ロケットラボが7機目のElectronロケットを打ち上げた

民間ロケット打ち上げスタートアップのRocket Lab(ロケットラボ)は米国時間6月29日、ニュージーランドの第1プライベート複合発射施設からの、打ち上げミッションに成功した。

ミッション名は「Make It Rain」というもので、これには「降雨」という意味の他に「金をばらまく」という意味もある。

今回で7回目の打ち上げとなるRocket LabのElectronロケットには、Rocket Labの顧客であるSpaceflightの仲介によってさまざまな顧客が乗り合わせるかたちで、複数の衛星が搭載されていた。

打ち上げられたペイロードには、Spaceflightの子会社であるBlackSkyの衛星も含まれていた。またメルボルン宇宙計画(Melbourne Space Program)によって運営されるCubeSat(小型衛星)や、米国特殊作戦司令部(U.S. Special Operations Command)のために打ち上げられた2機のPrometheus(プロメテウス)衛星も搭載されていた。

打ち上げのための最高の状態ではない状況が続いたため、Rocket Labは週の初めの打ち上げを延期せざるを得なかったが、昨日のミッションは、何の問題もなく東部時間午前0時30分、ニュージランド時間午後4時30分に打ち上げられた。無事に上昇し軌道に乗った後で、Rocket Labの Electronロケットは計画に従ってすべての搭載物を目標軌道に順次投入した。

今年後半には、Rocket Labは、バージニア州ワロップス島に2番めのプライベート発射施設を建築し、運用可能なものにする予定だ。エンジニアのピーター・ベック(Peter Beck)氏によって創業された同社は、米国政府とその他の商用ミッションを、この複合発射施設から毎月打ち上げられるようになることを望んでいる。

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(翻訳:sako)

Space Xが340億円超の資金調達を計画中か

CNBCの報道によると、SpaceX(スペースX)は3億1420万ドル(約340億円)という巨額の資金調達を予定している。この資金調達は今年三度目で、合計金額は10億ドル(約1100億円)を超えることになる。

これらの書類は5月に公開されたもので、2019年半ばに達しないうちに多くの資金が集まった。しかしSpace Xの出費も多額であり、既存のロケット打ち上げ事業にとどまらず、新しい再使用可能な宇宙船「Starship」や、世界の遠隔地に高速インターネットを提供する衛星ブロードバンド計画「Starlink」など、コストのかかる新しいプロジェクトに取り組んでいる。

一方、Space Xはロケット打ち上げから利益を生み出しており、CEOのイーロン・マスク氏は去年、今年の収益が約30億ドル(約3200億円)になるだろうと予測した。これは十分な大金だが、マスク氏は毎年開催される国際宇宙会議で複数回語ったように、火星へと行き、恒久的な活動を計画しているように、いくつものコストのかかる計画を手がけている。

この件に関し、Space Xはコメントを控えている。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

もうアップルのSidecarが手放せない


Apple(アップル)のmacOSと新しいiPadOSのパブリクベータの公開によって、ついにSidecarを自ら体験することができた。iPadをMacの外部ディスプレイとして利用できるようにする機能だ。私としても、iPadが登場したときから、こうなればいいのに、と思っていたことで、その望みがついにかなったというわけだ。

これらはまだベータ版のソフトウェアなので、当然ながらいくつかのバグに遭遇した。例えば、Macのディスプレイが点滅したり、再起動しなければならなくなったりもした。もちろん、これは問題ではない。ベータ版は、まだ完成品ではないのだから。しかし、Sidecarはすでに大変革を起こしつつある。将来は、おそらくこれなしてやっていくのは難しくなるだろう。特に出張中は。

Sidecarも「そのままでうまく動く」というAppleの精神にぴったりと適合しているので、設定はものすごく簡単だ。MacのOSが10.15 Catalinaになっていて、iPadOS 13 betaをインストールして、BluetoothとWi-FiがオンになったiPadが近くにあれば、MacのメニューバーにあるAirPlayのアイコンをクリックするだけで、ディスプレイのオプションが表示される。

そこでiPadを選択するだけで、SidecarがMacの拡張デスクトップをiPadのディスプレイに表示する。macOSのシステム環境設定では、通常の外部ディスプレイとして扱われるので、他の外部ディスプレイも含めて並べ方を変えたり、ミラーリングモードに設定することもできる。一般的な外部ディスプレイにできてSidecarではできないことの1つは、解像度を変更すること。ここは、デフォルトの1366×1024ピクセルのままとなる。これは、私がテストに使用した、第1世代の12.9インチiPad Proの場合だ。Retinaディスプレイのデバイスとしての解像度は2732×2048ピクセルだ。この設定が、iPadとして最も使いやすい標準的な解像度なのだ。そのため、ピクセルで構成された画像も、装飾的なフォントも、まったく自然に表示される。

Appleは、仮想Touch Barと「サイドバー」と呼ばれる新機能をデフォルトでオンにしている。そう、Sidecarにサイドバーがあるのだ。このサイドバーからは、Dockを開いたり、ソフトウェアキーボードを引き出したり、すばやくコマンドにアクセスしたり、といったことができる。これは、Mac側ではなく、iPad側を操作する際に特に便利だ。ドローイングのアプリにどっぷり浸かっている場合など、たとえば取り消しのようなコマンドが使いたくなった場合にもありがたい。Appleは、そのためのボタンをサイドバーに用意してくれているのだ。

Touch Barの内容は、2016年以降のMacBook Proが備えるハードウェアのTouch Barと基本的に同じもの。 このTouch Barは、お飾りの機能のようなもので、特にハードウェアの「esc」キーがないことを理由に、Touch Barのないエントリーレベルの13インチMacBook Proのほうがいいと声高に主張する人もいた。また、Sidecarを使用しているiPadでは、その最も優れた機能かもしれないTouch IDを利用することができない。それでも、Sidecarを写真やビデオの編集に使う場合には、アプリに特有のクイックアクションを可能にするサイドバーが自動的に呼び出され、すぐに使えるように準備されるは、見ていて感動的だ。

特に優れているのは、Touch Barもサイドバーも、簡単にオフにできるようになっていること。いずれもMacのメニューバーから簡単に操作できる。そうすれば、大きくて美しいiPadディスプレイをフルに表示用として利用できる。Sidecarは、この設定を憶えているので、次に接続したときも同じ状態で利用できる。

また、macOS Catalinaの新機能として、ウィンドウ左上にあるウィンドウをコントロールする3色のカラーボタンに、マウスホバーで表示するメニューが加わっている。そのメニューにより、フルスクリーン表示にするか、ウィンドウを画面の左半分、または右半分にタイリング表示するか、さらにSidecarを使っている場合には、そのウィンドウをiPad側に移動するか、あるいはiPadからMacに戻すか、といった操作が選べる。

  1. Screen-Shot-2019-06-28-at-7.51.00-am

  2. Screen-Shot-2019-06-28-at-7.51.15-am

これによるウィンドウ操作は、かなりうまく機能する。元のウィンドウの設定も憶えていてくれる。たとえば、手動でサイズ変更してMacの画面の4分の1くらいの大きさにしたウィンドウを、いったんSidecarでつないだiPad側に移動してから、またMac側に持ってきた場合、しっかりと元のサイズと位置に復帰するのだ。このように複数のディスプレイ間でウィンドウを管理する機能が、純正のソフトウェアによってサポートされたのは間違いなく素晴らしいことだ。

私はSidecarを無線接続で使ってみたが、もちろん有線接続でも動作する。Appleによれば、どちらの接続でも、それによる性能の差はないはずだという。これまでのところ、無線接続でも、あらゆる期待を上回っていた。特に信頼性と品質の点で、競合するサードパーティの製品よりも優れていた。Sidecarは、iPad Proをキーボードケースに格納した状態でも機能する。その場合、Mac本体が離れたところにあっても、何の問題もなくiPad側のキーボードでキー入力を代用することができる。

Sidecarは、デジタルアーティスト用としても本当に優れている。Mac上でのスタイラス入力を最初からサポートするAdobe PhotoshopやAffinity Photoといったアプリでは、そのままApple Pencilによる入力が可能となるからだ。私は、こうした用途のために、MacにWacom Cintiq 13HDを接続して使っていた。そして今回、AppleのSidecarは、驚くほどうまく、その代替として使えることがわかった。それは無線接続が可能だからというわけでもないし、12.9インチのiPad ProであってもWacom製のデバイスよりは持ち運びに便利だから、というわけでもない。入力する際の応答の遅延がほとんどなく(実際、まったく認識できないほど)、Pencilの先端の位置が画面上のカーソルと一致するようにキャリブレーションする必要もない。上でも述べたように、Sidecarと専用の「取り消す」ボタンの組み合わせは、アーティストにとって生産性向上マシンのようなものだ。

このPencilは、Sidecarにおける唯一のタッチ入力手段となっている。この点は、これまでサードパーティ製のアプリを利用してきた人にとって、奇妙に感じられるだろう。それらのほとんどは、iPad上でのタッチ入力を、Macでもフルに利用できるようにしているからだ。Appleは意図的に、指によるタッチ入力ができないようにしたのだ。なぜなら、Macはそれを意識した設計になっていないからだ。実際に使ってみると、私の脳が期待した通りの動作が得られる。したがって、ほとんどのユーザーにとって、指による入力ができないことは、それほど問題にはならないだろう。

Appleは5K iMac以降のモデルで、長い間そのオールインワンのデスクトップの大きな魅力の1つだったターゲットディスプレイモードを省いた。その発表は、古くなったiMacを最大限に活用したいと考えていた人にとっては残念なものだった。しかしSidecarは、それを補って余りあるものだ。それによって、比較的最近のモデルなら、iPadの利用価値は、ほとんど倍増する。もちろん、追加された画面の表示面積を、有効に活用できる人なら、の話だ。その際、感圧式のApple Pencilを利用するかどうかは、さほど大きな要因ではない。出張や、オフィスの外で仕事をすることが多い人にとって、Sidecarは、まるでAppleのエンジニアリングチームと一緒になって、自ら設計したもののようにしっくりくるだろう。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

1969年の月面着陸を指揮した管制室をNASAが完全復元

7月20日の月面着陸50周年を記念してNASAは、当時のアポロ計画の管制室、ヒューストンのジョンソン宇宙センターにあったApollo Mission Control Centerを復元して公開した。復元は細部まで完璧を期し、資料映像と画像の研究に数年を要した。復元の工程そのものは、7か月を要した。

復元には、あらゆるものが利用された。当時実際に管制室にいてアポロ11号の宇宙飛行士たちを支えたメンバーもチームに参加して、細部を指導した。オリジナルが残っていないものは、注意深く再生された。コンピューターのコンソールや端末など大きなものだけでなく、カーペットや服の一つ一つ、灰皿やペンなども正しく用意した。また、それらが置かれていた場所や置き方も、当時の正確な再現を目指した。管制室だけでなく、隣接するビジターのための歩廊やシミュレーションサポートルームなども、管制センターの一部として再現された。

「ジョンソン宇宙センター歴史的な偉業。準備と研究に何年もかけたこのタイムラプスは、アポロ計画のミッションコントロールルームの7カ月にわたる復元過程を捉えている。1969年のときとまったく同じ外見を、アポロの50周年記念(#Apollo50th)に間に合わせることができた。2019 6/29 12:30 AM」

この、復元された現代史の驚異は、Space Center Houston(ヒューストン宇宙センター)の見学者に一般公開される。アポロ11号の50周年記念の前後には、相当な人気観光スポットになるだろう。

