カリフォルニアの電気バス会社Proterraが1億4000万ドルを調達

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カリフォルニア州バーリンゲームを拠点とするProterraのゼロエミッション電気バスは、同社によれば、1回の充電で市街地を350マイル(約563.2キロ)という驚くべき長距離を走ることができる。

このような主張に対して、投資家たちがこのたび1億4000万ドルの投資を行ったことは不思議ではない。同社は昨年報道からの注目を集め始めたが、それまでの12年間はその技術に静かに取り組んでいた。その期間には株式と融資で1億5000万ドルを調達している。

従来から、そして新規の主だった投資家には以下のような名前が並んでいる:Tao Capital Partners、Kleiner Perkins Caufield & Byers、GM Ventures、Constellation Technology Ventures、Obvious Ventures、88 Green Ventures、Edison Energy、そしてMiddle East Venture Partners。

これらのVCがとても期待しているもの、少なくともその一部は、Proterraが約束する環境的利点である。ディーゼル燃料を使う都市バスでさえ、乗用車と比べれば運べる乗客の数の違いによって温室効果ガスの排出量を削減できる電気バスならその量を更に削減することができる(ただしWiredが指摘したように、その都市が全電力を石炭の燃焼で賄っていない場合だが)。

しかし、Proterraのバスは、バスに搭載された2つのマットレスサイズのバッテリーパックを、運動エネルギーでほとんどフルに再充電することができる回生制動システムと、煩わしいメンテナンスコストの削減を含め、さまざまな理由で地方自治体にとって魅力的だと思われる。(Proterraは記者団に対して、電気駆動方式は摩耗や損耗がより少ないと、記者たちに熱心に説明していた)。

それでこの、ディーゼルバスの2倍近い価格の79万9000ドルのバスを喜んで買う顧客はどれ位居るのだろうか?どうやらその答は「沢山」のようだ。同社によれば、Proterraの2016年の売上高は前年より倍増した、より具体的には、Proterraは、これまでに北米全体で、35都市、大学、および商用の交通機関に300台以上の車を販売したと言っている。

また別の数字として、頭金不要のリース・モデルを提供する同社は、2015年における全米の新しいバスのうち1パーセントが同社のもので、それが2016年には5パーセントに達した模様だと語った。

 

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(翻訳:sako)

人工肉スタートアップのMemphis Meatsは感謝祭のターキーも人工肉にしたいと願う

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Memphis Meatsは、今年の初めに人工肉のミートボールでスタートアップ世界の話題になった。今度同社は、ほかの肉にも挑戦しようとしている—たとえばターキー(turkey, 七面鳥)だ。

同社はこのほどIndiegogoのクラウドファンディングキャンペーンを立ち上げ、未来の肉の姿とその味を一般大衆に教育することによって、毎年の感謝祭に屠殺される5000万羽近くの鳥たちの一部を救おうとしている。

私はIndiegogoのキャンペーンを記事にすることに、それほど熱心な方ではないが、同社の場合は、目的はターキーなどの肉を作るための資金を得ることではなく、啓蒙のためだ、という。資金に関してはMemphis Meatsはすでに、採取した動物の細胞をペトリ皿の中で培養するために、300万ドルのシード資金を獲得している。

動物をめぐる産業複合体は、この惑星と人類にとって非常に有害だ、とMemphis Meatsは言う。一個のハンバーガーを作るために660ガロンの水を消費し、そしてCDC(疫病管理センター)によれば、生肉は食品が媒介する疾病を起こす細菌の、主要な発生源である。そこで同社は、動物の細胞を培養して生物学的に同一の肉を作り、本物の肉だけど残酷さとは無縁で地球環境にフレンドリーな、食肉を提供しようとしている。

Memphis Meatsによれば、その“クリーンミート”が、スーパーの棚に並ぶようになるのは、5年後だそうだ。

Memphis Meatsには、その5年間にやることが、たくさんある。菜食主義者の友人たちに、人工肉を食べたいか聞いてみると、分からない、とか、気持ち悪いという人が多い。でもMemphis Meatsのような、培養によって作った動物製品は、菜食ではなく肉をふつうに食べたいけど、健康や環境上の理由から今は食べていない、という人たちには、理想的かもしれない。

しかしながら同社は、多くの消費者がその気になるためにはかなりの準備期間が必要だ、と認めている。同社は啓蒙活動の一環として、支援者からの寄付を募っており、その一口は3ドルから1000ドルまでだ。3ドル寄付すると–それはふつうのファストフードのバーガーの値段だが–、その人はMemphis Meatsから“チャンピオン”(champion, 主義主張の擁護者)の称号をもらえる。金額に応じて、ロゴ入りのステッカーや水筒、フーディー (hoodie, フード付きトレーナー)なども、もらう。1000ドルの人は、すべての賞品をもらって、Webサイトに名前が載る。

現在までに集まった寄付金は、700名近くの支援者から計52000ドル近い。これもまた、同社がベイエリアのラボで作っているターキーなどの人工肉の、将来的な市場化を支援する。

感謝祭に多くの人たちが人工肉のターキーを買うようになるのは、まだ遠い未来の話だと思うが、でも、もしかして、それほど遠くないかもしれない。

同社のスポークスパーソンはこう語る: “最初は挽肉状の人工肉を開発するが、成型肉も計画している。チキンブレストや、ステーキ、そしてまるまる一羽のターキー(“七面鳥の丸焼き”用)も、需要があれば作るだろう”。

同社からもらったビデオでは、グリルの上でビーフのようなものを焼いている。これの次がターキーか? では、あなたが生まれて初めて見る、Memphis Meats製のビーフ・ ファヒータ(fajita)をご覧いただこう:

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

だれでも全米でソーラーエネルギーに投資しながら利用できる、Arcadia Powerの新サービス

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再生可能エネルギーサービス会社のArcadia Powerは、全米の賃借人たちに再生可能エネルギーの購入を可能にする、新しいサービスを発表した。

