バイデン大統領はグーグル批判者を司法省の反トラスト部門のリーダーに起用

バイデン政権は米国時間7月20日に、強力なテクノロジー企業に政府が手綱を付ける手段の第3弾として、これまで巨大テクノロジー企業を熱心に批判してきたテクノロジー評論家であるJonathan Kanter(ジョナサン・カンター)氏が司法省の反トラスト部門を率いることを提案した。

カンター氏は弁護士として、Googleに対する反トラスト訴訟でYelpのような小企業を代表してきた長年の実績がある。現在の彼は自分の法律事務所を持ち、その専門分野は、国や州による反トラストの執行において原告を代弁することだ。

ホワイトハウスのプレスリリースでは、「その経歴を通じてカンター氏は一貫して、強力で有意義な反トラストの執行と競争政策の推進努力における指導的代弁者でありエキスパートだった」と述べている。革新派はこの指名を祝っているが、バイデン政権の新たな反トラスト鷹派たちの一部は、両方の政党から支持されている。

司法省の反トラスト局のトップにジョナサン・カンター氏が指名されたことは、労働者と消費者にとってすばらしいニュースです。彼は合併企業が市場で力を持ち競争力を強化することをチェックする戦いでリーダーであり続けました。

司法省はすでに、Googleに対する大規模な反トラスト訴訟を遂行している。その訴訟はトランプ氏時代の司法省が起こしたものだが、同社を、その検索および検索広告のビジネスにおける「不法に維持されている独占」で告訴している。指名が認められたらカンター氏は、Googleに対する司法省の大きな訴訟の舵取りを担うことになる。

2016年のThe New York Timeの署名入り論説でカンター氏は、Googleは悪名高くも反競争的な「行動規範書」に依存してその市場支配を維持していると論じている。カンター氏は、無料で広告に支えられたプロダクトをリリースして、結果的に市場の一角において「差別的で排他的な慣行」により競争を制限してきたGoogleの長い歴史を指摘している。

カンター氏は、バイデン政権下で強力な規制者の役割に上り詰めた高名なビッグテック批判者の、最も新しい登場者にすぎない。2021年6月月、バイデン大統領は熱烈なAmazon批判者であるLina Khan(リナ・カーン)氏をFTCの委員長に指名して承認を得た。3月にはバイデン大統領は、もう1人のビッグテック批判者であるコロンビア大学の法学教授Tim Wu(ティム・ウー)氏を、National Economic Council(国家経済会議)のテクノロジーと競争政策の専門補佐として指名した。

これらのどれを見ても、バイデンのホワイトハウスが国とビッグテックとの大きな戦いに臨んでいることを示している。一方、議会は一連のビッグテック法を準備しているが、しかしホワイトハウスは、立法改革の代わり、あるいはそれと一緒に、FTCやDOJを介して独自の規制を揮えるのだ。

MSNBCの最新のコメントでホワイトハウスは、通信品位法の230条も「再検討」している、と認めた。それは、プラットフォームをユーザー生成コンテンツの責任から免除する強力な法律の、ごく一部だ。

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Hiroshi Iwatani)

バイデン氏がビッグテックの「悪質な合併」阻止目指す大統領令に署名、過去のM&Aにも異議の可能性

バイデン政権は米国経済の一部の寡占化が進む分野、中でもハイテク業界に、大統領令によって強制的に競争を導入する大規模かつ野心的な計画を発表した。

「バイデン大統領は本日、企業統合の傾向を緩和し、競争を促進して、米国の消費者、労働者、農家、中小企業に具体的な利益をもたらすために、断固たる措置をとります」と、ホワイトハウスが公表した今回の大統領令に関するファクトシートには記されている。

バイデン氏が米国時間7月9日に署名したこの大統領令は、連邦レベルで12以上の異なる機関を巻き込み独占を規制し、消費者を保護し、世界最大級の企業の悪行を抑制するという、包括的な「政府一丸」のアプローチを開始するものだ。

このファクトシートの中でホワイトハウスは、大企業を取り締まる問題を連邦レベルで自らの手で解決しようとする計画を掲げている。テック分野に関しては、反トラスト法の施行権限を持つ連邦機関であるFTC(連邦取引委員会)と司法省の力を強めることが主な目的だ。

すでに規制の脅威にさらされているビッグテックにとって最も注目すべき点として、ホワイトハウスはここで、これらの機関は「過去の政権が以前に異議を唱えなかった悪質な合併に異議を申し立てる」法的手段を持っていると明確に主張している。つまり、一握りのハイテク企業を今日の巨大企業に育て上げた過去の買収案件を巻き戻す可能性があるということだ。大統領令は、反トラスト法を「精力的に」執行することを反トラスト当局に求めている。

連邦政府の監視は「支配的なインターネットプラットフォームに焦点を当て、とりわけ新興の競合企業の買収、連続的な合併、データの蓄積、『無料』の製品による競争、ユーザーのプライバシーへの影響などに注意を払う」としている。Facebook(フェイスブック)、Google(グーグル)、Amazon(アマゾン)が特にこの警告の矛先だが、Apple(アップル)も連邦政府の注意を免れることはできないだろう。

ホワイトハウスはファクトシートの中でこうも述べた。「過去10年間で、大手テクノロジー企業は数百社を買収しており、その中には潜在的な競争上の脅威を排除するための『キラーアクイジション』と呼ばれるものも含まれている。連邦政府機関は、これらの買収を阻止したり、条件を付けたり、場合によっては意味のある調査さえしなかった場合があまりにも多かった」。

最大手のテック企業各社は、競合他社を買収するという長年の戦略を当時は何の摩擦もなく行うことができたため、後から違法と見なすべきではないと主張してきた。しかし、今回の大統領令は、バイデン政権がそれを認めていないことを明確にしている。

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ホワイトハウスはまた、インターネットサービスプロバイダー(ISP)を具体的に挙げ、消費者の選択を優先し、速度の上限や隠れた料金を明記したブロードバンドの「栄養ラベル」を制定するようFCCに命じている。こうしたラベルはオバマ政権下でFCCが取り組み始めていたが、トランプ大統領の就任後に廃止された。

大統領令はさらに、2017年に撤廃されたネット中立性ルールを復活させることをFCCに直接求めている。ルール撤廃の動きは、オープンインターネットの支持者や、恩恵を受けることになるサービスプロバイダー以外のテック業界のほとんどに広く恐怖を与えたものだった。

また、ホワイトハウスはFTCに対し、FacebookやYouTubeなどの無料サービスが巨大な帝国を築くために利用してきた、監視や「非常に多くのセンシティブな個人情報の蓄積」から消費者を守るための新しいプライバシールールを作成するよう要請する予定だ。ホワイトハウスはFTCに対しさらに、大規模なプラットフォームの寡占により成長を抑制されないよう、中小企業を保護するためのルールを策定するよう求めている。大企業は新進気鋭の競合他社を打ち負かすために、別の形のデータに基づいた監視で市場の優位性を乱用するケースが多いからだ。

最後にこの大統領令は、DIYや第三者による修理を阻害するような制約から消費者を解放する「修理する権利」ルールを導入するようFTCに促している。国家経済会議(NEA)長官の下に新設されたホワイトハウス競争評議会(White House Competition Council)は、新大統領令で示された提案を連邦政府が実行するための調整を行うとのこと。

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巨大テック企業を規制する米国の新たな独占禁止法案の方針

行政府の反トラスト法への取り組みは、FTCや議会での活動と並行して行われている。FTCサイドでは、バイデン大統領はLina Khan(リナ・カーン)氏という恐れられている反トラスト運動家を任命した。カーン氏はAmazonを激しく批判する若い法学者であり、連邦政府が独占を定義する方法を哲学的に見直すことを提案している。同氏は現在、委員長としてFTCを率いている。

米国議会では、テック業界を抑制することを目的とした超党派の法案が、多くのハードルを残しながらも法制化に向けて徐々に動き出している。2021年6月に下院司法委員会は、ハイテク業界のロビー活動に対抗するために別々に作成された6つの法案を審議した。これらの法案は、巨大なインターネットベース企業の現代のリアリティに対応できていない独占禁止法を近代化しようとするものだ。

今回の大統領令について、ハイテク分野の反トラスト法改革を主導しているAmy Klobuchar(エイミー・クロブシャー)上院議員はこう述べている。「米国の独占問題に対処するためには、競争政策に新たなエネルギーとアプローチが必要です。それは、独占禁止法を更新するための法律を制定することを意味しますが、同時に、現行の法律の下で競争を促進するために連邦政府ができることを再考することも意味します」。

ホワイトハウスは、ここ数十年で企業統合が加速していることを挙げ、ひと握りの大企業が医療、農業、ハイテクなどの業界を支配しており、消費者、労働者、中小の競合企業は、それら大企業の過剰な成功の代償を払っていると主張している。バイデン政権は、これらの産業の一角にある企業に対して独占禁止法の執行に力を入れるとともに、労働市場や労働者保護を全体的に評価していくという。

「不十分な競争は、経済成長とイノベーションの妨げとなります。【略】経済学者たちは、競争が減ると、生産性の伸びが鈍化し、企業投資やイノベーションが減少し、所得、富、人種の不平等が拡大すると指摘しています」とホワイトハウスは述べている。

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Aya Nakazato)

バイデン政権が米国内テロ対策の「最前線」と呼ぶソーシャルメディアとの情報共有を拡大へ

バイデン政権は国内テロと戦う新たな計画の概要を発表した。1月6日の米国議会議事堂襲撃を受けてのもので、ソーシャルメディア各社にはそれぞれの役割が与えられている。

米国時間6月15日、ホワイトハウスは国内テロに対抗するための新たな国家戦略を発表した。計画は、オンラインプラットフォームが凶暴な考えを広める中心的役割を演じていることを認識し、ソーシャルメディアサイトを国内テロ戦争の「最前線」とまで呼んでいる。

「国内テロリストの勧誘がオンラインで容易に行える状況は、国家安全保障への脅威であり、その最前線の大部分を民間オンライン・プラットフォームが担っている状態です。我々はプラットフォーム各社がその前線を安全に保つためにいっそうの努力を重ねるよう促すことに注力します」とホワイトハウスは述べた。

バイデン政権は、オンライン過激主義の流れと戦うために、テックセクターとの情報共有を拡大することを約束している。これは過激派が凶暴集団を構成するよりもずっと前に介入する行動の一環だ。新たな対国内テロ計画の概況報告によると、米国政府は「テクノロジーセクターとの情報共有拡大」の優先度を高める予定であり、具体的には過激主義が醸成、組織化されているオンラインプラットフォームが対象だ。

「民間セクター、特にテクノロジーセクターに提供する国内テロ関連情報の拡大を続けていくことでこ、テロリストによるインターネット上のコミュニケーションプラットフォームを利用した暴力行為への勧誘に対抗する政府外の活動が強化されるでしょう」とホワイトハウスの計画書に書かれている。

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国内テロ戦略の発表に合わせて発表された所見でMerrick Garland(メリック・ガーランド)司法長官は、テック業界との協力は、オンラインプラットフォームで組織化と勧誘を行う過激派を阻止する上で「特に重要」であると断言し、潜在的国内テロ脅威に関する情報共有を強化する計画を強調した。

こうした新たな取り組みにも関わらず、国内テロの勧誘情報がオンラインに残ることは不可避であることをバイデン政権は認めている。削除の優先度を挙げていないプラットフォームでは特にそうだ。2021年1月以前のソーシャルメディアプラットフォームのほとんどがそうだったように、そしてエンド・ツー・エンド暗号化アプリには、ソーシャルメディア各社が米国内で過激派の取締りを強化した後、多くのユーザーが流れ込んでいる。

「つまり供給への対応は必要ですが十分ではありません。需要にも目を向ける必要があります」とホワイトハウスはいう。「今のデジタル時代が米国民に求めているのは、インターネットを利用するコミュニケーションプラットフォームの本質的側面を活用するだけでなく、国内テロリストの勧誘行為やその他の有害コンテンツに対する脆弱性を回避できる能力です」。

バイデン政権はオンライン過激派に対する脆弱性対策として、デジタルリテラシープログラムの利用も考えている。例えば米国人に国内過激派の勧誘を予防する「教材」や「技能強化オンラインゲーム」で、誤情報、偽情報全般への対応も含まれていると思われる。

計画書は、QAnon(キューアノン)や「Stop the Steal(選挙泥棒をやめろ)」運動といった国内テロ要因を具体的に名指しすることまではしていないが、小さな非公式集団から民兵組織まで、国内テロを起こす方法にはさまざまな種類があることを指摘している。

3月に国家情報長官官房が発表した報告書は、2021年の国内テロによる米国への脅威の高まりを認識し、国内過激派が大手ソーシャルメディア・サイトを活用して新規メンバーの勧誘、リアルイベントの開催、さらには暴力につながる資料の配布を行っていることを指摘した。

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Nob Takahashi / facebook

バイデン大統領がトランプ氏時代のTikTok、WeChat禁止令を廃止

Joe Biden(ジョー・バイデン)大統領は、トランプ政権時代の遺産を撤回することで中国テック企業が米国で直面している不確実性を減らしている。ホワイトハウスが米国時間6月9日に発表した声明によると、バイデン大統領は前大統領のDonald Trump(ドナルド・トランプ)氏によるTikTokとWeChatをターゲットとした禁止令を廃止する大統領令に署名した。

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そしてバイデン大統領は、国家安全保障上のリスクをもたらす「敵対国の管轄」に結びついているアプリを商務省がレビューする新しい大統領令にも署名した。

米国でTikTokとWeChatを禁止しようとしたトランプ氏の大統領令は連邦裁判所によって阻止された。これとは別に、TikTokの米国事業の売却を強制する試みも棚上げされた

米商務長官が中国を含むと定義した「敵対国が抱えている人や敵対国にコントロールされている人、敵対国の管轄下にあったり指示を受けたりしている人によってデザイン、開発、製造、あるいは供給された特定のコネクテッドソフトウェアアプリケーションの米国での使用の増加」は「米国の安全保障や外交政策、経済を脅かし続けている」。

中国テック企業に対する厳しい調査は米国の当局にとって優先順位は高いままだが、ジョー・バイデン政権下では政策はより秩序だったものになる。米国マーケットを切望している中国企業はデータコンプライアンスの課題によく準備しなければならないだろう。

大統領令では国務長官や国防長官、司法長官、保健福祉長官、国土安全保障省長官、国家情報長官、その他の機関のトップと協議して「外国の敵」によって所有あるいはコントロールされているプラットフォーム上の米国人のデータを保護する行動を120日以内に考えるよう商務長官に指示している。

FacebookやGoogleのような米国のテック企業もかなりの量のユーザーデータを収集していることはよく知られているが、TikTokアプリのデータ収集の「範囲と規模」は中国のスパイが米国市民に関する「あらゆる種類の知的な質問」に簡単に答えられるようにしている、と米国家安全保障局のサイバーセキュリティ担当ディレクターAnne Neuberger(アン・ノイバーガー)氏はDisrupt 2020でTechCrunchに語った。そして「特に中国が自国外の人々から集めた情報をどのように使うのかについて大きな懸念」がある、と話した。

中国テック企業は米国でトップランキング入りした多くのアプリを制作してきた。米政府が使用を禁止しようと試みたことを受け、シンガポールを足がかりにしようと取り組んできたTikTokは、この記事執筆時点で米国App Storeの無料アプリ部門で第2位にランクインしている。TikTok同様にByteDanceが所有するビデオ編集アプリCapCutもこのところ米国でかなりダウンロードされている。Tencentや中小のスタジオが展開しているモバイルゲームも引き続き米国でかなりのユーザーを集めていて、ファストファッション買い物アプリのSheinは米国でAmazonをしのぐペースで成長している。

米商務省、Tencent、ByteDanceからすぐにはコメントを得られなかった。

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(文:Rita Liao、翻訳:Nariko Mizoguchi

米バイデン政権が中国テック・通信企業への投資禁止措置を拡大

バイデン政権は、中国政府による監視や軍事機器に貢献していると見なされる中国企業への投資を制限するトランプ時代の規制を修正、強化した。大統領命令に挙げられた最初の59企業の中には、テック、宇宙、通信の大手企業の名前もあり、財務省の命令によってさらに追加される見込みだ。

「中国による中国国外における監視技術の使用、および抑圧を促したり深刻な人権侵害につながる中国監視技術の開発と利用、異常かつ並外れた脅威にあたるものです」と、大統領行政命令の発令に際してバイデン氏は述べた。

この大統領令は、トランプ政権の長期に渡り追加され続けた中国企業ブラックリストに由来する。リストは政府調達、米国企業による民間投資、その他の目的に使用されてきた。大手テック企業のZTEとHuawei(ファーウェイ)は2019年に当初から載せられ、他の企業も定常的に追加されていった。

バイデン大統領の命令はこれを精緻化したもので、一部を改訂あるいは拡張し、中でも何が危険な行為あるいは中国当局との協業を構成するかの定義が変更された。中国のウイグル人イスラム教徒および香港その他の反体制派の監視に関与している企業を含むように定義を拡大している点が注目される。

新たな企業リストには、過去2年間に掲載された企業の多くが含まれるほか、数多くが追加されている。China Mobile(中国移動通信)、China Aerospace(中国航天科技集団)、Hikvision(ハイクビジョン)から半導体メーカーのSMICまで、IT、通信、航空宇宙に関わる主要企業がリストに載る危機にさらされているようだ。これらの企業に対する直接投資だけでなく、禁止された企業を含むインデックスファンドなどの仲介手段への投資も禁止される。

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財務省は、従来の国防省に代わってリストの保守と更新の責任を持ち、追加および抹消を行う。

「一連の課題に真正面から取り組むことは、米国国家安全保障の根本的関心事と民主主義の価値を守るというバイデン政権の公約と一致するものであり、今後も政権は中国企業のリストを適宜更新していく」と大統領令に付随した概況報告書に書かれている。

ホワイトハウスがトランプ大統領が始めた中国との貿易戦争を継続し、精緻化しようとしていることは明白だ。米国による圧力が中国の政策に十分な影響を与えるのか、また国際社会の支持が必要になるのかは、近々大統領が本件ならびに他の法令への支持を求めて同盟国を訪問することで明らかになるだろう。

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(文:Devin Coldewey、翻訳:Nob Takahashi / facebook

草の根運動グループ「インディヴィジブル」が政治的な誤報を無力化するボランティア隊の訓練を開始

写真は2021年4月27日、米国ワシントンD.C.の連邦議会議事堂の外にある米国旗。バイデン大統領と下院民主党議員は、児童税額控除の延長をどれだけ優先させるかで衝突している

民主党の草の根運動グループ「Indivisible(インディヴィジブル)」は、誤った情報に対抗するために、独自のステルス・ ファクト・チェッカー・チームを起ち上げようとしている。これは、政治的メッセージを発信する兵隊を訓練し、情報の塹壕に送り込む実験だ。

「Truth Brigade(真実の旅団)」と名づけられたこのボランティア部隊は、右派が好みそうな誤解を招く情報に対抗するためのベストプラクティスを学ぶことになる。彼らは隔週で組織と連携し、政治的な誤報をかき消すための進歩的なメッセージの波動を放ち、その過程でBiden(バイデン)氏の立法計画を後押しする。

1月6日に行われたソーシャルメディアの大掃除の後にも誤報が広範囲に残っていることを考えると、このプロジェクトは確かに大変な仕事になるだろう。

「これは、ソーシャルメディアのプラットフォームによる非常に無責任な行動によって生じたギャップに、ボランティアの力を投じようという試みです」と、Indivisibleの共同設立者で共同執行役員であるLeah Greenberg(リア・グリーンバーグ)氏は、TechCrunchに語った。「彼らに最終的に対処する責任があるものに、私たちが立ち向かおうとしているのは非常に残念なことです」。

グリーンバーグ氏は、2016年の選挙後に夫とともにIndivisibleを設立した。この組織は、グリーンバーグ夫妻と他の2人の元下院職員が、議員に働きかける市民活動のためのハンドブックを出版した際に、大きな反響を呼んだことから発展した。このハンドブックの内容は、トランプ元大統領とその政策に反発することを米国人に呼びかける左派の「抵抗」時代の活動の中で旋風を巻き起こした。

IndivisibleのTruth Brigadeプロジェクトは、コロラド州で行われた試験的なプログラムから発展したもので、グループのシニアオーガナイザーであるJody Rein(ジョディ・ライン)氏が、自分の州で見たものに懸念を抱いたことが発端となった。2020年秋に始まったパイロットプログラムは、現在45州で2500人のボランティアが参加するまでに成長した。

メッセージの中心となるのは、バイデン氏の野心的な立法案である米国救済計画(American Rescue Plan)、選挙改革法案(HR-1)そして近々予定されているインフラ投資計画(Infrastructure Package)だ。ボランティアチームは、これらの法案に関する政治的な誤報を直接否定するのではなく、Facebook(フェイスブック)やTwitter(ツイッター)など既存のソーシャルメディア世界の中で、法案を宣伝し、誤った主張を否定するメッセージを発信する。

Indivisibleの中で組織化されたこのネットワークは、多くの偽情報キャンペーンが自分たちのコンテンツを拡散させる時に使うのと同じ戦術を用いて、これらの半有機的なコンテンツをクロスプロモーションする(自分たちの起源を隠すためにあからさまな努力をしているグループの場合、Facebookはこれを「組織的非真正行動」と呼んでいる)。これらの投稿はボランティア活動の一環であり、ターゲットを絞った広告ではないため、ラベル付けされないが、中にはTruth Brigadeのキャンペーンに関連するハッシュタグが付くものもある。

ボランティアは、進歩的な話を「真実でサンドイッチ」にして提供するように訓練されているが、その際には、反論しようとする誤った情報を増幅させないように気をつけなければならない。Indivisibleにとって、政治的な誤った情報をさらに焚きつけることがないようにボランティアを訓練することが、この活動の重要な部分を占めている。

「私たちが知っているのは、実際に偽情報を広め、悪者の仕事を代行している者たちがいるということです」と、グリーンバーグ氏はいう。「私たちはそのような者たちとの戦いに参加せずに、人々が実際に賛同できるように話を進めることで、人々の反応を得ようとしています。言い争いになれば、それは彼らの思う壺ですから」。

真実のサンドイッチ
1. 真実から始める。最初のフレームを取ることが有利になります。
2. 嘘を示す。できれば具体的な言葉の増幅は避ける。
3. 真実に戻る。常に嘘よりも真実を繰り返す。
詳しくはGil Duranと一緒にFrame​Lab(フレームラボ)のエピソード14でお聞きください。

グリーンバーグ氏は、2022年に民主党が再び直面するであろう問題の前兆として、ジョージア州選出の下院議員であるMarjorie Taylor Greene(マージョリー・テイラー・グリーン)氏がソーシャルメディア上で繰り広げた怒りの連鎖を挙げている。テイラー・グリーン氏は、QAnon(キューアノン)を支持したことで知られているが、議会におけるすべての委員会の役割から外され、マスクの必要性をホロコーストになぞらえる発言によって、一部の共和党員からも彼女の除名を求める声が上がった。

グリーン氏のような政治家は、突拍子もない主張や簡単に論破されてしまう陰謀論で、しばしば左派を刺激している。グリーン氏のようにネット上で左派を刺激する政治家は多くのエネルギーを消費しているが、それに対抗するエネルギーは、怒りに任せたリツイートの衝動を抑え、進歩的な政治メッセージを広めることに費やす方が良いと、グリーンバーグ氏は考えている。

「事実を確認するだけでは十分ではありませんし、反応するだけでも十分ではありません。なぜなら、基本的に私たちは、防御的な立場で活動しているからです」と、グリーンバーグ氏は語っている。

「私たちは、人々が本当に信じて受け入れることができるような、偽の情報や陰謀論から人々を守ることができるような、ポジティブなメッセージを積極的に広めていきたいと思っています」。

Indivisibleにとって、このプロジェクトは長期的な実験であり、ターゲット広告を超えた新しいタイプのオンライン草の根政治キャンペーンへの道を開く可能性がある。そしてそれは、ノイズの海の中でシグナルを高めるものになることが期待される。

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

米財務省が暗号資産の報告義務を提示、富裕層の税逃れ対策を強化

バイデン大統領のIRS(内国歳入庁)の権限を強化するというビジョンは、暗号資産(仮想通貨)取引に大きな影響を及ぼす準備ができているようだ。

米財務省の新しい報告書によると、バイデン政権は暗号資産を含む金がどのように動いているかを政府が簡単に把握できるよう、新しい義務を課す考えだ。報告書は、暗号資産が「かなりの検知の問題」を抱え、税金を逃れたい高所得者によって頻繁に使われていると指摘している。

提案されている変更では、納税者が稼いだ利子を申告するのに使っている既存の1099-INTフォームのフレームワークをベースに新たに報告義務を設ける。暗号資産取引と管理者には、口座を通じて動く資金の「全体の流入と流出」についての詳細な情報の報告を義務づける。事業者は、1万ドル(約109万円)以上の暗号資産の送金も報告しなければならない。

「現在の商取引における暗号資産の割合は小さいが、そうした包括的な報告は収入を新たな報告体制からシフトする動機づけや機会を最小限にするために必要だ」と報告書にはある。

財務省は、IRSが現在ディスララプトするリソースを持たない複雑なスキームを通じ、富裕税フィルターは往々にして相応の納税を逃れることができるとも指摘している。報告書によると、IRSは賃金による税金の99%を徴収しているが、この数字は非労働収入に関しては45%と低くなる。これは「見えにくい」収入源を持つ高所得者が大きな恩恵を受けるという矛盾だ。いくつかの報告義務があるものの、規制上グレーゾーンのほぼ見えないところで運用されている暗号資産はかなり懸念されるものだ、と財務省は指摘している。

「そうした機会は特に、オフショアリングや複雑な提携ストラクチャの構築、課税対象資産の暗号資産エコノミーへの移動といった洗練された戦略を通じて税を逃れることができる高所得者が利用できます」と財務省は書いている。

報告書には、向こう10年で税収入を7000億ドル(約76兆円)増やすことにつながる、IRSの執行力強化のための複数年にわたる取り組みの詳細も記されている。

カテゴリー:ブロックチェーン
タグ:暗号資産米財務省IRSアメリカジョー・バイデン

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Nariko Mizoguchi

バイデン政権の労働長官はギグワーカーを従業員待遇にすべきと考えている

米国時間4月29日、バイデン政権の労働長官Marty Walsh(マーティ・ウォルシュ)氏は、ギグエコノミーという白熱している問題に言及して、福利厚生を欠いて働く多くの人びとは企業の従業員扱いになるべきだ、と主張した。

ロイターのインタビューでウォルシュ氏は、労働省はギグエコノミーに注目しており、その労働者の位置づけを変えることがバイデン政権の優先課題になりうると暗示した。

「ギグワーカーを従業員として待遇すべきと思われるケースが多い。現状では、労働者の待遇は場所や項目などによってまちまちであり、一貫性がない。全面的に一貫性があるべきだと私は考える」とウォルシュ氏はいう。

ウォルシュ氏によると、労働省はギグワーカーから利益を得ている企業に対して、それらの企業の非従業員に米国の平均的従業員並の福利厚生を確保するよう促すかもしれない、という。

「企業が売上と利益を得ることは、米国では普通のことであり、何も問題ではない。従業員に平均的な福利厚生を与えてなおかつ利益を得ている企業なら、何もいう必要はない。しかし私たちが一般的に求めるのは、企業の成功が確実に労働者の待遇にも反映することだ」とウォルシュ氏はいう。

ウォルシュ氏のコメントは現在のところ、国の施策によって認められてはいない。しかしそれらは、非従業員の労力を利用しているテクノロジー企業で、今だに大きな波風を惹き起こしている。4月29日のこのニュースで、UberとLyftそれにDoordashの株価は下がった。

そのインタビューでウォルシュ氏は、雇用主からの失業保険や健康保険がないギグワーカーのパンデミック関連の心配についても触れた。連邦政府はパンデミックの間に、ギグワーカーに対する福利厚生を認める2つの大型法案を成立させて、施策の緩みを修復した。しかしそれ以外では、彼らにはほとんどセーフティーネットがない。

労働法の改正はバイデン氏の選挙公約でもあり、大統領になってからは労働者保護の強化と労働者の組織化の支援を強調してきた。バイデン氏の政権移転サイトには、労働者保護の拡張に捧げられた部分があり、従業員を契約労働者扱いする誤りを「伝染病」と呼んでいる。

バイデン氏は米国時間4月28日夜の下院との合同会議で、以前からの労働組合の支持を繰り返し、労働者の組合結成や組合への参加を保護する法律であり組織化する権利の保護法(Protecting the Right to Organize Act)を賞揚した。その法律も拡張され、国の悪政を暴露する者にも適用されるようになる。

「ミドルクラスがこの国を作った。そして、組合がミドルクラスを作った」とバイデン大統領は語っている。

関連記事:バイデン大統領が「がんを撲滅」するために医療高等研究計画局の設立を提案

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Hiroshi Iwatani)

バイデン大統領が「がんを撲滅」するために医療高等研究計画局の設立を提案

Biden(バイデン)米国大統領は、現地時間4月28日に議会で行った演説において、ワクチン接種の取り組みについて国民に報告するとともに、政権の野心的な目標を説明した。

バイデン大統領が就任してからの100日間は、何百万人もの米国民を貧困から救い、気候変動に歯止めをかける、広範な立法措置が印象的だった。だが、議会の上下両院合同会議で初めて行った施政方針演説では、それより規模は小さいものの劣らず野心的なもう1つの計画を強調した。それは「我々が知っている限りのがんを撲滅する」というものである。

「これ以上に価値のある投資はありません。これ以上に党派を超えた取り組みもありません」と、水曜日の夜に語ったバイデン大統領は「それは私たちの力でできることです」と続けた。

この発言は突然出てきたものではない。ホワイトハウスは2021年4月初め、画期的な健康研究のための新しい政府機関を設立するために、65億ドル(約7075億円)の予算要求を発表した。この機関は「ARPA-H(Advanced Research Projects Agencies for Health、医療高等研究計画局)」と呼ばれ、NIH(National Institutes of Health、国立衛生研究所)の中に設置される。当初はがん、糖尿病、アルツハイマー病などを対象とするが、さらに医療研究を根本的に変えるような「変革的イノベーション」を追求することになる。

この65億ドルの投資は、NIH予算の510億ドル(約5兆5520億円)の一部だ。しかし、ARPA-Hは、NIHの中に置くのではなく、保健福祉省の下に置くべきだと批判する専門家もいる

ARPA-Hは、国防省の高等研究計画局(DARPA)をモデルにしている。DARPAは、国防への応用を目的としてムーンショット的な技術を開発している機関だ。DARPAの目標は、科学というよりも空想科学のように聞こえることが多いものの、これまでに、GPSの前身となる技術や、現代のインターネットに発展したコンピュータネットワークであるARPANETなど、現在のさまざまなユビキタス技術に貢献したり、その基礎を作り上げてきた。

DARPAは、保守的で漸進的な研究チームとは異なり、他の政府機関よりもシリコンバレーに近い形で、大きな科学的進歩を積極的に追求している。バイデン大統領は、DARPAのモデルを最先端の医療研究に用いることで、米国がバイオテクノロジーの分野で後れを取ることはないようにしようと考えている。

「中国や他の国々が急速に迫ってきています」と、バイデン大統領は演説の中で述べた。「私たちは、未来の製品や技術となる、高度なバッテリー、バイオテクノロジー、コンピューターチップ、クリーンエネルギーを開発し、優位に立たなければなりません」。

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

【コラム】バイデン政権はインクルーシブであるためにAI開発の取り組みにもっと力を入れる必要がある

本稿の著者Miriam Vogel(ミリアム・フォーゲル)氏は、人工知能に存在する無意識の偏見を減らすことを目的とした非営利団体EqualAIの代表兼CEO。

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人工知能国家安全保障委員会(NSCAI)は2021年3月、不安なメッセージを公的に伝える報告書を発表した。「米国は、AI時代に防衛したり競争したりする準備ができていない」というものだ。この報告書は、直ちに回答が求められる2つの重要な質問につながる。つまり、米国がAIの開発と導入に遅れをとった場合、米国は世界の超大国であり続けるのか?そして、この軌道を変えるために私たちは何ができるのか?

