テスラが「レストランサービス」用途として新たに商標を出願、食事をしながらEVを充電

Tesla(テスラ)は先日、レストランサービスの分野における自社ブランドの新しい商標を申請した。これは、Elon Musk(イーロン・マスク)CEOをはじめとする同社幹部たちが、少なくとも2017年から公に議論してきたアイデアを実現するために、いよいよ準備が整いつつある可能性を示している。

Electrek(エレクトレック)が最初に報じた5月27日付で米国特許商標庁へ出願された書類によると、テスラは「レストランサービス、ポップアップレストランサービス、セルフサービスレストランサービス、テイクアウトレストランサービス」のカテゴリーをカバーする3つの新しい商標を申請している。この出願は現在審査待ちの状態で、8月27日頃に弁護士による審査が行われる予定だ。

世界で最も影響力のある高級電気自動車会社とレストラン事業が、どのように結び付くのだろうかと、訝しむ人もいるかもしれない。話を2017年に戻そう。当時、テスラのCTOを務めていたJB Straubel(JB・ストラウベル)氏は、フードサービスとテクノロジーのイベント「FSTEC」で、同社がレストラン事業に進出する可能性があると発言した。そのアイデアは、EVの充電ステーションを、食事も提供するフルサービスのコンビニエンスストアにするというものだった。テスラは、このアイデアの縮小版として、カリフォルニア州ケトルマン・シティのSupercharger(スーパーチャージャー)ステーションにあるラウンジのようなものを作った。

イーロン・マスクCEOは2018年1月、このコンビニエンスストアのアイデアを発展させたレストランのコンセプトを、(いつものように)Twitter(ツイッター)で発表。「LAで新たなテスラ・スーパーチャージャーを設置する場所の1つに、昔風のドライブインにローラースケートとロックを組み合わせたようなレストランを併設するつもりです」とツイートした。

その数カ月後、テスラは実際にレストランとスーパーチャージャーステーションの申請を行ったが、それ以来、このビジネスベンチャーの可能性についてはほとんど沈黙を保ってきた。2020年、米国向け広報チームを解散させた同社は、テスラ自身が充電ステーション併設のレストランを開業するのか、それとも他のレストラン事業者がテスラのロゴを使用して同様のビジネスモデルを構築するのかなど、計画に関する情報を求められても答えなかった。

テスラは、レストランでの使用を目的とした商標として、同社のアイコンである「T」のロゴや「Tesla」という言葉そのもの、そしてその言葉をデザイン化したものを、米国特許商標庁に出願している。

テスラは、社名をデザイン化したものをレストランサービスの分野で商標登録出願した

テスラは今回の商標出願によって、食事と充電を行えるステーションを作るというマスク氏の計画を前進させるために必要なステップを踏むことになりそうだ。外食産業と自動車産業が交わるのは、これが初めてというわけではない。星の増減がレストランの明暗を分けるMichelin Guide(ミシュランガイド)は、もともと1900年にAndre(アンドレ)とEdouard(エドゥアール)のミシュラン兄弟が編纂したものだ。彼らは自動車の需要を喚起し、ひいては彼らが製造するタイヤの需要を喚起したいと考え、広範囲にわたるレストランやホテルとその道中にある整備工場やガソリンスタンドなどを網羅したガイドを作成した。これにより、人々は新発明の移動手段を使って、自分の味覚や世界を探求することができるようになったのだ。

テスラのスーパーチャージャーレストランは、そこまで革命的なものではないが、人々に新しいクルマを購入するための新たな誘引構造を提供し、EV業界の競争に創造性をもたらすものだ。たとえその誘引が、過去のノスタルジックな輝きに浸りながら、流行に乗っているように見せるというだけのものであっても。

そこではウェイターが電動ローラースケートでハンバーガーを運ぶようになるのかもしれない。

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タグ:Teslaレストラン電気自動車充電ステーションコンビニエンスストア

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

米セブン-イレブンが2022年末までに北米250店舗にEV充電ステーション500基を設置

コンビニエンスストアはユビキタスだ。米国の消費者が購入するガソリンの圧倒的大部分を販売している。しかし多くの米国人が電気自動車(EV)に移行するにつれ、人々がコンビニに立ち寄る大きな理由は消失する。

コンビニ大手の7-Eleven(セブン-イレブン)はこの成長しつつあるEVドライバーマーケットをつかもうとしている。同社は米国時間6月1日、2022年末までに北米の250店舗にDC急速充電ポート500基を設置すると発表した。サプライヤーから購入されなければならないガソリンスタンドの燃料とは対照的に、これらの充電ステーションはセブン-イレブンが所有・運営する。

EVgoやChargePoint、TeslaのSuperchargerネットワークのような米国最大のプロバイダーが展開している多くの充電ステーションは、ショッピングモールやTargetのような小売店に隣接している駐車場の寄せ集めに立地している。しかしセブン-イレブンのようなコンビニ店の大きな特徴は、高速道路や幹線道路に隣接したエリアにすでに立地していることであり、ドライバーを引きつけるという点で優位かもしれない。

充電スピードが遅いチャージャーではなくDC急速充電を選んだのも、もう1つの強みだ。コンビニ店の大半は、給油する時間で出たり入ったりする短時間のサービスのためのものだ。多くの店舗が室温が管理された座れる場所を提供しておらず、長い充電時間はドライバーにとって問題となる。古いEVモデルは受け入れられる充電キロワットに制限があるが(なので、バッテリーを充電するのにどれくらいの時間がかかるかという点で、チャージャーの出力レートは重要ではない)、比較的新しいEVはさまざまなレンジの出力を受け入れることができる。

充電インフラ、あるいはその不足はEV浸透にとって引き続き最大の障壁の1つであり、セブン-イレブンが発表したもののような主要小売店による設置計画は消費者のEV移行に関するためらいを減らすのに役立つかもしれない。

セブン-イレブンは現在4州の14店舗にステーション22基を展開していて、新たな充電ステーション500基はこの既存ネットワークに加わる。

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タグ:セブン-イレブン充電ステーションアメリカカナダコンビニエンスストア電気自動車

画像クレジット:7-Eleven

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Nariko Mizoguchi

EV急速充電開発のオーストラリアのTritiumが約1310億円の評価額でSPAC上場へ

また1つ、モビリティ業界でのSPAC取引だ。今回はオーストラリア・ブリスベン拠点のDC急速EV充電デベロッパー兼プロデューサーのTritium(トリティウム)だ。同社は12億ドル(約1310億円)という評価額でのSPAC(特別買収目的会社)合併で上場する。

Tritiumは現地時間5月26日、SPACのDecarbonization Plus Acquisition Corp. II(DCRN)との合併を通じてNASDAQに上場すると明らかにしたが、この取引がいつ完了するのかタイムラインは示さなかった。合併により総収入は最大4億300万ドル(約440億円)となることが見込まれている。Tritiumはティッカーシンボル「DCFC」で取引される。

この取引は通常合併の際に行われる新会社への資本注入、PIPE(上場企業の私募増資)を含まないという点で珍しい。

「我々はPIPEを必要としていません。というのも、DCRNは4億ドル(約440億円)超のSPACであり、当社の株主たちはわずか2億ドル(約220億円)のキャッシュクロージングに同意したからです。これは償還のリスクを大幅に減らします」とTritiumのCEOであるJane Hunter(ジェーン・ハンター)氏はTechCrunchに語った 。「また、当社の売上高は2016年以来、年平均成長率(CAGR)56%で成長していて、当社がかなりのマーケットシェアを握っている米国や欧州など主要マーケットでプレゼンスを拡大しています。売上高の成長は成長戦略を実行するのに必要な新たな資金への依存を減らすのに役立っています」。