これは、カーボンオフセットプロバイダーでありロードマネジメントとして電力会社と協業していた同社にとっては、再生エネルギープロジェクトの開発運営会社へ向けての重要な一步である。そして、これは潜在的に再生可能エネルギー運動のゲームチェンジャー(これまでのやり方を変えてしまう存在)なのだ。

少し分かりにくいと思うので、この話をもう少し解説しよう。この発表以前には、Arcadiaは顧客のエネルギー利用を、同量の再生エネルギープロジェクト(主に風力発電)に投資することによって、カーボンオフセットを行うサービスを提供していた。

現在同社は、さまざまな電力会社たちとの提携と、プロジェクトデベロッパとしてのポジションを利用して、プロジェクトの小さなグループを集め、そこを通して全国のソーラーをインストールしたくてもできない人たちのために再生可能エネルギー投資を提供しようとしている。

Arcadiaのロジックは単純だ。持続可能エネルギーに投資したいと思っているものの、その手段を持つことができない、多くの賃借人あるいは非住宅所有者がいるということである。

太陽と雲ひとつない青空を反映赤い屋根上のソーラーパネル

「それが私たちがやろうとしていることを支える、最も重要な部分の1つなのです」とArcadia PowerのCEOであるKiran Bhatrajuは語った。「アメリカ人の大多数は、ルーフトップソーラーを実施できません。アメリカ人のおよそ8パーセントだけが可能なのです」。

多くの人びとは、複数の賃貸物件の入っている建物に住んでいて、自由にソーラーパネルを設置できないので、ソーラープロジェクトに対する直接的な投資を阻まれている。

Arcadiaを使うことによって、こうした環境指向の消費者は米国全土のプロジェクトに投資し、あたかも自分の家から得られたかのように生成エネルギーから得られた収益を手にすることができる。

「私たちは、過去数年に渡って、顧客の電力請求書にクレジットを戻すことのできる技術を開発してきました」とBhatrajuは語る。「私たちはリモートで、顧客を分散型発電資産に接続することができるのです。そしてソーラーが電気を生み出したら、局所的に集められたその代金を広く分配することができるのです」。

Arcadiaの現在のプロジェクトは巨大なものではないが、商業顧客や政府機関が彼らの主張が受け入れられることを証明している ‐ 賃借人に再生可能エネルギー発電を提供すれば – 彼らは購入するのだ。

日で再生可能な太陽エネルギーを使って発電所

同社は、消費者たちは再生可能エネルギー発電のための意志がありながら、まだ太陽光発電への切り替えを行うための十分に便利な方法を持っていないのだ、と仮定している。Arcadiaのサービスは、それを変える。

これまでのところ、Arcadia Powerは、ワシントンD.C.、マサチューセッツ州そしてカリフォルニア州でプロジェクトを運営している。「私たちはプロジェクトを集め、顧客にプログラムに対する賛同を得られるように努力しています」。

Bhatrajuにとっては、この新サービスは、5月に動きが始まっていたBoxGroupWonder Venturesからの350万ドルの調達の際に、同社が考えていた戦略の一手に過ぎない 。

資金調達が8月に発表されたときには、Arcadiaは顧客の使用状況を再生可能エネルギーとマッチングしてキロワット時当たり1.5セントの上乗せで提供するプレミアムサービスを、1万の顧客に提供していた。同社はまた、伝統的な発電(通常は石炭と天然ガス)と風力発電の間で請求書を分けたいと望む顧客のために、50パーセントまでなら風力発電のプレミア分を請求しないオプションの提供も開始した。

次に控えている同社のサービスは、スマートサーモスタットやLEDといったエネルギー効率のよい製品に対するオンビルファイナンシング(on-bill financing : エネルギー効率を良くする製品を購入する際に融資を受け、それを月々の電気代に上乗せして返済していく方式)である。Arcadiaはこれによって顧客は年間10から30パーセントのエネルギーコストを節約できると言っている。

今日、同社は約250キロワットの規模(Solar Energy Industries Association=太陽エネルギー産業協会の推計によると、およそ41家庭に電力を供給するために十分なエネルギー)でサービスを開始した。Bhatrajuによると、現在他に2.5メガワットの電力が控えているということだ。

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(翻訳:Sako)

イーロン・マスクのSolarCity、全米500万世帯の屋根をソーラー化へ

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エネルギー市場に一石を投じるにはどうすればいいのか? SolarCityはその質問に答える良いアイデアを知っている数少ない会社の一つだ。計画の一つは全米500万世帯の屋根をソーラーパネルで置き換えることだと、 The Guardianは報じている。これはSolarCityの取締役会会長を務めるElon Muskが先月の電話会見で初めて明かした計画だが、もう少し具体的な内容がわかってきた。

その計画では、今ある屋根にソーラー機能を付加するのではなく、太陽電池を直接組み込んだ屋根材を、従来の瓦や金属板に代えて使用する。SolarCityのアプローチの核心は、一般的ホームオーナーにとってのソーラー導入の障壁をなくすことだ。そのために従来の屋根と変わらないプロセスと時間で設置ができ、場違いだったり魅力のない外観にならない製品を作ることだ。

The Guardianによると、SolarCityはソーラーパネルのコストやその他の詳細についてコメントしていないが、価格が大きな障壁になる可能性は高い。同じような製品に取り組んでいる他社の中で、2009年に立ち上げられたDowのプロジェクトは今年になって打ち切られた。従来の屋根と比べて著しく高価だったことが理由だ。

Elon Muskが支配権を持つ企業は、他社が失敗したグリーンテクノロジーを実行可能な消費者製品に変えることで定評がある。しかし、SolarCityの屋根ソーラー化計画の当初目標500万世帯という数字は、Tesla Model S以上に売らなくてはいけないことを意味している。そのModel Sは2012年の発売以来わずか数十万台しか売れていない。

Guardianが報じたSolarCityの目標に時間設定はなく、われわれは未だに製品も価格も目にしていない。しかし、SolarCityはTeslaとの合併も視野に入れて動いており、実現すれば消費者にホームエネルギー貯蔵を含めたパッケージを容易に提供できるようになり、車の充電もできることで完全な自家発電化が可能になる。両者の組み合わせ、特にTesla Model 3の投入による低価格化によるインセンティブが、強力な推進剤となるかもしれない。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

MIT、くっつきやすい農薬で汚染を減らす

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害虫耐性作物の研究は進んでいるものの、豊かな収獲を得る最もコスト効率の高い方法は今でも農薬だ。しかし今のやり方では、膨大な量の農薬を散布しても、実際に植物に付着する薬剤はわずか2%だ。残る98%は、高い確率で湖や川や地下水に浸入して多くの汚染を引き起こす。MITが新たに開発した「くっつきやすい」農薬はそれを変えようとしている。

MITの研究者らは、わずか2種類の安価な添加剤を使うだけで、作物から「弾かれる」農薬の量を減らす方法を発見した。そうすることで農薬散布の効率を大幅に高め、はるかに少ない量で同じ効果を得られる。これは地下水に流れ込む汚染物質の量が減ることを意味している。


MITの研究チームが開発した新たな方法は、電荷極性の異なる2種類のポリマー物質を使う。農薬を散布された植物の表面で、正の電荷を帯びた水滴と負の電荷を帯びた水滴が出会うと、親水性のペアになって後続の水滴が表面に付着するのを助ける。ほとんどの葉は水を弾くので、正反対の親水性のマグネットに変えることで大きな効果が期待できる。

効率に関して研究者らは、現在使用している農薬を約1/10に減らしても同じ効果が得られると予想している。ただしこれは実験室内の試験によるものであり、実際の効果を確かめるためには現実世界での試験が必要で、近くインドでパイロットテストを行う予定だ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

建設現場の健康環境をモニタするSmartSiteのハードウェアは一般市販のセンサーを使って低価格を実現

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Y Combinator出身のSmartSiteが、建設労働者の労働環境をモニタするハードウェアとクラウド上のソフトウェアのペアをリリースした。

癌や呼吸器障害、皮膚炎などは肌や粘膜が危険物質に触れることで起こり、また過度な騒音や振動も健康被害をもたらす。これらの劣悪な環境にさらされることは、とくに建設労働者において多い。

アメリカ労働省のデータによると、建設労働者の労災死は最近増加傾向にあり、2014年には874名を数えた。

そこでSmartSiteのシステムは、ノイズのレベルと、空気中の微粒子、および紫外線をモニタする。

協同ファウンダーのMichael AndreaとJames Batstoneによると、SmartSiteのモニタリングハードウェアは一般市販のセンサーを使っており、それらは、マイクロフォン、レーザーによる微粒子カウンター、そしてUVセンサーだ。

SmartSite's system monitors particulates, UV rays and more on construction sites.

SmartSiteのシステムは建設現場の微粒子と紫外線などをモニタする。

一方彼らのソフトウェアは、完全に独自製品だ。それにより建設チームは、現場の安全な場所と危険な場所を見分けることができる。

AndreaとBatstoneが建設労働者の健康と安全に関心を持ったのは、彼らがロンドンのRoyal College of Art(王立芸術大学院)のプロジェクトでプロダクトデザイナーおよびスマートシティの研究者として仕事をしていたときだ。

そのとき知ったのは、建設企業は大も小も、環境の有害無害を、各現場の過去の情報や経験に基づいて評価していることだった。

ときどきは正確な測定を行うが、そのための装備は高価であり、また測定には長時間を要した。

SmartSiteのねらいは、建設現場を毎日正確にモニタすることだ。しかも、現場作業の邪魔をすることなく。またそのための器具等は、持ち運びや設置が極力簡単でなければならない。いろいろ、複数のものを持ち込む方式は、もってのほかである。

Andreaは語る、“結局、どの企業も労働者のために正しいことをしたいと思ってはいるけど、しかし実際に疾病等を見つけて誠実に対応していたら時間と費用を要し、訴訟に持ち込まれることもある。だから、積極的なモニタリングを、さぼりがちになる”。

今某社とパイロット事業を進めているが、その社名は明かせないそうだ。

SmartSiteはY Combinatorの今の学期の‘生徒’で、すでにこのアクセラレータから若干の資金をもらっている。そのほかの資金調達計画や、過去の調達額に関しては、ノーコメント、だそうである。

画像提供: SmartSite Inc.

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

太陽光飛行機「ソーラー・インパルス2」、世界一周の最終区間へと旅立つ

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今日(米国時間7/24)未明、ソーラーインパルス2が世界一周の最終経由地カイロを飛び立った。最終となる第17区間の終着地アブダビで2015年3月にスタートした旅を終える。

最終区間の予想所要時間は約48時間で、パイロットのBertrand PiccardとAndre Borschbergはその時点で計2万1748マイル(3万5000 km)を飛びこの種の航空機による初の世界一周を達成する。

もちろん、飛行機、パイロット共これまでに何度も記録を打ち立て、最長単独飛行(日本からハワイ)および大西洋横断をいずれも無燃料で達成している。

パイロットらは比較的スムーズな航行を予想しており、最終区間の操縦はPiccardが担当する。しかしBBCによると、上空の空気が高温で稀薄のためソーラー機のモーターに異常をきたす恐れがあるという。この一年、フライトは数々の遅延に見舞われ、最近では胃のむかつきによる発作で、この区間で当初予定されていた7月18日の出発が延期された。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

FordがテキーラのJose Cuervoとパートナーして竜舌蘭の繊維を車の部品に利用

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メキシコ生まれの銘酒テキーラのブランドと自動車企業の結婚が、単純にマーケティングの天国で行われるとは言いがたい。では、Ford とJose Cuervoを結びつけたものは、何なのか?

火曜日(米国時間7/12)に両社は、テキーラ製造の廃棄物である竜舌蘭(りゅうぜつらん)の繊維を、より持続可能なバイオプラスチックとして自動車の部品に利用していくための共同研究でパートナーした、と発表した。その応用部品としての当面の研究対象は、配線を束ねるハーネス、空調設備、そして荷物入れなどだ。

最初のパイロット事業のフィードバックとしては、竜舌蘭の繊維は丈夫で美観もあるので、車のインテリアやエクステリアに好適、という声が得られた。繊維が車の標準部品でいろいろ使われるようになると、車重を減らし、燃費を向上させる、との声もあった。

しかも、原料の不足はない。Jose Cuervo社だけでも毎日、200トンから300トンの竜舌蘭を収穫している。

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Fordの持続可能性研究部の上級技術長Debbie Mielewskiは曰く、〔竜舌蘭の根元のパイナップル状の部分を〕“刻んですりつぶしてジュースを取るけど、廃棄物の繊維はこれまで何にも利用されていない。彼らがちょっと処理した繊維が送られてきたけど、それらを切り刻んでプラスチックに混ぜることができたわ”。

Mielewskiによると、竜舌蘭の使用は、“環境にやさしい植物素材”できるかぎり使うというFordのプラスチックグリーン化方針の一環だ。2008年にFordは、代表車種Mustangのクッションやヘッドレスト用に、石油系素材に代えてsoy foam(大豆油から作ったクッション材)を使った。今では北米地区で売られている全車種で、シートのクッションとヘッドレストにsoy foamを使っている。そのためにFordは、年間500万ポンドあまりの大豆油を使っている。

その経験が、グリーンな植物素材は使える、という学習機会になった。その後Fordは、カナダのオークビル市で作っているFlex SUV用のプラスチック製物入れに小麦の麦わら(ストロー)で強化したプラスチックを使った。

竜舌蘭もパイロットの結果が良好なら、この植物の繊維がsoy foamやストロー、ひまし油、ケナフ繊維、セルローズ、木、ココナツの繊維、もみがら、などの仲間入りをする。Fordは今では8種類の、持続可能素材を車の部品に使用している。

Mielewskiによると同社は今、竹や藻類のような成長の早い植物をプラスチック部品に利用することを検討している。Fordは、二酸化炭素そのものについても、研究している。

彼女曰く、“二酸化炭素を環境や温室効果ガス中に放出するのでなくて、それからポリマーを作る研究だ。良質なクッション素材は作れたが、まだ生産はしていない。その原料の50%が、二酸化炭素だ。二酸化炭素を環境に放出せずに、車のためのいろんなプラスチックを作れるようになったら、ビューティフルだと思わない?”。

Fordによると、ふつうの自動車一台が400ポンドのプラスチックを使用している。だから、竜舌蘭のような持続可能素材が使える余地は、一台の車にまだまだあるのだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

服にワッペンのように縫い付けておける軽量薄型毒ガス検出器をMITで開発、当面は軍用を目指す

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MITの4人の研究者チームが、毒ガスを検知するウェアラブルセンサーを開発した。これとアプリによりスマートフォンなどのワイヤレスデバイスがユーザーに、危険を知らせることができる。

研究者たちが構想しているのは、送信機の回路も含めてクレジットカードよりも薄くて軽いバッジを作り、それを実戦用の軍服に縫い付けておくことだ。

“兵士はすでに大量の装備を身につけているし、その中には多くの通信機器もある”、とMITの化学の教授Timothy Swagerが、彼が中心になって書いたこのセンサーに関するペーパーで述べている。Journal of the American Chemical Society載ったそのペーパーは、ポスドクの学生Shinsuke IshiharaやPhDのJoseph AzzarelliとMarkrete Krikorianらが共著している。

“しかし今の兵士は毒ガスを検知するウェアラブルセンサーを身につけていない。検出装置はいろいろあるが、身につけて動き回れるようなものではない。われわれのセンサーは、紙よりも軽い”、とSwagerは語る。

簡単に言うとそのセンサーは、カーボンナノチューブを搭載した回路だ。カーボンナノチューブは筒状に連なった炭素分子で、細いワイヤーのように見える。

Swagerはこう説明する: “通常のワイヤー、たとえば電気のコードなどは、プラスチックで包まれて外界と遮断され、ユーザーを安全にしている。しかしカーボンナノチューブは、プラスチックなどで包んで絶縁を実現することができない。われわれの場合はナノチューブをポリマーで包んでいる”。

サリンガスのような毒ガスに触れると、ポリマーが壊れて絶縁がなくなる。そのためナノチューブが互いに接触して伝導性を持つようになり、信号がスマートフォンなどへ送信される。

信号の送信はNFCで行われるので、スマートフォンなどのワイヤレスデバイス側にもNFCの能力が必要だ。また、NFCはその名(near-field communication)のとおり、伝達距離が短い。ただし、インターネットがなくても通信できる利点がある。

センサーの反応は不可逆性なので、一定の量の毒ガスを検知し報告したら、その後空気中にガスが検出されなくても、検知〜報告量は下(さ)がらない。

“可逆的に反応するセンサーもある。そういうセンサーでは現在の検知量に応じて信号が変化(増減)する。しかしこのセンサーは違う。反応が不可逆的なので、総量が分かる”、とSwagerは述べる。

ウェアラブルのバッジと通信装置から成る毒ガス検出器は、労働者が毒性の化学物質に触れがちな各種の工場などで、民間の需要もありえるだろう。

Swagerによると、この製品を作り出す技術はすでにマサチューセッツ州ケンブリッジのC2Sense社にライセンスされている。商用製品の開発にも取り組んでおり、それには少なくとも1年はかかる、ということだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Wyndは身の回りから大気汚染に取り組む、ちっちゃな空気清浄機だ

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スタートアップのほとんどは単にスマホケースを強化したり、スピーカーをちょっとだけ持ち運びやすくしたりといったものが多い。それでいて、世界の重荷を一身に背負うといった企業がある。小さな子供たちに目を向け、この酷い世界が将来少しでもマシな場所になるようにするには何ができるかと考えているような会社。確かに、それは小さな空気清浄機が担うには重すぎる責務ではある、でも、何事もどこかからは始めなければならないものではないか!

Wyndの共同創業者でCEOのRaymond Wuは先週我々のニューヨークオフィスを訪れ、同社の名前の付いた189ドルの卓上空気洗浄機について語った。その商品は彼の率いる小さなチームの願い、それは自分の子供たちが吸う空気を今よりほんの少しだけ綺麗にする手助けをしたい、という思いから生まれた。

同社の報道向けの資料とWu自身が言及しているのがCDCによる研究で、驚くには当たらないのだが、地球汚染の最前線では事態は悪化の一途をたどることが予想されるというものだ。そしてWyndの報道向け資料の大部分でフィーチャーされているのが赤ちゃんのベビーカーの中に置かれたちっちゃな円錐形の装置だ。少しがっかりする現実であるが、まあ、それが人生というものだ。

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「空気は(普通)透明です」、同社のウェブサイトでWuは説明する。「我々はそれを当然と思っているのです。毎日無意識に2万回以上呼吸します。我々は自分が体内に取り込むものの多くをコントロールできます。どのスーパーで農作物を購入するか、水道水が安全じゃない時どのブランドの水を飲むか、家を塗るペンキはどれを買えば有機化合物を放出しないか、間接喫煙を避けるためにどのルートを歩くか。しかしながら、危険なのが大気全体で、そしてそれが有毒な粒子で満たされていてそれがゆっくりと我々の肺を破壊し呼吸を阻害するのなら、 逃げ道を工面することも別のブランドを買うこともできません」。

美しいデザインのこの小さな装置は医療グレードのフィルターと、専売特許のエアーフローシステム、そして色の変わるリングは検出した空気の品質に反応する。しかし、実際最もクールな特徴は着脱式センサーだ。「我々はただ空気を綺麗にしたかったわけではないのです」とWuは説明する。「我々はみんなに空気の品質とは何なのか教えたいのです」

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そのセンサーはWyndの底部(充電する部分)から外すことができ、衣類に付けて空気中の微粒子を検出することができる。これは多くの点で大変便利な特徴だ。例えば、フィルターに組み込まれているセンサーのほとんどは、設置されている場所が装置のアウトプットに近すぎるせいで、実際に周りの空気で何が起こっているのか現実的な測定値が得られにくい。

そして、現在の同社のアプリは世界中の専門の気象観測所で測定された空気の品質を示す測定値を提供しているが、将来的には利用者同士が小さなネットワークを構築して、その地域の空気の品質に関してリアルタイムで情報を提供できるようにしたい。Wyndは現在Kickstarterを通じてプロジェクトの資金を募っている。本日より、資金提供者は139ドルで同社のフィルターを手にすることができ、センサー単体なら69ドルだ。もちろん、キャンペーン終了後はもっと高くなるよ。

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(翻訳:Tsubouchi)

遺伝子組み換え作物ではない遺伝子“編集”作物は農務省が規制しないので将来性あり

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遺伝子組み換え作物(GMO)は今、遺伝子編集という新しい技術のおかげで、変わろうとしている。

その最新の例は、CRISPR(クリスパー)を利用して遺伝子を編集した白いボタンマシュルームだ。‘編集’とはこの場合、生物のDNAのパーツを切って並べ替えることだ。

合衆国農務省によると、そのマシュルームは、別の、有害かもしれない、バクテリアのDNAを使っているGMO植物のような危険性がないと思われるので、規制の対象としない。

ペンシルヴェニア州立大学の植物病理学者Yinong Yang博士は、マシュルームのDNAを変えて、酸素に触れても褐変しないようにした。そのコード中の二つの文字を入れ替えただけで、キノコは褐変しにくくなった。

しかし昨年10月に初めて組み換え種を作ったときには、その、遺伝子を変えたマシュルームが農務省の認可を必要とするのではないか、とYang博士は危惧した。

農務省の動植物健康検査サービス(Animal and Plant Health Inspection Service, APHIS)は、アメリカの農業環境を問題のある植物から守る機関で、検査の対象には、バクテリアやウィルスからのドナーDNAを使って植物の病虫害耐性を強化した作物も含まれる。

しかしCRISPRには、従来のGMOにない抜け穴がある。Yang博士はマシュルームに他の生物のDNAをいっさい加えていない。むしろその小変化は、マシュルーム自身の遺伝子で起きている。

CRISPRはかなり新しい技術だが、バイオテクノロジーの分野に新しい生命(いのち)を与え、明らかに規制をめぐる疑問を喚起している。USDAは、自分のDNAを改変した作物を問題視するのだろうか?

過去5年間で30件の、何らかの形で遺伝子編集技術が関わった作物が登場したが、マシュルームはその一つにすぎない。しかしこれまでのところ、答はノーである。

APHISはペンシルヴェニア州立大学宛の4月13日付けの書簡で、マシュルームは確実に規制検討の対象外だ、と確認した。

USDAは次のように声明している: “APHISにはCRISPR/Cas9ホワイトボタンマシュルームが有害植物であると信ずべき理由がない。したがって、同様の質問状に対する前回の応答と同じく、APHISはCRISPR/Cas9により編集されたホワイトボタンマシュルームが、2015年10月30日の貴書簡に記述されているように、連邦規則集第340部により規制されるべきとは見なさない”。

Yang博士は今、彼のマシュルームの企業化の可能性を、思いめぐらしている。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Dysonの空気清浄機ファンは家の中の空気から汚染物質を取り除く

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[筆者: Stefan Etienne]
“きれいな空気”といえば、誰もが屋外や自然を連想する。Dysonは、空気清浄ファンPure Cool Linkで屋内の汚染物質を取り除き、家庭内の空気をきれいにする。

James Dysonの今度の新しいガジェットが、Dysonのブランドイメージ以上に良いものであってほしいけどね。

Pure Cool Linkに込められた同社の独創性は、それがスマートデバイスであること。エアフィルターはガラス繊維製360° HEPAフィルターを使用。iOSとAndroidのアプリDyson Linkでインターネットに接続する。

ユーザーは屋内と屋外の空気の質をBreezoMeterのデータでモニタでき、ファンの設定を調節したり、環境の履歴を記録したりできる。

毎日忙しくて、あるいは怠惰で、空気の質をコンスタントにモニタできない人用に、Pure Cool Linkにはオートモードがあり、空気の質の変動に対応して自動運転する。Dysonの主張によると、同機は空気中の汚染物質やアレルゲンの99.97%を除去する…もちろんユーザーには、そのことをテストできる方法が必要だけど。

この、羽根のないファンと空気清浄機を兼ねたデバイスは、今日から499ドルで発売される。屋内のきれいな空気は今や、テクノロジーによって得られるものなのだ。

競合製品はこれよりもかなり安く、たとえばConwayの空気清浄機は250ドルだ。しかもこれには、NOAA(海洋大気局)の性能証明が付いているから、検討の価値があるかも。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

東京発のHotaruは5ガロンの同じ水を2週間使える超節水型移動式シャワー

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今年のSXSWは、持続可能性がトレンドで、そっち方面のスタートアップが数社登場していた。そのひとつ、Hotaruは、水を再利用する可搬式(移動式)のシャワーだ。

この東京の若きスタートアップは、Taizo Sonからエンジェル資金をもらっている(金額は非公開)。同社の折りたたみ式シャワーは複数の水タンクを使って、水を貯えたり浄化したりする。CEOで協同ファウンダーのRiki Kitagawaと協同ファウンダーのRyo Yamadaによると、シャワーに使用した水の95〜98%を回収、再利用できる、という。

使用時の貯水容量は5ガロン。協同ファウンダーたちによると、三人家族が毎日この5ガロンの同じ水を使って各5分間シャワーを浴び、それを最大2週間繰り返すことができる。

シャワーの設置場所は、どこでもよい。水源は必要だが、RikiとRyoによると、電源は車を利用できる(水は冷水のまま)。温水を使いたければ、発電機またはAC電源が必要だ。

Hotaruの基本的な製品コンセプトは、“水の自由(water freedom)”だ。水道などのないところでも生活できる、というこの自由は、水の扱い方を個人化することによって実現している。

心にすぐ浮かぶのは、アウトドアや軍用、旅行用など(飛行機の機内にもっとシャワーを!?)の用途だが、節水という機能に着目すると、ふつうの住居でも十分に利用価値はある。

水の浄化については彼らも最初から十分注意しており、各種のセンサーが水の浄化レベルをつねにチェックして、不浄のレベルに達したらユーザーに警報する。

チームは展示会場のフロアで実際にシャワーを浴びてデモをし、見る人たちの笑いを誘っていた。ただし、すっ裸ではない(上図)。

発売予定は2017年、予価3000ドルなり、だ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Urban.usの$10Mのファンドは、環境浄化など、より良い都市生活を作り出すスタートアップを育てる

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ベンチャーファンドのUrban.usが今年新たに、1000万ドルのファンドを立ち上げて、今年いっぱい、われわれの都市生活の向上に貢献しようとするスタートアップたちに投資していくことになった。テーマは、都市内移動(mobility, 交通ほか)、ロジスティクス(logistics, 総合物流管理)、環境、ユーティリティ(電気、ガス、上下水道、など)、地方行政など、何でもよい。

今年いっぱいといっても、すでに一部の資金は、スマート(電脳)灌漑のRachioや、電気スケボーOneWheel(上図)のFutureMotion、IoTの冷暖房システムFlairなどに投じられている。

このほか、最初のファンド130万ドルは20社にほぼ同額が割り当てられる。今Urban.usのポートフォリオの中にはHandUpBRCKdashRevivnSkycatchなどがいる。投資対象企業は、シード前の段階からシリーズAまでの層だ。そして二度目のファンドは、それまでに成長した企業や、目に見えて公益に貢献した企業への追加投資になる。

Urban.usの協同ファウンダStonly Baptisteはこう語る: “気候変動への対応がこれからの社会の最大の課題になる。中でも、都市の構造や機構を効果的に変えていくことが重要だ。スタートアップはそれに貢献できる”。

つまり世界の都市は現在、国連の都市開発事業United Nations-Habitatによれば、温室効果ガスの約70%を排出している。2050年には都市の人口が今の倍になっていると予想されるので、都市の排ガス量も増える。そこでUrban.usは、5年以内に約100の都市の状況を急速かつ大規模に変えうると思われる技術に、投資しようとしている。

“世界を良くしよう、というこのファンドの方向性はあまりにも対象範囲が広いが、成否は犠牲の大きさにかかっている”、とBaptisteは述べる。“個人レベルでの考え方も、‘そのために自分は何を犠牲にできるか’になるからね”。

BaptisteがとくにOneWheelを気に入っているのも、自然にそれとなく公益に貢献しているからだ(例: 大きな4人乗り自動車に1人で乗らない)。OneWheelのメインの特長は楽しくて便利なことだが、結果的に公益に貢献する。多くの人が一人での都市内移動に、自動車に代えてこれを使えば、都市内の自動車交通量が減る。そして究極的には、都市のCO2排出量を減らす、とBaptisteは説く。

“従来の一般的な概念では、善行と利益追求は一致せず、社会的役割を担うことと人生を楽しむことは一致しない。この考え方を変えて、両者が一致することを人びとが理解できたら、それが最高だ”、と彼は語る。

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TeslaのModel Xには生物兵器防御モードがある(ほんとうに!)

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Teslaの今度の新しいSUVには安全機能がたくさんあるが、その中には生物兵器を防ぐ空気モードがある。CEOのElonは、“車の中の空気が病院の中のように清浄になる”、と言っている。

この生物学的防御モード(Biodefense mode)は、ダッシュボードのディスプレイのボタンで起動し、Model XのHEPAエアフィルタを最大性能にし、生物兵器の毒物の侵入を防ぐ。Model Xの発表会を取材した本誌のGreg Kumparekによると、Muskは、これまでの空気試験センサでは、どれもうまく行かなかった、と言い、Volkswagenの排ガススキャンダルをネタにジョークを言ったそうだ。

[Tesla Xには優れたエアフィルタがあり、“生物兵器防御モード”のボタンがある。まるで地球最後の日が終わったあと(post-apocalypse)にドライブしている気分だった。]

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原子力発電のカムバック・キッドたちがDisruptのステージで安全な原子炉技術を語る

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今では、より安全な技術の確立と普及に努めようとしている新世代の核科学者たちがいる。Leslie DewanとJacob Dewittも、その仲間だ。二人の若いファウンダは今日(米国時間9/22)のTechCrunch Disruptのステージに登場して、彼らが携わっている、自分の廃棄物を自分で食べる新しいタイプの原子力発電機の開発努力について語った。〔*: Comeback Kid, カナダのパンクバンド。〕

文字通り、‘食べる’のだ。二人ともMIT出身だが、それぞれが自分のスタートアップを立ち上げた。しかしやることは似ていて、彼らの原子力発電機は自分の放射性廃棄物で動くから、廃棄された放射性物質をどこかへ運んで処分する必要がない。

原子力発電所は放射性ウラニウムを生成するが、人間等の放射能被害を避けるためにはその多くを地中深くに数百年〜数千年間遮蔽保存しなければならない。しかしその工程というか過程そのものに、遺漏等の危険性があるだけでなく、大量に埋めれば私たちの住む惑星にとっても有害だ。

核に対する最大の誤解はその安全性だ。事故とその不安がこの産業の汚点になっているが、でも、事故のときに何が起きるのかを、正しく理解すべきだ。
— Jacob Dewitte, UPower

また、今認められている原子炉には、設計上の問題もある。今のそれは多量の放射性廃棄物を作り出し、冷却には水を必要とする。1950年代と60年代には核燃料がクリーンで安いエネルギーを得るための理想的なソリューションと見なされたが、最終的に認められた設計は潜水艦の設計が元になっていた。

Fukushima Daiichiの大事故は、炉心の冷却に水を使用する設計でどんな間違いが起き得るかを示す、完璧な(そしてもっとも最近の)見本だ。発電所自身が、コンスタントなエネルギー供給を必要とする。停電と炉心の過熱が起きれば、高圧の炉心融解(メルトダウン)に至るが、2011年にはまさにそれが起きた。

しかし、液体燃料を使う原子炉は塩の廃棄物を使うので、停電時にはすべての塩が別のタンクへ落ち、2時間ほどで凍結し固まる。したがってこのタイプの発電所には、炉心融解がない。

DewanはTransatomic Powerのファウンダで、1950年代からあるけどなぜか採用されなかった技術をベースに、融解塩タイプの原子炉を開発した。DewitteはUPowerのファウンダで、もっと小さい、送電網に接続されない原子炉を作った。それは海運用のコンテナやトラックで、電気のない遠隔地へ運ぶことができる。Dewitteによると、彼のモデルは2000世帯ぶんの電力を最大12年間生産できる。

どちらの原子炉も、万一オフラインになったら爆発するのではなく遮断するよう設計されている。

DewitteとDewanはMITでは同級生で、新世代の環境保護主義者/活動家に属している。彼らはそういう環境への配慮に基づいて、より安全でクリーンな原子炉技術が国の施策としても認められるよう、運動している。

また彼らを、著名な投資家たちが支援している。DewanのTransatomicはPeter Thiel とFounders Fundから550万ドルを獲得し、DewitteのUPowerはY Combinatorを‘卒業’してから、CrunchFundやSam Altmanらからこれまでに400万ドルを調達した。

しかし、今後の課題もいくつかある。とくに最大の障壁が、現在の公的規制と、原子力発電に対する世論だ。合衆国の原子力規制庁(Nuclear Regulatory Agency, NRC)にはそもそも、新しい設計を認めるためのガイドラインがない。新しいものを前向きに認める柔軟性を政府当局が持つためには、あと20年かかるだろう、とDewanは述べる。

“今の規制方式には、新しいものを認める仕組みや制度が欠如している。かつて認められた古い技術が、唯一絶対だ。だからわれわれは当分、ベータテスト程度のことしかできない”、とDewitteはDisruptのオーディエンスに語った。

しかし二人とも、5年後には何かが変わるだろう、と楽観的だ。すでに、議会にその動きがある。H.R. 1158 は、新しいエネルギー技術の認可の道筋をつけ、TransatomicやUPower、それにBill Gatesが支援しているTerraPowerなどのスタートアップに、可能性を開くだろう。この法案は5月に下院を通り、今は上院の票決を待っている。

一般的な世論に関しては、Dewitteは世代交代が解決する、と信じている。“冷戦が親たちの心に暗い影を落としている”、と彼は語る。Dewanは、より良いコミュニケーションが新しい技術を支える、と期待している。彼女は曰く、“原子力産業には透明性が必要である。インターネットが透明性の実現を大きく助けるだろう”。

核廃棄物の見方を変えたい。それを、処分義務のあるものではなく、可利用な資源と見るようにしたい。
— Leslie Dewan, Transatomic
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Hydroswarmの水中ドローン(の大群)は海に対する人間の無知を解消してくれるかもしれない

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地表は海が70%、陸地が30%だ。しかし、よく言われるように、私たちは波の下にあるものよりも、月の表面の方をよく知っている。これまで調べられているのは、世界の海洋のわずか5%だ。世界の生物とエネルギーと資源の95%が海にあるにもかかわらず。

これまでは、AUV(autonomous underwater vehicle, 自律型無人潜水機)と呼ばれる魚雷のような乗り物にたくさんの電子機器を乗せて海を探査してきた。広大な海を、たった一機で調べるのだ。これらのAUVは主に、石油の流出などの環境問題をモニタするために使われているが、相当高価であり、あまりインテリジェンスのない鈍重な装置だ。

むしろ、自律能力のある小さな水中ドローンの大群に、常時海中を泳がせておく、という方法はどうだろう。それらはつねに海の中を泳ぎまわり、休むことなく自分の職務をこなす。いわばそれは、海洋のための物のインターネット(IoT)だ。

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MITで博士号を取った学生のSampriti Bhattacharyyaが作った、Hydroswarmと呼ばれるプロジェクトがある。それは今日(米国時間9/23)のTechCrunch Disrupt SF 2015で、Hardware Alleyで選ばれ、ステージに登場した。

Hydroswarmは、水中の探査に使用する、環境適応能力のある、スマートな(==電脳能力のある)ドローンプラットホームで、個々のドローンはEveという愛称で呼ばれる。‘プラットホーム’と呼ぶのは、そのアプリケーションも含め、多様な目的に合わせてカスタムの構成ができるからで、複数のEveを水中に放って必要なデータを集めさせる。水中のAirDogのように、ダイバーと一緒に泳ぐ消費者製品として楽しむこともできる。彼らはときどき水面に顔を出して、データをクラウドへアップロードする。

Hydroswarm + Eveの大規模な展開は、石油やガス業界、環境モニタリング、防衛産業などの分野で多くの需要があるだろう。その市場規模は数十億ドルと大きい。

しかし目下Hydroswarmは、消費者バージョンでテストを行い、その後産業用や商用バージョンを手がけていく予定だ。

このスタートアップはまだ生まれたてだが、info@hydroswarm.comでコンタクトできる。

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海中で有害なヒトデを見つけて殺すロボットをオーストラリアの大学が開発…有毒ヒトデを毒殺

ご存知だったかな、今や、海中で海星(ヒトデ)を毒殺するロボットまであるのだ。問題の海星はCrown of Throns Sea Star(オニヒトデ)といって、珊瑚(サンゴ)を食害する。繁殖力が強くて、1平方キロメートルあたり10万個体以上という大発生を見せることもある。

そこで、海の中を泳いで彼らを殺すロボットが登場する。Queensland University of Technology(クィーンズランド工科大学)が開発したCOTSBotは。機械学習と低消費電力のコンピュータにより、海星を見つける。海星狩りの能力はロボット自身が持っているので、人間が水面上から操作する必要はない。海星を見つけたCOTSBotは、チオ硫酸塩などから成る化学物質を“注射”して海星の細胞を壊死させる。

開発に10年を要したこのロボットは、あらゆる種類の海星を殺すが、人間が駆除できる適当な量は残る。また海星を食餌にしている生物が、飢えるほどでもない。いずれにしても、今後は珊瑚の大々的な食害はなくなるだろう。CTOSBotの詳細は、大学のWebサイトのここにある。この自律性のあるロボットは、やがて、人間を見つけて狩るようになるだろう。期待しよう。

出典: Spectrum

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Tesla Model Sを一回の充電で728 km走らせた

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Teslaのデュアルモーター、四輪駆動の「プレミアム・パフォーマンス」セダン、Model Sは連続走行距離265マイル(426 km)程度と宣伝されている。しかし、オスロ大学のプログラマーで、2年間乗っている自分のTeslaを愛情を込めて “The Milennium Falcon” と呼ぶ(自分のTeslaおよび共に旅した記録専用のYouTubeチャンネルも持っている)Bjørn Nylandは、新たな世界記録を達成したようだ。

Nylandによると、彼はデンマーク、ローデクロのスーパーチャージャー充電ステーションで1回充電しただけで、驚異の728km、452.8マイルを走った。

Teslaによると、この種のこれまでの記録は2012年5月に、ある父と息子が一回の充電で423.5マイル(681 km)走ったのが最高だった。

ちなみに、NylandはTeslaと何ら金銭関係はないと同社は言っている。彼はただただ自分の車が大好きらしい。

Nylandは、時速40 kmという耐え難いほど遅い速度で走ることを強いられた寛容な友達と共に、標高0メートル付近で快挙をやってのけた。Nylandが撮影した旅のビデオは、期待通りの退屈さだ。それでも、興味があればここで見られる。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

屋内水耕栽培(植物の光合成)用に最適化された省エネLEDライトのTranscend…Y Combinatorから巣立つ

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今日(米国時間7/8)ベータでローンチしたTranscend Lightingは、Y Combinatorが育成対象として受け入れるにはあまりに異色の企業だが、屋内農業のための省エネLEDライトを作ろうとしている。

ファウンダのBrian Bennettは独学の光学技術者で、彼がTranscendの最初のプロトタイプを発明したのは、ニューヨーク州北部にある彼の家族農場で父に、農業用のLEDライトを作ってみろ、とそそのかされたことが、きっかけだ。

ライトの設計が完成したとき彼は、コロンビア大学のビジネスプランコンペに応募して、そのささやかな賞金で開発を継続できることになった。そしてその後、Y Combinatorの2015春季のクラスに‘入学’した。

Bennetは語る、“今の農家は主に、道路の照明に使われているのと同じ、高圧のナトリウムランプを使っている。作物はまあまあ育つけど、消費電力がものすごく大きい”。

Trancendの電球は通常のLEDライトと違って青色LEDしか使わない。そして同社が開発した波長変換システムにより、蛍光物質を利用して、もっともエネルギー効率の良い光子である青の光子をほかの色の光子に変える。

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“蛍光物質は昔からあるけど、うちで使っているのは、植物の光合成のためにとくに調製された蛍光物質だ。これまでの蛍光物質は、人間用の照明器具が目的だから、ひたすら明るさだけを求めて調整されてきた”、とBennetは語る。

農家がTranscendのライトを使うと、ナトリウム灯のころに比べて、消費電力を最大70%ぐらい節約できる。

なお、今合衆国で屋内で水耕栽培されている作物は、マリファナだけではない。Bennettによると、初期の顧客の半分はマリファナ栽培業者だが、あとは主にイーストコーストのレタスやトマト、ペッパーなどの農家だ。

今は各地で干ばつがひどくなっているので、屋外の農業の10%の水しか必要としない屋内水耕栽培に関心を向ける農家が増えている。

また屋内なら、農家が温度や湿度、CO2のレベル、光量など、環境を完全にコントロールでき、しかも周年栽培が可能だ。

Bennetはこう言う、“屋内栽培は数百万ドル相当のビジネスだと言われるし、最近はテクノロジの利用でその経済的な魅力も上がっている。たとえばうちのライトを使えば、エネルギーの消費量を相当抑えることができるから、農家の利幅も大きくなる”。

Transcendの農業用照明器具(上図)は一基999ドルだが、それはだいたい、一年分のエネルギー節約量に相当するそうだ。1年で元が取れる、ということ。

同社にはすでに農業法人などからの注文もあり、この夏の終わりごろには第二の照明器具製品を、Indiegogoに出すそうだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa