Lyft曰く、売上成長率はUberの3倍

Lyft は2017年に大きく躍進した。米国内での市場拡大に加えて主要ライバルであるUberのさまざまな悪いニュースのおかげでもある。会計2017年度の売上はGAAP基準で10億ドルを超え、特にQ4の伸び率はUberの2.75倍となる前年比168%を記録した。Uberは61%増だった。

もちろん両社とも非上場のため正式な財務状況を公開する必要はないが、今は見せたいようだ。Lyftは2018年に入ってからのデータも発表している。

Lyftによると、現在も毎週1000万回以上の乗車があり、3月末締めの四半期は20期連続の前年比100%増以上の四半期になると言っている。

昨年はLyftが初めて海外進出した年でもあり、カナダのトロントおよびオタワで運行を開始した。また同社はTesla&#のJon McNeilをCOOに迎え、YouTubeからEmily Nishiが人事責任者に就任した。

Lyftの売上成長率がUber以上であることは驚きではないが、Uberとの差は少なくとも北米ではまだ大きい。

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MITの調査により、UberとLyftのドライバーたちの過酷な状況が明らかに

配車サービスの巨人であるUberとLyftは、自分の車と運転スキルを提供して会社のコアサービスを支える何十万人もの米国の独立契約者たちに対して、お話にならない手取り金額しか与えていないことが、2つのアプリプラットフォームの経済性を調査したMIT CEEPRの調査によって明らかになった。

この報告書は、ギグエコノミー(ネットを通して一時的な仕事を請け負う労働形態)プラットフォームの労働者たちの、労働環境に関する議論を巻き起こしている。そして同時に、VCが資金を提供するテクノロジーの巨人たちが、税金を逃れることによる社会的影響についての深刻な疑問も引き起こしているのだ。

MIT CEEPR(MIT Center for Energy and Environmental Policy Research:MITエネルギー・環境政策研究センター)が実施した「The Economics of Ride-Hailing: Driver Revenue, Expenses and Taxes (配車サービスドライバーの収入、費用、税金の経済学)」と題された研究では、1100人以上のUberとLyftのドライバーに対して詳細な車両コスト情報を含めた調査が行われている。コストは燃料、保険、保守、修理などの各要素を考慮し、1時間あたりの利益の中央値を算出した。

その結果は?研究者たちが見出したのは、配車サービスから得られる利益は「とても低い」ことだった。時間当たりの利益の中央値は3.37ドルであり、ドライバーの74%が、運転している州における最低賃金よりも低い利益しか挙げていない。

彼らはまた、中央値のドライバーが運転1マイル当たり0.59ドルを得ているものの、同時にマイルあたり0.30ドルの費用を負っていることも発見した。およそ3分の1(30%)のドライバーたちが、収益を上回る費用を負担している、言い換えれば1マイル運転するごとにお金を失っているのだ。

また同研究では、配車サービスの利益に対してどのような課税が行われているかも報告されており、米国内では大部分のドライバーの利益に対しての課税が、走行距離控除のために行われていないことも報告されている。すわなわちUberとLyftの事業は公共の財布も損なっているのだ。

研究からの引用:

毎月の平均利益は、661ドル/月(中央値は310ドル/月)である。運転手たちは、標準走行距離控除(Standard Mileage Deduction)を受ける権利があり、2016年の段階ではそれは0.54ドル/マイルである。これはマイル当たりのコストの中央値である0.30ドル/マイルを遥かに上回っている。この控除のために、大部分の配車サービスドライバーたちは、大幅に低い利益を申請することができる。このため標準走行距離控除を使うドライバーたちの平均課税対象所得は、661ドルではなく、175ドルとなる。これらの数字が示すことは、ドライバーたちの利益のおよそ74%が課税されていないということである。

著者らは、その661ドル/月の平均利益が代表的な数字であるならば、米国の標準走行距離控除によって「米国中の数十万人の配車サービスドライバーたちの収入の数十億ドル」が課税されていないことになる、と付け加えている。

ということで、この調査が配車サービスのビジネスモデルに関して教えてくれるものは何だろう?「このレポートが語っていることは、そこは働くに値しない場所だということです」と語るのはMangrove Capital Partnersの共同創業者でCEOのMark Tluszczだ。彼はギグエコノミーモデルを現代版搾取工場と呼んでいる。そして彼のVCファームはその搾取的なビジネスモデル故にギグエコノミー企業には意識して投資しないようにしているのだと語る。

「もしあなたが経営側なら、そこは素晴らしい場所だと言えるでしょう。しかし、そこで被雇用者になったり、作業員になったりすることはとても辛いことなのです」。

配車サービスプラットフォームの非対称な搾取性が登場する理由は、働き手にはある程度の固定コストが掛かるのに、媒介をするプラットフォームは、自由にその手数料を引き上げたり、ライバルに対して競争を仕掛ける際にエンドユーザーに対するサービス料を、引き下げたりすることが可能だからだ。

「結局、日々(ドライバーたちには)ある程度の固定コストが掛かっています」とTluszczは言う。「車を買わなければならず、保険にも入らなければならず、ガソリン代も払う必要があり…そしてプラットフォームが請求する手数料は10%、15%、そして今や20%にも達しています。そして利用料金が競争相手に勝つために引き下げられて…ドライバーはコストは固定されているのに、収入は減少しています。率直に言えば、コストをカバーするために、より長い時間を車の中で過ごす必要があるのです」。

「それがこの研究によってあからさまに報告されていることなのです。こうした人たちは、時間あたりに換算したときのお話にならない位低い収入でコストをカバーしているので、より長い時間働くことを余儀なくされているのです。そして、まず自分自身の面倒を見るので精一杯になるため、それを社会に還元する余力が与えられていないのです」。

この記事を書いている時点では、UberもLyftもこのMITの研究に関するコメントの要請には反応していない。しかし、Uberの広報担当者はThe Guardianに対して、その研究方法論と調査結果には「深刻な欠陥」があると考えていると述べた上で「私たちは論文の著者たちに連絡して、私たちの懸念を伝え、この研究を共に深めるために協力が可能であると申し出ている」と付け加えた。

Tluszczはすぐにその批判を一蹴した。「この研究を行ったMITは、二流組織ではありません」と彼は指摘する。「私にとっては、MITが『ここに問題があるぞ』と指摘したように見えます…ビジネスモデルに何らかの欠陥があって、私たちは少しの間ならその問題点をやり過ごすことはできるものの、最終的には疎外された人たちを生み出してしまうのです」。

「これらのビジネスは、現実的ではない市場の状況の上に成り立っています」と同氏はTechCrunchに語っている。「彼らは立法上の穴を利用したのですが…行政がそれを許したのです。そしてそれは突然すべてのサービスを安くしました。しかし、人々は食べて行かなければなりません。生きて行かなければ。それは大変なことです」。

「英国のタクシー運転手たちは、億万長者ではありません。ただまともな生活を送っているだけです。しかし、彼らがまともな生活を送ることができるのは、サービスの提供に対してある程度の価格が維持されているからです。そしてどんな業界にも、そのようなまともな価格は存在しています。その業界で生きていくことができるための、ある公正な価格が存在しているのです…そして明らかなことは、配車サービス業界にはそれが存在していないということなのです」。

欧州では、Uberのビジネスは一連の法的係争に直面した。同社はそのプラットフォームを利用する労働者たちに対して、ある程度の保険料の補助を始めた。例えば欧州全域のUber Eats宅配業者に対するものや、英国のドライバーたちに対する個人向け傷害保険商品などだ。

またUberは1月には英国で、安全性のために、ドライバーが連続してプラットフォームから受注できる時間に上限を設けることをアナウンスした。これは安全性と労働条件に関する、政治的そして法的圧力の高まりを受けてのことだ。

昨年Uberには、ドライバーたちのグループは同社の主張していたような独立した提携先ではなく、同社の従業員であるという裁定が下された。つまり、ドライバーたちには休日や疾病手当金などの、労働者としての権利が発生するということだ。

Uberはまた、去年の秋にロンドンでの営業許可を失っている。地元の規制当局が、同社の安全性に取り組む意識と企業としての責任に関する懸念から、同社のプライベート配車免許の更新を許可しなかったからだ。

Tluszczの見解によれば、こうした動きは、欧州におけるより大きな動きの予兆となるものだと言う。世界的な労働者の搾取によって成り立つビジネスモデルにとって、恒久的な障害物として立ちふさがることになるからだ。

「労働者から見た場合の、ギグエコノミーの欠陥があまりにも大きいので、欧州の政府たちがこれを禁止し、これは欧州の精神に似合わないと述べることは、明らかだと思います。とにかく価値観に合わないのです」と彼は強調した。「こうしたこと全てが崩壊する瞬間が訪れることでしょう。そしてそれは正に、公正を重んじる欧州の価値観と、単に市場価値を求める米国の価値観の文化的衝突だと思います。

「1時間に3.37ドルしか稼げない人が、年金の掛け金や社会保険料を支払ったりできるとは思えません。どうやって生活するのですか?」と彼は付け加えた。

「私たちは、単純に生きるために必要な資金を持っていない、次の失われた世代を生み出しているのです。そして企業たちは安いサービスを消費者に提供することで、そうしたことを行っているのです…私は欧州がそうしたことを我慢するとは思えません」。

先月英国政府は、ギグエコノミーの勃興に伴う変化に対応することを意図した労働市場改革を発表し、この分野に対する対応を行う意志を明確にした。その戦略は”Good Work Plan”(良い仕事計画)と名付けられた。それは労働者の権利を拡大するもので、「何百万人」もの労働者たちが、正規雇用者と同様の権利を持ち、プラットフォームや企業が、疾病手当金や有給休暇に対するより厳密な運用を行うことを強制するものだ。

「私たちは我が国が、最高の雇用水準を維持していることを誇りに思っていますが、労働者たちの権利も確かに守られるようにしなければならないのです」と英国首相は語り、彼女の目標が「皆に役立つ経済」であることを強調した。

今年の後半には、雇用法改革の詳細が発表されることだろう。しかし、欧州のギグエコノミープラットフォームが進む方向性は明らかなものに思える。法的な抜け穴を自由に利用できるような状況を離れて、より厳密に管理された雇用と労働福祉規則の枠組みに向かい、巧みな工夫と法的手段によって裏をかかれないような構造にする(例えば英国における全国的な最低賃金の設定)ということだ。

「これは私にとって、私たちが欧州で想定するある程度の社会主義性と、資本主義の間に横たわる、切っても切れない矛盾点なのです」とTluszczは語る。「これは世界に対する、根本的に異なる2つのビューの衝突で、究極的には自らの役割を、企業として社会に貢献する一員として捉えなければなりません。そしてテクノロジー企業も事実から目をそむけるわけにはいかないのです。同じような行動が求められます」。

「残念なことに、配車サービスビジネスや多くのギグエコノミー企業たちは、単に法の抜け穴を活用しようとしているだけです。率直に言って彼らには『私が働くこの社会に良いことを為そう』という最低限の志を感じないのです。そう、彼らは全く、何も気にすることがないのです。

「これは、消費者として私たちが抱えるジレンマです。なにしろ一方では私たちはそれが安いことを喜んでいるからです。しかし私たちは、人びとがみなまともな生活を送ることができることを願っているのです」。

米国企業たちが、この先米国労働者との搾取的関係を弱めるかどうかはまだ分からない。

Tluszczの見解では、これらの企業が、ビジネスモデルの運用方法や、彼らが影響力を及ぼしている人びとについて再考するためには、何らかの政府の介入が必要になるだろうということだ。

「テクノロジー企業であっても、もちろん企業市民としての責任は同等です。そして、現段階では、特に多くのテクノロジー企業が米国生まれであるせいで感じることなのですが、まるで良い企業市民である必要はないということが、彼らの『アメリカ主義』を代弁しているようにも聞こえるのです。すなわち世界を自分と株主のために恣(ほしいまま)に利用しても良いという具合に」と彼は語る。

「私は資本家ですが、ビジネスを構築する際には、持っていなければならない道徳的指針があると思っています。そして、世界中で ―― もちろん欧州でも ―― 米国のテクノロジー企業激しく批判されています…道徳的なコンパスはどこにあるのでしょう?残念ながら、彼らはそれを失ったと言わざるを得ないのです」。

更新:Lyftの広報担当者の1人が私たちからのコメント要請に対して、以下のように電子メールで回答した:「ドライバーの皆さまはLyftの成功を支える一部です。国内で順調に増え続ける数の方々が、Lyftを収入を得るための柔軟な手段として利用なさっています。そして私たちはこれからもドライバーコミュニティと関わり、皆さまの成功をお手伝いします。研究結果に関してはまだ精査しておりませんが、ざっとみた限りでは疑問符のつく想定が行われているように思えます」。

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Uberがスキャンダルで低迷、ライバルのLyftは売上が三倍増

Lyftにとっては、Uberの苦難の一年が大きな商機になったようだ。

The Informationの記事によると、この、アメリカにおけるUberのライバル企業は、売上が前年に比べて三倍に増加した。すなわち2017年前半のLyftの売上は4億8300万ドル、前年同期では約1億5000万ドルだった。

利益も改善されて、損失が2億8300万ドルから2億600万ドルに減少した。一乗車当たりに換算すると、損失額は4ドルから1ドル20セントに減った。

一方Uberは、損失が加速している。最近の四半期(2017Q3)の決算報告によると、同社の損失はおよそ15億ドルとなり、前年同期の10億6000万ドルから急騰した。

本年前半に関しては、フードデリバリーサービスUberEATSを含めると、30億の売上に対して20億ドルの損失となった。

訴訟があり、同社の企業文化に対する社会的非難〔←被害者手記〕があり、Uberの今年1年はスキャンダルまみれだった。その結果6月には創業者CEOのTravis Kalanickが退き、8月に元ExpediaのCEO Dara Khosrowshahiが引き継いだ。

両社とも今はさらなる資金獲得により、事業を加速しようとしている。

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Lyft、10億ドルのラウンドに続いてさらに5億ドル調達へ

Lyftは先月、Alphabetのベンチャー投資部門、CaptialGから10億ドルの資金を調達したばかりだが、現在さらに5億ドルのラウンドを準備しているという。同社がAxiosに語ったところでは、この5億ドルは前回のラウンドの延長という形になる。まだこのラウンドは完了していないということだが、資金調達が完了すれば(つまりポストマネーで)Lyftの会社評価額は115億ドルに上るとみられる。

