Voyager Space Holdingsが打ち上げプロセスの合理化に特化したThe Launch Company買収

Voyager Space Holdingsは、包括的かつ多方面な宇宙技術を提供するために最近買収熱が高まっている企業の1つだが、同社はアンカレッジを拠点とするスタートアップであるThe Launch Companyを買収する意向を明らかにした。The Launch Companyは「打ち上げプロセスの合理化」に特化したスタートアップで、複数の顧客をホストし異なるプロバイダーからの打ち上げの間にすばやい対応ができるようなサイトを構築することを最終目的としている。

すでにThe Launch CompanyはFirefly、Relativity、Virgin Orbit(バージン・オービット)など、新しい宇宙分野の多くの企業と協力してきた。また、モバイルかつ即応性の高いマルチビークルの打ち上げ機能の開発目指す米国防高等研究計画局(DARPA)の打ち上げチャレンジにも参加している。柔軟で即応性のある打ち上げサービスに焦点を当てているThe Launch Companyは、新興の民間宇宙産業だけでなく、米国防総省や米空軍のような潤沢な資金を持つ安定した顧客からの高い需要もある。

一方でVoyagerは宇宙産業全体の顧客に、ミッションの設計と打ち上げまでのプロセスを通じて、より垂直統合的なサービスを提供できるな資産の構築に注力してきた。両社は2020年に入って、NASAと協力しArtemisプログラムの一部を開発しているPioneer Technologiesを買収(未訳記事)し、2019年には衛星インターフェース、サービス、設計を手がけるAltius Space Machinesを買収している。

カテゴリー:宇宙
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(翻訳:塚本直樹 / Twitter

ウォルマートがP2P商品配達のJoyRunの一部資産を買収

JoyRun(ジョイラン)についてTechCrunchが最後に書いたのは、同社が1000万ドル(約10億円)を調達したときだった。ベイエリア拠点のスタートアップである同社の今回のニュースは少し変わっている。Walmart(ウォルマート)がサプライチェーンを強化しようとJoyRunの資産の一部を買収したのにともない、JoyRunはWalmartの一部になった。巨大小売のWalmartは米国時間11月20日、JoyRunのピア・ツー・ピアの食品・飲料配達サービスを自社のラストマイル配達に組み込むために、JoyRunの人材、テクノロジープラットフォーム、IPなどを含む「選んだ資産」を買収したと発表した。

Walmartの上級副社長Srini Venkatesan(スリニ・ヴェンカテサン)氏は、540のサードパーティ小売パートナー、そして5年ほど前の立ち上げ以来商品を配達してきた3万人強のネットワークがアプリにある、と述べた。JoyRunのサービスはSeamlessやUber Eatsのような標準的な配達アプリに少しひねりを加えたものだ。

2017年に採り上げたように、「JoyRunのアプリでは、ユーザーの好きなレストランにすでに向かっている近所の人を探し、自分の注文を上乗せすることができる」。Walmartがこのテクノロジーをいかに既存のチェーンに取り込むかは興味深いところだ。しかし聞いた感じだと、Walmartはグローサリーなどの商品の配達をノンプロに頼ることになるようだ。

このシステムはAmazon Flexと同じように機能する。配達のためのUber・Lyftギグエコノミースタイルというアプローチだ。

「この買収により、チーム、そして未来の顧客に配達するためにより多くの手法を開拓する現在の取り組みを強化できます」とヴェンカテサン氏は付け加えた。「例えば(JoyRunの)Runnersは当社のSPARKプログラムやサードパーティの配達プロバイダーを補完できるかもしれません。我々の最終目標は可能な限り早く、そして効率的に配達することです」。

Walmartは「数週間内に」ディールがクローズすると見込んでおり、JoyRunをサプライチェーンテクノロジーチームに迎え入れる。ディールの条件は開示されなかった。

カテゴリー:シェアリングエコノミー
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(翻訳:Mizoguchi

Snapが自分のボーカルを重ねた音楽トラックを作成できるアプリVoiseyを買収

Snapchat(スナップチャット)は、写真や動画の中の顔に加工して、平凡な写真メッセージを幻想的なクリエイションに変えるアプリのパイオニアだ。この機能を使えば、人間が例えば猫のようになったり、あるいは猫でさえ(Meowbox記事)祭りの花冠を身にまとったりすることができる。さて、そのSnap(スナップ)が、今度はサウンドにその注意を向けたようだ。

どうやらSnapは、英国のスタートアップであるVoisey(ボイジー)を買収したようだ。この会社は、インストルメント曲に自分の声を重ねて、短い音楽トラック(および動画)を作成できる機能を提供している。またミュージシャンがそうしたトラックの基礎となるインストルメント曲をアップロードできるようにしている。ユーザーは自分の声にオーディオフィルター(オートチューン、自動ハーモニー、ビリー・アイリッシュ風などのおもしろい効果)をかけることもでき、他の人たちが作ったVoiseyトラックを探して聴くこともできる。

その結果がこれや、あるいはこうしたものだ。

この取引は、まずBusiness Insiderによってレポートされた。記事はVoiseyがロンドンにある本社の住所をSnapのアドレスに変更したことを指摘していた。それに加えてCompanies House(カンパニーズハウス、英国の登記所)の記録によれば、スタートアップの共同創業者であるDag Langfoss-Håland(ダグ・ラングフォス=ホーランド)氏、Pal Wagtskjold-Myran(パル・ワグツキョルド=マイラン)氏、Erlend Drevdal Hausken(エルレンド・ドレヴダル・ハウスケン)氏、とOliver Barnes(オリバー・バーンズ)氏の4人と、スタートアップの最初の投資家の2人であるTerry Steven Fisher(テリー・スティーブン・フィッシャー)氏とJason Lee Brook(ジェイソン・リー・ブルック)氏が10月21日付で取締役を退任したことがわかった。また同時に、Snapの従業員である法務チームのAtul Manilal Porwal (アトゥル・マニラル・ポーワル)氏とインターナショナル担当者のAmanda Louise Reid(アマンダ・ルイーズ・リード)氏の2人が新しい取締役として任命された。

Snapのロンドン広報担当者であるTanya Ridd(ターニャ・リッド)は、Snapがこの件についてのコメントを拒否したことを伝えている。Voiseyは私たちからのメールに返信しなかった。

Voiseyはこれまでにわずか188万ドル(約1億9500万円)を調達したにすぎない(PitchBookのデータによると)。そしてAppAnnie(アップアニー)のデータによれば、iOSアプリの音楽部門で143位にランクインしている。SnapがVoiseyに支払った金額は明らかではないが、このニュースが流れたのはいまだに損失を続けるSnapの英国本社が、2020年11月始めに5億ドル(約511億円)の借入を行おうとしているニュース(The Telegraph記事)が流れた直後だった。おそらくは買収のためのキャッシュがそこに含まれているのだろう。

Voiseyはこれまで「音楽創造のためのTikToK」と説明されてきた (musically記事)。そしてそれは実際、Voisey同様にユーザー生成コンテンツに注力してきた、人気のビデオアプリに少し似ている。Voiseyは明らかに強いクリエイター感を提供しており、そのプラットフォーム上で少なくとも1人の歌手が見いだされた。「poutyface」というユーザー名だったビリー・アイリッシュ風歌手のOlivia Knight(オリビア・ナイト)が、2020年初めにアイランドレコード / ワーナー・チャペルと契約した(Music Business Worldwide記事)のだ。

一方、TikTokは、少なくともいまのところは、音楽制作そのものではなく、他の種類のコンテンツ(ダンス、メッセージ、雑談)を作る人たちに音楽を提供している。「いまのところは」と書いた理由は、TikTokの親会社であるByteDanceも、音楽制作のための資産を静かに買収しているからだ。この領域からは目が離せない。

SnapがVoiseyの機能の一部またはすべてを、そのフラッグシップアプリのSnapchatに統合して、新しい音楽サービスを作成するのか、あるいはVoiseyを別の(Snapchatに簡単に組み合わせることのできる)アプリとして運用するのか、もしくはその2つを組み合わせたものにするのかははっきりしていない。これまでの例で考えれば、どの可能性もある。

これまでSnapは音楽への流れをゆっくりと作り上げてきていたが、いまではTikToKのクローンを作っているように感じられる。先月にはSounds on Snapchat(サウンズ・オン・スナップチャット、未訳記事)を立ち上げた。この機能はユーザーがストーリーに音楽を追加できるようにするもので、よりTikTokのビデオに近いものになっている。そのために、大手パブリッシャーとのライセンス取引がますます増えている。

その機能を組み込む以前でも、Snapはサウンドの力を完全に無視していたわけではない。すでに何年もの間(未訳記事)、ビデオによりおもしろい効果を与えるために、音声フィルターを提供していた。しかし、音楽はソーシャルメディア上のフォーマットとして最も魅力的なものの1つである。Voiseyはオリジナルコンテンツを作成するためのプラットフォーム機能レースの中で、SnapならびにSnapchatに対して優位性をもたらすだろう。

興味深いのは、この取引が行われたタイミングだ。

私たちがSnapによるイスラエルのスタートアップ Voca.aiの買収について記事にしたのは(未訳記事)つい先週のことだ。買収額は7000万ドル(約72億7000万円)だった(ただし、より近い情報源はそれに異議を唱えていて、正確には1億2000万ドル(約124億6000万円)だと語っている……)。

Voiseyと同様に、Voca.aiの技術がどこで使われるかについては明らかになっていないが、Voca.aiは企業のカスタマーサービスのための、インタラクティブな音声ベースのチャットボットを可能にするAI ベースのスタートアップだ。これは、Snapが企業に提供するサービスの種類を拡大したり、ユーザーが既存のサービス(特にSpectacles)に声を使って対話することを可能にするのかもしれない(もちろんまったく違うものである可能性もある)。

Voiseyの買収と合わせて考えると、これはただスナップ写真を共有すること以上の、多くのことを提供している企業の振る舞いをしている。

【Japan編集部】日本時間11月21日18時時点ではVoiseyはApp Storeから消されている

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:SnapchatSnap買収

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(翻訳:sako)

中国の検索エンジンBaiduがJoyyのライブストリーミング中国事業を買収

Baidu(バイドゥ、百度)は米国時間11月16日、Joyy(ジョイ)が中国で提供しているライブストリーミングサービスYY Live(ワイワイライブ)を全額現金払いの36億ドル(約3800億円)で買収すると発表した。主力の検索以外の事業拡大が目的だ。

Baiduは四半期決算発表時に、成長しているビデオストリーミングマーケットへの同社最大の進出について情報を共有した。ByteDance(バイトダンス)のような新規参入者との競争で苦戦している中での動きだ。

YY Liveはインフルエンサーのコンテンツを視聴する400万人超の有料会員を抱え、ビデオアプリ内でさまざまな種類のアイテムを販売している。同社は2019年、中国国外を開拓しようと、ストリーミングアプリのBigo LiveとLikeを展開しているシンガポール拠点のスタートアップBigoの株式14億5000万ドル(約1515億円)分を取得した。

YY Liveは現在、中国事業のみをBaiduに売却しようとしている。売却のクロージングは条件次第だが、いまのところ2021年上半期を見込んでいる、とBaiduは話している。

「今回の取引はBaiduをライブストリーミングでトップのプラットフォームに押し出し、収入源の多角化が図れます」とBaiduの創業者でCEOのRobin Li(ロビン・リ)氏は声明文で述べた。

「YY LiveはBaiduの大量のトラフィックと素晴らしいモバイルエコシステムの恩恵を受け、一方でBaiduはビデオベースの大規模なソーシャルメディア開発のための運営経験と知識、Baiduの巨大なコンテンツプロバイダーネットワークをさらに強化する妬ましいほどのクリエイターネットワークを手にすることになります。YY Liveのチームとともに、Baiduは次世代のライブストリーミングと、エンターテイメントの枠を超えて多様なバーティカルへと拡大できるビデオベースのソーシャルメディアを開拓したいと考えています」。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:BaiduJoyyYY Live買収

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(翻訳:Mizoguchi

米司法省がMastercardのオープンバンキングスタートアップFinicity買収を承認

米司法省は、Mastercard(マスターカード)によるユタ州ソルトレイクシティ拠点のオープンバンキングスタートアップ、Finicity(フィニシティー)の買収を承認した。買収金額は8億2500万ドル(約862億2000万円)と推定されている(Business Wire記事)。

「当社は司法省が私どもの計画しているFinicity買収の審査を終え、契約を進めることを承認したという通知を受けました。この節目に到達したことを大いに喜んでいます」とMastercardが声明で述べている

Finicityは、ユーザーが自分の財務情報がどのように共有され、誰が自分の金銭取引を代行できるかを、オープンAPIを通じて決められるサービスだ。この買収によってMastercardは、自ら力仕事をすることなく消費者や企業に提供する取引の選択肢を増やすことができる。

CrunchbaseによるとFinicityは、これまでに8000万ドル(約83億6000万円)のベンチャー資金を調達している。契約が完了すると、10億ドル(約1045億1000万円)近い2020年最大級のフィンテック買収になる。

今回の司法省の承認は、同省がVisa(ビザ)の53億ドル(約5539億2000万円)のPlaid(プレイド)買収を阻止する反トラスト訴訟(未訳記事)を起こしてから2週間後のことだった。Plaidは自社データネットワークを通じて、VenmoとAcronsなどの大規模な財務サービスを支えており、買収によってVisaはオンライン支払いサービスを独占すると訴えられている。

Plaidは一連の批判を否定し、「Visaはこの契約を強く保護する意向」であると発言している。当局は、Intuit(インテュイット)が2月に発表(未訳記事)した70億ドル(約7315億1000万円)のCredit Karma(クレジットカルマ)買収提案にも目を光らせている。

Mastercard – Finicity買収の承認は、フィンテックスタートアップの価値を高めるカンフル剤になるかもしれない。PlaidとCredit Karm両社の契約に対する規制当局の監視が強まる中、果たして大規模M&Aはフィンテックユニコーンの選択肢になりうるのかという疑問が投げかけられていた。

もし規制当局の関心によって道が閉ざされるのであれば、フィンテックスタートアップはもっと早くにに安く身売りするか、最終的なIPOまで待つかのいずれかになる。もしそうであれば、ベンチャーキャピタリストはこの分野への投資を避けるかもしれない。しかし、Finictyの買収承認によって価値5億ドル(約522億6000蔓延)以上のフィンテックM&Aがすべて監視の悩みに直面するわけではないことがはっきりした。これはレイトステージフィンテックの評価額にとって歓迎すべきニュースだ。

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カテゴリー:フィンテック
タグ:MastercardFinicity買収米司法省

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

インド小売最大手のReliance Retailが家具通販のUrban Ladderを約25.5億円で買収

Reliance Retail(リライアンス・リテイル)は家具通販スタートアップUrban Ladder(アーバン・ラダー)の過半数株式を取得し、インド最大の小売チェーンとしてAmazon(アマゾン)、Flipkart(フリップカート)との戦いに向けてeコマースを強化した。

現地証券取引所への申請書類で、Reliance RetailaはUrban Ladder株式の96%を約2443万ドル(約25億5000万年)で取得したことを明らかにした。インドの小売最大手は、設立7年半のスタートアップから残りの株式を購入する権利を保持しており、2023年12月までに追加で1006万ドル(約10億5000万円)を投資する提案をしたと語った。

2012年4月設立されたUrban Ladderは家庭用の家具および装飾品をオンライン販売(未訳記事)おしている。同社はインドのいくつかの都市で実店舗の小売チェーンも展開している。買収条件からみて投げ売りだったことを思わせる。

Urban Ladderはこれまでに1億1500万ドル(約120億2000万円)をSequoia Capital、SAIF Partners、Steadview Capital、MITを始めとする投資家から調達したとCrunchbaseとTracxnは示している。2020年3月までの会計年度で、インドのスタートアップは5820万ドル(約60億9000万円)の売上で663万ドル(約6億9000万円)の損失を計上した。

Reliance Retailはこの投資について「グループのデジタルおよび新たなコマースへの取り組みを可能にし、グループが提供する消費者製品ラインアップの幅を広げるとともに、小売事業全体のユーザーエンゲージメントと体験を向上させるものです」と声明で語った。

Urban Ladderの買収に先駆け、Reliance Retailは2020年にFuture Groupと34億ドル(約3554億8000万円)の契約を完了し、インド第2位の小売チェーンから事業のいくつかを買収した。8月には医薬品マーケットプレイス、Netmedsの親会社であるVitalicを約8320万ドル(約87億円)で買収した(未訳記事)。

Reliance RetailはReliance Industies(インドで最大評価額の会社)の傘下にあり、この数カ月で約64億ドル(約6691億1000万円)を調達した。姉妹子会社のJio Platforms(ジオ・プラットフォームズ)は、Facebook(フェイスブック)、Google(グーグル)らの著名投資家から合計200億ドル(約2兆910億円)以上を獲得している。

Reliance Retailaは、インドの6500を超える市町にある1万近い店舗を通じて、毎週350万人以上の顧客に対応しているほか、Jio PlatformsとのジョイントベンチャーであるJioMartでeコマース事業にも参入している。JioMartは現在200以上のインド市町に進出しており、フェイスブックとの提携によってWhatsAppとの統合も果たしている。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:Reliance Retail買収eコマース

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Spotifyがポッドキャストのホスティングと広告会社のMegaphoneを約250億円で買収

最近ミュージシャンの報酬をめぐる問題で批判を浴びている​Spotify(スポティファイ)だが、ポッドキャスティングに関していえば巨額の資金がある。米国時間11月10日朝、同社は2億3500万ドル(約250億円)でMegaphone(CNBC記事)を買収したことを認めた(Spofiyリリース)。

Megaphoneは​2015年2月にThe Slate GroupによってPanopolyとして設立され、2019年に現在の名称に再ブランド化された。当初はBuzzfeed、The Wall Street Journal、Voxなどの有名メディアブランド向けの主要なポッドキャストを多数制作していた。​しかしブランド変更に合わせ、ホスティングや広告ツール、配信といったバックエンドの懸念事項に注力するため、編集作業を中止していた。

Spotifyはすでにホスティングサービスの利用などで、Megaphoneとパートナーシップを結んでいた。​今回の買収は主に、同社の広告ツールに焦点を当てているようだ。​Spotifyはプレスリリースで、「SpotifyとMegaphoneはPodcastのパブリッシャーに、より多くの収入を得るための革新的なツールを提供すします」と述べた。​「これにより彼らのコンテンツを収益化し、忠実なリスナーと広告主からのさらなる需要をマッチングするために、オプトインする機会が含まれます」と述べている。

Megaphoneの買収は、Spotifyが最近ポッドキャスト事業を中心とした買収の中でも最新のもので、その額は数千万〜数億ドル(数十億〜数百億円)に及ぶ。​これはメディア大手の1社になるという、同社の長年の夢を実現するための一歩となるはずだ。

買収した企業のリストにはGimlet、The Ringer、Parcastなどのコンテンツ制作企業や、Anchorなどのテクノロジー企業も含まれている。​2020年5月には非常に大人気のポッドキャスト番組「Joe Rogan Experience」の独占権を、1億ドル(約105億円)以上で購入した。この買収は物議を醸している同番組の題材に異議を唱えている従業員の間で、いくらかの不安を引き起こしたとされている。

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(翻訳:塚本直樹 / Twitter

Adobeがマーケティングワークフロー管理のWorkfrontを約1600億円で買収

Adobe(アドビ)は、マーケティングワークフロー管理のスタートアップであるWorkfront(ワークフロント)を15億ドル(約1600億円)で買収すると発表した。Bloombergが米国時間11月9日、この売却取引を最初に報じた

Crunchbaseによると、Workfrontは2001年設立の会社で、これまで3億7500万ドル(約390億円)を調達した未公開企業だ。そのうち2億8000万ドル(約290億円)が2019年に流通市場で調達した資金であったことは注目に値する。

Adobeはこの買収により、同社のExperience Cloudに適合するオンラインマーケティングツールをさらに増やすことができる。企業がマーケティング部門内(または社内の他の部署)で複雑なプロジェクトを管理するのに役立つツールだ。

Adobe Experience Cloudのプラットフォームおよび製品担当副社長であるSuresh Vittal(スレシュ・ビタル)氏は、両社が協働し、お互いの営業チームが顔を合わせることがよくあるという。パンデミックが広がり、分散環境でうまく機能するこの種のツールを会社で使うことが合理的になり、過去数カ月をかけてついに取引が成立した。

「ニューノーマルの下でマーケティングチームやエクスペリエンスデリバリーチームは分散し、リモートで働くようになりました。仕事の管理方法、コンテンツを作り出すスピード、コンプライアンスとガバナンス機能の提供方法などに関する新しいアイデアが出現し始め、あらゆる資産が組織から流出することを防いでいます。そして、クリエイティブやマーケティングチームを経由して外に出て行き、ブランドを正しい方法で表現することになります」とビタル氏は説明する。

WorkfrontのCEOであるAlex Shootman(アレックス・シュートマン)氏は、この取引により大企業への接触が可能になり、計画実行が加速するとみている。「当社はマーケティングの表面にわずかに触れている程度であり、そうした素晴らしい有機的な関係を持つだけで飛躍的に成長できると考えています」と同氏は述べた。

Constellation Research(コンステレーションリサーチ)のアナリストであるHolger Mueller(ホルガー・ミューラー)氏は、この買収でアドビの顧客はマーケティングプロジェクト管理の複雑さを容易に管理できるようになると述べた。「仕事のスケジューリングと管理は企業にとって桁違いに複雑になりました。AdobeはWorkfrontの買収で対応し、仕事の新しい未来のためのより良いツールを提供します」とミューラー氏はTechCrunchに語った。

Workfrontの960人の従業員はAdobeの一部に、そしてAdobe Experience Cloudの一部になる。シュートマン氏は引き続き経営に関与し、Adobeのデジタルエクスペリエンスビジネスのエグゼクティブバイスプレジデント兼ゼネラルマネージャーであるAnil Chakravarthy(アニル・チャクラバルシー)氏に報告する。

Workfrontの顧客には、Home Depot(ホームデポ)、T-Mobile(Tモバイル)、Deloitte(デロイト)が含まれ、Workfrontの合計3000社の顧客のうち1000社は両社共通の顧客だ。実際Workfrontには、マーケターが頻繁にアクセスする同社の製品ファミリーのうち、Adobe Creative CloudとExperience Cloudに接続するAPIがある。

Adobeはマーケティングオートメーションの分野でSalesforce(セールスフォース)、SAP、Oracle(オラクル)と争う中、近年小切手帳を使って追加の火力を獲得している。この買収はAdobeが2018年にMagento(マジェント)に16億ドル(約1700億円、未訳記事)、Marketo(マルケト)に47億5000万ドル(約5000億円、未訳記事)を費やした後に続くものだ。2年足らずで3社に約80億ドル(約8400億円)を使った。Adobe Experience Cloudの一部を社内で開発しているにもかかわらずだ。これらはすべて、Adobeがこの価値の高い分野で前進することにどれほど真剣であるかを示している。

カスタマーエクスペリエンス(顧客体験)は、オンラインでも対面でも常に取引の重要な要素だ。顧客に対し、ブランドとの取引における満足感をもたらすからだ。顧客に繰り返し戻ってきてもらうだけでなく、顧客が会社の大使として行動することを促す。これには信じられないほどの価値がある。

逆に、質の悪い体験は正反対の影響を及ぼす可能性がある。見込み客、ひいては企業にとって良い顧客でさえブランドを見捨て、オンラインで友人に直接悪口をいうようになる。Adobeは新しいマーケティングツールを導入することで、顧客のオンラインでの体験を向上させる可能性を高めることができると期待している。これにより、会社で働くマーケティング担当者は、ワークフローを通じてマーケティングプロジェクトをアイデアから実行に移すことができる。

この取引はAdobeの会計年度の第1四半期に完了する予定だ。例によって、当局による精査の対象となる。

カテゴリー:ネットサービス
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画像クレジット:Lisa Werner / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

ヒュンダイがBoston Dynamics買収でソフトバンクと交渉中と報道

Boston Dynamicsのオーナーがまた変わるかもしれない。Bloombergの記事によれば「事情に通じた筋」がそう語ったという。

韓国の大手自動車メーカーHyundai(ヒュンダイ)がBoston Dynamicsの買収に成功すれば三代目のオーナーとなる。この7年間でGoogle(グーグル)、次にSoftBank(ソフトバンク)グループが同社を買収してきた。Boston Dynamicsは4脚のBigDog、人間型のAtlasなどを含め、先進的なロボティクステクノロジーで世界に知られている。

TechCrunchではヒュンダイ、ソフトバンク、Boston Dynamicsの各社にコメントを求めている。回答があれば記事をアップデートする予定だ。

Boston Dynamicsは25年の間、主に開発研究と軍事用の応用に集中していたが、2017年にソフトバンクグループの一員となって以後、ロボットの商用化を積極的に推進し始めた。例えば同社は2019年に四足歩行ロボットSpotの販売を開始したが、チェルノブイリの放射能汚染の除去(The Telegraph記事)、ニューヨーク市警察のパトロール(New York Post記事)、新型コロナウイルス(COVID-19)治療のための遠隔医療など極めて広い用途で利用されている。

同社はまた車輪で移動するアームを持つHandleをフルフィルメントセンターなどの倉庫におけるパッケージ処理向けに提供している。これはパンデミックによって人手不足が生じている中で注目を集めているプロダクトだ。しかしながら、こうした先進的テクノロジーを用いたロボットは複雑かつ高価となり、量産・販売には困難な課題がある。また利用者側にも、十分なノウハウと多額の投資に耐える体力が必要だ。オーナーのソフトバンクはWeWorkへの投資失敗などもあり、2020年は波乱の年だった。

ソフトバンクのロボティクスに対する取り組みは、Aldebaran Roboticsが開発したPepperロボットでわかるように比較的シンプルな応用を主としているのに対して、ヒュンダイのビジョンはBoston Dynamicsのこれまでの歴史に近いといえる。ヒュンダイが2019年に発表したコンセプトカーであるElavate(Business Insider記事)は通常は4輪で走行するが、必要に応じて4脚に変身してどんな悪路も走破できることを目標としていた。つまり非常に高度なロボティクスを利用するものだった。

ヒュンダイは、2019年から自動走行車とロボティクスのテクノロジーに関心を示し始めた。同社は自動走行車開発のためにAptivと持ち分50%ずつのジョイントベンチャーでMotionalを創立(未訳記事)した。新会社の目標はレベル4からレベル5の段階の高度な自動走行テクノロジーの開発で、Hyndaiはこうしたテクノロジーを最終的に量産に結びつけようと狙っている。同社は2022年までに自動走行車の量産だけでなく、これを利用したロボタクシーの運用も目標としている。

Aptivとヒュンダイのジョイントベンチャーへの投資総額(研究開発費用や知財の価値を含む)は40億ドル(約4200億円)に上る。両社は当初、完全自動走行テクノロジーのテストは2020年までに開始され2022年の商業化を目指すとしていた。

実はヒュンダイはこれまで自動走行車にはさして多額の投資をしていいなかった。2019年10月には、次世代移動テクノロジー開発のために2025年までに41兆ウォン(約3兆8600億円)を投資するという計画を発表した。この資金の大部分は同社の自動車ラインナップのEV化に向けられるものだが、自動走行を含む各種の次世代テクノロジーにも強い興味があると述べている。

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カテゴリー:ロボティクス
タグ:ヒュンダイBoston Dynamicsソフトバンクグループ買収

画像クレジット:TechCrunch

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

フィル・リービン氏のmmhmmがMemixを買収、オンライン会議でのプレゼンをもっと楽しく

近頃は、誰かと話をするのにオンライン会議を利用することがすっかり定着した。今後、新型コロナウイルス感染症の影響を軽減する効果的な方法が見つかったとしても(見つかるかどうかはまだわからないが)、オンライン会議は存続すると多くの人は考えている。つまり、オンライン会議を改良することがビジネスチャンスになるということだ。はっきり言おう。「Zoom疲れ」は現実に起きているし、少なくとも筆者は、誰かのTeamに参加することに正直うんざりしている。

mmhmm(ンーフー)は、Evernote(エバーノート)の前CEOであるPhil Libin(フィル・リービン)氏が設立した動画プレゼンアプリのスタートアップだ。同氏は、オンライン会議というメディアの機能や、それに対する一般的な概念を変えたいと思っている。ンーフーが最初に取り組んだのは、まるでニュース番組のように、動画の中でプレゼンテーションをリアルタイムで操作する機能だ。同社は米国時間10月24日、現在は招待制のベータ版であるmmhmmの一般公開を目指して買収を行ったことを発表した。

ンーフーが買収したのは、サンフランシスコを拠点とするMemix(メミックス)という企業だ。メミックスは、(録画済みかストリーミングかを問わず)動画に適用できるさまざまなフィルター(照明、背景の詳細、画面全体の変更)や、各種動画プラットフォームでそのようなフィルターを使用するためのアプリを開発している。

mmhmmと同様、メミックスも現在、動画プレーヤー本体ではなく、既存の動画プラットフォーム上で使用するツールの開発に注力している。メミックスは、Zoom、WebEx、Microsoft TeamsなどのWindowsアプリを介して、またはChrome、Edge、およびFirefox上で動作するFacebook MessengerやHousepartyといったウエブアプリを介してアクセス可能なバーチャルカメラという形で提供されている。

リービン氏はインタビューに答えて次のように語った。「このバーチャルカメラは現在の形のまま維持し、各種フィルターとメミックスのテクノロジーをmmhmmに統合する取り組みと、mmhmmプラットフォーム上により多くの機能を構築するための土台作りを同時に進めていく」。

市場には現在、動画関連の製品がひしめいており、ユーザーも多いが、どの製品もまだスタートラインに立ったばかりで、テクノロジーも求められる機能も日進月歩だとリービン氏は考えている。同氏によると、この市場は今、(会議などの)既存のエクスペリエンスの焼き直しではなく、まったく新しいエクスペリエンス、さらに優れた何かを創造する方向へと移行している段階だという。

リービン氏はこう語る。「この分野は大きな転換期を迎えており、それはまだ始まったばかりだ。重要なのは、すべてがハイブリッド型エクスペリエンスになっているという事実だと思う。動画プレゼンテーションのエクスペリエンスには、直接会う、オンライン、録画、ライブという4つの形態がある。これまでは、どのプレゼンテーションもこの4つのいずれかに収まっていた。つまり、境界が固定されていたわけだ。ところが今、この境界が徐々に消えつつあるため、すべてのエクスペリエンスを再構築して本質的にハイブリッドなエクスペリエンスを実現できるようになっている。これは、極めて重要な変化だ」。

メミックスの創業者たちは、この概念について頭の中で考えてきただけでなく、それを実現するソフトウェアの構築を進めてきた。
「やるべきことはたくさんある」と創業者の1人であるPol Jeremias-Vila(ポル・エレミアス・ヴィラ)氏は言う。「プロとしてストリーミング配信を行うとなると、高価なカメラ、照明、マイク、スタンドなど、非常に複雑なセットアップが必要になるが、それに代わる選択肢を提供する、というのが我々の基本的な考えだ。しかも、こうした複雑なセットアップを数回のクリックだけで提供できるようにしたい。先ほど挙げたようなハードウェアと同じ効果を実現できるテクノロジーを、膨大な数の視聴者向けに(ソフトウェアだけで)実装できる方法を考案したい」。

メミックスの2人のスペイン人創業者、 Inigo Quilez(インディゴ・キレス)氏とポル・エレミアス・ヴィラ氏は、スペインではなくサンフランシスコのベイエリアで出会った。2人ともメミックスの運営にフルタイムで関わっているわけではないが、同社が開発するテクノロジーの移行や統合には関わっていくつもりだという。

リービン氏が最初にキレス氏のことを知ったのは彼がYouTubeに投稿した「数学で絵を描くための原理」と題する動画だった。しかし、この動画だけでは2人の創業者の人物像はよくわからない。彼らはグラフィックエンジニアリングの達人だ。エレミアス・ヴィラ氏は現在、Pixar(ピクサー)の主任グラフィックソフトウェアエンジニアであり、キレス氏は昨年までFacebook(フェイスブック)でプロダクトマネージャー兼主任エンジニアとして、OculusのQuill VRアニメーションや生産性ツールを開発していた。

テック企業でエンジニアとしての仕事をこなしているだけでは、グラフィックアプリケーションに取り組むための十分な時間を確保できなかったため、2人はBeauty Pi(ビューティー・パイ、Beauty Pieとは異なる)という取り組みを始めた。Beauty Piは2人が本業とは関係のないさまざまな共同作業を行うための場となった。メミックスは、Beauty Piのプロジェクトとして、2人がゼロから作り上げたものだ。Beauty Piには他にもShadertoy(シェイダートイ、3Dシーンに影を作成するコンピュータープログラムShadersを作成するためのコミュニティとプラットフォーム)などのプロジェクトがある。

このように、メミックス誕生の背景を見ると、今まさに動画の世界で興味深いビジネスチャンスが生まれていることがわかる。現在、パンデミックのせいで(少々、言い方が悪いかもしれないが)猫も杓子も動画をメディアとして活用する分野に手を出している。加えて、ブロードバンド、デバイス、アプリ、動画関連の技術が進化しているため、動画ストリーミングの基本概念に面白い変化を加えたり改善を施したりするスタートアップが雨後の筍のように現れている。

テレビ会議の分野だけでも、いくつか有望な企業がある。Headroom(ヘッドルーム)は数週間前、会議中に有意義なメモを取れるようユーザーを支援する機能や、聴衆が退屈したり不快に感じたりしていないかをコンピュータービジョンを使って検出してプレゼンターが聴衆の反応をより正確に把握できるようにする機能などを含む、非常に興味深いAIベースのサービスを発表した。

Vowel(ヴァウエル)が提供している新しいツールは、会議とその文字起こし原稿に有意義な注釈を付けられるだけではない。すべてのセッションを横断的に検索してさまざまな項目を追跡したり、複数のイベントにおける参加者の発言内容を掘り下げて調べたりすることが可能だ。

もともと音声トラックの編集ツールを開発していたDescript(デスクリプト)は今週始め、動画から文字起こししたWord文書を切り取り、貼り付け、修正して動画のビジュアルと発言内容を編集できる動画用コンポーネントを発表した。これらはすべて、mmhmmと同じく、明らかにB2Bを前提として開発されている。そして、上に挙げた企業は氷山の一角にすぎない。

確かに、現在市場に出ている多数の画像処理技術はそれ自体が興味深いものだ。以前より明確なビジネスモデル(と主要企業)がようやく登場した段階にあるため、この分野はまだ成熟しておらず、関連技術がどのような領域で最も活用されるようになるのかは、まだ不明である。

そのため、ズーム、グーグル、マイクロソフトといった大手だけでなく、ゼロからまったく新しいプラットフォームを構築する新規参入組にとっても、面白いビジネスチャンスだと言える。

