Y Combinatorが10億ドルのファンドを調達している

Axiosの今朝の記事(米国時間7/21)によると、シリコンバレーのスタートアップアクセラレーターY Combinatorが最大10億ドル規模のVCファンドを調達している。同社は2年足らず前にも、最初の大規模ファンドとして、Y Combinator Continuityファンドと名付けたグロウスファンド(成長段階向けファンド)7億ドルを調達し、その担当者としてAli Rowghaniを迎えた

RowghaniはそれまでTwitterのCOOで、さらにその前はPixarのCFOだった。

今YCに確認を求めているところだが、最近の同社の投資のペースや、一般的にベンチャー投資家のファンド形成サイクルが短期化している傾向から見ると、同社の動きは意外ではない。

Axiosが着目するのは: YCはもはや、成長段階の投資を特別扱いして別立てにすることを、やめるつもりだ。今回の新たなファンドは、サイズや段階を問わずあらゆるスタートアップへの投資に充てられる、という。また、YCが後期段階の企業に投資するときは、対象をもはや、前のようにYC出身企業に限定しない。

Axiosの言う第三の変化は: YCの投資委員会の規模を、これまでの数年間に比べてやや小さくする。YCの社長Sam Altman, Rowghani, そしてContinuity FundのパートナーAnu Hariharan, そしてそのほかのパートナー代表、という4名構成になるようだ。それは、意思決定過程を迅速化するため、と言われている。

YCの有限投資家、すなわち機関投資家や資本をスタートアップに投じたいと考えている個人投資家には、Stanford University(スタンフォード大学), Willett Advisors, TrueBridge Capital Partnersなどが含まれる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

500 Startupsのデイブ・マクルーア、セクハラでCEO辞任――ゼネラル・パートナーには残る

500 Startupsのファウンダーであり顔だった著名な投資家、デイブ・マクルーアが会社の運営から退くこととなった。500 Startupsは非常に有名でありかつ大きな成果を挙げてきたアクセラレーター・プログラムだ。マクルーア自身が500 Startupsのイメージそのものだった。マクルーアの離任は最初にNew York Timesで報じられた。

職業的あるはメンター、投資家として女性に接する際にセクハラないし不当な性的行動があったという疑惑による社内調査の結果、失脚した著名な投資家はマクルーアが初めてではない。

InformationがBinary Capitalの共同ファウンダー、Justin Caldbeckのセクハラ問題を報じて以後、 ベンチャーキャピタルのコミュニティーでは多くの女性起業家がハラスメント(場合によっては不適当な物理力の行使)を訴えるようになった。

Uberへの投資の成功などで知られる有力投資家のChris SaccaもNew York Timesの報道を契機に投資事業から離れた。Saccaは今日(米国時間7/1)Mediumに謝罪を掲載した。【略】

Saccaが投資から離れた後、Saccaの元パートナー、Matt MazzeoはBinary Captialに参加していたものの、Coldbeckと共にBinariy Captalから去った

一方、500 Startupsの新しいCEO、Christine Tsaは次のように声明を発表した。

最近、テクノロジー・コミュニティーに属する女性に対し共同ファウンダーのデイブ・マクルーアに不適切な性的言動があったことが判明した。マクルーアの言動は受け入れがたいものであり、500 Startupsの企業理念に反する。【略】

このため、われわれは数ヶ月前に500の経営体制を抜本的に改革する必要を認め、私がCEOに就任することとなった。この職務は経営チームを指揮すると同時に500の日常業務全般を監督する。

デイブ・マクルーアの役割はゼネラル・パートナーとして既存の投資家に対する義務を果たす範囲に留められる。またマクルーアは過去の不適切な行動を改めるべくカウンセリングを受ける。【略】

画像: Jared Goralnick/Flickr UNDER A CC by-ND 2.0 LICENSE

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

1500社以上のスタートアップがY Combinator初のオンラインプログラムを卒業――次回は1万社超えを目指す

史上最大のデモデイが6月16日に開催された。会場はシリコンバレーではない。Y CombinatorのStartup School Founders Trackと呼ばれるオンラインプログラムを卒業した1584社が拠点を置く世界各地がその会場だ。さらに、そのうち797社がデモビデオを一般向けに公開している

合計1万3321社からの応募に対し、2820社の入学が許可されたこの10週間におよぶプログラムでは、過去のYC卒業生がメンターとなり1対1の指導を行っていたほか、参加者はバーチャルオフィスでクラスメイトと議論を交わしたり、オンライン授業を受けたりしていた。

次は1万社受け入れられるかもしれません

— Y Combinator社長 Sam Altman

通常YCは、アクセラレータープログラムに参加するスタートアップを毎年ふたつのバッチに分けて合計100社ほど選出し、YCのパートナーやゲストスピーカーが参加企業にビジネスを成長させる方法について対面式で教えている。また、プログラムに参加するスタートアップには、諸々の指導に加え、7%分の株式と引き換えに12万ドルの資金が提供される。

しかしAltmanによれば、YCは「1年に数百社ではなく数千社を相手にできるような」方法を模索していた。その目標を達成するための最初の取り組みがYC Fellowshipだったのだ。このプログラムでは、通常のアクセラレータープログラムに参加している企業よりも若いスタートアップ数十社が対象となり、1.5%分の株式と引き換えに遠隔でのアドバイスが提供されていた。こちらのリストには、去年のYC Fellowshipプログラムを修了したスタートアップの中で、私たちが注目した企業を掲載している。

しかし、結局YCはFellowshipプログラムを中止することになった。その理由についてAltmanは「Fellowshipプログラムは、私たちが関わるスタートアップの数を一桁増やせるような取り組みではないとわかったんです」と言う。そこで、Altmanがスタンフォード大学で行ったオンラインコースの成功を受け、YCはStartup Schoolという名の大規模公開オンライン講座(MOOC)を開設した。この口座では、元FacebookのDustin MoskovitzやSlackのStewart Butterfieldといった起業家によるスタートアップの始め方についての授業や、SequoiaやKhoslaによる資金調達に関する授業、採用や多様性、広報についての授業が公開されている。

スタートアップに関する知識をもっと多くの人に伝えることで、YCは世界中の経済活動を活発化させると共に、自分たちのメインのプログラムを宣伝したり、同プログラムの参加者候補を育てたりしようとしているのだ。しかし、MOOCだと生徒に対する強制力がなく、彼らを十分にサポートすることもできないため、結果的にエンゲージメント率が下がってしまうということがわかった。

そして、ようやくたどり着いた答えがStartup School Founders Trackなのだ。このプログラムへの参加が許可されたスタートアップには、YCの卒業生がメンターとしてひとりつき、クラスメイトとなる他の参加企業20社が割り当てられる。YCからの資金的な援助はないため、スタートアップは株式を差し出す必要もなく、プログラムへの参加自体も無料だ。

10週間におよぶこのプログラムを”卒業”するには、動画で配信される授業を視聴し、合計10回開催されるオフィスアワーの少なくとも9回に参加し、自分たちの成長や経営指標に関するレポートを少なくとも10週間中9週分提出しなければならない。また、参加企業はメンターによる個別のフィードバックセッションや、メールでのサポートを受けることができる。

「素晴らしいことに、これがかなりうまくいったんです」とAltmanは初回となるプログラムに参加した7746人の起業家について話す。メインのプログラムで行われる夕食会は、Startup School Founders TrackではSlackのチャットルームで代替され、クラスメイトはお互いを助け合うようにコミュニケーションをとりあっていた。さらに、YC自体はどのスタートアップにも投資しなかったが、無料のホスティングサービスやその他のリソースの獲得にあたり、いくつかのスタートアップの支援を行ったとAltmanは言う。

Founders Trackに参加したスタートアップとディスカッションを行うYCの卒業生

最終的には1584社のスタートアップが同プログラムを修了した。各社のビジネスは、ドローンから代替エネルギー、AR、バイオテクノロジーまでさまざまだ。興味があれば、こちらからプレゼンテーションビデオを視聴できる。マウンテンビューのComputer History Museumで行われるメインのプログラムのデモデイほど、資料の内容は洗練されていないが、スタートアップのプレゼン資料らしいフレーズや右肩上がりの成長度合いを確認することができる。

「他のプログラムとの明確かつ重要な違いは、Frounders Trackがいかに国際的なプログラムかということです」とAltmanは語る。アメリカ国外へのリーチというのは、最近のYCの最優先事項だ。例えば、昨年同社はStartup Schoolのイベントを世界各地で行い、その結果、メインプログラムの2017年の冬季バッチは、22か国から参加者が集うこれまでで1番国際的な回となった。

しかし、1500社を超えるFounders Trackの卒業生は、メインのプログラムに参加した企業とは違い、卒業生のネットワークやソフトウェアをフルには利用できない。この点に関してAltmanは「このプログラムを『YC Startup School』と呼んでいないのには意味があります」と言う。まず、「YC Fellowship」という以前の取り組みの名称は、ある種の誤解に繋がってしまった。さらにYCは、メインのプログラムのような厳しい審査を受けていないスタートアップに、エリートの集まるネットワークの価値を薄めてほしくないと考えているのだ。

とはいえ、Startup Schoolを本格的なオンラインアクセラレータープログラムに変化させたことで、YCのリーチは一気に広がり、彼らはしっかりとしたノウハウを参加者と共有しながら、メインのプログラムの参加者候補を育てる仕組みを手に入れた。「もしもこのままうまくいけば、世界中に大きな経済的変化をもたらすことができると考えています。次は1万社受け入れられるかもしれません」とAltmanは語る。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

500 Startupsの21期チーム、31社を紹介

500 Startupsの20期でプロダクトをブラッシュアップした各チームはデモデーでプレゼンを行った後、現実のビジネスをスタートさせているところだ。今回のチームは全体として以前よりバラエティーが豊富だと感じられた。

20期のバッチのテーマはVR、ヘルスケア、フィンテックからドローンまで多彩だった。 ファウンダーの43%はアメリカ以外の外国から来た。これは500 Startupsがプログラムに参加するスタートアップを選ぶ際の一つのトレンドを現しているようだ。

500 Startupsによれば、参加期間を通じてチームの成長とマーケティングを助けるのが他のアクセラレータ・プログラムと異なる点だという。今年はGeneral Motorsがスポンサーとなって自動車関連向けコースも設けられた。

20期のスタートアップでわれわれがもっとも興味深いと感じたチームについてはこちらから

では新しく500 Startupsの21期に選ばれたチーム31社を紹介しよう。

AA Audience — モバイル・デバイス利用のフィンテック

Adventure Bucket List — 旅行関連の予約や購入を効率化するプラットフォーム 

Avision Robotics — 商用ドローンの管制システム

BillTrim — 領収書を毎月アップロードして節約に役立てる

Chatter Research — 店舗やAirbnbのようなホスピタリティ・サービス向けの顧客フィードバック・システム

ContactOut — 西側のメールユーザーの65%の個人アドレスを提供する

Croma — ニュースメディア向けコンテンツ配信アナリティクス.

ElleBox — 女性向けオーガニック衛生用品の定期配送サービス

FactoryFour — どこでもオートメーションによる量産が可能になる

Folia Water — 10ドル/日以下の収入の40億人のための安価な水フィルター

Georama — 旅行を体験できるモバイルのライブビデオ・プラットフォーム

GlobeKeeper — 警察、セキュリティー企業における職員間の共同作業プラットフォーム

Improvado.io — さまざまな広告データを数分でビジュアル化する

Lumotune — ガラス窓その他物理的対象をデジタル・ディスプレイに変える

MedStack — ヘルスケア・アプリの開発、プロモーション、統合を助ける

Meya.ai — ボットの開発、訓練、導入のためのプラットフォーム

Muzzley — 一般ユーザー向け IoTを利用したビジネスのためのB2Bのプラットフォーム(PaaS) 

OurHealthMate — インドにおけるヘルスケア・サービスの検索、支払、医療情報の交換を行うサービス

Pellego — 不動産投資家のためのリサーチ・プラットフォーム

Pluma — ミレニアム世代のモバイル専門職向けリーダーシップ養成サービス

Prolaera — 継続的専門教育のライセンスを管理し、プログラム参加時間を積算するなど効率化を図る

Radiomaze — 既存の家庭用Wi-Fiを用いたモーションセンサー・システム

rakam — あらゆるデータを一箇所で解析できるフルスタックのアナリティクス

RealAtom — 借り手と貸し手をオンラインで直接仲介する不動産ローンのマーケットプレイス

Resonance — スマートフォン、コネクテッド・デバイス、各種アプリからのデータを総合し、人間の行動を予測する

Swept — ビルの清掃、メンテナンス企業の業務改善プログラム

Tripplus — マイレージと獲得ポイントをベースに適正な航空運賃、ホテル料金を提供する旅行コンシェルジェ

Vacayo — 長期賃貸物件を快適な短期バケーション・ホームに変えてオンラインで貸し出す

VR Motion Corp — 交通運輸分野のVRのマーケットプレイス

WeFitter — 社員の健康をアップし企業ヘルスケア費用を節約するプラットフォーム.

WeTipp — 簡単にコミュニティーを作り、メンバーのスキルや情熱をビジネスに生かすプラットフォームにする

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

500 Startupsの21期チーム、31社を紹介

500 Startupsの20期でプロダクトをブラッシュアップした各チームはデモデーでプレゼンを行った後、現実のビジネスをスタートさせているところだ。今回のチームは全体として以前よりバラエティーが豊富だと感じられた。

20期のバッチのテーマはVR、ヘルスケア、フィンテックからドローンまで多彩だった。 ファウンダーの43%はアメリカ以外の外国から来た。これは500 Startupsがプログラムに参加するスタートアップを選ぶ際の一つのトレンドを現しているようだ。

500 Startupsによれば、参加期間を通じてチームの成長とマーケティングを助けるのが他のアクセラレータ・プログラムと異なる点だという。今年はGeneral Motorsがスポンサーとなって自動車関連向けコースも設けられた。

20期のスタートアップでわれわれがもっとも興味深いと感じたチームについてはこちらから

では新しく500 Startupsの21期に選ばれたチーム31社を紹介しよう。

AA Audience — モバイル・デバイス利用のフィンテック

Adventure Bucket List — 旅行関連の予約や購入を効率化するプラットフォーム 

Avision Robotics — 商用ドローンの管制システム

BillTrim — 領収書を毎月アップロードして節約に役立てる

Chatter Research — 店舗やAirbnbのようなホスピタリティ・サービス向けの顧客フィードバック・システム

ContactOut — 西側のメールユーザーの65%の個人アドレスを提供する

Croma — ニュースメディア向けコンテンツ配信アナリティクス.

ElleBox — 女性向けオーガニック衛生用品の定期配送サービス

FactoryFour — どこでもオートメーションによる量産が可能になる

Folia Water — 10ドル/日以下の収入の40億人のための安価な水フィルター

Georama — 旅行を体験できるモバイルのライブビデオ・プラットフォーム

GlobeKeeper — 警察、セキュリティー企業における職員間の共同作業プラットフォーム

Improvado.io — さまざまな広告データを数分でビジュアル化する

Lumotune — ガラス窓その他物理的対象をデジタル・ディスプレイに変える

MedStack — ヘルスケア・アプリの開発、プロモーション、統合を助ける

Meya.ai — ボットの開発、訓練、導入のためのプラットフォーム

Muzzley — 一般ユーザー向け IoTを利用したビジネスのためのB2Bのプラットフォーム(PaaS) 

OurHealthMate — インドにおけるヘルスケア・サービスの検索、支払、医療情報の交換を行うサービス

Pellego — 不動産投資家のためのリサーチ・プラットフォーム

Pluma — ミレニアム世代のモバイル専門職向けリーダーシップ養成サービス

Prolaera — 継続的専門教育のライセンスを管理し、プログラム参加時間を積算するなど効率化を図る

Radiomaze — 既存の家庭用Wi-Fiを用いたモーションセンサー・システム

rakam — あらゆるデータを一箇所で解析できるフルスタックのアナリティクス

RealAtom — 借り手と貸し手をオンラインで直接仲介する不動産ローンのマーケットプレイス

Resonance — スマートフォン、コネクテッド・デバイス、各種アプリからのデータを総合し、人間の行動を予測する

Swept — ビルの清掃、メンテナンス企業の業務改善プログラム

Tripplus — マイレージと獲得ポイントをベースに適正な航空運賃、ホテル料金を提供する旅行コンシェルジェ

Vacayo — 長期賃貸物件を快適な短期バケーション・ホームに変えてオンラインで貸し出す

VR Motion Corp — 交通運輸分野のVRのマーケットプレイス

WeFitter — 社員の健康をアップし企業ヘルスケア費用を節約するプラットフォーム.

WeTipp — 簡単にコミュニティーを作り、メンバーのスキルや情熱をビジネスに生かすプラットフォームにする

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

アクセラレーターとフィンテックが鍵を握る南米のスタートアップ界

【編集部注】執筆者のNathan Lustigは起業家で、チリのサンティアゴに拠点を置くシードステージ投資ファンドMagma Partnersのマネージングパートナーでもある。

南米のスタートアップは、クリエイティブなプロダクトを生み出し、現地だけでなく世界中の問題を解決しようとしている。しかし、外から南米のスタートアップシーンを見ている投資家の中には、同地域の魅力に気づきながらも手が出しづらいと感じている人もいるようだ。実際に、南米でのアーリステージ投資にはいくつかの課題があるが、そのハードルを越えるだけの価値があると感じられるような例を私はいくつも見てきた。

私が初めてチリのサンティアゴを訪れたのは、Start-Up Chileのパイロットプログラムに参加した2010年のことだ。当時チリではスタートアップに関する議論がほとんど行われておらず、スタートアップが何かを知っている人もほぼいないような状態だった。その後アメリカに戻って9か月くらいの間に、共同設立した会社が買収されたため、私は新興市場に眠るチャンスを求め、チリに戻ることを決めた。

それから数年の間、アントレプレナーシップに関する授業を行ったり、地元の起業家のメンターとして活動するうちに、気づけば私自身が南米企業に投資するようになっていた。これまでに30社以上のアーリーステージ企業へ投資してきた私は、南米のアーリーステージ投資の環境が現在これまでで1番良い状態にあると考えている。以下がその理由だ。

先陣を切ったVCのおかげで投資家の不安感が和らいでいる

アルゼンチンのNXTP LabsやブラジルのVox Capitalのように、南米で早くから活動を開始したVCのおかげで、他の投資家の参考になるような前例ができた。もともと南米の人々には、リスクを嫌い失敗をとがめる傾向があったが、彼らは誰よりも早く南米にスタートアップカルチャーを芽吹かせようとしたのだ。

しかし数多くの困難が、そんな先駆者的VCを待ち受けていた。まず彼らは、現地の起業家が南米とシリコンバレーは別物だと理解できるように、教育を施さなければいけなかった。VCの数にしても、企業の評価額にしても両地域の間には大きな隔たりがある。しかし彼らの経験が、最近増加傾向にあるアーリーステージ投資を考えているファンドや企業への良い教訓となっているのだ。

また、南米のスタートアップエコシステムが成長するにつれて、アーリーステージ投資のフローが大きく改善され、不安感もかなり和らいできているため、投資の数自体も増えている。2011〜2015年の南米の投資傾向についてまとめた、Latin American Venture Capital Association(LAVCA)のレポートによれば、VCが5年間で集めた資金の総額は23億ドルにおよぶという。

さらに過去数年の間に、以前VCから投資を受けたファウンダーが、エンジェル投資家やファンドのリミテッドパートナーとして、他の企業に投資するケースも見られている。コロンビア系アメリカ人で、起業家から投資家に転身したAndrés Barretoもそんなファウンダーの1人だ。GroovesharkやPulsoSocialなど、いくつものスタートアップを立ち上げた彼は、2012年にSocialatom Venturesを設立して投資活動をスタートさせた。コロンビアに拠点を置き、Firstrock Capitalと呼ばれる2つめのファンドの資金調達を最近終えた同社は、アーリステージ企業への投資を行うと共に、彼らの成長を促すような手助けをしている。

現在も積極的な活動を行っているSocialatom Venturesは、最近では南米でプロダクトを開発しながらアメリカ市場を狙うアーリーステージ企業への投資に力を入れている(注:私がマネージングパートナーを務めるMagma Partnersは、これまでに2度、Socialatom Venturesと共同出資を行ったことがある)。

南米に投資を呼び込むアクセラレーター

増加を続けるアクセラレーターや、ブエノスアイレス(アルゼンチン)、サンティアゴ(チリ)、メデジン(コロンビア)といった南米の主要スタートアップハブで日々経験を積んでいる起業家の影響は、南米の投資エコシステム全体におよんでいると言って間違いないだろう。

南米のスタートアップシーンに入りこむなら今がチャンスだ。

2014年の調査では、アクセラレーターが存在するだけで、その地域のシード・アーリーステージ投資の数が増えることがわかっている。確かに私もこの”波及効果”を南米で目の当たりにしてきた。Start-Up ChileWayraをはじめとする、アーリステージ企業向けアクセラレータープログラムの数が増えるにつれて、南米のスタートアップ界自体が注目を集めるようになってきている。つまり、このようなプログラムの存在が、外部の投資家に南米の魅力を伝えているのだ。

投資活動を盛り上げるフィンテックスタートアップ

通常スタートアップは業界を問わず経済全体に影響をおよぼすが、南米でもっとも大きな変化が起きているのが銀行業界だ。というのも、南米では銀行口座を持っていない人の数がまだ多く、フィンテック企業にとってはそれが大きなチャンスになっているのだ。

Finnovistaによれば、南米のフィンテックスタートアップの数は最近1000社を突破した。フィンテック企業が南米、そしてグローバル市場でスケールする上で、既存企業との戦略的パートナーシップや政府からの認証、そして初期の活動を支える資金は欠かすことができないが、投資家は彼らの活動を支えている。

LAVCAの調査では、南米で2015年の資金調達額がもっとも大きかった分野はフィンテックだということがわかった。2015年の時点で、同分野はITセクター全体の投資額の30%を占めており、2016年前期を見てみるとこの数は40%に伸びている。

世界中でアクセラレータープログラムを運営しているStartupbootcampは、最近南米への進出を発表し、メキシコではFinnovistaと共同でフィンテックに特化したプログラムをローンチした。Finnovistaは、過去4年間にフィンテックスタートアップがどのように南米の金融サービスを変えてきたかを目撃しつつも、彼らは自分たちの力だけではスケールできないと考えているのだ。当該プログラムでは、メキシコをはじめ世界中から選ばれたフィンテックスタートアップに対し、資金面や運営面でのサポートを提供している。

