インドのEC大手Flipkartがオンライン旅行会社のCleartripを買収へ

インドのeコマース大手Flipkart(フリップカート)は現地時間4月15日、旅行・宿泊予約サイトのCleartrip(クリアトリップ)の買収で合意したことを発表した。Walmart(ウォルマート)傘下のeコマース会社は、世界で2番目に大きいインターネット市場での存在を拡大しようとしている。

この契約で、設立14年で買収前に約7400万ドル(約80億6000万円)調達していたCleartripの評価額が約4000万ドル(約43億5000万円)だったと本件に詳しい情報筋がTechCrunchに話した。この破格な売値は、他の多くの旅行業者同様、世界的パンデミックによる人々の旅行意欲の激減によってCleartripが多大な影響を受けたためだ。

インドの報道機関MoneyControlは、両社が2021年3月からこの交渉を進めていたことを報じている

CleartripはFlipkartに4000万ドルで売られる前に約7400万ドルを調達した(データ出典:Tracxn)

CleartripはインドにおけるAmazon(アマゾン)のパートナーでもあり、米eコマースグループのチケット予約機能を担っている。この2社は2019年に契約を結んだ。TechCrunchは今週Amazonに、パートナー企業がFlipkartと買収交渉していることについて、知っていたのか、不満はないのか尋ねた。現在インドの疎遠なパートナーであるFuture GroupのReliance Retailへの身売りを阻止する法廷闘争中の同社からは、返答がなかった。


今後もCleartripは独立ブランドとして運営を続け、全従業員の雇用も維持しつつ、Flipkartと密接に協力して「顧客が簡単に旅行できるテクノロジー・ソリューションを開発」していく。

Flipkartは1年以上前から、マーケットプレイスに航空券購入機能を導入する準備をしていると噂されていた。

関連記事:Amazonに大打撃を与えるインドRelianceによるFutureの資産買収を同国証券取引所が承認

「Flipkart Groupはデジタルコマースを通じて顧客体験を変えていくことを約束します。Cleartripは多くのお客様にとって旅行の代名詞であり、当社が多様化して新しい分野での成長を目指す中で、この投資は当社のお客様に向けた多様なサービスをさらに強化するものです。Flipkart Groupは業界の深い知識と技術力をもつCleartripチームを歓迎し、一致協力してお客様にいっそう意味のある価値と旅行体験を届けることを楽しみにしています」とFlipkart GroupのCEOであるKalyan Krishnamurthy(カリアン・クリシュナムルシー)氏が声明で述べた。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Flipkartインド買収旅行Amazon

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(文:Manish Singh、翻訳:Nob Takahashi / facebook

CADと3DモデリングツールのAutodeskがクラウドベースの製品ライフサイクル管理Upchainを買収

CADと3Dモデリングツールで知られる上場ソフトウェア企業Autodesk(オートデスク)は米国時間4月15日、クラウドベースの製品ライフサイクル管理(PLM)サービスを提供しているトロント拠点のスタートアップUpchain(アップチェーン)を買収したと発表した。買収価格は明らかにしなかった。両社は2021年7月31日までの取引完了を見込んでいる。

Crunchbaseによると、Upchainは2015年の立ち上げ以来、740万ドル(約8億円)を調達した。同社のサービスは、事業者が新プロダクトの立ち上げから生産、サプライチェーンとの協業へと展開するのをサポートするための既存のライフサイクル管理のソリューションは使いづらく、規模の大きな多国籍企業向け、という考えに基づいている。Upchainのターゲットは中小企業で、他のソリューションよりも安価で使いやすいと約束している。顧客ベースは繊維やアパレルから自動車、航空宇宙、産業機械、輸送、エンターテインメントに至るまで、さまざまな産業にわたっている。

「Upchainの唯一のフォーカスは、すべての製品ライフサイクルのクラウドコラボをレベルアップし、みんなが必要なときに必要なデータにアクセスできるよう、人々の働き方を変えることです」とUpchainのCEOで創業者のJohn Laslavic(ジョン・ラスラヴィッチ)氏は発表文で述べた。「Autodeskは、全バリューチェーンのエンジニアとメーカーがいかにコラボし、最高品質の製品をマーケットにすばやく持ってくるかを大胆にシンプル化するという我々のビジョンを共有しています。UpchainとAutodeskが今後、どのようにしてともにそのビジョンを次のレベルにもっていくか、楽しみにしています」。

Autodeskにとって2017年以来、今回は15件目の買収だ。2021年初めのオレゴン州ポートランド拠点のInnovyzeの買収はAutodeskの初の10億ドル(約1086億円)買収だった。創業35年のInnovyzeは水管理産業向けのモデリングとライフサイクル管理を専門としている。

「新プロダクト開発の複雑さが増すばかりの状況に直面している製造業者にとって、レジリエンスとコラボレーションほど重要なものはありません。当社は最も強固なエンド・ツー・エンドのデザインと製造プラットフォームをクラウドで提供することで、そうしたニーズに対応します」とAutodeskの会長兼CEOのAndrew Anagnost(アンドリュー・アナグノスト)氏は述べた。「データとプロセスの集合は産業を一変させています。Upchainを当社の既存の商品に取り込むことで、Autodeskの顧客は何の妨げなくデータを簡単に動かすことができ、斬新なアイデアやビジネスサクセスにつながる価値ある洞察を解き放つよう力を与えられます」。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Autodesk買収

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Nariko Mizoguchi

1Passwordが企業秘密管理のSecretHubを買収、法人向け総合サービス展開へ

LastPassBitWardenと競合するパスワード管理サービスの1Passwordは米国時間4月13日、パスワード管理を超えてインフラ秘密管理の分野に参入すると発表した。このために1Passwordは秘密管理サービスのSecretHubを買収し、新たに1Password Secrets Automationサービスを立ち上げる。

1Passwordは買収価格を明らかにしなかった。CrunchBaseによると、オランダ拠点のSecretHubは今日まで機関投資家から資金を調達したことはない。

1Passwordのような会社にとって、企業のクレデンシャルやAPIトークン、個人ユーザーの鍵や認証、複雑になるばかりのインフラサービスなどを管理する法人向けの分野に進出するのは自然な流れのようだ。1Passwordと新たなSecrets Automationサービスの組み合わせにより、企業は従業員のパスワード管理からインフラの秘密の扱いまでをカバーする1つのツールを使うことができる。1Passwordは現在、世界で8万超の企業に使用されていて、こうした企業の多くはSecrets Automationサービスの潜在的なユーザーでもある。

「企業はインフラの秘密を、従業員のパスワード以上でなくてもそれと同じくらい守る必要があります」と1PasswordのCEOであるJeff Shiner(ジェフ・シナー)氏は述べた。「1PasswordとSecrets Automationで、事業の秘密を守り、管理し、統合する信頼できる唯一の情報源となります。当社は人と機械の秘密の両方を意義深い、そして使いやすい方法で扱う初の企業です」。

買収と新たなサービスに加え、1PasswordはGitHubとの提携も発表した。「クロスプラットフォームのソリューションはデベロッパーやセキュリティチームの負担を軽くすることから、当社は1Passwordと提携します」とGitHubのエンジニアリング・開発担当の副社長、Dana Lawson(ダナ・ローソン)氏は述べた。GitHubは世界で最大かつ最も高度な開発プラットフォームだ。「GitHubと1Password Secrets Automationの統合で、チームはインフラの秘密を完全に自動化し、そうした秘密は安全に守られているという安心感を得られます」と同氏は話した。

カテゴリー:セキュリティ
タグ:1Password買収

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Nariko Mizoguchi

マイクロソフトが2.16兆円もの巨額でNuanceを買収し医療分野に邁進

Microsoft(マイクロソフト)が米国時間4月12日朝、Nuance Communications(ニュアンス・コミュニケーションズ)を197億ドル(約2兆1600億円)で買収したとの知らせを受け、朝っぱらからこんな数字を見せられて思わず二度見してしまったとしても無理なからぬことだ。

ランレート140億ドル(約1500億円)の企業にしては、たしかに巨額ではあるが、すでにここ数年間、いくつもの製品で音声文字起こし市場のリーダーである同社と提携関係にあったMicrosoftは、Nuanceが医療分野にしっかり根を張っていることを見極め、大きく出ることを決意した。

たしかに、Microsoftほどの大企業であっても、200億ドル(約2兆1950億円)は大きい数字だ。しかし2020年、レストランから小売店から病院に至るまで、ビジネスのやり方を真剣に考え直すことが強いられた。中でも実際、パンデミックによって我々の医療機関の利用方法は大きく変わった。早々に気づいたのは、わざわざ病院までクルマを走らせ、待合室で待って、診察室に呼ばれ、結局数分間の診察で終わり、なんていう行動は不要だったということだ。

オンラインで接続して、ささっとチャットをすればすべて済む。もちろん、それでは済まない症状もある。医師の診断を直接受けなければならない状況は常に存在するわけだが、検査結果や会話療法などは遠隔で十分だ。

MicrosoftのCEOであるSatya Nadella(サティア・ナデラ)氏は、Nuanceはこの変化の、特にクラウドと人工知能の活用法の中心にあり、だからこそ、大枚を叩いてこの企業を買収したのだと話している。

「AIは、非常に重要な最優先技術であり、その活用を最も緊急に必要としているのが医療です。私たちは力を合わせ、このパートナーエコシステムを活かし、Microsoft Cloud in Healthcare(医療用クラウド)とNuanceの成長を加速させつつ、あらゆる場所の医療専門家が、よりよい意志決定ができるよう、またより有意義なつながりが構築されるよう、高度なAIソリューションを提供していきます」とナディア氏は、今回の契約発表の記事の中で述べている。

Constellation Research(コンステレーション・リサーチ)のアナリストHolger Mueller(ホルガー・ミュラー)氏は、そうかもしれないが、Cortana(コルタナ)のチャンスを逸してしまったMicrosoftは、その極めて重要なテクノロジーに追いつくための一助にこれを利用しようと考えていると話す。「NuanceはMicrosoftに、ニューラルネットワークによる音声認識のための技術的なテコ入れを行うだけでなく、垂直機能、コールセンター機能、音声に関するMSFTのIPポジションを大幅に改善させます」と彼はいう。

Microsoftは今回の提携により、すでに5000億ドル(約54兆7800億円)に達しようという途方もないTAM(獲得可能な最大市場規模)が確実になると見ている。TAMは大きめに出る傾向があるとは言え、それでも相当な数字だ。

これはGartner(ガートナー)のデータとも一致する。同社は2022年までに、医療機関の75パーセントが公式なクラウド戦略を持つようになると予測している。AIが加わればその数字はさらに増えることになり、Nuanceは現在の1万件の顧客をMicrosoftにもたらす。その中には世界最大級の医療機関も含まれている。

CRM Essentials(CRMエッセンシャルズ)の創設者で主任アナリストのBrent Leary(ブレント・リアリー)氏は、この提携により、Microsoftには大量の医療データが提供され、それが同社の根底をなす機械学習モデルにフィードされ、やがてその精度を高めていく可能性があると語っている。

「遠隔医療のやりとりで、大量の医療データが収集可能となり、それがまったく新しいレベルの医療情報を生み出すことになります」とリアリー氏は私に話した。

医療データが関係するところでは、当然、プライバシーの問題が多発するだろう。極めてプライベートな医療データをしっかり守ると世間に確約するのは、2021年3月、Exchange(エクスチェンジ)メールサーバーでの大量のデータ流出を起こしたMicrosoftの責任にかかってくる。

関連記事:ハッカーたちが脆弱なExchangeサーバーを悪用してランサムウェアをばらまいている

今回の提携の成功を決める鍵は、データのプライバシー保護が握っているとリアリー氏はいう。「この動きのポテンシャルは極めて高いのですが、そこからもたらされるデータや知見が安全に保護されて初めて成功します。ハッカーだけではなく、非倫理的な利用からも守らなければなりません。そのどちらにも、ゲームチェンジにつながる可能性のあるこの動きを脱線させてしまう恐れがあります」と彼は話す。

Microsoftも「NuanceとMicrosoftは、パートナーエコシステムを拡大させるという両社の以前からの約束とデータのプライバシー、セキュリティ、コンプライアンスに関する最高水準の基準をさらに深めます」と書いている時点で、それは認識しているようだ。

Forrester Research(フォレスター・リサーチ)のKate Leggett(ケイト・レゲット)氏は、医療は第一歩に過ぎず、Nuanceがひとたびそこに足場を作れば、さらに奥深くに進んで行く可能性があると考えている。

「しかし、今回の買収による恩恵は医療にとどまりません。Nuanceも、深い専門性に支えられ、金融サービスなどの垂直部門にフォーカスした、市場をリードする顧客エンゲージメント技術を提供します。MSFTが業務用から他の垂直市場に移行するにつれ、他の業界に恩恵をもたらすようになります。MSFTが業務用はまた、Dynamics(ダイナミクス)ソリューションとNuanceの顧客エンゲージメント技術との隙間を埋める方向に進むでしょう」とレゲット氏はいう。

今後の医療機関の診療のかたちがどう変化するか、私たちはまさにその潮の変わり目に立ち会っている。2020年、新型コロナウイルスによって医療はデジタル世界に大きく踏み込むこととなった。それは、1つの簡単な理由から起きた。本当に必要でない限り、病院へ行くのは危ないという考えだ。

Nuanceの買収は、2021年後半に完了するものと見られるが、これによりMicrosoftの医療市場への参入が大きく進むことになる。Teams(ティームズ)も面接ツールとして導入される可能性があるが、それはこのアプローチを人々がどれほど信頼するかにかかっている。そしてそれは、Microsoftが医療提供者とその利用者の両方からの信頼をいかに獲得するかにかかっている。

関連記事:マイクロソフトが過去2番目規模で文字起こし大手Nuance Communications買収、ヘルスケア分野のクラウドを強化

カテゴリー:ヘルステック
タグ:MicrosoftNuance Communications買収文字起こし医療遠隔医療

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(文:Ron Miller、翻訳:金井哲夫)

マイクロソフトが過去2番目規模で文字起こし大手Nuance Communications買収、ヘルスケア分野のクラウドを強化

Microsoft(マイクロソフト)は米国4月12日、文字起こしソフト大手Nuance Communications(ニュアンス・コミュニケーションズ)を197億ドル(約2兆1500億円)で買収すると発表した。両社が交渉中だとBloombergが週末に報じていた

取引を発表した投稿の中で、Microsoftはこの買収によりNuanceが近年業績を上げているあげているヘルスケア分野で存在感を高める、と述べている。実際、Microsoftはヘルスケア分野のクラウド事業を2020年発表しており、今回の買収で加速させる。この分野におけるNuanceのプロダクトにはDragon Ambient eXperience、Dragon Medical One、放射線レポート用のPowerScribe Oneなどがある。

「本日の買収の発表はMicrosoftの特定産業のクラウド戦略における最新のステップです」と同社は述べている。買収はまた、ここ数年の両社の統合と提携の結果でもある。

ウェブサイトにある情報によると、Nuanceは1万ものヘルスケアの顧客を抱えている。いくつか挙げると、AthenaHealth、Johns Hopkins、Mass General Brigham、Cleveland Clinicなどだ。そうした顧客ベースに惹かれ、MicrosoftはNuanceを取り込もうと上記の額を払った。

NuanceのCEOであるMark Benjamin(マーク・ベンジャミン)氏は社に残り、Microsoftのクラウド・AIグループ担当エグゼクティブバイスプレジデントであるScott Guthrie(スコット・ガスリー)氏の下に就く。

Nuanceは複雑な過去を持っている。2000年に上場し、2001年にLernout HauspieのDragon Dictateなど音声認識プロダクトの買収を開始した。そして2005年にScanSoftという企業と合併した。ScanSoftはVisioneerという社名で1992年にスキャニングの会社として始まった。

本日、Nuanceは1990年代初めから提供してきた消費者・事業者向けのテキスト読み上げ製品であるDragon Dictateを含め、数多くのプロダクトを展開している。音声認識、チャットボット、そしてヘルスケア分野などに特化した自然言語処理も扱っている。

同社は27カ国に従業員6000人を抱える。2020年11月に発表した2020年第4四半期の決算では、売上高は3億5290万ドル(約386億円)で、前年同期の3億8760万ドル(約424億円)から微減だった。それは同社が望む方向性ではなかったが、それでもランレートは14億ドル(約1531億円)超だ。

決算発表時に、同社は医学記録転写と電子カルテ(EHR)のGo-LiveサービスをAssured Healthcare PartnersとAeries Technology Groupに売却すると発表した。ベンジャミン氏は、売却することで主力のスピーチサービスに専念できると述べた。

「この売却で、当社の自然言語の理解と環境知性ソリューションであるConversational AIを高度化する戦略にこれまで以上に注力するという取り組みにおける重要なマイルストーンを達成します」とベンジャミン氏は声明で述べていた。

Microsoftがすでに、WindowsとAzureでのデスクトップ文字起こしサービスを含む数多くの音声認識とチャットボットのプロダクトを持っていることは特筆に値する。しかし同社はマーケットリーダーであるNuanceを買収し、ヘルスケア分野をさらに強化することに賭けた。

買収はすでに両社の取締役会に承認されていて、2021年末までの取引完了を見込んでいるとMicrosoftは話している。ただし、当局の審査とNuanceの株主の承認次第だ。

今回の買収はMicrosoftにとってこれまでで2番目に大きなもので、過去最大の取引は2016年の262億ドル(約2兆8657億円)でのLinkedIn買収だ。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:MicrosoftNuance Communications買収文字起こし

画像クレジット:Ron Miller/TechCrunch

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(文:Ron Miller、翻訳:Nariko Mizoguchi

仏ケータリングサービス大手Eliorが単一メニューデリバリーで成長中の仏Nestorを買収

企業・教育機関向け契約ケータリングサービスを提供するフランス発の多国籍企業Elior(エリオール)は、フランスのスタートアップNestorを買収したと発表した。買収額は非公開。Nestorは元々、DeliverooやUber Eats(ウーバーイーツ)などのフードデリバリー大手との差別化を図るため、シンプルなアイデアからスタートした企業だ。

当初このスタートアップは毎日、ランチに単一メニューを提供していた。その日のメニューが気に入れば、注文すると10分から20分後に配達されるというもの。単一のメニューを提供することで、配達員は1回の配車で複数の顧客に届けることができる。また、Nestorは自社のキッチンを運営することで、サードパーティーのレストランに支払う必要がなく、利益率を向上させることができた。

2016年に初めてNestorを取材して以来、同社は高い資本効率で、このユニークなサービスの提供に主眼を置いてきた。Eliorによると、Nestorは週1万食を達成したという。

ここ数カ月の間、Nestorはいくつか新しいサービスを展開しようとしてきた。例えば、企業は社員食堂をNestorに切り替えることができる。同社は、調理された食事を冷蔵庫に直接届ける。これは、食堂のようなサービスに焦点を当てたもう1つのフランスのスタートアップであるFoodlesを思い起こさせる。

Nestorはまた、クライアントとの大きな会議がある日のために、個別に包装されたランチボックスを届けることもできる。最近、Popchefもこの分野に注力するためにピボットした。

今回の買収により、NestorはB2B市場にますます注力することになる。Eliorはガラス張りのタワーに入居しているような大企業の数々と提携しているが、中小企業に対してオフィスに食堂を開設するよう説得するのは、かなり難しいことだった。

セールストークは、2文に集約することができる。Nestorのクライアントは、すべてが事前に調製されているので、自分のキッチンを持っている必要はない。そして従業員は、ランチタイムにDeliverooを見てハンバーガーやピザではないものを探さなくてすむ。

カテゴリー:その他
タグ:Eliorフランス買収フードデリバリー

画像クレジット:Markus Spiske / Unsplash

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(文:Romain Dillet、翻訳:Aya Nakazato)

QuiqがSnapを買収、事業者向けの顧客メッセージプラットフォームを構築

一見すると、Quiq(クイック)とSnaps(スナップス)は似たようなスタートアップだと思うかもしれない。両社とも事業者がテキストメッセージや他のメッセージアプリを通じて顧客とやり取りするのをサポートしている。しかしSnapsのCEOはChristian Brucculeri(クリスチャン・ブルキュレリ)氏は「我々が行っていることに重複はほとんどありません」と話し、両社は「ほぼ完全な補完関係にある」とした。

だからこそQuiq(モンタナ州ボーズマン拠点)はSnap(ニューヨーク州拠点)を買収する。SnapのチームはQuiqに加わり、ブルキュレリ氏は合併会社の販売・顧客サクセス担当上級副社長になる。

QuiqのCEO、Mike Myer(マイク・マイヤー)氏は、床にあるジグソーパズルの2つのピースを投げ捨てる状況と、「ピッタリと合う2つのピース」を発見した状況を比較し、ブルキュレリ氏の指摘を繰り返した。

より具体的に言うと、Quiqは一般的には「DIYのツールセットアプローチ」で顧客サービスメッセージングを専門としている、とマイヤー氏は筆者に語った。結局、同社は2人のテクニカルな共同創業者によって創業され、「我々はなぜ顧客がAPIを呼び出せないのか理解できません」と同氏はジョークを言った。一方のSnapは、顧客のためにテクニカル的な作業を引き受ける管理されたサービスというアプローチでマーケティングのやり取りにフォーカスしてきた。

加えて、QuiqはApple Business Chat、GoogleのBusiness Messages、Instagram、Facebook Messenger、WhatsAppを含む1ダース超のメッセージチャンネルとの統合など「最初からプラットフォームの要素に本当にフォーカスしてきた」一方で、Snapのような「ディープ自然言語や会話的なAI能力」は持っていない、とマイヤー氏は話した。

同氏は、Quiqのサービスに対する需要は急激に増え、2020年下半期の売上高は前年同期に比べ300%超増えたと述べた。同時に、サービスチームはますます売り上げ目標を与えられ、マーケティングと顧客サービスの部門の区分がなくなり始めていて、「よりコマースにフォーカスした若い組織ではマーケティングと顧客サービスの差異化を図るものはない」と示唆した。

どうやら2社はすでにInstagramでのダイレクトメッセージのための合体したサービスの創造で協業していて、これは2つのプロダクトをいかに合体するかについての幅広い議論につながった。今後、2社はQuiqブランド下でさまざまな顧客のための合体したプラットフォームを提供する(Quiqの顧客にはOverstock.com、West Elm、Men’s Wearhouse、Brinks Home Security、一方Snapsの顧客にはBryant、Live Nation、General Assembly、Clairol、Nioxinが含まれる)ブルキュレリ氏は合体したプラットフォームでは事業者に「フルカスタマージャーニー」にわたる会話を管理できる1つのプロダクトを提供する、と話した。

「あなたが耳にする鍵となる言葉は会話です」とマイヤー氏は付け加えた。「チケットやケース、質問についてではありません。続いている会話です」

SnapsはSignal Peak Venturesなどの投資家からこれまでに計1300万ドル(約14億円)を調達した。買収の条件は明らかにされなかった。

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(文:Anthony Ha、翻訳:Nariko Mizoguchi

屋内農業のAppHarvestが農業ロボット企業Root AIを買収

屋内農業企業のAppHarvestは今週、Root AIを買収したと発表した。買収額は約6000万ドル(約66億円)で、1000万ドル(約11億円)は現金、残りはAppHarvestの株式で賄われる。

Root AIはボストンを拠点とするロボット関連のスタートアップで、その使命は将来の親会社とほぼ一致している。TechCrunchはこのスタートアップを何度か取り上げており、2020年8月のシードラウンドでは720万ドル(約7億9000万円)を調達していた。今回のパンデミックではロボット工学が注目されているが、中でも農業と食品製造は組織がプロセスを自動化する方法を模索しているため、特に注目されている。

前述のシードラウンドを含め、Rootはこれまでに950万ドル(約10億円)を調達しており、同社のVirgo収穫システムへの関心が高まっている。この買収が承認されれば、創業者兼CEOのJosh Lessing(ジョシュ・レッシング)氏がAppHarvestのCTOに就任する。このスタートアップはまだかなり小規模で、19人のフルタイム従業員を抱えている。

両社のコメントによると、ロボットが収集した収穫量のデータが、今回の買収の重要な部分だという。

AppHarvestの創設者で最高経営責任者を務めるJonathan Webb(ジョナサン・ウェッブ)氏は「私たちが知っている農業は異常気象、干ばつ、火事、動物による汚染など、食料システムを不安定にする要素が増えているために破綻しています」と述べた。「屋内農業はこれらの課題の多くを解決し、収集されたデータは作物の品質と収量を予測し管理するのに役立つ、より多くの洞察を指数関数的に提供することができます」。

カテゴリー:ロボティクス
タグ:AppHarvestRoot AI農業買収

画像クレジット:Root AI

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(文:Brian Heater、翻訳:塚本直樹 / Twitter

ツイッターがClubhouseに4400億円規模の買収を持ちかけていたとの報道

Bloombergの報道によると、Twitter(ツイッター)はClubhouseとの間で、このライブドロップインオーディオネットワーキングプラットフォームの買収に向けた話し合いを行ったという。買収額は40億ドル(約4400億円)程度になるとのこと。TechCrunchは、この話し合いに詳しい関係者からの情報も確認した。

買収交渉は過去数カ月わたって行われていたが、終了した理由はわかっていない。つい数日前、BloombergはClubhouseが40億ドル前後の評価額で新たな資金調達を目指していると報じたが、買収交渉の詳細を報じた記事によると、まずTwitterとの話し合いが決裂し、株式投資と引き換えに追加資金を確保する戦略に変更されたという。

TwitterにはClubhouseとよく似た独自サービスである「Spaces(スペース)」がある。Spacesは、ドロップイン式のオーディオチャットルーム機能で、数カ月にわたってユーザーベースに徐々に展開されてきた。一方、Clubhouseは、同社初となる収益化の取り組みである「Clubhouse Payments」をローンチしたばかりだ。この機能は、ユーザーがプラットフォーム上の他のクリエーターに直接支払いが行えるようを送れるようになるものだ。

関連記事:Clubhouseが同社初となるクリエイター用収益化機能をテスト開始

興味深いことに、Clubhouseのマネタイズは自ら収益を得るものではない。クリエイターはユーザーからの支払いを100%受けとることができる。ただし、わずかな手数料としてClubhouseがバーチャルチップを実現するために利用している決済プロバイダーStripeに直接送られる。

TwitterとClubhouseの交渉の詳細については明らかにされていないが、特にSpacesの進捗状況を考えると、40億ドルはTwitterがこのオーディオアプリに支払う額としては非常に高いように思える。Clubhouse初期の牽引力は否定できないが、その持続性についてはまだ多くの疑問が残っている。他のプラットフォームからもクローンが誕生しており、それが機能なのかプロダクトなのかという古くからあるスタートアップの疑問を投げかけている。

何が起きたにせよ、このタイミングで明らかになったことで、Clubhouseが調達しようとしているラウンドの目標評価額について、潜在的な投資家たちとの話に弾みがつきそうだ。いずれにしても、コンシューマー向けソフトウェアの分野が比較的低迷していた数年間を経て、このような活動、話題、注目が集まっていることは非常に喜ばしいことだ。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:TwitterClubhouse買収Twitter Spaces音声ソーシャルネットワークSNS

画像クレジット:NurPhoto / Contributor / Getty Images

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(文:Darrell Etherington、翻訳:Katsuyuki Yasui)

フェイスブックによる顧客サービスプラットフォーム「Kustomer」買収にEU介入の可能性

欧州連合(EU)は、Facebook(フェイスブック)による顧客サービスプラットフォームKustomer(カスタマー)の10億ドル(約1100億円)の買収に関して、EUの合併規則による付託を受けて捜査に入る可能性がある。

欧州委員会の広報担当者は、EU会社合併規則第22項に基づき、オーストリアから本買収提案の付託申請を受けたことを確認した。これはEU加盟国が国の届出義務条件に満たない取引(正式な届出義務を課すためには当該企業の売上が低すぎる場合)に対して警告を与えることのできる仕組みだ。

関連記事:Facebookが過去最大1000億円でスタートアップのKustomerを買収、カスタマーサービス事業の強化を目指す

委員会広報担当者は、本案件がオーストリアで現地時間3月31日に提出されたと語った。

「第22項の付託請求を受理した後、委員会はその付託請求をただちに他の加盟国に通知しなくてはなりません。加盟国は委員会から最初の通知を受けてから15就業日以内に元の付託請求に加わることができます」と広報担当者は本誌に伝え、次のように付け加えた「他の加盟国の付託請求参加期限が満了した後、委員会は請求を受け入れるか却下するかを10就業日以内に決定します」。

欧州委員会がこの買収案件を捜査するかどうかは数週間のうちにわかる。捜査は数カ月にわたる可能性があり、そうなればFacebookが自らの帝国にKustomerのプラットフォームを引き入れる計画は遅れることになる。

FacebookとKustomerには、進展状況についてのコメントを求めている。

ソーシャルネットワークの巨人による顧客関係管理プラットフォーム買収計画が2020年11月に発表されるやいなや、FacebookがKustomerの所有する個人データで何をするのかという懸念が直ちに浮上した。Kustomerのサービス分野が、健康医療、政府、金融サービスなどに及ぶことから、データにはセンシティブな情報が含まれている可能性がある。

2021年2月、アイルランド人権委員会(ICCL)は欧州委員会および国とEUのデータ保護機関に、提案された買収に関する懸念を提起し「データ処理に起因する結果」の監視を要請するとともに、Kustomerの利用規約がユーザーデータを広い範囲の目的に利用を許していることを強調した。

「Facebookはこの会社を買収しようとしている。『当社のサービスの改善』(Kustomerの規約にそう書かれている)の範囲がそもそも曖昧だが、Kustomerが買収されればさらに広がる可能性が高い」とICCLは警告する。『当社のサービス』は、例えばFacebookのあらゆるサービスやシステムやプロジェクトを意味すると取られかねない」。

「欧州司法裁判所の判例法および欧州データ保護委員会は、『当社のサービスの改善』および同様に曖昧な記述を『処理目的』として認めていない」と付け加えた。

またICCLは、買収後使用されるユーザーデータの処理目的を確認する質問をFacebookに送ったと語った。

ICCLのJohnny Ryan(ジョニー・ライアン)上級フェローは、一連の質問に対してFacebookから何ら回答を受け取っていないとTechCrunchに伝えた。

本誌もFacebookに対し、Kustomerを買収した後同社の所有する個人データをどう扱うかについて質問している。

ちなみに、最近のGoogle(グーグル)によるウェアブルメーカーのFitbit(フィットビット)の買収は、EUの数カ月にわたる競争に関する監視を受け、テック巨人がさまざまな譲歩、たとえばFitbitのデータを10年間広告に使用しないことなどに同意することで、ようや当局に承認された

関連記事:EUがグーグルのFitbit買収を承認、健康データの広告利用を10年間禁止することで合意

これまでFacebookによる買収は、概して規制当局のレーダーにかかることなく進められてきた。約10年前、同社はライバルのInstagramとWhatsAppを買収してソーシャル世界を支配した。

しかしその数年後、同社は「誤解を招く」書類提出について、EUに罰金を払うはめになった。Facebookは、WhatsAppとFacebookのデータを結合させたが、当局にはそれは不可能だと伝えていた。

あまりにも多くのデータスキャンダルがFacebookと密接に繋がっている中で、巨人は顧客の不信を背負い、運営に対するはるかに厳しい監視を受けている。そして今度はCRM会社を買収してB2Bサービスを拡大する計画にも横槍を入れると脅されている。こうしてFacebookは「move fast and break things(すばやく動いて破壊)」した結果、モノを破壊するという評判のためにゆっくり動かなくてはならなくなった。

【更新】Facebookはその後広報担当者の名前で以下の声明を送ってきた。

「この契約はダイナミックで競争の激しい分野において、ビジネスと消費者にさらなるイノベーションをもたらします。より早く、質の高い顧客サービスをいつでも必要な時に提供することで、多くの人々が利益を受けます。FacebookとKustomerがこの競争促進的契約を通じて、より多くの選択肢とよりよいサービスを提供することを規制当局に明示できると期待しています」

カテゴリー:ネットサービス
タグ:FacebookKustomer買収欧州連合

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Nob Takahashi / facebook

インド最大の教育オムニチャネル構築を目指しEdTech大手Byju’sが個別指導塾Aakashを約1102億円で買収

なぜByju’s(バイジュース)は2020年に10億ドル(約1102億円)以上の資金を調達し、さらに5億ドル(約551億円)の確保に向けてすでに少しずつ近づいているのか。今日、その答えが見えてきた。

Byju’sはインド時間4月5日、33年の歴史を持つ物理的な個別指導センターのチェーンであるAakash Educational Servicesを買収したと発表した。これは、インドのオンライン学習の最大手が、世界第2位のインターネット市場におけるリーダーとしての地位をさらに固め、オフラインでの成長を加速させるためだという。

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現在評価額が130億ドル(約1兆4300億円)の同スタートアップは、この買収のために「10億ドル(約1102億円)近く」の現金と株式を支払った(現金約6億ドル/約661億3000万円、残りは株式)とのことで、これはEdtech分野では最大級の規模だと、事情に詳しい関係者3名がTechCrunchに語った(EYは、この取引について両社にアドバイスを行った。2021年1月に、両社が交渉中であることをBloombergが初めて報道した)。

Blackstoneが出資しているAakashは、一流の工科大学や医科大学への入学を目指す学生を対象に、全国で200以上の物理的な個別指導センターを所有・運営している。同社は25万人以上の高校生にサービスを提供している。

数十年の歴史を持つこの会社は近年、一部の製品をオンラインで利用できるようにしていたが、パンデミックの影響で学生の好みが変わってきたことから、6~7カ月前にAakashとByjuは買収の可能性を模索するようになったと、同社の幹部がTechCrunchの共同インタビューで語った(両社は、取引の財務的側面についてのコメントは控えた)。

Aakash Educationalのマネージングディレクター兼共同出資者であるAakash Chaudhry(アーカッシュ・チャウドリー)氏は、2社が手を組むことで「非常に充実した付加価値の高いサービスを学生に提供できる」と述べた。「Aakash Educationalの幹部は、買収後も同社に留まります」とも。

今回の買収により、両社はインドで最大の学生向けオムニチャネルを構築することができる、と同氏は続けた。「物理的な教室へのアクセスを希望する学生には、当社が対応しています。オンラインでコンテンツや学習にアクセスしたいと思っている学生には、Byju’sがサービスを提供してきました。我々はこれから一緒に、物理的なロケーションとテクノロジー、オンライン学習を活用して、他にはないものを学生に提供していきたいと思います」。

教育の未来はオフラインとオンラインが融合したものになるだろうと、同名のスタートアップの共同設立者兼CEOであるByju Raveendran(バイジュー・レヴィーンドラン)
氏はインタビューで語った。自身も教師の彼は(写真上)、それを理解しているのだろう。レヴィーンドラン氏はオンラインプラットフォームを立ち上げる前、スタジアムで何百人もの生徒に授業を行っていた人物だ。

Byju’sが提供する試験準備などのいくつかのサービスについては、オンラインのみのモデルはまだ数年先になるだろうと同氏は述べている。今回の契約は、ByjuとAakash Educationalのサービスをより小さな町や都市で展開することも目的としている。

2019年にAakashの株式37.5%を約1億8300万ドル(約201億7000万円)で取得した、Blackstoneのアジア買収共同責任者兼インドプライベートエクイティ責任者のAmit Dixit(アミット・ディクシット)氏はこう述べている。「オムニチャネルは、テスト対策と個別指導の勝利モデルとなっていくでしょう。インド有数の補習教育企業であるAakashとByju’sのパートナーシップに参加できることをうれしく思います」。

近年インドの教育スタートアップが受け取った資金(Blume Venturesがまとめた画像・データ)

大学・大学院への進学を目指す学生のための準備コースを提供するByju’sのユーザーベースは2020年から大幅に増加し、現在では8000万人以上のユーザーが利用しており、そのうち550万人が有料会員となっている。収益性の高いByju’sは、2020年、米国で1億ドル(約110億2000万円)以上の収益を上げたと、インドのベンチャーファンドBlume Venturesが先月開催したセッションで、(インドのスタートアップを支援している)GSV VenturesのマネージングパートナーであるDeborah Quazzo(デボラ・クアッゾ)氏が語った。

Lightspeed VenturesとNaspersが出資しているこのスタートアップは、近年、買収による無機的な成長も試みている。2019年には米国のOsmo(オズモ)を1億2000万ドル(約132億2000万円)で買収し、2020年には子供向けのコーディングプラットフォームWhiteHat Jr.を3億ドル(約330億6000万円)で買収している。レヴィーンドラン氏は、同社はさらに多くの企業を買収することを検討していると述べた。TechCrunchは先週、Byju’sがカリフォルニア州に本社を置くスタートアップEpic(エピック)を「3億ドル(約330億6000万円)を大幅に上回る額」で買収する交渉を行っていると報じた。

コンサルタント会社Convergence CatalystのチーフアナリストであるJayanth Kolla(ジャヤント・コラ)氏は、Aakashの買収によりByju’sはブランド認知度を高め、より多くの学生にリーチできるようになると述べている。「インドのような市場では、ウェブ上での有機的な急成長は、ある時点で停滞してしまいます」と彼は語った。

カテゴリー:EdTech
タグ:Byju’s買収インド

画像クレジット:Paul Yeung / Bloomberg / Getty Images

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(文:Manish Singh、翻訳:Aya Nakazato)

英国の独禁監視当局がフェイスブックのGIPHY買収を調査中

GIFの流動性に対する潜在的な脅威が英国の競争監視当局を悩ませ続けている。

2020年発表された、Facebook(フェイスブック)の4億ドル(約443億円)でのGIPHY(ジフィー)買収は現在、デジタル広告に関連する競争上の懸念があるとしてCMA(英国競争・市場庁)の徹底的な調査を受けている。CMAは調査して9月15日までに報告書をまとめる。

関連記事:フェイスブックがGIFアニメのGIPHYを430億円相当で買収

当局は2020年夏この買収案件について調査に乗り出し、2021年になってもその調査は続いた。そして先週、CMAは(すでに完了した)FacebookとGIPHYの買収は、Facebookがすでに主要プレイヤーであるデジタル広告マーケットにおける競争をさらに抑制しうると述べ、懸念を示した(Facebookはディスプレイ広告マーケットで50%超のシェアを握っている)。

関連記事:英国の競争監視当局はフェイスブックのGIPHY買収を未だ検討中、2021年3月末に進展か

当局は、買収の前にGIPHYが自社のデジタル広告提携を英国を含め他国に拡大する計画だったという証拠を見つけた、と述べた。

「もしGIPHYとFacebookが合併したままだったら、GIPHYはデジタル広告を拡大するインセンティブをさほど持たず、ひいてはこのマーケットにおける潜在的な競争の逸失につながる」との考えを文書で示した。

CMAはまた、ソーシャルメディアのライバルに害をもたらし得るFacebook所有のGIPHYが、他社へのアニメーションピクセルの供給を搾る、あるいはライバルにそれまでよりも悪条件でのサインアップ(ライバルにユーザーデータの提出を求めてそれらを広告ターゲティングエンジンに使い、さらにマーケットパワーを得るなど)を求めるテック大企業になることが懸念されると述べた。

現実感3月25日にGIPHYとFacebookは懸念を解消するため5日の猶予が当局から与えられた。懸念を和らげるための法的拘束力のある提案の提出だ。

綿密な調査を行う「第2段階」は、当局に受け入れられる譲歩がなされていたら回避できていただろう。しかし明らかにそうではなく、CMAは4月1日、第2段階の委託を発表した。最後の通知から作業日5日経って発表されたことから、譲歩はなかったようだ。

TechCrunchはFacebookとCMAにコメントを求めた。

Facebookの広報担当は次のように述べた。「当社は引き続きCMAの調査に全面的に協力します。この合併は競争にとって良いものであり、デベロッパーからサービスプロバイダー、コンテンツクリエイターに至るまで、GIPHYや当社のサービスを使う英国のすべての人の利益にかなうものです」。

FacebookはすでにGIPHYの買収を完了した一方で、CMAの調査によってFacebookが自社のビジネスにGIPHYを深く統合する作業は凍結が続いている。

とはいえ、Facebookのデジタル広告分野における独占的な立場を考えると、プロダクトイノベーションを通じてすばやく動くビジネスの必要性は過去数年よりもはるかに差し迫っている。過去においては、当局の干渉なしに市場での優位性を構築していた。

近年、CMAはデジタル広告マーケットに細心の注意を払ってきた。2019年には広告テックを独占しているGoogle(グーグル)とFacebookのパワーに関して重大な懸念を報告した。だが最終レポートの中でCMAは、マーケットパワーの不均衡そのものを解決するために介入するより、政府の法律制定を待つと述べた。

英国は現在、デジタルマーケットでみられる「勝者がすべてを得る」の力学に対する懸念への対応として、テック大企業に的を絞った競争促進の規制を専門とする機関を立ち上げる過程にある。設置されるDigital Market Unitは「数年内に新たなコンプライアンス要件を課されるインターネットプラットフォームのための「競争促進」体制を監督する。

一方、CMAは引き続きテック企業の取引や戦略の変更などを精査する。ここには、他の業者からの苦情を受けてこのほど調査を開始したGoogleのChromeでのサードパーティのCookieに対するサポート打ち切り計画も含まれる。

またCMAは2021年1月にUber(ウーバー)のAutocab(オートキャブ)買収計画も調査していると発表した。しかし3月29日に、両社の間にあるのは「限定間接」の競争だけで、Autocabが将来Uberにとってかなりの、そしてより直接的な競合相手になる可能性が高いことを示す証拠は見つからなかったとして買収取引を認めた。

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CMAはまた、AutocabとUberがタクシー会社に販売する予約と配車のソフトウェアの質を下げることで、Autocabの顧客であるタクシー会社を不利な状況に置こうとしているかどうかも考慮した。しかし第1段階の調査で、もしUberがそうした措置を取っても、タクシー企業は他の信頼できるソフトウェアサプライヤーと委託ネットワークに切り替えられることが明らかになり、これが買収取引を認めることにつながった。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:FacebookGIPHYイギリス買収独占禁止法CMA

画像クレジット:Muhammed Selim Korkutata/Anadolu Agency / Getty Images(Image has been modified

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Nariko Mizoguchi

アマゾンがインド小売業者のデジタル化を支援する同国スタートアップを買収

Amazon(アマゾン)はオフラインの店舗がオンライン店舗を展開するのをサポートするインドのスタートアップを買収した。オフライン店舗が小売販売の95%超を占め、そして人口が世界第2位のインドに食い込もうというAmazonの最新の試みだ。

Amazonは現地時間3月30日、創業4年のPerpule(パーピュール)を買収したと発表した。規制当局へ提出した書類には、Amazon Technologiesがインドのスタートアップを買収するのに現金1470万ドル(約16億円)を支払ったとある。そしてPerpuleの従業員への補償として追加で500万ドル(約5億5300万円)拠出するはずだ。

これまでに636万ドル(約7億円)を調達したPerpuleはオフラインの小売業者がデジタル決済を受け付け、そPaytmやPhonePe、Google Payなどがインドで展開しているさまざまなミニアプリストアで出店できるようにするためにモバイル決済デバイス(POSマシーン)を提供している。

「Perpuleは、インドのオフラインの小売店舗が在庫や精算プロセス、全体的な顧客エクスペリエンスをうまく管理できるようにする、イノベーティブなクラウドベースPOSを構築しました」とAmazonの広報担当は声明で述べた。

「インドの顧客のために買い物エクスペリエンスの水準を引き上げながら、あらゆる規模の事業者への成長機会の提供に注力すべく、Perpuleのチームに加わってもらうことを喜んでいます」。

2016年に創業されたPerpuleの最初のプロダクトは、Shoppers Stop、Spar Hypermarket、Big Bazaarといったスーパーチェーンでの行列を顧客が回避できるようにすることにフォーカスしていた。しかし、PerpuleのCEOであるAbhinav Pathak(アビナブ・パタック)氏が最近のインタビューで語ったところによると、同社はそのプロダクトを展開しようとしたが、広がらなかったという。

Prime Venture Partners、Kalaari Capital、Raghunandan G(ラグナンダン・G)氏(ネオバンクZolveの創業者)などから出資を受けているバンガロール拠点のPerpuleは近年、事業者がグループ注文に対応できるようにするStoreSEのようなプロダクトを立ち上げるなど、事業を拡大してきた。

そして2020年は事業地域も拡大し、インドネシアやマレーシア、タイ、シンガポール、ベトナムなど東南アジアマーケットでサービスの提供を開始している。

Amazonは近年、デリバリーネットワークや倉庫を拡大するために、実在(オフライン)店舗のインドでの圧倒的な存在感を出し、販売促進のために実在店舗の在庫に頼るなど、積極的に実在店舗を取り込もうとしている

Amazonの実在店舗への接近は、Flipkart、そして2020年(FacebookやGoogleなどから)200億ドル(約2兆2100億円)超を調達したReliance Jio Platformsがこのマーケットを支配しようと競っている中でのものだ。Perpuleの買収は、Googleがが似たようなプロダクトを展開しているDotPeへ出資してから1週間も経っていない。

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あらゆるものを売っている零細の小売店は、家族経営で賃金は安く、家賃がほとんどない。どこにでもあるため(業界推定ではインドには3000万の零細小売店がある)、より迅速な配達を提供できている小売大手はない。その上、そうした零細小売店の経営状態は往々にして大半のデジタル店舗よりも良好だ。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Amazonインド買収Perpule小売

画像クレジット:Noah Seelam / AFP / Getty Images

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(文:Manish Singh、翻訳:Nariko Mizoguchi

BuzzFeed Japanとハフポスト日本版が合併、既存ブランドはそれぞれ運営継続

BuzzFeed Japanとハフポスト日本版が合併、既存ブランドはそれぞれ運営継続

BuzzFeed Japanザ・ハフィントン・ポスト・ジャパン(ハフポスト日本版)は3月31日、合併に合意したと発表した。合併後の名称は「BuzzFeed Japan株式会社」。

同合併は、2020年11月に米BuzzFeedとVerizon Mediaがコンテンツと広告に関する新たな戦略的パートナーシップを構築すると発表し、BuzzFeedがVerizon MediaからHuffPostを買収したことを受けたもの。この取引により、米BuzzFeedは、BuzzFeed Japanとハフポスト日本版の両方の大株主となり、合併により日本市場の2事業体が統合されることとなった。また、その他の株主としてZホールディングスと朝日新聞社が引き続き出資する。

2021年5月1日以降、「ハフポスト日本版」はBuzzFeed傘下で運営される合併会社のバーティカル部門のひとつとなり、既存の「BuzzFeed Japan」「BuzzFeed Japan News」「BuzzFeed Kawaii」「Tasty Japan」の5ブランドは、コンテンツ面ではそれぞれ独立して運営を継続する。「BuzzFeed Japan News」と「ハフポスト日本版」の報道部門は、独立した報道機関として運営を継続する。

両社を合わせたオーディエンスの規模は、BuzzFeed Japanの月間ユニークビジター(UV)数が3500万人以上(2020年12月時点)、HuffPost日本版が2400万人(2020年4月時点)となる。BuzzFeed Japanのオーディエンスは、Z世代とミレニアル世代が中心であるのに対し、ハフポスト日本版は若年層に加え30代から40代の世代が中心という。

今後、既存チームの強みを活かすためバーティカルブランド間でのコラボレーションを行い、国内最大級のデジタルクリエイティブカンパニーとして新しいコンテンツを生み出すとしている。さらに、メディアの枠を超えて、新たなコンテンツフォーマットやデジタルコンテンツによる収益を追求するという。広告パートナーに対しては、今回の統合により、これまでにない幅広いリーチへの機会を提供可能としている。

BuzzFeed Japanは、ヤフー(現Zホールディングス)との合弁により2015年に設立、2016年1月にBuzzFeed日本版を創刊。社会にポジティブなインパクトを生み出すことをめざし、記事や動画、特集など独自のスタイルで、ニュース、カルチャー、エンターテインメントの情報を発信している。

ハフポスト日本版は、朝日新聞社をパートナー企業として2013年5月にスタート。「会話を生み出すメディア」として、SDGs、働き方、ジェンダー平等、ダイバーシティ、育児、中国経済ニュース、アート&カルチャーなどの重点テーマを掲げて記事を発信している。Facebookのフォロワーが32万、Twitterが35万人、SDGs専門のTwitterアカウントのフォロワーが3700人。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:Huffington post買収 / 合併 / M&A(用語)Buzzfeed(企業・サービス)BuzzFeed Japanメディア(用語)日本(国・地域)

フィンテック企業のベンチャーキャピタルFinch Capitalが破産したWiecardのトルコ子会社を買収

ロンドンとアムステルダムに拠点を置くフィンテック企業のアーリーステージベンチャーキャピタルであるFinch Capitalは、破産したドイツのフィンテックであるWirecardの子会社Wirecard Turkeyを買収する。条件は明かされておらず、規制当局の承認を受ける必要があるが、Finchはアイルランドで登録されたNomu Payという新しい企業を設立する。

Wirecardは巨額の会計スキャンダルに直面し、自社のローンの支払いが滞ったため、2020年破産した。それ以来、同社の事業のさまざまな部分が買収されており、その中には英国のRailsbankが買収した最大の資産であるWiecard Solutionsも含まれている。

Finch CapitalのRadboud Vlaar(ラドバッド・ブラール)マネージングパートナーによると、Noma Payの大きな計画はトルコと中東地域の決済インフラに投資することだ。新会社の戦略やブランドについての詳細は、取引が正式に終了した後に説明するとしている。

ブラール氏は次のように説明している。「私達は8000万人のトルコの住民への支払いをさらに強化するため、大きな成長の機会を見出しています。当社はSerkan Yasin(セルカン・ヤシン)CEOが率いるWirecard Turkeyと提携できることをうれしく思うとともに、当社は成長と開発を加速させるため、この地域でさらなるM&Aの機会を積極的に探し続けています」。

Wirecard Turkey(Wirecard Ödeme ve Elektronik Para Hizmetleri A.Ş.)は2008年7月にトルコで設立され、翌年には同国初の「ダイレクトキャリアビリング」サービスプロバイダーとして事業を開始した。2014年にはWirecard AGの子会社であるWirecard Issuing & Acquiring Gmbhに完全に買収されている。

現在、Wirecard Turkeyはダイレクトキャリアビリング、クレジットカードアクワイヤリング、電子マネーという、さまざまな決済サービスを提供している。同社はトルコのGSM事業者3社や銀行の大半、および1200以上の加盟店と契約している。

「トルコには一流の次世代決済会社を作るすばらしい才能があります」 と、ブラール氏は付け加えている。

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カテゴリー:フィンテック
タグ:Finch CapitalWirecard買収トルコ

画像クレジット:Finch Capital

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(文:Steve O’Hear、翻訳:塚本直樹 / Twitter

SpotifyもClubhouseに負けじとライブオーディオに参入

SpotifyがライブオーディオのLocker Roomを運営するBetty Labsを買収すると発表したことを受けて、米国時間3月30日朝にSpotifyの株価が若干上がった。Crunchbaseのデータによると、この発表より前にBetty Labsは900万ドル(約9億9000万円)以上を調達していた。

Spotifyは音楽ストリーミング事業が最も有名だが、コアの市場における競争力、そして価格面の支配力を生み出す手段の両方を探しながら新しいオーディオフォーマットに進出してきた。

近年、同社はポッドキャストに多額の資金を投入し、プラットフォーム上で人気番組を独占的に提供してきた。自社のオーディオの世界をできる限り差別化することで、将来的に同社は課金を増やして成長していけるかもしれない。

Spotifyは自社ブログでBetty Labsを買収する目的について「スポーツ、音楽、カルチャーのさまざまなプログラムや、クリエイターがリアルタイムでオーディエンスとつながることのできる多くのインタラクティブ機能」などが今後登場し「これまで以上に幅広いクリエイターとファンに向けてLocker Roomのライブオーディオエクスペリエンスが進化し広がります」と堂々と書いている。

ラジオとClubhouseを融合させたようなものになるのだろうか。TechCrunchはここ数週間でClubhouseや、Clubhouseに似ているTwitterのSpacesについて掲載したが、これと同様に今後わかり次第取り上げていく。

関連記事:Twitterの音声ソーシャルネットワーク機能「Spaces」がClubhouseより先にAndroidで利用可能に

Clubhouseは現在のオーディオブームを盛り上げて、有力な支援者と多くの初期ファンを獲得した。しかしAppAnnieのデータによると最近の数週間ではオーディエンス数の減少が見られ、おそらくSpotifyなどのオーディオ関連企業が参入してClubhouseを脅かす余地はあるだろう。

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Spotifyにはオーディオの新しいカテゴリーに参入して成功してきた歴史がある。3月の初めにTechCrunchで報じたとおり、eMarketerのデータによると「2021年にSpotifyでポッドキャストを聴く米国のリスナーは1カ月2820万人以上、Appleのポッドキャストリスナーは2800万人となり、SpotifyがAppleを初めて上回ると予測されている」。

費用がかかっていることは確かだが、Spotifyはオーディオのあらゆるカテゴリーでトップに立ちたいようだ。Clubhouseの領域に進出しようとしているSpotifyの動きは、この分野のスタートアップにとって心配の種に違いない。

Spotifyはすべてのプラットフォームに対応し巨大なインストールベースを持っているので、展開していく上での優位性がある。この優位性を活かしてオーディオの世界で新しい分野を獲得しようとする取り組みがどうなるかは2021年中にわかるだろう。それまでは、iOSデバイスを持っていれば引き続きClubhouseで楽しめる。

関連記事:2021年中にSpotifyのポッドキャストリスナー数がアップルを上回るとの予測

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Spotify買収Clubhouse音声ソーシャルネットワーク

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Alex Wilhelm、翻訳:Kaori Koyama)

Amazon上のブランドの買収と成長を目指すBenitago Groupが債務と株式を合わせて約60億円調達

Benitago Groupは、Amazon(アマゾン)上のブランドの大きなポートフォリオを作ることを目指している。同社はこのほど、5500万ドル(約60億円)の資金を調達したことを発表した。そのほとんどが買収資金のためのクレジットラインで、さらに株式投資も行っている。

共同創業者のSantiago Nestares(サンティアゴ・ネスタレス)氏は「私たちはこれらのブランドを成長させ、より効率的に運営していきたい」と語っている。

スタートアップもAmazon FBA(Fulfillment by Amazon)ビジネスを立ち上げるために多額の資金を調達しているが、ネスタレス氏によるとBenitagoは「金融裁定」だけに焦点を当てているのではないため、他とは違っているという。むしろ同社は、これらのビジネスを成長させ続けるための詳細で反復性のある青写真を描いている。

ネスタレス氏と共同創業者のBenedict Dohmen(ベネディクト・ドーメン)氏は、ダートマス大学の学生だったときに、腰痛治療具のSupportibackでBenitagoを始めた。ちなみに社名は2人の名前を合わせたものだ。同社はその後、美容、マタニティ、栄養などのカテゴリーに拡大したが、Nestaresによると、これまでは外部からの資金調達はあまりなかったが、収益で成長を支えたという。

その結果、チームのメンバーは整形外科などのエキスパートではないにもかかわらず、主にAmazon上でブランドを成長させることに注力して成功し、ネスタレス氏が「Amazonネイティブ」と呼ぶものになっていった。

関連記事:アマゾンなどの「プラットフォーム経済」上で成立するスタートアップを支援するCrossbeamが26億円調達

ブランドを買収する過程はまず、その製品の市場の競争状況を見極めることから始まり、また顧客によるレビューを調べる。そして「足りない機能や余計な機能はないか、包装の色はこのままで良いか、パッケージはAmazonのボックスにちょうど収まるかなど、あらゆることをAmazon向けに最適化します。」とネスタレス氏はいう。

同社がブランドを買収するとき、そのプロセスはわずか数週間で終わり、前のオーナーもブランドの所有権の一部を保有して、ブランドの継続的成長から利益を得る。

「これは受け身の財務的処理ではなくて、成長へのインパクトを生み与えるやり方です」とネスタレス氏はいう。

Amazonがeコマースの支配を失うことは当分ないと思われるが、それでもネスタレス氏はBenitagoのビジネスをたった1つのプラットフォーム上に築いている現状は「最大のリスク」だと認めている。しかしながらそのリスクは、企業にとってGoogleの検索のアルゴリズムがいつどう変わるかわからない、というタイプのリスクといったものとは違う。

「Amazonは違うと思います。Amazonもあなたと同じ目標、『顧客にできるだけたくさん売る』という目標を持っています」と彼はいう。

Benitagoは現在、5つのブランドを経営し、製品数は100種以上ある。今回獲得した資金でその数を大きく増やすことができる。ネスタレス氏によると、現在、商談が進んでブランドは12あり、年内にはさらに25かそれ以上のブランドを買収したい、という。

CoVentureが株式投資をリードし、融資枠にも参加している。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Benitago GroupAmazon買収資金調達eコマース

画像クレジット:Benitago Group

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(文:Anthony Ha、翻訳:Hiroshi Iwatani)

バーチャルイベントプラットフォームのユニコーンHopinがさらに2社を買収しビデオ事業に3倍賭け

バーチャルイベントサービスで知られるユニコーン企業のHopin(ホピン)は、米国時間3月23日朝、さらに2社を買収したことを発表した。買収されたのはJammStreamableの2社で、Hopinは取引の詳細を明らかにしていない。

しかしHopinの創業者兼CEOであるJohnny Boufarhat(ジョニー・ブファラート)氏はTechCrunchへのメールの中で、2社とも「アーリーステージ」の企業だと述べている。このコメントから、取引の規模をある程度推測することができる。

Hopinは今回の取引に加えて、2021年1月にStreamYardを2億5000万ドル(約272億円)で買収すると発表するなど、ここ数カ月、買収に積極的だ。

Jammは「ワンクリックでできるチームのためのビデオコラボレーション」と称してサービスを販売しており、Streamableは他社のビデオのアップロードやストリーミングを支援している。ライブ動画配信サービスを提供していたStreamYardを買収したことからしても、Hopinの小切手帳の焦点がビデオであることは想像に難くない。

ブファラート氏はそれを認め、今回の買収は「プロ仕様のビデオ機能を大きな規模で簡単に利用できるようにするために、さらに多くの技術を構築する」ために役立つとTechCrunchに説明している。CEOは、同社は「非公式」にその取り組みを「ビデオのあらゆる側面を活用したコネクションのエコシステム」と呼んでいる、と付け加えた。

このビジョンに対するTAM(Total Addressable Market、総獲得可能市場)は、Hopinが最も得意とするバーチャルイベントの事業や、同社が元々サポートするために生まれたオンライン / オフラインのハイブリッドイベント市場よりも大きいと思われる。

HopinがStreamYardの買収を発表したとき、それは重要な収益を上げている会社を買収したということだった。ブファラート氏のチームは、StreamYardを単独の製品として存続させることを決めた。JammとStreamableはよりアーリーステージの案件だが、同じような扱いを受けるのだろうか?

答えはイエスでもあり、ノーでもある。Streamableの場合はイエス、Jammはノーだという。ブファラート氏によると、Jammは「Hopinの製品に完全に統合される」とのことで、一方、Streamableは単独の製品として存続させつつ、イベントプラットフォームに統合するポイントを見つけていくとのことだ。

TechCrunchは、StreamYardの取引のように、Hopinが買収した収益の量は重要なのかどうかコメントを求めた。ブファラート氏によれば、それはないという。つまり、2021年3月初めに行われた4億ドル(約435億2000万円)の資金調達ラウンドで開示された、Hopinの最後の収益額である7000万ドル(約76億2000万円)のARR(年間経常収益)は、まだ適切である可能性が高い。当時のHopinの評価額は56億5000万ドル(約6147億円)だった。

Hopinは同社のプラットフォームを利用してイベントを開催する「オーガナイザー」の数が、2021年3月初めの8万5000人から米国時間3月23日の時点で9万人に増加したことを明らかにした。これは、カ月足らずで6%弱の成長を意味する。Hopinの急成長の軌跡は、今のところ損なわれていないようだ。

関連記事:VCが注目するバーチャルイベントプラットフォームHopinの企業価値は最大6370億円に

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Hopin買収バーチャルイベント

画像クレジット:Hoxton/Tom Merton / Getty Images

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(文:Alex Wilhelm、翻訳:Aya Nakazato)

マイクロソフトがゲームチャット「Discord」買収で交渉最終段階か、買収額は1兆円強規模

マイクロソフトがゲームチャット「Discord」買収で交渉大詰めか、買収額は1兆円強規模

MARTIN BUREAU via Getty Images

ゲームプレイ向けの低遅延なボイスチャットサービスDiscordが、買収に興味を持つ複数の企業と交渉に入っていることをGamesBeatなどが報じました。有力な交渉相手としてはマイクロソフトの名前が挙げられており、Bloombergは交渉が最終段階にあるとして、100億ドル以上の規模になると伝えています。

Discordは低遅延のボイスチャットがゲーマーなどに人気のサービスで、新型コロナのパンデミックによって人々の娯楽としてビデオゲームの人気が上昇したこともあり、2020年にはユーザー数が倍増、売り上げは1億3000万ドルに急成長しました。その企業価値は12月には70億ドルとも評価されていますが、まだ企業として利益を出すには至っていないとも言われています。

他に買収に手を上げている大手企業としてはFacebookの名前があります。ただ、FacebookはAmazon、Google、Appleなどとともに独占禁止法関連の調査を受ける立場にあり、いまの時点ではやはりマイクロソフトが最も有力な買い手ということになります。マイクロソフトは2020年末時点で1310億ドルの現金を保有するなど資金力は申し分ありません。今年初めにはゲームパブリッシャーZeniMax Mediaの買収を完了し、さらなるゲーム関連企業を買収すべく検討しているとうわさされていました。

Discordはすでに数百万のゲーマーたちが登録済みで、マーケティングやプロモーションを仕掛ける対象としても有望です。しかし、現在のDiscordの独立性もまた、ゲーマーたちに対する魅力の重要な部分といえるかもしれません。これが大企業によって買収された場合、その企業の関係するゲームやサービスにDiscordのサービスも偏っていく可能性があります。

DiscordのCEO、Jason Citron氏の以前の会社であるモバイルゲームソーシャルプラットフォームOpenFeintは、日本のGreeに買収されたものの、両社のサービス統合はうまくいかず最終的にOpenFeintが閉鎖されるに至っています。

(Source:GamesBeatEngadget日本版より転載)

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TwitterがAPI刷新のテコ入れためにAPI統合化プラットフォームReshuffleを買収

米国時間3月23日、TwitterはAPI統合プラットフォームReshuffleの買収を発表した。人材の獲得が目的的だという。このスタートアップがオープンソースを商用化して得た技術により、デベロッパーはワークフローを構築し、複数のシステムをさまざまなAPIを使って接続することができる。同社はTwitterの買収により解散するが、共同創業者のAmir Shevat(アミール・シェヴァット)氏とAvner Braverman(アヴナー・ブレイバーマン)氏を含む7名のチーム全員がTwitterに加わり、現在、同社で行われている統一APIの刷新工程を加速していくことになる。

新しいTwitter API 2.0が導入されたのは2020年のことで、2012年以降、初めての完全に新しい再構築となり、会話のスレッド化や投票アンケートの結果、ツイートのピン止め、スパムのフィルタリング、より強力なストリームフィルタリング、検索のクエリ言語などの新機能が加わった。また新たな設計によりTwitterが新しい機能をより早くリリースできるようになり、さらに多くの機能を展開できるようになっている。たとえばこのAPIには、新機能としてリプライを隠すツイートの注釈などが加わった。そして最近ではTwitter自身の開発のペースが速くなり、Twitter Spaces(音声によるツイート)の一般公開や、もうすぐ提供されるSuper Follow(クリエイターとファンのサブスクリプションサービス)など、より多くのプロダクトのローンチが水平線上に見えてきた。

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さらにTwitterのAPIチームは、さまざまなタイプのデベロッパーのニーズを満たすプロダクトの開発に取り組んでいる。たとえば消費者向けアプリのデベロッパーと、企業向けあるいは研究者向けアプリのデベロッパーではニーズが違う。2021年1月にTwitter APIは研究者に公開され、もうすぐさらに多くの機能性が加わることをTwitterは約束している。

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Reshuffleのチームには直ちに、TwitterのAPI加速化努力とデベロッパーツールの開発への参加が求められるだろう。

ReshuffleのCEOであるアヴナー・ブレイバーマン氏には、エンジニアリングと消費者向け技術の両面で20年近い経験があり、スタートアップだけでなくIBMのような大企業でも仕事をしてきた。彼はTwitterのDeveloper Platformのチームに入ることになるが、ReshuffleのCPOであるアミール・シェヴァット氏はこれまで、Twitchのプラットフォーム担当副社長やSlackのデベロッパーリレーションのトップ、Googleの上級デベロッパーリレーションマネージャーなどを務めた人物で、TwitterではDeveloper Platformのシニアメンバーになる。

Twitterの収益事業部とデベロッパープラットフォームのリーダーであるBruce Falck(ブルース・ファルク)氏とSonya Penn(ソーニャ・ペン)氏は、Twitterのブログで次のように述べている。「私たちはReshuffleのチームを仲間に加えることで、投資と意欲を一層強化していく。デベロッパープラットフォームの構築における彼らの体験は、デベロッパーが私たちのプラットフォームに価値を容易かつ迅速に見出すためのツールの構築に寄与し、私たちの仕事を加速し強化するでしょう」。

Reshuffleの既存プロダクトは、この買収の完了から数週間後には閉鎖される。しかしながらチームは、デベロッパーコミュニティ向けのオープンソースプロジェクトのメンテナンスは継続する、とTwitterは注記している。

Reshuffleのプロダクト

Twitterは最近、買収や新規の人材確保に熱心だ。最近のニュースレタープラットフォームRevueの買収はすでに、Twitterのウェブサイトに統合されている日本でも)。他にもTwitterは最近、ソーシャルポッドキャストのBreaker、画面共有のソーシャルアプリSquad、クリエイティブデザインのUeno、そして2020年のストーリー用テンプレートのChroma Labsを買収している。

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Twitterによると、同社はチームの拡大と仕事の加速化のために、今後も人材獲得に努力していくとのこと。なお今回のReshuffle買収の取引の詳細は、公表されていない。

Pitchbookのデータによると、Reshuffleはこれまで635万ドル(約6億9000万円)の資金を調達しており、その主な投資家はCardumen Capital、Cerca Partners、Maverick Ventures、Meron Capital、Dell Technologies Capital、Engineering Capital、そしてLightspeed Venture Partnersとなる。Pitchbookによると、同社の評価額は1185万ドル(約12億9000万円)だった。

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タグ:Twitter買収API

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Sarah Perez、翻訳:Hiroshi Iwatani)