一見、中立的に見える人工知能(AI)ツールを放置すると、不平等が拡大し、事実上、差別が自動化されてしまう。テクノロジーが可能にする弊害は、すでに信用判断、医療サービス広告などで表面化している。

このような事態の再発と規模の拡大を防ぐために、Joe Biden(ジョー・バイデン)政権は、AIと機械学習モデルに関する現行の法律を明確にする必要がある。これは、民間企業による利用をどのように評価するかという点と、政府システム内でのAI利用をどのように管理するかという点の両方においてだ。

一見、中立的に見える人工知能(AI)ツールを放置すると、不平等が拡大し、事実上、差別が自動化されてしまう。

政権は、ハイテク分野に重要な地位の人事を置いたり、就任初日にEquitable Data Working Group(公平なデータのためのワーキンググループ)を設立する大統領令を発布するなど、好印象を与えている。これにより、米国のAI開発とデジタル空間における公平性の確保を懸念する懐疑的な人たちをも安心させた。

しかし、AIへの資金提供を現実のものとし、その開発と利用を保護するために必要なリーダーと体制を確立するという強い決意を政権が示さなければ、その安心も束の間のことだろう。

優先順位の明確化が必要

連邦政府レベルでは、AI政策や技術分野における平等性へのコミットメントが大きく変化してきている。OSTPの副局長であるAlondra Nelson(アロンドラ・ネルソン)、NECのTim Wu(ティム・ウー)、NSCのKurt Campbell(カート・キャンベル)など、バイデン政権内の注目を集める人事を見ると、内部の専門家による包括的なAI開発に大きな焦点が置かれていることが分かる。

NSCAIの最終報告書には、包括的なAI開発のためのより良い基盤を実現するために重要となる提言が含まれている。例えば、現在および将来の従業員を訓練するためのU.S. Digital Service Academy(米デジタルサービスアカデミー)を通じて新たな人材パイプラインを構築することなどが挙げられている。

また、報告書では、副大統領が率いる新しいTechnology Competitiveness Council(技術競争力協議会)の設立を推奨している。これは、AIのリーダーシップに対する国の取り組みを最高レベルの優先事項として維持するために不可欠なものとなるだろう。ハリス副大統領が大統領との戦略的パートナーシップを持っており、技術政策に精通していること、公民権に力を入れていることなどを考慮すると、AIに関する政権のリーダーシップをハリス副大統領が陣頭指揮することは理に適っていると思われる。

米国は模範となるべきだ

AIは、何千通もの履歴書に目を通し、適している可能性のある候補者を特定するなど、効率化を実現する上で強力であることはわかっている。しかし、男性の候補者を優先的に採用するAmazonの採用ツールや、人種に基づく信用の「デジタル・レッドライニング」など、差別を拡大することもできてしまう。

バイデン政権は、AIが政府の業務を改善する方法についてのアイデアを募る大統領令を各省庁に出すべきだ。また、この大統領令では、米国政府が使用するAIが意図せずに差別を含む結果を広めていないかどうかを確認することも義務付けるべきである。

例えば、AIシステムに組み込まれた有害なバイアスが、差別的な提案や、民主的で包括的な価値観に反する提案につながっていないかどうかを評価する。そして、AIが常に反復して新しいパターンを学習していることを考慮すると、定期的に再評価を行うスケジュールを設定するべきだ。

責任あるAIガバナンスシステムの導入は、特定の利益を拒否する際にデュープロセスの保障が求められる米国政府においては特に重要だ。例えば、AIがメディケイドの給付金の配分を決定するために使用され、そのような給付金がアルゴリズムに基づいて修正または拒否された場合、政府はその結果を説明できなければならず、これはまさに技術的デュー・プロセスと呼ばれている

説明可能性、ガイドライン、人間の監督なしに決定が自動システムに委ねられると、この基本的な憲法上の権利が否定されるという、どうしようもない状況に陥ってしまう。

同様に、主要企業によるAIの安全対策を確実なものにするにあたり、政権はその調達力を通じて絶大な力を持っている。2020年度の連邦政府の契約費は、新型コロナ対策費を含める前でも、6000億ドル(約64兆9542億円)を超えると予想されている。米国政府は、AIシステムを連邦政府が調達する際のチェックリストを発行すれば、非常に大きな効果を上げることができる。これにより、関連する市民権に配慮しつつ、政府のプロセスが厳格かつ普遍的に適用されるようになるだろう。

AIシステムに起因する差別からの保護

政府は、AIの弊害から私たちを守るためのもう1つの強力な鍵を握っている。調査および検察の権限だ。判断がAI搭載システムに依存している場合、現行の法令(ADA、フェアハウジング法、フェアレンディング法、公民権法など)の適用可能性を明確にするよう各機関に指示する大統領令が出れば、世界的な大混乱に陥る可能性がある。米国で事業を行っている企業は、自社のAIシステムが保護対象クラス(Protected Class)に対する危害を加えていないかどうかをチェックするきっかけができることだろう。

低所得者は、AIの多くの悪影響に対して不相応に弱い立場にある。特にクレジットやローンの作成に関しては、従来の金融商品へのアクセスや、従来のフレームワークに基づいて高いスコアを得ることができない可能性が高いため、その傾向が顕著だ。そしてこれが、そのような判断を自動化するAIシステムを作るためのデータとなる。

消費者金融保護局(CFPB)は、差別的なAIシステムに依存した結果の差別的な融資プロセスについて、金融機関に責任を負わせる上で極めて重要な役割を果たす可能性がある。大統領令の義務化は、AI対応システムをどのように評価するかを表明するための強制機能となり、企業に注意を促し、AI利用に関する明確な予測で国民をよりよく保護することができる。

個人が差別的な行為をした場合には責任を問われ、説明もなく恣意的に公共の利益が否定された場合にはデュー・プロセス違反となることが明確になっている。理論的には、AIシステムが関与している場合、これらの責任と権利は容易に移行すると思われるが、政府機関の行動や判例(というよりもむしろ、その欠如)を見る限り、そうではないようだ。

差別的なAIに対する法的な異議申し立てを基本的に不可能にするようなHUD(都市住宅開発省)規則案を撤回するなど、政権は良いスタートを切っている。次のステップとして、調査や訴追の権限を持つ連邦政府機関は、どのようなAI行為が審査の対象となり、現行の法律が適用されるのかを明確にする必要がある。例えば、HUDは違法な住宅差別について、CFPBは信用貸しに使用されるAIについて、労働省は雇用、評価、解雇の際に行われる判断に使用されるAIについてといった具合だ。

このような行動は、苦情に関する原告の行動に有益な先例を作るという利点もある。

バイデン政権は、差別のない包括的なAIの実現に向けて、心強い第一歩を踏み出した。しかし、連邦政府は、AIの開発、取得、使用(社内および取引先)が、プライバシー、公民権、市民的自由、米国の価値観を保護するような方法で行われることを連邦政府機関に要求することで、自らの問題を解決しなければならないだろう。

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(文:Miriam Vogel、翻訳:Dragonfly)

ビットコインを筆頭に暗号資産市場が急降下

Bitcoin(ビットコイン)を筆頭に暗号資産(仮想通貨)の価格は米国時間4月23日の金曜日も下落を続け、同通貨の価格は2021年3月初旬以来初めて5万ドル(約540万円)を下回った。

ビットコインは前週比で約20%、先週初めの史上最高値である約6万5000ドル(約700万円)からは約30%下落した。ビットコインの時価総額は1兆ドル(約110兆円)を下回っている。Ethereum(イーサリアム)は米国時間4月22日に史上最高値を記録したが、その後に市場全体が回復したたため13%の下落となり、下落幅はそれほど大きくなかった。

また、多くのアルトコインも打撃を受けている。Dogecoinは先週末に急上昇した後、今週の猛烈な上昇を帳消しにし、価格がほぼ半減した。XRPは前週比で35%減、Stellarは30%減、Polkadotは25%減となっている。

Coinmarketcapは全体として、過去24時間で世界の暗号市場が約10%縮小したと推定している。

暗号資産の価格は過去数カ月にわたって上昇してきたが、先週は価格上昇を修正する明確な兆候が見られた。しかし多くの人は、Joe Biden(ジョー・バイデン)大統領がキャピタルゲイン税の引き上げを調整したというニュースが、市場の下落の最も明白な理由であると考えている。投資家はルールの遡及適用によって、自分の利益に影響が出ないことを願ってキャッシュアウトしている。

先週に直接上場したCoinbase(コインベース)は今週に株価を約10%下げたが、金曜日の日中取引ではほとんど影響を受けなかった。

ここ7日間でのBitcoinの価格(グラフ作成:CoinMarketCap)

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(文:Lucas Matney、翻訳:塚本直樹 / Twitter

Google、Intel、Dell、GMなどテックと自動車業界のCEOたちが世界的なチップ供給不足問題で米政府と討議

ITと自動車ビジネスのトップが米国時間4月12日にホワイトハウスに集まり世界的なチップ供給不足問題について討議した。

リモートで参加したのはGoogle、Intel、HP、Dell、 Ford、GMのCEOで、テクノロジーと自動車産業のバーチャルサミットとなった。テーマは世界的な半導体のサプライチェーンの維持についてだ。政権側からはJake Sullivan(ジェイク・サリバン)国家安全保障問題担当顧問、Gina Raimondo( ジーナ・ライモンド)商務長官が参加し、Brian Deese(ブライアン・ディーズ)国家経済会議委員長が議長を務めた。Joe Biden(ジョー・バイデン)大統領も短時間顔を出した。

IntelのCEOであるPat Gelsinger(パット・ゲルシンガー)氏は、サミットに先立って、米国は半導体生産量を増やし、国内で販売されるチップの3分の1を米国産とすべきだと述べている。Intelは自動車メーカー向け専用チップを国内自社工場で製造することを検討しており、これによりサプライチェーンにかかる圧力を軽減できるとしている。

カーエンタテインメントシステムからスマートフォンまで、あらゆる機器に使用されている集積回路部品の供給不足が続いており、数カ月前からこれが消費者にも感じられるようになっている。ゲーム機やグラフィックカードの新製品は需要に追いつかず、発売後数カ月経っても品薄状態が続いている。しかも現在、あらゆる機器には半導体チップが組み込まれており、供給不足は自動車やゲーム以外の産業にも深刻な影響を与えている。

バイデン大統領は2021年2月に半導体チップの供給問題を解決するための大統領命令に署名している。この行政命令により、電気自動車に搭載される高度なバッテリーをはじめ、半導体やハイテク製品に必要なレアメタルや医薬品の原料などの経済に大きな影響を与えるサプライチェーンについて100日間でレビューを行うとこととされた。

バイデン大統領は「チップ不足により自動車の生産に遅れが生じ、米国の労働者の労働が阻害された」と述べた。また、パンデミックの初期にはPPE(マスクなどの個人用防護具)の供給不足が生じ多数の医療従事者が適切な保護具なしに働かざるを得い状況が生まれたことを指摘した。

またこの行政命令は、さらに長期的なサプライチェーンの見直しをも要求ししている。現在のサプライチェーンに関する問題を軽減するために、何が実行可能なのかを政府とビジネスリーダーが協力して検討することになる。

サリバン国家安全保障問題担当顧問がサミットに参加したことでも明らかなように、テクノロジー部品のサプライチェーンの問題は中国との緊張関係に大きな関連を持つものだ。バイデン大統領は重要ハイテク部品のサプライチェーンに大々的は見直しを行う理由の1つとして「長期的な国際競争力」の低下への懸念を挙げている。

Mark Warner(マーク・ウォーナー)上院議員(民主党、バージニア州)は、防衛技術における半導体の重要性を指摘し「半導体の供給不足は経済上の問題であると同時に国家安全保障上の問題としても重要」と指摘した。

ワーナー上院議員は、2020年夏にJohn Kane(ジョン・コーニン上院議員(共和党、テキサス州)と共同提出した半導体生産促進決議を例として、米国の自立と中国の影響力の抑制に向けた立法措置の必要性を強調した。

バイデン大統領は以前、「経済にとって重要な半導体の供給が不足している現状を打開するために努力し、現在直面しているボトルネックを解決するために生産量を増やすよう同盟国にも政治的に働きかけねばならない」と述べている。

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画像クレジット:Mick Ryan

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:滑川海彦@Facebook

バイデン政権がサイバーセキュリティ・ドリームチームを結成

Joe Biden(ジョー・バイデン)米大統領は、初代国家サイバーディレクターを含む米政府のサイバーセキュリティ上級職に、元国家安全保障局(NSA)のベテラン2名を指名した。

米国時間4月12日に発表された今回の人事は、2021年初め、2度にわたり外国政府とつながりがあるサイバー攻撃が発覚した後でのことだ。ロシアのスパイ活動によって米国の大手ソフトウェア企業であるSolarWindsの技術にバックドアが仕込まれ、少なくとも9つの連邦政府機関にハッキングされた事件や、中国政府に支援を受けたハッカーに関連してMicrosoft Exchangeサーバーが大量に悪用された事件などが2021年起こっている。

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オバマ政権下の元NSA職員で、アメリカサイバー軍(U.S. Cyber Command)の立ち上げに貢献したJen Easterly(ジェン・イースターリー)氏が、国土安全保障省傘下のサイバーセキュリティ諮問機関であるサイバーセキュリティ・インフラストラクチャー安全保障局(CISA: Cybersecurity and Infrastructure Security Agency)の新責任者に起用された。CISAは、トランプ大統領が2018年に同機関の責任者に任命したChris Krebs(クリス・クレブス)前長官を、選挙ハッキングに関するトランプ大統領の虚偽の主張に異議を唱えたとして2020年11月に解任して以来、半年間責任者が不在だった。

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またバイデン大統領は、2020年末に米議会が新設したホワイトハウス内に置かれる国家サイバー長官に、元NSA副長官のJohn “Chris” Inglis(ジョン・クリス・イングリス)氏を指名した。これは、民間機関の防衛・サイバーセキュリティ予算を監督する役割を担う新しい役職だ。

イングリス氏は、2021年1月に米国家安全保障会議(National Security Council)のサイバーセキュリティ担当国家安全保障副補佐官に任命されたAnne Neuberger(アン・ニューバーガー)氏と緊密に連携することが期待されている。ニューバーガー氏は元NSAの幹部であり、初代サイバーセキュリティ・ディレクターとして、SolarWindsに対するサイバー攻撃やExchangeサーバーのハッキングに関する政府の対応を指揮する役割を担っていた。

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バイデン大統領はさらに、米国土安全保障省(DHS)の戦略・政策・計画担当次官に、オバマ政権下でサイバーセキュリティ政策を担当していたRob Silvers(ロブ・シルバーズ)氏を指名した。シルバーズ氏は最近、CISAのトップ候補としても名前が挙がっていた

イースターリー氏とシルバーズ氏の役職は、いずれも上院の承認が必要だ。これらの人事については、The Washington Post(ワシントン・ポスト)が最初に報じた

CISAの元ディレクターであるクレブス氏は、今回の人事を「見事な人選」と称賛した。サイバーセキュリティテクノロジー企業CrowdStrikeの元幹部でSilverado Policy Acceleratorの会長であるDmitri Alperovitch(ドミトリ・アルペロビッチ)氏は、今回の人事を「サイバー分野におけるドリームチーム」と称した。アルペロビッチ氏は、ツイートで次のように述べている。「(バイデン)政権は、アン・ ニューバーガー氏と並んでサイバー・オペレーション、政策、戦略を担当するのに、これ以上有能で経験豊富な3人を選ぶことはできませんでした」。

ニューバーガー氏の後任には、ホワイトハウスのサイバーセキュリティ担当だったRob Joyce(ロブ・ジョイス)氏が就任する。ジョイス氏は、2021年初めにロンドンの米国大使館での勤務から復帰し、NSAの新しいサイバーセキュリティ・ディレクターを務めている。

先週、ホワイトハウスは米国議会に対して、国土安全保障省の防衛力強化とサイバーセキュリティ人材の雇用拡大のため、2022年の新規予算として1億1000万ドル(約120億3000万円)を要求した。CISAは2020年、何人かの幹部がトランプ政権に解雇されたり、民間企業に移ったりして、幹部職員が流出していた。

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(文:Zack Whittaker、翻訳:Aya Nakazato)

スタートアップにはバイデン大統領のインフラ計画を支持する110兆円分の理由がある

Joe Biden(ジョー・バイデン)大統領が2021年3月末に提案した膨大なインフラ投資計画概算で2兆ドル(約220兆円)の規模となり、大幅な増税もともなう。スタートアップとテクノロジー業界全体にとって、この計画の価値は実に1兆ドル(約110兆円)ほどになる。

テクノロジー企業は過去10年以上、農業、建設、エネルギー、教育、製造、運輸、流通といった昔からの業界に適用できるイノベーションの開発に取り組んできた。こうした業界は、非常に強力なモバイルデバイスの出現により、ようやく最近テクノロジー適応における構造的な障害が取り除かれた業界だ。

これらの業界は現在、より強固な経済再建を目指す大統領の計画の核となっている。バイデン政権が期待する取り組みの大半を実現するのは、スタートアップや大手のテクノロジー企業が提供するハードウェアサービスやソフトウェアサービスだ。米国を再び偉大にすべく費やされる何千億ドルもの資金は、直接的であれ間接的であれ、こうした企業にとって大きな後押しとなるだろう。

投資会社Energy Impact Partners(エナジーインパクトパートナーズ)のパートナーを務めるShayle Kann(シェイル・カン)氏は「バイデン氏の新計画に織り込まれている環境重視の投資は、ARRA(American Recovery and Reinvestment Act、米国復興・再投資法)における投資額のおよそ10倍の規模となる。これは、クリーンな電気や炭素管理、車両の電気化など、環境テクノロジーを扱う幅広い部門にとって大きな機会となるはずだ」と話している。

この計画の感触は多くの面でグリーンニューディールに似ているが、目玉は米国が切実に必要とするインフラの最新化、そしてサービスの改善だ。事実、エネルギー効率化はもはや新時代の建設の一部となっているため、グリーンニューディールの核であるエネルギー効率や再生可能エネルギーの開発計画を無視してインフラに投資することは難しい。

関連記事:バイデン次期大統領の気候変動対策はグリーンニューディールに依存しない

予算案のうち7000億ドル(約77兆円)以上は自然災害への耐性強化に用いられる。例えば、水道、電気、インターネットといった重大なインフラの改修や、公営住宅、連邦ビル、老朽化した商業不動産や住宅不動産などの復旧・改善だ。

また、別途4000億ドル(約44兆円)ほどの資金が、半導体など国内の重要な製造業の強化、将来のパンデミック対応、そして地域のイノベーションハブの立ち上げに投じられる。地域ごとのイノベーションハブは、ベンチャー投資とスタートアップ育成の促進を目指したもので「有色人種のコミュニティやサービスが行き届いていないコミュニティにおける起業家精神の向上を後押しする」ものとなる。

気候への耐性

2020年に米国を襲った数々の災害(および合計で推定1000億ドル、約11兆円ほどの被害額)を鑑みると、バイデン計画の焦点がまず災害対策に向けられていることにも納得できる。

バイデン計画の概要としては、まず500億ドル(約5兆5000億円)を融資に投じ、Federal Emergency Management Agency(連邦緊急事態管理庁)とDepartment of Housing and Urban Development(住宅都市開発省)のプログラム、またDepartment of Transportation(運輸省)の新たな取り組みを通じて、サービスが不十分で災害リスクが最も高いコミュニティにおける強化・保護・投資を行う算段だ。スタートアップに最も関係する点として、大規模な山火事や海水位の上昇、ハリケーンなどを阻止してこれらに備え、農業の新たなリソース管理を実現し「気候に強い」テクノロジーの開発を促進するための取り組みやテクノロジーには、積極的に資金が提供される。

バイデン氏の大がかりなインフラ戦略の大部分と同様、これらの問題にも解決に向けて取り組んでいるスタートアップが存在する。例えば、Cornea(コルネア)Emergency Reporting(エマージェンシーレポーティング)Zonehaven(ゾーンハーヴェン)などの企業が山火事におけるさまざまな側面の解決に取り組んでいる他、洪水予測や気候監視を行うスタートアップもサービスを展開し始めている。また、ビッグデータ分析、監視・感知ツール、ロボティクスといった分野も農場に欠かせない存在となりつつある。大統領がてがける節水プログラムやリサイクルプログラムについては、Epic CleanTec(エピッククリーンテック)をはじめとする企業が住宅ビルや商業ビル向けに廃水のリサイクル技術を開発したところだ。

米国再建物語

バイデン氏のインフラ投資計画で圧倒的な額を占めているのが、エネルギー効率の向上と建物の改修だ。実に4000億ドル(約44兆円)もの資金が、丸ごと住宅やオフィス、学校、退役軍人病院や連邦ビルの改修に充てられる。

Greensoil Proptech Ventures(グリーンソイルプロップテックベンチャーズ)Fifth Wall Ventures(フィフスウォールベンチャーズ)が立ち上げた新たな気候重視の基金は、バイデン氏の計画によってさらにその理論の信頼度を高めることとなる。2億ドル(約220億円)の投資手段を確立し、エネルギー効率と気候テックのソリューション事業に力を入れている基金だ。

フィフスウォールに最近参加したパートナーであるGreg Smithies(グレッグ・スミシーズ)氏は2020年、エネルギー効率の分野で建物の改造とスタートアップのテクノロジーに大きなビジネスチャンスが広がっていると述べている。

「この分野では、実入りが良く、すぐに着手できる案件が数多くある。これらの建物の価値は260兆ドル(約2京9000兆円)にも上るが、ほとんど近代化されていない。こうした老朽化物件に注力すれば、ビジネスチャンスは格段に広がるだろう」。

不動産の脱炭素化もまた、住民の暮らしの質と満足度を高められるだけでなく、世界的な気候変動への取り組みを大きく変える分野だ。フィフスウォールの共同設立者、Brendan Wallace(ブレンダン・ワランス)氏は、声明の中で「エネルギー全体の40%を不動産が消費している。世界経済は屋内で動いているのだ。不動産は炭素問題に大きく関与しているため、気候関連のテクノロジーへの出資が特に多い分野となるだろう」と述べている。

手頃な価格での住宅建設が難しい現状を鑑み、バイデン計画では、この障壁を取り除くための具体的な方策を講じる地域に報酬として柔軟な財政支援を行うよう、新しい補助金計画の議会成立を求めている。その一部に含まれるのは、米国の公営住宅のインフラ改修に使われる400億ドル(約4兆4000億円)の資金だ。

このプロジェクトには、すでにBlocPower(ブロックパワー)などのスタートアップが深く関わっている。

ブロックパワーの最高責任者兼設立者、Donnel Baird(ドネル・ベールド)氏は次のように述べている。「まさにヒーローの登場だ。バイデン・ハリス政権が発表した気候対策は、まさに米国の経済と地球を救うプランで、 「Avengers: Endgame(アベンジャーズ / エンドゲーム)」の現実版を見ている気分だ。過去5年間はやり直せなくても、スマートで大がかりな投資をして未来の気候インフラを整備することならできる。200万軒もの米国の建物を電気化し、化石燃料から完全に切り離す取り組みは、まさに米国への投資だ。新しい業界を生み出し、外国に流出しない雇用を米国人のために創出し、将来的には建物が排出する温室効果ガスを30%削減することにもなるのだ」。

連邦政府によると、スタートアップに直接影響する投資計画の中には、Clean Energy and Sustainability Accelerator(クリーンエネルギーおよび持続可能性促進法)の取り組みとして、270億ドル(約3.0兆円)を投じて個人投資を集める提案書が含まれている。この取り組みで重視されるのは、分散型エネルギー資源、住宅・商業ビル・庁舎の改造、そしてクリーンな運輸だ。サービスが行き届いておらず、クリーンエネルギーへの投資機会がなかったコミュニティに重点が置かれる。

未来のスタートアップ国家への資金提供

連邦政府は次のように発表している。「半導体の発明からインターネットの誕生まで、経済成長の新たな原動力となっている分野は、研究や商品化、強力なサプライチェーンなどを支える公共投資によって成長してきた。バイデン大統領は議会に対し、研究開発、製造、地域単位での経済成長、さらにはグローバル市場での競争に勝つためのツールやトレーニングを従業員と企業に提供する人材育成といった分野について、スマートな投資を行うよう呼びかけている」。

これを実現すべく、バイデン氏は別途4800億ドル(約53兆円)を費やして研究開発を促進する予定だ。このうち500億ドル(約5兆5000億円)は半導体、高度通信技術、エネルギー技術、およびバイオ技術への投資として国立科学財団へ、300億ドル(約3兆3000億円)は農村開発、さらに400億ドル(約4兆4000億円)は研究基盤の強化に充てられる。

また、インターネットを生み出したDARPAプログラムをモデルに、Advanced Research Projects Agency(国防高等研究計画局)の一機関として、気候問題に主眼を置いたARPA-Cの設立を目指す動きもある。気候専門の研究・実証プロジェクトに対する資金としては、200億ドル(約2兆2000億円)が投じられる。こうしたプロジェクトに該当する分野は、エネルギー貯蔵をはじめ、炭素の回収・貯留、水素、高度な核燃料、および希土類元素の分離、浮体式洋上風力発電、バイオ燃料・バイオ製品、量子計算、電気自動車などである。

製造業に資金投入するバイデン氏の取り組みでは、さらに3000億ドル(約33兆円)の政府財政援助を行う用意がある。このうち300億ドル(約3兆3000億円)はバイオプリペアドネスとパンデミックへの準備、500億ドル(約5兆5000億円)は半導体の製造・研究、460億ドル(約5.0兆円)は連邦政府による新たな高度原子炉、核燃料、自動車、ポート、ポンプ、クリーン物質の購買力向上に使われる。

これらすべてで強調されているのは、国内全体で公平かつ均等に経済を発展させるという点だ。そこで、地域のイノベーションハブに加え、刷新的なコミュニティ主導の再開発事業を後押しするCommunity Revitalization Fund(コミュニティ再生基金)に200億ドル(約2兆2000億円)が割り当てられ、農村部の製造業およびクリーンエネルギーの促進を目標にして、国内の製造業投資に520億ドル(約5兆7000億円)が割り当てられる。

さらに、スタートアップ関連では、スモールビジネスがクレジットやベンチャーキャピタル、研究開発費用を獲得できるよう支援するプログラムに310億ドル(約3兆4000億円)が投じられる。予算案では特に、有色人種のコミュニティやサービスが行き届いていないコミュニティの発展を後押しすべく、コミュニティベースのスモールビジネスインキュベーターやイノベーションハブへの資金提供を呼びかけている。

水道と電力のインフラ

米国のC評価のインフラが抱える問題は国内のいたるところで見受けられ、その内容も、道路や橋の崩壊、きれいな飲料水の不足、下水設備の欠陥、不十分なリサイクル施設、発電・送配電設備の増加し続ける需要に対応しきれない送電網などさまざまだ。

連邦政府の声明によると「配管や処理施設が全国で老朽化しており、汚染された飲料水が公衆衛生を脅かしている。推定では、600~1000万軒の住宅への飲料水配給でいまだに鉛製給水管が使われている」とのことである。

この問題に対処するため、バイデン氏は450億ドル(約4兆9000億円)をEnvironmental Protection Agency’s Drinking Water State Revolving Fund(環境保護庁州水道整備基金)とWater Infrastructure Improvements for the Nation Act(水道インフラ改善法)を通じた助成に充てる計画だ。こうしたインフラ交換のプログラムはスタートアップに直接影響することはないかもしれないが、飲料水・廃水・雨水の処理設備や水に含まれる汚染物質の監視・管理システムの改善にさらに660億ドル(約7兆2000億円)が費やされれば、水質検査やフィルタリングなどを扱うさまざまなスタートアップがここ10年以上市場にあふれていることを考えると、恩恵は大きい(事実、水道技術に特化したインキュベーターもあるほどだ)。

悲しい事実ではあるが、米国内の水道インフラの大部分は維持が追いついておらず、こうした大規模な資金投入が必要となっているのである。

また、水道に関して言えることは、近年電力に関しても言えるようになってきている。連邦政府によると、停電による米国の経済損失は年間700億ドル(約7兆7000億円)以上にも上る。この経済損失と1000億ドル(約11兆円)の出費を比較すれば、どちらがいいかは一目瞭然だろう。スタートアップにとって、この計算式で浮く金額はそのまま会社の利益につながる。

より耐久性のある送電システムを構築することは、Veir(ヴェイル)をはじめとする企業にとっては実にうれしい話だろう。ヴェイルは、送電線容量の増加に向けた新しい技術の開発に取り組んでいる企業だ(このプロジェクトは、バイデン政権も計画内で明確に言及している)。

バイデン計画には資金提供だけでなく、Department of Energy(エネルギー省)内部に新しくGrid Deployment Authority(送電網配備局)を設置する案も盛り込まれている。連邦政府はこれを、同局の設置について、道路や鉄道沿線の敷設用地をより有意義に活用し、資金提供手段を通じて新たな高圧送電線を開発するためとしている。

同政権の取り組みはこれだけにとどまらない。エネルギー貯蔵技術と再生可能技術を後押しするため、これらの開発には税額控除が適用される。つまり、直接払いの投資税額控除と生産税控除が10年延長され、その後、徐々に控除が減額されるというわけだ。この計画では、クリーンエネルギーの包括的補助金を捻出する他、政府の連邦ビルについては再生可能エネルギーのみを購入することが盛り込まれている。

バイデン政権下では、クリーンエネルギーとエネルギー貯蔵に対するこの支援に加え、廃棄物の浄化と汚染除去の分野で予算を大きく拡大し、210億ドル(約2兆3000億円)が投じられる予定だ。

Renewell Energy(レネウェルエナジー)をはじめとする企業や、放置された油井を塞ぐ取り組むを続けるさまざまな非営利団体は、この分野に携わることができるはずだ。また、その他の鉱床の回復や、こうした油井から出る排水の再利用といった取り組みの可能性も考えられる他、ここでも投資家はビジネスチャンスを狙うアーリーステージの企業を見出だせるだろう。バイデン計画から出される資金の一部は、汚染されて利用できなくなった工業用地を再開発し、より持続可能なビジネスに変えるために用いられる。

屋内での農業をてがけるPlenty(プレンティ)、Bowery Farms(バワリーファームズ)、AppHarvest(アップハーヴェスト)などの企業は、利用されていない工場や倉庫を農場として再利用することで、大きな利益を上げられるかもしれない。送電網に関する需要を考えれば、閉鎖された工場をエネルギー貯蔵やコミュニティベースの発電に使うハブ、あるいは送電設備に生まれ変わらせることもできる。

連邦政府の声明によると「バイデン大統領の計画は、Appalachian Regional Commission(アパラチア地域委員会)のPOWER補助金プログラム、エネルギー省による(セクション132プログラムを通じた)閉鎖工場の改革プログラム、さらにはコミュニティ主導の環境正義活動を後押しする専用の資金を通して行われる、持続可能な経済開発の取り組みを促進するものである。コミュニティ向けの支援としては、旧世代の環境汚染や蓄積された環境への影響を最前線や工場に隣接する地域で経験してきたコミュニティがこうした問題に対応できるよう、能力構築助成金やプロジェクト助成金が給付される」。

こうした再開発事業の鍵は、スチール、セメント、および化学製品の大規模な製造施設向けに炭素の回収・修復の実証実験を行うパイオニア施設の設立だ。とはいえ、バイデン政権が望めば、さらに一歩先へ進んで低排出の製造技術開発に取り組む企業を支援することもできるだろう。例えば、Heliogen(ヘリオゲン)は大規模な採掘作業用に必要な電力を太陽光発電でまかなっている他、BMWと提携しているBoston Metal(ボストンメタル)は炭素排出量がより少ないスチール製造プロセスの開発を進めている。

関連記事:持続可能な自動車製造を目指すBMWが二酸化炭素を排出しない製鉄技術を開発したBoston Metalに投資

また、これらの資金を使うために不可欠な前提条件として、開発前の段階にある事業に投資する必要がある。これには250億ドル(約2兆7000億円)が割り当てられており、Forbes(フォーブス)誌のRob Day(ロブ・デイ)はこの資金について、比較的小規模のプロジェクトデベロッパーを後押しするだろうと述べている。

デイ氏は次のように述べている。「他の記事でも書いたように、持続可能性に関するプロジェクトを最も有意義な形で、つまり現地の環境汚染や気候変動による打撃を最も受けたコミュニティで実施するには、地元のプロジェクトデベロッパーが鍵となる。比較的小規模のプロジェクトデベロッパーは、単に民間企業のインフラ整備投資を受けるだけでも、多額の出費が必要となる。持続可能性政策に携わる人は皆、起業家の支援について話すが、現状の支援対象の大半は技術開発者で、実際にこうした技術革新を展開する小規模のプロジェクトデベロッパーには支援が向けられていない。インフラの投資家も通常、プロジェクトの建設準備が整ってからでないと資金を提供したがらないものだ」。

より良いインターネットの構築

連邦政府は次のような声明を出している。「広帯域インターネットは、新時代の電気のようなものだ。米国人が仕事をして、平等に学校で学び、医療サービスを受け、人とつながるには広帯域インターネットが欠かせない。それにもかかわらず、ある調査によると、3000万人以上の米国人は最小限必要な速度の広帯域インフラがない場所で生活している。また、農村部や部族の所有地で暮らす米国人のインターネット環境はとりわけ貧弱だ。さらに、OECD諸国の中で米国の広帯域インターネット料金が特に高いこともあり、インフラが整っている地域に暮らしていながら実際には広帯域インターネットを利用できない人も多く存在する」。

バイデン政権は、広帯域インターネットのインフラ整備のために1000億ドル(約11兆円)を支出するにあたり、高速の広帯域インターネットのカバレッジを100%に引き上げる他、地方自治体、非営利団体、および共同組合が所有・運営・提携するネットワークを優先することを目標としている。

新たな資金投入にともない、規制政策にも変化が生じる。これにより、地方自治体が所有または提携するプロバイダーや農村部の電気協同組合が民間のプロバイダーと競合することになり、インターネットプロバイダーは料金形態をさらに透明化する必要が生じる。競争の激化はハードウェアベンダーにとってもメリットとなり、最終的には独自のISP立ち上げを目指す起業家の新事業も生まれる可能性がある。

そうしたサービスの1つが、ロサンゼルスで高速のワイヤレスインターネットを提供するWander(ワンダー)だ。

連邦政府の声明によると「米国人は他の国の人と比べてもインターネット料金を払いすぎている。そこで、大統領は議会に呼びかけて米国人全員のインターネット料金を引き下げ、農村部と都会の両方のインフラを強化し、プロバイダーに説明責任を課し、納税者のお金を守るためのソリューションを全力で探している」とのことだ。

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(文:Jonathan Shieber、翻訳:Dragonfly)

バイデン政権が3Dプリンターなどで作られる「ゴーストガン」に対抗する銃規制改革を提案

Joe Biden(ジョー・バイデン)大統領は「疫病」や「国際的な恥」と表現した銃による暴力に歯止めをかけるため、新たな取り組みを発表した。ATF(アルコール・タバコ・火器および爆発物取締局)は、銃器の無秩序なオンライン販売や、シリアルナンバーも身元調査もなしに製造・3Dプリントできる、いわゆる「ゴーストガン」といった抜け道を塞ぐことなどを予定している。

米国時間4月8日午後、ホワイトハウスのローズガーデンでスピーチを行ったバイデン大統領は、最近起きた多くの銃乱射事件を恐ろしい悲劇として振り返る一方で、この国では毎日100人以上が銃で撃たれていると指摘。「これはもはや疫病のようなものであり、止めなければならない」と繰り返した。

この問題を撲滅するための計画を説明する前に大統領は、誰もがアサルトライフルなどを所有することは憲法上の権利であると考える人々からの、憲法修正第2条に基づく必然的な反論に対処することを忘れなかった。

「これからお話しすることは、いかなる意味においても、憲法修正第2条の侵害を推し進めるものではありません」とバイデンは語った。「我々は最初から、所有したい武器を何でも所有できるわけではなかったのです。憲法修正第2条が存在した当初から、特定の人が武器を持つことは許されていませんでした」。

もちろん、この点に関しては連邦法が州法と対立することが多く、重装備のデモ隊がミシガン州の議事堂を占拠するという驚くべき事態が合法的に発生している。しかし、連邦政府はいくつかの策略を密かに用意している。

身元調査や登録の追跡には連邦当局が関与しているが、近年は銃のオンライン取引が増加したり(ソーシャルネットワークは薄利多売の銃取引の場として悪名が高い)、自宅で武器を作るプロセスが容易になったことから、抜け穴が生まれたり悪化したりしている。

バイデン大統領に続いて登壇したMerrick Garland(メリック・ガーランド)連邦検事総長は、次のように語った。「私はATFに、現代の銃は単なる鋳造や鍛造ではなく、プラスチックで作られたり、3Dプリンターで製作されたり、自分で組み立てるキットとしても販売されていることを考慮に入れて、最新の銃不正取引に関する調査に着手するよう指示しました」。そして「我々はデータに基づいた方法で、犯罪的な銃売買の問題を、確実に理解し、判断するつもりです」と続けた。

数年前に「ゴーストガン」が話題になったのは、武器製造のオープンソース団体「Defense Distributed(ディフェンス・ディストリビューテッド)」をはじめとする複数の人物や組織が、3Dプリントされた拳銃やアサルトライフルの部品を普及させようとしたためだ。これらはハイテクという切り口でメディアに取り上げられたが、このようなサイトやサービスが提供するものは、規模の面において、従来の密輸や対面販売というかたちで行われる銃の密売を、当然ながらはるかに上回る。

関連記事:テキサス州当局に引き渡された3Dプリントで銃を作るCody Wilsonが保釈で出所

ATFの規制には大きな抜け穴があり、銃の製作キットには登録や身元調査が必要ない。つまり、この方法で銃の80%を手に入れ、残りの20%(通常は「レシーバー」と呼ばれる銃の発射機構を収納する部分)を3Dプリントなどの方法で手に入れれば、シリアルナンバーも登録もない銃を手に入れることができるのだ。

ガーランド氏はATFに、この件を含めいくつかの点を変更した規則を提案している。例えば、現在はピストルを短銃身のライフルに変える改造キットが簡単に購入できるが、新規則ではこのような改造キットにも登録を義務付ける。これはおそらく、前政権の間ずっと空席だったATFの5年ぶりの長官として、バイデン大統領がDavid Chipmen(デビッド・チップメン)氏を指名した後に導入されるだろう。

他にバイデン政権の取り組みには、地域の暴力介入プログラムに8年間で50億ドル(約5467億円)を投じることや、危険人物と見做された人が一時的に銃を手にできないようにする「レッドフラッグ」法を推進すること、そして行政ができないことに対処するための法案を議会に提出するよう促すことなどが含まれる。

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(文:Devin Coldewey、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

バイデン大統領のインフラ計画は米国のEV市場拡大に19.3兆円の投資を提案

Joe Biden(ジョー・バイデン)大統領は、国内に電気自動車サプライチェーンを構築するという野心的なインフラ計画に1740億ドル(約19兆2600億円)の予算を計上し、米国の自動車メーカーがEV市場でより大きなシェアを獲得するためには「グローバルに競争」することが不可欠であると述べている。

これらの資金は、複数のセクターにまたがる2兆ドル(約221兆4300億円)のインフラ投資を求める野心的なバイデン大統領の計画の一部にすぎない。同計画のファクトシートには、中国に関する言及が6カ所含まれている。そのうちの1つは、中国のEV市場の規模が米国の国内市場の3分の2も大きいことに関連している。Apple(アップル)の主要サプライヤーである台湾Foxconn(フォックスコン)は、2021年2月にウィスコンシン州の工場でのEV生産を検討していると発表したが、これは新興企業からSPACとなったFiskerのEV生産に暫定的に合意した数週間後のことだった。

関連記事:フォックスコンが次期EV製造で米Fiskerと提携に暫定合意、年25万台超を生産へ

米国人が国産EVを実際に購入するようにするために、バイデン大統領は米国製EVの購入に対する販売奨励金と税制上の優遇措置を設ける計画も立てているが、その控除額は明らかにされていない。顧客にはすでに電気自動車に対して7500ドル(約83万円)の連邦税控除が適応されているが、20万台以上の電気自動車を販売した自動車メーカーには適用されず、例えばTesla(テスラ)を購入しようとしている人は控除の対象にならない。新しい税額控除が自動車メーカーの販売台数制限を引き上げるのか、廃止するのかは不明だ。

またこの計画では、2030年までに全国に50万カ所のEV充電ネットワークを構築するために、資金の一部を使用することを提案している。Consumer Reportsの最近の調査によると、公共の充電ステーションの有無が次の自動車購入時にEVを検討する際の大きな懸念材料となっている。

交通機関については、バイデン政権は環境保護庁が管理する新しいプログラムを通じて、5万台のディーゼル車両の置き換えと、スクールバスの少なくとも20%の電動化にも資金を投入するとしている。

この計画は米国の労働者に高賃金の仕事を提供することに大きな重点が置かれているが、まだその道のりは長い。この計画が法律として成立するには、議会の承認が必要だ。

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:塚本直樹 / Twitter

バイデン大統領は反トラスト法のスターでビッグテック企業批判の闘士リナ・カーン氏をFTC委員に指名へ

選挙期間中、バイデン大統領はテクノロジー企業への攻撃を大きなテーマにはしなかった。しかし最近の行動をみればバイデン政権は明らかに巨大テクノロジー企業を抑制する方向に舵を切った

米国時間3月22日、ホワイトハウスはLina Khan(リナ・カーン)氏を連邦取引委員会(FTC)の委員に指名する意向を確認した。これによりバイデン政権はオバマ時代の親シリコンバレー的な方針から離れることが明確となった。Politicoは2021年3月初めにバイデン大統領ががカーン氏を指名する予定だと最初に報じている。この指名は上院の承認を必要とする。

関連記事:バイデン時代のテクノロジー、オバマ時代のテクノクラシー再燃はなさそうだ

リナ・カーン氏は、巨大テクノロジー企業には規制が必要だとる反トラスト運動のスターだ。カーン氏は、2017年にロースクール在学中に発表した「Amazan社の反トラスト法上の矛盾(Amazon’s Antitrust Paradox)」という論文で一躍有名になった。ここでカーン氏は「独占的と分類されるべき行動」についての基準が、現代のビジネスの手法、ことにハイテク分野の企業行動に大きく遅れを取っていると論じた。

カーン氏は、反トラスト法を現代に活かすには価格の釣り上げや生産量の取り決めなどの伝統的な尺度だけではなく企業の市場支配力を大局的に見なければならないと主張している。

私は21世紀の市場における競争、ことにクラウドプラットフォームなどオンラインにおける競争の実態を正しく把握するには、こうした市場の基本的な特質とダイナミクスを分析する必要があると主張したい。このアプローチでは競争という概念を狭い範囲の物質的数量に限定するのではなく、競争のプロセスそのものを検証していく。このフレームワークの背景には、巨大企業のパワーがもつ潜在的的な反競争性は、企業の本質的構造と市場における役割の実態を考慮せずには完全に理解できないはずだ。この見地からすると、例えば企業の存在そのものがが反競争的な利益相反を生み出していないかを評価せねばならない。例えばあるビジネス分野で圧倒的な市場シェアがある場合、その優位性を別のビジネス分野に流用して不当な利益を得ていないか、また市場の構造そのものが略奪的、反競争的な行為を生み出す動機付けをしたり許容したりするものではないかもチェックすべきだろう。

現在、カーン氏はコロンビア大学ロースクールのアソシエイトプロフェッサーだが、2020年の下院の反トラスト小委員会が発表した包括的な報告書の作成にも大きく貢献している。同報告書は、いわゆるビッグテック企業の無制限の巨大化を抑えるための抜本的な反トラスト法改革への第一歩となった。

テクノロジー企業に関する反トラスト法強化を求める活動家はもちろんカーン氏だけではない。バイデン政権下で注目を集めている専門家としてははコロンビア大学ロースクールのTim Wu(ティム・ウー)教授がいる。2021年3月上旬、バイデン大統領はウー教授を、国家経済会議の技術・競争政策担当者に指名した。ウー教授は「ネット中立性」という用語を案出し、開かれたインターネットの提唱者として知られている。2018年にウー教授は「The Curse of Bigness:Antitrust in the New Gilded Age(巨大であることの呪い:新しい金権社会と反トラスト法)」を執筆し、テクノロジー分野での無制限が企業統合が現実的の政治的、経済的脅威となりつつあることを訴えている。

上院反トラスト法小委員会でハイテク分野の反トラスト法改革を主導しているエイミー・クロブシャー(Amy Klobucha)議員は、Khan氏の指名を歓迎してTechchCrunchに対し、世界最大のの独占企業に対抗するためにはすべての人々の協力が必要でありバイデン大統領が新しい競争政策へのコミットメントを明確にしていることはすばらしいとして次のようなコメントを寄せた。

リナ・カーン氏は議会とFTC(連邦取引委員会)の双方に関わった実績があり、法執行を含めた消費者保護の取り組みを進め健全な市場競争の維持するために重要な役割を果たすでしょう。

関連記事:巨大テック企業を規制する米国の新たな独占禁止法案の方針

カテゴリー:パブリック / ダイバーシティ
タグ:ジョー・バイデンFTC反トラスト法

画像クレジット:Bryce Durbin / TechCrunch

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:滑川海彦@Facebook

バイデン大統領が半導体・EVバッテリーなど4品目のサプライチェーン見直しを要求する大統領令に署名

バイデン大統領が半導体・EVバッテリーなど4品目のサプライチェーン見直しを要求する大統領令に署名

バイデン米大統領が、4つの主要製品分野におけるサプライチェーンの見直しを要求する大統領令に署名しました。主要製品とは消費者製品向けコンピューターチップ、電気自動車用大容量バッテリー、医薬品とその有効成分、 電化製品で使うためのレアメタルの4種類。大統領令は即時の見直し作業開始を求め、100日間でこれらの入手先を外国、特に中国のサプライヤーに「過度に依存」していないかを判断します。

見直し作業は単なる調査と報告に終わらず「ギャップを埋め」「多様で回復力のある」サプライチェーンの構築に活用されるとのこと。

大統領令を出すきっかけには、パンデミックの初期にマスクなど個人用保護具が広範囲に不足した結果、最前線で対策に当たる医療従事者に必要な物資が行き渡らず、その場しのぎのマスクや手術着に頼らざるを得なくなったことが含まれます。そして、パンデミックが原因のひとつと言える昨今の半導体不足も、サプライチェーン見直しの理由のひとつとされます。

また、この命令は防衛、公衆衛生、通信技術、エネルギー、輸送、食料生産の6分野にひろくまたがるサプライチェーンについて1年間のレビューも要求しています。バイデン大統領は、サプライチェーン問題の解決策は、特定の産業について国内生産を増やすとともに、将来の不足を防ぐために同盟国との協力体制を築くことだとしています。

もちろん、この大統領令がすぐに半導体不足解決につながるわけではありません。ですが将来的に同じことを繰り返さないためにも、脆弱な部分を取り除く重要性はあります。大統領は「特定の問題がすぐに解決されないのは誰もがわかっていることで、いまあるボトルネックを解決するために、サプライチェーンになりうる同盟国の半導体企業などと連絡を取り生産増強に取り組んでいる」としました。

なお、ホワイトハウスはこの大統領令について中国外しが目的ではないことを強調、あくまで特定の供給元に依存していないかを判断するためだとしています。とはいえ、バイデン大統領はトランプ政権における対中政策は深刻な問題があったとしており、習近平国家主席との電話会談でも中国の「強制的で不公正な経済慣行」に「根本的な懸念」があることを伝えています。

大統領令が中国からのサプライへの依存を制限することはできると思われるものの、それを完全に断ち切れるかどうかはわかりません。資材の入手から加工、製品としての組み立てに至るまで一切を中国に依存している場合、企業がそこから脱却するのは難しいことも考えられます。

米国としては、政府と議会の協力でインセンティブや労働者訓練プログラムを用意し、サプライ元を米国内や同盟国に変えさせると言った対策も必要になるかもしれません。

(Source:CNBCPoliticoEngadget日本版より転載)

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カテゴリー:ハードウェア
タグ:Joe Biden / ジョー・バイデン(人物)エンティティリスト / Entity List(用語)中国(国・地域)アメリカ(国・地域)

ファーウェイが米商務省による「安全保障上の脅威」指定をめぐり提訴

今週初め、Huawei(ファーウェイ)のRen Zhengfei(任正非)CEOは、同社が望む米国の新政権との会談について、やや外交的な発言をした。このハードウェアの巨人はまた、FCC(米連邦通信委員会)が同社を国家安全保障上の脅威として指定したことに異議を唱え、あまり互譲的ではない路線をとっている。

Huaweiは今週、米国第5巡回区控訴裁判所に提訴し、FCCの裁定を「恣意的、気まぐれ、裁量の乱用であり、実質的な証拠に支えられたものではない」と主張した。

このスマートフォンメーカーと中国政府との関係には長年疑惑が渦巻いていたが、米国はDonald Trump(ドナルド・トランプ)政権時代にHuaweiに対する行動を大幅に硬化させていた。米国政府は、実質的に同社を狙い撃ちするための多くの路線を敷いてきた。中でも特筆すべきは、米商務省が同社を「Entity List(エンティティリスト)」に記載し、米国企業との取引を事実上禁止したことだ。

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Huaweiは米国の政権移行を、権力者による再評価を受ける機会と捉えているようだ。同社は長い間、スパイ行為やその他の安全保障上の容疑を否定してきた。「私が歓迎するのは、共同開発や成功の共有を回復させる電話やメッセージです」と、今週初めに任氏はJoe Biden(ジョー・バイデン)大統領との会談を熱望していることをメディアに語った。「米国は経済成長を望んでおり、中国も同様に経済成長を望んでいます」。

しかし、FCCの広報担当者は、The Wall Street Journal(ウォール・ストリート・ジャーナル)における声明の中で、2020年の決定に固執し「FCCは2020年、当委員会と多数の米国の国家安全保障機関によって示された実質的な証拠に基づき、Huaweiを国家安全保障上の脅威として特定する最終的な指定を発行しました。我々はその決定を引き続き守っていくつもりです」と述べている。

関連記事:バイデン政権のジーナ・ライモンド商務長官にはファーウェイをエンティティリストから外す理由がない

これまでのところ、バイデン政権はHuaweiに対する規制を緩和する計画を示していない。共和党議員の反対に対し、商務長官に指名されたGina Raimondo(ジーナ・ライモンド)氏は、「これらのリストに記載されている企業を、記載されるべきではないと考える理由は現在のところありません」と強調し、「もし承認されたら、これらの企業や懸念される他の企業についての説明が設けられる機会を楽しみにしています」と述べた。

バイデン政権は、トランプ政権時代に行われた中国企業に対する他の措置を見直しているようだ。なお、ホワイトハウスが安全保障上の懸念を再評価している間、計画されていたTikTok(ティックトック)の米国事業の強制売却は保留されている。

関連記事:TikTok米国事業のオラクルへの強制売却が棚上げ

カテゴリー:ハードウェア
タグ:HuaweiJoe BidenアメリカエンティティリストFCC裁判

画像クレジット:VCG / Getty Images

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(文:Brian Heater、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

ファーウェイCEOはバイデン新大統領との会談を歓迎

中国で行われたジャーナリストの集会で、Ren Zhengfei(任正非、レン・チョンフェイ)氏はJoe Biden(ジョー・バイデン)氏が第46代米国大統領に就任して以来初めて公の場で発言を行った。CNBCなどが報じたコメントの中で、Huawei(ファーウェイ)のCEOはテーブルに集まった人々に希望に満ちた口調で語った。

任氏は「私はそのような電話会談を歓迎しますし、共同開発と共有の成功へのメッセージの用意があります」と述べ、新政権との対話の用意があると発言した。「米国は経済成長を望んでおり、中国も同様に経済成長を望んでいます」。

米国でのHuaweiの未来は、新政権にとって大いな疑問符となっている。トランプ政権下では、米商務省のいわゆる「エンティティリスト」に多数の有名中国企業が追加され、さまざまな効果を上げた。Huaweiはこの動きで最も大きな打撃を受けている。

Huaweiは世界第3位のスマートフォン市場での販売を阻止しているだけでなく、Google(グーグル)を含む米国の主要企業と連携できていない。その結果、Androidのエコシステムを含む主要技術へのアクセスがブロックされ、Huaweiは混乱状態に陥った。中国国内では同社への支持が消費者の間で高まっているが、この動きはHuaweiの収益に大きな打撃を与えている。

バイデン次期政権はこの件について、ほとんど口をつぐんでいる。しかし、米商務長官候補のGina Raimondo(ジーナ・ライモンド)氏は共和党議員からの批判が高まっていることを受け、「これらのリストに記載されている企業が存在してはならないと考える理由は、今のところありません。もし承認されれば、これらの企業や懸念される他の企業とのブリーフィングを楽しみにしています」と述べている。

Huaweiにとってこれまでのところ良い兆候はあまりないが、同社のCEOは当然のことながら、新政権と仲良くすることを望むだろう。

任氏は翻訳されたコメントの中で「Huaweiの生産能力を拡大できれば、米国企業にとっても供給機会が増えることになります」と述べた。「私はそれがお互いにとって有益であると信じています。新政権が新しい政策を決定しようとしている中、このようなビジネス上の利益を念頭に置いてくれると信じています」。

カテゴリー:ハードウェア
タグ:HuaweiJoe Bidenアメリカエンティティリスト

画像クレジット:FABRICE COFFRINI/AFP/Getty Images

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(文:Brian Heater、翻訳:塚本直樹 / Twitter