ソフトウェアエンジニアにもっとも高い給与を払っているユニコーン企業上位20社を一覧

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【抄訳】
先週は全社員の年俸のメジアンがもっとも高いユニコーン20社をご紹介したが、今回はプログラマの報酬がもっとも多いユニコーン20社を調べよう。

CrunchBaseのUnicorn Leaderboardには153社*が載っていて、それらを求職サイトGlassdoorのデータで調べると、ソフトウェアエンジニアにもっとも高い給与を払っている20社が分かる。〔*: 最新(11/24現在)データでは156社。〕

この前の記事では、クラウドベースのビッグデータ企業Clouderaが、(全社員の年俸のメジアンが)もっとも高かった。今回、対象をソフトウェアエンジニア社員に限定すると、年俸のメジアンの最高額はDropboxの14万4573ドル、次位がJawboneの14万1224ドル、三位がClouderaの13万9217ドルだった。

*この記事はCrunchBaseのリストに載っているユニコーン企業のうち、Glassdoorの11月13日現在のデータで15名以上のソフトウェアエンジニアの給与情報のあるものを取り上げた。基本給年額は、正社員の年俸をUSドルで表した額である。

【以下抄訳(社名と金額のみ)】

  1. Dropbox基本給年額のメジアン$144,573
  2. Jawbone基本給年額のメジアン$141,224
  3. Cloudera給与のメジアン$139,217
  4. Medallia 基本給年額のメジアン$138,680
  5. ZScaler基本給年額のメジアン$133,071
  6. Airbnb基本給年額のメジアン$131,612
  7. Uber基本給年額のメジアン$130,000
  8. DocuSign基本給年額のメジアン$129,453
  9. AppDynamics基本給年額のメジアン$128,905
  10. Okta基本給年額のメジアン$127,931
  11. Spotify基本給年額のメジアン$127,695
  12. Tango基本給年額のメジアン$126,348
  13. Gilt Groupe基本給年額のメジアン$124,500
  14. Twilio基本給年額のメジアン$123,749
  15. Pinterest基本給年額のメジアン$121,920
  16. AppNexus基本給年額のメジアン$119,762
  17. Kabam基本給年額のメジアン$115,829
  18. Glassdoor基本給年額のメジアン$115,000 –
  19. Credit Karma基本給年額のメジアン$115,00
  20. ZocDoc基本給年額のメジアン$114,134

SquareとAtlassianもCrunchBaseのユニコーンリストに載っていたが、Squareはその後上場し、Atlassianも上場の計画を発表しているので除外した。どちらも、この記事のリスト(上表)で20位以内に入りうる高給企業だ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa)。

Uber、料金急騰システムを正当化する調査結果を発表

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Uberにもし料金急騰システムがなかったら、信頼あるサービスにはなりえなかっただろう。まあ少なくともそれが、料金急騰に関する最近の調査報告でUberが言っていることだ。料金急騰(surge pricing)とは、Uberの乗車需要が高まっているのに、路上にいるドライバーが足りない時に起きる料金の急上昇を指す。

「料金急騰のないUberは真のUberではないことがわかった ― ボタンを押して数分後に乗ることはできない」とUberの研究員、Jonathan HallとCory KendrickはUberブログに書いた

これを確かめるために、HallとKendricはシカゴ大学ブースビジネススクールのChris Noskoマーケティング担当准教授と共に、昨年の大晦日にニューヨークで料金急騰システムが26分間ダウンした際に何が起きたかに注目し、類似の需要を示すシナリオ(アリアナ・グランデのコンサート終了時)と比較した。

大晦日に急騰システムが止まった時、Uberの予想待ち時間(ETA)は著しく上昇し、乗車完了数は減少した。実際、配車を要求した人々の25%は乗ることができなかった。

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「ドライバーたちにとってUberの魅力は減少し、一方乗客の配車要求は増加した。それはドライバーの真の供給力と他の輸送手段との間の適正な経済的トレードオフを強制する料金体系が機能していなかったためだ」とHallとKendrickは書いている。「このような問題のために、実車率は劇的に減少し、待ち時間は増加する結果となり、経済効率的にシステムは破綻した」

これを、急騰料金システム稼動時のUberシステムの活発度と比較されたい。

Screen Shot 2015-09-17 at 11.36.54 AMつまり、Uberの料金急騰システムはユーザーにとって有用ということらしい。ただし、別の研究報告は、急騰料金が実際には路上のドライバー数を増やしていないことを指摘している。代りに、既に路上にいるドライバーを再配置しているだけだという。もしそうであれば、他の近隣地区の乗客が長時間待たされているだけだ。Uberのアリアナ・グランデの例では、マシソンスクエアガーデンを含む長さ5アベニュー、幅15ストリート分の「限られた地理空間域内」の利用だけに注目している。つまり、ニューヨーク市の他の地域で待ち時間や実車率がどうなっているかは知ったことではない。

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ニューヨークのタクシー協会が、Uber風のアプリArroをテスト中

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イエローキャブとUberの戦いが益々激化しようとしている。

Crains New Yorkによると、ニューヨーク地区のイエローおよびグリーンタクシー7000台が、Arroという新しいアプリをベータテストしている。乗客が、Uberではなく通常のタクシーを電子的に呼べるしくみだ。アプリは数週間のうちに、市内2万台のタクシーに全面展開される予定だ。

ArroアプリはUberとほぼ同じで、ユーザーは乗車場所を指定し、名前と位置をドライバーに通知する。近くのタクシーが選ばれると、ドライバーの名前と車のIDが送られ、ユーザーは目的の車を見つけることができる。

arroしかし、ArroとUberには大きな違いが一つある:価格の急騰がないことだ。

Uberのアプリは、大晦日や雨天等需要の高い時にはほぼ必ず高い料金を設定するが、イエロー/グリーンタクシーに導入されるArroは、その種の行為を一切行わない。

夥しい種類のアプリが、Uberと同じことをタクシーで真似ようとしてきたが、ArroがCrains誌に伝えたところによると、同アプリはCreative Mobile Technologiesと提携していることから成功の可能性は大きいという。Creative社は、ニューヨーク市内の多くのタクシーで見られる小さなテレビ画面に、支払い情報やエンターテイメント情報を表示しているテクノロジー会社だ。

同じテクノロジーがタクシーのダッシュボードにも統合され、ドライバーは、Uberドライバーのようにスマホを見ることなく、乗客の情報を知ることができる。

UberとTLC(タクシー・リムジン協会)は長年戦いを続けており、ビル・デブラシオ市長は最近、ニューヨーク市内の路上に許される新規Uberドライバーの数を制限しようとした。結論から言えば、その計画はあまりうまくいかなかった

しかしArroの導入によって、Uberとの競争力は(少なくともある程度)高まるだろう。2010年に登場したUberの企業価値は、現在500億ドルを越えている。

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走行中のジープをラップトップでリモートコントロールした二人のハッカーがUberに入社

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走行中のジープをリモコンするという、あっと驚くハックをやってのけた二人を、Uberが社員として雇用した。

Wired誌のライターAndy Greenbergが、それを自ら体験した。彼がセントルイスのハイウェイを走っているとき、Charlie MillerとChris Valasekの二人は、10マイル彼方のラップトップを使って、その車のラジオやエアコン、ワイパーなどを発狂させた。その後彼らは、送信を完全に断った。実はそれは、おそろしい悪ふざけというよりも、事前に仕組んだデモだった。

当時MillerとValasekはそれぞれ、TwitterとIOActiveでセキュリティの研究をやっていた。しかし今日(米国時間8/28)のReutersの記事によると、二人はUberに入り、本誌はそのニュースをMiller本人UberのRaffi Krikorianに確認した。

Krikorianも前はTwitterにいたが、今年の初めにUberのAdvanced Technologies Centerの長として引きぬかれた。この研究センターはUberとカーネギーメロン大学のジョイントベンチャーで、自動運転車など先の長い技術を研究する。

ということは、Uberが将来使用する自動運転車には、ハッキング防止対策が実装されるのだな。

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Uber、路線バス型割引サービス「スマート・ルート」をテスト中

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Uberを時間を金で買えるようにした。しかし、もっと運賃が安くなればもっと多くの人がUberを使うようになる。そこで彼らは、少し安く少し不便で節約時間も少ない方法をテストしている。最近私は、サンフランシスコでUberPoolの新しいサービスを発見し、Uberもこの “Smart Routes” と呼ばれるサービスをテスト中であることを正式に認めた。

Ubet Smart RouteUberを直接自宅に呼ぶ代わりに、UberPoolのマップには、近くの幹線ルートがグリーンの線で表示されている。このSmart Route上のどこかで拾ってもらえば、Uberは通常のUberPool料金から1ドル以上割引く。時としてそれは乗車スポットまで何ブロックか歩くことを意味する。少々不便で少々安い。

Uberはこう言っている:

「当社はuberPOOL体験を乗客、ドライバー両方にとって効率のよいものにする新機能のテストを開始した。この実験的機能は “Smart Route” と呼ばれ、乗客にサンフランシスコ市内の特定経路に沿った位置で乗車するよう推奨することで送迎を単純化する。Smart Routesは、ドライバーパートナーが運転に費やす時間を効率化すると同時に乗客のお金と時間を節約する、現在進行中の取り組みの一環である。」

ドライバーにとって、Smart Routesは時間とガソリンの無駄になる寄り道を減らす。つまり、ドライバーは一回のUberPool運行を早く終らせ多くの料金を徴収できるので、Uberの実入りも増える。理論的に、乗客をSmart Routesのスポットまで歩かせることで、たとえ料金を安くしても最終的にUberの収益は増えることになる。

Smart Routesは、乗り合いサービスのLoupに似ている。こちらは、ドライバーが市内のバス路線のような経路を走って乗客を拾うもので、Chariotは同様のサービスを大型バンで運行する。さらには、乗客が指定位置まで歩くことで割引料金を受けられるLyftのHotSpot機能も思い出させる。UberのSmart Routesは、実質的にそうしたホットスポットを「点」ではなく、沿線上に引き延ばしたものと考えられる。

uber Smart Route PickupUberがテストしている新たなオプションはSmart Routesだけではない。Uberの“Perpetual Rides”とLyftの“Triple Match”はいずれも、ドライバーがUberPoolやLyft Lineの1回の運行を完了する代わりに、空席がある限りいつでも乗客を拾えるしくみだ。Lyftはさらに、Lyft Lineで10分待てば料金を割引くサービスもテストしたことがある。

Uberは最近“Suggested Pickup Points”のテストも開始した。これは以前私が提案した、客に乗車位置を推奨することでドライバーが早く客を拾えるようにするものだ。料金を割引く代わりに、次の交差点か道路の向こうまで歩くことで、乗客とドライバーとUberの時間を節約する。

現在Uberは、Smart Routesを少なくともサンフランシスコの2路線でテストしている。ミッション地区のバレンシア通り、15~26番街間、およびマリーナ地区のフィルモア通り、ヘイト通りベイ通り間で、ここはベイエリアのBARTサービスがカバーしていない。

もしSmart Routesが乗客に好評でドライバーにとって効率的なら、Uberは他の地域にも拡大できる。そして、Uberが安くなればなるほで、予算の減られた乗客も呼べるようになる。最近私が払った4.19ドルというUber PoolのSmart Route料金は、公共バス料金の2倍以下だ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

今夜行くバーをランダムに決めるアプリBar Roulette(バー・ルーレット)…Uberを呼ぶがユーザは行き先を知らない

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このアプリの使い方は簡単: ボタンをタップしてUberを立ち上げる。行き先は、ユーザ自身には分からない。実はぼくは、そんな悪夢を実際に経験したことがある。

Bar Rouletteは、Tyler Swartzが、あるハッカソンでUberのAPIを使って作った、楽しいマッシュアップだ。ユーザの位置情報から、近くのバーをランダムに選び、Yelpのレビューも見せる。今自分がいる界隈を探検して、しかも酔える、というクールなアプリだ。

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[Yelpで評価の良いバーを選ぶがユーザには秘密]→[UberXに拾ってもらってそのバーへ行く]→[そこに着いたらバーの名前がわかり、そして飲める]

グループで使うと楽しいし、最初のデートでも使える。おばあちゃんと一緒、も楽しいかもしれない。

今はWebアプリケーションだが、Swartzはネイティブバージョンを作っている。オプションでLyftやFoursquareがあると、より楽しいだろう。でも、バーに対するYelpのリビューはすごーく面白いね。

本誌には、毎週週末に、アプリなしで”Bar Roulette”をやってるやつがいる。正常な人間であるわれわれは、このアプリを使った方がいいね。

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Uber、ニューヨーク市長との戦いに備え、時間別乗車数を公表

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2013年にリークした売上ダッシュボードのスクリーンショットを別にして、Uberは(殆どの非上場スタートアップ同様)乗車記録に関するデータを一切公表しないことで知られている。

このたび、市議会による相乗り会社の新規ドライバー採用制限に関する投票を前に、ビル・デブラシオ、ニューヨーク市長と戦うべく、Uberはニューヨーク市における過去2ヵ月間の正確な乗客数を公表した。

56ページにわたるExcel文書の中で、同社は過去2ヵ月間の乗車数とアクティブドライバー数(路上でUberアプリを立ち上げているドライバー数)を1時間毎に詳しく報告している。さらに同社は、ニューヨーク中央ビジネス街で最も渋滞のひどい59番街以南地区から乗車したものの区別している。

デブラシオ市長は、Uberや他の相乗り会社がニューヨーク市の渋滞悪化の主要因であると主張しているが、Uberが今日公表したデータはそうでないことを示している。

Uberのデータによると、ニューヨーク市のUber台数は、実はイエローキャブよりずっと少ない。7月19日の24時間中、Uberプラットフォームにいたドライバーは平均3198人だった。一方、同市には1万3400台以上のタクシーがいて、うち67~85%が同時に路上にいる。

公表されたデータからわかるいくつかの興味深い事実:

6月にUberは、ニューヨーク市で349万2389回客を拾った。これはニューヨーク市イエローキャブの月間利用回数1400万回以上と比べると見劣りするが、それでも比較的新しい企業としては驚くべき数字だ。

Uberがニューヨーク市で最も忙しいのはほぼ常に深夜で、午後9~12時には1時間当たりの乗車が1万回(1分当たり150回以上)近い日もある。

Uberは明日の投票を見越して、デブラシオ市長およびニューヨーク市議会に激しいメディア戦争を仕掛けている。今日のデータ発表に加え、同社は現在New York Timesウェブサイトのトップに掲載されているバナー広告も購入した。

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デブラシオ市長は、他の市庁関係者(同市会計責任者のScott Stringerを含む)がUberや他の相乗り会社を公然と支持している中、確固たる信念で同法案を支持している。

NY Daily Newsの論説で同市長は、「ニューヨーク市は来年2万5000台以上車が増える事態に直面している ― これは市内のイエローキャブ総台数の約2倍に相当する」と書いた。

ちなみに、TechCrunchが入手した記録によると、ニューヨーク市のタクシー業界はデブラシオ市長の選挙運動に50万ドル以上を寄付しており、不動産業界に次ぐ第2位の寄付団体である。また、新規ドライバー登録を制限する法案は、3ヵ月前にタクシー業界が最初に起案した

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Uber、30日以内に法を守らなければカリフォルニア州で営業停止に

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Uberは、30日以内にカリフォルニア州法に従わなければ、営業停止と730万ドルの罰金を課されると、判事が裁定を下した。

同法はUberに対して、州内の乗合いサービスを法制化した2013年の法に基づき、アクセシビリティー要求に関する運行データをカリフォルニア公益事業委員会(CPUC)に提出することを義務付けているが、Uberの子会社でUberのデータを州内で取扱っているRasier-CAは、これまで要求を拒否している。

CPUCは、乗合いサービスのLyft、SidecarおよびUberに対して1年間の遵法猶予期間を与えた。同委員会によると、アクセシビリティーに関する適切な情報の提出を拒否したのはUberだけである。

しかしUberは、同法に基づき適切な情報を提供したが、その後CPUCは同社ユーザーのプライバシーを侵害する追加情報を要求したと言っている。

「この裁定と罰金は極めて遺憾である」とUber広報担当者のEva Behrendは言った。「われわれは控訴する。Uberはすでに相当量のデータを委員会に提出しており、それは他で提供しても何の苦情も受けていない情報だ。これ以上の情報開示は、乗客個人やドライバーパートナーのプライバシーを侵害するリクスを伴う。こうしたCPUSの要求は、同委員会の権限を越えるものであり、公衆安全の改善に貢献しない」。

Uberは今後も世界中で様々な法的問題に直面し続けるだろう ― 例えばカリフォルニア州とテキサス州では、ドライバーが障害者を差別および、盲導犬を連れた視覚障害者の乗車を拒否したとして訴訟されている。

Uberはこれらのケースにおける責任を否定し、障害者へのサービスを拒否したドライバーを解雇あるいは停職処分にしたと言った。現在同社は、アクセシビリティー情報を要求するCPUCの命令に対して法的行動を起こす計画だ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

UberはAPIを利用するアプリからの顧客増殖をねらう、デベロッパへの謝礼は5ドル

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Uberは同社のサービスを呼び出す”Request A Ride”ボタンを、すべてのモバイルアプリに載せたいと願っている。同社はこのほど、デベロッパに対する人参として、ユーザの登録一人につき5ドルの報奨金を提供することにした。地図アプリやレストラン、旅行、ナイトライフ(バーなど)関連のアプリなら、デベロッパにとってかなりの収入になるかもしれない。

デベロッパがUberのAPIを使うためには、ここで登録する。支払は総額が250ドルに達したら行われ、5000ドルを上限とする*。5000ドルを超えてさらに稼ぎたいデベロッパは、Uberのパートナー事業に加わる必要がある。APIからUberを利用するユーザは、最初の乗車(20ドルまで)が無料になる。〔*: 5000ドルを超えたらUberのパートナーになれる、とあるが、意味がよく分からない。〕

UberがAPIをローンチしたのは昨年の後半だが、利用するデベロッパは少なかった。ローンチ時のパートナーは、OpenTableやStarbucks、TripAdvisor、United Airlines. Sinceなどで、その後Foursquare、Hinge、Microsoft、そしてPebbleが加わった。

Uberのユーザの一人あたりの売上は長期的にはかなりの額になるだろうし、類似サービスとの競合もあるから、顧客獲得にこうやって金を使っても長い目で見れば得になる。料金の20%がUberの取り分だから、デベロッパへの5ドルの報奨金はたぶん最初の取り分額に相当するだろう(平均の料金が25ドルと想定して)。

でもUberはこれまで数十億ドルを獲得し、世界でもっとも資金が潤沢なスタートアップのひとつだから、顧客獲得のためのそれぐらいの初期投資は平気だ。むしろ今日のニュースは、その資金を企業の成長のためにつぎ込んでいく姿勢の証だ。相乗りサービスのUberPoolを始めたのも、実質的な低料金化で新規顧客獲得の幅を広げるためだ。

同社は、Lyftなどの類似サービスとの競合があるだけでなく、保有車両を現代化してUberの人気な部分を真似ようとしている既存のタクシー会社とも競り合っている。

この、各種のモバイルアプリが実質Uberアプリにもなる、という孫悟空的な分身増殖ワザが成功したら、もちろん合衆国以外の市場でも当然やり始めるだろう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Uber、Bingの地図資産の一部をMicrosoft従業員100名と共に買収

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UberはMicrosoft Bingの一部を買収し、同サービスの画像収集技術者約100名を引き取る。要するに、Uberは自社の地図作成作業を強化するために、Microsoftのデータ収集エンジニアを吸収する。

両社はTechCrunchに対して取引きを正式に認めたが、契約条件は明らかにしなかった。MicrosoftからUberに移管される運営費用は、両社の財務規模を踏まえると大きくない。移される技術の方がはるかに興味深い。

Uberのアプリは、実質的に地図+アドオンなので、エンジニア ― 現在シリコンバレーで最も人気の高いコモディティー商品 ― を集めたがるのは当然だ。そしてMicrosoftが、その大規模プラットフォームと生産性商品にとって必ずしも中核にない戦力の一部を手放したがったとしても驚きではない。

しかし、Microsoftは数年来、Bingは売却対象ではないと言い続けてきただけに、その断片を手放すことは注目に値する。(アップデート:Microsoftが指摘されてきたのはBing検索を傘下に持っていることの問題であり、資産としてのBingそのものではない。つまり、一人のオタクとして私が考える限り、この買売による戦略の変更は起きていない)。

この動きはUberの野心を浮き彫りにするものでもある。製品への大志がなければ、特定の専門エンジニアを一度に100人雇う会社はない。新たなUberキッズたちは、イメージデータをBingに注入していた人々であり、つまりは検索エンジンの3D、航空写真、およびストリート画像が主な仕事だった。そこから、Uberが何を考えているか予測できる。。

両社はこの契約について、人員だけでなく「資産」も移されるとTechCrunchに話したが、詳細については説明を拒んだ。しかし、予想はつく。自分の仕事に画像収集が絡んでいて、会社に引き抜かれたなら、どんな仕事が待っているかは常識の範囲内だ。

つまり、Microsoftは大量の画像コレクションをUberに売り、そのライセンス権利は保持すると私は予想する。さらに、Microsoftは一定の知的産をこの取引きでUberに売り渡す ― もし契約条件について私より知っている人がいたらダイレクトメッセージで知らせてほしい。

両社の正式コメントは無難にまとめられたもので、Uberは「この買収がもたらす人材と技術を大いに楽しみにしている」と言い、Microsoftも同じく平凡に、同社は昨年来「コアビジネス戦略に集中するために多くの行動を起こしてきた」と語った。

Uberは自立した運営を目指していることを明確にしたいと考え、一方Microsoftは、その製品フォーカスを武器として促えられたいと思っている。さてどうなるか。今のところ、Uberは新たなツールを手に入れ、MicrosoftのBing事業は財務的にわずかに軽くなったということだ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

フランスUberのトップ2人、違法タクシー営業の容疑で逮捕―先週のUber車焼き討ちと関連か

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フランスUberのCEO、Thibaud SimphalとヨーロッパUberのゼネラル・マネージャー、Pierre-Dimitri Gore-Cotyの2人がパリで逮捕された。このニュースを最初に伝えたのはAFP だった。警察は2014年11月からUberを対象に捜査活動を開始しており、去る2015年3月にはフランスUberのオフィスが家宅捜索を受けている。

逮捕された2人の容疑は2つあるとされる。一つは違法なタクシー営業。Uberはアメリカ始め多くの国でこの容疑で捜査されている。 Uberの社名は当初UberCabだったが、正規の免許を受けたタクシー会社からの強い抗議により、 2010年に社名をUberに変更することを余儀なくされた。

第二の容疑は、フランスUberがデジタル情報を隠して捜査を妨害したというものだ。3月に警察が家宅捜索を行ったときに、あるべき情報の一部が発見できなかったらしい。

今回の2人の幹部の逮捕は表向き先週起きたタクシー運転手の暴動と関係があるとはされていない。タクシー運転手はUberの一番安い営業、UberPOPの営業中止を求めて大規模な抗議行動を起こした。運転手は70台の自動車を襲い、一部をひっくり返して焼いた。 しかし二つの事件の間にまったく関係がないと考えるのは無理があるだろう。

ちなみにUberPOPは2014年2月 にフランスでスタートしたが、アメリカでいうUberXに相当するサービスだ(紛らわしいことに、フランスでは、UberXはアメリカのUberと同等のサービス)。UberPOPではタクシー運転手その他の免許なしでドライバーなら誰でも客を乗せて営業できる。

多くのタクシー運転手がこれを不正な競争であるとみなして激しく抗議してきた。UberPOPはブリュッセルオランダ、そしてFranceで営業を禁止された。

数ヶ月前からフランス警察はUberPOPのドライバーを摘発し罰金を課している。しかしその罰金はUberが肩代わりしてきた。最近フランスUberは中小都市にもUberPOPの営業を拡大していた。

このことが先週のUberPOPへの過激な抗議活動のきっかけとなった。ベルナール・カズヌーブ内務相はタクシー運転手組合の代表と会見し、警察にUberPOPの取り締まりの強化を命じた。現在200人の捜査官がUber取り締まりに投入されているという。フランソワ・オランド大統領もUberPOPに用いられた車は没収されるかもしれないと警告した。ただし没収措置が今後実際に広く取られるのかどうかは不明だ。

まだ裁判所の命令が出ていない段階で行政機関ができることには限界がある。先週木曜、 CEOのThibaud SimphalはBFM TVのインタビューに答えて、「裁判所yが営業禁止の命令を出すまではUberPOPのサービスを続ける」と述べた。現在でもアプリを開くと車両が見つかる。

アップデート:われわれの取材に対してUberは2人の逮捕を確認し、捜査に全面的に協力している旨コメントした。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Uberが宅配ビジネスで成功する理由

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地理的飽和度は相乗りビジネスのネットワーク効果と利益性の鍵を握る。

ある地域のUberやLyftのドライバーが多ければ多いほど、配車時間は速まり、顧客体験は良くなり、乗車需要が高まる ― その結果ドライバーの収入は増え、多くのドライバーがネットワークに参加する。

昨年David Sacksが描いたUberのポジティブ・フィードバック・サイクルがまししくそれを表している。

もしSacksが正しければ、地理的飽和度の最も高い相乗り事業者が、最低価格と最高の乗車体験を提供することになり、その戦略は明白だ:できる限り多くの資金を調達して需要と供給の両方を助成し、ある意味で「勝者独占」状態を作ることだ。

しかし、果たしてUberのネットワーク効果は無限に拡大するのか、それともある時点で限界効用逓減が始まるのか? Lyftは、Uberのわずか数分の一のスケールで、配車待ち時間とドライバーの遊休時間で対抗できるのか?

仮に、ある地域でUberの地理的飽和度が、Lyftの10倍いや100倍のドライバーを持つまで拡大したとしよう(ドライバーは両方のサービスで同時に働くことが可能なので、現実にはまずあり得ない)。しかし、もしLyftが規模の違い敗れたとしても、Lyftがのドライバーが毎回3分以内に迎えにくるところまで、相乗り市場が拡大することは想像できる。

待ち時間が1分と3分で何が違うだろうか? 殆ど変わらない。

もしLyftがその目標を達成すれば、彼らはUberの密集度優位性を打ち消し、それによって財政的に優位性にも対抗できる。その段階で、Lyftは安定して市場シェアを獲得できることが予想される。なぜなら2社の本質的価値提案の差は小さいからだ。

そうした路線密度による限界効用の逓減は、Uberの戦略にとって何を意味するのだろうか?彼らの前例のない路線密度が価値を生む、そんな価値ある市場は他にないのだろうか?

圧倒的な路線密度によって、小荷物宅配ビジネスへの新規参入はほぼ不可能となっている。

ある。同じスケール経済は、運送ビジネスの最終配達部分に適用できる。そこではFedEx、UPS、USPSらが圧倒的地理的飽和度を達成している。これらの会社は、全米のほぼ全ブロックに毎日ドライバーを走らせているので、1つ余分に荷物を配達するための限界費用は1.50ドルまで下がっている。そしてもし2つの荷物が同じ家に届けられれば、2つ目の配送コストはほぼゼロになる。

この圧倒的な路線密度によって、小荷物宅配ビジネスへの新規参入はほぼ不可能となっている。DHLは世界運送ネットワークのトップ3に入っていながら、国内市場への参入には失敗し、2008年後半に撤退している。

しかしUberには、こうした巨大既存事業者をも上回る優位性がある。大企業運送業者は、各ブロックに毎日ドライバーを配置できるかもしれないが、Uberは各ブロックに〈毎分〉ドライバーがいる。

FedEx、UPS共に時間指定集荷を行っているが、Uberは(恐らくいつかLyftも)オンデマンド配達のための即時集荷に必要な密度を有している。これは、全く新しい世代のリアルタイムEコマース体験を可能にするゲームチェンジャーだ。

すでにUber Poolのユーザーは、低料金と引き換えに赤の他人と相乗りするころを受け入れている。もちろん顧客がトランクに荷物を入れるためにドライバーが停車することにも同じ取引きをするだろう。そしてもしドライバーが荷物を配達するために車を止めても、客は現在のUber Pool体験とさほど違いを感じないだろう。

Postmates等の宅配サービスと異なり、集荷した同じドライバーが配達する必要はない。単にトランクに荷物を積んでいき、一日の終りに集荷センターで荷下ろしするだけでよい。

すでにUberは、単なる相乗りサービスではなく、リアルタイム運送ネットワークへの道を歩み始めている。彼らは香港でUber Cargoを、ニューヨーク市でUber Rushをスタートさせた。現時点でこれらのサービスは、それぞれ運送トラックと自転車メッセンジーからなる別々のネットワークだ。しかし、Uberが相乗りサービスドライバーの密なネットワークを活用した運送ソリューションを提供するのは時間の問題だろう。

これが重要である理由の一次分析は明白だ:物流は世界GDPの12%を占めており、運送ビジネスはUberに膨大な収入源をもたらす。二次分析はおそらくもっと興味深い:荷物と人間が互いに助成し合うことによって、それぞれ単独よりも両サービスともに安くなる。

小荷物宅配サービスはUberにとってライバルLyftに対する強力な武器になる。かつてUberが突然、キャッチフレーズを「みんなのお抱え運転手」から「ライフスタイルが物流と出会う場所」に変えたことが、一層意味を持ってくる。この変更をはるか遡る2013年に実施していたことは、Uberが業界で最も先見性のある経営チームを持っていることを示している。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Uber、大規模な商品配達サービスを静かにテスト中

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Uberは商品配達サービスの提供を計画している。オンラインショッパーは購入した商品を、UberRush[自転車便]の配達員またはUberドライバー経由でその日のうちに受け取ることがてきる。TechCrunchは、パイロットプログラムに参加するUberドライバーおよび配達員向けの教育資料を入手した。

情報筋によると、ニーマンマーカス、ルイヴィトン、ティファニー、コーエン、ヒューゴ・ボス等のブランドが、既にUberの商品配達プログラムに関する交渉を開始しており、ある筋によると、400以上のマーチャントが同日配達サービスをUberと協議中(あるいは既にテスト中)だという(コーエンおよびヒューゴ・ボスは教育用プレゼン資料の例に使用されている)。

本誌はさらに、David Tischのモバイルショッピングアプリ、Springが一部のブランドと共にプラットフォームの初期テストに参加していることを確認した。同社は昨日、Sprint + UberRushを期間限定で、illestevva、Bing Bang Jewelry、P`hyllis + Rosie、Mack Weldon、Jinsoon、Indsutry Standard、Outdoor Voices、およびNegative Underwearらのブランド向けに提供する旨のメールを発送した。

Springは、この種のサービスにとって興味深いテスト環境だ。それは同サービスのバックエンドが、Springプラットフォーム上でどの商品がいくつ在庫されているかを常に正確に把握しているからだ。Uberの配達プログラムと組み合わせることによって、店は今まで通り毎日の在庫を登録するだけでよい。

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ニーマンマーカスやティファニーといった伝統的小売店は、店頭在庫データを常に必要とするシステムに移行するには時間がかかるかもしれない。

Uber広報にコメントを求めたところ以下の声明が送られてきた:「Uberアプリの新しい創造的な使い方を実験し発見することは、われわれのライダーおよびドライバーパートナーに今より大きな価値を与えるだろう。弊社はUberRUSHでこの一年間複数の小売業と共にテストを行ってきた」

それは真実だろう。昨年夏Uberは実験結果の一部を公表している。しかし、本誌が入手したマニュアルには同社のさらなる野望が描かれている。同社は商品配達ドライバー専用のアプリも作っているようだ。

マニュアルによると、Uberのドライバーおよび配達員は、通常のUberRUSH注文を受けるのとは別のアプリ(場合によっては別のスマホ)を通じて、商品の注文を受ける。しかし最終的にUberドライバーは、人間の乗客とUber Merchantの注文を、高度なルーティングシステムから同時に一つのドライバー用アプリ経由で受け取るようになる。

最近Uberは配達業界に深く侵入しつつあり、生鮮食品配達のUberFreshへの投資、昼食や夕食の注文を受けて配達を代行するUberEatsのシカゴおよびニューヨークへの展開(ロサンゼルスとバルセロナでは既に営業中)等を行っている。

さらに同社はUberEssentialsという、日用品をオンデマンドで家庭に配達するサービスも開始したが、限定的なテストとして実施され最終的に中止された。

Uber Merchantは、ネット小売でも知られる高級ブランドをターゲットとして、ネット注文に応じて地域にある在庫を同日配達するようだ。

ある情報源がTechCrunchに伝えたところによると、当初の計画ではAmazon、eBay等の大規模Eコマースサイトに焦点を当てていたが、倉庫にある在庫からの配達は努力に値しないと判断した。地元店舗の在庫品を配達することは、店が一日分の在庫の数量と種類を管理できてさえいれば可能だ。

運送ビジネスには困難がともなうが、Uberにはドライバーと配達員数千人からなるインフラがあり、この種のサービスを店舗に、最終的には消費者に提供するための準備は既にできている。

Uberが、生鮮食品、レストランの料理、日用品、オンライン注文、等の分野を一つにまとめて、数千人のドライバーや配達員に割り当てる運送フレームワークを作ることは容易に想像できる。理論的にドライバーは、前部座席にピザを、トランクにルイヴィトンのバッグを、そして後部座席にあなたを乗せることができる。

以下に入手したマニュアルを載せる:

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[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

国交省がUberに「待った」 福岡の実験は「白タク」と判断

Uberが2月に福岡で実験的にスタートした「ライドシェア」に、国交省が待ったをかけた。営業許可を受けずに自家用車で営業する「白タク」を禁止する道路運送法に抵触する可能性があるとして、実験の中止を呼びかけている。

ライドシェアは、営業許可を受けていない自家用車を共有するサービス。Uberは福岡で、ドライバーから収集した走行データをもとに、交通ニーズを検証する名目で実験を始めていた。乗客から運賃を徴収せず、一般から募集したドライバーに対しては、「データ提供料」として走行時間に応じた対価を支払っている。

Uberは運賃を徴収しないことを理由に、国交省の認可を得ずに実証実験を進めていたが、同省は「ドライバーに対価を支払っている以上、道路運送法に抵触する可能性がある」と判断し、行政指導に踏み切ったかたちだ。

Uberは今後、国交省との話し合いを通じてライドシェアの内容を伝えていきたいと言い、引き続き福岡での実証実験は進めていく。


シェアリングエコノミーの本質はコミュニティにあり–TechCrunchイベントで識者が語る

「シェアリングエコノミー」と呼ばれるタイプのビジネスが、シリコンバレーを起点に世界中で成長中だ。ゆるやかな信頼をベースに、今余っているモノや人、リソースを今必要としている人に提供する事業の総称で、余っている部屋を貸し出す宿泊サービス「Airbnb」やカーシェアリングサービスの「Zipcar」などが代表例だ。

この波は、いま日本にも及んでいる。Airbnbや、タクシー・ハイヤーの配車サービス「Uber」が日本に上陸してサービスを開始したほか、遊休設備を生かして安価なオンライン印刷サービスを提供する「ラクスル」、駐車場を貸したい人と借りたい人をマッチングする「akippa」のように、  日本発のシェアリングエコノミー型サービスも生まれてきた。

2月19日にリクルートホールディングスが手がける東京・渋谷の会員制スペース「TECH LAB PAAK」で開催された「TechCrunch School Vol.6」では、そのシェアリングエコノミーに注目。「日本でも成長をはじめたシェアリングエコノミー」というテーマのもと、Uber Japan執行役員社長の高橋正巳氏、ラクスル代表取締役の松本恭攝氏、akippa代表取締役社長の金谷元気氏の3人に、それぞれが手がけるシェアリングエコノミー型ビジネスについて聞いた

むしろ規則の中でしっかりやりたい——Uber Japan

米国等での報道も含めて、TechCrunchでもおなじみのUber。スマートフォンからたった2タップするだけで、オンデマンドでハイヤーやタクシーを配車してくれるサービスで、「全世界54カ国、282都市強でサービスを提供しているが、毎週変わっているくらいのスピードで成長している」と高橋氏は言う。最近も22億ドルという規模の資金調達に成功したばかりだ。

日本市場で正式にハイヤーの配車サービスを開始したのは2014年3月で、8月からはタクシーも呼べるようになった。
「日本市場への参入構想は初期の頃からあった。電車や地下鉄、バスなどいろいろな選択肢がある中で、どれだけ需要があるのか、どうサービスを提供するのか検討した上でローンチしてみたが、いざローンチすると、ロンドンやロサンゼルスといった大都市に比べ2〜3倍の需要があった。特に東京は、高品質なサービスへの感度が高い」(高橋氏)。

一方で、既存の枠組との整合性には苦労した面もあるそうだ。現在Uber Japanは、「“超オンデマンド”な旅行代理店という考え方もできる」(高橋氏)ことから旅行業者の登録をして事業を展開している。世界54カ国の中で旅行業として登録しているのは「日本だけ」だそうだ。「われわれのビジネスは5年前、10年前には考えられなかったもの。一方で、それにまつわる法律や規則ができたのは何十年も前。そうした既存の規則や枠組みの中に、われわれのビジネスをどう当てはめていくかが難しい。この問題は日本のみならず、いろんなところで起きている」と高橋氏。「よく、『Uberは好き勝手にやっている』と言われているけれど、全然違う。われわれの会社のスタンスとしては、きちんと規則の中でやりたいと考えている」という。

高橋氏は、この状況を、インターネットオークションサイトが生まれたころになぞらえる。「インターネットオークションサイトが生まれた当時、ちゃんと落札者がお金を払ってくれるかなどいろいろな不安があったけれど、使ってみると便利なことも分かってきた。そこで、『どうしたら安心して使ってもらえるようになるか』という議論が始まり、いろいろな規則ができてきた。Uberについても同じように、どうやったら安心して使ってもらえるかという議論がアメリカで先行して始まっている」(同氏)。

泥臭いところに踏み込んでサービスを拡大—ラクスル

つい先日、総額40億円の資金調達が報じられたラクスルは、需要と供給がマッチングしにくい「印刷」にフォーカスしたサービスを提供している。印刷設備の非稼働時間と、ネットで全国から集めた受注とを適切にマッチングさせることで、安価な印刷を実現しているラクスル。元々は価格比較サイトから始まったが、「クオリティをコントロールする」ために、印刷生産性、効率向上のための手だてにも踏み込んでいるそうだ。

松本氏によると、「スマホから2タップ」のUberとは異なり、「ラクスルは、スマホに一応対応はしているもののウェブがベースで、90%強の注文がウェブから」なのだという。デザインという要素が密接に絡んでくるためにスマホでは十分なUXを提供するのが難しいという理由に加え、「われわれの顧客はほとんどが中小企業だが、中小企業の購買活動がスマホにシフトしているかというと、まだしていない。むしろ最近ネット化が始まったところで、スマホ化は5年先じゃないか」(松本氏)。

ネットとリアルをつなぐ上で、非常に泥臭い苦労もしてきたという。「印刷会社とのコミュニケーションでは、新しいことを始めようとしたときに理解を得づらいところがある。経済合理性で考えれば絶対に利益が出ると分かっているような枠組みを提供しても、『これまでやってこなかったし……』で片付けられることもあった」(松本氏)。ただ中には、強い変革意識を持った経営者がいて、思いに共感してくれることで関係を形作れるケースもあった。

今回調達した資金は、マーケティングや海外事業展開といった方向への投資はもちろんだが、「Uber X(海外で展開するUberのサービス。個人が所有する車に他のユーザーを乗せるというもの)のように、ユーザーに全く異なる体験、インターフェイスを提供できるサービスを開発していく」ことに加えて、「紙を共同購買したり、物流の交渉をまとめて行ったり、資材や物流など効率化を図ることで生産性が上がる部分のファイナンシャルなサポートにも取り組む」そうだ。

営業の会社からインターネットの会社へ—akippa

akippaは、法人や個人が所有する空き駐車スペースを登録しておくと、その周辺で駐車したい人が検索し、希望する時間に使用できるというサービスだ。シェアリングエコノミーを体現しているかのようなサービスだが、金谷氏によると「会社を立ち上げて6年になるが、そのうち5年は営業の会社だった」のだそうだ。

転機が訪れたのは2013年6月のことだったという。「毎月目標の売り上げを決めて、ホームページを作って営業して……とやっていたが、そのうち『これをいつまで続けるんだろう、何のために会社をやっているんだろう』と考えた」(金谷氏)。そこで、電気やガス、水道といった「なくてはならぬもの」を作ろうと、会社のメンバー全員で、今悩んでいること、困っていることを書き出してディスカッションしていた中に、駐車場の問題があったという。

早速このサービスをネットで展開しようと作り始め、とあるイベントで発表したところ、「家の空きスペースを貸すサービスなら『Airbnb』があるよ、と教えてもらった。それまでAirbnb自体知らなかった」そうだ。

その後、順調にサービスが成長してきたことから、思い切って社名もそれまでのギャラクシーエージェンシーからakippaに変更し、営業だけでなくエンジニアの数も増やした。「これでやっとインターネットの企業になれたかな、と感じる。今は営業もスーツを着ていない」(金谷氏)。

ただ、そのマインドを変えていくのが大変だったそうだ。「もともと営業の会社なので、営業担当のマインドを変えることが大変でした。赤字でも、ユーザー数を増やし、サービスを伸ばしていくためだからいいんだ、と言っても『売り上げゼロなんですけど、いいんですか?』と不安を抱かれることもありました」(金谷氏)。サービスを伸ばすために最初はお金を取らずにユーザーを増やす、そしてユーザー数が伸びれば売り上げも増えてくるというアイデアを、Gunosyなどを引き合いに出しながら説明して説得したそうだ。

シェアリングエコノミーはコミュニティか、ただのバズワードか

最後にモデレーターのTechCrunch Japanの岩本有平が「そもそもシェアリングエコノミーとは何か?」と問いかけた。

金谷氏は「昔からやってきたことをスマートフォンでつなぎ合わせたことだと思う」と語る。「akippaも、『隣の人に空いている駐車場を貸す』という昔からやってきたことをスマートフォンでやっているだけ」。そういう意味では、ライバルは、Airbnbなんかではなく、リアルに空きスペースを駐車場としてサービスを展開している「タイムズ」や「三井のリパーク」になるという。

松本氏は、「AIやビッグデータと同じバズワードの1つなんじゃないか」とした上で、「使われていないアセットをユーティライズしたということ以上に、スマートフォンやPCとつながって、ユーザー経験そのものが変わったことに大きな意味があるのではないか。この部分を生かすことでビジネスを伸ばすことができるのでは」と語る。

これらに対して高橋氏は、「ひとことで言うとコミュニティだ」とする。「共有という概念は、コミュニティがあってはじめて成り立つ。そのとき重要になるのはクオリティ。安心して共有してもらえるか、透明性が高いかということが問われてくる。Uberではフィードバックシステムを導入して、今まで乗った人の評価が全部見えるようにしているが、そこまでやって初めて安心感あるコミュニティが生まれると思う」とした。


Uberが福岡市でライドシェアの「みんなのUber」をスタート

Uberといえば、東京ではハイヤーとタクシーの配車サービスとして、主にリッチな気分に浸れるという路線で開始しているけれど、本家米国では、非本業の運転手が自家用車でタクシー業務をやってしまう「uberX」や、複数の乗客で相乗りすることでコストを抑える「UberPool」などもある(uberXについては体験レポート「日本未上陸の白タクサービス「uberX」が安くて早くて快適だった」も参照してほしい)。

そのUberが、今日2月5日の午前10時から福岡市でライドシェアの検証プログラム「みんなのUber」を開始することが分かった。すでに詳細なブログが公開状態となっている。

ブログによれば、みんなのUberの利用方法は、これまで通りUberアプリをダウンロードして、アカウントを作成するだけ。登録にはクレジットカードが必要だが、みんなのUberは検証プログラム中は利用が無料だそうだ。

利用するには、まず乗車場所にピンを置き、車を依頼する。するとそのユーザーを乗せるドライバーが数分後にピックアップしに来てくれるという。利用可能エリアは、福岡市、春日市、志免町、糟屋町で、乗車時間が60分以内、1週間の乗車回数が5回以下というのが条件だそうだ。

今回の取り組みは、あくまでも検証プログラムとうたっているので本サービスへの移行があるのかどうかや、そのタイミングがいつになるのかといったことは不明。「検証できました」で終わってしまう良くある自治体の「色々やってますよポーズ」に終わらないことを祈りたい。今回の取り組みは産学連携機構九州とパートナーシップを組んでいて、研究機関などに交通ニーズのデータを提供し検証していくのだそうだ。


TechCrunch School第6回は2月19日開催-テーマは「シェアリングエコノミー」

今回の会場となる東京・渋谷の「TECH LAB PAAK」

2014年1月から不定期開催しているイベント「TechCrunch School」。これまで学生の起業、スタートアップのマーケティング、大企業からのスピンアウト、IoTなどのテーマでセッションを繰り広げてきた。前回の開催が2014年9月末だったので、少し間が空いてしまったが、2月19日午後7時から第6回を開催する。参加は無料。本日よりこちらで参加登録を受け付けている。

今回のテーマは「日本でも成長をはじめたシェアリングエコノミー」。モノやリソースを共有したり交換したりすることで成り立つ、共有型経済を指すシェアリングエコノミー。米国で立ち上がった配車サービスのUberや宿泊サービスのAirbnb、カーシェアリングサービスのZipcarなどが代表的なサービスとして挙げられることが多い。UberやAirbnbはすでに日本にも上陸してサービスを展開している。

一方で日本のスタートアップを見ても、印刷所の空きリソースをシェアして低価格で印刷を行うラクスルや駐車場をシェアするakippa、空きスペースをシェアするスペースマーケット、家事代行のAny+Timesなど、続々とサービスが生まれている状況だ。

ただ日本と米国では個人のライフスタイルや価値観、さらにはビジネスのルールなども違ったりする。シェアリングエコノミー関連サービスは続々登場しているが、はたして日本どういった成長を見せるのか。日本でサービスを展開するプレーヤーに聞いてみたい。

Uber Japan、ラクスル、akippaが登壇

イベントに登壇してくれるのはUber Japan執行役員社長の高橋正巳氏、ラクスル代表取締役の松本恭攝氏、akippa(2015年2月にギャラクシーエージェンシーから社名変更、サービス名も「あきっぱ!」から「akippa」に変更している)代表取締役社長の金谷元気氏の3人。オフラインイベントということもあり、ここだけ話もいろいろしてもらえると思う。

Uber Japanは米国サンフランシスコでスタートしたUberの日本法人。Uberはスマートフォンアプリ1つでタクシー・ハイヤーを配車してくれるサービスだ。米国では合計4.9億ドル超の型資金調達自動運転タクシーの研究といった取り組みが発表される一方、破壊的なイノベーションの代償かいくつかの課題も抱えるに至っている。日本ではサービス開始から約1年となるが、Uber Japanの高橋氏にはこれまでの手応えや日米でのサービスの差などについて聞いてみたい。

印刷の価格比較サービスとしてスタートしたラクスル。同社では現在、ユーザーの注文に応じてネットワーク化した印刷会社から最適な会社を選択、その印刷機の非稼働時間に印刷をすることで、安価に高品質な印刷物を提供している。ラクスルの松本氏には、サービス提供の経緯から印刷会社をネットワーク化するための仕組みやその苦労、さらには以前から語っている海外展開などについて聞いてみたい。

akippaは、駐車場を貸したい人と借りたい人をマッチングするサービス。あらかじめ駐車場を貸したい人が駐車場の情報や空き時間を登録しておけば、駐車場を検索して予約した上で、希望する時間に使用できるというもの。また、バレーパーキング(海外のホテルなどで駐車係にキーを渡すと、車を所定の駐車場に保管してくれ、また車が必要なときは車を持ってきてくれるサービス)を実現する「akippa plus」も展開している。akippaの金谷氏にもやはりサービス提供の経緯、そしてその手応えなどを聞いてみたいと思っている。

今回の会場は東京・渋谷の「TECH LAB PAAK」

なおこれまでのTechCrunch SchoolはTechCrunchのオフィスがある東京・末広町の3331 Arts Chiyodaで開催していたが、今回はリクルートホールディングスが東京・渋谷に開設したばかりの会員制スペース「TECH LAB PAAK」にて開催する。

こちらのTECH LAB PAAK、会員制であれば座席からWi-Fi、ドリンクまですべての設備を無料で利用できる。ただし会員になれるのは、「スペースを通じてみずからの持つスキルを深めたり、情報共有したりしたい」「技術やアルゴリズムの研究・開発に取り組んでおり、コラボレーションして発展させたい」といった思いを持つ個人やチームのみで、同社が定期的に開催する審査に通過する必要がある。リクルートホールディングスいわく「本気でテクノロジーで世界をよくしたいと思っている」「イノベーションを起こすスキルをもちながら、リソースが不足している」という人の応募を待っているとのこと。当日はそのあたりの話もRecruit Institute of Technology戦略統括室 室長の麻生要一氏から聞ける予定だ。

TechCrunch School #6
「日本でも成長をはじめたシェアリングエコノミー」
【開催日時】 2月19日(木) 18時半開場、19時開始
【会場】 東京・渋谷 TECH LAB PAAK地図
【定員】 80名程度
【参加費】 無料
【参加資格】 起業を志す、もしくはスタートアップに興味のある大〜中小企業の社員および、学生の方。スタートアップへの参画を希望する人材と出会いたいスタートアップの起業家、CxO、人事担当者
【ハッシュタグ】#tcschool
【主催】 AOLオンラインジャパン
【内容】
19:00〜19:05 TechCrunch Japan 挨拶
19:05〜20:05 パネルセッション「日本でも成長をはじめたシェアリングエコノミー」
パネリスト
髙橋正巳氏(Uber Japan 執行役員社長)
松本恭攝氏(ラクスル代表取締役)
金谷元気氏(akippa代表取締役)※2015年2月よりギャラクシーエージェンシーから社名変更
モデレーター
岩本有平(TechCrunch Japan編集記者)
20:05〜20:30 講演セッション「リクルートが考えるオープンイノベーションとその取り組みについて」
麻生要一氏(Recruit Institute of Technology戦略統括室 室長)
20:30〜22:00 懇親会(アルコール、軽食も出ます)
【申し込み】イベントページから事前登録必須
【事務局連絡先】tips@techcrunch.jp

タクシーよりUberのドライバーの方が勤務時間が少なく、報酬単価は高い(Uber調べ)

今日(米国時間1/22)、Uberが発表した調査レポートによれば、ドライバーがUberのパートナーとなる理由は主として勤務時間を自由に選べる柔軟性によるものだという。またUberのドライバーの受ける報酬は他の職業ドライバーの平均よりも高い。

この調査はUberがBenenson Strategy GroupエコノミストのAlan Kruegerの協力を求めて実施したもので、アメリカにおけるUberドライバーの属性と勤務実態について多くの詳細なデータが明らかにされている。

Uberの新任のポリシー及び戦略担当上級副社長David Plouffeは、われわれの電話インタビューに答えて、「Uberはアメリカのほとんどの大都市で重要な交通機関となっている。そこでわれわれはパートナーであるドライバーの属性、勤務実態について詳細を知ることが必要だと考えた」と述べた。

Uberがアメリカにおけるトップクラスの雇用主となるに連れ、その雇用実態には強い関心が向けられるようになっていた。

現在、Uberは16万人のアクティブな(月に4回以上運転する)ドライバーを擁しており、その数はさらに増加中だ。

新規ドライバーについては、2013年1月の新規契約ドライバーは1000人以下だったが、1年後の2014年1月には6000人となり、2014年6月に1万9000人、11月には3万2000人と急増している。2014年12月にはクリスマスと新年の休暇を控えて需要が急増し、アメリカにおける新規ドライバーの数は4万人に達した。

また新規ドライバーの定着率も高い。新規契約後1ヶ月で89%のドライバーがアクティブだった。半年後のアクティブ率は70%、1年後も半数以上のドライバーがアクティブだった。

またタクシー・ドライバーとは異なりUberのパートナー・ドライバーの大部分はパートタイムだ。トップ20地域の調査では、80%のドライバーの勤務時間が35時間以下だった。また半数のドライバーは週に1時間から15時間の勤務だった。これに対して80%のタクシー・ドライバーは週に35時間以上勤務している(アメリカ国勢調査のデータ

Uberのドライバーは勤務時間は短いが、報酬単価は高い。トップ20地域の統計では、Uberのドライバーは時間あたり19ドルの報酬を受けているのに対して、タクシー・ドライバーの賃金は時間あたり12.90ドルだ(労働省統計)。

レポートはUberのドライバーが受け取るのは賃金ではなく、自営業者に対する報酬であり、そこから燃料費、保険、減価償却費などが差し引かれることを指摘している。それでも、「税引き後報酬にかかるコストが毎時6ドル以下であれば、Uberのドライバーの方がタクシー・ドライバーより多く稼ぐことになる」とレポートは指摘している。

一方、Benenson Strategy Group(BSG)は、600人のドライバーから主観的な意見を集めた。それによるとドライバーがUberのパートナーになった理由で一番大きなものは、自分のスケジュールで働ける柔軟な勤務形態だと判明した。

Uberドライバーのうち過去に職業ドライバーとして勤務した経験があるのは49%で、51%はドライバーとして働いた経験がなかった。

契約ドライバーのうちフルタイムでUberを運転しているのは38%にとどまった。31%は別にフルタイムの仕事があり、余暇にUberを運転していると答えた。 30%はパートタイムでUberを運転する他に、別のパートタイムの勤務をしていると答えた。

「Uberの仕事としての魅力は、いつ、何時間勤務するかを完全に自分でコントロールできるところにある。われわれほどの規模でこのような柔軟な勤務形態を提供できている雇用主はないだろう」とPlouffeは言う。

Uberドラバーの19%は30歳以下だと判明した。タクシーの場合、30歳以下は9%で、44%が50歳以上だった。Uberの場合、50歳以上は24.5だ。

またUberのドライバーの半数近くが大学卒で、タクシー、ハイヤーのドライバーの18%よりずっと高い率だ。

Uberの女性ドライバーは14%弱だが、それでもタクシーの8%に比べると女性率が有意に高い。

Plouffeは「Uberのドライバーはアメリカ社会の断面をそのまま映している。この多様性は社会全体がUberに対して可能性を見出していることを示すものだ」と述べた。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+


Uberの最大のライバルはSoftBankだった―アジア各地でタクシーアプリに大型投資

アメリカ在住の読者なら、Uberの最大のライバルはLyftとと考えるだろう。Lyftはアメリカの多くの都市でUberとサービスを激しく競い合っており、両社の戦術にはいかがわしいもの少なくない。しかし、意外にも、Uberにとってもっとも手強いライバルがアジアから現れた。さらに驚きなのはその相手が日本の巨大テレコム企業だという点だ。

2014年10月に2億1000万ドルをインドのOlaに投資するまで、SoftBankはスマートタクシー・ビジネスにはまったく関係していなかった。この投資はインドのスタートアップに総額100億ドルを投資するというSoftBankの一大プロジェクトの最初の例として発表された。

なるほどUberのライバルになり得るスマートタクシーへの最初の大型投資ではあったものの、OlaはSoftBankが投資した他の多くのインドのスタートアップの一つにすぎないと見られていた。

しかし、SoftBankの投資はOlaにとどまらず、東南アジアでは2億5000万ドルをGrabTaxiに、 さらに先週は6億ドルを中国のKuadi Dache〔快的打車、Quick Taxi〕に投資した。

これらのSoftBankAsiaの投資先はすべてUber的なスマートフォンを利用したタクシー配車サービスを運営している。SoftBankはこうした事業のアジア外への展開を狙っているに違いない。
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一方、Alibabaは2014年4月にアメリカでLyftへの2億5000万ドルの投資ラウンドを

リードした。Lyftによれば、この資金は「国際展開のために用いられる」とされた。当時、Alibabaがなぜアメリカのタクシーアプリのスタートアップに投資するのか、いささか奇妙なものと見られた。もっともAlibabaはアメリカでチャットアプリのTangoなど多数のスタートアップに投資しておりそうした北米市場進出の一環だろうと考えられた。

しかし、SoftBankとAlibabaは長く密接な関係を保っている。SoftBankがAlibabaへの最初期の投資家であることはよく知られている。しかも両社ともKuadi Dache(快的打車)に出資しているのだ。もしかするとSoftBankのタクシーアプリ戦略にはLyftも含まれることになるのかもしれない。今後SoftBankはLyftに直接に出資するか、あるいはAlibabaを通じて情報や戦略の共有を行い、タクシーアプリに関するSoftBankアライアンスの一環に組み込むことになるかもしれない。

ではSoftBankがこれほど大々的にタクシーアプリに進出しようとするその理由は何だろう?

大きな理由の一つは、SoftBankがアジアを中心とする新興のeコマース市場に進出しようとしているからだ。たとえば昨年はインドネシアのTokopediaに1億ドルを出資している。またインドのSnapdealの6億2700万ドルのラウンドにも参加しており、同じくインドのHousing.comも支援している。

SoftBankがこうした出資先を何らかの形でひとつのネットワークにまとめようとしていることは容易に想像される。その方式はアプリの統合かもしれないし、ゆるいアライアンスのような形になるかもしれない。あるいは情報やマーケティング戦術の共有などのなるかもしれない。

オンデマンド運輸が秘める巨大な影響力を考えれば、タクシーアプリを投資先に加えることは極めて重要だ。

オンデマンド運輸が秘める巨大な影響力を考えれば、タクシーアプリを投資先に加えることは極めて重要だ。

まず、タクシーアプリは何百万という人々が移動のために日々利用する。第二に、タクシーアプリを核とするオンデマンド交通システムはあらゆる種類のオフライン・サービスから利用される物流ネットワークのプラットフォームとなり得る。 たとえば、Uberのロジスティクス分野での可能性を考えてみるとよい

Andreessen HorowitzのBenedict Evansが的確に指摘したように、モバイル・アプリが将来も繁栄を続けるという保証はない。しかしモバイルの将来がアプリ・ベースになろうとウェブ・ベースになろうと、SoftBankはeコマースとオンデマンド交通のようなサービスの間には強力なシナジーが存在すると確信しているに違いない。このシナジーを具体化するもっとも手近な第一歩として選ばれたのがタクシーアプリなのだろう。

昨年Uberは25億ドルの資金を集めた。しかしSoftBankは時価総額は700億ドル(それでも孫正義CEOは「低すぎる額」と考えている)という巨人だ。SoftBankが参戦したとなれば、Uberは近々また資金調達を行う必要があるかもしれない。

SoftBankはこの件に関するわれわれの取材を断った。しかし広報担当者は、SoftBankが「世界各地で投資しているインターネット企業間のシナジーを最大化するよう努力している」ことを確認した。

また、「当面OlaとGrabTaxiの間で提携が行われる予定はない。しかしSoftBankは将来何らかのシナジーがあることを期待している」と付け加えた。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+


LINEからタクシーが呼べるようになった、黒船Uberを追い払うか

日本上陸時に「黒船」とも言われたUberに強力な対抗馬が現れた。LINEとタクシー大手の日本交通が提携し、1月6日に東京限定でタクシー配車サービス「LINE TAXI」を開始した。サービスの仕組みはUberとほぼ変わらないが、大きな違いはLINE TAXIが外部アプリをインストールせずに使えること。利用するにはLINE Payでのクレジットカード情報の登録が必須だが、カード情報を登録するのはUberも同じ。わざわざ別のアプリを探す手間が省けるのは、利用のハードルが下がりそうだ。

LINE TAXIは、LINEアプリ上からGPS情報もしくは手入力で乗車位置を指定すればタクシーを呼び出せる。配車までの待ち時間はLINE TAXIの地図上に表示される。支払いはLINEの決済サービス「LINE Pay」で事前に登録したクレジットカードで自動精算されるため、降車時に現金の決済が不要となっている。

東京限定のサービスでは、日本交通が手がける全国タクシー配車アプリを導入している都内3340台のタクシーが配車対象。まずは東京23区内、三鷹市、武蔵野市でスタートし、近日中に全国展開する予定だ。全国展開時には、全国タクシー配車アプリを採用する全国約2万3000台のタクシーを呼び出せるようになる。

日本交通の全国タクシー配車アプリは2011年12月に公開され、2014年12月時点のダウンロード数は150万件。アプリ経由の配車台数は200万台、売り上げは50億円を突破している。日本交通は、LINE TAXIを通じて自社および提携先が保有するタクシーの利用拡大につながるのがメリットと言えそうだ。LINEは、日本交通からLINE Payの決済手数料(料率非開示)を徴収する。

世界のタクシー業界で旋風を巻き起こしているUberだが、国内のサービス圏はいまだ都内のみにとどまっている。日本においては、国内5400万ユーザーを抱えるLINEの配車サービス参入が脅威になるかもしれない。