AirbnbがCOVID-19で予約をキャンセルされたホストのために270億円の救援金を準備

Airbnbは、COVID-19の影響を受けたホストへの2億5000万ドル(約272億円)の支援を発表した。3月14日から5月31日までチェックインを予約していたゲストがキャンセルした場合、Airbnbが通常のポリシーにより受け取るはずだった金額の25%をホストに支払う。Airbnbによるとこのポリシーは、その期間のすべてのキャンセルに対して遡及的に適用される。

これは、ホストに対するAirbnbの救済策で、ゲストがキャンセル料を全額受け取ることができるというAirbnbのポリシーに打撃を受けているホストが対象となっている。そのポリシーは現在も有効で、3月14日以前から5月31日までの間に予約を入れていたゲストは、キャンセルすると通常の返金や旅行のクレジットを受け取る。

AirbnbのCEOであるBrian Chesky(ブライアン・チェスキー)氏は、3月30日のホスト宛書簡で次のように述べている。「キャンセルしたゲストは、全額返金されなければならないと私たちは決定しました。この決定はビジネス上のものではなく、公衆衛生の保護に基づいていることをご理解ください。ただし、私たちは健康と安全を優先する正しいことをしたと信じています。しかしパートナーであるホストとの皆さんに相談せず、その決定をゲストに直接伝えたことにお詫び申し上げます。皆さんのご不満は承りましたし、もっと良いパートナーであるべきだったと反省しています」。

このほかAirbnbは、スーパーホストと体験ホストのための1000万ドル(約11億円)のファンドを作っている。内100万ドル(約1億1000万円)は社員が寄付し、残る900万ドル(約9億8000万円)をAirbnbの共同創業者であるJoe Gebbia(ジョー・ゲビア)氏とブライアン・チェスキー氏、Nate Blecharczyk(ネイサン・ブレハルチク)氏が個人的に拠出する。4月以降、ホストは最大5000ドル(約54万円)の助成金を申請できる。そしてその間にホストへのサポートを表明したいゲストは、ホストに直接支払うことができるようになる。

チェスキー氏は現在、ホストのためのビデオQ&Aを行っている。それはここで観ることができる。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

オンライン公証のNotarizeがリモートによる取引需要に対応するために公証人を1000人追加へ

電子公証を可能にするプラットフォームNotarizeが公証人を1000人追加すると発表した。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックのために、多くの米国人を対象に外出禁止が出ている中、重要文書への公証の需要に対応する。

同社は提携先の全米公証人協会に、公証人の審査、必要な保険や保証の手配を委託している。このサービスは米国人であれば米国内の全50州のみならず国外からも利用できるが、プラットフォームに参加する公証人は実際にフロリダ州、ネバダ州、テキサス州、バージニア州に所在していなければならない。所在州は今後増やす計画だ。また、公証人はNotarizeに申し込む前にデジタル証明書を取得する必要がある。

創業者兼CEOのPat Kinsel(パット・キンゼル)氏は、同社が「新型コロナウイルスにより、これまでにない需要に直面している。重要な取引を完了できないため、消費者と企業は一斉に当社に目を向けている」と語った。

さらにキンゼル氏はこう付け加えている。「Notarizeは迅速に拡張すべく、全米公証人協会の既存の資格情報を活用し、公証人に職権や保険があり、また公証人が経歴審査を受けたことを確認している。今、公証人らは家にとどまることを余儀なくされており、安全な仕事を探している。1〜2日あれば、プラットフォームに加入できる」。

CNBCによると、新型コロナの感染拡大による外出禁止令とソーシャルディスタンス(社会的距離)の要請が出される直前には、金利低下による住宅ローン需要の高まりから借り換え申請が1年で400%増加していた。当時申請された借入の多くが、必要とされる対面での取引完了ができない事態となっている。キンゼル氏によると、先週、2000社以上の貸手とタイトルカンパニー(不動産の所有権移転代行会社)がNotarizeに連絡をしてきたため、同社はプラットフォームをオープンにし、彼らの従業員も加入できるようにし、取引に対応してもらうという。

公証サービスのユーザーは、パンデミックで忙しい中でも重要文書を確実に更新したいと考えている。「不動産だけでなく、銀行口座や受益者の更新、医療認可といったニーズが急増している」とキンゼル氏は述べた。

画像クレジット:Thicha Satapitanon / EyeEm / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

新型コロナ治療開発にも取り組む細胞・遺伝子治療のElevateBioが約183億円調達

見通せない経済状況、そして世界中で新型コロナウイルス感染拡大が続く中で、今は資金調達を行うベストな環境ではないが、一部の企業は巨額調達のクローズを発表している。その一例が、ケンブリッジ拠点のElevateBio(エレベートバイオ)だ。同社は30日、1億7000万ドル(約183億円)のシリーズBを発表した。このラウンドには新規投資家としてThe Invus Group、Surveyor Capital、EDBI、Vertex Venturesが、既存投資家としてF2 Ventures、MPM Capital、EcoR1 Capital、Redmile Group、Samsara BioCapitalが参加した。

ElevateBioは1年弱前に一般向けのサービスを正式に立ち上げた。同社は新しいタイプの細胞・遺伝子治療開発を専門としており、開発と製造それぞれを専門とする新会社を立ち上げて運営している。今回のラウンドで、ElevateBioがこれまでに調達した額は3億ドル(約323億円)超となった。同社は2019年、スイス投資銀行UBSのOncology Impact Fundがリードした1億5000万ドル(約162億円)のシリーズAラウンドを発表した。

ElevateBioは動きを加速させている。R&Dにフォーカスするためにマサチューセッツ州に建設中の広さ14万平方フィート(約1万3000平方メートル)の施設は完成間近だ。同社はまた、特に幹細胞移植に伴うウイルス抑制のためのT細胞免疫治療に取り組むAlloVirという会社も立ち上げた。この治療は臨床試験の後期段階にある。そしてElevateBioはHighPassBioという会社も立ち上げた。HighPassBioもまたT細胞治療を使って幹細胞関連の病気の治療をサポートすることを目的としている。こちらは移植後の白血病再発に主眼を置いている。

ご予想の通り、ElevateBioはCOVID-19の影響を抑制するための取り組みも行っている。特にAlloVirは、免疫システムが脆弱になりCOVID-19によってリスクが高まっている状態の患者を救うのに役立つ一種のT細胞治療の開発に取り組むために 、ベイラー医科大学との既存の研究提携を拡大させている。

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(翻訳:Mizoguchi

ドイツ航空宇宙センターが3Dプリントのリソースを医療機器生産に転換

ドイツ版NASAに相当するDLR(ドイツ航空宇宙センター)は、COVID-19こと新型コロナウイルス感染症の治療で使用される、最前線の医療従事者が使用する個人用保護具(PPE)の世界的な不足をサポートする。DLRは通常、航空宇宙グレードの部品生産に使用されるオンサイトの3Dプリンターを、保護マスクや人工呼吸器を含む、医療機器の生産に転換する試験に成功したと発表した。

世界中でさまざまな種類の部品や機器が必要とされているが、他の選択肢がないという理由だけで、理想的とほど遠く必ずしも行政機関に使用が承認されているわけではないソリューションを医療従事者は検討している。DLRはSytemhaus Technikのエンジニアリングおよび生産グループと連携して何ができるかを調査し、世界的な機器不足に対処するために活動しているグループによって作成された個人用保護具のテンプレートを含む、無料でオープンなリソースを活用する。

DLRの装置は保健機関から医療用途での使用を認められており、また同宇宙機関とSystemhaus Technikは、他の機関や科学/研究機関と知見やノウハウを共有し、それぞれのリソースを活用して同等の生産能力を獲得することを目指している。

これまでのところDLRは「1日に最大10個の防護マスクと15個の人工呼吸器用バルブを生産できる」としているが、今後は生産量と生産率を引き上げられる施設ネットワークの構築に取り組みたいと述べている。

この3Dプリント装置が世界的に必要とされているのは、物資リソースが足りないのはもちろんだが、より重要なのは、同様の3Dプリント装置で同じことを行うために開発された知識を共有することかもしれない。他の生産環境でも再現可能で、医療レベルの要件を満たすソリューションの開発に航空宇宙技術者を投入することは、新型コロナウイルスのパンデミックのため、高度な治療を必要とする患者が世界中の医療機関に流入する中、最終的に多くの人命を救うことにつながるかもしれない。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

米トランプ大統領がソーシャルディスタンスの要請を4月30日まで延長

わずか数日前、「イースター(復活祭)までにこの国を正常化」し、少なくとも米国の一部地域ではルールを緩和できるだろうと言っていた米トランプ大統領は、政府のソーシャルディスタンス(人と距離をとって)のガイドラインを4月30日まで延長すると発表した。

「勝利を得る前に勝利を宣言するほど愚かなことはない。それは最大の敗北だ」とトランプ氏は言った。「よって、今後の2週間は全員がガイドラインを厳守することが極めて重要だ。私たちの副大統領が繰り返し掲げてきたガイドラインに従わなくてはならない。彼は何度も言ってきた。彼は本当に強く信じている。みなさんが協力してくれればくれるほど、この悪夢が早く終る。そのためわれわれは、感染拡大を遅くするためにガイドラインを4月30日まで延長する」。

トランプ氏は、政府の戦略に関するデータや情報の詳細を米国時間3月31日に公表する予定だと語った。「3月30日には非常に重要な声明を発表する」。

米国時間3月29日、国立アレルギー感染病研究所長のアンソニー・ファウチ博士は、米国の新型コロナによる死亡数は10~20万人に達すると語った。「本日大統領が4月末まで続けると語ったのは、よくやっているとみんなが時期尚早に考えないよう気をつけるためだ。よくやっているかもしれないが、それでも極限まで努力していきたい」とファウチ博士は言った。同氏は大統領の決定について「賢明で慎重」だと今日の記者会見で語った。

トランプ大統領は1日も早く国を正常化して経済を元通りに戻したいと言っていたが、ファウチ博士と新型コロナウイルス対策室長のデボラ・バークス氏の助言を受け入れたことから、少なくとも今のところ、計画は先送りになったようだ。

本日トランプ氏が語った新しい日付は6月1日だった。「6月1日までには復興が順調に進んでいるだろう」と大統領は語った。「6月1日には素晴らしことがいくつも起きると思う。この国は新型コロナに取り組む世界最大の医療体制をもっているという事実を、全国民が確信し、心強く思ってほしい」

現状、死亡率は2週間のうちにピークを迎えるとトランプ氏は言った。当初の「感染拡大を防ぐための15日間」キャンペーンがスタートしたのは、わずか2週間足らず前の3月15日だった。

関連記事:米国での新型コロナによる死亡者は10万人~20万人、米国立アレルギー感染病研究所長が予測

画像クレジット:JIM WATSON / Contributor / Getty Images / Getty Images

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

新型コロナウイルス蔓延の中、3月に3万人のビデオブロガーがPatreonに加入

クリエイティブな人々のビジネスは新型コロナウイルス(COVID-19)で大きな影響を受けている。そこで記録的な数のビデオブロガー、ユーチューバーがPatreonに参加し始めた。同社の発表によれば、3月の最初の3週間で3万人以上のクリエーターがこのプラットフォームと契約したという。クリエーターがパトロン(有料オーディエンス)を獲得するスピードもこれまでよりずっと早い。つまり収入の増加も早いわけだ。

世界のクリエーターは、新型コロナウイルスの流行により直接的にも間接的にも逆風にさらされてきた。ウイルスの拡大を抑えるために、ライブショーはキャンセルされ、カンファレンスやトレードショーなどのイベントも軒並み、中止ないし延期されている。クリエーターがこれまで依存していた他の収入源も弱体化している可能性がある。

悪影響を受けたクリエーターの多くがPatreonプラットフォームに加わって損失を防ごうとしている。ファンはすばやくクリエーターをフォローするようだ。

Patreonの社内資料によれば、米国、英国、カナダ、ドイツ、オーストラリア、イタリア全体での3月に顧客は対前月比で36.2%もアップしている。資料によれば、 Patreonへの新規参加者の動向が大きく変化したのは3月の12日木曜日から13日金曜日だ。

これ以後、クリエーターはPatreonの創立以来最速でプラットフォームに参加し続けている。もうひとつ重要な点は、参加から10日以内に最初の「パトロン」を獲得するクリエーターの割合が増加していることだ。Patreonでは今回のブームがこれまで経験した中で最も強力なものだとしている。

現在、Patreonのプラットフォームは、180か国400万人以上のオーディエンスをパトロンとしており、コミュニティーに独占的なコンテンツを配信することで収入を生み出している。世界で15万人以上のアーティストがこのサービスを提供を受けている。クリエーターがこれまでにPatreonのプラットフォームを通じて得た収入は10億ドル以上だという。

しかしもちろんすべてがバラ色というわけにはいかない。Patreonの一部には新型コロナウイルス問題のために、サイトの閉鎖を余儀なくされるメンバーがいるため、解約数もわずかに増加しているという。だが、全体として解約率は今のところ安定しており、これによる減少は他のサービスが経験しているほど大きなものではない。

新型コロナウイルスの流行の影響により大幅な成長が見られたプラットフォームはPatreonだけではない。クラウドファンディングのGoFundMeなどのサイトも、中小企業のサポート、生活費、食料、医療費など個人のライフイベントへの支援を求めているためここ数週間で急成長している。

GoFundMeはこの数週間で2万2000以上の新型コロナウイルス関連の募金活動を処理し、病院、企業、およびその他の組織をサポートする寄付を4000万ドル以上集めたと発表している。同社はまた、パンデミックの影響を受けたコミュニティを支援するために150万ドルを寄付すると約束している。

TechCrunchではPatreonがクリエーター向けの少額融資ファンドを組成したことを報じている。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

米国での新型コロナによる死亡者は10万人〜20万人、米国立アレルギー感染病研究所長が予測

米国時間3月29日にCNNのニュース番組「State of the Union」で、米国最大の権威が米国内で感染が広がる新型コロナウイルスの状況について、恐ろしい予測を公表した。

Dr. Anthony Fauci(アンソニー・ファウチ博士)は国立アレルギー感染病研究所(NAID)の所長を長く務め、新型コロナウイルスと戦う米国を率いる指導者だ。同氏が新型コロナウイルスに起因する致命的疾患による死亡者数は10万人から20万人に上る可能性があると予測した。この分野の第一人者として名高いファウチ氏は、SARS(サーズ、重症急性呼吸器症候群)、MERS(マーズ、中東呼吸器症候群)、エボラ出血熱に続き、このたび新型コロナウイルスについても国の方針決定を支援する責任者を務めている。

ファウチ博士は、この推定値はモデルに基づくものであり、あくまでもモデル構築した際の仮定以上の正確性はないと警告した。新型コロナウイルスが数百万人の米国人の命を奪うという最悪のシナリオは「起こり得なくはないが、可能性はごくごく低い」と語った。

「モデルをつくれば、ワーストケースとベストケースのシナリオが必ずついてくる」とファウチ博士はCNNの Jake Tapper(ジェイク・タッパー)氏に話した。「ほとんどの場合、現実は中間のどこかにある。私が関わった疾病モデルで、実際にワーストケースが起きたことは一度もない。常に大きく外れている」。

ファウチ氏は、米国で「数百万人の感染者」が出る可能性は高いと信じているが、ウイルスの引き起こす極度のリスクを強調しつつも、モデル予測に依存しすぎないよう警告している。

関連記事:Watch Mark Zuckerberg talk live with epidemic expert Dr. Anthony Fauci

「このよう目標が定まらず容易に人々を誤った方向に導きやすい状況下では、予測を立てる必要はないのではないかと私は考える」とファウチ氏は言う。ニューヨークやニューオリンズなど「深刻な問題」を抱える地域での感染拡大は今も懸念すべき問題であり、現状のデータだけでも十分懸念の理由になる、と付け加えた。

米国時間3月29日現在、米国では2197名がウイルスとの戦いで命を失い、12万5313名の感染が確認されていることをジョンズ・ホプキンス大学のデータが示している。一部の地域で検査能力の不足が続いており、軽症あるいは無症状の多くは検査されていないことから、現実の感染者数はこれよりはるかに多い可能性が高い。

画像クレジット:Yuri Gripas/Abaca Press/Bloomberg / Getty Images

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

今が資金調達のアプローチを再考する絶好の機会かもしれない

多くの創業者は新しい資金調達ラウンドで新年をスタートする。昨年のデータをみると、VC(ベンチャーキャピタル)が最も多くピッチ資料をレビューしたのは3月、10月、11月だった。

だが現在、新型コロナウイルスのパンデミックが多くの産業の動きを止めている。資金調達に関しては次の2四半期に影響が及ぶという警告も出ている。

当社(DocSend)は2020 DocSend Startup Indexのデータをレビューし、Pitch Deck Interest Metric(ピッチ資料への関心度合いの指標)を継続的に記録している。サンフランシスコでは外出禁止令が出ていて、多くのVCが社内プロセスを「オールリモート」の世界にあわせて変えるよう急ぐ中、ピッチ資料への関心度合いは2019年の同じ週と比べて11.6%低下した。これまで関心は低下しているものの、依然多くの動きが観察されるため、VCは引き続きピッチ資料を読んでいる模様だ。当社は今後数週間Pitch Deck Interest Metricをモニターしていく。

もしあなたの会社がアーリーステージのスタートアップで、資金調達活動中か今後予定している場合、投資家と会う前に資金調達に向け準備できることがある。

The Pitch Deck Interest Metricは、2019年の同じ週と比べて11.6%下落した

投資家の期待は変化しつつあり、その傾向は続く

あなたが資金調達ラウンドを始めようとしているなら、50人以上の投資家に連絡し、20〜30回のミーティングを行い、タームシートに署名する前に約20週間費やす準備が必要だ。多くの時間とエネルギーを投入しなければならないわけだが、特に経済が低迷する情勢にあり、あなたがほぼ確実に新しい事業領域に参入するとなれば当然だ。

すでにラウンドを開始しているものの、さらに進めるべきか迷っているなら、筆者が書いた中止して体勢を整えるべきか、なお進めるべきか、そのタイミングを知ることについての記事を読んでほしい(Extra Crunch会員限定記事)。

資金調達ラウンドの成功には多くの要因が絡む。投資家の期待も常に変化する。特にプレシードラウンドに関してはそうだ。

投資家は市場に対応したプロダクトを探しており、期待するコンテンツが目玉になっているピッチ資料が見たい。今後数カ月でこの点が強調されると予想する。VCには今、ピッチ資料を確認するだけでなく、投資を計画している企業のデューデリジェンスに費やす時間があるからだ。当社の新しいレポートで、資金調達戦略を軌道修正するプレシードのスタートアップへのアドバイスについて概説している。

優れたパワーポイントだけでなく、MVPに注力しよう

当社の分析で明らかになったのは、ファンド側でプレシードマネーを投入する前に必要とされる準備の水準に変化が生じているということだ。以前は、プレシードのスタートアップはMVPP(Minimum Viable PowerPoint、実用最小限のパワーポイント)だけで乗り切れた。だが今、投資家が掛け金を積んでいる投資先は、アルファ版、ベータ版、または出荷実績のあるプロダクトを開発し、既に市場に参入しているプレシードのスタートアップだ。

実際、成功したピッチ資料を提示した会社の92%がアルファ版、ベータ版、または出荷実績のあるプロダクトのいずれかを持っていた。一方、失敗したピッチ資料を提示した会社で、何らかのプロダクトが準備できていたのは68%だけだった。

経済が景気後退に近づくにつれ、VCは投資に慎重になることが予想される。足下のデータは、使えるプロダクト(live product)をすでに持つ会社が選好されることを示している。MVP(Minimum Viable Product、実用最小限のプロダクト)がある方がいい。来たるべきプレシードラウンドに備え、または新鮮な視点とともにラウンドに再挑戦するために、時間や労力を費やしてプロダクトを準備する価値はある。

ピッチ資料を見直す

とはいえMVPがあっても、ピッチ資料の再検討は一考に値する。良いテストを紹介したい。ピッチ資料の説明に3〜4分(VCから与えられる時間はこれだけだ)を使って、何も知らない友人や家族にあなたのビジネスを売り込む。その後、彼らにあなたの会社を一文で説明してもらおう。あなたの会社が何をしているか、そして会社が解決を目指す問題を彼らが明確に説明できない場合、おそらくピッチ資料を見直す必要がある。

最近の当社のレポートによると、ミーティングで使う説得力のあるピッチ資料を作成する際に「少ないほど良い」という態度がプレシードマネー獲得での成功を呼びやすいようだ。

ピッチ資料は今、名刺に代わる重要な役割を持つ。新型コロナパンデミックによって、コミュニティイベントはオンラインになりつつある。そのため1対1でのやり取りが少なくなると予想される。VCに対面で提案する機会がすぐにやってくることはないだろう。飛び込みでメールを送る場合であっても、ポートフォリオカンパニー(VCの投資先)から温かい紹介を受ける場合であっても、ピッチ資料から始める必要がある。

資金調達ラウンドではプロダクトがより重要な役割を果たすものの、投資家がプロダクトの評価に費やす時間が減少する傾向は続いている。ピッチ資料が軸となることに変わりはなく、最も効果的な方法でストーリーを伝えられるよう練っておく必要がある。投資家がピッチ資料に目を落とす時間は平均3分21秒しかない。平均的なピッチ資料のスライドの数は20にすぎない。

ピッチ資料を見直すなら、スライドに適切なコンテンツが適切な順序で掲載されていることを確認すると良い。成功したピッチ資料では失敗に終わったものに比べ、投資家はプロダクトのスライドに約50%以上、ビジネスモデルのスライドには18%以上時間をかけて読んだ。また、成功したピッチ資料ではソリューションのスライドもじっくり読まれた。

数は大事だが、程度問題だ

再検討する価値がある次のポイントは、連絡をとった投資家の数、開いたミーティングの数、資金調達ラウンドに費やした週数だ。一般的に、成功した資金調達ラウンドで連絡をとった投資家は平均で56人、開いたミーティングは26回だ。成功したプレシードのスタートアップが資金調達にかけた週数は平均して20.5週間だ。

資金調達の点では、投資家へコンタクトするメリットは減っている。60〜70人を超える投資家にピッチ資料をを送ったり、20〜30回を超える会議を行ったりする必要はない。今それ以上の回数をかけているなら、もはや時間あたりのROIには影響しない。進行中の危機によりVCの投資意欲に影響を与えているため、今も積極的に活動するVCに絞って短いリストを作り、ピッチした方がうまくいく。70人を超える投資家に連絡したが「No」の壁にぶち当たっているなら資金調達はいったん中止し、これまでに受けたフィードバックに対処することをお勧めする。どのタイミングで中止して再考すべきか、あるいは引き続き進めるべきかについての詳細はこちらの記事を読んでほしい(Extra Crunch会員限定記事)。

また、プレシードのスタートアップが検討すべき点に、会社の創業者の数がある。当社のデータによると、投資家は2〜3人の創業者のチームを好むが、多すぎるよりは1人の方が好ましいことを示している。5人の創業者のチームは平均19万5085ドル(約2100万円)、3人の創設チームは平均51万1522ドル(約5500万円)を獲得している。

今が共同創業者を見つける良い時期かもしれない。多くの人が自宅で仕事をしていたり失業していたりするため、あなたのアイデアを提示して、必要なテクノロジー担当創業者を連れてくる機会になり得る。ソーシャルディスタンス(社会的距離)の要請があるため、随所でオンラインのグループやイベントが生まれている。創業者が自分だけのため前進できないと心配している場合は、新しいコミュニティに時間を投資しても良いかもしれない。

新しい視点を得る

多くのスタートアップにとって、特に多数の資金調達が行われるシリコンバレーにいない場合、資金調達のプロセスは非常にわかりにくい。DocSendによるデータ分析の目的はプロセスにいくらかの透明性をもたらすことだ。そして見通しを提供する。

だが創業者がすべきことは、もしまだなら、新しい視点を得ることだ。自分の内輪の知り合い以外の専門家に相談してほしい。メンターやアドバイザーがいないなら見つけてほしい。プロダクトのアイデアや市場の状況について異なる見方をしてほしい。特にコミュニティイベントが仮想化している今、物理的な場所は、スタートアップコミュニティに参加したり、プロダクトや会社に関するフィードバックを提供してくれる人を見つける際の制約にはならない。

資金調達はアートでもありサイエンスでもある。当社のデータから得た洞察をあなた自身のコミュニティから得た知見と組み合わせれば、体勢を立て直し、会社を売り込み、うまく運べば良い結果を得るのに役立つはずだ。

【編集部注】筆者のRuss Heddleston(ラス・ヘドルストン)氏はDocSendの共同創業者兼CEO。以前はFacebookの製品マネージャーだった。Facebookが同氏のスタートアップであったPursuit.comを買収した。Dropbox、Greystripe、Truliaにも在籍した経験がある。フォローはこちら:@rheddleston@docsend

画像クレジット: Tara Moore (opens in a new window)/ Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

6月開催のデトロイト・オートショーはキャンセル、米連邦緊急事態管理局が会場を病院に転用

NAIAS(北米国際自動車ショー)は、6月にデトロイトで開催が予定されていたが新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックが拡大を続けるなか、市が会場のTCFセンターを一時的に病院に転用する準備のため、キャンセルされた。

画像クレジット:Photo by Bill Pugliano/Getty Images/Getty Images

NAIASは、以前はCoboセンターとして知られていたTCFセンターで毎年開催される。主催者によると、FEMA(米連邦緊急事態管理局)がTCFセンターを臨時の病院施設として指定することになったという。

「私たちは失望していますが、私たちにとってデトロイトとミシガンの市民の健康、安全、幸福よりも重要なことは何もありません。新型コロナウイルスの流行に対するコミュニティの戦いを支援するためなら、私たちにできることは何でもします」と、NAIASのエグゼクティブ・ディレクターを務めるRod Alberts(ロッド・アルバーツ)氏は、電子メールによる声明で述べている。

新型コロナウイルスによって引き起こされる疫病が中国からヨーロッパ、そしてついに米国およびその他の国々に広がっため、多くのイベントやコンベンションがキャンセルになっている。NAIASキャンセルのニュースは、その最新のものだ。

米国内の100件を超えるコンベンションセンターや施設を、臨時の病院として機能させることが可能だと見込まれている。アルバーツ氏によれば、TCFセンターは介護施設として転用されることが避けられない状況であることが明らかになったという。

NAIASはデトロイト・オートショーとしても知られている。次回は、2021年の6月に開催される予定だ。主催者は、今年の後半にも、募金活動を行う計画について話し合っている。同ショーの2020年チャリティー・プレビューイベントの受益者になるはずだった子供たちの慈善事業に寄付するためだ。

今年のショーの開催は、これまでの1月から夏に移動されていた。長年に渡り、より温かい時期に開催することが切望されていただけに、大きな期待を集めていた。

主催者によると、2020 NAIASショーのために購入されたすべてのチケットは、全額返金されるという。それには、パブリック・ショー、インダストリー・プレビュー、チャリティー・プレビューの各チケットが含まれる。チャリティー・プレビューのチケット所有者には、払い戻しの際のオプションが設定されている。それは、返金された金額を、チャリティー・プレビューの受益者として指定されていた9つの団体1つに寄付することを選択できるというもの。主催者によると、NAIASのチケットオフィスは、すべてのチケット所有者と連絡を取る予定だという。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

新型コロナの影響で自宅待機中のTechCrunchスタッフを熱中させているもの

自宅待機中のTechCrunchスタッフを熱中させているもの

現在が困難極まりない状況であることは言うまでもない。まだ把握しきれていない新型コロナウイルスの突然の大規模な流行により、世界中の誰もが何らかの変化を余儀なくされている。

戸惑いや困惑は誰も同じだが、こんな時こそ新たなスキルや長年抱いている興味、はたまた頭脳を一切使わない気楽なエンターテイメントに没頭することで、気持ちがリフレッシュされ、日々の生活が満たされるかもしれない。自宅でできるワークアウトや癒しのバーチャル農業シミュレーター、弊社スタッフメンバーのペットを描くCatherineの驚くほどにハイクオリティな絵など、我々が熱中している数々のエンターテイメントを紹介する。

Natasha Mascarenhas(レポーター)

Bon AppétitのYouTubeビデオ

革新的なコンセプトとは言えないものの、Bon AppétitのYouTubeビデオは仕事後の気分を落ち着かせるのに最適。昔ながらの伝統料理に再度挑戦する気にさせてくれる、同社のインド系アメリカ人シェフPriya Krishnaのコンテンツは特におすすめしたい。ニュージャージーが好きならBradのビデオを。グルメシェフがHot Pockets(アメリカで人気の冷凍食品)などのニッチな食品を再現するビデオなら、Claireのコンテンツがおすすめだ。

Overcooked
Overcookedビデオゲームは好きではないけど、ハンバーガーの焼き方に関してルームメイトと真剣に語り合えるタイプならこのゲームを試してほしい。シェフになりきり、他のユーザーとレシピを完成させることが目的。思い通りに進まないと思わず燃えてしまう。

Catherine Shu(ライター)

ProcreateアプリとApple Pencil
ProcreateアプリとApple Pencilさまざあな画法を用いたスケッチが好きなのでデジタルアートに関しては半信半疑だったけど、ProcreateとApple Pencil(iPad Air上で使用)の組み合わせは意外にも優良。フリーハンドのスケッチと写真のトレーシング技術を組み合わせて独自の塗り絵を制作している。スケッチ入りの日記や友達のペットのポートレートを描くのが楽しみで、これはTechCrunchのハードウェアエディターであるBrianが飼っているウサギのルーシー。

日記を書く
日記を書く

または、本物のペンと紙を使ったスケッチはいかが?iPadを持っていなかったり、絵を描くことに興味がなければ日記がおすすめ。とても困惑させられることが多く、事態はエスカレートし続けている今日この頃。私の住む台湾でCOVID-19はすでに数ヶ月もの間、日々の生活に多大な影響を与え続けている。毎日起きたことや週ごとの感情を事細かく覚えておくことはとても難しく、たとえ数行でも日記に記録することでぼやけてきた日々の輪郭を縁取ることができる。

Brian Heater(ハードウェアエディター)

High Weirdness: Drugs, Esoterica, and Visionary Experience in the Seventies
High Weirdness70年代のサイケデリックなサブカルチャーの発展における、フィリップ・K・ディック、テレンス・マッケナ、ロバート・アントン・ウィルソンの役割を紐解いた分厚い参考書のような本。内容重め。

On cinema
On cinemaTim HeideckerとGregg TurkingtonによるOn Cinemaverseは、めくるめく知識の宝庫。ポッドキャストやシリーズ、映画、別シリーズ(Dekker)、数時間におよぶ模擬裁判の他、オスカースペシャルのライブストリーム7本など、すべてめちゃくちゃ面白い。

ケトルベル
ケトルベル埃をかぶったケトルベルを取り出してきた。これと朝のヨガ(Natasha Lomasの記事を参照)が、最近の自分にとっての運動のすべてと言えるだろう。ただの鉄玉と侮るなかれ。これ1つで驚くほど多くのワークアウトをこなすことができる。

「The Earth Is Not a Cold Dead Place」 Explosions in the Sky
Explosions in the Skyはっきりとした理由はないが、ここアメリカでの事態が酷くなって以来、自分はほぼインストルメンタル系の音楽しか聴くことができなくなっている。セロニアス・モンクやビル・エヴァンスなどのジャズピアノ、ジョン・フェイヒー、ジム・オルーク、カーキ・キングなどのギタリスト、CANやBorisなどのノイズ系が最近のプレイリストをしめている。だがポストロックバンドは別物だ。ゴッドスピード・ユー!ブラック・エンペラーやモグワイ、真のクラシックExplosions in the Skyは自分にとって揺るぎないロックンロールと言える。

Devin Coldeway(ライター)

リングフィット アドベンチャー
リングフィット アドベンチャー仕事後の毎日のエクササイズに役立つ、リング型のコントローラーを搭載したSwitchのフィットネスゲーム。ジムに通えない今となっては便利このうえない。

Stardew Valley
Stardew Valley真剣なゲームに興味のない友達とプレイするなら、平和な農業ゲームがおすすめだ。Discordをダウンロードするだけで農業体験を楽しめる。皆が同じプラットフォームにいることを確認するのを忘れずに。

Generative.fm
Generative.fm在宅勤務未経験者は大抵、仕事中にも耳障りにならないアンビエント音楽の大量なコレクションを持っていないだろう。このサイトを使えば、耳に心地よく作業の邪魔にならないストリームをエンドレスに聴くことができる。

時代劇モノの韓流&華流ドラマ
時代劇モノの韓流&華流ドラマアメリカのテレビドラマやシットコムの再放送に飽き飽きしているなら、韓国や中国の素晴らしい時代劇ドラマを見てほしい。『琅琊榜~麒麟の才子、風雲起こす~』や『ミスターサンシャイン』など、見慣れたドラマとは一味違う作品が多く揃っている。

Darrell Etherington(サイエンスエディター)

RimWorld
RimWorld

資源を収集し発展させていく壮大で愉快なシミュレーションゲーム。PCとMacのどちらでも使うことができ、非常に簡単なシステムのみを要する。最近の拡張でさらに面白くなっている。

Zooniverse
Zooniverse持て余している時間を活用して、Zooniverseで進行中の科学研究にクラウドソーシングとして貢献するのはどうだろう。ラボでの結果を検証したり、アライグマを探したり。興味深いさまざまな研究に、すべて自宅から簡単に参加することができる。

Hello from the Magic Tavern
Hello from the Magic Tavernシカゴ出身のごく一般の男が、J・R・R・トールキン作品の世界観のようなファンタジーの世界を彷徨うという内容のロングランのポッドキャスト。すべて即興の現場からのストーリーテリングで、豊富なアーカイブが揃っている

Josh Constine(エディターアットラージ)

カウボーイビバップ
カウボーイビバップアニメに興味を持ったことはあるが、子供っぽく馬鹿げていると感じているなら、1997年のアニメシリーズ『カウボーイビバップ』を試してほしい。地球を崩壊させかけた事故後の近未来の宇宙を舞台に、賞金稼ぎらの葛藤と活躍を描いたものだ。ノワール調の美しいイラストとスタイリッシュなファッション、スリル満点のアクションにサスペンスに満ちたロマンスなどが、ヒップなジャズのサウンドトラックと共に繰り広げられる。2シーズン分をまとめてビンジウォッチ(イッキ見)するのも良いが、ほとんどのエピソードは一話完結的な内容のためちょっとしたエンターテイメント補給に最適だ。

Overwatch
Overwatch反射神経と経験が物を言うほとんどの一人称シューティングゲームでは、長くプレイしているゲーマー達にひるみ、負かされるのが日常だ。『Overwatch』は違う。皆が似たような武器やスキルを持つのではなく、この6対6の戦いでは、ユニークな攻撃やシールド、ヒーリング能力などを持つ21種類のキャラクターから1つを選ぶことができる。2丁の武器を操る不気味な暗殺者や巨大なハンマーを持つバイキングの騎士、チームメイトを復活させることができる天使のような医者など多岐にわたる。個々の努力よりもチームのキャラクターの相互作用の方が重要と言えるこのゲームは、自宅待機で孤独を感じている人々に最適だ。

Greg Kumparak(エディター)

Apex Legends
Apex Legendsバトルロワイヤルゲームのコンセプトは好きだけど『フォートナイト』の構築的側面には興味がないと言う場合、『Apex Legends』をチェックしてほしい。それぞれ独自の長所と能力を持つ12人の「レジェンド」の中から1人を選択し、他の2人のプレイヤーとチームを組んで最後まで生き残るのが目的だ。ほとんどのバトルロワイヤルゲームがそうであるように、「あと1ゲームだけ」と言っているうちに8時間連続でプレイしていたという事になるのがこのゲーム。Windows、Xbox One、PS4で使え、何と言っても無料!!なのが魅力だ。

Ask the StoryBots
Ask the StoryBots子供がいる環境での在宅勤務中、皆の平静を保つために一役買うのがテレビタイムだ。『Daniel Tiger』にも我慢できなくなってきたなら、『Ask the StoryBots』が活躍してくれる。星はどこから来るの?耳はどうやって音を聞くの?などの子供の質問に対し、StoryBotsがその答えを探しに行くというものだ。JibJab(その昔まだインターネット上の爆発的流行が日常ではなかった頃に起きた爆発的流行)を手掛けた兄弟デュオが制作し、Netflixに買収されたこの作品は、誰もが息抜きを必要としている時にぴったりの存在だ。正直に言うと、自分も同作品から学んだ知識がいくつかある。メロコアバンド、ナーフ・ハーダーの才能溢れるソングライター、Parry Grippがこの番組の多くの音楽を手掛けているのも嬉しい。曲が頭から離れないという問題は起こるが、『Baby Shark』の曲が離れないよりはましだろう。

MasterClass
MasterClass最高クラスの「遠距離学習」と言えば。ステフィン・カリーやプラットフォームに現れるその他のゲスト講師群を見て、ここでの教育に文句を言う者はいないだろう。

Lucas Matney(ライター)

あつまれ どうぶつの森
あつまれ どうぶつの森金曜のどうぶつの森リリースに向けて私の期待は大いに高まっていたが、サンフランシスコで州政府による自宅待機命令が出た後、私はたぬきちへ返済すべき厳しい住宅ローンが緩和されることを待ち望んでいる。過去のバージョンとどう異なるのかほとんど予測できないが、前回のリリースから8年ぶりの新作にただならぬ期待を寄せている。

Natasha Lomas(シニアライター)


YouTubeのフィットネスコミュニティはロックダウンの期間中、我々の正気と健康を保つために不可欠なものになるだろう。専門的なトレーニングにしても、一般的なレベルのフィットネスを実行するにしてもだ。私が1つだけチャンネルを選ぶとすれば『Yoga with Kassandra』になる。ヴィンヤサヨガと陰ヨガのクラスのミックスで、中には数時間に及ぶものもある。さまざまなレベルと興味に応えてくれるこのチャンネル。上級者向けクラスでは最小限の指示しか出されないため、ヨガムードで周囲を占領したくないリビングルームをシェアしている人には最適だ。ナマステ。

Matt Burns(マネージングエディター

ガンダムのプラモデル
ガンダムのプラモデル私はガンダムを観たことも読んだこともなく、このロボットに関する知識を全く持っていない。それでもこれを組み立てるのは最高に面白い。何が良いって糊が一切必要ないのだ。すべてのパーツは心地良く折りちぎれるし、必要なのはニッパーのみ。数時間もすれば、どうだ、巨大な銃を持ったロボットが完成する。さらに複雑化することも可能だ。奥行きを出すために極細のペンで各パネルを縁取るビルダーや、ダメージ加工や戦闘による傷を施すビルダーもいる。私は数パネルに着色をした。ルールなんてないのだ。

Anthony Ha(シニアライター)

スター・トレック:ピカード
スター・トレック:ピカードCBS All Access(米国外ではAmazon Prime Video)が配信する『スター・トレック』スピンオフの新シリーズの出だし数エピソードでは「次世代」の時代以降のどんよりとした未来を彷徨い、面白みに欠ける。だがペースは早まり、この闇こそが明るい未来を勝ち取るために必要な試練であり、我々には思いやり、好奇心、楽観主義が常に必要なんだと感じさせてくれるのである。
公園

公園

NEW YORK, NY – OCTOBER 23: Manhattan and Central Park are seen from the ‘Top of the Rock’ observation deck at Rockefeller Center on October 23, 2012 in New York City. Hedge fund billionaire John A. Paulson and the Paulson Family Foundation are donating $100 million to the Central Park Conservancy. It is thought to be the biggest gift ever to a public park. (Photo by Mario Tama/Getty Images)

 

外出に関するルールは地域によって異なるが、安全な距離を保った上での散歩や運動は多くの人々にとって重要だ。ここニューヨークではバーやレストラン、映画館などは閉まっているものの、多くの住民が緑あふれる公園に癒しを求めにきているようだ。(他人と1.8メートル以上の距離をとるのを忘れずに!)

Ingrid Lunden(エディター)

Pandemic(とその他のボードゲーム)
Pandemicコロナウイルスの悲劇を嘆くのはおしまい!パソコンの画面を離れてグループで楽しめる『Pandemic』ゲームは、世界中を研究所で埋め尽くすことが目的だ。ここから学べる素晴らしい教訓は単独の「勝者」はいないという事。治療法を発見するという目標を達成するため必要なのは皆との協力なのだ。私の家族が好きなその他ボードゲームは『Catan』『Ticket to Ride』『Perudo』など。

Kirsten Korosec(シニアレポーター兼エディター)

縄跳び
縄跳びドアに掛かっていた縄跳びを見てこれ使えるかもと思ったが吉日、縄跳びの楽しさを再発見した。イライラした時や長時間座りっぱなしの時、数分跳ぶことにしている。

整理整頓!
整理整頓!混乱した世の中で、私にとって整理整頓や掃除が役立っている。縄跳びを見つけたのもそのおかげ。

写真日記
写真日記 / Pixel 3Pixel 3のカメラを使いこなすため、今まで気にもしていなかった機能を掘り下げて学んでいる。自分の周囲にある物を被写体に、マクロ撮影や芸術的な写真(私の目には)を撮り続けている。猫の写真が大量にあるのは言うまでもない。毎日の写真が自分のムードを反映しているように見えるのが面白い。

Taylor Hatmaker(ライター)

ポケットモンスター ソード・シールド
ポケットモンスター ソード・シールド世界は混乱に陥っているが、最新のポケモンゲームにはリラックス効果とこれまで通りの安定感がある。それに、バーチャルな動物を捕まえて小さな球形の檻に閉じ込める作業をすることで、隔離された現在の状況もそんなに悪くないんじゃないかと思えるから不思議。

Duolingo/Memrise
Duolingo何も学んでいないような気がすると居ても立っても居られなくなる私にとって、言語アプリは最適なツールだ。初心者向けの日本語を学んだことがあるので、アプリでその記憶を取り戻そうとしている。幸いにも、隔離期間が終わるまでに暗記しなければいけない事はたっぷりあるようだ。

フォートナイト
フォートナイト予想に反して、ゲーマーでなかった妻を『フォートナイト』にハマらせることができたので、どうしても頭のスイッチを切り替えることができない時にプレイする事にしている。『どうぶつの森』シリーズや『Stardew Valley』のようなリラックスしたゲームとは全く異なる同ゲームだが、時間を忘れてのめり込みたい時には最適だ。新シーズンにはかなりマッチョな三毛猫、Meowsclesが登場する事も述べておきたい。

電子書籍の料理本
電子書籍の料理本電子書籍を購入して、理想の自分像が身に付けているべきスキルを習得するには最適なタイミングだ。私の場合は和食とタイ料理の基本を学ぶ事。これでもう外食する必要はなくなるだろう。最近は毎日料理をしているし、料理はこの状況下で正気を保つのに大いに役立っている。何かを作って、その一皿の素敵な写真を撮るのにたっぷりと無駄に時間を割く。ミシュランの星を獲得するわけではないが、達成感はこの上ない。もし失敗しても、パンケーキを作ったり気がすむまで作り直せばいいことだ。

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(翻訳:Dragonfly)

子供も大人も自宅待機の中、バーチャルな世界が主流となる機会は到来しただろうか?

TechCrunchはこれまで、「メタバース」とも呼ばれるバーチャル世界の発展をつぶさに取材してきた。

Robloxなどのプラットフォームや、フォートナイトといったオープンワールド形式のゲームが成長した結果、ゲームのバーチャル世界を友達と一緒に楽しむのが近年で人気を集めつつあるが、若年層以外ではまだ主流の社会活動となってはいない。

TechCrunchのメディアコラムニストであるEric Peckhamは、3週間前に発表した詳細なレポートでソーシャルメディアの新たな時代としてバーチャル世界を位置付けた。8部に分かれたこのシリーズを通じて彼はバーチャル世界の歴史を振り返り、ゲームがすでにソーシャルネットワークと化している理由ソーシャルネットワークがもっとゲームを必要とする理由業界における今後数年間の動向およびゲームを通して社交することがまだ主流になっていない理由バーチャル世界が社会関係を健全にしていく仕組みバーチャル経済の未来この新たな市場で成功を収めつつある企業などを解説した。

たった3週間で、知識経済の大部分が突然バーチャルにすべてをやりとりする状況など、誰が想像できただろうか。そういうことから、私は、新型コロナウイルスが蔓延する中、人気が高まっているバーチャル世界の状況をよりよく把握したいと考えた。私はEricと電話対談し、その内容を公開することにした。

Danny Crichton:タイミングについて話そう。あなたがバーチャル世界に関する全8回の連載記事を書き終えた直後に突如として、この未曽有の現象、新型コロナウイルスの世界的流行が起こり、人類の大半が自宅にこもってオンラインのみでやりとりすることになった。今、バーチャル世界では何が起こっているのだろう。

Eric Peckham:私が一連の記事を執筆したのは、オープンワールド系MMOゲームに対する消費需要の増加と、FacebookやSnapなどの巨大ソーシャルメディアがバーチャル世界やソーシャルゲームを自社プラットフォームへ取り込もうとしている両側面で、すでにマルチバースへの関心が高まっていることに気づいていたからだ。大手企業は、バーチャル世界を将来のヴィジョンとして掲げるだけではなく、実行可能なやり方で計画している。また近年は、人々が長時間過ごすことのできる次世代のバーチャル世界、ユーザの貢献によって形作られる複雑な社会を持つバーチャル世界の構築に焦点を当てたスタートアップへのVC投資も盛んに行われている。

ゲーム業界の創業者や投資家に話を聞くと、ここ数週間で、大人も子供も自宅でのゲーム人口が増加し、利用率が大幅に上昇しているという。

こうした次世代バーチャル世界のほとんどはまだ非公開のベータ版だが、Roblox(ロブロックス)やマインクラフト、フォートナイトといった既に人気のプラットフォームは普段よりもかなり利用されている。自宅に閉じこもっている人々の多くが、ゲームの仮想世界を経由して脱出しているのだ。

あなたがそうした分析のすべてを連載記事に執筆したのはパンデミックの規模を知る前だった。この業界の見通しはどう変わったのだろうか。

日常的に人々がバーチャル世界で交流して社会活動を行うことが主流になるまでのタイムラインが加速すると考えられる。この自宅待機は数週間ではなく数ヶ月間続き、それによって人々の社交や在宅勤務に対する考え方も変わってくるだろう。

これは真に大きな文化的変化だ。コアのゲーミングコミュニティを超えて、より多くの人がバーチャル世界で時間を過ごし、友達とやりとりすることを楽しみ始めている。

インターネットユーザーの中でも、最も若い世代でこの傾向が特に顕著だ。9~12歳の子供の大半がマインクラフやRobloxのユーザーであり、そこで放課後に友達と時間を過ごしている。以前よりも急速に、高い年齢層へもこの傾向が広がるだろう。

史上最大規模で自宅待機が強制されているにも関わらず、VRヘッドセットはほとんど売り切れているという苦情をTwitterで目にしている。VRはバーチャル世界に不可欠な要素なのだろうか。

まあ、VRヘッドセットがなくても、バーチャル世界で他の人と交流して楽しむことはできる。スマートフォン、PC、ゲーム機を使って、今でも無数の人々がそうして楽しんでいる。

ゲームが要求するミッションをこなしながら、他の人々とやりとりできる、長い時間を過ごせるバーチャル世界を構築することが、ゲーミング業界が目指す理想だ。昨年最も人気を集めていたモバイルゲームとPCゲームの分野に、大規模多人数同時参加型オンラインゲーム(MMO)が挙げられる。

ゲームについていえば、一連の記事で特に興味深いと私が感じた点は、ゲーミングはまだそれほど人々へ浸透していないという事実だった。

年間でいえば、20億人以上の人がビデオゲームを楽しでいる。これ自体は、驚異的な市場浸透率だ。しかし、少なくとも私が得た米国のデータによると、毎日ゲームを楽しむ人口の割合は、毎日ソーシャルメディアを利用する人口に比べてずっと低いことがわかっている。

ゲームプレイのミッションを超えて、社会活動を行って互いとやりとりするためのバーチャル世界にゲームが進化するにつれ、スマートフォンで5分間楽しむ時間があれば、バーチャル世界で社会活動やエンターテイメントを選ぶ人々も増えていく。ソーシャルメディアは、生活の中でこうした短い時間を埋めている。現時点でMMOゲームがそうなってないのは、時間がかかり、継続して集中しなければならないというゲームプレイを中心に構築されているからだ。Robloxのように、友達と共に過ごすための系統に属するバーチャル世界は、インスタグラムとより直接的に競合できる。

RegalやAMCなどの映画館チェーンは、ウイルスの流行が終息するまで、すべての映画館を閉鎖すると今週発表した。これはバーチャル世界の企業に影響を与えるのだろうか。

私は、この2つは別々のメディアに属していると考えている。映画館の観客数は長年にわたって減少を続けており、これに対して映画産業は、映画館でプレミアム体験を提供し、チケット価格を上げることで対抗してきた。子供であれば、金曜日の夜に映画館へ行くのと同じ感覚で、あるいはより積極的に、友達と集まって一緒にゲームを楽しむだろう。若い人にとって、映画館はかつてほど文化的に身近な存在ではない。

一種のバーチャル世界、または少なくともバーチャル職場である、在宅ワークの大規模な実験が行われている。バーチャル世界の人気が高まるのは、エンターテイメント分野と、生産性指向のプラットフォームのどちらから始まるのだろう?

エンターテイメント側から始まるだろう。その理由の一部は、ビジネス環境で会議をする人々が、バーチャル世界をあまりプロフェッショナルではないと感じるのと比べて、礼儀作法をそれほど気にされない若い人々がそれを社会活動に使用するからだ。時間をかけて、バーチャル世界が社会活動で一般的になれば、ビジネスについても自然に話し合える場所になるだろう。

オンラインで仕事し、バーチャルでやりとりする人々が増えるにつれ、私たちが直面する大きな課題は、今市場にあるZoom通話やバーチャル会議用に出回っている技術の範囲を超えて、直接人々と触れ合って会話しているような状態へどうやって持っていくかだ。バーチャル世界で歩き回ることができなければ、それは難しいだろう。Zoom通話やその他のブロードキャストソフトで各自がボックスに収まっているだけでは、気さくに小さなグループを形成したり、1対1でやりとりできない。バーチャル世界の技術を基にした、バーチャルビジネス会議がどのように発展していくかを見るのは興味深い。この課題に取り組む企業をいくつか目にしている。

最後の質問になるが、今後大規模な経済不況が予想される。バーチャル世界で収入を得ている人々は、コロナウイルスでどのような変化に見舞われるのだろう。

私のシリーズ記事の最後から2番目では、バーチャル世界をめぐり形成されたバーチャル経済を扱っている。バーチャル世界であればどれでも、商業行為が行われており、人々はすでにゲームやSecond Lifeといった初期のバーチャル世界から実際の収入を得ている。

コロナウイルスの影響で自宅に待機する人々と、今後予想される不況の両方が、オンラインで収入を得るよう人々を後押しするだろう。バーチャル経済がゲーム内に公式に組み込まれた場合や、ゲームをめぐる未認可や非合法に形成されるバーチャル経済(こちらの方が一般的だ)のいずれであれ、その活動は増え続けるだけだ。

ありがとう、Eric。

画像クレジット: Shutterstock

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(翻訳:Dragonfly)

米食品医薬品局が15分で結果が出る新型コロナ用検査を複数承認、ただし留意点あり

米食品医薬品局(FDA)は3月26日、新型コロナウイルス(COVID-19)であるSARS-CoV-2の診断検査に関する緊急ポリシーを修正した。FDAは3月16日に行われた変更に続き、多くの民間企業や検査機関が15分程度という短時間で結果を出せる検査方法を開発・提供するための扉を開いた。ただし、検査方法が市場に出回る前に覚えておくべき非常に重要な留意事項が数点ある。

検査方法は「血清学的」で、人の血液中の抗体の存在を特定する方法だ。これは、FDAが承認した検査機関やドライブスルー検査会場で、緊急使用許可(EUA)に基づき実施されているPCR検査(分子検査)とはかなり異なり、血清学的検査では人がSARS-CoV-2に対して抗体を作ったかがわかる。抗体が作られていればSARS-CoV-2と接触した可能性が非常に高いことを意味する。そして感染しているか、感染後すでに回復しているかもわかる。一方、PCR検査は実際には血流中のウイルスDNAの存在を検出する。検出されれば、少なくとも綿棒で採取した時点で実際に感染していたことを示し、血清学的検査による結果よりはるかに決定的な指標となる。

中国、台湾、シンガポールなど、新型コロナウイルスのパンデミックへの対応の有効性を示した国では、血清学的検査が依然広く利用されている。米国のさまざまなコミュニティでも採用されている方法で、民間検査機関での診断に関する従前のガイドラインに基づいている。FDAは3月26日、必要な通知をFDAに対して行った29の法人を指定し、血清学的検査が実施できるようにした。

FDAの緊急使用カテゴリに含まれている分子検査とは異なり、血清学的検査はFDAによるレビューや検証を受けていないことに注意することが重要だ。その代わり、検査結果に以下の情報を付すことなど、所定の基準を満たす限り、FDAは血清学的検査の「民間製造業者による開発および配布に反対しない」ことを表明している。

  • この検査はFDAのレビューを受けていません。
  • 陰性の結果が出たとしてもSARS-CoV-2への感染の可能性がないわけではありません。 特にウイルスに接触したことがある人はそうです。感染の可能性を排除するためには、PCR診断による追加検査を検討すべきです。
  • 抗体検査の結果を、SARS-CoV-2への感染に関する診断や可能性の排除、または感染状態を通知する際の唯一の基礎にすべきではありません。
  • 陽性の結果は、コロナウイルスHKU1、NL63、OC43、229Eなどの非SARS-CoV-2コロナウイルス株による過去または現在の感染が原因である可能性があります。

FDAは緊急使用に関するFAQの中で、指定法人が血清学的検査を独自に検証していること、指定法人がEUAを求めているわけではない点を断っている。とはいえ、これは指定法人による検査実施を妨げるものではない。つまり、米国人の検査に使用して新型コロナ蔓延の全体像をより的確に描けるようになる。ただし上述したとおり、FDAはSARS-CoV-2に感染したことを確定するため、逆の言い方をすればウイルスに感染していないことを示す確かな指標を得るために、血清学的検査を単独で使うつもりはない。

それでも、EUAのもとで承認された検査が広く利用可能になるなど、もっといい選択肢がない現状では、血清学的検査(その多くは、ほんの少しの血液があれば現場で結果がわかる)が新型コロナの拡散と到達範囲に関する正確な全体像を描くのに役立つ。特に分子検査に必要な機器と備品へ優先的にアクセスできない小規模なクリニック、総合診療医のクリニック、地域の検査機関にとって有用だ。

例えば、今回のリストにある検査の1つ「Healgen Scientific COVID-19 IgG / IgM(全血/血清/血漿)Rapid Test Device」は、機器を必要とせず、わずか15分で結果が出る。ディストリビューターのIdeal Rehab Careは、法定代理人であるFox Rothschildと協力して、「できるだけ早く」使用するためにシンガポールから検査方法を輸入することにした。

FDAが更新したウェブサイトに血清学的検査を使用する意向を通知した法人の1つとしてHealgenが載ったことで、同社は検査方法の販売が可能になった。今回のリストにない法人が検査を実施・販売することは依然として違法だ。FDAはまた、公式ガイドラインに基づき在宅での血清学的検査の使用を引き続き明確に禁止している。

画像クレジット:Pedro Vilela / Getty Images

新型コロナウイルス 関連アップデート

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(翻訳:Mizoguchi)

米国で新型コロナと戦う医療関係者をスタートアップが支えている

新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大は、世界中の何十億という人々の暮らしを滅茶苦茶にしている。米国では過去数週間、多くの地域で外出禁止命令が出されていて、これにより幼い子供を持つ多くの親は毎日子供や家族の面倒をみながら仕事をしている。子供預かりサービスは、必須なものにもかかわらず米国の経済では往々にして軽視されている。そうしたサービスのプロバイダーはいま、新型コロナ危機による経済的な不透明さに対処しつつ、新たな役割を担っている。エッセンシャルワーカー(医療従事者など必要不可欠な業務を行う人)向けの子供預かりだ。

家庭ベースのデイケアネットワークを含むチャイルドケアのスタートアップと、福利厚生やビジネス管理のソフトウェアは家族のサポートで協業している。例えば、エッセンシャルワーカーとチャイルドケアを提供する人達を結びつけたり緊急のチャイルドケアを提供するのにテクノロジーを使っている。また、サービスプロバイダーに政府の助成を案内したり、あるいは自前の救援基金をつくるなどしてサポートしている。

TechCrunchは米国に拠点を置く9つのチャイルドケアスタートアップ・ホームデイケアと、プレスクールネットワークのWonderschoolNeighborSchoolsWeeCareMyVillage、それからチャイルドケアを検索できるアプリWinnieKomaeHelpr、また法人ソフトウェア企業のKinsideKangarootimeに、COVID-19の影響にどのように対応しているのか話を聞いた。

エッセンシャルワーカーのためのチャイルドケア

TechCrunchが話を聞いたチャイルドケアスタートアップの多くがいま、医療関係や緊急救援、スーパーなど外出禁止が出されている中で必須と分類されている職に従事する人のサポートに専念している。スタートアップの一部は、エッセンシャルワーカー家族の急な需要と新型コロナウイルスとの安全対策のバランスを取りながら、需要に素早く対応できるようプラットフォームやサービスの形態を変えている。

例えば、米国内の認可を受けたチャイルドケアプロバイダーを探すためのプラットフォームであるWinnieは、どの施設が一時閉鎖されていて、どの施設が受け入れ可能なのか、リアルタイムにデータを集めてアップデートしていると創設者でCEOのSara Mauskopf(サラ・マウスコプフ)氏は話す。今週Winnieは、すぐに子供を受け入れられる緊急チャイルドケアを親が探すことができるポータルを立ち上げた。

選ばれたベビーシッターと親をつなげるアプリ、Helprの創業者でCEOのKasey Edwards(ケイシー・エドワーズ)氏はエッセンシャルワーカーにチャイルドケアを提供できるよう取り組んでいると話す。Helprの「アウト・オブ・ネットワーク」機能は、エッセンシャルワーカーが利用しているケアプロバイダーをプラットフォームに加え、雇用主からのバックアップケア助成金を受けられるようにするものだ。

一方、家族のグループが「ベビーシッティングサークル」をつくって交代でケアすることを可能にするアプリKomaeは、自社従業員に無料のケアクレジットを提供し、7つのヘルスケア組織と協業している、と創業者でCEOのErin Beck(エリン・ベック)氏は語った。

Komaeで作られるベビーシッティングサークルはプライベートで、「サークル内の家族は子供のケアをメンバーだけに限定でき、不特定多数がいるコミュニティに子供をさらすというリスクなしにケアを確保できる」とベック氏は話した。Komaeは現在ユーザーに1家族か2家族とだけで“チームを組む”ことを推奨している。

一部の地域では、家庭での小規模ケアプロバイダーは営業継続を許可されている、とWonderschoolの共同創業者でCEOのChris Bennett(クリス・ベネット)氏は話した。Wonderschoolは家庭ベースのチャイルドケアやプレスクールをカリフォルニア州やニューヨーク州、テキサス州など米国で展開している。

「繰り返しになるが、小規模の家庭チャイルドケアオペレーターの事業継続を郡当局は許可していて、外出禁止となっていても必要不可欠と分類されている職業の人達のためにサービスを提供している」と同氏は述べた。「我々のプログラムは、大規模のプレスクールが現在提供できない重要な役割を果たしている」。

WeeCareも家庭でのチャイルドケアを提供している。共同創業者でCEOのJessica Chang(ジェシカ・チャン)氏は、同社が「サポートを時間単位で調整し、各郡で変更されているプロトコルを考慮している。北カリフォルニアやニューヨーク市のような特定のエリアにおいては、我々のプロバイダーはどのようにコミュニティを支えるかを念頭に置いて変更を加えている。デイケアに定期的に通っている子供のケアではなく、いまは救急隊員やエッセンシャルワーカーの子供たちを引き受けている」。

マサチューセッツ州では、Charlie Baker(チャーリー・ベイカー)州知事が3月23日から全てのチャイルドケアセンターを閉鎖するよう命じた。同州でいま唯一サービス提供を許可されているセンターはExempt Emergency Child Careプログラムだ。これはエッセンシャルワーカーのためのもので、幼児教育ケア(EEC)の部門が運営している。

その結果、家庭チャイルドケアプロバイダーと提携しているボストン拠点のNeighborSchoolsは命令に従ってすべてのセンターでのサービスを停止した。共同創業者でCEOのBrian Swartz(ブライアン・スワーツ)氏は、提携しているプロバイダーの一部は医療従事者や救急隊員、社会的弱者向けの緊急チャイルドケアの提供を申し込んでいる、と話した。同社は現在、プロバイダーに法的規制を案内し、政府の援助を活用するためのガイダンス周知を図っている。また、同社のプラットフォームへのフルアクセスを提供すべくEECの幹部と連絡をとっている。

「こうした展開は考えたこともなかったが、我々のネットワークのために立ち上げたサービスは、家族とチャイルドケアプログラムをリアルタイムに自動マッチングするのに適している」とスワーツ氏は話した。「チャイルドケアの予定を組むには、子供の生年月日、家族のスケジュール、年齢幅に応じて各プログラムで認可される受入可能人数を考慮する必要がある。EECから要請があれば、我々のチームは何を置いても真っ先に対応する用意ができている」。

オンデマンドサービス

スタートアップたちはまた、短期あるいは緊急のチャイルドケア探しでも親をサポートしている。一部のスタートアップは、親が在宅勤務と家庭生活のバランスを取るのをサポートしようと、デジタル・プレイデートのようなオンラインサービスを立ち上げた。

コロラド州とモンタナ州の家庭ベースケアプロバイダーのネットワークMyVillageには、「大規模なチャイルドケアセンターや教育機関の閉鎖のために一時預かりや短期利用を求めている家庭からかなりの関心が寄せられている」と共同創業者でCEOのErica Mackey(エリカ・マッキー)氏は話した。同社は現在、いくつかのMyVillageプログラムでチャイルドケアを必要とする家族向けの短期利用ソリューションに取り組んでいる。

急に在宅勤務生活を余儀なくされた親をサポートするために、KomaeとHelprはオンラインサービスの提供を始めた。Helprはプラットフォームでオンライン音楽レッスンとファミリー向けのチュータリングを立ち上げ、Komaeはデジタルプレイデートを展開している。デジタルプレイデートでは親はアプリで子供の友達とのビデオコールを設定できる。

「私の幼い子供がコンピュータースクリーン上で友達にこんなにも楽しませてもらえるなんて想像もしなかった。子供たちは互いに自分のおもちゃや変な顔を見せ合って1時間ほど過ごす」とKomaeのベック氏は話した。「我々皆にとって社会的なつながりは必要不可欠なものだ」。

安全とサポート

子供の手洗い

安全のための取り組みは常にチャイルドケアプロバイダーにとって最優先事項だが、特に今は極めて重要だ。COVID-19拡大を抑制するためのCDCガイドラインに従うのに加えて、多くの企業は独自のセーフガードも実行している。一部では、新型コロナによって受け入れ中止を余儀なくされているケアプロバイダーを援助するための経済的サポートプログラムを実施している。

たとえばベック氏は3月12日、オハイオ州が全米で初めて学校を閉鎖した数時間前に、アプリを利用する親に交代でのチャイルドケアを直ちに停止するよう求める手紙をKomaeのサイトに載せた。

「創業者としてこれまで行ってきた決断の中で、最も難しいものの1つだった。というのも、私自身も親であり、互いを思い、仲間と思っている多くの家族がどれほどさみしく感じるか痛いほどわかっていたからだ」と同氏は話した。「しかしソーシャル・ディスタンス(社会的距離)は今ほど守られていなかった。すべきことをする企業であるために、この大きなコミュニティのリーダーとして我々は責任を負っていた」。

ヘルスケアの組織で働く親がチャイルドケアを見つけられるようにサポートしたり、デジタル機能を立ち上げたりするような取り組みによりKomaeはコミュニティを維持している、と同氏は付け加えた。「そうしたことを実現させられるツールをKomaeは持っていた。ソーシャル・ディスタンスを取りながら、我々は隔離やデジタルケアシェアリングを受け入れた」。

安全のための策として、WeeCareはケアを提供するスタッフの体温をモニターする機能を開発した。日中の子供の様子の写真やビデオを撮ることができるアプリにすでに入っているファンクションを活用している。この技術では、ケアプロバイダーが毎朝体温計で測定した体温を撮ったビデオを提出することができる。ビデオがWeeCareのチームに認証されると、プロバイダーは認証された日付入りの「健康状態:熱なし」のバッジがもらえる。

チャン氏はこの機能により「プロバイダーは、コミュニティの安全と健康を確かなものにするために、CDCが推奨する通りさらに積極的な対策を取ることができる」と話す。

いくつかの企業は閉鎖を余儀なくされたプロバイダーをサポートしようと、そして病気なのに働こうとすることがいよう経済援助プログラムを提供している。たとえばMyVillageは4月までの予定されていた収入が継続して入るよう、ネットワーク内で追加の基金を立ち上げた。これまでのところ匿名の2人が寄付した、とマッキー氏は話している。

「我々の教育者の多くが休業するのに必要なセーフティネットを持ち合わせていない。だからこそ我々はできるだけ長く、そして安全にサービス提供を続けて欲しいと考えている」と同氏は語った。「もし親がウイルスにさらされたり感染したり、あるいは隔離対象となったら復帰するまで、我々の救援基金が子供のケア費用14日分のうち11日分をカバーする」。

Helprは、米国で最初のCOVID-19感染ケースが報告された後、同社のプラットフォームを使用するベビーシッター向けの有給病気休暇のポリシー立ち上げた。ユーザーは予約する時に情報開示を義務付けられるが、ベビーシッターたちはその家庭での病気の有無についても案内される。

TechCrunchがWonderschoolに話を聞いた数日後、CEOのベネット氏は同社がコロナ危機によりチームメンバーの解雇を余儀なくされたと発表した。発表前にベネット氏はTechCrunchに対し、子供や親、プロバイダーが症状を示したり、陽性と診断されてWonderschoolのケアプログラムを閉鎖しなければならなくなったら、同社はケアを探す家庭向けのサポートネットワークから手を引くだろう、と話していた。Wonderschoolは事業者向けの州や政府の経済支援策を待っている。

「これらの緊急支援金は、一時的にサービスを中止した家庭ベースのプロバイダーを、日常が戻った時に親たちが再び利用できるようにするために重要な役割を果たす」と同氏は述べた。

法人向けソフトウェア

チャイルドケア関連の法人向け管理ソフトウェアを構築するスタートアップにとって、パンデミックは異なる種の課題を生み出した。

チャイルドケアプロバイダーのための事業管理ソフトウェアKangarootimeのGenevieve Carbone(ジュネビーブ・カーボン)氏は、顧客の多くがサービスを利用する家族に目まぐるしく変わる規則の最新情報を提供するのにメッセージ機能に頼っている、と話した。同社のソフトウェアはまた、情報を紙に印刷して渡す代わりにデジタルでの提供や、アプリでのチェックイン・チェックアウト、オンライン決済などによる「少ない接触」を可能にしている。

「我々は新型コロナが今後事業に及ぼす影響、そしてパンデミックが収まったときに顧客をどのようにサポートできるかについて、注意深く見守っている」とカーボン氏は述べた。「助成金が出ると思う。政府のチャイルドケア費助成を必要とする家族向けには増額があると見込んでいる」。

従業員の介護給付管理やデイケア探しをサポートするソフトウェアのKinsideでは、外出禁止や社会的距離のために加入する親が60%減った、と創業者でCEOのShadiah Sigala(シャディア・シガラ)氏は話した。ネットワークに加盟している何千ものデイケアもまたサービスを停止している。

「まだ外出禁止命令が出ていないその他の地域でも、緊急のケアを探す親の数は減っている。全米で同様の措置が取られるのは時間の問題だろうとわかっているからだ」とシガラ氏は付け加えた。

しかしKinsideはエッセンシャルワーカーのチャイルドケア探しをサポートしていて、つい最近、プラットフォーム上での病院やグローサリーチェーンの従業員へのチャイルドケアサポート提供でそうしたところの人事部門との協業も始めた。

パンデミック後

デイケアや学校の閉鎖により、家族は類稀な困難な状況でそれまでの生活を変えることを余儀なくされた。こうした現実が、ケアを提供する人たちの経済への貢献や家族の健康のありがたさを思い知らせている。と同時に、多くのプロバイダーはセーフティネットが少なく影響を受けやすい存在であることも浮き彫りにしている。

MyVillageは長らく存在してきたチャイルドケアの構造的な問題を解決するために立ち上げられた、とマッキー氏は話す。「パンデミック以前でもそれを実現するのは難しかったが、今はいっそう困難だ。全国の家庭ベースのチャイルドケア事業の40%以上が子供を預かって得る収入がなければ2週間ももたないと報告している」と同氏は指摘した。MyVillageは米国の完全に機能していないチャイルドケアマーケットをなんとかしようと設立された。既存のマーケットは、平均時間給が11.50ドル(約1240円)の教育従事者や、チャイルドケアのために公立大学の授業料以上の額を払っている働いている親が利用できるようなものではなかった」。

シガラ氏は「パンデミックは、働く人の毎日や経済全体におけるチャイルドケアの必要性を露わにした。我々の仕事の多くは在宅勤務にフィットするかもしれない。しかし子供の面倒をみながらの在宅勤務には明らかにフィットしない」。

パンデミックが終息した後、子供を以前と同じケアプロバイダーに預かってもらうのは困難かもしれないし、料金が支払えるよう新たなプロバイダーを探す必要があるかもしれない、とシガラ氏は付け加えた。Kinsideは現在、何千もの雇用主、そして合計で子供100万人を受け入れられるデイケアセンターと協業している。同社は、企業が危機を乗り越えて再興する間、Kinsideへのアクセス料金を大幅に割り引いたり、無料アクセスを提供したりする計画だ。

「企業のトップたちはこれまでよりも共感の念を持って経営に戻ってくると予想している」とシガラ氏は話した。「彼らは(おそらく初めて)、従業員が毎日直面している問題であるチャイルドケアインフラの完全な欠如を経験した。企業の人事労務部門の責任者や役員たちと共に取り組む準備はできている」

画像クレジット:LEREXIS / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

気化した過酸化水素で除染すればN95マスクも再利用可能に

N95マスクの不足が全国的に続いているので保健医療施設は、COVID-19への暴露の危険性が最も高い医師や看護師を保護するために、マスクの洗浄と再利用するための方法をなんとか見つけ出そうとしている。

デューク大学は、過酸化水素を使ってマスクの除染する方法を発見したと考えている。

このプロセスでは特殊な装置を使って過酸化水素を気化させ、その蒸気をマスクのすべての層に通して、その素材を劣化させずにウイルスも含め殺菌する。

同大のバイオセーフティー実験所の副所長であるScott Alderman(スコット・アルダーマン)氏は、声明で 「これは我々が長年使ってきた除染技術だ」と言っている。

同大の労働環境安全室のディレクターであるMatthew Stiegel(マシュー・スティーゲル)氏によると、は有効性が証明されており、3つの大学病院のすべてで利用を開始する予定だという。

病院は常に新しいマスクを使い、汚染除去の必要がないことが理想的だが、しかし現在は、そんなことを言ってる場合ではない。

デューク大学におけるN95マスクの消毒に過酸化水素を使う決定は、2016年に発表された研究に基づいているが、マスクの不足でなかったこともあり広く普及していなかった。またこれまでの研究では、クリーニング後のフィットなどは行われていなかった。しかし今回、同大学では実際の現場でその実用性のテストを行っているという。

医学博士で准教授、そして感染症の専門家でもあるCameron Wolfe(キャメロン・ウルフ)氏は「必要不可欠なN95マスクを再利用できれば、深刻なマスク不足に陥っている現在も、最前線で働く医療従事者を保護する能力を高めることができる」という。

Duke University Health SystemのMonte Brown(モンテ・ブラウン)氏は、このテクニックを学外にも広めたいと言う。彼によると、いくつかの医療システムと製薬企業には必要な装置がすでにあるが、現在は他の目的に使われている。しかしそれぞれの地元病院の支援に向けることは可能だとのことだ。

さらにブラウン氏は「我々がスタッフの前で、確信を持って何年も前に実証された除染方法を使ってることを言うことができた。これだけでは問題は解決しないが、今の不足状態の中ではマスクを一度か二度再利用できるだけでも大きな利益になる」。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

ロケット打ち上げスタートアップのSkyroraは消毒液とマスクの生産に注力

Skyroraは、実際にペイロードを軌道上に運ぶ稀有な民間打ち上げスタートアップの仲間入りを目指している新しい企業の1つだ。しかし今、英国内の製造能力のすべてを、COVID-19対応に集中させることにした。スコットランドのエジンバラに拠点を置くSkyroraは、英国政府やNHS(英国民医療サービス)からの製造業者への呼びかけに応じて、できる限りのことをすることにした。新型コロナウイルス危機と最前線で戦っている人たちのために、切望されている医療用品を供給するのだ。

Skyroraryによれば、英国にある事業全体つまりすべての人的資源と運転資金を現在はCOVID-19対応に向けているという。同社は2017年に設立され、最初の宇宙船の試験飛行に向けて活動していた。この2月にはより環境にやさしい実験的なロケット燃料を使った初期のエンジンテストに成功したばかりだった。

しかし現時点、Skyroraは手指消毒液の製造に注力することにした。これが同社としてCOVID-19対応をサポートする初の仕事となる。すでにWHOのガイドラインと要件に沿って最初のバッチを生産している。現在、1週間あたり250mlボトルで1万本以上を製造できるよう生産活動拡大を目指している。

実際のところ、ロケット工学と手指消毒液の間にはかなり密接な関係がある。消毒液の基本的な殺菌成分はエタノールだ。これはアルコールの一種で、初期のロケット燃料に使用されていた。ただしSkyroraの「Ecosene」燃料は灯油の一種で、現在の航空機やロケットの燃料としてかなり一般的に使われているものとなる。

Skyroraは消毒液だけでなく3Dプリンターで作った保護用フェイスマスクが、医療従事者の安全確保に貢献できる可能性についてスコットランド政府と協議している。現在、初期のプロトタイプのテスト中だ。効果が確認できれば、この保護器具を大量生産することを検討している。

多くの企業が、自社の生産ラインと製造能力を最も需要のある領域にシフトするなど、可能な範囲で努力している。今は間違いなく「総動員」が求められる時期だ。とはいえ、注力する分野をここまで大きく変更した企業に、今回のような緊急事態が過ぎたとき、いったい何が起こるのかという疑問もある。特に新しい分野の若いスタートアップにとっては、深刻な問題だろう。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

市販の材料を使い1分で完成する医療用フェイスシールドの作り方をニューヨーク大学が無料公開

ニューヨーク大学(NYU)は他の多くの学術、民間、公営機関と同様、世界中の医療従事者が必要としている個人防護具(PPE)の供給についてできることに取り組んでいる。同大学はいち早くオープンソースのフェイスシールドを開発し、量産してすこしでも需要に応えるべくその作り方を無料で公開した。

フェイスシールドは、新型コロナ患者と濃密な接触をする現場の医療従事者にとって不可欠な器具だ。具体的にはプラスチック製の透明なマスクで、顔全体を覆う。呼吸器防護具のN95マスクやサージカルマスクとともに使用され、患者が咳やくしゃみをした際に飛散するウイルスを含有する飛沫から医療従事者を保護する。

NYUのプロジェクトはフェイスマスクを量産するためのさまざまな試みの1つだが、他の多くは3Dプリントを使用している。3Dプリントは小規模な業者や個人でも製作に貢献できるという利点があるが、1枚作るのに30分から1時間もかかってしまう。NYUのデザインは一般的な材料だけを使う。透明で柔軟なプラスチックと伸縮性のあるバンドがあればよく、薄くて平らな製品をつくる設備(穴あけ器、レーザーカッターなど)のある製造施設であればどこででも1分以内で製造することができる。

マスクは臨床医と共同で設計され、すでに100個以上が緊急治療室に配布されている。NYUのチームは製造能力を上げ、材料が製造パートナーに揃えば最大30万個を作る計画だ。パートナーにはDaedalus Design and Production、PGR Scenic Technologies、Showman Fabricatorsらがいる。

チームはその作り方をダウンロード可能なツールキットとして一般公開しており、多くの人が同大学のやっていることを真似してより多くのマスクが配布されることを望んでいる。大量生産に協力してくれるメーカーからの連絡も待っている。

個人防護具不足のさまざまな側面に取り組んでいるプロジェクトでは人工呼吸器を作ったり、1台の人工呼吸器を4人同時に使える器具を作っている。これは、コミュニティーのために賢明な人々や組織が協力することで何ができるかを示すすばらしい例であり、新型コロナ危機が深まるにつれ、同様の事例がさらに出てくるに違いない。

画像クレジット:NYU / Getty Images

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

5分間で陽性がわかる米食品医薬局が新たに認可したAbbottの新型コロナ検査

ヘルスケアテクノロジーのAbbottが開発した新しいCOVID-19の検査方法は、結果が出るまでの時間がこれまでで最速で、しかもその場でできるため検査機関への往復がする必要がない。現在、全世界的なパンデミックを起こしている新型コロナウイルスを検査するこの方法は、米国のFDA(食品医薬局)から緊急時使用許可を受けており、来週から生産を開始する。毎日50000セットも生産できるという。

このAbbott ID NOW COVID-19という検査は、診断プラットフォームAbbott ID NOWを使用する。検査装置は小さな台所用品ほどのサイズで、陽性の結果は5分間、陰性は15分間以下で出る。臨床の現場や診療所などでも検査できるようになること、また検査とその結果が出るまでの時間が短くなることから、非常に有用な手段になる。

他の国で使われてきた高速検査や、結果の精度を確認しないFDAの新しいガイドラインによる高速検査方法と違い、この検査は患者から採取した唾液や粘液を使う分子検査法を利用する。

この検査が利用可能になった良いニュースであるのは、検査に使用するAbbottのハードウェアID NOWが、米国ではすでに臨床現場即時遺伝子検査用として広く普及しているためだ。ID NOWは医師のオフィスや救急病院、集中治療室などの医療施設に設置されていることが多い。

Abbottによると、この新しい迅速検査と3月18日にFDAの緊急時使用認可を受けた施設での検査と合わせて4月には500万回の検査が可能になるという。

検査が、新型コロナウイルスによるパンデミックに対処する上で初期の問題の1つだ。1人あたりの検査実施数で、他国に後れをとっていた。そのためウイルスの拡散とそれによる呼吸器疾患を正確に調べることもできなかった。患者は、検査まで待つ日数が長すぎると不満の声をあげており、接触の可能性が高くてそれらしき症状が出ていても、これまでは迅速な対応を受けることができなかった。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

AIとビッグデータが新型コロナとの戦いで奇跡を起こすことはない

かなづちを持っている人には、あらゆる問題が釘のように見える。予想通り、テクノロジーセクターは目に入るすべての釘を一生懸命かなづちで叩いている。だが、現代のデータエコシステムの分析力は、新型コロナウイルス治療への対応の点では非常に限られている。

企業が持つ莫大な量のコンピューティングリソースを、何らかの形でウイルスと戦うための世界的な取り組みに向けることは、もちろん期待すべきことであり、称賛すべきでもある。

うまく使えば非常に価値ある取り組みができる。例えば、既知のコロナウイルスに関する何千もの記事Semantic Sc​​holarのコンテキスト認識テキスト分析を適用すれば、世界中の研究者が検索できる。研究所や保健当局が世界中で利用できるデジタルコラボレーションツールは、最後にこの規模の公衆衛生上の危機があった際に利用可能だったものをはるかにしのぐ。

だが、進歩に関して誤った印象を与えかねない分野もある。AIとテクノロジーが大きく進歩した分野の1つに創薬がある。数多くの企業が設立され、数億ドル(数百億円)の資金を集めたのは、AIを使用すれば特定の条件下で効果を発揮する新物質を発見するプロセスを高速化できるという期待があったからだ。

当然、新型コロナも研究の対象となる。すでに複数の企業や研究機関が新型コロナに10とか100の有効な物質を発見したと喧伝している。そうした発表は見出しを飾りやすい。「AIが新型コロナに効く可能性がある10個の物質を発見」といった類いだ。

AIを応用することが悪いわけではないが、実用的な結果はほとんど得られていない。例えば交通手段の選択肢を絞るという政策提案に対して、交通量のビッグデータを分析し、提案を支持したり低評価を付すというのは1つのあり方だ。 だが分析によって多数の選択肢が提示されても、いずれも行き詰まってしまったり、現在の取り組みに有害でさえあるなら、話はまったく異なってくる。

これは、AIを応用するのがハイテク企業であり、解決策を提案した後は必然的に彼らの手を離れてしまうからだ。治療の手がかりというものは、選択肢から除外する場合でさえ、過酷なテストを必要とする。有効性を確認するならなおさらだ。すでに他の用途に承認されている薬でさえ、責任を持って大規模に展開しようとするなら、新しい適用方法について再び審査する必要がある。

さらに、この種の創薬プロセスを経て新物質を発見したとしても、何十億という製造量はおろか、何千という規模でさえも、製造にこぎつける保証はない。それはまったく別問題だ。(断っておく必要があるが、取り組んでいるAI企業もある

リード(新薬候補となる化合物)を生成するメカニズムとして非常に重要なアプローチだが、問題はリードがないということではない。リードを発見し、フォローアップする体制は世界中にある。繰り返すが、新薬候補の探索活動を誰も行うべきではないと言っているのではない。仕事の内容をよく考えるべきだと言っているのだ。不確実な結果を伴う一連の課題にもっとふさわしい人々がいる。

同様に、例えば胸部X線をアルゴリズムによって自動的に分析する「AI」による手法は、将来的には価値がある可能性もあるため追求する必要があるが、期待を現実に合わせることが重要だ。今から1〜2年後に、AI分析を行う遠隔医療研究施設が設立されるかもしれない。だがこの春の時点で、新型コロナの診断を提供する「AIドクター」はまだ存在しない。

将来、アルゴリズムがもたらす予測と効率化が歓迎される分野であっても、現在の緊急事態では使えない。求められるのは賢さや斬新さではない。緊急事態では物事が慎重に進められ、三重にチェックされる必要がある。動きの速いスタートアップにとって最も魅力的で人気のあるアプローチは、数百万もの命がかかり、数千もの物事が相互作用するような世界的な危機にはほぼ適さない。

自動車メーカーがマスクや人工呼吸器の製造に工場を活用するのはありがたいが、新薬発見は期待していない。同様に、創薬に取り組んでいる人々がそれ以上のものであると期待するべきではない。AIは原理的に超人的な結果を出すという点から、魔法のようにとらえられる向きがある。以前にも述べたが「より良い」プロセスは、間違った答えをより早く出すだけということもある。

バイオテクノロジー産業におけるデジタル分野の最先端の研究は、基本的にはなくてはならない。だがその性質から、迫り来るヘルスクライシスの緩和には向いていない。見出しだけを読む一般市民も、テクノロジーの進歩がもたらす成果を当て込むテクノトピアンも、そのような期待を持つべきではない。

画像クレジット:Peter Zelei Images / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

米Amazonの6つの施設で新型コロナ患者が相次いで発生

COVID-19のパンデミックで自発的または政府が強制した隔離生活送るようになると、Amazon(アマゾン)のようなオンラインの小売りサービスが頼みの命綱だ。倉庫の従業員とギグワーカー(オンデマンド労働者)が、社会的距離を保とうとするみんなの努力を有効にするための重要な最前線となっているが、彼らは自らの健康をリスクに晒している。

Amazonの少なくとも6つの施設において、その従業員のCOVID-19陽性が判明した。その多くはロッキー山脈の東にある施設で、最初の患者はニューヨークのクイーンズにある施設で発生しケンタッキー、フロリダ、テキサス、ミシガン、オクラホマと続いた。これらの州の別の施設、例えばスタテンアイランドにあるニューヨーク最大のフルフィルメントセンターでも患者が発生した。すべてについて言えるのは、ウイルス禍が拡大を続けている中、これらの事例は氷山の一角に過ぎないということだ。

従業員を助けウイルスの拡大を防ぐために、どのような対策をしていたのか。Amazonの広報担当者は「地元行政の指針に基づいて個人をサポートしている。すべての従業員の安全を確保するために、できる限りの支援を行っている」という。

関連記事:ニューヨークの倉庫で働くAmazon従業員が新型コロナ陽性

検査で陽性だった者は有給で14日間、自宅に隔離される。Amazonによると、タッチスクリーンからドアのハンドルに至るまで、施設の清掃を強化しているという。

新型コロナウイルスは、金属など彼らが好む面の上では長生きするようだ。New England Journal of Medicineによると「SARS-CoV-2は銅やボール紙よりもプラスチックやステンレスの方が安定しており、それらの面の上に置いて最大72時間後も生存しているウイルスが検出された」。それは確かに恐ろしい数字だが、それより長時間になると検出されるウイルスの量は激減した。そのため手洗いは続けるべきだし、必要以上に恐れることはない。

Amazonのスタッフに宛てた最近の公開書簡でCEOのJeff Bezos(ジェフ・ベゾス)氏は「私の時間と思考はすべてCOVID-19と、それに対してAmazonができる最良の役割を見つけることにフォーカスしている。みなさんに知っていただきたいのは、Amazonは今後もその役目を継続し、新たな支援の機会を絶えず積極的に受け入れていくということだ」と述べている。

労働者が獲得した数少ない勝利の中には、20時間以上働いている労働者のための有給休暇がある。新型コロナウイルスの流行が、その獲得の契機になったことは確かだ。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Googleが新型コロナ対策で政府機関と中小企業に860億円を寄付

GoogleのCEOであるSundar Pichai(サンダー・ピチャイ)氏は米国時間3月27日に、政府機関や中小企業のCOVID-19対策のために広告クレジットとローンで8億ドル(約863億円)あまりを寄付する、と発表した。

その声明には寄付の内訳もある。その多くはGoogleのサービスのクレジットだ。

  • WHO(世界保健機構)をはじめ全世界の100以上の政府機関に2億5000万ドル(約270億円)分の広告費助成を提供する
  • 2019年アカウントが有効だった中小企業に3億4000万ドル(約367億円)の広告クレジットを提供する。クレジットは2020年の終わりまで有効である
  • COVID-19と戦っている大学や研究機関にGoogle Cloudの2000万ドル(約22億円)分のクレジットを提供する
  • 中小企業に対する融資の資金として非営利団体や金融機関に2億ドル(約216億円)のファンドを提供する
  • マスクなど個人を保護する器具増産のために、サプライヤーへの投資を今後も継続する

COVID-19はグローバルな危機であり、Googleのような大型テクノロジー企業は強力でグローバルなネットワークを利用できる。世界経済は疑いもなくパンデミックの影響下にあり、特に中小企業が苦しんでいる。またGoogleがWHOなどの政府機関の活動を、広告の利用という形で強化しようとしていることは歓迎すべきであり、他の企業も続くべきだ。

大型テクノロジー企業からの寄付と同じように、その寄付を受ける人や機関が何を得ているのかに注目するのは健全なことである。

Googleの広告事業も、パンデミックの影響による企業の事業縮小の影響を受けている。Googleは広告出稿に数億ドル(数百億円)を提供することで企業を助けるだけでなく、同社の広告エコシステムの競争力を維持し、広告主からGoogleへの好感も獲得したいと考えている。また政府機関への広告補助もやはりGoogleへの好感度を高め、今後のロビー活動に資するだろう。学術機関へのGoogle Cloudのクレジットは、AWSやAzureからの移籍を促進する効果も期待できる。

新型コロナウイルス 関連アップデート

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa