READYFORと広島県呉市が「Readyfor ふるさと納税」にて起業家支援プロジェクトを開始

READYFORは2月4日、自治体向けクラウドファンディング「Readyfor ふるさと納税」にて、広島県呉市の3件のプロジェクトを開始することを発表した。今回のプロジェクトはすべて「ふるさと起業家支援プロジェクト」となる。これは2018年4月1日に総務省が立ち上げたプロジェクトで、自治体が地域の起業家を支援するとともに、地域外から資金を調達することによって、それぞれの地域の産業を持続的に振興させ、経済循環を促すことを目的とするもの。

広島県では「さとやまよ、甦れ!広島に眠る廃校をみんなの居場所に再生しよう」というプロジェクトが3800万円以上の資金を集めるなど、これまで97件のプロジェクトがクラウドファンディングを活用している。READYFORは今回のプロジェクト開始を通じて、広島県での「想いの乗ったお金の流れを増やす」取り組みをさらに進めて行くという。

クラウドファンディングで支援できるプロジェクトの概要は以下のとおり。3件ともAll-in/寄附型の投資となる。

1.広島県呉市で、竹チップを活用した新たな事業を生み出したい!
実行者:中原佑介(TEGO代表)
目標金額:300万円
公開期間:2019年3月22日(金)23時まで
資金使途:竹粉砕機購入費用
概要:放置竹林や牡蠣筏の竹を使って竹チップを作り、レモン農家の方々に除草剤の代替として竹チップを活用いただくことで、広島県の2大産業である「牡蠣」「レモン」産業を繋げる役割となる

2.地元の呉にUターン。高齢者・障がい者も住み良い街に!
実行者:長谷信行(えん代表)
目標金額:100万円
公開期間:2019年3月22日(金)23時まで
資金使途:事務所改装費
概要:介護タクシー事業に加えて新たに訪問介護事業を開始するために事務所を改装し、スタッフも増やすことで呉市の福祉事業に貢献する

3.呉を創業で溢れる街に!賑わいをつくるチャレンジ応援拠点を!
実行者:下野隆司(NPO法人SYL理事長)
目標金額:300万円
公開期間:2019年2月6日(水)〜3月22日(金)23時
資金使途:空調機器・厨房機器購入費、大工・電気工事費
概要:呉市に誰もが気軽に短期間でも使えるイベントスペース兼創業者向けのレンタルスペースをつくる

基礎研究をVC×クラウドファンディングで支援、Beyond Nextがアカデミストと業務資本提携

日本人がノーベル賞を受賞する度に、「日本では基礎研究が軽視されているのではないか」という話が挙がる。歴代の受賞者も講演や会見でこぞって基礎研究の重要性を訴えてきた。2018年にノーベル生理学・医学賞を受賞した本庶佑氏も受賞発表後、国やメディアなどに幾度も基礎研究への投資を訴える発言を行っている。

こうした基礎研究への支援を、VCとして行おうという取り組みが日本でも現れた。独立系アクセラレーターのBeyond Next Venturesは1月29日、学術系クラウドファンディングサービスを運営するアカデミストと業務資本提携を行い、両社共同で大学などの基礎研究を支援していくことを明らかにした

「このままでは30年先のシーズが育たない」基礎研究軽視への危機感

Beyond Next Venturesは、大学や研究機関発の技術シーズの事業化支援や投資、成長支援に関しては、日本でも有数の経験・実績を持つアクセラレーターだ。2014年8月の創業以来、同社の基幹ファンドであるBNV 1号ファンド2号ファンドを通じて、大学/研究機関発の技術系スタートアップや医療・ライフサイエンス領域のスタートアップの支援を行ってきた。

アクセラレーションプログラム「BRAVE」では、実用化・事業化を目指す技術シーズに対して、知識やノウハウ、人的ネットワークを提供。2019年2月には、東京・日本橋にシェア型ウェットラボ「Beyond BioLAB TOKYO」の開設も予定しており、技術系スタートアップに対して、成長資金だけでなく、環境も含めたさまざまな形での支援を行っている。

また、早稲田大学の公式ファンド運営東海地区5大学の公認ファンド運営にも携わることが決まっている。

アカデミア発スタートアップへの多くの支援を通じて、技術シーズ(種)が生まれる環境をよく知るBeyond Next Ventures。代表取締役社長の伊藤毅氏は、だからこそ基礎研究が軽視されることへの危機感を持つ。

伊藤氏は「最近では大学ファンドなどの大学発スタートアップへの支援、投資も増えている。国の政策的にも大学の先生がビジネスに取り組むことを推奨する環境にある。一方でノーベル賞を受賞するような研究は、すぐに事業化につながるものではない。非常に長い時間をかけて結果がようやく出るものだ」と語り、すぐに実用化ができる技術や研究に資金が偏る現状に、警鐘を鳴らす。

「大学の研究資金でも、国主導の採択プロジェクトでも、アカデミアにビジネスを促す傾向にある。世の中全体が『研究したいならビジネスを先行させよう』という空気になっている。それで、本来なら20年、30年かけて地道に基礎研究するはずだった研究者が、短期成果を目指すことになっている。研究開発に時間を割くべき人がビジネスに時間を取られて、本来やるべきことのための時間がなくなっている」(伊藤氏)

ノーベル賞を受賞した本庶氏の例でいえば、免疫を抑制するタンパク質「PD-1」を1992年に発見したことからはじまる基礎研究が、免疫チェックポイント阻害薬によるがん治療の確立につながっており、今回の受賞対象となった一連の研究には20年以上がかかっている。しかもそれ以前にも本庶氏は、免疫抗体の仕組みについて地道に研究を進め、重要な発見をしているのだ。

基礎研究が軽視されることは「20年30年先のシーズが育たないことにつながる」と伊藤氏は危惧する。こうしてBeyond Next Venturesでは、これまでの技術シーズの事業化支援に加え、長期的視点で基礎研究を支援したいと考え、アカデミストとの連携を決めた。

クラウドファンディングで基礎研究資金を支援

アカデミストが運営する「academist」は、研究費支援のためのクラウドファンディングサービスだ。2014年、研究者が研究アイデアを幅広く伝えることで、研究活動の自由度を広げることを目指して公開された。

今回の提携では、Beyond Next Venturesは基礎研究に対し、academistのプラットフォームを利用して、プロジェクト化してクラウドファンディングに拠出することで、短期的な成果を目的としない支援を行う。研究原資のうちの一部をBeyond Next Venturesが拠出し、残りを賛同するほかの出資者が支援することで、プロジェクトを成立しやすくする。

Beyond Next Venturesからの出資金額は公開されていないが、ファンドとしての投資ではなく会社から出資する形を取る。基礎研究支援事業の第1弾では、大学などから5名程度の若手基礎研究者を募り、研究資金の提供を行う予定だ。

研究の対象領域は定めていないとのこと。伊藤氏は「極論すれば理系でなく、文系でもよい。若手で、やりたいことがあるのに権限がないために研究費などが確保できず、困っている研究者。そしてパッションを持って自分のやりたい研究を突き進められる人を選びたい」と話している。

伊藤氏は「日本のアカデミアの基礎研究力の低下は懸案となっているところ。人口が圧倒的に多いインドや中国では研究者も増える中で、相対的にも日本の研究者の数は減っていく。また労働人口の減少や高齢化、医療費増大などにより、国の財源確保も難しくなる中、研究費の確保も難しくなっていく一方」と研究者を取り巻く環境について説明する。

「国のほかに基礎研究を支援する機関はあるか、といったら、それは民間だ。大企業であっても、基礎研究が衰退すれば、自分たちのビジネスの種はいずれ枯渇する」と伊藤氏は危機感を表す。

Beyond Next VenturesではVCファンドを運営し、アカデミアの技術を世に出すことを事業としているものの、伊藤氏は「基礎研究も大切なことは事実。バランスを取りながら出資していきたい」としている。また「我々が基礎研究支援の取り組みを進めるとアピールすることで、基礎研究支援を手がける仲間を増やしたい」とも話していた。

JALが80億円規模のCVC設立、「世界中のヒト・モノ・コトの距離を縮める」

日本航空(JAL)は1月24日、約80億円規模のファンド「Japan Airlines Innovation Fund」を設立し、国内外のスタートアップへの投資を開始すると発表した。運用期間は10年間。案件発掘、投資実行、投資後の支援は米カリフォルニアを本拠地とするTransLink Capitalが行う。

JALは2018年2月に発表した中期経営計画において、注力分野としてフルサービスキャリアとしての航空事業の磨き上げ、新規事業の創出、イノベーション創出のための基盤づくりの3つを注力分野として挙げていた。そして、JALがその目標を達成するための手段の1つとして選んだのがスタートアップ投資だ。

CVCを通したスタートアップ投資により、JALは今後、物理的な人の移動を代替する新たな手段・体験の提供や、旅行などの生活シーンに新たな付加価値を提供することなどを通して事業領域を広げていくという。

ABCテレビ、空前の大型ハイテク詐欺、Theranosの栄光と転落を放映へ

Theranosは一滴の血液から数多くの病気の検査ができるテクノロジーを開発したとしてアメリカでもっとも有名なスタートアップに急成長した。しかしその内実は大掛かりな詐欺だったという。

これについてはTechCrunchも何度も報じてきた。なかでも決定的だったのはピューリッツァー賞を2度受賞している調査報道のベテラン、ジョン・カレイルー記者がTheranosの内実を暴いた経緯をBad Bloodという大部のノンフィクションにまとめたことだろう。

このほど、ABCテレビのニュースショー、 NightlineがTheranosとファウンダーのエリザベス・ホームズ、二人三脚で会社を運営したサニー・バルワニについてのドキュメンタリーを製作した。同時に6回連続のポッドキャストの1回目が公開された(毎週水曜日に順次公開される予定)。

Nightlineの特集、ポッドキャストの製作者でABCのビジネス、テクノロジー、経済担当主任、Rebecca Jarvisはこの3年間、Theranos問題を精力的に調査してきた。ファウンダーのエリザベス・ホームズはホームズはスタンフォード大学のドロップアウトで、いっときみずから資産を築いた最年少の女性ビリオネとなった。スティーブ・ジョブズの再来とも称賛された。しかしすべては徐々に崩壊していった。

TechCrunchはRebecca Jarvis (RJ)にインタビューすることができた(読みやすくするために若干の編集を加えてある)ABCの番組のオンエア日程はまだ公開されていないが予告編はこちらで公開されている。

TC: あなたはこの3年間、Theranos問題を深く掘り下げてきたわけだが、いちばん責任があるのは誰だと思うか? ホームズだろうか、バルワニにだろうか? ジョン・カレイルーの本ではバルワニは強欲な催眠術師として描かれている。

RJ: これまでわれわれは主として公開ずみの情報に頼らざるを得なかった。しかしインタビューの多くはホームズを擁護しようとする環境だったり、テクノロジーについて直接尋ねることを避けていた。しかし何百時間分もの宣誓供述のビデオや録音が公開され、詳しくチェックすることができるようになった。ホームズはこれまで答えることを避けてきた質問に答えざるを得なくなっていた。

タイラー・シュルツ(シュルツ元国務長官の孫でTheranosの社員、後に内部告発者)が述べているとおり、タイラーはホームズとバルワニに会社運営に疑念を抱いいた。しかしホームズはこれを無視し、サニーは腕力係としてタイラーに「自分の身に気をつけろ」と脅してこの問題を追求させないようにした。

TC: 2人は長年恋人関係にあったといいうことだが、本人たちも認めていたのか?

RJ: イェス。この番組では2人がロマンティックな関係にあったことを認める供述をしているのが見られる。

TC: 多数の供述に目を通してきたと思うが、いちばんショッキングだったのはどういう部分だったろうか?

RJ: 「Theranosの分析装置は病院、救急ヘリ、その他さまざまな医療施設で利用されている」とホームズが繰り返した述べていたことは多くの人々が証言している。ところが今回明らかになった宣誓供述では、その答えは一貫してノーだった。Theranosの装置は使われていなかった。【略】一滴の血液で診断ができるというのは願望であり現実ではなかった。誰がも知るとおり、願望と現実の間のギャップは深い。

TC: 司法省は2人を昨年6月に刑事訴追したが、ドキュメンタリーではこれも扱っているのか?

RJ: 2人とも司法省の訴追に対して無罪を主張している。ホームズのSECとの和解には「不法行為に関して認諾するものではない」という条項が入っていた。Balwaniは依然SECと争っている。いずれにせよ2人とも司法省の訴追に対して法廷で対決せざるを得ない。現在の政府の部分閉鎖で手続きは遅れている。

【略】

TC: ホームズには人格障害があったと思うか?

RJ:精神医ではないのでそれに答えられる資格はないが、ホームズをよく知る人々は「ソシオパス」という言葉を使っていた。

ホームズ家の友人で子供の頃のエリザベスを知る人々は「非常に早熟だった」という印象を語っている。「ぜがひでも成功する」と考えるようになったのは家族の歴史が関係があったと考える人々もいる。ある種の「失楽園」の物語だ。ホームズ家はイースト酵母で巨富を築いたチャールズ・フライシュマンの子孫だ。世代を重ねるに従って資産は失われ、父親のクリスチャン・ホームズの代に至る。これがエリザベスの性格に影響を与えたと考える人は多い。

TC: 調査の期間中、身の安全に不安を感じることはなかったか? ホームズは自分に都合の悪い人間を繰り返し脅迫したことで知られている。

RJ: それは別に感じなかった。われわれは何度もTheranosを訪れててはそのつど追い返されたのは事実だ。栄光の時代から転落に至る時代のすべてについてTheranosで働いていた経験のある人々にインタビューできた。ある証言者の女性は友達の家に転がり込んで数日ソファーで眠った。この住所は母親にも告げなかったのに法的文書が送達された。そのため彼女は「尾行されている」と確信したという。

【略】

TC: Theranosには著名人を含む大勢の人々が投資した。こうした投資家に同情を感じるか? 投資にあたってはデューデリジェンスの必要性が強調されてきたが、投資家はなぜやすやすと騙されることになったのだろう?

RJ: 残念ながらアーリー・ステージのスタートアップへの投資ではあまり詳細なデューデリジェンスは行われないのが普通だ。番組では200人の投資家の代理人を務める弁護士にインタビューしている。この人物は(投資詐欺で服役中の)バーニー・マドフを訴えた原告の弁護人をしたこともある。彼によれば、どちらも「社会的親近感を利用した詐欺」だという。尊敬すべき社会的サークルに属していれば投資しても安心だと思いこんでしまう。(アムウェイ創業家の財産を継ぐ)ベッツィ・デヴォスもメディア王のルパート・マードックも巻き込まれた。プロフットボールのニューイングランド・ペイトリオッツのオーナー、ロバート、クラフト、ウォルマートのウォルトン一族もだ。しかし損失を被った投資家はそうしたビッグネームばかりではない。企業幹部の元秘書は「これが次のAppleになる」という情報を聞いて退職後の資産の大部分を投資し、すっかり失ってしまたという。

(名門ベンチャー・キャピタリスト、DFJの共同ファウンダー) ティム・ドレイパーはホームズがスタンフォードからドロップアウトした直後に100万ドルを投資した。これがホームズが調達した最初の資金だった。ドレイパーの娘、ジェシーがエリザベスの友人だったからだという。しか2011年に著名人を集めた取締役会を組織できたのはスタンフォードの工学部長だったチャニング・ロバートソンの支援を取り付けたからだ。ロバートソンは非常に尊敬されている教授だったので取締役会に加わったことがホームズへの信頼性を大きく高めることになった。しかしスタンフォードの教授の多くは 学部で2年に満たない教育しか受けていない学生が革命的な医療機器をどうやって開発できたのか不審に感じていた。

(日本版)Uberの最初期の投資家として知られるVC、ジェイソン・カラカニスは著書、エンジェル投資家でTheranosへの投資を断ったことについて触れ「医療のような困難な分野で19歳のドロップアウトが革命を起こせると思うのが間違っている」と厳しく批判している。

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滑川海彦@Facebook Google+

SonyのVC部門がジオコーディングのスタートアップwhat3wordsに投資

Sonyのベンチャーキャピタル部門が、what3wordsに投資した。世界全体を57兆個の3メートル四方の区画に分割して、そのそれぞれにアドレスとして三つの語を割り当てるサービスだ。

投資の金額等は、明らかにされていない。

この新奇なアドレシングシステムだけが関心の的ではない。what3wordsを音声アシスタントに統合することが、Sonyなどの関心と投資を喚(よ)んでいるのだ。

Sony CorporationのSVP Toshimoto Mitomoが、声明文の中でこう言っている: “what3wordsは、音声で正確な位置を機械に入力するという重要な問題を解決した。音声で操作するシステムが急増しているので、すべてのデジタルプラットホームとチャネルで使えるシンプルな地理符号化方式(geocoder*)が必要になっている。それは、書き表すのも話すのも容易でなければならない”。〔*: geocoder, Wikipedia記事

昨年、Daimlerはwhat3wordsの株式の10%を取得し、その前の2017年にはこのアドレシングシステムを、Mercedesのインフォテイメントとナビゲーションシステムに統合すると発表した。そのシステムはMercedes-Benz User Experience、略してMBUXと呼ばれ、Mercedes A-ClassとB-Class、および商用車Sprinterに搭載されている。これらの車のオーナーは、インフォテイメントシステムに三つの語を言うかタイプするだけで目的地に正確にナビできる。

また、TomTomやライドシェアのCabifyは最近、ナビにwhat3wordsを利用する計画を発表した。

ユーザー企業は今後もっと増えるだろう。what3wordsはSonyからの投資を、自動車業界向けのさまざまな応用技術に投じたい、と言っている。

画像クレジット: what3words

参考記事: ソニー、住所革命のwhat3wordsに出資 地球上を57兆分割し3単語で表現

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

シリコンバレーがヨーロッパに投資するトレンドが持続、SequoiaがメールセキュリティのTessianに$40Mのラウンドをリード

ここロンドンのVCが言っている、今もずっと続いているトレンドとは、ヨーロッパにおける投資の増大傾向が、シリコンバレーの上位VCたちの関心を喚んでいることだ。たとえば最近の例では、メールのセキュリティを提供するTessianが、池の向こう岸から資金を調達した。〔池==大西洋〕

ロンドンに拠を置くTessianは、Sequoia CapitalがリードするシリーズBのラウンドで4000万ドルを調達した、と言われる。発表は数週間以内に行われると思われるが、この複数の情報筋からの情報に対して現時点のTessianはコメントを拒否している。

インペリアルカレッジを卒業したエンジニア三名(Tim Sadler, Tom Adams, Ed Bishop)が2013年に創業した同社は、機械学習を利用してメールのセキュリティを改善する。そのシステムは企業顧客のメールシステムを監視して、そのメールネットワークを分析し、送信メールの正常と異常を見分ける。

そしてTessianは、宛先が間違っているのではないか、おかしなことをしている社員がいるぞ、などの警告を送信の前にユーザーに与える。最近では来信の分析も開始し、フィッシングや変造メールを検出する。

Tessianは最初、CheckRecipient(宛先をチェック)という名前だった。これまではわずか7か月前に、シリーズAで1300万ドルを調達している。このときのラウンドは、ロンドンのBalderton Capitalがリードした。同社には、Accel, Amadeus Capital Partners, Crane, LocalGlobe, Winton Ventures, Walking Venturesなども投資している

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

原価管理自動化サービス「GenKan」が500 Startups Japan から資金調達

製造業向け原価管理自動化サービス「GenKan」(ゲンカン)を提供するKOSKA(コスカ)は1月16日、500 Startups Japanより3000万円のシード資金調達を発表した。

写真後列左から、500 Startups Japanマネージングパートナー澤山 陽平氏、KOSKAの樋口 海COO、KOSKAの曽根健一朗CEO 、KOSKAの大森 友寛CTO、KOSKAの森山 和樹CPO、500 Startups Japan代表兼マネージングパートナーのジェームス・リニー氏

「GenKan」は、原価計算で手間のかかる実績データの取得、実際原価計算と分析を自動で行うサービス。データは、既存の生産・製造設備にセンサーやカメラを装着、もしくは既存のIoT機器で取得されているものを利用するため、初期導入コストを抑えられるのが特徴だ。

2019年2月にβ版をリリース予定

2019年2月にβ版リリース予定で、日本原価計算研究学会常任理事で前会⻑の一橋大学の尾畑裕教授からアルゴリズムについてサポートを受けながら開発中とのこと。現在は、自動車用の熱交換器パイプや板金部品の製造を得意とする武州工業、カーステレオなどの車載機器の製造を得意とする丸和電子化学と協力して実証実験を進めている最中だ。

500 Startups Japanマネージングパートナー澤山氏によると、KOSKAのCEOである曽根氏との出会いは、ある上場企業のデータ分析プロジェクトの協力者をTwitterで募ったときだったとのこと。当時の曽根氏は、500 Startups Japanの投資先のひとつであるhokanのエンジニアだったが、その後にGenKanの構想を聞いて投資を決めたそうだ。

同社は今回の資金調達で、システムの開発の強化を図るとのこと。

American Expressが日本のレストラン予約サービスPocket Conciergeを買収

American Express(‘アメックス’)が日本で買収を行い、レストラン予約サービスPocket Conciergeを手に入れた。その価額は公表されていない。

買収は日本語で発表され、日本で最初の投資先としてPocket Concierge等を選んだ500 Startups JapanのトップJames Rineyによる英語の発表記事もある。

2013年にローンチしたこのサービスは、ミシュラン星付きや数か月の予約待ちとなるような特別のレストランのみを対象とする。今では800店のレストランを扱い、日本語と英語と中国語で利用できる。コンペティターはOpenTableや、日本のTableAllなどだ。

American Expressによると、Pocket Conciergeは完全子会社として操業を続ける。そして、同社のカード会員サービスとの統合も計画している。

Pocket Conciergeを経営しているPocket Menuは、シードラウンドで60万ドルを調達した。投資家は、500 Startupsおよびその他大勢だ。さらにその後額面非公開のシリーズAやそのほかの投資も、ものにしてきた。ファウンダーのKei Tokado(戸門慶)はシェフ出身で、2015年には協同ファウンダーでCFOのTatsuro Koyama(小山達郎)が加わった。

Rineyはこう書いている: “日本で始めたときは、日本における、国境をまたぐM&Aについて話をしていた。外国企業が日本の企業を買収する形は、この国で価値を解き放つ有効な方法である。しかし疑う人が多いのも当然であり、したがって数も少ない。Pocket Conciergeは、それができることを実証しただけでなく、世界でもっともよく尊敬されている企業群を事業運営のホームグラウンドにしている”。

American Expressは昨年、トラベルアシスタントMeziイギリスのフィンテックCakeなども買収している。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

世界のベンチャーキャピタルで寡占化が進んでいる――1億ドル以上の超巨大ファンドが主力に

【編集部】この記事はJason Rowleyが寄稿した。JasonはCrunchbase News記者でテクノロジー投資をカバーしている。

2018年のベンチャーキャピタル業界はスーパージャイアントが主役だった。Crunchbaseが記録した昨年のベンチャー投資は件数、金額ともにドットコムバブルの絶頂期さえ上回った。

詳しくはCrunchbase Newsの グローバルVCレポート:Q4と各国の情勢を見ていただきたいが、1年間に投資件数は32%、 額(推計)も55%アップしている。 2018にCrunchbaseが記録した投資額のトータルは3000億ドルだった。実施されたラウンドはエンジェル段階から株式上場を視野に入れた後期までスタートアップのライフサイクルのあらゆる段階をカバーしている。これには2018中に実行されたと推定されるものの公表されていない案件、Crunchbaseには今後記録される予定の案件などが含まれている(上記Crunchbaseレポートの末尾にデータが添付してある)。

2018年のマーケットの拡大は巨大テクノロジー・スタートアップが数十億ドル級の大型ラウンドを実施たことによる上げ潮はなのか、同じ比喩を使うなら、逆に上げ潮ではすべての船が浮かぶという現象なのか? そこで案件ごとの投資額、対象企業の規模を検討することが重要になる。

世界のVC資金の流れは明らかに1億ドル以上の投資案件に向かっている。下のグラフは総投資額に占めるスーパージャイアント案件と1億ドル未満の案件の比率を経年で示したものだ。

 

昨年は総投資額の56%以上がスーパージャイアント・ラウンドに向かっていた。時間とともに集中の傾向は強まり、金額の61%は第4四半期に集中ししている。.

ビッグマネーの存在感が拡大

暦年の2018年は大型投資への集中がもっとも高まった年だった。下のグラフは世界のベンチャー投資市場における小規模(1億ドル未満)の案件が占める金額の割合を示したものだ。上のグラフの下側部分と同じデータだが、こちらは過去10年間の推移を示している。

2018年はこの10年で(おそらくは史上)初めて1億ドル以上のスーパージャイアント投資ラウンドが全投資額の半分以上を占めたことが分かる。

ある意味これは予想されたことだ。Ant Financialが史上最大のベンチャーラウンド シリーズCで140億ドルという天文学的金額のファンドを組成したことでも分かる。巨大ファンドは巨大投資を生む。昨年は100億ドル級ファンドの年だった。SoftBank他テクノロジー投資家、スタートアップCEOの資産も(少なくとも紙の上では)スーパージャイアント級になった。これは小型ファンドや小型のラウンドを必要とする起業家にとって良いことなのか?

2018年に、シード投資、初期段階のスタートアップへの投資は金額ベースでも件数ベースでも増加している。繰り返しになるが、これは上げ潮ですべてが上に動く現象の一例だろう。本当の質問は、ベンチャー投資バブルが破裂したとき、スーパージャイアントと普通サイズのどちらがより深刻な被害を受けるだろうか、という点だ。この点については答えが出ていない。

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滑川海彦@Facebook Google+

サイバーエージェントの「藤田ファンド」が復活、投資1号案件はタイミー

サイバーエージェントは、2014年秋に凍結していた「藤田ファンド」を再開し、再開後の投資1号案件としてタイミーへの出資を発表した。具体的には、2018年12月28日にタイミーの第三者割当増資の引受を行った。出資額は非公開。今回は純投資を目的にしており、両社の連携については現時点では未定とのこと。

「藤田ファンド」とは、2013年10月にサイバーエージェント本体内に設置した投資事業本部で、同社代表取締役社長である藤田晋氏が自ら手がける投資。これまで、ウォンテッドリーやクラウドワークス、BASEなどへ投資していた。「藤田ファンド」の方針は経営者の魅力を重視した投資。今後はインターネット業界を中心にアーリーからミドルステージの企業へ投資し、若手経営者の応援とインターネット業界の発展を目指していくとのこと。

タイミーは、日本初のワークシェアサービスを展開するスタートアップ。同サービスを利用することで、ユーザーは面接などの事前交渉が不要でスキマ時間にすぐに働けるのが特徴だ。店舗側では、繁忙期にフレキシブルに人員を増やせるというメリットがある。タイミーは、TechCrunch Tokyo 2018のスタートアップバトルのファイナリストでもある。

プライベートエクイティのバイアウトは有力なエグジット選択肢になった

【編集部注】著者Ajay ChopraはPinnacle Systemsを在宅で共同設立し、数十億ドル規模の株式会社に育てた。その後Trinity Venturesのベンチャーキャピタリストになった。

約13年前、私は悩ましい判断を迫られた。私の会社Pinnacle Systemsをプライベートエクイティ(PE)に売却するか、それとも他の大きな株式会社に売るか、というものだ。どちらも私の従業員を大事に扱ってくれるように感じた(確実にそうなるよう、私はかなりハードに交渉した)。そしてどちらもNASDAQでの株価よりもずいぶん高い額を提示してくれた。

初めての子どものように感じていた会社をリビングルームで育て、公開企業へとはぐくみ、私は次のステップに進む準備ができていた。私は最終的に戦略的売却を選択したが、すでにPE企業とテック企業のエグジット分野で興っていた原動力によって関心の的となったプロセスを経なければならなかった。

昔は、PEへの売却というと往々にして汚名を伴った。いい取引条件であっても、私はそのように感じた。加えて、PEへのエグジットは、しっかりとした年間売上と利益を伴っている企業のみが利用でき、これによりスタートアップがこうしたエグジットをとるというのはほとんどできなかった。今日では、PEのバイアウトは、確固たる(たまに素晴らしい)エグジットルートを提供する。また、ありふれたものになりつつあり、2017年にVCがサポートしたエグジットは18.5%にのぼった。

PE会社は幅広いテクノロジー企業に投資している。ここには、極めて評価額の高いユニコーンも含まれ、また、数年前ならPEの関心を引くことはなかったアーリー〜ミッドステージの収益をあげている会社、あげていない会社も含まれる。

さらには、ベンチャーキャピタルとPEの間にひかれていた線もぼやけつつあり、PEはどちらかというとテック企業に、レートステージVCは数十億ドル規模でレートステージにしぼった投資を展開している。ラインがぼやけるにつれ、いくつかのレートステージVCは、戦略的にPEに関係しているスタートアップに関心を示している。最近、我々のポートフォリオにある企業の一つがレートステージVCから投資を受けた。このVCは既存の株主に流動資産を提供し、また会社に投資することで過半数株を取得した。こうした手法は概してPEのバイアウトでみられる。

テック部門におけるPEのバイアウトの高まりは、ほとんどのスタートアップが最終的にIPOはしないという現実を考えた時、創業者にとって実行可能なエグジット選択肢となる(PitchBookによると、過去10年において最終的に株式公開したベンチャー企業は3%のみだった)。

IPOが現実的な長期的選択肢でない場合、残された主なエグジットオプションは通常、他企業への売却となる。しかしながら、過去数年、PEは非公開企業を積極的に買収している。ときどき、かなりの額、あるいは戦略的買収者よりも高い値段で入札している。私のポートフォリオにある一社の場合、PEが戦略的買収者に次いで高い入札額を示し、これにより入札過程において戦略的買収者からの最終価格が引き上がった。

戦略的買収者と交渉する創業者は、最良の結果を引き出すために、PEと接触すべきだ。Silver LakeFrancisco PartnersThoma Bravo、そしてVistaはテクノロジーにフォーカスしているところで、ほかにPitchBookの年次レポートにもいくつかある。中でもVistaはかなり活発に展開していて、InfobloxやLithium、Marketoなどを含む多くのテック企業を買収している。すべてのVCや戦略的買収者が同じではないように、すべてのPEも同じではない。

数年前、PEのバイアウトは通常大きなディールのみだったとき、すでに成功している企業の強みを持ち込もうと、新たなマネジメントチームがほぼ毎回送り込まれていた。今日では、それぞれのPE会社が独自の戦略を持っているー大規模で利益をあげている企業しか買収しなかったり、また中規模の買収にフォーカスしていたり、またはアーリーステージ企業(通常利益をあげていない)のみ買収するというところもある。これにより我々は次の展開ができる。

アーリーステージのスタートアップで、事業がうまくいっていなくてもPEエグジットを模索できる

多くの読者がレートステージでのPEによる買収に馴染みがあり、逆にアーリーステージでのPEの活動の出現は目新しいものだ。これらのPEは、アーリーステージ資金を調達したものの事業拡大や次のラウンドによる資金調達で困難を抱えているスタートアップの過半数株を買収する。

バイアウト後、これらのPE企業は通常、事業展開や規模拡大のためにマーケティングやセールスのノウハウなど欠如していたもの加えることで価値を上げる。PE企業の最終目的は、自前の運営専門家を創業チームに加えたり、ときにはより強固なものにするために新たに買収した資産をすでに保有する資産と組み合わせたり、あるいは将来の可能性を切り開くために有望そうなプロダクトを倍増させたりする(一方で有望でないものは捨てる)ことで潜在的な資産の価値を増やすことにある。

一般的にはPE企業はその後、より価値を求めて買収した企業を別の企業に売る(通常、戦略的買収者に)。いくつかのケースでは、アーリーステージPE企業が、別の高級市場向けのPEバイアウト企業に売る。これらの買収のいくつかでは、創業者はその企業の少数持分を維持でき、“次のエグジット”までやり抜けることができる。

レーターステージのPEバイアウトと異なり、アーリーステージのPEバイアウトは通常、高額のエグジットとはならない;こうしたエグジットは買収による優秀な人材の獲得から予想される落胆するようなリターンや、それよりも最悪な創業停止というより、概ね創業者のハードワークに対してリターンを提供する手段となる。正しく交渉すれば、PEディールは創業者に次のエグジットに関わる機会をもたらす。

投げ出すために会社を立ち上げる創業者はいない。強い起業家はミッションを現実のものにするために、そして世界にポジティブな影響を与えるために会社を興す。Steve Jobsは「成功する起業家と、そうでない起業家を分かつ要素の半分は純粋な忍耐力だと確信している」と言った。買収は元々のゴールではなかったかもしれない。しかし、それは創業者の従来のミッション追求を刺激するかもしれない。または、新たな価値あるミッションの追求を可能にするだろう。

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(翻訳:Mizoguchi)

センサーをインターネットに接続して企業経営に貢献するSamsaraが評価額$3.6Bで$100Mを調達、米経済の冬に備える

センサーデータのプラットホームSamsaraが今日(米国時間12/28)、36億ドルの評価額で既存の投資家Andreessen HorowitzとGeneral Catalystからの新しい投資ラウンドを完了したことを確認した

このニュースを最初に報じたCheddarは、Samsaraの意図を開示しているデラウェア州のSEC提出文書を12月21日に見つけた。それによると、今年の3月の5000万ドルのシリーズDのときの倍以上の評価額で1億ドルのラウンドを調達したい、となっていた。

今回の資金調達の発表声明で、Samsaraのマーケティングとプロダクト担当VP Kiren Sekarが次のように述べている: “弊社の成長は、変化をもたらす新しいテクノロジーを製造系よりもむしろオペレーション系の企業が抱える問題の解決に導入することから得られている。その業種業態は経済の大きな部分を占めるにもかかわらず、これまで長きにわたってテクノロジーの恩恵をあまり被ってこなかった。しかし今日では、安価なセンサーと広帯域なワイヤレス接続、スマートフォン、クラウドコンピューティングなどにより、これらの企業も21世紀のテクノロジーの恩恵を全面的に享受できるようになっている”。

2015年に創業されたSamsaraは、そのインターネットに接続されたセンサーシステムにより、運輸交通、ロジスティクス、土木建設、食品製造、エネルギー、製造業など多様な業種をサポートして、彼らのデータ収集やデータからの知見の獲得、ひいては物理的オペレーションの効率改善に貢献している。

同社の協同ファウンダーSanjit BiswasとJohn BicketはかつてエンタープライズWi-FiスタートアップMerakiを立ち上げたが、それは2012年に、全額キャッシュ12億ドルの取引でCiscoに買収された

Samsaraの総調達額は、これで2億3000万ドルになる。PitchBookによると、同社のプライベート投資家はわずか2社で、それがAndreessen HoworitzとGeneral Catalystだ。そのためMarc AndreessenとGeneral CatalystのHemant Tanejaは、過去のいくつかのSamsaraの投資案件においても、リード投資家としてのVC企業を代表してきた。

サンフランシスコに拠を置くSamsaraによると、2018年には顧客ベースが5000に膨れ上がり、売上が250%増加した。今度の資金の主な用途は、社員を1000名増員し、AIとコンピュータービジョン技術への積極投資、そしてアトランタに初めてのイーストコーストオフィスを開くことだ。

同社はこの前の調達資金もまだ一銭も使っていないが、それは、他の多くのベンチャー資金頼りのスタートアップと同様明らかに、マーケットの下押し傾向が業界を襲う前に資本を手当しておきたいからであり、良好な評価額であっても資金調達はますます難しくなりつつあるからだ。

前出のSekarは、こうも述べている: “弊社のバランスシートはすでに健全ではあるものの、前回の資金調達ラウンドにはまだ手を付けていない。その新しい資本は長期的なプロダクト投資を加速し、新たな市場へと拡張し、同時にしかも強力なバランスシートを長期的に維持継続できるようにするものでなければならない”。

関連記事: Amid plummeting stocks and political uncertainty, VCs urge their portfolios to prepare for winter…株価激落と政治の不安定でVCたちは傘下企業に冬への備えを促す(未訳)

画像クレジット: Samsara

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

スタートアップの資本構成を管理するCartaが創業6年でシリーズD $80Mを調達

スタートアップを支援するスタートアップが、VCからの支援を得て新しいジャンルを確立しつつある。

The WingThe Riveterのようなコワーキング(co-working)スペースが今年は資金をかき集めたし、またBrexの場合のようにスタートアップ専用コーポレートカードのプロバイダーも新たに資金を獲得した。

そして今度は、企業のキャップテーブル(cap table, 資本構成表)や評価額、ポートフォリオ投資、エクィティプランなどの管理を助けるCartaだ。同社はこのほど、評価額8億ドルで8000万ドルのシリーズDを発表した。前はeSharesという名前だった同社は、リード投資家のMeritechとTribe Capital, さらに既存の投資家たちから、この資金を調達した。

このラウンドでCartaの総調達額は1億4780万ドルになる。同社の既存の投資家には、Spark Capital, Menlo Ventures, Union Square Ventures, そしてSocial Capitalなどがいるが、Social Capitalは今回のシリーズDに参加しなかった。ただし新しいVC企業Tribe Capital(前掲)を立ち上げたArjun Sethiは、以前Social CapitalのCartaへの投資をリードし、また彼と共にSocial Capitalのパートナー三人組と呼ばれたJonathan HsuとTed Maidenbergは、VCを‘卒業’してテクノロジー企業専門のホールディングカンパニー(持株会社)を立ち上げた。一方Tribeは、自らの立ち上げファンド2億ドルを目下調達中と言われる。

2012年にHenry Ward(上図)がパロアルトで創業したCartaは、今回の資金を、同社のトランスファーエージェント(transfer agent, 名義書換代行業務)とエクィティアドミニストレーション方面のプロダクトとサービスの開発に充てて、スタートアップの公開企業への遷移をより良くサポートしていきたい、としている。また、投資家たちが自分のポートフォリオ企業からデータを集め、彼らのバックオフィス(事務管理部門)を管理していくためのプロダクトも、計画している。

Wardはラウンドの発表声明でこう述べている: “弊社は、プライベート企業のオーナーシップ管理を変えていく道のりをここまで歩んできた。その間、証券の電子化とキャップテーブル普及させ、監査対象となる409A*と組み合わせてきた。しかし弊社の意欲は、プライベートに保有されベンチャーが支援する企業のサポートにとどまるものではない”。〔*: 409A, 参考記事

Cartaの顧客にはRobinhood, Slack, Wealthfront, Squarespace, Coinbaseなどがいて、現在およそ5000億ドルのエクィティを管理している。今年Cartaは社員数を310名から450名に増やし、また取締役会管理やポートフォリオ分析などのプロダクトを立ち上げ、さらに#Angelsとの共同調査により、女性スタートアップの社員たちにおける大きなエクィティギャップという差別実態を明らかにした。

9月に発表されたその調査は、女性はスタートアップのエクィティ保有社員の35%を占めるにもかかわらず、女性のファウンダーと社員の保有額は9%にすぎないことを明らかにした。しかも、スタートアップのファウンダーの13%が女性なのに、彼女らはファウンダーエクィティのわずか6%、男性1に対し0.39ドルしか保有していない。

関連記事: The Gap Table: Women own just 9% of startup equity(未訳)

画像クレジット: Carta

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

IVS Launch Padの優勝はエアロネクスト

12月18日、19日の2日間、石川・金沢にある石川県立音楽堂で開催されたInfinity Ventures Summit 2018 Winter Kanazawa。2日目の朝にはスタートアップ企業14社によるピッチイベント「Launch Pad」が行われた。各社の持ち時間は6分、Q&Aはなしというスタイルだ。

2時間以上にもおよぶ熱戦を勝ち抜いて優勝したのはエアロネクスト。同社は10月に開催されたB Dash CampのPITCH ARENAに続いての入賞となった。2位はバーチャルキャスト、3位はRevComm、4位はRF Locus、5位はPLIMES。

■審査員

  • 慶應イノベーション・イニシアティブ代表取締役社長 山岸広太郎氏
  • KLab代表取締役会長兼社長CEO 真田哲弥氏
  • 大和証券 専務取締役 企業公開担当 丸尾浩一氏
  • YJキャピタル代表取締役/CEO 堀 新一郎氏
  • ディー・エヌ・エー 川田尚吾氏
  • Skyland Ventures代表パートナー&CEO 木下慶彦氏
  • フリークアウト・ホールディングス 本田謙氏
  • ITC Holding EVP & Director of International Business Development Corina Birta氏
  • e.ventures Partner Brendan Wales氏
  • AppWorks Partner Joseph Chan氏
  • ウォンテッドリー代表取締役CEO 仲 暁子氏
  • Drone Fund投資家 Drone Fund General Partner投資家 千葉功太郎氏
  • クラウドワークス 吉田浩一郎氏、gumi代表取締役会長 國光宏尚氏

gemfuture

傷つかない恋AIを。 恋愛ナビゲーションサービス「AILL(エイル)」

コミュニケーションをAIがナビゲートとする世界唯一のマッチングサービス。AIが出会いから相手の気持ちの変化、自分の行動による結果などをリアルタイムで分析。事前にライフプランを共有でき、最適な異性を1〜5人を紹介してくれる。デートを誘うまでの会話についてもAIのチャットアシストがあり、効率よくコミュニケーションが取れる。5年後の年間売り上げ目標は50億円。仕事と愛を両立できる社会を目指す。

RevComm

電話営業を、人工知能で可視化する「MiiTel(ミーテル)」

電話営業を人工知能で可視化するサービス。顧客と担当者が何を喋っているかわからないというブラックボックス問題を解消する。数を打てば当たるという従来の電話営業の生産性を高くすることが目的。会話はすべて録音・解析され、ダッシュボードで一元管理。これにより沈黙の回数などがわかり、オペレーターと顧客のスピードがマッチしているかも判断できる。MiiTelwo導入するとPLのP(Profit)が上がりL(Loss)が下がる。将来的には自動でアポを取るAIなどの開発を目指す。

Hubble

法務ドキュメントのバージョン管理システム「Hubble(ハブル)」

法務ドキュメントのバージョン管理システム。Wordをベースにした従来の契約書の作成や締結までワークフローでは、メールで何度もやり取りが必要で、やり取りが多いほど煩雑になる。現在もうまく管理する方法が確立されていない。Hubbleでは、ドキュメントのバージョンと修正履歴を自動で管理できるほか、過去の交渉過程や検討したリスクも後から確認でき、蓄積したナレッジも共有可能。コメント機能も備わっており、迅速な意思決定が可能になるそうだ。Hubbleをビジネス版Githubとして位置付けリーガルの世界を変えたいとのこと。

GVA TECH

AI契約サービス「AI-CON (アイコン)」

コストの問題で弁護士に頼めない、法的理解がない、時間がないといった課題解決のために作られたのがAI-CON。現役の弁護士が立ち上げたAI契約書レビューサービスで、AIとクラウドを活用して契約書のレビューを行う。サービスにログインし、WordファイルやPDFファイルをアップロードすれば、1営業日以内に条文ごとのリスク評価や修正案などが提示される。GVA TECHは、TechCrunch Tokyo 2018のスタートアップバトルファイナリストの1社だ。

Zenport

貿易業務のコラボレーションツール「 Zenport(ゼンポート)」

煩雑な貿易業務の効率化をサポートするクラウドサービス。貨物のトラッキングや受発注・在庫管理、データ分析、貿易書類の管理などの機能を提供している。同サービスが効率化する分野は大きく分けて書類管理と輸送管理。書類管理については、10枚ほどの書類のやり取りが必要な従来の流れをダッシュボード画面で一元管理することで、それぞれの関係者が必要な情報をすぐに見られるのが特徴。今後、国際貿易のプラットフォーム、国境のない経済を目指す

RF Locus

高精度RFIDタグ位置測定システム「P3 Finder(P3ファインダー)」]

RAIN RFID(UHF帯RFID)タグが貼付された物品を高速・高精度にサーチするためのソフトウェア開発キット「P3 Finder(Phase based 3D RAIN RFID tags Finder SDK)」を共同開発。10メートル以上の読み取り可能なRAIN RFIDタグ位置をユーザーに正確に示すことで、紛失物、サイズ・色違い品、消費期限間近品などを早期に発見できるのが特徴。RFIDリーダ制御の詳細な知識不要で、数行のSwift言語を記載することでアプリケーションに組み込める。

エアロネクスト

4D Gravity®搭載 次世代ドローン「Next(ネクスト)」

機体のフレーム設計を基本から見直して機動性の向上と特徴的な飛行姿勢を実現した、4D Gravity技術を搭載したドローンを開発。産業用途にも応用できるという。具体的には、ドローンの飛行部(プロペラ、モーター、アーム)、搭載部(カメラ、積載物)を物理的に切り離し、機体を貫通するジンバルを1本通すことで、機体バランスの安定を図っており、従来のドローンとは異なり軸がぶれない飛行を可能にする。エアロネクストは、TechCrunch Tokyo 2018のスタートアップバトルファイナリストの1社だ。

マッシュルーム

世界で唯一のネットワーク・電源敷設不要なスマート宅配ボックス「VOX(ヴォックス)」

宅配クライシス、再配達問題を解決する箱のスマート化を目指すスタートアップ。スマホを利用して解錠が可能な宅配ボックスを開発。配達ドライバーが宅配ボックスに荷物を入れると、ユーザーのスマホアプリでその通知を受け取れる。受け取りの記録が宅配事業者に送信されるため、受取確認の捺印書類などが不要になる。ネットスーパーやフードデリバリーの受け取りなども可能。目指すのは「時間消費の束縛から解放」。

モノオク

モノ置きのシェアサービス「monooQ(モノオク)」

個人間で荷物を預けることのできるシェアリングエコノミー型のサービス。例えるなら物置き版のAirbnb。登録できるのは部屋の一角にある押し入れやクローゼット、使っていない倉庫や空き部屋を始めとした個人が保有しているスペース。ホストと呼ばれる荷物の預かり手となるユーザーは、これらの空きスペースを活用して荷物を預かることで収益を上げることができる。小さなスペースをかき集め、テクノロジーと組み合わせることで新たな価値を生み出したいとのこと。

Review

企業を発展させるビジネスマップ「macci(マッチ)」

ネット検索ではなかなか見つからない街の情報を写真付きで閲覧できるサービス。主に不動産会社や求人広告会社が必要とする、直近3カ月以内の空地、更地、駐車場、新築物件、求人広告などの情報を提供する。調査専用のiPhoneアプリを自社開発し、スピーディに信頼度の高い情報を収集。調査撮影した画像情報を社内スタッフが手作業にて入力しているとのこと。圧倒的な低コストで町のタイムリーな情報をデータベース化。アプリを一般公開することで主要都市から全国展開を目指す。

Velodash

「Velodash(ベロダッシュ)」

サイクリングイベントプラットフォーム。これまではサイクリング関連のイベント情報がさまざまなソーシャルプラットフォームに散乱していたほかマッププラニングツールも数多くあり煩雑だったが、Velodashには必要な機能がすべて備わっているという。チーム同士の位置の把握やチャットも可能。

Eco-Pork

カイゼンをデータから。養豚管理システム「Porker(ポーカー)」

農家の改善を支援し、最適な養豚経営を実現させるシステム。データ分析や業界標準から業務のあるべき姿を設定・共有することで、組織での継続的な経営改善を狙う。豚肉の生産性をデータを活用し生産性の改善を可能に。農家が抱える生産コストだけでなく持続可能性を脅かす社会的コストも最小化し、「みんな安心して食べられる環境」を目指す。Eco-Porkは、TechCrunch Tokyo 2018のスタートアップバトルファイナリストの1社だ。

PLIMES

人工知能が嚥下を測る「GOKURI(ゴクリ)」

人工知能が嚥下を測るウェアラブルデバイス「GOKURI」を開発。このデバイスは、筑波大学および筑波大学附属病院における研究成果である、頸部装着型嚥下モニター(特許第5952536号)と情報システムがベースになっている。首に装着したセンサで嚥下音や姿勢を計測し、AI技術とクラウドデータベースが解析し、正しく嚥下できたかどうか、嚥下能力がどの程度なのか定量化するという。日本人の死因の1つである肺炎、その肺炎の7割が誤嚥によるもの。GOKURIを使えば97.3%の制度で嚥下を探知できるという。

バーチャルキャスト

脳汁ドバドバ!次世代コミュニケーションを生み出すVRプラットフォーム「Virtual Cast(バーチャルキャスト)」

ちょっと間違えた未来を作る。ミッションは脳汁の最大化。現実より楽しい仮想現実を提供する。開発者は「本物の美少女になりたい」というその一心でこのサービスを作った。日本の次は中国進出を目指す。後半はバーチャル空間でのプレゼンとなり、来場者を沸かせた。

誰かがあなたの会社を買おうとするときのための、親切なVCからの10のアドバイス

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今年私は6つのエグジットに関わるという幸運に巡り合うことができた。そのプロセスは順調に進むこともあれば、建付けの悪いジェットコースターのような場合もあった。以下に挙げた10のアドバイスは、いずれも私の経験から抽出したものだ。誰かがあなたのスタートアップに買収のオファーを出した場合に役立てて欲しい。

1.買収しようとしている者の動機を理解する

まず理解する必要があるのは、買い手があなたのスタートアップを欲しがっている理由だ。戦略的な製品や技術なのか、ユニークなチームなのか、またはかなりの収益率があるからだろうか?GoogleやFacebookなどの戦略的買収者は、あなたの技術、チーム、時にはそのユーザー牽引力さえも欲しいと考える。未公開株式投資会社(PE)のような財務的関心から買収を行う者は、収益と成長についてより多くのことを気にかける。買い手の動機が、複数の供給者がいる中で、突出して大きな影響力を持つものになりたいというものである可能性も高い。

早い段階で価格について話し合うことも大切だ。経験の少ない創業者が、会社のしっかりとした価値を提示するのはやや難しいかも知れない。しかしこれは、議論の本気度を評価するための重要なステップなのだ。そうでなければ、買収者があまりぱっとしない価格の下で、気の入らない交渉に入ってしまう可能性が高い。より冴えないケースでは、あなたの戦略や製品のロードマップについてもっと知りたいと真剣に考えないかもしれない。

2. 「とりあえず様子見」は禁物。見送るか、完全にコミットするかだ

M&Aプロセスは、創業者が自分の会社に対して行うことのできる、最も影響のある行為だ。もしやり方がまずければ、そのプロセスは最終的に会社にダメージを与える可能性がある。創業者たちには決断を下す前に、以下の3点についてよく考慮するように強くアドバイスしたい:

いまが正しいタイミングなのか?売却を決心することは、未経験の創業者たちにとってはとても厳しい選択だ。多くの場合、会社を売る機会そのものも実行するタスクの1つとなり、楽しめるものになる。連続起業家精神は、多くは見られないものであり、そしてそれは1人の創業者が手に入れることのできるもっとも影響力のある基礎になるだろう。売却に対する反応は理解できる。一晩で自分の銀行口座に何百万ドルものお金が振り込まれる機会は、ほとんどの創業者にとって無いからだ。さらに、配慮しなければならないチームもいる。通常みな住宅ローンを抱えたり、学費を蓄えていたり、その他数えきれない様々な出費の事情があったりする。こうしたニーズが決定の際に考慮されなけれなならない。

それは実際にあなた自身が下した決断なのか?ほとんどの投資家たちは、M&Aのことを、あなたの会社がさらに大きくなる可能性があって、活用される資本を増やす機会として考えている。しかし、VCが確信を失ったところに、まあまあの買収話が来たときや、より大きな競合相手が同じ分野へ参入しようとしているという情報を掴んだときには、あなたに対して売却を迫ってくるかもしれない。もちろん、最良のポジションは、あなた自身の運命をコントロールし、収益性を究極的なBATNA(“best alternative to a negotiated agreement”:交渉の最低ラインを決めることができる、相手から出されたもの以外での最も良い条件)として利用できる立場に立つことだ。

どのくらいの期間会社に留まる必要があるのか?主張の食い違いがあるときには、価格交渉の余地は大きくはないかもしれないが、その他の取引条件は交渉可能だ。最も重要なことの1つは、会社に留まらなければならない期間と、エスクローに積む売却代金の額、もしくはアーンアウト(”earn-out”:買収後の業績の伸びなどに応じて買い手がさらに支払うことを約束する金額)の額である。

3.チームを管理する

買収者からの興味をひいたなら、何はともあれ多くのM&A取引は成立しないということを、即座に関係者全員に周知させること。なぜなら本当に成立しないことが多いからだ。このことは2つの理由から重要だ。

まず経営幹部たちが、個人的な収益の見込みを想像し始めること、そして彼らがビジネスを動かす際にKPIにばかりに目を向けてしまうことだ。そして取引が成立しなかった場合には、上級チームは意気消沈し、やる気を失い、漏れ出る不満の声を聴くようになるかもしれない。こうした雰囲気はすぐにチームに浸透し、企業文化にとって致命的なものとなる可能性がある。あなたの勝利の瞬間と思われていたものが、あっさりとチームの士気を破壊するものに転じてしまうのだ。

これは、一般にM&Aプロセスの中で最も難しい部分だ。取引を実現するためにはエグゼクティブチームが必要だが、人間の心の最も深い場所にも突き当たってしまうのだ。内部の期待を管理することは、外部のプロセスを管理することと同じくらい重要であるという事実を認識しよう。

4.1年は維持できるくらいの十分な現金を持つ

あなたの会社が強みを背景に売却を考えているのなら、バランスシート上の現金不足から、コントロールできない状態に陥らないように、十分な資本を持つようにしよう。私はこれまで、あまりにも多くの企業が、M&Aの議論を始めた後にビジネスの手綱を緩めてしまい、その結果数字が悪化し余裕が無くなって、買い手につけこまれる結果になったケースを沢山見てきた。理想的なシナリオでは、銀行に少なくとも9ヶ月分の現金が必要だ。

5.銀行家を雇う

会社に真剣な興味が注がれたり、会社の売却をしたいと考えたならば、銀行家を雇おう。VCたちは、あなたをいくつかのしっかりした事務所に紹介することができるはずだ。買収交渉は難易度の高い交渉である。銀行家への依頼には費用がかかるが、初心者が陥る高価な間違いを避ける手助けをしてくれる。彼らはまた古典的かつもっともらしい言い方で、あなたが言いにくいことも相手にズバズバと切り込んでくれる。これは買収後の関係にも良い方向に働く。

私から唯一指摘しておきたい落とし穴は、銀行家は既存の作戦に沿って動き、十分に創造的ではない傾向があることだ。それでも、あなたが過去には考えられなかったような買収者とのコミュニケーションを持っている場合には、潜在的買収者の候補を増やすことができる。

6.第2の入札者を見つけよう…そして3番目…そして4番目も

最も難しいアドバイスだが最も価値がある。できるだけ早く第2の入札者を探そう。交渉のイロハだ。手強い競合相手がいなければ、交渉は長引きがちになる。

理想的には、スタートアップを立ち上げながらも、同業他社との対話を続けて来ているのが望ましい。今こそ、連絡先に電話をかけて、取引が進んでいることを知らせよう。そしてもし取引に関わりたいなら急いだほうが良いと言おう。

排他的交渉期間に入るまでは、潜在的な買収者たちと話し続けよう。ゲームの後半に新しいプレイヤーを追加することを恐れないように。あなたはM&Aの裏チャンネルを通して、どれだけ多くの情報が広がっているかに驚くことだろう。仕事にとても役立つライバルにさえ気がついていないかもしれない。

ある買収者との距離が遠かったとしても、もし相手がこちらに予備プランがあることを知っていたならば、重要な条件を交渉する際に貴重な手がかりを提供することができる。評価額は既に決まっているかもしれないが、前払いの額とアーンアウトの額、従業員のロックアップ期間、その他の様々な詳細に、もし本当の代替案を持っているならば、より有利に交渉することができる。もちろん、成長し利益を生み出すビジネスを手にしていること以上に、良い代替案は存在しない!

7. データルームの構築を開始しよう

創業者たちはピッチ資料やスプレッドシートで驚くほど膨大な金額を調達することができるが、自身のスタートアップを高額で売ろうとする段になると、買い手たちは既存のドキュメントを読みたがる。ときにはそれは、エンジニアリングミーティングの議事録に及ぶことさえある。財務記録、将来見通しのモデル、監査記録、ならびにその他のスプレッドシートが精査される。大手の買収者は、人事制度、給与尺度、その他の人事資源の細部に至るまで調べることさえ希望する。交渉が進むにつれて、ほぼすべての詳細を買い手と共有することが期待される。こうした情報のまとめを遅くならないうちに早めに開始しよう。

あるCEOは、精査のピーク時には、自社の従業員よりも多数の人間が買収者側から送り込まれてきていたと語った。自社のCFOと法律顧問に対する十分なケアを心がけて欲しい。この期間中の彼らはほとんど休めていない可能性が高い。

8. ボードメンバー内の情報管理は厳格に。小規模株主に注意

創業者たちは、厳しい状況に置かれアドバイスを求めて飢えているが、交渉に関する情報を部外者に漏らすという誘惑は避けるべきだ。例えば、キャップテーブル(資本構成表)に載った小規模の株主は、あなたと同じインセンティブを持つボードメンバーよりも、報道機関に情報をリークする可能性が高くなる。情報が漏れて、買収者が怖気づいてしまい、台無しになった取引を私たちは知っている。

口は災いのもとだ。

9.もし避けられないのなら、リークを逆に利用する

リークは迷惑なもので、回避することは可能だが、もし本当に起きてしまったならば、それを利用してしまおう。もし報道機関があなたの会社が買収されたと報道したのに、まだ実際には買収されておらず、排他的交渉期間に入っていないなら、他の買収候補者がそれを知るようにしてみよう。もしそれまでに潜在的な入札候補者たちの興味を引くことに、あまり成功していなかったとしたら、 Bloomberg、The Wall Street Journal、あるいはTechCrunchによるレポートは、単純なメールでは引き起こせない関心を集めることができる。

10.突然の通信途絶は覚悟しておく

創業者たちが5億ドルの買収を受け止める方法と、Googleのような巨人がそれを受け止める方法の間には大きな違いがある。創業者にとっては、これは人生を変える瞬間であり、10年にわたる努力の賜(たまもの)であり、そしてチームの努力が証明された日だ。だがGoogleの企業開発担当者にとって、それは単なる火曜日に過ぎない。

この現実が意味することは、ゴールに向けての優先権と数十億ドルの取引を求め激しく殺到する競合たちのために、あなたの会社の買収話が途中で無くなってしまう可能性もあるということだ。創業者たちにとって、それまで生産的に進んでいた話が突然途絶してしまうことは恐ろしいことかもしれないが、そうしたことは想像よりも頻繁に起きている。良い銀行家なら、落ち着いて、あなたよりも良い情勢分析をできるはずだ。それは彼らの仕事であって、あなたの仕事ではない。

M&Aのプロセスに備えるためのアドバイスはいくら述べても終わりはないが、これは創業者として経験する最も質の高い問題の1つであることは覚えていて欲しい。実行に焦点を当てよう。だが多くの起業家が決して味わうことのないマイルストーンに到達することは本当に気分爽快だ!

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(翻訳:sako)

Lightspeed 、3.6億ドルの中国ファンド組成中――同社として4回目かつ最大規模

今日(米国時間12/17)、アメリカのSEC(証券取引委員会)に提出された書類によれば、シリコンバレーの有力ベンチャーキャピタル、Lightspeed Venture Partnersの中国ファンドで上海を本拠とするLightspeed China Partnersが目標額3億6000万ドルのファンドを組成中だ。これはLightspeed Chinaにとって4回目のフラグシップ・ファンドとなる。

目標額が達成できれば、今回のファンドはLightspeed Chinaの過去最大のファンドになる。PitchBookの記事によれば、Lightspeed Chinaが組成したこれまでのファンドは、最初が2013年の1億6800万ドルで、直近が2億6000万ドルだった。

Lightspeed Chinaの責任者はJames Mi〔宓群〕(写真)で、評価額数十億ドルの中国企業多数に投資してきた。以前はGoogleの事業開発部門の責任者としてBaiduへの投資を指揮した。Miは2008年にLightspeedに加わり、2011年に中国事業を立ち上げている。ベテラン投資家のHenry Han〔韓彦〕もLightspeed Chinaの共同創業パートナーとしてSECへの書類の共同提出者となっている。

Lightspeed Chinaはeコマースの新星、Pingduoduo〔拼多多〕や金融検索エンジンのRong360〔融360〕の投資家でもある。両社は中国を代表するユニコーン企業であり、2017年にはアメリカで上場を果たしている。Lightspeed Chinaはインターネット、モバイル、エンタープライズ・コンピューティングの分野でシード資金など早期段階のスタートアップへの投資に注力している。

今年に入って、Lightspeed Venture Partnersは新記録となる18億ドル規模の大型ファンドへの出資確約を取り付けている。今月エンタープライズ、コンシューマー向け投資チームに新たに5人のパートナーを迎え入れた。これには Slackのグロース部門の前責任者、Twitterのグローバル事業開発部門担当の前バイスプレジデントらが含まれる。

Lightspeedにコメントを求めているがまだ回答は得られていない。

〔日本版〕原文の”David Mi”は”James Mi”に訂正。

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滑川海彦@Facebook Google+

AIファンド「DEEPCORE TOKYO」にみずほ銀、電通、Mistletoeなどが出資

AI特化型インキュベーターでVCのディープコアは12月17日、同社が運営するファンド「DEEPCORE TOKYO1号 投資事業有限責任組合」(以下、DEEPCORE TOKYO1号)に、新たにみずほ銀行、電通、Mistletou Venture Partners、みずほ証券、日本政策投資銀行、日本ビジネスシステムズ、本田圭佑氏の個人ファンドKSK Angel Fund、その他の法人、個人投資家から出資を受けたことを明らかにした。

ディープコアはソフトバンクの100%子会社。学生・起業家を対象にしたAI分野に特化したインキュベーション事業開始を2018年1月に発表し、拠点となるインキュベーション施設「KERNEL HONGO」をWeWorkとの協力で運営する。

5月には、シード/アーリーステージのAIスタートアップに投資・支援を行うことを目的として、DEEPCORE TOKYO1号ファンド設立を発表。立ち上げ時点でソフトバンクグループ、ソフトバンク、ヤフーが出資者として決まっていたが、60億円規模を目指し、さらにLPを募っていた。

DEEPCORE TOKYO1号はこれまでに、合計11社への出資を既に行っている。出資を受けたスタートアップには、万引き防止AIが容疑者逮捕に一役買ったことで先日話題になったVAAKや、接客アバター「コラボロイド」を開発するUsideU、ウェアラブル端末なしで人のモーション解析ができるツールを開発しているUplift Labs、病理画像診断ソフト開発のメドメイン、アパレル業界向けにAIソリューションを提供するLiaroなどが含まれる。

DEEPCOREは、11月にはAI・機械学習に特化した香港のアクセラレーターZerothとの提携により、アジアのAIスタートアップ育成において、リソースやディールの共有などで密接に協力していくことを明らかにしている。

DEEPCOREでは、ファンドを通じて「有望なAIスタートアップの成長を支援し、日本から世界に向けて破壊的イノベーションを起こすことを目指す」としている。

日本のスタートアップ成長に重要な5つの要素とは——Plug and Play SHIBUYA開設から1年

シリコンバレー発のアクセラレーターPlug and Playが日本法人を設立し、国内での活動を本格化したのは2017年9月のこと。それから1年が経ち、彼らが年2回実施するアクセラレーションプログラムも「Batch 0」「Batch 1」の2期が完了した。現在は59社のスタートアップが参加する「Batch 2」が走っているところだ。

12月4日、東京・渋谷のコワーキングスペース「Plug and Play Shibuya」で開催された「メディアラウンドテーブル」では、Plug and Playが日本のスタートアップ成長に向けて考えていること、そしてBatch 1参加企業2社の成果と、Batch 2採択企業1社の現状についても紹介があったのでお伝えしたい。

日本でイノベーションを進めるために大切な5つの要素

Plug and Playは、2006年の創立から2000社を超える企業を支援し、70億ドルを超える資金調達を達成しているアクセラレーター・投資家だ。米・シリコンバレーに本拠地を置き、全世界26カ所にオフィスを構えるPlug and Playは、スタートアップを中心にしたエコシステムを形成を目指し、14にわたる幅広いテーマのそれぞれでアクセラレーションプログラムを実施している。

Plug and Play Japan代表 マネージングパートナー フィリップ・ヴィンセント氏

Plug and Play Japanの代表でマネージングパートナーのフィリップ・ヴィンセント氏は、まず世界のスタートアップエコシステムの状況を紹介。各国のPlug and Playの拠点の中でも、特にエコシステムがうまく発展している地域の特徴を紹介した。

ドイツではシュトゥットガルト、ベルリン、ミュンヘンに拠点があるが、このうち2016年に開設されたシュトゥットガルトの「Startup Autobahn」はクルマ、交通に関連したモビリティを対象領域とする。パートナー企業にはダイムラー、メルセデスベンツなどが参加している。

ヴィンセント氏は「ここでは、パートナー企業が大企業として乗り込むのではなく、カルチャーをスタートアップに合わせて一緒にイノベーションに取り組むことが、成果につながっている」と話す。シュトゥットガルト大学キャンパス内の研究開発施設「ARENA2036」内に拠点を置くことで、大学とも企業ともコラボレーションが可能になっているそうだ。

続いて紹介されたシンガポールでは、2010年からプログラムが開始されている。金融・保険、モビリティ、旅行・観光、サプライチェーンが対象領域のシンガポールでは、マリーナベイに近いCentennial Towerとシンガポール国立大学近くに位置するBlock 71が拠点となっている。

Block 71は、250社のスタートアップが参加し、複数のインキュベーターやアクセラレーター、VCも参画する、スタートアップハブ、起業家のためのコミュニティだ。ヴィンセント氏は「シンガポールでは大学との連携が強い」という。またシンガポールでは、政策でスタートアップ支援が強く打ち出されていることから、政府との連携も行われているということだった。

パリではフィンテックと流通領域を対象に活動する2拠点が、いずれも2016年に開設された。このうち主にフィンテックを扱う「BNP Paribas-Plug and Play」は、2017年の夏にオープンした3万4000平方メートルの広大なインキュベーション施設Station Fを利用している。大きな一つの屋根の下で、起業家同士のコラボレーションも生まれやすい環境のStation Fには、約3000社のスタートアップが入居でき、20〜30のアクセラレーションプログラムが実行されている(Station F オープン時のTechCrunchのレポート)。

フランスでは政府のイノベーション推進施策により、海外から起業のためにフランスに移住する人のためのFrench Tech Ticketや、テック系人材とその家族のためのFrench Tech Visaといった特別なビザプログラムが用意されている。また政府の後押しを受けた、スタートアップエコシステム醸成のためのイニシアチブ「La FRENCH TECH」もある。

最後に紹介されたのは中国だ。北京、上海、深圳など、中国にはPlug and Playの拠点は8カ所あり、近いうちに10拠点に増える計画だ。中国でも政府がスタートアップエコシステムを力強くプッシュしている。また、スタートアップへの投資は中国が世界の半分を占めており、今では、評価額10億ドル以上のユニコーン企業の数が米国より多くなっているという。

さて、翻って日本の状況はどうだろうか。

日本でPlug and Playは、フィンテック、IoT、保険、モビリティの4領域でプログラムを実施。2019年春からはブランド・流通のエリアもカバーしていくことになっている。

ヴィンセント氏は、日本のスタートアップの成長、イノベーションが進むために大事なこととして、以下の5つの要素を挙げた。

1つめは「カルチャーとマインドセット」。社会や企業のイノベーションへの積極性や、パートナーとなる企業がスタートアップと対等に、スピード感を持って、柔軟に対応できるかどうかがカギになる、とヴィンセント氏はいう。「日本でも、社会がスタートアップを見る目が変えられるかどうかが大事になってくる」(ヴィンセント氏)

2つめは「政府の後押し」。ただし一方的に関与しすぎるのも良くないようで、ヴィンセント氏は「関わるも関わらないもバランス良くあることが大切」と話していた。「政府が民間同士、スタートアップ同士の横の連携を作ることを勧めてくれて、(フランスのように)海外からの参画もしやすいのが理想だ」(ヴィンセント氏)

3つめは「教育と大学」。ヴィンセント氏は「CTOではなく、CEOを増やす教育が必要」という。また「海外へ飛んで学ぶためのプログラムも重要だ」とも述べている。

4つめは「先進的な考えを持つ企業」。大企業のコミットメントが得られるかどうかは、スタートアップエコシステムが育つための大切なファクターとなる、とヴィンセント氏は話す。

最後の5つめは「アクセラレーターや支援者」の存在だ。「スタートアップをサポートする会社が増えることが、エコシステムの醸成には欠かせない」(ヴィンセント氏)

SynchroLife「大企業へのイメージが180度変わった」

続いてBatch 1参加企業2社から成果の発表と、Batch 2採択企業1社から現状のレポートがあった。

まずはBatch 1に参加したスタートアップGINKANと、パートナー企業・東急不動産による実証実験の事例が紹介された。

GINKANは、グルメSNSアプリ「SynchroLife(シンクロライフ)」を提供している(過去紹介記事)。GINKAN創業者でCEOの神谷友愛氏は「SynchroLifeは良い体験を発信するSNSとAIにより、ハズレなしのお店を提案するアプリだ」と説明している。現在4カ国語に対応、17万件以上のレビューが掲載されている。

SynchroLifeでは、ブロックチェーンを活用したトークンエコノミーを取り入れ、良質なグルメレビュアーにはトークン(仮想通貨)で報酬が付与される。また、飲食代金からの還元リワードをトークンで発行。来店を促すマーケティングに利用できる仕組みとなっている。

飲食店は、タブレット端末に加盟店向けアプリを導入。初期費用・月額料金なしで、売上の3%を支払う完全成功報酬型でサービスを利用できる。利用客であるユーザーは、支払い時にアプリで飲食店から提示されるQRコードを読み取ることで、食事代金の1%以上相当のトークンを還元してもらえる。

実証実験はこのリワードの部分について検証するものだ。東急不動産の協力により、2018年9月〜10月の1カ月間、東急プラザ銀座のレストラン21店舗で実験が行われた。

GINKAN CEO 神谷友愛氏

実証実験では、QRコードを使って飲食代金の3%分の暗号通貨をユーザーに還元。ユーザーエクスペリエンスおよび店舗のオペレーション負荷を検証した。還元は10秒で完了でき、障害もなかったということだった。

また、レストラン開拓インフルエンサー送客による、グルメSNSとしてのマーケティング効果の部分の検証では、来店者の投稿の92%が高評価に。投稿数の増加に伴って来店客数も向上しており、SNSの特徴である「良い体験」が「来店」に影響した、と神谷氏は分析する。

Plug and Play Batch 1と実証実験で学んだこととして、神谷氏は「3カ月という短いBatch期間でキッカケの創出と、期間目標のコミットができたことで、Plug and Play Japanの強力な“お見合い力”を実感した。また東急不動産との実験取り組みで、大企業へのイメージが180度変わった。(SynchroLifeという)プロダクトでビジネスをまだしたことがなかった僕たちが、いきなり東急不動産と組めるというのはすごい経験だ」と話している。

また、ビジネス上の課題認識の一致が重要であるとして「実証実験は結果ではなく、過程だとあらためて認識した」とも述べていた。

一方、パートナーとしてGINKANを支援した東急不動産。渋谷で次世代のビジネス共創を目指し、2020年に向けて100のビジネス創出を目指すプロジェクト「SHIBUYAスタートアップ100」を立ち上げて、スタートアップを支援。その一環として、2017年11月にはPlug and Playとともに渋谷にインキュベーション施設を開設した。

東急不動産 都市事業ユニット 事業戦略部の伊藤英俊氏によれば、インフラとしての施設提供のほか、スタートアップとの事業連携も20社が確定しており、近く30社になる見込みとのこと。GINKANとはPlug and Playを通じて、Fintechパートナーとして組むことになった。

「QRコードで暗号通貨を付与するという新しい試みと、SNSマーケティングで集客できるのかという実務の部分でともに検証を行った。今後、実際の導入へと進みたい」(伊藤氏)

伊藤氏は、Plug and Playでのパートナーシップと実証実験が成功したポイントを3つ挙げている。「1つはプロダクトや事業について、具体的なイメージの共有ができたこと。2つめはリアルな場での交流があること。そして、相手の時間を大切に考えられるカルチャーだ」(伊藤氏)

Batch 1での取り組みでは、最終的に「経緯、信頼、そして両者の情熱と覚悟が噛み合った」と手応えを感じている伊藤氏。Batch 2でも既に複数社との取り組みが検討されているとのことで、「Batch 0、Batch 1からの継続案件の具現化も進める。また渋谷区や東京都とのパイプも生かし、行政とも適度な距離感を持ちつつ、いろいろ調整して支援を進めたい」と話していた。

Trillium「世界に羽ばたくスタートアップにとっていい場だ」

Batch 1採択企業からはもう1社、モビリティ関連スタートアップTrilliumの事例が紹介された。

Trilliumは2014年の設立。米国カリフォルニア州サニーベールにあるTrillium本社は、シリコンバレーのPlug and Playから支援を受けており、東京でもBatch 1に参加することになった。Trilliumでは、ほかにも世界各地のPlug and Playでプログラムに参加している。またTechCrunch Disrupt Berlin 2017のStartup Battlefieldではピッチも披露している(英文記事)。

Trillium日本法人 執行役員 事業開発部長 山本幸裕氏

Trilliumが提供するのは、モビリティに対するサイバー攻撃に対抗するセキュリティ、特にコネクテッドカーのサイバーセキュリティソリューションだ。

日本のTrilliumで執行役員 事業開発部長を務める山本幸裕氏は「OBD 2(自動車の自己診断機能の規格)やWiFi、Bluetoothなどを通じてネットワークに接続されたクルマは、外部から無線でハッキングが可能だ」と説明する。

「現状、既にハッキングは行われている。今のところは、メーカーからの報賞金やエンジニアとしての売り込みによる雇用を目的にしたホワイトハッカーが多いが、より悪意を持った動作を目的としたブラックハッカーも出てくる可能性が大きい」(山本氏)

さらに、「以前に比べてクルマの寿命が延びたことにより、発売当初のクルマが最新のセキュリティで守られていたとしても、ハッキングの進化により乗っ取りがいずれ可能になるという面もある」と山本氏は指摘する。

Trilliumでは、サイバー脅威からクルマを守るためのソフトウェアに加え、収集した攻撃データを分析した上で、OTA(Over the Air:無線)で車載システム、ネットワークのセキュリティをアップデートする仕組みを提供している。

今後さらに、自動車メーカーや、物流やレンタカー、交通などで車両を保有・運用する企業、保険会社などと提携することで、安全なモビリティプラットフォームを構築したいとして、パートナーを探しているという。

東京のBatch 1では、パートナー探しに加えて「インベストメントでも成果があった」と山本氏は述べる。2018年7月のシリーズA2ラウンドで、総額1100万ドル(約12億円)の資金調達を実施したTrillium。山本氏は「このラウンドでMUFJグループ(三菱UFJキャピタル)が参加したことは、Plug and Playの日本のBatchに採択された成果として大きい。出会って3カ月で投資が決まった」と話している。

またシリコンバレーのPlug and Playでも「ピッチを行ったところで(パートナー企業との)出会いがあった」と山本氏。世界中に拠点を持つPlug and Playは「世界に羽ばたくスタートアップにとっては、大変いい場所だ」と評価する。

「Plug in Play SHIBUYAでも、パートナーとなる企業と出会うことができた。今後PoC(概念実証)を目指していく」(山本氏)

Nauto「日本でのPoCと認知・ブランド向上図りたい」

最後に、11月にスタートしたばかりのBatch 2採択企業の中から、Nauto(ナウト)が現況をレポートした。

NautoはIoT領域で、Plug and Playのプログラムに参加するスタートアップだ。Nautoが提供するのは、自動車運転の安全性を高めるためのソリューション。Batch 1 EXPO(デモデイ)でピッチを行い、採択に至っている。

NautoもTrilliumと同様、米国カリフォルニア州パロアルトに本社がある。本社設立は2015年、Nauto Japanは2017年6月に開業している。Nautoには既に、General Moter VeunturesやToyota AI Venturesなど、自動車系ファンドが多数出資しているほか、2017年7月にはソフトバンクがシリーズBラウンドで1億5900万ドル(約180億円)の出資を行っている。

Nauto Japanで日本代表を務める井田哲郎氏は、「Nautoはテクノロジーを使って収集したデータを、運転の安全に使う。今日の運転の安全、そして将来の運転の安全に貢献するプロダクトを開発している」と説明する。

Nauto Japan 日本代表 井田哲郎氏

Nautoのプロダクトは、車載器と、車載器からのデータを収集・分析するプラットフォーム、運行管理アプリから成る。

Nautoは車載器として、人工知能を搭載したドライブレコーダーを開発。Bluetooth、LTE通信でネットワークに接続できるデバイスには、2つのビデオカメラと各種センサーが内蔵されている。クルマの内部に向けられたカメラでドライバーの様子を、外部へ向いたカメラは進行方向の道路を撮影する。デバイスから集められた映像やセンサーデータは、クラウドプラットフォームで分析される。

分析データをもとに、運行管理アプリではさまざまな機能を提供するが、顔認識や映像ベースでのリスク評価がその大きな特徴となっている。

「コンテクスト分析を内側カメラと外側カメラの双方向で行い、エッジでは車間距離を測定。社内の運行管理者によるモニタリングも実施できる。ほかにもクルマのセンサーからの情報なども合わせて、総合的に分析を行い、必要に応じてドライバーに危険を警告する」(井田氏)

米国で行われた実証実験では、独自のアルゴリズムによって、ドライバーの集中・わき見の状況を分析した。「運転の荒さだけでは、実はリスク評価は十分ではない。したがって加速度センサーによる加減速のデータだけでは、事故につながるとは断定できなかった。これを顔認識も加えて、わき見の状況をモニターすることで、Nauto搭載のクルマでは35.5%の事故削減につなげることができた」(井田氏)

「この実験は米国で行われたもので、日本では事例がまだない」としながら、井田氏は「日本でもスマートフォン使用による交通事故件数は、2011年から2016年にかけて2.3倍に増えているという統計がある。Plug and Play Japanのプログラムに参加することによって、PoCを実施し、日本でも導入実績、ケース事例を作りたい」と述べる。また「(日本での)認知向上やブランドづくりも図りたい」とBatch 2参加による成果に期待を寄せていた。

神戸市が国内外のスタートアップを強力支援する「500 KOBE ACCELERATOR」

神戸市と500 Startupsが組んだアクセラレーションプログラム「500 KOBE ACCELERATOR」のデモデイが12月11日、東京・御茶ノ水で開催された。500 KOBE ACCELERATORとは、神戸から世界へはばたくスタートアップのためのアクセラレーションプログラム。500 Startups500は、シリコンバレーを拠点に世界60カ国1800社以上に投資するシードベンチャーキャピタルで、神戸市との取り組みは今年で3年目となる。

500 StartupsマネージングパートナーのBedy Yang(ベディ・ヤン)氏

最初に、500 StartupsマネージングパートナーのBedy Yang(ベディ・ヤン)氏が登壇。神戸市との取り組みについて語った。500 Startupsは、各国の行政関係者と仕事をすることが多いが、神戸市はエコシステムを含めた変革について非常に理解があると語った。

500 KOBE ACCELERATORの責任者を務めた500 StartupsのAaron Blumenthal(アーロン・ブルーメンタール)氏

今回で3期目となる500 KOBE ACCELERATORの責任者を務めたAaron Blumenthal(アーロン・ブルーメンタール)氏は、イノベーションとエコシステムの両立は難しいが、神戸の素晴らしいサポートに感謝すると述べた。

神戸市長の久元喜造氏

神戸市長の久元喜造氏は英語のスピーチで、社会にイノベーションを起こすスタートアップを国内外から神戸に集めて盛り上げたいと語った。KOBEアクセラレーションの取り組みは2016年からだが、もともとは500スタートアップの米国サンフランシスコの拠点を訪問したことがきっかけとのこと。こういったプログラムを日本でやるならぜひ神戸でと自ら申し出たそうだ。

開会の挨拶のあとは、500 KOBE ACCELERATORで選ばれた18社のピッチとなった。起業したばかりの会社からすでに海外で実績を上げている起業までバラエティーに富んだ内容となった。

Tokyo Techies

アプリやロボットを開発する技術者のパーソナルトレーニングサービスを提供する会社。実践的な教材を使ってトレーニングすることで、短期間でエンジニアを育てられるのがウリ。

Bonyu

岐阜大学と連携して母乳の分析サービスを提供。調査によると、子供を産んだ女性の75%は母乳の成分を知りたいと回答しているそうで、実際に半分以上の母親の母乳が栄養不足という事実があるそうだ。母乳の成分分析のほか、母乳に足りない栄養素を補うサプリメントや機能性おかしなどの販売も手がける予定という。

Jenio(Kiara)

安価かつインタラクティブなビデオ会議ツール「Kiara」を開発。お互いの母国語で話せば同時通訳の字幕が出るのが特徴だ。現在は10カ国に対応しており、将来的には120カ国を対応予定とのこと。

Lizuna(Beacon)

ネットコマース詐欺を防止するサービス「Beacon」を開発。ビッグデータ分析して、住所や送り先、注文履歴などにおかしなところがないを自動検知してくれる。

OKKO(Honey Magazine)

イケメンキャラのストーリーを提供するマンガアプリ。ユーザーは主にフランスとアメリカの女性で、1日に平均26分の使用実績があるとのこと。

T-ICU

遠隔操作による集中治療室向け医療サービス。日本では多くの病院では専門のICU医が不在という現状を解決するため、医学部教授を含むチームを結成してサービスを提供する。現在は、千葉県の柏の葉にある病院で実施中。ちなみに米国では、同様のサービスが20%のシェアがあり、死亡率が26%低下したというデータがあるそうだ。

NOBORDER(TeamFinder)

質と量を兼ね備えた人材マッチングサービス「TeamFinder」を提供。チャットボットを利用したインタビューシステムにより、履歴書だけではわからないスキルや経験などのデータを取得するのが特徴。独自のスコアリングによりマッチングを実施することで、企業側の採用コストが最大で10分の1に圧縮できるという。

forent(ExCamp)

理想のキャンプがしたいという想いで起業したAirbnbのキャンプ版ともいえるサービス「ExCamp」を提供。多くの人が集まるキャンプ場ではなく、使われていない土地、島などを時間単位で借りることが可能で、キャンプやバーベキューなどを楽しめる。現在、50カ所以上登録されており、同社のInstagramフォローしている1万人に情報提供を行っているそうだ。

Buyandship

低価格かつ簡単に利用できる国際転送サービスを手がける会社。同社が所有する各国の倉庫を配送先に指定することで、日本に居ながらにして海外通販サイトでショッピングを楽しめる。倉庫に配送された荷物は、業界最安値の配送料で日本に転送できるとのこと、同社は1000万ドルの売り上げを達成しているそうだ。

doot

南アフリカ発の地元の人が旅行者を飲食店などに案内するサービス。旅行者は、旅行先でお勧めの飲食店を地元に案内人に教えてもらうだけでなく、一緒に食事を楽しめるのが特徴。案内人への謝礼もある、

Clarity

結婚や子育てなどで勤務条件が合わずに仕事を辞めざるを得ない女性をターゲットにしたマッチングするサービス。育児や介護のための時短勤務、フレックスタイム制、子供の看護時間、託児室の有無など、子育てや介護に理解のある企業を絞り込めるのが特徴だ。

Web2ship

各国で最適な配送網や配送ルート、価格などを比較検討できるサービス。大手以外ではなかなか難しい発送コストの圧縮を実現する。

SAgri

農家の時間効率を30%、収益を30%上げる農業支援サービス。野菜の品種、農薬、肥料などのデータベース化したうえで、衛星から得られる日射量や雨量、土壌の肥沃度、タンパク質など情報を組み合わせて畑の状況をモニタリングする。

ELXR

遺伝子情報に基づいたトレーニング検査サービス。日本では遺伝子検査キットを販売するGENELIFEを組んで、遺伝子情報に基づいた個々人の最適なトレーニング方法を教えてくれる。

職人さんドットコム

職人のシェアリングサービス。同種のサービスと異なるのは、18年の職人経験で培った人脈や知識を基にオフラインとオンラインをつなぎ合わせているの点と、そのマネタイズ方法。職人が使う電動工具の防犯登録システムを構築し、職人にはまず無料でサービスを提供しつつ、メーカーやプロショップなどに対価をもらうSaaS型サービスとなっている。特に盗難にあった工具の所有者を特定できる防犯登録システムがキモだ。

Pisces

VRで安価に構築できるインタラクティブなテレビ会議システム。リモートワークをしている人の44%が対面での仕事ではないことに不安を感じているという調査があるほか、音声だけのコミュニケーションでは欠落してしまう、視線や表情などを3Dで実現する。

Visual Design Cafe

ゲーム開発期間を短縮するための3Dモデルのライブラリを提供する会社。ゲーム開発のほとんど時間は3Dモデルの制作に費やされるそうで、同社のライブラリを使えば効率的な作業が可能とのこと。このライブラリは3Dのゲーム開発環境であるUnityの全バージョンで利用可能だ。

Pegara(GPU EATER)

GPUによる効率的な機械学習を手助けするサービス「GPU EATER」を提供。AWSのGPUインスタンスコストを最大80%削減できるほか、同社のサービスを利用することで最大で1.5倍のパフォーマンスアップを見込めるという。