その意味で、mmhmmは注目に値する存在だ。リービン氏は、不運なチャットボット市場に同氏が進出するというだけで見出しになるほどの大きな影響力を持つ人物だ。mmhmmは、そのリービン氏の名声とインスピレーションが背景にあるというだけでなく、Sequoia(セコイア)をはじめとする有名VCの支援を受けている(セコイアは今月始め、mmhmmに対する3100万ドル(約32億4700万円)の資金調達ラウンドをリードした)。

リービン氏は「mmhmmを通してこの業界における統合を進めようとは考えていないし、この業界で統合が進んでいるとも思っていない」という。統合は、ある程度成熟した分野で行われるものだが、このハイブリッド型オンライン会議市場はまだ誕生したばかりだと同氏は考えているからだ。

「当社が行っているのは、統合というより市場シェアの獲得だ。自分たちが本当に気に入ったチームと一緒に仕事ができるかどうか、それが当社の買収基準だ。メミックスはその条件を満たしていた」とリービン氏は続けた。

関連記事:Headroom、AIを使ってビデオ会議の質を飛躍的に向上させるために500万ドルのシード資金を調達

カテゴリー:ネットサービス
タグ:ビデオチャット 買収 リモートワーク

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(翻訳:Dragonfly)

モバイルアプリテストのKobitonが約15億円を調達し同業のMobile Labsを買収

モバイルアプリのテストを行うアトランタのKobitonを利用すると、開発者やQAのチームは自分たちのアプリを目の前の実機と、Kobitonのクラウドサービスの両方でテストできる。米国時間11月5日、同社は同じくアトランタの同業企業であるMobile Labsの買収を発表した。

資金状態の良い競合相手を買収するための資金としてKobitonは、同社の520万ドル(約5億4000万円)のシリーズAの拡張として1400万ドル(約14億5000万円)を調達した。投資家はこれまでの投資家BIP Capitalと新しい投資家Fulcrum Equity Partnersとなる。

KobitonのCEOであるKevin Lee(ケビン・リー)氏によると、この調達額は買収価額ではない。しかし、実際の額もそのあたりと考えて妥当だろう。しかし、同社は額を明らかにしていない。2011年に創業されたMobile Labsは、買収の前までに約1500万ドル(約15億5000万円)を調達したとCrunchbaseにはある。同社が最後に外部資金を調達したのは2014年だった。KobitonとMobile Labsには、共通の投資家がいない。

KobitonのCEOケビン・リー氏(画像クレジット:Kobiton)

2017年にローンチしたKobitonは、2社を比べると小さい企業かもしれない。そんなKobitonが、大きい方のMobile Labsを買収できたのは興味深い。リー氏によると、Mobile Labsが売る決心をした理由の1つは、Kobitonでは以前から機械学習を利用して開発者が自分のアプリのテストを構築でき、そのためのオープンソースのアプリ試験フレームワークであるAppiumがあるのに対して、Mobile Labsはその方面で後れをとっていたことだ。

「彼らはAIへの投資がやや遅くて、しかもそれを自覚していた。でも私の理解では市場の現実は、十分な投資を早めにしないと、その企業は取り残されるのだ」とリー氏はいう。

リー氏によると、両社間には当然あってしかるべきシナジーが大量にある。例えばMobile Labsは、ゲームと金融方面のクライアントが多い。そうしたクライアントの多くがモバイル経験が浅い。一方、Kobitonの既存の顧客ベースは多くの場合モバイルファーストだ。

「Mobile Labsは10年の経歴があるからパートナーも多く、米国外のスタッフも多い。同社の相手は主に、規制の多い業種の古くからの大企業や、知財の保護を重視するファイヤーウォールで守られた産業だ。Mobile Labsは、そんな業界で本当に成功してきたんだ」とリー氏はいう。

リー氏によると、そんなMobile Labsの顧客もいまやAI / MLベースのアプリテストソリューションを求めており、両社が合併することで、Mobile LabsのソリューションにKobitonの技術の層をかぶせることができる。これらの顧客のためのアップグレードパスを作れば、それぞれのペースでテスト環境をアップグレードできるだろう。当面、Mobile Labsの既存のサービスを廃する計画はないが、Mobile Labsの個々のブランドの一部は名前が変わるかもしれない。

今回の買収でKobitonの米国内における従業員数が倍以上になるが、しかし同社のチームの大部分はベトナムにいる。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Kobiton、資金調達、買収 / 合併 / M&A

画像クレジット:gilaxia / Getty Images

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

インテルが機械学習を管理、構築、自動化するためのプラットフォームcnvrg.ioを買収

Intel(インテル)が、その機械学習とAIの運用基盤を構築するために、スタートアップ企業の買収を続けている。その最新の動きとして、TechCrunchは、Intelがcnvrg.io(コンバージ)を買収したことを確認した。cnvrg.ioは、データサイエンティストが機械学習モデルを構築して実行するためのプラットフォームを、開発し運用している企業だ。このプラットフォームは複数のモデルを訓練し、追跡し、比較し、レコメンデーションなどを行うために使うことができる。

Intelは、私たちからの買収の確認に手短に答え、広報担当者は「私たちは確かにcnvrgを買収しました」と回答した。「cnvrgはインテルの独立系企業となり、今後も既存および将来のお客様にサービスを提供していきます」。そうした顧客には、Lighttrick(ライトトリック)、ST Unitas(STユニタス)、Playtika(プレイティカ)などが含まれている

Intelは、取引に関する財務条件を開示せず、スタートアップの誰がインテルに入社するのかも回答していない。Yochay Ettun(ヨーチャイ・エトゥン)CEOと、Leah Forkosh Kolben(リア・フォルコシュ・コルベン)氏が共同創業したcnvrgは、PitchBookがその評価額を1700万ドル(約17億8000万円)と推定した前回のラウンドで、Hanaco Venture Capital、Jerusalem Venture Partnersなどを含む投資家から800万ドル(約8億4000万円)を調達した。

IntelがAIビジネスを後押しするために、機械学習モデリングの分野でも、別の買収を行った(未訳記事)のはわずか1週間前のことだ。そのときに買収したのは、機械学習モデリングとシミュレーションを実行するための最適化プラットフォームを開発しているSigOpt(シグオプト)だ。

SigOptはベイエリアを拠点としているが、cnvrgはイスラエルにあり、Intelがイスラエル国内に構築した幅広いネットワークに参加する。そのネットワークの人工知能の研究開発の分野にはすでに、2017年に150億ドル(約1兆5700億円)以上で買収した自動運転ビジネスのMobileye(モバイルアイ)や、2019年末に20億ドル(約2100億円)(未訳記事)で買収したAIチップメーカーのHabana(ハバナ)が存在している。

cnvrg.ioのプラットフォームは、オンプレミス、クラウド、ハイブリッドのいずれの環境でも機能し、無料プランと有料プランが用意されている。私たちは2019年に、Coreというブランドで提供される無料サービスの開始に関して(未訳記事)記事を掲載した。これは、Databricks(データブリックス)、Sagemaker(セージメーカー)、Dataiku(データアイク)や、オープンソースフレームワーク上に構築されたH2O.ai のような小規模なシステムと競合するものだ。Cnvrgが想定する前提は、データサイエンティストたちが、実行するプラットフォームの構築や維持ではなく、アルゴリズムの考案や動作の測定に集中できるように、ユーザーフレンドリーなプラットフォームを提供することだ。

Intelは今回の買収について多くを語っていないが、先週のSigOptの買収の際に語られていた理由と同様なものがここにもあるように思える。Intelはそのビジネスを次世代チップ(Intelリリース)周辺に絞り、NVIDIA(エヌビディア)や、より小規模なGraphCore(グラフコア)などにより有効に対抗しようとしている。したがって、特にこれらのチップで実行されるコンピューティング負荷を支援するサービスを提供する、顧客向けのAIツールを提供したり投資を行ったりすることは理に適っている。

私たちが2019年に書いたCoreの無料プランに関する記事では、クラウドでこのプラットフォームを使用しているユーザーならば、Kubernetesクラスター上で実行されるNVIDIAに最適化されたコンテナ上で、それを実行できることを指摘した。それが引き続き当てはまるのかどうか、もしくはコンテナがIntelアーキテクチャー用に最適化されるのかどうか、あるいはその両方なのかどうかは明らかではない。cnvrgのその他のパートナーとして、Red Hat(レッド・ハット)やNetApp(ネットアップ)の名前が挙げられる。

Intelの次世代コンピューティングへの注力が目指すものは、レガシーな運用の減少を相殺することだ。前四半期には、データセンターの事業の減少に引きずられて、売上高が3%減少したことを、Intelは報告している(Intelリリース)。同社は2024年までにAIシリコン市場は250億ドル(約2兆6000億円)を超え、データセンター内で使われるAIシリコンは100億ドル(約1兆500億円)を超えると予測している。

2019年には、IntelはAI関連の売上として約38億ドル(約3990億円)を報告したが、同社はさらに、SigOpt のようなツールがそのビジネスにおけるより多くの活動を促進し、より幅広いビジネスでのAI アプリケーションと組み合わされることを期待している。

関連記事:Intel、Mobileyeを153億ドルで買収―自動運転テクノロジーの拠点をイスラエルに移す

カテゴリー:人工知能・AI
タグ:Intelcnvrg.io買収

画像クレジット:MR.Cole_Photographer / Getty Images

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(翻訳:sako)

ネスレが健康的な食材を宅配するスタートアップFreshlyを最大1570億円で買収

米国Nestlé(ネスレ)はFreshly(フレッシュリー)を15億ドル(約1570億円)で買収したと発表した(PR Newswire記事)。9億5000万ドル(約994億円)に将来の成長に応じて最大5億5000万ドル(約576億円)上乗せする。

2015年創業のFreshlyはニューヨーク拠点のスタートアップで、健康的な食材を週単位で宅配している。この食材は電子レンジやオーブンを使って数分で準備できるものだ。フレッシュで健康的というのが売りで、しかも調理に時間をかけずに済む。

どちらかといえば、家で過ごす時間が長く、自分で調理しようとしている人が多い現在、魅力的なサービスだ。Nestléの報道発表資料によると、Freshlyは現在、48州で1週間あたり100万食超を宅配していて、2020年の売上高は4億3000万ドル(約450億円)を予想している。

FreshlyはこれまでにHighland Capital Partners、White Star Capital、Insight Venture Partners、そしてNestléといった投資家から1億700万ドル(約112億円)を調達し、Nestléは2017年のシリーズCをリードした(未訳記事)。本日の発表では、先の投資によるNestléの持ち分は16%で、「新興マーケットの評価とテストのための戦略的な動き」と表現されている。

「消費者はこれまでになくeコマースを利用し、家で食事するようになっています」とNestlé USAの社長兼CEOであるSteve Presley(スティーブ・プレスリー)氏は声明で述べた。「パンデミックによってもたらされた革命ですが、長期的に続くものです。Freshlyは革命的で、急成長しているフードテックスタートアップであり、Freshlyを傘下に収めることでNestléは米国のフードマーケットにおける新たな現実への資本注入を加速させ、将来のためにいい位置につけることができます」。

顧客への案内の中で(Freshlyリリース)、Freshlyの共同創業者でCEOのMichael Wystrach(マイケル・ウィストラッチ)氏は、買収の結果、同氏のチームは毎週提供するメニューアイテムの数を3倍にする計画だと述べた。ただ、同氏はサービスはさほど大きく変わらないとも言及した。

あなたの食事、価格、そしてサブスクはこれまで通りだと保証します。Freshlyは便利で栄養価の高い、そして美味しい食事のソリューションを利用しやすくするというミッションを完遂すべく、引き続き独立して事業を展開します。Nestléの力を借りて、よりフレッシュで、迅速な配達を新たな顧客に届けます。当社は引き続き厳しい基準を維持し、プロダクトに完全に責任を持ちます。当社の食事は変わることなく、成分を変えたり、NestléのプロダクトをFreshlyの食事に組み合わせたりすることは考えていません。しかし将来の可能性についてとても楽しみにしています。

カテゴリー:フードテック
タグ:NestléFreshly買収

画像クレジット:Freshly

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(翻訳:Mizoguchi

CorsairがiPhoneやiPadをウェブカメラに変えるアプリのEpocCamを買収

Corsair Gaming(コルセア・ゲーミング)は米国時間10月29日、社名を冠したiOSソフトウェアを開発したEpocCam(エポックカム)を買収したと発表した(GlobeNewswire記事)。なぜゲーム企業が2020年にそうした企業の買収に関心を示したのかについては想像に難くない。新型コロナウイルスのパンデミックにより世界中でリモートワークが増え、その結果、多くの人がこれまでになくビデオ会議をしている。

EpocCamのアプリはiPadやiPhoneを、macOSとWindows PCのためのウェブカメラに変えるものだ。このソフトウェアはZoom(ズーム)、Skype(スカイプ)、Google Meet(グーグルミート)、Microsoft Teams(マイクロソフト・チームズ)など数多くの人気ビデオ会議アプリで使える。

今回の買収で、EpocCamブランドはCorsairのElgato傘下に入る。Corsairは自社のゲーミングブランドを2018年半ばに買収した。これによりElgatoの残りはEve Systemにブランド名を変えた。Eve Systemはスマートホームとホームオートメーションにフォーカスしていた。

デスクトップパソコンにはビルトインされたウェブカメラを備えていないモデルもあるが、iPhoneは大きな進化を遂げてきた。ゆえに、iPhoneの映像パワーを利用するというのは理に適っている。もちろん、EpocCamがゲーミングブランドの所有となることで、ビデオゲームのライブストリーミングが今後存在感を増すようになるのは明らかだ。

EpocCamは既存プロダクトに統合されるなど、すでにElgatoブランドでリローンチされた。同社は更なる発表についても「すでに準備中」だとしている。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:CorsairEpocCam買収

画像クレジット:EpocCam

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(翻訳:Mizoguchi

EdTechのCourse Heroが数学専門の解答エンジンSymbolabを買収、他科目の買収も目指す

8000万ドル(約84億円)を調達したシリーズBラウンドから数カ月、Course Hero(コース・ヒーロー)はSymbolab(シンボラボ)を買収した。Symbolabは、学生が難しい数学の問題の答えを出したり理解したりするのを手伝うAI(人工知能)で動く計算機だ。

買収の価格は明らかにされなかった。テルアビブ拠点の9人のチームであるSymbolabはCourse Heroに加わる。Course HeroのCEOであるAndrew Grauer(アンドリュー・グロウアー)氏によると、Symbolabのプラットフォームは当面、独立したブランドとして継続する。

2011年創業のSymbolabは、高度な計算機かつ問題解決プログラムであり、2020年は10億もの問題を解くことになりそうな勢いだ、とグロウアー氏は話す。Symbolabのサービスは大学レベルの数学にフォーカスしており、難しい幾何学の問題を説明し、証明する。

Course Heroは問題と解答のプラットフォームだ。計算機、そして最も質問が多い数学の問題についてのデータセットを持つ企業を取り込むことで、Course Heroは数学のサービスをさらに充実させることができる。同社によると、現在同社のサービスを利用する学生の間で最も人気の科目の1つが数学だ。SymbolabはCourse Heroのユーザーに魅力的なサービスとして提供される見込みだ。

行き詰まった生徒へソリューションを与えるために計算エンジンを使うモデルは、かなり一般的だ。リモート教育の世界では、授業についていけなくなりそうな学生にとって柔軟性が重要となる。教師やチューターは限られた時間しか対応できないかもしれないが、AIで動くテクノロジーサービスは365日24時間いつでもお金を払って頼ることができる。

Symbolabは人気の計算エンジンWolfram Alphaに似ている。Wolfram Alphaは「パワフルなツール」だとグロウアー氏は話す一方で、Symbolabは掘り下げていること、そして説明において一日の長があると考えているという。Google(グーグル)のような大企業もまた似たようなサービスを取り込んでいる。同社は2019年に宿題手伝いアプリのSocratic(ソクラティック)を買収した。そしてMicrosoft(マイクロソフト)は同じ年にMicrosoft Solverを構築した。

グロウアー氏は自社で構築するか、あるいは買収かを決断しなければならなかった。同氏は結局テクノロジーを買収することを決めた。なぜなら、プラットフォームがデータを繰り返し混ぜ合わせることができる場合にのみ、AIの真の成功はもたらされるからだ。Symbolabは10年ほど前に創業された。バックエンドの情報は価値あるものだ。グロウアー氏は、グーグルやマイクロソフトと違うアプローチを取っていることに興奮していると話す。

「短い時間では無理です」と同氏は述べた。「学生は、正確な答えをどのようにして得るかを求めています。しかし、どのようにしてそこにたどり着くかが問題で、単に正確であるだけでなく、真に役立つステップバイステップのソリューションが大事です」。

これまで資金不足だったこの分野において、統合はまだ稀なものだ。EdTech(エドテック)の買収は着実に増えているものの歩みは遅い。2018年のEdTech業界の買収は40件に満たなかった。Crunchbaseによると、同年フィンテックでは193件の買収があった。

それでも、EdTechは大きなブームを迎えており、今回の買収は理に適っている。Course Heroはつい最近、これまでで最多の資金を調達し、年換算売上高は1億ドル(約104億円)を超え、黒字化を達成した。かくして同社は、十分な買収資金を手元に持っていたと思われる。2012年にCourse HeroはInstaEduの創業者からCardinal Scholarsを買収した。

Course Heroは今後、さまざまな科目でより多くの買収を行うだろうとグロウアー氏は話す。概してEdTechにおいては、今後5〜10年に多くの買収があると同氏は考えている。

