The EVERY Companyが卵由来でない卵白で作ったマカロンを米国発売、分子レベルで成分把握・人工酵母を利用し再現

The EVERY Companyが卵由来でない卵白成分で作られたマカロンを米国発売、分子レベルで成分把握・人工酵母など利用し再現

Kimberly Tsai / Business Wire

米国で、鶏卵由来でない卵白で作られたマカロンが発売されました。これは鶏卵の卵白とほぼ同じ成分ものを、人工酵母を使って作り出すmicrobial precisionと呼ばれる技術を使用しています。

この技術は牛乳や卵といった動物性食品の成分を分子レベルまで分析、それと同様のものを微生物を利用して作り出します。たとえば、今年はじめにはこの技術を使って牛乳を使わずに作り出された乳成分を使った乳製品が米国で発売されました。

The EVERY Companyと称する企業は、過去数年かけて卵白に含まれるタンパク質を人工酵母で作り出す研究をしてきました。

ニワトリを必要としない卵白が作れるということは、コストが充分に安価になればその分タマゴが必要なくなり、さらにはニワトリを飼育するための養鶏場設備が必要なくなり、そこでの活動で産生される温室効果ガスの排出を減らすことが可能になって、持続可能性が高まると考えられます。

The EVERY CompanyのArturo Elizondo CEOによると、人工酵母で作り出される卵白はその機能や性質も本物とそっくりになるため、泡立ててメレンゲにしたり、中華麺、パン、パスタ、プロテインバーに至るまで加工する際の様子なども本物と同様に、また風味を損なわずに扱えるとのこと。ただし、あくまで性質は本物の卵白と同じになるため、卵アレルギーを抱える人には不適であることに注意が必要です。

同じ方法で卵白タンパク質の生成に取り組んでいるのはThe EVERY Companyだけではなく、今年初めには、フィンランド大学の研究チームが、人工の菌類から卵白の主要な成分であるオブアルブミンの生産に成功したと発表し、この方法であれば養鶏によるタマゴの生産に比べて温室効果ガスの排出を半分に抑えることができると推定していました。

microbial precision方式の卵白成分の生産を拡大しようとすれば、さらに多くの研究や生産設備が必要になります。しかしThe EVERY Companyはそれが食品の製造方法を変える方法になると楽観的に構えており、Elizondo氏も「我々の食料システム、ひいては世界を真に変革する技術だと信じている」と述べ、将来の世界の食糧供給を様変わりさせることになると強調しました。

もし本当にこの技術が普及していくなら、将来的に養鶏業者は新たな職探しをしなければならなくなるかもしれません。一方、これから人類が目指して行くであろう月や火星などでの生活においてこの技術が利用できるようになれば、大量のニワトリを連れて行くことなく、なにかと用途の多いタマゴの成分を使った食品を現地生産できるようになるかもしれません。ただ、オムライスやタマゴかけご飯好きとしては、卵白だけでなく、タマゴの黄身の部分も作れる技術がはやく確立して欲しいところです。

ちなみに今回の鶏卵を使わないマカロンは、パリ発祥で現在はサンフランシスコとパロアルトを拠点とするフレンチマカロン専門店Chantal Guillonとの協力で作られました。Trip Advisorなどで見たところ、本場フランスの味を提供する店として非常に人気が高いとのことです。

(Source:The EVERY Company(Business Wire)。Via New AtlasEngadget日本版より転載)

生産者から直接届く果物サブスク「食べチョクフルーツセレクト」リニューアル、1人暮らしでも楽しめるレギュラーコース新設

生産者から直接届く果物サブスク「食べチョクフルーツセレクト」がリニューアル、1人暮らしにもおすすめのレギュラーコース新設

産直通販サイト「食べチョク」(Android版iOS版)を運営するビビッドガーデンは3月16日、旬の果物が生産者から直接届く定期便「食べチョクフルーツセレクト」をリニューアルしたことを発表。これまでの「プレミアムコース」に加え「レギュラーコース」を新設し、料金プランが選べるようになった。

食べチョクフルーツセレクトは、食べチョクが厳選した高品質のフルーツをユーザーが毎月選択できる果物の定期便。今回のリニューアルで、3人以上で暮らす家庭に合った量のプレミアムコース(月額4480円から。送料込・税込)と、単身世帯や2人暮らしの家庭でも楽しめる量のレギュラーコース(月額3780円から。送料込・税込)のどちらかを選択できるようになった。新設されたレギュラーコースは、量は少なめ・低価格で、フルーツの品質はプレミアムコースと同等。ビビッドガーデンは、ライフスタイルに合わせて旬のフルーツが届く生活を楽しんでもらいたいという。

  • 生産者直送で、新鮮なフルーツが届く:一般的には早めに収穫して出荷されることが多いフルーツ。一方食べチョクでは、生産者直送だからこそ、畑で食べごろの直前まで熟されたフルーツが届く
  • 毎月2〜3つのフルーツの中から好みのフルーツを選べる:例えば、4月のフルーツはいちご、不知火、マスクメロンの中から選択可能。夏にはパイナップル、秋にはシャインマスカットなども選べる
  • 季節ごとにいちばん旬のフルーツが届く:食べチョクに登録している全国6700軒の生産者の中から、その時期で旬のおいしいフルーツを選んで届けるという
価格は、レギュラーコース月額3780円から(送料込・税込)、プレミアムコース月額4480円から(送料込・税込)

価格は、レギュラーコース月額3780円から(送料込・税込)、プレミアムコース月額4480円から(送料込・税込)

企業の福利厚生で使えるAI恋愛ナビのAillがJR西日本グループと連携、新しい出会いを創出する「食レポイベント」実証実験

企業の福利厚生で使えるAI恋愛ナビアプリ「Aill goen」(エール ゴエン)を提供するAill(エール)は3月8日、JR西日本イノベーションズジェイアール西日本ホテルズ、ルクア大阪などを展開するJR西日本SC開発と連携し、AIによるデート提案「食事レポートイベント」(食レポイベント)の実証実験を3月9日より開始すると発表した。

実験では、Aill goen対象者のうち、恋愛相手を求める二者のデートにふさわしいタイミングで、Aillの独自AIが食レポイベントの提案を行う。ここからデートに行くきっかけや、お互いを知るきっかけを作り、デート成功確率向上を目指す。イベントは、JR西日本グループの「ホテルグランヴィア京都」・「ホテルグランヴィア大阪」およびJR大阪駅直結の駅型商業施設「ルクア大阪」館内の対象レストランにて行う。

具体的にはは、まずAIがチャットで「お互いを知る」会話のアシストを行った後、デートに行きそうな2人にAIが食レポイベントを提案する。ユーザーは提携レストランからお店を決定し予約。食事後、2人で食レポを執筆しAill goenアプリに投稿する。そのお礼として、ユーザーにはお得なクーポン券がプレゼントされる。

「食レポイベント」概要

  • AIがチャットで「お互いを知る」会話のアシストを行う
  • デートに行きそうな2人に、AIが「食レポイベント」を提案
  • 「食レポイベント」提携レストランからお店を決定し、予約
  • レストランに来店
  • 2人で食レポを執筆・Aill goenアプリに投稿
  • 食レポ投稿のお礼として、お得なクーポン券をプレゼント

Aill goenは、企業が福利厚生サービスとして登録する、独身社員専用プラットフォーム。信用できる企業専用のコミュニティとなるため、安心・安全な出会いの機会を提供する。さらにAIナビゲーションアプリを通じて、社外の出会いからお付き合いまでをサポートする。現在の利用対象企業は851社。

Aill goenでは、今回行う実証実験で「相手を知ってから会う」を独自開発のコミュニケーションアシストAIによって増加させたうえ、食レポを一緒に執筆することでリアルでも自然とお互いを知るきっかけを創出するとしている。イベントを通すことでデートによる成功率・リピート率の向上を目指す。

宅配デリのノンピが3.4億円調達、シェフのこだわりを「冷凍で実現」したフローズンミール定期配送「nonpi A.R.U.」開始

宅配デリのノンピが3.4億円調達、シェフのこだわりを「冷凍で実現」したフローズンミール定期配送「nonpi A.R.U.」開始

日本全国に料理と飲み物を1箱にしたフードボックスをお届けする「nonpi foodbox」を展開するノンピは3月3日、総額3.4億円の資金調達を実施したと発表した。引受先は、テラスカイベンチャーズ、みずほキャピタル、静岡キャピタル、CRGホールディングス、ダブルシャープ・パートナーズ、MOVER&COMPANYなど、累計調達額は5.5億円となる。調達した資金は、新事業「nonpi A.R.U.」開始に伴うプロダクト開発および採用・組織体制の強化、キッチンレスの社内カフェテリア運営「nonpi LUNCH」、コミュニケーションフードデリバリー「nonpi foodbox」のサービス強化にあてる予定だ。

トップシェフが手掛けるプレミアムフローズンミール定期配送サービス「nonpi A.R.U.」

新事業「nonpi A.R.U.」は、ミシュラン星付きレストラン「Jean-Georges本店」出身の米澤文雄氏など、トップシェフが手掛けるプレミアムフローズンミール定期配送サービス。今回は、一般販売が開始される2022年6月に先駆けて、応援購入サービス「Makuake」において同サービスの利用者を3月3日から募集する。

またMakuakeでのプロジェクトは、ノンピにとって初めての挑戦という。これに合わせ、フローズンミールで絶対再現したいと考えていた米澤シェフによる3食構成セットを開発した。米澤シェフの料理は、スパイスをたくみに使い食材の良さを引き出し完成させるというもので、冷凍での再現はとても難しいそうだ。もし実現できれば従来のの冷凍食にはなかった新たな食を提供できるとして挑戦した。

米澤シェフが手がける3食構成のセット

・プラントベースハンバーグ 風味豊かなフレッシュトマトソースで
・赤魚のグリル コーンチャウダー仕立て
・チキングリル レッドカレー

質が高く環境や健康にも配慮したフローズンミール

宅配デリのノンピが3.4億円調達、シェフのこだわりを「冷凍で実現」したフローズンミール定期配送「nonpi A.R.U.」開始ノンピは、今回のミッションとして、「フローズンミールの無限の可能性を探求し、最高のジャパンクオリティを世界に届ける」を挙げている。

例えば、フランスでは冷凍食品としてピカールが著名だが、同国のような平均所得額が高い国ほどフローズンミールが受け入れられているそうだ。今後、所得が向上していくエリアでもフローズンミールは受け入れられていくだろうと、今回のプロジェクトが始まった。今回は対象を洋食に絞ったものの、今後はプレミアムフローズンミールとして、特に和食に注力していきたいという。

シェフのこだわりを「冷凍で実現」という発想で挑んだメニュー開発

宅配デリのノンピが3.4億円調達、シェフのこだわりを「冷凍で実現」したフローズンミール定期配送「nonpi A.R.U.」開始メニュー開発では、「冷凍でできるもの」を作るのではなく、最高のシェフたちのこだわりを「冷凍で実現する」という発想で挑んだ。イタリアン、アジア、和食など、今までの冷凍食品ではあまりなかった、レストランの味を常に更新していくことで飽きさせない点に留意した。マイナス1度からマイナス5度の間が、食品の劣化が最も進む温度帯といわれているが、この時間が短くなるよう急速冷凍技術を採用。また、1つ1つの食材を冷凍・解凍し、食材の性質を検査。再現性の高い食事を凍らせ、そのままレンジで温めるだけで冷凍前の状態に戻せるという。

さらに、大豆ミートなどプラントベース食材を利用した料理を採り入れたり、サトウキビなど環境に配慮した素材を使用したりと、サステナビリティも意識。すべてのメニューは500Kcal以下、保存料・合成着色料不使用と、健康にも配慮している。

1人1人の生活リズムに合わせて発送可能

今回のプレミアムフローズンミールは定期配送サービスとなっており、1人1人の生活リズムに合わせて発送可能。テレワーク中のランチに手軽においしい食事をとりたい1人暮らしの人や、共働きで食事の準備が難しいけれどおいしく健康的な夕食を用意したい子育て世代などをペルソナとして想定しているという。同プロジェクトを担当したギヨン氏は、都内でプロダクトマネージャーとして働いている2児の母。平日はあわただしく、なかなか料理に時間をかけられないため、その分おいしい食事を子供たちに食べてほしいと、同企画を開始したという。

宅配デリのノンピが3.4億円調達、シェフのこだわりを「冷凍で実現」したフローズンミール定期配送「nonpi A.R.U.」開始

リモートワーク中での利用例

なお筆者は、実際に3食セットを試食させてもらったところ、まさに開けてレンジで温めるだけでおいしい食事が楽しめる一品だった。色の豊かさにも配慮をしたとのことで、赤・黄・緑といった食欲をそそる色が各プレートごとにちりばめられている。何より、特にタンパク質系の食品の再現度が高く、これまでの冷凍食品では得難かったジューシーな肉感、そして作りたてのようなソースの旨味が特徴的に感じた。レストランの食事のような味わいを手軽に楽しみたいという方におすすめしたい。

1日に必要な栄養素の3分の1を1食で摂れるBASE FOOD提供のベースフードが20億円調達、新商品開発を加速

1日に必要な栄養素の1/3を1食で摂取できる「BASE FOOD」を提供するベースフードは2月23日、第三者割当増資10億円と融資契約10億円による総額20億円の資金調達を実施をしたと発表した。引受先は、シニフィアンとみずほキャピタルが共同運営するTHE FUND。借入先は三菱UFJ銀行、商工組合中央金庫、りそな銀行、三井住友銀行。調達した資金は、既存商品のアップデートと新商品開発の加速、人材採用の強化にあてる。

BASE FOODは、1食で1日に必要な栄養素の1/3を摂取できる「完全栄養食」(栄養素等表示基準値に基づき、脂質・飽和脂肪酸・n-6系脂肪酸・炭水化物・ナトリウム・熱量を除いて、すべての栄養素で1日分の基準値の1/3以上を含む)。全粒粉や大豆、チアシードなど10種類以上の原材料を使用しつつ、栄養バランスとおいしさを独自の配合と製法により実現。たんぱく質や食物繊維、26種類のビタミン・ミネラルなど1日に必要な33種類の栄養素を1食で摂れるという。

2016年4月設立のベースフードは「主食をイノベーションし、健康をあたりまえに」をミッションに掲げるフードテック領域のスタートアップ。2017年に完全栄養パスタ「BASE PASTA」をサブスクリプションサービスとして販売開始し、現在では完全栄養パン「BASE BREAD」、完全栄養クッキー「BASE Cookies」とラインナップを蓋している。2021年11月末にはシリーズ累計販売食数1500万食を突破し、2022年2月の月額定期購入者数は10万人を超えている。

産直通販サイトの食べチョクが生産者の直伝レシピ200件を公開、料理に使う食材を探せるレシピ検索機能リリース

産直通販サイトの食べチョクが生産者の直伝レシピ200件を公開、料理に使う食材を探せるレシピ検索機能リリース産直通販サイト「食べチョク」(Android版iOS版)を運営するビビッドガーデンは2月9日、食材をよりおいしく調理するためのレシピ集「生産者直伝レシピ」200件を一挙公開。また、シーンに合わせたレシピと食材を探せる「レシピ検索機能」をリリースした(レシピ検索機能はウェブサイト版のみの機能)。

食べチョクは、6500軒の生産者が約40000点の商品を出品している産地直送の通販サイトで、野菜・肉類・魚介類・加工品など様々な商品を取り扱っている。商品発送時に食材を使ったオススメのレシピを同梱する生産者もおり、そのレシピを活用するユーザーも多くみられるという。

また食べチョクは、「生産者によるいちばんおいしく食材を食べるレシピ集」をテーマにした書籍「#食べチョクごはん」を2021年10月に発売。食材の良さを知りつくした生産者が考案したレシピや、フードコーディネーターによるレシピを60品厳選して掲載しているという。

そういった背景を受け、ユーザーに食べチョクでの商品選びをさらに楽しんでもらうため、生産者オススメのレシピをウェブ上に多数掲載し、各レシピページから食材の購入をしやすい機能を今回新たに追加した。生産者直伝レシピは「ご飯もの」「おかず」「汁もの」「おやつ」などのカテゴリー別で閲覧が可能。レシピページを開くと、そのメニューで使用している食材の販売ページに移動できる。

レシピ検索機能では、定番料理とは違う一工夫を加えた「アレンジレシピ」、15分以内で作れる「時短レシピ」、低カロリー重視の「ヘルシーレシピ」、食材の魅力を引き出す生産者こだわりの「本格レシピ」のカテゴリーを用意。シーンに合わせたレシピを検索できる。

アレンジレシピ例

手羽先とトマトの洋風炊き込みご飯

手羽先とトマトの洋風炊き込みご飯(熊本県:日本一鶏肉研究所)

時短レシピ例

ごまココアもち粉チーズ焼き

ごまココアもち粉チーズ焼き(新潟県:アフコ秋山農場)

ヘルシーレシピ例

にんじんホットケーキ

にんじんホットケーキ(千葉県:大成農園)

本格レシピ例

和梨のタルト

和梨のタルト(千葉県:斎藤農園)

 

大手メーカーがコンテンツ重視のアプローチを強化する中、ヘルスケアウェアラブルWithingsがワークアウトアプリ8fitを買収

現地時間2月2日、フランスのヘルスケアウェアラブル企業であるWithingsが、ワークアウトと食事プランアプリの8fitを買収したと発表した。AppleやSamsung、Peloton、Mirrorといったハードウェアメーカーがフィットネス分野でコンテンツ重視のアプローチを強化する中での今回の買収だ。

ベルリンを拠点とする8fitは2014年に創業し、HIITやボクシングなどのワークアウト、ヨガ、瞑想、そしてレシピに至るまで、フィットネスに関するあらゆることを提供するサービスにまで成長してきた。同社は2017年の700万ドル(約8億円)のシリーズAなど、これまでに合計1000万ドル(約11億4500万円)を調達した。シリーズAの際に我々が取材してお伝えした通り、その時点でサブスクリプションプランによってすでに毎月100万ドル(約1億1500万円)を超える収益を上げていた。

スマートウォッチ、体重計、フィットネストラッカーといったさまざまなヘルスケアハードウェアを開発してきたWithingsとしては、今回の買収はかなりわかりやすいものだ。8fitを買収することで、Withingsはコンテンツの重要なレイヤーを提供できるようになり、しかもこれまでのようにまずハードウェアを売り、その後でさらに収入を得ることにもつながる。

WithingsのCEOであるMathieu Letombe(マチュー・レトンベ)氏は発表の中で次のように述べている。「我々は現在、『プロダクト – サービス – データ』の時代へ進んでいくことが重要であると感じています。個人のヘルスケアデータとその人に合わせたウェルネスのプランを組み合わせて、誰もが長期的に見てもっと健康になれるように支援するという我々のミッションをさらに実行していきます。8fitの買収により、エレガントにデザインされたヘルスケアデバイス、幅広いヘルスケアのデータ、シンプルで受け入れやすく我々のお客様に特化した経験豊かなアドバイスを組み合わせた戦略をお届けできるようになります」。

この買収によってWithingsは同社の既存ソフトウェアに8fitのサービスを統合し、Withingsのデバイスから収集された豊富なデータに基づいて、実行に移せる知見を提供するものと見られる。Withingsはコネクテッドフィットネスのサービス構築にさらに3000万ドル(約34億3500万円)を投資する計画であるとしている。

8fitのCEOであるLisette Fabian(リゼット・ファビアン)氏は「我々が提供しているサービスからすると、ユーザーが健康のゴールを達成するための支援をするというWithingsと8fitの方向性は一致しています。正確で質の高いデータを収集するコネクテッドヘルスケアデバイスにおけるWithingsの専門性と、我々のフィットネスや食事プランを組み合わせることに期待しています。両社は協力してユーザーに対し包括的なヘルスケアサービスを提供し、ユーザーがさらに健康で幸せな生活を送れるよう支援します」と述べた。

近年、フィットネスウェアラブルメーカー各社はコンテンツ分野への投資を増やしている。コロナ禍のためジムに行かずにワークアウトをしたいユーザーが増える中、Appleは2021年にFitness+を開始した。Googleに買収されたFitbitは月額10ドル(約1150円)のプレミアムサービスを提供し、ワークアウトと詳しいデータを連携できるようにしている。8fitが現在提供しているサービスはそれよりも高価で、月額25ドル(約2860円)または年額80ドル(約9160円)だ。

価格について8fitは次のように説明している。

我々は無料のアプリではありません。無料のアプリなどというものは存在しないからです。アプリに登場する人は8fitで働いていますし、登場こそしませんがアプリの向こう側にはもっとたくさんの人がいます。そして我々はその人たちの働きに対して公正に報酬を支払うという信念を持っています。毎月20〜30種類の新しいワークアウトを作成し、20〜30本の新しい記事を公開し、これらをすべてアプリに組み込むプログラミングには、たいへんな労力がかかっています。

画像クレジット:Withings

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(文:Brian Heater、翻訳:Kaori Koyama)

「栄養」をがん治療の柱にすることを目指すFaeth Therapeuticsが約23億円調達

目の前に熱々のパッタイがある。その味と食感は、手軽なテイクアウトの夕食から想像できるものだ。しかし、これは単なる食事ではなく「薬」だ。

この仮説上のパッタイは、スタートアップFaeth Therapeutics(フェイス・セラピューティクス)が開発した、がんと闘うための食事療法の一部だ。食事そのものは、科学者によってすでに遺伝学的に精査されて「腫瘍を飢えさせる」ように特別に作られ、既存の抗がん剤や治療法と組み合わせて使用される。がん治療に対するこの「プレシジョンニュートリション(個別化栄養)」アプローチは確かに新しいものだが、2019年に創業されたFaeth Therapeuticsは、このアプローチを臨床に持ち込む最初の企業となることを望んでいる。

「会社設立の本当のきっかけは、世界的な科学者の3つの独立したグループが、私たちが基本的にヒト生物学とがんの治療の大部分を無視していることにそれぞれ気づいたことです」とFaeth Therapeuticsの創業者でCEOのAnand Parikh(アナンド・パリク)氏は話す。

「私は冗談で、これをがん生物学のマンハッタン計画と呼んでいます。科学者たちはそれぞれこの問題に異なるアプローチをしていましたが、既存の治療薬を増強するだけでなく、これらの栄養素の脆弱性をターゲットにした新しい治療薬の開発をサポートするために、がん患者の栄養を変えなければならないという考えに至りました」

Faeth Therapeuticsは米国時間1月18日、2000万ドル(約23億円)のシードラウンドを発表した。従業員15人を擁する同社にとって初の外部資金調達ラウンドだ。同ラウンドはKhosla VenturesとFuture Venturesが共同でリードした。また、S2G Ventures、Digitalis、KdT Ventures、Agfunder、Cantos、Unshackledが参加している。

Faeth Therapeuticsについてまず注目すべき点の1つは、同社を支える科学的なチームだ。Faethの共同設立者は次のとおりだ。2011年ピューリッツァー賞一般ノンフィクション部門を受賞した「The Emperor of All Maladies(病の「皇帝」がんに挑む 人類4000年の苦闘)の著者でコロンビア大学の腫瘍学者であるSiddhartha Mukherjee(シッダールタ・ムカージー)氏、Weill Cornellのメイヤーがんセンター所長でPI3Kシグナル伝達経路の発見者であるLewis Cantley(ルイス・キャントリー)氏、英国がん研究所の主任研究者でフランシス・クリック研究所のグループリーダーであるKaren Vousden(カレン・ボーデン)氏。ボーデン氏は、がん抑制タンパク質p53の研究で知られている。

特にキャントリー氏とボーデン氏は、代謝とがん治療の関係を深く追求した最初の人物だ。

例えば、PI3Kは細胞の代謝、成長、生存、増殖に影響を与える細胞シグナル伝達経路だが、がん患者ではしばしば制御不能に陥ることがある。この経路を標的とした薬があるが、キャントリー氏の研究は、患者によっては高血糖に陥り、この経路の制御異常を誘発する可能性があることが示唆されている。同氏は、その代わりに食事療法によってインスリンレベルを下げることで、再活性化を回避し、薬の効果を高めることができることを明らかにした。例えば、ネイチャー誌に掲載されたマウス研究では、ケトン食(低炭水化物、高脂肪)にすると、グリコーゲンの貯蔵量が減り、薬の効果を妨げる可能性のあるスパイクを防ぐことができることが示された。

これまで前臨床研究は断続的に有望視されてきたが、まだ多くの作業を必要としている(ムカジー氏がキャントリー氏の研究を説明する自身の論説で述べているように)。しかし、パリク氏は、この研究を改善し、よりターゲットを絞った方法で栄養学に基づく医療にアプローチする余地がまだたくさんあると指摘している。

「多くの人が、ケトン食で膠芽腫を治療しようといっていると思います。しかし、それよりも深いレイヤーがあるのです」と同氏は話す(注意:ケトン食[低炭水化物、高脂肪]食は、特定の膠芽腫の症例にも展開されている)。

「膵臓がんの場合、膵臓の腫瘍の働きによって、特定の栄養素に対するニーズが高くなる可能性があることがわかってきました。この場合、アミノ酸が必要かもしれません。そこで、特定のアミノ酸が不足するような食事を作るのです」。

Faethの使命は、今回調達した資金を利用して、この分野の研究を拡大・深化させることだとパリク氏は付け加えた。

栄養と健康は明らかに関連しており、栄養はがんの転帰に影響を及ぼす。しかし、この分野の研究は、当然のことながら懐疑的な見方をされることがある。食事と健康に関しては、科学的事実から、かなり簡単に神話の領域に入ってしまうことがある。はっきりいえば、この研究はがんのための「奇跡の食事」や「食事ベースの治療法」を宣伝しているわけではない。むしろ、栄養学ががん治療の「5本目の柱」になりうるかどうかを、科学的な研究を通じて検証することを目的としている。

Faethは、前臨床試験で明らかになった関連性を検証するために、すでに3つの試験の準備を進めている。ゲムシタビンとナブパクリタキセル化学療法にアミノ酸低減食を組み合わせた転移性膵臓がんの試験を開発中で、また、転移性大腸がんを対象とした別の試験も準備している。最後に、パリク氏によると、インスリン抑制食に関する試験が今後数週間のうちにclinicaltrials.govに掲載される予定だ。

もし、治療を保証するほど強力な結びつきが証明されれば、(前述のパッタイのような)高品質の食事と抗がん剤が一緒になってより良い治療結果をもたらすようながん治療をパリク氏は想像している。放射線治療や化学療法を受けながらも、家に帰れば医師が処方した食事が玄関まで届く(パリク氏は「世界的なシェフが開発した食事」だと付け加えた)。そして、心配な点が出てきたら栄養士に相談する。

しかし当面はこの研究を臨床の場に持ち込むことにほぼ全力を注ぐと同氏はいう。

「前臨床でできる限りのことをやってきたので、今回、臨床に移行するために資金を調達しました。安全性の確認はもちろんですが、有効性のシグナルがあるかどうかも確認するために、初期段階の試験を行っています」と、パリク氏は述べた。

画像クレジット:JESPER KLAUSEN / SCIENCE PHOTO LIBRARY / Getty Images

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(文:Emma Betuel、翻訳:Nariko Mizoguchi

AIによる献立・栄養管理アプリ「おいしい健康」の買い物リスト機能がバージョンアップ、まとめ買いやSNS共有に対応

おいしい健康は12月21日、AIによる献立・栄養管理アプリ「おいしい健康」(Android版iOS版)において、レシピや献立に必要な材料を自動で一覧にして買い忘れ・買いすぎを防ぐ機能「買い物リスト」のバージョンアップを発表した。複数の献立を1つのリストにしてまとめ買いに対応したほか、SNSなどで買い物リストを共有するなどが可能となった。

おいしい健康は、健康な人からダイエット・生活習慣病対策を考えている人などの「予防・自己実現のための食事」から、何らかの病の患者・妊婦・高齢者など「医療上の制限がある人の食事」まで、幅広く支援する食事管理アプリ。難しい食事管理について、毎日のおいしい食事により誰でも行えるよう医学的な根拠(エビデンス)に基づきつつユーザーをサポートする。提示するレシピは個々のユーザーに適した栄養バランスに加えて、冷蔵庫の食材や好きな食べ物、料理の腕前、調理時間に合わせることで「究極の食のパーソナライズ」を実現するという。

今回バージョンアップされたのは、献立やレシピごとに必要な食材を表示する「買い物リスト」。新たな機能として、これまで献立やレシピごとに表示されていた買い物の内容について、複数分を1回の買い物リストとして表示可能となり、まとめ買いがしやすくなった。

さらに、買い物リストを家族やパートナー、友人とSNSやメールで共有する機能も採用。買い物を分担することで、料理を作る人の負担を軽減できる。また、過去の会物リストを日付別に自動保存する機能も新たに追加した。同じ献立を作る場合に、買い物リストを改めて作成することなく過去のリストを再利用できるようになった。このほかにも買い物を便利に、ラクにする機能が多数追加されているという。AIによる献立・栄養管理アプリ「おいしい健康」の買い物リスト機能がバージョンアップ、まとめ買いやSNSなどで共有可能に

 

同社によると、ユーザー調査において、全体の約8割が3日に1回程度の買い物をしていること、また料理の際の困りごと・負担として半数近くが「買い物に行くのが負担」と回答したという。実際、従来バージョンから買い物リスト機能の利用者は多く、機能改善の声があったことから、ユーザーの要望に応える形でバージョンアップを実施したそうだ。

2016年7月設立のおいしい健康は、AIやビッグデータ、最新の栄養科学によって「食事で病気の無い世をつくりだす」ことを目指す、ヘルスケア領域スタートアップ。献立・栄養管理支援アプリであるおいしい健康、食事タイミング支援アプリ「食べリズム」を提供している。医療機関・薬局・製薬会社と連携した患者支援、食品会社の健康領域事業を立ち上げて支援するDXヘルスマーケティング事業など、健康に関する多様な事業を通じ、世界の80億人が「いつまでもおいしく、食べられる」社会の実現を目指している。

累計650万食販売・会員数5万人の手作りドッグフードD2C「ココグルメ」運営のバイオフィリアが5.6億円のシリーズA調達

累計650万食販売の手作りドッグフードD2C「ココグルメ」運営のバイオフィリアが5.6億円のシリーズA調達、猫用フードも開発手作りドッグフード(フレッシュぺットフード)「CoCo Gourmet」(ココグルメ)をD2C展開するバイオフィリアは12月22日、シリーズAラウンドにおいて約5億6000万円の資金調達を完了したことを発表した。引受先は、リード投資家のDIMENSION、またSBIインベストメント、三菱UFJキャピタル、ギークス、ユナイテッド、AGキャピタル、他数社および個人投資家。

調達した資金は、ココグルメの新レシピや小分けタイプの開発、事業拡大に伴う人材採用の強化、猫用フード「ココグルメ for Cat」(名称仮)の新規開発、研究開発事業費などにあてられる。累計650万食販売の手作りドッグフードD2C「ココグルメ」運営のバイオフィリアが5.6億円のシリーズA調達、猫用フードも開発

ココグルメは、フレッシュぺットフードとして、総合栄養食基準準拠・獣医師監修の国産ドッグフードを販売するサービス。フレッシュペットフードとは、人も食べられる新鮮な食材を使い食品安全法の基準をクリアした食品工場で栄養素を壊さないよう低温調理されたフードを指すという。

原料となる肉や野菜はすべて国産のものを使用し、保存料・着色料不使用、グレインフリー。製品は食品安全法をクリアした食品工場で製造され、レシピは獣医師、ペット栄養管理士、動物機能栄養学教授の3分野のプロによって監修されている。ペットに対する家族意識や健康志向が高まる中、ココグルメは愛犬家から支持を受け前期売上増加率434%、会員数5万人、累計販売食数は650万食を突破(2kgの愛犬に1日2食与えるものとして換算)。高付加価値訴求型ペットフードのニーズの高まりを受け、事業が順調に推移している。累計650万食販売の手作りドッグフードD2C「ココグルメ」運営のバイオフィリアが5.6億円のシリーズA調達、猫用フードも開発累計650万食販売の手作りドッグフードD2C「ココグルメ」運営のバイオフィリアが5.6億円のシリーズA調達、猫用フードも開発

また同社は、現代の家庭犬に合うフードづくりにより一層注力するため、北海道大学大学院で動物の腸内細菌叢を研究する動物機能栄養学教授・小林泰男氏と共に家庭犬の腸内細菌叢の研究(R&D)を進めるという。研究から得た独自の知見・エビデンスを活かし、畑の土壌や栽培方法・調理方法の改善などを行い、現代の犬の体質や生活環境に、より最適化した安心安全で美味しい「ワンちゃんのため」のフード開発を目指す。

2017年8月設立のバイオフィリアは、「動物の幸せから人の幸せを」を企業理念に掲げ、動物と人間が愛情を持って共存できる社会の実現を目指し、ペット事業に取り組むスタートアップ企業。ペットフードを単なるエサではなく伴侶動物との絆を深める「食事」と位置付け、伴侶動物と飼い主の絆を深めるごはん時間を提供するべく、グローバル展開も視野に入れ尽力するとしている。累計650万食販売の手作りドッグフードD2C「ココグルメ」運営のバイオフィリアが5.6億円のシリーズA調達、猫用フードも開発

LINEアプリからスクールランチを予約注文、福岡拠点の給食スタートアップPECOFREEが総額6100万円の資金調達

LINEアプリからスクールランチを予約注文できるサービス「PECOFREE」(ペコフリー)を開発・運営するPECOFREEは11月15日、資金調達を行なったことを発表した。引受先はSun Asterisk、RKB毎日放送、テノ.ホールディングス。また9月に実施したNCBベンチャーキャピタルからの資金調達と合わせて、総調達額は6100万円となった。調達した資金は、システム開発、サービス認知拡大のためのマーケティング、人材採用の拡充に充てる。

PECOFREEは、学校で食べる食事をスマートフォンで予約注文(モバイルオーダー)できるサービス。学校単位での導入が可能。栄養士が監修した献立の弁当を毎日3種類用意しており、生徒が食べたいものを前日までにLINE上のLINEミニアプリで選択・予約注文すると、学校内に配置された受け取り・返却ボックスに当日配送を行う。

価格は1食(弁当)あたり税込450円(価格変更可能)で、支払いは保護者がチャージしたポイントから行なわれる。アプリからの注文は、学校が配布するログインコードをLINEアプリに入力するだけで誰でも開始できる。氏名や連絡先などの個人情報、さらに支払時のカード情報はシステムに保存されないため、保護者としても安心して利用できるとしている。

2021年2月設立のPECOFREEは、福岡を拠点とする給食領域のスタートアップ。「お腹を空かせた(ペコペコ)学生へ自由(フリー)な食事を!」をスローガンに、全国の高等学校を対象とした高校生のための給食(お弁当)モバイルオーダーサービスとして、2021年4月より同サービスを開始した。

リリース後、高校以外にも幼稚園・小中学校、専門学校、大学、塾などから問い合わせがあるという。現在は小学校学童施設、専門学校などを含めて県内外を含め約70校以上の導入が決定しており、学校寮の朝食・夕食の提供や自治体、市の給食への導入検討も進めているそうだ。

電子レンジで温めるだけの植物由来食品を宅配するAllplantsが59億円を調達

ベジタリアン向け食事宅配サービスを提供するAllplants(オールプランツ)は、Draper EspritがリードするシリーズBラウンドで3800万ポンド(約59億円)を調達した。英国の消費者に、家で温める、植物由来のおいしい食事を提供することを目指す。

今回のシリーズBラウンドの規模は、ヨーロッパの植物由来食品の企業としては過去最大とのことだ。

ロンドンを拠点とするAllplantsは、2018年にシリーズAで750万ドル(約8億5500万円)を、またエクイティ・クラウドファンディング・プラットフォームのSeedrsを通じても資金を調達している。

同社によると、2017年の創業以来、収益は毎年2倍以上で推移しているという。

シリーズBに参加した他の新規投資家には「パーパス・ドリブン」の消費財ファンドThe Craftory、シリコンバレーを拠点とするTriplePoint Capitalに加え、イングランドの国際的なサッカー選手であるChris Smalling(クリス・スモーリング)氏とKieran Gibbs(キーラン・ギブス)氏、英国の独立系スナック菓子会社Proper Snacksの創業者でMBE(大英勲章第5位)のCassandra Stavrou(カサンドラ・スタブロウ)氏などがいる。

また、既存の投資家からFelix Capital(オートミールベースの代替ミルク「Oatly」を開発したベンチャー企業)とOctopus Venturesも参加した。

近年、欧米では、食肉生産にともなう気候変動への懸念が高まり、植物由来の代替品への関心が高まっている。

さまざまなスタートアップが肉に代わる便利な製品を幅広く開発してきた。Allplantsのような消費者に直接届ける食事や、Heuraのような植物由来の肉代替製品などの選択肢がそうだ。後者の製品はAllplantsの食品の原材料になるかもしれない。

関連記事:スペインの100%植物由来チキンのスタートアップ「Heura」が英国に進出

Alplantsは「植物由来の食品に興味がある人々」、つまりフレキシタリアンの消費者市場が急速に拡大していることが同社の成長要因だと分析する。同社によると、現在、英国だけで100億ポンド(約1兆6000億円)、先進国市場では年間1000億ポンド(約16兆円)の市場規模があるという。今のところ英国のみの展開だが、同社のウェブサイトには、世界進出も視野に入れているとある。

今回の資金は、ロンドン北部のウォルサムストウにある植物由来食品のキッチンを現在の6倍に拡張するために使用するという。急増する国内需要に対応する。

現在、同社のキッチンでは140人のシェフが24時間体制で働く。冷凍された状態で消費者に届けられるため、従来の電子レンジ食品と同様、食べる前にオーブンや電子レンジで再加熱する必要がある。

現在のメニューは、朝食、昼食、スナック、おやつ、夕食をカバーし、カレーやチリ、パスタやリゾットなど、さまざまな種類の世界の料理を提供している。肉の代替品としてはビーガンのタンパク源となる、ビーガンチーズ、豆腐、豆、ビーガンチョリソーなどが含まれている。

ユーザーは、宅配用に用意された料理の中から、1人分または2人分の量を選び、6食入りの箱を作る。

また、好みに合わせて「肉の代替品」のみの食事(いつも肉の塊がお皿にのっていることに慣れている人向け)や「最もチーズの効いた」料理(100%ビーガンのチーズを使用)のセレクションなど、バラエティに富むセットを販売している。

同社は、肉を使った食事を植物由来の食品に変えることが、環境への負荷を減らす最も効果的な方法の1つだと指摘する。植物由来の食事を週に1日増やすだけで、英国の平均的な消費者の食品からの二酸化炭素排出量を年間10%以上削減できるとしている。

さらに、シリーズBにおける計画として、他の販売チャネルへ迅速に進出する能力を構築するという。つまり長期的には、スーパーマーケットなどの小売店を含めたマルチチャネルでの販売を視野に入れているようだ。

今回の資金調達は、チームの大幅な拡大にも充てられる。料理学校で研修を受けたシェフをはじめ、オペレーション、イノベーション、マーケティング、テクノロジーなど、ビジネスのあらゆる機能に関して採用を予定している。

また、シリーズBの計画には、拡大する顧客層の好みに合わせて食事の範囲を広げることや、より幅広いカテゴリーの製品を開発することなどが含まれる。

Allplantsの創業者兼CEOであるJonathan Petrides(ジョナサン・ペトリデス)氏は、声明の中で次のように述べた。「我々が料理に関わり始めてからの5年間で、植物由来食品の需要が爆発的に増加していることを実感しています。我々には、このムーブメントをより多くの人々のキッチンに届けるためのエキサイティングな計画が多数あり、今回の投資はそれを可能にしてくれます」。

「食品の選択は非常に個人的なものです。ですから、品質と味は常に我々の最優先事項です。それが我々のすべての活動の原動力であり、顧客が妥協することなく、より多くの植物を食生活に取り入れることを可能にしています」とペトリデス氏は付け加えた。「我々は今、より多くのおいしいレシピや製品を想像して創造し、そして提供することができます。そして最終的には、植物由来の生活が我々の地球の未来にもたらす変革を加速させることができるのです」。

Draper EspritのパートナーであるNicola McClafferty(ニコラ・マクラファティ)氏は投資にともなう声明で次のように述べた。「今回の投資は、Draper Espritにとって非常にエキサイティングです。Allplantsは、今日の食品消費において最も急速に成長している複数の分野が交差する場所で、ユニークな位置にいます。消費者にとって非常に便利な方法で、味、持続性、栄養に配慮しながら高品質の植物性食品を提供しています」。

「ペトリデス氏と彼のチームは、非常に明確な価値観を持ち、信じられないほど力強い成長と忠実な顧客ベースを持ちあわせた、すばらしいブランドを確立しています。Allplantsは、消費者への直販ビジネスを拡大すると同時に、英国内および海外の新しいチャネルにも進出する可能性を秘めています。植物由来の食品に興味がある消費者に栄養、味、利便性を提供する、世界的なブランドになれると信じています」。

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Nariko Mizoguchi

過敏性腸症候群の患者を食事制限から解放するバイオテック企業Kiwi Bio

過敏性腸症候群(IBS)は、20人に1人が患っていると言われている。腸の働きに関係する一般的な疾患で、腹痛やトイレ利用にともなう困難など、さまざまな症状を引き起こす。

腸内環境を整えるには、特定の食品を避けることが有効だが、食餌療法の多くは非常に制限が厳しい、とAnjie Liu(アンジー・リュー)氏は話す。同氏は、ボストンのバイオテクノロジー企業であるKiwi Bio(キウイバイオ)の共同創業者で、過敏性腸症候群とともに生活することの難しさを身をもって知っている。

「食後にお腹が痛くなって医者に行き、その医者が専門家を紹介してくれる、というのがIBSのたどる典型的な道筋です。どこが悪いのか自分でわかる人はいません」とリュー氏はTechCrunchに話した。「IBSに悩む人は10〜15%ですが、正式な診断を受けるのはそのうち半分だけです」。

自らの体験から、リュー氏はDavid Hachuel(デビッド・ハウエル)氏と組み、同じくIBSに苦しむ4000万人の米国人のために、食事を苦痛のない行為にする方法を開発することにした。Kiwiの最初のプロダクトであるFODZYMEは5月に発売された。FODZYMEは、特許出願中の酵素を使って、共通の消化器系の誘因を分解する。

そして米国10月14日、Kiwi Bioは150万ドル(約1億7000万円)のシードラウンドを発表した。同ラウンドには、Y Combinator、North South Ventures、Surf Club Ventures、Acacia Venture Capital Partners、Emily Leproust(エミリー・レプロスト)氏が運営するファンドSavage Seed、Goldenの創業者であるJude Gomila(ジュード・ゴミラ)氏などの投資家が参加した。

6年前にIBSと診断されたリュー氏は、多くの人が最初は薬を試してみるものの、普段摂っている食品の半分をカットする以外に症状を抑える方法がないことに気づくという。「低フォドマップ食」と呼ばれるこの食餌療法は、医師の80%が処方する。だが「実践が非常に難しく、結果的に順守度合いが低くなってしまう」と同氏は付け加えた。

多くの人にとって、これはニンニクやタマネギなどの食品を避けることを意味する。3年近く食餌療法を続けたリュー氏にとって、それは人生や食の楽しみを失うことでもあった。FODZYMEの最初の製品があれば、ニンニク、タマネギ、バナナ、小麦などの食品に粉末を振りかければ食べることができる。

同氏は、カプセルよりも粉末の方が食品になじみやすいという理由から、粉末を採用したと説明する。

「臨床試験の結果、カプセルは酵素を届ける方法としては最悪の部類に入ることがわかりました」と同氏はいう。「カプセルは人間の腸まで届きません。実際にユーザーに作用する場所は腸です。当社の製品が食品に直接かける粉末タイプなのはそのためです」。

また、Kiwiはチュアブルタイプや、糖アルコールの働きを抑えるサプリメントも開発した。FODZYMEに含まれるすべての成分は、米食品医薬品局によって安全性が認められていると同氏は付け加えた。

同社の顧問の1人で、ブルックリンにあるニューヨーク州立大学ダウンステート校の小児消化器科医であるThomas Wallach(トーマス・ワラック)氏は、Kiwiの仕事は、証明されていないコンセプトに頼っている他の消化器系の健康分野の企業や、IBSや腸の不調におけるプラシーボ効果が非常に強いという事実とは異なると考えているとメールで述べた。

「正直なところ、安全な製品で調子が良くなるのであれば、それは何の問題もありませんし、私にとってもうれしいことです」と同氏は話す。「しかし、Kiwiは本当の治療薬の導入を目指しています。IBSから腸管運動機能不全、短腸症まで、いくつかの症状に応用できる可能性があります。斬新で刺激的なアイデアであり、この研究に携われることをとてもうれしく思っています」。

ワラック氏は、過敏性腸症候群などの腹痛症を専門とする臨床医であり、腸管上皮のホメオスタシス専門のトランスレーショナル・リサーチャーでもある。同氏は、ガスが張りを悪化させると説明する。私たちの腸内細菌叢はフォドマップを食べ、多くの細菌がそれをガスに変える。低フォドマップ食は、ガスを減らすことを目的としており、特に関節過可動や自律神経失調症の人には非常に良い成功率を示しているという。

低フォドマップ食は制限が多いというリュー氏の話に加え、ワラック氏は、食物繊維が多く摂取できないため、結果的に細菌叢が悪影響を受ける可能性があると付け加えた。Kiwiは「食物繊維のためのラクチド」であり、IBS患者は多少の準備があれば自由に食べられるという。

「結局のところ、食物繊維は体に良いものであり、それを食事から取り除くことは持続可能ではありません」とワラック氏は付け加えた。「Kiwiの酵素パッケージは、フォドマップを事前に消化し、理想的には、食物繊維の排除や栄養制限を避けながら、大腸に至るフォドマップを減らすことができます。彼らが経験的検証に重点を置いていることに非常に感銘を受けました。彼らは、試験管内モデルシステムでの試験と、臨床試験への迅速な移行を計画しています。臨床試験に移行できるのは、Kiwiの酵素パッケージが一般的に安全な物質とみなされているためです」。

一方、Kiwiにとってこの夏は忙しかった。リュー氏とハウエル氏は、Y Combinatorの夏のコホートに参加し、Kiwiの在庫は今夏2回も完売した。FODZYMEは1本39ドル(約4300円)で、30日分または60日分を購入することができる。同社は現在、600人以上の顧客にサービスを提供しており、毎週18%のペースで成長している。

同社は、製品の拡大に向け、サプライチェーンの強化に取り組んでいる。また、成長部門の責任者と、コミュニティエンゲージメントおよびサクセス担当マネージャーを採用した。

今回の資金調達により、同社はFODZYME製品を成長させ、未解決のフォドマップ群に効く新しい酵素など新製品を開発するとともに、計画中の臨床研究を支えることができる。

「資金調達の過程で、Kiwi Bioは、従来のバイオテック企業の型にも、従来の消費者製品、食品、消費財企業の型にも当てはまらないことがわかりました」とリュー氏は語る。「私たちは、当社を構成するすべての要素を支援できる投資家の適切な組み合わせを見つけなければなりませんでしたし、特に分岐点で考えるのが得意な投資家を見つけなければなりませんでした」。

画像クレジット:Kiwi Bio co-founders David Hachuel and Anjie Liu/Kiwi Bio

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(文:Christine Hall、翻訳:Nariko Mizoguchi

離乳食の食材管理アプリ「ステップ離乳食」が離乳食時期メニューのスケジュールを参考にできる「離乳食スケジュール」を追加

カラダノートは10月11日、離乳食の食材管理アプリ「ステップ離乳食」において、離乳食時期に合わせたメニューのスケジュールを参考にできる「離乳食スケジュール」機能を公開した。iOS版での先行公開としており、2021年内にAndroid版でもリリース予定。

ステップ離乳食は、月齢によって食べていい食材や食べられる状態を確認できるアプリ。乳児を育てるために離乳食を進める保護者をサポートするという。

離乳食スケジュールとは、離乳食が始まる生後5~8カ月頃に何からあげ始めたらいいのかわからない方向けに役立つ情報をまとめたもの。

アプリ内では、離乳食時期をゴックン期 前期/後期・モグモグ期の3つにわけており、各時期ごとに28日分の離乳食スケジュールを掲載。それを参考に、見てマネる形で離乳食を進めることで、迷う時期を短縮できるとしている。

カラダノートは、家族向け、事業会社向け、その両者の大きく3つの領域で事業を展開。家族向けの事業としては、記録や共有を中心とした子育て・ヘルスケアアプリを提供しており、ユーザーの生活環境の効率化を支援している。マッチング領域では、データベースを用いて集めたユーザーに対し、適切なタイミングでレコメンド・サービス提案を行い、企業やサービスとのマッチング支援を行ってる。事業会社向け領域では、家族生活周辺産業においてサービスを展開する事業会社に向け、DX支援を提供。

EBILABが日本で初めて伊勢海老の脱皮をAIで検知するシステムを開発、映像解析で食材の「最旬」の見極め目指す

EBILABが日本で初めて伊勢海老の脱皮をAIで検知するシステムを開発、食材の「最旬」の見極め目指すEBILAB(エビラボ)は10月7日、日本で初めてAI映像解析により伊勢海老の脱皮を検知するシステムを開発し、10月1日から実証実験を行っていることを発表した。これは、伊勢海老の水槽を暗視カメラで監視し、AIが伊勢海老の脱皮を検知するとユーザーのモバイル端末に通知されるというもの。実験終了後は、三重県伊勢市の老舗伊勢海老料理店「倭庵黒石」(やまとあんくろいし)に導入される予定。EBILABが日本で初めて伊勢海老の脱皮をAIで検知するシステムを開発、食材の「最旬」の見極め目指す

エビの香の大部分は皮に含まれているため、皮ごと食べるのがおいしいとされている。皮が非常に固い伊勢海老も、脱皮直後なら柔らかい。その瞬間が伊勢海老がもっともおいしくなる最旬とされている。このシステムを導入予定の倭庵黒石でも、脱皮直後にさばいた伊勢海老を「幻の伊勢海老」として提供している。ところが、伊勢海老の脱皮には特定の周期がなく、生育環境や個体差によるばらつきもあり、その時期を見極めるには、現状では職人の勘と経験に頼るしかない。しかも夜行性のため、寝ずの番になることもある。そんな苦労が、このシステムを使うことで軽減されるという。EBILABが日本で初めて伊勢海老の脱皮をAIで検知するシステムを開発、食材の「最旬」の見極め目指すこのシステムでは、映像解析にMicrosoftの「Azure Cognitive Services」を利用している。これは、言語や音声や視覚など、人の認知を模した機能をウェブAPIとして簡単に利用できるAIサービスだ。このサービスを導入したことで、開発コストや運用コストを、飲食店が導入しやすいレベルにまで抑えることができた。

EBILABは、三重県伊勢市で150年の歴史を誇る老舗「ゑびや」の経営メソッドから生まれたサービス産業のためのシンクタンク。飲食店向けのクラウドサービスの開発、提供を行っている。このシステムは、「人の経験や勘に頼らず正確かつ効率的に食材の『最旬』を見極める仕組み」として、伊勢海老以外にも応用できると、EBILABは話している。

米アマゾンがHaloサブスクでフィットネスと食事プランナーのサービスを提供

Amazon(アマゾン)はユーザーの健康とフィットネス、そしてHaloパーソナルヘルスデバイスに関係する2つの新サービスを導入する。Apple Fitness+のようなインタラクティブなホームビデオによるエクササイズのHalo Fitnessと、パーソナライズされたガイド付き食事プランナーのHalo Nutritionだ。

これらのサービスはいずれも、AmazonのHaloラインナップのフィットネストラッカーを使用する人向けのHalo会員サービスに含まれる。ラインナップにはOLEDディスプレイを搭載している新しいHalo Viewアクティビティトラッカーも加わる。HaloのサブスクはHalo Bandに付いてくる3カ月の無料トライアル、あるいはHalo Viewに付属する12カ月のトライアルの後は月3.99ドル(約450円)だ。Fitnessは2021年後半に提供が始まり、そして2022年1月からはNutritionも提供される。

Halo Fitnessは「業界の専門家」による「スタジオ品質のワークアウト」を提供し、Haloフィットネスバンドがとらえる心拍や心拍強度ゾーンなどの数値をリアルタイムに表示する。ワークアウトのコーチにはMichael Hildebrand(マイケル・ヒルデブランド)氏、Elena Cheung(エレナ・チュン)氏、Elizabeth Andrews(エリザベス・アンドリュー)氏らがいる。そしてワークアウトには有酸素運動、強度トレーニング、ヨガ、屋外移動クラスなどがある。

Halo Nutritionはレシピの検索や食事プラニングを提供し、食事の好みや必要に応じたメニュー、あるいはクラシック、ケト、地中海、北欧、パレオ、完全菜食、ベジタリアンといった特定の食事のためにあらかじめキュレートされたメニューを作るオプションもある。サービス開始時は、Whole Foods やWWなどのパートナーが提供する500超のレシピをライブラリーに備え、材料を探すためのAlexa買い物リストも統合している、とAmazonは説明している。

画像クレジット:Amazon

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(文:Darrell Etherington、翻訳:Nariko Mizoguchi

健康的な植物性インスタントラーメンを開発したImmiが約4.2億円調達

Immiの共同創業者であるケビン・リー氏とケビン・チャンタシリファン氏(画像クレジット:Immi)

Immiは、純植物性の大胆な味で、健康食品のインスタントラーメンを作ろうとしている。同社は米国時間9月14日に、380万ドル(約4億2000万円)のシード資金を調達したことを発表した。

共同創業者のKevin Lee(ケビン・リー)氏とKevin Chanthasiriphan(ケビン・チャンタシリファン)氏はどちらも、台湾とタイの飲食を家業とする家で育ち、10年前に同じテクノロジー企業で働いているとき出会った。2人は毎日のように、一緒に麺類を食べて仲を深めた。

そして最近2人は、家族が糖尿病と高血圧で苦しんでいるのを見て、身体に良い食べ物と飲み物について考えるようになった。

自分たちが育ったアジアの食べ物や料理を愛する彼らは、そうした食品のブランドを米国で立ち上げたいと思った。

チャンタシリファン氏によると「2人ともすぐに、インスタントラーメンというアイデアで一致しました。私の父は今でも毎晩インスタントラーメンを食べているし、年間売上40億食という巨大な市場です。しかしインスタントラーメンは長い間、大手企業が支配してきた製品でもあります」。

世界のインスタントラーメン市場は、2027年には320億ドル(約3兆5076億円)規模の産業になると予測されており、そのうち米国は77億ドル(約8440億円)の規模になるという。しかし、多くの人がスーパーで購入するラーメンには、精製された炭水化物を油で調理した麺が含まれており、付属するスープにはナトリウムや保存料が多く含まれている。

彼らが手がける「Immi」は、植物性で低炭水化物・低ナトリウム、高繊維質で平均22gのタンパク質を含んでいる。製品はブラックガーリック「チキン」、トムヤム「シュリンプ」、スパイシー「ビーフ」の3種類の味がある。

2人は2019年に会社を立ち上げた。その後の2年間を研究開発に費やしたが、最終製品はなかなか完成しなかった。リー氏によると、業界人にインスタントラーメンの健康食バージョンの話をすると「不可能だ」と斬り捨てられたという。そこで彼らはゼロからスタートし、すべてを自分たちでやるしかなかった。最初のレシピは、彼らのキッチンで作られた。

Immiのセットにはブラックガーリック「チキン」、トムヤム「シュリンプ」、スパイシー「ビーフ」が含まれる(画像クレジット:Immi)

2021年彼らは製品の仕様を変更し、味と食感、麺のコシ、すすりやすさの4点で従来のインスタントラーメンに近いものにした。その試食をあちこち依頼して回った結果、シード資金の調達に至った。

そのラウンドはSiddhi Capitalがリードし、Palm Tree CrewとConstellation Capital、Animal Capital、Pear Ventures、Collaborative Fundが参加、そして個人としてPatrick Schwarzenegger(
パトリック・シュワルツェネッガー)氏やKat Cole(カット・コール)氏、Nik Sharma(ニック・シャルマ)氏、さらにThrive MarketやCaviar、Daring Foods、Madhappy、Twitch、Kettle &Fire、MUDWTR、Native、Amity Supply、Visionary Music Group、Italic、TatchaそしてCasperの役員たちも投資に加わった。

Siddhi Capitalの共同創業者でゼネラルパートナーのMelissa Facchina(メリッサ・ファッキナ)氏によると、同社は食品と飲料に投資しており、同社の投資部門がImmiのメンターになっているという。

「彼らにはとても感心している。食品産業のイノベーションは大金が必要であるため、今自分と家族の手元にそれがあるだけでも興奮します。今度の2度目のバージョンはパッケージも従来と同じブロック型だし、味も大人向けになりました。この味が好きな人は多いと思います」とファッキナ氏はいう。

ファッキナ氏によると、自然食や健康食の業界は最近の10年で「劇的に」変わった。その変化を起した原動力は、サプライチェーンの透明性とクリーンな原材料、そして良心的なブランドを求める消費者だという。

最新の消費者動向により方針を一新した消費者包装製品のブランドは、彼らの新しい製品系列で成功しているが、彼女によると、シリアルなど製品の改革の機が熟しているのにそれに気づかないブランドが多いという。彼女の投資企業はシリアルの改革に乗り出したMagic Spoonに投資しているが、その彼女によると、Immiはラーメンとアジアの食に革新をもたらしている。「創業者グループとしての2人のケビン氏は、新しい考えの取り入れが早く、達成するもののレベルも高い。そして自分たちのまわりに最高の人びとを揃えようとしている」とファッキナ氏はいう。

リー氏によると、新たな資金はR&Dと雇用とマーケティングに三分割される。同社は顧客からのフィードバックで味を改良し、サプライチェーンを最適化し、役員級の人材を雇用し、新しい流通チャネルの開拓にも資金を投じるつもりだ。現在は主に自分たちのオンラインストアで製品を販売しているが、、食品卸やオンラインの食料品店にも販路を広げたい。

Immiの製品の発売は1月だったが、マーケティングを何もせずに、最初の1カ月で在庫は売り切れた。そしてこれまでは米国で1万以上の受注に応じ、国際化も志向している。

今後については、2つのことを考えている。1つは、味や麺のタイプなどを多様化し、毎月新製品を出したい。さらに、麺以外にスナックやお菓子などのアジア系食品にも挑戦したい。もちろんそれらにもクリーンな原料を使っていく。2人が子どものころ大好きだったお菓子が、まず最初の製品アイデアになるだろう。

マーケティングと流通政策も重要だ。現在、同社には試食に参加してくれる協力者が4000人いるが、もっと増やすべきだ。

「製品を特殊な層でなく、もっと一般的な消費者に買ってもらうために何をすべきか、それを現在考えています。特殊なダイエットではなく、単純に健康的な食品だから買って欲しい。また味の文化のクリエイターやセレブ、TikTokのインフルエンサーなどにもImmiを広げて、消費者の関心を呼び、メインストリームにしていきたい」とリー氏はいう。

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(文:Christine Hall、翻訳:Hiroshi Iwatani)

ドッグフードD2C「PETOKOTO FOODS」が大豆ミート採用のドッグフード開発開始、2022年春販売に向け試食モニター募集

ドッグフードD2C「PETOKOTO FOODS」が大豆ミート採用のドッグフード開発開始、2022年春販売に向け試食モニター募集

ドッグフードD2C「PETOKOTO FOODS」(ペトコトフーズ)を提供するPETOKOTO(旧シロップ)は9月14日、不二製油製大豆ミート(植物肉)を使用したドッグフード「SOY MEAT」を開発すると発表した。また試食モニターを募集しており、これにより改良を重ね2022年春をめどに正式販売する予定。試食モニターの応募締め切りは、9月21日23時59分。

2015年3月設立のPETOKOTOは、「人が動物と共に生きる社会をつくる」ことをミッションに掲げ、すべての犬・猫と飼い主のQOLの向上を目指し、DXと家族品質のFX(Family Transformation)を通して家族品質の暮らしを提案するペットウェルネスブランド。同社は、ドッグフードD2C「PETOKOTO FOODS」を2020年2月より展開している。

今回新開発のSOY MEATは、他メニューと同じく新鮮な国産の食材・国内製造の加工品にこだわっており、高タンパク低コレステロール、高食物繊維で、犬の健康にも良くダイエット中の犬にも最適という。

またレシピの開発については、世界で95名しかいない米国栄養学専門医の資格を持つニック・ケイブ獣医師(ニュージーランド・マッセー大学獣医学部准教授)が担当した。同氏は、犬猫の栄養ガイドライン(Global Nutrition Guidelines )を策定した世界小動物獣医師会(WSAVA) 小動物栄養学の創立委員会メンバーでもある。

すでに社内テストは完了しているものの、豊かな食事体験の提供には嗜好性も重要なポイントになることから、今回は、応募者に4種類の大豆ミートをそれぞれ無償モニターテストを実施してもらい、嗜好状況を確認するとしている。

PETOKOTO FOODS「SOY MEAT」

    • 保存:製造日から冷凍で10カ月
    • 容量:1パック150g
    • 与え方:トッピング、2食のうち1食/日、2食/日
    • 発送:2021年10月上旬予定(1人につき2〜4パックの送付を想定)
    • 生産国:日本
    • 原材料:大豆ミート、かぼちゃ、人参、白米、小松菜、サプリメント、すりごま、亜麻仁オイル、フィッシュオイル
    • 募集数:20名(応募多数の場合は抽選)
    • 参加条件:同社指定のヒアリング内容に協力できること、愛犬がSOY MEATに含まれる食材にアレルギーを持っていないこと、続けて2日間SOY MEATのみを与えること(ごはんを食べないなど、体調に変化があった場合を除く)
    • 応募締切り:2021年9月21日23時59分
    • 応募方法:「新商品_モニター募集」より申し込み

「PETOKOTO FOODS」

PETOKOTO FOODSは、犬や猫と家族同然に暮らす中で従来のドッグフードに疑問を持ち、「私たちが食べても安心できるごはん」を作るために生み出したものという。

公式サイト上で、愛犬の体重・体型・運動量、アレルギーなど10個の質問に回答するだけで最適な摂取カロリー量やメニューのフードプランを提案。パックごとに愛犬の名前を貼って自宅にごはんが切れる前に送付する。購入後は、獣医師やペット栄養管理士にLINEで相談できる上、体重など体の変化をもとに常に最適なフードプランを提案し、一生涯の健康をサポートするとしている。ドッグフードD2C「PETOKOTO FOODS」が大豆ミート採用のドッグフード開発開始、2022年春販売に向け試食モニター募集

調理ロボット開発のTechMagicが15億円調達、自動パスタ調理ロボットの実店舗導入に向け量産化体制構築

調理ロボット開発のTechMagicが15億円調達、自動パスタ調理ロボットの実店舗導入に向け量産化体制構築

食産業の人手不足を補い、新たな食体験を創出する調理ロボットを開発するTechMagicは9月7日、シリーズBラウンドにおいて、15億円の資金調達を実施したことを発表した。引受先には、既存投資家のジャフコ グループに加え、新たにSBIインベストメント、JA三井リース、日清食品ホールディングス、DEEPCORE、西山知義氏(ダイニングイノベーション創業者)が加わった。この資金調達により、2018年2月設立以降の累積調達額は約23億円となった。

またTechMagicは同日、日清食品が開発進める「完全栄養食メニュー」の研究において、盛り付け作業や栄養バランス調整を自動で担う調理ロボットの開発・実装を目指し共同開発契約を締結したと明らかにした。

2021年下期から実店舗導入予定のP-Robo量産化に向けた製造・保守メンテナンス体制の構築

食産業は人材の欠員率と離職率が高く、少ない人員による過重労働が深刻化しているとのこと。これに対してTechMagicは、調理工程や単純作業の自動化、データの可視化による味の品質安定化、仕入れや在庫の最適化などをロボットに担当させることで、この課題解決に貢献すると話す。

また「新たな食体験の創出」として、嗜好の多様化、食事制限、食物アレルギーなどに対応するため、「膨大な調理情報、注文に紐づく食材、顧客情報などの各種情報を蓄積」し、各個人に寄りそった食体験を提供するという。

現在TechMagicでは、麺を茹でてソースと混ぜて皿に盛るまでを自動化するパスタ調理ロボット「P-Robo」、画像認識技術で洗浄後の食器を仕分けして格納までを行う食器自動仕分けロボット「finibo」、1杯30秒で冷えた飲み物を提供するドリンクロボット「D-Robo」を展開している。

今回の資金調達でTechMagicは、2021年下期から実店舗導入予定のP-Robo量産化に向けた製造と保守メンテナンス体制の構築、ハードウェアおよびソフトウェアの要素技術の研究開発強化、新たな食体験創造を目指す新規事業開発、これらを実現するためのエンジニアをはじめとする人材採用の強化を行うとしている。

食べる人ごとに栄養バランスのとれた食事を調理・提供する調理ロボットにより、「食のパーソナライズサービス」目指す

日清食品が研究を進める完全栄養食メニュー向け調理ロボットについては、構成する種類や形状が様々な食材について、必要な量を正確に盛り付け、1食に含まれる栄養バランスを自動で整えることを目指す。

初期段階では、「チンジャオロース」など不定形の食材を具材から判別し、正確に必要量を盛り付ける技術開発に注力。将来的には、最適な品質を保ちながら食事の調理、盛り付けから提供までを完全に自動化する「スマートキッチン」の実現や、個々人の栄養状態や目標摂取数値をデータとしてインプットすることで、その人に合った栄養バランスの食事を調理・提供する「食のパーソナライズサービス」も視野に入れ、取り組む予定。調理ロボット開発のTechMagicが15億円調達、自動パスタ調理ロボットの実店舗導入に向け量産化体制構築

友達が食べているものがわかったり注文もできるソーシャルフードオーダープラットフォームSnackpass

あらゆる食品デリバリー企業が、割引コードやより迅速なサービス、さらにはゴーストキッチンやダークストアといった領域への進出などでライバルに差をつけようとしている一方で、友人が何を食べているかを見たり、食べ物や飲み物を注文し合ったり、グループオーダーをして購入者が自分で受け取りに行くといった、よりライトでソーシャルなコンセプトで作られたスタートアップ企業が、多額のシリーズBを調達したばかりで、すでに多くの市場で利益を上げているという。

Snackpassは、自らを「food meets friends(食で友達とつながる)」と表現し、本質的にはレストランでの注文のためのソーシャルコマースプラットフォームであるとしている。CEOによれば「snack」には「食べる」という意味と「かわいい人」を意味する媚びた意味があるとのことだが、当社は7000万ドル(約77億4100万円)という超大型のシリーズBを獲得し、資金は米国内のより多くの市場への拡大を継続するために使用される。

Snackpassは、4年前、Jamie Marshall(ジェイミー・マーシャル)と共同で会社を設立したCEOのKevin Tan(ケビン・タン)がまだイェール大学で物理学を専攻していた頃に構想され、高等教育機関というルーツに忠実であり続けることで成長してきた。現在、同社は13の大学都市に50万人のユーザーを抱え、前年比7倍の爆発的な成長を遂げている。今回のラウンドで、同社の企業価値は4億ドル(約442億2000万円)以上になる。

今回の資金調達には、興味深い投資家グループが参加している。Craft Ventures(クラフト・ベンチャーズ)を筆頭に、Andreessen Horowitz(アンドリーセン・ホロウィッツ、2100万ドル(約23億1900万円)のシリーズAを主導)、General Catalyst(ゼネラル・カタリスト)、Yコンビネータ、Pioneer Fund(パイオニア・ファンド、YCの卒業生によるファンド)、そして個人の出資者が多数参加しており、Snackpassが注目されていること、そしてミレニアル世代や若いユーザーが利用するフードプラットフォームとしての地位を確立しつつあることを物語っている。

このリストには、Airbnbの卒業生による投資家のシンジケートであるAirAngels、Uberに買収された配送大手Postmates(Bastian、お前もか)、ホスピタリティ起業家のDavid Grutman(デイビット・グラットマン)、ゴールデンステート・ウォリアーズのDraymond Green(ドレイモンド・グリーン)、Gaingels、Kevin Hart(ケヴィン・ハート)のベンチャーファンドであるHartBeat Ventures、ミュージシャンのJonas Brothers(ジョナス・ブラザーズ)、Shrug Capital(「非技術系」の消費者向けスタートアップに興味があるというベンチャーキャピタル)、Boston Celtics(ボストン・セルティックス)の共同オーナーであるStephen Pagliuca(スティーブン・パリウカ)のファミリーオフィスであるPags Group、ヒップホップDJのスティーブ・アオキ、Banana CapitalのTurner Novak(ターナー・ノヴァック)、Moving CapitalのWilliam Barnes(ウィリアム・バーンズ)、そしてUberの卒業生による投資家シンジケートなどが含まれている。

最近の食品注文プラットフォームの多くはデリバリーに焦点を当てており、多くの場合、その実行方法において他のプラットフォームよりも優位に立つ方法を模索しているが、それらのコスト差は往々にして非常に小さい。Snackpassの大きな突破口は、単純にそのような出し抜き作戦から撤退し、そうした前提から離れて、もっと平凡なもの、つまり行列をなくすことを目指したことだ。

タンは、Snackpassがユーザーにもしアプリを使っていなかったらどうするかを尋ねたところ「ああ、列に並んで注文するだけですよ」と答えたとインタビューで語っている。

「現在のマーケットシェアは、レジに並んで注文する人が占めています。私たちのビジョンは、5年後にはそのような光景はなくなっている、例えばレジがなくなっていることです。そうした行為は意味のないことだと思っています」。

彼は、どうしても配達を希望する人には、配達を選択することもできると付け加える。SnackpassはUberEatsのようなデリバリーサービスと統合しているが、Snackpassでの注文の90%は店頭受取だ。つまり、自社で配達員やそのインフラを用意する必要がないだけでなく、そのための運営コストもかからないということだ。

実際には、多くの若者が何かおいしいものを食べに行くことを喜んでいるようだ。つまり、社交的になり、食べ物や飲み物(タピオカティーが多い)を買った場所で自撮りをする。それが1つの経験になるのだ。

これは、別の意味で市場が存在する場所でもある。

タンは「デリバリー市場は、レストラン業界の8%に過ぎないということを人々は知らないのです。デリバリーは大手企業が競って参入しており、巨大な市場ですが、レストラン業界はそれよりもはるかに大きく、8000億ドル(約88兆3816億円)もの規模があります。そして、その購買の90%は未だにオフラインで行われています」と、行列に並び、注文し、購入して帰る多くの人々のことを指していう。「この購買方法は匿名性が高く、今まさに崩壊の危機に瀕しています。私たちは、その大きなブルーオーシャンに注目しています」。

そのやり方は、ターゲットとなるユーザーに効果を発揮しているようだ。タンは、このサービスを開始した市場では、学生への浸透率が80%に達しているという。平均的な顧客は月に4.5回注文し、中には毎日注文する顧客もいるという。「UberEatsのようなデリバリープラットフォームの5倍から10倍のエンゲージメントがあることが実際にわかります」。

同社のコミッションは7%からとなっており、現在はオンライン注文、セルフサービスキオスク、デジタルメニュー、マーケティングサービス、顧客紹介プログラムなどを提供している。すでに(特定の市場で)利益を上げているが、今後の成長に合わせて(他の購買層にも拡大するかもしれない)、これらすべてを追加・拡張していくことが考えられる。

Snackpassには、Snapchatを彷彿とさせる何かがある。それは、名前の響きが似ているということだけではなく、どちらも大学生のユーザーに支持されているということだけでもない(そして、どちらも彼らを正面切ってターゲットにしているということだけでもない)。それは、このアプリの少し変わっている点であり、そして他の方法では面倒だと感じたり、平凡だと感じたり、基本的には年配の人がすることだと思われることを、いかに軽いタッチで行うかということなのだ。

今のところ、SnackpassにはSNSとしての「ユーザー数グラフ」それ自体はなく、特定のSNSアプリとも深く連携していないが、SnapやFacebookのような企業が商売に大きく関与していることを考えれば、将来的にはパートナーシップを結ぶことも考えられる。

クラフトベンチャーズのパートナーであるBryan Rosenblatt(ブライアン・ローゼンブラット)はこう語る。「Snackpassは、共有された報酬、プレゼント、SNSのアクティビティフィードを通じて食を中心としたソーシャルな体験を構築することで、ダイナミックで魅力的なレストラン注文システムを作り上げました。その市場の成長と製品の口コミによる人気は、Snackpassの優れたチームとビジョンと相まって、消費者と企業の両方にとって究極のソリューションとなっています。今回の資金調達により、Snackpassを次のレベルに引き上げるお手伝いができることをうれしく思います」。

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:Dragonfly)