ファーウェイCEOはバイデン新大統領との会談を歓迎

中国で行われたジャーナリストの集会で、Ren Zhengfei(任正非、レン・チョンフェイ)氏はJoe Biden(ジョー・バイデン)氏が第46代米国大統領に就任して以来初めて公の場で発言を行った。CNBCなどが報じたコメントの中で、Huawei(ファーウェイ)のCEOはテーブルに集まった人々に希望に満ちた口調で語った。

任氏は「私はそのような電話会談を歓迎しますし、共同開発と共有の成功へのメッセージの用意があります」と述べ、新政権との対話の用意があると発言した。「米国は経済成長を望んでおり、中国も同様に経済成長を望んでいます」。

米国でのHuaweiの未来は、新政権にとって大いな疑問符となっている。トランプ政権下では、米商務省のいわゆる「エンティティリスト」に多数の有名中国企業が追加され、さまざまな効果を上げた。Huaweiはこの動きで最も大きな打撃を受けている。

Huaweiは世界第3位のスマートフォン市場での販売を阻止しているだけでなく、Google(グーグル)を含む米国の主要企業と連携できていない。その結果、Androidのエコシステムを含む主要技術へのアクセスがブロックされ、Huaweiは混乱状態に陥った。中国国内では同社への支持が消費者の間で高まっているが、この動きはHuaweiの収益に大きな打撃を与えている。

バイデン次期政権はこの件について、ほとんど口をつぐんでいる。しかし、米商務長官候補のGina Raimondo(ジーナ・ライモンド)氏は共和党議員からの批判が高まっていることを受け、「これらのリストに記載されている企業が存在してはならないと考える理由は、今のところありません。もし承認されれば、これらの企業や懸念される他の企業とのブリーフィングを楽しみにしています」と述べている。

Huaweiにとってこれまでのところ良い兆候はあまりないが、同社のCEOは当然のことながら、新政権と仲良くすることを望むだろう。

任氏は翻訳されたコメントの中で「Huaweiの生産能力を拡大できれば、米国企業にとっても供給機会が増えることになります」と述べた。「私はそれがお互いにとって有益であると信じています。新政権が新しい政策を決定しようとしている中、このようなビジネス上の利益を念頭に置いてくれると信じています」。

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(文:Brian Heater、翻訳:塚本直樹 / Twitter

ミネアポリス警察がGoogleにジョージ・フロイド氏抗議行動者特定のため個人データを要求

ミネソタ州ミネアポリス市警察は、2020年に同署の警察官がGeorge Floyd(ジョージ・フロイド)氏を死亡させた後に暴動を誘発した暴徒らのアカウント情報提出をGoogleに要求する捜査令状を取得した。

2020年5月に白人警察官に殺された黒人男性フロイド氏の死は、市内全域の何千人もの人々による平和的抗議行動を呼び起こした。しかし、すぐに暴動が沸き起こり、警察が暴動のきっかけだとしている傘をさしたガスマスク姿の男がミネアポリス市南部の自動車部品店舗の窓ガラスを破壊する動画が広がった。そのAutoZone店舗は、翌日以降に市内で起きた数十軒の放火事件の最初の被害者だった。

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この捜査令状によってGoogle(グーグル)は、フロイド氏死亡から2日後の5月27日に暴動が起きた時、同AutoZone店舗の「地理的地域内」にいたすべての人物のアカウントデータを警察に提出することを強制される。

この「geofence warrants(ジオフェンス令状)」あるいは「reverse-location warrants(逆ロケーション捜査令状)」などと呼ばれる捜査令状は、しばしばGoogleに対して発行されるが、主としてそれは、検索・広告の巨人が「位置情報履歴」をオンにしているアカウント保有者数十億人の位置情報を取得・保存している巨大データベースを持っているからだ。ジオフェンス令状によって警察は、犯行現場にデジタル捜査網を敷き、ある地理的地域に特定時間に侵入した人物の記録をテック企業から入手できる。しかし、こうした令状は罪のない通行人のアカウント情報も収集するため違憲であると批判する人たちもいる。

TechCrunchはこの令状の存在を、ミネアポリス市住民のSaid Abdullahi(サイード・アブドラヒ)氏から聞いた。同氏はGoogleから、彼のアカウント情報が捜査令状の対象であり、警察に提出される旨のメールを受け取った。

しかしアブドラヒ氏は、自分は暴動には関与しておらず、AutoZone店舗で暴動が起きた時に抗議行動のビデオを撮っていただけだと語った。

令状によると、警察がGoogleに要求したのは、5月27日午後5時20分から5時40分(中部標準時)の間にAutoZone店舗および同店駐車場の近くに存在した携帯電話あるいはデバイスの「匿名化された」アカウントデータであり、当時その場所には数十人が集まっていた。

ミネアポリス警察署の広報担当者であるJohn Elder(ジョン・エルダー)氏は本誌の取材に対し、現在捜査中であり、令状に関する個別の質問には、令状が発行された理由を含めて答えられないと語った。

警察の宣誓供述書によると、抗議行動はそれまで比較的平和的だったが、5月27日午後に傘をもったマスク男がAutoZone店舗の窓を割り始めて状況が変わった。同店舗はミネアポリス警察管区の通りを隔てた向かい側にあり数百人の抗議行動者が集まっていた、と警察は言っている。抗議行動者がマスク男と直面しているところの動画がいくつか撮影されている。

警察は膨大な人員を投入してその通称「アンブレラマン(傘男)」の特定を急いでいると語り、男が市内全域およ及んだ暴動のきっかけになったと言っている。

「これは、本署管轄区内外で一連の放火と略奪を起こすきっかけとなった火災である」と供述書に書かれている。騒動によって少なくとも2名が死亡した。宣誓供述書を書いたミネアポリス警察捜査官Erika Christensen(エリカ・クリステンセン)氏をインタビューすることはできなかった。

警察はアンブレラマンが「暴力を誘発する」ことのみを目的として「敵対心と緊張の雰囲気」を作り出したと非難している(TechCrunchは、容疑者が起訴されるかどうかわからないと警察が言っているため宣誓供述書へのリンクは掲載していない)。宣誓書は容疑者を、Aryan Cowboysと呼ばれる 白人至上主義集団、および数週間後にイスラム教徒女性が攻撃された事件とも関連づけている。

令状に書かれた時間帯に抗議行動を撮影した複数の動画に、窓ガラス破壊の場面が写っている。当時の別の動画には付近の数百人の人々が写っている。

全米の警察が、容疑者不明の犯罪解決にジオフェンス令状に頼る傾向が高まっている。警察は、犯罪が起きた地理的地域に侵入した潜在容疑者の特定に役立つとして令状の使用を正当化している。令状は通常「匿名情報」を要求するが、警察は特定の被疑者について詳細情報を再度要求できる。

法律で許可されると、Googleはアカウント保有者に対して、警察がそのユーザーのデータへのアクセスを要求していることを伝える。2019年の裁判所提出書類でGoogleは、受け取ったジオフェンス令状の数が2017年から2018年には1500%、2018年から2019年には500%以上増えたと述べているいるが、具体的な件数は明らかにしていない。

Googleは、2019年のある1週間に180件以上のジオフェンス令状を受け取ったと報じられている。Google広報担当者に最近の数字を要求したが、公式コメントを拒んだ。

人権擁護団体は包囲網的令状の使用を批判してきた。米自由人権協会は、ジオフェンス令状は「警察監視の憲法による審査を回避する」と批判した。バージニア州のある地方裁判所はジオフェンス令状を憲法に違反しているとし、データを収集された人物の大部分は捜査中の犯罪と「何ら関係ない」ためだと言った。

2020年に報じられた記事の中には、犯罪との関連は単に近くにいただけという人々の事例が複数あった。

NBC Newsの報道によると、フロリダ州ゲインズビル市のある住民は、彼のアカウント情報が強盗事件を捜査中の警察に渡されるとGoogleから伝えられた。しかしその住民は自身が強盗と関係ないことを証明することに成功し、それは携帯電話のアプリが彼の行動を追跡していたためだった。2019年、Googleはウィスコンシン州ミルウォーキー市で起きた複数の放火事件を捜査していた連邦警察に対し、1500件近くのユーザー情報をジオフェンス令状に応じて提供した。これは過去最大数のアカウントデータ提供だっと考えられている。

しかし立法者たちは抵抗を始めている。2020年ニューヨーク州の立法府は、州全体でジオフェンス令状を禁止する法案を提出し、警察が抗議行動者を標的にする危険性を挙げた。Kelly Armstrong(ケリー・アームストロング)下院議員(共和・ノースダコタ)は2020年に下院司法省委員会の聴聞会でGoogleのCEO Sundar Pichai(サンダー・ピチャイ)氏を厳しく追求した。「警察が一般逮捕状を持ってあらゆる場所であらゆる人々の情報を得られると知ったら、人々は恐怖に襲われるだろう」とアームストロングg氏はいう。
アブドラヒ氏はTechCrunchに、その日同氏は抗議行動のビデオを何本か撮ったこと、また弁護士を雇ってGoogleが彼のアカウント情報をミネアポリス警察に渡すのを防ごうとしていることを話してくれた。

「警察は、あの日あの場所にいた全員を犯人とみなしています」と彼は言った。「誰か1人が犯罪を犯した時、警察はブロック全体の人々を追いかけるべきではありません」。

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カテゴリー:パブリック / ダイバーシティ
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(文:Zack Whittaker、翻訳:Nob Takahashi / facebook

米下院の委員会は暴力的な陰謀論を推進した議員を除名処分に

米下院の民主党は先の選挙で初当選したジョージア州選出議員Marjorie Taylor Greene(マジョリー・テイラー・グリーン)氏について、暴力的反民主主義時に反ユダヤ主義の陰謀論を支持したとして、所属委員会から除名する決議を採択した。

グリーン氏はさまざまな驚くべき陰謀の支持を展開した。ここには、17人が殺された2018年のパークランドでの高校銃撃事件は「やらせ」だった、というものが含まれる。そうした主張は、下院教育委員会からグリーン氏を除名するよう2つの教職員組合からの要望につながった。教育委員会はグリーン氏に割り当てられた委員会の1つだ。

所属委員会からのグリーン氏除名の決議採択は党の基本方針に沿って割れ、ほとんどの共和党員が決議反対に回った。一部の共和党員はグリーン氏の過去の言動を非難しながらも同氏を擁護して反対票を投じた。

下院がかなり異例の決議採択に動いた一方で、グリーン氏はQAnon(Qアノン)信奉は過去のものだと主張した。

「私は選挙運動中に『QAnon』と言ったことは一度もありません」と同氏は米国時間2月4日に述べた。「選挙運動中、今日非難されているようなことを一度も口にしていません。議員に選ばれてからこうしたことを言っていません。これらは過去の言葉です」。

しかしDaily BeastのWill Sommer(ウィル・ソマー)氏は12月に削除されたツイートでグリーン氏は明確にQAnonを擁護し、非難の矛先をメディアや「ビッグテック」に向けている、と報じた。

最近明らかになった2019年1月の投稿では、グリーン氏は下院議長Nancy Pelosi(ナンシー・ペロシ)氏の頭に銃弾を、FBI当局に処刑を求めるオンライン上のコメントに賛同の意を示していた。

グリーン氏はまた、人種差別主義で反イスラム、反ユダヤ主義的な考えをFacebook(フェイスブック)のビデオで堂々と共有していた。この記録により、共和党下院のマイノリティリーダーであるKevin McCarthy(ケビン・マッカーシー)氏は2020年6月、グリーン氏の声明は「ぞっとする」と非難するに至った。

グリーン氏は2020年11月の選挙で、同氏の対抗馬Kevin Van Ausdal(ケビン・ヴァン・オースダル)氏が個人的な理由で脱落した後、ジョージア州北西部の保守的な地区から選出された。グリーン氏は同年8月に57%の票を獲得して共和党の候補者に選ばれていた。

危険な陰謀説を唱えるQAnonは、死者を出した2021年1月の議会議事堂暴動で存在を示し、その日撮られた写真にはQAnonのシンボルや言葉が散見された。2019年にFBIの公報は、QAnonの「陰謀論によって突き動かされている国内の過激派」とのつながりを警告した。1年後、そうした過激な考えを支持した、少なくとも1人が議会の議席を獲得した。

グリーン氏の信念と議事堂で暴動を起こした暴力的なトランプ支持者の考えのオーバーラップは、議員の間で緊張を高め、議員の多くは議事堂で暴行が繰り広げられるなかで命の危険を感じた。

政策や協調体制の構築に対して明白な意欲に乏しい新米議員のグリーン氏が下院で立法の力を振るうとは考えられていなかった。しかしQAnonとそれに近い陰謀論が過激な考えを持つ一部の人たちという存在から主流派になり、再登場することも考えられ(軌道は主にソーシャルメディア企業の任意の判断によって描かれる)、グリーン氏の議会での扱いは、現実世界の暴力に波及する能力を示した以上の危険なオンライン上の活動が何をもたらすのかを発信することになる。

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Nariko Mizoguchi

巨大テック企業を規制する米国の新たな独占禁止法案の方針

民主党は議会両院の支配を固め、党の立法の優先順位が明らかになってきた。これまでのところ、テック規制状況再考への議員の関心は未だ健在のようだ。

Amy Kobuchar(エイミー・クロブシャー)上院議員(民主党・ミネソタ)は反トラスト法改革の新たな提案として、大型合併の障壁を増やし、国の反トラスト法執行要員を強化することを謳っている。クロブシャー氏の法案、Antitrust Law Enforcement Reform Act(反トラスト法執行改革法)は、さまざまな業界にわたる統合を対象とし、特に「支配的デジタルプラットフォーム」に重点を置いている。

「かつて米国は世界有数の反トラスト法を有していましたが、現在我が国の経済は深刻な競争問題に直面しています」とクロブシャー氏はいう。「もうこれ以上この問題を見ないふりをして既存の法律が適切であると願うことはできません」。

現在、クロブシャー氏は上院の反トラスト・競争政策および消費者の権利小委員会の長を務めている。これまでにも巨大テック企業に影響を与える改革に関心を示している議会の一角である。

新法案は、1914年に制定され競争に関わる法律の枠組みを作り現在も適用されているクレイトン反トラスト法を強化するものだ。具体的には、反競争的合併の評価基準を標準化し、「競争を大きく損なう重大なリスクを生む」契約を防ぐよう現在の文言を変更する。

目的は反トラスト行為の可能性を早期に発見することで、これは政府が現在、抱えている難問であり、現在国の規制当局は、合併後何年も経ってから独占状態に発展した案件の再評価を行っている。

また同法案は、競争を減少させる危険が生じないことの証明を、合併する企業に義務付けることによって政府の負担を軽減する。これらの規則が適用されるのは、時価総額50億ドル(約5269億4000万円)以上で50%以上の市場シェアを持ち、現在あるいは将来の競合相手を買収しようとしている会社だ。

さらにクロブシャー氏の提案は、クレイトン法を修正して、競合相手を不利に陥れる行為を禁止する条項も加えようとしている。直接的合併、買収のみならず、一部曖昧な領域のトラスト行為についても対象とする。

執行予算の欠如を掲げる同法案は、3億ドル(約316億2000万円)の追加予算を司法省反トラスト部門およびFTC(連邦取引委員会)につぎ込む。FTCでは、委員会内に市場と合併を調査する部門を設置するためのその資金を使用する。

法案は、全員が民主党上院議員で反トラスト小委員会のメンバーでもあるCory Booker(コリー・ブッカー)氏、Richard Blumenthal(リチャード・ブルーメンソール)氏、Brian Schatz(ブライアン・シャーツ)氏、およびEd Markey(エド・マーキィー)氏が共同発起人となる。また現在は一党による取り組みだが、反トラスト改革は共和党ミズーリ州選出のJosh Hawley(ジョシュ・ホーリー)上院議員の支持も得られる可能性がある。同議員は巨大テック企業を標的にした反トラスト改革に今週になって関心を示した。ホーリー氏も上院の反トラスト小委員会のメンバーである。

クロブシャー氏は、Facebook(フェイスブック)、Google(グーグル)といった大型テック企業の解体までは求めていないが、それはここ数年Elizabeth Warren(エリザベス・ウォーレン)上院議員とBernie Sanders(バーニー・サンダース)上院議員の支持を得ている行動だ。大型テック企業をターゲットにした複数州による訴訟の最中、FTCはFacebookに対する独自の訴訟を2020年末に提起し、同社の分割を要求している。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:FacebookGoogleアメリカ反トラスト法

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Nob Takahashi / facebook

バイデン政権のジーナ・ライモンド商務長官にはファーウェイをエンティティリストから外す理由がない

Huawei(ファーウェイ)の米国における立場は、Joe Biden(ジョー・バイデン)新政権の上空を漂う多くの疑問符の1つだ。このスマートフォンメーカーは、トランプ氏の4年間の在任中、米商務省の「エンティティリスト(禁輸企業リスト)」に載せられた数多くの中国企業に含まれる。

バイデン大統領が商務長官に指名したGina Raimondo(ジーナ・ライモンド)氏が述べた見解は、新政権下における同社の今後を占う上で、現時点における最も明確な見方の1つとなり得るものを提示した。共和党上院議員からの質問に答えて、元ロードアイランド州知事のライモンド氏は、バイデン政権はファーウェイをブラックリストから急いで外すことはないだろうと示唆している。

共和党の下院議員たちは米国時間2月2日の共同声明で、ファーウェイのような企業に対する、まだ明らかでなかったライモンド氏の姿勢に対して懸念を表明している。「我々は、ファーウェイがエンティティリストに残ることを求めていたこれらの上院議員がその原則を遵守して、ファーウェイに関する意図を明らかにし、大量虐殺を行い、我が国の国家安全保障を脅かしている国に対する輸出管理政策を明らかにするまで、自らの原則を守り、ライモンド氏の承認を保留することを強く求めます」と述べている。

ブルームバーグの記事によるとライモンド氏は次のように答えている。

「一般的にその企業が、米国の国家安全保障や外交政策の利益にリスクをもたらすために、エンティティリストと軍のエンドユーザーリストに掲載されることを理解している。現在のところ、これらのリストに記載されているエンティティがそこにあるべきではないと信じる理由がない。商務長官として承認されれば、これらの法人実体とその他の懸念材料に関してブリーフィングを行いたい」。

この声明は、少なくとも閣僚指名者からの声明としては決定的なものが何もない。確かに、この問題に関してトランプ元大統領時代の姿勢からラジカルな変化はない。ファーウェイがリストに追加されたのは2019年で、同社はそれまで長期にわたって安全保障とスパイ行為の懸念で非難を浴びてきた。またファーウェイは、中国政府とのさまざまな結びつきがある。

当時の商務省は、こう書いていた。

ファーウェイは、国際緊急経済権限法(IEEPA)違反の疑い、イランに禁止されている金融サービスを提供することによるIEEPA違反の陰謀、米国の制裁違反の疑いの調査に関連した司法妨害など、米国の国家安全保障または外交政策に反する活動に従事していると同省が結論づけた後、企業リストに加えられた。

トランプ政権は中国のテクノロジー企業をブラックリストに載せることに意外なほど熱心で、これによりファーウェイの経営はすでに大きな影響を受けている。ドローン大手のDJIとAI企業のSense Timeもリストに載り、政権の末期にはXiaomiが別の軍事ブラックリストに追加された。

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(文:Brian Heater、翻訳:Hiroshi Iwatani)

シャオミがブラックリスト入りを巡り米政府を提訴

スマートフォンメーカーのXiaomi(シャオミ)は軍関連のブラックリストに掲載されたことをめぐり、米政府を提訴した。米国時間1月29日の金曜日に提出された申請で同社は、決定を「違法かつ違憲」だと指摘している。

Xiaomiは以下のように記述している。

弊社は中国政府または軍によって所有または管理されておらず、または他の方法で中国政府または軍とも提携しているわけでもなく、中国国防産業と提携している任意の団体によって所有または管理されている事実もありません。また中国政府や軍、あるいは防衛産業に属するいかなる組織も、企業の経営や業務を支配する能力を有していません。

今回の申請は、上場後のXiaomiによる同様の発言を反映している。同社のブラックリスト入りは、トランプ政権の末期、あるいはバイデン氏の就任まで1週間を切った時期に決定された。Huawei(ファーウェイ)とDJIも最近になって米国のブラックリストに入ったが、これらの企業は商務省が管理する独立した企業の一部として分類されている。ファーウェイは2019年3月に米国政府を提訴している。

ブラックリストは3月15日に発効するように設定されており、Xiaomiへの投資が禁止される。これはすでに同社の収益に影響を与えている。Canalysの最新のデータによると、Xiaomiはすでに世界的に大きな勢力を持ち、Apple(アップル)やSamsung(サムスン)に次ぐ第3位につけている。業界が大規模な失速を続ける中、第4四半期(10月〜12月)の同社の市場シェアは前年同期比で31%の伸びを示した。Xiaomiは米国ではあまり注目されていないが、世界第3位の市場で販売が禁止される可能性があることは、同社の成長を著しく阻害する可能性がある。

米国の新政権が中国やハードウェアメーカーの双方との関係に、どのような影響を与えるかはまだわからない。また注目すべきことに、この書簡はバイデン大統領が任命したLloyd Austin(ロイド・オースティン)国防長官とJanet Yellen(ジャネット・イエレン)財務長官に宛てられている。

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(文:Brian Heater、翻訳:塚本直樹 / Twitter

バイデン大統領が連邦政府機関の全車両のEV化を発表

Joe Biden(ジョー・バイデン)大統領は米国1月25日、米政府が政府機関の乗用車、トラック、SUVを米国製の電動タイプに取り換えると発表した。米国の車産業とサプライチェーンで100万人の新規雇用を生み出すという、選挙中の幅広い公約につながっている動きだ。

約束が実現すれば米国の自動車メーカー、特に乗用車から商用バン、軽トラックなど多様なポートフォリオを展開している企業にとって後押しとなる。

バイデン大統領は「the Made in America(メイドインアメリカ)」大統領令への署名に先駆けて、大統領令では連邦政府の調達に関する慣行に厳しいルールを適用するとコメントした。政府には従来の「buy American(バイアメリカン)」ルールがあり、そこには連邦政府が調達するプロダクトの一定量は米国製でなければならないと記されている。

今回の大統領令は抜け穴を塞ぐもので、米国で生産された製品の購入を増やすのが目的だとバイデン大統領は述べた。大統領令はプロダクトの閾値と国産品の価格設定を上げる。これは、政府が米国以外のサプライヤーから購入できるものとの価格の違いを意味する。また、プロダクトが十分に米国で生産されたものかを判断するプロセスもアップデートする。

スピーチの途中でバイデン大統領はバイアメリカンのルールが、連邦政府のかなりの数の車両に拡大されると述べた。

「連邦政府は膨大な数の車両を所有しています。これらをここ米国で、米国人労働者によって生産されたクリーンな電気自動車に置き換え、何百万という新規雇用を創出します。自動車関連では100万人の雇用です」。

これは大きな機会だ。米一般調達局(GSA)の入手可能な最新データによると、米政府は2019年に車両64万5000台超を所有していた。そのうち約22万4000台が乗用車で、41万2000台超がトラックだ。

「GSAは政府車両のグリーン化を含め、気候危機を克服するために政府の購買・リース力を行使する機会の模索に注力します」とGSAの広報担当はTechCrunchに電子メールで述べた。「GSAは現在、連邦政府のミッションをサポートするために乗用車22万4000台を管理しています。クリーンエネルギー車両テクノロジーを活用することでGSAは大統領の気候分野における目標の達成を支え、その一方でこうした次世代の車両が米国人労働者によって米国で製造されるよう米国の自動車製造業界と協業します」。

指令を完全遂行するのは簡単ではない。連邦政府の車両の多くはリースで、契約の長さ次第では電気自動車への移行が遅れることもあり得る。充電インフラ、サプライなど他にも障害がある。また要件となっていないようだが、バイデン大統領は1月25日も含めこれまでに何回も自動車組合の仕事を支持すると公言してきた。

Tesla(テスラ)は電気自動車メーカー最大手とされている。しかし同社には組合労働者がおらず、たとえやや安めのModel 3でも車両価格が高いことは障壁となり得る。

Ford(フォード)とGM(ゼネラルモーターズ)は現在のところEV供給量は多くないが、両社ともユニオンショップ(労働者が必ず職場の労働組合に加入しなければならない制度)を有しており、EVプロダクトの拡大にかなり投資している。

GMは2021年1月初め、EVトップメーカーを目指す270億ドル(約2兆8000億円)の取り組みの一環として、法人顧客に電動・コネクテッドプロダクトのエコシステムを提供するための新しい事業部門を立ち上げた。BrightDropと呼ばれるその部門は2つの主要プロダクトで始動する。航続距離250マイル(402km)のEV600と呼ばれる電動バン、そしてEP1と命名されたポッド状の電動パレットだ。

同社は2025年までに新たに30種のEVをグローバル展開する計画だと述べた。同社によると、そうした発売車両の3分の2超が北米で販売され、Cadillac、GMC、Chevrolet、Buickを含むGMの全ブランドでEVが展開される。

一方、Fordは2020年11月、電動化への115億ドル(約1兆2000億円)の投資の一環としてE-Transitという設定変更が可能な電動貨物バンを発表した。同社は主に消費者マーケットでの電動化に注力してきた。代表的なものがMustang Mach-Eだ。同社のミズーリ州クレイコモにあるカンザスシティー組立工場で生産されるE-Transitは商業部門向けだ。

また Rivian(リビアン)、Lordstown Motors(ローズタウンモーターズ)、Fisker(フィスカー)などを含め、新規EVメーカーの参入も相次いでいる。Rivianは電動ピックアップトラックの生産・発売を2020年7月に開始し、その後電動SUVに取りかかる。同社はまたAmazon(アマゾン)向けの電動バンの開発・組み立ても手がけている。

バイデン大統領の車両置き換え指令は、選挙運動期間中に訴えてきたことに基づいている。大統領は電動車両製造と投入資材、パーツの部門において米国をグローバルリーダーにすべく、購買力、R&D、税、通商、投資政策を含め「連邦政府が有するあらゆる手段を使う」と約束していた。

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カテゴリー:モビリティ
タグ:アメリカ電気自動車ジョー・バイデン

画像クレジット:Drew Angerer / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

米国時間1月20日の新大統領就任式での暴力の脅威がソーシャルメディアに長い影を落とす

米国は今、南北戦争以降最大の民主主義の危機に瀕している。その中でソーシャルメディア企業は、決して訪れないとこれまで考えていなかったような事態に対して、つぎはぎの守りを構築しようと苦戦している。

メジャープラットフォームの多くは1月第3週に緊急措置として、米国の大統領をプラットフォームから排除し、陰謀理論や暴力による脅し、および武装暴動の動きに対して突然厳しい規則を設けた。こういった暴力に関する動きや気配は、何年も前からこれらのソーシャルメディア上で増殖していた。しかし1週間も経たずしてAmazon(アマゾン)やFacebook(フェイスブック)、Twitter(ツイッター)、Apple(アップル)そしてGoogle(グーグル)などはすべて、米国の安定と体面のために、歴史的な意思決定をした。またSnapchatやTikTok、RedditさらにPinterestさえも、それぞれ自分たちなりのアクションで、各プラットフォーム上でテロ計画が孵化することを防ごうとした。

現在は待機モードだ。トランプ支持派の破壊的な暴徒たちが米国立法府を象徴する議席を襲ってから1週間以上にわたって、インターネットはずっと息を潜めていたが、強力に防備を固めた就任式セレモニーの日が迫ってきた。

画像クレジット:SAUL LOEB/AFP/Getty Images

今もしぶとく残っているもの

先週、世界最大のソーシャルネットワーク上では、先の続きとなるイベントを示唆する画像が氾濫した。Facebook上のあるデジタルフライヤーは「国会とすべての州の議会を目指す武装行軍」をそそのかし、2020年の大統領選挙は盗まれたとする危険で偽りの陰謀論を強く主張した。

Facebookによると、同社はISISやアルカイダのテロリストのコンテンツを削除するときに使った同じデジタル指紋処理で、「Stop the Steal(盗みを止めろ)」と呼びかけるフライヤーの出どころを探っている。同社がこれまで見たフライヤーは、1月17日に全国的なイベントを呼びかけるものと、1月18日にバージニア州で、就任式当日にワシントンD.C.でイベントを起すことを呼びかけているものだ。

Facebookの新しい取り組みは、一部効果を上げている。同プラットフォーム上でTechCrunchが確認した人気フライヤーの1つは、今週某ユーザーのフィードから削除された。また、2020年12月に目にした複数の「Stop the Steal」グループも、同社のさらに強制的なアクションに続き、今週初めにいきなりオフラインにされた。しかし前兆のように多くのグループが大量の時間を投じて、自分たちの名前を宣伝したり、他のフォロワーを仲間に取り込もうとしたりしている。

大統領が代わる日はもう目の前に迫っているのに、極右グループであるQAnonを宣伝する頭字語だらけの長広舌や、トランプ支持派による常軌を逸した陰謀理論の主流派たちのコレクションは、そのまま残っており簡単に見つかる。2500のフォロワーがいるあるページでは、QAnonの信者が、国会議事堂を攻撃したのは反ファシストたちである、というすでに支持されていない説を強調し、(議会議事堂襲撃が行われた)米国時間1月6日は「罠だった」と主張している。

画像クレジット:Win McNamee/Getty Images

別のQAnonグループは「この猿芝居を終わらせる方法を見つけた!あなたがたの命はもう終わりだ!」という議会に対して不吉なポストを投じている。この凝りに凝った陰謀説のフォロワーは、議会議事堂のすさまじい暴徒たちの中にもかなり存在していた。大きな「Q」の字とTシャツのマニアックなスローガンでわかった。

Facebook上の過激主義者たちについて同社は、現在、テロのエキスパートおよび法執行当局と協力して「公衆への直接的な脅威を防ごう」としていると述べた。またパートナー数社とも協力して、他のプラットフォームを起源とする暴力的コンテンツも注視している、と同社は述べている。

Facebookの取り組みは遅くてムラがあるが、これまでの同社に比べればマシだ。トランプ支持派にとっては、それは大手ソーシャルネットワークから受けた措置であり、しかも極右ソーシャルネットワークのParlerGabもなくなってしまったため、シリコンバレーに頼らずに別の道を探さざるをえない。

ソーシャルメディアの人口移動

プライバシーを保護することができるメッセージングアプリのTelegramやSignalへの、大移動が今週起こったが、それらのユーザー体験(UX)はFacebookやTwitterとかなり違っている。ソーシャルネットワークをウォッチしている一部のエキスパートによると、その移動は一時的であり永久ではないという。

たとえばYonderのCEOであるJonathon Morgan(ジョナソン・モーガン)氏は「多くのユーザーがGabやMeWeやParlerのようなソーシャル体験に定住するだろうし、戻る先も移動する先もTwitterやFacebookである人が多い」と語る。

YonderはAIを使ってソーシャルグループのオンライン上の結びつきや、彼らの話題を分析している。中には暴力的な陰謀理論などもある。モーガン氏によると、プロパガンダをばらまく「行動的なインターネット戦士たち」が、ネット上で大量のノイズを発生させている。しかし彼らのパフォーマンスは、オーディエンスがいなければ成り立たない。もっとひっそり、もっと恐ろしい脅威を志向している者もいるという。

「議会議事堂の襲撃を見ると、そのエンゲージメントのタイプの違いから、これらのグループの分裂状況がよくわかる。過激派に対して歓呼している大集団は議会議事堂には入らない。パフォーマンスを目的とする行動的インターネット戦士たちは、自撮りに夢中だ。武装集団はフレックスカフ(簡易手錠)を携行している。多くのソーシャル会話でいわれていた「結束バンド」は間違いだ。簡易手錠は人質を拘束するためだろう」とモーガン氏はいう。

「ユーザー(大集団)の多くに行き先があるとすればParlerだ。また、TwitterやFacebookのソーシャル体験を模倣するMeWeのようなアプリへ行く者もいる」。

モーガン氏によると、調査では過激派や陰謀説拡散者にとって、それでもなおプラットフォームからの締め出しが効果的な手法だという。それにより「AirbnbやAWSなどテクノロジー企業は、今後暴力がのさばるチャンスを減らせるだろう」。

そうやってプラットフォームを掃除すれば、危険な考えを語るメッセージを追い払うことができるが、モーガン氏によると、この方法が過激派の狂信を強化することもあるという。最近のプラットフォームの変化で分断し多様化したグループが、あちこちに散らばっている。そして彼らの行動は、ますます自暴自棄で予測不可能なものになっていく。

プラットフォーム追い出しは有効だがリスクもある

Anti-Defamation League(名誉毀損防止同盟)のCEOであるJonathan Greenblatt(ジョナサン・グリーンブラット)氏によると、ソーシャルメディア企業はそれでもまだまだ、就任式の週には多くの備えが必要だという。「議会の暴動への対応として、ソーシャルメディアプラットフォームの懲罰的態度ぐらいでは全然効果がない」とグリーンブラット氏は述べる。

彼の警告によると、さまざまな変化は必要だが、我々が備えなければならないのは、オンラインの過激派がもっと分裂したエコシステムに進化していくことに対してだという。彼らのエコーチェンバーはますます小さく、声高になり、大規模で組織的な脅威は減少しても、小集団の脅威はむしろ激しくなる。

このような分裂によって、人びとが互いに暗号化アプリで通信するようになるだろうとグリーンブラット氏がいう。外部に漏れない閉じた通信で互いの結びつきが強化され、暴力的な考えも安全に話せるようになり、今後のイベントの組織化や暴動の計画なども立てやすくなる。

過去数週間、ソーシャルメディア企業は彼ら独自のスタンダードに基づいて重大な措置を取ってきたが、ソーシャルネットワークは、現在、米国では政治的暴力に関心をよせているが、海外で暴力のための便宜を提供してきた長い歴史がある。

グリーンブラット氏が何度も訴えるのは、各社がもっと多くの人間モデレーターを雇用することだ。過激主義対応の専門家も、しばしばこの提案をしてきた。グリーンブラット氏によると、ソーシャルメディアは就任式の週に備えて、ストリーミングを遅らせるといった対策をとることができる。緊急対応チームはそんな措置に助けられて、個々のコンテンツにその都度対応するのではなく、もっと多くのアカウントを停止することもできる。

「ソーシャルプラットフォームは先週の議会に対する暴力から学んだことに関する(外部、一般社会への)透明性を、まだ何も提供していない」とグリーンブラット氏はいう。

「彼らがやるべきことと、できることの最小限のことはわかっている。これらのプラットフォームがそれらを通じて得たことへの透明性と洞察を提供すれば、我々はおそらくもっと強力な、提案ができるだろう」。

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新たな景気刺激法案、新エネルギー政策に352億ドル

TechCrunchが入手した要約文書によると、議会で承認された新たな景気刺激策案には、エネルギー政策のための約352億ドル(約3兆6420億円)が含まれている。

「これはおそらくこの10年間で最大のエネルギー法案です」と語るのは、カリフォルニア大学サンタバーバラ校ブレン環境科学・マネジメント研究科で助教授を務める政策アナリスト、Leah Stokes(リア・ストークス)博士だ。

支出は2020年エネルギー法と環境エネルギー法に分かれており、どちらも大規模な技術イニシアチブのための新規資金を含む。

「『2020年エネルギー法』は、超党派的な二院制によるエネルギー革新パッケージであり、DOEのポートフォリオ全体で350億ドルを超えるRD&D活動を認め、市場への新技術の進出に不可欠なプログラムを強化または創設する」と同法案の概要文書には記されている。

この支出パッケージには、新しい技術イニシアチブのための41億ドル(約4240億円)以上が盛り込まれている。

最大の恩恵を受けるのは、太陽光発電、新しい輸送技術、エネルギー効率化技術だ。

モジュール、集光型太陽電池技術、新しい太陽光発電技術、太陽電池の製造とリサイクル技術を拡大するための取り組みなど、新規太陽電池技術に15億ドル(約1550億円)が割り当てられている。また、輸送技術のために26億ドル(約2690億円)が確保され、エネルギー効率化プログラムと気象改善プログラムは気象改善支援プログラムの17億ドルの再承認により引き続き支援される形だ。

エネルギーグリッド技術は、短期、長期、季節的および輸送用エネルギー貯蔵技術を支援するための10億8000万ドル(約1118億円)と、スマートユーティリティおよびエネルギー配給技術を支援するための23億6000万ドル(約2442億円)により、34億4000万ドル(約3560億円)の増加を得た。

さらに6億2500万ドル(約647億円)が、陸上および洋上風力技術のための新しい研究、開発、商業化に充てられる。地熱技術開発には8億5000万ドル(約880億円)、海洋エネルギーと水力発電技術には9億3300万ドル(約965億円)が割り当てられている。水力発電機のアップグレードには1億6000万ドル(約166億円)、既存の連邦インフラのアップグレードとして連邦エネルギー管理プログラムに1億8000万ドル(約186億円)が充てられている。

脱炭素化が技術的に最も困難な産業であり、確実な資金とイノベーションの推進に向けて、鉄、鉄鋼、アルミニウム、セメント、化学のような業界のステークホルダー、また脱炭素化を目指す海運、航空、長距離輸送など輸送関連企業に5億ドル(約517億円)を確保している。

報告書の概要によると、2020年エネルギー法はこうした重要な投資を今行うことで「我が国の温室効果ガス排出量を削減し、米国に高賃金の雇用をもたらし、これらの技術を今後何年にもわたって海外の成長市場に輸出することを可能にする」とされている。

すでに広く商業的に支持されている次世代技術が後押しを受けている分野であるとすれば、まだ商業規模での実用性が実証されていない技術の商業化を支援するためには、さらに多額の資金が必要となる。

その中には炭素回収利用および貯蔵の技術が含まれており、産業やエネルギー分野での展開に向けた支援が62億ドルとなる見込みだ。連邦議会はまた、大規模な商業用二酸化炭素除去プロジェクトのための4億4700万ドル(約463億円)の研究開発プログラムを承認しており、年間少なくとも5万トンの二酸化炭素を回収する施設における直接空気回収の競合に1億ドル(約103億円)の研究助成金が提供される。

既存の原子力発電所の近代化と先進的な原子炉の開発に66億ドル(約6830億円)の資金を提供したおかげで、原子力技術も全盛期を迎えている。また、基礎研究と応用研究への投資を掘り起こしたことで、新興の溶融技術産業は利用可能な資金にさらに47億ドル(約4860億円)を加えることができる。

これらの支出には、先進テクノロジーを排除しないための資金も含まれている。29億ドル(約3000億円)の予算が割り当てられたARPA-Eは、インターネットに関する技術の開発を支援してきたDARPAプログラムに似た構造の政府のエネルギー高度研究機関である。また、多くの技術を商業化したNASAの戦略に倣い、国立研究所のパートナーシップを推進するOffice of Technology Transitions(OTT)を設置し、空軍と国防総省が広く効果的に利用しているマイルストーンベースのプロジェクトを採用している。

新エネルギー法案には、太陽光、風力、地熱による25ギガワットの公共発電を2025年までに達成するという内務省への指令が明記されている。

「私の理解では、彼らは連邦政府が太陽光発電と風力発電に何をしてきたかに目を向け、他の技術にどうすればそれが活用できるか検討しようとしています」とストークス氏は語る。

彼女にとって、景気刺激策の他の部分も気候の観点から同じように重要だ。地球温暖化と気候変動の大きな原因となっているハイドロフルオロカーボンの使用を2035年まで段階的に削減するという目標が掲げられている。冷蔵やその他の用途におけるこれらの化学物質の使用を世界的に段階的に削減することで、温暖化を0.5℃抑えることができる。これは大きな取り決めだ。

ストークス氏は、期間延長が比較的短い一部の税額控除の期間や、電気自動車に対する税額控除がないことに異議を唱えた。「EVの税額控除は、導入に不可欠な消費者向けのメリットになります。EVと内燃エンジン車の均衡を十分に保てたはずです」とストークス氏は述べている。

景気刺激策のこの部分に組み込まれたものはすべて気候活動家にとって喜ばしいニュースではあるものの、ストークス氏は地球規模の気候変動への懸念について楽観的になるべきではないと指摘する。

「このパッケージは気候危機を完全に解決するものではありません」とストークス氏は続ける。「来年、共和党が主導権を握り、新しく就任する議長はそこまで寛大ではないかもしれません。ここでの達成を祝い、称賛することも大切ですが、何が欠けているかを認識する必要があります。それは多く存在します」。

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タグ:環境問題 アメリカ

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(翻訳:Dragonfly)

Facebookが大統領就任式時のワシントンD.C.と州議会議事堂周辺での新イベントを禁止

Joe Biden(ジョー・バイデン)次期大統領の就任式が近づく中、組織的暴力を警戒するFacebookは、いくつかの新しい措置を発表した。

Facebookのポリシー・コミュニケーション担当ディレクターであるAndy Stone(アンディ・ストーン)氏のブログとツイートによると、同社はホワイトハウスと米議会議事堂や州議会議事堂の近くで予定されているイベントを米国時間1月20日までブロックする、と説明している。

アップデート:就任式の日まで、D.C.や州議会議事堂の近くで行われる新しいFacebookイベントの開催を禁止している。また私たちは就任式関連イベントは再度審査し、ポリシーに違反しているものはすべて削除します。

また、一般の就任式関連Facebookイベントも再度審査し、ポリシーへの違反を調査する。現時点でそうしたイベントにはバイデン氏の勝利は違法だとする「Stop the Steal」運動に関連するコンテンツが含まれている。それらのグループは、同社が今週初めに措置を取るまでFacebook上で人気を博していた

Facebookはまた動画、イベント、グループページのライブストリーミングを禁止するなど、同社のルールに繰り返し違反している米国ユーザーに新たな制限を課すようだ。

これらの警戒措置は、Facebookを批判する一部の人たちが求めるものに比べると手ぬるいが、危険な陰謀理論や武装グループへの対処を2020年にやっと始めたばかりの企業がやることとしては、とりあえず注目に値する。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

トランプ政権が世界3位の中国スマホメーカーXiaomiも防衛ブラックリストに追加

中国のスマートフォンメーカーXiaomi(シャオミ、小米科技)がトランプ政権の防衛ブラックリストに新しく加わった。米国防総省は米国時間1月14日、Xiaomiを含む9社を中国の軍事疑惑のある企業のリストに追加した。

市場調査会社IDCによると、Xiaomiは2020年第3四半期の時点で世界第3位のスマートフォンメーカーで、Apple(アップル)を抜いてSamsung(サムスン)とHuawei(ファーウェイ)に次ぐ第3位となっている。

Donald Trump(ドナルド・トランプ)大統領は2020年11月、中国の軍事・諜報・安全保障機関の活動を支援する企業への投資を禁止する大統領令に署名し、2021年1月に施行する予定だった。ファーウェイ、中国の大手チップメーカーSMIC中国の3大通信事業者などがリストの対象となっている。

国防ブラックリストは、米商務省のエンティティリスト(禁輸リスト)とは異なる。後者のリストは、ファーウェイDJISenseTimeやその他中国のハイテク企業を国家安全保障上の懸念から、米国のサプライヤーから切り離すことで知られる。

Xiaomiの広報担当者は声明で「当社は、中国軍に所有されていることも、支配されていることも、軍と提携しているわけでもなく、国防権限法(National Defense Authorization Act、NDAA)で定義されている『共産主義中国軍企業』ではないことを確認します。会社と株主の利益を守るために、適切な行動をとっていく所存です」と述べている。

エンティティリストと同様に、米政府の国防ブラックリストは、コンプライアンスをめぐり混乱を招いている。China Mobile(中国移動通信)、China Unicom(中国聯合通信)、China Telecom(中国電信)に対する制裁を受けて、ニューヨーク証券取引所(NYSE)は3回動いた。最初は中国の通信事業者3社を上場廃止にすると発表し、その後規制当局との協議の結果、上場廃止の撤回を決定したが、最終的にはこれをまた覆し、さらなる審査の結果、上場廃止にすると決定した

Xiaomiの担当者は次のように述べている。「当社は、この影響が当社グループに与える影響をより深く理解するために、潜在的な影響を検討中です。適切な時期にさらなる発表を行う予定です」。

Xiaomiは香港に上場しており、この行政命令は米国の投資家に、ブラックリストの発表で株式が11%以上下落し、1株あたり29ドル(約3000円)にまで落ち込んだ同社の株式を売却することを強制する可能性がある。

Xiaomi社の業務と技術アクセスは、米国政府による攻撃の最新ラウンドでは影響を受けていないが、サプライチェーンの禁止はダモクレスの剣(一触即発の危険な状態)になる可能性がある。同社はQualcommと緊密に提携しており、ハイエンドのSnapdragon 888チップをいち早く入手している。ファーウェイはエンティティリストによって課せられた制限を回避し、そのサプライチェーンを救うために格安電話ユニットHonorをスピンアウトした。Joe Biden(ジョー・バイデン)氏が就任後、トランプ政権時代の中国テック大手に対する政策にどのように取り組むかは、今後も注目されるところだ。

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ドローン最大手DJIが米商務省の禁輸リスト入り、ドローンによる監視は人権侵害
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ファーウェイが低価格スマートフォンのHonor事業部を政府系企業などからなるのコンソーシアムに売却

カテゴリー:ハードウェア
タグ:Xiaomiアメリカ中国

画像クレジット:Visual China Group / Getty Images

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(翻訳:Nakazato)

米政権交代と大統領就任式時のTwitterの対応が明らかに

Twitter(ツイッター)は、Joe Biden(ジョー・バイデン)氏が第46代米国大統領に就任し、Kamala Harris(カマラ・ハリス)氏が副大統領になる米国時間1月20日水曜日の就任式に向けた計画を明らかにした。

Twitterはトランプ政権の終焉にともなう政権移行をプラットフォーム上でどのように扱うか詳細をつづったブログ投稿の中で、「今年、複数の困難な事情により、ほとんどの人はこの歴史的なセレモニーをバーチャルで体験することになります」と述べた。

「Twitterはこの政治イベントを人々が視聴して語り合うための場所を提供し、また公式な政府コミュニケーションチャンネルの移行で主要な役割を果たします。当社は、人々がTwitter上でどんなものを目にするべきなのか、明確にしておきたいと思います」。

もちろん就任式は報道機関や公式の就任式アカウント、@JCCIC(大統領就任合同委員会)、そして@BidenInauguralなど複数のアカウントによってTwitter経由でライブストリームされる。

Twitterはまた就任式を同社のUS Elections Hubでもストリーミングする。このハブではキュレートされたモーメント、リスト、フォローすべきアカウントをシェアする、としている。

就任するとバイデン氏とハリス氏は、@POTUSと@VPのTwitterアカウントを運用できる。就任式の日に新政権に移行する他のアカウントには@WhiteHouse、@FLOTUS、@PressSecといったものが含まれる。

Twitterはまた、ハリス氏の夫であるDouglas Emhoff(ダグラス・エムホフ)氏が@SecondGentlemanという新しい公式アカウントを使うことも明らかにした(なぜ「SGOTUS」ではないのかは明らかではない。それはそうと、この頭字語は魅力的ではない。

【更新】Twitterの広報担当は「@SecondGentleman」アカウントは本人の選択によるものだとTechCrunchに語った。

オバマ大統領がオフィスを去ったときにそうしたように、Twitterはトランプ政権の現在の組織アカウントを米国立公文書記録管理局(NARA)に移す。つまり、同政権の奔放なツイートとアカウント履歴は公開されたままとなる(アカウントのユーザーネームはアーカイブ用ステータスを反映したものに変わる。たとえば@POTUSは@POTUS45として保管される)。

しかしながら、すべて大文字で怒鳴ったり、習慣の自己憐憫を吐き出したりと政治的な棍棒として頻繁に使われたトランプ大統領の個人アカウントはすでに削除された。行動規範を繰り返し破ったとしてTwitterは先週トランプ大統領を永久停止にした。なので、NARAに保管されるトランプ大統領のアーカイブとは大きな違いがある。

「アーカイブ化と移行プロセスは公式の政府Twitterアカウントでのみ行われます」とTwitterは認めた。

@POTUSと組織アカウントの移行では、前政権のフォロワーを自動的に引き継がないことを我々は2020年後半から知っていた。しかしそれがなぜなのか、Twitterは明らかにしていなかった。

米国時間1月15日、@POTUSと他の公式アカウントの現在のフォロワー(3330万人)は、アカウントの新しい持ち主をフォローする「オプション」を含むアーカイブプロセスについてのノーティフィケーションを受け取る、とTwitterは繰り返した。

これはトランプ大統領が当時のオバマ大統領の@POTUSから1400万人のフォロワーを受け継いだ2017年から大きな変更だ。

この件についてTechCrunchが尋ねると「フォロワーの移行について、このブログにある以上のことはコメントしません」と広報担当は述べた。

奔放な大統領のサポーターが議事堂と議会下院で大混乱を起こそうと警察の警戒線を破り、米議会議事堂で起こった米国時間1月6日のカオス的な事件を考えると、恐怖をともなう2021年の政権移行でテックプラットフォームが自社のツールを別の歴史的暴動(あるいはより悪いもの)をライブストリームするのに使われないようにするのは当然だ。

暴動後もトランプ大統領は、不正投票によって選挙が盗まれたと虚偽の主張を展開し続けた。

しかしトランプ大統領は今週初めのTwitterによる個人アカウント停止を、自身が語る新しい動画を公式の@WhiteHouseアカウントに投稿することで出し抜いたとき、大きな嘘への直接的な言及は避けた。

大統領は動画で「議事堂襲撃」と表現し、「先週目の当たりにした暴力をはっきりと非難する」と主張し、団結を呼びかけた。しかしTwitterは大統領の投稿を削除することなく、プラットフォーム上で大統領が発言できることに厳しい制限を設けた(また公式の@POTUSチャンネルへの投稿も制限した)。なのでトランプ大統領は発言に関する紐をかなりきつく縛られている状態だ。

また大統領は動画で、「直近にあった自由なスピーチへの前代未聞の暴力」と表現したアカウント停止に対する言葉による攻撃をいくつかの発言に制限している。発言ではテックプラットフォームの検閲を「間違って」いて「危険」とし、「今必要とされているのは互いに耳を傾けることであり、黙り込むことではない」とも付け加えた。

この文言にはいろいろとあるが、トランプ大統領の苦痛と譲歩、最後の結束の求めが、自分から力が失われているのを感じているときに出てきたということを見逃すべきではないだろう。

最も注目すべきは、力のあるテックプラットフォームが大統領のヘイトメガフォンを無効にした後に結束の要求があったことだ。プラットフォームはトランプ大統領が民主党全国大会をラフに扱い、市民の規則を破ることを許してきた特別免除の日々に終止符を打った。

2021年の大統領就任式がいかにこれまでと異なるものになるか推測したり、Twitterのようなプラットフォームが最初から一貫してトランプ大統領にルールを適用していたらどうだっただろうかと思い巡らしたりするのはかなりおもしろい。

我々はロックダウンという状況にあり、バイデン氏が政権を握るまでの日を数えている。そして何よりもスムーズな政権交代を願う。

TwitterのCEOであるJack Dorsey(ジャック・ドーシー)氏は今週、Twitterは「健全な会話を促進する」というミッションで失敗したと述べたが、それは極めて正しい。Twitterは何年もの間、オンライン上の有害性についての警告を無視してきた。少なからず、トランプ大統領は有害で分裂的なプロダクトだった。

Twitterの政権移行対応についてブログ投稿の中の「公共の会話の保護」というタイトルのわずかな部分で、同社は今後しばらく「暴力の扇動、攻撃の計画、選挙結果についての誤情報の故意的なシェア」のためにプラットフォームが使われるのを防ごうと取っているステップを提示した今週初めの投稿に言及している。

こうした対策には、主にQAnon陰謀論に関連するコンテンツ共有のための7万ものアカウントの停止、市民活動の阻害に関するポリシーの一層の強化、ラベルを貼ったツイートに関するインタラクションの制限の適用、トレンドや検索に登場する暴力的なキーワードの阻止が含まれる。

「法執行当局とのコミュニケーションを含め、こうした取り組みは就任式まで続き、必要に応じて状況の変化にリアルタイムに対応します」と付け加え、さらなる騒ぎの可能性に備えている。

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(翻訳:Mizoguchi

Twitterに続きSnapchatもトランプ大統領のアカウントを永久停止

Snap(スナップ)が米国時間1月7日にトランプ大統領のSnapchat(スナップチャット)アカウントを無期限停止すると発表してからかなりの動きがあった。Facebook(フェイスブック)、Instagram(インスタグラム)、YouTube(ユーチューブ)の大統領のアカウントが一時停止となり、そしてTwitter(ツイッター)はアカウントを永久停止した後、Snapは大統領のSnapchatカウントを永久停止することを決めた。

ユーザーとしてトランプ大統領のソーシャルメディア好きは明らかだが、大統領の選挙活動にとってSnapchatは若いユーザーに訴える格好のサービスだった。大統領は主要なソーシャルプラットフォームの大半から締め出され、アカウントの永久停止は間違いなく大統領の今後のビジネスや政治的野心の未来を複雑なものにするだろう。

プラットフォームからのトランプ大統領排除は、大統領に扇動されたサポーターの暴徒たちによる米国時間1月6日の議会議事堂での暴動を受けてのものだ。それ以来、多くの企業がトランプブランドとのつながりを断ち、その一方でソーシャルプラットフォームは大統領として残された日々と今後におけるトランプ大統領の存在を最小限化しようとしてきた。

Snapは、過去数カ月にわたってトランプ大統領のアカウントが繰り返し同社のコミュニティガイドラインを破ってきたことから今回の決断に至った、と話している。

「先週当社はトランプ大統領のSnapchatアカウントの無期限停止を発表しました。以来、どのような長期的対応がSnapchatコミュニティにとって最善なのか検討してきました。治安のために、そして明らかに当社のガイドラインに反する、誤情報、ヘイトスピーチ、暴力の扇動を広めようとする大統領の企てに基づいて当社は大統領のアカウントを永久停止することを決めました」とSnapの広報担当はTechCrunchに語った。

Snapによる大統領アカウントの永久停止は最初にAxiosが報じた。

関連記事:Snapchatもトランプ大統領のアカウントをロック

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タグ:SnapchatSnapドナルド・トランプアメリカソーシャルメディアSNS

画像クレジット:TechCrunch

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(翻訳:Mizoguchi

Airbnbが米大統領就任式週のワシントンD.C.における宿泊予約をすべてキャンセルに

Airbnb(エアビーアンドビー)は大統領就任式がある週にワシントンD.C.で誰にも宿泊を提供しない。同社が声明文で明らかにした。

CEOのBrian Chesky(ブライン・チェスキー)氏は米国1月13日、米議会がDonald Trump(ドナルド・トランプ)大統領に対して2度目となる弾劾訴追を行うための歴史的な決議案採決を行う中、Twitter(ツイッター)で同社の対応を発表している。

大統領就任式を控えてD.C.内とその周辺のAirbnbの宿泊を全面的に禁止するという動きは、米国時間1月6日の議会議事堂での暴動に関係した人が大統領就任式までの間にD.C.に戻ってくるのに同社のサービスを使わないようにしようと、宿泊予約のレビューを約束したことを受けてのものだ。

「D.C.、州、連邦当局がワシントンD.C.に移動しないよう人々に呼びかけていることへの対応として、当社は本日、就任式の週のワシントンD.C.地区の予約をキャンセルすることを発表します」と同社は声明文で述べた。「加えて、その期間のワシントンD.C.エリアの新規予約の受け付けも停止します」。

宿泊予約がキャンセルされた客は全額返金を受ける。そしてキャンセルされた宿泊で得るはずだった代金をホスト側に弁済すると同社は述べた。また同社はHotelTonightの予約も同様にキャンセルされると話した。

「当社の該当地域のホストコミュニティ、ワシントンD.C.当局、コロンビア特別区首都警察、議員からのも今週を通して情報を得ています。特にMuriel Bowser(ミューリエル・バウザー)D.C.市長、Larry Hogan(ラリー・ホーガン)メリーランド州知事、Ralph Northam(ラルフ・ノーサム)バージニア州知事は、就任式のためにワシントンD.C.を訪れるべきではないと明確にしています」と同社は述べた。「加えて、就任式を妨害するために移動しようとしている武装民兵や有名なヘイトグループに関する1月12日午後の報道を当社は確認しています」。

Airbnbはまた、先週議事堂で何が起きたのか取り調べている法執行機関に協力してきた。

「1月6日の議事堂での暴力的な犯罪行為に関わったことが確認された個人の名前をメディアや法執行機関ソースを通じて入手し、そうした個人がAirbnbにアカウントを持っていたかどうか調査しました。その結果、当社は有名なヘイトグループまたは議事堂での犯罪行為に関わった数多くの個人を確認し、そうした個人はAirbnbのプラットフォームから排除されました」と述べている。

関連記事:大統領就任式を控えAirbnbが議会議事堂での暴動参加者排除に関する追加措置

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Airbnbアメリカ

画像クレジット:Bloomberg / Contributor / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

遅ればせながらYouTubeもトランプ大統領への措置を決定、公式チャンネルへの新規投稿を1週間禁止

米国時間1月6日の米国議事堂乱入をきっかけに、Donald Trump(ドナルド・トランプ)大統領が暴動を煽るためのメガホンとしてプラットフォームを使い続けるという脅威に大手ソーシャルメディアが一斉に対応しているが、そうした中でYouTube(ユーチューブ)は最も対応が遅いソーシャルメディアプラットフォームだった。しかし今、同プラットフォームは一時的に新規投稿を禁止する措置を取る。

短いTwitter(ツイッター)スレッドの中で、Google(グーグル)傘下のYouTubeは「現在も続く暴力の可能性の懸念があることから」トランプ大統領のYouTubeチャンネルにアップロードされた新しいコンテンツを削除したと述べた。

YouTubeはまた、少なくとも7日間アップロードを禁止するという1つめのストラク措置を適用したたとも述べた。

この記事執筆時点で、トランプ大統領のYouTubeチャンネルは278万人の登録者を抱えている。

「現在も続く暴力に関する懸念を考えたとき、コメントセクションに安全上の懸念が見つかった他のチャンネルに対して取ってきた措置と同様、当社はトランプ大統領のチャンネルでのコメントを無期限に不可とするかもしれません」とも付け加えた。

削除されたコンテンツについて、そして7日間経った後にトランプ大統領の同プラットフォームへの投稿の禁止を延長するかどうかをどのように決定するのか、TechCrunchはYouTubeに確認している。

YouTubeの広報担当は直近の出来事、そしてこれまでのトランプ大統領の発言に照らして暴力のリスクが増していると判断したと述べ、1月12日にトランプ大統領のチャンネルにアップロードされたコンテンツについて、暴力の扇動に関する同プラットフォームの規約に違反したために削除したことを認めた。

広報担当者はどのビデオコンテンツがコンテンツ削除と1つめのストライクにつながったのかは明らかにしなかった。

YouTubeによると、同プラットフォームは標準の「3ストライク」ポリシーを適用している。このポリシーでは、90日の間にストライク3つとなったらそのチャンネルは永久停止となる。1つめのストライクでは1週間の停止、ストライク2つで2週間の停止、そして3つめのストライクでチャンネルは永久に使用不可となる。

記事執筆時点でトランプ大統領の公式YouTubeチャンネルはこのところ一連のアップロードがあった。ここには、トランプ大統領が2016年の選挙キャンペーン中に約束した「壁建設」が「成功的に完了した」と賛美したメキシコとの国境壁での演説からのクリップ5つが含まれる。

こうした最近アップロードされたなかの1つで「トランプ大統領が先週の出来事を語る」というタイトルの動画では、トランプ大統領は米議事堂を攻撃したサポーターを「暴徒」と呼んでいる。そしてパンデミックやワクチンの展開についてのだらだらと続くコメントに移る前に、自身の政権は「暴力や暴動ではなく、法の支配を信じる」と主張している。

そしてトランプ大統領は法執行機関で働く人々は「MAGA(アメリカを再び偉大な国に)アジェンダ」を支える存在だと主張し、ビデオクリップは「癒し」「平和と冷静さ」「法の執行の尊重」の懇願で終わっている。

国境へ移動する前に記者たちにトランプ大統領が話すクリップはまだチャンネルで閲覧できる。

そのクリップの中でトランプ大統領は、「政治史上最大の魔女狩りが続いている」と自身に対する2度目の弾劾のプロセスを攻撃した。ここではトランプ大統領は米下院議長Nancy Pelosi(ナンシー・ペロシ)氏と米民主党の上院議員Chuck Schumer(チャック・シューマー)氏に言及した。ベールをかけているように聞こえるが標的型の攻撃だ。

トランプ大統領は「私は暴力を望んでいない」と報道陣に最後の警告を投げる前に、「(彼らが)その手続きを進めることで、我々の国にとてつもない危険と怒りを生み出す」と述べた。

YouTubeがトランプ大統領のメガホンを一時停止することを選んだ一方で、Twitterはあまりにも多くの違反をしたとして先週大統領のアカウントを永久停止した。

Facebook(フェイスブック)もまた「無期限」停止という措置を取った。ただ、将来トランプ大統領が大騒動を起こすためにFacebookを使うことができる可能性を残している。

トランプ大統領に行動規範の特例を認め、そして乱用、いじめ、嘘、(直近の)暴動のためにプラットフォームを提供したとして人々の怒りはソーシャルメディアプラットフォームに向けられているが、YouTubeはこれまでのところ、そうした怒りの主要ターゲットとなることをなんとか逃れてきた。

しかしながらトランプ大統領のアカウントの一時凍結は、公民権運動グループがYouTubeへの広告ボイコットを組織すると脅したことを受けてのものだ。

ロイターによると、2020年夏のFacebookに対する主要広告主ボイコットにつながったStop Hate for Profit (利益のためのヘイトをやめろ、SHP)キャンペーンは、YouTubeがトランプ大統領の認証済みチャンネルを停止することを要求した。

「もしYouTubeが我々に同意せず、トランプ大統領禁止で他のプラットフォームの仲間に加わなければ、我々は広告主に訴えます」と、SHP組織者の1人であるJim Steyer(ジム・ステイラー)氏はロイターに述べている。

トランプ大統領に対する措置についての公式コメントの中で、YouTubeは広告主からの予期しない影響についての懸念には言及していない。ただ近年、憎悪に満ち、攻撃的なコンテンツをめぐって広告主からのボイコットに直面してきた。

報道陣へのコメントで、YouTubeは誰がチャンネルを所有しているかにかかわらず常にポリシーを適用してきたと主張し、公的人物にも特例は認めていないと話している。しかしYouTubeは3つのストライクによる使用停止をひっくり返してきたことで知られている。たとえば英国の全国ラジオ局TalkRadio(トークラジオ)は最近、新型コロナウイルス誤情報に関連してストライク3つとなったのちに復活した

TalkRadioの場合、チャンネルの復活はTalkRadioのオーナー、News CorpのRupert Murdoch(ルパート・マードック)会長による介入を受けてのものだったと報じられた。英国の大臣もまた政府の政策のメリットを議論するチャンネルの権利を擁護した。

トランプ大統領の場合、ワシントンでの衝撃的な事件、さらには大統領のサポーターによるオンライン上の暴力的な脅しが続いていることもあって大統領の主張に喜んで乗る政治家の数は減りつつある。

ただ、テックプラットフォームの巨大なマーケットパワーについての懸念はかなり広がっている。プラットフォームは一方的な行動を取って米国の大統領の何百万という人々に配信する力を封じることができる立場にある。

今週初め、ドイツのAngela Merkel(アンジェラ・メルケル)首相はトランプ大統領のアカウントの停止について「問題がある」と述べた。その一方で欧州各国の議員たちはテック大企業に対する規制につながると述べた。

なのでトランプ大統領のレガシー(遺産)が何であれ、ミュートにされたことで激しく罵るのに忙しい大統領は当然のことながら、対象のテック大企業に影響を及ぼす永続的な政策の導入に目を向けているはずだ。

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(翻訳:Mizoguchi

私は言論の自由の擁護者だがその意味がわからなくなった、技術と言論の自由に待ち構えているものとは?

米国の大統領はおそらく世界最強だといわれている。その彼がTwitter(ツイッター)に投稿できない。そしてFacebook(フェイスブック)にも。それだけでなく、先週私たちが目撃したように、その他の多くのソーシャルネットワークに対してもだ(まあ彼はまだ核ミサイルの発射コードを手にしているので、それはそれで熟考すべき興味深い力だが)。

先週行われた禁止の数々は異例のものだった。しかし、Donald Trump(ドナルド・トランプ)大統領だって異例だ。今世紀にはもう、ホワイトハウスの現在の占有者のような口調で、公にわめき立てる大統領は登場しないかもしれない(少なくともそう願うことができるだけだが)。しかし、トランプ大統領の危機全体が本当に例外的なものであるならば、それは単に無視することができる。ルールというものは、言論の自由に関するルールでさえも、例外的な状況に対処するための例外を常に持っていたのだ。大統領が暴力的な抗議を挑発して、その結果追放される。米国の行政リーダーシップ史における、ユニークな瞬間であることは間違いない。しかし、主役は別として、最高裁の判例の下で、暴力的な脅迫が何十年もの間禁止されてきたテック業界や出版社たちの反応は特に異例なものではない。

では、なぜそれを私たちは無視しないのか?何か大きなものが足元に埋まっていることを、実感しているからではないだろうか?私たちの世界の情報アーキテクチャ全体が変化して、現代の米国を支配してきた言論の自由をめぐるルールの構造を、完全に覆してしまったのだ。

言論の自由は、科学と合理性と実証主義をともなう人間の進歩主義と、深く絡み合っている。「marketplace of ideas(アイデアを公開討論する場)」の目的は、議論が相互の対話として行われ、自分たちの事実と推論が検証され、悪いアイデアがより良くより実績のあるものによって洗い流されるようにすることだ。もちろん時には論争になることもあるが、最終的には挑発よりも解明を目的としたポジティブな論争なのだ。

私が言論の自由に対する「絶対主義者」なのは、そうした人類の進歩を信じているからであり、「アイデアを公開討論する場」という概念が、世界を探求し自己を内省するために、人類が種として歴史的に構築してきた最良のメカニズムであると信じているからなのだ。だが、先週の出来事を目撃した今、私たちの情報共有地がうまく機能しているふりを続けることもできない。

どうやら、それは矛盾しているようなのだ。私は言論の自由を支持しているものの、「真の意味」では支持していないのだ、という意見は理解できる。それでも、システムの何かの間違いに対して、いくつかのより深い、より基礎的な質問をするためにの合理的な判断一時休止をすることはあるだろう。私の苦しみは、ACLU(米国自由人権協会)が公式声明で見せた苦しみと同じものだ。

それは「我々は(トランプ大統領を)非難するが、(ネット企業の対応も)懸念している」というような、生ぬるいどっちつかずの意気地なしの反応だ。言論を取り巻く環境が急速に変化する中での穏当な対応の1つではある。同じいい方をするなら、私は「アイデアを公開討論する場」の強い擁護者だ、しかし残念ながら、それはもう今は潰えてしまった「アイデアを公開討論する場」の「1つ」に過ぎなかったということだ。ともかく、うまくいってないことを全部考えてみよう。

  • 情報が多すぎて、どんな合理的な人間でもすべてを処理することは不可能だ
  • 溢れる情報の多くはゴミであり、明らかな詐欺であり、さらに悪いことにそれが配布されている情報システムそのものを、混乱させ弱体化させるためにデザインされた秀逸な心理的プロパガンダの断片だったりする
  • 私たちはこれまで、これほどまでに多くの人たちが、公共の場所に対してこれほど制限もほとんどなしに信念や、戯言や、侮蔑を撒き散らすことを許してこなかった
  • 対話の中にアイデアはほとんど残されていない。構成主義的な思考と同様に、協調関係は死にかけている。今や「ストア」は同じ公共の広場の中ではなく、それぞれの個人のフィードの中に置かれているので、もはや「公開討論する場(marketplace)」は存在しない
  • ひと握りの支配的な独占プラットフォームからの強制的な誘導がコミュニケーションのやり方を荒々しく傷つけ、慎重な議論や論争よりも、有力な「クリックベイト」の方を奨励している
  • テックプラットフォームで見られるユーザーのエンゲージメント数が非常に多いことを考えると、大多数の人がこれを気に入っているようだ

私たちは、何十年も前からこうした事態が訪れることには気がついていた。人間が処理できない、現代の工業化された世界の複雑さをテーマにした、Alvin Toffler(アルビン・トフラー)の「Future Shock(未来の衝撃)」が出版されたのは1970年のことなのだ。1980年代から1990年代にかけてのサイバーパンク文学やSFは、この迫りくる猛攻撃に向かって広範囲に応戦してきた。インターネットが急速に拡大する中で、Nicholas Carr(ニコラス・カー)の「The Shallows(ネット・バカ)」のような本が、インターネットがいかに私たちが深く考えることを妨げているかを問いかけていた。それが出版されたのは10年前だ。現在は、地元の書店に行けば(もし書店がまだ存在していて、読者が実際に1000ワード以上の文章を読む能力がまだあるとするなら)、メディアと通信の未来を分析し、インターネットが認知的に私たちに何をしているかを分析しているさまざまな書籍を見つけることができる。

私の「言論の自由」に対する絶対的な信念は、米国で言論の自由がどのように機能すると考えられているかに対する、いくつかの明確な仮定に基づいていた。残念ながら、それらの仮定がもはや成り立たないのだ。

私たちはもはや、市民が自分たちが直面している問題について、おそらく怒りながらでも議論を交わすことができるような、おなじみの公共の広場があると仮定することはできない。私たちはもはや、クズ情報が編集者によって、または出版社によって、または読者自身によってフィルタリングされると仮定することはできない。私たちはもはやメッセージを携えて私たちに接触してくる人たちが、ある程度身辺調査済で、真実や事実を基に語っていると仮定することはできない。

私たちはすでに公開討論の場のあらゆる場所が、ありのままに機能しているのだと仮定することはできないのだ。

それこそが仕事の場でも生活の場でも、言論の自由の権利に日々頼っている私たちにとって、この時代を厳しいものにしているものなのだ。そうした基本的な仮定がなければ、言論の自由の権利は、私たちが期待しているような、人間の進歩主義と合理性の砦とはならない。私たちの情報共有地は、必ずしも最高で質の高いアイデアが最上位に浮上し、私たちの全体的な議論を推進してくれることを保証してはくれない。

私は寛容な米国人の感覚として、言論の自由を心から信じている。なので私と同じように、私たちの「公開討論の場」の危険な状態を本当に心配している友人も多い。しかし私たちはみな、目の前にある現実に直面する必要がある。システムは現実として本当に壊れていて、単に「言論の自由を!」と叫ぶだけでは、それを変えることはできない。

今後とるべき道は、言論の自由をめぐる会話を、私たちの世界の情報アーキテクチャをどのように改善していくべきかというより広い問いかけへと転換させることなのだ。クリエイターや、アイデアを生み出す人や、それらを分析する人が、適切な経済状況の下にそれを行うことを保証するにはどうすればよいのか?それは、作家、映画製作者、小説家、研究者、その他のすべての人が質の高い仕事ができるようにすることを意味する。おそらく長期間にわたって、収入が減らないようにするために「トップに留まり」続けようと、新しい写真や考察を10分ごとにアップロードしなくてもいいようにするということだ。

事実と「真実」が常にすぐにではないにしても、徐々にでも最終的には勝利をおさめることを確実にするためには、コミュニケーションの各階層におけるインセンティブをどのように整えていけば良いのだろうか?情報の大量流通にともなう力が、正確性や合理性に対する公の義務という概念を少なくとも何らかのかたちで体現している人たちによって、きちんと持たれるようにするにはどうすればよいのだろうか?

何よりも重要なのは、読者や視聴者の1人ひとりが、自分の目にした情報を処理する能力を高め、主体的な行動を通じて合理性に向かって議論を進めていくにはどうしたらよいのだろうか?賢く勤勉な顧客がいなければ、どのような市場も生き残れない。情報のための市場も例外ではない。人々が嘘を要求するならば、世界は彼らにそれを与えるだろう。すでに私たちが目にしたように容赦なく。

テクノロジーだけではこの問題を解決することはできないが、テクノロジーがその解決の一部となることは絶対にできるし義務づけられてもいるのだ。適切なインセンティブを備えた代替プラットフォームは、人類が世界を理解する方法と、現在、起こっていることを完全に変えることができる。これは非常に重要で知的に興味深い問題であり、野心的な技術者や創業者にとっては取り組むに値する魅力的な対象となるはずだ。

言論の自由は必ず守る決意だが、今、目の前にあるような状態のシステムでは擁護できない。ならば唯一の防御策は、このシステムの再構築を行い、上手く機能し続けているコンポーネントを強化し、機能していないコンポーネントを修理または交換することだ。魂の救済への道筋が誤った情報で埋めつくされているべきだとは思わない。私たちはみな、このシステムをあるべき姿にするための道具と力を持っているのだ。

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(翻訳:sako)

AmazonがQAnonの陰謀論に関連する製品を排除

Amazon(アマゾン)は、QAnon(キューアノン)関連の製品を同プラットフォームから排除する取り組みを開始した。

同社広報担当者は、これには数日かかる見通しだと話している。同社のシステムを回避して製品を展示しようと試みる販売者は、全Amazon店舗での販売禁止などの処分の対象となる。

この禁止措置のニュースは、The New York Times(ニューヨーク・タイムズ)が最初に報じた

Amazonは、先週の米連邦議会議事堂で発生した暴動でQAnon支持者らがその存在を誇示していたことを受け、QAnon支持者が販売している製品を閉め出すことで、米国で最も新しく人気の高い陰謀論を排除しようとしている。

AmazonのQAnon関連製品の販売禁止措置は、同社のウェブサーバーとクラウドサービス・プラットフォームからParler(パーラー)を排除する決定に続くものだ。

販売禁止措置は、QAnonを支持する自費出版本、衣類、ポスター、ステッカー、その他QAnonの陰謀論に関連する商品に適用される。

Amazonには「いかなる人物または団体に対するものであれ、ヘイトや暴力の奨励、扇動、賞賛」を訴える製品の販売を禁じる規約があると同社はいう。

米国時間1月11日に同プラットフォームをざっと検索してみたところ、QAnon関連製品の一部はまだ販売が続けられていた

WWG1WGA(Where We Go One We Go All、我々は全員で団結に向かう)というQAnonのスローガンで検索すると、7ページにおよぶQAnon関連製品が現れた。

非常に疑わしいQAnonの陰謀論は、さまざまな陰謀論のごちゃ混ぜから生まれ出た後、2017年に掲示板4chanで広く知られることになった。

その出現により陰謀論は保守派活動家の注目を集め、支持者は先週に議事堂を襲った暴徒の中でかなり目立っていた。同じ週、少なくとも1人のQAnon信者が議会に出席していたにも関わらずだ。

AmazonによるQAnon関連製品の販売禁止措置は、以前TechCrunchもお伝えしたように、その活動が初めて暴力に発展したときから、何年も何年も何年もかかった。

QAnon信者が関わった犯罪行為には、ニューヨークのスタッテン島でのマフィアのボス殺人未遂事件フーバーダム近くにかかる橋の武力封鎖などがある。

また陰謀論支持者たちは、ハッシュタグ「#savethechildren(子どもを救え)」をジャックし、子どもの擁護者を装い公の場で極端な思想を振りまくなどして、合法的な児童の安全を守る活動の妨害も犯している。それ以前にQAnonを出入り禁止にしたFacebook(フェイスブック)は、この妨害活動を受けて、2020年末に同ハッシュタグの使用を制限している。

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(翻訳:金井哲夫)

Facebookは「Stop the Steal(選挙泥棒を止めろ)」関連投稿を全面排除の方向へ

先週の米連邦議会議事堂での破壊行為の余波を受け、Facebook(フェイスブック)は米国時間1月11日、「Stop the Steal(選挙泥棒を止めろ)」という文言に関連するコンテンツを同プラットフォームから排除するという、一歩踏み込んだ措置に出た。これは民主的な米国の選挙が操作されているという誤った主張に基づく、Donald Trump(ドナルド・トランプ)氏の権力を維持するためなら手段を選ばない右派のキャンペーンで使われるスローガンだ。今や、暴動もその手段に加わった。Facebookは2020年11月、すでに「Stop the Steal」を最初に訴え出した一部の団体を排除し、暴力行為を奨励するなど規約に違反するページ、グループ、イベントの削除を約束していた。

TechCrunchでもお伝えしたが、Facebookは2020年11月の選挙にまつわる陰謀論のハッシュタグ(#sharpiegate、#stopthestealなど)の阻止に踏み切っている。これらを検索しても、結果にグループや投稿は示されない。

だがこうした浄化作戦もFacebookが公言し、我々が期待していたほど大規模ではなく、長続きもしなかった。今これを書いている時点でも、たとえば「Stop the Steal」を公然と訴えるFacebookグループが複数活動している。

Facebookは、今回の強い措置は米国での暴力行為を煽る声の高まりに対処するための判断だと述べている。

「私たちは、選挙結果に関する実のある対話を認めてきましたが、それは今後も継続します」と、Facebookの品位担当副社長Guy Rosen(ガイ・ローゼン)氏とグローバルポリシー管理担当副社長Monika Bickert(モニカ・ビカート)氏の共著によるブログ記事で説明している。「しかし、暴力行為の誘発につながりかねない米国大統領選挙の結果に反対するイベントページを立ち上げようとする今なお止まない試みや、ワシントンD.C.での1月6日の暴力行為でも叫ばれていた文言の使用に関しては、大統領就任式に至るまでの間、この追加措置で対応します」。

「この新しい措置の施行には多少時間がかかることも考えられますが、すでに大量の投稿が削除されています」と彼らは訴えた。

Facebookは、米国の首都で起きた暴動の首謀者たち御用達のプラットフォームと見られることを、明らかに嫌っている。実際、Facebookの最高執行責任者Sheryl Sandberg(シェリル・サンドバーグ)氏は、米国時間1月11日に、Reuters(ロイター)のインタビューに応えて、あの暴動は、Facebook以外のインターネットサービスによって「大半が組織された」と主張している。Facebookは、QAnon(Qアノン)、Proud Boys(プラウドボーイズ)、Stop the Steal関連組織のような怪しいグループによるコンテンツ、および暴力を呼びかけるあらゆるコンテンツを削除してきたと彼女は話している。

規約違反のコンテンツを積極的に削除している大手ソーシャルプラットフォームは、Facebookだけではない。それは、ソーシャルメディアの比較的寛容な方針が、暴力的な抗議行動から、さらにはクーデターや人の殺害の企てを招くという思わぬ結果をもたらしたことへの対処だ。

米連邦議会が大統領の弾劾を検討し始める中、ソーシャルメディア企業には、プラットフォームからトランプ氏排除するところも出てきた。その一方で、それらに対抗するソーシャルネットワークParler(パーラー)に協力するアプリストアウェブサービスのプロバイダーは、Parlerから発信されるヘイトスピーチや暴力を増長している。

Facebookは、少なくとも1月22日までは、リアルタイムで危機を監視し対応できるよう、Integrity Operations Center(品位ある運用センター)に24時間体制でスタッフを常駐させると話している。FBIは、1月20日のJoe Biden(ジョー・バイデン)次期大統領の就任式まで、50の州都とワシントンD.C.で武装抗議行動を企てないよう警告を発したと、今朝、APが報じたが、Facebookが定めた期間は、それに準じたものと思われる。そのためにこの数日間は、Facebookの品位ある運用センターの対応が非常に重要視される。

同センターはジョージア州の決戦投票と、議会の選挙人団による投票の集計よりも前からすでに活動していたが、その活動範囲は、議事堂での抗議活動を受けて拡張されたとFacebookは話している。

さらに同社は今後も法執行機関と協力して、コンテンツの削除、アカウントの凍結、ユーザー個人情報の法的要請への対応を継続するとのことだ。

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トランプ大統領はこうしてプラットフォームを失った、テック業界にとって前代未聞の歴史的な1週間を振り返る

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(翻訳:金井哲夫)

大統領就任式を控えAirbnbが議会議事堂での暴動参加者排除に関する追加措置

2017年のシャーロッツビル暴動後に導入した規約に基づき、Airbnb(エアビーアンドビー)は大統領就任式を控え、ワシントンD.C.のコミュニティ保護を強化するためにさらに踏み込んだ措置を取ると明らかにした

Airbnbによると、同社はすでに特別なイベントの前には暴力的なヘイトグループと関係のある人をプラットフォームから排除している。

そして大統領就任式を控え、ワシントンD.C.地区が白人至上主義者やネオナチ、狂信的な愛国主義者で溢れかえることがないようにするため7ステップ計画を展開すると明らかにした。

Airbnbは先週の暴動で議事堂周辺での犯罪行為に関わったと特定された個人の利用を禁止すると話した。「1月6日の米国議事堂での暴力的犯罪行為に関わったと確認された個人の名前をメディアや法執行機関を通じて入手し、その人物がAirbnbにアカウントを持っているかどうか調査します」と同社は述べた。「ここにはコロンビア特別区首都警察の1月6日の逮捕記録との相互参照も含みます。記録に名前のある個人がAirbnbにアカウントを持っている場合、当社はAirbnbの利用を禁止するなどの措置を取ります」。

ヘイトグループに関連する人物が調査網から漏れることがないよう、就任式までの間に議会議事堂周辺ですでに入っている予約を確かめる追加の措置だ。

同社はまた追加のID確認や、バックグラウンドチェックを最新のものにするために他のセキュリティチェックも導入するなど予約要件も厳しくする。

最後のステップとして、もしヘイトグループに関係する人をともなうとAirbnbは法的措置を取ると予約客に伝える、と同社は述べた。ホスト側にも、管理する物件に滞在している客に不審な点があれば、社のUrgent Safety Line(緊急安全ホットライン)に連絡するよう案内している。

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(翻訳:Mizoguchi

トランプ大統領はこうしてプラットフォームを失った、テック業界にとって前代未聞の歴史的な1週間を振り返る

ここ数年間、テック業界はDonald Trump(ドナルド・トランプ)大統領を穏やかになだめてきた。しかし2021年米国時間1月6日に発生したワシントンD.C.の連邦議会議事堂襲撃の後、業界は一斉に大統領に対抗する姿勢を打ち出した。TwitterからPayPalまで多くの企業がトランプ氏に対して、また場合によっては関係者や支持者に対しても、サービスの利用に関して前例のない制限や徹底的な排除を課した。

ここ数日間、これに関するニュースが絶え間なく大量に報じられている。そこで本記事では、どの企業がいつ対抗策を講じたか、今後どのような展開が予想されるかをまとめる。

Twitter:永久追放し、代替となり得るアカウントも停止

Twitterはトランプ氏の発言が節度を失わないようにするにはどうするかという議論において重要な役割を担ってきた。同氏はTwitterを好んで使う傾向があり、@realDonaldTrumpアカウントには9000万人近くのフォロワーがいるからだ。Twitterはこれまでに同氏に繰り返し警告を発し、選挙の正当性に関する発言や誤情報にラベルを付け、不規則発言のツイートは完全にブロックしてきた。

しかし1月第2週、ツイッターの我慢は限界に達したようだ。1月6日に議事堂が襲撃された直後、Twitterは襲撃に関するトランプ氏のツイートに関してユーザーに警告を発する大きなバナーを表示し、リツイートできないようにした。数時間後、Twitterはトランプ氏の個人アカウントを12時間停止した

当初は、通常の状況に戻るだろうと思われた。Twitterが米国時間1月7日午前中、暴力の扇動に関する同社のポリシーに違反すると考えられるいくつかのツイートを削除すればトランプ氏のアカウントを復旧することにしたからだ。同日、トランプ氏は最近の激しい勢いよりはややおとなしく感じられる動画を添付してツイートした。ビデオの中で同氏は大統領選挙の結果を受け入れることを初めて表明した。

しかしTwitterに対する外部からの、そして社員からの大きなプレッシャーによって、すぐに方針が変わった。米国時間1月8日の夜遅く、Twitterはトランプ氏を同社のプラットフォームから永久に追放することを決定したと発表し、@realDonaldTrumpのアカウントを凍結した。これに続き、同氏の選挙活動公式アカウントである@TeamTrumpや大統領の公式アカウントである@POTUSなどの関連アカウントをトランプ氏が利用できないようブロックし、同氏の個々のツイートを削除するなど、モグラ叩きのように対策を講じた。Twitterのポリシーには、ブロックされたユーザーは利用禁止を回避する目的で別のアカウントの使用を試みてはいけないと記載されている。

Twitterはトランプ氏の関係者や幅広いオーディエンスに対しても措置を講じ、Micheal Flynn(マイケル・フリン)氏、多くのトランプ氏支持者、QAnon(キューアノン)のさまざまな人物をブロックした

まもなく新しい大統領が誕生し、公式の@POTUSアカウントはJoe Biden(ジョー・バイデン)氏の新政権に引き継がれるが、2016年のBarack Obama(バラク・オバマ)氏からトランプ氏への移行の時とは異なり、Twitterはこのアカウントのフォロワー数をゼロにリセットする意向のようだ

トランプ氏自身に関していうと、同氏がメインで使ってきたプラットフォームからの永久追放には別の疑問が湧いてくる。同氏はこれから大言壮語や悪口雑言をどこで繰り広げるのだろうか?これまでのところ、同氏が別のソーシャルネットワークに活動の場を移した様子は見られない。しかしここ数年(Twitter上ではこの10年間)のことを考えると、同氏がゴルフコースにただ戻って静かにやり過ごすとは思えない。

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Snap:約半年前にオーディエンスの勢いをそぎ、今回は迅速にアカウントをロック

Snapは米国時間1月6日の議事堂襲撃の後、同日中にトランプ氏のアカウントをロックした。襲撃に対して迅速に対応できたテック企業の1つといえるだろう。Snapがアカウントをロックしたことにより、同氏はこのプラットフォーム上で約200万人のフォロワーに向けて新たな投稿をすることができなくなった。TechCrunchが把握している限りでは、ロックの措置はまだ続いているが同氏の公式プロフィールは現在も見ることができる。

ミネアポリスでのGeorge Floyd(ジョージ・フロイド)氏の死をきっかけに起きたBlack Lives Matterの抗議行動の後、Snapは2020年6月、同社が内容を選んで掲載する「Discover」タブからトランプ氏のアカウントを削除することで同氏のアカウントの拡散や発見を制限すると発表していた

トランプ氏はSnapのプラットフォームを効果的に利用していたわけではなく、また無期限でアカウントが停止されているため、同氏が今後Snapを本拠地にすることはなさそうだ。

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FacebookとInstagram:「期限未定」で短・中期的な利用停止か

FacebookはTwitterと並んでトランプ氏の支持者に人気があり、右派有名人の多くが利用する(Twitterの「Facebook’s Top 10」アカウント)プラットフォームでもある。ここ数年、報道機関はFacebookの穏健な対応を厳しく追及してきたが、Facebookはトランプ氏に対して直接的な行動に出ることをほとんど避けてきた。1月第2週までは。

米国時間1月6日に暴徒が議事堂から退場すると、Facebookは暴力を助長していると考えらえるトランプ氏の動画を削除した。1月6日の夜遅くになって、同社はついにポリシーの適用を拡大し、3300万の「いいね!」やフォロワーがついている同氏のアカウントを24時間停止した。同社は、トランプ氏が複数回にわたってポリシーに違反したため24時間の停止が自動的に発動したとしている。同時にFacebook(とInstagram)は議事堂襲撃に関連するトレンドのハッシュタグをブロックする措置を講じた。

米国時間1月7日朝、Mark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏はFacebook上での個人としての投稿で、トランプ氏の利用を最低でも2週間、「期限未定」で停止すると発表した。2021年1月20日正午に実施されるバイデン次期大統領の就任式あたりまでは停止の措置が延長されることになる。

就任式の後はどうなるだろうか。それは現時点ではわからない。トランプ氏のアカウントは停止されてはいるが無効になってはいない。従って同氏が自分のページに新しい内容を投稿することはできないが、現在もFacebookユーザーは同氏のページを見られる状態だ。Facebookは、政権移行が完了したら停止措置を解除するかもしれないし、措置を長く続けるかもしれない。Facebook上でのトランプ氏の存在は大きく、同氏の支持者にも非常に人気のプラットフォームであることから、Facebookは攻撃的なコンテンツの禁止と、収益にとって重要なユーザー維持との間でこれまで以上に難しい板挟みになっている。

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ShopifyとPayPal:eコマースのプラットフォームはトランプ氏の公式商品を当面販売しない

トランプ氏のオーディエンスをブロックしたのはソーシャルネットワークだけではない。eコマース大手も同氏に対しプラットフォームの節度を守る行動をとっている。米国時間1月7日、Shopifyは同氏の選挙活動グッズと個人ブランドの両方についてストアを削除したと発表した

Shopifyは数年前にプラットフォームの節度を守るための対処はしないとしていたが、最近では2018年に右派系のストアをいくつか削除するなど、問題があると考えられるストアを削除している。今回の対応はこうした方針が進展したものだ。

PayPalは1月第2週に、議事堂襲撃を支援する資金の支払いをPayPalで調整していたトランプ氏支持者グループのアカウントをいくつか無効にした。PayPalが政治的なアカウントを停止する動きは増えている。2019年には極右の活動家を、2017年にもバージニア州シャーロッツビルでの暴力的な抗議行動をきっかけに多数の極右団体のアカウントを停止した。TechCrunchが調査できる限りでは、アカウントの停止は今のところトランプ氏自身には及んでいない。

トランプ氏の著名な個人ブランドや同氏が大統領になる前の商品タイアップ好きを考えると、ShopifyとPayPal、そして他のeコマースプラットフォームが2週間後に大統領の座を退いた後のトランプ氏にどのように対応するかが大きな問題だ。同氏は再びステーキや水やオーデコロンの販売をするのだろうか。同氏は商品をオンラインで販売するeコマースの場を必要とするのだろうか。それは、同氏が次にどこを目指すのか、今後も政治に取り組むのか商売の追求に戻っていくのかによる。

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GoogleとAppleがParlerアプリをストアから削除

トランプ氏の支持者や、Facebookなどのプラットフォームが節度ある行動を示すことを懸念する人々にとって、Parlerは代替ソーシャルネットワークの筆頭だった。本稿の原文記事公開時点でこのアプリは米国App Storeの第1位だった。セキュアな暗号化メッセージアプリで1月第2週にElon Musk(イーロン・マスク)氏が強く推奨した第4位のSignalよりも上位だった。

しかし議事堂襲撃をめぐって、成長のためのParlerのご都合主義はきわめて現実的な障壁にぶつかった。米国でモバイルアプリのストアをそれぞれ運営する2つのテック企業だ。

Googleは1月8日の夜に、Parlerアプリはソーシャルネットワークとしての節度とフィルタリング機能が欠けているとして同社のストアからこのアプリを削除すると発表した。本記事公開時点でアプリのページは表示されない。したがって、新たにGoogle Playストアからアプリをインストールすることはできないが、すでにParlerをインストールして使っているユーザーは使い続けることができる。

一方Buzzfeedは、AppleがParlerの開発者に対し、安全を脅かすコンテンツをフィルタリングする機能を即座に搭載しない限りはGoogleと同じ対応を取るとして24時間の猶予を与えたと報じている。本稿の原文記事公開時点ではAppleのApp StoreでParlerアプリがまだ公開されていたが、現在は削除されている。

コンテンツのモデレーターを大量に雇用する必要があるなどコンテンツの節度は複雑な問題であるため、Parlerが短期間で要請に応えられるとは到底考えにくい。長期的に見てアプリやトランプ氏の支持者が今後どうなるかは、現時点では誰にもわからない。

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Discord、Twitch、YouTube、Reddit、TikTok:ソーシャル関連企業はトランプ氏のソーシャル活動を望まない

最後に、その他のソーシャルネットワーキングに目を向けてみよう。トランプ氏はFacebookやTwitter本社では不人気だが、最近は他社でも同様に不人気だ。ソーシャル関連各社は自社サイトへのトランプ氏のアクセスをブロックし、同氏の関係者にも対策を講じている。

Google傘下のYouTubeは米国時間1月7日に、トランプ氏自身のチャンネルも含めて選挙に関する誤情報を発信したチャンネルへの「処罰」を開始すると発表した。これまでは選挙の誤情報を含むビデオには警告のラベルが付けられたが、チャンネルそのものにはなんら影響はなかった。2020年12月にYouTubeはこのポリシーを変更し、選挙の誤情報を伝えた動画を完全に削除することにした。

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1月第2週に変更された最新のポリシーは以前のアプローチをさらに拡大したもので、チャンネルが違反をするたびに停止期間が長くなる。一定の期間内に違反が所定の回数に達すると、最終的にYouTubeチャンネルが永久に削除される。これがSteve Bannon(スティーブ・バノン)氏のチャンネルにきっちり適用され、YouTubeのポリシーを繰り返し違反したとして1月8日午後遅くに永久に削除された。一方、300万人弱のフォロワーがいるトランプ氏のYouTube公式チャンネルはまだ見ることができる。

YouTube以外では、TwitchがFacebookと同様のポリシーによりトランプ氏の使用を「無期限」に、少なくとも米国時間1月20日の就任式までは停止したと米国時間1月7日朝に発表した。Twitchでの同氏のフォロワー数はおよそ15万1000人と限定的で、同氏のソーシャルメディアアカウントの中では重要度が最も低い。

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トランプ氏の支持者も人気のテックプラットフォームから削除されている。米国時間1月8日にRedditは「r/donaldtrump」のサブレディットを停止したと発表した。このサブレディットはReddit上に多数ある非公式コミュニティのひとつで、トランプ氏の熱烈な支持者が集まっていた。Redditは2020年6月には批判の多かった「r/The_Donald」のサブレディットを削除していた。Discordは米国時間1月8日に停止されたサブレディットに関連するサーバーをシャットダウンし、その理由を「暴力を扇動するオンラインフォーラムとのつながりが明らかであるため」と説明した。

TikTokは米国時間1月7日に、議事堂襲撃に関する情報の拡散を制限すると発表した。具体的にはハッシュタグのリダイレクトのほか、暴力的なコンテンツやトランプ氏自身から支持者に向けたビデオメッセージの削除などだ。トランプ氏はTikTokのアカウントを持っていないため、TikTokの対応の大半は同氏の支持者と議事堂襲撃の状況に関する幅広いコンテンツを対象としたものだ。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:ドナルド・トランプソーシャルメディアSNSアメリカ米国大統領選挙

画像クレジット:Jose A. Bernat Bacete / Getty Images

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(翻訳:Kaori Koyama)