性的コンテンツの禁止で揺れたアダルト系SNS「OnlyFans」創業者兼CEOが退任、後任は広報担当者

OnlyFans(オンリーファンズ)の創業者でCEOを務めてきたTim Stokely(ティム・ストークリー)氏が退任することになったと、Bloombergが報じている。後任には、同社の元コミュニケーションマーケティング部長だったAmi Gan(アミ・ガン)氏が就任する。この動きは、OnlyFansにとって不安定な1年の終わりに行われたものだ。同社は8月にそのプラットフォーム上で繁栄しているセックスワーカーを禁止すると発表したが、この決定は1週間後に保留にされた

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広報担当者を会社のCEOに任命することが奇妙に思えたとしても、それは当然だろう。しかし、報道によると、これはストークリー氏自身の判断だったとのこと。同氏はアドバイザーとして会社に残ることになっている。

「私たちは、このクリエイターエコノミーに対する情熱を共有しながら、机を並べて仕事をしてきました」と、新CEOのガン氏は語る。「私たちの優先事項は、世界で最も安全なソーシャルメディアプラットフォームであるために引き続き全力を注いでいくことです」。

また、ガン氏は同社のsafe-for-work(職場で閲覧しても大丈夫)なストリーミングアプリであるOFTVに投資し、クリエイター向けの新しいツールを構築していくとも述べている。ストークリー氏自身のビジネスバックグラウンドがオンラインポルノであるのに対し、ガン氏はRed Bull(レッドブル)、Quest Nutrition(クエスト・ニュートリション)などのブランドや大麻カフェで働いた経験がある。

TechCrunchはOnlyFansに、このリーダーシップの変化がプラットフォーム上のセックスワーカーに影響を与えるかどうかを尋ねたが、OnlyFansはコメントを辞退した。

OnlyFansは、NSFW(not safe for work、職場での閲覧には不適切な)クリエイターのおかげで繁栄しており、8月には2021年の売上高が、2020年の12億ドル(約1370億円)から大きく増加し、25億ドル(約2860億円)に達する見込みであると発表していた(OnlyFansはクリエイターの収益の20%を徴収する)。しかし同時に、OnlyFansは同社を10億ドル(約1140億円)規模の企業にしたセックスワーカーたちの生活を脅かすような爆弾発言をした。それは、OnlyFansがNSFWコンテンツ(つまり、露骨に性的なコンテンツ)を禁止するというものだった。それが急速に反発を招いた後、OnlyFansはこの決定を保留し、銀行プロバイダーとの問題を解決したと発表している。

それでも、セックスワーカーたちは、プラットフォームから追い出されることを懸念しているようだ。結局、OnlyFansは禁止措置を撤回するのではなく「保留」すると言っているのだ。

OnlyFansのようなプラットフォームがセックスワーカーを排除すると脅すことは、彼(女)らが生活の糧を失うことを意味するだけでなく、彼(女)らをより危険なオフラインの労働環境に追いやることにもなりかねない。

米国議会は2019年に「Safe Sex Workers Study Act(性労働者安全調査法)」を導入し「Fight Online Sex Trafficking Act(FOSTA 、インターネット上の性的人身取引対策法)」など、オンラインでのセックスワークを困難にする法律の影響を調査した。この研究では、セックスワーカーが「オンラインプラットフォームへのアクセスによってもたらされる経済的安定性」を失った後「コミュニティ組織は、セックスワーカーのホームレス化が進んでいると報告していた(いる)」ことが判明した。

OnlyFansにおける変化の可能性は、プラットフォームからプラットフォームへと移ることがどれほど大変なことかを知っているセックスワーカーにとっても恐怖である。Patreon(パトレオン)でさえ、2018年にセックスワーカーをプラットフォームから排除した。同社はポルノを決して許可しないと言っていたが、何年もの間、このガイドラインは厳格に施行されていなかったため、セックスワーカーは同プラットフォームを利用して生計を立てることができていた。

Patreonでは、少なくともクリエイターはサブスクリプション会員のメールアドレスにアクセスできるので、プラットフォームの仲介がなくてもファンベースと連絡を取ることが可能だ。しかし、OnlyFansは、Instagram(インスタグラム)やTwitter(ツイッター)と同様に、たとえ誰かにフォローされても、その人と直接コミュニケーションを取る手段がない。顧客と連絡を取る手段がなかったら、どうやって別のプラットフォームで新しいビジネスを構築すればいいのだろうか?

OnlyFansは、このリーダーシップの変化がセックスワーカーを危険に陥れると暗示してはいないが、NSFWクリエイターの信頼をすでに翻弄してきたプラットフォームにとって、これは重大な変化である。

画像クレジット:NurPhoto / Getty Images

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

Spotify、ポッドキャストにアップルのような5つ星評価システムを導入

ポッドキャストを聴いたことがある人なら、エンドロールでホストが「Apple Podcastにレビューを残してください」というのを聞いたことがあるだろう。これからは「Apple PodcastsとSpotifyにレビューを残してください」という文言に変わるかもしれない。

Spotify(スポティファイ)は米国時間12月16日、ポッドキャストのディスカバリーを向上させようと、Apple(アップル)と同様の5つ星評価システムを導入することを発表した。同社によると、この機能はSpotifyでポッドキャストが配信されているほぼすべての市場で、今後数日のうちに展開される予定だという。

Appleと違い、この機能は現時点では星評価のみをサポートし、番組のレビューを書くことはまだできない、とSpotifyはTechCrunchに説明した。

Spotifyはブログ投稿で、その意図は「リスナーにお気に入りのポッドキャスト番組をサポートする機会を与え、クリエイターとリスナー間の双方向のフィードバックループを可能にすること」だと書いている。しかし、ポッドキャスティングというメディアが出現して以来、5つ星のAppleレビューを求めてきたポッドキャスターたちは、星の評価が実際にどれだけ番組の宣伝に役立つのか慎重だ。

ポッドキャスティングでは、立ち上げから数週間で多くの評価レビューを獲得すれば、Apple Podcastsの注目すべきチャート「New and Noteworthy」にリスト入りする可能性が高まり、番組の成長が加速するというのは、十分に裏付けがある神話だ。それに、プロのポッドキャスターたちは、Apple自身が評価やレビューはチャートに影響を与えないと言っていることを指摘している。

Spotifyの担当者はTechCrunchに「評価はリスナーとなる人が番組の質をすばやくチェックするためのすばらしい方法ですが、現時点では(この機能の初期段階なので)番組の評価はポッドキャストチャートやパーソナライズされたレコメンデーションに織り込まれません」と述べた。

つまり、これはファンがポッドキャストをどう思っているかを示すツールではあるが、今のところ番組がSpotifyのチャートやキュレーションリストに載るためのものではない。

Spotifyが2019年に買収したポッドキャスト作成プラットフォームのAnchor(アンカー)は、ポッドキャスターがリスナーに評価を残すよう促す方法について、ブログ記事で提案している。「この番組は好きですか。Spotifyの番組ページに評価を残して、私たちに教えてください」と、ある例には書かれている。

独立系のポッドキャスティング集団Multitude Productionsのクリエイティブ部門責任者であるEric Silver(エリック・シルバー)氏は「クリエイターとして、これはマーケティングの動きのように感じられます」と述べている。「私はApple Podcastsで評価やレビューをするよう、人々には一切言っていません。なぜなら私が気分良くなること以外に何も起こらないことを知っているからです」。

2021年12月初めにソーシャルメディア上でトレンドとなったSpotify Wrappedと同様のマーケティング戦術だ。自分の音楽やポッドキャストの視聴習慣を友人と共有するのは楽しいが、同時にSpotifyにとっては大きなPRの成功でもある。

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Spotifyの新しい評価システムが配信に影響を与えないとしても、シルバー氏は少なくとも数週間はリスナーがMultitudeの番組をSpotifyで評価するよう促すだろう、と話す。Spotifyは最近、米国のポッドキャストリスナー数でApple Podcastsを上回った。なので、潜在的な視聴者の大部分があなたの番組のページを訪れたときにその評価を見ることになるなら、ファンにあなたの番組を評価するよう求めることは理に適っている。

YouTube、TikTok、その他のクリエイティブなプラットフォームは、潜在的なオーディエンスに、あなたが何人のフォロワーを持っているかをすぐに表示する。しかし、ポッドキャストのダウンロード数や購読者数は、ポッドキャスターが言わない限りわからない。評価やレビューが人気の指標になるとはいえ、この点がポッドキャスティング業界と、ビデオのようなよりアルゴリズムが重視される他のメディアとの違いだ。

「理論的には、アルゴリズムはあなたを助けるはずです。しかし、これはこの時代の技術の話ではないでしょうか」とシルバー氏はいう。「とても複雑です。アルゴリズムがあればもっと発見があるのに……というような話ではなく、YouTubeやTikTokのような問題が発生すると、その逆になってしまいます」。

YouTubeやTikTokといったプラットフォームのクリエイターは、アルゴリズムが好むと思われるコンテンツを作るよう動機付けられていて、おそらく視聴者が好むと思われるものよりも作っている。しかし、メディアであっても、それはアルゴリズムに依存したものではなく、ポッドキャスティングや、Twitchストリーミングのように、固有のバイアスが存在する。2021年初め、Twitchの支払いデータが流出した際、最もギャラの高い女性ストリーマーであるPokimaneは、Twitch全体のギャラの順位で39番目に止まることが明らかになった。ポッドキャスティングも、その多様性という点ではまだまだだ

Spotifyはポッドキャストの評価をアルゴリズムによるレコメンドに使っていないとはいえ、ポッドキャストを見つけやすくするための大きな計画の一部である可能性はある。Spotifyはポッドキャストのディスカバリーを促進しようと、2021年6月にPodzを買収した

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短期的には、Spotifyは評価を通じて番組を良く見せる必要があるため、ポッドキャスターが視聴者にSpotifyを利用するように仕向けるための巧妙な動きといえる。これは本質的に悪いことではないが、SpotifyとAppleがポッドキャスティングのエコシステムでより大きなシェアを獲得しようと競争しているため、クリエイターはより大きな技術競争の渦中に巻き込まれているように感じられるかもしれない。

画像クレジット:Spotify

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Nariko Mizoguchi

グーグルのArea 120、デジタルクリエイター向けウェブストアフロントを提供するサービス「Qaya」を開始

米国時間12月15日、GoogleのチームがQayaという名前の新しいサービスを立ち上げた。クリエイターはこのサービスを使ってウェブ上に店舗をオープンし、自分のプロダクトやサービスをオーディエンスに直接販売することができる。Area 120は、初期のプロジェクトの多くがGoogleのCloud、Search、Shopping、Commerceなどの部門に移管されたことを受け、地位を昇格させた会社の大規模な再編成の一環となる。

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新プロジェクトQayaは、Area 120の社内創業者であるNathaniel Naddaff-Hafrey(ナサニエル・ナダフ-ハフリー)氏らが共同で創業した。ナダフ-ハフリー氏は以前、求人のマーケットプレイスKormoに在籍し、インドやインドネシア、バングラデシュなどのいわゆる「次の10億人の」インターネットユーザーを狙っていた。

彼は何十人ものクリエイターから話を聞き、デジタルビジネスの構築は時間ばかりかかってたいへんであることを理解し、そこから、彼らがファンに直接販売できるサービスとしてQayaを考えた。Qayaのチームにも数名のクリエイターが在籍しており、既存のクリエイターツールを使った体験を貴重なものとしてQayaに持ち込んだ。彼らは自分の体験と他のクリエイターたちの話から、クリエイターが自分の作品でお金を稼ぎ、自分のファンともっと良好な関係を築ける、ワンストップショップのような、柔軟性に富んだノーコードのプロダクトへの需要があることを知った。

Qayaのソリューションでは、クリエイターが自らの店をウェブ上に開き、プロダクトやサービス、その他のダウンロード可能なデジタル作品を並べて販売する。そこには、彼らのYouTube Merch Shelfのリンクがあってもよいし、Google検索やGoogleショッピングを統合することができる。写真やファイル、eブック、デジタルアート、写真のフィルターやプリセット、各種の仕事の生産性を高めるためのテンプレート、編み物のパターン、フィットネスのビデオなど、扱える作品にはほぼ制限はない。Googleによると、1つの店で最大1000のプロダクトを取り扱うことができる。

画像クレジット:Google

また、デジタル作品ではないリアルのグッズや他のプラットフォーム上のサービスを売りたいクリエイターは、それらをQayaのページ上にフィーチャーでき、それらを自分のブランドにすることもできる。

各ストアは「qaya.store/●●●」という形の独自のカスタムURLを持つ。そしてそれを、LinktreeBeaconsなどが提供しているソーシャルメディア上のいわゆる「リンクインバイオ(プロフィール上のリンク)」の代わりに使ってもよい。

そうしたストアのサービスを利用するとクリエイターは、自分のさまざまなオンラインプレゼンスを指すマイクロウェブサイトを作ることができる。そこで、ソーシャルメディアのチャンネルとかショップ、ブログ、音楽やポッドキャストなどを紹介し、リンクを張ればよい。

この種のサービスの慣行に倣って、Qayaのストアでもページ最上部にある名前と自己紹介の下に、クリエイターは他のオンラインプロフィールのリンクも置ける。しかし、ストアの本来の目的は、クリエイターが販売したいと思うコンテンツにファンを直接コネクトすることだ。ファンをクリエイターのプロフィールやその他のサービスにコネクトする、単なるランディングページではない。

QayaにはGoogle Payが組み込まれており、サブスクリプションやチップ、都度払いなど、いろいろなタイプの収益化方法をサポートしている。また、Qayaはクリエイターの商品の売れ行きに関するインサイトや分析も提供する。

現在、このプロダクトは無料で使用でき、マネタイズはトランザクションベースで管理されている。つまり、クリエイターはQayaにアップロードして販売した商品から得られる収益の「大部分」は、クリエイターの手元に残るとGoogleはいう。

画像クレジット:Google

Googleは現在、Qayaのベータに参加した一部のYouTubeクリエイターに、YouTube Merch Shelfの統合を進めている。同社によると、そのうちQaya でも、もっと広い範囲のプロダクトを販売できるようにするという。「その他のタイプのデジタルグッズ」も含まれるとのことで、おそらくそれはNFTのことだろう。Googleは、この話題について無視しているが。

画像クレジット:Google

Googleによると、この新しいサービスは米国では本日からローンチし、他の国のユーザーはこれからとなる。Qayaのベータにアクセスしたいクリエイターは、Qayaのウェブサイトで招待状をリクエストできる。

画像クレジット:Google

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(文:Sarah Perez、翻訳:Hiroshi Iwatani)

AIを活用したVFXスタートアップ「Wonder Dynamics」がシリーズAで11.4億円を調達

Wonder Dynamics(ワンダー・ダイナミクス)は、AI(人工知能)とクラウドサービスを使って「リビングルームレベル」のクリエイターが「ブロックバスターレベル」のビジュルエフェクトを作れるようにすることを目標にしているが、その内容はベールに包まれている。豪華なアドバイザーを誇る秘密主義の同社は、2022年の製品公開を前に1000万ドル(約11億4000万円)のシリーズAラウンドを完了した。

同社を創業したのは、Nikola Todorovic(ニコラ・トドロビッチ)氏と俳優のTye Sheridan(タイ・シェリダン)氏だ。2人は数年前、映画で一緒に仕事をした際に映画製作ツールの民主化が必要だという信念を共有したことから力を合わせることになった。もちろん、高解像度カメラとコンピューティングパワーによる編集や色調整など、すでに多くのツールは価格も難易度も下がっている。

しかし、本格的VFX(ビデオエフェクト)は別物であり、昨今のカメラとディスプレイの高解像度化とCG(コンピュータグラフィックス)の質向上によって、費用と参入障壁は高いままだ。

Wonder Dyanamicsは、AIとクラウドサービスを利用して、この状況を改善するVFXプラットフォームだが、その正確な内容は未だ秘密裏に隠されている。

「私たちのプラットフォームはまったく新しいプロセスを利用していて、CGやVFXコンテンツを作るのに必要な技術知識をもたないコンテンツクリエイターのための完全なソリューションです」とトドロビッチ氏は説明した。「プロフェッショナルなアーティストのために、制作物は既存のワークフローやソフトウェア(Unreal、Blender、Mayaなど)にエクスポートすることができる。機能はポストプロダクション(撮影後の編集作業)に特化していますが、ハードウェア要件や制作に必要な追加作業を劇的に減らします」。

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2022年のSXSW(サウス・バイ・サウスウエスト)で実物を見れば詳細がわかるだろうが、心配な人はそれまでの間、アドバイザーとしてSteven Spielberg(スティーブン・スピルバーグ)氏とJoe Russo(ジョー・ルッソ)氏の名前があることに慰められるかもしれない。もちろん、2人ともベテラン監督であり、作品の見栄えにはうるさい。特にルッソ氏(および兄のAnthony Russo[アンソニー・ルッソ]氏)は、絶対必要な場面以外、CGよりも操演(特撮の一種)を好むことで知られている。

「開発を進めるにつれ、これはビジュアルエフェクトだけのソフトウェア以上のものになるとわかりました」とシェリダン氏がプレスリリースで語った。「当社のプラットフォームは映画、テレビだけでなくビデオゲームやソーシャルメディア・コンテンツ、さらにはメタバースでも利用できる可能性があります」。

後半の用途は、新たな出資者であるEpic Games(エピックゲームズ)とSamsung Next(サムスン・ネクスト)にとってさらなる正当化材料になるだろう。今回1000万ドルのラウンドをリードしたのはHorison Ventures(ホライゾン・ベンチャーズ)で、シードラウンドで出資したFounders Fund(ファウンダーズ・ファンド)とMaC Venture Capital(マック・ベンチャー・キャピタル)も参加した。

画像クレジット:Hiretual

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(文:Devin Coldewey、翻訳:Nob Takahashi / facebook

Snapはこの1年間でTikTok風動画のクリエイターに約284.5億円を支払っている

Snapは米国時間12月14日、TikTok風サービスのSpotlightでこの1年間に1万2000人を超えるクリエイターに合計2億5000万ドル(約284億5000万円)以上を支払ったと発表した。友人との間で交わされてすぐに消えるSnapchatのメッセージとは異なり、Spotlightは広い範囲にリーチできる。Snapによれば、2020年のSpotlight開始以降、クリエイターは3倍の頻度で投稿しているという。

いうまでもなく、ショートビデオの覇権争いは進行中だ。TikTokは月間アクティブユーザー数が最も早く10億人に達したアプリの1つだが、SnapchatのSpotlight、Instagramのリール、YouTubeショートといったライバルはクリエイターが自社プラットフォーム専用のコンテンツを作る動機づけを打ち出した。Instagramのリールでは、TikTokのすかしが入った動画はプロモーションされない。Snapchatは当初1日あたり100万ドル(約1億1300万円)だった支払い金額を、2021年9月にCEOのEvan Spiegel(エヴァン・シュピーゲル)氏が「ものまねコンテンツ」が多すぎるためと述べて減らした。LinkedInSpotifyNetflix、Reddit、TwitterなどのプラットフォームもTikTokのようなフィードを実験している。

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Snapによれば、Spotlightの投稿の65%でARレンズなどのSnapchatのクリエイティブツールが使われているという。特にCartoon 3D Styleレンズは2021年夏に口コミで話題となり、最初の1週間で28億インプレッションを叩き出した。

画像クレジット:Snapchat Story Studio

SnapはクリエイターにStory Studioも提供している。これは2021年5月にSnap Partner Summitで発表されたスタンドアロンのアプリだ。クリエイターの中には、デスクトップのFinal Cut ProやAdobe Premiereでビデオを編集し、それをスマートフォンに送る人もいる。これに対してSnapはユーザーがもっと柔軟に使えるようにと試みている。クリエイターはStory Studioを使えばスマートフォン上でもっと徹底的に編集ができる。一方、ウェブアプリのSpotlightを使えばコンピュータからコンテンツをアップロードできる。

クリエイターはアプリ内ギフト機能やSnapのクリエイターマーケットプレイスでSpotlightを収益化することもできる。マーケットプレイスはブランドとAR開発者やインフルエンサーがコラボする場だ。クリエイターはギフトから売上の一部を受け取るが、クリエイターマーケットプレイスでは全額を受け取れる。

画像クレジット:Snapchat

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Kaori Koyama)

Meta、Facebook Liveのクリエイター向けに多数の新機能と発見ツールを提供

Meta(旧Facebook)は米国時間12月9日、Facebook Liveの数多くのアップデートを発表した。クリエイターがライブ放送中にファンと交流できるようにするもので「Poll」などの新機能「Live With」機能による4人での共同放送のサポート、新しいコメント機能、新しい投稿フォーマット、放送へのリンクの追加サポート、クリエイターがFacebook Storiesに直接ライブストリームを共有して見つけてもらう機会を増やすことができる「Live in Stories」などがある。

MetaのCEOであるMark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏は、米国時間12月7日に発表されたオンラインの「スター」サイトの立ち上げ後、週明けにさらに多くのクリエイターのアップデートが行われることを12月8日にFacebookに投稿し、これらの新機能やその他の新機能の登場を予告した。この新しいオンラインストアは、ウェブ専用であるため、アプリストアの手数料を回避することができる。現在、より多くのスター(クリエイターにチップを渡すための仮想アイテム)を提供することで、Facebookモバイルアプリ内で支払うのと同じ金額をファンに還元している。

12月9日に発表された新機能の中で、最も要望の多かったものの1つが「Featured Links」だ。これは、クリエイターが自分のライブ放送にウェブサイトリンクを追加し、ファンに個人のブログや寄付の機会、ショッピングサイトなどを紹介することができるようになるものだ。クリエイターは、視聴者がライブビデオから離れずにアクセスできる複数のリンクを放送に追加できるようになる。

また「Live With」機能が拡張され、ホストとゲスト最大3人の合計4人をサポートする。

そして、モバイル版のライブビデオに投票を追加できるようにもなった。この機能はこれまでデスクトップで利用できたが、モバイル向けに刷新されたことで、クリエイターはライブビデオ中にファンからのフィードバックをリアルタイムに受け取ることができる。

ファンバッジのデザインも一新され、コメントを見たときに、どのファンが応援してくれているのか、ファンの名前の横にバッジが表示される。

Metaによれば、最も熱心なファンが誰であるかをクリエイターが簡単に知ることができる新しい体験もテストする。この機能は、丸みを帯びたプロフィール写真を持つクラブハウスに似ており、ライブストリーム中に自分の一番のファンを特定し、彼らに挨拶を送ることがより簡単になる。

また「Live in Stories」のサポートも開始する。これにより、クリエイターは自分のライブビデオをニュースフィードのトップに表示することができる。そうすることで、クリエイターは自分のライブ放送をFacebook Storiesに共有し、発見の機会を最大化することができる。

クリエイターが公開された投稿にコメントすると、自分の名前の横にフォローボタンが表示され、コメントした投稿がフォロワーのフィードにポップアップ表示される。クリエイターのコメントは、それぞれのディスカッションスレッドで上位に表示されるため、スパム的かつ反復的なコメントは目につきにくくなる。コメントランキングは、Reel、Facebook Liveビデオ、Live Audio Roomにも適用され、クリエイターのコメントが最初に表示されるようになる。

Metaは、クリエイターが通知からコメントにすばやく反応して対応する機能も追加する。

さらに、クリエイターがコミュニティとのつながりを深めることを目的とした「Spotlight Conversations」という新しい投稿フォーマットのテストを開始する。クリエイターは、テキストベースの会話へとゲストを招待する。この会話は、クリエイターとそのゲストのためのコメント欄、そして他の人がフォローして議論するためのコメント欄の2つの独立したタブで投稿として表示される。これにより、他のコメントに煩わされることなく、メーンの議論だけを追うことができる。

さらに、フォローしているクリエイターの見逃したコンテンツを、ニュースフィードに直接表示する「ディープダイブ」のテストも行う。

クリエイターは、FacebookからInstagramにクロスポストすることもでき、Facebook Watchのトップで新しいビデオをすぐに作成できるようになる。

これらの一連の新機能を合わせると、Facebookのクリエイター体験が大幅にアップグレードされる。これまでFacebookは、Reelのような新機能の多くが最初に導入されるInstagramに比べて、アップグレードをあまり重要視してこなかった。

Metaはこの1週間でクリエイター向けのアップデートを着実に行ってきた。Starストアに加えて、12月8日はクリエイターのFacebookプロフィールに新しいプロフェッショナルモードを追加し、より多くの収益化の機会と分析にアクセスできるようにしたことを発表した。また、ザッカーバーグ氏は、まだ詳細が明らかになっていない「新しいコントロールとサポート機能」をクリエイターに提供する予定だと述べている。

関連記事:フェイスブックがクリエイターのプロフィールで新しい「プロフェッショナル」モードを試験導入

画像クレジット:Meta

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nariko Mizoguchi

Snapがより高度なAR体験を可能にするクリエーター向け新機能やツールを発表、年次イベント「Lens Fest」で

Snap(スナップ)のクリエイターたちが、新しいAR(拡張現実)ハードウェア「Spectacles(スペクタクル)」を使って実験を始める中、同社はAR制作ソフトウェア「Lens Studio(レンズスタジオ)」の機能をより深く掘り下げ、より一体感があり、よりリアルで、より未来的なARフィルターを作成できるようにした。Snapは年次イベント「Lens Fest(レンズフェスト)」で、同社の「Lense(レンズ)」作成ソフトウェアに導入される多くの新機能を発表している。これらの変更点には、外部のメディアやデータを統合する取り組みから、未来的なメガネを念頭に置いて設計された、よりARに特化した機能まで、多岐にわたっている。

メディア面については、Snapは新しいサウンドライブラリを用意し、同社がライセンスを取得した数百万曲の楽曲やオーディオクリップを、クリエーターが自分で作成したレンズに直接追加することができるようにした。また、AccuWeather(アキュウェザー)の天気情報やFTXの暗号資産価格など、他の情報ソースから取得した常に変化する情報を、APIライブラリを通じてリアルタイムでレンズに取りこむことも可能になる。大規模な機能アップデートの1つとしては、ユーザーがレンズ内にリンクを埋め込み、閲覧者を特定のウェブページに誘導することもできるようになった。

画像クレジット:Snap

自分の顔をおかしな動物に変えたりするSnapの自撮り用フィルターは、以前から拡張現実を視野に入れていた同社にとって、依然として大きな成長機会となっている。Snapによれば、現在25万人以上のクリエーターが250万個以上のレンズを作成しており、これらのレンズは合計で3兆5000億回以上もユーザーに閲覧されているという。Snapは「Ghost」と呼ばれる社内の「ARイノベーションラボ」を設けており、可能性の限界を超えようとしているレンズデザイナーをサポートし、個々のプロジェクトに最大15万ドル(約1700万円)の助成金を提供している。

また、同社はレンズをより優れたものにしようとするのと同時に、技術的にもより能力が高いものにしようとしている。

新しいデータタイプを統合するだけでなく、Snapは基盤となるAR技術にも目を向け、低価格帯の携帯電話を使用するユーザーにも楽しめるレンズを提供できるようにした。同社のWorld Mesh(ワールドメッシュ)機能は、レンズにARを活用し、より現実的なジオメトリデータを統合することで、レンズ内でより現実感のあるデジタルオブジェクトを体験することができるというものだ。Snapは、これまでハイエンドなスマートフォンでしか実現できなかったこの機能を、よりベーシックなデバイスでも可能にした。

画像クレジット:Snap

同様にSnapは、デジタルオブジェクトをよりリアルに反応させるためのツールも展開しており、現実世界とより深く相互作用するだけでなく、重力や衝突といった物理的な力にも対応し、よりダイナミックなレンズを可能にするレンズ内物理エンジンを導入した。

Snapはモバイル向けにより高度なレンズ作成ツールの開発に取り組んでいるが、それと同時に、開発者が新しいSpectaclesで、ハンズフリーのメガネ体験をデザインする際に必要となるツールをサポートすることも、将来的には目指している。クリエイターたちは、何カ月もかけてこの新しいハードウェアを使った体験を作成しているが、Snapはこの懸念に対処し、新たな機会を生み出すために、新しいレンズ機能の開発に取り組んでいる。

画像クレジット:Snap

結局のところ、Snapのメガネはまだ明らかに開発者モードであり、同社は統合されたAR機能を備えた製品を消費者向けにいつ出荷するかというタイムラインを提示していないため、理論的にはバックグラウンドで開発する時間が十分にあるとも言える。

Snapが静かに構築してきたツールの中には、Connected Lenses(コネクテッドレンズ)というものもある。これはレンズ内で共有体験を可能にするもので、複数のユーザーがSpectaclesを着用して同じコンテンツに接することができる。

開発者向けの段階では、Spectaclesのバッテリー寿命は最長のものではない。つまり、Snapは、Spectaclesが必要なときに必要なだけ作動し、持続的に動作しないように工夫する必要があった。新たに導入されたEndurance(エンデュランス)モードでは、レンズが予め設定されたGPS位置に到達するなどの特定のトリガーを待っている間、ディスプレイをオフにしてバックグラウンドで実行し続けることができるようになった。

画像クレジット:Snap

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(文:Lucas Matney、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

フェイスブックがクリエイターのプロフィールで新しい「プロフェッショナル」モードを試験導入

Meta(メタ、旧Facebook)は米国時間12月8日、ユーザープロフィールに新たに「プロフェッショナル」モードを導入する。これは、同ソーシャルネットワーク上でフォロワーを増やし収益化を図りたいと考えているクリエイターが利用するためのものだ。この新モードは、まず米国の一部クリエイターに提供され、これまでFacebook(フェイスブック)ページでのみ提供されていた収益化の機会やインサイトをクリエイターに提供する。

その中には、新しいボーナスプログラム「Reels Play」への参加も含まれており、短編動画コンテンツの再生回数に応じて、クリエイターによっては毎月最大3万5000ドル(約400万円)まで稼ぐことができるという。ただし、このプログラムへの参加は当面の間、招待制となっている。つまり、どのクリエイターがボーナスを得る資格があるかは、Metaが決定するというわけだ。

Metaは、今後利用できる他の収益化オプションについては明らかにしなかったが、ページオーナーが利用できるものと同様に、プロレベルのインサイトをこれらのクリエイターにも提供すると明らかにした。これには、投稿、オーディエンス、プロフィールに関するインサイトへのアクセスも含まれる。例えばクリエイターは、自分の投稿のシェア、リアクション、コメントの総数を確認したり、フォロワー数の推移を確認できるようになる。これにより、クリエイターは、自分が投稿するコンテンツや、そのコンテンツがオーディエンスにどのように響くかについて、より良い情報に基づいた判断を下すことができるようになる。

画像クレジット:Meta

多くのクリエイターは、ファンやフォロワーを獲得するために、すでにFacebookページではなくFacebookプロフィールを使用しているが、Metaは、この新しいエクスペリエンスにオプトインするクリエイターは、同SNS上でより世間に知られる有名人のような立場になると警告している。つまり、誰もがそのユーザーをフォローし、フィードに投稿された公開コンテンツを見られるということだが、非公開プロフィールの場合と同様に、投稿を公開または友達限定にすることはできる。

一方、現在Facebookページを利用しているクリエイターは、代わりに新しいFacebookページ体験にオプトインされる。このダッシュボードは、管理者がページのパフォーマンスを確認したり、専門的なツールやインサイトにアクセスするための中心的な場所となる。また同社は、Facebookページの2ステップコンポーザーをテストしている。これにより、クリエイターは投稿をスケジュールしたり、グループにクロスポストができる。

今回の変更は、Metaがクリエイターのユーザーベースに重点的に投資している時期に行われた。Metaは、クリエイターサブスクリプションや「スター」と呼ばれる投げ銭機能などから得られる新たな収益ストリームに期待している。同社は12月7日、Apple(アップル)とGoogle(グーグル)に手数料を支払う必要のない新しいウェブサイトを通じて、Facebookスターをアプリストアを介さず利用できるようにしたばかりだ。TikTik(ティックトック)やYouTube、Twitter(ツイッター)、Snapchat(スナップチャット)などのソーシャルアプリとの競争が激化する中、同社は以前、Reelsボーナスなど10億ドル(約1140億円)の報酬でクリエイターを誘致する計画であると述べていた。

Metaによると、新しいプロフェッショナルモードは、今のところ米国の一部クリエイターを対象にテスト中だが、今後EMEA地域(欧州、中東およびアフリカ)を含め、より広範囲に展開していく予定だという。

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Sarah Perez、翻訳:Aya Nakazato)

他社に続きツイッターもTikTokを模倣、検索タブがビデオフィード化するテスト実施

Twitter(ツイッター)は米国時間12月8日、アプリ内の「話題を検索」タブ(検索タブ)をTikTok(ティックトック)のようなビデオフィードに変え、日本では「おすすめ」にあたる「For You」タブも追加する機能のテストを行っていると発表した。この機能は、英語でTwitterを利用している一部の国のユーザーを対象に、AndroidとiOSの両方でテストされている。

Twitterの広報担当者は、TechCrunchに対しこう述べている。「ユーザーがくつろいだり、新しい関心事を見つけたり、今起こっていることを見たりするのをより簡単にするために、刷新された、よりパーソナライズされたExploreページをテストしています」。Twitter上にすでに存在するコンテンツを視覚的に表面化したものだという。これは、Twitterが継続的に行っている、プラットフォーム全体でのパーソナライズされたレコメンデーションと発見の改善に向けた取り組みの一環だ。

Twitterは、TikTokの急成長の波に乗れるかどうか試している最新のソーシャルアプリだ。TikTokは2021年、月間アクティブユーザー数(MAU)が10億人を突破し、このマイルストーンを最も早く達成した企業のひとつとなった。「Instagram Reels」「Snapchat Spotlight」「YouTube Shorts」などのTikTokクローンは、クリエイターにそれぞれのプラットフォームを利用するインセンティブを与え、人気が高まった。Netflix(ネットフリックス)、Spotify(スポティファイ)、Reddit(レディット)などのアプリも、このフォーマットを試している。

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InstagramがTikTokクローン「Reels」への投稿に最高114万円のボーナス、ただし米国内からのみ対象

Twitterは2021年、Spaces、Twitter Blue、Tip Jarなどの新製品や新機能を次々と打ち出している。共同創業者のJack Dorsey(ジャック・ドーシー)氏が先週退任した後、Parag Agrawal(パラグ・アグラワル)氏がCEOに就任したことで、この勢いは継続するものと思われる。すでにアグラワル氏は、就任時にツイートしたスタッフへのメールで「野心的な目標」と称したものをサポートするために、会社の再編に着手している。

Twitterのライブオーディオ製品であるSpacesは、現在、アプリの下部ナビゲーションバーのデフォルトのセンターアイコンになっている。これは、同社がこのClubhouse(クラブハウス)の競合製品の普及に力を入れていることを示している。しかし、Twitterの模倣機能は常に成功しているわけではない。Snapchat(スナップチャット)/ Instagram(インスタグラム)のストーリー機能に対抗したFleet(フリート)機能は、8カ月で打ち切られた。つまり、Twitterがショートフォームビデオフィードをテストしているからといって、これが将来コンテンツ発見の手段になるとは断定できないということだ。しかし、TikTokの成功が示すように、短い動画はユーザーを非常に効果的に引き付けている。

画像クレジット:Twitter

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Aya Nakazato)

フェイスブックがアップルやグーグルに手数料を払わずファンが投げ銭「スター」を購入できるウェブを公開

Meta(Facebook)は、アプリストアのアプリ内購入手数料を回避する新たな方法を発見した。新しいウェブサイトではユーザーが 「Facebookスター」と呼ばれるバーチャルアイテムを購入し、Facebookの動画やライブストリームでお気に入りのクリエイターを応援する手段として使うことができる。スターは、通常モバイル端末でアプリ内購入のかたちで購入されるため、アプリストアプラットフォーム提供者(つまりAppleまたはGoogle)との収益分配の対象になる。しかし、ファンがFacebookの新しいウェブサイトでスターを購入する場合、Facebook Payを使用し、AppleやGoogleの決済手段を利用しない。

これによってファンは「より多くのスターを安く手に入れる」ことができます」とFacebookの発表にかかれている。これは少なくとも現在は真実のようだ。なぜならFacebookがすべての購入について「ボーナス」スターを提供しているからだ。例えば、530スターを9.99ドル(約1130円)で買う場合、新ウェブサイトを通じて購入するとボーナスとしてさらに420個のスターがもらえる。Facebookモバイルアプリのアプリ内購入を使う場合、スターは530個しかもらえない。(注記:これは公開されたウェブサイトのボーナス額に基づいている。Facebookのブログに載っているスクリーンショットは異なるボーナス額を示している。12月の「スターフェスト」期間中は価格が下げられていると編集部は理解している。いずれにせよ、これらのボーナスは、ウェブ経由なら同じお金で多くのスターが手に入ることを意味している)。

画像クレジット:Facebook

ボーナススターの数はさまざまで、購入金額が増えるほど追加スターの数は増える。最少で45スター(ボーナスは35スター)を0.99ドル(約110円)から最大6400スター(ボーナス3600スター)を99.99ドル(約1万1350円)で購入できる、と現時点のウェブサイト(上記参照)に書かれている。

しかし、ボーナスがなければ、アプリ内購入の代わりにウェブサイトを使うメリットはない。ボーナスを別にした料金はどちらも変わらないからだ。

ウェブサイトのStars Store(スター・ストア)で購入したスターは、ユーザーのバーチャルウォレットに格納され、Facebook Liveやオンデマンドビデオで対象のクリエイターに送ることができる。クリエイターはスターを使ったユーザーに対して好きな方法で報いる事ができる。ビデオの中で大声で呼ぶなど、自分のスタイルやコンテンツにあった報酬を与えられる。

画像クレジット:Facebook

Facebookがアプリストアの収益分配を回避する方法を見つけたのはこれが初めてではない。2021年11月にFacebookは、クリエイター向けのカスタムサブスクリプションリンクをiOSで提供し、賛否渦巻くAppleの30%手数料を避けて直接支払いを受けられるようにした。この仕組みが、少なくとも現段階で、可能なのはFacebookがこの取引で自分の取り分を得ていないからだ。そうすることでFacebookは、AppleのApp Store Guidline(アップストア・ガイドライン)に細かく書かれている現在許容されている方法で手数料を回避することができる(具体的にはガイドラインの3.2.1項「許容される行為」に、個人は他の個人に金銭を贈与できる、ただし受け手側が金銭の100%を受け取る場合に限る、と書かれている。Clubhouse(クラブハウス)はこの隙間と自身のアプリ内チップシステムを利用している)。

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スターをウェブ経由で買う仕組みは、新たな興味深い動きであり、ファン多くのスターを安く手に入れる方法があることに一度気がつけば、さまざまな取引をFacebookのモバイルアプリとアプリ内購入からシフトする機会が生まれる。Appleは、Epic Games(エピック・ゲームズ)訴訟の結果、近いうちにアプリデベロッパーがアプリ以外で購入できる場所を指し示すことを可能にすることになっているが、現在Appleは、その強制命令を遅らせるよう法廷に要求している。最初の試みは却下された

画像クレジット:Facebook

FacebookのStar Storeウェブサイトの発表は、12月いっぱい行われている「Star Fest」期間中に数多く発表されたものの1つだ。同社は、スターを他の場面でも利用するテストを行うといっている。ニュースフィード、Facebook Watchフィード、ゲーミングタブ、さらに2022年に始まるFacebookリール内のビデオなどだ。

さらに同社は「Stars Party」なるものも開始する。ライブストリーム中にファンが一体となってスターを贈る新しい方法だ。カウントダウンタイマーがあらわれて、5分間のうちに集団が一緒にスターゴールを目指す。2021年12月22日から2022年1月3日まで、Star Partyを完了したクリエイターは、1回につき50ドル(約5680円)のボーナスをもらえる、とFacebookはいう。

Facebookは、10億ドル(約1135億円)のクリエイターファンドの一環として、3月31日まで、スターの「ダブルボーナス」にも投資している。期間中、Metaは一部のクリエイターのスター収益に最大月額750ドルまで同額を上乗せする。これでクリエイターは最大3750ドル(約42万6000円)のボーナス支払いを受け取ることが可能になる。ただし、同プログラムは招待制だ。Facebookはさらに、ユーザーがライブビデオを見ながら新機能を試せるように、300万ドル(約3億4000万円)分の無料スターを配布する予定だ。

Stars Festでは他にも、期間限定のバーチャルギフトやバッジ、さまざまなクリエイターによるスペシャルライブプログラミング、クリエイターがライブ中継を行うための金銭的インセンティブなど、さまざまなサービスを提供している。

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nob Takahashi / facebook

Discordがプレミアム会員制度を構築中、クリエイターの新しい収益手法に

Discord(ディスコード)は、コミュニティメンバーに有料購読者限定コンテンツへのアクセスを提供することで、クリエイターが収益を上げられるようにする新しい方法を導入する。この新プレミアム会員制度は最も要望の多かった機能の1つで、Discordのコミュニティが成長するために使用するツールを合理化するオプションを提供すると同時に、同社に新たな収益源をもたらす。

プレミアム会員になると、Discordコミュニティは、コンテンツの一部または全部を有料にすることができるようになる。サーバーはほぼ無料で開放したまま、最も熱心なメンバーのために有料のプレミアムチャンネルを設けることもでき、あるいはコミュニティ全体をプレミアム化して、アクセスにお金をかけることもできる。

プレミアム会員制度について同社は、現時点では「非常に初期のパイロット版」としており、有料機能をテストしてフィードバックを提供する少数のコミュニティに先行して導入される。プレミアム会員制度の小規模テストグループには、チュートリアルやアドバイスを提供するゲーミングブートキャンプ、Trans Community Center(トランスコミュニティセンター)、ストリーミング技術のチュートリアルを提供するサーバーStream Professorなどのコミュニティが含まれる。

Discordのクリエイター製品を統括するプロダクトマネージャーDerek Yang(デレック・ヤン)氏は「Discordコミュニティの運営をより持続可能なものにすることが重要です」とTechCrunchに語った。ヤン氏によると、プレミアムサブスクを広範に展開する時期は決まっておらず、製品を正しいものにするために一歩一歩進めているという。

多くのDiscordコミュニティは、プレミアムコンテンツへのアクセスを管理するために、Patreonのようなサードパーティのサービスをすでに利用している。Discordにこのオプションが導入されたことで、コミュニティは、メンバーがDiscordのプレミアムなNitro機能に支払うこれまでの決済と一緒にサブスクできるカスタマイズされた特典を作ることができるようになる。

同社は、有料会員サブスク料の10%を徴収する予定だが、クリエイターの収益化の実験結果によっては、この数字は将来的に変化する可能性がある。同社は5月に、クリエイターがプラットフォーム上で収益を上げることができる最初の機能として、チケット制のバーチャルイベントのテストを開始した。

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同社はブログへの投稿で「より多くのクリエイターと対話する中で、彼らがこのすばらしいコミュニティを構築するだけでなく、維持・継続できるようにしたいと考えました。そして、これらのコミュニティのメンバーが、作成された価値に対してクリエイターに対価を喜んで支払うことをすでに目の当たりにしています」と書いている。

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画像クレジット:Discord

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Nariko Mizoguchi

ユーチューバーがリアルで「イカゲーム」を再現、ハリウッド並予算で作られたYouTube動画がクリエイターに与える影響

韓国のサイコスリラー「Squid Game(イカゲーム)」が話題になった。「イカゲーム」は1億4200万人の視聴者を獲得し、Netflix(ネットフリックス)のシリーズ史上最大のヒット作となった。そして今、ユーチューバーのMrBeast(ミスター・ビースト)が、ドラマのタイトルになった死闘を再現し、8日間で1億4200万回の再生回数を記録したことが話題になっている(誰も殺されていないのでご安心を)。

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先日、YouTubeの米国トップクリエイターに2年連続で選ばれた23歳のJimmy Donaldson(ジミー・ドナルドソン、MrBeast)氏は、セットを用意し、456人の参加者の衣装を作り、Netflixのドラマに限りなく近い動画を制作した。そして、Netflixの人気シリーズ同様、最後まで勝ち残ったプレイヤーは、人生を変えるような賞金を手にする。ドナルドソン氏の動画では、参加者は45万6000ドル(約5150万円)を獲得するチャンスが与えられた。

ドナルドソン氏の「イカゲーム」が、少なくとも再生回数では元祖「イカゲーム」と同じくらい人気を呼んだのには、いくつか理由がある。1つには、YouTubeは無料で、Netflixはそうではないからだ。

だが、動画がバイラルにする(拡散する)ためには、コストがかかる。同氏は、25分の動画に、なんと350万ドル(約4億円)もかかったとツイートした。ちなみに、Netflixの全9話のシリーズにかかったコストは、合計2140万ドル(約24億円)。シリーズ1時間あたり平均240万ドル(約2億7000万円)だ。

ドナルドソン氏のような人気ユーチューバーであっても、Netflixのような上場グローバル企業が持つ経営資源にはかなわない。そのため、ドナルドソン氏のように、衝撃的なスタント(人目を引くための馬鹿げた行為)を内容とする動画を作るクリエイターにとって「イカゲーム」の再現のような、前例のないことをするのは難しくなっている。

「イカゲーム」リリース後、9時間を割けなかった人のために、背景を説明しよう。「借金まみれから一生抜け出せないなら、途方も無い富を手に入れるために死闘を繰り広げてみてはどうか」。これが、韓国の債務危機に対するHwang Dong-hyuk(ファン・ドンヒョク)監督の答えだが、海外の視聴者にも共感してもらえるだろう。米国では学生の借金が1兆7300億ドル(約195兆円)に達し、過去10年間で91%以上増加した。もしあなたが、たった一度、歯医者に行っただけで、これまでの貯金を使い果たしてしまうのではないかと心配しているのであれば、登場人物たちが手っ取り早く金を手に入れようと必死になる姿に共感するのは難しくないだろう。

「イカゲーム」の中で、そのゲームは、裕福なエリートたちが自らの娯楽のために作ったものであることが明かされる。貧しい人々がゲームの条件に同意するなら、死闘を演じさせてはどうだろう、ということだ。

そこまで極端でなくても、MrBeastの動画が行っていることも同じだ。同氏は、普通の人々に大金を渡し、自らのブランドであるパフォーマンス的な慈善活動で、何百万人もの視聴者を楽しませ、注目を集めることで金銭的な利益を得ている。

予想どおり、MrBeastの「イカゲーム」動画には、Netflixのドラマをあれほど魅力的にした、感情的な共鳴やサスペンスが欠けていた。参加者は何のリスクも負わないため、昼間の「Wheel of Fortune(米国のゲーム番組)」の再放送と同じ程度に、懸けられたものが小さく感じられる。だがドナルドソン氏は、このスタイルのYouTubeコンテンツを開拓しただけでなく、完成させた。とんでもなく馬鹿げたことをすれば、みんながそれを見てくれる。YouTubeでは視聴時間が金になる。ただ、このモデルを追求していくと、ユーザーの注目を集めるための投資コストが時間を追うごとに膨らんでいく。

クリエイターエコノミーの拡大に伴い、一部のユーチューバーの予算も増えている。しかし、不安定な性質を持つこの仕事で、赤字に陥ることは危険だ。Netflixの「イカゲーム」は、これまでに少なくとも予算の約42倍の8億9110万ドル(約1007億円)を稼いだが、ドナルドソン氏は自身の「イカゲーム」への投資を回収できないかもしれない。

「これ以上できない」というところまでエスカレート

動画「How I Gave Away $1,000,000(僕が100万ドル[約1億1300万円]を誰かにあげるまで)」でドナルドソン氏は、こうしたコンテンツを作り始めたきっかけは、デジタルアイテム収集アプリのQuidd(クイッド)から、1万ドル(約113万円)の動画ブランド契約を持ちかけられたことだと説明している。同氏は、その1万ドルをホームレスの人に渡す動画を撮った。その後もQuiddからの資金で動画を作り続け、その数は雪だるま式に増えていった。

現在、最も人気のある動画の中には「I Ate A $70,000 Golden Pizza(7万ドル[約800万円]のゴールデンピザを食べてみた)」「Last To Leave Circle Wins $500,000(円の中に最後まで残ったら50万ドル[約5650万円]」「Donating $100,000 To Streamers With 0 Viewers(視聴者ゼロのストリーマーに10万ドル[約1130万円]を寄付してみる)」など、投資額がもっと大きなものもある。

MrBeastは9月、クリエイター向けのYouTubeチャンネル「Colin and Samir」で「動画制作に毎月400万ドル(約4億5200万円)を使っているが、自分の期待を上回る動画もあれば、そうでない動画もある」と語っていた。同氏によると「I Sold My House For $1(自宅を1ドル[約113円]で売ってみた)」という動画の制作費は100万ドル(約1億1300万円)を超えたが、広告収入で回収できたのは50万ドル(約5650万円)にも満たず、スポンサー料ではその差を埋められなかった。だが、いくつかの動画が予想以上に良い結果を出している限り、あまりバイラルではない(拡散しない)動画が多少あっても、痛くも痒くもない。

「動画をバイラルにする方法がわかれば、あとはいかに多くの動画を配信するかということになります」と同氏は2020年、Bloombergに語った。「稼ぐことができる金額は実質的に無限です」。

Forbes(フォーブス)は、ドナルドソン氏が2019年6月から2020年6月の間に、YouTubeで2400万ドル(約27億円)を稼いだと推定した(YouTubeだけが同氏の収入源ではなく、MrBeast Burgerというゴーストキッチンを経営したり、Twitch(ツイッチ)でストリーミングしたり、多くのブランドとコラボレーションしたりしている)。しかし同氏は、同じバイラルスターのLogan Paul(ローガン・ポール)氏とのインタビューで、収入のほとんどをそのまま動画に使っていると語っている。

「月に300万ドル(約3億3900万円)とか400万ドル(約4億5200万円)稼いだら、次の月には動画に使ってしまいます」とドナルドソン氏は話す。「私たちが得る、文字どおり『カミソリのように』薄い利益は、すべて単純に再投資しています」。

このようなクリックベイトモデルの問題点は、視聴者が高予算のYouTube動画に鈍感になってしまうことだ。クリエイターはさらにレベルアップする必要に迫られる。

コメディアンのDemi Adejuyigbe(デミ・アデジュイグベ)氏も、Earth, Wind, & Fire(アース・ウインド&ファイアー)の「September」に合わせて踊る動画を毎年公開するなかで、この問題に直面した。

2016年の最初のバイラル動画では、表に「SEPT 21(9月21日)」、裏に「THAT’S TODAY(それは今日だ)」と書かれた自作のシャツを着て、寝室で踊っただけだった。翌年は派手に風船を使い、2018年には子ども合唱団を登場させ、2019年にはマリアッチバンド(メキシコの大衆的な楽団)を雇った。その後の展開はおわかりだろう。2021年、同氏はもうビデオを作らないと決めた。毎年、より大きく、より良いものを作り続けるのは、時間がかかりすぎるし、困難だからだ。そこで、同氏は最後にもう一度、全力で取り組み、ファンから100万ドル(約1億1300万円)以上の寄付を集めた。だが、一連の「September」動画は、同氏の生業にはならなかった。動画が話題になったことで、ハリウッドで注目されるようにはなった。毎年の「September」動画の企画の合間に「The Good Place」や「The Late Late Show with James Corden」などの番組で脚本を担当した

美容・ファッションクリエイターのSafiya Nygaard(サフィヤ・ナイガード)氏も、クリックベイトモデルの問題に直面した1人だ。同氏は最初、BuzzFeed(バズフィード)のビデオプロデューサーとしてファンを獲得したが、退職して自身のチャンネルに投資し、独立することにした。同氏は、美容分野で差別化を図るために「Melting All My Nude Lipsticks Together(私が持っているヌードカラーの口紅を全部溶かしてみる)」「Mixing All My Foundations Together(私が持っているファンデーションを全部混ぜてみる)」など「悪いメイクの実験」をしてきた。1年後には「Melting Every Candle From Bath & Body Works Together(Bath & Body Worksのすべてのキャンドルを一緒に溶かしてみる)」「Melting Every Lipstick From Sephora Together(Sephoraのすべての口紅を一緒に溶かしてみる)」とエスカレートしていった。後者の動画では、600本以上の口紅を使用した。Sephoraの口紅の価格は約10〜50ドル(約1130〜5650円)。同氏の支払額があまりに高額だったため、Sephoraのレジ係が確認のために銀行に電話した。同氏はその様子を撮影した。

しかし、Sephoraであらゆる口紅を買ってしまったら、それ以上のことをするのは無理だろう。ナイガード氏は目下、約1000万人の登録者がいるYouTubeチャンネルを月に1~2回しか更新していないが、Instagram Reels(インスタグラム・リール)やTikTok(ティクトック)には数日に1度のペースで投稿するようになった。TikTokでも高価な買い物をすることがある。ある人気のTikTokで、同氏がBalenciaga(バレンシアガ)の1350ドル(約15万3000円)のピンヒールをデザインした。しかし、117本のBath and Body Worksのキャンドルや、600本のSephoraの口紅に比べれば、小さな買い物だ。

ナイガード氏やアデジュイグベ氏のようなクリエーターは、このように高額で、時に低報酬となるコンテンツから離れることができた。だが、ドナルドソン氏にとって、高予算の動画を作ることは活力の源となっている。自分のチャンネルがYouTubeの食物連鎖の頂点に立ち続けるために、より過激なコンテンツの制作をやめるわけにはいかないのだ。

クリエイター経済への資金供給

スタートアップは事業の成長のために資金を必要とするとき、ベンチャーキャピタルを利用する。動画制作コストが増大する昨今、バイラルクリエイターに投資機会を見出すベンチャーキャピタル企業が出てきている。ベンチャーキャピタルのSignalFireは、クリエイターは最も急成長している中小企業であると述べている。Sam Lessin(サム・レッシン)氏のSlow Venturesのように、その考えを次のレベルにまで高めている企業もある。Slow Venturesは最近、Silicon Valley Girlというチャンネルを持つユーチューバーのMarina Mogilko(マリアナ・モジルコ)氏の将来に170万ドル(約1億9200万円)を投資した。今後30年間、同氏のクリエイターとしての収益の5%を受け取る。

「人」に投資するというのは薄っぺらく聞こえるかもしれない。だが、関係者全員が善意であると仮定した場合、アーティストに金銭的な余裕を与えることは、本当に最悪なことなのだろうか。これは、すでにハリウッドで起こっていることだ。制作会社が脚本を購入し、人材を雇い、映画を売り込んでも、興行的には大失敗に終わることがある。

しかし、クリエイター、つまり「人」はスタートアップではない。そして、自分を超えようとし続けるとどうなるか。燃え尽きてしまうのだ。

ベンチャー企業からの資金調達という緩衝材が、クリエイターの経済的負担を軽減する可能性はある。だが、利害関係者へのアピールというプレッシャーが、さらなるストレスとなることも考えられる。

YouTubeのCEO、Susan Wojcicki(スーザン・ウォジスキ)氏は、2019年にクリエイターに宛てた手紙の中で、燃え尽き症候群の問題が大きくなっていることを認めている。

「自分のチャンネルが上手くいかなくなるのではと心配して、撮影を休めないという気持ちになる、というクリエイターの声を聞いたことがあります」とウォジスキ氏は述べた。「もし、あなたがしばらく休みたいと思っても、ファンは理解してくれるでしょう。結局のところ、あなたが作っているからこそ、ファンはそのチャンネルを選ぶのですから」。

YouTubeのプロダクトチームは、クリエイターが休みから戻ってくると、より多くの再生回数が得られることに気づいた。しかし、Drake McWhorter(ドレイク・マックウォーター)氏は、それは真実ではないと思う、と当時CNNに語った。

「YouTubeはトレッドミルのようなものです」と同氏はいう。「一瞬でも止まったら死んでしまいます」。

ネットでバイラルになるのはこれまでになく簡単になったが、だからといって長期的に視聴者の注目を集めるのが簡単だとは限らない。ネットで生計を立てるには、視聴者が必要となる。MrBeastがハリウッド級の予算でYouTube動画を制作し、なおかつ「カミソリのように薄い」利益しか上げていない今、私たちは「クリエイター経済で勝っているのは誰か」と問わなければならない。結局のところ「Real Life Squid Game」の成功は、ドナルドソン氏にとってよりも、YouTubeにとって、あるいはNetflixにとってさえも、朗報なのかもしれない。

画像クレジット:MrBeast/YouTube

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Nariko Mizoguchi

クリエイターのコミュニティ形成を支援するPlayground、ベータ版の展開を開始

米国時間12月2日よりベータ版の展開が始まったPlayground(プレイグラウンド)は、人々がコミュニティを発見し、発展させることを支援するとともに、クリエイターには視聴者の収益化を可能にさせることを目指すソーシャルプラットフォームだ。すでにそのウェブサイトでは、Museum of Modern Art(近代美術館)や、コメディ司会者のAlexis Gay(アレクシス・ゲイ)氏、Aboritionist Teaching Network(アボリショニスト・ティーチング・ネットワーク)、活動家のNupol Kiazolu(ヌポル・キアゾル)氏、マレーシアのバーチャルダンスクラブなど、さまざまなユーザーが名を連ねている。現在のところ、ベータ版はカルチャー分野(アート、音楽、ウェルネス、ゲームなど)の一部のクリエイターにのみ公開されており、コミュニティメンバーに関してはウェイティングリストが用意されている。

台湾系米国人の娘という移民として、文化的に多様性のあるサンタフェ地域で育った創業者のJia Ling Yang(ジアリン・ヤン)氏は、人々を結びつけることの価値を理解している。しかし、フリーランスのクリエイティブディレクターとして、Facebook(フェイスブック)、Google Play(グーグル・プレイ)、E! Entertainment(E!エンタテインメント)などのブランドと仕事をしているうちに、彼女は新しい方法でオンラインコミュニティの構築に貢献したいと思うようになった。もちろん、ソーシャルメディアでは、地域における本の交換グループから、One Direction(ワン・ダイレクション)の熱狂的ファンによるTwitter(ツイッター)まで、すでにさまざまなコミュニティが生まれている。しかし、オンライン生活では孤立してしまうこともある。

「スクロールしてお互いの生活を見るのではなく、一緒にバタバタしようよと言っているのです。一緒にフィリピン料理を作ったり、一緒にトレーニングしたりしましょう」と、ヤン氏は語る。

画像クレジット:Playground

現在のところ、Playgroundではユーザーが文化機関やクリエイターと一緒に参加できるイベントを、オンラインと対面の両方で見つけられるようになっている。最終的には、ヤン氏はPlaygroundを、クリエイターがビジネスを運営できるオールインワン&エンド・ツー・エンドのプラットフォームにしたいと考えている。つまり、クリエイターはPlaygroundを利用して、ファンのサブスクリプション管理、ニュースレターの送信、イベントや記事やポッドキャストの投稿、分析結果の閲覧、物販などが可能になるということだ。ヤン氏と9人のチームは現在、コミュニティのメンバー同士が互いにつながることを手助けするソーシャルツールを開発中だ。

「私たちは、メンバー間で議論するためのフォーラムを作りたいと考えています」と、ヤン氏はTechCrunchに語った。「単にコンテンツを押し付けるだけのオーディエンスと、コミュニティとの違いは、メンバーが主催者の外で実際に交流できるかどうかということです」。

クリエイターにとって、1つのアカウントで管理できるオールインワンのプラットフォームは価値がある。Discord(ディスコード)、Patreon(パトレオン)、Eventbrite(イベントブライト)、Mailchimp(メールチンプ)など複数のアカウントを使い分けるよりも楽だからだ。しかし、ビジネスの全体像をスタートアップ企業に委ねることには、それなりのリスクもともなう。だが、Playgroundでは、クリエイターがサブスクリプション会員のリストとその連絡先を完全にコントロールできるため、ファンへのアプローチに関して、Playgroundのプラットフォームに依存することはない。

「自分のコミュニティを自分のものにできないことは、本当にフラストレーションが溜まります」と、ヤン氏はいう。「例えば、Clubhouse(クラブハウス)などでファンを獲得した後、そのプラットフォームがなくなってしまったらどうでしょう? そうなると、あなたのファンは、Instagram(インスタグラム)のDMであなたにメッセージを送ってきた人だけになってしまいます」。

クリエイターはPlaygroundのプラットフォームを無料で利用できるが、有料チケットや会員プログラムなどのマネタイズ機能を利用するには、希望するカスタマイズのレベルに応じて、月額15ドル(約1700円)または30ドル(約3400円)を支払う必要がある。

画像クレジット:Playground

ヤン氏は、Web3がPlaygroundの将来にどのように関わってくるかについても考えている。彼女の会社は設立以来、Animoca(アニモカ)、SoGal(ソーギャル)、Gaingels(ゲインジェルズ)、Anomaly(アノマリー)から230万ドル(約2億6000万円)のシード資金を調達している。出資している企業の1社であるAnimocaは、ブロックチェーンベースのプロジェクトに投資していることで知られているが、Playgroundがターゲットとしている文化系クリエイターの間では、暗号資産に対する反感も目立つ。NFT(非代替性トークン)の可能性を歓迎するアーティストがいる一方で、環境コストや規制のない市場で詐欺の蔓延を心配するアーティストもいる。しかしヤン氏は、暗号資産の世界にはコミュニケーションの問題があると考えている。

「この世界では文化が語られていません」と、彼女はTechCrunchに語った。「文化的なクリエイターは、自分で自分のアートを所有し、コミュニティを収益化し、コミュニティの統治方法を自分で決めることができる、そんなコンセプトを好みます。これらはすべて、クリエイターが本当に夢中になれる原則であり、私たちはその会話を、少しだけ橋渡ししているだけだと感じています」。

ヤン氏は、ブロックチェーンを利用したPlaygroundの将来性に興味を持っているものの、今はベータ版のローンチ後、クリエイターやコミュニティメンバーを育成することに注力している。

画像クレジット:Playground

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

クリエイター主導のマーケットプレイス「LTK」が約345億円調達、130人以上のインフルエンサーが億万長者に

LTKを立ち上げた2011年当時、「インフルエンサーマーケティング」や「クリエイターエコノミー」といった言葉はまだ一般的ではなかったが、ファッションブロガーのAmber Venz Box(アンバー・ヴェンツ・ボックス)氏は、今日のインターネットパーソナリティが直面しているのと同じような、無給で記事を書き、写真を撮り、動画を編集し、フォロワーを増やすことを、どうやって仕事にするかという苦悩に直面していた。

アンバー・ヴェンズ・ボックス氏がLTKを立ち上げたのは、自分が薦めた商品を読者が購入した場合に手数料を得る方法を模索していたときだった。それから10年経った現在、このブロガーから転身した彼女の企業は、20億ドル(約2303億円)規模に成長している。以前は。RewardStyleやLIKEtoKNOW.itという名前だったLTKは、ソーシャルメディアのインフルエンサーが自分のショッパブルなポストを、ウェブとアプリの両方で中央のマーケットプレイスに掲載できるようにする。また、ブランドはこのプラットフォームを利用して、今後のマーケティングキャンペーンのためのクリエイターパートナーとつながることができる。LTKは、Softbank Vision Fundから3億ドル(約345億円)を調達し、この評価額に達した。

LTKは、Instagramで年間30億ドル(約3454億円)以上を消費するクリエイター、ブランド、買い物客を対象としている。LTKのインターフェイスは、Instagram Shopを彷彿とさせるもので、クリエイターがお気に入りの商品を選んで投稿し、それをスクロールして共有する。LTKは、Instagramのeコマースへの転身を先取りしていた。LTKは、長年にわたって利益を上げてきたが、今回の資金調達により、テキサス州を拠点とする同社を国際的に成長させるために、組織全体での採用を計画している。現在、LTKには350名の国際的なスタッフがおり、5000の小売業者と100万以上のブランドと取引をしている。

この投資にともなってLTKの取締役会に加わることになるSoftBank Investment Advisersの投資ディレクターであるAngela Du(アンジェラ・デュ)氏は次のように述べている。「LTKは、人々が自分の趣味や情熱で生計を立てられるようにすることで、起業の概念を再構築する手助けをしていると信じています。LTKの革新的なマーケティングプラットフォームは、これらのクリエイターがソーシャルユニバース上でパーソナルブランドを構築し、フォロワーと長期的かつ真正な関係を築くことを可能にします」。

LTKの成功と成長は、自分がフォローしている人からのオススメで買い物をしたいという消費者の関心が高まっていることを改めて示している。ヴェンツ・ボックス氏がForbesに語ったところによると、130人以上のインフルエンサーがLTKを通じ、自らの力で億万長者になったという。女性を中心としたこれらのクリエイターは、売上の10〜25%を得ることができる。プラットフォームに参加しているブランドや小売業者は、独自に手数料率を設定している。ブランドはクリエイターが販売を促進することで売上を得て、クリエイターはそれに加えてコミッションを得る。LTKはこれらの売上から取引手数料を得ています。

画像クレジット:LTK

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Hiroshi Iwatani)

ツイッターがチップ機能をAndroid版にも展開中

Twitter(ツイッター)は、18歳以上のすべてのAndroidユーザーを対象に、アプリ内チップ機能の提供を開始した。iOSでは9月に始まっている。同社によると、この「Tips(チップ)」機能は、Cash App、Paypal、Venmo、Patreonを通じて直接アプリ内でフォロワーから金銭的な支援を得たいと考えているユーザーを対象としている。Androidユーザーはいま「プロフィール編集」ボタンをタップし「Tips」を選択することで、自分のプロフィールからチップを受け取る設定ができる。

「Tips機能では、自分の支払いプロファイルへのリンクを人々に示す簡単な方法を作り、コンテンツ制作者の支援、資金調達の支援、単に助けが必要な人へのチップ、笑わせてくれた人へのお礼など、Twitter上で会話を生み出している人々を簡単にサポートできるようにしています」とTwitterは説明している

Twitterは5月にこの機能を初めて導入したが、それ以前に、同社が直接支払いのオプションに取り組んでいるという報道もあった。Android版「Tips」のリリースの1カ月前には、同社はAndroidで「Ticketed Spaces」の展開を開始している。この機能により、Twitterのライブオーディオルーム機能であるSpacesのホストは、スペースへのアクセスを販売できる。Twitterはこの機能を、公開された会話のホストやモデレーターを務めるクリエイターの時間と労力をサポートする方法だと説明している。

収益化やクリエイターの生計支援を進めているソーシャルメディアプラットフォームはTwitterだけではない。TikTok(ティクトック)は2021年10月、TechCrunchに対し、アプリ内でチップを渡す新しい機能をテストしていることを明らかにした。この機能を使ってクリエイターは、すでにチップが導入されているTikTok LIVEストリーム以外でも、ファンからお金を受け取ることができる。同社は、この機能が当面の間、限定的なテストの一部で、まだ広く利用できないことを明らかにした。

TikTokとTwitterのダイレクトチップ機能は、クリエイターに儲ける方法を提供しているInstagram(インスタグラム)やYouTube(ユーチューブ)のようなデジタルプラットフォームに対抗するための手段のようだ。

画像クレジット:Bryce Durbin / TechCrunch

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(文:Aisha Malik、翻訳:Nariko Mizoguchi

クリエイターがゲーム内でアイテム作成、共有、収益化できるプラットフォームのOverwolfが約85億円調達

クリエイターがゲーム内でアイテムを作り、共有し、収益化できるプラットフォームを提供するOverwolf(オーバーウルフ)は、Andreessen Horowitz(a16z)がリードしたシリーズDで7500万ドル(約85億円)を調達した。既存投資家であるGriffin Gaming Partners、Insight Partners、Intel Capital、Liberty Technology Venture Capital、Markerなども参加した。調達した資金は、OverwolfのCurseForge Coreに投入される。CurseForge Coreは、ゲームスタジオ、IPオーナー、ゲーム内クリエイターがゲーム内にユーザー生成コンテンツを構築することを可能にするソリューションだ。

「ゴールド」やゲーム内MODが売買されていた世界は、大きく変化している。今やプレイヤーは、ゲーム内で体験を構築して共有できることに魅力を感じており、クリエイターとゲームオーナー向けにまったく新しい分野が生まれている。

テルアビブを拠点とするOverwolfは、Andreessen Horowitz、Atreides Management、Griffin Gaming Partners、Insight、Marker、Intel Capital、Liberty Technology Venture Capital、Market、Ubisoftなどの投資家から、これまでに1億5000万ドル(約171億円)超を調達している。

CurseForge Coreはホワイトレーベルのソリューションで、パブリッシャーが既存および新規のゲームにModを簡単に統合することを可能にする。

Overwolfは、技術的なソリューションであると同時に、ゲーム開発者に対してコンテンツのモデレーション、IP、その他さまざまな側面をカバーするフルサービスのUGCプラットフォームを提供している。

Overwolfの共同創業者でCEOのUri Marchand(ウーリ・マルシャン)氏は「情熱的なコミュニティの実行速度と圧倒的な創造性には、単一のゲームスタジオでは太刀打ちできません。主要なゲームスタジオが、コミュニティの創造に抵抗するのではなく、これらのクリエイターがコミュニティやスタジオ自体にもたらす価値を受け入れ始めているという認識の変化が見られます」と話す。

Overwolfによると、約8万7000人のインゲームクリエーターを擁し、毎月2000万人超のゲーマーがOverwolfの製品を利用しているとのことだ。Overwolfは、2020年の約3倍となる2900万ドル(約33億円)をゲーム内クリエイターに支払うと予想している。また、ゲーム内アプリのクリエイターやMODの作者、さらにはMODを新作品に統合することを計画しているゲームスタジオを支援するため、5000万ドル(約57億円)の基金「Overwolf Creators Fund」を立ち上げている。

a16zのパートナー、Jonathan Lai(ジョナサン・ライ)氏は、次のように語る。「TikTok、YouTube、Instagramなど、今日の最大のソーシャルプラットフォームは、友人や家族、コミュニティのためにコンテンツを生成するクリエイターによって大きく支えられています。ゲームがソーシャルネットワークに進化していく中で、クリエイターやユーザー生成コンテンツも同様に重要な役割を果たすでしょう。Overwolfのプラットフォームは、堅牢な開発エンジン、配信用のアプリストア、クリエイターが作品から生計を立てるための収益化ツールを備えているため、どんなプレイヤーでもお気に入りのゲームの共同制作者になることができます」。

筆者は電話でマルシャン氏に、Overwolfがメタバース形式の環境を提案するための「建築用ブロック」のようなものになる可能性があるかどうか尋ねた。

「ゲーム間で一貫した体験ということであれば、IPの所有者と一致した方法でそのようなものを作り、ギャップを埋めることができるかもしれません」と同氏は答えた。

「それは剣かもしれないし、物語かもしれないし、さまざまなものの可能性があります。人々が会話したり、体験を切り替えたり、所有権を生み出したりできることとは別に、メタバースの大きな部分を占めるのは創造であり、当社は創造の要素に焦点を当てている会社です」と付け加えた。

Overwolfの競合他社には、最近2600万ドル(約29億円)の資金調達を行ったMod.ioがある。

画像クレジット:Overwolf / Overwolf leadership team

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(文:Mike Butcher、翻訳:Nariko Mizoguchi

Spotifyのポッドキャストサブスクが米国以外のクリエイターに拡大、ただし日本は含まれず

Spotify(スポティファイ)は2021年8月に米国のクリエイターを対象にポッドキャストのサブスクリプションを公開したが、米国時間11月17日から対象を米国以外のクリエイターにも拡大する。同社によれば、クリエイターが「サブスク利用者限定」コンテンツを作れるこのサービスは、新たに33のマーケットで利用できるようになる。

ポッドキャストのサブスクが米国で正式に公開された際、Spotifyはサービスに関していくつか重要な変更を実施した。それ以前は、クリエイターは有料番組の価格を3通りからしか選べなかった。しかし同社はクリエイターがもっと柔軟な価格設定を望んでいることを把握し、0.49ドルから150ドル(約55円から1万7000円)まで20通りの価格を用意した。

また、同社はクリエイターが自分の番組をサブスクで利用しているリスナーの連絡先情報をダウンロードできるようにした。これを活用してクリエイターはリスナーと直接的な関係をさらに深めることができる。

今回のグローバル展開にあたり、Spotifyは新機能の追加はしていない。同社は今回の拡大について、ポッドキャストのサブスクをより多くの人に利用してもらうためとしている。

ポッドキャストのサブスクプラットフォームはSpotifyだけではない。Appleもサブスクを提供しているが、Appleはクリエイターの売上30%を徴収し、2年目には15%になる。これは他のサブスクアプリと同様だ。一方のSpotifyは、最初の2年間は売上からの徴収をしないことにより、サービスを成長させようとしている。徴収なしの期間が終了すると、Appleよりずっと少なく、たった5%を徴収する計画だ。

Spotifyのサブスクポッドキャストサービスは、同社のポッドキャスト制作プラットフォームであるAnchorを通じて提供される。AnchorではiOSとAndroidの両方ですでに29のマーケットでサブスクを利用でき、残る4つのマーケットでは来週(11月22日の週)から利用できるようになる。

すでに提供開始しているマーケットは、オーストラリア、ニュージーランド、香港、シンガポール、ベルギー、ブルガリア、キプロス、チェコ共和国、デンマーク、エストニア、フィンランド、ギリシャ、アイルランド、イタリア、ラトビア、リトアニア、ルクセンブルグ、マルタ、オランダ、ノルウェー、ポーランド、ポルトガル、ルーマニア、スロバキア、スロベニア、スペイン、スウェーデン、スイス、英国。来週にはカナダ、ドイツ、オーストリア、フランスでも開始する。

 

他にポッドキャスト関連のニュースとして、SpotifyはBad Robot Audioとの複数年の独占契約を発表した。Bad Robot Audioは、プロデューサーのJ.J. Abrams(J・J・エイブラムス)氏が2001年に創業した制作会社であるBad Robotの新しいオーディオ部門だ。

Bad Robotは「LOST」「エイリアス」「FRINGE / フリンジ」「パーソン・オブ・インタレスト 犯罪予知ユニット」「キャッスルロック」「ウエストワールド」などのテレビ番組や「SUPER8 / スーパーエイト」「スター・ウォーズ / フォースの覚醒」「スター・ウォーズ / スカイウォーカーの夜明け」などの映画を制作し「スター・トレック」「ミッション:インポッシブル」「クローバーフィールド」の共同制作もしている。

新しい部門を率いるのはAudibleやSpotifyで著名なエグゼクティブだったChristina Choi(クリスティーナ・チョイ)氏で、同氏はBad Robotのポッドキャスト責任者に就任する。Bad RobotはSpotifyで提供する番組について詳細をまだ明らかにしていないが「ノンフィクションとフィクションのポッドキャスト作品」の両方を含むだろうと述べている。

画像クレジット:Bryce Durbin

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(文:Sarah Perez、翻訳:Kaori Koyama)

フリーランスのためのネットワークContraがTikTokと提携、ソーシャルビデオアプリにLinkedInテイストを追加

フリーランスのためのネットワークContraがTikTokと提携して、ユーザーが自分の履歴書や代表的作品集を、TikTokのサードパーティ統合ツールであるTikTok Jumpで展示できることになった。つまりクリエイターは、自分のContraのプロフィールを自作のTikTokビデオにリンクして、プロとしてのポートフォリオを披露できる。

またクリエイターは「View My Portfolio」のリンクをTikTokの自分のコンテンツに加えられる。するとそのリンクをタップして、クリエイターのプロフィールを見たり、サービスを知り、コラボレーションをリクエストしたりできる。

Contraによれば、この統合によってプロフェッショナルな仕事や作品を共有しやすくなり、新たな見込み客をつかまえられる。計画ではJumpの統合をもう1つ立ち上げて、求人企業がTikTokにポストしたコンテンツにリンクがあり、求職者はそこに自分のContraプロフィールをつけて応募できるようにする。同社によると、このパートナーシップにより独立系のワーカーは古典的な履歴書の代わりに、もっとおもしろい方法で自分の仕事や作品を展示できる。

Contraの創業者でCEOのBen Huffman(ベン・ハフマン)氏は次のように述べている。「キャリアに関するアドバイスをもらったり、すばらしい役割について見つけたりする場所として、TikTokはトップの位置にある。クリエイターが自分のすばらしいプロフェッショナルな作品をこのプラットフォーム上で披露できることは当然だ」。

2021年初めにContraは、Unusual Venturesのリードで1450万ドル(約16億6000万円)のシリーズAを調達した。これには、Cowboy VenturesやLi Jin(リ・ジン)氏が最近発表したAtelier Venturesが参加した。さらに2週間前に同社は、NEAがリードする3000万ドル(約34億3000万円)のシリーズBを調達し、こちらはUnusual VenturesとCowboy Venturesが参加した。

同プラットフォームは、プロフェッショナルたちが、プロジェクトベースのアイデンティティと、LinkedInのような役割ベースのアイデンティティの両方を載せたプロフィールを作ることを求めている。Contraの目標は、独立のワーカーがシグナル性が高い紹介ネットワークを作って新しい仕事の機会を得ることだ。LinkedInでは会った人を誰でも「コネクション」に加えられるが、Contraでは各ネットワークでの仕事経験を要する。

同社のTikTokとのパートナーシップで、多くのミレニアル世代やZ世代の人たちに届くことができ、仕事の機会も増えるだろう。TikTok Jumpは6月にローンチして以来、QuizletやWikipedia、BuzzFeed、Jumpropeなど多くの企業とパートナーして、それぞれに独自の統合を作ってきた。

画像クレジット:Nur Photo/Getty Images

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(文:Aisha Malik、翻訳:Hiroshi Iwatani)

Spotifyが教育番組「EDUCAST 熱中大学」配信、国内オリジナル番組として初の「ビデオポッドキャスト」形式導入

Spotifyが教育番組「EDUCAST 熱中大学」配信、国内オリジナル番組として初の「ビデオポッドキャスト」形式導入

Spotify

Spotifyは11月15日、その道のプロフェッショナルとして第一線で活躍するZ世代のクリエイターやインフルエンサーたちに、技術やノウハウ、独自の人生哲学などを学ぶ、講義形式のオリジナル教育ポッドキャスト番組「EDUCAST 熱中大学」の配信を開始しました。番組は日本テレビとの協業で作成されているとのこと。

EDUCAST 熱中大学は、国内オリジナル番組として初めて、ビデオポッドキャストのフォーマットを採用したのも特徴です。通常、ポッドキャストは音声のみですが、ビデオポッドキャストは映像も配信。動画コンテンツとしても利用できるというもの。とはいえ、音声がメインであることに変わりはなく、映像を見ずに音声のみでも番組として成立しています。

ビデオポッドキャストは、海外では2020年7月からサポートされているものですが、視覚情報を伴うことで、クリエイターをより身近に感じられると好評を得ているとのことです。

なお、EDUCAST 熱中大学は、Spotifyが提供する音声コンテンツ制作ツールAnchorを利用しており、Anchorに実装されているQ&A機能や投票機能を活用し、リスナーから各エピソードで最も印象に残った言葉を募集するとのこと。

各回3エピソードずつ、隔週月曜日の18時ごろに配信を行うとしています。

(Source:PR TimesSpotifyEngadget日本版より転載)

料理系クリエイターがレシピ・コンテンツを収益化できるマーケットプレイス「Foody」

Foodyの共同設立者Dan Stitzel(ダニエル・スティッツェル)氏とBrenna Stitzel(ブレナ・スティッツェル)氏(画像クレジット:Foody)

夫婦で共同創業したDaniel(ダニエル)とBrenna Stitzel(ブレナ・スティッツェル)氏は、グルメな人々が自分の作った料理を収益化する方法を開発しており、そのマーケットプレイス「Foody」を正式に立ち上げるためにプレシード資金として150万ドル(約1億7000万円)のラウンドをクローズした。

このラウンドはSerena Venturesが主導し、Goodwater Capitalと、Patreon(パトレオン)のJack Conte(ジャック・コンテ)氏、Postmates(ポストメイツ)の元COOであるVivek Patel(ヴィヴェク・パテル)氏、Greenoaks CapitalのNeil Mehta(ニール・メータ)氏、KeepTruckinのShoaib Makani(ショエイブ・マカニ)氏などを含むエンジェル投資家グループが参加した。

ほとんどの米国人(98%)は、少なくても週に一度は家で料理をするが、レシピを見つけるためには長い時間インターネットで検索したり、広告や料理ブログの記事をかき分けてレシピを見つけなければならない。

そこでFoodyは、ユーザーがレシピを購入したり、自分のレシピをアップロードしたりして、それらを広告なしで1つの場所に保管できる場所を提供する。また、Jeremiah Tower(ジェレマイア・タワー)氏のようなミシュランの星付きシェフやフードブロガーと提携し、彼らはファンとの関係を築きながら、レシピやその他のコンテンツを収益化している。

Foodyアプリ(画像クレジット:Foody)

この会社のアイデアは、ブレナ・スティッツェル氏が金融業界でのキャリアを経て、2020年に料理学校に行くことを決めた頃に生まれた。世界的なパンデミックで学校が閉鎖され、店の棚にある利用可能な食料品が減っていったとき、スティッツェル氏は友人たちから、手元にある基本的な食材で何が作れるかという問い合わせを受けるようになった。

「多くの人がコンテンツを求めていたので、レシピを発信し始めたのですが、既存のツールには満足できませんでした」と彼女は語る。「レストランから作家まで、あらゆる種類のフードクリエイターがコンテンツを収益化して世に出すための優れたソフトウェアはありませんでしたし、家庭のシェフがレシピを一カ所に保存、共有、保管できる場所もありませんでした」。

そこでスティッツェル夫妻は、クリエイターがレシピを公開・共有し、QRコードやURLでファンにアピールできるツールの構築に着手した。料理好きな人は、無料で登録してサイトを利用でき、少額の料金でレシピ集を作ることができる。

Foodyは、タワー氏や、Mister Jiu’sのシェフBrandon Jew(ブランドン・ジュー)氏、Rich TableのEvanとSarah Rich(エバン&サラ・リッチ)氏、Harold Villarosa(ハロルド・ヴィラロサ)氏、Gaby Dalkin(ギャビー・ダルキン)氏、Amanda Frederickson(アマンダ・フレデリクソン)氏、Amanda Haas(アマンダ・ハース)氏、LauraとSayat Ozyilmaz(ローラ&サヤット・オジルマ)氏、A16レストラン、Tu David Phu(トゥ・デイビット・フー)氏など、12の厳選されたシェフやレストランを含む30人以上のクリエイターが参加してスタートする。

Serena Venturesについて「クリエイターに力を与え、家庭での料理の作り手の日々の生活を向上させるすばらしいソフトウェアを構築するというビジョンを共有できる」パートナーを見つけた、とスティッツェル夫妻は述べている。

Serena Venturesの創設者で経営パートナーのSerena Williams(セリーナ・ウィリアムズ)氏は、声明文の中でこう述べた。「仕事でも家族といるときも、食べ物と料理は、私の生活の大きな部分を占めています。Foodyで新しいレシピを試すことをとても楽しみにしています。そして、あらゆる文化やバックグランドを持つ料理クリエイターが、その創造性を収入につなげる機会を持つべきだと信じています」。

今回の資金調達は、新製品や機能を構築していく中で、エンジニアリングおよび開発部門の10人のチームを強化するために使用する予定だとダニエル・スティッツェル氏は語った。

「私たちは、毎週の食事のプランニングや、食料品の配達サービスと統合するなど、すばらしいキッチンソフトウェアを実現するための大きなビジョンを持っています」と彼は付け加えた。

画像クレジット:Christine Hall

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(文:Christine Hall、翻訳:Aya Nakazato)