ソニーが試作EV「VISION-S」を3月28日に一般公開、2021年事業化予定のドローン「Airpeak」も展示

ソニーが試作EV「VISION-S」を3月28日に一般公開、2021年事業化予定のドローン「Airpeak」も展示

ソニーは、開発を進めている電気自動車「VISION-S」試作車両を国内で初めて一般公開します。

VISION-S は、ベンツやBMWなどの開発と生産を請け負うマグナ・シュタイアとソニーが共同開発したEVです。イメージング・センシング技術を搭載し、将来的にはレベル4自動運転の実装を目指しています。

ソニーによると、2020年12月にはオーストリアで公道試験を実施し、今後は他の地域でも順次走行テストを実施するそうです。

一般公開は3月28日に二子玉川ライズのイベントスペースにて行います。同スペースでは、VISION-Sだけでなく2021年に事業化を予定しているドローン「Airpeak」も一般公開します。

また、自律型エンタテインメントロボット「aibo」を展示し、ソニーが推進するAIロボティクス事業の取り組みを包括的に紹介するとしています。

展示概要

  • 名称:「EV:LIFE 2021 FUTAKO TAMAGAWA」
  • 開催日時:3月28日10:00〜19:00
  • 主催:カルチュア・エンタテインメント LEVOLANT(ル・ボラン)編集部
  • 会場:FUTAKO TAMAGAWA rise(二子玉川ライズ) イベントスペース「ガレリア」。東京都世田谷区玉川2丁目21
  • 入場形態:入場無料/雨天開催(新型コロナ感染症拡大防止策を実施)

(Source:ソニーEngadget日本版より転載)

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カテゴリー:モビリティ
タグ:Aibo(製品・サービス)Airpeak(製品・サービス)Sony / ソニー(企業)
電気自動車 / EV(用語)VISION-S(製品・サービス)日本(国・地域)

KiaのEV計画の輪郭がEV6の予告画像と新しい命名戦略から見えてきた

Kia(起亜、キア)は、その社名から「Motor Company」(モーターカンパニー)の文字を削除することから2021年のスタートを切り、内燃機関からEV、モビリティーサービス、自動運転車技術へと事業の舵を切る戦略Plan S(プランS)の一環として、新しいロゴとスローガンを発表した。

現在、この韓国の自動車メーカーは、プランSから発売される最初の自動車の詳細を少しずつ流し始めている。米国時間3月9日、Kiaは同社の新しいElectric-Global Modular Platoform(エレクトリック・グローバル・モジュラー・プラットフォーム、E-GMP)上に構築された初めてのバッテリー式完全電気自動車EV6の予告画像数点を公開した。このプラットフォームはHyundai(現代、ヒュンダイ)との共用で、Hyundai Ioniq(アイオニック)5コンパクトクロスオーバーの土台にもなっている。

これはあくまで予告画像であり、完全な姿はわからない。だが、この小出しの画像だけでも、デザインの特長と、EV6に続く今度の電気自動車に採用されるKiaのデザイン言語が十分に見てとれる。

EV6は4ドアのクロスオーバーだ。米国におけるこの車種の人気を考えると、意外なことではない。低いフロントエンドからルーフに流れるラインはクーペを思わせる。LEDのヘッドライトにはセグメントパターンが採用され、内燃機関の自動車にあった伝統的なフロントグリルは廃されている。

画像クレジット:Kia

同社はまた、新しい命名方式も公表した。これは、ユーザーが他の車種とEVラインアップを容易に区別できるようにするためのものだ。バッテリー式の完全電気自動車は、頭に「EV」が付くとKiaは話している。その後に、ラインアップの中の位置を示す数字が続く。そのため、EV6は、将来のラインナップの中間に位置する車であることがわかる。

Kiaは、2021年第1四半期にEV6のワールドプレミアイベントを予定している。

「私たちの目標は、このブランドの物理的なエクスペリエンスをデザインし、大胆かつオリジナルで革新的な電気自動車を創造することにあります」と、Kiaグローバルデザインセンターの責任者であり上級副社長のKarim Habib(カリーム・ハビブ)氏は声明の中で述べている。

だがKiaの戦略は、単に大胆かつオリジナルで革新的な電気自動車を作ること以上に野心的だ。2020年、KiaはEV時代のパイオニアになりたいと語っていた。ミレニアル世代とZ世代に愛される、チャレンジとイノベーションの象徴になろうとしている。こうしたKiaの向上心溢れる方針の背後には、2025年までにEVを11車種投入、世界のEV市場のシェアを6.6パーセント獲得、2026年までに年間50万台の電気自動車を販売、さらに法人顧客向けに特注仕様の電気自動車を提供するという、販売と生産の目標がある。

画像クレジット:Kia

この取り組みは、2025年末までに最大29兆ウォン(約2兆7700億円)の資金投入に支えられることになっている。Kiaは、この期間内に営業利益率6パーセント、株主資本利益率(ROE)10.6パーセントを目指すという。

EV6はプランSの最初の製品だ。これが、Kiaの壮大な計画が実現可能かどうかを株主と顧客に示すこととなる。つまりEV6は、Kiaにとって非常に重要なクルマとなるということだ。

カテゴリー:モビリティ
タグ:Kia電気自動車

画像クレジット:Kia

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:金井哲夫)

スウェーデンの自動運転車両開発EinrideもSPAC上場を検討中か

スウェーデンの自動運転車両開発スタートアップEinride(アインライド)は追加資金を模索することで、Oatly、Lidlとの提携で火がついた勢いを継続させようとしているようだ。

Einrideの計画に詳しい人物によると、同社は新たな資金ラウンドで7500万ドル(約81億円)を調達しようとしており、同時に特別買収目的会社(SPAC)との合併を通じての上場の可能性も検討しているという。

未上場の企業と合併する上場企業というメカニズムのSPACは、モビリティの電動化に注力しているスタートアップによって米国の資本マーケットで存在感を増している。

Nikolaのような企業の上場の成功例(疑わしい主張にもかかわらず)がSPACブームに火をつけた。Canoo、Fisker Inc、ChargePoint、Lordstown Motorsなどは、2020年SPAC経由で上場した米国拠点のEV企業の一例だ。

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新しく作られたSPAC企業と異なり、Einrideはいくつかの基礎を持っている。同社はすでにスウェーデンのオーツミルクメーカーOatlyとの提携を通じて自社のテクノロジーの試験を行った。

Oatlyは2020年10月に、スウェーデンにある生産施設からの出荷にEinrideの電動トラックの使用を開始した。両社の声明によると、これまでにトラックは8600km超走行し、その結果、ディーゼルトラックに比べて1万500kgの二酸化炭素の排出を抑制した。

「持続可能性は我々が行うすべての根幹です。全面的に二酸化炭素排出を抑制するために懸命に取り組みます。ここには輸送にかかる二酸化炭素排出も含まれており、だからこそ電動車両への移行を進めています。電動車両の活用により輸送ルートでの二酸化炭素排出を87%抑制できます」とOatlyのサプライチェーン担当ディレクターSimon Broadbent(サイモン・ブロードベント)氏は当時の声明文で述べた。

Oatlyとの提携は始まりにすぎなかった。その提携が終了すると、Einrideは食品配送・ロジスティック会社Lidlや電気機械メーカーElectroluxといった他のスウェーデン企業とすぐに提携した。

大手自動車メーカーはそれぞれに電動と自動走行の計画を持っている。自動運転テクノロジーのデベロッパーArgoはFordとVW Groupからの投資のおかげでいまや企業価値は75億ドル(約8166億円)だ。VWのTraton Groupは2019年に発表した22億ドル(約2395億円)の投資を通じて低排出と電動化を推し進めている。

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Daimler、Paccar、Volvoもそれぞれ計画を持っている

それは自動走行の電動化された輸送に注がれている資金のうわべを撫でているにすぎない。もちろん、Teslaもセミトラックでこのゲームに参加している。そして中国ではPlus AIがManbang、Suning、FAW Jiefangの数多くの車両を自動化している。

これらの資金のすべては自動走行の電動化された車両マーケットでのシェアを獲得するのが目的だ。コンサル会社McKinseyはこの手の車両がトラック産業で1000億ドル(約10兆8876億円)超を節約すると予測した。2600億ドル(約28兆3075億円)の米国のトラック市場だけでもかなり大きな潜在的機会だ。McKinseyによると、世界規模では事業者はトラック輸送に約1兆2000億ドル(約130兆6500億円)を費やしている。

業界にもたらされるメリットは財務上のものだけではない。トラック輸送は陸上、鉄道、航空の運輸を含む輸送部門における温室効果ガス排出量の大きな部分を占める。2016年にトラック輸送と交通は世界の温室効果ガス排出の約24%を占めた。その数字は着実に大きくなってきている。

輸送部門からの二酸化炭素排出の削減は、環境上持続可能な未来に向けた大きな一歩となるはずだ。

ベンチャー投資家がこうした企業へ投資しようと先を争うのは不思議ではない。EinrideはEQT VenturesとNordicNinja VCに頼っている。NordicNinja VCはパナソニック、ホンダ、オムロン、国際協力銀行などが支援しているファンドだ。Ericsson Ventures、Norrsken Foundation、Plum Alley Investments、Plug and Play Venturesからの出資も含め、Einrideはこれまでに3200万ドル(約35億円)を調達している。

カテゴリー:モビリティ
タグ:EinrideSPACスウェーデン自動運転資金調達

画像クレジット:Einride

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(文:Jonathan Shieber、翻訳:Nariko Mizoguchi

ポルシェがEVハイパーカー・部品メーカーRimac Automobiliの持分を24%に増やす

電動ハイパーカーやバッテリー、パワートレインの開発で知られるクロアチアのEVメーカー、Rimac Automobili(リマック・アウトモビリ)は、Porsche AG(ポルシェ)ポルシェAGからまたしても投資を受けた。

ポルシェは中央ヨーロッパ時間3月8日、リマックに7000万ユーロ(8330万ドル、約90億円)を投資し、リマック株の持分を以前の15%から24%に増やしたと発表した。

ポルシェがリマックに投資するのはこれで3回目となる。ドイツの自動車メーカーである同社は2018年に初めてリマックへの投資を行った。ポルシェはその後2019年9月に、リマックへの出資比率を引き上げた。その数カ月前には、Hyundai Motor Company(現代自動車)とKia Motors(起亜自動車)が共同で8000万ユーロ(当時は9000万ドル、約98億円)をリマックに投資していた

リマックは2009年にMate Rimac(メイト・リマック)氏によって設立され、2018年のジュネーブ国際モーターショーでデビューした2シーターの「C Two」のような電動ハイパーカーで最もよく知られている。この車はなんと1914馬力、最高速度は時速256マイル、0-60マイル加速1.85秒という代物だ。リマックは2021年に最終形態のC Twoを発表する予定だ。

しかし、リマックはハイパーカーを生産するだけではない。1000人の従業員を擁する同社は、高電圧セグメント内のバッテリー技術にも力を入れており、電気パワートレインの設計と製造、人間と機械の間のデジタルインターフェースの開発も行っている。

ポルシェ執行委員会の副会長であるLutz Meschke(ルッツ・メッサー)氏のコメントによると、同社はリマックの部品開発に最も興味を持っているという。メシュケ氏は、リマックが「プロトタイプソリューションと小型シリーズにおいて優れたポジションにある」とし、「ポルシェやハイテクセグメントの他のメーカーにとって、Tier1(ティア1)サプライヤーになるための道のりを着実に歩んでいる」と述べている。

メシュケ氏によると、ポルシェは、非常に革新的なシリーズ部品の開発のために、すでにリマック社に最初の発注を行っているという。

ポルシェは継続的な投資を行っているが、リマックの支配権は持っていないと述べている。

関連記事:ポルシェが2台の電動アシスト自転車を発表、価格は約92万〜115万円

カテゴリー:モビリティ
タグ:ポルシェ

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Aya Nakazato)

アフリカや東欧で交通ネットワーク拡大に取り組むBoltが国際金融公社から約25.8億円調達

Bolt(ボルト)は、欧州とアフリカで、自動車やスクーター、自転車を使って人や食料品などを輸送するサービスの国際的なオンデマンドネットワークを構築している、Uber(ウーバー)の競合企業の1つだ。このエストニアのタリンを拠点とするスタートアップは、新興市場における事業拡大を継続するために、世界銀行グループの一部門である国際金融公社(IFC)から、2000万ユーロ(約25億8000万円)の資金を調達したと、3月4日のブログ記事で発表した。

この資金を使って、Boltは東欧とアフリカでさらなるサービスを展開していくという。中でもそれぞれの地域で最大の経済規模となるウクライナとナイジェリアにおいて、これまであまり重視されず十分なサービスを受けていなかった消費者層、すなわち女性のために革新的なサービスを提供していくと、特に言及している。

IFCからの資金調達は、金額を見ればBoltの幅広い資金調達努力の中では比較的少ない方かもしれないが、同社にとって大きな信用となる。

直近では、Boltは12月に1億8200万ドル(約197億2000万円)を調達し、19億ドル(約2059億円)だった前回の評価額を大幅に引き上げた。同社の広報担当者は「私たちの評価額は、最新の資金調達ラウンドで成長していますが、私たちは更新された数字を開示していません」と繰り返し語っている。我々の計算によると、2020年12月時点における同社の評価額はおそらく43億ドル(約4660億円)前後だと予想される。これは同社の共同創業者でCEOであるMarkus Villig(マークス・ビリグ)氏から提供されたGMV(流通取引金額)の35億ユーロ(約4520億円)という数字から推定したものだが、実際にそれを確認できたわけではない。

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IFCを、SoftBank(ソフトバンク)やSequoia(セコイア)、Index Ventures(インデックス・ベンチャーズ)、Andreessen Horowitz(アンドレセン・ホロウィッツ)などの典型的なVCと同列に考える人は少ないかもしれないが、世界中のスタートアップを支援するという点では、IFCは重要な役割を果たしている。2020年だけでも220億ドル(約2兆3800億円)を企業に投資したという。

これまでIFCのテック分野に向けた関心の多くが、例えば、CurrencyCloud(カレンシークラウド)、Remitly(レミトリー)、CompareAsiaGroup(コンペアアジアグループ)、Kreditech(クレディテック)など、金融サービス関連であったことを考えると、交通機関のスタートアップであるBoltへの支援は注目すべき動きだ。

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特にBoltのような企業は、消費者の移動を支援するという最も明白なサービスに加えて、人々に収入を提供し、企業に(配送というかたちで)インフラを提供するマーケットプレイスのようなものを構築していると考えると、交通機関の改善もIFCの開発目標の1つとなる。

「私たちはIFCと提携して、アフリカと東欧の起業家精神をさらに支援し、女性に力を与え、手頃に利用できるモビリティサービスを充実させるという目標に取り組むことを楽しみにしています」と、ビリグ氏は声明で述べている。「2020年の欧州投資銀行からの投資と合わせて、大規模で戦略的に重要な機関が私たちを支援し、Boltが新興国に提供している戦略的価値を認識していることを、私たちは誇りに思います」。

新興市場におけるBoltの取り組みは長い間、同社がUberとの差別化を図るための重要な方法の1つとなっている。2013年の創業以来、同社は40カ国で5000万人以上の利用者と150万人以上のドライバーを抱えてきた。その中にはアフリカ大陸の70都市における40万人のドライバーも含まれる。

これまで光が当たっていなかった地域で、光が当たっていなかった人々に向けたサービスを展開するという同社の戦略は、時間とともに成長してきた。Boltは南アフリカで、運転手も乗客も女性に限定した「女性専用」の配車サービスを試験的に実施しており、女性の雇用機会と一般的な安全性を向上させている。これもIFCの資金が支援するプログラムの1つだという。

「テクノロジーは、持続可能な開発と女性のエンパワーメントのための新たな道を切り開くことができますし、そうすべきです」と、IFCのオペレーション担当シニアバイスプレジデントであるStephanie von Friedeburg(ステファニー・フォン・フリーデバーグ)氏は声明の中で述べている。「Boltへの投資は、テクノロジーを活用して既存の輸送業界に風穴を開け、環境に優しく、女性のためのより柔軟な仕事の機会を創出し、新興市場においてより安全で手頃な価格の交通アクセスを提供することを目的としています」。

カテゴリー:モビリティ
タグ:Bolt資金調達ライドシェアアフリカ世界金融公社

画像クレジット:Bolt under a license.

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

テスラが荒らしも多かったフォーラムを閉鎖しファンは不満、ソーシャルプラットフォームを新設

Tesla(テスラ)は「Tesla Engagement Platform(テスラ・エンゲージメント・プラットフォーム)」と呼ばれる新しいソーシャルプラットフォームを起ち上げるとともに、ウェブサイトのフォーラムを閉鎖することを計画しているが、この動きが熱烈な支持者たちのコミュニティで怒りを買っている。

Teslaはまず、新しいエンゲージメントプラットフォームを発表し、フォーラムページのトップに次のような通達を掲載した。「3月15日より、テスラフォーラムは閲覧専用となります。テスラコミュニティとの会話を続けるには engage.tesla.com にアクセスしてください」。この変更を最初に報じたのはThe Verge(ザ・ヴァージ)だった。

新しいサイトでは、投稿やスレッドを作成するのではなく、Teslaのオーナーやファンが、同社のパブリックポリシー関連の投稿や、災害救援活動を支援するための呼びかけなど、さまざまなキャンペーンにコメントして参加するようになっている。

フォーラムの閉鎖まで13日間のカウントダウンを発表した3月2日の投稿に対するリプライで「内部情報」を知っているという1人のコメンターが、Teslaはスレッドに頻繁に投稿されるスパムや荒らしに対処するための複数の専任管理者を雇う余裕がなかったため、フォーラムは閉鎖されることになったと主張した。

テスラ・エンゲージメント・プラットフォームはコメントが管理されるため、これらの荒らしはTwitterに移行する可能性が高いと思われる。

今後は閲覧専用のアーカイブとして利用できるフォーラムは、Teslaのファン、投資家、検証済みの所有者が、お互いの質問に答えたり、質問したりする場所だった。しかし、このフォーラムは管理者が不在だったので、ときには最も活発な投稿者が、懸念を表明した人々を攻撃するような環境になってしまった。新たに開設されたマイクロサイトは、訪問者にTeslaの支持活動に参加することを勧めるもので、地元のオーナーズクラブへの入会申請や、同社のポリシーチームと直接フィードバックを交わすこともできるようになることを約束している。

「Engage Tesla(エンゲージ・テスラ)は、Teslaのパブリックポリシーチームとテスラオーナーズ・クラブのための新しいプラットフォームです」と、この新しいマイクロサイトの最初の投稿には書かれている。「その目標は、私たちの全活動のためのデジタルホームベースを作成し、テスラコミュニティのメンバーが、簡単に私たちの関心事を知り、有意義な行動を取り、輪の中に留まれるようにすることです。みなさまのご参加をお待ちしています」。

最初の投稿のコメント欄をざっと見てみると、不満を抱えた多くのユーザーが、フォーラムを存続させるか、少なくとも新しいサイトでも同じようなことができるようになる(管理者つきで)ことを望んでいることがわかる。インターネット上には、Teslaやその他のEV関連のフォーラムがたくさんあるが、Tesla公式サイトのフォーラムは、所有者や潜在的な購入者が、同社の製品の良い部分と悪い部分についての正直な情報を共有する場として賞賛される一方で、毒性の砦としても槍玉に挙げられてきた。

「フォーラムを削除しないでください」と、あるコメンターは懇願している。「これは代わりにはなりません。フォーラムは、(荒らしは別にして)仲間のオーナーが問題を解決するのを助けるために、情報に基づいた議論をもたらしてきました」。

確かに、新しいプラットフォームはその代わりではないようだ。それよりも、業界ニュースやTeslaのイベント、キャンペーンを知らせるためのブログのように見える。Teslaの支持者がすでに行っている活動を1カ所に集め、会社の味方となるさらなる支持を促すための取り組みだ。例えば、シリコンバレーのテスラ・オーナーズ・クラブでは、同社の新工場が建設される地域を囲むテキサス州デル・ヴァジェのコミュニティを支援するために、すでに1万ドル(約108万円)の寄付金を集めている。

誰もが批判者というわけではない。プラットフォームの最初の投稿に寄せられたコメントの多くは、管理者つきのフォーラムを求めるものだが、中には同社のカスタマーサービス部門の改善を提案するものや、公共の充電インフラを支援するためのリソースを求めるものもある。新しいエンゲージメントプラットフォームはまだ始まったばかりだ。Teslaのファンが実際にどのようにエンゲージメントするのか、見守ることにしよう。

関連記事:テスラやライバルのリビアらが団結しEVの直接販売法制定を目指す

カテゴリー:モビリティ
タグ:Tesla電気自動車

画像クレジット:Tesla

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

アストンマーティンDBXは老舗ブランドの野心と苦心が共存する高級SUV

Aston Martin(アストンマーティン)DBXは同ブランド初のSUVであり、英国を象徴する高級車メーカーにとって、これ以上ないほど大きな賭けだ。

これまでのアストン車と同様、DBXは客観的に見て美しいクルマだ。その彫刻的なフォルムは、大胆で伸びやかなプロポーションを持ち、私立学校の送迎に並ぶSUVの群れの中で際立つだろう。美しさ、性能、個性を高い次元で表現した豪華なデザインだ。超高級SUVセグメントでは遅れて発売されたクルマでもあり、他社の同種のモデルと比べると、車内テクノロジーや燃費の良さには欠ける。2020年夏に海外で発売されたDBXは、米国では2020年後半に17万6900ドル(約1920万円)からという価格で販売が始まった(日本での車両価格は2299万5000円から)。アストンマーティンが用意した我々の試乗車は、オプション満載で配送料込の価格は20万5186ドル(約2220万円)にもなる。

それは高級車購入者の予算を巡って2種類のクルマが争う時代の物語と言ってもいいだろう。モビリティの分野で電動化が急速に進みつつあるのと同時に、SUVの需要は急増し続けている。アストンマーティンは、2023年までにその販売台数を1万4000台に増やすという目標を掲げていたが、これは小規模なブテックブランドとしては大幅な増加だ。しかし、新たな経営陣の下、「プロジェクト・ホライゾン」と呼ばれる組織再編戦略の一環として、この目標を1万台にまで後退させることになった。

新型コロナウイルスの影響で売上を大きく落とした年の後、新たな筆頭株主と新CEOが就任した。DBXの運命がどのように決定づけられるかは不明だが、アストンマーティンの将来はこのクルマの成功に掛かっている。

同社によると、2020年に販売されたDBXは1516台と、予想を上回ったという。本格生産の初年度となる2021年には、同社の世界販売台数のうち40%から60%を、DBXが占めるようになると同社は見ている。

二車物語

エンジニアリングと車内体験の両方において、クラス最高の技術をいかに構築するかということは、専門知識を貸してくれる大規模な自動車メーカーの傘下にない小規模なスーパーカーメーカーにとって悩みの種となっている。アストンは2013年にMercedes-Benz AG(メルセデス・ベンツAG)と、エンジンと電気アーキテクチャの開発で提携を結ぶことで、この問題を解決しようとした。2020年夏までメルセデス・ベンツのAMG部門を率いていたTobias Moers(トビアス・ムアース)氏がアストンの新CEOに就任したことは、アストンが将来に向けてダイムラーの技術的パフォーマンスをいかに重要視しているかの現れだ。

アストンマーティンは最近F1レースに復帰したばかりだが、そのモータースポーツにおける長い伝統を反映し、DBXにはスポーツカー並みのパワーが与えられている。メルセデスAMGから供給される4.0リッターV8ツインターボ・エンジンは最高出力550psと最大トルク700Nmを発揮し、停止状態から100km/hの速度まで4.5秒で加速する。

DBXのインテリアは、乗員が移動のための時間を過ごす場所として(あるいは単に籠もる場所としても)総合的な感覚で高得点が付けられる。すべてがBridge of Weir(ブリッジ・オブ・ワイル)製レザーで包まれ、後部座席の同乗者も伸び伸びと快適に座っていられる余裕がある。スキーブーツウォーマーを備えたスノーパックなど、気の利いたオプションも用意されている。

画像クレジット:Aston Martin

インテリアに関するもう半分の物語は、超高級車セグメントにおける車載技術の役割についてより現実的な疑問を浮かび上がらせ、アストンのジレンマの核心に迫る。つまり、アストンは常に、その技術供給元であるメルセデスの進歩に比べると、少なくとも1世代は遅れるだろうということだ。DBXは18万ドルからという価格のクルマだが、最新モデルならその半値で買えるクルマでも、より高度な車載機能を備えているだろう。

ユーザー体験

アストンマーティンDBXには、メルセデスが1998年に導入し、2014年に改良を受け、2016年に再びアップデートされたインフォテインメントシステム「COMAND」が搭載されている。技術面における数年はほとんど一生に値する。

問題は、ヘッドユニットを交換すればいいというような単純なことではないと、アストンマーティンの広報を担当するNathan Hoyt(ネイサン・ホイト)氏はTechCrunchに語った。

「車両全体の電気的アーキテクチャがきちんと作動するように、すべて見直さなければならないのです」と、同氏はいう。「私たちが以前発表したメルセデスとアストンマーティンの間のより緊密な提携は、私たちが当面の間はメルセデス・ベンツの技術を使用し続けることを意味しています」。

アストンマーティンが古いシステムを押し付けられている間、メルセデス・ベンツはより技術的に高度な新しいインフォテイメントシステムである「MBUX」に移行した。2018年に導入されたこのシステムは、すでにアップデートも受けている。いつになればMBUXがアストンマーティンのクルマにも搭載されるのかということについては、まだ何も発表されていない。

実用面で言えば、それはタッチスクリーンを持たない2021年の高級車ということになる。代わりにあるものは、クラシックと呼ぶにも無理がある(そう呼べるものなら、おそらくまた別な価値があるはずだ)あまりにも不格好なプラスチックの塊だ。2014年頃のMacのキーボードを思い出して欲しい。DBXにはApple CarPlay(カープレイ)が標準装備されているが、Android Auto(アンドロイドオート)には対応していない。

画像クレジット:Aston Martin

洗練された金属製のノブなどではなく、単なるプラスチック製のボタンが、天然木を使った高級感のあるインテリアの他の部分と調和が取れていない。エアベントやギアセレクターにもプラスチックが使われている。

公平に考えれば、何でもかんでもタッチスクリーンを使って操作するというのは、車内テクノロジーの最良の解決策というわけではない。多くの自動車メーカーのダッシュボードには、直感的に操作できずイライラするような触覚テクノロジーがあまりにも多く使われている。

画像クレジット:Aston Martin

傑出したテクノロジー

アストンはDBXのインテリアにおいて、従来のメルセデスのシステムとの差別化を図るために、できる限りの仕事をしてきた。そのクリエイティブな発想は、センタースタック上の10.2インチディスプレイに表示されるDBXのために作られた巧みなグラフィックに現れている。例えば、アダプティブクルーズコントロールの作動を示すアイコンとして使用されているのは、 James Bond(ジェームズ・ボンド)の愛車であるDB5だ。

アストンはテクノロジーによる利点を、先進性とそして全体のムードを高めるために利用した。

アンビエント照明は、2つのゾーンで64とおりの異なる色に変えられる。出力790ワットの専用サウンドシステムは、13個のスピーカーと密閉型サブウーファーを搭載し、ロードノイズを打ち消すノイズ補正技術も採用されている。その快適なキャビンとスピーカーの迫力ある音は、誰もが映画館へ足を運んでいた頃のハイエンドシアターにいる気分を運転しながら味わえるし、アストンのオーナーであれば、自分だけのホームシアターに逃げ込むこともできる。

ADAS(先進運転支援システム):形状と機能

DBXに自動運転機能は搭載されていないが、アストンはアダプティブクルーズコントロール、前後パーキングセンサー、車線逸脱警報、レーンキープアシスト、ブラインドスポット警告機能などの安全機能を標準装備することでそれを補っている。

各機能は、前述のプラスチック製ボタンに集約されている。アダプティブクルーズコントロールはステアリングホイールの左側にあり、手元で車間距離と車速を調整できる。レーンキープアシストのボタンは、センターコンソールの右側にある。

センターコンソールに備わるスイッチを操作するためには、ドライバーが一瞬、視線を下に落とさなければならず、その間は道路から目が離れてしまう。車線逸脱警報が作動すると、ダッシュ上のライトが点灯し、ステアリングを微かに振動させ、ドライバーに注意を促す。その他のスイッチは、ドライブモードやエアサスペンションの設定を変更するためのものだ。

キャラクター研究

米国では、アストンのイメージといえばジェームズ・ボンドに限定されるかもしれないが、英国の自動車文化の愛好家にとって、アストンは情緒、重厚感、重要性に満ちたブランドだ。私は2010年にイングランドで開催されたアストン100周年記念式典に出席したが、そこでは英国中でブランドの伝統に対する愛が溢れているのを目の当たりにした。

Andy Palmer(アンディ・パーマー)前CEOの下で、アストンは未来を追求してきた。ウェールズにはDBXを生産するための近代的な工場が建設された。しかし、アストンの本質的な魅力の一部は、少数の愛好家に向けた数千台のクルマのために、いくつかの部品がいまだに手作業で作られていることにある。クルマが複雑にコンピューター化されたシステムになるほど、手作業による組み立ては責任が増すことになる。

DBXの進む道は、BMWグループが所有するRolls-Royce Cullinan(ロールス・ロイス・カリナン)や、VW傘下の集団に属するBentley Bentayga(ベントレー・ベンタイガ)、Lamborghini Urus(ランボルギーニ・ウルス)、Porsche Cayenne(ポルシェ・カイエン)のような、6桁(数千万円クラス)の夢のクルマに対し、潜在顧客のドライバーが何を望むか、何を必要とするかにかかっている。あるいはTesla(テスラ)もその中に入るかもしれない。

画像クレジット:Aston Martin

洗練された技術や機能がより重要視されるようになれば、アストンマーティンはどうやって遅れを取り返すかを再考する必要に迫られるだろう。それは例えば、堂々としたクラシックな魅力を倍増させることかもしれないし、あるいは将来追加されるパワートレインを使って、21世紀の自動車メーカーとしてのメッセージを後押しすることかもしれない。後者の可能性が高いと思われる。

既存の契約を元に、2020年にメルセデスと合意した提携拡大によって、アストンマーティンは2027年まで、メルセデスの電気、マイルド / フルハイブリッドのパワートレイン・アーキテクチャを含む幅広い技術を利用できることになっている。

アストンマーティンは最新の決算発表において、ハイブリッドSUVを提供することが同社にとって重要になると指摘している。メルセデスAMGの元CEOで、新たにアストンマーティンのCEOとなったトビアス・ムアース氏は、プラグインハイブリッドのDBXを2024年までに投入すると語った。完全電気自動車も同社の計画に含まれており、こちらは2020年代の中期を目標にしている。

問題はハイブリッドやEV技術の投入に合わせて、アストンマーティンがインフォテインメントシステムに必要なアップグレードを施すことができるかということだ。

数千万円クラスのSUVにもなると、トップの空気は薄い。

カテゴリー:モビリティ
タグ:Aston Martinレビュー

画像クレジット:Tamara Warren

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(文:Tamara Warren、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

ホンダがレベル3自動運転機能搭載「レジェンド」発売、高速道路渋滞時などの一定条件下でシステムが運転操作

ホンダがレベル3自動運転機能搭載「レジェンド」発売、高速道路渋滞時などの一定条件下でシステムが運転操作

ホンダが、世界で初めてレベル3自動運転機能を搭載する量産車となる新型「レジェンド」を発売しました。高速道路上、特定条件下に限定されるものの、自動的にアクセルおよびブレーキ、ステアリング操作を自動運転システム「Honda SENSING Elite」のなかの「トラフィックジャムパイロット(渋滞運転)」機能がドライバーに代わって操作します。

「Honda SENSING Elite」はハンズオフ機能が付いた車線内運転支援機能、車線変更支援機能、高度車線変更支援機能などを備えており、ハンドルを握らずとも高速道路を走行できます。

トラフィックジャムパイロットが作動するのは、このハンズオフ機能を使用して高速道路本線を走行中、渋滞またはそれに近い状況に差し掛かったときで、速度が30km/hを下回ると自動的に切り替わります。いちどトラフィックジャムパイロットが作動すれば、速度が50km/hを上回るまではその状態を継続し、ドライバーは運転を車に任せ、ナビゲーションの画面を操作したり、TVやDVD鑑賞なども可能になります。もちろんスマートフォンの操作もOK。

渋滞が緩和されて速度が50km/h以上になればトラフィックジャムパイロットは終了しドライバーに通常のアダプティブクルーズコントロール(ACC、車線維持機能あり)に移行します。もし、トラフィックジャムパイロットが終了するのにドライバーが気づいていなければ、車は自動で車がシートベルトを振動させて対応を促します。それでも反応がない場合は、システムは警報音やクラクションを鳴らし、ハザードランプ、クラクションなどでドライバーに運転への復帰を促します。

もしそれでもドライバーからの応答がなければ、ドライバーに何らかの異状が発生していると判断し、自動的に「緊急時停車支援機能」が働いて車を停車できそうな場所に停めて不慮の事態を回避します。なお、レベル3自動運転機能搭載車には、「自動運転」の表示をする必要があります。

限定的とはいえレベル3自動運転の搭載は、最終的にレベル5を目指す自動車メーカー全体にとって重要かつ大きな1歩です。テスラはAutopilotの開発において、ベータ版のソフトウェアを顧客に使わせ、言いようによっては顧客を実験台とすることで機能向上を図ってきました。そのテスラでも、まだレベル3の実用化には至っていません

(Source:HondaEngadget日本版より転載)

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タグ:自動運転(用語)Honda / 本田技研(企業)日本(国・地域)

テスラやライバルのリビアらが団結しEVの直接販売法制定を目指す

Tesla(テスラ)、Rivian(リビアン)、Lordstown Motors(ローズタウン・モータース)、Lucid Motors(ルーシッド・モーターズ)、急成長する電気自動車市場で潜在的なライバルとなるこれらの4社は、少なくとも8つの州で直接販売を可能にする法律を成立させるために協力しており、2021年はそのための法案が提出される可能性が高い。

この法案が可決されれば、Teslaのような大手EV企業のみならず、まだ市場に車両を投入していない新参メーカーのLucid MotorsやRivianも消費者に直接クルマを販売する道が開けるだろう。しかし、Teslaが協力すれば、一部の州では直接販売による独占を失う可能性もある。

Teslaやその他の増えつつあるEV新興企業は、GMやFord(フォード)、Chrysler(クライスラー)といった伝統的な自動車メーカーとは異なるビジネスモデルを持っている。Apple(アップル)がApple Store(アップルストア)で製品を販売するように、Teslaは自ら直営する店舗で車両を販売しており、フランチャイズ契約によるディーラーを持たない。米国では、既存のフランチャイズ加盟店を持つ自動車メーカーが、自ら直接経営の販売店を開設してフランチャイズ加盟店と競合するのを防ぐための法律が、全50州で長年確立されてきた。Teslaの直接販売形態は、この法律の恩恵を受けている自動車ディーラーの怒りを集めている。Teslaと他の同盟企業は、(競合する)フランチャイズディーラーを持たないのだから消費者に直接販売することを認められるべきだと主張している。

Teslaのシニアポリシーマネージャーを務めるThad Kurowski(タッド・クロウスキー)氏はワシントン州で、下院の消費者保護・ビジネス委員会における証言の中で「我々は、他のEV専門メーカーとその希望を支持します。我々と同様に彼らも消費者に直接販売し、投資し、雇用を創出し、自由にそれを行うことが許されるべきです」と述べた。ワシントン州は、このような法案が検討されている多くの州の1つである。Teslaは同州に6つの販売店を構えている。

同様の法案はコネチカット州、ネブラスカ州、ジョージア州、ニューヨーク州、ウィスコンシン州、ペンシルバニア州、ネバダ州でも検討されている。これらの州の中には、すべてのEVメーカーが顧客に直接販売することを禁止している州もあれば、他の企業を除くTeslaのみに許可を与えている州もある。ただし、その場合も開設できる店舗数に上限を設けている。

市場シェアを求めてお互いに競合するだけでなく、旧来の自動車メーカーとも競わなければならないEVメーカーにとって、これは協力関係を築くことができた稀有な瞬間だ。各社の関係は、常にこれほど協力的だったわけではない。Teslaは2020年7月、企業秘密の窃盗と人材の不正引き抜きを主張してRivianを提訴した。Rivianは、この訴訟における3つの主張の中で2つは同社の評判を中傷するための試みに過ぎないと反論した。

関連記事:テスラがRivianを提訴、営業秘密窃盗と従業員不正引き抜きを主張

Teslaは、直販をめぐる州議会との戦いに関してはベテランだ。アリゾナ州、コロラド州、ユタ州を含む少なくとも十数の州では、新たな法律または裁判所を介して、Teslaが消費者に直接販売することを妨げていた禁止事項を覆してきた。

大手自動車メーカーのGMとFordが本拠を構えるミシガン州は、長い間戦場となっている。

Rick Snyder(リック・スナイダー)前州知事が2014年に署名した法案は、ミシガン州自動車販売業者協会が発起人となり支援したもので、Teslaが同州の消費者に直接販売することを禁止するものだった。その2年後、Teslaはミシガン州がTeslaの自動車販売権を否認したとして同州を提訴した。2020年12月、ミシガン州議会は、最初の車両登録を他の州で行う限り(後にオーナーはミシガン州に登録証を書き換える必要がある)、Teslaのみに直接販売を許可する法案を検討した。しかし、このTeslaの特例は法案から削除され、同州内におけるTeslaにとってのわずかな進展を脅かすことになった。しかし、最終的にこの法案は、Teslaの取り決めをそのまま残して廃案になった。

元Teslaの従業員で、EV新規参入企業のLucid Motorsに公共政策責任者として転職したDaniel Witt(ダニエル・ウィット)氏によると、Lucidは直接販売を許可する法案が検討されているいくつかの州で主導的な役割を果たしているという。この法案は、EV企業の連合、EV所有者やEV愛好家、消費者団体による草の根ロビー活動の努力の結果であるとウィット氏は強調している。また、この法案は環境保護団体やクリーンエネルギー団体からも支持を得ている。消費者の選択とアクセスが容易になることは、内燃エンジン搭載車からEVへの移行を後押しする重要な鍵であるというのが、これらの団体の主張だ。

「Teslaの背後でドアが閉ざされた状況は、同社が市場で優位に立とうとしていたわけではなく、議会における交渉の産物に過ぎない」とウィット氏はいう。「ニューヨークでもワシントンでもコネチカットでも、概ね同じ方向に舵を切っています」。

関連記事:テスラの訴訟は「中傷が目的」だとしてRivianが逆訴訟で反撃

ワシントン州自動車ディーラー協会は、TechCrunchに寄せた声明の中で、フランチャイズディーラーはゼロ・エミッション車への移行を支持しており、各地元でそれらのクルマを販売したいと考えているが、直販法案は「メインストリート対ウォールストリートの戦い」だと述べている。

「電気自動車メーカーは、自ら店舗を構えれば我々と同じコストを負担することになるでしょう。しかし、クルマを販売して得た利益は、地域社会に還元するのではなく、州外に住む億万長者の投資家に流れることになります。ブローカーの神話を永続させるだけです」と、同協会は述べている。

同団体は、RivianがFordから5億ドル(約540億円)もの資金を調達したことを指摘している。現在276億ドル(約3兆円)と評価されているリヴィアンには、Amazon(アマゾンを、T. Rowe Price Associates Inc.(T・ロウ・プライス・アソシエイツ)、Fidelity Management & Research Company(フィデリティ・マネジメント・アンド・リサーチ・カンパニー)、Coatue(コートゥー)、Cox Automotive(コックス・オートモーティブ)、D1 Capital Partners(D1キャピタル・パートナーズ)など、多数の支援者がいる。

「Fordはディーラーネットワークを放棄し、ディーラーが稼ぎ出す利益を、Rivianの所有権拡大に移すつもりなのでしょうか?GMはEV子会社をスピンオフさせて直販に乗り出すつもりなのでしょうか?何がそれらを止められるのでしょうか?」と、同協会は声明で述べている。

なお、FordもGMも、ディーラー網を放棄する計画を表明したことはない。

電気自動車メーカーには、まだこれから法制化までの長い道のりが待っている。通常、法案が法律として成立するためには、立法委員会を通過し、下院と上院の両方で過半数の賛成票を得てから、知事の机に送られ、署名される必要がある。

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タグ:電気自動車TeslaRivianアメリカ

画像クレジット:Rivian

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

ポルシェが2台の電動アシスト自転車を発表、価格は約92万〜115万円

Porsche(ポルシェ)は、電動化の野望を2輪にまで広げようとしている。

このドイツの自動車メーカーは現地時間3月4日、電気自動車の新しい派生モデル「Taycan Cross Turismo(タイカンクロスツーリスモ)」の世界デビューと合わせて、2台の電動アシスト自転車を発表した。

この2台の自転車は、ポルシェが電動化の野望拡大に向けた第一歩として2019年に発表した同社初の電気自動車「Taycan(タイカン)」にインスパイアされていると同社はいう。

どちらもフルサスペンションのカーボンフレームを採用するなど、基本的な着想と構造は同じだが、2台の自転車の目的や客層は少しずつ異なる。

これらの自転車は、さまざまな専門メーカーの技術を合わせたものだ。eバイクのエキスパートであるRotwild(ロットワイルド)と共同で開発され、有名な自転車部品メーカーのShimano(シマノ)やMagura(マグラ)、Crankbrothers(クランクブラザーズ)などのコンポーネントが使用されている。これにポルシェの洗練されたデザイン性と高級感を加えることで、8500ドル(約91万7000円)から1万700ドル(約115万円)という高価なeバイクができ上がった。

ドイツのディーブルクで製造されるポルシェのeバイクは、米国では今春よりポルシェディーラーと一部の自転車専門店で販売される予定だ。フレームサイズは3種類が用意される。

ポルシェの電動アシスト自転車には2種類のモデルがあり「Porsche eBike Sport(ポルシェ eバイク スポーツ)」の米国における販売価格は1万700ドル(約115万円)。より 「安価」 な「Porsche eBike Cross(ポルシェ eバイク クロス)」は8549ドル(約92万3000円)となっている。

画像クレジット:Porsche

Porsche eBike Sportは、街中で日常的に乗るために設計された自転車だ。最大25km/hの速度までペダリングをアシストするシマノ製の新型EP8モーターと電動変速システムを搭載し、マグラ製の高性能ブレーキを装備する。さらにハンドルバーのステムとエアロダイナミックなシートポストには、Supernova(スーパーノヴァ)製のM99 LEDライトも組み込まれている。

マグラ製の倒立フロントフォークとFox(フォックス)製リアショックアブソーバーで構成された高性能なサスペンションが、スムーズに転がるタイヤと相まって、アスファルトの道路でも未舗装の路面でも、スポーティでバランスのとれた走りを提供する。

もう1台のPorsche eBike Crossは、もっと荒れた路面を走りたいライダーをターゲットにしている。シマノ製EP8モーターは共通だが、シフトはよりシンプルな機械式シマノXT 12速システムを採用し、大径耐熱ディスクローターを備えたマグラ製MT Trail油圧式ブレーキと、マウンテンバイク用タイヤを装備。さらに油圧でサドルの高さが変えられるCrankbrothers(クランクブラザーズ)製ドロッパーシートポストも備えている。

両モデルともハンドルバーにはシマノ製カラーディスプレイを搭載し、速度だけでなく走行距離やバッテリー残量による航続距離もリアルタイムで表示される。

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タグ:ポルシェ電動自転車

画像クレジット:Porsche

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

ゴルフ場整備車輌のToroが芝刈り機や雪かき機を自動運転化したLeft Hand Roboticsを買収

ゴルフ場などのスポーツ施設の管理機器や管理車輌を主に作っているToroが2021年3月第1週、大型芝刈り機や雪かき機のLeft Hand Roboticsを買収する意図を明らかにした(コロラド州のスタートアップを、Righthand Roboticsと混同しないように)。同社が作っているRT-1000は、広大な芝生を刈ったり歩道の雪かきができる自動運転車であり、Toroのラインナップと近いものがある。

Toroは、パーソナルやプロフェッショナルの芝刈り機とその他の造園用マシンで知られている企業だ。同社にはロボット技術の経験もあり、特に同社のiMowは、競合他社よりも10年か20年は進んでいるといわれている。でもその技術は、同社の製品全体には浸透していない。

Left Handの主製品はプロフェッショナルが対象だ。同社はすでに、新しい親会社の新しい製品分野といえるが、Toroのパーソナル芝刈り機の人気にあやかって当然のようにプロダクトの小型化を図るだろう。特にRT-1000は完全に自動運転のシステムで、さまざまな天候条件に適応できるよう設計されている。さらにコンパクトなバージョンを作ることができれば、多くのユーザーに強くアピールすることができるだろう(もちろん、合わせてコストも下げられれば)。

この買収が行われようとしているのと同じ時期に、大型農機のJohn Deereのような企業は独自のロボット化を進めようとしており、またiRobotのような専用機のメーカーもこの分野の探求を始めている。iRobotの芝刈り機は新型コロナウイルス(COVID-19)のために遅れたが、掃除機ロボットRoombaを開発している同社は、一般に進出が難しいとい言われている市場に自分たちはすでに風穴を開けたと信じている。

Left Handはこれまでに890万ドル(約9億6000万円)を調達している。この買収案件の詳細は、公表されていない。

関連記事:iRobotが芝刈りロボット「Terra」の発売を無期延期

カテゴリー:ハードウェア
タグ:Toro買収

画像クレジット:Left Hand Robotics

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(文:Brian Heater、翻訳:Hiroshi Iwatani)

ラグジュアリーな空の旅を提供するAeroが需要回復を見越して22億円調達

Garrett Camp(ギャレット・キャンプ)氏のスタートアップスタジオExpaの支援を受けているAero(エアロ)はシリーズAラウンドで2000万ドル(約22億円)を調達した。CEOのUma Subramanian(ウマ・スブラマニアン)氏は空の旅の需要が「すさまじい勢いで」戻りつつある、と述べた。

筆者はAeroがCEOにスブラマニアン氏を指名した2019年にその事実とともに同社が累計1600万ドル(約17億円)を調達したと書いた。その発表の後に同氏は(すでにミコノス島とイビザ島の間でテストフライトを行っていた)Aeroが後の数カ月で飛行機を購入・改造し、2020年夏に事業を開始すると筆者に語った。

明らかに、パンデミックが計画を妨げたが、そうした妨害は思ったほど大きなものではなかったようだ。スブラマニアン氏は国境が再び開かれ、制限付きで旅行が再開するにつれ、Aeroがフライトの提供を開始したと語った。

「すばらしい夏でした」と同氏は話した。「多くの座席を販売し、7月と8月の売上総利益は黒字でした」。

同社は自社製品を「半プライベート」な飛行機の旅と表現する。プライベートのターミナルから出発し、空間にゆとりのある小型飛行機に乗り(37座席の飛行機を16座席に改造したとスブラマニアン氏は話した)、コシュエルジュチームによるパーソナライズされたファーストクラスの体験が提供される。Aeroは現在、ロサンゼルスとアスペンを結ぶルートのみを飛んでおり、航空代金は片道1250ドル(約13万5000円)だ。

スブラマニアン氏は以前、Airbus(エアバス)のヘリコプターサービスVoomのCEOを務めており、Aeroには「かなり懐疑的に」アプローチしたと語った。というのも、航空産業における社会通念は「有限の面積に可能な限りたくさんの人を押し込む」ことがすべて、というものだったからだ。しかし初期の需要は「その定説は本物」であることを示した、と同氏は語った。

「それを求める人もいます。空の旅はかつて、人々がそのためにドレスアップするような憧れのものでした。当社は旅行エクスペリエンスの魔法の部分を取り戻したいのです」と話した。

結局、あなたがユタ州のアマンギリでの休暇で「一晩に何千ドル(何十万円)」も使ったことがある「プレミアムな旅行者」であれば「ソルトレイクシティを発つ低価格のフライトを探すのに何時間も費やす」のは少し馬鹿げているだろう。

画像クレジット:Aero

スブラマニアン氏は、出張の需要が戻ってくるのは緩やかかもしれない一方で、レジャー旅行に対する需要はすでに戻っており、パンデミックが収束するにつれ増大するばかりだと主張した。加えて、Aeroがラグジュアリーな体験をつくるために取っているアプローチは、ソーシャルディスタンシング(社会的距離の維持)にうまく合っている。

資金調達に関していうと、シリーズAはKeyframe Capitalがリードし、同社の最高投資責任者John Rapapor(ジョン・ラパポール)氏がAeroの役員会に加わった。Cyrus Capital PartnersとExpaも本ラウンドに参加した。

新たに調達した資金でAeroはチームを増強し、フライトを増やすとスブラマニアン氏は話した。次は、ロサンゼルスとカボ・サン・ルカス間のフライトを2021年4月に立ち上げる予定で、年内には欧州でも再びフライトを飛ばすと同氏は付け加えた。

「ルフトハンザ航空にとっては恐ろしい時間ですが、しかし直感に反し、何かをゼロから始めるのにはうってつけの時間です」と述べた。主にこれは飛行機や他の資産を購入するにあたって手頃な値段となっているからだ。

カテゴリー:モビリティ
タグ:Aero資金調達

画像クレジット:Aero

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(文:Anthony Ha、翻訳:Nariko Mizoguchi

GMとLG化学が米国で2番目となるバッテリーセル工場建設を検討

General Motors(GM、ゼネラルモーターズ)は、合弁パートナーである韓国ソウルのLG Chem(LG化学)と共同で米国で2番目のバッテリーセル製造工場の建設を検討している。

工場の建設が実現すれば、GMの電気自動車ポートフォリオの構築を目的とした一連の投資の最新の計画となる。LGとの合弁会社であるUltium Cells LLCは、すでにオハイオ州ロードスタウンに23億ドル(約2500億円)のバッテリーセル製造施設の建設を進めている

関連記事:GMのEV戦略のキモとなる新型バッテリー工場建設がオハイオ州で始まる

GMの広報担当者であるDan Flores(ダン・フローレス)氏がTechCrunchに伝えたところによると、両社は2021年前半に工場建設を決定したいとしている。フローレス氏は立地先の可能性については明言しなかったが、Wall Street Journalの報道によるとテネシー州が候補の上位になっているという。

GMは事業の脱炭素化に向けて野心的な目標を設定しており、目標達成のために多額の投資を約束した。2025年までに同社はブランド全体で30車種のEVを世界市場に投入し、電動化と自動化技術に270億ドル(約2兆9000億円)を費やすと述べた。これは2020年の出費から35%の増加である。またGMは2030年代半ばまでに自社のすべての車種をEVにするとしている。

関連記事:GMが2025年までに電気自動車開発に2.8兆円投資、「リーダーシップを失うつもりはない」

「将来のオール電化への取り組みにともない、多くのバッテリーセルが必要になることは明らかです」と、フローレス氏は述べている。

一方でフローレス氏は、EVメーカーのTesla(テスラ)やNikola(ニコラ)に影響を及ぼすバッテリーセルの不足が続いていることについてのコメントを避けた。Joe Biden(ジョー・バイデン)大統領は2021年2月末に大統領令を発令し、連邦政府機関に対し蓄電池、半導体、その他の重要品目のサプライチェーンにおけるリスクを特定するよう指示した。

GMのMary Barra(メアリー・バーラ)CEOは先週実施された仮想投資家向けのプレゼンテーションで、バッテリー不足が自社によるバッテリーセル製造に投資している理由の1つであると述べた。バーラ氏は同社の電池製造事業を成長させる計画に言及したが、具体的な内容には触れなかった。

「すでに発表している以上のことが起こります」と、バーラ氏は語っている。

カテゴリー:モビリティ
タグ:GMバッテリーEVLG化学

画像クレジット:GM

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:塚本直樹 / Twitter

Volvoが2030年までにEVへ全面移行、販売もオンラインに

Volvo Cars(ボルボ・カーズ)は、販売のオンライン移行を含む同社の広範なトランスフォーメーションの一環として、2030年までに生産・販売する車両をすべて電気タイプとすると明らかにした。

「持続可能性への鍵は電動化です」と同社のCEOであるHåkan Samuelsson(ホーカン・サミュエルソン)氏は現地時間3月2日のプレゼンテーションで述べた。「充電施設への投資とともに、とるべき正しい道であり、Volvoが選んだ道です」。

この発表は、同社のCMA車両プラットフォームをベースとした低床のクロスオーバーC40 Rechargeの立ち上げに際し行われた。C40はVolvoのEV(電気自動車)にフォーカスしたRechargeブランドで2つ目となるモデルである一方で、バッテリー式電動のみの車両としてまったくゼロからデザインされた初のモデルだ。完全電動とプラグインハイブリットパワートレインがあるすべてのVolvo車両はRechargeブランド下にある。XC40 Rechargeと同様、C40はGoogleのアンドロイドOSで動くインフォテイメントシステムを搭載し、無線ソフトウェアアップデートに対応する。

画像クレジット:Screenshot/Volvo

「初めてのクルマであり、未来のクルマでもあります」とCTOのHenrik Green(ヘンリック・グリーン)氏は述べ、C40が2つのモーター、78kWhバッテリーを搭載し、推定航続距離420kmはソフトウェアアップデートを通じて今後改善する、と付け加えた。C40の生産は2021年秋始まり、ベルギー・ヘントにある同社の製造プラントでXC40 Rechargeとともに組み立てられる、と話した。

中国の浙江吉利控股集団有限公司が所有するVolvoは世界販売の50%をEVに、残りをハイブリッドにすることを目指している。2030年までに販売車両はすべてEVになる、と同社は述べた。

サミュエルソン氏によると、欧州で2020年販売された車の3台に1台は充電できるプラグインハイブリッドのRechargeモデルで、Volvoは電動化の目標に向け順調だ。

同社の革命はパワートレインだけではない。

「将来の顧客への提案は電動自動車だけでは成り立ちません」とサミュエルソン氏は話した。「顧客に耳を傾ける必要があります。顧客は車を入手する際に透明性とシームレスなエクスペリエンスを期待しています」。

VolvoはEVをオンラインで原価販売する。顧客は車両を定期利用あるいは購入でき、顧客ケアパッケージが付いてくる。車両はまた、注文と納車の期間を短くするためにあらかじめ選ばれたコンフィギュレーションとなる。

Volvoの全電気自動車ブランドになるという動きはGM(ゼネラルモーターズ)やJaguar(ジャガー)を含む多くの自動車メーカーのものと同調している。GMは2021年3月、2035年までにEVのみの販売とするとし、2040年までに世界の事業をカーボンニュートラルにすると約束した。そして2020年11月には、今後5年で電気自動車の開発、自動化テクノロジーに270億ドル(約2兆8820億円)を注入すると発表している。この額はガス・ディーゼルへの投資を上回る35%増で、プロダクトのすばやいマーケット投入を狙っている。

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タグ:Volvo CarsEV

画像クレジット:Screenshot/Volvo

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Nariko Mizoguchi

Hyzon Motorsは水素燃料電池車への意欲に米国の2つの工場を追加

水素自動車の動力源として極めて重要な部品とともに燃料電池の生産を予定しているHyzon Motors(ハイゾン・モーターズ)は、米国の2つの工場で商用規模の国内生産を開始する。

水素を動力源とするトラックとバスのメーカーであるHyzon Motorsは、すでにシカゴのボーリングブルック郊外に2万8000平方フィート(約2600平方メートル)の施設を借り受けており、さらに8万平方フィート(約7400平方メートル)を追加して拡張する予定だ。シカゴ工場では、2021年第4四半期からの生産開始が期待されている。この発表が行われたのは、Decarbonization Plus Acquisition Corporation (ディカーボナイゼーション・プラス・アクイジション・コーポレーション)と評価額21億ドル(約2240億円)で合併し公開企業になるという発表から、ちょうど3週間後のことであり、ニューヨーク州モンロー郡の7万8000平方フィート(約7250平方メートル)の工場を改修する計画の発表から1週間と少しのことだった。

Hyzonは、20年近い経験を持つが新しい会社だ。2020年3月に、2003年から燃料電池の商用製品を開発しているシンガポールのHorizon Fuel Cell Technologies(ホライゾン・フュエル・セル・テクノロジーズ)から独立する形で創設された。2021年2月には、2026年までに1500台の燃料電池トラックをニュージーランドに走らせることを目標に、ニュージーランド企業Hiringa Energy(ハイリンガ・エナジー)と提携。現在は、北米の燃料電池自動車市場に視点を定めている。ただし米国内では水素燃料ネットワークが未整備なため、同社は「基地に帰る」ビジネスモデルで運用できる大型車両をターゲットにしている。

米国内に工場を設けるHyzonの決断は、注目に値する。なぜなら、米国での燃料電池素材の生産はヨーロッパやアジアに大きく引き離されているからだ。また米国では全国的に、海外で見られるような水素の補給所や基盤ネットワークが欠落している。

「水素は、ドイツやオランダなどの地域ではずっと身近です」とHyzonのCEOであるCraig Knight(クレイグ・ナイト)氏はTechCrunchのインタビューに答えた。「現代の米国でガソリンを補給するのと同じように、クルマを停めて補給できる民間の水素ステーションがいくつもあります。(米国が)そうなるまで、それほど時間はかからないでしょうが、それまでは、基地に戻る運用モデルを採用している顧客に的を絞ることで、水素ステーションネットワークの依存度を限定できます。それなら、水素インフラ1つで、特定地域の数十台から、さらには数百台の車両に対応できます」。

米国で生産されている水素は、天然ガスから作られる、いわゆる「グレー水素」だ。現在は、再生可能エネルギーによる電気分解で作られる「グリーン水素」を目指す企業が増えているが、Hyzonはその両方を使う予定だ。燃料電池の生産をどれほど拡大するかの判断は、水素の生産量にかかっている。

シカゴの工場では、膜 / 電極接合体(MEA)の設計、開発、生産が行われる。これは、電力を生み出すために欠かせない、電気化学反応を起こすための燃料電池の部品だ。同社ではこの新工場で、年間1万2000台の燃料電池トラック生産に十分な量のMEAを作ることにしている。

完成したMEAは、先日発表された燃料電池スタックとシステムを組み立てるモンロー郡の工場に送られ、部品が燃料電池の完成品に組み上げられる。そこから燃料電池は、提携トラックメーカーに送られ、商用大型車両に組み込まれることになる。同社の米国での主な提携先には、Berkshire Hathaway(バークシャー・ハザウェイ)の子会社Fontaine Modification(フォンティーン・モディフィケーション)がある。

水素燃料電池技術は、大型車両に使用事例を見いだしている。トラック輸送会社は、どれだけの重量を運べるか、どれだけの頻度で運べるかによって収益が変わることが多い。そのため、充電に時間がかかったり、バッテリーで積載量が減らされるといった心配のない燃料電池が、フリートの脱炭素化を目指す企業には魅力的な選択視となるのだ。

Hyzonは、水素燃料電池の導入によるプラスのネットワーク効果と規模の経済と、充電池導入の限界費用の増加を見据えている。小型車向けの燃料電池市場への参入計画について同社は何も発表していないが、水素燃料電池の価値提案に関しては強気を保っている。

「私たちは、ある時点で、充電式電気自動車の限界費用が増加し始めると考えています。なぜなら、送電網、貯蔵所の規模、充電インフラの建設能力などに関連するインフラの制限にぶち当たるからです」とナイト氏。「使用率が非常に高くなった場合、充電式電気自動車には規模の不経済が付きまとうことになりますと、私たちは信じます。小型車もいずれは水素で走るようになるでしょう。私たちのモデルでは、そこに完全に依存しているわけではありませんが、そう私たちは信じています」

Hyzonは、2021年5月末か6月の頭にNASDAQでの上場を予定している。ティカーシンボルはHYZNとなる予定。

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タグ:Hyzon Motors燃料電池水素

画像クレジット:Hyzon Motors

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:金井哲夫)

Limeがスクーターとバッテリー互換可能な新型eバイクを発表、53.4億円を投資して新市場25都市に拡大

共有モビリティスタートアップのLime(ライム)は米国時間3月1日、同社のバイクシェア事業に5000万ドル(約53億4000万円)を割り当てたと発表した。この投資は新しいeバイク(電動アシスト自転車)の開発に使われ、2021年中に北米、ヨーロッパ、オーストラリア、ニュージーランドの25都市に新たに拡大するための資金となるという。

同社がその目標を達成すれば、2021年末までに世界50都市でLimeのバイクシェアサービスが稼働することになる。

社内では6.0として知られている最新世代のeバイクは、Limeの最新スクーターと互換可能なバッテリーを搭載している。eバイクの追加アップグレードには、モーターパワーの向上、携帯ホルダー、新しいハンドルバーディスプレイ、前世代のケーブルロックに代わる電気ロック、自動2速トランスミッションなどが含まれる。この新しいeバイクはこの夏にローンチされ、スケールアップする予定だ。

このハードウェアのアップグレードは、当初は2020年に展開される予定だった、Jumpが開発した自転車「5.8」をベースにしている。しかし、Jumpを所有していたUberが、2020年5月に発表された1億7000万ドル(約182億円)の複雑な投資ラウンドの一環としてこのユニットをLimeに譲渡したため、それは本格的に実現しなかった。

Limeの社長であるJoe Kraus(ジョー・クラウス)氏は、最近のインタビューでこう語っている。「Jumpはすばらしいハードウェアを作りました。そして、新しいバイクでは、その上にさらにいくつかの改良を加えました」。

ハードウェアのアップグレードと拡張は、外部の投資家からの新たな資金調達ではなく、自社の運営資金で賄われたとクラウス氏は述べている。この資金調達が可能になったのは、Limeが2020年に初の四半期黒字化を達成した結果だという。

「収益化を達成する方法がわかったので、これに資金を投入するのです」とクラウス氏は語った。

Limeは新型バイクに新しいモーターを追加しただけでなく、低速での扱いやすさと、坂道を登るのに十分なパワーを持たせるためにモーターの位置も移動させた、とクラウス氏は語った。そして互換性のあるバッテリーが、おそらく収益性に直結する最も重要なアップグレードだったと同氏は付け加えた。

「当社の業務チームは街中をさまよってバイクやスクーターの車両を管理するわけですが、それによって収益性を保つとともに、手頃な価格設定を継続することが可能になります」とも。

Limeのeバイク事業への新投資は、同社のマイクロモビリティプラットフォームに電動モペッドを追加する計画が発表されてから1カ月後のことで、Limeは近所の店にちょっと買い物に行くというような短距離の用事から5マイル(約8km)ほどの距離の移動まで、都市部の移動範囲を支配しようと目指している。同社はこの春、ワシントンD.C.で600台の電動モペッドをプラットフォーム上に配備することにより、この取り組みを開始しようとしている。最終的には、今後数カ月間に「ひと握りの都市」で電動モペッドが提供される予定だ。

「都市内で5マイル(約8km)の距離を移動するためのサービスを、どうすればもっと提供できるかという構想が、当社がマルチモダリティ戦略を続けている背景の1つにあります」とクラウス氏はいう。「スクーターのある都市にeバイクのような新しいモダリティを追加したり、eバイクのある都市にスクーターを追加することで、両方のモダリティの利用率が上がるのです」。

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タグ:Lime電動自転車

画像クレジット:Lime

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Aya Nakazato)

スタートアップがLiDARの先に見ている自動運転車両の知覚システム

2020年のCESはLiDAR企業の評価の場でもあった。その多くが(未だ)存在しない自動運転車産業からの需要がないために瀕死の状態である。専門性を高めて他社を引き離している企業はほんのわずかだ。さらに2021年はLiDARの先に目を向けなければならない状況だ。新たな方法のセンシングとイメージングを使ってレーザーベース技術に対抗するとともに補完することを目指さなければならない。

LiDARは、従来のカメラではできなかったことを可能にして進歩をもたらした。そして今、一部の企業がそれほど新しくない技術を用いて進歩を遂げようと試みている。

別の方法でこの問題、つまり知覚技術に対処している良い例に、Eye Net(アイネット)のV2Xトラッキングプラットフォームがある。これは5G(一般的にはまだいくらか新しい技術)関連で説明される技術の1つで、大げさな売り文句だとしても、短距離、低レイテンシのアプリケーションを可能にして救世主技術となる可能性がある。

Eye Netは同社の技術を装備した車両間で衝突警告をしてくれるが、車両にカメラや他のセンシング技術が装備されているかどうかは関係ない。例えば自動車で駐車場内を走行している際、ひどく危険な電動スクーターが前方に真横からきているのに気づかず、このままでは衝突しそうだが駐車されている車のせいでまったく見えない場合がある。Eye Netのセンサーは両車両のデバイスの位置を検出し、いずれか、または両方のブレーキが間に合うように警告を送る。

画像提供:Eye Net

こういったことには他社も取り組んでいるが、同社としてはホワイトラベルソリューションとして提供することにより大規模なネットワークを簡単に構築できるようにして、フォルクスワーゲン、そしてフォード、電動バイクという具合に広げていきたいと考えている。

ただし、自動車の運転や操作の未来像はまだはっきりせず、開発はあちこちで進められている。

例えばBrightway Vision(ブライトウェイ・ビジョン)は、実世界の多くの環境下で可視性が下がる通常のRGBカメラの問題にマルチスペクトル技術を採り入れて取り組んでいる。普通の可視光線画像に加えて、同社のカメラには近赤外線ビーマーが装備されており、決められた距離感覚で1秒間に何度も前方の道路をスキャンする。

画像提供:Brightway Vision

つまり、霧のためメインカメラで30メートル先が見えない場合でも、NIR画像では前方エリアを定期的にスイープして「スライス」をスキャンし、障害物や路面の状況がわかるという。従来のカメラのメリットとIRカメラのメリットを組み合わせているが、それぞれの欠点はうまく避けている。これ1つでより良い仕事をしてくれるのに、普通のカメラを使う理由はないというのが売り文句だ。同じことをもっとうまくやれて、センサーが1つ不要になることさえある。

Foresight Automotive(フォーサイトオートモーティブ)もまた、マルチスペクトル画像技術をカメラに採用している(数年もすれば、可視スペクトルのみの車載カメラはおそらくなくなる)。FLIRとのパートナーシップにより、サーマルイメージングにも手を出しているが、本当に売ろうとしているのは他のものだ。

周囲360度(またはそれに近い範囲)をカバーするには、通常、複数のカメラが必要である。しかし、そういったカメラは同じメーカーであってもコンパクトセダンとSUVでは取りつけ位置が異なり、ましてや自動運転の貨物車両はいうまでもない。それらカメラは連携して機能する必要があるため、完璧なキャリブレーションが求められ、他のカメラの位置を正確に把握している必要がある。各カメラがそれぞれが同じ木や自転車を見ているのであって、同じものが2つあるのではないということを認識している必要があるというわけだ。

画像提供:Foresight Automotive

Foresightの先進技術はキャリブレーション手順を簡素化するもので、製造業者、設計者、テストプラットフォームはカメラが同じ方向や別の方向に半インチ動く必要があるたびに面倒な再テストや認証を行う必要がない。運転前の数秒でカメラを車の屋根に取りつける様子がデモで紹介されている。

同様の企業に別のスタートアップ企業のNodar(ノダル)がある。こちらも3次元カメラを採用しているが、アプローチは異なる。2つの地点の三角測量から奥行きを導き出す方法は、同社が指摘するように、人の眼の仕組みと同じだと考えれば何十年、何万年前からあるものだ。このアプローチの利用がなかなか進まずにいるのは、光学カメラが自動運転車に必要な奥行情報を本来提供できないものであるからではなく、キャリブレーションが常に正しいという信頼がないことが理由である。

Nodarによると、同社の二対のステレオカメラは車両のボディに取りつける必要がないため、複数のカメラビュー間で見られるジッタやほんのわずかのずれが抑制される。同社の「ハンマーヘッド」カメラセットには幅があり(サメのように)、バックミラーに取りつけるとこのカメラの間隔の広さのおかげで高い精度が実現する。距離は2つの画像の差によって判断されるため、カメラが1台のソリューションの場合のように「これは何らかのかたちをしたもの、おそらく車で、たぶんこれくらいの大きさで、おそらくこれくらい離れていて」というような物体認識や複雑な機械学習は必要ない。

画像提供:Nodar

「ちょうど人の目と同じように、カメラを並べて使えば、ひどい悪天候もクリアできることがわかっています」とNodarのCOOで共同創設者のBrad Rosen(ブラッド・ローゼン)氏はいう。さらに「例えばDimler(ダイムラー)の技術者は、最新の3次元アプローチは、視点が1つの方法やLiDARで補完する方法よりも悪天候時の奥行きの推測が大幅に安定することを示す結果を公開しています。私たちのアプローチの利点は、使用するハードウェアがすでに入手できるもので、自動車産業で使える品質であり、製造業者やディストリビュータの選択肢も多いという点です」と続けている。

実際、LiDARの大きなハンディは本体のコストだった。「割安」とされるものでさえ通常のカメラの何倍もの値段で、何かしら追加すればすぐに高額になってしまう。しかし、LiDARのチームも何もせずじっとしているわけではない。

Sense Photonics(センス・フォトニクス)は、LiDARとカメラのいいとこ取りをしたような新しいアプローチでこの分野に参入した。比較的低価格でシンプルなLiDAR(複雑になりがちなスピンやスキャンとは対照的)を従来のカメラと組み合わせ、2つそれぞれで同じ画像を見ることでLiDARとカメラが連携して物体を識別し、距離を測ることができるというものだ。

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2019年の登場以来、同社は製造やそれ以外でも技術を磨いている。最新の成果は、LiDARと従来のカメラで一般的に限界と考えられている最大200メートル先の物体を画像化できるカスタムハードウェアである。

「これまでは、弊社のレーザー源(Sense Illuminator)に既製品の検出器を組み合わせて使っていました。しかし、社内で検出器を開発したところ2年で完成し、大成功を収めました。これにより、弊社は短距離と長距離の自動車用製品を製造できるようになりました」とCEOのShauna McIntyre(シャウナ・マッキンタイア)氏は述べている。

「弊社では、LiDARをカメラと同じ「ビルディングブロック」形式で設計しています。つまり、さまざまな光学製品と組み合わせて多様なFOV、範囲、解像度などに対応できるようにしています。かなりシンプルな設計となっているため、実際に大量生産も可能です。ちょうどDSLRカメラのようなアーキテクチャだと考えていただければわかりやすいでしょう。ベースとなるカメラ本体にマクロレンズ、ズームレンズ、魚眼レンズなどを取りつければさまざまな撮影ができるのと同じです」と続けている。

おそらくすべての企業で意見が一致していると思われることの1つは、自動運転車産業全体で、1つのセンシング方式が優位になることはないということである。完全自動運転(レベル4~5)車両のニーズが、運転支援システムのニーズとかなり異なることはさておき、自動運転分野は変化が速すぎるため、1つのアプローチが長く優先されることはほとんどない。

「AV企業はプラットフォームの安全性を世間に納得してもらえない限り成功することはできません。安全マージンは、波長が異なるセンサー方式を重複して使うことでしか高められません」とマッキンタイア氏は述べている。

可視光線、近赤外線、サーマルイメージング、レーダー、LiDARのいずれかを使うにしても、この記事で登場したように2~3の方法を組み合わせて使うにしても、市場で注目される方法が次々と変わっていくのは明らかである。ただしそれは、LiDAR産業で数年前に見られた活況と不況の波と同様、統一までの道のりがそう遠くはないということの警告でもあるだろう。

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タグ:LiDARコラム

画像クレジット:Andrey Suslov / Getty Images

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(文:Devin Coldewey、翻訳:Dragonfly)

自動運転のAuroraがLiDARスタートアップを買収、自動運転トラックの普及へ向け開発加速

Uber(ウーバー)の自動運転の子会社を最近買収した自動運転車両開発のAurora(オーロラ)は、別のスタートアップも獲得した。

Auroraは同社にとってこの2年弱で2つの目のLiDARスタートアップとなるOURS Technology(アワーズテクノロジー)を買収する。Auroraはモンタナ拠点のLiDARスタートアップBlackmore(ブラックモア)を2019年5月に買収している。Auroraは買収価格と他の買収条件の開示を拒否した。カリフォルニア大学バークレー校の研究者と博士号の学生たちのチームによって2017年に創設されたOURS Technologyは12人を雇用している。同社によると、チームは全員Auroraに移る。

「我々は、いかに可能な限り早く進歩させられるかに常に目を光らせていて、LiDARチップ開発におけるOURSの専門性が当社がすでに持つ専門性に加わることで、開発が一層加速します」とAuroraの広報担当は語った。

光によって検出と測距を行うLiDAR(Light Detection And Ranging Radar)について、自動運転システムを開発する会社は自動運転車両を安全に大規模展開するのに重要で必要不可欠なセンサーだと考えている。何百万台という自動運転車両が街を行き交う未来はまだ何年も、あるいは数十年も先だ。しかしそれは、数十ものLiDAR企業が最終的な需要を見越して出現するのを阻んだりはしない。

この業界に存在している70ほどの企業の大半はToFのLiDARセンサーを開発し、販売しようとしている。このセンサーは可視域外にパルスレーザー光を照射し、そのパルスが跳ね返ってくるのにどれくらいかかるかを測定する。跳ね返ってくるときに、方向や距離、パルスが当たったものをポイントとして記録し、最終的に3Dマップを作成する。

BlackmoreやOURS Technologyを含め、一部のLiDAR企業は低電力の光の連続波、つまり光の流れを発するFrequency Modulated Continuous Wave(FMCW、周波数変調連続波)LiDARを開発しているFMCW LiDARのデベロッパーはこのテクノロジーについて2つの主な利点を挙げる。1つはより高いダイナミックレンジ、瞬間速度で距離を測定できる点。これは、つまり近づいてくるものや離れていくもののスピードを測定できることを意味する。もう1つが太陽光や他のセンサーの干渉もないという点だ。

しかしFMCWは複雑でもある。FMCWはチップ上のレンジファインダーとして始まる。これを3D LiDARとするのに、多くのFMCWデベロッパーは視野を提供するのに大きな鏡や他の部品を使用するが、ンサーのサイズが大きくなる。OURS Technologyは自らを「LiDAR-on-a-chip」会社だと称しており、この創業4年の会社がソリッドステートスキャニングメカニズムにすべてを組み込む方法を開発したことをうかがわせる。これはセンサーの小型化につながり、FMCWの主な問題の1つを解決する。

Auroraは2020年夏に、自動運転車両、中でも長距離トラック向けに開発されたBlackmoreのテクノロジーに基づくセンサー、FirstLight LiDARを発表した。Auroraは声明文で、OURS Technologyがわずか3年で4世代のLiDARを生産することができ、同社のテクノロジーと互換性があるソリッドステートのスキャニングメカニズムを開発したと言及し、明らかにOURSの開発のスピードに関心を持っている。

AuroraはセンサーをスケーラブルなものにするためにOURSの専門性と開発のノウハウを活用する計画だ。簡単にいうと、Auroraは開発を加速させるためにOURSのチームと、ソリッドステートスキャニングメカニズムのような重要な部品の設計図を使うことを望んでいる。

「当社の車両を拡大し、ドライバーレスのトラックを商業化しようとしている現在、FirstLight LiDARはかなりスケーラブルでなければなりません。小型で、さほど高価でない必要があり、パワフルでなければなりません」とAuroraは述べた。

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タグ:Aurora買収自動運転LiDAR

画像クレジット:Aurora

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Nariko Mizoguchi

2024年までにLAでの都市型エアタクシー導入を目指すArcher Aviation

特別買収目的会社との合併を通じて公開企業となることを最近発表した電動航空機スタートアップのArcher Aviation(アーチャー・アビエーション)は、2024年までにロサンゼルスで都市航空タクシーのネットワーク立ち上げを計画している。

今回の発表は、ロサンゼルス市長であるEric Garcetti(エリック・ガーセッティ)氏のオフィス、ロサンゼルス市交通局、そしてUrban Movement Labの3者が、都市型航空機を既存の交通網や土地利用政策に統合する方法についての計画を策定するための1年計画である「Urban Air Mobility Partnership」の結成から2カ月後に行われたものだ。2019年11月に立ち上げられたUrban Movement Labsは交通テクノロジーの開発・テスト・展開を目的とする地元政府と企業による官民連携の組織だ。Urban Movement Labsとロサンゼルス市は、人々が「Urban Air Mobility(UAM、アーバン・エア・モビリティ)」航空機に搭乗できる「垂直離着陸飛行場」の設計とアクセスに取り組んでいる。UAMとは、都市や郊外で乗客や貨物を低高度で運ぶことができる高度にかなり自動化された航空機を指す。

Archer Aviationは2週間前に、特別買収目的会社との合併を通じて公開企業となるという発表の中でUnited Airlines(ユナイテッド航空)が顧客、そして投資家となったことを明らかにした。Archer Aviationは2021年2月初めに特別買収目的会社のAtlas Crest Investment Corp.と合併することで合意に達した。この手法はスタートアップが従来のIPOプロセスを回避することを可能にしている最近頻繁に取られているものだ。ニューヨーク証券取引所にティッカーシンボル「ACHR」で上場する合併会社の評価額は、38億ドル(約4008億円)となる。

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ロサンゼルスに主要ハブを置くユナイテッド航空はこの取引の主要投資家の1社だ。合意条件に基づき、同航空は10億ドル(約1055億円)相当の航空機を発注した。5億ドル(約527億円)分の航空機を追加購入するオプションも持っている。

「初のeVTOL(電動垂直離着陸機)をユナイテッド航空のハブの1つで立ち上げるというArcherの約束は、当社の顧客が旅行のあらゆるステージで、座席に座る前から二酸化炭素排出を抑制することに1歩近づいたことを意味します」とユナイテッド航空の経営企画・投資関係担当副社長のMichael Leskinen(マイケル・レスキネン)氏は声明で述べた。「Archerにとってロサンゼルスは始まりにすぎないと確信していて、我々のハブ全体へと拡大するのをサポートすることを楽しみにしています」。

Archerが乗客をシャトル輸送するようになるまで、道のりは長い。同社はフル充電すれば時速150マイル(約241km)で60マイル(約96km)飛行するようデザインされているeVTOLをまだ大量生産していない。同社は以前、フルスケールのeVTOLを2021年後半に披露し、2023年の大量生産開始を目指している、と述べた。

垂直離着陸飛行場ハブのデザインと構築は、今後3年間で終えなければならない数多くのタスクの1つだ。同社の共同創業者で共同CEOのBrett Adcock(ブレット・アドコック)氏とAdam Goldstein(アダム・ゴールドステイン)氏は、短期的にはヘリパッドや駐車場のような既存インフラを使うのに前向きだ。同社によると、「Maker」という名のeVTOLは既存インフラに収まるサイズとなる。Urban Air Mobility Partnershipが仮にその戦略に同意するとして、そうしたフレキシビリティはArcherが2024年という目標を達成するのに貢献するかもしれない。

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タグ:Archer AviationeVTOLUAM

画像クレジット:Archer Aviation

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Nariko Mizoguchi

EVのLucid MotorsがSPAC合併で上場へ、2021年下期に北米でLucid Airの販売開始

Lucid Motors(ルシード・モーターズ)が特別買収目的会社(SPAC)であるChurchill Capital IV Corp.との合併を通じて公開企業となることに同意した。これまでのSPACと電気自動車スタートアップ間の取引で最大のものとなる。

サウジアラビアの政府系ファンドが引き続き最大株主となる合併会社の合併取引における株式価値(合併後新会社の株式価値)は117億5000万ドル(約1兆2370億円)となる。上場企業の私募増資は1株あたり15ドル(約1580円)で、形式上の企業価値は240億ドル(約2兆5270億円)になる。発表の1週間以上前にBloomberg(ブルームバーグ)が匿名情報筋の話として合併交渉が最終段階にきていると報じていた

Lucidのケースは、いくぶん企業価値は小さいArrivalCanoo、Fisker、Lordstown Motorsなど2021年発表された他の電気自動車スタートアップのSPAC合併に続くものだ。EVgoやChargePointなど、いくつかのEVインフラ企業もまたSPAC合併を通じて公開企業となった

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Lucidは最も合併が予想された企業だったかもしれない。何週間にもわたって自由奔放に繰り広げられていた誇大広告と憶測によって、上場時に1株10ドル(約1050円)だったChurchill Capital IV Corp.の株価は2021年1月以来470%超上昇した。うなぎのぼりの株価は合併の詳細発表後に30%超急落した。

私募増資とChurchillからの現金によって、Lucidの調達総額は約44億ドル(約4630億円)になる。この資金は同社の計画を加速させ、拡大するのに使われる。同社は2021年下期に北米でLucid Airの生産と納車を開始する計画だ。これは注目すべきタイムラインの後ろ倒しで、同社は以前、2021年春の納車開始を目指していた。Airは2022年に欧州で発売され、翌2023年に中国にも投入される。重力パフォーマンスに優れた高級SUVは2023年に北米マーケットで発売される見込みだ。車両はアリゾナ州カサグランデに新設した工場で生産される。

資金は2種の車両のマーケット投入とともにアリゾナ州の工場を拡張するのにも使われる、とCEO兼CTOのPeter Rawlinson(ピーター・ローリンソン)氏は米国時間2月22日に述べた。同社は生産能力を年36万5000台にするために今後数年かけて3段階で工場を拡大する計画だ。7億ドル(約740億円)をかけた工場拡張工事の第1段階は2020年末に完了し、年生産能力は3万台となる。

画像クレジット:Lucid Motors

今回の合併は、EVテクノロジーを他の自動車メーカーのようなサードパーティーに提供したり、住宅・商業・ユーティリティセグメントのエネルギー貯蔵に生かすというビジョンにLucid Motorsが目を開くのに役立つ、とローリンソン氏は述べた。

EV企業の事業を拡張することは安くもなければ、簡単でもない。Lucidは数年前に、超高級セダンAirの生産に必要な資金を提供する投資家を探すのに苦労し、万事休すのぎりぎりのところまでいった。結局、2018年9月にサウジアラビアの政府系投資ファンドがLucid Motorsに10億ドル(約1050億円)投資することに同意した。

Lucidは2007年にAtievaとして始まり、Teslaの元副社長で役員だった Bernard Tse(バーナード・ツェ)氏と、EVバッテリーテクノロジーの開発に注力していた起業家のSam Weng(サム・ウェン)氏によって設立された。初期の研究、開発そして部品と全体的な電動アーキテクチャの最終的な進展はLucidの将来にとって重要な基礎となった。同社はEVを生産するという目標とともに2016年末に登場した(同社は数年間静かにこの取り組みを進めていた)。2013年にTeslaを辞めてLucidにCTOとして加わったローリンソン氏はこの新たなミッションの原動力となっている。同氏はのちにCEO職と責任を引き継いだ。

Lucidは往々にしてTeslaの競合相手と目される一方で、ローリンソン氏はAirがドイツの自動車メーカーのガソリン車のフラッグシップMercedes S ClassのライバルになるはずだとTechCrunchに語った。2月22日に公開された投資家向けのプレゼンテーションは「Teslaはイノベーティブだがラグジュアリーではない」という同氏の先のコメントを反映している。Lucidは自らを「ポスト・ラグジュアリー」と称し、「確立されたラグジュアリー」ブランドのAudi、BMW、Mercedes-Benzと競合する、とした。

LucidはTeslaを手本にしていて、大量生産が始まればより安価なEVを提供する計画の概略を示した。

ローリンソン氏が引き続きCEOとCTOを担う。合併は2021年第2四半期にクローズする見込みだ。

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タグ:Lucid Motors電気自動車SPAC

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Nariko Mizoguchi