AppleとのEV提携の可能性に関する報道で現代自動車の株価が20%以上アップ

韓国の現代自動車(ヒュンダイ)は、自動運転電気自動車の生産に向けた協議をApple(アップル)と行っていると報じられたが、現代自動車はその協議はまだ「初期段階」で、何も決まったことはないと軽く扱う姿勢を崩していない。しかし、公表前には固い秘密主義を貫くことで知られたAppleとの協業の可能性に触れたそのニュースは、韓国時間1月8日、Korea Exchange(韓国証券取引所)における現代自動車の株価を20%以上押し上げた(Yahooファイナンス記事)。

協議が最初に報じられたのはKorea Economic Daily(コリア・エコノミック・デイリー)紙上で、その内容は韓国の自動車大手である現代自動車自らがBloomberg(ブルームバーグ記事)に対して以下のように認めている。「Appleと現代自動車は協議中です、しかしそれはまだ初期段階で、何も決定されていません」。また、同社はCNBCに対しては「Appleが現代自動車を含むさまざまな世界的な自動車メーカーと協議中であることは知っています。議論は始まったばかりなので、何も決まってはいません」と語っている。

現代自動車の広報担当者はTechCrunchへのコメントを拒否した。また、Appleにはコメントを求めている最中である。

2020年12月、Reuters(ロイター)が報じたところによれば、Appleの自動車構想Project Titan(プロジェクト・タイタン)はまだ続いており、自動運転式の電気乗用車の開発が計画されているという。だがこの車の発売は2024年以降になると考えられている。

現代自動車は2020年8月に独自の電気自動車ブランドであるIoniq(イオニーク)を立ち上げた。今後4年間の間に3種類の完全電気自動車を市場に投入する予定だが、これは2025年までにバッテリー式電気自動車を100万台販売し、EV市場で10%のシェアを取る戦略の一環である。また、現代自動車は自動運転技術企業のAptiv(アプティブ)との合弁会社を設立し、2022年までにレベル4とレベル5の量産可能な自動運転システムを、ロボタクシー、車両運用業者、自動車メーカーに提供することを目標としている。Aptivとの提携は2019年に発表されている。

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(翻訳:sako)

顧客と会計士の体験を両方改善させるフランスの会計サービスPennylaneが19億円を調達

自動化されたプロセスと人間の会計士を組み合わせた会計サービスを提供するフランスのスタートアップPennylane(ペニーレイン)が、1500万ユーロ(約19億円)を調達した。既存も投資家のGlobal Founders CapitalとPartechが再び投資を行っている。

Pennylaneは、顧客の財務データを扱うSaaS企業であると同時に会計事務所でもある。会計士と直接仕事をすることで、同社のプラットフォームを介して担当会計士と話ができるということだ。すなわち財務データを一元管理できることになる。

同スタートアップは、顧客と会計士双方の体験を改善させたいと考えている。通常、会計事務所には毎月、あるいは四半期ごとにデータが送られてくる。会計士はファイルを開いたり、会計ソフトに情報を入力したりするために、膨大な時間を浪費している。

同様に、会計報告書もCEOやCFOにとってはブラックボックスで、そのデータを財務予測と可視化に活用することができていない。Pennylaneが狙っているのは、エクセルを使って会社の損益計算書を予測する必要性をなくすことだ。

Pennylaneで作業を開始する際には、まず自分のアカウントをすでに貴重な情報を持っているStripe、Payfit、Qonto、Zoho、Sellsyなどのサードパーティサービスと接続する。こうすることで、各サービスからデータを手動でエクスポートするだけではなく、情報を常に自動的に最新の状態に保つことができる。

ローンチから1年が経過したPennylaneは、550社のクライアントを獲得し200万ユーロ(約2億5000万円)の売上を達成した。現在、30人の会計士が同社のために働いている。

次は、より多くの企業、特に社内に会計チームを持っている企業や、すでに会計事務所と連携している企業を勧誘したいと考えている。Pennylaneのソフトを、顧客が自社の会計士から利用することもできるようにする予定だ。

Pennylaneは以前、Global Founders Capital、Partech、Kima Venturesから、シードラウンドとして400万ユーロ(約5億1000万円)を調達していた。

カテゴリー:フィンテック
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自動運転車用ソフトウェアを産業アプリケーションへ展開するためにOxboticaが48.3億円を調達

安全で信頼性が高く、費用対効果の高い自動運転車の登場を世界が待ち続ける中、自動運転車ソフトウェアの世界的先駆者の1社が、より直近のチャンスに対して注力するために、多額の資金を調達した。通常の道路外であるオフロード環境でのアプリケーションを構築するための技術を、産業界に提供することを狙う。

英国オックスフォードのスタートアップであるOxbotica(オクスボティカ)は、「universal autonomy(ユニバーサルオートノミー)」と呼ぶ技術を開発している。同社によればその技術は、使用されているハードウェアに関係なく、さまざまな環境で自動運転車のナビゲーション、知覚、ユーザーインターフェイス、車両管理、その他の機能を支える柔軟な技術だという。このたびOxboticaは有力な戦略的投資家や金融投資家たちからシリーズBラウンドとして4700万ドル(約48億3000万円)の資金調達を行った。

ラウンドを主導するのは石油・ガス大手BPの投資部門であるBP Venturesだ。他にラウンドに参加するのはBGF、安全装置メーカーのHalma(ハルマ)、年金基金のHostPlus(ホストプラス)、IP Group、Tencent(テンセント)、Venture Science(ベンチャー・サイエンス)、Doxa Partners(ドクサ・パートナーズ)がアドバイザーを務めるファンド群などである。

Oxboticaによれば、調達した資金はこの先顧客に向けて行われる展開のために使う予定だという。同社CEOによるとそのうちのいくつかは2021年中に稼働する予定とのことだ。対象となる顧客は鉱業、港湾物流などで、主要投資家がBPであることから、その顧客の規模や視野にあるプロジェクトが示唆されている。

CEOのOzgur Tohumcu(オスガー・トフムチュー)氏は、インタビューで「現在自動運転が必要とされている分野はどこでしょう?」という問いかけを口にした。「鉱山や港湾に行けば、車両がすでに使われているところを見ることができます」と彼はいう。「私たちは産業分野で大きな変革が起きていることを知っています」。

今回の資金調達と産業分野への注力は、Oxboticaにとって興味深い展開となる。スタートアップは2014年頃から存在していたが、元は学者であるPaul Newman(ポール・ニューマン)氏とIngmar Posner(イングマー・ポスナー)氏が一緒に創業したオックスフォード大学からのスピンアウトだった。その後ニューマン氏はCTOとしてスタートアップに残り、ポスナー氏はオックスフォード大学のAI教授のままだ。

これまでOxboticaは、たとえばNASAのマーズ・ローバーにセンサー技術を提供する(Financial Times記事)など、多くの注目を集めるプロジェクトに携わってきた。

時間をかけてSeleniumとCaesiumという名の2つの主要なプラットフォーム上に、それぞれナビゲーション、マッピング、知覚、機械学習、データエクスポートと関連技術そして車両管理を扱えるように技術を整えてきた。

ニューマン氏によると、Oxboticaが他の自律制御ソフトウェアプロバイダーと比べて際立っている点は、そのシステムが軽量で使いやすいところだという。

「私たちが得意とするのは、エッジコンピューティングの部分です」と彼はいう。「私たちのレーダーベースの地図は、1kmの範囲をカバーするためには、数百MBではなく10MBの容量を必要とするだけです【略】私たちのビジネスプランは、Microsoft(マイクロソフト)のような水平型のソフトウェアプラットフォームを構築することです」。だが、このような表現は、同社が開発しているものの価値に対して謙遜しすぎているかもしれない。Oxboticaはまた、自律制御システムに関連した膨大なデータを効率的に転送する方法も研究しており、シスコのような企業と協力して(PR Newswire記事)これらをオンライン化している。

近年では、Oxboticaは英国で路上における自動運転車の代名詞となっていたが、自動運転車のプロジェクトによくあるように、現状、すべてが期待通りには進んでいない。

Oxboticaが2018年にロンドンで始めた、自動運転パイロットプロジェクトのカーサービスAddison Lee(アディソン・リー)は、最初の車両を2021年には路上に投入するだろう予想されていた(未訳記事)。しかしそのプロジェクトは、Addison Leeが昨年Carlyle(カーライル)によって売却され(Addison Leeリリース)、同社がコストのかかる困難な目標だとして解体されたことで静かに幕が下ろされた。公的資金でバックアップされ、英国内の各都市に自動運転車を展開する予定のProject Endeavour(プロジェクト・エンデバー、プロジェクトサイト)はまだ道半ばのようだ。

ニューマン氏によれば、産業顧客への注目が、より野心的で大規模なアプリケーションと並行して進んでいるという。「道路外での応用である、精錬所、港湾、空港向けの産業用自動運転は、実際の路上自動運転に至る道の途中にあるものです」と彼はいう。異なるハードウェアで利用できるソフトウェアを提供する方針は堅持される。「私たちは常に『物理的対象ではなく、ただソフトウェアを(no atoms, just software)』というビジョンを掲げてきました」と彼はいう。「道は特別なものではありません。私たちのポイントは、どのようなハードウェアプラットフォームでも動作できるように、ソフトウェアの依存性をなくすことです」。

