ジョージ・フロイド氏殺害事件への拡大する抗議活動と組織的差別に対するハイテク業界の対応

5月25日、ミネアポリス警察によってGeorge Floyd(ジョージ・フロイド)氏が殺害されたのを機に米国全土で抗議行動が始まってから5月31日で4日目を迎えた。この運動は、同様の運命にさらされている信じられないほどの数の米国の黒人が直面してきた広範におよぶ、また組織的な不平等への反応だ。「息ができない」という必死のあえぎ声は、6年前のEric Garner(エリック・ガーナー)氏の死を思い起こさせる。

この週末は暴力が吹き荒れ、写真や動画には、血まみれの抗議者、傍観者、この状況を伝えようと使命感に駆られたジャナーリストの姿が映し出された。ひとつの事件が人々の最大の関心事になるのは、新型コロナウイルス(COVID-19)による死者数が世界最大という遙かに深刻な状況に置かれた今の米国では難しいことだが、ミネアポリス、ニューヨーク、ワシントンD.C.、ロサンゼルス、シカゴ、さらにその他に地域に大きく広がったこの抗議活動は、すでに深い溝で分断されたこの国の最大の関心事として扱われる運命にある。

こうした社会問題に対する態度に波風を立てることに慣れていないハイテク企業とそのCEOは、腫れ物に触るようなこの話題を、どこまで重大に捉えるかを秤にかけ始めている。社会問題への取り組みを公にした経験を持つApple(アップル)のCEOであるTim Cook(ティム・クック)氏は、彼の会社は多様性から力を得ていると話していた。彼はまた従業員に対して、今こそ耳を傾けるときだと伝えている。

今は多くの人が、何よりも平常に戻ることを、つまり不公正から目を背けていさえすれば快適な現状維持への回帰を願っています。認めたくはないでしょうが、その願望自体が特権意識の表れです。ジョージ・フロイド氏の死は、「平常」な未来よりもさらにずっと上を目指さなければならないことを、そして、平等と公正の最上級の理想に従って生きてゆく未来を構築しなければならないことを、衝撃的で悲惨な形で私たちに示しています。

クック氏は、Equal Justice Initiative(イコール・ジャスティス・イニシアティブ)を始めとする非営利団体への不特定の寄付を行う予定だと話している。さらに6月には、従業員からの寄付金は、すべて倍額にして収めるという。

一方、Twitter(ツイッター)は、企業のロゴを黒と白のバージョンに切り替え、「Black lives Matter」(黒人の命も大切)というハッシュタグをプロフィールに追加した。多様性を訴えるTwitterアカウント「Twitter Together」は、以下の声明を発表した(もちろんTwitterで)。

差別は社会的距離とは違う。パンデミックで恐れと不安が増大している最中ですが、今週は、おそらくそれよりも大きな話題が、またしても注目を集めました。非白人が日常的に直面している根深い人種差別と不平等の問題です。

Amazon(アマゾン)もまたTwitterを通じて次の声明を出した。

私たちの国の、黒人に対する不平等と野蛮な扱いは止めなければなりません。私たちは黒人コミュニティー(私たちの従業員、顧客、パートナー)と連携して、組織的な人種差別と不平等に立ち向かいます。

Amazon Web Services(アマゾン・ウェブ・サービス、AWS)のCEOであるAndy Jassy(アンディ・ジャシー)氏は自身のアカウントでこうツイートした。

こうした黒人の不当な殺害の容認を止めるには、「何が」必要なのでしょう。どれだけの人が死ねば、どれだけの世代が耐えれば、どれだけの目撃動画があれば事足りるのか? 裁判所や政治家の対応よりも優れたものが私たちには必要です。

アマゾンには、偽善だとする多くの非難がすぐさま寄せられた。数々の問題の中には、長年にわたる従業員の扱いに対する苦情や、警察で使用されているAWSの顔認証などの技術がある。

ACLU(アメリカ自由人権協会)の反応は露骨だ。

結構なツイートだ。警察の横暴を強力に後押ししている顔認証監視技術の販売を止めるか?

アマゾンは、同協会からのこの最新の質問は取り合わない構えのようだ。

マーク・ザッカーバーグ:先週の悲劇は、この国が、尊厳ある生活を送る自由をすべての人に与えられるようになるのは、まだ遠い先のことだと私たちに再認識させた。

Facebook(フェイスブック)の反応も複雑なものだった。従業員は、「略奪が始まれば銃撃が始まる」というトランプ大統領のツイートを残しTwitterと袂を分かつ決断をしたCEOのマーク・ザッカーバーグ氏の判断に怒りの声を露わにしている(CNBC記事)。しかし最近になってザッカーバーグCEOは、1000万ドル(約10億7000万円)を関連非営利団体に寄付し、投稿で次のように述べた。

この戦いを支援するために、Facebookはそのプラットフォームを通じて黒人コミュニティーの平等と安全をもたらすために、さらに努力すべきだと考えています。見るに忍びないものでしたが、ジョージ・フロイドさん殺害の動画Facebookに投稿してくれたDarnella Frazier(ダーネラ・フレイザー)さんに感謝します。これは、すべての人が見るべきものだからです。ジョージ・フロイドの名前を私たちは記憶しなければなりません。同時に、人々の安全を保ち、私たちのシステムが偏見を助長しないよう努力を重ねることもFacebookの勤めであることを明確にしておきます。

Microsoft(マイクロソフト)のCEO、Satya Nadella(サティア・ナデラ)氏は、LinkedIn(リンクトイン)への投稿で、ミネアポリスの事件と、バードウォッチャーのChristian Cooper(クリスチャン・クーパー)氏と警察がセントラルパークで揉めた先日の事件について簡単に触れている。

私たちのアイデンティティーが、私たちの存在そのものが、この星のすべての人の力の源になっています。そのため私たちには、私たちのプラットフォーム、私たちのリソースを使って組織的な変化を推進させる義務があると思いませんか? これは本当に難しい課題です。ひとつの事件に留まる話ではありません。絶対的に変えなければならない問題に通じる、あらゆる物事が対象です。

また、Snap(スナップ)のCEOであるEvan Spiegel(エバン・スピーゲル)氏は5月31日、従業員に向けた長い書簡(The Information記事)を発表した。そこにはこう書かれている。

もちろん、あらゆる人の自由、平等、公正を支持した建国の父たちは、ほとんどが奴隷を使っていました。その強化版として、人民により人民のために作られた国は、偏見と不公正と人種差別に立脚しています。この腐った基礎を立て直そうとせず、またすべての人に機会を与えられずにいる問題への対処も怠っている私たちは、人類が進歩する本当の可能性を封じ込めています。そしていつも、すべての人の自由と平等と公正をもたらすという大胆な展望に追いつけずにいるのです。

スピーゲル氏の書簡は、「実に大変に恵まれた若い白人の教育のある男性」である自身との葛藤と、不平等への金銭的な対処法の提案に焦点を当てている。特に彼は、超党派の「Commission on Truth, Reconciliation and Reparations」(真実、和解、償い委員会)の設立と、住居、医療、教育への投資を呼び掛けている。

画像クレジット:Jason Whitman/NurPhoto / Getty Images

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(翻訳:金井哲夫)

Twitterは偽情報ラベルの適用拡大を検討、トランプ大統領の発言にも適用されるのか

トランプ大統領は、著名ユーザーたちから流れ出た偽情報でまたしてもTwitterに喧嘩を売ってきた。

このところトランプ大統領は、Lori Klausutis(ロリ・クラウスティス)氏の死にまつわる陰謀説をツイートしまくっている。クラウスティス氏は、2001年に元下院議員のJoe Scarborough(ジョー・スカーボロ)氏がフロリダのオフィスで死んでいるのが発見された。検察医の報告によると、このおぞましい死亡事件は、本人も知らなかった心臓疾患が原因であると結論付けられた。スカーボロ氏は政治評論家であり、MSNBCの「Morning Joe(モーニング・ジョー)」というテレビ番組の司会者を務めているが、トランプ批判で知られ頻繁に大統領の怒りを買っている。

医学的な評価も、彼女の死に何らかの凶悪な行為が関わっていたことを示唆する証拠がひとつもないことも、最近になってこの事件を蒸し返すツイートを続けるトランプ大統領の歯止めにはなっていない。

「フロリダで起きた異常者ジョー・スカーボロのコールドケースは、いつ開かれるのか?」と、トランプ大統領は5月の中旬にツイートした。その1週間後、トランプは「法医学の天才を起用して追求し続けろ!」と昔の迷宮入り事件に関して支持者を焚きつけた。

ドナルド・J・トランプ「頭部の打痕? 彼の机の下に遺体が? 直後に議員辞職? フロリダでは大論争の的だ。あいつは変人だ(信用もない)。法医学の天才を起用して追求し続けろ!」

TechCrunchに提供された声明で、Twitterは「これらの発言によりご家族にもたらされる苦痛、世間の注目を浴びることに対して、深く憂慮します」と表明している。

「私たちはこのような問題の発展を防ぐべく、より効果的な対処ができるように、現製品の機能とポリシーの拡張にあたっています。また、そのような変更が迅速に実施できるよう願っています」とTwitterの広報担当者は話している。

製品とポリシーの変更とは何を指しているのか、私たちはTwitterに具体的な返答を求めたところ、同社は「合成または操作されたメディアに関するポリシー」と新型コロナウイルス(COVID-19)関連の偽情報に関するブログ記事を案内してくれた。同社は、偽情報のラベル添付の範囲を、現在のカテゴリーから拡大すると言及している。

木曜日の午後、Twitterはファクトチェックのためのリンクを、郵便投票に関する偽りの主張を含むトランプ大統領の2つのツイートに、密かに追加した。

関連記事:Twitterはトランプ大統領の投票に関する偽りの主張にファクトチェックの警告ラベルを添付(未訳)

Twitterはトランプ大統領による最近のスカーボロ氏疑惑のツイートに対しては、ラベルも警告も添付しない予定だが、ブログでは将来的にこうした事態による被害を軽減するためにラベルを使う可能性が示唆されている。それが、人を犯罪者呼ばわりする根も葉もない言いがかりへのラベル付けを意味するのか、または合衆国大統領のこうした主張へのラベル付けを意味するのかは、直に判明する。

2020年3月にTwitterは、ホワイトハウスのソーシャルメディア担当官であるDan Scavino(ダン・スカビーノ)氏の動画とトランプ大統領のリツイートに、「操作されたメディア」のラベルを添付した。大統領のアカウントに対する処置としては異例だ。民主党大統領候補と目されるJoe Biden(ジョー・バイデン)氏が、トランプの再選を呼びかけているかのような誤解を招く編集が加えられた動画だ。

Twitterが私たちに示したこのブログ記事によれば、同社はすでに「さまざまな種類の根拠のない主張や噂に関連する内容を含むものには必要に応じて」新しいラベルを添付する旨を発表している。

既存のカテゴリー、つまり新型コロナウイルス関連の偽情報や操作されたメディアの範囲に含まれる場合でも、Twitterはこれまで大統領(インターネットで偽情報を連発しているにも関わらず)などの著名人のアカウントへのラベル添付をためらってきた。

Twitterは先日、ツイートを隠し読みたい人がクリックしたときにだけ表示するという警告システムも導入した。そうしたツイートは「人を傷つける恐れ、誤解を招く情報」が含まれるという警告文で隠される。

トランプ大統領が根拠のない陰謀説を蒸し返したことから、若きロリ・クラウスティス氏の残された元夫であるT.J. Klausutis(T・J・クラウスティス)氏は、TwitterのCEOであるJack Doesey(ジャック・ドーシー)氏宛に、大統領のツイートの削除を求める手紙を書いた

その手紙の中でクラウスティス氏はドーシー氏に、夫の務めとして、死後も妻の思い出を大切にしていると語っている。「私のお願いは簡単です。これらのツイートを削除してください」とクラウスティス氏は書いていた。

「私みたいな平凡なユーザーが、そのようなツイートをしたらプラットフォームから罰せられるでしょう。私はただそのツイートを削除して欲しいだけなのです」

関連記事:TwitterとFacebookの新しい新型コロナウイルスポリシーに喧嘩を売る州の封鎖を解除するというトランプの虚偽宣言(未訳)

画像クレジット:Chip Somodevilla

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(翻訳:金井哲夫)

トランプ政権がGEやフィリップスなどに人工呼吸器の製造を新たに指示

救命医療機器の国家備蓄が枯渇寸前の危機的状況の中、米国時間4月2日にトランプ大統領は、国家安全保障の重要な法律を活用し、新たな企業に人工呼吸器の製造を指示することを示唆した。

国内で新型コロナウイルスの蔓延を許した無数の初期対応の誤りを政権が正そうとする中、トランプ大統領が国防生産法(DPA)と呼ばれる法律の適用をためらっていたことは多くの人々を困惑させている。前例のない公衆健康危機は、米国で20万人の命を奪うと予測されている。

「本日私は、国防生産法に基づき、国内製造メーカーが国民の命を救うために必要な人工呼吸器を確実に作るための指令を出した」とトランプ氏が声明で語った。「保健福祉省長官および国土安全保障省長官に対する私の指令は、General Electric(ゼネラル・エレクトリック)、Hill-Rom(ヒル・ロム)、Medtronic(メドトロニック)、ResMed(レスメド)、Royal Philips(ロイヤル フィリップス)、Vyaire Medical(バイエア メディカル)といった国内メーカーが、ウイルスを打ち負かすのに必要な人工呼吸器の製造に必要な物資を確保するために役立つだろう」。

この指令によって、健康福祉省のAlex Azar(アレックス・アザール)長官は「あらゆる行政機関を利用して」製造の取組みを指示できるようになる。

「大統領は、米国の人々や医療従事者がPPE(個人防護具)や薬品など必要なものすべてを確実に入手できるために、DPAを使うつもりだ」とホワイトハウスのピーター・ナヴァロ大統領補佐官が木曜日の説明会で語った。

DPAに署名しながら実際に利用しないという大統領の意図を巡る当初の大きな混乱の後、トランプ氏は方針を転換したとみえ、米国時間3月27日にゼネラルモーターズに同法を適用した。同社は国家の指導がないときから人工呼吸器の製造を開始する意思を発表していた。その変容の二日前、トランプ大統領は、GMと人工呼吸器メーカーのVentec Life Systems(ベンテック・ライフ・システムズ)が最大8000台の人工呼吸器を製造する提携を結ぶことを発表する態勢にあった。その発表は、ホワイトハウスと米連邦緊急事態管理局(FEMA)がこの取組みの10億ドルという金額にたじろいだために中止されたと報じられている

関連記事:Trump orders GM to start ventilator production for COVID-19 amid contract dispute

トランプ大統領は、人工呼吸器、マスクその他医療用品の危機的不足状態について、再三疑問を投げかけていた。「一部で言われている多くの数字は実際よりも大きいのではないかと私は感じている」とトランプ氏が先週にFox NewsのホストであるSean Hannity(ショーン・ハニティー)氏に語った。「私には4万個とか3万個もの人工呼吸器が必要だとは思えない」。トランプ大統領はN95マスクやその他の一般的防護具の全国的不足についても繰り返し疑問を呈し、ニューヨークの医療施設はマスクを紛失したか、盗難を許したのではないかという根拠のない説を示唆した。,

国が今も命に関わる救命用品の不足と戦っている中、政府のDPAに基づく指令は、対象となるあらゆる企業が政府との契約を優先するよう強制することになる。同法はまた、連邦政府が力づくで、サプライチェーンに必要な物資をつくって提供させることも可能にする。この法の力の大部分は、国家的危機の中で物資を動員するために使われているが、指令が遂行されるためには、新たに選ばれたメーカーをトランプ政権が積極的に管理、調整していく必要があるだろう。

トランプ大統領がDPAに基づく指令を出し渋っていたのは、民間企業がホワイトハウスの指示を受けることなく、自力で立ち上がることに全幅の信頼をおいていたからだったのだろう。実際一部の企業はまさにそれを行ったが、新たな製造の取組みは需要を満たすにはほど遠く、流通が解決していないことは間違いない。感染拡大が国中の地域を襲うなか、多くの州は命にかかわる救命用品を持たずに戦っている。ニューヨークで次々と明らかになる深刻な健康危機は、悲惨な近未来の可能性を垣間見せている。

画像クレジット:Hiraman / Getty Images

新型コロナウイルス 関連アップデート

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

トランプ大統領肝入りの新型コロナ検査サイトは1週間経っても見つからず

米国時間3月13日となる先週の金曜日、トランプ大統領はペンス副大統領と、ホワイトハウスのコロナウイルス対策本部のコーディネーターであるDeborah Brix(デボラ・ブリックス)氏とともに、政府のウイルステスト戦略の核となる新しいウェブサイトを近々公開すると発表した。

このウェブサイトは、1700人のGoogle(グーグル)のエンジニアによって作成されると発表され、人々をウイルステストのロケーションに誘導するのを助けるために、「非常に迅速に用意される」はずだった。しかし1週間がたった今、Googleが作成するのかどうかもわからないこのサイトは、どこにも見当たらない。

多くの企業や団体が、新型コロナウイルスの症状をチェックできる基本的な検診ウェブサイトを開設しているが、全国規模のウェブサイトはまだ機能していない。

現存するのは、VerilyによるBay Areaでの比較的小規模なパイロットプロジェクトで、先週政府が約束したプロジェクトには最も近いが、全国規模ではない。我々はVerilyに、同社のサービスがこれまでにウイルステストへとどれだけの人を送ったのかについて、データを求めている。The Guardianは今週に入ってテストサイトを調査したが、ほとんど活動していなかった。

「Googleに感謝したい。同社はウェブサイトの開発を支援している」と、トランプ大統領は3月13日に語った。「過去のウェブサイトとは異なり、ウイルステストが必要かどうかを判断し、身近な場所でのテストを容易にするため、サイトは非常に迅速に作成される。

【中略】

Googleは現在1700人のエンジニアを抱えており、彼らによる進捗は目覚ましい」。

トランプ大統領は今週には「Googleのトップ」であるSundar Pichai(サンダー・ピチャイ)氏に電話をかけ、謝罪したと伝えた。この電話が実際にあったかどうかは確認できておらず、Googleもホワイトハウスも詳細を明らかにすることを望んでいないので、ピチャイ氏へと何を謝罪したのかは不明だ。

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(翻訳:塚本直樹Twitter

トランプ大統領が新型コロナ対策に国防生産法を発動、マスクと人工呼吸器の増産を約束

3月18日、ホワイトハウスの記者会見の冒頭でトランプ大統領は国防生産法を発動したことを確認した。今週に入って新型コロナウイルス(COVID-19)の世界的流行と戦うために大統領はこの法律を用いるべきだとする声が各方面から強くなっていた。

この法律は米国が冷戦の最中だった1950年に制定されたもので、大統領は企業に対し国防のために必要な契約または措置を命じることができる。また必要な生産を可能にするために資産の徴発、労働争議の仲裁、賃金や価格の管理などの広範な権限を大統領に与える。

この法律が発動された理由の一部は、防護マスク、手袋、人工呼吸器など新型コロナウィルスと戦う最前線の医療スタッフが必要とする基本的物資が米国全体で不足しているからだ。記者会見で記者側から指摘があったように、医療施設は数週間前から人工呼吸器が不足し始めており、重大な事態が迫っていると警鐘を鳴らしていた。また今週に入るとマスクに関する状況が悪化していることがたびたび報じられた。使い捨てマスクを再利用したり、マスクを自製したりするなど、リスクの高い間に合わせの手段に頼らざるを得ない医療スタッフが増えているという。

トランプ大統領は次のように述べた。「この法律を発動したのは、まずマスク(の生産)のためだ。信じられないほどの数のマスクが必要とされる。数百万個が発注済だがさらに数百万個が必要だ。まさかこれほど多数のマスクが必要になるとは考えもしなかったが、ともかく数百万個のマスクが緊急に必要なのだ。すぐに発注する。米国には多数の人工呼吸器が必要だ。それは複雑な装置なので(生産は)大変だ。米国には多数の人工呼吸器があるがさらに多数を発注する」。

政府は以前、使用可能な人工呼吸器の数について正確な数値を調べて発表すると述べていた。今回も同じ質問があったが答えは同じだった。しかしマイク・ペンス副大統領は概数を挙げた。副大統領によれば、「1万以上の人工呼吸器が在庫にある」という。この数字は病院や企業内に存在する数を含まない戦略的備蓄だという。

トランプ大統領は、記者団から「連邦政府や州の政治家、専門家から要請が上がったのに国防生産法を発動するまでになぜこれほど時間がかかったのか」と単刀直入に質問された。

大統領は「人工呼吸器が数千台もあると聞けば大変な数に聞こえる。(新型コロナウィルスは)全く予期しなかった問題だ。(人工呼吸器の)台数など政府では誰も考えたこともないし、そんな大きな数字を見たこともない」と答えた。しかし医療専門家はかなり以前から警告を発していた。トランプ大統領がこれは(国防生産法を必要とする)重大な危機だと公に認めるようになったのは最近の変化だ

さらに「米国では数週間前からもっと多くの人工呼吸器が必要だと知っていた」と追求されると トランプ大統領は「それはよく知っていた」と認めたが、「どうなるか様子を見極める必要があった」と弁解した。つまりこういう数字は最悪のシナリオに基づいており、「たいていの場合そうした予想よりも少ない数で済む」とした。しかし、今週に入って、米国のある人工呼吸器メーカーは「生産量を5倍に増やすことは可能だが、そうは求められていない」と述べている。

もちろん国防生産法の発動は、あらゆるハードウェアを製造する米企業に広範囲な影響をもたらす可能性がある。国防生産法は、何であれ国防に必要な物資の生産を優先させるために大統領に非常に幅広い権限を与えるからだ。大統領は新型コロナウイルスとの戦いに有益であると認めれば企業にその生産の優先を命じることができる。当面、国防生産法に基づく命令は人工呼吸器とマスクの増産に絞られるようだ。しかしこの権限は臨時の病院、診療所、またそれらに必要を機器を含め、緊急医療施設を新設することにも拡大できる。

同時にトランプ大統領は新型コロナウィルスの救援活動のために海軍の病院船、マーシーとコンフォートの動員を許可している。マーシーはニューヨークに展開する一方、現在サンディエゴ港に停泊しているコンフォートは必要とされる場所に向かう準備を整えている。双方とも1週間以内に活動開始可能だ。また臨時施設の建設、設置その他の措置の支援のために米陸軍工兵隊が動員できるという。

画像:Alex Wong / Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

ジェフ・ベゾス氏がホワイトハウスと新型コロナ対策で密に連絡

米国時間3月16日のホワイトハウスのブリーフィングで、政権の新型コロナウイルス対策タスクフォースと、CDC(米疾病予防管理センター)からの公衆衛生に関する新しい勧告について、詳細が語られた。その中でトランプ大統領は、ホワイトハウスがAmazon(アマゾン)のCEOJeff Bezos(ジェフ・ベゾス)氏とCOVID-19の流行に関して「毎日」のように連絡をとっているという報道について、報道陣から真偽をたずねられた。

トランプ氏の答えは、それを明確に確認するものではなかったものの、アマゾンの創立者兼最高経営責任者とホワイトハウスが、状況の変化に応じて一定程度協力していることを示すもののように思われた。明確な答えを求めたTechCrunchに対して、アマゾンの広報担当者は、新型コロナウイルスの流行に関して「ジェフ・ベゾスはホワイトハウスと連絡を取り合っています」と明かしている。

「まあ、それは本当だと聞いているよ」と、トランプ氏もブリーフィング中に語っている。「ホントかどうかはわからないが、我々のスタッフがアマゾン、あるいはベゾス氏本人と関わっていると、私は理解しているよ。素晴らしいことじゃないか。我々は多くの人達から多大なサポートを受けているんだ。彼もその1人だと思っているよ」

先週Fox Businessは、ウイルスを封じ込める対策にについて話し合うため、ホワイトハウスは大手IT企業と会合を持つことになるだろうと報じた。その対象としては、Facebook(フェイスッブック)、Google(グーグル)、アマゾン、Twitter(ツイッター)、Apple(アップル)、Microsoft(マイクソフト)が挙げられていた。

ベゾス氏が、どの程度ホワイトハウスと協力し、コロナウイルスのパンデミックに対処するのかは、まだよくわからない。とはいえ、アマゾンとしても世界的なウイルスの流行によって大きな影響を受けていることは確かだ。その証拠にアマゾンは、米国内で10万人の雇用を追加して、倉庫と配送に配備することを模索している。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

米トランプ大統領はNASAの2021年度予算を約3300億円増額提案へ

米国のドナルド・トランプ大統領は、会計年度の2021年に、NASAの予算として256億ドル(約2兆8000億円)を要求するつもりであると、米国時間2月7日にWSJ(ウォール・ストリート・ジャーナル)が報じた。これはNASAの会計年度2020年の予算の226億ドルよりも30億ドル(約3300億円)近い増額となる。この増えた資金の大部分は、新たな有人月面着陸船の開発に充てられると言われる。

これは、この数十年間にNASAの予算について提案された最大の増額となるもの。そして、米国時間2月4日の一般教書演説で表明された、NASAの活動に対するトランプ大統領の新たなコミットメントを反映したものと考えられる。トランプ氏は議会に対して、「アルテミスプログラムに十分な資金を注ぎ込んで、月に到達する次の男性と最初の女性が、アメリカ人の宇宙飛行士になることを確実にする」ことを求めた。

NASAの長官、ジム・ブリデンスティーン(Jim Bridenstine)氏は、2024年までに最初のアメリカ人女性と次のアメリカ人男性を月面に派遣する、という目標を頻繁に繰り返してきた。これは現状のアルテミス(Artemis)計画に沿った目標だ。ブリデンスティーン氏は以前に、2024年までに再び月に到着するのにかかる費用を、200億から300億ドル(約22000億円〜33000億円)の間と見積もっていると表明していた。しかし長官は昨年の暮に、下院歳出小委員会によって、NASAの会見年度2020年の最終段階での16億ドル(約1750億円)の追加予算の要求について糾弾されていた。

WSJはまた、2021年の予算計画の一環として、NASAは月着陸船への入札を募るつもりだと報告している。これは以前の、アルテミス計画用の打ち上げ機に対しての取り組みと同様のもの。NASAは、すでに認定されたベンダーリストにある多くの商業パートナーと協力して、ロボットの無人月着陸船ミッションに取り組んでいる。2021年から、月面に実験装置や物資を届けるためのものだ。

NASAは、アルテミス計画用の有人着陸システムに関して、業界からコメントを募るため、昨年7月に広く告知している。また続く8月にはそれを改定し、20199月には公式な提案の要請を公開した。NASAの宇宙飛行士を乗せる有人着陸船については、2社が選ばれることになっている。NASAによれば、2024年の着陸に向けて1社が着陸機を完成させている間に、もう1社は2025年のミッションの準備をする。そうした賞を競い合う会社としては、ボーイングのような伝統的な会社だけでなく、SpaceXやBlue Originなど、新規参入の会社も含まれているという。

トランプ政権としては米国時間2月10日に予算を提出する予定となっている。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

トランプ大統領は中国とファーウェイについて話すつもりはない

今週大統領執務室で行われた記者会見で、トランプ大統領は、現在米国は過熱する中国との貿易交渉の中でHuawei(ファーウェイ)の話題を切り出すつもりはないと語った。この発言は、トランプ氏が交渉に際して、中国エレクトロニクスの巨人のブラックリスト入りについて話す意思があるらしいという過去の憶測に釘を刺したもの思われる。

「これは国家安全保障に関わる問題だ」とトランプ氏は言った。「ファーウェイは我が国の軍隊、我が国の諜報機関に関わる大きな問題であり、だから我が国はファーウェイと取り引きしない。それで中国に何が起きるかはいずれわかることだが、とにかくファーウェイは現在我々が話をしたい相手ではない」

ファーウェイの米国ブラックリスト入りは、安全保障とスパイ行為との関わりの可能性に端を発したが、制裁措置違反の疑いもある。しかしトランプ氏はこれらの問題を合体させることで超大国同士の貿易戦争の種を作り、新たな米中協定によって輸入禁止が解除されることを匂わせている。

中国の習近平主席との最近の交渉は、ファーウェイに対する制約の緩和を後押しした。もしGoogleをはじめとする米国企業との提携が完全に禁止されれば 壊滅的な結果を招きかねない。トランプ大統領は、この機会を利用して、もし米国企業が中国の部品や製造に依存しなくなれば関税は撤廃する可能性があることをあらためて示唆した。

一連の発言は、トランプ氏が今後中国主席との交渉の席でファーウェイに関して議論することを一時的に拒否すること意味しているようだが、詳細については語っていない。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

「順調な上半期」という発表の裏でファーウェイが語らなかったのは「スマホの伸びゼロ」

米国時間7月30日、Huawei(ファーウェイ)は「順調さ」を強調した上半期報告を発表し、メディアはおおむね受け入れれたようだ。しかしここで語られていない大きな問題がある。第1四半期から第2四半期にかけて同社のスマートフォンの売上の伸びはゼロだったのだ。

テレコム機器とスマートフォンの有力メーカーであるファーウェイは2019年上半期の決算を発表し、米国の制裁措置にもかかわらず、上半期の売上が23.2%増加し、4013億元(583.1億ドル、約6.3兆円)に達したと発表した。 同社の上半期のスマートフォン出荷台数は1億1800万台となり、対前年比24%のアップだった。

なるほど好調な上半期だったといえようが、では四半期単位ではどうなっていたのだろう?ファーウェイは発表していないが、簡単な計算で語られなかった事実を知ることができる。同社は第1四半期に対前年比で収入を39%を伸ばしている。つまり上半期の成績が好調だったのは第1四半期のせいで、第2四半期は足を引っ張っていたことが分かる。

ファーウェイは上半期の売上が前年比23.2%アップしたと言っている。しかしQ1が39%アップだったことを考えれば Q2はそうとう悪かったに違いない。

ファーウェイは第1四半期にスマートフォンを5900万台出荷している。つまり上半期の出荷合計1億1800万台から5900万台を引けば第2四半期の出荷台数も5900万台だったとわかる。テクノロジージャーナリストのAlex Barredo(アレックス・バレード)氏が Twitterで指摘したように、 これまで同社の第2四半期のスマートフォン出荷台数は第1四半期を大きく上回ってきた。

ファーウェイのスマートフォン売上はこれまで第1四半期から第2四半期にかけて大きく伸びていた(平均(32.5%のアップ)。ところがトランプ大統領の制裁発動の後、今年は伸びゼロ。これはすごい効果だ。

中国国内ではファーウェイのスマートフォン売上は伸びている。市場調査会社、Canalysが調べた国内販売のデータでは、第1四半期(2990万台)に対して第2四半期( 3730万台)となっている。しかし国内販売の伸びは国際市場での落ち込みを帳消しにするほどの力がなかったわけだ。実際ファーウェイのファウンダーの任正非(Ren Zhengfei)氏自身、6月に同社の海外市場でのスマートフォン売上は最大40%程度下落する可能性があると予想していた

この打撃が生じた理由は複数ある。制裁によってファーウェイは米国の提携企業が開発したコアテクノロジーから締め出されることになった。例えば、Google(グーグル)はファーウェイに対しAndroidサービスの重要な部分を提供することを停止した。Android OSそのものはオープンソースであり引き続き利用できるが、米国の貿易規則はグーグルがファーウェイにソフトウェアアップデートを提供することを禁じている。

半導体メーカーのARMもファーウェイとの関係を断つことを余儀なくされた。米国による制裁措置の打撃を緩和するためめに、ファーウェイは独自の半導体やスマートフォンOSを開発しているというニュースも流れた(のちに同社はこのOSは産業向けのものだと主張している)。しかしこうした措置が効果を挙げるとしても、だいぶ時間がかかるだろう。

もちろんファーウェイという巨人にとってスマートフォンのような消費者向けプロダクトは事業の一部分に過ぎない。しかし同社のエンタープライズ向け事業もまた攻撃を受けている。米国では価格の安さから小規模な地域キャリアの多くがファーウェイを利用してきた。しかし制裁措置以来、関係を断つ会社が増加している。トランプ政権は西側諸国に対し5Gネットワーク構築にあたって同社の機器を採用しなよう強く働きかけている。

簡単にいえば、米国のブラックリストに載せられ、米企業とビジネス関係を持つことができなくなったことはファーウェイに対して非常な圧迫となっている。ワシントンは一定の猶予期間を設け、一部製品については同社との輸出入の再開を認めたが、すでに大きな打撃が与えられたことは明らかだ。ファウンダーの任氏は先月、「米国の制裁措置はひっくるめて300億ドルの収入の落ち込みをもたらすかもしれない」と述べている。

ファーウェイの会長、 梁華(Liang Hua、写真)氏は本日の声明で「我々は困難な時期を迎えている」と認めたが、同時に「前途が明るいものであることに確信がある。1200億元にのぼる今年のR&D関連投資を含め、我々は予定どおり投資を進める。いくつかの困難を克服し、最悪の時期を後にして、今後は新たな成長段階に入れることに自信を持っている」と述べている。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

米連邦控訴裁、トランプ大統領はTwitterで批判者をブロックできないと判示

トランプ大統領とTwitterにおける批判者の法的闘争が新たな段階に進んだ。大統領のTwitterアカウントに対して批判を投稿していたユーザーをブロックしたことについて、ニューヨークを管轄する連邦控訴裁判所は「大統領はツイートをブロックしてその相手の閲覧を遮断することはできない」と判決した。

これは「大統領の意見あるいは政策に批判的な相手を大統領がブロックすることは合衆国憲法修正第1条に違反する」とした連邦地裁の判断を維持したものだ。 

この判決でBarrington D. Parker判事は以下のように述べた。

公職にある者が公の職務に関連してソーシャルメディアのアカウントを用いて発言した場合、これに対する批判は憲法修正第1条が保障する表現の自由であるから、アカウントの所有者は何人に対してもその閲覧ないし対話を妨げる措置を取ることは許されない。

Twitterのブロック問題は2017年にトランプ大統領のツイートに対して批判的なリプライを投稿した7人がブロックされたことを不当として訴えを起こしたことに端を発している。

簡単にいえば、大統領が公にしたツイートからは何人であれ排除されてはならいというのが裁判所の見解だ。

 

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滑川海彦@Facebook

トランプ大統領が「ソーシャルメディア・サミット」に保守系評論家を招待

保守系NPOのTurning Point USAのファウンダーを務めるCharlie Kirk(チャーリー・カーク)氏と、政治、経済、哲学などのビデオを右翼的視点で制作するNPOのPragerUが、来週のホワイトハウス「ソーシャルメディア・サミット」に招待された。このニュースを報じたThe Washington Postに、7月11日に行われる現代のオンライン環境のチャンスと課題を主題とするイベントのプログラムが一部紹介されている。

トランプ氏が大統領に就任してからニュースをフォローしている人にとっては、驚きではないだろう。ソーシャルメディアは、左翼・右翼のどちらからも多くの批判を浴びているが、中でも保守派の人々は、Google、Facebook、Twitterといった「リベラル寄り」とされる企業にかねてから狙いをつけてきた。

つい昨日トランプ氏は、Fox NewsのTucker Carison(タッカー・カールソン)氏に、これらのサイトは自分に「喧嘩を売っている」と話した。「多くの人々が私をフォローしようとしてもなかなかできないという事実を知っている」と大統領は言った。「多くの人たちが私のところに来て『大統領、フォローするのがすごく大変です。サイトがフォローしにくくしています』と言った。サイトのやり方は間違っているし違法の可能性もある。今、いろいろ調べているところだ」

トランプ氏は自分の主張に関する具体的証拠を示していないが、これはトランプ氏や他の保守派の声に対する「シャドウバン」(特定アカウントを本人にわからないように凍結する)を非難するときと同じパターンだ。先週Twitterは、著名人による「悪質発言」に対して警告を発することを発表した。これはブロックやアカウント凍結ではないが、悪質な発言と「報道価値のある」コンテンツとのバランスを取ろうとする動きだ。多くの人は今回の措置がトランプ氏に向けられたものと考えている。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Twitter CEOのジャック・ドーシーがホワイトハウスでトランプ大統領と会談

Twitterの共同ファウンダーでCEOのジャック・ドーシー氏は反ワクチン活動家と対談したり、ポッドキャストでTwitterの政治的立場を語るなどとかく賛否の議論を起こしてきた。米国時間4月23日、ヒゲ面のCEOはTwitterでいちばん目立つユーザーと対談した。トランプ大統領だ。

ジョー・ローガンのポッドキャストに出たときとは違い、ドーシー氏がホワイトハウスでトランプと会った30分間に何を話し合ったのかは秘密にされている。例によってトランプは会談をツイートしたが、その直前にMotherboardが記事を掲載している。

素晴らしいミーティングだった!午後、ホワイトハウスで@Twitterの@Jackと会った。話題はTwitterというプラットフォームからソーシャルメディア全般まで多岐にわたった。オープンな対話を続けられるものと期待している!

問題の2人が口を開かない限り、正確にどんな話だったかのは謎のままだが、推測はできる。Motherboardの記事によれば、「Twitterにおける公共問題の議論の現状」という件名のTwitterの部内メールが議題の第一だった可能性が高い。

最近Twitterは一部保守派からツイートを検閲していると非難されていた。その証拠は発見されなかったが、トランプ大統領はおそらくこの問題を蒸し返したのだろう。ドーシーCEOは 検閲を行っていないことを再度保証し、今後も多様な意見に耳を傾けていくなどと穏やかな表現で大統領をなだめ具体的な約束には踏み込まなかったのだろうと思われる。

ドーシー氏は大統領の招きを受け入れると決定したことについて部内メモでこう書いている。

大統領と会うことについて強く賛成する意見もあれば、そのような招待を受けるべきでないとする意見もあると思う。しかし私は一国の指導者の意見を聞き、Twitterの方針と理想を説明する機会を逃すべきでないと結論した。

画像:Cole Burston/Bloomberg via Getty Images / Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

シークレットサービスであってもUSBメモリをやみくもにコンピュータに接続してはいけない

米国時間4月8日、Twitterに「シークレットサービスが容疑者の持っていたサムドライブをコンピュータに差し込んだ」というツイートが出回った

これは3月にフロリダにあるトランプ大統領の別荘に侵入しようとした中国国籍の女性、Yujing Zhang容疑者のニュースに関するものだ。この女性は携帯電話4台、ノートパソコン、現金、外付けハードディスクドライブ、隠しカメラの検知器、そしてサムドライブを持っているところをシークレットサービスに逮捕された。

外国政府との関わりが疑われる人物がリゾートに侵入しようとしたという事態の中で、大統領のセキュリティに関する新たな懸念が明らかになった。シークレットサービスがUSBドライブをどう扱ったか。どのような事情があったにせよ、これは大きな問題だ。

マイアミ・ヘラルドは次のように伝えている。

逮捕の当日、Zhang容疑者に事情を聞いたシークレットサービスの特別捜査官、Samuel Ivanovich氏が述べたところによれば、別の捜査官がZhang容疑者の持っていたサムドライブを自分のコンピュータに接続したところ、即座にファイルのインストールが始まった。この種の分析をしているときにかつて遭遇したことのない「きわめて異常な」事態だったという。コンピュータの破壊を防ぐためにこの捜査官はすぐに分析を中止したとIvanovich氏は語っている。分析は継続中だがまだ結論は出ていないと同氏は述べた。

たいしたことではない、と思う人もいるだろうか。しかしUSBメモリは驚くほど簡単に、効果的にマルウェアをインストールすることができるし、コンピュータを破壊することさえできる。2016年にセキュリティ研究者のElie Bursztein氏は、マルウェアがぎっしり詰まったUSBメモリを落としておけば誰かが自分のコンピュータにさしてしまう、これは「効果的な」方法だ、と報告した。接続すればすぐにメモリからマルウェアがインストールされ、その結果感染したデバイスをリモートで監視したり制御したりすることができるようになる。感染をネットワーク中に広げることもできる。コンピュータの内部を物理的に壊してしまうUSBドライブもある。

シークレットサービスの報道官は、デバイスは「スタンドアローン」だったとしているが、詳しくは語っていない。捜査官がなぜパニックになってドライブを「慌てて」引き抜いたのかは依然として不明だ。

セキュリティの専門家はこの問題にすぐに反応した。Rendition Infosecの設立者でNSAのハッカーだったJake Williams氏は、捜査官の行動について「自分のコンピュータを危険にさらし、シークレットサービスのネットワーク全体も危険にさらすおそれがある」と批判している。

「Zhang容疑者が大統領の別荘をターゲットにしていたか、あるいは容疑者が言っていたように本当に招待客だったのかを判断することの難しさが、現場での捜査官の行動に影響を与えたのは確かだろう。シークレットサービスはこうした場面に対処したことがなく、まだ研究中なのだろう」とWilliams氏は述べている。

Williams氏は、疑わしいUSBドライブをフォレンジックに検証するには、ドライブを自動でオペレーティングシステムにマウントしない、孤立しているLinuxベースのコンピュータに接続する方法が最もよいと語っている。

「差し込んだらUSBのフォレンジックイメージを作成して、分析のためにマルウェアを抽出する。マルウェアがLinuxをターゲットにするリスクはごくわずかながらあるが、通常はそういうことはない」とWilliams氏は言う。

Image Credits:Joe Raedle / Getty Images

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(翻訳:Kaori Koyama)

トランプ大統領曰く「自動運転車はクレイジー」、米国運輸省の立場とは正反対

ドナルド・トランプ大統領は自動運転車に懐疑的だ。これは自身の政権、なかでも米国運輸省とは対照的な立場である。

Axiosの最新スクープによると、トランプ大統領は自動運転車革命は「クレイジー」と考えていると非公式に話した。トランプ氏の考えは必ずしも驚きではない。飛行機が複雑になりすぎているという最近のツイートは、彼のラッダイト(技術革新反対者)傾向を示している。

興味深いのは大統領と運輸省の視点の違いだ。

つい先週テキサス州オースチンで行われたSXSWで、運輸省のイレーン・チャオ長官は非伝統的新興輸送技術委員会(NETT)の設立を発表した。新しいテクノロジーの導入を阻害する可能性のある法律や規制の隙間を埋めることを目的とした内部組織で、トンネル、ハイパーループ、自動運転車などによるイノベーションを対象としている。

「新しい技術は複数の輸送手段にまたがるものが増えてきているため、複合的に応用可能な革新技術を見渡す内部委員会を作るよう指示した」とチャオ委員長が声明文で語った。

一方、その他の自動運転車関連法案も、さまざまな検討段階にある。

米国時間3月15日、運輸省の幹線道路交通安全局(NHTSA)は、NuroaおよびGenral Motorsが提出した自動運転車に関する嘆願書が公開レビュー/コメントのための連邦広報掲載まで進んだことを発表した。

平行する両視点はまだ衝突していない。自動運転技術に対するトランプの個人的見解が運輸省の政策に影響を与えているという証拠はない。もちろん与えていないという意味でもない。

自動運転業界は不測の事態に備えて、大衆(そしてトランプ)を徐々に啓蒙しようとしている。 Partners for Automated Vehicle Education (PAVE、自動運転車啓蒙組織)はその一つだ。PAVEは、自動運転車と利害関係にある自動車メーカーおよびIT企業らが資金を出し合って1月に設立された。Audi、Aurora、Cruise、GM、Mobileye、Nvidia、トヨタ、Waymo、Zooxらが参加して、自動運転車の最新技術について情報を広めている。彼らのメッセージは次のとおり。「このテクノロジーは輸送手段を変革し、より安全、より持続可能にすることができる」。

Google傘下のWaymo はAAAとの提携によって、自動運転技術およびその安全性や人々の移動を手助けする可能性を広く伝えていく啓蒙活動も行っている。同プロジェクトは最近、自動運転車開発のメッカとして知られているアリゾナ州およびカリフォルニア州など7つの市場を管轄するAAAの地域組織(AAA NCNU)と提携したことを発表した。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

トランプ大統領がアップルのCEOを「ティム・アップル」と言い間違える

大統領はたくさんの名前を覚えてくてはならない。覚えているのもあれば忘れるのもある。しかし、3月6日開催されたYear of Our Lord 2019でトランプ大統領がApple(アップル)のCEOであるTim Cook(ティム・クック)氏を「Tim Apple」(ティム・アップル)と呼んだことを私たちは決して忘れないだろう。

私はいいネタを探すあまり正気を失っていただけなのかもしれないが、それまでティム・クックとして知られていた会社幹部を「ティム・アップル」と呼ぶことは、なんとも容赦なく善良で純粋な気がする。「素晴らしい人物、素晴らしいスマホ。でもティム・アップル?」。どこから始めたらいいものか。

American Workforce Policy Advisory Boardにクック氏が登場したビデオの1:03:00あたり、メキシコの殺人事件について議論を始める少し前にトランプはティム・アップルを発明する。

「あなたはこの国に多大な投資をしてくれた。心から感謝している、ティム・アップル」とトランプは言った。

Vergeが指摘しているようにトランプはLockheed Martin(ロッキード・マーティン)のCEOを「Marillyn Lockheed」(マーティン・ロッキード)と呼んだことがある(正しくはMarillyn Hewson、マリリン・ヒューソン)。それも結構だがティム・アップルほど善良で純粋ではなかった。

トランプが実際にはティム・アップルの「真の」の素性を知っている証拠として、40:43まで巻き戻すと、彼がAppleのCEOを 「ティム・クック」(彼の旧名)で呼んでいるのがわかる。普通、人の名前を忘れたりちょっと間違えたことをあげつらうことなどけちな了見だ。しかし、ティム・アップルは間違いの範囲を超えている。

もしよければ、ビデオを何度でも繰り返して見てほしい。いくらお勧めしても足りないくらいだ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

国境の壁の必要性を全否定するシンプルな調査結果

[著者:Ken Miller]
Omidyar Networkの技術パートナー。以前はPaypalとIntuitの役員、Squareの顧問を務めた。

目的のためには手段を選ばない人がいるが、それがまったく正当化されないときもある。しかしこの珍妙な世界、つまり今のアメリカの政治的状況下では、手段が目的化してしまうことがある。

この現象の立役者は、あの悪名高き国境の壁だ。トランプ大統領は壁が必要だと強調している。もちろん、民主党は必要ないと言っている。

ここで問われるべきは、国境の壁の最終目的はいったいどこにあるのか? ということだ。その壁は、どのような問題を解決することになっていて、実際にその効果はあるのか? 不法移民に関するトランプ大統領の攻撃的な発言や選挙キャンペーンで繰り返されるスローガンを聞けば、アメリカに流れ込んできた悪質な不法移民、つまりトランプ大統領が呼ぶところの「Bad Hombres」(訳注:悪いやつらといいう意味だが、悪質なメキシコ人を暗示している)によって増大している犯罪や麻薬の問題に対処するために壁を建てなければならない、というのが回答のようだ。

アメリカへの不法侵入は大変に深刻な問題で、行政サービスをストップするに値する危機なのだと私たちは大統領から聞かされてきた。そのおかげで、アメリカの80万世帯がこのチキンレースの政治的なコマに使われている。しかし、アメリカの国境突破を目論む犯罪予備軍による前代未聞の攻撃など、本当にあるのだろうか?

先日、メキシコとの国境に接するテキサス州リオグランデを旅していたとき、大統領は、国境警備隊による逮捕者が、「歴史上経験のない」ほど多くなっていると述べていた。幸いなことに、私たちに付き添ってくれた国境警備隊員は、偶然にも行政サービスの停止による給料未払いの被害者だったのだ、大統領が言っていることはまったく事実と違うと話していた。

米国土安全保障省の実際の逮捕記録を見れば、大統領がいかにいい加減な発言をしているかがわかる。それどころか不法入国による逮捕者数は、ピークに達した2000年の167万人から76パーセントも激減しているのだ。実際、ここ数年の逮捕者は、この50年間で類見ないほど大幅に減っている。

国境警備隊の年間逮捕者数(1970〜2018) グラフの赤いところ:これなら危機と言えるかも。

逮捕者数が激減して1970年のレベルにまで低下した陰には、次のような改革があった。(1)国境警備隊の職員を90年代の6000〜7000人態勢から1万9000人を超える規模に増やした。(2)モバイルまたは固定型の監視技術(レーダー、ドローン、センサー、モバイルおよび固定型カメラ、暗視ゴーグルなど)を導入した「バーチャルフェンス」に資金を投じた。隊員たちはこれで「潮目が変わった」と話している。(3)Scure Fence Act(安全フェンス法)に基づくターゲットを絞った柵の建設。これらの投資は(メキシコの経済が改善されたこともあるが)、狙いどおりの効果をもたらしたと言える。カオス状態だったピーク時から、劇的に逮捕者数を減らせたのだから。

国境警備隊の年間逮捕者数(1970〜2018) 黒い折れ線グラフは国境警備隊の職員の数を示したもの。矢印の時期に国境監視システムの導入、特定箇所の柵の建設が実施されている。

だが、逮捕者が減ったということは、それだけ不法移民が国境をすり抜けたことだとは解釈できないだろうか? 逮捕者が減ったことが、すなわち不法移民の「侵入」が減ったことを意味するのはなぜか? まあそれは、直感と、米税関国境警備局(CBP)が我々にそう言ったからなのだが。CBPのウェブサイト(国土安全保障省の一部)にはこう書かれている。「感覚的に納得がいかないかも知れませが、逮捕者数の増加は、入国を阻止する物理的または認識可能な障害物がほとんどないアメリカの国境が、制御不能の状態になっていることを意味します。逮捕者数が多いことは、アメリカでの違法行為の抑止力が低下していることと見なされます」

国境警備隊員1人あたりの年間逮捕者数を調べると、さらに確証を深めることができる。もし、職員の数を2倍や3倍に増やしても、1990年代から2000年代の初めにかけての比率を圧倒するようであれば、本当の国家的危機と言えるだろう。ところが、1993年の国境警備隊員1人あたりの年間逮捕者数は313人だったのに対して、2017年には隊員1人あたりの逮捕者数は16人にまで落ち込んでいる。95パーセントもの減少なのだが、一旦立ち止まってそこに目をやったり、これまでに行われた投資との関係に着目する人は少ないようだ。

国境警備隊員1人あたりの逮捕者数

逮捕者数のデータが不法入国活動を測る合理的な指標となり、ここ数年間の不法入国活動は大幅に減っていると言えるなら、すでにアメリカ国内に居住している不法滞在者の増加が抑えられることも期待できる。ピュー研究所の最新のデータ(一般にこの件に関してもっとも信頼性が高いとされている)は、まさにそれを裏付けている。それは、アメリカに滞在する不法移民の数は2007年にピークに達したこと、そしてそこから減少に転じ、122万人から107万人に減っていることを示唆している。上の逮捕者数のグラフと見比べると納得できる。

アメリカに不法滞在する移民の数は、この10年間で減少している。

しかし、不法移民が大幅に減り、アメリカの不法滞在者の総数も減少してはいるが、国境の壁の最終目的は、大統領が私たちに再三警告するように、危機的なまでに犯罪率を高める大量の殺人者やレイプ魔や麻薬密売人が国境からなだれ込んで来るのを阻止することにある。しかしその根拠もまた、事実ではない。アメリカに住むヘロインやその他の合成麻薬の乱用者の多くが、メキシコ出身であることは事実だが、大統領の管轄下にある司法省も、2018年に発表した164ページにのぼる報告書で、合法的な通関手続地(つまり合法的な移民による持ち込み)以外で摘発された麻薬の割合はわずかであり、大部分は合法的な通関手続地から個人所有の車両やトラックによって持ち込まれていることを認めている。通常は、合法的な荷物に紛れ込ませてアメリカ国内に持ち込まれている。

同時に2018年、ケイトー研究所(民主党的な考え方を擁護しないことで知られる)も、テキサス州の移民の状況について調査している。その結果、不法移民が逮捕され有罪が確定した割合は、アメリカ出身者の場合よりも明白に低いことがわかった。下の表は、不法移民による犯罪(殺人、性犯罪、窃盗を含む)の有罪確定の割合を示したものだが、アメリカ出身の有罪確定者の割合よりも5割ほど低い(それぞれの人口に対する比率)。

テキサス州における不法移民の犯罪有罪確定率
各部分母集団の10万人あたり(2015年)
左から、アメリカ出身者、不法移民、全移民、合法移民
出典:テキサス州公安局、米国勢調査、移民研究センターのデータから著者が分析。

有罪確定数ではなく逮捕者数に着目しても、同等の結果が得られる。同じ犯罪での不法移民の逮捕者総数は、アメリカ出身者の総数よりも4割少ない。

各部分母集団の10万人あたり(2015年)
左から全逮捕者数、殺人による逮捕者、性犯罪による逮捕者、窃盗による逮捕者
上からアメリカ出身者、不法移民、全移民、合法移民
出典:テキサス州公安局、米国勢調査、移民研究センターのデータから著者が分析。

ネットで話が拡散する今の世の中では、大勢の保守派の人たちが、何かと言えば「All lives matter」(訳注:Black Lives Matter、黒人の命を尊重せよという運動に対抗してトランプ支持者が訴える「すべての命が大切だ」とのスローガン)と主張するが、この社会に暮らす、実際には驚くほど安全と思われる住民を重大犯罪者であるかのように言い立てる根拠に乏しい説に固執するあまり、その主張が脇に追いやられているのは皮肉なことだ。

数十年前、たしかに国境は危機的状態にあった。不法移民が国境からなだれ込み、国境警備隊は必死に対処しようとしたがその数に圧倒されてしまった。しかし、その後は減少を続け、1970年代前半のレベルにまで落とすことができた。これは、行政機関が問題にうまく対処できた稀有な例だろう。

さて、政府が言う最終目的が、たとえば、不法移民の数をできる限りゼロに近づけることであり、そうしなければ国は不必要な経済的負担を強いられ、合法的に入国しようとする人たちを不公平に使うことになると主張するならば、選挙キャンペーンでのスローガンよりも、よっぽど説得力のある票集めの宣伝になる。だが、ホワイトハウスからそんな話は聞こえてこない。おそらくそれは、炎上を誘発する一言サイズの選挙スローガンにしにくいからだろう。「国境警備隊による年間逮捕者数を16から0に減らすために壁を作ろう!」では内容が難しすぎる。まったく浅薄さがない。

もし、不法入国が危機的状態でないのなら、またアメリカに暮らす不法滞在者の数が減少傾向にあり、とても安全な人々なのだとすると、壁を作る目的は、単に選挙公約を守るためだけなのか? どうも、答えはイエスのようだ。

結果として、18年以上前に実際にあった国境警備上の危機から180度方向転換すべきだと私たちが訴える今の状況を、押し付けられたままでいる。「壁を作る」必要性を売り歩く行商はまだ続く。しかし、壁の建設は、明確な目的のための合理的な方法であるとはまったく思えない。むしろ、それ自体が目的化されてしまっている。これはその行商人を、無知と不誠実に挟まれた細い尾根の上を、落ちないように永遠に歩かせることになる。

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(翻訳:金井哲夫)

株式急落で市場に最悪のクリスマス――金利引上の噂、政府部分閉鎖など悪材料重なる

そはクリスマスイブ、取引所の冷たき床の上なりきr
あらゆる株は下落、下落、また下落
ムニューチン財務長官は銀行に電話をかけまくり
金庫に金が残っていることを希求せり

ムニューチン財務長官が慌てて鎮静化を図ろうとしているが、ひどい売り浴びせが続いている。  

というわけで敬虔な人たちが賛美歌を歌って祝う日に市場では厄介な事件が起きた。トランプ大統領はお得意のツイートで悪いのは連邦準備制度だと非難した。連邦準備制度議長には大いに言いたいことがあったに違いない。

われわれの経済に問題があるならそれは連銀だ。連中はマーケットに対する感覚がない。貿易戦争、ドルの強さ、国境の壁に反対する民主党による政府の部分閉鎖が理解できていない。連銀は腕力ばかりあっていっこうにスコアが伸びないゴルファーだ。指に感覚がないのでパットが決まらないのだ! ――ドナルド・J・トランプ! 

銀行も株屋も大慌てて電話にしがみつき、株価はさらに暴落した。経済学者のポール・クルーグマンは同じくツイートでこう批判した。

これは驚いた。ムニューチンはこのリリースを出すまで誰も心配していなかった問題をわざわざ引張り出し、パニックを作り出そうとしている。  

ムニューチン財務長官は6大銀行のCEOに自ら電話したという。これまでもホワイトハウスは連銀議長を解任すると脅すなど市場が嫌がる行動を繰り返していた。【略】

かくてダウは653ポイントも下落せり
医者は株屋に頭痛を鎮める医療用大麻を処方せり
アメリカのインデックスは最悪の12月を迎えたりr
今は昔、大恐慌の1930年以来のこと

画像:Mark Wilson / Staff / Getty Images

〔日本版〕英文記事はクリスマスにちなんで賛美歌などの伝統詩形に近い押韻4行連で終始書かれている。

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滑川海彦@Facebook Google+

トランプ支持者のためのデートアプリケーションであるDonald Datersからユーザーデータがリーク

“make America date again”(アメリカに再びデートを:トランプ大統領の”make America great again” のもじり)を宣伝文句として押し出した、新しいデートアプリのユーザーデータベースの全ての情報がリークした。それも開始日当日に。

“Donald Daters”と呼ばれるこのアプリは、「恋人同士、友人同士、そしてトランプ氏の支持者同士をつなぐ、アメリカの独身者コミュニティ」を目指しており、既にFox NewsDaily MailThe Hillから熱烈なレビューと紹介を受けている。

開始日当日だけでも、このアプリは1600人を少し上回るユーザーが登録していた。

私たちが問題の存在を知っている理由は、あるセキュリティ研究者が、ユーザーデータベース全体をダウンロード可能にしているこのアプリケーションの問題点を発見したからだ。

フランスのセキュリティ研究者であるElliot Aldersonが、そのデータベースをTechCrunchに見せたが、そこにはユーザーの名前、プロフィール写真、デバイスタイプ、プライベートメッセージ、そしてアカウントを乗っ取るために使えるアクセストークンが含まれていた(先日facebookからリークしたのもアクセストークンである)。

このデータは公開されアクセス可能な状態になっていたFirebaseデータベースから取り出し可能だった。なおこのデータベース名はアプリ内にハードコードされていた。TechCrunchがアプリメーカーに連絡したところ、データはすぐにオフラインとなった。

私たちはアプリの創設者で、上院議員Marco Rubio(共和党)の元補佐官である、Emily Morenoに連絡したが、彼女のコメントは得られていない。

アプリのウェブサイトによれば、「あなたの個人情報はすべてプライベートに保たれます」と書かれている。但しそれが守られない場合もあるというわけだ。

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(翻訳:sako)

米、政府内でのHuaweiやZTEの機器使用を新国防法で禁止

米政府では今後、HuaweiやZTEを含む中国テック企業の特定のコンポーネントやサービスの使用が禁止される。トランプ大統領が今日、国防権限法の一環として法案に署名した。新法は2年以内に施行される。

新法は“あらゆるシステムの、重要であるものもしくは不可欠のコンポーネント”を含み、ユーザデータを経由したり閲覧したりするテックも含まれる。この新法はHuaweiやZTEの商品を徹底的に排除するものではないが、政府職員や政府とビジネスをしたいと考える契約業者は対象企業の最新テクノロジーを放棄する必要に迫られる。

国防権限法ではまた、今回の新法により機器を新しくする必要に迫られる企業に予算も割り当てる。

先月、ZTEは北朝鮮とイランへの輸出禁止に違反したとして米商務省と制裁のやりとりがあった。この制裁では、ZTEは米国のサプライヤーとの取引が禁止され、これにより経営は深刻な危機に陥った。この件は米国と中国との貿易戦争の主な論点となっていた。

米国の両党議員は制裁の見直しに反対し、ZTEを安全保障上の脅威とみなしているが、先月、共和党の上院議員はZTEに制裁を再び科すことを諦めている。これにより、国防権限法においてさほど厳しくない措置につながっている。

この件に関し、TechCrunchHuaweiとZTEにコメントを求めている。

HuaweiとZTEは、2012年の議会報告書以来、米国にとっては特に目立った脅威と位置付けられている。しかし今回の新法にはHytera CommunicationsやHangzhou Hikvision Digital Technology、Dahua Technologyといったビデオ監視や情報通信機器の中国企業も含まれている。

イメージクレジット: LLUIS GENE / Staff / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi)

トランプ大統領、郵政公社にアマゾン配送料の倍増を要求

ワシントンポスト紙の新たな報道によると、トランプ大統領は郵政公社(USPS)のトップMegan Brennanに、アマゾンや他の企業の商品の配送料を上げるよう、個人的に圧力を加えた。

ネタ元は匿名だが、これまでのところ郵政公社の総裁はトランプ大統領の圧力に抵抗しているという。もし値上げが実施されると、オンライン小売やその他の企業にとって何十億ドルもの負担増になる。

ご存知の通り、いつからかアマゾンはトランプ大統領の攻撃の的となっている。3月下旬、大統領は自身のツイッターに「郵政公社に“何十億ドル”も負担させているのは“詐欺”だ」「もし郵便局が配送料を上げれば、アマゾンの送料負担は26億ドルに増える。この郵政詐欺をやめさせなければならない。アマゾンは本当のコストを(税金も)今すぐ払え!」と書き込んだ。

Brennanは、アマゾンのような企業との契約は郵政事業にとっていいものではない、という考えに反対の姿勢をとっているとされる。トランプ大統領とのミーティングで、アマゾンとの契約のメリットについて証拠を示し、また複数年にわたる契約を反故にするのは簡単ではないことも指摘している。

トランプのアマゾン攻撃は明らかに個人的な要素を含んでいる。何回にもわたって、少なくとも3月下旬に大統領がアマゾンとそのオーナーであるジェフ・ベゾスをツイッターで攻撃したことについての要約はこちらにうまくまとめられている。大統領のアマゾン批判は実際には2015年ごろに始まっている。ベゾスはワシントンポスト紙のオーナーでもあり、トランプは同紙の報道を事あるごとに“フェイクニュース”と声を大にして批判している。

郵政公社がアマゾンとの契約の料金体系について具体的に明らかにしていないのも、この問題を不透明なものにしている。公表していないのは、競合他社に“不当なアドバンテージ”を与える恐れがあるからだ。しかしながら、郵政事業が2017年に27億円の損失を出したという事実はあるものの、郵政公社はアマゾンとの契約で収益をあげているとも主張している。

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(翻訳:Mizoguchi)