Robloxが今後の計画を発表、アバターの改良やNFTのような限定アイテム販売などを予定

Roblox(ロブロックス)は、米国時間10月14日に開催された年次開発者会議で、子どもや若者に人気の高い急成長しているオンライン・マルチプレイヤー・ポータルの今後について展望を示した。

基調講演では、Robloxの共同設立者兼CEOであるDavid Baszucki(デイビット・バシュッキ)氏が、計画の概要を説明した。それによると同社は、プレイヤーのアバターを磨き上げ、ゲーム内における新たな収益化の流れを導入し、ゲームとソーシャルネットワーキングの交差点で同社を大きな成功に導いた、ユーザー生成コンテンツを創造している開発者の体験を能率化させていくという。

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Robloxは、ブロック状の比較的素朴なキャラクターモデルとゲームグラフィックスで知られているが、そのスタイルが同社の爆発的な成長を妨げることはなかった。しかし、Robloxはプレイヤーのアバターを、よりリアルでカスタマイズ可能なものにしようとしている。これは、若いコアユーザーが年齢を重ねても魅力的なプラットフォームを維持し、仮想世界に作られた無限の拠点の中で、さまざまな形の自己表現を可能にするという、同社の目標に合致した選択である。

「Robloxには際限がないことを、人々は理解すると思います」と、Robloxの最高製品責任者を務めるManuel Bronstein(マニュエル・ブロンスタイン)氏は、TechCrunchに語った。

同日、Robloxはこの方向性に沿ったいくつかの重要な変更を発表した。1つ目はLayered Clothing Studio(レイヤード・クロージング・スタジオ)と呼ばれるもので、これはアバターの衣装をよりリアルでダイナミックなものにするビジュアル・アップデートだ。これによって、例えばあなたが気に入ったRobloxのバーチャルなジーンズ・ジャケットを、あなたのキャラクター・モデルが人型であっても、恐竜であっても、体型に合った姿で着ることができる。これらの衣服は、より写実的なゲームで見られるように、キャラクターの身体にぴったりとフィットし、自然なドレープを描く。

この新たに発表されたRobloxのアバター・アップデートは、現在のRobloxの象徴ともいえるレゴのようなブロック状の外見に、より多くのカスタマイズ性とリアリティを注入することを目的としている。ブロンスタイン氏は、今回の変更を、Robloxのソーシャル体験で中核をなすアバターの「莫大な進化」と表現している。「自己同一性はメタバースの重要な柱であり、自分のユニークなアバターに合わせて衣服をきちんとカスタマイズできることは、個人の表現において最も重要な能力です」と、バシュッキ氏は基調講演で語った。

ゲーム内アイテムを販売するビジネスが活況であることを考えると、Robloxには、バーチャルなファッションシーンを、より洗練された実在感のあるものにするための経済的な動機がたっぷりとある。Epic Games(エピック・ゲームズ)のような、競合他社に遅れを取るわけにもいかない。Epic Gamesは「Fortnite(フォートナイト)」のキャラクターデザインと、1件で5000万ドル(約57億円)もの収益を上げることができるブランドパートナーシップの両面で、業界をリードする存在だ。Robloxは独自のブランドとIP(知的財産)との提携を持っているが、さらに見た目に魅力的なバーチャルグッズの販売を広く手がけるようになれば、その旨味はどんどん増すだろう。

画像クレジット:Roblox

さらなるリアルさを目指して、Robloxは開発者に「Dynamic Heads(ダイナミック・ヘッズ)」と呼ばれる機能のベータ版の提供も開始した。これはアバターの顔がアニメーションするというもので、フェイシャルトラッキングと組み合わせて、キャラクターモデルの口が言葉に合わせて動くようにすることもできる。これには、Robloxが2020年末に買収したデジタルアバターのスタートアップ企業「Loom.ai(ルーム・ドット・エーアイ)」の技術が活用されている。同社はまず、プラットフォームのルーツを思わせるブロックのような頭のデザインをいくつか用意した。開発者はこれらを使って、新しいフェイシャル・アニメーションを試すことができるようになる。最初はユーザーに提供せず、まず導入の第一段階として開発者の手に渡ることを、Robloxは望んでいる。

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Robloxに仮想世界が今本当に必要する「ボイスチャット」機能が登場予定

Robloxは、2021年9月に発表したボイスチャットの大規模な展開を続けており、これまでテキストチャット中心だった体験を、より自然で没入感のあるインタラクションへと急速に移行させようとしている。また、同社は今回、13歳以上の全ユーザーが年齢認証を選択できるようになったことも発表した。この審査過程をパスすることによって、一部のユーザーは導入予定の新機能にいち早くアクセスできるようになる。認証されたユーザーは、Robloxの新しいボイスチャット機能を「2021年の秋の終わり頃から」利用できるようになるという。

アバター体験の向上に加えて、Robloxは限定アイテムを導入する計画も発表した。これは、にぎやかなゲーム内経済からお金を稼ぐ(現実のお金と交換できるRobuxという形で)ための興味深い新たな方法だ。Robloxのクリエイターは、自分がデザインしたアイテムを限定数または期間限定で販売することができる。ゲーム内で確立された仮想経済に、コレクションする楽しみという要素を取り入れるわけだ。クリエイターは、Robloxのゲーム内アイテムをいくつかのNFTと共有し、ロイヤリティを有効にすることで、そこでの販売から収益を得ることもできる。「最終的には、アイテムの再販に関するルールを、ユーザーが設定できるようにするという発想です」と、ブロンスタイン氏はNFTとの関連性について、TechCrunchに語った。

開発者はまた、RobloxがOpen Cloud(オープン・クラウド)と呼ぶ新しいシステムを通じて、そのプラットフォーム用のコンテンツをより柔軟に作成できるようにもなる。Open Cloudでは、開発者はRoblox自身の開発環境であるRoblox Studio(ロブロックス・スタジオ)に制限されることなく、サードパーティ製ツールでコンテンツを作成し、それをRobloxにプラグインすることができる。

同社はクラウド化を推進しており、Robloxのコンテンツ制作者に、より多くのデータ・ストレージを提供し、このプラットフォームを、開発者にとって全般に魅力的で汎用性の高い場所にしようとしている。Robloxはまた、よりリアルな衝突物理学やパラシュートが展開するようなビジュアルを表現できる空気力学など、開発者がすぐに遊び始めることができるグラフィックスの強化も発表した。

2021年には、Robloxはそのユーザー生成ゲームの世界でコンテンツを作成した開発者に、総額5億ドル(約570億円)を支払うことになる見込みだ。3年前の7000万ドル(80億円)と比べると、どれほど大きく成長しているかがわかるだろう。

「私たちは、このメタバースが完全にユーザーによって生成されるものになると確信しています」と、ブロンスタイン氏はいう。「そして、誰もがクリエイターになれるようにすることで、より没入感が増した、多くの種類(の体験)をプラットフォーム上で得ることができるようになると、私たちは考えています」。

画像クレジット:Roblox

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

ツイッターがアバター関連スタートアップFacemojiに出資

アバター関連のスタートアップ企業はここ数年の間に次々と生まれては消えていったが、その背後にいる起業家の多くが当初想像していた未来は、多かれ少なかれ正確であることが証明されている。Apple(アップル)はMemoji(ミー文字)によるアバター表現に関心を高めており、Mark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏はFacebook(フェイスブック)をメタバース企業にしたいと考えている。また、ユーザーが仮想世界に入り込み、自分のキャラクターのためのアクセサリーを購入するRoblox(ロブロックス)のようなプラットフォームは、かつてないほどの人気を博している。

Facemoji(フェースモジ)は、ゲームやアプリの開発者が同社のSDK(ソフトウェア開発キット)を使ってアバターシステムをアプリに導入するためのプラグアンドプレイ技術プラットフォームを構築している。Facemojiは、Play Ventures(プレイベンチャーズ)を中心に、Twitter(ツイッター)、Roosh Ventures(ルーシュベンチャーズ)、エンジェル投資家が参加した300万ドル(約3億3400万円)のシードラウンドを実施した。

チームによると、この分野の他の多くの企業は、開発者が扱いたくないUnityのプラグインに依存しているが、Facemojiの軽量ソリューションは、独自のレンダリングパイプラインに依存している。また、開発者が望むのであれば、すぐに利用できる多様なアバターアートのシステムをすでに持っている。

画像クレジット:Facemoji

Facemojiは、より多くのゲームメーカーが独自のアバターシステムを簡単に構築したいと考えているが、必ずしも他のネットワークに接続したいとは思っていないと考えている。初期のアバタープラットフォームの弱点は、独自のメタバースとして機能する一貫したクロスプラットフォームのアバターシステムを構築しようとする野心にあることが多い。それは、製品を開発するスタートアップやユーザーにとっては意味のあることだが、ゲームメーカーにとっては、独自のプラットフォームを作る機会をただテーブルの上に置いておくのは無駄なことだった。

Facemojiは、AppleがMemojiを開発者コミュニティに開放することは予想しておらず、Snap(スナップ)の方がより顕著な競争相手であると述べている。Facemojiのスタートアップの競合企業は、ますます速いペースで買収されている。2020年には、RobloxがLoom.aiを買収し、Epic Games(エピックゲームズ)がHyperSense(ハイパーセンス)を買収した。

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Facemojiの創業者たちは、メタバースの流行や最新のNFTブームに強く惹かれており、開発者が統合してユーザーにアバター用のアクセサリーを購入させることができるプラグアンドプレイのNFTストアフロントを開発している。Facemojiは、初期の暗号化されたTwitterのプロフィール写真の使い方は、一般消費者が自分のアバターをカスタマイズすることに興味を持つようになった証拠だと考えている。

「最終的には、エゴに帰結します」とFacemojiのCEOであるRobin Raszka(ロビン・ラズカ)氏は、TechCrunchに次のように述べた。「バーキンのバッグを持っていることをどうやってアピールするか、Twitterのアバターはそのための主要な領域であり、人々はただ見せびらかしたいだけなのです」。

企業への投資をあまり行わないTwitterにとって、これは特に興味深い投資だ。Facemojiのチームは、画面共有ソーシャルアプリSquad(スクワッド)がTwitterに買収される前に、Squadのチームとアバターの統合についていくつか会話をしたと述べている。また、Twitterは、現在進行中のNFTプロジェクトについて詳しく説明しており、CEOのJack Dorsey(ジャック・ドーシー)氏は、この分野のスタートアップ企業を積極的に支援している。

Facemojiチームは、ゲームに加えて、人々がアバターとして次のZoom(ズーム)にダイヤルしたり、クラスに参加したりすることが簡単にできるようになり、実写のアバターがこれまでの汚名を返上し、カメラのオンとオフの間の自然なメディアとして扱われるようになることを期待している。

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画像クレジット:Facemoji

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(文:Lucas Matney、翻訳:Yuta Kaminishi)

【コラム】NFT、メタバース、ゲームの親和性が持つ魅力と高まる関心における間違い

ゲームが普及するスピードは、そのエコシステムにあふれる新しいバズワードのペースに並び他に類を見ない。マーケターやディシジョンメーカーは、ゲーム業界でのビジネスチャンスについて、すでにFOMO(Fear Of Missing Out、取り残されることへの恐れ)に陥っており、常にキャッチアップしているだけでは事足りず、ゲームにおけるブロックチェーンの活用や「メタバース(インターネット上の仮想世界)」などの話題性のあるトレンドに食いつき、さらに先取りをしようとしている。

ブロックチェーン、メタバース、ゲームの親和性が持つ魅力は明らかだ。ゲームは常にデジタル所有権(ゲームプラットフォームであるSteamの功績により、ゲームや、おそらく映画などの他のメディアにおけるこの概念が標準化されたといえる)の最前線にある。また、メタバースのビジョンが、分散化されたデジタル所有権を有するゲームに共通する仮想環境に依存していることも多くが認めるところだ。

デジタル所有権とメタバースのそれぞれをどう見るかはさておき、筆者はこの2つがゲームの未来に相互作用を発揮すると考えている。しかし、この流行りの話題が成功するかどうかは、現時点では見過ごされている重要なステップにかかっている。

まず、ブロックチェーン、もっと具体的にはNFT(非代替トークン)の例を見てみよう。多くのゲームでは、希少性が高く、多くの場合あちこちに隠された、さまざまなアイテムを集めることで、モンスターを倒し、強力な武器を手に入れ、さらに強いモンスターを倒し、もっと強力な武器を手に入れたりといった中核となる「ループ」が形成されている。また「スキン」(ゲームキャラクターのさまざまな衣装やアバターアイテム)を集めることは、ゲームにおけるマイクロトランザクションの定番の1つだ。

現在、NFTは、不変で追跡可能でありオープンな価値を持つさまざまなレアアイテムと自然に調和するものとして位置づけられている。最近発売された「Loot(for Adventurers)」では、NFTをファンタジーを呼び起こすための仕かけと簡単に説明し、他のクリエイターが世界を構築するためのツールとして提供するという斬新なアプローチをとっている。Lootのように、NFTアイテムを中心としたゲームが開発されることは想像に難くない。

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同様のことは以前にも行われたことがある。上記のような「Loot式のループ」を持つゲームの開発者は、ゲームの利用規約に反しゲーム通貨やアイテムを取得して他のプレイヤーにリアルマネーで販売する「ゴールドファーマー」の問題を長年抱えてきた。そして、その解決策として、ゲーム内に「オークションハウス」を導入することで、プレイヤー同士がリアルマネーでアイテムを購入できるようにしたのだ。

ところが、これには望ましくない副作用があった。著名なゲーム心理学者であるJamie Madigan(ジェイミー・マディガン)氏によると、人の脳は、思いがけない有益な報酬に特別な注意を払うように進化しているという。ゲームの楽しさの多くは、予想外の報酬をランダムに獲得できることにあるが、あけすけな報酬がリアルマネーで簡単に手に入ることになると、ゲームのそういった楽しさが奪われてしまうことになる。

ゲームに関連して、現在議論されているNFTの用法は、ゲームの核となるループを経済的な近道によって潰してしまうといった罠に陥る危険性が高いといえる。この現象の最も極端な例では、ゲームにおける最大の罪を犯している。つまり「Pay to Win(金を払って勝つ)」という類のゲームでは、大きな資金を持つプレイヤーが、対戦ゲームの用具における優位性を獲得できるのだ。

Axie Infinity(アクシー・インフィニティ)のようなブロックチェーンゲームは「Play to Earn(遊んで稼ぐ)」というコンセプトのもとで急速に熱を帯びている。これはブロックチェーンゲームの環境でトークン化したリソースやキャラクターを獲得し、それを売却することで、プレイヤーが収益を得られるというものだ。これが「金を払って勝つ」とほとんど同じシナリオじゃないかといわれれば、それはその通りだろう。

それが今の状況下で重要であるかどうかは、あまりはっきりしていない。NFTの潜在的な市場価値やプレイによる収入の可能性ではなく、ゲームのコアそのものに関心を持つ人はいるのだろうか。より本質的にいえば、実世界での収益がポイントである場合、それは本当にゲームなのだろうか、それとも、上記のような「ゴールドファーミング」が不正な行為ではなく、むしろゲームの中核的メカニズムであるような、ゲーム化されたミクロ経済に過ぎないのだろうか。

ブロックチェーンを中心とするテクノロジーや文化は、ごく少数の人が関心を持つような非常に難しい問題を解決する力を高めてきた。テクノロジーにおける多くの問題と同様、そのソリューションには、より人道的なアプローチからの再評価が必要だ。ゲームの場合、これらのテクノロジーが主流の推進力になる前に、根本的なゲームの楽しさやゲーム心理の問題に取り組む必要がある。

これに関連する例として、メタバースに目を向けてみよう。ゲームに興味がない人でも、Mark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏がFacebook(フェイスブック)の将来を賭けたこのコンセプトについては、耳にした人もいるだろう。しかし、盛り上がってはいるものの、根本的な問題は、それが単に存在しないということだ。最も近いものとしては、「Fortnite(フォートナイト)」のような巨大なデジタルゲーム空間かRoblox(ロブロックス)のようなサンドボックスだ。また、多くのブランドやマーケターは、ゲームを理解することに取り組まずに、いつまで経っても実現しない可能性のあるチャンスをつかもうと近道を探している。

