Kickstarterのクラウドファンディング総額が10億ドルの大台に

インターネットの住民がKickstarterに投じた金額はいったいどれくらいになるのだろう?

それは簡単に分かる。Kickstarterは定期的に統計を発表している。これによると数日後にはKickstarterがプレッジ〔投資の申し出〕を受けた資金の総額は10億ドルの大台に乗る

Kickstarterがウェブサイトに定期的に掲載している資金調達の実績によると、今朝(米国時間3/2)、Kickstarterのプレッジ総額は9億9920万9752ドルだった。つまり10億ドルまであとわずか79万1000ドルだ。おそらく数日以内に10億ドルを達成するだろう。

ひとつ注意しておくと、この金額はあくまでプレッジの総額だ。つまり募集目標額を達成して実際に資金が払い込まれたプロジェクト、現在募集中のプロジェクト、また募集目標額の達成に失敗して資金が払い込まれなかったプロジェクトすべてに対する出資の約束額の合計ということになる。Kickstarterではプレッジされた金額がキャンペーン目標額を上回ったときに限り、実際に資金が払い込まれる。Kickstarterによると、現在のプレッジ総額10億ドルのうち、8億5800万ドルはキャンペーンが成功して実際に資金が払い込まれたという。

その他興味ある事実は、次のとおり。

  • Kickstarterキャンペーンの総数は13万5270件
  • このうち5万7052件(43%)が目標額を達成。失敗したキャンペーンのうち相当の部分(10%)は1ドルのプレッジも受けられなかった。
  • ゲームのジャンル、成功したキャンペーンの件数としては6位(音楽、映画、美術、出版、演劇の各ジャンル次)だが、100万ドル以上のプレッジを受けた件数としてはf他を引き離して最大のジャンルだった。また資金調達総額でも最大のジャンルだった。
  • 目標額の20%まで資金が集まったプロジェクトは最終的に成功する率が80%ある。

ちなみに、Kickstarterは成功したキャンペーンで調達された資金の5%を手数料として得る。読者に電卓を叩かせる手間を省くために先回りすると、成功したキャンペーンの総額8億5800万ドルのうち、Kickstarterのフトコロに入った分は約4200万ドルとなる。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


気になる話題を自動収集する「カメリオ」、グローバル・ブレインから5000万円調達


白ヤギコーポレーションは28日、グローバル・ブレインが運営するファンドを引受先とする約5000万円の第三者割当増資を実施した。同社は、気になる話題に関するニュースやブログを自動収集するiPhoneアプリ「カメリオ(Kamelio)」を手がけるスタートアップ。今回調達した資金では人材採用を強化し、サービス開発に注力する。

カメリオは自らを「フォローメディア」と称していて、ユーザーがフォローしたテーマに沿ったニュースやブログの記事をリアルタイムに自動収集する。テーマは100万以上あり、例えば好きなアーティストをフォローすると、テレビの出演情報や作品情報をプッシュ通知してくれる。

もう一つ特徴的なのは、関連する記事を過去にさかのぼって読めるタイムライン機能だ。技術的には、記事に含まれる「コンセプトの距離」を定量化することで実現している。例えば、ビッグデータとクラウドコンピューティングは0.1、ビッグデータとTechCrunchは0.2などと数値化し、コンセプトが近い記事をタイムラインに表示させているのだとか。

実際に試してみると、ビットコイン騒動のような時事的な記事はタイムラインがうまく機能する傾向があるようだ。ただ、指輪型ウェアラブルデバイス「Ring」がKickstarterに公開されたことを報じたTechCrunchの記事は、タイムラインに二次配信先のヤフーニュースの記事しか表示されなかったりもする(TechCrunch Tokyo 2013のスタートアップバトルでRingが優勝した記事も入れて欲しかった)。タイムライン機能の品質向上については、今後の最優先課題だとしている。

白ヤギコーポレーションによれば、カメリオは最新の情報を収集したり、興味を学習してくれるニュースアプリと、探している情報がすぐに見つかり、興味に合わせて深堀りできる検索エンジンのいいとこ取りをしたアプリ。かつてポータルサイトで消費されたニュースは昨今、モバイルアプリに主戦場が移行しつつある。この分野は激戦区だが、本日バージョン4.0.0をリリースしたGunosyや、2月3日に300万ダウンロードを突破したSmartNewsLINEの公式ニュースアプリなどがある中で存在感を出せるか注目だ。


世界最先端のクラウド国家 – エストニアの驚くべきデジタル戦略

あのskypeを産み出した東欧の小国エストニアが、世界でも屈指のデジタル国家という話は何となく耳にしたことはありますが、その実態を知る人は少ないでしょう。今回は世界でも屈指のIT系投資会社として名をはせるアンドリーセン・ホロウッィツの創業者ブログからデジタル国家エストニアについて学べる記事を。 — SEO Japan

テクノロジー業界である程度有名になった結果、最近、Healthcare.govに関する質問をよく受ける。 どうやら、まともに動かないウェブサイトを作るために、iPhoneの製作費の2倍から4倍の費用が、本当に必要なのかどうかを知りたがっている。素晴らしい疑問だと思う。しかし、経験上、プロジェクトの失敗の理由を理解することは、プロジェクトの成功の理由を理解することに比べると、遥かに重要度は低い。つまり、3億から6億ドルを支払って、healthcare.govの第一反復を構築することが、適切ではない理由を説明するよりも、私ならソフトウェアを活かした便利な政府機関のモデルに着目する。その上で、この記事は、テクノロジーがアメリカ政府を悪化させるのではなく、改善する仕組みを深く理解する上で、良いステップになるかもしれない。

ベンチャーキャピタリストとして新米の頃、私はSkypeに投資を行い、上場させたことがある。Skypeには興味深い面が幾つかあり、その一つは、非運な歴史を持つ、東欧の小さな国、エストニアを本拠にしている点であった。エストニアは、何世紀も前から、他国の侵略に晒され、デンマーク、スウェーデン、ドイツ、そして、最近ではソビエト連邦によって支配されてきた。現在は、独立しているものの、同国の市民は、過去の歴史をよく心得ており、慎ましく、実用的な考え方を持ち、同時に、自由に誇りを持っている。しかし、過剰に楽観的な推測は疑問視する。ある意味、テクノロジーの採用において、理想的な環境にあると言えるだろう — 期待はするものの、適度に懐疑的な考えを持つ思想が浸透しているのだ。

この文化に支えられ、エストニアは、アメリカ国民が羨むテクノロジープラットフォームを市民のために構築した。エストニアは、政府のテクノロジープロジェクトを減らすのではなく、増やしてほしいと市民が望むほど、市民が喜ぶインフラを開発した。この仕組みを説明してもらうため、私は、駐在起業家の一人であり、エストニア人のステン・タムキヴィ氏に話しをしてもらった。


ぱっと見ただけでは、エストニアは、アメリカの注目を引くような国ではないかもしれない。フィンランドの隣にある、東欧北部の小さな一国に過ぎない。エストニアにはオランダの領土があるものの、住んでいる人は少ない。エストニアの人口は、1300万人であり、ハワイとほぼ同じである。エストニアは、EU、ユーロ圏、そして、NATOに参加している。要するに、インド人の友人が、最近冗談のネタにしていた通り、「何を統治する必要があるのか?」と思わざるを得ない状況である。

この小さな国の銘柄としての魅力は、議員をインターネットで選出することが出来るだけではなく、2日間で税金が戻ってくる点である。このレベルの市民へのサービスは、政府が、幾つかウェブサイトを立ち上げるような取り組みから端を発したわけではない。エストニアは、開示性、プライバシー、セキュリティ、そして、未来を念頭に置きながら、情報インフラ全体をゼロから作り直す取り組みを断行したのだ。

e政府の基盤を作る上で、まずは市民を識別することが出来る点が条件になる。当たり前だと思うかもしれないが、社会保障番号で個人に対応したり、納税者番号で対応したり、あるいは、別の方法で対応したりする方針は、効果的とは言い難い。エストニアは、とてもシンプルで、尚且つ固有のIDメソッドを、パスポートから、銀行の記録、自治体の事務所、そして、病院に至るまで、すべてのシステムで利用している。個人のIDコード 37501011234を持つ市民は、20世紀(3)、1975年1月1日に生まれた123人目の男性を意味する。この番号は、コンピュータによるチェックサムで終わり、容易に入力ミスを検知することが出来る。

識別した市民が、お互いに取引することが出来るように、エストニアは、2000年にDigital Signatures Act(デジタル署名法)を通過させていた。国は全国レベルのPublic-key Infrastructure(PKI: 市民のアイデンティティを暗号キーと一体化させる取り組み)を標準に指定し、その結果、ティイトとトイヴォ(共にエストニアで多い名前)が、証明書付きの電子形式で契約を結ぼうが、あるいは、紙でインクを使って契約書を作成しようが、問題にはならなくなった。この方法の署名は、いかなる法律においても有効であるためだ。

しかし、この取り組みには、予想外の副作用があった。この基本となる法律は、すべての分散した政府のシステムを「マーケットの需要」に応じてデジタル化させる効力を持っていた。つまり、市民が電子署名を行った状態で、紙媒体のコピーを求めた場合、政府機関はこの要請に応じなければいけないのだ。市民は利便性を求めるため、デジタル形式が激増し、その結果、官僚はプロセスを管理しやすくするため、システムの改善に乗り気になる。小さな村のソーシャルワーカーでも、大きな投資を行うことなく、事務所が受信したデジタル署名付きのeメールを処理するだけで、同様のサービスを提供することが出来る。

この法律は、未来を見据えており、デジタル署名の技術面のニュアンスを固定していない。事実、時間の経過と共に、実装形態は徐々に変わりつつある。当初、エストニアは、身分の証明、そして、EU諸国内の移動に際して、従来型のID カードを給付していた。このカードのチップは、法的効力のある署名、そして、あらゆる信頼するウェブサイトやサービスへの本人確認(政府のサービスから、インターネット銀行に至るまで、幅広く利用されている)の2つの証明書を運ぶ。15歳以上の市民は、全員このカードを持つ義務があり、現在、120万枚のカードが利用されている。この枚数は、同国市民のほぼ100%に行き渡っていることを意味する。

モバイル機器の利用が急激に進み、現在の144%に近づくにつれ(ヨーロッパで3番目)、電子署名の利用も急激に増加した。スマートカードリーダーをコンピュータと一緒に持ち運びするのではなく、市民は、Mobile IDが搭載されたSIMカードを電話会社から得ることが出来る。追加でハードウェアやソフトウェアをインストールすることなく、PINコードを携帯電話に入力するだけで、システムにアクセスすることが可能である。

この記事を書いている時点で、IDカードと携帯電話を用いて、エストニア人は、2億3000万回認証を行い、1億4000万回法的に有効な署名を行っている。営利の契約と銀行での取引に加え、現在、選挙でも、このシステムが大活躍している: 2005年には、世界で初めて、地方選挙を電子上で認める国となっただけでなく、このシステムは、2011年のエストニアおよび欧州議会の選挙にも用いられ、票の全体の24%を占めるほど定着している(興味深いことに、この選挙では、選挙時に、たまたまいた場所から投票を行う人がおり、合計で105ヶ国から票が投じられていた — 私もその一人であり、カリフォルニア州から投票を行った)。

この所謂イノベーションをスピードアップさせるため、エストニアは、電子署名認証システムの構築と安全性の確保を、民間、すなわち、同国の銀行と電話会社で構成される合弁企業に委ねていた。しかし、民間と国の提携はこれで終わったわけではなかった。エストニア国内でデータがやり取りされる仕組みにより、国の団体も民営の団体も同じデータ交換のシステム(X-Roadと呼ばれる)にアクセスすることが出来るため、究極の総合的なeサービスが実現している。

その代表的な例が、エストニア人が、「埋める」納税申告である。「埋める」と表現したのは、一般のエストニアの市民が、年に一度納税の申告を行うためにフォーム(用紙)を提出する際、見直し用のウィザードのような手順を踏むためだ — 次に進む -> 次に進む -> 次に進む -> 提出する。これは、データが既に一年中動かされているためであり、雇用者が、毎月雇用税を申告する時点で、全てのデータエントリは、既に特定の従業員の納税記録にリンクされている。同じように、非営利団体が申告した慈善寄付は、寄付者に対して控除として記録される。住宅ローンの課税控除は、銀行とやり取りするデータを介して直接行われる。その他にも様々なケースが考えられる。また、エストニアでは、所得税率が、全員21%に統一されており、既にデータが入力されたフォームを提出すると、市民は、その翌日には、払い過ぎた金額を銀行の口座に振り込んでもらえる(もちろん、電子送金)。

このデータのシステム間の流動的な動きは、市民のプライバシーを保護する基本的な原則に左右される。一も二もなく、データを所有するのは市民である。市民は、データへのアクセスをコントロールする権利を持つ。例えば、完全にデジタル化された健康の記録や処方箋においては、市民は、アクセス権を一般開業医からかかりつけの専門医まで、詳細に決めることが出来る。法律によって、国による情報の閲覧を阻止することが出来ない場合、例えば、エストニアのe警察が、警察車両や警察署内でリアルタイムの端末を利用しているケースでは、市民は、少なくとも、データにアクセスした人物と時間の記録を取り寄せることが可能である。妥当な理由もなく、公務員が自分のデータをチェックしていることに気づいたら、問い合わせを行い、その人物をクビにすることが出来る。

しかし、当然ながら、何もかもデジタル化すると、個人だけでなく、システム全体、そして、国全体にセキュリティのリスクをもたらす可能性がある。事実、エストニアは、2007年のサイバー戦争の標的となり、政府、メディア、そして、金融機関をターゲットにした暴動が起きた後、組織的なボットネット攻撃が行われた。その結果、数時間にわたって、エストニア全体が、事実上、インターネットから寸断されてしまった。しかし、その結果、エストニアは、NATOのサイバーディフェンスセンターの本拠地となり、エストニアのトーマス・イルヴェス大統領は、世界の国々の指導者の中で、サイバーセキュリティを推奨する指導者として有名になった。

さらに面白いのは、エストニアが完全にデジタル化されたことで生まれた裏の側面である。エストニアの政府機関のクラウド化が100%完了すれば、この国への物理的な攻撃のコストは高くなる。このスカンジナビアの小さな国を侵攻したものの、政府の業務は中断されず、データのレプリカが、その他の友好的なヨーロッパの区域で起動する展開を想像してもらいたい。民主主義の政権が、すぐに再選挙によって生まれ、重要な決定が下され、文書が発行され、企業 & 不動産の記録は管理され、出生の記録が行われ、さらには、インターネットにアクセスする住民によって、税金が循環するのだ。遠い未来の話をしているように思えるかもしれないが、これは、エストニア政府のCIO、ターヴィ・コトゥカ氏が理想として掲げるだけでなく、同国が既に構築したe基礎に実際に実装しているシステムである。

エストニアを巡る状況は、色々な意味で特別である。エストニアは、50年もの間、ソビエトに支配された後、1991年に再び独立を果たした。その後、西欧諸国が1960-80年代に構築した、チェックブックやメインフレームコンピュータ等の多くのテクノロジーの遺産を飛ばし、90年代半ばのTCP/IPのウェブアプリの波にいきなり乗ったのであった。この社会的なリセットを行う中、エストニアの市民は、以前の社会主義の指導者を追い出し、新たな指導者を選んだ –また、大臣には、ディスプラティブな思考を期待することが出来る、20代後半の若者が任命された。

と言っても、すべて20年も前の話である。エストニアは、マクロ経済および政治の観念で考えると、どちらかと言うと、「退屈な状況」、つまり、安定し、予測しやすい国になった。しかし、その一方で、鉄のカーテンに遮られていた時代から、もともと独立していたヨーロッパの国々との間にあった差を、急速に埋めていった。20年が経過するが、エストニアを、年齢や年代ではなく、考え方において、今もスタートアップの国だと言えるだろう。

これは、米国をはじめ、インターネットを浸透させることに、そして、モバイル化が進む市民のデジタル化に苦戦する国々が、エストニアから学べる領域である — それは考え方だ。そのためには、基盤に疑問を投げかけ、鍵となるインフラを適切に整え、そして、継続的に作り変えていく姿勢が求められる。米国は、革新を起こすため、健康保険を仲介するサイトを構築することも出来るし、あらゆるサービスを構築するために必要な重要な要素 — 署名、取引、法的な枠組み等 — を本気で検討することも出来る。

最終的に、心地よい環境を作る国にモバイル市民は集まる。色々な意味で、この目標を目指す小さなエストニアの2014年の現状は、英米戦争の真っ只中にあった1814年のニューイングランドほど悪い状態ではないと言えるだろう。


この記事は、ben’s blogに掲載された「Estonia: The Little Country That Cloud」を翻訳した内容です。

人口130万人強の小国だからこそできることともいえるかもしれませんが、記事にあるように日本含め他国が学べることは多そうですね。そういえばエストニアもですが、お隣のベラルーシも最近楽天が買収したViberの開発拠点だったり、ウクライナもあのWhat’sAppの創立者が生まれた国ですし、東欧パワー最近スゴイです。実は私の会社も東欧に開発拠点があり、彼らの優秀さは日々感じています。先行する成功者に負けじと頑張って結果を出していきたいです。。。 — SEO Japan [G+]

売れなければ意味がない、ネットショップ無料構築「STORES.jp」が集客支援の提携を加速

専門知識がない人でも手軽にネットショップを作れる「STORES.jp」。現在までに8万以上のストアが開設され、100万点を超える商品が登録されているという。その中には、自らのTwitterやFacebookの影響力を駆使して、年間5000万円を売り上げるストアもあるのだとか。とはいえ、簡単にストアは作ったものの、ほとんど売れない人のほうが圧倒的多数。STORES.jpとしてもこうした現状を理解していて、「売れるストア」を作るための提携戦略を進めている。

その中で最も話題となったのは、親会社のスタートトゥデイと共同で開発したアパレル特化型のマーケットプレイス「ZOZOMARKET」(関連記事)。STORES.jpでストアを開設したオーナーは、管理ページ内の「プロモーションスイッチ」を有効にするだけで自動的に商品がZOZOMARKETに掲載される。販売力の弱い中小のアパレルストアにとって、「STORES.jpに出せばZOZOで販売できる」のは魅力。STORES.jpを運営するブラケットの光本勇介社長は、「できたてホヤホヤの地方アパレルの商品が毎月数百個レベルで売れている」と話す(もちろん、こうした成功事例の影には閑古鳥が鳴いているストアが多数あるだろうが)。

ZOZOMARKET以外にも、「売れるストア」作りに向けた施策を年末から今年にかけて矢継ぎ早に打ち出している。2013年12月にはユザワヤ商事とハンドメイド作品専門の「ユザワヤマーケット」を開設、2014年2月には「ヤフオク!」と連携(関連記事)、同月には同人誌販売の「コミックとらのあな」と「とらのあなマーケット」を開設、そして本日、セレクトリサイクルショップ「PASS THE BATON」と「PASS THE BATONマーケット」を3月28日に開設することを発表した。今後は全国363店舗の雑貨チェーン「ヴィレッジヴァンガード」と「ヴィレッジヴァンガード・マーケット」をオープンする予定だ。

提携先として重視しているのは、根強いファンがいて集客力のある企業かどうか。これらの事例ではいずれも、ストアオーナーが管理ページでプロモーションスイッチを有効にするだけで、提携先サイトに商品が露出される。光本氏によれば、プロモーションスイッチを有効にしているストアと、そうでないストアを比べると、1カ月で売り上げが2.7倍も変わるのだとか。

STORES.jpは専門知識がなくても利用できる手軽さがウリなだけあって、「ITリテラシーの低いストアオーナーが少なくない」と光本氏は指摘する。そうしたオーナーに対しては知識を詰め込むのではなく、「プロモーションスイッチを有効にしていたら、いつのまにか売れていた」という状況が理想だという。「売れないストアを生成しても意味がない」(光本氏)。

無料でネットショップを作成できる国内の競合サービスとしては、1月末時点で7万店が開設されているBASEがある。どちらも初期費用や販売手数料は無料だが、掲載できる商品数はBASEが無制限、STORES.jpは5点まで(月額980円のプレミアムプランに加入すれば無制限)だったり、BASEが無料で独自ドメインを取得できる一方で、STORES.jpはプレミアムプラン加入者のみ取得可能といった違いがある。BASEについて光本氏は、「よく比較されるが、我々の強みは圧倒的に売る導線を確保していること」と話していて、外部との提携戦略で差別化を図っていく考えだ。

ブラケットの光本勇介社長


ITで不透明な業界に挑む、追加費用なしの定額リフォームEC「リノコ」が2億円調達

ネットを通じてリフォームを依頼できるサイト「リノコ」を運営するセカイエは28日、ニッセイ・キャピタルが運営するファンドを引受先とする2億円の第三者割当増資を実施した。リノコは施工店と消費者の間に入ることで、施工店による強引な販売や追加料金の請求を排除することをうたっている。料金体系が不透明なリフォーム業界にインターネットを武器に参入することで、適正な相場を形成したいのだという。調達した資金は主に広告宣伝や採用にあて、全国展開を強化する。

矢野経済研究所によれば、2012年の住宅リフォーム市場規模は約6兆3000万円。業界には圧倒的な市場シェアを獲得するプレイヤーは存在せず、中小零細企業の売り上げが75%を占めている。大手不在のためにサービスが適正化されていない部分もあるようで、見積もりに追加料金が発生するといったトラブルも少なくない。そこでリノコは施工店とユーザーの接点をなくし、問い合わせや連絡は自社のコールセンターを経由してやりとりしている。セカイエ代表取締役社長の高間舘紘平氏は、「腐った慣習がはびこっている業界に適正な相場をもたらしたい」と語る。

サービスの流れ

リノコが手がけるのはクロスの張り替えやキッチン、お風呂、トイレ、洗面台の交換など。見積もりには材料費や工事費、人件費などリフォームに必要なすべての費用を記載し、例えばクロス貼替えは6帖で3万9800円などと決まっている。価格は競合サイトと比べて最安値ではないが、リノコ経由で施工店に直接発注し、二次請けや三次請けといった中間マージンを排除することで業界標準よりも3割ほど安い価格を設定しているという。材料はこれまで施工店経由で仕入れていたが、2013年12月からはリノコ側で一括仕入を順次開始したことで、仕入れ値を下げている。

サービスの提供地域は日本全国。北海道から沖縄までの工務店や職人など300社と業務提携している。施工店側としては、通常業務の空き時間にリノコ経由で受注した仕事を行うことで稼働率をあげられることがメリットだ。この仕組みは、2月に14億5000万円を調達したネット印刷「ラクスル」や、昨年12月にサービスエリアを全国に拡大したネット宅配弁当「ごちクル」と似ている。前者は印刷会社、後者は飲食店を組織化し、ネット経由で受注した案件を通常業務の空き時間に依頼している。

リノコは全国一律で工事の品質を担保するために、ユーザーアンケートやコールセンターとの応対内容にもとづいてに施工店を採点し、ランク付けしている。同一地域内でランクが高い施工店には優先的に仕事を依頼し、反対に評価が悪い施工店は取り引きを停止している。実際にこれまで約100社との提携を解消したが、クレームをなくすための品質管理としては欠かせない仕組みなのだという。品質を担保するサービスとしてはこのほか、施工箇所の1年工事保証とメーカー保証も付けている。

主な利用者は50~60代の持家・分譲マンション居住者やマンションオーナー。地域別では東京が26%で最も多く、千葉、埼玉、神奈川を含めると5割を超える。受注件数は2013年11月期で1200件。現在は月間220件ペースで受注していて、今期は5000件を上回る見込みだ。年内にはハウスクリーニングや太陽光パネル設置などのメニューを増やし、今期売り上げ10億円を目指す。

セカイエは大阪に拠点を置くスタートアップ。リノコはもともと、低価格葬儀サービス「小さなお葬式」を提供するユニクエスト・オンラインの新規事業として始まったが、2013年にユニクエスト社が買収。これに伴い代表取締役を務めていた田中智也氏が退任し、新たにセカイエを設立してリノコを継続していた。その後、当事JAFCOでユニクエストのリードインベスターとして支援していた高間舘氏にラブコールを送り、田中氏に代わって社長に就任した経緯がある。ちなみに、小さなお葬式はリノコと同じく、不明瞭な価格設定が横行する業界にネットを武器に参入し、追加料金なしの定額プランを提供している。

セカイエ代表取締役社長の高間舘紘平氏


どっちがいいか迷ったら友だちに聞いてみよう―PopはFrontback的な2枚の写真でアンケートを取るユニークなアプリ

どちらにしようか迷った経験は誰にもあるだろう。15歳以上でオンラインに友だちが多いなら新しいiPhoneアプリ、Popを試してみるとよいかもしれない。今日(米国時間2/26)正式にデビューしたこのアプリを使うと、2枚の写真を友だちに見せてどちらが良いか選んでもらうことができる。

Popはごくシンプルな投票アプリだ。既存のソーシャル・アンケート・サービスの PolarThumbLoopVotoなどに比べると選択の対象は2枚の写真だけで、機能はごく限られる。UIはFrontbackによく似ており、写真が上下に2枚表示される。二者択一でどちらかを選ばせるという点では昔のデート・アプリ、Hot or NotTinderを思わせる。

ユーザーは2枚の写真を撮り、質問を入力する。それから公開範囲を決める。オプションには「近くにいるユーザー」、「近くにいる友だち」、「友だち全員」の3種類がある。

ユーザーリストをスクロールして個別のユーザーを指定する機能も一応あるが、スクロールも遅く、検索もできないので、事実上個別指定はできない。この点についてはバージョンアップを待つしかない。

今のところPopのアンケート結果はFacebookやTwitterで共有できない。この点は早急に改善の必要がある。指定された相手がアプリをインストールしていない場合、アプリのインストールを促すテキスト・メッセージが届く。これも微妙なところで、こういうメッセージはたとえ発信者が友だちでもスパム扱いされる可能性がある。

開発チームのThomas Leeによると、このアプリは大学キャンパスをターゲットに開発されたのだという(むしろ高校生の方がターゲットとして適しているのではないかと思うか、私はもう若くないのでよくわからない)。

Lee、Khalid Karim、Alessia Vetteseの3人はトロントのNext 36‘というアクセラレータ・プログラムに参加してこのアプリを開発した。Leeによれば、「われわれはよく友だち『どっちのシャツ買おうか?』とか『今夜はどっちを着ていこうか?』とか尋ね合っている。しかし写真を撮ってFBメッセージやその他のメッセージシステムに添付するのは面倒な作業だ。Popはこの作業を能率化するアプリだ。これを開発した動機はわれわれ自身が使うためだった」と語った。

3人のチームはほぼ1ヶ月でこのアプリを開発した。さて次はこのアプリを実際に多くのユーザーに使ってもらうという課題に挑戦しなければならない。しかしPopは(現在のバージョンにはいろいろ制限があるものの)楽しいアプリだし、使い方は簡単だ。人気アプリのUIを真似したのもよい考えだ。将来に期待が持てると思う。

こちらから無料でダウンロードできる。.

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


リーンスタートアップと資金調達、どの選択が正しいか?

リーマンショック以降の不況を受けて米国で一気に普及した「リーンスタートアップ」のスタートアップモデル。日本でも普及を見せ始めていたようですが、最近は逆に株価や景気が回復しつつある影響でかつて無かったスタートアップへの大型投資が加速化しているせいか、ブームにまでは至っていないようです。競合他社や知り合いのスタートアップ経営者が資金調達に成功したと聞くとそれだけで負けた気分になってしまう人もいるかもしれませんが、資金調達はあくまで始めの一歩、事業が成功するかどうかは全くの別問題。また投資家が参入することでデメリットも存在するわけですし、リーンスタートアップでフットワーク軽く突き進んでいった方が成功の確率が高まる可能性もあるでしょう。今回はそんなリーンスタートアップと最初から資金調達を狙うモデルを比較してみた記事をカナダの起業家兼投資家が語ります。 — SEO Japan

リーンスタートアップは、実験と学習がすべてだ。それは、アプローチにおいて客観的に率直かつ系統的になることが重要だ。それは、速く進む前にゆっくりと進むことが重要だ。それは、前進する前に後進することが重要だ。

一方、投資は、ストーリーテリングと大きなビジョンがすべてだ。それは、証明と、急激なカーブを描くけん引力が重要でもある。

では、資金調達をする時、どうやってこの2つのバランスを取るのか?

ここ数年で、リーンスタートアップの人気が出てきたため、多くのスタートアップが“私たちはリーンだ!”という信念を持って資金調達に向かった。1,2回ピボットして人気が出れば、シードキャピタルを調達した。リーンは、スタートアップと投資家にとって、会社を築くという厳しい現実に光を当てる新鮮な息吹だった(今もそうである)。投資家は、より厳密なアプローチを高く評価した;もっと現実的なものを売られているように感じたのだ…。

しかし、途中で悪いことが起きた。リーンスタートアップの効力が弱められ、ピボットの価値が下がったのだ。スタートアップは一切のビジョンもなく2,3日で現れた;しかし、リーンのドラムを叩いて、どちらにせよ資金調達に向かった。当然のことながら、リーンという言葉を繰り返し何回も聞くことに疲れた投資家の間で反動が増大した。私なら、“私たちはリーンスタートアップだ”と言って投資家に売り込むことはお勧めしない。それでは上手くいかないのだ。はっきり言って、それがこれまでに適切な戦略だったとは思わない。

重要なのは、最高のストーリーテリングおよび大きなビジョンと、爪の内側に泥のついた実践的な戦略および戦術を混合することにある。

説得力のあるストーリーを伝えて投資家の心を掴むことができなければ、あなたは彼らの注目を得られない。多くの創設者は生まれつきのストーリーテラーではないが、それはあなたが積極的に取り組まなければならないスキルなのだ。それが大きな違いを生む。優れたストーリーを鮮やかに描き出し、果てしないビジョンを表現すれば、投資家を引き込むチャンスはある。

同時に、ただ手を振り回して“こんな世界を想像して…”と力強く言って、彼らが食いつくのを期待することはできない。私はそれをすることのできる人を何人かは知っているが、大部分の人にはそれができないのだ。だからあなたは、戦略および戦術にまで詳細に触れ、あなたがどうやって自分のビジョンに向かって積極的かつ知的に実行するつもりなのかを投資家に示す必要がある。そこでリーンの出番だ。リーンスタートアップとリーンアナリティクスは、戦略と戦術が全てだ。それらは、どのように実行すべきかに関する実践的なガイドブックを私たちに与える。あなたは、最高の絵を描き、素晴らしいストーリーを紡ぎ、果てしないビジョンを共有し、そして、投資家に詳細を伝えることができる。彼らに、あなたが何を学んだのか、どのように実験しているのかを説明するのだ。そのアプローチについて自信を持って話し、それがあなた自身の想像だけに根差したものではないことを示すのだ。あなたのやっていることをしっかり固めるためにリーンの原則とアナリティクスを使用するのだ。あなたの描くビジョンとストーリーは、あなたが戦略的に実行し“終わらせる”能力を示す(リーンスタートアップとリーンアナリティクスを基本ガイドとして使って)時に、もっとリアルになるのだ。

成功する起業家は、夢を売ることができ、そして、それを実現するのが自分であることを投資家に示す/説得することができる(ここで実践的な“こと”が大きな役割を果たす)。それがストーリーテリングとリーンを混合するカギであり、回りまわって資金調達の効果的な手段としてリーンを利用するカギなのだ。


この記事は、Instigator Blogに掲載された「Lean Startup Versus Raising Capital」を翻訳した内容です。

私もたまたま別件で外部出資を募るためのビジネスプランを準備しているのですが、最初に書かれていた「投資は、ストーリーテリングと大きなビジョンがすべて」という一言には納得しました。私自身では数多くの投資や新規事業を個人・会社レベルでしてきましたが、お金があるにこしたことはないとは思いますが、ないからこそ、頭を絞りに絞って考えぬことから生まれるものってありますし、意外とそれが成功の鍵につながる気もします。記事のタイトルは二次元論で書かれていますが、リーンスタートアップで最初はできるだけ頑張って、スケールさせるために資金が必要という時に初めて調達に動く、という流れが一番うまくいくような気もするのですが、さて皆さんはどうお考えになるでしょうか。 — SEO Japan [G+]

開発者向けカード決済サービス「WebPay」運営元が1.1億円のシード資金調達

ウェブペイ・ホールディングスは25日、新株予約権付転換社債によるシードラウンドを実施し、サイバーエージェント・ベンチャーズを含む3社より、1億1000万円を調達したことを明らかにした。同社はウェブサイトやモバイルアプリにクレジットカード決済機能を組み込める開発者向けサービス「WebPay」を運営するウェブペイの純粋持株会社。調達資金は主としてエンジニアを含む採用に使う。

WebPayは2013年6月に正式サービスを開始。わずか数時間で組み込めるほど簡単に使えるというAPIを提供し、最短3営業日で審査が完了する体制を構築。カード情報を加盟店側で処理・伝送・保存しないのも特徴だ。これまでカード決済機能を導入するには、各決済サービスの独自で複雑なAPIを利用する必要があり、書類審査で何週間も待たなければならなかったという。

この分野にはヤフーが2014年春、「Yahoo!ウォレットFastPay」というサービスで参入することも発表済み。内容はWebPayと類似していて、ウェブペイ代表取締役CEOの久保渓氏は、「WebPayとYahoo!ウォレットFastPayは競合です!歓迎します!徹底抗戦します!」と題するブログエントリを投稿している。Yahoo!ウォレットFastPayもWebPayと同様、急成長するスタートアップ向けカード決済サービスという位置付けでユーザー獲得を目論んでいるようだ。


Dropbox、新たに3.5億ドルを調達。評価額は100億ドル

Dropboxが追加ラウンドで多額の資金調達を済ませていたという先月来の報道は、規制当局への提出資料によって確認されたようだ。

去る1月Wall Street Journalは、クラウドストレージ&共有サービス会社が2.5億ドルの追加資金を評価額100億ドルで調達したと報じた。そして2月には、この数字を3.5億ドルに修正し(評価額は変わらず)、出資者はBlackRock、T.Rowe Price、およびMorgan Stanleyであるとした。しかし、Dropboxは報道内容を認めなかった。

提出資料によると、ラウンドの金額は最大4.5億ドルで、これまでに3.25億ドルが調達済みだ。おそらく3.5億ドルというのが正しい数字のようで、Fortuneもそう聞いている

Dropboxはそれ以前、2.5億ドルをわずかに越える額を調達している。本誌は同社に問い合わせ中なので、情報が入り次第続報する。

ところで、Dropbox共同ファウンダーのDrew HoustonとArash Ferdowsiは、今年のCrunchiesで年間最優秀ファウンダーを受賞し、プレゼンターは私とInstagram共同ファウンダーのKevin Systromだった(上の写真からは私を切り取ってある。何だか妙な気分なので)。

アップデート:3.5億ドルで間違いなかった。この資金調達に詳しい筋が確認した。Dropboxは事実この金額でシリーズCラウンドを完了し、出資元は既存投資家および主要投資信託で評価額は100億ドルだった。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook


科学への貢献を求めるクラウドファンディング?! DNAの損傷具合を数値化して健康対策を行うExogen Bioが、Indiegogoにて血液データの提供を要請

自己データを数値化することによる健康管理(quantified health)の動きはますます発展していきそうな様子だ。さまざまなフィットネスバンドがライフスタイルに応じた形で利用され始めており、いろいろな場面で測定、記録、分析、健康状態分析などに利用されている。適用範囲はほぼ無限というほどに広く、大いに稼げる商品分野として成長を続けている。

そのような中、アメリカからExogen Bioという新しいスタートアップが登場してきた。自分でDNAの損傷具合をチェックして、データに基づく健康管理の一助としようとするものだ。

DNAの損傷というと、ずいぶん恐ろしく聞こえるが、しかし実のところすべての人の持つDNAは頻繁に損傷しているのだ。細胞レベルでの自然な劣化というものもある。もちろん損傷の度合いというのは人それぞれによって異なる。食習慣や運動レベル、環境有害物質と接する頻度などによっても違いが出てくる。

つまり、個人的なDNAの損傷具合をチェックしたい場合、同年齢で、生活環境も近い人と比較した方が、状況をわかりやすく把握できるようになる。こうした「近しい」人とのデータ比較を大規模に行うことで、他の人と違うライフスタイルがDNAの損傷に有意な影響を及ぼしているのかどうかを確認できるようになる(とくに何か身体に悪いことをしていなくても、年を取ることでDNAは損傷していく)。そうしたデータを把握することで、DNAに悪い行動を控えることができる可能性もある。

Exogen Bioの主な狙いは、DNAの損傷具合を数値化することで、損傷をもたらす原因を突き止めるサポートをしようというものだ。

Exogen Bioは調査方法を進化させ、一度に大量の試料からすばやくDNAの損傷具合を数値化するためのシステムを作り上げた。従来は研究機関にてひとつずつ検査を行っており、非常に時間も人手もかかり、また広い範囲での比較などが難しいものとなっていた。

さらに、Exogen Bioの技術では、採取する血液の量を従来より減らし、採血後、直ちに処理をしなくてもよくなった。これにより血液採取キットを各個人に送って、そして研究機関に送り返してもらってから分析を行うということが可能になっている。

「今回の実験は、科学実験のクラウドソース化ともいうべきものです」とExogen Bioの共同ファウンダーであるJon Tangは言っている。「科学調査の予算が減らされる傾向にある中、研究者自身も効率的な研究を行うための方法をいろいろと考え始めているのです」とのこと。

必要となる大量のデータをクラウドソーシングを活用して集める今回のような仕組みを、Exogen Bioでは「Citizen Science Project」(市民サイエンスプロジェクト)と命名したそうだ。価値ある調査を行うために、多くの人を巻き込んだ分析が必要となる中で考え出された手法だ。多くの人に「市民研究者」という立場で研究に参加してもらおうとするものだ。滅菌した道具を用いて家庭で血液を採取し、それを保存容器に入れてExogenに送り返して分析を行う。

クラウドソーシングを活用したこのアプローチにより、Exogenとしては有益でかつ商用にも利用できるDNAの損傷調査データベースを構築したい考えだ。そしてやがてはDNA損傷のホットスポットマップなども作ろうとするわけだろう。またDNA損傷の様子と、特定の病気との関連性などが明らかになってくることも考えられる。

「今回のクラウドファンディング・キャンペーンを通して、DNA損傷と特定の病気との関連性を明らかにすることができれば、病院での検査に活用してもらうきっかけになると思いますし、また病の診療に用いるためのFDA認可を得ることに繋がると思うのです」とTangは発言している。「コレステロールテストと同じくらいの気軽さでDNA検査ができるようにし、検査のために頻繁に利用してもらえるようなツールとして育てていきたいと思っているのです」。

「また、CTスキャンやレントゲン撮影などの際に、何らかのミスによって放射線を多く浴びてしまうことのないようにチェックするためのツールとしても利用できるのではないかと考えています。ローレンス・バークレー国立研究所での研究成果を受けて、そうした目的でも使えるようにしているのです」。

ところで、Exogen Bioに血液サンプルを提供する利用者(市民研究者)が、見返りとして得ることのできるものはなんだろうか。Exogen Bioが利用者に提供するのはDNAの損傷具合についてのデータだ。利用者としては、自らがExogen Bioがビジネスに利用するためのデータを提供しつつ、かつ追加料理金を支払って分析データをみせてもらうということになる(Exogen Bioの各種設備を使って、優秀なスタッフにデータを分析してもらい、それをわかりやすく提示してもらうことに料金を支払うということになる)。

血液サンプルをExogen Bioに送れば、セキュアな接続環境を通じてDNAの損傷具合を示すデータを閲覧することができる。かかる費用は送付する血液データ1単位毎に99ドルということになっている(3日間にわって3度採取した血液を送る)。アメリカ国外からの利用の場合は124ドルだ。但し、この99ドルの検査によってわかるのは「現時点での損傷率」であり、食事やエクササイズの影響を確認するということはできない。

比較データを入手したい場合、費用は179ドル(アメリカ国外からは204ドル)となる。これにより血液サンプルを採取するためのキットが2セット送られてくるので、負荷の高い運動前後の比較のため、あるいはカーボバックローディング・ダイエットの身体への影響などを確認することができる。

ファミリーパックも用意されているので、数百ドルで家族の健康をチェックしてみたいという人は、そちらを使ってみると良いだろう。

Exogen Bioは、現在Indiegogoにてクラウドファンディング・キャンペーンを行っているところだ。既に5万ドル分の参加者目標は達成している。健康を意識する人々の興味をひいているのは間違えのないところだ。

本記事(英文)が執筆された時点では、370人以上から63,700ドルの資金が集まっているが、同時にExogen Bioはシード資金の出資者も探しているところだ。Indiegogoでの成功も、出資者の興味をひくのに役立つことだろう。

クラウドファンディングを科学分野に用いるというのは確かに面白い試みだ。但し、利用者側は試料と金銭を提供し、それによりExogen Bioはビジネスで活用できるデータを蓄積していくという仕組みに、メリット面でのアンバランスを感じるという人はいるかもしれない(ちなみにIndiegogoのページには「血液サンプル提供者のデータは、個人が特定できない形にして研究用途での利用を行います。研究成果は商取引に活用される場合もあります」と記されている)。この仕組みがどのように発展していくのかは興味深いところだ。

また、DNAの損傷に繋がる原因にはさまざまのものが考えられる。したがって、1度限りの検査では、誤って特定の生活習慣について有害であるという評価をしてしまうこともあり得る。

「私たちの提供する分析結果が、最初から完璧なものであるわけではない点についてはよくわかっています」とTangは言う。同社のキットは提供され始めたばかりで、まだ他の利用者との比較検討などが十分に行えない。「しかしこれまでに100人以上の人のデータを採取しています。そしてデータベースは成長し続けています。データベースが大きくなれば、他のデータと比較することにより、より正確な分析を行うことができるようになるのです」。

「コレステロールテストの場合、分析で得られるデータ自体に大きな価値が認められるようになっています。それはこれまでに蓄えられた知見により、コレステロール値と循環器系の疾患に相関関係が認められているからです。DNAの損傷具合の検査についても、そのレベルにまで到達することがひとつの目的です」とも述べている。

「但し、まずはDNAテストで得られる各データがそれぞれどのような意味を持つことになるのかをきちんと定義していくことが最初のステップとなります。そのために、より広く人々からのデータを集めることを目的としてクラウドソーシングの活用を行っているのです。どのような状態であれば損傷具合が高く、あるいは低く、はたまたノーマルであるのかというところからデータを蓄積していく必要があるのです。そして、損傷具合が高いケースについて、それがどのような病気に結びつく可能性があり、あるいはまたどういった環境要因ないし生活習慣から生じるのかを分析していく必要があるのです」とのこと。

「ちなみにコレステロール検査についても、繰り返し調査をすることで得られるデータには深みが増していきます。ライフスタイルの変遷などを踏まえてでたーの分析をしていくことで、循環器系疾患に備えるために最適なコレステロールレベルを知ることができるようになるのです。私たちの検査についても、幅広いライフスタイルの人々のデータを集めることで、真に役立つ知見を得ていきたいと考えています」。

「最終的には個人で自分のデータを分析し、分析結果に応じた対応ができるようにすることが目的です。DNAの健康を保つことで、加齢による身体の不調を減じることができると考えています」。

尚、Tangは、Exogenについて「直ちに」何らかの成果を生み出すものとは考えないで欲しいとも述べている。今回のクラウドソーシングの活用から、すぐにも「適切な行動パターン」のようなものが提示されるわけではないとのことだ。

「DNAに影響を及ぼす要因というのは非常に多くのものがあります」とTangは説明している。「個々のデータの分析を行い、それを多くの人と照らし合わせることで正確な分析を行うことができるようになります。科学技術顧問として動いてくれるチームと連携しつつ、効果的な分析を行うのに必要なデータを集めようとしているところなのです」。

「Indiegogoを通じた試み以外にも、広い範囲からデータを集めようとする活動を行っています。とにかく有意なデータを見つけるためには多くのデータを集めて分析する必要があるのです」。

昨年には、ベイエリア周辺で試験的な調査も行っている。100人少々の人からデータを集めて、そこで得られたデータを分類整理して、今後のデータ集積の方法を探ったのだ。

「小さな規模での実験でしたが、この規模のデータセットでもDNA損壊に繋がる要因を見て取ることができます。たとえば予測していた通り、加齢により損壊の程度はあがっていきます(もちろんこれは従来から言われていたことではあります)。そしてこうした損壊が老化や、その他の老齢による病に結びついているのです」。

「また、4名の人は癌を患っていました。彼らは同年代の人と比べて、DNA損壊の程度がかなり大きくなっていました。ここに挙げた例は小規模の試験的調査から予見通りの結果が得られたということを示すものです。これはすなわち、Exogen Bioのテストにより、DNA損壊の程度をきちんと把握することができ、そしてそれにより病気に対応する手段を探ることのできる可能性があるということを示すものです」とも述べている。

Exogen Bio – How Damaged is Your DNA? from Exogen Biotechnology on Vimeo.

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(翻訳:Maeda, H


13人のスタートアップ起業家が教えるUXデザインのベストプラクティス

最適なUX(User Experience)、ユーザー体験を提供することはスタートアップにとってサービスの普及できるかどうかの死活問題。今回はThe Next Webが今をトキメク夢と才能に溢れる若き起業家たちに、自身の経験から「スタートアップにとって」最も重要と思われるUXのアドバイスを提供してもらった記事を。 — SEO Japan

UXを改善してユーザーを最優先に扱うことについては色々な話があるが、最高のユーザー体験に本当に必要なものは何なのだろう?私は、13人の優秀な起業家たちにそれぞれのお気に入りのベストプラクティスを共有するよう頼んだ。特に、体験よりもFlashに焦点を合わせる傾向のある新しいスタートアップ向けに:

新しいスタートアップが見落とすべきではないUXデザインのベストプラクティスを1つ挙げるとしたら何ですか?

彼らの超実践的なアドバイスは以下の通りだ:

1. 行動喚起
新しいスタートアップは、価値命題が明確になるようにランディングページを簡素化することによって、リードを集めることに重点を置く必要がある。

- Patrick Curtis, WallStreetOasis.com

2. リード生成

私が見てきた多くのスタートアップ企業は、“綺麗な”ウェブサイトを作ることに焦点を合わせて、ユーザーにとっての実際のゴールに焦点を合わせることができていない。大抵の場合、これがビジネスのために新しいリードを獲得することに成功させるはずだ。必ず、サインアップする魅力的な理由と、とても分かりやすいステップを用いた強力な行動喚起を用意し、新しいリードを育てること。

- Patrick Conley, Automation Heroes

3. 一貫したナビゲーション

製品全体において一貫したナビゲーションを持つことがカギだ。退屈もしくは繰り返しのように感じるかもしれないが、それによってユーザーが迷子になるのを防ぐのだ。

- Adam Lieb, Duxter

4. フォント

フォントは、大部分の人が読める大きさになっていることを確認すること。文字のポイントは小さすぎるよりは大きすぎる方が良い。ArialなどのWebに対応したフォントを使用し、色も読み易いものにすること。大文字は控えめに使用する。最後に、あまり多くのフォントを使用しすぎないこと。一貫性を保つようにするのだ。

- Nicolas Gremion, Free-eBooks.net

5. フォグ式消費者行動モデル

どんな新規スタートアップにもバッチリと合うベストプラクティスは、フォグ式消費者行動モデルを理解することだ。一言で言えば、ユーザーが望ましい行動を示すためには3つの要因が一体とならなければならない:何かをする動機、それをする能力、そして、潜在力を動力学的相互作用へと転換する瞬間を提供するうまく配置されたトリガーだ。もしくは、数学用語では、B=matだ。

- Danny Boice, Speek

6. ゲストアカウントでの支払い

訪問者が製品またはサービスをゲストとして購入できるようにすることは、モバイルデバイスからの購入を推進する1つの方法だ。スマートフォンとタブレットにはキーボードがあるが、登録したりログインしたりすることは、時間もかかるし入力する手間もあり、小さな画面上では面倒なことがある。

また、アカウントを確認しなければならない場合には、ユーザーが登録を完了する可能性は低くなる。既存のアカウントで登録もしくはログインすることは可能だが、それを要求しない設定がベストだ。特に、一度限りの客は、このオプションが利用可能な時にはその容易な支払いに感謝するだろう。

- Jay Wu, A Forever Recovery

7. ゲーミフィケーション

ゲーミフィケーションは、今日のUX/UIではホットな言葉だ。自分のサイトをゲーム化するチャンスがあるなら、それは採用するべきベストプラクティスの1つだ。なぜなら、ユーザーは競争や達成感を好むからだ。バーチャルのバッジやポイント、その他サイト上におけるゲーム化したアクティビティは、ユーザー保持とサイト滞在時間を向上する傾向がある。ゲーミフィケーションは、企業が効果的にユーザーインタラクションに関するメトリクスを追跡して、斬新的に改善することも可能にする。

- Doreen Bloch, Poshly Inc.

8. レスポンシブデザイン

最近私は、ノートパソコンであろうとタブレットであろうとモバイルデバイスであろうと、ユーザーに素晴らしい体験を提供するレスポンシブデザインを作るために、自分のウェブサイトを見直した。モバイルトラフィックが多くのウェブサイトにとって大部分を占めるようになると、自分のデザインがきちんと反映されることを確かめるのがとても重要だ。

- Natalie MacNeil, She Takes on the World

9. 素早い案内

大部分の人は、自分が求めているものかどうかを知るためにほんの数秒しかWebページに滞在しない。彼らは、自分が欲しいものが欲しいのであり、それを今欲しいのであり、彼らを正しい方向へと導くのにあまり多くの時間をあなたに与えてくれない。だから、デザインをシンプルにして、人々をコンバートさせるための力強い明確な行動喚起に焦点を合わせるのだ。

コンバージョンのプロセスを始めたなら、彼らが迅速かつ簡単に始められるようにすること;いつだって詳しい情報は後で得られるのだ。入力が必要な長いフォームや、プライバシーの問題や、セキュリティの懸念は、あなたがして欲しいことを人々がする妨げになるかもしれない。整合性を獲得するというコミットメントを得るのだ。Get commitment to earn consistency.

- Andy Karuza, brandbuddee

10. テストすること

私たちは、“リーンスタートアップ”の手法に従っている。それは、構築し、測定し、学習することを意味する。UXデザインについて100%正しい考え方は存在しない。大切なのは、エンゲージメントと、あなたの会社のファネルを通して人々を適切に導くことだ。適切なUXを構築することは、科学というよりはアートに近い。

リーンなやり方でUXにアプローチすることは、素早く学び、失敗し、イテレートすることを可能にする。ユーザーが求めることを自分は知っていると仮定するべきではない。彼らには、あなたに伝える方法を与えるべきだ。

- Mitch Gordon, Go Overseas

11. フィードバック

ユーザーを中心としたデザインとは、ユーザーのニーズにこだわること、フィードバックがデザインプロセスの全てのステップを推進しているのを確かめることである。適切なフィードバックのためにできる限り早い段階で顧客の目にワイヤーフレームとモックアップを触れさせることが、一番のプライオリティだ。仮定を基にした努力は最小限にしたい。

醜く未完成のコンセプトを見せることを恐れないこと;あなたは、できる限りすぐに、そしてできる限り頻繁に、ユーザーをデザインプロセスに取り入れたい。何であれ、デザイナーが実際のユーザーに寄り添っているようにすること。耳を傾け、たくさんのメモを取り、探求好きになること。このフィードバックのROIは莫大だ。

- Mike Cuesta, CareCloud

12. 顧客を理解すること

顧客と本当に話をする。あなたの製品、アイディア、サービスを売り込もうとしないこと。ニーズがある場合は顧客の意見を聞き、それがどのように満たされるのかを理解することだ。スタートアップは“私が作ったこのカッコいいものを見てあなたはどう思う?”から始まることが多い。そのアプローチの中では、データはすぐに汚される。

そうではなく、スタートアップは、まずはターゲット客を理解して、余白にフィットする製品とサービスを築くことを目指さなければならない。

- Eric Holtzclaw, Laddering Works

13. 異なるモニターでテストすること

UX担当者にとっては、多くのチームメンバーが使っている27インチのThunderboltディプレイと同類の大きなモニターを使って作業するのが一般的だ。しかし、そのような“シネマ”ディスプレイを持たないノートパソコンやタブレットやPCでユーザーが体験するものは、全く異なる。私たちは、自分たちのソフトウェアやあらゆる新機能を世界に送り出す前に、それらが複数のスクリーンでテストされたことを確認しなければならない。

- Jim Belosic, Pancakes Laboratories/ShortStack

Young Entrepreneur Council (YEC)は、世界で最も有望な若い起業家から成る招待制の組織だ。最近YECは、Citiと共同で、無料のバーチャル・メンターシップ・プログラム#StartupLabをローンチし、ライブビデオチャットや専門家のコンテンツライブラリやEメールレッスンを介して、何百万人もの起業家が事業をスタートして成長させるのを手助けしている。

Image credit: Thinkstock


この記事は、The Next Webに掲載された「13 UX design practices startups shouldn’t overlook」を翻訳した内容です。

一人一人個別の意見ではありましたが、全体を通して読むとどれもUXを高める共通のアドバイスとして納得できるものだったと思います。成長しなければ存在自体が危うくなりかねないスタートアップだけにユーザーをUXの不十分さから取り逃がすことはできるだけ避けたい状況なわけですが、もちろんスタートアップ以外の企業にも十分役立つ内容でもありました。– SEO Japan [G+]

オーダーメイドスーツEC「ラファブリックス」は日本人体型に合うフィットアルゴリズムで試着の壁を超えようとしている

ライフスタイルデザインの森雄一郎代表。着ているジャケットとシャツはラファブリックスで注文したものだ

オンラインで好みのスーツやシャツをオーダーできる「LaFabrics(ラファブリックス)」が19日、正式にリリースした。質問に応えるだけで最適なサイズを提案する独自開発の「フィットアルゴリズム」によって、試着せずに自分に合ったスーツやシャツを通常の半額程度でオーダー可能なのだという。まずはウェブ版をローンチし、数週間以内にアプリをリリースする予定だ。

オーダーメイドといえば、テイラーが店頭で採寸するのが相場。オンラインでの注文となると、サイズが不安で二の足を踏んでしまいそうだ。ラファブリックスはそんな心配を解消するために、10万人の採寸データを持つアパレル工場と共同で日本人の体型パターンを分析。独自のフィットアルゴリズムを構築し、数千パターンの中から最適なサイズを提案している。(カラダの各部位を自ら採寸して入力するオプションや、サイズが合わなかった場合にリメイクの代金を負担する「100%満足保証」もある。)

注文の手順は極めてシンプルだ。まずは欲しいスーツ・シャツの写真の中から好みの生地を選び、襟やポケットなどのデザインの項目をクリックする。あとは身長、体重、年齢、肩の形(いかり肩、なで肩、普通)、お腹まわり(フラット、少しでている、大きくでている)など7つの質問に答えるだけで体型に適したサイズを提案してくれる。ラファブリックスを運営するライフスタイルデザインの森雄一郎代表は、「キーボードを使わせないのがUI/UXのコンセプト」と語る。

ひと口にオーダーメイドと言っても、その人専用の型紙を起こすところから始まる「フルオーダー」や、基本的なデザインの中からその人に合った型紙を選ぶ「パターンオーダー」があるが、ラファブリックスは後者だ。素材は「Made in Japan」にこだわり、一部を除くほとんどの商品に日本製の生地を使用。伊勢丹や東急百貨店などのオーダーメイドスーツも手がける「国内で最高クラス縫製技術の工場」と提携し、同クオリティの商品の半値程度で販売する。シャツは7900〜9800円、スーツは3万〜6万円台の商品が中心だ。

森氏はアパレル業界出身の27歳。185cmのスラリとした長身だが、その長い腕にフィットするスーツやシャツを既成品では見つけられなかった。当事は「オーダーメイドの発想すらなかった」森氏だが、友人が作ったスーツを見て自分も試してみたところ、「既成品では出せないフィット感」のトリコに。ネットとテクノロジーを使えば、誰でも手軽に低価格にオーダーメイドのスーツやシャツを作れると思ったことが、サービス立ち上げのきっかけとなったという。

北米市場に目を向けると、オーダーメイドスーツ・シャツのECサイトは2007年に創業したカナダの「Indochino.com」や同年創業したアメリカの「J Hilburn」などが有名。Indochinoは2013年3月にシリーズBで1350万ドルを調達するなど、オンラインでオーダーメイドのスーツ・シャツを注文する行為は珍しくないどころか、「市場は競争が激化している」(森氏)。ラファブリックスは年内に、新規購入者ではなくリピーターの数を1万人確保し、10億円規模の売上を目指すという。「ゆくゆくは就活の学生がオーダーメイドを買える価格帯を実現したい」。


オンデマンドでプログラミング指導が受けられるウェブサービスのHackHands

CodecademyStack Overflowなど、オンラインでサポートを受けながらプログラミングの学習を行うサイトというのは数多く存在する。この世界にHackHandsというサービスが参入してきた。設立者たちによれば「人がリアルタイムに疑問点を解説してくれたりコードを見てくれたりするという点で画期的なサービスなのです」とのこと。

共同ファウンダーのひとりであるForest Good曰く、サービスをひと言でいえば「Uber for programming」なのだそうだ。すなわち、必要な時にすぐにプログラミングについてのサポートを受けることができるという意味だ。プログラミングについて詳しい人々のネットワークを利用して、困ったことがあるときはいつでも問題を投稿して、すぐに解決策を教えてもらうことができる。回答者を探すのにかかる時間は最大でも15分で、ビデオチャット(TokBoxを利用)で繋がり、また双方の画面に双方向で使えるテキストエディターや作業している画面などが表示され、そこで問題の解決に向けて作業していくことになる。

「こうしたサービスを利用したいと考えている人は多いはずです」とGoodは言う。たとえばコーディングをしたこともない人が、参考書を片手に勉強をしている場合など、本をいくら読んでも何のことやらわからないことがある。あるいはプログラミング学習サイトを活用している人でも、そもそもいったい何がどうなっているのかがわからず、オンラインコミュニティに質問を投げることもできないケースがある。そういうときに、直接的な会話を通じて問題解決にあたるのが有効なケースは多いだろう。

現在のところHackHandsが対象としている言語プラットフォームはRuby on Railsのみだ。Good曰く、指導係(サイトではメンターと呼ぶ)はコミュニケーション能力およびプログラミング能力の双方を有する人を選別しているとのこと(曰く、現在のところはメンターとして活動している人は個人的に知っている人ばかりです。もちろん今後は規模を拡大していく予定です)。

共同ファウンダーのGeraldo Ramosは必要な時に確実に役立つサービスを、利用しやすい額で提供していきたいのですと述べている。HackHandsの料金は1分あたり1ドルだ。課金はセッション単位で行われる。ちなみに5分間のお試しタイムんも用意されていて、相談者の方からもメンターの方からも有料セッションを取りやめることができるようになっている。すなわちメンター側からは懸案となっている問題が解決できなさそうな場合などに有料モードへの移行を停止することができるわけだ。相談結果に大いに満足した場合は、決められた料金の他にチップを渡すこともできる。メンター側にインセンティブをもってもらうため、最も多くの相談に応じている人や、あるいは最も感謝され、収入が多くなっている人などを示すリーダーボードも設置することにしている。

HackHandsは6PS Groupのプロダクトだ。6PS Groupはインキュベーションに重点をおいてウェブサービスの開発を行っている。HackHandsについても、成功の見込みがたてば独立させていく予定にしているのだそうだ。

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(翻訳:Maeda, H


クラウド会計のマネーフォワード、ECやPOS、クラウドソーシングの売上データを自動取得

クラウド型会計ソフトのマネーフォワードは17日、ECサイト構築サービス「BASE」、タブレット型POSシステム「EC-Orange POS」、クラウドソーシングサービス「クラウドワークス」とデータ連携を開始。3つのサービスの売上データを毎日自動できるようにした。BASEでネットショップを開設するオーナー、EC-Orange POSを利用する販売店、クラウドワークスを利用するフリーランスは、確定申告や経理・会計業務の手間が大幅に削減しそうだ。

マネーフォワードのクラウド会計ソフトは、確定申告や会計・経理業務を可能な限り自動化するのが特徴。銀行やクレジットカードなど1400以上の金融機関から入出金データを自動取得したり、学習機能で仕訳のルールを作成したり、仕訳データをもとにキャッシュフロー計算書や決算・税務申告関連のレポートを作成するなど、手入力の手間が大幅に省けるという。1月27日に正式版サービスを開始したばかりだ(関連記事:専門知識いらずのクラウド会計「マネーフォワード」正式版、価格優位でシェアトップ狙う)。

仕訳画面のイメージ図

今回データ連携したBASEは初期費用、月額費用、販売手数料が不要のECサイト構築サービスで、出店数は7万店を超える。EC-Orange POSはタブレットをベースとすることで導入コストを抑えるPOSシステムで、2500店舗以上に導入されている。クラウドワークスは発注者数2万3000社、登録会員は12万人を超えるクラウドソーシングサービス。

クラウドワークス会員に対しては2月3日より、月額800円の「マネーフォワード 確定申告」プレミアムプランを45日間無償で提供するキャンペーンを開始。今後は、BASEとEC-Orange POSのユーザーにも同様の優待特典を提供する。

話は変わるが、マネーフォワードはクラウドワークスにおいて、マネーフォワード 確定申告のキャッチコピーを募集している。採用作品には商品10万円と、プレミアムプランを1年間無料で使える権利がプレゼントされる。募集期間は3月7日までだ。


スタートアップのCEO&チームが抱える不安を克服する正しい方法

「スタートアップ始めました。」そんな台詞がかつて以上に普通に飛び交うようになってきた日本のネット業界。会社を始めることは誰にでもできますが、それを起動に乗せ長続きさせることはまた別問題。特にスタートアップの立ち上がりの過程では、経験の少なさや不確定な未来も含め、社長はもちろん、チームのメンバーも不安な気持ちを常にどこかに持っていることでしょう。そんな不安を少しでも減らし、日々の努力を成功に導いていくための具体的なアドバイスをThe Next Webの記事から紹介。 — SEO Japan

uncertainty
著者紹介: デニス・デュヴォシェルは、オンラインコラボレーションツール、TwoodoのCEO & 共同創設者である。

私達が立ち止ったところで、変化は収まらない。外部の力により、ランダムな出来事がシャッフルされ、その結果、不安になり、異なる状況へと私達は向かっていく。混乱を特定し、その結果に応じた行動を取る能力が、困難を乗り切る原動力となる。

IT、SaaS等、イノベーションのレベルの高い業界で、仕事をしたことがある方には、私の言いたいことが分かってもらえるはずである。あるいは、様々な方向に引っ張られた経験がある方も、理解してくれるのではないだろうか。

変化を受け入れるのではなく、変化に逆らう行為は、破滅をもたらすと「分かっている」ものの、時間を割いて、様々なソリューションを試そうとする人は全く見当たらない。私達は、変化する、または、変化させないため、制御することが出来ると確信するモノ — つまり、自分達の考え方、そして、取り組み方 — にしがみつく傾向が見られる。

「領域、または、目的地を把握していない状態で、理性的に動くのは、理性的とは言えない。」

エドワード・ウェバー: ウィンスコンシン大学 1984年E

 How to deal with uncertainty: The entrepreneurs dilemma

起業家が、対処する必要がある不安は2つに分けられる: 戦略上の決定を下す際の不安、そして、チームを管理する上での不安である。

実用的なアドバイスと余計なアドバイスにも分けることが出来るが — 両者は持ちつ持たれつの関係である。そこで、この記事では、双方のタイプの不安について、考察していく。

パート 1: 戦略的な決定に関する不安の管理

スタートアップでは、問題を解決し、イノベーションを追求することが至上命題である。そのため、不安があって当然である。持っている知識を活かすことで、この不安を軽減することが出来る。その上で鍵を握るポイントを挙げていく:

  • 起業家の知識と経験
  • チームの知識と経験
  • ネットワーク
  • メンター
  • 利用可能な公開されている情報源(オンラインコミュニティ、イベント等)
  • 有料で得ることが可能な情報
  • 過去のケーススタディ

チーム内の知識の格差を解消する取り組みも、不安に打ち勝つ上で効果がある。そのための条件を挙げていく:

  • 情報を出し惜しみしない
  • チームメンバー全員が、お互いにアクセスすることが可能な状況、メンバーのコミュニケーションが取れている状態(クラウドのコミュニケーションのソリューション、ソーシャルコラボレーションツール等を介して)
  • 可能な場合、分野間のトレーニングと学習
  • テスト

問題は毎日のように起業家の前に現れる: バグが出現し、ゲスト投稿の要請が断られ、デザイナーに子供が産まれたため、仕事が出来なくなることもある。この手の問題には、2通りのアプローチが考えられる(ミランのボッコーニ商業大学 アンジェロ・ディティジョ教授が指摘):

1) ゴミ箱アプローチ

ゴミ箱にすべて投げ込み、その後、ゴミ箱に手を突っ込み、たまたま手が触れた問題を解決する。

これは、思いがけない発見をもたらす効果があり、想像以上に素晴らしいアイデアが生まれることもある。また、四六時中、問題に飛び付き、真正面からぶつかっていくため、問題が溜まることはない。確かに忙しくなるが、生産的だと言えるだろうか?

2) コアの問題を調査するアプローチ

ゴミ箱アプローチを採用して、ランダムに問題を解決するのではなく、根本的な問題を特定する努力をして、他の問題は捨てる。

根深い構造上の問題がある場合、このアプローチは役に立つものの、問題が完全にランダムな類のものであったら、時間の無駄になる。しかし、長期的な視点で考えると、このアプローチの方が確実に優れており、一回で解決することが可能な、繰り返し発生する軽率な問題を廃絶することで、生産性を高める効果が見込める。

「業界内の変化する要素を確認し、当該の要素の状況を特定することで、マネージャーは状況を判断することが出来る。」

科学的なメソッドを用いる手もある: a) 観察する b) 質問をする c) 仮説を立てる d) 実験を行う e) 仮説を受け入れる もしくは、f) 仮説を否定し、新しい仮説を試す。

これから紹介する手順は、ウィスコンシン大学のエドワード・ウェバーが考案した手法からアイデアを得ている(1984年に発表された論文):

ステップ 1:不確定要素を特定する

1) 経験、そして、業界において妥当な不確定要素を選ぶ。

例: ユーザー維持率

2) この不確定要素は、論理的に裏付けられている必要がある(ソートリーダー、業界の専門家、学術論文等、業界において妥当な存在に支持されている)。

例: デイブ・マクルーア氏の顧客維持に対する効率的なアプローチ

3) 不確定要素のデータを集めることが出来る ? これはツールやその他の利用可能なリソースに左右される。

例: グーグルアナリティクスを使って、ビジターが去るページを特定する。

4) 選んだ不確定要素を、他の不確定要素と組み合わせて、優れた不確定要素としてまとめ、要素の数を減らすことが出来るかどうか検討する…こうすることで、状況に対する根本的なパターン、および、関連性の見解を得ることが出来る可能性がある — そして、最終的にこの見解からソリューションが導かれる。

例: Mixpanelでイベントのファンネルを作成する。

5) 不確定要素は、自分だけでなく、他の従業員も分かるようにしておく。さもなければ、不確定要素の妥当性や重要性を伝えることが出来なくなる。

ステップ 2: 目標を特定する

不確定要素を選択したら、会社の目標の観点から、不確定要素を考察する必要がある。不確定要素の理解は、上述した知識のリソースに左右される。目標の観点で結果を考え、ギャップを特定する — ギャップには、次の条件が課される:

a) 解決することが可能であること

b) チーム/マネージャーが解決する意思を持っていること

要するに、上の例では、維持率を改善するためのリソースを持っているか、そして、維持率の改善は、ビジネスにとって優先課題かどうかを考える必要がある。

ステップ 3: 条件は適切か?適切ではないなら、条件を無効にする条件を作り出すことは可能か?

戦略から有益な成果を得るには、適切な条件が必要になる。これは最も不安な要素だと言えるだろう。計画を成功に導く上で、どのような条件が妥当か特定してもらいたい。条件を無効にする条件を作ることが出来るまで、他の不安は忘れて構わない。

不確定要素が目標にどのように影響を与えるのかが分かると、ビジネスを成長させる最善の方法を特定しやすくなる。より相応しい製品/マーケットを見つけることが出来るようになり、また、目標を達成する上で効果のない行動を避けることが可能になる。

パート 2: スタートアップチーム内の不安

何もかも熟知しているわけではないなら、そして、出来事や物事がその他の出来事や物事とどのように収支、または、分岐するのか分からないなら、不安は存在する。不安の管理においては、不安な状況でチームに前向きな影響を与えることが最も重要であり、チームに対する統制の強化は解決策にはならない。

残念ながら、後者を重要視するスタートアップが後を絶たない。一番恐ろしい不安な状況は、オプションを選ぶ前に、オプションをテストすることが出来ない状況である — しかも、すぐに選択しなければならない。

53315529 730x486 How to deal with uncertainty: The entrepreneurs dilemma

ステップ 1: 目標の特定(「これからどこへ向かおうとしているのか?」)

会社がどのようなビジョンを持つのかを特定することは、重要な目標である。これは、サブの目標から、大きな目標を達成する上で必要な小さなタスクに分割することが出来る。

サブの目標への道が提示されると、「大きな目標」は現実的に見える。すると、不安に対するネガティブな感情を抑えることが可能になる(たとえ不安自体は残っていても)。

ステップ 2: 目標を達成するために取るべき手順を評価する(なぜこの道をたどるのか?)

リソースの認識、そして、制限、さらには、適切な条件を特定する力が、目標へ向かうステップを形成していく。それぞれの選択肢を守り、些細な要素や注意をそらす要素をプロセスから排除することが出来る。不確定要素の知識を提示することで、チーム内の不安を低下させる効果が見込める。

ステップ 3: 最も重要な目標への道に代わる、不測の事態の際に進む道を把握する(「高速道路が閉鎖された場合、どの道を代わりに走ればいいのか?」)

例を用いて考えてみよう。顧客の獲得は、スタートアップの主な目標の一つである。 これは避けることが出来ない道である。この目標を達成する上で、様々なルートが考えられる。そこで、基本の戦略から望む成果を得られない場合の最善の代案を策定しておくと良い。

このような重要な目標に対する勢いを失わないためにも、次善策を用意しておくべきである。代案を用意しておくと、不安を弱めることが出来る。たとえ一時的ではあっても、頼りになる不測の事態の計画によって、チームも勢いを保つことが可能になるためだ。

ステップ 4: ポジティブに正直な姿勢で不安を表現する(「確かに人生は予測することが出来ない。しかし、出来るだけ準備を整えることは出来るはずだ」)

ポジティブに不安を表現する — チームメンバーを絶望させるのではなく、希望を抱かせるように不安を伝えるべきである。不安は至る所に存在する。この世は混乱に支配されている。今までもそうだし、これからもこの傾向は変わることはないだろう。

しかし、混乱する状況への適応能力によって、人間は成功を収めてきたのだ。不安へのリアクションが、イノベーションやアイデアを毎日生んでいる。いずれにせよ、予想される不測の事態は、現実の出来事よりも遥かに深刻であることが多い。不安を受け入れることで、不安への恐怖心を弱めることが出来る。

ステップ 5: まとまりのあるステップに活動をまとめる(「次にどのタスクに着手すればよいのか?」)

とりわけタスクを管理可能なグループに分割している場合、タスクをコントロールすることが出来る(弊社の製品、Twoodoがここで役に立つ)。タスク Aが捗らなくなったら、その他のタスクに着手するべきである(必ず他のタスクが存在する — ただし、当面の目標に関連しているタスクを選ぶ必要がある)。

また、コントロール、または、管理を強めると、不確定要素に対処するチームの能力を低下させてしまうことを理解しなければならない。不安をコントロールするため、チームから決定する権限を排除してしまうと、士気が落ち、不安を高めるだけである。自由を与えるべきである。

ステップ 6: 仲間を頼りにする…ほどほどに

スタートアップのCEOは、皆、同じ状況に身を置くことになる。現在、大勢のスタートアップのCEOが存在する。そのフラストレーションを理解する人達に聞いてもらうと、ストレスを軽減することが出来る。また、難しい状況で、アドバイスを求めると良い。

ここでは、適度な量のアドバイスを得ることが重要である — 同じ課題に関するアドバイスを何度も求めるべきではない。他人に頼り過ぎると、過剰な量のソリューションが集まり、決定する能力にマイナスの影響を与えてしまう。反対に、あまりにも頼る人が少ない場合、限られた範囲のアイデアしか得られなくなる。

最終的に、様々なアドバイスがある中で、自分の会社にとって、正しい道を見極める直感に頼るべきである。適度な人数から、あるいは、時間を決めて、アドバイスをもらうように心掛けよう。決断力が重要である。間違えたとしても、どれだけの影響を受けるのだろうか?思っているよりも遥かにダメージは小さいかもしれない。

ステップ 7: 重要ではないなら、問題ではない

実現する目標を明確に特定したら、この目標以外は全て重要ではなく、頭から取り払うべきである。残しておいても、集中を妨げるだけである。無意味な推測は、架空の問題をもたらす。

目標達成に貢献しない、時間を浪費する心配事を排除すると、不安の軽減につながる。自ら問題を作るべきではない。

写真の提供元: Shutterstock/Alena Hovorkova


この記事は、The Next Webに掲載された「How to deal with uncertainty: The entrepreneur’s dilemma 」を翻訳した内容です。

私も懲りずに相変わらず様々な新規事業や会社を立ち上げていますが、チームメンバーの不安をいかに克服しプラスのエネルギーに転じていくかということについては常に悩みどころではありますし、この記事の後半にある整理された対処法は中々に参考になる点がありました。「ポジティブに正直な姿勢で不安を表現する」というのは良い言葉ですね。「確かに人生は予測することが出来ない。しかし、出来るだけ準備を整えることは出来るはずだ」私も努力すればいつか必ず成功すると信じられる歳でもありませんし、だからこそ、常にできる限りの準備はして新規事業に取り組んでいきたいものです。 — SEO Japan [G+]

クラウド会計のfreeeがiPhoneアプリをリリース、法人向け初のモバイル会計

簿記など専門知識がなくても確定申告や会計処理を可能にするクラウド型会計ソフトの「freee」が今日、iPhoneアプリをリリースした。外出先のスキマ時間で現金の出入りを入力しやすくなる。日々こまめに入力しておけば、年度末に泣かなくて済むかもね。

家計簿や個人向けの入出金管理アプリというのはモバイルでもたくさんあるが、個人事業主や法人の決算書出力にまで対応する会計ソフトとしてモバイル端末から収支取引を登録できるモバイルアプリは日本初だ、と同社は話している。

iPhoneアプリでは、ブラウザで使うPC版のfreeeの機能のうち、取引の登録、売掛・買掛金の閲覧、当月の収支の閲覧の機能が利用できるそうだ。今後のアップデートではPC版と同等の機能提供予定であるほか、3月にはAndroidアプリのリリースも予定しているということだ。

freeeは個人事業主や中小企業のためのクラウド会計ソフトで、銀行口座やクレジットカードの明細を自動で取り込み、記帳を自動化するサービス。確定申告や青色申告、法人決算に必要な決算書などの作成が簡単にできる。明細に「ナントカ交通」とあれば、タクシー利用の交通費に決まってるじゃないかという感じで、テキスト処理で仕分けを推測して自動化するのが特徴だ。推定による勘定科目が意図と違う場合は仕分けルールをユーザーが設定を追加できる。フリー代表取締役の佐々木大輔氏が言うには、大量の請求書や領収書をアプリに打ち込む作業に比べて経理作業が50倍の速さでできるそうだ。

XPのサポート切れなどで新規ユーザー登録ペースが5倍

フリーに投資しているVCの1つ、Infinity Venture Partnersが2月6日に開催したメディア向け説明会の場で佐々木氏は、2014年の年が明けてからはfreeeのユーザー登録のペースが年末の5倍にも達していることを明かしていた。この4月にWindows XPのサポート切れが迫っていて、ちょうどインストール型の会計ソフトの乗り換えタイミングの波が来ていることや、消費税率の変更によって既存アプリのアップデートの波が来ていること、それと年度末に「会計」という言葉で検索するユーザーが増えるという季節性などが重なってのことだという。今さらの説明のようだけど、消費税率変更などではインストール型よりクラウド型のほうがアプリのバージョンアップが不要で有利だ。現在サービス開始から10カ月にして、すでに4万を超える事業所が利用しているという。

freeeは元Google社員が創業したスタートアップ企業として2012年のTechCrunch Tokyoでデビューし、2013年3月に製品をローンチしている。翌年のTechCrunch Tokyo 2013でお披露目となったマネーフォワードの「マネーフォワード 確定申告」、「マネーフォワード For BUSINESS」というライバルもいる。1月27日のローンチ時には価格をfreeeの月額980円より低めの月額800円に設定するなど、このジャンルの競争は追い風を受けて一層ヒートアップしそうだね。

そうそう、freeeは先日Dr.Walletと提携して、レシート100枚を無料で会計データとして取り込めるというサービスも開始していたので付け加えておこう。


Google、音波とスマートフォンを利用したユニークなユーザー認証のSlickLoginを買収

TechCrunch Disruptでローンチしてからわずか5ヶ月後にSlickLoginはGoogleに買収された。

SlickLoginのウェブサイトは「われわれはGoogleに参加し、誰にとってもインターネットがより安全になるよう努力を続ける」と発表した。 TechCrunchの取材に対してGoogleもこの買収を確認した。

買収の条件は明らかにされていない。いつもの通り、われわれはさらに取材を続ける。

SlickLoginのアイディアは非常にユニークだ。ユーザー認証するときに、ウェブサイトは特殊な方法で生成されたほとんど耳に聞こえない音を送り、ユーザーのコンピュータのスピーカーから再生させる。ユーザーはスマートフォンをスピーカーの前にかざしてその音波を受け、アプリが処理を加えた上でサイトのサーバーに送り返す。サーバーは送信した音波のデータと比較してユーザーを認証する。というか、少なくとも現在そのスマートフォンを所持している人間であることを認証する。

SlickLoginが昨年9月にTechCrunch Disruptでデビューしたときの私の記事を引用すると、

SlickLoginを採用しているサイトにログインする場合、ユーザーはアプリを起動してログインボタンを押し、パソコンのスピーカーに近づければよい。

SlickLoginは認証にあたってWiFi、Bluetooth、NFC、QRコード、GPSなどの情報を利用するが、核心となるのは特殊な方法で生成される音波だ。この音はわざと人間の耳には聞こえないようにされている。パソコンがこの音をスピーカーで再生すると、スマートフォンのアプリが内蔵マイクで受信する。

このサービスは従来のパスワードによるログインに代えて用いることもできるし、パスワードによるログインを強化する2段階認証として用いることもできる。SlickLoginはDisruptでサービスを発表した後、小グループを相手に非公開のベータテストを続けていた。買収以前に一般にはまったく公開されていない。

このファウンダーたちはどういう人物なのか? ログイン用音声を傍受、録音して後で使うことはできないのか? そういった点に関しては最初の記事で紹介しているので参照していただきたい。

〔日本版:最初の記事(未訳)によると、ファウンダーは全員が以前にイスラエル国防軍で情報保全を担当していた。生成される音波は常に変化するのでその瞬間のみ有効なので録音して後で使うことはできない〕

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


大人気の写真共有アプリFrontback、メジャーアップデートで日本語化―タイマーなど新機能も多数

ユニークな写真共有アプリ、 Frontbackがメジャーアップデートされた。 日本語など4ヶ国語がサポートされた他、通知画面と、写真撮影の際に画面内に表示させることができるタイマーなど多数の機能が追加された。

タイマー機能を有効にすると、フロントカメラはシャッターボタンを押してから5秒後に撮影される。スピード写真のブースのような仕組みだ。

このタイマー機能を使えばリアカメラをハンズフリーで撮影できるのでいろいろと面白い撮り方ができる。画面にはタイマーが表示されるのでポーズを決めたりジャンプしたりできる。自分でシャッターを押して自画撮りするよりずっと撮り方の可能性が広がるだろう。

共同ファウンダー、CEOのFrédéric della Failleは私の電話インタビューに答えて「これまで欲しかった機能をやっと実装できた」と語った。彼はまた「これでやっとバージョン1.0になった感じだ。通知パネル、人気の写真を見られるDiscoverタブ、それにコミュニティで人気の高い写真を選び出すアルゴリズムなどを追加することができた」と付け加えた。

実のところ、della Failleが「これがバージョン1.0だ」と私に言ったのはこれが3回目だ。実際、最初にApp Storeに公開されたバージョンは問題が多かった。4週間で開発されたというだけあって、コンセプトの実証プロトタイプのような出来栄えだった。写真撮影アプリとしてはよくできていたが、ソーシャル機能がまったく不十分だった。ユーザーのプロフィールも登録できず、フォローやフォロー解除の機能もなかった。

去年9月にやっとアップデートされ、こうしたソーシャル機能が追加された。 このときdella Failleは「これがバージョン1.0だ」と宣言した。しかしまだ重要な機能が欠けていた。コミュニティのサポートだ。

そこでFrontBackはコミュニティ・マネージャーとしてElissa Patelを、ユーザー関係担当者としてSpencer Chenをスカウトした。

この前後の数ヶ月、Frontbackはアプリの問題を解決するため意識的にPRを避けていた。たとえばDiscoverタブは先月追加されたのに、Frontbackからそれについての発表はなかった。

今回のアップデートではFacebookアカウントを利用したサインイン、日本語、スペイン語、中国語、フランス語対応、フルスクリーンでの写真表示、半透明ステータスバーなどが追加され、たしかに完成度が高くなった。

FrontBackは国際的に大ブームを呼んでいる。ユーザー数では日本、中国、ブラジルのほうがアメリカより多い。現在新規ユーザーの90%はアメリカ以外から来ているという。

最近のアップデートはユーザーの参加を促すのに非常に効果的だった。たとえばユーザーが1回アプリを起動するたびに12.5回「いいね!」を押している。12月から1月にかけてFrontbackのアクティブ・ユーザー数は2倍に伸びた。このスタートアップはいよいよ本格的な飛躍の時期を迎えたようだ。

Frontbackは短時間に熱心なユーザーのコミュニティを形成することに成功したが、中でも重要なのはアジアだ。日本のユーザーはアメリカのユーザーよりずっと熱心に利用しており、写真の共有数は4倍だという。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


ディズニー、Techstarsとの協力で独自のスタートアップアクセラレータープログラムを開始

ウォルト・ディズニーがインキュベーションビジネスに乗り出すこととなった。その名もThe Disney Acceleratorというのだそうだ。

まずは10社ほどを対象としたい考えで、コンシューマーメディアおよびエンターテインメント関連のプロダクトを扱うスタートアップを育てていきたいとのこと。選ばれたスタートアップは12万ドルの出資を受け、ディズニー社および各部門のリーダーたち(Pixar、Marvel、Lucasfilm、ESPN、およびWalt Disney Imagineeringなど)や、ディズニーのCEOであるBob Igerからの指導を受けることができることになる。

ディズニーの説明によると、このインキュベーションプログラムは「powerd by Techstars」であるようだ(他にもBarclaysMicrosoft、およびSprintなどがTechstarsと協力してインキュベーションプログラムを展開している)。ディズニーのコーポレートディベロップメント部門エグゼクティブ・バイスプレジデントであるKevin Mayerによると、Techstarsと密に連携しながらアクセラレーターとしての活動を展開していきたいとのこと。ディズニーとしては経営資源、知的財産などの各種リソースの活用も行っていく予定であるそうだ。

ディズニーのアクセラレーター活動のゴールは金銭的なものなのか、それとも企業戦略的なものなのかについてMayerにたずねてみた。「革新的アイデアを持つスタートアップの企業戦略策定に協力し、またメンターとしての活動を行いつつ、メディア関連およびエンターテインメント関連ビジネス全体の成長を促していくことが大きな目的です」とのこと。

「尚、ディズニーは1928年に音声と画像がきちんと同期したアニメを世界最初に送り出しました。また1932年には最初のフルカラーアニメを世に出しています。そして1937年には長編カラーアニメ映画を公開し、1955年にはテーマパークというものを、他に先駆けて開園しました。エンターテインメント関連テクノロジー開発の面でもトップを走り続け、マルチプレーンカメラ、オーディオアニマトロニクス、サークルビジョン360°、およびファンタサウンド方式などを世に送り出してきました。Disney Acceleratorはこうした伝統に続くものとして、メディアおよびエンターテインメントの世界の中で、さまざまなクリエイティブな発想を現実化し、イノベーションを生み出せるようにしたいと考えているのです」とも語ってくれた。

昨年末にはTwitterおよびSquareの共同ファウンダーであるJack Dorsey(Twitterのチェアマンであり、SquareのCEOである)を取締役に迎えるなど、ディズニーとテック業界との接近ぶりはあちこちで見ることができるようになっている。取締役メンバーには他にもFacebookのCOOであるSheryl Sandbergや、前Sybase CEOのJohn S. Chenなども名を連ねている。

アクセラレータープログラムは、本拠をロサンゼルスに構える。4月16日まで応募を受け付け、そして6月30日よりインキュベーション活動を開始したい考えだ。投資家向けのデモデーは9月に予定されている。

原文へ

(翻訳:Maeda, H


2014年のヨーロッパのスタートアップ業界を大予測

世界で盛り上がるスタートアップシーン、日本に情報が届きにくいヨーロッパ方面でも(一部のゲームメーカー除く)盛り上がりを見せているようです。今回は、2014年のヨーロッパのスタートアップシーンを予測する記事をThe Next Webから。 — SEO Japan

2014

ポール・ジョゼファクは、イノベーションラボ、Liquid Labsの共同設立者であり、業務執行取締役を務める。また、元ベンチャー投資家でもある。


過去12ヶ月間、ヨーロッパのテクノロジー業界は、とても有意義な時間を過ごした。

ベルリンは、ヨーロッパ大陸にテクノロジーの波を送り込む中心地となり、投資家、起業家、そして、テクノロジーの専門家を「シリコンアレー」へと導く役割を果たしてきた。ロンドンは、ベルリンの成功を凌駕し、シリコンラウンドアバウトには、スタートアップ、インキュベーター、そして、アクセラレータが、爆発的に増加した。Tech City UKによると、今年のロンドンのテクノロジー業界は、雇用が27%増加し、テクノロジースタートアップの数は76%増加していたようだ。

投資家は、安定したスタートアップ、そして、多くの新たに立ち上げられたビジネスに対して、シードの段階で多額の投資を行い、熱狂的な雰囲気を後押ししていた。FinTechでは、11月だけで、74件の大きな取引があった。昨年は、M&Aの取引も盛り上がり、米国の投資家がヨーロッパの市場に戻って来た。

テクノロジー、メディア、そして、電気通信の領域の取引は、過去6年間で最も多く、トップ 10の取引のうち7点がこの領域に集中していた。米国では、フェイスブックとツイッターを筆頭に、テクノロジー企業に対してIPOの門戸は開かれており、やがて、ヨーロッパでも安定した、ベンチャーベースの会社にIPOのチャンスが巡ってくることを期待している。

2014年は諸刃の剣

2013年は、ヨーロッパの大半のテクノロジー企業にとって、飛躍の1年であったと言えるものの、この成功が、2014年には、新たな起業家に対して、諸刃の剣のような影響を与える可能性がある。とりわけ、初めて起業する際、投資家から注目を集める難しさは、大きな脅威になるはずだ。この現象の原因を幾つか挙げていく:

  • まず、マーケットに参入する新たなテクノロジースタートアップの数が大幅に増え、新たな投資の供給のペースを上回る。
  • 次に、ヨーロッパのテクノロジー業界は、今まで以上に成熟した結果、ハードルが上がり、ベンチャーキャピタルを獲得するために、より堅実で、念入りなコンセプトを提供しなければならない、と言うプレッシャーが新人の起業家に襲い掛かる。
  • また、2014年は、東ヨーロッパからの競争が強まると予想される。ポーランドやハンガリー等の東欧諸国は、ベンチャーキャピタルの領域で頭角を現し、並外れた才能を持つエンジニア達が控えている。また、ルーマニアやブルガリアの現在の規制が緩和されれば、さらに競争は激化する。

ベンチャー投資家にとっては、選択肢が非常に多いことになる。つまり、新人の起業家は、目立つために、ずば抜けて革新的なコンセプトを提示しなければならない。現実として、ヨーロッパでサービスを模倣して、米国のインキュベータに売ることは遥かに難しくなるため、「模倣時代」は幕を閉じることになる。この最短ルートは閉ざされるため、クローンを作る魅力は大幅に減る。

新人の起業家には、3D印刷、そして、セマンティックウェブ等の一部の領域は、大半の投資家にとっては、今でも「趣味レベル」と見なされており、その結果、ベンチャーキャピタルを説得して、資金を引き出すことは非常に難しい点を理解しておいてもらいたい。

2014年の全体像を考慮すると、スタートアップを構築するコストが、さらに低下する可能性が高い点は、テクノロジー業界にとって朗報と言える。しかし、一般のM&Aの評価額もまた低下する。なぜなら、早い段階で退くスタートアップが増えるためだ。起業家にとっては、今でも十分に魅了的だが、ベンチャーキャピタルの感情にマイナスの影響を与えてしまう可能性がある。

革新的な企業

企業によるイノベーション、– 社内のイノベーションラボ、内部のチーム、または、インキュベータを介して — も2014年の展開に影響を与えると見られる。革新的な製品やサービスを開発する企業が増えるにつれ、スタートアップがローンチ直後に買収される件数は、少しずつ減っていくだろう。

投資家、そして、起業家にとっては、機会、難問、そして、健全な競争に満ち溢れた1年になる。その一方で、マーケットは成熟し、さらに、新たなスタートアップが続出する。その結果、投資家の注目を集めることが難しくなるため、大きなプレッシャーが、新人の起業家に押し寄せる可能性が高い。

成功を収めるためには、今までなかったものを提示する必要がある。しかし、投資家は、無線操縦の飛行機等の実証されていない分野への投資には、大方、慎重な姿勢を維持している。他方、積極的なベンチャーキャピタルが増え続け、最高の取引を巡る争いは激化し、強力なスタートアップのファウンダーには交渉を有利に進められる力が与えられる。

イメージ: Shutterstock


この記事は、The Next Webに掲載された「Why 2014 will be a tough year for first-time tech entrepreneurs in Europe」を翻訳した内容です。

「今までなかったものを提示する必要がある」とはいえ、「無線操縦の飛行機」や「3D印刷」、「セマンティックウェブ」等の早すぎる?分野への出資は難しい、と。ま、どこでもそんなものではありますが。。。、新人起業家にはハードルが高くなる、という趣旨の記事でしたが、それだけスタートアップ業界が盛り上がっているということで、今年も何かヨーロッパ初の熱いスタートアップが飛び出してくるのでしょうか。 — SEO Japan [G+]