ここ数年南米を飛び回り、優秀な起業家と世界中の投資家をつなぎ合わせてきたSeedstarsも、今年は南米のフィンテック市場に注目している。現地でのイベントを勝ち抜いた、コロンビアのクラウドファクタリング(売掛債権買取)企業Mesfixと、ブラジルのフィナンシャルプランニングサービスQueroQuitarは、ファイナリストとしてSeedstars Summitでプレゼンテーションを行う予定だ。

500 Startupsも南米でのシードステージ投資に力を入れており、International Finance Corporation(IFC)と共同で設立した1000万ドルファンドでは、今年中に現地のアーリーステージ企業120社へ出資しようとしている。

Googleも負けてはいない。南米のスタートアップ十数社がGoogleのLaunchpad Acceleratorに参加し、同社のネットワークやリソースを使いながら、自分たちの可能性を最大限発揮しようとしている。MicrosoftはブラジルでBR Startupsファンドを立ち上げ、アーリーステージとレーターステージのギャップを埋めることを目標に、これまで70社への投資を行った。決済サービス大手のVisaも、独自のアクセラレータープログラムをローンチし、ブラジルのフィンテックスタートアップに資金とノウハウを提供している。

少し前まではVCが他の地域に注目していたため、南米のスタートアップはアーリーステージでの資金調達に苦しんでいた。しかし同地域に対する見方が変わり、スタートアップエコシステムの成長を促そうとする動きが南米全体の民間・公的組織の間で広まっていった結果、資金調達のチャンスやスタートアップの数は継続的に増えている。さらに、ブラジルのNubankアルゼンチンのIguanaFixをはじめとする、スタートアップのサクセスストーリーが増えるに連れて、業界全体が勢いづいてきている。南米のスタートアップシーンに入りこむなら今がチャンスだ。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

Disrupt NYの最優秀スタートアップはRecordGram―モバイルで音楽の制作からビジネスまでカバー

ニューヨークで開催されたTechCrunch DisruptのStartup Battlefieldではスタートアップ各社の間で激しい競争が繰り広げられた。参加チームは5万ドルの賞金とDisruptカップを目指してベンチャーキャピタリストやテクノロジー専門家などの審査員グループの前でプレゼンを行った。

数時間に及ぶ討議の末、ColliderDomusoNuCypherRecordGramSunrise Health の5チームをTechCrunch編集部は ファイナリストとして選定した。

ファイナリストは最優秀賞を決定するため再度デモを行った。この際の審査員はStuart Ellman(RRE Ventures)、 Ann Lamont(Oak Investment Partners)、 Susan Lyne(BBG Ventures)、 Matthew Panzarino(TechCrunch編集長)、Deven Parekh(Insight Venture Partners)、Reshma Saujani (Girls Who Code)の6名だった。

なお、サンフランシスコで開催されるStartup Battlefield at Disrupt SFの受付が開始された。こちらから応募できる

ではDisrupt NY 2017のStartup Battlefieldの勝者を発表しよう。

最優秀賞: RecordGram

RecordGramはモバイルをサポートする音楽スタジオだ。野心的な若いアーティストはここで楽曲を制作し、レーベルと契約することができる。グラミー賞を受賞したことがある音楽プロデューサー、Winston “DJ Blackout” Thomasも共同ファウンダーだ。CEOのErik Mendelsonはラジオ番組、デジタル音楽のベテラン、Shawn Mimsはヒップヒップのアーティストで“This is Why I’m Hot”がよく知られた曲だ。

RecordGramについてのTechCrunch記事.

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次点:Collider

ColliderのフラグシップモデルはOrchidという3Dプリンターだ。現在まだプロトタイプの少量生産の段階だが、インジェクション・モールドと同程度の強度、精度を持つ金属部品を製造する。コンパクトで安全でありコストパフォーマンスも高いという。工場ではない一般オフィスや研究所でも使用できる。

TechCrunch記事

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

MINIとHAXが運営するアクセラレーター”Urban-X”のデモデイ――多彩なジャンルのハードウェアが続々登場

Urban-Xのショーケースは、同社のアクセラレータープログラムに参加している8社のスタートアップを、投資家や報道陣向けにお披露目するためのクローズドなイベントだ。彼らのイベントに関する噂を確認するため、私も先週同イベントに参加してきた。

第2回となるプログラムに参加した8社のうち、私は公害や視覚障害、街中の輸送手段、そして街の清潔さに関する問題に取り組む、O2O2 Facewear、WearWorks、Upcycles、Sencityという4つのスタートアップに注目した。

視覚障害者のための触覚ナビゲーションシステム

今回のイベントで紹介されたものの中でも、人の人生を変える可能性を持っていると思えたのが、WearWorksのプロダクト。同社がプロトタイプをお披露目したこのリストバンド型の製品は、GPSベースの視覚障害者向けナビゲーションシステムだ。

WayBandと呼ばれるこのプロダクトは、強力なモーターを使って触覚フィードバックを発するため、ユーザーは現在地や進行方向を肌で感じることができる。

これまでに多くの視覚障害者がWayBandをテストしており、中には今年のニューヨークマラソンに参加予定のウルトラランナーもいる。

もしもマラソンでのテストが成功すれば、一般販売開始に向けて彼らはさらに多くのアーリーアダプターにWayBandを配布していく予定だ。

マスクのマネタイズ

先進的なフェイスウェアーを開発しているO2O2は、彼らが”数十億規模の市場”と呼ぶ分野に挑もうとしている。同社はまず、公害や大気汚染が世界でも最低レベルの北京をはじめとする、世界の各都市を中心にビジネスを展開しようとしている。

予想外にも、出席者はO2O2のプロダクトを試すことができなかった(当日お披露目したものは社員の顔の形に合わせて作られたためと同社は話していた)が、販売開始までにはさまざまな顔の形状に合うよう4種類のモデルと、センサーやフィルターやバッテリーなどカスタマイズ可能なモジュールを準備する予定だという(上の写真はプロトタイプ)。

このマスクのすごいところは、専用のアプリを使うことで外気の汚染度合いだけでなく、ユーザーの体の様子(恐らくこれは酸素摂取量を基に割り出される)も確認できるということだ。

さらにユーザーデータを収集することで、街のどの部分でもっとも空気が汚れているかといった情報を日々入手できるため、各地域の公害対策にも寄与することができる。

都市部の輸送手段を簡素化

Upcyclesがステージに上がってまず言ったのが、彼らは人間中心的かつ反ロボットの考えを持っているということだった。この発言で上手くオーディエンス心を掴んだ彼らは、続いて都市で使える新しいタイプの輸送車両Yaxを発表し、さらに参加者を盛り上げた。

都市部の狭い道でも最大500ポンド(230キロ弱)の荷物を自由自在に運べるYaxは、平らな荷台が取り付けられた変わった見た目の三輪車だ。Yaxを運転する配達員は、座った状態でも四方を見渡せるようになっているほか、操作方法に関しては普通の自転車とほぼ変わらない。

新時代の……デジタルゴミ箱?

恐らく私が見たプレゼンテーションの中でもっともニッチなプロダクトだったのが、SencityのTetraBINだ。オーストラリアのショッピングモールや大使館にも作品が採用されている彼らの正体はデザイン会社。都市部の路上の清潔さに関する問題に取り組んでいる彼らは、インタラクティブで見た目にも楽しいゴミ箱を開発したのだ。

センサーやスピーカー、マイク、全体を覆うLEDが搭載されたTetraBINは、恐らく誰もこれまでに見たことがないくらいハイテクなゴミ箱だ。街を行き交う人は、ゴミを捨てたときにビジュアル作品を楽しめるだけでなく、近くのカフェまでの道や、 どのゴミをどの箱に捨てればよいかといったことも尋ねられ、その答えを視覚的に確認することができる。

TetraBINがニューヨークのような街でどのくらい役に立つかはまだ分からないが、私が心配しているのは、このようなプロダクトが壊されてしまわないかということだ……

原文へ

(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

JR東日本もアクセラレータープログラムを開始、Apple Payに次ぐイノベーションを募る

JR東日本のイノベーションというと、Apple PayでSuicaが使えるようになったのが記憶に新しい。しかし、それにとどまらずJR東日本は新しいイノベーションを生み出すスタートアップとの接点を増やしていきたいようだ。本日、東日本旅客鉄道は「JR東日本スタートアッププログラム」を開催し、スタートアップとのオープンイノーベションを推進すると発表した。

JR東日本スタートアッププログラムが対象とする事業領域は、「当社グループ関連する事業」であり、それには交通、観光、インバウンド、小売、流通、飲食、サービス、まちづくり、IT、決済を含むとサイトにある。JR東日本は、中でもテーマに掲げる「TICKET TO TOMORROW~未来のキップを、すべてのひとに。~」に合致し、社会課題の解決や豊かな未来づくりを目指すスタートアップの参加を募るという。

このプログラムでは、創業10年以内のスタートアップをアクセラレーションからテストマーケティングまで支援する「アクセラレーションコース」と、これから起業する、あるいは創業間もないスタートアップを支援する「インキュベーションコース」を用意している。

これらのコースに参加するスタートアップには、JR東日本グループの所有する情報、ITツール、プロモーション設備、商流・物流網などを提供するという。また、プログラム期間中はJR神田万世橋ビルにあるコワーキングスペースを無料で利用でき、11月以降のテストマーケティングの際には大宮駅西口イベントスペースなどの駅スペースも使用できるそうだ。

近年、JR東日本に限らず多くの大手企業がアクセラレーター・プログラムを立ち上げている。例えば、三菱UFJフィナンシャル・グループの「MUFG Digitalアクセラレータ」、富士通の「富士通アクセラレータプログラム」、IBMの「IBM BlueHub」、ソフトバンクの「Softbank Innovation Program」などが思い浮かぶ。JR東日本と競合するところでは、東京急行電鉄も「東急アクセラレートプログラム」を展開している。

こうしたコーポレート・アクセラレーター・プログラムはここ数年で立ち上がったものが多く、それぞれのプログラムがどの程度スタートアップの事業の加速に役立っているかは、まだもう少し経ってみないと分からないだろう。ただ、リソースの限られているスタートアップにとっては、自分たちが最も必要としているリソースを持つ企業のプログラムに参加し、戦略的に事業を組み立てられるのならこうしたプログラムに参加するメリットもあるかもしれない。

JR東日本は4月19日と4月25日に説明会を実施する予定だ。アクセラレーションコースの応募締切は5月末、インキュベーションコースは7月末となっている。

Appleがインドにアプリデベロッパーを育てるアクセラレーターをオープン、すでにその成果を報告

Appleはインドのエコシステムへの投資としてベンガルールに、アプリのデベロッパーを育てる最初のアクセラレーターApp Accelerator開く。同社がこのアクセラレーター事業を発表したのは、2016年の5月だった。

参加を登録したデベロッパーは、インドのAppleのチームから支援を受ける。Appleのエンジニアたちが、フィードバックやベストプラクティス、そしてツールを提供する。プレゼンテーションの機会もある。

この事業の対象者として選ばれたら、毎週Appleとの1対1のミーティングで自分のアプリについて話す。このやり方でより有益なアプリがインドから生まれることを、同社は期待している。

Appleの世界マーケティング担当SVP Philip Schillerが声明文の中でこう述べている: “インドに旺盛な起業家精神があることに感動しており、世界中の顧客と彼らのイノベーションを共有するためのプラットホームを、これらのデベロッパーたちに提供できることを喜んでいる。ベンガルールのApp Acceleratorでは、最初のわずか数週間で、すばらしいデベロッパーたちに会うことができた。彼らはゲームのPractoやRelianceをはじめ、インドと全世界の顧客のニーズを満たす革新的なアプリを作っている”。

Appleがこのようにインドのテクノロジーコミュニティとの事業を立ち上げる際、比較的オープンなやり方を採っていることが、興味深い。また、この事業の最初の国としてインドを選んだことも注目に値する。しかし世界には、Apple以外にも、アプリデベロッパーのためのさまざまなアクセラレーターがある方が、望ましいのではないかな。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

世界中からオススメのスタートアップを募集ーYCが一般推薦の受付をスタート

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長年にわたって卒業生から新しいスタートアップの情報を入手してきたY Combinatorが、スタートアップの推薦ネットワークを一般に広げることを決めた。この施策の目的は、教授やメンター、初期の顧客など、誰でも自分が知っているスタートアップを推薦できるようにすることで、YCと繋がりを持ったスタートアップの数を増やすことにある。

YCでパートナーを務めるKat Manalacは、ファウンダーの多くが、自分の企業はYCのプログラムに参加するには成長しすぎている、もしくは小さすぎると思い込んで応募を諦めていると説明する。そこでYCは、応募を悩んでいるファウンダーでもとりあえずチャレンジできるような仕組みを作ろうとしたのだ。さらにManalacは、これまでにYCのプログラムに参加した企業の多くが、メンターや投資家による説得を通じて応募を決心したと語る。

YCが推薦を受け付けるようになったことで、応募には推薦が必須だと考えるファウンダーもいるかもしれない。しかしYCは、プログラムへの参加資格を獲得するために推薦は必要ないと話す。

ほとんどのベンチャーキャピタルは、公式もしくは非公式に、warm referral(推薦者がまずVCにコンタクトして企業を紹介する推薦方法)を出資先候補となる企業の選定に利用している。しかしYCはこの仕組みを使わないことで、常にテック業界におけるネットワーキングのハードルを下げようとしてきた。

推薦内容についても同じことが言える。ファウンダーは、Marc AndreessenやMichael Moritz、Elon Muskなどテック界のスターの名前を並べて、インパクトを残そうとする必要はない。実際Manalacによれば、2017年冬期のプログラムへの参加が認められた企業のうち、YC卒業生からの推薦を受けていない企業の割合は60%だった。

推薦ページは以下のようなつくりになっている。YCはポジティブなコメントとネガティブなコメントどちらも受け付けており、推薦したいスタートアップがいる場合、推薦者はその企業が「ホームラン」となる可能性がどのくらいあるかというのを具体的に説明しなければならない。数年もすればきっと面白い傾向が見えてくるだろう。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

顧客獲得が焦点に—、500 Startupsのアクセラレータープログラムがリニューアル

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日本にも拠点を置く500 Startupsは、スタートアップ向けアクセラレータープログラムのBatch 21(21期)の募集を開始している。2010年に創業以来、500 Startupsはアクセラレータープログラムを開催しているが、今回募集する21期よりこのアクセラレータープログラムを「SEED Program」としてリブランディングする。TechCrunch Japanはプログラム内容の変更について500 Startupsのパートナーで、SEED Programの運営を担うElizabeth Yin氏に話を聞いた。

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500 Startupsでパートナーを務めるElizabeth Yin氏

Yin氏自身も500 Startupsが提供するアクセラレータープログラムの卒業生だそうだ。Yin氏は高校の同級生とアドテクのスタートアップLaunchBitを創業し、500 Startupsの第2期に参加した。LauchBitは2014年9月にエグジットし、Yin氏は同年10月より500 Startupsにパートナーとして参加している。

Yin氏が500 Startupsのプログラムに参加した時から比べると、500 Startupsのアクセラレータープログラムは随分と変わったという。500 Startupsで提供するコーチングやサポート面が充実し、参加するスタートアップも変わったとYin氏は話す。Yin氏が参加していた頃は、アーリーステージの企業が対象というのを打ち出していたということもあり、まだプロダクトがないチームやプロトタイプ段階のスタートアップが多かった。しかし今では、設立間もなくともすでにプロダクトを持ち、利益を上げているスタートアップも少なくない。そうした変化を受け、500 Startupsの21期からは、以前より少し成長したスタートアップを対象とするように内容が変わるとYin氏は話す。

「21期以降のSEED Programで焦点とするのは、顧客獲得です」とYin氏は話す。SEED Programの参加企業は、顧客獲得のコーチとペアを組んで、顧客開拓を進めることになる。これらのコーチは500 Startupsの社員で、広告業界などでマーケッターやコンサルタントを務めた経歴を持つ人が多いそうだ。B2B SaaSに特化したコーチもいて、法人セールスや交渉におけるアドバイスも提供する。スタートアップからUX、UI、採用など顧客獲得以外の面で相談があれば、適任者を紹介するなどのサポートは行うとYin氏は説明する。ただ、500 Startupsのプログラムではそうした分野に特化したコーチングは行わないそうだ。

プログラムに参加できるスタートアップもすでに自社のカスタマーを把握している企業のみだ。SEED Programへの参加企業は、チームメンバー、プロダクト、市場規模の他に、どのチャネルにいくらかけて顧客を獲得しているかを重点的に聞いて、選考を行うという。「スタートアップが成功するにはチームメンバーやビジネスモデルも大事で、そうした点も見ます。ただ、そもそもカスタマーがいなければビジネスとして成立しないでしょう」とYin氏は話す。

シリコンバレーには他にも多くのアクセレータープログラムがある。500 Startupsでは顧客獲得に重点を置いていることを打ち出すことで、他社と比較した時の強みになることを期待しているとYin氏は話す。

SEED Programの21期はマウンテンビュー にある500 Startupsの本社で5月から始まる予定だ。各地域から何社といった枠を設けているわけではないが、世界各国の有望なスタートアップに門戸を開けているとYin氏は話す。申し込みは4月1日まで受け付けている

GMは500 Startupsと手を組み、アーリステージの投資機会を模索する

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過去数年間、GMは大規模な買収や出資を行ってきた。今年には自動運転車のCruiseを買収し、Uberの最大のライバルであるLyftには5億ドルを出資している。CTOのJon Lauckerner氏によれば、GMは新しい自動車体験を提供する分野にどのように入り込むべきか模索している最中だという。

しかし、どのような企業も、かつては創業されたばかりの小さな企業だった。そしてGMは、大きくなった企業に大規模な出資をする機会だけでなく、創業されたばかりの企業を見つける機会を探している。だからこそGMは、500 Startupsと手を組むことで様々な分野の有望企業を見つけ出し、同社が資本参加する分野をこれまでに以上に広げようとしているのだ。

GMのスポークスパーソンによれば、同社が参加するのはシード投資ではなく、シリーズAかそれ以降のラウンドだ(そして、そのような出資はGM Venturesを通して行なわれる)。出資を決めるうえでの判断基準は、その企業が成果を残しているどうかだという。このパートナシップによって、500 Statupsがこれまでに提供してきたメンターシップに加え、GMがもつネットワークを活用したメリットをスタートアップに提供することが狙いだ。

今後、GMは各バッチから有望な企業を5社見つけ出し(Lauckner氏によれば、この数字は固定化されたものではない)、その企業に500 Startupsと共同で出資していく。先日19番目のバッチに参加する企業を公開した500 Startupsは、GMとのパートナーシップによって他のアクセラレーターとの差別化を狙うことができる。実際、500 Startupsは他社とのさらなる差別化を図り、同社が運営するプログラムの名前から「accelerator」の文字を消している。このパートナーシップは、500 Startupsがもつコネクションを利用できるGMにとってもメリットがあるものだが、バッチに参加する企業にこれまで以上の価値を提供できる500 Startups側にとってもメリットがあるものなのだ。

GMはこれまでに何百もの企業を輩出してきた500 Starupsと手を組むことで、このアクセラレーターがもつ巨大なコネクションを有効活用して有望な投資先を見つけ出すことができる。また、500 Startupsはアメリカ国外で活躍する企業にもコネクションを持っている。

GMからの出資は自動車関連の分野に限られたものではない。GMのコアビジネスを間接的にサポートする「インフォテイメント」や機械学習などの分野で活躍するスタートアップにも出資が行なわれる可能性もある。GMがアーリーステージのスタートアップとのネットワークを構築することで、将来的には同社がスタートアップとパートナシップを結んだり、もしくはそのスタートアップを買収するというような機会が生まれることだろう。

アップデート:GMのスポークスパーソンは、同社が参加するのはシードラウンドではなく、それ以降の資金調達ラウンドであると明らかにした。

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(翻訳: 木村 拓哉 /Website /Facebook /Twitter

会話AIの発展のため、Amazonがアクセラレータープログラムを新設

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大手テクノロジー企業は、 どこかしこもブランドの認知向上やAPIの紹介、あるいは他のオープンソースの取り組みを促進するためにアクセラレータープログラムを立ち上げている。本日、Amazonも会話AIを開発するスタートアップ向けにアクセラレータープログラムを新設することを発表した。

Amazonは1億ドルのAlexa fundを持ち、この領域で展開する22社に出資している。投資しているのは多様な業界のスタートアップで、ステージもバラバラだ。だが、アクセラレータープログラムはAmazonにとって初の試みだ。Amazonは他にも優れた会話AIに贈るAlexa Prizeを立ち上げ、実際に会話が成立するボット制作を行う大学生を募っている。

Amazonの経営企画のVP、Doug Booms(彼がAmazon M&Aの責任者でもあるのには何か意味がありそうだ)は、この新しいアクセラレータープログラムはAlexa Fundの投資先探しやAlexa Prizeに参加したチームの次のステップという位置付けではないとTechCrunchに話す。

今のところAmazonのアクセラレーター戦略に制約は少ないようだ。プログラムに参加するスタートアップの種類に確かな制限はない。コネクテッドカーからスマートホームを手がけるチームまで幅広く迎い入れるという。

Amazonは単独で行うのではなく、Techstarsとパートナーシップを組んで13週間のプログラムを実施する。Amazonは当初、Techstarsに会話AIを支援するためのパートナーシップを提案していた。AmazonとTechstarsは、プログラムに参加するすべての参加者に対して2万ドルの初期投資を行う。

選ばれたスタートアップは、ワシントン大学に借りたスペースに集められる。ファウンダーはAmazonとTechstars、両方のメンターと接点を持つことができる。プログラムの最後にはコンバーチブル・ノート形式でさらに10万ドルの投資を受ける資格が得られるという。

アクセラレータープログラムの受付は1月から開始する予定だ。AmazonとTechstarsはプログラムが始まる7月までに世界中の主要都市で合同説明会を実施する。多くのアクセラレータープログラムで行われているデモデーも10月に開催予定だ。投資家がスタートアップのプレゼンを聞いたり、ファウンダーと接点を持つ機会となる。

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(翻訳:Nozomi Okuma /Website

500 Startupsがデモデーを開催、TechCrunchお気に入りの16社はこれだ

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500 Startupsの18回目となるデモデーがサンフランシスコで開催された。金融テクノロジーから通話カンファレンスの改善まで幅広いジャンルのスタートアップがデモを行った。

500 StartupsはTechstarsやY Combinatorといったアクセラレーターと競合している。彼らが成功するためにはアクセラレータークラスからヒット企業を生み出す必要がある。500 Startupsはこれまでいくつか成功例を上げてきた。クラウドベースのコールセンター・ソフトウェアTalkdeskが最も成功したスタートアップだが、今回もまた多様なスタートアップがローンチしている。

500 Startupsの18番目のバッチからTechCrunchお気に入りのスタートアップをいくつか選んだ。

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SureBids

SureBidsはアフリカのギフトカード市場を伸ばしたい考えだ。SureBidsは食料品を買ったり、モバイル通信費や光熱費の支払いなどに使えるギフトカードを贈るためのサービスだ。

SureBidsはすでにSamsungやJumiaといった数社のパートナーと協力している。SureBidsはJumiaから派生した会社だ。SureBidsは3つの都市でサービスを展開している。大手テクノロジー企業にとってアフリカの経済圏は大きなビジネスチャンスになりつつある。ギフトカードという手法は、ブランドの認知度を高めたり、アフリカ大陸でカスタマーを獲得したりすることにも活用できる。

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Squadle

Squadleはレストランのオーナーがオペレーションを管理するためとコンプライアンスに準拠するための2つのソリューションを提供している。Squadleはワイヤレスな温度計を制作していて、リアルタイムでデータを収集することができる。また、オーナーは昔ながらの紙の書類に記入せずとも、「チェックリスト」端末から毎日のオペレーションの状況をタブレットで確認することができる。Squadleはすでにレストラン大手チェーン50社のうち8社と協力していて、4.5兆ドル市場の問題を解決しようと計画している。

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OnFarm
7名チームのOnFarmは農家がより多くの農作物を生産し、世界的な需要に対応するためのアグテックプラットフォームを提供する。Ocrean SprayやAnheuser Buschといった企業はOnFarmを使ってデータ管理を行っている。OnFarmのソフトウェアは広く普及しているリアルタイムの農業ドローンのデータを素早く取り込むことで、タイムリーな管理ができることが特徴だ。OnFarmはこれまでに月3万ドルの定期的な収益を獲得した。このプラットフォームは、農家が持つ様々なプラットフォームのデータを1つのミニマムなソリューションに統合することを目指す。

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Voxeet
通話カンファレンスは最悪だ。本当に。これを直せる人がいたら、何かおごってあげてもいいくらいだ。

Voxeetはこの分野に挑戦する。Voxeetでは通話相手を「動かす」ことができる。ユーザーアイコンを動かすと、それぞれの通話音声が出る方角や音量を調整することができる。例えば、通話している一人を画面の右側に移動させると、その人の音声はヘッドフォンの右側から聞こえるようになる。

Voxeetの目標は音声カンファレンスで通話を阻害する要素を減らし、カンファレンスの混乱をなくすことだ。また、カンファレンス参加者の中で大音量の人がいても、大声を張り上げずとも音量を小さくすることができるようになる。

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HeavyConnect
HeavyConnectは2016年のアグテックトレンドに乗るサービスで、法規制、コンプライアンス、オンラインの配送管理といったことにデジタル時代の光を当てる。Dole、Drsicoll、Grenn GiantはHeavyConnectを導入し、協力的なワークフローの実現や従業員管理の効率化に用いている。HeavyConnectのファウンダーであるPatrick ZelayaはJohn Deereで9年間セールスを担当していた。彼は農家が机で作業する時間を減らし、農場にいる時間を長く確保できるようにしたいと考えている。

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BeaconsInSpace
BeaconsInSpaceは、ビーコンを使って広告を打たずとも開発者がアプリをマネタイズできるサービスを構築する。ハードウェア所有者がオンラインに登録したビーコンでアプリはBeaconsInSpaceに直接つなぎ、ユーザーが移動したトラフィックデータをマネタイズすることができる。

リターゲティングキャンペーンを行うビジネスなどがこれらのデータを購入する。全てのデータは匿名化している。これはアプリユーザーにとって重要なことだ。この革新的なモデルでBeaconsInSpaceのデータセットは週次90%以上増加しているという。例えば小売店の場合、カスタマーが買い物している特定の通路まで詳細な情報を取得することができる。

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Siren Care

Siren Careは布に糸状のセンサーを組み込むことで、着用者の体調や異変などを検知する。Siren Careは従来の製造方法で、センサーを糸に組み込むことができるという。テキスタイル工場と提携できれば、彼らが成功する可能性は高まるだろう。

今の所、Siren Careは糖尿病患者のために体温検知ができる靴下を手がけている。彼らの目標は、痛みは伴わないが重症化する危険性のある病などを検知してトラックできる製品開発を目指している。

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Outsite
シリコンバレーに住んで、シェアスペースから働くことにはメリットがある。投資家コミュニティーのど真ん中にいるし、大企業もすぐそばにある。人材を探するのにも便利だ。

しかし、シリコンバレーでコワークや住居をシェアしている人たちはそれと同じ価格で、サンタクルーズのビーチ近くに部屋を借りることができる。確かに地理的なメリットはなくなるが、Outsiteは狭苦しいシリコンバレーに似たコミュニティーをそこで構築しようとしている。

また、このサービスには別の可能性もある。社員旅行先としての提案だ。

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Arthur Health
Arthur Healthは、薬局のためのIoTソリューションを提供するだけでなく、将来的には薬局になることを目指している。薬品業界は一般の人の健康や安全性に大きな影響があるにも関わらず、未だに古びたテクノロジーを使っているとArthur Healthは指摘する。Arthur Healthの低価格でスマートな薬を入れるボトルは、錠剤の量をトラックしたり、リマインダーを通知したりことができ、市場での普及を目指している。

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INZMO
家具や高価なデバイスに賃貸者保険をかける場合、大抵は銀行に行く必要があるだろう。INZMOは、スマホユーザーと保険会社の間をつなぎ、手間を軽減するサービスだ。

ユーザーが所有するものが増えても保険をかけることができる。コンピューター、デバイス、バイク、旅行保険まで対応するという。ユーザーは保険パッケージを選択し、保険をかけたい資産の写真を撮影する。カード情報を登録しておくことで、継続的に保険をかけておくことができる。

これを実現するには多くのハードルがある。例えば詐欺を防止する対策が求められるし、サービスを拡大する時に法規制の壁もあるだろう。しかし、アプリで自分の所有物に保険をかけるというのは良いアイデアのように思う。

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Infraspeak

製造業における故障などの問題が起きると、倉庫や工場のオーナーにとって高額なコストとなる。InfraspeakはNFCタップ(ピンチのようなもの)で、工場で働く人が問題を検知することができるツールを構築している。それらの情報は工場のマネジメント層に送られ、インフラの状態を検知し、維持するのに役立てることができる。

InfraspeakはIoT端末を拡大することを考えている。倉庫や工場のインフラをオンラインに持っていくことを計画しているが、セキュリティー対策が重要な課題となるだろう。

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WhereFor
オンラインには数多の旅行代理店が存在するにも関わらず、ホテルの部屋や航空券の予約には未だに多くの手間がかかる。ExpediaやKayakはカスタマーの手間をいくらか楽にはしているが、そのプロセスは透明性に欠け、何十回もクリックしなければ予約できない。会社が指定する旅行ポータルしか使用できないビジネス出張者はさらに最悪な状況だ。

WhereForは法人と従業員を苛立たせていた問題を解決する。WhereForでは、会議の予定を入れるだけで、パーソナルアシスタントが会社の出張ポリシーにも合う出張予定を立てる。既存のTravelportやSabreといったb2bサービスは目的地に到着することに最適化しているが、価格を優先に考慮しているのではない。WhereForはすでに110万ドルを調達している。

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Croissant

WeWorkのようなコワーキング企業や場所はたくさんある。しかし、フリーランサーで作業場所を少しだけ借りたい場合や毎回違う場所で働きたいと考えている人向けのサービスは少ない。

Croissantはその問題を解決しようとしている。Croissantはコワーキングスペースが余った場所を貸し出すことができるマーケットプレイスだ。Croissantはすでに4つの都市の50のコワーキングとパートナーシップを組んでいる。他の会社のサービスに便乗している形だが、これはHotelTonightのように、空いている場所をできる限り貸し出す良い方法になるかもしれない。

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Datatron
DatatronはAIの波に乗り、企業向けの需要予測を提供する。需要予測には最大24時間かかる場合もある。あまりのデータの量にインフラが追いつかないからだ。Datatronは、100倍の速度改善を実現したリアルタイムモデリングで企業の収益を10%以上向上できるという。Datatronは、グローバル展開している複数の企業と話を進めているそうだ。

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Andromium
スマホのOSは、限られた小さな画面スペースの中を動かすことに最適化されているが、Andromiumはさらに私たちが持っている端末の力を解放したいと考えている。信じられないかもしれないが、現在店頭に並んでいるAndroidスマホは、ほんの数年前のほとんどのラップトップより強力なものになっている。

Andromiumのソリューションは、デスクトップユーザーには馴染み深いマルチウィンドウ・アプリケーションをモバイル端末で使用できるようにする。Andromiumは8月からすでに350万ドルを売上げているが、彼らのターゲットはAndroidのスマホユーザーに限られている。

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Melodics

Seratoの前CEOであるSam GribbenはMelodicsで、誰もが楽器演奏を学べるようにしたい考えだ。オンラインの音楽レッスンは新しいアイデアではないが、Gribbenは人の習慣に基づくアプローチを採用し、DJ Jazzy Jeffなどのアーティストが登場することで、ユーザーが楽器を学ぶのを楽しめるようにしている。Melodicsは定常的な収益を2万ドルを得ていて、戦略パートナーの開拓を進めている。

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(翻訳:Nozomi Okuma /Website

ディズニーアクセラレーター第3期、ロボットからホログラムまで採択企業9社を紹介

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The Walt Disney Co.は、第3期となる企業アクセラレーターを今週キックオフする。 そして、プログラムに採択した9社を発表した。採択企業のリストはこの記事の最後にある。

Walt Disneyは映画VRからホログラムのコンテンツ、人の表情に近いロボットまで多岐にわたり開発する。

Disney Acceleratorの卒業企業は大手メディアやエンターテイメント企業と大々的なパートナーシッップを過去に獲得したことから、いくつもある企業アクセラレーターの中でもこのアクセラレーターは有望なプログラムと位置付けられている。

Future Asia Venturesの調査によると、現在世界中に131のアクティブな企業アクセラレーターがあり、2016年の前半には新たに13の新規プログラムがローンチした。アメリカには最も多い31のアクセラレーターがあり、案件を獲得するにあたり競争が激しいことがわかる。

Disney Acceleratorの卒業生には、スターウォーズのBB-8ドロイドを制作するSpheroなどがある。これは2015年、Disneyのベストセラー商品となった。他にもスポーツのデータプラットフォームStatMuseがあり、彼らはDisneyが保有するESPNに対し統計情報を提供している。

今年はTechStarsを頼ることなく、完全に社内でアクセラレータープログラムを運用する初めての年になる。TechStarsは外部のパートナーで、2014年にプログラムを立ち上げる助けをしていた。少しづつプログラムも変わっているようだ。

Disney Accelerator Mentor Ryan Spoon (Sr VP Product Management) meets with Disney Accelerator 2015 group.

Disney Acceleratorのメンターを務めるRyan Spoon (プロダクトマネジメントのシニアVP)とDisney Accelerator 2015年のグループの様子。

Walt Disney Companyのイノベーション部門のシニアVPを務めるMichael Abramsは、今年のDisney Acceleratorに参加する1つのチームはスタートアップではなく、社内のプロジェクトチームだという。

他の参加企業は、シード期や初期のアーリーステージ企業からそれなりに資金を調達し、何百万ドルの収益をあげている企業まで含まれるという。

これまでDisney Acceleratorはアーリーステージのビジネスのみを受け入れてきたし、社内プロジェクトも含まれていなかった。また、受け入れた10社全部に対して画一的な条件を適用していた。今回は各社それぞれと交渉して契約するとAbramsは話す。

「プログラムは進化しました。しかし、私たちはずっとメディアとエンターテイメントを主軸に置いてきたことは明白でしょう。私たちが他のアクセラレーターより上手くできることは、起業家が世界でも卓説したクリエイティブに触れることで、ストーリーを伝える方法を学び、その美学を追求できること。そして広告からテーマパークまでメディアやエンターテイメント業界における様々なビジネス要素への理解を深めることにあります」と彼は言う。

Disneyはよくアクセラレータープログラムの参加スタートアップとWalt Disney Co.の運営ユニットとを広くつなげる。スタートアップはWalt Disney Co.と共にパイロットプロジェクトを行ったり、他のパートナーシップを結んだりしていた。

最新の応募スタートアップに関して、AbramsはAIやロボットを手がけるスタートアップが前年に比べ増え、一方でGIFを使う企業は減ったという。

2016年Disney Acceleratorに採択された企業は以下の通りだ。

  • Ader
    ブランドとEスポーツやゲームのインフルエンサーとつなげるマーケットプレイス。Aderのインフルエンサーのネットワークは5000万人近い月間ビュアーへのリーチがある。Aderは12万5000ドルをシード資金として調達している。
  • Atom Tickets
    映画のモバイルチケットアプリで、カスタマーは映画チケットの購入、売店の軽食予約、金銭のやりとりなしの友人招待、新作映画の発見、予告編の視聴、レビューの閲覧などができ、映画館に行く予定を立てるためのアプリだ。Atom Ticketsはベンチャー投資で5000万ドルを調達している。
  • Hanson Robotics
    豊かな表情の人間味あふれるロボットを開発している。香港を拠点に置くHason Roboticsはビジネス向けからコンシューマー市場向けまで様々なロボットを開発している。彼らが制作したロボット「Sophia」の動画は10億回以上視聴されている。
  • Jaunt VR
    映画のVRコンテンツを制作できるハードウェア、ソフトウェア、ツールとアプリを開発している。Jauntはベンチャー投資で1億ドルを調達している。
  • littleBits
    リモコンカーに踊るロボット、スマートホーム端末まで、子供達がなんでも発明するための、簡単に使える電子製品の構成ブロックのプラットフォーム。littleBitsのファウンダーは、Open Hardware Summitの共同ファウンダーで、TEDのシニアフェローであるAyah Bdeirだ。彼は、MIT Media Labの卒業生でもある。littleBitsは6000万ドルを調達している。
  • Nom
    シェフやグルメ愛好家のためのオンライン・ライブストリーム動画コミュニティー。Nomのユーザーは、ライブ動画の制作、共有、視聴ができ、またチャットや会話を楽しみながら動画に参加することもできる。NomはYouTubeでエンジニアリードを務めたVijay KarunamurthyとYouTubeの共同ファウンダーでCTOのSteve Chenが創業した。
  • OTOY
    ホログラムのコンテンツプラットフォームで、VRやAR体験にライトフィールド・レンダリングやネットワークストリーミングを加える。
  • Playbuzz
    コンテンツ制作とオーディエンスのエンゲージメントを促すプラットフォーム。何万人のパブリッシャー、マーケッター、ブロガーやブランドが、ソーシャルシェアに最適化されたエンゲージメントの高いコンテンツをモバイル重視の形式で制作することを助ける。ニューヨークとテルアビブにオフィスがあり、PlayBuzzは3100万ドルを調達している。
  • Pley
    おもちゃのサブスクリプションサービスを提供。メンバーは月額利用料で500以上のおもちゃのカタログから好きなものを注文する。おもちゃは自宅まで配送され、好きなだけ遊ぶことができる。返却はいつでも良い。Pleyはベンチャー投資で1600万ドル以上を調達している。

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(翻訳:Nozomi Okuma /Website