ゲームは、メタバースの補助輪と見ることができる。仮想空間についてのコミュニケーション、ナビゲート、思考の方法は、すべてゲームを基盤とするメカニズムやシステムに基づいている。極言すれば「メタバース」を最初に実現するのは、こうしたスキルに磨きをかけ、バーチャルな環境に身を寄せることを楽しんでいるゲーマーたちかもしれない。

そろそろパターンが見えてきたのではないだろうか。ゲームの「今」という視点をあまり持たずに、ゲームの「未来」のアプリケーションに対する関心が高まっている。社会学から医学に至る広い分野でゲームが思考に与える影響について認識されたため、学術の世界では2000年代初頭からゲームの研究が急速に盛んになったが、ビジネスの世界では最近まであまり感心が持たれていなかった。

その結果、マーケターやディシジョンメーカーは、なぜそのようなものが重要なのか、そのようなものを手に入れたときに何をすべきなのかといった当たり前の背景を知らずに、新しい大きな話題を追いかけることに全力を尽くしているのだ。ゲームの発展は大きな可能性を生み出しているが、その可能性をめぐる議論は、関心の方向性が間違っていることもあって、まだ十分に洗練されていない。

この死角から抜け出すためには「金を払って勝つ」のような近道はない。勝つためには労力を惜しんではならない。

編集部注:Jonathan Stringfield(ジョナサン・ストリングフィールド)博士は、Activision Blizzard Media and Esportsのビジネスマーケティング、計測、インサイト部門のVP兼グローバルヘッド。

画像クレジット:Gunes Ozcan / Getty Images

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(文:Jonathan Stringfield、翻訳:Dragonfly)

Robloxに仮想世界が今本当に必要する「ボイスチャット」機能が登場予定

メタバース構築の先駆者であるRoblox(ロブロックス)は、仮想世界が今本当に必要としているものを見据えている。2021年7月時点で4700万人のデイリーアクティブユーザーを抱えるRoblox。これまでの道のりでも十分な成長を遂げてきた同社だが、より深く、より豊かな仮想体験を提供することで、今後も何年にもわたってユーザーを惹きつけていこうと目論んでいるようだ。

同プラットフォームの中核となるエクスペリエンスにボイスチャットを取り入れるべく、同社は慎重かつ確実なステップを踏もうとしている。それを実現するための最初のステップが信頼できる開発者の招集だ。Vansがスポンサーするスケートパークでキックフリップをメイクするようなクールでヴェイパーウェイブ的な雰囲気のゲームなど、同プラットフォームの中核をなす大人気の体験に近接ベースのオーディオをどのように統合できるかを模索しようとしているのだ。

空間オーディオ機能により、ユーザーは近くにいる人とライブボイスチャットで話すことができるようになる。Robloxはこの新しい音声製品を、現在のテキストチャットの自然な延長線上にあるものとして考えている。周囲の誰にでも見えるアバターの頭上のふきだしの代わりに、プレイヤーは出会った人々に自然に話しかけることができるようになる。

例えばRobloxの仮想スケートパークで空間オーディオをオンにして遊んでいるとする。ハーフパイプで一緒に滑っているスケーターの声は、現実の世界と同じようにはっきりと聞こえるが、通りの向こう側の歩道を歩いている人の声は遠すぎて聞こえない。近くの友人と2人きりで話をしたいときは、その場を離れて近所のお店に向かって歩いて行けば良い。

RobloxのチーフプロダクトオフィサーであるManuel Bronstein(マニュエル・ブロンスタイン)氏は、TechCrunchのインタビューに応じてくれた際に次のように話している。「メタバースにおける将来のコミュニケーションのあり方は、とても自然で我々の普段のコミュニケーションと似たような感覚でなければならないと思っています。さらに、物理的なものや空間が生み出す現実の世界の制限を超えることも可能なのです」。

Robloxのメタバースに対する特有のビジョンを実現するためにGoogle(グーグル)を退職し、3月にRobloxに入社したブロンスタイン氏。Robloxに入社する前はZynga(ジンガ)、Xbox(エックスボックス)、YouTube(ユーチューブ)という3社のまったく異なる企業でプロダクトチームに所属していたが、実際は同氏の現在の仕事とも大きな関連性がある。

「買い物やコンサート、学校に行くことができるようになる次なる形態としてメタバースを考えると、社会のすべての人に関連している必要があり、そうした行動のすべてをサポートするコンテンツやルール、機能を構築する必要があると思います。そしてプラットフォームに音声をもたらす理由の1つには、若くないユーザーが自然にコミュニケーションをとれる方法を確保する必要があるということが挙げられます」とブロンスタイン氏は話している。

Robloxがボイスチャットに注力しているからと言って、一夜にしてそれが叶うわけではない。しかしこの長い開発期間は意図的なものである。同社は13歳以上の開発者5000人を対象に、カスタムメイドのRobloxコミュニティスペースで新しい空間ボイスチャット機能を試してもらう予定なのだ。

「おもしろい機能を多数搭載し、彼らがチャットやハングアウトできる場所を用意しました。彼らは私たちがコミュニティスペースのために書いたコードから学ぶことができ、数週間後あるいは1カ月後にはそれを自分のエクスペリエンスに当てはめて、活用することができるのです」とブロンスタイン氏はいう。

ブロンスタイン氏はRobloxがこのプロセスをゆっくりと進め、新しいモデレーションツールと安全ツールを並行して構築していくことを強調する。選ばれた開発者のグループから始め、モデレーションツールで十分に安全な環境を作れると確信したらそこから徐々に広げていくという形で、ボイス展開がゆっくりと進められる予定だ。

「ゆっくりと進め、やりながら学んでいきたいと思っています。先ほども言った通り、まずは開発者から始めることになるでしょう。その後に13歳以上のユーザーを対象にして、すべてがうまく進んでいるかどうかを正確に理解するまでしばらくそこに留まってから、その後若いユーザーに公開するかどうかを決めることになるでしょう」とブロンスタイン氏は話す。

広大な仮想世界を適切に管理するために、Robloxでは自動スキャンと3000人の人間のレビュアーからなる安全性チームを完備。他のソーシャルネットワークと同様に、プレイヤーは他のプレイヤーを報告したり、ブロックしたり、ミュートしたりして自分の体験をより快適なものにすることが可能だ。また、Robloxのプレイヤーの半数は13歳未満であるため、テキストチャットなど年齢に応じた体験を親がコントロールできるような許可機能を用意している。ボイスチャットが低年齢層にも普及するようになれば、親はボイスチャットを完全に無効化することもできる。

Robloxのユーザーは13歳以下が圧倒的に多いものの、ティーネイジャーやそれ以上の若者も意外なほど多く利用しているようだ。同社によるとユーザーの50%は13歳以上であり、特に17歳から24歳のユーザーが爆発的に増加しているという。新しいユーザーも獲得している同社だが、コアユーザーの成長に伴い、同社もともに成長する必要があると考えている。

若いユーザーにボイスチャットが導入されるかどうかは別として、Robloxはボイスチャット機能のある仮想環境を安全かつ友好的に保つことが大変な課題であることをよく理解しているようだ。同社は音声の導入時にはユーザーからの報告システムに頼る予定であり、これを強化できるその他のツールも検討中だ。例えばユーザーが通報される直前の会話を自動的に録音して、レビュアーに悪質な行為を伝えるツールなどもその1つである。また、一定数の違反があったユーザーを自動的に制限するレピュテーションシステムの拡大にも関心があるようだ。

他のソーシャルプラットフォームと同様に、Robloxはユーザーからの報告に大きく依存することになるだろう。ヘイトやハラスメントを受ける側のユーザーに不均衡な負担を強いることになるが、これはソーシャル企業がどこも適切な人的資源を投じて解決策を導いていないということによる不幸な結果である。

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ボイスチャットの今後の行方

Robloxにとって空間オーディオは、自然なコミュニケーションのビジョンにおける「一要素」に過ぎないとブロンスタイン氏は話している。次のステップは、体験を超えた永続的なボイスチャット体験を統合することであり、お互いを知っているユーザー同士が同じことをしていなくても交流できるようにすることである。RobloxがGuildedという会社を2021年8月に密かに買収したニュースに気づいた読者なら、これは驚くことではないだろう。Robloxの音声に関する取り組みは買収以前からのものではあるが、GuildedはRobloxの将来の音声計画の基礎を築くことになるだろう。

Discord(ディスコード)と競合関係にあるGuilded(ギルデッド)。Discordはゲーム以外の分野に視野を広げているが、Guildedは同様にゲーマー向けのチャットプラットフォームを構築して、対戦型ゲームの分野に力を入れている。Guildedはグループボイスチャットに加えて組み込み式のスケジューリングツールやコミュニティ管理ツールをゲーマーに提供しており、World of Warcraftで20人以上のゲーマーを集めて攻撃を行うというような、複雑なオンラインソーシャルイベントを開催する手間を軽減している。

「Guildedはすばらしいロードマップを持っているので、現時点では大規模な統合をせずに、そのロードマップを継続して成長させていきたいと考えています」とブロンスタイン氏は話している。

メタバースの世界へ

モデレーションの問題はさておき、基本的に今Robloxの道を阻むものは何もない。3月に株式を公開した同社は、現在では490億ドル(約5兆4000億円)の価値があると言われており、ゲーム業界で最も価値のある企業の1つとなっている。投資家、コンテンツ制作会社巨大テック企業がこぞってメタバースに参入しているが、これはかなり安全な賭けと言えるだろう。

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メタバースは今、流行語にもなっているが、これは誇大広告というよりは略語のような存在だ。人々がメタバースについて語るとき、一般的には相互に接続された仮想世界の未来像を思い描いているだろう。つまり、移動したり、交流したり、買い物をしたりできるオンライン空間である(良くも悪くも、最後の部分が鍵と言える)。これがすべてバーチャルリアリティになるのか、そうでないのか、またそれがいつになるのかは議論の余地があるが、実際には「相互接続」という部分が大きな課題となる。アプリの時代、ソフトウェアは設計上サイロ化されていた。しかしメタバースを実現するためには、仮想の自分と仮想のモノが、オンラインの世界を流動的に行き来できるようになる必要がある。

この点については数社の企業が先行しているが、カスタムアバター、ゲーム内経済、シームレスなソーシャルレイヤーを備えた、仮想世界で有名なRoblox とEpic(Fortniteの製作会社)の2社がユーザー作成コンテンツのレベルを引き上げているのは単なる偶然ではない。このような体験や、仮想空間で何かをしているときに友人と簡単に一緒にいられるという能力が、結局はメタバースのすべてなのかもしれない。

ほとんどの大人は、子どもたちが夢中になって遊んでいる奇妙な世界の魅力を理解することができずにいるが、Robloxはオンラインライフがどこに向かっているかという基本的なこと、またはむしろRobloxの世界のような、私たちみんなが行き着く先を理解しているのではないだろうか。

画像クレジット:Roblox

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Dragonfly)

Epic Gamesが10月にHousepartyを閉鎖、ビデオチャット機能「Fortniteモード」も終了へ

Houseparty(ハウスパーティー)は、Fortnite(フォートナイト)のメーカーであるEpic Games(エピックゲームズ)が2019年に推定3500万ドル(約38億4000万円)で買収したチャットアプリだ。しかし、このほど閉鎖が決まった。同社によると、Housepartyは2021年10月に既存ユーザーがアプリを利用できなくなる時点で終了する。ただし、アプリストアからは本日削除される。この動きに合わせて、Housepartyを使ってFortniteのゲーマーにビデオチャットを提供しているEpic Gamesの「Fortnite モード」も終了する。

2015年創業のHousepartyは、ユーザーが友だちとグループ・ビデオ・チャットに参加したり、Uno(ウノ)、トリビア、Heads Up(ヘッズアップ)などのゲームもできる機能を提供した。2020年、Epic GamesはHousepartyをFortniteに統合し、まずゲーマーがプレイしながら友だちのライブフィードを見られるようにし、後にゲームプレイを直接Housepartyにライブストリーミングする機能を追加した。当時、これらの統合はEpic GamesがHousepartyを買収した理由を説明する最終ゴールと思われた。

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そして買収発表からわずか2年後、ライブストリーミングのサポートが追加されてから半年も経たないうちに、Housepartyは閉鎖する。

一見、買収のフル活用に失敗したことを認めたともいえるこの動きについて、会社は明快な見識を示さなかった。しかし現実はといえば、Epic Gamesはビデオチャットよりも大きい何かを用意しているのかもしれない。とはいえ、この日、Epic Gamesがいうことができたのは、Housepartyチームはアプリに必要な注意を払えなくなったということだけだった。チームの焦点を別の何かシフトする経営判断を表す声明だ。

この決定によって解雇されるHousepartyチームのメンバーはいないとTechCrunchは聞いており、彼らは別のチームに移り、Epic Gamesファミリー製品を横断する「ソーシャルインタラクション」を可能にする新しい方法の仕事をすることになる。会社の発表は、そのソーシャル機能が「メタバーススケール」で設計、開発されることを示唆している。

「メタバース」は最近よく使われるようになったバズワードで、共有されたバーチャル環境、たとえばFortniteやRoblox(ロブロックス)などの大型オンラインゲーミングプラットフォームで提供されているものを指す。Facebook(フェイスブック)も、メタバースはソーシャルネットワーキングの次なる大きな一手であると宣言していて、CEOのMark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏はこれを「見ているだけではなく、その中にいるような感覚になれるインターネットのようなものです」と説明した。

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ある意味で、Fortniteはメタバースを取り込み始めており、アバターとして参加できるオンラインコンサートやその他のライブイベントなどゲーム以外の体験を提供している。終了に先立ち、Housepartyもライブイベントに手を染めて、ユーザーが友だちと一緒に見たり一緒に参加できるようにした。

Epic Games広報担当者はTechCrunchに、Housepartyチームはソーシャルに焦点を当てたいくつかのプロジェクトに取り組んでいて今後も続けると語った。しかし、Epic Gamesが取りかかっている「複数の大型プロジェクト」のいくつかは、まだ発表できないという。

ソーシャル製品に関していうと、現在HousepartyのテクノロジーはFortniteのボイスチャットすべてを支えており、彼らが作った機能はEpic Games Services(エピック・ゲームズ・サービス)を通じてデベロッパーに無料で開放されている。新しいソーシャル体験の構築も行っており、、Fortniteのグローバルイベント、たとえば最近のアリアナ・グランデのコンサートのソーシャルRSVP(出欠の返事)機能や、クエストなどのゲーム要素のコラボレーションのための「Operation:Sky Fire(オペレーション:スカイ・ファイアー)」イベントなどを開発している。Fortniteのユーザー生成コンテンツプラットフォームであるCreate Mode(クリエイト・モード)にも新たなソーシャル機能や体験を追加されている。

パンデミックのために2020年利用が急増したばかりのアプリを閉鎖するのは奇異に感じるかもしれないが、この新型コロナ需要に持続力はなかったようだ。

ロックダウンのピーク時、Housepartyは月間5000万人の新規登録者を記録した。世界が閉鎖されている中でユーザーが家族や友達とつながるためのビデオチャットアプリを探していたためだ。しかしパンデミックが進むにつれ、他のビデオチャット体験がいっそう勢いづいた。Zoom(ズーム)はリモートワークの必須ツールとしての地位を確立したばかりか、仕事終わりに友だちと過ごすツールにもなった。Facebookも2020年ビデオチャット機能の「Rooms(ルームズ)」を投入して同じようなグループビデオ体験を提供し、Housepartyを苦しめた。そして飽きがきたユーザーはClubhouse(クラブハウス)やTwitter Spaces(ツイッター・スペース)などのオーディオベースのソーシャルネットワーキングに移行した。

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画像クレジット:Apptopia

Apptopia(アップトピア)のデータによると、Housepartyはパンデミック太りの後、下降を続けている。これまでにiOSとAndroid合わせて1億1100万回ダウンロードされていて、大部分(6300万回)がiOSだ。米国はHousepartyの最大市場で、ダウンロードの43.4%を占め、英国(9.8%)とドイツ(5.6%)が続いている。
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ちなみにEpic Gamesは同アプリが全世界で「数千万」ユーザーに利用されたという。閉鎖は簡単な決断ではなく、「Fortniteモード」終了の決定も利用が低調だったからではないと強調した。

Housepartyは10月の完全終了に先立ち、アプリ内通知を経由してユーザーに閉鎖を警告する。同サービスの終了時点でFortnite Modeも利用できなくなる。

画像クレジット:Epic

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nob Takahashi / facebook

韓国の3D空間データツールスタートアップで日本の三菱地所、ニトリなどとも取引のあるUrbanbaseが約12億円調達

米国時間8月29日、ソウルに拠点を置きインテリアプランニングやインテリアデザインのための3D空間データプラットフォームを開発するUrbanbaseが、成長にともなうシリーズB+ラウンドで130億ウォン(約12億円)を調達したと発表した。

このラウンドは、韓国コングロマリットのHanwha Corporationの子会社であるHanwha Hotel & Resortが主導した。

Urbanbaseは、もともと建築家で同社のCEOであるJinu Ha(ハ・ジヌ)氏が2013年に創業した。これまでに合計で230億ウォン(約21億6000万円)を調達している。

既存の投資家は今回のラウンドには参加しなかった。Urbanbaseは2017年のシリーズAで180万ドル(約2億円)、同年中に追加で120万ドル(約1億3000万円)、2020年4月にはシリーズBラウンドを実施した。ハ氏によれば、既存の投資家には韓国を拠点とするShinsegae Information & Communication、Woomi Construction、SL Investment、KDB Capital、Shinhan Capital、Enlight Ventures、CKD Venture Capital、Breeze Investmentなどがある。

同社は今回の資金でB2BのSaaSを拡大する。また、ハ氏が新規ビジネスとして今後参入する計画であると語るメタバースのコアテクノロジーになると思われる高度なVR、AR、3Dツールの研究開発も進める。Strategy Analyticsの調査によると、世界のメタバースの市場規模は2021年の307億ドル(約3兆3678億円)から2025年までに2800億ドル(約30兆7200億円)に成長すると予測されている。

VRやAR、そのためのハードウェアやソフトウェア、新しいテクノロジーといった領域で有望なビジネスモデルを構築するための次世代のアプローチの1つとして、いわゆる「メタバース」における成功を目指す企業が増えている。FacebookからIntel、Microsoftまでさまざまな大手テック企業がこの分野への参入を狙っている。AppleもハイエンドのVRヘッドセットを開発中と報じられている

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Urbanbaseも家庭用インテリアのソフトウェアプラットフォームであるUrbanbase Studioをアップグレードしようとしている。Urbanbase Studioには2Dの室内空間イメージを3D表示に変換する機能があり、これには同社が特許を取得しているアルゴリズム、ARでのインテリア製品の視覚化、AIテクノロジーをベースにした空間イメージ分析が使われている。

Urbanbaseは、登録しているB2Cユーザーは7万人、月間アクティブユーザーは5万人であるとしている。B2Bのクライアントはおよそ50社ある。

ハ氏は「当社のB2Bクライアントの大半は韓国と日本の大手企業です。例えばLG Electronicsの他、日本の三菱地所、ニトリホールディングス、電通、ソフトバンクなどが挙げられます。しかしシリーズB+の資金調達完了後は、中小規模のB2Bクライアントにも拡大しB2Cユーザーも増やしたいと考えています」と述べた。

ハ氏はTechCrunchに対し、Urbanbaseは不動産テックや建設テクノロジーの分野で買収対象を探していると語った。韓国と日本では70〜80%の世帯が集合住宅に住んでいることから、同社は現在集合住宅向けインテリアのツールの開発に力を入れているという。ハ氏は、今後は別のタイプの住宅を得意とするスタートアップを買収して事業を多角化したいと付け加えた。

ハ氏によれば、同社のプラットフォームは現在韓国語と日本語で運営しているが、2021年末にシンガポールに進出する前に英語にも対応する予定だという。

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(文:Kate Park、翻訳:Kaori Koyama)

フェイスブックがVRコラボ・ミーティングツール「Horizon Workrooms」オープンベータ開始

バーチャルリアリティ(VR)の普及に向けたFacebook(フェイスブック)の道のりは長く、紆余曲折を経てきたが、VRのより幅広いユーザーを獲得することには部分的にしか成功していないものの、その過程で非常に優れたハードウェアを構築することができた。皮肉なことに、FacebookはOculusデバイスのハードウェアとOSの改良には成功したが、VR用の優れたアプリを実際に作るという面では長年にわたって最も苦労してきた。

同社はこれまでに数多くのソーシャルVRアプリをリリースしてきたが、どのアプリも何かしらの工夫を凝らしてはいるものの、提供終了をまぬがれるだけの出来栄えではなかった。大多数のVRユーザーはVRヘッドセットを持っている友人をたくさん持っていないという事実はさておき、これらのソーシャルアプリの最大の問題は、ユーザーにとってそのアプリを使う大きな理由がないということだった。360度動画を見たり、友達とボードゲームをするのはおもしろいギミックだったが、VRでは「ソーシャル」専用アプリはあまり意味がないのと同時に、ユーザーはスタンドアロンソーシャルアプリを求めているのではなく、ソーシャルダイナミクスによって向上する魅力的な体験を求めているのだということを、Facebookが理解するのに非常に多くの時間がかかった。

ここで、今週Facebookがデモを見せてくれた「Horizon Workrooms」というワークプレイスアプリの話をしよう。このアプリは、Quest 2のユーザーを対象に、米国時間8月19日からオープンベータを開始する。

このアプリは在宅勤務の従業員向けに、その中でコラボレーションを行う仮想空間を提供するものだ。ユーザーは自分のMacやPCをワークルームに接続し、デスクトップをアプリにライブストリーミングできる一方で、Quest 2のパススルーカメラを利用して、手元にある物理的なキーボードを通じ入力することができる。また、ユーザー同士がアバターでチャットしたり、写真やファイルを共有したり、バーチャルホワイトボードにアイデアを書き留めることも可能。このアプリはもう少し早くパンデミックの初期に発売されていれば、Quest 2プラットフォームにとってもっと大きな利益をもたらしただろう。しかし同アプリは、リモート環境での有意義なコラボレーションを支援する技術的なソリューションを見つけるという、 テクノロジーに精通したオフィスでいまだに大きな問題となっている課題に挑んでいる。

Horizon Workroomsはソーシャルアプリではないが、VRでのソーシャルコミュニケーションへの取り組み方は、これ以前にFacebookが世に送り出した他のファーストパーティのソーシャルVRアプリよりも思慮深いものとなっている。空間的な要素は、他のVRアプリに比べて大げさでなく、ウケ狙いでもなく、単に優れた機能的な体験を高めるだけで、時に通常のビデオ通話よりも生産的でエンゲージメントが向上したように感じられた。

画像クレジット:Facebook

これはMark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)CEOが最近、Facebookは「メタバース企業」へと移行していると宣言したことと繋がる。

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さて、メタバースとは何なのか。ザッカーバーグ氏の言葉を借りれば、こういうことになる。「デジタル空間で人々と一緒にいることができる仮想環境です。見ているだけではなく、自分がその中にいるような感覚になれるインターネットのようなものです」。これは、AR / VRを同社のモバイルアプリ群とは完全に別ものとして扱ってきたFacebookにとって、かなり重要な再調整のように聞こえる。デスクトップユーザーとVRユーザーは、長年にわたって事実上、お互いにサイロ化されてきた。

概してFacebookは、Oculus(オキュラス)を次のスマートフォンを作るかのようにスケールアップし、ネイティブアプリのパラダイムを核としてヘッドセットを構築してきた。一方、ザッカーバーグ氏のいう未来志向の「メタバース」は、Facebookがこれまで実際に開発してきたものよりも、Roblox(ロブロックス)が目指してきたものに近い。「Horizon Workrooms」は、Facebookのこれからのメタバースの動きのベースになると思われるHorizonブランドの下で運営されている。興味深いことに、このVRソーシャルプラットフォームは、2年近く前に発表された後、まだクローズドベータ版である。もしFacebookがHorizonのビジョンを実現することに成功すれば、Robloxのようにユーザーが作成したゲーム、アクティビティ、グループのハブに成長し、ネイティブアプリのモバイルダイナミクスをより柔軟性のあるソーシャルエクスペリエンスに置き換えることができるだろう。

Workroomsの洗練されたデザインが、これからのFacebookの方向性を示す有望な兆候であることは間違いない。

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(文:Lucas Matney、翻訳:Aya Nakazato)

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​VRゲーム「ソード・オブ・ガルガンチュア」開発のThirdverseが約20億円調達、國光宏尚氏が代表取締役就任

​VRゲーム「Swords of Gargantua」(ソード・オブ・ガルガンチュア)を手がけるThirdverseは8月10日、第三者割当増資(シリーズA、シリーズB)により、累計調達額20億円の資金調達を実施したと発表した。引受先は、ジャフコグループ、インキュベイトファンド、KDDI Open Innovation Fund、Presence Capital、Animoca Brands。今後は、ゲームクリエイターを中心に採用強化を行い、新作VRタイトルの開発に注力する。日米のスタジオにおいて2本の新作VRタイトル開発を開始するという。

また、代表取締役CEO・創業者にgumi創業者の國光宏尚が就任したと明らかにした。新たに米国子会社において北米ゲームスタジオを設立し、Microsoftのゲーム開発統括組織Xbox Game Studiosに所属する、inXile Entertainment創業者ブライアン・ファーゴ氏が、Thirdverseのアドバイザーに就任した。

國光氏は、「6年前にTokyo VR Startupsを立ち上げた日から、この日を夢みてきました。VR×メタバースは間違いなく『Next Big thing!』 心強い仲間と、頼もしい投資家の皆さんと共に、Thirdverse構想の実現に向けて全力で挑戦し続けたいと思います。 VR is Now!」とコメントしている。

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グリーが子会社REALITY中心とする「メタバース」事業参入を発表、グローバルで100億円を投資し数億ユーザーを目指す

グリーが子会社REALITY中心とする「メタバース」事業参入を発表、グローバルで100億円を投資し数億ユーザーを目指すグリーは8月6日、グリー100%子会社REALITYを中心に「メタバース事業」に参入すると発表した。今後2~3年で100億円規模の事業投資を行い、グローバルで数億ユーザーを目指す。

メタバース事業の加速に向け、バーチャルライブ配信アプリ「REALITY」(Android版iOS版)は、今後グローバルで数億人のユーザー獲得を目指す。その第1歩として、8種類のバーチャル空間の中で自由に歩き回り、アバター同士でコミュニケーションをとれる「ワールド」機能をアプリ内において、8月6日より期間限定で公開する。

グリーが子会社REALITY中心とする「メタバース」事業参入を発表、グローバルで100億円を投資し数億ユーザーを目指す

メタバースとは、同時に多くの人が参加してアバターを通じた交流や仕事、遊びなど実社会に近いレベルの自由な活動ができるデジタル世界のこと。現実と仮想の隔たりを超えて社会活動ができる、次のインターネット空間などとされる。

グリーでは、REALITYを通じスマートフォン向けバーチャルライブ配信アプリのサービスを展開し、全世界63の国・地域において数百万人にアバターを通じた自己表現とコミュニケーション体験を提供してきた。コロナ禍において世界中で生活のデジタルシフトが進んだことや、5GネットワークやVRデバイスの普及、ブロックチェーンをベースにした経済圏の拡大が加速している状況をかんがみ、REALITYが展開してきたライブエンターテインメント事業をメタバース事業と再定義し、さらに積極投資を行う。

REALITYが作るメタバースでは、REALITYアプリが提供してきた体験に加え、仮想空間を自身の手で創造・拡張し、オリジナルアイテムの作成や販売を通じて現実世界の収入を得られるクリエイターエコノミーの実現を目指す。

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フォートナイトが「記録破りのスーパースター」が登場するゲーム内イベントを予告、日本時間8月7日〜9日開催

Epic Games(エピックゲームズ)は、「Fortnite(フォートナイト)」のバーチャルな草原をTravis Scott(トラヴィス・スコット)がサイケデリックに闊歩して以来となる最大のゲーム内イベントを予告している。

フォートナイト開発元のEpic Gamesが「Rift Tour(リフト・ツアー)」と呼ぶこの謎めいた新イベントは、米国時間の8月6日(金)から8月8日(日)(日本時間8月7日朝から8月9日)まで開催されるという。今回の予告発表で、Epicはプレイヤーに「フォートナイトと記録破りのスーパースターが交わる魔法のような新しい現実へ、音楽の旅に出よう」と呼びかけている。

このミステリーショーのシリーズを盛り上げるゲーム内イベントは、7月29日から8月8日まで開催されているので、プレイヤーは今すぐフォートナイトに飛び込んで、リフトツアーをテーマにした新しいクエストや報酬をチェックすることができる。この綿菓子色のイベントでは、カスタムローディングスクリーンや、ふわふわ雲の子猫のアイコンなどのデジタル賞品が用意されている。

リフトツアーは1回限りのイベントではない。Travis Scott(トラヴィス・スコット)のイベントと同様に、フォートナイトはプレイヤーが参加しやすいように、3日間で5回の異なるショータイムを開催する。Epicは米国時間8月2日(月)に詳細を発表するとのことなので、誰がパフォーマンスをするのか、間もなく明らかになるはずだ。

さて……今回は誰が登場するのだろう?今のところ、すべての兆候がAriana Grande(アリアナ・グランデ)を示している。リーカーたちは1週間以上前からそう言っているし、EpicがApple(アップル)との裁判で公開した文書には、グランデとLady Gaga(レディー・ガガ)が出演するゲーム内イベントの計画が詳細に記されていた。

画像クレジット:Epic Games

また、Forbes(フォーブズ)のPaul Tassi(ポール・タッシ)氏は、最近のリーク情報がいかにGrandeを示唆しているかということについて、彼女のミュージックビデオから引用されたビジュアルテーマや、彼女のペットであるPiggy Smalls(ピギー・スモールズ)を連想させるアートワークなどの点と点をつなげて説明している

Epicは最新のバーチャルイベントをツアーと呼んでいることから、ゲーム内に登場する謎のスーパースターはグランデ1人ではない可能性もうかがえる。もしそうだとしたら、レディー・ガガの出演も考えられる。同社は2020年12月のコンサートにガガの出演を計画していたようだが、実現することはなかった。Kanye West(カニエ・ウェスト)も8月6日に最新アルバムをリリースするが、最近いくつもの物議を醸しているウェストとEpicが提携する可能性は低いと思われる。また、ウェストの最新アルバム「DONDA(ドンダ)」は、もともと別の日に発売予定だったのが延期されてこの日になったということもある。

誰であろうと、間もなく詳細が明らかになるだろう。たとえ、あなたがグランデのファンでなくても、あるいは熱心なゲーマーでなくても、フォートナイトのゲーム内コンサートは、史上最もクリエイティブで視覚的にエキサイティングなバーチャルイベントの1つだ。

巨大なバーチャルラッパーがネオンの閃光を放っている間に、誰もが一度は友達と一緒にメタバースの世界へ飛び込んでみるべきだろう。

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カテゴリー:ゲーム / eSports
タグ:Epic GamesFortnite音楽バーチャルイベントメタバース

画像クレジット:Epic Games

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

フェイスブックの次期新製品は待望の「レイバン・スマートグラス」

好調なFacebookのビジネス、その中心はデジタル広告だが、同社はVR以外のハードウェアにも意欲を燃やしている。最新の決算発表の場で、CEOのMark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏は、次の製品はRay-Ban(レイバン)のスマートグラスになるだろうと述べた。

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Facebookの共同創設者であるマーク・ザッカーバーグ氏は「このメガネは象徴的な形状をしており、とてもすてきなことができます。だからこそ私は、多くの人にこのメガネを手にしてもらい、将来の完全なARグラスに向けて前進し続けることに興奮しています」と述べた。

Facebookのサングラスは、2019年から噂になっていた。当時、情報筋がCNBCに語ったところによると、FacebookはレイバンのオーナーであるEssilorLuxottica(エシロールルックスオティカ)と協力して「Orion」というニックネームのARアイウェアを開発しているという。このメガネは、電話を受けたり、情報を確認したり、さらにはライブストリームを配信したりすることができる、スマートフォンの本格的な代替品として宣伝されていた。必然的にこのメガネは、Snapのスマホと連動するSpectaclesではなく、Google Glass(Luxotticaとの共同開発)と比較された。2020年、Facebook Reality LabsのVR担当副社長であったHugo Barra(ウーゴ・バッラ)氏は、このメガネが2021年に登場することを認めていた。しかしそれ以降、ほとんど音沙汰がない。

Facebookにとって、このメガネは未来への鍵を握っています。ザッカーバーグ氏は、仮想現実(VR)と並んで、拡張現実(AR)は「メタバース」の構築に不可欠だと述べている。将来、Facebookは、VRやARを使ってさまざまなソーシャル体験間を「テレポート」できるような、共有された生き生きとしたプラットフォームに変化していくだろう、とザッカーバーグ氏は説明している。

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「メタバース」という言葉は、シリコンバレーや未来学者の間で流行している最新のバズワードだ。この概念は10年以上前から存在していましたが「Fortnite」や「Roblox」などのマルチプレイヤーゲーム制作プラットフォームが大ヒットしたことで、注目を集めるようになっている。今週初めには、Microsoft(マイクロソフト)のSatya Nadella(サティア・ナデラ)氏は、同社の決算説明会で「エンタープライズ・メタバース」について言及している。

Facebookにとって、メタバースは単なる流行ではありません。ザッカーバーグ氏によると、同社は数十億ドル(数千億円)を投じて、Facebookのユーザーとデジタル広告で構成される「シェアードユニバース」を構築しようとしている。それを実現するためには、より多くの人々に同社のコンピューティングハードウェアを購入してもらう必要があるという。そのため、それらのデバイスをより手頃な価格で提供することを計画している。

ザッカーバーグ氏は「私たちの使命は、できるだけ多くの人々にサービスを提供することです。ですから、私たちが行うすべてのことをできるだけ手頃な価格で提供し、できるだけ多くの人々に利用してもらい、その中でデジタル経済の規模を拡大していきたいと考えています」。

Facebookが開発を進めているとされるハードウェアは、サングラスだけではない。複数の報道によると、Facebookは、携帯電話回線を内蔵し、取り外し可能なディスプレイを搭載したスマートウォッチを開発しているという。当初は、スマートウォッチが最初に発売されると考えられていたが、ザッカーバーグ氏には別の計画があったようだ。

編集部注:本記事はEngadgetに掲載されている。

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カテゴリー:ハードウェア
タグ:Facebookマーク・ザッカーバーグメタバーススマートグラスレイバン仮想現実拡張現実

画像クレジット:Drew Angerer / Getty Images

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(文:Saqib Shah、翻訳:Katsuyuki Yasui)

ザッカーバーグ氏は110兆円規模のフェイスブックを「メタバース」企業にすると投資家に語る

Facebook(フェイスブック)のCFOがアナリスト向けの四半期決算発表で財務の詳細を説明した後、CEOのMark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏は、Facebookを「メタバース企業」にするという野望を特に強調しながら、会社の将来の目標について語った。

「私たちが目指している未来と会社全体の主要な取り組みのマッピングについてみなさんに知っていただくために、今、この話をしたいと思いました」とザッカーバーグ氏は電話で話した。「メタバースとは何か。それは、デジタル空間で人々と一緒にいることができる仮想環境です。見ているだけではなく、その中にいるような感覚になれるインターネットのようなものです」と語った。

これらのコメントは、先週The Vergeに寄せられたインタビューの内容に呼応しており、同社の将来的な目標の一部を詳しく説明している。

メタバースは同社に、ムーンショットの取り組みと本業との間に一線を画す機会を与える。拡張現実や仮想現実のプラットフォームで輝きを放ちながら、モバイルかデスクトップかを問わず、親しみやすい、広範囲にわたるハブを構築する。ザッカーバーグ氏のメタバースの定義は広めだが、つまりそれはウェブページの集合体ではなく、MMO(多人数が同時にオンラインで参加するコンテンツ)のように感じられるウェブのバージョンを構築するということだ。

FacebookのHorizonプラットフォームの初期の画像。画像はFacebookより

今では考えられないが、Facebookはモバイルで遅れをとっていた。10年前、Facebookのアプリは、バグが多く、クラッシュしやすいHTML5ベースだった。大手ソフトウェアメーカーでは、スムーズなネイティブアプリが標準になりつつあったにも関わらずだ。2012年になると、Facebookの創業者であるザッカーバーグ氏は、アプリにこそ未来があり、急速に現在存在するようなものになりつつあることを認識し、同社の注意をあらゆるレベルのモバイルに向けようと奔走した。Facebookは同じ過ちを繰り返すつもりはない。その哲学は、同社が2014年に業界をリードするVRハードウェアメーカーOculus(オキュラス)を買収したときに初めて明らかになった。

「モバイルは今日のプラットフォームだが、現在、明日のプラットフォームの準備もしています」とザッカーバーグ氏は、その20億ドル(約2200億円)の買収の頃に語っていた。「Oculusには、これまでで最もソーシャルなプラットフォームを作り、私たちの仕事や遊び、コミュニケーションの方法を変えるチャンスがあります」。

「メタバース企業」になることは、この考えをさらに進化させたものだ。多くの人にとって、Roblox(ロブロックス)は今日のメタバースを最も明確に体現しているように思われる。ユーザーが仮想体験の間を行き来しながら、その中で自分自身の体験を作り出すことができるソーシャルワールドだ。仮想現実体験ではなく、主にモバイルとデスクトップで展開されている。Robloxのビジョンは投資家の共感を得た。現在は公開会社である同社の価値は450億ドル(約4兆9500億円)を超えた。これはFacebookの価値のほんの一部だが、欧米のゲーム会社のほとんどを上回っている。

Facebookはこの分野に引き続き関心を示している。2021年6月にはCraytaというRobloxに似たプラットフォームを買収し(金額非公開)、ここ数年はVRに特化したゲームスタジオを次々と買収してきた。

Facebookは独自のVR中心のソーシャルハブを構築しようとしたが、ほとんどが失敗に終わった。Facebookのメタバース的なプラットフォーム「Horizon」は、2年近く前に発表されたときには大きな注目を集めたが、静かすぎるベータ期間中、同社がこれに関して言及することはほとんどなかった。FacebookのAndrew Bosworth(アンドリュー・ボズワース)氏は今週、Instagram(インスタグラム)のVishal Shah(ビシャール・シャー)氏が率いるメタバースを中心とした新しいプロダクトグループの下、ゲーム担当VPのVivek Sharma(ヴィヴェーク・シャーマ)氏がこの取り組みを引き継ぐことを明らかにした

ARやVR企業ではなく「メタバース」企業としてリブランディングするというFacebookの選択には、非常に特別な意味がある。空間的なインターネットを実現するためには、専用のハードウェアが不可欠だと考える向きもあるかもしれない。だが、他の新しいゲームプラットフォームが大きく成長を加速させている中で、ユーザーが初期に登場したようなヘッドセットを求めていないことが次第に明らかになってきた。FacebookのQuest 2ヘッドセットは、それまでの製品よりもはるかに売れ行きが良いようだ(Facebookは販売数量を発表していない)。はっきりしないのは、このメタバースの理想を受け入れるために、Facebookグラスやヘッドセットを顔に装着したユーザーで世界がいっぱいになる必要が本当にあるのかどうか、あるいは、それは最後に添えるチェリーのようなものにすぎないのかということだ。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:Facebookマーク・ザッカーバーグメタバースOculus

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Lucas Matney、Taylor Hatmaker、翻訳:Nariko Mizoguchi

フェイスブックが予想を上回る第2四半期決算を発表、今後は広告事業への「逆風」を警告

Facebook(フェイスブック)は、第2四半期の決算を米国時間7月28日に発表した。その売上高は290億ドル(約3兆1800億円)と、アナリストの予想を上回った。

この世界最大のソーシャルメディア企業は、2021年度の第2四半期の売上高が、前年同期の186億ドル(約2兆400億円)から50%増となる278億ドル(約3兆500億円)と予想されていた。1株当たり利益は3.61ドル(約396円)と、こちらも予想を上回った。

新型コロナウイルスの世界的流行に見舞われた1年を経て、経済的に半正常な状態に戻った最初の決算期に、Facebookは予想通りユーザー数の増加を達成させた。3月末時点で、Facebookは各アプリのネットワーク全体で28億5000万人の月間アクティブユーザーを抱えていた。第2四半期末(6月30日)の時点では、月間アクティブユーザー数はほぼ予想された通りの29億人となっている。

米国時間7月28日の朝、375ドル(約4万1200円)で始まった同社の株価は、決算発表後に360ドル(約3万9500円)まで下落した。

好調な四半期を終えたにもかかわらず、Facebookは今後の変化について警告している。これはすなわち、今四半期の売上高290億ドルのうち285億ドル(約3兆1300億円)を占める巨大な広告事業が受ける影響の件だ。Facebookは同社の事業を脅かすものとして、特にApple(アップル)のモバイルOSに導入されたプライバシー機能を強化するアップデートを挙げている。

「2021年には、規制やプラットフォームの変更による広告ターゲティングの逆風が強まると、私たちは引き続き予想しています。特に最近のiOSのアップデートは、第2四半期よりも第3四半期に大きな影響を与えるでしょう」と、同社は投資家向け報告で見通しを述べている。

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FacebookのMark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)CEOは、同社の投資家向けオンライン会見で、広告収入への依存度を下げる計画を指摘。コンテンツクリエイターを惹きつけ、支援するための取り組みを拡大していること、特にeコマースに関する計画について述べた。「当社のプラットフォームを、クリエイターが生計を立てるための最良の場所にしたいと考えています」と、ザッカーバーグ氏は語り、2023年からクリエイターツールの収益化を開始する計画があることを明らかにした。

ザッカーバーグ氏はまた、VRを使ったソーシャル体験に対するFacebookの壮大な野望も強調し「バーチャルリアリティは、ソーシャルなプラットフォームになるでしょう。だからこそ、私たちはそれを構築することに集中しているのです」と語った。

このオンライン会見の中で、ザッカーバーグ氏は、バーチャルリアリティをベースとしたソーシャルネットワークでは、衣服やアバターなどのデジタル商品を収益化することが可能だというFacebookの見通しについても語った。Facebookは、バーチャルなソーシャルネットワークが相互に接続されたウェブの概念を「metaverse(メタバース)」と呼んでいる。これは、1992年に出版されたNeal Stephenson(ニール・スティーヴンスン)の未来派SF小説「Snow Crash(スノウ・クラッシュ)」に因んだものだ。

Facebookが水曜日にどのような報告を予定していたかに関係なく、同社が財務的に強大な存在であることに変わりはない。西洋諸国での悪評やユーザーの不信感は、同社の収益を悪化させるほどのものではなく、同社の広告事業は相変わらず市場を圧倒しているように見える。米国で意義ある反トラスト法改正が行われたり、競合他社が急成長しない限り、Facebookの行く手を阻むものはほとんどない。前者については、議会の党派的な対立を考えると、ホワイトハウス関与しているとはいえ、未だ望みは薄いかもしれない。しかし後者については、Facebookにもついに脅威が迫っている。

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これまで長年の間、Facebookに適当な競合となるソーシャルメディアプラットフォームが現れるとは、想像が難しかった。市場を支配している同社には、競合他社を買収したり、そのイノベーションを大胆にコピーする悪癖があったためだ。しかし今、TikTok(ティックトック)がまさにそんな存在になりつつあることは明らかだ。YouTube(ユーチューブ)は巨大だが、Facebookとは並行して共存しながら成熟し、互いに補完的な体験を提供しているため、脅威となるような直接的な競合ではなかったのだ。

調査会社Sensor Tower(センサー・タワー)のデータによると、TikTokは2020年7月に月間アクティブユーザー数が7億人に達し、2021年7月初めには全世界でのダウンロード数が30億回を超えた。これはFacebook傘下ではないアプリとしては初の快挙だ。もし、この中毒性の高い短編動画アプリが、若いユーザーがInstagram(インスタグラム)をはじめとするFacebook傘下のプラットフォームに費やしている長い時間の一部をうまく吸い上げ、その過程において企業にとっても快適なホームとなることができたら、メンロパークから出てきた青い巨人はついに寝不足になるかもしれない。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Facebook決算発表広告クリエイター収益化VRメタバース

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

Robloxがソニーミュージックと提携、アーティストとメタバースでの収益活動を結びつける

ビデオゲームプラットフォームのRoblox(ロブロックス)は、米国7月6日朝、Sony Music Entertainment(ソニー・ミュージックエンタテインメント、SME)と提携したことを発表した。この提携により、両社はRobloxコミュニティのための音楽体験を共同で創出し、ソニーミュージックのアーティストが新たなオーディエンスにリーチして収益を上げる方法を提供することになる。

今回の発表は、2021年6月に音楽出版社のグループが、Robloxがクリエイターにゲーム内でバーチャルブームボックスを作ることを許し、それらがアーティストの許可や支払いなしに著作権のある音楽をストリーミングしていたと主張し、2億ドル(約221億円)の訴訟を起こした後でのことだ。

訴訟に含まれていた音楽出版社は、Universal Music Publishing(ユニバーサル・ミュージック・パブリッシング)、Big Machine Records、Concord Music Group、Downtown Music Publishing、Kobalt Music Group、Hipgnosis Songs Fundなどだ。Robloxはこの訴訟に対し「Robloxプラットフォームの運営方法に関する根本的な誤解」を表しているとして「驚き、失望した」と述べていた

Robloxは、同社は著作権侵害を容認しておらず、フィルタリング技術を用いて不正な楽曲を禁止していると主張している。また、デジタルミレニアム著作権法(DMCA、Digital Millennium Copyright Act)に基づく正当なテイクダウン要求に対しては、侵害コンテンツを削除することで対応していると同社は述べた。

しかし、今回のソニーミュージックとの契約は、Robloxが音楽会社とより公式な立場で提携することの価値を認識していることを示している。

Robloxは、ソニーミュージックのアーティストやそのファンに対してどのような「商業活動」を考えているのか詳細は明らかにしなかったが、同社は過去には、2020年11月のLil Nas X(リル・ナズ・X)による初のバーチャルコンサートや、2021年5月のZara Larsson(ザラ・ラーソン)ローンチパーティーのバーチャルイベントなどで、音楽会社と協力していた。そのコンサートには3600万人以上のプレイヤーが参加し、ローンチパーティーには400万以上のアクセスがあり、これまでのRobloxのローンチパーティーの中で最高のアクセス数を記録した。

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Robloxのプラットフォームでは一般的に、アーティストはバーチャルコンサート、グッズ販売、その他の統合されたゲーム内アクティビティなど、さまざまな活動を通じてファンにリーチできる。ただし今回の契約には、ソニー・ミュージックエンタテインメントのアーティストの音楽へのアクセスは含まれていないとのこと。

SMEのグローバルデジタルビジネスおよび米国セールス担当プレジデントのDennis Kooker(デニス・クーカー)氏は、声明の中で次のように述べた。「ソニーミュージックのアーティストは、Lil Nas Xがプラットフォーム上で行った業界初のバーチャルパフォーマンスや、Zara Larssonによる最近のリスニングパーティーイベントのような先進的な取り組みを行い、Robloxの巨大なユーザーコミュニティにいる何百万人もの音楽ファンを魅了してきました。今回の新たな契約により、Robloxチームとの成功しているパートナーシップを拡大し、音楽とゲームの接点における商業機会をさらに広げていきたいと思います。没入型のオンライン環境は、バーチャルコミュニティを利用して音楽体験を共有したいと考えている多くのファンにリーチするための重要な機会となります」。

この契約は、Robloxのユーザー層の年齢が上がってきている中で成立した。同社は2021年第1四半期の決算において、13歳以上のユーザーのエンゲージメントが128%増加したことを報告している。この年齢層は、若者にとって音楽が生活の中でより重要な役割を果たし、好きなアーティストとより直接的につながりたいと考える時期だ。また、同じ四半期にDAU(デイリーアクティブユーザー数)は79%増の4210万人に達し、売上高は140%増の3億8700万ドル(約428億円)となった。

RobloxのVP兼音楽部門グローバルヘッドのJon Vlassopulos(ジョン・ヴラソプロス)氏はこう述べた。「ソニーミュージックはすばらしいパートナーであり、両社の関係がさらに深まり、長くなることをうれしく思います。SMEはメタバースがアーティストにもたらす巨大な機会を真に理解しており、当社はアーティストたちがRobloxで新たなクリエイティブそして商業的な機会を得られるよう支援することを約束します」。

Robloxが音楽レーベルと提携するのは、これが初めてではない。2021年6月、RobloxはBMGとの同様の契約を発表したが、これも将来的なコラボレーションとアーティストやソングライターの収益を上げる機会に焦点を当てたものだった。

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カテゴリー:ゲーム / eSports
タグ:Robloxソニーミュージックアーティストメタバース

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(文:Sarah Perez、翻訳:Aya Nakazato)