Nokia、HERE地図情報事業を30.7億ドル(3800億円)でアウディ、BMW、ベンツに売却

2015-08-04-nokia

Nokiaは先ほど、HERE地図情報事業をヨーロッパの自動車メーカーのコンソーシアムに 28億ユーロ(30.7億ドル、3800億円)で売却したと発表した。これによって数ヶ月前から流れていたHERE事業の将来に関するさまざまな観測に終止符が打たれた。

Nokiaによれば、HERE事業を買収したのはアウディ、BMWグループ、ダイムラー(メルセデス・ベンツ)が共同で組織したコンソーシアムで、買収手続きの完了は来年の第一四半期が予定されている。 Nokiaがデバイス事業をMicrosoftに売却した後、HERE事業の将来が業界の注目を集めていた。今年4月、NokiaはHEREについて売却も含む各種の選択肢を検討中と発表した。

HEREの6454人の従業員に対してレイオフがあるのかどうか、またあるとすればどれほどの規模になるのかは今のところ不明だ。NokiaがHERE事業の売却に傾いた理由の一つがこの膨大な人員だったという観測もある。 最近の財務情報によれば、HERE事業はNokiaグループの売上の1割を占めている。

HEREが売りに出ていることは自動車メーカー以外からも強い関心を集めていた。Uber(およびその投資家)と百度が共同で買収に動いているという噂も流れた。中国最大の地図情報サービス、NavinfoやAmazon、、Alibaba、Facebook、 Appleさえも関心を示したとされる。

TechCrunchのIngrid Lunden記者は先月の記事でこの問題を分析し、HERE事業が保有するテクノロジー、特許、データベース、豊富な地点属性(元HERE社員によれば300種類)について、「これほど価値ある資産が地図情報分野で市場に出ることは当分ないだろう」と述べた。

Nokiaはアルカテル・ルーセントの166億ドルの買収を来年上半期に完了するものと見られている。これらの抜本的再編によってNokiaはブロードバンド・インフラ事業、Nokia Technologiesおよび先進的研究開発事業のネットワークとして生まれ変わる。当面の目標としてNokiaグループはメーカーと提携して新たなモバイル・デバイスを2016年中にリリースすることを目指す。

社内で制作されたインタビュー・ビデオで、Nokiaのプレジデント、Sean Fernbackは「この売却によってHERE事業は独立かつ中立の企業となる。いわばデジタル地図の世界におけるスイスのような存在だ。これによってHEREは一層強くなるだろう」と述べた。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

日経、英フィナンシャル・タイムズ・グループをピアソンから1600億円で買収

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メディア業界でまた大型企業買収が発表された。イギリスのPearsonはフィナンシャル・タイムズ(FT)・グループを日本経新聞社に8億4400ポンド(1623億円)のキャッシュで売却した。最近、PearsonはFTの売却先を探しているという噂が流れており、ドイツのAxel Springerが有力な売却先の候補として上がっていた。

今回の売却には、フィナンシャル・タイムズ紙の他に、ウェブサイトのFT.com、How to Spend It、FT Labs、FTChinese、Confidentials、Financial Publishing(The Banker、Investors Chronicle、MandateWire、Money-Media、Medley Global Advisorsなどを発行)が含まれる。

ただしエコノミスト誌のPearsonの50%の持ち株、テムズ川沿いのFTの本社ビルは含まれていない。しかしPearsonが今後教育事業に特化していくという方針であることを考えるとこれらの資産も将来は手放すことになるかもしれない。

PearsonのCEO、John Fallonは声明で次のように述べた。

われわれPearsonはFTを60年近くにわたって所有してきた。しかしわれわれはモバイル化とソーシャル化に起因するメディアの大きな変化の時期を迎えている。 このような環境において、ジャーナリズムとしてまたビジネスとしてFTの成功を保証する最良の道はグルーバルなデジタル・ニュース企業の傘下に入ることだ。

一方、Pearsonは今後、グローバルな教育事業戦略に100%集中していく。世界の教育は根本的な変化を遂げつつあり、われわれはグローバルに質の高い教育を提供していくことに巨大なビジネスの機会を見出している。

FTの発行部数は73万7000で、この数字は過去5年で30%アップしている。このうちデジタル版が70を占めている。FTはイギリス最大の新聞ではないが、高級紙とみなされており、ことにビジネス界ではもっとも権威あるメディアの一つだ。Pearsonによれば、FTの2014年の売上は 5億1900万ドル(642億円)だった。

Pearsonが教育関係の出版とサービスに特化していくのであれば、FTの受け皿として日経は自然な選択だろう。日経は日本でもっとも有力な経済メディアを運営する一方で海外への展開の機会を探っていた。この点は海外での買収を積極的に繰り返している楽天と似ている。

日経の喜多恒雄会長、グループCEOは、「世界でもっとも権威ある組織の一つフィナンシャル・タイムズをチームに迎え入れることができたことを大いに誇りに思っている」と述べた。

日経はグローバルな存在感ではフィナンシャル・タイムズに及ばないだろうが、両者には共通点が多い。その一つがペイウォール〔有料オンライン記事〕だ。140年の歴史を誇る日経の主要なオンライン・メディアは日経電子版だ。今年で5年を迎えたこのサイトは40万人の有料購読者を誇っている。

一方、日経に対しては調査報道に欠けるという批判がある。2011年の津波、また最近のタカタのエアバッグの欠陥に対する報道が不十分だったという指摘が出ている。

日本企業の大半はもっぱら国内市場をターゲットとしているが、日経は東南アジア市場への進出に意欲的だ。Nikkei Asian Reviewは週刊誌とオンラインの双方で発行されている。またタイのバンコクに編集拠点を持つ。シンガポールでは東南アジア地域での営業、販売活動を行うNikkei Group Asiaを運営している。

