ウェルスナビがSBI系金融機関と提携―、1カ月で6000口座増、残高25億円を突破

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アルゴリズムで自動で資産運用するロボアドバイザーサービスはお金のデザインのTHEOやエイト証券のクロエなどいくつかある。ウェルスナビは100万円から運用するロボアドバイザーサービスを提供しているが、ウェルスナビは提携金融機関を増やすことで利用者の獲得を目指すようだ。2017年1月にはSBI証券と協力して「WealthNavi for SBI証券」をローンチしたが、本日新たに住信SBIネット銀行の利用者向けサービス「WealthNavi for 住信SBIネット銀行」の提供を開始すると発表した。

ウェルスナビは2015年4月に設立し、2016年7月にロボアドバイザーサービスを正式ローンチしている。ユーザーは6つの質問に回答すると、ウェルスナビが最適な運用プランとポートフォリオを作成して資産運用を行う。

ウェルスナビは2015年10月に約6億円を調達し、2016年10月にはシリーズBラウンドとして、総額15億円をSBIホールディングス、SBIインベストメント、みずほキャピタル、SMBCベンチャーキャピタル、DBJキャピタル、インフィニティ・ベンチャー・パートナーズから調達した。シリーズBと同時に、SBIホールディングス傘下のSBI証券および住信SBIネット銀行との業務提携を行い、2017年1月からSBI証券の利用者向けに「WealthNavi for SBI証券」を提供するに至った。それに続いて今回、住信SBIネット銀行の利用者向けに「WealthNavi for 住信SBIネット銀行」の提供を開始した。

1月に一足早くリリースした「WealthNavi for SBI証券」は順調に利用者を獲得しているようだ。ウェルスナビが公開した数字によると、提供開始から1ヶ月で申込口座は6000口座、残高は25億円を突破したという。

参考までに、ウェルスナビの競合となるロボアドバイザーサービス「THEO」を展開するお金のデザインが発表している数字を見てみると、THEOは2016年2月にサービスをローンチし、2016年12月には預かり資産総額50億円を超えているそうだ。「WealthNavi for SBI証券」は1ヶ月でその半分となる25億円を集めたのであれば、速いペースで利用者を獲得していると言えるだろう。

SBI証券の口座保有者はそもそも投資に関心が高い。これが利用者の伸びている1つの要因と考えているとウェルスナビの広報担当者は話す。SBI証券全体の口座数は350万口座以上で、2016年12月には預り資産残高が10兆円を超えたことを考えると、SBI証券の利用者で資産運用の1つとしてロボアドバイザーを取り入れようと考える人はまだ増えるかもしれない。

また、単純計算すると「WealthNavi for SBI証券」の1口座あたりの平均残高は40万円強だ。ウェルスナビ自体の最低投資額は100万円だが、「WealthNavi for SBI証券」は30万円から利用できる。これにより、ロボアドバイザーを始める資金面のハードルが下がったのも利用者の獲得に影響していそうだ。

今回ローンチした「WealthNavi for 住信SBIネット銀行」も30万円から利用できる。手数料は残高の年率1%(税別)で、「WealthNavi for SBI証券」およびウェルスナビ自体のサービスと一緒だ。

「WealthNavi for 住信SBIネット銀行」では、住信SBIネット銀行の参照系APIを活用することで、「犯罪収益移転防止法に基づく取引時確認」の作業負担を軽減するという。これまでユーザーは本人確認のために簡易書留の受け取る必要があったが、「WealthNavi for 住信SBIネット銀行」では必要なく、ウェルスナビの審査が完了すれば、すぐにサービスを利用できる。

住信SBIネット銀行の口座数は約270万口座だ。住信SBIネット銀行の利用者はSBI証券の利用者と比較すると、投資への関心度は低いだろう。しかし、資産運用に関心はあるけれど、最初の一歩が踏み出せていない利用者に訴求することができるかもしれない。

MozillaがPocketをポケットへ

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Mozillaが「あとで読む系アプリ」のPocketを買収した。買収金額は公表されていない。両者はそれぞれ 彼らのブログに同時に発表を行った。Pocketは、記事を読む時間がない人のために内容を保存してくれるFirefoxの便利なプラグインの1つとしてスタートし、ブラウザとより密接に統合されるようになって、遂にその公式な一部となった。

Pocketを使えば、ボタンを押して、長い記事をあとで読むために保存することができる。保存されるものからは広告や迷惑な書式は削除される。それは元々Read it Later(あとで読む)という名前で知られていたもので、長い期間に渡って殆ど同じ目的を果すものたち、例えばEvernote、Instapaper、Readability、そして遂にはApple自身のリーディングリストと競合を続けてきた。

Evernoteがそのスコープを広げ、Readabilityがサービスを終える一方で、Pocketはささやかながら継続的にその初期のミッションを達成し続けてきた。調達した資金は合計1450万ドルにのぼり、2015年の初頭にFoundation Capitalによって主導された最新のラウンドCでは、700万ドルを調達している。そしてその数ヵ月後には、Firefoxのプラグイン(またはアドオンでも良いが)の地位から昇格した。よく聞く話だが、2つの若い理想主義的な企業がお互いと過ごす時間を増やし始め、恋の花が咲いたというわけだ。

Mozillaのプレスリリースにはこのように記されている「昨年Firefoxの内での統合に際し、Pocketと緊密な作業を進める中で、私たちは共通のビジョンを分け合い、もっと沢山の協働の可能性を信じることができるようになりました。これが本日(米国時間27日)発表したMozillaへのPocketの参加へとつながりました」。ああ、なんとロマンチックなのだろう!

私はこの契約について、Pocketの創設者Nate Weinerと、Mozillaのチーフビジネス兼法務担当者のDenelle Dixonの両者に話を聞いた。

Weinerは、デフォルトのボタン以上に優れたやりかたで統合する点に関して、モバイルのような様々なプラットフォームにPocketを溶け込ませるためには、まだまだやらなければならないことが沢山あると語った。Dixonによれば、PocketとMozillaは両方とも、すべてのユーザーに相応しい経験を提供するために存在し、それらがプラットフォームやデバイス間で異なるべきではないと考えている。

昨年Pocketは収益化のためのプランの詳細を発表した。基本的にそれは、スポンサーのコンテンツを、興味を持ちそうな人たちに向けて推薦するコンテンツレコメンデーションサービスだった。これはそこそこの成功を収めているので、Mozillaは壊れていないものを修正する計画を特に持ち合わせてはいない。

「彼らがやっていることを続けて欲しいと思っています」とDixonは言った。Pocketによるこれまでのマネタイズアプローチは「常にユーザー第1主義でした」と彼女は指摘した。これはMozillaの使命とも合致するものだ。

「ウェブが健康であるためには、それをサポートするビジネスモデルが必要です」とWeinerは付け加えた。彼はPocketこそがそのためのものだと信じている。

私はPocketがどのように、Mozillaのオープンソースプロジェクトに含まれることになるのかについて尋ねた:それは直ぐに実現されるのか?なんらかの回避ライセンスがあるのか?それはCommodore 64に移植したり、BBS上でホストできるようなものなのか?

残念なことに、私の手書きメモはWeinerからの洞察に溢れた答を読み取るにはあまりにも不十分だ。しかし彼はコードのオープンソース化はなるべく早く進めたいと述べ、その他のことも全て可能性はあると答えた。私のノートの読みやすい部分には「私たちはコミュニティを巻き込みたいのです」と書かれている。

Dixonによれば、Pocketをオープンソース化をするためのライセンス上の問題や、オープンソース化のための様々な問題の精査を、ほどなくMozillaが開始するということだ。とはいえ、彼らは特定の期限について述べることは避けた。

今のところ、Pocketがこの先も、ここ数年と全く同じように動き続けることを期待することはできそうだ。

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(翻訳:Sako)

送料負担で新製品をお試し ― LOCARI運営のWondershakeがサンプリングサービス開始

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トライアルマーケティング事業責任者の徳留智矢氏

ライフスタイル・メディアの「LOCARI」、DIYレシピ共有サービスの「Creon」など、女性向けサービスを展開してきた日本のWondershakeは2月28日、20〜30代の女性をターゲットにしたサンプリングサービス「milcoco(ミルココ)」のβ版を公開する。

milcocoは、送料関係費を負担することで、新製品(化粧品、食品、日用品など)を格安で試すことができるサービスだ。企業はmilcocoのターゲットとなる20〜30代女性を対象にしたテストマーケティングを行うことができ、milcocoに投稿されたレビューを無料で2次利用して広告などに記載することもできる。

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企業へフィードバックする仕組みは今のところ任意のレビュー機能だけだが、今後はアンケート機能も追加することで企業側のニーズも満たしていく。また、milcoco独自のメールマガジンを経由して、ECや実店舗への誘導も無料で行うという。企業側に必要なのはトライアル商品の提供のみで、サンプリングの実施に費用はかからない。

β版ではモバイルWeb版の提供のみとなるが、今年6〜7月公開予定の正式版までにはアプリもリリースできればとのこと。

Wondershakeはこれまでに、女性向けメディアのLOCARIとDIYレシピ共有アプリのCreonを提供してきた。昨年11月にβ版をリリースしたCreonは先月までに4万人のユーザーを獲得。LOCARIのMAU(月間アクティブユーザー)は1000万人で、これまでに450万回のダウンロード数を記録している。

前サービスのCreon同様、milcocoが生まれたきっかけはユーザーからの声だった。事業責任者の徳留智矢氏は、「私たちは毎日のようにLOCARIユーザーに対してヒアリングをしています。グループミーティングもしますが、基本は1日に3〜4人を対象にした個別ヒアリングが中心で、多い時には1カ月で100人以上のユーザーと話をすることもあります。そこから分かったのが、『失敗したくない。損したくない。でも新しいことも体験したい』という20〜30代女性のニーズでした」とmilcoco誕生の背景について語る。

また、WondershakeはLOCARIを通して「少なくとも100人以上」(徳留氏)のインスタグラマーを抱えている。そのため、milcocoでは彼女たちを活用したマーケティング施策を数十万円の費用で提供することが可能だ。milcocoはまだ生まれたばかりのサービスだが、同じ女性をターゲットとするLOCARIから一定のユーザー流入も見込めるだろう。

LOCARIユーザーは新規事業が誕生するきっかけであり、さらには新サービスへのユーザー流入源でもある。彼女たちを中心として形成されたエコシステムを活用して、Wondershakeは今後も新サービスの創出を続けていくそうだ。

ただ、サンプリングサービス自体は新しいものではない。ビジネスモデルは多少違うものの、海外ではインフルエンサーを有効活用する「Influenster」があるし、日本でもNTTコム オンライン・マーケティング・ソリューションが提供する「Potora」や、マーシュが提供する「シェアビュー」なども同様のサービスを提供している。

この分野に新しく参入するWondershakeの勝算はなんだろうか。徳留氏は「同様のサービスを見てみても、20〜30代の女性にリーチできるものは少ないと感じた。その点、WondershakeにはLOCARIをはじめとする顧客ベースがある。また、この手のサービスには珍しく、送料関係費をユーザーが負担する仕組みなので企業側の負担が少ないことも特徴だ」と話している。

milcocoのβ版では、10社程度の企業から約20のサンプルが用意される予定だ。

Kinetiseはビジュアル開発ツールの限界を補って、ソースコードをユーザーに提供…より自由で柔軟な開発が可能に

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モバイル開発は、暖冬の湖で薄氷を踏むような世界だ。React Nativeと悪戦苦闘して氷上で脳を負傷するか、またはドラッグ&ドロップのエディターを使って一つのプラットホームの湖底に永久に閉じ込められる。でもしかし、デベロッパーのKinetiseが、両者の良いとこ取りを提供しようとしている。

Kinetiseについては数年前から、AndroidやiOSのアプリを直接書くことに代わる、おもしろいやり方として、本誌でも何度か取り上げているが、でも同社は最近、自分たちのソリューションが、強力なのに大きなITチームが尻込みすることに気づいた。そこで作者のPiotr Pawlakはあっさりと、1499ドルのソースコードダウンロードオプション*を加え、ブラウザー上で視覚的に作ったアプリのコードをユーザーが得られるようにした。〔*: 同ページQ&Aより: QUESTION: What do I need the Source Code for and how much does it cost? ANSWER: Source code for your application allows adding new features outside of Kinetise Editor. The cost is flat of $1,499 per application. Downloading is unlimited for selected application. 〕

なぜそうしたのか? 要望が多かったからだ。

“自分たちが作っているアプリの、ソースコードがほしい、というデベロッパーやスタートアップのファウンダーが、とても多かった”、とPawlakは語る。

ソースコードがほしい理由は、いくつかある。たとえば、データの保存のされ方が分かれば、セキュリティのチェックや対策ができるだろう。ひとつのビジュアルツールに閉じ込められたくない(自分でコードに自由に手を加えたい)、という理由もありえる。とにかく、ソースコードをデベロッパーにダウンロードさせることによってKinetiseは、Microsoft Accessのような閉じた世界から、Visual Studioに近い自由な世界へ変わった。

出力されるソースコードの言語は、iOSではObjective C、AndroidではJavaだ。これなら、Kinetiseから送られてくるコードをさらに拡張したり、手直しすることも、容易にできる。

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[1. ドラッグ&ドロップのエディターでアプリの機能を作る 2. ソースコードをダウンロードする 3. 必要ならそのネイティブコードを書き換える]

ソースコードを入手できるアプリケーションビルダーは、これが初めてではない。これまでにも、Dropsourceなどがあった。でもKinetiseは、複数のデータソースにアクセスしたり、Webアプリケーションからデータにアクセスするための、堅牢なAPIも提供している。だから途中からドラッグ&ドロップ方式のエディターを放棄して、そのアプリの開発をソースコード上で継続することができる。あなたの労作が、途中でゴミ箱に捨てられるおそれは、なくなった。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Alcatelの一風変わった新スマホは背面にLED満載

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人間か何が好きかわかるだろうか?光だ。色鮮やかに点滅する光。何かを知らせるための光や楽しむための光。たくさんのたくさんの輝く光。AlcatelのA5 LEDの裏側で光るライトのように。それは、他にこれといった特徴のないスマートフォンに付けられた楽しい機能だ。

同じTCLのBlackBerry KeyOneがデビューしたモバイルショウで発表されたA5は、TCLが発売した2番目に興味を引いたスマートフォンというわかりにくい特徴をもつ。しかし、そもそもこれは本格的な端末ではない。90年代前半に裕福な家のクールな子供たちが履いていた靴底がライトアップされたスニーカーのモバイル版だと思ってもらえればいい。

LEDアレイには様々な通知と関連付けられていて、メールの他Twitter、Facebook、Snapchat等のSNSと連動してLEDが点滅し、サービス名の頭文字がスクロールする。

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端末は何もない状態で出荷され、LEDにはユーザーが様々な機能を割り当てられる。スピーカーから流れる音楽に合わせて点滅させてもいい。付属のカラーキャプチャーアプリを使えば、スマホのカメラで撮った写真に背面をマッチさせることもできる。

実はこのシステムはモジュール化されている(Moto Zほど完全にではない)。LEDアレイは、端末の電源に直接接続されるいくつかの背面パネルの1つで拡張バッテリーと同じ扱いだ。

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商品のターゲットは、初めて携帯電話を使うユーザーだ ― あるいは関連報道が大げさに言うところの「若くてエネルギッシュなエンターテイメント好き」。本機はヨーロッパで199ユーロで販売されている。面白電話機としては妥当な価格だが、もちろん高級な素材は使われていない。

Alacatelの広報担当者によると、いずれ米国にやってくる「可能性」はあり、その場合は類似の別モデルになるだろうとのこと。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Amazonの‘Manchester by the Sea’と‘The Salesman’が三つのアカデミー賞を獲得

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今年のアカデミー賞授賞式は異例ずくめだったようだが、ビッグニュースもある。Manchester by the SeaThe Salesmanという、どちらもAmazon Studiosが配給した二作が、三つのアカデミー賞を取ったのだ。

授賞式のホストJimmy KimmelがMCの冒頭で、AmazonのCEO Jeff Bezosに関するジョークで笑いを取ったぐらいだから、一般的にもそれはビッグニュースだったのだ。

Manchester by the SeaではCasey Affleckが(セクハラの疑惑にもかかわらず)主演男優賞を取り、さらにKenneth Lonerganが脚本賞を取った。Amazonが作品賞にノミネートされたのも、これが初めてだ

The Salesmanは、外国語映画賞を取った。イランのAsghar Fahadi監督は、ドナルド・トランプ大統領の入国禁止令に抗議して、授賞式を欠席した。賞は代わりに宇宙飛行士のAnousheh Ansariが受け取り、彼は、“アメリカへの移民の入国を禁ずる非人間的な法”を非難するFahadiの声明を代読した。

Netflixも、手ぶらでは帰らなかった。同社のThe White Helmetsが、短編ドキュメンタリー賞を取った。

受賞者受賞作一覧

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Open GardenがオフラインチャットFireChatの基盤技術であるメッシュネットワーキングをSDKで公開

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オフライン(インターネットや携帯電話不要)のメッセージングソフトFireChatを作っているOpen Gardenが、FireChatを支えているメッシュネットワーキング技術をすべてのデベロッパーのために公開する。今日バルセロナのMobile World Congressで同社が発表したMeshKit SDKによりデベロッパーは、自分のアプリにピアツーピアの通信機能を容易に実装できる。すぐに思いつくユースケースはチャットだが、音声やビデオにも使えるし、スポーツの実況なども可能だ。

数か月前に同社のWebサイトで秘かに発表されたこのSDKは、当面Androidのみだが、iOSバージョンのローンチも遠くない、という。SDKを利用したい人は、同社に登録する。

MeshKitは、人びとがメッシュネットワーキングに期待する標準的な通信機能をすべて備えている。たとえばひとつの接続ノードから全員がインターネットにアクセスできる機能や、完全なオフライン機能などだ。なお、すべてのメッセージがエンドツーエンドで暗号化されている。

このSDKに関して同社とパートナーしているブラジルの音楽アプリStudio Solは、このメッシュネットワーキングを使ってユーザーが友だちと音楽を共有できる機能を提供している(インターネットの接続がなくても)。同社は、アプリの配布にもこのSDKを使うことを考えている。OpenGardenの試算では、インターネットのWiFi接続や4Gの携帯接続を使う場合の最大15倍高速な、アプリのダウンロードが可能だ。

このSDKに利用は有料だが、まだ料金は発表されていない。“まだ料金は決めてないが、デベロッパーからの相談には応じる”、ということだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Boston Dynamicsの車輪付き2足ロボット「Handle」はジャンプもすごい

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Boston Dynamicsの車輪付き2足ロボットHandleは、今月始めにDFJのパートナー、Steve Jurvetsonが会社のキーノートのビデオを見せてくれた際に大喝采を受けた。今日は、Handleの詳細を美しいHDビデオが届いたので紹介する。

Handleが難しい障害物を越えたりスピンしたりするところは前にも見たが、新しいビデオでは坂道、雪の中、でこぼこの地面等厳しい環境で動くところを見せている。Handleは6.5フィート(198 cm)と大ていの人間より高い身長でこの動きを実現している。車輪では時速9マイル(14 km)で元気に走り4足で垂直ジャンプもこなす。気になっている人にために書いておくと、人間がいちばん高く垂直ジャンプした記録は5.3フィート(1.62 cm)だ(挑戦しろ、Handle!)

Handleは一回の充電で約15マイル(24 km)動ける。電動と水圧、両方のアクチュエーターを使っている。このロボットは研究開発目的で作られたものだが、将来Boston Dynamicが、形状より機能を優先するかもしれないことを示唆している。車輪付きロボットは、歩行式より効率がよい ― 人間らしさと実際に箱を持って工場のフロアを走り回れることのトレードオフ。

今のところHandleにはアクチュエーターで駆動される関節は10個しか付いていない。このため設計がシンプルになり、もしHandleかその派生形が量産されることになれば製造が容易になる。しかし経済性はともかくとして、Handleは見ていて最高に楽しいロボットだ!

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

SpaceX、2人で月を往復する旅行を計画中

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Elon Muskは今日(米国時間2/27)SpaceXのホットなニュースを発表した。人間ふたりが月を往復する旅行計画だ。

ただし、宇宙服を着るために体を鍛えるのはまだ早い。誰が行くかはもう決まっている。しかもSpaceXによると彼らはこの特権のために「相当な」(非公開)を金額を払っている。2名の宇宙旅行者の素性も明らかにされていない。SpaceXは、訓練は今年中にスタートすると言っている(健康診断に合格した段階で誰が乗るかを発表する予定)。

Muskによると乗客はDragon 2カプセルに乗り、SpaceXの現在まだ設計中のFalcon Heavyロケットで打ち上げられる。ただし彼らはその前に4つのミッションを実行する。すべて月ではなく国際宇宙ステーションへ行くもので、3回は貨物の搬送、1回はクルーを乗せて飛ぶ。

注意:彼らは月に〈着陸〉はしない ― ひと回りして地球に戻ってくる。いずれにせよ、ここ〈数十年〉でもっとも遠い宇宙に行く人間になる。

いったい、謎の宇宙人2人はどこの誰なのだろうか?

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

ガジェット界の前例を覆す試み―、Motorolaが販売予定のないコンセプトモデルをお披露目

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ガジェット業界はここ最近新鮮味に欠け、つまらなくなってしまった。どれも同じような見た目の携帯電話や、GoProのコピーで溢れるアクションカメラ、さらにヘッドフォンはBeatsを真似たものばかりだ。どのメーカーも冒険するのを怖がり過ぎているし、発表後になかなか販売されない商品は勢いを殺してしまう。

しかしそんな状況を変えるべく、Motorolaが本日スペインで吠えた。Mobile Word Congressのプレス向けイベントで、同社は要するに発売するかもしれないし、しないかもしれない製品について発表したのだ。競合企業もこの考えを受け入れて、追従したほうがいいだろう。

昨年Motorolaは、スマートフォン「Moto Z」を発表した。この製品は、前から見るとこれまでのスマホと何ら変わりないが、背面にはアクセサリーが取り付けられる端子が搭載されている。既に(MotorolaがMoto Modと呼ぶ)Moto Z対応アクセサリーは数種販売されているが、具体的には今のところプロジェクター、スピーカー、カメラといったところだ。

本日のイベント内で、Motorolaは数ヶ月中に販売開始予定の新たなModsを発表したが、それ以外にも販売”しない”かもしれないMod(=コンセプトモデル)のお披露目も行った。コンセプトモデルの中には、Moto Mod VRヘッドセットや写真プリンター、インタラクティブLEDパネル、さらに携帯電話で何かをつくるためのレゴのようなModもあった。これらのコンセプトからは、既成概念にとらわれない製品を作ろうというMotorolaの気概が感じられ、私はとても嬉しかった。

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コンセプトモデルの考え方は、ガジェット業界ではあまり馴染みがない。大手メーカーは単純に、リリース予定のない製品について話をしないのだ。しかし自動車メーカーは長きにわたって、コンセプトカーを通じてデザインの意匠を主張したり、ファンを盛り上げたりしてきた。

自動車の展示会を思い浮かべてみてほしい。1番面白いのは、新しいトラックやスポーツカーではなく、コンセプトカーだ。一方で消費者は、コンセプトカーが製造もされなければ、自分たちは購入できないことも理解している。つまりコンセプトカーは展示会専用の車だ。

自動車メーカーは、コンセプトカーを使って自分たちのロードマップを披露しようとしている。彼らの現状は生産されている車が表現している一方で、会社がどのような方向に進もうとしているかというメッセージを、彼らはコンセプトカーを使って消費者に伝えてきたのだ。ガジェットメーカーもこの考え方を採用しない手はない。

過去数年のMotorolaは、地獄のような日々を味わってきた。2011年に会社がふたつに分断され、2012年にようやくGoogleが携帯電話部門を買収したものの、2014年にはさらに同部門がLenovoに売却された。当時のMotorolaは起死回生のための商品を渇望しており、ミドルレンジのスマートフォンMoto Gがそれに近いものとなった。Moto Gは驚く程売れたわけではないが、少なくとも多くの市場でMotorolaはマーケットシェアをある程度獲得することができた。

一方Moto Zは、Galaxy SやLG Gシリーズの競合製品で、他社の製品より本質的に優れているというわけではないが、趣の異なる製品だ。そして競合製品と違うというのはいいことだ。MotorolaがMoto Zのモジュラーエコシステムに力を入れているのはハッキリと伝わってくるし、コンセプトモデルのお披露目によって、同社がどのような方向に進もうとしているのかもわかる。

例えばあなたが、MotorolaかSamsung、もしくはKickstarterから誕生したスタートアップのエンジニアだとして、絶対売れると自信を持っている製品を開発したとしよう。細部まで完成されていて、さまざまな消費者に愛されるであろう製品だ。しかしその完成に至るまでには、もっと注目されてもよかった派生物のような製品が試作されていたはずだ。おそらくその試作品はベストセラーにはならないだろうが、あなたのような優秀なエンジニアもしくはデザイナーが少し手を加えれば、素晴らしい製品になる可能性を持っていて、あなたも面白そうだから試作品を人の目に触れさせたいと感じている。しかし残念なことに、会社との秘密保持契約のせいでプロトタイプやデザイン案は全て破棄しなければならない。このような状況を考えると、コンセプトモデルはエンジニアやデザイナーの創造力のはけ口としても使えるかもしれない。

私がよく知るメーカーは全て、社内でコンセプトモデルや初期の試作品を回覧している。開発段階でプロトタイプが上層部まで送られ、その後エンジニアの手に戻ってくるのだ。これも消費者の手元には届けられないが、良しとされている。しかしMotorolaや自動車メーカーの例を見てみると、リリースされない製品にも価値があることがわかる。私自身、Appleが開発を試みたがリリースされなかったアイディアを集めた本があれば、是非手に入れたい。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

