Fitbit開発の低コスト人工呼吸器に米食品医薬品局が緊急使用認可

Fitbit(フィットビット)は、米食品医薬品局(FDA)からFitbit Flow緊急人工呼吸器の緊急使用認可を取得した。この人工呼吸器は低コストで、使用にはトレーニングや専門的な技術をさほど必要としない。そのため、新型コロナウイルス(COVID-19)パンデミックでヘルスケアシステムがリソース不足で圧迫された場合のソリューションとなる。

Fitbit人工呼吸器はMITのE-Ventシステムと、英国政府が新型コロナ感染拡大中に同国の病院で使用される人工呼吸器のために提供したスペックをベースとしている。自動蘇生器スタイルの人工呼吸器で、救急隊員や救急救命士が使う手動の蘇生バッグ機能を真似ている。

緊急人工呼吸器はパンデミックで脚光を浴びることになった。というのも、医療機関が通常使用するスタンダードの人工呼吸器よりも比較的安価で実際に入手可能な部品で作られているからだ。Fitbitは同社の人工呼吸器のデザインがかなり効果的だと確信している、と話す。センサーの正しい組み合わせ、自動アラーム、蘇生バッグポンプのオートメーションを補助する患者モニター機能などだ。

緊急使用のための人工呼吸器の需要に向けられていたかなりの注意はここ数週間落ち着いてきているが、需要はまだある。そして数カ月内にやってくる新たな新型コロナ感染の波に伴って需要が再度高まることが予想される。Fitbit Flowのようなプロジェクトは、必要となった場合に選択肢として提供できることを目的としている。そしてFDAの緊急使用許可は、企業がその需要に応えるべく大量生産するために既存の製造パートナーと協業できることを意味する。

Flowのような人工呼吸器は従来使用されてきたものの代替ではない。あくまでも間に合わせであり、患者の処置に必要な呼吸器が入手できなくなった時にのみ使用される。

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(翻訳:Mizoguchi

ニューヨークの地下鉄やバスでの非接触決済の全面導入が新型コロナにより延期

昨年5月にニューヨーク市のMetro Transit Authorityは、初めて非接触型決済システムを一部の地下鉄駅の改札口に設置した。そして地下鉄駅とバスを含む交通網全体への展開は、今年10月に完了することになっていた。しかしその他の事柄と同じように、新型コロナウイルス(COVID-19)が計画を台なしにした。

OMNY(One Metro New York)の計画は遅れており、現時点では12月までに完成する見込みだ。このニュースを最初に報じたThe Wall Street Journal(ウォール・ストリート・ジャーナル)は、公共交通機関で乗客が物理的な接触を減らすことができる新たな技術が遅れるという、残念なタイミングに言及している。

乗客がこの技術を定期券のように往復で使えるようになるまで、このテクノロジーが採用される可能性は低い。今のところは、スマートフォンとおなじみのMetro Cardを交換することを意味する。もちろん多くのニューヨーカーはここ数カ月、地下鉄をまったく利用していない。電車は主に労働者の領域であり、MTAは毎晩車両の消毒に尽力しているが、それを避けることができる人はリスクを冒す価値はない。

このシステムはApple(アップル)、Google(グーグル)、Samsung(サムスン)、Fitbit(フィットビット)などのモバイルデバイスとスマートウォッチで利用可能な、幅広いモバイル決済機能をサポートしている。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

レントゲンに代わる低コストのスキャン装置を開発、富士フイルムなどが出資するイスラエル拠点のNanox

医療テクノロジー分野においてはいま、新型コロナウイルス(COVID-19)パンデミックとの戦いに役立つツールやイノベーションに多くの注意が注がれている。そして米国6月4日、とあるスタートアップが新型コロナウイルスとその他の病気の臨床評価をよりアクセスしやすいものにする革新的イノベーションのために資金調達したというニュースが入ってきた。

イスラエルのスタートアップNanox(ナノックス)は小型で低コストのスキャンシステムと「サービスとしての医療スクリーニング」を開発した。これは、高価で大型の装置、それらに対応するレントゲンやCAT、PETなど身体画像サービスに使われるソフトウェアに置き換わるものだ。同社は戦略的投資家の韓国通信会社SK Telecomから2000万ドル(約22億円)を調達したと発表した。

出資に伴いSK TelecomはNanoxの技術を搭載したスキャナーと、スキャンした分だけ課金される画像サービスNanox.Cloudの展開、それらを運用するための5Gワイヤレスネットワーク容量をサポートする。Nanoxは現在、自社技術のライセンスを富士フィルムのような画像業界のビッグネームに許可している。Foxconnはまた、ドーナッツ型のNanox.Arcスキャナーを製造している。

今回の資金調達は厳密には、前回シリーズBラウンドの延長だ。2600万ドル(約28億円)をFoxconn(フォックスコン)や富士フイルムなどから調達すると今年初めに発表した。そしていま同ラウンドは5100万ドル(約55億円)でクローズされ、Nanoxによると約10年前の2011年の創業以来の累計調達額は8000万ドル(約87億円)だ。

Nanoxのバリュエーションは公開されていないが、イスラエルのメディアは12月に、Nanoxが考えているオプションの1つがバリュエーション5億ドル(約545億円)でのIPO(GLOBES記事)だと報じた。我々の情報筋によると、バリュエーションはいま1億ドル(約109億円)超だ。

Nanoxのシステムはデジタルレントゲン検査に関連する専用テクノロジーに基づいている。デジタル放射線撮影法は画像の世界では比較的まだ新しいエリアで、画像をとらえて処理するのにX線プレートではなくデジタルスキャンに頼っている。

Nanoxによると、放射線量は70Bq/kgで、これに対し平均的なCTスキャナーの放射線量は2000Bq/kgだ。製作コストはCTスキャナーが100〜300万ドル(約1〜3億円)するのに対し、Nanoxのものは1万ドル(約100万円)ほどだ。

CEOで創業者のRan Poliakine(ラン・ポリアキン)氏によると、小型の装置で安く、画像の処理のほとんどをクラウドで行えるのに加え、Nanoxシステムは1秒の何分の1かのうちに画像を作ることができ、これにより放射線被曝という点において従来の手法よりかなり安全だ。

画像はこのところかなりニュースで取り上げられている。というのも、新型コロナウイルス患者の症状の進行状態や、新型コロナウイルスに罹っているかもしれない人の肺やその他の器官にCOVID-19がどのくらい影響を及ぼしているのかを確認するために画像が今のところ最も正確な手段の1つだからだ。Nanoxの装置の普及はそうしたケースの対応で役割を果たすが、その一方でNanoxの最終目標はそれよりも大きなものだ。

究極的には、同社はかなり多くの人に病気の早期発見や予防のスキャンを行えるよう、装置とクラウドベースのスキャンサービスをユビキタスのものにしたいと考えている。

「現在、癌と闘うベストな方法は何だろうか。早期発見だ。しかし世界の3分の2が画像へのアクセスがなく、スキャンを受けるために数週間、あるいは数カ月も待たなくてはならない」とポリアキン氏は話した。

Nanoxのミッションはこのギャップを埋めるべく、今後数年間で同社の装置1万5000台を届けることだが、パートナーシップを通じてこのミッション達成に近づいている。SK Telecomとの提携に加え、Nanoxは3月にGateway Groupという企業とのパートナーシップでオーストラリア、ニュージーランド、ノルウェーに装置1000台を配置するための1億7400万ドル(約190億円)の契約書にサイン(Radiology Business記事)したことも明らかにした。

SK Telecomの投資は、通信企業が企業や個人にどのような種類のサービスを再び販売し、提供するかに立ち戻る機会として5Gをいかにとらえているかを強調する興味深いものだ。そしてSK Telecomは中でもヘルスケアを重要な機会として選んだ。

「通信会社は5Gの販売方法をめぐり、機会を模索している」とSK Telecomの会長Ilung Kim(イルウン・キム)氏はインタビューで述べた。「そしていま、5Gデータを使いながら救急車の中で使用されるほどのサイズのスキャナーを思い描くことができる。業界にとってゲームチェンジャーだ」

今後の展望として、Nanoxは同社のハードウェアの納入と、スキャン処理用のクラウドベースのサービスを販売するために提携パートナーを引き続き増やす。しかし、生データから洞察を得るためのテクノロジーの開発は予定していない、とポリアキン氏は述べた。そのため、同社はサードパーティ、現在はAI企業3社と協業していて、今後はこのエコシステムをさらに増やす予定だ。

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(翻訳:Mizoguchi

PDFベースの共同編集・電子署名サービスのAnvilがグーグル系VCから5億円超を調達

リモートワークによってオフィスが必要とするツールは、複数のミーティングを横断する非同期の通信やチャットに変わってきたが、コラボレーションはチャットの簡素な小さな泡の中で完結するものばかりではない。

米国サンフランシスコのスタートアップAnvilは、企業のコラボレーションのかたちをささやかなPDFで変えようとしている。AnvilのオートメーションプラットホームはGoogle Formsをレベルアップして退屈なPDFを動的なフォームでデジタイズし、これまで複数のソフトウェアを使ってアクセスしていた複数のプロセスを統一する。ユーザーはこのプラットホームを利用して、ペンを手に持つことなくドキュメントの作成、共有、書き込み、署名、記入、ダウンロードなどができる。

米国時間6月3日、AnvilはGoogleのGradient Venturesがリードするシードラウンドで500万ドル(約5億4500万円)のシード資金を調達したことを発表した。同社はDocuSignなどと競合するが、AnvilのCEOであるMang-Git Ng(メン-ギット・ウン)氏によると、確かにDocuSignは「ドキュメントの完成と実行の面では優れているが、ドキュメントを実際に作るという部分が弱い」という。AnvilはDocuSignをすでに使っている顧客のニーズに応じて、Anvilのサービスを彼らのワークフローに統合できる。しかしDocuSignのワークフローをAnvilが部分的に再製して、ドキュメントオートメーションのエンドツーエンドのソリューションを構築することもできる。

Anvilは当初、ウェルスマネジメントや銀行を顧客として狙っている。料金は、個々のプロジェクトベース、または月額99ドルから始まるサブスクリプションプランだ。

Anvilのチーム

同社は最近、ある銀行をパートナーとして、新型コロナウイルス関連の中小企業救済事業であるPaycheck Protection Program(PPP)の申請用ポータルを作ったとき、同社サービスの立ち上げてすぐに使える迅速軽快ぶりを自らテストしてみた。ウン氏によると、そのときSunrise Bankの顧客は総額1億2700万ドル(約138億円)のPPPローンを申請し、Anvilがその作業を手伝った。そのときの体験を同氏は「それは私たちにとってあわただしい体験だった。申請内容に関する最初の会話からデプロイまで、6日を要した」、と語っている。

新型コロナウイルスのパンデミックは、確かに紙を使う処理のデジタル化を加速している。ウン氏によると、多くの企業がリモートになっていくにつれて同社への関心も急増し、特に新人研修やコンプライアンス、社内アプリケーションなどの分野ではペーパーワークをもっとコラボレーション可能にしデジタルフレンドリーにしたいという新しいニーズも生じている。

同氏は「今見えている全体的なトレンドとしては、これらの業界の人びとがデジタル化をもっと前向きに考えるようになっているが、しかし一般的に言えば、大企業でこのトレンドの最前線にいる人たちは効率の向上と費用の節約が最大の関心だ。でもロックダウンになってからは、それらをリモートでやる方法を考えなければならないし、リモートで仕事をするためのソリューションが最前線の課題になっている」と説明する。

Anvilのシードラウンドには、Citi Ventures、Menlo Ventures、Financial Venture Studio、および122 Westが参加した。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

英国チャレンジャーバンクのMonzoが最大120名を解雇へ、「経済状況」は未だに困難

英国のチャレンジャーバンク(新興のインターネットバンク)であるMonzo(モンゾ)は、新型コロナウイルス危機による経済低迷を受け、苦しい決断を迫られ続けている。

ラスベガスのカスタマーサポート部門の閉鎖(未訳記事)と、英国内で300名のスタッフを在宅待機としたのに続き、同社は最大120名の英国スタッフが余剰人員となることを社内で発表(Reuters記事)。筆者も独自の情報筋を通じて確認した。

6月3日午後に新CEOであるTS Anil(TS・アニル)氏とMonzoの共同創業者でプレジデントのTom Blomfield(トム・ブロムフィールド)氏が開催した全社会議のあとにアニル氏が書いた社内メモによると「同社は最大120名の余剰人員が発生する。会社は自宅待機と賃金カットがすでに行われたことでそれ以上の解雇は回避できる可能性がある(未訳記事)」と語っていた。それはもはやありえないことのようで、アニル氏は現在の経済状況がすぐに平常状態に戻ることはないと説明している。

私の理解によれば、英国雇用法により、影響を受ける可能性のある社員には十分な相談期間が適用される。さらに同氏は社員に対して、これまでの貢献を認め、解雇によって株式の受給に影響がないように配慮することも伝えた。

解雇予定の発表は、最近続いているMonzoの混乱に続くものだ。他の多くのフィンテック企業と同様、新型コロナによる経済低迷から身を守るべく手を打ってきた。

去る4月に私は、Monzoがラスベガスのカスタマーサポート部門を閉鎖し、 165名の米国スタッフが職を失う(未訳記事)ことを報じた。そのわずか数週間前にも、英国のコロナウイルス雇用維持スキームによって、最大295名の社員を自宅待機にしたこと(未訳記事)をTechCrunchで報じた。さらに、経営チームと取締役会は、25%の自発的減給を行い、プロムフィールド氏は、今後1年間報酬を受け取らないことを決めた。

ほかの銀行やフィンテックと同じく、Monzoは顧客のカード利用が国内も(もちろん)国外も低迷し、交換手数料による売上は著しく減少した。同社は数少ない収益源のひとつである消費者向けプレミアム有料口座の導入も延期した。ほかの収入源はもちろん融資だ。

そして先週、Monzoは7000万~8000万ポンド(約95億6300万〜10億9300万円)の追加資金調達を完了し新型コロナ危機下の延命を図った(Sifted記事)ことが報じられた。しかし、新規投資家や一部の既存投資家の対応は強硬で、同社は前回昨年6月のラウンドで20億ポンド(約2730億円)だった会社評価額を40%減額されることを受け入れざるを得ず、新たな評価額は12.5億ポンドとなった。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

CES 2021はベガスでのリアル開催を計画、新型コロナ感染防止対策や関連イベントのオンライン化も進める

今年1月に開催された消費者向けエレクトロニクスのトレードショーであるCESは、新型コロナウイルス(COVID-19)によるパンデミックの直前という際どいタイミングだった。翌月バルセロナで開催が予定されていたMWCは一時は延期が検討されて、新型コロナウイルスの流行がヨーロッパに拡大したことで結局は開催そのものがキャンセルされた。その後は「ドミノ倒し」のように次々にカンファレンスやトレードショーの開催が中止になった。中には実際の会場ではなくオンラインに場所を移して開催されたイベントもあった。

CESは来年もリアルな会場での開催を計画していることがわかった。米国時間6月2日、CESの運営組織であるCTA(Consumer Technology Association)は「2021年のカンファレンスをラスベガスで開催することを計画している」と発表した。ベルリンで開催されるIFA(未訳記事)で入場者数の制限を計画しているが、CESでは意図的に規模を縮小するような手段を取るつもりはない。しかしCESでもイベントの関連行事の多くをオンライン化して対面開催のリスクを最小限にする努力をするという。

さらにCTAは、来場者の安全を確保するために以下のような一連の対策を採る。

  • 会場全体のスペースを頻繁に清掃・消毒し、各所に来場者向け消毒ステーションを設置
  • 展示エリアでは通路を拡張。講演会場その他参加者が密集する可能性のあるエリアでは席の間隔を広くするなど、ソーシャルディスタンスの確保に努める
  • 参加者、出展者は、マスクを着用する、握手をしないなど、感染の予防、拡大の防止に効果がある手段を採ることを勧める
  • 購入や契約にキャッシュレスシステムを導入するなど、イベント全体で対人接触が必要となる場所を制限
  • 会場の主要な入り口で非接触式サーマルスキャンによる体温測定を行うために各種システムをテスト
  • 会場における救急・医療サービスを強化

ほかの効果的方法についてもラスベガス市その他の地元コミュニティと「緊密に協力している」と主催者は述べた。ラスベガス市長のCarolyn Goodman(キャロリン・グッドマン)氏は、これまでも新型コロナウイルスによるイベントの中止に激しく反対してきたことで知られている。4月中旬にグッドマン市長は感染拡大防止のためのロックダウンを「馬鹿げている」と非難し、内外の旅行者にカジノやその他のビジネスをオープンし続けることによりラスベガスを「コントロールグループ」(比較対象を設定した対照実験の対象)とするよう提案した。困難な情勢が続くいてるが、総工費に1000億円以をかけたLVCC(ラスベガス・コンベンション・センター)のリニューアルは完成に近づいており、CESのような大型イベントを開催を確保する必要性はかつてなく高まっている。

他方、イベント主催の多くは新型コロナウイルスの第2波、第3波を世界中に拡散することになるのを恐れて、引き続き対面開催には慎重だ。パンデミックが起きる以前でも関してコンベンションが風邪やインフルエンザの拡大に大きな役割を果たしてきたことを考えれば、多くの常連企業が参加を中止することになるのは無理ない。また今回の発表でCTAが「計画」という言葉を使っていることに注意すべきだろう。世界が明日どうなるのか分からない時期だ。まして7か月後の状況となると想像することさえ難しい。

画像: ROBYN BECK/AFP/Getty Images

新型コロナウイルス 関連アップデート

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

ウェアラブル市場の成長はパンデミックにより減速、しかし止まってはいない

ウェアラブル業界の成長は、新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックによって打撃を受けている。しかしスマートフォンやPCなどのほかのハードウェアと比較すると、実際にはそれなりに健闘している。調査会社のABI Researchの新しい予測によると、2020年のデバイス出荷台数は前年比5%増になる見込みだという。

この1桁の成長率は、2018年から2019年の間に見られた23%はいうまでもなく、今年の予測値である17%を大きく下回っている。2020年には2億5400万台のデバイスがメーカーから出荷されると予想されており、これは昨年の2億4100万台から増加している。第1四半期(1月〜3月)の最大の変化は、人々が必需品以外を買わなかったことだ。米国では、このパンデミックにより約4000万人が失業を申請した。

個人的には、すべてのジムが一時的に閉鎖されているなかで、フィットネストラッカーのような製品の購入への関心は低下すると予測している。多くの人は外出し出歩く機会が減ったが、自分自身の個人的な健康への関心の高まりによって、潜在的な低下が防がれている。

Apple WatchやFitbit製品のようなデバイスは、心電図や血中酸素飽和度の読み取り機能のおかげで、ヘルスケア製品としてより真剣に捉えられている。Fitbitはまた、新型コロナウイルスの研究グループとも協力している。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

Zoomユーザーがリモートワークで前年比354%と急増、売上は前年比169%

「新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックでZoomとそのエンタープライズ品質のビデオチャットほどユーザーが増えた企業はほかにないだろう」と思われた。しかしフタを開けてみると、Zoomの成長はすべての予想を上回っていた。

同社の今四半期決算報告では、売上は前年比で169%伸びたが、それは顧客の大幅な増加に支えられている。同社によると現在の顧客は26万5400社で、1社平均のユーザー数は10人以上だ。前年比で顧客数の伸びは354%となっている。Zoom上で年間10万ドル以上を支出した大口顧客も急増し、Q1の前年同期比では90%成長した。

関連記事:Remote work helps Zoom grow 169% in one year, posting $328.2M in Q1 revenue(リモートワークでZoomが成長、Q1売上320億円超は前年比169%、未訳)

このプラットホームの1日のアクティブユーザー数(DAU)と月間アクティブユーザー数(MAU)は、発表されていない。4月に同社は、3億という不正確なデイリーアクティブユーザー数を発表して世間の怒りを買った。Zoomは後日それを訂正し、それはDAUではなく1日のアクティブ参加者数に過ぎないと報告した。例えば、1人のユーザーが1日に複数のミーティングに出ていれば、その数がそのまま数えられる。

いまは多くの企業がZoomのようなサービスを使って、オフィスの閉鎖に伴う在宅のリモートワークをこなそうとしているから、エンタープライズユーザーの大幅な増加も意外ではない。

ZoomのCEOであるEric Yuan(エリック・ユアン)氏は決算報告に伴う声明で「新型コロナウイルスの危機が、Zoomを使用する分散対面型対話とコラボレーションの需要を急増させた。業務と学習と個人生活にZoomを統合する人びとが増え、ユースケースが急速に成長した」とコメントしている。

関連記事: Zoom retracts statement that it has 300M daily active users(Zoomが3億DAUの主張を撤回、未訳)

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

2020年Q1のスマホ販売台数は新型コロナの影響で前年比20%減、iPhone売上は8.2%減にとどまる

すでに誰もがわかっている事実を裏付ける冴えない数字が出てきた。2020年第1四半期は、その前から苦戦していたスマホ業界にとって本当にタフなものだった。Gartner(ガートナー)の最新レポートによると、グローバルのスマホ販売台数は新型コロナウイルス(COVID-19)パンデミックの影響で昨年同期比20.2%減だった。

スマホメーカー上位5社は、1.4%増となったXiaomi(シャオミ)を除き、全社が販売台数を大きく減らした。中国メーカーであるシャオミの販売増は驚きだが、これには海外での販売が貢献している。Samsung(サムスン)は22.7%減、Huawei(ファーウェイ)は27.3%減、Oppo(オッポ)は19.1%減といずれも2桁の減少となった。その一方でApple(アップル)は8.2%減にとどまった。そのほかのメーカーは合計で24.2%減となった。

理由についてはこれまでTechCrunchでも何回か取り上げてきたが、ほぼ全世界に行き渡っている新型コロナウイルスのパンデミック。中でも最大の原因が世界的な外出禁止令と経済の不透明性だ。アジアが最初に新型コロナの影響を受けたことから、グローバルサプライチェーンの問題も間違いなく要因の1つだ。

スマホ市場が頭打ちに、あるいは減少し始めていたところに、これらの要因が重なった。アナリストは5Gの到来がスマホマーケットの衰退を少しは食い止めると予想していた。しかし立ちはだかる事が起きた。アップルの売上減が、年初の好調のおかげでさほど悪くなかったのは注目に値する。

「もし新型コロナがなかったら、iPhoneの販売台数は四半期としては過去最高水準になっていたはずだ。サプライチェーンの混乱と消費者支出の減少が、2月に見られていたポジティブな傾向を止めてしまった」とガートナーのAnnette Zimmermann(アネット・ジマーマン)氏はニュースリリースで述べた。「アップルのオンラインストアによる消費者対応能力、そして3月末に生産がほぼ通常水準に戻ったことが、早期にいくぶんポジティブさを取り戻すことにつながった」。

全体的にこの業界はすぐには回復しないと筆者は考える。経済活動を再開させる動きは始まったが、新型コロナウイルスの今後はほぼ不透明だ。多くの人がやりくりに苦慮している中で、スマホへの多額の支出はまだありそうにない。

画像クレジット: Towfiqu Photography / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

AIは新型コロナを打ち破るだろう、でもプライバシーを犠牲にしてはならない

編集部注:本稿はPhilip N. Howard(フィリップ・N・ハワード)氏とLisa-Maria Neudert(リサ-マリア・ニューデルト)氏による寄稿記事である。ハワード氏はOxford Internet Institute(オックスフォードインターネット研究所)所長。ニューデルト氏は、オックスフォード大学のオックスフォードインターネット研究所でComputational Propaganda Projectに取り組む研究者だ。

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韓国は新型コロナウイルスの感染拡大速度を低下させることに成功した。大規模な隔離対策と検査の実施に加えて、革新的な方法でテクノロジーを活用したことが韓国における同感染症の拡大抑止に大きく貢献したと言われている。欧州各国や米国が悪戦苦闘する中、多くの国々は、現在および今後長期にわたって疫学研究を推進し公衆衛生を管理するためのツールとしてAIに注目し始めており、接触者追跡、症状追跡、免疫証明などの用途に利用するための技術ソリューションの開発が進められている。このようなテクノロジーがあると心強いのは確かだが、その利用によって人権が侵害されるようなことがあってはならない。

