母国の信用履歴利用を可能にする銀行取引プラットフォームZolveが15.8億円調達

毎年、何万人もの学生や専門家が高等教育や仕事のためにインドを離れる。新しい国では、何カ月も過ごした後であっても、その国の銀行からクレジットカードを取得するのに苦労したり、他のさまざまな金融サービスにアクセスするために割高な料金を支払うことになることもある。

米国やその他ほとんどの国の銀行は、申請者の信用を判断するために銀行所在国のクレジットスコアを使う。たとえばある個人がインドで優れたクレジットスコアを持っていたとしても、外国の銀行にとっては意味をなさない。

それは、配車サービス会社TaxiForSure(インド大手のOlaに売却された)の創業者であるRaghunandan G(ラグナンダン・G)氏が、旅行からインドに戻ったときに学んだことだった。何カ月にもわたる調査とチーム編成を経て、ラグナンダン氏は解決策を得たと考えている。

同氏は米国2月17日、インドから米国に(またはその逆に)移動する個人のための新しい銀行取引プラットフォームであるZolve(ゾルブ)を発表した。

Zolveは米国とインドの銀行と協力して、消費者がプレミアムを支払ったり保証金をせき立てたられたりすることがないよう、金融商品へのシームレスなアクセスをサポートする。

ラグナンダン氏はTechCrunchとのインタビューで、同社がリスクを引き受けていると述べた。これにより、海外の銀行はZolveの顧客にサービスを提供できるようになった。「消費者は当社のサポートで口座を開設することができ、母国の銀行と取引を行うようにすべての銀行サービスにアクセスできます」と同氏は語った。

発表の一環としてラグナンダン氏は、創業2カ月のZolveがAccelとLightspeedがリードしたシードラウンドで1500万ドル(約15億8000万円)を調達したと述べた。Blume Venturesの他、著名なエンジェル投資家が参加した。エンジェル投資家にはCredの創設者Kunal Shah(クナル・シャー)氏、Helionの元MDであるAshish Gupta(アシッシュ・グプタ)氏、TwitterとRippleへの投資で知られるGreg Kidd(グレッグ・キッド)氏、DST GlobalのマネージングパートナーRahul Mehta(ラフル・メータ)氏、Coatue CapitalのシニアマネージングディレクターRahul Kishore(ラフル・キショア)氏が含まれる。Founder Collective(AirtableとUberに投資している)も、同社への投資がインドのスタートアップへの初めての投資となった。

「複数の地域で金融のアイデンティティを持つ個人は、シームレスなグローバル金融ソリューションを必要としています。Zolveのチームが問題をしっかりと認識し、魅力的で革新的な金融体験を提供できると信じています」とLightspeed India PartnersのBejul Somaia(ベジュール・ソマイア)氏は声明で述べた。

ラグナンダン氏はZolveを始める前に配車サービス会社であるTaxiForSureを創業し、後にOlaに2億ドル(約210億円)で売却した(画像クレジット:Zolve)

ラグナンダン氏は、他の複数のスタートアップもこの課題を解決しようとしていると認めたが、他の企業は出身国の消費者の信用履歴を利用していないと述べた。「この問題をまったく別の観点から見ているのは私たちだけです。私たちは、消費者が課題に直面している外国で問題を解決しようとはしていません。消費者がすでに評判と信用履歴を持つ母国で解決策を見つけようとしています」と同氏は説明した。

顧客が新しい国でクレジットカードやその他の金融サービスにアクセスできるようになると、母国での信用履歴をすばやく拡張することができる。通常はそれに何年もかかると同氏はいう。

「地球市民のコミュニティは、金融サービスへのアクセスに関してほとんどサービスが提供されておらず、Zolveには大きな市場機会があると信じています。ラグナンダン氏には創業者としての確かな実績があり、彼の最新のベンチャーで再び彼と提携できることをうれしく思います。チームの情熱とコミットメントは称賛に値するものであり、Zolveがこのコミュニティーに多大な価値をもたらすと確信しています」とAccelのパートナーであるAnand Daniel(アナンド・ダニエル)氏は声明で述べた。

サンフランシスコとバンガロールに本社を置くZolveは、外国を訪れる予定がない人にも、さまざまな魅力的な機能を提供している。たとえば顧客はインドにいるときは、Zolveを利用して米国の証券取引所に上場している企業の株式を購入できる。ラグナンダン氏によると、Bitcoinやその他の仮想通貨を米国または欧州の証券取引所から購入することもできる。

すでに5000人以上の顧客を集めたこのスタートアップは、銀行パートナーと収益分配の取り決めを結んだ。ラグナンダン氏によると、Zolveは現在インドの顧客を受け入れており、米国の銀行パートナーから多額の収益を生み出しているため、すでに収益性の高いモデルで運営されている。

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( 文:Manish Singh、翻訳:Nariko Mizoguchi

「柔軟な働き方は福利厚生をセットにして初めて成功する」プリペイドカード型福利厚生のmiiveが5000万円調達

「柔軟な働き方は福利厚生をセットにして初めて成功する」プリペイドカード型福利厚生のmiiveが5000万円調達

リモート環境にも適した福利厚生サービス「miive」(ミーブ)を手がけるmiiveは2月17日、総額5000万円の資金調達を発表した。引受先は、サイバーエージェント・キャピタル、ジェネシア・ベンチャーズ。

調達した資金は、同社ビジョン「世界で最も優しいプロダクトを創る」の実現に向け、開発・人材採用に投資する。事業をより一層加速させ、福利厚生市場をリードしていくテクノロジー企業として、邁進していくとしている。

なおmiiveは、4月下旬に正式版リリース予定。サービス開始に先立ち、現在事前登録を受け付けている。

福利厚生に力を入れる企業が増加する中、利用するための仕組みやコンテンツが20年前と変わっていない

代表取締役の栗田廉氏がmiiveに取り組むことになった背景には、健康経営シフトや働き方改革の効果が広がっている影響があるという。特に、経済産業省による健康経営優良法人制度の認定数(中小規模法人)が2016年度は300社程度だったものが、2018年度3000社と大幅に増加したことを挙げた。福利厚生に力を入れている企業が増えており、従業員の健康に対する投資が当たり前になり、贅沢品から必需品に変わりつつあると指摘した。

また福利厚生は、投資効果が高い点を紹介。ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)が、グループ世界250社約11万4000人に健康教育プログラムを提供し、投資に対するリターンを試算した際、健康経営に対する投資1ドルに対して3ドル分の投資リターンがあるとの調査結果が得られたという。

「柔軟な働き方は福利厚生をセットにして初めて成功する」プリペイドカード型福利厚生のmiiveが5000万円調達

健康経営の推進について」(令和2年9月 経済産業省 ヘルスケア産業課)より

日本においても健康経営の効果に関する調査結果が出揃いつつあり、9割以上の企業が生産性向上、企業イメージの向上、離職率の低下などの効果を上げているとした。

栗田氏は、その一方で、コンテンツの部分が20年前と変わっておらず、改善の余地があるという。「2025年には、ミレニアル世代が労働者の8割以上が占めるようになる。この層にはすでに刺さらなくなってきている」とした。

UX、使い勝手でも課題がある。例えば従業員がスキー場のリフト券の割引を使うという場合、利用する従業員人数分の領収書を発行してもらい総務に申請。その後総務が福利厚生のアウトソーシング企業に郵送するなどの手間が発生する。

1年に1回以上福利厚生を利用する者は2~4割程度で、1年に1回も利用しない者は7~8割に上るそうだ。

栗田氏は、これらを受け、福利厚生サービスに関する予算枠があるのなら、その枠内で企業と従業員の両方に有効な利用法を提供できないかと考えたという。

またリモートワークの定着をはじめとする働き方改革の中、従来の社食やオフィスの自動販売機といった規模の大きなものではなく、従業員の働き方や働く場所に合わせて必要になるとして、プリペイドカード型福利厚生として、miiveに取り組み始めたと明かした。

場所・時間を問わず、リモートワークでも利用しやすいコンテンツ

栗田氏によると、「miiveが従来の福利厚生サービスと異なる点は、コンテンツの柔軟さと場所・時間を選ばない点」にあるという。

miiveでは、企業からプリペイドカードを従業員に発行し、これを経由する形でポイントとして福利厚生を従業員に支給。従業員は、このポイントを使って各種コンテンツを利用できる。ポイント利用先としては様々なVisa加盟店を用意しており、企業が自社の方針に合わせて利用先をカスタマイズし、福利厚生として精算できるようになっている。

ポイント利用先としては様々なVisa加盟店を用意しており、企業が自社の方針に合わせて利用先をカスタマイズできる

ポイント利用先としては様々なVisa加盟店を用意しており、企業が自社の方針に合わせて利用先をカスタマイズできる

また福利厚生として計上するには、国が定めた要件に従う必要があり、例えばコンビニはじめ何らかのサービスでポイントを食事用途で利用する場合、従業員自身が利用額の半分を負担しなければならないという。

これに応えるため、miiveのプリペイドカードは従業員自身のクレジットカードからもチャージできるようにしている。1枚のカードに、企業のポイントと従業員自身のチャージ分の2種類のマネーを内包しており、先の食事用途の例であれば、福利厚生として計上されるようこれら2種類が利用金額の50%ずつ引き落とされるという。

コンテンツについては、Visa加盟店の中から企業がカスタマイズし自由に設定でき、管理画面からいつでも追加・変更可能だ。食事・ファッション・ジム・エステなどを用意しており、身だしなみをキチンとしてほしいなど導入企業の意図を反映できるようになっている。ちなみにmiive自身の場合は、従業員に健康的な食事をとってほしいと考えて、食事用途を「厚く」しているそうだ。

柔軟な働き方や働き方改革は、福利厚生をセットにして初めて成功する

miiveでの1カ月あたりの支給ポイントは、様々なニーズに柔軟に対応できるよう5000~1万ポイントを想定しているそうだ。従業員による自発的な福利厚生の利用は、給与アップに比べ満足度の向上や離職率の低下に対して高い投資対効果が見込めるためという。

またmiiveの場合、例えば部活手当はじめ、自社コンテンツを従業員が利用した場合ポイント還元を優遇したり、ベビーシッター手当を用意したりなど、企業ごとに独自の福利厚生を簡単に構築できる点を挙げた。

柔軟な働き方に関する課題として、同僚間のコミュニケーションの低下や、従業員が企業に大切にされていないと感じる傾向が挙げられるようになっている。この状況に対して、栗田氏は「柔軟な働き方や働き方改革は、福利厚生をセットにして初めて成功する」と考えているという。早期から柔軟な働き方を採用している企業の場合、社内コミュニケーションの活性化など独自の福利厚生にも取り組み、従業員の満足度を高めているからだ。

部活手当など、企業ごとに独自の福利厚生を簡単に構築できる

部活手当など、企業ごとに独自の福利厚生を簡単に構築できる

企業独自の福利厚生の場合、立て替え申請や領収書のとりまとめ、経理の振込といった手間や時間を要するといった課題があるが、従業員による申請などはアプリによって行えるため、企業側の負担もmiiveにより一切なくなるそうだ。

従業員は、アプリ上で申請を行うだけでよく、もし承認されなかった場合はその理由が即座に表示される

従業員は、アプリ上で申請を行うだけでよく、もし承認されなかった場合はその理由が即座に表示される

従業員間の承認もアプリ上で即座に実施。立て替えなどのとりまとめが行いやすい

従業員間の承認もアプリ上で即座に実施可能。立て替えなどのとりまとめが行いやすい

また福利厚生は税務メリットも大きいものの、従業員にとっては申請などが面倒といった点が利用機会の低減につながっていたため、これもmiiveによって解決できるとした。

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タグ:HRテック(用語)資金調達(用語)福利厚生miive日本(国・地域)

ECサイトでのお買い物から最大15%「現金」還元、レシート買取で話題を呼んだWEDの新サービス「C」

c.app

クレジットカードやショッピングサイトを利用すると貯まるポイント。各種ポイントを集めて活用する「ポイ活」に勤しんでいる読者も多いかもしれない。

レシート買い取りアプリ「ONE」を運営するWED(2020年1月、同社はワンファイナンシャルからWEDに社名変更している)は、2月17日に新たに会員制ショッピングサイト「C」(シー)を立ち上げた。Cはポイ活でよくある購入金額の何%かを還元するショッピングサイトとよく似ているが、還元するのがポイントではなく現金なのが特徴だ。

掲載店舗の一例

Cは電話番号で登録して利用できる。Cを経由して、提携するECサイトでお買い物をすると、購入後に現金還元分がサービス内の「ウォレット」に反映される仕組みだ。会員制ではあるが利用料は無料。還元率はECサイトによって異なり、2%から最大15%となる。貯まったお金は800円から出金できる。その際、出金手数料はかからない。Cの提携サイトは「ファッション」「お出かけ」「ギフト」「グルメ」「家具/家電」の5つのカテゴリーに該当する31店舗を掲載している。ファンションだと「JEANSmate」や「ドクターマーチン」、ギフトのセレクトショップ「TAMP」などが掲載店に含まれる。

オフラインに次ぎ、オンライン購買の最適化へ

これまでONEを通じオフラインでやってきた取り組みを、オンラインでもできないかと考えたのがCの開発の経緯とWEDの代表取締役を務める山内奏人氏は話す。

TechCrunch Japanでも度々取り上げているのでご存知の方も多いかもしれないが、簡単に説明するとONEはスマホで撮影したレシートを最大10円で買い取ってくれるサービスだ。2018年6月にサービスローンチ以降、これまでに120万アプリダウンロード、20万月間アクティブユーザーを達成し、累計5000万枚のレシートを買い取ってきたという。

企業にとってONEは購買データの取得だけなく、店舗への送客や販売促進の面でも活用が広がっていると山内氏は説明する。例えば、ONEで特定の商品のレシートを高額で買い取るキャンペーンを行うことでその月の売上を伸ばしたり、新商品を出す際に100%キャッシュバックキャンペーンを実施して商品のサンプリングを行ったりすることに使われているという。

ユーザーにとっては普段なら捨ててしまうレシートでいくらか収入が得られる。企業にとっても顧客のことがよくわかり、販売促進にもつながる。Cを展開することで、WEDはオフラインで生まれたこの好循環を今度はオンラインでも実現したい考えのようだ。

c howto

私もさっそくCを触ってみた。今のところ掲載しているECサイトは31店舗なので、使うタイミングは限られてしまういそうだが、使い方は非常にシンプルでわかりやすいと感じた。ウェブサイトなのでアプリをダウンロードする手間なく、すぐに始められるのもいい。

「ちゃんと自分たちが使えるサービスを作ろうというコンセプトのもと、自分たちが使いたいサービスはどういうサービスかをよく考えて、実装しています」と山内氏はサービスの設計について話している。ポイント還元ではなく、現金還元にしたのも使い勝手を考えてのことなのだそうだ。ポイントはその性質上いずれ失効する可能性があるし、今はあまりにたくさんのポイントサービスで世に溢れかえっている。Cの開発のためにさまざまなポイントサービスを試してきたが、使い勝手がいいと感じたものはあまりなかったそうだ。Cは現金還元を採用し、使いやすさを追求することで、これまでこうしたサービスを使ってこなかった層にも使ってもらえることを期待していると山内氏は話す。

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カテゴリー:フィンテック
タグ:WED

ドトールコーヒーのグループ店舗約1200店がPayPayやd払いなど9種類のコード決済サービスを3月導入

ドトールコーヒーは3月1日、全国のドトールグループ約1200店舗にコード決済を導入します。導入するのは、「PayPay」「d払い」「楽天ペイ」「au PAY」「メルペイ」「QUOカードPay」「ゆうちょPay」「Alipay」「WeChat Pay」。

導入店舗は、ドトールコーヒーショップ、エクセルシオール カフェ、カフェ レクセルなどの約1200店舗。

これまでにもドトールグループの店舗では、ハウスプリペイドカードの「ドトール バリューカード」「アプリ」をはじめ、交通系電子マネー(一部を除く)、クレジットカード、非接触型電子マネーの決済サービスを導入していました。

ドトールコーヒーによると、すでにドトールグループ店舗のキャッシュレス決済比率は、政府が目標に掲げる割を超えているとのこと。新たに9つのコード決済サービスを導入することで、利便性向上を図るほか、客と店員との接触機会を減らす考えです。

Engadget日本版より転載)

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タグ:AlipayWeChat Pay / 微信支付(製品・サービス)au PAYキャッシュレス決済(用語)QR・バーコード決済(用語)d払いドトールコーヒーPayPayメルペイ(製品・サービス)楽天ペイ日本(国・地域)</

確定拠出年金プロバイダーのHuman Interestが約58億円の資金を調達、18カ月ほどで約10倍に成長

中小企業(SMB)向けの確定拠出年金401(k)プロバイダーであるHuman Interest(ヒューマン・インタラスト)は米国時間2月11日、シリーズCで5500万ドル(約58億円)の資金を追加したと発表した。

このニュースにはいくつかの注目される理由がある。1つ目は、サンフランシスコを拠点とする同社が2020年に2つのトランシェですでに5000万ドル(約52億5000万円)を調達していたこと。2つ目は、既存の支援者の大半が、新たに投資したNEAのスピンアウトであるNewView Capital(ニュー・ビュー・キャピタル)に加わり、Human Interestにさらなる資本を投入したことだ。

そして3つ目、今回のエクステンション(12月にクローズしているが最近やっと発表された)で、Human Interestの評価額は、数カ月前に行われた前回の資金調達から事実上倍増したことだ。

CEOのJeff Schneble(ジェフ・シュネブル)氏は、会社の現在の評価額を明らかにしなかったが、次回のラウンドで資金が「過去と同じステップアップを遂げた場合」、Human Interestは「ユニコーンになる可能性がある」と述べた。

今回のエクステンションで、Human Interestは2015年の創業以来、総額1億3670万ドル(約143億6000万円)を調達したことになる。

Human Interestの成長は目を見張るものがある。シュネブル氏によると、2019年初頭には月に約10万ドル(約1050万円)の純新規収益を追加していたが、現在では月に100万ドル(約1億500万円)以上の純新規収益を追加しているという。このスタートアップ企業の目標は、年末までに月間収益が200万ドル(約2億1000万円)を超えることだ。

「私たちは過去18カ月ほどで約10倍に成長しましたが、ここで止まるつもりはありません」と、シュネブル氏はTechCrunchに語った。「我々の目標は、次の3年で1億ドル(約105億円)以上のARR(年間経常収益)を達成し、3~4年後には株式公開できるようになることです」。

創業以来、Human Interestは全米の3000社近い企業が8万人以上の従業員に退職金口座を提供するのを支援してきたという。

新型コロナウイルス感染症の流行という困難は、同社のビジネスに興味深い変化ももたらした。2020年以前、同社の顧客の約85%が初めて401(k)を利用する顧客だったが、2020年はその数が約50%に減少した。これは、より多くの企業が既存のプランからHuman Interestに移行したことを意味する。

「景気後退と多くの不確実性により、売り込みはより容易になりました。我々がより負担の少ない金額の商品を提供することができるからです」と、シュネブル氏はいう。

Human Interestによれば、これはテック系のスタートアップ企業から法律事務所まで、歯医者から犬の散歩代行業者まで、製造業から非営利の社会正義団体まで、「あらゆる種類の中小企業」に機能するという。同社の顧客には、サンフランシスコのベイエリアの電機会社、デンバーのピザチェーン、シアトルを拠点とするガソリンスタンドとコンビニエンスストアのチェーンなどが含まれている。

シュネブル氏は、設立から数年しか経っていないにもかかわらず、同社をスタートアップとは考えていないという。

「私たちは、何十年も存続し、株式公開が可能な本当に大きな会社を作りたいと思っているのです」と彼は言った。「もし会社を売ろうとしていたら、違うやり方をしていたかもしれません」。

Human Interestの従業員は、1年前の100人強から現在は約300人にまで増加した。2021年はエンジニアリングチームの規模を2倍にする予定だ。

先を見据えると、同社は単に「同じことをもっとやりたい」だけであると、シュネブル氏は語る。

「新商品は必要ありません」と、彼はTechCrunchに語った。「今やっていることをやるだけで、非常に多くの道があります。それで他から市場シェアを奪っているのです」。

Human Interestはまた、2020年にサードパーティのプロバイダーから社内に移行したプラットフォームのテクノロジー改善にも注力を計画している。シュネブル氏によると、同社はこの移行により過去6カ月間で利幅を2倍に拡大するとともに、プラン管理者や参加者への取引手数料を削減したという。

「金融サービスの商品は、回を重ねるごとに悪くなっていくことがよくあります」と、シュネブル氏はいう。「私たちはその反対になりたいと考えています。2021年は私たちのプラットフォームを、できるだけすばらしいものにすることに焦点を当てています」。

Human Interestによると、同社は2020年に退職プランの管理を簡素化し、「退職後の貯蓄をあらゆる職種の人々が利用しやすいものにする」ための取り組みとして、Complete(コンプリート)とConcierge(コンシェルジュ)という新しいサービスも開始したという。

「既存の大手企業は、中小企業にとって無理なく払える価格で利用しやすいプランを作る方法を見つけられていませんでした」と、シュネブル氏は語った。「私たちは、この国の退職危機を恒久的に打開するためには、何か違うことをしなければならないと考えていました」。

401(k)の分野は確かに成長している。サンマテオを拠点とするGuideline(ガイドライン)という会社は、中小企業にも焦点を当てており、2020年7月にはAl Gore(アル・ゴア)元米国副大統領のGeneration Investment Management(ジェネレーション・インベストメント・マネジメント)とGreyhound Capital(グレイハウンド・キャピタル)が共同で先導したシリーズDラウンドで、8500万ドル(約89億円)の資金調達を発表。後にAmerican Express Ventures(アメリカン・エキスプレス・ベンチャーズ)も投資家として加わったことが明らかになった。

20億ドル(約2010億円)以上の運用資産を持ち、Plaid(プレイド)も支援しているNewView Capitalは、新たなHuman Interestの投資家として、後期ステージの資金調達と「重要な運用サポート」のマッチングを目指している。

NewViewの創業者でありマネージングパートナーであるRavi Viswanathan(ラビ・ヴィスワナータン)氏は、Human Interestが中小企業のために401(k)を提供するためのプロセスと管理を簡素化し、「ソフトウェアと自動化により、より低い手数料で提供できる」ことに感銘を受けたと述べている。

NewViewのチームは、より多くの雇用者が401(k)を提供できるようにしたいという同社の想いにも惹かれた。Ankit Sud(アンキット・スッド)氏とChristina Fa(クリスティーナ・ファ)氏はブログ記事の中で次のように書いている。

「Vanguard(バンガード)やFidelity(フィデリティ)のような従来の401(k)プロバイダーは、大企業向けのプランを設計し、価格を設定しています。管理上の負担と高額な手数料のため、中小企業のオーナーには手の届かないものとなっています。実際、中小企業は労働人口の3分の1を雇用しているにもかかわらず、従業員に401(k)プランを提供している会社はその10%に過ぎません。Human Interestは、現在も退職金プランを提供していない90%の中小企業に、シンプルで無理なく負担できる401(k)プランをもたらすことができます」。

カテゴリー:フィンテック
タグ:Human Interest資金調達401(k)

画像クレジット:Getty Images

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(文:Mary Ann Azevedo、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

米国の転職者の確定拠出年金を集約するCapitalizeがシリーズAで13.1億円を調達

米国で会社を辞めたことのある人なら、確定拠出年金の401(k)をそのまま置いてきたかもしれない。

そしてもしあなたが多くの米国人と同じく数年ごとに転職しているなら、複数の401(k)プランが複数の会社に分散してそれぞれ処理されている可能性が高い。

多くの人が分散した口座をまとめる手間をかけようとはしないので、年とともにお金を失っているおそれがある。

そこへ登場したのがCapitalize(キャピタライズ)だ。ニューヨーク拠点のスタートアップは、まさにこの問題を解決するべく、散逸した401(k)口座を見つけ、IRA(個人退職年金)を設定して年金プランをまとめるところまで、本人が手間をかけずにできるプラットフォームを提供する。無料で。

この会社は、プラットフォームを拡大するためにシリーズAラウンドで1250万ドル(約13億1000万円)を調達した。Canapi Venturesがラウンドをリードし、既存出資者のBling Capital、Greycroft、RRE Ventures、およびWalkabout Venturesも参加した。

オーストラリア出身のGaurav Sharma(ガウラヴ・シャルマ)氏は、金融業界で長年仕事をした後に同社を共同設立した。

「私が投資を楽しんでいたとき、いろいろと内面を探るうちに401(k)市場全体にあるさまざまな問題を見つけました」と同氏は振り返った。「その1つは、個人の年金口座が雇用者と紐づけられていることです」。

シャルマ氏によると、転職する人の約3分の1が、401(k)プランを現金清算して付随する違約金を払っているという。

「別の数百万人は、長年放置したままにしています。それはお金の移動手続きが複雑だからです」と彼は言った。

シャルマ氏は、CTOのChris Phillips(クリス・フィリップス)氏と2人で2019年後半にCapitalizeを設立し、2020年3月にはBling Capitalのリードで200万ドル(約2億1000万円)のシードラウンドを完了した。そして2020年9月に正式スタートしたこのロールオーバープラットフォームは、以来1000万ドル(約10億5000万円)近くの資金を扱ってきた。

「2020年夏、パンデミックの影響で多くのレイオフがありました」とシャルマ氏は語った。「だから、ベータテスト中の早期ユーザーの多くは、レイオフにあった人たちでした」。

私はCapitalizeの提供するものが、他のファイナンシャルアドバイザーと何が違うのか、気になって尋ねてみた。シャルマ氏によると、違いはそのプロセスと資格要件にあるという。

「アドバイザーは手続きの一部を助けてくれますが、やり方はまったくの手作業です。その点、私たちは、消費者が退職年金を見つけまとめるのを手伝うオンラインプラットフォームを持っています」とシャルマ氏は語った。「しかも、アドバイザーを頼むためには数十万ドル(数千万円)の資産を持っている必要があります」。

それがシャルマ氏を動かした理由の1つだった。

「たとえ資産が500ドル(約5万2500円)でも50万ドル(約5250万円)でも、私たちはお手伝いします」と彼は言った。

上にも書いたとおり、Capitalizeのサービスは消費者にとって無料だ。サイトへ行けば、彼らが統合プロセスを引き受けてくれる。IRAを開設する必要があれば、それもプラットフォームが助けてくれる。

「IRAについては、フィンテックプロバイダーの商品と有名企業の商品とを比較できるようにしています」とシャルマ氏は説明した。もしCapitalizeが、フィンテックプロバイダーと関係を築いていれば、紹介報酬を受取る。これはNerdWalletやPlicygenius、Credit Karmaなどと同様のビジネスモデルだ。

そして、ユーザーがすでにIRAを持っている場合でも、Capitalizeは年金の統合を手助けする。

またCapitalizeは雇用主向けにも、辞めていく社員を支援するための「オフボーディング」サービスを無料で提供している。「転職のタイミングですばやくロールオーバー(資金移動)するため」だとシャルマ氏は語った。

「これは雇用者にとってもすばらしいことで、管理費用を節約し、受託者リスクを減らすことにもつながります」とつけ加えた。

Canapi VenturesのパートナーであるJeffrey Reitman(ジェフリー・ライトマン)氏は、43の銀行とLP(リクイディティ・プロバイダー)が参加している彼のフィンテックベンチャーファンドが、Capitalizeのチームとプラットフォームにいくつかの点で魅力を感じたと語った。

彼はまずシャルマ氏について、求人、会社構築、意思決定に関して「最高のアーリーステージCEOの1人」と評した。

Canapiでは、自社の副社長らと家族にCapitalizeが早期ベータだったころにサービスを試用させた。

ライトマン氏によると、プラットフォームは「魔法のように働いて手続きのストレスを大いに取り除いてくれた」と言っていたとのこと。

「そんなに良い反応を示す人が近くにいるということは、有望なサービスであることの証拠です。出資を決める後押しになりました」とライトマン氏はいう。

Capitalizeの「ミッション主導」アプローチにも魅せられているライトマン氏は、銀行とLPの約80%がIRAなどの年金商品を扱っていることを指摘した。

「その多くは本質的にデジタルなので、銀行が商品群をさらにデジタル化するために行おうとしていることと、Capitalizeができるだけ多くの人たちの摩擦を減らすためにやろうとしていることとの間には、たくさんのシナジーがあるはずです」。

将来に向けて、Capitalizeは新たな資金を使ってサービスの改善と合理化を行い、テクノロジーへの投資をつづけていくつもりだ。

カテゴリー:フィンテック
タグ:Capitalize資金調達401(k)

画像クレジット:lvitma / Shutterstock

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(文:Mary Ann Azevedo、翻訳:Nob Takahashi / facebook

「住‌宅‌ロー‌ン‌選‌び」‌の‌常‌識‌を‌変‌え‌る‌モ‌ゲ‌チェッ‌ク‌が‌6.3‌億‌円‌を‌調‌達‌

「家を買う」という経験は、ほとんどの人にとって人生の一大イベントだ。それに付随する住宅ローンは、その後数十年の自分の人生に影響を与えかねない。この「重要な選択」をサポートするサービスが、今年さらに勢いを増しそうだ。

「住宅ローンマッチングサービス」を提供するMFSは、新生企業投資をはじめとする5社からの第三者割当増資と、三井住友銀行からの融資を合わせ、総額6億3000万円の資金調達を実施した。同社はこれまでにも、YJキャピタルなどから資金調達を実施しており、累計調達額は約17億円になったと発表した。

MFSが運営する「モゲチェック」は、ユーザーに最適な住宅ローンを案内するオンラインサービスだ。「最適な住宅ローン」とは、ただ表面金利が低いものではない。同社が「No.1金利」と称する、ローンに付帯する団体信用生命保険のメリットを加味した、実質金利が最も低いローンである。つまり、ユーザーにとって最も経済的にメリットがある住宅ローンをピックアップして、モゲチェックが提案してくれるというわけだ。

仲介サービスといえば「紹介手数料が高い商品が優先されるのでは」と思われがちだが、同社によるとローン推奨のベースとなるロジックは定量的にも明快で、恣意的な判断が入り込む余地はない。「中立性」が担保されているからこそ、ユーザーは安心してサービスを利用しているという。

注目すべきは、モゲチェックが「ユーザーが借りられる金融機関」を薦めてくれるという点だ。住宅ローン選びは、ただ条件が良いものに申し込めばいいという単純なものではない。自身の属性や条件を鑑み、「審査に通る」金融機関に申し込む必要がある。モゲチェックは、同社が過去に扱った約4000件の審査データと、12項目のユーザー情報をもとに、金融機関ごとの「融資承認確率」を推定。ユーザーにとって審査が通る可能性が高い金融機関を案内し、スムーズに借入ができるようにサポートを行うのだ。

同サービスは無料で利用できるため、心理的ハードルも低い。同社によると、住宅ローンの新規・借り換え申し込み数は毎月約1000名にのぼる。サービス開始から約6年で、これまで4万8000名を超えるユーザーが利用したという。

モゲチェックを運営するMFS設立のきっかけは、CEOの中山田明氏の「日本の住宅ローン選びに対する違和感」だった。米国では、不動産会社や銀行とは別に、住宅購入者に対してローンの紹介などをする「住宅ローンマッチング産業」が存在する。しかし、日本ではそのようなサービスがなく、住宅購入者は不慣れな金融知識の中、不動産会社の営業担当者の紹介に頼るか、自分で住宅ローンを見つけなくてはならないのが通常だ。

同氏は「現在、多くの人が自分にとってベストな住宅ローンが選べていない状況が起きています。 このような状況を打破し、住宅ローンを必要とするすべての人が、最も有利な証券で借り入れ・借り換えができる世界を実現するために、株式会社MFSを設立しました」と想いを語る。

設立当初、同社のビジネスモデルは顧客の住宅ローン借り換えにともなう成功報酬型だった。例えば、300万円分のローン削減に成功したら、その1割の30万円を手数料として貰い受ける。この時につちかったノウハウや審査データが、現在の大きな付加価値になっているものの、決して安くはない手数料ゆえ大規模な集客は難しかったという。

転機は2020年初頭だった。各銀行がネット経由での集客に力を入れるようになるなか、オンライン広告代理店を経由し間接的に広告料を得ることで、ユーザーへ無料でサービスを提供開始。モゲチェックは現在の強力なビジネスモデルへと変革を遂げた。

「今年はアクセルを踏む年になりそうだ」と中山田氏はいう。単純な住宅ローン金利の比較サイトは複数存在する一方で、モゲチェックのように、融資承認確率を試算して顧客に最適な住宅ローンを案内するサービスは、市場ではユニークな存在だ。今回調達した資金を元にマーケティングを推進し、潜在ユーザーへの認知度向上を目指す。明確な競合が存在しないなか、需要を一気に取り込める可能性もある。

また、人工知能に精通するエンジニアの採用にも力を入れる。サービスのキモとなる融資承認確率の試算ベースを人工知能へと置き換えることで、申し込みから住宅ローン提案までのプロセス自動化を目指すという。

「十人十色」といえども、住宅ローンを適当に選ぶ人はいないだろう。中立的な立場でユーザーに最適な選択肢を与えるモゲチェックは、日本の住宅ローン選びの常識を変える存在になるかもしれない。

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カテゴリー:フィンテック
タグ:住宅MFS

企業投資市場の成長にともないRampがゴールドマン・サックスから160億円の借入枠を確保

企業支出市場で競争するスタートアップであるRamp(ランプ)は米国時間2月10日、ゴールドマン・サックスから1億5000万ドル(約160億円)のデットファシリティを確保したと発表した。Rampは2020年初めに2300万ドル(約24億円)をシリーズAで調達後、同年12月下旬に3000万ドル(約32億円)をシリーズBで調達していた

TechCrunchはRampの共同創業者でCEOのEric Glyman(エリック・グリマン)氏と新しいクレジットアクセスについて話した。同氏は、それが確保されるまでは、Rampは顧客の企業支出を自社の貸借対照表から賄っていたと述べている。同社がより多くの顧客を獲得するにつれ、その方法では難しく非効率的になることが予想される。今回の迅速な資金調達により、実際そうなりつつあったことが示された。

TechCrunchが報じたようにこの大きなスタートアップカテゴリーは成長している。Ramp、BrexAirbaseDivvyTeampayなどが企業の支出をめぐって競争している。そうしたスタートアップは通常、カードへの請求に応じて企業にクレジットを提供し、インターチェンジの収入を回収し、場合によってはソフトウェアの収入も得る。

関連記事:コーポレートカードを通じたB2B SaaSビジネスのAirbaseが急成長中

Rampはプロダクトの仕事を支えるために新しいクレジットファシリティを使用する予定だとグリマン氏は述べ、リボルビングデットへの新しいアクセスによりソフトウェアへの投資に資本が解放されると指摘した。

これまでのところ、Rampのモデルは機能しているようだ。同社はTechCrunchに2020年11月から12月にかけて47%成長したと語った。これは収益ではなく取引量に関する数字である。ただし同社は取引量に応じて収益を上げるため、同じ期間に収益が急速に拡大したと推測できる。

首の後ろがチクチクする感じは正しい。Rampは今や十分な規模であり、単なるパーセンテージの成長指標よりも固い数値を開示できるはずだ。同社は約18カ月前に設立された後、2020年の秋に1億ドル(約105億円)の支出(割合ではなく合計数値)に達したことを私たちは知っている。そこから、同社の現在の支出ベースを見積もることができる。

関連記事:企業投資の獲得争いが激化する中、支出管理のRampが約31億円調達

Rampは節約に焦点を当て、コーポレートカードという包みにくるんで、同社のソフトウェアパッケージに賭けている。同社は、顧客が経常的な支払いやその他の「悪い」支出を根絶する支援をする。

同社は競争にさらされている。Rampのライバルは、コーポレートカード製品の上にソフトウェアを位置づけている。TechCrunchの問いは、成熟しつつある企業支出分野のすべてのプレーヤーが、クレジットに関するサービスに加えソフトウェアレイヤーの料金を請求することになるかどうかだ(たとえばTeamPayはソフトウェア収益と取引量の結果の両方をTechCrunchに開示した)。

もしそうなら、企業支出のTAM(Total Addressable Market、実現可能な最大市場規模)は大きくなるはずだ。

企業の支出管理の分野で何が起こっているのかを理解するために、過去10年ほどのベンチャーキャピタルの世界の変化を思い起こしてほしい。昔、ベンチャーキャピタルはスタートアップに投資する資金を保有していた。現在の基準ではそれほど大きい金額ではなく、少数のプレイヤーに集中していた。資金は希少だった。したがって、ベンチャーキャピタリストはあなたを彼らのところに連れて行き、投資1ドルに対してより多くの株式を要求し、今日求められる水準のサービスを提供しなくてもよかった。しかし今やベンチャーの世界には資金が豊富にあるため、投資条件はより寛大になった。そして、単に資本へのアクセスを提供することに加えて、VCはおそらくスタートアップの採用活動や、さらに多くのことを支援したいと考えている。

企業の支出も同じだ。クレジットカードとコーポレートカードを提供することは、もはやほとんど当たり前のことになった。リボルビングチャージカードに加えてソフトウェアの価値が競争の対象になっている。

Rampがソフトウェアを拡張しながら、顧客ベース、支出、収益の点でどれだけ速く成長できるかを見届けたい。そして、どのライバルが最新のものをニュースとしてぶち上げられるか。見ていて楽しい分野だ。

カテゴリー:フィンテック
タグ:Ramp資金調達

画像クレジット:Bryan Mullennix / Getty Images

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(文:Alex Wilhelm、翻訳:Nariko Mizoguchi

「匿名」フィンテックスタートアップMillionsが3.2億円調達、Twitterで現金をプレゼント中

「匿名性」を維持するスタートアップMillionsがシードラウンドで300万ドル(約3億1700万円)を調達し、現在Twitterのアカウントで無料の現金をばらまいている。ユーチューバーのDavid Dobrik(デビット・ドブリック)氏らに着想を得たこのコンセプトには、新企業への注目を集める狙いもあるが、同時にブランドがより直接的にギブアウェイに参加できるような次なるビジネスモデルも築き上げている。

もちろん、ブランドや現金のギブアウェイという考え方は新しいものではない。ソーシャルメディアのパーソナリティやPublishers Clearing Houseのような従来型の懸賞以外にも、モバイルゲームのHQ Triviaはつい最近、ライブトリビアゲームにプレイヤーを引きつけようとブランドのギブアウェイを統合する試みを行った。しかしHQ Triviaにおいてはその新奇性が薄れていき、内部での争い悲劇に対処しながら最終的に閉鎖され、オーディエンスを維持することができなかった。

関連記事:一斉風靡したクイズアプリ「HQ Trivia」が買収中止で急遽閉鎖

Millionsのアイデアはそれとは違う。毎週のライブゲームに代わり、ユーザーがTwitterアカウント@millionsをフォローすると、何らかのギフトや現金のギブアウェイに毎月参加することができる。たとえば同アカウントは今月「100万ドルの懸賞金」をローンチしている。ユーザーはTwitterで@millionsをフォローし、Millions.appを訪れて6つの数字を入力する。この6つの数字がすべて一致すれば、100万ドル(約1億円)を獲得することができるわけだ(詳細は後述)。

同スタートアップは2021年3月「Are you my number neighbor?(番号のご近所さんですか?)」というゲームをローンチする予定だ。このゲームでユーザーはウェブサイトに自分の電話番号を入力し、それがウェブサイトにある電話番号から1桁違うだけであれば10万ドル(約1千万円)を獲得できる。

こういった行為は投資家の金をばらまいているだけのようにも見えるが、実際はブランド認知を高め、顧客を獲得するためのものである。

画像クレジット:Millions、MyCard, Inc.

「論議を呼ぶトピックではあるものの、顧客獲得コストについて考えた時、儲かるのはFacebookやInstagram、Apple、Googleだけです。お金は人々ではなくソーシャルネットワークに流れていくのです」と匿名希望のMillions共同設立者はいう。「彼らは人を獲得しようしていますが、お金は決してくれません。Millionsの方法では実際に人々がお金を受け取ることが可能で、我々が広告を出す必要もありません。私たちは人々に直接お金を渡し、そして彼らが私たちのエコシステムをフォローし、アップデートをサブスクライブし、将来のローンチを見てくれることを期待しています」。

Millionsの最終的なより大規模な計画は、ゲームを通じて獲得した顧客をフィンテックのプレーに移行させることに帰結する。そしてこれにもまた現金獲得が関わってくるという。

TechCrunchは、同スタートアップの動向を知るためのディスカッションの中で、当面はゲームの遊び心と匿名性を保ちたいとする共同創設者の名前を明かさないことに同意している。一方、アクセスが容易で一般に公開されているデータを特筆するのは、契約違反ではないということをお伝えしておきたい。我々はこの事業の背後にある法人としてMyCard Inc.という会社がMillionsのウェブサイトの規約で言及されていることを確認した。このSECへの提出書類にはKieran O’Reilly(キーラン・オライリー)氏とRory O’Reilly(ローリー・オライリー)氏の名前が記載されており、同社は300万ドルの資金調達を2020年12月に行っている。前述の名前はgifs.comを運営する兄弟と同じ名前である。

同スタートアップのシードラウンドに参加した投資家にはGiant Ventures、8VC、Supernode、Twitterの共同創設者Biz Stone(ビズ・ストーン)氏、ItalicのCEOのJeremy Cai(ジェレミー・カイ)氏、Allbirds共同創設者兼CEOのJoey Zwillinger(ジョーイ・ズウィリンガー)氏、Casperの共同創設者Neil Parikh(ニール・パリク)氏とLuke Sherwin(ルーク・シャーウィン)氏、MSCHFで戦略・成長部門ヘッドを務めるDaniel Greenberg(ダニエル・グリーンバーグ)氏、Deel Alex BouazizのCEO、Hellosaurus James RubenのCEO、Beek Pamela ValdesのCEO、FacebookのPayments GatewayチームでPMを務めるLuis Vargas(ルイス・バルガス)氏、Block Renovationsの共同創設者Koda Wang(コーダ・ワン)氏、Nebula GenomicsのCEOの Kamal Obbad(カマル・オブバッド)氏、Warby Parker and Harryの共同創設者および上級幹部からDave Gilboa(デイブ・ギルボア)氏、Neil Blumenthal(ニール・ブルメンタール)氏、Jeff Raider(ジェフ・レイダー)氏などのほか、フィンテックエンジェル投資家が名を連ねている。

一部の投資家は同社について公に称賛しており、また日常的な行動に対して顧客に報酬を与えるMyCard製品の登場をほのめかしている。

「同社は、毎日必然的に行っているクレジットカードのスワイプのようなありふれた日常の行動から、人々に喜びを与えるものを作り出しています。私たちはMillionsに投資しましたが、それは同社が人々の生活をときめかせるからです。また、使いにくい航空会社やホテルのポイントを貯める従来型のポイントモデルには疲労感があり、刷新の機が熟していると考えています」とAllbirdsの共同創設者兼CEOのJoey Zwillinger(ジョーイ・ズウィリンガー)氏は語っている。

「Millionsは比類のない魅力的な顧客体験を通して非常にロイヤルな参加者を獲得しています。100万ドルのギブアウェイはこの先の展望の氷山の一角にすぎません。彼らは私が知っている中で最も強力な創設者に数えられ、まさに奇跡的な成功を手にした起業家たちです」とItalicのCEOであるJeremy Cai(ジェレミー・カイ)氏はいう。

MSCHFで戦略・成長部門ヘッドを務めるDaniel Greenberg(ダニエル・グリーンバーグ)氏は「私がMillionsに投資したのはそのトレンドがはっきりしているからです。人はお金を勝ち取ることを好みますし、ここで何かが起きつつあるのは明らかです。Millionsは驚きの方法でお金を提供することに献身的であり、それに関わることができてうれしく思います」と語っている。

しかしMillionsは、新型コロナウイルス感染症のパンデミックと政府の支援不足による不況のため、人々がお金を切望している時に登場している。パンデミックは階級格差を悪化させ、人々(ローマ教皇を含めて)は資本主義が崩壊したのではないかと疑った。GameStopの熱狂の背後にある「金持ちを食う」という思想を煽り、さらにこうした状況は、ドブリック氏の行為Lexy Kadey(レクシー・ケイディ)氏によるTikTokの「Venmo Challenges」(店員やファストフード店の従業員に数百ドル、時には千ドルのチップを渡し、彼らが喜びを露わにする様子をフィルムに収めている)のような他の活動にも暗い影を落としている。

Millionsの共同創設者は、今が困難な時期であるという事実を認めつつも、それこそが同製品が理に適っている理由だと主張している。

「パンデミックや格差の『1%対99%』など、今世界で起きていることを考えてみると、人々が求めているものは希望と資金なのです」と彼らは説明する。「この2つの要素を持つ製品を組み合わせることができれば、人々に楽しみや感動、希望を与えることができますし【略】これは本当にすばらしいことだと思っています」。

【注記】多くの懸賞と同様、勝つための「チャンス」を求めてプレーするものである。だがこの場合、1万ドル(約100万円)が1名への賞金として保証されている。Millionsのウェブサイトにはデジタルプロモーション会社のRealtime Mediaがゲームの運営に関わっていると記載されている。ただしプログラムを保証する保険プロバイダーは実際にはHCCとなっている。

カテゴリー:フィンテック
タグ:Millions資金調達

画像クレジット:Millions/MyCard, Inc.

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(文:Sarah Perez、翻訳:Dragonfly)

現金払いの住宅ローン融資を提供するUpEquityが約26億円を株式と負債で調達

オースティンを拠点とするUpEquity(アップエクイティ)は、消費者に資する住宅ローン業界を目指し、事業を拡大するために2500万ドル(約26億円)を株式と負債で調達した。

最高経営責任者のTim Herman(ティム・ハーマン)氏は、2兆ドル(約210兆円)の米住宅市場で同氏が非効率だと思うものを機会として利用するために住宅ローン会社を設立した。

ハーマン氏によると、既存の金融サービス会社や不動産テクノロジー会社は、市場の非効率性の原因ではなく、症状に対処しているという。

同社は「無料」で現金を提供するが、住宅購入者に対して実行するローンの2.5%を請求する。住宅購入者がオファーを行う際に必要な現金を、銀行から住宅ローンを借りる通常の手続きの前に提供する。その後、住宅所有者はUpEquityに直接支払いを行い、住宅ローンを返済する。

「当社の現金オファーは保証のように機能します。エスクロー期間中の住宅ローンの利用を可能にします」とハーマン氏は述べた。

米国海軍兵学校の卒業生で戦闘機のパイロットだったハーマン氏は、不動産が同氏とその家族に開かれた真の富の創造への唯一の道だと考えた。長い年月がかかっていたし、利用可能な投資資金も不足していた。

ハーマン氏は海軍を経てハーバードビジネススクールに行き、共同創業者となったLouis Wilson(ルイ・ウィルソン)氏に出会った。2人がUpEquityを始めたのは、ボストンでビジネススクールに在籍していたときだ。

その後、住宅市場は活況を呈し、規制環境が比較的緩和されたため、オースティンに移転した。

最終的に顧客へ売り込んだのは、全額現金でオファーを行う能力だ。これにより、住宅購入をクロージングする可能性が劇的に向上する。ハーマン氏によると、住宅は米国人の約90%にとって買う余裕のないぜいたく品だ。住宅の売り手にとってマイナス面はない。買い手が住宅購入に至らない場合、UpEquityが住宅を所有する。

同社がこれまでに行った300件の取引のうち、失敗したのは2件のみだ。

UpEquityのような企業が、融資を始めるために750万ドル(約7億9000万円)のベンチャー資金(株式)と1750万ドル(約18億4000万円)のベンチャーデット(負債)を調達できたのはそういうわけだ。

今回のAラウンドはNext Coast Venturesがリードした。UpEquityは資金をプロダクトの開発に使用すると述べた。開発により、同社の販売チャネルとして機能する不動産業者がクローズするまでの期間を10日短縮できるという。

「当社の目標は、最終的に消費者に資する住宅ローン業界とすることです」とハーマン氏は述べた。「この資金調達は、消費者、不動産業者、ベンチャー投資家が、個人の目標達成のためだけでなく、アメリカンドリームを達成するために住宅購入プロセスから摩擦を取り除くことが持つ力を理解していることの表れです」

これまで同社はテキサス州からコロラド州、フロリダ州、カリフォルニア州に事業を拡大しており、2020年には1億ドル(約105億円)の住宅ローンを組成した。

「限られた供給と厳しい競争に直面しながら不動産が進化し続ける中、UpEquityは不動産テックの成長をリードします」とNext Coast VenturesのマネージングディレクターであるThomas Ball(トーマス・ボール)氏は述べた。「ほとんどのイノベーションはフロントエンドに注力してきましたが、これまで、借り手が申込書を提出した後に起こるプロセスを加速しようとした人は誰もいませんでした。UpEquityにはチーム、才能、テクノロジーがあります。それらにより単に成功するだけでなく、住宅ローン市場のリーダーとして台頭し革新を進めます」。

カテゴリー:フィンテック
タグ:UpEquity資金調達不動産

画像クレジット:Jorg Greuel )/ Getty Images

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(文:Jonathan Shieber、翻訳:Nariko Mizoguchi

マスターカードが暗号資産に年内対応と発表、中央銀行デジタル通貨(CBDC)で中央銀行数行とも連携

米マスターカードは今年から暗号通貨のサポートを追加することを発表しました。

マスターカードによれば、暗号通貨を自社ネットワーク内で取り扱うことにより、より多くの加盟店で新しい支払い方法が提供できるとしています。また、暗号通貨と従来の通貨の変換の必要がなくなるため、効率性も向上します。

なお、現時点ではマスターカードがどの暗号通貨を取り扱うかは発表されていません。これについては、コンプライアンス対策などの要件を今後検討するとしています。また世界の主要な中央銀行と連携することで、CBDCとよばれる新たなデジタル通貨の発行も検討しています。

暗号通貨をめぐる最近の動きとしては、PayPalがビットコインなど4銘柄に対応したことで、その流通性がさらに高まっています。またかつてはPayPalを所有していたイーロン・マスク氏の米テスラが15億ドル相当のビットコインを購入したことで、一時、同暗号通貨は史上最高値を記録しました。

一方で、マスターカードは「この動きは暗号通貨の購入を促進するものではありません」と説明しています。まだまだ暗号通貨がどう取り扱われるのかについては不透明ですが、着実にその足元を踏み固めているような印象も受けます。

Engadget日本版より転載)

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カテゴリー:フィンテック
タグ:暗号資産 / 仮想通貨(用語)中央銀行デジタル通貨(CBDC)Tesla / テスラ(企業)Paypal(企業)ブロックチェーン(用語)Mastercard(企業・サービス)

投資アプリPublicがライバルRobinhoodの苦境を尻目に連続して資金調達

ソーシャルを重視した株式取引サービスのPublic.com(パブリック)がシリーズDラウンドをまもなく完了する。シリーズCで6500万ドル(約68億1500万円)を調達してからわずか2カ月後のことだ。本件に詳しい筋がTechCrunchに語っている。

関連記事:ソーシャルな株式取引サービスのPublicがシリーズCで67億円を調達

サンフランシスコ拠点のフィンテックは、一般の人たちがどんな金額でも企業に投資できるようにすることが目的で、取引に関するコミュニティ活動を中心に据えている。Robinhood(ロビンフッド)やM1 Finance、その他消費者が無料あるいは低い手数料で株式投資できる米国のフィンテック会社と競合する。

Publicはここ数週間に多くの投資家の関心を引いているようだ。Robinhoodが苦境にたたされ、難を逃れるためにわずか数日のうちに34億ドル(約3560億円)を調達した直後のことだ。

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その資金は2021年はIPOも狙っているRobinhoodが苦しんでいる時期にやってきた。そしてライバルであるPublic.comの一部をほしがっている投資家たちがいる。

ある筋がTechCrunchに伝えたところによると、出資を持ちかけているところの多くは、「Robinhoodからの大量離脱」があると信じており、そのバリューを捕まえる方法を探っている。

最近Publicはビジネスモデルを一新し、注文フロー手数料(Payment for Order Flow、PFOF)から利益を得るというRobinhoodが収益化している中心的方法を止め、注文を処理するのと引き換えに、ユーザーから助言や情報を集めるやり方に転じた。PFOFは低料金株取引プラットフォームを巡る議論や直接手数料以外にユーザーが取引費用を払う方法の基準の1つとなっている。

Publicに賭ける投資家が期待しているのは、将来のユーザー成長だけでなく、スタートアップが将来効果的に収益化する能力にある。

Publicは2020年に急成長を果たし、ユーザー基盤を年初の10倍に増やした。

共同ファウンダーのLeif Abraham(リーフ・アブラハム)氏は2020年12月に、同社は着実に成長しており、毎期約30%のペースで拡大していると本誌のAlex Wilhelm(アレックス・ウィルヘルム)に語った。同氏は、Publicのユーザーはこのサービスを口コミで発見することが多いため、会社は巨額のマーケティング費用は使うことがなく、成長も人為的に増加されていないことを強調した。

PublicがシリーズDでいくら調達したのか、誰が出資しているのかはまだわかっていない。Publicは複数回のコメント要求を拒否している。A、B、CラウンドをリードしたベンチャーキャピタルのAccelもコメントを拒んだ。情報が入り次第報告する予定だ。

カテゴリー:フィンテック
タグ:PublicRobinhood資金調達

画像クレジット:Somyot Techapuwapat / EyeEm / Getty Images

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(文:Mary Ann Azevedo、Alex Wilhelm、翻訳:Nob Takahashi / facebook

中南米の零細企業向け財務アプリのTreintaが約5200万円を調達

Y Combinator(Yコンビネーター)2021年冬期生Treinta(トレインタ)は、同社のラテンアメリカ小企業向け帳簿・在庫管理ソフトウェアのために50万ドル(約5200万円)以上の資金を調達したことを米国時間2月11日に発表した。

発表された調達資金は友人・家族の小さなラウンドにY Combinatorからの出資、および2021年初めに調達した22万ドル(約2300万円)からなる。

コロンビア、ボゴタ市拠点の同社は、現在13人のチームからなり、零細企業、特に個人経営の小さな商店にデジタル変革をもたらそうとしている。

デジタル変革の推進は、伝統的なワークフローやプロセスをソフトウェアベースのシステムに転換することであり、大企業だけのためのものではない。大企業のデジタル変革への取り組みの話はよく耳にするが、Treintaは零細企業も大企業と同じく仕事のやり方を変える必要を感じていることに賭けている。

ラテンアメリカの零細企業に取引や勘定や在庫を管理する能力をもたらすというTreintaのコンセプトは、急成長のアイデアであることが証明されつつある。共同ファウンダーのLluís Cañadell(ルイス・カニャデル)氏によると、Treintaの月間アクティブユーザーは2020年8月31日の開業後数カ月間に400%に成長した。本誌が初めて話をしたとき、同社は1月の成長率300%と月間アクティブユーザー3万人を予想していた。カニャデル氏は今週TecnCrunchにメールで最新情報を送り、1月に3万5000ユーザーを達成したという。

また同氏は、今後数カ月間会社が毎月100%前後のペースで成長すると期待していることも語った。そしてTreintaは、総取引金額(アプリに記録された取引高)2500万ドル(約26億2000万円)を数週間前に超えた。このスタートアップは、いいところに目をつけた。

なぜここまで早く成長したのか?コロンビアの都市封鎖は、多くの中小企業に事業のオンライン化を強いた。多くのユーザーにとって「初めて」のデジタルツールを提供することで、Treintaはたくさんの小企業の生き残りを助けている。

Treintaは、同社のユーザー基盤である中小企業オーナー向けに、さらにデジタル決済などのサービスを提供する予定だ。信用調査はカニャデル氏が本誌に語ったもう1つの可能性だ。

このスタートアップには2021年夏の終わりまでの運転資金があり、雄大な計画をもある。カニャデル氏はTechCrunchに、ラテンアメリカ(Treintaがまだ進出していないブラジルを含む)には5000万の「マイクロビジネス」があり、その90%が商取引の記録にまだ紙を使っていると語った。同社によるとコロンビアのスマートフォン普及率は80%を超えており、Treintaには大きな成長の余地がある。

私は同社に、Y Combinatorのデモデーに参加するかどうか尋ねた。カニャデル氏は、投資家とは喜んで話をするが、デモデーの予定はまだわからないと語った。TechCrunchはもちろんその場にいる予定だ。

カテゴリー:フィンテック
タグ:Treinta資金調達ラテンアメリカコロンビア

画像クレジット:Daniel Garzón Herazo / EyeEm / Getty Images

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(文:Alex Wilhelm、翻訳:Nob Takahashi / facebook

500万ユーザーに迫る英チャレンジャーバンクMonzoが米国で新CEOを採用

500万人弱の顧客を持つ英国のチャレンジャーバンクMonzoが、米国での取り組みを指揮するために同国で新しいCEOを採用したことが判明した。

Carol Nelson(キャロル・ネルソン)氏はCascade BankのCEOを10年務め、それ以前はBank of Americaのシニアバイスプレジデントを長く務めていたが、早ければ来週にもMonzoに就任する予定だと同社のスタッフに伝えられた。特筆すべきは、彼女は1年以上にわたってMonzo U.S.の戦略アドバイザーを務めてきたため、すでに同社の米国への展望と社内文化に精通しているということだ。

ネルソン氏は現在Monzo U.K.のCEOであるTS Anil(TS・アニル)氏から引き継ぎ、Monzoの創設者であるBlomfield(ブロムフィールド)氏が2020年5月にCEOの職務を放棄した後、一時的に両方のCEOの肩書きを保持していた。そして2021年1月には、ブロムフィールド氏が6年前に設立したフィンテックユニコーンであるMonzoとの関わりを完全に止めると決定したというニュースが伝えられた。

Monzo U.S.のCEOキャロル・ネルソン氏(画像クレジット:Monzo)

Monzoの米国での展望の詳細は2019年1月に(この記事によって)に初めて明らかになり、2020年6月に正式に確認された。それ以来、Monzo U.S.は暫定的なソフトローンチしか見せておらず、これは何年も前の初期の英国におけるベータ版を彷彿とさせ、製品と市場の適合性がさまざまな地域にとって重要であることを示している。

現在の米国チームは約10人で銀行設立認可申請を行い、米国内の限られた顧客をサポートしている。現在、米国のウェイトリストには2万人以上が登録しており、パンデミック後のMonzoは米国本社にサンフランシスコを選ぶことが予測されている。

(2020年4月にMonzoは人員削減の一環として、ラスベガスのカスタマーサポート部門を閉鎖した。しかしそのサテライトオフィスは、英国の顧客に夜間サービスを提供するもので、米国の計画とは別のものだった)

一方で米国での新しいCEOの募集は、Monzoがさらなるトップアップの資金調達を行っていると報じられた後に話題となっている。SkyのMark Kleinman(マーク・クラインマン)氏がツイートで報じ、Business Insiderが追加の詳細を伝えたところによると、同チャレンジャーバンクはさらに5000万ポンド(約72億3000万円)の資金を調達しており、これは最近のシリーズGラウンドと同条件であると考えられている。Monzoは既存の投資家であるNovator、Kaiser、そして新規投資家であるOctahedron Capitalからの支援を受けている。

カテゴリー:フィンテック
タグ:Monzo

画像クレジット:Monzo

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(文:Steve O’Hear、翻訳:塚本直樹 / Twitter

943.6億円と評価されたインドのQRコード決済サービスBharatPeが新たに113.1億円調達、新たなフィンテックユニコーン誕生か

インドでもうすぐ、また新しいフィンテックユニコーンが生まれるかも知れない。インド時間2月11日、ニューデリーに拠点を置く金融サービススタートアップのBharatPe(バラピ)は、9億ドル(約943億6000万円)の評価額の下に1億800万ドル(約113億1000万円)を調達した。なお2020年の評価額は4億2500万ドル(約444億9000万円)だった。

この創業3年のスタートアップのシリーズDラウンドを主導したのはCoatue Managementだ。Ribbit Capital、Insight Partners、Steadview Capital、Beenext、Amplo、Sequoia Capitalといった既存の機関投資家も、今回のラウンドに参加している。これによってBharatPeの株式による調達総額は2億3300万ドル(約243億9000万円)となり、負債額は3500万ドル(約36億6000万円)となった。

同スタートアップは、今回の新たな資金調達ラウンドの一環として、1717万ドル(約18億円)をエンジェル投資家と従業員にストックオプションとして還元したと述べている。

BharatPeの共同創業者であり最高経営責任者のAshneer Grover(アシュニー・グローバー)氏は「バランスシートに十分な資本(銀行に約209億4000万円以上の現金)を持つことになりました。この先着実に事業を進めて、2023年3月までに取引総額300億ドル(約3兆1000億円)を実現し、小規模加盟店相手の貸付残高を7億ドル(約732億8000万円)とする予定です」と語る。

BharatPeが運営しているのは、その会社名が表しているが、オフライン型加盟店がデジタル決済を受け入れ運転資金を確保できるようにするためのサービスだ。インドはすでに、6億人以上のユーザーを抱える世界第2位のインターネット市場として台頭しているが、国内の多くはオフラインのままだ。

関連記事:WhatsAppの世界最大のマーケットであるインドのユーザー数は4億人

インターネットの届かないところで、ロードサイドのティースタンドや近隣のお店が、小規模に営まれている。こうした商店がデジタル決済を簡単に受け入れられるようにするために、BharatPeは政府がバックアップするUPI決済インフラを利用する、QRコードとPOS機を利用している。

インドでは、多くの大手企業やスタートアップが、近隣の小規模店舗にサービスを提供しようとしている

BharatPeは、2020年11月までに5万台以上のPoSマシンを設置し、1億2300万ドル(約128億8000万円)以上相当の月次取引を可能にしたという。同社は通常のQRコードアクセスに対しては加盟店への請求を行わないが、一方貸付で収益を得ようとしている。グローバー氏は、スタートアップの貸付事業が2020年には10倍に成長したという。

「この成長は、小商いの方々や近隣店舗のオーナーのみなさんから寄せられている信頼を、改めて証明しているものです。これは私たちの旅の始まりにすぎません。私たちは小規模店舗のみなさまにワンストップサービスを提供できる、インド最大のB2B金融サービス会社を構築することを真剣に目指しています。BharatPeにとって、商店のみなさまは常に、構築するすべてのものの核となる存在なのです」と同氏は述べている。

BharatPeの成長は、特にそれが商人を支援する最初のスタートアップではなかったことを考えると、すばらしいものだ。Bank of America (バンク・オブ・アメリカ)のアナリストは、顧客に対する最近のレポートの中で、フィンテックは勝者がすべてを取る市場ではないことを、BharatPeの存在が証明したと述べている。

TechCrunchがレビューしたそのレポートの中には「おそらくBharatPeは、この分野では後発者としての優位性を持っている。同社はUPI上でのQRコード利用を最初にサポートした業者の1つであり、商店に1つのQRコードを持つ利便性を提供した(最終的にはPaytmのような他の企業もそれに追随した)。フィンテックの同業者たちとは異なり、BharatPeは商店を教育するのではなく、すでに商店を教育した大規模な同業者のやり方に従っている」と書かれている。

現在75の都市で事業を展開している同スタートアップは、新たな資金を得て、全国でのネットワークをさらに拡大することを計画している。

カテゴリー:フィンテック
タグ:BharatPe資金調達QRコード決済インドユニコーン企業

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(文:Manish Singh、翻訳:sako)

B2B購買の後払い販売モデルを提供するノルウェーのフィンテック「Tillit」がセコイア・キャピタルから資金を調達

TechCrunchは、B2Bの購買向けに後払い販売(buy now, pay later)のようなモデルを構築しているフィンテックスタートアップTillitが、シリコンバレーのVCであるSequoia Capitalのヨーロッパにおける次の投資先になるとの情報をつかんだ。

複数の情報筋によれば、最近ロンドンにオフィスを構えてヨーロッパに業務を拡大したSequoiaが、ノルウェーのオスロに拠点を置くTillitに250万ユーロ(約3億1800万円)を支援するという。他にはシードインベスターのLocalGlobeとVisionaries Clubも支援する。SequoiaとLocalGlobeはコメントを避けた。

「B2Bの購買を簡単に」のキャッチコピーでこれからサービスを開始するTillitは、請求書払いと後払いを組み合わせたモデルになるようだ。会計(または請求)の時点でクレジットが提供され、分割払いなど多くの支払い方法から選べる。Tillitは従業員がB2Bの購買をしやすくするさまざまな支出管理機能も提供する。

つまり、売り手はインスタントクレジットを提供することでコンバージョンを上げられる。買い手は支払いを遅らせたり分割したりすることができ、購買の管理や可視化が強化される。

Sequoiaはヨーロッパに専門チームを置いて力を入れ始めたことを明らかにしたが、それ以降にヨーロッパで投資するのはTillitが初めてではない。最近では、ドイツのスタートアップでオンラインビジネスを手がける中小企業のバックオフィス機能を備えたリソースプランニングソフトウェアを開発するXentralの2000万ドル(約20億9000万円)のラウンドを主導した。この投資にはプレシードやシードからIPO、さらにその先まで「ジャーニーのすべてにわたって投資する」というSequoiaの方針が表れている。

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タグ:Tillit資金調達セコイア・キャピタル

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(文:Steve O’Hear、翻訳:Kaori Koyama)

スウェーデンのデジタルバンクNorthmillが31.4億円を調達

欧州3カ国で約20万人の顧客を持つスウェーデンのチャレンジャーバンクNorthmill Bankが、新たに約3000万ドル(約31億4000万円)を調達した。

このラウンドをリードしたのはRutger Arnhult傘下のスウェーデンの投資会社であるM2 Asset Managementと、資産運用会社のCoeliだ。今回の資金投入は、今後の地域拡大や新製品の開発を加速させるために使われる。注目すべきは、Northmillは天然ガス市場への参入を目指しており、新たに10の市場に参入する計画が含まれていることだ。次はノルウェーを予定している。

2006年に設立されNorthmill Bankは、現在のところスウェーデン、ノルウェー、フィンランドで利用可能で、実店舗を持つ既存の銀行やLunar、Revolut、Klarna(母国スウェーデンとドイツで銀行を営業している)などと競合している。

顧客が既存のローン、クレジットを統合し、金利の支払いを下げることを約束するNorthmillの 「Reduce」はAnyfinの製品と競合する。「現在、最も急速に成長している製品であり、主な原動力となっているReduceは既存のクレジット、分割払い、クレジットカードへの関心を低下させています」と、Northmillの広報担当者は説明している。

約15年前に設立され、以前はクレジットプロバイダーとして営業していたNorthmillは、2019年にスウェーデン金融監督庁の規制を受け、完全な銀行ライセンスを確保した。同銀行は150人の従業員を抱え、貯蓄、クレジット、支払い、保険を提供している。より一般的にいえば、同社は欧州の新規参入企業の大半とは異なる緩やかな道を歩んでおり、その成長を投資に頼ることは少なく、ほぼ最初から利益を上げていると主張している。

M2 Assets Managementの取締役会会長であるRutger Arnhult(ルトガー・アーンハルト)氏は次のように語っている。「NorthmillはBankは実績ある持続可能なビジネスモデルを持つ収益性の高い企業であり、今日のテクノロジー投資の中でも際立っています。私たちはしばらくの間、彼らの経過を追ってきましたが、創業者や会社に感銘を受けています。銀行市場は変化の途上にあり、新しいデジタルの現実に最もうまく適応できる者が勝者となるでしょう。私にとって、これは長期的なオーナーがいるテック企業への投資であり、彼らはまだ旅の始まりにいます。この銀行には大きな成長の可能性があると思います」。

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タグ:Northmill Bankスウェーデン銀行

画像クレジット:Northmill Bank

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(文:Steve O’Hear、翻訳:塚本直樹 / Twitter

スウェーデンのフィンテックスタートアップKlarnaがドイツで銀行口座サービスを開始

フィンテックスタートアップのKlarnaが、モバイルアプリをドイツのバンキングアプリに変えようとしている。ドイツ現地の顧客はコンシューマー向け銀行口座を開設し、Visaデビットカードを取得することができる。

現在のところ、Klarnaは限られた数のユーザー向けに銀行口座を開設している。同社は今後数カ月のうちに、より広範囲に展開する予定だ。

ユーザーが利用できるのはドイツのIBANコードを持つ銀行口座で、お金を受け取り、口座振替や引き落としを設定することができる。デビットカードはGoogle PayとApple Payで動作する。月に2回の無料ATM引き出しも利用できる。

米国時間2月9日のローンチでは、Klarnaは金融におけるスーパーアプリを作りたいと考えている。Klarnaはまず、eコマースサイトの支払い方法としてスタートした。同サービスでは高価な商品を複数回に分けて支払える。マーチャントは最初の取引が発生したときに支払いを受け、Klarnaは顧客のクレジットラインを透過的に管理している。

Klarnaのモバイルアプリでは、過去の購入履歴や今後の支払いを確認できる。アプリではストアのマーケットプレイスにアクセスしたり、配送状況を確認したり、値下げ通知を設定したりもできる。

このデータだけでは、自分の財務状況を完全に把握することはできない。しかし銀行口座を追加すれば、入金から出金まですべてを完全に把握することができる。

それは、クレジットラインの新たな機会を開くことができるかもしれない。たとえば店舗で高価なものをKlarnaカードで購入した場合、3カ月間に分けて支払いをするという通知を受け取ることもできるだろう。

Klarnaはまた、貯蓄目標や貯蓄口座の追加も計画している。同スタートアップはすでにスウェーデンで貯金口座をローンチし、柔軟性のある定期貯金口座を提供している。

Klarnaは独自のコアバンキングシステムを構築しており、銀行口座の管理をBanking-as-a-Service(サービスとしての銀行)のパートナーに依存していない。ドイツではN26やVivid Moneyなどの、他のデジタル銀行と競合することになるだろう。

カテゴリー:フィンテック
タグ:ドイツKlarna

画像クレジット:Brian Heater

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(文:Romain Dillet、翻訳:塚本直樹 / Twitter

JR東日本が「モバイルSuica」をAndroid版中心に3月21日リニューアル、PASMO併用可能に

JR東日本が「モバイルSuica」をAndroid版中心に3月21日リニューアル、PASMO併用可能にJR東日本は2月10日、モバイルSuicaのサービスを3月21日にリニューアルすると発表しました。Android版を中心に、スマートフォン向けの新しいアプリになります。

Android版では、iOSでは対応済みの複数枚発行に対応するほか、おサイフケータイアプリとの連携によりモバイルPASMOとの使い分けも可能になります。端末変更の手続きもシンプルになるとのことです。

また、これまで出来なかったiOS(Apple PayのSuica)から、AndroidへのSuicaへの移行が可能になるなど、AndroidとiOSで機能差がなくなり、利便性が大きく向上しそうです。

「スマートフォン仕様の新しいアプリ」とうたっているので、従来のフィーチャーフォン時代のインターフェースは姿を消すことになりそうです。

JR東日本が「モバイルSuica」をAndroid版中心に3月21日リニューアル、PASMO併用可能に

なお、リニューアルに伴い、3月20日(土)午前11時頃~3月21日(日)午前7時頃までの間システムメンテナンスを実施し、一部のモバイルSuicaサービスが停止します。

現金チャージや設定済みのオートチャージ、チャージ済みSuicaの利用は可能ですが、アプリからのチャージや定期券、グリーン券の購入や払い戻しなどが行えなくなります。

リニューアルおよびシステムメンテナンスに関する注意点は、特設サイトで案内されているので詳細はそちらで確認をお願いします。

Engadget日本版より転載)

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個人向けモバイルクレジットのCrezitがプレシリーズAで3500万円を追加資金調達

CrezitがプレシリーズAラウンドで3500万円を追加資金調達、累計資金調達額2.7億円に到達

Crezitは2月9日、第三者割当増資による3500万円の資金調達を発表した。引受先は有安伸宏氏(エンジェル投資家)、FINOLAB、杉山全功氏(エンジェル投資家)。創業からの累計調達額は2.7億円となった。今回の資金調達により、豊富な企業経営経験やFinTech領域の専門性を有する方が同社に参画することで、経営体制の一層の強化を図る。

2019年3月創業のCrezitは、「Optimize Credit, Unleash Potential. / 信用を最適化して、人の可能性を解き放つ。」をミッションに掲げ、個人向けのモバイルクレジットサービス「CREZIT」の運営と、Credit as a Service「X Crezit」構想の実現に向けたプロダクトの開発を進めている。

このX Crezit構想とは、消費者信用事業(貸金・割賦販売など)に参入したいあらゆる企業に対して、金融サービス構築に必要なシステム基盤やオペレーションをサービスとして提供するというもの。今春より展開していく予定だ。

通常、与信サービスの立ち上げには膨大なリソースを必要とし、金銭的にも時間的にも多大なコストがかかる。その結果として、一部の大資本を持つ事業者以外による参入は限定的な状況にあった。

テクノロジー企業が、自社の顧客基盤に対して、ユーザーデータを活用した金融サービスを展開する流れ起こりつつある中で、Crezitは与信サービスに必要な様々な要素をソフトウェアとして提供することで、利用企業の早期の消費者信用事業の立ち上げを可能とするという。

Crezitのサービスの利用企業とともに新たな金融サービスを共創していくことで、より多くの個人に対して適切な金融サービスが届く世界を実現していくとしている。

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