〔英文プレスリリースの全文は原文を参照〕

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

楽天、バーチャル試着室のスタートアップ、Fits.Meを買収―ファッションeコマースに意欲

2015-07-14-rakutenfitsme

日本のAmazonともいうべき巨大eコマース企業、楽天はデジタル・メディアとeコマースの強化に惜しみなく投資中だ。今回はファッション分野のスタートアップを買収した。

楽天が買収したのはエストニアで創立され、現在ロンドンに本拠を置くFits.meだ。同社の開発したバーチャル試着室は消費者とリテラーの双方にメリットをもたらす。消費者は関心を持ったファッション・アイテムが自分に似あうかどうかオンラインで試着できる。同時にリテラーはユーザーに関する詳しい情報を入手できる。

楽天はFits.meを引き続き独立の事業として運営させる考えだ。同社はこれまで通り、独自にテクノロジーを開発し、ビジネスを拡大することになる。Fits.meのテクノロジーを利用している既存のクライアントにはThomas PinkHugo Bossのような有名ブランドやホーム・ショッピング・サービスのQVCなどがある。

Fits.meには65人の社員がおり、買収後もJames Gambrellが引き続きCEOを務める。共同ファウンダーのHeikki HaldrePaul Pallinも社員として活動中だ。

われわれの得た情報によると、楽天がFits.meを買収したのは数週間前だという。両者ともこの点についてはコメントを避けている。

この半年ほど楽天は精力的に買収と投資を進めている。3月にLyftに対する5億3000万ドルの投資ラウンドをリードし 、6月には資金を確保するため1880億円に上る株式の公募増資を行った。この増資のために設けられた大型買収の停止期間が今日(米国時間7/12)終了した。そこでFits.meの買収が公表されたわけだ(なお、楽天は別のヨーロッパ企業の買収にも興味を示しているという。一方、一時進んでいると伝えられたPopSugarの買収は不調に終わったもようだ)。

Fits.meは将来は楽天とさらに密接に事業を展開することになるだろう。まだ詳細は明らかでないが、楽天の事業にFits.meを利用できる分野が多数あるのは明らかだ。

メイン・ポータルRakuten.comにファッションや美容分野のショップが無数に出店している他に、楽天はファッション通販専門の StyLife(日本) やVault (アメリカ)を運営している。また楽天はPinterestの大株主だが、このソーシャル写真サイトは最近コマース分野に力を入れ始めている。

Fits.meが開発した消費者向けテクノロジーの一つは、ユーザーが関心を抱いたファッション・アイテムを着用してみせるオンランのバーチャル・マネキンだ。このロボット・マネキンは消費者が身長、体重、年齢などの情報を入力するとそれに合わせてサイズなどを変化させる。

楽天は当初Fits.meへの投資を考えていたようだが、交渉が進むうちにまるごとの買収を提案したという。Gambrellによれば「楽天はFits.meにとって適切なパートナーだと考えて提案を受諾した。楽天はさらなる成功のためにクリエーティブな方法を求めており、われわれは楽天の事業のさまざまな分野でその方法を提供できる」という。もう一つの考慮は、ライバルとの競争だ。GambrellによればFits.meが注目しているライバルは、バーチャル試着室のMetailからオンラインの消費者のアイテムの選択を助けるサービスまで320社もあるという。

これに加えて、この分野における集中化のトレンドもすでに目立っていた。eBayがPhiSixを、MyntraがFitiquetteを、それぞれ買収している。またFits.me自身もClothes Horseを買収している。楽天の傘下に加わることでFits.meは生き残りと事業の拡大の保証を得たことになる。

Fits.me、楽天ともに買収金額を明らかにしていないが、情報源によれば「投資家は皆ハッピーになった」という。

楽天の最近の買収は日本のトラベル・サイトVoyaginだった。ヨーロッパでの買収にはメッセージ・アプリのViber、ビデオストリーミングのWuaki、フランスのeコマース・ポータル、Priceministerなどがある。

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Verizon、AOL(とTechCrunc)の買収を完了―コンテンツ事業の切り売りの兆候なし

2015-06-24-verizon-aol

Verizonの仕事は速かった。先ほど、Verizonは(TechCrunchの親会社である)AOLの買収手続きを完了したと発表した。発行済株式を1株50ドルのキャッシュで購入し、総額は44億ドルとなる。この買収は一月前に発表されたばかりだ。

当初の買収発表の声明で、AOLのCEO、Tim Armstrongが引き続きAOL事業部の指揮を取るとされた。この点に関してもう少し詳しい情報が入ってきた。AOLはVerizonの広告事業を統括するデジタルメディア・サービス事業部に統合され、Armstrongがそのトップに就く。これまで同事業部のプレジデントだったBob TooheyはArmstrongの下に就く。 Armstrong自身はプロダクト・イノベーションと新事業担当エグゼクティブ・バイスプレジデントのMarni Waldenの下に就くことになるという。

これまでもVerizonがAOLの広汎なメディア資産をどのように扱うかについてさまざまな観測が出ていた。VerizonのAOL買収の狙いは主として広告ネットワークにあったといわれているが、広告ネットワークとデジタルメディアにはVerizonの既存ビジネスとさまざまな相乗作用がある。

買収と前後してHuffington Postには売却の噂が流れたが、HuffPoにせよ他のサイトにせよ、これまでに売却の兆候は見られない。(われわれはこの点についても引き続き取材を行う。言うまでもないが、何か変化があれば報告する)。

