IBM、アマゾン、グーグル、マイクロソフトなど数社が米政府と協力、新型コロナ研究のためのスパコンの演算パワーを提供

米国時間3月22日のホワイトハウスでのコロナウイルスタスクフォース記者会見でトランプ大統領は、米国のスーパーコンピューティングリソースの力を解き放つ、新しい公共・民間コンソーシアムの立ち上げを発表した。このコンソーシアムのメンバーは、ホワイトハウス、エネルギー省(DoE)、そしてIBMだ。Google(グーグル)Amazon(アマゾン)、Microsoft(マイクロソフト)をはじめとする他の企業や多くの学術機関も「さまざまなことで貢献している」と大統領は述べた。

トランプ大統領のコメントはよくある不明瞭なものだったが、IBMがより多くの詳細を発表し、現在多くの国立研究所や他の機関と協力しながら、疫学、バイオインフォマティクス、そして分子モデリングのための多彩なプロジェクトに、合計330ペタフロップスのコンピューティングを提供すると述べた。Amazon、Google、Microsoftも、IBM、ホワイトハウス科学技術政策局、エネルギー省が主導するコンソーシアムの一員だ。

IBMとそのパートナーは、寄せられる提案を評価し、すぐに効果を出せる可能性が最も高い提案に、高性能コンピューティングリソースへのアクセスを提供できるように調整する。

「スーパーコンピューターは、今回のウイルスとの戦いに、どのように役立つのでしょうか?これらの高性能コンピューティングシステムによって、研究者は疫学、バイオインフォマティクス、および分子モデリングのための膨大な計算を実行することができるのです。これらの作業をもし手作業で行った場合には何年もかかりますし、従来のより遅いコンピューティングプラットフォームを使った場合でも何ヶ月もかかるでしょう」と語るのは、IBMのリサーチディレクターであるDario Gil(ダリオ・ジル)氏だ。

AWSはすでに2000万ドル(約22億円)を新型コロナウィルス(COVID-19)の研究のために提供しており 、一方Microsoftもすでに多くの異なる活動を発表している。それらの大部分は今回の危機の影響に対処するビジネスたちを支援するために用いられる。Googleは自身でコロナウイルスのウェブサイト を立ち上げた(かつてトランプ大統領が約束したものとは非常に異なってはいるが)、またアルファベット傘下のヘルス関連企業のVerily(ベリリー)は、必要に応じてベイエリアの住民たちが検査場所を見つけることができるような支援を提供している。

本日の発表の後にホワイトハウスは、Microsoft、Google、その他のパートナーからの声明も共有した。「高性能コンピューティングは、大量のデータセットの処理と複雑なシミュレーションの実行にかかる時間を、数日から数時間に短縮できることを私たちは知っています」と声明の中で語るのは、Google CloudのGlobal Public Sector担当副社長のMike Daniels(マイク・ダニエルズ)氏だ。「テクノロジー、学界、公共部門のリーダーの方々と一緒にこのイニシアチブに参加することで、新型コロナウイルス研究者の皆さんがより多くのリソースを利用できるようにして、将来の治療とワクチンの開発に、Googleクラウドコンピューティング機能を適用できることを楽しみにしています」。

同様に、MicrosoftのAI for HealthプログラムのグローバルリーダーであるJohn Kahan(ジョン・カーハン)氏は、Azureクラウドへのアクセスを拡大し、研究者たちとMicrosoftのデータサイエンティストたちとの協力の機会を増やすことで「新型コロナウイルスと闘う研究者の方々が必要なツールに確実にアクセスできるようにする」ことを望んでいると述べている。

「本日私は、米国のスーパーコンピューティングリソースの力を解き放ち、中国ウイルスと戦うために、ホワイトハウス、エネルギー省、IBMによって主導される新しい公共/民間コンソーシアムの立ち上げを行ったことを発表します」。本日の記者会見でのブリーフィングの中で、トランプ大統領は相変わらず新型コロナウイルスを「中国ウイルス」と呼び続けた。

「民間産業、学界、政府のリーダーたちが貢献してくれるでしょうし、その貢献は多岐にわたることでしょう。しかし中心になるのは…研究者が新しい治療法とワクチンを発見するのを支援するためのコンピューティングリソースの提供です。彼らは、NIHやこの問題に取り組んでいるすべての人々と一緒に仕事を進めます。そのためには、IBM、Google、Amazon、Microsoft、MIT、レンセラー工科大学、エネルギー省(DoE)、国立科学財団(NSF)、そしてNASAからの多大な支援が行われます。皆がこのプロジェクトに貢献しています」。

画像クレジット:Danita Delimont / Getty Images

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(翻訳:sako)

「The Lovebirds」は劇場ではなくNetflixで公開されるとの報道

Netflix(ネットフリックス)がKumail Nanjiani(クメール・ナンジアーニ)氏とIssa Rae(アイサ・ライ)主演のラブコメディ「The Lovebirds」を、劇場から受け取って公開するようだ。

「The Lovebirds」は、ナンジアーニ氏とMichael Showalter(マイケル・ショールター)監督が再会した作品で、前作「The Big Sick(ビッグ・シック ぼくたちの大いなる目ざめ)」はAmazon Studiosが配信しており、劇場公開後にストリーミング配信に移行している。

これはCOVID-19こと新型コロナウイルス感染症のパンデミックへの対応の一環で、ハリウッドの映画会社は物理的な接近を避けようとする劇場を閉鎖している。具体的にはリリースの延期から、デジタルレンタルDisney+のような定額制ストリーミングサービスを利用した映画の早期公開まで、多岐にわたっている。

Paramount(パラマウント)はすでに「The Lovebirds(当初は4月3日に公開予定)」や「A Quiet Place II」など、いくつかの公開を延期している。今回のように、主要な映画会社がNetflixを利用して劇場公開を完全にキャンセルしたのは初めてだが、パラマウントには以前にも同様の経験があり、「The Cloverfield Paradox」を劇場ではなくNetflix経由で配信することを選択したことがある。

まだ「The Lovebirds」に関する正式な発表や公開予定日は決まっていないようだ。この契約については、DeadlineThe Hollywood Reporterが報じている。

このアプローチは大予算の超大作よりも、「The Lovebirds」といった中規模のロマンチックコメディーの方に向いていると思われる。しかしThe Wrapによると、 Warner Bros.(ワーナー・ブラザース)は今夏の「Wonder Woman(ワンダーウーマン)」のストリーミング配信も検討しているようだ。

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(翻訳:塚本直樹Twitter

WhatsAppがウェブ検索でメッセージの真偽を確かめる新機能をテスト中

Facebook傘下で、世界中で20億人ものユーザーを抱えるインスタントメッセージングプラットフォームのWhatsAppは、受信したメッセージの真偽をもっと簡単に確かめるための機能をテストしている。同社はAndroidアプリの最近のベータ版で、一部のユーザーに対して受信したテキストやビデオについてウェブを検索し、もっと多くの情報を得る機能を提供している。

WhatsAppは数四半期にわたってこれに関する機能をテストしてきた。昨年はウェブで画像を探す機能を一部のユーザーに提供していた。このほど同社の広報担当者はTechCrunchに対し、この機能を近い将来に公開する予定であることを明かした。

広報担当者は文書で次のように説明した。「何度も転送されて回ってきたメッセージの情報を詳しく確かめられるように、この新機能に取り組んでいる。この機能は現在テスト中で、近い将来に公開できることを楽しみにしている」。

画像:@shrinivassg

新型コロナウイルスの流行が世界的に拡大している中、友人や家族、同僚と連絡をとるために、WhatsAppをはじめとするメッセージングプラットフォームの利用が増えている。このような時期のテストはタイミングが良い。

そして過去にも同様のことがあったように、今回はコロナウイルスに関して、WhatsAppなどのプラットフォームは誤った情報の拡散防止に取り組んでいる。今回のWhatsAppの動きは迅速だった。2月には各国政府に対し、正確な情報の提供に協力するとの働きかけを始めていたという。

現地時間3月21日にインド政府は、WhatsAppのbotでコロナウイルスに関する情報を提供すると発表した。3月20日にはWHOも世界中の人に対し、コロナウイルスの誤解を正し、この病気についてのよくある質問に答えるWhatsAppのボットを発表した。

WhatsAppは「WHOヘルスアラートはWhatsAppで利用できる公式のNGOまたは政府のヘルプラインで、シンガポール政府、イスラエル保健省、南アフリカ保健省、インドネシア情報通信省が参加している。我々は、これ以外の各国でもサービスを開始できるように積極的に努めている」と述べている。

トップ画像:Tamal Shee / SOPA Images / LightRocket / Getty Images

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(翻訳:Kaori Koyama)

エミレーツ航空が新型コロナの影響で3月25日まで大部分の便を運休

国際線では世界最大の航空会社で、アラブ首長国連邦のドバイを本拠とするエミレーツ航空は米国時間3月22日、Twitterと公式ウェブサイトで、3月25日まで全旅客便を運休すると発表した。しかしその後、米国、英国、日本、オーストラリア、カナダなど13箇所へは運航を続けると変更した。

これは、実際にエミレーツが全旅客便を運休すると発表したら無視できる人はいない、本件の混乱は新型コロナウイルスによるパンデミックが航空会社ビジネスを突然カオス状態にしたためであるということを象徴している。「各国政府および顧客から、本国帰還を支援するよう要請を受け、エミレーツ航空は一部の国々への旅客および貨物フライトの運航を、新たな通告がなく、国境が開き続け、需要がある限り、継続する」と同社はのちに声明で語った。

多くの競合他社と同じく、エミレーツ航空は貨物便の運航を通常通り続ける。ただし旅客便については以下の到着地への出発便のみ継続する:英国、スイス、香港、タイ、マレーシア、フィリピン、日本、シンガポール、韓国、オーストラリア、南アフリカ、米国、およびカナダ。これまで同社は85カ国161都市との間を運航していた。

米国でも多くの航空会社が決断を迫られている。ユナイテッド航空は2日前、4月の国際便を95%運休し、5月になるまで国際線わずか5~6便のみの運航となることを発表した。アメリカン航空とデルタ航空も運休を決定したが、ユナイテッドほど大規模ではない。そして、これらはいつでも変更される可能性がある。事実上すべての航空会社が、この状況を「流動的」と説明している。

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画像クレジット:Emirates

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Lyftが新型コロナ感染拡大で医薬品や食事を配達するサービスを提供へ

Lyftは新型コロナウイルス(COVID-19)感染拡大に対する取り組みをさらに強化しようと、オンデマンド輸送ネットワークを通じて提供するサービスを拡大する。同社は「高齢者や慢性疾患を抱える人など医薬品などを必要とする個人へそれらを届けるサービスを提供する」と発表した。また、学校からランチを支給されていた学生や高齢者へ食事を届ける。

この新たな取り組みは、ブログ投稿の中で詳細が発表された。ヘルスケアサービスや治療などを受ける必要がある人向けにすでに展開されている医療輸送サービスの拡大も含まれる。その一方で新型コロナによってヘルスケアシステムにかかっているかなりの負荷にも対応する。同社はすでに、救急ではない医療目的の輸送を、救急車を呼ぶほどではないが治療のためのオンデマンド輸送があればありがたいという(特に低収入の)人向けに提供してきた。

Lyftの新たな食事デリバリーオプションは、サンフランシスコ・ベイエリアで小規模なパイロット事業として始まる。家から出られない高齢者や州の食事支援に頼っている低収入の学生に食事を提供している政府機関の配給センターでの食事ピックアップにフォーカスする。これはUber Eatsのような食事デリバリーサービスではなく、必要不可欠なサービスを提供する優先順をつけた方法だ。Lyftはこのプログラムをカリフォルニアの広域に拡大したい考えで、最終的には全米中での展開を視野に入れている。

こうした手段によって、コロナウイルス感染拡大を抑制するために現在行われている屋内退避や自宅隔離、自宅待機で最も影響を受けているグループや個人は、間違いなく必要不可欠なサービスにアクセスしやすくなる。ドライバーからすると、自宅に閉じこもっている人と接する機会が増えることでリスクは高まるが、Lyftはドライバーたちの安全を確保するために一歩進んだ対策を取っていると話す。例えば、新型コロナウイルスに感染していると診断されたり、感染者との接触のために衛生当局から自己隔離を求められたドライバーのための基金の提供だ。

Lyft、そしてUberは通常の配車サービスも提供し続けている。しかしUberは、新型コロナウイルスの感染が最も深刻な都市では利用量は70%ほど落ちていると話した。また、可能な限り人と距離をとるよう呼び掛けている疾病予防管理センターのガイダンスを守るべく、両社とも乗合サービスの提供は一時停止している。

画像クレジット:Jeenah Moon/Bloomberg via Getty Images / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

米司法省の新型コロナ関連初の摘発は偽ワクチンウェブサイト

米連邦検察は新型コロナワクチンを提供すると偽ったウェブサイトの暫定差止命令を申請し、承認された。司法省は本件を新型コロナウイルスによるパンデミック関連で最初の摘発だと説明している。

司法省は声明を発行し、新型コロナを巡る「混乱と蔓延する脅威に乗じて利益を得る」ために有線通信不正行為に関与したとされるウェブサイトに対して措置を講じたと語った。

TechCrunchが確認したところ、そのウェブサイトは世界保健機関(WHO)が「ワクチンキットを無償提供している」と偽り、無防備な被害者から少額の送料をだまし取っていた。ウェブサイトは被害者にクレジットカード情報を要求している。「実際には現在有効な新型コロナウイルスワクチンは存在せず、WHOはそのようなワクチンを配布していない」と司法省が声明に書いている。

連邦判事は同ウェブサイトの所有者に対して暫定差止命令を発行した。該当人物の名前は明らかにされていない。差止命令はサイトのドメインホストであるNamecheapに対しても、サイトをオフラインにするよう要請した。

司法省はウェブサイトの名称を公表しているが、TechCrunchは記載しない。同サイトは本稿執筆時時点ではアクセスが可能だったが、数時間後にNamecheapの広報担当者であるDerek Musso(ドレク・ムッソ)氏がサイトを停止したとTechCrunchに伝えた。

Jody Hunt(ジョディー・ハント)司法次官補は、「この国家非常時を私的利益目的に利用する犯罪行為を司法省は断じて容認しない。米国は政府のあらゆる手段を用いて、消費者をだます行為であれ、個人情報盗難であれ、マルウェア配布であれ、この最も卑劣な詐欺師たちを封じ込める」。

現在、世界中で30万件以上の新型コロナウイルスの感染例が確認されている。しかし各国当局ではいまだに検査機器が不足していることから、実際の感染者数はこれよりはるかに多いと見られている。

米国時間3月20日現在、米国では8000万人が厳重警戒下にあり、カリフォルニア州、ニューヨーク州、およびイリノイ州がこの呼吸器疾患の蔓延を食い止めようと努めている。新型コロナ蔓延によって、米国とカナダは双方が 国境閉鎖に同意し、米国は南側のメキシコ国境で不要不急の移動を禁止した。

米国時間3月19日、米国は全国民に対して前例のない「渡航自粛」を要請した。

画像クレジット:Kena Betancur / Getty Images

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

フォード、GM、テスラの人工呼吸器製造にトランプ大統領がGO

新型コロナウイルス(COVID-19)感染拡大で人工呼吸器が不足している事態を受け、Ford(フォード)、GM(ゼネラルモーターズ)、そしてTesla(テスラ)による人工呼吸器製造にゴーサインが出た。トランプ大統領は22日、いかに有能かを示せと3社の経営トップに課題を突きつける文言でツイートを締めくくった。

新型コロナウイルスは呼吸困難を引き起こす病気であり、人工呼吸器は新型コロナウイルスの感染で入院する患者にとって必要不可欠な医療機器だ。新型コロナウイルスは肺へのダメージを引き起こし、急性呼吸窮迫症候群や肺炎につながりえる。臨床的に有効性が確認された治療法はまだなく、患者の呼吸や病気との闘いは人工呼吸器に頼っている。米国には16万台の人工呼吸器があり、これとは別に国家戦略備品として1万2700台があるとニューヨークタイムズ紙は報じた。

今回の動きは、ニューヨーク州のAndrew Cuomo(アンドリュー・クオモ)知事の嘆願を受けてのものだ。クオモ知事は22日朝、医療機器の確保を各州に任せるのではなく国が行うよう、連邦政府に嘆願した。国防生産法に基づいて企業に医療機器を製造させるようトランプ大統領に求める自治体当局は増えていて、クオモ知事はそのうちの1人だ。

国の管理がないために、州同士が医療機器を巡って争っているとクオモ知事は述べた。価格は上昇していて、その結果、ヘルスケアシステムをさらに逼迫させることになる。

トランプ大統領はすでに国防生産法を発動させているが、実際に使われてきたのかは不明だ。トランプ大統領は先週、記者会見で発動させていると述べたが、連邦緊急事態管理庁のトップ、Peter Gaynor(ピーター・ゲイナー)氏は3月22日記者に対し、大統領はいかなる企業にもまだ緊急補給品をつくるよう命じていないと話した。

いくつかの自動車メーカーは先週、人工呼吸器の製造が可能かどうかを調査していると話していた。米国では新型コロナウイルスが広がり、人工呼吸器のような医療機器を必要する病院が増えている。こうした事態を受け、GMは3月20日、人工呼吸器の増産サポートに向けVentec Life Systemsとともに取り組んでいると明らかにした。この提携では、新型コロナに対応する企業を調整するStopTheSpread.orgがひと役買った。

フォードは22日のTechCrunchへの電子メールで、人工呼吸器や他の医療機器の生産の可能性など、行政をサポートする用意はできていると語った。「米国や英国の政府と事前協議を行い、対応できるか調べている」と同社の広報担当のRachel McCleery(レイチェル・マッククルーリー)氏は述べた。「危機を前に国を支えるために力を合わせることが不可欠だ。そうすることでこれまでにも増して強くなる」。

SpaceX(スペースX)とTesla(テスラ)のCEOであるElon Musk (イーロン・マスク)氏は3月21日、人工呼吸器のことでMedtronicと協議を持ったとツイートした。Medtronicはその後、協議の事実をTwitterで認めた。マスク氏はこれより前に、SpaceXとTeslaが人工呼吸器の製造に取り組むとツイートしていたが、詳細は示していなかった。この件についてテスラにコメントを求めることはできなかった。

画像クレジット: The Washington Post / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

米国食品医薬品局が医療現場で使える新型コロナ向け新検査方法を認可

米国食品医薬品局(FDA)は、米国の新型コロナウイルス検査能力拡大に役立つ機器や検査システムに対する「非常時使用許可」をより迅速に与える方針だ。米国における検査数は人口の割合と比較して諸外国より遅れている。つい最近認可された検査システムは、患者が受診している最前線の病院や診療所での利用拡大が期待されている。専門の検査機関との往復を必要としない方法だ。

先週FDAが認可したCepheid(セファイド)社の新型コロナウイルス検査は、鼻孔用綿棒を使用してもしなくても検査できるのが特徴で、鼻孔用綿棒の供給が世界的に逼迫している現状では重要な利点だ。利用している遺伝子PCR法は、すでに全米で実施されている専門機関の検査と同等の精度を得ながら、同社のGeneXpertというインクジェットプリンターほどの大きさの診断キットを使用することで医療現場で結果を見ることができる。

Cepheidによると、同社の超小型GeneXpert検査装置はすでに世界で約2万3000台使用されており、米国内には約5000台あるという。同社の装置はすでに何年間もインフルエンザの検査に使用されており、高い精度を示している。同システム向けの新型コロナウイルス検査は、来週カリフォルニア州サニーベールにある同社から出荷開始される。

米国内の検査数はこの1週間で増加しており、特にニューヨーク州など影響の大きい地域で拡大のためのさまざまな努力がなされた結果だ。しかし、検査の需要は今もまだ高まっている。検査能力に限りがあるということは、感染経路や高リスクであることが確認された場合など、最も重篤なケースでのみ検査が行われていることを意味している。

セファイド社のシステムや、Scanwell(スキャンウェル)が近日提供予定の被験者の血液中の抗体を探す方法には、個人が自宅で検査できる可能性がある。これは新型コロナ軽減戦略のために検査能力を拡大する上で重要だ。

画像クレジット:Cepheid

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

電気自動車メーカーのRivanが新型コロナで全施設を閉鎖

Amazon(アマゾン)やFord(フォード)が支援する話題の自動車スタートアップRivian(リビアン)は新型コロナウイルス(COVID-19)感染拡大を受け、全施設を閉鎖する。

Rivanはミシガン州プリマスの本部やイリノイ州ノーマルの工場、そしてエンジニアが自動運転技術に取り組んでいるカリフォルニア州サンノゼとアーバインの拠点など、いくつかのロケーションで2000人超を雇用している。そして英国にもオフィスを構える。

同社は20日、給与雇用並びに時間給雇用の従業員は閉鎖の間も引き続き賃金は支払われると話した。大半の施設の出社率はこの1週間、2〜5%だったという。施設閉鎖の期間は現時点では未定、と広報担当は語った。

Rivanは2018年11月にLAオートショーで全電動のR1TピックアップとR1S SUVを発表するまで、ほとんどの時間鳴りを潜めてきた。しかしこのショー以降、同社は消費者の予約に加え、投資家、そしてフォードやAmazonといった企業顧客を集めてきた。

昨年12月に同社は4回目のラウンドとなる資金調達で新たに13億ドル(約1440万円)を獲得したと発表した。その前には、Amazonがリードする7億ドル(約780億円)、電気自動車テクノロジーのコラボレーション込みでのフォードからの5億ドル(約550億円)、Cox Automotiveからの3億500万ドル(約340億円)があった。

フォード傘下のラグジュアリーなブランドLincolnは「まったく新しい」電気自動車の開発でRivianと協業している。AmazonはRivianに電気自動車の配達バン10万台を発注し、2021年から納車される見込みとなっている。

世界的な新型コロナウイルスの感染拡大で、自動車メーカーは状況がひどくなっている欧州や米国でのオペレーションを一時的に停止することを余儀なくされている。一方で、この感染が最初に始まった中国では、工場を再開し始めている。

今回の感染拡大に対する自動車メーカーの対応はさまざまだ。一部の企業は他社よりも早く操業を停止した。米国ではホンダが先頭を切って工場を閉鎖した。そしてフォードやGM、FCAのビッグ3は全米自動車労働組合(UAW)とタスクフォースを結成してその後に続いた。これらの自動車メーカーはタスクフォースの勧めに従って工場で新たな安全のための取り組みの導入を始めたが、UAWは工場を閉鎖するようプレッシャーをかけ続けた。何人かの従業員が新型コロナウイルスの検査で陽性となったのも工場停止への流れを加速させた。そして日産とフォルクスワーゲンも米国での操業を停止した。

Tesla(テスラ)はかなり粘っていた。3月19日にカリフォルニア州フリーモントにある工場を3月23日から閉鎖すると発表した。生産を停止するという判断は、アラメダ郡の当局が必要不可欠でない事業の停止を命令した数日ごのことだ。当局が、テスラの事業は必要不可欠ではない、と公に述べた後ですらテスラは操業し続けた。

同社はニューヨーク工場の操業も一時停止した。電動モーターやバッテリーを生産するネバダ州リノ近くのギガファクトリーはフルに稼働している。

テスラは3月18日に従業員に送った電子メールで「操業に関して政府の異なるソースからのガイダンスと相違があるため」操業を続けていると述べた。HR部門は電子メールで従業員に対し、もし職務が生産やサービス、納車、テストであるなら出社するよう呼び掛けた。

しかし3月19日までに、郡当局との面会の後に、同社は生産を停止すると発表した。テスラの充電インフラをサポートするオペレーションの一部や「車両とエネルギーサービスのオペレーション」なるものは工場で続く見込みだ。そこでは通常と同じく1万人以上が働く。

画像クレジット: Rivian

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(翻訳:Mizoguchi

Googleが米国向け新型コロナ情報ページ新設、他地域にも拡大へ

Googleは新型コロナウイルス(COVID-19)が他を圧倒的に引き離して今年の検索テーマのトップとなった。この強い関心に答えるための努力を最大限続ける」と発表した。

金曜夜、Googleは新型コロナウイルスによるパンデミック関連の最新情報のポータルページを立ち上げた。デスクトップ版、モバイル版とも多数の情報が提供されるだけでなく、「検索エクスペリエンス」も改善されているという。

Googleによれば新しいポータルは「ユーザーの情報ニーズの拡大に対応して設置されたものであり、新型コロナウイルスに関する基本的かつ有用な情報(症状、予防法など)にに加えて、多数のリンクとサイト内の機能する」という。

「新しい検索エクスペリエンス」というのは、検索キーワードによってヒットした記事がリストされるだけでなく、検索テーマに応じた政府組織や医療機関からの「権威ある情報」や最新情報、インフォミックスなどが表示されることをいうようだ。

Googleの検索担当プロダクトマネージャー、Emily Moxley(エミリー・モクスレー)氏は公式ブログで「(ポータルの)フォーマットは検索結果をわかりやすく整理し、ユーザーが情報やリソースをナビゲートするのを容易にする。また、新しい情報が出しだいすぐに追加していく」と書いている。

検索エクスペリエンスには、地元自治体等の相談、ヘルプ窓口のTwitterのアカウントのカルーセルへのリンク、WHO(世界保健機関)とCDC(米疾病管理予防センター)からのパンデミックに関するFAQを再掲したするセクションも含まれる。

新ポータルは当初英語で米国向けとしてスタートするが、Googleは「すぐにほかの地域と言語を追加する」と述べている。

【略】

インターネットには新型コロナウイルスが関するニセ情報、誤情報が山のように存在している。これがGoogleの検索やFacebook、Twitterなどのソーシャルメディアに入り込み、これらの悪質な情報が拡散される大きな原因を作っている。残念ながらランダムに検索したりクリックした結果がいつもNHS (国立保健サービス)など有益な情報をもたらサイトを表示するわけではない。

これに対してGoogleの新サイトは正しい情報を収集する努力を積極的に続けるという。

トップページには、最も重要な基本的事項が大きく表示される。ウイルスの概要、一般的に見られる症状、感染したりさせたりすることを防ぐためにできることのリストなどだ。下にスクロールすると世界の最新の状況がマップで表示される。統計や治療に関するセクションへも容易にジャンプできる。

新型コロナウイルスと戦うための医療や医薬品の研究開発には莫大な資金とリソースが投じられ、激しい競争が続いている。また募金運動も進行中だ。Googleのポータルのこれらに対応するセクションも状況の変化に応じて拡大されていくだろうと思う。

画像クレジット:Rost-9D / Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

新型コロナ危機で米国とメキシコ間の国境を閉鎖、貿易や商業は対象外

新型コロナウイルスの拡散を抑制するための移動制限に関する最新の取り組みとして、トランプ大統領はメキシコとの国境の閉鎖を命じた。ただし、必要不可欠な移動は対象外とする。先週初めには米国とカナダが互いの合意のもとに、必要不可欠ではない行き来を対象に少なくとも30日間国境を閉鎖すると発表した。急を要する重要な出張や商業輸送は含まれない。

トランプ大統領はすでにメキシコとの国境で米国への入国を最小に抑える策を取っている。CNNが今週初めに報じたように、移民や亡命希望者を阻止する追加の策だ。米国はまた、3月19日に自国民に対し国外へ移動しないよう警告を出した。大統領は国内移動の制限も感染拡大の状況によってはあり得るとした。

Mike Pompeo(マイク・ポンペオ)国務長官は米国・メキシコ間の国境閉鎖を3月20日に発表し、その際、メキシコ政府と協調して閉鎖を決めたとした。トランプ大統領は、米国とメキシコの国境閉鎖は「不必要な移動」が対象で、貿易や商業、教育、医療などが目的のものは対象外だと述べた。この対応はカナダとの国境閉鎖をほぼ踏襲している。大統領はまた、メキシコが欧州からの空路入国を禁止し、米国の南部国境エリアを守ることになるとも付け加えた。

大統領は、越境移動の制限に関して、カナダ、メキシコとのそれぞれの国境が同様に扱われるとも述べた。米国・メキシコ間の国境閉鎖は3月21日からだ。

米国は3月21日午前零時から「CDC勧告」を導入する。これはCDC(米疾病予防管理センター)がどちらの国境でも、合法的な入国のための正式な書類を持っていない人に対して入国をその場で拒否できるようにするものだ。国境を超える際に税関・国境警備局の施設で行われてきたプロセスに置き換わるものとなる。この点についてトランプ大統領は後に「国境を越えようと試みた個人は国籍を有する国に戻ることになる」と明確にした。

これは究極の策だ。「『国境設備では現行のまま移民に対処しながら、新型コロナウイルス感染を回避するためのCDCの方針に従うことはできない』という問題を解決する措置」とホワイトハウスは説明している。これは政治亡命や難民認定を模索する個人をも拒否することを意味する。人道、そして人権という点で危険なものだ。それでも国立衛生研究所やホワイトハウスの新型コロナタスクフォースメンバーのAnthony Fauci(アンソニー・ファウチ)博士は3月20日の会見で、国境閉鎖という手段を効果的なものにするには、米国へのすべての入国に等しく適用されなければならないと話した。

画像クレジット:Omar Martínez / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

GMとVentec Life Systemsが新型コロナ拡大で人工呼吸器製造で提携

GMは3月20日、人工呼吸器など呼吸関連製品の増産をサポートするためにVentec Life Systemsとともに取り組んでいると述べた。米国中で新型コロナウイルス(COVID-19)感染が拡大していて、呼吸関連の医療機器は多くの病院で必要とされている。2社の提携は、新型コロナウイルスに対応する企業を調整するStopTheSpread.orgが橋渡しをした。

Ventecは人工呼吸器製造のために、GMの物流網、調達、製造における専門的な技術を活用する。両社ともいつから製造を本格化させることができるのか、どれくらいの人工呼吸器を製造できるのかといった詳細は明らかにしなかった。

GMの会長兼CEOのMary Barra(メアリー・バーラ)氏は声明で、迅速に生産を拡大するためにGMがVentecと緊密に連携を取っていると述べた。「我々はこの困難な時に貢献できる方策を引き続き模索する」とも付け加えた。

テストが広く行われるようになるにつれ、感染者数は急激に増えていて、人工呼吸器の需要は差し迫ったものになっている。症状がマイルドな人もいる一方で、肺炎を起こして入院する必要がある人もいる。

人工呼吸器の不足により、各車メーカーは医療機器の増産方法を検討している。Volkswagen(フォルクスワーゲン)とFord(フォード)はホワイトハウスと協議し、協力を約束したと報道されている。フォルクスワーゲンは3月20日、3Dプリンターを使って人工呼吸器を製造するための専門部署を設置したと述べた。

また、Elon Musk(イーロン・マスク)氏は同日、Tesla(テスラ)とSpaceX(スペース)の従業員が「人工呼吸器に取り組んでいる」とツイートした。ただし彼はそうした人工呼吸器が必要とされるとは思っていない。この動きは、ニューヨークのBill de Blasio(ビル・デブラシオ)市長が新型コロナウイルスとの戦いに備える病院での人工呼吸器不足を緩和するのに力を貸してほしいと直接マスク氏に依頼したことを受けてのものだ。やり取りがあった翌日、経営する2社が人工呼吸器の製造に取り組んでいることをマスク氏がTwitterで明らかにした。

製造にどの工場が使用されるのか、どれくらいの量を製造できるのか、そしていつから生産を開始する予定なのかは明らかにされていない。

画像クレジット:Rachel Woolf

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(翻訳:Mizoguchi

シュワルツェネッガー氏の慈善団体にTikTokが3.3億円を寄付、新型コロナの影響による子供の食事支援のため

中国メディア企業のBytedance(バイトダンス)傘下でソーシャルメディア大手のTikTokは、慈善団体のAfter-School All-Stars(ASAS)に300万ドル(約3億3000万円)を寄付すると発表した。この団体は俳優でカリフォルニア州知事だったアーノルド・シュワルツェネッガー氏が創立したもので、この寄付金で新型コロナウイルス(COVID-19)の影響から公立学校が休校になり食事が難しくなっている家庭を支援する。

TikTokは米国時間3月19日に発表した声明で「ASASの支部がある米国60都市の家庭に、フードのバウチャーと、地元の食料品店で食料やその他の必需品の購入に使えるギフトカードを提供する」と述べた。

TikTok U.S.のゼネラルマネジャーを務めるVanessa Pappas(バネッサ・パパス)氏は、声明で「誰もが不安定な時期を過ごしていて、地域とグローバルの両方のコミュニティにおいて助けを必要としている人たちのために協力することがこれまでになく重要だ。ASASに対するこの支援は、より多くの学生が安全に食事の支援を受けられるようにするためのものだ。これだけで現在の状況による影響を緩和することはできないが、我々は社会的距離をとる必要性、仕事、登校できない子供のケアの間で不安を抱える保護者に安心してもらえるよう願っている」とコメントした。

ロサンゼルス、マイアミ、ニューヨーク、ニューアーク、サンフランシスコ、シアトル、ワシントンなど、感染拡大で大きな影響を受けている都市の支部に、支援が提供される。この取り組みには、Food Land、Giant、Kroger、Publix、Ralphs、Safeway、Target、Walmartなどの企業が協力する。

TikTokは、食事の支援をさらに増やせるように、TikTokの従業員がASASに寄付をすると最大100万ドル(約1億1000万円)のマッチングギフトを提供することも発表している。

シュワルツェネッガー氏は「重大な局面においては早急な支援が不可欠で、最も弱い立場にある人々を助ける新しい方法を皆が考える必要がある。ASASのプログラムは休校に伴い休止しているが、我々は年間10万世帯への支援を続ける。私がASASを創立した1992年から常に、目標は支援を最も必要としている家族をサポートすることだった。TikTokの寄付により、支援を必要とする家庭に対して食料品やそのためのギフトカードを安全に提供する事業に優先して取り組めるようになり、深く感謝している」と述べている。

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(翻訳:Kaori Koyama)

トランプ大統領肝入りの新型コロナ検査サイトは1週間経っても見つからず

米国時間3月13日となる先週の金曜日、トランプ大統領はペンス副大統領と、ホワイトハウスのコロナウイルス対策本部のコーディネーターであるDeborah Brix(デボラ・ブリックス)氏とともに、政府のウイルステスト戦略の核となる新しいウェブサイトを近々公開すると発表した。

このウェブサイトは、1700人のGoogle(グーグル)のエンジニアによって作成されると発表され、人々をウイルステストのロケーションに誘導するのを助けるために、「非常に迅速に用意される」はずだった。しかし1週間がたった今、Googleが作成するのかどうかもわからないこのサイトは、どこにも見当たらない。

多くの企業や団体が、新型コロナウイルスの症状をチェックできる基本的な検診ウェブサイトを開設しているが、全国規模のウェブサイトはまだ機能していない。

現存するのは、VerilyによるBay Areaでの比較的小規模なパイロットプロジェクトで、先週政府が約束したプロジェクトには最も近いが、全国規模ではない。我々はVerilyに、同社のサービスがこれまでにウイルステストへとどれだけの人を送ったのかについて、データを求めている。The Guardianは今週に入ってテストサイトを調査したが、ほとんど活動していなかった。

「Googleに感謝したい。同社はウェブサイトの開発を支援している」と、トランプ大統領は3月13日に語った。「過去のウェブサイトとは異なり、ウイルステストが必要かどうかを判断し、身近な場所でのテストを容易にするため、サイトは非常に迅速に作成される。

【中略】

Googleは現在1700人のエンジニアを抱えており、彼らによる進捗は目覚ましい」。

トランプ大統領は今週には「Googleのトップ」であるSundar Pichai(サンダー・ピチャイ)氏に電話をかけ、謝罪したと伝えた。この電話が実際にあったかどうかは確認できておらず、Googleもホワイトハウスも詳細を明らかにすることを望んでいないので、ピチャイ氏へと何を謝罪したのかは不明だ。

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(翻訳:塚本直樹Twitter

AWSとIBMは新型コロナ問題に挑むデベロッパーを支援する

社会が新型コロナウイルス(COVID-19)のため高まりつつある世界的な危機に直面する中、多くの企業がさまざまな方法で取り組みを強化している。米国時間3月20日、2つの大手IT企業、Amazon(アマゾン)とIBMはそれぞれ、このパンデミックに関連するさまざまな問題の解決策を見つけられるようデベロッパーを支援するプログラムを発表した。

画像クレジット:VectorMine/Getty Images

アマゾンでは、クラウド部門のAWSが「AWS Diagnostic Development Initiative」を発表した。予算として2000万ドル(約22億2000万円)を確保し、AWSクレジットとテクニカルサポートとして提供する。このプログラムは、新型コロナウイルス診断問題に取り組むチームを支援し、鼓舞するように設計されており、より優れた診断ツールが開発されることを目指している。

「AWSビジネスにおいて、緊急の必要性を突きつけられた分野の1つは、新型コロナウイルスの診断方法の研究開発です。迅速で正確な検出と診断が必要とされています。優れた診断法は、治療と封じ込めを加速し、やがてこの流行期間を短くすることにつながるでしょう」と、Teresa Carlson(テレサ・カールソン)氏は、3月20日の同社のDay Oneブログに書いている。

このプログラムは診断ソリューションの開発に取り組んでいる顧客が、製品をより迅速に市場に投入できるよう支援することを目的としている。さらに、関連する問題に取り組んでいる複数のチームが、協力して作業の奨励も目指す。

同社はまた、科学者と健康政策の専門家から構成される諮問グループを設立し、このイニシアチブに参加する企業の支援も発表した。

一方IBMは「2020 Call for Code Global Challenge」というデベロッパーコンテストに、改めて注力することにした。このコンテストの2020年における憲章は、地球規模の気候変動に関する問題を解決するというものだったが、拡大するウイルス危機に関する問題の解決も目指すことにした。いずれも、オープンソースのツールを開発することで貢献しようというものだ。

「新型コロナウイルスは、非常に短い間に私たちが当たり前のことと考えていたシステムの限界をさらけ出してしまいました。2020 Call for Code Global Challengeは、3つの主要な新型コロナウイルス対策の領域について、オープンソースのテクノロジーソリューションを開発するためのリソースを提供します。その3つとは緊急時の危機報道、遠隔学習環境の改善、地域コミュニティの協力関係の増進です」と、同社はブログ記事に書いている。

そうした領域は、かなり多くの人がウイルスを封じ込めるために屋内に留め置かれていることで、大きな負担を強いられている。IBMは、そうした問題に取り組むデベロッパーのインセンティブを鼓舞し、問題の解決につなげることを願っている。

社会のあらゆる状況が影響を受ける社会的、経済的な激変期には企業、学界、政府が協力して、このウイルスに関する無数の問題を解決する必要がある。これらは、そのほんの一例に過ぎない。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

テスラのパートナーであるパナソニックがネバダのギガファクトリーを一時閉鎖

Panasonic(パナソニック)はCOVID-19拡大の懸念から、パートナーであるTesla(テスラ)とともに操業していたネバダ州の巨大な工場から3500名の従業員を引き上げる。

同社は米国時間3月20日に、来週初めに工場の稼働を縮小しその後14日間閉鎖する、と発表した。この動きはパナソニックの従業員にのみ影響する。Teslaもネバダ州スパークスにあるいわゆるGigafactory 1(ギガファクトリー・ワン)で数千名の従業員を雇用している。

現在のところTeslaはコメントに応じていない。

2014年6月に操業を始めたGigafactory 1は、バッテリーの容量を全世界的に拡大し、電気自動車のコストを下げることによって持続可能エネルギーへの移行を加速する、というTeslaの目標の実現に欠かせない要素だ。パナソニックはこのプロジェクトのサプライヤー、協力者としてとしてプロジェクトにおいて最も重要なパートナーだった。

この工場はModel 3の電動モーターとバッテリーパックだけでなく、同社のエネルギー保存プロダクトであるPowerwallとPowerpackも製造している。パナソニックはセルを製造し、Teslaはそれを同社電動車用のバッテリーパックに使っている。

パナソニックのスポークスパーソンであるAlberto Canal(アルベルト・カナル)氏は、次のように声明している。

パナソニックはすべての従業員の健康と幸福を守ることを義務としている。ネバダ州スパークスにあるパナソニックの工場は来週初めより操業を縮小し、その後14日間閉鎖する。閉鎖の影響を受ける従業員は14日分の給与全額と福利厚生を受け取る。パナソニックはまた、工場の衛生状況を向上するためのいくつかの措置を制定する。社会的距離(social distancing)を奨励し、シンプルかつ安全で効果的な行動を可能にする。この14日間で、工場施設は徹底的な洗浄が行われる。

パナソニックがいなければ、Teslaのサプライチェーンに不具合が生じてしまう可能性がある。そのためTeslaは3月27日よりModel X、Model S、Model 3そして現在、Model Yの組み立てを行うカリフォルニア州フリーモントの工場における製造を中断する。

画像クレジット:Tesla

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

米FCCが多発する新型コロナ関連ロボコールの被害を警告

ロボコールは何年も前から不注意な人々をターゲットにしてきたため、詐欺師たちが現在の世界的な大惨事を利用して活発に詐欺活動を行うことは、驚くに値しない。FCC(連邦通信委員会)は、新型コロナウイルスに関連したロボコールの被害が多数報告されていると警告している。

これまでのロボコール詐欺はIRS(米合衆国内国歳入庁)の罰則で脅かしたり、無料休暇を約束したりしていたのに対して、今回新たに登場した詐欺はパンデミック関連の情報と個人情報の両方を利用して、かなり説得力のある詐欺をしかけるというものだ。FCCに寄せられた一般的な詐欺をいくつか紹介しよう。

  • 検疫や戒厳令に関する警告:何かを注文させようとしているのかもしれないし、あるいは組織的な偽情報キャンペーンの一部なのかもしれない
  • WHOや慈善団体がチャリティーを要求していると称するメッセージ
  • 無料のウイルス検査キットの提供:なかには糖尿病患者を対象としたものもあり、無料の血糖モニターも提供する
  • ウイルスから保護するためのHVAC(空調)のクリーニング、アップグレードなどの提供
  • さまざまな偽製品やウイルス治療薬の販売促進
  • 政府からの小切手を確認するための情報の要求(このような手順はランダムなテキストメッセージでは行われない)

FCCに寄せられた事例投稿には、悪質なHVACのソリューションがどのように発信されているのか気になる場合のために、詐欺のいくつかの例(音声を含む)が掲載されている。

一般的なロボコールのルールとして、不明な番号(特に自宅の市外局番)は危険の兆候だ。メッセージは後でいつでも聞くことができる。もし注文の商品が用意できたという地元業者の連絡や病院予約の通知なら、その旨が伝えられるはずだ。

電話やテキストメッセージ、電子メールで個人情報や支払い情報を求める者は、ほぼ間違いなく詐欺師だ。この情報を安全でない方法で共有する必要はほとんどない。

不明な番号や不審な番号からのテキストメッセージ内のリンクには、絶対に触れないことだ。それらによってウェブ上からハッキングされたり、追跡されたりする可能性がある。

安全を確保しつつ、ロボコール対策を目的とした規制の枠組みが策定されることを期待しよう。

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(翻訳:塚本直樹Twitter

F1は延期レースを仮想グランプリとして開催

F1(フォーミュラ1)は、COVID-19のパンデミックを受けて計画されていたいくつかのレースを延期、またはキャンセルする必要に迫られた。オーストラリア、バーレーン、モナコ、ベトナム、中国でのレースの中止がすでに決定され、オランダとスペインのグランプリも延期された。そこでF1のオーガナイザーは、米国時間3月20日にeスポーツのシリーズとして「F1 Esports Virtual Grand Prix」を開催することを発表した。何人の現役のF1ドライバーに並んで、他分野の多くのスターも参加する。

画像クレジット:William WEST/AFP/Getty Images

この仮想F1レースには、Codemasterの「Formula 1 2019」というPC用のF1公式ゲームソフトが使われる。ファンはF1.comに加えてYouTube、Twitch、Facebookでもレースを観戦できる。レースは本物のレースのほぼ半分の長さである28周に設定される。最初のレースは米国時間3月22日に開催される。

「F1 Esports Virtual GPを開催することで、少しでも明るいニュースをお届けできることを非常にうれしく思います。先行きの見えない時期ですが、通常のスポーツイベントがなくなって残念に思っているファンを楽しませたいと願っています」と、F1のデジタルビジネスとスポーツ部門の責任者、Julian Tan(ジュリアン・タン)氏は述べた。「世界中のメジャーなスポーツリーグがことごとく競技を中止している今は、eスポーツの利点と、そこで発揮されるすばらしいスキルを世に示す大きなチャンスです」

F1ドライバーの中には熱心なゲーマーもいるが、多くはそうではない。そのスキルレベルの違いを補うために「ゲームの設定は、競技性の高い、見ていて楽しいレースとなるように調整されています」と、オーガナイザーは説明する。つまり、すべての車が同じ性能となるように設定、車体へのダメージは軽減され、オプションとしてアンチロックブレーキとトラクションコントロールも使えるようになる。

オーガナイザーによれば「このシリーズは厳密にエンターテインメントのみを目的としており、全世界が影響を受けている前例のないシナリオの中で、ファンにレーシングアクションをお届けするためのものです。ドライバーが公式の世界選手権ポイントを獲得できるものではありません」という。

このように、実際のレースが延期されてもファンがイベントへの興味を失わないようにしてもらおうとアクションを起こしているモータースポーツはF1だけではない。例えばNASCARは「eNASCAR iRacing Pro Invitational Series」を今週末に開催する。これにも現役ドライバーが参加する。

「我々の車がレース場に戻ってくるまで、NASCARコミュニティ全体が協力して、ユニークで楽しく競技性の高い体験を元のレース当日に、情熱的なファンに提供します」と、NASCARのレース開発担当副社長のBen Kennedy(ベン・ケネディ)氏は述べている。「我々の長年のパートナーであるiRacingは、信じられないような製品を提供しています。最高のドライバーの多くが、この仮想レースにこぞって参加し、競い合うのを楽しみにしています」

また大西洋の反対側では、ニュルブルクリンク耐久シリーズも、同シリーズ初の試みとなる仮想ラウンドを3月21日に開始する。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

ゴールドマン・サックスが悲惨な第二四半期を予測、米国失業者数は200万突破

トランプ政権は、3月の失業データを公表するなと州に要請しているが、米国時間3月19日にGoldman Sachs(ゴールドマン・サックス)は労働市場に関する独自の予測を、そして翌3月20日に米国の経済全般に関する見通しを発表した。

この金融サービス大手は、各州がCOVID-19拡大への対応で忙しく、産業振興や雇用対策が後手になった結果、失業者数は200万人の大台を超えると予測している。ゴールドマン・サックスはそれを、失業保険受給申請の初期の増加率としては過去最大、絶対量としても記録的高水準、だと表現している。

米国時間3月20日に同社は、米国経済全般の今後の見通しを発表した。それによると「4月までに製造業の生産高はピーク時の20%減になると想定している。原因は食料品以外に対する国内需要の減少と、米国製品に対する外国の需要と輸出の減少、サプライチェーンの破壊、および工場の閉鎖だ」としている。

早期からウイルスの被害を受けていたアジア諸国に関しては、同社の予測では、4月までにはブローカー手数料と住宅改修費が50%減になり、住宅建設と事業支出が25%減少する。

ゴールドマン・サックスは、全体として「サービスの消費額と製造業の稼働率、および建設投資の額の減少により、4月のFDPのレベルは10%下がる」と予想している。

同社によると、この惨憺たる経済予測の明るい面は、4月が底であるという点だ。「この停滞はその後、各月10%ずつ徐々に解消すると仮定される。正確な時期は極めて不確かであり、逆行もありえるが、徐々に回復するという仮定の根拠はウイルスの効果的な鎮静や、検査の普及、天候と気候の効果、医療の劇的な進歩、状況に対する企業や消費者の適応といった諸要素だ」という。

画像クレジット: Richard Drew/AP

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Netflixが新型コロナで職を失くした業界スタッフ支援のために111億円の基金を設立

エンターテインメント業界にとって、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大は映画館への影響だけではない。世界中でテレビや映画の制作も中止を余儀なくされている。Netflixにとっては「The Witcher」や「Stranger Things」といった、よく知れた作品の制作の中止も含まれている。

同社は、突然職を失ったキャストやクルーを支援するために1億ドル(約111億円)の基金を設けたと発表した。

発表文の中でNetflixのチーフ・クリエイティブ・オフィサーのTed Sarandos(テッド・サランドス)氏は「何十万ものキャストやクルーが職を失った。電気技師や大工、運転手もだ。彼らの多くは時間給やプロジェクトベースで働いている」

基金の大半は「世界中にある我々のプロダクションで働いている人で、最も深刻な影響を受けている人」にわたると同氏は述べている。ただし、どういったかたちで支援するかはまだ検討中のようだ(Netflixは先週、一時停止となったプロダクションの労働者に、2週間分の給与を支払っていると同氏は話した)。

加えてサランドス氏は、Netflixが大きな制作拠点を置く国の職を失くしたクルーやキャストに支援金を提供するサードパーティーや非営利団体に1500万ドル(約17億円)を寄付するとも述べた。

寄付には、米国のSAG-AFTRA COVID-19災害基金、Motion Picture and Television基金、 Actors Fund Emergency Assistanceへの各100万ドル(約1億1100万円)が含まれる。カナダではAFCとFondation des Artistesに計100万ドル(約1億1100万円)が寄付される。その他の国に関しては、「Netflixは似たような救済措置を取るために既存の業界団体と連携をとっている」とサランドス氏は語った。

画像クレジット: Amanda Edwards / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi