メンバーの出社、在宅勤務がひと目でわかるハイブリッド型スケジューリングアプリ「Café」

当初2人の兄弟によって創業されたフランスの新しいスタートアップCafé(カフェ)は、リモートとオフィスのハイブリッド就労モデルへの、企業の切り替えを支援する。Caféは、これまでみられたようなデスク予約ツールではない。その代わりに、チームのメンバーがいつオフィスに来るのかを確認して、自分がいつオフィスに行くべきかを計画できるようにしてくれる。

Caféは、作業場所を重視するのではなく、まず人を重視する。共同創業者でCTOのArthur Lorotte de Banes(アスチュー・ルーホー・ド・バネス)氏は「私たちは、ユーザーに直接デスクを予約させないことを決めました」と語る。

アプリを開くと、シンプルなカレンダービューが表示される。それぞれの日ごとに、オフィスに来ている人、自宅で仕事をしている人などのグループごとに分けられたチームメンバーを見ることができる。

数回タップするだけで、他の同僚に自分の予定を伝えることができる。そうすることで、ミーティングの予定を立てたり、直接会って話をしたり、単に出社のタイミングを合わせたりすることが簡単になる。また、同じプロジェクトに取り組んでいる場合、特定の同僚と予定が合う日を見つけやすくなる。

「150社にインタビューをしたのですが、最初の5社にインタビューした時点で、各社が同じ問題を抱えていることがわかりました。みんながスプレッドシートを使っているのです」というのは共同創業者で現CEOのTom Nguyen(トム・ニュイゲン)氏だ。

画像クレジット:Café

Caféのようなツールを使うことで、自分のオフィスについての洞察を得ることもできる。例えば、曜日や日付ごとに、オフィスの平均出勤人数を確認することができる。管理者は、全員に情報を確実に記入してもらえるように、毎週発行するリマインダーを設定することができる。

モバイルアプリとウェブアプリに加えて、Caféは既存のツールとの統合が可能だ。例えば、CaféのアカウントとSlackを連携させることで、SlackでのステータスをCaféでのステータスに反映させることができる。チームメンバーは、他のメンバーの名前にカーソルを合わせことで、相手がオフィスにいるのか、在宅勤務中なのかを知ることができる。

また同社は、PayFit(ペイフィット)などの人事情報システムとの統合も進めており、休暇がCaféと自動的に同期されるようになる。

画像クレジット:Café

各企業が、オフィスへ戻るための計画を立て始めた絶好のタイミングで、Caféは市場に登場した。企業は、それぞれのニーズに合わせてカスタムステータスを作成することができる。例えばあるCaféユーザーはオフィスが開いていることを確実にするために、誰がオフィスの鍵を持っているかがわかるステータスを作成した。

今回同社は、100万ドル(約1億1000万円)のシードラウンドを行った。出資者は122West、Kima Ventures、Jonathan Widawski、Guillaume Lestrade、Jacques-Edouard Sabatier、そしてWeWork(ウィーワーク)、Dropbox(ドロップボックス)、Github(ギットハブ)、Snapchat(スナップチャット)、Intercom(インターコム)、Stripe(ストライプ)、Alan(アラン)、PayFitに勤務する、または勤務した経験のあるさまざまなビジネスエンジェルたちだ。

Typeform(タイプフォーム)、Doodle(ドゥードゥル)、Slido(スライド)と同様に、Caféはフリーミアム戦略を選択している。チームは無料でサインアップし、身近な同僚たちと一緒に製品を使い始めることができる。登録に際してカード情報の入力は不要だ。

ユーザー数を増やして組織全体に展開したい場合には、支払いを始める必要がある。スタートアップは、そうした従業員たちが全社のための製品支持者になってくれると考えている。また、職場の従業員の幸福度向上を目的とした製品には、適切な戦略だと思える。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Caféスケジュール管理オフィスリモートワーク資金調達フランス

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(文:Romain Dillet、翻訳:sako)

3Ⅾのアバター・仮想空間によるクラウドオフィス「RISA」、テレワークで失われた気軽な会話を生む環境を追求

RISAで取材を実施、アバターはイスに座ることもできる

コロナ禍で働き方が見直されている中、テレワークの浸透は大きな課題となっている。内閣府が2020年12月に行った調査によると、全国のテレワーク実施率は21.5%だった。

この中でテレワーク経験者が答えた「テレワークのデメリット」は「社内での気軽な相談・報告が困難」が38.4%で最多となった。「画面を通じた情報のみによるコミュニケーション不足やストレス」は3番目に多く、28.2%に上る。

テレワークでは目的ありきのウェブ会議などが軸となり、ちょっとした雑談を生む機会もなく、働き手の孤独感が増してしまっている。その穴を埋めるのが、クラウドオフィスという新たなワークプレイスだ。

クラウドオフィス「RISA」は、ビジネスシーンで利用可能な3Ⅾのアバター・仮想空間による新たなバーチャルオフィスとなる。大阪に拠点を置くOPSIONが2020年10月からRISAの提供を開始し、現在はコニカミノルタなどの大手企業をはじめ約40社が導入している。この他にも800社ほどからサービス導入へ声がかかっているという。

RISAはインストールする必要はなく、PCからブラウザで起動できる。ブラウザはGoogle Chromeを推奨しているが、Microsoft Edgeにも対応している。また、2022年までにはスマホやタブレットなどのマルチデバイス対応をしていく予定だという。

「3Dならではの臨場感や没入感がRISAの特徴です。社員同士が気軽に集まれる居場所を提供し、テレワークで失われた偶発的なコミュニケーションや、簡単に相談ができる環境を作り上げています」とOPSIONの深野崇代表は語る。今回は実際にRISAでアバターを動かしながら、深野氏に話を聞いた。

RISAでアバターを走らせ、相手に話しかける

さまざまなパーツを組み合わせて自分好みのアバターを作れる

RISAでは自身が立つ四角いタイル内にいるメンバー同士と音声通話で話せるようになっている。遠くにいる誰かに話しかけたいときは、その人が実際にいる部屋などにアバターを走らせ、話しかける。アバターは床をクリックすればその位置に移動できる。キーボードのA、W、S、Dキーや矢印キーでも移動可能だ。

RISAのアバターは髪型や顔、服装など、さまざまなパーツをカスタマイズできる。手足が一部だけしか表現されないアバターは一見すると奇妙だが、実際に動かしてみると違和感はない。深野氏は「細部の動きなど、人は見えていない部分を想像で補うので、想像の範疇でどのような動きをしているのかを最低限わかるところまで削りました。動作を軽くするといった狙いもあります」と説明する。

細かな動きは人の想像力で補う仕組み

テレワークをしていると、相手がいまどのような状況かわからないことも多い。RISAではアバターの頭上に「声かけ可能」「取り込み中」「離籍中」を示すステータスを表示できる。エモート機能もあり、手を振ったり、拍手をしたり、ダンスしたりすることも可能だ。

頭上の白文字が「ひと言メッセージ」。その時や気分や困ったことなどもひと目でわかるようにした

「ただ、これだけではわかりづらいこともあります。そこでいまやっていることなどを『ひと言メッセージ』として、頭上に表示できます。私の場合、今日は『テッククランチさん取材』にしました。相手の状況が分かりづらいリモートワークの欠点を、記号だけでなく文字情報でも補完できるようにしています」と深野氏は語った。

また、ウェブ会議で話し手が一方的に話し続けるといった問題も解決していく。RISAではスタンプ機能を追加し、アバターにクエスチョンマークやハートマークを連続して表示できるようにした。

スタンプ機能でインタラクティブなコミュニケーションを促進

目くばせやうなずきなど、人が何気なく行っていたちょっとしたジェスチャーに寄せた表現ツールだ。「一方通行になりがちなウェブ会議でも、インタラクティブなコミュニケーションができるように工夫しました」と深野氏はいう。

マップ機能も追加して誰がどこにいるかわかるように

RISAによる会議のイメージ

料金体系は1つのRISAの仮想空間上で、1~50人利用で月額税込3万3000円となっている。RISAでは100人ほどが常時接続できるようになっているが、50人以降は10ID毎に月額税込5500円で追加できる。導入企業をみると、部署単位で最大80人が働いている企業もあれば、4人で利用している企業もあるという。

製品版リリースから約6カ月のタイミングとなる2021年4月には、大型アップデートを行った。RISAの部屋配置などを刷新し、これまでよりも音声通話ができる空間を増やしている。

「リアルのオフィスでは、会議前にロビーで少し作戦会議したり、会議終わりに『わからないところがあった』など雑談が生まれたりします。この会議前後の時間はとても大事だと考えています。RISAでも会議を起点にした偶発的なコミュニケーションがより生まれるよう、簡単に空いている部屋へ移動できるレイアウトにしました」と深野氏は語る。

マップ機能で利便性を高めた

また、2Dのマップ機能も追加した。これにより、誰がどこにいるのかカーソルを部屋に合わせればわかるようになった上、誰もいない空間を簡単に探せるようになった。

2Dではなく3D。情報量の多さを重視

エモートの「ヨガ」のポーズ。思わず何をしているのか、尋ねたくなる

クラウドオフィスには2Dのアイコン・空間を用いてサービス展開している企業もいる。OPSIONではなぜ3Dを選んだのか。深野氏はこう語る。

「臨場感や没入感、『ここで働いているんだ』という帰属意識をRISAは重要視しています。2Dのアイコンがあるだけよりも、3Dのアバターは人の形をしているため、直感的に実際に集まって働いているという感覚を高めることができます。また、3Dは情報量が多い分、相手が何をしているといった状況も分かりやすく、声をかけやすいです」。

OPSIONは3Dにこだわり、人に近しい感覚で働ける環境づくりを追及しているのだ。しかしデメリットもある。

「3DではPCの動作が重くなるといったことがあります。ただ、PCそのものの性能が上がっていたり、5Gといった新たなテクノロジーも発展していくはずです。2Dとの差である『動作の重さ』といった不都合は時間とともに無くなるはずです」と深野氏は述べた。

ポイント制度導入で帰属意識をより高める

開発中のポイント制度によって、楽しみながら仕事ができる

OPSIONの業務もRISA上で行われているが、現在は試験的に「ポイントショップ」「ポイントランキング」といったポイント制度を取り入れている。

深野氏は「RISAにおけるユーザーの活用状況に応じて、ポイントを付与する仕組みを実装しようとしています。ポイントを貯めれば、アバターの見た目を変えたり、部屋の椅子などをカスタマイズできるようにします」と構想を語った。

具体的には誰が誰に話したのかといった発話者を特定して、そのコミュニケーション量などに応じてポイントを付与できるようにするという。ポイント制度は早ければ2021年の夏ごろには実装する予定だ。

「ゲーム性を含んだポイント制度には意味があります。楽しんで仕事ができることはもちろん、『最近アバター変わったね』など会話のきっかけ作りにもなります。また、オフィス空間を自分たちで作り上げていけば、より帰属意識も高まっていくはずです」と深野氏は意気込む。

リアルオフィスとテレワークを繋ぐ居場所として発展させていく

深野氏は新型コロナウイルスの影響が収束しても、リアオフィスとテレワークの両方を取り入れたハイブリット的な働き方が主流になるとみる。RISAでもマルチデバイス対応などを行うことで、双方をよりシームレスに行き来できる居場所として、発展させていく考えだ。

「5、10年というスパンでは、リアルオフィスだけでなく、RISAのようなクラウドオフィスを企業が持つことが当たり前になると思っています。我々は家にいても、リアルオフィス以上にコミュニケーションが取れるような世界観を目指していきます」と深野氏は想いを語った。

なお、取材中はCPUがIntel Celeron N4100、メモリが8GB、OSはWindows 10 Home(64bit)のノートPCを使っていたが、アバターは問題なく動き、音声通話も終始クリアに聞こえた。他のタブなどは閉じた状態で、GPUはほぼ100%の使用率となり、CPUは30%前後だった。

実際にRISAを使ってみて、キーボードで動かすPCゲームなどの経験は筆者にはなかったので、アバター移動は多少手間取ってしまった。その点を除けば、取材を1時間ほどしている中で、RISAでアバターを動かしながら話を聞くことに不便さはなかった。回線落ちなど何かしらの不具合はあると思っていたが、杞憂だった。

アバターではあるが、取材中は相手の正面に立とうとするなど、気づけばアバターは「自分化」していた。アバターは多種多様なパーツがあったため、その日の気分によって服装や髪型を変更でき、使い込んでいけばお気に入りの見た目なども出てくるかもしれない。

テレワーク環境で失くした「人と1つの場を共有して働いている」という感覚は、バーチャル空間で実現すると真新しくもあった。RISAが導入されれば、深野氏がいう「偶発的なコミュニケーション」による職場の温かさのようなものが取り戻せるかもしれない。リアルオフィス以上を目指すというOPSIONの動きに、引き続き注目したい。

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カテゴリー:VR / AR / MR
タグ:OPSIONRISAテレワーク仮想オフィスアバター仮想空間日本

よく聞くマルチ商法的なサービスを批判するWest Tenthはアプリで女性の在宅ビジネスえの起業を支援する

シードファンドから150万ドル(約1億6400万円)の資金提供を受けたWest Tenth(ウェストテンス)という新しいデジタルマーケットプレイスは、女性が在宅ビジネスを始め、拡大させていくためのプラットフォームの提供を目的としている。女性は、モバイルアプリを使って、自分のビジネスを地域の人々に宣伝し、アプリに統合されたメッセージングプラットフォームにより問い合わせやリクエストに対応し、アプリの決済機能で取引を完了させることができる。

このスタートアップは、Lyn Johnson(リン・ジョンソン)氏とSara Sparhawk(サラ・スパーホーク)氏により共同で設立された。両氏は、金融機関で働いていたときに出会い、ジョンソン氏は金融業界に残ったが、スパーホーク氏は後にAmazon(アマゾン)に転職した。

ジョンソン氏は、自分の経験から、米国における女性の経済的不平等について理解を深めることができたという。男性が所有する金融資産1ドル(約109円)あたり、女性は32セント(約35円)しか所有していない。その大きな要因となっているのが、女性が育児のために離職し、それに伴い、数年間収入が得られなくなるためだと説明する。

「私たちの社会は、育児のために離職する女性を支援するのは得意だが、復職する女性を支援するのはひどく苦手だ」とジョンソン氏は言い「女性はこのことが分かっていて、当てにならない雇用の代わりに、次々とビジネスを始めている」と話す。

画像クレジット:West Tenth

West Tenthは、こういった起業を奨励することを目的としている。さらに広く言えば、女性たちが家庭で培った多くの才能が、実際にはビジネスになる可能性があることを理解してもらうことも目的としている。

このアプリでは、ホームベーカリーや調理師、フォトグラファー、ホームオーガナイザーやデザイナー、ホームフローリスト、乳幼児睡眠コンサルタント、パーティープランニングやイベントサービス、クラフト教室、フィットネストレーニング、ホームメイドグッズなど、さまざまなビジネスの入口を用意している。

同社は、このアプリが必ずしも男性を閉め出している訳ではないとしているが、子育てのために仕事を辞めるのは女性が多いため、現在の米国のホームビジネス市場は、女性向けになっている。しかし、同社のプラットフォームには男性もいる。

現在、これら起業家の多くはFacebook(フェイスブック)でホームビジネスを展開しているが、地元のグループに積極的に参加したり「いいね!」のリクエストに応えたりしなければ、顧客を獲得する機会を逃すことになる。対してWest Tenthでは、地元のビジネスを1つの場所に集中させることで、発見を容易にしている。

画像クレジット:West Tenth

このアプリでは、顧客は画面上部のボタンを使ってカテゴリー別に地元の店舗を閲覧し、買い物をすることができる。検索結果は提供される商品やサービスの写真、説明、開始価格とともに距離順に表示される。また、アプリのメッセージング機能により、見積もりや詳細情報を直接問い合わせることも可能だ。そして、顧客は、アプリに統合されたStripe(ストライプ)の決済機能を介して購入を完了することができる。West Tenthは、これらの売上に対して9.5%の手数料を取る。

West Tenthのもう1つの重要な側面は、教育部門のThe Foundry(ザ・ファウンドリ)だ。

ビジネスオーナーは、四半期ごとに100ドル(約1万900円)、または年間350ドル(約3万8200円)のサブスクリプション会員になることで、月2回のイベントに参加できる。イベントには、在宅ビジネスを立ち上げるための基礎知識、マーケティング、顧客獲得などに焦点を当てたクラスが含まれている。また、これらのクラスは、セッション単位の支払いとしたい顧客のために、1セッションあたり約30ドル(約3270円)のアラカルトでも提供されている。

さらに、参加者は在宅ビジネス市場での経験を持つゲストスピーカーから話を聞くことができ、同社のマスターマインド・ネットワーキング・グループに参加して会員同士で意見交換をすることもできる。

画像クレジット:West Tenth

教育やネットワーキングとビジネスオーナーシップを組み合わせたこのシステムは、よく見られるMLM(マルチレベルマーケティング、マルチ商法)企業に加入するのではなく、在宅ビジネスの起業家になる女性が増える可能性を秘めている。

「このビジネスを始めた時、MLM企業は、米国における未開拓な巨大人材プールである、離職した女性層に焦点を当てた数少ない産業の1つであることは認識していた」とジョンソン氏は述べ「しかし、MLM業界は非常に搾取的だ。儲かるのは上位1%のディストリビューターだけで、残りの人は損をする。そして、ソーシャルキャピタル(社会関係資本)も失ってしまう。当社は、さまざまな面でMLMに代わる存在になりたいと考えている」と付け加える。

当然のことながら、West TenthのプラットフォームではMLMは許されていない。

画像クレジット:West Tenth

2020年夏にカンザスシティでのTechStars(テックスターズ)のプログラムを終えたこのスタートアップは、今回、プラットフォームを軌道に乗せるためにシードファンドから150万ドル(約1億6400万円)の資金を調達した。今回のラウンドには、主導したBetter Ventures(ベター・ベンチャーズ)に加え、Stand Together Ventures Lab(スタンド・トゥギャザー・ベンチャーズ・ラボ)、Kapital Partners(キャピタル・パートナーズ)、The Community Fund(ザ・コミュニティ・ファンド)、Backstage Capital(バックステージ・キャピタル)、Wedbush Ventures(ウェドブッシュ・ベンチャーズ)、およびGaingels(ゲインジェルズ)が参加している。

West Tenthは、この資金を製品開発とユーザー基盤の拡大に充て、より地域ビジネスに重点を置いた製品機能の拡充を目指している。これには、友人が購入したものを見ることができるといったショッピング支援機能や、動画によるデモンストレーションなどが含まれる。

2019年以降、West Tenthは、アプリに掲載されたわずか20のショップから、現在では主にロサンゼルス郊外とソルトレイクシティにある600以上のショップへとその対象地域を広げている。現在は、フェニックス、ボイシ、北カリフォルニアで展開中だ。

画像クレジット:West Tenth

West Tenthの事業拡大は、女性の従来型の雇用形態を悪化させ続けている新型コロナウイルス感染症危機に遅れて行われた。

学校や保育園の閉鎖と、女性の職に大きな影響を及ぼす雇用の喪失が相まって、これまで男性に比べてより多くの女性が失業に追いやられているMcKinsey(マッキンゼー)によると、パンデミックが始まって以来、労働人口に占める女性の割合は48%しかないにもかかわらず、離職者では約56%を女性が占めている。誰かが名付けた、この新型コロナウイルス感染症による「シーセッション(shecession:女性雇用の不況)」は、有色人種の女性に偏った影響を与えていることも研究で明らかになっている。

「500万人もの女性が職を失っている。解雇や一時解雇を余儀なくされた人もいれば、育児の負担が重くのしかかってきたために離職を選んだ人も数多くいる」とジョンソン氏はいう。

「育児を理由に女性が離職すると、なぜかそれは軽視され、復職がより困難になるという現実がある。そのため、今後1年半から2年の間に、在宅ビジネスを営んで収入を増やそうとする女性たちによる、自宅での経済活動が急増すると思う」と同氏は語った。

West Tenthのアプリは、iOSAndroidの両方で利用できる。

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タグ:West Tenth資金調達リモートワーク女性、MLM

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(文:Sarah Perez、翻訳:Dragonfly)

リモートワークに必要なツールとサポートを提供するFirstbaseが約14億円調達、フィンテックから方向転換

FirstbaseのファウンダーTrey Bastian(トレイ・バスティアン)氏とChris Herd(クリス・ハード)氏(画像クレジット:Firstbase)

将来、 筆者がきちんと頻繁に通勤する可能性はゼロだ。あまりに非効率的である。従業員と雇用主は、リモートワークの問題に関して立場が若干違うものの、新型コロナウイルスのパンデミックは将来にわたり職場環境を揺るがした。新型コロナ以前のノーマルな状態には戻らないだろう。

Firstbase(ファーストベース)は、オフィスに戻らず遠隔地から働き続ける従業員らを支援するために、ソフトウェアとハ​​ードウェアのソリューションを開発して、リモートの従業員に必要なツールとサポートをすばやく提供している。同社は米国時間4月29日、Andreessen Horowitz(アンドリーセンホロウィッツ)がリードする1300万ドル(約14億円)のシリーズAをクローズしたと発表した。B Capital GroupとAlpaca VCもこのラウンドで資本を投入した。TechCrunchがFirstbaseの風を最初に捉えたのは、同社が2020年半ばにAcceleprisのアクセラレーターコホートに参加したときだった。

注目すべきはFirstbaseが、現在特化している製品から始めたわけではないということだ。スタートアップの間では一般的だが、同社もまったく違うものとして生まれた。元々はフィンテック寄りだったが、2018年にリモートワークに関わり始めた。だがそのエクスペリエンスは輝かしいものではなかった、とFirstbaseの共同創業者でCEOのChris Herd(クリス・ハード)氏がTechCrunchに語った。従業員に必要なテクノロジーを提供するのは難しいし、会社を辞めてしまうとそれを取り戻すのも難しいと彼は説明した。

同社はその後、フィンテックへ注ぎ込む資金と時間は少ないままに、リモートスタッフのハードウェアとソフトウェアのニーズをサポートするために開発した社内の技術の一部が幅広い用途を持つ可能性に気づいた。Firstbaseは2019年後半に方向転換し、2020年3月の時点でハード氏はTechCrunchに、同社の順番待ちリストは600社に上ると語った。以来、その数は数倍になった。

同社の製品は二重構造になっている。これは、リモートワーカーが利用するハードウェア資産を企業が追跡・管理するのに役立つソフトウェアサービスだ。また、ハードウェアにソフトウェアをプレインストールしたうえで従業員に渡し、リモートITサポートを提供できるハードウェアサービスでもある。特に、顧客は、FirstbaseのソフトウェアのみをSaaSベースで料金を支払い利用することも、ソフトウェアとハ​​ードウェアの両方を利用することもできる。

Firstbaseの粗利益には2つの源泉がある。ソフトウェア事業はもちろんソフトウェア収入を生み出すが、ハードウェア事業からも粗利益を生み出すことができるとハード氏は説明した。同社のモデルのハードウェア部分は、ソフトウェアコンポーネントに比べ、まだ初期段階にあるように見える。Firstbaseは2020年11月に顧客のオンボーディングを開始したばかりであり、まだ物事を理解する段階にいることが許されている初期のスタートアップだと言える。

TechCrunchはハード氏に、リモートワーカーに必要な機器を提供するのに現在いくらかかるか尋ねた。同氏は、それはさまざまだが2000〜5000ドル(約22〜55万円)の間に落ち着くだろうと述べ、Firstbaseは顧客に対し、そのコストを長期にわたり均等払いで支払うことを可能にする予定だと付け加えた。

会社の今後の見込みは?CEOによると、同社は現在わずか10人の会社で、そのうち3人はパートタイムであり、2021年はスタッフを4〜5倍に増やしたいと考えている。当然、Firstbaseはそのリモートのルーツに立ち返るつもりだ。つまり、単一の地理的地域で従業員を探すことはない。採用予定のスタッフの一部は、ハード氏がインタビューで述べた販売組織に所属する。同社はまた、新しい資本で法人向けのソフトウェア機能を開発し、より大規模な顧客をターゲットにする準備を整える。

FirstbaseがシリーズAでどこまで成長できるのか、そして年末までに投資家から投資をオファーされるのか、注目したい。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:リモートワークFirstbase資金調達

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(文:Alex Wilhelm、翻訳:Nariko MIzoguchi

Kandjiがアップル製デバイス管理プラットフォームの急成長を追い風にシリーズBで64.8億円調達

パンデミック期間中、Apple(アップル)デバイスの導入とアップデートをリモートで行う自動化ソリューションは不可欠となっている。米国時間4月22日、企業のIT部門のためにまさしくそれをやっているスタートアップKandji(カンジ)が、6000万ドル(約64億8000万円)の大型シリーズBラウンドを発表した。

Felicis Venturesがラウンドをリードし、他にSVB Capital、Greycroft、Okta Ventures、およびThe Spruce House Partnershipが参加した。本日のラウンドは、先の2100万ドル(約22億7000万円)のシリーズAからわずか7カ月後のことであり、3回のラウンドで調達した資金総額は8850万ドル(約95億5000万円)に上る、と同社は言っている。

関連記事:モバイル機器管理のKandjiがパンデミック下に成長、シリーズAで22億円を調達

CEOのAdam Pettit(アダム・ペティット)氏は、2020年10月の資金調達以来、会社は飛躍的に成長していると語った。

「これは当初の期待さえもはるかに上回る顧客の増加です。どれだけ速く成長できるか目標を掲げるたびに、それを追い越しています」と彼は言った。成長の理由の1つは、パンデミックによる在宅勤務への急速な変化だと同氏はいう。

「現在、当社は40以上の業界の顧客と仕事をしていて、海外からも顧客が来ているので、今はひたすらリモートワークの支援に専念し、リモート作業者がエレガントな形で仕事をする環境を提供していきます」と彼は言った。

ペティット氏は売上の正確な数値を明らかにすることを拒んだが、シリーズAの発表以来3倍に増えたことは話した。その原動力の一部は、大企業の関心を呼んでいることであり、2021年はもっと多くを顧客に変えることを目指すとペティット氏は語った。

売上を伸ばし、顧客を増やすとともに、新たな従業員も迎え2020年10月以来40名から100名へと増えた。ペティット氏は、同社は多様で包括的なカルチャーを会社で育むことを誓約しており、そのための重要な要素として、多様な候補者の中から採用者を選ぶことを大切にしている。

「結局は、自分にとって重要であり、会社にとって重要である決定を下すこと、それをやってきました。そこから一歩ずつ前進して行き、採用にあたっては多様性のある候補者から選びます」。

これは、採用パートナーに対して、多様な候補者集団を望んでいることを明確に伝えていることを意味している。1つの方法は、リモートを実践し、幅広い人材集団を確保しておくことだ。「私たちの誓約を守るためには、サンディエゴやサンフランシスコの中心市場にこだわるのが非常に難しいことに気づきました。そこで海外へも進出した結果、優れた人材の新たな集団を数多く発掘することができました」と同氏は言った。

たった今ペティット氏は、戻れるようになった時に自社オフィスをどう動かしていくかを真剣に考えている。特に、主要なテックハブ以外に住んでいる一部の社員についてだ。ある程度リモートワークが続くことはわかっているが、難しいのはオフィスに来ない人たちがチームの一員として完全に溶け込めるかどうかだと同氏は話した。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Kandji資金調達Appleリモートワーク

画像クレジット:Bloomberg / Getty Images

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(文:Ron Miller、翻訳:Nob Takahashi / facebook

Open Network Lab第22期デモデーを開催、社内向け動画ツールやCO2削減サービスなど4社が登場

2021年4月20日、デジタルガレージは同社が主催する起業家支援プログラム「Open Network Lab」 の第22期デモデーを開催した。2020年4月に開始したOpen Network Labは2021年で11年目を迎える。2021年3月にOpen Network Labが公開したインフォグラフィックスによると、これまでに投資したスタートアップの累計は132社で、そのうちの5社がM&A、1社がIPOを達成しているそうだ。

第22期となる今期は134社から応募があり、そのうち1次面談と最終面談を通過した5社が採択された。デモデーに登場したの次の4社だ。

社内向け音声・動画プラットフォーム「IMA」

リモートワークで社員同士の会話が減り、会社のミッションや価値観を共有しづらくなった。「IMA」はテキストでは伝えきれない声や表情を音声と動画を通じて発信できるようにすることで、社内のコミュニケーション不足、情報連携不足の解決を目指す。特徴は、Slackなどのツールと連携してすぐに音声や動画を撮影し、同僚や部署に共有できること。インタビュー形式や対談形式での撮影や画面共有機能に加え、動画の自動文字起こし、検索、コメント機能などを備えている。

不動産オーナー向けESG推進支援SaaS「EaSyGo」

国連の調査によると世界の温室効果ガスの約50%が不動産と不動産を起点とした移動、交通から排出されているという。しかし、不動産が排出する85%はテナントの活動が主体であるため、ビルオーナーは残りの15%分しか把握できていない。EaSyGoはビルオーナーがテナントによるCO2排出量の収集・解析の機能を提供することでCO2排出量を可視化し、CO2排出量を削減するためのサービスである。

EaSyGoは今回のデモデーのベストチームアワードとオーディエンスアワードを受賞した。

ウェルビーイングな活動の習慣化をサポートするコミュニティプラットフォーム「nesto」

新型コロナウイルスの影響で、生活習慣の改善に対する意識が高まっている。だが、生活習慣を改善しようと思っても1人では続けるのが難しい。nestoは価値観の合う会員と時間に合わせて、互いにウェルビーイングな習慣ができるようサポートするコミュニティプラットフォームだ。それぞれの活動は「リズム」と呼ばれ、各リズムのホストが中心となって体操や瞑想といった活動やメンバーを集めた対話イベントなどを開催する。nestoは入会金と月会費の30%を得るビジネスモデルを採用している。

「nesto」は今回のデモデーの審査員特別賞を受賞した。

中小企業向けの貿易金融プラットフォーム「Nu-Credits」

80%の貿易取引が融資を活用しているが、中小の輸出入業者の場合は信用情報が足りず、融資を受けられないことが多い。融資する銀行側も、書類の情報漏洩や改ざんリスク、融資判断に必要な情報の不足、複雑な債権回収プロセスといった課題を抱えている。Nu-Creditsは中小の貿易業者向けに、複雑な請求業務を解消するファクタリングサービスやブロックチェーンを用いた与信管理サービスを提供することでこうした問題の解決を目指している。

カテゴリー:イベント情報
タグ:デジタルガレージOpen Network Lab日本IMAリモートワークEaSyGo不動産二酸化炭素nestoウェルビーイングNu-Creditsイベント

画像クレジット:デジタルガレージ

近隣の小売り店舗の回帰など、意外な2021年の米不動産業界のトレンド

パンデミックにより、誰もが予想していたよりも早く、リモートワークやオンデマンドデリバリーが日常的なことになった。世界がパンデミックから抜け出そうとしている今、「場所」は1年前ほど重要ではなくなった。

現代社会は、超高層のオフィスビルや高級マンションが立ち並ぶ洗練された大都市を生み出した。そして今、これらの都市の中心で活躍していた人々は、ポストパンデミックの世界での都市のあり方を考えている。

ここでは取材を元に、不動産のプロパティテクノロジーに注目する10人のトップ投資家がどのように未来を見据えているかを探る。

投資家らは総じて楽観的だ。というのも、本来なら氷河期にあるはずの不動産業界では、不動産テックが将来不可欠なものになると考えているからだ。しかし、少なくともパンデミック以前の戦略を知る者からすれば、オフィス分野は最も見通しが難しいようだ。

投資家らは、リモートワークが将来的に重要な役割を担うと考えており、郊外や比較的小さな都市での住宅需要が引き続き高いと予測している。そして、一戸建て住宅の販売や賃貸などの分野に焦点を当てたフィンテックやSaaS製品を特に高く評価している。多くの投資家は大都市への投資を続けているが、代替住居(敷地を共有する付属住宅ユニット)や気候関連のコンセプトを中核に据えている。

最も意外だったことは、一部の投資家が小売りのリアル店舗に期待していることだ。最新のデータを見れば、それも納得できる。大げさに聞こえるかもしれないが、地方の小規模ビジネスにとっては、より良い時代を迎えているのかもしれない。詳細は後にしよう。

オフィスがより贅沢品となるとき

パンデミックと既存のトレンドが相まって、オフィスの賃借人は「より高級品の消費者に近くなった」と、Bain Capital Ventures(ベインキャピタル・ベンチャーズ)のベンチャーパートナーであり、古くからの不動産テック投資家および不動産事業者であるClelia Warburg Peters(クレリア・ウォーバーグ・ピーターズ)氏はいう。

「1950年代以降、優位な立場にいた」家主は、これからはテナントを第一に考えなければならないと同氏は言い「賢明な家主は、単に物理的なスペースを提供していれば良かったものが、テナントにマルチチャネルのワークエクスペリエンスを提供していかなければならないというプレッシャを感じているだろう」と続ける。

それには、複数のオフィスを行き来する従業員を管理するためのソフトウェアやハードウェアなど、具体的な付加サービスが含まれる。しかし、今日の市場では、新たな姿勢が求められている。同氏は「これらの資産は、テナントのニーズに応えることを重視した、より人間的な関係の中で提供される必要がある」とし「リース期間は必然的に短くなるため、テナントに対してこれまで以上に積極的に売り込み、サポートしていく必要があるだろう」という。

こういったオフィス環境の変化は、郊外では供給側に有利に働く可能性がある。

MetaProp(メタプロップ)のZach Aarons(ザック・アーロンズ)氏は「都市部に本社のある企業は、従業員にスペースを提供しなければならなくなるだろう」と語る(同氏の会社は、この分野に関して非常にポジティブなレポートを発表したばかりだ)。しかし、多くの企業は「時折、従業員が家を出て働く必要が生じたとしても、電車で1時間もかからないよう、郊外に何らかの代替オフィスも提供したいだろう」という。

そして「メタプロップチームの多くのメンバーが前職で行っていたように、今でも(資金提供ではなく)実際に不動産の購入をしていたとしたら、郊外のオフィスの購入を積極的に検討していただろう」と付け加えた。

ほとんどの人が、リモートワークは今後根づいていき、将来的にオフィススペースのあり方に影響を与えると考えている。

Wilshire Lane Partners(ウィルシャー・レーン・パートナーズ)の共同設立者でマネージングディレクターのAdam Demuyakor(アダム・デムヤコール)氏は、概して大都市には強気だが、スタートアップ企業自身がすでに特定の場所から移転しつつあると指摘する。これは重要な先行指標であるとTechCrunchは考えている。

「この1年を振り返って興味深かったのは、パンデミックによって地理的な柔軟性を得たことで、スタートアップ自身がどのように進化し始めたかということだ」と同氏は語り「以前は、スタートアップ(特に不動産関連のスタートアップ)は、顧客や見込みのある資金源、人材の集まる場所の近くに「本社」を置かなければならないというプレッシャーを感じていた。しかし、ここ数カ月でこうした変化が見られるようになった」と述べる。

実際、筆者の元同僚で、現在はInitialized Capital(イニシャライズド・キャピタル)のパートナーであるKim-Mai Cutler(キム-マイ・カトラー)氏は、同社のポートフォリオ企業に対して定期的に行っている最近の調査で、こうした傾向を明らかにしている。パンデミックが始まった頃、創設者が会社を設立したい場所の1位はまだベイエリアだった。今では、リモートファーストが1位になっている。一方、投資先の企業では、リモートファーストか、本社を小さくして遠くにオフィスを置くハブ&スポークモデルのどちらかに移りつつある。何らかのオフィスを維持している企業は、週5日よりも大幅に少ない日数しか使われていないと答え、また、3分の2近くの企業が、勤務地による給与調整は行わないと回答している。

これは小さなサンプルだが「スタートアップは(a)効果的なリモートワークに必要なテクノロジーの活用に長けていることが多く、(b)同時に、人材獲得のための激しい競争にさらされている。そのため、パンデミックが過ぎ去った後、スタートアップの動向を観察することで、『仕事の未来』がどのようなものになるか推測できるだろう」とデムヤコール氏はいう。

一部の(大きな融資を受けている)家主や(大きな予算を持っている)大都市は、オフィスの再配置を早急に進めており、一部の大企業はオフィススペースを増設したり、現在の所在地へのコミットメントを改めて明確にしたりしている。

そういった努力に加え、直にネットワークを築きたいという自然な欲求が、産業クラスターを元に戻し、人々を以前の場所に引き戻すことになるのかもしれない。ともすれば、以前の100%近くまで戻るかもしれない。その場合、それはどういったものになるのだろうか。

RET Ventures(RETベンチャーズ)のパートナー兼マネージングディレクターであるChristopher Yip(クリストファー・イップ)氏は、このようなシナリオでは、パンデミック時のような傾向が持続するだろうという。そして「公衆衛生への配慮に敏感になった人々は、大量輸送機関より自動車や自転車などの単独の交通手段を好んで使うようになり、駐車場関連やバイクシェアリングのテックツールが伸びる可能性がある。また、不動産管理の観点からも、タッチレステクノロジーやセルフリースを可能にするツールに消費者の関心が高まり、密集した環境での生活をより快適に、より健康的にするテクノロジーが増えていくだろう」と同氏は続ける。

もう1つのシナリオとして「多くの仕事が完全なリモートであり続ける場合」を挙げる。

同氏は「理論的には、小売店やオフィスビルは、経済的構造上苦しい状況が続く可能性があり、ある地域の政府関係者からは、オフィスビルを手頃な価格の住宅に転換するという話も出ている」と実情を話し「都市の市場の空室率が高いままであれば、住宅に対する需要が高くない市場でも家主がホテルタイプの滞在から収益を得ることができるAirbnb(エアビーアンドビー)Kasa(カーサ)のような短期賃貸プラットフォームへの需要が高まるだろう」と語る。

Fifth Wall(フィフスウォール)のパートナーであるVik Chawla(ヴィック・チャウラ)氏は、中間的なシナリオを描いている。「大都市はパンデミック後も知識労働者や優秀な人材を惹きつけると思うが、リモートワークが労働経済にとってますます重要な要素となり、オフィスとそれ以外の場所で過ごす時間の中で柔軟性が増すと予想している」。

これはやはり、ある種の長期的な価格の下落を意味する。「都市レベルでは、需要の減少により、パンデミック前の水準に比べて賃料は右肩下がりになるはずだ」と同氏は主張する。「そうは言っても、パンデミックを通して成長を遂げた都市の不動産エコシステムは、イノベーションの時期を迎え、それに伴い、住宅密度、ADU、モジュラービルディング技術の増加が見られるだろう」。

DreamIt Ventures(ドリームイット・ベンチャーズ)で都市開発テック部門のマネージングディレクターを務めるAndrew Ackerman(アンドリュー・アッカーマン)氏も、商業オフィスの価格はそのうち緩やかに下落し、その後、スペース管理に関する複雑な問題が発生すると見ている。

「仕事が平常に戻ることは、オフィスの終焉ではなく、より柔軟なワークアレンジメントをもたらすだろう。しかしそのことで、今後5年から10年で賃貸契約が更新されていく間に、オフィススペースの需要は壊滅的ではないものの、徐々に減少していくことになる。問題は、その後、余ったオフィススペースをどうするかということだ」。

「オフィスを住居へ転換することはなかなか厄介だ」と同氏は言い「レイアウトが一番の制約だ。最近のオフィスの多くは、窓がなく内部に深い空間を持っており、再利用することを難しくしている。たとえ、狭いレイアウトであっても、構造的な要素が住居には適さない場所にあることが多い。水道管やガス管を適切な場所へ移すために、建物のコンクリートに何千もの穴を開けるのは大変な作業だ」と説明する。

これは、まだ価値のある物件の新しいタイプの利用法につながりそうか、と問うと「共同生活やマイクロユニットがより魅力的な転用方法かどうかというのは、今調査している分野の1つだ。オフィスの休憩室やビル内側の大部屋を、共有のキッチンやダイニングエリア、そしてレクリエーションや仕事のためのフレックススペースに変えれば、多額の費用をかけて改装しなくても、ビル内部の深いスペースを再利用できるかもしれない。また、配管のルートをあまり変更する必要がないのであれば、時間とともに変動するオフィスや住居スペースに対する市場の需要に応じて、個々のフロアを転換することも(さらには元に戻すことも)可能かもしれない」と同氏は答えた。

投資家10人全員が、オフィス自体に対する見通しが強気か弱気かは別にして、(当然のことながら)不動産テックは次の時代の大都市の中核をなすものだと考えている。

住宅の新たな均衡

パンデミックの間、ほとんどの場所で住宅の供給は大幅に制限され、購入を希望する人が増え、売却を希望する人は減った。今まで注目を集めていた都市で、賃貸価格が大きく下落していることとは裏腹だ。

住宅問題とそのソリューションの1つとして共同生活に注目しているウィルシャー・レーンのデムヤコール氏は「パンデミックにもかかわらず、ミレニアル世代やZ世代にとって、現在の賃金水準では、物件の価格が最も高い都市(ニューヨーク、サンフランシスコ、ロサンゼルスなど)は依然として高嶺の花だ」という。そして「そのため、大都市での生活のコスト負担を軽減するための物件やソリューションに対する需要は、今後も継続すると考えている。例えば、その中核として、共同生活は経済的に1つの判断となるだろう。住みたい場所に住むことをより容易にするソリューション(ADUもその一例だ)は、今後も発展していくだろう」と続ける。

Camber Creek(キャンバー・クリーク)のマネージングディレクター兼ゼネラルパートナーであるCasey Berman(ケイシー・バーマン)氏は「都市がより充実した生活、仕事、遊びを求める人々を惹きつけ続けるのは、そういった体験を実現する住宅密度と機会を提供しているからだ。このような事実がある限り、その欲求を満たす都市空間と不動産に対する新たな需要が生まれるだろう」と主張する。

また同氏は、密度の高い生活をより安全に、より便利にする製品やサービスに投資しており「そのためのソリューションがますます普及していくことを期待している。Flex(フレックス)は、オンラインによる分割払いでテナントの賃料の管理と支払いを容易にし、それに伴い、家主にとっては期日通りに支払いを受ける可能性が高まる。Latch(ラッチ)の入退室管理システムは、新築の集合住宅の10棟に1棟の割合で導入されている。また、この1年で多くの人がペットを購入した。PetScreening(ペットスクリーニング)は、ペットが介助動物や支援動物の場合、ペットの記録の管理と確認を容易にする」と述べる。

Picus Capital(ピカス・キャピタル)のパートナーであるRobin Godenrath(ロビン・ゴーデンラス)氏とJulian Roeoes(ジュリアン・ルーエス)氏は、おおむねこの視点を共有しており、都市での新しい生活スタイルが、人々の暮らし方により根本的な変化をもたらす可能性があると述べている。

「柔軟な生活ソリューションにより、リモートワーカーは短期か長期かにかかわらず、都市生活のために完全に管理された手頃な価格の安全な賃貸オプションを使って、さまざまな都市で時間を過ごすことができる」と両氏はいう。そして「一方で、商業施設から住宅への転換は、単位面積あたりの価格を下げる効果があり、長期的に戻ってくる居住者がよりゆとりのある空間を購入できるようになる。共同生活は集合住宅を高密度化するが、リモートワークへの移行が進むことによる仕事での社会的交流の希薄化を考慮すると、私生活におけるコミュニティの重要性が増すため、今後も興味深い分野だと考えている」と述べる。

しかし、現代の不動産テックは、長期的には郊外やその他の地域も魅力的にしていると多くの人がいう。生活の役に立つすばらしい新技術は、あらゆる場所に導入することができる。

不動産テックは、新たな郊外ブームの火付け役にもなっている。「都市部への回帰の傾向が続いており、郊外型の生活への需要が高まっている」と両氏はいう。「不動産テック企業は、特に住宅の売買や賃貸の取引プロセスをデジタル化することで、このシフトを可能にする重要な役割を果たしている(iBuyer、代替融資モデル、テクノロジー対応仲介業者など)。さらに、不動産テック企業は、遠隔鑑定、3D / VR映像、デジタルコミュニケーションなどにより、物理的なやり取りの低減にも関与しており、パンデミックの間も住宅の購入者と販売者の効率的かつ安全な取引に大きく貢献している」。

最終的には、都市部の価格帯をより手頃にするテクノロジーが、郊外でも同様に役立つだろう。「当社は、住宅売買プロセスのデジタル化が加速していることに加え、郊外型住宅への需要が大幅に増加していることや、買い手のプロファイル(テクノロジーに精通したミレニアル世代など)が進化していることから、建設、交通の便、ライフスタイルなどの面で、不動産テックが郊外の生活に大きな影響を与える多くの機会が広がっていると確信している。これには、賃貸専用住宅の建設、モジュール型住宅の建設、低価格住宅、コミュニティの構築、デジタルアメニティなどに注力する企業が含まれる」と両氏は述べる。

インタビューを行った投資家の多くは、一戸建ての賃貸市場のトレンドを重視していた。再びRETのクリストファー・イップ氏の見解に戻る。

同氏は「過去10年間注目されなかったトレンドの1つに、一戸建て賃貸(Single-Family Rental、SFR)市場の成長がある」とし「多くの大手投資家がこのアセットクラスに参入している。SFR市場は都市部からの移住の恩恵を受けることができ、SFRを支えるテクノロジーは業界全体にポジティブな波及効果をもたらすだろう」という。

また「SFRの物件は、効率的かつ大規模に運営することが特に難しい。多世帯住宅と比較して、多種多様なレイアウトのユニットがあり、地理的にも分散している」と同氏は説明する。そして「テクノロジーによって、SFRの運営者はオペレーションとメンテナンスを合理化できるようになった。SmartRent(スマートレント)のようなスマートホームツールを使えば、分散した物件をリモートで監視し管理することができる。当社はこの分野を有望視しており、この市場で効果を上げる不動産テックツールに注目している」と述べる。

ドリームイットのアンドリュー・アッカーマン氏も同意見だ。「一戸建て市場は軽んじられてきたが、ここしばらく、資産と不動産テックの両方の観点から、徐々に関心を集め始めている。例えば、パンデミック前には、NestEgg(ネストエッグ)Abode(アバウド)など、この業界のエコシステムにサービスを提供するスタートアップに投資していた。新型コロナウイルス感染症はこれらのスタートアップにとって良い方に働き、概して一戸建て住宅の物件が注目を集めた」と同氏はいう。

Urban.us(アーバン・ユーエス)の共同設立者であるStonly Baptiste(ストンリー・バティスト)氏とShaun Abrahamson(シャーン・エイブラハムソン)氏は、共同生活や短期賃貸などの選択肢により人々が新しいライフスタイルを見つけることができ、地理的な自由度が増した世界が広がっていると考えている。「共同生活はコスト面だけでなく、コミュニティとのつながりという見過ごされてきた重要な問題を解決してくれるので、Starcity(スターシティ)のようなポートフォリオ企業は非常に成長している。また、ノマド的なライフスタイルが生まれる余地もある。マイアミについて話されることの多くは、移住についてだが、多くの場所にとって関心の高い問題は、人々が1年のうち何カ月をそこで過ごすかということだろう。つまり、リモートワーカーから見れば、例えばマウンテンバイク、サーフィン、スノーボードなど、特定のアクティビティにアクセスしやすい場所になるかもしれない。スターシティは都市間の移動を容易にし、Kibbo(キボ)はバンライフを中心としたコミュニティを構築することで、都市を超越したサービスを提供している」と両氏は語る。

ベインキャピタル・ベンチャーズのクレリア・ウォーバーグ・ピーターズ氏は、こういった変化が郊外不動産市場に与える影響を次のようにまとめている。

「住宅取引の混乱は、現在、iBuyers(インスタントバイヤー、売主から直接住宅を購入し、最終的には売主として物件を再販する)、ネオブローカー(一般的にエージェントを雇用し、権原ローンや権原保険などの二次サービスを利用して収益を上げる)、エリートエージェントツール(トップエージェントに焦点を当てたプラットフォームやツール)の3つのコアカテゴリーに落ち着いている」。

こういったイノベーションの組み合わせは、今までの住宅用不動産を変えつつある。「消費者は、ホームエクイティーベースの融資モデル(自宅を株式化して販売したり、自宅の完全な所有権を時間をかけて購入したりする)など、代替的な金融手段の活用にますます積極的になっている。このような新しいモデルの成長と普及により、住宅市場全体が統合され、仲介業者の販売手数料や、住宅ローン、権原保険、住宅保険の販売による手数料が、機能的に1つの大きな、そして絡み合った複雑な市場となっている」と同氏は語る。

近隣の小売店の驚くべき復活

人は、にぎやかで歩きやすい地元の店が並ぶ昔ながらのメインストリートのような雰囲気が好きなようだ。しかし、独立した小売店をやりくりしようとしている人々には難しい状況が続いている。

Amazon(アマゾン)をはじめとする90年代に登場した「Eテイラー(電子小売業者)」などの電子商取引は、薄利の従来型小売業に打撃を与えた。さらに最近では、アートギャラリーや高級レストラン、ブティックなどが多くの都市でジェントリフィケーション(富裕化)の前兆となっている。そういった場所ではより高い賃料を払える借り手が増えたため、小売業店舗の家主が積極的に賃料を値上げし、結果的に一等地では家賃が払えない店舗が続出することになった。

パンデミックの影響で地元の店が閉まっている間に、得意客さえもオンラインで注文するようになり、決定打となったようだ。

しかし、複数の投資家が妙に楽観的な見方をしている。パンデミックは1年以上にわたって社会・経済活動に大混乱をもたらしたが、ほとんどの人が、実生活において小売店の存在は現代生活に欠かせないものだと認めている。

「人間は基本的に社会的な動物であり、安全に人と会えるようになれば、誰もが直接対面での交流を求めるようになると考えている。さらに、週5日のオフィスワークからの解放は、自宅でも規律正しいオフィス環境でもない、『第3の空間』への欲求を高めることになるだろう」とピーターズ氏はいう。

「商品を販売することよりも、顧客が実際に商品を手に取りウェブサイト以上にブランドコンセプトを体感できる環境を整えることに重点を置く、『Apple Store』のような小売店が今後も増えていくだろう。パンデミックが終わる頃には小売店の賃料が大幅に下がっていると予想されるため、新型コロナウイルス感染症以前よりもさらに実験的な試みが行われると考えられる。小売業にとっては非常に興味深い時代になるだろう」。

小売関連のテクノロジーを専門に投資しているか、第3の空間のアイデアに広く投資しているかにかかわらず、他にも、複数の投資家がこの視点で見解を述べている。

「小売業が10年以上前から変化しているのは事実だ。eコマースで普通に買えるものは、書籍や衣料品だったものが今では惣菜や食料品にまで拡大している。また、パンデミックがeコマースの成長を加速させ、リアル店舗の小売業が損失を被っているのも事実だ」とRETのイップ氏はいう。そして「しかし、人はやはり人間であり、直接会って交流することを求めている。たとえ都市の完全な立ち直りまで時間がかかっても、大都市にはかなりの数の小売店を支える客足があり、ポップアップショップのような革新的なモデルを導入することで、空き店舗の問題に対処できるだろう。また、大衆市場では、小売業に対する信頼がまだあることも留意する必要がある。主要なREITは2020年初頭から半ばにかけて苦戦したものの、多くは大幅に回復しており、いくつかは実際にパンデミック前の数値を上回っている。小売業にとってはひどい10年であり、この1年は最悪の年だったが、このセクターの幕を引くにはまだ早すぎる」と述べる。

ピカスのゴーデンラス氏とルーエス氏によると、映画館は、パンデミック後に一般市民の生活が一斉に再開された場合の成功を待ち構える小売セクターの一例に過ぎないとのことだ。

「ショッピングセンターの目玉テナントである映画館は、予約席、4DX映像、劇場内のレストラン、カフェ、バーなど、より総合的な体験型ソリューションの提供により、すでに従来型の営業スタイルを刷新しており、さらにパンデミックをきっかけに、プライベートシアターのレンタルやイベントなどのサービスを拡大している。こうした傾向は、レストラン(実体験のように感じる料理エクスペリエンス)から伝統的な小売業(オンラインとオフラインを統合したショッピングエクスペリエンス)まで、小売不動産業界全体に拡大していくだろうと見ている。また、小売不動産オーナーが見込みのあるテナントを特定して物件を売り込んだり、小売業者が店舗内での顧客エンゲージメントを促進し、カスタマージャーニーに関する重要なインサイトを得たりする時にも、不動産テックが決定的な役割を果たすと考えている」。

意外なことに、最近ではインターネットも味方になっている。「また、オンラインとオフラインの体験を巧みに融合したハイブリッドモデルにも大きな可能性があると考えている」と両氏はいう。「フィットネス分野を例にとると、スタジオでのコースを配信してより多くの参加者を募ったり、スタジオでのレッスンや自宅でのワークアウトを通じてトレーニングや健康状態の推移をアプリでトラッキングしたりするという新しいスタイルが考えられる」。

インタビューで投資家から聞いたものではないが、小売業の未来を信じる理由は他にもいくつかある。

また、小売業が、投資家が出資している他の多くのソリューション、特に都市の魅力を高め、気候変動などのマクロな問題を解決するためのソリューションとどのように関わっているかもわかるだろう。

バティスト氏とエイブラハムソン氏は「都市には活用されていない多くの資産があるが、最大のものは自動車に割り当てられている公共スペースだろう」とし「永続的に変っていくだろうと思われることは、駐車スペースを自家用車からマイクロモビリティ(自転車、スクーター、キックボード用のレーンや駐輪場など)に再配分することだ。Coord(コード、スマートゾーンという技術を使い商用車などの縁石スペース利用を管理)、Qucit(キューシット、多くの大都市で自転車やスクーターのシェア事業を管理)、Oonee(ウーニー、安全な自転車、スクーター、ボード用の駐車場)などのポートフォリオ企業に多くの需要があると考えている」と述べる。

これは、両氏が予見する好循環の始まりに過ぎない。

「(自動車の排除)が起こると、物流のようなユースケースはマイクロEVにシフトできる。同様に、パークレット(車道の一部を転用して人のための空間を生み出す取り組み)やシーティングエリアによって公共のスペースが増える。EUでは自動車使用の禁止を推進しているが、全体的に道路で自動車の往来が減れば、大きな変化が起きるだろう。確かに個人の生活の空間を明け渡すことになるが、共有スペースや社会的なスペースが増え、都市を魅力的なものにする可能性がある。こうしたことにより、共同生活が促進され、都市で生活するためのコストを下げることができるとともに、低密度のコミュニティでは比較にならないほど共有スペースから多くのものを得ることができる」と両氏は話す。

ウィルシャー・レーンのデムヤコール氏も同様の見方をしている。

同氏は「当社の全体的な戦略を立てる上での原則の1つは、常にスペースの活用に焦点を当て、有効に活用されていないスペースを、テクノロジーによって収益化する最良の方法を見つけ出すことだ。このことは、StufNeighbor(スタッフ、ネイバー、地下室、駐車場、その他の空きスペースの収益化)MealCo(ミールコ、空きキッチンの収益化)WorkChew(ワークチュウ、レストランのシーティングエリア、ホテルのロビー、会議室の収益化)Saltbox(ソルトボックス、空き倉庫の収益化)など、当社の直近の投資案件の多くに明確に表れている。家主は、このようなタイプの戦略を適切に利用すれば、今日の不動産業界で見られる空室の増加を中期的に緩和できる」と述べる。

この主張が正しければ、小売業は、より共有スペースのような存在になるかもしれない。「特に、先に資金調達を発表したばかりのワークチュウの製品は、需要側と供給側の両方で多くの需要がある。ホテルやレストランは、あまり利用されていないスペースやインフラを収益化するために、同社との提携に対する関心は極めて高い」とデムヤコール氏は述べる。そして「もちろん、雇用主や企業は、本社のオフィス以外で過ごす時間を増やしたいと考えているハイブリッドな従業員に提供できる簡単なアメニティとして、この共有スペースに満足している」と付け加える。

インタビューした投資家らから明確に聞いたわけではないが、小売業の将来を信じる理由がいくつかある。

  • まず、経済学者や政策立案者さえも驚くほど、パンデミックの間に何百万もの新しいビジネスが生まれている。その大部分は、非常に地域に根ざしたもので、食品の宅配(カップケーキ)やサービス(出張ヘアカット)、地域で強い支持を得ているインターネットファーストの製品(Etsyの多く)などが挙げられる。これらの起業家らは、インターネットで事業を始め、商業施設の賃料が下がった今、実店舗を構えるに十分な収益を上げている。
  • 第2に、新型コロナウイルス感染症の期間を耐え抜いた地元企業の多くは、インターネットで成功する方法を見つけ出した。近隣でどの企業が嵐を乗り切っているかは、好みのオンデマンドデリバリーやサービスのアプリを開いて注文すればわかる。
  • 第3に、投資家の回答や入手可能なデータが示すように、家主はすでに賃料を下げ始めており、数十年ぶりに借り手市場が形成されている。
  • 第4に、従来のビジネスでも新しいタイプの資金調達が可能となり、オンラインでの副業や趣味(あるいはより大規模なプロジェクト)で成功を収めている企業は、拡大のための資金を得ることができるようになる。(この理由はおそらくかなり推測的なものだが、著者らは、ここTechCrunchで未来を見極めようとしている)。例えば、Shopify(ショッピファイ)は、新しい「定期収入を取引するためのプラットフォーム」のcom(パイプ・ドット・コム)に資金提供をしたばかりだ。両社はこの関係について今は多くを語っていないが、ショッピファイで成功している多くの小規模ビジネスが、リアル店舗の採算の目処が立ったときに速やかに新しい種類の資本注入を受けることの想像はできる。

こういったすべてのことを、都市の密度や自転車レーンの設置による気候変動への配慮など、都市に対する考え方の他の広範な変化も含めて考慮すると、パンデミック以前の世界というよりも、ニューアーバニストの空想といわれそうな世界が見えてくる。

同時に、これらのコンセプトは小規模な都市、郊外、そして町にも展開されている。産業クラスターの古いネットワーク効果が奇跡的な復活を遂げない限り、すべての都市が最高の生活の質を提供するために競争することになる。

仮に、産業クラスターがかつてのように集結しないとしよう。そうすると、多くの家主や金融業者、市の予算はすぐに支出を削減せざるを得なくなり、魅力的な都市の経済の足を引っ張ることになるかもしれない。

そのような場合でも、ニューヨークやサンフランシスコのように、住宅や小売店、アメニティを中心に据える都市が再生することは想像に難くない。もしかしたらいつの日かこの数十年を、パンデミックで全世界が底を打ち長期的に正しい答えを決める必要が生じる前の古き悪し時代だったと振り返る日が来るかもしれない。

ということで、読者には、著者がインタビューした投資家らの回答全文を紹介したい。各投資家の回答は、このすでに十分に長い記事より更に濃い内容であり、詳細を読む価値はある。このような変化に関する継続的な記事の支援のため、Extra Crunchを購読して欲しい。

不動産テックと都市の未来については、近々さらに掘り下げる予定だ。この件について他に考えがあればeldon@techcrunch.comにメールして欲しい。

カテゴリー:VC / エンジェル
タグ:新型コロナウイルス不動産リモートワーク住宅アメリカeコマース店舗小売

画像クレジット:Boston Globe / Getty Images

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(文:Eric Eldon、翻訳:Dragonfly)

労働時間を記録しチームメンバーで共有可能な時間管理SaaS「TimeCrowd」が2550万円調達

労働時間を記録しチームメンバーで共有可能な時間管理SaaS「TimeCrowd」が2550万円調達

労働時間を記録しチームメンバーで共有可能な時間管理SaaS「TimeCrowd」(タイムクラウド)を提供するタイムクラウドは4月14日、J-KISS型新株予約権の発行による2550万円の資金調達を発表した。引受先は、ライフタイムベンチャーズ、インキュベイトファンド、個人投資家。調達した資金は、開発費・採用費に充当する予定。

労働時間を記録しチームメンバーで共有可能な時間管理SaaS「TimeCrowd」が2550万円調達

TimeCrowdは、労働時間を記録してチームメンバーに共有することで、チーム全体の生産性を高めるためのリモートワーク対応時間管理ツール。タスクごとにかかった時間をウェブ上で簡単に記録でき、チームの「誰が」「何を」しているかをリアルタイムで把握できる。また、レポート機能・CSVダウンロード機能により時間の見える化を行い、業務効率の改善などに役立てられるとしている。

労働時間を記録しチームメンバーで共有可能な時間管理SaaS「TimeCrowd」が2550万円調達

TimeCrowdの主な機能

  • 作業時間を簡単に記録できる:任意のカテゴリーを選んでタスク名を入れるだけで、作業(タスク)ごとの時間を記録可能。ウェブブラウザー「Chrome」の拡張機能を使えばSalesforce、kintone、Chatwork、Trelloなど、あらゆるクラウドツールのデータを使って文字入力不要で打刻できる
  • リアルタイムでチームメンバーの動きがわかる:リアルタイムで打刻中のメンバーを確認できる。チームメンバーの「誰が」「何を」しているのかがリアルタイムで把握でき、効率よくコミュニケーションを取れる
  • レポート機能やエクスポート機能で時間を見える化:レポート機能やエクスポート機能によって、記録した時間を見える化可能。何に時間を使っているのかを把握することで、業務改善に役立てられる

2020年から続くコロナ禍により、働き方が変化するとともに、リモートワークが常態化し、社内コミュニケーションはオンラインが中心となっている。対面での活動が中心び営業やマーケティング、コーポレート部門も例外ではなく、オンラインの活用が必須という状況にある。

TimeCrowdによると、リモートワークで働く方は「誰が何をしているか分からない」「いま電話を回していいか分からない」といった、リアルタイムでの仕事状況がわからないといった悩みを抱えているという。またマネジメント層も、メンバーが「チーム全体の生産性が見える化できない」といった管理上の課題を抱えているそうだ。

そのような中TimeCrowdは、利用者がストレスなく業務時間を記録・共有するツールとして「TimeCrowd」を提供し、チームの生産性向上を支援するとしている。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:新型コロナウイルス(用語)資金調達(用語)TimeCrowd(企業・サービス)リモートワーク / テレワーク(用語)日本(国・地域)

クラウドを使わずドキュメント共同編集機能を実現するP2Pソフトウェア「Collabio」

クラウドレスでの共同編集を可能にするオフィススイートアプリCollabio Spacesをご紹介したい。データや変更履歴の管理を確実に行いながら、ドキュメントの共同編集を可能にするというものだ。

モバイルデバイスやデスクトップコンピューターから、複数人がローカルネットワークで共同編集できるようになるというこのP2Pソフトウェア。Googleドキュメントのような共有文書機能を使用している場合には必ずつきまとう、機密情報をクラウドにアップロードする際のリスクや、複数人にドキュメントをメール送信し、編集済みファイルが返信された後に手作業で変更点を照合する、などという面倒な作業をこのソフトウェアが解決してくれるようだ。

Collabioの機能は今後さらに強化されていくという。将来的には、ローカルネットワークだけでなくどこからでもドキュメントの共同作業ができるようになる。2021年4月に予定されているメジャーリリースでは、インターネットを介して動作するP2Pコラボレーションが追加される予定だが、それもリモートサーバーを介すことによるプライバシーリスクを回避している。

同アプリは今のところMacOSとiOSのみに対応しているが、Android版とWindows版も2021年中のリリースを予定しているという。

現在サポートされているテキストフォーマットは、DOCX、ODT、XLSX、ODS。Collabioオフィススイートには、カメラを使ってテキストや画像をスキャンして認識する機能、PDFに注釈やコメントをつける機能(音声入力も含む)、テキスト文書やPDFに電子署名をする機能、プレゼンテーションを表示する機能なども含まれている。

画像クレジット:XCDS/Collabio

英国のロンドンに本社を置き、チェコ共和国のプラハに研究開発拠点を持つXCDS(eXtended Collaboration Document Systems)が同アプリの製作会社だ。同社は約10年前から事業を行っているが、CTOのEgor Goroshko(イーゴル・ゴロシュコ)氏によるとオフィスツールの開発は7年ほど前から行っており、同氏はCollabio自体をスタートアップとして見なしているという。

このアプリは(非公開の個人投資家から非公開額の)資金提供を受けているが、チームは近い将来、開発を継続して製品を強化するためのさらなる資金調達を計画している。

新型コロナウイルスにより過去12カ月間でリモートワークが急速に広まったが、これを機会にコラボレーションツールや生産性向上ツールは大きな改善を遂げ、またオフィス勤務者が同じスペースで働かなくなった事によって直面したワークフローの障壁を安全に取り除けるようになった。現在のCollabioはリモートコラボレーションではなく近距離で働く者同士のためにデザインされているため、次のメジャーリリースがどのようなものになるのか非常に興味深い。

Collabioの初期チームには、Quickofficeの開発者で2012年の買収時にGoogleに移籍しなかったメンバーも含まれている。彼らはドキュメント関連製品のユーザーエクスペリエンスを向上させる方法を考えることに注力し、その結果、長年開発してきたP2Pドキュメントコラボレーション製品を2020年秋にようやく市場に出したのである。

「Collabioの開発を開始したときから長期戦を覚悟していました」とゴロシュコ氏はTechCrunchとの対談で当時を振り返る。「独自のアイデアを開発し始める前に、(オフィススイートソフトの)ユーザーが普段慣れ親しんでいるほとんどの機能を実装する必要があると確信していました」。

「簡単にいうと、弊社のクラウドレスコラボレーションは、クラウドのものとまったく同じように機能します。当然ドキュメントへの接続方法には多少の違いがありますが、それ以外はクラウドで作業する際とまったく同じ体験ができます」。

「2020年9月にiOSアプリからスタートし、10月にはmacOSバージョンを導入しました。初期のリリースでは主に実際のユーザーでアプリを検証し、私たちのアイデアを証明することにフォーカスしています。ローンチして以来約1万5000件のインストールがあり、ユーザーが何を必要としているのか、何を改善すべきなのかなど、貴重なフィードバックを得ることができました。2021年2月から集中的に市場に投入し、この1カ月間で1000人以上のユーザーを獲得することができました」。

CollabioのP2Pクラウドレスコラボレーションと、典型的なサーバーへのアップロード型コラボレーションとの間には、注目すべき重要な差がある。

その1つに、共同執筆や共同編集をしているドキュメントに、他者が常にアクセスできないという点がある。自分のデータへの共同アクセス権を厳密に管理したい場合には、こういった制限が役に立つかもしれない。

「Collabioではクラウドを使わない共同編集を『アドホックコラボレーション』と呼んでいます。クラウドなしでは常にドキュメントにアクセスすることはできないため、時折行われるドキュメントに対する議論や更新には最適です」とゴロシュコ氏。

もう1つの重要な違いは、共有されたドキュメントは所有者のホストデバイスにしか残らず、コピーは所有者しか保存できないという点が挙げられる(少なくとも現時点では)。

「共同作業者はセッションドキュメントにアクセスはできますが、デバイスにファイルをアップロードしたり転送したりすることはできません。セッションはホストがドキュメントを開いている限り続きます。ドキュメントを閉じた時点で他の参加者はアクセス権を失い、またドキュメントをローカルネットワークに保存することはできません。これはプライバシー保護のためですが、今後接続している相手にドキュメントのコピーを保存させるオプションをユーザーに提供するかどうかを現在検討中です」。

すべてのドキュメント作業はローカルネットワーク上のデバイスで行われるため、Collabioを使ったコラボレーションにインターネット接続は必要ない。安定したインターネット接続の確保が容易ではない出張などの状況で、これは非常に役立つと同チームは考えている。

ゴロシュコ氏によると、CollabioはこのローカルP2P接続が「より高い品質を達成できるよう」Wi-FiとBluetoothの両方を使用しているという。「これはAirDrop技術などでも採用されている一般的な手法です。相手のアドレスが特定されると、アプリケーションはWi-Fi経由で接続を確立し、データ交換の速度と品質を向上させます」。

「すべての作業はローカルネットワーク上のデバイスでのみ行われるため、アドホックコラボレーションにインターネットは必要ありません。AirDropでファイルを交換する際にインターネットが必要ないのと同じです。AirDropと同様に、Collabio Spacesには特別な設定は必要なく、すべてが自動的に行われます。セッションを開始すると同僚が自分のデバイスでそれを見ることができ、選択したドキュメントに接続するだけで、コードを知っていればドキュメントを編集することができます」。

Collabioチームは、Appleのテクノロジーと同社の「It just works(それだけで機能する)」という哲学に影響を受けているとゴロシュコ氏はいう。それでも、同製品をApple以外のプラットフォームにも提供できるよう取り組んでおり、年内のリリースを目指している。

「大規模かつ複雑で野心的なプロジェクトですが、我々が革新的なアプローチをもたらすことができると信じています。Officeソフトの市場はかなり保守的ですが、新しいソフトに対する市場からの期待値は高く、そのため公開までにかなりの時間を要しました。しかし参入障壁が高く、ドキュメント管理や編集の分野で革新が遅れているからこそ、そこに大きなチャンスが隠れているのです」。

従来の製品にコラボレーション機能を追加しなければいけなかった通常のオフィススイートとは違い、Collabioは「概念実証の最初の段階から共同編集を念頭に置き」ゼロから開発を行ったため効率化を図ることができたのだと同氏は考えている。そのため、共同編集アルゴリズムの実装が「携帯電話の最小限のリソース消費」でも可能になるというわけだ。

ゴロシュコ氏によると、Collabioのユーザーがモバイルデバイスを使ってコラボレーションセッションを開始した場合、最大5人のメンバーが同時に接続することができ、また全参加者がドキュメントを編集することができるという(デスクトップであればさらに大人数が同時に接続可能だ)。

「蜂の巣型のアイコンからコラボレーションセッションを開始すると、Collabio Spacesアプリがインストールされた周辺のデバイスに共有ドキュメントが表示されます。AirDropによるファイルの共有やAirPlayによるオーディオやビデオのストリーミングと同じように作動し、近くにいる人はセッションに割り当てられたセキュリティコードを知っていれば、編集に参加することが可能です」。

このP2P接続は「標準的なエンド・ツー・エンドの暗号化」によって暗号化されているとゴロシュコ氏はいうが「インターネットにアクセスすることなく、ローカルネットワーク内で信頼できる接続を許可するためのトリック」があると認めた上で「最初はこれで十分だと思いますが、将来的にはこの方法を改善することになるでしょう」と語っている。

独立したセキュリティテストを受けていないどんな初期製品にも同じことがいえるが、前述の理由から、これからCollabioによるこの斬新な製品を利用しようと考えているユーザーは、共同編集の目的で共有するデータの機密性を考慮しながら慎重なアプローチをとるべきである。

一方、同スタートアップはリモートワークでより効率的に仕事をしようと四苦八苦しているオフィスワーカーのニーズに応えることができれば、大きな成長が期待できると感じている。

「チームワークに特化したエディターを作り、コラボレーションを最大限に活用できるようにすることが我々の目標です。他のメンバーとともに仕事ができればメリットも大きいですが、他人と同期するためにはある程度の労力をともないます。プランニング、トラッキング、ディスカッション、レビューなどのこういった作業のほとんどは通常ドキュメントとは別に行われるか、ドキュメントの中での作業になっています。このギャップを埋め、ユーザー間でコラボレーションがスムーズに行えるようにしたいと考えています」。

「弊社にとって市場には大きく分けて2種類の競合が存在すると考えています。1つ目のMS Office、Googleドキュメント、Libre Officeのような大手のオフィスドキュメント編集スイートは、あまりにも膨大な機能を備えているため直接的な競合だとは思っていません。多くの人がほとんどの機能を使いこなせていないのが現状です」。

「そして、2つ目のNotionやAirtableのような新しい製品が登場し、ドキュメント編集プロセスをビジネスに統合するスマートな方法を紹介しています。我々はこの2種類の中間あたりに位置していると考えています」。

Collabioを使用するにはサブスクリプションの購入が必要となるが、1週間までの無料トライアル版が用意されている。

また、コラボレーションセッションのホストになることはできないが、ユーザーとしてドキュメントを閲覧したり編集したりすることはできる無料のオプションもあると聞いている。

2021年5月に予定されているメジャーリリースでは、インターネットを介してどこからでもP2Pコラボレーションができる機能が追加され、またリモートサーバーの必要がなくなるなど、リモートワークの普及に対応して実用性が大幅に拡大される予定だ。

こういった新機能の仕組みは、ひと言でいうなれば「数学」である。ゴロシュコ氏によると、このシステムは共同編集中「常に」ドキュメントの一貫性を保つためのOperations Transformation(操作変換)アルゴリズムに依存しており、リアルタイム操作の必要性がないようになっている。

「共同編集者が最後に何を入力しようと、最終的には必ず同じ内容になります。このアルゴリズムによって必ずしもすばらしいドキュメントができ上がるとは限りません。複数人が同じ場所に入力すれば、訳のわからない言葉になるでしょう。ただし、全参加者の間ですべての変更が同期された後は皆、同じ訳のわからない言葉が並べられたドキュメントを見ることができます。Operations Transformationではリアルタイム操作が必要とされないため、変更が早くても遅くても、最終的には他の変更と一致するように変換されます。つまり、クラウドまたはクラウドレスのコラボレーションモードどちらであっても、共同編集をサポートするための特別なインフラや高速処理が必要ないのです」。

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画像クレジット:Aksonsat Uanthoeng / EyeEm / Getty Images

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Dragonfly)

アマゾンのスマートディスプレイ「Echo Show 10」がZoomとAmazon Chimeをサポート

アマゾンのスマートディスプレイ「Echo Show 10」第3世代がZoomとAmazon Chimeをサポート米アマゾンの首振りスマートディスプレイ「Echo Show 10」で、会議アプリのZoomが利用できるようになりました。

Echo Show 10は、10インチディスプレイを搭載したスマートディスプレイ。日本では14日に発売予定です。音声アシスタント「Alexa」と組み合わせることで、音声だけでなく画面表示でも天気予報やニュースなどを知ることができます。インカメラ内蔵。本体には回転機構を採用しており、ユーザーがいる方向へ自動で回転してくれます。

今回のZoom通話機能では、カレンダーをAlexaアプリに紐付けることで、ミーティングIDとパスワードを利用してZoom会議に参加することができます。またAlexaに直接ログイン情報を伝え、Zoomへの参加を音声でお願いすることも可能です。

さらに、アマゾンのビデオ会議ツール「Amazon Chime」も、ZoomとともにEcho Show 10へと配信されています。これまでも利用可能だったAlexa通話やSkype(スカイプ)とともに、Echo Show 10で外部と動画で繋がれる手段がまた増えることになります。

(Source:SlashGearEngadget日本版より転載)

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カテゴリー:ハードウェア
タグ:Amazon / アマゾン(企業)Amazon Echo Show 10(製品・サービス)Amazon Chime(製品・サービス)Skype(製品・サービス)スマートディスプレイ(用語)Zoom(製品・サービス)ビデオチャット / ビデオ会議(用語)リモートワーク / テレワーク(用語)日本(国・地域)

リモートワークの普及により職場ですでに疎外されていた人たちはさらに居づらくなったというレポート

2020年は誰にとっても簡単な年ではなかったが、Project Includeの新しいレポートによると、リモートワークへの移行は一部のグループに対し他のグループよりも悪影響を及ぼした。当然のことながら、それはすでにハラスメントや偏見に苦しんでいた人々で、特に有色人種の女性やLGBTQと認識している人々が、そうした振る舞いに大きな影響を受けた。

このレポートは、約2800人への調査と、多くの国や業界の技術者や対象分野の専門家へのインタビューに基づいている。良いニュースはあまりないが、そもそもあると期待すべきだろうか。悲しいことに、2020年に発生した前例のない複数の災いが合わさって、労働条件の点で別のより静かな災いが発生している。

在宅勤務は人々の対話の方法を変えた。その結果、特に性別および人種に基づくハラスメントが大幅に増加した。調査対象者の4分の1以上が、嫌がらせと職場での敵意が増加したと答えている。増加したと答えた人のうち、98%は女性またはノンバイナリーであり、99%は非白人だった。

トランスジェンダーの人々は、すべての黒人の回答者、特に女性とノンバイナリーの人々がそうであるように、ハラスメントと敵意をより多く経験していた。アジア系、ラテン系、およびマルチレイシャルの回答者も同様に多かった。

画像クレジット:Project Include

リモートでの生産性とコミュニケーションへの切り替えにより、ハラスメントは避けがたいものになっているようだ。チャット、電子メール、ビデオ通話による1対1のコミュニケーションへの依存度の高まりにより、ハラスメントをする人と直接働くことが避けられず、それを報告するのが難しくなっている。「回答者は、ハラスメントをする個々の人間がオンラインスペースを越えて彼らを追いかけてくると述べた」とレポートは付け加える。

メンタルヘルスに何らかの症状がある人、特にPTSD(心的外傷後ストレス障害)のある人は、そうでない人に比べてハラスメントを2倍多く経験する傾向がある。

期待とツールの変化は、不安の大幅な増加とワークライフバランスの低下を意味する。回答者のほぼ3分の2は、より長時間働くことが期待されていると回答し、半数以上は公式の労働時間外にもオンラインにとどまるようプレッシャーを感じている(または明らかに期待されている)と述べた。調査によると、10%はマネージャーが毎日チェックしていると述べ、5%が1日に2回以上チェックしていると報告した。キーストロークや画面監視などの監視ソフトウェアについて不満を述べる人もいる。

障害のある労働者は、企業がアクセシビリティ機能が不十分な生産性ツールやコラボレーションツールをよく選択することに気づいている。例えば自動キャプションなしのズームコールでは、読唇術が必要となる。

ほとんどの人が、苦情の適切な処理や公正な対応という点で人事部門や会社全体を信頼していなかったため、ハラスメントについて報告しなかったと述べた。ハラスメントを行っているのは人事部の人であるという回答もあった。こうした問題に適切に対応するという点で自社を信頼している回答したのは半数未満だった。約3分の1は、会社が適切に対応するとは思っていないと述べた。ほぼ同数が、職場には、発生する可能性のある問題に介入したり解決したりするためのツールすらないと述べた。

こうした統計がこのレポートで手に入る。このレポートでは、他の多くの問題や行動について詳しく説明し、企業がステップアップするためにできることついて多くの提案をしている。もちろん、あなたの会社が今まで行動を起こさなかったのなら、それはまさにそこにある問題だ。だが一般的には、実際に従業員に耳を傾け、リーダーシップに責任を持ち、ノーミーティングデーや寛大な休暇ポリシーなど、目に見えるインパクトを与える行動を取ることが解決になる。

何より、単純に物事が「通常に戻る」と期待しないで欲しい。Vaya ConsultingのCEOであるNicole Sanchez(ニコル・サンチェス)氏は、レポートで引用されているように、そのことについて適切に語っている。

ほとんどの企業は、選択制であっても、人々を物理的に元に戻す準備ができていません。エグゼクティブレベルの人々は、自分たちが実際に扱っているのが現在進行形の多数のトラウマであると知ってショックを受けるでしょう。以前のやり方に戻ろうとする多くの企業は「なぜ1つ1つのピースがもう合わなくなってしまったのか」と疑問に思うでしょう。私たちの意見が一致する答えは次のとおりです。そうしたピースがお互いにしっかりと合うことはもはやありません。合うのは自分自身にとってだけです。今、あなたはすべての継ぎ目と脆弱性を目にしています。したがって、会社を再構築しなければなりません。

レポートの作成者には、Project IncludeのEllen Pao(エレン・パオ)氏、Shoshin InsightsのYang Hong(ヤン・ホン)氏、およびConvocation Design + ResearchのCaroline Sinders(キャロライン・シンダーズ)氏が含まれる。

カテゴリー:パブリック / ダイバーシティ
タグ:ハラスメント新型コロナウイルスリモートワーク

画像クレジット:Getty Images

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(文:Devin Coldewey、翻訳:Nariko Mizoguchi

プレゼンソフトmmhmmが使用量ベースの企業アカウントとWindows用ベータ版を発表

ビデオチャット上での自分の見た目をカスタマイズできるソフトウェアmmhmm(ンーフー)は、米国時間4月1日、使用量ベースの企業アカウントを導入することを発表した。

TechCrunchとのインタビューの中で、創業者でCEOのPhil Libin(フィル・ルービン)氏は、mmhmmには同じ会社から登録しているユーザーが何百人もいると語り、これは自然な進化だと述べた。

「企業アカウントに対する大きな需要があることは明らかでした」とルービン氏はいう。「できるだけ簡単にするための中央集中管理だけでなく、すべてをブランドイメージに合わせるためにも必要なのです。いまでは、あらゆる種類の企業や組織が、ビデオはビジネスのやり方の永続的な一部であり、ブランドイメージに沿ったものでなければならないと認識しています」。

企業アカウントの価格は、個人のProアカウントと同額の、月額10ドル(約1106円)または年額100ドル(約1万1060円)だ。とはいえ、組織が企業アカウントを契約した場合には、契約数を気にすることなく、月毎にmmhmmにアクティブだったユーザー数分だけの支払いをすれば良い。

また、企業アカウントでは、mmhmm専用に作られたデザインシステム資産を共有して、ルービン氏がいうところの「ブランドイメージの維持」を行うことができる。また、企業アカウントを採用することで、従業員のアカウントを一括管理したり、リンクで招待したり、メールドメインを制限したり、請求書を一本化したりすることができる。

ルービン氏はまた、事業の財務状況についても簡単に説明をしてくれた。まだ判断するには早いが、Proアカウントへの転換率は、ルービン氏の以前のベンチャー企業の1つであるEvernote(エバーノート)を上回っているという。

また、mmhmmやEvernoteのようなフリーミアムツールでは、ユーザーがプレミアムにアップグレードする可能性は、プラットフォームを利用する月数が長くなればなるほど高まるという。Evernoteの場合、プレミアムへの転換率は、最初の1ヵ月では0.5%、1年目の終わりには5%、そして2年が過ぎるときには12%にまで跳ね上がったという。

もちろん、mmhmmは24カ月分のデータは持っていない。とはいえ、この製品はEvernoteの10倍の成果を上げている。

だが、ルービン氏によれば、収益は焦点ではないという。それよりも、カジュアルユーザーが簡単に導入できるようにすること、そして、ユーザーがこのプラットフォームで何ができるのかを本当に理解してもらうことを重視しているのだ。その精神から、人びとが機能を十分に理解できるように、mmhmmはプラットフォーム上で新しいインタラクティブなチュートリアルビデオを提供し始めた。

mmhmmは、2020年の夏にクローズドベータとして初めて登場し、2020年11月にはMacユーザーに一般開放された。企業版のリリースと同時に、mmhmmはWindows(ウインドウズ)版のオープンベータを開始する。

ルービン氏は、mmhmmが成長ステージにあるといい、そして5つの会社を立ち上げた経験から、最大の課題は人材の確保であると語った。

リービン氏は「これまでにも、このような超成長ステージに入ったスタートアップ企業に参加したことがあります」という。「現在のステージで一番大変なのは、人を採用すること、人が燃え尽きないようにすること、そしてキャリア開発を行うことです。これは私にとって5つ目のスタートアップなので、いくつかの学習行動を説明しながら、過去の失敗から得た教訓を応用しようとしています。どうなるかはこの先わかります」。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:mmhmmリモートワークプレゼンテーションオンラインプレゼンテーション

画像クレジット:mmhmm

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(文:Jordan Crook、翻訳:sako)

仮想オフィスプラットフォームはこんなにたくさん必要か?

元Uber(ウーバー)のマネージャーであるFlo Crivello(フロ・クリベロ)氏が創業したバーチャルオフィスプラットフォームのTeamflow(チームフロー)がシリーズAで1100万ドル(約12億円)を調達した。わずか3カ月前にシード資金390万ドル(約4億2000万円)を調達したばかりだ。今回のラウンドをリードしたのはBattery Ventures。シードラウンドはMenlo Venturesがリードした。

Teamflowの資金調達は、ライバルのGather(ギャザー)がSequioa Capitalのリードで2600万ドル(約28億3000万円)のシリーズAを発表した数日後のことだった。別のライバル会社であるBranch(ブランチ)も、HomebrewとGumroadのSahil Lavingia(サヒール・ラヴィニア)氏らの投資家からシードラウンドで150万ドル(約1億6000万円)を調達し、現在シリーズAを実施している。

関連記事:「バーチャル本社」プラットフォームのGatherがSequoiaなどから約28億円調達

いずれのスタートアップも、人々が仕事中より何かを切り替える場面でゲームライクなインターフェースを主流にしたいと思っている。ただし現実は、3社とも(他の数十社も)成功しそうにない。勝者となるべき差別化は戦略にある、とTeamflowのクリベロ氏は私に話した。

「かつて、最大の差別化要因はUX(ユーザー体験)と美的感覚だったと思います」と彼はいう。「多くの会社が採用している非常にゲーム性の強いアプローチは私たちも大ファンですが、仕事の会議をポケモンゲームの中でやりたくない、と私たちは思うのです」。

Teamflowのオフィスを案内してもらったとき、この会社はゲーミフィケーションよりも生産性に力を入れていると感じた。統合できる機能にはSlack風のチャットやファイル・画像の共有などがある。現在プラットフォーム内アプリストアを開発中で、完成すればユーザーは自分たちのチームに最適な統合モジュールをダウンロードできる、とクリベロ氏はいう。アプリストアにはゲームもある。

Teamflowのバーチャルオフィスプラットフォーム

この方針はTeamflowがイベント主催者よりも企業経営者の支持を得るのに役立った。ファウンダーは、より安定した収入源だという。現在同社はプラットフォーム上のスタートアップ内で数千のチームをホストして「数十万ドル(数千万円)の売上」を集めている。ライバルのGatherは、売上の大部分を1回限りのイベントから得ていると最近TechCrunchに話す。現在Gatherの月間売上は40万ドル(約4300万円)だとファウンダーのPhilip Wang(フィリップ・ワン)氏はいう。

ちなみにGatherのルック・アンド・フィールはTeamflowとは大きく異なり、Sims(シムズ)に近い。

Gatherのバーチャルオフィスプラットフォーム

BranchのDayton Mills(デイトン・ミルズ)氏は「ゲーミフィケーションを大きく強化」することで競争力を保っていると語った。同社はレベル、ゲーム内通貨、経験値などを導入して従業員が自分のオフィス空間をカスタマイズするよう推奨している。

「生産性は落ちていませんが、カルチャーや楽しさや人とのつながりは悪化しています」とミルズ氏は本誌に語った。「だから、仕事と遊びを考えたとき、私たちは遊びの部分の修復に目を向けます。仕事ではありません。仕事は副次効果としてついてきます」。Branchはまだ収益を上げていない

Teamflowにとって次の野望は、顧客ベースを流行に敏感なスタートアップの実験チーム以上へと拡大することだ。クリベロ氏は、Zoomが売上の約40%を大企業から得ていることを挙げ、Teamflowは「大企業対応の準備にいっそう注力している」と語った。

同社はルールを守りプライバシー標準に従うことで、医療やバイオテック企業にも進出しようとしている。これは同社が「きちんと管理された分野」と呼ぶ、他のゲーミフィケーションアプローチを望まない可能性のある領域だ。

クリベロ氏は、自社のビジョンに関して明快だ。バーチャルオフィスの引っ越しを物理的オフィス以上に難しくしたい、と彼は考える。もしTeamflowがいつかオペレーティングシステムのようになってアプリケーションを加え、質の高い基準を設定することができれば、もっと幅広い層の顧客を取り込めるかもしれない。

関連記事:リモートワーク疲れの市場を狙うバーチャルオフィススタートアップ

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Teamflowリモートワークバーチャルオフィス資金調達

画像クレジット:Bryce Durbin

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(文:Natasha Mascarenhas、翻訳:Nob Takahashi / facebook

VR/AR/MR企画・開発のSynamonと三井住友海上が「VR事故車損害調査研修」を共同開発

VR/AR/MR企画・開発のSynamonと三井住友海上が「VR事故車損害調査研修」を共同開発

「VR事故車損害調査研修」イメージ

「XRが当たり前の世界をつくる」をミッションに、VR・ARを含むXR市場の創造に取り組むSynamon(シナモン)は3月22日、MS&ADインシュアランスグループの三井住友海上火災保険(三井住友海上)が実施している「事故車損害調査 基礎研修」にVR技術を提供し、「VR事故車損害調査研修」を共同開発したと発表した。事故車の損害調査ができるバーチャル空間を構築することで、全国どこからでも研修への参加が可能になる。

2021年4月以降にVR事故車損害調査研修」を開催し、7月以降は自然災害の損害調査におけるVR研修を開催する予定。

三井住友海上によると、同社は自動車事故の保険金額の算出過程として、事故車の損害調査を実施しているという。損害調査は同社の根幹業務であり、その意義を全社員が理解する必要があるため、全国にいる数百人の新入社員を千葉にある研修所に集め、毎年研修を実施してるそうだ。しかし、昨年来のコロナ禍により研修の開催が厳しい状況となっているという。

そこで、VR技術を活用し全国どこからでも参加できる研修を創出できないかと考え、Synamon提供のVRビジネス施設「NEUTRANS」を活用し、「VR事故車損害調査研修」のバーチャル空間構築に取り組んだ。

VR/AR/MR企画・開発のSynamonと三井住友海上が「VR事故車損害調査研修」を共同開発

「事故車損害調査 基礎研修」の流れ

  • 部品名称や新品部品の補給形態を学習(VR空間で実施予定)
  • 部品構成・材質や組付け構造を学習(VR空間で実施予定)
  • 事故類型によって異なる損部形態や特徴的な痕跡について学習(VR空間で実施予定)
  • 実車(事故車)を使用して、調査プロセスを学習(VR空間で実施予定)
  • 損傷状態の証拠保全方法を学習(VR空間で実施予定)
  • 見積作成手順を学習

期待される効果

  • 集合研修と同等以上の学習効果:VRは高い没入感を創出できるため、参加者間でアバター姿で身振り手振りを交えての議論や、ホワイトボードや付箋をVR空間で使ったアイデア出しなど、緊密なコミュニケーションが可能。また、仮想空間に配置された自動車のドアやボンネットの開閉、メジャーを用いた測量などの操作も可能で、従来の集合研修と同等以上の学習効果を期待できる
  • 研修時の移動時間やコストを削減:研修場所を仮想空間上に設けるVR研修では、集合研修時のような移動が発生せず、時間短縮につながる。交通費や宿泊費なども削減
  • 三密回避で感染リスクを軽減:コロナ禍で集合研修の開催が困難な中、研修参加者は、三密を回避して各職場・自宅からリモートで参加可能。感染リスクを心配することなく研修を行える

2016年8月設立のSynamonは、「XRが当たり前の世界」を実現するため、VR/ARをはじめとするXR技術を使ったサービス開発や研究開発を行うテックカンパニー。自社開発しているNEUTRANSは、VR技術の活用によって、バーチャル空間であらゆるビジネス活動を可能にするVRビジネス施設という。

世界中どこからでも働けるオフィス、リモートでもリアルのような体験を可能にするトレーニングや開発予定の未来都市を見学できるプロモーションなど、バーチャル空間を活用した次世代事業の創出拠点を目指している。

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カテゴリー:VR / AR / MR
タグ:教育 / EdTech / エドテック(用語)Synamon(企業)新型コロナウイルス(用語)保険 / インシュアテック / InsurTech(用語)三井住友海上火災保険(企業)日本(国・地域)

「バーチャル本社」プラットフォームのGatherがSequoiaなどから約28億円調達

Gather(ギャザー)は人々が結婚式やマジック大会、あるいは通常の業務など、さまざまな理由でバーチャル空間に集うのをサポートしている。リモートで働く人々が互いにやり取りするのにより便利な方法を模索するのにともない、過去数カ月Gatherは静かにユーザー400万人超を獲得した。そして米国時間3月12日、ZoomやSlackに投資してきたシリコンバレーのエリート企業から資金を調達した。

GatherのCEOであるPhillip Wang(フィリップ・ワン)氏は、Sequoia CapitalがリードしたシリーズAで2600万ドル(約28億円)を調達したとTechCrunchに話した。他の投資家にはIndexやYC Continuity 、そしてDylan Field(ディラン・フィールド)氏、Jeff Weiner(ジェフ・ワイナー)氏、Kevin Hartz(ケビン・ハーツ)氏といったエンジェルも含まれる。

ワン氏と友人たちがカーネギーメロン大学やMITを卒業した後に設立したGatherの目標はシンプルだ。最も一貫したユーザーへのサービス提供に注力し、バーチャル空間をくつろげるところにするためにカスタマイゼーションの要素を持ち込み、多くのエンジニアを雇うことだ。

「当社はあらゆることに使われる幅広いコミュニケーションプラットフォームです。しかしバーチャル本社(のユースケース)に大きく傾いています」とワン氏は話した。総勢37人のチームは、同僚にチャットを促すための「ショルダータップス」や従業員が集まってバーチャルでビリヤードを楽しめるスペースのような、自発性を促すための機能を盛り込んだ。

画像クレジット:Gather

同社のプラットフォームは空間オーディオ技術も使用している。これはビデオゲームで人気のテクノロジーで、ユーザーは互いに出会ったことを感じられる。基本的には近くにいる誰かの声は大きく聞こえ、人物から離れると声は小さくなる。他のソリューションは空間オーディオとうまく連動しなかったため、同社はゼロからビデオ会議システムを構築したとワン氏は話す。

同氏は社内の課題については示さなかったが、その代わりどのスタートアップも対応しなければならないバグを抱えていると語った。まだ(バーチャルの)火事はない。

Gatherはユーザーが実生活のオフィススペースやアパートを再現しやすくするためにプラットフォームにさらにカスタマイズできるよう取り組んでいる。オフィスツアーでは机の上のコーギー犬やジャック・オー・ランタンを目にし、筆者は床植物までセットアップに追加した。

Gatherが最近注力しているのは職場だが、40万ドル(約4360万円)ほどで安定している最近の月間売上高のほとんどは1回限りのイベントからのものだ。最終目標は、Gatherのオフィスを出てGatherのバーに入ることができる世界だ、とワン氏は話す。もし企業がプラットフォームに加わるリモートチームを首尾よく配置できれば、その企業はそうしたリモートチームがオフサイトやチーム形成アクティビティ、ネットワーキングイベントをプラットフォーム下で持つことをサポートできる。

コミュニティプラットフォームを構築する上での難題の1つは、価値を損なわずに収益化を図ることだ。これこそが、筆者が2020年11月に初めてワン氏と話した時、同氏がベンチャーキャピタルの資金を常に回避したかった理由の1つだ(インセンティブによって同プラットフォームがユーザーフレンドリーではないビジネスモデルの追求を急ぐことになるかもしれないからだ)。

関連記事:リモートワーク疲れの市場を狙うバーチャルオフィススタートアップ

数カ月たってワン氏は、Sequoia CapitalのShaun Maguire(ショウン・マグワイア)氏に会い、ベンチャーの資金でメタバース(多人数参加型の三次元空間)を拡大する機会を目にした時に心変わりしたと話した。

「特にSequoiaはゲームエンジン企業Unityがビジネスモデルを見つけるのをサポートし、(そのビジネスモデルは)型破りです。私は常に、もしそうしたことを自分たちもやれたらすばらしいと考えながら彼らを見ていました」と述べた。

Gatherが単にパンデミック現象かどうかについて、 マグワイア氏は自身とSequoiaのチームは「どこからでも勤務、が浸透している」と確信している、と話す。

「フィリップと彼のチームのGatherを作るというモチベーションはパンデミック以前からのものです。彼らは、物理的な世界における特定の制約が、あなたが自身の近しいコミュニティの外の人々とつながっていられる能力を妨げていることに気づきました。こうした状況はパンデミック中で一段と強まりました」とマグワイア氏は述べた。

確かにその通りだ。Gatherは18カ月以上、ワン氏とその友人たちが大学を卒業したときからスピンアウトプロジェクトに取り組んできた。チームは最初、会話に入り込めるよう誰が話せる状態かを示すカスタムウェアラブルを作ろうと試みた。それがうまくいかなかったとき、チームはアプリ、VR、フルボディロボティクスへと軸を変えた。新たな資金と数百万人のユーザーを獲得し「企業向けのSim」が同社の進むべき道かもしれない。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Gather資金調達リモートワークセコイア・キャピタル

画像クレジット:Bryce Durbin

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(文:Natasha Mascarenhas、翻訳:Nariko Mizoguchi

「パッシブコラボ(受動的協業)」がリモートワークの長期的成功の鍵となる

本稿の著者Mohak Shroff(モハック・シュロフ)氏はLinkedIn(リンクトイン)のエンジニアリング責任者。LinkedInの構築、規模拡大、保護を行うエンジニアリングチームを指揮している。

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1998年、Sun Microsystems(サン・マイクロシステムズ)は「オープンワーク」プログラムを試験導入した。従業員のおよそ半数を、どこでも好きな場所で勤務できるようにするものだ。このプロジェクトには、新しいハードウェア、ソフトウェア、通信ソリューションが必要であり、準備に約24カ月間を費やした。

結果は大変に良好で、経費も企業としての炭素排出量も減らすことができた。だがこうした結果とは裏腹に、長期的なリモートワークがこれ以上広がることは決してなかった。それどころか、2010年代には人と人の対面によるコミュニティがイノベーションには欠かせないという理念のもと、オープンオフィス、出勤手当て、協業スペースなどの考え方が登場し、別の方向性が注目されるようになっていった。

2020年、規模の大小に関わらず、世界中のあらゆる企業は、新型コロナウイルスの蔓延にともないリモートワークへの転換を余儀なくされた。中にはすでに従業員を分散していたり、クラウドアプリやサービスを軸にすえていたり、以前から就業方針として柔軟な働き方を採り入れるなどして他社よりもうまくやれた企業もあるが、完全にリモートに移行するための調整は、誰にとっても大変に厄介な問題だ。最大手企業であっても、この時期を耐え抜くためには、自らを犠牲にして数々の難題に挑む、社員の英雄的な行動に依存しなければならないのが現実だ。

高画質のビデオ会議やクラウドなどのテクノロジーは、リモートワークの実現には欠かせない。しかし私たちはまだ、人が現場で行う仕事を完全に置き換えられる代替手段を手に入れていない。なぜなら、極めて重要なある分野に対処できるツールがないからだ。その分野とは、パッシブコラボ(受動的協業)だ。これに対して、仕事の大部分を占めるアクティブコラボ(積極的協業)は、バーチャル会議や電子メールでも行えるが、しばしば最大のイノベーションを生み出す原動力となり、パッシブコラボの基礎となる、思いがけない閃きを呼び起こす会話や偶然の出会いなどを可能にする手段は、まだ完全にはでき上がっていない。

コラボのアクティブとパッシブ

テック産業を知らない人たちは、ソフトウェア開発者はコンピューターと安全なインターネット接続環境さえあれば仕事ができると考えるだろう。しかし、1人で黙々とコーディングを行うエンジニアというステレオタイプは、とっくの昔に崩壊している。理想の開発作業は、1人ではできない。チームで話し合い、議論を戦わせ、ブレインストーミングを重ねるコラボレーションで可能になるものだ。ビデオ会議プラットフォームやチャットアプリは、アクティブコラボを可能にしてくれる。MicrosoftのVisual Studio CodeやGoogle Docsなどのツールは、専門的な非同期のコラボを可能にしてくれる。

しかし、現在の私たちに欠けているものは、何の気なしに出会って交わされるおしゃべりだ。それは私たちに活力を与え、そうした会話でなければ生まれ得ない新しいアイデアを思いつかせてくれる。パッシブコラボは創造性の醸成には不可欠であるため、このような人と人の関わりを長期間欠いた場合、イノベーションが被る負利益は計り知れない。

ホワイトボード

パッシブコラボとアクティブコラボの違いは、ホワイトボードを見ればよくわかる。私は先日、ある人から「テック業界の人とホワイトボードとの関係とは?なぜ、そんなに重要なのか?」と聞かれた。ホワイトボードはシンプルで「ローテク」な道具だが、私たちの業界の真髄とも呼べるものだ。だからこそ、それがエンジニアリングのためのマルチモーダルなコラボの源になっている。新型コロナ以前のことを思い返してみよう。エンジニアたちがホワイトボードを囲んでスクラムミーティングを行う様子をどれだけ見たり、または参加したことだろうか。

たまたま聞こえてきた話の断片が気になって、深く知りたくなったり意見を言いたくなったりして、ミーティングの場で足を止めたことがおありだろうか?または、ホワイトボードに書かれていた内容が目に留まり、それについて別の同僚と語り合い、それが問題解決につながっがりしたことはないだろうか?これはみな、パッシブコラボの瞬間だ。これはリアルタイムのアクティブコラボ用ツールでもあるホワイトボードによって、見事に導き出されたものだ。ホワイトボードは、新しいアイデアや観点を、抵抗なく会話に招き入れる手段となっている。これ以外の方法では、そうはいかない。

ホワイトボードは、パッシブコラボを促進する手段の1つだが、他にもある。休憩室で偶然に始まるおしゃべり、パーテション越しに聞こえてくる隣の会話、部屋の向こうで暇そうにしている人間に意見を聞くことなども、パッシブコラボの実例だ。こうしたやりとりが、みんなで一緒に働く場において極めて重要でありながら、リモートワーク環境での再現が最も難しいものでもある。自己中心的なソフトウェア開発工程がソフトウェアの品質に害を及ぼすように、パッシブコラボの欠如もまた有害だ。

そのためには、他の人たちが何をしているのかを、公式な会議や社内報のような肩ひじ張ったかたちではなく、ちょっと覗き見できるツールが必要だ。自由にオープンに交わされるアイデアからイノベーションは生まれる。しかし私たちはまだ、そのための最適なバーチャル空間を作る方法を知らない。

今後を見据えて

未来の仕事は、これまでになくチームが分散されたかたちで行われるようになる。つまり、2021年だけでなく、この先もパッシブコラボのための新しいツールが必要とされる。私たちが行った内部調査では、パンデミックが迫ってきたときは完全にリモートで仕事したいと望む社員もいたが、大半は、将来的にもっと柔軟なソリューションが欲しいと考えていることがわかった。

その答えは、会議やメールのスレッドをもっと増やすことでは決してない。昔ながらのホワイトボードのように機能し、協業による偶発的な閃きが起こり得るバーチャル空間を再考することだ。私たちはまだ、この課題を解決する鍵を探っている最中だが、LinkedInでは、手始めにチームの垣根を越えた会話やオープンなQ&Aで資源を共有する方法を模索している。

この数十年間、テック業界は、協業と生産性の摩擦をなくすための空間やメリットを創造し、従業員がイノベーションを生み出しやすくなる道を踏み固めてきた。今、私たちは、将来のハイブリッドな仕事環境を見据え、従業員の生産性と創造性のサポートを維持するための新しい方法を見つけ出さなければならない。パッシブ・コラボがバーチャルで完全に実現して初めて、リモートとハイブリッドの仕事環境の可能性がフルに引き出されるようになるのだ。

カテゴリー:その他
タグ:リモートワークコラボレーションツールコラム

画像クレジット:Alistair Berg / Getty Images

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(文:Mohak Shroff、翻訳:金井哲夫)

グローバル・リモートワークのADPを目指すPapaya Globalが約108億円調達、評価額は1085億円超に

遠く離れた場所で人を雇用し、物理的にある本社以外の場所で働くことを可能にしたリモートワークは、今後も定着しそうだ。米国時間3月4日、そうした環境のためのツールを構築するスタートアップの1つが、機会に応えて大規模な資金調達を発表した。

本国以外の場所でフルタイム、パートタイム、そして契約社員を雇用する組織のために、140カ国にわたってクラウドベースの給与計算と採用、オンボーディング、コンプライアンスサービスを提供するイスラエルのスタートアップPapaya Globalは、1億ドル(約108億5000万円)の資金調達を行い、その評価額が10億ドル(約1085億円)を超えたことを発表した。

同社は、グローバルな労働力を持つだけでなく、従業員の拠点を急速に拡大している企業をターゲットにしている。その中には、OneTrust、nCino、Hopin(こちらも3月4日、4億ドル/約434億円の大規模なラウンドを発表した)などの急成長中のスタートアップ企業や、トヨタ、Microsoft(マイクロソフト)、Wix、General Dynamics(ジェネラル・ダイナミクス)などの大手企業も含まれている。

Papayaは売上高の数字を公表してないが、過去3年間の売上高はそれぞれ前年比300%増となったという。

Greenoaks Capital Partnersが主導するこのシリーズCには、IVPとAlkeon Capitalも出資している。既存投資家であるInsight Venture Partners、Scale Venture Partners、Bessemer Venture Partners、Dynamic Loop、New Era and Workday Ventures、Access Ventures、そしてGroup 11も参加した。今回の新たな投資により、Papayaの資金調達総額は1億9000万ドル(約206億2000万円)となった。

Papayaはここ18ヶ月間、資金調達モードに入り勝ち続けている。今回のニュースは、4000万ドル(約43億4000万円)のシリーズBを調達してから半年も経っていない。

なぜこれほどまでの資金を、こんなに急いで調達するのか?その理由の一つには、ビジネスへの需要もあるが、おそらく他の多くの企業が同じ市場を狙っている時期に、そのチャンスを生かすためでもあるだろう。

チャンスとは、企業やその他の組織が、現在の状況に対応するためのツールを必要としていることに気づくことだ。今日の労働力の成長は2019年に見られた状況とは異なるため、ADPのような既存のソリューションや、複数の地域をカバーするのに寄せ集めた組み合わせソリューションでは、それに対応できないか、または維持するのにコストがかかりすぎる。

これとは対照的に、Papaya GlobalはAIベースのプラットフォームを構築し、多くの作業を自動化し、新しいパラダイムに対応するために多くのレガシー給与計算製品を適正化しようとすることから生じる手作業の多くを取り除くことができたという。

Ruben Drong(ルーベン・ドロン)氏、Ofer Herman(オファー・ハーマン)氏と共同で会社を設立したCEOのEynat Guez(アイナット・グエズ)氏は、昨年9月のインタビューでこう語ってくれた。「新型コロナウイルスが私たちに与えた大きな影響は、意識の変化です。給与計算はそれ自体で機能すると思われがちですが、給与計算は組織の中でも最も複雑な部分の一つであり、労務、会計、税務などの主要な分野にまたがっています。8カ月前までは、多くのクライアントは、給与計算は当たり前に起こるものだと思っていました。しかし今では、データの管理ができていなかったことに気づき、誰が給与を受け取っているのかさえ把握できていないこともあります」。

しかし、一つの課題としては、他の多くの企業も分散型・グローバルワークのADPになることを期待して、これらの顧客を追いかけていることが挙げられる。

先月、同じく分散型ワークフォースをターゲットにしているOysterというスタートアップも2000万ドル(約21億7000万円)を調達した。同じ分野で多くの資金を調達した他のスタートアップには、TuringDeelRemoteHibobPersonioFactorialLatticeRipplingなどがあります。

そして以前にも指摘したように、これらは昨年1年間に資金を調達したHRスタートアップのほんの一部に過ぎない。他にもたくさん、たくさんある。

ここにいる投資家は、このミックスからいくつかの統合が浮上し、その中から何社かリーダーが出てきて、Papayaがそのうちの一社になることを期待している。

Greenoaks CapitalのパートナーであるPatrick Backhouse(パトリック・バックハウス)氏は、声明で次のように述べた。「Papaya Globalは、新入社員のオンボーディング、給与計算の自動化、グローバルな労働力の管理を一枚のスクリーンを通して行うクラス最高のソリューションを構築してきました。成長企業も老舗企業も、ここ数年で働き方を劇的に変え、その結果、Papayaは目覚ましい成長を遂げてきました。世界有数の大企業のために、ますます複雑化する課題を簡素化しようとしている彼らを、当社は今後もサポートしていきたいと思っています」。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:リモートワーク 資金調達

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:Aya Nakazato)

Uberは新型コロナによる在宅勤務を2021年9月中旬まで延長

Uberは米国時間2月18日、在宅勤務を2021年9月13日まで延長することを従業員に通知した。

「延長の検討においては、各国が異なる回復ステージにあるという事実、新学年の開始など、最新の科学的データや専門家の意見を参考にしました」と同社のCPOであるNikki Krishnamurthy(ニッキ・クリシュナマーシー)氏は従業員への電子メールに書いた。この電子メールはTechCrunchも内容を確認した。「CommOps、IT、その他の部門の一部従業員がオフィスに出社しなければならないことは理解しています。ですので、所属部門が導入した規則の範囲内で業務を継続してください。ただし、いつものことですが、健康上の懸念を抱えている人に出社は強要しません」。

Uberはまた、可能になったときには新型コロナウイルスのワクチンを接種するよう推奨している。電子メールの中でクリシュナマーシー氏は、ワクチン接種のためにUber従業員は仕事を休むことができると述べた。

2020年8月に同社は従業員に2021年6月まで自宅から働くことになると通知した。他のテック企業はというと、Google(グーグル)は2020年7月に在宅勤務措置を2021年6月までに延長し、Facebook(フェイスブック)は2020年8月にリモートワーク措置を2021年7月までに延長した。

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新型コロナ後はUberはおそらくハイブリッドな勤務モデルを導入するとクリシュ氏は述べたが、まだ取り組んでいる最中だ。

「オフィスで一緒に働くことにどれくらいメリットがあるか、あるいは生産性やコラボレーション、エンゲージメントを減らすのか、我々はさまざまな面を考慮しています。現況や進捗状況を数週間以内にアップデートします」と同氏は書いている。

カテゴリー:シェアリングエコノミー
タグ:Uber新型コロナウイルスリモートワーク

画像クレジット:JOSH EDELSON/AFP / Getty Images

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(文:Megan Rose Dickey、翻訳:Nariko Mizoguchi

リモートワークが世界中に広がる中、分散型ワークフォース向け人事プラットフォームのOysterが約21億円調達

物理的なオフィス、または1つの国といった枠をはるかに超えてリモートワークが拡大し、こうした労働力を管理していく必要性が生まれる中、企業の人材管理支援に使用される人事テクノロジーにスポットライトが当てられている。急成長を遂げるHRスタートアップの1つが米国時間2月2日、事業を大きく拡大するための資金調達ラウンドを発表した。

Oysterは、人事サービスを提供するスタートアップで、「知識労働」分野の請負業者やフルタイムの従業員の雇用、新人研修、そして給与計算、福利厚生、給与管理といったプロセスを支援するプラットフォームを提供している。このOysterがシリーズAラウンドで2000万ドル(約21億円)を調達した。
同社はすでに100カ国で事業を展開しており、CEOのTony Jamous(トニー・ジャマウス)氏はインタビューで、市場を拡大するとともに、特に新興市場での人材採用に対処するための新サービスを導入する計画だと語った。ジャマウス氏はJack Mardack(ジャック・マーダック)氏と同社を共同設立している。

現在Oysterは、候補者の調達や面接、評価のプロセスをカバーしていない。それらは同社が独自の技術を構築したりパートナーと提携し、ワンストップサービスの一環として提供し得る分野と考えられる。同社は開拓可能な潜在要素として、バーチャルジョブフェアの開催を試みている。

「今後10年間で15億人の知識労働者が労働人口に加わりますが、そのほとんどは新興経済圏からの人々です。一方、先進国では約9000万人分の雇用が満たされない状態になります」とジャマウス氏はいう。「グローバルに分散した雇用形態をとることで強力な人材力を得ることができますが、その場合人事や給与システムに大きな課題を抱えることになります」。

資金調達を主導したのはB2BベンチャーキャピタルのEmergence Capitalで、同社はZoom、Salesforce、Bill.com、以前TechCrunchの姉妹メディアであったCrunchbaseなどを支援している。Slackの戦略的投資機関であるSlack Fundと、シードラウンドで同社を支援したロンドンのConnect Venturesも参加している。この投資はOysterの急成長を加速させ、人々がどこからでも仕事ができるようにするという同社の使命を支えるものとなるだろう。

Oysterの評価額は公表されていない。同社はこれまでに約2400万ドル(約25億円)を調達している。
世界的なパンデミックのため、旅行をはじめ地域活動までもが大幅に制限され、多くの人々が自宅での日常生活を余儀なくされていることで私たちの世界が縮小している一方、雇用の機会と組織の活動範囲が大幅に拡大しているのは皮肉なことである。

公衆衛生の危機から導入されたリモートワークは、企業が従業員をオフィスから切り離すことにつながり、その結果、場所を問わず最高の人材を発掘して活用する道が開かれた。

こうした傾向は2020年になって顕著になったと言えるかもしれないが、クラウドコンピューティングとグローバル化のトレンドの後押しを受けて、実はここ数年で徐々に注目を集めつつあった。ジャマウス氏は、Oysterのアイデアは何年も前から考えていたものだったが、同氏がその前に在籍していたスタートアップNexmo(2016年にVonageに約243億円で買収されたクラウドコミュニケーションプロバイダー)での経験の中でそれがより明確なものになったと語った。

「Nexmoでは優れた地域雇用者になることを目指していました。私たちは2つの国に拠点を置いていましたが、あらゆる場所で人材を必要としていました」 と同氏は続けた。「そのために何百万ドル(何億円)も費やして雇用インフラを構築し、フランスや韓国など各国の法律に関する知識を深めました」 。同氏はすぐにこれが極めて非効率的な仕事のやり方であることに気づいた。「私たちは複雑で多様な問題が発生することを想定していませんでした」。

Nexmoを去り、エンジェル投資(分散型の巨大企業Hopinなどを支援)を行った後、同氏は次のベンチャー事業として労働力の課題に取り組むことを選択した。

それは2019年半ば、パンデミック以前のことであった。あらゆる企業が分散型労働力の課題に対処する方法を模索するようになった現在、同氏の判断は時機を得たものとなった。

新興市場へのフォーカスはジャマウス氏の個人的背景と無関係ではない。同氏は17歳のときにレバノンからフランスに留学し、それ以来、基本的に海外で生活してきた。しかし先進国から新興市場に参入する多くの人々と同様、彼は母国の技術を持った人材はその国の住民や国自身が自らの生活を向上させるために活用し、発展させる価値があるものであることを認識していた。同氏はテクノロジーを活用することでそこに貢献できると考えていた。

このより広範な社会的ミッションを背景に、Oysterは現在B-Corporationとしての認定を受けようと申請中である。

個人的な経験に基づいて人材管理会社を設立したのはジャマウス氏だけではない。Turingの創業者たちはインドで育ち、遠く離れた場所の人々と働いていた自分自身のバックグラウンドをTuring設立の動機の一部として挙げている。Remoteの創業者はヨーロッパ出身だが、世界中にいる人材を活用するという同様の前提の下にGitLab(ここで彼は製品責任者を務めていた)を設立した。

実際、この事業に取り組んでいるのはOysterだけではない。分散型ワークの領域でADP社のような存在になることを目指しているHRスタートアップのリストにはDeelRemoteHibobPapaya GlobalPersonioFactorialLatticeTuringRipplingが名を連ねている。これらは2020年資金を調達したHRスタートアップのほんの一部であり、他にも数多くのスタートアップが存在する。

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Oysterの魅力は、サービスの提供方法がシンプルな点にあるように思われる。請負業者とフルタイム従業員に対するオプションがあり、また海外における人材配置の本格的な大規模展開も可能だ。必要に応じて従業員の福利厚生も追加できる。さらに、より大きな予算の中で雇用がどのように適合するかを見極めるためのツールや、各地域の市場での報酬についての指標を提供するツールも備えている。料金は請負業者を対象とする場合は1人あたり月額29ドル(約3千円)から、全従業員を対象とする場合は399ドル(約4万2千円)、より大規模な導入向けには他のパッケージも用意されている。

Oysterはローカルパートナーと協力してこれらのサービスの一部を提供しているが、プロセスをシームレスにするための技術を構築した。他のサービスと同様、同社は基本的に現地のプロバイダーとして顧客の代わりに雇用と給与を処理するが、企業自身のポリシーと現地の管轄区域のポリシー(休暇、解雇条件、産休などの領域で互いに大きく異なる場合がある)の整合性を確保した契約条件の適用が可能となっている。

「資金力のある競合企業もいくつか存在します。資金力があるということは大抵は適切なシグナルです」とOysterの投資を主導したEmergenceでパートナーを務めるJason Green(ジェイソン·グリーン)氏は語っている。「ですが、競争をリードする企業に賭けたいと思うなら、実行力に着目すべきです。今、私たちは実行力を発揮した実績のある企業に投資しています。ジャマウス氏は会社を設立し、それを売却した経験のある起業家です。彼は収益を生み出した実績があり、ビジネスを構築する方法に精通しています。しかしそれ以上に大切なのは、彼の仕事は使命感に支えられていることです。それはこの事業分野において、そして従業員にとって大きな意味を持つでしょう」。

カテゴリー:HRテック
タグ:Oyster資金調達リモートワーク移民

画像クレジット: Tara Schmidt / Flickr under a CC BY 2.0 license.

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:Dragonfly)

オンラインで現実世界のコミュニケーションを再現、バーチャル空間ツールoViceが目指すウィズコロナの世界

「ウィズコロナ」と名づけられ、ニューノーマルな働き方が定着しつつある今、リモートオフィスを実現するサービスに注目が集まっている。TechCrunch Japanが今年開催した「Startup Battle Online 2020」の出場企業であるoViceもその1つだ。同サービスでは、まるでオフィスにいるかのようにスタッフたちの現在地を認識しながら近寄り、ホワイトボードツールや動画の共有を通じて協働作業が行える。鍵付きのルームも用意可能なため、会議もツール内で行えるフルスタックぶりだ。

同社は2020年2月に設立。創立者のSae Hyung Jung氏(ジョン・セーヒョン氏)はエンジニアかつシリアルアントレプレナーであり、oViceの創業当時はチュニジアにいたという。「すでに新型コロナウイルスの影響は始まっていたが、限定地域のみで影響は少ないだろうと考えていた。あっという間にロックダウンになり、リモートワークを強制的に始めなくてはならなくなった。当初は社内利用目的でプロトタイプを開発したが、商用化ができると踏んで、日本へ帰国し6月にはクローズドベータを開始した」とアイデア着想の背景について話す。

「リモートツールでユーザーが離脱しない最大の理由は、安定性です。Zoomが安定している理由はアプリだから。私たちはブラウザで誰でも簡単にログインされ、ツール上での音声、チャット、動画再生等全てが滑らかであることを目指しました」(ジョン氏)。

ブラウザいっぱいに空間を作れ、入場者は顔アイコンとして表示され空間上を移動でき、近づけば音声が聞こえてくる。50名から500名まで対応しており、エレベーターを作ってフロアを構築することもできる。自社オフィスのリモート化だけでなく、コワーキングオフィス入居者のコミュニケーション場所、学校のバーチャルキャンパス、コンベンションセンター、展示会、学会など、多様なビジネスユースが行われているそうだ。背景画像のカスタマイズが可能なので、ユーザー自らユースケースを発掘し、テレビ番組のような○×ゲームや演劇も行われたこともある。

殺人事件に関する朗読劇を見ながらoVice上に散りばめられた証拠を集め、殺人犯を突き止めるというイベントで使用されたoVice背景

ジョン氏は、自分たちを、リモートワークツール提供者ではなく、空間の提供者であると捉えていると語る。「我々が提供するのは空間そのもの。内装をユーザが作っていくものとすれば、我々の立ち位置は不動産業にあたる」。

今回の取材で、実際に私は玄関から入り、ミーティングエリアまで自らアイコンを動かし、畳エリアで向かい合いながら座って会話をした。ジョン氏は開発当時「あつまれ どうぶつの森」をプレイしており、あの感覚を目指したという。「バーチャルでは効率性が求められます。ショートカットが可能な環境で、わざわざ移動を再現すべきかという意見もありました。しかし私たちが目指しているのは、リアルにできるだけ近いコミュニケーションが可能な空間の再現なのです」。

oViceが目指すのはオフィスの再現に止まらない。「コアコンピタンスは、現実のコミュニケーションをバーチャル上で快適に再現する技術。API連携をしてできることは増えていく。例えばShopifyと連携すれば、リンクさせた商材の情報をオンラインで見ながら、近くにいる店員にアドバイスをもらうという買い物も実現できます」。実際にoViceが提供するのは背景や機能などの「箱」であり、ユースケースは無限大で、なんでもバーチャルに生活を再現していくことができる。フロアを繋げればオフィス、オフィスを繋げればビル、ビルを繋げれば街となるのだ。

「新型コロナウイルスが収束してもリモート状況は併用されるでしょう。その時、対面参加者とオンライン参加者の差分がないくらい滑らかな生活を作っていきたいと考えています」。

画像クレジット:oVice

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:oVice リモートワーク