DJI製ドローン「Matrice 300 RTK」利用し愛媛県大三島の日本一高い送電鉄塔にかかる海峡横断部の送電線点検の実証実験

DJI製ドローン「Matrice 300 RTK」利用し日本一高い送電鉄塔にかかる海峡横断部の送電線点検の実証実験DJI JAPANは10月26日、エネルギア・コミュニケーションズ、中国電力ネットワークと共同で、愛媛県大三島にある日本で1番高い送電鉄塔から海峡にかかる送電線の点検を、ドローンとズームカメラで自動的に行う実証実験を実施したと発表した。

送電線の外観検査は、これまでヘリコプターからの目視やカメラ撮影、また地上からの目視などに頼ってきた。手動のドローンを使うこともあるが、作業員の経験に頼ることが多い。そこで、DJIの業務用ドローン「Matrice 300 RTK」の自動飛行機能による点検の実証実験を行った。

実験は、直径35mmの送電線を1.2kmに渡って水平移動しながら点検するというもの。事前に、鉄塔と送電線の形状と位置を示す点群データを取得し、ズームカメラ「Zenmuse H20T」で外観を撮影した。このデータをもとに、解析ソフト「DJI Terra」で正確な3Dモデル点群を作り出した。これを使って、送電線と一定の距離(25m)を保ちながら撮影を行うドローンの自動飛行プログラムを作成し、実行。

結果として、作業時間は従来方式にくらべて大幅に短縮された。撮影データは、最大23倍の光学ズーム、有効画素数2000万画素のカメラで撮影された高精細な画像として取得できた。画像はリアルタイムで確認できるので、問題のある箇所が発見された際は、その場で再撮影などの対処ができる。また海峡部の強風に対しても、ドローンは持ちこたえることができた。この撮影データは、後にAIによる画像解析が行われるという。

この実験により、ドローンによる点検の高い有効性が実証されたとDJIは話している。

【ロボティクス】パンデミックの影響、看護支援ロボットDiligent Robotics CEOとの興味深い話

筆者はここ数日、大きなプロジェクトに関わっていた(詳細については近日公開予定)ため、残念ながら最新ニュースにしばらく目を通しておらず、ロボティクスに関する今週の大きなニュースについてまったく把握していなかった。そこで、このコラムでその遅れを少し取り戻したいと思う。

そのニュースを取り上げる前に、少し別の話を紹介しよう。筆者は、パンデミックの期間中にユニークな経験をした興味深いロボティクス企業と対談する機会があった。

Diligent Robotics(ディリジェント・ロボティクス)がシリーズAを発表したとき、世界はそれまでとはまったく違ってしまったと言っていいだろう。2020年3月は今からそれほど遠い昔ではないが、現在に至るまでパンデミックによって世界中の医療機関は非常に大きな負担を強いられ続けており、その影響がこれほどまでに広範囲かつ長期間に及ぶとはほとんど誰も予想していなかった。病院スタッフの過労と人手不足の傾向は、新型コロナウイルス感染症の流行以前にも見られたが、流行後にはその傾向が顕著になり、同社の看護支援ロボットMoxi(モキシー)の需要が急激に増加した。

2020年実施された1000万ドル(約11億円)の資金投入がディリジェントの成長に貢献したことは間違いないが、同社は在宅勤務に移行する際に誰もが遭遇する課題に対処しながら、生産能力を高めるという難しいタスクに取り組んでいた。

2017年にVivian Chu(ヴィヴィアン・チュー)氏とともにディリジェントを設立した、Interactive Computing at Georgia Tech(ジョージア工科大学インタラクティブ・コンピューティング学部)のAndrea Thomaz(アンドレア・トマス)准教授は筆者たちと今週会い、2020年経験したユニークな課題と機会について話してくれた。

ロボティクス業界とディリジェントが、パンデミックによって受けた影響の度合いは?

さまざまな業界で労働市場が実に劇的に変化した。これはロボティクス業界とディリジェントの両方に言えることだが、この劇的な変化は、多くの従業員が退職しようとしていること、すなわち何か別のことを始めようとしていることと関係しているように思える。そして実際、多くの人が職を変えている。この傾向はあらゆる技術的な職業に見られ、我々の業界や医療業界で多くの事例が上がっている。とにかく、多くの人が何か別のことを始めようと考えている。パンデミックが始まる前も労働力に関する課題はあったが、今やそれが危機的なレベルになりつつある。

技術的な仕事に就きたいと思う人は常に少ないが、技術的な仕事の需要は常に高い。これはある意味、危機的な状況と言えるだろう。

この傾向はパンデミック前から始まっていた。パンデミックでそれが顕著になったに過ぎない。この傾向は、医療保険改革法(オバマケア)に端を発している。より多くの人が医療を受けられるようになったということは、病院に行って医療を受けられる人が増えたことを意味する。これが高齢化と相まって、必要な医療を提供するスタッフのさらなる不足を引き起こしている。

パンデミック発生の時点でロボットを採用していた病院の件数と、需要がその後どのように急増したかという観点から、需要を把握することはできるか?

我々はまだその情報を公開していない。来年の前半までには、その規模についてより具体的な数値を発表できるだろう。ただし、四半期ごとにロボットの出荷台数を2倍に増やしていることは確かだ。

そのようなロボットの運用に至るプロセスはどのようなものか?

これは、病院市場に関して非常に興味深いテーマであると考えている。このプロセスは、倉庫や製造における従来の自動化とは異なる。ロボットを運用する環境では、看護師や臨床医が働いている。ロボットは、そのような環境で人と一緒に作業をしなければならない。我々は、まず初めにワークフローを評価する。つまり、その環境で現在どのように業務が行われているかを評価するのだ。

画像クレジット:Diligent Robotics

パンデミックは企業の成長にどのような影響を与えたか?

パンデミック前は、製品の市場適合性が満たされていた。我々の研究開発チームの作業は、製品に変更をわずかに加えるだけの非常に小規模なものだった。製品を顧客に見せて価値を示すだけでよかった。しかし現在は契約の締結と納入が重要で、最短期間で導入し、耐久性を最大限高めることを考えることが必要だ。特にハードウェアの面では、製造プロセスと信頼性に関してどのように設計すべきかが大切だ。現在、当社のロボットが現場で1年以上稼働しており、以前と比べて信頼性が高まっている。今や、ロボティクスのロングテール現象が起こりつつあり、今後が楽しみだ。

パンデミックによって、ロボティクスの分野で驚くべき機能や需要が生まれたか?

当社の顧客のどの現場でも「そのロボットはコーヒーを持ってこられるようになるか」と看護師は口を揃えていう。モキシーがロビーのStarbucks(スターバックス)に行き、みんなのためにコーヒーを買ってくることを看護師たちは期待している。自分たちはスターバックスに行って並ぶ時間がないから、時間の節約になるというわけだ。実現できないわけではないが、積極的に試してみようとは考えていない。

つまり、モキシーにエスプレッソマシンを搭載する計画はないということか?

その計画が来年のうちに実現することはないだろう。

近い将来、資金をさらに調達する予定はあるか?

現在、増資の計画中だ。今のところ順調だが、顧客からの需要が非常に高まっているため、チームを増強してロボットの出荷台数を増やすのは、やぶさかではない。

現時点では米国市場に注力するつもりか?

当面はその予定だ。当社では、世界的に展開する戦略について検討を始めている。2022年中に当社の製品が世界中に行き渡るとは考えていないが、すでに多くの引き合いが来ている。現在、販売パートナーを選定中だ。世界各地のクライアントから、1カ月に何件も問い合わせが来ている。今のところ、それらのクライアントと積極的に進めているプロジェクトはない。

画像クレジット:Tortoise / Albertsons

資金調達とコーヒーの配達については、別の機会に取り上げよう。今週は、配送関連で注目の話題がいくつかあるので紹介しよう。まず、過去に何度も取り上げたTortoise(トータス)だが、同社のリモート制御による配達ロボットのチームに追い風が吹いてきた。米国アイダホ州を拠点とするKing Retail Solutions(キングリテールソリューションズ)との取引によって、ラストワンマイル配送用に500台を超えるトータスのロボットが米国内の歩道に導入される。

CEOのDmitry Shevelenko(ドミトリー・シェベレンコ)氏は「未来の姿がニューノーマルになるというこの新しい現実に、誰もが気づき始めている。ラストワンマイル配送で時給20ドル(約2300円)稼ぐスタッフを動員しても、想定されるどんな状況でも消費者の期待に応え続けるということはできない。単純計算は通用しないのだ」と語る。

先に、Google(グーグル)のWing(ウィング)は、同社による提携を発表した。ウィングは、オーストラリアの小売店舗不動産グループであるVicinity Centres(ビシニティ・センターズ)と提携し、ドローンを使用した配達プログラムの範囲をさらに拡大する。ウィングは、10万件の配達を達成したという先日の発表に続き、オーストラリアのローガン市にあるグランドプラザショッピングセンターの屋上からの配達件数が、過去1カ月間に2500件に達したと発表した。

ローガン市の住民は、タピオカティー、ジュース、寿司を受け取ることができる。今や美容と健康に関する製品まで配達できるようになった。ウィングは「一般的な企業の建物には屋上があるため、当社の新しい屋上配達モデルによって、ほんの少しの出費とインフラ整備だけで、さらに多くの企業がドローン配達サービスを提供できるようになる」と語る。

画像クレジット:Jamba / Blendid

ジュースといえば(といっても、まとめ記事で筆者がよく使う前振りではない)、米国サンフランシスコのベイエリアを拠点とするスムージーロボットメーカーのBlendid(ブレンディド)は先に、Jamba(ジャンバ)のモールキオスク2号店に同社の製品を導入すると発表した。このキオスクは、米国カリフォルニア州ロサンゼルス郡のダウニー市のモールに今週オープンした。ちなみにダウニー市は、現在営業しているMcDonald’s(マクドナルド)の最も古い店舗がある都市でもある(Wikipediaより)。

これは時代の波だろうか。それとも何かのトリックだろうか。答えはどちらも「イエス」だ。

ジャンバの社長であるGeoff Henry(ジェフ・ヘンリー)氏はプレスリリースで「Jamba by Blendid(ジャンバ・バイ・ブレンディド)のキオスク1号店オープン後に、Stonewood Center(ストーンウッド・センター)に試験的にキオスク2号店をオープンして、モールの買い物客に新鮮なブレンドスムージーを販売できることをうれしく思います。ジャンバ・バイ・ブレンディドでは最新の非接触式食品提供技術を採用しているため、当社の現地フランチャイズ店は、ジャンバ好きのファンにスムージーを簡単に提供できます」と述べている。

画像クレジット:Abundant Robotics

ここで、フルーツに関するビジネスの果樹園サイドに注目しよう。Robot Report(ロボットレポート)に今週掲載された記事には、Wavemaker Labs(ウェーブメーカーラボ)が今夏に廃業したAbundant Robotics(アバンダント・ロボティクス)のIPを取得したことが紹介されている。残念ながら、アバンダントのリンゴ収穫ロボットが復活するわけではなさそうだ。どうやら、ウェーブメーカーのポートフォリオスタートアップ企業であるFuture Acres(フューチャー・エーカーズ)のロボティクスシステムに、このIPが組み込まれるようだ。

最後に、アームに搭載されたRFアンテナとカメラを使用して紛失物を探す、MITが研究しているロボットを簡単に紹介しよう。以下はMITの発表からの引用文だ。

このロボットアームは、機械学習を使用して対象物の正確な位置を自動で特定し、対象物の上にある物を移動させ、対象物をつかみ、目標とする物体を拾い上げたかどうかを確認する。RFusionにはカメラ、アンテナ、ロボットアーム、AIが包括的に統合されており、どんな環境でも的確に機能する。特別な設定は不要だ。

画像クレジット:Diligent Robotics

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(文:Brian Heater、翻訳:Dragonfly)

Ringのホームセキュリティドローンが米国内で招待制で販売開始

2020年、Ringはセンサーとカメラを搭載したドローン「Always Home Cam」を発表した。このドローンは、Ring Alarmセンサーなどのトリガーや、Ringアプリからの手動コマンドに反応して、ユーザーが設定した経路に沿って家の中を移動することができる。このコンセプトは現実のものとなり、米国のユーザーに向けて出荷が開始された。ただし、最初は招待者のみの発売となる。トが現実となり、米国のユーザーに発売された。ただしそれは、最初のうち、招待制のローンチだ。

Ringは、1年以上前に249ドル(約2万7800円)のAlways Home Camを公開した。そのときは「2021年に出荷する」と述べていたが、それが実現した。約5×7×7インチ(約12.7×17.8×17.8cm)の小型ドローンは、玄関や廊下なども軽快に移動できるはずだ。このデバイスの背景にあるアイデアは、留守中にカメラを家のあらゆるところに設置する方法を提供することだが、実際にたくさんのカメラを用意して設置する必要はない。

Ringは、Always Home Camは、事前に設定されたトリガーまたは手動でユーザーが指示した場合にのみ飛行することを強調している。また、基地内で静止しているときは、デフォルトではカメラは起動しておらず、録画も行わない。これは「プライバシーとセキュリティー」を高めるための意図的な選択だという。

次世代の国内航空監視システムの1階に入りたい人は、今日からRingに招待状をリクエストするとよい。次世代の家庭用空中監視システムを早く体験したい人は、Ringに招待状を申し込もう。

画像クレジット:Ring

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(文:Darrell Etherington、翻訳:Hiroshi Iwatani)

DJIの新型ドローン「Mavic 3 Pro」の情報がリーク、2基のカメラを搭載し飛行時間は46分間に

The Verge(ザ・ヴァージ)が入手したDroneDJ(ドローンDJ)とJasper Ellens(ジャスパー・エレンズ)氏のリーク情報によると、DJIの次期ドローン「Mavic 3 Pro(マヴィック3プロ)」は、前モデルよりも大幅にアップグレードされるようだ。飛行時間が大幅に延長されるとともに、1基のみではなく2基のカメラを搭載し、その1つには望遠レンズ、そしてもう1つにはより大きなフォーサーズ(4/3型)イメージセンサーを搭載する可能性があるという。もしそれが正しければ、2021年後半に登場すると伝えられるMavic 3は、映像作家や航空写真家にとって非常に魅力的なものになるだろう。

現行の「Mavic 2 Pro(マヴィック2プロ)」と「Mavic 2 Zoom(マヴィック2ズーム)」では、ユーザーはより大きなセンサーか、それとも24-48mm相当のズームか、どちらかを選択する必要があったが、新モデルでは1台のドローンで両方とも使えるようになる。Mavic 3 Proは、フォーサーズセンサーを採用した2000万画素、24mm F2.8-F/11のプライマリーカメラと、160mm相当の望遠レンズを搭載した1200万画素、1/2インチセンサーのセカンダリーカメラという2つの独立したカメラを搭載すると報じられている。

フォーサーズセンサーは、空撮をする人にとって大きな恩恵となるだろう。細部の表現に優れるとともに、概してより映画的な映像の撮影が可能になるからだ。現在、このフォーマットで撮影するには、大型で比較的高価なドローンと、多くの場合はDJIの「Zenmuse(ゼンミューズ)」ラインやPanasonic(パナソニック)の「BGH1」のような別のカメラが必要になる。同時に、2つめの望遠カメラがあれば、より汎用性が高まるだろう。

また、この新型機はUSB-Cによる直接充電が可能になるので、バッテリーを取り外す必要がない。これらのことから、重量はMavic 2 Proの907gから、Mavic 3 Proでは920gへと少し増加する。カメラやその他の新機能の追加により重くなるにもかかわらず、Mavic 3の飛行時間は46分と、Mavic 2の31分から大幅に伸びる見込みだ。

Mavic 3には「Pro(プロ)」モデルと「Cine(シネ)」モデルという2種類が設定され、Mavic 3 Cineには内蔵SSDと、より高速な転送を可能にする「1Gbps Lightspeed Data Cable(1Gbpsライトスピード・データ・ケーブル)」、そしてディスプレイを搭載したスマートコントローラーの新バージョンが付属し、最大動画伝送距離はMavic 2 Proの10kmから15kmに拡がるという。

Mavic 3 Proの価格は、現行のMavic 2 Proと同じ1600ドル(約17万7000円)になると伝えられている。Cineモデルの価格ははっきりしないものの、約1000ドル(約11万円)ほど高くなる可能性があるようだ。それでも、このようなハイテクカメラドローンとしては比較的お買い得と言えるだろう。エレンズ氏によれば、発売は両モデルとも11月15日になる見込みだという。

編集部注:本記事の初出はEngadget。執筆者のSteve DentはEngadgetの共同編集者。

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画像クレジット:DJI

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(文:Steve Dent、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

アフリカでワクチンなどの必要物資を自社開発の自律走行型電動ドローンで届けるZiplineが278億円調達、物流ネットワークを拡大

アフリカ全土に医療用品を配送する事業として創業し、ドローンによる配送サービスを提供するスタートアップ、Zipline(ジップライン)が新たに2億5000万ドル(約278億円)の資金を調達した。今回の資金調達により評価額が27億5000万ドル(約3060億円)となった同社は、アフリカと米国における同社の物流ネットワークの拡大を今後さらに押し進める予定だ。

当初はルワンダで名を馳せたZipline。その後ガーナにも手を伸ばし、自律走行型電動ドローンを使って血液、ワクチン、救命薬などの必要物資を届けている。2014年に設立されたZiplineは、垂直統合型の企業である。つまり、無人のドローン、物流ソフトウェア、それに付随する発射および着陸システムの設計と製造をすべて自社で行なっている。TechCrunchの取材にて、ZiplineのCEOであるKeller Rinaudo(ケラー・リナウド)氏はこれは必要に迫られてのことだったと述べている。同社がドローン技術の開発を始めた当初、既製のものでは信頼性が低く、うまく統合することができないということにすぐに気づいたと同氏は振り返る。

「結局、フライトコンピューター、バッテリーパック、機体など、基本的にすべてのものをシステムから取り外さなければなりませんでした。そしてそれらすべてをゼロから作らなければなりませんでした」。

Ziplineは自らをドローン企業とは考えておらず、むしろ即席の物流プロバイダーであると同氏は強調している。また、同社は自律型ドローンのモデルを継続的に改善し続けているものの、過去5年間における成功の多くは、物流ネットワークの構築に関するものだった。困難に満ちていたとリナウド氏がいう初年の2016年に、ルワンダで事業を開始したその後、同社はルワンダにて物流会社のUPSとの提携を実現。日本でトヨタグループと提携し、またナイジェリアのカドゥナ州とクロスリバー州との連携も開始している。米国ではノースカロライナ州のNovant Health(ノヴァント・ヘルス)と提携して医療機器や個人用防護具を提供している他、小売大手のWalmart(ウォルマート)とも提携して健康・ウェルネス商品を提供している。

関連記事:米小売大手ウォルマートが医療品配達スタートアップのZiplineと提携、米アーカンソー州でドローン配送テストを拡大

パンデミックで打撃を受けた多くの企業とは異なり、Ziplineは個人用防護具だけでなく新型コロナウイルス(COVID-19)のワクチンの納入という同社の事業をさらに加速させる明白な機会を得た。同社によると、年内に240万回分の新型コロナ用ワクチンを納入する予定だという。

同社は、処方箋などの医薬品を人々の家に直接届けるいうようなサービスも今後視野に入れていこうと考えているという。「テレプレゼンスを完成させるためには、即席物流サービスの存在がとても重要だと病院は考えているようです。電話一本で医者と話せるようになっても、それでは必要物資はどうしようかという事になるからです」と同氏は話す。

画像クレジット:Zipline

同社は現在、パンデミックのため規制当局から与えられた緊急免除の下での運営から、完全な商業運営の認証に移行するため、連邦航空局(FAA)に働きかけている。FAAの認証プロセスにおいてZiplineが競合他社より有利な点は、Ziplineのシステムが安全であるということを示す何千時間もの飛行データを同社が持っているという点だ。成功すれば、同社はこのような認証を受けた初のドローン配送会社の1社となる。

長期的に見れば他の産業にも目を向ける可能性はあるが、現時点では医療分野に焦点を当てているとリナウド氏はいう。同氏によると、ここ数カ月だけでもナイジェリアで5件、ガーナで4件、新しく配送センターとのサービス契約を結んだ他、米国の病院システムとも「複数の新規サービス契約」を結んでいるという。今回の資金調達は、Baillie Gifford(ベイリー・ギフォード)が主導し、以前も投資したTemasek(テマセク)とKatalyst Ventures(カタリスト・ベンチャーズ)、新規投資家のFidelity(フィデリティ)、Intercorp(インターコープ)、Emerging Capital Partners(エマージング・キャピタル・パートナーズ)、Reinvest Capital(ラインベスト・キャピタル)の支援を受けて行われている。調達資金は新規契約のためのインフラ構築に使用される予定である。

今後3年ほどで、全米の一戸建て住宅の大半にZiplineのサービスを提供するというのが同社の目標だとリナウド氏はいう。

「トヨタやウォルマートなどの大企業がこの即席物流分野に大きな投資を始めているという事実は、人々がこの分野の到来を認識しているということの明確な表れだと思っています。変革の波が押し寄せているのです。これは医療システムや経済システムのあり方を大きく変えるものであり、物流によって人々に平等にサービスを提供できるようにするというのは、本当にエキサイティングなことです」。

