Beyond Next Venturesは、大学や研究機関発の技術シーズの事業化支援や投資、成長支援に関しては、日本でも有数の経験・実績を持つアクセラレーターだ。2014年8月の創業以来、同社の基幹ファンドであるBNV 1号ファンド、2号ファンドを通じて、大学/研究機関発の技術系スタートアップや医療・ライフサイエンス領域のスタートアップの支援を行ってきた。
今回の提携では、Beyond Next Venturesは基礎研究に対し、academistのプラットフォームを利用して、プロジェクト化してクラウドファンディングに拠出することで、短期的な成果を目的としない支援を行う。研究原資のうちの一部をBeyond Next Venturesが拠出し、残りを賛同するほかの出資者が支援することで、プロジェクトを成立しやすくする。
Beyond Next Venturesからの出資金額は公開されていないが、ファンドとしての投資ではなく会社から出資する形を取る。基礎研究支援事業の第1弾では、大学などから5名程度の若手基礎研究者を募り、研究資金の提供を行う予定だ。
Beyond Next VenturesではVCファンドを運営し、アカデミアの技術を世に出すことを事業としているものの、伊藤氏は「基礎研究も大切なことは事実。バランスを取りながら出資していきたい」としている。また「我々が基礎研究支援の取り組みを進めるとアピールすることで、基礎研究支援を手がける仲間を増やしたい」とも話していた。
Sony CorporationのSVP Toshimoto Mitomoが、声明文の中でこう言っている: “what3wordsは、音声で正確な位置を機械に入力するという重要な問題を解決した。音声で操作するシステムが急増しているので、すべてのデジタルプラットホームとチャネルで使えるシンプルな地理符号化方式(geocoder*)が必要になっている。それは、書き表すのも話すのも容易でなければならない”。〔*: geocoder, Wikipedia記事〕
昨年、Daimlerはwhat3wordsの株式の10%を取得し、その前の2017年にはこのアドレシングシステムを、Mercedesのインフォテイメントとナビゲーションシステムに統合すると発表した。そのシステムはMercedes-Benz User Experience、略してMBUXと呼ばれ、Mercedes A-ClassとB-Class、および商用車Sprinterに搭載されている。これらの車のオーナーは、インフォテイメントシステムに三つの語を言うかタイプするだけで目的地に正確にナビできる。
インペリアルカレッジを卒業したエンジニア三名(Tim Sadler, Tom Adams, Ed Bishop)が2013年に創業した同社は、機械学習を利用してメールのセキュリティを改善する。そのシステムは企業顧客のメールシステムを監視して、そのメールネットワークを分析し、送信メールの正常と異常を見分ける。
タイミーは、日本初のワークシェアサービスを展開するスタートアップ。同サービスを利用することで、ユーザーは面接などの事前交渉が不要でスキマ時間にすぐに働けるのが特徴だ。店舗側では、繁忙期にフレキシブルに人員を増やせるというメリットがある。タイミーは、TechCrunch Tokyo 2018のスタートアップバトルのファイナリストでもある。
コストの問題で弁護士に頼めない、法的理解がない、時間がないといった課題解決のために作られたのがAI-CON。現役の弁護士が立ち上げたAI契約書レビューサービスで、AIとクラウドを活用して契約書のレビューを行う。サービスにログインし、WordファイルやPDFファイルをアップロードすれば、1営業日以内に条文ごとのリスク評価や修正案などが提示される。GVA TECHは、TechCrunch Tokyo 2018のスタートアップバトルファイナリストの1社だ。
RAIN RFID(UHF帯RFID)タグが貼付された物品を高速・高精度にサーチするためのソフトウェア開発キット「P3 Finder(Phase based 3D RAIN RFID tags Finder SDK)」を共同開発。10メートル以上の読み取り可能なRAIN RFIDタグ位置をユーザーに正確に示すことで、紛失物、サイズ・色違い品、消費期限間近品などを早期に発見できるのが特徴。RFIDリーダ制御の詳細な知識不要で、数行のSwift言語を記載することでアプリケーションに組み込める。
