ソニー、ゲームをストリーミングするPlayStation Nowと動画の配信サービスをCESで発表

ソニーが大がかかりにクラウド化している。今日(米国時間1/6)、ソニーは、コンテンツをさまざまなデバイスから横断的に利用できるクラウド・ベースの新しいサービスを2つCESで発表した。PlayStation Nowはゲームをストリーミング配信するネットワークだ。またこれと別にライブとオンデマンドでビデオをストリーミングするサービスも準備されている。

どうやらソニーはクラウド・サービスにプロダクトを集中していく戦略のようだ。

PlayStation Now は、ソニーが2012年に3億8000万ドルで買収したカリフォルニアのゲーム配信サービスのスタートアップ、Gaikaiの新しい名前だ。Sony Computer Entertainmentの社長、グループCEOのAndrew Houseによれば、「このプラットフォームを通じてPS3、PS2の古いゲームをVita、スマートフォン、タブレット、Bravia TVなどに配信する。ユーザーはお気に入りのPS3ゲームを居間の大画面のBraviaでプレイできるようようになる」とのことだ。PlayStation Nowは1月末にベータ版テストが開始され、この夏に正式公開となる。

ソニーが発表したもうひとつのクラウド・サービスは(しばらく前から噂が流れていた) 動画のテレビへのストリーミング配信だ。Houseは「ライブ番組とオンデマンドの双方がサポートされる」と述べただけで詳細はほとんど明らかにされなかった。われわれはソニーにさらに問い合わせを行った。今のところ分かっているのはサービスのスタートがこの夏になるという点だけだ。

ソニーのクラウド化は時代を先取りした動きとはいえないが、それでも重要だ。Houseによればアメリカだけで7000万台のソニー製デバイスが使われているという。そのうち2500万台がPlayStation3で、すでにテレビのストリーミング・サービスとしては最多のデバイスとなっている。コンテンツのプロバイダとしてはNetflixが最大だ。ここで自身が巨大なコンテンツ・ホルダーであるソニーが直接ストリーミング配信に乗り出すのは自然な成り行きだ。Microsoftなど他のゲーム機メーカーに対して競争力を高める効果があるはずだ。

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Googleのクラウドプラットホームが課金APIを提供, デベロッパが費用モニタツールを自作できる

クラウドを使うと複雑なアプリケーションでも比較的簡単に動かせるようになるが、でもその費用を細かく把握するのが困難になる。今日(米国時間12/23)Googleは、同社のクラウドプラットホーム上でアプリケーションを動かしている場合の費用を比較的容易にモニタし分析できる方法の提供を開始した。

今でもデベロッパやユーザは、Google Cloud Consoleで費用とその内訳を見ることができる。それは十分に使えるツールだけどでも、経費をもっと細かく節約するために費用モニタツールを自作したくなったらどうするか? 今回登場したBilling APIを使えば、デベロッパが自分で作ったダッシュボードやツールの中で、これまでかかった費用や今後の額の推計などを見ることができるのだ。

ただしそれは、リアルタイムのデータではない。一日に一度、情報がJSONやCSVのファイルでGoogle Cloud Storageのバケットに保存され、そこへ、Cloud Storage APIやGoogleが提供しているコマンドラインツールからアクセスできる。

AmazonのAWSでも、同様の方法で課金データを取得できる。AWSのAccount Billing APIはAmazonのストレージサービスS3のストレージに課金データのCSVファイルを保存し、デベロッパはそのファイルにアクセスする。

もちろん、課金データと内訳を日々チェックしたいというニーズは前からある。Cloudabilityなどのツールは、Amazon AWSなどの課金の仕組みがややこしいことを、自分たちの商機にしようとしている(AWSでアプリケーションを動かしている人にだれでもいいから、課金の詳細を理解しているか聞いてみよう)。GoogleやAmazon自身が近日中に、そういう便利なサービスを提供することは考えにくいから、デベロッパとしてはサードパーティのサービスを利用するか、あるいはAWS/Google CloudのAPIを使ってツールを自作するか、どっちかの方法しかない。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Googleドライブのスプレッドシートがメジャー・アップデート―オフライン編集と柔軟なフィルタ表示機能が追加

今日(米国時間12/11)、GoogleはGoogleドライブの生産性アプリのひとつ、スプレッドシートのメジャー・アップデートを公開した。 このバージョンアップで表計算も他のGoogle生産性アプリと同様、オフラインで編集が可能になった。この機能は多数のユーザーが長年にわたってGoogleに要望してきたものだ。

Google文書あるいはスライドをオフラインで利用してきたユーザーは表計算のオフライン機能にも即座にアクセスできる。そうでない場合は、この説明に従うこと〔日本語〕。他のGoogleのオフライン・アプリと同様、オフライン時にユーザーが行った編集は次にユーザーがオンラインになったときに自動的にGoogleドライブに同期される。

今日のアップデートでは、スプレッドシートでの共同作業を容易にする機能も追加された。これまであるユーザーが表のビューを変更すると全員に同じビューが表示された。しかしあるユーザーは共有を続けながら別のビュー(フィルター)でデータを見たいという場合がある。新しいバージョンのフィルター機能を利用するとユーザーごとに他のユーザーに影響を与えないカスタム・ビューが作成できる。

Googleによれば、これに以外にもパフォーマンスの大幅な改善が行われ、大きく複雑なシートを処理する場合にははっきり体感できるほど速くなっているという。実際、これまで課せられていた最大データサイズの制限の多くが取り除かれている。

これ以外にもインライン・ヘルプが実装され、ヘルプセンターの回答ページへのリンクが表示され、関数の入力を始めると候補と簡単な説明がドロップダウンメニューで表示されるなど小さな改良がいくつか行われた。

この数週間、MicrosoftはGoogleのChromebookを攻撃するネガティブキャンペーンを続けており、その中で「オフライン編集機能がない」ことを挙げている。今日のアップデートがあったからといってMicrosoftが“Scroogled”キャンペーンを止めることはないだろうが、その攻撃力が著しく削がれたのは確かだ。

〔日本版〕今回のアップデートでもっとも影響が大きい点はオフライン機能とフィルタ表示だ。オフライン機能については上の記事にあるとおりだが、フィルタ表示について簡単に補足しておく。

従来のフィルタは表の実データを操作するため、共同作業者全員の表示が変更され、またフィルタの使用後もソート結果などはそのまま残った。それに対して新しいフィルタ表示ではユーザー別に一時的にフィルタが適用されるが、実データには影響しない。フィルタ表示を終了するとデータは元の状態に戻る。

たとえば販売データを管理している場合であれば、商品を売上高の順にソートして売れ筋を分析し、作業が終わったら元に戻すなどの利用ができる。またフィルタ表示に名前を付けて保存し、繰り返し利用したり、コピーして派生的なフィルタを表示を作成したりできる。

詳しくは、Google公式日本語ブログによる解説を参照

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ブランド商品を販売するEvernote Market、月次売上全体の30%を占めるまでに成長

EvernoteのCEOであるPhil Libinが、パリで行われているLeWebで壇上に立った。Libin曰く、フリーミアムのEvernoteで100万ドルの売り上げを達成するには16ヵ月を要した。それがEvernote Businessは5ヵ月でこの金額を達成し、そして9月に開設したEvernote Marketは、なんと1ヵ月で100万ドルを達成したのだそうだ。

Evernote Marketでは、ポストイットやEvernoteブランドのソックスやバックパックなど幅広く提供している。売れ行きは順調で、在庫の維持に苦労しているほどだという。Libin曰く、Evernote Marketは単なる派生的ブランドショップとしての扱いなのではなく、あくまでもEvernoteビジネスの中核を為すものと位置付けているのだとのこと。今のところのベストセラーはバックパック、Scansnap Evernote Scanner、Jot Script Stylusなどで、これらを併せてEvernote Marketの売り上げ中30%を占めているとのこと。また、Evernote Market全体では、Evernoteの月次売上の30%を占めるまでになっている。

Evernote Marketがスタートするまでは、プレミアムの売り上げが89%で、Evernote Businessが11%となっていた。現在はそれぞれの割合が61%および9%となっている。

現在のEvernoteの状況は、それぞれのビジネスプランがお互いをサポートしあっているという状況であるようだ。実は、Evernote Market利用者の11%はEvernoteの利用者ではないらしい。Evernote Marketの製品を見て、単純に商品を気に入ってバックパックなどを購入しているということのようだ。またEvernote Marketの売り上げの51%は、Evernoteの無料版利用者からのものであるそうだ(Market利用者でも、Evernote無料版の利用者が最大になっている)。投資家の中には、有料版にアップグレードしない利用者ばかりを多く抱えていることを問題視する人もいたが、どうやら無料利用者を抱えることの意味というのもわかりやすく提示できたとLibinは考えているようだ。すなわちEvernoteの無料利用者が、今やEvernoteの行うビジネスの中で非常に重要な顧客として振る舞い始めているわけだ。

毎度出てくるEvernoteの公開話では、Libinはやはり「急ぐつもりはない」と回答していた。IPOには、まだ数年はかかるとみているようだ。ただ、利用者がEvernoteを信頼して膨大な情報を預けてくれるような状況の中、その信頼に応えて会社を公開することの意味は大きいとも考えているそうだ。

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(翻訳:Maeda, H


Amazonの新しいデスクトップ・クラウド・コンピューティング、WorkSpacesがiPadにやって来た

Amazonが最近リリースしたAmazon WorkSpacesはVMware的なバーチャル・デスクトップ・サービスだが、このほどiOSプラットフォームに対応し、iPadから利用できるようになった。

現在WorkSpaceの限定プレビュー版にアクセスできるユーザーは新しいアプリを利用してiPadを一種のクラウドデスクトップに変えることができる。文書の編集、ウェブアプリの利用、社内メールの送受信など多くの日常業務がWindowsのUIを通じて実行できる。

この多機能デスクトップ・クラウド・コンピューティング・サービスは11月のre:Inventカンファレンスで発表された。ターゲットは企業ユーザーで、IT部門がデスクトップのカスタマイズし、ノートパソコン、Androidタブレット、Kindle Fire、iPadなどのデバイスから社内資源へのアクセスも管理できる。

他方、AWSはユーザーのためにコンピューティングのインフラとOSを提供し、ネットワークの設定と運営を管理を行う。サービスにはバーチャル・マシン、クラウドストレージ、ActiveDirectoryの統合、ユーザー認証などが含まれる。ハードウェアやストレージに障害が発生した場合でも一切ユーザーを煩わせることなく自動的に復旧が行われる。ユーザーはWindowsOSサーバ互換であればローカルに持つディスク・イメージをAWS上に移して稼働させることも可能だ。

AndroidベースのAmazon WorkSpacesアプリはAmazonのAppstore(Google Playストアではない)ですでに公開されている。iPad versionがリリースされたのは昨夜(米国時間12/3)だが、大きなPRは行われなかった。

例によって料金には競争力がある。実際、上級副社長のAndy Jassyは11月のre:Inventで「Workspacesは既存のプロバイダーが提供するオンプレミスのバーチャル・デスクトップ・ソリューションに比べて半額ですむ」と述べている。

標準パッケージはCPUが1つ、50GBのストレージが提供され1ユーザー当たり月額35ドルだ。パフォーマンス・パッケージは1ユーザー月額60ドルでCPUが2つと100GBが提供される。Amazonの既存のユーザーがWorkspacesにアップグレードする場合は15ドルのライセンス料がかかる。またMicrosoftOffice、Trend Microのアンチウィールスなどの追加アプリを利用するユーザー向けにStandard Plus、PerformancePlusというオプションが用意されている。

Workspacesはまだ限定評価版として公開されており、ユーザーは評価版の利用をAmazonに申し込み、招待を受ける必要がある。ただし申込者の全員がすぐに招待を受けられるわけではない。順番待ちのリストの登録され、空きができた時点で招待が送られてくるという仕組みだ。

Amazon自身は最近Kindle Fireに企業向け機能をいろいろ追加して企業向けにも売り込みを図っているものの、WorkSpacesのiPad版を待望していたユーザーは多かったはずだ。なにせAppleによればFortune500の企業の94%、Global 500の企業の85%がiPadを利用ないしテストしているという。

iPad向けWorkSpacesアプリはこちらから。.

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GoogleのCompute Engineが一般公開へ: インスタンス料金下げ, 16コアインスタンス登場, Dockerをサポート

Googleが今日(米国時間12/2)、2012年の夏にローンチしたクラウドコンピューティングプラットホームGoogle Compute Engineの一般公開を発表した。今日の一般公開とあわせて、1)新しいオペレーティングシステムのサポートと、2)標準インスタンスの10%値下げ、3)大量の計算力を必要とするアプリケーションのための16コアインスタンス、そして4)新しいロゴも発表された。

Googleには、検索エンジンをはじめとする各種自社サービスを動かすための巨大なインフラがあり、Compute Engineはその力を外部にも利用させるためのクラウドプラットホームである。これには同社の24/7のサポートが提供され、そのSLAでは99.95%のアップタイムが約束されている。

標準インスタンスの10%値下げに加えて、パーシステントディスクストレージの料金は60%値下げされ、それらのI/O課金も“あなたのブロックストレージデバイスが予定の範囲内の低料金に収まるように”値下げされる。同社の最大のパーシステントディスクボリュームは、そのI/Oの能力がこれまでの700%に向上した。

これまでCompute Engineは、DebianCentOSを、Googleが独自にカスタマイズしビルドしたカーネルによりサポートしていたが、今日からデベロッパは、SELinuxCoreOSをはじめ、任意のLinuxディストリビューションを使える。CoreOSはY Combinator出身のスタートアップが作った、Googleのクラウドインフラストラクチャの構造や振る舞いを真似るOSである。そのほか、SUSE、FreeBSD、Red Hat Enterprise Linuxなどの公式サポートも発表されている(Red Hat ELのサポートの現状は制限つきプレビューの段階だ)。

今回のアップデートの一貫として、好評な仮想アプリケーションコンテナDockerのサポートが提供される〔関連記事〕。Dockerがあると、デベロッパはアプリケーションのビルドやテストを自分のラップトップで行って、本格展開のためにはこのコンテナをサーバに載せるだけでよい。Dockerは先月より、オープンソースのプロジェクトとして提供されている。

Dockerは、CoreOSとの相性も良い。これは、Cloudkickを作ってその後Rackspaceに売ったAlex Polviが始めたプロジェクトで、CoreOSはDockerと一体的にパッケージされているから、アプリケーションをいろんなサービス間で移動するのも簡単だ。クラウドサービスを利用するデベロッパも、単一のベンダにロックインされずにすむのである。

Compute Engineが提供する最大のインスタンスタイプは、これまで8コアだったが、これからは三種類の16コアインスタンスタイプが提供される。Googleは、“大規模高密度LSIのシミュレーションや、大規模なNoSQLデータベースの運用などに利用していただきたい”、と言っている。

インスタンスタイプの多様性ではまだAmazonにはかなわないが、今日のローンチにより最大コアタイプでは並んだことになるので、そのほかの条件次第ではAmazonのEC2プラットホームからの移行も期待できるかもしれない。ただし、グラフィクス集約的なアプリケーションのためにAmazonがごく最近導入したGPUインスタンスは、まだGoogle Compute Engineにはない。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


IDrive、Facebookに投稿したデータ、およびタグ付けされているデータをバックアップ可能に

世の中に数多く存在するオンラインバックアップサービスと同様に、IDriveも、ローカルディスクのデータをクラウドにバックアップすることをサービスの主な目的としてきていた。しかしそれに加えて、新しいサービスの提供も開始している。対象範囲をより広く、そして深くしたものと言えるだろうか。すなわち、Facebookに保管されている写真やビデオもバックアップできるようになっているのだ。

ちなみに、バックアップできるのは自分で投稿した写真およびビデオだけではない。友だちの写真にタグ付けされているような場合、これもバックアップすることができるのだ。友だちが頻繁にFacebook上での関係を見直すたちで、写真のタグを外したり、あるいはunfriendしたような場合(登録した写真を削除したような場合も)、その写真はもはや決して見ることができないものとなってしまっていた。バックアップしておけば、こうしたケースでも写真を失ってしまうこともなくなるわけだ。

IDriveによれば、Facebookは写真やビデオの保管および共有場所として、ますます重要な地位を占めるようになってきている。

IDriveの利用者であれば、こうしてメディアストレージとしての役割を増しつつあるFacebookのデータを自身で管理できるようになる(無料の5GBプランのユーザーも利用可)。Facebookデータのバックアップが完了すれば、バックアップした写真やビデオはブラウザやiOSアプリケーションから閲覧することができるようになる。ちなみにAndroidアプリケーションも「coming soon」なのだそうだ。またデータはすべてIDriveがいうところの「NSA-proof private key option」にて自動的に暗号化される。

よくご存じの方も多いだろうと思うが、Facebookデータのバックアップ機能を提供しているのはIDriveのみではない。Facebookに登録したデータをまとめてダウンロードできるサービスもいくつかリリースされている。またOwnBackupBackupifyなどは、IDrive同様にFacebookデータのバックアップを行うことができるようになっている。こうしたサービスは、Facebook以外のオンラインサービスからもデータをダウンロードできるようにしていくのだろう。各社のサービス展開を見守っていきたい。

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(翻訳:Maeda, H


マネーフォワードがクラウド会計に参入、専門知識不要の自動入力サービス

日本には2000万人超の確定申告者がいると言われているが、申告手続きはいまだ面倒な手書きが中心。法人の会計業務も手作業が多く、専門的な会計知識が求められる。マネーフォワードが29日に公開したクラウド会計サービス「マネーフォワード For BUSINESS」は、確定申告や会計業務の手作業を極力減らして自動的に入力することで、会計知識が不十分な人でも使えるというサービスである。(先日開催したTechCrunch Tokyo 2013のスタートアップバトルで初披露し、PR TIMES賞を獲得している。)

そもそもマネーフォワードは、銀行やクレジットカードなどの複数口座を一括で管理し、入出金情報を自動入力してくれる家計簿・資産管理サービス「マネーフォワード」を提供するスタートアップだ。同サービスは入出金情報を「食費」「日用品」「交通費」といった項目に自動分類、自分で入力する手間を大幅に省略してくれるのが特徴。家計簿に挫折したり、日ごろ忙しくて家計簿が付けられなかった人に多く使われているのだという(関連記事:“挫折しない”家計簿サービス「マネーフォワード」が5億円調達)。

マネーフォワード For BUSINESSは、既存サービスと同様に1300以上の金融機関から自動で明細を取得。専門的な会計知識が求められる仕訳は、入出金データの文言をもとに自動で実行してくれる。勘定科目が間違っている場合は、プルダウンメニューから正しいものを選べば修正できる。請求書作成や自動消し込みにも対応している。経営状況を把握するツールとしては、キャッシュフローや収益費用の内訳をグラフでレポートする機能がある。マネーフォワードで利用していた入出金データも引き継げる。

会計知識が不十分な人でも簡単に使えるように――。こうした考えのもとに開発したマネーフォワード For BUSINESSでは、難解な会計用語を平易な言葉に置き換えている。一例としては、「仕訳を切る」を「取り引きを登録する」と言い換えたり、「消費税の経理方式」といった取っ付きにくい用語はポップアップ画面で解説するとともに、「税込を選択すると会計業務がよりシンプルになります」といったアドバイスまでしている。

競合となるプロダクトとしては、パッケージソフトで大きなシェアを占めている弥生の「弥生会計」や「青色申告」、同じクラウド会計サービスとしては、2012年のTechCrunch Tokyoのスタートアップバトルでデビューした「freee」がある。

パッケージ型会計ソフトの多くはMacに非対応なので、会計ソフトのためだけにWindowsを購入する人もいるようだが、マネーフォワードはブラウザ経由で使うためOSや端末を問わずに利用できるのが強み。とはいえ、クラウド会計サービスは日本でも始まったばかりとあって、即座に会計ソフトのユーザーを取り込むのではなく、当面は新たに創業したり、既存のソフトに不満を持っていたり、青色申告をする個人をターゲットとするようだ。

サービス開始1年後の目標としては、1万5000ユーザー獲得を掲げている。2014年1月まではベータ版として無償提供し、正式版移行後は個人は月額980円、法人は月額1980円で提供する予定だ。正式版リリースに向けて、決算書類の作成機能や消費税変更への対応も進めていく。


データといえばExcelばっかしの企業に朗報, Host Analyticsが高度なクラウドアプリケーションへの変換をサービス

Host Analyticsがローンチした新しいプラットホームは、これを利用すると、Excelなどのスプレッドシートの形で大量のデータを保有するユーザ企業が、データの取り出しとか加工などの作業がいっさい不要で、スプレッドシートそのままの形でデータをほかの目的やほかのアプリケーションで使えるようにする。

この新しいプラットホームはAirliftXLと呼ばれ、その内部では同社がApplication Transformation Engine(ATE, アプリケーション変換エンジン)とよぶソフトウェアが仕事をする。ATEは、スプレッドシートの複雑なデータを解析して、その公式やフォーマットやデータ構造などをユーザが捕捉してそれらを再利用できるようにする。またデータをそうやって変換する時に起きるエラーを、予防する機能もある。

たとえば顧客企業は、このクラウドサービスを利用してスプレッドシートのデータを、まずAirliftXLのテンプレートとして保存する。次に顧客はそのテンプレートを、元のスプレッドシートのフォーマットを失うことなく、利用できる。Craigslistの競合企業であるOLXは、AirliftXLを使ってExcelのデータから同社の国際展開のための予算計画書のプロトタイプを作っている。そしてOLXは、そのプロトタイプをHost AnalyticsのEPM(Enterprise project management, 企業のプロジェクト管理)スイートに投じて、全社的な会計財務管理業務を一点集中型で行っている(ExcelからEPMへのアプリケーション変換)。

クラウドサービスには柔軟性があるので、Host Analyticsではモデルのアップデートや変更も、ユーザ自身がプログラマを必要とせずにできる。従来、経理や財務の人たちは、Excelからの原始データをほかのアプリケーションで利用しようとして、データの喪失などの問題に悩まされてきた。また、ほかのアプリケーションとの統合を社内でやろうとすると、手作業の部分が多くなり、費用も期間も大きかった。これに対しAirliftXLはExcelのモデルを抽象化することによって、顧客がExcel上で築いてきた公式やフォーマットをそのまま生かそうとする。

Hosted Analyticsのユーザは医療法人が多く、彼らはこのサービスを利用して雑多な報告文書を統合化し、タイミング良く財務情報や経営情報を得ている。今後はAirliftXLを使って(事後報告文書だけでなく)Excelによる企画~計画文書も統合化して、財務計画づくりに活用することも、彼らは考えている。

Host Analyticsは2001年に創業されたが、Excelデータの再利用というサービスは、OracleやSAPといった強敵がいる市場だ。

またHost Analyticsのようなサービスにとっては、モバイル対応化も大きな課題だ。将来的にこれらのサービスは、タブレットを使って…主に外回りで…仕事をしている社員たちのニーズに応える形に、変わらなければならない。一方では、経理、財務、営業日報などの世界は今後も依然としてスプレッドシートを使いつづけるだろう。タブレットではなく、パソコンやラップトップの上で。したがって両社の連携を図るこのようなサービスのニーズは、これからも大きい。

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Google、「ビジネスオーナー向けプレイス」に全ウェブ上からレビューを収集、表示するダッシュボードを無料提供

Googleは、ローカル・ビジネスのオーナーがウェブ上の自分のビジネスについてのカスタマー・レビューを簡単にまとめて読めるサービスをスタートさせた。最近アップデートされたPlaces for Business〔日本語版「ビジネスオーナー向けプレイスに登録して認証を受けたオーナーのプロフィールページには新しくレビューのセクションが設けられた。そこに顧客のオンライン・レビューが一括表示され、返信もできるようになっている。簡単なアナリティクス機能も提供されており、ビジネス・オーナーはレビュー数の推移などを追跡できる。

このサービスはGoogleのさまざまなサービスから関連するレビューを収集してくるだけでなく、ウェブ全体も検索nの対象とする。オンラインでの自社の評判を網羅的に知ることができるツールだ。われわれはレビュー検索の対象としているサービスやサイトの全リストを提供するようGoogleに要請しているので、回答がありしだいフォローアップする。

当然ながら、Googleは自社サービスの結果を優先して表示するが、それでもお菓子屋や自転車ショップなどのスモール・ビジネスが無料で手軽にウェブ上の全レビューに目を通すことができるのは便利だ。

比較的規模の小さい企業向けにオンライン・レビューのモニタをするサービスはGoogle以外にもReviewTrackersBazaarifyなどいくつかある。こうした専門サービスの機能はもっと豊富だが実際に利用しているスモール・ビジネスの数はそれほど多くない。しかしGoogleの無料サービスとなればそうとう普及しそうだ。

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Amazon、次世代Kindle Paperwhiteを開発中―300ppiの高解像度、フォントも改良されて来年第2四半期に登場か

TechCrunchが得た情報によると、Amazonは次世代Kindle Paperwhiteを来年の第2四半期早々にリリースすべく準備中だ。バージョンアップの目玉は300ppiの高精細度スクリーンの装備だ。これでやっとKoboのようなライバルとスペックで並ぶことがでできる。

新Paperwhiteのハードウェアは解像度のアップの他にもいくつか改良点がある。われわれが見たプロトタイプは画面が従来のようにベゼル部分から引っ込んでおらず、平になった。また画面自体もプラスティックではなくある種のマット・ガラスのような材質に変更されている。このガラス化にもかかわらず、新モデルは現行製品より軽くなっているらしい。

現行のAmazon Kindle Paperwhiteの画面解像度は212ppiで、KoboのE Ink製Aura HD. と比較すると見劣りがした。E InkはAmazonとKoboの双方にPearl E Inkを供給しているが、265ppiのAura HDはKoboに最初に供給した。Amazonはこれに不快感を示していたということだ。

Ice Wineというコードネームを与えられた新しい300ppiディスプレイはKoboの上級モデルの解像度を追い抜くことになる。ソフトウェアについては特に大きな変更はないらしい。しかし解像度の改良に応じて画面への表示量は増やされることになるのだろう。

またKindleのヘビーユーザーにとって嬉しいニュースは、AmazonがKindle用に読みやすいカスタム・フォントを準備していることだ。フォントの品質は長年にわたってKindleの弱点だった。前回のアップデートでいくつかのフォントが追加されたが、劇的な改良というほどではなかった。Kindleを前提に開発された新フォントは重要な改良になりそうだ。またAmazonは文章の右端にぶざまな空白ができるのを防ぐよう、ハイフネーションの導入に取り組んでいる。ただし次回のアップデートに間に合うかどうかは明らかでない。

デバイスの側面には従来のトグルタイプのボタンに代わって、押し込んだ位置で固定されるオンボタンが新設されるという情報だ。これだと手触りでオン/オフが分かるので便利だろう。ボタンにページめくり機能が与えられればいちいち画面のページ送り領域にタッチしにいかないでもすむ。

背面の筐体は現在のKindle Fire HDXタブレットに似たデザインになる。今より角ばってエッジが立った感じだ。現在のKindle Fireシリーズと同様、背面にパワースイッチのボタンが設けられる。

また環境光センサーが装備されて読者の周囲の照明条件に応じてスクリーンの輝度を自動的に調節する。システムが明暗に順応する速度は通常に人間の視覚が明暗に順応するのとほぼ同じ速度で、ひかく的ゆっくりしている。

といってもまだ発売まで数ヶ月あるので、これらの特徴も変更され、また新たな機能が追加されることはあり得る。この他に、われわれが以前報じたとおり、Amazonはスマートフォンの開発を続けている。廉価版とカメラをトータルで6個も備えたハイエンド機の2モデルが存在するという。

なおAmazonの広報担当者はこれらの情報に関するコメントを避けた。

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シンガポール発のスタートアップ「Dropmysite」の技術をロリポップが採用

ここ2、3年、シンガポールでは元気のいいスタートアップ企業が出てきているというけれど、そんな企業の1つ、Dropmysiteが日本のホスティング事業者やキャリアと技術提携をして日本市場へ参入しようとしている。DropmysiteはWebサイトやDB、メールボックスのバックアップをクラウドで提供するサービスだ。2011年にシンガポールで設立されて以来、シンガポールのほか、日本、インド、米国などで71万ユーザーを数えるサービスに成長している。

Dropmysiteが提供するのはWeb・DBのバックアップを行う「Dropmysite」とメールボックスのバックアップを行う「Dropmyemail」の2つ。すでにGMOクラウドと1月に業務資本提携を結んでいて、Dropmyemailのほうは日本市場での提供開始済みだが、これに続き、年末に向けてpaperboy&co.の低価格レンタルサーバのロリポップ!でDropmysiteの採用が決まったことを18日に発表した。

ポイントは使い方が異様に簡単なこと。DropmysiteやDropmyemailのサイト上でアカウントを作成して、サーバのID/パスワードを入力すれば、定期バックアップや世代バックアップをAWS上にAES256で暗号化のうえ保存してくれるというサービスだ。AWSの東京、シンガポール、北米、アイルランド、インドなど6箇所でフェイルオーバーの構成を組んでサービスを提供しているという。Dropmysiteは容量課金なのでドメインを追加していけば、バックアップ対象のサーバはいくつでも追加できる。容量10GB、30GB、60GBで、それぞれ月額166円、416円、750円などとなっている。メールに関しては添付ファイルだけを一覧表示にしたり、形式別にソート表示するなど付加機能もある。

大手企業や技術系スタートアップは違うだろうけれど、いわゆるSMB市場ではサーバ管理は結構やっかいな問題だ。バックアップソリューションは掃いて捨てるるほどあるし、サーバやDBを冗長構成にするだとか、クラウドのストレージに定期的にバックアップを取るスクリプトを書くといったことは、スキルの高い管理者不在の中小企業では難しい。Dropmysiteは、こうした市場をターゲットにしたサービスで、Dropmysiteのカントリーマネージャーを務める篠原豊氏によれば、ロリポップが抱える36万サーバの利用層と重なるため提携に至ったのだという。現在、Dropmysiteとロリポップの統合はほぼ終わっており、年末にかけてロリポップではワンクリックでDropmysiteが利用できるようになるそうだ(メニュー名としてDropmysiteのブランド名は使わないのでOEMのような形態だ)。価格は200〜300円で、ストレージ容量は無制限を予定しているという。

最初からクラウドのサーバやメールサービスを使えばという気もするが、日本ではレンタルサーバが安いため、GmailなどWebメールの普及が進んでいないという事情がある。GoDaddyなど米国のレンタルサーバがメール利用についてはアカウント数に応じた課金をしている一方、日本のレンタルサーバは容量課金だったりする。月額1500円程度のレンタルサーバで事実上無制限のアカウントが使えることから、1アカウント当たり月額300〜800円といったWebメールへの移行が進んでいない。日本の中小企業ではWebサーバもメールサーバも1台で済ませているケースが多く、Dropmysite、Dropmyemailはこうした市場に応えるソリューションという。DropmysiteのCEOであるCharif El-Ansari氏によれば、Dropmysiteは日本でパートナー企業との提携交渉を進めているほか、今はモバイル端末のSMSやバックアップ「Dropmymobile」というサービスの開発を進めているそうだ。


AmazonのAWS re:Invent会場周辺でIBMとRackspaceが大型バスや女の子集団で(むなしい)対抗キャンペーン

Amazon Web Services(AWS)は競合他社にとってますます難攻不落の強敵になりつつある。今週行われたAWSのデベロッパカンファレンスre:Inventで、IBMやRackspaceも会場周辺で存在を誇示していたが、それらを見てもAWSとの落差の大きさをあらためて痛感してしまう。

先週IBMは、AWSよりも優れていると主張する広告で叩かれた。その広告はIBMを哀れっぽく見せ、むしろAmazonを一層有利にしたようだ。Amazonは、競争者をけなすことよりも、顧客に奉仕することが重要、と反撃したのだ。

今朝(米国時間11/13)の総合セッションではAmazonのSVP Andy Jassyが、IBMがラスベガスの通りを走らせた、車体に派手な広告を描いたバスを笑いながら批判し、IBMは顧客を馬鹿にしている、と言った。バスの車体のその広告は、古めかしくてわざとらしいマーケティングのスタイルを表している。

Rackspaceもやはり、自社に不利なことをやっている。同社は、デベロッパがAWSのカンファレンスへ行かないようにしたいので、AWS re:Inventの会場となったラスベガスのVenetian Hotelの外に、ショートパンツ姿の女の子たちをたくさん立たせて、同じくラスベガスのTreasure Island HotelのバーGilley’sで行われたRackspaceのパーティーの招待状を配らせた。

同社も、AWSの後塵を拝している。デベロッパたちが魅力を感じる部分がない。しかしRackspaceのクラウドサービスは、ひまがありすぎて、もっとワークロードが必要だ。そのためにはデベロッパをもっとたくさん集めてアプリケーションを作ってもらう必要がある。だからAWSのカンファレンスが行われているときに数万ドルを投じてパーティーを開き、ビールと安っぽいおつまみ料理をプログラマたちに大盤振る舞いするのが当然である、と同社は考えたのだ。

“ぜひいらしてください”、女の子の一人に声をかけられた。“お料理も飲み物も無料ですから、すてきなパーティーですよ”。

Rackspace的ブロマンス(bromance)*は、ほとんど品(ひん)がないし、IBMのお粗末な広告キャンペーンも効果があったとはとても思えない。要するに、今や、AWSとこれら二社との差が、あまりにも大きすぎるのだ。両社のおかしなマーケティングスタイルは、ますますその差を際立たせる。AWSのカンファレンスの会場周辺でうろつくために投じるお金は、真摯な差別化のために使うべきだろう。〔*: bromance, 男性同士の性行為を伴わない(ゲイではない)仲良し関係。日本語解説(1)(2)(3)。〕

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


もうサードパーティのストリーミングサービスは要らない, AWSがGPUインスタンスにより自前でサービスを提供

ラスベガスで行われているAmazonのデベロッパカンファレンスre:Inventで今日(米国時間11/13)、モバイルデベロッパ向けの新しいサービスが発表された。そのサービス、Amazon AppStreamは、同社が最近ローンチしたEC2のGPUインスタンスを利用して、ストリーミング機能を必要とするアプリケーションのデベロッパが、どんなモバイルデバイスに対しても簡単にHDでストリーミングできる、というサービスだ。このインスタンスタイプはもっぱらモバイルデベロッパ向けに売り込みされているが、でもデスクトップアプリケーションがこのサービスを使えない理由はない。

現状は制限付きのプレビューなので、利用したいデベロッパはここで登録する。

Amazonによると、この新しいサービスによりデベロッパは、“再現性の高い、リッチなグラフィクスを要するアプリケーションを多様なデバイスの上で動かせるようになり、しかもそのアプリケーションは始動が速く、AWSクラウド上のコンピューティング/ストレージリソースのすべてにアクセスできる”。

ストリーミングには、Amazonが開発した新しいプロトコルAmazon STXが使われる。それによりデベロッパは、複雑な3Dゲームの対話的なHDビデオから、彼らのアプリケーションの計算集約的な部分に至るまで、あらゆるものを、クラウドからストリーミングできる。EC2のg2インスタンス(GPUインスタンス)を使えば、デベロッパはグラフィクスのすべてをクラウドでレンダー(render, 描画処理)できる。

AppStreamを使用するアプリケーションは、デバイスのセンサをすべて利用でき、それらのデータをクラウドへ送れる。

Amazon Web Services担当SVPのAndy Jassyが今日のキーノートで述べたところによると、この新サービスが提供されることによってデベロッパは、これまでモバイルデバイスでは利用の困難だったリソース(高品質なストリーミング+使いやすいAPI)に容易にアクセスできるようになる。モバイルは、デバイスが小さいので重要な処理はどうしてもクラウドに依存することになる。今人気の高いモバイルアプリの多くが、すでにモバイルの上で(とりわけAWSの上で)動いている。というわけで同社の主張によると、“アプリケーションの可利用性はそれが利用されるエンドユーザデバイスの性能…コンピューティングパワー、ストレージ、グラフィクスのレンダリング能力…に制約されない”、ということになる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Jeff BezosはAWSがAmazonの最大のビジネスになると見ている

今日(米国時間11/13)の記者会見でAmazon Web ServicesのSVP Andy Jassy が、同社CEOでファウンダのJeff Bezosは、AWSがAmazonの最大のビジネスになるかもしれないと思っている、と述べた。

Amazonの2012年度の売上は610億ドルと報告されている。AWS単独の売上は公表されていないが、ほぼ35億ドルで急速に成長中、というのが世間の定説だ。

Amazonのビジネスの土台はeコマースで、それは今でも同社のメインの事業だ。しかし安価なコンピューティングとストレージへの需要は着実に増加を続けており、アプリケーション開発はいよいよ盛況、スマートフォンなどの大衆的普及によりインターネット人口も増える一方だ。

Bezosは以前、AWSはリテイルビジネスと肩を並べるビッグビジネスになるかも、と言ったが、今回はリテイルをすら抜くと言った。彼の展望の中では、クラウドビジネスへの確信が固い、ということだ。

Jassyの言葉をそのまま引用しよう:

JeffはAWSビジネスの現状に大きな喜びを感じており、長期的にはAWSがAmazonの最大のビジネスになるかもしれない、と考えている。Amazonの経営スタッフの全員が、そう考えているといっても、過言ではない。

Gartner Researchの調査結果などによると、AWSはパブリッククラウド市場における圧倒的なダントツである。AWSの売上は、二位以下の14社をすべて合わせた額よりも大きい。

彼の見解は楽観的すぎるかも知れないが、IT市場全体の規模はとても大きい。それは1兆ドルのビジネスであり、それが今大挙してクラウドへ移行しつつある。AWSがその1/10弱のシェアを握っただけでも、今のAmazonの全売上より大きいのだ。Bezosはつねに、根拠のない発言はしない。

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Amazon、新しいバーチャルデスクトップサービス、WorkSpacesをスタート―「料金はライバルの半額」

Amazonは今日(米国時間11/13)開催されたAWS re:Inventカンファレンスで Amazon WorkSpacesという新しいバーチャル・デスクトップ・サービスを発表した。Amazonによれば、従来の同種のサービスに比べて料金は半額だという。

このサービスは本日から利用可能で、デスクトップ、ノートパソコン、スマートフォン、タブレットその他あらゆるデバイスからアクセス可能で、すべてのデバイスで同期する。ユーザーはたとえばノートパソコンでセッションを閉じた後スマートフォンでセッションを開いてシームレスに作業を続けることができる。バーチャル・デスクトップは本質的にはWindows Serverだが、UIはWindows 7的に改造してある。

上級副社長のAndy Jassyによれば、Amazon WorkSpacesは従来のオンプレミスの有料バーチャル・デスクトップ・サービスに比べて半額程度の負担ですむという。

料金体系は2種類ある。標準パッケージではバーチャルCPU x 1と50GBのストレージが提供される。パフォーマンス・パッケージはバーチャ CPUx 2と100GBのストレージとなる。標準パッケージは1ユーザーあたり月額35ドル、パフォーマンス・パッケージは1ユーザー当たり月額60ドルとなる。AWSの既存のユーザーがバーチャル・デスクトップに移行を希望する場合は15ドルのライセンス料がかかる。

下の表は、ユーザー1000人の場合、オン・プレミスのバーチャル・デスクトップ環境の運用経費とAmazon Workspaceを利用した場合の経費を比較したものだ。Workspaceの場合ハードウェア、ソフトウェアのコストはゼロ、利用料金とバーチャル・デスクトップの管理経費のみがかかるという計算で、約6割の経費削減が可能になるとしている。

イベントのキーノートでJassyは「これまでのバーチャル・デスクトップはアプリケーションの開発や複雑なシステムを運用する管理者向けが主だった。しかし今後は外出中もオンラインで作業を続ける必要がある何百万というホワイトカラー労働者に対してコンピューティングのインフラを提供するサービスとななっていくだろう」と述べた。

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Dropboxのユーザーが2億人―新しいビジネス・クライアントを発表してエンタープライズ市場に本格参入へ

今日(米国時間11/13)、DropboxのCEO、Drew Houstonはユーザー数が7月の1億7500万から2億にまで増加したことを明らかにした。またユーザー個人のプライベートなファイルと業務で使用するファイルを単一のインタフェースか利用できるDropbox For Businessという新サービスを発表した。

新プロダクトはDropboxが個人ユーザー向けの便利なツールであるだけでなく、共有範囲の制限やモニタ機能など強固なセキュリティーを提供することによって本格的なエンタープライズ・サービスであることをアピールするものだ。Dropboxにはすでに400万のビジネス・ユーザーがおり、Fortune500の大企業の97%がユーザーであるという。

今回のプレス発表はビジネス・ユーザー志向だったが、前回のイベントはデベロッパー向けのプロダクトのリリースが中心だった。この際、2012年の11月に1億人だったユーザーが1億7500万に増加したことを発表した。このイベントでローンチされたDatastore APIはアプリのデベロッパーがメタデータ(ゲームのユーザーがクリアしたステージの数など)をクラウドに保存することを可能にした。またサードパーティーのアプリがユーザーのDropboxファイルにアクセスできるようにするDrop-Ins APIも発表された。

業務とプライベートの使い分けが面倒だった

Houstonは今日のイベントでDropboxをスタートさせるきっかけとなった出来事を語った。ある日、Houstonバスの中で仕事をしようとしてUSBドライブを忘れてきたことに気づいた。そこでUSBドライブを持ち歩くのを忘れないようにしたり、バックアップのためにファイルのコピーを取ったりする作業がいかに多いかに気づいたという

続いてHoustonはファッション企業のBCBGのCIO、Nader Karimiを壇上に呼び出し、Dropboxなしにデータを管理するのがいかに難しいかを説明させた。Karimiは法的文書を確実に共有するためにDropboxを利用する方法について詳しく語った。

Houstonは続いて、個人的な文書と業務上の文書を同一のユーザーが管理する場合のわずわらしさについて述べた。当初Dropboxではそういう場合には簡単にアカウントを切り替える機能を提供すればよいと考えていた。しかしアカウントの切り替えに15秒かかるとすれば、2億人のユーザーが1回アカウントを切り替えるだけで1000年分の時間がサーバー上で消費されてしまう。

「これまではユーザーは個人ユースのDropboxと業務ユースのDropboxを使い分けていた。これは馬鹿げている。一つのクライアントでどちらも処理できるようにするべきだ。しかしそうするにはDropboxを事実上、一から作り直す必要があった。しかし考えてみれば、われわれのところには世界的にトップクラスの人材がいる。それならやらせてみようじゃないか。そして今日、まったく新しいDropboxfor Businessを発表することできて大いに興奮している。われわれはすべてを作り直した」とHoustonは述べた。

Dropbox For Business

この新しいDropbox For Businessのユーザー・クライアントは来年早々に公開予定だ。現在すでに企業の早期予約を受け付けている。料金については5ユーザーあたり年間795ドル、追加1ユーザーごとに年間125ドルという現行体系を変更するという発表はなかった。

Dropbox For Businessを利用すると、ユーザーはプライベートなファイルのタブと業務用のファイルのタブを同じウィンドウで見ることができる。ユーザーがビジネス・アカウントとプライベートで使う個人アカウントを持っている場合、この新しいクライアントを使ってそれらを統合することができる。HoustonとCTOのArashFerdowsiはブログ記事で「いってみれば職場の鍵と家の鍵を同じキーリングにつけて持ち歩けるようになったわけだ」と説明している。

新しい通知バーはプライベートと業務の両方のアラート受け取るようにも、一方だけを選んで受け取るようにも設定できる。モバイル版のビジネス版Dropboxもウェブ版と一貫性を保つようアップデートされた。デベロッパー向けにはChooserとSaver APIが新設され、サードパーティー・アプリ内から両方のカテゴリーのファイルにアクセスができるようになっている。

また今回のアップデートではCIOとIT部門がDropboxの利用を厳密に管理できる能力が追加された。新しい共有監査ログを利用すると管理者はどのファイルを誰がいつ誰と共有したかを詳細にモニタできる。セキュリティ上の必要に応じて、特定のファイルの共有範囲を制限したり禁止したりできる。また従業員が個人のプライベートなファイルに会社のコンピュータからアクセスするのを禁止することもできる。

さらにもうひとつ管理機能にアカウント移動ツールが加わった。このAccount Transferを利用すると、社員が退職したり別組織に異動した場合に簡単にアクセスを取り消すことができる。また管理者は後任の社員を選んで、前任者のすべてのファイルを託すこともできる。 Remote Wipeはデバイスが盗難にあったり社員が退職したりした場合にデバイス上のデータを確実に消去する。

現在のDropboxに欠けているのは他のサービスで提供されているような共同作業のためのツールだが、モバイルおよびビジネス・プロダクトの責任者のIlyaFushmanは「われわれはまさにその点をロードマップに載せている」として現在対応中であると述べた。

Dropboxのエンタープライズ版のライバルはMicrosoft、Google、Boxなどだが、今日はAmazonが新しいWorkSpacesというバーチャル・デスクトップで新たに参入してきた。これまでDropboxには消費者向けプロダクトというイメージが強かった。しかし今日のDropbox For Businessの発表で、セキュリティーや共有範囲の厳密なコントロールなどエンタープライズ利用に必須の機能が整備された。

エンタープライズ・クラウド市場における主導権争いはますます興味深くなったといえるだろう。

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Gmailの受信トレイにGoogleドライブが統合―添付ファイルを直接ドライブに保存できるようになった

今日(米国時間11/12)、Gmailがさらにアップデートされ、メールとGoogleドライブの連携がまた一歩進められた。今後はいちいちメールの添付ファイルをダウンロードしてからドライブにアップロードするというステップを踏む必要がない。添付ファイルを表示すると同時に受信トレイの中から直接Googleドライブにファイルを保存することが可能になった。

Googleは昨日、受信トレイでメールを開かずに直接YouTubeを視聴したりできる“Quick Actionsボタンを追加したばかりだ。今日のドライブとの統合も狙いたはメール処理のスピードアップだろう。

この機能はユーザーに順次公開されている。機能が有効になると受信したメールに添付ファイルがある場合、メールの末尾に画像、動画、MS Office文書、PDF、表計算シートなど、そのサムネールが表示される。サムネールをクリックすると全画面モードで画像としてプレビューできる。

その後Googleドライブ・ボタンを押してGoogleドライブに保存すれば、いちいちローカルにダウンロードする必要なしに閲覧、編集などが自由にできる。保存の際にはフォルダも選択できる。ローカルに保存したい場合は、矢印ボタンをクリックすれば従来通りダウンロードができる。

今回のGmailとドライブの連携は、メール処理のスピードアップと同時にドライブの利用を促進しDropboxやBoxのようなライバルに対抗するのが当面の目的だろうが、同時にデスクトップのソフトウェアをウェブベースのOSであるChromeOSに一元化するというのがGoogleの長期的な目標に違いない。

またデスクトップ・ソフトウェアをモバイル体験に近づけることも目的の一つだ。現在、モバイル・アプリでメールの添付ファイルを表示、保存するためのステップはデスクトップ版より少ない。【中略】

Googleによれば、このアップデートは当初デスクトップ版のみサポートし、来週中に順次公開されるという。今回Googleは初めてGoogleドライブのアクティブ・ユーザー数を1億2000万人と明かした。Dropboxには1億7500万人の登録ユーザー(アクティブユーザーではない)がありAppleのiCloudは3億2500万SkyDriveには2億5000万、Boxには2000万以上のアカウントがあるという。これでみるとGoogleドライブはアクティブユーザー数としては世界最大か最大にごく近いものと思われる。

サードパーティーのデベロッパー

標準的な添付ファイルの処理に加えて、サードパーティーのデベロッパー向けのGoogle Drive SDKには、独自アプリとGoogleドライブを連携するためのさまざまなツールがサポートされており、Gmail添付ファイルをアプリと連携して利用するにようできる。

Gmailの新しいプレビュー機能を利用するとGmailのメッセージには添付ファイルの関連アプリの候補が表示され、開くアプリを選択できる。ユーザーが望むアプリが表示されない場合も、受信トレイ内から新たなアプリへの関連づけを行える。

詳細はGoogle Developersブログを参照のこと。

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日本とアジアで急成長中のBitcasa、1100万ドルを調達〔CEOが本日TechCrunch Disrupt  Tokyoで講演〕

2011年のTechCrunch Disruptで最優秀賞最終候補に選ばれてデビューを飾ったクラウドストレージのBitcasaが日本を始めアジア地域で急成長している。

この嬉しい驚きに対応すべく、同社は700万ドルと予定されていたシリーズAラウンドを急遽1100万ドルに増額して調達した。このラウンドはHorizons VenturesPelion Venture Partnersがリードした。

この国際市場での成功は新任のCEO、CEO、Brian Taptichにとっても思いがけないものだった。TaptichがBitcasaのCEOに任命されたのはこの9月だ。Tapitchは私の取材に対して「われわれの容量無制限のクラウドストレージという特長がインターネットとモバイルのインフラの整備が進んだ地域のユーザーに受け入れられたのだと思う。Bitcasaは多様なコンテンツが複数のデバイスで共有され、そのユーザーが常にオンライン接続できるような環境に特に適している」と話した。

またTapitchは、「Bitcasaはクライアント側でブロック単位の暗号化を行うため、セキュリティーのレベルが高い。最近のNSAスキャンダルのためにユーザーのセキュリティーに関する意識が高まっていることも追い風になっているかもしれない」と付け加えた。Taptichは現在のユーザー数については明らかにしなかったが、ユーザーは順調に拡大しており、デベロッパー向けにAPIを公開することによってプラットフォームとして整備していく予定だと話した。

今回調達した資金は、国際展開に加えてプロダクト開発の強化にも当てられる。Taptichは「Bitcasaをユーザーがやりたいと思うことをすべて可能にするプラットフォームに育てたい。しかし現在はドキュメントの共有と共同作業に関する機能が未整備だ」と述べた。Bitcasaはこのギャップを早急に埋めていく計画のようだ。またサポートするデバイスをさらに拡充していくものと思われる。

〔日本版〕BitcasaのCEO、Brian Taptich氏は今日午前10時35分からTechCrunch Disrupt Tokyoで講演予定。

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BitNamiのパッケージングスタックに開発環境としてのMongoDBが加わる–AWSベースのサービスのスケール要求に対応

メジャーなソフトウェアのローカルな使用環境や開発環境をセットアップしてくれるインストーラ/パッケージャサービスBitNamiのサポートソフトに、MongoDBの開発環境が加わった。このMongoDBスタックによりデベロッパは、人気の高いNoSQLデータベースの上でスケーラビリティに富むWebアプリケーションを構築できるようになる。そのスタックは来週から可利用になり、デベロッパは、オンプレミスやAmazon Web Services(AWS)、Windows Azureなどにおけるアプリケーションの展開と管理ができる。

このY Combinator出身スタートアップの新しいスタックにはNode.jsが統合され、ローカルな開発のためのネイティブのインストーラや仮想マシン、あるいはAmazonやWindows Azureなどクラウドコンピューティングプラットホームのためのクラウドテンプレートとして、BitNamiのアプリストアから無料で入手できる。そのパッケージには、以下のものが含まれ、これらは“MEAN”〔普通の, 平均的の〕スタックとも呼ばれる:

• MongoDB
• Node.js
• WebサーバApache
• Git
• PHP (オプション)
• RockMongo (オプション)
• AngularJS
• Express
• PHPとNode.js用Mongoドライバ

これらふつうの成分以外に、MongoDBスタックにはそのほかのプログラミング言語を加えることもできる。COOのErica Bresciaは今日のSkypeインタビューで、たとえばRuby on Railsを使っている顧客はBitNamiのPythonスタックとMongoDBスタックをインストールしたりするだろう、と述べた。

同社自身のクラウドホスティングサービスもあり、それはAmazonの上で動き、クラウド内のアプリケーションを管理するための、自動バックアップ、内蔵モニタリングなどの機能がある。

さらに来週は、DreamFactoryと共に新しいライブラリをローンチする。DreamFactoryは、オープンソースのモバイルバックエンドプラットホームだ。

2012年にBitNamiはAWSの重要なパートナーとなり、新たなマーケットプレースのローンチで協力した。今BitNamiのスタックは80種あり、アプリケーションデベロッパがそのマーケットプレースでサービスとしてオペレートするために必要な部位を提供している。AWS MarketplaceでBitNamiが提供しているスタックは、WordPress、Drupalなど数ダースのアプリケーションで、利用時間に対して課金している。

さきほどのBresciaによると、Amazon Web Servicesへ展開されているBitNamiのアプリケーションは2012年で前年比98%増え、2013年には160%の増加が予想される。AWSの上でアプリケーションが使われる時間は、1億時間を超えると予測されている。

BitNamiが最近、アプリケーションの開発や管理に関わるおよそ3600名を対象に調査をしたところ、当然のような結果が得られた。多くの人がパブリッククラウドを利用しており、とくに小企業の方が大企業よりもクラウドアプリケーションを使う傾向がある。

その調査の結果でいちばん意外だったのは、AWSの次に多く使われているクラウド展開で、AWSに次ぐ二位はプライベートクラウドの27%、その次がGoogle Compute Engineの16%、Microsoft AzureとVMware Cloudが共に11%となった。Rackspaceは8%だった。とくに意外なのは、GoogleがAzureよりも好結果であることだ。一般にクラウドウォッチャーたちは、クラウドサービスとしてはAzureの方が強い、Googleの成長は鈍足、と思っていたはずなのだ。

Webとモバイルの到来により、アプリケーションのマーケットプレースが各所で栄えているが、BitNamiもその多くのプロバイダの一つだ。ほかにたとえばAppDirectはデベロッパに、同プラットホームを使っているリセラーパートナーへの接続チャネルを提供している。同社のモデルでは、デベロッパは技術を売っているパートナーにAPIの利用で結びつく。そこでサービスの重要なエンドポイントは、アイデンティティとプロビジョニングと課金である。同社は最近900万ドルを調達し、Cloud Foundryとパートナー、そしてStanding Cloudを買収した。後者は、クラウドサービスで使うアプリケーションをパッケージして、それらのアプリケーションの展開と管理に伴う複雑性を緩和する(その面倒を肩代わりする)。…というとBitNamiのサービスとそっくりであり、どちらも、今アプリケーションのマーケットプレースが、成長市場に向けてサービスを開発し売っていくためのプラットホームになりつつあることを示す典型的な例だ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))