Google Readerはあと半日で終了―データは簡単にエクスポートできる

4ヶ月前に予告されたとおり、Google Readerは、今日(米国時間7/1)水平線の彼方に静かに消えようとしている。 ユーザーにとっては悲しい日だがやむを得ない。ありがたいことにGoogle Readerの代替サービスはたくさんある。

先月からGoogle Readerにはデータをバックアップするよう注意が出ていた。Googleは本当に全OMPLファイルを削除するつもりだ。今更文句を言っていても始まらない。5分あればデータのエクスポートができる。

エクスポートの方法はいくつかあるが、Google Takeoutを利用するのが圧倒的に簡単だ。このサービスはGoogle Readerばかりでなく、Buzz、ハングアウト、連絡先、、ドライブ、Goggles、YouTubeのユーザーデータもエクスポートできる。

Readerだけを選択した場合、ファイルのサイズは1MB以下、ダウンロード時間は1分くらいだろう。ダウンロードしたOMPLファイルはほとんどRSSリーダーで利用できる。

Google Takeoutでエクスポートできる全データを要求した場合、時間はずっと長くかかるが、ダウンロード可能になったらGoogleからメールが来る。

しかしGoogle TakeoutはMihai Parparitaが詳しく説明するとおり、タグやコメントなど一部のユーザー・データはエクスポートしてくれない。すべてのデータを保存したい場合、Parparitaが開発したReaderのAPIを利用するツールを使うとよい。一部コマンドラインからの入力が必要になるが、詳しい手順が説明されているからそれほど難しい作業ではない。

〔日本版:Google Readerは日本時間で今日の午後5時以降、作動を停止する。〕

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


Facebookにトレンドリストが必要な理由

FacebookはRSS製品の開発には取り組んでいないようだが、ニュース発見に関しては極めて大きなチャンスを持っている。Facebookは、われわれが友達とシェアしているリンクを、全世界向けのオートマチックDiggに変えることかできる。Facebookには10億人以上の人々がいて、その多くがニュース記事や外部サイトのコンテンツへのリンクをコメントと共にシェアしている。

ただしTwitterのような公開投稿と異なり、殆どは友達や知り合い同志のセミプライベートな投稿だ。現在のところ、Facebookユーザーの間で何が重要だと考えられているかを総合的に知る方法はない。Facebookのアルゴリズムだけが、どのリンクや単語が人気なのかを知っている。もしFacebookが、人々がシェアしたデータを、匿名でプライバシーに安全な形で集計することができれば、あらゆる瞬間における世界で一番人気のあるウェブページのリストを作ることができる。Facebookのホームページやモバイルアプリから簡単に見られるようにすれば、そのリストはわれわれの集合意識を覗き見るための有益で中毒性のある入り口になる。

巨人REDDITの肩に乗る

世界で何がシェアされているかを垣間見る場所は今でもあるが、Facebookのデータや本流といれるユーザーをベースにしたものは存在しない。Redditは驚くべきサイトだ。そこでは非常に多様性のあるコミュニティーの人々が、ほぼ無限のカテゴリーからその日で最も重要なコンテンツを拾い出している。彼らの投票によって最も興味ある記事が浮上し、彼らの意見はわかりやすいスレッドと会話にまとめられる。スレッドの設計は実にすばらしく、他の形式化されていないコメントシステムはいずれRedditのスタイルになっていくのではないかとさえ私は思っている。

これは利点とも欠点とも言えるだろうが、Redditは自発的投稿に基づいている。何かがRedditに載るためには、誰かが率先して時間をかけ積極的に掲載する必要がある。掲載されれた後、その記事のランクを決めるのは、投票し、コメントするRedditメンバーたちだけだ。その結果Redditのトップページは、ウェブ全体というよりもRedditコミュニティーを反映したものになる。全員のための”R/”もあるが、全体で見れば、Redditには、誇り高きオタク精神と懐疑主義とユーモアの入り混じった姿勢が現れる。Facebookには、そこでシェアされたあらゆる記事を分析することによって、より広くより主流な定義による人気ランキングを作れるチャンスがある。誰かが自発的にリスト作りに貢献する必要はない。ただ、Facebook上でよくシェアされているかどうかによってリストが有機的に作られていく。何回クリックされたか、いいね!が付けられたか、コメントが付いたかなどの情報も使えるかもしれない。国や地域別のリストを提供すれば、内容をある程度ローカライズすることもできる。

TWITTERのトレンド情報

私が想像するFacebookでのニュース発見体験は、Twitterのトレンド情報と似ているかもしれない。あちらもユーザーが積極的に選ぶ必要はない。人々が日々起きたことについてつぶやけば、人気の単語やハッシュタグがリストを上昇していくだけだ。しかし、Twitterのトレンドをチェックすることにハマっている人はいるだろうか? 少なくとも私は違う。一瞬驚いたり面白いと感じることはあっても、クリックしたいと思うことは稀だ。

Twitterトレンドには専用のページすらない。Twitterホームページの左列にあるだけだ。モバイルではDiscoverタブの下にまとめられている。最大の弱点はコンテキストがないことだ。それがなぜシェアされたのかを知る術はない。クリックすればその単語やハッシュタグが検索されるだけで、結果はごちゃごちゃで解読不能であり、トレンドが何であるかの決定的な答は得られない。スポーツイベントや世界的大ニュースに関しては、このストリームは世界が考えていることに関するすばらしい洞察を与えてくれる。しかし、#FOTunisがチュニジアの首都チュニスのオンライン・カンファレンスを指していることは、Googleでさえすぐには教えてくれなかった。

個々の単語や短いフレーズからニュースを編成することは、少なくともこのデザインやコンテキストを抜きには効果的な方法とはいえない。もしFacebookがリンクに基づいたニュース発見サービスを作れば、人々が何を話題にしているかがずっと明快にわかるだろう。一般にリンクには、見出しや写真やテキストなど宣伝文句に使えそうなものが付いている。Facebookは、リンクのリストにこの情報を付けて出すだけでよい。われわれがニュースフィードにウェブサイトのリンクを載せた時と同じだ。

Facebookはいずれハッシュタグのトレンドリストを作るかもしれない。6月にFacebookはTwitterと同様のハッシュタグをサポートし、先週には、検索したりクリックしたハッシュタグを付けられた記事によく付けられる別のタグを表示する、関連ハッシュタグ機能が追加された。おそらくFacebookは、ハッシュタグ製品を徐々に展開し、将来トレンドハッシュタグ製品を作るための準備をしているのだろう。

FACEDIGG

誤解のないように言っておくと、Facebookのニュース発見サービスはRedditやTwitterを置き換えるものではないし、必ずしも直接競合するわけでもない。しかしそれは、人々が気にかけていることを浮かび上がらせ、主観性を減らした上で簡潔な使いやすいデザインにまとめてくれる。私自身はこの「Facebookトレンド」ページを頻繁にアクセスするだろうと思う。自分のニュースフィードに飽きたら、インスピレーションを求めてここをクリックする。ざっと見渡していろいろなリンクをたどっては、またトレンドページに戻る。地域別のリストや、私の行動や興味、さらには私に似た人の好みに合わせてパーソナライズされたリストがあれば、もっと使いたくなるだろう。

DiggもRedditも9GagもTechmemeも、トレンド情報のすばらしいリストが中毒性であることを証明している。しかし、本流の人々に焦点を絞ったものはまだない。

もしFacebookがこれをものにすれば、山ほどのトラフィックが生まれる。これをクリックして、世界で起きていることをしょっちゅう見に行く人たちもいるだろう ― 友達からのコンテンツをニュースフィードで見るのと同じくらい。両者は情報の2本柱として、ひとつは自分にとってが特に関心のある、もう一つは全員にとって関心のある情報を提供する。プライベートと公開。主観的と客観的。

Facebookトレンドは友達との質の高い会話を始めるきっかけにもなる。共感できる話題を見つけた人は、クリックするだけでなくシェアして友達と語り合うだろう。理想的には、友達もシェアしていた場合にはトレンドリストの中で会話スレッドが作れるとよい。

Facebookはこれを行うのに打ってつけのしくみを、すでに最新のニュースフィードに組み込んでいる。シェアされたリンクの横にプロフィール写真が並び、マウスをかざすとその友達がコンテンツをどう説明し、どんな返信をしたかを読むことができる。友達がすでにシェアしたトレンドリンクにこのデザインを採用すれば、未知らぬ人たちのコメントが延々と続く1本のスレッドよりはるかに便利だ。

もしあなたが「こんなものいらない。世界で何が起きているかは友達がすばらしいリンクをシェアして教えてくれる」と思っているなら、あなたはラッキーだが、おそらく少数派だ。平均的ユーザーの友達は180~250人程度だという。大多数のFacebookユーザー、とりわけ途上国では、ソーシャルウェブの大きな楽しみ ― その日のニュースや悲劇や偉業にまつわる即時かつ集合的な会話 ― を逃がしているのではないかと私は憂慮している。たった一人がFacebookトレンドをフォローしていれば、一つのソーシャル集団全体を啓蒙することができる。

記事やコメントの長さには事実上制限がないので、世界で最も話題になっているニュースに関する意見を書くための場所は十分にある。だからTwitterのようなエコー室になることもない。「このリンクをシェアしている友達が5人います」と表示されていれば、そのコンテンツに関する様々な見解を見ることができる。

あらゆる発見メディアはスポンサードプレースメントによって収益化できる。ブランドは料金を払ってトレンドリンクの一覧内に自社へのリンクを挿入できる。これはコンテンツマーケティングで主流のチャンネルになれるかもしれない。そこでは伝統的広告は使えないかもしれないが、ブランド入りのコンテンツやアプリ、楽しい余興やコンテストへのリンクは、友達からのオーガニック・コンテンツがうまく収まらないニュースフィードとは別の場所に送られれば、良い結果を残す可能性がある。主要広告主たちは、一度に多数のオーディエンスにリーチする方法をFacebookに要求し続けてきたが、これがその答になるかもしれない。

もしFacebookがわれわれのデジタルライフを包含したければ、われわれが誰であり何をしたかを扱うだけでは足りない。われわれが何を考えているかも網羅すべきだ。考えていることを打ち明けさせるためには、われわれに情報と刺激を与え、今世界で何が話題なのかを知らせることによって友達との会話のネタを提供する必要がある。

[画像提供:Brian Shaler]

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(翻訳:Nob Takahashi)


ポール・グレアムが語るVCのための処方箋:早く動け。株の取り分は減らせ

先週、500 StartupsのPreMoneyカンファレンスで、Y CombinatorのPaul Grahamが講演を行い、シリーズA投資の新しいやり方を提案した。Grahamは、革新的な初期段階投資家が差別化するためのアイデアをいくつか提示した。要するにこういうことだ:早く動け、株の取り分を増やすために過剰投資するな。

「資金調達プロセスで投資家が理解していない最大の問題の一つは、スタートアップが彼らと話すことに膨大なコストがかかっていることだ。ファウンダーしかいないスタートアップでは特にそうだ。資金調達の期間中はすべてが停止してしまう」とGrahamは語った。

Grahamによると、このため投資家には初期段階投資でもっと早く動くことによって競争を制するチャンスがあるという。もし信頼ある投資家が、24時間以内に10万ドル投資できれば、最高のスタートアップを買い占められるだろう、と彼は言った。そのVCは最悪のスタートアップたちからもアプローチされることになるが、少なくとも全部を見ることができる、とGrahamは言った。対照的に、投資に時間がかかることで知られる投資家たちは、最後にアプローチされる。

VC会社が差別化をはかるもう一つの方法は、シリーズA投資で通常要求する20%という株式比率を忘れることだ。資金調達において、VCは多くを投資しすぎ、スタートアップは多くを要求しすぎるが、もし誰かが結束を乱して投資額を減らし、但し要求株数も減らせばこれが変わるかもしれない。

「私が思うに、VCにとって最大の危険で、かつ最大のチャンスでもあるのがシリーズA投資だ。今現在VCは、訳知り顔でシリーズAに過剰投資している」とGrahamは言った。

取引の競争が激しくなると、変動する数字はVCが獲得する株数ではなく、投資する金額、即ち会社の評価額になっている。最も有望なスタートアップの場合、シリーズAの投資家は、会社が調達したい金額以上を受け取ることを強要している、とGrahamは言った。

「VCの中にはスタートアップにその金額が必要だと嘘をつくところもある。あるいはもっと率直に、自分たちのビジネスモデルでは株の一定パーセンテージ以上を保有する必要があると認めるところもあるが、今投資されている金額はスタートアップが必要としている額で決まっていないことは誰もが知っている」と彼は言った。

かつてのスタートアップは、資金を得るために株式のかなりの部分を差し出す必要があったが、そんな時代は終った。それを念頭にGrahamは、最初に結束を破りファウンダーが売りたいと考える株数に応じたシリーズA投資を行うVCが、多大な恩恵を受けると考えている。

「もし、ファウンダーが売りたがっている株数でシリーズAラウンドを行う意志を持った、信頼ある一流VC会社がいれば、すぐに最高のスタートアップを殆ど獲得できるだろう」とGrahamは言った。「そしてその最高のスタートアップたちこそが金のある場所だ」。

上のビデオで私は、この理論について、およびY Combinatorがどうやってスケールアップしてきたのかを尋ねた(5:30あたりにスキップすると、株式構造変更に関する彼の考えが聞ける)。

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(翻訳:Nob Takahashi)


習い事の先生が見つかるcyta.jpの利用者はスマホがPCを抜く、今後の開発はスマホ一極集中へ

習い事の先生を探すサイトcyta.jpを紹介したのはもう2年前のことになる。順調にcyta.jpは成長し続けていて、彼らはこの8月には実際にcyta.jpでレッスンを体験する受講生の数は2万人になると見込んでいる。この間にサイトに大きな変化があったという。それは体験レッスンを申し込むユーザーのデバイスが、PCを超えてスマートフォンになったということだ。しかもスマートフォン版が用意されていなかったのにも関わらずである。

ビジネスをスタートさせた際にはわずか全体の11パーセントでしかなかったスマートフォンの割合が、いまでは45パーセントまで成長している。逆に70パーセント程度あったPCは45パーセントまでになっている。もちろん、これは相対的な値なので、全体としては数字は伸びているのだが、インターネットのビジネスと向きあう身としてはスマートフォンが台頭しているとはいえ、この数字は大きく感じる。

前置きが長くなったが、この特殊な事情を鑑みて今日からcyta.jpはスマートフォン版を公開して、スマートフォン版の開発に一極集中させるのだと、cyta.jpを運営しているコーチ・ユナイテッド代表取締役の有安伸宏氏は語っている。

そもそもここまでに行き着いたのには、彼が考える「サービスEC」というコンセプトがある。いわゆるECはモノを買うために最適に進化してきた。しかし、cyta.jpのように習い事の先生を探すといったいわゆるリアルの対面「サービス」を予約から決済できて成功しているものはいまだ数少ない。これをサービスECと位置付けて、今後は特定の場所で空いた時間にすぐに習い事ができるようなものへと進化させていたきたいと有安氏は考えている。

サービスECはたしかに目新しいものではない。彼がこのコンセプトを思いついたのは、グルーポンであったし、食べログのレストラン予約のcenaなどからヒントを得ている。とはいえ、集客から予約、決済、サービスの品質管理、ユーザーの書き込みによるCGMというサイクルを実現できているサイトは少ない。メディアとしての価値は高く集客はできるが、予約や決済ができなかったり、あるいは予約や決済は用意されているがメディアとしての価値が低かったりというケースはよく見かける。cyta.jpは結果的にこれを一気通貫して開発してきた。だからこのサービスECのコンセプトを推し進めて行こうということだった。

最近では既存のECサイトもモバイル向けの開発に熱心だが、サービスECではサービスを受けられる場所や時間がより重要になる。このためにモバイル向きのサービスということになるのだろう。

いまだ手付かずの状態にあるO2Oの市場にはサービスECのようなものは参入の余地が大きく残されている。ただ、一方で使う側はこういったテクノロジーに不なれな場合もある。cyta.jpはユーザーに向き合うだけでなく、先生(彼らはプライベートコーチと呼んでいるが)たちへの指導や彼らをモチベートする仕組みも秀逸だ。ユーザー側には見えないバックエンドへの開発も惜しみなく行われていることがこのビジネスの成功の鍵なのかもしれない。


Google Readerの終了がいよいよ間近。しかしこれはチャンスなのかもしれない

いよいよGoogle Readerが終了となる。悲嘆にくれる人も多いようだ。しかし個人的には悲しいことと思わないし、残念だとも思っていない。

かつては大いにGoogle Readerを使ったものだった。日々、仕事のためのニュースを入手するためのツールとして大活躍だった。Interenet上の動きはReaderによって得ていた。散歩に出かけたり、あるいは寝ている間におきたことを知るのにも、Readerを活用していたのだった。テックニュースに関わるものとして、Google Readerは、確かに、欠くことのできないツールだったのだ。

RSSリーダーが大活躍した時代のことを考えてみる。当時(と言ってもすこし前)まで、ニュースの発生速度というのは今よりも多少ゆっくりとしたものであった。ちょうど、1日に2回届けられる新聞の発行ペースに合わせたような感じで、ニュースが発生していた。そのような時代、Google Readerないし、RSSというものを便利に活用することができていた。RSSフィードのアグリゲーションが「リアルタイム」と扱われる時代だった。そうしたフィードを、後でまとめて読むために、一箇所にまとめておくのにReaderは活用されたのだった。この、後の用のためにまとめておくという使い方は、確かに今でも有益な利用法ではあるだろう。

但し、オンラインでニュースを扱うことを仕事にしている人にとって、いつの間にやらRSSのもたらす「リアルタイム性」は十分ではなくなってしまった。RSSを消化することが、時流についていくのに役立つのだと言い難くなってしまったのだ。Readerは確かに革新的なツールだった。しかしその後に生まれてきたTwitterや、真の意味でのリアルタイム性を備えたツールの登場により、Readerはさほど便利なツールではなくなってしまった。

ニュース消化用としてではなく、不定期に投稿されるブログ記事などを対象とするものと考えれば、Readerは依然として便利なツールであると思う。投稿された記事を一箇所に保管しておくこともできるわけだ。しかし、Readerのようなツールを利用する目的に、「面白い記事を読みたい」ということも加えるのであれば、やはりTwitterなどを活用した方が良いのではないかと思う。そしてInstapaperやPocketに保存しておけば、どのサイトの記事であったかなどと探しまわる必要もなく、保存しておいた記事を全てまとめて読めるようにもなる。また、Twitterを活用することは、記事の選別を行うのにも役立つ。長い記事を読んでみたものの、どうにも役に立たないものであったなどという経験を減らすことができる。また趣味的記事のアグリゲーションツールとしてはThe MagazineやMediumなどのようなものも出てきており、こうしたツールの活用も考えてみると良いと思う。

個人的には、まずReaderを仕事では使わなくなった。2年前のことだ。使うのは仕事以外の時間ということになったのだ。仕事ではなく、個人的に興味のある記事(ゲーム関連等)をReader経由で読んでいた。Readerを立ち上げるのは寝る前ということになった。眠りに落ちる際につけておく常夜灯代わりといった雰囲気もあった。

そして、Readerを起動することはますます少なくなっていく。たまに立ち上げても、目にする記事はTwitterの投稿など、どこかで目にしたものばかりという状況になっていった。iOS上でのReaderアイコンの配置場所もドックからホームスクリーンに移り、そして1年前にはiOSホームスクリーンの、ほとんど見ない場所に追いやってしまうこととなった。もう何ヶ月も起動すらしていない。

Readerが優れたツールであったことを否定したいわけではないし、多くの人がまだ利用してもいる。しかし代替アプリケーションも多く出てきた。インターネットの世界におけるRSSの重要性というのも大きく変化しているように思う。情報収集をReaderの存在に頼りきってきた人にとっては、いろいろと世の中の変化をチェックしてみる好機なのかもしれない。そういう意味で、Readerが消え去るのは残念なことではないと思う。Readerが快適さをもたらしてくれた後に、他に便利なツールや手法が誕生しているのではないかと探ってみるのも良いことだと思う。

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(翻訳:Maeda, H)


シンガポールの300ドル3Dプリンタ–Kickstarterで目標額の14倍に,しかし会社は今後ソフトウェアに注力

Pirate3DのBuccaneerプリンタはKickstarterにおける資金募集に成功し、目標額10万ドルの14倍を上回る143万8765ドルを集めた。

このシンガポールのスタートアップは今年の5月に、比較的安価な3Dプリンタをひっさげてテクシーンに闖入してきた。BuccaneerはKickstarter上で347ドル(出資者価格は247ドル)、Makerbot Replicator 2.0の2199ドルよりも相当安い。最近発売を開始したForm Oneは、Kickstarterで2299ドルだ。

このプリンタは消費者製品と位置づけられ、Pirate3Dはドラッグ&ドロップでダウンロードできるオブジェクトライブラリをWeb上に開設している。CADなんかとまったく無縁なしろうとでも、十分に3Dプリントを楽しめる。Web以外にAndroidアプリもあるので、スマホやタブレットからのダウンロードもできる。

Pirate3Dは、オブジェクトライブラリのユーザインタフェイスを一般人向けに使いやすくすることに、とくに力を入れている。なぜなら、協同ファウンダのRoger Changによると、3Dプリントというビジネスは、ハードウェアよりもむしろソフトウェアに、長期的な生き残りの鍵があるからだ。“安い3Dプリンタなんて、これから、いろんなところが続々出してくるからね、しかもBuccaneer互換で”、…だからハードウェアはメインの経営資源にはなりえない。

この業界では、ハードウェアではそっくりさんが続々出てくるから、それらにやられないために、Pirate3Dは今後は社内にハードウェアチームを抱えない、すべてアウトソースする、という極端なプランを抱えている。

そっくりさんを作ったメーカー企業も、完全な互換性のためには、Pirate3Dのソフトウェアライブラリに依存するだろう。だからPirate3Dは、ソフトウェア主体の企業として、しかもリーダー的な存在として、生き残ることができる。同社は、Buccaneer用のオブジェクト規格Smart Objectsのライブラリを作るためのSDKを近くリリースし、コミュニティがこのオブジェクトでいっぱいにあふれるようになることを、期待している。

Kickstarterで集まった予約は、3000台を超えている。製造は今、シンガポールのメーカー企業に発注して行っている。…とは言っても、実際の生産は中国で行われるのだが。

うまくいけば、最初のプロトタイプが出るのが今年の12月、本格発売は来年の2月、とChangは言っている。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


位置対応(+屋内位置対応)で緊急時の通知を一斉同報するモバイル向けサービスをGuardlyがローンチ

トロントのGuardlyが今日(米国時間6/27)ローンチするmobile mass notification system(MMNS)(モバイル一斉通知システム)を使うと、緊急時などの警報や通知の一斉同報ができる。AT&Tなどは最近、iOS 6のユーザに緊急警報を提供するようになったが、Guardlyのシステムは送信対象の位置を限定でき、また企業ユーザは屋内測位システム(indoor location positioning(IPS))も利用できる点が新しい。

学校、企業、集合住宅、駐車場ビルなどに会費制でセキュリティサービスを提供しているGuardlyにとって、通知はそのサービス内容の大きな拡充となる。GuardlyのMMNSは最大50万の通知を数秒で送ることができる。だから、相当な大企業でもユーザになれる。また位置対応機能があるので、企業はたとえば特定の現場で仕事をしている連中だけに通知を送れる。Guardlyの協同ファウンダJosh Sookmanの説明では、過去には企業が特定の部門(部、課、事業部、在宅者、等々)にだけ通知を送れるシステムはあった、という。

また、社内の特定の被害区域などだけに通知を送りたいときには、IPSを利用できる。MMNSの通信は双方向なので、通知を受け取った者が救援要請などを送ることもできる。その要請メッセージにはIPSのタグが付くので、場所が正確に分かる。被害者が、助けを得るために必要なすべての情報を、迅速かつ容易にブロードキャストすることもできる。

Sookmanによると、“まず第一の特長は、送信先を選んで情報を送れること。しかし第二に重要なのは、IPSによって屋内の場所までも特定できることだ。だから危険な化学物質の遺漏や火災などがあった場合には、その特定の建物や区域にいる人だけが警報をもらい、アプリケーションを一回タップするだけで救援を要請できる”。

セキュリティプロバイダとしてのGuardlyが、競合他社のRave Mobileなどに比べて有利なのは、IPSを組み合わせた通知/応答サービスは今のところGuardlyだけ、Guardlyが初めてだからだ。

このMMNSサービスはまだベータで、Guardlyの既存のサービスへのアドオンとなる。料金は一律でなくユーザ数がベースなのでリーズナブルだ、とSookmanは言う。また通知を使ったことが単独で課金されることはない。課金は従来どおり、総合セキュリティサービスに対する月額会費のみだ。通知だけを単独で課金すると、利用をためらうユーザが出てくる、というのが、Sookmanの説だ。お金がもったいないので緊急通知をしない、なんてことでは困るから、とSookmanは言う。

また、通知とそれに対する応答はすべて録音されるので、緊急事態にどう対応したかをあとで反省できる。そもそもこのサービスはGuardlyの顧客のリクエストから生まれたもので、需要が最初から顧客側にある。このアドオンの普及のペースと、どんな業種業態で広く採用されるか、それを見守りたい。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Google Trekkerが立ち入り禁止の場所もストリートビュー, ボンドの悪役の隠れ家も

Google Trekkerはストリートビューのハイキング地図プロジェクトを外部団体に拡張したばかりだが、今日(米国時間6/28)また、もう一つの拡張計画を発表した: SVを見る仮想ツーリストを、ものすごくユニークな遠くの場所に張られているヴェルヴェットロープの背後に連れて行くこと。今日のGoogle Mapsのブログは、日本の長崎県端島の仮想ツアーを見せている。ここは「007スカイフォール」でボンドの敵役Raoul Silvaの隠れ家となった。

端島は“軍艦島”とも呼ばれ、炭坑と鉱夫たちの居住区があった。1970年代には完全な廃墟になり、2009年に観光地として復活した。しかし観光客が立ち入れない場所も多い。コンクリートや鉄のがれきが多くて、崩落の危険性があるからだ。

Trekkerのチームは特別の許可をもらって制限地域に入り、建物の内部まで撮影している。そのため、この、かつて産業目的で使われた島の、ほぼ完全な仮想ビューができあがっている。その概要が上のビデオにある*。〔*: Google Mapsを「長崎県 端島」で検索して、SVを見ればよい。〕

Trekker事業をこのように拡張したことによって、観光客が増えると思われるが、しかしこれは、Googleの意欲的なデジタルアーカイビングプロジェクトが、ほかの方法では不可能だった場所もデジタル記録できることの、好例を示している。とりわけ、端島のようなケースでは、風雨の激しい絶海の孤島なので、10年後の保存状態が保証されない。だから一般人の好奇心だけでなく、研究者や学生にとっても得難い貴重な史料となる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


AzureのもとでOffice 365がプログラマブルなサービスになることにより, アプリケーションのラピッドデリバリを実現

Microsoftは、Office 365とWindows Azureを使ってビジネスアプリケーションを構築する、という方法を今後提供していく。それは、同社のクラウド環境を有効利用してラピッドビルド(rapid build, 高速構築)を提供するサービスの一環だ。

MicrosoftのCEO Steve Ballmerは、Buildカンファレンスの初日の水曜日(米国時間6/26)に、ラピッドデリバリがMicrosoftの主要テーマの一つである、と述べた。そして木曜日にMicrosoftは、Windows Azureを利用してOffice 365をプログラマブルなサービスに変え、アプリケーションの統合とWebサイトの管理を迅速に行うやり方をデモした。その取り組みは、GoogleがGoogle Appsとサードパーティのサービスを統合するやり方を思い起こさせる。

そのデモではたとえば、PC MagazineのMichael Millerの指摘によると、Visual Studioで作ったアプリケーションが“Office 365のドキュメントやそのほかの情報を利用する”…つまりアプリケーションがOffice 365の機能を借用する、というやり方を見せた。Azureでアプリケーションを作るんだけど、そのアプリケーションの主機能はOffice 365からそっくり借りるので、ビルドもデリバリも速い、というわけだ。

木曜日のキーノートとデモは、エンタプライズを強調したクラウドが主役だった。サーバとツール事業部の社長Satya Nadellaがキーノートを担当し、そのあと、Visual Studioの新機能や、オートスケール、オンプレミスのソフトウェアをSaaS環境と統合するBizTalkサービスの使い方、などのデモが行われた。データサービスもちらりと見せたが、しかしそれはGoogleやAWSが提供している強力なサービスに比べるとまだ弱い、と見えた。

しかしMicrosoftの方向性は正しい。Office 365をWindows Azureに、いわば前者を後者の機能コンポーネントとして押し込むのだが、そのことによってカンファレンスに来た者には、Microsoftの将来にとってのAzureインフラストラクチャの重要性が、いやが上にも伝わってくる。またそれは同社のマーケティングのテーマとしては、AzureはWebサイトやWebアプリケーションをクラウドとエンタプライズ環境にまたがって開発するためのプラットホームとして使えますよ、という訴求になる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


ネイティブアプリ簡易制作ツールPropellerに主要投資家の大群が殺到, シード資金$1.25Mを投ずる

自分だけのネイティブアプリを作れる、というアプリPropellerが、125万ドルを調達した。投資家たちの顔ぶれは、Andreessen HorowitzffAngelMenlo VenturesFoundation CapitalMax LevchinAshton KutcherKeith RaboisScott BanisterJason PortnoyLee LindenRothenberg Ventures、そしてAlfred Mandelだ。

Appsify.me(もっと簡単)やTestflight(ふつうの人向き)などと同様にPropellerも、アプリストアを民主化することがねらいだ。Propellerを使うと、コードを書けない人でもモバイルのネイティブアプリを作れる。HTML5によるWeb上の–、ではない。一般人が自分の結婚式のためのアプリを作れる。そのほか、ボランティア活動でも同好会でもビジネスでも何でもいいが、Propellerが提供するテンプレートとドラッグ&ドロップ方式のインタフェイスを使って、そのためのアプリを作れるようになる。そのアプリの配布も、Propellerアプリからできる。

“スマートフォンが登場してから、アプリを作りたい、助けが欲しい、という人がとても増えた”、とファウンダのBrian Rowenは言う。“すべての人が支援や助力を求めているが、それは、単純にプログラミングを学びたいというものから、至るところで見かける‘技術担当協同ファウンダを求む’というものまで、さまざまなレベルだ。アプリを作りたい人は多くても、どこから始めたらよいのか分からない。プログラミングの未経験者にとっては、アプリ開発は、なんだか尻込みしたくなるような、難しそうな世界だ。しかもそれは、高価につく”。

Rowenと彼の仲間の協同ファウンダClay Allsoppは、その後2011年にピボットしてCircleとなるLikealittleで出会い、2012年9月に、一緒に何かをやろう、という話になった(おもしろ事実: 二人は本誌編集長Eric Eldonと私の誕生日パーティーで最初の投資家に出会った)。“グレートなアプリを作るのは難しい、ということはよく知っていた。だから、その過程を誰にとってもとっつきやすいものにしたい、と思った”、Rowenはこう説明する。

Rowenによると、これまでの簡易アプリ作成ツール/サービスには、共通する問題が二つある。それは、1)アプリを作る経験が複雑で分かりにくいか、または、2)HTML5のようなノンネイティブの技術を使うので完成したアプリが低品質であること。この二つの問題の両方を抱えているところもある。

同社によると、アクセス性の良い体験を構築し、ネイティブアプリを動的に作るという問題を解決しようとしているPropellerは、ある意味で重要なイノベーションに到達している。今回のシード資金は、ほかのスタートアップたちと同様、スタッフの増員に充て、そのイノベーションを十分に磨いてから本格ローンチに向かいたい、という。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


空気の質を測定するAirBoxLab, 表示はスマートフォン(iOS, Android)へ

Indiegogoで資金を集めているフランスのパリのAirBoxLabは、空気中のVOCやCO2(二酸化炭素)、CO(一酸化炭素)、微粒子物質(PM, particulate matter)などの量を教えてくれる。気温と湿度(相対湿度)も分かるが、中心的な機能は主に室内の空気の汚染度を知ることだ。

空気中の有害成分(ホルムアルデヒド、ベンゼン、エチレングリコール、アセトンなど)を知ることは、いずれ地域の環境改善運動にも結びつく。そして、より健康的な地域社会を作っていくことに貢献する。

AirBoxLabは下図のような筒状のデバイスで、各種のセンサーを満載している。このデバイスによる空気の測定結果は、スマートフォンやタブレットの画面にチャートやグラフで表示される。情報が多く集まるとパターン認識と機械学習の機能により、異常時にはプッシュ通知をくれるようになる。それによって、汚染源…何かがこぼれていた!…を見つけて排除したり、窓を開けて換気をしたりできる。

空気の質をモニタする機能は、たとえばWithingsの体重計Smart Body Analyzerなどにもある。でもそれらはCO2とその経時変化量だけ、というものがほとんどだ。AirBoxLabは測定物質の種類が…たぶん必要十分に…多いだけでなく、ユーザにアクションをうながす(窓を開けろ!)。その意味では、iPodの設計者が独立して作った冷暖房モニタNestに似ている。こちらも単に温湿度を表示するだけでなく、冷暖房機器の最適利用をうながす。

昨年4月にKickstarterに登場して資金募集に成功したAir Quality Eggも、類似のプロジェクトだ。こちらは目標額を大幅に超える14万ドルあまりを獲得した。この製品は、空気の質に関するクラウドソースなコミュニティデータベースを作ることが最終目標だった。AirBoxLabもやはり、全ユーザからデータを集めてコミュニティの情報源を作ることをねらっている。両者を比べると、AirBoxLabは一般的な消費者製品、というふうで、一方EggはDIYマニアやテクノロジおたくをねらっていたようだ。

AirBoxLabの目標額は10,000€(約US$13,000)だが、今その半分強が集まっている。予約購入を兼ねた投資額は129€(約US$168)およびそれより上だ。最終小売価格はこれより40€高くなる。発売予定は今年の9月で、情報を表示させて見るための、iOSとAndroid用のアプリも提供される。ただしぼくの唯一の心配は、自分が呼吸する空気の質を毎日調べるのは、人を元気づけるいうよりむしろ、気持を滅入(めい)らせるのではないだろうか。環境を変える努力はできるが、それにも限界がある。でも一方、人間はつねに熾烈な好奇心を持っている生き物だから、夜安心して眠れなくなるかもしれないと分かっていても、この製品を買ってみたくなる人が、けっこう多いかもしれない。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


移民法改正法案が上院を通過。下院有力議員ら:同法案は「夢物語」

移民法改正は道半ばまで来た。今日の午後上院は包括法案を68対32で通過させた。同法案には業界のお楽しみが満載されている。外国人ビザの拡大、スタートアップ起業家向けの特別ビザ、異例な頭脳を持つ発明家や科学者のための無制限枠などだ。

しかし、下院の共和党有力議員らは、法案には不特定の問題があり、上院案は「夢物語」だと言っている。

「どうやら理解していない人がいるようだ。下院は上院が通したものに単に投票するわけではない。われわれは、われわれ独自の法案を検討し ― 順番通りに ― 議会の過半数およびアメリカ国民の意志を反映した法律を通過させる」とジョン・ベイナー下院議長は会見で語った。

下院は、通常通り、議論、改訂、委員会公聴の手順で事を進める意向だ。これまでに議会は移民法改正を複数の法案に分割しており、CrunchGovがクラウドソーシングに協力している高度スキル労働者法案もその一つだ(ここであなたのアイデアも投稿されたい)。

というわけで、大きな一歩ではあるが、ゴールはまだ先だ。

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(翻訳:Nob Takahashi)


新たなスパイ疑惑:NSAはメールとネット利用の記録を2年間保持していた

The CrunchGov Essentialは、今日の重大問題におけるテクノロジーの影響を要約する。以下の特集は、ウェブの最優良コンテンツ通じて伝えられた、最も思慮に富む、常軌を逸した、あるいは想像をかきたてる話題だ。朝刊ニュースレターの購読はこちらから。

The Essential — かつてSnowdenは、情報漏洩者は「射たれるべき」と思っていた/ネイト・シルバーが評論家について/Facebookのスパイ対策プロトコル/Funny Or Die: NSAの求人広告ビデオ

特集 ― 新たなスパイ疑惑:NSAはメールとネット利用の情報を2年間保持していた

「オバマ政権は2年以上に渡り、NSAにアメリカ人のメールやインターネット利用に関する膨大な量のデータを集め続けることを許可していた」とThe Guardianは報じた。入手された文書によって、2001年に承認されたメールおよびインターネット利用行動に関するデータ収集の最高機密プログラムが暴露された。具体的には、NSAが集めているのはどのウェブサイトを訪れたか、ユーザーが誰と連絡しているかなどの「メタデータ」であり、これらの通信やウェブサイトのコンテンツではない。

「誰に電話をしたかだけからでも多くのことがわかるが、今やわれわれの生活の大部分にインターネットが介在しており、IP[インターネットプロトコル]ログは人間の脳のリアルタイムマップと言える。何について読んでいるか、何に興味をもっているか、どのパーソナル広告に反応しているか(特定の広告にリンクしたメールから)、どのネット議論に参加しているか、どんな頻度で。」とCato InstituteのJulian Sanchezが説明した。

さらにNSAは、アメリカ人から外国人に宛てられた通常メールやその他電子的コミュニケーションの “to”、”from”、”bcc” なども収集していた。

当局はThe Guardianに、この2年間のデータ収集方針は2011年に中止されたと言っているが、Glenn GreewaldとSpencer Ackermanは懐疑的だ。「例えば、2012年12月にNSAは受発信いずれかが米国内にある通信を分析する新しいプログラムを立ち上げ、監視データの量が倍増した」。

NSAはメッセージの内容を収集しておらず、情報は通信会社内で通常共有されていることから憲法上の権利は侵害していない、と調査官らは信じている。

「この種の料金記録や通話記録のように内容を含まない情報は、憲法修正第4条の対象ではない。なぜなら、人々はいつ誰に電話したかに関するプライバシーを合理的に予測していないからだ」とJames Colen副司法長官が6月18日の上院諜報委員会の証人喚問で語った。
彼の修正第4条の解釈に大多数のアメリカ人が同意すると私には思えないが・・・私が間違っているのかもしれない。

The Essential:6項目

Edward Snowdenは、情報漏洩者は「ボールを射たれればいい」と思っていた [Ars Technica]

  • Ars Technicaサイトの2009年のコメント人は、皮肉にもかつてEdward Snowdenが情報漏洩者を嫌っていたことを発掘した
  • 「そういう連中はボールを射たれればいい。やつらは戦争を始めようとしているのか?なんてこった。まるでWilileaksだ」と彼は書いている。さらに彼は、New York Timesがイスラエルと米国がイランに関して秘密交渉していると報じたことにも触れていた。
  • 彼はその後4年間で考えを変えたのだと私は思う。

Facebook、超機密データでGoogleを追う [CNET]

  • 報道によると、Facebookは英国および米国の諜報機関が行っていると言われるインターネット回線の直接モニターに耐性のある、超暗号化データ通信方式を制定しようとしている。
  • “Forward Secrecy”は暗号化標準の一つで、ユニークな解読キーを各ユーザーに割り当てる。Googleは何年も前からこの方法を実施している。
  • このプロセスはコストが高く、CNETによると15%費用が増すという。

上院議員、NSAの活動に制限を提案[Naked Security]

  • Batmanのエキストラで米国上院議員のパトリック・レイヒーは、NSAのスパイ行動力を制限する議案を提出した。
  • 「2013年FISA(外国諜報活動偵察法)説明責任およびプライバシー保護法案は、データ収集が承認された捜査に関連があり、海外グループまたは勢力につながりがあることを政府が説明することを要求している」

ネイト・シルバー、評論家について語る

Aspen Ideas Festivalの講演で、New York Timesの選挙予言者、ネイト・シルバーは、政治評論家に対して容赦がなかった。「評論家は、要するに役立たずだと思う」とKatie Couricに語った。

Funny Or Die:のぞきで給料をもらいたい人はNSAに入ろう

1日の終りはスマイルで

Kickstarterのパイオニア怠惰な熱狂者、Kristen Bellは、長年の男友達、Dax Shephardにプロポーズした。最高裁が「結婚防衛法」違憲の判決を下した直後のことだった(彼氏の答えは「イエス」)

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(翻訳:Nob Takahashi)


Windows Azureにもやっとオートスケール機能–‘エラスティック’になれるかな

Microsoftは今日(米国時間6/27)、同社のデベロッパカンファレンスBuildで、クラウドコンピューティングプラットホームAzureにオートスケーリングを導入する、と発表した。これは、Azure上のサーバの容量を、必要に応じて自動的にスケールする機能だ。ただしユーザはあらかじめ、サーバの最少数と最大数を決めておく。

この機能を有効にするには、Azureの管理コンソールで数か所クリックし、またサーバに関しては台数のほかに、各サーバのCPUの負荷を指定できる。すると、アプリケーションが大きなCPUパワーを必要とするようになったり、ストレージのキューがとても長くなった場合には、新たなサーバが立ち上がる。

オートスケーリングはアプリケーションの応答性を良くするだけでなく、費用節減効果もある。つまり、最初から多めのサーバ容量を契約しなくてもすむのだ。この機能を有効にすると、その場合のおおまかな節約額をAzureは教えてくれる。

このAutoscale for Windows Azure機能は目下プレビュー段階で、一定期間無料で利用できる。

ただし忘れてならないのは、Amazon Web ServicesのコンピューティングプラットホームEC2(エラスティックコンピュートクラウド)*には相当前からオートスケール機能があることだ。だからクラウドコンピューティングに遅れて参入したMicrosoftにとってこれは、追いつくための努力の一環である。〔* Amazon Elastic Compute Cloud…最後に’C'が“2つ”ある。〕

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Google、バックパック式ストリートビュー・カメラをNPO、公共機関、観光団体などに貸出へ

Googleはストリートビューを拡大しようとTrekkerプログラムを発表した。Trekkerは約18kgのバックパック式ストリートビュー・カメラ・システムだ。頭上に伸びる球形のフレームに設置されたカメラが360°のパノラマ撮影を自動的に行う。すでにグランドキャニオンの徒歩の一人称視点のストリートビューを見た読者も多いことだろう。GoogleはTrekkerシステムを利用して新たなストリートビューを撮影する協力者を募集している。

応募できるのは政府、自治体、大学、研究機関、観光協会、NPOなどだ。ここ数ヶ月かけて応募者が審査される。選定されたメンバーは Googleのパイロット・プログラムへの参加が認められる。

私は今年のGoogle I/OカンファレンスでTrekkerを実際に背負いながらプログラム・マネージャーのSteve Silvermanに話を聞く機会があった。Silvermanは「GoogleはTrekkerで世界を記録するために外部の協力者を求めることになるだろう」と話していた。最初のパートナーはハワイのHawaii Visitors and Convention Bureauだということだが、ストリートビューの拡張に際してその土地をもっともよく知っている公共的な組織に助力を求めるのは理にかなっている。


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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


クラウド・ホスティングに新星―DigitalOceanはシンプルさと低料金を武器にAWSに挑戦する

DigitalOceanはウェブ・ホスティングの世界で急速に注目を集めつつあるサービスだ。月5ドルでRAMが512MB、SSDで20GBの容量のバーチャル・サーバ(ここではDropletsと呼ばれる)が利用できる。アメリカに2箇所、アムステルダムに1箇所のデータセンターがある。

共同ファウンダー、CEOBen Uretskyは私の取材に対して「われわれはスピートとシンプルさ、そして何より低価格を武器にしてライバルに挑戦している」と語った。

その挑戦はこれまで成功している。この数ヶ月、DigitalOceanはアメリカでもっとも急成長したクラウド・プロバイダーとなっている。現在25万2760のバーチャル・サーバが作成されている(KVM〔カーネル・ベース・バーチャル・マシン〕とSSDを利用しているため、バーチャル・サーバの設定は55秒以下ですむ)。Netcraftによれば、DigitalOceanがホストするIPドメインは2012年12月にはわずか140だったのに、今年の6月には7134に増加した。

出身はTechStars

しかしUretskyによれば、DigitalOceanがここまで来るのにはそれ相当の苦闘を経験している。創立されたのデンバーで開催されたTechStarsの2012年夏期のインキュベーション・プログラムだった。この際、Slicehostのファウンダー、Jason Seats他のTechStarのメンター〔アドバイザー〕の推薦がいに役立った。しかし創立当初はクラウド・ホスティング分野で新たなスターアップが成功すると考える人間はほとんどいなかったという。Uretskyと共同ファウンダーたちはサーバ・ホスティング業界で15年働いており、テクノロジーについても起業についても十分な経験を積んでいた。しかしUretskyたちはあえてTechStarsのアクセラレータ・プログラムに参加することを決めた。それはUretskyの最初の起業では得られなかったメンターのネットワークに入ることが必要だと考えたからだった。

DigitalOceanチームはライバルについて詳しい研究を行い、綿密な競争戦略を立てた。Uretskyは「どんな会社もその核心はマーケティングだ」と考えている。DigitalOceanチームが重視したのは、AmazonWeb ServicesやAzureのようなクラウド・プラットフォームを利用するのは相当に経験を積んだデベロッパーにとってさえ非常に複雑で手間のかかる作業だという点だった。

そこでチームはサーバの立ち上げのシンプルさに重点を置くことにした。DigitalOceanの管理ダッシュボードを見るだけで、そのことはすぐに理解できる。この画面には長いリストやたくさんのボタンが並んではいない。パーツはゆったり配置され、サーバのブートもシャットダウンもわずか2クリックで完了する。現在DigitalOceanがメインのターゲットとしているデベロッパーは個人や少人数のスタートアップだ。そのようなユーザーはシンプルさ、柔軟性、オンデマンドの拡張性を必要としている。

UretskyによればDigitalOceanはすでに黒字化を達成しているという。外部の専門家の多くはこのような低料金で収益性が確保できるかについて懐疑的だったが、Uretskyは「われわれがスケールアップするにつれてハードウェアもネットワーク帯域も大口割引が受けられるようなり、コストダウンに成功できた。われわれは十分なマージンを確保している」という。

近くデータセンターと機能の拡張へ

DigitalOceanはブラジルにデータセンターを建設予定だ。またアジアでもシンガポールか香港にデータセンターを置く準備をしている。その次はインドだ。同社は急成長に対応して最近28名の社員を新規採用している。ベータテスト中の新機能には予めコンフィグレーションをすませ即時に立ち上げ可能なLAMPサーバなどがある。

〔日本版〕実際にUbuntu上のWordPressサーバを新規に立ち上げてみたが、支払い手続きも含めて数分で設定が完了する。支払いにはPayPalが利用できる。 OSはUbuntu、CentOS、Debian、ArchLinux、Fedora。アプリケーションはWordPress、Ruby on Railsなど。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+

◆以上◆


iOS版Digg Readerアプリケーションが、いよいよApp Storeで公開中

Google Readerがシャットダウンしてしまう7月1日がいよいよ近づいてきた。そんな中、RSSが大好きな人々のためのDigg ReaderiOS版アプリケーションがiTunesストアに登場した。Android用アプリケーションの方は、3週間ないし4週間のうちにデビューする予定なのだそうだ。

尚、Digg Readerは単体のアプリケーションとしてではなく、従来のDiggアプリケーションと統合される形でリリースされた。これはDigg.comおよびDigg Readerが補完的に魅力を発揮するようにしたいという狙いによるものだ。たとえばReaderで読んでいるフィードを「digg」することもできるし、それによりDiggに人気コンテンツ情報が集約されることにも繋がるわけだ。

これによりDigg内でコンテンツを人気度順に管理できるようになり、その時点における人気コンテンツを利用者に提示できるようになる。また、特定の期間ないし地域におけるソーシャルサークル内での人気記事の提示なども行えるようになる。これはDigg.comの魅力を大いに高めることになるだろう。Digg Readerから集めた情報に基いて、Digg.comでより面白いエクスペリエンスを提供できるようになる。たとえば、自分でフィードを探してくるのではなく、人気の記事を読むことができたりするわけだ。

今回のiOSアプリケーション版に先立って、少し前にDigg Readerはベータ版としてリリースされている。Google Readerのサービス停止に伴って、Google Reader同様の操作速度と信頼性を提供することがまず最初の目的だ。但し、DiggとしてはGoogle Readerの代替としてのみではなく、Diggによるサービス全体にわたる魅力を高めて、一時期のような影響力を取り戻したいと考えている。現在の運営会社であるBetaworksは昨年Diggを買収してから、Diggに大改造を施している。原型を留めるのはDiggという名前と、有名になったサムアップのアイコンだけと言っても過言ではないかもしれない。これまでのところは改造もまずまず機能しているようで、4月のBuzzFeedのレポートによるとDiggからのリファラルはこの12ヶ月で93%の伸びを示しているのだそうだ。

DiggのGMであるJake LevineはDigg Readerについて次のように述べている。すなわちDigg Readerは「自分のニュースエクスペリエンス向上のために、多くの労力を投入するハイパー・パワーユーザーに使って貰いたいのです」とのこと。RSSフィードを自ら集めてくるユーザーというのは、Digg、Reddit、ないしTwitterなどにおいて、大きく話題になる記事を最初に掘り起こしてくるという役割を担うことも少なくない。そういう利用者にサービスを活性化してもらおうという狙いもあって、DiggはReaderにも注力しているわけだ。

Digg ReaderはGoogle Reader不在となる時代の標準RSSツールとしての地位を狙ったものだが、競合は数多く存在する。たとえばFeedly、Reeder、そしてFlipboardなども競合と呼んで良いだろう。Digg Readerの詳細や、Google Readerなどとの比較についてはこちらにレビュー記事(英文)が投稿されている。

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(翻訳:Maeda, H)


Bingの検索APIだけでなく汎用アプリケーションフレームワーク的APIもデベロッパに公開

【抄訳】

今日(米国時間6/26)行われたMicrosoftのデベロッパカンファレンスBuildで、 同社は、Bingの先進的な機能のかなりの部分をデベロッパに公開する、と発表した。Microsoftの企業担当VP Gurdeep Singh Pallによると、もちろんデベロッパたちはすでにBingのAPIを使っているが、しかしこれからは、Bingのエンティティ(データ本体)、知識、ナチュラルなユーザインタフェイス、光学文字認識3D化地図と俯瞰的視覚化、などの高度な(そして検索に限定されない一般的な)機能も利用できる。

Singh Pallによると、これらの高度機能はもちろん前からすでにBing内部では使われている。しかし、“うちだけでもこれだけのことができるのだから、これらをサードパーティの手に渡したらすごいものが生まれるだろう”、ということだ。

彼によると、Bingは優れた検索エンジンであるだけでなく、そこに込められた個々の能力がすばらしい。今のBingはユーザの意図や、Web上の無構造なコンテンツ、デベロッパがその処理をゼロから実装するのは困難なクェリやデータタイプなども理解できる。

彼らはかねてから、Bingの高度機能を使えば、検索以外の多様なアプリケーションにおいても、価値ある仕事ができる、と信じていた。これらの機能を使えばすばらしい体験を作り出せる、と彼らは長年感じていたのだ。

たとえばBingが持つWebインデクス(インデクシングの結果)や、レレバンスエンジン(relevance engine, 関係性・適切性判断エンジン)、知識ベース、エンティティの理解能力、などなどにデベロッパはアクセスできる。また、音声認識をはじめとする、ナチュラルなユーザインタフェイスという概念および技術にもBingのチームは取り組んできた。このインタフェイスも、これからはデベロッパが自分のアプリケーションに利用できるのだ。

以下は、これからデベロッパが利用できる機能の完全なリストだ:

【後略(ドキュメンテーション丸写しなので)】

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


インドのスマートフォン市場、日本を抜いて中国・米国に続く世界第3位に

インドが日本を抜いて世界第三位のスマートフォン市場となったようだ。今年の第1四半期の数値によるものだ。Strategy Analyticsが最新のレポートで発表している。インドが3位となったのは今回が初めてのことだとのこと。スマートフォン市場の規模での上位2ヵ国は中国とアメリカだ。

インドでは最近流通環境も整い、Apple、Samsung、およびインドローカルのMicromax(Android端末のOEM)などのスマートフォンがいずれも売り上げを伸ばしている。

Strategy Analyticsによるとインドにおける市場の伸びは、全世界平均の4倍にも達しているそうだ。Q1を見てみると、前年比163%で成長している。ちなみに全世界で見てみると、スマートフォンの販売台数の伸びは39%だ。インドは中国(86% YoY)、日本(24% YoY)、アメリカ(19% YoY)のいずれをも、圧倒的に凌駕していることになる。

このインドにおけるスマートフォン売り上げの急成長は当然の帰結といえるのかもしれない。人口は非常に多く、また経済も大きく成長しており、中間層の所得は拡大しつつある。また消費者家電に対する需要も高まりつつある。こうした状況が日本や欧州における飽和状態と相まって、インドの成長が目立つようになってきているわけだ。また、ベンダー側も成長市場に注力しつつあることで成長を支えている意味がある。

各種データの分析サービスを提供しているIDCのレポートによれば、2013年第1四半期での西ヨーロッパにおける市場動向は予想以上に縮小しているのだそうだ。年間で見ると4.2%低下して、出荷数は合計で4360万台となっているとのこと。市場規模の縮小はAppleにも多大な影響を与え、iOSのシェアも下がりつつあるようだ。昨年の第1四半期には25%であった市場シェアが20%にまで減少している様子だ。

但し、ヨーロッパにおけるシェアの減少が、インドにおいても同様の状態にあるというわけではない。むしろインドではシェアを伸ばしているようだ。IDCのデータによれば3月にはインドにおける売り上げシェアを2位に伸ばている。昨年Q4には、地元の小売店を買収してiPhoneの販売を行うようにもなっていて、シェアも15.6%に増加していた。またAppleは、Androidの価格に対抗するために、分割支払いのシステムも導入してシェア拡大につとめている。

しかしそうは言ってもAppleないしSamsungが優位に市場を拡大しているというわけではない。むしろ、国内業者の方が急激な成長を遂げているとのこと。たとえばMicromax、Karbonn、およびSpice(いずれもAndroidのOEMを提供している)などといった国内業者は、年間で200%ないし500%の成長を達成しているのだそうだ。

また、相当に規模の小さな地元ベンダーも、Androidベースのプロダクトを提供することで、Lemon Mobileのように年率で1000%以上の伸びを示しているところもあるようだ。「Androidを登載したプロダクトの開発は盛んに行われており、Androidのシェアは89%にのぼっている」とのことだ。

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(翻訳:Maeda, H)[


トップクラスのVC ThielのUC20(20歳未満)事業で育ったDylan Fieldが$3.8Mを調達–起業家の低年齢化が進む

子どもたちはわれわれの未来であり、そしてVCたちはその未来を招来するために子どもたちにキャッシュを与える。そんな中で、Dylan FieldはPeter Thielのフェロー(fellow, 研究員)事業20-Under-20(20歳未満を20名)の一人だが、SECの提出書類によると、このほど彼のスタートアップFigmaのために380万ドルを調達した。FieldはFigmaについて話したがらないが、Thiel Fellowshipのサイトによると、それはブラウザ上で使う写真編集ツールらしい。

この資金調達のタイミングは、ファウンダたちの平均年齢が23歳というSnapchatがシリーズBで6000万ドルを獲得し、加えて自社株売却で2000万ドルを得た時期と符合する。シリコンバレーは、ガキどもとの恋に落ちたようだ。しかしJosh Millerのエッセイ“Tenth Grade Tech Trends”(高1から始まるテク起業)が大きな話題になってからは、若者たちの、テクノロジの世界の変化を予測する能力を、業界はますますあてにするようになっている。

Dylanはまだ若いが、すでに業界経験はきわめて豊富だ。カリフォルニア生まれの彼はこれまで、Flipboard、O’Reilly Media、Indinero、Microsoft Research、LinkedInなどで働いた経験がある。彼は今、ブラウン(Brown)大学を休学中だが、専攻はコンピュータ科学と数学だ。

Dylanが着目した商機は、クリエティビティのためのツールのアクセス性を良くすることだ。カメラ付き携帯をはじめ、誰もがメディア作品を作れる時代になり、平凡な写真をアートに変えるInstagramのようなアプリが栄えている。でもまだ、高度な写真編集ツールはもっぱらプロのもの、あるいはせいぜいマニア的ホビイストのものであり、しかもそれらは、使いづらいデスクトップソフトウェアが多い。

でも、Dylanがインタビューを断り、まだ話す段階ではないと言っているのを見ると、Figmaはもっと違うものになるのかもしれない。しかし昨年の8月にToday Showに出演したときには、こんなことを言っていた:

“つまりぼくがやりたいのは、誰もが自分をネット上でクリエイティブに表現できるようになることだ。誰もが、自分の中に一人のアーチストを抱えている。しかしスキルのレベルが低くて誰も相手にしないから、そのアーチストはなかなか芽が出ない。でもその落差は、テクノロジの力で小さくなると思う。今実際に作っているのは、ブラウザの中で写真編集ができるツールだ。”

今のFigmaがもしもそれなら、PixlrGoogle+の写真エディタなど、強敵が多い。でも手元に新株発行による380万ドルがあれば、大人たちをビックリさせるものを彼なら作れるだろう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))