Axiosによれば、Lyftは新たな資金で乗客、ドライバー双方の体験を向上するプロダクトを開発するという。この時期はLyftにとってきわめて重要な意味を持つ。12月にはは初の国外進出を果たし、カナダのトロントとハミルトンで運営を開始するという。

Lyftは目一杯アクセルを踏んで規模拡大に突っ走っている。現在アメリカの人口の95%をカバーしているが、2017年には 新しい運営地域を100箇所加えた。創立以来5億回運行され、この数字はさらに伸びている。自動運転テクノロジーにも本腰を入れており、テスト・プロジェクトを実行中だ。われわれも報じたが、同社は最近カリフォルニア州当局から自動運転車を公道で実験する許可を得ている。

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カリフォルニア州、Lyftに公道での自動運転のテスト許可

カリフォルニアの公道で自動運転車のテストの許可を得る会社は急速に数を増している。Axiosによれば、このほどカリフォルニア州自動車局のリストにLyftが加わえられた 。これは今年に入ってLyftが自動運転テクノロジー開発センターを開設したことを受けた動きだろう。開設時の声明によれば、このセンターは独自の自動運転テクノロジーの開発と同時に自動車メーカーその他のパートナーとの提携も探っていくということだった。

Lyftがカリフォルニア州当局から自動運転車の公道テストの許可を得たということは、同社が自社車両で自動運転のテストを間もなく開始することを意味するのだろう。Lyftはこれ以前、自動運転テクノロジーを有するいくつかのパートナーと共に独自の自動運転プラットフォームを立ち上げるためのパイロット・プロジェクトをを開始することを示唆していた。このパートナーにはすでにカリフォルニア州で公道テストの許可を得ているDrive.aiなどが含まれている。

しかしLyft自身が許可を得たことは、今後自動運転テクノロジーにさらに積極的に関与していくことを意味するようだ。

カリフォルニア州でテストの許可を得た会社はライバルのUber、ライバルかつパートナーのWaymo(Alphabetグループ)、メーカーではメルセデス・ベンツ、Tesla、フォードなど多数。

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サウジのアルワリード王子ら汚職容疑で逮捕――テクノロジー・ビジネスに衝撃

サウジアラビアで反汚職キャンペーンの一環として王族少なくとも11人を含む多数の富豪が逮捕されたことが昨夜(11/05)報道された。この中には投資家として世界的に著名なアルワリード・ビン・タラル王子(Prince Alwaleed bin Talal)も含まれており、ビジネス界に大きな衝撃を与えたことは間違いない。

アルワリード王子は大型投資会社、キングダム・ホールディング・カンパニー(Kingdom Holding Company)のオーナーであり、世界でもトップクラスの大富豪として知られている。同王子はNews Corp.(ただし大部分の大部分の株式を売却)、Citigroup(1991年から株式所有)、衛星テレビ網に加えて多数のテクノロジー企業の大口株主でもある。

アルワリード王子とキングダム(王子が95%を所有)は2011年に初めてTwitterに投資した。これはTwitterが2015年に上場する2年前で、出資額は3億ドルだった。アルワリード王子はその後Twitterにさらに5000万ドルを投資し、持ち分を拡大している。昨年はTwitterの最大の株主の1人となっていた。

2013年にキングダムは中国のネット通販業、JD.Com(京東商城)の株式の2.5%を買収した。翌年JD.ComはNasdaqに上場し、株価はほぼ2倍になった。

アルワリード王子は昨年末、ライドシェアリンングのLyftにも投資している。これはLyftへの初期の投資家、Andreessen Horowitzとピーター・ティールのFounders Fundが所有していた株式の一部を購入したものだ。

また2015年3月、アルワリードらキングダムのトップはSnapのCEO、Evan Spiegel、同社の最高戦略責任者、 Imran Khanと投資の可能性をめぐって会談したことを発表した。ただし数か月後、キングダムに近い筋は「アルワリード王子はSnapに投資する予定はない」と語っている。

New York Timesの記事によれば、今回の逮捕は現サルマン国王の息子で最高顧問でもあるビン・サルマン皇太子への権力集中を図るためとみられる。サルマン国王は逮捕の発令に数時間先立って皇太子をトップとする反汚職委員会の設立を命じたとされる。

英国のTimesによればリヤドのリッツ・カールトン・ホテルは一時的に閉鎖された。これは逮捕された王族を収容するためのようだ。また王族らの国外逃亡を防ぐため自家用機専用空港も閉鎖されている。

昨年、アルワリード王子はビル・ゲイツが主唱し、ウォーレン・バフェットが賛同した「個人資産の大部分をチャリティーに寄付する」というGiving Pledgeに参加した。これに参加した富豪にはSalesforceのCEO、マーク・べニオフ、Airbnbの3人の共同ファウンダー(Brian Chesky、Joe Gebbia、Nathan Blecharczyk)、Intuitのファウンダー、Scott Cookらが含まれる。Timesによれば、サウジアラビアの反汚職委員会がアルワリード王子の個人資産(320億ドル)を差し押さえるかどうかは現在不明だ。

サウジ内外でMBSという呼び名で知られるモハメッド・ビン・サルマン(Mohammed bin Salman)皇太子は2015年にサルマン国王が即位し、サルマン王子を新たに皇太子に任命して以後、長兄らと激しい権力闘争を繰り広げきた。Washington Postによればリヤドはゲーム・オブ・スローンズのような空気に包まれているという。32歳になるサルマン皇太子は「サウジを近代化して救うかもしれないが、崖から突き落とすかもしれない」とささやかれているという。

先月リヤドで開催され、ピータ・ー・ティールらが参加した投資フォーラムで、MBSは「サウジアラビアを穏健なイスラム国家に戻し、〔1979年のイラン革命以前の〕有力な地位を取り戻ねばならない」と語った。

またサルマン皇太子は「サウジアラビア国民の7割は30歳以下だ。彼らは今後30年も過激主義者の下で暮らしたくないと考えている」と述べた。

4月にはサルマン皇太子はVision 2030と呼ばれる経済改革のロードマップでサウジを代表する国営企業、アラムコ(Aramco)を上場させて株式の5%を売り出す計画を発表した。アラムコ株の販売は当初サウジ国内市場向けとなるが、少なくとも1箇所の外国の証券取引所に上場される。昨日、トランプ大統はアラムコの上場についてニューヨーク証券取引所(NYSE)を選んでもらいたい」とツイートした。トランプ大統領は「これはアメリカにとって重要だ!」としている。【略】

画像:Jordan Pix/Getty Images

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【以上】

Peter Thielは投資対象としての自動運転技術に半信半疑、「自動車など要らない世界が良い」説

億万長者の投資家Peter Thielは、トレンドに投資するのは嫌いだ、とよく言う。今週サウジアラビアのリヤドで行われた投資フォーラムFuture Investment Initiativeで、ジャーナリストのMaria Bartiromoと共にステージに立った彼は、同じ言葉を繰り返した。

今の主な投資対象を聞かれた彼は、シリコンバレーの外に着目していることが多いが、SaaSソフトウェアや仮想コンピューティング、拡張現実、人工知能といった“バズワード”はあまり重視しない、と答えた。“そのような投資のトレンドは、実際にトレンドだったとしても危険だ”、と彼は言う。そしてむしろ、“バズワードが聞こえてきたら、そこからできるだけ早く逃げ出すべきだ”、と。逃げ遅れたら、“その種の多くの企業と多くの競合相手”に対処しなければならなくなる。

そこで当然ながらThielは、自動運転技術に対しても同じことを感じている。彼のベンチャー企業Founders Fundが投資しているライドシェア企業Lyftは、その未来が、ある時点で自動運転企業になれることにかかっている、と思われるにもかかわらず、だ。

しかしThielによると、その彼自身のルールにも一つだけ例外がある。それは、“まだ誰のレーダーにも映っていない”トレンドには積極的に着目することだ。

つまり彼が示唆するトレンドとは、ぱっと見ても視界内に存在しないが、今日それに向けられている(希薄な)関心よりも、はるかに大きなメリットを持つテーマだ。人がそれに注意を向けないのは、自動運転車や空飛ぶタクシーほどセクシーでないからだろう。その、彼が秘かに着目しているトレンドとは、誰もが知ってる遠隔通勤(telecommuting, テレコミューティング)、その、これからの不可避な増大によって世界が変わることだ。

むしろ交通運輸の未来について聞かれたThielは、交通運輸にはあまりニーズがないかもしれない、と言いたげだった。少なくとも、職場に出かける個人からのニーズは…。

Thielは語る:

確かに、UberやLyftのような企業へのシフトは、私も投資していますけど、それ自体は大きな変化です。自動運転車というトレンドも、経済にとって重要なトレンドです。それは、消費者の行動を大きく変えるでしょう。自動運転車があれば、車内でも仕事ができるから、通勤時間が今よりもっと長くてもよいでしょう。

でも私は、それが良い投資であるという確信は持てません [強調: 本誌]。大量の企業が、自動運転車という同じような技術をやっているけど、彼らの差別化要因はよく分からないのです。

運輸交通関連の技術で自動運転車よりも関心があるのは、破綻に瀕してている私たちの交通システムの迂回策/回避策はないか、ということです。そしてそのITバージョンこそが、人びとが何十年も前から話題にしていたテレコミューティングなのです。

つまり、交通運輸なんてまったく要らない、と言えるやり方はないのか。リモートで十分に仕事ができれば、それでいいじゃないか。30〜40年前には、いろんな理由でそれはダメだったけど、家にいたら仕事に集中できないとか、人と人の出会いから良い仕事が生まれる、といった精神論みたいな理由もありましたね。

でも、シリコンバレーなどでは現にテレコミューティングが増えているのではないですか。そんなところでは、シリコンバレーの外に人びとがデベロッパーの小さなチームを見つけています。世界中のいろんな場所のいろんな人びとを、ひとつの仕事に割り当てる方法がいくつもあるのです。

ですから . . . テレコミューティングは、もっと探究すべき価値のあるトレンドです。それはこれまで、過小評価されていました。

CB Insightsのデータによると、自動車関連のスタートアップには、今年の前半だけでも、16億ドルという過去最高の投資が行われている。

ThielとBartiromoのチャットの詳細は、ここにある。

しかし、状況からして無理だったかもしれないが、彼のトランプ政権との関係は、話題にならなかった。その関係がずっと続いているために、今年のThielは何度もニュースのタイトルや見出しに登場した。

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Lyft、評価額11億ドルで10億ドル調達――AlphabetのCapitalGがリード

ライドシェアリングの有力企業、Lyftが新たに10億ドルの資金を調達した。これにより同社の資金調達後後評価額は110億ドルとなった。このラウンドをリードしたのはGoogleの親会社、AlphabetのCapitalGだった。グロース投資に特化したベンチャーファンド、CapitalGのパートナー、David LaweeはLyftの取締役会に加わる。

Lyftはこのニュースを公式ブログで発表し、これまでに 5億回の営業走行を達成しており、アメリカでは人口の95%をカバーするようになったと述べた。カバー地域は今年の始めには54%に過ぎなかったという。

Lyftは今年4月に75億ドルの評価額で6億ドルを調達している。投資パートナーにはカナダの公務員年金基金が含まれる。また9月にはAlphabetが関係する投資家から10億ドルを調達することを明らかにしていた。

興味深いことにAlphabetのグロース投資ファンドはUberに対する初期の投資家の一つでもあった。 しかしその後Alphabetグループの自動運転車企業、WaymoはLiDARテクノロジーに関する企業秘密を不当に利用したとしてUberを訴えている。こうしたことが原因となってAlphabetとUberの関係は緊張したものに変わったようだ。

LyftもWaymoと提携したことを去る5月に発表している。これはLyftの自動運転テクノロジーに関するオープン・プラットフォームの一環とみられる。

取材中…

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Lyftとディズニーが提携して、ディズニーワールドの中で「ミニーバン」を走らせる

Lyftは新しい強力なパートナーを得た。Disney Parksだ。ゲストのための追加のホスピタリティとして、選ばれたリゾート内でのオンデマンド移動を提供する。このサービスには、「ミニーバン」が使われる。すなわちミニーマウスのトレードマークのドレス柄でペイントされたミニバンだ。格好のオヤジギャグネタでもある。

このバンはフロリダ州オーランドのウォルト・ディズニー・ワールドリゾート内のあらゆる目的地に客を連れて行く。それぞれ6人までのゲストが乗ることができる。各バンには、幼い子供たちのために2席のチャイルドシートも用意されている。試験運転はディズニーのボードウォークとヨット&ビーチクラブリゾートでサービスを開始している。バンはフルコスチュームに身を包んだキャストによって行われる(おそらく視界を遮るフルフェイスマスクは使わないだろう)。

リゾートのゲストは、既存のLyftアプリを使用してサービスを利用することができる。なおこのオプションは限られたサービスエリアのみで表示される。

これはLyftによる、また別の興味深いビジネスモデルの進化例の1つだ。最近はTaco Bellとも提携を行なっており、乗客が途中Taco Bellへの立ち寄りを追加することができるという車内ネイティブマーケティングのタイアップも始めている。リゾートでの統合は、Lyft共同創業者のJohn Zimmerが、ホスピタリティ業界出身であることに光を当てるものだ。このことはLyft自身の発表資料の中に書かれている。 

ディズニーワールドのような観光地はLyftにとって興味深い対象だ。そして、このようなシャトルサービスが自動的に運行される段階に向けて、Lyftがパートナーとなる後押しもしてくれることだろう。このような用途には自動運転は通常の路上よりも早く採用される可能性がある。何故なら環境条件はより制御可能であり、経路は決まっていて、不測の動きを見せる他の車両もいないからだ。

Uberが組織の中心課題に注力を続けなければならない状況は、Lyftにとって1つのチャンスだ。こうしたユニークなパートナーとの提携は彼らが有効な時間の使い方をしていることの証だ。

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(翻訳:Sako)

サンフランシスコ市、LyftとUberに運行データ提出の裁判所命令を発行

サンフランシスコ市法務官、Dennis Herreraは、UberとLyftの両社に対してドライバーの安全、身障者対応、その他の運用に関する記録の公開を求める裁判所命令の発行を検討している。先月同法務官は本件に関する召喚状を発行していた。

6月4日にHerreraが発行したその召喚状は、両社のドライバーが、「公衆の安全に対する脅威、あるいは差別などの違法行為による社会的迷惑」を生まないことを目的としていた。

具体的には、ドライバーの走行距離と時間、乗客を求めて他の都市からサンフランシスコに通ってくるドライバーのインセンティブ、訓練、障害者の利用できる車両の数、および利用経路についての記録4年分の提出を求めている。

市法務官によると、Lyftは当局に協力しようとはしたが、「最終的には理不尽な条件を要求し、納得のいく合意に達しようとする意志が見られなかった」と報道資料に書かれている。一方Uberは一切の協力を拒否した、と法務官は言っている。

「Uberは締切の6月20日まで待ってから、情報提供を拒否する旨の書簡を市に送り『Uberの懸念事項に関して対話する』用意はあると言った。その後Uberの担当者はなかなか会おうとせず返事も遅く曖昧な態度を取っていた。結局Uberは召喚要求に従わなかった」と法務官事務所は言った。

先月、サンフランシスコ群交通局は、先週のサンフランシスコの交通量の15~20%をUberとLyftが占めていたことがわかったと発表した。問題は、推定4万5000人といわれるUberとLyftのドライバーが、同市にマイナスの影響を与えているとみられることであり、Herrera法務官は現状のよく把握したうえで、両社が法を順守することを望んでいる。

「残念ながら、Uberはいつも通りの行動をとっている。問題を引き起こし、すぐに腰を上げず、常に法律を軽視している」とHerreraが声明の中で言った。「名誉のために言うとLyftの方が対応はよかった。しかし結局はLyftも理不尽な妨害行為をした。両社は最低限の文書を提出し、それ以外の要求は無視する態度に出た。そして現時点で彼らは、正当な企業秘密を守るための守秘契約を結んでいない。

アップデート 12:49pm PT。Uberからのコメント:
「当社は法務官事務所の懸念を正しく理解するために、協力して作業している」とUberの広報担当者がTechCrunchにメールで伝えた。「当社は問題解決のために情報を提供する意志があることを先方に伝えた。機密情報に扱いについても合意できることを願っており、この重要な問題に協力して取組んでいくことを約束する」。

Lyftの広報担当者は、同社がHerrera法務官と協力して取組むつもりだと言っている。

「昨晩も、市当局と建設的な会話をしたところ」と広報担当者は言った。「しかし、膨大な量の個人情報 ―― 同社が運行する他のどこの都市よりも多い ―― の提出を求めながら、この個人データを保護する基本的な手順を踏もうとしない当局のやり方は前例がなく、不可解であり、あまりにも非現実的だ。今も当社はサンフランシスコの輸送事情を全体的アプローチによって改善しようとする市のリーダーたちと協力していく意志を持っている」

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Lyft、1日当たり乗車回数100万回を達成

Lyftは1日当たりの乗車回数100万回を達成した。現在同サービスは米国でのみ利用できる。Uberは全世界での乗車100万回を2014年12月に発表した。2016年7月、Uberは1日平均550万乗車を記録、先週には累計乗車50億回に達した。

つまり1日当たり100万回はLyftにとっては快挙だが、Uberが日々達成している乗車回数には遠く及ばない。もちろん、ここ半年あまりUberを取り巻いている騒動によってそれが変わる可能性がある。

さらにLyftは、乗車回数が48カ月連続上昇中で、年間推定乗車回数3.5億回に達するペースだと話した。

「この重要な成長の節目は、世界最高の輸送手段によって人々の生活を改善するという、われわれの何年にもわたる飽くなき努力の結果だ」とLyftの共同ファウンダー、John Zimmerが本誌宛ての声明で語った。「毎日、Lyftを選ぶドライバーや乗客が増えているのは、われわれがあらゆる行動の中でホスピタリティーとサービスを心がけているからだ。サービスレベルで対等になった今、Lyftの経験が決定的な差別化要因になるはずだ」。

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ワシントンDC、全タクシーにSquare導入へ

ワシントンDCは、同市のタクシーがUberLyftなどの配車サービスと対等に戦うための一歩を進めた。2017年8月31日以降市内の全タクシーは、誰もが知っているあの大嫌いなメーターをやめ、新しいデジタルメーターに切り替えなくてはならない。そして支払いには Squareが使える。

この夏の終わりまでに、どのタクシードライバーもコーヒーショップや移動販売車と同じように客のカードをスワイプできるようになる。スマートフォンやタブレットにプラグインされたSquareリーダーを使う。ワシントンDCのDepartment of For-Hire Vehicles (DFHV)[運送車両局]は、ドライバーが利用できるメーターアプリをいくつか承認した。配車アプリと同じく、新しいメーターアプリは路上で乗せた乗客の料金体系を動的に変更できる。

乗客は、料金見積り、GPSによる経路案内、電子レシートなどUberやLyftと同じサービスを受けられる。ただしクレジットカードはアプリに登録されていない。降車する際にカードを通す(スワイプ)かスマホをタッチしてSquareで支払う。アプリを使ってドライバーにチップを渡すこともできるのはほかでSquareを使う場合と同じだ。

ワシントンDCはデジタルメーターに全面移行する最初の都市になるので、こうした利便性の向上が、配車アプリの台頭に歯止めをかけるかどうか注目したい。

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Lyft、ドライバーへのチップ総額が2.5億ドルを超える

Lyftは、メインライバルが自慢できないデータを自慢している。Lyftのプラットフォーム経由で取得したチップの総額だ。Lyftは乗客がアプリ内でチップを払うシステムを提供していることで知られており、Uberにはそれがない。Lyftはサービス開始から4年たった時点でチップ総額が1億ドルを超えたことを発表して以来、不定期にチップ収入について報告してきた。そして今日(米国時間6/19)、Lyftはチップ収入をさらに増やす可能性のある新機能を公開する。

わずか2カ月半前、Lftyはチップ総額が2億ドルの節目を越えたことを発表したばかりなので、そこから今日までに5000万ドル増えた速さは史上最速だ。いくつかの要素が後押ししている。第一に、Lyftは2017年初めに米国でのサービス範囲を拡大し、新たに100以上の都市に進出した。第二に、LyftはUberの社内文化およびリーダーシップ問題に乗じて、過去に類を見ない勢いでライバルからシェアを奪っている。

このたびLyftは、長距離乗車でドライバーの収入が増えることを期待して、プリセットされたチップ推奨額を変更したことを明らかにした。料金が25ドルを超える乗車では、乗客には2ドル、5 ドル、または10ドルのチップ候補額が表示されるようになる。従来はそれぞれ1、2,5ドルだった(カスタマイズは常に可能)。Lyftによると、初期の少数グループによるテストでは、料金25ドル以上で新しい選択肢を提示され乗客のチップが増えることが報告されている。

チップ収入があるだけでもLyftにとっての競争優位性だが、さらに収益を増やすための策を打ってきたことは、この優位性をさらに推し進め用としているのだろう。Uberはドライバー側のシステムを強化して顧客ベースの問題に対応しようとしたが、収入増に焦点を当てたLyftのやり方のほうが、良い結果を生むかもしれない。

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Lyftが調達した6億ドルのうち、2500万ドルはJaguarから受け取っていた

Lyftは先日6億ドルを調達しているが、そのうちの2500万ドルがJaguar Land Roverから出資されていたことが明らかとなった。この出資はJaguarの子会社であるInMotionを通して行なわれている。しかし、このLyftが受け取ったのは資金だけではない;Lyftはこの資金調達と同時にJaguarと業務提携を結び、その契約の一部として大量のジャガーやランドローバーを受け取った。また、両社は自動運転の分野でも共同開発を進めていく。

Waymoとの提携や、先週発表されたばかりのNutonomyとの提携に引き続き、Lyftのパートナーリストに新たに有名企業が加わったことになる。また、Jaguar Land RoverがLyftの自動運転車プラットフォームであるOpen Platformに加わることも明らかになっている。今後、Jaguar傘下のInMotionは、Lyftのプラットフォームで「自動運転車を含むモビリティーサービスの開発とテストを行う」とされている。

Lyftがこれだけの短期間で(特に自動運転分野の)パートナー企業を集められているのは、最大のライバルであるUberが現在進行中の問題を抱えているからなのかもしれない。Uber CEOのTravis Kalanick氏はこれが原因でリーダーの座から退いている(少なくとも一時的には)。また、Lyftのアプローチは明確だ。彼らはUberとは違い、自社で自動運転技術を開発しようとはせず、パートナー企業との共同開発を目指している。

Uberもまた、自動車メーカーと手を組んで彼らをUberの配車プラットフォームに加える動きを見せていた。UberとLyftの両社はともに、未来の配車サービスと乗客をつなぐ役割を担いたいと思っているようだ。また、自動車メーカーたちは、すでにノウハウを持つUberやLyftと手を組むことで、自分たちで新しくビジネスを始めるよりも、複雑で困難な問題を避けながらこの業界に参入したいと思っているようだ。

JaguarがLyftに車両を提供したという事実は非常に興味深い。ビジネスとして成り立つ自動運転技術が生まれる前に、このパートナーシップによって両社による共同サービスが誕生する可能性がある。長らくのパートナーであるGMからの買収の話しをLyftが断ったのは、このJaguarとの提携交渉が進んでいたからなのかもしれない。

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UberとLyft、オースチンでの営業を再開へ

UberとLytfはテキサス州オースチンでの営業を2016年に中断した。当局が両社の事業を困難にする規則を強制したためだという主張だった。規則には、ドライバーの指紋に基づく身元調査の要求や、市内の一部道路での乗降禁止などが含まれていた。このほどUberとLyftはいずれも営業を再開することになった。テキサス州議会で、乗り合いサービスに関する地域規制を覆す法案が通過したためだ

グレッグ・アボット州知事は月曜日(米国時間5/29)に新しい法案に署名する。両社は同日にサービスを再開するとThe Texas Tribuneが報じた。正式にはHB 100と呼ばれる同法案は、実質的にオースチン市当局が制定した規則を覆すものであり、州内の相乗り事業の要件を統一し、年間費用のかかる州の認可を必要とする。身元調査は地域、州、および国レベルで実施する必要があるが、指紋の提出は求められない。

Uberは月曜日にオースチン市で事業を再開することを正式に表明し、広報担当のTravis Considineを通じてTechCrunchに以下の声明が送られてきた。

オースチンはテクノロジーと起業家精神を育む場所であり、この町に戻ってこられることを嬉しく思う。当社の地域チームはUberがオースチン市民の役に立つよう、またドライバーが利益を得られるよう全力を尽くす。この都市ですべき仕事はまだたくさんあるが、今後を大いに楽しみにしている。

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極少額の投資や寄付を勧める動き


【編集部注】著者のPatrick Wallenは、弁護士でありRubicon Venture Capitalのフェロー。スタートアップとVCのプロフェッショナルである(この著者による他の記事:How Trump will impact venture capital: The future of QSBS)。

#DeleteUberの数が増えるにつれて、Lyftは自らを善意の提唱者であると宣伝する機会を、巧みに掴み取った。大衆からの支持を得るための試みの一環として、Lyftは乗客1人ごとに一定の寄付を開始する。

これは3月下旬に発表された“Round Up&Donate”(切り上げて寄付)計画に従うものだ。Lyft利用者は、運賃をドル単位で切り上げて(ランドアップ)その差額を寄付することを選べるようになる。たとえば、元の運賃が8ドル50セントだったとすると、利用者の支払い金額は9ドルとなり、差額の50セントはACLU(アメリカ自由人権協会)へ寄付され、市民の自由を守ることになる。

Term SheetStrictlyVCをフォローしている人たちは、個人投資または非営利支援のためのラウンドアッププログラム(切り上げプログラム)をサポートするために、かなりの投資が行われて来たことを思い起こすだろう。例えばPayPalや楽天のような大手のテクノロジー企業が、カリフォルニア州ニューポートビーチにあるAcornsに投資を行って来た。

6000万ドル以上の資金を持つAcornsは、ユーザーが買い物をする時の金額を切り上げて、その釣り銭を自動的に投資に回すことによってマイクロ投資を可能にするサービスを提供する。

AcornsのCEOであるNoah Kernerは、ラウンドアップ投資の事を「特に若い人たちとって、お手軽に(投資を)始める方法の1つです」と説明している。「そして私たちは、お客様たちが更なる投資を行うことのできる機能を提供しています」。

Acornsは、運用を開始して最初の8ヶ月の間に、2500万ドルの資金を調達したが、その利用者の4分の3は18歳から34歳だった。

Kernerによれば、釣り銭を使って投資することは「本当に無意識に行なうことができます」ということだ。彼は、「コーヒーを飲むことを我慢して、未来のスターバックスに投資せよ」といった古い金融格言を引用しながら、「しかし人びとの振舞を根本的に変えることは難しいことです。無意識の内にそうしたことを自動的に支援してあげる方が簡単です」と語った。

モバイル経済が2020年までに倍増し、1000億ドル以上になると予測される中で、企業たちは、こうした傾向に対応するために若年層に向けての努力を重ねている。米国の世帯の約65%が少なくとも1件の寄付を行なう中で、ミレニアム世代の85%近くが寄付を行っている。Millennial Impactレポートによれば、ミレニアム世代が最も寛大な世代であると主張する者もいる。

このマーケットに可能性見出しているのが、スタンドアロンアプリのCoin Upの CEOであるLeena Patidarだ。Coin Upは、Apple Storeに初めて登録されたモバイル寄付アプリの1つだ。Patidarは私にこう語った「(Appleは)当初、私たちを受け入れませんでした。Appleが私たちを承認するのは大変なことだったのです」。そして今彼女の会社には、マイクロ寄付の民主化に向かうライバルのDropsが加わった。

PatidarはLyft幹部とプログラムについてのコンサルティングを行い、切り上げの「主流化」をサポートしている。彼女は、Coin Upが若いユーザー層に合わせるようにデザインされていることから、顧客たちが自身のラウンドアッププログラムを実施し、寄付の上限を設定したり、寄付先のリストからの選択を行なうことができると話した。Kernerのコーヒーショップ訪問の格言に触れて、Patidarは「そうしたラテは高くつく可能性がありますね。寄付が何処に行くのか、どの程度の金額まで出て行くのかについて、制御する必要があるでしょう」。

Patidarによれば、彼女のアプリは、「特別な催しものに対する500ドル」はおそらく用意できないものの、「何かより大きな動きの一部として寄与したいと願う」ミレニアム世代向けのものだ。

App Storeの中では新しい種類のアプリたちであるにもかかわらず、少額寄付に関わる他の気にすべき傾向を見せるものもある。“America’s Charity Checkout Champions”を隔年で出版するEngage fo Goodの、コミュニケーション責任者であるMegan Strandは、POS(Point of Sale)業界とラウンドアップ寄付戦略の専門家だ。

Strandは、特に今年は、ラウンドアッププログラムに多くの「不満」が見られたと述べている。まだ出版されていないものの、私は彼女の調査に関する早期レポートに関して問い合わせを行うことができた。Strandは、1ドル以下の寄付は「促しやすいので」とコメントしつつ、現在のトレンドはラウンドアップ寄付に向かっていると語った。Strandは、これまでキャッシュレジスタで固定額の寄付を行えるようにしていた組織が、今やラウンドアップをオプションとして追加し、実際上これをディフォルトオプションにしつつあるという、初期の調査結果に驚いていた。

もし私たちが少額寄付を謳う壮大なストーリーで、ちびちびと小銭を巻き上げられているだけなのでは考えるのなら、Strandが挙げる事例に目を向けてみよう。例えばJC Pennyはラウンドアップ寄付を用いて、1年で300万ドル以上の寄付を集めた。POSに似たプログラムで固定額の寄付を提供できるeBayは同じ年に6000万ドルを集めている。そしてBank of America(BofA)の”Keep the Change”(釣り銭をとっておこう)プログラムは、その開始以来30億ドルを集めているのだ。Strandは、より親しみのある固定POS寄付が、最終的には非営利団体の総額を上げるという点で、ラウンドアップ戦略に道を譲るかどうかは、疑問視している。

誰もがマイクロ寄付の有効性について確信しているわけではない。イェール大学の経済学の教授であり、Impact Mattersの共同創業者であるDean Karlanも、こうしたラウンドアッププログラムが本当に寄付を増やすかどうかに関しては疑問を抱いている。Karlanは、上で触れたBofAの”Keep the Change”プログラムでの、1人当たりの平均額が小さいことを挙げて、こうした釣り銭を寄付することで結果的に「暖かくふんわりとした感覚」を私たちが得てしまい、そうして頭の中に生まれる「チャリテイボックス」によって結果的に後の大きな寄付が妨げられるのではないか、と心配している。私がKarlanと話した際には、ラウンドアップ寄付をすることで、「本当の姿よりも自分が利他的だという誤った感覚」に陥ってしまうのではないかと語っていた。

彼は語る「物を買うための取引コストが下がってきています。今や衝動的に慈善団体を作るのは10年前よりも簡単です。それについて深く考えることなく、ただ数回のクリックを行なうだけというのは、良くないことかもしれません」。Karlanは「私はデータを信じます」と宣言し、アカデミックの世界は「真の効果についての実際の証拠を待っているのです」と述べた。そしてLyftは何が上手く行くことなのかを示すための絶好のポジションにいると指摘している。最終的にKarlanは、このお手軽な寄付が、実質的な寄付を、増やすのかそれとも置き換えるのかがわかるまでは、Lyftのプログラムに対する賞賛は控えようと考えているのだ。

Strandは、ラウンドアッププログラムの広がりの見通しに対して熱心だが、すべてのプログラムが均等に扱われるわけではない。「Lyftが何をするのかに興味があります」とStrandは言う。「彼らにとってのチャレンジは、ユーザーに対して何故、そしてどのようにオプトインするのかを伝えることなのです」とStrand。「もしLyftがこれを続けるならば、それを正しく行って、それを積極的に推し進めることを願いますね」。そして以下のように付け加えた「これをアプリの誰も気にしない様な深い場所に埋め込んでしまうなら、間違ったやり方だということになります」。

何百万人ものユーザーに寄付を促すことには大きな影響を期待できるものの、Strandが指摘するように、ユーザーはなによりもまず、オプトインする必要がある。ただし、これはCoin UpのPatidarや、AcornsのKernerにとっては問題ではない。

「アプリをダウンロードする時点でオプトインすることになりますから」とKernerは言う。しかしLyftにとっては、このことは重要だが簡単なことではない。Libertarian Paternalism Is Not an Oxymoron(自由主義者の保護主義は語義矛盾ではない)という論文の中で、行動経済学の父Richard Thalerとその同僚であるCass Sunsteinは、オプトインを支える科学を探求し、人びとが現状維持に偏ることを説得力のある形で議論している。

これはLyftにとっては悪い知らせだ。 最近発表されたように、彼らはまずAndroidユーザーたちが、アプリ設定の中でプログラム参加を行えるようにする。つまりオプトインさせるということだ。もしその代わりに、オプトアウトを採用するならば、労なく金を集められるようにするようなものだ。

第3の選択肢は、ユーザーに明示的に選択させることだ。ThalerとSunsteinは、こうした強制的な選択は、オプトインを必要とするものよりも高い参加率をもたらすが、オプトアウトを要求するものよりは低い参加率になると結論付けている。

オプトアウトをデフォルトとすることに対して反対する者は、しばしば個人の自主性や、純粋な選択肢を持つ自由を理由に挙げている。しかしながら、例えば人生の早い時期で投資をしないことを選択するようなことが、個人的な利益にとっておそらく害になるということを知りながら、人間はしばしば愚かな選択をしてしまう。30歳未満の米国成人で株式で資産を持っているのは、25%強程度に過ぎない、という報告もある。これこそが、Kernerが人びとを「正しい」方向へ誘うというアイデアに熱心な理由だ。彼は言う「若い人たちは投資に意識が向いていません」だからこそ「Acornsが優しく誘うのです」。

Kernerは「早くから投資家になることは正しい選択です。顧客には多大な敬意を払っていますが、私たちはそのための水先案内人となろうとしているのです」と語る。

またその一方で、もしミレニアム世代が社会活動に寄付を行いたいと思っているのなら、そちらへのより広範な参加を促すようにデザインされたシステムを用いて、ミレニアム世代を誘うのも良いことだろう。

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(翻訳:Sako)

Uber騒動を横目に、LyftとWaymoが自動運転車で協力

LyftとWaymoは、自動運転車の技術を共同開発している。これに関する新しいニュースが日曜日のNew York Timesに掲載された。このニュースの内容は双方から確認済だ。元Googleの自動運転車ユニットは、配車サービス会社と協力して、乗用車サービスを介し一般市民に自動運転を提供しようとしている。

Waymoはアリゾナ州で自動運転テクノロジーのパブリックパイロットを開始したばかりだ。この実験では市内で働く人全員に開放されたアプリケーションによって、オンデマンドで家族をピックアップすることが可能だ。利用される車両は社内開発の自動運転テクノロジーが搭載されたクライスラーパシフィカのミニバンである。当初Waymoのサービスは限られているものの、Lyftのようなパートナーを巻き込むことによって、デマンドモデルや効率的なルーティングなどを必要とするビジネス的側面の開発に役立つ。

これは興味深いパートナーシップだ。なぜなら、これはWaymoの既​​存の自動車メーカーとの提携(Chryslerや協議中のHondaとの提携を含む)に対する、更なる別のパズルピースとなるからだ。Waymoは、自動運転サイドの技術パートナーとしての地位を確立している。彼らは必須のサービスプロバイダーではあるものの、必ずしもビジネス全体を支配することに関心のあるプレイヤーではない。Lyftは、Waymoの既​​存の自動車メーカーパートナーに、最終的な利益をもたらすパズルのもう一つのピースを提供し、さらに多くのメーカーを引き付けることを助ける。

Uberも似たような提携関係を結びつつあり、その第1号がMercedes-Benzの親会社であるDaimlerとのものだ。しかしLyftは、自動運転車を社内で製造することに対しては関心を表明していない。その代わりに、既に発表されているGMとのパートナシップを締結している。この提携は、GMが買収した自動運転技術会社Cruiseを使った自動運転車の展開につながる可能性が高い。

これは、Waymoが、多くの人が考えていたよりも、その技術が商用化に近づいている可能性があることを示す最新の動きだ。このAlphabet所有の会社(Waymo)は間違いなく、自動運転の世界では、最も経験が深く、10年近い開発を続けており、実際の運転経験も豊富な企業だ。

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(翻訳:Sako)

Uber、秘密アプリでLyftドライバーを追跡した疑いで訴えられる

Uberがまた一つ訴訟を抱えた。今回は、”Hell” と呼ばれるプログラムを使っているという疑いについてだ。原告のMichael Gonzalesは、Uberがこのソフトウェアを使ったとされる時間にLyftのドライバーとして運転中だった。彼は500万ドルの集団訴訟を起こすことを検討している。

Uberは内部で“Hell” と呼ばれている秘密のソフトウェアを使ってLyftを追跡していた疑いがある。このアプリを使うとUberはLyftドライバーが何人乗車可能で料金はいくらなのかを見ることができるという。Hellは、誰かがUberとLyftの両方でドライバーをやっているかどうかも調べられるとされている。

カリフォルニア州北部地区連邦地方裁判所に提出されたこの訴訟は、UberがLyftドライバーのプライバシーを著しく侵害し、カリフォルニア州プライバシー法および連邦盗聴法に違反しており、不当競争に関与していると主張している。

Uberは、The Information誌が当初報じたLyftとUberの両方に登録しているドライバーに優先順位をつける「優先配車」の部分については否定している。ただし、Hellの存在そのものについては確認も否定もしない。しかしこの裁判の性質上、原告はUberがそのようなプログラムを所有していたかどうかを証明する情報を、開示期間中に請求できる。

Uberはこの訴訟に対して21日間の回答期間が法的に認められている。本誌はUberにコメントを求めている。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

オースチンの町はUberとLyftなしでやっていけ・・・なかった

約1年前にUberとLyftがいなくなったオースチンで数日間過ごしたあと、私はこの街が相乗りの両巨人なしでも問題なくやっていることについて記事を書こうとアイデアを練り始めた。

昨年5月にUberとLyftが去って以来、様々な代役が登場した。例えばRide AustinFastenFareなどは事実上Uber、Lyftと同じ体験を提供している。地図で場所を指定すれば車がやってくる。どの会社もオースチンの身元調査法を遵守しており、中にはドライバーや乗客から徴収する金額の低い会社もある。

UberとLyftがオースチンの指紋採取に基づく身元調査の要求を、頑なに拒否してきたのは間違いだったのではないかと私は思い始めた。実際、米国の一主要都市が、こうして両社がいなくても困らないことを示しているではないか。

それも困るまでのことだった。

SXSW最大の夜ともいえる昨夜は雨だった。そして誰もが車に乗りたかった。ちょうどその時、アプリは次々とダウンした。多すぎる要求に耐えられずRide AustinとFastenは事実上文鎮化した。読み込み中画面のままになるか利用できる車はないとしか言わなかった。実際には車は走っていた。

乗客は足止めを喰らい、ドライバーは客と結びつく術もなく街を走り回った。

私は何人かの(タクシー以外の)ドライバーが現金か[デジタルキャッシュの]Venmoを受け取って客を乗せているという話を聞いた。それは、UberとLyftがいなくなった直後、規制に沿ったライバルたちが取って代わるまでの間を彷彿とさせる光景だった。当時はメンバー3万人のFacebookグループで、ドライバーが現金と引き換えに乗客を誘っていた。

Ride AustinはFacebookの投稿に、午後7:15から深夜まで断続的にダウンを繰り返し、「データベースに発見されていなかった問題があり、スケールテストの際に発覚しなかった」ことが理由だと書いた。またFastenもオースチンの地元紙に、雨とSXSWが重なったためアプリに「通常の12倍のアクセスがあった」ことがクラッシュにつながったと伝えた。

会社はSXSWを犯人扱いしているが、ドライバーによれば、大晦日やAustin City Limitsのイベントなど需要の高い夜にはしょっちゅうアプリがオフラインになっているという。

UberとLyftの二社寡占に不満を言う人々はいるが、両社が技術的問題によって乗車できなくなることのない安定したプラットフォームを提供していることは認めざるを得ないだろう。

今日は何事もなく過ぎているようだが、UberとLyftがいなくても都市は問題なく機能する、ということを証明する機会をオースチンが逃したことは間違いない。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

ソフトバンク、Lyftなどの株式を保有するFortress Investment Groupを33億ドルで買収

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ビジネス戦略およびポートフォリオ投資の拡大を目指し、日本のソフトバンクが新たな買収を発表した。本日、ソフトバンクは33億ドルでFortress Investment Groupを買収すると発表した。Fortless Investment Group(以下Frotress)は、LyftやZestFinance、Xapo、Jawboneなどの株式を保有する投資会社だ。

ソフトバンクとFortressが関わりをもつのはこれで2度目となる。ソフトバンクはこれまでに1000億ドル規模の投資ファンド「Vision Fund」を新たに創設している(Appleも同ファンドに10億ドルを出資)。そして、そのVision Fundを指揮するのが元FortressのRajeev Misra氏なのだ。

この発表の前にも、ソフトバンクによるFortress買収の可能性を伝えるニュースが報じられていた。

この買収は、ソフトバンクの壮大な投資戦略の一部である。同社はこれまでに、Nikesh Arora氏による指揮のもとでテック企業へのアグレッシブな投資戦略を打ち出していた。しかし、Arora氏が同社を離れ、イギリスのARMを240億ドルで買収した後、その投資戦略のスピードは衰えていた。

ソフトバンクCEOの孫正義氏によれば、今後FortressはVision Fundに「寄り添うかたちで」協働していくものの、主要人物であるPete Bringer氏、Wes Edens氏、Randy Nardone氏による指揮のもとでFrotressの独立した経営は維持されるという。

「Fortressの素晴らしいトラックレコードが彼らの優秀さを物語っています。彼らのリーダシップ、幅広い専門知識、ワールドクラスの投資プラットフォームからソフトバンクは恩恵を受けることができるでしょう」と孫氏はプレスリリースの中で語る。「この買収によって、ソフトバンクグループ、そして間もなく確立されるであろうVision Fundプラットフォームのケーパビリティを即座に拡大することが可能です。また、サステイナビリティのある長期的な成長を可能にするための広範かつ統制された投資戦略である『ソフトバンク2.0』を加速させることにもつながるでしょう」。

「ソフトバンクは孫正義氏の指揮のもとで急成長してきた非常に素晴らしい企業です」とFortress共同会長のPete Bringer氏とWes Edsens氏は語る。「シェアホルダーに大きな価値を提供ながら、当社がソフトバンクの一員となって素晴らしい未来を築くという合意に達することができたことに喜びを感じます。私たちはこれから、巨大なスケールとリソースを持ち、パフォーマンスとサービス、そしてイノベーションにフォーカスするという当社の企業文化と同じカルチャーをもつソフトバンクに加わることになります。これは私たちの投資家やビジネスに多大な恩恵を与えるでしょう。当社の先行きをこれほどまでに楽観視できたことは過去にありません」。

ソフトバンクによれば、今回の買収はFortressの特別委員会および取締役会から全会一致で承認されたという。

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(翻訳:木村 拓哉 /Website /Facebook /Twitter