Nokia 3310フィーチャーフォンがMWCの話題をさらった理由

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Mobile World Congressが開幕したが、話題をさらったの基本的に17年前のテクノロジーのデバイスの復活だった。Snakeヘビゲーム〕がプレイできるキャンディーバーのような形をしたフィーチャーフォンだ。BlackBerry自身もノスタルジックなKeyOneスマートフォンを発表してモバイル業界の現状に挑戦している。

一見すると奇妙だ。フィーチャーフォンはこれまで本当の意味で「消えた」ことはない。スティーブ・ジョブズがiPhoneを発表したとたんにフィーチャーフォンが全滅したというようなことはない。安いフィーチャーフォンは今でも買える。そうではあっても、今年のMWCではLGが社運を賭けているらしいG6を始め、どのスマートフォンのフラグシップモデルよりもHMDのNokia 3310の方が興奮させる製品だ。

いろいろな意味でLG G6は皮肉な製品となった。同社はプレスカンファレンスでモバイル・デバイスのイノベーションはスペックにあるのではなく使い勝手にあると述べた。しかしG6は新しいアスペクト比と高機能を有し、スペックとしても強力なモデルの一つだったが―もちろんLGは正しい。スマートフォン戦争はあまりにもスペック競走に走り過ぎた。

iPhoneが登場してから10年が過ぎ、モバイル業界は一変した。専門家、一般消費者ともにディスプレイの解像度やピクセル数が改良されるスペック戦争にうんざりし始めたところだ。もちろこうした改良を続けるためにメーカーは10年間苦闘してきたわけだが、その結果がテクノロジーとしていちばん古くさいはずのフィーチャーフォンに新鮮さを感じるようになったとは面白い現象だ。

「スマートフォン疲れ」とでもいうのだろうか? 毎年のアップデートにおける小出しのスペックの改良、各社「右へならえ」のデザインに皆が飽き飽きしてきたということなのだろう。フィーチャーフォンはアメリカならもうすぐ投票権を得られるほどの年齢だが、堅実な製品として復活すれば巨大メーカーのスマートフォンの発表会を日陰に追いやるほどのインパクトがあった。

スマートフォンのユーザーの間にはシンプルなテクノロジーに戻ろうとするノスタルジックなトレンドがあり、Nokia 3310はその最初の例だったのだろう。音楽業界ではこの数年、デジタル音楽に対してレコード盤が復活を遂げているのに似ている。3310への興味はマイナーな改良をいかにも大変なブレークスルーのようにはやしたてるスマートフォン・ビジネスに対する反感の現れだろう。

Nokia 3310が発表した奇妙なデバイスがデモしているヘビゲームは暗示的だ。右に左に激しく動いて巨大化してきたものの最後には自分の尻尾を食いちぎり、スマートフォンのアップグレード競走には一時停止がかかってしまうのかもしれない。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Galaxy S7 edgeについてのSamsungの発表は誤解を招く

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Samsungは先ほど、プレスリリースを発表し、「Samsung Galaxy S7 edgeはMWC 2017でベスト・スマートフォンに選ばれた(Samsung Galaxy S7 edge Named Best Smartphone at MWC 2017)」と述べた。しかし事実は以下に説明する通りだ。Samsungのプレスリリースは誤解を招く表現なので撤回すべきだ。

GSMAはMWC〔Mobile World Congress〕を毎年開催している業界団体だ。カンファレンスでは前年に発表された製品や技術的進歩に対して賞を授与し、セレモニーを開催している。今年、Samsung Galaxy S7 edgeは iPhone 7 Plus、Pixel Xl、Huawei P9、Moto Zと共に最終候補に選ばれている。つまりSamsung Galaxy S7 edgeはMWC 2017で2016年のベスト・スマートフォンに選ばれた〔Best Smartphone 2016〕というのであれば正確だ。

しかしSamsungのプレスリリースはこれとは違う。

Samsungは「Galaxy S7 edgeはMWC 2017でベスト・スマートフォンに選ばれた」と表現している。つまり言外に、「今年のMWCでのわれわれはひどい出来だったがそれは忘れてくれ。S7はこのカンファレンスで最良のスマートフォンなのだ」と言っているように聞こえる。

今年のMWCでLG、Motorola、Huawei、BlackBerry、Nokiaとは異なり、Samsungは新しいスマートフォンを発表していない。その代りにSamsungは3月末にニューヨークで大規模なイベントを開催し、Galaxy S8をお披露目するという。MWCではSamsungはタブレットを2機種発表しただけだ。

私は昨日の記事でSamsungはもはやMWCを必要としないだろうと述べた。同社の動向には常に業界が注目しており、新製品を発表するためにトレードショーを必要とする段階を超えている。

われわれはSamsungにコメントを求めている。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Galaxy S8の(おそらく本物の)リークビデオ

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サムスンはGalaxy S8を3月末に発表する予定であるらしい。しかしそれに先立って、2本のビデオがリークされた。問題のビデオは記事末に掲載している。

ビデオからは、新モデルのデザインをはっきりとみてとることができる。S7に採用された曲面ディスプレイや、3.5mmヘッドフォンジャックはそのままになる様子。前のモデルには存在した物理的なボタンがなくなったことをのぞけば、外観はそっくりといっても良いかもしれない。物理ボタンの代わっては、ソフトウェア的なボタンを配置することとしたようだ。

ビデオは非常に短く、細かい部分は映っていない。しかしリリースが近づくにつれて、他にもリーク映像ないしビデオが出てくるのだろう。

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(翻訳:Maeda, H

越境ECをもつTokyo Otaku Modeだからこそできる「世界対応型」クラウドファンディングプラットフォームがオープン

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日本のスタートアップから「世界」を視野に入れた新しいクラウドファンディングプラットフォームが生まれた。世界130カ国で越境ECを展開してきたTokyo Otaku Modeが、そのノウハウを利用して海外でも調達、配送ができるプラットフォームをオープンする。

日本のポップカルチャーの配信、および海外向けECサイトを手がけるTokyo Otaku Mode Inc.(以下、TOM)は2月27日、日本のユニークな作品やプロダクトを対象にしたクラウドファンディング・プラットフォーム「Tokyo Mirai Mode(トーキョーミライモード)」をオープンしたと発表した。

Tokyo Otaku Modeは2011年に日本のポップカルチャーを配信するFacebookページを開設。現在までに1900万の「Like!」を獲得している。また、2013年には日本のアニメや漫画、その関連グッズを海外に販売する越境ECの「Tokyo Otaku Mode Shop」もオープンした。クールジャパンファンドから「3年間で12億円」の資金調達を実施したことでこの名前を知った読者も多いだろう。

Tokyo Mirai Mode(以下、TMM)を利用することで、日本国内のメーカーは海外を含む国内外の支援者から広く資金を募ることができる。海外進出を考えているメーカーにとっては、本格参入する前にプロダクトの可能性を試すテストマーケティングの場としても利用できそうだ。

Kickstarterなど、海外のクラウドファンディングが盛り上がりを見せているなか、日本でもその注目度は高い。今年1月に3億3000万円の資金調達を発表したCAMPFIREや、サイバーエージェントが運営するMAKUAKEをはじめ、スポーツ、アート、アニメなど特定の分野に特化したものもある。消費者製品としては初めてアイトラッキング技術を搭載したVRヘッドマウントディスプレイを開発する日本のFOVEも、元々Kickstarterから生まれたプロダクトだ。

しかし、Tokyo Otaku Modeは現状の国内プラットフォームでは不十分だと主張する。日本でも盛んになり始めたとはいえ、海外に比べるとその規模はまだまだ小さい。しかし、日本のメーカーが海外のプラットフォームを利用する場合、そこには様々なハードルがあると同社は話す。

例えば、米国のプラットフォームを利用する際には社会保障番号(SSN)や現地の銀行口座を求められるケースがある。その場合、米国法人を立ち上げるか、現地パートナーを用意して対応しなければならない。また、多くの海外プラットフォームでは資金調達まではカバーするが、配送までは面倒を見てくれない。その場合には、各自でサードパーティの配送業者を用意する必要がある。

クラウドファンディングを利用するユーザーは、まだリソースも足りない小規模事業者や個人がほとんど。大企業ならともかく、彼らにとってこの壁は大きいだろう。

一方、Tokyo Otaku Modeは世界130以上の国と地域で実績のある越境ECをすでに持っている。また、同社のFacebookページには1900万人の海外ユーザーがいて、TOMの名前や取り組みを知っている外国人も多くいる。同社は、それらの「資産」を活用することで、ユーザーが本格的な海外からの資金調達を行えるプラットフォームを実現しようとしているのだ。

Tokyo Mirai Modeでは、ドル、円、ユーロの主要3通貨で資金調達および販売が可能で、決済だけなら130以上の通貨に対応している。また、同プラットフォームの「海外進出サポートオプション」を利用すれば、プロジェクトページの翻訳や海外ユーザーへのカスタマー対応をTokyo Otaku Modeのスタッフがサポートしてくれるという。

Tokyo Mirai Modeのプロジェクト第一弾としてスタートするのは以下の3商品だ。

MESH

MESHはソニーの新規事業創出プログラム「Seed Acceleration Program」から生まれたプロダクト。プログラミングや電子工作の知識がなくても、IoTを活用した仕組みが簡単につくれるDIYキットだ。MESHでは、さまざまな機能をもつ「電子タグ」が用意されている。それをスマートデバイスとアプリ上で連携することで、IoTを使ったアイデアを具現化させることができるようになっている。

MESHは本日から3月31日まで支援を受け付けている。

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Key-Quest | 6-in-1 multi-tool

Key-Questは、いかにも「日本らしいモノづくり」のプロダクトといった感じ。株式会社ツカダが開発したKey-Questは、日常のちょっとしたシーンで活躍する6つの機能を詰め込んだキーホールダーだ。ダンボールの開封、釣りの糸切りなどで利用できるという。

4月28日まで支援を受け付けている。 d16010-14-157984-2

LEVI SOUND – Levitating Bluetooth Speaker

LEVI SOUNDはBluetooth 4.1に対応したワイアレススピーカー。このスピーカーの特徴はその見た目。土台のうえで浮遊する球体が回転しながら光を放つという、近未来の映画に出てきそうな外見をもっている。

Key-Questと同様、4月28日まで支援を受け付ける。

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元Google従業員が描く未来の診察室、Forwardを見学

今年の初め、サンフランシスコの金融地区の中心部に、未来的な診察室Forwardが最初のオフィスを構えた。しかし健康産業に従事する者の中には、ここで提供される独自のボディスキャナーや聴診器、その他の診療所内検査施設についての疑念を呈するものもいる。そこで私たちは、元Google従業員で創業者のAdrian Aounに、診療所内を案内して貰えるように依頼した。

もちろん、見学することと、検証することは異なる。この時点では、私たち自身でこれらの独自ツールを検証することはできず、またAounのスタートアップがこれまでどのくらいの資金調達をしたのかも不明だ。ただこうした素敵なツールたちが、患者たちに正確な数値を与えてくれる程度には十分であることを願っている。

私たちが知っていることは、Forwardが既に、Khosla Ventures、Founders Fund、First Round Capital、SV Angelといったベンチャーファームや、John Doerr、Eric Schmidt、Marc Benioff、Garrett Camp、Aaron Levie、そしてJoe Lonsdaleといったエンジェルたちを含む、かなりの数の投資家からの資金を集めているということだ。彼らがこの新しい試みに対して、しっかりした査定を行っていることを期待したい。

内部見学の様子を示した上のビデオを見て、何か意見があればコメントを寄せて欲しい。

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(翻訳:Sako)

訪日外国人旅行者解析「inbound insight」運営のナイトレイが1.3億円の調達、今後はより幅広いサービスを提供

Inbound insightの「SNS解析」のデータの一部

Inbound insightの「SNS解析」のデータの一部

東京に住んでいると、この数年で旅行者らしき外国人を見かける機会が確実に増えたのを感じる。実際のところ訪日外国人旅行者は増加の一途にあり、2016年には過去最高の2403万人超という数字を記録した。政府は2020年の訪日外国人旅行者4000万人という数字を掲げており、インバウンド対策のニーズは高まるばかりだ。

そんな彼らの行動をSNSや各種データから解析するのが「inbound insight」だ。サービスを提供するナイトレイは2月27日、ニッセイ・キャピタル、SMBCベンチャーキャピタル、レジェンド・パートナーズを引受先とした総額1億3000万円の資金調達を実施した。

ナイトレイ代表取締役の石川豊氏

ナイトレイ代表取締役の石川豊氏

inbound insightはSNSへの投稿(公開情報)をもとにして訪日外国人観光客の位置や移動の情報を可視化する独自のSNSデータ解析に加え、ドコモ・インサイトマーケティングやヴァル研究所などのパートナー企業、経済産業省などの官公庁が持つデータを元にした訪日外国人の統計データなどを提供している。現在、無料プランを含めて約4400社が利用中だ。

「現場で訪日外国人に大して製品やサービスを提供する企業のほか、決済や広告などを企業に提供したい人達が利用している。国ごとの旅行者の滞在傾向までを読み解くことができると、『ある国の旅行者が増加するタイミングで、どんなアクションをすべき』というところまで明確にしてソリューションを提供できるようになる。これまではインバウンドに関して、仮説を立てることができてもその裏付けや効果検証が難しかった。ナイトレイはそういったこれまで難しかった部分をお手伝いしている」(ナイトレイ代表取締役の石川豊氏)

ユーザーからの声でインバウンド解析に挑戦

ナイトレイの設立は2011年。当初から「ロケーションデータの解析で未来をつくる」というコンセプトを掲げてSNS解析サービスを手がけてきたが、ビジネス的には苦戦。「ニーズや新しさは評価されて売上こそ挙げていたが、上場や資金調達を目指せるまでではないという状況だった」(石川氏)という。そんな中でユーザーの提案でインバウンドに特化した解析サービスの提供について相談を受け、inbound insightの開発に着手した。「データフォーマット自体は既存サービスとそんなに変わるモノではなかったが、例えば英語でのSNS投稿について、ただそれだけではどの国の人か判断できないが、そこまでを解析すると言うモノにしたのが強み」(石川氏)

ナイトレイでは今回の調達をもとに、inbound insightの開発を強化するほか、カープローブや各種の位置情報や移動情報を解析するロケーションインテリジェンス事業、さらにはアプリ事業(すでに外国人観光客向けの日本情報提供アプリ「ZouZou」と、日本人向けの昼食提案アプリ「AbcLunch」をリリースしている。いずれも無料)を展開。3つの領域での事業の拡大を目指すとしている。

今後の事業展開のイメージ

今後の事業展開のイメージ

「アプリやセンシングデバイスなど、ロケーションデータはナイトレイだけで取得できない範囲にもたくさんあるので、パートナーらとそれを解析していく。ロケーションは特殊なデータ。時間と緯度経度というシンプルなものだが、どういう意味を持つかの判断が難しい。ナイトレイには、SNSを元にして『どこでどんなことが起こっているか』という情報がリアルタイムに集まっている。これを前提にしてデータを解析すると、単独のデータでは分からないことが見えてくる。1つの例だが、『駐車場に3時間車を止めていた』という1つのデータから、その周辺にゴルフ場があって、さらにその場所が盛り上がっていたというデータがあれば、『その3時間は車を止めてゴルフに行っていた』というところまで分かる」(石川氏)

ちなみに石川氏に東京オリンピック開催後——2020年以降のインバウンド需要に聞いたところ、「世界的に見れば、フランスなどの外国人旅行者は約8000万人。日本でも国として現実的に受け入れられる気がしている。またオリンピックが終わったからといって『もうその国はいいよね』となると考えるのは理論的でない。一方で為替の影響はある。円高になると日本には行きづらい。だが、口コミも含めて『日本ってすごい、また行きたい』と思う人は増えている」という回答があった。

Sony、PlayStation VRを4ヵ月で91万5000台販売。予想を上回る

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実はVRハードウェアはお金になるのかもしれない。

発売からわずか4ヶ月後、SonyがNew York Timesに伝えたところによると、同社はバーチャルリアリティ・ヘッドセットのPS VRを91万5000台販売した。記事にはSonyが当初の販売目標を6ヵ月で100万台に設定していたことも明かされている。容易に達成できそうな数字だ。

10月に発売されたPlaystation VRは、Sonyのゲーム機PS4で使用する。Sonyは12月に、PS4を5000万台販売したと発表した。FacebookのOculusやHTCなどのライバル製品と比べるとPS VRは比較的求めやすい価格設定だ。OculusのヘッドセットRiftは599ドル(タッチ式コントローラーが199ドル)、HTCのVRシステムは799ドルなのに対して、SonyのPS VRシステムとコントローラーはわずか499ドルで、しかも他のシステムはハイエンドのPCが必要だ。

バーチャルリアリティ市場では、ヘッドセットの普及率の低さが多くの投資家をためらわせ、多くのファウンダーを不安にしている。PS VRの数字は、強力なPCを必要とせずゲーム機の頭脳を利用する「中間層消費者向けVR 」の明るい未来を示唆するものだ。Microsoftは6月のE3カンファレンスで、VRヘッドセットへの対応を強化したXboxハードウェア、”Project Scorpio”の詳細を発表する見込みだ。

HTCとOculusは、ヘッドセットの販売データをまだ公表していないが、アナリストの多くはいずれも50万台に遠く及ばないと推測している。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

アンディー・ハーツフェルド が語るジョブズ映画、ジェネラルマジック、そしてGoogle時代の自分

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先週私はAndy Hertzfeldと電話で話す機会を得た。このシリコンバレーのレジェンドについて説明は不要だろう。

それでもAndyの業績をご存じない方のために書いておくと、彼はAppleの初期の社員で、若きスティーブ・ジョブズ率いるMacintoshチームの創設メンバーのひとりでもあった。

他にもAndyはRadius、Eazel、General Magicなどの会社を立ち上げた。1990年に設立されたGeneral Magicはスマートフォンに先駆けて登場した、ハンドヘルド「パーソナル・インテリジェント・コミュニケーター」だ。

Andyのほか、Genral Magicの元同僚には、Tony Fadell(iPodとiPhoneを手がけNestを設立した)、Megan Smith(Planet Outのファウンダーで、ホワイトハウスのCTO)、Andy Rubin(Dangerの共同ファウンダーでAndroidのファウンダー)、Perre Omidyar(eBayのファン)らが名を連ねる。

現在63歳のAndyは、近年はほとんどの時間をGoogleで過ごしており、 サークル(Google+で好評の友達機能)、Gmailの画像エディター、写真ソフトのPicasaなどを手がけた。

ちなみに私は、はるかさかのぼる2004年9月に初めてAndyをインタビューした。私が脚本・監督を担当したドキュメンタリー映画「In Search of the Valley」(Mike Arringtonのレビュー記事がある。現在はYouTubeで見ることが出来る)を撮影した時のことだ。そして映画公開後10年が過ぎた昨年、製作中のGeneral Magicを扱った新しいドキュメンタリー映画のプロモーションを兼ねてロンドンを訪れたAndyと再会した。

Andyとの電話では、ハリウッドがシリコンバレーどう描いたか、今はなきスティーブ・ジョブズのこと、Genral Magicの成功と失敗、AndyのGoogleでの仕事ともう少しでAndroidの設立に関わりそうだったこと、そして未来のテクノロジーなどについて話した。

わずかに編集を加えた電話インタビューの録音を下に貼った。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

BlackBerryの再挑戦

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Research in MotionのBlackBerryスマートフォンが、我が世の春を謳歌していた頃の事を覚えているだろうか?

私の最初のスマートフォンは、BlackBerry 7130eだった。私はその電話を気に入っていたが、その後、私の息子がそれをジンジャエールで駄目にした。7130eには不足がなかった。スクロールホイール、Javaアプリケーション、キーボード、そして数日間使える交換可能なバッテリー。その電話は2005年に出荷され、私は2009年までそれを持っていた。

皮肉なことに、Research in Motionの苦闘は、私の7130eの昇天と時期を同じくして始まった。この会社は、あまりにも長い間その過去にしがみついていて、自身の社名をフラッグシッププロダクトと同じものに変えた、そしてその後はご存知だろう、Androidと明快に定義されたマーケットデータとの戦いによって、自分自身を不慣れな戦いの場に引き込んでしまったのだ。

昨日(米国時間25日)までは。

BlackBerryがKEYoneを発表したのだ 。そして何と、それは物理キーボード付きなのだ。この2017年にだ。でもまあ当然か?

このデバイスとクラシックBlackBerryデバイスの間には、いくつかの根本的な違いがある。まず、BlackBerry自身はこのデバイスを製造していない。TCLがBlackBerryのために、この携帯電話を製造している。第2に、KEYoneは自家製のオペレーティングシステムの代わりにAndroidを実行する。

BlackBerryは以前、利益を生み出す会社へと立ち戻る期待を込めて、デバイスの製造を中止し、OSの開発もとりやめた。基本的なアイデアは、ブランド名をライセンスして、Android上で動作するソフトウェアソリューションを構築することだった。BlackBerryのCEOであるJohn Chenは、昨年の動きを、BlackBerryのブランドをいずれかのデバイス上に残すための手段だったと説明した。

KEYoneはこの新戦略の下でリリースされた最初のデバイスだ。まあ、もっとましなブランド名だったらと思う。KEYone?私は気に入っているとは言い難い。

基本となるアイデアは、キーボードを持つスマートフォンを所有することに、潜在的に興味を持つ消費者の小さなグループの一部への訴求を狙うということだ。「潜在的に」という言葉がここでは重要だ。なにしろBlackBerryが調査した人びとの回答によれば、彼らはそうしたデバイスを所有することに潜在的に興味を示していたのだ。

KEYoneのハードウェアは、2017年においては新しいと言えるものだ。過去のBlackBerryによる幾つかのイノベーションを、新しいトレンドに載せて提供している。キーボードはトラックパッドとして利用することができ、スペースキーには指紋リーダーが内蔵されている。ただしトラックパッドとして使えるキーボードは完全に新しいものではない。2014年にリリースされたBlackBerry Passportが、タッチできるキーボードを装備した最初のものだ。

携帯電話ではAndroidが実行される。BlackBerryは何世代か前から、BlackBerry OSの利用をやめてしまった。しかもそれらの携帯電話は、古き良きBlackBerryのフォルムを持っていなかった。

私は物理的なキーを欲しがる潜在的な消費者たちはまだ居ると思うし、そのマーケットを支える会社としては、BlackBerryこそが唯一適切な会社だと考えている。なによりそれこそが、コピー品とお互いに差のないデバイスで溢れかえったAndroidマーケットから距離を置くための1つの方法なのだ。その点で、古き良き時代への回帰は、スマートであると同時に少しキュートなやり方だ。

かつて、最も支配的な携帯電話メーカーだったBlackBerryのシェアは地に落ちて、AppleとSamsungがそのトップの地位を引き継いだ。KEYoneのマーケットは、BlackBerryがかつての地位を取り戻すためには大きさが足りないが、BlackBerryにとってちょっとした盛り上がりとなる程度には売れるだろう。そしてBlackBerryは製造をTCLに任せているので、仮にデバイスが完全に失敗しても大きな負債を負うこともない。

BlackBerryがこの先スマートフォンのトレンドを左右することはない。それは遠い昔の話だ。今では多くの派手な見出しとは無縁な地味なソフトウェア会社なのだ。しかし、それは健全なことだ。

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(翻訳:Sako)

Embarkの自動運転トラックが人間のアシストを目指してアリゾナで試験中

自動運転トラックのスタートアップEmbarkが、初めてその技術を公開した。競合相手であるUber傘下のOtto(独自の手法と試行錯誤のプロセスを通して、ニューラルネットワークとディープラーニングを使い、トラックに運転の方法を教えている)に対抗するものだ。

Embarkのトラックは、ネバダ州の路上でのテストも許可されている。このため砂漠の風景が上のビデオや、この記事のイメージに含まれているのだ。同社の技術は、ビデオ内で見られるように、正面の車線を占めている遅い車のような潜在的な障害物に対応して、対面と分離されていない高速道路上で追い越しをすることができる。また、Embarkの共同創業者兼CEOのAlex Rodriguesによれば、同社のトラックは眩しい日光や、霧や暗闇の扱いを、自分自身で学んだということだ。

Embarkが開発した技術は、少なくとも今のところは、人間のドライバを完全に置き換えるためには設計されていない。その代わり、どちらかと言えば退屈で単純な長距離に渡る運転を肩代わりすることを意図していて、市街地などで必要とされる複雑な運転シナリオに入る際には、人間にコントロールを戻すことを想定している。

同社のビジネスモデルは、現在のトラックドライバー不足という事実に基礎を置いている。その技術は、人間が積極的に運転に関わる実際の時間を削減することで、1人のドライバーが扱えるルートを増やすことを助けることができる。ドライバーという職種は、様々なカテゴリの中でも、米国内で多数を占めるものの1つだが、多くの陸上貨物輸送プロバイダーたちが、有能なドライバーたちを雇用したがっていることも事実だ。
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EmbarkのRodriguesのチームには元SpaceXの従業員だけでなく、Audiの自動運転車チームからやって来た者たちも含まれている。スタートアップはまた、Maven Venturesからの出資も受けている。Maven Venturesは、GMが独自の自動運転車開発のキックスタートを助けるために10億ドルで買収したCruiseに対しても出資している。

Embarkの車両が、現場に投入される明確なタイムラインは設定されていないものの、同社は積極的な雇用を進め、ネバタでの試験に用いる試験車両群を生み出すことを目指している。そして、UberのOttoがAlphabetのWaymoから訴訟を受けているこのタイミングは、新しい自動運転トラックのスタートアップが割り込むための好機に他ならない。

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(翻訳:Sako)