「空飛ぶクルマ」開発のSkyDriveが39億円を調達、世界初披露の有人機「SD-03」を公開飛行試験に成功

「空飛ぶクルマ」開発のSkyDriveが39億円を調達、世界初披露の有人機「SD-03」を公開飛行試験

「空飛ぶクルマ」(電動垂直離着陸型無操縦者航空機)と、重量物に特化した産業ドローン「カーゴドローン」を開発するSkyDrive(スカイドライブ)は8月28日、第三者割当増資によりシリーズBラウンドにおいて39億円の資金調達を実施したと発表した。引受先は日本政策投資銀行をはじめ10社。

また同日、SkyDriveの開発拠点である、日本最大級の1万㎡の屋内飛行試験場を備える豊田テストフィールドにおいて公開有人飛行試験を8月25日に実施。成功のうちに完了したと明らかにした(本稿掲載の飛行写真は8月初旬に撮影したもの)。

「空飛ぶクルマ」開発のSkyDriveが39億円を調達、世界初披露の有人機「SD-03」を公開飛行試験

「空飛ぶクルマ」開発のSkyDriveが39億円を調達、世界初披露の有人機「SD-03」を公開飛行試験

2018年7月設立のSkyDriveは、空飛ぶクルマの実用化、未来のモビリティ社会への貢献を目指し、航空機・ドローン・自動車エンジニアを中心に「空飛ぶクルマ」、「カーゴドローン」を開発。空飛ぶクルマは、2023年度のサービス開始を予定。カーゴドローンは販売中。

有人飛行試験は夕刻に行われ、飛行時間は約4分間だったという。機体は1人乗りで、パイロットが操縦するものの、コンピュータ制御のアシストにより、飛行を安定させていた。また、バックヤードでは飛行状態をモニタリングし、安全を常時確認していた。

「空飛ぶクルマ」開発のSkyDriveが39億円を調達、世界初披露の有人機「SD-03」を公開飛行試験

同社の目標は、およそ高さ2m、幅4m、長さ4m、世界最小の空飛ぶクルマモデルの開発。駆動方式は電動モータでロータを駆動する方式。ローターは、4ヵ所に配置されており、1か所あたり、2つのロータが回転し、駆動力を生み出すという。合計8個のモーターを採用し、電動モーター・ローター系の一部に異常が発生しても、バックアップの役割を果たすため、安全に飛行を続けることが可能という。

飛ぶクルマは、正式名称を「電動垂直離着陸型無操縦者航空機」といい、電動化・完全自律の自動操縦・垂直離着陸が大きな特徴となっている。モビリティ分野の新たな動きとして、世界各国で空飛ぶクルマの開発が進んでおり、日本においても2018年から「空の移動革命に向けた官民協議会」が開催。都市部でのタクシーサービス、離島や山間部の新たな移動手段、災害時の救急搬送などにつながるものとして期待されている(小型無人機の有人地帯での目視外飛行実現に向けた制度設計の基本方針)。

今後は、2023年の事業開始、2030年の本格普及に向けたロードマップ(経済産業省・国土交通省)が制定されている。

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「空飛ぶクルマ」(電動垂直離着陸型無操縦者航空機)と、重量物に特化した産業ドローン「カーゴドローン」を開発するSkyDrive(スカイドライブ)は8月28日、第三者割当増資によりシリーズBラウンドにおいて39億円の資金調達を実施したと発表した。引受先は日本政策投資銀行をはじめ10社。

また同日、SkyDriveの開発拠点である、日本最大級の1万㎡の屋内飛行試験場を備える豊田テストフィールドにおいて公開有人飛行試験を8月25日に実施。成功のうちに完了したと明らかにした(本稿掲載の飛行写真は8月初旬に撮影したもの)。

「空飛ぶクルマ」開発のSkyDriveが39億円を調達、世界初披露の有人機「SD-03」を公開飛行試験

「空飛ぶクルマ」開発のSkyDriveが39億円を調達、世界初披露の有人機「SD-03」を公開飛行試験

2018年7月設立のSkyDriveは、空飛ぶクルマの実用化、未来のモビリティ社会への貢献を目指し、航空機・ドローン・自動車エンジニアを中心に「空飛ぶクルマ」、「カーゴドローン」を開発。空飛ぶクルマは、2023年度のサービス開始を予定。カーゴドローンは販売中。

有人飛行試験は夕刻に行われ、飛行時間は約4分間だったという。機体は1人乗りで、パイロットが操縦するものの、コンピュータ制御のアシストにより、飛行を安定させていた。また、バックヤードでは飛行状態をモニタリングし、安全を常時確認していた。

「空飛ぶクルマ」開発のSkyDriveが39億円を調達、世界初披露の有人機「SD-03」を公開飛行試験

同社の目標は、およそ高さ2m、幅4m、長さ4m、世界最小の空飛ぶクルマモデルの開発。駆動方式は電動モータでロータを駆動する方式。ローターは、4ヵ所に配置されており、1か所あたり、2つのロータが回転し、駆動力を生み出すという。合計8個のモーターを採用し、電動モーター・ローター系の一部に異常が発生しても、バックアップの役割を果たすため、安全に飛行を続けることが可能という。

飛ぶクルマは、正式名称を「電動垂直離着陸型無操縦者航空機」といい、電動化・完全自律の自動操縦・垂直離着陸が大きな特徴となっている。モビリティ分野の新たな動きとして、世界各国で空飛ぶクルマの開発が進んでおり、日本においても2018年から「空の移動革命に向けた官民協議会」が開催。都市部でのタクシーサービス、離島や山間部の新たな移動手段、災害時の救急搬送などにつながるものとして期待されている(小型無人機の有人地帯での目視外飛行実現に向けた制度設計の基本方針)。

今後は、2023年の事業開始、2030年の本格普及に向けたロードマップ(経済産業省・国土交通省)が制定されている。

ニューヨークで休止していた電動スクーターシェアがヘルメット着用自撮り機能を搭載して営業再開

電動スクーターシェアリングのスタートアップであるRevelは、ニューヨーク市で死亡事故が相次いで1カ月前にサービスを休止していたが、営業を再開した。ニューヨーク市でよく見かけたRevelの青いスクーターは、安全性を向上し市当局を納得させる手続きや機能が追加されて戻ってきた。

Revelは2020年7月28日にニューヨーク市でのサービスを自主的に休止した。ニューヨーク市に再開の計画が認められ、4つの区(ブルックリン、ブロンクス、マンハッタン、クイーンズ)で3000台のスクーターのサービスを再開した。2018年3月にFrank Reig(フランク・レッチ)氏とPaul Suhey(ポール・スヒー)氏が創業したRevelは、安全性向上のためにアプリを幅広く活用している。トレーニングビデオとテスト、ユーザーがヘルメットを着用していることを証明するヘルメット着用自撮り写真機能、コミュミニティ報告ツールといった機能がアプリに含まれている。

RevelはThe Behavioral Insights Teamという企業の行動科学の専門家の協力を受け、安全対策とコンプライアンスに関する知識を実例とともに身につける安全トレーニングをアプリ内に作成して、ユーザーに必ず受けてもらうことにした。Revelはこれから、長期のユーザーも含めた全ユーザーに対して、最初にスクーターを利用する前に21問からなる安全トレーニングのテストを受け、説明ビデオを見ることを求める。トレーニングでは交通規則、乗る前の正しい手順のほか、禁止事項や規則に違反した場合の対処を取り上げている。

Revelはこのトレーニング機能を、ニューヨーク市以外でサービスを提供しているオースティン、オークランド、ワシントンDCにも拡張する。これらのマーケットで利用しているユーザーは、9月1日までにトレーニングを完了する必要がある。マイアミのユーザーも、新型コロナウイルス(COVID-19)感染拡大による制限が解除され同社のサービスが再開したら、トレーニングを受けなくてはならない。

2019年秋にシリーズAで2760万ドル(約29億3000万円)を調達した(未訳記事)と発表したRevelは、ヘルメット着用自撮り写真の機能も追加した。ユーザーはレンタル前にこの機能を使わなくてはならない。同乗者がいる場合は、その人も自撮り写真の撮影を求められる。ヘルメットケースはユーザーが「利用を始める」を選択した時にロック解除されるが、自撮り写真が送信されるまではスクーターの電源が入らない。

Revelはニューヨークにいる人が同社のアカウントを持っているかどうかにかかわらず利用できる機能も公開する。8月27日から、誰でもRevelアプリを開いて市内で不適切な行動をしていたユーザーを報告できるようにすると同社は述べた。同社によれば、60日間は営業時間を短縮し、深夜0時から午前5時は営業しない。また利用を一時停止するポリシーを強化し、アカウントを持っている人なら誰でもアプリやウェブサイトで予約できる無料のレッスンも追加した。

画像クレジット:Revel

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(翻訳:Kaori Koyama)

SOMPOホールディングスが自動運転OS開発の「ティアフォー」に約98億円出資し関連会社化

SOMPOホールディングスが自動運転OS開発の「ティアフォー」に約98億円出資し関連会社化

SOMPOホールディングスは8月28日、自動運転システム開発事業など展開のティアフォーに対し、第三者割当増資の引受および損害保険ジャパンが保有する株式取得により約98億円を出資し、資本提携契約を締結したと発表した。ティアフォーは、SOMPOホールディングスの関連会社となる。なお、ティアフォーの累計資金調達額は175億円となった。

政府策定の官民ITS構想・ロードマップでは、2020年までに限定地域(過疎地域等)での無人自動運転移動サービスの実現や、2025年度を目途とした全国40ヵ所以上での実装可能性が示されているという。また、工場や商業施設など施設内での実装が全国各地で検討されている。

そこで、SOMPOホールディングスとティアフォーは、自動運転の頭脳にあたるソフトウェア技術と「Level IV Discovery」を一体として提供し、自動運転技術の社会実装を支援する「自動運転プラットフォーム」の開発を事業として両社で展開するため、資本提携を行うことで合意した。Level Ⅳ Discoveryは、損保ジャパン、アイサンテクノロジー、ティアフォーが共同開発するインシュアテックソリューション。走行前にリスク調査を行う「リスクアセスメント」、走行中の「遠隔見守り・トラブル対応」、自動運転車の多様なリスクをカバーする「保険」の3ソリューションにより、自動運転の走行前・走行中・トラブルまでを総合的にサポートすることで自動運転走行の安全を支えるとしている。

両社は「自動運転プラットフォーム」に参画する主要なプレイヤーを募り、一体となって社会実装に向け協創するとしている。また、得られたデータと、これまでに損保ジャパンが培ってきた事故の未然防止や事故対応のノウハウを融合することで、安心・安全な自動運転の実用化を支援するという。

今後は、「自動運転プラットフォーム」開発事業の展開により得られる車両・走行・乗客・位置のデータなどモビリティにかかわる各種データと、保険事業やSMPOホールディングスがすでに展開しているモビリティ事業(CtoCカーシェアリング、駐車場シェアリングなど)から得られるデータなどを組み合わせ、将来的にはMaaSやスマートシティの分野においてSOMPOグループ独自のサービスや新事業の創造を目指す。

SOMPOホールディングスの中核事業を担う損保ジャパンは、過疎地域での移動手段確保、人口減少による物流業界のドライバー不足の解消といった社会的課題の解決策として期待される自動運転技術が、「安心・安全」に社会実装されるために、損害保険会社として果たすべき役割について研究を推進。

これまでに、ティアフォーと自動運転システムの遠隔監視・操作を支援する「コネクテッドサポートセンター」を共同開設。また、それをリスクアセスメントや保険商品と組み合わせて提供し、自動運転技術の社会実装に必要な安全性と利用者の安心感を高めるインシュアテックソリューション「Level IV Discovery」の共同開発に取り組んできた。

また2019年6月には、損保ジャパンがティアフォーに48億円を出資するなど、両社の協業を推進してきた。

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中国のEVスタートアップXpengがニューヨーク証券取引所に上場、約1600億円を調達

中国の電気自動車スタートアップであるXpeng(小鹏、シャオペン)は、米国での最初の株式公開の結果、15億ドル(約1600億円)を調達した。米国と中国との緊張の高まりが懸念される中、投資家のEVとクリーンエネルギーへの興味がそれに勝ったかたちだ。

中国の広州に本社を置き、シリコンバレーとサンディエゴにもオフィスを構えるこの自動車メーカーは、9970万株を1株15ドル(約1600円)で販売し、およそ15億ドル(約1600億円)を調達したと書類には記されている。当初は、8500万株を11〜13ドル(約1170〜1380円)の公募価格で売り出す予定だった。

Xpengの株式は、ニューヨーク証券取引所で「XPEV」というティッカーシンボルで木曜日から取引が始まった。同社は、ウォールストリート・デビュー以前に受けた中国のeコマース大手Alibaba(阿里巴巴、アリババ)とXiaomi(小米科技、シャオミ)からの援助を含め、投資家たちから総計で17億ドル(約1800億円)を調達している。7月には、中国のテクノロジー好きな中流層を狙った電気自動車の新型車種を開発する目的で、およそ5億ドル(約530億円)をシリーズC+ラウンドで調達したことを発表した。

公開市場に移行したことで同社は、次第にEVメーカーが増えつつ中国市場での競争に必要なさらに巨額な資金に手が出せるようになった。Li Auto(理想汽車、リー・オート)、Nio(蔚来汽車、ニーオ)、WM Motor(威馬汽車、ウェルトマイスター・オート)、 そしてもちろん、2019年12月に新しい上海工場でのModel 3の生産を開始したTesla(テスラ)と競うことになる。

中国上海、2019年8月25日:中国の自動車メーカーXpengの上海のショールームで新車を下見する客たち(画像クレジット:Alex Tai/SOPA Images/LightRocket via Getty Images)

Xpengは、現在、G3 SUVとP7セダンの2車種を販売している。G3の生産は2018年12月に始まった。7月31日時点で、1万8741台のG3 SUVを顧客に納品したと同社は話している。

P7の出荷は2020年5月に開始された。Tesla Model 3の直接のライバルとなるP7は、7月31日時点で1966台が出荷されている。Xpengは、3つ目の車種も計画している。これもセダンタイプだが、2021年mp発売予定だ。

画像クレジット:VCG / Getty Images

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(翻訳:金井哲夫)

EV開発のBollingerが配達用電動バンのコンセプトを発表、2022年生産開始

いかつい電動SUVとピックアップトラックで知られるミシガン拠点のスタートアップであるBollinger Motors(ボリンジャー・モーターズ)は8月27日、2022年の生産開始を計画している配達用バンのコンセプトを発表した。

ポイントは汎用性だ。同社によると「Deliver-E」と呼ばれるコンセプトは、業務で使う顧客のニーズに合わせて構成、特にホイールベースとバッテリーパックを変えることができる。バンは前輪駆動で、リアサスペンションを搭載している。また、高さ18インチ(約46cm)と低床で、可変性のホイールベースは複数の貨物構成に対応する。ホイールベースはクラス2B、3、4、5を含むさまざまな車両クラスに活用できると同社は話した。加えて70〜210kWhの5サイズのバッテリーパックも用意している。

配達用バンは、B1 SUV、B2ワークトラックと明らかに異なるが、機械まわりのほとんどを共有している。モーターやバッテリー、インバーターを含む主要な構成要素はBollinger Motorsのラインアップ全てに共通する。

「配達用バンは自社生産しない」と同社は述べた。DELIVER-Eバンならびにトラックを米国で生産するのにパートナーと提携し、2022年に生産を開始すると明らかにした。

Bollingerをフォローしている人の中には、同社がクラス3の商用車向けにデザインしたE-Chassisを3月に発表した(未訳記事)ことを思い出した人もいるかもしれない。しかしE Chassis(いまはChass-Eと呼ばれている)をDeliver-Eバン用のプラットフォームと混同しないでほしい。同社によると、Deliver-Eは配達バン特有のニーズに対応する新しいプラットフォームを持っている。

ただし、Chass-Eは明らかに新しい配達バンプラットフォームをリードしている。創業者でCEOのRobert Bollinger(ロバート・ボリンジャー)氏によると、BollingerがChass-Eを発表した後、配達企業や配達トラックのメーカーから、Chass-Eが配達バンに使えるかどうか「山のような」問い合わせがあった。答えは「ノー」だ。というのも、Chass-Eは調整可能なサスペンション付き全輪駆動や、高い車高といった配達バンには不要の属性を持つからだ。

新たな知見を顧客の需要とみなし、同社は配達バンのニーズに合うまったく新しいプラットフォームを開発することを決めた。

画像クレジット: Bollinger Motors

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(翻訳:Mizoguchi

フォードとボッシュがデトロイトで自動駐車場を発表、ドライバーレスで自動運転レベル4の駐車機能を実現

米自動車メーカー大手のFord(フォード)、ドイツ本拠の総合自動車部品・電動工具メーカーであるBosch(ボッシュ)、現地の不動産会社であるBedrock(ベッドロック)の3社は米国時間8月26日、米国デトロイトのダウンタウンでの自動駐車場のデモンストレーションを発表した。このシステムは、ドライバーが車両から降りると、車両が自ら駐車場の所定の場所に駐車するように設計されている。

フォードのSUV社であるEscape(エスケープ)のテスト車両に搭載されたシステムが、ボッシュのセンサーと通信して空の駐車場の場所を特定し、その場所に車両を移動させるという仕組みだ。このシステムには、走行経路内の物体や歩行者に車両が反応して反応するようにするセーフガードが内蔵されている。など、この車両間通信プラットフォームは、オリジナル開発または既存ものを改良することをほかのモデルへ展開できる。

ボッシュは数年前から同様のシステムを構築してきた。同社は2017年にダイムラーと提携し、ドイツのシュトゥットガルトにあるメルセデス・ベンツ博物館の自動駐車場システムを構築した実績がある(未訳記事)。2019年にボッシュとダイムラーの両社は、ドイツの規制当局から人間の運転手がハンドルを握ることなく自動運転によって駐車を実行することについて承認を得ている。これによりこのシステムは、日常的な使用のために正式に承認された世界初の完全自動運転のドライバーレスSAE(自動運転)レベル4の駐車機能として認められた。

本日発表されたデモは、デトロイトのコークタウン地区にあるフォードが所有するミシガン・セントラル駅近くの駐車場「Assembly Garage」に設置されたシステムが披露された。高度に制御されたデモンストレーションは9月末まで展示され、定期的なツアーを通じて見学することができる。

今回の提携により、自動化された駐車場システムは最大20%の車両増加に対応し、最終的には充電・給油・洗車などの追加サービスも提供するという。デトロイトのダウンタウンとミシガン州アナーバーの間の40マイル(約65km)は、ミシガン州と提携した自動運転車専用の道路を開発を目指すCavnue(
カヴニュ)が自動運転車専用レーンの建設を計画している。このパートナーシップは、Cavnueと自動車パートナーで構成されており、Cavnueは自律型シャトルやバス、トラックや個人用車両だけでなく、自律型シャトルやバスのために設計された多数の専用道路の建設を想定している。ちなみにCavnueは、ミシガン州とグーグルが出資したSidewalk Infrastructure Partnersの子会社だ。

Cavnueは、フォード、GM(ゼネラル・モーターズ)、Argo AI、Arrival、BMW、ホンダ、トヨタ、TuSimple、Waymo(ウェイモ)などのパートナーとともに、コネクテッドカーや自律走行車をパイロットプロジェクトから米国の高速道路、フリーウェイ、高速道路、高速道路、街中の道路に移動させるために必要な、物理的・デジタルインフラを開発するための標準規格に参加している。

本日披露された自動駐車場は賞賛され、デトロイト市長とミシガン州副知事が、フォード、ボッシュ、ベッドロックの代表者とともにその開発についてを発表した。

ダイムラーとシステムを共同構築してきたボッシュがフォードと提携したことは、この技術への参入コストの低さを物語っている。今回のフォードのデモンストレーションでは、平均価格が約2万5000ドル(約265万円)のコンパクトSUVが使用された。ダイムラーの初期のシステムは、10万ドル(約1060万円)以上するメルセデス・ベンツの車両を使用してたことを考えると破格だ。

フォードの最高技術責任者(CTO)である Ken Washington(ケン・ワシントン)氏によると「この自動駐車場技術が市販車に導入される時期については、まだ発表する準備ができていない:という。同氏は、本日の自動駐車場は同社のロードマップ上にあり、同社は駐車場への駐車が面倒であることを「はっきりと」聞いていると述べた。

画像クレジット:Ford

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(翻訳:TechCrunch Japan)

GMがオール電化のChevy Boltシリーズ2モデルを発表、ハンズフリー・アクティブドライバー支援システムを搭載

GM(ゼネラル・モーターズ)は米国時間8月26日、2つのバージョンのオール電化のChevy Bolt(シボレーボルト)シリーズを発表した。 2017年に電気自動車市場に参入した同社は、Tesla(テスラ)のModel 3から売り上げを奪い取ろうとしている。

フル充電で238マイル(約380km)の航続距離性能を備えた全電気式ハッチバックとして登場したボルトEVだったが、ここ数年はTesla Model 3に後れを取っている。現在GMは、ボルトEVの改良版とクロスオーバー車の改良版を来年夏に発売する準備を進めている。同社によると、どちらの車も2021年夏には生産を開始する予定だ。現在、ショートクリップを含むティーザーサイトが公開されている。

画像クレジット:GM

GMは今春のEVデーに新型のボルトEVとボルトEUVの詳細を発表し、本日同社はプロフィールを見せるためにベールを外したわけだ。

新型ボルトEUVで注目すべき点は、LIDAR用地図データ、高精度GPS、カメラ、レーダーセンサーを組み合わせて使用するGMのハンズフリー・アクティブドライバー支援システムであるSuper Cruise(スーパークルーズ)と、ハンドルの後ろにいる人が注意を払っているかどうかを監視する「ドライバーアテンションシステム」が搭載される点だ。

画像クレジット:GM

スーパークルーズは現在市場に出回っているものの中では最も有能な部類に入ると思われるが、搭載されているのはCadillac(キャデラック)の数車種に限られている。GMが2017年にスーパークルーズを発売した当時は、大型セダン「CT 6」の1車種に限定されていたほか、専用道路のある高速道路での使用に限られてきた。GMはこれを徐々にほかのキャデラック車にも展開しており、いずれはほかのブランドにも拡大するとしている。

画像クレジット:GM/ Photo by Steve Fecht

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(翻訳:TechCrunch Japan)

BlackBerryは中国のスマートカーXpengのOSになる

一時期は先頭を走っていたものの、スマートフォン製造ゲームからずいぶん遠ざかってしまった(未訳記事)BlackBerry(ブラックベリー)だが、カナダの拠点でネット接続機器向けのソフトウェアを提供するための移行に忙しい。その機器の中に、スマートカーがある。現在、同社はその部門を中国に移している。

今週、BlackBerryは中国で最も多くの資金を調達した電気自動車スタートアップのひとつであり、中国におけるTesla(テスラ)のライバルでもあるXpeng(小鹏、シャオペン)のレベル3自動運転ドメインコントローラー開発にソフトウェアを提供することを発表した(BlackBerryリリース)。Xpengのインテリジェントコックピットには、QNXと呼ばれるBlackBerryのオペレーティングシステムが搭載される。これで、自動車メーカーの次世代モデル開発に参入したAndroid(アンドロイド)やLinux(リナックス)に対抗することになる(GlobeNewswire記事)。

BlackBerryとXpengの提携には、Aptiv(アプティブ)のような車載システムを総合的に扱う企業Desay SV Automotive(德賽西威汽車、デゼイエスブイ・オートモーティブ)が仲介に立っている。Desay SVは1986年に創設され、Siemens(シーメンス)を含む中国とドイツのジョイントベンチャーとして輝かしい歴史を持つ。恵州を拠点とする同社は、現在は中国をはじめ世界の自動車業界のティアワンブランドに部品を供給しつつ、OEM機器も提供している。

Xpengのドメインコントローラーのカネールには、NVIDIA(エヌビディア)の自動運転車用Xavier(ゼイビア)コックピットチップが使われているため、Xpengの新型車のソフトウェアとハードウェアのかなりの部分が外国の技術に依存している。

現在注目を集めているXpengの量産モデルは、P7と銘打たれた電気スポーツセダンだ。これには、「車の運転状況」の計算を行い「周囲の環境をリアルタイムでモニターし安全な運転判断を行う360度全方位の感知システムを提供する」処理ユニットが搭載される、と同社は発表の際に伝えている。

「Desay SV Atomotiveは、インテリジェントコックピット、スマートドライビング、ネット接続機器に豊富な経験を有しています。BlackBerry QNXの安全性に関する専門技術を加味することで、私たちはともに、有意義なトランスフォーメーションを推進する自動車業界の多様なニーズに対応できるようになります」と、BlackBerry Technology Solutions(ブラックベリー・テクノロジー・ソリューションズ)の上級副社長兼共同経営者であるJohn Wall(ジョン・ウォール)氏は声明の中で述べている。

「その目標にとって、BlackBerryの技術をXpeng Motorsの革新的な新型P7システムに導入できることは、まさに特権といえます」。

Alibaba(阿里巴巴、アリババ)とXiaomi(小米科技、シャオミ)の支援を受けるXpengは、今回の提携により、ニューヨークでの初の募集で11億ドル(約1170億円)の調達を見込んでいる。Li Auto(理想汽車、リーオート)とNIO(上海蔚来汽車、ニーオ)という中国のライバルも、米国でのIPOで同等の資金を調達している。

関連記事:BlackBerryが5GのAndroid端末として2021年復活、高セキュリティと物理キーボードをウリに無名企業が挑む

カテゴリー:モビリティ

タグ:BlackBerry Xpeng 自動運転 中国

画像クレジット:Xpeng P7 electric sedan

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(翻訳:金井哲夫)

ポルシェが月額27.7万円で911に乗れるサブスクリプションプランを追加、ロサンゼルスにも進出

Porche(ポルシェ)は現在よりも安いサブスクリプションプランを米国の4都市で提供開始する。ドイツの自動車メーカーはさまざまなプライシングで新たな顧客開拓に取り組んでいる。

現在、ポルシェにはプランが3つあり、いずれも新たに再ブランドされたPorche Drive vehicle subscription(自動車サブスクリプション)プログラムとして提供されている。新しいプランであるPorche Drive single vehicle subscriptionは、既存の2つのレベルの間に入る。

最高レベルのPorche Drive Multi-Vehicle Subscriptionでは、利用者は月ごとに違う車種に交換することができる。同プランの料金は月額2100ドル(約22万4000円)または3100ドル(約33万円)で、911のような高性能モデルを利用したいかどうかによる。次がPorche Drive Rentalで、名前の通り短期間のレンタル利用を提供する。レンタルの価格は車種によって変わり、Macan(マカン)が1日245ドル(約2万6000円)、911が週に2415ドル(約25万7000円)だ。

新たな single-vehicle プランは、multi-vehicle planより低価格だが、チープという意味ではない。single-vehicle planはMecanの月額1500ドル(約16万円)からPorche 911の月額2600ドル(約27万7000円)まで幅広い。いずれの場合も、single-vehicle planを3カ月以上利用確定しない限り、595ドル(約6万3000円)のアクティベーションフィーがかかる。

ちなみに、どのプランでもフル電動スポーツカーであるPorche Taycanに乗ることできない。

このミドルクラスとなるsingle-vehicleサブスクリプションプログラムは、アトランタ、ロサンゼルス、フェニックス、サンディエゴの4都市で提供される。このプランを選んだ利用者はポルシェの1車種を9月25日以降に1カ月または3カ月利用できる。他のPorche Driveプログラムと同じく、single-vehicleプランの月間料金には車両、配車、保険およびサービスが含まれる。

従来Passportと呼ばれていたこのサブスクリプションプログラムは 2017年にアトランタで始まった。パイロット期間中の平均サブスクリプション期間は約4カ月だった。期間を延ばした理由で最も多かったのは、旅行計画を延ばしたためだったと同社はいう。当初の目的は、柔軟なプランを提供することでポルシェの新たな顧客ベースを開拓することだった。十分な手応えを感じたポルシェはプログラムをフェニックス、サンディエゴなど他の主要都市へと拡大した。そして現在、ロサンゼルスに進出している。

「もしカリフォルニアが国だったら、世界で5番目に大きい市場だ。2019年夏にPorche Driveをサンディエゴに展開して以来、ロサンゼルスはポルシェのさまざまなスポーツカーやSUVをアプリのタッチで体験できる最適な候補だった。ロサンゼルス住民もロサンゼルスを訪れる人々にとっても、Porche Experience Center Los Angelesに続く新しいポルシェの楽しみ方ができた」とPCNA(ポルシェ・カーズ・ノースアメリカ)のプレジデントでCEOのKlaus Zellmer(クラウス・ゼルマー)氏はいう。

ポルシェは、サブスクリプションが成功していることはデータが示していると強調する。同社によると利用者の80%はポルシェが初めてで、現在のポルシェオーナーやリース利用者より平均年齢が低く、1/3以上が4カ月以上利用している。またポルシェによると、single-vehicleオプションは、車種を交換するより1台に乗り続けたいという一部メンバーの声に基づいて加えられたという。

画像クレジット:Porsche

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

無人飛行ソフトのXwingは短距離の地域型航空貨物輸送を目指す

パイロットを乗せずに、あらゆる飛行状況に対処できる航空機の商用運用を実現するためには、長く、曲がりくねった、規制と技術的な障害に振り回される、莫大な費用のかかる道のりを進まなければならない。自律航空のスタートアップであるXwing(エックスウィング)の創設者Marc Piette(マーク・ピート)氏は、無人飛行への道のりを短縮して費用効率を高めたいと考えている。

自律型のヘリコプターや飛行機を一から作り上げるのではなく、Xwingは既存の飛行機を使って無人飛行を可能にするソフトウェアスタックに注目した。数カ月前に1000万ドル(約10億6000万円)の新たな資金調達を行い、 Cessna(セスナ)208B Grand Caravan(グランド・キャラバン)を使った自律飛行テストを成功させた同社は、このほど市場展開のための詳細を公表した。Xwingによると、2020年7月以降、すでに地上と空でのテストのための70時間以上の「エンジンタイム」を完了させ、40時間以上の自律飛行を行っているという。

昔から貨物輸送、飛行訓練、自動的ミッションに使われてきた多用途機であるCessna 208B Grand Caravanは、同社が計画する商用輸送飛行において最初の運用の要となる機体になる。計画では、500マイル(約800km)以内の、人家のない地域の上空を航路とする局地的な運用に的が絞られている。

Xwingは貨物輸送を予定している。しかしピート氏は、それにこだわることなく、同社の技術を他の目的に使用する企業との提携やライセンシングも視野に入れているという。

Xwingの「Autoflight System」(オートフライトシステム)と呼ばれる技術は、対応する航空機を選ばないようデザインされている。最新の電話インタビューでも、すでにそうだと話していた。Cessna 208B Grand Caravanは、ほんの始まりに過ぎない。

「まだ開発中ですが、安全な航空機であり、私たちにとって無人航空機に改造するにはもってこいのプラットフォームなのです」とピート氏は話す。

既存の機体にオートフライトシステムを後付けすれば、安全を確保しコストを低く抑えながら、短時間で運用が開始できるとピート氏は考える。オートフライトシステムは、航空機本体の飛行制御システムに統合され、航行、離陸、着陸を自動制御する。遠隔操縦士が航空管制官と協力しながら飛行を監視する設計になっていると、Xwingは説明している。

ただし商用運用を開始するには、Xwingは規制当局の認可を受けなければならない。

Xwingが事業を始めるためには、小型プロペラ飛行機による運送業務者に必要とされる「Part 135 Air Carrier」という免許を取得しなければならない。Xwingは現在、この免許をCessna 208B Grand Caravanでの貨物輸送用に更新中だ。さらにXwingは、4000ポンド(約1814kg)以上の貨物積載量を有する無人操縦Cessna 208B Grand Caravanのための飛行証明をFAA(米連邦航空局)から取得しなければならない。FAAと調整を重ねてきた同社だが、1年以上も前からNASAのUnmanned Aircraft Systems(無人航空機システム、US in the NAS)プログラムにも参加している。米国の航空界に無人航空機を参入させるために必要な、まだ確立されていない重要な技術を成熟させることを目的とした取り組みだ。

「この挑戦を短縮しようとは考えていません。規制当局にとっても、まったく新しいものであり、安全面からしても、本来的に大変に難しい課題だからです」とピート氏。「2022年の早い時期に米国で、無人飛行による商用貨物輸送事業が開始できればと期待しています。それが実現可能かどうかを、私たちは見届けなければならないのです」。

関連記事:機種を問わない無人飛行ソフトを開発するスタートアップXwingが10億円超を調達

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(翻訳:金井哲夫)

ギグワーカー向け電動自転車サブスクのZoomoが12億円調達、社名もBolt Bikesから変更

ギグエコノミー業界で働く配達員向けの電動自転車プラットフォームを展開するBolt Bikes(ボルトバイクス)が社名を新たにした。またオーストラリアのClean Energy Finance Corporation(クリーンエナジーファイナンスコーポレーション)がリードするシリーズAラウンドで1100万ドル(約11億7000万円)を調達している。

本ラウンドにはHana Ventures、既存投資家のManiv MobilityとContrarian Venturesが参加し、またOneVenturesとViola Creditからのベンチャー債務が含まれる。

2017年創業のBolt Bikesはオーストラリア・シドニーを拠点とし、現在の社名はZoomo(ズーモ)だ。社名の変更は、ギグエコノミーワーカーを超えて法人クライアントや一般消費者へと拡大した顧客ベースを反映させようという意図だ。Zoomoの共同創業者でCEOのMina Nada(ミナ・ナダ)氏はTechCrunchに対し、似たような名前の他の企業と間違われることがないようにしたかった、と述べた。

「我々が2017年にBoltを立ち上げたとき、この社名はオーストラリアでは問題なかった。しかし海外に進出したとき、少なくともBoltという会社が3社あることがわかった。3社のうち2社はモビリティ業界だった」とナダ氏は説明した。オンデマンド輸送のTaxify(タキシファイ)が2020年5月に社名をBoltに変え、またBolt Mobilityという別の企業もスクーターシェアのサービスを提供している。

オーストラリア、英国、ニューヨークでサービスを展開し、間もなくロサンゼルスでも立ち上げるZoomoは、電動バイクを販売あるいはサブスクリプションで提供している。事業の主体は商業使用向けのサブスクだ。このサブスクには電動自転車、車両管理ソフトウェア、ファイナンシング、サービスが含まれ、サブスク利用者は24時間いつでも自転車を利用できる。バッテリー充電器、スマホホルダー、スマホ用USBポート、U字ロック、安全の手引きも用意されている。

Zoomoはサブスクを提供しているマーケット、つまりシドニー、ニューヨーク、英国にセールスとサービスのセンターを置いている。同社は今回調達した資金をロサンゼルスとブリスベーンへの進出、そしてニューヨーク内での事業拡大に使う計画だ。これはセールスとサービスのセンターを新たに設置することを意味する。

同社の戦略は、直接販売を加速させる一方でサブスクサービスを提供するマーケットをゆっくりと拡大するというものだ。センターを設置するためにサブスクはすばやい展開が制限されている。まとまった資本を要するサブスクサービスをゆっくりと拡大させつつ、同社は法人や個人への自転車販売で売上をのばし、地理的サービス範囲を拡大し、またブランドの認知向上も図っている。

Zoomoはまた、自転車や消費者に適した他のモデルの活用が見込める荷物配達、郵便事業、グローサリー配達といった新たな法人部門の開拓にも資金をあてる計画だ。

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(翻訳:Mizoguchi

LiDARスタートアップのLuminarが約3600億円のSPAC合併で株式公開へ

何年にもわたってステルスで活動してきたあと、2017年4月に自動運転車の市場に華々しくデビュー(未訳記事)したLiDAR(ライダー、光を用いたリモートセンシング技術)スタートアップのLuminar(ルミナー)が、SPAC(特別目的買収企業)のGores Metropoulos(ゴアズ・メトロポウロス)と合併した。買収後の時価評価額は34億ドル(約3600億円)になると発表された。

NASDAQ取引所に上場しているGores Metropoulosは、1980年代後半にAlec Gores(アレック・ゴアーズ)氏が設立した世界的な投資会社であるThe Gores Grou(ザ・ゴアーズ・グループ)の関連会社が支援するSPACだ。

SPACを利用した合併は、Luminarが重要な節目を迎え、ボルボが2022年にLuminarとパーセプション・スタック(知覚システム)を搭載した自動車の生産を開始すると発表してからわずか3カ月後のことだ。Luminarの技術は、高速道路用の自動運転システムを展開するために使用される。

Luminarの創業者でCEOのAustin Russell(オースティン・ラッセル)氏はTechCrunchに対して「いつかは株式公開をしたい」と語っていた。「しかし、ボルボとの取引の勢いと公開市場での関心が同社をSPACルートに導いた」とラッセル氏は語った。

Luminarは今夏、従来のIPOプロセスの代わりにSPACを利用した最新のスタートアップ企業であり、2社目のLiDAR企業でもある。LiDAR企業としては、6月にVelodyne LiDARが市場価値18億ドル(約1900億円)でSPACであるGraf Industrial(グラフ・インダストリアル)と合併するための取引を行った。Canoo(カヌー)、Fisker (フィスカー) 、Lordstown Motors(ローズタウン・モータース)、Nikola(ニコラ)の電気自動車のスタートアップ4社も、ここ数カ月で従来のIPOの道を避け、代わりにSPACとの合併契約を通じて株式を公開することを選択している。

LuminarはAlec Gores、Van Tuyl Companies、Peter Thiel、Volvo Cars Tech Fund、Crescent Cove、Moore Strategic Ventures、GoPro創業者のNick Woodman(ニック・ウッドマン)氏、VectoIQなどの機関投資家と、既存の主要な投資家の大半が参加することで、1億7000万ドル(約180億円)の株式公開投資(PIPE)を調達(Velodyne Lidarプレスリリース)できたと述べている。また、今回の取引には、Gores Metropoulosが保有していた約4億ドル(約423億円)の現金残高も含まれる。

買収が完了した後もLuminarは社名を維持し、Nasdaqにティッカーシンボル「LAZR」で上場する。この取引は2020年の第4四半期に完了する予定とのこと。ラッセル氏は引き続きCEOを務め、Tom Fennimore(トム・フェニモア)氏は引き続きCFOを務める。ゴアーズ氏は取引終了後、Luminarの取締役会に参加する。

ラッセル氏は声明で「この節目は、当社にとってだけでなく、より大きな自動車業界にとっても極めて重要なことです。8年前、私たちは技術的にも商業的にも実現可能な解決策はないと考えられていた問題に取り組みました。私たちは、この問題を解決するためにゼロから技術を構築し、世界の主要な自動車メーカーと直接提携して、その可能性を世界に示してきました。現在Luminarは、テクノロジーと自動車の分野で豊富な経験を持ち、Luminarを原動力とした安全な自律型の未来というビジョンを共有しているGores Metropoulosとの長期的なパートナーシップを通じて、次の飛躍を目指しています」と述べている。

Luminarは2012年にラッセル氏によって設立されたが、2017年春にPeter Thiel(ピーター・ティール)氏らの支援を受けてステルスから姿を現すまで、数年間は秘密裏に運営されていた。現在25歳のラッセル氏は、大学を中退してアイデアを追求する若者に2年間で10万ドル(約1060万円)を与えるThielフェローとしてLuminarの技術に取り組んだ。

LuminarはSPAC合併の発表前に2億5000万ドル(約265億円)を調達。同社は現在、シリコンバレーに350人の従業員を抱え、フロリダ州オーランドの工場のほか、シリコンバレーでも事業を展開している。今後はミシガン州デトロイトにもオフィスを開設する予定だという。

LiDARは、レーザー光を使って距離を測定し、車の周りの世界の高精度な3Dマップを生成する。このセンサーは、自動運転車の商用展開に不可欠と広く考えられている技術だ。自動車メーカーはまた、消費者が利用可能な新しい車のトラックやSUVの高度な運転支援システムの機能と安全性を強化するために使用される重要なセンサーとしてLiDARを認識し始めている。

ボルボは、LiDARを重要と考える自動車メーカーの1社だ。LuminarのIris Lidarセンサーは、TechCrunchが以前「本当に厚いサンドイッチくらいの大きさで、以前のバージョンよりも3分の1ほど小さい」と説明したコンパクトサイズで、2022年からボルボの生産車のルーフに搭載される予定だ。

またLuminarは、米国時間8月24日、現在は解散してしまったサムスンのDRVLINEチームで働いていた16人を雇用したことを発表した。サムスンはかつてDRVLINEプラットフォームを、自動運転車市場向けの「オープンでモジュール化されたスケーラブルなハードウェアおよびソフトウェアベースのプラットフォーム」と表現していた。今年初めにTechCrunchは、サムスンがDRVLINE/Smart Machinesチームを閉鎖したと報じた(未訳記事)。

元DRVLINEチームの採用は、Luminarの戦略にも直結している。ラッセル氏は、ロボタクシーにではなく、近い将来に生産車へLiDARを応用することを考えている。同社はロボタクシーの商業化を目指す企業との協力関係を続けていくが、ラッセル氏はロボタクシーとの提携について「長期的な視点」だと考えている。

「ロボタクシーには長期的に大きな期待が寄せられていると思いますが、市場は2020年代ではなく2030年代に大きく成長すると考えています」とラッセル氏。アクティブ・ドライバー・セーフティ・システムをサポートするために使用されるLiDARは、このビジネスを牽引するボリュームと規模の経済性を提供することになるだろう」とラッセル氏は付け加えた。

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(翻訳:TechCrunch Japan)

自律走行車の開発を後押しするはずの公道試験「評価」、実は逆効果か

著者紹介:

Grace Strickland(グレース・ストリックランド)氏は、自律輸送業界をはじめとする最先端産業界のテック企業の顧問弁護士として6年以上の実績を持つ弁護士。

John McNelis(ジョン・マックネリス)氏は、Fenwick & West(フェンウィック・アンド・ウェスト)の自律輸送および共有モビリティ部門の主席弁護士。専門は知的財産。California Technology Council(カリフォルニア技術評議会)の自律輸送イニシアチブの議長も務める。

毎年、年末が近づくと、自律走行車の開発企業から不満の声が噴出し始める。毎年恒例となっているこの不満の原因は、California Department of Motor Vehicles(カリフォルニア州車両管理局(DMV))がすべての自律走行車(Autonomous Vehicle、以下「AV車」)開発企業に提出を義務づけている「Disengagement Report(自動運転解除レポート)」だ。AV車の試験を行うすべての開発企業は、試験走行中に「Disengagement」した回数、つまり自律走行モードから人間のドライバーによる手動運転に切り替えた回数を、毎年1月1日までに同レポートにまとめて提出しなければならない。

しかし、すべての自動運転解除レポートには1つの共通点がある。それは、「どの提出企業もレポートの有用性に疑問を呈している」という点だ。サンフランシスコのとある自動運転車企業の創業者兼CEOは公の場で、自動運転解除レポートは「AV車の商業展開が可能かどうかを判断するための意味ある判断根拠を提供する、という本来の目的をまったく果たせていない」と発言している。また、自動運転技術を扱う別のスタートアップ企業のCEOも、レポートの測定基準は「的外れ」だと言っている。Waymo(ウェイモ)は、レポートの測定基準は同社の自動運転技術を把握するのに「有効なインサイトを提供するものではなく、自動運転分野の競合他社と性能を比較するものとしては不十分である」とツイートした。

AV車開発企業がカリフォルニア州の自動運転解除レポートにこれほどまで強く異論を唱えるのはなぜなのだろうか。企業によって異なる試験方法を採用しているため、状況説明が十分に行えない同レポートの測定基準は誤った結論を引き出すことにつながる、というのが開発企業の意見だ。筆者の見解では、レポート内で自動運転解除の状況を説明するための表現とその定義について十分な指針が確立されていないことも、報告データから間違った結論が引き出されることにつながると思う。さらに、自動運転解除率という現在の測定基準では、各社が、数字を低く抑えるためにAV車をより無難な状況で試験走行させるようになったり、より多くのインサイトが得られるバーチャル試験よりも実地試験の方を好むようになったりする恐れがある。

自動運転解除レポートの測定基準を理解する

カリフォルニア州の公道でAV車の試験走行を行いたい企業は、AV Testing Permit(AV車走行試験許可)を取得しなければならない。2020年6月22日時点で、同州にはこの試験許可を受けた企業が66社あり、そのうちの36社は2019年にも同州でAV車の走行試験を行ったことを報告している。全66社のうち、乗客を輸送する許可を取得しているのは5社のみだ。

カリフォルニア州の公道でAV車を走らせる許可を取得した企業は、物損、人身被害、死亡に至った車両事故を、発生から10日以内に報告することが義務づけられている。

2020年度はこれまでに24件のAV車両事故が報告されている。ただし、大半が自律走行モード時に発生したとはいえ、ほとんどすべての事故は、AV車が後ろから衝突されて発生したものだ。カリフォルニア州では、追突事故の場合、大抵は後ろから衝突した方のドライバーに非があるとみなされる。

この車両事故データに有用性があることは明らかだ。消費者と規制当局が最も懸念しているのは、自律走行車が歩行者や乗客にとって安全か否か、という点である。もしAV車開発企業が、自律走行モードで車両大破や歩行者または乗客への深刻な人身被害に至った事故を1件でも報告すれば、その影響力は非常に大きく、事故を起こした車両の開発企業(ひいてはAV車業界全体)への風当たりは相当強くなる。

しかし、自動運転解除レポートで報告されるデータの有用性は、これよりはるかに疑わしい。カリフォルニア州車両管理局は、1月1日から始まる暦年中にカリフォルニア州内の公道でAV車の試験走行を行っている最中に自動運転を解除した回数と解除に至った状況の詳細を報告するよう各社に義務づけている。同局はこれを「AV車の試験走行中に自律走行モードが解除された回数(技術的な不具合、または試験走行ドライバー/オペレーターが安全のために手動走行へと切り替えざるを得ない状況が生じたことに起因する解除)」と定義している

AV車のオペレーターはまた、自律走行モードを解除した頻度と、その解除がソフトウェアの不具合、人為的ミス、車両オペレーターの裁量のいずれによるものなのかを追跡する必要もある。

AV開発企業は自社製品に関する測定可能なデータについては厳重に秘密を守っており、公開するのはせいぜい、制御された環境でのデモ走行を撮影した動画の一部とわずかなデータくらいである。不定期に「安全性に関する年次報告書」を発表する企業もあるが、どちらかと言えばAV車の性能をアピールする販促資料のような感じだ。さらに、公道での試験走行に関する報告を開発企業に義務づけている州は他にない。カリフォルニア州の自動運転解除レポートは例外的な存在なのだ。

このように、AV車に関して入手できる情報がほとんどない状況であるため、カリフォルニア州の自動運転解除レポートはしばしばAV車に関する唯一の情報源として扱われてきた。自動運転解除に関するこのデータは良く言っても「不完全」、悪く言えば「誤解を招く」ものだが、世間がAV車の開発の進み具合や相対的パフォーマンスを判断するにはこのデータに頼るしか方法がない、というのが現状だ。

自動運転解除レポートには状況説明が欠如している

自動運転解除レポートのデータには数字の根拠となる状況説明が欠如しているため、AV車業界の発展度合いを判断する尺度として使うには不十分である、というのが大半のAV車開発企業の意見だ。なぜなら、自動運転解除レポートのデータを読み解くには、試験走行を行った場所や走行の目的に関する情報が欠かせないためだ。

人口密度が低く、気候は乾燥していて、交差点もほとんどない地域で走行した距離と、サンフランシスコ、ピッツバーグ、アトランタのような都市部で走行した距離とでは、意味するものがまったく異なる、と言う業界関係者もいる。そのため、このような2つの異なる地理的環境下で走行した結果をまとめた自動運転解除レポートでは、競合企業を互いに比較することはできない。

また、自動運転解除レポートの提出義務が、試験走行の場所と手法に関する開発企業の決定を左右することを認識しておくことも重要だ。たとえ安全でも自動運転の解除が頻繁に必要になる試験走行は敬遠される可能性がある。自動運転解除率が高くなって、商業展開への準備が競合他社よりも遅れているように見えてしまうからだ。実際には、そのような試験走行こそ、商業展開に最適な車両の開発につながる可能性がある。商業展開への準備が進んでいるように見せるために、走行環境を無難なものにして自動運転解除レポートの報告基準を操作している、と競合他社を批判したAV車開発企業もある。

さらに、無難な走行環境と負担の少ない道路状況によって良好なデータを作り上げることができる一方で、AV車用ソフトウェアを改善するための戦略的な試験走行を行うと、非常に見栄えの悪いデータがはじき出される可能性がある。

一例として、米公共ラジオ局NPRのビジネス情報番組「Marketplace(マーケットプレイス)」のレポーターであるJack Stewart(ジャック・スチュワート)氏が紹介するケースについて考えてみよう

「例えば、まったく新しいソフトウェアを開発して本格展開しようとするある企業が、単に本社が近いからという理由で、カリフォルニア州で試験走行を行ったとする。試験の開始直後は特に多数のバグが見つかり、自動運転を何度も解除することになるだろう。しかし、同じ会社が、自動運転解除レポートの提出が不要な他の州、例えばアリゾナ州で試験走行を行えば、商業運転サービスを開始できるかもしれないのだ」とスチュワート氏は言う。

「そのサービスは非常にスムーズに運行するかもしれない。自動運転解除率という狭義の測定基準1つだけで、AV車開発企業が持つ能力の全体像を把握することなど到底できない。カリフォルニア州が数年前に追加情報の収集を開始したのはよいことだとは思うが、それでもまだ、本来の目的を果たすまでには至っていない」と同氏は続けた。

状況説明に使用する用語の定義が確立されていない

自動運転解除レポートが誤解を招く恐れがあるのは、自動運転解除の状況を説明する用語や表現に関する指針が確立されておらず一貫性が欠如しているためでもある。例えば、自動運転解除の理由を説明する際にさまざまな表現が用いられる中、最も多用されているのが「perception discrepancies(認知の不一致)」という言い回しだが、この表現が正確に何を意味するかは不明だ。

物体を正確に認識できなかったことを「認知の不一致」と表現しているオペレーターもいる。しかし、Valeo North America(北米ヴァレオ)は同様の誤作動を「物体の誤検知」と表現している。また、Toyota Research Institute(トヨタ・リサーチ・インスティテュート)は、ほぼすべての解除事例について「セーフティードライバーが予防的に解除した」という、どんな状況における解除にも当てはまる曖昧な表現を用いている。その一方で、Pony.ai(ポニー)は、自動運転解除の各事例について詳細に説明している。

他にも、自動運転解除の理由を「試験を目的とした計画的な解除」、あるいはほとんど意味がないほど抽象的な表現を用いて説明しているAV車開発企業は多い。

例えば、「計画的な解除」は、意図的に作り出した不具合をテストすることを意味していると考えることもできるが、単にソフトウェアが新しくてまだ荒削りであるために解除は想定内だったことを意味している可能性もある。同じように、「認知の不一致」という言い回しも、予防的な解除からソフトウェアの極めて危険な不具合による解除まで、あらゆる状況を意味し得る。解除理由の説明に「計画的な解除」や「認知の不一致」をはじめとする多数の曖昧な表現が使われていることが、競合企業間の比較をほとんど不可能にしている。

そのため、例えば、サンフランシスコを拠点とするAV車開発企業の自動運転解除がすべて予防的なものだったとしても、その理由を説明する表現に関する指針が存在せず、曖昧な表現が多用されているせいで、解除に関する説明が怪しく見えて疑問視されてしまうのが現状だ。

レポート提出義務がバーチャル試験走行の足かせになっている

現在、AV車開発の本質はソフトウェアにある。ハードウェア、ライダーやセンサーなど、AV車を構成する他の物理的な要素は、実質的に既製品で間に合う。本当に試験が必要なのはソフトウェアだ。ご存じのとおり、ソフトウェアのバグを発見するのに最適な方法は、とにかくそのソフトウェアを可能な限り頻繁に実行することである。路上の走行試験だけで、バグをすべて発見できるほど膨大な回数のソフトウェアテストを実行できるわけがない。そこで必要になるのがバーチャル走行試験だ。

しかし、自動運転解除レポートで報告する公道での試験走行距離が短いと、「路上走行の準備ができていない」と判断される可能性があるため、このレポートの提出義務自体が、バーチャル走行試験の足かせとなっている。

先ほども登場した米公共ラジオ局NPR「マーケットプレイス」のスチュワート氏も、同様の見解を述べている

「特に最近は、割りと既製品で間に合う部品もある。数社も回れば、必要なハードウェアが手に入るだろう。鍵はソフトウェアにある。そして、そのソフトウェアがバーチャル試験と実地の公道試験でどれだけの距離を無事故で動作したのか、ということが一番重要だ」とスチュワート氏は語る。

では、AV車開発の競合企業間の比較を行うのに必要な、本当に使えるデータはどこから入手できるのだろうか。ある企業は、3Dシミュレーション環境でエンドツーエンドの走行試験を毎日3万回以上行っている。別の企業は、社内のシミュレーションツールを使ってオフロード走行試験を1日に何百万回も行っており、その試験の中で、歩行者、車線合流、駐車車両などがある道路ではテストできないシナリオを含む運転モデルを動かしている。ウェイモはCarcraft(カークラフト)というシミュレーションシステムで1日あたり2000万マイル(約3200万キロメートル)の試験走行を実施している。同じ距離を実地の公道走行試験で走破するには100年以上かかる。

あるCEOは、バーチャル走行試験1マイル(約1.6キロメートル)から得られる成果は、公道走行試験1000マイル(約1600キロメートル)分に相当すると見積もる。

ウェイモのシミュレーション・自動化部門でプロダクトリードを務めるJonathan Karmel(ジョナサン・カルメル)氏も同様の見解を示し、カークラフトのバーチャル走行試験によって「最も興味深く有用な情報を得られる」と語っている。

今、何をすべきか

自動運転解除レポートに問題があることは明らかだ。同レポートのデータに依存することは危険であり、走行試験についてAV車開発企業に負のインセンティブを与える場合もある。しかし、これらの問題を乗り越えるために、AV車業界が自主的に取り組めることがある。

  1. バーチャル走行試験を重視して、そこに投資する。信頼性の高いバーチャル走行試験システムを開発・運用するには多額の資金がかかるかもしれないが、より複雑で危険度の高い運転シナリオを数多くテストできるようになれば、商業展開へぐっと近づくチャンスが開ける。
  2. バーチャル走行試験から収集できたデータを共有する。バーチャル走行試験の結果データを自主的に共有すれば、世間が自動運転解除レポートに依存する可能性が下がる。AV車開発企業が、開発の進み具合に関して信頼できるデータを一定期間にわたって一般に公表しない限り、商業展開への準備ができているかどうかを議論することは無意味だろう。
  3. 公道走行試験から最大限の成果を引き出す。AV車開発企業はカリフォルニア州での公道走行試験を続けるべきだが、バーチャル走行試験からは得られない成果を獲得することを目指して公道走行試験を行う必要がある。バーチャル走行試験よりも遅い速度で走行するからこそ発見できることがあるはずだ。レポートで報告する自動運転解除率が高くなるのは仕方がない。また、レポートでは、解除した理由や状況について具体的に説明する必要がある。

上記のような取り組みにより、AV車開発企業は、カリフォルニア州の自動運転解除レポートのデータがもたらす苦悩を和らげつつ、AV車が活躍する未来へと、より速く歩を進めることができる。

関連記事:ミシガン州で自動運転車専用道路を建設へ、ホンダやトヨタ、GM、フォードなども協力

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(翻訳:Dragonfly)

ベントレーのSUV「Bentley Bentayga」ファーストインプレッション、乗り心地は素晴らしい

私は新しいBentley Bentayga(ベントレー・ベンテイガ)を24時間借りた。以下は、17万7000ドル(約1880万円、日本国内ではBentayga V8モデルが税別1892万4545円から)のSUV(スポーツ・ユーティリティー・ビークル)の簡単な試乗体験だ。限られた時間だったのでSUVの奥深くに飛び込むことができなかったので、完全なレビューというわけでない。

とにかく常にベンテイガには驚かされる。私は、ベンテイガの乗り心地、性能、クセに、良くも悪くも驚き続けた。

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ベントレーのクーペやセダンとはひと味違う走り

新しいベンテイガは、最近乗った3台目のベントレーだが、他のベントレーとは異なる。乗り心地はしなやかで、ほとんど欠点がない。どんな断層や段差の上でも浮いているように、道の上をバンバンと弾むように流れていく。これはベントレーのセダンであるNew Flying Spur(ニュー・フライング・スパー)や、クーペのContinental GT(コンチネンタルGT)で経験したものとも異なる。

ベンテイガのバネのような乗り心地は非常に弾力性があり、最初の街乗りでは吐き気がするほどだったが、数十マイル走ると乗り心地に慣れてきた。

何時間も車内で過ごした今、その乗り心地のよさには驚かされる。急カーブを曲がると、重いSUVは驚くほどフラットなままだ。コーナーでは期待を裏切るような俊敏な走りを見せてくれる。ツインスクロールV8エンジンとサスペンションは瞬時に立ち上がり、SUVが後足で立ち上がるのを防いでくれる。

乗り心地のよさを追求するために、ベンテイガにはもっと時間をかけて乗りたい。好きか嫌いかはまだわからない。直線道路では想像以上に柔らかい走りを見せてくれる。一方、曲がりくねった道になると乗り心地は驚くほどよくなる。

インフォテインメントシステムは反応速度が気になる

ベントレーの次世代インフォテイメントシステムを搭載した新型ベンテイガ。デザイン的には往年のバージョンと似ているが、操作が少し緩慢に感じた。ボタンをクリックして少し待ってやっと反応する。この点は決して低価格車ではないベンテイガで考えるとちょっと残念に感じた。

ベントレーはフォルクスワーゲン社の一部であり、Audi(アウディ)車と多くのコンポーネントやシステムを共有している。新型ベンテイガに搭載されているシステムは、アウディの最新のインフォテインメントシステムとデザイン言語が似ているが、アウディの実装でこのような遅延を経験したことはない。

反応の鈍さはさておき、インフォテインメントシステム自体はデザイン性が高く、レイアウトもいい。

しかし、ベンテイガのインフォテイメントシステムには、フライングスパーやコンチネンタルGTに搭載されていた、人目を引く機能が欠けている。これらのベントレー車では、画面をダッシュボードの内側に反転させて画面を隠し、3つのアナログメーターを表示させることができるのだ。この価格帯ではほかのどこにもないユニークな機能なのに、ベンテイガにはないのが残念でならない。

後部座席は居心地がいい

ベントレーの銘板とスポーツユーティリティのスタンスに騙されてはいけない。ベンテイガはあくまでもミッドサイズのSUVだ。後部座席エリアは快適だが、大きさや装備は控えめ。サイズ感のある高級ランドヨットではない。

ベンテイガは、豪華な個人的な移動手段というよりは、スポーティな食料品配送車かもしれない。ほとんどのベントレーと同様に、ベンテイガはドライバーのために設計されており、ドライバーのためのSUVといえる。助手席などにも心地いいファブリックとソフトなシートが用意されているが、最高級のアウディやBMWのSUVに比べれば特別なものはほとんどない。

結局のところ、ベンテイガには大人4人とそのクラブを地元のゴルフコースに運ぶのに十分なスペースがあり、それだけで十分なのかもしれない。
画像クレジット:Matt Burns

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(翻訳:TechCrunch Japan)

フォルクスワーゲンが全電動SUV「ID.4」の生産をドイツ・ツヴィッカウ工場で開始

Volkswagen(フォルクスワーゲン)は、米国向けに出荷される初の新IDシリーズ車となる全電動SUV「ID.4」の生産を開始した。

2020年9月に予定されているワールドプレミアに先駆けてドイツのツヴィッカウ工場で8月20日に始まった。同社の全電動IDブランドとして初のモデルで、2025年までに電気自動車を年間100万台販売するという野心的な計画の第1弾となったID.3に続くのがID.4だ。ID.3の生産バージョンは2019年9月に発表され、出荷は2020年9月に始まる。

ID.4はフォルクスワーゲンのフレキシブルなモジュラーシステムであるMEBプラットフォームを採用する2つめの電動自動車でもある。MEBプラットフォームは電気自動車生産のための共通パーツの母体であり、同社は生産が効率的に、そして費用対効果が高くなると説明している。欧州でのみの販売となるハッチバックのID.3がMEBプラットフォームを活用した最初の車だ。

ID.3と異なり、ID.4は中国、欧州、米国で生産・販売される。生産はツヴィッカウ工場で始まっているが、同工場を電気自動車専用に変えるのにフォルクスワーゲンは12億ユーロ(約1497億円)を投資した。2021年までにツヴィッカウ工場は年30万台の電気自動車を生産するようになる。

VW Groupのeモビリティ担当役員であるThomas Ulbrich(トーマス・ウルブリッヒ)氏によると、中国にある2つの工場も2020年にID.4の生産を開始する。テネシー州チャタヌーガの工場でのID.4生産は2022年に始まる予定だ。

関連記事:フォルクスワーゲンが全電動ID.3ハッチバックを6月に販売開始

カテゴリー:モビリティ

タグ:VW 電気自動車 ドイツ

画像クレジット:Volkswagen

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(翻訳:Mizoguchi

Anycaが遊休資産となった法人車両のカーシェア実証実験を開始、参加自治体・地場企業を募集

Anycaが遊休資産となった法人車両のカーシェア実証実験を開始、参加自治体・地場企業を募集

カーシェアサービス「Anyca」(エニカ)提供のDeNA SOMPO Mobilityは8月20日、自家用自動車有償貸渡(レンタカー)事業ではなく、共同使用契約の枠組みを活用し、法人所有車両のカーシェアを可能にする実証実験を開始した。2021年3月まで実施する。また全国から、先進的なカーシェア活用に取り組みたい自治体や地場企業を募集している。

Anycaは、DeNAとSOMPOホールディングスの合弁会社DeNA SOMPO Mobitlityが運営するカーシェアサービス。今回の実証実験は、コロナ禍などで遊休資産となった法人車両を活用したいというニーズや、利用頻度が落ちた車両などをシェアしてクルマの維持費を軽減したいというニーズに応えたものという。

1事業所あたり登録可能台数は3台までなど一定の条件を設けることで、共同使用契約の範囲内で法人がカーシェアを可能とする実証実験としている。またプラットフォーム手数料として、法人オーナーの場合使用料の20%(個人オーナーは使用料の10%)を支払う必要があるほか、設定できる共同使用料の上限金額および下限金額が設けられている。

Anycaが遊休資産となった法人車両のカーシェア実証実験を開始、参加自治体・地場企業を募集

クローズドな実証実験は2019年11月から開始しており、現在では60台以上の法人所有の車両が登録されているという。遊休資産の活用や維持費の軽減を図りつつ、地域住民との関係性を築きたいというニーズが一定数あり登録台数は増えているとした。

また今回の実証実験では、自治体や地場企業が持つクルマを、通常業務で使用していない時間帯に地域住民の生活の足として活用できる取り組みを行うべく、全国から先進的なカーシェア活用に取り組みたい自治体や地場企業を募集。

法人所有の車両におけるカーシェア活用モデル例として、「移住・帰省」モデル、「離島」モデルを提案している。

移住・帰省モデルは、人口が少なく、ビジネスでのレンタカー事業が難しいような地域における維持費軽減を目的としたもの。「共同使用」のため、帰省で帰る人や移住の検討に来ている人など、地域コミュニティの一員の反復利用を想定。地域内クルマをシェアすることで、地域経済にも貢献できるとしている。

離島モデルは、離島部住民の移動コスト軽減とともに、遊休資産の有効活用やシェアリングエコノミーの形成への寄与を狙ったもの。離島部の場合、例えばフェリー代が高価で大きな負担となっている地域や、そもそもフェリーなどが運行されておらず離島・本土間でクルマを運搬できない地域がある。
本土側の住民・企業が島民とクルマをシェアできれば、移動コストの低減や遊休資産の活用につながるとしている。

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「空飛ぶクルマ」eVTOL開発の東大発スタートアップ「テトラ」が米コンペ受賞機「Mk-3」飛行動画を初公開

「空飛ぶクルマ」開発の東大発スタートアップ「テトラ」が米コンペ受賞機「Mk-3」飛行動画を初公開

空飛ぶクルマとも称される、1人乗りeVTOL(垂直離着陸型航空機)開発のテトラ・アビエーションは8月20日、ボーイング後援の個⼈⽤航空機開発コンペ「GoFly」において受賞した機体「Mk-3」の飛行動画をYouTube上で初めて公開。またJAXA(宇宙航空研究開発機構)との共同研究開始を明らかにした。

Mk-3は、2020年2月に米国で開催されたGoFlyでプラット・アンド・ホイットニー・ディスラプター賞を受賞した機体。同賞は大手航空機用エンジンメーカーのプラット・アンド・ホイットニーが選定する、最も⾰新的な機体を開発したディスラプター(破壊的イノベーター)に与えられるもので、賞金10万ドル(約1060万円)を獲得した。

今回公開した動画は、福島ロボットテストフィールドでの飛行動画。Mk-3開発に至るまでのホームセンターで購入した部材のみで作った試作機からハーフサイズ、フルスケールと順に開発していった2年間の経緯も紹介されている。

「空飛ぶクルマ」開発の東大発スタートアップ「テトラ」が米コンペ受賞機「Mk-3」飛行動画を初公開

「空飛ぶクルマ」開発の東大発スタートアップ「テトラ」が米コンペ受賞機「Mk-3」飛行動画を初公開

また、都会の空も飛行する社会受容性の高い航空機とするため、静音性の観点からダクテットファンについてJAXAとの共同研究を行う合意に至ったという。多様な生活様式に寄り添うモビリティを目指して開発を進めていくとしている。

テトラ・アビエーションは、東京⼤学大学院工学系研究科機械工学専攻博士課程に在籍する中井 佑(なかい たすく)氏が東大の支援を得て起業したスタートアップ企業。

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Lucidの新型完全電動セダンは2021年中盤までに自宅への電気が供給可能に

Lucid Motors(ルーシッド・モーターズ)は米国時間8月19日、発売が予定されている完全電動セダンAir(エアー)には急速充電機能が搭載され、20分の充電で300マイル(約480km)走行でき、家庭用充電ユニットでは、車から家に電気を供給できるようになると発表した。

この数値を達成できたのは、リチウムイオンセル、バッテリーおよび熱管理システム、パワートレーン(駆動部分)の効率化を組み合わせた900Vの電力アーキテクチャーのお陰だとLucidは話している。ポルシェ・タイカンと将来発売予定のキアのEVは除き、ほとんどの電気自動車は400Vアーキテクチャーを採用している。

この急速充電には制約がある。ドライバーは、対応する直流急速充電器を探す必要があるのだが、今は数が少ないという点だ。だが充電器の能力は、EVオーナーの期待に大いに応えてくれる。この予測値がEPAの認証を得られた場合の話だが、Lucid Airは、500マイル(約800km)という驚異的な走行距離を実現する予定だ。この急速充電機能によって走行距離という長年つきまとってきた不安が取り除かれ、長距離ドライブも夢ではなくなる。

同社は充電に関連して、このほかにもいくつかの詳細も発表した。そのひとつは、AirがユニバーサルCCS(コンバインド充電システム)の標準コネクターに対応するということだ。そのため公共の充電器が利用できる。この車両の充電レートは最大300kWを超え、19.2kWの車載交流充電器は1時間で80マイル(約128km)の交流充電速度に対応できる。

さらにLucidは、VW Group(フォルクスワーゲン・グループ)の米国での充電ネットワークであるElectrify America(エレクトリファイ・アメリカ)との提携も発表した。Airのオーナーは3年間、Electrify Amercaの充電スタンドを無料で利用できる。このネットワークには、直流急速充電器も配備される。

Lucidはまた、家庭用充電機能もいくつか作ってきた。その中には、Qmert(キューメリット)と提携して、オンライン接続された同社の家庭用充電ステーションを組み込んだものがある。だが、最も興味深いのは、おそらく「車からすべての物へ」という充電機能をAirと家庭の充電ユニットに持たせたことだろう。つまり、自動車同士で双方向で充電しり、Airから家へ電力を送ることができるようになる。Lucidが特に力説していたのは、家への一時的な電力供給を可能にするという点だ。極めてピンポイントの事例だが、裕福なEVオーナーの購買層には人気となるに違いない。LucidがTechCrunchに話したところによれば、この機能は2021年中旬に利用可能になるという。

もうひとつLucidが話していたことに、古いバッテリーを蓄電池として再利用する計画もあった。最初のプロトタイプは、幅広い蓄電製品を開発しているLucidのシリコンバレー本社ですでに使われている。

画像クレジット:Lucid Motors

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(翻訳:金井哲夫)

商用電動トラックの普及を促進するXos Trucksが21億円を調達

商用電気トラックのスタートアップであるXos Trucks(エクソス・トラックス)は2000万ドル(約21億円)を調達した。カリフォルニア州が導入した画期的な排ガス規制にいち早く対応し、新たな潜在需要に応えようと生産を拡大する計画だ。カリフォルニア州のこの法律では、2035年までに州内で販売されるトラックの半数を排ガスゼロの車両にすると定められている。

以前はThor Trucking(ソー・トラッキング)という名で知られていたこのスタートアップが受けた今回の投資は、Metalsa(メタルサ)の持ち株会社の支援を受ける自動車専門のベンチャー投資会社Proeza Venturesと、BUILD Capital Groupからなるグループからのものだ。Xosはこの投資と同時に、数人の新しい取締役を受け入れた。Proeza VenturesのRodolfo Elias Dieck(ロドルフォ・エライアス・ディーク)氏と、元Daimler(ダイムラー)の幹部であり現在はBUILD CapitalのMark Lampert(マーク・ランパート)氏だ。Xosはさらに、CFOとしてKingsley Afemikhe(キングスレー・エイフェメケ)氏を、Tesla(テスラ)の最初の従業員であり科学ディレクターだったRob Ferber(ロブ・ファーバー)氏をCTOに迎え入れて経営陣を強化した。

「私たちは、宅配用の最高クラスの電気自動車を顧客にお届けする事業を、引き続き拡大していくことに闘志を燃やしています」と、Xos Trucksの共同創設者でCEOのDakota Semler,(ダコタ・セムラー)氏はいう。「新型コロナ禍によってeコマースの需要拡大が加速される今、信頼性の高い、安価な、そして持続可能な運送手段を供給することが私たちの目標です」。

今回調達した資金は、事業の拡張とクラス6(おもに密集した都市部の宅配に使われる中型トラック)用にデザインされた電気スケートボードシャシーの生産拡大に使われる。同社のスケートボードシャシーはX-Platform(エックスプラットフォーム)と呼ばれ、さまざまな中型ボディー、ホイールベース、200マイル(約320km)までの走行距離に対応できる。メキシコの自動車部品サプライヤーであるMetalsaは、このシャシーの開発に協力し部品も供給している。

Xos Trucksによると、同社の車両は、UPSが8カ月前からロサンゼルス地区の宅配ルートで運用しているという。Xosの以前からの顧客であるLoomis(ルーミス)は、2019年の試験導入に続き、新たに20台のトラックを発注した。

カテゴリー:モビリティ

タグ:Xos Trucks 電気自動車 資金調達

画像クレジット:Xos Trucks

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(翻訳:金井哲夫)