モンブラン、高級デジタルペンで21世紀に突入

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高級万年筆は高級である。持つこと自体が喜びで、書き味は最高だし、驚くほど美しい。しかし、高級万年筆メーカーのMontblancとデジタルペーパーをマッシュアップしたら何が起きるだろうか? 21世紀のごった煮の出来上がりだ。

Montblancはこれを、Montblanc Augmented Paperと呼んでいて、特別にコード化(コート化も)された紙を使って、ペンの位置をノートが検知できるようになっている。ペンは1回の充電で8時間使用でき、100ページまで保存できる。データはMontblanc Hubに転送した後、12箇国語に文字起こしすることができる。

一番変わっているところは? Montblancはこのセットに725ドル払って欲しいと言っている。すてきなStarWalkerペンと、フィレンツェのMontblanc Pelletteriaで作られた「イタリア黒革製」のノートがついてくるのではあるが。

もちろんこの種の製品は新しくない。デジタルペンと紙のコンボなら、Livescribeのエントリーレベルが129ドル、モレスキン・バージョンが180ドルで手に入る。もちろんMontblancのソリューションの方がはるかに見ためが良い。ペンの先端近に球状の位置センサーがない点は特にそうだ。

王族や財閥やギャングご用達の筆記用具メーカーたるMontblancが、なぜこんなものを作ったのか?作らない理由がない。貴族にだってデジタルサービスは必要だし、少なくとも技術、デザイン、美的センスに関しては、世界トップクラスのものをこの製品は提供している。

このMontblanc製品は、ロンドンの「ハロッズ2階 “The Great Writing Room”」で10月1日まで販売される。その後、米国、カナダ、シンガポール、香港、および韓国では召使いに買いに行かせることができる。中国、日本、台湾、メキシコ、UAEでは11月から。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

9歳の少年、先生のために3Dプリンターで電動義手を作る

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Calramon Mabalotは、ちょっとした少年だ。3Dプリンターが大好きで、兄と一緒に数多くのプロジェクトを作った ― 3Dプロジェクトで出会った先生のための電動義手も。Mabalotは3DPrintingIndustryのインタビューに答えて、指の関節付きの電動義手をどうやってデザイン、制作したかを話した。

なぜ3Dプリントで義手を作りたいと思ったのか?「作り方を知りたかったから」とMabalotは答えた。

このプロジェクトは、 E-Nabling the Futureプロジェクトの一環で作られたもので、誰でもダウンロードしてプリントできる。実用になる義手を必要としていたNickという先生と出会ったMabalotは、プロジェクトを作り、組み立て、義手を先生の体に合わせることに挑戦した。

Mabalotは自分専用のウェブサイトYouTubeチャンネルを持っている。この少年は今、世界一優しい子供に見える。われわれ大人がFacebookとメールをいじりながら休憩室で昼休みを持っている間に、この少年は元気と才能と活力を全力で披露している。実際、下のビデオを見たら驚くにちがいない。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

生まれる前の赤ちゃんに手でさわれるIn Utero 3DのWaiting Without Barriersプロジェクト

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ポーランドのIn Utero 3Dは、とても愛らしいサービスを提供している。子宮の中の赤ちゃんの形を3Dプリントして、目の不自由なお母さんでも生まれる前の子どもを感じられ、目の健常なお母さんが超音波画像を見て感じるのと同じ喜びを体験できるようにする。

そのプロジェクトはWaiting Without Barriers(障碍のない待期)と呼ばれ、会社はポーランド北部にあるが、利用はヨーロッパ全域で可能だ。同社は1PLN(ポーランド新ズロチ)または1ユーロで、妊娠中のお母さんたちの赤ちゃんのレリーフをプリントする。ふつうの3Dプリンターを使い、モデルの超音波3D画像データに対して作為的な理想化をしないから、多くのお母さんが自分の子を初めて見たときと、まさに同じ体験を提供する。

すでにこういうことを数社がやっているが、しかしWaiting Without Barriersにはすばらしい理念があり、アイデアもすばらしい。プリントの質は、FDM(熱溶解積層法)プリントにしては良い方だ。

3Dプリントの人気はこのところ急落しているが、21世紀におけるもっともクールでもっとも将来性のある技術の一つだ、と今でも思う。まだ家庭でフォークや車をダウンロードしてプリントすることはできないが、小さなプラスチックとデジタルファイルで、自分の子どもを細部まで正確に感じることができるのは、すてきだよね。

出典: 3DPrintingIndustry

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

センサーで高齢者の転倒を予測する

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転倒は酷い出来事だ。それは高齢者に恢復できない被害をもたらし、そして転倒への恐れが、高齢者の動きを劇的に減らしてしまい、不幸な悪循環へと陥らせてしまう。このたびミズーリ大学の、Sinclair看護学校とエンジニアリングカレッジの研究成果によって、介護者が被介護者の転倒を最大3週間前に予測し、必要になる前にケアと援助を用意できるようになった。

システムはウェアラブルではなく、カメラを使って歩行速度と歩幅を評価する。研究者たちが発見したのは「歩行速度が毎秒5センチ遅くなると、その次の3週間で転倒する可能性が86.3%あること」である。さらに、歩幅が短くなることで「次の3週間で転倒する可能性が50.6%に及ぶこと」も分かった。これらの2つのデータを使って、介護者は手に負えなくなる前に、用意をすることができる。
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「高齢化という言葉が、成人である彼または彼女が突然独立性を失うこと、を意味するべきではありません」と、看護学の名誉教授であるMarilyn Rantzは語る。「しかしながら、多くの高齢者にとって転倒のリスクは、どれだけ長い期間独立したままでいることができるかに影響します。ある人に転倒のリスクがあることを予測することができれば、介護者に必要なケアを行わせ、高齢者が可能な限り長く独立していられることを助けることができます。

チームはミズリー州コロンビアの老人ホームTigerPlaceに彼らのシステムを設置している。その場所の周りにセンサーを設置し、「不規則な動きが検出されたとき」電子メールの警告が送られるようになっている。これはインテリジェントなテクノロジーの偉大な利用法のひとつであり、ウェアラブルを必要とせず、完全に受動的な目立たないシステムである。

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(翻訳:Sako)

Featured Image: Thanasis Zovoilis/Getty Images

ニューヨークの地下鉄が通勤客に無料のeブックとWi-Fiを提供

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列車内Wi-Fiのさらなる増設整備を予定しているニューヨーク広域圏交通局(MTA)は、その宣伝も兼ねて、大手出版Penguin Random Houseと提携して、通勤の時間帯にeブックと記事を提供することになった。このプロジェクトは、昨年ロンドンでローンチしたものとほぼ同じである。なおこれは、“列車内コオロギ600匹ばらまき事件”と同列の行為ではないので、誤解しないように〔ジョーク〕。

The Digital Readerによると、クオモ州知事もこのプロジェクトには乗り気だ。“ニューヨークの交通機関は継続的に、乗客のニーズに対応していく必要がある。そしてその重要な部分は、日常生活の不可欠な要素になっているアメニティを提供していくことだ”、と彼は語っている。“地下鉄駅にWi-Fiを導入することは、乗客が通勤時間中にもインターネットに接続できることを意味し、それにより、彼らが友だちや家族に連絡したり、ニュースやエンターテイメントに接したりできるようになる。われわれはそのシステムの現代化に向けて、すでに大きな進歩を達成しており、今度の新しい企画Subway Reads(地下鉄読書)は、乗客に新しいWi-Fi体験を、楽しく提供していく方法になる”。

Transit Wirelessと呼ばれるこの地下鉄Wi-Fiは、乗客にKindle Firesを無料で提供し、それに向けて175篇の短編と、長編作品の章を提供する。地下鉄を降りて地上に出ても、読書を続けられる。

でもなぜ、広域圏交通局は、ここまでして無料のWi-Fiを宣伝する必要があるのだろうか。“Free Wi-Fi”(無料Wi-Fi)というポスターや表示だけで、十分ではないか。でもeブックの提供は立ち上げ記念行事としてはうまいやり方だし、この前の地下鉄内の変人発見(地下鉄内の目立ちたがり屋たち)よりは、ずっとましである〔これもジョーク〕。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Reverie Classicは、クラウドファンディングで作るクラシックな自動巻時計

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クラウドファンディグで作る時計には2種類ある。一つはファッション・アクサリー、もう一つは伝統的デザインと職人技を追求した作品だ。嬉しいことにReverie Classicは後者だ。作ったのはSamuel Tayで、以前航海をテーマにしたハンサムな自動巻時計、Sea Spiritのクラウドファンディングでかなりの成功を収めた。

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Reverie Classicの価格は350ドルで、ムーブメントはこの種の腕時計ではごく一般的なMiyota 8218 。私が気に入っているのは ― だからこうして紹介しているのだが ― 昔ながらの文字盤と美しく装飾された動作部分を組み合わせた懐古的デザインだ。すべてが相まって醸し出す心地よいウマミが時計愛好者の魂を捕える。

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文字盤にはギョーシェ模様が刻まれている。丁寧にエッチングされた細い線が光を受けると普通では見られない明るさを文字盤にもたらす。この種の装飾は複雑かつ高価で、かつては懐中時計を読みやすくするためのデザインとして用いられていた。青色の針はやや時代錯誤的だが ― 通常の針はもっと曲線的 ― この作品によくマッチしている。日付表示窓もあり、クラシックな竜頭にはロゴが刻印されている。

すべてに魅力的なその造作はフォーマルウェアにぴったりで、先祖返りのデザインはまさに時代を超越している。裏面のガラス窓から見えるわずかに装飾されたムーブメントと、スケルトン化された自動巻き用ウェイトも味わい深い。

この種の時計はいわゆるハイテク製品ではないが、Tayが最新技術を使ってこういう時計を手頃価格で作れたことは、ハイテクの産物と言える。XetumBathysと同じく、こうした少数生産のブティック・ウォッチは、Android WearやApple Watchに飽き足りない人たちの心を把むだろう。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Garminが高級スマートウォッチを発表―Fenix Chronosは高機能でエレガント

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GPSハードウェアのパイオニア、GarminからFenix Chronosが発表された。驚くほどエレガントにデザインされた高機能スマートウォッチだ。

Vivoactve始め同社のエクササイズ用GPSスマートウォッチが持つ機能はすべて含まれている。ケースは豪華で美しくデザインされ一流時計店の売り場にあっても違和感がない。実際、これは市場初の高級スマートウォッチだ。取締役会からジム、寝室までどんな場所で身につけても見劣りしないだろう。

たしかにそれ相当の価格ではある。チタン製ボディーのモデルの正札は1499.99ドルだ。われわれが普段使っているようなスマートウォッチよりはるかに高価だ。しかしGarminは十分に考えたうえでこのモデルを発表したと思う。

まだ十分にテストしていないが、短時間触れただけでも印象は強かった。アウトドア派には高度計、気圧計、コンパスが用意されている。また道に迷ったときに戻るべきスタート地点の方向を示してくれる。スマートフォンと接続して天気予報や必要な通知を受け取ることができる。またさまざまなスポーツもサポートされてり、ランニングの機能だけでも以下のようなものがある。

垂直振動率— 走る際の垂直のジャンプとストライドとの比率
接地とバランス—ランニング・フォームのチェックのために足の着地、左右のバランスを表示
リズム— 1分あたりの歩数
ストライド— 現在のペースを表示

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これに心拍数や酸素摂取量の推計も表示されるのだからヘルス・ウォッチを代替するには十分以上の機能だ。

私は以前から高価なスマートウォッチというのは矛盾だと思っていた。しかしGarminのこの製品は例外といっていい。Garminはとびきり優れたスポーツ・ウォッチをデザインする方法を知っている。それは驚かないが、その高機能が軽量、エレガントで実用性も高いケースに収められている。高級腕時計メーカーがAndroid Wearのまわりをうろうろしてる中で、Garminは違う道を選んだ。「われわれはローエンドのスマートウォッチでは勝とうとは思っていない。自分たちが熟知している場所で製品を開発する―ヘルス・ウォッチだ。われわれはこの場所で勝つ」とGarminは述べている。

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Garminの新製品にこれほど興奮したのは初めてだ。スキューバダイビングの装備を脱ぎ捨てて白いタキシード姿になるときにこの時計を腕に着けているというジェームズ・ボンド映画風のシーンを想像してしまう。正直、市販されるのが待ちきれない。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

ロボットも猫のような頬髭(ほおひげ)があれば精密な方向感知や匂いの発生源発見ができる

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鼠(ねずみ)などの頬髭(ほおひげ)のある動物は、人間にない感覚を利用する。彼らは迷路を走り抜けたり、人間の顔をなめてそこにバーベキューソースがないことを確認できるだけでなく、科学者たちの発見によれば、一部の動物は、垂れるように生えている頬髭使って風の方向を知ることができる。それは、未来の、方向を感知するロボットに応用できるかもしれない。

ノースウェスタン大学のMcCormick工科大学院の学生たちは、鼠たちが自分の頬髭を使って空気の流れの源(みなもと)を突き止めることを見つけた。それは一見、常識のようだが、これまではそれを証明する方法がなかった。

この発見に導いた実験で、共同研究者のYan YuとMatthew Graffは、直径6フィートの円卓の周縁に、5つのファンを等間隔で半円状に置いた。各回の試行でひとつのファンをランダムに選び、卓の反対側にある“出発ドア”に向けて風を送った。ドアから出たラットは、風を送っているファンを目指して歩き、そのファンの前にある穴に落ちなければならない。各ファンの前の穴から卓下部に導くトンネルがあり、その先に、正しいファンを選んだごほうびがある。卓上部のカメラが、ラットたちの成績を記録した。

 

実験に参加したラットの一部は、頬髭を苦痛を与えずに切られていた。彼らの成績は、ほかのラットに比べて20%劣った。ラットたちは風の方向を判断するために、あらゆる感覚を利用した…毛に当たる風の感触や小さな鼻に感じる風の向きなど。しかし、もっとも役に立ったのが頬髭であることは、明らかだった。

研究論文を書いたChris Breseeによると、“ラットは明らかに複数の手がかりを利用している。しかし彼らがいちばん重視しているのは頬髭であり、野生の鼠が自然を探究するときも頬髭で風を感知するのだろう”、という。

チームは今、ロボットに人工的な“気流センサー”を付けることを研究している。その可撓性のシステムは、風で振動する。その人口頬髭の下にはレセプターがあって、センサーのデータを位置データに翻訳する。未来のロボットはこんなセンサーを使って自分の位置を知り、自分のスピードや、風の上流/下流方向を感知できるだろう。

教授のMitra Hartmannはこう語る: “気流の構造を推定できる能力はとくに、匂いの発生源を特定するために重要だ。匂いの元を検出できれば、爆発物や、有害化学物質や、生物学的物質の発見に利用できる”。

一部の馬鹿どもにとっても、便利かもしれないな。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

3Dプリントしたローラーで、エンボス名刺を作ろう

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相手の目の前でプリントして渡す名刺に勝るものはない。この3Dプリンター製名刺ローラーは、まさにそれをやってくれる。

作り屋のPaul Myersが作った「エンボサー」は、3Dプリントしたローラーの間に紙を通してエンボス名刺を作る。3Dプリントのプロジェクトはここで見られるが、Myersはカスタマイズしたエンボサーの製作・販売も行っている。

自分用のを作るためには、3Dモデリングの知識が多少なりとも必要になるが、TinderCADまたはSketchUpを少しいじれれば、およそどんな種類のカードでも作れそうだ。ローラーを回するのにいくらか忍耐力が必要になるが、Myersはスケートボードのベアリングを使っている。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Linux、25歳の誕生日おめでとう

Linus Torvalds was the designer of the open-source operating system Linux.

Linuxは8月25日で25歳になる。Linus Torvaldsが新しいオペレーティングシステムへの協力を求める運命的メッセージを送った日だ。「386(486)AT互換機用に(フリーの)オペレーティングシステムを作っています(単なる趣味でgnuのように大きくてプロフェッショナルなものにはならないでしょう)。4月から作り始めて、そろそろ準備が整うところです。minixの好きなところ嫌いなところを教えてもらえたら幸いです。なぜなら私のOSはいくらかminixに似ているからです(例えば、ファイルシステムの物理的配置は(現実的な理由から)minixと同じです)」と、Torvaldsは comp.os.minix にメッセージを送った。後は、みなさんご存じの通りだ。

Torvaldsのメッセージで特に興味深いのは、みんなが興味をもって迎え、悪意のコメント等がなかったことだ。それはTorvaldsが、潜在ユーザーに見せられる製品を既に持っていたからだとも言えるが、1991年のインターネットが今とは全く違っていたことも思い出すべきだろう。

つい最近Linux Foundationは、Linux OSに関する詳細なレポートを公開し、そこには過去25年間のハイライトも載っている。それによると、プロジェクトが2005年にGitで公開されて以来、1300社、1万3500人のデベロッパーがカーネルの開発に寄与してきた。もっと面白いデータ?

「3.19から4.7リリースの間、カーネルコミュニティーは1時間当たり平均7.8件のパッチを発行して修正を加えた。この報告書の前の版に書かれていた7.71件からわずかに増えており、パッチの量は長期的に増加傾向を続けている」。つまりそれは、Linuxカーネルにはほぼ定常的にパッチが当てられていて、そうした修正はみな、インターネットのつながりを発展させることに専心する多くの有志プログラマーによってなされていることを意味している。

報告書全文はここで読むことができる。

今やLinuxは、訪問するほとんどのウェブサイトで走り、ガソリンスタンドのポンプからスマートウォッチまであらゆる物の中で動いでいる。Raspberry Piのおかげで、子供たちにプログラムを教えるにのも使われ、フランス警察が数百万ユーロ節約するのにも役立った。 何しろあのMicrosoftでさえLinuxのコードを公開しているのだから。勝てないなら、仲間になれ、だ。

Linuxの歴史をもう少し深く知りたい人には、”Rebel Code” と “Just For Fun” をお薦めする。この2冊はLinuxが有名になり始めた頃に発行され、Torvaldsの魅力的な逸話と、「大きくてプロフェッショナル」でない側面が描かれている。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

コンピューターの原理を教えるために本物のトランジスタを使って一部屋を占領する巨大なCPUを作った

Projection: Cylindrical (1)
FOV: 227 x 78
Ev: 6.71

今年の夏は、何をした? 野外コンサート数回、バーベキュー数回ぐらいかな。でも、ひとつの部屋ぐらいの大きさの40000トランジスタのCPUを、完全に手作りで作ったかな? それはたぶんないね。

James Newmanは、学生たちにコンピューターのことをもっとよく知ってもらうために、CPUを作ろう、と思った。でも、何千個ものトランジスタをシリコンのかたまりの中に埋め込むのではなく、彼は何枚もの襖(ふすま)のようなサイズのボードの上に、ふつうのサイズのトランジスタを手作業で配線して、Tetris(テトリス)をプレイできる等身大のCPUを作った。彼は先月そのプロジェクトの完成を発表し、製作過程の完全な記録とビデオを未来のギークたちのためにポストした。

Abbey Road StudiosとEPCOT Centerを合わせたようなそのCPUは一部屋を占領し、巨大なLEDボードに出力を表示する。このプロジェクトは製作に2年を要し、20kHzで動く。そのエミュレータがここにあり、プロジェクトのサイトがここだ

Newmanはこう書いている: “コンピューターはとても不透明で、目で見てその原理を理解することは不可能だ。私がやりたかったのは、コンピューターの中に入って、そこで起きていることを見ることだ。シリコン製のチップの中を歩けるほど、人間を小さくすることはできないけど、その逆ならできる。人間が中に入って歩けるほど大きなコンピューターを作るのだ。それだけでなく、あらゆるものにLEDをつけて、データの動きやロジックの動作を実際に目で見えるようにした”。

完成したプロジェクトは驚くほど複雑だが、意外にも美しい。われわれも薔薇作りやホットドッグを趣味にするのをやめて、物置の奥から、はんだごてを出してくるべきかもしれない。Newmanに比べると、ぼくらの毎日はアホみたいだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

大評判の『ストレンジャーシングス』のタイトル・ジェネレーターが登場

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インターネットに少々不気味な新しいミームが登場した。TechCrunchのRomain Dillet記者の記事にもあるようにNetflixの新テレビ番組、ストレンジャー・シングス(Stranger Things) のタイトル画面は驚くほど美しく仕上がっている。そこでデザイン・スタジオのNelson Cashではユーザーが自分の好きなテキストを入れてこのタイトル画を作れるようにした。

これまでに見たオリジナル・タイトルはあまり怖くない。しかしなかなか面白いものもある。たとえば、
これとか、
これとか、
これなどだ。

『ストレンジャー・シングス』のブレークは、これまでストリーミング・テレビといえばドキュメンタリーや再放送、B級映画のものとされていた常識を覆し、テレビの概念自体に変革を迫る変化の象徴かもしれない。こちらは真剣な考えのミーム。

リンク先画面で赤いタイトル文字をクリックするとテキスト入力画面が表示される。右側のSTRANGIFYをクリックするとカスタマイズされたタイトル画面になる。動作がやや不安定。画面のクリック、再読み込みなどを試す必要がある。また英数字しかサポートしていないもよう。カスタマイズされた画面をダウンロードしたり共有したりできる。記事のトップ画面は「TechCrunchはすごい」というカスタム・タイトル。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Naborlyは、家主のためにテナントを自動的に評価してくれるサービス

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想像してみてほしい。あなたはサンフランシスコにいい物件を持っていて、善良な人々にあまり高くない家賃で貸したいと思っている。果たして新しいテナントが一文なしの怠け者でないことをどうすれば確認できるだろうか?Naborlyには、アイデアがあるらしい。

ブリティッシュコロンビア大学のDylan Lenz、Zeke Kan、Anastasia Foxの3人が設立したこのスタートアップは、カスタム版入居申し込みフォームを作って、家主にとって重要なテナント情報を集めてくれる。システムはこれを元にテナントの総合的調査書類を作り、このテナントに貸すことにリスクがあるかどうかを家主に伝える。

同社はこれまでに50万ドルの資金を集め、シード資金200万ドルの調達を目指している。

現在、1日当たり2000ドル程度の売上があり、毎日20~50人の新規家主が登録しているという。API経由のサービスも提供している。信用調査会社の協力を得て、同社のシステムにデータを追加しテナント評価方法の改善も行っている。

「信用の良し悪しは(ほとんどの場合)テナントの質に影響を与えないので、われわれは他の要素に注目している」とLenzは語った。「機械学習と人工知能がわれわれのサービスの核を成している。他のサービスは、人間の勘に頼っているものが多い。たとえ誤っていても」

「われわれのシステムは各テナントについて500以上のデータポイントを瞬時に分析する。ソーシャルメディア、信用情報、賃貸履歴、Google、等々。今や、ミクロ経済的事象に基づいて賃料支払いの遅れを予測したり、財務状態、業種等に基づいてルームメイト間の争いを予測することもできる」

3人がNaboryを設立したきっかけは、Lenzが担当した企業テナントから、未払い家賃2万2000ドルと家屋損壊の被害を受けたときだった。

「そのテナントは自宅や職場で私を脅すことさえあった。その時、こうしたハイリスクのテナントを家主が見分け、他の家主に知らせるためのツールがないことに気付いた」とLenzは言った。

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サービスは既に運用中で、テナント1件の基本プランは59ドル、年間最大5件までのプランは149ドルで利用できる。システムは信用調査と借用調査を自動的に行い、家主にテナント毎の「スコア」を提供する。これでミッション通りにあるあなたの家賃500ドルの2ベッドルームを、堅実で信用ある労働階級の家族に貸すことができそうだ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Linux上の高級言語プログラミングでハードウェアプロジェクトを作れる超小型コンピューターボードOnion Omega2

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5ドルで買えるコンピューターで、スリッパを持ってきてくれたり、マッサージチェアを動かしてくれたり、毎日の晩酌のバーボンをグラスに注(つ)いでくれるロボットを作れないかな? 

Onion Omega2なら、それ以上のこともできるよ。

これはArduino互換のボードだが、ネイティブでLinuxも動く。そしてデスクトップ的なWebインタフェイスから、コマンドラインができたり、システムにアクセスできる。Wi-Fiをサポートしているし、拡張すればセルラー(携帯キャリア)やBluebooth、GPSにも接続する。

協同ファウンダーのBoken Linはこう説明する: “Omega2は、ハードウェアプロジェクトのためのLinuxコンピューターだ。いろんなことができる。まず第一に、デベロッパーは高級言語と使い慣れた開発ツールを使ってハードウェアの開発ができる。ドラッグ&ドロップで、技術系でない人でもプログラムを作れる。モジュール方式なので、拡張は単純にモジュールの追加でできる。だから電子回路の設計ができない人でも、複雑なハードウェアを作れる”。

コロンバスで本誌主催のミートアップをやったとき、このおちびなボードを知り、感銘を受けた。こんなちっちゃなコンピューターなのにコマンドラインができるってクールだし、拡張機能等が完全にモジュール方式で組み込めるのもすごい。コンピューターとプログラミングに関する基礎的な知識は必要だが、とにかく電子回路の設計ににびびらなくても、誰でも気軽にハードウェアに取り組めるのが良い。楽しい、おもしろい、と思う。

今Kickstarterで買う(出資する)と1台5ドル、出荷は11月からだ。Linが最初のOnion Omegaを作ったのは、2015年だ。でも今度のは、もっとスタンドアロンで速い。5ドルのやつはRAMが32MB、ストレージが16MB; 9ドルの”Plus”タイプはRAM 128MB、ストレージ32MBだ。電源やストレージに接続するためのドックは15ドル。なんと、OLEDのディスプレイもあるから、この小さなシステムの、何でも視覚化できるね。

言語はPythonとPHPとNodeJSを使える。プログラミングの初心者でも、お隣の仲良しのワンちゃんの真似をするロボットぐらい、すぐに作れるだろう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

ポーランドの3DプリンターメーカーZortraxがDellとの契約を偽造

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2年前、未だ世界の3Dプリンター業界で激しい競争が繰り広げられていたとき、Zortraxと呼ばれるポーランドの小さな企業が、Dellと3Dプリンター5000台分の契約を結んだというニュースで大きな話題になった(そしてそれを利用して同社は資金調達を行った)。

私は2014年にこのニュースを報じ、同年にその示唆についてもっと深く調査したところ、Zortraxの投資家やファンに関係するような情報をほとんどみつけることができなかった。Zortraxは、DellのアジアにあるR&D子会社とプリンター供給の契約を結んでいたが、子会社に対する質問の回答は得られないままな上、Zortraxの共同設立者であるRafał Tomasiakは、一貫して私との個人的なやりとりを通してニュースの正当性を主張していた。2014年の4月に、私は契約が嘘だったという噂について尋ねたが、彼は嘘を突き通した。しかし同年5月に私はこのニュースを追うのをやめ、色んな意味で諦めてしまった。それに関して後悔しており、この記事ではその続きについてもう少し深く触れてみたい。

まず、国際的な舞台に押し出された小さなスタートアップのメンタリティについて考えてみたい。Zortraxは、ポーランドのオルシュティン(Olsztyn)出身の仲間たちで設立された後、Kickstarterでのプロジェクト成功をうけ、爆発的な成長を遂げた。彼らの3Dプリンターは良い製品だったし、私自身も同社製品がしっかりしていて実用に耐えうるものだと感じていた。そして、Zortraxは2010〜2015年という投資に勢いがあった時代に、小さなスタートアップが必要だったもの全てを持っていたのだ。カリスマ性があり前線に立つ女性幹部のKarolina Boladz、業務に熱心なCTO、前述のTomasiak、良い製品、そして良いストーリーの全てだ。

そして、そこに大きな契約が加わった。

しかし、Zortraxは依然スタートアップだった。彼らの戦略は、ポジティブな面を強調し、ネガティブな面を隠すことにあったのだ。Zortraxは、契約の背景や契約自体に関する質問を無視するばかりか、その代わりに発表から数ヶ月にわたって、投資家向け資料にDellとの契約に関する情報を詰め込んでいた。そのため、もしも契約が嘘ではなかったとすると、それは楽観的かつ注意深い情報の省略であったと言える。スタートアップは、基本合意書やそっけない了解の全てをサイン済みの契約書と同等に考えようとするもので、Zortraxのケースも明らかにそうだった。

さらに当時、私はある程度の余裕を与えるのもいとわなかった。スタートアップ各社の評価額が(今でも)低く、投資額もシリコンバレーに比べると小さいヨーロッパでは物事の進め方が異なるからだ。ヨーロッパからの良いニュースは、少し誇張されたものばかりだった。ヨーロッパで行われた買収や投資ラウンドの金額に関する情報を入手するのは至難の業で、簡単な計算をしてみるとその理由が明らかになる。アメリカでの巨額のラウンドと比べると、金額が恥ずかしくなってしまう程小さいのだ。

ZortraxとDellの契約について2014年1月に初めて話を聞いたとき、私はその内容に関する簡単な記事を残した。その際、Tomasiakからは「正直言って、Dellのような企業であっても、あんな注文をしようする企業がいることに驚きました!しかし、しばらくして私たちのオフィスでは何台の3Dプリンターが使われているか気付きました。数多くのプロトタイプをプリントしなければならないデザイナーにとっては、同時に動く10台の小さな3Dプリンターをひとつのデスクの上で使う方が、1台の大きな3Dプリンターを使うよりも便利なんです」というコメントを受け取った。このニュースは他のサイトにも浸透していき、2014年の3月にはロイターにも記事が掲載されていた。

ロイターに記事が掲載されてから1ヶ月後、私はDellにはZortraxとの契約について知っている人がひとりもいないという情報を入手した。Dellの広報担当者にこのことを尋ねると、2014年の4月4日に以下の回答を受け取った。

Johnヘ

お問い合わせについて、現在休暇中の同僚Lauren Mauroから話を聞きました。私たちの記録によれば、DellとZortraxの間にはこれまで何の取引も行われていません。Dell Asiaの調達チームにも確認を行いましたが、彼らとZortraxの間にも取引記録はありませんでした。

Steve Howard
Dell エンドユーザーコンピューティング広報担当ディレクター

このニュースを持ってTomasiakに連絡をとったところ、彼が知っているDellの窓口は記者に対してコメントできないと語った。以下がその後の彼とのやり取りの抜粋だ。

John Biggs(この記事の執筆者)
4/4, 9:57am
もしも誤解なんであれば、すぐに部下に解決してもらえばいいのではないでしょうか。
この件についてはこれ以上議論したくありません。
よい休暇を。

Rafał Tomasiak(Zortrax CEO)
4/4, 9:58am
休暇ではなく仕事中です。
Dellからは何の連絡も受け取っていません。
もしも、契約を否定するような話を聞いているのであれば、私たちの誰かがDellと確認します。

John Biggs
4/4, 9:59am
私と確認すればいいんじゃないでしょうか。
いずれにしろ、もうどうでもいいです。

Rafał Tomasiak
4/4, 9:59am
あなたは広報担当者であってDellの従業員ではないですよね。

John Biggs
4/4, 9:59am
私は広報担当者ではありません。

Rafał Tomasiak
4/4, 9:59am
:)

John Biggs
4/4, 9:59am
記者です。

Rafał Tomasiak
4/4, 9:59am
それじゃあなたは記者であってDellの従業員ではないですよね。:)

 私はさらに彼を追い込んだ。

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(二人のやりとり)

John Biggs
アメリカのDellがZortraxとのプリンターの契約についてコンタクトしてきて、
彼らは何も知らないと言ってましたよ。

Rafał Tomasiak
何でアメリカのDellなんですか?

John Biggs
DellはDellだし、アメリカのDellはDell Asiaが何をしているかくらい知ってますよ。
あなたが知ってるDellの窓口の連絡先を教えて下さい。それが難しければ、この場でDellに連絡しますが、彼らは契約について否定すると思いますよ。

Rafał Tomasiak
分かりました、対応します。

John Biggs
どうも。

John Biggs
その後どうですか?

Rafał Tomasiak
Dellの担当者から連絡します。あなたの連絡先を彼に伝えておきました。

John Biggs
まだ彼から連絡がないんですが。

Rafał Tomasiak
彼は忙しいからもう少し待って下さい。

John Biggs
了解。金曜日まで待ちます。

John Biggs
何か進展ありました?

Rafał Tomasiak
発注はR&D部門からでした。

John Biggs
それじゃR&D部門の担当者に「あぁ、うちの部署のためにこのプリンターを発注しましたよ」とメールするようにお願いしてもらえますか。電話でもいいですよ。
その情報さえ確認できれば、ただの誤解ということで何の問題もありません。
でも確認できなければ、あなたが嘘をついているように見えてしまいますよ。

Rafał Tomasiak
John、これはR&Dの問題で広報の問題ではないんです。

John Biggs
それは関係ないですよね。

Rafał Tomasiak
R&Dの人はちょっと変わってるんですよ。

John Biggs
それはどうでもいいです。

私はTomasiakにDellからのコメントを送り、それに対してコメントするように依頼したが、彼は質問を避け続けた。これはもちろんフラストレーションのたまる経験ではあったが、Tomasiakとのやりとりではいつものことで、彼は2015年までZortraxの新製品やニュースに関する報道陣への発表を担当していた。

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同時に、Dellとの契約はZortraxの投資家向け資料の主要な項目となっており、Tomasiak自身、同ニュースの重要性を注意深く振り返る程だった。2014年3月にTomasiakは、Stockwatch.plに対して「Dellとの契約は、現在交渉を進めている案件のひとつですが、私たちが成功するためには、個人を含めて、できるだけ顧客数を増やさなければいけません。それが私たちのゴールで、その影響もあって私たちの顧客ポートフォリオは、世界中の様々な分野に分散されています」と話していた。

しかし、彼はDellとの契約がとてももうかる話だと言っていたばかりか、それに関連した値上げを行ったとも話しており、契約がもちろん締結されるであろうことを示唆していた。

4月中に話の真偽の程が分からず、私は本件を諦めた。結局、どうやらDellもそうしたようだった。契約の話は、当初の盛り上がり以降再浮上することはなく、Tomasiakがさらなるコメントを発表することもなかった。

ZortraxとDellの契約が具現化しなかったことにどんな影響があるのだろうか?結局、契約に関する言及がなされているのは1番最近で2014年の後半で、Zortraxは5000台のプリンターの売上を2014年度のバランスシートには反映していなかった。つまり、Dellとの契約は現れたと思ったらすぐに消え去ってしまったのだ。それはまるでニュースレーダーの一時的な反応のようなもので、ポーランドの小さな企業がDellと契約を結んだかもしれないが、最終的には恐らく正式な形では契約に至らなかったということになる。

しかし、ヨーロッパでは、噂となったDellとの契約は大きな意味を持っていた。この噂によって、Zortraxはポーランド・東欧地域の強豪としての評判を勝ち取ったほか、Invista Brokerage Houseを通じて、1枚あたり1000ポーランド・ズロチ(329ドル)の無担保社債を1万枚発行し、合計350万ドルを調達できるほどの知名度を獲得したのだ。社債が問題なく売れたZortraxは成長を続け、良いニュースが途絶えることはなかった。2月には、3DPrintのMichael Molitch-Houが「Zortrax CEOのRafał Tomasiakは、Zortraxの国への貢献を讃えられ、ポーランド共和国大統領のAndrzej Dudaより名誉の赤白旗を受け取った」と報じていた。

つまり、最終的に失敗に終わったDellとの契約は、小さいながらも成長を続けるZortraxにとって良いニュースだったのだ。バルザックを引用するに値するような罪ではないものの、同社が嘘でちょっとした財産を築いたのは明らかだ。

この話からどんな教訓が得られるだろうか。スタートアップは成功を喜んではいけないということだろうか?Zortraxが自社の利益のために嘘をついたということだろうか?どちらも違うように思えるが、これまでの話を考えると、どちらの示唆も読み取ることができる。真実を2年間隠すことで、Zortraxはポーランドの競合他社との戦いに巻き込まれることなく、有利なニュースを使って資金を調達することができたのだ。

この部分に関し、Zortraxは3DPrint.com向けに以下の説明を行った。なお、私のメールへの反応はなかった。

「私たちのデビュー作となる3Dプリンターの販売開始に先駆け、2013年の終わりから2014年のはじまりにかけて、同製品に対する関心が高まっていたことを受け、私たちの3Dプリント業界への参入見通しは上々でした。記事に書かれているDellのアジア部門との契約見込に関する情報は、両社の契約締結にむけた誠実な努力の結果、さまざまな広報チャンネルを通じてやりとりされていました。守秘義務にもとづき、両社が条件面で互いに合意できるような内容に至ることができなかったということ以外、契約の詳細については明らかにすることができません。

私たちは、本件に関する情報がこれまでも投資家候補の方々に対してハッキリと伝えられてきたということを、しっかりと伝えたいと考えています。記事中のように、Zortraxは、Dellとの契約が合意に至らなかったことを受け、広報活動や、市場とのやり取り、投資家との対話において、本件に関する情報発信を中断しました。

しかし、記事で引用されている経営指標が、ハッキリと現実の数値を反映していることを表しているという点に注目してください。締結されていない契約に紐づいた見込利益は報告されておらず、会社の評価額のもととなる情報にも含まれていません。

2011年から、Zortraxは3Dプリント技術の分野で最高品質の製品とサービスを提供すべく努力を続けてきました。この努力は、数ある中でも、多くの称号や賞、さらには会社の成長に伴う雇用増加や、革新的な製品やサービスのさらなる開発という形に表れています」

Zortraxは今ではその口を閉じて契約の話には触れなくなった。ポーランド人記者のRafał Badowskiは、「Zortraxは、本件に関する質問へ回答すると8月5日に約束していたが、その後、Zortraxの広報リードのMarcin Niedzielskiから、どの時点で本件に関してさらなるコメントを発表して良いのか、現在(Dellとの)機密保持契約を確認しており、恐らく来週の前半頃には回答できるだろうとの連絡があった」と書き残している。

そして「いずれにせよ、まだこの件は臭う(”Tak czy inaczej, niesmak pozostaje,”)」とも。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

バックエンドとフロントエンドとが仲良くなって十分納期に間に合うためのツールBrightWork、立ち上げ前から300名が待ち行列

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フロントエンドの連中とバックエンドの連中は、意思疎通ができない。バックエンドの連中が“Node.js”と言うと、フロントエンドの連中は“ノード何?”と聞き返し、やがて喧嘩になり、水かけ論になり、最後は大混乱になる。シカゴ生まれでTechStarsで育ったBrightWorkに、そんなときのためのソリューションがある。

TwilioのエンジニアだったJosh Carterと、NikeのデベロッパーだったPhil Taylorが創った同社は、これまで20万ドルを調達して、バックエンドのデプロイを単純化しようとしている。

Carterは説明する: “Philもぼくも、同じ問題で悪戦苦闘していた。DisneyやTaco BellやPabst Blue Ribbonなんかのアプリケーションを作っていたんだけど、どんな場合でも、バックエンドとマイクロサービスの構築で納期の大半を食ってしまうんだ。Phisも同じ問題を抱えていて、彼はクライアントのためのソリューションやインフラストラクチャをもっとアジャイルに作れるための、ベストの方法を探していた。二人で共感を共有できたから、Brightworkのようなものを創ろう、ということになった。”

Brightworkはいわば、昔のCpanelのような、一連のスクリプトの集まりだ。ここにはこんなAPIやサービスがほしい、と思ったら、ボタンを押すだけでコードが完成する。そしてそのコード片の回りに、それを管理するためのインタフェイスをくっつければ、フロントエンドが完成する。なんとなく、気の抜けたビールのようなやり方だが、でも、使える。

同社の立ち上げ前から300名のユーザーが立ち上げを待っていた。

“しかし最初は一部の人たちにだけ使ってもらって、彼らから重要なフィードバックをもらった。でももちろん、成長するためにはオーディエンスを広げなければいけないことも、わかっていた”、とCarterは語る。

バックエンドはフロントエンドほどセクシーではないが、中身のクリームと外側のチョコレーtの両方が揃わないと、おいしいケーキはできない。両者の合体を支援するBrightworkは、だからすばらしいだろう。もう、お互いに喧嘩する必要はないね。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

削除ツイートのアーカイブサイト “PostGhost”、Twitterの停止通告を受け閉鎖

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PostGhostは、著名人や金持ち、重要人物等のツイートをアーカイブする出来たてのウェブサイトだった。サイトは政治家や、英国首相に #remail(残留)を嘆願した女優リンジー・ローハンらの削除ツイート保管場所として人気を得ていた。

「私たちはpostghost.comを、Twitterで最も影響力のある人たちによる公開発言の正確な歴史を、人々に提供するために作った。PostGhostは、最近Twitterが一部の削除済みツイートの公開を改めて承認したウェブサイト、Politwoopsよりも、著名人に責任を課す公平かつ透明な方法を提供すると私たちは信じている」と、サイト作者らは書いている。

Twitterは同サイトにメールで、削除済みツイートを表示した犯罪行為のためにAPIアクセスを遮断すると脅した。この犯罪はヨーロッパのデータ削除法に由来するとも言われており、一過性ツイートの普及を望むTwitterも利用規定で禁止している。

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この種の出来事が起きると意見は二派に分かれる。一つが、これはあらゆる物を検閲できるTwitterの権利だというもの。そこは彼らの砂場であり、われわれはその中で遊んでいるだけだ。

もう一つの流派は、Twitterはわれわれの時間と注目にただ乗りしているのだから、それと引き換えに、読者やユーザーとは良識をもってつきあうべきだとするもの。著名人は始終愚かな発言をするので、時には彼らの信念、特に国家に関するツイートの削除を許さないことは極めて重要だ。J.K.ローリングが政治的ツイートを削除してもさほど重要ではないが、 共和党のジョー・ウォルシュ議員が人種間戦争を扇動するツイートを削除したことは重要だ。

PostGhostは、ターゲットはあらゆる著名人であり、数百万人ものフォロワーに対してツイートしなければ、一定のプライバシーを確保できると指摘している。

「もちろん、Twitterユーザーの誰もが削除ツイートを記録されるべきなはない ― 殆どの人々がTwitterを個人的に利用しており、私たちはTwitterが人々のプライバシー保護を約束していることを尊重している」とPostGhostの管理者らは書く。「しかし、Twitterは認証ユーザーと呼ばれる著名人 ― 全ユーザーの約0.05% ― のリストを持っていて、彼らが膨大な人数のフォロワーに声を届ける、巨大な即効性メガホンの機能を果たしている」

このサイトが存在したのはわずか数日間だったというのが興味深い ― 7月6日に開設されたPolitiwoopsが今も続いているのは、Twitterとのより深い暗黙の合意があるためだ。政治家や著名人を攻撃することは、合意に含まれていなかったようだ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

光で動くマイクロロボットが血管中を泳いで薬を正しい場所に運ぶ…北大の研究より

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小さなロボットを体内に固定するというアイデアは、楽しいとも思えるけど、でもそのロボットが電池切れになったり爆発したらどうなるのか? しょっちゅうではなくても、いつかは起きるだろう。

北海道大学理学部化学科の研究者たちが、青い光を浴びると自分で動き出す結晶構造を作った。つまりこの微小なロボットに光を当てて、血管中を目的地に向けて泳がせることができる。

この結晶はアゾベンゼン(azobenzene)およびオレイン酸(oleic acid)という有機物でできている…染料や食用油によく使われる物質だ。この化合物に青い光を当てると、“何度も繰り返して、ある形から別の形へ変化する”。

“これがアゾベンゼン-オレイン酸結晶の構造に影響を及ぼすかテストした。結晶には、シス形とトランス形のアゾベンゼンが不等量で含まれている”、と研究者たちは書いている

このロボットは、とてもロボットには見えないかもしれないが、正しい条件下では泳ぎだすので、マイクロロボット技術の未来の実装に役立ちそうだ。

“何度も繰り返してひっくり返る動作など、リズムのある動きを自分で編み出すので、その点は生物器官の基本的な性質に近い”、と研究者のYoshiyuki Kageyama(景山義之(北海道大学大学院理学研究院化学部門液体化学研究室))は述べている。“このメカニズムは将来、生物系の分子モーターやロボットの開発に利用でき、それらの応用〜アプリケーションは、医療を初め、広範囲に存在するだろう”。

この技術を商用化する計画は、まだない。小さな、光を動力とするロボットが体内を泳ぎまわることは、電池で動く小型の烏賊(いか)のような怪物より、ずっと楽しい。Neoも、そう言うだろうね。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

ビョークが衣装に3Dプリントマスクを導入予定、日本科学未来館でお披露目も

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歌手のビョーク(Björk)は、今後のライブで着用を予定している大胆なデザインの3Dプリントマスクを共同制作した。MITのMediated Matter研究所やStratasysとのコラボで誕生したマスクは、Rottlaceと呼ばれ、最新の3Dプリント用フィラメントや3Dプリント技術によって、不思議な毛のような質感が表現されている。マスクの製作にあたっては、Mediated Matter研究所のNeri Oxman教授がチームを率いた。

「Neri Oxman教授の作品には、本当に心から感動しました。ついに彼女と一緒に仕事ができるということにも興奮しています」とビョークは語った。「Oxman教授は、3Dプリントを使って繊細で素晴らしい生物的表現を行う、真の意味でのパイオニアです。仕事を通じて彼女のことを知ることができたのもとても嬉しかったです!」

マスクは「ビョークの顔の構造を模倣」しており、彼女の顔の高速3Dスキャンデータや大胆なレンダリングによって、表面の筋肉組織や毛が表現されている。

プレスリリースの中には、「パーツのない全体(whole without parts)」や「調節可能な物理的属性(tunable physical peroperties)」といった奇妙な表現が見られたが、とにかく今回作られたマスクは本当にかっこよくて、普通の方法では作ることができないということがわかる。

今回作られたマスクのひとつは、日本科学未来館で行われたビョークのパフォーマンスでも使用され、Stratasysのマルチマテリアル3Dプリンターで作られました。この製法によって、ある物体の幾何学的に入り組んだ構造上に散らばった、様々な属性の複雑な組合せを表現することが可能となります。今回使われたStratasysのConnex3という技術では、3つの異なる素材の配合を事前に設定することで、幾何学的・構造的・生理学的制約に応じた剛性・不透明性・色を変化させることができるのです。

それぞれのマスクのデザインには、人間の筋骨格系の根底にある、幾何学的・素材的なロジックが勘案されています。ここでの筋骨格系とは具体的に、人間の声をコントロールしている、筋肉や、結合組織、腱、靭帯の複雑な構造を指します。この厚く織り重なったコラーゲン繊維が、筋肉と骨、骨と骨、筋肉と筋肉の繋がりの、機能的な「類型」を形成しているのです。人間の体内で繋がりあったコラーゲンのパーツが、それぞれに作用させ合う力によってその化学的、力学的属性を変化させるように、それぞれのマスクは「パーツのない全体」を成す合成繊維としてデザインされています。さらに各マスクが調節可能な物理的属性を持つことで、マスクの下にある顔の形や動きを再現したり、拡張したり、コントロールすることができます。着用者の顔をもとに「筋肉繊維」として生み出された今回のマスクは、マルチマテリアル構造によって、着用者の顔や首の形状や構造だけでなく動きまで再現することができるのです。

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3Dプリントで作られたこんなに複雑な造形物が、ステージの上で利用されるのは恐らく初めてだろう。さらにそのデザインから、数時間に及ぶライブ中の着脱にも耐えることができるため、その奇妙な(または素晴らしい)姿をライブで見ることができる。また、ビョークはファッションブランドthreeASFOURのPangolinと呼ばれるドレスも着用予定で、こちらはさらに耐久性・柔軟性の高いNano Enhanced Elastomeric Technologyフィラメントが使われている。要するに、ビョークはその革新性を持ってビョークであり続けなければならないのだ。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

Das Keyboardの5Qは、クラウドに接続するインテリジェントなキーボード…キートップのブリンクで情報を表示

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Das Keyboardは誰もが好きなキーボード会社で、まるでKraftwerkがツアーに持って行く楽器のような名前だが、同社がこのほど発表した5Qは、クラウドサーバーと双方向通信をするスマートキーボードだ。

どういう意味かというと、キーボードをプログラミングして、eBayで自分より高値がついたらEの文字をブルーで点滅する、とか、自分のWebサイトがダウンしたらスペースバーを激しくブリンクさせる、などのことができる。数値キーを点滅してCPUの使用率をお知らせする、なんて使い方もある。

そのQと呼ばれるAPIは、複数のデータソースに接続できる。プログラミングをしているときにビルドのエラーを通知したり、来信メールの相手によっていろんなキーの輝度を変えたりもできる。たとえばBのキーが赤く輝いたら、あなたのボスからのメールだ、とか。

このキーボードはIFTTTのようなサービスに接続して、なにが起きたらなにをする(if〜then〜)のルールを設定する。そうやって自分の身近で情報を共有するのは、なかなかおもしろい。

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ぼくは昔から、Dasのカチッと音のするキーボードが大好きで、Blink(1)のようなツールも好きだから、このキーボードはとてもいいと思う。今同社はクラウドファンディングをやっていて、すでに24000ドルを超えている。

早めの支援者は109ドル、そして189ドル出すとブランクな(文字が書いてない)キーキャップのセットももらえるから、このキーボードでGibsonをハックすることもできるだろう。発売は来年1月を予定している。

しかもDasはOmronのGamma-Zuluメカニカルスイッチを使っているから、これまでの製品との互換性も十分にある。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))