「15年前を振り返ると、教育テクノロジー事業はそんなに多くはありませんでした。しかし現在では、潜在的にこの規模になる企業は十分にあると思います。ディストリビューションのテクノロジーに関するメトリクスを持っており、拡大期にプロダクトマーケットを構築したEdTech企業はたくさん存在します」とグロウアー氏は語る。

関連記事:Googleがモバイル学習アプリSocraticを買収してiOS版を再提供

カテゴリー:EdTech
タグ:Course HeroSymbolab買収

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(翻訳:Mizoguchi

Juniper NetworksがボストンのAI SD-WAN企業128 Technologyを475億円で買収

Juniper Networksは米国時間10月19日、スマートワイドエリアネットワーキングのスタートアップである128 Technologyを4億5000万ドル(約475億円)で買収したと発表した。

JuniperがAIを活用したネットワーキング企業を買収するのは、2019年3月にMist Systemsを4億500万ドル(約427億6000万円)で買収した(Juniper Networksリリース)のに続き、ここ1年半で2社目となる。128 Technologyの買収で、同社はより多くのAI SD-WAN技術を手に入れることになる。SD-WANとは、Software-Defined Wide Area Networkの略で、ソフトウェアによって仮想的なネットワークを作る技術、コンセプトで、定義された空間のネットワークではなく、サテライトオフィスのような広い地理的領域をカバーする。

今日の新しいシステムでは、単にソフトウェアで定義されたネットワーキングを行うのではなく、人工知能を使用してセッションやポリシーの詳細を必要に応じて自動化しているため、すべての状況に完全に適合するとは限らない静的なポリシーを扱うことができます。

買収を発表したブログ記事で、Juniperの執行副社長兼最高製品責任者のManoj Leelanivas(マノジ・レラニバス)氏は、レガシーな形態からAI駆動のモダンなネットワーキングへ移行しようとしている同社にとって128 Technologyは、Mistの買収と並んでポートフォリオに大きな柔軟性をもたらす、と述べている。

「128 Technologyの画期的なソフトウェアとJuniper SD-WAN、WANアシュアランス、Marvis Virtual Network Assistant(Mist AI駆動)を組み合わせることで、AI主導の完全なWAN運用への道筋が最も明確かつ迅速に見えてくる。カスタマイズ可能なサービスレベル(個々のユーザーまで)、シンプルなポリシーの実施、プロアクティブな異常検知、推奨される是正措置をともなう障害の隔離、自動運転のネットワーク運用、AI駆動のサポートなど、初期設定から継続的なAIOpsまできわめて多岐にわたる」とレラニバス氏はブログ記事で語っている。

Crunchbaseによると、128 Technologyは2014年に創業され、これまでに9600万ドル(約101億円)あまりを調達している。同社の最近のラウンドは3000万ドル(約31億7000万円)のシリーズDで、それは2019年9月にG20 VenturesとThe Perkins Fundのリードにより行われた。

4億5000万ドル(約475億円)の買収価額に加えてJuniperは128 Technologyに、オーナー企業の移行に際して既存社員の定着を図るために、ボーナスとしてつなぎ留め株式の発行を求めている。その株式をJuniperが正規に認めることも、買収の条件に含まれている。買収はJuniperの会計年度で第4四半期に完了し、規制当局の承認を待つことになる。

カテゴリー:人工知能・AI
タグ:Juniper Networks買収SD-WAN

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

アリババグループが中国スーパーマーケット大手Sun Artの経営権を3800億円で取得

Alibaba Group(アリババグループ、阿里巴巴)は米国時間10月19日、36億ドル(約3800億円)を投入して中国スーパーマーケットチェーン最大手、Sun Art(サン・アート、高鑫零售)の支配権を取得すると発表した。取引完了後、同グループはSun Artの72%を所有する。

他の国々同様、新型コロナウイルスによる都市封鎖は中国のオンライン食料品購入需要の増加をもたらし、これまで食料品を店頭で購入することを好んでいた買い物客も引き寄せた。封鎖が解けた後も、多くの人たちがネット購入を続けている。アリババのSun Artへの投資は、フランス拠点のAuchan Retail InternationalからA-RT Retail Holdings株式の70.94%を取得することによって実施される。A-RT RetailはSun ARTの株式の約51%を保有している。

契約完了後、アリババはSun Artを自社の財務諸表に組み入れる。Sun ArtのCEOであるPeter Huang(ピーター・ホアン)氏は同社の取締役会会長にも就任する。

アリババが最初にSuna Artに投資したのは2017年で、約28億8000万ドル(約3040億円)を費やして株式の36.16%を取得した。Sun Artは“New Retail” 戦略の一環として、RT-Martブランドを展開している。.

今回の「New Retail」の狙いは、実店舗でのオンライン注文の受け取り、サプライチェーンの統合、買い物客がeコマースと実店舗で同じデジタル支払い方法を使えるようにするなどの方法によって、オンラインとオフラインコマースの境界をなくすことだ。

中国にあるSun Artの実店舗484カ所はすべて、食料品はアリババのスーパーマーケット、Taoxianda(淘鮮達)とTmall(天猫)に、オンデマンド食品配達アプリと運送事業はEle.me(餓了麼)とCainiao(菜鳥)にそれぞれ統合される。これは顧客にとって、配達の迅速化と商品選択の幅が広がることを意味し、アリババにとってもサプライチェーンや事業運営の改善に役立つ情報源が増える。

他のeコマース企業もオンラインとオフラインの食料品購入を統合する同様のアプローチをとっている。アリババの最大のライバルであるJD(京東商城)は、スーパーマーケットグループのYonghui Superstore(永輝超市)やWalmart(ウォルマート)と同じような提携を結んでいる。

報道資料でアリババのDaniel Zhang(ダニエル・チャン)CEO兼会長は、「新型コロナウイルスのパンデミックが消費者のライフスタイルや企業運営のデジタル化を加速する中、このSun Artに対する取り組みによって、当社の『New Retail』ビジョンを強化し、さらに多くの消費者に完全統合された体験を届けることができる」と語った。

カテゴリー:その他
タグ:AlibabaSun Art買収中国

画像クレジット:Dong Wenjie / Getty Images

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Twilioによる3370億円でのSegment買収でデベロッパーはデータ活用アプリ開発が容易に

新型コロナウイルスのパンデミックで事業者は顧客とのやりとり方法の変更を余儀なくされた。商品あるいはサービスを提供しているか、またはどのようにコミュニケーションを取っているかにかかわらず、1つ共通することがある。すべてにおいてかなり迅速なデジタル化を強制されているということだ。

それは米国時間10月12日に発表されたTwilio(トゥイリオ)による32億ドル(約3370億円)でのSegment(セグメント)買収をある程度促した(この買収についてはすでに取り上げているForbesは10月9日夜に報じた)。この買収について突き詰めて考えると、2社は相性が良く、Twilioの顧客が価値ある顧客データにアクセスできるようにすることでプラットフォームが拡大する。Twilioの最高製品責任者でありうChee Chew(チー・チュー)氏は、同社が顧客エクスペリエンスの方向に転換しているように感じるかもしれないが、必ずしもそうではないととらえていると話す。

「多くの人が、当社をコミュニケーション企業だと考えていたでしょう。しかし我々は自社を顧客エンゲージメント企業だと考えています。事業者がより効率的に顧客とコミュニケーションを取れるよう当社がいかにサポートするかを真剣に考えています」とチュー氏はTechCrunchに語った。

共同創業者でSMB(中小企業)グループ担当パートナーのLaurie McCabe(ローリエ・マッケイブ)氏は、パンデミックに関連する動きと、企業がよりデジタルな方法で顧客に接しなければならないニーズを目の当たりにしている。「素晴らしい顧客エクスペリエンスの提供はパンデミックを生き残り、経済の回復とともに成長するための鍵だと多くの企業が認識するようになっています。企業は不透明な時代であるにもかかわらず、生き残って成長するために喜んで資金を注入します」とマッケイブ氏は述べた。

もちろんチュー氏は、デベロッパーが直接顧客データにアクセスできるようにすることでSegmentがTwilioに欠けていたものを与え、それが興味深い応用につながるかもしれないことを認識している。

Segmentが持つデータ取り扱い能力は顧客の全容を提供し、我々が行うすべてのものを真に網羅しています。チャンネルやそれ以外のものにも広く作用するでしょう。なので、顧客の全体像を得たり、当社の顧客がインテリジェンスサービスを構築できるよう、Segmentは異なる方法で当社を発展させてくれると考えています」と同氏は述べた。

CRM Essentialsの創業者でプリンシパルアナリストのBrent Leary(ブレント・リアリー)氏は、Segmentがデータを活用しているデベロッパーのエクスペリエンスを支えているとみている。「今回の動きで、Twilioは自社のプラットフォームを使っているデベロッパーから困難を取り除くことで、データ・洞察・相互作用エクスペリエンスのトランスフォーメーションプロセスに影響を及ぼすことができます」とリアリー氏は説明した。言い換えれば、TwilioのAPIを使ってこれまで以上に多様なアプリケーションを構築するためのデータをデベロッパーが使えるようになる。

「CRM at the Speed of Light」の著者で、56 GroupのプリンシパルアナリストであるPaul Greenberg(ポール・グリーンバーグ)氏は「Segmentは、すでにパワフルな統一コミュニケーションプラットフォームとハブで顧客データを使用する能力をTwilioにもたらします。そのため、両社のAPI、デベロッパーにとってのフレキシビリティは事実上、かなりのものです」と述べて賛同の意を示した。

そうなのかもしれない。しかしConstellation ResearchのアナリストであるHolger Mueller(ホルガー・ミュラー)氏は、SMSのようにTwilioプラットフォームのコミュニケーション部分はかなりコモディティ化していて、今回の買収は2018年のSendGrid(センドグリッド)買収とともにTwilioにより儲かるデータ分野へとプラットフォームを拡大する余地を与える、とみている。

「Twilioはさらに成長するための方策を必要としていて、同社の戦略は少なくともSegment買収でステップアップしているように見えます。データの移動とデータ保管コンプライアンスは、次世代のアプリケーションを構築する際に企業にとって大きな頭痛の種です」とミュラー氏は述べた。

チュー氏が指摘したように、初期の問題はSMSメッセージをアプリケーションに組み込むのに関連するもので、デベロッパーが当時必要としていたためにTwilioが解決しようとしていたものだった。しかし状況は変わり、同社はより統一された顧客コミュニケーションエクスペリエンスを提供したいと考えていて、Segmentがその能力を大きく前進させるのに役立つはずだ。

関連記事:Twilioが顧客データのSegmentを3200億〜4200億円で買収へ

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Twilio買収API

画像クレジット:Bloomberg / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

Twilioが顧客データのSegmentを3200億〜4200億円で買収へ

情報筋がTechCrunchに語ったところによると、Twilio(トゥイリオ)は顧客データスタートアップのSegment(セグメント)を30〜40億ドル(約3200億〜4200億円)で買収する意向だ。Forbesが10月9日にこのニュースを報じ、買収額は32億ドル(約3400億円)と伝えた。

TechCrunchは複数の業界筋から、このディールが進行中で早ければ10月12日にも発表されるとの情報を得た。

TwilioとSegmentはいずれもAPI企業だ。つまりデベロッパーが膨大な量のコードを書かなくても特定の種の機能を利用できるようにする簡単な方法を両社は開発している。筆者が2017年にSegmentについての記事で書いたように、同社はさまざまなソースからの顧客データをまとめるための一連のAPIを提供している。

SegmentはCRMツールや顧客サービスアプリ、ウェブサイトといったさまざまなソースから顧客に関するデータを集め、1カ所で閲覧できるようにする一連のAPIを提供していることで知られている。これは顧客情報の事業を展開するあらゆる企業が目指しているところだ。

2008年の創業以来、Twilioは主にコミュニケーション機能をアプリに簡単に埋め込めるようにすることに注力してきたが、その一方で2018年3月、顧客サービスAPIのFlexをリリースしたときに方向性の変更を示していた。そして同年後半に同社は電子メールマーケティングAPI企業SendGrid(センドグリッド)を20億ドル(約2100億円)で買収した。

Twilioの時価総額は10月9日時点で450億ドル(約4兆8000億円)とかなりのものだった。同社が基幹のAPI、特にFlexにSegmentの顧客データを統合し、またカスタマイズされた電子メールや広告をSendGridと作成するためにいかに潤沢な資金を持っているか想像できるだろう。

今回の買収でTwilioはコミュニケーション対応という従来の主要サービスを超えて事業を拡大することができるかもしれず、これには50億ドル(約5300億円)かかるかもしれない。複数のチャンネルを使って顧客を理解したり顧客とコミュニケーションをとったりする方法を模索する企業が増える中で、大きなビジネスに発展する可能性を秘めている良いディールだ。

アーリーステージVC企業HaystackのSemil Shah(セミル・シャー)氏は「Segmentが顧客データを集めるのに異なる方法を活用していることにTwilioが賢くも目をつけて買収しようとしている」と10月10日付の社のブログに書いた。

従来のCRMが企業にとってきちんとパイプを管理するほど強固なものではない、というのがSegmentの考えだった。より統一された体験を提供するためにSegmentは顧客データインフラに参入した。いま、Twilioの下でSegmentは主要なインテグレーションを引き続き構築できる。こうしたインテグレーションは世界のFortune 500企業ですでに使用されている。

Crunchbaseのデータによると、Segmentは2011年に創業され、これまでに2億8300万ドル(約300億円)を調達した。直近では4月に15億ドル(約1590億円)のバリュエーションで1億7500万ドル(約185億円)を調達した(CrunchBase記事)。

Twilioの株価は10月9日、2.39%アップの1株あたり306.24ドル(約3万2000円)でひけた。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Twilio、Segmen

画像クレジット: Twilio

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(翻訳:Mizoguchi

再起を目指すEVスタートアップFaraday FutureはSPACを通じた上場を計画する

複雑な過去を持つ、電気自動車のスタートアップFaraday Futureが、特別買収目的会社(SPAC)を通じての上場を計画している。

同社のCEOであるCarsten Breitfeld(カルステン・ブライトフェルド)氏がロイター通信に語ったところによると、同社は現在、SPACとの逆合併に取り組んでおり、「早い時期に良い展望を発表できるだろう」という。

ブライトフェルド氏は中国のEVスタートアップであるBytonの共同創業者で、現在のFaradayの交渉相手や契約締結の時期については何も話さなかった。TechCrunchがコンタクトしたFaraday Futureの広報担当者も、今は詳細を明かせないと述べている。

SPACはブランクチェックカンパニー(白紙小切手企業)で、IPOで資金を調達するために創立され、その資金で他の企業を合併または買収する。最近SPACはテクノロジー企業界隈で人気がある。それは、多くの企業がパンデミックのためIPOが計画より遅れているからだ。SPACはまた、従来的なIPOを取り巻く規制の問題に、それらに代わるものを提示する。

2019年にCEOに任命されたブライトフェルド氏はAutomotive News誌に、Fraday Futureは2020年の第1四半期までに8億5000万ドル(約898億円)の資金を調達したい、と述べている。当時の同社はすでに、Birch Lake Associatesが率いるラウンドで2億2500万ドル(約238億円)のつなぎ資金を受け取っていた(未訳記事)。資金の目的は、Faradayのフラグシップモデルであるラグジュアリー電動SUV、FF91をついにデビューさせることだ。

そのSPACとの契約のタイムラインはまだ公表されていないが、ブライトフェルド氏はロイターに、Faraday Futureは初めての電動ラグジュアリーSUVであるFF91の量産を、資金を確保次第開始する計画だと語っている。それは2015年に創業された同社の大きな節目となるが、その量産モデルは未だに生産されていない。プロトタイプはいくつか作られており、そのうちの1台は2020年8月にオークションに出品されている。

ロイターへの談話の中でブライトフェルド氏は、契約がうまく行けばFF91を最初はカリフォルニア州ハンフォードの工場で生産するが、すでに合意に達しているアジアの契約生産者との話も進んでいる、と話している。

Faraday Futureの財務問題は2017年にさかのぼる(未訳記事)。その際は同社と密接な仲だった中国のテクノロジー企業であるLeEcoが、それ自身の複数の財務的トラブルを処理し始めた(未訳記事)。しかしそれらの問題は、Faraday Futureが2018年に同社の主な支援者だったEvergrande Healthbeganに振られたときにさらに悪化した(未訳記事)。

問題の多くは、LeEcoとFaraday Futureの創業者で元CEOのJia Yueting(ジア・ユエティン)氏と関連していた。彼は2020年初めに個人破産を申請した(The Verge記事)。申請文書は、ジア氏の自己破産費用をFaraday Futureの主要持株会社の1つであるPacific Technologyが出していたことを明らかにしていた。さらにその文書は、Faraday Futureのキャッシュが2019年7月末でわずか680万ドル(約7億1800万円)であることも、明らかにしていた。

ブライトフェルド氏はロイターに対して、現在、ジア氏はFaraday Futureの株をまったく所有していないと語っている。ジア氏の破産が認められ、Faraday Futureはもう一度、同社の電動車を生産するための投資を求めることになったが、現状それは、SPACとの契約の成功にかかっている。ブライトフェルド氏は、Faraday Futureの過去が問われることを覚悟している。「同社の経歴と時々流れる悪いニュースのために、誰も私たちを本当に信用しているわけではない。彼らは、安定した企業になった私たちを見たいのだ」と同氏はロイターに語っている。

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カテゴリー:モビリティ
タグ:Faraday Future合併SPAC

画像クレジット:FREDERIC J. BROWN/AFP / Getty Images

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa