サムスンがARで忘れ物探しができるトラッカー「Galaxy SmartTag+」を発表

Apple(アップル)の来る紛失物ファインダーAirTagsのライバル商品となるSamsung(サムスン)のGalaxy SmartTag+が発表された。SamsungはGalaxy SmartTagというTile(タイル)のライバル商品を2021年1月の報道機関向けイベントで発表している。その際、Galaxy SmartTag+というウルトラワイドバンド(UWB、超広帯域無線通信)で機能するバージョンが、具体的な時期は示さなかったものの、2021年後半にも登場するかもしれないとほのめかした。

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そして今、明らかになった。Galaxy SmartTag+はBluetooth Low Energy(BLE)とUWBの両方をサポートし、たとえばバックパックやキーチェーンなど、位置を追跡したい毎日使うアイテムに取り付けることができる。

噂されていたAppleの(そしてアクシデントで存在を明らかにした)AirTagsのように、Samsungデバイス所有者のためのSmartTag+はUWBテクノロジーを使っているおかげで、より正確に場所を特定することができる。このテクノロジーは最近発売されたGalaxy SmartTagには搭載されていない。

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SmartTag+を取り付けたものを紛失したとき、ユーザーはSamsungのスマホを使ってタグの位置をより簡単に特定するのに空間認識能力を備えるARテクノロジーを使うことができる。タグの場所に近づくにつれ、大きな音を鳴らすよう選択することも可能だ。これはソファのクッションなど、何かの下に落とした場合に役立つ。

TileのUWBデバイスと同様、SmartTag+はコミュニティで紛失物を発見する機能も備える。この機能を選択している近くのGalaxyデバイスが紛失物の場所の特定をサポートし、またSmartThings Findネットワークを通じて持ち主に通知する。このデータは暗号化され、タグの場所は所有者のみが知ることとなる。

ピンクとグリーンのカラーが加わった先のSmartTagと異なり、SmartTag+は差し当たって黒とグレーのみの展開だ。

新しいビーコンはUWBに頼っているため、UWBテクノロジーを搭載するGalaxyデバイスでのみ使える、とSamsungは話す。Galaxy Note20 Ultra、Galaxy S21+、Galaxy S21 Ultra、Galaxy Z Fold2などだ。

SmartTag+の登場は紛失物ビーコンマーケットが大きく変化しようとしている中でのものだ。

現在Tileのような企業が独占しているこの分野へのAppleの参入はかなり破壊的なものになるかもしれない。AppleのAirTagsは空間と方角のデータをとらえるのにUWBを使っていて、これによりタグを取り付けた紛失物の発見をより簡単で正確なものにしている。しかしAirTagsはAppleのFind Myアプリも統合する。今週このアプリはイヤフォンや電気自転車のメーカーを含むサードパーティーへの提供が始まった

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初期ラインナップで不在が目立つのはTileで、同社もまたUWBトラッカーを準備中だ。Tileは自社アプリを通じてすでに確立した顧客との関係をあきらめて、それをAppleに引き渡したくはないはずだ。そうする代わりにTileは独自のUWBトラッカーと自前のiOSアプリを通じたAR発見機能の提供を計画している。

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しかしながらSamsungの場合、ファーストパーティトラッカーであり自社デバイス向けにデザインされているため、そうした問題を抱えていない。SmartTag+は基本的にSamsungデバイス所有者のためのAirTagsであり、もしAppleが自前のビーコンを立ち上げるときは、Android版に対する需要が影響を受けるかもしれない。

Samsungの先のSmartTagは米国では29.99ドル(約3280円)で、新しいSmartTag+はそれより10ドル高い39.99ドル(約4370円)だ。

カテゴリー:ハードウェア
タグ:SamsungトラッカーGalaxyUWBBluetoothAR

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nariko Mizoguchi

グーグルがマップの3D表示大型アップデートを予告、屋内でのARルート案内など新機能を多数発表

Google(グーグル)は米国時間3月30日、Googleマップの大規模なアップデートをいくつか発表した。その内容は「Live View(ライブビュー)」機能によるARルート案内が一部の屋内でも使えるようになることや、地図に気象データが追加されたことなど多岐にわたる。だが、最も気になるニュースは、それがいつになるのか時期は明らかにされていない(典型的なGoogleらしいやり方だ)ものの、同社が大幅に改善された3DレイヤーをGoogleマップに導入することを計画しているというものだ。

Microsoft(マイクロソフト)の「Flight Simulator(フライトシミュレーター)」で世界の広い範囲を詳細に描き出すことを可能にしたのと同じ技術であるphotogrammetry(フォトグラメトリー)を使って、Googleもその地図サービスのために世界の3Dモデルを構築している。

「私たちは、何十億枚もの航空写真、StreetView(ストリートビュー)、衛星画像を融合させる技術を引き続き改良し、平面的な2Dマップから、従来よりも正確な3Dモデルへと進化させていきます。しかも、これまで以上に速く、詳細に描き出すことが可能になります」と、GoogleのGeo Product Experience(地理製品体験)担当VPであるDane Glasgow(デーン・グラスゴー)氏は、この日の発表に先立って行われたプレスイベントで語った。同氏によれば、この3Dレイヤーによって、同社のすべてのデータを新しく興味深い方法で視覚化できるようになるという。

画像クレジット:Google

この技術が実際にどのように機能するかはまだ不明だが、一例として、グラスゴー氏は3Dマップの上に通常のマッピングデータをすべて重ね合わせた、新しい3Dルートのプレビューを披露した。

また、この技術によって、Googleは信号機の位置や建物の住所などの小さな特徴を解析できるようになり、その結果、より良い道案内ができるようになると、グラスゴー氏は述べている。

「3D画像を利用することで、多くの新しい情報やデータを重ねて可視化することもできると、私たちは考えています。例えば、交通渋滞や事故、交通機関の遅延、混雑状況といった役立つ情報をはじめ、新たな情報をもたらすことができる可能性はたくさんあります」と、同氏は説明した。

画像クレジット:Google

もっと近い将来の展開として、Googleは今後数カ月の間にリリースが予定されている新機能もいくつか発表した。中でも最も目を引くのは、屋内の案内に対応したライブビュー機能だろう。このAR道案内機能はこれまで、屋外でしか機能しなかったが、ユーザーがどこにいるかを(GPS信号が届かなくても)正確に認識する技術が進歩したおかげで、屋内でも利用できるようになったという。この機能はすでに、米国のシカゴ、ロングアイランド、ロサンゼルス、ニューアーク、サンフランシスコ、サンノゼ、シアトルの一部のモールで提供されてるが、今後数カ月のうちに、東京とチューリッヒの一部の空港、モール、交通機関の駅でも提供が始まる予定だ(ちょうどワクチンが届いて、旅行が回復する時期かもしれない)。Googleによると、同社はユーザーの周囲の映像をデータベースと比較することで位置を特定できるという。それによって、例えばユーザーがチューリッヒ空港のどの階にいるのかわかるため、ゲートまで案内することが可能になるというわけだ(私の経験では、空港ほど案内板が充実している場所はないのだが……)。

また、Googleマップには新たに気象データ(気象レーダーではない)と大気質のレイヤーが追加される。各地の天気を表示する気象レイヤーは今後数カ月のうちにAndroidとiOSでグローバルに利用可能になる予定だが、大気質レイヤーは、まずオーストラリア、インド、米国のみで導入される。

画像クレジット:Google

大気質といえば、Googleマップでは、経路検索で自動車を選んだ際に、新たに二酸化炭素の排出量が最も少ないルートを提示する、エコフレンドリーなルート検索オプションが追加される(AndroidとiOSで2021年後半に利用可能になる予定)。また、欧州では、多くの都市で採用されている低排出ガスゾーンがついにサポートされる。これは6月にドイツ、フランス、スペイン、英国で、AndroidとiOSで提供が始まる。その後、さらに多くの国で対応する予定だ。

さらに、Googleは道案内のインターフェースをアップデートし、すべての交通手段やルートの選択肢を、ユーザーの好みや、その都市における人気の高さに応じて(例えば、ニューヨークなら地下鉄、ポートランドならレンタルバイクなど)優先順位をつけて表示するようになる。

また、Instacart(インスタカート)やAlbertsons(アルバートソンズ)との提携により、道路の路肩で食料品を受け取る際のオプションが新たに統合された。

Googleの発表ではよくあることだが、同社が披露した最もエキサイティングな新機能はいつから利用できるのか予告がなく、そのまま導入されない可能性もないわけではない。今はひとまず、Googleマップで天気予報が見られるようになったことで我慢しながら待つことにしよう。

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カテゴリー:ソフトウェア
タグ:GoogleGoogleマップ地図AR

画像クレジット:Sundry Photography / Getty Images

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

破産した拡張現実のパイオニアBlipparがB2B事業で復活、約5.4億円の資金を調達

AR(拡張現実)分野のパイオニアであるBlippar(ブリッパー)は、初期の投資家が撤退したため、新たな投資家を募るという苦難の歴史を歩んできたが、AR分野のB2B企業として位置づけを見直す活動を18カ月間続けた結果、500万ドル(約5億4000万円)の資金調達を完了することができた。

このプレシリーズAラウンドは、Chroma Ventures(クロマ・ベンチャーズ)とWest Coast Capital(ウェストコースト・キャピタル)が共同で主導した。また、カナダの起業家であるAnthony Lacavera(アンソニー・ラカベラ)氏も自身の投資会社であるGlobalive Capital(グローバライブ・キャピタル)を通じて参加した。Chroma Venturesは、Paddy Burns(パディ・バーンズ)氏とChris van der Kuyl(クリス・ファン・デル・クイル)氏のゲーム会社である4J Studios(4Jスタジオ)の投資部門。West Coast Capitalは、スコットランドの起業家Sir Tom Hunter(トム・ハンター卿)とその家族のプライベート・エクイティ部門である。

これらの新たな投資家は、既存の株主であるCandy Ventures(キャンディ・ベンチャーズ)に加わる。同社は、Blipparの救済にあたった英国の不動産起業家、Nick Candy(ニック・キャンディ)氏が設立したマルチステージ投資会社だ。この新会社は、Blipparの資産を特許売却により取得し、Blipparの共同設立者で元CEOのAmbarish Mitra(アンバリッシュ・ミトラ)氏を引き留めた。もっとも、現在同氏は”チーフ・クリエイティブ・オフィサー”という地位に就いている。全盛期のBlipparは、1億3000万ドル(約141億円)の資金を調達し、15億ドル(約1627億円)の評価額を誇示して、消費者向けAR市場に参入しようとしていた。しかし、今ではSaaS型AR制作プラットフォームのBlippbuilder(ブリップビルダー)が、B2B市場への復活を可能にする資産となっている。

Blipparは、最盛期には340人の従業員を抱えていたが、現在はわずか30人に過ぎない。しかし、倒産以前のIPと資産がすべて残っており「日が照っているうちに干し草を作ろう」としているところだ。

AR技術は現在、ライブイベント(復活すれば!)、小売販売、FMCG(日用消費財)、自動車、医療、教育などの分野で利用されている。

噂されているApple(アップル)のARグラスや、モバイルの検索結果にARが含まれるようになることは、AR技術の普及を後押しするだろう。同様に、新型コロナウイルス流行によってソーシャル・ディスタンスを保つ必要性が続いていることも、その一因となっている。

大手テクノロジー企業はARツールを開発しているが、これらはプラットフォームに依存する。だが、Blipparが目指しているのは、プラットフォームを問わないARツールだ。

Blipparの市場参入には2つのルートがある。1つめはSaaSプラットフォームのBlippbuilderを介して、代理店、ブランド、ARコンテンツクリエーターがコミュニケーションやキャンペーンを作成できるようにすること。そしてもう1つは、社内チーム「Studio B」による注文制作の仕事である。

現在のBlipparでCEOを務めるFaisal Galaria(ファイサル・ガラリア)氏は次のようにコメントしている。「このようにすばらしい投資家の方々を迎えることができ、私たちはとても興奮しています。2020年はBlipparにとって変革の年となりました。収益は前四半期比で200%増加し、経営陣も引き続き強化され、OnePlus(ワンプラス)、Kellogg’s(ケロッグ)、Dr Pepper(ドクターペッパー)などの大手グローバルブランドに最先端のARキャンペーンを提供することができました。私たちは、AR分野における10年間の投資、実績、技術面でのリーダーシップを活用して、さらに集約し、引き締まった、これまで以上に優れた企業に生まれ変わりました」。

バーンズ氏とファン・デル・クイル氏は、Microsoft(マイクロソフト)、Sony(ソニー)、Nintendo(任天堂)の各ゲーム機にMinecraft(マインクラフト)を移植したことで知られている。ファン・デル・クイル氏は、声明の中で次のように述べている。「ARの没入感は、ゲーム業界にとって最も重要なユースケースの1つです。BlipparのAR技術は、私がここ数年見てきた中で最も先進的で革新的なものであり、ARで将来の究極のゲーム体験を支える大きな可能性を秘めています。私たちは今後のBlipparの発展に参加できることを楽しみにしています」。

加えて、技術系投資会社Northzone(ノースゾーン)のベンチャーパートナーであるJustin Cooke(ジャスティン・クック)氏も、今月Blippar社の取締役に就任した。英国政府は、新型コロナウイルスの影響で苦境に立たされているハイテク企業を支援するために設立されたFuture Fund(フューチャー・ファンド)と呼ばれるマッチ・ファンディング制度を通じて、Blipparに少数株主として出資している。

Blipparは、Niantic(ナイアンティック)、Unreal(アンリアル)、Unity(ユニティ)、8th Wall(エイスウォール)、Zappar(ザッパー)、Magic Leap(マジック・リープ)などの市場に参入し直そうとしている。しかし、ARが成熟するにつれ、適切な場所に戻ってくるかもしれない。

ブランドがBlipparのプラットフォームをどのように利用しているか、一例をご紹介しよう。

カテゴリー:VR / AR / MR
タグ:Blippar拡張現実資金調達

画像クレジット:Blippar

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(文:Mike Butcher、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

拡張現実を販売に利用するD2C家具のTylkoがPitangoとEvliが率いるシリーズCラウンドで約28億円調達

拡張現実(AR)を販売手法の一部として採用するポーランドのスタートアップ新興家具メーカーであるTylkoは、TDJ PitangoとExperior Venture Fundに続き、イスラエルのPitango GrowthとフィンランドのEvli Growth PartnersがリードするシリーズCの投資ラウンドで2200万ユーロ(約28億円)を調達した。さらにHermann Miller(ハーマン・ミラー)の元CEOであるBrian Walker(ブライン・ウォーカー)氏と、米国のMasterClassのCOOであるMark Williamson氏(マーク・ウィリアムソン)氏が新たな投資家として加わっている。Tylkoは2015年の設立以来、現在までに合計3300万ユーロ(約43億円)を調達している。

Tylkoは現在、140人のチームを倍以上に増やすとともに、新たな市場でのローンチを計画しており、現在の限定されているポートフォリオを拡大する予定だ。

Tylkoは、消費者向け家具市場をある程度開拓したmade.comと似ている。Madeと同じく、Tylkoの背後にあるアイデアは、消費者による直接の「オンデマンド設計」 である。同社によるとパンデミックの最中、人々が家に閉じこもってオンラインで注文をしていた時期により、2020年の売上高は前年比で132%増加したという。

Tylkoの共同創業者かつ共同CEOであるJacek Majewski(ヤツェク・マジェフスキー)氏は、声明の中で次のようにコメントしている。「Tylkoのビジョンは、完璧なデザイン、高品質で持続可能な製品を作るために、ユーザーエクスペリエンスを第一に考えることです。この巨大な産業に持続可能性をもたらすためには、証明書ではなくその機能によって顧客を獲得できるような、非常に魅力的な製品を作る必要があると考えています」。

Tylkoによると、同社の家具は 「パラメトリックデザイン」 をベースにしており、それぞれのアイテムは非常に個性的だ。Tylkoのプラットフォームは、生産パートナーのための製造プロセスを自動化している。

Evli Growth PartnersのグロースパートナーであるMikko Kuitunen(ミッコ・クイトゥネン)氏は「私たちはTylkoの並外れた成長と、家具市場のリーダーとして会社を拡張する能力に感銘を受けています。Tylkoの強力なインパクト主導のビジョンとオーダーメイドのビジネスモデルは、市場をより持続可能なソリューションへと移行させます」。と付け加えた。

Pitango Venture CapitalのGeneral Managing Partner&Co-FounderであるRami Kalish(ラミ・ケイリッシュ)氏は、「Tylkoは家具業界を破壊する大きなビジョンを持っています」 とコメントした。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Tylko家具AR

画像クレジット:Tylko

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(文:Mike Butcher、翻訳:塚本直樹 / Twitter

任天堂とNianticがARの「ピクミン」シリーズ新作を共同開発

米国時間3月22日、Pokémon Goのから5年近く経つNianticは、任天堂との共同開発で同社のピクミンリーズの新作を開発すると発表した

Nianticによると、アプリは東京で開発し2021年後半にローンチするとのこと。

Nianticはプレスリリースで「このゲームのプレイには、ウォーキングを励まし、ウォーキングをもっと楽しくなるアクションが含まれている」と述べている。また、同社の拡張現実のプラットフォームを利用してリアルの世界をアプリの体験に盛り込まれているというが、おもしろそうだ。

ポケモンGOはメディアから姿を消したが、このサンフランシスコのゲーム会社に今でも大きな売上をもたらしている。2020年の売上は10億ドル(約1090億円)を超えている。最近、モバイルゲームに食い込みたいと努力している任天堂は、同社のこれまでの大人気シリーズをベースとするゲームをいろいろリリースしてきたが、どれもポケモンGOほどの成功を収めていない。

Nianticはこれまでに5億ドル(約540億円)近くの資金を調達し、最近の評価額は40億ドル(約4350億円)だった。

任天堂と提携して@NianticLabsのリアルワールドARプラットフォームで作るモバイルゲームの開発を発表できるのはとてもうれしいことです。任天堂の人気キャラクターに新しい命が吹き込める。私たちがARアプリの独占パートナーになることも、喜ばしいことです。

カテゴリー:ゲーム / eSports
タグ:任天堂NianticAR

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(文:Lucas Matney、翻訳:Hiroshi Iwatani)

アウディの全電動クロスオーバーQ4 e-tronはダイナミックARディスプレイを搭載

広くなったコックピットと収容スペースにアップグレードされたカップホルダーとともに、Audi(アウディ)は近日発売の全電動コンパクトクロスオーバー車「Q4 e-tron」に高度な新技術を導入する。そこにはドライバーの実際の視野に正確に反映される反応の速い拡張現実ヘッドアップディスプレイ(HUD)がある。

米国時間3月9日、Audiは同社ラインアップで5番目の電気自動車であるQ4 e-tronのインテリアを公開した。この車は2025年までにEVとプラグインハイブリッドを30車種以上発売するというドイツ自動車メーカーの計画の一部でもある。Q4 e-tronはかなり前から予定されていたモデルでコンセプトが最初に発表されたのは2019年のジュネーブ国際モーターショーだった。

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Q4の生産モデルの外観はまだ隠されているが、サイズはわかっている。大きめのコンパクトSUVに分類される電気自動車で、短いオーバーハングと2.77メートルのホイールベースという組み合わせは少々たくましいルックスであるように感じるが、これによりインテリアは長さ1.8メートルと大型フルサイズクラスSUV並みのスペースを確保している。

基本的な構造は、親会社であるVW(フォルクスワーゲン)のモジュラー電動駆動ツールキットシャシー(MEBプラットフォーム)に基づいている。この柔軟なモジュラーシステムをVWが最初に導入したのは2016年で、さまざまなEVを効率的にコスト効率よく生産するために開発された。さらに、フラットな床のおかげでデザイナーが扱える空間が広くなっている。そのスペースを生かしたデザインによって、センターコンソールにはカップホルダーが2つ、4.4リットルのカバー付き収納コンパートメント、USB-Cソケット2基(オプションで4基)および好みでAudiフォーンボックス(携帯電話をワイヤレス充電し信号を強化する)が配置される。

画像クレジット:Audi

ここでの主役はテクノロジー、中でも最も注目されるのがオプションのAR内蔵フロントガラスだ。このARフロントガラスは、通常のフロントガラスHUDよりも広い視野と正確でダイナミックなアニメーションを実現している。Q4 e-tronは重要な情報を2つのセクションに分けて表示する。1つがステータス、もう1つがARだ。前者はドライバーの約3メートル前方に現れて、速度、道路標識、運転支援システム、およびナビゲーションシンボルを常時表示する。

ARセクションでは、ドライバーには10メートル先に浮かんだシンボルが見える。そこでは車線逸脱警告機能が実際の車線境界線に赤い線を重ねて表示したり、適応クルーズコントロール使用時に前方を走行中のクルマに色つきのストライプを表示したりする。

「ヘッドアップディスプレイは決して新しいものではありません」とAudiはいう。「これは視界を奥に広げることによって、さらに積極的な活用を可能にしただけです」。

ARはナビ情報も表示する。Audiは方向を示す矢印を「drones(ドローン)」と呼んでいるが、おそらく直進している時に矢印が前方に現れては消え、次の行動位置に近づくと再び現れるからだろう。交差点に近づくと、ドローンが方向変更を声で伝え、その後ドライバーを正確な方向へと導く。

画像クレジット:Audi

ソフトウェア面では、Q4 e-tronのAR Creatorと呼ばれる処理ユニットが車の前面カメラ、レーダーセンサー、およびGPSナビゲーションから生データを受け取り、毎秒60フレームでディスプレイシンボルをレンダリングして周囲の環境に適応させて表示する。この、Audiが「picture generation unit(PGU、画像生成ユニット)」(基本的にたくさんの鏡の集まり)と呼ぶ装置の中の特殊なスモークと鏡を経由して表示される映像の品質は、当然ながら現実世界でどれだけこれがうまく働くかを決める重要な要素だ。現在はシミュレーションでしか確認することができないため、Audiがどこまでうまくやっているのかはわからない。広いフレームとダイナミックなシンボルは「現実世界と同じ明瞭さ」で表示されなくてはならない。さもなければドライバーの妨害になり、もし奥行きを正確に表せなければ、ドライバーに不快感を与えることにもなる。

Q4 e-tronは自然言語音声制御も改善され「Hey Audi(ヘイ・アウディ)」という呼びかけで起動できるようになる。さらにハンドルから物理ボタンを排除してタッチ式に変更した。ただし、ハプティック(触覚)フィードバックループによって、ボタンを押しているような感覚を得られる。

同社の2020年の販売台数の約3%、4万7000台が電気自動車のe-tron SUVとe-tron Sportbackだった。高級EVを発売すれば間違いなく増えていく数字だ。

カテゴリー:モビリティ
タグ:Audi拡張現実 / AR電気自動車

画像クレジット:Audi

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Nob Takahashi / facebook

ウェブブラウザーだけでXR空間を構築できる「STYLY」を手がけるPsychic VR Labが9億円調達

ウェブブラウザーだけでXR空間を構築できる「STYLY」を手がけるPsychic VR Labが9億円調達

VR・AR・MRクリエイティブプラットフォーム「STYLY」(Android版iOS版)を提供するPsychic VR Labは2月26日、計9億円の資金調達を発表した。引受先は、KDDI Open Innovation Fund 3号(グローバル・ブレイン)、DGベンチャーズ、DG DaiwaVentures、DK Gateほか。累計調達額は約19億円となった。

調達した資金により、様々な空間のXRメディア化を促進すべく組織体制の強化と事業化を推し進める。

ウェブブラウザーだけでXR空間を構築できる「STYLY」を手がけるPsychic VR Labが9億円調達

2016年5月設立のPsychic VR Labは、すべてのアーティストがXR空間を構築できる世界を作ることをミッションに、アート、ファッションからライフスタイルに関わるインターフェイスのXR化を推進。

同社のクラウドサービスSTYLYは、VR・AR・MRの制作負荷を圧倒的に下げることが可能なクリエイティブプラットフォームという。ウェブブラウザーだけでXR空間を構築し、VR・AR・MRコンテンツを配信できるとしている。

クラウド上でコンテンツの制作から配信まで一括管理するため、キャンペーンやイベント対応など、制作から運用まで自社で行うことも可能。制作者は難しいエンジニアリング作業から解放され、空間構築に集中できるという。

これまでの実績としては、渋谷パルコにおいて、商業施設で珍しいXRアート作品の常設展示 XR SHOW CASEを実施。1カ月で2万5000人の来場を記録した。

渋谷5Gエンターテイメントプロジェクトを通じた渋谷駅ハチ公前広場での5G体験イベントや、渋谷区公認「バーチャル渋谷」MR企画のほか、KDDIのコンセプトショップ「GINZA 456 Created by KDDI」でのクリスマスツリーのAR拡張などの取り組みも行っている。

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カテゴリー:VR / AR / MR
タグ:XR / xR(用語)拡張現実 / AR(用語)仮想現実 / VR(用語)混合現実 / MR(用語)Psychic VR Lab(企業)資金調達(用語)日本(国・地域)

Scope ARが企業向けブラウザベースAR作成プラットフォームを発表、Unityを使わず3Dコンテンツを作成可能に

企業の世界に拡張現実を導入することは、ARスペースの多くのスタートアップが予想していた以上に難しい課題であることは実証済みだ。しかし、この技術を支えるハードウェアとソフトウェアがますますコモディティ化していく中で、顧客はリモートワークフローの変化に合わせたユースケースを見つけ始めている。

Scope ARは2010年に設立されて以来、3Dモデルを利用して製造業のトレーニングやコラボレーションのスケールアップを支援するというビジョンを売りにしてきた。同社はこのたび、主要製品であるWorkLinkをウェブ向けに刷新し、よりスケーラブルな未来を構築しようとしている、とScope ARのCEOであるScott Montgomerie(スコット・モンゴメリー)氏はTechCrunchに語った。

「WorkLink Create」と呼ばれる新しいプラットフォームは、顧客が複雑な作業を回避し、Unityを使用せずにCADモデルの上に3Dコンテンツを作成できるようにするもので、非技術系のユーザーや、統合をロールアウトするためにUnity開発者にアクセスできない可能性のある顧客にとって、製品をより親しみやすくするための取り組みだ。

モンゴメリー氏はTechCrunchに「Unityはすばらしいですが、何かするにはコードを書く必要があります」と語り、WorkLink Createは競合他社のソフトウェアと比較して「よりユーザーフレンドリーで拡張可能な」オプションであると述べた。

ブラウザベースの同プラットフォームでは、ユーザーは3Dファイルをアップロードし、ドラッグ&ドロップのインターフェイスを介して、コメント、詳細な指示、アニメーションを使い編集することができる。このプラットフォームは、CADモデルの詳細レベルをレンダリングするデバイスの能力に合わせて自動的にスケールダウンする。公開されると、顧客のユーザーはWorkLinkのモバイルアプリやHoloLensアプリからモデルや説明書にアクセスできるようになる。

画像クレジット:Scope AR

新型コロナ時代のガイドラインによって、より多くのミーティングがバーチャル空間で行われるようになったため、商用教育、オンザジョブトレーニング、トラブルシューティングに焦点を当てたScope ARの製品は、新たな関心を集めている。

新型コロナ時代のデジタルトランスフォーメーションによる恩恵をARがフルに受けているとはいえないが、新型コロナウィルスの流行に対応したリモートワークブームもScope AR製品のビジネスを後押ししている、とモンゴメリー氏は語る。新型コロナウイルスの検査・治療に必要な医療機器の迅速な構築・修理を目指した最前線の製造業務を支援することで、同社は顧客リストを拡大しているという。

モンゴメリー氏は、ARの普及には時間がかかると常に予想していたものの、ARヘッドセットの採用ペースの遅さは予想を超えていたと述べ、それが同社が長年にわたり、モバイルベースのARを携帯電話やタブレットに取り入れようとした方向性を後押ししてきたという。Scope ARはHoloLens 2の公認リセラーだが、HoloLensはRemote Assistと呼ばれるエンタープライズユーザー向けの独自のリモートコラボレーションソフトウェアも提供している。

Scope ARは2019年に970万ドル(約10億3000万円)のシリーズAをクローズしたが、これは同社がこれまでに投資家から調達した1200万ドル(約12億7000万円)弱の大半を占めている。

カテゴリー:VR / AR / MR
タグ:Scope AR拡張現実

画像クレジット:Scope AR

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(文:Lucas Matney、翻訳:Aya Nakazato)

米SnapがインドでShareChatの動画アプリMojと提携しCamera KitのAR技術を展開

世界第2位のインターネット市場での成長を加速させようとしている米国のSNS・カメラアプリ大手Snap(スナップ)は、同社のCamera KitをインドのShareChatが運営するMojアプリに統合するパートナーシップを発表した。

さまざまな拡張現実(AR)機能をアンロックするCamera Kitの技術において、Snapがインドの企業と提携したのは今回が初めてであると両社は述べている(Snapは世界的には、Trillerを含む数社の企業とCamera Kitのため提携している)。

TechCrunchの取材に対し、Mojのクリエイターはアプリ内からSnapのAR技術を利用できるようになり、クリエイターが制作したレンズの一部はSnapユーザーが利用できるようになると、両社の幹部が語った。

米国時間2月10日の動きは、インドで人気のソーシャルネットワークであるMojを運営しているShareChatが資金調達のための努力を続けている中で発表された。Mojは十数カ国語の現地語に対応してユーザーを集めており、Google(グーグル)やSnap、Twitter(ツイッター)などの投資家と交渉中であると先にTechCrunchが報じていた。

関連記事:グーグルとSnapがインドの都市部以外でも人気のSNS「ShareChat」への投資を協議中

SnapのSVPであるBen Schwerin(ベン・シュヴェリン)氏はインタビューで、今回のコラボレーションは2つの企業間の関係の始まりであると語ったが、投資の件についてはコメントを避けた。

シュヴェリン氏は、8カ月のMojとのコラボレーションによって、Snapはインドのより多くのユーザーにAR技術のリーチを拡大できるようになると述べた。何年もインドへの進出に苦労してきたSnapは、ここ数四半期、インドで目覚ましい成長を遂げている。

Snapは2020年12月のインドにおける月間アクティブユーザー数が約8000万人(業界幹部がTechCrunchと共有した、モバイルインサイト会社App Annieのデータによる)で、1年前の約2500万人から増加している。

ShareChatはインドで1億6000万人以上の月間アクティブユーザーを獲得しており、2020年6月にインド政府がTikTok(ティックトック)を禁止した後に立ち上げたMojアプリは、同スタートアップによると同年9月には約8000万人のユーザーがいたという。

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インドでは多くのスタートアップが、同国でのTikTokの禁止に乗じてチャンスを生かそうとしている。インドのコングロマリットであるTimes InternetのMX PlayerはMX TakaTakを立ち上げ、ニュースアグリゲーターのDailyHuntはショート動画にJoshで拡大した。彼らの親会社(VerSe Innovation)は今週、1億ドル(約105億円)以上の資金調達を発表したが、これはGoogleが同スタートアップの別の1億ドル以上のラウンドに参加してから2カ月後のことである。

関連記事:GoogleがインドのスタートアップGlanceとDailyHuntに投資、世界第2位市場へさらに注力

世界的な大手企業もまた、この機会を利用しようとしている。Facebook(フェイスブック)は2020年、インドでInstagram Reelsを立ち上げ、YouTubeはShortsを立ち上げたが、これはすでにインドで毎日35億以上のビューを集めていると同社は先月述べた。

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Mojは、ローンチ時点でコミュニティ向けに30のSnapによるレンズをリリースしたが、今後数年間で400以上のレンズを開発し、その一部はインドのSnapchat Official Lens Creatorsと共同で開発する予定だと述べている。

「Mojのオーディエンスのためにカスタマイズされ、ローカライズされたARレンズのすばらしい選択肢が出てくるでしょうし、Snapだけでは見られなかったようなイノベーションやユースケースがたくさん出来てくると思います」とシュヴェリン氏は語り、これまでクリエイターたちはSnap用に150万以上のレンズを開発していると付け加えた。

ShareChatの製品担当SVPであるGaurav Mishra(ガウラフ・ミシュラ)氏は、インタビューの中で、このパートナーシップはMojユーザーたちがコミュニティとより深く関わり、群衆の中で際立つことを可能にするだろうと述べている。彼は、ShareChatがレンズの作成のために展開することを計画していたリソースのレベルを共有することは避けた。両社は、取引の財務条件を開示することを辞退している。

インド最大級のARクリエイティブ企業であるSuperFan Studioで働くHardik Shah(ハーディク・シャー)氏は、SnapのAR技術の普及は、インドのほとんどの人が利用できるレンズやフィルターの品質を向上させるだろうとTechCrunchに語った。

「ブランドは『あなたはどのディズニーキャラ?』という質問は2019年のものであり、2021年には捨てるべきだと気づく必要があります。時代遅れで陳腐な演出をするんだったら、AR体験はしない方がいい」と彼はいう。以下の動画は、SuperFan StudioがSnapプラットフォーム上で行った作品の一部だ。

 

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タグ:SnapMojARインド

画像クレジット:Mauricio Santana / Getty Images

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(文:Manish Singh、翻訳:Aya Nakazato)

Pinterestがアイシャドウを購入前に試せるバーチャルメイク機能を発表

Pinterest(ピンタレスト)は米国時間1月22日、オンラインショップの買い物客が新しいアイシャドウをバーチャルで試用できる拡張現実機能を発表した。当初はLancome(ランコム)、YSL(イヴ・サンローラン)、Urban Decay(アーバンディケイ)、NYX Cosmetics(ニックス コスメティックス)などのブランドの約4000種類の製品を画面上で試すことができる。

Pinterestによれば、この「AR Try on(日本では「バーチャルトライ」)」機能は、既存の「Pinterest レンズ」と呼ばれるカメラで撮影した画像から検索する技術や、検索結果をさまざまな肌の色から選択する機能、そしてコンピュータビジョンを使ったおすすめ機能を活用しているという。また、同社はデータパートナーであるModiFace(モディフェイス)の技術も取り入れており、顔認識によってデジタル化されたパラメーターを元に、選択したアイシャドウがModiFaceのデータベースでマッピングされ、高画質なレンダリングが行われる。

これがPinterestによる最初のバーチャルメイク機能というわけではない。同社は1年前に口紅のAR Try onを開始している。この機能を使ってバーチャルで試用できる口紅の色は、現在では1万色にまで拡大しており、Estée Lauder(エスティローダー)、bareMinerals(ベアミネラル)、Neutrogena(ニュートロジーナ)、NARS(ナーズ)、Cle de Peau(クレ・ド・ポー)、Thrive Causemetics(スライヴコーズメティックス)、NYX Professional Makeup(ニックス プロフェッショナル メイクアップ)、YSL Beautét(イヴ・サンローラン・ボーテ)、Lancôme(ランコム)、Urban Decayなどのブランドによる4800万枚の「ピン」から見つけることができる。Kohl’s(コールズ)などの小売店も、消費者にリーチするためにAR Try onを利用している。

今回新たに導入されたアイシャドウのAR Try onでは、色や価格帯、ブランドなどの条件で商品検索結果を絞り込むことが可能だ。気に入ったものを見つけたら、すぐに購入したり、ボードに保存したり、関連ボタンを使って似たような色合いのピンを探すことができる。

画像クレジット:PInterest

アイシャドウへの拡張は、ユーザーが単に個々の色を試すだけでなく、より多くのフルメイクを試すことができるようになったことを意味する。Pinterestによれば、トグルで口紅とアイシャドウを切り替えて、一度に複数の製品を試すことができるようになったという。ModiFaceのアプリや、YouCam メイクSephora(セフォラ)のVirtual Artist(バーチャルアーティスト)Ulta(ウルトラ)のGLAMLab(グラムラボ)などのARビューティーアプリが登場したことによって、ARを使ったバーチャルメイクアップ体験はここ数年で人気が高まっている。また、L’Oréal(ロレアル)はウェブサイト上で「Live Try-On」を提供したり、Facebookと提携してバーチャルメイクアップをソーシャルメディアに導入している。Target(ターゲット)のオンラインストアも、バーチャルメイクアップを提供している。

さらに最近では、GoogleがARバーチャルメイクアップの分野に参入。当初はYouTubeで一部の美容インフルエンサーが自分の動画にARを使った化粧品の試用を組み込むことができるという、限定的な機能の提供を開始したが、2020年12月にはModiFaceと提携し、Google検索でバーチャルメイクアップ機能を導入。ARを使った化粧品の試用体験を本格的に取り入れた。

しかし、今回のPinterestによる新たな発表は、視覚的な検索技術とバーチャルメイクに関しては、再びGoogleより先行したことを意味する。PinterestではGoogleよりも多い口紅の試用を提供するだけでなく、今では製品分野までも拡大し、アイシャドウのバーチャル試用も可能になったのだ。

Pinterestによると、このAR Try on機能は、ビジュアルなショッピング体験を創造し、顧客の意思決定プロセスの早い段階でリーチしたいと考えているブランドに無料で提供されているという。同社はショッピングを含む広告を通じて収益を上げ続けており、AR機能それ自体で儲けたり、AR Try onで購入に結びついた製品の売り上げから利益の一部を求めることはしないという。

「AR Try onのような機能を導入して、Pinterestをショッピングに利用しやすくすることで、このプラットフォームはPinners(Pinterestユーザー)にとってさらに魅力的で実用的なものになり、その結果、広告の利用率やクリック率が増える可能性があります」と、広報担当者は説明している。また「Try onのような有機的な機能や、製品のピンを作成するためのカタログの取り込みによって、ブランドがサイト全体のアクセス数を引き上げ、それが我々の収益戦略を補完することになるのです」と、広報担当者は指摘している。

PinterestがAR Try on機能にアイシャドウのサポートを加えたことは、時勢にかなっている。一部の美容ブランドの売り上げは、新型コロナウイルスによって落ち込んでいる。マスクを着用する際に隠れてしまう唇に口紅を使っても意味がないため、特にリップスティックの販売が激減しているのだ。代わって現在の美容トレンドは、目を強調することにシフトしており、明るく大胆な色のアイシャドウや、ワイルドなフローティングアイライナー大きな付けまつ毛などに注目が集まっている。これはもちろん、ソーシャルメディアに投稿する写真を撮影する時の効果も狙ったトレンドだ。

Pinterestによると、実際にこのAR機能は潜在的な顧客に購入を決断させている傾向が見られるという。2020年のPinterestの調査によると、ユーザーはAR Try on体験の利用を始めると、平均6色の口紅をバーチャル試用し、それから購入意思を示す可能性が、通常のピンと比べて5倍に増えたという。

新しいアイシャドウのAR Try onは、米国では1月22日より、iOSとAndroid向けアプリのPinterestレンズで利用できる。

関連記事:YouTubeのAR機能でビデオを見ながら仮想メイクを試せる

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Pinterestネットショッピング拡張現実化粧

画像クレジット:Pinterest

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(翻訳:TechCrunch Japan)

VuzixがマイクロLEDディスプレイを使った「普通のメガネ」のような新型スマートグラスを発表、2021年夏発売予定

米国時間1月11日に開幕したCES 2021では、スマートグラスが大きなトレンドになりそうだ。筆者は昨日、レノボから発表された企業向けARグラスについて書いたが、その間にも他のいくつかの会社が、様々なレベルの「スマートさ」を謳っている。

Vuzix(ビュージックス)の最新モデルは発売がまた数カ月先だが、これまで今回のショーで見てきた中では最も有望なモデルの1つになりそうだ。同社は企業に焦点を当てたソリューションで最もよく知られている。結局のところ、それはつまりすべてお金のあるところということになる。少なくとも、一般消費者向けカテゴリーで誰かが本当に重大なブレークスルーを提供するまで、スマートグラスは企業向け製品が主流になりそうだ。

Vuzixのこの製品はおそらく、そんなブレークスルーにはならないだろうが(私の推測では、もっと大手の家電メーカーの製品に期待するべきだろう)、拡張現実(AR)を見栄えの良いフォームファクターに落とし込んだ製品という点では、正しい方向へ歩んでいるように思われる。普通の眼鏡のように見えるARグラスというのが、ここでは鍵になるだろう。明らかに普通の眼鏡とは異なる要素があるものの、これまで我々が見てきたものに比べれば、この次世代グラスは一般的な眼鏡にかなり近づいている。

これは、マイクロLED技術の商業化を目指す中国企業のJade Bird Display(ジェイド・バード・ディスプレイ)社との提携によるところが大きい。Jade Birdの説明には次のように書かれている。

JBDは、アクティブマトリクス無機マイクロLEDディスプレイのチップとパネルを提供しています。波長帯は紫外線から可視光線そして赤外線まで。ピクセルピッチは400dpiから10,000dpiまで、様々な解像度をご用意しています。高い輝度、高い外部量子効率、高い信頼性を備えたこれらのパネルはAR、VR、HUD、プロジェクター、武器の照準器、3D印刷、顕微鏡などに最適です。

Vuzixの説明によると、モノクロの立体映像を投影するモジュールは、鉛筆の消しゴム程度の大きさだという。また、このスマートグラスはWi-FiやオプションのLTE搭載など、様々な仕様が用意されるとのこと。ステレオスピーカーとノイズキャンセリングマイクは全モデルに標準装備される。

価格は不明だが、Vuzixによると2021年夏には発売される予定だという。

関連記事:レノボが企業向けARグラス「ThinkReality A3」を発表、2021年半ば発売予定

カテゴリー:ハードウェア
タグ:VuzixスマートグラスARCES 2021

画像クレジット:Vuzix

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(翻訳:TechCrunch Japan)

レノボが企業向けARグラス「ThinkReality A3」を発表、2021年半ば発売予定

Lenovo(レノボ)は、企業向けのAR(拡張現実)分野への注力を続けている。米国時間1月11日のCESの開幕を前に。同社はEpson(エプソン)やMicrosoft(マイクロソフト)が先行する製品に続く、エンタープライズ向けのARグラスであるThinkReality A3のローンチが近いことを明かした。

ThinkReality A3は2021年半ばのいずれかの時期にリリースされる予定だ。なお、価格は発表されていない。ヘッドセットの解像度は1080pで、Qualcomm(クアルコム)のSnapdragon XR1チップを搭載している。一対の魚眼カメラはモーショントラッキングに対応し、800万画素のRGBカメラがリモート用途のための動画を撮影する。

画像クレジット:Lenovo

ThinkReality A3はUSB-C経由でPCまたは少数のMotorola(レノボが所有する)のスマートフォンに接続できるように設計されている。このARグラスは前モデルのThinkReality A6に続いて、より伝統的なフォームファクターを提供している。

「工場から研究室、そして忙しい小売店からホスピタリティの現場まで、Think Realityプラットフォームのアプリケーションは遠隔支援、ガイド付きワークフロー、3Dビジュアライゼーションを実現します」とレノボは述べている。「今日、産業労働者は軽量かつ柔軟性と拡張性に優れたスマートグラスを使用し、生産性と安全性を向上させながら日々の作業のミスを減らすことができるようになりました」。

レノボがARの当面の将来はエンタープライズ分野にあると考えていることは明らかだ。同社はヘッドセット「Star Wars Jedi Challenges」 などの消費者向け製品を市場に投入してきたが、少なくともこれは1回限りの試みのようだ。

カテゴリー:ハードウェア
タグ:Lenovoスマートグラス拡張現実CES 2021

画像クレジット:Lenovo

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(翻訳:塚本直樹 / Twitter

ホログラフィックディスプレイのEnvisicsがパナソニックと提携、車内AR技術実現を加速

Envisics(エンヴィシクス)の創業者兼CEOであるJamieson Christmas(ジェイミソン・クリスマス)博士は、ホログラフィック技術を使って車内体験に「革命を起こす」ために3年前にスタートアップを立ち上げた。そしてこの度、その使命を達成するためのパートナーを得た。

英国を拠点とするホログラフィック技術のスタートアップである同社は、米国時間1月8日、Panasonic Automotive Systems of America(PASA)と、自動車・トラック・SUV向けの新世代ヘッドアップディスプレイ(Head-Up Display、HUD)を共同開発し、商品化することで合意に達したと発表した。PASAはPanasonic Corporation of North America(パナソニック ノースアメリカ株式会社、PNA)の一部門であり、Tier1(ティア1)自動車サプライヤーだ。ヘッドアップディスプレイは車両のダッシュに組み込まれたユニットで、フロントガラスに映像を投影し、ナビゲーションやその他の警告をドライバーに提供する。「パナソニックHUD」と呼ばれるHUDは、Envisics社のホログラフィック技術を採用することになる。

今回の契約は、2021年にオンライン開催されるCES展示会に先立ち発表されたもので、Envisics社の5000万ドル(約52億円)のシリーズB資金調達ラウンドと、その技術がキャデラックの電気自動車Lyriqに搭載されるというニュースに続く。この資金調達ラウンドでは韓国のHyundai Mobis(現代モービス)、米国のGeneral Motors Ventures(ジェネラル・モーターズ・ベンチャーズ)、中国のSAIC Ventures(上海汽車集団のベンチャー部門)、米国Van Tuyl Companies(バン・タイル・カンパニー)からの投資を含め、Envisicsの評価額は2億5000万ドル(約260億円)以上となった。

Envisicsの技術の基盤は、15年以上前にクリスマス博士が、光の速度を電子的に操作することにより、ケンブリッジ大学で博士号を取得した際に開発されたものだ。このプロセスにより画像を立体的に見せることができると、博士は最近のインタビューで説明している。同社は250件以上の特許を取得しており、さらに160件を申請中だという。

クリスマス博士は、同社はもっぱらホログラフィーの自動車アプリケーションに焦点を当てていること、そしてその第一世代はすでに15万台以上のJaguar Land Rover(ジャガー・ランドローバー)車に搭載されていることを付け加えて語った。

クリスマス博士は、今回の契約は、パナソニックの光学設計の専門知識と、Tier1サプライヤーとしてのグローバルなリーチをEnvisicsの技術と組み合わせることで、ホログラフィを広く普及させることを目的としていると述べた。両社によると、Envisics社の技術を用いた自動車の量産は2023年を予定しているという。

「これは当社の事業計画の一環でした。シリーズBの資金調達ラウンドは、事業を拡大し、市場への参入に向けて前進できるようにすることを目的としていましたから」とクリスマス博士は語る。「その一環として、市場に製品を提供するために協力できるティア1とのパートナーシップを約束していました」。

「これはそれらの契約の最初のものです」と彼は付け加え、Envisicsがさらに大きな目標を持っていることを示唆した。

クリスマス博士によると、それが意味するものは、高解像度で広色域のヘッドアップディスプレイであり、現実に重ね合わせて表示できる大きな画像であるという。この技術は、同時に複数の距離の情報を投影することもできる。

「これにより、非常に興味深いアプリケーションへの道が開きます」とクリスマス博士はいう。”短期的には、ナビゲーションや車線の強調表示、安全アプリケーションなど、比較的単純な拡張現実アプリケーションになるでしょう。しかし、自律運転のようなものに目を向けると、エンターテインメントやビデオ会議のような他の可能性の領域が開けてきます」。

彼は、暗い道に拡張された情報を重ね合わせて、道がどこに向かっているのか、どんな障害物がそこにあるかもしれないのかを明確にするような暗視アプリケーションにも利用できると付け加えた。

関連記事:車載ホログラフィック・ディスプレイ開発の英国Envsicsが約53億円調達、Jaguarランドローバーへの搭載目指す

カテゴリー:モビリティ
タグ:Envisics資金調達ヘッドアップディスプレイ / HUDARCES 2021ホログラム

画像クレジット:Envisics

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(翻訳:Nakazato)

TikTokがLiDARを使った初のARエフェクトを発表、紙吹雪が拡張現実空間に舞い落ちる

Snapchat(スナップチャット)は、iPhone 12 ProのLiDARスキャナをARに活用(未訳記事)した最初のアプリの1つだったが、TikTok(ティックトック)もそれに続くことになった。このソーシャルビデオアプリは米国時間1月6日、新年を迎えたユーザーに向けて、同社初のLiDARを使ったエフェクトを発表した。このエフェクトは、大晦日にタイムズスクエアに落下するボールに似たARボールを、拡張現実の中に表示するというもので、カウントダウンの後にこのくす玉は落下して爆発し、部屋を紙吹雪で満たすと同時に、空中には「2021」の文字が浮ぶ。

「Light Detection And Ranging(光による検知と測距)」の頭文字を取ったLiDARは、2020年秋に発表されたiPhoneの新しいフラッグシップ5Gモデル、iPhone 12 Proと12 Pro Maxで採用された。この技術は、光が空間内の物体に到達してから反射して戻ってくるまでの時間を測定することで、iPhoneが周囲の世界をより正確に認識するのに役立つ。

これをiPhoneの改良された機械学習機能や開発フレームワークと組み合わせると、より没入感のあるAR(拡張現実)体験が可能になる。

この技術をいち早く採用したSnapchatは、最初に新しいLiDARスキャナーを使用して、アプリ内にARレンズを作成した。このレンズで撮影すると、部屋の中でも自分の周囲に花や草が生えてくる。この仮想植生には、部屋の壁をはい上ったり、棚の周囲に生えてくるものさえある。これはLiDARが正確に壁や棚の位置を認識するから可能になることだ。

2021年に向けて、私たちは新しいiPhone 12 Pro用に初のARエフェクトをリリースしました。これはLiDAR技術を使用して、周囲の環境と相互作用するエフェクトを作成することで、デジタルと物理的な世界を視覚的に橋渡しすることが可能になります。2021年には、さらに革新的なエフェクトを開発していきますので、お楽しみに!

同様に、TikTokの新しいエフェクトは、LiDARで部屋を認識して、ボールが爆発した後の紙吹雪を、よりリアルに着地させるように作られている。

同社が例としてTwitter(ツイッター)で公開した動画には、現実の紙吹雪のように、バーチャルな紙吹雪が床、ソファ、クッションを覆っていく様子が映し出されている。とはいえ、このエフェクトはまだ完璧とはいえない。それが本物の紙吹雪ではなく、AR体験であることは一目瞭然だ。しかし、LiDARによる空間認識を持たない従来のARエフェクトに比べれば改善されている。

TikTokは、このARエフェクトがユーザーの環境とどのように相互作用するかによって、デジタルと物理的な世界を視覚的に橋渡しすることができると説明している。このエフェクトは一部の国を除き、世界中で利用可能だ。

もちろん、楽しいAR効果は、様々なLiDARの活用例のほんの1つに過ぎない。この技術は「3D Scanner App」のようにスキャンして3Dモデルを作成するアプリや、「RoomScan LiDAR」のようにインテリアデザインに役立つアプリ、さらにはApple Arcade(アップル・アーケード)のタイトルに含まれる「Hot Lava( Hot Lava :灼熱のホットラバ)」のようなゲームにも採用されている。

TikTokは、2021年の間に「さらに革新的なエフェクト」を導入する予定だという。

関連記事:アップルがフラグシップとなる5GモデルiPhone 12 ProとPro Maxを発表

カテゴリー:ネットサービス
タグ:TikTokARLiDAR

画像クレジット:NurPhoto / Getty Images

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(翻訳:TechCrunch Japan)

バーチャル美容アプリYouCam MakeupのPerfect Corpが52億円調達

化粧品への出費は、普段なら経済危機も乗り越えるものだが、新型コロナウイルスのパンデミックで事情は変わった(The Guardian記事)。ステイホーム命令とマスクのお陰で、化粧をしたいという人々の欲求が低下してしまったからだ。これが小売業者のオンライン戦略を加速させ、店頭サンプルを使わずに客の関心を惹く新しい方法が求められるようになった。そこで、Perfect Corp(パーフェクト)などが開発する化粧品の仮想お試し技術が、デジタル化における重要は役割を担うことになる。同社は米国時間1月6日、Goldman Sachs(ゴールドマン・サックス)主導によるシリーズC投資5000万ドル(約52億円)を調達したことを発表した。

台湾の新平市を拠点とし、CEOのAlice Chang(アリス・チャン)氏が率いるPerfect Corpは、消費者の間では、その美容アプリYouCam Makeup(ユーキャム・メイクアップ)で最もよく知られている企業だろう。アプリでは、300を超える世界の化粧品ブランドの仮想サンプルの「お試し」が可能だ。そこには、Estée Lauder(エスティローダー)やL’Oréal Paris(ロレアルパリ)といった美容コングロマリットが所有するブランドも含まれる。2014年にローンチされたYouCam Makeupは、現在、月間アクティブユーザー数が4000万人から5000万人を数え、自撮り画像の拡張現実(AR)化から、美容インフルエンサーによるライブ配信やチュートリアル、ソーシャル機能、さらに肌の状態を評価する「スキンスコア」機能などを搭載するまでに成長した。

Perfect Corpの技術は店頭販売、eコマース、ソーシャルメディアツールにも活かされている。たとえば2020年12月にローンチされた、Google(グーグル)検索のための拡張現実を利用した新しいお試しツールの開発にも、この技術が役立てられている(以前はユーチューバーの化粧品お試し機能にも使われていた)。また同社は、Snapchat(スナップチャット)に化粧品お試し機能を統合する目的でSnap(スナップ)との共同開発も行っていた。

今回の資金調達により、Perfect Corpの調達総額は1億3000万ドル(約134億円)となった。それ以前に発表された資金調達に、2017年10月のシリーズA投資2500万ドル(約2億5800万円)がある。新たなシリーズC投資による資金は、多様な販売チャンネルのための技術開発の推進と、海外拠点の拡大に使われる(現在は11の都市で事業展開中)。

記者発表で、Goldman Sachsマーチャントバンキング担当責任者のXinyi Feng(フェン・ジンイ)氏は「人口知能、機械学習、拡張現実を通してテクノロジーを美容業界に統合することで、デジタル販売チャンネルの増大、パーソナライズの拡大、消費者のエンゲージメントの深化など、多大な可能性が開放されます」と述べている。

またPerfect Corpは、多様性のある国際的起業家を支援しようとGoldman Sachsが行っている5億ドル(約515億円)規模の投資活動であるLaunch with GS(ローンチ・ウィズ・GS)に参加する予定だ。

同社は、顔のランドマーク検出技術を利用している。化粧品のお試しがリアルに見えるよう、ユーザーの顔の上に「3Dメッシュ」を生成するというものだ。プライバシーの面では、最高戦略責任者Louis Chen(ルイス・チェン)氏がTechCrunchに話したところによると、写真や生体情報を含む個人情報は一切保存されず、すべての演算処理はユーザーのスマートフォン内で行われるという。

Perfect Corpの顧客の大多数、およそ90パーセントが、化粧品とスキンケアのブランドだ。残りは、ヘアケア、毛染め、アクセサリーのブランドとなる。Perfect Corpの技術が目指すのは、店頭で化粧品を試したときの体験をリアルに再現することだとチェン氏はいう。たとえばユーザーが口紅をバーチャルで塗ると、自分の唇に色がついて見えるだけでなく、マット、グロス、シマー、メタリックといったテクスチャーもわかる(同社が現在提供している口紅のテクスチャーは11種類あり、業界最多だとチェン氏は話す)。

パンデミックで化粧品の売上げは下がったが、反対にスキンケアは伸びた。NPDグループの2020年9月の報告には、米国人女性は2019年と比べて、より多くの種類の製品を購入し、より頻繁に使用ていることが示されている。各ブランドがその傾向を活かせるよう、Perfect Corpは先日、AI Skin Diagnostic solution(AI肌診断ソリューション)というツールをローンチした。同社によれば、これは皮膚科医の検証を受けて水分、シワ、目の下のクマなど、8つの指標で顔の皮膚の状態を評価するというものだ。このツールは、スキンケア製品ブランドのウェブサイトで使用でき、ユーザーに合った製品を教えてもらえる。

新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミック以前、YouCam Makeupと同社の拡張現実お試しツールは、主に自撮り写真やフィルターを使い慣れているZ世代の若者を惹きつけていた。だがパンデミックによって、化粧品とスキンケアのブランドは、この技術の導入をすべての顧客に向けて加速せざるを得なくなった。美容業界における新型コロナウイルスの影響に関するMcKinsey(マッキンゼー)の報告書には、こう記されている。「安全と衛生への不安により、製品のテストと相談員の直接対応が基本的に不可能となった現在、テスト、発見、カスタマイズのための人工知能の利用を加速させる必要がある」。

「ブランドの地理的条件にもよりますが、過去において、事業のおそらくわずか10%、20%に満たない程度が消費者への直販でした。残りの80%は小売流通業者や提携流通業者を通じてのものです。そのネットワークはすでに2020年のうちに構築されています」とチェン氏。しかし、美容品メーカーは、現在、特にeコマースへの投資を強めており、Perfect Corpはその技術をSaaSとして提供することで、そこを活用している。

パンデミックの間、Perfect Corpが同社の製品を応用したもうひとつのかたちに、リモート相談ツールがある。通常はサロンやUltra(ウルトラ)などの店舗で働いている化粧とスキンケアの相談員が、ビデオ通話を利用してユーザーに化粧のやり方を実演して見せるというものだ。

「私たちが現在開発しているものは、どれをとっても単一の技術で構築されるものではありません」とチェン氏。「いまでは必ず動画配信機能が組み合わされています」。これには1対1のチャットに限らない。中国で大人気となり海外にも広がりつつあるライブショッピングや、YouTube(ユーチューブ)やSnapchatに組み込まれているAR技術なども含まれる。

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画像クレジット:Perfect Corp.

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(翻訳:金井哲夫)

AR&AI技術を活用したメイクアプリ「YouCam」のパーフェクトが約51億5000万円を調達

AR&AI技術を活用したメイクアプリ「YouCam」のパーフェクトが約51億5000万円を調達

最新AR&AI技術活用ソリューションによる美容業界DXを奨励するパーフェクトは1月7日、親会社のPerfectが5000万米ドル(約51億5000万円)のシリーズC資金調達を完了したと発表した。引受先はゴールドマン・サックス、CyberLink。調達した資金により、AIを活用した技術の開発・改良を加速しグローバル事業拡大を目指す。

同社は、AIとAR技術を応用してブランドや小売店の消費者コミュニケーションをサポートするサービス展開と、累計9億以上のダウンロード数を誇る「YouCam」アプリシリーズを展開。全世界で300以上のブランドパートナーを持ち、10万超のコスメ商品を60ヵ国以上で展開。メイクをはじめ、スキンケアやヘアのバーチャルシミュレーション体験を創出しているという。

消費者はバーチャル体験を通して、簡単にブランドの製品を自分の顔で試し、お気に入りのアイテムを見つけられるほか、画面上で肌の状態をチェックし、パーソナライズさ化された製品提案を受けることも可能としている。

EC・ウェブ・店舗・ソーシャルネットワーク・モバイルアプリなど、オムニチャネルで導入きるこのバーチャルメイク機能を使ったビューティーテック ソリューションにおいて、さらなる事業拡大を計画する上での資金調達としている。

AR&AI技術を活用したメイクアプリ「YouCam」のパーフェクトが約51億5000万円を調達

パーフェクトは現在、台湾(本社)、日本、アメリカ、ヨーロッパ、中国、インドに拠点を構え、ARビューティアプリ「YouCam メイク」を筆頭にビューティーアプリシリーズの開発と、コスメブランドや小売店向けに高度な顔認証技術とAI技術を利用して開発したバーチャル メイクアップ サービスを提供している。

なおパーフェクトは2020年12月、Snapと提携し美容ブランド向けにSNSアプリ「Snapchat」上でバーチャルメイク体験を提供すると発表。同月、資生堂ジャパンの複数ブランドと一括契約を締結しバーチャルメイクサービスを提供開始することも明らかにした。

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カテゴリー:VR / AR / MR
タグ:AI / 人工知能(用語)拡張現実 / AR(用語)資生堂資金調達(用語)Snap(企業)Snapchat(製品・サービス)パーフェクト美容(用語)メイクアップ / 化粧(用語)YouCam

マイクロソフトのARゲームMinecraft Earthが2021年6月末にサービス終了、新型コロナの影響

2019年を通してMicrosoft(マイクロソフト)のMinecraftはゲームにおける拡張現実(AR)構築を実験してきた。このゲームはPokémon GOと似ており、現実世界上にMinecraft Earth呼ばれる仮想世界を重ね合わせようとするものだった。そしてMinecraft Earthは2019年11月にようやく一般公開された。

ところが、あと数か月後にMinecraft Earthは閉鎖され、プレイヤーデータもすべて削除されることが発表された。

一体何が起きたのか?Minecraft Earthの開発チームはこう述べている。

Minecraft Earthは、プレイヤーがどこにでも自由に移動でき協力してプレイを楽しめるようデザインされました。ところが現在の世界の状況が、これをほぼ不可能にしてしまいました。私たちは、Minecraftコミュニティにいっそう大きな価値を与える別の領域にリソースをシフトすることを決定しました。これにともない2021年6月にMinecraft Earthのサポートを終了をするという難しい決断を下さざるを得ませんでした。

簡単にいえば、このゲームはパンデミックに撃墜された。Pokémon GOはすでに熱狂的かつ膨大な数のプレイヤーによって強力な基盤を築いている。しかも好奇心に駆られた新たなユーザーも、安定して流入している。しかし静止状態からいきなり時速100kmに加速することはできない。

では次にどうなるかというと、以下のとおりだ。

  • チームは最終アップデートを配信し、すべてのアプリ内課金メカニズムを削除する。同時にこのアップデートで、残る時間を最大限利用できるようゲームを簡単かつ高速にする。
  • 2021年6月30日にゲームはシャットダウンされる。インストール済みのアプリも動作しなくなる。翌7月1日にプレイヤーのデータがすべて削除される。
  • Minecraft Earth内で課金を行ったユーザーは金額に関わらずMinecraft Bedrockのコピーを無料で入手できる。またMinecraft Earthの仮想通貨ルビーの使い残しがあるプレイヤーは、Minecraftコミュニティのマーケットプレイスで利用できるMinecoinに交換できる(交換率は未発表)。

クールなコンセプトだっただけに、発表からわずか1年でシャットダウンが発表されたことは非常に残念だ。しかし他に方法はなかったのだろうか。

関連記事:Minecraft Earthが北米その他の地域で正式開始

カテゴリー:ゲーム / eSports
タグ:MicrosoftMinecraft Earth拡張現実

画像クレジット:Mojang

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

ニューヨーク・タイムズが拡張現実を使ったクロスワードパズルをInstagramで公開

The New York Times(ニューヨーク・タイムズ)が、名物のクロスワードゲームを拡張現実(AR)に持ち込んだ。同メディア会社は米国時間12月22日朝、AR対応の新しいゲーム「Shattered Crosswords」をInstagramで発表。プレイヤーは回転する砕けたクロスワードの破片をARで見つけて、手がかりを解くことができる。正しい視点に到達すると、プレイヤーはパズルの上にある破片の中に隠された単語を見つけることができる。

このコンセプトは「Polysphere」のような他の3Dパズルに見られるものと似ている。Polysphereは、表示されている破片をスワイプして回転させ、1つの絵を完成させるというものだ。しかし、ニューヨーク・タイムズの場合は、ゲーム体験全体を拡張現実で見ることができる。

この新しいゲームは、Facebook(フェイスブック)のARプラットフォーム「Spark」の技術を使って開発されており、ニューヨーク・タイムズがARゲーム体験を作るのはこれが初めてだと同社は述べている。

しかし、ニューヨーク・タイムズがAR技術を使うのはこれが初めてではない。

今秋、ニューヨーク・タイムズはFacebookとの複数年にわたる提携を結び、Instagram上でARを活用した一連のリポートを公開することに注力する(The New York Timesリリース)と発表した。このレポートは、AR技術を使って、よりビジュアルでインタラクティブな方法でストーリーを伝えるものだ。この新しい取り組みをサポートするために、ニューヨーク・タイムズは独自のARラボを設立。その十数人のスタッフがニュースルームの専任チームと協力して、ARジャーナリズムのコンテンツを開発している。

このARラボはこれまでに、女性参政権100周年フェイスマスクの有効性の裏にある科学カリフォルニアの山火事の報道などに関連したビジュアルストーリーの制作を支援してきた。

Facebookとの提携とは別に、ニューヨーク・タイムズは以前にもARを使った実験を始めている。たとえば2018年には、独自のiOSとAndroid向けアプリで、ストーリーを語るために拡張現実を使い始める(The New York Timesリリース)と発表した。

これまでニューヨーク・タイムズは、ソーシャルメディア上でプレイヤーを惹き付けるための方法として、Twitter(ツイッター)やFacebookなどのSNSプラットフォームで、クロスワードの「ライブ解答」を行ってきた。しかし、これらは独立したゲームでも、AR技術を使って作られたものでもなく、単なる視聴体験(Twitter投稿)に過ぎなかった。

とはいえ、この新しいゲーム自体には、ニューヨーク・タイムズによる興味深いARのデモということ以上の魅力は、限られているかもしれない。

パズルは小さくて単純すぎて、本格的なクロスワードファンにはアピールできないし、破片の中からヒントを見つけるにはジェスチャーや動きが必要で、時間が経つとイライラしてくる。また、Polysphereのようにスムーズに動かないことも気になった。

従来のモバイルゲームや一般的なクロスワードパズルと比較して、この手のパズルを度々楽しみたいという人がどれだけいるかはわからない。

この「Shattered Crosswords」ゲームは、Instagramアプリでニューヨーク・タイムズ(@nytimes)のプロフィールページを見ると、同社の他のARリポートと並んで「Effects」タブの下にある。iOSとAndroidの両プラットフォームで動作する。

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(翻訳:TechCrunch Japan)

グーグルがARを使ったバーチャルメイクやインフルエンサー動画導入でショッピング機能を強化

Snapchat(スナップチャット)やInstagram(インスタグラム)のフィルターを使ったことがある人なら、AR(拡張現実)で人気のある利用例の1つは、たとえば口紅やアイシャドウの色合いを変えるなど、バーチャルメイクで自分の外見を変えてみることだと知っているだろう。Google(グーグル)は米国時間12月17日、この分野への参入を発表し、Google検索上でARを利用した化粧品の試用体験を開始した(Googleブログ)。同社はL’Oréal(ロレアル)、Estée Lauder(エスティ ローダー)、MAC Cosmetics(マック・コスメティクス)、Black Opal(ブラックオパール)、Charlotte Tilbury(シャーロット・ティルブリー)などのトップブランドと提携しており、消費者が様々な肌色のモデルや、スマートフォンのフロントカメラを使って自分自身のメイクアップを試せるようにしている。

グーグルは、美容ブランドにAR技術を提供しているデータパートナーのModiFaceや、人気の高い「YouCam メイク」アプリなどのAR美容技術を手がけるPerfect Corpの協力を得て、この新機能を作成した。

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現在、消費者がGoogle検索で、特定の口紅やアイシャドウ製品、たとえば「L’Oréal’s Infallible Paints Metallic Eyeshadow(ロレアル インファリール ペインツ メタリック アイシャドウ)」などと検索すると、検索結果の上部にバーチャルな試用体験が表示されるようになっている。ここから、様々な肌色のモデルの写真をクリックして、化粧品の色合いを比較し、自分にぴったりの製品を見つけることができる。

あるいは、自分自身でその製品を使った時にどうなるかを見てみるために、スマートフォンのカメラを使うこともできる。画面にはカメラの映像の下に様々な色が表示されるので、タップしてその中から1つを選ぶと、カメラが捉えている自分の顔に適用される。ソーシャルメディアに用意されているフィルター機能と似たような仕組みで、2019年に導入されたYouTubeのARメイク機能とそっくりだ。

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ただしグーグルの機能は、ソーシャルメディアで共有するために自分のイメージを美化しようとするためのものではない。グーグルの目的は、消費者とブランドを結びつけて売上を伸ばすことにあり、オンラインショッピング全体に向けた投資の、そしてもちろん、オンライン広告事業をさらに拡大するための一環だ。

しかし、グーグルによれば、このARを使った試用体験自体は広告フォーマットとは見なされず、ブランドはこの機能に参加するためにグーグルにお金を払っているわけではないという。広告ではなく、これはグーグルがGoogleショッピングの検索結果をより多くの小売業者に開放しようとしている動きの続きだ。過去数年間、Google検索の「ショッピング」タブは有料の商品リストに限定されていた。しかし2020年6月、グーグルはショッピングタブの小売店リストの大半(未訳記事)を無料にすると発表した(Googleブログ)。

この動きは、新型コロナウイルス感染拡大によって物理的な店舗の閉鎖を余儀なくされ、事業に大きな影響を受けていた小売業者の危機的時期に行われた。しかし、グーグルは利他的な理由でこの変更を行ったわけではない。現実は、ショッピングタブを有料広告に限定したために、ショッピングの検索結果も限定されてしまっていたからだ。しばしば在庫切れ商品にユーザーを案内するなど、データの品質にも問題を抱えていた。一方、アマゾンが広告事業に大々的に力を入れてきたことは、グーグルの広告収入を削り取る脅威となっていた。

さらに、最近の若い消費者の多くは、グーグルで買い物をすることはまったくない。彼らはソーシャルメディアで商品を知り、そのあと小売店への直接リンクをクリックして購入したり、あるいはFacebook(フェイスブック)やInstagram(インスタグラム)などのソーシャルプラットフォーム上で、アプリから離れることなく、直接買い物しているのだ。

グーグルもこのインフルエンサー主導のショッピング市場に参入しようしている。

前述のARメイクに加え、Google検索は美容、アパレル、インテリアやガーデニングの愛好家や専門家からのおすすめ商品を表示するようになる。Googleショッピングで観られる動画では、彼らがお気に入りの商品について語ってくれる。たとえばプロのメイクアップアーティストのJonetからメイクの見せ方について話を聞いたり、Homesick Candlesからホリデーギフトについて聞くことができる。

この機能は、グーグルの社内インキュベーターであるArea 120(エリア・ワントゥエンティー)から生まれたShoploopを使ったもので、フェイスブックやインスタグラム、そしてより最近では、TikTok(ティックトック)によるビデオベースのショッピング施策と競合することになる。

現在、美容ブランドの売り上げは新型コロナウイルス感染拡大によって大きく落ち込んでいる(WSJ記事)。その原因は、実店舗が閉鎖されたり、人々が自宅で仕事をするようになったからだけではない。顔の半分がマスクで隠れてしまうことで、化粧に力を入れる意味も半減してしまったからだ。

そんな時期に導入されるグーグルのARメイク機能とインフルエンサー動画は、iOSとAndroidのGoogleアプリで利用できる。

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画像クレジット:Getty Images

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(翻訳:TechCrunch Japan)

NianticはARの未来のためによりスマートな世界地図を構築したいと訴える

Niantic(ナイアンティック)は、一般消費者向けのコンピューター技術がどこへ向かっているかを理解しているとの確信を持ち続けている。すなわちそれは、すなわち拡張現実(AR)だ。

「Pokémon Go」の技術面を支えるこのゲーム開発スタートアップは、同じ方向性に賭けるApple(アップル)、Facebook(フェイスブック)、Snap(スナップ)といった企業と良い仲間になっているが、なんとか彼らに抜きん出ようと、基礎的なARインフラストラクチャーをいち早く構築してサードパーティーの開発企業を呼び込みたいと願っている。企業規模でははるかに劣る彼らにとって、これは非常に大きな賭けだ。

Nianticの実験の資金は、いまも2016年にファーストパーティーとしてヒットしたPokémon Goによって支えられている。調査会社SonsorTower(センサータワー)の見積もりでは、2020年は最高益を記録するようだ。同社の報告によれば、Pokémon Goは2020年初めから10億ドル(約1050億円)の収益を生み出していることが示唆されている。2019年から著しく増加しており、世界的パンデミックが社会に与えた影響を思うと驚くべきことだ。この収益によってNianticは、Escher Reality(エッシャー・リアリティー)、Matrix Mill(メイトリックス・ミル)、そして最近では6D.ai(シックスディー・エーアイ)といった中小のARスタートアップを買収するなど、ARインフラ分野の企業買収に最も積極的な企業に数えられるようになっている。

特に最後の6D.aiは、Nianticがその拡張現実プラットフォームで次に何を目指しているかを示す信号の役割を果たしている。6D.aiは、古くからの顧客であるAirbnb(エアビーアンドビー)などの企業とクラウド型のARマッピングソフトウェアを開発していた。この技術は、スマートフォンを向けるだけで、その空間の3D情報をすばやく取得できるというものだ。買収により、Nianticは自社の開発者用プラットフォームにこの技術を統合し、それを応用して、空間内の地理的形状をすばやく把握するだけでなく、周囲の状況から類推して3Dメッシュに含まれるオブジェクトが何なのかを特定できるようにする独自の意味論的理解を進歩させようとしてきた。

 

「最終的に私たちは、AR体験におけるこのビジョンを持つに至りました。それを本物の魔法にするためには、すべてを組み合わせなければなりません」と、Nianticのエンジニアリング上級ディレクターJoel Hesch(ジョエル・ヘシュ)氏はTechCrunchに語った。「コンテンツが適正な位置に見えて、同じ場所にいる他の人たちとも同じ体験ができるようにするには、正確な位置情報が必要です。オクルージョンや物理的な相互作用などのためには、地形情報が必要です。また、自分のキャラクターがはっきりとわかりやすい方法で世界と関わり合いを持つには、そこにある物が何であるかを意味論的観点から知る必要があります」。

彼らはその技術を作り上げてきたわけだが、同時にユーザーにそれを試すよう推奨もしてきた。NianticはPokémon Goのプレイヤーに特定の名所や目的地にある動画を積極的にキャプチャーするよう促している。そこで得られた視覚データをフィードバックしてモデルを強化し、後に続くユーザーの体験を改善する。iPhone 12 ProのLiDARセンサーのような高度な技術をユーザーが使えるようになったことで、Nianticはさらに質の高いデータを取得できるようになるだろう。

このデータ収集の最終的なゴールは、常に最新の状態を保つ世界の3Dマップだと同社は話す。彼らの最新技術では、スキャンしたマップの中にどんな種類の物やシーンがあるかを覗き見て、建物や池や空を区別できる。だが本当の課題は、より高度な地理的洞察力のあるGoogle Maps APIと比較した場合の、これらのデータの利便性だ。それによって実用性が証明される。

 

同社は2018年からReal World Platform(リアルワールドプラットフォーム)を提唱しているが、アップルが2017年に初めてARKitを発表してこの分野に大きな注目を集めて以来、スマートフォンベースのARを支える彼らの情熱はしぼんでしまったのか、公式な拡大は鈍化している。「私たちは主にファーストパーティーのゲームとアプリケーションに重点を置いてきましたが、このプラットフォームを拡張して、より多くの人が使えるようにしようと張り切っています」とヘシュ氏は話している。

NianticとARの未来を強く信じるその他の企業にとって、最も手堅い賭けは、粛々と研究開発を進め、この技術から一般消費者向けのヒット商品が数多く生み出されるようになったときに、他社に数年分の差が付いているよう目指すことだろう。

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画像クレジット:Nigel Sussman

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(翻訳:金井哲夫)