その施設は、ジェミニ(Gemini)から始まって、アポロ、スカイラブ、そしてスペースシャトルと各ミッションに奉仕した。最初のテストが1965年、最後は1992年のスペースシャトルディスカバリーのSTS-53ミッションだった。

下の5枚のスライドで復元の細部がよくわかる。パイプがあり、3穴パンチがあり、そして当時はありふれた誤字だったものすら、歴史の遺物として感動と畏怖の念を与える。

  1. 0ws8HbFiMWXasz_1

  2. D-KDNLrWsAAo72H

  3. D-KDN9EWkAIPI39

  4. D-KDMS4XsAUKE4W

  5. D-KDLj1XkAAPNMh

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

SpaceXは2021年までのStarship商業打ち上げを目指す

SpaceXはFalcon Heavyの商業打ち上げを始めたばかりだが、すでに次に目を向けている。Starshipの打ち上げだ。そしていま、SpaceXの商業セールス担当副社長であるJonathan Hofeller(ジョナサン・ホフェラー)氏により、同社が完全に再利用できるこの次世代ロケットの商業サービスを2021年までに開始することを目指していることが明らかになった。

ホフェラー氏はインドネシアでの会議で語り(SpaceNews経由)、同社は新宇宙船に搭載する初のミッションの選定について通信企業3社と現在協議していると明らかにした。「BFR」または「Big Falcon Rocket」としてかつて知られていたStarshipは現在、テキサスとフロリダの2カ所にあるSpaceX施設で開発中だ。これは、どちらのチームがよりいいソリューションを早く現実のものとできるか、内部で競わせていることになる。この手のエンジニアリングの対決はテック企業では一般的ではなく、「勝者がすべてを取る」シナリオというより往々にして最終プロダクトをより洗練したものにするために両方のいいとこ取りをする。

そうした作業が完了すればStarshipは、現在のFalcon Heavyロケットよりも揚力がある「Super Heavy」ブースターにより軌道に投入される。静止トランスファ軌道には2万kg、低地球周回軌道には100トン超を届けることができる。またStarshipは火星への有人飛行を行うという同社の最終目標を達成するために使用される宇宙船でもある。

これまでに言及のあったStarshipに関する目標としては、2020年までに軌道打ち上げを達成するというものがあった。しかし今回の新たな情報に基づくと、そうした軌道打ち上げは、有料で利用する客向けというよりテストやデモンストレーションとなる。SpaceXのCEOであるElon Musk(イーロン・マスク)氏は以前、同社初の有償顧客である前澤友作氏に提供する月旅行の時期は、最短で2023年を見据えていると語っていた。

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(翻訳:Mizoguchi)

誰でもAIの威力を利用できるようにするMITの対話型機械学習予測ツール

もうすぐ、強力な予測ツールを開発するのに何も特別なものは必要なくなる。ごく普通のタッチスクリーンデバイスと、自由にアクセスできるデータさえあればいい。MITとブラウン大学の研究者による新しい実験は、「Northstar」と呼ばれる対話型データシステムに、「機械学習モデルを即座に生成する」能力を追加することに成功した。既存のデータセットに適用して有用な予測を生成できる。

研究者が示した例としては、医師がこのシステムを利用し、患者の医療履歴から、特定の疾患にかかる可能性を予測するというものがある。また、事業主が過去の売上データを使用して、より正確な予測ができるようにするというものもある。いずれも手作業による煩雑な分析は必要なく、迅速に処理できるものだ。

研究者はこの機能を、Northstarシステムの「仮想データサイエンティスト(VDS)」と呼んでいる。この名前は、人間のデータサイエンティストに取って代わるもののような印象を与えるが、人材がすぐに確保できないような状況では、実際にそれも可能だろう。一般的な医師の診療所に、専門のデータサイエンティストがいるわけでもないし、ほとんどの中小企業が、そうした人を常に雇っておけるわけでもない。さらに、個人経営のコーヒーショップや小売業者も、普通はこうした機能を利用することはできないだろう。

このツールは、進化し続ける自動機械学習技術を利用して新たに開発されたもので、AI技術を利用できる人の数を増やすのに役立つ。

Northstar自体は4年以上かけて開発されたもの。複数のプラットフォーム上で動作する。まず空白のキャンバスを提示し、ユーザーがデータセットをアップロードすると、独自のインターフェイス上に箱として表示される。ユーザーは、それらの箱をキャンバスの真ん中あたりにドラッグしてから、箱と箱の間に線を引いて接続する。それにより、あらかじめ選択したアルゴリズムに従って、互いに組み合わせて処理すべきものであることを指示するわけだ。

たとえば、患者の代謝率のデータセットと年齢のデータを持ってきて組み合わせることで、それらの2種類の要因から特定の疾患が発生する頻度を予測するといったことが可能になる。このように、仮想データサイエンティスト機能を使用することで、複数の入力を組み合わせたAIベースの予測分析を生成することが可能となる。

研究者はこのVDSシステムを設計する際に、自動化された機械学習として、これまでで最も速く動作するアプリケーションとなるようにした。それも、このシステムを誰でも使えるものにするためには重要なポイントだ。というのも、このデジタルのホワイトボードで作業しても、その結果が得られるのに何時間も待たされるのでは、とても実用的とは言えないからだ。今後は、エラーの報告機能を改善することにしている。専門家ではないユーザーにとって、単に使いやすいだけでなく、何かおかしくなったときに、どこで間違えたのかをはっきりと示すことができるようにする。次に使うときには、そこを修正できるようにするためだ。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

Waymoが自動運転車でのLyft客ピックアップを開始

自動運転開発企業のWaymoが、ごく少数の車両を使ってフェニックスのテストゾーンでLyft客のピックアップを開始したとCNBCが報じた。これを利用するには、乗車をリクエストするLyftユーザーは、指定されている自動運転のテストゾーンであるフェニックスのエリア内で乗降しなければならない。