韓国政府は、クレジットカード取引から、監視カメラ映像や携帯電話の位置情報に至るまで、数百万に及ぶデータポイントを分析し、市民のプライバシーに踏み込んだ個人データを広範囲に集めた。韓国のMinistry of the Interior and Safety(行政安全部)は、自主隔離中の市民のGPSデータを政府職員に通知するスマートフォンアプリまで開発した。隔離中の人が指定された「電子フェンス」の外に出ると、アプリから政府職員に警告メッセージが送信される。このような大規模な監視がプライバシーとセキュリティに与える影響は、深く憂慮すべきものだ。

ウイルス拡散防止のために個人データを活用している国は韓国だけではない。中国、イラン、イスラエル、イタリア、ポーランド、シンガポール、台湾などの国々も、携帯電話から収集された位置情報データを、新型コロナウイルスと戦うために開発されたさまざまなアプリケーションに利用してきた。人工知能と機械学習が駆使されたこれらのデータは、社会統制や社会監視に利用すべきでないばかりか、移動パターンの予測、アウトブレイクが予想されるホットスポットのピンポイント特定、感染経路のモデル化、または免疫予測にも利用してはならない。

人権とデータプライバシーへの影響は、新型コロナウイルスが終息した後もずっと長く続く。差し迫る脅威に立ち向かうための一時的な対策として導入された、大規模なデータ共有、観察、監視が、現代社会における生活の一部として定着する可能性がある。将来起こり得る公衆衛生の非常事態から市民を守るという建前で、期間限定のアプリケーションが恒久化されるかもしれない。少なくとも、政府が焦って未成熟な技術を導入することを決め、場合によってはその使用を法で義務づけるようなことをすると、危険な先例を作ってしまうことになる。

とはいえ、そのようなデータやAIを駆使したアプリケーションは、新型コロナウイルスとの戦いにおいて前進していくうえで有用なものになり得るし、政府は、匿名化されて個人特定が不可能な個人データから、公衆衛生を脅かすこの未曽有の非常事態を乗り切るための貴重な知見を得られる。ホワイトハウスは、携帯電話から収集できる集団レベルの匿名位置データの活用方法について、さまざまなテクノロジー企業と活発に協議しているようだ。英国政府は、位置情報と利用データの活用について携帯電話会社と話し合っている。いつもは先頭に立ってデータ権利を擁護するドイツでさえ、健康管理用の端末やスマートウォッチからのデータ供与を活用して新型コロナウイルスの地理的な拡散状況を見極めるという、賛否両論あるアプリを導入した

大手テクノロジー企業も救助に駆けつけている。Google(グーグル)は140以上の国々で、店舗、娯楽施設、職場、住宅地などの場所における人々の移動傾向を知ることができる「コミュニティモビリティレポート」を公開している。Apple(アップル)とグーグルは接触者追跡アプリを共同開発し、APIなどの開発者ツールキットをリリースしたばかりだ。Facebook(フェイスブック)は、ユーザーの位置情報に基づいて地方自治体、緊急対応機関、法執行機関が通知を送信できる「ローカルアラート」機能を展開している。

市民の健康状態や位置情報に関するデータ開示がこれ以上ないほど個人特定に近づいていることは明らかだ。このようなデータを活用するアプリケーションには大きな潜在的メリットもあるが、その不正利用や悪用に関する懸念も同じくらい大きい。データ保護にはセーフガード(おそらく最も進んでいるのは欧州のGDPRだろう)が存在するが、政府は国家の有事に際して例外措置を設ける権利を持っている。さらに、民主制においてAIを合法的かつ倫理的に利用するための枠組みは(すでに存在していればの話だが)それほど確立されていない

政府が社会統制、アウトブレイク予測、感染追跡を実施するのに役立つ可能性があるアプリケーションは数多くあり、役立ちそうなものもあれば、そうでないものもある。接触者追跡アプリは欧州各国や米国で政府が今最も注目しているものだ。分散プライバシー保護接近追跡(DP3T)という、Bluetoothを使ったアプローチでは、同意したユーザーが、安全な分散型プロトコルを使って、公衆衛生当局にデータを提供できる。すでにEuropean Commission(欧州委員会)が、分散型アプローチを推奨する「接触者追跡アプリケーションに関する指針」を発表している。言うまでもなく、EU加盟国は、このようなツールの導入にあたり、中央集中型かどうかに関わらず、GDPRを順守しなければならない。

オーストリア、イタリア、スイスは、アップルとグーグルが開発した分散型アプローチを採用する計画であることを表明している。ドイツは最近、現在進行中の国民による議論とプライバシー専門家からの厳重な警告をうけて、中央集中型アプリの導入計画を中止し、代わりに分散型アプリを採用することを発表した。しかし、フランスとノルウェーは、機密性の高い個人データが中央サーバーに保存される中央集中型システムを使用している。

英国政府も中央集中型アプローチによるアプリの開発を進めており、現在ワイト島で実証実験を行っている。National Health Service(国民保険サービス、NHS)の一機関であるNHSXはこのアプリを、感染が疑われる市民に保健当局の職員が直接、個人ベースで連絡できる仕様にする予定だ。収集されたデータをどのように使用するか、他のデータソースと結合させて使うかどうか、といったことは現時点ではまだ不明である。現行の規定によると、英国はEU離脱の移行期間が終了する2020年12月まで引き続きGDPRを順守しなければならない。

政府主導の取り組みとは別に、接触者追跡やその他の方法によるアウトブレイク阻止を目的としたアプリやウェブサイトが無数に出現するという困った事態が生じている。このようなアプリやウェブサイトは、個人データの任意提供を市民に求める一方で、プライバシーやセキュリティ性能は(たとえあったとしても)ほとんどないに等しく、機能性に欠けることは言うまでもない。善意により開発されていることは間違いないが、このようなツールは趣味でアプリ開発をしている人やアマチュアのハッカソンイベントによって生み出されている場合が多い。

有用なシステムとそうでないものを選別するのは簡単ではなく、おそらく政府にはその選別能力はない。現時点で、人工知能、特にガバナンスにおける人工知能の使用は、公的機関にとっていまだに不慣れな分野である。切羽詰まった規制当局は、さまざまなAIシステムについて、その正当性やより広範囲に及ぶ影響を民主主義的価値に照らして評価するのに四苦八苦している。十分な調達ガイドラインや法的枠組みがまだ整備されていないため、政府はAI導入に関する決定―今こそ最も必要とされている決定―を下すための準備ができていない。

さらに悪いことに、9・11同時多発テロ事件後の保安強化措置とは異なり、AI主導アプリケーションをひとたび世に送り出してしまうと、それを元に引きもどすことは難しい。新型コロナウイルスの第二波や迫り来る別のパンデミックを回避するには個人データを使用することが必要だと政府が主張する可能性もある

規制当局が新型コロナウイルス危機の間にAIに特化した新たな規制を策定する可能性は低いため、今後も前に進み続けるには、少なくとも今、「公衆衛生の危機に対処するために開発されるあらゆるAIアプリケーションは、公衆衛生研究者や公共科学機関によって公益のために保持される関連データ、アルゴリズム、入出力内容も含めて、最終的には公共アプリケーションになるものとする」という合意を形成しておく必要がある。新型コロナウイルス感染症パンデミックを出しにして、プライバシー規制を破ることや、一般市民から貴重なデータを吸い上げることは許されない。

治療の提供や公衆衛生の非常事態収束に最先端のAIを活用してほしいと、誰もが願っている。新型コロナウイルスによって人々の命が失われている今は、個人のプライバシーやAIの人権に関する短期的リスクへの注目度が下がるのも当然だ。しかし、新型コロナウイルスをめぐる事態が収束したら、すべての人が個人のプライバシーを取り戻し、権利を回復させたいはずだ。民主主義下の政府や企業がこの問題に取り組みつつ、体制の強さを保ちたいなら、アプリがどのように機能するかをすべての人が観察する必要があり、公衆衛生に関するデータが医療研究者のところに集まるようにする必要があり、一般市民が追跡システムの監査や無効化を実行できなければならない。AIは長期的に見て優れたガバナンスに寄与するものでなければならないのだ。

新型コロナウイルス感染症パンデミックは、最優先で取り組むべき公衆衛生の非常事態であり、今後、何十年にもわたってガバナンスに大きな影響を及ぼすことだろう。また、このパンデミックにより、現行システムの大きな欠点も浮き彫りになっている。AIはすでに実用できる段階にあり、これからさらに強力なAI主導アプリケーションが開発されていく。しかし、政府には、その民主的利用を実現する能力がまだ備わっていない。世界規模のパンデミックが及ぼす計り知れない影響を目の当たりにしている今、急場しのぎの政策立案だけでは優れたガバナンスを実践するには不十分だが、でもそれが、現時点で手が届く最善の解決策なのかもしれない。

“新型コロナウイルス

Category:人工知能・AI

Tag:接触者追跡 新型コロナウイルス

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(翻訳:Dragonfly)

英国Uberがドライバー向けアプリに他のギグワークを探せる機能を追加

新型コロナウイルス(COVID-19)による危機で配車サービスの売上はもろに影響を受けている。そうした事態を受け、ドライバーが収入を補えるよう、英国Uberはドライバーが一時的に他の企業で働く機会を探すことできるWork Hubを立ち上げた。

Work Hubはドライバー向けのアプリ内にあり、そこにはサードパーティーのプロバイダーからの仕事が表示される。配達に車を使うものも含め、新型コロナウイルスの蔓延で配車サービスの需要が減ったために収入面で影響を受けているドライバーに他のギグワークを提供する。

Uberは同様の機能を4月から米国でも提供している。ドライバーは12社ほどが扱っている求人に応募でき、EatsやFreight、WorksUberなどUberの他部門の仕事も請け負える。

英国では、ローンチ時は3社のみと外部サプライヤーが少ない。そしてUber内部のギグワークはなしだ。「5月29日から英国のドライバーは『何千』もの『臨時の求人』と、他社での『フレキシブルな収入を得る機会』にアクセスできる」とUberは述べた。その他社とは、まずはデリバリー会社のHermesとYodelだ。リクルーターのAdecco Groupはドライバー向けのU.K. Work Hubを通じて臨時仕事も提供している。

「さらに提供できる労働機会を増やすため、新たなパートナー企業を今後も加え、リストを増やしていく。アップデートがないかDriverアプリを定期的にチェックしてほしい」とUberはWork Hub立ち上げ発表のブログ投稿に書いた。

新型コロナウイルスの蔓延でグローサリー配達の需要が急増し、同社はすでに英国のドライバーにオンラインスーパーマーケットOcadoの配達業務に登録するよう電子メールで推奨している。しかし今回はWork Hubを介しての正式な呼びかけだ。そして「案内済みのOcadoの配達業務にも追加で『何千もの』求人が追加される」としている。

ドライバーがこの厳しい時を切り抜けられるよう、なぜ英国UberがドライバーにUber Eatsの業務を選べるようにしないのかはわからない。英国では自転車やバイクを使う配達人が多く、EatsとUber配車サービスの労働はさほどかぶらない。加えて、通りに車が増えることを歓迎する都市はない。ということで欧州のドライバーにEats業務に就かせたくない複数の理由があるのだろう。

「新型コロナウイルスと闘っている間も、ドライバーは社会を動かしつづけるために必要不可欠な業務を行っている。しかし人々の移動が減ったため、ドライバーたちは収入を得る別の方法を必要としている。Work Hubでドライバーは他の企業で収入を得る機会を見つけることができる。他企業の業務を請け負うときは、Uberではフレキシブルに働ける」とUberの欧州北部・東部を統括するゼネラルマネジャーJamie Heywood(ジェイミー・ヘイウッド)氏は声明で述べた。

Work Hubの取り組みは、パンデミックで減ったUberでの収入を他のギグワークで補うようドライバーに勧めるという意図のようだ。そして「正社員の職を探すことは勧めていない」と皮肉屋の人は言うだろう。それでも、正常が戻り配車サービス事業が復活すれば、Uberは所有する車でギグワークをしてくれるドライバーを要する。

米国と英国以外のマーケットでは、オーストラリア、チリ、コスタリカ、カナダ、メキシコ、ポルトガル、南アフリカのドライバー向けにWork Hubを立ち上げている。

この機能は危機の中で生まれたものだが、Uberはこれより前に臨時の仕事を扱う分野に参入済みだ。昨年、Uber Worksというシフトの業務を探せるアプリをシカゴで立ち上げた。同社は、収入を得る機会を広げるための手段としてドライバーに提供するWork Hubは長期雇用のためのものと位置付けていて、今後も展開を続けると話した。

画像クレジット: Getty Images

“新型コロナウイルス

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(翻訳:Mizoguchi

ARでソーシャルディスタンスを確保するグーグルの実験

新型コロナウイルス(COVID-19)の世界的パンデミックから数カ月が経ち、多くの人はすでに2メートル(6フィート)の距離を目視できるようになっていることだろう。しかしまだそのような能力を身につけておらず、またAndroidデバイスを持っているのなら、Google(グーグル)が手助けをしてくれるかもしれない。

グーグルのExperiments with Googleコレクションの最新プロジェクトであるSodarは、WebXRを使ったシンプルなブラウザベースのアプリで、モバイルデバイスでのAR(拡張現実)によるソーシャルディスタンスを提供する。Android端末のChromeブラウザでサイトにアクセスするとアプリが起動し、カメラを地面に向けて移動させると、ドット状のマトリックスで平面を認識する。

画面を移動させると、周囲2メートル(6.6フィート)が確認できる。これは新型コロナウイルスの拡大を抑制するためにCDC(米国疾病予防管理センター)が推奨している距離だ。同センターは、これを「約2本の腕の長さ」だと説明している。このアプリは技術的なデモという意味合いが強く、また将来的にはスマートグラスがその役目を置き換えることになるかもしれない。

一方で、他人や病気の媒介物から適切な距離を保つためにスマートフォンをかざすことは、昔ながらの常識に比べると少々現実的ではない。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

ストリーミングサービス運営のPlexが共同視聴機能を提供、同社ライブラリのほかユーザーのコンテンツを一緒に楽しめる

同じビデオを複数人がリモートで一緒に見る、いわゆるバーチャルビデオパーティーは、新型コロナウイルスのパンデミックの間に友だちや家族とつながってるための方法として人気がある。例えばNetflix Partyは、新型コロナウイルスの感染拡大で消費者が屋内避難を強いられるようになってから利用が急増した。HBOはブラウザーの拡張機能(エクステンション)のScenerをパートナーとして最大20名までの「バーチャルシアター」を提供(未訳記事)している。Instagram(未訳記事)やHousepartyなどのソーシャルアプリにも共同視聴機能がある。

米国時間5月28日にはHuluが、Huluの標準の機能としてのバーチャルビデオ体験、その名もWatch Partyを発表した。そして同日に、メディアソフトウェアのメーカーPlexが、Watch Together(一緒に見ましょう)機能をローンチした。一緒に見られるのは、同社にあるオンデマンドコンテンツのコレクションか、ユーザーのパーソナルなメディアだ。

その機能はまだベータで実験中とのことだが、PlexのユーザーはPlex上に友達を招待してテレビ番組やムービーを一緒に見れる。ユーザーがPlex上にいなければ、リンクから加わるよう招待できる。

同社によると、この共同視聴体験は同社の無料のオンデマンドムービーとテレビ番組のほかに、ユーザーの個人的ライブラリのコンテンツでも制限なくできる。ただしHuluのWatch Party機能とは異なり、チャット機能はない。Plexはただ、参加者全員に同期した状態でコンテンツを再生するだけだ。

Watch Together機能には、参加者の人数に制限がない。ただしFAQによると、ユーザーがその上でPlex Media Serverソフトを動かすサーバー用ハードウェアの性能、およびネットワークの接続の質やディスクのスピード、コンテンツの内容などで人数が決まる。「あまりたくさん参加すると再生に問題が生じる」とPlexは警告している。


いったんWatch Togetherが始まれば、ユーザーは複数のデバイスから参加したり、一度抜けたあとの再参加したりもできる。ただし、あとから新しい人を加えることはできない。HuluのWatch Party機能とは異なり、誰かがストリームをポーズしたら、全員の再生がポーズする。

ローンチの時点のPlexのWatch Together機能はiOS系とAndroid系のプラットホーム上で使える。具体的には、tvOSとiOS、iPadOS、およびAndroidとAndroid TVの各OSが動作する機器で使える。Rokuのサポートはもうすぐで、そのほかのプラットホームもそれに続く。

Watch Together機能は、ベータ中にはPlex Passを定期購入していない人を含む全員が無料で利用できる。それによってバグや機能リクエストのフィードバックが多くなることが同社の狙いだ。ただし、将来的には有料の機能になる。Plexによると、Watch Together機能は本日からベータで利用できる。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

イリノイの工場再開でRivianのアマゾン向け電動配送バンの生産は計画どおり実行

Amazon(アマゾン)、Cox Automotive(コックス・オートモーティブ)、Ford(フォード)が支援する電気自動車メーカーのRivian(リビアン)は、新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックによる一時閉鎖が解除されたのを受けて、米国イリノイ州ノーマルの工場を再開させた。

一般消費者向け電気自動車R1TとR1S、それにアマゾン向けの電気配送バン10万台を生産することになっているこの工場は、従業員が段階的に戻って来ることになり再始動した。工場閉鎖の後の段階的再開ではあるが、アマゾンが5月28日に発表した声明によれば、アマゾン向けの配送トラックの生産スケジュールに変更はないとのことだ。

アマゾンは昨年9月、2040年までに炭素排出量をゼロにするという「気候変動対策に関する誓約」(The Climate Pledge)の一環として、Rivianに電気配送バン10万台を発注した。この電気バンを使った宅配は、最初の予定どおり2021年にスタートする。「2022年には早くも1万台の電気バンが走り回ることになり、10万台すべてがそろうのは2030年になる」と5月28日に発表した声明でアマゾンは述べている。

Rivianは、R1TとR2Tの生産開始は2021年に先延ばしした。当初は、その電気ピックアップと電気SUVの生産と出荷を2020年後半に予定していたのだが調整された。Rivianでは、以前からR1Tが先でR1Sはその後と決めている。

新型コロナウイルスのパンデミックによって部材の供給が制限され、同社はスケジュール変更を余儀なくされたためだ。しかしRivianは、R1TとR1Sの生産と出荷の時期を近づける努力をしている。

今のところ同社は、工場の内外での作業に力を注いでいる。新型コロナ禍が起きる前は、およそ335人の従業員がRivianの工場で働いていた。現在は116人が出勤しているが、残りの従業員も次第に呼び戻す予定だ。Rivianは、1人の従業員もレイオフせず、すべての従業員に給料を払い続けてきた。

およそ109人の建築請負作業員も工場に戻り、内部での作業を再開した。工場の外では、その他の120人から140人の建築作業員も、工場を約24万平方mから約28万平方mに拡張する工事を再開した。

RivianのCEOであるRJ Scaringe(R・J・スカーリンジ)氏によると、同社は4段階の新たな安全対策を導入したという。体温チェックが実施され、従業員には防護服と防護具が配布されている。

「車両のエンジニアリングとデザインの部門では、作業スケジュールを予定どおり進めるためのデジタル管理の方法を開発した」とスカーリンジ氏は話していた。

“新型コロナウイルス

画像クレジット:Amazon/Jordan Stead

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(翻訳:金井哲夫)

瞑想とマインドフルネスのアプリは新型コロナ禍で急成長中

新型コロナウイルスのパンデミックによって、メンタルヘルス、特に不安や不眠に対処する瞑想に重点を置いたアプリのダウンロード数が急増している。アプリストアの調査会社であるSensor Tower(センサー・タワー)の最新の報告によると、英語をベースとする世界で最も人気の高いメンタルウェルネスアプリの上位10作は、2020年4月の合計ダウンロード数が同年1月も200万件増加し、その月の合計ダウンロード数は1000万件近くに達したという。

チャートは市場のリーダーで埋め尽くされている。人気第1位のCalm(カーム)の4月のダウンロード数は390万件。続いてHeadspace(ヘッドスペース)が150万件。それをMeditopia(メディトピア)が140万件で追っている。新規ダウンロード数はCalmが最も多かったが、全体で91万1000件を超える4月のダウンロード数は、1月から31%の伸びを示している。他にも、Relax: Master Your Destiny(リラックス:マスタ−・ユア・デスティニー)は年初から218%伸び、4月には39万1000件のダウンロードがあった。

さらにトップ10のアプリのうち8つが、1月と比較して4月にインストール数を増やしている。また「ほとんどのアプリで、3月から4月の前月比で新規ダウンロード数が増えている」とSensor Towerは伝えている。

2020年4月、ダウンロード数順の英語ベースのメンタルウェルネスアプリ。左から、世界全体、米国内、英国内

新型コロナウイルス(COVID-19)の大流行によって、モバイル瞑想アプリへの関心の高まりを詳細に報告したものは、これが初めてではない。市場分析企業のApp Annie(アップ・アニー)は、2020年3月29日の週のマインドフルネス・アプリのダウンロード数が75万件に達し(ワシントンポスト記事)、1月と2月の週平均を25%上回ったことを早々に伝えていた。

どのアプリも、このパンデミックの最中にそれぞれ異なるアプローチで事業を拡大してきた。その中のひとつであるHeadspaceは、最前線で働く医療従事者と警察や消防などの初動要員が無料で利用できるようにした最初のアプリだ。その後、無料入会の対象は失業者にも拡大され、さらにニューヨーク州のアンドリュー・クオモ州知事の協力により、ニューヨークに住む人には、大量の無料コンテンツが提供された。

Breethe(ブリーズ)やSimple Habit(シンプル・ハビット)などのその他のアプリも、Headspaceに続いて医療従事者は利用料を無料とした。

この戦略は、新型コロナウイルスと最前線で戦う人たちを支援しつつ、アプリが好意的に報道がされるという短期的な成果を上げることができた。しかし同時に、アプリを提供する企業はパンデミックを、とりわけ医療従事者の苦労を利用してダウンロード数を伸ばしているといった、便乗商法的な印象も与える。もしそれらの企業が、ユーザーのストレスや不安を招いた新型コロナウイルスの影響を本気で心配するなら「すべての人たちに、すべてのサービス、特に新型コロナウイルスに由来するストレスや不安に対処するコンテンツを完全無料で提供する」というよりよい戦略もあったのではないか。

それに対して、Calmは別のアプローチを取った。無料リソースのページを新設したのだ。しかし、より多くのユーザーに無料アクセスを広げるためのパートナーシップ注力したことで、同時に売り上げを伸ばすこともできた。たとえば今月初め、健康保険関連の非営利団体Kaiser Permanente(カイザー・パーマネンテ)は、メンバーにCalmのプレミアムサブスクリプションを無料で提供すると発表した。保健システムとしては初だ。

できるだけ多く無料でサービスを提供する戦略を採らなかったCalmの判断は当初、メディアの注目を簡単に集めるチャンスを逃したかも知れない。しかしそれは、目の前の新型コロナウイルス危機が終息した後も継続可能な販売パートナーシップを数多く築くという、長期戦略をCalmにもたらしている。

Sensor Towerの報告書では、米国と英国の人気アプリの違いやその他のデータも詳細に示されている。

“新型コロナウイルス

画像クレジット:Sensor Tower

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(翻訳:金井哲夫)

スマートリングが取得する生体情報で無症状コロナ感染者を早期発見、ウエストバージニア大学が開発

ウエストバージニア大学(WVU)ロックフェラー神経科学研究所(RNI)と同大医学部の研究者はOura(オーラ)の協力を得て、新型コロナウイルス(COVID-19)感染の兆候をいち早く警告するシステムを開発した。

このプラットフォームは、健康な人が新型コロナウイルスに感染した場合に、Ouraのスマートリング「Oura Ring」を装着していれば、このリングが取得する生体情報を利用して自覚症状が出る3日前からウイルス感染を警告できるという。無症状の人々がいち早く検査を受けることが可能となるだけでなく、医療関係など第一線のスタッフの感染リスクの低減に役立つことを開発チームは期待している。

Oura Ringは通常の金属製の指輪のように見えるが、本体にセンサーを内蔵しており、体温、睡眠パターン、活動量、心拍数など多数のバイオメトリクスデータをモニタする。研究者チームは、このバイオメトリクスと約600人の医療、救急関係者から得た感染者の身体、認知、行動上の変化に関する情報を組み合わせた。

ボランティアがこのスマートリングを指にはめてサンプルデータを提供。研究チームはこのデータを利用して自覚症状が現れる前に発症を予測するAIモデルを開発した。開発はまだ初期段階であり、専門家によってレビューされていないとはいえ、発症予測の精度はすでに90%以上に達しているという。

発熱、咳、呼吸困難、倦怠感などはすべて新型コロナウイルスに感染していることを示す可能性がある。もちろん新型コロナウイルス以外の原因でもありえる。しかしこうしたデータを総合した判定によって、ユーザーはもっとはっきりした自覚症状が現れる3日前に検査を受けられる可能性がある。つまり自覚症状がないままに周囲に感染を拡大する危険な期間を最大3日短縮することになる。

次の段階として、他の大学などの研究機関の協力を得て複数の州の1万人にリングを着用してもらうという。 研究資金はRNI(および同組織への寄付者)から全額提供されており、Ouraはハードウェアの提供者という資格で研究を支援している。既報のとおり、同社はカリフォルニア大学サンフランシスコ校の同種の研究にも協力している。

無症状の時点で新型コロナウイルス感染、発症のリスクを予測できるモデルを確立するために多数のプロジェクトが進行中だ。これまでの知見によれば、感染者の大部分は感染者初期にはほとんど、あるいはまったく自覚症状がない。RNIの研究は初期の段階とはいえ、そのような予測が可能であることを示すものだ。市販され誰でも利用可能なハードウェアでこれが可能になるというのは特に重要なポイントだろう。

新型コロナウイルス 関連アップデート

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

欧州とアフリカでオンデマンド交通を提供するBoltが約120億円を調達

Bolt(ボルト)は、Uber(ウーバー)などのライバルで、オンデマンドのライドシェアリングやスクーターといった交通サービスを欧州とアフリカの150都市で提供している。同社は5月26日、困難な市場環境に直面する中、新たな資金調達について発表した。新型コロナウイルス(COVID-19)により、人々はその場にとどまり、他人と接触するような交通手段を避けている。

エストニアを本拠とする同社は、コンバーチブルノート(先に資金を受け取り、後ほど算出した時価総額に見合った株を投資元に渡す資金調達方法 、会計上では借金・負債となる)で1億ユーロ(約120億円)を調達したことを発表した。現在17億ユーロ(約2000億円)のバリュエーションで評価されたことも認めた。

投資家はNaya Capital Management(ナヤキャピタルマネジメント)の1社だ。同社は、Boltが2019年7月に6700万ドル(約72億円)を調達したシリーズCでも主要な出資者だった。

新型コロナウイルスのパンデミックの中で投資会社のポートフォリオ企業は事業上の大損害に直面している。その中でも、将来が約束されていたり、すでに多額の資金を投入していたりする会社を支援する1つの方法が資金注入だ。特に、非常に資本集約的なビジネスモデルのスタートアップはかなり難しい状況に追い込まれている。

この調達の前の4月にBoltのランウェイ(継続可能が業務遂行期間)は尽きた。同社の債務引き受け先として、テック産業を強く支援しているエストニア政府とも協議中であるとの声も聞こえてくる。

Boltは今回の資金調達がすべてコンバーチブルノート、つまり負債のかたちで進められ、現時点で追加のエクイティ(株式)の発行はないと認めた。「現時点で語るべきプランはない」と広報担当は説明した。クロージングまでに時間がかかることを考えると、さらなるエクイティラウンドについては今回の調達に関係なく取り組んでいるようだ。

Boltによると、世界35カ国以上で3000万人のユーザーを抱えているという。事業の最悪期は2カ月前であり、その後徐々に回復している。広報担当によると、同社は昨年末に損益分岐点に近づき、「主にフードデリバリーとマイクロモビリティ」のためのエクイティラウンドを準備しているとのことだ。

現在は状況が多少異なり、ライドシェアと業績回復の施策により、財務的ニーズが増えている

ただ全体として、同社のオンデマンド交通サービスモデルの資金調達はまだ比較的小規模だ。Boltはこれまで負債と株式の両方で3億ユーロ(約350億円)以上を調達している。投資家には、多くの日本のリミテッドパートナーが拠出するヘルシンキの新しいファンドで、Boltの本拠地であるエストニア・タリンなど、北欧のスタートアップに投資するNordic Ninjaや、CreandumG SquaredInvenfin(投資持株会社Remgroが支援する南アフリカのファンド)、Superangel(創設当初からBoltに投資してきたエストニアのファンド)、滴滴(および関連がある先としてソフトバンクとUber)、Daimler、Korelya Capital、Spring Capitalが名を連ねる。

以前はTaxify(タクシファイ)として知られていたBoltは、個人の乗り物を超えて電動スクーターやフードデリバリーなどの他の分野にも拡大したため、昨年ブランドを変更した。今後数カ月以内に、今回の資金を使用して3つの事業分野すべてを新しい製品とともに拡大する予定だ。その中には、ビジネス向け市内同日配送サービス「Business Delivery」や、運転席と乗客席の間にプラスチックシートを設けた車によるライドシェア「Bolt Protect」が含まれる。

Boltの上場企業ライバルのUber(ウーバー)は、パンデミックがビジネスにとってどれほど痛みを伴うか明らかにした。かつて未公開のスタートアップとして数十億ドル(数千億円)を調達した同社は、ここ数週間で約7000人の従業員を解雇した。Uberのために人や食品などの輸送を請け負っている人々への影響については現状ほとんどわからないが、次の四半期決算(期間中パンデミックの影響を全て受けている)には、ビジネス全体の低調がはっきりと表れるはずだ。

Boltによると、これまでUberや他社のように人員を削減する必要はなかったという。従業員1500人を全く解雇していない。ただ、役員会メンバーの給料を20〜30%カットした。広報担当は、いま徐々に給料を新型コロナ前の水準に戻しつつある、と話した。財務の詳細には触れなかったが、ビジネスは普通とは言えないと認めた。

「新型コロナ危機が一時的に我々の移動の仕方を変えたが、車の所有が減少したりより環境に優しい交通手段シフトしたりといった長期的な傾向は今後も続く」とCEOで共同創業者のMarkus Villig(マークス・ビリグ)氏は声明で述べた。

「典型的なシリコンバレー崇拝を過去のものとし、我々の長期的視点を支持する投資家に支えらることをありがたく感じている。当社の効率性や局在化がオンデマンド業界において根本的なアドバンテージであることをこれまで以上に確信している。こうしたアドバンテージにより、新型コロナ後も引き続き安価な移動手段を多くの顧客に提供し、パートナーに良い内容の決算を示すことができる」。

現在のような状況では資金調達がはるかに複雑になった、と多くの人が口にする。創業者や投資家が直接顔を合わせたり、投資・調達機会を評価したりすることができなくなっただけでなく、マーケット需要や経済全体が今後どうなるか見通せなくなり、これまでになく投資がリスクを伴うものになっている。

目下、スタートアップはそれぞれだ。新型コロナの影響で事業を棚上げしているスタートアップもあれば、新型コロナにもかかわらずこれまで通り活発に事業を展開しているスタートアップもある。また、不調に陥らないよう投資家がさらに資金を注ぎたいと思うような、十分な体力を持つ(あるいはすでにかなりの資金を調達している)スタートアップもある。この3つのカテゴリーに収まらない、より一般的なのがBoltのように資金を確保するスタートアップだ。

「成長中のBoltにこのステージで投資できる機会を持つことができるのは喜ばしい」とNaya Capital ManagementのマネジングパートナーでCIO、創業者であるMasroor Siddiqui(マスルール・シッディーキー)氏は声明で述べた。「マークスのリーダーシップのもと、Boltは世界のモビリティ分野で最も競争力があり、かつイノベーティブなプレイヤーの1つとしての地位を確立した。消費者の地元交通インフラの活用方法の変化にBoltが貢献していると確信している。そして、同社が引き続き戦略的ビジョンを実行することを期待している」

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(翻訳:Mizoguchi

グーグルが一部の従業員をオフィスに戻す計画を発表

Google(グーグル)とAlphabetのCEOであるSundar PichaiIn(サンダー・ピチャイ)氏はブログで、同社の労働環境を通常、あるいは少なくとも新しい通常に戻す計画の概要を述べている。

グーグルは2020年7月6日から、さまざまな都市の同社オフィスビルを開放し、物理的な作業スペースが必要な従業員に「制限のある交代制」でオフィスに復帰できるようにする。従業員には数週間に1日の交代制になり、常に約10%が出勤していることになる。

ピチャイ氏によると、この方法で問題がなければ2020年9月ごろには10%を30%に上げて「仕事の優先度によって誰にオフィス利用を認めるかを決めることになるが、オフィスで仕事をしたい人のほとんどが限られた形でそうできるようになる」という。

関連記事: Facebookが社員半数をリモートワークに、シリコンバレー外に複数の拠点開設へ

全員をリモートワークにしたFacebook(フェイスブック)やTwitterの大胆にシフトしているのとは対照的に、グーグルのトップは従業員の将来に関する大げさな発言を避け、マネージャーと話ができるような配置転換を望む従業員や、職位によって異なる税金や健康保険のガイドラインを見直すことを奨励している。

ピチャイ氏も、従業員の仕事のやり方に関しては「より柔軟性と選択の幅が広がる」と予測しを重視すると予告し、同社の象徴的なオフィスへの愛着もにじませている。

「私たちのオフィスはコラボレーションとコミュニティを可能にするデザインになっている。私たちの偉大なイノベーションは、オフィスにおける数々の偶然の出会いの産物だ。私たちの多くは、失いたくないと願っている」とピチャイ氏は書いている。

「しかしそれと同時に、世界中にたくさんのオフィスを構えるようになってからは、分散型の仕事にも深く親しんできたし、この期間を通して学ぶであろう教訓に対して、広い心で受け入れる意思がある」。

それでもピチャイ氏は、2020年の間はグーグルの従業員の大半が在宅になると予測している。Googleの従業員たちがホームオフィスに慣れるために、新たに家具や機器を買うための費用1000ドル(約10万8000円)を会社が負担する予定だ。

一部の従業員のオフィスへの戻ることに関してピチャイ氏は、同社が新型コロナウイルスの拡散を防ぐために必要な予防措置をいろいろと講じているため、社内が以前と違っているように見えたり感じたりするだろうという。

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画像クレジット: TechCrunch

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

新型コロナによる非接触需要でスキャン技術のScanditが約86億円調達

企業向けバーコードスキャナーのScandit(スキャンディット)が8000万ドル(約86億円)のシリーズCラウンドをクローズした。本ラウンドはシリコンバレーのVCファームG2VPがリードし、Atomico、GV、Kreos、NGP Capital、Salesforce Ventures、Swisscom Venturesも参加。Scanditの累計調達額は1億2300万ドル(約132億円)となった。

チューリッヒに拠点を置くScanditはバーコードスキャン、OCR(光学文字認識)、オブジェクト検出、拡張現実(AR)にコンピュータービジョンと機械学習技術を組み合わせたプラットフォームを提供している。ARはスマホからドローン、ウェアラブル(倉庫労働者向けのARメガネなど)、ロボットに至るまでカメラ搭載のあらゆるスマートデバイス向けにデザインされている。

Scanditのプラットフォームのユースケースには、モバイルショッピング、セルフチェックアウト、在庫管理、配達証明、アセット管理・メンテナンスのためのモバイルアプリやウェブサイトがある。医療分野でも患者のIDや検体、薬、用品のスキャンに同社の技術が活用されている。

スピードや精度において、また明るさが十分でないところやあらゆる角度、破損したラベルのスキャン能力においても、自社ソフトウェアは「並ぶものがない」と同社はうたう。売り込みをかけている産業は小売、ヘルスケア、産業・製造、旅行、運輸・ロジスティックなどだ。

今回の資金調達の前には、2018年にシリーズBで3000万ドル(約32億円)を調達した。それ以来、経常収益は3倍超、優良顧客の数は倍以上となり、グローバルチームの規模も倍に増強した。

世界に広がる同社の顧客には7-Elevenアラスカ航空、Carrefour、DPD、FedEx、Instacart、ジョンズ・ホプキンズ病院、La Poste、Levi Strauss & Co、マウントサイナイ病院、トヨタなどが含まれる。現状では1億台超のデバイスで年間「数百億ものスキャン」が行われているとのことだ。

新たに調達した資金はアジア太平洋地域や中南米を含む新たなマーケットでのさらなる成長の加速、北米と欧州での足掛かり構築に使われる、とScanditは話す。また、企業がコンピュータービジョンとARを使って主力事業のプロセスを変える新しい方法を考案するためのR&Dにもこれまで以上に資金を注入する。

Scanditによると、新型コロナウイルス(COVID-19)パンデミックによるソーシャルディスタンシングの必要性から、個人のスマート端末向けのモバイルコンピュータービジョンの需要も増えている。非接触型のやり取りができるようにする方法を顧客が探している、と同社は話す。

また、パンデミック絡みでは他にも急増している需要がある。「クリック&コレクト」小売と、新たに発生している何百万もの宅配だ。専用のハードウェアではなく、ScanditのスキャンアプリはBYOD(bring your own device、個人のデバイスの持ち込み)をサポートするので、同社の技術はこうした需要にうまく対応できる。

「COVID-19は、この不確実な時代における急速なデジタルトランスフォーメーションの必要性、フィジカルとデジタルをブレンドさせて重要な役割を果たすことの必要性に光を当てた」とCEOのSamuel Mueller (サミュエル・モラー)氏は声明文で述べている。「新たな状態(ニューノーマル)がどのようなものであれ、さらに多くの企業が『コンタクトレス事業』の新たな需要にすばやく対応し、成功できるよう、新たな資金でサポートすることができる」。

資金調達に関する発表文の中で、ラウンドをリードしたG2VPのゼネラルパートナーであるBen Kortlang(ベン・コルトラン)氏は以下のように述べている。「Scanditのプラットフォームは、企業グレードのスキャンソリューションを従業員や顧客が古いハードウェアを必要とすることなくいつでも使えるようにしている。物理的世界とデジタルの世界を結ぶものであり、世界がオンライン購入や配達、分散サプライチェーン、キャッシュレス小売へのシフトを加速させる中で重要性が増すだろう」。

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(翻訳:Mizoguchi

2020年の一般向けハードウェアの出荷台数は新型コロナにより14%減の見込み

Gartner(ガートナー)の最新報告によると、2020年のデバイス出荷台数は予想外とはいわないまでも、かなり減少するという。同調査会社によると、スマートフォン、タブレット、PCを含むカテゴリーは現在、年間で13.6%減少を見込んでいるという。

新型コロナウイルス(COVID-19)は当然のことながら、減少の大きな原因となる。社会のほぼすべての分野に新型コロナウイルスは影響を与えており、ハードウェアも例外ではない。携帯電話は2019年比で14.6%減と、最大の打撃が予測されている。このリストにはフィーチャーフォンとスマートフォンの両方が含まれており、そのうち後者がほとんどを構成する。スマートフォンでは、前年比13.7%減となる。

スマートフォン市場はここ数年、下降線をたどっている。しかし2020年は、5Gの登場によってスマートフォンメーカーは、(少なくともしばらくは)状況が好転する年となるはずだった。しかし他の多くの業界と同様に、新型コロナウイルスはこの数字に水を差しており、5G搭載スマートフォンの年間出荷台数に占める割合は11%に留まると予想されている。

興味深いことに、PCの出荷台数は予想されていたほど強くは影響を受けていない。減少率は10.5%と依然として大きいが、多くの従業員が在宅勤務モデルへと移行したために、減少幅は小さかった。特にノートPC、Chromebook、タブレットが最も影響が少ないようだ。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter