ロシアによる選挙のハッキングを調べるようオバマ大統領が命令

US President Barack Obama speaks at the White House Frontiers Conference at Carnegie Mellon University in Pittsburg, Pennsylvania, on October 13, 2016. / AFP / JIM WATSON        (Photo credit should read JIM WATSON/AFP/Getty Images)

ホワイトハウスの国土安全保障とテロ対策アドバイザーLisa Monacoによるとオバマ大統領は、この前の大統領選挙を誘導し、結果に影響を与えたかもしれないハッカー行為や情報リークを徹底的に調べるよう、政府の諜報部門に命じた。

Monacoはこう言った: “大統領は、CIAや国防総省など諜報活動を行う複数の政府機関を全体的に統括する国家情報長官に、2016年の選挙の過程で何が起きたのかを徹底的に調べるよう、指示した”。

民主党全国大会とHillary Clintonの選挙参謀John Podestaに対するサイバー攻撃により、一連の有害なリークが生じ、選挙期間全体を通じて、Clintonの選挙活動の足を引っ張った。彼女の対立候補Donald Trumpはそのハック説と、それをロシアのせいにすることを、冷笑した。

政府の諜報部局は、攻撃はロシアの工作員たちによるもの、と明言しているが、TrumpはTIME誌の最近号で、“彼らが選挙を妨害したとは思わない。それは笑い話であり、まともな話題ではない。あくまでもお笑いネタだ。私が何かするたびに彼らは、‘おぉ、ロシアの妨害だ’と言う。このワンパターンなロシアネタは、いいかげんにしたらどうだ”、と語っている。

Monacoによると、調査は1月のTrumpの就任式までに完了する。

しかしながら、その調査結果が公開されないこともありえる。最近、上院諜報委員会の8名の民主党議員が、ロシアのハッキングに関する情報をもっと公表しろ、とオバマに迫ったにもかかわらず、だ。

“ソースや犯行方法の公表によって今後の加害者特定努力が損なわれることがないよう、細心の注意が必要である”、とMonacoは説明している。

ロシアのサイバー侵害に関しては、共和党の上院議員たちも調査を要求している。彼らは次期大統領の、ロシア笑い話説と対立することになる。

“できるかぎりの方法を尽くしてロシアを追及したい”、と今週初めにLindsey Graham上院議員(共和党:サウスカロライナ州第三区)がCNNに語っている。“彼らは今日の世界の最大の不安定化要因の一つだ、と私は思う。彼らは、われわれの選挙も妨害したと、私は考えている。その科料(かりょう)を払うべきは、Putin個人だ”。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

ドナルド・トランプ、誤情報を発信した政権移行チームのメンバーを追放

axen

いわゆる偽ニュースが深刻な問題を引き起こし、全米が身をもって教訓を得た。FacebookRedditTwitter等のソーシャルネットワークの幹部だけではない。不機嫌だが才気あふれるWeather Channelの気象学者たちもだ。

ニュースを装った誤情報に端を発した最近の悲劇は、日曜日にワシントンDCのComet Ping Pongという子供に人気のピザ店で、ガンマンが発砲した事件だった。

事件に関するNPRの報道によると、「男が『私的に捜査』していたと主張したのは…全く架空の陰謀論で、Comet Ping Pongが国際的な凶悪児童虐待陰謀団のアジトで、ヒラリー・クリントンをはじめとする強力な民主党員が首謀者だというものだった」

幸い陰謀論を信じるワシントンDCの自警団員の手で死亡した人はいなかった。

しかしこの発砲事件の翌日、トランプの政権移行チームの一員、マイケル・G・フリンは、問題の陰謀論を信じ続けるツイートを発信したために解任された。

トランプのシニアアドバイザー、マイケル・フリン退役陸軍中将の息子であるG・フリンは、陰謀論に全く根拠がないとする警察捜査を無視し、既に銃による暴力を引き起こしていた陰謀論を支持することの危険性も無視した。

誤情報をツイッターに流した人物をトランプが解任したことを、メディアはすかさず偽善だと指摘した ― われわれのPEOTUS(次期米国大統領)が正確性の権威であったためしはない。

トランプのツイートを通じた偽りの歴史は2011年に立ち返る。当時トランプはオバマ大統領の米国市民権に関する長年にわたる嘘の拡散を始めた。

翌年には、気象変動は中国が仕掛けたデマだと主張した。

そして最近では支持者に対して選挙人投票は地すべり的勝利であり、数百万人の不法投票者がいなければ一般投票でも勝っていたと、嘘をつき続けた。

次は誰の仕事がなくなるのか憶測せずにいられない。フリン中将でさえ、Twitter等のソーシャルメディアでヒラリー・クリントンについて誤情報と陰謀論を流布し、ヒラリーが児童売買に関与していたと根拠なく言いふらした。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

オバマの選挙戦で分析を担当したDan Wagnerのデータ活用コンサルCivis Analyticsが$22Mを調達…‘なぜデータの専門家がTrump勝利を当てられなかったのか’

26612988351_128dadff7a_k

Barack Obamaの2012年の選挙戦で主席分析官を務めた人物が創業したCivis Analyticsが、このほどシリーズAで2200万ドルの資金を調達した。

ファウンダーでCEOのDan Wagnerが選挙後に語ったところによると、彼が選挙戦の期間中に直面したさまざまな問題は、今多くの組織(企業だけでなく政党や政府機関なども含む)が対応に腐心している問題でもある。

今Civisの顧客たちが悩んでいる問題も、まさにそれで、それは、データから得られた情報の現実的な活用(“operationalize data intelligence”)、という目の前の生きた課題だ。たとえば、企業が抱える問題の典型が、“データからどうやって真実と予測を確立するのか、そして、その真実をどうやって行動指針に結びつけるのか”、だ。そこでCivisが作ったのは、顧客の企業等がデータを理解し、そのデータを利用して予測を作り出し、次に取るべき推奨ステップを得るための、“ワンストップショップ”だ。

そしてWagnerによれば、“今世の中には十分な数のデータサイエンティストが存在しない”。そこでCivisは本来のコンサルティングビジネスをより充実させるとともに、今では、“100名のデータサイエンティストの知識を集めてそれをワンセットの技術へとラップする”、ということをやっている。そういう、知識と技術をパッケージ化したツールによって、少人数のデータサイエンティストのチームがこれまでよりも効率的に、より多くのクライアントに対し、仕事ができるようになっている。

Civis Analyticsの顧客は公共部門と民間部門の両方にいて、その中にはAirbnb, 2020年国勢調査(Young & Rubicamとパートナー)、Verizon(本誌TechCrunchのオーナー)などもいる。

Wagnerによると、同社はありとあらゆるデータサイエンスの問題を解こうとしているわけではない。むしろ同社が望むのは、顧客を支援して“人間を本当に理解することによって、これから行うべき正しい態度や行動を予測できるように”していくことだ。企業の場合は、顧客や潜在的な顧客を理解しなければならないし、政府機関なら住民や国民を、そして選挙戦なら投票者を理解しなければならない。

Civis media optimizer

Civis Analyticsは以前、シード資金をAlphabetの執行会長Eric Schmidtから調達したが、それまでの3年半はほとんど自己資金のみでやってきた。Wagnerが語る思い出話によれば、資金を提供する時Schmidtは彼に、“きみはこれで苦しむ必要がある”、と言った。〔投資家への責任という重荷を負うべき、の意。〕

ではなぜ、今また資金を調達するのか? Wagner曰く、今の同社の収益で社員を135名に増員することは可能だが、でも今は、もっと積極的に会社を大きくすべきタイミングだ、と。

今回の新たな投資ラウンドはDrive Capitalがリードし、Schmidt, Verizon Ventures, そして世界最大の広告持ち株企業WPPが参加した*。DriveのChris Olsenが、Civisの取締役会に加わる。〔*: 複数の有力広告代理企業を傘下に抱える。〕

同社は今年の大統領選には関与しなかったが、Wagnerの経歴を知る者としては、選挙について聞かないわけにはいかない。彼は、結果には“大いに落胆した”と認め、しかし、Donald Trumpの、選挙人団(Electoral College)制度*による意外な勝利で、選挙戦におけるデータサイエンスが無意味になるわけではない、と主張する。〔*: 選挙人団制度にはアメリカ国内でも批判がある。問題の性格が、日本の“一票の格差問題”とやや似ている。〕

“Trumpはテクノロジーで一風変わった予想外のことをした”、とWagnerは言う。“それによって選挙戦とデータ分析の関係が変わることはないが、選挙戦のあるべきやり方がたぶん変わるだろう”。

彼によれば、“壊れていたのは”、分析の方ではなく測定の方だ、それは“変わらなければならない”、という。

“電話による世論調査を政治的測定の手段にすることは、たぶん、もうだめだろう。それは今や死に体だし、誰もがそのことを知っている。国内では、商業的にも公共的にも、電話だけに限定されないマルチモード、そしてオンラインのパネル〔討論場, Twitterなど〕に移行が進んでいる。そういう新しい状況に適応する必要があり、しかも非常に迅速に適応しなければならない”。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

アメリカ緑の党のJill Steinがウィスコンシン州の大統領選で票の数え直しを請願

robot-vote

Green Partyの大統領候補Jill Steinと、Independent Partyの候補Rocky De La Fuenteがウィスコンシン州で、投票の集計のやり直しを求める請願を提出した。その前にSteinは、クラウドファンディングサイトNationBuilder.comで、“正しい選挙”を実現させるために、520万ドルあまりの資金を獲得した。

Steinのクラウドファンディングキャンペーンが寄付を集めたのは、法律とサイバーセキュリティの専門家たちのグループが、ウィスコンシン州など三つの州の投票結果に対して疑念を提示したあとのことだ。専門家グループは、結果はハックされたか、または操作されていたかもしれない、と示唆した。

そのグループには、弁護士のJohn Bonifazと、ミシガン大学コンピューターセキュリティセンター(Center for Computer Security and Society)のディレクターJ. Alex Haldermanがいる、とNew York Magazineが報じている

ウィスコンシン州選挙管理委員会の公式Twitterアカウントは、金曜日(米国時間11/24)の東部時間午後5時前に請願受け取った、と確認している。

Steinからまだコメントは得られていないが、彼女はGreen Partyを代表して、ウィスコンシン州のあと、他の二つの州、ペンシルベニアとミシガンでも集計やり直しを求めたい、と言っている。

[選挙管理委員会、請願受け取り確認]

Trumpはこの三つの州すべてで、僅差で勝った。国の選挙結果への異議が認められるためには、ほかのすべての州で票の集計が正しく、ウィスコンシン、ペンシルベニア、ミシガンの三州の再集計でHillary Clintonの当選が実証されなければならない。

これまでの集計では、TrumpはClintonに、ペンシルベニアでは70010票、ミシガンでは10704票、ウィスコンシンでは27257票、上回っている。

ウィスコンシンは、12月13日の締め切りに間に合うように再集計を完了しないと、その投票は無になる。それが国のセーフハーバー法の規定だ。

もちろんアメリカの選挙は一般投票の総投票数では決まらず、選挙人団(Electoral College)というもので決まる。彼らは州ごとの結果に基づいて、12月19日に最終投票を行う。

Hillary Clintonは再集計について公的声明や、その要求を行っていない。

Jill Steinの計画では、FacebookのLive Q&Aで再集計キャンペーンに関する質問に答えるつもりだ。ただしそのイベントの時間は、まだ決まっていない。

(こんなドラマを見ると、国が、選挙後の投票の監査と再集計を選挙運用の標準手続きになぜしないのか、と疑問に思う。)

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

ピーター・ティール、トランプの政権移行チームに自らのFounders Fundの幹部を引き抜く

CLEVELAND, OH - JULY 21:  Peter Thiel, co-founder of PayPal,  delivers a speech during the evening session on the fourth day of the Republican National Convention on July 21, 2016 at the Quicken Loans Arena in Cleveland, Ohio. Republican presidential candidate Donald Trump received the number of votes needed to secure the party's nomination. An estimated 50,000 people are expected in Cleveland, including hundreds of protesters and members of the media. The four-day Republican National Convention kicked off on July 18.  (Photo by Joe Raedle/Getty Images)

ピーター・ティールが自分の選んだ人材に対して信義に厚いのは有名だ。逆もその通りで周囲の人材はティールに忠実だという。シリコンバレーでは何十人もの人々がティールの創立したベンチャーキャピタル、Founders Fundやヘッジファンド、Clarium Capitalで働いたことがある。ティールはClariumのマネージング・ディレクター、Ajay Royanと共に後期のスタートアップを対象とするベンチャーキャピタル、Mithril Capitalの共同ファウンダーでもある。

そこでティールがFounders Fundのプリンシパルの一人、トレイ・スティーブンス(Trae Stephens)をドナルド・トランプ次期大統領の政権移行チームに引き抜いたのは不思議ではない。ティール自身はチームに2周間前に正式参加している。Bloombergによると、スティーブンスはトランプ政権そのものに加わるわけではないが、国防総省および安全保障関連の政策立案とスタッフの任命を助けることが期待されているという。

スティーブンスの移行チームへの任命は奇妙であると同時に予想通りという二面性を持っている。 ジョージタウン大学で中東の比較政治学を学びながら首都ワシントンで下院議員のインターンを務め、卒業後はLexisNexisでデータ・アナリストを2年間務めた。その後Founders Fundが支援するPalantirのデータアナリストを経て2013年の12月にFounders Fundに加わっている。

スティーブンスはともかく優秀なのだろう。その点でティールを始めとするトランプの政権移行チームのメンバーには似たところがある。トランプの娘婿、ジャレド・クシュナー、息子のエリック、ドナルド・ジュニア、娘のイバンカ・トランプ(ジャレドの妻)、ヘッジファンドのマネージャー、アンソニー・スカラムッチ(Anthony Scaramucci)、外科医のベン・カーソン(Ben Carson、住住宅・都市開発省長官のポストを打診されているが本人は迷っているもよう)などの人々と同様、スティーブンスも優秀ではあろうが、政府機関でこれというほどの公職に就いた経験がない。

しかしティールは「アメリカ政府(Palantirの売上の40%を占める)は破綻している」と繰り返し述べており、新しい政治の必要性を説いている。ということは政権の要職にティールやスティーブンスのようなアウトサイダーをあてるのも予期したとおりかもしれない。

さらに予想どおりなのは、ティールがトランプの政権移行チームのメンバーに選んだ人間がティール自身の会社の幹部であるという点だ。ティールは人を見る目に自信を持っており、採用した人物を信頼しているという。一方でシリコンバレーではティール自身のサークル以外からはトランプを支持する人材を見つけるのが難しいという事情も伝えられている。

Washington Postの記事によれば、ティールはトランプ政権の要職について「編集可能な候補者リスト」をiPad上に持ってるということだ。このリストにはビジネス・ノンフィクションのベストセラー、『ゼロ・トゥ・ワン―君はゼロから何を生み出せるか』の共著者、ブレイク・マスターズやPalantirの共同ファウンダー、ジョー・ロンズデール、連続起業家で若者の起業を応援するThiel Fellowshipのエグゼクティブ・ディレクターのジャック・エイブラムが含まれるという。

Washington Postの記事によればシリコンバレーではトランプを嫌っており、トランプに接近することはビジネスに不利益になる可能性があるとしてティールを評価しない人々も多いという。

〔日本版〕シリコンバレーのベンチャーキャピタルにおける「プリンシパル」はアソシエートとパートナーの中間の職位。パートナーに昇進する可能性の高い地位だとされる。

画像:: Joe Raedle/Getty Images

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

常時接続時代の選挙報道が招いた「選挙疲れ」?!

unnamed4

モバイル分析ファームのFlurryの新たなレポートによれば、アメリカでは「選挙疲れ」が蔓延し、選挙関連ニュースのみならず、広くニュースに対する興味を失ってしまったらしい。最近ではニュースを入手するのにモバイルデバイスを利用することが多いが、この選挙期間中にモバイルデバイスを使った読者数の伸びに陰りがみられたようなのだ。第二回および第三回の公開討論会の後にその傾向が顕著に見られるとのこと。

ニュースアプリケーションを使ったセッションの実数でいえば、討論会のたびに伸びてはいる。ただし回を重ねるごとに、その伸び率が低下したようなのだ。1度目の公開討論会の直後には、ニュースアプリケーションの利用数は12%の伸びを示した。しかし2回目の後は10%となり、そして3度目の公開討論会直後にいたってはわずか3%となり、伸びがほとんど見られない状況となったのだそうだ。

30787782601_5e310c5409_b

政治を主題としたニュースへの関心が第一回公開討論から下がり続けるように見える中、トランプ氏(次期大統領)のセックストークテープのリークや、クリントンのメール問題の再調査開始といったスキャンダルのみが一般の関心を支えることになった。

実際、テープがリークされたときには、モバイルニュースを閲覧するセッション数は18%の伸びを示しており、これが選挙期間を通してもっとも高い伸びを示したことになる。しかし選挙期間全体を通してみれば、一般のニュースに対する興味も低くなってしまったようで、選挙期間中に大きな伸びを示したのは、10月2日のシカゴカブズ優勝のニュースが流れたときのみとなっている。このときの伸び率は10%ということになっている。

30876233815_f313c3bb15_b

こうした傾向に付きFlurryは、アメリカ国民が「選挙疲れ」の状況に陥ったのだろうと判断している。確かに、ソーシャルメディアにそうしたことを書き込む人も多かったようだ。そしてこの「選挙疲れ」が、ニュース全般への関心すら低下させてしまったようであるとのこと。前回の選挙のときと比べても、公開討論会を生で視聴しようとしたり、ニュース解説を読もうとしたり、一般の反応を入手してみたり、あるいは討論の内容を細かくチェックしたりするような人も減ってしまったのではないかとしている。

Flurryは「選挙報道に疲れてしまった人たちは、スマートフォンのニュースアプリケーションを開くことすらしなくなってしまったようです」と述べている。

また、今回の選挙においては関連ニュースに対する興味は、48時間ほどで消滅してしまう傾向があったとも述べている。すなわち第一報に対して興味はもつものの、すぐに関心を失うという傾向が見えたらしい。すなわち続報や解説記事などを読みたがる人が少なかったのだそうだ。

Charts: source, Flurry Analytics

原文へ

(翻訳:Maeda, H

トランプ大統領のシリコンバレーに対する意味―ニュースの大部分は暗い

2016-11-10-president-trump-minus-trump

ドナルド・J.・トランプがアメリカの次期大統領に選ばれた。この選挙戦の勝利はアメリカの歴史上もっともシュールかつ意外なものだった。

株式市場はトランプ大統領の誕生にすでに値を下げている。ドルも同様だ。

トランプの政策プラットフォームに通じた経済学者によれば、テクノロジー経済とシリコンバレーに関する短期的見通しは暗いということだ。

選挙戦を通じてトランプの経済政策はかなり漠然としていたが、大まかに言えば、トランプが述べた経済政策はベンチャーキャピタリズム、さらに広くテクノロジー・ビジネス一般にとって適合性が高いものではない。

南カリフォルニア大学マーシャル・ビジネス・スクールの経済学者、Gregory Autryによれば、トランプは「ハイテクテク製造業を含む製造業の職を増やすかもしれないがシリコンバレーのテクノロジー企業にとっては逆風となる可能性がある」という。

貿易

Autryは「現在テクノロジー産業といえばまず シリコンバレーを考えることが多い。トランプはそのような考え方に対して間違いなく悪いニュースだ。トランプの経済政策は貿易政策の不正に関して中国を罰し、製造業をアメリカに戻そうというものだ」と述べている。

もしトランプが政策を実行に移し、中国から輸出される物品に高い関税をかけるなら(要するに貿易自由化を中心とする現在の経済政策を20年以上も昔に巻き戻すなら)、サプライチェーンを世界的な貿易に頼っているアメリカ企業(つまりほとんどアメリカ企業)にとって不都合をもたらすだろう。

「(そうした企業は)ひどい目に遭いそうだ」とAutryは言う。

移民

関税によってテクノロジー製品の価格をアップさせる(それによって製造業がアメリカに戻ることを余儀なくさせようようという政策)の他に、トランプ大統領は移民政策にも大きな変化をもたらすだろう。

シリコンバレーはこれまでH-1B〔移民就労ビザ〕によって拡大と成長を大きく助けられてきた。このプログラムは海外から優秀な人々を労働者として迎え入れ、シリコンバレーが必要とする高い技能を提供しながら最終的にグリーンカード〔永住権〕を取得する道を開く。トランプはこれを実質的に無効にすると公約している。

シリコンバレーにとってH-1Bプログラムは、いわば自由の女神の台座に刻まれた文字のハイテク版だ。つまり単なる難民ではなく、高等教育を受け、高度な技能を持ち、自由な世界で生きたい人々を世界から招き寄せようとするものだ。

「移民就労ビザ・プログラムはテクノロジー産業が必要と考える労働力を外国から輸入する道を開くものなので〔トランプの政策はテクノロジー産業に〕 懸念をもたらす」とAutryは言う。

再生可能エネルギー

トランプ政権の元で痛手を負いそうなのはこうしたハイテク・ビジネスだけではない。 再生可能エネルギーはビジネスとして急成長しており、その一部はアメリカでももっとも希望のもてる分野となっているが、次期大統領の下では強い逆風にさらされそうだ。

エネルギー・ビジネスを分析するS&P Global Plattsによれば、トランプは(その政策からみて当然ながら)再生エネルギー開発に対する補助金を廃止することに力を入れるはずだという。トランプの エネルギー政策について分析したPlattsのレポートによれば「たとえば、投資税額控除が現在の30%から10%に減らされれば、ソーラー発電に対する需要は60%減少する」という。(私見だが地球温暖化が人間の活動によるものだという圧倒的な証拠が集まっているにも関わらずこういう政策を取るのは良くないと思う)。

トランプは再生可能燃料基準(Renewable Fuel Standard)を支持しているが(この基準は主として農民の利益になる)、これにも疑いの目が向けられている。

エネルギー政策についてのレポートでPlattsはこう書いている。

トランプは選挙戦を通じて再生可能燃料基準を支持すると述べているが、一時、これに反する経済政策パッケージが発表されたことがあった。〔これは〕強い反発を受けてこれはトランプの選挙戦のウェブサイトから削除された。スタッフは「誤って公表されたもの」とした。 *

*強調は筆者

サイバーセキュリティー

アメリカのサイバーセキュリティーについては選挙戦を通じて大きな問題となっていたが、これについてのトランプの対応の計画は漠然としすぎている

2014にソニーが攻撃を受けて個人情報が漏洩した事件からアメリカのインターネット運用に重大な被害を与えた先月のDDoS攻撃に至るまで、アメリカのインターネットが危険なまでに脆弱であることは何度も暴露されてきた。しかしトランプの選挙戦での立場はクリントン候補の国務長官時代のメール処理の誤りを攻撃するものでしかなかった。

データがいわば血液であるシリコンバレー企業にとってサイバーセキュリティー以上に重要な課題は少ない。これは敵候補に打撃を与えるための政治的な魂胆で利用していいような問題ではない。こうした脆弱性を抱えるネットワークが世界でもっとも時価総額が高い10社を支えるバックボーンとなっていることを考えるならなおさらだ。

企業の上場と大型M&A

今年の後半に入って上場のチャンスが増え始めた。われわれはこのトレンドが 2017年にも続いていくだろうと考えていた。しかしAutryによれば事情は変わってきたという。

金融や株式についてはその性質からして必ずこうなるという予測はできない(アメリカでは市場が開くのを待たず、すでに〔ショックから立ち直って〕安定化の兆しがみえる)。しかし株価の急落に加えて新政権の誕生で制度改革の方向がしばらく不透明になること、 世界とアメリカ市場が大統領になったのはどちらのドナル・ トランプなのか(ポピュリストのスーパー・ヒーローか、辣腕の不動産大富豪か)を判断するにも時間がかかることを考えれば、会社の上場には当面急ブレーキがかかるのではないか。

Autryによれば「短期的には、新規上場とベンチャーキャピタルの活動はスローダウンするだろう」という。

トランプ政権の誕生で影響を受けそうなのは新規上場だけではない。選挙戦の終盤でトランプはAT&TがTime Warnerに買収を提案したことを挙げて大型のM&Aを強く攻撃していた。

10月にはいって トランプはある集会でこう述べている。

AT&TがTime Warnerを、つまりは〔子会社の〕CNNを買収できるような権力構造と私は戦う。私が政権に就けばそういう買収は絶対に認めない。そうした買収は、あまりにも大きな権力をあまりにも少数の人間の手に与えることになるからだ。

ほとんどは暗い見通し…とはいえ、トランプのすべてがそうではない!

ただし、こうした暗い見通しの中にあっても、シリコンバレーの企業は、当局による過剰な規制の廃止は利益を奇跡的に改善する場合があることを思い出すべきだろう。
消費者金融保護委員会(Consumer Finance Protection Board)を廃止するという公約はフィンテック企業(特に資金の貸し手)のビジネスを大幅に容易にするだろう。

Reutersの記事によれば、医薬品の在庫の山にも新たなチャンスが与えられるかもしれない。医薬品業界の再生は誰にとっても良いニュースだ。

そうした点以外にもAutryは企業減税と海外資産のアメリカへの移転を奨励する政策が多くのビジネスにとってきわめて前向きな効果をもたらすと予想している。「海外に流出した資本をアメリカに取り戻すためのインセンティブを与える政策〔が実行されれば〕国内産業への投資の再活性化と職の増加をもたらすだろう」とAutryは言う。

またアメリカの宇宙航空産業はトランプ政権の経済政策から利益を受けるはずだ。「規制の緩和と減税は〔宇宙航空産業に〕大きな助けになる」とAutryは書いている。

**こうして私が「何やら怒って大騒ぎ」(sound and fury)しているものの「結局何の意味もありはしなかった」(と認めるのは嫌だし、シェークスピアも嫌いだが)ということになる可能性がないではないことは断っておくべきだろう。公平に言って、真意がどこにあるのかとらえどころのないトランプの性格からして、その政権が現実にどんな政策を採用するのか予想するのは難しい。

〔日本版〕上記の引用、sounnd and furyはシェークスピアの「マクベス」の引用。魔女の予言について「何やらわめき立ててはいるものの、何の意味もありはしない」と否定するマクベスの独白。フォークナーの小説「響きと怒り」の原題。

「印刷を早まったな…」

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

ティム・クックとビル・ゲーツは、クリントンの副大統領候補者リストに入っていた

LOS ALTOS HILLS, CA - AUGUST 24:  Apple CEO Tim Cook (L) and Hillary Clinton campaign chairman John Podesta leave a fundraiser for Democratic presidential nominee former Secretary of State Hillary Clinton on August 24, 2016 in Los Altos Hills, California. Hillary Clinton is attending fundraisers in California.  (Photo by Justin Sullivan/Getty Images)

ヒラリー・クリントンは、共同候補者としてIT界のリーダーを複数考えていた。クリントンのキャンペーン責任者、John Podestaからとされる漏洩メールによる。

2016年3月17日付のメールでPodestaは、クリントンが副大統領候補として考えるであろう「第一案」に言及している。リストの “food groups” と分類された部分には、Tim Cook、ビル、メリンダ・ゲーツ夫妻、GMのMary Barra、XeroxのUrsula Burnsらの名前があった。

Wikileaksは、Podestaのメールと称する数千件の文書を10月始めから公開し、投票日まで毎日公開していくと言っていた。Wikileaksのメールが本物であるかどうか、Podestaはまだ確認していないが、自分のメールがハックされたことは認めており、トランプの参謀、John StoneがWikileaksのファウンダー、Julian Asangeに協力していると非難した。

メールは、StarbucksのCEO Howard Schultz、Coca-ColaのMuhtar Kentおよび、クリントンの現在の副大統領候補、ティム・ケインにも言及している。

IT枠の人たちがドラフト一巡目に残った理由は、シリコンバレーへの影響力や候補者との関係のためかもしれない。クリントンとシリコンバレーは親密な関係にある ― Tim Cookを含め何人かがクリントンのために大規模な募金キャンペーンを行った。

しかし、名前の挙がったITリーダーは誰ひとりとして必要な政治経験を持っておらず、本格的候補というよりもキャンペーンの懐を潤すためだったのかもしれない。

そんな戦略の可能性は、6月20日付けでリークされた別のメールで、Cookがクリントンに個別対談を要求していることからも見てとれる。

「これについては慎重に進めるべきだと考えている。彼は好意的ではあるが経験はなく、あまり強く押さない方がよいと思う」と、クリントンの資金調達責任者、Lindsay Roitmanが別のスタッフで最高技術責任者のStephanie Hannon宛に書いている。

以前米国政府は、ロシアがWikileaksに協力して民主党全国委員会のメールをハックし、選挙に影響を与えようとしたと公に非難した。クリントン陣営は、Wikileaksが謀略に加担したことを非難し、トランプ陣営が事前にリークを知っていたことを示唆 した。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Facebookで大統領候補を支持できるようになった

http://www.blogtoscano.altervista.org/vot.jpg

今日(米国時間10/18)Facebookは、ユーザーが大統領候補を支持できる新機能を公開した。これでこの選挙に関する辛辣なコメントがますますニュースフィードに溢れることだろう。いいね。

やり方はこうだ。まず候補者のFacebookページへ行き ― そう、これにはジル・スタインやゲーリー・ジョンソン等の第三者候補たちも含まれている。誰も無視されていない ― 左カラムの “Endrorsements”[支持]をクリックし、応援する投稿をして支持を表明する。Facebookのヘルプセンターに支持の方法が詳しく説明[英語]されている。自分の支持内容は候補者ページの訪問者全員に公開することもできるし(もちろん、対立候補のページに落書きするためにこれを乱用する人などいない)、友達や家族だけに見せることもできる。

Facebookはこの機能を、州選挙や地方選挙等にも広げていく計画のようだ ― 同社によると、支持を受け付けるためには、Facebookページのカテゴリーを「政治家、政治家候補者、または政府関係者」に変更するだけでよい。

さらにFacebookは、候補者ページに「Issues[問題]」タブを追加し、今年Google検索が導入した、様々な問題に対する候補者の立場を検索結果のすぐ下に表示する機能に対応している。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

カリフォルニア州、ハンドルのない自動運転車に向けて法整備

shutterstock_430827625

真の「ドライバーレス」車のテストを可能にする法案の検討が、カリフォルニア州議会で進められている。

具体的には、米国時間8/29に改訂されたカリフォルニア州議会法案 1592が通ると、近々次のことが可能になる。

「運転席に運転手が座らず、ハンドル、ブレーキ、あるいはアクセルを装備していない自律走行車によるテスト走行」

このパイロットテストが許可されるためには、いくつか条件を満たしている必要がある。例えば、自動運転車はパイロットテスト中時速35マイル以上で走ることがてきない。また、走行できる場所は、「当局が指定する私有のビジネスパーク、および敷地内の公道」等に限定される。

Tesla、Apple、GoogleをはじめとするシリコンバレーのIT企業だけでなく、ライダー(*) を製造するQuanergyやVelodyneも次世代自動車業界のリーダーを目指して競っている。さらにはFordらの巨大自動車メーカーも、イノベーションハブをカリフォルニアに置いている。[訳注:LIDAR、レーザーを使ったレーダーの一種]

州が、地元で作った自動運転車を地元の道路でテストしやすくすることによって、企業は有利な規制環境を求めて、社員や研究開発チームや製造拠点を海外や他の州に必要がなくなる。

自動運転車を路上でテストするための法を整備した州や地域は、他にもネバダ、フロリダ、ミシガン、ハワイ、ワシントン、ワシントンDC、およびテネシーがある。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

政府全体のオープンソース化をねらうホワイトハウス(大統領府)が、ソースコード公開のための一般ポリシーを提案

white_house_dc

ホワイトハウスはかねてから、テクノロジーを利用して政府の機能を改善することに熱心だった(現在のその方面のリーダーはCIO(Chief Information Officer)のTony Scottだ)。彼らは、コード(コンピューターのプログラム)が政府諸機関の役に立ち、害をもたらさないことと、合衆国政府が民間企業と同じように効率的にテクノロジーを利用できることを、望んでいる。

3月に公開したブログ記事でホワイトハウスは、オープンソースソフトウェアの利点を政府も利用したい、という意思を表明し、そして今日は(米国時間8/8)、政府諸機関が自分たちでより効率的にコードを書けるための、一連のルールを定めたFederal Source Codeポリシーをリリースした。

そのポリシーの主な要件は、“連邦政府によって、または、〜のために独自に開発される”ソースコードはいずれも、すべての政府諸機関による共有と再利用が可能でなければならない、というものだ。たとえば、TSA(運輸保安局)は、FBIが独自に作らせたソフトウェアのソースコードに、アクセスできなければならない。

連邦政府の諸機関とそれらの部課などが必要とするアプリケーションは、重複している場合が非常に多いはずだから、このオープンソースポリシーがうまく機能すれば、相当大きな節約が実現するだろう。このポリシーにも、“国の資金を使って独自に開発されたコードの、政府全域にわたる再利用の権利を保証することは、アメリカの納税者に多くの利益をもたらす”、と書かれている。

しかしこれまでは、連邦政府の諸機関は情報を一般に公開しないことが建前だったから、ソースコードも通常のオープンソースの場合のように一般公開されないのではないか?

この問題に関しては、現時点では単純で一律的な答を出しにくいが、だからといって、政府がオープンソースへ向かわない、ということではない。このポリシーに基づいて行われるパイロット事業は、ある種の妥協点を模索しているようだ。連邦諸機関はカスタム開発したコードの少なくとも20%を、オープンソースとしてリリースしなければならない。これはあくまでも、このパイロット事業のルールだが、これにより実際に、費用削減と効率向上の効果が目に見え、実感できるようになることが、期待されている。

ポリシーの全文はここにある。これは Tony Scottが合衆国政府内の全省庁のトップに宛てて書いた長い々々メモだ。メモは、おもしろい読み物であると同時に、この新しいポリシーの技術的な側面についても検討している(たとえば、ある政府機関で、コードの20%を公開すると国のセキュリティにリスクを招くような場合は、どうすべきか?)。

またそれには、ホワイトハウスが数か月後にCode.govを立ち上げる、と書かれている。それは、政府諸機関が公開するコードのための、全域的なホームサイトだ。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

クリントン陣営ネットワークに不正侵入

hillary-clinton-shutterstock

ヒラリー・クリントンの選挙キャンペーンネットワークが、民主党の主要組織を標的とするハッカー集団に侵入されたことをReutersが伝えた

クリントン陣営の広報員、Nick Merrillは声明で侵入の事実を認めた。「本キャンペーンをはじめとするいくつかのサイトで使用している民主党全国委員会(DNC)管理下のデータ分析プログラムが、DNCハック攻撃中にアクセスされた。キャンペーンのコンピュータシステムは、現在外部のセキュリティー専門家のレビューを受けているところだ。これまでに内部のシステムが侵入された形跡はない」と広報員は言った。

この攻撃のわずか前に、DNCおよび民主党議会キャンペーン委員会(DCCC)も不正侵入された。1万9000人を越える委員のメールが全国委員会直前にWiliLeaksで公開され、大会に影を落とした。

セキュリティー専門家と米当局者の中には、今回の侵入をロシア諜報員の行為だと見る向きもあるが、メール漏洩の出所は明らかになっていない

Reutersによると、DCCCはサイバー攻撃対策のCrowdStrike社の協力を得て侵入事件を調査している。CrowdStrikeは先のDNC侵入の際も調査も担当した。

FBIはNew York Timesへの声明で、侵入の報道は認識しており、「現在事件の正確な状況と影響範囲を特定すべく努めている」と語り次のように付け加えた。

「サイバー脅威は日々進化しており、サイバー犯罪者はあらゆる分野のデータを標的にするにするようになった。FBIはいかなる不法侵入の疑惑にも真剣に取り組み、サイバースペースに脅威をもたらす者の責任を追求し続ける」

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

SMSを使った二要素認証を非推奨〜禁止へ、米国立技術規格研究所NISTの新ガイダンス案

nix-2fa

二要素認証(2-factor authentication, 2FA)は優れものだから、それを標準的機能として採用するサービスが増えている。しかし二要素認証のいちばん多い実装方法のひとつであるSMSを、NISTは除(の)け者にしようとしている。

NISTは計測や測定に関する全国共通のガイドラインや規則を作るお役所だが、当然ながらその関連技術分野は多く、セキュアな電子的通信に関連する技術にも、目を配っている。

このお役所が近く発表する二つの公式声明は、認証やセキュリティに関連するさまざまな推奨をアップデートし、またそれらのドキュメントを公開意見聴取(public preview)にさらす。つまり声明の内容は推奨の変更に関する公開草案だから、意見に対しては、NIST自身からの公式の応答を要する。

しかしNISTは、それがお役所仕事になるのを防ぐために、草案に対する意見やコメントを述べる新たな場としてGitHubを選んだ。それについて、“すでに関連コミュニティが集まってコラボレーションしている場にわれわれも参加することは、きわめて妥当である”、と説明している

ただしその公開意見聴取は、テキスト本体に質問や意見を書き込むという、ちょっとひどいやり方だ。すでに、“これじゃあ難しすぎるよ”、という内部者のコメントが記入されている。

いずれにしても、変更箇所はものすごく多い。でも、われわれ平均的アメリカ人にとっていちばん重要なのはたぶん、これからは“帯域外認証の手段(out of band authenticator, OOB)”としてSMSを使うな、というくだりだろう。2FAのための使い捨てコードの送付に、SMSを使うな、というのだ。

公共的移動(モバイル)電話ネットワーク上でSMSメッセージを使って帯域外確認を行うのなら、確認者は、その電話番号が実際にモバイルネットワークに結びついていること、VoIP(などのソフトウェアサービス)に結びついていないことを、確認しなければならない。それから確認者は、SMSメッセージをその既登録の電話番号へ送る。その既登録の電話番号の変更は、変更時に二要素認証を不能にしないかぎり、不可能である。そこで、SMSを用いるOOBを非推奨とする。またこのガイダンスの今後のリリースにおいては、不許可とする。

当面は、電話番号が仮想番号でないかぎり、SMSの利用は続けられるが、通信内容の露見や変造の危険性は、SMSの場合とても大きい。NISTは今は黙っているが、みんながコメントを書き込む期間が終われば、もっといろんなことを言うだろう。でも、上の太字の部分が明確に示しているように、SMSメッセージの利用は遠からず、“良からぬ行い”と見なされることになる。

代わりに、2FAの専用アプリケーション、Google AuthenticatorやRSA SecurIDなどを使うか、ドングルを使用するセキュリティサービスを利用するとよいだろう。SMSが使えなくなっても、代わりの選択肢はたくさんある。SMSは、簡単、だけがメリットだった。

NISTの変更提案の、そのほかの主なものは、以下のとおり:

  • LOAを構成部品のそれとする〔製品の全長とはしない〕
  • アイデンティティ証明を完全に改訂する
  • パスワードに関するガイダンスを完全に更新する
  • トークンなどセキュアでない認証手段を廃止する
  • フェデレーション〔複数サービス連合、≒SSO〕を要件とし推奨する
  • バイオメトリクスの適用対象を拡大
  • プライバシーの要件(作成中)
  • 有用性に関する検討事項(作成中)

さてみなさまは、ドキュメントそのものを見た方がよいかもしれない。リンクは序文の冒頭にある。コメントしたい人は、GitHubのイシュートラッカーを使おう。その詳細はここにある

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

テクノロジー世界がついに反Donald Trumpをカミングアウト、一部の大企業CEOは沈黙を守る

5001161361

予備選が行われているとき、テクノロジー産業のリーダーたちは、大統領選という話題と、そのもっともお騒がせな候補者Donald Trumpについて、比較的静観してきた。一部の投資家たちはTwitter上で彼を酷評し、また彼の選挙戦はシリコンバレーからごくわずかな寄付しか稼げなかった。しかし今や、多くのCEOたちがこの指名候補を公開書簡で糾弾している。

書簡はこう述べる:

“これまでの一年間Donald Trumpの言葉を聞いてきたわれわれは、次のように結論した: Trumpはイノベーションにとって災害である。彼のビジョンは、アイデアのオープンな交換や、人びとの自由な移動、そして、アメリカの経済にとってきわめて重要で、イノベーションと成長の基盤を提供する外部世界との、緊密な生産的関係に反している”。

書簡には、Slack, Twilio, Yelp, Reddit, Twitter, などなど多くの著名な企業の役員重役たちが署名している。

書簡は、彼の移民および自由でオープンなインターネットに対する姿勢を非難し、彼が提案する政策はテクノロジー産業に負の効果をもたらす、と述べている。書簡に名を連ねるCEOや投資家、政策アドバイザーたちのグループは、移民が起業家精神の原動力だ、と主張している。その主張によると、Fortune 500社の40%は移民や移民の子孫によって創業された。そこで書簡は言う:

アメリカの多様性がアメリカの強さだとわれわれは信ずる。

テクノロジー産業のリーダーたちは、インターネットを閉鎖せよというTrumpの意見にも噛み付いている。昨年秋の共和党のディベートでTrumpは、アメリカと戦争状態になった国にはインターネットアクセスを閉鎖することを検討する、と述べた。“われわれを殺し、われわれの国を殺そうとする人びとに、われわれのインターネットを使わせたくない”、とそのときTrumpは言った。書簡はこれに対して、それは“テクノロジーの実態に関するお粗末な判断と無知の両方を表している”、と反論し、検閲に対するTrumpの偏好の表れだ、とも述べている。

書簡には150名近くが署名しているが、Facebook, Apple, Googleなど大企業の社員の署名はきわめて少ない。GoogleのVint Cerfも署名者だが、彼は“インターネットの先駆的開拓者”、となっているだけで、Googleの社員にはなっていない。Trumpをおおっぴらに批判してきたAppleの協同ファウンダー、Steve Wozniakの名前もある。ただ一人の現在のFacebook社員、プロダクトデザイン担当VPのMargaret Stewartが署名しているが、Mark Zuckerbergの名は見当たらない。FacebookのF8カンファレンスで Zuckerbergは、この書簡と同様の主旨でTrumpをそれとなく批判したが、しかし彼自身も、Facebookが保守的メディアの投稿を検閲したとのクレームにさらされている。

GoogleとFacebookのリーダーがこの書簡に不在であることは、政治的イベントに対して中立的でありたいとする両社の欲求の結果だ。ZuckerbergのTrumpに対する不鮮明な批判にもかかわらず、Facebookは今なお、共和党と民主党両党の全国大会のスポンサーであり、GoogleにいたってはRNC(共和党全国委員会)にスポンサーとして寄付をしている

しかしZuckerbergやApple CEO Tim Cookの名が見られなくても、この書簡のサポーターたちの顔ぶれはなにしろすごいし、多様だ。MITの教授もいれば、FCCの元委員長もいるし、メジャーなCEOや投資家たちも並んでいる。コーディネートしたのはどうやらYelpのようで、書簡はYelpの公共ポリシー担当VP Luther LoweのMediumアカウント宛てになっており、CEO Jeremy Stoppelmanとエンジニアリング担当SVP Michael Stoppelmanの署名がある。今Yelpにコメントを求めているので、得られ次第この記事をアップデートしよう。

書簡には、シリコンバレーのもっとも先鋒的なHillary Clinton支持者たちの署名もある。JoyusのCEO Sukhinder Singh CassidyとHyperloop Oneの常勤会長Shervin Pishevarはそれぞれ、Clintonのための大規模な資金集めパーティーを主催し、書簡にも署名している。歯に衣着せぬClinton支持者で寄付者のChris Saccaも、やはり署名している。

ただし書簡はClintonをエンドースしているわけではなくて、もっぱら、大統領選候補者としてのTrump攻撃に徹している。

最後に再び、書簡から引用しよう:

われわれはDonald Trumpの、国を分裂させるような立候補姿勢に反対する。そして、アメリカのテクノロジー産業を築いてきた理念を前向きに理解する候補者を望む。その理念とは、表現の自由、新来者に対する開放的姿勢、機会の平等、研究とインフラストラクチャへの公共的投資、そして法の支配の尊重だ。われわれは、
差別のないより包括的な国を目指す楽観的なビジョンを歓迎する。そのような国でこそアメリカのイノベーションは継続的に機会を活性化し、繁栄とリーダーシップを維持し続けることができる”。

以下は、署名者の完全なリストだ:

Marvin Ammori, General Counsel, Hyperloop One
Adrian Aoun, Founder/CEO, Forward
Greg Badros, Founder, Prepared Mind Innovations; Former Engineering VP, Facebook
Clayton Banks, Co-Founder, Silicon Harlem
Phin Barnes, Partner, First Round Capital
Niti Bashambu, Chief Analytics Officer, IAC Applications
John Battelle, Founder/CEO, NewCo, Inc。
Ayah Bdeir, Founder/CEO, Little Bits
Piraye Beim, Founder/CEO, Celmatix
Marc Bodnick, Co-Founder, Elevation Partners
John Borthwick, Founder/CEO, Betaworks
Matt Brezina, Co-Founder, Sincerely and Xobni
Stacy Brown-Philpot, CEO, TaskRabbit
Brad Burnham, Managing Partner, Union Square Ventures
Stewart Butterfield, Co-Founder/CEO, Slack
Troy Carter, Founder/CEO, Atom Factory
Sukhinder Singh Cassidy, Founder/CEO, Joyus
Vint Cerf, Internet Pioneer
Amy Chang, Founder/CEO, Accompany
Aneesh Chopra, President, NavHealth; Former US CTO
Patrick Chung, General Partner, Xfund
Tod Cohen, General Counsel, StubHub
Stephen DeBerry, Founder/Managing Partner, Bronze Investments
Peter Diamandis, Entrepreneur; Author, Abundance and BOLD
Barry Diller, Chairman, Expedia and IAC
Esther Dyson, Executive Founder, Way to Wellville; Investor
Amy Errett, Founder/CEO, Madison Reed
Caterina Fake, Founder/CEO, Findery; Co-Founder, Flickr
Christopher Farmer, Founder/CEO, SignalFire
Brad Feld, Managing Director, Foundry Group; Co-Founder, Techstars
Josh Felser, Co-Founder, Freestyle Capital & ClimateX
Hajj Flemings, Founder/CEO, Brand Camp University
Natalie Foster, Co-Founder, Peers
David Grain, Founder/Managing Partner, Grain Management, LLC
Brad Hargreaves, Founder/CEO, Common
Donna Harris, Co-Founder/Co-CEO, 1776
Scott Heiferman, Co-Founder/CEO, Meetup
David Hornik, General Partner, August Capital
Terry Howerton, CEO, TechNexus
Reed Hundt, Former Chair, FCC
Minnie Ingersoll, COO, Shift Technologies
Sami Inkinen, Founder/CEO, Virta Health; Co-Founder, Trulia
Craig Isakow, Head of Revenue, Shift Technologies
Rev. Jesse L. Jackson Sr., President and Founder, Rainbow PUSH Coalition
Irwin Jacobs, Founding Chairman/CEO Emeritus, Qualcomm Inc
Paul Jacobs, Executive Chairman, Qualcomm Inc
Leila Janah, Founder/CEO, Sama & Laxmi
Sujay Jaswa, Former CFO, Dropbox; Founder, Witt Capital Partners
Mark Josephson, CEO, Bitly
Sep Kamvar, Professor, MIT
David Karp, Founder/CEO, Tumblr
Jed Katz, Managing Director, Javelin Venture Partners
Kim Keenan, President/CEO, Multicultural Media, Telecom & Internet Council
Ben Keighran, Entrepreneur; Former Design Lead, Apple
William Kennard, Former Chair, FCC
Vinod Khosla, Founder, Khosla Ventures; Co-Founder, SUN Microsystems
Ron Klain, Executive Vice President, Revolution LLC
Walter Kortschak, Former Managing Partner and Senior Advisor, Summit Partners
Jared Kopf, Founder AdRoll, HomeRun, Worldly
Joseph Kopser, Co-Founder, Ridescout
Karen Kornbluh, Former US Ambassador, OECD
Othman Laraki, Co-Founder/President, Color Genomics
Miles Lasater, Serial Entrepreneur
Jeff Lawson, CEO, Twilio
Aileen Lee, Founder/Managing Partner, Cowboy Ventures
Bobby Lent, Managing Partner, Hillsven Capital
Aaron Levie, Co-Founder/CEO, Box
John Lilly, Partner, Greylock Partners
Bruce Lincoln, Co-Founder, Silicon Harlem
Ruth Livier, President, Livier Productions, Inc。
Mark Lloyd, Professor of Communication, University of Southern California — Annenberg School
Luther Lowe, VP of Public Policy, Yelp
Nancy Lublin, Founder/CEO, Crisis Text Line
Kanyi Maqubela, Partner, Collaborative Fund
Jonathan Matus, Founder/CEO, Zendrive
Josh McFarland, Vice President of Product, Twitter
Andrew McLaughlin, Head of New Business, Medium; Venture Partner, betaworks
Shishir Mehrotra, Entrepreneur & former VP of Product & Engineering, YouTube
Apoorva Mehta, Founder/CEO, Instacart
Doug Merritt, CEO, Splunk
Dinesh Moorjani, Founder/CEO, Hatch Labs; Co-Founder, Tinder
Brit Morin, Founder/CEO, Brit + Co
Dave Morin, Entrepreneur; Partner, Slow Ventures
Dustin Moskovitz, Co-Founder, Asana; Co-Founder, Facebook
Amanda Moskowitz, Founder/CEO, Stacklist
Alex Nogales, President/CEO, National Hispanic Media Coalition
Alexis Ohanian, Co-Founder, Reddit
Mike Olson, Founder/Chairman/CSO, Cloudera
Pierre Omidyar, Founder, eBay
Felix W. Ortiz III, Founder/Chairman/CEO, Viridis; Board Member of The NYC Technology Development Corporation
Jen Pahlka, Founder/Executive Director, Code for America
Barney Pell, Founder Powerset, MoonExpress, Locomobi; Founding Trustee, Singularity University
Mark Pincus, Executive Chairman and Founder, Zynga
Shervin Pishevar, Co-Founder/Managing Director, Sherpa Capital and Co-Founder/Executive Chairman of Hyperloop One
Brandon Pollack, Director of Global Affairs, 1776
Amy Rao, Founder/CEO, Integrated Archive Systems, Inc。
Eric Ries, Entrepreneur & Author, The Lean Startup
Justin Rosenstein, Co-Founder, Asana
Alec Ross, Author, The Industries of the Future
Javier Saade, Venture Capitalist; Former Associate Administrator, SBA
Chris Sacca, Founder/Chairman, Lowercase Capital
Dave Samuel, Co-Founder, Freestyle Capital
Julie Samuels, Executive Director, Tech:NYC
Reshma Saujani, Founder, Girls Who Code
Chris Schroeder, Venture Investor; Author, Startup Rising
Jake Schwartz, Co-Founder/CEO, General Assembly
Robert Scoble, Entrepreneur in Residence and Futurist, Upload VR
Kim Malone Scott, CEO, Candor, Inc; Former Director, Google
Tina Sharkey, Partner, Sherpa Foundry & Sherpa Capital
Clara Shih, Co-Founder/CEO, Hearsay Social
Shivani Siroya, Founder/CEO, InVenture
Steve Smith, Executive Director, Public Policy Institute, Government Relations & Telecommunications Project, Rainbow PUSH Coalition
Jonathan Spalter, Chair, Mobile Future
DeShuna Spencer, CEO, kweliTV
Katie Stanton, CMO, Color Genomics; Former VP of Global Media, Twitter
Jenny Stefanotti, Co-Founder, OneProject; Board of Directors, Ushahidi
Debby Sterling, Founder/CEO, Goldiblox
Seth Sternberg, Co-Founder/CEO, Honor
Margaret Stewart, Vice President of Product Design, Facebook
Jeremy Stoppelman, CEO, Yelp
Michael Stoppelman, SVP, Engineering, Yelp
Baratunde Thurston, Former supervising producer, The Daily Show with Trevor Noah; Co-Founder, Cultivated Wit
Stephanie Tilenius, Founder/CEO, Vida Health; Board of Directors, Seagate Technology
Richard D. Titus, Entrepreneur; SVP, Samsung
Anne Toth, VP of Policy & Compliance, Slack
Bill Trenchard, Partner, First Round Capital
April Underwood, VP of Product, Slack
Max Ventilla, Founder/CEO, AltSchool
Tabreez Verjee, Co-Founder/Partner Uprising; Board Director Kiva.org
Jimmy Wales, Founder of Wikipedia
Hunter Walk, Partner, Homebrew VC; Former Director of Product Management, Google
Tristan Walker, Founder/CEO, Walker & Company Brands, Inc.; Founder/Chairman, Code 2040
Ari Wallach, CEO, Synthesis Corp。
Padmasree Warrior, CEO, NextEV USA; Former CTSO, Cisco
Laura Weidman Powers, Co-Founder/CEO, Code2040
Kevin Weil, Head of Product, Instagram
Phil Weiser, Hatfield Professor of Law, University of Colorado and Executive Director of the Silicon Flatirons Center
Daniel J. Weitzner, Principal Research Scientist, Computer Science and Artificial Intelligence Lab, Massachusetts Institute of Technology
Emily White, Entrepreneur; Former COO, Snapchat
Ev Williams, Founder/CEO, Medium; Co-Founder Twitter, Blogger
Monique Woodward, Venture Partner, 500 Startups
Steve Wozniak, Co-Founder, Apple
Tim Wu, Professor of Law, Columbia University
Andrew Yang, Founder/CEO, Venture for America
Arielle Zuckerberg, Partner, Kleiner Perkins Caufield & Byers

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Trumpがダヴィデの星騒動でメディアを“いかさま”と決めつける

5001161361

読者のみなさん、独立記念日、おめでとう。今日は全アメリカ人が、ホットドッグとポテトサラダと花火で、Brexitの元祖を祝うのであります。

今年のアメリカ人は、みなさんご存知のように、とっても奇妙な大統領選を経験している最中(さなか)でもある。そして共和党の指名候補Donald J. TrumpがまたまたTwitterを利用して、自分は人種差別主義者(今回は“反ユダヤ主義者”)ではない、と説明した。

[いかさまメディアが私がツイートの中で使った星を保安官のバッジの星でもただの星でもなくダヴィデの星だと決めつけようとしている。]

いかさまって、今回は自分のことじゃなくて、メディアのことかしら。さあ、どっちでしょう。下図がその最初のツイートだけど、Trumpがあとで自分で削除した:

zwfsxs559qbqbrurczraxwx4r1nl4ipdttf9i5tgmwvsa8n5raqfhtotdom7bxbi

ご覧のように、Hillary Clintonの隣にダヴィデの星があって、そこに大きく、“これまででもっとも腐敗した候補者”と書かれている。

この六芒星の形はイスラエルとユダヤ教のシンボルで、ヒトラーはユダヤ人にそれを、ユダヤ人だと分かるよう身に着ける(服に縫い付ける)ことを強制した。トランプはその画像を保安官のバッジだと言っているが、それはおかしい。Micが最初に指摘したように、Trumpのツイートにある画像は、その名を挙げるのもかったるいが、白人至上主義者たちがよく訪れるメッセージボードに載ったものだ。〔白人至上主義者はほぼイコール、反ユダヤ主義者〕

たしかに、保安官のバッジにも六芒星形はある(下図)。でも保安官のバッジは、六芒でも五芒でも、突起の先端に円がある:

14412-Sheriff-Star-Badge-large

5222251419_af18f60f2f_z

 

Trumpがその後置き換えたツイートでは、ダヴィデの星が円に代わっている。

[不正直なヒラリー…歴史に名を残す!]

でも、あのね。彼の言う“いかさまメディア”の一員である私たちは、彼のプラン:”Make America great hate again”を破壊したいだけなのよ。〔Make great…偉大にする、Make hate…(人を)憎ませる〕

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Hillary Clintonがテクノロジー政策の基本方針を発表…教育の重要性を強調

U.S. Democratic presidential candidate Hillary Clinton speaks at Galvanize, a learning community for technology, in Denver, U.S. June 28, 2016. REUTERS/Rick Wilking

接続性*と教育と起業精神、これらが、今日(米国時間6/28)デンバーのスタートアップインキュベーターで披露されたHillary Clintonのテクノロジープラットホーム(technology platform, テクノロジー政策綱領)の原則だ。〔*: connectivity, インターネットの日常利用〕

テクノロジーに関する重要な発表をシリコンバレーの外であえて行うねらいは、テクノロジー産業の成長を国の特定地域に限定せず全国的な展開へと民主化したい、という目的のためだ。

発表の中でClintonはこう述べた: “政策おたくと呼ばれてもいいし、こんな話は退屈かもしれない。しかし未来の経済を築いていくために重要なのは、私たちが実際に何をどうやるかだ”。

Clintonのテクノロジープラットホームは5つの分野に力を入れる:

・教育と研究開発への投資によりテクノロジー産業を拡大
・インフラストラクチャと接続性を全国的にアップグレード
・テクノロジー関連の問題や課題で諸外国との関係を改善
・著作権とネット中立性関連の法整備及び暗号化の研究
・政府データの一般公開

アメリカを再び偉大にしたいと言うことの真意は昔に戻りたいということだ。
— Hillary Clinton

予想されたように、Clintonのプランにはサイバーセキュリティに関する”マンハッタン計画“が含まれている。Clintonは、テクノロジーの関心と、法執行機関をも含むプライバシー勢力とのあいだのバランスを確立するために、全国委員会を作る、という。この民主党指名候補は昨年12月のディベートのときに、そのような委員会の創設に言及した。

そのとき彼女はこう言った: “テクコミュニティが持つ並外れた能力と、法執行機関からのもっともなニーズや疑問を対比すると、マンハッタン計画クラスのプロジェクトが必要ではないか、と思う。そこでは政府とテクコミュニティが敵対せず一体となり、互いにパートナーとして振る舞わなければならない”。〔マンハッタン計画は国と産業界と学術分野が一体となった国家的プロジェクトの例として、言及される。〕

またClintonのプラットホームは、最近FCCが制定してBarack Obama大統領が支持した、ネット中立性規則の支持を継続する。

Clintonは共和党の対立候補Donald Trumpの名前こそ挙げなかったが、彼に有意義なテクノロジー政策がないことを、ちょいとつつきたい、という誘惑には勝てなかったようだ:

“私はアメリカに、未来の仕事を取り戻してほしい。アメリカを再び偉大にしたい*と言うことの真意は昔に戻りたいということだ。それは、われわれアメリカ人が求めることではない。私たちは後戻りはしない。私たちは、前進しなければならない。知性と真の目的意識を持って、前進しなければならない”。

Clintonは彼女のテクノロジープラットホームの中でもとくに、教育と接続性を強調し、アメリカのすべての家庭と企業に高速インターネットを、と呼びかけた。Clintonが主張する高速な接続性の実現日限は2020年の前半だ。“一年を浪費するたびに、置いてきぼりにされる人びとが増えるのだ”、とClintonは述べる。

この元国務長官は、STEM教育をすべての高校で必須にすると主張し、また、若い起業家には奨学金債務の返済条件を緩和する、と語った。

リビアのBenghaziでアメリカ大使館員らが殺害された事件の調査報告書が今朝公表されたが、それに関する質問には、調査は何も新しい情報をもたらしていない、(この件を後にして)“先へ進むべきときだ”、とClintonは答えた。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

ザッカーバーグ曰く:議会の座り込みライブ中継にはFacebook Liveも使われている

capitol

民主党が銃規制を求めて抗議する中、共和党が休会を宣言すると議場のカメラは停止した ― そしてスマートフォンカメラのスイッチが入った。座り込みの様子を映し出すPeriscopeの動画は、ネットユーザーの心を捉え、ライブストリーミングアプリは自由のために必要であると声を上げさせた。Mark Zuckerbergはしかし、Facebook Liveを使っている人たちもいる、と言いたいようだ。

「19人の議員が、Facebook Liveを使って、自分の仕事を直接市民に伝えた」と、Zuckerbergは今日(米国時間6/23)の公開記事に書いた。「東海岸時刻午前10時現在、彼らのライブ動画は300万回以上再生されている ― その後も増え続けている」

waslive

300万人はもちろん大した数だが、Periscopeの方がずっと多いに違いない(Twitterはまだ数字を公開していないが、近々出てくると思われる) ― ライブ中継は、テクノロジー好きでストリーミングそのものに興味のある人々の偏狭な世界から、外へ飛び出しつつある。CNNをはじめとする主要ネットワークがリンクを掲載したとき、数百万の人々が見たに違いない。全国放送テレビで見た人も数えるなら、Periscopeで最もよく見られたストリームの一つであることは間違いない。

Facebookの数字は決して軽視すべきものではないが、Periscopeモデルの方がFacebook Liveより、自然発生的でバイラルになりやすいと言えるだろう。19人の議員のうち何人が、Liveの設定をインターンに助けてもらわなければならなかったのだろうか。
第2の疑問:Facebookはいつ、ライブストリーミング用に(また)専用アプリを作るか、既存アプリに専用機能を追加するのだろうか?今が主要ニュースサイトの一面を自社製品で独占するチャンスだとすれば、Live開発チームは今から徹夜し始めるに違いない。

私がこれを書いているたった今、FacebookはLiveの新機能を発表した ― ただし合理化のためではない。待合室が出来たようだ。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

ニューヨーク州上院、反Airbnb法案を通過

brian-chesky-airbnb-6-of-6

ニューヨーク州上院は、Airbnbで住居全体の短期滞在(30日以内)レンタルを宣伝することを違法とする法案を通過させた。同法案は本日(米国時間6/17)、州下院議会から上院へ提出された。次の段階は、ニューヨーク州知事、アンドリュー・クオモ氏が署名するか拒否権を行使するかのいずれかだ。

法案は、ニューヨーク市の集合住宅法に違反する、短期滞在レンタルの広告をAirbnbに掲載することを違法とするもので、同法はアパートを購入して違法にホテル経営を行う家主を対象に2010年に発効した。もし法案が通れば、ニューヨークで30日以内の滞在をAirbnbに掲載した者は、最初の違反で1000ドル、3回目には最高7500ドルの罰金が科せられる。

「議会が、3万人のニューヨーカーを破産の危機に陥れる土壇場の取引きをホテル業界と行ったことは、残念ではあるが驚きではない」とAirbnbのニューヨーク公共ポリシー責任者、Josh MeltzerがTechCrunchへの声明で言った。「はっきりいって、これは何千ものニューヨーカーの支払いを困難にする悪しき法案だ。世界で何十もの政府が、ホームシェアリング(民泊)を規制する賢明な方法を示しており、ニューヨークもそれに倣って、中産階級を保護することを願っている」。

もしこの法案が法制化されれば、最大3万1000人のニューヨーク市民が立ち退きまたは差し押さえの危機に陥る、とAirbnbの調査結果が伝えている。法案はAirbnbのニューヨークでのビジネスにとっても痛手だ。なぜならニューヨークで掲載されている物件の半数以上は、家またはアパートの住居全体をレンタルしているからだ。2015年のAirbnb提供のデータによる。

それでもAirbnbはこの件について、IT業界からかなりの支持を受けているようで、著名なベンチャーキャピタリストのFred WilsonからInternet Associationまで、多くの人々がAirbnbに代わって声を上げている。

[NYの経済にとってITは重要な部分なのに、議会はそれを無視して、ひどい反テック法案を通した ― Fred Wilson]

[ITはニューヨーク経済の未来だ、それなのにNY議会はひどい反テック法案で台無しにしようとしている ― アシュトン・カッチャー]

[両方は無理。スタートアップハブを作って、現行法でスタートアップを禁止するなど無理だ ― Paul Graham]

もしあなたがニューヨークに住んでいて、法案に賛成または反対したければ、ここで行動を起こせる

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

ダイバーシティ指向で知られるIntelのCEOがTrump候補の資金調達イベントをキャンセル

11990113216_5d0da737a9_h

【抄訳】
IntelのCEO Brian Krzanichは、テクノロジー業界におけるダイバーシティの拡大努力で広く知られている。彼は今週、自分の故郷で、共和党の大統領候補Donald Trumpのための資金集め行事を主催することを計画したが、その行事に関するNew York Times紙からの質問にIntelのスポークスパーソンが対応して以来、イベントを中止した。

そのNew York Timesによると、Intelのスポークスパーソンは、その資金調達行事には“忌憚のない意見交換”も含まれる、と述べた。Intelは行事中止の理由を明らかにせず、Trumpは、その晩はサンノゼで集会を行う、と発表した。

メキシコ人移民を“強姦者”と呼んだことで知られ、今週はTrump Universityに対する訴訟を担当する判事の人種について憶測を述べた、Trumpのための財政的支援は、Krzanichのダイバーシティ活動と調和しないように思われる。KrzanichはIntelにおけるダイバーシティの拡大のために巨額を投じ、ダイバーシティ関連の取り組みにこれまで3億ドルを費消している。また、Rev. Jesse Jackson(ジェシー・ジャクソン牧師)のPUSHTech 2020イニシアチブに、協力している。

しかしIntelの政治家や政党への寄付を詳しく見ると、同社は予想以上に右寄りである。社員たちの会費で成り立っているIntelの政治活動委員会(PAC)は、同社の企業責任年次報告書によると、2015年には政治家たちに78万1784ドルを寄付している。その55%が共和党の議員と彼らの政治団体へ行き、残りが民主党のリーダーたちへ行っている。

【中略】
[寄付のさらに詳しい内訳]

Krzanich自身は政治家や候補者などに、常習的に寄付をする方ではないから、Trumpのための資金調達イベントを自らの意志でホストするという一件は、より一層目立ってしまう。Center for Responsive Politicsのデータによると、2009年にKrzanichは、民主党のWyden上院議員のキャンペーンに1500ドルを寄付している。Wydenはテクノロジー擁護派の議員として知られており、暗号化の強化を支持している。

Intelは2015年の企業責任報告書で、次のように述べている: “株主たちや利害共有者たちの全員が、政治家や業界団体の支持するすべての問題について考えを一にすることはありえない。そういう場合には会社としての意思決定を、株主たちおよび主要な株主たちの利益が最大になるような方向で行う。候補者の履歴と弊社自身のポリシーに重大な不調和がある場合には、弊社の政治的説明責任開示プロセスの一環として、その情報を開示する”。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Y Combinatorがオークランドでベーシックインカムの検証実験を計画中

2261000764_f2ca9a4b91_b

Y Combinatorは本日、カルフォルニア州オークランドで初のベーシックインカムの検証を行うと発表した。このスタートアップ・アクセラレーターは昨年秋からベーシックインカムのコンセプトについて調査を行っていて、近いうちに給与を支払うようになるという。

Y Combinatorは当初、所定のグループに対してベーシックインカムを5年間支払い、その効果を研究すると言っていたが、そこから方針を変えた。まずは短期的な研究をオークランドで開始するという。Y Combinatorはブログ記事に「目標は、ベーシックインカムの手法について検証し、さらに長期の研究に備えることです。例えば、どのように給与を支払うか、データを集めるか、ランダムなサンプルを抽出するかなどです」。パイロット検証での結果によっては、Y Combinatorは継続して長期的な研究を行う考えだ。

全員に一定の金銭的な支援を保証するというベーシックインカムのコンセプトは、ここのところ注目を集めてきた。数日後には、スイスでベーシックインカムに関する国民投票が行われる。テクノロジー業界の大物もベーシックインカムを支持している。Y Combinatorの会長であるSam Altmanは、テクノロジーが仕事を奪うほど、ユニバーサル・ベーシックインカムの必要性が高まると主張している。

「テクノロジーが仕事を消し去る時代が来るということは、十分な人生を送るために必要なコストが大幅に下がるということです」とAltmanは ツイートしている。「そして、私は未来の仕事環境にスムーズに移行するためにはベーシックインカムのようなクッションが必要だと考えています」。

しかし、ベーシックインカムのコンセプトに反対する人もいる。一番大きな課題は、どこからそのお金を支出するかだ。Y Combinatorには裕福な投資家陣がいるため、ベーシックインカムの資金源について思い悩む必要はないかもしれないが、政府にとってこの資金源は問題だ。政府の予算優先政策センター(CBPP)は、政府がベーシックインカムの財源を担うことは、貧困層を支援する政策の財源を削減することになり、貧困率を高め、資金は中流階級や上流階級に回ることになると主張している。

「例えば、UBI(ユニバーサル・ベーシックインカム)で全員に毎年1万ドルを支給したとします」とCBPPのRobert Greensteinは今日、書いている。「それで年間3兆ドル以上のコストがかかります。10年で30兆から40兆ドルかかるのです」。スイス政府もコストを指摘し、投票者にベーシックインカムの否決を促している。

しかしY Combinatorは、このパイロット検証を将来のベーシックインカムの設計する方法として捉え、政府の財源からの支出が正しいアプローチとは限らないという。オークランドでの研究は、ミシガン大学で博士号を取得したElizabeth Rhodesが率いる。

「私たちのパイロット検証では、収入は無条件で提供します。検証期間中、いかなる状況でもベーシックインカムを提供し続けます。参加者はボランティア活動をしてもいいですし、仕事をしてもしなくてもいいのです。海外に引っ越しても構いません。なんでもできます。私たちはベーシックインカムが自由な行動を推奨することに期待し、この研究では人がその自由をどのように体験するかを知りたいと思います」とAltmanは言う。

Y Combinatorはすでにオークランドの役人やコミュニティーグループと協力してパイロット検証の計画を立てているが、まだ正式なローンチ日は決まっていない。

[原文へ]

(翻訳:Nozomi Okuma /Website/ twitter