ツイッター、偽報報告機能をブラジル、スペイン、フィリピンにも拡大

2021年8月、Twitter(ツイッター)は米国など一部の市場で、招待ユーザーが選挙や新型コロナウイルス関連の偽情報に出会ったら報告できる機能を導入した。そしてこの度、同社はテストを拡大して対象となるマーケットを増やした。現在の米国、オーストラリア、韓国に加えて、ブラジルとスペインとフィリピンでも導入される。

関連記事:ツイッターはユーザーに新型コロナと選挙の誤情報報告を依頼

Twitterはまた、本機能の普及に関する最新情報を提供し、デビュー以来、370万件以上のユーザー投稿レポートを受け取ったと述べた。ちなみに、Twitterの収益化可能な1日のアクティブユーザー数は、直近の決算発表時点で約2億1100万で、そのうち3700万は米国在住、1億7400万人は国際市場在住となっている。

Twitterのサイトインテグリティ担当責任者であるYoel Roth氏によると、同社が偽情報に対して偽情報扱いをしなければならないコンテンツの「大部分」は、自動化(措置の50%以上を占める)または事前モニタリングによって前もって識別されたものだという。新機能を通じてユーザーから提出されたレポートは、Twitterが誤報のパターンを識別するために使用され、Twitterがこの機能によってこれまでに最も成功を収めた分野だとロス氏はいう。これは、Twitterのプラットフォーム外でホストされているコンテンツにリンクしているメディアやURLのような、テキストベースではない偽情報の分野で特に当てはまる。

しかし、Twitterが個々の報告されたツイートのサブセットをレビューしたところ、分析した多くのツイートには偽情報がまったく含まれていなかったため、他の政策分野の20~30%と比較して、「対応可能」とされたのは10%程度だったとも指摘している。

本日、このテスト機能をブラジル、スペイン、フィリピンからのツイートにも拡大しました。現在までに約300件の報告があり、私たちのポリシーに違反するツイートを指摘したり、新しい誤報の傾向を把握するのに役立っています。

今後の展開にご期待ください。

この機能を使えるマーケットでは、ユーザーはツイートの右上にある3ドットメニューから「report tweet」を選ぶ。そして「it’s misleading」を指定すればよい。

Twitterには、すでに違反コンテンツを報告する方法があるが、この度のオプションのように、偽情報を含むツイートそのものを報告する明確な方法はない。むしろユーザーが「怪しくてスパムかもしれない」「乱暴で有害である」とオプションから選ばなければならない。そこからやっと、Twitterのルールに違反している特定のツイートを絞り込んでいく。

今回のツイートを偽情報と指定する方式では、ユーザーがもっと早く直接的にルール違反のコンテンツを指定できる。そして報告そのものはTwitterの今ある規則執行の流れに結びついており、人間によるレビューとモデレーションを合わせて、罰すべきコンテンツか否かを判断する。また、報告されたツイートは、そのプライオリティでソートされレビューされため、フォロワー数が多かったり、エンゲージメントのレベルが高い人のツイートが先にレビューされる。

この機能の展開は、ソーシャルネットワークが、そのプラットフォーム上で拡散を許してしまった偽情報を一掃するか、あるいはそのような一掃を強制する規制や、おそらくそうしなかった場合の罰則を制定するよう圧力を受けている時期のものだ。

Twitterが偽情報に対抗するための取り組みは、フラグ立てのオプションだけではない。同社はBirdwatchという実験も行っており、Twitterユーザーが誤解を招くツイートに事実関係の注釈を付けることで、クラウドソーシングによる事実確認を目指している。このサービスはまだパイロットテスト中で、ユーザーからのフィードバックに基づいてアップデートされている。

画像クレジット:Bryce Durbin/TechCrunch

原文へ

(文:Sarah Perez、翻訳:Hiroshi Iwatani)

【コラム】ソーシャルメディアとマッチングアプリが抱える深刻な身元確認問題

ソーシャルメディアとマッチングアプリはそろそろ、自分たちが蒔いてきた種を刈り取り、各プラットフォームから詐欺、偽装、デマ情報を一掃すべきだ。

その誕生当初、ソーシャルメディアやマッチングアプリは、インターネットの世界の小さな一角を占めるにすぎず、ユーザーはわずかひと握りだった。それが今では、Facebook(フェイスブック)やTwitter(ツイッター)が、選挙に影響を及ぼしたり、ワクチン接種の促進を後押しまたは阻害したり、市場を動かしたりするほどに巨大な存在になっている。

また、何百万もの人々が「生涯の」伴侶と出会うためにTinder(ティンダー)やBumble(バンブル)などのマッチングアプリを利用しており、そのユーザー数はFacebookやTwitterに迫る勢いだ。

しかし、お祭り騒ぎはここまでだ。信用や安全よりも利益が優先されてきた結果、なりすまし犯罪やオンライン詐欺が入り込む隙が作り出されてしまった。

今や、BumbleやTinderで友達が「キャットフィッシング(なりすましロマンス詐欺)」に遭ったという話も、家族の誰かがTwitterやFacebookでオンライン詐欺の被害を受けたという話も、日常茶飯事である。悪意のあるネット犯罪者が個人情報を盗んで、あるいはなりすましの個人情報を新たに作って、詐欺を行ったり、政治的または商業的な利益のために偽情報を拡散したり、ヘイトスピーチを広めたりした、というニュースは毎日、耳に入ってくる。

ほとんどの業界では、ユーザーによるなりすまし詐欺の実害を被るのは当事者である企業だけで済む。しかし、マッチングアプリやソーシャルメディアのプラットフォームで信用が崩壊すると、その被害はユーザーと社会全体に及ぶ。そして、個人に及ぶ金銭的、心理的、時には身体的な被害は「リアルな」ものだ。

このような詐欺事件の増加を食い止める、あるいは撲滅する責任を果たしてきたのは誰だろうか。何らかの措置を講じてきたと主張するプラットフォームもあるが、各プラットフォームがその責任を果たしてこなかったことは明白だ。

Facebookは、2020年10月から12月の期間に、13億件の偽アカウントを摘発したが、これは十分というには程遠い数だ。実際のところ、ソーシャルメディアやマッチングアプリは現在、最低限の詐欺防止策しか講じていない。簡単なAIと人間のモデレーターは確かに有用だが、膨大な数のユーザーには到底追い付かない。

Facebookによると、3万5000人のモデレーターが同プラットフォームのコンテンツをチェックしているという。確かに大勢だ。しかし、概算すると1人のモデレーターが8万2000件のアカウントを担当していることになる。さらに、ディープフェイクの使用や合成ID詐欺犯罪の手法の巧妙化など、悪意のあるネット犯罪者は手口を日ごとに進化させているだけではなく、その規模も広げつづけている。経験豊富なユーザーでさえもそのような詐欺行為に引っかかってしまうほどだ。

ソーシャルメディアやマッチングアプリのプラットフォームは、この問題と闘う点で腰が思いと批判されてきた。しかし、実際のところどのように闘えるのだろうか。

なりすましロマンス詐欺の被害は深刻

次のような場面を想像するのは難しくない。マッチングアプリで誰かと出会って連絡を取り始める。その相手がいう内容や質問してくる内容に、怪しさは感じられない。その関係が「リアル」だと感じ始め、親しみを覚え始める。その感情は気づかないうちにエスカレートして、警戒心は完全に解け、危険信号に対して鈍感になり、やがて恋愛感情に発展する。

このようにして新たに出会った特別な人とあなたは、ついに直接会う計画を立てる。するとその相手は、会うために旅行するお金がないという。そこであなたはその人を信じて、愛情を込めて送金するのだが、間もなくその人からの連絡が一切途絶えてしまう。

なりすましロマンス詐欺事件の中には、被害が最小限にとどまり自然に解決するものもあるが、上記のように金銭の搾取や犯罪行為につながる事例もある。米国連邦取引委員会によると、ロマンス詐欺の被害額は2020年に過去最高の3億400万ドル(約348億8000万円)を記録したという。

しかし、これは過少に報告されている結果の数字であり、実際の被害額はこれよりはるかに大きい可能性が高く「グレーゾーン」やネット物乞いを含めるとさらに膨れ上がるだろう。それなのに、ほとんどのマッチングアプリは身元を確認する術を提供していない。Tinderなど一部の人気マッチングアプリは、身元確認機能をオプションとして提供しているが、他のマッチングアプリはその類いのものを一切提供していない。ユーザー獲得の妨げになるようなことはしたくないのだろう。

しかし、オプションとして身元確認機能を追加しても、単に上っ面をなでるような効果しかない。マッチングアプリ各社は、匿名IDや偽IDを使ったユーザーの加入を防ぐために、もっと対策を講じる必要がある。また、そのようなユーザーが社会と他ユーザーに及ぼす被害の重大さを考えると、マッチングアプリ各社が防止策を講じることを、私たちが社会として要求すべきだ。

身元確認はソーシャルメディアにおいて両刃の剣

ロマンス詐欺はなにもマッチングアプリに限ったことではない。実際のところ、ロマンス詐欺の3分の1はソーシャルメディアから始まる。しかし、ソーシャルネットワークサービスにおいて身元確認を行うべき理由は他にもたくさんある。ユーザーは、自分が本物のOprah Winfrey(オプラ・ウィンフリー)やAriana Grande(アリアナ・グランデ)のアカウントを見ているのか、それともパロディアカウントを見ているのかを知りたいと思うかもしれない。オプラ・ウィンフリーやアリアナ・グランデ本人たちも、本物のアカウントとパロディアカウントとの違いがはっきり分かるようにして欲しいと思うだろう。

別の重要な点は、ソーシャルネットワーク各社は身元確認を行うことによってネット荒らしの加害者を抑制すべきだという世論が高まっていることだ。英国では、同国のリアリティー番組人気タレントKatie Price(ケイティー・プライス)が主導して始まった「#TrackaTroll(#トロール行為を取り締まる)」運動が勢いを増している。プライスがHarvey’s Law(ハーヴェイ法)の制定を求めて英国議会に提出した嘆願書には、およそ70万人が署名した。ハーヴェイとは、匿名の加害者からひどいネット荒らしの被害を受けてきた、彼女の息子の名前だ。

しかし、ソーシャルネットワークを利用する際の身元確認を義務化することについては、強く反対する意見も多い。身元確認を行うと、家庭内暴力から逃げている人や、政治的な反対勢力を見つけ出して危害を加えようとする抑圧的な政権下の国にいる反体制派の身を危険にさらすことになる、というのが主な反対理由だ。さらに、政治やワクチンに関する偽情報を拡散しようとする多くの人々は、自身の存在を顕示して、自分の意見に耳を傾ける人を集め、自分が何者なのかを世の中に認知させたいと考えているため、身元確認を行っても彼らを抑止することはできないだろう。

現在、FacebookとTwitterは、正規アカウントに青い認証済みバッジを表示させる制度に「認証申請」プロセスを導入しているが、確実な措置というには程遠い。Twitterは最近、「認証申請」プログラムを一時的に停止させた。いくつもの偽アカウントを正規アカウントとして誤認証してしまったためだ

Facebookはもっと進んだ措置を講じてきた。かなり前から、特定の場合、例えばユーザーが自分のアカウントからロックアウトされたときなどに、身元確認を行ってきた。また、投稿されたコンテンツの性質、言葉遣い、画像に応じて、投稿者のブロック、認証の一時停止、人間のモデレーターによるレビューを行っている。

身元確認とプライバシー保護を両立させることの難しさ

悪意のあるネット犯罪者がマッチングアプリやソーシャルメディアで偽のIDを作って詐欺行為を働いたり、他の人に危害を加えたりすると、それらのプラットフォームに対する社会の信頼は損なわれ、プラットフォームの収益にも悪影響が及ぶ。ソーシャルメディアのプラットフォーム各社は今、ユーザー数を最大限まで伸ばすことと、ユーザーのプライバシーを保護することを両立させるために、あるいは、より厳しくなる規制とユーザーからの信頼失墜に直面して、日々格闘している。

盗難やハッキングによる個人情報の悪用を防ぐことは非常に重要である。もしTwitterやFacebookで誰かが自分になりすましてヘイトスピーチを拡散させたらどうなるだろう。自分はまったく関与していないのに、職を失うかもしれないし、もっと深刻な被害を受ける可能性もある。

ソーシャルメディアプラットフォーム各社は、ユーザーと自社のブランドを守るためにどのような選択をするのだろうか。これまで、プラットフォーム各社の決断は、テクノロジーよりも、ポリシーや利益の保護を中心として下されてきた。プライバシーに関する懸念に向き合って信頼を築くための対策と、利益確保の必要性とのバランスを取ることは、彼らが解決すべき戦略上の大きなジレンマだ。いずれにしても、ユーザーにとって安全な場所を作り出す義務はプラットフォーム各社にある。

ソーシャルメディアやマッチングアプリのプラットフォームは、ユーザーを詐欺や悪意のあるネット犯罪者から守るために、もっと大きな責任を担うべきだ。

編集部注:本稿の執筆者Rick Song(リック・ソング)氏はPersonaの共同設立者兼CEO。

画像クレジット:Andriy Onufriyenko / Getty Images

原文へ

(文:Rick Song、翻訳:Dragonfly)

ミレニアル世代やZ世代を惹きつけたいインスタ風アプリSupernovaはSNS大手の「倫理的オルタナティブ」になれるか

Supernova(スーパーノヴァ)は新しいアプリで、Apple(アップル)とAndroid(アンドロイド)のアプリストアで公開されており、広告収入の大部分を慈善事業に寄付している。Instagram(インスタグラム)とFacebook(フェイスブック)の新しい「倫理的オルタナティブ」と謳う同アプリに、チャンスはあるだろうか?

Facebookがパノプティコン(一望監視施設)のような刑務所になり、米国政府の権力を覆そうとするプライベートグループに参加することを軽々しく提案するのを何年も見てきたか、あるいはInstagramをドゥームスクローリング(ネット上で悲観的なニュースや情報を読み続けること)して、自身や10代の子どもたちのメンタルヘルスが徐々に損なわれていくのを経験した後であれば、多くの人々は、より高潔な原則を持つ代替のソーシャルメディアプラットフォームに大きな満足を覚えるだろう。こうした代替のいくつかは何年にもわたって現れたり消えたり(RIP Path)しているが、Zuckerberg(ザッカーバーグ)氏の悪徳のような支配から大衆を遠ざけることに成功した者はいない。

おそらく人々は忘れてしまっているかもしれない。Facebook(その延長線上でInstagram)がこれほど大きい唯一の理由は、広告収入がこうした無料サービスを支えているからだということを。もし広告主が、十分に魅力的なアプリでソーシャルメディアの群衆を取り込むことができる他の場所を持っていれば、FacebookとInstagramはある程度プレッシャーを感じ始めるだろう。少なくとも、理論上はそうなっている。

広告業界を知り尽くしている英国の起業家が、ミレニアル世代やZ世代にアピールするために設計された独自のソリューションを使って、これらの大手企業に対抗しようと計画している。これらの世代は一般的に、前世代よりもはるかに大義を支援したいという欲求に導かれている。

Supernovaの創業者でCEOのDominic O’Meara(ドミニク・オメーラ)氏(画像クレジット:Supernova)

Supernovaの創業者でCEOのDominic O’Meara(ドミニク・オメーラ)氏は、かつてSaatchi(サーチ)に在籍した広告の第1人者で、英国アカデミー賞の受賞歴もあり、同スタートアップを主に自己資金で運営している。同氏は次のように語っている。「ASICS(アシックス)のようなスポンサーやMQのような慈善団体は、このアプリに備わる、ユーザーの安全を中心に据えた包括的なソーシャルネットワークという要素を評価して、今回のローンチに参加することを選んでいます。Supernovaが補完するのはまさにそこに存在するギャップであり、私たちは今後数カ月から数年のうちにこのギャップを縮小し、社会に成果を還元するソーシャルネットワークとなることを目指しています」。

「私たちの技術とアクセシビリティは、ソーシャルメディアと広告の力を使って世界がお互いに心から助け合うこと、そしてそれらの行動がどこでどのように役に立っているのかを常に透過的かつ正確に見ることを可能にします」と同氏は付け加えた。

Supernovaはこれを、同社のプラットフォーム上で有害性を防止することにより実現しようとしており(その方法については後述)、ユーザーが「安全かつセキュアであり、友人たちとの前向きで、刺激的で、人生を肯定するようなインタラクションを持つことを推奨されていると感じることができ【略】ヘイト、人種差別、ホモフォビア(同性愛嫌悪)、極端な政治思想などを目の当たりにすることのない場所を作ろうとしている」。

ビジネスモデルはシンプルである。同社は広告収入の60%を世界の慈善事業に寄付し、寄付金は気候変動、動物福祉、緊急事態の対応、健康と福祉、ホームレス支援、人権、メンタルヘルス、海洋清掃の各項目について、会員の希望に応じて配分される。どの要因が最も多くの資金を得るかは、ユーザーによって決定される。

Supernovaによると、世界のソーシャルメディア広告市場の1%以上を獲得できれば、年間6億ポンド(約925億円)を慈善団体に寄付することになるという。対照的に、FacebookとInstagramからの相当額は510億ポンド(約7兆9000億円)となる。しかし当然ながら、その現金は現在すべてザック氏の金庫に入っている。

FacebookやInstagramがヘイトスピーチを禁止していることはよく知られているが、もちろん、実際に行われることはほとんどないことも私たちはわかっている。Supernovaはまず最初に、自社のコミュニティ基準に基づいて「100%人間によるモデレーション」を行うとしており、さらにはユーザー向けに完全な憲章を約束している。

Supernovaアプリ(画像クレジット:Supernova)

どのようなアプリなのだろうか?

Instagramとの類似点はすぐにわかるだろう。ユーザーはコメントやメッセージングとともに写真やビデオを共有できる。ユーザーはフォローすることもフォローされることも可能である(1つか2つのバグが残っており、筆者のプロフィールは選択していないユーザーを自動的にフォローしているようだ)。

ユーザーはアカウントに対して、非公開、検索、フォロー、不要なユーザーのブロックなど、私たちが慣れ親しんできたソーシャルメディアツールのほとんどを設定することもできる。

ここで異なるのは、基礎となる仕組みである。

まず、ユーザーは自身のプロフィールで、Supernovaが広告パートナーから調達した資金を使って支援したい慈善分野を指定できる。

次に、ユーザーにナルシシズムを誘発することなく「Like」が慈善事業の広告収入の一部を得るための票のような働きをする。ユーザーの投稿に「Like」がついた場合、彼らが選んだ慈善団体は寄付として「Supernova Action Fund(Supernova活動基金)」のより大きな部分を得ることになる。

Superlikeや「Supernova」を獲得した投稿は、通常の「Like」の10倍の票を獲得する。ただし1つ難点がある。Supernovaを提供するには、まずユーザーが十分な「Karma Point」を獲得しなければならない。おそらくこれは、エンゲージメントを促進するためであろう。

今のところ、世界的なスポーツブランドであるASICSがSupernovaのスポンサーとなり、メンタルヘルスの慈善団体MQ Mental Health(MQメンタルヘルス)が最初に選ばれた慈善事業となっている。

また、Instagram(というよりFacebookのようなもの)とは異なり、Supernovaにはユーザーがグループに集まることのできる「グループ」機能がある。

オメーラ氏によると、Supernovaへの投資は「友人、家族」による資金調達ラウンドで100万ポンド(約1億5000万円)を超えており、2022年前半には機関投資家からのさらなる資金調達を予定しているという。

人間によるモデレーションについてオメーラ氏に尋ねたところ、次のように回答してくれた。「英国に拠点を置く訓練を受けたチームで、24時間体制で私たちが管理するシフト制を採用しています。彼らは若くて聡明な人材であり、主にコンピュータサイエンスの大学院や学部出身者です。会社の成長に合わせて社内で育成することで、チームが最初からコミュニティに親近感と共感を持てるようにしています」。ただし、同社の規模拡大に伴い、機械学習の支援を受けることになるだろうと同氏は言い添えた。

「Supernovaは、AIによって他のプラットフォーム上で活発に宣伝されている、有害で急進的なコンテンツから解放されます。その結果、Supernovaが万人向けではなく、熟慮される存在になることは間違いありません」とオメーラ氏は語っている。

Instagramでは禁止されていることで知られる乳首は同プラットフォーム上で許可されるのだろうか。

「すべては、投稿の内容や性質、投稿内のテーマによって異なりますが、コミュニティ基準に準拠しているかどうかは確実にチェックされます。違反した場合は削除されます」と同氏。

もし女性が母乳育児について説明しているのなら、それは許されるだろうかと筆者は尋ねた。

「その意図が明らかに有益であり、主題の真の側面を扱っている限りは、おそらくそうなるでしょう。もしその意図や内容が、その主題や私たちのコミュニティに対して、私たちの考えでは失礼であるか、有害であるか、あるいは否定的であるならば、コミュニティ基準や憲章を侵害することになり、削除されるでしょう」と同氏は回答した。

広告主にとってのメリットは何であろうか?

オメーラ氏は次のように語っている。「正しいことをしている『新時代』のソーシャルメディアの一部であることは、ブランドに害を与える可能性のある古い有害な秩序の一部であることとは対照的に、彼らのブランド(PR)にとってすばらしい価値があります。Deloitte(デロイト)によると、ミレニアル世代の80%は、他人の利益を自分の利益よりも優先するブランドからのみ購入したいと考えています。大手広告主は、ソーシャルメディアの現状に辟易しているようです。私は昨日、100億ドル(約1兆円)を超えるグローバル予算を投じている広告主に会い、そのことを明確に伝えられました」。

「当社のプロダクトは完全にスケーラブルで、ミレニアル世代のわずか1%にリーチすれば、毎日4000万人にスポンサー広告を届けられるでしょう。広告主たちが『量より質』を求めている今、これで十分です。1000社以上の広告主による42億ドル(約4822億円)規模のFacebookのボイコットは、その初期の兆候であり、今も消え去ってはいません。代替のオファーは今のところ提供されていません。そこにSupernovaが登場したのです」と同氏は付け加えた。

Supernovaが生き残れるのか、それともDavid Beckham(デイビッド・ベッカム)氏がローンチし、痕跡を残さず沈んだストリーミングソーシャルメディアアプリ、MyEyeになるのかはまだわからない。

タフで物議を醸す話題がこれまでほとんど登場してこなかった、一種の「バニラ(ありきたりな)」ソーシャルネットワークであるだけで、ユーザーを惹きつけるのに十分かどうかという疑問が残る。そして、潜在的に偏った人間によってコンテンツがモデレートされた場合、Supernovaはその決定を好まない人々から訴えられることになるのだろうか?

しかし、少なくとも今回の初公開からは、Supernovaは好調なスタートを切ったようだ。

画像クレジット:

原文へ

(文:Mike Butcher、翻訳:Dragonfly)

LinkedIn、インタラクティブなClubhouseスタイルの音声イベント機能を2022年1月開始、動画版は今春登場予定

8億人以上の人々がキャリアを積むために仕事用のプロフィールを掲載しているLinkedInは、次のステップとして、プラットフォームをより多く使ってもらう狙いだ。同社は新しいイベントプラットフォームを展開し、インタラクティブなバーチャルライブイベントの掲載、主催、マーケティングを行う予定だ。まず、音声のみの製品をベータ版として2022年1月に発表し、その後、春に動画版を発表する。最初は、LinkedInをオーガナイザーやホストとして利用しているクリエイターをターゲットにする。

ここ数年の新型コロナ生活の中で、オンラインイベントが多くの支持を得ていることから、現在の計画では、LinkedInの新しいイベント製品はすべてオンラインで提供し、フォーマットをオープンにしてイベントの運営者自身がフォーマットを作ることができるようにする予定だ。

プロダクトマネージャーの Jake Poses(ジェイク・ポーズ)氏はインタビューで次のように答えている。「私たちの理念は、主催する人が管理できるようにすることです。オンラインの円卓会議、炉辺談話などを簡単に開催できるようにしたい。フォーマルなイベントを開催したい人もいれば、インフォーマルなイベントを開催したい人もいるでしょう。また、リスナーとコミュニケーションをとりたい、質問を受けたいという要望もあるでしょう。私たちは、プロフェッショナルな人々にインタラクティブな機能を提供し、サポートします」。

2022年1月開始するオーディオイベント機能には聞き覚えがあるかもしれない。これはClubhouseに匹敵するもので、LinkedInの取り組みが最初に記事となったのは2021年3月だった。LinkedInは2021年、このイベントサービスに追加する可能性のある他の機能を試してきた。例えば、2021年9月にテストを開始した有料のチケットオプションなどだ。しかしポーズ氏によると、今のところインタラクティブイベントは無料サービスとして開始され、現時点ではチケット制にする計画はないとしている。

(LinkedInは近いうちにチケット制を導入すると思われる。私が尋ねたところ、Clubhouseの広報担当者は「クリエイターファーストというマントラの一環として」、当スタートアップ企業は「クリエイターが自分の作品をさらにマネタイズできるよう、チケット制イベントを含む複数の選択肢を模索している」と言っていたが、時期は特定できなかった。また、動画に関しては今のところロードマップにないことも確認した。彼女は「当社は、ソーシャルオーディオ体験に引き続き注力しており、オーディオ中心の新機能がコミュニティの体験をどのように強化できるかを引き続き模索しています」と付け加えた。)

オーディオイベントのモデルはこちら。

2022年1月末に開始されるこの新しいイベントプラットフォームには、他のサードパーティ製のソフトウェアを使用せずにインタラクティブなコンテンツをエンド・ツー・エンドで実行できるツールが含まれる。ホストはLinkedInから直接イベントを記録・実行できる他、オンラインの参加者とホストがライブで会話し、議論を進行できるツールや、イベント開催中と終了後に参加者が互いにコミュニケーションするためのツールが備わる予定だ。また、LinkedInは当然ながらイベントをリストアップし、プラットフォーム間でイベントに関する情報発信のサポートを行う。

これらのイベントのホストについては、まず、LinkedInを利用してすでに多くの人々とつながっている個人、つまり、TikTokなどの他のソーシャルプラットフォームで見られるような独自のクリエイターをターゲットとし、キャリア開発、専門的な話題、その他のLinkedIn中心の専門分野に向けたコンテンツを構築していく予定である。

LinkedInはここ数カ月、より広く、より活発なクリエイターコミュニティの育成に取り組んできた。この目的のために、2021年秋には2500万ドル(約28億6407万円)の資金とインキュベーターを立ち上げた。ポーズ氏によると、現在配信製品であるLinkedIn Liveを利用できるクリエイターは150万人とのことだ。イベントの企画と開催は、その戦略を拡張するための自然な流れといえる。

LinkedInは時間とともに、企業や大きな組織にもLinkedInでイベントを構築してもらいたいと考えているとポーズ氏は付け加えた。しかし大きな組織では、より大きな予算、より高い生産価値を目指したインフラ、そしてチケットやその他のサービスが必要になることが多い。同氏は、必要な人、あるいは希望する人は、サードパーティのアプリケーションやソフトウェアを製品に統合することができるようになると語った。(実際、今のところツールのほとんどはLinkedIn自身で構築されていることも認めていた。LinkedInを所有しているMicrosoftとの統合もあるのは確かではあるが)。

フィードに表示される動画機能のモデルはこちら。

LinkedInがイベントへの尽力により大きな関心を持ったのは、やや時代をさかのぼり、パンデミックの時期より前の2019年に初めてデビューし、対面での集まりに焦点を当てていたEventsハブに始まる。新型コロナウイルス感染症のパンデミックが起こってから数カ月後、LinkedInはバーチャルエンゲージメントを目的としたオンライン投票や配信スタイルの動画イベントの開始により、それまでオンラインイベントシナリオで使用されていた方法の一部を公式化した。

同社にとって、これらのイベントは成功を収めている。ポーズ氏は、年間のオンラインイベント作成が2021年1年間で150%増加し、同じ期間にLinkedIn Liveのバーチャルイベント参加者が231%増加したと述べた。取り上げられたトピックは、AIイノベーション基調講演ファイナンシャルプランニングライブ住宅施工メンターシップサイバーセキュリティ授賞式などだ(これらによっても、長期的にLinkedInがこれらのイベントの運営者として個人のクリエイター以上を抱え得る可能性が伝わる)。

LinkedInはまた、その規模と資金力を利用して、イベント分野で活躍する他の興味深い企業への投資や買収も行っている。2021年6月、LinkedInは、オンラインイベントの大企業であるHopin(2021年8月の直近の資金調達ラウンドで77億5000万ドル(約8874億6025万円)と評価された)に投資していることを明らかにした。また2021年8月には、クリエイターがハウツーやその他のメンタリング動画を作成・共有できるJumpropeというスタートアップ企業を買収している。(実際、これがポーズの入社の経緯であり、クリエイター、イベント、動画を網羅する製品をリードすることになった。)

これらのことは、LinkedInのコンテンツ戦略における次の論理的なステップであるだけでなく、パンデミックから2年経った今でも多くの人が在宅勤務をしており、新型コロナウイルス感染症が多くの人にとって脅威であることを考えると、明らかに時代の兆しのように感じられるのである。

だが、オンラインビデオ会議、そして率直に言ってオンラインなものすべてに対して私たちの多くが抱く疲労の影響をLinkedInはどのように受けるのか、また、オンラインイベントの選択肢が1つ増えて、結局多すぎるということが判明した場合、LinkedInは調整できるのかということを考えざるを得ない。

ポーズ氏の答えは、オンラインイベントはさらなる民主化のために必要なものであるが、イベント企画者の中にはハイブリッドなアプローチを取る人もいるかもしれない、というものだった。

オンラインやハイブリッドなものは「この先の時代」かもしれないが、インタラクティブイベントが解決しようとしているものはまったく異なるものだとポーズ氏はいう。

「物心ついたときから、私は講演やミートアップに出かけていました。これらは、社会人がコミュニケーションし、物事を学ぶ方法の主軸です。しかし、これらのイベントには、お金と移動時間、部屋に入って話す勇気、そしてイベントを運営するスペースが必要です。私たちの狙うところは、対面からバーチャルへ移行することで、実際にアクセスを民主化し、より多くの人々にそれを開放することです」と彼はいう。

原文へ

(文:Ingrid Lunden、翻訳:Dragonfly)

友人グループみんなで36枚撮りのロールを撮影、24時間後に現像されるアプリ「Lapse」が12.6億円調達

ソーシャルメディアアプリでは、アルゴリズムによる広告表示、インフルエンサーを活用したソーシャルグラフ、際限なくスクロールするよう促すUXなどが執拗に行った結果、大手ソーシャルメディア企業のバイラル的な成功と大衆市場でのエンゲージメントにつながっている。しかし、この市場には依然として入り込むすき間が残されており、写真を撮影して自分が選んだ友人と共有できるアプリには、従来のソーシャル的な一連の機能を排除したものが登場している。そうしたアプリの1つLapse(ラプス)が、リリース早々に投資家たちの強い関心を呼び、このたび大規模なシードラウンドを発表した。

Lapseでは、ユーザーがグループを形成し、グループの存在場所に関係なくグループ間で協力して、36枚ショットの「ロール」に即興で(アドリブで)写真を撮る。写真は現像され、撮影開始後24時間でグループにのみ公開される。そのLapseがシードラウンドで1100万ドル(約12億6000万円)を調達した。

今回のLapse(会社名もアプリ名と同じ)のラウンドを率いたのはOctopus Ventures(オクトパスベンチャーズ)とGV(旧称Google Ventures)で、他にもSpeedinvest(スピードインベスト)や個人投資家たちが参加した。個人投資家の中には、初期のFacebookのデザイナーSoleio Cuervo(ソレイオ・クエルボ)氏もいる。クエルボ氏はソーシャルエンゲージメントという点では実績がある。彼はFacebookの「いいね」ボタンをデザインしたチームの一員だった。

今回のラウンドでLapseの総調達額は1240万ドル(約14億2300万円)に達する。これには、同社が創業前の9月にプレシードで調達した140万ドル(約1億6000万円)が含まれる。このプレシードはスピードインベストが率い、Claire Nooriala(クレア・ノーリアラ)氏(Snap Inc.ヨーロッパ・中東・アフリカ担当副社長)、Matt Robinson(マット・ロビンソン)氏(NestedとGoCardlessの創業者)、Ian Hogarth(イーアン・ホガース)氏も参加した。

9月の創業後、Lapseは1万人のベータテスターを獲得した。その後短期間で、Appleのダウンロード件数トップの座に躍り出て、15万人がキャンセル待ちの状態になっている。ほんの数カ月で大規模なシードラウンドを実施してそうそうたる投資家たちを集めることができたのは、15万人という大量のユーザーを獲得できたからだ。

画像クレジット:Ingrid

Lapseは、ソーシャルメディア特有の仕組みを一新しようとしているため、ユーザーや投資家の間で注目を集めている一連のアプリに属する。

Instagram(インスタグラム)、TikTok(ティックトック)などが数百万人のユーザーを獲得しているが、そうしたユーザーはアプリの常用者だ。その一方で、こうしたソーシャルメディア企業とその策略を警戒しているユーザー層(とその親たち)が確かに存在している。これらの企業は大量の有害なコンテンツを配信していることがわかっているが、その使い方(および悪用方法)をコントロールするのは極めて難しいため、解決策はこれらの企業を廃業させるしかないと信じている人たちもいる。

そこまで厳しい話でなくとも、こうした大衆市場向けのソーシャルメディアアプリを大いに楽しんでいる、あるいはビジネスに活用している人たちでさえ、執拗にエンゲージメントとエクポージャーを求めてくる彼らのやり方にうんざりしており「ソーシャル」を実現するもっとプライバシーに配慮した、あるいはインパクトの強い方法を求めている。

同じカテゴリーに属するアプリは他にもある。IRLは、創業者によると、互いにメディアを共有したり、知らない人が投稿したメディアを延々とスクロールしながら観る代わりに、ユーザーたちがもっと有意義なソーシャルインタラクションを生み出すという前提で創業された。

IRLは、現実のイベントを重視するよう設計されたものの、パンデミックが発生しダラダラと続く中、皮肉にもバーチャル(つまりIRLではない)イベントにも拡張することで何とかユーザーを確保してきた。2022年始めに10億ドルを超える評価額で大規模な資金調達ラウンドを実施したIRLは「Digital Nutrition」アプリを2021年12月初めに買収した。このアプリによって、よりエシカルを重視したレコメンデーションを開発できるようになるという。

Lapseに近いコンセプトのアプリとしてDispo(ディスポ)がある。Dispoも使い捨てカメラロールという方向性を認識しており、体験を重視するといいつつ単に何かを体験した写真を共有するだけという方向性からは距離を置いている。Dispoでは、撮影した写真は翌日にならないと見ることができない。

Dispoも2021年初めに資金調達を行った。しかし、口コミでどんどん広がる状態にまで推進した(Dispoの共同創業者は人気のユーチューバーDavid Dobrik[デビッド・ドブリック]氏)原動力が悪い方向に転じて(ドブリック氏のチームが性的暴行で告発された)、多くの人たちが後味の悪い思いをした(初期の投資家たちは手を引き利益を断念した上、ドブリック氏もこの件に関わったとして辞任に追い込まれた)。とはいえ、Dispoは流行りのソーシャルメディアトレンドから外れたわけではない。9月に同社は、写真をNFTとして販売することに対するユーザーの関心を判断するためのテストを始めた。

LapseはDan Silvertown(ダン・シルバートン)とBen Silvertown(ベン・シルバートン)の兄弟によって創業された。シルバートン兄弟はベトナムを一緒に旅行した際に、ネットから離れてゆっくり過ごすために全自動カメラを使った。この体験からインスピレーションを得た2人は、写真を撮影して友人たちと共有するという機能はそのままで、あまりやきもきせずにソーシャル投稿するというアイデアを再現するアプリを構築できないかと考えた。

Lapseは、撮影した写真をすぐには見れなくするという点ではDispoと同じだが、撮影した写真を本当に親しい仲間以外の誰とも共有しないという点が異なる。

(今は廃業してしまったが、初期のFacebookの社員David Morin[デビッド・モリン]氏が、Facebookによって撮影された広角ビューとバランスをとる方法として小グループ内で共有する方法を提供するために創業したPath[パス]は、非常に先見の明があったということになる。少し時代の先を行き過ぎてしまったのかもしれない)

Lapseはまだアーリーステージの初期なので、これから発展する余地が大いにある。Lapseにはカメラの背面からスチール写真を撮るためのレンズしか用意されていない。しかし、創業者によると、このレンズは多くの試行錯誤の末に生まれたものだという。

画像クレジット:Ingrid

「30人のプロの写真家と協力して当社独自の画像処理エージェントを開発しました」とベン氏はインタビューで語ってくれた。「しかし、これは、当社が20段階の処理と考えているアナログフィルムを再現する取り組みの第1段階に過ぎません」。

このフィルターの効果は、昔ながらの全自動カメラで撮影したスナップ写真の画質という説明が一番近いだろう。古風に聞こえるが、平均的なスマートフォンで実現されるようになった極めてパワフルなカメラ体験を意図的に制限して、それを即興的な味で置き換えるおもしろい方法だ。もちろん、たくさんの失敗作も生まれることになるが。

人はどこかへクルマで行く代わりに積極的に歩く選択をしたり、どこかで出来合いの料理を買う代わりに意図的に複雑な料理の多くの手順を体験するほうを選ぶことがある。Lapseはさしずめ、これのカメラ版といったところだろう。不便で面倒くさいと感じるかもしれないが、おかげで従来とは異なる結果が得られるかもしれない。

個人的には、Lapseフィルターを使うことによって予期せぬ、また管理が難しい副作用が生じることがあるものの、それは救いようのないものではなく、むしろおもしろいものだ。

例えば焦点を合わせられないためひどいピンぼけになることがあるし、前向きレンズがないため不正確なセルフィーしか撮れない(あるいは私は結局そうしたのだが、鏡に映った自分を撮るくらいしかできない)。ビデオ機能はないし、画像にいたずらする「フィルター」もない。スナップを撮る機能は驚くほど簡単だ。自分でも気づかないうちに写真を撮っている。撮り直しはできない。

筆者の息子アベルは3枚構成の写真を撮る方法を見つけてしまった。筆者もやってみようとしたがどうしても方法が分からなかった。

こうして撮影された写真は現像されてグループチャットに配信される。チャットでは超高速スライドショーが再生される。スピードを落としてもう少しじっくりと見ることもできる。もちろん、カメラロールの写真を保存して別の場所で共有するといった従来のソーシャルメディアと同じ仕かけも用意されている。

ダン氏によると、この機能は当初、Lapseのうわさを広めてもらうために用意したのだという。ティックトックは他のプラットフォームとビデオを簡単に共有できるようにすることでユーザーを引き寄せ成長したが、これを真似たものだ。まだ初期段階なので、この機能を維持するのか、最終的にオフにしてしまうのかはまだ決めていないという。

収益化に関する具体的な内容もまだ決まっていない。ただ、広告から収益を上げる方法は避けたいとしている。

「収益化についてはざっくりと考えてはいますが、具体的なことはまだです」とダン氏はいう。「ただ、おそらく広告ベースの収益モデルは使わないと思います。というのは、広告ベースのモデルは、可能なかぎり多くのユーザーに動機を与え、現在の画面を表示するために費やされる時間を最適化しますが、これは有害な行動が生じる原因の1つだからです。我々は量ではなく質を重視したいと考えています」。1つのアイデアとしてフリーミアムモデルがある。「あるレベルでユーザー向けにアプリを構築し、ユーザーが大変気に入って、追加機能に対して料金を支払うようにする方法です」。例えば共有された写真に表示される商標を消去する機能がある。現在、共有された写真のフレームにはLapseという商標が表示されるようになっている。

何より、Lapseは誇大広告なしでゆっくりと成長していくという考え方を受け入れているようだ。

Lapseはアクティブなユーザー数を公開していないが、キャンセル待ち15万人という数字は現在のLapseのアクティブな全ユーザー数ではないと思われる。GVのような投資家が支援しているということは、数字は良いという1つの証だ。複数の招待を受けることを許可されているユーザーがそのうちの1人から招待を受けるとキャンセル待ちリストをスキップできる。エンゲージメントはかなり高く、Lapseをダウンロードしたユーザーの15%がアプリを使い続けている、とベン氏は説明する。現在のところ、ユーザーの大半はZ世代の女性であり、ユーザーの実に79%が女性、71%が24歳以下である。現在のところ、ユーザーの約80%が米国居住者だ。

こうしたすべての数字は、アプリが成熟するにつれて変わってくるだろう。ソーシャルアプリに対するさまざまなアプローチの中から現実的な選択をするという流れの中で、そう願いたいものだ。

「Lapseは、ユーザーが従来の大手ソーシャルメディア企業との関係を根本的に考え直している時期に登場した次世代のプライベート型ソーシャルネットワークです」とオクトパスベンチャーズの投資マネージャーMatthew Chandler(マシュー・チャンドラー)氏は語った。「Lapseでは、ユーザーはもう製品ではなくなります。このメンタル面での劇的な変化により、ユーザーはプライベートなグループ内で自由にやり取りし、生活の中の今この瞬間を撮ることができます。また、Lapseの製品設計では、ユーザーは自分を特定の方法で演じるというプレッシャーから開放され、本当の自分であるように促されます。これは私達のコミュニケーション方法に重大な影響を与えます。ダン氏とベン氏は、画像ベースの記憶のための新しいプラットフォームの構築に取り組んでいます。当社は彼らとパートナー関係を結ぶことができたことに大きな期待を寄せています」。

画像クレジット:Lapse

原文へ

(文:Ingrid Lunden、翻訳:Dragonfly)

英国でMeta集団訴訟、競争法違反で約3520億円求める

Facebook / Meta(フェイスブック / メタ)が数年にわたり英国でソーシャルネットワークでの支配力を乱用していたとして、強力な訴訟ファンドの支援を受けた競争法の専門家が、同社に対し競争法違反で数十億ドルの集団訴訟を起こす。原告側が勝訴すれば、Facebookは31億ドル(約3520億円)の損害賠償金を英国ユーザーに支払わなければならなくなる。

集団訴訟は、Facebookの親会社であるMetaを相手取っていて、現地時間1月12日にロンドンにある英国の競争審判所に訴状が提出された。

この訴訟では、4400万人の英国のユーザーが2015年から2019年の間にデータを搾取され、Facebookはそうしたユーザーに賠償金を支払うべきだと主張するという異例のアプローチを取っている。Facebookの支配により、事実上、他に実行可能なソーシャルプラットフォームがなかったユーザーの個人データやプライベートデータをFacebookはすべて奪い、その見返りとしてユーザーが得たのは、実質的に友人や家族に赤ちゃんや子猫の写真を投稿できることだけだったと主張している。

ライザ・ロブダール・ゴームセン博士

この訴訟は、国際競争法の専門家であるLiza Lovdahl Gormsen(ライザ・ロブダール・ゴームセン)博士(写真上)が主導している。ロブダール・ゴームセン氏は、Facebookの市場支配について英国議会で意見を述べ、それに関する法的な学術論文も執筆した。

ロブダール・ゴームセン氏の訴えは、Facebook(最近Metaに社名変更した)が英国のFacebookユーザーに対して「不当な価格」を設定したという考えに基づいている。

Facebookにアクセスを許可するために設定された「価格」は、英国ユーザーの非常に貴重な個人データの放棄であり、その見返りとして、Facebookが巨額の収益を上げる一方で、ユーザーは単にFacebookのソーシャルネットワークプラットフォームへの「無料」アクセスを得ただけで、金銭的補償はなかった。

この主張で重要なのは、Facebookがユーザーのデータを自社プラットフォームに閉じ込めることによってだけでなく、Facebookピクセルで他のウェブサイトでもユーザー追跡し、ユーザーに関する深い「ソーシャルグラフ」データを生成することによって英国ユーザーを「囲い込んだ」ということだ。

ユーザープロフィールがCambridge Analytica(ケンブリッジ・アナリティカ)スキャンダルのような論争の中で何度も再浮上し、その市場利用を実証したことがロブダール・ゴームセン氏の主張を支えている。

ロブダール・ゴームセン氏の弁護士であるQuinn Emanuel Urquhart & Sullivan(クイン・エマニュエル・アークハート&サリバン)法律事務所は、Metaに書面でこの主張を通知している。ロブダール・ゴームセン氏は、影響を受ける人々、すなわち2015年10月1日から2019年12月31日の間に少なくとも1回はFacebookを利用した英国に居住するすべての人の代表を務める。

この「オプトアウト」集団訴訟は、Metaに対するこの種のものとしてはイングランドおよびウェールズでは初だ。オプトアウト訴訟であるため、Facebookの400万人の英国ユーザーは、損害賠償を求めるために積極的に訴訟に参加する必要はなく、訴訟からオプトアウトすることを選ばない限り、訴訟に加わることになる。

この訴訟に対する資金援助は、世界最大の訴訟資金提供者の1つであるInsworth(インスワース)が行っている。Quinn EmanuelとInnsworthは、過去にこの種の消費者集団訴訟を起こした実績がある。

Metaに関してはより広い背景があり、同社は米国での消費者集団訴訟、世界中での規制措置にも直面している。米連邦取引委員会(FTC)が起こした反トラスト訴訟ではInstagram(インスタグラム)とWhatsApp(ワッツアップ)のプラットフォームから分離される可能性がある。

ロブダール・ゴームセン氏は声明の中で、次のように述べている。「登場してからの17年で、Facebookは英国で友人や家族と確実に1カ所でつながることができる唯一のソーシャルネットワークとなりました。しかし、Facebookには暗い面がありました。市場支配力を乱用し、英国の人々に不当な利用規約を課し、個人情報を搾取していました。私は、Facebookにデータを搾取された4400万人の英国人のために、数十億ポンド(数千億円)の損害賠償を確保すべく、この裁判を起こします」。

筆者はロブダール・ゴームセン氏と電話で話したが、その際、Twitter(ツイッター)やMyspace(マイスペース)のような他のソーシャルネットワークが利用可能だったとFacebookは主張することができるかどうか尋ねた。

「TwitterやSnapchat(スナップチャット)などでは、人々は家族や友人と同じようにつながることができないと思います。Facebookはかなりユニークなやり方をしています」。

今回の訴訟は、Facebookピクセルが他のウェブサイトにも遍在していることにも基づいている。それがこの訴訟でどのような意味を持つのか、筆者は尋ねた。

「自分がFacebookのユーザーだと想像してください。自分のデータがFacebook.comで利用されることは承知しているかもしれません。しかし、ピクセルは、あなたがサードパーティのウェブサイトを利用するときに意味を持ちます。そのサードパーティのウェブサイトはもちろんFacebookとは何の関係もありません。つまり、Facebookは、あなたが実際にサインアップしたという以上に、ずっとたくさんのあなたのデータポイントを作り出しているのです」とロブダール・ゴームセン氏は述べた。

ユーザーは設定の奥深いところでFacebookのプラットフォームから自分自身を削除することは可能だが、実際には、ユーザーの大多数は削除方法がわからず、それが可能であることさえ知らない、と同氏は主張している。

ロブダール・ゴームセン氏は、英国国際比較法研究所(BIICL)の上級研究員、競争法フォーラムのディレクター、国際競争ネットワークの非政府顧問、Journal of Antitrust Enforcement(OUP)の諮問委員会の委員を務めている。

TechCrunchはFacebookにコメントを求めたが、記事公開時点では回答はなかった。

画像クレジット:Dr Liza Lovdahl Gormsen

原文へ

(文:Mike Butcher、翻訳:Nariko Mizoguchi

議事堂暴動を調査する米下院委員会がMeta、YouTube、Twitter、Redditに召喚状

2021年1月6日の米議会議事堂での暴動に関する調査を主導する下院委員会は米国時間1月13日、テック大手4社に召喚状を出した。

「1月6日特別委員会」の委員長Bennie G. Thompson(ベニー・G・トンプソン、民主・ミシシッピ州選出)氏は、YouTube(ユーチューブ)の親会社Alphabet(アルファベット)、Facebook(フェイスブック)とInstagram(インスタグラム)の親会社のMeta(メタ)、Reddit(レディット)、Twitter(ツイッター)に対し、これらのプラットフォームが当日の暴動を組織するためにどのように使われたかについて追加情報を提供するよう要求する文書を送付した。

発表の中で委員会は、連邦議会議事堂への攻撃計画に関連したコンテンツをホストしていると各社を非難している。「Metaのプラットフォームは憎悪、暴力、扇動のメッセージを共有するため、選挙に関する誤った情報、偽情報、陰謀論を広めるため、そして『Stop the Steal運動』を調整、または調整しようとするために使われたとされています」と委員会は述べ、その後解散したFacebookのCivic Integrityチームが調査に関連する情報を持っていたと考えていると指摘した。

当時報じたように、Facebookは2020年の米大統領選の正当な結果を否定するコンテンツの拡散を制御できず、Stop the Steal運動の主要ハブだった。また、Facebookは以前、Proud BoysやThree Percentersなど、議事堂襲撃事件の一翼を担うに至った一部の過激派や民兵的なグループを組織するためのプラットフォームとして選ばれていたこともあった。

同委員会のRedditへの苦情は、2020年1月下旬にヘイトスピーチを巡って禁止された後、独自ドメインに移行した悪名高いサブレディット「r/The_Donald」に焦点を当てているようだ。委員会はまた、YouTubeが暴動のライブストリームに使用されたこと、Twitterユーザーが「暴行の計画と実行に関するコミュニケーションに同プラットフォームを使用したとされている」ことを指摘した。

委員会は2021年8月に初めて15のプラットフォームに関連記録を要求したが、その回の書簡では、Snapchat(スナップチャット)、Twitch(ツイッチ)、TikTok(ティクトック)といった従来のソーシャルメディアアプリに加え、4chan(4チャン)、8kun(8クン)、Gab(ギャブ)、Parler(パーラー)、theDonald.win(ザドナルド・ドット・ウィン)といった過激派向けのサイトにも情報を要求している。

「繰り返し具体的に要請したにもかかわらず」4つの主要なソーシャルプラットフォームが十分に詳細な情報を提供しなかったため、委員会は前回と同じ要請をしており、今回は1月27日を期限としている。

画像クレジット:Photo by Spencer Platt/Getty Images / Getty Images

原文へ

(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Nariko Mizoguchi

すべてのプラットフォームを横断する顧客メッセージングプラットフォームSuperchatが約17.9億円調達

Superchatの創業者。ミカ・ハリー氏(左)とユルマズ・キョクナル氏(右)

2021年のWhatsAppの停止事故は、今でも20億のユーザーの背筋を凍らせているが、このアプリを使って顧客と繋がっている何百万もの企業も同様だ。ご存知のように、現在ではすべてのプラットフォームを横断する全方向的なメッセージングは、そこから多くのスタートアップが誕生している新たな分野だ。

Superchatはその中でも最新となるスタートアップで、現在、必要とされている中小企業が顧客とコンタクトするための、オールインワンのメッセージングプラットフォームを開発している。一部の調査によると、顧客の78%はネガティブな体験に懲りて、企業とのやり取りにギブアップしている。そんな劣悪な顧客サービスによってヨーロッパの企業は毎年、130億ユーロ(約1兆7046億円)の売上を失っているという

Superchatはこのほど、ロンドンのVCであるBlossom CapitalがリードするシリーズAのラウンドで1560万ドル(約17億9000万円)を調達し、これに468 Capitalも参加した。これでSuperchatの調達総額は1800万ドル(約20億6000万円)になる。

Blossom CapitalのマネージングパートナーAlex Lim(アレックス・リム)氏は次のように語る。「Superchatは、中小企業に力をつけて、彼らがデジタルのチャネルをうまく利用できるようにし、最も厳しい顧客にも最良のサービスを提供できるようにします。創業者とチームは、企業が抱える彼ら独特の難関をよく理解している。中小企業の多くは今でもメールや電話を使っているが、特にパンデミック以降はデジタルへの移行が増えています」。

同社は企業の顧客との会話をWhatsAppやFacebook、Instagram、Google Business、Telegram、ウェブ上のチャット、メール、それにSMSからも取り出して、それらを企業用の単一のボックスに入れる。それによって企業は顧客に関するインサイトを得ることができ、売上アップなどに結実させる。メッセージへの返信は、チームの全員が読むことができる。

Yilmaz Köknar(ユルマズ・キョクナル)氏とMika Hally(ミカ・ハリー)氏が創業した同社は、これまで主にドイツの企業を顧客にしてきた。

「現在の顧客は、どこのどのような企業が相手でも、時間を問わずに企業とコンタクトがとれると思っています。これが、企業にとって業務運用の悪夢になり、顧客にはお粗末な体験につながります。このような方法は誰にとっても良いものではありませんが、Superchatを利用すればみんながWinになります」とキョクナル氏はいう。

この分野には、Rake、Messagebird、Smoochといった資金豊富な競合他社が多く、Superchatは苦労している。今後どんな戦いになるか、興味深い。

原文へ

(文:Mike Butcher、翻訳:Hiroshi Iwatani)

世界中のファクトチェック団体がYouTubeに誤報・偽情報対策を要求

世界中の80以上の著名なファクトチェック団体が、YouTube(ユーチューブ)に新型コロナウイルスに関する誤報への対策を求めている。この誤報は新型コロナウイルス感染拡大から2年が経過した現在でも、依然としてこの動画共有サイト上で広まっている。

「ファクトチェック機関の国際的なネットワークとして、私たちはオンラインでどのように嘘が広がるかを監視しています。そしてYouTubeがオンラインの偽情報や誤報を世界に広める主要な導線の1つとなっていることを、毎日私たちは目の当たりにしているのです」と、ファクトチェック機関の連合はPoynter(ポインター)に掲載された公開書簡で述べている。「これは、世界のファクトチェッキングコミュニティの重要な懸念事項です」。

この公開書簡に署名したファクトチェック機関は、PolitiFact(ポリティファクト)、The Washington Post Fact Checker(ワシントンポスト紙のファクトチェッカー)、PoynterのMediaWise(メディアワイズ)といった米国を拠点とする団体に加え、アフリカのDubawa(ドゥバワ)とAfrica Check(アフリカ・チェック)、インドのFact Crescendo(ファクト・クレッシェンド)とFactly(ファクトリー)、さらにはインドネシア、イスラエル、トルコといった国々の団体など、世界中に広がっている。

同グループは、YouTubeが長年にわたって健康に関する誤った情報の温床になっていると指摘。その中には、がん患者に非科学的な治療法で闘病を促す内容も含まれている。

「2021年は、いくつもの陰謀集団が繁栄し、国境を越えて協力し合うのを、我々は目にしてきました。その中には、ドイツで始まった活動がスペインに飛び火し、ラテンアメリカにまで広がった国際的な運動も含まれます。これらはすべてYouTubeで展開されているのです」と、書簡には書かれている。「その一方で、何百万人ものYouTubeユーザーが、予防接種を拒否するよう勧めたり、ウイルス感染症をインチキな治療法で治すことを奨励するギリシャ語やアラビア語の動画を見ています」。

この書簡では、英語以外の言語の動画で誤った情報が広がるという特殊な危険性も強調している。Facebook(フェイスブック)の内部告発者であるFrances Haugen(フランシス・ハウゲン)氏は、英語圏以外でのコンテンツモデレーションに十分な投資を行っていないFacebookでも、同様の懸念があることに注意を促していた。ファクトチェック団体グループは、YouTubeに対して「国や言語ごとのデータや、あらゆる言語に対応した字幕サービスを提供する」ことで、英語以外の言語から誤報の流出を防ぐよう働きかけている。これはYouTubeが注力しているモデレーションの方法だ。

ファクトチェッカー団体は、問題点を指摘するだけでなく解決策も提示しており、YouTubeは誤報や偽情報に関するポリシーの透明性を高め、それらの問題を専門とする独立した研究者を支援すべきだと指摘している。また、同グループはYouTubeに対し、誤報を否定して迅速にその件に関する事情や背後関係をプラットフォーム上で提供する取り組みを強化するようにも求めている。この2つの取り組みは、ファクトチェック機関との連携を深めることで実現可能だ。

FacebookやTwitter(ツイッター)は、プラットフォーム上での誤った情報の拡散について、長い間、世間の厳しい目にさらされてきたが、YouTubeはしばしばそれらの監視の目をかいくぐっている。YouTubeの推薦アルゴリズムは近年、危険な主張を広めることに能動的な役割を果たしているが、TikTok(ティックトック)と同様にテキストベースではなく動画であるため、一般的に研究者にとっては調査が困難で、テクノロジーの説明責任に関する公聴会を開いている議員たちにとっては理解することが難しい。

「YouTubeは、不謹慎な行為者が他人を操って利用したり、組織化して資金調達したりするために、自社のプラットフォームを武器にすることを許している」と、ファクトチェッカー団体はいう。「現在の対策では不十分です」。

画像クレジット:Olly Curtis/Future / Getty Images

原文へ

(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

ナイジェリアがツイッターの業務停止処分を解除、「条件満たした」

ナイジェリア政府は、ソーシャルメディア大手Twitter(ツイッター)の取り締まりを宣言してから半年以上を経て、Twitterの業務停止処分を解除した。

ナイジェリアのテック監督機関である国家情報技術開発庁(NITDA)のKashifu Inuwa Abdullahi(カシフ・イヌワ・アブドゥラヒ)長官が現地時間1月12日、声明で発表した。アブドゥラヒ氏は、禁止措置後のナイジェリアとTwitterの協議を監督するためにナイジェリア政府が設置した委員会(Technical Committee Nigeria-Twitter Engagement)の議長を担っていた。

関連記事:ナイジェリアが大統領の投稿削除を受けツイッターを無期限停止に

同氏によると、同国の通信・デジタル経済大臣がMuhammadu Buhari(ムハンマド・ブハリ)大統領に宛てて書いたメモを受け、業務停止処分の解除が承認されたという。声明ではまた、西アフリカ時間2022年1月13日午前0時までに直ちに業務停止を解除することが明らかにされた。

「ナイジェリア連邦政府(FGN)は、ムハンマド・ブハリ大統領(GCFR)が、ナイジェリアにおけるTwitterの業務停止を今夜2022年1月13日午前0時から解除することを承認したことを国民に知らせるよう私に指示しています」と声明にはある。「この承認は、通信・デジタル経済名誉大臣であるIsa Ali Ibrahim(イサ・アリ・イブラヒム)教授が大統領に宛てて書いたメモを受けてのものです。メモの中で大臣は、ナイジェリアとTwitterとの協議を監督する委員会の勧告に基づき、解除に対する大統領の承認を要請しています」。

アブドゥラヒ氏はまた、Twitterが「2022年第1四半期中にナイジェリアに法人を設立する」ことに同意したと声明で述べている。声明によると、Twitterの法人設立は、同社が「ナイジェリアへの長期的なコミットメントを示す最初のステップ」とのことだ。

法人設立は、2021年4月にガーナにアフリカ初の拠点を設立したTwitterが、業務停止処分から数カ月後にナイジェリアでの事業を再開するために求められた10の要求のうち満たせなかった3つのうちの1つだ。これは同年8月にナイジェリアのLai Mohammed(ライ・モハメド)情報相が発表した。

ナイジェリアでの現地事務所あるいは法人設立に加え、Twitterが満たせなかった要求は現地での納税、コンテンツや有害ツイート規制のためのナイジェリア政府への協力だった。

画像クレジット:Getty Images

原文へ

(文:Tage Kene-Okafor、翻訳:Nariko Mizoguchi

Instagram、2021年第4四半期に世界総ダウンロード数でTikTokを抑え再びトップに

Instagram(インスタグラム)は、インドでのTikTok(ティクトック)禁止の恩恵を受けており、2021年第4四半期時点の世界総ダウンロード数で首位に返り咲いた。アプリインテリジェンス会社Sensor Tower(センサータワー)が発表した新しいデータによると、Instagramにとって2021年第4四半期は少なくとも2014年以来最高のものとなり、インストール数は第3四半期から10%増えた。また、Instagramは、2019年第4四半期にWhatsAppがその座を占めて以来、ダウンロード数ランキングで1位を獲得した初のMeta傘下アプリとなった。

実際、過去2年でTikTokが世界ダウンロード数で1位でなかったのは2021年第4四半期が2回目だったとSensor Towerは指摘している。

その前にTikTokが首位から転落したのは新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行が始まった頃で、2020年第2四半期にZoom(ズーム)がTikTokを破ってダウンロード数1位のアプリとなった。

画像クレジット:Sensor Tower

Instagramが世界の(ゲーム以外の)アプリ市場でトップに躍り出たのは、Androidユーザーによるインストールが増加したためだ。Google Playアプリの世界ダウンロード数トップチャートでは、2四半期連続でMeta傘下のアプリが1位と2位を獲得した。1位はInstagram、2位はFacebook。一方、TikTokは3位だった。

画像クレジット:Sensor Tower

Apple(アップル)のApp Storeで最もダウンロードされたアプリを示すチャートでは、状況はかなり違っているようだ。

TikTokとYouTubeがそれぞれ1位と2位をキープしており、2020年第2四半期以降、その座を守り続けている。第4四半期にTikTokは、8四半期連続でApp Storeでのインストール数が5000万回を突破したとSensor Towerは指摘している。

残りのトップ5は、3位WhatsApp、4位Instagram、5位FacebookとMetaのアプリで占められている。一方、6位には、国家キャンペーンで宣伝されたことを受け、中国の国家詐欺防止センターアプリが異例のランクインを果たした。その他は、ソーシャルアプリ、チャットアプリ、エンターテインメントアプリという典型的なセレクションで占められている。

画像クレジット:Sensor Tower

興味深い補足として、2021年第4四半期には、TwitterがApp Storeで最もダウンロードされたアプリのトップ20に2020年第1四半期以来初めて入った。2020年以降、4度目のランクインだ。ダウンロードは前四半期比34%増と急増し、その後も成長は続いている(製品開発活動の活発化がようやく実を結び始めたのかもしれない)。

TikTokは米国のApp StoreとGoogle Playの両方でダウンロード数第1位のアプリだが、世界第1位からの転落は、少なくとも部分的にはインドが2020年6月に「国家安全保障」の懸念から、中国企業の他のアプリとともにインド国内で禁止する決定を下したことに起因している。

Sensor TowerがTechCrunchに語ったところによると、禁止措置が取られて以降、Instagramのグローバルダウンロードにおけるインドの割合は着実に増えているという。

画像クレジット:Sensor Tower

例えば、2020年第2四半期には、Instagramのダウンロード数の約21%がインドからのものだったが、2021年第4四半期にはそのシェアは39%に拡大した。また、通年で見ると、2020年にはInstagramのダウンロード数の約25%がインドからで、2021年には約36%に増えた。

InstagramはTikTokの脅威に対処すべく動画に注力するようになり「Reels」というTikTokクローンの普及に努めてきた。Instagramは競争が激化する中で牽引力を回復しようと、2021年にReelsに投稿するクリエイターに巨額のボーナスを提供し始め、中には1万ドル(約115万円)という高額な支払いもあった。

直近の四半期はInstagramが勝利したものの、Sensor Towerのデータによると、通年(2021年)の両アプリストアのグローバルダウンロード数ではTikTokがトップで、次いでFacebook、Instagramの順となっている。

ちなみに、Sensor Towerのライバル会社App Annieは、少し異なるランキングを発表している。App Annieのデータでも世界的なダウンロード数ではTikTokがトップだが、次いでInstagram、Facebookの順となっている。このことから、FacebookとInstagramのダウンロード数は近いと考えられる。Sensor TowerとApp Annieのダウンロード数推定方法が異なるため、結果的に異なる数字になったものと思われる。

画像クレジット:Bryce Durbin/TechCrunch

原文へ

(文:Sarah Perez、翻訳:Nariko Mizoguchi

ネットフリックス「ハイプハウス」が見せるクリエイターエコノミーの闇

私たちはこれまでキム・カーダシアンやパリス・ヒルトンのような有名人を「有名であることで有名」と表現していた。しかし、Netflix(ネットフリックス)のドキュソープ(ドキュメンタリー形式のリアリティ番組)「Hype House(ハイプハウス 〜TikTokスターのリアルライフ〜)」に登場するTikTok(ティックトック)のメガスターたちは「普通であることで有名」だ。このクラスのスーパースターは、有名人の裕福な子弟とは違い、神秘的なアルゴリズムによって、一見すると恣意的な理由で実質的に一夜にしてスターダムにのし上がった。

「20歳で大富豪だよ、何を落ち込む必要があるんだと思うだろ?」と語るのは、1470万人のフォロワーを持つTikTokのスターAlex Warren(アレックス・ウォーレン)氏だ。「とても馬鹿げたことに聞こえるのはわかっているさ、でも、それが苦しいんだよ、落ち込むことが許されていないように感じるんだ」。

「ハイプハウス」では、平凡な10代の若者が、有名人になったチャンスの本質について苦悩し、その名声が登場したときと同様にすぐに消えてしまうのではないかと心配している。「ハイプハウス」は、TikTokで最も長く続いている同名のコンテンツハウスの1つで、ソーシャルメディアのスターたちが一緒に暮らし動画を撮影している。このコンセプトは新しいものではない。YouTube(ユーチューブ)やTwitch(トゥッチ)、Vine(バイン)のスターたちは、何年も前からこのような共同生活のプロジェクトを実験してきた。

Thomas Petrou(トーマス・ペトルー)氏(フォロワー数800万人)が事実上のマネージャーだが、彼は利益の分配は受けていないという。彼は自分のことを「この家のお父さん」と呼んでいるが、それに加えて全員がちゃんと皿洗いをするのを確認するだけでなく、「ハイプハウス」ブランドが維持できるように、毎月少なくとも8万ドル(約923万円)のネット収入を得られるようにしている。彼のインフルエンサーの友人であるVinnie Hacker(ビニー・ハッカー)氏(フォロワー数1290万人)、Jack Wright(ジャック・ライト)氏(フォロワー数880万人)、アレックス・ウォーレン氏(フォロワー数1470万人)といった面々が、500万ドル(約5億8000万円)の豪邸に家賃なしで住んでいる。彼らがすることは、月に一度、「ハイプハウス」の公式TikTokアカウントに投稿することだけで、継続的なブランドコンテンツ契約によって収益を生み出している。さらにTikTokは、クリエイターたちがプラットフォーム上で誘導したトラフィックに対して直接報酬を支払うようになった。

このNetflixのシリーズは、「ハイプハウス」の一時代の終わりを告げるもので、若きミリオネアたちのおどけた姿よりも、インフルエンサーたちが直面する課題に焦点を当てている。

考えてみれば、このTikToker(ティックトッカー)たちが投稿している動画は、平均的なティーンエイジャーが投稿するものとさほど違ってはいない(大邸宅から投稿していることを除いて)。約2000万人のフォロワーを持つ「ハイプハウス」の公式TikTokアカウントでは、スターたちが新しいフィルターを試したり、次々に最新のトレンドを取り入れたり、そしてもちろん踊ったりしている。

全8話のシリーズを通して、風光明媚なサンタローザバレーの家には不穏な空気が漂っている。「ハイプハウス」のメンバーの中には、刺激を得られず幻滅を感じているせいで、ペトルー氏が望んでいるほどには頻繁にグループのためのコンテンツを作らない人もいる。あるシーンでは、「ハイプハウス」のメンバーが巨大なビーンクッションに寝そべってコンテンツのアイデアを考えようとしていたのだが、結局思いついた最高のアイデアは「手の込んだ握手方法」を編みだすことだった。きれいな大邸宅に家賃なしで住んでいても、楽しそうには見えない。

一方、アレックス・ウォーレン氏は、ワラにもすがるように、ネット上で思うようには反響を得られていない演出をしている。問題のある家庭環境や足の怪我を抱えながらも、心の休息を取ることに恐怖を感じているのだ。

「この仕事では、投稿をやめるとエンゲージメントが失われるんだ」とウォーレン氏は告白するように説明する。「この仕事には病欠はないんだ。病欠したらフォロワーが減り、つまり収入が減り、それはつまり、自分の仕事を失うことなんだ」。

インフルエンサーのゴールドラッシュ

TikTokのスターダムは、インターネット上のキャリアとして理解されつつあり、突然有名になった子どもたちのブランドとの契約やパートナーシップを支援することを目的とした、何十ものスタートアップ企業が生まれている(もちろん彼らの収益の一部を手にするためだ)。YouTubeでは、初期のクリエイターのほとんどが広告収入で利益を得ていたが、少なくとも初期の頃は、現在のようにマネタイズに注目が集まっていなかった。他のプラットフォームも、TikTokとその最大のスターたちの成功に乗じようと躍起になっている。Instagram(インスタグラム)、Snapchat(スナップチャット)、YouTube(ユーチューブ)は、クリエイターたちがTikTokではなく自分たちのプラットフォームに投稿するようにインセンティブを与えるために、数億ドル(約数百億円)を投じている。

Nikita Dragun(ニキータ・ドラガン)氏(フォロワー数1420万人)は「インフルエンサーとして、私たちの生活全体が、従来の有名人よりも奇妙な台座に置かれています」と番組で説明している。「スポークスマン、活動家、モデル、時事評論家、マネージャー……一度にたくさんのことをしなければなりません」。

クリエイターの収益化が進んでいることは、ほとんどの場合良いことだと思われる。クリエイティブな人びとが好きなことをして生計を立てるのに役立つツールがこれまでになく増えている。LinkedInでさえ、40人のスタッフがクリエイターとの仕事を専門に担当している。しかし一方で、生活のあらゆる面をマネタイズしなければならないというプレッシャーを感じるクリエイターもいる。ウォーレン氏の人気の一部は、同じくTikTokのスターで1360万人のフォロワーを持つガールフレンドのKouvr Annon(コーバー・アノン)氏との関係についての投稿から来ている。しかしウォーレン氏は、2人のプライベートな生活とコンテンツを切り離すのに苦労していて、カメラのないところ(滅多にないが)での2人の関係にも影響を与えている。

TikTokの成長によって加速されたインターネットの時代では、ただ動画を投稿していれば良いというわけではない。それは、自分のプラットフォームが明日死んでしまっても(以前にもあったことだが、Vine[バイン]がそうだった)、自分のキャリアを維持できるように、できるだけ多くの異なる収益源を組み合わせることなのだ。結局のところ、TikTokのスターたちは、TikTok自体から収入の大部分を得ているわけではない。ブランドとの契約、スポンサーシップ、商品の販売、ポッドキャスト、リアリティショー、音楽演技への思いがけない進出など、さまざまな形で幸運を手にしている。

「ハイプハウス」では、登場するクリエイターが自らの凡庸さを自覚していることが強調されている。彼らは、カリスマ性があり、おもしろく、大衆を楽しませるだけの魅力を持っているものの、自分の名声は才能よりも運に左右されていることを知っていて、いつその幸運が奪われるかわからないと心配している。彼らは、家族が離散した故郷に帰らなければならなくなったらどうしようとストレスを感じたり「キャンセルカルチャー」のターゲットになるのではと心配したりしている。

「ソーシャルメディアは数字のゲームだよ。お金はその数字にかかっているんだ」とウォーレン氏は説明する。「もし、僕が出しているものをみんなが見なくなったら、それは僕が何か間違ったことをしているということなんだ、だとしたら何が間違っているのか、どうすればその人たちを取り戻せるのか?」。

TikTokのアルゴリズムの変更のような恣意的な何かが、彼の成長を妨げる可能性があるのだから、ウォーレン氏の不安は杞憂ではない。ソーシャルメディアの爆発的な成長に慣れていたのに、その数字が停滞したり、最悪の場合は急落したりし始めたときには、どのように対処すればよいのだろう?

TikTokのアルゴリズムに対する心配に加えて、コンテンツハウスのビジネスモデルも同様に不安定だ。冒険を始めて以来、「ハイプハウス」は、インフルエンサー仲間で元メンバーだったDaisy Keech(デイジー・キーチ)氏との論争など、数々の訴訟に直面してきた。最近のYouTube動画で、ペトルー氏は訴訟に何十万ドル(何千万円)も費やしたと語っている。「ハイプハウス」では法的な問題には触れられていないが、ペトルー氏は共同体運営のストレスで目が覚めたり、嘔吐したりしたと語っている。このようなコンテンツハウスは、理論的には個々のクリエイターの負担を軽減してくれるはずだ。集団の一員となることで、アイデアのワークショップやビデオの共同制作を行うチームが周囲に生まれ、共有アカウントからの追加収入が得られる。しかしそうなる代わりに「ハイプハウス」では、明確な金銭的合意がないままお互いに頼り合うことが、ストレスをためてしまうことになったように見える。

「私もはしゃいでいるわけじゃないし」

「ハイプハウス」のソーシャルサークルの中には、TikTokで最も多くのフォロワー(1億3300万人)を持つCharli D’Amelio(チャーリー・ダミリオ)氏がいる。Forbes(フォーブス)の推計によると、彼女は同プラットフォームで最も高額の報酬を得ているクリエイターでもあり、2021年は1750万ドル(約20億2000万円)を稼いでいる。

Hulu(フールー)が制作した、突然有名になった彼女の家族についてのリアリティ番組で、ダミリオ氏は「私はただ、世界の他のティーンエイジャーと同じように投稿してるだけ」と語っている。「ただSNSに投稿していただけなので……何も」。かつてダミリオ氏がTikTokのバイオグラフィーに冗談で書いたように「大丈夫、私もはしゃいでいるわけじゃないし」というわけだ。

しかし、クリエイターエコノミーの最大のスターである彼女も、そのスター性が持続するかどうかについては疑問を持っている。「The D’Amelio Show」のパイロット版で、彼女は、もし自分が何百万ドル(何億円)も稼ぎ続けられなかったり、自分のライフスタイルのプレッシャーが大きくなりすぎたりしたら、どうしようかと考えていたことを明かしている。

「企業のCEOと電話で話すのは……ちょっと楽しいかな?という感じ」とダミリオ氏はいう。「だから、ソーシャルメディアで何が起こっても、その仕組みを知っているからこそ、マーケティングに進むことができるのです。私はすべてのバックエンドを知っているけど、それはクールなこと」。

1年でほとんどの人が一生かけて稼ぐ金額よりも多くのお金を稼いでいるのに(さらにその子どもが一生で、孫が一生で稼ぐよりも…少なくとも孫の1人がTikTokで大成功しない限り)ダミリオ氏がバックアッププランを持っているのは奇妙なことだ。しかし視聴者にとっては「ハイプハウス」や「The D’Amelio Show」のような番組の目的は、ソーシャルメディアのスターたちを人間として見ることにある。制作チームにとっては、NetflixやHuluを儲けさせることが目的であり、スター自身にとっては、余分な収入を得て、名声を維持・向上させることが目的である……と、ひどくメタ的な話になってしまった。彼らは、その半製品的な弱さを利用して、自分をより大きなスターにするのだ。

おそらくここでの最大の勝者はTikTokかもしれない。それが、このアプリの魅力なのだ。アレックス・ウォーレン氏のように、車の中で生活していた人が豪邸に住むようになれるかもしれない。すべては、あなたの短いビデオクリップが人々に好まれた結果だ。しかし、インターネット上で最も有名な10人の人たちと一緒に暮らしていても、トップは孤独なのだ。

画像クレジット:Netflix

原文へ

(文:Amanda Silberling、翻訳:sako)

企業や政府機関による有害な「話」の追跡を支援するPendulumが6.8億円を調達

Pendulumは、企業や政府、その他の組織が、ソーシャルメディアプラットフォームやウェブ上の他の場所で有害なナラティブ(話)を追跡するのをサポートしている。同社は米国時間1月7日、シードラウンドで590万ドル(約6億8000万円)を調達したと発表した。同ラウンドはMadrona Venture Groupがリードし、Cercano Managementなどが参加した。PendulumはMadrona Venture Labsでインキュベートされた。

「Pendulumのプラットフォームは、AIとNLP(神経言語プログラミング)の技術を応用し、ナラティブに含まれる脅威とチャンスをその形成初期段階に発見し、オンラインで拡散する際に追跡します」と、MadronaのマネージングディレクターであるHope Cochran(ホープ・コクラン)氏は説明する。「ソーシャルメディアプラットフォーム上のテキスト、ビデオ、オーディオコンテンツに含まれるナラティブを分解・分類することで、企業はこれまで以上に準備し、コミュニティと自由に関わることができるようになります。現在、YouTube、BitChute、Rumble、Podcastsをサポートしており、今後数カ月の間に重要なソーシャルプラットフォームを網羅します」。

Pendulumを支えるチームは、このようなプロダクトを構築するのにうってつけのようだ。例えば共同創業者のSam Clark(サム・クラーク)氏は、以前はDecide.comでデータマイニングのエンジニアとして働き、その後eBayがその会社を買収してからはeBayに勤務していた。また、YouTubeの政治チャンネルを分類・分析するプロジェクトTransparency Tubeも共同開発した。Transparency TubeはPendulumとかなり多くのDNAを共有しており、クラーク氏はその後、オンラインで誤情報や偽情報を追跡するという一般的なアイデアをもとに商用プロダクトを作るためにMadronaと手を組んだ。そこで共同創業者であるMark Listes(マーク・リスティーズ)氏とチームを組むことになった。リスティーズ氏は政府機関での豊富な経験をチームにもたらしている。同氏は以前、米選挙支援委員会の政策担当ディレクターを務め、National Security Innovation Network(国家安全保障イノベーションネットワーク)ではスタッフ責任者として、米国防総省のベンチャー企業との関わりを管理する役割を担っていた。

Pendulumの共同創業者、サム・クラーク氏(左)とマーク・リスティーズ氏(右)(画像クレジット:Pendulum)

リスティーズ氏は選挙支援委員会でかなり落ち着いた時間を過ごすことを期待していたが、2016年に加わった同氏は明らかにそのタイミングを間違えていた。「2016年の11月と12月には、選挙分野はずいぶん異なるものでした」と同氏は筆者に語った。「我々は、外国の干渉や情報概要、その他多くのものを扱っていました。かいつまんで話すと、その後2年半の間、私と同僚は米国の選挙システムから外国からの干渉を排除するための取り組みを主導しました。我々は個人的にも組織的にも干渉を経験し、そして私たちのシステム全体から排除するための戦いを支援しました。有害なナラティブと、それが誤情報であれ偽情報であれ、悪意あるナラティブが社会全体に与えうる影響の排除です」。

とはいえ、Pendulumは政府機関がネット上のナラティブを追跡するために使うこともできるが、商業サービスがメーンだ。「商業第一です。もちろん、簡単で直感的な政府機関向けのサービスもありますが、まず商業部門に特化し、そこで本当に強力なパートナーシップを構築しています」とリスティーズ氏は述べた。

画像クレジット:Pendulum

リスティーズ氏は、Pendulumのようなプラットフォームが機能するためには、できるだけ多くのプラットフォームをカバーする必要があると強調した。人口の代表的なサンプルを提供しないTwitterや、YouTubeを追跡するだけでは不十分だ。このため、Pendulumは例えばBitChuteやRumbleも追跡している。

しかしリスティーズ氏は、Pendulumが真否を判定するビジネスをしているわけではないとも指摘した。「実際には、真実か嘘かには依存しない、実に強力なナラティブ追跡エンジンを持っています」と説明する。「真否の判定をしないことで、より幅広い用途に対応できます」。例えば企業は、コミュニケーションだけでなくセキュリティのためにも、役員や資産に関するナラティブを追跡したいかもしれない。

Pendulumは何かが真実かどうかを判断することを望んでいないため、悪意ある人物にも利用される可能性がある。しかしリスティーズ氏は、同社が個人を特定できる情報を追跡しているわけではなく、チームはこの可能性をかなり認識していると主張する。「我々のツールの使用を通じて、不公平な競争の場を作り出したり、悪意のある人物に力を与えたりすることがないように価値を高めています」と同氏は述べた。

画像クレジット:Thodsapol Thongdeekhieo / EyeEm / Getty Images

原文へ

(文:Frederic Lardinois、翻訳:Nariko Mizoguchi

米議事堂襲撃事件から1年、右派系ソーシャルアプリParlerが約23億円を調達

2021年に起こった米国会議事堂襲撃事件の記念日である米国時間1月6日に署名・提出されたSEC報告書によると、保守系ソーシャルメディアプラットフォームのParler(パーラー)が2000万ドル(約23億円)を調達した。登録ユーザー1600万人超とうたうこのアプリは、そのミッションを「ビッグテック、ビッグ政府、そしてキャンセル・カルチャーの権威主義の力」に抵抗することに焦点を当てたものだと説明している。このアプリはまた、超党派だと主張しているが、名誉毀損防止同盟南部貧困法律センターを含む反ヘイト組織や研究者は、議事堂での暴動における役割から反ワクチン誤情報の拡散まで、極右情報エコシステムにおけるParlerの影響力に注意を向けている。

新たな投資家が誰なのか、Parlerはコメントのリクエストに応じていないが、申請書によると、10人の非適格投資家が今回出資しているとのことだ。前回の額非公開のエンジェルラウンドでは、共和党の主要政治献金者であるRebekah Mercer(レベッカ・マーサー)氏が資金を提供した。マーサー氏は、提出報告書に執行役員および取締役として記載されている。また、保守系風刺サイトBabylon BeeのCEOであるSeth Dillon(セス・ディロン)氏も取締役に名を連ねている。

Axiosがこの報告書に最初に気づき、AxiosもまだParlerからコメントを得ていない。

Parlerは、2021年1月6日の暴動の頃に、Twitter(ツイッター)やFacebook(フェイスブック)などのソーシャルメディア企業がDonald Trump(ドナルド・トランプ)前大統領を自社のプラットフォームから追放したことで注目されるようになった。この禁止令は、トランプ氏が自身のフォロワーを利用して、大統領権力の平和的な移行を妨害しているという懸念から、再三警告経て実行された。

トランプ氏が主流のソーシャルプラットフォームから姿を消したことに触発され、同氏の支持者の多くが、コミュニティガイドラインがそれほど厳しくないParlerに集まった。Parlerは議事堂攻撃の数日後にApp Storeでランキング1位に上昇したが、2021年1月8日にGoogle Playから削除された。Amazon(アマゾン)と(Apple(アップル)もすぐに、利用規約違反を理由にプラットフォームからParlerを削除した。両社は、このアプリがトランプ氏の支持者や他の極右ユーザーによって、暴力を呼びかけ、議事堂を襲撃する計画を組織するために使用されていたと述べた。

「Parlerは、人々の安全に対するこうした脅威が拡散していることについて、適切な対策を取りませんでした。当社は、Parlerがこれらの問題を解決するまで、App Store利用を停止します」と、Appleは禁止措置の際にTechCrunchに述べた。

Parlerの当時のCEOであるJohn Matze(ジョン・マッツェ)氏は、App Storeからのコンテンツモデレーション改善計画の提出要求に協力しない、と自身のParlerアカウントに投稿した。しかし、同氏は1月29日、マーサー氏が支配するパーラーの取締役会から解雇された。4月には、新CEOのGeorge Farmer(ジョージ・ファーマー)氏のリーダーシップのもと、ParlerアプリはApp Storeに復活した。

ファーマー氏は最近のニューヨーク・タイムズとのインタビューで、Parlerが自身の着任前にApp Storeから削除されたとき、アプリにはAIによるモデレーションがなく、人間のモデレーションのための仕組みである陪審システムも初期段階だったと説明した。

ファーマー氏によると、自身のリーダーシップの下、ParlerはApp Storeから削除された時点では搭載していなかったAIコンテンツモデレーションを実装した。今回の2000万ドルの追加資本注入は、Parlerが人間のモデレーションと並行して使用するこのフィルタリング技術の構築を継続するのに役立つかもしれない。また、Parlerのコミュニティガイドラインには現在、同アプリが「犯罪、民事上の不法行為、その他の不法行為のためのツールとして使用されることを故意に許可しない」と明記されている。

Sensor Tower(センサータワー)のデータによると、Parlerのモバイルアプリはリリース以来、全世界で約1130万回ダウンロードされた。2021年5月にParlerがApp Storeに復帰してから現在までの間に、同アプリのダウンロード回数はわずか14万1000回にすぎないと、Sensor Towerは指摘している。Parlerが発表している登録ユーザー1600万人超という数字が正確であれば、大半は元々のモバイルアプリからParlerにアクセスしていることになる。

Parlerは、2月21日の大統領の日に立ち上げられる予定のトランプ氏自身のソーシャルネットワークTRUTH Socialという新たな競争相手を間もなく得る。

画像クレジット:Photo Illustration by Thiago Prudêncio/SOPA Images/LightRocket via Getty Images

原文へ

(文:Amanda Silberling、翻訳:Nariko Mizoguchi

Twitterスペース、ポッドキャストのようなオーディオ録音シェア機能のテストを継続

Twitter(ツイッター)は、ホストが過去に録音したスペースの音声をツイートで共有できる機能「Spaces Recordings」に取り組んでいる。これにより、ホストがオーディオ録音を共有すると、何人のリスナーがライブで参加したか、また何人が後から録音を再生したかを確認することができるようになった。

Twitterの広報担当者によると、同社が長い間ちらつかせてきたこの機能は、もうしばらくクローズドテストにとどまるとのことだが、開始以来、テストグループを何度か拡大しているという。Twitterは、この機能を将来的にはより広く展開する予定だ。

Twitterスペースが録音されている場合、ライブでスペースに参加しているユーザーには、赤い点が付いた「Rec」ボタンが表示される。ホストが後で録音を共有する際には、開始時間を編集することができる。これにより、スペースがすぐに開始されなかった場合でも、将来のリスナーが数分間のデッドエアを聞く必要がなくなる。録音されたスペースを聞くとき、ユーザーはライブのスペースと同じように、誰が話しているのか、誰がオーディオルームにいたのかを確認することができる。

これらの機能は、リスナーにとっては、聴き逃したお気に入りホストのコンテンツに非同期的に参加することができるので便利だ。また、ホスト自身にとっても、このリプレイ機能を利用することで、視聴者を増やしやすくなる。Clubhouse(クラブハウス)では、2021年11月に「リプレイ」という同様の機能を追加した。この機能では、ユーザーが音声をダウンロードして編集し、必要に応じてポッドキャストとして共有することもできる。Twitterでは2021年6月から、ユーザーが過去30日間のスペースのオーディオファイルをダウンロードできるようになった。

スペースはTwitterの主要な機能として推されており、モバイルアプリでも中央のタブを占めている。しかし、このライブオーディオ機能の成長にはつまづきもあった。最近ではTwitterスペースのユーザーが、人種差別的なタイトルのスペースなど、明らかに有害なコンテンツを配信されたことを通報した後も当該スペースがフィードに残っていたことが報告されている。Clubhouseのような他のライブオーディオアプリも、有害なコンテンツの管理に苦労している。Twitterは、スペースのモデレーションが既存の報告機能を超えて拡張されるかどうか、あるいはどのように拡張されるかについて、まだ詳細を明らかにしていない。

Twitterの広報担当者は、TechCrunchに対しこう述べている。​​「当社はより積極的な検知方法を模索し、新しいモデレーションのオプションを評価・開発することに取り組んでいます。スペースは反復開発中の製品であり、より多くの人々が利用するにつれて、我々は学び続け、注意深く耳を傾け、フィードバックに基づいて改善していきます」。

画像クレジット:Bryce Durbin / TechCrunch

原文へ

(文:Amanda Silberling、翻訳:Aya Nakazato)

Meta、複数のアプリを対象に新プライバシーセンターをテスト中

Meta(旧Facebook)は、プライバシーオプションに関するユーザーへの説明方法を変更している。これまで同社は何度も、プライバシーに関する情報の掲載場所や説明方法を変更してきたが、今回、アプリ群全体のプライバシーに関するFAQやコントロールを1カ所に集約するようだ。

新たなプライバシーセンターは、現在のところ米国の一部のFacebookデスクトップユーザーを対象にしたテスト版だが「今後、数カ月でより多くの人々とアプリ」にロールアウトされる予定だ。限定テストに参加している場合「設定」メニューの「プライバシーセクション」に新しいプライバシーセンターがある。現状、プライバシー設定は「プライバシーセンター」と「プライバシー設定の確認」に分かれており、これは理想とはほど遠いものだが、それでもプラットフォームはこれらの設定方法を改善している。

新たなプライバシーセンターは「セキュリティ」「共有」「収集」「利用」「広告」の5つのカテゴリーに分類されている。Metaは今でも、この変更で「プライバシー教育」という考えを推し進めている。これは、もしあなたがこのようなものをすべて整理しなければ、会社があなたの個人データを有効に利用したときの責任はあなたにある、と教えてくれるものだ。

Facebookはこれまで、ユーザーに複雑で操作しにくいプライバシーコントロールを提供してきた。多くの場合、最も重要な設定がメニューに埋もれている。多少改善されてきているが、Metaがユーザーができるだけ多くのデータを共有し続けるという既得権益を持っていることに変わりはない。その姿勢は、AppleのiOS広告トラッキングの変更に明確な異議を唱えたことで明らかになった。アプリがユーザーの行動を追跡する機能を制限したことは、消費者のプライバシーにとって明らかな勝利だ。

ほとんどの人がこの情報を体系的に調べると仮定するのは現実的ではないが、念のため、すべての情報がどこに保存されているのかを知っておく価値はあるだろう。

画像クレジット:Bryce Durbin / TechCrunch

原文へ

(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Katsuyuki Yasui)

ツイッターがTikTok風リアクション動画によるリツイートをテスト中

誰もがTikTok(ティックトック)の魔法のおこぼれに預かりたいと思っている。

そこでTwitter(ツイッター)は、ツイートに対するリアクションを昔ながらの引用ツイートではなく、リアクション動画を奨める新機能のテストを開始する。これは実に「un-Twitterlike(ツイッターらしくない)」選択だが、このところ同社は積極的に新サービスの実験をしていて、今はなき消滅型ツイートのFleets(フリート)も安らかに眠っていることだろう

今のところテストはiOSのみで、ユーザーは「Quote tweet with reaction(リアクションをつけて引用ツイート)」をリツイートメニューから選ぶことができる。Twitterはこうしたリアクション動画を 「Tweet Takes」と呼んでいて、埋め込まれたツイートとともに再生される。楽しい機能だが、TikTokの動画リプライの派生物であるに違いない。TechCrunchはTwitterに連絡を取り、テストが行われている範囲と、Tweet Takesが正式サービスとして提供される可能性について質問した。

Twitterによると、テストはiOSユーザーの少人数のグループでのみ行っていて、フィードバックを見て今後の方針を決めるという。会社は、ユーザーに「もっとクリエイティブな形で自分を表現」して欲しいと言っている。これは同社の最近のテスト的な雰囲気とも一致している。

2021年12月、Instagram(インスタグラム)はTikTok風リプライ動画の独自バージョンとして、リールを使ってコメントする仕組みを追加した。リプライ動画によっていかにTikTokがインタラクティブでライブ感のあるものになっているかを考えれば、Instagramが自社のTikTokクローンにそのためのオプションを統合することは理に適っている。Twitterにとってはそこまで意味はないかもしれないが、これまでの何も変えずに何年も放置してうまくいくことを願うだけの戦略よりも「反応をみて考える」製品アプローチのほうがずっとよいと我々は思う。

関連記事
Instagram、リールでのコメント返信可能に
InstagramがTikTokクローン「Reels」への投稿に最高114万円のボーナス、ただし米国内からのみ対象

画像クレジット:Twitter

原文へ

(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Nob Takahashi / facebook

Instagram、一部ユーザーを対象にストーリーズのプライベート「いいね!」機能をテスト中

Instagram(インスタグラム)は、限定的なテストの一環として、ストーリーズのプライベート「いいね!」機能のテストを開始した。Meta(メタ)傘下の同社は、この機能が広く利用できるわけではなく、現在グローバルで少人数のグループにのみ表示されていることを確認した。また、ストーリーズを投稿した人のみが「いいね!」の総数を確認でき「いいね!」の数を公開表示する予定はないと説明している。

Metaの広報担当者はTechCrunchにメールで「私たちは常に、人々が気になっている人と繋がれることを手助けする方法に取り組んでいます。私たちは今、ストーリーズの投稿者のみが見ることができる、ストーリーズに反応するための方法であるストーリーズ「いいね!」の機能をテストしています」。と教えてくれた。

多くのユーザーが、この機能を目にし始めたことを明らかにし、Twitterにその新たなオプションのスクリーンショットを投稿している。スクリーンショットを見ると、テストに参加したユーザーには、自分のストーリーズに「いいね!」を受け取る可能性がある旨の通知が表示されることがわかる。

現在、すべてのInstagramユーザーは、笑い、驚き、ハート目、涙目、拍手、炎、お祝いと、100の絵文字を含む8つのオプションで、ストーリーに返信または反応するオプションを持っている。これらのリアクションは一般には公開されていないが、ストーリーズを投稿した人は、絵文字ごとに受け取ったリアクションの総数を確認することができる。ストーリーズに「いいね!」が導入されることで、ユーザーとストーリーズの新しい関わり方ができるようになる。また、ユーザーやインフルエンサーにとっては、投稿と同じようにストーリーズのエンゲージメントを測定する新たな手段となるだろう。

Instagramは現在、ユーザーが投稿への「いいね!」の数を非表示にできるようになったため、ストーリーズへの「いいね!」の導入は実験的に行われた。ソーシャルメディアの巨人は、2019年に初めてこのオプションのテストを開始し、2021年5月に全ユーザーに正式に展開した。特に同社はストーリーズの「いいね!」を一般に見えるようにする計画がなかったため、今回の最新のテストは、Instagramがプライベートな「いいね!」の考えに引き続き注力することを示している。

同ソーシャルメディアプラットフォームは最近、ストーリーズに公開スレッドを作成する新しい「Add Yours」ステッカーを導入し、ユーザーにストーリーズに参加してもらう方法をさらに模索している。この機能により、ユーザーはプロンプトや特定のトピックに従って、他のユーザーのストーリーズに自分のストーリーズで応答することができる。このインタラクティブなステッカーを使用することで、各ユーザーが自分のストーリーズを追加するコンテンツチェーンを作成することができる。この新しいステッカーは、ユーザーがオリジナルビデオをフィーチャーしたコンテンツを作成できるTikTokの「デュエット」機能にやや類似していることは特筆すべきだろう。

画像クレジット:Bryce Durbin/TechCrunch

原文へ

(文:Aisha Malik、翻訳:Akihito Mizukoshi)

Instagramに新着順フィードが帰ってきた

Instagram(インスタグラム)は2021年12月に約束したとおり、時系列(新着順)フィードを復活させた。

米国時間1月5日のツイートで、InstagramのトップAdam Mosseri(アダム・モセリ)氏は、同プラットフォームのメインフィード体験の動作に大きな変更を加え、ユーザーが3種類のフィードを選べるようになったことを発表した。新たな2つのオプション、「Favorites(お気に入り)」と「Following(フォロー中)」ではコンテンツが時系列に並べられ、第3のオプション「Home(ホーム)」では現在と同じアルゴリズムによって並べられる。

モセリ氏は、時系列ではないホームフィードは、時間とともにおすすめがどんどん増えていき、すでに知っている人のコンテンツをフォローするよりも、新しい発見のためのハブのような役割をすると語っている。Favoritesは、少人数の友達や家族の近況をすべて読むのに便利で、それ以外のフォロー中の人の投稿はFollowingビューで読むことがてきる。

この変更はすでに公開済みで、今後数週間のうちに全ユーザーに反映される予定だ。時系列フィードオプションの最終バージョンは2022年前半に提供する計画だとモセリ氏はいう。Facebeook(フェイスブック)やInstagramが通常行っている数多くの限定された実験とは異なり、今回の変更はアプリ体験に広く実装される。

Instagramユーザーは長年時系列フィードに慣れ親しんできたが、会社は2016年にアルゴリズムフィードに切り替えた。これは同アプリを次の金の卵と考えていた親会社のFacebook(現在はMeta)の意向を受けたものだった。アルゴリズムフィードにすることで、Instagramは意欲的に広告を撒き散らすことが可能になり、アプリの原点である時系列の写真シェア空間から遠ざけた。

時は進んで2022年、会社が時系列フィードを再登場させたのはユーザーを喜ばせるためだけではない。もしそうであれば2016年にユーザーの反発が起きた時、すぐに戻していただろう。時系列フィードを復活させたInstagramの決断は、同アプリを使う全員にとっての勝利だが、Metaがアプリをユーザーにとって安全でよりよいものにするための常識的な変更を行うのは、 マスコミの悪評や漠然とした規制による圧力がかかってからであるという悪習の新たな事例となった。

米国の立法者たちは、ソーシャルメディアの危険性に注目し、提案された規制によってプラットフォーム各社はユーザーの選択肢を増やし、アルゴリズムがコンテンツをランクづけする方法の透明性を高めることを強いられている。

Protecting Americans from Dangerous Algorithms Act(危険なアルゴリズムから米国民を守る法令)という法案では、プラットフォームはユーザーがアルゴリズムによる推奨を無効にできるスイッチを追加することが要求されている。

「透明性と説明責任を強化すべきであると私たちは信じ、もっとコントロールできるべきであると信じています」とモセリ氏は2021年12月に行われた彼にとって生涯初の議会公聴会で語った。「来年公開できることを願っている時系列フィードの開発に現在取り組んでいるのはそのためです」。

関連記事:
アルゴリズムに焦点を当てた第230条の改正に向け米議員が公聴会で討議
Instagramが表示アルゴリズムを一新―最新の投稿ではなくもっとも関心を引きそうな投稿がトップに
Instagramトップ、2022年初めに時系列順のフィードオプションを復活させ提供と発言

画像クレジット:LIONEL BONAVENTURE / Contributor / Getty Images

原文へ

(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Nob Takahashi / facebook

ツイッター、米議員の個人アカウントを新型コロナ誤情報規約違反で使用禁止に

Twitter(ツイッター)は、米国のMarjorie Taylor-Greene(マージョリー・テイラー・グリーン)下院議員(共和党、ジョージア州)の個人アカウントを「新型コロナウイルス誤情報規約に繰り返し違反したため」永久停止したと発表した。同氏の政府公式アカウントは引き続き有効だ。

グリーン下院議員は、パンデミックに関連すると思われる記事や統計情報を盛んに投稿・拡散していたが、多くは誤解を招いたり、完全に間違っていたりした。これはTwitterが超えてはならない一線を引いたトピックの1つだ。ウイルス、感染経路、ワクチンの効果などに関する誤った情報は公衆衛生に重大な影響を及ぼすためだ。

Twitterの新型コロナ規約の概要はこちら。同社は声明で「我々は、この規約のストライクシステムに従い、繰り返し規約に違反したアカウントを永久停止することを明確にしてきました」と述べた。

永久停止の前の2021年には、短期間のアカウントロックと警告が複数回発生し、報告されていた。グリーン氏はその際「言論の自由」が侵害されていると訴えていた。Twitterが民間が所有・運営するプラットフォームで、ルールを明確に示しているにもかかわらずだ。同氏は米国時間1月2日朝の声明で最後の苦言を呈した。「Twitterは米国の敵で、真実を扱うことができません。いいでしょう。奴らは米国に必要ないことを教えてあげましょう。敵を倒す時が来たのです」。

関連記事:新型コロナワクチン誤情報の投稿でツイッターが米共和党員のアカウントを一時停止

この声明が、同氏が必要ないと主張する「敵」プラットフォームの利用を、自身が中止することを意味するのかどうかは不明だ。同氏の米議会の公式アカウントは、1週間前から使用されていないものの、オンライン上に残っている。このアカウントも同氏の違反行為によって危険にさらされているのか、Twitterに問い合わせた。回答があればこの記事を更新する。

Twitterは、暴力の扇動、虚偽情報や個人情報の公開、パンデミックに関する虚偽情報の拡散に関する規則に違反した非主流派に対して、定期的に停止措置を出している

本件は進展を続けている。後ほど更新の有無を確認して欲しい。

関連記事:Twitterが右翼を挑発する政治的な問題を扱うビデオ制作会社のジェームズ・オキーフ氏を偽アカウントに関するポリシー違反で永久停止

画像クレジット:Bloomberg / Contributor / Getty Images

原文へ

(文:Devin Coldewey、翻訳:Nariko Mizoguchi