PayPalとVenmoがQRコード決済を導入、米大手薬局チェーンCVSで利用可能に

PayPal(ペイパル)は米国時間11月16日朝、薬局チェーンCVSの全米8200店でPayPalまたはVenmo QRコードを使って決済できるようになったと発表した。PayPalのQRコード決済テクノロジーをPOS(販売時点情報管理)に統合した初の大手小売だ、と説明している。新たな決済方法は、CVSでの「タッチフリー(非接触)」支払い手法を拡大するものだ。米国では新型コロナウイルス感染症の拡大が続く中、タッチフリーは大人気の決済方法となっている。

CVSとPayPalは2020年7月にPOSソリューションで協力する計画を発表している(未訳記事)。当時、両社は2020年第4四半期のどこかで展開を開始するというタイムフレームを示した。

QRコードを使った決済プロセスでは、品物の購入に必要な資金を顧客のPayPalまたはVenmoの口座残高、銀行口座、あるいはデビットカードかクレジットカードから引き出す。オンラインで行われる決済と同じようなものだ。VenmoユーザーはVenmo Rewardsを活用することもできる。

画像クレジット:PayPal

この決済に手数料はかからない、とPayPalは話す。加えて、CVSのExtraCare Rewards Program会員は、決済でPayPalのQRコードを使う時、ExtraCareアカウントを活用してポイントを使ったり貯めたりもできる。

カード決済の場合はカードをスワイプしたりマシーンに差し込んだり、あるいはキーパッドで数字を入力したりする必要があるのに対し、QRコードを使った決済はQRコードをスキャンするなどすべてタッチフリーで行うことができる。

この手法まさしくCVSでコンタクトレス決済の需要が高まっているときに導入される。

Forresterのデータによると、CVSでは2020年1月以来、タッチフリーの決済が43%増えた。加えて米国の人口の11%がパンデミックのために初めて電子決済を使っている、とPayPalは指摘した。同社独自の調査ではまた、消費者の57%が小売事業者が電子決済に対応しているかどうかが買い物の決定に影響を及ぼすと答えたことも明らかになった。

新しいQRコード決済オプションを使うには、客はまずPayPalかVenmoのアプリを立ち上げ、「スキャン」ボタンをクリックする。そして「show to pay(表示して支払い)」オプションを選択する。

この決済手法は決済テクノロジープロバイダーInComm(インコム)との提携により可能となった。InCommはこの機能をPOSで利用できるようにするクラウドベースのソフトウェアアップデートを通じてPayPal QRコードテクノロジーを実現した。

CVSはPayPalのQRコード決済を展開する初の全国小売だが、Nike(ナイキ)、Tumi(ツーミ)、Bed Bath & Beyond(ベッドバスビヨンド)、Samsonite(サムソナイト)など、大手小売10社が同様の決済を展開する予定だとPayPalは述べた。その他に小売100社超とも協議中だ。

「CVSでのPayPalとVenmoのQRコード立ち上げは、健康意識の高い顧客にタッチフリーの決済方法を提供するだけでなく、安全で確かなPayPalとVenmoの決済を店舗にもたらす」とPayPalで消費者サービスとデジタルコマースを担当する上級副社長Jeremy Jonker(ジェレミー・ヨンカー)氏は声明文で述べた。「冬に向かう中で薬局小売は必要不可欠な存在という状況において、PayPalとVenmoのQRコードがCVSの顧客と従業員の安全維持に貢献することに興奮している」。

CVSのニュースに加えて、PayPalは2020年8月に発表した購入代金を分割払いできる「Pay in 4」オプションが多くの小売店で利用できるようになっていることも明らかにした。

カテゴリー:フィンテック
タグ:PayPalVenmoQRコード決済

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(翻訳:Mizoguchi

米司法省が阻止しようとするVisaとPlaidの合併問題を理解するための「火山モデル」

米国時間11月5日、米司法省は切迫状態の続くVisa(ビザ)とPlaid(プレイド)の合併阻止する行動に出た(未訳記事)。

契約が発表されたのは2020年の始めであり、11月になってこの合併を断念させようとする政府の決定は、大きな苛立ちを両社にもたらした。両社はこの約1年間、取引をまとめ承認を得るために曖昧な状態で運用を続けてきたが、あらゆる困難を耐えてきたことがこれで無駄になるかもしれない。

しかし、この取引きで次に何が起きるにしても、政府自身によるこの訴訟は、それ自体が不朽の名作といえる。そこでは反トラストについて多くを語っていないが、2020年にはどんなことでも可能だ。

状況をマンガにしてみた。

画像クレジット:DOJ

テキスト部分に書いてあるのは、Plaidは火山でありそこから類推するにVisaは水面上のどこかでビジネスをしながらPlaidが噴火して現在Visaが運用している環境を変えてしまうことを恐れている。

概念フレームワークとしては、ガートナーの市場調査レポートである「magic quadrant(マジック・クアドラント)」よりずっと良くできているが、この「Magic Volcano(魔法の火山)」はあまりおもしろくない。Visa VenturesのファウンダーであるPeter Berg(ピーター・バーグ)氏がこの落書きについての説明(Twitter投稿)をまとめている。

初心者には噴火している火山に見えるだろう。B2B2Cワールドで長い時間過ごした人には、水面下の数多くの「目に見えない」重要インフラが見え、その結果水面より上にある(消費者の)可能性がいっそう明瞭に見えてくる

バーグ氏のアナロジーによれば、この火山はむしろ氷山だ。つまりVisaはタイタニックのような船ということになる。

これを「ビザタニックの悲劇」とまとめるのは簡単だが、どうやら政府はPlaidが確実に乗船できないようにしているようだ。

海洋のテーマにこだわると、もしこの火山 / 氷山取引が止められた時、Plaidは海賊旗を掲げてどこか別の船を探しにいくのだろうか?ひとつ、すぐ思い浮かぶところがある。

関連記事:Visaが5800億円でPlaid買収、最終的な評価額は倍に

カテゴリー:フィンテック
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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

WhatsAppがインドで決済サービス拡大の承認を受ける

ユーザー100万人で2018年初めにインドで決済サービスのテストを開始したWhatsApp(ワッツアップ)は、世界第2位のインターネットマーケットである同国でいよいよ決済機能をより多くのユーザーに提供できるようになった。

広く使われているUPI決済インフラを展開するインド決済公社(NPCI)は11月5日夜、WhatsAppがUPIで動く決済をインドで提供することを承認したと明らかにした。

Google(グーグル)やSamsung(サムスン)、その他多くの企業と同様、WhatsAppもUPIの上に決済サービスを構築している。UPIはインドの大手銀行の連合が構築した決済インフラだ。NPCIは、インドでユーザー4億人超を擁するWhatsAppが決済を「段階的」に自社サービスのユーザーに広げることができ、手始めに2000万人への提供と複数行との協業が可能だと述べた。

インドのWhatsAppの広報担当は、コメントの求めにはすぐには応じなかった。

現在、グーグルとWalmart(ウォルマート)がインドのモバイル決済マーケットを独占していて、2社のUPIマーケットシェアはおおよそ80%だ。部分的には2016年後半のインド政府による紙幣流通の85%超を無効にする突然の動きのおかげで、UPIはインドで最も人気のデジタル決済手段となった。UPIの人気は、モバイルウォレット構築に何年も費やしたSoftBank(ソフトバンク)やAlibaba(アリババ)が支援するPaytm (ペイティーエム)を含む複数の企業の存在をかき消した。

WhatsAppはインドで2018年初めに決済を展開し始めたが、その後すぐに2年半におよぶ規制の迷路に入り込んだ。同国のさまざまな機関がユーザーの決済データについて、そしてFacebook所有のサービスが決済アプリにかなりの影響力やアドバンテージを持つかもしれないという懸念を表明したからだ。

NPCIによる11月5日の発表は、1つのアプリが1カ月にUPI決済の30%超を処理することがないよう、サードパーティのアプリに上限を設けると明らかにした直後にあった。WhatsAppが、ユーザー数では世界最大のマーケットであるインドで規制問題においてかなりの困難を抱えていたことは明らかだ。他のアプリに規制を設けるというNPCIの計画はゆくゆくはなんらかのかたちでWhatsAppにプラスに働くはずだ。しかしそれはまだ先のことだろう。

Credit Suisseによると、インドのモバイル決済マーケット規模は2023年までに1兆ドル(約104兆円)に達すると予想されている。

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タグ:WhatsAppインド

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(翻訳:Mizoguchi

PayPalが仮想通貨の対応やHoneyの統合など2021年のデジタルウォレット計画の詳細を公表

PayPal(ペイパル)は今週、そのデジタルウォレットプラットフォームと、PayPalおよびVenmo(ベンモ)のアプリに関する将来の展望を公表した。米国時間11月2日に行われた第3四半期の収支報告にて、同社は2021年中に、そのモバイルアプリの大幅変更を行い、大量の新機能を盛り込む計画だ。それには口座振り込み、小切手の現金化、予算管理ツール、請求書の支払い、仮想通貨の対応、サブスクリプションの管理、後払い機能そしてHoney(ハニー)の買い物ツールを全体的に統合することなどが含まれる。

PayPalでは、以前からHoneyの機能をPayPalに取り込む計画を明らかにしていたが、CEOのDan Schulman(ダン・シュルマン)氏は、2019年に40億ドル(約4180億円)で買収(未訳記事)した、お得な買い物情報が探せるプラットフォームであるHoneyの統合で何を目指しているのか、またそれやその他のアプリのアップデート計画に関する詳細を公表した。