面白いことに、Verizonは他の分野で資産の売却を行った。今日(米国時間6/23)、Verizonは認証ソフトウェアのCyberTrust SSLをDigiCerに売却したことを発表した。価格は明らかにされていない。ただしVerizonはDigiCertの再販業者として引き続きCyberTrust製品をエンタープライズ向けに販売するという。

Update:さきほど買収について説明する15分間のカンファレンスコールが行われたが、報告に値するような情報は特に出なかった。 ああ、ただ、われわれAOLの社員にはVerizonから歓迎の意味でVerizonのEllipsis 8タブレットがプレゼントされるらしい…

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Vergeの親会社Voxがスウィッシャー、モスバーグのRe/codeを買収

2015-05-27-recode

デジタルメディアのコングロマリット、Vox Mediaが著名なジャーナリスト、カラ・スウィッシャーとウォルト・モスバーグが創立した有力テクノロジー・ニュース・メディアRe/codeを買収した。このニュースはNew York Timesがスクープした。

買収は全額が株式で行われたとされるが、詳細は不明だ。

Re/codeは2014年1月に、スウィッシャー、モスバーグと数名の同僚がそれまで所属していたAllThingsDから独立して創立したものだ。 AllThingsDはWall Street Journalのテクノロジー・ニュースブログだったが、数ヶ月に及ぶ交渉の末、2013年9月にスピンアウトした。New York Timesの記事によると、Re/codeには44人の常勤社員がおり、今回の買収で全員がVoxに参加することになるという。

なお、Vox Mediaは同じくテクノロジー・ニュースメディアのVergeを所有している。ただし、両者は専門分野、記事スタイルとも大きく異なる。双方がVoxの傘下に入ったことで、相互に補完しつつ成長していけるのかどうか注目されるところだ。

最近テクノロジー・ニュースメディアの分野では大きな動きが続いている。テクノロジー産業全体が拡大するに連れてメディアのプレイヤーも増え、競争は一層激しさを増している。VoxやBuzzfeedのような資金豊富な新興組が優秀な記者を揃えてシリコンバレーの深層に迫るニュースを掲載する一方、TechCrunch、Ars Technica、Wired、VentureBeatなどのベテラン組も健闘している。 一方で、New York TimesWall Street Journal、Bloomberg、CNBCなどオールドメディアの大物たちもテクノロジー・ニュースに多大のリソースを注ぎ始めた。今やテクノロジーはニュースメディアの中で最もホットは分野となっている

テクノロジー・ニュースのファンにとっては幸運な時代といえるだろう。当分テクノロジー・ニュースの供給にことかくことはなさそうだ。

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オークファンがDeNAのBtoBマーケットプレイスを12.5億円で買収

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オークファンが5月26日、ディー・エヌ・エー(DeNA)が手がけるBtoB向けのマーケットプレイス事業(仕入れや卸向けのマーケットプレイスだ)法人向けの商材を売る「DeNA BtoB Market」を買収すると発表した。

DeNAがDeNA BtoB Marketの事業承継会社である「NEATSEA株式会社」を設立。同社の全株式をオークファンが取得する。取得額は12億5500万円(アドバイザリー費用500万円を含む)。ちなみにDeNAは2013年1月に自社サービスのブランドを「DeNA ○○」という名称に再編しているのだけれど、NETSEAというのは、再編前のサービス名だ。

NETSEAは2006年11月にサービスを開始。現在25万人のバイヤー(ユーザー)を抱えており、年間流通総額は卸売価格ベースで60億円。2015年3月期の売上高は5億2000万円、営業利益は2億5000万円となっている。ちなみにオークファンの2015年9月期業績予想では、売上高は15億円、営業利益は1億7000万円となっている。

オークファンでは今回の買収によって、自社サービス間の相互誘導でのユーザー拡大や、フリーマーケット事業などの関連事業での相乗効果が期待できるとしている。加えて、同社がユーザー向けに提供している取引データの拡充にも繋がりそうだ。オークファンではこれまでヤフオク!や楽天市場など、BtoC、CtoCのコマースサイトについて、販売価格・落札価格といった取引データをとりまとめてユーザーに提供してきた。今回これにNETSEAのBtoBのデータが加わることになる。

BtoBの市場については海外を見てみると、Amazon.comが「Amazon Business」を既存サービスと統合して、機能を強化する動きがあったり、中国には「Alibaba.com」のような巨人がいる状況。日本でもファッション・雑貨を中心にしたラクーンの「スーパーデリバリー」や間接資材に強いMonotaROの「MonotaRO」、ヤフー子会社で、オフィス用品を中心に取り扱う「アスクル」などがある。

VerizonがTechCrunchの親会社AOLを44億ドルで買収―CEO、ティム・アームストロングが展望を説明

2015-05-13-aolverizon

このニュースはわれわれもさきほど知ったばかりだ。TechCrunchの親会社、AOLはアメリカの大手キャリヤ、Verizonに買収されることとなった。Verizonのプレスリリースによると、AOLを1株あたり50ドル、総額44億ドルで買収するという。以下、AOLのCEO、ティム・アームストロングからの社内メモの内容を紹介する。

この買収により、AOLはVerizonの子会社となり、Verizonのコンテンツおよびモバイル・ビデオ部門を担当する。Verizonの同部門はAOLに移管される。

「(AOLの)買収により、VerizonはLTEおよびオーバーザトップ(ブロードバンド・インターネット)によるビデオにこれまで以上に注力していく」とVerizonはプレスリリースで述べた。

デスクトップやモバイルなどさまざまなフォーマットのオリジナルコンテンツに加えて、AOLにはVerizonのビジネスに適合する資産がある。

AOLはプログラム化広告ビジネスを構築してきた。現在プログラム化広告はAOLの自社サイトとサードパーティーの双方で運用されているが、この部門はAOLでもっとも高成長の収益事業部門となっている。Verizonはウォルト・ディズニー傘下のESPNのような有力パートナーと提携してプログラム広告事業のさらなる拡大を図り、同時にAOLのコンテンツ・サイトの配信先を大きく拡大することが考えられる。

VerizonにメリットをもたらすAOLの事業の一つとして、まだかなりの収入源となっているダイアルアップビジネスがある。AOLは前四半期だけで、ダイアルアップ事業で1億8260万ドルの売上を計上している。

この数字は対前年同期比で7%ダウンしているものの、新規投資ゼロで運営されている。また会費収入(ダイアルアップ契約を含む)はAOLの営業利益の過半を占めている。Verizonはダイアルアップの顧客をブロードバンドその他の現代的な接続に転換させることができるだろう。これはAOL独自では困難だった。

実は今年に入ってすぐ、VerizonがAOLに関心を抱いているという噂が流れた。このときVerizonは ただちに否定したものの、結局、非常に強い関心を抱いたことが明らかになった。

AOLの会長兼CEOのティム・アームストロングは先ほど配信された社内メモで、「この買収により、われわれはVerizonの子会社となり、AOLの現在の事業に加えて、Verizonの既存のモバイルおよびビデオのコンテンツ事業を引き継ぐ。この買収によってわれわれの(世界最大のメディア企業を目指すという)戦略に変化はない。 sむしろ、大きく強化される。この買収により、われわれのコンテンツ・ビジネスは配信チャンネルが大きく拡大され、広告の掲載先も広がる。またモバイル優先の戦略もさらに徹底される」と述べている。

今回の買収でVerizonはAOLの資産すべてに長期的にコミットする意思があるのか、それともある時点でVerizonの戦略からみて適合しない資産を切り離すことになるのかという疑問は残る。

AOLはこの後全社員ミーティングを予定している。新情報があればおって報告する。

ティム・アームストロングは買収完了後もAOL事業部の責任者として留まる。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

米ベライゾン、44億ドルでAOL買収へ

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1時間ほど前に発表された話で僕もちょっと驚いたのだけれども、取り急ぎ紹介しておこう。

米国の大手通信キャリアVerizon Communications(ベライゾン)がAOL(米国でTechCrunchをはじめ、EngadgetやHuffington Postを運営している僕らの親会社だ)を買収することで合意した。金額は1株当たり50ドル(5月11日の終値に17.4%のプレミアムを上乗せしている)で、総額44億ドル(約5280億円)になる。

すでに米国のTechCrunchでもこの内容は紹介されている。米国では2015年1月に、ベライゾンがAOLに対して買収もしくは事業合弁を提案したとBloombergが報じていた。

マッチングサービス「pairs」運営のエウレカが米IAC傘下に—The Match Groupが買収

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マッチングサービスの「pairs」やカップル向けアプリの「Couples」を提供するエウレカ。同社は5月11日、米国ニューヨークに拠点を置くメディアグループへのバイアウトを発表した。米IACグループ傘下のThe Match Groupがエウレカの発行済株式全株を取得した。買収額は非公開。

IACはニューヨークに拠点を置くNASDAQ上場のインターネット事業会社。日本でもサービスを展開するマッチングサービスのMatchのほか、OkCupidTinderなどのマッチングサービス(デーティングサービスとも)をグローバル展開。加えて、AskAbout.comVimeoなどのオンラインメディアも展開する。

エウレカのpairsは2012年10月のサービス開始。現在日本と台湾で合計230万人の会員が利用(Facebookページのファン数はグローバルで約800万人だそう)。またCouplesは2014年5月の開始で、10〜20代を中心に国内220万人が利用している。同社では海外利用者の拡大を狙っている中で、グローバルでサービスを展開、マーケティングノウハウを持つIACの傘下に加わることで、pairsの成長を加速させるとしている。

実はこれまでにエウレカ代表取締役CEOの赤坂優氏と何度か取材等で話す中で、IACグループによるマッチングサービスのグローバル展開を例に挙げるなど、かなり同社を意識したコメントなどを聞いていたのだけれども、サービス開始から約2年半という買収までのスピードには驚いた。IACが開示するThe Match Groupの2015年度第1四半期のEBITDA(税引前利益に減価償却費や支払利息などを加えた金額25.9)は2590万ドル(約31億円)。一方のエウレカのpairsは、関係者の話を総合するところ月次数億円の売上にもなっているようだ。

またCouplesでは4月からメディア事業を展開。6月には繁体字版の配信を開始する予定とのことで、IACのノウハウを活用し、日本のほか、アジアでの成長を加速させるとしている。

宅配クリーニングのバスケット、アパレルのクロスカンパニー子会社に—非IT企業による買収は「スタートアップの1つの道になる」

インターネットを利用した宅配クリーニングサービス「BASKET」を運営するバスケットは、4月28日付けでアパレルブランド「earth music&ecology」などを展開するクロスカンパニーの100%子会社となった。クロスカンパニーによる取得価格は非公開。バスケット代表取締役社長の松村映子氏はBASKETの事業を継続すると同時に、クロスカンパニー執行役員として、同社のECやネット関連の新規事業にも携わる。

一度目の起業は2年以上サービスを続けても鳴かず飛ばずだったという女性起業家。二度目のチャレンジでは、元オプト代表取締役CEOの海老根智仁氏、元enish代表取締役社長の杉山全功氏、DeNA共同創業者で投資家の川田尚吾氏、Genuine Startupsが支援。創業わずか1年で、年商1000億円超のアパレル会社が買収するに至った。

 14歳で起業を決意、最初の起業で苦い経験

BASKETはネットを利用した宅配クリーニングサービスを展開。ネットで注文をして宅配業者が専用のボックスで衣類を引き取り。提携する工場でクリーニングを行い、最短5日でユーザーの元に届ける仕組み。料金はワイシャツで240円から。競合にはYJキャピタルやジャフコが出資するホワイトプラスの「リネット」などがある。

サービスを提供するバスケットの創業は2014年4月。それだけ見ればわずか1年だが、現在32歳の松村氏にとってこれは二度目の起業となる。BASKETはメディア等に露出せず事業を続けていたこともあって、僕も聞いてはいたもののサービスを紹介したことはなく、いきなり買収に関する取材をすることになるというちょっと珍しいパターンだった。

「中学生の頃から友人に頼まれたりして、服を自分でアレンジしたり、作ったりして売っていた」という松村氏。中高生のお小遣い稼ぎにこそなれど、当時はすべての作業を自分で行っていたためその規模は小さい。ものづくりはやはり組織で行わないといけない、と14歳で起業を決意したのだそう。

そして大学で情報工学を学び(そこでTaskRabbit風のクラウドソーシングサービスを立ち上げたがうまくいかなかったそう)、一部上場のコンサルティング会社に入社。IT関連企業のコンサルを4年ほど経験した上で退社。インキュベーションプログラム(松村氏は明言しなかったが、デジタルガレージグループのOpen Network Labだ)に参加したのち、2011年5月に元同僚など4人で女性向けサブスクリプションコマース(定期購入)を展開するスタートアップを立ち上げた。

当時は雨後の竹の子のごとくサブスクリプションコマースが登場し、消えていったのだけれども、松村氏の会社もその1つ。冒頭でも触れたとおり鳴かず飛ばずで「全然うまくいかなかった」(松村氏)のだそう。

「サブスクリプションコマースの仕組みは、事業者がテーマに合った商品をキュレーションし、それを仕入れて送るというもの。だが知名度のないスタートアップでは仕入れにも苦戦した。そうなると結局、仕入れ元にもユーザーにもバリューを提供できるような仕組みを作ることができなかった。同時に私もCTOも開発ができるのだが、そのせいで『作ること』に専念しすぎて、苦手だったことに手が回っていなかった」(松村氏)。3年目には事業は休止状態となりコンサルティングや受託で収益をあげていたが、その会社をいったんクローズ。CTOと2人でバスケットを設立するに至った。

ネットとリアルの融合に期待—著名起業家らが支援

最初にバスケットの創業時に出資したのは、前回の起業でも資金を提供していたGenuine Capital(当時はMOVIDA JAPANのインキュベーション・シード投資部門だった。その後投資部門が独立したかたちになっている)と川田氏。Genuine Capitalの伊藤健吾氏は「MOVIDAの頃からシード投資をしてきたが、数を打って起業家をあおるだけでなく、失敗しても二度目のチャレンジをするのであればその支援をしたいと思っていた。バスケットはその1社だった」と語る。

前回の起業でも投資を検討したという川田氏は、「(ネットで完結するのではなく)リアルに寄ったサービスが伸びると考えていた。そして大きな会社がそのポータルになりたがっている状況。ITが分かるチームが生活関連向けのサービスを手がけるのであれば、いいモノが作れるのではないかと思った」とした。2人の投資から数カ月して杉山氏、海老根氏からも資金を調達をした(金額に関しては非公開だが、「2人のチームで1年ほど事業を回せる程度」(伊藤氏)とのこと)。

杉山氏もザッパラス、enishの前にはリアルビジネスも経験しており「ネットとリアルの融合というのは絶対出てくると思っていたがそこで求められるのは泥臭さ。それをやってのけるチームだと思った」と語る。実際提携するクリーニング工場は電話で問い合わせたり、ネットに情報がないので松村氏が直接出向いたりして口説いていったのだそう。

クロスカンパニーでは、今年度からアパレルに加えてインターネット・ライフスタイル事業へ参入し、生活周辺サービスのプラットフォームを作るとしている。BASKETもそのプラットフォームの一翼を担うことになると同時に、クリーニングにとどまらないビジネスを展開するとしている。

非IT企業の買収は「スタートアップの1つの道」

今後も継続して事業に携わるだけでなく、クロスカンパニーグループのIT部門を統括する立場になるという松村氏。子会社化という選択肢について、次のように語った。

「黒字化はまだこれからだったが、ユーザー数やリピート数は伸びているし、起業経験もある投資家陣にはいつも学ばせてもらっている。正直言うとこのままでも伸ばせた自信はある。でも二度目の起業、それも1年でお声がけ頂いたというのは、スタートアップとしては1つの道になると思う。今後はITではない会社がITスタートアップを買収することもあると思う」(松村氏)

情報筋:Yahoo、Foursquareを(いよいよ)買収か?!

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YahooはCEOであるMarissa Mayerのもと、モバイル関連ビジネスの再編に余念が無いようだ。そして、そのYahooが、かなり大きな一歩を踏み出しそうだという情報が入ってきている。噂というのは、毎度聞こえてくるFoursquareを巡ってのものだ。ニューヨークに拠点をおくスタートアップで、ローカルサーチを行うFoursquareおよび、チェックインを行うためのSwarmアプリケーションを世に送り出している。Yahooによる買収が噂される「毎度」の相手ではあるのだが、今回は9億ドルという具体的な買収金額まで流れてきている。

いくつかの情報筋から話が流れてくるのだが、「買収は本決まり」というものもある。また「決定間近」というものもある。

但し、Yahoo内部からの情報で「そんな話は全く耳にしていない」というものもあったりする。アメリカの東西を結ぶ規模の大きな憶測に過ぎないのか、それともごく限られた人の間で進行している極秘の話なのかはまだよくわからない。

TechCrunchでは情報入手のために関係者にコンタクトをとっているが、Yahooのスポークスパーソンも、Foursquareの協同ファウンダー兼CEOであるDennis Crowleyもコメントすることは何もないと述べている。

先にも述べた通り、YahooがFoursquareの買収考慮しているという噂が流れるのは初めてのことではない。またMayerは個人的にもFoursquareに興味を示し続けているのだ。Re/codeの前身であるAllThingsDが、YahooによるTumblr買収を報じたときも、記事中でMayerがGoogle時代からTumblrおよびFoursquareの動向に注目し続けていると記している。

そんな中にあって、YahooとFoursquareに関わる噂が盛り上がり続けるのも当然ともいえるわけだ。

聞こえてくる話の中には、Foursquareが他の企業と話を進めているところだというものもある。しかし状況を総合的に判断すれば、相手がYahooであるというのがありそうな話であるように思える。

Foursquareは、今日までに1億6200万ドルの資金を調達している。2014年2月の最新のラウンドでは6億ドル以上の評価額にて、Microsoftより1500万ドルの資金を得ている。この際には、MicrosoftのWindowsやモバイルサービスにおける位置情報関連コンテンツに協力するという話も結ばれている。

しかしFoursquareも外部からの資金の上にあぐらをかいていられるような状況ではない。App Annieのデータによると、昨年アプリケーションを2つに分割して以来、Foursquareアプリケーションは米国App Storeのトラベル部門でトップ25に入っている(ダウンロード数でのランク)ものの、Swarmの方は徐々にポジションを下げ、今ではソーシャルネットワーク部門で146位になってしまっているのだ。そうした状況の中、Foursquareがテックジャイアンとに身売りするのではないかという情報が数多く入ってきている。そうした情報が流れるたびに記事にしたりはしないのだが、今回は複数の情報源が確からしい話だと認めていることから、このようにお伝えしている次第だ。

Yahooの側にもFoursquareを手に入れたい事情がある。中国のAlibaba株を手放すことにより膨大な資金を得たものの、首脳陣の大幅入れ替えなどで社内は騒然とした雰囲気の中にあるらしい。またMayer治世の中、積極的な買収戦略を繰り広げてはいるものの、魅力的なサービスを生み出せずにいるとの批判の声も大きいようだ。こうした中、Yahooとしても大きな一歩を踏み出す必要があるというのが、今回の噂の背景にある。

Forusquareの位置情報APIは、他のアプリケーションを開発する85,000名もの開発者が利用している。Foursquareを手に入れることにより、Yahooは開発者やパブリッシャーとの関係を密にすることもできそうだ。関係を強化すれば、以前買収したアプリケーション分析サービスを提供するFlurryにとってプラスともなるだろう。またネットワークを広げることで、サービスを拡大し、また販売する道も開けてくることとなりそうだ。

FoursquareおよびSwarmは、Tumblrに続いてソーシャル面での大きな資産となる可能性がある。バナー広告や従来型のメディアサービスでは得られなかった利用者層を広げることにもなるのだろう。

(訳注:本記事は英語原文の抄訳となっております。興味のある方は原文記事の方をご覧ください)。

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(翻訳:Maeda, H

Nokia、166億ドルでAlcatel-Lucentを買収すると発表

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Nokiaは、Alcatel-Lucentを買収すると発表した。買収交渉中であるという情報を確認してからわずか一日で事態は進展した。

Nokiaは166億ドルを支払う。買収手続きの完了は来年上半期までかかるもよう。

NokiaとAlcatel-Lucentの合同はライバルのEricsson、Samsung、Huaweiに対する競争力を高めることになるだろう。NokiaとAlcatel-Lucentの合同は双方の研究開発を効率化し、節約できた費用を5Gインフラの構築に振り向けることを可能にするかもしれない。逆にキャリヤはハードウェアの購入先の選択肢が狭まる

当初ヨーロッパの反トラスト法当局の動向が懸念されていたが、この買収はすでにフランス政府の賛成を得ているという。

Alcatel-LucentのCEO Michel Combesは声明を発表し、「この契約はヨーロッパのテクノロジー産業の競争力強化に対して適切なタイミングで成立した。われわれの顧客はNokiaとの合同によるイノベーション能力の強化によって益するところが大きいだろう。特にわれわれのベル研究所の研究開発能力は比類なきものだ。われわれはアメリカと中国をはじめ、グローバルに存在を拡充していく」と述べた。

買収が完了した後、新会社はNokiaの名称を継承する。Nokiaの会長、Risto SiilasmaaとCEO、Rajeev Suriはそれぞれの職を維持する。Alcatel-Lucentからは3人が新会社の取締役会に入り、一人は副会長に就く。

画像:Shutterstock

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

LinkedIn、プロフェッショナル向け教育に参入―オンライン学習大手のLynda.comを15億ドルで買収

プロフェッショナル向けSNSのLinkedInはLynda.comを買収してプロフェッショナル向けオンライン教育分野に本格的に参入する。

Lynda.comは1995年にBruce Heavinとテクノロジー分野の学習書の著者、Lynda Weinmanによって共同創業された。Lynda.comは長年、Photoshop、HTML、CSSなどの入門、マネージメントの基礎知識などをオンラインで得ようとする場合の定番サイトとなってきた。

Lyndaにはエキスパートによって制作されたチュートリアル・ビデオやコースが多数用意されている。eラーニングという言葉が今日のように普及するはるか以前からそれを実践してきたこの分野のパイオニアだ。

買収価格は15億ドルで、52%がキャッシュ、48%が株式によって支払われる。買収手続きの完了は今年の第2四半期が予定されている。LinkedInのプレスリリースによればLynda.comの社員の「大部分」はLinkedInに加わる。

買収を発表した公式ブログ記事で、LinkedInのCEO、Jeff Weinerは「われわれの目的は職を探している人々が実際に職に就けるよう手助けすることだ。LinkedInはこの買収によって職探しに役立つ技能や知識へのアクセスを提供していく」と述べたLynda.comのCEO、Lynda Weinmanは「両社の企業文化は完璧にフィットする」とし、 有用なスキルの教育により、求職市場における需要と供給のギャップを埋めるために大きな貢献が期待できると述べた。 LinkedInのコンテンツ事業の責任者、Ryan Rolanksyは、「LinkedInのユーザーは希望している職に就くために必要な技能が欠けていると気づいた場合、われわれのオンライン・コースによって即刻その技能身に付けることができるようになる」と述べた。.

LinkedInはLyda.comとの統合の具体的な計画を明らかにしていないが、Rolanskyは「当面、Lynda.comは従来どおり運営される」と述べた。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

リブセンスが越境・CtoCコマースを展開するwajaを子会社化

リブセンスは3月25日、wajaの発行済株式の71.7%を取得して子会社することを発表した。

wajaは自社にフルフィルメント機能を持ち、CtoC・越境ECの「waja」などを展開。wajaは世界60カ国のバイヤーが現地で仕入れた商品を販売する。

取得株式は429個。議決権ベースで71.7%。取得額は3億9300万円。同社は現在メディア向けのブリーフィングを開催している。詳細は追ってレポートする予定。


楽天、eブック・マーケットのOverDriveを4.1億ドルで買収―Koboに250万タイトルを追加

楽天はeブック、デジタル・コンテンツ事業の強化を図るためオーディオブックのマーケットプレイス、OverDriveを4億1000万ドルで買収すると発表した。

日本のeコマースの巨人である楽天は2011年にeブックリーダーのメーカー、Koboを3億1500万ドルで買収し、デジタル・コンテンツ・ビジネスに参入した。 アメリカを本拠とするOverDriveは1986年に創立された老舗で、現在5000のパブリッシャーの250万タイトルが登録されている。Koboユーザーの読書の幅は大いに広がることになるから楽天のOverDriveの買収は理にかなっているといえるだろう。

「OverDriveの豊富なコンテンツ・ライブラリーとパブリッシャー、学校、書店との緊密な関係は楽天がデジタルコンテンツ事業を新たな市場に拡張し、成長を加速させることを助けるだろう」と楽天のeブック事業の責任者、相木孝仁氏は述べた。

興味あることに、楽天はOverDriveの買収(来月手続きが完了する見込み)により、「eブック事業が今年中にほぼ損益分岐点に達する」としている。これはOverDriveの良好な財務体質によるものだ。同社の2014年のEBITDA利益は2500万ドルだった。

楽天が力を入れているのはeブックとオーディオブックだけではなく、他のエンタテインメントにも相当の投資をしている。2013年には ビデオプラットフォームのVikiを2億ドルで買収しており、2012年に買収した Netflix的なビデオサービス、Wuakiコンテンツジャンルタイトル数も着実に拡張している。

チャットと通話アプリのViberも目立った買収だった。昨年9億ドルで買収されたViberは楽天社内で、同社のeコマースをモバイル化する際のカギを握るプラットフォームだとされている。またアジアとラテンアメリカへの進出に大きな助けになると期待されているという。これら各社はすべて楽天の傘下に入ることで相乗効果を発揮するはずだ。TechCrunchとしてもVikiとWuakiはViberサービスの重要な柱になっていくだろうと予想している。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+


ミクシィがチケット二次流通マーケットの「チケットキャンプ」を115億円で買収

ミクシィがまた1つ、スタートアップを買収した。チケットフリマサービス「チケットキャンプ」を運営するフンザの全株式を取得することを、先ほど明らかにした。買収額は115億円

フンザは2013年創業の国内最大級のチケットフリマサービス「チケットキャンプ」を運営している。コンサートや演劇、スポーツなどの公演チケットをユーザー同士で取り引きできる二次流通プラットフォームで、競合にはチケットストリートがある。国内ではダフ屋行為の横行から、チケット転売にはネガティブなイメージがあるが、フンザによれば、取引件数やチケット流通総額は急速に拡大していて、2014年12月の流通総額は約8億円(前年比603%)となっているという。背景には国内のライブ・エンタテインメントの市場自体の伸びがある。一般社団法人コンサートプロモーターズ協会(ACPC)によれば、2013年には前年比136.2%となっている。チケットキャンプはスマホに最適化したUI・アプリを提供しているほか、エスクロー決済を導入するなど、利便性をあげてきた。同社の収益源は取り引き時に出品者・購入者双方から受け取る手数料だ。

今後は買収によりミクシィがmixiやモンスターストライクで培ったノウハウを融合させて事業拡大を目指す、将来的にはmixiとの連携も視野に入れ、スマホで「チケットフリマ」という新しい文化を創造していく、としている。

ミクシィはこの2月にも、女性向けファッションコマースのMUSE&Co.を17.6億円で買収している


リクルートがドイツのQuandooを271億円で買収–EUで飲食店予約サービスを展開

リクルートホールディングスの海外大型買収があきらかになった。同社は3月5日、EU圏で飲食店予約サービス「Quandoo」を展開するドイツのQuandooを買収したと発表した。

リクルートでは、2014年10月に100%出資のコーポレートベンチャーキャピタル「合同会社RGIP」を通じて発行済株式総数の7.09%を取得していたが、今回新たに92.91%の株式を取得。100%子会社化した。買収価格は271億1000万円(アドバイザリー費用5億6000万円を含む)。

Quandoo2012年の設立。ドイツからスタートし、EUを中心に急速に事業を展開。現在高級レストランからローカルダイニングまで13カ国6000 店以上が導入している。ドイツ、イタリア、オーストリア、スイス、トルコ、ポーランドでは、予約可能店舗数ナンバーワンのサービスだという。2014年12月期の売上高は429万ユーロ、純利益は 974万1000ユーロの赤字となっている。同社のこれまでの資金調達やファウンダーなどの情報はCrunchBaseも参考にして欲しい。

リクルートによると、イギリス、イタリア、スペイン、ドイツ、フランスの5カ国における飲食店のオンライン予約数は、まだ電話予約等の総予約数の約16%でしかないそうだ。そのため、今後大きな成長が予測されるとしている。そこでRGIPを経由して投資を実行したが、同社の持つ営業オペレーションやシステムの価格優位性・機能的利便性とリクルートグループの事業運営ノウハウの融合がビジネスの発展に有効であると確認できたため買収に至ったと説明している。


BuzzFeed、写真をインスタント・アニメ化するスタートアップGoPopを買収

先ほど、BuzzFeedはサンフランシスコのスタートアップGoPopを買収すると発表した。

GoPopは以前はZeegaという社名で、Knight財団とKQEDが出資するメディア・スタートアップのインキュベーター、Matter第一回の卒業生だ。 GoPopのプロダクトは何枚かの写真を合成して簡単にアニメ化する visual conversationというiOSアプリだ(上のサンプル・アニメはGoPopチーム)。

鋭い読者ならすでに気づいているかもしれないが、BuzzFeedはもともとGIFの愛好家なのでこの買収には納得がいく。BuzzFeedはモバイル・アプリのビジュアルを強化するための優秀なチームを手に入れることに成功した。

GoPopのCEO、Jesse Shapinsはプレスリリリースで「BuzzFeedは急速にグローバル・メディア企業に成長すると信じている。BuzzFeedがモバイル分野で存在を拡大するための新たな中核事業の開発のリーダーになるというチャンスはこの上なく魅力的だった」と述べた。

私の取材に対してBuzzFeedの広報担当者は「GoPop自体は閉鎖される。ただしGoPopのアプリを用いて制作されたアニメは、ユーザーのプロフィールと共に専用サイトで今後も公開される」と述べた。

今回のケースはMatter (昨日、新たに6社のメディア・パートナーを獲得したことを発表)にとっても最初の買収だ。Matterのマネージング・パートナー、Corey Fordは私の問い合わせに対してメールで「モバイル中心、ユーザー志向、プロトタイピング重視のMatter出身スタートアップが、現在の世界でもっとも創造的なニュース企業の一つに買収されたことに非常な満足を感じている」と答えた。

買収金額等の詳細は明かされていない。GoPopはこれまでにThe Knight FoundationとChris SaccaのLowercase Capitalから資金を調達している。

昨年秋、BuzzFeedはデータエンジニアリングの人材を得るためにTorando Labsを買収している。

〔日本版:visual conversationアプリはすでに公開を停止されたもよう〕

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+


ミクシィ、女性向けファッションEC「MUSE&Co.」を17.6億円で買収 スマホコマース注力へ

ミクシィは2月19日、女性向けファッションコマースサービス「MUSE&Co.」を運営するミューズコーを17億6200万円で買収したことを明かした。ミューズコーの営業力やマーケティング、オペレーションのノウハウを生かし、スマートフォンコマースをゲームやSNSに続く事業の柱にするのが狙い。MUSE&Co.はサービスを継続する。



MUSE&Co.はファッションやコスメ、雑貨などの1500ブランドと提携し、1週間限定で最大90%オフの特別価格で販売する会員制フラッシュセールサービス。2月時点でユーザー数は60万人。うち8割以上がスマホからアクセスしているのが特徴だ。2014年3月期の売上高は7億9600万円。

スマホコマースに注力するというミクシィだが、過去にはコマース分野で辛酸をなめてきた。

2012年3月にディー・エヌ・エー(DeNA)と共同で開始した「mixiモール」は2年後の2014年3月に終了。2012年9月に開始した女性向けサブスクリプション型EC「プティデュテ」は、わずか半年で閉鎖している。

現時点でミクシィの既存事業と連携するサービスは予定していないというが、ミューズコーの知見を生かしてどんなスマホコマースを展開するのか注目である。

ミクシィのM&Aという点では、結婚支援事業のDiverseを10億9000万円で買収した2013年10月以来の出来事となる。


LINE、決済サービスを提供するウェブペイを買収–LINE Payの強化図る

LINEは2月10日、モバイル送金・決済サービス「LINE Pay」の事業加速を目的として、子会社のLINE Payを通じてウェブペイ・ホールディングス (ウェブペイ)を買収することに合意したと発表した。

ウェブペイは、クレジットカード決済サービス「WebPay」を提供するスタートアップで、2013年10月に創業した。同社が提供するAPIをEC サイトやウェブサービス、モバイルアプリ向けに組み込むことで、数時間でカード決済の導入が可能。利用の審査期間は最短3営業日となっており、カード情報を加盟店側で処理・伝送・保存しない安全な決済システムを特長としている。

ウェブペイのブログでは、今回の買収について「急激な変革が進む決済業界において、次世代のグローバル・スタンダードとなるべく、当社のこれまで培ってきた決済に関する技術と、LINEの持つ巨大なプラットフォーム基盤およびスマートフォン向けアプリ運営のノウハウを統合することで、価値の高い決済サービスの実現を目指すため」としている。

また、WebPayの加盟店は引き続きサービスの利用が可能で、新規受付も継続する方針。今後はウェブペイの決済システム技術およびノウハウを活かし、LINE Payのさらなる機能拡充・利便性向上・事業拡大を推進するとしている。