米セブン-イレブンがレジレス実験開始、Amazon Go対抗へ

米国の大手コンビニチェーンであるセブン-イレブンがレジレス(キャッシャーレス)店舗の実験に参入する。これはAmazonがレジレス店舗、Amazon Goの普及を図るキャンペーンに力を入れていることへの対抗だ。

今週、セブン-イレブンはテキサス州アービングの本社近くに65平方mのレジレス店舗をオープンする。ただし当面利用できるのは同社の社員に限られる。レジレス店舗ではテクノロジーが人間のレジ係の代りを務める。購入と支払いのプロセスを管理するだけでなく、在庫もモニターする。

この店は飲料、スナック、料理、生鮮食品、市販薬そのほか、セブン-イレブンで売れ筋の商品をそろえる。品揃えはテストからのフィードバックによって修正される。

Amazon Goと同様、セブン-イレブンのパイロット店舗もモバイルアプリから利用する。顧客はアプリを利用して入店チェックイン、支払い、レシートの受け取りを行う。

同社によれば、システムはアルゴリズムをユーザー別にカスタマイズし、AIテクノロジーによって顧客行動の予測を行うという。シニア・バイスプレジデントであるCIOのMani Suri(マニ・スリ)氏は声明で以下のように述べている。

セブン-イレブンの目的は、顧客のショッピング体験を過去の行動から期待されるものに近づけ、スムーズかつ高速にすることだ。新種の店舗の一般公開に先立って、当社社員に公開することは現実の条件で新しいテクノロジーをテストする絶好の方法だと考える。社員であればネガティブな体験についても気兼ねなくフィードバックできるため、セブン-イレブンがシステムの動作を詳細に学び、必要があれ改善することを容易にする。このインハウスで収集された体験をベースにセブン-イレブンでは現在および将来のカスタマー・テクノロジーを構築することができる。

セブン-イレブンではこれまでもオンデマンドの配達モバイルアプリを利用した支払いなど最新のテクノロジーを利用したサービス導入に積極的だったが、AmazonがGoでコンビニ店舗ビジネスに正面から参入してきた以上、これに対抗するシステムの構築に向かうのは必然的だった。

しかしキャッシャーレス店舗市場への参入を図っているのはもちろんセブン-イレブンだけではない。

2018年にAmazon Goのコンセプトが発表されて以後、大手スーパーチェーンではWalmart(ウォルマート)本体、グループのSam’s Club (サムズクラブ)、またGiant EagleチェーンがAmazon Goに似たAIを始め各種のテクノロジーのテストを開始している。またStandard CognitionZippinGrabangoAiFiTrigoなどの会社はレジレスの店舗運営ソリューションを小売企業に販売しようと試みている。

パイロットプログラムは進行中だが、一般向けのキャッシャーレス店舗がいつオープンされるのかについては発表されていない。また利用される独自テクノロジーの詳細も不明だが、レジレス店舗は通常、カメラ、センサー、AIを複合したシステムとなるのが普通だ。

セブン-イレブングループはライセンスを付与したぶんも含め、17カ国でフランチャイズ7万店を運営している。うち北米には1万1800店舗がある。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

ディズニーは2021年にはHuluの世界的サービスを目指す

Huluは、おそらく来年には、いよいよ米国外にもサービスを拡張する。このちょっとしたニュースは、ディズニーの会長兼CEOであるBob Iger(ボブ・アイガー)氏が、今週の投資家に対する決算報告で確認したこと。21世紀フォックスの買収と、それに伴うNBCUとの取引の結果、ディズニーは完全にHuluの運営を掌握した。それにより、Huluの運営と国際的な事業計画を合理化する手段を得たことになる。手始めに、今週からHuluの組織改編に着手し、HuluのCEOであるRandy Freer(ランディ・フリーア)氏も退任することになった。

画像クレジット:Hulu

ディズニーでは、Huluを消費者向けの直販事業にうまく統合したいと考えているという。それは、国際的な展開を実現するための第一歩となるはずだ。

同社は現在、フォックスとの取引で取得した資産を活用して、Huluのオリジナルコンテンツのラインアップを充実させようとしている。さっそく来月からは、Huluはまったく新しいFXオリジナル番組の独占的なストリーミングサービスとなる。さらにHuluは、現在のFXショーのシーズン中のストリーミングと、ほとんどの現在、およびライブラリシリーズの過去のシーズンの番組を購読者に提供する。

拡充されたオリジナルのコンテンツライブラリは、Huluの番組ラインアップが米国内ほど充実していない市場で購読者を引き付けるのに役立つはず。そこにはFXだけでなく、ディズニーの他のスタジオで作られたDisney+用の「家族向け」という条件には適合しないような作品、例えばマーベルのR指定の映画なども含まれる。

ディズニーは、Huluの国際的な展開について、正確な時期を明らかにしなかった。アイガー氏は、立ち上げから活況を呈しているDisney+のグローバルな導入が最優先事項であると述べている。同社は、11月中旬に導入されたばかりのDisney+が、すでに2650万人の有料会員を獲得するまでに成長したことを発表した。それに対してHuluの会員数の合計は3040万人だが、それは約12年間の成果だ。

しかし現状では、HuluはDisney+に対する需要から利益を受けている。Hulu、Disney+、さらにESPN+をセットにして、1か月あたり12.99ドル(約1400円)で提供するサービスによるものだ。ディズニーによれば、解約率を下げるのにも役立っているという。

アイガー氏よると、Disney+はこの3月には西ヨーロッパで、さらに3月29日にはインドで、サービスを開始する予定だ。また2021年には、ラテンアメリカを含む世界各国でも利用可能となる。

「私たちは、それらの立ち上げに集中する必要があると感じています。マーケティングと作品の製作にも注力し、Disney+のすぐ後で、あるいは、それほど間を開けずにHuluも提供するのです」とアイガー氏は言う。「というわけで、Huluを提供するのは確かですが、いつからという具体的な計画は、まだありません。おそらく、国際的な展開は2021年になるでしょう。いずれにしてもDisney+の後ですね」と付け加えた。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

Z世代お気に入りの写真共有アプリ「VSCO」が動画投稿可能に

Z世代のミームになった写真共有アプリVSCOに、動画投稿機能が加わる。同社はすでにアプリでの動画編集はサポートしていたが、ユーザーが編集した動画コンテンツを、直接VSCOフィードに投稿することはできなかった。まずはiOS版のVSCOユーザーから、この状況が変わることになる。

動画投稿機能はアプリのユーザー間で、長い間待たれていた機能であり、同社によれば、VSCOプラットフォーム上での動画編集が盛んになってきた時期をみて実現されることになったという。

過去1年間で、VSCO上での動画編集数は倍増した。さらに、同社のGIF作成ツールであるDSCOは、引き続き最も利用されている機能の1つだと同社は主張している。12月にVSCOは、動画テクノロジー企業であるRyloを買収することで、動画市場により深く入り込む意向を示した。

かつてのRyloはコンパクトカメラの製造で有名だったが、最近では一連のモバイルビデオ編集ツールに注力していた。VSCOは、これらのツールを2020年中にコミュニティに展開する予定だと述べている。VSCOはどのツールを含めるかについては言及していないが、Ryloモバイルアプリは既に、動画安定化技術や、360度ショットの任意のセクションから完全にフレーム化されたクリップを作成する機能など、たくさんのものを提供している。全体的な考え方は、まずはより気楽な方法で撮影して、あとからシーンを構成できるようにしようというものだ。

現在、VSCOの動画編集ツールは、プリセットの使用や、露出やコントラストなどの調整といった、写真編集的機能により焦点を当てている。動画投稿の開始にあたってVSCOは、Ryloによるより高度な動画機能がまもなく登場することを約束している。

2011年にローンチされたVSCOは、盛り髷、派手な水筒、金属ストロー、そして貝殻ネックレスなどを身につけたある種のZ世代ガールのパロディといったVSCOガールミームや、VSCOのフィルターによって慎重に加工されたInstagramの写真などのおかげで、最近メインストリームになってきていた。

ただし、VSCOはビジネスを後押しするためのミームを特に必要としていたわけではない。このアプリには現在、1週間あたり2000万人以上のアクティブユーザーがおり、200万人以上の有料顧客を抱えている。

さらに、VSCOは12月の時点で、2020年のどこかの時点で有料顧客が400万人を超えるペースだという発表を行っている。また同時に年額19.99ドル(約2200円)のサブスクリプションのおかげで、年間収益が8000万ドル(約88億円)に近付いていることも発表した。

VSCOは、ブランドを成長させるために11月にSnapと提携して、写真と動画に適用できるSnapchatレンズを初めて提供している。おそらく同社は現在、短い動画形式の投稿に先立って行われる編集機能の第1の選択肢となることで、TikTok世代の関心を集めたいと考えているのだろう。

iOSのVSCOユーザーが新しい動画投稿機能を使用するには、アプリの右上にあるプラスアイコンをタップしてから、動画タブに切り替えればいい。その後、ユーザーは動画を編集して、これまで写真で行っていたように投稿することができる。VSCOによれば、Android版も今後数週間のうちに登場し、動画のお気に入り追加や再公開もサポートされるということだ。

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(翻訳:sako)

アップルはユニバーサル購入オプションをMacに広げ、App Storeを統合

Apple(アップル)は米国時間2月5日、macOS用アプリも含むクロスプラットフォームのアプリを、間もなく1つのユニバーサル購入のかたちで販売できるようにすると公式に発表し、アプリ開発者を驚かせた。消費者の側では、ユニバーサル購入オプションとは、ひとつのアプリを一度購入すれば、iPhone、iPad、Apple TV、Macなど、異なるデバイスでも使えるようになるというもの。開発者の側では、MacとiOSのアプリ、またはその他の組み合わせを同時に購入するよう顧客に促すことができる。さらに、顧客のアプリ内購入とサブスクリプションのプラットフォーム間での同期も容易になる。

同社によると、ユニバーサル購入は2020年3月から開始されるとのこと。この変更に備え、iOSとMacのApp Storeのカテゴリーを統一し、アプリをより探しやすくすると同社は話している。

アップルのApp Storeのカテゴリーは、滅多に更新されることがないため、それだけでも、ユニバーサルなアプリのバンドルを行わない業者も含め、開発者に衝撃を与える大転換となる。新しいカテゴリーにアプリを載せれば、アプリの数が多い既存のカテゴリーで競うよりも、トップアプリの上位にランキングされる可能性が高くなる。

iOSでは、開発者は2つの新しいカテゴリーにアプリを登録できる。「開発ツール」と「グラフィック&デザイン」だ。

Mac向けのApp Storeには、iOSにある「ブック」[フード/ドリンク」「雑誌/新聞」「ナビゲーション」「ショッピング」が新たに追加される。

さらに、MacのApp Storeにある「写真」と「ビデオ」のカテゴリーは、「写真/ビデオ」に統合されて、iOSのApp Storeとの同期性が高められる。また、MacのApp Storeでは、「子ども向け」は「ゲーム」のサブカテゴリーではなくなる。

アップルによれば、開発者は新しいアプリを、App Store Connectで1つのAppレコードを使って開発する方法と、既存のAppレコードにプラットフォームを追加して新しいユニバーサル購入オプションを利用する方法のいずれかが選べるという。この機能は、macOS Catalyst対応アプリではデフォルトで有効となるが、それ以外のアプリでも使用できる。

2月5日から、開発者は「Xcode 11.4 beta」アップデートリリースをダウンロードして開発作業を始められるが、このオプションが一般に利用可能になるのは3月にローンチされてからとなる。

誤解のないように言えば、一度の購入で複数のアプリを提供できるようになるのは、これが初めてではない。例えば、iPadやApple Watchのアプリも同時に付いてくるiPhoneアプリを買ったことがある人なら、すでにユニバーサル購入オプションを経験済みということだ。新しいのは、それと同じ機能をMac用アプリに初めて導入するという点だ。

もちろん、ユニバーサル購入はすべてのアプリに恩恵をもたらすわけではない。なので開発者は、ビジネス展開の方針に基づいて、その長所と短所を自分で見極めてバランスをとる必要がある。だがこのオプションは、これまでアップルが別々に提供していたアプリのエコシステムを統一し、今後のMac用アプリの開発に拍車をかけるという点で大きな前進となる。

ベータ版Xcodeは2月5日、macOSとiOSのベータ版とともに公開された。これらを組み合わせることで、Macでのスクリーンタイムの通信制限、Mac用のヘッドポインター技術、絵文字ステッカー、CarPlayの更新とiCloudのフォルダ共有といった新機能が利用可能になる。

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(翻訳:金井哲夫)

Apple TVアプリとApple TV+がLG製テレビで利用可能に

「Apple TV」アプリが、LGのスマートテレビで使えるようになった。もちろん、Apple(アップル)の新しいストリーミングサービスApple TV+へのアクセスも可能だ。LGは今週、米国および世界80以上の国々で、LG製スマートテレビの2019年モデルで、Apple TVアプリが利用可能になったと発表した。今年後半には2018年モデルでも使えるようになり、2020年モデルでは最初から使えるという。

ユーザーはLG Home Launcherから新しいアプリにアクセスし、Apple TV+の番組をストリーミングしたり、Apple TVのチャンネルを購読できる。iTunesビデオライブラリにアクセスしてiTunesにある10万本以上の映画やテレビ番組を購入したり、レンタルしたりすることも可能だ。

さらにLGは、ほとんどのApple TV+コンテンツと同様、アップルの幅広いタイトルはドルビービジョンとして提供され、LGの最新テレビがサポートしていることを強調している。アップル製品のユーザーが、iPhone、iPad、あるいはMacからコンテンツをミラーリングするAirPlay 2も利用可能だ。またvのHomeKitにも対応しており、ホームアプリやSiriを使ってテレビをコントロールできる。

Apple TVアプリ、AirPlay 2、そしてHomeKitは、今のところLGの2019年モデルのOLED TVと、NanoCell TVのSM9XおよびSM8Xシリーズで動作する。今月後半には、UHD TVの一部(UM7XとUM6Xシリーズ)でも利用可能となる。そして今年後半には、無線によるファームウェアのアップグレードにより、LGの2018年モデルのテレビでもサポートされる予定だ。同社によれば、2020年モデルのLG製テレビは、すべて最初からApple TVアプリに対応するという。

昨年11月にApple TV+が登場して以来、現代の人がテレビを観るさまざまな方法に対応するため、Appleは広範囲のエコシステムをサポートするしかなかった。現在Apple TVアプリは、すべてのアップルデバイスとウェブ上で動作し、Fire TVやRokuといったストリーミングメディアプレーヤーでも利用できる。これまでのところ、広範囲のスマートテレビでApple TVアプリを利用可能にしていたのはサムスンだけだった。アップルのウェブサイトによると、ソニーやVIZIOなど、他のテレビメーカーは、現時点ではAirPlay 2のサポートのみを提供している。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

スマートスピーカーでの買い物は思ったほど伸びていないとの報告

eMarketerが米国時間2月4日に発表した報告によると、米国の消費者は音声による買い物には予測に反して即座に飛びつかなかったようだ。消費者は、スマートスピーカーを自宅に置いたことには満足しているが、音楽をかけたり情報を聞いたりといった単純な目的で使用するのがほとんどで、なかなか買い物には使われていない。確かに音声で買い物をする人の全体数は増えている。しかし、事前の予測よりも増え方がゆっくりなだけだとアナリストたちは解説している。

今年末までには、自分のスマートスピーカーで買い物をしたことのある人の数は2160万人になるとeMarketerは予測している。これは、2019年第2四半期に予測された数を下回る。当時は2360万人に達するとされていた。

だが重要なのは、スマートスピーカーで買い物をする人の数は増えているということだ。今年は、米国でデジタル機器を購入した人のうち10.8%がスマートスピーカーで買い物をするという、ひとつの目標を達成する可能性もある。

2019年から2021年に米国でスマートスピーカーを買う人の人数と、デジタル機器購入者のうちの割合。黒がスマートスピーカーの購入者(百万単位)、赤がデジタル機器購入者に占める割合。上記の暦年期間にスマートスピーカーで音声による買い物を少なくとも1回行った14歳以上の個人を対象としている(eMarketer 2019年12月)

eMarketerは、予測よりも数の伸びが遅い原因として、セキュリティーに不安を持つ消費者はスマートスピーカーやそのメーカーを完全に信用していないなど、いくつかの要素を挙げている。消費者の多くは、購入を決める前に商品を目で確かめられるよう、画面と組み合わせて使いたいとも考えている。AppleとGoogleは、画面とスピーカーと音声アシスタントを内蔵したスマートホーム・ハブで、その問題に対処した。しかし、すでに古いタイプのEchoやGoogle Homeを持っていて、新しく買い直す気になれないという消費者もいるはずだ。

さらにこの報告で、ユーザーがオーディオを聞く割合(81.1%)と質問をする割合(77.8%)の推定値が引き上げられた。

「出前を注文したり、レシピを調べたり、ゲームをしたり、スマートスピーカー用アプリが数多く存在しますが、その能力を完全に引き出すためには、もうひとつ、特別なステップを踏み出さなければならないことに、多くの消費者は気付いていません」とeMarketer主任アナリストVictoria Petrock(ビクトリア・ペトロック)氏は言う。「むしろ、オーディオを再生したり、天気を調べたり、質問をするといった直接的なコマンドに留まっています。それがデバイスの基本的な機能だからです」。

利用状況ごとの米国のスマートスピーカー利用者、スマートスピーカー所有者のうちの割合。上から、オーディオを聞く人、質問する人、買い物をする人、スマートホームの操作をする人、バイヤーなどの利用も少なくとも月に1回それぞれの目的でスマートスピーカーを利用しているあらゆる年齢層の個人を対象とする(eMarketer 2019年12月)

公正を期するために言えば、こうした予測はスマートスピーカーの利用状況を完全に示すものではない。例えば、商品を買い物リストに加えるようAlexaに命令して、後でインターネットで購入するという消費者も多い。だが、それは音声による買い物には数えられていない。むしろ、スマートスピーカーは、いろいろな命令の聞き役であり、後で買いたいという消費者の意図を受け付けるが、実際の購入行動はとらないというだけだ。

とはいえ特にAmazonは、音声による買い物の可能性をうまく生かしきれていない。音声コマンドとAmazonでの買い物と結びつければ、簡単に実現しそうに思えるが。言葉を聞いただけ勝手に購入してしまう数々の問題に神経質になっているからかも知れないが、Amazonは音声による買い物の機能を率先して開拓してこなかった。音声による買い物を日常化する、または簡単な言葉で1回限りの買い物を定期購買に進めさせる方法は、Amazonならいくつも思いつくはずだ。

Amazonは、Honey(現在はPaypal所有)のような機能群の開発も可能だろう。値引きやセールの有無を常に見張っていて、EchoのオーナーにAlexaの通知プラットフォームを使って伝える。またはAmazonのコンパニオンアプリのスキルを使ってもいい。ユーザーの日々のフラッシュブリーフィングに追加するのもいいだろう。例えば「あなたがウォッチしている商品は50ドル値引きされました。現在の価格は◯◯ドルです。購入しますか?」という具合だ。

コンパニオンは商品の在庫状況を監視して、好きなブランドの商品が入荷されたときに知らせたり、コンパニオンアプリにおすすめとして写真を送ったりもできるだろう。ところが、Alexaの音声による買い物は、まったく退屈なままだ。ここを改善しなければ、買い物機能はいつまでたっても消費者から敬遠され続ける。

eMarketerは2月4日に、スマートスピーカーの利用状況の新たな予測値も発表した。米国のスマートスピーカー利用者数の2020年の予測は、8450万人から8310万人に下方修正されている。普及がやや鈍化するという見通しだ。

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(翻訳:金井哲夫)

スパム問題のあった動画投稿アプリ「Byte」のダウンロードが100万回超え

Vineの後継とされる、新たなショート動画アプリのByteはさまざまな問題を抱えつつも力強いスタートを切った。Vineの共同創業者Dom Hofmann(ドム・ホフマン)氏が作ったこのアプリは、Vineによって人気になっていた6秒動画を再び利用できるようにした。VineはTwitterによる買収で2016年にサービスを終了していた。Sensor Towerの新たなデータによると、Byteはリリース後の1週間で130万回超ダウンロードされた。ダウンロードの大半は米国で、そして英国とカナダが続いた。

「米国でのダウンロードは全体の70%を占める91万2000回だった」とレポートにある。一方で英国のダウンロードは全体の7%、カナダは6%を占めた。また、ダウンロードの大半はiOSで行われ、95万回のiOSに対してAndroidでは35万回だった。

App Annieの数字は若干異なるようだが、2月2日までのダウンロード数がiOSとAndroid合わせて100万回を超えたのは同じだ。

Sensor TowerはByteの数字を、2013年1月のVineのデビュー時と比較している。Vineの最初の1週間のiOSでのインストールは77万5000回にとどまった。しかしこれは、ByteがすぐにVineよりずっと人気のアプリになることを意味するものではない。

というのも、アプリマーケットはユーザー数、デバイス数の増加で成長しているからだ。例えば、2016年にはスマホを所有していた人は世界で25億人だった。しかし今やその数は35億人を超えている。加えて、Vineは知られていないスタートアップとしてショートビデオの業界に参入した。一方のByteはVineとの相似性を利用できるだけでなく、Vineの成功やTikTokのおかげでショート動画が大人気になっているというタイミングでの登場だ。TikTokは2019年に最もダウンロードが多かったアプリランキングで4位だった。

サービス開始に伴う数字は力強いものだったが、Byteのデビューは完璧ではなかった。

Byteはサービスを開始してすぐに、リクエストを受けたボットがコメント欄を埋めるという大量のコメントスパムに見舞われた。ここにはポルノボットからのリクエストも含まれる。「Byteを真っ先にダウンロードしたユーザーはまた、Taylor Swift(テイラー・スイフト)やTrump(トランプ)、Bezos(ベゾス)、Tiger Woods(タイガーウッズ)などテック大物からセレブに至るまで、実在の著名な人物に属するユーザーネームの『ひったくり』も始めた」とSlateは報じた。Byteはすぐさま問題の調査に乗り出し、クリーンアップを行うことを約束した。

しかしByteの問題はそれだけではない。Byteはもともと対象年齢12才以上で始まったが、すぐに大人が投稿したものとともに、明らかに子供からのビデオで一杯になった。Byteの人気フィードは、下ネタや性的からかい、そして児童虐待やコロナウイルス患者に関する嫌なジョークを含む問題のあるコンテンツであふれた。

ひどい内容のコンテンツを投稿している少年たちが18才以上かどうかははっきりしない。しかし下ネタを扱っているその他の多くのビデオ、そしてその後に続く幼い子供が撮影したビデオを閲覧するというのは不快な体験だった。

人気フィードの中には男性器の模型をセックスドールに向けて飛ばすというドローンのビデオも含まれていた。また別のビデオは、男性が激しく携帯電話のスクリーンを叩くという、児童虐待を思わせるものだった。このビデオは上部から撮影されていて、子供の視点だ。キャプションには「子どもが正当な議論をしようとするとき」とある。

幼児を映しているビデオ2本のうち、1本はボール遊びをする中で父親がおそらく意図的に赤ちゃんを叩くところが映っている。もう1本では、誰かが台所のシンクのノズルで赤ちゃんの顔に水を掛け、その後赤ちゃんが泣く様子が収められている。

また別のビデオではコロナウイルスで死にかけている中国人をからかっている。ジョイント(紙巻き大麻)を吸っているティーンエイジャーが、サイレンを聞いて逃げるというビデオもある。

Vineのビデオはそれぞれに奇妙で馬鹿げたものだが、良いビデオは愚かなものでなければ汚いものでもなかった。

大人向けの内容が多いことを考えたとき、Byteのユーザー年齢チェックとアプリの対象年齢12才以上というのは懸念事項だ。なお、Byteは週末に対象年齢を17才以上に引き上げたことで、上記のビデオを目することはなくなっている。またApple(アップル)がVineのコンテンツを調べていたことを我々は知っている。

Byteのコンテンツがあちこちから持ってこられているというのも懸念すべき点だ。YouTubeやFunnyorDie、TV番組、TikTokのものすらある。ユーザーはまたSnapchatのビデオやウェブ上のミームも再投稿していた。

対象年齢の変更からするに、Byteは問題のあるコンテンツで警告を受けたのかもしれない。Byteはいま、ディスカバリーページのトップに精選されたスポットライトフィードを持ってきている。このページではビデオキュレーションが改善している。

Byteは1月31日にパートナー・プログラムについての初期情報を公開した。このプログラムは他のプラットフォームにはない売上をうむ可能性があるとうたっている。

比較の対象として、TikTokはこれまでに16億5000回ダウンロードされているものの2019年の総利益はたったの1億7690万ドル(約194億円)で、確固たる収益化の方法を見つけられていない。しかしTikTokの幹部たちはブランンドを他の方法で成長させるために名前を売っている。その方法には、ユーザーをYouTubeやInstagramといった他のソーシャルチャンネルに向かわせるというものがある。またファンとの直接交流さえ行っている。

Byteスターによる完全に新しい世界が出現するのかどうかはまだわからない。

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(翻訳:Mizoguchi

ランディー・フリアーCEOが去り、Huluはディズニーの下で構造改革を推進

Huluのは米国時間1月31日、CEOであるRandy Freer(ランディー・フリアー)氏がDisney(ディズニー)の消費者を直接対象とする(ダイレクト・トゥー・コンシューマー、D2C)ビジネスに即した大規模な構造改革のメンバーから外れることになったことを明らかにした。ディズニーは、21st Century Fox21世紀フォックス)を買収し、続けてNBC Universalの完全な経営権を獲得した後、昨年、Huluの経営権を獲得した。しかし現在まで、Huluの経営は従来どおり大幅にHuluに任されていた。

この動きは、現在Disney+とESPN+も含む、ディズニーのDTC事業スリム化計画を示唆している。Foxネットワークグループの社長兼COOだったフリアー氏は、2017年にHuluに入社。SECファイリングによれば、彼の在籍中にHuluの加入者は92000万件にまで増加した。

組織の再編により、Huluの経営幹部はKevin Mayer(ケビン・メイヤー)会長率いるDisneyのダイレクト・トゥー・コンシューマー&インターナショナル(DTCI)の同じ役職の人間に直接報告をするようになる。この変更で、さまざまな動画配信サービスを跨ぐリソースの分配が改善される。Huluの国際展開もより迅速に効率的になるだろう。

Huluの国際展開は、ディズニーに完全な経営権が移る以前から議論が始まっていた。2018年後半、同社の会長兼CEOのBob Iger(ボブ・アイガー)氏は、Foxとの契約締結が完了した後にHuluの経営チームと会い、Huluのグローバルな拡大とオリジナル番組への投資について話し合う予定だと言っていた。オリジナル番組の充実は、配信業者が、潜在顧客に提供する豊富なコンテンツを地元のコンテンツ所有者から入手できずにいる海外市場へのアプローチを優位にする。

Foxを手に入れたことで、ディズニーはFoxスタジオとFXが使えるようになった。Huluはそこで、オリジナル番組を数多く制作できる。さらに、ディズニーのD2Cビジネスのお陰で、Disney+、Hulu、ESPN+を組み合わせたさまざまな料金プランを、いろいろな国で試すこともできる。そのすべてでHuluが主導する必要がないのだ。

「過去2年間のCEOとしてのリーダーシップと、ここ数カ月間の協力によりHuluの非常に明るい未来を確信できたことを、ランディーに感謝したい」とメイヤー氏は、先週末に公開されただ談話の中で述べている。「Disney+の立ち上げが成功し、私たちは、私たちのDTCビジネスのポートフォリオ内、そしてポートフォリオ全体の規模の利益に集中できるようになりました。極めて有能なHuluチームと、私たちの組織との統合をさらに進めることで、より効果的、効率的なリソースの展開が可能になり、アメリカ国外での私たちの存在感を急速に高め、たゆまないイノベーションを継続できます。前途には膨大なチャンスが待ち構えています。私たちの前向きな力と顧客へのよりよいサービスを加速させる能力に、私は自信を持っています」と彼は話している。

フリアー氏はディズニーを称賛しつつ立ち去った。「Huluでの時間、そして驚くほど有能で繊細な人たちと働き学べる機会を持てたことを大変誇りに思います」というフリアー氏の談話がVarietyの記事に掲載された。「また、ケビンとウォルト・ディズニー・カンパニー、さらにNBC UniversalとFoxにも、脅威の伸びを見せ業界を大きく変貌させた時期にHuluを率いるチャンスを与えてくれたことを感謝したい。Huluは、今あるテレビシリーズの中でも最高のものを求める消費者にとって、一番の選択肢という地位を確立しました。Huluはディズニーの中の、DTCIの主導とリソースの下で繁栄するものと確信しています」と彼は話していた。

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(翻訳:金井哲夫)

Googleアシスタントが忘れ物防止タグ「Tile」と統合、なくした物を声で見つけてくれる

Googleアシスタントが米国時間2月3日から、TileのBluetoothトラッカーをサポートし、鍵や財布やリモコンなど、どこかに置き忘れた物を見つけてくれる。今回の統合でGoogleアシスタントのユーザーは、Nestデバイスに「Hey Google, where is my purse?」(ねえグーグル、財布の場所を教えて)などと質問できる。音を鳴らせたかったら、「Hey Google, make my backpack ring」(ねえグーグル、バックパックを鳴らして)などと言えばいい。

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Tile|Googleアシスタント
TileとGoogleアシスタントの統合で忘れ物を探せるようになる

コマンドは「Where is」や「Make ring」のほかに、「Hey Google, find my〜」や「Hey Google, ring my〜」でもいい。

アイテムの場所を尋ねることもできる。それが家の中にあれば、アシスタントはTileのBluetooth機能を使って正しい場所を返す。例えば、「Your keys were last seen today at 9 PM near the Kitchen speaker」(鍵は午後9時にキッチンのスピーカーのそばにあった)のように。Bluetoothの圏外なら、Tileの位置サービスを使ってその品物が最後にあった場所を返す。

Tileは専用アプリのユーザーの大きなネットワークをクラウドファインディングのプラットホームとして利用してアイテムを見つける。Google(グーグル)によると、現在、Tileデバイスは全世界で2200万あまり売れていて、230か国で1日に500万以上のアイテムを見つけている。

グーグルとTileがパートナーになったのは去年9月で、そのときこの機能は年内(2019年)にローンチすると発表された。そのパートナーシップは、Tileのビジネスにとって重要な時期に締結された。Apple(アップル)はTileと競合するAirTagsという機能を、iOSに統合された形でローンチすると言われている。著名なアップルアナリストMing-Chi Kuo(ミンーチ・クオ)氏の最近の予測によると、その機能は2020年の前半に導入されるそうだ。ただしそれはTileと違って帯域がとても大きいタグで、Bluetooth LEやWi-Fiよりも高い精度が約束されている。

アップルのそのタグの証拠は、iOS 13のコードにすでに見つかっている。アップルがTileの事業に参入する計画は、同社の反競争的行為をめぐる最近の議会のヒアリングでも、そんな行為の1つの例として取り上げられた。そのヒアリングでは、Tileの法務部長であるKirsten Daru(クリステン・ダル)氏が「アップルとの競合は極めてて厳しい」とコメントした。

「自分のチームがどれだけ最強でも、相手は競技場とボールとスタジアムと、そしてリーグ全体のオーナーだ。だからゲームのルールをいつでも好きなように変えられる」と同氏は述べた。

だからTileがGoogleとパートナーにしたのは、自分の事業の拡張ではなく、むしろ自衛行為だ。この新しい機能を使うには、TileとGoogle Homeアプリとの同期をセットアップする必要がある。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

2020年版絵文字はトランスジェンダー旗や性差別のないバリエーションが満載

今年は100種類以上の絵文字(emoji)が新たに加わる。公式に絵文字を統治する団体であるUnicode Consortiumは、2020年に117種類の新しい絵文字Emoji 13.0の一部として追加することを発表した。今回追加されるのは、まったく新しい絵文字62種類と、新しいジェンダーや肌の色のバリエーション55種類からなり、その多くが性差別に配慮したものだ。ほかに今年の追加で注目すべきなのがGoogleとMicrosoftの共同スポンサーによるトランスジェンダー旗で、ほかにも涙のスマイルフェイス、ハグし合う2人、つまんだ指、変装した顔、そのほか大量の動物や食品などが含まれている。

今年は5種類の絵文字(ジェンダーに配慮した派生物を含む)をGoogleがスポンサードしている。

同社が提案したのがベールをつけた人タキシードを着た人のバリエーションで、これで男性、女性、ノンバイナリーのさまざまな肌の色の絵文字が揃った。性別に中立なサンタクロースも追加された。

Googleの新しい絵文字(Android版)

Googleは「哺乳瓶で赤ちゃんにミルクを飲ませている人」の絵文字も提案した。

「これまで、育児を表す絵文字は「母乳を飲ませている」ものだけだった」とGoogleのAndroid絵文字プログラム担当デザインディレクターのJennifer Daniel氏は語る。「母乳を与えられないことは子供の保育ができないことを意味していないので、誰もが使える絵文字を導入したいと考えた」

最近、絵文字はますます差別に配慮し表現性が高くなりつつある。2019年の追加では補聴器、車椅子、義肢、盲導犬などのほか、性的に中立なカップルや、さまざまな肌の色が加えられた。

Googleは2020年、感情に重点を置いた新しい絵文字として、ハグし合う2涙を流す笑顔も提案した。後者は、感謝と安堵を同時に表現するために多くの人々が欲しかったものだ。ダニエル氏はこの絵文字について、喜びと小さな悲しみの入り混じった感情を表すためにも使えると語った。過去の記憶をたどるとき、例えば#tbt(Throwback Thursday、木曜日の振り返り)や、子供の頃の楽しい時間を思うときなど。

Googleの新しい絵文字(Android版)

忍者も人間の絵文字に加わった。

動物のラインアップには、黒猫、バイソン、マンモス、ビーバー、ホッキョクグマ、ドードー、甲虫類、ゴキブリ、ハエ、 ミミズが入った。

食べ物関係では、タピオカティー、ブルーベリー、オリーブ、ピーマン、フラットブレッド、タマーレ、フォンデュー、ティーポットが加わった。

ほかには、羽根、鉢植え、岩石、丸太、小屋、ピックアップトラック、ローラースケート、マジックワンド、ピニャータ、マトリョーシカ、縫い針、結び目、ビーチサンダル、軍用ヘルメット、フック、はしご、エレベーター、鏡、ラバーカップ、ネズミ捕り、バケツ、歯ブラシ、墓石、プラカード、トランスジェンダー旗、(リアルな)心臓、肺などが追加された。

新しい絵文字がこれだけ増えたことで、必要なものを見つけるためのシステムが必要になるだろう。絵文字の予測表示はそこそこ役に立つ。しかし、普段使わない絵文字を探すためには、iOSの絵文字キーボードでは何度もスクロールする必要がある。GoogleのGboardはよく出来ていて、絵文字を見つけるための検索ボックスがついている。サードパーティー製キーボードを使う方法もある。

画像クレジット:Google、およびEmojipedia

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

瞑想アプリトップ10は2019年に約213億円の売上達成、2018年から52%の増加

ミレニアル世代の健康とセルフケアへの脅迫観念が、瞑想アプリの活況へとつながっている。アプリ情報企業のSensor Tower(センサータワー)は、既に2018年の第1四半期に、「セルフケア」アプリのトップ10が約2700万ドル(約29億円)の収益を上げ たと報告していた。これが2019年の終わりになると、その数字はずっと高くなった。Sensor Towerの最新データによれば、2019年に売り上げの多かった瞑想アプリのトップ10(すなわち「セルフケア」アプリのサブセット)の合計は、1億9500万ドル(約213億円)に成長している。これは、前年比で52%の増加だ。

瞑想アプリは、2018年の時点で既に、セルフケアアプリ市場をリードしていた、たとえば収益を伸ばしたアプリにはCalm、Headspace、そして10% Happierなどがある。マインドフルネスやヨガに焦点を当てた他のセルフケアアプリも人気はあったものの、その人気は下降線をたどっていった。

2018年の間に、上位10の瞑想アプリだけで1億2800万ドル(約140億円)の収益を上げている。これは、トップ10の瞑想アプリがわずか800万ドル(約8億7000万円)の収益しか挙げていなかった2015年に比べると大幅な増加である。

それが2019年には、トップ10の瞑想アプリの収益が1億9500万ドル(約213億円)に増加したのだ。

ただし、2015年以降、トップ10リストに含まれ続けているアプリは2つだけだ。2019年に9200万ドル(約100億円)を売り上げたと推定されるCalmと、5600万ドル(約61億円)を売り上げたHeadspaceである。どちらも、前年比でそれぞれ46%と33%の収益増となった。

収益の増加は、アクティブなユーザーベースだけでなく、これらのアプリを初めて利用し始めるユーザーたちからも生じている。例えば2019年には、5200万人の新規ユーザーが、トップ10の瞑想アプリの1つをダウンロードしている。これは2018年から15.6%の増加である。CalmとHeadspaceはここでも先導役を果たしていて、2019年にはそれぞれ2400万人と1300万人の新規ユーザーを獲得している。

その人気にもかかわらず、「セルフケア」はApp Storeの最上位カテゴリにはなっていない。その代わりに、こうしたアプリは通常、エクササイズアプリ、ダイエットアプリ、カロリーカウンター、フィットネストラッカーなどとともに「ヘルスケア/フィットネス」カテゴリにリストされている。

しかしそれでもアプリたちはうまくやっている。現在、CalmはApple iOS App Storeの「ヘルスケア/フィットネス」カテゴリの第1位で、Headspaceは第2位だ。

これらのアプリがここ数年高い人気を博した理由はいくつかある。ある程度、それはミレニアル世代のライフスタイルに結びついているからだろう。この世代は、結婚を後回しにして、子供を持つことも遅らせることを選んだ。それにより、以前の世代と比較して、彼らはより自分を中心にして振る舞う時間を与えられた。彼らはまたインターネットアクセスと共に成長し、一般的に健康とセルフケアについてより多くを学ぶことができるようになった。

さらに、常時接続のインターネット接続は、個人がスクリーン時間をどのように使用するかによって、不安と抑うつにつながると報告されている。スクリーン時間だけが害となるわけではないが、その使用方法が問題となり得るのだ。セルフケアアプリ、特に瞑想アプリは、この種の問題を緩和するのに役立つ (ただし、精神的疾患の解決策ではないということは、指摘しておく必要がある)。

アプリたちは、収益の増加という観点から見た場合、サブスクリプションへの移行からの恩恵も受けている。この先時間が経つにつれて、このカテゴリはさらに成長する可能性がある。

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(翻訳:sako)

アップルの新しいマップアプリはまず米国全土から展開開始

アップルは、機能を向上させ、より詳しい情報を表示可能なマップアプリを米国全土を対象に展開したと、米国時間1月30日に発表した。再設計されたアプリは、全体的に情報の精度が高くなり、道路、建物、公園、空港、モール、その他の公共の場所の包括的なビューを含むものとなっている。さらに、Look Around(ルックアラウンド)機能を、より多くの都市で利用できるようにし、マイアミでもリアルタイムの乗り継ぎ情報を提供できるようになった。

アップルは2012年に、iOS用のGoogleマップを自社製のマップアプリに置き換えた。それ以来、Googleマップに対する競争力を高めるため、マップのユーザー体験の向上に何年も費やしてきた。控えめに言っても、最初はうまくいかなかった。アップルのCEO、ティム・クック(Tim Cook)氏は、マップが顧客の期待に応えることができなかったことを謝罪し、アップルとして改善に取り組むことを約束する必要さえあったほどだ。

これまでアップルは、マップのデータの内容を改善し、さらに2018年にはマップを実現するプラットフォームそのものをゼロから作り直すことを表明することで、そうした約束を果たそうとしてきた。また昨年には、iOS 13で新たに「Look Around」と呼ばれる機能も導入した。これは、グーグルのストリートビューのアップル版のようなものだが、より詳細な情報を表示できる高解像度の3Dビューを提供し、表示の遷移もスムーズだ。

またiOS 13では、リアルタイムの乗り継ぎスケジュール機能、コレクションと呼ばれるリスト作成機能、お気に入りなど、マップの機能も充実した。

ただし、こうしたマップのアップデートの中には、展開に時間がかかっているものもある。例えばLook Aroundは、ニューヨーク、サンフランシスコのベイエリア、ロス、ラスベガス、ヒューストン、それにオアフ島など、主要都市でしか使えなかった。全国的な展開にあたって、より多くの主要都市で使えるようになるはずだが、アップルはまずどこを追加するのか、名前を明らかにしていない。またリアルタイムの乗り継ぎ情報も、サンフランシスコのベイエリア、ワシントンDC、ニューヨーク、LAなど、ごく一部の都市でしか使えなかった。

現在アップルは、ちょうどスーパーボウルが開催される週末に間に合うよう、リアルタイムの乗り継ぎ情報が提供可能な都市のリストの中にマイアミを加えている。

機能が向上して表示内容も充実したアップルのマップアプリ自体は、2019年の間に米国全土に着実に拡大し、最終的に秋には北東部まで到達した。

そして今、新しいマップアプリは米国全土で利用可能になりつつある。とはいえ、今マップを起動したからといって、すぐに新バージョンが開くとは限らない。ロールアウトは段階的に行われるからだ。

「私たちは、地球上で最も優れ、最もプライベートな地図アプリの作成に乗り出しました。現代の人々に世界を探索する方法を提供するものです」と、アップルのインターネットソフトウェアおよびサービス担当上級副社長、エディ・キュー(Eddy Cue)氏は、今回のリリースに伴う声明で述べている。さらに、「それを実現するため、私たちは深くコミットしています。マップが人々の生活をどのように向上させるのかを再想像するためには、ゼロから再構築する必要がありました。ナビゲーション機能から、仕事や学校での利用、大切な休暇の計画まで、その中核にあるのはプライバシーです。新しいマップを、まず米国向けに完成させ、Look Aroundやコレクションといった新機能を提供することは、そうしたビジョンを実現するための重要なステップです。この新しいマップを、今年の後半にまずヨーロッパから始めて、全世界に提供できるようにすることを楽しみにしています」と付け加えた。

今回アップデートされたマップには、いくつかの場所のLook Aroundと、リアルタイムの乗り継ぎ情報、コレクション、お気に入り、Share ETA(到着予想時刻の共有)、今後の旅程のフライト情報、モールや空港内のインドアマップ、Siriによる自然言語のガイダンス、上の図にあるような没入型の3Dビューを提供する主要都市のFlyover(フライオーバー)機能などが含まれる。Flyoverについては、350以上の都市で利用可能となった。

今後アップルは、これまでに収集した画像を使用して、米国内のより多くの場所でLook Aroundを利用できるようにし、ヨーロッパでもマップのプラットフォームをアップグレードする予定だ。

ただし、現在のアップル製マップの最大のセールスポイントは、そうした豊富な機能にあるわけではない。マップの傑出した特長は、むしろプライバシーを重視していることにある。

グーグルは、Googleマップから収集したデータを、たとえば店がいちばん混む時間帯の表示など、いろいろ便利な機能のために利用している。つまり、プライベートなアプリではないのだ。実際、まったくプライベートではないため、グーグルは「シークレットモード」を用意して、個人的なデータの収集を嫌うユーザーに対応する必要があったわけだ。

それに対してアップルは、アプリにサインインすることは不要で、Apple IDにひも付けされることもなく、パーソナライズ機能もデバイス上で処理されるだけで、クラウドサーバーにデータを送信することはないという点を明確にしている。それに加えて、検索した場所、ナビゲーションの経路、交通情報といった、マップを利用する際に収集されたすべてのデータは、ランダムに生成された識別子と関連付けられるだけ、それも継続的にリセットすることでユーザーのプライバシーを守るとしている。

またアップルは、「ファジィング(fuzzing=ぼかし)」と呼ばれるプロセスを使用して、マップで検索に使われた正確な位置情報を、24時間後にはあまり正確でない位置情報に変換している。さらに、ユーザーがどこを検索したか、あるいは実際にどこに行ったかといった履歴は保存しない。

現在は、アプリを起動するだけでユーザーのデータを収集することに同意したとみなされる時代であることを、人々は正しく認識している。ただしアップルが、ユーザーのプライバシーを重視する姿勢を、ますます強調するようになっているのは歓迎すべきことであり、再びアップル製のマップを試してみる理由としても十分だ。このアプリが登場したてのころの不安定さは、もはや過去のものとなっている。

アップルのマップは、現在200カ国以上で使われていて、iPhone、iPad、Mac、Apple Watchの各デバイス上で、さらにCarPlayを搭載した車でも利用できる。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

Googleの実験プロジェクトから手作り系ショートビデオアプリが登場

Googleの社内インキュベーター、Area 120から新たなアプリがリリースされた。手作りに関するショートビデオで新たな発見を得るためのアプリだ。米国時間1月29日にリリースされたこのショートビデオプラットフォームの名前は「Tangi」。現在はWebとiOSで利用でき、自作好きの人々が手芸、ペインティング、料理、ファッション、ビューティーなどに関するハウツービデオを共有できる。

TikTokや最近登場したByteはエンターテインメントを主眼としているが、これに対してTangiは人々の学びを支援する。

Tangiを作ったCoco Mao(ココ・マオ)氏は「我々は手作りやクリエイティブなコンテンツに焦点を絞っている。このプラットフォームは、人々が手芸、料理、創作を1分ほどの短いビデオで学べることを目指している。ユーザーが高品質なハウツービデオをたくさん見つけられるようにTangiを設計した」と説明する。

マオ氏は上海に住む両親のもとを訪れたときにTangiを思いついた。両親はスマートフォンでペインティングや写真撮影のハウツービデオをたくさん見ていた。両親にとってスマートフォンは難しいと思っていたにもかかわらず、だ。

マオ氏は次のように述べている。「私の母はこれまでも手作りが好きだった。母が短いハウツービデオのニッチなコミュニティのおかげで油絵を描くようになったことに私は驚いた。私も料理やファッションのビデオを作る魅力的なクリエイティブコミュニティにいくつか参加してみた。そしてショートビデオには魔法のようなものがあると気づいた。文章と画像では習得するのに長い時間がかかるようなことでも、ビデオなら要点をすぐに理解できる」。

Tangiの縦長ビデオは最長1分間で、45秒ほどのものが多い。これは、YouTubeなどで公開されているように複雑なレシピをワンステップずつ説明する場ではないことを表している。Tangiにあるのは、ちょっとした料理のコツを紹介したり、キッチンで試せる新しいアイデアのヒントをくれたりするようなビデオだ。

Tangiとほかのショートビデオアプリとの違いがもうひとつある。それは「Try It」(試してみた)という機能があることだ。これはユーザーがビデオを見て自分でやってみたことをアップロードするように促す機能で、このようにしてコミュニティのメンバーと交流できるとマオ氏は言う。

最も真似されているビデオのひとつは、アボカドの皮を器にしてアボカドペーストを作るものだ。

クリエイターが手順を一つひとつ細かく見せられない場合は、コメントにレシピを書き込んでいることもある(そしておそらく、ほかのレシピサイトよりもTangiのほうがずっと見やすい。ほかのサイトでは広告やSEOのための「パーソナルストーリー」が氾濫している)。

すでに多くのクリエイターがTangiに参加している。手芸&ライフスタイルブロガーのHolly Grace、ポートレートアーティストのRachel Faye Carter、パン職人でフードクリエイターのPaola D Yee、ビューティー系ビデオブロガーのSew Wigged Out、アート&手芸のTheArtGe、料理&手芸のJonathanBlogsなどだ。

ほかのソーシャルビデオアプリとは異なり、Tangiへのアップロードは現在は申請した一部のクリエイターに限られている。こうすることで、Tangiには創作活動に限定したビデオのみが公開されるようになっている。

Tangiを見るには、知りたいことを検索したり、アートや料理、手芸、ファッション&ビューティー、ライフスタイルといったカテゴリーで絞り込んだりする。ホーム画面をただスクロールして興味をひかれるものを見つけてもよい。ビデオを保存したりクリエイターを応援したりするには、ハートのアイコンをタップする。すると自分のプロフィールにお気に入りとして保存される。

Tangiはこうしたコンテンツを扱っているため、使っていくうちにPinterestっぽい雰囲気になる。

リリースの段階では、TangiはEUを除く各国で、WebとiOSアプリで利用できる。アプリのダウンロードは無料で広告はなく、現時点では何らかの方法での収益化はされていない。

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(翻訳:Kaori Koyama)

Pinterestにリップメイクを試せるバーチャルトライ機能が登場

Pinterestに商品をバーチャルに試せる機能が登場した。まずはリップだ。エスティ ローダー、Sephora、ベアミネラル、ニュートロジーナ、NYX Professional Makeup、イヴ・サンローラン・ボーテ、ランコム、Urban Decay from L’Oréalなどの製品を、購入前に試すことができる。この機能を使うには、まずPinterestの検索でスマートカメラの「Pinterestレンズ」を開く。そして「バーチャルトライ」をタップすると、さまざまなカラーのリップを試すことができる。製品を購入するには、上へスワイプするだけだ。

Pinterestの検索エンジンに「マット・リップスティック」や「レッド・リップ」など、リップに関連する語を入力して、この機能を利用することもできる。

Pinterestによれば、この機能に使う写真には美肌などの効果は適用されないため、実際の自分にリップが似合うかどうかを試せるという。さらにこの機能は肌の色の選択機能と統合されているため、ユーザーは自分の肌の色に合うリップを購入できる。

メイクやビューティーはInstagramやYouTubeなどのプラットフォームで人気のトピックだが、Pinterestもコスメやケアアイテムを購入する人々がよく利用するプラットフォームだ。Pinterestによると、米国で毎月5200万人がビューティー関連コンテンツを検索し、エンゲージしているという。

GfKの2018年の調査によれば、コスメやケアアイテムにピンを作成するユーザーの87%が、製品の購入を前向きに検討する際にPinterestを見るという。また、ユーザーは定期的にPinterestを見て、「グロッシー・リップ」「ピンク・リップ」といった定番リップや、「オンブレ・リップ」(濃淡2色使いのリップ)「ブラック・リップスティック」といったトレンドリップなど、具体的なリップのタイプを探す。これらはいずれも、2019年の検索上位のリップだ。

バーチャルトライをリップから始めたのは、最も多く検索されるビューティー関連アイテムのひとつだからだと、Pinterestは説明している。ただし、ほかのメイクアイテムに比べるとリップのバーチャルトライは開発が容易だったからということもあるはずだ。

Pinterestは、将来的にはリップ以外の製品やカテゴリーも試せるようにすると述べている。

バーチャルメイクができるのはPinterestが初めてではない。昨年、YouTubeにビデオを見ながらARで仮想メイクを試せる機能が登場した(これも最初はリップからだった)。しかしこれはYouTubeの基本機能としてではなく、YouTubeのブランドコンテンツ部門であるFameBitと連携するブランドがYouTubeのインフルエンサーを通じてマーケティングするためのオプションとして提供されたので、動画全体で広く利用できるようにはなっていない。

バーチャルメイクにはほかに、YouCamメイクSephora Virtual ArtistUltaのGLAMLabなどのARビューティーアプリがある。FaceApp、Perfect365、Facetuneなど、セルフィー編集アプリもある。ロレアルはウェブサイトでライブのバーチャル試用機能を設け、昨年はFacebookと協力してバーチャルメイクアップ機能を公開した。TargetのオンラインBeauty Studioでは、多くのブランドの製品でバーチャルメイクができる。

Pinterestの場合、買いたいブランドや色をまだ決めていない顧客の注意を引き、自分に似合うものが見つかるまでさまざまな色を試せるようにしている。重要な目的は、AmazonやGoogleでブランド名を入力して検索する前に、Pinterestに注意を向けさせることだ。そうすれば顧客はPinterestから販売サイトに直接行くようになる。

とはいえ、バーチャルトライはPinterestにとって広告プロダクトではないし、レベニューシェアもない。Pinterestは広告による収益化をこれからも続ける。新機能は買い物をしようとしているユーザーを引き込むためものものだ。すると結果として、Pinterestの広告に投資するブランドのエンゲージメントが増すことになる。

参加するブランドは、バーチャルトライのようなショッピング機能の効果に関する知見を得られるかもしれない。しかしブランドが個人データを収集することはない。エンゲージメントとコンバージョンに関する情報は統計的に処理され、Pinterestユーザーに関連性のあるおすすめを表示する際に使われるはずだ(そしてユーザーはパーソナライズの設定を無効にすることができる)。

GoogleはPinterestに対抗する機能である「コレクション」というブックマークツールをアップデートして、Pinterestの守備範囲に少しずつ食い込もうとしている。GoogleのスマートカメラであるGoogleレンズを活用した新しいショッピング機能もある。

このようなタイミングで登場したPinterestのバーチャルトライ機能は現在米国で、iOSとAndroidのモバイルデバイスで利用できる。今後は世界各地で、また、その他のプラットフォームでも利用できるようになる。

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(翻訳:Kaori Koyama)

「Facebookg外のアクティビティ」が全ユーザーに公開、広告ターゲティングの管理が容易に

Facebookはサードパーティが送信してくるユーザー情報を本人が管理できるようにする「Facebook外のアクティビティ(Off-Facebook Activity)」というオプションを全ユーザー向けに公開した。この機能は2018年のデベロッパーカンファレンス、「F8 2018」で最初に紹介され、その年に一部地域のユーザーに公開された

2018年にプロジェクトが発表されたときは「履歴のクリア」というもっとわかりやすい名前だったが、FacebookはこれはユーザーがFacebookに投稿した記事を削除すると誤解される危険があると考えたようだ。「Facebook外のアクティビティ(Off-Facebook Activity)」というのは語感はともかく正確なことは間違いない。

またFacebookではデータ収集にあたって「Facebook自身によるもの」と「サードパーティによるもの」をはっきり区別したいようだ。Facebookがユーザー履歴を保存すること自体は実際には大きな問題ではない。しかしFacebookは広告収入に頼る無料サービスであるため、収集したデータを外部に販売、交換するなどしてマネタイズを試みると問題が生じる。

同社が説明したとおり、Facebookに広告を出稿している企業は自社サイト上の行動履歴を含むユーザー情報をFacebookに送信してくる。このデータを基にFacebookは関心を持ちそうなユーザーを選んで適切なタイミングで広告を配信する。これがターゲティング広告だ。「Facebook外のアクティビティ」を使うと、サードパーティが送信してくるユーザー情報の概要を閲覧することができる。

一般ユーザーの大部分は、広告モデルのウェブサービスの仕組みをよく理解していない。Facebookが表示してくる広告があまりにも適切にターゲティングされているため、Facebookはスマホのマイクの向こうでいつも聞き耳を立てているといった陰謀論もある。しかし実際は、Facebookがきわめてきめ細かく広告ターゲティング機能を調整している上に、サードパーティ企業も広告のコストパフォーマンスの最大化を狙って詳細なユーザーデータをFacebookに提供するからだ。[中略]

ただし「Facebook外のアクティビティ」は、当然ながらかなり複雑なツールとなっている。「Facebookでログイン」を日頃使っていたユーザーは何百ものサイトがFacebookと接続しているのを発見するかもしれない。またすでにFacebookにログインしていても、セキュリティ上の観点から、新しいツールにアクセスするためには再度パスワードを入力する必要がある。「履歴を削除(clear history)」ボタンは過去の履歴を削除するが、サードパーティが今後も情報をFacebookに送信してくることを妨げるものではない。データの送信を完全にストップさせるには「接続の削除」が必要となる。また「履歴を削除」しようとすると、関連性ある多数の広告が今後表示されなくなるという警告が出る。

すでに報じたように、 この機能はCambridge Analytica(ケンブリッジ・アナリティカ)のスキャンダルに端を発するもので、「Facebook上で拡まる偽情報に対する懸念もあって、同社は透明性を確保するため、広告やコンテンツに関するいくつかの新しいツールを開発することにした」という。

「Facebook外のアクティビティ」機能を公開するまでにこれほど長時間かかった理由についてFacebookは「(本体のサービスの)プログラムの重要部分を再構築する必要があったため」としている。新機能にはこちらからアクセスできる。

「Fcebook外のアクティビティ」の世界公開を機に、Facebookでは「この2週間以内に自分のプライバシー設定をチェックするよう促すアラートを表示するようにするという。

Facebookでは2020年1月以降で「Facebookでログイン」を利用する際に、ユーザー履歴がFacebookと共有されることがあることを知らせる警告を表示するようにしている。Facebookログインは便利だが、企業サイト上のアカウントはFacebook上のアカウントと接続されることになる。「Facebook外のアクティビティ」の公開でユーザーはサードパーティとの接続を確認して設定を編集し、必要があれば履歴情報をすべて削除できるようになった。

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滑川海彦@Facebook

『スタートレック:ピカード』でCBS All Accessが新規加入者数の記録を更新

CBSの動画配信サービスCBS All Access(オールアクセス)は、新シリーズ『スタートレック:ピカード』の初回配信、第62回グラミー賞授賞式、そして言わずもがなのフットボールの最盛期といった3つの大きなイベントで人気を博し、1月の新規加盟者数が過去最高となった。同社によれば2020年1月は、2019年2月の新規加入者数の記録を超えたという。さらに先週は、2019年のスーパーボウルの週の記録に迫る、過去2番目の数をたたき出した。

この記録には、期待されていたドラマ『スタートレック:ピカード』の配信開始が大きく寄与している。ファンの間で大人気のパトリック・スチュワート演じるジャン=リュック・ピカードは、惑星連邦宇宙艦隊の提督を引退し、家族のブドウ園で静かに暮らしていたが、その生活が脅かされる。物語は、『新スタートレック』シリーズの最後の劇場版映画『ネメシス/S.T.X.』の18年後の設定になっている。この作品はピカードを引っ張り出しただけではない。新スタートレックに登場したデータ(ブレント・スピンナー)、セブン・オブ・ナイン(ジェリ・ライアン)、トロイ(マリーナ・サーティス)、ライカー(ジョナサン・フレイクス)も呼び戻した。

本作品は、視聴者のノスタルジーだけを求めた他のリブート作品とは異なり、『ピカード』の作家陣は番組が伝えたい内容をよく考えている。その結果、映画評論サイト『Rotten Tomatoes』では95パーセントという高評価を得た。

CBSはまた、『ピカード』のエピソード1は総配信数の記録を更新し、CBS All Accessのオリジナル・シリーズでは、過去最高の加入者数を獲得したと話している。

『ピカード』の総配信数は、もうひとつのスタートレック・シリーズであり不人気のうちに終わった『スタートレック・ディスカバリー』が打ち立てたCBS All Accessの最初の記録と比較して、115パーセント以上も上回った。しかも、CBS All Accessのオリジナル・シリーズを視た加入者数として『ディスカバリー』以前の記録を180パーセント以上も上回っている。

一方、グラミー授賞式は、今まででもっとも多くの配信数を記録し、授賞式が行われた1月25日の日曜日には、新規加入者数の新記録を打ち立てたとCBSは伝えている。新規加入者数は、2019年の80パーセントを超える増加率で、これは同サービスのユニーク視聴者のうちの30パーセント以上を占めている。

ただし、CBS All Accessのみの加入者総数については、CBSは公表していない。また、どれだけの数が広告なしのプランにアップグレードしたかも不明のままだ。

代わりにCBSは、CBS All AccessとShowtimeのOTTサービスの加入者数を1000万人とだけ発表している。

いずれにせよこの数字は、NetflixやHuluといったライバルの動画配信サービスには遠く及ばない。Netflixはアメリカ国内の加入者数が6100万Huluは2900万となっている。Disney+やApple TV+といった新顔も急成長している。Disney+は加入者数が2320万から2500万推定されている。Apple TV+はさらに多いとの見積もりもあるが、調査会社の調査方法には疑問が残る(Apple TV+は、Appleのデバイスを新しく買った人は1年間無料で利用できるわけだが、だからといって視聴しているとは限らない。今後、有料プランで利用するかもわからない)。

要するに、これらの数字が示しているのは、CBSが成長するためには、フットボールや季節のイベント、新しいスタートレック・シリーズ以上のものが必要だということ。『スタートレック:ピカード』がヒットしたとしても、スタートレックだけが目当てのファンたちは、番組配信時にだけ加入して、シリーズが終われば解約してしまう。なかには、一気見配信が始まるまで待つ人もいるだろう。それなら、無料トライアルで見終えることもできる。

だが、新しくViacomCBSを合併したことで、新たなオプションが使えるようになった。合併の結果として、ニコロデオン、BET、MTV、Comedy Centralの番組がCBS All Accessで見られるようになることをViacomCBSの経営幹部たちは示唆している。これにより、2022年までにCBS All Accessの加入者は2500万人に達すると同社は見込んでいる

「このサービスは、目覚ましい継続的な成長を遂げてきました。そして『スタートレック:ピカード』、グラミー授賞式、フットボールの最高のシーズンにより達成された新記録は、CBS All Accessにとって夢のような年のキックオフを飾るすばらしい出来事となりました」と、ViacomCBSの最高デジタル責任者であり、CBS Interactiveの社長兼CEOのMarc DeBevoise(マーク・デベボワース)氏はいう。「CBS All Accessは、オリジナル・シリーズからスポーツ、スペシャルイベントなどの多様ですばらしい番組で、今後も成長を続けます。私たちは、見逃せないドラマやイベントが絶え間なく続く番組表を提供できるように、2020年の戦略的な計画を立てています」と話した。

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(翻訳:金井哲夫)

AIを使った音声テキスト変換アプリOtterがNTTドコモなどから戦略的投資10億円獲得

AIを使った音声のテキスト変換アプリであり会議メモ担当者の友、Otter.ai(オッター・エーアイ)は、日本の大手モバイル通信業者であり新しいパートナーとなったNTTドコモから戦略的投資を受けた。この2つの企業は、共同でOtterを日本市場に送り込む計画を立てている。ドコモは、Otterを独自のAIベースの翻訳サービス子会社Mirai Translation(みらい翻訳)と統合して、正確な英語の書き起こしと、日本語への翻訳を行う予定だ。

この投資は、ドコモの100パーセント子会社であるNTTドコモ・ベンチャーズによるものだが、その額は公表されていない。しかし、この新規ラウンドは総額で1000万ドル(約10億900万円)になるとのこと。現在までにOtterは、NTTドコモ・ベンチャーズ、Fusion Fund、GGV Capital、Draper Dragon Fund、Duke University Innovation Fund、Harris Barton Asset Management、Slow Ventures、Horizons Venturesなどから2300万ドル(約25億円)を調達している。

Otterは、2018年、音声による会話の検索サービスを開始し、今では電子メールやテキストを簡単に検索できるまでになっている。OtterのCEOで創設者のSam Liang(サム・リアン)氏はGoogle、Facebook、Nuance、Yahoo! さらにスタンフォード大学、MIT、ケンブリッジ大学などとともに、会議やインタビュー、プレゼン、講義などで話された言葉を聞き取る専用の技術を開発してきた。これは、人と人の間で交わされる自然な会話での長めの文章をテキスト化するもので、現在使われているGoogleアシスタントやSiri、Alexaなどの音声アシスタントとは別種の技術だ。

この製品は、人の話をリアルタイムで音声をテキスト化する。テキスト化された文章は検索が可能で、話している人やキーワードも特定できる。録音した音声と一緒に写真もアップロードできる。

サービス開始以来、Otterはその製品を数百万のユーザーに広め、現在は企業向けのOtter fot Teamsサービスも提供している。

NTTドコモとの新たな提携関係では、グループで使える企業向けサービスの日本市場参入を目指すとリアン氏は話している。彼は、元Googleのアーキテクトで、位置情報アプリAlohar Mobileのスタートアップをアリババに売却した経歴を持つ。

「NTTドコモなどの大企業は、国際会議の必要性から英語でのコミュニケーションが可能な国際的な人材を多く抱えています」とリアン氏。「彼らはOtterを使えば、自動的に議事録がつけられるようになり、会議やコミュニケーションの効率化が図れます。[中略]目標は、Otterの英語自動議事録サービスを基本にして、コミュニケーションとコラボレーションの機能をさらに強化することです」

Otter.aiは、Zoom Video Communications(ズーム・ビデオ・コミュニケーションズ)やDropboxといったアメリカ企業とも同様の提携をしている。

今回の提携における成果のひとつとして、OtterのVoice Meeting Notes(音声議事録)が、日本のベルリッツ・コーポレーションの英会話教室で試験導入される。生徒はOtterを使って会話をテキスト化し、レッスンの復習ができる。テキストをクリックすれば、音声の再生もできる。さらにNTTドコモ、Otter.ai、ベルリッツは、英語教育にその協力関係を拡大し、英語学習をOtterでどれだけ効率化できるかを検証すると、話していた。

「日本市場は、高品質で詳細な議事録を求めており、OtterのAIを使った非常に正確な文書化機能は、言葉の壁を取り除き、日本企業のグローバル事業の効率性を高めます」と、NTTドコモのR&D戦略部長でイノベーション統括部長兼務、執行役員の大野友義氏は、今回の契約に関する声明の中で述べている。「Otter.aiとNTTドコモの翻訳サービスには、大きな市場機会があります」

NTTドコモはまた、東京ビッグサイトで1月23日と24日に開催されるDOCOMO Open House 2020で、Otterのデモンストレーションを行う。そこではOtterが英語をリアルタイムでテキスト化し、NTTドコモの機械翻訳技術を使って日本語化する。テキスト化された英語と翻訳された日本語が大きな画面に表示され、来場者が読めるようにする。

Otterのテキスト化機能は、周囲が騒がしかったり、話し手の声がくぐもっていたりするといった現実の現場では完璧性は失われるが、大きなイベント会場でも、音源から直接入力できる設備があれば精度は上がる(TechCrunchでも、TechCrunch DisruptでOtterのサービスを利用し音声をテキスト化したことがある)。

今回調達した資金は、技術者の増員と、音声認識、ダイアライゼーション、話者の識別、自動要約のためのAI技術の強化にも使われると、リアン氏はTechCrunchに話してくれた。さらに彼らは、業務用サービス、メディア、教育分野の企業顧客の獲得を加速する考えだ。

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(翻訳:金井哲夫)

ビリー・アイリッシュも活用するSpotifyのループ動画がInstagramでも見られるようになった

Spotifyは、新しいストーリー機能をソーシャルメディアのインフルエンサーの間でテストしていることを正式に認めたが、それに続き、米国時間1月27日の午前、アーティストがInstagram上でファンたちとつながる新しい方法を発表した。ただしこれは、Spotifyストーリーを他のソーシャルメディアで公開するのではなく、SpotifyのCanvas(キャンバス)機能で制作した独自のビデオアートをInstagramでシェアできるようにするものだ。

2019年秋にベータ公開されたCanvasは、アーティストがアルバムアートの代わりに動きのあるビジュアルの短い動画を曲の再生中にループで流せる仕組みだ。Canvasビデオのレビューにおける評判はさまざまで、目障りだというユーザーも、気に入っているというユーザーもいる。

今日、1月27日から、Canvasベータを使っているアーティスト数千人が、タップひとつで自身のループ動画をInstagramに公開できるようになる。

Spotify for Artistsアプリのアーティスト・プロフィール画面で、Canvasビデオのある楽曲の横には「Share(シェア)」アイコンが表示される。タップすると、その曲とCanvasがInstagramストーリーでシェアされる。これまでのSpotifyのシェアと同じように、カバーアートとSpotifyで曲を再生するためのリンクがある。ただし、再生すると背景がループ動画になる。

現在、Canvasベータを利用できるのは、iOS版のSpotify for Artistsアプリを使っている人だけだ。Spotifyは近々Android版にも同機能を搭載するとしている。

なお、InstagramでCanvasを見たファンは、クリックしてSpotifyに飛ばない限りCanvasの統計情報にはカウントされない。

新機能は、新曲をInstagram上でファンに宣伝したいアーティストを支援すると同時に、Canvasの機能追加を広く知らせるためのものでもある。他にもミュージックビデオのクリップや、ライブパフォーマンスの画像を表示する機能もある。

Canvasを活用している有名アーティストの1人が、Billie Eilish(ビリー・アイリッシュ)で、つい昨日、1月26日にグラミー賞の主要4部門(最優秀新人賞、年間最優秀レコード賞、年間最優秀アルバム賞、年間最優秀楽曲賞)を独占した。アイリッシュはCanvasでアニメバージョンのファンアート(ファンが描いた絵)をシェアしてファン層との結びつきを強めている。

Spotifyによると、質の高いCanvasを作ることで、楽曲のシェアが最大200%増加し、ストリーミング、セーブ、アーティスト・プロファイルのアクセスも増えたという。CanvasをInstagramに拡大することで、さらにシェア回数が増えるだろうと同社は確信している。

Spotifyは、ストーリー機能やCanvasのループ動画など、ソーシャルメディアを意識した機能を追加しているが、自社のSpotifyを新たなソーシャルプラットフォームにしようという意志はない。代わりに、アーティストやリスナーが、別のソーシャルメディアにいるファンたちとつながりやすくする機能の構築に注力している。これらは自分自身や楽曲を売り込んだりフォロワーが新しい音楽を発見するための機能だ。

Canvasに興味のあるアーティストはここでウェイティングリストに入ることができる。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

キッドテックのスタートアップSuperAwesomeとMicrosoftが戦略的提携

キッドテックのスタートアップ、SuperAwesomeが1700万ドル(約18億5000万円)の資金を確保した。 これにはMicrosoftのベンチャーファンド、M12からの新たな戦略的投資が含まれる。今回のラウンドには既存の投資家やEquity、Hoxton Ventures、Ibisをはじめとした他のエンジェル投資家が加わっている。

これまでSuperAwesomeが外部から調達した資金は3700万ドル(約40億円)だ。

ロンドンに本拠を置くSuperAwesomeは「子供に優しいウェブ」を実現するテクノロジーを開発している。子供たちが大人同様に自由にウェブを活用できるようにするのが目的だ。

SuperAwesomeのCEOである Dylan Collins(ディラン・コリンズ)氏は「歴史的に言えば、インターネットはもともと大人が使うことを前提にした仕組みだった。しかし現在ではユーザーの40%以上が子供だ。我々はインターネットの構造の過渡期にいて、キッドテック、つまりプライバシーと子供の保護を強化するテクノロジーをさらに必要としている。デスクトップからモバイルへのシフトはこの必要性をいっそう高めるものだ」と述べている。

同社が提供するプロダクトは、子供に安全な広告やソーシャルツール、認証、各種のペアレンタルコントロールなどだ。こうした広汎なサービス提供は子供向けにビッグビジネスを展開する企業である Activision、Hasbro、Mattel、Lego、Cartoon Network、Spin Master、任天堂、バンダイ、WB、 Shopkins maker Moose Toys、WPP、Omnicom、電通、Niantic、Wildworksなどで利用されている。現在、同社のクライアントは300社を超えているという。

SuperAwesomeの登場は、まさに適切なタイミングだった。アメリカのCOPPA(Children’s Online Privacy Protection Rule、児童オンラインプライバシー保護法)をはじめとして、EUのGDPR-Kが制定され、さらに中国、ブラジル、インドなどの巨大マーケットでも法的規制が厳しさを増している。そのためテクノロジー業界では子供を保護するキッドテックが強く求められている状況だ。この1年でFTCにより、Musical.lyTikTokYouTubeなどが子供向けとして不適切なコンテンツ掲載やプライバシーの侵害などで制裁を受けている。

こうした状況がSuperAwesomeにとって追い風となったのは言うまでもない。経営は今や十分に黒字であり、同社のサービスは子供向けトラフィックを毎月120億回処理している。コリンズ氏はTechCrunchの取材に対して「2019年の収入は5500万ドル(約60億円)だったが2020年は8000万ドル(約87億円)から9000万ドル(約98億円)に達するものと期待している」と語った。

Microsoftからの投資に続く両社の戦略的提携の具体的内容については、現在も両社で話し合いが続いている。我々がつかんだ情報によれば、テーマの1つは「ファミリーアイデンティティ」をめぐるビジネス・チャンスについてだったという。現在、MicrosoftはEdgeブラウザをはじめ、各種の教育的ツールなどあらゆるプロダクトでプライバシーと子供の保護に特に力を入れている。

「Microsoftとその投資事業部のM12の人々と話し合った結果、我々はインターネットのあるべき姿について同じビジョンを抱いていることがはっきりした。それはより多くの子供たちがインターネットに参加できるようになり、さらにプライバシーの保護が徹底されなければならないというものだった」とコリンズ氏は述べた。

一方、Microsoftのコーポレイト・バイスプレジデントでM12の国際事業責任者、Nagraj Kashyap(ナグラジ・カシャップ)氏は投資の際の声明で次のように述べている。

「SuperAwesomeをM12のポートフォリオに加えることができたのは、本当に喜ばしいことだ。デジタルネイティブな最初の世代である子供たちにとって、インターネットをさらに安全かつ快適な場所とするという重要な使命を果たす上で、ディラン(コリンズ氏)たちは十分な経験と熱意を持ったチームだ。ユーザーがアイデンティティをより良くコントロールできるよう努力してきたMicrosoftとしては、SuperAwesomeと協力できる機会が得られたことを歓迎する」

画像:SupeAwesome SA-image

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滑川海彦@Facebook

米国トップ100モバイルアプリの2019年サブスク売上高は21%増の約5030億円

モバイルゲームでのアプリ内購入をのぞき、ゲーム以外のアプリのサブスクリプション売上高が2019年のモバイル消費を押し上げた。App Annieの最新レポートによると、2019年の世界のモバイル消費額は1200億ドル(約13兆円)に達した。そしてアプリマーケティング調査のSensor Towerの新たなデータでは、米国における2019年のサブスク売上高はトップ100アプリで46億ドル(約5030億円)で、2018年の38億ドル(約4160億円)から21%増加した。

Sensor Towerはまた、トップ100アプリのサブスク売上高が、2019年の米国におけるApple App StoreとGoogle Play合わせた全消費額240億ドル(約2兆6300億円)の19%を占めた、とも指摘した。

以前のApp Annieのレポートでは、2019年に最も売り上げたアプリはTinderだった。

加えて、Sensor Towerは2019年のトップ100アプリの消費額の10%はTinderによるものだったとした。これは月14.99ドル(約1600円)のTinder Gold や、月9.99ドル(約1100円)のTinder Plusというサブスクによるものだ。

米国のApp Storeにおけるサブスク支出を分析すると、2019年に消費者がトップ100アプリのサブスクで使った額は36億ドル(約3900億円)で、2018年の31億ドル(約3400億円)から16%増えた。米国App StoreではYouTubeがトップで、Tinderが続いた。広告フリーのもの、そして消費を大きく支えたYouTube Premiumを含め、YouTubeのアプリ内支出は10億ドル(約1100億円)のマイルストーンを超えた。一方で、Google PlayではTinderはPandoraとGoogle One(Googleプラットフォームのクラウドストレージ)に次ぐ第3位だった。

2019年にGoogle Oneが上位に食い込んだのは、ひとつの変化だ。過去において上位はデートアプリやエンターテインメント系アプリに独占されていた、とSensor Towerは指摘した。

米国のGoogle Playをみると、2019年に消費者はトップ100アプリのサブスクに11億ドル(約1200億円)超を使った。2018年の7億7500万ドル(約850億円)から42%増えた。

ただ、消費者支出額はApp Storeの方が大きく、App Storeが36億ドル(約3900億円)だったのに対し、 Google Playは11億ドル(約1200億円)だった。

上位のアプリが消費額の大半を占めるが、サブスクモデルは下位のアプリにも恩恵をもたらしている。たとえば、トップ10アプリは2019年に10%成長したが、11〜100位のアプリは同期間に35%成長した。

こうした傾向は2020年以降も続くと予想されている。

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(翻訳:Mizoguchi