2001年創業のTritiumはDC急速充電のためのチャージャーのハードウェアとソフトウェアを手がけている。同社のプロダクトでは、1分で20マイル(約32km)走行分、あるいは5分で100マイル(約160km)走行分のEVバッテリー充電ができる、とDPAC IIの会長Robert Tichio(ロバート・ティキオ)氏は5月26日の投資家説明会で述べた。DCチャージャーはACチャージャーよりも高価だが、すばやく車両に給電できる。通常、ACチャージャーは家庭に設置されており、ドライバーが夜間に車両を充電するためにプラグをつなぐ。一方のDCチャージャーは公共の充電ステーションに設置されていることが多い。

「ドライバーは公共充電のエクスペリエンスを、その日走る距離に必要なガソリンを数分でまかなえる現在のガソリンスタンドでの給油と同じようなものに可能な限り近づけたいはずです」とハンター氏は述べた。

Tritiumの最大のマーケットは欧州で、同社の売上高の70%を占める。北米が20%、アジアが10%だと同氏は投資家らに説明した。同社は合併取引で獲得する資金を製造能力の拡大と販売の成長に使う。

EVのマーケットシェアが拡大するにつれ、公共のEVチャージャーステーションに対する需要は今後20年で急激に増えると見込まれている。分析会社Grandview Researchによると、EV充電インフラマーケットの規模は2020年に20億ドル(約2180億円)で、2028年までに39%近く成長すると予想されている。ジョー・バイデン大統領は全国のEV充電網は2兆ドル(約218兆円)のインフラ投資計画で最優先事項だと述べた。

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タグ:TritiumSPAC電気自動車充電ステーション

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Nariko Mizoguchi

GMが電気自動車推進で充電ネットワーク7社と提携、アプリでチャージャー案内も

GM(ゼネラルモーターズ)は米国時間4月28日、公共のチャージャーの検索や電気使用料の支払いなどを含む、電気自動車(EV)充電に関するあらゆる側面に対処しようと、4部構成計画を明らかにした。2025年までに発売する予定のEV30種に顧客を引きつける方法を模索している中でのものだ。

Ultium Charge 360と呼ばれるプラン(同社が今後展開するEVに活用されるプラットフォームとバッテリーにちなんだ名称だ)は家庭や道路でのEV充電のアクセス、支払い、顧客サービスをカバーすることを目的としている。プランの一部は今後18カ月以内に提供が始まる、と同社のEV責任者Travis Hester(トラビス・へスター)氏は述べた。同社はサードパーティの充電ネットワークプロバイダーであるBlink Charging、ChargePoint、EV Connect、EVgo、FLO、Greenlots、SemaConnectの7社と提携を結んだ。EVドライバーはGM車両ブランドのモバイルアプリを使って、チャージャーの場所やチャージャーが現在使われているかどうかなど、米国とカナダで展開されている計6万基のチャージャーのリアルタイム情報をチェックできる。こうした機能はGMがChevrolet、Cadillac、GMC車両の所有者向けに作った既存アプリに組み込まれる。

初となるGMとEVgoの充電サイトは現在、ワシントン州、カリフォルニア州、フロリダ州で利用できる。サイトは最大350キロワット出力で、1つのサイトにつき平均4台のチャージャーが設置されている。GMとEVgoは2021年末までに急速充電500基を設置する計画で、順調に進んでいる。

プランは単にいくつのサードパーティネットワークとGMが提携したかではない、とへスター氏は指摘した(ただし、発表されたパートナーのリストにElectrify Americaがなかったのは留意すべきだろう)。

「充電インフラが当社の顧客にとっていかに重要か、そしてEV浸透においてどのように大きな役割を果たすかを当社は理解しています。そして経験あるEVオーナーはこれが単にネットワークの数の問題以上に複雑であることを知っています」とへスター氏はメディア向けの説明会で述べた。

例えばGMアプリはどのようにステーションを探すのかについての情報をルートとともに示し、充電料金の支払いについての情報も提供する、とへスター氏は述べた。GMはモバイルアプリのアップデートを継続する。また、家庭での充電向けに充電アクセサリーや設置サービスも提供する計画だ。そして2022 Bolt EUVまたはBolt EVを購入・リースした顧客向けに、Qmeritとの提携のもと、レベル2の充電能力の標準設置をカバーすると明らかにした。

Plug and Charge能力など、発表で欠けていたものもいくらかあった。Plug and ChargeはEVのドライバーがステーションに乗りつけ、充電プロセスを開始したりその代金を払うためにアプリを立ち上げることなしに、プラグを差し込んで車を充電できるテクノロジーだ。アプリを立ち上げずに車両は充電インフラと交信することができ、決済はその充電プロセスに統合される。GMでEVインフラ建築の主任を務めるAlex Keros(アレックス・ケロス)氏は、Plug and Chargeについて何も発表しなかったが「シームレスなエクスペリエンスが顧客エクスペリエンスの重要な部分となる」ことをGMは認識している、と述べた。

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タグ:GM電気自動車充電充電ステーション

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Nariko Mizoguchi

EV充電ステーションの稼働を支援するChargerHelp!が約3億円を調達

今後、電気自動車が普及すれば、何千台もの充電ステーションが必要になる。それらは単に設置されるだけではなく、機能していることが求められる。しかし、現在のところそれは実現されていない。

何か問題が起きて機能が果たせなくなった時、充電ステーションがエラーを発信したり、ドライバーが報告しないと、ステーションの運営会社は気がつかない可能性もある。電気自動車用充電ステーションのオンデマンド修理アプリ「ChargerHelp!(チャージヘルプ!)」を共同設立したKameale C. Terry(カミール・C・テリー)氏は、こうした問題を目の当たりにしてきた。

ある顧客の充電ステーション運営会社は、その充電ステーションの利用率が低いのは、そこの地域に電気自動車が少ないからだと思い込んでいたと、テリー氏は最近のインタビューで振り返っている。しかし、問題はそこではなかった。

Evette Ellis(エベット・エリス)氏と共同で設立した会社でCEOを務めるテリー氏は「そこには誰も乗っていないクルマが停まっていて、ステーションの周りは泥だらけでした」と語る。

ChargerHelp!のサービスに対する需要は、顧客や投資家を惹きつけている。同社はTracks VC(トラックスVC)、Kapor Capital(ケイパー・キャピタル)、JFF、Energy Impact Partners(エナジー・インパクト・パートナーズ)、The Fund(ザ・ファンド)などの投資家から、275万ドル(約3億300万円)を調達したと発表した。今回のラウンドで、2020年1月に設立されたこのスタートアップは、ポストマネー(資金調達後)で1100万ドル(約12億1300万円)と評価されている。

この資金は、同社のプラットフォームの構築や、現在の27人を超える新たな従業員の雇用、サービスエリアの拡大に使用される予定だという。ChargerHelp!は、充電器メーカーや充電ネットワークプロバイダーと直接連携している。

「今のところ、ステーションが故障しても、トラブルシューティングのガイダンスは実際ありません」と、テリー氏はいう。具体的な問題を把握するためには、誰かが現場に出向いてステーションの診断を行う必要があると、同氏は指摘する。現場に着いたら、技術者はデータを事業者と共有し、適切な補修部品を注文する、という手順を踏むのが一般的だが、現状ではこれがしばしば行われていないという。

ChargerHelp!は、オンデマンドの修理アプリであると同時に、顧客のための予防保守サービスとしても機能する。

パワーアップ

ChargerHelp!のアイデアは、テリー氏がEV Connect(イーブイ・コネクト)でカスタマーエクスペリエンスの責任者やプログラムのディレクターなどを務めた経験から生まれた。この期間に彼女は12社の充電器メーカーと仕事をしたことで、充電器の内部構造やよくある問題点などの知識を得ることができた。

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ここで彼女は、EV充電器市場のあるギャップに気づく。

「充電ステーションが故障しても、なかなか現場に人を向かわせることができないのです。というのも、問題のほとんどは通信の問題、破壊行為、ファームウェアの更新、部品交換など、電気的なものではないからです」とテリー氏は語る。

だが、充電ステーションの問題を解決するには、電気工事業者を使うのが一般的だった。テリー氏によると、これらの電気的でない問題を修理するため、電気工事業者を現場に呼ぶまでに30日もかかることがあったという。

テリー氏は、彼女が働くロサンゼルスにある充電ステーションで問題が発生した場合、自分の手で解決することもあった。

ソフトウェアや修理に関する知識はなかったが「交換しなければならない部品があれば、自分で交換していました」と、テリー氏はいう。そして次のように続けた。「私にできることなら、誰にでもできると思ったのです」。

2020年1月、テリー氏は会社を辞め、ChargerHelp!を起ち上げた。初めて起業家となった同氏は、Los Angeles Cleantech Incubator(LACI、ロサンゼルス・クリーンテック・インキュベーター)に参加し、EV充電器の修理方法を教えるカリキュラムを開発した。そこでLACIのキャリアコーチであり、ロングビーチのジョブコープセンターにも勤務していたエリス氏と出会う。エリス氏は現在、ChargerHelp!のチーフ・ワークフォース・オフィサーを務めている。

その後、テリー氏とエリス氏はElemental Excelerator(エレメンタル・エクセレレーター)のスタートアップインキュベーターに受け入れられ、約40万ドル(約4400万円)の助成金を調達。Tellus Power(テラス・パワー)と予防保守に重点を置いたパイロットプログラムを開始し、EV Connect、ABB、SparkCharge(シャークチャージ)などのEV充電ネットワークやメーカーと契約を結んだ。テリー氏によると、現在は7人の従業員からなるコアチームを雇用し、最初の技術者を育成しているという。

採用方針

画像クレジット:ChargerHelp

ChargerHelp!では、従業員を見つけるために人材育成のアプローチをとっている。同社では、コホート(グループ)単位での採用しか行っていない。

テリー氏によると、電気自動車サービス技術者の最初の募集では、1600人以上の応募があったという。そのうち20人がトレーニングを受け、18人が最終的にカリフォルニア、オレゴン、ワシントン、ニューヨーク、テキサスなど6つの州でサービス契約を結ぶために採用された。トレーニングを受けた人には奨学金が支払われ、2つの安全ライセンスを取得できる。

このスタートアップ企業は、4月に第2回目の募集を開始する予定だ。すべての従業員はフルタイムで、時給30ドル(約3300円)が保証されており、会社の株式も与えられる。ChargerHelp!は、同社が技術者を必要とする地域の労働力開発センターと直接連携している。

関連記事:次世代のEV充電ネットワーク構築を目指すSparkCharge

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タグ:ChargerHelp!電気自動車充電ステーション資金調達

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

次世代のEV充電ネットワーク構築を目指すSparkCharge

米国時間2月23日、モバイル充電バッテリー会社のSparkChargeは、AllStateとのパートナーシップ契約を発表した。これにより、同社が提供するサービスは車両サービスにまで拡大され、電気自動車の充電を次世代ギグエコノミーにおける同社の中核ビジネスにするという目標に向けてさらに前進する。

モバイル車両充電器を開発、設計、商品化した同社は、Shark Tank(シャーク・タンク、米国のテレビ番組)で、投資家のMark Cuban(マーク・キューバン)氏らが率いる500万ドル(約5億5000万円)の資金調達ラウンドで新しいモバイル充電デバイス、Roadie(ローディー)を商品化する。

SparkChargeが開発した120kWの急速充電器は、AllStateとノースカロライナ州ダーラムの車両サービススタートアップであるSpiffyを含むパートナーのネットワークを通じて、オンデマンドで提供される。顧客はローディーを使って、50~100マイル(約80〜160km)ごとに車両を充電することができる。ローディーは、SparkChargeの創設者であるJoshua Aviv(ジョシュア・アビブ)氏が構想中のより広範な充電ネットワークの中軸となる。

「アプリだけで、いつ、どこで、どれだけの充電が必要かを連絡し、料金を支払い、充電サービスを受けることができます」とアビブ氏は話す。

現在のところ、AllStateとSparkChargeの間の契約は、シカゴ、ロサンゼルス、サンフランシスコ、サンディエゴの4つの都市を対象としており、AllState(保険サービスおよびロードサイドアシスタンスサービスを提供)は約20台のポータブル充電器を発注している。

SpiffyやAllStateなどの企業を介したビジネスは、市場に参入する1つの方法ではあるものの、アビブ氏は個人事業主が顧客にオンデマンド充電サービスを提供できるようにしたいと考えている。

アビブ氏によると、オンデマンドの充電料金は1マイル(約1.6km)あたり約50セント(約54円)で、10ドル(約1080円)あれば十分に充電できる。

「私たちは根本的にまったく新しい充電ネットワークを構築しようとしています」とアビブ氏は話す。「急場をしのぐだけのネットワークではなく、常時利用可能で、従来の充電器よりも優れた高速なネットワークの構築です。許可や建設は必要ありません。顧客は充電ユニットを箱から取り出し、車に接続し、ボタンを押して充電を開始します。SparkChargeのサービスでは、すべての駐車場、すべての場所が充電ステーションになります。これは、従来のサービスよりもはるかに優れたネットワークです」。

この充電サービスを顧客に提供したい事業主は、機器代として月額約450ドル(約5万円)を支払う。するとバッテリーと必要な機器が提供され、SparkChargeのオンデマンドEV充電ビジネスを開始することができる。

「このビジネスは、誰もがEV所有者にサービスを提供できるように設計されています」とアビブ氏はいう。

マサチューセッツ州サマービルを拠点とするSparkChargeは、電気自動車の充電インフラストラクチャの現状に対するアビブ氏自身の情熱と欲求不満から生まれた。

充電インフラの欠如が、電気自動車の普及に向けて克服しなければならない主要な障害の1つだということは、ウォールストリートジャーナルの記事の通りである。

2020年9月と10月にアドボカシー団体Plug In America(プラグイン・アメリカ)が実施した調査によると、3500人の電気自動車ドライバーの半数以上が公共充電に問題があると回答している。テスラオーナー以外のドライバーにとってはさらに深刻な問題である。

Elon Musk(イーロン・マスク)氏が(何千人もの従業員と数多くのイノベーターや会社創立者とともに)作り上げたEVについて、何が真実であれ、テスラが、ほぼ適切な量の充電インフラストラクチャを備えて顧客をサポートすることに重点を置いて、多大な利益を得ていることは事実である。他の自動車メーカー、小売業者、独立充電サービスプロバイダーはやっと追いつき始めたに過ぎない。

Shellのような石油メジャーから、ディーゼル排気ガス不正問題の解決の一環として電気自動車の充電ネットワークを構築するために20億ドルを費やしたフォルクスワーゲンのような自動車メーカーに至るまで、さまざまな企業がネットワークを構築したり、準備を進めたりしている。

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2013年にシボレーボルトを購入して以来、電気自動車に乗り続けているアビブ氏にとって、問題は明らかだった。同氏はシラキュース大学の学生だった2014年にSparkChargeを立ち上げるが、大学の指導教官は、過去に環境保護庁の理事を務めており、電気自動車の熱烈な支持者であった。

アビブ氏は大学卒業後もポータブル充電ステーションの開発に取り組み続け、さらに流通および販売のプラットフォームとサービスプロバイダーのネットワークを構築した。これがSparkChargeのルーツである。

当初、同社はロサンゼルスのクリーンテック・インキュベーターなどのグループや、Techstars Boston、Techstars、Steve Case(スティーブ・ケース)氏のRise of the Restファンド、ケース氏の投資会社であるRevolution、PEAK6 Investments、Buffalo、ニューヨークを拠点とするアクセラレーターである43North、Mark Cuban(マーク・キューバン)氏のような投資家の支援を受けていた。

「現在利用できる充電インフラには多くの欠陥があることがわかりました」とアビブ氏は話す。この欠陥には、充電インフラを維持するためのダウンタイム、充電ネットワークの拡大にかかる時間、充電器のメンテナンスやサポートの不足などが含まれる。

「これらの充電サービスを進展させようという大きな動きがあります」と同氏。「電気自動車がインフラストラクチャのバックアップなしに街中を走るのは望ましくありません。これから競争が始まるとは思いますが、充電スタンドではなく、オンデマンドで充電を受けることができるのであれば、SparkChargeを使用してEVを運転したいという消費者はもっと増えるだろうと考えています」。

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タグ:SparkChargeバッテリー充電ステーション電気自動車

画像クレジット:Westend61 / Getty Images

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(文:Jonathan Shieber、翻訳:Dragonfly)

新興EV企業のRivianが2023年末までに全米に1万基以上の充電器を設置すると発表

Amazon(アマゾン)やCox Automotive(コックス・オートモーティブ)、T. Rowe Price(ティー・ロウ・プライス)などが出資するEVスタートアップのRivian(リビアン)は、2023年末までに1万台以上の充電器を設置することを計画している。この充電ネットワークには2つの目的がある。1つは高速道路沿いに急速充電器を設置し、同社の電気自動車にすばやく電力を供給すること。そしてもう1つは、都市部から離れた公園や登山口などに隣接した場所にレベル2の充電器を設置し、同社のEVオーナーが冒険やレジャーを楽しんでいる間に、クルマのバッテリーを充電しておけるようにすることだ。

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Rivian Adventure Network(リビアン・アドベンチャー・ネットワーク)と呼ばれる充電ネットワークは、600カ所以上の場所に3500基以上のDC急速充電器が設置され、Rivianの電気自動車の所有者のみが利用できるようになると、同社は米国時間3月18日に発表した。各場所には複数の充電器が備わり、高速道路や幹線道路沿いを中心に、カフェやショップの側などにも設置されると、同社は公式ブログで述べている。

さらにRivianは、米国とカナダの全域にレベル2のAC充電器も設置しており、こちらは2023年中に1万基を超える予定だという。この「Rivian Waypoint(リビアン・ウェイポイント)」充電器は出力11.5kWで、Rivianのピックアップトラック「R1T」とSUV「R1S」の航続距離を1時間の充電で最大25マイル(約40km)伸ばすことができる。このWaypoint充電器は、Rivianの顧客が通りそうな場所に戦略的に設置される。ショッピングセンター、レストラン、ホテル、キャンプ場、公園などで見かけることになるだろう。このWaypoint充電器は一般にも開放され、J1772プラグを持つ全ブランドの電気自動車が利用できる。まずはコロラド州にある42の州立公園すべてに各2基ずつ、2021年7月より設置が始まると、同社は述べている。

Rivianの創業者でCEOを務めるRJ Scaringe(RJスカーリンジ)氏は、2020年末のTechCrunchのインタビューで、充電、バッテリー、自動運転などについて幅広く語った際に、この2層目の充電ネットワークを追加するという決定は、Rivianの顧客層に直接アピールするものであり、同社のブランドや製品に対する信頼を築くために必要だと述べていた。

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RivianのアプローチはTesla(テスラ)と似ているが、いくつか明確な違いがある。テスラは現在、2万基以上のSupercharger(スーパーチャージャー)と呼ばれる急速充電器からなる独自の充電ネットワークを構築しており、その多くは、高速道路や交通量の多い市街地に隣接して設置されている。そして低出力な普通充電器のデスティネーションチャージャーは、高級ホテルやレストランなど、同社のEVオーナーが訪れる可能性のあるスポットに設置されている。

RivianのWaypoint充電器は、テスラのデスティネーションチャージャーと、設置場所の種類は異なるものの、目的は同じだ。しかし、テスラの充電器とは異なり、RivianのWaypoint充電器は一般に公開されており、電気自動車用コネクタの北米規格であるJ1772プラグを使用している。

今回の発表で、Rivianは急速充電器の設置場所を示す地図の画像を公開した。この地図はインタラクティブではないため、正確な位置を知ることは難しいが、ユタ州のグランドキャニオン国立公園やザイオン国立公園の近くに急速充電器が設置されていることが分かる。

画像クレジット:Rivian(スクリーンショット)

Rivian車のオーナーは、車載ナビゲーションや付属のアプリを使って、WaypointやRivian専用急速充電器の位置を確認できる。ドライバーはこのアプリや車内のスクリーンで、充電状況を確認することもできる。

Rivianの車両には、CCS(Combined Charging System、通称「コンボ」)という急速充電用の直流コネクタが採用されている。CCSは近年、欧州や北米で普及しているオープンな国際規格だ。そのため、RivianのトラックやSUVは、アダプターを使用することなく、サードパーティ製のCCS対応充電ステーションを利用することが可能だ。

Rivianは、その充電ネットワーク全体が100%再生可能エネルギーで駆動されることを明示した。これは、ソーラーパネルや蓄電システムを使うという意味ではない。TechCrunchの取材で、Rivianはソーラーパネルや風力発電は設置しないことを明らかにした。代わりに、100%再生可能エネルギーという目標は、電力会社とのパートナーシップによって達成される。Rivianによれば、可能な限り風力や太陽光を利用し、グリーン電力証書によって他の電力源と相殺するという。

これほど大規模なネットワークを構築するには資本が必要だが、Rivianはその調達には苦労していない。2021年1月に同社は、T. Rowe Price Associates Inc(ティー・ロウ・プライス・アソシエイツ・インク)が顧問を務めるファンドや口座を中心としたラウンドで26億5000万ドル(約2885億円)の資金を調達した。この投資ラウンドに詳しい人物の話によると、Fidelity Management and Research Company(フィデリティ・マネジメント・アンド・リサーチ・カンパニー)や、AmazonのClimate Pledge Fund(気候変動対策に関する誓約のための基金)、Cootue(クーティー)、D1 Capital Partners(ディーワン・キャピタル・パートナーズ)などの既存および新規の投資家も参加し、Rivianの評価額は276億ドル(約3兆円)に達したという。

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タグ:Rivian充電ステーション電気自動車

画像クレジット:Rivian

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

フォルクスワーゲンが240GWhのバッテリー生産能力を2030年までに欧州で実現

Volkswagen AG(フォルクスワーゲンAG)は世界最大の電気自動車メーカーとしての地位を確立するために、2030年までに欧州で40GWhのバッテリーセル生産工場を6カ所運用する計画を発表した。

これを達成するためにVolkswagenはスウェーデンの電池メーカーであるNorthvoltに10年間で140億ドル(約1兆5300億円)規模の発注を行ったが、これは計画中の6カ所の工場のうちの1つにすぎない。2025年にはドイツの第2工場でも生産を開始する予定だ。

関連記事:EV用バッテリーメーカーNorthvoltがフォルクスワーゲンから1.53兆円の大型契約を獲得

Volkswagenはまた、中国、欧州、米国の充電インフラへの本格的な投資も発表した。欧州ではパートナーであるIONITYとともに急速充電ネットワークを1万8000ステーションに、中国では合弁会社であるCAMS New Energy Technologyを通じて1万7000カ所の充電ポイントに、そして米国では急速充電ステーションを3500に増やすことを目指している。

Volkswagen初となるバッテリー関連のイベントは、Tesla(テスラ)のBattery Dayを記念して行われたものだが、その中には、コストを最大50%削減する斬新的なバッテリーの化学研究も含まれていた。このバッテリーセルは同社が2010年代半ばに予想されている固体電池セルへの移行への道を開くものでもある。Volkswagenは固体電池メーカーのQuantumScapeに多額の投資を行っている。

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Volkswagenの新しい 「Unified Premium Battery」 プラットフォームは2023年に発売され、同社のEV車両の80%で使用される予定だ。この新しいバッテリーを最初に搭載した最初のモデルであるAudi Artemisは、2024年に発売される予定となっている。

Volkswagenの大型トラックおよびバスのブランドであるScania ABも、EVシェアの拡大を計画している。水素燃料電池を選択した他の主要なトラックメーカーとは異なり「大型輸送部門の電動化は間違いなく可能である」と同社の代表者らは述べた。

バッテリーの寿命についてVWは、Hydrometallury(ハイドロメタリー)と呼ばれるプロセスにより、バッテリーを最大95%までリサイクルできると述べている。

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タグ:VW電気自動車資金調達バッテリー欧州充電ステーション

画像クレジット:Volkswagen

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:塚本直樹 / Twitter

スウェーデンのEVメーカーPolestarとEVインフラのChargePointがシームレス充電導入に向けて提携

スウェーデンの電気自動車メーカーPolestarとEVインフラのスタートアップのChargePointとの新しい提携は、顧客がPolestar 2の車をシームレスに充電できる車載アプリを発表し、充電体験の向上に狙いを定めている。

充電ステーションに接続して充電と支払いを行うシームレス充電は、請求や支払いを車両に任せることができるが、これまではTesla(テスラ)がSuperchargerネットワークによって支配してきた。他のほとんどのEVドライバーは、RFIDカードまたはスマートフォンを使用して充電料金を支払わなければならず、その利便性のレベルは従来のガソリンスタンドと同等だ。この提携により、ChargePointの13万カ所以上のステーションではこれらの余計な手順が不要になる。アプリはPolestar 2の車載インフォテイメントシステムに直接埋め込まれ、Google(グーグル)のAndroid Automotive OSで動作する。

シームレス充電への進出は他の場所でも行われているが、特に注目すべきはVolkswagen(フォルクスワーゲン)がディーゼル車の排ガス問題をめぐる米国規制当局との和解の一環として設立したElectrify Americaによるものである。同社は2020年11月にPlug&Chargeと呼ばれる車内決済技術を導入し、2021年モデルのポルシェのタイカン、フォードのMustang Mach-E、LucidのAirが同社のステーションでシームレスに充電できるようにした。

この提携はTeslaが自社ブランドの家庭用充電器Wall Connectorで追求したもう1つの分野である、購買体験にも狙いを定めている。Polestar 2のドライバーは699ドル(約7万6000円)の家庭用充電器ChargePoint Home Flexを車両購入と同時に注文でき、納車前に家に設置できる。

ChargePointのシニアバイスプレジデントであるBill Loewenthal(ビル・ローウェンタール)氏は声明の中で、これは両社の今後の提携のための青写真だと述べた。今回の提携はユーザー体験をバリュープロポジション(価値の提案)の重要な要素と考えている自動車メーカーとEVインフラ企業の間で、より多くの提携が始まるきっかけになるかもしれない。

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タグ:PolestarChargePoint充電ステーション

画像クレジット:Polestar/ChargePoint

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(文:Mike Butcher、翻訳:塚本直樹 / Twitter

Shellの気候計画における柱はEV充電ステーション、バイオ燃料、水素転換、化学物質

世界最大の上場石油製造会社の1社であるRoyal Dutch Shell Group(ロイヤル・ダッチ・シェル・グループ)が、温室効果ガス排出ゼロの気候に配慮した社会の中で同社がいかに生き残って行くかについての計画を発表した

この計画は、「電気自動車充電ステーションの大規模な展開」「潤滑油、化学品、バイオ燃料の重視」「大幅に拡大した再生可能エネルギー発電ポートフォリオとカーボンオフセット計画の策定」「水素・天然ガス資源の開発を継続し、石油生産を年間1〜2%削減」「二酸化炭素の回収と貯留への多額の投資」という5つの主要な柱に基づいている。

これらは同社の事業全体にわたるもので、大手石油会社による、最も包括的でハイレベルな計画となっている。低排出、そして究極的にはゼロエミッションのエネルギーと電源への移行によって石油業界が次の犠牲者となることを防ぐごうとする内容となっている(石炭産業を指している)。

ロイヤル・ダッチ・シェルのBen van Beurden(ベン・ヴァン・バーデン)最高経営責任者は声明で、「私たちの力強い戦略は、炭素排出量を削減し、株主、顧客、そして社会全体に価値を提供することになるでしょう」と述べた。

同社はまた、株主の離脱を防ぐため、コスト削減を実施し1株当たり年間約4%の配当の増加を約束した。これは高価な石油・ガス探査事業に投資した投資家に資金を還元することを意味する。さらに、同社は負債を返済し、営業キャッシュフローの20〜30%を株主に支払うことも約束した。とても……思いやりがある。

画像クレジット:Bryce Durbin

計画

同社の推計によると、シェルは100万社以上の商工業顧客と約3000万人の顧客を擁し、4万6000の小売サービスステーションに顧客が毎日訪れる巨大企業である。同社は成長の機会、エネルギー転換の機会、そしてアップストリームの’掘削作業と石油生成作業が徐々に衰退していく状況について考えを整理した。

成長が見込まれる分野について、シェルは約50億から60億ドル(約5300億から6400億円)の投資を計画している。2025年までに50万カ所の電気自動車充電施設を整備すること(現在の6万カ所からの拡大)およびそれにともなう充電促進の小売・サービス拠点の強化などが計画に盛り込まれている。

同社はまた、バイオ燃料や再生可能エネルギーの生産拡大とカーボンオフセットにも重点的に投資すると述べた。同社は年間560テラワット時を2030年までに発電したいと考えており、これは現在の発電量の倍に相当する。シェルが独立系発電事業者として事業を展開し、1500万の小売および商業顧客に自然エネルギー発電をサービスとして提供することを期待したい。

さらに同社は、水素関連事業も成長可能な分野だと捉えている。

低炭素経済に移行できる資産をすでに保有しているシェルは、そこにさらに力を入れる意向だ。つまりゼロエミッションの天然ガス生産と化学品製造の3倍の削減を目指す(ダウとBASFに着目)。同社は100万トンのプラスチック廃棄物を処理して循環型化学製品を製造する方針を固めており、これはリサイクル率の向上にもつながる。

アップストリームは長年にわたって石油・ガス事業の中心だったが、同社は声明で「量よりも価値に焦点を当てる」と述べている。これが実際に意味するのは、掘削が簡単で低コストの油井を探し求めることであろう(これは石油経済において、当分の間中東が重要であり続けることを示している)。同社は石油生産量を年間約1%から2%削減する予定である。また、カナダのQuest CCS開発、ノルウェーのNorthern Lightsプロジェクト、オランダのPorthosプロジェクトなどを通じて、年間2500万トン相当の二酸化炭素の回収と貯留に投資を行う考えだ。

「私たちは、顧客が求め、必要としている製品とサービス、すなわち環境への影響が最も少ない製品を提供する必要があります」とヴァン・バーデン氏は声明で語っている。「同時に、これまでの強みを活かして競争力のあるポートフォリオを構築し、社会と歩調を合わせたゼロエミッション事業への転換を図っていきます」。

米ドル紙幣による貨幣または財務のグリーンパターン。銀行、キャッシュバック、支払い、Eコマース。ベクトルバックグラウンド(画像クレジット:Svetlana Borovkova / Getty Images)

マネートーク

同社は、主要事業からの収益が削減される中で生き残っていくために、営業経費を抑え、もはや意味のない事業の大きな部分を売却しようとしている。

つまり、年間の支出を350億ドル(約3兆7200億円)未満に抑え、年間売上高は約40億ドル(約4250億円)で、投資家への配当と現金の流れを維持していることになる。

「長期的には、資本投資のバランスは成長の柱の事業にシフトし、新たな設備投資の約半分はこれらの分野に行われるようになる」と同社は説明している。「キャッシュフローも同じ傾向をたどり、長期的には石油やガスの価格との関連性が少なくなり、より広範な経済成長との結びつきが強まることが期待される」。

シェルは、全従業員に支払われる給与の一部として炭素集約度の削減目標を設定しており、その目標は目を見張るものがある。2016年を基準とする炭素集約度の削減率を6〜8%(2023年)、20%(2030年)、45%(2035年)、100%(2050年)と想定している。

同社によると、同社の炭素排出量は2018年に年間1.7ギガトンでピークに達し、石油生産量は2019年にピークに達している。

背景

シェルがこうした措置を取っているのは、同社が望んでいるからではなく、そうする必要があるからだ。化石燃料の汚染と気候変動を止めるために何か劇的なことをしない限り、世界は深刻な結果に直面することが予測される。

今週初めに発表された調査で、化石燃料による大気汚染で世界の人口の18%が亡くなっていることが示された。ハーバード大学が率いる研究者らの報告によると、化石燃料を燃やすことはガンと同じくらい致命的だということだ。

化石燃料に直接結びついた人的代償以外にも、気候変動には膨大な損失が見込まれている。米国では、これを逆転させるための措置を取らない限り、2090年までに損失は年間5000億ドル(約53兆円)のに上ると推定されている。

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タグ:Shell電気自動車二酸化炭素充電ステーション

画像クレジット:Westend61 / Getty Images

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(文:Jonathan Shieber、翻訳:TechCrunch Japan)

Shellが2025年までにEV充電ステーションを50万カ所に設置

今後4年で50万カ所に電気自動車(EV)充電ステーションを設置するというShell(シェル)の計画は、EV充電インフラブームを示す最新の証拠だ。ブームで投資家はこの業界に資金を注ぎ、需要に対応するのに必要な資本を求めて数社に上場を促した。

年初来、この業界の3社が特別買収目的会社(SPAC)に買収され、公開への道を歩んでいる。その一方で3分の1の企業が商業化に向けた取り組みのために名だたるプライベートエクイティ投資家から数千万ドル(数十億円)を調達した。

SPAC攻撃はEV充電ネットワークChargePointが市場価値24億ドル(約2500億円)でSPACのSwitchback Energy Acquisition Corporationと合併する契約を結んだ時に始まった。同社は米国時間2月16日にニューヨーク証券取引所に上場する。

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2021年1月、EV充電インフラを展開するEVgoは26億ドル(約2720億円)のバリュエーションでSPACのClimate Change Crisis Real Impact I Acquisitionと合併することに同意した。これはEVgoの非公開株式の所有者、電源開発投資企業のLS Powerにとって大きな勝利だった。現在EVgoの全株式を所有するLS PowerとEVgoの経営陣は全資本を取引に組み込む。第2四半期にトランザクションがクローズすれば、LS PowerとEVgoは新合併会社の株式74%を保有することになる。

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その後にもう1つSPAC案件が続いた。Volta Industriesが2021年2月、Tortoise Acquisition IIとの合併に同意した。この合併では、バッテリーを発明したAlessandro Volta(アレッサンドロ・ボルタ)氏にちなんだ社名のVolta Industriesのバリュエーションは14億ドル(約1470億円)になる。本取引によりSPAC会社の株価は今週初め31.9%上昇し17.10ドル(約1790円)になった。現在は15ドル(約1570円)前後で取引されている。

プライベートエクイティファームも引けを取らずこのゲームに参戦している。プライベートエクイティのエネルギー投資で有名なRiverstone HoldingsはFreeWireに投資してEV充電に賭けた。FreeWireは初め新規ラウンドで5000万ドル(約52億円)を調達した。

「不吉な前兆があり、投資家たちは時宜をとらえなければなりません。マーケットにある従来の投資機会から飛び立つフライトがあります」とFreeWireのCEOであるArcady Sosinov(アーカディ・ソシノフ)氏はインタビューで述べた。「石油・ガス企業から、そして従来のユーティリティから去るフライトがあります。他の機会に目を向けなければなりません。これは今後10年で最も大きな成長機会となるでしょう」。

FreeWireは現在BPとインフラを展開しているが、同社の充電テクノロジーはファーストフード企業、郵便局、グローサリーストア、あるいは人々が足を運び20分間から1時間ほど過ごす場所であればどこにでも導入できる。米連邦政府が所有する車両をEVにするというバイデン政権の計画があり、郵便局は実際に充電ネットワークとなる大きな機会を手にしている、とソシノフ氏は話した。

「モビリティの電動化が魅力的だと我々が感じている理由の1つは、『もし』とか『どうやって』ではなく『いつ』だからです」とRiverstoneでESG(環境、社会、ガバナンス)責任者でパートナーのRobert Tichio(ロバート・ティキオ)氏は述べた。「ノルウェーや北欧に比べ、浸透率は驚くほど低い。そうした国々は浸透率2桁を達成しています」。

俳優のWill Ferrell(ウィル・フェレル)氏が登場した最近スーパーボウルで流れたGMのコマーシャルは、EV浸透においてノルウェーがいかに進んでいるかを示した。

交通の電動化における資本の需要は年間7500万ドル(約79億円)に近づき始めます」とティキオ氏は話した。「あなたの疑問への短い答えは、我々がともに政治的に、社会的に、そして経済的に抱えている資本の需要は、我々がどこに向かうかという観点でコンセンサスを得て転換点を迎えます」。

ShellはすでにEV充電インフラをいくつかのマーケットで展開している。2019年に同社はロサンゼルス拠点のEV充電デベロッパーのGreenlotsを買収した。また初めには英国のEV充電会社Ubitricityも買収している

「顧客の需要が進化するにつれ、我々はさまざなま種の代替エネルギーソースの提供を増やしていきます。これらはデジタルテクノロジーに支えられ、どこへ運転して移動する必要があろうが人々に選択肢とフレキシビリティを提供するものです」とShellのNew Energies代表取締役副社長Mark Gainsborough(マーク・ゲインボロー)氏はGreenlots買収に関する声明で述べた。「今日の米国ドライバーの低炭素エネルギー需要に応える最新の投資は、より良い明日をつくるという当社の広範な取り組みの一環です。EV充電をよりアクセスしやく、ユーティリティや事業者、コミュニティにとってより魅力的なものにするための一歩です」。

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タグ:Shell電気自動車充電ステーション

画像クレジット:Shell

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(文:Jonathan Shieber、翻訳:Nariko Mizoguchi

電動原付スクーターのシェアサービスRevelがEV充電ステーション事業を起ち上げ

電動原付スクーターのシェアサービスを展開するスタートアップ企業Revel(レベル)が、ニューヨーク市に電気自動車用のDC急速充電ステーションを建設中だ。これは同社の新事業の1カ所目で、いずれは他の都市にも拡大が計画されている。

ブルックリンの旧Pfizer(ファイザー)ビルに新設されたこの「Superhub(スーパーハブ)」には、30台の充電器が設置される予定で、24時間いつでも一般利用が可能になると、同社は米国時間2月3日に発表した。これは、Revelがニューヨーク市全域で開設するスーパーハブのネットワークの最初のものになると、同社は述べている。

RevelはEV充電器を自社で開発しているわけではない。ブルックリンで最初に設置された10台の充電器には、Tritium(トリチウム)社製の新型モデル「RTM75」が使用されており、この春から稼働する予定だ。Revelによると、これらの充電器は約20分間で100マイル(約161km)を走れる電力をEVに供給できるという。

EV充電ビジネスは、都市を電動化するためのミッションであるとRevelは説明する。この動きは、GM、Ford(フォード)、VWグループといった伝統的な自動車メーカーに加え、新規参入を図るRivian(リヴィアン)やEV業界のリーダーであるTesla(テスラ)などの企業が、ますます多くの電気自動車を製品ラインアップに加えていることを受けてのものだ。

Revelの充電ステーションは、同社にとって2018年に発表した電動原付スクーターのシェアリングサービス以来の新事業となる。Frank Reig(フランク・ライグ)氏とPaul Suhey(ポール・スヘイ)氏が設立したRevelは、ブルックリンで試験プログラムを開始し、後にクイーンズ、ブロンクス、マンハッタンの一部にまで事業を拡大していった。2019年10月にIbex Investors(アイベックス・インベスターズ)が主導したシリーズAラウンドで2760万ドルの資本を調達したおかげで、急速な成長を続けている。このエクイティラウンドには、新たにToyota AI Ventures(トヨタAIベンチャーズ)が参加し、Blue Collective(ブルー・コレクティブ)、Launch Capital(ローンチ・キャピタル)、Maniv Mobility(マニブ・モビリティ)もさらなる投資を追加した。

現在、ニューヨークではRevelによる数千台の原付スクーターがレンタル可能になっている。同社は業務開始から18カ月で、オースティン、マイアミ、ワシントンD.C.など他の都市にも原付スクーターのシェアサービス事業を拡大した。2020年はオークランドでも事業を開始し、同年7月にはサンフランシスコで営業許可を取得した。

とはいえ、原付スクーターのシェアサービスはどこでも成功しているわけではない。Revelは2020年12月、オースティンから撤退した。ライグ氏は当時、新型コロナウイルス感染流行が、マイクロモビリティのシェアサービス全体で利用者数の減少を引き起こしていることに加え、同市の根深い自動車文化が、その浸透の妨げになると証明されたと語っていた。

関連記事:電動モペット配車サービスRevelがオースティン撤退、根強い自動車文化に敗北

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タグ:電気自動車充電ステーションRevelニューヨーク

画像クレジット:Revel

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

EV充電施設のEVgoがSPACとの合併を通じて上場へ

電気自動車(EV)向けの公共急速充電設備を所有・運営しているLS Powerの完全子会社EVgoは、特別買収目的会社(SPAC)のClimate Change Crisis Real Impact I Acquisition Corporationとの合併を通じて公開企業となることで合意した。

新しいティッカーシンボル「EVGO」で上場する合併会社の時価総額は26億ドル(約2700億円)となる見込みだ。100%自社で所有しているLS PowerとEVgoの全資本は今回の合併に合体させる。取引が第2四半期にクローズすれば、LS Powerは新合併会社の株式74%を保有することになる。

EVgoはこれまでに約5億7500万ドル(約597億円)を調達した。ここにはPIPE(プライベートエクイティによる上場企業の私募増資の引き受け)での4億ドル(約415億円)が含まれる。発表によると、投資家はPacific Investment Management Company LLC (PIMCO)、BlackRockが管理するファンドや個人、Wellington Management、Neuberger Berman Funds、Van Eck Associates Corporationなどだ。

EVgoの経営陣はそのまま残り、引き続きCathy Zoi(キャシー・ゾイ)氏が合併会社のCEOを務める。

EV関連企業がいわゆる白紙小切手会社と合併して、IPOに向けた従来の手法を回避するという動きがこのところ続いており、今回の取引は最新のものとなる。過去8カ月間でArrival、Canoo、ChargePoint、Fisker、Lordstown Motors、Proterra、The Lion Electric Companyといった企業がSPACと合併したり、あるいは合併の予定を発表した。

EVgoはEV業界新規参入者ではない。同社は2010年に創業され、過去10年のほとんどをインフラの拡大に費やしてきた。今日では同社は34州にまたがる67主要都市マーケットの800カ所超にチャージャーを展開している。同社はチャージャーを設置するのにAlbertsons、Kroger、Wawaなどを含め数多くの提携を結んでいる。

EVgoはまたGMや日産といった自動車メーカー、配車サービスのLyftやUberなどとも提携している。2020年7月にGMとEVgoは向こう5年で2700基超の急速充電を新設する計画を発表した。

現在走行している乗用車、トラック、SUVにEVが占める割合はまだ小さい一方で、自動車業界はEVマーケットが2019年から2040年にかけて100倍超に拡大すると予想している、とEVgoは述べた。同社によると、公開市場で調達する資金は事業拡大を加速させるのに使われる。

「わずか数年前、EVはニッチなものととらえられていました」とEVgoのCEOであるゾイ氏は声明文で述べた。「今日では改良されたテクノロジー、低コスト、豊富な選択肢、EVパフォーマンス評価の向上によって、選択できる車両テクノロジーになりつつあります。そのため急速充電の需要は高まっています」。

米国人の30%が自宅で充電できないと推測され、EVに切り替える車両の増加と併せて、そうした需要に応えるために公共の充電施設は必要不可欠なものになると、とゾイ氏は述べた。

関連記事:RivianがEVピックアップトラック生産開始に向け2753億円調達

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タグ:EVgo電気自動車充電ステーションSPAC

画像クレジット:EVgo

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(翻訳:Mizoguchi

広告サポート型EV充電ステーションネットワークのVoltaが約130億円調達

広告により収益化する電気自動車充電ステーションネットワークを開発しているVoltaは、Goldman Sachs(ゴールドマン・サックス)管理の下で1億2500万ドル(約130億円)の新規資金調達を行った。

Voltaは食料品店、薬局チェーン、銀行、病院周辺の駐車場に設置された電気自動車用充電ステーションのネットワークを構築し、運営している。

声明によると、同社は55インチのデジタルディスプレイを備えた充電ステーションを、米国23州の200都市に設置している。

車の所有者は無料で充電でき、EVユーザーにリーチしたい小売店や消費財メーカーの支援を受けている。

今回の新たな資金調達により、Voltaはこれまで2億ドル(約210億円)以上の資金調達を行っており、そのキャッシュを使って国際的な事業展開を開始する意向だ。

Voltaの充電器を設置している企業にはAlbertsons Companies、Giant Food、Regency Centers、Wegmans、TopGolfなどがある。また、同社のスクリーンに広告を掲載しているブランドにはGM、Hulu、Nestlé(ネスレ)、Polestar、Porsche(ポルシェ)、Unilever(ユニリーバ)などがある。

「2018年に初めてVoltaに投資して以来、電化への興奮と関心、特に公共の充電ソリューションの解決への関心は高まり続けています」と、今回のラウンドの主要かつ既存の投資家であるEnergize VenturesのマネージングパートナーのJohn Tough(ジョン・タフ)氏は語った。「このチームにおける私たちの信念も同様に成長しており、Voltaは国内で最も資本効率が高く、利用率の高いEV充電ネットワークとして、この市場をリードする準備ができていると考えています」。

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タグ:Volta電気自動車資金調達充電ステーション

画像クレジット:Volta Charging

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(翻訳:塚本直樹 / Twitter

EVメーカーRivianが独自の充電ネットワークをアクティブなレジャースポットにも展開する理由

人里離れた道をクルージングするドライバーは、これから数カ月の間に珍しい光景に出くわすかもしれない。都市部や幹線道路ではない、人気のない場所にRivian(リビアン)の充電ステーションが設置されているかもしれないからだ。

電気自動車メーカーのRivianは、ピックアップトラック「R1T」とSUV「R1S」の最初の納車に向けて、米国内に電気自動車用充電ステーションのネットワークを設計し、構築することに着手している。このネットワークには、高速道路に沿って設置される急速充電器が含まれる予定だ。これはTesla(テスラ)やElectrify America(フォルクスワーゲンがディーゼル排出ガス不正スキャンダルをめぐる米国規制当局との和解の一環として設立した事業体)が採用している戦略である。

だが、Rivianは電気自動車の充電設備展開計画に、業界では珍しい第2のレイヤーを追加しようとしている。同社はマウンテンバイクやハイキングコースからカヤックスポット、さらには人気のある登山用の岩場の近くなど、アクティブなレジャースポットの駐車場に数十台のEV充電器を設置する予定だ。オーナーがこれらのアウトドアアクティビティを楽しんでいる間に、彼らが乗ってきた電気自動車に電力を供給するというわけである。これはRivianの顧客基盤に向けた直接的なアピールであり、ブランドと電気自動車に対する信頼を築くために必要なものであると、Rivianの創業者でCEOのRJ Scaringe(R・J・スカーリンジ)氏は充電、バッテリー、自動運転などについての幅広いインタビューの中で、TechCrunchに語った。

「私たちは、州間高速道路以外の場所にRivianの充電施設を造ることにワクワクしています。それによって、これまで充電の問題から電気自動車で行きづらかった場所、電気自動車が歓迎されなかった場所にも、行けるようになり、また行きたくなるでしょう」と、スカーリンジ氏は語った。「電気自動車のオーナーが自分の興味に応じて、目的地やそこまでの道のりを精選したドライブができる手段について、私たちは長い時間をかけて考えました。旅の途中で立ち寄って、2〜3kmあるいは7〜8kmほどのハイキングを楽しむことができるルートがあり、そのすぐ隣には充電ステーションがあるのです」。

「全部取り」アプローチ

Rivianの顧客向けネットワークは、ドライバーが必要とする高速道路沿いの急速充電器と、戦略的にスピードが重要でない目的地に設置された充電器を提供する2本立てとなる。そこで問題となるのは、スカーリンジ氏は「本当におもしろくて、やりがいのある不動産」問題と表現しているが、つまり人々が興味を惹かれるポイントを探り当て、どのルートのどこに充電ステーションを設置するか、最適な場所を特定することだ。

Rivianのネットワーク構築は、消費者のブランド認知度と不動産の知恵を試すだけのものではない。約60億ドル(約6250億円)を調達したこの電気自動車メーカーは、急速DC充電器を含む技術を自社で開発した。

「これについてはあまり話したことはありませんが、あの充電器、パワーエレクトロニクスモジュール、あるいはそれらの充電施設のバックボーンについて、我々は規模を拡大して展開しようと考えています」とスカーリンジ氏は語り、同社の急速DC充電器は約20分で最大140マイル(約225.3km)の走行が可能になると付け加えた。

このハードウェアとそれに付随する充電ソフトウェアは、Rivianのコンシューマー向けネットワークで最も目にすることになるだろう。しかし、このプラットフォームとその周辺のハードウェアは、フリートベース(複数の車両を用いる事業向け)製品にも使用されることになると、スカーリンジ氏はいう。

「商用バンを考えれば、充電器とディスペンサーは少し違うように見えるかもしれませんが、充電機能を構築するために使用されるこれらのパワーモジュールの心臓部は、まったく異なるアプリケーションにも同じように適用されます」と、彼は語った。「それが、当社が中核技術をすべて自社開発した理由の1つです。これによってフリートベースのB2B充電ソリューションと、Rivianの個人オーナーのための一般消費者向けアドベンチャー・ネットワークの両方を、構築することができるのです」。

体験をコントロール

Rivianは、R1TとR1Sを市場に出すために数年と数億ドル(数百億円)を費やしてきた。これまでに60億ドル(約6250億円)を調達しているが、その資金は技術開発や製造規模の拡大で簡単に消えてしまう。Rivianネットワークは、自動車メーカーがユーザーの所有体験全体をコントロールすることで信頼性を高めたいと考えているならば、必要な事業であるとスカーリンジ氏は主張する。

現在、ChargePoint、EVConnect、EVGo、Electrify America、Greenlotsなど、多数のサードパーティの充電会社が運営されている。従来の自動車メーカーは、電気自動車の展開に先立ち、これらの企業と提携し、戦略的な投資を行ってきた。しかし、スカーリンジ氏には、サードパーティのネットワークに完全に依存する気はない。

「問題は、決済プラットフォーム、稼働時間、パフォーマンス、充電器の予約機能など、充電の手間を省くために必要なことが、私たちの手ですべてコントロールできないということです」と、スカーリンジ氏はいう。「Rivianアドベンチャーネットワークでは、これらを私たち自身が100%コントロールすることができます。どのクルマが、どれくらい充電しているか、料金はいくらだったか、すべて私たちは知ることができます。充電器の設置場所についても、まさしく独創的になれるので、Rivian独自の特別な場所に設置することが可能です」。

開放それとも閉鎖?

Rivianネットワークは明らかにRivianの顧客のために構築されている。しかし、これが必ずしもテスラのスーパーチャージャーネットワークのようなクローズドな独自システムになるわけではない。

急速充電に使われる一般的なコネクタは、CCS(Combined Charging System、通称コンボ)かCHAdeMO(チャデモ)の2種類だ。Rivianが採用している直流コネクタのCCSは、近年ヨーロッパや北米で普及が進んでいるオープンな国際規格である。

つまり、RivianのトラックやSUVはアダプターを使用しなくても、CCS対応ならどのサードパーティ製充電ステーションも使用することができるということだ。これは同時に、CCS規格を採用している他の電気自動車も、理論的にはRivianネットワークを使用できることを意味するが、ソフトウェアがその使用をブロックする可能性もある。

Rivianの電動ピックアップとSUVの最初の納車開始が予定されている2021年夏までに、いくつの充電ステーションがオープンするかについて、スカーリンジ氏は正確な数を明らかにしようとはしなかった。2021年には米国で数十カ所の充電ステーション(各ステーションには平均6つの充電コネクタがある)が建設予定であることに同氏は言及した。

「そのネットワークが構築されたら、非常に大きなバッテリーパックを持たなければというプレッシャーを取り除くことができるでしょう」と、スカーリンジ氏は語った。

Rivian R1TとR1Sには、一度の充電で300マイル(約483km)以上の距離を走れるバッテリーパックが標準装備されている。2022年1月には、R1Tに400マイル(約644km)以上の距離を走れるバッテリーパックが用意される予定だ。5人乗りおよび7人乗りのR1Sでさらに航続距離が長いモデルについては、生産開始後に発表されることになっている。Rivianは最終的に、より小さな航続距離250マイル(約402km)のバッテリーパックを搭載して価格を抑えたR1TとR1Sを発売することも計画している。

具体的な数字はなくても、Rivianの充電ステーションに対するスカーリンジ氏の希望と計画が、「数十」をはるかに超えることは明らかだ。

「ネットワークの規模は、一朝一夕にできるものではありません」と彼はいう。「米国全土をカバーするには数カ月、高密度にカバーするには数年の時間が必要です。2023年か2024年までには、確実に我々はそれを実現できているでしょう」。

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カテゴリー:モビリティ
タグ:Rivian電気自動車充電ステーション

画像クレジット:Bryce Durbin

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(翻訳:TechCrunch Japan)