Honeyの買収によって、PayPalには月間1700万のアクティブユーザーを獲得した。これらのユーザーは、Honeyのブラウザ拡張機能とモバイルアプリを利用し、欲しい商品が最もお得に買える店の検索や価格比較などを行っている。

しかし、いまだにHoneyのサービスはPayPalからは独立した形で運用されている。そこを2021年には変えたいとPayPalは考えた。

シュルマン氏は、同社のアプリをアップデートしてHoneyの買い物ツールを組み込むと語る。欲しい商品を追跡できる「欲しいものリスト」や、割り引きや値下げを知らせたり、クーポンやオマケなどのお得情報を知らせてくれる価格監視ツールなどだ。これらのツールが、PayPalの決算ソリューション本体に統合される。

こうすることでPayPalは、顧客がお得情報の検索を開始した時点からトラッキングを開始できるため、顧客の特定の商品への興味を知り、彼らに的を絞った割り引きなどの特典を示して、商品の代金支払いまでの一連の体験を1カ所で提供できるようになる。

PayPalはさらに、Honeyのツールを利用した顧客のエンゲージメントに基づく「匿名需要データ」を販売業者に提供し、売上げ向上に協力すると話している。

しかもPayPalは、Honeyの統合とその他の計画中のアップデートを、2021年中に実施するようスケジュールを設定している。

Bill Pay(請求書の支払い)は、2020年11月からスタートするとPayPalは話している。デジタルウォレットの利便性に関する大幅なデザイン変更は2021年前半に実施される予定だ。新機能は、そのほとんどが2021年の第2四半期と後半に導入し、変更の大半は来年末までに完了することを目指している。

この変更には、PayPalの仮想通貨への対応も含まれることが、10月末に発表されていた。同社では、手はじめに米国内でBitcoin(ビットコイン)、Ethereum(イーサリアム)、Bitcoin Cash(ビットコイン・キャッシュ)、Litecoin(ライトコイン)に対応する。

収支報告でシュルマン氏は、PayPalがいつ、幅広い利用者や地域に仮想通貨をもたらすかについて投資家に語った。それによると、仮想通貨の購入、販売、保管は、まず米国内で開始し、後に国際市場に拡大、そして2021年前半にVenmoアプリに対応するとのことだ(現在、PayPalでは米国内の利用者を対象にアプリの仮想通貨機能の予約を受け付けている)。

仮想通貨の購入、保管、販売機能といった今後のPayPalのユーザーエクスペリエンス(画像クレジット:PayPal)

この変更によりPayPalの利用者は、同社の2800万件の販売業者から仮想通貨で買い物ができるようになる。その際、業者側には一切の追加的統合の手間をかけることがない。これは、決済プロセスの扱い方によって可能になると同社は説明している。利用者は、PayPal提携業者に支払いを行った時点の相場に従い、即座に仮想通貨を不換通貨に換金できるというものだ。

「このソリューションでは、消費者と販売業者のどちらの側にも、新たに何かを統合する必要や、価格変動リスクや増分取引手数料の心配がありません。基本的に仮想通貨の利便性を高めるものです」とシュルマン氏。「これは、規制当局と協力しながら新しい形態のデジタル通貨を受け入れることから期待されるチャンスの始まりに過ぎません」と彼は言い加えた。

PayPalは、最近になって、代金を4回の分割払いにできる「Pay in 4」(ペイ・イン・フォー)プログラムで「代金後払い」の競争に加わった。このサービスは、今年8月にアメリカに導入される以前に、フランスでスタートしている。その後、イギリスにも導入された(こちらは3回払いのPay in 3)。これも、数カ月以内に同社のアプリに統合される。

2021年の収益が9億ドル(約940億円)に達すると自身が見込むVenmoは、ビジネスプロファイルを拡大させ、より一般的な金融ツール、買い物ツールとしての仮想通貨の可能性を高め、さらには「Pay with Venmo(Venmoで支払う)」による決算体験も改善させることになるだろう。

シュルマン氏は、VenmoとPayPalのアプリを「根本的な改革」として見直す同社の計画も示唆していた。来年1年をかけて行われる変更にともない導入される大量の新機能と新しいユーザーエクスペリエンス、つまりはデザインの変更により、別のアプリを乗り換えたり、デススクトップ版ブラウザを使ったりすることなく、1つのエクスペリエンスから新しいものへ、利用者が簡単に移行できるようにするのが目的だ。

今週発表されたPayPalの収支報告にウォール街は落胆し、2021年度ガイダンスが示されなかったことで株価が落ち込んだ。しかし、PayPalのデジタルウォレットアプリの2021年は、おもしろいことになるはずだ。

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カテゴリー:フィンテック
タグ:PayPal仮想通貨

画像クレジット:PayPal/Honey

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(翻訳:金井哲夫)

仮想通貨ウォレットアプリZenGoが米国でデビットカードを発行

仮想通貨を管理するモバイルアプリZenGo(ゼンゴー)は、Visa(ビザ)のデビットカードを米国内で発行する。仮想通貨を使うデビットカードはこれが初めてというわけではない。Coinbase(コインベース)は、デビットカードの運用を米国に拡大するとつい先週発表している。しかし、ZenGoの場合は、資産管理権のないウォレットとなる。つまり、自分の仮想通貨資産を自分で管理できるのだ。

取引所に仮想通貨を預けると、他の人がそのアカウントにアクセスして他のウォレットに通貨を送ることができる。もちろん、電子メールによる確認や2ファクター認証などのセキュリティ機能はあるが、基本的には利用する取引所のセキュリティ担当者に依存することになる。

ZenGoをはじめとする資産管理権のないウォレットでは、自分でセキュリティの責任を負わなければならない。自分自身が仮想通貨銀行となるわけだ。ZenGo自身が仮想通貨の送金や換金はできないため、デビットカードの発行はとても複雑な事業となる。

ZenGoは、2021年初頭には独自のデビットカードの発行を目指し、Visaの「Fintechファストトラックプログラム」に加盟した。現在のところカード発行は米国内のみだが、同スタートアップでは他の国々での発行もすでに計画している。

利用者が保有している仮想通貨の種類をZenGoは関知しないため、利用者はまず自身の仮想通貨を米ドルに換金しなければならない。このモバイルアプリでは、資産を米ドルなどの不換通貨に換金し、カードにチャージできる。日常的にカードを使用する場合は、毎週決まった額をチャージするようにもできる。

他の仮想通貨対応カードと異なり、このカードには換金というステップが付け加えられている。「Coinbaseなどはそれを自動で行う場合、どの仮想通貨で支払うかを自由に変えられないという問題があります。最初に彼らが決めるかまたは自分で決めるよう要請され、それが後の取引でずっと使われるようになります」と、ZenGoの共同創設者にしてCEOのOuriel Ohayon(オリエル・オハヨン)氏は私に語った。

さらに、ZenGoウォレットの残金は、このカードでは一切使えない。そのため、たとえカードが奪われるなどの危険にさらされたとしても、暗号資産は安全に保たれる。

ZenGoでは、MoonPay(ムーンペイ)とCoinmama(コインママ)との提携により、同アプリでの仮想通貨の取得をすでに可能にしている。このカードのおかげで、同スタートアップは、不換通貨から仮想通貨へ、また仮想通貨から不換通貨の換金機能により、オンランプとオフランプの両方を手にすることになる。

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カテゴリー:フィンテック
タグ:ZenGo仮想通貨デビットカード

画像クレジット:ZenGo

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(翻訳:金井哲夫)

PayPalの第3四半期決算は消費者のフィンテック利用増を反映

予想を上回る第3四半期決算を発表した後、PayPal(ペイパル)の株価は時間外取引で下げた。なぜ下落したのかはいまのところはっきりしないが、個人投資家がアナリストの予想以上に期待していたからかもしれない。

投資家を喜ばせることはできなかったにもかかわらず、これまで同様、決算の中に幅広いフィンテック業界の強みを見出すことはできる。

PayPalの第3四半期の売上高は54億6000万ドル(約5700億円)、調整後1株あたり利益は1.07ドル(約111円)と、いずれもアナリストの予想を上回った。アナリスト予想は売上高54億3000万ドル(約5678億円)、1株あたり利益0.94ドル(約98円)だった。

PayPalの収支はさておき、決算ではフィンテック関連のデータが詳細に示された。ここには、パンデミック中に消費者のフィンテック商品の利用増加が続いていることを示す結果も含まれている。例えばPayPalは、決済ボリュームの成長ペースがこれまでで最大となったとした。

数字を示すと、PayPalは2470億ドル(約26兆円)を処理し、この数字は前年同期比38%増だ。決済件数は40億件で、こちらは前年同期比30%増だった。消費者決済・事業決算のボリュームを増やしたいスタートアップにとってはいいニュースだ。マーケットは急成長している。

PayPalはまた、第2四半期決算時に20%台後半としていた年間の決済ボリュームの成長率を、第3四半期末時点で「約30%」に上げたが、これもフィンテックにとっていいニュースだ。

PayPalが明らかにした他の数字も同様に強気だ。例えばVenmo決済額は前年同期比61%増の440億ドル(約4兆6000億円)だった。第2四半期時の同52%増からアップしている。

最後に、PayPalの「直近12カ月ベースでのアクティブ口座あたりの決済数」は第2四半期に39.2から40.1に成長した。2020年初めにクローズしたHoney(ハニー)買収を含めると、数字は41.7に上がる。

今回の決算は、活発なeコマースと消費者のフィンテックに対する意欲を意味する。

PayPalの新しいVenmoクレジットカード、そして最近のビットコイン価格上昇につながった仮想通貨についての取り組みについていうのはまだ早い。しかしPayPalの決算というレンズを通して見える、フィンテックに親しんでいるコアな消費者は強気だ。

カテゴリー:フィンテック
タグ:PayPal決算発表

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(翻訳:Mizoguchi

Antの超大型IPOが延期、中国当局がアリババ創業者から事情聴取

上海証券取引所はAnt Group(アント・グループ)の巨大な新規株式公開(IPO)を延期することを発表した。中国当局によるフィンテックに関する新たな規制の導入、また当局がJack Ma(ジャック・マー)氏や他の幹部を聴取したことを受けての措置だ。

中国の金融当局トップとAntの間でもたれた稀にしか行われない話し合いで「フィンテック規制における大きな変更」が明らかにされ、これによりAntが11月5日の上場の基準を満たさなくなるかもしれない、と上海証券取引所は11月3日夜に出した声明で述べた。

そうした「変更」がどういうものなのかは明らかではないが、同証取はAntにそれらを開示するよう求めた。10月下旬にマー氏が中国の金融規制を批判する刺激的なスピーチ(新波財経記事)を行っていたことは記すに値する。スピーチが行われたカンファレンスには中国の上層部も出席していて、後に広範にわたる論争を巻き起こすことになった。

Antは上海証取からの通知を受け、計画していた香港でのIPOも一時停止した、と声明の中で発表した(Ant Groupリリース)。

「投資家にご迷惑をおかけすることを心よりお詫び申し上げます。2つの証券取引所の規則に則って今後の問題に適切に対処します」と述べた。

Antはこれまで当局に従順であろうとしてきた。Ant FinancialからANT Technologyにブランド名を変更したとき、この動きは金融大手を脅かすという同社のイメージを払拭し、優しいテクノロジープロバイダーの1社であることを強調するものだと受け止められた。Antは「techfin(fintechの反対)」という奇妙な造語の会社であり、従来の金融機関(多くが国有だ)とは競合していない、ということを周知するキャンペーンを数年前に始めた。

言葉は単なるショーではなかった。Antは何億人もの顧客に従来の金融機関が提供していた金融商品を紹介し、オンラインマーケットプレイスにゆっくりと守備範囲を広げてきた。同社はまた国家安全保障基金や中国合弁投資銀行といったヘビー級の国家主体を投資家にもってきた。

しかし保証材料は十分ではなかったようだ。中国の金融当局はフィンテック部門を監督するための新たな提案を11月2日に発表した(中国銀行保険規制委員会リリース)。Antが世界最大のIPOで345億ドル(約3兆6000億円)を調達することになっていた数日前のことだ。ドラフトははっきりとAntを指してはいないが、金融当局によるAnt幹部の聴取とタイミングは一致する。

「金融部門の健全性と安定に関する考えを交換した」とAntの広報担当はTechCrunchへの声明文で述べた。「Ant Groupは意見交換を深めること、そして安定したイノベーション、規則の遵守、実経済へのサービス、ウィンウィンの企業という原則に基づいた方針を取り続けることを約束する」。

メッセージはクリアだ。Antは中国政府当局の要望に応える努力をする。

「当社は引き続き包括的なサービスを提供する能力を向上させ、一般市民の生活を良くするために経済発展を促進する」とAntは付け加えた。

新たな提案は、活発なフィンテック部門に安定をもたらそうと中国が進める取り組みにおける最新の動きだ。規制草案には、当局が認めたもの以外の地方間オンラインローンの禁止、個人向けのオンラインローンの最高額を30万元(約470万円)とすること、オンライン小口融資貸し手の登記資本金を10億元(約157億円)とすることなどが盛り込まれている。

AntのIPO目論見書によると、貸付事業は急成長中で、同社の年間売上の34.7%を占め、額にして419億元(約6600億円)だ。6月までの1年間にAntは約100行の銀行と共同で1兆7000億元(約27兆円)の消費者金融を実施し、中小企業に4000億元(約6兆円)を貸し付けた。

中国の金融当局は近年、フィンテック企業の拡大と収益性を抑制しようと、多くの規制を導入してきた。例えばAntの決済サービス Alipayと、そのライバルサービスは、顧客準備金から利子収益をあげることが2019年から禁じられている。

カテゴリー:フィンテック
タグ:Ant Group新規上場 / IPO

画像クレジット:Ant Group

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(翻訳:Mizoguchi

スモールビジネス向け支払およびマーケティングスタートアップFivestarsが約55億円調達

今は、控えめに言ってもスモールビジネスにとって大変な時期だ。Fivestars(ファイブスターズ)のCEO、Victor Ho(ビクター・ホー)氏によると、大手のデジタルプラットフォームの多くはたいして役に立っていない。

ホー氏は、デリバリーサービスやユーザーレビュー、マーケティングツールを提供するといったプラットフォームはすべて同じ基礎モデルがあると主張している。ホー氏は「そうしたプラットフォームはスモールビジネスの顧客ベースを乗っ取り、スモールビジネスの顧客との接触でお金儲けをしようとしている」と述べている。

スモールビジネスの支払とマーケティングをサポートするソフトウェアを開発したFivestarsも表面的には、似たようなものかもしれない。

だがホー氏は、実際には「全く逆」のアプローチをしていると述べている。Fivestarsは「壁に囲われた庭」の中にいる顧客を使って中小企業にアクセス料を請求するわけではないというのがその理由だ。中小企業はその代わりにソフトウェア料を支払い、自分たちの顧客のデータベースを作ることができる。顧客と接触するためにお金を支払う必要はないのだ。

「これで利益が一致する」とホー氏は言う。

画像クレジット:Fivestars

Fivestarsのプラットフォームには独自の支払製品、他社のPOSシステム(販売時点情報管理)との統合、顧客と6000万人におよぶ買い物客の幅広いネットワークにパーソナライズしたメッセージを届けるマーケティングオートメーションが含まれており、Fivestarsのさまざまな事業でクロスプロモーションが展開できる。

Fivestarsは米国時間10月16日、新しい資金5250万ドル(約55億円)を調達したことを発表した。シリーズDエクイティラウンドと借入れを合わせた合計資金調達は1億4550万ドル(約153憶円)になる。ラウンドにはSalt Partners(ソルトパートナーズ)を旗頭に、Lightspeed Venture Partners(ライトスピード・ベンチャー・パートナーズ)、DCM Ventures(DCMベンチャー)、Menlo Ventures(メンロ―ベンチャーズ)、HarbourVest Partners(ハーバーベスト・パートナーズ)が参加している。

Fivestarsは新型コロナのパンデミック前にラウンドをクローズしていたが、チームはその発表を遅らせることにしたとホー氏は語る。顧客の多くが苦境に直面している中で、同社の銀行口座を誇示するのは賢明ではないと判断したためだ。

同社はパンデミックの最中「記録的な利用」を目の当たりにした。毎月100万人の新規買い物客がネットワークに参加していたという。またホー氏は同時に、パンデミックによってFivestarsはその戦略を変更せざるを得なくなったことに気付く。当初資金調達の目的は「既存の製品を通じて加盟店のポートフォリオを拡大する」ことであったが、ホー氏は「この期間で我々にとって必要なことが大きく変わり、支払とネットワークに力を入れることと、中小企業がこれまで以上に必要としているものに重点を置くことが必要になった」と述べている。

またホー氏によると、このパンデミック期間に同社は100万ドル(約1億500万円)以上の価値があるクレジットを顧客に提供し、より多くの自社製品を無料にしたとのことだ。

「スモールビジネスに素晴らしい回復能力があることは明らかです」とホー氏。「体験というカテゴリーにおいては特にそうでしょう。パリに旅行して妻をPizza Hut(ピザハット)に連れて行きますか?チェーン店にはまず行かないでしょう」と続けた。

資金調達の発表の際、フォートローダーデールにあるヘルスフードストア Tropibowls(トロピボウルズ)のNatasha Teague(ナターシャ・ティーグ)氏は、Fivestarsのプラットフォームが「大きな助け」となっていると説明した。

「お客様とコミュニケーションを図り、リアルタイムで最新情報を共有できることは計り知れないほどの価値があります」とティーグ氏。「Fivestarsの膨大なネットワークと支払の技術のおかげで、当店の再開プロセスは円滑に進みました。またパンデミックによる新しいニーズに対応するうえでのライフセーバーになっています」。

関連記事:NASAがビッグなアイデアを持つスモールビジネスに合計55億円の助成金を支給

カテゴリー:フィンテック
タグ:スモールビジネスマーケティング資金調達

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(翻訳:Dragonfly)

企業が顧客に法人口座を提供できるようにするフィンテックWiseが13億円調達

フィンテックスタートアップのWise(ワイズ)がシリーズAラウンドで1200万ドル(約13億円)を調達した。同社は興味深い市場獲得戦略で法人口座を提供している。Wiseは他の企業と提携し、そうしたパートナー企業が自社の顧客に法人口座を提供できるようにしているのだ。

例えばあなたが企業と個人客をマッチングするマーケットプレイスやeコマースプラットフォームを運営している場合、あなたはパートナー企業に銀行口座を提供するのにWiseを活用できる。RemoteTeamはリモートで働くチームの給与エクスペリエンスを向上するのにWiseを使っている。

シリーズAをリードしたのはe.venturesで、Grishin Roboticsも参加した。シード投資家のBase10 PartnersとTechstarsは再度の投資だ。

Wiseはネオバンクをサポートしたり、ネオバンク起業を手伝うわけではなく、従来型のサービスとしてのバンキング企業ではない。その代わり、Wiseは金融サービスに関わっているものの大きな投資となるために金融サービスを提供できないという企業をターゲットにしている。

プロダクトにWiseを統合するのに、大がかりな開発や規制関連の取り組みは不要だ。バンキングユーザーインターフェースすべてを開発する必要はなく、顧客をWiseにリダイレクトするだけでいい。Wiseはまた顧客確認(KYC)や事業所確認(KYB)のプロセスも引き受ける。

あなたの顧客が自前のWise口座を持っている場合、法人口座でできる基本的なことすべてができる。口座に資金を保管し、銀行振り込みやデビットカード、バーチャルカード、小切手で支払ったり、カード決済、ACH、小切手での支払いを受けたりすることが可能だ。

この裏ではBBVAが銀行サービスを提供している。つまり、あなたの預金は25万ドル(約2600万円)まで連邦預金保険公社(FDIC)によって保証される。Wiseはまた他の機能やインフラ企業のためにStripe(ストライプ)も活用している。

Wiseの共同創業者でCEOのArjun Thyagarajan(アルジュン・スヤガラジャン)氏はそうしたパートナーを建築用ブロックに例える。例えば新たな国でサービスを立ち上げるのにパートナーを取り替えて他のAPIを統合できる。

興味深いことに、Wiseの口座をパートナーに提供することを選ぶと、預入や交換手数料にかかる売上の一部が入ってくる。

次に行われるのは、カナダなど他国へのサービス展開だ。また、遠隔診療やヘルスケアのスタートアップ向けのマーケットのような特定分野にも取り組む。その場合、タイプの異なる顧客のために異なる機能を追加する必要があるかもしれない。

Wiseはまた、有名な企業との提携も交渉しており、提携が実現すれば新たな顧客をプラットフォームに取り込むことになるはずだ。

カテゴリー:フィンテック
タグ:Wise資金調達

画像クレジット:Wise

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(翻訳:Mizoguchi

仮想通貨取引所Coinbaseが米国でデビットカード発行へ、Visaと提携

仮想通貨取引所のCoinbase(コインベース)はこの冬、米国でデビットカードの提供を始める。顧客はウェイトリストに登録でき、利用可能になり次第、Coinbase Cardを受け取れる。Coinbaseは同カードをすでに英国と欧州で展開している。

Coinbase CardはVisaを扱う決済端末、オンライン決済インターフェース、ATMで使えるVisaデビットカードだ。ユーザーはモバイルアプリで仮想通貨をいくら使うのかを管理できる。米国では、顧客はサインアップした後すぐにバーチャルのカードを取得し、2週間以内に実物のカードが届く。

店舗で仮想通貨を使うのにユーザーは仮想通貨を換金する必要はない。決済が発生したときにCoinbaseがユーザーに代わって処理する。だからこそ、今後の決済のために使う仮想通貨残高をユーザーがアプリ内で選べるようになっている。

Coinbase CardはUSDCを含め、Coinbaseで現在利用できる多くの仮想通貨に対応する見込みだ。Coinbaseは欧州の顧客向けに別のアプリをリリースしたが、米国ではメインのCoinbaseアプリからデビットカードを管理できるようになる。カードは顧客のCoinbase口座から直接カード代金を引き落とす。顧客は別のウォレットにトークンを移さなくてもいい。

米国では、Coinbase Cardユーザーはポイントも付与される。Stellar Lumensでは4%、Bitcoinでは1%のポイントがもらえると同社はいう。貯まったポイントで1度に1つのリワードが選べ、リワードは定期的に更新される。

欧州と異なり、米国では発行手数料を払う必要はない。しかしいくつかの手数料がある。Coinbaseは2.49%の通貨換金手数料を取る。しかし1つだけ例外がある。USDC残高を使用する際は、デビットカードでのUSDCによる支払いに手数料はない。

通貨換金手数料に加えて、海外決済手数料やATM利用制限もある。しかし一部の顧客は利便性を重視するかもしれない。実在店舗で買い物するとき、デビットカードはビットコインウォレットよりずっと使い勝手がいいのは事実だ。

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タグ:Coinbase仮想通貨Visa

画像クレジット:Coinbase

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(翻訳:Mizoguchi

米司法省がVisaによる5540億円のPlaid買収を反トラストの疑いで捜査中

米司法省から反トラスト捜査の目を向けられているのは大型テック企業だけではない。

米国時間10月26日の午後遅く、米司法省はVisa(ビザ)によるベンチャー支援企業のPlaidに対する53億ドル(約5540億円)の買収提案を捜査中であることを明らかにした。Plaidはアプリケーションがユーザーの銀行口座と連携できるようにするサービスだ。

これは数多くの新たなフィンテックサービスを可能にするものであり、この買収契約が今後さまざまなスタートアップから生まれてくる新たな金融サービス市場にどのような影響を与えるか、司法省はこの1年をかけて調査していたようだ。

司法省がこの取引に注目していることがわかったのは、VisaのPlaid買収を手配したコンサルタント会社のBaidに対して、当局の民事調査請求(CID)に応じるよう求めたマサチューセッツ州地区連邦地方裁判所に提出された請願書からだった。

司法省は、Bainが文書について何らかの特権を持っていたと主張して提出を拒否し、結果的に司法省の捜査を引き伸ばしたと主張している。

「米国消費者は反トラスト局が迅速かつ徹底的に合併を捜査することを望んでいます」と司法省反トラスト局のMakan Delrahimk(マカン・デラヒム)局長は声明で語っている。「関連する第三者の種類とデータを収集することが、本局が一連の取引を分析する上で不可欠です。こうした要望を無視することで本局が関心を失い、捜査目標を他の案件に移すと期待している第三者があまりにも多い」。

司法省は2020年6月に初めて、Bainに対してVisaの価格戦略と他のデビットカードネットワークに対する競合に関連する書類の提出を求めた。当局はその情報を使ってVisaが計画する買収が金融サービス市場全体に与える影響を分析するつもりだった。Bainはその情報を部外秘であるとして書類作成を拒否した。

司法省が注目している大型フィンテック買収案件はVisaのPlaid買収提案だけではない、とThe Wall Street Journalは報じている。規制当局はMastercard(マスターカード)によるフィンテックスタートアップであるFinicityに対する10億ドル(約1040億円)の提案や、Intuit(インテュイット)のクレジットスコア情報スタートアップであるCredit Karma(クレジットカルマ)買収の70億ドル(約7310億円)の提案にも注目している。

「本局のBainに対する請願は、関連書類を確保し、我々が発行するCIDの期限と仕様を第三者に守らせる意志を明確にすることが目的です」とデラヒム氏はいう。「Bainをはじめとする第三者は、当局の民事調査に関わる要求に完全かつ迅速に従って、我々が職務を果たし、国民のために尽くすのに必要な書類とデータを提出するべきです」。

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アリババ子会社Ant GroupのIPO調達額は上海、香港同時上場で数兆円規模に

ずいぶん前から予想されていたが、Alibaba(アリババ)の子会社で中国のフィンテック大企業であるAnt Group(アント・グループ)のIPOによる調達額は、上海と香港株式市場への同時上場で数百億ドル(数兆円)に達する可能性がある。

Ant Group(旧社名Ant Financial)の株価は80香港ドル(約1080円)あるいは68〜69人民元(約1060〜1080円)になることが予想される。同社は香港株式市場デビュー時に1億3400万の株式を売り出し、1株80香港ドルの場合172億5000万ドル(約1兆8000億円)の調達が見込まれる。

上海株式市場でも似たような額の調達が予想されることから、同社のIPOによる調達額は345億ドル(約3兆6000億円)ほどになりそうだ。これはAramco(アラムコ)が最近IPOで調達した294億ドル(約3兆800億円)を(Reuters記事)上回って過去最大規模となる。

AlibabaのAnt Groupの持分は33%だ。現在予想される株価で計算すると、Ant Groupの企業価値はニThe New York Timesによると3100億ドル(約32兆5000億円)、CNBCによると3130億ドル(約32兆8000億円)だ。

Ant Groupの巨大なIPOは、同社の途方もない規模を反映している。TechCrunchが7月に報じた(未訳記事)ように、2020年3月時点のAntの年間アクティブユーザー数は約13億人だった。そしてこの数字はここ数四半期でさらに増えている可能性もある。AntのAlipayは、巨大で儲かる中国マーケットにおいてTencentのWeChat Payと競合する。

Ant GroupのIPOは、米国の株式市場が弱さを露呈した中でのものとみることができる。Alibabaが2014年に株式を公開したとき(未訳記事)、同社はニューヨーク証券取引所に上場した。同社はその後、香港株式市場にもデビューした。Ant Groupのニューヨークではなく、香港と上海でのダブル上場は米国外で資本調達が可能なことを示している。

グローバルパンデミックで消費者の行動が変わり、商品の購入や決済をデジタルで行うようになったため、大方のフィンテックスタートアップは2020年に売上高を増やしている。そして一般的にIPOはプラスに作用し、Ant Groupは株式が売買され始めた時にさらに追い風を受けて企業価値を増やすことが考えられる。

Antは本来の業務に固執しておらず、他のスタートアップに投資することで忙しくしてきた。例えば同社は、2020年初めに分割払いサービスKlarna(クラーナ)の少数株式を取得した。

3100億ドル(約32兆5000億円)超というバリュエーションだと、Ant Groupは現在最も企業価値が大きい米国企業であるJPMorgan Chase(JPモルガン・チェース)に匹敵することになる。また米国拠点のデジタル決済リーダーPayPal(ペイパル)のバリュエーション2360億ドル(約25兆円)、そしてSquare(スクエア)のバリュエーション770億ドル(約8兆円)を上回る。

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PayPayミニアプリ拡充を促進する「PayPay Accelerator Program」が参加スタートアップ募集

PayPayミニアプリ拡充を促進する「PayPay Accelerator Program」がスタートアップ募集

PayPayYJキャピタルEast Venturesは、スタートアップ企業を対象に、参加企業の成長支援と「PayPay」(Android版iOS版)のミニアプリ機能拡充を目的とした「PayPay Accelerator Program」の提供および参加企業の募集を開始した。募集締め切りは2020年12月4日23:59。開催期間は2021年1月〜2021年4月(予定)。

「PayPay Accelerator Program」

PayPay Accelerator Programは、PayPay、YJキャピタル、East Venturesの3社が協同で提供するプログラム。参加スタートアップ企業に対し、PayPayによる技術的支援、YJキャピタルおよびEast Venturesによるビジネス面におけるメンタリングサポートを実施する。参加対象となるスタートアップ企業は、業種は問わず、アーリーステージの企業が対象。

同プログラムで完成したプロダクトは、アカウント登録ユーザー数3300万人以上(2020年10月19日時点)が利用するPayPayのミニアプリとして提供できる。

なお、企業が自社サービスをミニアプリとして提供するには、「PayPay for Developers」で加盟店登録を行い、所定の審査に通過した場合のみ可能。また同プログラムにおいては、最終成果報告会において承認されたサービスにつき、ミニアプリとして提供を開始する予定。

PayPayミニアプリ拡充を促進する「PayPay Accelerator Program」がスタートアップ募集

  • 主な対象: 自社提供のプロダクトがすでにある、アーリーステージのスタートアップ企業
  • 条件: 決済と関係するサービスであれば業種は不問。プロダクトローンチ済み(β版やプロトタイプでも可)、シリーズBに未到達のステージ(株式などの資金調達累積2億円未満が目安)、売上または資本金がある(6ヵ月以上の運転資金)。個人での応募も可能だが、DemoDayまでには法人登記が完了していることが必要。またミニアプリ化を目指すプログラムのため、チームにはエンジニアがいることが条件となる
  • 募集締切: 2020年12月4日23:59
  • 開催期間: 2021年1月〜2021年4月(予定)
  • 応募方法: PayPay Accelerator Program内のPayPay Accelerator Programエントリーフォームより応募

「PayPay for Developers」でミニアプリに関するオープンAPI提供

またPayPayは、10月26日より開発者向けツール「PayPay for Developers」上でミニアプリに関するオープンAPIの提供を開始。APIドキュメントを公開しているほか、11月10日19:00から開発者向けWebinarを開催予定としている。

PayPay for Developersは、ECサイト・アプリなどオンラインサービスの決済システムとして「PayPay」を導入できる開発者向けツール。

ミニアプリとは、PayPayのパートナー企業が提供するサービスの予約や商品の注文・支払いなどのサービスを、パートナー企業のアプリをダウンロードすることなく、PayPayアプリ内で利用できる機能。現在、「PayPayモール」「PayPayフリマ」「タクシー配車」「ボーナス運用」「お金を借りる」「Uber Eats」の6つのミニアプリが「PayPay」で利用できる。

PayPayミニアプリ拡充を促進する「PayPay Accelerator Program」がスタートアップ募集

このミニアプリのオープンAPIにより、ミニアプリで自社サービスを展開したい企業側での開発が可能となり、PayPayをプラットフォームとして活用できるようになる。またPayPayは、決済という機能を超えて様々な企業サービスと連携することで、これまでよりもスピーディーに、より多くの企業のサービスをミニアプリとして提供し、ユーザーの利便性をますます向上させるとしている。

さらにPayPayは、オープンAPIを公開するだけでなく、PayPay Accelerator Program提供により、スタートアップ企業の先進的な技術、斬新なアイディアとのシナジーで、ユーザーの生活をもっと豊かで便利にする「スーパーアプリ」化を促進するミニアプリの提供・拡充を目指すという。

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カテゴリー: フィンテック
タグ: PayPay日本

ノルウェーのチャレンジャーバンク「Lunar」がシリーズCで約50億円を調達、BNPL(信用販売)に進出へ

ノルウェーのチャレンジャーバンクで、個人資産管理アプリ(PFM)としてスタートした後、2019年に一般銀行ライセンスを取得したLunarが、シリーズCラウンドで既存投資家から4000万ユーロ(約50億円)を調達した。

今回の資金注入は、2020年4月に発表された2000万ユーロ(約25億円)のシリーズBラウンドに続き、Lunarの有料Proサブスクリプション(欧州の複数のチャンジャーバンクがすでに実施している)や消費者ローン、8月に開始したビジネス向け口座などを支えるものだ。

ビジネス向け口座はすぐに成功したようで、当地には(英国と同様に)個人事業主にとって使い勝手のよい銀行口座に対する抑圧された需要があった証拠だろう。デンマークに進出してからわずか数カ月後、同国で新たに登録された個人事業主の50%以上が同サービスに口座を開設したとLunar Businessはいう。

私はLunarについて、ユーサーの平均カード利用金額が1100ユーロ(約13万6000円)と、EU平均の212ユーロ(約2万6000円)を大きく上回り、ユーザー愛着度が「業界最高」とされているとも聞いている。現在Lunarにはデンマーク、スウェーデン、ノルウェーを合わせて5000口座のビジネスユーザーと20万口座の個人ユーザーがいる。

一方、最も注目すべきなのは、同社初の消費者向け金融商品の提供を開始した後、Lunarは 「buy now, pay later(BNPL。「今すぐ購入支払いは後」。信用販売)」市場への参入を見据えていることだ。これは、会社価値106億5000万ドル(約1兆1167億円)のKlarnaや、つい最近上場した米国のAffirmの領域に進出することを意味している。BNPL分野にはPayPalという巨人もいる。

LunarのファウンダーでCEOのKen Villum Klausen(ケン・ヴィルム・クラウセン)氏は、ノルウェー銀行市場の「矛盾状態」が、同社がBNPLに進出する理由だという。「ここは世界で最も利益を上げやすい銀行環境ですが、最も防御がかたい市場でもあり、外部からの競合がほとんどありません」と同氏はいった。「つまり、個人事業主である銀行顧客はすべての金融商品を取引銀行から購入する、という意味です」。

これはLunarのBNPL商品が「post-purchase(ポストパーチェス、購買後)」商品として作られていて、Lunarはユーザーが何かを買った後に声をかける仕組み(Curveのプランドクレジット商品と似ている)であることと関連している。例えば新しいテレビを買おうとすると、アプリはユーザーに分割支払したいかどうか尋ねる。「ユーザーはこのために売り主と契約する必要がなく、実店舗でもeコマースでもあらゆる取引に利用できます」とクラウセン氏は説明する。

「私たちはKlarnaを直接の競合と考えていません、彼らはノルウェーの決済システムに所属していないからです」と同氏は付け加えた。「つまり、請求書の支払いや、給与の受け取り、日々の銀行取引などに利用することはできません。Klarnaはスウェーデンでは巨大ですが、デンマーク、ノルウェー、フィンランドでは比較的小規模なのです」。

Lunarはこれまでに合計1億400万ユーロ(約130億円)を、Seed Capital、Greyhound Capital、Socii Capital、Chr. Augustinus Fabrikkerらの投資家から調達している。同チャンジャーバンクはデンマークのオーフス、コペンハーゲン、スウェーデンのストックホルム、ノルウェーのオスロに拠点を持ち、180名以上の従業員がいる。2021年前半にはフィンランドでバンキングアプリを公開する計画だ。

カテゴリー:フィンテック
タグ:Lunar資金調達ノルウェー

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PayPalが仮想通貨の売買サービスを米国で開始、Paxosと提携

PayPal(ペイパル)は新たなサービス立ち上げで仮想通貨企業Paxos(パクソス)と提携した。米国のPayPalユーザーは間もなく仮想通貨を売買したり保有したりできるようになる。ほどなく米国以外の国でも利用できるようになる見込みだ。

差し当たってはBitcoin(ビットコイン)、Ethereum(イーサリアム)、Bitcoin Cash(ビットコインキャッシュ)、Litecoin(ライトコイン)を取り扱う。ユーザーは仮想通貨の売買でPayPal口座を活用できるようになる。こうした取引や管理の業務は裏でPaxosが受け持つ。

PayPalは2021年初めには仮想資産をPayPalでの買い物に使えるようにしたい考えだ。まず最初に仮想通貨を交換することなく毎日の買い物に仮想通貨を使う良い方法となるかもしれない。

PayPal加盟店は世界中に2600万店ある。客の仮想通貨での支払いでそうした加盟店が影響を受けることはない。決済が行われるとき、全てフィアット通貨に変換される。

今回の取り組みの一環として、PayPalはニューヨーク金融当局から条件付きのBitLicenseを取得した。ニューヨークではPaxosとの提携のもとに仮想通貨サービスの立ち上げが可能になる。

PayPalの仮想通貨サービスは徐々に展開される。関心のある人はPayPalのウェブサイトでウェイトリストに登録できる。来月あたりからは誰でも仮想通貨関連の機能にアクセスできるようになるはずだ。PayPalはすでに仮想通貨取引の一新した手数料について詳細を明らかにした。

フィアット通貨から仮想通貨、そしてその逆の取引も手数料は高くなる。取引額が100ドル(約1万500円)以下の場合その額の2.3%、100〜200ドル(約1万500〜2万1000円)で2%、200〜1000ドル(約2万1000〜10万5000円)で1.8%、1000ドル(約10万5000円)超で1.5%となる。25ドル(約2600円)以下には最低手数料0.50ドル(約50円)が適用される。また、売買価格価格差があるともウェブサイトには記載されている。ただし手数料は2021年までは免除される。

参考までに、Coinbaseは200ドル(約2万1000円)以上の取引には1.49%の手数料を課すが、それ以下の額の手数料は固定だ。デビットカードでの仮想通貨資産の購入の手数料はより高く、取引額の3.99%となる。Square(スクエア)の Cash Appの手数料はさまざまで、Robinhood(ロビンフッド)は市場価格にマークアップを上乗せして隠している。

米国で仮想通貨取引のためにPaxosと提携しているRevolut(レボリュート)は、無料顧客に対し2.5〜3%の手数料を課している。プレミアムユーザーであれば手数料は1.5%になる。

多くの企業が仮想通貨のPayPal的な存在になろうと試みてきた。結局、仮想通貨PayPalはPayPalだったようだ。

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(翻訳:Mizoguchi

暗号資産・ブロックチェーン業界の最新1週間(2020.10.11~10.17)

学習サービスPoL運用のtechtecが英Aaveより資金調達、日本発DeFiプロダクト構築を目指す

暗号資産(仮想通貨)・ブロックチェーン技術に関連する国内外のニュースから、重要かつこれはという話題をピックアップし、最新情報としてまとめて1週間分を共有していく。今回は2020年10月11日~10月17日の情報をまとめた。

学習サービスPoL運用のtechtecが英Aaveより資金調達、日本発DeFiプロダクト構築を目指す

暗号資産(仮想通貨)・ブロックチェーンのオンライン学習サービス「PoL」(ポル)を運営するtechtecは10月15日、英ロンドン拠点のAave(アーベ)より資金調達を実施したと発表した。DeFi(分散型金融)によるレンディングプラットフォームAaveの助成金プログラム「Aave Ecosystem Grants」からグラント(研究助成金)を獲得した日本初の企業となる。

techtecは今回の資金調達により、PoLに蓄積された学習者の学習データ「Learning Score」(ラーニングスコア。後述)を活用した、日本発のDeFiプロダクトを構築していくと明らかにした。

学習サービスPoL運用のtechtecが英Aaveより資金調達、日本発DeFiプロダクト構築を目指す

DeFiサービス大手のAaveは、主にレンディング領域でサービスを展開。Aaveは、ユーザーが預金者・借用者として参加できる、金融機関など中央集権的管理者がいない(ノン カストディアル)分散型金融サービスとなっている。預金者は預金により市場に流動性を供給し利息を得ることができ、借用者は固定金利または変動金利による方法で借り入れが行える。また、預金を担保にした借り入れも可能。

その他にも、無担保借り入れが可能なFlash Loans(フラッシュローン)や、自身の持つ与信枠を他者へ移譲するCredit Delegation(クレジットデリゲーション)といった先進的なサービスも提供している。

Aaveは2020年1月のメインネット公開以来、1日あたり1500億円超の流通額を誇る巨大市場を形成するDeFiサービスに成長。8月には、英金融行動監視機構(FCA。Financial Conduct Authority)より、「電子マネー機関」としてのライセンスを取得している。これによりAaveは、法定通貨とDeFiサービスへの直接的な接続が可能となった。

Aave Ecosystem Grantsは、DeFiエコシステムの拡大に取り組むべく、Aaveが2020年4月に開始した助成金プログラム。世界中のブロックチェーン企業対象に資金提供を行い非中央集権志向のプロダクトを育てることで、分散型金融の普及により金融民主化を促進させるのが狙いだ。Aave Ecosystem Grantsは、企業のみならず個人企業家など、あらゆる規模のチームやプロジェクトを対象に支援する。

「学習するほど金融サービスが受けやすくなる」DeFiサービスを構築

techtecは、この助成金プログラムの採択を受け、「学習するほど金融サービスが受けやすくなる」DeFiサービスの構築を進める。

同社提供中のサービスPoLは、日本で初めてオンライン学習にブロックチェーンを導入したeラーニングプラットフォーム。PoLのサービス上で蓄積された学習データは、ブロックチェーンに記録され改ざんが困難な状態で管理されている。techtecは、この学習データを「ラーニングスコア」と呼んでいる。

同社はラーニングスコアを活用し、学歴評価に代わる新たな評価軸を導入した「学習歴社会」の実現を目指している。ブロックチェーンに記録されたラーニングスコアは、真に正しい学習データを蓄積可能なため、学歴の詐称を防止することも期待できるとしている。

助成金により日本発のDeFiサービスの構築を目指すtechtecは、このラーニングスコアをDeFi(Aave)に接続し、学習するほど金融サービスが受けやすくなるサービスの提供を目指す。具体的には、DeFi市場の課題のひとつである過剰な担保率を解消するサービスの提供を行う予定という。PoLで学習することによって蓄積されたラーニングスコアを評価軸とし、DeFiを利用する際の担保率を一部PoLで肩代わりする。

まずはAaveとの接続を行い、Aaveを利用する際の担保率(借りる際の利子率)を通常よりも抑えられるか検証していく。

学習サービスPoL運用のtechtecが英Aaveより資金調達、日本発DeFiプロダクト構築を目指す

techtecは、今回海外から資金調達を行った理由についても明かしている。

これまで日本のスタートアップ(一般の企業も含め)は、日本が高度経済成長期を経てGDP世界第2位にまでのぼりつめたことから、日本国内だけでも「そこそこやれてしまう」状況にあったとtechtecはいう。しかし、日本は中国の後塵を拝しGDPは3位に転落。それでも3位だが、世界のスタートアップに目を向けると、中国はじめインドやシンガポールなどは、最初から世界を意識していることがわかる。また、GDPの伸び率の鈍化を見ても、このまま3位に甘んじていると「そこそこやれてしまう」ことは次第になくなっていくとtechtecは分析。そこでtechtecは、海外からの資金調達にこだわり、あえて世界で戦わなければならない市場を選択したという。

Securitizeがブローカー・ディーラーDTMを買収し、発行から流通市場までカバーするデジタル証券プラットフォームに

デジタル証券プラットフォームを提供する米Securitize(セキュリタイズ)は10月15日、Distributed Technology Markets(DTM)を買収するための最終契約を締結したと発表した

DTMは、米国証券取引委員会(SEC)および米金融取引業規制機構(FINRA)登録のブローカー・ディーラーであり代替取引システム(ATS)提供者。同社は、2020年にデジタル証券(セキュリティトークン)を含む私募証券のプライマリー発行とセカンダリー取引所提供の認可を取得している。今回の買収によりSecuritizeは、デジタル証券の発行から流通市場まですべてをカバーする唯一のデジタル証券プラットフォームとなる。

また、買収の一環としてSecuritizeは、米国の複数の州でマネートランスミッターのライセンスを持ちマネーサービス事業を展開するVelocity Platformの買収予定についても明らかにした。Velocity Platformの買収は規制当局の承認が必要という。買収条件は公表していない。

Securitizeがブローカー・ディーラーDTMを買収し、発行から流通市場までカバーするデジタル証券プラットフォームに

Securitizeは2017年に創業、セキュリティートークン、デジタル証券の発行と管理を行うプラットフォームをSaaSとして提供開始し、資本市場の効率化を目指してきた。同社プラットフォームは、株式、債券、不動産などデジタル証券の組成を可能にし、適格投資家により簡単に所有、管理、取引を可能にする。同社は2019年8月にSECからの認可も得ており、資金調達(STO)用のプラットフォームなども開発。すでに米国を中心に150社以上の顧客企業と契約をしている。

Securitizeはこれまで、Santander InnoVenture(現Mouro Capital)、MUFG、野村ホールディングス、SBI、ソニー・フィナンシャル・ベンチャーズ(SFV)など、世界大手の金融機関から3000万ドル以上の資金調達を行ってきた。また、本格的に日本市場でのデジタル証券事業を展開するために、日本の拠点としてSecuritize Japan(セキュリタイズジャパン)を設立している。

CryptoPieが実物の印鑑をデジタル化するブロックチェーン押印システム「Iohan」を開発

ブロックチェーン企業CryptoPieは10月12日、印章業創業98年の松島清光堂と共同で、印章文化とブロックチェーンなどデジタル技術を融合させた次世代押印記録システム「Iohan」を開発したと発表した。位置情報や回数、タイムスタンプなど関連情報とともに印鑑の押印事実をブロックチェーンに記録・共有させる特許出願技術を用いているという。

CryptoPieが実物の印鑑をデジタル化するブロックチェーン押印システム「Iohan」を開発

テレワークやDX(デジタルトランスフォーメーション)の取り組みにより脱ハンコが話題に上がる中、非金融分野におけるブロックチェーンの社会実装を推進するCryptoPieは、印鑑のDX化に取り組む。印鑑のデジタル化は、電子印鑑などの普及により徐々に進んでいるものの、現状は印鑑と電子印鑑は二極化し、共存ができていない。CryptoPieは、その共存を目指す。

CryptoPieは印章店として老舗の松島清光堂と共同で、印影をデジタル化するのではなく、印鑑実物とデジタルが共存可能な世界を目指し、Iohanの開発を行ったという。

Iohanは、印鑑による押印事実を、位置情報やタイムスタンプと共にブロックチェーン上に保管できる。押印の履歴管理は、別途専用のスマホアプリによって管理するという。印鑑の押印事実を確保することで、印鑑が持つ「本人の意思表明」という本来の印鑑の使用方法を維持する。

また、Iohanはスマホアプリにより遠隔で押印事実を管理できることから、年老いた実家の両親など遠方の家族が不要な押印をしていないかなどの見守りや、悪徳業者による犯罪行為・詐欺行為の抑制など、さまざまなシーンでの活用が期待できるという。

Iohanは印鑑を廃止するのではなく、古くからの伝統的な印鑑による押印という文化とデジタルと結びつけることを目指した。Iohanの普及を通して、印章業界におけるDX化の課題解決が期待できるプロダクトであると、CryptoPieはIohan開発の思いを語っている。

今後両社は、Iohanをまずは業界内で普及させることに尽力し、印鑑とデジタルが共存する社会を目指す。また、将来は電子契約サービスとの連携も視野に入れ、アナログとデジタルそのものが共存可能な社会の実現を目標とするとした。

CryptoPieが実物の印鑑をデジタル化するブロックチェーン押印システム「Iohan」を開発

バハマ中央銀行が他国通貨と相互運用可能なCBDCを10月20日にも発行

バハマ中央銀行(CBOB。Central Bank of The Bahamas)は10月14日、一部地域で試験運用中だった同国の中央銀行デジタル通貨(CBDC)「Sand Dollars」(サンド・ドル)の全国展開を10月20日より開始すると発表した。サンド・ドルは、他国の法定通貨と相互運用の計画があることも明らかにした。

バハマ中央銀行が他国通貨と相互運用可能なCBDCを10月20日にも発行
今回の発表は、CBOBとバハマ商工会議所・雇用者連盟(BCCEC)が10月14日に共催したオンラインイベント「プロジェクト・サンド・ドル:バハマの決済システム近代化イニシアティブ」(PROJECT SAND DOLLAR: A Bahamas Payments System Modernisation Initiative)内にて行われた。イベントは、BCCECのFacebookページやZoomにて公開された。

発表によると、バハマ中央銀行のCBDCサンド・ドルは、2019年12月よりエグズーマ島やアバコ諸島など一部試験地区にて導入してきた。10月20日より、バハマの他の地域でも公認金融機関(AFI)を通じて、段階的にリリースしていく。

発表の際、バハマ中央銀行の電子ソリューション担当アシスタントマネージャーBobby Chen氏は、「(サンド・ドルは)現在はバハマ国内でしか使用されていませんが、最終的には他のグローバル通貨との相互運用が可能になるようなソリューションに取り組んでいます」と述べた。

また、Chen氏はサンド・ドルの発表に先立ち、バハマ国民にサンド・ドルを提供する権限が与えられた最初の6つのAFIを発表した。認可されたのは、Omni Financial Group、Cash and Go、Mobile Assist、Kanoo、Money Maxx、Sun Cashの6社となる。

バハマ中央銀行の銀行部門の責任者Cleopatra Davis氏によると、サンド・ドルの大きな特徴は、APIによるカードレスのオンライン機能という。それにより、物理的に事業所に出向くことなく、サンド・ドルにアクセスできるようになる。

そして、もうひとつの戦略的な機能は、サンド・ドルのオフライン機能。

「これは我々がハリケーン“ドリアン”のときに経験した重要なこと。電気がなくても、携帯電話のネットワークがなくても、どうやって取引を続けるのか? オフライン機能は、サンド・ドルのプラットフォームに組み込まれた重要な戦略的機能です」とDavis氏は述べた。

「また、他のウォレットと相互運用可能である必要があります。これは、私たちが取り組んでいる重要な戦略であり、具体的には銀行口座との間でサンド・ドルを移動できるようにします。それにより、CBDCは法定通貨に交換できます」と、相互運用性の必要性についても語っている。

2019年9月にバハマを襲った巨大ハリケーン「ドリアン」により、バハマの銀行ATMは数ヵ月に渡りダウンしてしまうというダメージを受けた。そのとき、携帯電話サービスはわずか数日で復旧したという。その経験からバハマは、自然災害に強い金融システムを必要としていた。バハマ中央銀行のCBDC導入計画は、すでに2018年に発表されていたが、災害によりCBDCの開発は急加速で進んだことになる。

サンド・ドルの開発には、CBDCソリューションを開発・提供するバハマのNZIA Limitedとシンガポールのブロックチェーン企業Zynesisが協力している。

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カテゴリー: ブロックチェーン
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中央銀行デジタル通貨(CBDC)フィンテック

フィンテック企業M1 Financeが約35億円のシリーズB調達のわずか120日後に約47億円のシリーズCをクローズ

3300万ドル(約35億円)のシリーズBを発表してわずか数カ月後の10月14日、シカゴ拠点のM1 Finance(エムワンファイナンス)は4500万ドル(約47億円)のシリーズCを明らかにした。

本ラウンドはシリーズBのときと同じLeft Lane Capitalがリードした。いわゆるインサイドラウンドはいま、2020年においては強気であることを心に留めておくべきだろう。より冷ややかにに見られていた前VC時代と真逆だ。他のM1の投資家にはJump CapitalClocktower Technology Ventures、そしてChicago Venturesがいるが、今回のラウンドにはJump CapitalとClocktower Technology Venturesだけが参加したようだ。

M1によると、シリーズCはシリーズBのわずか120日後だ。なぜM1がより多くの資金を調達したのか、そしてなぜLeft Lane Capitalが消費者向けフィンテックM1の2つのラウンドをリードしたかったのかというのはいい質問だ。

2月にTechCrunchはM1 Financeの運用資産残高が10億ドル(約1050億円)に達したと報じた。

M1 Financeは3種の従来型フィンテックサービスを1つにまとめ、これにより果敢にもパッケージ価格で展開している。このモデルはうまくいっているようだ。M1が6月にシリーズBを調達したとき、運用資産残高は14億5000万ドル(約1525億円)に達した。わずか3カ月ほどで約45%増えたことになる。かなり素晴らしい。

そして同社は10月14日、運用資産残高が20億ドル(約2100億円)を超えたことを発表した。4カ月で38%の増加だ。

シリーズCに向かう期間、M1のパーセンテージでの資産運用残高の成長率は緩やかだったが、調整していない資産運用残高ではより大きな成長となった。

そうした事実は今回の新たなラウンドを説明するものだ。もしあなたがLeft Lane Capitalで、ラウンドをリードして、その後急速に成長しているのを目の当たりにしたら、すぐに倍賭けしたくなるだろう。M1の持ち分を増やすだけでなく、他の投資家が登場してM1の持ち分を取得してあなたの持ち分を希薄化し、あなたのM1の直近のリードインベスターという地位を奪う前にラウンドを終わらせたいはずだ。

ゆえに、Left LaneはシリーズCをリードし、M1が成長を続けることを願っている。

売上高、成長

M1に関して面白いのは、今年初めに同社が資産運用残高におけるパーセンテージで売上高目標を明らかにしたことだ。同社は資産運用残高の1%ほどの売上高を目指す。同社のCEO、Brian Barnes(ブライアン・バーンズ)氏はこの数字を今週、TechCrunchに対し改めて確認した。

つまり、資産運用残高20億ドル超で、M1の売上高はランレートでおそらく2000万ドル(約21億円)ということになる。同社のこのところの成長が続けば、今年末までにランレート2500万ドル(約26億円)へと駆け上るかもしれない。

M1はいかにしてそれだけの運用資産をプラットフォームに集めているのだろうか。バーンズ氏はTechCrunchに対し、M1はユーザーベースを初年から3倍に増やし、加えて直近のユーザーは他のファイナンシャルプラットフォームを通じて多額の資金を持ち込んでいる、と話した。この組み合わせがM1を大きくし、そして急速に成長させている。

終わりに、Left Laneがおそらく他社にとられまいとシリーズCをリードしたかったという上の記述、つまり占有権は今日のVCマーケットでは当たり前のことだ。シリーズCについての質問への答えとして、バーンズ氏は「当社のシリーズCにかなりの投資需要があったことは幸運で、部分的にこれはマイルストーンを早く達成したことが影響している」と述べた。この言葉は、リードインベスターを巡って争った可能性があるように聞こえる。

M1のラウンドは今年我々が目にしている貯蓄と投資のブームを継続させる。と同時にこのラウンドは同社の勝ちでもある。同社が資産運用残高30億ドル(約3155億円)に達した時はさらに大きな勝ちとなる。カウントダウンを始めよう。

カテゴリー:フィンテック
タグ:資金調達、M1 Finance

画像クレジット: Bryce Durbin/TechCrunch

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(翻訳:Mizoguchi

企業向け支出管理サービスを提供するフランスのSpendeskが約19億円を追加調達

フランスのスタートアップのSpendeskがシリーズBで1800万ドル(約19億円)を追加調達した。同社は2019年にシリーズBの一部としてすでに3840万ドル(約40億5000万円)を調達していたため(未訳記事)、このラウンドで5640万ドル(約59億5000万円)を調達したことになる。今回の追加調達ラウンドではEight Roads Venturesが投資している。

Spendeskはその名が示す通り、支出の管理に関するあらゆることを手がけている。企業の従業員にバーチャルカードと物理カードを発行し、承認ワークフローの構築や経費精算の管理をする。同社のプラットフォーム上で請求書や領収書をすべてまとめることもできる。

すべてをひとつのプラットフォームに集めることで、支出をリアルタイムで管理し、会計業務の時間を短縮できる。Spendeskで取引や領収書をまとめれば、処理はさらに簡単になる。データをXero、Datev、Netsuite、Sageに書き出すこともできる。

多額の経費を使う場合は上司に申請を送信する。上司が申請を承認すると、その経費を支払うための1回限りのバーチャルカードが送られてくる。

同様に、従業員があらかじめ決められた予算額の物理デビットカードを会社から受け取る方法もある。上司は部下のカードに経費を追加したりATMでの引き出しや週末の取引を禁止したりするなど、さまざまなことができる。従業員がモバイルアプリから支払いをチェックしたり、カードの残高を見たり、領収書を追加したりする機能もある。

Spendeskは月額サブスクリプション制のSaaSプロダクトだ。経済危機のため取引はおそらく鈍化しているが、同社はサブスクリプションの売上が前年比で2倍になったとしている。同社の社員数はわずか1年で100人から200人に増えた。

Spendeskは以前からヨーロッパ全体の中小企業をターゲットにしていて、4万人がこのプラットフォームを利用している。クライアントにはAlgolia、Curve、Doctolib、Raisin、Wefoxなどがある。SpendeskはJoseph Smith(トップ写真左、ジョセフ・スミス)氏を最高レベニュー責任者として雇用した(トップ写真右は同社CEOのRodolphe Ardant(ロドルフ・アルダン)氏)。

カテゴリー:フィンテック
タグ:資金調達、Spendesk

画像クレジット:Spendesk

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(翻訳:Kaori Koyama)

中国のデジタル人民元の大規模な実験が深圳でスタート

メーカーのコミュニティと製造業者のリソースで知られる深圳で、中国のデジタル人民元の実験が始まっている。

10月第2週に、深圳市は総額1000万元(約1億5700万円)のデジタル通貨を抽選で5万人の市民に配布すると発表した。市当局はモバイルの「赤い封筒」を通じて当選金を送る。これは中国でお金を贈る際に使われる赤い封筒をデジタル化したツールで、WeChatのeウォレットで最初に普及した。

デジタル人民元を暗号通貨の一形態と誤解するのは適切ではない。中央銀行が発行・管理し、中国の法定的、物理的な通貨のデジタル版として機能するもので、中央政府は通貨の流通を把握できる。現金が使われなくなりつつある中国において、WeChat PayやAlipayといったサードパーティの決済アプリを補完するものであって、置き換えるものではない。

例えば、中央政府は将来、出先機関に補助金をデジタル人民元で渡すかもしれない。そうすれば汚職などの問題を減らせる可能性がある。

中国は4つの都市でデジタル人民元の試験を始めるが、深圳はそのひとつだ。中国政府は8月に詳細は明かさなかったものの通知を出してい。今回の一般市民へのデジタル人民元の配布は、中央銀行が発行する仮想的な通貨に関する中国初の大規模な公開実験と見られる。

市当局の発表によれば、深圳の200万人近くの市民が抽選に申し込んだという。当選者はデジタル人民元公式アプリ内の赤い封筒で200元(約3100円)を受け取り、このバーチャルマネーを市内3000店以上の小売店で使うことができる。

中央政府の新しい文書には、今後の段階として深圳で公式のデジタル通貨研究所を通じて(漠然とした定義ではあるが)「フィンテックイノベーションプラットフォーム」を始動すると記載されている。この文書には、先端技術に対して海外から投資を集めるなど深圳の今後5年間の開発計画が記されている。深圳はデジタル人民元の研究開発や利用、国際協力の促進にも重要な役割を果たしていく。

2020年4月には、深圳のデジタル通貨研究所がモバイルアプリアーキテクトやAndroid開発者など技術職の募集を開始していた

深圳は1980年に中国初の経済特区に指定され、現在はTencent、Huawei、DJIといったテック大手や、HAXやTrouble Makerといったイノベーションハブの本拠地となっている。習近平国家主席は10月14日に経済特区40周年を祝う式典に出席するために深圳を訪れる予定になっている(ロイター記事)。

中央銀行がデジタル人民元を支えるロジックとインフラを提供する一方で、民間の銀行や企業が実用レベルでイノベーションを起こす余地は十分にある。最近ではライドシェアプラットフォームのDidiJDのフィンテック部門がそれぞれ、デジタル人民元の実生活での実装を加速させる計画を明らかにした。

カテゴリー:フィンテック
タグ:中国、デジタル通貨、深圳

画像クレジット:LIAO XUN / Getty Images

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(翻訳:Kaori Koyama)

インドのフィンテックRazorpayが約106億円調達しユニコーンに

近年急成長しているインドのフィンテックスタートアップの1社であるバンガロール拠点のa href=”https://crunchbase.com/organization/razorpay” rel=”noopener”>Razorpay(レーザーペイ)が新たな投資ラウンドで1億ドル(約106億円)を調達し、切望していたユニコーンクラブの仲間入りを果たした。決済処理を専門とする同社が10月12日に発表した。

創業6年のRazorpayが明らかにしたところによると、新たな投資ラウンドのシリーズDはシンガポールの政府系ファンドGICとSequoia Indiaが共同でリードした。この資金調達によりRazorpayのバリュエーションは「10億ドル(約1055億円)ちょっと」になった、と共同創業者でCEOのHarshil Mathur(ハルシル・マトール)氏はTechCrunchとのインタビューで語った。

既存投資家のRibbit Capital、Tiger Global、Y Combinator、Matrix Partnersも本ラウンドに参加し、Razorpayの資金調達総額は2億650万ドル(約220億円)になった。

Razorpayは小規模事業者や企業にオンラインでの決済や支払いのサービスを提供している。近年、同社は事業所へのローン貸付にもサービスを拡大し、また法人クレジットカードを発行するネオバンキングプラットフォームも立ち上げた。

マトール氏とShashank Kumar(シャシャンク・クマール)氏はIIT Roorkee(インド工科大学ルールキー校)で出会い、2014年にRazorpayを立ち上げた。2人は、10年ほど前に若いスタートアップなど小規模の事業者にとってオンラインで金をやり取りすることがどんなに難しいかを知り、決済事業分野でのチャンスの模索を初めた。当時、インドには決済会社が少なく、Razorpayはかなりの資料を準備しなければならなかった。

総勢11人の同社の初期のチームは同じアパートをシェアし、共同創業者たちは銀行から協力を得られるよう100人超のバンカーにあたった。やり取りはゆっくりしたもので、長い間デッドロック状態となった。共同創業者の2人は投資家への説明でも幾度となく同じような困難にぶつかり、無力感を味わった、と昨年のインタビュー時に2人は回顧した。

Razorpayを取り巻く状況は変わった、という表現は控えめなものだろう。同社はインドで最大の事業者向けの決済プロバイダーとなった、とマトール氏は述べた。Prosus VenturesのPayUと競合するRazorpayはクレジットカードやデビットカード、モバイル財布、そしてUPIなどあらゆる種類の決済方法を受け付けている。

「Razorpayは、顧客エクスペリエンスとプロダクトイノベーションにかなり力を注ぎ、この分野でリーダーとしての地位を確立しました」とGICでプライベートエクイティを担当する最高投資責任者のChoo Yong Cheen氏は声明で述べた。「GICは世界中で主要フィンテック企業と提携してきた長い実績があり、決済やバンキングの変革に共に取り組めることを嬉しく思います」

Razorpayの顧客には格安ホテルチェーンのデカコーンOyo(オヨ)、eコマース大企業Tokopedia(トコペディア)、フードデリバリースタートアップのZomato(ゾマト)やSwiggy(スウィギー)、オンライン教育プラットフォームのByju’s(ビジュース)、配車サービス大手Gojek(ゴジェック)、サプライチェーンプラットフォームのZilingo(ジリンゴ)、発信者IDサービスのTruecaller(トゥルーコーラー)、旅行チケット発行のYatra(ヤトラ)やGoibibo(ゴイビボ)、通信大手Airtel(エアテル)などが含まれる。

Razorpayは今年、顧客1000万近くの250億ドル(約2兆6000億円)の処理を見込んでいて、これは昨年の5倍の額となる、とマトール氏は話した。

成長は部分的には新型コロナウイルスパンデミックによるもので、新型コロナが多くの事業所でのデジタル受け入れを加速させた、との認識を示した。

ネオバンキングと資本に関しては、RazorpayXとRazorpay CapitalがRazorpayの来年3月末までの売上高の35%を占めると予想している、とマトール氏は語った。

同氏は、Razorpayの決済サービスが引き続き最も早い成長が見込まれる事業であり、また成長するのに多額の資本を必要とせず、同社は新たに調達した資金をベンダーの決済、経費や税金管理、その他の機能などを含むネオバンキングのサービス拡大に使う、とも話した。

2025年までに5000万の事業所と協業することを狙っている同社は、ネオバンキング分野での事業拡大に向けてチャンスを模索していて、今後いくつかの企業を買収するかもしれない、ともマトール氏は述べた。

「当社は業界の成長に大きく貢献し、サービスを受けられていない事業所マーケットでの浸透を促進し、新たなプラクティスや考え方を業界に提供し続けます。今回の資金調達は当社の成長戦略と完璧に一致します」と話した。

新型コロナパンデミックがインドでの資金調達を低迷させているが、オンライン学習プラットフォームのUnacademy(アンアカデミー)やPine Labs(パインラブズ)を含むインドのスタートアップ6社がユニコーンとしてのステータスを維持している。

カテゴリー:フィンテック
タグ:インド、

画像クレジット: Razorpay

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(翻訳:Mizoguchi