画像クレジット:Zipline

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Dragonfly)

屋内専⽤の産業⼩型ドローンIBISを手がけるLiberawareが4.2億円調達、自律飛行・AI強化で点検・計測・分析推進

屋内専⽤の産業⼩型ドローンIBISを開発するLiberawareが4.2億円調達、自律飛行・AI強化で点検・計測・分析推進

屋内空間専⽤の産業⼩型ドローンIBIS(アイビス)を開発するLiberaware(リベラウェア)は9月1日、第三者割当増資による約4億2000万円を発表した。引受先は、リード投資家のBonds Investment Group、また凸版印刷、オリックス、セントラル警備保障、みやこキャピタル、Drone Fund。これによりシリーズCラウンドの資⾦調達を完了し、累計調達額は9億7000万円となった。

調達した資金により、ドローン技術や画像処理技術にみがきをかけ、IBISの増産およびアップデート、自律飛行型ドローンの実用化、AIの開発、海外展開の足がかり構築を実施する。

2016年8月設立のLiberawareは、「正しく作る、自由に動かす、社会を変える」をモットーに、自由な発想でモノづくりに取り組むエンジニア集団。Liberawareという社名は、ラテン語で「自由な」を意味する「libera」と、「気がつく」を意味する「aware」、そしてhardwareやsoftwareの「ware」を組み合わせたものという。

同社のIBISは、製鉄業や電力業、建設業などにおける設備の点検、構造物のデータ化において活用が進んでいるという。また、建設現場の施工進捗管理、⼯場内の定期チェックや倉庫内の在庫管理、屋内施設巡回警備など、自律飛行型ドローンの引合いも増えているそうだ。2021年7月にはJR東日本グループと合弁会社「CalTa株式会社」を設立し、鉄道・インフラ業界のDXを促進するための事業展開も図っている。

ノルウェー企業Nordic Unmannedが「線路検査」ドローンを開発中、列車が接近すると浮上して回避

ノルウェー企業Nordic Unmannedが「線路検査」ドローンを開発中、列車が接近すると浮上して回避

Nordic Unmanned

鉄道の安全な運行を維持するためには、延々と続く線路を検査し異常がないかを確認する作業が必要です。そのため鉄道会社は線路検査用の専用車両を、列車が走らない時間帯に走らせ、レールにクラックなどがないか、また寸法に狂いが出ていないかなどを確かめています。

ノルウェーの技術企業Nordic Unmannedは、このレール検査もっと手軽にするため、軌道台車にマルチコプタードローンの機能を融合させた無人線路検査機「The Staaker Railway Drone」を開発しています。

ノルウェー企業Nordic Unmannedが「線路検査」ドローンを開発中、列車が接近すると浮上して回避

Nordic Unmanned

このドローンは線路を走行しながら、鉄道インフラの重要な部分を検査します。燃料電池を動力源とするインホイールモーターによって7時間の連続走行が可能。最大航続距離は200kmで、その間にカメラやその他センサーを使って線路に異常がないかを確認、必要ならばポイント分岐器への給脂(グリスアップ)も可能とのこと。

そしてこのドローンの最も重要な特徴は、列車が接近したらすぐにレールから飛び立ち、線路脇で列車をやり過ごすことができるところ。列車が通過すれば再び浮上してレールに乗り、検査を再開できます。

この機動性は、通常の列車と同様の大きな車両を用いた検査では決して得られません。また、いくつもの線路が並行して敷かれている車庫や大きな駅などでは、いちいちポイントを切り替えて移動せずとも簡単に線路を乗り換えることができます。

Nordic Unmannedは、この軌道台車兼ドローンは欧州の大手鉄道会社と共同で開発中だと述べており、2022年前半から商用サービスを展開することを計画していると述べています。

写真や映像を見た感じではドローンに軌道走行用車輪を付けただけにしか見えず、本当に2022年前半に商用サービスを提供できるの?というのが正直な感想ですが、とりあえずは実用化が実現するのを楽しみに待ちたいところです。

(Source:Nordic Unmanned。Via New AtlasEngadget日本版より転載)

Paladinが初の行政向け緊急対応ドローン「ナイトホーク」を発売

緊急対応は一刻を争うものだ。火災が発生したりクルマが衝突した時、数秒が生死を分けることもあり、状況は制御不能になる。消防と警察にとって、気まぐれな交通渋滞と不完全な道案内の中でチームを現地に派遣することは大きな課題だ。

テキサス州ヒューストン拠点のスタートアップPaladin(パラディン)は、都市が緊急事態により早く、より良いデータを得て対応するために、ドローンによるハードウェアとソフトウェアのソリューションを開発している。同社は数年の開発期間を経て、同社はKnighthawk(ナイトホーク)とWatchtower(ウォッチタワー)という製品を公開した。

Knighthawkは緊急対応人員の特別なニーズに応えるために設計されたカスタムメイドのドローンだ。2台のカメラ(1台が光学10倍ズーム、1台がサーマル)を備え、昼夜を問わずわずか0.5秒の遅延で刻々と変化する現場の状況を高画質動画で伝える。重要なのは、ドローン飛行時間が55分間あるので何マイルも離れた場所にも到達できることだ、と同社は言う。離陸までの時間は911通報が届いてから数秒以内だ。

日中飛行するPaladin DronesのKnighthawk(画像クレジット:Paladin Drones)

ドローンを操縦して動画を見るためには、同社のソフトウェアWatchtower(アプリとして提供)を使い、マップ上で緊急現場と思われる場所にピンを置いてドローンを向かわせる。到着したら、アップロードされた動画はアプリ上だけでなく既存のコンピュータ化された911センター配備システムにも送られる。

Paladin DronesのWatchtowerを使って操縦者はKnighthawkドローンを誘導、操作して動画を見ることができる(画像クレジット:Paladin Drones)

この一般公開は同社にとって大きな一歩だ。TechCrunchが2019年に取り上げた時、会社はY Combinatorから登場したところで、Khosla、Correlation Ventures、Paul Buchheit氏らからシード資金を受け取っていた。当時の目標は、市販のDJIドローンに統合するソフトウェアの開発だった。Paladinが実験していたAndroidアプリでは、操縦者がマップにピンを置いてドローンを誘導していた。

しかしそのバージョンはその業務には不十分だったことがわかった。CEOで共同ファウンダーのDivy Shrivastava(ディビー・シュリバスタバ)氏は、プロダクトの開発が進むにつれ会社はハードウェアも持つ必要があることがわかった。「私たちが使っていたドローンは自動運転向けに作られてはいませんでした」と彼はいう。「結局ドローンには私たち自身の通信技術を組み込みました、接続が途切れないようにするためです」。

CEO・共同ファウンダーのDivy Shrivastava(ディビー・シュリバスタバ)氏(画像クレジット:Paladin Drones)

2018年の創業以来、同社のドローンは約1600件の緊急事態に対応したと同社の内部データはいう。彼らはヒューストンのMomorial Villagesとオハイオ州のOrange Twonshipという2カ所の現場で途方もない時間を費やしたが、1日数件決められた時間帯に緊急通報に対応するだけだった。

その制約が、このドローンスタートアップにとって最大の障壁の1つを示唆している。規制だ。FAA(連邦航空局)は操縦者の目視範囲に関して厳格なルールを定めている。完全にシームレスで簡単に配備できるシステムのビジョンを実現するために、Paladinは膨大なデータを集めてFAAに申請し免除を受ける必要があった。FAAは「First Responder Tactical Beyond Visual Line of Sight」、その他の関連する例外規定に沿って認可する。これまでにPaladinは同社が運用している2都市で正式な目視見通し免除を得ており、シュリバスタバ氏は、今後同社製品を購入する新しい都市でも使える繰り返し可能なプロセスを開発できたと自信を持っている。

インストールは比較的簡単だとシュリバスタバ氏はいう。ドローン自身はどこにでも、駐車スペースに置くこともでき、通常は警察または消防署に設置される。ドローンが地形を分析したり周辺を理解するための特別なハードウェアやセンサーやガイドラインを設置する必要はない。911通報受信者が使用するコンピューター管理の配備システムにドローンを統合するためには何らかのソフトウェア統合が必要になる。

一般公開され、これまで以上の実績を示さなくてはならない今、会社は売上の上昇に注力すると共に「私たちの長期的目標はすべての消防、警察、緊急対応機関が当社製品を使うことです」と言っている。

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画像クレジット:Paladin Drones

[原文へ]

(文:Danny Crichton、翻訳:Nob Takahashi / facebook

倉庫用ドローンがいよいよ本格化

ドローンは、軍用の恐ろしいのを除けばかっこいいし、楽しいし、良いことだらけだ。しかし一般的にクワッドコプターには、その有用性に対して疑問もある。特に消費者製品の場合は、もっぱら趣味と映像撮影用に限られている。

これまでは、農場の監視用や不動産などの分野でのおもしろい使い方はあったが、それらはどれも映像機能の応用だ。しかしカメラと映像処理次第では、いろいろな仕事ができる。最近登場してきたものの中で特におもしろいのは、倉庫用ドローンだ。ドローンというとアウトドアしか想像しない人は「屋内」と「ドローン」の組み合わせに違和感を覚えるかもしれない。

さかのぼるとTechCrunch主催のスタートアップコンペであるDisrupt Battlefieldには、倉庫用ドローンの企業が2社登場した。2016年のIFM(Intelligent Flying Machines)と、それから2年後のVtrusだ。でもそれは、ドローンを倉庫や工場に持ち込もうとするスタートアップの巨大なリストに比べると、氷山の一角にすぎない。

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このリストに最近載ったCorvus Roboticsは、YCが支援するスタートアップで、おそらくその名前はカラスといった驚くほど知恵のある鳥にあやかっている。もちろん、ある種の推理小説のように、殺人を教えてくれるからすではない。少々議論の余地はあるだろうが、同社はその製品を「世界で初めての倉庫用在庫管理ドローン」と呼んでいる。

それでも、おもしろい製品ではある。それは倉庫の中を飛び回ってパレットをスキャンし、在庫を調べる。IEEE Spectrumの記事によると、同社のレベル4の自律ドローンのネットワークは、1時間に200〜400のパレットをスキャンし、飛ぶことは「鳥」にとって重労働であるため合間に充電も行なう。

画像クレジット:Third Wave Automation

倉庫業界には、倉庫の完全自動化という見果てぬ夢がある。この夢に、投資家たちも群がる。Third Wave Automationはこのほど、Norwest Venture Partnersがリードする4000万ドル(約44億円)のシリーズBを発表した。これにはInnovation EndeavorsやEclipse、それにToyota Venturesが加わった。後者は、このベイエリアのスタートアップと組んで自律型フォークリフトを開発している。フォークリフトは、毎年のように人身事故が多いからだ。

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CEOのArshan Poursohi(アーシャン・プルソヒ)氏はこう述べている。

私たちはあらゆる種類のロボットを開発してきましたが、そのロボットはすべて、どこかの物置に放り込まれています。現在の花形産業Google、私たちの時代のSun Microsystemsのようなテクノロジー企業が主役であり、ロボットはお呼びでないからです。

それでも同社は、2022年末までには100台の倉庫ロボットを販売する予定だ。

画像クレジット:InVia Robotics

一方、同じく倉庫の自動化を志向するinVia Roboticsは、2021年7月末に3000万ドル(約33億円)のシリーズCを発表した。テクノロジー超大手のMicrosoft(M12)とQualcomm(Qualcomm Ventures LLC)がラウンドをリードし、同社の総調達額は5900万ドル(約65億円)に達した。このラウンドには、Hitachi Venturesも参加した。同社によると、パンデミックのおかげで2020年には売上が600%成長したという。

 

今週のロボティクス記事は倉庫だけでまとめようと思ったが、そうもいかない。次はGeneral Electric(GE)の自律ロボットATVerだ。この何でも屋のテクノロジー企業は今、米国陸軍と一緒に自律ロボットの現場テストをしている。ロボティクスの進歩のためには、良かれ悪しかれ、軍による投資の役割が大きい。

GEのロボティクス担当Shiraj Sen(シラジュ・セン)氏がプレスリリースで「私たちのプロジェクトと米国陸軍とのパートナーシップにより、自律システムの重要な進歩を実現しました。このプロジェクトで実現した進歩は、未来の完全自動運転車の実用化を加速するだけでなく、エネルギーや航空やヘルスケアなど、人びとが毎日依存しているその他の産業の自律化をさらに促進するでしょう」と述べている。

Sarcos

といった矢先、今度はSarcosが米国時間8月5日、T-Mobileと提携して後者の5Gの遠隔操作を同社のGuardian XTロボットに行わせると発表した。5Gの低レイテンシーの接続の利点が話題になるときはもちろんロボティクスも引っ張り出されるが、むしろそれは率直に言って、プレスイベントのステージの方がふさわしい話題だ。違いますか、Verizonさん。なぜならロボットは、確実に人びとを楽しませるテーマだからだ。実在するシステムに使われるのも、良い見世物だ。

そのリリースは次のように述べている。

T-MobileとSarcosのコラボレーションは5Gの統合に始まり、T-Mobileの広帯域で低レイテンシーな5Gネットワークが駆動するリモート視聴システムの開発へ向かいます。これにより労働者や管理者、外部の専門家などがリモートのどこにいても、人間のオペレーターが現場で行っている仕事を確認することができる。開発の第2期において、T-Mobileの5Gワイヤレスネットワークの統合により、Guardian XTのテレオペレーションが5Gで可能になり、通信事業者の柔軟性が増して、遠距離からのタスクの実行が可能になります。

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カテゴリー:ロボティクス
タグ:ドローン倉庫Third Wave AutomationinVia Robotics資金調達General Electric5G遠隔操作SarcosT-Mobile

画像クレジット:Corvus Robotics

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(文:Brian Heater、翻訳:Hiroshi Iwatani)

ソフトバンクが2030年代の「Beyond 5G」「6G」のコンセプトと12の挑戦を公開

ソフトバンクが次世代移動体通信規格「Beyond 5G」「6G」に向けた12の挑戦を公開ソフトバンクは、2030年代の商用化が期待されている、次世代移動体通信規格「Beyond 5G」および「6G」に向けた12の挑戦を公開しました。

内容としては、5Gの「ミリ波」よりもさらに高い周波数帯「テラヘルツ波」の利用や、無人の電気飛行機を使って成層圏に携帯基地局を浮かべる「HAPS」、LEO(低軌道通信衛星)を活用した、100%のエリアカバレッジなどが紹介されています。全文は下記の通りです。

(1)ベストエフォートからの脱却

これまでのモバイルネットワークでは、スマートフォンをインターネットに接続するベストエフォートなサービスを提供してきました。例えば、ネットショッピングや動画のストリーミング視聴といった、多少の遅延やパケットロスが発生しても生活に支障が生じにくいアプリケーションを提供してきました。6Gのモバイルネットワークでは、さまざまな産業を支える社会インフラの実装が期待されており、各産業が要求するサービスレベルに見合った、品質の高いモバイルネットワークを提供する必要があります。ソフトバンクは、日本全国を網羅するモバイルネットワークに、MEC(Mobile Edge Computing)やネットワークスライシングなどの機能を実装して、産業を支える社会インフラを実現していきます。

(2)モバイルのウェブ化

インターネットは、これまで多くのIT企業によってシステムやプロトコルの改善がなされ、進化を続けてきました。一方、モバイルネットワークは、クローズドなネットワークであるため、世界的に標準化される以上に進化を遂げることはありません。今後、モバイルネットワークのサービスの幅を広げるために、より柔軟なアーキテクチャーに生まれ変わることが期待されます。6Gでは、ウェブサービスのアーキテクチャーを取り込むことで、さらにお客さまに便利なサービスを提供できると考えて、研究開発を進めていきます。

(3)AIのネットワーク

AI技術は、画像認識による物体の検知や、音声認識・翻訳だけではなく、ネットワークの最適化や運用の自動化など、幅広く適用されるようなりました。同時に、無線基地局を含むモバイル通信を支えるネットワーク装置では、汎用コンピューターによる仮想化も進んできました。AI技術と、ネットワーク装置の仮想化は、いずれもGPU(Graphic Processing Unit)によって効率的に処理できるソフトウエアです。モバイルネットワーク上にGPUを搭載したコンピューターを分散配置することで、低コストで高品質なネットワークとサービスの提供が可能になります。ソフトバンクは、2019年からGPUを活用した仮想基地局の技術検証に取り組んでおり、AI技術とネットワークが融合したMEC環境を実現していきます。

(4)エリア 100%

6Gでは、居住エリアで圏外をなくすことや、地球すべてをエリア化することが求められます。ソフトバンクは、HAPSやLEO(低軌道)衛星、GEO(静止軌道)衛星を活用した非地上系ネットワークソリューションを提供することで、この問題を解決します。これにより、世界中で30億を超えるインターネットに接続できない人々に、インターネットを提供することが可能になります。また、これまで基地局を設置できなかった海上や山間部、さらには上空を含むエリアにモバイルネットワークを提供することが可能になり、自動運転や空飛ぶタクシー、ドローンなど新しい産業を支えるインフラとなります。

(5)エリアの拡張

ソフトバンクの子会社であるHAPSモバイルは、2017年から成層圏プラットフォームと通信システムの開発に取り組んでいます。2020年にはソーラーパネルを搭載した成層圏通信プラットフォーム向け無人航空機「Sunglider」(サングライダー)が、ニューメキシコで成層圏フライトおよび成層圏からのLTE通信に成功し、HAPSが実現可能であることを証明しました。このフライトテストで得た膨大なデータを基に、商用化に向けて機体や無線機の開発、レギュレーションの整備などを進めていきます。

(6)周波数の拡張

5Gでは、これまで移動体通信で利用されることがなかったミリ波が利用できるようにしました。6Gでは、5Gの10倍の通信速度を実現するため、ミリ波よりも高い周波数のテラヘルツ波の活用が期待されています。一般的に、100GHzから10THzまでがテラヘルツ帯とされ、2019年に開催された世界無線通信会議(WRC-19)では、これまで割り当てられたことがなかった275GHz以上の周波数の中で、合計137GHzが通信用途として特定されました。この広大な周波数を移動通信で活用することで、さらなる超高速・大容量の通信の実現を目指します。

(7)電波によるセンシング

ソフトバンクは、これまで電波を主に通信用途で活用してきましたが、6G時代では通信以外の用途でも活用することが可能になります。例えば、Wi-Fiの電波を使用して、屋内で人の位置を特定する技術はすでに実用化されている他、Bluetoothを位置情報のトラッキングに利用するケースもあります。6G時代では、電波を活用して、通信と同時にセンシングやトラッキングなどを行うサービスの提供を目指します。

(8)電波による充電・給電

スマートフォンなどのデバイスは、Qi規格による無接点充電技術が多く使用されていますが、距離が離れてしまうと充電・給電ができないという欠点があります。6G時代には、電池交換や日々の充電から解放される未来がやってくると期待しており、距離が離れても電波を活用した充電・給電を行える技術の研究開発を進めていきます。

(9)周波数

周波数は、これまで各事業者が占有して利用することを前提に割り当てられてきましたが、IP技術を無線区間に応用することで、時間的・空間的に空いている帯域を複数事業者で共有することも可能になると考えます。Massive MIMOやDSS(Dynamic Spectrum Sharing)などの多重化技術がすでに確立されていますが、これらを含めた技術をさらに発展させて周波数の有効活用を進めていきます。

(10)超安全

2030年には、量子コンピューターの実用化まで開発が進むと言われています。量子コンピューターが実用化されると、現在インターネットの暗号化に使われているRSA暗号の解読ができるようになり、通信の中身を盗まれる可能性があります。将来、通信インフラの上に成り立つ産業全体を守るために、耐量子計算機暗号(PQC)や量子暗号通信(QKD)などの技術検証に取り組み、発展させることで、超安全なネットワークの実現を目指します。

(11)耐障害性

モバイルネットワークは、5G以降により一層社会インフラとしての役割が強くなってくると考えており、通信障害が発生した場合でも社会インフラとして維持し続ける必要があります。そこで、従来のネットワークアーキテクチャーを見直すことで、障害が起こりにくいネットワークを構築するとともに、万が一、障害が発生した場合でもサービスを維持できるようなネットワークの技術の研究開発を進めていきます。

(12)ネットゼロ

大量のセンサーやデバイスからのデータ、あらゆる計算機によるデータ処理によって、CO2排出量を常時監視・観察ができるようになると、温室効果ガスの排出を実質ゼロにするネットゼロの達成に大きく寄与できると考えられます。しかし、常にセンサーなどで監視されることになるため、プライバシー情報の取り扱いや情報セキュリティーといった課題を解決することも必要になります。また、基地局自体もカーボンニュートラルな運用を目指しています。現在、災害時でもネットワークを稼働させるため、基地局の予備電源の設置が義務付けられていますが、電源を普段から活用することや、日中に充電した電気を夜間に使うことで、温室効果ガスの排出量を抑えることができます。さらに、通信量に応じてリアルタイムな基地局の稼働制御を行うことで、消費電力を最小化することも可能になります。カーボンフリーな基地局の実現に向けて研究開発を進めていきます。

(Source:ソフトバンクEngadget日本版より転載)

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:衛星コンステレーション(用語)エッジコンピューティング(用語)カーボンニュートラル(用語)GEO / 静止軌道(用語)ソフトバンク / SoftBank(企業)耐量子計算機暗号 / PQC(用語)テラヘルツ波(用語)ドローン(用語)ネットワーク(用語)HAPS / 成層圏通信プラットフォーム(用語)HAPSモバイル(企業)Beyond 5G / 6G(用語)5G(用語)量子暗号(用語)量子暗号通信 / QKD(用語)量子コンピューター(用語)LEO / 地球低軌道(用語)日本(国・地域)

NTTドコモが「空の産業革命」実現にらみドローン向け新料金プラン「LTE上空利用プラン」日本初提供、月額4万9800円

NTTドコモが日本初のドローン向け新料金プラン「LTE上空利用プラン」提供、月額4万9800円NTTドコモが日本初となるドローン向け新料金「LTE上空利用プラン」の提供を開始しました。

同プランは、月額4万9800円(税込)で上空におけるLTE通信を120GBまで利用可能。また、同プランの契約者がドローンを利用する際に、利用場所や日時・台数・高度などを事前に予約できる「LTE上空利用予約」もセットで提供します。

従来、上空のモバイルネットワーク利用は、地上で利用する電波への干渉を避けるため、電波法のもと限定的な利用となっていました。

しかし、官民が提唱した「空の産業革命」のもと、上空での送信電力制御や、上空で利用する周波数帯の限定などを条件に、2020年12月に上空におけるモバイルネットワーク利用を拡大する制度が整備されました。

今回、同プランを活用することで、目視外への長距離飛行やリアルタイムデータ伝送も可能となり、広範囲の農薬散布や生育監視、遠隔地への長距離物流、災害発生時における遠隔地のリアルタイム映像伝送など、幅広いシーンに活用できるといいます。

なお、携帯キャリアがドローン向けの専用プランの提供を開始するのは国内初。ドコモは7月16日・19日に開催する5Gソリューションの展示会「docomo 5G DX MEETUP for business」に同プランおよびサービス内容の詳細を出展します。

(Source:NTTドコモEngadget日本版より転載)

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カテゴリー:ドローン
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NTT西日本・愛媛大学・青空がドローン空撮画像解析で野菜の生育状況を見える化し農作物生産をコントロールする共同実験

NTT西日本・愛媛大学・青空がドローン空撮画像解析で野菜の生育状況を見える化し農作物生産をコントロールする共同実験

NTT西日本グループは7月5日、愛媛大学、農家の契約栽培の支援などを行う青空と共同で、廉価な汎用ドローンと空撮画像の解析を活用した「圃場分析技術」による農作物生産コントロールの実証実験を開始すると発表した。低コストなデジタル活用により圃場内の農作物の生産品質・収量の安定化、余剰生産による廃棄ロスを抑止し生産性の高い農業を実現する。

現在国内農業は、農業就業人口や農家数の減少により、少数の大規模農家が多数の圃場(ほじょう:畑、水田、牧草地など耕作地の総称)を管理して生産を行う形に移行しつつあるという。しかし広大な圃場では、エリアによって作物の育成にばらつきが出る。少ない労力ではきめ細かい管理が行き届かず、さらに天候不順の影響による収穫量の増減を吸収しようとすれば、常に余剰生産を行うことになり、大量の廃棄ロスが生じてしまう。生産の安定化と廃棄ロスの削減を実現するには、既存の手法では高価な機材を導入せざるを得ない。

そこでNTT西日本グループは、同社ドローン・ソリューションとクラウド基盤と、愛媛大学が開発した抵コストで導入できる圃場分析技術(特許出願中)とを組み合わせた農作物の育成状況を分析する仕組みを構築。圃場分析の結果に基づく施肥による、生産量と品質の安定化を目指した実証実験を行うことになった。

今回の実験には、「生産の安定性に向けた実証」と「廃棄ロス抑止に向けた実証」の2つの要素がある。生産の安定性では、岡山県真庭市にある青空のレタス圃場を廉価な汎用ドローンで空撮し、その俯瞰画像データからSPAD値(植物の葉の葉緑素含有量)を分析。レタスの葉緑素の推定濃度から生育状況を可視化し、それに基づき、必要な箇所に必要な量の施肥を(可変施肥)行うことで、生育、品質のばらつきの抑制を目指す。

廃棄ロス抑止では、レタスの生育状況の分析データ、天候データ、青空の栽培ノウハウを活かし、収穫可能時期と収量の予測から、需要に対する余剰量を早期に予測し、余剰分の販売先を事前に確保という、収益性に優れた営農手法の確立を目指す。

それぞれの役割分担は、NTT西日本がクラウド基盤の提供(分析環境)と収量予測モデルの作成、NTTビジネスソリューションズがビジネス性評価とドローン自動化撮影、愛媛大学が葉緑素推定アルゴリズムの提供と圃場葉緑素分布マップの作成、青空が圃場葉緑素分布に基づく可変施肥の実施、農作物品質および収量評価、収量予測ノウハウの提供となっている。2021年6月から2022年3月まで行われる。

NTT西日本グループでは、2022年度の「農業生産DXソリューションの事業化」を進めると話している。

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ソニーがドローン「Airpeak S1」を9月発売、ミラーレスα搭載や映像制作向け飛行プラン作成も可能

ソニーがドローン「Airpeak S1」を9月発売、ミラーレスα搭載や映像制作向け飛行プラン作成も可能ソニーグループは、これまで開発を進めてきたAirpeakの第一弾として「Airpeak S1」(ARS-S1)を2021年9月に発売します。価格はオープンですが、市場想定価格は税別100万円です。

Airpeak S1は、独自開発のモーターやプロペラなどを備え、センシングによる障害物検知や自動飛行、機体や飛行情報のクラウド管理などが可能なドローン。フルサイズミラーレス一眼カメラαも搭載でき、主に映像制作への利用を見込んでみます。

本機に搭載した17インチの軽量なプロペラは独自開発のもの。プロペラやブラシレスモーターを制御するESC(Electric Speed Controller)も搭載。推進デバイスと全てのセンサー情報を統合し、安定した飛行と高い操縦応答性を実現するといいます。

センシングによる安定飛行も特徴のひとつで、ソニー製イメージセンサー内蔵カメラを機体5方向(前後左右下)に配置。カメラ情報を同時に処理するソニー製ビジョンセンシングプロセッサと独自アルゴリズムも搭載します。

それらの視界情報とIMU(Inertial Measurement Unit)、コンパス、気圧、赤外線測距などのセンサー情報を統合し、自己位置・姿勢を高精度に推定して周囲の空間をリアルタイムに認識。屋内や橋梁下などGNSSを受信しづらい条件下でも安定して飛行できるとのことです。

用途に応じてカメラを選べるのもポイント。具体的には、低ノイズな撮影が可能なα7Sシリーズや FX3 のほか、高精細な撮影が可能なα7Rシリーズ、歪の少ない映像を撮影できるα9シリーズの搭載が可能です。

αの映像をリアルタイムで確認しながら、機体と各機材を一元的に操作できる iOS / iPadOS 対応アプリ「Airpeak Flight」も用意され、ユーザーは飛行距離やバッテリー残量などを確認できます。

iOS / iPadOS 対応アプリ「Airpeak Flight」
さらに、機材管理や飛行プラン作成、フライトログの管理が可能なWebアプリ「Airpeak Base」のほか、機体の緯度・経度・高度を設定し、ジンバルの向きや動画・静止画撮影のタイミングを指定することも可能です。

このほか、Airpeak Base の機能が使えるクラウドサービス「Airpeak Plus」と、保証サービス「Airpeak Protect Plan」なども用意され、詳細は商品販売開始前にAirpeakのWebサイトで公開されます。

 Airpeak Base を使えば、あたかも空中にレールを設置したかのように自動的に何度も機体を飛行させたり、タイムラインに沿って機体の位置(緯度・経度・高度)や速度を設定し、ジンバルの向きや動画・静止画撮影のタイミングを指定したりできる。再現飛行は過去に飛行したフライトログをもとに飛行ルートとジンバル、カメラの動きを自動で再現する自動飛行機能

Airpeak Base を使えば、あたかも空中にレールを設置したかのように自動的に何度も機体を飛行させたり、タイムラインに沿って機体の位置(緯度・経度・高度)や速度を設定し、ジンバルの向きや動画・静止画撮影のタイミングを指定したりできる。再現飛行は過去に飛行したフライトログをもとに飛行ルートとジンバル、カメラの動きを自動で再現する自動飛行機能

 

ちなみに開発中のAirpeakは2021年1月11~14日に開催された世界最大級の家電・技術見本市「CES 2021」で披露され、その後、ソニーの試作EV「VISION-S」が公道で走行する模様の撮影に使用されました。なお、AirpeakとVISION-Sは、ソニーがAI​ロボティクス事業の取り組みとして、CES 2021 で包括的に紹介しました。

ソニーグループは今後、クリエイターだけでなく、システムインテグレーターや産業パートナーなど、プロフェッショナルサポーターとの共創活動を推進していく考えです。

  • 外形寸法:約526.8mm(高さ) x 591.9mm(幅) x 511.8mm(奥行)
  • 対角寸法:約644.6mm(モーター対角、プロペラは除く)
  • 機体質量:約3.1kg(バッテリーパックは除く)
  • 最大積載可能質量:約2.5kg
  • 最大離陸質量:約7.0kg
  • 最大速度:25m/s(90km/h)(ペイロード無し、障害物ブレーキ無効時)
  • 最大上昇速度:7m/s(ペイロード無し、障害物ブレーキ無効時)
  • 最大下降速度:4m/s(ペイロード無し、障害物ブレーキ無効時)
  • 加速時間:約3.5秒(停止から80km/hまでの時間、ペイロード無し時)
  • 最大飛行時間:約22分(ペイロード無し時) / 約12分(a7SIII+SEL24F14GM搭載時
  • 最大無線伝送距離:2km(障害物や電波干渉がなく見通しがよい場合)
  • ビジョンセンサー:種別:ステレオカメラ、配置:前後左右下方向、動作環境:地表の模様が明瞭で適切な明るさのある状態、検知範囲・角度:0.5 – 54m、HFOV・VFOV 80°
  • 赤外線測距センサー:種別:赤外線、配置:上下方向、検知範囲・角度:0.1 – 2m、FOV ±20°
  • FPVカメライメージセンサー:1/4インチ 817万画素CMOSセンサー 30fps
  • ジンバル軸:2軸ジンバル(チルト、ロール)
  • 搭載可能ジンバル:GBL-T3(Gremsy製ジンバル)
  • 搭載可能なカメラ:ILCE-1 / ILME-FX3 / ILCE-7C / ILCE-9M2 / ILCE-7SM3 / ILCE-7RM4 / ILCE-7RM3 / ILCE-7M3 / ILCE-9
  • 搭載可能なレンズ:SEL14F18GM / SEL20F18G / SEL24F14GM / SEL24F28G / SEL28F20 / SEL35F28Z / SEL35F18F / SEL40F25G / SEL50F25G / SEL50F18F / SEL50M28 / SEL55F18Z / SEL85F18

(Source:Airpeak S1Engadget日本版より転載)

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カテゴリー:ドローン
タグ:Airpeak(製品・サービス)Sony / ソニー(企業)ドローン(用語)日本(国・地域)

空中親機ドローンと子機水中ドローンを合体させた世界初の「水空合体ドローン」が開発、2022年度の商用化目指す

空中親機ドローンと子機水中ドローンを合体させた世界初の「水空合体ドローン」が開発、2022年度の商用化目指す

KDDIKDDI総合研究所、2015年1月設立の産業用ドローンメーカー「プロドローン」(PRODRONE)は6月10日、ダム・港湾設備の点検や水産漁場監視を行う「水空合体ドローン」を開発したと発表した。モバイル通信を利用して、点検現場まで空中を自律飛行し、潜水型子機を切り離して水中での測位、映像伝送を行う。この形式のドローンは、KDDI総合研究所の調べによると、2021年6月10日現在世界初となる。3社は今後、2021年度中に各用途に応じた実証を行い、2022年度の商用化に向け開発を行う。

水産養殖や水域インフラの点検分野では、人手不足が深刻化し、水中ドローンの需要が高まっているものの、従来の水中ドローンは船で点検現場まで運ばなくてはならなかった。一方この水空合体ドローンは、点検現場まで自律飛行するため、船を出す必要がない。親機である空中ドローンは、現場の水面まで飛行し子機である水中ドローンを切り離す。水中撮影、映像の伝送などの作業を遠隔操作で行った後、空中ドローンは水中ドローンを回収して、また飛んで帰ってくる。

自律飛行中の水空合体ドローン

着水した水空合体ドローン

潜行する子機

子機を回収し離水する水空合体ドローン

機体の開発はプロドローンが担当し、KDDIは、ドローンを日常生活を支えるインフラにすることを目的に開発したモバイル通信によるドローン管制システム「スマートドローンプラットフォーム」を提供。KDDI総合研究所は、水中の音響計測技術を提供し、プロジェクト全体の統括を行っている。

水空合体ドローンは、6月14日から開催される展示会「ジャパンドローン2021」のKDDIブースに出展予定。

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テクノロジーと災害対応の未来2「データとAI」

データが10年以上も次世代の石油として評価されてきたきた経緯については、さまざまなメディアで取り上げられており、特定の分野ではまさにデータが重要な要素となっている。今やほとんどの民間企業で、マーケティング、物流、金融、製造、意思決定などのあらゆるレベルでデータが欠かせない(これが間違っているなら、私は履歴書を書いてすぐにでも転職した方がよい)。

データを使用することにより、多くの被災者が苦しめられるような災害に対する対応を根本から変えられる可能性があるが、この10年間に発生した緊急時対応にデータがほとんど活用されていないと聞くと、少し驚くかもしれない。災害対応機関と民間の組織は長年にわたり、災害対応用として入力するデータの範囲を広げ、処理するデータの量を増やしてきたが、結果はあまり芳しくなく、データを活用するには程遠い。

しかし、モノのインターネット(IoT)の普及により、このような現状も変わりつつある。災害の最前線で作業する危機管理マネージャーは、回復、対応、復興のサイクルにわたって必要なデータを入手し、的確な判断を下せるようになってきている。ドローンからの航空撮影、災害想定状況の可視化、AI誘発型の災害のシミュレーションなど、最前線で活用されている技術は最高レベルに達していない。これは、2020年代の災害対応における変革の幕開けに過ぎない。

膨大な量の災害データをついに入手

緊急時対応は、先の見えない不安と刻々と迫る時間との戦いである。山火事やハリケーンの現場では、数秒ですべてが変わる場合がある。注意を怠れば一瞬で事態が急変することさえある。避難者を輸送するはずの安全な道路に山火事が広がって突然通れなくなることや、避難チームが再編成を繰り返して広範囲に広がり過ぎること、また予想外の状況が急に発生することで、救助活動が立ち行かなくなってしまうといったことがよくある。情報を完全に掌握していたオペレーションセンターに、突如として地上検証データがまったく入らなくなってしまうこともある。

残念ながら、災害前や災害発生時に未処理データを取得することが極めて難しいことさえある。ビジネスの世界でこれまでに発生したデータ革命を振り返ってみると、初期の成功があったのは、企業が常にデータに大きく依存しながら、自社の活動を進めていたという事実によるところが大きい。今もそうだが重要なのはデジタル化である。つまり、放置されている未処理データをパソコンで解析可能な形式に変換するために、業務を書類からパソコンに移行することだった。ビジネスの世界でこれまでの10年間は、いわばバージョン1からバージョン2へのアップグレード期間だったといえる。

緊急対応管理について考えてみると、多くの対応機関がバージョン0からバージョンアップしていない。洪水を例にとると、洪水の発生源と水の流れをどのように把握するのか。つい最近まで、洪水の発生場所と水の流れに関する総合的なデータすら存在していなかった。山火事の場合は、世界中に点在する樹木の場所や可燃性に関するデータセットが管理されていなかった。電線や携帯電話の基地局といったインフラ設備でさえ、デジタル世界との接点がまったくないことが多かった。そのため、ユーザーがそうした設備を判別できなければ、そうした設備があっても、設備側からユーザーを認識することもできなかった。

洪水モデルは、災害防止計画と災害対応の最先端だ(画像クレジット:CHANDAN KHANNA/AFP/Getty Images)

モデルやシミュレーション、予測、分析には、未処理データが不可欠である。災害対応の分野には、これまで詳細なデータは存在しなかった。

モノのインターネット(IoT)がかなり浸透してきた今では、ありとあらゆるモノがインターネットに接続されるようになり、米国や世界中の至るところにIoTセンサーが設置されている。温度、気圧、水位、湿度、大気汚染、電力、その他のセンサーが広範に配備され、データウェアハウスに定常的に送信されるデータが分析されている。

例として米国西部の山火事を挙げよう。連邦政府と州の消防庁が火災の発生場所を把握できないというのは、そんなに昔の話ではない。消防には「100年の歴史があるが、その伝統が技術進歩に妨げられることはない」と、米国農務省林野部で10年間消防局長を務め、現在はCornea(コルネア)の最高消防責任者であるTom Harbour(トム・ハーバー)氏はいう。

彼のいうことは正しい。消火活動というのは理屈抜きの活動なのだ。消防隊員には炎が見える。炎の熱風を自分の肌で感じることさえある。広大な土地が広がり、帯状に都市が点在しているような米国西部では、データは役に立たなかった。衛星で大火災を発見することはできるが、茂みでくすぶっている小火を地理空間情報局から確認することはまず不可能だ。だが、小さい火事を発見できなくても、カリフォルニア一帯には煙が充満していることがある。では、このような貴重な情報を、地上の消防隊員はどのように処理すればよいのだろうか。

これまで10年にわたってIoTセンサーの成功が謳われてきたが、ここへきてようやく障害となっていた多くの問題が解決されつつある。回復力のあるコミュニティについて調査しているRAND Corporation(ランド・コーポレーション)の社会科学者Aaron Clark-Ginsberg(アーロン・クラークギンズバーグ)氏は「非常に安価で使いやすい」大気質センサーを使うと、大気汚染に関する詳細な情報(山火事の重要な徴候など)を入手できるため、このセンサーがいたるところに設置されていると説明する。同氏は、最近のテクノロジーの可能性を示すものとして、センサーの製造だけでなく、人気のある消費者向け大気質マップも作成しているPurple Air(パープルエアー)を挙げた。

災害時にデータを扱う際には、マップが重要なツールとなる。大半の災害防止計画チームや災害対応チームは地理空間情報システム(GIS)をベースに活動しているが、この分野で随一のマップ制作量を誇っているのが非公開企業のEsri(エスリ)だ。同社の公安ソリューション担当部長Ryan Lanclos(ライアン・ランクロス)氏は、水位センサーの数が増えたことにより、特定の災害に対する対応が劇的に変化したという。「洪水センサーは常に稼働状態にあります」と同氏はいう。「連邦政府が作成している全米洪水予報モデル」により、研究者はGIS分析を使用して、洪水が各コミュニティに及ぼす影響をかつてないほど正確に予測できるようになったと指摘する。

デジタルマップとGISシステムは災害防止計画と災害対応にますます不可欠な存在となっているが、印刷版のマップも依然として好まれている(画像クレジット:Paul Kitagaki Jr. — Pool/Getty Images)

Verizon(ベライゾン)(Verizon MediaはTechCrunchの親会社であるため、ベライゾンは当社の最終的な所有会社)の公安戦略および危機対応担当ディレクターCory Davis(コリー・デイビス)氏によると、このようなセンサーのおかげで、同社の作業員がインフラを管理するために行う作業が変わってきたという。「送電線にセンサーを設置した電力会社を想像してみてください。センサーがあれば、障害が発生した場所にすぐに駆け付け、問題を解決して、復旧させることができます」。

同氏はセンサーのバッテリー寿命が延びたことで、この分野で使用されているセンサーがこの数年で大きく進歩したという。超低電力のワイヤレスチップやバッテリー性能、エネルギー管理システムが絶えず改善されているおかげで、荒れ地に設置したセンサーをメンテナンスしなくても、非常に長い期間使用できるようになった。「バッテリー寿命が10年というデバイスもある」と同氏はいう。これは重要だ。最前線の送電網にセンサーを接続することなどできないからだ。

同じ考え方がT-Mobile(ティー・モバイル)にも当てはまる。防災計画に関して、電話会社の全米技術サービスオペレーション戦略上級ディレクターJay Naillon(ジェイ・ナイロン)氏は次のように話す。「価値が向上し続けているタイプのデータとして、高潮データがあります。このデータのおかげで、設備が正常に稼働していることを容易に確認できます」。高潮データは洪水センサーから送信されるため、全米の防災計画策定者に警報をリアルテイムに送ることができる。

災害関連のセンサーやその他のデータストリームの採用を進めるためには、電話会社の関心やビジネス面での関心を惹くことが必要不可欠だった。洪水や山火事のデータを必要とするエンドユーザーは政府ではあるが、このようなデータの可視性に関心があるのは政府だけではない。Columbia(コロンビア)大学の地球研究所国立防災センターのプロジェクト統括責任者Jonathan Sury(ジョナサン・シュリー)氏は「こうした情報を必要としているのはほとんどの場合、民間企業です」と話す。「気候変動などの新しいタイプのリスクが、企業の収益に影響を与えるようになっています」と同氏はいい、センサーデータに対するビジネス面での関心が、債権格付けや保険の引受などの分野で高まっていると指摘する。

センサーはどこにでも設置できるわけではないが、緊急対応管理者がこれまで確認できなかったような、現場のあいまいな状況を見通すのに役立ってきた。

最後に、世界中の至るところで利用されるようになったモバイル機器には、膨大なデータセットが存在する。例えばFacebook(フェイスブック)のData for Good(データ・フォー・グッド)プロジェクトでは、接続に関するデータレイヤーを利用できる。ある場所から接続していたユーザーが別の場所で接続したら、移動したと推測できる。フェイスブックや電話会社が提供するこのようなデータを使うことで、緊急対応計画を策定するスタッフは、人の移動をリアルタイムに把握することができる。

氾濫するデータとAIの可能性

データが乏しかった過去と比べると今は情報が溢れているが、世界中の都市で発生している洪水のように、データの氾濫に対応する時期が近づいている。データウェアハウスやビジネスインテリジェンスツールなどのITスタックによって、過剰なまでのビッグデータが収集されている。

災害データが簡単に処理できさえすればよいのだが、現実はそう簡単ではない。民間企業や公的機関、非営利団体などさまざまな組織が災害関連データを保持しているため、データを相互に運用する面で大きな障害がある。分散しているデータを統合して知見を得られたとしても、最前線で対応するスタッフが現場で意思決定に役立てられるようにまとめるのは困難だ。そのため、防災計画以外の用途でAIを売り込むのは今でも難しい。ベライゾンのデイビス氏は次のように話す。「過剰なまでのデータをどのように活用すればよいのかという点に関して、多くの都市や政府機関が苦慮しています」。

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残念ながら、あらゆるレベルでの標準化が課題だ。世界的にみると標準化が徐々に進んではいるものの、各国間の相互運用性はほとんど実現されていない。緊急電話対応プラットフォームCarbyne(カーバイン)の創業者兼CEOのAmir Elichai(アミール・エリチャイ)氏は「テクノロジーと標準化の両面で、国ごとに大きな隔たりがあります」と語り、ある国のプロトコルを別の国で使用するには、まったく別のものに作り直す必要があることが多いと指摘する。

ヘルスケア災害対応組織Project HOPE(プロジェクト・ホープ)の緊急対応準備担当ディレクターTom Cotter(トム・コッター)氏は、国際的な環境では、対応するスタッフ同士でコミュニケーションを確立することさえ難しいと話す。「ある国では複数のプラットフォームを使用できるのに対し、別の国では使用が許可されていないということがあり、状況は常に変化しています。基本的には、テクノロジーコミュニケーションプラットフォームを国ごとに別々に用意している状態です」。

連邦政府の緊急管理部門のある上級担当者は、テクノロジーの調達契約ではデータの互換性がますます重要になっていることを認め、政府は自前のソフトウェアを使用するのではなく、市販の製品を購入する必要性を認識していると話す。こうしたメッセージはエスリなどの企業にも届いている。ランクロス氏は「当社の中核となる使命はオープンであることです。作成したデータを一般公開して共有するか、オープンな基準に基づいてセキュリティ保護したうえで共有するというのが当社の考え方です」。

相互運用性が欠如しているというのはマイナス面がいくつもあるが、皮肉なことにイノベーションの際にはプラスに作用することがある。エリチャイ氏は「標準化されていないということは利点になります。従来の標準に合わせる必要がなくなるからです」と指摘する。標準化されていない状況では、最新のデータワークフローを前提とした、質の高いプロトコルを構築できることもある。

相互運用性が確保されたとしても、その後にはデータ選別の問題が控えている。災害関連データには危険も潜んでいる。センサーから発信されるデータストリームは検証したうえで別のデータセットと照合できるが、一般市民から発信される情報量が激増してきているため、初動対応するスタッフや一般向けに公開する前に安全性を精査する必要がある。

一般ユーザーがかつてないほどスマホにアクセスできるようになっているため、緊急対応計画を策定するスタッフが、アップロードされたデータを選別して検証し、使える状態にする必要がある(画像クレジット:TONY KARUMBA/AFP/Getty Images)

災害コミュニケーションプラットフォームPerimeter(ペリメーター)のCEO兼共同創業者Bailey Farren(ベイリー・ファレン)氏は「正確な最新情報を持っているのが一般市民である場合もあります。そうした貴重な情報を、初動対応するスタッフが作業を始める前に市民が政府担当者に伝えてくれればよいのですが」と話す。問題は、無益な情報や悪意のある情報から質の高い情報を選別する方法だ。自然災害の対応要員として有志の退役軍人チームを構成する非営利団体Team Rubico(チーム・ルビコン)のCIO Raj Kamachee(ラージ・カマチー)氏は、データの検証が必要不可欠であると述べ、同氏が2017年にチーム・ルビコンに参加して以来、組織で構築するインフラの重要な要素にデータの検証があると考えている。「当社のユーザーが増えているため、フィードバックのデータ量も増えています。結果として、セルフサービス型の非常にコラボレーション的なアプローチが形成されています」。

量と質が確保されれば、AIモデルを活用すべきだろうか。答えは、イエスでもありノーでもある。

コロンビア大学のシュリー氏は、一部で話題になっているような過剰な期待をAIにすべきではないと考えている。「注意が必要な点ですが、機械学習やビッグデータ関連のアプリケーションで何でもできるわけではありません。こうしたアプリケーションでさまざまな情報を大量に処理できますが、AIが具体的な解決策を教えてくれるわけではありません」と同氏はいう。「初動対応するスタッフはすでに大量の情報を処理しており」、それ以上のガイダンスを必ずしも必要としているわけでない。

災害分野では、防災計画や復旧にAIを利用することが増えている。シュリー氏は、防災計画プロセスでデータとAIを組み合わせた1つの例として、復旧計画プラットフォームOneConcern(ワン・コンサーン)を挙げる。また、さまざまなデータシグナルをいくつかのスカラー値にまとめて、緊急対応計画を策定するスタッフが危機管理計画を最適化できるようにする、CDC(米国疾病管理予防センター)の社会的脆弱性指標とFEMA(連邦危機管理庁)のリスクツールも挙げた。

とはいえ、筆者が話を聞いたほとんどの専門家は、AIを使用することについて懐疑的だった。災害に関する販売サイクルについて取り上げたこのシリーズのパート1で少し説明したように、データツールは、人命がかかっているときは特に信頼性が重要で、最新の情報に更新されていなければならない。チーム・ルビコンのカマチー氏は、ツールを選択する際にはそのツールの秀でているポイントではなく、各ベンダーの実用性だけに注目するという。「当社はハイテク機能も追求しますが、ローテクも用意しています」と同氏は語り、災害対応で重要なのが、変化する状況に機敏に対応できることであることを強調する。

カーバインのエリチャイ氏は、同社の販売実績にも同様のパターンがあると認識している。同氏は「市場には新しいテクノロジーに対する意識の高さと、採用を躊躇する慎重さの両方がある」ことを指摘するが「あるレベルに達すればAIが有益となることは間違いない」と認める。

同じように、ティー・モバイルのナイロン氏も経営者の観点から、ティー・モバイルの災害計画に「AIを最大限に活用できるとは思えない」と語る。ティー・モバイルはAIを頭脳として使う代わりに、単純にデータと予測モデリングを使用して装置の配置を最適化している。高度な敵対的生成ネットワークなど必要ないというわけだ。

AIは計画策定以外でも、災害後の復旧、特に損害査定に活用されている。災害の収束後にはインフラと私有財産の査定を行って、保険金を請求し、コミュニティを前進させる必要がある。チーム・ルビコンのCOO兼社長Art delaCruz(アート・デラクルーズ)氏は、テクノロジーとAIの普及によって、損害査定の作業が大幅に軽減されたと指摘する。チーム・ルビコンでは、復旧作業の過程でコミュニティの再構築を支援することが多いため、損害の重大度判定が対応戦略を効果的に進めるうえで不可欠だ。

太陽の光で将来は明るくなるが、その光でやけどする可能性もある

AIはこのように、回復計画と災害復旧の分野でいくらかの利用価値があるものの、緊急対応の分野ではあまり役に立っていない。とはいえ、災害対応サイクル全体では有効な場面も増えてくるだろう。ドローンの将来性には大いに期待が寄せられているし、現場で使用されるケースも増えている。しかし、長期的に考えると、AIとデータが解決策とならず、新たな問題を引き起こすのではないかという懸念がある。

災害対応の現場でドローンを使用することは、明らかに価値があるように思える。救援隊員が立ち入ることが困難な現場でも、ドローンを導入したチームは空からの映像や情報を入手できる。バハマでの任務遂行中に主要道路が閉鎖されたため、現場のチームがドローンを使って生存者を見つけたと、チーム・ルビコンのカマチー氏は話す。ドローンから撮影された画像がAI処理され、生存者を特定し避難させるのに役立った。同氏は、ドローンとその潜在能力について「とにかくすばらしいツールだ」と話してくれた。

ドローンから航空写真を撮影することで、災害対応チームが入手できるリアルタイム情報の質は大幅に向上する。地上からは近づけない現場ではなおさらだ(画像クレジット:Mario Tama/Getty Images)

プロジェクト・ホープのコッター氏もやはり、データ処理を高速化することで的確に対応できるようになると話す。「災害地で人命を救うのは、結局のところスピードです。対応をリモートから管理できるケースも増えたため、多数の要員を現地に送らずに済みます」と同氏はいう。これは、人員が限られている場所で活動する対応チームにとって、とても重要である。

「捜索や救助、航空写真などに、ドローンのテクノロジーを活用する緊急管理機関が増えています」とベライゾンのデイビス氏はいい「現場に機材を導入することが先決」という考え方の作業員が多いと指摘し、次のように続ける。「AIの性能は向上する一方であり、初動対応するスタッフはより効果的、効率的かつ安全に対応できるようになっています」。

センサーやドローンから送信される大量のデータを迅速に処理して検証できるようになれば、災害対応の質は向上するだろう。大自然が気まぐれに起こす大災害が増えているが、そうした現状にも対応できるかもしれない。しかし問題がある。AIのアルゴリズムが将来、新たな問題の原因となることはないのだろうか。

ランドでは典型的な代替分析を提供しているが、ランドのクラークギンズバーグ氏は、これらのソリューションで問題が発生する可能性があると話し「テクノロジーが引き金となって災害が発生し、テクノロジーの世界が災害を悪化させます」と指摘する。これらのシステムは破綻する可能性がある。間違いを犯すかもしれない。そして何より不気味なのは、システムを細工して大混乱と破壊を拡大させる可能性があるということだ。

筆者が最近紹介した災害対応VCファンド兼慈善活動組織のRisk & Return(リスク&リターン)社の取締役会長で、9/11 Commission(米国同時多発テロ事件に関する調査委員会)の前共同議長、およびネブラスカ州知事と上院議員も務めたBob Kerrey(ボブ・ケリー)氏は、多くの対応現場でサイバーセキュリティが不確定要素となるケースが増えていると指摘する。「(調査委員会が業務を遂行していた)2004年当時は、ゼロデイなどという概念はありませんでした。もちろんゼロデイを取引する市場もありませんでしたが、今はその市場があります」。9/11の同時多発テロでは「テロリストたちは米国にやってきて、飛行機をハイジャックすることが必要でした。今はハイジャックしなくても米国を破壊することが可能です」と同氏はいい「ハッカーたちは、モスクワやテヘランや中国の仲間、もしかすると自宅に引きこもっている仲間と、家で座ったまま攻撃できます」と指摘する。

災害対応の分野でデータは注目を浴びているが、このような状況が原因で、これまで存在しなかった二次的な問題が引き起こされる可能性がある。与えられしものは奪われる。今は石油が湧き出ている井戸もいつか突然枯渇する。あるいは井戸に火が付くかもしれない。

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画像クレジット:BIJU BORO/AFP / Getty Images

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(文:Danny Crichton、翻訳:Dragonfly)

ブロッコリーの収穫期をドローン画像とAI解析で診断、スカイマティクスの葉色解析サービス「いろは」が生育診断提供開始

ドローンによるリモートセンシングサービスを提供しているスカイマティクスは5月26日、葉色解析サービス「いろは」にブロッコリーを対象とした解析機能を新たに実装し、提供を開始したと発表した。

これまでブロッコリーの生産現場では、生産者が農地を歩きながら花蕾の生育を確認し、収穫のタイミングを判断するという運用が行われてきた。しかし、農地が広ければ確認に時間を要し、また人の目による確認作業は体力的にも大きな負担となっていた。

そこで「いろは」において、生産者が収穫適期の見極めを正確かつ効率的に行える追加機能として「ブロッコリー花蕾診断」が開発・実装した。

同機能では、AIが画像内の10〜15cm程度の花蕾を認識し、サイズ別に集計を実施。そして集計結果を確認することで、撮影時点の農地においてどの規格のブロッコリーが何%存在するのかを把握可能となる。ユーザーはドローンで農地の画像を撮影して「いろは」にアップロードするだけで、たった数時間で花蕾サイズ分布データが入手できるという。

実はスカイマティクスは、ブロッコリー生産を手がけている大規模農業生産法人からの相談を受け、2019年よりドローン画像を用いたブロッコリーの花蕾抽出技術および花蕾のサイズ判定技術の開発に取り組んできたそうだ。以来同社が収集したブロッコリー画像データは数万点に上り、今日においても全国のブロッコリー畑においてデータ収集を継続、日々解析精度の向上に努めている。

スカイマティクスによると、今後ブロッコリーの生産現場においては一斉収穫を前提とした機械収穫体系の導入が進んでいくとされ、農地内の収穫適期の判断がより一層重要となるという。ドローン×画像解析技術により、ブロッコリー生産者の収穫適期の判断の支援を行うとしている。

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カテゴリー:人工知能・AI
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エバーブルーテクノロジーズが風だけで自動航行する海上貨物輸送ドローンの実証試験に成功

風力を直接動力として自動航行する貨物帆船の開発を進めるエバーブルーテクノロジーズは、4月27日、逗子湾での貨物輸送の実証試験に成功したことを発表した。

地球温暖化対策として陸上輸送は電動化が進んでいるが、海上輸送は石油を燃やす動力船が主流だ。大型貨物船の電動化は大型のバッテリーを搭載する必要があるため、貨物の積載量を圧迫し、充電にも相当な長時間になるなど、現時点では現実的ではない。そこでエバーブルーテクノロジーズは自動航行できる帆船に目を付けた。これなら、人件費も燃料代も「ほぼゼロにすることが可能」だという。

今回の試験に使われたのは、2020年に開発された「Type-A プロトタイプ」と呼ばれる全長2mの無人操船ヨット、つまり帆船型ドローンだ。救援物資や医薬品の輸送を想定して、それに見立てたプリン500gを保冷剤とともにクーラーバッグに入れてカーボスペースに搭載。葉山町小浜海岸から逗子海岸のヨット利用エリア前までの約1kmを、あらかじめ設定された経由地を通過して、風力だけで自動帆走した。所要時間はおよそ12分。

船体の基本設計は、アメリカズカップチームに10年間所属し、最先端技術でヨットの設計を行ってきた船舶海洋工学博士でATCの共同創設者金井亮浩氏によるもの。「無人ヨットに最適」な三胴構造(トリマラン)になっている。

船体は無人ヨットに適した三胴構造。基本設計はATCの金井亮浩氏(写真クレジット:エバーブルーテクノロジーズ

Type−Aが小型なのにはワケがある。エバーブルーテクノロジーズでは小型船舶の利点に着目しているからだ。その理由として特に重要な点として、小型船は大型船と違い港湾施設を必要としないことが挙げられる。大型船に大量の貨物を積み込んだ場合、港からさらにトラックなどで個別地域に輸送する必要が生じるが、小型船なら宅配トラックのように、海岸線の必要な場所へ直接届けることができる。

そうした特長から、同社の帆船ドローンは災害時の救援物資輸送の手段として期待されている。陸路が分断されエネルギーインフラが被害を受けた状況でも、風だけで目的地に救援物資や医薬品を輸送できるからだ。飛行型ドローンと違って、飲料水などの重量物やトイレットペーパーなどのかさばるものが運べる点も大きい。同社では、「輸血用血液など急を要するものは飛行型ドローン、重量物や日用品は船舶型といった使い分けをすることで、災害時、効果的に対応可能」と話している。

現在、エバーブルーテクノロジーズは、100kgの貨物が積める5m級のヨットを開発中で、2021年の夏には輸送実験を予定している。また、「飛行型と船舶型ドローンのハイブリッド」Type-Pを、シンガポール国立大学と共同で進めているところだ。

ゆくゆくは、潮力や波力など海の再生可能エネルギーで水素を製造し自動操船ヨットで運ぶ海上水素サプライチェーン「ハイドロループ」の構築し、水素エネルギーを利用した船舶の電動化を推し進め、海上での水素エネルギー補給サービスの展開を、エバーブルーテクノロジーズは目指している。

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DRONE FUNDが3号ファンドの追加調達を実施し清水建設やキャナルベンチャーズらが参画、総額約50億円に

DRONE FUNDが3号ファンドの追加調達を実施し清水建設やキャナルベンチャーズらが参画、総額約50億円に

「ドローン・エアモビリティ前提社会」の実現を目指すベンチャーキャピタルのDRONE FUND(ドローンファンド)は3月9日、2020年5月に目標調達額を100億円とする「DRONE FUND 3号投資事業有限責任組合」(3号ファンド)を設立し、2020年9月にファーストクローズを実施したと発表した。

3号ファンドでは、清水建設、キャナルベンチャーズなどを新たにLP投資家として迎え、ファーストクローズとあわせて総額約50億円の調達を実施した。ドローンファンドはファイナルクローズに向けて、今後も資金調達を続ける。

DRONE FUNDによると、ドローンやエアモビリティをはじめとする空のテクノロジーは、国土・インフラの保全、産業活動の効率化と発展、日々の暮らしを支えうるソリューションとして注目を集めているという。デジタル政策やグリーン政策の重点化や、全国でのスマートシティに関する機運の高まりも大きな追い風としている。

DRONE FUNDは、これらを背景にドローン・エアモビリティのさらなる社会実装を促進するべく、3号ファンドを設立。次世代通信規格5Gをはじめとする通信インフラの徹底活用などを通じ、フィールド業務の自動化やリモート化などの産業活動のDXを可能とし、ドローン・エアモビリティの社会実装に寄与しうるテクノロジー、ソリューションへの投資を展開するとしている。

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カテゴリー:VC / エンジェル
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ドローンソリューションによる建設・電力・エネルギー業界DXを推進するテラドローンが15.1億円調達

ドローンソリューションによる建設・電力・エネルギー業界DXを推進するテラドローンが15.1億円調達

ドローンソリューションを通じた建設・電力・エネルギー業界などのDXを推進するテラドローンは2月15日、シリーズAにおいて、第三者割当増資および複数の金融機関などからの融資による総額15億1000万円の資金調達を発表した。引受先は、国際石油開発帝石、並ナントCVC2号投資事業有限責任組合(ベンチャーラボインベストメント、南都銀行100%子会社の南都キャピタルパートナーズ)。

調達した資金により、既存の点検・測量領域における顧客基盤の拡大、ドローン運航管理技術のさらなる開発に取り組み、業界全体の業務改善・コスト削減に貢献していく。

点検分野においては、オランダのグループ会社Terra Inspectioneeringが独自開発した、超音波検査機能搭載のUTドローンに関して、国内導入を本格化させていくという。UTドローンは、プラント内における貯蔵タンクや煙突、電力施設のボイラー、焼却炉の点検に活用可能としている。

また測量分野では、従来の約1/3の導入価格を実現した「Terra Lidar」を活用し、各顧客に適したソリューションを提供。また、計測したデータを一括解析し、解析時間を大幅短縮するSaaS事業「Terra Lidar Cloud」のさらなる充実を図る。

運航管理分野では、ドローンの社会実装が進展する中、空の産業革命を見据え、複数台ドローンの安心安全な自律運転を可能とするプラットフォーム技術、UTM(無人機運航管理システム。Unmanned Traffic Management)の開発をさらに拡充していく。2020年開催「小型無人機に係る環境整備に向けた官民協議会(第14回)」における「空の産業革命に向けたロードマップ2020」において、2022年度までにレベル4(有人地帯での目視外飛行)の実現が掲げられており、これをにらんだものとなっている。

2016年創業のテラドローンは、東京本社含め、全国に拠点を構え、海外においても欧州・東南アジアを中心に事業展開する、世界最大の産業用ドローンソリューションプロバイダー。2020年度は増収増益を達成、海外法人含めた連結ベースでは約20億円の売上となる見込み。

日本では大手ゼネコン・建設コンサルなどからの案件を中心に、世界でもトップクラスとなる1500件以上のドローン測量/点検実績を持つという。現在、測量分野では独自技術による高精度かつ大幅な低価格化を可能とした「Terra Lidar」(特許取得済)を提供。

点検分野では、海外グループ子会社で欧州の大手オイル&ガス会社を中心に200件以上の実績を持つTerraInspectioneeringと連携し、特許取得済みのUT(超音波探傷検査)ドローンを用いた検査技術を導入。運航管理分野では、JAL、KDDIなどと共同でドローン社会の実現に向け運航管理プラットフォーム「Terra UTM」の開発を行っている。

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