同社は、ハードウェアや応用に依存しない自律性に常に興味を持ってきたのだと主張しているだろう。だが最近では他の手段を試した結果、これまでのやり方ではなくOxboticaの戦略にならう他企業の例も増えつつある。そうした企業の中には、英国から出てきたもう1つの自動運転スタートアップであるFiveAI(ファイブAI)も含まれている。FiveAIは、元は自社で自動運転車の車両群を構築したいと考えていたが、2020年に他のハードウェアメーカーにソフトウェア技術をB2Bベースで提供する方針に切り替えた(未訳記事)。

これまでにOxboticaは約8000万ドル(約82億2000万円)を調達しているが、その評価額は公表していない。しかし、これからの展開や新しいパートナーシップによって、現状の市場の中でうまくいっていることが裏付けられるだろうと楽観視されている。

「BP Venturesは、Oxboticaに投資できることを喜んでいます。私たちは彼らのソフトウェアは自動運転車両の市場を加速できると信じているのです」と声明で語るのは、BP VenturesのマネージングパートナーであるErin Hallock(エリン・ハーロック)氏だ。「世界のモビリティ革命の加速への貢献は、顧客にソリューションを提供することに焦点を当てた総合エネルギー企業となるための、BPの戦略の中核をなすものです」。

カテゴリー:モビリティ
タグ:Oxbotica資金調達自動運転

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(翻訳:sako)

ビル・ゲイツ氏が支援するBoston Metalが金属産業の脱炭素化を目指し51.6億円調達

地球規模の気候変動に寄与する炭素排出量の約8%を鉄鋼生産が占めていいる。それは現代経済の根幹に位置する産業の1つであり、脱炭素化から最も程遠いものの1つだ。

世界中の国々が環境への影響を減らし、より持続可能な生産方法を採用しようと競争する中で、金属ビジネスから炭素を除去する方法を見つけることは、その努力に対する最も重要な貢献の1つとなるだろう。

この問題に対処するために新技術を開発しているスタートアップの1つが、Boston Metal(ボストンメタル)だ。Bill Gates(ビル・ゲイツ)が出資するBreakthrough Energy Venturesファンドが支援してきたこの新会社は、米国証券取引委員会(SEC)への提出書類によれば、事業拡大のための約6000万ドル(約51億9000万円)の資金調達ラウンドのうち、約5000万ドル(約51億6000万円)を調達したところだ。

コンサルティング会社McKinsey & Co.(マッキンゼー・アンド・カンパニー)が引用した調査によれば、世界の鉄鋼業界は環境への影響を削減できなければ、潜在的な価値の約14%が損なわれる可能性があるという。

2019年には2000万ドル(約20億6000万円)を調達したBoston Metalは、溶融酸化物電気分解(MOE、molten oxide electrolysis)と呼ばれるプロセスを利用して合金鋼を作り、最終的にはエミッションフリーの鉄鋼を生産する。同社CEOのTadeu Carneiro(タドゥ・カルネイロ)氏によれば、実際の資金調達は今から2年前の2018年12月に行われたのだという。

その最後の調達から月日は流れ、Boston Metalは当時の8人体制から今では50人近くの規模へと成長した。マサチューセッツ州ウォバーンに拠点を置く同社は、合金鋼を生産する3つのパイロットラインを1カ月以上継続的に稼働させることができている。

鉄鋼生産プログラムが最終的な目標であることに変わりないものの、同社は合金生産プログラムの商業化に向けて急速に進んでいる。カルネイロ氏によれば、従来のインフラやサンクコストに依存していないからだという。

Boston Metalの技術は、紀元前1200年の鉄器時代の幕開け以来、大きく変わっていない業界の技術を根源的に再考するものだと、カルネイロ氏は語る。

最終的には、技術開発者として鉄鋼を生産する鉄鋼メーカーやエンジニアリング会社にその技術をライセンスし、部品を販売することが目標だ。

Boston Metalにとって、製品ロードマップの次のステップは明確だ。同社は、2022年末までにウォバーンで準工業的小規模ラインを稼働させ、2024年か2025年までには最初の実証プラントを稼働させたいと考えている。「その時点になれば、私たちはこの技術を商業化することができるようになるでしょう」とカルネイロ氏は述べている。

同社のこれまでの投資家の顔ぶれは、Breakthrough Energy Ventures、Prelude Ventures、MITが支援する「ハードテック」投資会社のThe Engineなどだ。彼らは全員、投資会社Devonshire Investorsとともに、最新の現金注入に投資するために戻ってきた。Piva Capitalや別の匿名投資家とともに、金融サービス大手Fidelityが今回の投資を主導したが、Devonshire InvestorsはそのFidelityの親会社であるFMRと提携している。

SECへの提出書類によれば、今回の投資の結果、Shyam Kamadolli(シャム・カマドリ)氏が同社の取締役会の席に就くことになるという。

MOEは、金属を酸化物のままの状態で取り出し、溶融金属製品へと転換する手法だ。MITのDonald Sadoway(ドナルド・サドウェイ)教授の研究に基づいて、マサチューセッツ工科大学で発明された手法を使うBoston Metalは、特定の原料や製品に合わせた溶融酸化物を製造している。電子を利用してスープを溶かし、対象の酸化物を選択的に還元するのだ。精製された金属は容器の底部に溜まり、高炉技術から適応されたプロセスを使用して容器に穴を開けて取り出される。穴は塞がれ、その後処理が続行される。

同社によれば、この技術の利点の1つは、そのスケーラビリティにあるという。生産者はより多くの合金を作る必要性に応じて、生産能力を高めることができる。

同社の最高経営責任者(CEO)であるカルネイロ氏は、2019年に行った2000万ドル(約20億6000万円)の資金調達の際に「溶融酸化物電気分解は、幅広い金属や合金を生産できるプラットフォーム技術ですが、当社の最初の産業展開は、当社の最終目標である鉄鋼への道筋である合金鉄をターゲットにします」との声明を出している(Business Wire記事)。「鋼鉄は現代社会の必需品であるとともに、これからもそうあり続けるでしょう。しかし現在、鋼鉄の生産によって2ギガトン以上のCO2が生産されています。何千年も前から、鉄鋼を製造するためには同じ基本的な方法が使われてきましたが、Moston Metalは石炭を電子に置き換えることでそのパラダイムを打ち破ります」。

テック業界における最高の著名人であるビル・ゲイツ氏自身も、金属事業の脱炭素化の重要性を強調している。

ゲイツ氏は自身のブログであるGatesNotesの中で「Boston Metalは石炭の代わりに電気を使って、同じように安くて強い鉄鋼を作る方法を開発しています」と書いている。一方ゲイツ氏は「もちろん、クリーンな電力を使ったとしても、電化は排出量の削減を助けることができるだけです。それがゼロカーボンの電気(GatesNotes投稿)を手に入れることが重要であるもう1つの理由なのです」という注意も喚起している。

カテゴリー:EnviroTech
タグ:Boston MetalBill Gates二酸化炭素排出量資金調達

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テスラの中国ライバルXpengがDJI系列LivoxのLiDARセンサーを採用へ

Tesla(テスラ)と中国のライバルである Xpeng(シャオペン、小鵬汽車)の間での戦いは、Xpengが自動運転の将来に対する姿勢を明確にしたことで、加熱している。先の週末に、Xiaomi(シャオミ)やAlibaba(アリババ)たちが投資家として支えるXpengが、Livox(ライボックス)のLiDARセンサーを採用することを発表した。Livoxは中国のドローンの巨人DJIと密接な関係を持つスタートアップだ。

リモートセンシング技術であるLiDARに、中国のサプライヤーを選択したのは、米中技術戦争の複雑さを反映したものだ。これまでTeslaは知的財産権の窃盗疑惑でXpengを告発してきたが、Xpengはそれを繰り返し否定してきた。一部の業界専門家を驚かせたのは、Xpengが2021年には量産型自動運転車にLiDARを搭載すると発表した(Twitter投稿)ことだ。これはTeslaとの差別化を行うためと思われる。Xpengの発表を知ったElon Musk(イーロン・マスク)氏は、XpengにはTeslaの技術が欠けていると一笑に付した。

マスク氏は、これまでずっと自動運転に対するLiDARの採用を「不必要で高価なセンサー」と呼んで却下してきた。その代わりにTeslaは、同社の自動運転車のためにニューラルネットワークのトレーニングとカメラを使った視覚認識に頼っている。中国企業の中には、マスク氏のビジョンに賛同するものもいる。たとえばDaimler(ダイムラー)が出資するMomenta(モメンタ)は、より安価なミリ波レーダーや高精細カメラの利用に賭けている(未訳記事)。

Xpengはすでに、データを収集するために複数のソースを利用している。特にカメラ、ミリ波レーダー、超音波といったセンサーたちだ。今回のLiDARの追加に関して同社は「道路状況をより正確に映像化できるようにすること」で、主要なシステムコンポーネントが故障した場合でも、自動運転車の運転を継続することができる「より高いレベルの安全性のための冗長性を提供する」と述べている。また、LiDARは「目標検知能力、測定精度、低環境光下やその他の困難な知覚条件下での性能を向上させる」と同社は主張している。

Livoxが選択されたことも興味深い。Velodyne(ベロダイン)やLuminar(ルミナー)のような成熟した海外技術も選択肢としてあるが、中国政府が主要産業の技術的自立を推し進めていることを考えると、Xpengの選択は予想されたものだ。一方、中国内でLivoxはBosch(ボッシュ)や中国の検索大手Baidu(バイドウ、百度)が支援するHesai(ヘサイ、禾賽科技)や、国営自動車メーカーのBAIC(北京汽車)やSAIC(上海汽車)から資金提供を受けているRobosense(ロボセンス)などの強敵に直面している。

Livox自体は、スタートアップ自身の説明によれば、2016年にDJI社内インキュベーションプログラムを通じて「独立企業」として設立されたという。同社のセールスポイントの1つは、独自の光電子走査方式を採用することで、LiDARの低価格化を実現できたことだという。

DJIは農業用ドローンのようなB2Bビジネスへの移行を進めているため、自動運転への進出はその目的に適っている。しかし、DJIとLiDARスタートアップとの関係は、少なくとも世間から見れば謎に包まれたままだ。Livoxの企業紹介文には、同社は「センサーの革新とハードウェア製造に対するDJIの深い専門知識に支えられている」と記載されており、その製品はDJIの公式小売店を通して販売されている。それ以外のDJIが株式を保有しているのか、経営を支配しているのかといった点に関しては触れられていない。

この件に詳しい人物の話によれば、結局のところLivoxは「もともとDJI内の単なるチームであり、後から別会社として位置づけられたものである」という。また一方で、「まるで製品ラインの1つのように」製造やサプライチェーンを含むDJIのリソースへのアクセスを行っている、ということだ。

Livoxが意図的にDJIから距離を置いている動機の1つとして考えられるのは、LiDARを中国との技術戦争における重要な分野と見なしている米国政府から、精査を受ける可能性を回避するためだと、その人物はいう。DJIは最近、米国政府の禁輸リストに追加された。このリストに掲載されたHuawei(ファーウェイ、華為)やSenseTime(センスタイム、商湯科技)のような他の中国のハイテク企業たちは、米国のサプライヤーから主要なコンポーネントを入手することを制限されている。DJIの創業者であり最高経営責任者を務めるFrank Wang(フランク・ワン)氏も、世間の注目度を下げたいと考えていると思われている。

LivoxとDJIからのコメントは得られていない。

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タグ:XpengLivoxLiDARDJI自動運転

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FTCからの独占禁止法違反訴訟を受けてRentPathがCoStarとの買収合意を取り下げ

「Rent.com」や「Apartment Guide」といった物件検索サイトを運営するRentPath(レントパス)が、米国時間12月30日、CoStar Group(コスターグループ)からの買収合意をキャンセルした(PR Newswire記事)ことを発表した。米国連邦取引委員会(FTC)から取引阻止の訴訟を受けたためだ。

Apartments.comやApartmentFinder.comなどの物件検索サイトも運営する商用不動産データ・分析会社のCoStarは2020年2月に、RentPathを5億8800万ドル(約606億5000万円)で買収することで合意していた(The Wall Street Journal記事)。全額キャッシュでのこの取引は、RentPathが連邦倒産法第11章の適用を始めると公表したあとで発表された。RentPathはその時点ですでに、6億5000万ドル(約670億4000万円)以上の負債を整理するために財務アドバイザーを雇っていたと、ウォール・ストリート・ジャーナルは報じている

しかし2020年12月初めになって、米国連邦取引委員会(FTC)はその買収を、連邦裁判所に対して、独占禁止法違反として提訴した。FTCの競争局の副局長であるDaniel Francis(ダニエル・フランシス)氏は声明の中で「今回の買収は、賃貸人とプロパティマネージャーの両方に利益をもたらしている価格と品質の競争を阻害する」と述べた(FTCサイト)。これまでCoStarとRentPathのライバル関係が、最も人気のあるリスティングサイトのいくつかを含む、彼らのプラットフォーム上の広告料金を低く保っていたからだ。

12月30日の発表の中でRentPathは、その破産手続きが、融資の貸し手によってまだ支えられていると語っている。そのような業者には「類似の状況下のビジネスへの投資を成功させてきた実績のあるオルタナティブ・アセット・マネジメント会社」も含まれているという。

FTCの訴訟や、RentPathが買収契約から手を引く決定が下された理由は、世界の多くの国々が技術的な統合を取り締まるようになってきたからだ。米国は独占禁止法違反規制の面で、他国の政府に遅れをとってきたものの、この状況は徐々に変化している。たとえばAmazon(アマゾン)、Google(グーグル)、Facebook(フェイスブック)が法的な精査を受けていることや、最近では米国46の州が、Facebookが市場での力を増すために「違法に」競合他社を買収したという提訴を行っている

RentPathとCoStarの取引の運命は、米国の不動産テックに対するさらなる独占禁止に関する精査を促す可能性がある。CoStarは、過去10年間に、現在も進行中の様々な買収を通じて事業を構築してきた、たとえば先月FTCの審査を通過した(Business Wire記事)物件検索サイトHomeSnap(ホームスナップ)や、不動産分析会社CoreLogic(コアロジック)への入札が報告されている(Reuters記事)。CoStarとRentPathの競合であるZillow(ジロー)も、2014年に35億ドル(約3610億円)で行ったTrulia(トゥルリア)の買収を始めとする一連の買収を通じて、事業を拡大して(Crinchbase記事)きたことで知られている。

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タグ:FTC独占禁止法

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テクノロジーへの独占禁止の動きが米国から中国、韓国、インド、ヨーロッパまで勢いを増している

テック分野における何十年にもわたる拡大と統合を経て、独占禁止の動きは世界中の産業にとって重要な課題となっている。

過去10年間にはゆっくりとばらばらに進んできた動きだったが、この数週間で、該当産業に対する急速かつ包括的な行動としてまとまりつつある。これに対して、米国は世界的にも顕著な遅れをとっている。

この動きが最も顕著なのは中国だ。同国の競争当局が、長年続いたインターネット大企業への無干渉政策を突然かなぐり捨てて、同国の最も巨大なテック企業に対して抜本的な措置をとることを決定したのだ。

この動きは、中国の規制当局が11月初旬にAnt(アント)の記録破りのIPOを妨害することから始まった。Antは中国で最も重要なテック企業の1つであるとともに、3000億ドル(約31兆円)以上の評価額を視野に入れていたフィンテック企業で、中国人と華僑を中心に世界で13億人のアクティブユーザーを抱えている。

その規制措置は、Antの株式の33%を保有するAlibaba(アリババ)の、時価総額を即時に600億ドル(約6兆2000億円)下落させた(未訳記事)。

北京からの悪いニュースはテック業界全体に続いている。今週初め、市場規制当局は、貸出基準の厳格化などを含む、Antの「是正」計画を示したが、それらは同社の高い収益、利ざや、成長に深刻な影響を与えることが予想されている。米国時間12月29日のウォール・ストリート・ジャーナル紙によれば、中国政府がAlibaba創業者であるJack Ma(ジャック・マー)氏の、ビジネス帝国に対する影響力を具体的に「縮小」しようとしているとし、中国政府自身も同社の大規模な所有権を取得する可能性があると報じている。

さらに北京政府は、AlibabaとTencent(テンセント)が協業し、連動する2社のウェブの外部に、他のスタートアップたちが生息できる場所を作るように強制するように見える。2020年12月初め、当局はalibabaに僅かな金額の罰金を科し、また、Tencentによる買収案件を調査した(Bloomberg記事)が、その動きは、独占禁止法による介入の新しいラウンドの号令として、アナリストたちには受け止められていた。2021年にはさらなる動きが予想される。

だが、テック企業を服従させようとしているのは中国だけではない。ほぼ1年前、ドイツに拠点を置くDelivery Hero(デリバリー・ヒーロー)は、ソウルに拠点を置く人気フードデリバリーアプリのBaedal Minjok(ベーダル・ミンジョク)を40億ドル(約4133億円)で買収することを発表した。韓国時間12月29日、韓国の競争当局は、Delivery Heroに対し買収の承認のためには既存のローカルデリバリー資産を売却(The Financial Times記事)するよう命じた。この命令はそもそもBaedal Minjokを買収する理由の1つを損なう要求だ。Delivery Heroは、取引を完了させるために対象となる資産を売却する(Bloomberg記事)と述べている。

一方、今月には欧州とEUを離脱する英国は、違法コンテンツに対する法的責任の強化、サービスの透明性の拡大、主要プラットフォームでのオープンな競争の義務化など、テック分野での競争を強化するための新しい政策や規制が相次いで発表された(NYTimes記事)。こうした政策は、ずっと以前から進められてきていたが(未訳記事)、いまや力を持ち始め、旧大陸における最大規模のハイテク企業の運営方法に、大きな変化がもたらされる予兆が現れている。

世界的な政策の多くは、業界の統合や規模を元に戻そうとするものだが、インドでは、規制当局がそもそもそのような大規模化を防ぐために動いている。現地の競争当局は2020年11月に、現地での決済額の30%以上を扱う企業が出てこないようにする枠組み(Bloomberg記事)や、金融相互運用性の基準を義務づけることを発表した。この政策は、中国で見られるAlipay(アリペイ)とWeChat Pay(ウィーチャットペイ)のような、フィンテックの2社独占を避けるためにデザインされているように見える。

このような世界的な独占禁止活動が活発化している中で、後れを取っているのは実は米国だ。おそらく最大手のハイテク企業のすべてが、米国内に本社を置いているからだろう。議会、大統領、複数の州法務長官たちが、Amazon(アマゾン)、Google(グーグル)、Facebook(フェイスブック)のような企業の領分について、徐々に態度を厳しくして来ているが、巨人たちに対する動きは、まだほんの初期段階に留まっている。

これまでで、最大かつ最も注目すべき動きは、2020年12月初めに46州がFacebookを相手に起こした大規模な訴訟である。その当時私たちはこの訴訟のことをを、同社が成長し市場支配力を維持するために「競合他社を「違法」かつ「略奪的方法」によって買収したと主張している。顕著な例としてFacebookによるInstagramおよびWhatsAppの買収が挙げられている」と報じている。

もちろん、1990年代のMicrosoft(マイクロソフト)に対する米国政府の訴訟を覚えている人もいると思うが、独占禁止法の訴訟は、裁判所での審議に何年もかかることが多く、最終的に何か変更が行われてとして、大きな変化にはつながらないことが多い。

バイデン政権がこれらの動きを劇的に変えるかどうかは不明のままだが、2020年1月の就任に向けての移行準備のために、現時点では非常に限られた情報しか得られていない。

とはいえ、これらすべての独占禁止法に関わる動きは、それぞれこの数週間以内に世界中で同時に発生している。この動きは2021年におけるテック業界の大規模な規制闘争を予感させる。

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カテゴリー:その他
タグ:独占禁止法

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(翻訳:sako)

GoogleがインドのスタートアップGlanceとDailyHuntに投資、世界第2位市場へさらに注力

インド時間12月12日、Google(グーグル)はインドの2つのスタートアップGlance(グランス)とDailyHunt(デイリーハント)への投資を発表した。Android(アンドロイド)メーカーであるGoogleにとって、世界第2位のインターネット市場へのさらなる注力を行うことが目的だ。

1億台以上のスマートフォンのロック画面上にニュースやメディアコンテンツ、ゲームを提供している(未訳記事)創業2年目のインドのスタートアップGlanceは、Googleと既存の投資家Mithril Partnersから新たな資金調達ラウンドで1億4500万ドル(約150億1000万円)を調達した。

広告大手のInMobi(インモビ)グループに属するGlanceは、AIを利用してユーザーにパーソナライズされた体験を提供している。このサービスは、普通なら何も表示されることのないロック画面上に、地元に関連するニュースやストーリー、カジュアルゲームを提供する。InMobiは2019年末、グルガオンに本社を置くスタートアップのRoposo(ロポソ)を買収し、これによってプラットフォーム上でショートビデオを提供することが可能になった。GoogleもRoposoに投資している。

Roposoは、月間アクティブユーザー数が3300万人を超えるショートビデオプラットフォームだ。同アプリのユーザーたちは、10以上の言語で提供される、様々なジャンルのコンテンツを、平均して毎日20分程度視聴している。

Glanceは、いくつかのスマートフォンの機種にプリインストールされた状態でも出荷されている。またGlanceは、インドの2大スマートフォンベンダーであるXiaomi(シャオミ)やSamsung(サムソン)を含む、ほぼすべてのトップAndroidスマートフォンベンダーとの提携も行っている。同サービスの1日のアクティブユーザー数は1億1500万人を超えている。

Googleの副社長であるCaesar Sengupta(シーザー・セングプタ)氏は声明の中で「Glanceはインドの多くの現地語でコンテンツを提供し、モバイルファーストやモバイル専用消費のためのイノベーションを提供できた好例です」と述べている。「今でも多くのインド人が、自分自身の言葉で読めるコンテンツや、自信を持って使えるサービスを探すのに苦労しています。そのことは、彼らにとってのインターネットの価値を、著しく制限しています。特に現在のように、インターネットが非常に多くの人々の生命線となっている時期にはなおさらです。今回の投資は、インドのイノベーティブなスタートアップと協力し、すべての人に利益をもたらす真に包括的なデジタル経済を構築する、という共通の目標に向けて取り組む当社の、強い信念を裏付けるものです」。

GlanceとInMobiグループの創業者であり最高経営責任者のNaveen Tewari(ナビーン・テワリ)氏は、今回の投資は「製品開発、インフラ、グローバル市場の拡大へ向けたGoogleとGlanceのより深いパートナーシップ」への道を開くものであると述べている。スタートアップは、新しい資本を米国での拡大に投入に使うことを計画している。

DailyHuntへの投資

Googleは、同じくインド時間12月12日、インドのスタートアップDailyHunt(デイリーハント)の親会社である(未訳記事)であるVerSe Innovation(バース・イノベーション)にも出資していることを発表した。DailyHuntは、同名のサービスやショートビデオプラットフォームJosh(ジョシュ)を含むアプリ全体で、インドの14の言語で3億人以上のユーザーに、ニュースやエンターテインメントコンテンツを提供しているという。スタートアップによれば、Google、Microsoft(マイクロソフト)、AlphaWave(アルファウェーブ)をはじめとする投資家たちから1億ドル(約103億5000万円)以上の資金を調達したということであり、今回の新たなラウンドによって同社の評価額は10億ドル(約1035億3000万円)以上となりユニコーンとなった。

元Facebook(フェイスブック)インドのトップだったUmang Bedi(ウマンベディ)氏が共同で運営するDailyHuntは、新規調達した資金をJoshアプリの拡大、現地語によるコンテンツの拡大、コンテンツクリエイターのエコシステムの育成、AIとMLのイノベーション、そして「バーラト(「インド」に相当するヒンディー語)のためのバーラト製ショートビデオプラットフォーム」の成長に投入する計画だ。

JoshとRoposoは、ニューデリー政府が2020年6月下旬にインドでTikTokを禁止することで生み出した空白を埋めるために(未訳記事)生み出された、沢山のインド製アプリの中に含まれている。禁止以前の時点では、TikTokはインドを最大の海外市場と認定していた。

Googleは今年発表したIndia Digitization Fund(インドデジタル化ファンド)からこれら両方への小切手を書いた。グーグルは今後数年間でインドに100億ドル(約1兆円)を投資することを約束している。すでにGoogleはこのファンドから、インドの通信大手Jio Platforms(ジオ・プラットフォーム)に45億ドル(約4653億円)を投資している

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カテゴリー:VC / エンジェル
タグ:GoogleインドGlanceDailyHunt投資

画像クレジット:InMobi

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(翻訳:sako)

2021年のCES代替イベントがアジアのカジノ都市マカオで開催予定

マカオの夜景。カジノビルがライトアップされている(画像クレジット:Getty Images)

現在世界最大のギャンブルセンターとなっている旧ポルトガルの植民地のマカオが、例年ラスベガスで開催されている有名なCESに匹敵するテックフェアを2021年に開催する予定だ。

この「Beyond(ビヨンド)」会議のブレーンを務めるのは、TechCrunchの元中国パートナーである、中国のテックニュースメディアTechNodeの創業者Lu Gang(ルー・ガン)氏と、マカオのベンチャー投資家であり、中国のトップ政治諮問機関であるCPPCC北京のメンバーであり、マカオ政府にも深いコネクションを持つJason Ho(ジェイソン・ホー)氏だ。

マカオ政府が一部出資するこのイベントは、現在カジノを中心としたその経済を、60万人の住民のために多様化させたいこの地域の長期戦略を示す一端となっている。この会議は深圳、香港、マカオなどの周辺都市で構成される「グレーターベイエリア」を標榜する広東省政府からも、サンフランシスコのベイエリアに張り合うために「支持」を得ている。

「マカオは、エンターテインメント産業やホテルといったインフラが充実していますので、人びとを惹きつけるイベントを行うにはとても適していると思います」とホー氏はTechCrunchのインタビューで語っている。

CESとは異なり、今回のテックフェアでは、消費者や企業向けの電子機器だけでなく、政府向けの技術にも焦点が当てられるとホー氏は述べる。現在同フェアは社会・環境技術、生命科学、先端技術、そして5G、スマートシティ、交通機関などのイノベーションを意味する中国の流行語「new infrastructure(新しいインフラ)」を専門とする企業を世界中から招いている。

マカオが地政学的に「中立」な立場にあることを考えると、このイベントは中国と世界の架け橋になることができるとホー氏は考えている。

「マカオは他の国が中国本土に進出したり、中国本土の企業がアジア太平洋地域や中東諸国に進出するためのプラットフォームになることができると思います」とホー氏は語る。

「多くの人たちが参加したいと思い、かつそれほど政治的なイベントだと感じないで済むような、国際的で中立なイベントを開催できるのは、香港とマカオだけだと思います」。

多くの人が、北京政府が旧英国植民地に対する締め付けを強化しているため、半自治区域としての香港の特別な地位が危うくなっている(The New York Times記事)と主張している。Web Summit(ウェブ・サミット)が、2019年まで香港で開催していた人気テックカンファレンスRise(ライズ)は、香港の政治的緊張が続いていることを受けて、クアラルンプールに移転した

ホー氏は、マカオも同様の課題に直面する可能性があることを認めながらも、香港のRiseから上海のCES Asiaに至る主要な国際的テックフェアが米中貿易戦争の影響もあって(South China Morning Post記事)行われなくなったことで、マカオがアジアのテックコミュニティからの参加者や、中国に関心を持つ人びとを引き付ける機会が増えるはずだと考えている。

「いずれはシンガポールと並ぶようになりたいという、大きな夢をいつも持っています」とホー氏はいう。さらにマカオ政府は海外企業に優しい政策の導入にも取り組んでいると付け加えた。

Beyondは2021年6月中旬に開催される予定だが、イベントの実施可能性は、今後数カ月間に進められる新型コロナウイルス対策の状況にかかっていることは間違いない。

Beyondはテック企業やスタートアップ以外にも、中国全土の学界、社会、省政府から影響力のあるメンバーを集めようとしている。イベント主催者はByteDance(バイトダンス)、DJI、SenseTime(センスタイム)、Alibaba(アリババ)、Tencent(テンセント)、Foxconn(フォクスコン)、BMWなどと交渉中であり、他の大企業幹部の招待も進めているという。

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カテゴリー:イベント情報
タグ:CES中国

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(翻訳:sako)

業務自動化のUiPathが新規上場のための書類を米証取委に非公開で提出

ものすごい勢いで成長しているロボットプロセスオートメーション(RPA)のスタートアップUiPath(ユーアイパス)が、今後予想されているIPOに先立ち、米国時間12月17日米国証券取引委員会(SEC)に非公開で書類を提出した。

同社は声明の中で「UiPath,Inc.は本日、米国証券取引委員会(SEC)にA種普通株式の公開に向けた登録届出書の草案を、非公開で提出したことを発表しました。A種普通株式の売出株式数および公開時の売出価格帯は未定です。UiPathは、SECによる審査プロセスの完了後、市場やその他の条件を勘案して、公募を開始する予定です」と述べている。

同社はこれまでAccel、CapitalG、Sequoiaなどの投資家から、12億ドル(約1240億円)以上の資金を調達している。これまで最大の調達額は70億ドル(約7230億円)という印象的な評価額で2019年4月にCoatueが主導した5億6800万ドル(約586億9000万円)だった(未訳記事)。2020年7月に評価額が102億ドル(約1兆500億円)に急騰した際には、Alkeon Capitalが主導して2億2500万ドル(約233億円)を調達した

7月の増資時には、CEOで共同創業者のDaniel Dines(ダニエル・ダインズ)氏は、IPOの考えを包み隠さず私に話した。

市場の状況を評価している最中ですし、漠然としたことはいいたくないのですが、この日に上場するという日はまだ選んでいません。市場の機が熟したときには自分たちの準備が整っているべきだというのが本心ですが、それがこれから12~18カ月後のことになっても不思議ではありません。

今回の動きは間違いなくその予想された期間の中に入っている。

RPAとは、企業が反復性の高いマニュアルタスクを取り込んで自動化する作業を支援する。たとえば請求書から数字を取り出して、スプレッドシートにその数字を記入し、買掛金としてメールを送信するタスクを、人間が触れることなく行うことができるようにするサービスだ。

企業が既存システム(レガシーシステム)を、崩したりリプレースしたりすることなく、自動化を活用することができるので、現在大きな魅力を持っている技術なのだ。同社は多くの資金を調達し、その評価額が急上昇してきたが、Airbnb、C3.ai、Snowflakeのような企業と同じように、好意的な市場の反応を得られるかどうかは興味深いところだ。

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カテゴリー:ソフトウェア
タグ:UiPathRPAIPOSEC

画像クレジット:Visual Generation / Getty Images

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(翻訳:sako)

グーグルが非英語話者のためにインドでの言語対応拡大、世界第2位市場でのさらなる利用者増を狙う

インドには6億人以上のインターネットユーザーがいるが、英語が堪能な人はごく一部に過ぎない。しかし現在、ほとんどのオンラインサービスやウェブ上のコンテンツの多くは、英語のみで提供されている。

この言語の壁は、世界第2位のインターネット市場におけるデジタルデバイドを広げ続けていて、そのせいで何億人ものユーザーのワールドワイドウェブの利用が、一部のウェブサイトやサービスに限られている。

そのため、インドのような新興市場の継続的成長を期待している米国のハイテク企業たちが、ウェブとそのサービスをより多くの人が利用できるようにしようとしているのは当然のことだ。

それを示す好例の1つが、Google(グーグル)が提供している、ウェブページの内容を英語からインドの各種言語に素早く翻訳する機能だ。これはインドのユーザーにこの1年で170億回以上利用されている。

これまでこの取り組みを主導してきたグーグルが、このインド時間12月17日に、新たな取り組みの一部を発表した。インドをユーザー数で最大の市場と捉え、2020年、今後数年間で100億ドル(約1兆円)以上のインド国内投資を行うことを約束した同社は、インドのグーグルの研究センターで機械学習とAIの取り組みにさらに投資し、エコシステム全体から同社のAIモデルを誰もが利用できるようにする計画だと述べた。また同社は 現地語でユーザーにサービスを行っている地元のスタートアップたちと協力し、インドの言語を使うユーザーたちが、グーグル製品とサービスから受ける体験を「劇的に」向上させようとしている。

そうした体験の向上に向けて、同社が今回発表したのは、いくつかのサービスでより多くの現地語展開を行うための変更と、言語の翻訳に向けて同社が採用するまったく新しいアプローチだ。

製品の変更

ユーザーは、現在利用可能な英語とヒンディー語に加え、タミル語、テルグ語、バングラ語、マラーティー語でも検索結果を見ることができるようになる。今回の追加は、グーグルがインドの検索ページにヒンディー語のタブを追加してから4年後に行われた。同社によれば、そのタブの導入後、ヒンディー語での検索クエリの量は10倍以上に増加したという。たとえばクエリ結果をタミル語で表示したい人がいた場合には、英語の隣にタミル語のタブを置き、その2つをすばやく切り替えることができるようになる。

検索結果を現地の言語で得ることは便利だが、多くの場合、人びとは検索そのものもその言語で行いたいと考えている。グーグルは、英語以外の言語でのタイピングが、現在ユーザーが直面しているもう1つの課題であることを発見したと述べている。「その結果、多くのユーザーは、本当は自分が理解できる現地の言語で結果を見たいと思っていても、英語を使って検索しているのです」と同社はいう。

この問題に対処するため、検索時に現地語のクエリが英語で入力されたとしても、可能な場合には、サポートされているインドの言語で関連するコンテンツが表示されるようになる。同社が2020年1月中に展開する予定のこの機能は、ヒンディー語、バングラ語、マラーティー語、タミル語、テルグ語のインドの5つの言語をサポートしている。

また、グーグルはデバイスの言語設定を変更することなく、ユーザーがアプリで結果を表示する優先言語をすばやく変更できるようにもしている。現在Discover(ディスカバー)とGoogle Assistant(グーグル・アシスタント)で利用可能なこの機能が、さらにGoogleマップでもロールアウトされる。Googleマップはインドの9つの言語をサポートしている。

また、ユーザーが数学や科学の問題の写真を撮影すると、解答とそこに至る道筋を説明してくれるGoogleレンズの「宿題」機能は、ヒンディー語をサポートするようになった。Google IndiaのシニアプロダクトマネージャーであるNidhi Gupta(ニディグプタ)氏は、イベントでインドはGoogleレンズにとって最大の市場だと述べている。

コンサルティング企業Convergence CatalystのチーフアナリストであるJayanth Kolla(ジャヤンス・コラ)氏は、Googleレンズの新機能は、似たような領域で活動する(Sequoia Capitalが支援する)Doubtnut (未訳記事)のようなインドのスタートアップに、脅威をもたらす可能性があるという。

MuRIL

またグーグルの幹部は、音訳やスペルの違い、混合言語や言語のニュアンスを処理する際に、より効率的で正確な処理を実現する新しい言語AIモデル「Multilingual Representations for Indian Languages」(MuRIL、インドの言語のための多言語表現方式)について詳細な説明を行った。MuRILはローマ字スクリプトを使用してヒンディー語を書く際の、音訳テキストをサポートしている。この機能は以前のモデルでは欠けていたものだったと、インド時間12月17日の仮想イベントでGoogle Research Indiaの研究員であるPartha Talukdar(パツ・タクタル)氏は述べている。

同社によると、新しいモデルの学習はWikipediaの記事とCommon Crawl(コモン・クロール)と呼ばれるデータセットのテキストを使って行われたという。また、様々なソースの中から特にWikipediaからの音訳テキスト(グーグルの既存のニューラル機械翻訳モデルを利用している)を用いて訓練が行われた。その結果、MuRILは以前のより一般的な言語モデルよりも、インドの言語の扱いが改善され、音訳された文字や単語を取り扱うことができるようになった。すなわち、異なる文字体系や手書き文字に対して最も近い対応する文字を、グーグルは使うようになったのだ。

タクタル氏は、グーグルが依存していた以前のモデルでは、各言語のモデルを個別に構築しなければならなかったため、スケーラブルではないことが判明したと指摘した。「そのような言語に特化したモデリングを、個々のタスクごとに行うことは、そうしたタスク用のトレーニングデータを持っていないことが多いため、リソース効率が悪いのです」と彼はいう。MuRILは、以前のモデルを大幅に上回る結果を出しているが、ネイティブテキストでは10%、音訳テキストでは27%の改善が達成されている。インドのグーグルが開発し、約1年前から利用されていたMuRILは今回オープンソース化された。

MuRILはインドの16の言語と英語に対応している。

MuRILが得意とする多くのタスクの1つに、文章に込められた感情を判断することがある。たとえば「Achha hua account bandh nahi hua」は以前は否定的な意味を持っていると解釈されていたが、MuRILはこれを正しく肯定的な文として識別する、とタクタル氏は述べた。あるいは、人と場所を区別する能力をみてみるならば、「Shirdi ke sai baba」は以前は場所として(誤って)解釈されていたが、MuRILはそれを正しく人間のことだと判断するという。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:Googleインド

画像クレジット:Sanjeev Verma / Hindustan Times / Getty Images

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(翻訳:sako)

SupabaseがFirebaseのオープンソース代替製品のために6.2億円を調達

Supabase(スーパベース)が、米国時間12月15日Coatueが主導する600万ドル(約6億2000万円)の資金調達ラウンドを発表した。同ラウンドにはYC、Mozilla、約20人のエンジェル投資家グループも参加している。Supabaseとは、Google(グーグル)のFirebase(ファイアーベース)や、それに類似したプラットフォームのオープンソースの代替製品を提供するYCインキュベートのスタートアップだ。

現在Supabaseには、PostgreSQLデータベース認証ツールのサポートが含まれており、ストレージならびにサーバーレスソリューションが間もなく登場する。また、データベースを操作するための通常のツールや、データベースの変更を監視するツール、そしてデータベースを管理するためのウェブベースのUIが提供されている。開発チームは、グーグルのFirebaseと比較されることは避けられないものの、1対1で置き換えることを意図したものではないことを、最初に指摘している。そして、NoSQLデータベースを利用しているFirebaseとは異なり、SupabaseはPostgreSQLを利用している。

実際、このチームは既存のオープンソースプロジェクトに大きく依存しており、可能な限りそれらに貢献している。たとえばSupabaseのフルタイム従業員の1人は、データベース上にAPIを構築するためのPostgRESTツールをメンテナンスしている。

「私たちは、また別のシステムを構築しようとしているわけではありません」と語るのは、Supabaseの共同創業者でCEOのPaul Copplestone(ポール・コプルストーン)氏だ。「私たちは、信頼性が高く、拡張性のあるエンタープライズ向けオープンソース製品は、すでに存在していると考えています。私たちが提供しようとしている、ユーザビリティを向上させるためのコンポーネントが不足しているだけなのです。ということで、実際には現在のSupabaseは6つのツールの集合体です。すぐに7つになりますけれど。その中には私たち自身が開発したものもあります。市場に出ていったときに、もしスケーラブルで、本当に問題を解決できそうなものが見つからない場合には、自分たちでそれを構築してオープンソース化することになります。ですが、それ以外の場合には既存のツールを使います」。

画像クレジット:Supabase

オープンソースのツールを市場に出すための伝統的なルートは、ツールを作成してから次にホストされたバージョンを立ち上げることだ 。おそらく作業に対する収益を得るために追加機能も加えられるだろう。Supabaseはこれとは少し違ったルートを取り、すぐにホストバージョンを立ち上げた。

もし第三者が自分でサービスをホストしたい場合には、そのコードを利用可能だが、自分自身でPaaSを運用するのは明らかに大きな挑戦だ。だがそれこそが、チームが今回のアプローチを採用した理由でもある。Firebaseが便利なのは、数クリックですべての設定ができることだと彼は指摘した。Supabaseは、同じような体験を提供できるようにしたいと考えている。「それは自分でホスティングをしている場合には得られないものの1つです」と彼はいう。「私たちが提供するような、文字通りワンクリックで数分後にはすべての設定が完了するようなホスト型プラットフォームと同じような感動を、セルフホスティングでは得ることができません」。

さらに彼は、同社が開発している安定したツールの成長をサポートできるようにしたいと考えており、そのためにはデータベースサービスをベースにしたツールを商業化することが最も簡単な方法だとも述べている

他のY Combinatorスタートアップと同様に、Supabaseは8月に開催されたアクセラレーターのデモデーの後に資金調達ラウンドをクローズした。チームは当初SAFEラウンド(未訳記事)の実施を検討していたが、創業者に有利な条件を提供してくれる機関投資家のグループを見つけたので、この機関投資家ラウンドを実施することにしたのだ。

「Firebaseが提供している手厚い無料ティアに対抗するためには、かなりのコストがかかるでしょうね」とコプルストーン氏は述べた。「そしてそれはデータベースですからね。使っていないからといって、状態を無効のままにしたり、シャットダウンしたりすることはできません。今回の資金調達ラウンドは、長期に渡って余裕のある資金を提供してくれます。さらに重要なのは、私たちのプラットフォーム上で開発してくれる開発者にとっては、好きなだけ時間をかけて、後から自分たちでマネタイズを始めることができるということです」。

同社は今回の新たな資金を活用して、成長をサポートするために、今後も様々なツールへの投資や採用を行っていく予定だという。

Coatueのジェネラルパートナーであり、Facebook(フェイスブック)の元グローバルコミュニケーション担当副社長でもあるCaryn Marooney(カリン・マルーニー)氏は、「週末に開発してすぐにスケールアップできるSupabaseの価値提案は、すぐに心に響きました」と語っている。「このチームと一緒に仕事ができることを誇りに思い、彼らの開発者に対する鋭いフォーカスと、スピードと信頼性へのコミットメントに大いに期待しています」。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Supabase資金調達

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(翻訳:sako)

次のVCの見つけ方

スタートアップとマーケットのニュースレター The Exchange(ザ・エクスチェンジ)へようこそ。

ここではお金の話、スタートアップの話、IPOの噂話などをお伝えしていこう。

12月も半ばを迎えて普通ならニュースサイクルも鈍化してくるはずだ。ところがそれがむしろ加速していて、2020年のホリデーサイクルはほとんど仕事で埋まるのではと真剣に心配をしているところだ。

ともかく、いつものような戯言を言っている暇はないので、さっそく仕事に取りかかろう。

次のベンチャーキャピタリストの見つけ方

New Stack(ニュー・スタック)というVCがある。同社はサンフランシスコやニューヨークに拠点を置いていないスタートアップのための、最初の機関投資家向けラウンドを主導することに注力している。ご想像の通り、その仕事の一部は、投資先企業が次の投資家を見つけることを支援することだ(現在の投資先企業がどのようなものかはここで見ることができる)。

New StackのNate Pierotti(ネイト・ピエロッティ)氏がThe Exchangeに語ったところによれば、彼のチームは現在、投資しているスタートアップたちが新しいラウンド探しのために無駄な時間を過ごさなくて良いように、「次のラウンド」の企画を練っている最中だという。ピエロッティ氏によれば、この企画は創業者たちとVCの両者に人気があるという。

少し前に、New Stackは約400人の創業者に対して、それぞれのベンチャーが困っているポイントは何かと質問した。これは多くのVCが市場をよく理解するために行っていることだと思う。この調査を通して、多くの創業者が次の投資家を見つけるための支援を求めていることがわかった。

この結果を受けて、New Stackは「次のラウンド」用ツールの公開版をまとめることを支援することにした。それはVC Rank(VCランク)と呼ばれるもので、内容はここでチェックすることができる。そこにスタートアップが自社についての情報を入力すると、1700を超えるファンドの中から連絡すべきファンドをアドバイスしてくれる。

なぜこんな話を持ち出したのかって?常に中西部のスタートアップの活動を取材する口実を探していることはさておき、日頃このニュースレターでは、ベンチャーキャピタルに頼っていた日々はとうに過ぎ去った企業の話に多くの時間を費やしている。今回のものは、まだVCに頼っている創業者たちが、実際に使えるリソースについて紹介できるチャンスだったのだ。

The Exchangeで取り上げるのは何もパブリックSaaSの話題ばかりではない。

マーケットノート、マーケットニュース

もうすでに読者のみなさんは、DoorDash(ドアダッシュ)のIPO(価格[未訳記事]、取引将来[未訳記事])、C3.ai(価格[未訳記事]、取引[未訳記事]、将来[未訳記事])、Airbnb(エアビーアンドビー)(価格取引[未訳記事])についてはご存知のことと想像している。以下はそれを前提として書く。

今回のマーケットノートはいくつかのマーケットニュースから始めよう。Braze(ブレイズ)は、会計年度の最初の3四半期で60%の成長を遂げた。

このニューヨークに拠点を置くカスタマーエンゲージメントソフトウェアのスタートアップは1年弱前に(未訳記事)ARR(年間経常収益)が1億ドル(約104億円)に達していたが、残念ながら単純に現在ARRが1億6000万ドル(約166億4000万円)になったということはできない。なぜできないのか?実は同社はARRではなく、GAAP(米国会計基準)による計算に移行したために、成長の数字が古いメトリックと一致していないのだ。

この60%の成長をした期間は2020年2月から10月までだ(SaaS企業では、第4四半期がクリスマス直後に終了しないように、1月以降に会計年度を開始するのが一般的だ)。しかし、もしBrazeのARR が 1億6000万ドル(約166億4000万円)以上になっていたとしても不思議はない。

CEOのBill Magnuson(ビル・マグヌソン)氏によれば、同社は2018年10月に8000万ドル(約83億2000万円)のシリーズEを行って以来、資金調達を行っていないという。このスタートアップは、成長のための資金を、これ以上の調達に頼る必要なく急速に成長してるのだ。

同社に対する新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響は?マグヌソン氏によれば、Brazeはおそらく新型コロナ前の計画を上回っているものの、経済の変化にともない、2020年は状況に応じて再予測を行っていると語った。顧客という面では、新型コロナがなくても成長度合いは似ていたかもしれないが、内容は違っているとCEOはいう。彼は風船に例えて話した。新型コロナは風船のある場所(市場の一部)を絞りこんだが、同時にまた別の場所を膨らませた。つまり新型コロナを経ても、風船の体積は同じなのだが、その形(市場)が異なるものになったということだ。

GAAPへの移行はIPOに向けた動きを示しているのだろうか?そうではない、とマグヌソン氏はいった。Brazeは、他社と結果を比較して、どのように改善できるか、どこを改善できるかを検討するのが好きなので、標準的な測定基準があると助かる、と彼は付け加えた。

しかし、はっきりさせておこう。Brazeは株式公開をできる位の十分な規模を持っており、支出も大きくはなく、他の企業がほとんど冗談のような数字で公開するところも見ている。IPOへの誘惑は確かにあるはずだ。

そしてIPOに関して、少し話をしてみよう。私は先週AirbnbとDoorDashの公開に関して、それぞれの関係者と電話で話したが、それぞれの話のキーポイントを凝縮して話すと以下のようになる。

  • DoorDashのCFOがパンデミック後の消費者需要に強気な理由:多弁で明晰なCFOのPrabir Adarkar(プラビア・アダーカー)氏との会話はとても楽しいものだった。誰かから何かを学びたいと思っているときに、多弁で明晰な性質はとても素晴らしい組み合わせだ。私はパンデミック後のフードデリバリー需要について、DoorDashが何を考えているのか知りたかった。私は少し悲観的な見方をしている。だがアダーカー氏は、ご想像の通り強気だった。同社の巨額のIPOは、食品市場に深く入り込み、新たな分野に進出するためのクッションになるだろうと話した後、私たちは本題に入った。アダーカー氏は、一度ユーザーがDoorDashアプリをダウンロードして数回使用すれば、高い習慣性が生まれるのだという。彼は新型コロナウイルス感染症が終わった後も、その習慣性は続くと予想している。そして、ここ数カ月でより多くのレストランが参加しているので、サービス自体が向上しているのだと付け加えた。この先外出が許されたとしても、ユーザーの関心をつなぎ止めておくために役立つだろうということだ。
  • Airbnbの最高戦略責任者(CSO)がパンデミック後の消費者需要に強気な理由:Airbnbの創業者の1人であり、最高戦略責任者(CSO)でもあるNathan Blecharczyk(ネイサン・ブレチャージク)氏が、同社のパンデミック後の需要というテーマについてThe Exchangeに語った。まず第一に、外に出ることが許されれば旅行もすぐに回復する。これはAirbnbにとってはいいことだ。そして、Zoom(ズーム)がなくなるわけではない、と彼はいう。たとえばAirbnbを使って長い週末を取り、金曜日に働いて、また週末に寛ぐ人もいるかもしれない。また海外旅行が復活し、リモートワークへの文化的シフトが進めば、Airbnbは2021年には2019年よりも大きな数字を達成できるかもしれないという。まあどうなるかは、やがてわかるだろう。
  • SequoiaのパートナーであるAlfred Lin(アルフレッド・リン)氏が直近のIPO価格と結果について語る:最後は投資家からの声だ。SequoiaはDoorDashとAirbnbの両方に関わっており、リン氏はそれぞれの会社の取締役だ。私たちは、IPOで目立った点について話をした。一部の企業がIPO後につけた極端な価格についての私の質問に答えて、リン氏はAirbnbは公開前の間も価格が高かったと説明した。傑出しているもののためには、ときには有り金をはたく必要があるというのが、言い分のようだ。ベンチャー的視点からは、その点には共感できるが、一般投資家の視点からすると、共感度は低くなる。でも、だからこそ、株式市場はおもしろいのだ。

さらに細かい話をする前に、OKRにフォーカスするKoan(コウアン)がさらに100万ドル(約1億400万円)を調達したこと(未訳記事)と、以前にも記事にした(未訳記事)OKRにフォーカスするAlly.io(アリーio)の成長について書いておこう。要点はこうだ。Allyは2020年に収益を3.3倍に成長させ、500社の新規顧客を獲得し、既存顧客のうち145社で規模が拡大された。Allyはこの需要の原動力として、ハイブリッド(オフィスとリモート)ワーキング環境のために、より多くの計画ツールが必要されている点を挙げた。Koanは、そのソフトウェアの無料版をリリースする際に、同様の状況を語った。

今年の年頭のOKR市場は熱かったが(未訳記事)、その熱はいまでも続いているようだ。

その他のことなど

さて、以下興味深くはあるものの、まとめて書くことができなかったトピックを順不同でご紹介しよう。

  • デンバーを拠点とするRange Ventures(レンジ・ベンチャーズ)が2300万ドル(約23億9000万円)のファンドを組成した。なぜこれが気になるのか?デンバーに焦点を当てているためだ。デンバーの投資シーンが、ご当地VCを生み出せるほど成熟していたとは知らなかった。これに関しては私は認識不足だった。
  • ブラジルのソフトウェア企業Intelipost(インテリポスト)がRiverwood Capitalの主導で3200万ドル(約33億3000万円)を調達。2020年にはeコマースと物流がホットだが、Intelipostはその両方に対応している。目が離せない会社の1つだ。
  • シカゴのCarDr(カードクター)が、Red Fort Capitalから「ローンチ&シードファンディング」と称する500万ドル(約5億2000万円)を調達。このスタートアップは、AIを使ってクルマの診断を支援できるようにしている。それが自らを「カードクター」と呼ぶ理由だ。同社によれば、消費者やディーラー、銀行などを相手にセールスを行っているという。スタートアップは新しい資金のうち75%をエンジニアリングのために確保する予定だ、すなわちこの先さらに多くのものを開発するということを意味する(良いことだ)。経済面では、良好な利幅を確保しているものの、AIコンピューティング時間のコストのために、一部のSaaS企業よりも若干低い水準であると、同社はThe Exchangeに語っている。そのことも記事にしている(未訳記事)。
  • APIセキュリティに特化したSalt Security(ソルト・セキュリティ)は、今週3000万ドル(約31億2000万円)を調達した。私は、APIに関しては詳しくないので、APIセキュリティ分野の企業が1回のラウンドでこれだけの調達をしたことに興味を惹かれた。Sequoiaが今回のシリーズBを主導したが、Saltは6月に2000万ドル(約20億8000万円)のシリーズA調達も行っている(2020年の2ラウンドのトレンドが続いている![未訳記事])。
  • Beyond Identity(ビヨンド・アイデンティティ)というスタートアップが今週7500万ドル(約78億円)を調達した。私は「 passwordless”パスワードなし)アイデンティティ」が何を意味しているのかについては途方に暮れているが、うまくいくことを願っておこう。なにしろ私はOkta(オクタ)のパスワードを定期的に更新しなければならないことで、日頃残念な思いをしているのだ。
  • Ada Ventures5000万ドル(約52億ドル)のファンドを組成(未訳記事)。この欧州のグループは「社会的な問題に取り組む多様な創業者に投資すること」を意図している。そうしたミッションに参加しないでいることは難しい。

では今回はこの辺で。

カテゴリー:VC / エンジェル
タグ:New Stack

画像クレジット:Nigel Sussman

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(翻訳:sako)

企業の「調達」を現代化、購入コストも10%削減させるFairmarkitが約31億円調達

パンデミックが猛威を振るう中、特に特定の分野での調達の重要性にスポットライトが当たっている。そんな中、ボストンのスタートアップであるFairmarkit(フェアマーキット)が、企業向けに現代的なデジタル調達システムを導入しようとしている。米国時間12月10日、同社は3000万ドル(約31億2000万円)のシリーズBを発表した。

ラウンドを主導したのはGGV CapitalとInsight Partnersで、既存の投資家の1984 VC、NewStack、NewFundも参加した。同社によれば、今回のラウンドにより調達総額は4200万ドル(約43億7000万円)になったという。

Fairmarkitの共同創業者でCEOのKevin Frechette(ケビン・フレシェット)氏は、同社はOracleやSAPのような、数十年前からある企業が提供する大規模な調達ソフトウェアシステムを置き換えることを望んでいるのだという。数年前に周囲を見回した彼は、この領域がレガシーベンダーでいっぱいであり、ディスラプションの機が熟していることに気がついた。

さらに、そうした既存のシステムは、50万ドル(約5200万円)とか100万ドル(約1億400万円)といった価格を超える、大きな購買だけを追跡するように設計されているという。それ以下の金額の購買は、テールスペンド(都度購買費)と呼ばれているものだ。「調達は、たとえば100万ドルを超えるような企業の最も大きな購買に焦点を当てていますが、それ以下の規模のものは忘れ去られ、無視されているのです。それはテールスペンドと呼ばれているもので、買うものの8割、ベンダーの8割、予算の2割を占めているのです」とフレシェット氏はいう。

こうした支出は数十億ドル(数千億円)を占めているものの、良い追跡システムを欠いているのだとフレシェット氏はいう。そこに商機を見出した彼は、共同創業者と一緒にソリューションを構築した。その最初の顧客は、ボストンの公共交通機関のMBTAである(より効率的にするためなら、手に入るものは何でも採用するというシステムだ)。現在では、様々な業界に50社以上の顧客を持ようになった。

このシステムは、ベンダーのためのマーケットプレイスとして機能し、顧客が100万ドル以下の価格帯で商品やサービスを見つけることができる中央購買システムとなっている。システムは顧客のベンダーデータをインポートし、これを他のデータと組み合わせて巨大な購買情報データベースを構築する。そこから、システムは顧客が何を必要としているかを判断し、AIを使って特定の注文に最適な価格を見つけることができる。

フレシェット氏は、このシステムは単に費用を節約する方法を提供するだけではなく(顧客は彼のシステムを使って購入コストを10%削減することができたと述べている)、女性、有色人種、退役軍人が経営するビジネスや地元企業など、多様なベンダーを発見できるようにする方法も提供しているいう。

彼によれば、こうしたベンダーたちが通常の調達部門での精査にかけられることなく、そのまま無視されていることがしばしば起きているという。だがFairmarkitはこうした企業を浮かび上がらせ、ビジネスチャンスを与えることになる。「私たちの技術の中核はベンダー推奨エンジンなので、【略】多様なベンダーを取り込むことができ、公平な機会を与えることができるのです」と彼はいう。

2020年の初めに40名の従業員を数えた同社には、その後30名が加わった。2021年にはその数を倍増させる計画だが、それに応じて多様な従業員基盤を構築することで、フレシェット氏は製品の多様性に反映させたいと考えている。

「本当にそれを前面に押し出しています。多様性や包含のために自分たちがどのようにすべきかを調査しているだけでなく、それを支援するためのプログラムを用意しています。これは私が本気で情熱を持って取り組んでいることなのです、なぜなら多様なベンダーの役に立つこともとても拘っている点なのですから」と彼はいう。

フレシェット氏は、社員をオフィスに入れることが許されないパンデミックにもかかわらず、なんとか会社を成長させ、その文化を築いてきたという。将来的には、オフィスが必須になるような世界は彼の視野には入っていない。

「今年、私たちは変曲点にさしかかりました。もはや全員が1つのオフィスにいる必要がある世界ではありません。【略】私たちは(地理的に)狭いセクターに縛られているわけではありませんから、それは私たちのビジネスを加速させるだけです。私たちは(どこからでも)横断的に活動することができるのです」と彼いう。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Fairmarkit資金調達

画像クレジット:Martin Barraud / Getty Images

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(翻訳:sako)

InstagramがTikTokのライバル機能となるReelsでショッピングも可能に

Instagram(インスタグラム)は米国時間12月10日、TikTok(ティックトック)のライバル機能であるReels(リール)の中でショッピング機能をローンチした。この新機能は、ショッピング関連のアップデートの継続的な動きの1つとして開発中であることを、Instagramが2020年10月に発表していたものだ。今回のサービス開始により、企業もクリエイターもReelsを作成する際に商品にタグを付けることができるようになる。Reelsとは先月のデザイン変更後(未訳記事)にInstagram内で独自のタブが提供されるようになったショートビデオ形式だ。

同社によれば、すでに多くのReelsに、ファッションやメイクアップ、スキンケアや商品ハウツーなどのショッピングコンテンツが掲載されているという。今回のローンチにより、こうしたコンテンツを含むInstagramReelsを見たユーザーは「View Products(商品を見る)」というボタンをタップして、商品を購入したり、保存したり、採り上げられている商品の詳細を知ることができるようになった。

画像クレジット:Instagram

また、クリエイターはReelsに「Branded Content(ブランド提供コンテンツ)」タグを追加することで、ブランドと協力して商品のプロモーションを行っていることを明らかにすることができる。これは有料プロモーションの一形態となる。

今回のアップデートにより、Instagramにおけるショッピングの注目度はこれまで以上に高まるだろう。また登場も、動画を使ったショッピングの採用が増えてきた時期に重なっている。特に、ライブストリームのビデオショッピングに焦点を当てたスタートアップの数が増えてきている。ここ数カ月、投資家たちは、たとえばライブショッピングプラットフォームのPopshop Live (ポップショップライブ、未訳記事)やBambuser(バンブーサー、未訳記事)などの企業を支援してきたが、その一方でAlibaba(アリババ、未訳記事)、Amazon(アマゾン、未訳記事)、Google(グーグル)、JD.com(未訳記事)などの大手テック企業も、様々なかたちでビデオショッピングのトレンドに参加している。

画像クレジット:Instagram

おそらく最も重要なのは、InstagramのライバルであるTikTokが、最近電子商取引で(未訳記事)Shopifyと提携し(未訳記事)、そのプラットフォーム上でブランドに対して直接広告枠を提供したり、インフルエンサーとコラボを行い、Instagramの市場に食い込んできていることだ。TikTokはまた、トランプ大統領の禁止令により、同社が米国撤退の交渉に入ることを余儀なくされた際には、Walmart(ウォルマート)からも関心を寄せられていた(未訳記事)。そして、2020年にTikTokアプリは、世界で最もダウンロードされたアプリの1つとしてInstagramを抜き去った。これは若いユーザーたちのソーシャルメディアとの関わり方に、急激な変化が起きていることを示している。

引き離されたままではいけないと、Instagram はオンラインショッピングの目的地としてのトップの座を狙ってそのアプリを刷新した。(主要なホーム画面の機能の再配置[未訳記事]は多くのユーザーからの批判を巻き起こした)。アプリ内でFacebook Payを利用して顧客が購入すると、Instagramに収益が発生するため、同社は広告運用以外の収益を得ることができるようになる。

これでInstagramのユーザーはフィード、ストーリー、ライブ、IGTV、そして今回の最新のローンチによってReelsの動画からショッピングができるようになった。

同社によると、この機能はすぐにグローバル展開されるという。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:InstagramTikTokネットショッピング

画像クレジット:Instagram

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(翻訳:sako)

元Salesforceのチーフサイエンティストが「信頼、思いやり、事実」に基づくGoogleに対抗する新検索エンジン発表

元Salesforce(セールスフォース)のチーフサイエンティストで、Einstein(アインシュタイン)AIプラットフォーム(未訳記事)の構築に携わったRichard Socher(リチャード・ソーチャー)氏が、新しくて素晴らしい挑戦を行っている。消費者による検索をあるべき姿にしたいと考えるソーチャー氏は、米国時間12月8日、強大なGoogle(グーグル)に対抗する新しい検索エンジンのyou.comを発表した。

「現在『you.com』を構築中です。すでにそこへアクセスできます。これは信頼できる検索エンジンです。私たちはネット上でのクリック信頼度を高め、クリック詐欺を減らす努力をしたいのです」とソーチャー氏はいう。彼は「信頼」に加えて、それを「思いやり」と「事実」にも基づいて構築することを望んでいる。この3つは価値はあるが、達成の難しいゴールだ。

ソーチャー氏によれば、いくつかの重大な問題が、彼と共同創業者を新しい検索ツールの構築に向かわせたのだと語る。まず、情報が多すぎて、誰もそのすべてを処理することができないのだということ。しかも、この情報を見つけても、何を正確なものとして信用できるのかを知ることは不可能であり、彼はこの問題が社会全体に大きな影響を与えていると考えている。そしれ2020年のインターネットの中では、利便性とプライバシーのトレードオフのバランスをどのようにとるかというプライバシーの問題が、ますます大きくクローズアップされていることだ。

彼は、自身の持つAIのバックグラウンドが、消費者にフォーカスした検索ツールに役立つと考えている。手始めにこの検索エンジンは、汎用ではあるものの、情報を比較するためにいくつかのタブを開かなければならないような複雑な消費者の購入支援に力を注ぐ。

「いま私たちが生活の中で行えることで、最大のインパクトを持つことは、AIと自然言語処理強大な力を使って、人びとの生活の様々な複雑な決断を助けることのできる信頼性の高い検索エンジンを作ることです。最初は複雑な商品購入から始めますが、初めから汎用であることも同時に目指します」。

ソーチャー氏はある程度の詳細についても言及したが、さらなる詳細の共有に関しては、数カ月以内に行われる予定の一般公開まで待つことを望んだ。彼は広告や、ユーザーについて知っていることに頼らないことで、グーグルとの差別化を図りたいと語る。ソーチャー氏は、SalesforceでMarc Benioff(マーク・ベニオフ)氏と一緒に仕事をして学んだことは、お金を稼いでも、製品を購入してくれる人たちとの信頼関係を築くことができるということだという。

もちろん彼は、定着している既存システムに対抗するのは難しいことを認識している。しかし、彼と彼のチームは、自分たちが根本的に異なっていると信じるものを構築することで、古典的な「イノベーターのジレンマ」で既存のシステムを攻撃できると信じている。つまりグーグルが現行の主たる収益モデルを破壊しない限り、真似することができないような何かを生み出すということだ。

彼はまた、グーグルがこの先独占禁止法の問題に直面すると見ており、それがこのようなスタートアップのための突破口を作るのに役立つ可能性があると考えている。「グーグルが行ってきた多くのことを考えると【略】彼らがこの先これまでと同じように、迫りくる独占禁止法の圧を逃れることは、やや難しくなっていくだろうと思います」と彼はいう。

彼は、ソーシャルネットワークが明らかにしたように、信頼と正確さの要素は厄介な要素になる可能性があることを認めている。ソーチャー氏は、彼の検索ツールに組み込む予定のソーシャル共有の要素をほのめかしているが、たとえば共有を促進するために、特別なyou.comのURLをユーザーに与えるといったことが含まれる。

ソーチャー氏は、資金もプロダクトに積極的に取り組むチームもあると語ったが、現時点での資金量や従業員の数については答えてはくれなかった。彼は、ベニオフ氏とベンチャーキャピタリストのJim Breyer(ジム・ブレイヤー)氏が主要な支援者であり、今後数カ月間でより多くの情報を公開できるだろうと語った。

とりあえずのところ、興味があればサイトでアーリーアクセスを申し込むことができる。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:you.com検索

画像クレジット:nadia_bormotova/Getty Images

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