このトライアルに使用されているWaymoの車両は10台以下で、Waymoはゆくゆくは計10台以上にする計画だが、当面はまだだ。これは、このオプションを利用すると見込まれる人がそれほど多くはないことを意味する。しかし、利用を選択すれば、Waymoのバン(セーフティードライバーが乗車する)か、従来のLyft車両かを選べるようになる。

WaymoLyft5月に提携を発表しているが、WaymoはLyftとの提携と並行して、自動運転車による自前の配車サービスの展開も継続するつもりだ。

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(翻訳:Mizoguchi)

テスラが自前でバッテリー開発を検討中との報道

自動車メーカーのTesla(テスラ)が、サプライチェーンの主要パートの1つを自前で抱えたらどうなるか、カリフォルニア州フリーモントの工場近くの秘密のラボで行われている研究を通じて検討中だ、とCNBCが報じた。テスラは現在、車載用のバッテリーパックと電池の製造をパナソニックに頼っている。これは全体の部品表の中で最も重要な構成要素といわなくても、重要なものの1つだ。

Teslaにとって、自動車メーカーの間では一般的なサプライチェーンの構成要素を外部業者に任せるのではなく、自前で抱えるのは初めてではない。例えばTeslaはフリーモントの車工場の少し先にある施設で自社製品向けの座席を作っている。そして最近では、Nvidiaに代わって自動運転機能のための自前のチップの製造を始めた。

利用可能なチェーンの排除はTeslaのCEOであるElon Musk氏(イーロン・マスク)氏がApple(アップル)に得たインスピレーションからきている。AppleではSteve Jobs(スティーブ・ジョブズ)氏がサプライミックスの主要部分のコントロールを握る押しの強い戦略をとり、部品コストの改善を図った。車だけでなくソーラーエネルギーシステム向けのバッテリーであるPowerwallのような家庭用電気プロダクトも製造するTeslaの能力について、マスク氏はバッテリーが大きな制約となっていると繰り返し指摘してきた。

CNBCの報道によると、TeslaはKato roadがあるフリーモントの工場の近くの実験ラボでバッテリーの研究を行っている。しかし、バッテリーに関する野心を、必要とされるスケールでの生産に変えるにはかなりの時間と努力を要し、すぐにパナソニックに代わって生産できるとは思えない。実際、上海工場でモデル3の生産が始まれば、TeslaはパナソニックだけでなくLGもサプライヤーに加えるかもしれない。

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(翻訳:Mizoguchi)

味覚を検知する実験用ロボットアーム

人間には味覚があり、それがかなり特別な能力だということとを知っているだろうか?それも特別ではなくなった。カリフォルニア大学デービス校とカーネギーメロン大学の研究者は、特定の化学物質を検出できるように遺伝子組換えされたバクテリアを用いて、ものの「味」がわかるソフトロボットハンドを開発した。

ロボットが備える「バイオセンシング・モジュール」は、IPTGと呼ばれる化学物質の存在を、タンパク質を生成することによって検出する遺伝子組換え大腸菌菌株を使って作られている。IPTGが検出されるとロボットに組み込まれた光検出回路を作動する。ロボットはその信号を使って水槽の中に化学物質が存在するかどうかがわかるので、物質が完全に拡散消失すると、それを検出して物体(ここではボール)を水に入れても安全であることを知る。

研究者らは「バイオハイブリッド・ボット」と彼らが呼ぶ有機物融合部品を使ってロボットを作っている。現在検出できる物質は1種類だけなので、できることに限りがある。また、長時間のうち起きる濃度のわずかな変化を読み取ることも課題のひとつだ。

それでも研究者たちは、長時間一定の大きさと構造を保って存在できる微生物群(たとえば、人間の大腸に存在する消化に不可欠な微生物群)を作るという課題が克服できれば、もっといろいろなことができると期待している。例えば、ロボットが化学物質を検出するだけでなく、ポリマーを作って自己修復したり、バイオエネルギーを生成して他の動力源に頼ることなくロボットを動かすことも可能になる。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

MITが人種に関係なく乳がん発症を5年前に予測できるAIツールを開発

MITのコンピューターサイエンス・AIラボは、乳がんを発症の5年前に予測できる深層学習ベースの新たな予測モデルを作り出した。このプロダクトを手がける研究チームは、他の似たようなプロジェクトでは往々にして白人患者が大半を占めるデータを元にしているために人種の偏りがあることを認識していて、今回のモデルは白人女性、黒人女性のどちらでも同じように正確な結果が出るよう「よりバランスのとれた」データを活用している。

「それが鍵だ」とMITはブログ投稿に書いている。というのも、黒人女性の乳がん死亡例は白人女性よりも42%も多く、それには主に黒人女性は最新のがん検知技術を十分に利用できていないという要素が関係しているとされている。MITは今回の技術の開発は、深層学習モデルの向上の恩恵をあまり受けていないマイノリティの健康リスクをより正確に評価することが目的だ、と話す。アルゴリズムの偏見の問題は多くの産業研究でみられ、この分野でAIを展開しようとしているテック企業が今後リリースするプロダクトですら同様だ。

マサチューセッツ総合病院の患者6万人(マンモグラフは計9万)のマンモグラフと患者の結果(その後のがんの発症)をベースに訓練された今回のMITツールは、データから深層学習を使って一見してそれとはっきり分からない、そして医師でも識別できないパターンを特定する。仮説に基づくものではなく、リスク要因についての知識を備えていることから、結果はこれまでのところ特に予測や診断前の発見でかなり正確なものとなっている。

全体的に、このプロジェクトは個人が正しいスクリーニングプログラムを受けられるようヘルスケア専門家をサポートし、そして診断の遅れに伴う悲しい結末をなくすためのものだ。MITはまた、人種間のギャップや低い精度など似たような問題を抱える他の病気の検知を改善するのにこの技術が活用されることを願っている。

イメージクレジット: MIT

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(翻訳:Mizoguchi)

電動垂直離着陸機による地域航空サービスが意外にも実現される理由

今月初めにワシントンDCで開催されたUberのElevateサミットには、オンデマンド航空サービスの到来が近づいたことを讃えようと、研究者、業界のリーダー、エンジニアたちが集結した。デトロイトのAirspace Experience Technologies(ASX)の共同創設者にして最高製品責任者のAnita Sengupta博士にとってそれは、電動垂直離着陸機(eVTOL)を実用化する同社独特のアプローチが、ビジネスとして成り立つことを証明する実りあるイベントだった。

ASXのeVTOLは、ティルトウィング方式だ。この分野のイカしたコンセプト航空機によく見られるティルトローター方式とは明確に異なる。それそれの方式の名称から察しが付くだろうが、ティルトウィングは、翼全体が角度を変えるものだ。それに対して、ティルトローターは、翼構造は固定されたままでローターの角度だけが変化する。

Sengupta博士によると、ASXがティルトウィングを採用したのは、素早く市場に送り込めて、現行の規制や飛行機操縦免許の枠組みと互換性があるため有利だからだ。それだからこそ、ASXは貨物輸送サービスをいち早く顧客に提供できる。人の輸送は、規制当局と一般社会が問題ないと認めた時点で開始される。

ASX創設者の2人。Jon Rimanelli氏とAnita Sengupta博士(写真提供:ASX)

「採用する航空機の構造によって、例えば私たちが選択した固定翼機の場合、回転翼機には区分されません。私たちの飛行機は、多発固定翼機となります。おわかりのとおり、垂直離着陸機能のための特別な認可が追加されるだけです。もちろん、パイロットには特別な審査がありますが、ヘリコプターではなく、固定翼機のパイロットが操縦することになります」とSengupta博士は説明してくれた。

ASXの飛行機は、狭い場所では垂直に離陸でき、広い場所では、私たちが日常利用している昔ながらの飛行機と同じように、短距離を滑走して離陸することもできる。これは、従来式の操縦訓練と経験を積んだパイロットにとって操縦しやすい飛行機であるだけでなく、既存のインフラに比較的簡単に適応できることを意味する。米国全国にすでに点在しながら、あまり利用されていない地方空港を活用できるのだ。

「趣味で飛行機を操縦する人でなければ、全国くまなくゼネラルアビエーション空港(民間向け多目的空港)があることを知らないでしょう。そこは、私たちのような(Sengupta博士もパイロットだ)趣味で飛行機を飛ばしている人間がよく利用しているだけで、ほとんど使われていないのです」と彼女は言う。

「私たちの地元にあるデトロイトシティーエアポートなどは、1日に発着する飛行機が3機だけなんていうときもあります。そこは、行政の資金で建設され、行政の経費で運営しているのですが、活用されていません。それを、新しいUAM(Urban Air Mobility、都市型航空交通システム)のためのスペースとして使うのです。人にとっても貨物にとっても、それはとても良いことです。新しい交通システムのいちばんの障壁になるのが、インフラのコストですからね」

ASXは、実際に飛行機を飛ばすのも早かった。それが、商業化への独自路線を整える助けになっている。同社は、デモンストレーションとテスト用に6機の縮小モデルを製作した。実際の製品版の5分の1サイズのものが5機と、3分の1サイズのものが1機だ。これらの試験機を使えば、あらゆる飛行モードのデモンストレーションが、デトロイトシティーエアポートの管制塔から楽に目視でき、モニターできる。

「小さな会社で資金繰りが本当に厳しいときは、縮小モデルを使えば、改良を重ねたり、プロトタイピングしたり、飛ばし方を研究するといった仕事が数多く行えます」とSengupta博士は私に話してくれた。

「ソフトウェアの観点からすると、ある程度の完成を見るまで、つまり満足のいく設定ができるまで、フルサイズの実機を作る必要はありません。そのため、次の投資(昨年は1億円を少し超える資金を調達している)が得られたら、実際の大きさのものを作る予定です」。

Sengupta博士とASXの大きな目標は、地域電動航空機の経済性を変えることで、効率的な空の旅の時代を引き寄せる手助けになることだ。それは、ともにeVTOLによる物流市場の可能性を探る新たな覚書にサインしたグローバル運送サービス企業であるTPS Logisticsを含む、投資家も業界のパートナーたちも惹きつけることになる。

「現在、空港は大変に混み合っています。このままでは混雑は増す一方で、業務用の駐機場や滑走路を造設しなければならず、それには大変な費用がかかります。ゼネラルアビエーション空港を地域航空交通の要にできれば、民間空港にそれらを建設する必要がなくなり、さまざまな問題が一気に解決します」とSengupta博士は話す。

「例えば300マイル(約480km)の距離を飛行する場合、まずはハイブリッド方式を使うことになるでしょう。エネルギー密度がまだそこまで高くないからです。しかし、完全に燃料で飛ぶよりはましです。

そして理想を言えば(中略)水素燃料電池が、地域飛行に必要なエネルギーを供給してくれる本命です。そのため、まずは都市部でのごく短い距離で電動飛行機の使用事例を作り、それをもとに、地域航空用の完全な電動飛行機を開発するよう業界に圧力をかけるのです」

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(翻訳:金井哲夫)

走行距離720kmの完全ソーラーカーLightyear Oneは予約価格1450万円

電動車は化石燃料を燃やす車より環境に良いけど、依然として通常の電力網に依存しているので、そこで何がどう使われているかによって汚かったりきれいだったりする。このたび登場したプロトタイプカー「Lightyear One」は、走行に必要な電力を太陽から得ることによって、この状況を乗り越えようとする。

オランダのスタートアップLightyearは、最初はStellaという名前で、2015年に本誌主催Crunchie賞を勝ち取った。それが今や、路上走行ができるようになったらしい。プロトタイプ車のLightyear Oneは今日(米国時間6/25)披露されたばかりだが、すっきりとしたドライバーフレンドリーなデザインで、しかも一回の充電で720キロメートル走る。太陽光を電源とし実際に消費者市場をねらっている自動車としてこの性能は、断固初めてだ。

© Twycer / http://www.twycer.nl

同社によると、まだ一度も路上を走ったことのないこの車は、すでに予約が100台以上ある。しかし、お届けは2021年の予定で、最初のリリースの予約はあと500台可能だ。お値段は前払いで11万9000ユーロ、日本円換算ではおよそ1450万円だ。あくまでも予約時前払いなので、よろしく。

Lightyear Oneは、単純に太陽電池を屋根の上に載せたプラグイン電動車ではなくて、通常より小さな電池で最大の性能が得られるよう最適化された太陽電池で屋根とボンネット合わせて1.5平方メートルを覆っている。電池は安全ガラスに収められている。通常のコンセントや充電ステーションも使えるが、軽量化された設計のため、この方式の充電ではフル充電の走行距離が400キロメートルだ。

  1. © Twycer / http://www.twycer.nl

  2. Lightyear-One-Interior

  3. Lightyear-One-Dutch-shore

  4. Lightyear-One-Mountain-drive

  5. © Twycer / http://www.twycer.nl

同社によるとこの車は、電動車はほしいけど走行距離が心配、電池の充電も心配、という客層向けだ。まだ製造は始まっていないが、いずれにしても相当高価で小規模生産の車に当面はなるだろう。しかし感動的な挑戦ではあるし、未来のEVの方向性を示しているかもしれない。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

SpaceXの大型ロケットFalcon Heavyが初の夜間打ち上げ

米国時間6月24日、SpaceXは大型ロケットFalcon Heavyの3回目になる打ち上げを行う。計画通りに進めば、太平洋標準時午後11時30分(日本時間6月25日12時30分)に始まる4時間の発射時間帯に、フロリダ州ケネディ宇宙センターの発射施設39Aから打ち上げられる。

Falcon Heavy初の夜間打ち上げとなる今回のSTP-2ミッションでは、複数の企業、米国防総省、国立海洋大気庁(NOAA)およびNASAの貨物を運搬する。ミッションには、24種類の宇宙探査機を3種類の軌道に載せる作業も含まれている。うち1つは空軍研究所の実験衛星であり、NASAの積荷には、同局が今月詳細を発表した原子時計を始めとする4種類の実験機器が入っている

ロケットには、TV番組ホストとして知られるBill Nye(ビル・ナイ)氏のPlanetary Society(惑星協会)が呼びかけたクラウドファンディング宇宙船「LightSail 2」も搭載される。LightSail 2は巨大な帆に文字通り太陽風を受けて進む。SpaceXは今回初めてFalcon Heavyのブースターロケットを再利用する。サイドブースターは4月に飛んだArabsat-6Aミッションで利用されたものであり、今回も3体の第1ステージロケット全部をケープカナベラルの着陸施設および洋上の着陸ドローンで回収する予定だ。

打ち上げの模様は上記の画面でライブストリーミングされる。予定発射時間帯の15分前頃から配信が始まる。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

植物の生育に必要な栄養素を効率よく散布する研究結果

カーネギーメロン大学は植物の根に重要な栄養素を供給する新しい方法を発見した。植物を育てる土壌にあらかじめ必要な成分が含まれている必要はない。

この画期的研究によって、植物に肥料や農薬を散布する作業効率が著しく向上する。現在、作物に噴霧される薬剤は、その大部分(CMUのブログによると最大95%)が周囲の土壌に濃縮沈殿物として残留するか、地下水に溶け込む。いずれも長期的に蓄積されると負の連鎖反応を起こす原因となるばかりでなく、本来の目的からみても著しく効率が悪い。

今回新たに学術論文で発表された方法は、肥料と殺虫剤をナノ粒子(直径50 nm以下。人間の毛髪は約7万5000 nm)として植物の葉に噴霧することで効率を高め100%近く吸収させる。噴霧されたナノ粒子は植物の維管束を通って根系に送られる。

この方法を用いることで、農業従事者は植物への抗生物質投与の効率を大きく改善することが可能になり、作物収量に影響を及ぼす植物病に簡単かつ費用効率良く対処できる。植物が吸収する効率が高くなることによって、意図した効果を得るために必要な薬剤の量がが大きく減るため、栄養素や殺虫剤のコスト削減にもなる。

この研究は既存の農地を最大限に活用し、農地に損害を与える薬品の必要量を減らすことで、世界的な食料供給問題に大きな影響を与える可能性を秘めている。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

MITはロボットに人間的な感覚を持たせるシステムを開発

MITのCSAIL(コンピュータ科学・人工知能研究所)の研究者は、人間にとっては当たり前だと思われていること、視覚と触覚など、複数の感覚をリンクさせる能力をロボットに持たせる新たなシステムを開発した

CSAILが作成した新しいシステムには、触覚を利用して見ることを学んだり、その逆に、視覚を利用して触れることを学んだりする予測AIが含まれている。それはかえって混乱を招くように思われるかもしれないが、実は人間が毎日のようにやっていることを真似したに過ぎない。たとえば、物の表面の状態や材質を見て判断することで、もし触ったらどのような感触が得られるかを予測することができる。柔らかいのか、ザラザラしているのか、あるいはぐにゃぐにゃしているのか、といったことだ。

またこのシステムは、触覚、つまり接触による入力を取り込んで、それがどのように見えるかを予測することもできる。ちょうど外からは中が見えない穴の空いた箱に手を突っ込んで、手に触れた物体が何なのかを当てる遊びのようなものだ。

このような例を挙げても、こうしたシステムが実際にどのように役立つのかを明確にすることはできないかもしれない。しかし、CSAILが提示している例を見れば、それも明らかになるはずだ。研究チームは、ロボットアームがついたシステムを使って、オブジェクトそのものは見せずに、それがどこにあるのかを予測させ、感触によってそれが何であるかを認識させた。こうした能力によって、スイッチ、レバー、あるいは取り上げようとしている部品に触ることで、それが正しいものか、そうでないかを判断させることができる。これは、ロボットを補助的に使って作業する人間のオペレーターにとって有用であることは想像できるだろう。

このタイプのAIを利用すれば、たとえば薄暗い環境でも、高感度のセンサーを必要とせずに、効率的かつ効果的にロボットを動かすことができるはずだ。そして、また別の感覚のシミュレーション技術と組み合わせることで、一般的なシステムのコンポーネントとして利用することが可能となるだろう。

画像クレジット:Willyam BradberryShutterstock

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

宇宙スタートアップWyvernは地球で何が起こっているのか誰でも把握できるようにする

民間宇宙産業では、従来の衛星よりもデザインや組み立て、打ち上げがずいぶん簡単な手頃価格かつ軽量の超小型衛星で革命が起こっている。これはWyvernのような新たなビジネスに道を切り開いている。Wyvernは10年前には不可能だっただろう、かなり特殊なサービスを提供しているアルバータ拠点のスタートアップだ。人間の目や従来のレンズでは見られなかった地球の画像データをとらえる手法を用いて、地球低軌道から撮影されるハイパースペクトルの画像に、比較的低コストでアクセスできるサービスを提供している。

CEOのChris Robson氏、CTOのKristen Cote氏、CSOのCallie Lissinna氏、そしてエンジニアリングVPのでCOOのKurtis Broda氏を含むWyvernの創業チームは、アルバータでデザインして作る初の衛星となったEx-Alta 1プロジェクトを含め、授業を通じて衛星をつくった経験を持つ。彼らはまた、クライアントのニーズに応える画像にするための独自の光学技術を開発した。例を挙げると、彼らのまず最初のターゲットは農家だ。農家は商業版にログインして、農地の最新のハイパースペクトル画像データを得ることができるようになる。こうしたハイパースペクトル画像データは、土壌の変化を検出したり(これにより窒素が足りていないことがわかる)、侵入した植物や昆虫を見つけたりするのに役立つ。

「我々は農家の収支に直接かかわるようなことをやっている」とRobson氏はインタビューで答えた。「そうしたものを検出できれば、影響を推測でき、農家はそれにどう対応するか、究極的にはどうやって収支を向上させるか決断を下すことができる。そうしたことの多くは現在マルチスペクトル(画像)なしではできない。たとえば、マルチスペクトルがなければ種分化できず、侵入種を検出することは不可能だ」。

ハイパースペクトル画像と対照的にマルチスペクトル画像は、平均3〜15バンドで光を測定するが、ハイパースペクトル画像は付近にある数百ものバンドに呼応し、これにより衛星から観測するエリアの地上の動物の種類を特定するというかなり専門的なことができる。

ハイパースペクトル画像は、すでにこうした目的での使用では証明されている技術だ。しかし画像をとらえる主な手段はドローン航空機で、これはRobson氏いわく軌道上のCubeSats(小型衛星)より費用がかかり、効率は落ちる。

「ドローン航空機は本当に費用がかかる。現在使用されているドローンの10分の1以下で我々は画像を提供できる」と語った。

Wyvernのビジネスモデルでは衛星の所有・運営にフォーカスする。データへアクセスできるようにし、誰でもアクセスして使える状態にして顧客に提供する。

「我々の差異化を図っている主な点は、実際に行動に移せる情報にアクセスできるようにしているという事実だ」とRobson氏は語った。「これは、もし画像をオーダーしたければ、誰かに電話して見積もりをとるのに1〜3日待つのではなく、Webブラウザでできることを意味する」。

Robson氏は、光学の発達(我々の光学システムは基本的に、物理法則を破ることなく大きな衛星ですべきことを小さなものでできるようにしている、とRobson氏)、小型衛星、データストレージと監視ステーション、そして他のクライアントと一緒の打ち上げに乗っかることで宇宙にアクセスしやすくする民営の打ち上げによりこうしたことが可能になり、しかも手頃な価格になった、と話す。

Wyvernはこのかなり専門的な情報提供のサービスをまずは農業分野のクライアントに提供し、その後、林業や水質監視、環境モニタリング、防衛といった分野に広げる計画だ。これは、Planet Labsのような他の一般的な衛星画像プロバイダーがしようとしていることではない、とRobson氏は語る。というのも、完全に異なる機材やクライアント、需要による異なるビジネスだからだ。ゆくゆくは集めるデータにより広くアクセスできるようオープンにしたいとWyvernは願っている。

「あなたが誰で、どこの政府や国に属し、どこにいようが、地球の健康に関する情報にアクセスする権利を持っている」とRobson氏は話す。「他の人やあなたが地球をどのように扱っているか、あなたの国がどのような行動を取っているかを見る権利を持っている。そしてまた地球に配慮する権利も持っている。なぜなら我々はかなりの略奪者だからだ。我々は最も賢い生き物だ。そして地球の世話役としての責任もある。その一環として、我々の体で何が起こっているのか理解するのと同じように地球で何が起こっているのか、博識をもって行動することができる。それが我々が人々に望むことだ」。

この実現に向かって、Wyvernは今の所まだ初期段階にある。彼らは初の資金調達に取り組んでいる。そして潜在顧客にアプローチしつつ、初のプロダクトの最終検証作業を行っている。しかし、衛星をつくって打ち上げた実績、どういったことをしたいのかはっきりと示された野望からするに、彼らが確かなスタート切ることは確実だろう。

イメージクレジット: NASA

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(翻訳:Mizoguchi)

NASA探索車が火星にて生命存在の可能性を示すガスレベルを検知

NASAの探査車「キュリオシティ」が、火星地表から高レベルなメタンの存在を検知したことを、New York Timesが報じた。6月19日のミッション中に発見され、NASA研究者によって観測されたこの発見は、微生物が火星地下に存在していたことを証明する可能性がある。

地球上において、メタンは生物からの排出物により高密度で存在していることが多いため、研究者たちはこのガスが火星地下の微生物からの排出物である説を裏付ける、より確証の高い証拠を調査しようとしている。すべてが計画通りに進めば、早ければ6月24日にはキュリオシティによる新たな調査手段による結果が報告されるはずだ。

火星研究者にとって、測定可能な量のメタンの検知は注目に値する。なぜなら、メタンの測定値が正しいとすれば、それは最近生物によって生成された可能性が高いのだ。もしそうでなければ、比較的短時間で自然に分解されてしまう。一方で、地中に溜まっていたガスが小さな割れ目から噴出した場合など、メタンは生物がいなくても生成される。

NYTによると、研究者が火星でメタンを発見したのは初めてではないが、これまで観測された中で最も高い濃度であり、また少なくとも探査車の数値はNASAのMRO(マーズ・リコネッサンス・オービター)によっても暫定的に裏付けられている。地球以外で生命の存在の可能性が発見されたのは今回が初めてではないことを忘れてはならないが、また同時に、地球だけが生物を保持する唯一の存在である証拠が確認されたこともないのだ。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

Netflixがポップアウト動画プレーヤーをデスクトップ向けにテスト中

Netflix(ネットフリックス)がテストしている新しい機能では、たとえ仕事中であっても視聴をやめる必要がなくなるかもしれない。それは、iOSやmacOSでSafariブラウザのネイティブビデオプレーヤーをサポートしているウェブサイトやアプリが使っているような、ポップアウト型のビデオプレーヤーだ。つまり、ビデオをピクチャー・イン・ピクチャーでポップアウトして画面上の任意の場所に再配置することで、他のアプリを使っていてもその動画が閲覧できることになる。

Netflixはこの機能を発見したEngadgetに対し、これはただのテストではあるがユーザーにとっては利便性の高い機能だとわかるであろうと伝えている。Netflixはすでにこの機能を内蔵ツールによってiOSとmacOSユーザーに提供できるのだが、同社は独自のプレーヤーを使っている(おそらく著作権保護の観点から)ため、代わりに独自機能を開発しなければならない。その利点は、機能が正式にリリースされた際にはWindowsとmacOSの両方で利用できることだ。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

エアバスVoomがUber Copter競合となるヘリコプターサービスを米国で年内に提供へ

米国のエアタクシーマーケットが加熱している。FastCompanyの報告によれば、航空業界大手のAirbus(エアバス)が2019年に米国で、オンデマンドのエアトラベルサービスを開始するようだ。同社のオンデマンド型ヘリコプターサービスのVoomは、これまで南米でのみサービスを提供していたが、今秋からは米国でも店舗を展開する。

Uber(ウーバー)は今月はじめ、独自の「Uber Copter」サービスを発表し、7月からマンハッタンよりJFK空港までのサービスを提供する予定だ。さらにBladeも、ニューヨーク市から3カ所の空港までと、ベイエリアにてシャトル便を提供している。エアバスのVoomは2019年にはアジア地域にも展開するとFastCompanyに対して認めており、2025年までには世界25都市をカバーし、年間200万人の乗客を見込んでいる。

これらの企業はいずれも、垂直離着陸可能な電動航空機(eVTOL)へ移行する手がかりとして、ヘリコプターによるサービスを計画している。エアポートシャトルは混雑時の移動時間を減らし、200ドル程度の出費をいとわずに頻繁に移動する顧客のためのエアタクシーサービスの初期計画としては、最適なユースケースとなるようだ。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

日産のゼロエミッションのアイス販売車は古いEVの電池を再利用

アイスクリーム販売車は、実は「環境に重大な危害をもたらすとは誰も思わなかったけどもしかしたらそうかもしれない」モノの仲間だった。日産が開発した新しいコンセプトカーは、これまでのアイスクリーム販売車が作り出していたすべての排気ガスをなくし、特に古い車種ではアイスクリームが溶けないために停車中でもエンジンをアイドリングして作り出していた大量の温室効果ガスもなくしてしまう。

このプロジェクトのために日産がパートナーしたアイスクリーム企業であるMackie’s of Scotlandは、すでに原料の牛乳を、風や太陽などの再生可能エネルギーで操業している家族経営の自家農園から調達して、環境フットプリントの削減に一歩を踏み出している。製品の持続可能な生産方式と今回の日産が考案したゼロエミッションのデリバリーバンの組み合わせは、企業の炭素フットプリントを減らす最高の方法だ。

そのために日産が選んだ軽量級商用バンのe-NV200は、完全電動車で1回の充電で約200km走る。このアイスクリーム企業のコンセプトに合わせて日産が特製したリチウムイオン電池パック「Energy Roam」は、2010年以降に生産された日産の古いEVから回収したバッテリーセルを使っている。その再生電池パックはそれぞれ約0.7kWhを貯蔵し、1kWを出力する。うち2つはエンジン用ではなく、ソフトクリーム機や冷蔵庫、冷凍庫用だ。充電は通常の公衆電源(英国だから230V)でもいいし、またバンの屋根のソーラーを使えば2〜4時間で充電できる。

全電動であること以外に、この日産のコンセプトバンにはこれまでの移動アイスクリーム販売車になかった特徴がいくつかある。まず、バンの外に立つ売り子の頭上にはハッチが開いて、アイスクリームディスペンサーの面白さを子どもたちに見せる。Apple PayやGoogle Payで払えるから売り子はお金に手を触れない。What3Wordsを統合して、自分の位置をTwitterでブロードキャストしている。あの元気なベルの音が聞こえなくても、大丈夫。

そして、日産からのボーナスとして、冷菓の売れない季節には機器が使用するはずだった電池の電気を電力会社に売ることができる。ただしこれはまだ、構想の段階だ。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa