TVの元祖であるBitmoji Storiesだ。毎日のストーリーでは、アバターを主人公にした短いマンガ風の画像をフレームごとにタップできる。Bitmoji Storiesに初歩的なアニメーションが含まれることもあったが、ほとんどのフレームの画像には吹き出しがあった。Bitmojiは、単なるコミュニケーションツールではなく、物語の力を復活させることができた。それでも、十分に利用されていないようだ。

2019年、Snapchatは目覚めた。Bitmojiは10代の若者だけでなくSnapchatの2億1000万人のデイリーアクティブユーザーにとって、Google(グーグル)やKleenex(クリネックス)のようにいつでも使える存在になった。その間抜けなキャラクターはSnapchatにぴったりで、堅く高齢の大手テック企業がそのままコピーするのを難しくしている。

Snapは4月、メッセージング機能内の新しいゲームプラットフォームを発表した。マリオパーティーを思わせるBitmojiパーティーからテニス、シューティングゲーム、料理のコンテストまで、さまざまなゲームで自身のアバターが友達のアバターと対戦できる。Snapはゲームに広告を取り入れ、メッセージング機能を収益化しようとしており、Bitmojiがその取り組みの鍵を握っている。先月、Bitmojiにブランドの服を着せ替えできる機能を立ち上げた。プレミアムの服を販売したり、ブランドからスポンサーシップを獲得したりして、収益化する機会を増やすことができた。

ただ、Bitmojiの独特な人気をフルに活用するために、Snapはその中心にアバターを据え、長期的なユーザー体験を構築する必要があった。ステッカーやストーリー、ゲームは楽しいが、ユーザー必見のコンテンツというわけではなかった。Bitmoji TVが、既存ユーザーの友人をアプリに誘う手段になるかもしれない。誰もが自分のBitmojiをスターだと思うため、Snapのマンガは普通の非人格的なマンガのキャラクターよりも魅力的に映るだろう。

Bitmoji TVの成功は、シナリオの質に大きく依存する。アバターが話のネタになる楽しい状況にいつもいれば、ユーザーは見続ける。だが、Snapの10代のユーザーは、本物でないクズに対して鋭い嗅覚を持っている。押し付けられている、子供っぽい、退屈だと感じた場合、Bitmoji TVはおそらく失敗する。Snapは、エピソード作成のため優秀なハリウッドの人材に投資するかもしれない。

Bitmoji TVの短編アニメのクオリティが高ければ、Snapchatのディスカバーを平凡さから救うことができるはずだ。プラットフォームにはESPN SportsCenterのような強力なブランドがあり、Snapには2500万人以上のユニークビューアーを抱えるオリジナルショーもある。Dead Girls Detective Agency(原題)や、Serena Williams(セレナ・ウィリアムズ)とArnold Schwarzenegger(アーノルド・シュワルツェネッガー)の伝記クリップなど、新しく始まるシーズンもある。それでも、ディスカバーとショー(ショーは日本のアプリにはない動画専門コーナー)をスクロールすると、広告主が確実に嫌がる不愉快なクリックベイト(クリックをあおるリンクタイトル)が多数あることがわかってしまう。

Bitmoji TVは、手軽に楽しめる動画を提供するだけでなく、規模の大きいアバタープラットフォームを持っていない競合他社からの参入障壁にもなる。Snapchat Cameosの最近の立ち上げでもそうだったが、同社は最も中毒性の高いユーザーエクスペリエンスがユーザー自身の顔に関連していることに気付いた。Snapchatは、自撮りをコミュニケーションの未来に変えた。Bitmoji TVは、セルフィーをアニメーションで再現し、コンテンツの未来を作り上げる。

[原文へ]

(翻訳:Mizoguchi)

Snapchatは自分の顔でディープフェイクできるCameoをテスト中

Snapchatはビデオクリップの人物の顔を自分のセルフィーに入れ替えられる機能を準備中だ。このCameo機能は簡単にいえば、現在話題になっているディープフェイクの簡易版で、テンプレートのショートビデオから簡単に自分の顔のGIFを作って共有できる。いわばBitmojiのビデオ版というところで、エモーティコンとして自分の感情や状況をユーモラスに表現できる。Cameoが一部フランスのユーザーに公開されていることをSnapのウォッチャーである@Mtatsisが発見した。

Snapchat Cameoであなたもビデオ・スターになれる

TechCrunchがSnapに取材したところ、同社はCameo機能を一部の外国でテスト中であることを認めた。Snapは「Cameoはまだ一般公開の段階ではないが、近く世界デビューする。期待していただきたい」と述べた。以下にフランスのSnapユーザーからのツイートを紹介する。

Cameoを使うにはまず自分のセルフィーを撮ってSnapchatに「自分がどんなふうに見えたいか」を教える。ここで男性または女性ぽい体型を選べる。

Cameoはメッセージ・キーボードのBitmojiボタンからオプションとして選択できる。Snapchatではテンプレートとなるサウンド入りビデオクリップを多数用意しているので好みのビデオを選ぶ。Snapchatは先ほどのセルフィーから得た顔情報をビデオクリップの顔に埋め込む。ビデオクリップの俳優の顔がユーザーの顔に置き換わるわけだ。ユーザーは他のエモーティコンを送信するのと同様、状況に合わせて好みのテンプレートを選ぶだけでよい。

CameoはSnapchatがアメリカでインスタント・メッセージの首位を守るために重要な手段になるだろう。FacebookグループのInstagramとWhatsAppがSnapchatがパイオニアだったストーリー機能をコピーして大成功を収めているため、Snapとしては急追するこうしたサービスとの差別化を図る必要に迫られていた。

もっともCameoのケースはSnapは中国の顔交換アプリ、Zaoをコピーしたと言われるかもしれない。これは中国で大人気となったセルフィー・ビデオをスターやセレブの顔に変えるディープフェイク・アプリだ。またJibJabが何年も前に導入したクリスマスの妖精のGIFにユーザーのアバターを貼り付ける機能も方向としては似ている。

Snapは最近ソーシャル・ゲーム中のSnapchatに広告を導入して収益化を図り始めた。 SnapはARレンズと同様の仕組みで広告主にCameoクリップを販売して収益化を試みるかもしれない。

Cameoはショートビデオの人物の顔を自分の顔に入れ替えて面白い効果を上げようとするテクノロジーだ。 しかしディープフェイクはフェイク情報の拡散やネットいじめにも利用されやすい。ポルノや政治家のビデオなどを自由に加工させるのではなく、Snapでは無害なビデオだけをテンプレートとして提供することで危険を避けようとしている。SnapchatのCameoはディープフェイクのユーモラスな利用法として成功するかもしれない。

画像:Jeff Higgins]

原文へ

(翻訳:滑川海彦@Facebook

Snapchatの第3四半期は収入50%アップで躍進、株価はわずかに下落

一時困難が伝えられていたSnapchatのカムバックが続いている。 このほど発表された親会社、Snapの3四半期決算(pdf)の収入はアナリスト予想を大幅に上回ったが、株価はわずかにダウンした。

好調の原因は、今四半期のDAU(1日あたりアクティブユーザー)がプラス700万人となり、前年比13%増の2億1000万人に達したためだ。これにより売上は4億4600万ドルを記録、対前年比50%増となった。1株当たり0.04ドルの損失だ。ブルームバーグによればウォールストリートのアナリストの予想は、4億3790万ドルの収益、1株当たり0.05ドルの損失だったからこれを大きく上回る結果となった。

Snapは損失も削減され、収益性の改善が続いている。 純損失は、前四半期の2億5500万ドルから2億2700万ドルに改善された。赤字も2018年第3四半期に対して今期は9800万ドル減少した

CEOのEvan Spiegel(エヴァン・スピーゲル)氏は用意された声明で市場はSnapchatの株価をさらに高く評価すべきだとして「我々は急成長企業であり、営業力は強力であり、収益性への明確な道筋を持っている。将来に対するビジョンも明確で、長期的成長のための投資能力も有する」と述べた。

好調な四半期だったにもかかわらずSnapの株価は4%ダウンの14ドルの終値となった。時間外取引では4.6%ダウンの13.35ドル(現在は13.18ドル)で、上場時の17ドルを依然下回っている。しかし今年に入っての成長が目覚ましいために昨年12月の底値4.99ドルから大幅に回復している。

Snapchat DAU Q3 2019

黒字化がなかなか達成できない原因の一部は、ユーザーあたりの売上と比較してSnapの成長にかかる平均コストが高いためだ。ユーザー数はすべての地域で成長したが、700万人の新しいユーザーのうち500万人が米国以外からで、北米とヨーロッパでの増加は100万人に過ぎなかった。

リニューアルされたAndroidアプリの成長とユーザー保持率が予想を上回ったのはグッドニュースだった。インドではヒットした。しかしSnapchatは高解像度ビデオコンテンツにあれほど力を入れているにもかかわらず、米国以外の地域における平均収入はわずか1.01ドルしかない。同社は引き続きARPU(ユーザー1人当たりの売上)を成長させると同時に、米国以外での売上を伸ばしていく必要がある。

Snapchatの決算報告では以下のような点も目立った。

  • 2019年第3四半期の営業キャッシュフローは、対前年同期で5600万ドル改善し、7600万ドルの損失
  • フリーキャッシュフローは、対前年同期で7500万ドル改善し、今期は8400万ドルのプラスとなった
  • 手元現金および有価証券は23億ドルだった

Snapchat ARPU Q3 2019

スピーゲル氏が「今期、Snapchatのユーザーアクティビティが前年比で増加したが、これにはストーリーの投稿と閲覧の増加も含まれている」と述べたのは興味深い。Snapchatはこの2年間というものStoriesの成長について触れることがなかった。今年に入ってカムバックするまでSnapchatが縮小サイクルに落ち込んだのはInstagram Storiesなどのクローンによる激しい攻撃が大きかった。

StoriesはSnapchatの広告売上にとって非常に重要な部門なので、今後アナリストはさらに詳しいデータを知りたいと望むだろう。 Snapはアプリの利用回数について、2018年7月の1日25回から1日30回に増加した述べた。これをみればSnapchatのユーザーエンゲージメントは高く、写真などを連続送信する会話に強く好まれていることが推測できる。

Snapchatの他の主要広告分野の1つはDiscoverで、総視聴時間は対前年比で40%増加した。今四半期には、数少ないヒットでビューを稼ぐのではなく、100件以上のDiscoverチャンネルで1カ月あたり1000万人以上の視聴者を得た。InstagramのIGTVは失敗だったが、DiscoverはSnapchatのサービスを差別化する優れたプロダクトとなり、売上に貢献している。同社は今後もDiscoverの改善とプロモーションに力を入れていくべきだろう。

またInstagramは「親しい友達限定」のサービス、Threadでチャットに力を入れ始めた。Snapchatも「メッセージがすぐに消えるチャットサービス」を売り物にしていくだけでは差別化が難しくなるだろう。
3 TikTok Ad

TikTokのSnapchat広告はユーザーを奪おうとする試みか?

ライバルがSnapchatで広告を出し続けることができる理由について尋ねられたとき、スピーゲル氏は「TikTokは間違いなく友人だと考えている」と述べたのには驚かされた。たしかにこれらのアプリは別物だ。Snapchatがメッセージ交換に特化し、ユーザーの日常の一部となるソーシャルメディアであるTikTokは事前によく準備されたビジュアルエンタテインメントを拡散することに重きを置いている。

しかしこの「友情」はSnapchatにとって高くつくものとなりかねない。TikTokはユーザーがSnapchatのDiscoverに滞在する時間を盗むかもしれないからだ。TikTokがソーシャルエンタテインメントで地位を確立すればSnapchatはそこから締め出されるだろう

第4四半期について、決算報告のガイダンスはは「DAUは2億1400万から2億1500万人、収入は5億4千万から5億6千万ドル」としている。また調整後EBITDAについては、ブレークイーブンからプラス2000万ドル程度を期待している。クリスマス商戦を含む第4四半期の予測について、Snap自身のガイダンスがアナリスト予測を下回っていたことが株価低迷の一因となった。

Snapの黒字化まで道のりは、まだかなり長い。黒字化を達成できれば、長期的ビジョンに基づくプロジェクト、特にカメラ内蔵メガネのSpectaclesにもっと投資する資金が得られる。スピーゲル氏は「拡張現実メガネがメインストリームのプロダクトとして消費者に受け入れれられるまでには10年はかかるだろう」と述べている。つまり、Snapがこの分野で、Apple、Facebook、Magic Leapなどの有力ライバルと戦いたいなら、まずそれだけの期間を生き残らねばならないということを意味する。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

Facebookでニュースを読む人は多いが内容を信用する人は少ない

画像クレジット:Jon SCC BY 2.0ライセンスによるFlickr

Facebookは、今月にも「ニュースタブ」を導入する準備を整えている。人手によってキュレーションしたニュースストーリーを表示するもの。友達だちがシェアした記事、有料のプロモーション、アルゴリズムによって選ばれた記事が表示されるニュースフィードを補うものとなる。しかし、ソーシャルメディアが、今日のニュースのプラットフォームとして、どのように見られているかを示す分の悪いレポートが登場した。

ソーシャルメディアごとのニュース消費量(Pew調べ)

Pew Research Center(ピューリサーチセンター)の調査によれば、この7月の調査の対象となった米国の成人の半数以上(約52%)は、すでにFacebookでニュースを読んでいるという。その結果、Facebookが、ソーシャルメディアの中でもっとも人気のあるニュースソースとなっている。ちなみに、2位はYouTubeで28%、3位はTwitterの17%となっている。Instagram、LinkedIn、Reddit、Snapchat、といった他のさまざまなプラットフォームも、数字は小さいながら、それなりの存在感を示している。

全体として、調査対象となった人の88%は、ソーシャルメディアがユーザーに見せるニュースは「少なくとも多少は統制」されていると考えていた。

しかし、そうした統制についての感情はさほど極端なものではない。

回答者の過半数(62%)は、ソーシャルメディア各社が、それぞれのプラットフォームに表示するニュースの選択について「統制し過ぎ」だと考えている。そして、55%の人は、その結果ニュースの取り合わせが偏っていると思う、と答えている。全体の53%は、一方的な視点で書かれたニュースの存在に気付き、51%は、不正確なニュースはソーシャルメディアの「非常に大きな問題」だと捉えている。

このような調査結果は不安をかきたてる。Facebookなどのメディアは、すでにニュースの配信に関しても、大きな力を握っていることを明確に示している。それと同時に、そうしたことが好ましくない影響を及ぼすと、すでに多くの人が判断していることも示している。

そうした不穏な話に続いて、ソーシャルメディアのプラットフォームが、悪意によってどの程度操作されているのか、ということも、今回の調査結果には含まれている。政治団体や政府が、身分を隠し、ソーシャルメディア上で人心を惑わすような話をばらまいているという話は、数年前から今日に至るまで囁かれてきた。しかし、いくらプラットフォーム側が、そうしたアカウントを特定して削除しようとしたところで、むしろおおっぴらな悪用は増え続けているのだ。

つい先月には、有料チャンネル(つまり広告)でストーリーを掲示する人は、自分の政治的な意図に合わせてニュースの見出しを書き換えられることが明らかになった。大多数の人に、ニュースの論調を偏向させて見せるためだ。多くの人は、友だちの子供の最新の写真をチェックしたりするためにスクロールする際、ストーリーをクリックして中身を読むことなく、表示されている要約を読んでいるだけなのだ。

そして、それは消費者にとってのみ悪いことなのではない。ニュースの発行元は、自分たちのストーリーをソーシャルメディアがシェアし、収益化可能なトラフィックに変換することで得ている収入の分け前を受け取っていないことを、長い間嘆いてきた。そして規制が強化されることで、こうした状況もじきに変わるだろうと考える人もいた。ところが、今週のWSJのレポートは、それもすぐには変わりそうもないことを示唆していた。Facebookは、人手でキュレーションされる新たなニュースタブでシェアされる記事についても、ごく一部の発行元にしか使用料を支払うつもりがないというのだ。

さらに興味をそそる詳細まで掘り下げてみると、共和党支持者は民主党支持者に比べて、ソーシャルメディアがニュースに及ぼす影響を問題視していることを、Pewは突き止めた。右寄りの人の75%が、ソーシャルメディアはニュースを統制しすぎだと考えているのに対し、左寄りの人は53%だけが、そう感じている。皮肉なことに、ソーシャルメディアが自分の考えを反映したものになっているか、という質問になると、これらの数字は逆転する。

またPewは、ソーシャルメディアでニュースを読む人の48%が、ニュースは「リベラル、または、かなりリベラル」と信じていることも示している。これは、共和党支持者は民主党支持者よりも、ソーシャルメディアがニュースを統制し過ぎていると考えていることと符合する。逆に、ニュースが保守的、または、かなり保守的だと信じている人は14%だった。これは、右寄りの人が、メディアはあまりにもリベラルだと感じていることを裏付けているのかもしれない。そして彼らは、彼ら自身の政治的信条にそぐわないニュースを見せられていると感じているのだろう。

また今回の調査は、Facebookから支払いを受けているのはごく一部のニュース発行元だけ、という最近の報告に沿った結果も示している。回答者の82%は、すべてのニュースソースが、現状ではFacebookから対等に扱われていないのではないかと感じている。つまり、一部のニュースソースが他よりも目立つような扱いを受けているということ。ほぼ88%の人は、「注目度の高い」、言い換えれば「クリックベイト」と呼ばれるような記事を発行している会社の記事が、フィードに表示されやすいと信じているのだ。そして84%が、ソーシャルメディア内でのフォローという行為が重要な役割を演じていると考えている。79%は、ストーリーの政治的傾向が、自分のフィードに表示される頻度に影響していると信じている。

男性と女性の読者の差異については、このレポートの調査結果も驚くに値しない。最近の他のソーシャルメディアに関する調査と似たりよったりとなっている。たとえば、Redditのようなメディアは、かなり男性の読者に偏っているが、Facebookでは逆に女性が多い。

最後に、このレポートは主にニュースの偏りと、それに対する感じ方についてのものだが、ここに登場しているプラットフォームの種類と、それぞれの傾向に注目して見てみるのも興味深い。たとえばTikTokは、ソーシャルメディアの世界では、やがて支配的な力を持つようになると多くの人が考えているものの、ニュースを読むためのプラットフォームだと考えている人は、1%にも満たない。一方Snapchatも、ニュース配信となると、たった6%でしかない。

これらのプラットフォームには、若いユーザーが多いことを考えると、これは、若い人たちが、ソーシャルメディアをニュースを読むためには使っていないことを示していると考えられる。さらに言えば、そもそもニュースには興味がないということなのだろう。ソーシャルメディアのプラットフォームは、今のところニュースの世界ではのけ者と位置付けられているのかもしれない。しかし、そうと決めつける必要はない。会話の種類を変えることもできるはずだ。そうして、これまでは会話に加わってこなかったような人を、引き込むこともできるだろう。

この調査は、Pewが、7月8日から7月21日にかけて、American Trendsのリサーチパネルに属する回答者5107人に対して実施したもの。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

Snapchatが3Dカメラモード導入でインスタに対抗

SnapのスマートグラスであるSpectaclesの最新バージョンでは、すでに没入感のあるフィルターエフェクトで周りを見ることができる3D機能が搭載されているが、同社は主力の写真共有アプリのSnapchatでもレベルアップを図っている。同社は米国時間9月17日、新しい3Dカメラモードを発表した。このモードではユーザーがスマホを傾けると写真が動くという、ジオラマのような深みのあるエフェクトを写真に持たせてシェアできる。

3Dカメラモードは本日から、iPhone Xよりも上位の端末に限定して最新のSnapchatアプリで利用可能になる。新機能にはアプリ右側のドロップダウンメニューからカメラモードを選べばアクセスできる。エフェクト付きの写真自体は、iPhone Xより下位の機種やAndroidなど他のスマホでも閲覧できる(作成はできない)。

3Dカメラモードの導入に伴い、当然のことながら新たな3Dエフェクト、レンズ、フィルターのライブラリーが用意された。作成が終わった写真はカメラロールに保存してSnapchat以外での使用も可能だ。

3Dの導入はFacebook、特にInstagramとの間で長らく展開されてきた機能争いにおいて、Snapchatの最新の対抗策となる。TechCrunchではこれまで、Snapchatがいかにアプリ上での写真アートにおける新たなコンセプトを主導してきたか、その経緯を取り上げてきた。その新コンセプトとは、時間限定で消える写真、Snapやビデオの物語をつくるレンズやフィルター、ストーリーズといったものだ。これらに似たような機能をInstagramは(そして比較的少ないがFacebook本体でも)後追いしてきた。

機能の模倣という状況は、Snapchatにとって特に厳しいものだ。Snapchatはまだユーザー数という点においてInstagramを追う立場で、InstagramがStoriesを導入した後では成長はかなり落ち込んだ。直近ではSnapchatのデイリーアクティブユーザー(DAU)は2億300万人と発表しているが、一方のInstagramのDAUは5億人超とのことだ。

ただ、レンズや写真のエフェクトはまだ改良の余地はある。少なからず、Snapchatのデーリーユーザーの70%がレンズ機能を使って写真に手を加えている。この機能は使い出すと止まらなくなり、ひいてはSnapchatの利用を促す。なのでSnapchatが目新しい機能を出し続けることは(たとえコピーされても)褒めるべきことなのだ。

消費者の好みに目を向けると、最近開発競争は激しくモデルは様変わりしそうだ。特に音楽をベースとした人気のTikTokアプリの興隆がいかにSnapchatとInstagramの機能に影響を及ぼすことになるのかは注目に値するだろう。

にもかかわらず、皮肉にも3DにおいてはFacebookが2018年10月にAIベースの3Dイメージを立ち上げて先行した。これまでのところ、その機能をInstagramには広げていない。しかし、Snapchatの今回の新機能を受け、Instagramに3Dが登場しても驚きではない。

はっきりとさせておくと、3D機能はiPhone Xまたはそれより上位のモデルに頼っている。というのも、iPhone Xのフロントのレンズで収集される画像と深度データを使って画像が作られるからで、結果としてその他のモデルでは利用できない。

一方で同じ機能がAndroidアプリに登場しないことをいぶかしがる人もいるだろう。iPhoneの上位機種のように、深度データや他の画像データをとらえることができるハイエンドなAndroidデバイスはかなり展開されている。

SnapchatはAndroidとはちょっとした因縁がある。モバイルアプリ全体の中でも人気のあるSnapchatだが、あるときSnapchatはAndroidアプリがあまりにも速度が遅くてバグも多く、ユーザーの足かせになっていたためにAndroidアプリを再設計しなければならなかった。その際に離れてしまったユーザーを最終的にはいくらか取り戻したようだが、ユーザーの大半はSnapchatに新機能を導入するときにSnapが優先するiOSを利用している。Snapが今回の機能をAndroidにも導入するのにどれくらい時間がかかるのか見ものではある(実際、Snapに尋ねている)。

画像クレジット: Snap

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(翻訳:Mizoguchi)

Spotifyから音楽やポッドキャストをSnapchatにも共有できる

Spotifyのユーザーは、お気に入りの音楽やポッドキャストをSnapchatで友達に共有できるようになった。これは同社が米国時間9月9日に発表したもので、曲、プレイリスト、アーティストのプロフィール、ポッドキャストを友達に対してSnapchatで直接、またはSnapchatのストーリーで共有できる。

これでSnapchatは、Spotifyユーザーからの共有先のひとつになった。ほかの共有先にはWhatsApp、アップルのメッセージ、Facebook Messenger、Twitter、Instagramのストーリーズ、そして8月末に加わったFacebookのストーリーなどがある。

Snapchatに共有する方法は、ほかの共有先と同じだ。右上の「…」アイコンか右下の共有アイコンをタップし、共有先としてSnapchatを選択する。するとSnapchatで新しいスナップが開き、アルバムのアートワークが含まれる。これを編集してから、いつもの通りスナップとして送信できる。

このスナップを受け取った人は、カードをタップして共有された音楽やポッドキャストを聴くことができる。

この機能は音楽を友達と共有するだけでなく、SpotifyのアーティストやチームがSnapchatの2億300万人のデイリーユーザーに向けて音楽をプロモーションするのに使うことができる。Snapchatのユーザー層は、Spotifyのアーティストが狙うヤングアダルト層のティーンに集中している。

この機能は、ユーザーがアプリやウェブサイトからメディアを共有するためのCreative Kit(Snap Kitに含まれる)を利用している。

2018年6月にSnap Kitのプラットフォームが登場し、Spotifyは今や、Snap Kitと統合された200以上あるアプリのひとつだ。Snap Kitは、Facebookに代わる、もっとプライベートなプラットフォームを目指している。しかし今回のケースがまさにそうであるように、FacebookやInstagramをすでにサポートしているアプリやサイトがSnapchatのサポートを追加することがほとんどだ。

ストリーミングサービス、特にAmazon MusicやApple Musicといったライバルとの競争が激しくなり、ストリーマーの期待を受けてSpotifyは共有機能を強化している。Amazon MusicはAmazonプライムやAlexaとの統合に支えられ、Apple Musicはアップルのデバイスにプリインストールされていることが強みだ(そしておそらく、今週のアップルのイベントでApple TV+との新たな統合も発表されるだろう)。

一方のSpotifyは、2019年第2四半期に新規有料会員数の見込みが850万人であったのに対し、実際には800万人と予想を下回った。共有のオプションを増やすことで、Spotifyは有料会員になる可能性のある多くのユーザーにアプローチしたい考えだ。

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(翻訳:Kaori Koyama)

Snapが約1100億円のプライベート・デッドの調達を検討中

Snapchatの親会社であるSnapは、新たに提案されているプライベートな10億ドル(約1100億円)の転換可能なシニア債を通じて、現金を調達することを検討している。発行期限は2026年8月1日だ。Snapによると、この債務は事業運営に関わる一般的な運用費用に使用されるが、「保管的な事業、製品、サービス、技術を買収する」可能性があり、また将来的には株式が買い戻される可能性もあるという。しかし、現時点では具体的な計画はない。

事業や買収の資金調達のために債務を調達することは、上場企業にとっては珍しくはない。例えばNetflixは、定期的に資金調達をおこなっており、ますます高価になるコンテンツ制作費用をまかなっている。今のところ、市場はSnapによる資金調達の決定には否定的に反応しており、時間外取引での価格は下落している。

しかしながら、Snapは基本的に株式市場では好調に推移しており、7月末の好調な四半期決算により株価が上昇し、初めてIPO価格を上回った。現在は再びIPO価格を下回っているが、年初からみれば大幅に改善されている。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

Facebookに隷属することを嫌ったSnapchat、新戦略により新時代が到来する

SnapchatのCEOのEvan Spiegel氏は、ついにMark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏のコピー軍団を撃退する妙案を思いついた。この2年半、Speigel氏は「我々の価値はコピーできない」と主張し、Facebookに対して正道で挑むという空しい時間を過ごしてきた。その無抵抗の態度により、ザッカーバーグ氏は、Instagram、WhatsApp、Facebookで、1日に10億人の「ストーリー」ユーザーを増やすことに成功した。それに対してSnapchatの1日のユーザー数は1億8600人だ。その間、ハイテク産業全体が、Snapが描いた刹那的で視覚的な未来という構想を競ってコピーしまくった。

しかしSnapchatの新戦略は、Facebookに隷属することを嫌ったその他のソーシャルメディアに向けて鬨の声を上げるものだった。それは、「勝ち目がないなら迎合せよ」という格言を、「やつらに勝つために力を合わせろ」に書き換えた。統一戦線としてSnapの仲間たちは、彼らとの差別化に集中できるように基盤を整備し、同時にSnapchatは支配範囲を広げ、戦いが継続できるよう塹壕を掘った。

Tinderはプロフィールの写真にSnapchatのストーリーを使うよう促している

Snapchatの計画は、半端なまがい物を作らせるのではなく、その最高の部分を他社のアプリに導入させることだ。オリジナルが利用できるなら、ストーリーやビット文字や広告を最初から開発する必要はない。Snapの上級幹部は、それこそが戦略なのだと、私にそっと教えてくれた。新製品を開発するとき、他社が同様の製品を欲しがっているとしたら、それを無視するのではなく「Snapchat化」を許して、部分的にコントロールするほうが賢い。そうしなければ、Snapが提案してみんなが欲しがっているものをFacebookがプラットフォームに組み込んでしまう。

この「写真屋」は、先週、故郷ロサンゼルスで初のSnapパートナーサミットを開催し、軌道修正を行い、自らの運命の支配権を取り戻した。現在それは、Snap Kitのお陰でカメラプラットフォームとなった。その新しいStory Kitを使えば、この秋から、Snapchatのストーリーを他のアプリに移植できるようになる。友達のストーリーの昔ながらのカルーセルをもっとたくさん表示できるようになり、アプリに独自の形式で織り込むことも可能になる。ハウスパーティーのストーリーカルーセルでは、そのグループ動画チャットアプリとは別の場所に仲間がアップした画像を共有できる。Tinderは、Snapchatのストーリーを写真といっしょに公開して気の合いそうな人を誘えるようにする。 しかし、カメラは常にSnapchatの中にあり、それらのアプリのストーリーに共有できる新しいオプションが付くことになる。

Snapパートナー・サミットで発表を行うSnapのCEOのEvan Speigel氏

これが、ネイティブなアプリのエコシステムを浸透させてゆくSnapchatの方法だ。Facebookが「いいね」ボタンでウェブの世界に浸入していった方法とよく似ている。しかし、Snapは個人データの管理が強力であるため、FacebookとCambridge Analyticaとの過去の関係により自社ブランドに傷が付くことを恐れる企業は、自ら望んでSnapの仲間になりたいと思っている。

Snapは、他のアプリから小さな競争相手が生まれてストーリーの世界を細分化してしまうことも静観してはいない。技術者にクラス最高のツールを与えて、時間もコストもかかる開発競争を抑制し、進んでこちらに参加してくれるように促している。こうした前哨基地を設けることで、Snapchatアカウントをどうしても必要なものに近づけ、カメラの新しい利用法を提供し、ユーザーにまた訪れたいという気持ちを持たせる。これは、他のバージョンのストーリーの間をさまようことなく、Snapchatに定着したくなる理由を持たせるものでもある。

Spiegel氏が物のわかった人間なら、Story kitの仲間たちにリソースを与えて、FacebookがSnapのアイデアを盗む前に、彼らにできるだけ多くのアプリを作らせて契約できるようにするだろう。Snapでは、App Storiesに広告を入れていない。だが、やろうと思えばすぐにできて、ホストと広告料を山分けすることが可能だ。そうすればパートナーは魅力を感じて収益が上がり、Snapの広告主はより広範囲に宣伝ができる。

Snapchatのストーリーに埋め込まれたハウスパーティー

いずれにせよ、Snapは、新しいAd Kitで利益を上げることになるだろう。今年の後半には、Snapchat Audience Networkが立ち上がり、Snapの全画面を使った縦型動画広告が掲載できるようになる。また、今はまだ公開されていない収益分配方式が導入される。パートナー企業は、広告営業部門を開設したり、入札や配信のシステムを準備する必要がない。SDKを放り込んで、Snapchatのユーザーやその他のユーザーに広告を表示するだけでいい。ここにも、コピーするよりSnapchatと手を組んだほうが簡単だというSnapのメッセージが込められている。

Snapの新しい広告ネットワーク。

広告の到達率と、独自の広告ユニット形式の再利用性が高まれば、Snapは中核的な課題の解決に近づくことになる。それは、スケールだ。Snapの1億8600万人という総ユーザー数は、InstagramやFacebookやYouTubeに比べると小さく見える。とくに、去年の第4四半期に安定する前の、第2四半期と第三四半期の落ち込みを考えるとなおさらだ。それが、Snapchatに広告料を払うことの正当性を、広告主から奪ってしまっている。だが、Ad Kitと、おそらくはStory Kitは、ユーザー数が増えない場合でも、Snapの到達率を高めてくれるだろう。

広告のサイズ拡大は、特別に重要なユーザー層ですでに人気となっていることを考えれば、Snapに有利に働くはずだ。Snapchatのユーザーは、現在、米国の13歳から34歳の75パーセント、13歳から24歳の90パーセントにリーチしている。Snapによれば、米国、カナダ、英国、フランス、オーストラリアといった利益率の高い国々では、Facebookよりも若い年代層に受け入れられているとのことだ。

Facebookは、その大きなセグメントを無視してきた。実例を挙げれば、Facebook Messengerで若者に人気のスタンプ機能は、2013年の導入以来なかなか進化していない。私が聞いたところによれば、社内の承認を巡って争いがあったとのことだ。その間、Snapchatはビット文字を使ったアバター機能を成長させてリードを保ってきた。間もなくSnapは、ビット文字による自分のアバターをFitBitスマートウォッチの画面に表示できるようにする。これを使えば、Venmoの支払いで遊んだり、Snapの新しいマルチプレイヤーゲームプラットフォームに自分の分身で参加できるようになる。

ここでもSnapは、パートナーに出来損ないの偽ビット文字ではなく本物を使うよう促している。驚くべきことに、FacebookのAvatarの開発は1年以上も泥沼にはまっており、Appleのミー文字はいまだにiMessageとFace Timeでしか使えない。Snapchatが優れているのは、その点だ。ビット文字を遍在化させることに力を入れて、写真を使わずに自分自身を表現できるようにした。Facebookのデザインのまずさと、こうした差別化された製品によるビット文字の有利なスタートが幸いして、Snapはパートナーたちに深く食い込むことができた。

ソーシャルネットワークで充実した持続性のあるものを築こうとする、弱者としてのSnapは、使えるものはなんでも使う。団結は、Snapパートナーサミットのもうひとつのテーマだ。Snapは、Netflix、GoFundMe、VSCO、Anchorとのつながりスタンプを共有し、ワシントンポストなどの出版社の記事をSnapchatに掲載する道を拓いた。ZyngaとZeptoLabは、リアルタイムのマルチプレイヤーSnap Gamesの開発を決めた。これらのゲームはチャットの中でプレイでき、メッセージの中に広告を滑り込ませる賢い方法となる。

Snapchatの新しい拡張現実開発プラットフォームScanには、以前からのメンバーであるShazamとAmazonに加えてGiphyとPhotomathが参加し、周囲の光景から楽しいインタラクティブ性が引き出されることになる。現実世界はあまりも広く、どんな企業でも、単独では十分なAR体験を生み出しきれない。そこでSnapは、そのLens Studioプラットフォームを新しいテンプレートとクリエイタープロフィールで強化し、開発者が40万種類の特殊効果を使えるようにした。FacebookはSnapの機能を真似ることができても、この開発者軍団をコピーすることはできない。

「適切なときに適切なLensを提供できれば、私たちはまったく新しい創造性の世界を開くことができます」とSnapの共同創設者であるBobby Murphy氏は話す。パートナーから開発キット、オモチャに至るまで、今回の新発表のすべてが、Snapchatのカメラへの関心を引き戻した。これにより、Snapは世界の拡張現実のリーダーになる準備が整った。

これらを総合すると、メディアの大物が肉まんをむしゃむしゃ食いながら拡張現実インスタレーションで遊ぶウエストハリウッドの派手な記者発表イベントによって中断されていたSnapchatの時代が、ついに到来する予感がする。

Spiegelは、モバイル製品のデザインに刺激を与える彼の好みを具体化する方法を発見した。この戦略が実施され、Snapが改良したAndroidアプリと新しい言語の展開が始まった今、Snapchatは再び成長すると私は確信した。総ユーザー数が伸びなかったとしてもつながりは深くなる。ハードルを越えるにはもう少しだけ投資が必要かも知れないが、2020年末までには利益が出せるようになっていると私は期待する。

イベント開始前のメディア向け説明会には、Spiegel氏とMurphy氏を含むSnapの役員が10名ほど参加した(非公開のため誰が何を言ったかは書けない)が、FacebookがSnapchatを真似るようになって7年になるため、だんだん普通に思えるようになってきたと、Snapのある上級幹部は冗談を飛ばしていた。先日ザッカーバーグ氏は、プライバシー、長く保存しないこと、メッセージングを重視する方向にFacebookを軌道修正したいと宣言したが、これはSnapchatの信条そのものだ。だが、Snapの幹部は言葉巧みに、20億人のユーザーを誇るその製品が人々を傷つけている限りは、Facebookがどんな哲学を口にしようと信用しないと語っていた。

演壇からかすかな影を投げかけ、Spiegel氏はこう締めくくった。「私たちのカメラは、この世界の自然光を使ってインターネットの闇を照らします。【中略】私たちが日常生活で、インターネットを使えば使うほど、それをもう少し人間的にする方法が必要になります」。この言葉は明らかに、他社のアプリをもっとSnapchat的にすることを意味している。

Snapchatはスーパー マリオパーティー式のマルチプレイヤーゲームプラットフォームをスタート(本文は英語)

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(翻訳:金井哲夫)

SnapchatがARユーティリティプラットフォームScanを発表

狙え、撃て?いや、狙え、対話せよだ。Snapchatは宿題を手伝うことができるようになった。いまやSnapchatアプリのカメラは「Scan」という名で知られる拡張現実開発プラットフォームの基盤となりつつある。米国時間4月4日、SnapはPhotomathと提携し算数の問題を解く能力を追加した。またGiphyとはオブジェクト検出に関しての提携を結んだ、これにより関連したGIFがスクリーンの上に登場するようになった。Scanはすぐに、すべてのSnapchatユーザーに対してロールアウトされるだろう。このプラットフォームに参加することに興味がある開発者は、Snapに連絡することができる。

Snapchat Scanは周囲のものに応じてGiphyのGIFを登場させる

これまでは、SnapchatのカメラはShazamで曲を識別することができたし、オブジェクトを認識してAmazonでそれらを購入することもできた。しかし現在のSnapchatは、バラバラなツールをいくつか提供するだけではなく、ユーザーの周囲の隠れた情報を掘り起こすという計画を、具体化しようとしている。

「私たちのカメラは、私たちの世界にある自然の光が、インターネットの暗闇を貫通することを可能にします…インターネットを日々の生活に使えば使うほど、私たちはそれを少しでも人間的なものにする方法を必要としているのです」と、同社初のプレスイベント「Snap Partner Summit」で語ったのは、SnapのCEOであるエヴァン・スピーゲル氏である。そこではまた、他のアプリの中でSnapchat Storiesを活用できる広告ネットワークのローンチそしてリアルタイムのマルチプレイヤーゲームプラットフォームのローンチも発表された。

Photomathでスキャンして算数の問題を解く

Blipparのような他アプリも、ARユーティリティプラットフォームを構築しようとしたが、彼らはコミュニティを持たず日常の必要性に欠けていたし、人が何かをスキャンしようと考えたときに、心にすぐ思い浮かぶような日常的な存在でもなかった。しかし、Snap CEOであるエヴァン・スピーゲル氏は、本日次のように述べている「米国では、Snapchatは13〜34歳全員の75%近くの手に届き、13〜24歳に限ればその90%の手に届いています。実際、米国、英国、フランス、カナダ、そしてオーストラリアでは、FacebookやInstagramよりも、13歳から24歳の年齢層ではより多く使われているのです」。

この比較データは、Facebookのアドマネージャの見積もりから得られたもので、必ずしも完全に正確というわけではない。それでもこの統計は、ARを介して世界を探究する見込みのある顧客の中で、Snapchatが巨大な存在であることを示している。Facebookがこの振る舞いを構築しようとしたとしても、それは不可能だ。なぜならFacebookカメラはそのソーシャルネットワークの中心ではないからだ。

ユーザーがSnapchatカメラを長押しすると、周囲の「Scan」が開始される。算数の式に対する答が魔法のように現れるのだ。10ドル札を撮影すれば、肖像として印刷されたハミルトンが生き返り、ミュージカルからのナンバーを歌い出すだろう。もしピザのスライスをスキャンしたなら、ダンスするGiphyのGIFピザが登場する。ユーザーには新しいSnapchat AR Barも表示される。そこにはScan、Lens作成、あるいはSnapchatのコミュニティによって作成された40万個のAR Lensを探索するための専用ボタンが表示される。実際、Snapの1日あたり1億8600万人のユーザーの75%が、Lensを使って毎日プレイしており、これまでの累計プレイは150億回に達している。ScanはScan.meと呼ばれるスタートアップの買収によって開発されたものだ。これまではSnapに友達を追加したりLensをアンロックするための、QR Snapcodeのための機能を提供していた。

Snapの新しいAR Bar

実用性の他にも、Snapchatはユーザーを楽しませ、アプリケーションを使い続けてもらうための、たくさんの新しい創造的なAR機能を加えている。例えば、Landmarkersという機能をローンチしたが、これはOur Storiesにユーザーが投稿した、主要なランドマークに関するクラウドデータを利用して、有名な場所の派手な変形ARアニメーションを楽しむというものだ。現在は、エッフェル塔、バッキンガム宮殿、ロスアンゼルスのチャイニーズシアター、ワシントンDCのキャピトルビルディング、そしてニューヨークのフラットアイアンビルなどが、虹を吐いたり、光を放ったりしている。

Snapchatの新しいLandmarkers機能

SnapのLens Studioツールを使用している開発者およびLensクリエイターたちのために、自分が提供したすべてのLensを披露することができる、新しいクリエイタープロファイルをSnapは用意する。クリエイターたちはみな、手や体そしてペットに対して、難しいコンピューターサイエンス的効果を適用してくれる、新しいARテンプレートへのアクセスが可能になる。クリエイターは、犬の口ひげ、人々の手から飛び出す火の玉、腕をかざすと誰かの上に現れる虹のようなグラフィック資産を追加するだけでいい。

Snapchatの新しいLensクリエイタープロファイル

Snapはまた、そのスキャン結果に基いて、Lensカルーセル内に関連するコミュニティLensを浮上させてくる。とはいえ、1点不足しているところは、独立Lensクリエイターに対する直接的な収益化の手段が与えられていないということだ。一方でSnapは、時折最高のARアーティストと提携してLens開発を有償で依頼している。Snapchatは、長期的にはより良いインセンティブを提供する必要があることを認めている。

昨日の大きな記者会見で、同社の最高幹部らは、もはや成長はSnapchatにとっての成功基準ではないと説明した。Instagram Storiesの立ち上げによって、Snapの成長が四半期あたり17%から、実際のユーザー流出へと転じ、今四半期で落ち着いたことを考えると、それは便利な言い回しだ。スピーゲル氏は、その代わりにユーザーの関与を深め、それによってユーザーから生み出される広告収入を増やすことが、Snapの進むべき道であると述べている。

Snapが、ARフィルターと提供するより良い開発ツールによって、より多くのユーザーたちを遊ばせれば遊ばせるほど、より多くのブランドと開発者が、そのLensをLensカルーセルの中で宣伝し、Lensを試してみたくなる宣伝ビデオに対してお金を払うようになる。

だがそうした組み合わせは、次のARの局面に向かって、SnapchatがFacebookやInstagramに先行するためにもとても重要だ。 Instagram Storiesには1日に5億人のユーザーがいるかもしれないが、そこではARは主に顔に対して適用されており、世界とやり取りをするために使われているわけではない。Snapchatは、ARによる探求を日常的なものにするために、Landmarkersのような楽しいARエンターテイメントを、可能な限り多く必要としている。そのことによってScanプラットフォームの可能性が解放されることになるだろう。それによって、いつかARコマースやその他の収益源から、アフィリエイトを供給することになるかもしれない。

さらに、Snapchatによれば、Lensは単にiOSやAndroidだけではなく、将来のARハードウェアプラットフォームとも互換性があるようにコード化されているという。ARエクスペリエンスの最大のレポジトリを構築するためには、私が2年前の記事「Snapchatの反開発者的な態度は大いなる問題だ」【未訳】で指摘したように、Snapchatは外部からの協力を必要としている。これでやっと、開発者の一群が現実世界を想像上の驚異で満たすための、ツールとプラットフォームが整ったことになる。「私たちが正しいLensを正しい瞬間に見せることができれば、まったく新しい創造性の世界に刺激を与えることができます」と、Snapの共同創業者ボビー・マーフィ氏は締めくくった。

【日本版注】日本時間4月6日19時の段階では、日本向けiOSアプリにはまだ反映されていない)

画像クレジット: Bryce Durbin / TechCrunch

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(翻訳:sako)