機体のフレーム設計を基本から見直して機動性の向上と特徴的な飛行姿勢を実現した、4D Gravity技術を搭載したドローンを開発。産業用途にも応用できるという。具体的には、ドローンの飛行部(プロペラ、モーター、アーム)、搭載部(カメラ、積載物)を物理的に切り離し、機体を貫通するジンバルを1本通すことで、機体バランスの安定を図っており、従来のドローンとは異なり軸がぶれない飛行を可能にする。エアロネクストは、TechCrunch Tokyo 2018のスタートアップバトルファイナリストの1社だ。
農家の改善を支援し、最適な養豚経営を実現させるシステム。データ分析や業界標準から業務のあるべき姿を設定・共有することで、組織での継続的な経営改善を狙う。豚肉の生産性をデータを活用し生産性の改善を可能に。農家が抱える生産コストだけでなく持続可能性を脅かす社会的コストも最小化し、「みんな安心して食べられる環境」を目指す。Eco-Porkは、TechCrunch Tokyo 2018のスタートアップバトルファイナリストの1社だ。
それは実際にあなた自身が下した決断なのか?ほとんどの投資家たちは、M&Aのことを、あなたの会社がさらに大きくなる可能性があって、活用される資本を増やす機会として考えている。しかし、VCが確信を失ったところに、まあまあの買収話が来たときや、より大きな競合相手が同じ分野へ参入しようとしているという情報を掴んだときには、あなたに対して売却を迫ってくるかもしれない。もちろん、最良のポジションは、あなた自身の運命をコントロールし、収益性を究極的なBATNA(“best alternative to a negotiated agreement”:交渉の最低ラインを決めることができる、相手から出されたもの以外での最も良い条件)として利用できる立場に立つことだ。
リークは迷惑なもので、回避することは可能だが、もし本当に起きてしまったならば、それを利用してしまおう。もし報道機関があなたの会社が買収されたと報道したのに、まだ実際には買収されておらず、排他的交渉期間に入っていないなら、他の買収候補者がそれを知るようにしてみよう。もしそれまでに潜在的な入札候補者たちの興味を引くことに、あまり成功していなかったとしたら、 Bloomberg、The Wall Street Journal、あるいはTechCrunchによるレポートは、単純なメールでは引き起こせない関心を集めることができる。
シリコンバレー発のアクセラレーターPlug and Playが日本法人を設立し、国内での活動を本格化したのは2017年9月のこと。それから1年が経ち、彼らが年2回実施するアクセラレーションプログラムも「Batch 0」「Batch 1」の2期が完了した。現在は59社のスタートアップが参加する「Batch 2」が走っているところだ。
12月4日、東京・渋谷のコワーキングスペース「Plug and Play Shibuya」で開催された「メディアラウンドテーブル」では、Plug and Playが日本のスタートアップ成長に向けて考えていること、そしてBatch 1参加企業2社の成果と、Batch 2採択企業1社の現状についても紹介があったのでお伝えしたい。
日本でイノベーションを進めるために大切な5つの要素
Plug and Playは、2006年の創立から2000社を超える企業を支援し、70億ドルを超える資金調達を達成しているアクセラレーター・投資家だ。米・シリコンバレーに本拠地を置き、全世界26カ所にオフィスを構えるPlug and Playは、スタートアップを中心にしたエコシステムを形成を目指し、14にわたる幅広いテーマのそれぞれでアクセラレーションプログラムを実施している。
Plug and Play Japan代表 マネージングパートナー フィリップ・ヴィンセント氏
Plug and Play Japanの代表でマネージングパートナーのフィリップ・ヴィンセント氏は、まず世界のスタートアップエコシステムの状況を紹介。各国のPlug and Playの拠点の中でも、特にエコシステムがうまく発展している地域の特徴を紹介した。
パリではフィンテックと流通領域を対象に活動する2拠点が、いずれも2016年に開設された。このうち主にフィンテックを扱う「BNP Paribas-Plug and Play」は、2017年の夏にオープンした3万4000平方メートルの広大なインキュベーション施設Station Fを利用している。大きな一つの屋根の下で、起業家同士のコラボレーションも生まれやすい環境のStation Fには、約3000社のスタートアップが入居でき、20〜30のアクセラレーションプログラムが実行されている(Station F オープン時のTechCrunchのレポート)。
フランスでは政府のイノベーション推進施策により、海外から起業のためにフランスに移住する人のためのFrench Tech Ticketや、テック系人材とその家族のためのFrench Tech Visaといった特別なビザプログラムが用意されている。また政府の後押しを受けた、スタートアップエコシステム醸成のためのイニシアチブ「La FRENCH TECH」もある。
最後に紹介されたのは中国だ。北京、上海、深圳など、中国にはPlug and Playの拠点は8カ所あり、近いうちに10拠点に増える計画だ。中国でも政府がスタートアップエコシステムを力強くプッシュしている。また、スタートアップへの投資は中国が世界の半分を占めており、今では、評価額10億ドル以上のユニコーン企業の数が米国より多くなっているという。
さて、翻って日本の状況はどうだろうか。
日本でPlug and Playは、フィンテック、IoT、保険、モビリティの4領域でプログラムを実施。2019年春からはブランド・流通のエリアもカバーしていくことになっている。
Plug and Play Batch 1と実証実験で学んだこととして、神谷氏は「3カ月という短いBatch期間でキッカケの創出と、期間目標のコミットができたことで、Plug and Play Japanの強力な“お見合い力”を実感した。また東急不動産との実験取り組みで、大企業へのイメージが180度変わった。(SynchroLifeという)プロダクトでビジネスをまだしたことがなかった僕たちが、いきなり東急不動産と組めるというのはすごい経験だ」と話している。
一方、パートナーとしてGINKANを支援した東急不動産。渋谷で次世代のビジネス共創を目指し、2020年に向けて100のビジネス創出を目指すプロジェクト「SHIBUYAスタートアップ100」を立ち上げて、スタートアップを支援。その一環として、2017年11月にはPlug and Playとともに渋谷にインキュベーション施設を開設した。
東急不動産 都市事業ユニット 事業戦略部の伊藤英俊氏によれば、インフラとしての施設提供のほか、スタートアップとの事業連携も20社が確定しており、近く30社になる見込みとのこと。GINKANとはPlug and Playを通じて、Fintechパートナーとして組むことになった。
Trilliumは2014年の設立。米国カリフォルニア州サニーベールにあるTrillium本社は、シリコンバレーのPlug and Playから支援を受けており、東京でもBatch 1に参加することになった。Trilliumでは、ほかにも世界各地のPlug and Playでプログラムに参加している。またTechCrunch Disrupt Berlin 2017のStartup Battlefieldではピッチも披露している(英文記事)。
東京のBatch 1では、パートナー探しに加えて「インベストメントでも成果があった」と山本氏は述べる。2018年7月のシリーズA2ラウンドで、総額1100万ドル(約12億円)の資金調達を実施したTrillium。山本氏は「このラウンドでMUFJグループ(三菱UFJキャピタル)が参加したことは、Plug and Playの日本のBatchに採択された成果として大きい。出会って3カ月で投資が決まった」と話している。
またシリコンバレーのPlug and Playでも「ピッチを行ったところで(パートナー企業との)出会いがあった」と山本氏。世界中に拠点を持つPlug and Playは「世界に羽ばたくスタートアップにとっては、大変いい場所だ」と評価する。
「Plug in Play SHIBUYAでも、パートナーとなる企業と出会うことができた。今後PoC(概念実証)を目指していく」(山本氏)
「この実験は米国で行われたもので、日本では事例がまだない」としながら、井田氏は「日本でもスマートフォン使用による交通事故件数は、2011年から2016年にかけて2.3倍に増えているという統計がある。Plug and Play Japanのプログラムに参加することによって、PoCを実施し、日本でも導入実績、ケース事例を作りたい」と述べる。また「(日本での)認知向上やブランドづくりも図りたい」とBatch 2参加による成果に期待を寄せていた。