TikTokはホロコーストに関する誤情報に立ち向かっているが、反ユダヤ主義は根強い

国際ホロコースト記念日の1月27日、TikTokは歴史的な大惨事と現在も続いている反ユダヤ主義の脅威についてユーザーを教育するためのポータルをDiscover(ディスカバー)ページに開設した。TikTokは、2021年も同様のポータルを設けている。

TikTokのモバイルアプリにあるDiscoverページに移動すると、国際ホロコースト記念日を示すクリック可能なバナーが表示される。このバナーは、ユダヤ人クリエイターによる3つの教育的なTikTokが集められたページに誘導する。クリエイターには、ひ孫の助けを借りてTikTokを制作した98歳のホロコースト(ナチスによるユダヤ人大虐殺)生存者が含まれる。さらに今後は、ユーザーがTikTokで「ホロコースト」や「ホロコースト生存者」などの言葉を検索すると「憎悪や誤った情報の拡散を防ぐために、信頼できる情報源を参照する」よう促すバナーが表示され、ホロコーストに関する多言語ウェブサイトへと誘導される。数カ月以内に、TikTokはホロコーストに関する動画に同様の告知を常設バナーとして追加する予定だ。TikTokは、2020年から連携しているユネスコ(国連教育科学文化機関)および世界ユダヤ人会議と協力して、こうした変更を行った。

この取り組みは、ホロコーストは起こらなかったという誤った陰謀論であるホロコースト否定に直接対処している。しかし、ユダヤ人のTikTokユーザーの中には、プラットフォーム上の反ユダヤ主義は、ホロコーストのコンテンツに関するいくつかのポップアップでは解決できない、より大きく複雑な問題だと考える人もいる。

@livschreiber

Let’s see if this gets taken down. #jewishtok #tiktokantisemitism #antisemites #greenscreenvideo

♬ Monkeys Spinning Monkeys – Kevin MacLeod & Kevin The Monkey

7万4000人のフォロワーを持つスタイリストのLiv Schreiber(リヴ・シュライバー)氏は、2021年11月にユダヤ人デートアプリ「The Lox Club」と提携して広告を出した。その1週間後、同氏は動画を投稿してから毎日、反ユダヤ的なコメントが波のように寄せられていることを紹介する動画を投稿している。

「なぜ反ユダヤ主義が許されるのか理解できません」とシュライバー氏は動画の中で語っている。「なぜ削除されないのか理解できません。TikTok、これは譲れません」。

TikTokでの反ユダヤ主義に関する会話は2021年4月に、ユーザーが鼻などを細長くするフィルターを使いながら、ユダヤ教徒の暮らしを描いたミュージカル「屋根の上のバイオリン弾き」の「If I Were a Rich Man」を歌うというトレンドが流行したときに急増した。こうした動きは、TikTokを利用するユダヤ人にとって、ユダヤ人の鼻を誇張した風刺画やその他の有害な反ユダヤ的イメージなど、これまでの固定概念を呼び起こすものだった。

そうしたトレンドがプラットフォームに浸透する中、TikTokは2021年5月のJewish Heritage Month(ユダヤ人遺産月間)を記念するために作成した「#MyJewishHeritage」というタグを通じて、ユダヤ人クリエイターにポジティブな光を当てようと試みた。TikTokはDiscoverページでユダヤ教に関するいくつかの投稿を取り上げたが、自分のコンテンツが宣伝されたクリエイターはTikTokから何の警告も受けなかった。その結果、一部のユダヤ系クリエイターには、突然、反ユダヤ主義的なコメントが殺到した。

TikTokは、2022年の国際ホロコースト記念日ポータルに掲載されたクリエイターには報酬が支払われたと述べている。

@ezzy4prezzy

Reply to @hehehehhehe2

♬ original sound – Ezra811

「TikTokの反ユダヤ主義に関する問題は、あらゆる方面から嫌がらせを受ける羽目になることです」と、3万7000人以上のフォロワーを持ち、政治的な主張を行うTikTokユーザーのEzraはTechCrunchに語った。「極右のアカウント、荒らし者のアカウント、よくわかっておらず意図せず反ユダヤ主義のアカウント、ユダヤ人とイスラエル人を区別できない左翼のアカウントなどがあります。ですので、反ユダヤ主義の取り締まりは、多方面にわたる問題なのです」。

TikTokはプラットフォーム上の反ユダヤ主義を公に非難しているが、新しいポータルの立ち上げのような一般向けの連帯のジェスチャーは、プラットフォーム上で嫌がらせを経験したユーザーにとっては空しく響くかもしれない。また、TikTokがこの取り組みにどれくらいの時間を費やしたかも不明だ。というのも、TechCrunchがホロコースト記念日ポータルに最初にアクセスしたとき(米国東部時間午前3時のリリースから数時間後)、反ユダヤ主義的事案を名誉毀損防止同盟に報告するリンクが機能しなかったからだ。数時間後、この問題は修正されたようだ。TikTokは、リンクが機能しないままポータルを公開した理由についての問い合わせにはまだ回答していない。

TikTokで反ユダヤ主義について投稿している大学院生のStephanie Gurewitz(ステファニー・グレヴィッツ、@shachar.mg)氏は、国際ホロコースト記念日のポータルがユダヤ人に対するホロコーストの影響しか扱っていないことに驚いた。別の記念日であるYom HaShoah(ヨム・ハショア)は、ホロコーストでの600万人のユダヤ人の死を追悼する日だ。しかし、ナチスは障害者、同性愛者、ロマ民族など、社会から疎外された人々も迫害していた

グレヴィッツ氏はTechCrunchに対し「この日は、ユダヤ人のための特別な追悼の日ではなく、国際ホロコースト記念日です」と話した。「今日はホロコーストのすべての犠牲者を悼む日であり、ロマ民族については何も触れられていません。そこに欠けているものがあり、それが問題なのです」。

ユダヤ人クリエイターらは、今日も自分たちの動画に反ユダヤ的なコメントが寄せられていることに触れている。

「TikTokには偏見を持ってやってくる人がいて、それを止めるにはバナーだけでは不十分だと思う」と彼らは語った。

@shachar.mg

Ways that #antisemitism spreads undetected on TikTok #tiktokantisemitism #tiktokalgorithm #jewishtiktok Thank you @criticallens for the screenshots!

♬ Monkeys Spinning Monkeys – Kevin MacLeod & Kevin The Monkey

月間アクティブユーザー10億人のプラットフォームで、コンテンツのモデレーションを行うのは容易なことではない。しかし、ユーザーは往々にして普通のユーザに明白な手段で検知メカニズムを回避している。例えば、セクシュアリティについて話す場合でも、ガイドライン違反のフラグを立てられないように「s3xuality」と書くこともあるだろう(アダルトコンテンツは違反だが、例えば同性愛について話すのは違反ではない)。これと同じ手口は、悪意のあるユーザーが反ユダヤ的なメッセージを送るために度々使っており、TikTokはこれを検出することができない。

「私は、TikTokや他のソーシャルメディアプラットフォームが、重要な原因に注意を集めるためにできることをすることについては、本当にすべて賛成です。あの(ホロコースト記念日)ポータルを見ると、彼らが社内でそれについて行ったすべての会議のことを思い、そのことを私は感謝しています」とシュライバー氏はTechCrunchに語った。

画像クレジット:Nur Photo / Getty Images

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Nariko Mizoguchi

TikTokが新機能を続々開発中、アバター、ライブオーディオストリーム、クリエイター向けツールなどが見つかる

TikTok(ティックトック)が数多くの新機能を開発している。Bitmoji風のアバター、For Youページのキーワードによるフィルタリング、チャット、オーディオオンリーのライブストリーム、ライブストリーム中の画面共有、そしてクリエイターがサブスクライバー専用のエモートやサブスクライバー専用のコメントセクションを作ることができるTwitch風サブスクリプション機能などだ。一連の開発途上機能は、ソーシャルメディアアナリストのMatt Navarra(マット・ナバラ)氏が見つけた。

この手のリークはそのまま受け取ることはできない。TikTokが新しいアイデアをいろいろと試していることは、それがアプリに反映されるという意味ではないからだ。それでも開発中の機能はプラットフォーム計画のヒントを与えることがある。

「私たちは常に、コミニュティに価値をもたらしTikTok体験を豊かにする新しい方法を考えています」とTokTok広報担当者はいう。その担当者はこれらの機能が実際に検討されていることを認めたが、TikTokが新しいアイデアを試している時、ユーザーのフィードバックを得ることが最終目標だと強調した。最終結果(採用された場合)がリークで見たものと大きく変わることもある。

リークされた機能の中には、有料クリエイターサブスクリプションのようにすでに何らかのかたちで公開テストされているものもある。しかし、サブスクライバー専用のエモートやコメントセクション(Twitchからの完全な借り物)は、これも最近TikTokがテストしているデスクトップストリーミングソフトウェアであるTikTok Live Studioとの関係を踏まえると理に適っている。キーワードフィルタリングは、Twitter(ツイッター)のミュートに似た機能で、For Youページを整理しようとしているTikTokの現在進行中の取り組みの一環として以前にも言及されている。

関連記事:TikTokがTwitter、Instagramに続き有料サブスク導入を限定テスト、クリエイターの収益化の道を探る

「For Youフィードで見たくないコンテンツに関連したワードやハッシュタグを指定できる機能を開発しています」とTikTokが12月のブログ記事で述べている。

リークした他のアイデア、アバターオーディオオンリーのライブストリームなどは、TikTok拡大計画の別の方向性を示している。ライブストリームビデオができるなら、ライブオーディオへの関心を(少々遅いが)収益化しない手はない。それに、そろそろTikTokでグループメッセージができても良いころだ。

画像クレジット:SOPA Images Getty Images

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Nob Takahashi / facebook

友だちと写真をホーム画面で共有できるアプリ「Locket Widget」、米App Store上位にランクイン中

新ソーシャルアプリLocket Widget(ロケットウィジェット)が、1月10日あたりから米App Storeのチャートで上位に躍り出ている。このアプリは、iOSのホーム画面のウィジェットに友人のライブ写真を表示するという巧妙なものである。つまり、通常ならニュースや天気、励みになる格言、iPhoneギャラリーからの写真などが表示されるAppleのウィジェットシステムを、プライベートなソーシャルネットワークプラットフォームにしてしまうのだ。

Apple Worldwide Developer Conference(アップル世界開発者会議)の学生奨学金受賞者で、カリフォルニア大学サンタバーバラ校を卒業したばかりのMatt Moss(マット・モス)氏が考案したこのアプリ。Hawkeye Labs(ホークアイ・ラボ)というユーザーリサーチとテストのためのプラットフォームを構築していたときに思いついたものだという。

Locketはもともと個人的なサイドプロジェクトであり、メインフォーカスではなかったと同氏は認めている。

「2021年の夏、彼女の誕生日プレゼントとして作ったものです。彼女は秋には学校に戻る予定で、遠距離になってしまうところだったため、自分のホーム画面に彼女の小さな写真が表示できれば、繋がりを持つという意味でも良い方法だなと感じたのです」。

1〜2週間でこのアプリを作り上げた同氏は、その後半年間にわたって恋人と1日平均5枚の写真を送り合うなど、かなり頻繁にアプリを使用した。Locketでは送受信した写真が履歴に残るため、写真を振り返って見る楽しみもある。

やがて2人の友人たちがこれに気づき、自分たちも恋人や家族、友人同士で使いたいと言い出したため、モス氏はLocketをApp Storeで一般公開することにした。

元旦に発表されて以来、今朝の時点での登録ユーザー数は200万人を超えている。Apptopia(アプトピア)のApp Storeのデータによると、米国時間1月9日の時点でLocketは米国のApp Storeで総合1位となり、その前日にはソーシャルネットワーキングアプリ部門で1位となっている。Apptopiaの報告によると、これまでのところ全世界でのインストール数は約100万で、そのうち約31%が米国からのものだという。ただしこのデータは1月11日までのものである。

Locketが急速に普及したのは、TikTok(ティックトック)のおかげだとモス氏は考えている。Locketの企業アカウントに動画を公開し、アプリを実際に使用している様子をアピールした結果、同氏の動画はわずか数日で10万回もの再生回数を記録。その後、他のTikTokユーザーも、同アプリとLocketのオリジナルビデオで使用されたカスタムサウンドを使った独自のコンテンツを作り始めたのである。

@locketcamera

Link in bio #locket #widget #2021 #2022

♬ original sound – Locket

その結果、同アプリは若いTikTokユーザー層の間で爆発的に広がった。実際、英国のTikTokユーザーが作ったある動画は、1日で500万回再生を突破したとモス氏は話している。

アプリ開発者がローンチ時にTikTokを活用してインストールを促進するというのはよくあることだが、同アプリでは有料のインフルエンサーを起用してのマーケティング活動は一切行われておらず、またTikTokなどで有料広告を出したこともないとモス氏は伝えている。

TikTokでの露出のおかげで、現在LocketはiPhoneの無料アプリチャートで1位を維持しており、またアーリーアダプターらがアプリをダウンロードするよう友人たちにも呼びかけたため、さらなるインストール数を獲得し続けている。

アプリの利用を開始するには、App StoreからLocketをダウンロードした後、電話番号の認証とサインアップが必要だ。

するとアプリがiPhoneの連絡先とカメラへのアクセスを要求してくるのだが、理想的にはアドレス帳へのアクセスなしで、独立型の招待システムから友人を招待できるようにすることができたら、よりプライバシーに配慮したアプローチとなるだろう。アプリをより使いやすくするためにもこの仕組みの変更を検討しているとモス氏は話しているが、Locketが連絡先を保存したり、電話番号を使って自動的に招待を送信したりするようなことはなく、友人に送るテキストをカスタマイズできるiMessageのウィンドウがポップアップ表示されるだけだという。

しかし、連絡先を取り込むという要求を拒否した場合、アプリがまったく使えなくなるということが判明した。

Locketで友達を招待して追加したら、iOSのホーム画面に同アプリのウィジェットを追加する。友人が画像を追加するたびに、それが自分のウィジェットに表示される。逆も同様で、アプリを起動して自分の写真を追加すれば、いつでも友人のウィジェットに送ることができる。

画像クレジット:Locket

このアプリは、ただこれだけのことなのである。派手なカメラフィルターやエフェクトはなく、Camera Rollから画像をアップロードすることもできない。最大5人までの友人や恋人と、写真をリアルタイムで共有するためだけに設計されているのである。

App Storeでトップの座を掴んだモス氏は現在、次のステップを検討中だ。サブスクリプションモデルの導入、ウィジェットの追加の他、いずれはAndroid版もサポートする予定である。外部からの投資を受けるかどうかはまだわからない。

「いろいろと検討しています。どうなるか楽しみです」と同氏。

しかし同氏は、Locketは現在の写真ウィジェットという体験を超えていく可能性もあると考えている。ユーザーが今後より多くの写真を共有することで、時間をかけてアプリ内の機能も成長していくのだろう。

「親しい友人や家族だけの空間というのは、かなり有意義なものだと感じています。特に若い人たちは、広告中心、指標中心のアプリに少し疲れているようです」。

「Instagram(インスタグラム)で1000人の友だちがいたり、Snapchat(スナップチャット)で100人の友だちと画像を送ったりしなければならなかったりと、アプリの巨大なソーシャルサークルにはまってしまい、結局は疲れきってしまうのです。そのため5人、10人の親しい友人だけに向けたものを作り、スマートフォンをアプリではなく人のための、よりパーソナルなものすることができれば、そこには大きなニーズが存在すると感じています」。

ウィジェットでの写真共有エクスペリエンスを提供しているのはLocketが初めてではない。2020年に登場したMagnets(マグネッツ)というアプリも同様のアイデアだが、ここではウィジェットを介して友人にテキストメッセージを送ることもできる。この分野で競合するアプリには、Ekko(エコー)、Widgetgram(ウィジェットグラム)、Lettie(レティ)、Tile Widget(タイルウィジェット)、Fave(フェーブ)などがあるが、どれもまだマイナーである。

Locketは現在iOSで無料でダウンロードが可能だ。一部のユーザーがウィジェットの動作方法を理解していなかったり、開始プロセスに戸惑ったりしていたようで、星3.4つの評価しか得られていない。同アプリの話題が絶頂に達していたころに問題が発生し、後者の問題が頻発していたようだが、我々はその後Locketをテストし、問題が解決されていることを確認している。

画像クレジット:Bryce Durbin/TechCrunch

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(文:Sarah Perez、翻訳:Dragonfly)

TikTokがTwitter、Instagramに続き有料サブスク導入を限定テスト、クリエイターの収益化の道を探る

TikTok(ティクトック)は米国時間1月20日、有料サブスクリプションの導入をテストしていることをTechCrunchに認めた。The Informationが最初に報じたように、人気の短編ビデオアプリTikTokは、クリエイターが自身のコンテンツのサブスクリプションに課金するオプションを模索している。この機能は当面の間、限定的なテストの一環であり、広くは提供されない。TikTokは、この機能についての詳しい説明や、追加の詳細の提供は却下した。

「当社は常に我々のコミュニティに価値をもたらし、TikTokのエクスペリエンスを豊かにする新しい方法を考えています」と、コメントを求められたTikTokの広報担当者は電子メールでTechCrunchに語った。

有料サブスクモデルがアプリにどのように実装されるかは不明だ。ちなみに、TikTokの人気アルゴリズム「For You」ページには、ユーザーがフォローしていないクリエイターの動画が表示される。もしクリエイターがコンテンツにサブスク料を課金することを選択した場合、その動画はおそらくユーザーの「For You」ページに表示されなくなる。ただ、クリエイターのアカウント全体にサブスクが適用されるのではなく、有料ユーザー限定の追加コンテンツに適用される可能性もある。

Instagram(インスタグラム)が米国でサブスクを開始した翌日に、今回のテストのニュースが飛び込んできた。Instagramのこの機能は現在、フォロワーにInstagram Liveの限定ビデオやStoriesへの有料アクセスを提供できる、少数のクリエイターグループで初期テスト中だ。クリエイターは、限定コンテンツにアクセスするための価格帯を自分で選ぶことができる。有料会員には特別なバッジが表示され、かなりの数のコメントがある中で無料ユーザーと差別化される。

TikTokの有料サブスクテストは、クリエイターがTikTok LIVEストリーム以外でもファンからお金を受け取ることができるアプリ内チップ機能をプラットフォーム上でテストしていることが最近明らかになったことに続くもので、すでに「ギフト」はサポートされている。この限定テストに参加しているクリエイターは、フォロワー10万人以上を抱え、活動に問題がなければ、この機能を申請することができる。承認されたクリエイターには、プロフィールにTipsボタンが表示され、フォロワーはこのボタンを使って直接チップをあげることができる。

関連記事:TikTok、クリエイターがフォロワーから直接チップをもらえる方法をテスト中

今回のテストは、クリエイターがプラットフォームを通じて生活費を稼げるようにすることに向けた最新の取り組みだ。TikTokは2021年、米国のクリエイターの収入を補えるようにすることを目的とした2億ドル(約227億円)のファンドを設立した。また、クリエイターがブランドとの提携やスポンサー契約を結ぶのを支援し、ライブストリームの収益化も提供している。収益化の取り組みに力を入れていることを考えると、同社がクリエイターのコンテンツに有料サブスクを提供する方法を実験していることは、驚くにはあたらない。

関連記事:TikTokが約214億円の米国のクリエイター向けファンドを発表

TikTokとInstagramのテストは、2021年9月に始まったTwitter(ツイッター)の有料サブスク「Super Follows」に続くものだ。この機能は、ユーザーが気に入ったアカウントに月額料金を支払うことで、特別コンテンツを購読することができるというものだ。対象となるアカウントは、Super Followサブスク料を設定することができ、月額2.99ドル(約340円)、4.99ドル(約560円)、9.99ドル(約1100円)から選択できる。Instagramのモデルと同様に、購読者には特別なSuper Followerバッジが付けられ、無料フォロワーと区別される。

TikTok、Instagram、Twitterの有料サブスク制度は、クリエイターコミュニティを引き付けるための取り組みだ。また、クリエイターに儲ける方法を提供するYouTubeのようなデジタルプラットフォームと競うための手段でもある。

画像クレジット:Nur Photo / Getty Images

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(文:Aisha Malik、翻訳:Nariko Mizoguchi

ByteDanceが戦略投資チームを再編し中国テック業界がパニック、政府の規制強化への対策か

中国のテック業界にとって、何と目まぐるしい日だったのだろう。TikTok(ティクトック)の親会社ByteDance(バイトダンス)が戦略投資チームを解散し、他社への投資によって積極的に拡大してきた他のインターネット大手に憂慮するようなメッセージを送った。

ByteDanceは2022年初めに「事業のニーズ」を見直し「最重要ではない分野への投資を減らす」ことを決定したと、同社の広報担当者は声明で述べた。

しかし、ByteDanceは外部投資を全面的に中止するのではなく、投資チームを「再編」し「事業の成長をサポートするためにさまざまな事業ラインに統合する」予定だ。

言い換えると、中国のスタートアップデータベース「IT Juzi」によると、これまでに169社に出資した(一部の案件は非公開)戦略投資チームの一部のメンバーは他の事業部門に配置され、そこで投資を継続することになる。

この「再編」は、それでもやはり業界にパニックを引き起こした。ロイター通信は情報筋の話として、中国のサイバー部門を管理する規制当局が「インターネット巨大企業」に投資や資金調達を行う前に承認を得ることを義務づける新たなガイドラインを起草したと報じた。また、一部の中国メディアも同様の規則案を報じた。

ロイターの情報筋によると「巨大企業」とは、ユーザー数が1億人以上、または収益が100億元(約1800億円)以上のインターネットプラットフォームを指すという。これが本当なら、この規則によりTencent(テンセント)から、Alibaba(アリババ)、Pinduoduo(ピンデュオデュオ)、JD.com(JDドットコム)、Baidu(バイドゥ)まで、中国のインターネット大手の多くが、投資活動で監視下に置かれることになる。特にTencentは「中国のソフトバンク」と呼ばれるほど、投資先が豊富なことで有名だ。

驚くべきことに、中国のサイバー分野を管理する規制当局は「インターネット企業のIPO、投資、資金調達に関して噂されているガイドラインは事実ではない」と発表している。さらに当局は「法律に基づき、関連するデマを広げた者を調査し、責任を追及する」とのことだ。

ByteDanceのチーム再編の動機は、確かに外部投資と内部事業の間でより多くの相乗効果を生み出すためかもしれない。確かなことはまだわからない。しかし、インターネット界の寵児に対する中国の独占禁止の措置は、終わりには程遠いようだ。

Tencentは最近、最も重要な盟友である中国のオンライン小売企業JD.comとシンガポールのビデオゲームとeコマース複合企業Seaのかなりの株式を売却した。売却の原因として独占禁止の圧力は挙げられなかったが、中国が最大のインターネット・プラットフォームの独占パワーを鈍らせ続けているとの憶測が飛び交っている。プラットフォームのいくつかは、反競争規則違反でさまざまな額の罰金を受けたが、投資ゲームの停止はより大きな結果をもたらすだろう。問題は、次にくるのはどの企業か、ということだ。

関連記事:Tencentは投資を続けつつも緊密な提携企業の株式を売却、中国政府のご機嫌とりか

画像クレジット:SOPA Images / Getty Images

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(文:Rita Liao、翻訳:Nariko Mizoguchi

広告クリエイティブ運用クラウドのリチカがTikTok for Businessと連携、「運用型クリエイティブパッケージ」提供

広告クリエイティブ運用クラウドのリチカがTikTok for Businessと連携、「運用型クリエイティブパッケージ」を提供開始

広告クリエイティブ運用型クラウド「リチカ クラウドスタジオ」を運営するリチカは1月19日、ショートムービープラットフォームの「TikTok」(ティックトック)において、TikTok For Businessの監修のもと「運用型クリエイティブパッケージ」の提供を開始すると発表した。

TikTok For Businessは、広告代理店や制作会社を通さずにTikTokに広告を出稿できるセルフサーブ型広告のプラットフォーム。企業・ブランドと関心事や新しい興味の対象を探すオーディエンスを結びつけることで、広告の枠組みを超えたコミュニケーションを実現させ、認知拡大や顧客獲得といったビジネス課題にアプローチする。

リチカ クラウドスタジオは、デジタル広告やSNS用途で動画や静止画を量産・運用できる「運用型クリエイティブクラウド」。配信面に最適化したクリエイティブを制作・検証・改善が可能で、大手事業会社や広告代理店を中心に400社以上に導入されている。

TikTokはユーザー数の増加とともに広告媒体としての需要も高まっているものの、成果に結びつく広告クリエイティブの研究はなされておらず、最適解が見つからないという課題があった。その状況を受けリチカは、TikTok For Businessの監修のもと、今回の「運用型クリエイティブパッケージ」の提供に至った。TikTokへの出稿を希望する広告主に対してリチカ クラウドスタジオを活用し、TikTokに最適化したクリエイティブを制作。大手事業会社や広告代理店のデジタルマーケティング支援を行ってきた実績を元に、成果につながる広告クリエイティブを提供する。

以下は、広告クリエイティブのサンプル。

広告クリエイティブ運用クラウドのリチカがTikTok for Businessと連携、「運用型クリエイティブパッケージ」を提供開始広告クリエイティブ運用クラウドのリチカがTikTok for Businessと連携、「運用型クリエイティブパッケージ」を提供開始

Instagram、2021年第4四半期に世界総ダウンロード数でTikTokを抑え再びトップに

Instagram(インスタグラム)は、インドでのTikTok(ティクトック)禁止の恩恵を受けており、2021年第4四半期時点の世界総ダウンロード数で首位に返り咲いた。アプリインテリジェンス会社Sensor Tower(センサータワー)が発表した新しいデータによると、Instagramにとって2021年第4四半期は少なくとも2014年以来最高のものとなり、インストール数は第3四半期から10%増えた。また、Instagramは、2019年第4四半期にWhatsAppがその座を占めて以来、ダウンロード数ランキングで1位を獲得した初のMeta傘下アプリとなった。

実際、過去2年でTikTokが世界ダウンロード数で1位でなかったのは2021年第4四半期が2回目だったとSensor Towerは指摘している。

その前にTikTokが首位から転落したのは新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行が始まった頃で、2020年第2四半期にZoom(ズーム)がTikTokを破ってダウンロード数1位のアプリとなった。

画像クレジット:Sensor Tower

Instagramが世界の(ゲーム以外の)アプリ市場でトップに躍り出たのは、Androidユーザーによるインストールが増加したためだ。Google Playアプリの世界ダウンロード数トップチャートでは、2四半期連続でMeta傘下のアプリが1位と2位を獲得した。1位はInstagram、2位はFacebook。一方、TikTokは3位だった。

画像クレジット:Sensor Tower

Apple(アップル)のApp Storeで最もダウンロードされたアプリを示すチャートでは、状況はかなり違っているようだ。

TikTokとYouTubeがそれぞれ1位と2位をキープしており、2020年第2四半期以降、その座を守り続けている。第4四半期にTikTokは、8四半期連続でApp Storeでのインストール数が5000万回を突破したとSensor Towerは指摘している。

残りのトップ5は、3位WhatsApp、4位Instagram、5位FacebookとMetaのアプリで占められている。一方、6位には、国家キャンペーンで宣伝されたことを受け、中国の国家詐欺防止センターアプリが異例のランクインを果たした。その他は、ソーシャルアプリ、チャットアプリ、エンターテインメントアプリという典型的なセレクションで占められている。

画像クレジット:Sensor Tower

興味深い補足として、2021年第4四半期には、TwitterがApp Storeで最もダウンロードされたアプリのトップ20に2020年第1四半期以来初めて入った。2020年以降、4度目のランクインだ。ダウンロードは前四半期比34%増と急増し、その後も成長は続いている(製品開発活動の活発化がようやく実を結び始めたのかもしれない)。

TikTokは米国のApp StoreとGoogle Playの両方でダウンロード数第1位のアプリだが、世界第1位からの転落は、少なくとも部分的にはインドが2020年6月に「国家安全保障」の懸念から、中国企業の他のアプリとともにインド国内で禁止する決定を下したことに起因している。

Sensor TowerがTechCrunchに語ったところによると、禁止措置が取られて以降、Instagramのグローバルダウンロードにおけるインドの割合は着実に増えているという。

画像クレジット:Sensor Tower

例えば、2020年第2四半期には、Instagramのダウンロード数の約21%がインドからのものだったが、2021年第4四半期にはそのシェアは39%に拡大した。また、通年で見ると、2020年にはInstagramのダウンロード数の約25%がインドからで、2021年には約36%に増えた。

InstagramはTikTokの脅威に対処すべく動画に注力するようになり「Reels」というTikTokクローンの普及に努めてきた。Instagramは競争が激化する中で牽引力を回復しようと、2021年にReelsに投稿するクリエイターに巨額のボーナスを提供し始め、中には1万ドル(約115万円)という高額な支払いもあった。

直近の四半期はInstagramが勝利したものの、Sensor Towerのデータによると、通年(2021年)の両アプリストアのグローバルダウンロード数ではTikTokがトップで、次いでFacebook、Instagramの順となっている。

ちなみに、Sensor Towerのライバル会社App Annieは、少し異なるランキングを発表している。App Annieのデータでも世界的なダウンロード数ではTikTokがトップだが、次いでInstagram、Facebookの順となっている。このことから、FacebookとInstagramのダウンロード数は近いと考えられる。Sensor TowerとApp Annieのダウンロード数推定方法が異なるため、結果的に異なる数字になったものと思われる。

画像クレジット:Bryce Durbin/TechCrunch

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nariko Mizoguchi

ネットフリックス「ハイプハウス」が見せるクリエイターエコノミーの闇

私たちはこれまでキム・カーダシアンやパリス・ヒルトンのような有名人を「有名であることで有名」と表現していた。しかし、Netflix(ネットフリックス)のドキュソープ(ドキュメンタリー形式のリアリティ番組)「Hype House(ハイプハウス 〜TikTokスターのリアルライフ〜)」に登場するTikTok(ティックトック)のメガスターたちは「普通であることで有名」だ。このクラスのスーパースターは、有名人の裕福な子弟とは違い、神秘的なアルゴリズムによって、一見すると恣意的な理由で実質的に一夜にしてスターダムにのし上がった。

「20歳で大富豪だよ、何を落ち込む必要があるんだと思うだろ?」と語るのは、1470万人のフォロワーを持つTikTokのスターAlex Warren(アレックス・ウォーレン)氏だ。「とても馬鹿げたことに聞こえるのはわかっているさ、でも、それが苦しいんだよ、落ち込むことが許されていないように感じるんだ」。

「ハイプハウス」では、平凡な10代の若者が、有名人になったチャンスの本質について苦悩し、その名声が登場したときと同様にすぐに消えてしまうのではないかと心配している。「ハイプハウス」は、TikTokで最も長く続いている同名のコンテンツハウスの1つで、ソーシャルメディアのスターたちが一緒に暮らし動画を撮影している。このコンセプトは新しいものではない。YouTube(ユーチューブ)やTwitch(トゥッチ)、Vine(バイン)のスターたちは、何年も前からこのような共同生活のプロジェクトを実験してきた。

Thomas Petrou(トーマス・ペトルー)氏(フォロワー数800万人)が事実上のマネージャーだが、彼は利益の分配は受けていないという。彼は自分のことを「この家のお父さん」と呼んでいるが、それに加えて全員がちゃんと皿洗いをするのを確認するだけでなく、「ハイプハウス」ブランドが維持できるように、毎月少なくとも8万ドル(約923万円)のネット収入を得られるようにしている。彼のインフルエンサーの友人であるVinnie Hacker(ビニー・ハッカー)氏(フォロワー数1290万人)、Jack Wright(ジャック・ライト)氏(フォロワー数880万人)、アレックス・ウォーレン氏(フォロワー数1470万人)といった面々が、500万ドル(約5億8000万円)の豪邸に家賃なしで住んでいる。彼らがすることは、月に一度、「ハイプハウス」の公式TikTokアカウントに投稿することだけで、継続的なブランドコンテンツ契約によって収益を生み出している。さらにTikTokは、クリエイターたちがプラットフォーム上で誘導したトラフィックに対して直接報酬を支払うようになった。

このNetflixのシリーズは、「ハイプハウス」の一時代の終わりを告げるもので、若きミリオネアたちのおどけた姿よりも、インフルエンサーたちが直面する課題に焦点を当てている。

考えてみれば、このTikToker(ティックトッカー)たちが投稿している動画は、平均的なティーンエイジャーが投稿するものとさほど違ってはいない(大邸宅から投稿していることを除いて)。約2000万人のフォロワーを持つ「ハイプハウス」の公式TikTokアカウントでは、スターたちが新しいフィルターを試したり、次々に最新のトレンドを取り入れたり、そしてもちろん踊ったりしている。

全8話のシリーズを通して、風光明媚なサンタローザバレーの家には不穏な空気が漂っている。「ハイプハウス」のメンバーの中には、刺激を得られず幻滅を感じているせいで、ペトルー氏が望んでいるほどには頻繁にグループのためのコンテンツを作らない人もいる。あるシーンでは、「ハイプハウス」のメンバーが巨大なビーンクッションに寝そべってコンテンツのアイデアを考えようとしていたのだが、結局思いついた最高のアイデアは「手の込んだ握手方法」を編みだすことだった。きれいな大邸宅に家賃なしで住んでいても、楽しそうには見えない。

一方、アレックス・ウォーレン氏は、ワラにもすがるように、ネット上で思うようには反響を得られていない演出をしている。問題のある家庭環境や足の怪我を抱えながらも、心の休息を取ることに恐怖を感じているのだ。

「この仕事では、投稿をやめるとエンゲージメントが失われるんだ」とウォーレン氏は告白するように説明する。「この仕事には病欠はないんだ。病欠したらフォロワーが減り、つまり収入が減り、それはつまり、自分の仕事を失うことなんだ」。

インフルエンサーのゴールドラッシュ

TikTokのスターダムは、インターネット上のキャリアとして理解されつつあり、突然有名になった子どもたちのブランドとの契約やパートナーシップを支援することを目的とした、何十ものスタートアップ企業が生まれている(もちろん彼らの収益の一部を手にするためだ)。YouTubeでは、初期のクリエイターのほとんどが広告収入で利益を得ていたが、少なくとも初期の頃は、現在のようにマネタイズに注目が集まっていなかった。他のプラットフォームも、TikTokとその最大のスターたちの成功に乗じようと躍起になっている。Instagram(インスタグラム)、Snapchat(スナップチャット)、YouTube(ユーチューブ)は、クリエイターたちがTikTokではなく自分たちのプラットフォームに投稿するようにインセンティブを与えるために、数億ドル(約数百億円)を投じている。

Nikita Dragun(ニキータ・ドラガン)氏(フォロワー数1420万人)は「インフルエンサーとして、私たちの生活全体が、従来の有名人よりも奇妙な台座に置かれています」と番組で説明している。「スポークスマン、活動家、モデル、時事評論家、マネージャー……一度にたくさんのことをしなければなりません」。

クリエイターの収益化が進んでいることは、ほとんどの場合良いことだと思われる。クリエイティブな人びとが好きなことをして生計を立てるのに役立つツールがこれまでになく増えている。LinkedInでさえ、40人のスタッフがクリエイターとの仕事を専門に担当している。しかし一方で、生活のあらゆる面をマネタイズしなければならないというプレッシャーを感じるクリエイターもいる。ウォーレン氏の人気の一部は、同じくTikTokのスターで1360万人のフォロワーを持つガールフレンドのKouvr Annon(コーバー・アノン)氏との関係についての投稿から来ている。しかしウォーレン氏は、2人のプライベートな生活とコンテンツを切り離すのに苦労していて、カメラのないところ(滅多にないが)での2人の関係にも影響を与えている。

TikTokの成長によって加速されたインターネットの時代では、ただ動画を投稿していれば良いというわけではない。それは、自分のプラットフォームが明日死んでしまっても(以前にもあったことだが、Vine[バイン]がそうだった)、自分のキャリアを維持できるように、できるだけ多くの異なる収益源を組み合わせることなのだ。結局のところ、TikTokのスターたちは、TikTok自体から収入の大部分を得ているわけではない。ブランドとの契約、スポンサーシップ、商品の販売、ポッドキャスト、リアリティショー、音楽演技への思いがけない進出など、さまざまな形で幸運を手にしている。

「ハイプハウス」では、登場するクリエイターが自らの凡庸さを自覚していることが強調されている。彼らは、カリスマ性があり、おもしろく、大衆を楽しませるだけの魅力を持っているものの、自分の名声は才能よりも運に左右されていることを知っていて、いつその幸運が奪われるかわからないと心配している。彼らは、家族が離散した故郷に帰らなければならなくなったらどうしようとストレスを感じたり「キャンセルカルチャー」のターゲットになるのではと心配したりしている。

「ソーシャルメディアは数字のゲームだよ。お金はその数字にかかっているんだ」とウォーレン氏は説明する。「もし、僕が出しているものをみんなが見なくなったら、それは僕が何か間違ったことをしているということなんだ、だとしたら何が間違っているのか、どうすればその人たちを取り戻せるのか?」。

TikTokのアルゴリズムの変更のような恣意的な何かが、彼の成長を妨げる可能性があるのだから、ウォーレン氏の不安は杞憂ではない。ソーシャルメディアの爆発的な成長に慣れていたのに、その数字が停滞したり、最悪の場合は急落したりし始めたときには、どのように対処すればよいのだろう?

TikTokのアルゴリズムに対する心配に加えて、コンテンツハウスのビジネスモデルも同様に不安定だ。冒険を始めて以来、「ハイプハウス」は、インフルエンサー仲間で元メンバーだったDaisy Keech(デイジー・キーチ)氏との論争など、数々の訴訟に直面してきた。最近のYouTube動画で、ペトルー氏は訴訟に何十万ドル(何千万円)も費やしたと語っている。「ハイプハウス」では法的な問題には触れられていないが、ペトルー氏は共同体運営のストレスで目が覚めたり、嘔吐したりしたと語っている。このようなコンテンツハウスは、理論的には個々のクリエイターの負担を軽減してくれるはずだ。集団の一員となることで、アイデアのワークショップやビデオの共同制作を行うチームが周囲に生まれ、共有アカウントからの追加収入が得られる。しかしそうなる代わりに「ハイプハウス」では、明確な金銭的合意がないままお互いに頼り合うことが、ストレスをためてしまうことになったように見える。

「私もはしゃいでいるわけじゃないし」

「ハイプハウス」のソーシャルサークルの中には、TikTokで最も多くのフォロワー(1億3300万人)を持つCharli D’Amelio(チャーリー・ダミリオ)氏がいる。Forbes(フォーブス)の推計によると、彼女は同プラットフォームで最も高額の報酬を得ているクリエイターでもあり、2021年は1750万ドル(約20億2000万円)を稼いでいる。

Hulu(フールー)が制作した、突然有名になった彼女の家族についてのリアリティ番組で、ダミリオ氏は「私はただ、世界の他のティーンエイジャーと同じように投稿してるだけ」と語っている。「ただSNSに投稿していただけなので……何も」。かつてダミリオ氏がTikTokのバイオグラフィーに冗談で書いたように「大丈夫、私もはしゃいでいるわけじゃないし」というわけだ。

しかし、クリエイターエコノミーの最大のスターである彼女も、そのスター性が持続するかどうかについては疑問を持っている。「The D’Amelio Show」のパイロット版で、彼女は、もし自分が何百万ドル(何億円)も稼ぎ続けられなかったり、自分のライフスタイルのプレッシャーが大きくなりすぎたりしたら、どうしようかと考えていたことを明かしている。

「企業のCEOと電話で話すのは……ちょっと楽しいかな?という感じ」とダミリオ氏はいう。「だから、ソーシャルメディアで何が起こっても、その仕組みを知っているからこそ、マーケティングに進むことができるのです。私はすべてのバックエンドを知っているけど、それはクールなこと」。

1年でほとんどの人が一生かけて稼ぐ金額よりも多くのお金を稼いでいるのに(さらにその子どもが一生で、孫が一生で稼ぐよりも…少なくとも孫の1人がTikTokで大成功しない限り)ダミリオ氏がバックアッププランを持っているのは奇妙なことだ。しかし視聴者にとっては「ハイプハウス」や「The D’Amelio Show」のような番組の目的は、ソーシャルメディアのスターたちを人間として見ることにある。制作チームにとっては、NetflixやHuluを儲けさせることが目的であり、スター自身にとっては、余分な収入を得て、名声を維持・向上させることが目的である……と、ひどくメタ的な話になってしまった。彼らは、その半製品的な弱さを利用して、自分をより大きなスターにするのだ。

おそらくここでの最大の勝者はTikTokかもしれない。それが、このアプリの魅力なのだ。アレックス・ウォーレン氏のように、車の中で生活していた人が豪邸に住むようになれるかもしれない。すべては、あなたの短いビデオクリップが人々に好まれた結果だ。しかし、インターネット上で最も有名な10人の人たちと一緒に暮らしていても、トップは孤独なのだ。

画像クレジット:Netflix

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(文:Amanda Silberling、翻訳:sako)

ツイッターがTikTok風リアクション動画によるリツイートをテスト中

誰もがTikTok(ティックトック)の魔法のおこぼれに預かりたいと思っている。

そこでTwitter(ツイッター)は、ツイートに対するリアクションを昔ながらの引用ツイートではなく、リアクション動画を奨める新機能のテストを開始する。これは実に「un-Twitterlike(ツイッターらしくない)」選択だが、このところ同社は積極的に新サービスの実験をしていて、今はなき消滅型ツイートのFleets(フリート)も安らかに眠っていることだろう

今のところテストはiOSのみで、ユーザーは「Quote tweet with reaction(リアクションをつけて引用ツイート)」をリツイートメニューから選ぶことができる。Twitterはこうしたリアクション動画を 「Tweet Takes」と呼んでいて、埋め込まれたツイートとともに再生される。楽しい機能だが、TikTokの動画リプライの派生物であるに違いない。TechCrunchはTwitterに連絡を取り、テストが行われている範囲と、Tweet Takesが正式サービスとして提供される可能性について質問した。

Twitterによると、テストはiOSユーザーの少人数のグループでのみ行っていて、フィードバックを見て今後の方針を決めるという。会社は、ユーザーに「もっとクリエイティブな形で自分を表現」して欲しいと言っている。これは同社の最近のテスト的な雰囲気とも一致している。

2021年12月、Instagram(インスタグラム)はTikTok風リプライ動画の独自バージョンとして、リールを使ってコメントする仕組みを追加した。リプライ動画によっていかにTikTokがインタラクティブでライブ感のあるものになっているかを考えれば、Instagramが自社のTikTokクローンにそのためのオプションを統合することは理に適っている。Twitterにとってはそこまで意味はないかもしれないが、これまでの何も変えずに何年も放置してうまくいくことを願うだけの戦略よりも「反応をみて考える」製品アプローチのほうがずっとよいと我々は思う。

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画像クレジット:Twitter

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Nob Takahashi / facebook

【コラム】クリエイターエコノミーとクリエイターテックが実現する大きなビジネス

クリエイターエコノミーという言葉を聞いたことがある人は少なくないはずだ。もはや新しい概念ではないし、それが何かをよく知っている人もいるだろう。しかし、その名が示す通り、クリエイターエコノミーにはクリエイターが必要だ。

私たちがクリエイターエコノミーと呼んでいるものは、本質として2つのグループを内包している。1つは、主に独立したクリエイターで構成された、大規模で分散化された非定形のグループで、何らかの方法でデジタル空間に接続されているものだ。ミュージシャン、ビジュアルアーティスト、映像クリエイター、グラフィックデザイナー、ブロガー、インフルエンサーなどがこれに含まれる。そしてもう1つは、こうしたクリエイション(創造)を可能にするツールを提供する企業やプラットフォーム(クリエイターテック)で、その延長線上には、配信や収益化も含まれる。

当然のことながら、クリエイターエコノミーのビジネスは基本的にデジタル上で行われ、ハイテクの領域にある。これにより、組織に属さないクリエイターが従前よりも簡単に自分の作品で収益を上げることができるようになった。

これが、長期にわたり栄華を極めてきたスーパースターモデルの崩壊のきっかけにもなっている、というのは驚くべきことだろうか。スーパースターモデルとは、一部の著名なスター集団によるコンテンツをユーザーが視聴するという、昔ながらのエンターテインメントビジネスの手法である。何十年にも及ぶスーパースターモデルのもとで、サブカルチャーが繁栄していなかったわけではない……実際繁栄していたのだが、大きな収益を上げることは難しかった。

クリエイターエコノミーとクリエイターテックは、どちらかというと自然に発生したものだ。当初はバイラリティ(SNSなどであっという間に人気が爆発すること)や新しいソーシャルメディアチャネルを通じたオーディエンスのアクセスで実現したシフト(変化)だったが、今やクリエイターテック自体が独自の世界を構築している。そのため、スーパースターモデルからのシフトを継続できるかどうかが、クリエイターテックの存続の鍵となっている。

スーパースターモデルに風穴を開ける

Netflix(ネットフリックス)は、7月16日の株主総会で「TikTokは『驚異的な』成長を遂げている」として、真のライバルであることを認めた。NetflixがTikTokの競争力を最初に認めたのは、2020年、TikTokに対応すべく「Fast Laughs(ファストラフス、短いおもしろ動画)」を立ち上げたときだったと考える人もいるかもしれない。Fast LaughsはTikTokのコンセプトを借用して、Netflixのコメディーラインナップから抜粋した短いクリップを提供する動画フィードである。

Netflixが長い間スーパースターを利用してきたのは紛うことなき事実である。Zac Efron(ザック・エフロン)は世界中を旅し、Paris Hilton(パリス・ヒルトン)は料理をし、有名なコメディアンは1つ以上のスペシャル番組を持ち、オリジナルの映画やシリーズでは、ほんの数例挙げるだけでもTimothée Chalamet(ティモシー・シャラメ)、Jane Fonda(ジェーン・フォンダ)、Sandra Oh(サンドラ・オー)、Anthony Hopkins(アンソニー・ホプキンス)などが活躍している。古き良き時代の姿だ。

一方、TikTokにおける最大のスターは、いわゆる「スター」ではなく、たまたまおもしろくて、賢くて、痛烈で、アルゴリズムの運と自分の創造性だけで視聴者を集めたごく一般の人々である。たとえ有名でなくても、多くのクリエイターがニッチなフィールドを見つけ、熱心なファンを獲得している。彼らは(オーディエンスの)貴重な注目と視聴率を奪う新しいプレイヤーだ。

クリエイターエコノミーには「テントポール」の作品が存在しない。テントポールとは、そのスタジオ自体の経営を左右するほどの大ヒットを記録する作品を意味する用語である。ほとんどのアルバムは制作費を回収できない(メジャーレーベルでも同様だ)。そこにAdele(アデル)が現れてレコードを発表し、回収できなかったレコードの代金を支払い、多少の収益をもたらす。

これはクリエイターエコノミーには当てはまらない。確かにTikTokでもKhaby Lame(カベンネ・ラメ)のようなタイプのスターが生まれている。彼は、複雑すぎるライフハックに対しておもしろおかしく苛立ちを表現することで世界的に有名となり、今ではMeta(メタ)の宣伝をしている

しかし、カベンネ・ラメのフォロワーが、彼の最新の動画を観るためだけにアプリを開く(そして視聴後はアプリを閉じる)ことはない(そうさせないようにアルゴリズムが設計されているのだが、それはまた別の話だ)。フォロワーたちはこれらの有名人だけでなく、小規模なクリエイターも数多くフォローしており、彼らが鑑賞する動画の大半は、世界的に有名ではないクリエイターが作ったものであることが統計的に明らかになっている。

小規模クリエイターがニッチなフィールドで成功を収め、熱心なファンを獲得し、すべてが変わりつつある現在、クリエイターテックもリアルタイムでそのニーズに応えるために進化している。クリエイターの幸福(ウェルフェア)を重視し、その維持を最優先すべき時が来た。

良い倫理観=良いビジネス

クリエイターの報酬を単に倫理的な問題としてとらえるのは簡単だが、すでに語りつくされた議論である。もちろんアーティストは自分の作品にふさわしい報酬を得るべきだ。では、別の視点から考えてみよう。

クリエイターエコノミーにおけるテックプラットフォームや企業が活動を存続するためには、小規模クリエイターへの公正な報酬をビジネスモデルの中核とすることが重要である。クリエイターをプラットフォームに呼び込み、定着させて、プラットフォームへの需要を喚起するのである。

これは現実的な解法でもある。今は90年代ではないし、大きなイベントも存在しない。クリエイターテックにとってはクリエイターの数こそが重要である。プラットフォームの需要を支えているのは多くの小さなクリエイターたちだ。

クリエイターテックは、小規模クリエイターの支援に全力で取り組むべきである。彼らを支援し、適正な報酬を提供し、クリエイターをスポンサーやパトロンと結びつけるプラットフォームを継続的に改良していかなければ、スーパースターモデルに対する(クリエイターエコノミーの)進化はすべて無駄になってしまい、クリエイターテックは自らの首を絞めてしまうことになる。

クリエイターの利益よりも(プラットフォームを提供する企業の)株主の利益の方が大きいというビジネスモデルは、特に視聴者の需要と支払い意欲が高い状況において、望ましいものではなく、持続可能性も損なっている。コンテンツクリエイターが更新を中断すると罰せられるようなアルゴリズムは馬鹿げており、廃止すべきだ。クリエイターエコノミーモデルとそれを利用する企業は、根底から見直しを行うべき時である。

クリエイターテックは、クリエイターのパトロネージュ(支援者)としての役割を受け入れ、革新し続けなければならない。すでに特定のクリエイターのニーズに対応して、場合によってはブランドとクリエイターを結びつけて収益性の高いパートナーシップを実現する、競争の激しいパトロンサービスの市場を作り出そうとしているクリエイターテックも存在する。

Substack(サブスタック)は、フリーランスライターのためのプラットフォームを進化させようとしている。Patreon(パトレオン)はあらゆるタイプのコンテンツクリエイターに使ってもらえると自称しているが、公式な手段ではない。今後は最も多くの報酬、知名度、チャンス、そして最も使いやすいサービスを提供するプラットフォームが勝利することになるだろう。

ライセンス、配信、ブロックチェーン認証などの面で進化を続けることは、クリエイターのウェルフェアにとっても、これらの進化を実現する企業にとってもメリットがある。アートオークションのプラットフォームが従来型のギャラリーの枠を超えてユーザーに利用してもらうにはどうするべきだろうか。デジタル音楽、映像、画像のライセンシング(ライセンスを供与して利益を得る行為)は加速し、映像コンテンツクリエイター、フォトグラファー、ソングライターなどのクリエイターエコノミーの中で重要な役割を果たしている。

冷静に考えれば、収益を上げる過程で誰かが搾取される必要はないのだ。

小規模クリエイターへの投資は経済的にもメリットがある

個人がクリエイターになる時代、クリエイターテックが負うクリエイターに対する責任は、自己保身のためだけでなく、倫理的にも重要である(繰り返しになるが、クリエイターテックは小規模クリエイターのエコシステムが充実していなければ成立しない)。スーパースターエコノミーは、プラットフォームやメディアに散在する熱心なファンを持つ独立したクリエイターが支えるエコノミーに道を譲ろうとしている。

活発なクリエイターエコノミーには、まずクリエイター自身の健全な成長が必要である。熱心なファンは意外なところからボトムアップで生まれるので、オーディエンスがコンテンツに簡単にアクセスできることが必要だ。クリエイターテックの成功は、クリエイター自身の成功と切り離せない関係にあるのだから、クリエイターテックはクリエイターを搾取してはならない。

テック産業は、自分たちの命運をユーザー(クリエイター)の命運と結びつけて考えない悪い癖がある。純粋なビジネスの観点からも、倫理的な観点からも、クリエイターテックはこの間違いを犯してはならない。

編集部注:Ira Belsky(イラ・ベルスキー)氏は、Artlistの共同設立者兼共同CEO。

画像クレジット:Stephen Zeigler / Getty Images

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(文:Ira Belsky、翻訳:Dragonfly)

TikTokをモデレーターが提訴、生々しい動画の審査業務が精神的トラウマに

Bloombergの報道によると、TikTok(ティックトック)のモデレーターが、生々しい動画による精神的トラウマを理由に、同ソーシャルメディアプラットフォームとその親会社であるByteDance(バイトダンス)を訴えたという。提案されている集団訴訟の中で、モデレーターのCandie Frazier(キャンディー・フレイジャー)氏はこれまで、暴力、学校での銃撃、致命的な転落、さらにはカニバリズムなどが映っている動画をスクリーニングしたと述べている。「(結果)原告は睡眠障害に悩み、眠れた時には恐ろしい悪夢にうなされています」と訴状には記されている。

問題をさらに悪化させているのは、TikTokはモデレーターたちに12時間のシフト制で働くことを要求し、1時間の昼食と15分の休憩を2回取ることしか許さないことだという。訴状によると「膨大な量のコンテンツがあるため、コンテンツモデレーターは、1つの動画につき25秒以内の視聴しか許されず、同時に3~10本の動画を観ることになる」とのこと。

TikTokは、Facebook(フェイスブック)やYouTubeを含む他のソーシャルメディア企業とともに、児童虐待やその他のトラウマになるような画像にモデレーターが対処するためのガイドラインを作成した。その中には、モデレーターのシフトを4時間に制限することや、心理的なサポートを提供することなどが盛り込まれている。しかし、訴訟によると、TikTokはこれらのガイドラインを実施しなかったとされている。

コンテンツモデレーターは、ソーシャルメディアに掲載される生々しい画像やトラウマになるような画像の矢面に立ち、ユーザーがそれらを体験しなくて済むようにする役目を背負っている。大手テック企業にコンテンツモデレーターを提供しているある企業は、この仕事が心的外傷後ストレス障害(PTSD)を引き起こす可能性があることを同意書の中で認めているほどだ。しかし、ソーシャルメディア企業は、心理的な危険性を考慮して十分な報酬を支払っておらず、メンタルヘルスのサポートも十分ではないとして、モデレーターなどから批判を受けている。2018年には、Facebookに対して同様の訴訟が起こされている。

フレイジャー氏は、他のTiktokスクリーナーを代表して集団訴訟を起こすことを希望しており、心理的傷害に対する補償と、モデレーターのための医療費支援基金を設ける裁判所命令を求めている。

編集部注:本稿の初出はEngadget。著者Steve Dent(スティーブ・デント)氏は、Engadgetのアソシエイトエディター。

画像クレジット:Nur Photo / Getty Images

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(文:Steve Dent、翻訳:Aya Nakazato)

TikTokのライバルTrillerがSeaChange Internationalと合併、上場へ

短編動画アプリのTriller(トリラー)が、ビデオデック企業のSeaChange International(シーチェンジ・インターナショナル)と逆さ合併して上場する予定だと、両社は米国時間12月22日に発表した。合併後の企業価値は約50億ドル(約5700億円)となる。両社の取締役会は合併案を承認している。規制当局と株主の承認を経て、2022年第1四半期に取引が成立する見通しだ。

TikTok(ティックトック)と同様、Trillerではユーザーが音楽に合わせて短編の動画を作成・共有する。ロサンゼルスを拠点とする同社は2015年にサービスを開始し、アプリのダウンロード数は2億5000万回を超えた。Trillerは、Justin Bieber、Marshmello、The Weeknd、Alicia Keys、Cardi B、Eminem、Post Malone、Kevin Hartなど多くの著名なユーザーを魅了した。Charli D’AmelioやNoah BeckといったTikTokの人気ユーザーとも契約を結んでいる。Donald Trump(ドナルド・トランプ)元米大統領も利用していたが、1月以降はプラットフォームに新たな動画を投稿していない。

合併完了後、SeaChangeはTrillerVerz Corpに社名を変更する。マサチューセッツ州アクトンを拠点とする同社は、クラウドおよびオンプレミスの動画配信プラットフォームを強化する動画配信ソフトウェアソリューションのサプライヤーを自称している。合併後の会社は、Trillerの親会社のCEO、Mahi de Silva(マヒ・デ・シルバ)氏が率いる。また、SeaChangeの社長兼CEO、Peter Aquino(ピーター・アキノ)氏がTrillerVerzのチームに加わる。

「TrillerVerzは、デジタル世界におけるコンテンツ、クリエイター、コマース、文化の接点に位置するブランドとして、若者文化の代弁者になりつつあると信じています」とデ・シルバ氏は声明で述べた。「私たちの戦略は、魅力的で広がりやすいコンテンツを配信し、クリエイターが収益化するための世界最大の舞台を、文化を高める体験とともに構築し続けることです。SeaChangeと合併することにより、ケーブル、衛星、OTTメディアへのリーチを広げ、当社の広告・マーケティング能力を強化できると考えています」。

TrillerVerzは、コンテンツ、クリエイター、コマースのためのAI搭載ソーシャルメディアプラットフォームとして先頭を走っていると両社は述べた。TrillerVerzは、世界中に進出し、クリエイターエコノミーと新しい技術に関わる新たな成長機会への投資により、収益源を拡げる計画だ。

「TrillerVerzとの経営統合は、クリエイティブの未来に投資する非常に大きな機会を意味します」とSeaChangeのアキノ氏は声明で述べた。「TrillerVerzの比類ないソーシャルメディアリーチ、Z世代のエンゲージメント、コンテンツ・コマース・クリエイターの分野にまたがるグローバルなマルチプラットフォームの存在を意味深く拡大する機会、そしてeコマース、アドテック、NFT、メタバースの最前線にいることが、大きな価値を生み出す可能性のある魅力的な投資だと考えています」。

Trillerと親会社が過去1年間、ソーシャルビデオプラットフォームを拡大するなかで、この合併のニュースがやってきた。Trillerは11月、企業間プレミアムインフルエンサーのイベントや体験に焦点を当てるThuzioを買収した

Trillerは2021年4月、消費財、金融サービス、自動車、通信、政治、デジタルメディアなどのブランドと連携する、AIベースの顧客エンゲージメントプラットフォームであるAmplify.AIを買収。同月、ライブイベントとペイパービューの格闘技ストリーミングプラットフォームであるFITE TVも買収している。3月には、Swizz BeatsとTimbalandが設立したライブ音楽ストリーミングプラットフォームのVerzuzを買収した。

画像クレジット:Sheldon Cooper /SOPA Images/LightRocket / Getty Images

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(文:Aisha Malik、翻訳:Nariko Mizoguchi

TikTokは2022年、世界第3位のSNSになる

最新の予想によると、TikTokがFacebookとInstagramに次いで、世界で3番目に大きなソーシャルネットワークになる。Insider IntelligenceeMarketerから社名変更)によると、2022年のTikTokの月間ユーザー数が7億5500万になると予想している。TikTokの成長率は2020年が59.8%、2021年が40.8%だった。

Facebookは、同社の直近の決算報告によると月間アクティブユーザー(MAU)数は29億1000万で、前年比6%の増だった。Instagramの最近のリークによると、月間ユーザー数は20億を超え、2018年6月の10億という記録的数字をはるかに上回った。

しかし、Insider Intelligenceの予想は同社自身の2022年の予想に基づくものであり、独自の計算方法を使っている。MAUの同社独自の定義は、企業によって異なっていることもありうる。たとえば同社は、カレンダー上の各年で一貫して1カ月に1回以上ログインしているユーザーを数え、そこからできるかぎりフェイクアカウントを取り除く。この方法により、調査のクライアントには、各プラットフォームの有意な比較が提供されることになる。

このような推計方法によると、Facebookの月間ユーザー数は2022年に21億に達し、次がInstagramの12億8000万となる。それに続くTikTokは7億5500万になり、SnapとTwitterを上回る。

画像クレジット:Insider Intelligence

TikTokはここ2年間で、急速に成長している。

アプリに関する情報を提供するSensor Towerによると、2020年第1四半期、App StoreとGoogle Playを合わせてTikTokアプリのダウンロード数は20億回を超えた。App Annieのレポートでは、2020年のTikTokの成長率は325%で、月間の消費時間も他のどのアプリよりも急速に成長した。米国における65%も含め、Facebookを超えている。

またSensor Towerによると中国のDouyinも含めたTikTokのダウンロード数は、ゲームを除くモバイルアプリで、App StoreとGoogle Playを合わせて、Facebook以外では初めて全世界で30億に達している。その間、TikTokの消費者支出額は25億ドル(約2841億7000万円)を超えた。同社はTinderやNetflix、YouTube、Tencent Videoに次いで、この記録を達成したアプリの仲間入りをした。

多くの企業が2021年のTikTokのMAUを10億超と予想していたが、計算方法が異なるInsider Intelligenceはやや保守的だ。しかしその低い予想でも成長は続き、2022年の成長率は15.1%となる。

成長の結果として、TikTokのソーシャルネットワーク全体における市場占有率も上げ潮だ。Insider Intelligenceの予想では初めてTikTokの占有率が20%を超え、2024年には4分の1に近づくとしている。

Insider Intelligenceの主席アナリストであるDebra Aho Williamson(デブラ・アホ・ウィリアムソン)氏は、次のように論評している。「TikTokの急上昇は同じく若者市場を狙うSnapchatにとって特に脅威でしょう。TikTokにTwitterとの類似性はあまりないにもかかわらず、すでにあるプラットフォーム並みの大きさに成長したことには、TikTokのコンテンツが持つ中毒性があらわれています」。

TikTokは今もまだ大きな伸び代があり、Insider Intelligenceによると、2022年は全体で35億7000万人がソーシャルネットワークアプリを少なくとも月に1回は利用するという。

画像クレジット:Jakub Porzycki/NurPhoto/Getty Images

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(文:Sarah Perez、翻訳:Hiroshi Iwatani)

TikTokがMeta傘下のGIPHYと連携、グリーンスクリーンやHDビデオ、猫の鳴き声エフェクトなどの新機能を発表

米国時間12月16日、TikTokはFor Youの変更に加えて、カメラや編集ツールのアップデートも発表した。具体的には、広く使われているグリーンスクリーン編集ツールの新機能や、ビデオ補正とサウンドエフェクトのアップデートがある。

今回のアップデートで注目されるのはグリーンスクリーンの新機能だ。TikTokによれば、グリーンスクリーンは2019年の公開以来、同プラットフォームで目立って多く使われているという。このツールを使うと自分の背景を別の写真やビデオにすることができるが、このツールが新たにGIFに対応した。

この機能を実現するために、TikTokはMeta傘下のGIPHYと協業した。この連携により、TikTokユーザーはライブラリからGIFを選んで自分の背景にし、さまざまなビデオを作れる。例えばGIFを背景にした「リアクション」ビデオを作ったり、ミームの紹介や言及をするツールとしても使えるだろう。

一方、TikTokはプロのクリエイターにも使われるようになっており、ライブストリーマー向けデスクトップソフトウェアのテストに見られるように特定の対象者に向けたツールの展開も始めている。同社は1080pのHDビデオをアップロードするオプションを今後公開すると発表した。この機能を利用できるようになるのは「一部の国」で、対象となる国では投稿ページのオプションに「HDをアップロード」の項目が表示されるようになる。

画像クレジット:TikTok

他の新機能としては、ビデオの露出や光量不足、色を自動で補正するボタンが追加される。ビデオの専門家でなくてもタップするだけで簡単に利用でき、コンテンツが良い仕上がりになる。このツールを使うには、ビデオを撮影またはアップロードした後で、右側のパネルに表示される補正ボタンをタップする。補正が気に入らない場合はもう一度ボタンをタップすればエフェクトが取り消される。

TikTokはさらに音楽とオーディオの新しいエフェクトも公開する。声や音を動物の鳴き声や楽器の音、例えば猫やフルート、日本では一般にチャルメラと呼ばれる中国の管楽器のチャルメラに変えるおかしなエフェクトもある。この新機能は、編集ページの右側にあるパネルでボイスエフェクトボタンをタップして使用する。

画像クレジット:TikTok

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(文:Sarah Perez、翻訳:Kaori Koyama)

銃撃や爆破予告、暴力行為を警告するTikTok上の噂で米国各地で学校閉鎖・警戒

TikTok(ティックトック)をはじめとするソーシャルプラットフォーム上で、米国時間12月17日に米国各地の学校が暴力の脅威に直面していることを示唆する、不吉で具体性のない噂が拡散した。多くの学校がこの動きに対応して学校を閉鎖したが、多くの地域の警察機関と少なくとも1つの連邦法執行機関が、この脅威には裏づけがないと発表している。

米国土安全保障省(DHS)は、学校に対する脅威の可能性について報告を受けたことを認識しているが、「具体的で確かな脅威」は見つからなかったと述べている。しかし、同省は「地域社会が警戒を怠らないように」と呼びかけている。

TikTokは16日にこの噂を初めて取り上げ、同社は法執行機関と連絡を取り合っているが「そのような脅迫がTikTokを介して発生したり拡散した証拠は見つかっていない」と述べた。脅迫自体はTikTokに見当たらないのは事実だが、12月17日に暴力行為が行われる可能性があるという恐怖心を煽る投稿が多く見られ、それらの噂が全国的に急速に広まったと思われる。

関連するTikTokのハッシュタグには「I luv you guys pls stay safe on Dec 17(みんな愛してる、どうか12月17日には安全でいてね)」と書かれていた。コメント欄には、この動画の制作者が「(状況を知らず)混乱している人へ、12月17日に米国各地の学校で銃撃や爆破の脅迫があって、私の学校は2回も脅迫されました」と説明している。フォロワーからは、自分の学校で最近起こった爆破予告の話が続々と寄せられた。

TikTokは17日の朝にこの状況を再確認し、FBIやDHSと連携しても、噂の発端となるような信頼性の高い脅迫を突きとめることはできなかったと述べた。

米国各地の学区や警察は、この噂を受けて注意を促す一方で、具体的な脅威が表面化していないことを強調した。フロリダ州リー郡の保安官は、自らもTikTokの動画で、米国の多くの学校が頻繁に受けている爆破予告のような「偽の脅し」をやめるよう呼びかけた。

イリノイ州グレンビュー市の警察は16日、このようにツイートした。「この脅威がイリノイ州の学校に関連しているという信憑性のある情報はありません。グレンビュー警察は、毎日、すべての学校の敷地をパトロールしており、今後もそれを続けていきます。みなさまには、引き続き警戒していただき、不審な行動を報告していただくようお願いいたします」

噂の真偽は定かではないが、カリフォルニア州テキサス州ミネソタ州コネチカット州など、多くの州で17日に学校が閉鎖された。開校した学区では、用心のためにリュックサックを家に置いておくように指示したところもあった。

全米の地方自治体および連邦政府の法執行機関は、引き続き事態を監視している。

画像クレジット:AaronP/Bauer-Griffin/GC Images / Getty Images

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Aya Nakazato)

TikTokが動画でバズった料理をユーザーに届ける宅配レストランを全米展開、3月に約300店舗オープン

TikTok(ティックトック)は、アプリで見たバイラルな食べ物動画を実際に食事としてオーダーし味わえるようにする新サービスの開始を準備している。同ソーシャルアプリはVirtual Dining Conceptsと提携し、「TikTok Kitchen(ティックトック・キッチン)」ブランドのデリバリー専用レストランを2022年、米国各地で立ち上げる予定だとBloombergが最初に報じた。レストランのメニューはTikTokで最も人気のあるバイラルフードを参考にしており、ユーザーはそれらを自宅に届くよう注文できる。両社は、3月に約300店舗をオープンしてデリバリーを開始し、2022年末までに1000店舗以上の出店を予定しているという。

当初のメニューには、ベイクドフェタパスタ、スマッシュバーガー、コーンリブ、パスタチップスなど、TikTokでバイラルレシピとなった料理が含まれる。特にベイクドフェタパスタはこの1年TikTokで絶大な人気を博し、Google(グーグル)が2021年に最も検索された料理として報告している。今後、各店舗のメニューは四半期ごとに、人気の出始めた新しい料理を取り入れて変更される予定だという。なお、TikTokがベイクドフェタパスタのような人気メニューを常設メニューにするかどうかはまだ不明だ。

TikTokはTechCrunchに、クリエイターがメニューの中の料理に対してクレジットを受け取り、パートナーシップの中で目立つように紹介されることを確認した。

「TikTok Kitchenの売上は、メニューのきっかけとなったクリエイターを支援するとともに、ユーザーの創造性を刺激し、喜びをもたらすというTikTokのミッションに沿って、他のクリエイターがプラットフォーム上で自己表現することを奨励・支援するために使用されます」とTikTokは述べている。

しかし同社は、これはTikTokの料理をファンに届けるためのキャンペーンであり、TikTokがレストラン事業に進出するわけではないと説明している。つまり、同社はこれを長期的なビジネスというよりも、マーケティング活動の一環として捉えているようだ。TikTokは、この「キャンペーン」がどのくらいの期間行われるのか、また注文方法やメニューアイテムの選択・更新方法などの詳細については言及していない。

2018年に設立されたVirtual Dining Conceptsは、複数のデリバリー専用ゴーストレストランを運営しており、YouTubeセレブのMrBeast(自身のバーチャルレストラン事業MrBeast Burger」を運営)、Guy Fieri(ガイ・フィエリ)氏、Steve Harvey(スティーブ・ハーベイ)氏、Mariah Carey(マライア・キャリー)氏、ラッパーのTyga(タイガ)氏など、多くの著名人と提携している。また、同社はデジタルメディア企業Barstool Sportsとも提携している。Virtual Dining Conceptsは、10月にシリーズAで2000万ドル(約22億7000万円)の資金を調達し、この投資を、新しい技術の導入、企業インフラの強化、マーケティングやカスタマーサポートの追加に充てる予定だと述べていた。

TikTokは、食のトレンドを作り出すことで広く知られており、同アプリに投稿された多くのバイラルレシピがTwitter(ツイッター)、Instagram(インスタグラム)、Facebook(フェイスブック)などの他のSNSプラットフォームで再共有されている。今回の提携は、この人気を利用して、TikTokブランドと、アプリ上で料理コンテンツを提供しているクリエイターたちの認知度をさらに高めようとする動きだ。

画像クレジット:Virtual Dining Concepts

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(文:Aisha Malik、翻訳:Aya Nakazato)

TikTokがDiscordサーバーを設置、ユーザー同士が語り合う場に

多くのブランドが、メッセージアプリDiscordを使って、ファンの間にコミュニティ意識を醸成している。ファーストフードチェーンのWendy’s(ウェンディーズ)が6万人以上のメンバーを抱えるDiscordを持てるなら、TikTokのようなバイラルプラットフォームができないことがあるだろうか。

TikTokはDiscordサーバーを作っていることをTwitterで予告していたが、米国時間12月16日に自社のアプリでその事実を認めた。TikTokの新しいDiscordでは、見知らぬ人たちと、TikTokユーザーと語りたいことなら何でも話すことができる。Emily Mariko(エミリー・マリコ)氏のバイラルなサーモンレシピのベストな作り方とか?

「このサーバーは、あなたのためのフィードのようなものです。それはあなたのために作られ、そのコメントのいくつかは刺激的であり、あなたの両親はそれが何なのかわかりません」とTikTokはDiscordの歓迎チャンネルに書いている。Discordのルールには、NSFWコンテンツ禁止、暗号資産(暗号資産)の購入禁止などがある。チャットをする前に、ルールを読んだことをチェックマークのリアクションで示さなければならない。これはスパムを阻止するために、人気のあるDiscordではよくあることだ。また、サーバーのプロフィールに性別の代名詞を表示するオプションもある。

公開時点でDiscordには400人しかおらず、TikTokは「ソフトローンチ」だとTechCrunchに話した。TikTokからのモデレーターは5人で、サーバーが成長し続けると問題になる可能性がある。あるユーザーが言ったように「30万人が同時にチャットしようとしていないときに、(お互いに話す)利点を利用しよう」ということだ。

スパムを防ぐために(これもルール違反だが)、TikTokは「スローモード」という、30秒に1回しかメッセージを送れないDiscordの機能を利用している。しかし、ユーザーはすぐに、メッセージ間の時間制限が適用されないスレッドを作成することで、スローモードを回避した。ほどなくして、モデレーターがスレッドを作成する機能を削除した。

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現在、TikTok Discordの会話チャンネルは、軽い荒らしを除けば、比較的普通のものだ。自己紹介、TikTokの共有、TikTokサポート、サーバーのフィードバック、TikTokサウンドなどのためのチャットがある。「ゲームルーム」すらあり、TikTokのゲームへの関心が高まっていることがわかる。現在、このプラットフォームはTikTok Live Studioというデスクトップストリーミングソフトウェアをテスト中だ。

画像クレジット:AaronP/Bauer-Griffin/GC Images / Getty Images

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Nariko Mizoguchi

TikTokは「レコメンド」フィード多様化のため避けたいトピックを選択可能にする予定

TikTok(ティックトック)は米国時間12月6日、アルゴリズムによるオススメを活用した短編動画アプリのメインフィードである「For You」フィードに、新しいアプローチをとることを発表した。同社はすでに、アプリ内でのユーザーのエンゲージメントパターンに基づいて動画を提案するアルゴリズムの仕組みを詳しく説明しているが、特定のコンテンツカテゴリーがたくさん提案されることが「問題」になる可能性を認めている。同社は現在、アプリ上の「繰り返しパターン」を中断させるための新技術の実装に取り組んでおり、また、避けたいトピックを選ばせることで、その問題についてユーザーが発言できるようなツールの開発も進めているという。

関連記事:TikTokが「レコメンド」フィードの仕組みを公開、イメージアップ作戦か

同社は発表の中で「動物であれ、フィットネスのヒントであれ、個人のウェルビーングの旅であれ、何かが多すぎるのは、我々が目指す多様な発見体験にそぐいません」と、説明している。しかし、TikTokがアルゴリズムを多様化するのは、人々があまりにも多くのかわいい子犬の動画を見ることに不満を抱いているからではなく、規制当局がテックを取り締まり、特に10代のメンタルヘルスに関して、チェックされていない推薦アルゴリズムが及ぼす有害な影響に疑問を抱いているからである。

Facebook(フェイスブック)とInstagram(インスタグラム)の幹部は、他のソーシャルプラットフォームの幹部とともに、議会に呼び出され、どのように彼らのアプリが、例えば拒食症よりなものや摂食障害に関するものなどの危険なコンテンツにユーザーを誘導してきたことについて質問された。

TikTokは、発表の中で「極端なダイエットやフィットネス」「悲しみ」「別れ」をテーマにしたものなど、過度に視聴すると有害となりうる動画の種類に触れている。このような動画に興味を示すユーザーは、おもしろいと感じるかもしれないが、同じような動画をユーザーに繰り返し見せることで、害を及ぼす可能性があることを理解するほどアルゴリズムはまだ賢くはない。もちろん、この問題はTikTokに限ったことではない。自動化された手段によってユーザーのエンゲージメントを高めることだけを目的としたシステムが、ユーザーのメンタルヘルスを犠牲にしていることは、あらゆる面で明らかになりつつある。議会は現在、こうしたシステムが若者にどのような影響を与えるかに最も関心を寄せているが、議論の余地はあるものの、いくつかの研究では、チェックされていない推薦アルゴリズムが、過激な意見に引き込まれかねないユーザーの過激化に一役買う可能性も指摘されている。

TikTokは、ユーザーがこうした有害となりうる種類の動画を視聴し、反応した際に、一連の類似コンテンツを推薦しないための新しい方法もテストするとしている。しかし、制限する動画の種類の例を示しただけで、完全なリストではない。

さらに同社は、ユーザーの「レコメンド」ページがあまり多様でない場合に、それを認識できるようにする技術を開発中であると述べている。ユーザーは実際にTikTokのポリシーに違反する動画を見ていないかもしれないが、同社は「孤独や減量に関するコンテンツなど、非常に限られた種類のコンテンツを見ることは、それがそのユーザーの見るものの大半であれば、マイナスの影響を与える可能性がある」と、述べている。

TikTokが展開する予定のもう1つの戦略には、人々が自らアルゴリズムを指示できるようにする新機能が含まれている。この機能を使えば「レコメンド」フィードで見たくないコンテンツに関連する単語やハッシュタグを選ぶことができるようになる。これは、例えば「Not Interested(興味ありません)」をタップして、気に入らないビデオにフラグを立てることができるTikTokの既存のツールへの追加となる。

はっきりいうと、本日のTikTokの発表は、あくまで計画のロードマップを示すものであり、実際にそのような変更や機能を開始するものではない。その代わりに、同社のアプリとその潜在的な有害作用に関する規制当局のさらなる調査を食い止めようとするものだ。この戦略は、同社自身の議会公聴会とライバルの公聴会の両方で問われた質問によって影響されたと思われる。

TikTokは、実際の導入には時間がかかり、物事がうまくいくまでに繰り返しが必要になると指摘している。

「私たちのシステムが多様な推薦を行うことができるよう、今後も検討を続けていきます」と、同社は述べている。

画像クレジット:Lionel Bonaventure / Getty Images

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(文:Sarah Perez、翻訳:Yuta Kaminishi)

Snapはこの1年間でTikTok風動画のクリエイターに約284.5億円を支払っている

Snapは米国時間12月14日、TikTok風サービスのSpotlightでこの1年間に1万2000人を超えるクリエイターに合計2億5000万ドル(約284億5000万円)以上を支払ったと発表した。友人との間で交わされてすぐに消えるSnapchatのメッセージとは異なり、Spotlightは広い範囲にリーチできる。Snapによれば、2020年のSpotlight開始以降、クリエイターは3倍の頻度で投稿しているという。

いうまでもなく、ショートビデオの覇権争いは進行中だ。TikTokは月間アクティブユーザー数が最も早く10億人に達したアプリの1つだが、SnapchatのSpotlight、Instagramのリール、YouTubeショートといったライバルはクリエイターが自社プラットフォーム専用のコンテンツを作る動機づけを打ち出した。Instagramのリールでは、TikTokのすかしが入った動画はプロモーションされない。Snapchatは当初1日あたり100万ドル(約1億1300万円)だった支払い金額を、2021年9月にCEOのEvan Spiegel(エヴァン・シュピーゲル)氏が「ものまねコンテンツ」が多すぎるためと述べて減らした。LinkedInSpotifyNetflix、Reddit、TwitterなどのプラットフォームもTikTokのようなフィードを実験している。

関連記事:これで誰でもディズニープリンセス、願いをかなえたARアプリへの捧げ物はあなたの生体情報!?

Snapによれば、Spotlightの投稿の65%でARレンズなどのSnapchatのクリエイティブツールが使われているという。特にCartoon 3D Styleレンズは2021年夏に口コミで話題となり、最初の1週間で28億インプレッションを叩き出した。

画像クレジット:Snapchat Story Studio

SnapはクリエイターにStory Studioも提供している。これは2021年5月にSnap Partner Summitで発表されたスタンドアロンのアプリだ。クリエイターの中には、デスクトップのFinal Cut ProやAdobe Premiereでビデオを編集し、それをスマートフォンに送る人もいる。これに対してSnapはユーザーがもっと柔軟に使えるようにと試みている。クリエイターはStory Studioを使えばスマートフォン上でもっと徹底的に編集ができる。一方、ウェブアプリのSpotlightを使えばコンピュータからコンテンツをアップロードできる。

クリエイターはアプリ内ギフト機能やSnapのクリエイターマーケットプレイスでSpotlightを収益化することもできる。マーケットプレイスはブランドとAR開発者やインフルエンサーがコラボする場だ。クリエイターはギフトから売上の一部を受け取るが、クリエイターマーケットプレイスでは全額を受け取れる。

画像クレジット:Snapchat

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Kaori Koyama)

Pinterestでもコメントへの返信を動画で行うオプションを展開

Pinterest(ピンタレスト)は、ユーザーが動画でコメントに返信することを可能にするオプションを展開する最新のソーシャルメディアプラットフォームだ。ユーザーは、同社のアイデアピン機能を通じて、この機能を利用できる。Pinterest は2021年初め、クリエイターがボイスオーバー録音、BGM、トランジション、その他のインタラクティブな要素などのツールを使って、最大20ページのコンテンツを持つビデオを録画・編集できるようにするため、アイデアピンを立ち上げた。現在、ユーザーは返信したいコメントを見つけたとき、3つのドットのメニューを選択し「reply with an Idea Pin(アイデアピンで返信)」をクリックすることができる。そこから、新しいビデオを撮影するか、既存のビデオをアップロードするかを選択することができる。

「Pinterestでコミュニティと関わる方法は、これまで以上に増えています。コメント、質問、リクエストのすべてに、カスタマイズされたアイデアピンで返信できるようになりました」。同社は、この新機能についての発表で語った。「私たちは、あなたやあなたの親指を、長くて小説のようなテキストの返信から解放したかったのです。なぜなら、単に見せられたほうが良いものもあるからです」。

Pinterestの新機能の立ち上げは、Instagramが同様のものを展開した数日後に起こった。先週末、Instagramは、ユーザーが投稿のコメントにリールで返信することができる「Reels Visual Replies(リール・ヴィジュアル・リプライ)」機能を導入した。現在、ユーザーがコメントへの返信を選択すると、動画の返信を作成するためのリールボタンを選択できる。

動画返信のアイデアは、TikTok(ティックトック)が最初に普及させたものであることは注目に値する。この短編動画プラットフォームは、2020年、ユーザーに動画についてより多くの文脈を提供したり、質問に答えたりする方法を提供するために、動画返信を開始した。この機能の人気を考えると、InstagramとPinterestがそれぞれのプラットフォームで同様の機能を開始したことは驚くことではない。

Pinterestは、過去数カ月の間にクリエイターを対象としたいくつかの新機能を発表している。同社はさらに、動画作成・編集アプリのVochi(ヴォチ)を非公開の金額で買収し、クリエイターツールと動画に投資した。Pinterest はまた、TikTok のような「Watch」タブでアイデアピン動画を閲覧する新しい方法を展開し、2000万ドル(約22億7200万円)のクリエイターアワードで参加を促した。

これらの機能の立ち上げは、Pinterest が、主にTikTokの機能をコピーし、独自の工夫を加えることで、TikTok時代の自己改革を試みていることを示している。TikTokは、Instagram、YouTube(ユーチューブ)、Snap(スナップ)、Reddit(レディット)などのトップソーシャルメディアプラットフォームでクローンを生み出しており、Pinterestだけがそうしているわけではない。

画像クレジット:Pinterest / TechCrunch

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(文:Aisha Malik、翻訳:Yuta Kaminishi)