産業用リモートセンシングのスカイマティクスが日本初のAI米粒等級解析アプリ「らいす」公開

スカイマティクス らいす

産業用リモートセンシングのスカイマティクスは7月30日、スマホ写真ひとつで玄米等級判定を行える業界初のスマホアプリ「らいす」(iOS版Android版)の提供を開始した。

お米の生産者は、収穫後に農作物検査場で玄米等級の検査を受けるものの、想定より低い等級と判定された場合、持ち帰り再選別・再検査を行うといった手間と労力を要する作業が必要になるという。また、事前に自分で等級を調べる場合には、穀粒判別機能付きの高価な計測器を購入しなければならないという課題がある。

同社がリリースした「らいす」では、アプリ内のカメラ機能で撮影した米粒画像を、独自のAIシステムで自動解析し玄米等級の目安を判定・表示可能。高価な穀粒判別機能を有する計測器は必要なく、農作物検査を受ける前に自分で等級の目安を確認できるようにした。

これにより、持ち帰り・再選別・再検査の手間をなくし作業効率を高めることが可能となり、解析結果は、稲刈日・乾燥日・籾摺日・ロットNo・品種情報とセットで管理できる。農作物検査後、実際の検査等級の入力も可能。

また解析回数・ユーザー数・機能に応じた複数の料金プランを用意。個人農家から大規模農業生産法人まで全ての生産者が利用でき、無料トライアルも用意している。

同社は、ドローン撮影画像を活用した栽培管理向け葉色解析サービス「いろは」、収穫後向けのAI米粒等級解析アプリ「らいす」の提供により、生産者の栽培から収穫までの作業を効率化するスマート農業サービスの普及に貢献していくとしている。

2016年10月設立のスカイマティクスは、産業用リモートセンシングサービスの企画・開発・販売を手がけるスタートアップ。「あらゆる産業の課題をリモートセンシングで解決する」という信念と使命をもって、リモートセンシングデータが産業界で当たり前に使われる日を実現することを目指しているという。

不動産仲介のDXを推進する「カナリー」のBluAgeが約3億円の資金調達

BluAge 不動産仲介 カナリー

不動産仲介のDXを推進する「カナリー」運営のBluAgeは7月30日、約3億円の資金調達を発表した。引受先はAngel Bridge、東大創業者の会応援ファンド、SMBCベンチャーキャピタル、個人投資家。

同社は、電話やFAXがいまだ主流となっている不動産業界において、一気通貫したデジタルトランスフォーメーションによりユーザーに透明性高い情報と効率的なプロセスを提供。また不動産エージェントの生産性向上によって、よりよい部屋探しのユーザー体験を追求するとしている。

賃貸物件を探す消費者向けアプリ「カナリー」(iOS版Android版)は正式リリースから約1年間の期間で16万件以上のダウンロード、2万件以上の内見依頼があったという。

また2020年7月より同アプリ内において売買版を正式リリース。ヤフーと売買物件情報における事業提携を締結した。ヤフーが運営する不動産ポータルサイト「Yahoo!不動産」が扱う約30万件の物件情報がカナリーにも掲載される。

BluAge 不動産仲介 カナリー

カナリーは、管理会社と提携することで物件情報をデジタル化しており、物件情報の自動掲載を可能にしている。これにより不動産エージェントは面倒な広告掲載作業から解放され、顧客対応に集中できるようとしている。

さらに店舗を起点としない、内見は現地待ち合わせ現地解散、契約はオンラインで完結という効率的で柔軟な業務の形を実現するとしている。

BluAge 不動産仲介 カナリー

また、いわゆる「おとり物件」を含む募集終了物件や重複した情報が大きく削減されるため、ユーザーは正確で最新の物件情報をもとに部屋探しを行えるほか、店舗に行かず契約まで完了できる。

BluAge 不動産仲介 カナリー

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ローコードアプリ統合プラットフォームのParagonが約2.6億円調達

ローコードは最近ホットなカテゴリだ。企業はコーディングスキルがなくてもワークフローやシンプルなアプリケーションを開発できるようになり、貴重なエンジニアリングリソースをより重要なプロジェクトに回すことができる。

ローコードアプリケーション統合プラットフォームを開発する、Y Combinator(Yコンビネーター)2020冬期メンバーのParagonは、米国時間7月28日250万ドル(約2億6000万円)のシードラウンドを発表した。

投資家には、Y Combinatorのほか、Village Global、Global Founders Capital、Soma Capital、FundersClubなどが名前を連ねている。

「Paragonを使用すれば、技術者でないユーザーでも、ビジュアルワークフローエディターを使用して簡単に統合を行うことができます。基本的に提供するのは、APIリクエスト、サードパーティAPIとの対話、そして条件付きロジックなどの機能を備えたビルディングブロックです。そのため、ユーザーはこれらのビルディングブロックをドラッグアンドドロップして、アプリケーションのビジネスロジックを記述したワークフローを作成することができるのです」と語るのは、同社の共同創業者であるBrandon Foo(ブランドン・フー)氏だ。

フー氏は、世の中にローコードのワークフローツールがたくさんあることは認めているが、UIPath、Blue Prism、Automation Anywhereといったツールの多くは、作業者の特定のタスクを自動化するためのロボットプロセスオートメーション(RPA)(未訳記事)に集中している。同氏と共同創業者のIshmael Samuel(イシュマエル・サミュエル)氏は、開発者に焦点を当てたかったのだと語る。

「私たちは、開発者の効率をどのように改善できるのか、そしてどのようにすれば低コードの利点を製品チームとエンジニアリングチームにもたらし、統合ごとに手作業でコードを記述せずに製品をより簡単に開発できるのか、そして製品開発を合理化することができるのかに、真剣に焦点を当てています」とフー氏はTechCrunchに語った。

それを使うには、Stripe、Slack、Google Driveなどの各ツール用に事前準備された1200種類のコネクターを、ワークフローテンプレートにドラッグ&ドロップして、なんらかのアクションをトリガーとする新しいコネクタを素早く開発すればいい。これらはAWSサーバーレスアーキテクチャに基づいて構築されているため、トリガーアクションとそれに続くアクションを定義すれば、あとはParagonがバックエンドインフラストラクチャに必要な要件を処理してくれる。

会社はまだ初期段階だ。1月にプライベートベータ版をリリースしたが、現在同社には80社の顧客がいる。同社は現在、かつてPolymailを共同創業したフー氏自身と、Uberの主任エンジニアだったSamuel(サミュエル)氏を含む6人の従業員を抱える。今年はさらに4人の従業員を雇用する予定だ。

有色人種である2人の創業者は、そのまわりに多様なチームを構築しようとしている。「すでに私たちのDNAに組み込まれていると思っています。多様性のある創業チームに一緒に仕事をしたい人を雇うという観点において、おそらくより広い視点と展望を持っているでしょう。もちろん、改善の余地は常にあると思います。そのため、私たちは常に、採用プロセスにおいてより包括的になれるような新しい方法を(成長しながら)模索しています」とフー氏。

新型コロナウイルスのパンデミックについては、彼は大変な時期だったとは言うものの、彼は自分たちが現実の問題を解決しており、現在のマクロ経済状況にもかかわらず成功できると信じている。

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(翻訳:sako)

マイクロソフトの新しいFamily Safetyアプリで子供たちのスマホ、PC、Xboxの利用状況をまとめて管理

Microsoft(マイクロソフト)の新しいスクリーンタイム兼ペアレンタルコントロールアプリであるMicrosoft Family Safetyが、米国時間7月28日からiOSとAndroidで一般に利用可能となった(Microsoftリリース)。実はすでに今春の初めに、同様の機能のプレビュー版がリリースされていた(Microsoftリリース)。このアプリは、保護者が子供の実際の利用時間を詳しく把握して、制限を設定したり、利用可能時間のスケジュールを作成したりできるようにするもの。また、ウェブアクセスに関しても境界を設定したり家族の居場所を追跡するなど、さまざまな機能を備えている。

画像クレジット:Microsoft

このアプリは、他のペアレンタルコントロール技術と競合する。iOSやAndroidに最初から組み込まれているものも例外ではない。ちなみにAndroidのものは、Family Linkという独立したアプリとしても利用できる。競合する他社のものと同様、マイクロソフトのFamily Safetyもすでに同社の製品やサービスのエコシステムにどっぷりと浸かっている人に対して効果が大きい。マイクロソフトの製品でいえば、Windows 10のパソコンやXboxを使っている人だ。

他の多くのスクリーンタイムアプリと同様に、Family Safetyでも子供が実際に画面を見ていた時間のログを表示できる。その内訳にはWindowsパソコン、スマホ、Xboxといったデバイス単位だけでなく、ウェブサイトやアプリごとに費やした時間も含まれる。また、子供がオンラインで検索した言葉を表示することも可能だ。

画像クレジット:Microsoft

保護者と子供には、電子メールで毎週レポートが送信される。スクリーンタイムの健全な利用について話し合うことを促すためだ。このあたりは、新型コロナウイルス(COVID-19)の流行前から、すでに微妙な問題だった。それが今、子どもたちは自宅にいながら授業を受け、何時間もゲームをしながら夏休みを過ごそうとしている。その一方で、保護者はなるべく子供の世話をせずに仕事をしようとしている。状況はさらに複雑なものになっているのだ。

保護者も、以前であればスクリーンタイムなど、まったく気にしないでいることもできたかもしれない。子供に自由にさせておくことで平和な日々が過ごせるなら、それでよいと。ところが、家に居続けるのことが当たり前になると、どれくらいのスクリーンタイムなら健全で、どれくらいなら多すぎるのか、ということを多くの家庭で気にし始めた。

この新しいアプリでは、Xboxを含むあらゆるデバイスに適用されるスクリーンタイムの上限を保護者が設定できる。細かく設定することで、オンライン学習用の教育用アプリへのアクセスは許可しながら、例えばゲームなど、他のアプリのスクリーンタイムを制限することも可能だ。設定された時間を使い果たすと、子供は保護者に延長を要求できる。保護者はそのつど要求を受け入れるかどうかを選べる。

一方、ウェブフィルタリング機能についてはWindows、Xbox、Androidで利用可能なマイクロソフトの新しいブラウザであるMicrosoft Edgeを利用する。このブラウザを使えば、保護者は検索フィルターを設定することで、成人向けのコンテンツをブロックできる。また他にも、子供が成人向けのゲームやアプリをMicrosoftストアからダウンロードしようとした際に、保護者に通知するコンテンツ管理機能も利用できる。

画像クレジット:Microsoft

さらに保護者は、子供のリクエストに対して承認を与えるようにすることで購入を管理できるので、後になって請求金額に驚くようなこともない。

さらに、このアプリには家族の位置情報共有機能も組み込まれている。つまりLife360のような家族の位置確認アプリを別途インストールしなくても、基本的な位置追跡機能を利用できるのだ。家族の居場所を地図に表示したり、お気に入りの場所として「自宅」を設定したりもできる。

画像クレジット:Microsoft

マイクロソフトは、プレビュー期間以降にアプリの機能を増強して特定のアプリをブロックしたり、そのブロックを解除できる機能、位置情報をまとめる機能などをいくつか追加した。またスクリーンタイムの延長を許可する際のオプションも15分、30分、1時間、2時間、3時間といったように、細かく設定可能となった。アクセシビリティに関する機能も更新され、視力が弱いユーザー向けにコントラストを強くする機能の改善や、スクリーンリーダー用のコンテキストの追加など、いくつかの強化が見られる。

とはいえFamily Safetyの機能は、購入管理やウェブフィルタリングなど、部分的にiOSやAndroidに組み込まれたものに及ばない点があることにも気付くだろう。しかもiOS版では、スクリーンタイムの追跡機能は動作しない。Apple(アップル)がそのためのAPIを用意していないためだ。アップルでは、独自のスクリーンタイム機能を提供し、それと競合するようなアプリを閉め出す方針を取っている。

こうしたことは、プラットフォームを持っている会社がそれぞれ独自のOSとエコシステムにユーザーを囲い込み、自社製デバイスのみを購入して使用するよう顧客に奨励しているために起こる。残念ながらその結果、さまざまなメーカー製のデバイスを利用している家庭、例えばXboxでもゲームを楽しむiPhoneユーザーや、パソコンとしてはMacを使っているAndroidユーザーなどがいる家庭では、1つですべてのデバイスを管理できるツールが存在しないことになってしまう。

マイクロソフトはFamily Safetyをリリースした後、すぐに2つの新機能をにロールアウトすると発表している。位置情報によるアラート機能と、主に10代のドライバーを対象とした安全運転のための機能だ。これらは、有料のMicrosoft 365 Familyのサブスクリプション(今のところ日本では利用できない)の一部として提供される。

新しいFamily Safetyアプリは、iOSAndroid向けに無料でダウンロードできるようになっている。段階的なロールアウトなのですぐにはアプリにアクセスできないかもしれないが、今週中くらいには利用可能となるはずだ。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

Githubの新機能公開スケジュールがわかるPublic Roadmapが登場

GitHubは米国時間7月28日にGitHub Public Roadmapをスタートさせた。この新機能はコードレポジトリをはじめとしてActionsやモバイルアプリ、セキュリティツールなどでGitHubが準備している新機能の概要、開発状況、公開予定などをユーザーに知らせることが目的だ。

GitHubのプロダクト担当シニアバイスプレジデントのShanku Niyogi(シャンク・ニヨギ)氏は取材に対して「現在、Githubがどんな機能を準備しているのかを知らせ、ユーザーに議論へ参加してもらい、Githubにフィードバックを送って我々と協力できるようにすることが目的だ」と述べた。

ニヨギ氏はまた「GitHubのエンタープライズ部門が拡大するにつれて、カスタマーがGitHubが開発中の新機能をあらかじめ知り、対応を準備する必要性も増えていることがこのページを作った理由の1つだ」と指摘した。これまでGithub はこうした情報を一部の大手ユーザーに対して(伝統的なスライドの形式で) 直接伝えていた。しかし今後はこうした情報をすべてのユーザーが利用できることになる。ニヨギ氏によればPublic Roadmapの公開は「すでに多くのユーザーが GitHubで取っていた開発手法をGitHub自身も取り入れたということだ」という。

画像クレジット:GitHub

当然だが、新しいページはGitHubレポジトリ内にある。したがってすべてはレポジトリの文法に従っており、機能に応じたタグ、影響する分野、開発の現状などが表示される。GitHubは今後スクリーンショットを添付するなど詳細を表示できるようにしていく計画だ。

GitHubでは、最近スタートさせたDiscussionsなどの機能を通じてユーザーがGitHubにフィードバックを送れるようにしたいと考えている。

画像クレジット:GitHub

現在のロードマップは1年先まで表示しているが、ニヨギ氏は「もちろんここに5年も6年も先に実現するかもしれない機能について表示する必要はない。しかし何か必要性が生じてきた場合にはそれについても表示しておきたい。ソフトウェアの開発ではなにごとも変化していく。我々はこれは当然のことだと考えている」と述べた。

ユーザー登録をしておけばロードマップに何か変化があった場合に通知を送ってもらうことができる。

GitHub Public Roadmapはすでに一般公開されている。

画像クレジット:Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

Alexaの新モバイルアプリはサードパーティスキルよりもアマゾンならではの機能を重視

Alexaの新しいデベロッパーツールを先週発表(未訳記事)したAmazon(アマゾン)は米国時間7月27日に、Alexaの消費者向けモバイルアプリのアップデートを発表した。この新しいアプリは特にホーム画面でのパーソナライズ化されたユーザー体験に力を入れており、Alexaの使い方ガイドも充実している。特に目立つのは、サードパーティ製スキルの案内をメインの画面から外し、あくまでもAlexa本来の使い方を重視していることだ。

ホーム画面のデザインもアップデートされ、上部に大きなAlexaボタンがある。そして、Alexaを始めるにはそのボタンをタップするか、「Alexa」と呼びかけると教えてくれる。

画像クレジット:Amazon

その下にはパーソナライズ化のための提案のリストがあり、ユーザーのリマインダーや最近再生した音楽、Amazonオーディブルの本、ショッピングリストなどの情報や、ユーザーの使い方から、その人にとって重要なことを推測する。

またユーザーがよく使う機能や、例えばEchoデバイスの音量といったアクティブな機能のコントロールも行える。アマゾンによると、以前の音量を指定することもできる。ちなみにこれらのEchoデバイスには、Alexa対応のワイヤレスイヤーバッドも含まれる。これは最近発表されたモバイルアプリをコントロールするためのAlexaの新しい機能(未訳記事)を有効にする計画の中では、特に重要なデバイスだろう。

初心者ユーザーのためのモバイルからAlexaの使い方の説明も詳しい。例えばAmazon Musicで音楽を聴いたり、Alexa Shoppingのリストを管理するなど初心者向けの提案がある。

一方、Reminders(リマインダー)やRoutines(ルーチン)、Skills(スキル)、Settings(設定)などの高度な機能は、今回のデザイン変更により「More(もっと見る)」ボタンの下へ移った。しかしながら、これらの変化によってAlexaのホーム画面がすっきりしたわけではない。

アップデートではAlexaボタンが画面上部にあるため、ナビゲーションバーの空いたスペースには新たに「Play」ボタンが加わった。これはもちろん、メディアの再生だ。この新デザインではAlexaの専用アプリが、ユーザーの毎日の生活の一部になるようなスイートスポットにはない。

以前は日付やお天気などが画面上部にあり、これらのアプリの日常性が意識されていた。しかしこれからは「ユーザーはAlexaではAlexa固有のことをしたいのだ」とアマゾンは理解したようだ。そのため最近のアクションへのアクセスが容易になり、例えばEchoのスマートスピーカーでやっていたことなどを前回、止めたところから、効果的に再開できる。

現在のAlexaアプリ(画像クレジット:TechCrunch)

Alexaの世界では、スマートフォンでサードパーティ製のアプリと呼んでいるものをスキルと呼ぶが、今度のアップデートではその優先度が下がったようだ。やはりまだまだAlexaのスキルは、iOSアプリのためのApple App StoreやAndroidのGoogle Playほどまでのアプリのエコシステムには進化していない。調査によると、大量のAlexaスキルが未使用(Voicebot記事)で、そのため新しいスキルのリリースのペースも鈍化している

そこで従来のようにホーム画面で人気スキルを顔見世するのをやめて、それらの「Skills & Games」機能は「More」タブへシャッフルされた。サードパーティではなくアマゾン自身のファーストパーティ機能、すなわちショッピングやメディアの再生、コミュニケーションなどが、今やホーム画面での良い位置を占めている。

アマゾンによると、このアップデートされたアプリはiOSとAndroidとFire OSデバイスで、1カ月ぐらいで全世界に展開される。8月の終わりごろには、全ユーザーが新しいユーザー体験へ移行するのだろう。

画像クレジット:TechCrunch

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

トラクター運転支援アプリ・農業ICTの農業情報設計社が3億円の資金調達

農業情報設計社 AgriBus-Navi AgriBus-GMiniR AgriBus-AutoSteer

トラクターの運転支援アプリ、農業におけるICT技術の活用や農業機械の自動化・IT化に関する研究開発に取り組む農業情報設計社は7月28日、第三者割当増資として3億円の資金調達を発表した。引受先は農林中金イノベーションファンド(グローバル・ブレイン)、SBIインベストメント運営のファンド、DRONE FUND。

今回の資金調達により、さらなる事業拡大に向け製造・販売・管理体制の強化、国際競争力の向上に取り組む。また、農業機械の走行距離や農作業履歴のビッグデータを利用した世界の作況予測など、データ農業への展開にも着手するとしている。

農業情報設計社は、2014年4月に北海道帯広市を拠点として設立。農業者の熟練度によらず、トラクターが「まっすぐ等間隔に走る」ための農業機械用ガイダンスナビアプリ「AgriBus-NAVI」を2015年2月にリリース。作業の効率化や資材コストの低減につながることから、世界で80万件以上がダウンロードされているという。

また、AgriBus-NAVIで高精度ガイダンスを実現するために設計された、高精度の位置情報を取得するGPS/GNSSレシーバー「AgriBus-GMiniR」も展開。cm精度の超高精度測位が可能なほか、IMU(傾斜補正・進路予測)を搭載した移動局としての利用が可能。

トラクターなど既存農業機械に後付けで自動操舵機能を付加できるオートステアリング「AgriBus-AutoSteer」も用意している。

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インドで禁止された中国企業アプリへのアクセスを促す47アプリも禁止に

インドは2020年6月に、中国企業が開発したアプリ59本を国家安全保障上の脅威だとしてブロックし、さらに追加で47本を禁止した。

事情に詳しい関係者によると、米国時間7月24日金曜日の遅くに発表されたインドの電子IT省による新しい禁止令は、その前に禁止されていたTikTokやCam Scannerといったサービスへのアクセスを促すアプリを対象としている。新たに禁止されるアプリにはCam Scanner Advanceや、カスタマイズされたライトバージョンのHelo、ShareItなどがある。インド政府は禁止アプリの完全なリストを7月27日に発表すると予想されている。

なお、6月にヒマラヤ山脈での軍事衝突で20人以上のインド人兵士が殺害されたことで、インドでは反中感情が高まっている。主要なモバイル調査企業によるとTikTok、クラブファクトリー、UCブラウザと他のアプリをまとめたアプリは、5月の月間アクティブユーザー数が5億人を超えていたという。

インド政府は、さらにいくつかの中国のアプリやサービスへのアクセスを制限することを検討している。The Economic TimesやIndia Todayなどの地元メディアは月曜日(The Economic Times記事)、インド政府がByteDanceの音楽ストリーミングサービスことResso(未訳記事)やAli Express、モバイルゲームのPUBGなど、主に中国企業が開発した追加の275個のアプリを審査していると報じたが、まだ決定には至っていないという。

ここ数週間、中国の人気サービスが禁止されたことで生じた空白を埋めるためにインドのスタートアップが殺到している。InMobi GroupのRoposoとTwitterが支援するSharechatは、この7月に何百万人もの新規ユーザーを獲得したと述べている。

しかしKantarによると、インドにおける禁止令の最大の恩恵を受けたのはFacebook(フェイスブック)だという。調査会社の概算によると、7月初めにインドでReels機能をローンチした(未訳記事)フェイスブックの看板サービスであるInstagramも、ここ数週間でインドにおけるユーザーエンゲージメントが30%急増した。

画像クレジット:Nasir Kachroo / NurPhoto / Getty Images

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

飲んだ日本酒からユーザー好みの日本酒を分析・提案する「Sakeai」アプリのAndroid版がリリース

サケアイ 日本酒 Sakeai Android

サケアイは7月27日、飲んだ日本酒を記録・投稿するとユーザーに合う日本酒をお勧めするアプリ「Sakeai」(サケアイ)のAndroid版を7月23日にリリースしたと発表した。

同社は、「世界の人々が日本酒を愛し、日本酒を最大限楽しめる世の中をつくる」ことを目指し、2020年2月に設立。Sakeaiは、ユーザーに合った日本酒を提案するというスマホアプリで、業界最大規模の日本酒データベース、1万種以上の日本酒銘柄の情報を閲覧可能などの特徴を備えている。先⾏公開していたiOS版に続き、Android版を公開した。

Sakeaiでは、飲んだ日本酒をユーザーが記録すると、AIによってユーザーの好みに合う日本酒をお勧めする。さらに、サケアイと提携する酒造会社・酒販店の最新情報をSakeaiで発信することで、ユーザーが気になる日本酒を購入するといった流れを提供し、人々の日本酒開拓をサポートするとしている。

サケアイ 日本酒 Sakeai Android

サケアイと提携した酒造会社は、蔵元のお勧めを表示したり、Sakeai内の日本酒の情報を自ら更新可能。飲食店・小売店は、店舗で取り扱っている日本酒を自ら更新できたり、各店舗お勧めの日本酒をSakeaiに掲載できる。提携の問い合わせは、蔵元向けページ飲食店・小売店向けページから行える。

サケアイ 日本酒 Sakeai Android

また、Sakeaiに飲んだ日本酒を記録すると、抽選で3名にSakeaiがお勧めした日本酒をプレゼントするキャンペーンを開始した。キャンペーンは8月10日まで。詳細はキャンペーンページを参照。

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3000社導入のクラウド受付システム「RECEPTIONIST」がMicrosoft 365との連携強化

RECEPTIONIST Microsoft 365 Outlook Teams

RECEPTIONISTは7月27日、クラウド受付システム「RECEPTIONIST」(レセプショニスト)、会議スペース管理アプリ「RECEPTIONIST For Space」において、Microsoft 365との連携機能を強化したと発表した。

Microsoft 365利用中の企業の場合、RECEPTIONISTを導入することでTeamsで通知(メンション)し、アポイントメントや会議室の管理はOutlookカレンダーと連携して管理できる。日程調整・受付・会議室の予約や管理までの来客業務をすべてRECEPTIONISTが引き受けるとしている。

また、会議室の空予約(予約しているのに使われない)を防ぐための予約リマインドメールや、会議が長引くこと防止するための終了前通知などの機能もリリースした。

RECEPTIONIST Microsoft 365 Outlook Teams

RECEPTIONIST For Spaceは、従来カレンダー連携できるサービスはGoogleカレンダー(G Suite)のみだったが、今回のリリースによりMicrosoft 365 Outlookカレンダーもサポートを開始した。

また新たに追加された予約状況のリマインドメールでは、事前に会議室の利用予定を予約者にリマインドすることで、開催されなくなった会議予定を事前にキャンセルするように促し、会議室の空予約を未然に防ぐことで会議室の有効活用を実現できる。

2017年1月サービス開始のRECEPTIONISTは、来客の日程調整から会議室予約、来客受付までの業務を効率化するクラウド受付システム。ビジネスチャット、スマホアプリ、メール、SMSを使って直接担当者を呼び出すため、担当者への取次は不要。打ち合わせの前に必ず行う日程調整もWeb上で行えるため、わずらわしいメールのやりとりも必要ない。アプリ「RECEPTIONIST 調整アポ」「RECEPTIONIST For Space」を併用することで日程調整→会議室予約→来客受付→会議室管理までをワンストップで効率化できる。

受付システム・受付方法において特許(第6429965号)を取得。日程調整機能「調整アポ」においても特許(第6671727号)を取得済み。2020年6月には導入企業が3000社を突破した。

またRECEPTIONIST For Spaceアプリをインストールしたスマホ・タブレットを会議室に設置することで、会議室の入退室を把握し、実際にどの会議室が使れているのか、今すぐ使える会議室はどこなのかがWebの管理画面から把握可能。会議室だけでなく小規模な商談ブースやオープンスペースのソファ席など、あらゆるスペースに設置し利用状況を確認できるようになる。

RECEPTIONIST Microsoft 365 Outlook Teams

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Facebook MessengerでFace IDやTouch IDによる会話ロックが可能に

Facebook(フェイスブック)のメッセージングアプリに新たなプライバシーコントロールが追加されることが、米国時間7月22日の朝に発表された。最初にリリースされるApp Lock for iOSでは、ユーザーがTouch IDとFace IDといったデバイスのセキュリティメカニズムで、プライベートチャットへのアクセスをロックできる。2番目のプライバシー機能は、受信トレイと通話に対する新しいコントロールで、これは近日リリースされる。

先日、同社がApp Lock機能をテストしているところが発見(Engadget記事)されたが、公開はまだだった。同社は6月に、App LockはiOS版Messengerユーザーのごく一部にしか提供されていないと述べていた。しかし現在、この機能は現在すべてのiPhoneおよびiPadユーザーが使えるとのこと。具体的には、Messengerのプライバシー設定の新しいオプションから利用できる。これは、ストーリーのミュートやユーザーをブロックするコントロールと同じ場所だ。

Facebookは近い将来、AndroidにもにApp Lockをロールアウトする計画だ。


一方で今後リリースされるメッセージのプライバシー管理機能は、Instagramで提供されているものと似ており(Instagramリリース)、自分にメッセージを送信できる人を設定できる。Facebook Messengerの場合、どのユーザーのメッセージが直接受信トレイに送られ、あるいはどのユーザーのメッセージがリクエストフォルダに送られるかをコントロールできる。これにより、ユーザーはMessengerの受信箱を友人や家族だけのためのよりプライベートに保つことができる。また他のユーザーがメッセージを送ったり、電話をかけたりできないようにも設定できる。

Facebookによると、新しいコントロール機能のテストはまだ始まっていないが、近いうちに開始する予定だという。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

ARMアーキテクチャMac登場前に知っておきたい、Macと仮想環境との長〜い歴史

いろいろな意味で、Macほど大きな変遷を経てきたパーソナルコンピューターはほかに類がない。CPUを含む内部のアーキテクチャも、度重なる変化を受けてきたし、それと呼応して、あるいはまったく独立に、外観のスタイルも多岐にわたるバリエーションを提示してきた。

またその過程で、さまざまなサブブランドの製品が生み出された。そして、サブブランドに分化した後も、それぞれ少なからぬ変化を経験している。例えば「iMac」という製品1つをとってみても、長期に渡ってどれだけ大きな変遷を経てきたことか。すべてを正確に思い出せる人は少ないかもしれないが、一部を思い浮かべてみるだけでも、そのバラエティの豊かさは驚異的なことに思える。

そして今また、Macの世界が大きく動き出そうとしている。言うまでもなく、そのきっかけとなるのは、MacのCPUがApple Siliconに変更されること。一般に普及しているパソコンのCPUの系列が大きく変更されて、直接実行可能な機械語コードに互換性がなくなる場合、その移行ができるだけスムーズなものとなるよう、さまざまな対策が必要となる。それは主に、CPUの変更を主導するメーカーとしてのアップルの仕事だ。サードパーティのデベロッパーやユーザーは、アップルが提供する施策を利用することで、CPUの変更による影響を最小限に留めることができると期待される。しかし中には、アップルが提供する方法では吸収できないような大きなインパクトを受ける種類のソフトウェアもある。その代表が、WindowsやLinuxなどのほかのOSや、その上のアプリをMacで利用可能にする仮想環境を実現するアプリだ。

ここでは、多岐にわたるMacの仮想環境ソフトウェアの歴史をざっとたどってみる。それが、今後のMac上の仮想環境がどのようなものになっていくのか、考えるヒントになるかもしれない。ただその前に、仮想環境にも大きな影響を与える、これまでのMacのCPUの変遷と、それに対してアップルが提供した施策について確認しておこう。

3回のCPU変更に3回とも判で押したように同じ手で対応

パソコンのCPUの移行期に有効な方策が、主として2種類あることは、拙稿の「Apple Siliconへの移行のキモとなるUniversal 2とRosetta 2とは何か?」で述べた。簡単に要約すると、1つのアプリが移行前後のCPU、両方に対応するコードを持てるようにするバイナリフォーマットを用意することと、旧CPU用のアプリのコードをその場で変換して新CPUで動かす機能を提供することだ。今回アップルは、前者にはUniversal 2、後者としてはRosetta 2と呼ばれるものを提供することを明らかにしている。

いずれも名前に「2」が付いていることからわかるように、これらの方策はほぼ同様のものを以前にも採用したことがある。つまり以前には、それぞれ「Universal Binary」と呼ばれるフォーマットと、「Rosetta」と呼ばれるコード変換機能を提供していた。具体的には、2006年にPowerPCからインテル系CPUへの変更を断行した際のものだ。

しかし、それだけではない。名前こそ異なるが、もっと以前、1994年に68K(68系)CPUからPowerPCに移行する際に、同様の方策を実施している。その際には、2つのCPUのコードを含むアプリのファイルフォーマットは「Fat Binary」、コードの自動変換実行機能は「Mac 68K emulator」と呼ばれた。いずれも面白みのない名前だが、当時は、その部分に何かしらのブランディングを適用しようという気はさらさらなかったのだろう。

以上に述べた3回のCPU変更と、それぞれの変更の際にアップルが提供してきた、そしてする予定の方策を図で確認しておこう。

現在までにMacが採用してきたCPUは3種類、そこにApple Siliconも入れれば4種類となる。そのいずれの時代にも、サードパーティが提供した一種の仮想環境ソフトウェアが存在した。もちろんApple Siliconを搭載したMacにも登場するはずだ。次に、その歴史をたどってみよう。

パーソナルコンピューター黎明期からあった野心的な試み

パソコンに限らず、コンピューターが搭載するCPUとは異なるCPUのプログラムをなんとかして動かしてみたいという欲求は、かなり昔からあったように思える。おそらくそれは、この世に存在するCPUというものの種類が1を超えた瞬間に発生したのではないかとさえ思われる。コンピューター自体の処理能力が今よりもずっと低く、使えるリソースも限られていた時代には、もっぱら「エミュレーター」として実現されることになる。この言葉には、なんとなく趣味の領域の匂いや、グレーゾーンの雰囲気も漂うが、それはある種の偏見だろう。業務上の用途でも重要な役割を果たしたものは少なくない。

MacがエミュレーターによってDOSやWindowsを動作させるようになったのは、CPUが当初の68系からPowerPCに移行してからのこと。確かにPowerPCのようなRISCプロセッサーは、少ないクロック数で実行できる単純な命令を備えているので、エミュレーターを実現するのに向いている。とはいえ、もちろん68KのようなCISCでエミュレーターが作れないわけではない。そのようなものの中で、おそらく史上初ではないかと考えられるのが「][ in a Mac」だ。名前から想像できるように、Mac上でApple IIのソフトウェアを動作させるもの。Macとしては正確に言うと2世代目だが、オリジナルMacのメモリ容量を128KBから512KBに増設しただけの、いわゆるFat Mac上で動作した。

Apple IIはカラー表示が可能だったので、初期のMacのモノクロディスプレイでは十分に表現できないソフトウェアも多かったが、CPUもアーキテクチャもまったく異なり、何の互換性もないApple IIのプログラムが、曲がりなりにもMacで動くというインパクトは強かった。

このようなことが可能だったのは、1MHzで動作するApple IIの8ビットCPUである6502よりも、約8MHzで動作する16/32ビットCPU(製造元のモトローラでは「MPU」と呼んでいた)の68000のほうが、大幅に処理能力が高かったからだ。仮にもしApple IIで何かのエミュレーターを動かすとすれば、常識的に考えて、それよりもさらに大幅に処理能力の低いCPUをターゲットにしなければ実用にならないと思われるだろう。

しかしここに1つの重要な例外がある。Apple IIのファームウェアの1つ、といってもたった6KBしかない整数BASICのインタープリタの一部として組み込まれていた「Sweet16」と呼ばれる仮想16ビットCPUのエミュレーターだ。これはApple IIの作者、スティーブ・ウォズニアク氏が、BASICインタープリタのコード量をできるだけ少なくする目的で開発したもの。16本の16ビットのレジスターを備え、16ビットの加減算が可能な、れっきとした16ビットCPUだった。

この仮想CPUのエミュレーターでの実行は、6502のネイティブコードを実行する場合に比べて10倍ほど遅かったそうだが、コード量を削減する効果は大きく、そのトレードオフの結果として導入したと考えられる。パーソナルコンピューターの原点の1つと考えられているApple IIに、最初からこのような機構が組み込まれていたのは、その後の発展を考えると非常に興味深い。

時代が前後したが、また話をMacに戻そう。68K時代のMacでは、CPUを搭載する他のコンピューターをソフトウェアでエミュレートするのは荷が重かった。上に挙げた][ in a Macのようなソリューションもあったが、初期のMacではカラー表示ができないという問題もあった。このことは、Apple IIという製品が、膨大なソフトウェア資産を市場に残しながら寿命を終えようとするころには、アップルとしても捨て置けない問題と考えられるようになった。

そこでアップルは1991年になって、自ら「Apple IIe Card」というハードウェア製品をMacintosh LCシリーズ用に発売した。これを装着することで、カラー表示が可能で、しかも低価格のMacが、最も普及したApple IIeとしても動作するようになったのだ。このカードは、Apple IIeのハードウェアそのものを、当時の技術を使って小さな基板上に縮小したようなもので、純正だけに高い互換性を実現していた。

引用:Wikimedia Commons

これと同じようなハードウェアによるソリューションは、実はPowerPCの時代になっても存在した。やはりアップルが1996年に発売した純正の「PC Compatibility Card」だ。これは、インテルのPentiumや、他社の80×86互換CPUを搭載した、ある意味本物のPCであり、拡張スロットを備えたPower Macに装着して、MS-DOSやWindowsをインストールして利用することができた。このころになると、少なくともアプリケーションの多彩さという点では、DOSやWindowsに対するMacの優位性もだいぶ陰りが見えていた。この製品は、PC用ソフトウェアを利用可能にすることで、ユーザーをMacに引き止めることを狙った、まさに苦肉の策だったと言える。

一方で、ソフトウェアだけで、PCのCPUとハードウェアのエミュレーションに果敢に挑んだ製品も、サードパーティから何種類も登場した。中でも最も有名なのは、Connectix(コネクティックス)社の「Virtual PC」だろう。これは、PCのハードウェアを忠実に再現するもので、後の仮想環境ソフトウェアの走りと見ることもできる。市販のWindowsパッケージは、もちろん、x86プロセッサーを搭載するPC用のさまざまなOSを、そのままインストールして利用することが可能だった。なお、このVirtual PCは、MacのCPUがインテルに移行してからはMicrosoft(マイクロソフト)に買収され、同社純正のWindows Virtual PCとしてWindows 7に組み込まれることになった。

ほかにも、当時かなり豊富に市場に出回っていたDOSゲームを主なターゲットとした、Insignia Solutions(インシグニア・ソリューションズ)の「Real PC」という製品もあった。もともとは、各社のUnixワークステーション上でDOSを実行するための小規模なものだったが、のちにMacだけでなく、NeXTSTEPにも移植された。このReal PCは、やがて「SoftPC」と名前を改め、DOSに加えてWindowsも実行可能になった。市販のWindowsパッケージをそのままインストールして使うことも可能だったが、特にSoftPC用にチューンして動作性能を向上させたWindowsの特別なバージョンをバンドルした「SoftWindows」という製品も登場した。

CPUの変更で再びチャレンジングな世界に踏み込む仮想化ソフト

MacのCPUがインテル系に変更されると、それまでエミュレーションの最大のターゲットだったWindows PCのアプリケーションを利用するために、CPUの機械語コードの変換やエミュレーションを実行する必要がなくなった。そこでもっぱら利用されるようになったのが、いわゆる仮想環境ソフトウェアだ。CPUのコードは同じだが、周辺のハードウェアの違いを仮想化することで吸収するためのソフトウェアということになる。機能としては、以前にPC Compatibility Cardを装着したMacに求められたものに近いのかもしれない。

そんな中で、最初にリリースされたのは、ドイツのInnotek(イノテック)がオープンソースソフトウェアとして開発した「VirtualBox」だった。Innotekは、その後Sun Microsystems(サン・マイクロシステムズ)によって買収され、さらにOracle(オラクル)がSunを買収したため、現在の正式な名称は「Oracle VM VirtualBox」となっている。同種の商用アプリのような派手な機能は少ないが、地道に開発が続けられている。

VirtualBox自体が動作するホストOSとして、macOSだけでなくWindows、Linux、Soraisと4種類がサポートされているのも大きな特徴だ。仮想化マシンを作成可能なOSのタイプとしては、Windows、Linux、Solaris、BSD、IBM OS/2、macOSなどをサポートする。MacがApple Siliconに移行すると、残念ながらこのアプリはMacでは動作しなくなり、サポートもなくなる可能性が高い気がする。

VirtualBoxより先に発表されながら、実際に製品としてリリースされたのは少し後になったのが、Parallels社の「Parallels Desktop」だった。少なくとも人的資源としては、PowerPC時代のVirtualPCを引き継ぐ部分もあって、基本的なユーザーインターフェースにもVirtualPC譲りの雰囲気が感じられる。現在では名実ともにMacを代表する仮想化ソフトウェアとなっている。WWDC20でも、いち早くApple Silicon上で動作するデモが取り上げられた。このソフトウェアが、今後どうなっていくかについては、少し後で再び考える。

製品の発売時期もParallels Desktopとさほど変わらず、その後も互いに速度と機能を競い合いながら発展してきた仮想化ソフトウェアにVMware(ヴイエムウェア)の「VMware Fusion」がある。ただし残念ながら、最近では開発にかける力が衰えてきたように感じられる。それは最近ではクラウド製品に注力しているVMwareの方針に沿ったものなのかもしれない。このアプリも、Apple Silicon以降どうなるのか、やはり残念ながら見通しは明るくないように思える。

以上挙げたようなアプリとしての仮想化ソフトウェアとは一線を画するものとして、国産の「vThrii Seamless Provisioning」も挙げておこう。これは数年前に、iMacとともに大量に東京大学の教育用計算機システムとして導入されたことで話題にもなった。いわゆるハイパーバイザー型(ベアメタル型とも呼ばれる)の仮想環境で、ソフトウェアのレイヤーとしてはかなり薄い。東大に納入されたシステムでは、iMacの起動時にOSとしてMac OS X(当時)かWindows 10を選択するようになっていたが、Mac OS Xですら仮想環境上で動作するという特徴的な機能を実現したもの。これについても、今後の展開は不明だが、MacのCPUが変更されれば、当然ながらこれまでと同じ構成で動作することはできなくなる。

こうして現在のMac上の仮想環境を見渡してみると、MacがApple Siliconを採用した後、少なくとも短期間で対応してくるのはParallelsだけではないかと思われる。それでも、今と同じような機能をサポートし、インテル用のWindowsを動作させるとしたら、内部はかなり変更せざるを得ない。WWDC20では、Parallels Desktop上でLinuxが動作するのをデモしていたが、おそらくはARM版のLinuxだろう。現状では、CPUの機械語コードの変換やエミュレーション機能を備えていないからだ。いくらアップルがRosetta 2をサポートしても、WindowsのようなOS全体を事前に変換するのには無理があるように思える。

ARM版Windows 10を搭載するマイクロソフトのSurface X

多くの人は、ほとんど記憶にないかもしれないがARM版のWindowsというものも確かにある。Windows 8の時代に「Windows RT」という名前で登場したバージョンだ。その名前なら聞き覚えがあるという人も多いかもしれない。Windows RTでは、インテル版Windowsとの互換性も考慮し、ARM系のコードだけでなく、x86、つまり32ビット版のインテル用Windowsアプリも動作させることができた。しかしWindows RTはパッケージや、ダウンロード版として販売されたものではなく、ARM系のCPUを搭載するモバイル系のマシンにライセンスによって搭載されただけ。つまり、マイクロソフトがApple Siliconを搭載したMac用にライセンスしない限り、Parallels Desktopのような仮想環境ソフトウェア上でも動かすことはできない。少なくとも製品化は無理だ。

しかし、それでParallelsが、64ビット版を含むインテル版WindowsをApple Silicon搭載Mac上で動かすことを諦めるとは思えない。正攻法としては、ソフトウェアによるエミュレーションでインテルCPUの機械語コードを動かすことになり、パフォーマンスの問題はしばらくつきまとうかもしれない。やがてそれも何らかの方策によって改善できるだろう。WWDC20のRosetta 2のデモを見れば、けっして期待の薄いこととは思えない。あるいは、他社からも含めて、まったく別のアプローチによる解決策が登場するかもしれない。MacのCPUの変更は、仮想環境にとっては1つの大きな試練には違いない。しかし無責任なユーザーの目で見れば、現在のソフトウェア技術が、それをどのように乗り越えるのか、見守る楽しみができたというものだ。

Microsoftがリアルタイム顧客フィードバックツールのCustomer Voiceを発表

米国時間7月21日に開催されたMicrosoft Inspireで、同社はDynamics 365 Customer Voice(ダイナミクス365カスタマーボイス)を含む、いくつかのDynamics 365関連の発表を行った。このDynamics 365 Customer Voiceは、2018年にSAPが80億ドル(約8540億円)で購入したQualtrics(クアルトリクス)と競い合うことが可能な、リアルタイム顧客フィードバックツールである。

Microsoft(マイクロソフト)のジェネラルマネージャーであるBrenda Bown(ブレンダ・ボウン)氏は、パンデミックの中でオンラインに移行する顧客が増えるにつれて、リアルタイムのカスタマーフィードバックを捕えることが、かつてなく重要になっているという。それを他のデータと組み合わせることで、より完璧な顧客像を描き出し、将来のより良いユーザー操作に導くことができるからだ。

「Customer Voiceはフィードバック管理ソリューションです、企業や組織がより優れた製品を開発し、顧客により良いエクスペリエンスを提供して、このフィードバック管理ツールで顧客との関係を構築できるようにデザインされています」とボウン氏はTechCrunchに語った。

データはMicrosoft(マイクロソフト)の顧客データプラットフォーム(CDP)と共有され、Dynamics 365とPower Platformの上に置かれる。後者は、個々の企業のニーズに合わせてCustomer Voiceツールをカスタマイズする手段を提供する。

CRM Essentials(CRMエッセンシャルズ)のパートナーであり、共同創業者でもあるBrent Leary(ブレント・リアリー)氏は、これにより、ユーザー操作が行われているときにフィードバックを得る課題を解決できるという。そのデータをCDPと直接共有できることで、CDPの価値がさらに高まるとリアリー氏は付け加える。

「顧客のフィードバックが上手く行われるためには、ユーザー操作、トランザクションが行われている場所のできるだけ近くで行われる必要がありますし、できるだけ簡単に行えるようになっている必要があります。そうでなければ顧客はフィードバックを返してくれません。そして、そのデータを本当に利用するためには、他のすべてのデータと一緒にCDPに統合する必要があります。そして、フィードバックキャプチャとデータ統合の両方を処理するプラットフォームがあることで、そうしたことを行いやすくなるのです」とリアリー氏は語る。

同社はまた、Dynamics 365 Connected Store(ダイナミック365コネクテッドストア)も発表した。これは特に店舗側が、店内ならびにカーブサイド(店舗周囲)の人の流れを管理する際に役立つようにデザインされたツールである。パンデミックが、一度に店内にいられる人数の制限を要求する中で、Connected Storeはセンサーとカメラを使用して、店舗マネージャーが店内の人数を常時把握して管理し、ソーシャルディスタンスを保つ手助けをする。

また、カーブサイドでの商品受け取りの一定の自動化を追加して、顧客の到着を従業員に知らせるようにできる(「カーブサイドピックアップ」はドライブスルーよりも広い概念で、駐車場などに従業員が商品を持ってきてくれるサービス)。「システムが従業員に通知を行うことで、彼らはよりシームレスで迅速なピックアップのために、顧客の注文品を用意することが可能になります。そして明らかにこのシナリオは、(多くの人が)非接触型ピックアップを希望しているため、現在とても重要になっています」とボウン氏は語った。

最後に、同社は詐欺防止コンポーネントを発表した。ボウン氏はDynamics 365 Fraud Protection(ダイナミック365フロウドプロテクション)がオンラインならびに実店舗でのビジネスを、詐欺的な行為から保護するのに役立つという。そして、デジタルで行われるトランザクションが増えるにつれて、その重要度はさらに増すと語る。新機能には、アカウント保護と紛失防止ツールが含まれている。

Microsoft Inspireは同社が毎年開催しているパートナーカンファレンスで、2020年はオンライン開催となった。ボウン氏は、オンラインで開催したことで、通常の対面式の会議よりも多くのパートナーに参加してもらえることができたと語った。これは、コストと距離が原因でこれまで参加できなかった企業が今回参加できたためだという。

画像クレジット: Jane_Kelly / Getty Images

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(翻訳:sako)

MLB開幕直前、米Fox Sportsが直感的に気になる情報がわかる複数カメラアングルに対応したアプリを公開

スポーツの世界は新型コロナウイルス(COVID-19)感染拡大による中止や延期からゆっくりと復活しつつあり、MLBは米国時間7月23日に開幕する予定だ。そんな中、米国時間7月20日にFox Sportsが再設計されたスポーツアプリのAndroid版とiOS版をリリースした。新しいアプリ、そして同時に公開されたウェブサイトはこれまでよりモダンなインターフェイスになり、ケーブルテレビの契約をしていればライブ中継にアクセスでき、複数のカメラアングルで試合の貴重な映像を観ることができる。

Fox Sportsのデジタル担当責任者であるDavid Katz(デビッド・カッツ)氏は、スポーツアプリはスマートフォンの登場以降あまり進化していなかったため、Fox Sportsは観たいコンテンツを簡単に見つけられるすっきりとしたデザインにしてその状況を変えようとしていたと語る。

「我々が目指したのは、一歩引いていうなら今、世界がどこにあるかについて我々が知っていることのすべて、スポーツアプリとウェブサイトに欠けているものについて我々が考えることのすべて、そうしたことを考え直し、これまでよりもずっとモダンでありながらも、人々がどうしていいかわからないからと逃げ出すことのないアプローチを構築することだった」とカッツ氏は説明する。

その一環がビジュアルで、要約の付いた大きな写真が並び、簡単にスワイプしてざっと読むことができる。出会い系アプリやソーシャルアプリのようなエクスペリエンスであり、ウェブサイトのビジュアル要素も同じように構築されている。その日のスポーツニュースのハイライトを捉えたストーリーを毎日提供することが目的だ。

カッツ氏は「ユーザーがコンテンツを消費し、好きなことや好きでないことを見て素早く操作できる、極めて直感的な方法だ。好きなことがあったら上へスワイプするか、または写真の中ほどでも下の方でも、あるいは見出しでもどこかをタップすれば、ストーリーが表示される」と述べた。

ユーザーが期待する通り、アプリにはスコアや試合中の情報、最新のギャンブルのオッズ、注目の対戦などファンの気になる情報が表示される。ケーブルテレビの契約をしているユーザーは、試合の放送へのリンクをクリックし、ケーブルテレビの契約情報でサインインできる。そこからテレビと同様に試合を見たり、例えばボーナスのカメラアングルで試合中ずっと1人のプレーヤーを追いかけたりベンチの様子を楽しんだりすることができる。

「放送局は多くのカメラアングルで撮影している。もちろん我々は放送をしているが、他のカメラでも撮影し、情報を提供し、ビデオコンテンツを同時に表示している」とカッツ氏はいう。別のカメラの映像を公開すれば、違う見方をしたいファンは通常の放送では見られない様子が見られる。

新しいアプリはiOSとAndroidのアプリストアで入手できる(日本ではUS版は非公開)。新しいウェブサイトもすでに公開されている。

画像クレジット:Fox Sports

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(翻訳:Kaori Koyama)

LINE Fukuokaが自治体向けにLINE公式アカウント機能のソースコードを無償提供、福岡市アカウントがモデル

LINE Fukuoka LINE SMART CITY GovTechプログラム 福岡市 ソースコード

LINE Fukuokaは7月21日、自治体が汎用的に活用できる「LINE SMART CITY GovTechプログラム」のソースコードについて、2020年秋頃から無償で提供開始すると発表した。同プログラムは、LINE公式アカウントの機能について、福岡市LINE公式アカウントをモデルに開発したもの。

また同日、「LINE SMART CITY GovTechプログラム公式ページ」において、詳細な情報を希望する自治体向けの事前登録受付を開始した。事前登録を行った場合、提供可能となり次第ソースコードを提供する。希望者にはLINE Fukuokaと開発について相談の機会を設け、その後同プログラムを用いて開発を行える開発パートナーを案内するという。

今回のLINE SMART CITY GovTechプログラムは、福岡市LINE公式アカウントの機能開発の知見を活かし開発した、全国の自治体が汎用的に活用できるLINE公式アカウントの機能。同ソースコードを活用して機能を開発することで、ゼロから機能を開発する場合と比べ、企画の工数や開発コストを抑えられる。ソースコードを無償提供することで、より多くの自治体がLINE公式アカウントを市民の暮らしの利便性向上に役立てられることを目指しているという。

なお、無償で提供するのはソースコードのみで、機能を実装する際には別途開発やサーバーなどが必要となる。LINE Fukuokaは、アマゾン ウェブ サービス(AWS)を用いることで、提供ソースコードを改変することなくそのまま活用できるしている(AWSの利用は必須ではない)。

LINE Fukuoka LINE SMART CITY GovTechプログラム 福岡市 ソースコード

LINE SMART CITY GovTechプログラムのソースコードに含まれる機能は、「セグメント配信機能」、「申請/アンケート機能」、「FAQ機能 – チャットボット形式応答」「管理機能」の4機能。セグメント配信は、自治体から導入に関する問い合わせの多かったものという。

LINE Fukuoka LINE SMART CITY GovTechプログラム 福岡市 ソースコード

セグメント配信機能では、管理者画面の配信リストで対象ユーザーの条件を絞り込み、指定ユーザーだけに情報を配信できる。また、ユーザー自身が受け取りたい情報を選択し、自分に必要なカテゴリのメッセージだけを受け取れるよう設定することも可能。防災や子育てなど、市民の興味・関心に合わせた情報配信に活用できるとしている。

申請/アンケート機能は、LINEのチャット機能やLINE上でひらくWebアンケートフォームを使い、ユーザーからの申請や情報提供を受け付けられるというもの。FAQ機能は、よくある問い合わせへの回答をチャットボット形式で紹介できる機能。チャットボットのシナリオは管理画面で設定可能。

管理機能では、機能利用の統計情報やロールごとの権限の設定、システムユーザーの管理などのシステム運用に必要な機能を提供する。

LINE Fukuokaは福岡市と共働し、福岡市LINE公式アカウントの機能を拡張。現在では、友だち数は169万人を超え、行政情報の選択受信をはじめ、申請手続き・市民から行政への通報・災害時のサポート機能など様々なサービスを提供している。

福岡市LINE公式アカウントでは、コミュニケーションプラットフォームであるLINEの特徴を活かし、市民と行政のコミュニケーションをサポート。特別定額給付金の支給の際には、市民の不安・疑問の解消、また手続きをスムーズにするため、チャットボットで回答する「特別定額給付金案内機能」を提供。10万回以上の利用があったという。

このほか、災害時に最新の災害情報を地区ごとに通知する機能や、地域の不具合を市民が発見し、自らLINEで行政に通報する機能などを提供。市民と行政の様々なコミュニケーションをLINEでサポートしている。

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瞑想アプリのCalmを題材にしたにセレブが出演するHBO Max番組がスタート

瞑想アプリは混乱する世界の中で、多くの人にとってテクノロジーを活用したいい休憩方法になってきた。そんな中、HBO Maxは人気の高いCalmアプリをベースにした新番組のローンチで、その成功を足場にしたいと考えている。ありがたいことに、これはドラマでも職場のコメディでもなく、むしろアプリの内容に沿った別のフォーマットである。

番組は10本、30分エピソードのシーズンとして構成されており、CalmのSleep Storiesシリーズを中心として、National Geographic(ナショナル・ジオグラフィック)のドキュメンタリーシリーズであるOne Strange Rockの制作者による番組もある。さらにMahershala Ali(マヘルシャラ・アリ)やIdris Elba(イドリス・エルバ)、Oscar Isaac(オスカー・アイザック)、Nicole Kidman(ニコール・キッドマン)、Zoë Kravitz(ゾーイ・クラヴィッツ)、 Lucy Liu(ルーシー・リウ)、Cillian Murphy(シリアン・マーフィー)、Keanu Reeves(キアヌ・リーブス)といったハリウッドの大物スターたちが朗読する「科学的に創作された物語」も提供される。

Calmの共同創設者で共同CEOのMichael Acton Smith(マイケル・アクトン・スミス)氏はリリースの中で「Calmは瞑想アプリとして生まれたが、ブランドはそれをはるかに超えて進化してきた。」と述べている。「Sleep Storiesのオーディオの背後にある魔法を、初めてスクリーンに届けることができて嬉しく思う。これらの体験は視覚的なバリウムであり、人々がストレスの多い時にリラックスするのを助けるだろう」。

このコンセプトはテレビシリーズや映画といった標準的なストリーミングサービスのフォーマットを再利用するという点で、Netflix(ネットフリックス)の暖炉の動画やAdult Swim(アダルト・スイム)のJoe Pera Talks You to Sleepとは異なる。HBO Maxのようなオンデマンドサービスは、眠ってしまうようなより多くの専門的なコンテンツを提供することができる。QuibiにもThe Daily Chillという独自の瞑想プログラムがあるが、私自身はNetflixを見ながら寝てしまうことが多い。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

新型コロナの影響で米国のApp Storeダウンロード数が中国超え、ビジネスアプリは133.3%成長

米国のApp Storeのダウンロード数が中国のダウンロード数を2014年以来初めて上回った。米国時間7月16日に公開されたSensor Towerの2020年Q2レポートによると、同四半期の米国App Storeのダウンロード数が前年比27.4%増だったのに対し、中国のApp Storeの成長率は2.1%だった。四半期中に米国では22.2億回の新規インストールがあり、中国では20.6億回だった。

変化に影響を与えたのは、中国と米国両方を襲った新型コロナウイルスのパンデミックだ。「米国が中国のダウンロードを超えたのは4月に始まり、6月までずっと続いた」と同社は伝えている。

第2四半期の中国は、新型コロナのためにダウンロードが異常に多かった3月と4月から減少した。そしてダウンロード数が平常に戻りつつある中、パンデミックが少し遅れて米国にやってきた。

この結果米国ではダウンロードが急増した。人口の大部分が突然在宅勤務を強いられ、家で授業を受け、エンターテイメントもアプリやゲームやストリーミングサービスを家で楽しんだからだ。

Sensor TowerがTechCrunchに伝えたところによると、米国で特に伸びが著しかったのがビジネスと教育のアプリだった。2つのカテゴリーは米国が中国を追い越す最大要因だった。Q2にビジネスアプリは133.3%成長し、教育(84.4%)と健康・フィットネス(57.7%)、ニュース(44.9%)、ソーシャルネットワーク(42.4%)が続いた。

ビデオ会議アプリのZoomにとっては大ブレイクの四半期で、9400万近いダウンロード数はApp Storeの四半期インストール数の新記録でもあった。それまでの最高はTikTokで、2020年Q1に6700万ダウンロードを記録した。「それ以外の非ゲームアプリで1四半期に5000万インストールを達成したものはない」とSensor Towerは伝えた。

TikTokのQ2も好調で、App Storeのダウンロード数は7100万回近くで前年比154%だった。同アプリの2大ダウンロード市場は米国と中国で、中国では Douyin(抖音)と呼ばれている。

モバイルゲームも米国では大ヒット。その原因は、政府による都市封鎖のために人々が家にいたためだった。App Storeのダウンロード数で上位のモバイルゲームは、Save The Girl、Roblox、Go Knots 3D、Coin Master、Tangle Master 3D、Fishdom、ASMR Slicing、Call of Duty: Mobileなど。

この中ではRoboxが華々しい四半期を過ごした。学校とも友達とも切り離されて家にいる子供たちがオンラインゲームに走った結果だ。Robloxのゲームアプリは2020年Q1に米国内で11位だったが、Q2には2位に躍進し、四半期中に新記録となる860万回ダウンロードされた。

Rollic Gamesは、Go Knots 3DとTangle Master 3Dという2つのヒット作品が、それぞれApp Storeで500万回以上ダウンロードされた。同社のRepair Master 3Dも20位に入った。

ZoomとRollic Gamesの2社は、トップメーカーとしてQ2に初めてApp Storeでトップ10入りした、とレポートに書かれている。

米国は中国を数年ぶりに四半期で上回ったが、残るトップ5は日本、英国、ロシアで変わらず、対前年比では成長した。新規ダウンロードの急増に関連して、米国は消費者がApp Storeで消費した金額でも、2018年Q4以来初めて中国を上回った。前回の差はわずか1.6%(約5300万ドル)だったが、2020年Q2に米国は中国を14%、約7.17億ドル上回った。

新型コロナ禍の中、米国は対前四半期の消費金額も大きく伸ばし、Q1とQ2の間で20%成長した。一方中国は、ウイルスの影響が最も大きかった2020年Q1のApp Storeの消費金額は2019年Q4と比べて5%増にとどまった。

画像クレジット:Sensor Tower

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

G Suite向けGmailがChat、Meet、Roomを統合

Google(グーグル)は米国時間7月15日、生産性向上ツールG Suiteのメジャーアップデートをリリース(Googleプレスリリース)した。これにより、ウェブならびにモバイル上で、Chat(チャット)、Meet(ミート)、Rooms(ルームス)とGmailの深い統合が提供されるようになる。

Calendar(カレンダー)、Docs(ドキュメント)、Sheets(スプレッドシート)、Slides(スライド)などのほかのツールの統合も同様だ。この統合は、G Suiteの早期導入プログラムでまず利用可能になる予定で、より広い範囲への展開は順次となる。

G Suiteチームは約1年間このプロジェクトに取り組んできたが、もともと今回のリリースの一部になる予定だったGmailとMeetの統合は、新型コロナウイルスのパンデミックへの対応も一部理由となって、先行して行われていた。

今回のアップデートの中心にあるのは、電子メール、チャット、音声、ビデオなど、さまざまな通信モードを私たちは常に切り替えて使っているという考えだ。そこで、今回のアップデートでは、Googleは多くのユーザーが既に多くの時間を費やしていることは間違いないGmailを、差し当たりの中心としたものとしてまとめあげようとしている。

Googleはこの動きを「better home for work」(仕事のためのより良いホーム)としてブランド化しようとしている、これが意味しているのは、単にGmailの中でカレンダーを書き込んだりファイルを操作したりして製品同士がより緊密な統合が行えるというだけではなく、1つのウィンドウでリアルタイムに文書を共同編集しながら、もう1つのウィンドウでビデオチャットを行えるようにもなるといったことである。

画像クレジット: Google

G SuiteのVP兼GMを務めるJavier Soltero(ハビエル・ソルテロ)氏によれば、ここでの全体としてのアイデアは、これらのすべてのツール同士を近付けて、ユーザーが行わなければならないタスクの切り替えを減らすことだけではない。

画像クレジット: Google

発表に先立ちソルテロ氏は「我々は、ここしばらく取り組んできたことについて発表します。これは私自身が昨年Googleに入社する少し前から始まっていたことでした。発表したいのはすべてのコミュニケーションとコラボレーションのコアコンポーネントを1つの場所に持ち寄るためにデザインされた、新しい統合ワークスペースです。個別の要素を単に同じ場所に集めただけではなく、部品の合計よりも大きなものも提供できるものです」と語った。「コミュニケーションのさまざまなモード、特にメール、チャット、ビデオ通話、音声ビデオ通話の様々なレベルでの統合を、コラボレーションにおける私たちの既存の強みの上で提供できます」。

ウェブと同様に同社は、 5月にモバイル用Gmailの最新のメジャーアップデート(未訳記事)を最初に発表したときに、計画の一部を明らかにしていた。GmailとMeetを切り替えるために画面の最下部に新しいバーを設置し、Meetとの統合を行ったのだ。そして今回はさらに、ChatとRoomsのサポートも含まれるように拡張されている。ソルテロ氏は、Gmail、Meet、Chat、Roomsの4つの製品を「統合ワークスペースの4つの柱」と見なしていると述べている。これらすべてを1つのアプリに統合することで、それらのすべての通知動作を1カ所で扱えるようになる。しばしば面倒な操作となるモバイル上でのタスク切換えなどが不要になるのだ。

画像クレジット: Google

現時点では、これらのアップデートはG Suiteに限定されているが、Meetを一般消費者に提供するというGoogleの取り組みと同様に、同社はこのワークスペースエクスペリエンスを一般消費者にも提供することを計画している。だがそれが正確にはどのようなものになるのかはまだ不明だ。「現在、我々は本当に集中しています。これを緊急に必要としているのは、生産性向上シナリオに関係している方々です。『the new home for work』(仕事のための新しいホーム)というアイデアは、特にプロフェッショナルの現場、高生産性が求められる仕事の現場のための、コラボレーションに関わるものなのです」とソルテロ氏はいう。

画像クレジット: Google

さらに続くアップデートは

今回GoogleはG Suiteの製品ラインに、その他のいくつかの機能アップデートも発表する。Chatルームでは、ファイル共有とタスクを取り込んで、タスクを割り当てたり、社外のユーザーをルームに招待したりできるようになる。これらのルームでは、まったく別のウェブアプリに切り替えることなく、片方でチャットを開いてもう片方でドキュメントを編集することもできる。

Gmailの新機能としては、メールだけでなくチャットも検索できるほか、重要なルームをピンで固定するための新しいツールや、「do not disturb」(邪魔しないでください)や「out of office」(不在)といった新しい状態設定も追加できる。

これらの新しい統合ワークスペースのさらに気の利いた新機能の1つは、Googleが一部のパートナーたちと協力して彼らのアプリを取り込めるようにしていることだ。特にDocuSignSalesforce、Trelloについては具体的な名前が挙げられている。こうした企業は、Gmailサイドバーとの統合などGmailとの高度な統合をすでに提供しているので、こうしたリストは今後も拡大していくだろう。

Meetも今後数週間でいくつかのアップデートが予定されている。たとえば「ノッキングコントロール」という機能は、一度ミーティングから追い出した人物が再びミーティングに戻って来られなくするものだし、また誰が発言したり出席できるのかをミーティングホストが決定できる安全ロックも用意される。

画像クレジット: Google

関連記事:Google Meet shows up in Gmail inboxes, a few years too late(未訳記事)
トップ画像クレジット: Alex Tai/SOPA Images/LightRocket / Getty Images

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(翻訳:sako)

AtlassianがTrelloにテーブルビューを導入、複数プロジェクトを俯瞰チェック可能に

Atlassian(アトラシアン)は米国時間7月15日、コラボレーションとプロジェクト管理のツールであるTrelloConfluenceワークスペースのアップデートを発表した。同社によるとその主な狙いは、「次の段階のリモートワークをサポートすること」だ。各企業が在宅勤務へのシフトを開始した3月半ばには、Trelloだけでもサインアップは前年比で73%増加した。

新しい機能は、どれも単純明快だ。Trelloのユーザーのハイライトは確実にテーブルビューのベータだろう。Trelloのさまざまなボードで行われていることを、スプレッドシートのように概観できるのはこれが初めてだ。スプレッドシート的という点ではAirtableを思い出すが、Trelloの開発チームによると機能そのものよりも重要なのは「これはアプリケーションを構成する複数のプロジェクトのデータを見るための一連の新しい方法の最初のものである」という点だ。

Confluenceのほうは、新しい機能の多くが時間の節約や時間の計測に関連している。例えば、間もなく提供されるコンテンツ一元管理機能では、1回のクリックで複数のページをアーカイブしてラベルを付け、エクスポートもできる。

すでに使えるConfluence Smart Links機能は、コンテンツをウェブでプレビューできるので、重要な情報を見るために自分のワークスペースを去る必要がなく、コンテンツへのリアルタイムのフィードバックもConfluence上に表示される。そしてサービスがエディットモードのときでも、インラインのコメントを見たり作ったり解決したりできる。

最後に紹介するConfluenceの新機能はPage Insightsだ。これは測定機能で、リードタイムの推測値やページのビューカウントなどが提供される。これにより「忙しいときにコンテンツをいつどのように消費するのかに関する決定を迅速にでき、コンテンツのエンドレスな海をナビゲートする精神的負担が軽くなる」と同社は説明している。長いドキュメントを全部読める時間とエネルギーは誰にもないのだ。

AtlassianのConfluenceの責任者であるPratima Arora(プラティマ・アローラ)氏は「世界中のチームが今はリモートワークを強いられているが、でも今では多くの企業が、もっと分散化された仕事環境への恒久的な移行を検討している。複数の部門間や個人間にたくさんの仕事の流れがあるから、もはやメールの連鎖のような古いシステムで計画や管理を行うことはできない。企業全体にわたって長期的にコラボレーションをサポートできるような、仕事の正しい管理システムを導入しているか、指導者たちは検討する必要がある」とコメントしている。

画像クレジット: Atlassian

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Google Chromeに挑戦するThe Browser Companyはブラウザー界のTeslaを目指す

シリコンバレーの著名な投資家数名が、Google Chromeの市場支配に挑戦しようとするソフトウェアスタートアップを支援している。

The Browser Companyというそのスタートアップを率いるJoshua Miller(ジョシュア・ミラー)氏は、オバマ政権のプロダクト担当ディレクターを務め、現在はJosh Kushner(ジョシュ・クシュナー)氏の投資企業であるThrive Capitalの投資家の1人となっている。

情報筋によると、このニューヨークのスタートアップはこれまで500万ドル(約5億4000万円)あまりの資金を調達しているという。同社の支援者の中にはLinkedInのJeff Weiner(ジェフ・ワイナー)氏やMediumのEv Williams(エブ・ウィリアムズ)氏、FigmaのDylan Field(ディランフィールド)氏、NotionのAkshay Kothari(アクシェイ・コタリ)氏そしてGitHubのJason Warner(ジェイソン・ワーナー)氏らがいる。

The Browser Companyは、具体的に何に取り組んでいるのかにを公表していない。同社が作っている新しいブラウザーは、必要最小限の機能だけの簡素なものとは逆に、今日のウェブアプリケーションの柔軟なインタフェイスに積極的に対応しようとする。ブラウザーのバックエンドにはChromeブラウザーの骨格でもあるオープンソースのChromiumを利用して、ウェブの幅広い現在のスタンダードを最初からシームレスにサポートする。

The Browser Companyのサイトには「今のインターネットは複雑すぎる。ブラウザーがそれらをもっとわかりやすくしてくれたら、嬉しいよね」といったメッセージが掲載されている。

ミラー氏に電話でインタビューしたが、あまり詳しい話は聞けなかったが、プロダクトの機能については「競合他社に先を越されたくないので、今はあまり詳しい話はできない」と答えてくれた。

ブラウザー市場に対するChromeの画一的なアプローチに挑戦しようとしている若いスタートアップは従業員6名のThe Browser Companyだけではない。本誌の有料記事であるExtra Crunchで、投資家たちが支援しているそれらの若いブラウザースタートアップを取材している。

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GoogleのChromeがブラウザー市場を完全に支配している。2016年にGoogleは、そのアプリケーションのインストール数が約20億になったと発表した。その後、競合製品であるFirefoxやInternet Explorerのユーザーはさらに減って、Chromeの首位がさらに固まっている。

GoogleはChromeを、世界中の何十億もの人が問題なく使える安全な製品にしようとしているため、ミラー氏が話すように主張や個性がない。彼によると、The Browser Companyの目標はChromeに置き換わることではなく、自分のニーズにさらに満たすブラウザーを求めている特定のChromeユーザーのサブセットを探していることだという。

この点についてミラー氏は「ウェブブラウザの機能に進歩がなくなってから久しいが、その原因はビジネスモデルが広告収入に依存しているからだ。ChromeとSafariはトヨタやホンダだと思う。信頼性があって入手しやすいし、誰もがアクセスできてシンプルだ。しかし、私たちが作ろうとしているのは、ウェブブラウザのTeslaなんだ」。

ミラー氏によると、2020年後半にはThe Browser Companyはユーザーによるベータテストを開始したいと考えているという。

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画像クレジット:The Browser Company

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(翻訳:iwatani、a.k.a.