マイクロソフトの新Officeアプリ、Swayが一般公開


Microsoftのプレゼンテーション作成オンラインツール、Swayが一般公開された。これまでは、ウェイティングリストに登録しなければならなかった。。

Swayが公開されたこと自体は驚きではない。おそらくやや意外だったのは、Microsoftが同製品の提供時期について書いたブログ記事で発表した数字だろう。

彼らはこう言っている:

Swayのプレビュー版を発表してからわずか10週間しかたっていないが、既に100万人以上のユニークビジターがSway.comを訪れ、17万5000人が申し込んでおり、その数は毎日千人単位で増えている。

10週間は70日間なので、これまでSwayには1日当たり平均1万4285人が訪れ、2500人が登録していることになる。トラフィックに関する実数はもう少し大きいと思われるが、Microsoftが「100万人以上」としか言っていない以上、これ以上正確なことははわからない。

正直なところ私には、Swayのような製品がどれほどのトラフィックを集めるのか想像できなかった。おそらく大会社の製品であることが有利に働いたのだろう。しかし、ウェイティングリストで待さされることが、トラフィックと登録の障壁になっていたに違いない、少なくとも今までは。

Microsoftには今後も数字を公開し続けてほしい。

Swayは興味深い製品であり、通常のOfficeスイーツの異なり従来型のファイルを持たない。つまり、クラウドのために作られたアプリだ。もちろんMicrosoftは、Officeをクラウド製品に転換させ、定期利用料ベースで販売できるよう取り組んでいる。果たしてどこまで成功するのか、見てみたいものだ。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook


Nookプロジェクトを下りたMicrosoftは一日にいくら損をしたか

Barnes & NobleがAmazonのKindleに対抗して立ち上げたNookプロジェクトが行き詰まり、Microsoftとのパートナーシップは不名誉な終わりを迎えた。B&NはMS社に、わずかばかりの手切れ金を渡すことになる。

公式の提携終結文書によると、MicrosoftはB&N社の3億ドル相当の優先株のすべてを、(i)6242万5006.63ドルのキャッシュと(ii)273万7290株の普通株と引き換えに売ることになる。

Barnes & Nobleの株価は今日急落し、さきほどまた6%強下げて20.88ドルだったから、Microsoftの持ち分は1億1960万ドルになる。巨額ではあるが最初の3億ドルの投資に比べると、ずっと少ない。

1億8040万ドルの減価だ。

このほかに、契約の中にはMicrosoftからの支出項目がいくつかあり、また、ジョイントベンチャーの部分的オーナーとして得られたかもしれない収益(得られなかった収益)も、理論的には損失として計上できる。が、ここでは面倒な計算を避けよう。

Nookのパートナーシップから返金がある現状では、Microsoftが今後このプロジェクトに資金を投ずることはありえないだろう。B&Nは現状でとりあえず、Microsoftに金を払えるのだから。また収益については、それがあればMicrosoftの分け前もあるはずだが、公式文書にその方面の情報はない。で、今後の投資や収益配分についても、この記事では無視。

Microsoftはパートナーシップから得られた収益についてコメントを拒否したが、もしそれがあれば、失敗したパートナーシップによる損失は、(理論としては)そのぶん少ないはずなのだ。

このパートナーシップが発表されたのは977日前だから、1億8040万ドルの損失をその間の日割りにすると18万8331ドルになる。大金だが、実際に何かに使った金ではない。3年近く、毎日20万ドル近くを燃やしてしまったのだから、高価な火遊びだが、Microsoftの総現金保有額や各四半期の所得の額に比べれば、取るに足らない。

仮に、Microsoftに5000万ドルの収益があったとしても、一日の損失は10万ドルを超えている。それなら、Fabの苦境時よりも少ないけど。

それに、Nookによる損失は、悪名高きSurfaceの償却に比べれば大したことない。さらにここで、最近のAmazonのFireスマートフォンの在庫処分の話を持ち出せば、Nook、Surface、Fireスマートフォン、いずれも、ハードウェアビジネスはハードだ、ということの典型例だ。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Windowsアプリケーションをクラウドで動かすMicrosoftのAzure RemoteAppがベータを終えて一般公開へ

5月にMicrosoftは、 同社のAzure RemoteAppサービスの公開ベータを発表した。名前のとおりこのサービスは、ユーザがアプリケーションを仮想化してAzure上で動かし、リモートでそのアプリケーションを利用する、というものだ。ユーザの使用機はWindows PCでもMacでもモバイルでも何でもよい。そして今日Microsoftは、 RemoteAppが12月11日にベータを終え、SLAも提供される、と発表した

それまでAzureのアカウント保有者が無料で使えたRemoteAppは、一般公開とともに有料制になり、月額10ドル(40時間まで)プラス従量制(1時間0.175ドル、上限17ドル)のベーシックプランと、月額15〜23ドルのスタンダードプランの二つのプランが提供される。後者は、Officeのような大型アプリを使う場合に向いている。なお、一般公開されてから最初の30日は無料の試用期間だ。

Microsoftはかねてからクラウドのハイブリッド(パブリック+プライベート)展開を重視しているので、RemoteAppはも企業ユーザが自社のサーバ上で自社のアプリケーションをホストするためにも使える。そのためのサーバアプリケーションとしてMicrosoftは、Remote Desktop Session Hostという、まさにその名のとおりの機能を持つソフトウェアを提供する。社員は自分の会社の認証情報(Active Directoryを含む)や、自分のMicrosoftアカウントで、これにサインインできる。

これらすべての、大企業にとってのアドバンテージは自明だ。企業のIT部門は、社員たちが使う主なアプリケーションをすべてAzureにインストールしたことによって、それまでの面倒な日常的作業から解放され、日常のアドミンワークが楽になる。これまではCitrixのXenAppなどが同様のサービスを提供していたが、従来ずっとサードパーティ任せだったMicrosoft自身も、今後ますます大きくなるエンタプライズクラウドサービス市場を、自己の収益源の一環にする気になったようだ。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


マイクロソフト、クリップアートを廃止

次世代のギークが経験しない物はたくさんある。

隣の部屋で両親が寝ている時の56Kモデムがつながるる音。

CDを焼く。

どこかに居て、何かがわからない時「それと向き合う」しかない状態 ― なぜなら人類の集合知の入ったコンピューターの入るポケットがないから。

消え行く過去最新の大物は? クリップアートだ。

Microsoftは先ほど、Office製品からクリップアートの最後の痕跡を消し、代わりに画像を必要とするユーザーをBingイメージ検索に誘導することを発表した。なぜか? 殆どの人たちは、どうせ画像をオンラインで入手しているから。

Bingのイメージはベクトルデータではなく(よってリサイズ不可)、おそらく90年代の物ほど輝いていないだろうが、少なくとも選択肢ははるかに増える。Officeに組み込まれるBingイメージ検索は、事実上通常の検索エンジンに入っているものと同じだが、クリエイティブコモンズ・フィルターのスイッチが標準でオンになっていて商業利用を可能にしている。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook


Microsoft、メールアプリ、Acompliを2億ドルで買収―Gmailなどライバルのサポートも継続

感謝祭の直前にMicrosoftのブログがモバイル・メールアプリのAcompliを買収するつもりだとうっかり漏らしてしまった。この記事はすぐに削除されたが、今日(米国時間12/1)、両社は買収を公式に確認した。2億ドルの買収の一環として、24人ほどのAcompliチームはMicrosoftに参加する。

Recodeが最初の2億ドルという数字をつかんだが、われわれも別途この金額を確認した。支払いは全額キャッシュだという。

買収のニュースを伝えるAcompliのブログ記事によると、「18ヶ月前、われわれはモバイルメールは改善できるというという考えのもとにチームをスタートさせた。今日、われわれはテクノロジー、人材、販売力ともに大きな組織の一員となって努力を続けることとなった。Acompliのビジョンを世界中の何億人ものモバイル・ユーザーに拡大するチャンスだと期待している」ということだ。

AcompliはRedpointその他のベンチャーキャピタルから730万ドルを調達して、メール、カレンダー、ファイル共有をモバイルから一括管理できるパワーユーザー向けツールの開発にあたってきた。CEOのJavier Soltero、Kevin Henrikson、J. J ZhuangらのAcompliチームに投資することに「まったくためらいはなかった」とRedpointのSatish Dharmarajは、今朝のブログで書いている

Microsoft社内で、AcompliはOffice 365事業部内の独立グループとしてiOSとAndroid向けメールアプリの開発に当たる。Acompliアプリ自体はすでにMicrosoft Exchangeメールをサポートしており、Office 365のファイルにもアクセス可能だが、Microsoftの買収にともなってさらに本格的な統合が行われるのだろう。

AcompliアプリがMicrosoft Exchangeのライバルのメールサービスのサポートを終了する計画がないというのは興味深い点だ。現在このアプリはExchangeの他に Gmail、Google Apps、iCloud、Yahooなどをサポートしている。Acompliの初期のユーザーの大部分はMicrosoftのライバルのサービスを使っていた。つまりMicrosoftはライバルのサービスのメール・クライアントをサポートすることになる。AcompliのユーザーにはMicrosoftのメール(Exchange、Outlook.com /MSN/Hotmail)やクラウドサービスを使わない、いわゆる「Google化してしまった」企業ユーザーも多い。

これはMicrosoftにとって大きな方針の転換だ。2年前だったらMicrosoftがGmailをサポートするメールクライアントを運営するなどとは想像できなかっただろう。

もちろんMicrosoftが期待しているのはAcompliのビジネス上の可能性だ。Microsoftとの交渉が始まる前に、 AcompliはすでにFortune 500の大企業をパートナーとしてエンタープライズ・システムの実験を行っていた。最終的な目的は大企業向けの有料メールシステムの構築だろう(現在、Acompliは無料アプリで、App StoreとGoogle Playに登録されている)。

Acompliが最終的にどのようにMicrosoftのビジネスに統合されるのか、Microsoftブランドに切り替えられるのか、他のMicrosoftブランドの製品とバンドルされるのかなどまだ不明な点が多い。しかし当面Acompliは他の生産性ツールとの統合ではなく、メールに集中するものとみられる。Acompliの核心はやはりメール処理であり、カレンダーやファイル共有機能はあくまでメールを補完するという位置づけだ。

Microsoftは最近モバイル分野に努力を集中しているが、その戦略は以前と異なり、Microsoftの世界に閉じこもるのではなく、エコシステム全体と協調していくことを目指している。これはMicrosoftという巨人にとって驚くべき新思考といえるだろう。Microsoft、自身がDropboxのライバル、OneDriveを運営しているにもかかわらず、最近、Dropboxとより密接な連携を目指す提携を発表している

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+


モバイル版Dropbox、Microsoft Officeとの連携機能を実装してバージョンアップ

今月初めに、DropboxとMicrosoftが提携する旨のアナウンスがなされていた。Microsoft Office Suiteとの連携を深め、Dropboxのモバイルアプリケーション内で、直接にOfficeドキュメントを編集したりできるようにするという話だった。この話が現実のものとなり、Android版およびiOS版のアプリケーションがリリースされている(訳注:日本向けのリリースは確認できていません)。

Dropboxのブログによれば、Dropboxアプリケーション内からOfficeドキュメントを編集することが可能となり、またOfficeからも直接にDropbox内のファイルを操作できるようになった。新機能を利用するには、まずアプリケーションを最新版に更新する必要がある。するとドキュメント、スプレッドシート、あるいはプレゼンテーションファイルをそのまま操作できるようになるのだ。

最新アプリケーションでは、上の図で示した「Edit」アイコンから新しいモバイル版Officeアプリケーションに移動して編集作業を行う。編集終了時には、変更内容がすべてDropbox上のファイルに反映されることとなる。

DropboxとMicrosoftが、幅広い提携関係を築こうとしていることに驚く人も多いことと思う。MicrosoftもDropboxの競合となるようなOneDriveというサービスを提供しているからだ。しかしDropboxの方が圧倒的なシェアを握っており、ビジネスユーザーも8万を数える中、Microsoftとしては手を結ぶ方向に考えをシフトしたのだろう。

ちなみに、冒頭に示した以前の記事にもあるように、両社の提携は4つの分野に及ぶ。まずモバイル版Dropboxから、Officeドキュメントを簡単に扱えるようにすること、そしてOfficeアプリケーションから直接にDropbox内のファイルを操作できるようにすること、Dropbox上のファイルへのリンクをOfficeでシェアできるようにすること、そしてMicrosoftのスマートフォン向けにDropboxを開発することだ。

原文へ

(翻訳:Maeda, H


二つの復活劇


今日(米国時間11/25)の通常取引時間中、Appleは時価総額7000億ドルを突破した。目覚ましい業績である。同社株はその後やや値を下げたが、IT巨人のこの強力な復活は否定のしようもない。Apple、かつて解散すべきとまで言われたほど取るに足らない存在だったこの会社は、今や世界で最も価値あるIT企業であるだけでなく、世界のあらゆる業界で最も価値ある公開企業である。

豆知識:最も価値のある上位四大公開企業のうち3社は、私が最後に調べた段階でIT企業である。Apple、Microsoft、およびGoogleが、ExxonMobilと共に上位4傑を分け合っている。

しかし、最近の四社間における順位の変動、およびAppleとライバルとの差の広がりは、2つの復活劇を浮き彫りにしている。MicrosoftとAppleは、共に現CEOが指揮官の座を引き継いで以来、株価を上昇させている(Appleは2012年から2013年初めにかけて困難な時期を経験しているが、それらの下落がその後帳消し以上にされたことは注目に値する)。

Tim CookがAppleを引き継いで以来、同社の株価は119.9 %上昇した。そしてMicrosoftも、Satya Nadellaの就任以来31.58 %株価を上げている。ちなみに、NadellaはCEOになってから1年未満であり、Cookは2011年以来指揮をとっているので、使い得た時間は後者の方が少々長い。

どちらの会社とも、今年すばらしい業績を上げている。例えばAppleは、今年に入ってからだけで、48 %前後高値をつけている。

こうした復活について、いつまでその伸びを維持できるかを問うのは正当な質問だろう。Appleは、iPadの売上が減少すると見られている。MicrosoftのSaaS分野における新事業への取り組みは、他の収益源と比べて未だに極小である。しかし、両幹部ともこれまでの実績は、少なくとも財務面から見て、満足のいくものだと言える。
次なる質問は、それぞれの会社の株価上昇のうち、どの部分が指揮官によるものであり、どの部分が既存の企業推進力によるものかである。この質問にどう答えるかによって、どちらの会社も買いにも売りにもなる。よく考えてから、賭けどころを見極めることだ。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook


Microsoft、Visual Studioフルバージョンを5人チームまで完全無料化

今日(米国時間11/12)、Microsoftは Community 2013エディションの Visual Studioリリースした。これは数年前から提供されている多くの制限のかかったVisual Studio Expressを置き換えるプロダクトだ。

Visual Studio ExpressとVisual Studio 2013 Community Editionは比べ物にならないほど大きな差がある。新バージョンはエクステンションをサポートするので、Visual Studioエコシステムに存在する5100以上の エクステンションが利用できる

ひとことで言えば、新しいコミュニティー・エディションはVisual Studioフルバージョンの無制限、無料版ということだ。ただひとつの条件は、5人以下のチームでしか使えず、エンタープライズでは利用できないことだけだ。しかもユーザーは商用、非商用を含めてあらゆるアプリケーションの開発に用いることができる。

Microsoftのデベロッパー事業部を担当するコーポレート・バイスプレジデントのS. “Soma” Somasegarは先月行った私の取材に対して、「一言でいえば、われわれはVisual Studioへのアクセスを大きく拡大するということだ。Community Editionはウェブ、モバイルデバイス、デスクトップ、クラウドを含めどんな種類のアプリでも開発できるフルバージョンのVisual Studioだ。Visual Studioエコシステムのの豊富なエクステンション資産を完全に利用できる」と語った。

つまりデベロッパーは、Peek、Code Analysis、Graphical Debuggingを始め、ありとあらゆるVisual Studioツールが利用できる。

今回の決定でVisual Studioは基本的にフリームアム・モデルとなった。Microsoftは今日、 Visual Studio Online (これにも数多くのアップデートが加えられた)に新しい有料ツールを公開した。Microsofttはこれらのプロダクトから収益を上げる方向に舵を切った。Visual Studio IDEがそのゲートウェイになる。無料化でVisual Studioを利用するデベロッパーが大きく増えれば、MSDNのサブスクリプションを始めとして有料プロダクトの利用者も増えるという目論見だ。

当面Express Editionの公開も続けられるが、最終的にはCommunity Editionが取って代わることになる。

私はMicrosoftのクラウドおよびエンタープライズ担当エグゼクティブ・バイスプレジデントのScott Guthrieに電話で取材した。「Community Editionの公開で、クレジットカードを取り出したり、特別プログラムに参加する手続きをせずに誰でもVisual Studioを使えるようになった」とGuthrieは説明し、「Visual studioは誰からも賞賛されているが、大学生や大学を出たばかりのデベロッパーは金を払いたがらないからね」とジョークを飛ばした。「そこで、さらに多くのデベロッパーがこのプロダクトを毎日使うようになるよう、われわれは敷居を大きく下げることにした」のだという。

Visual Studio Onlineの無料版とAzureの無料版を組み合わせれば、商用版の本格的モバイル・アプリ、ウェブアプリが完全に無料に開発できるようになった。

〔Microsoftは同時に.NETのオープンソース化とMac、Linuxへの移植を発表した。〕

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+


Microsoft、.NETをMac、Linuxに移植、サーバ・サイドをオープンソース化すると発表

Microsoftの.NETフレームワークはこの12年にわたっってWindowsでアプリケーションを開発するデベロッパーのプログラミング・モデルとなってきた。今日(米国時間11/12)、Microsoftはデベロッパー・ツールのクロスプラットフォーム化の努力を一歩押し進め、近く.NETをMacとLinuxに移植することを発表した。同時に、.NETのサーバ・サイド(クライアントの.NETではない)のコア・スタックを次のバージョンからオープンソース化するという。

Microsoftはすでに今年に入って.NETコンパイラをオープンソース化しているから、今回の決断もまったくの不意打ちというわけではない。それでも多くの専門家は“Microsoft”という言葉と“オープンソース”という言葉が同一の文章の中で使われることに驚きを隠せないかもしれない。

Microsoftのデベロッパー事業部を担当するコーポレート・バイスプレジデントのS. “Soma” Somasegarは私の取材に対して、「.NETフレームワークを利用してプログラミングを行っているデベロッパーは600万人程度だ。普及の点でわれわれは大成功を収めている」と述べた。問題はこの成功をベースにさらに前進するにはどうしたらよいかだ。

しかし、サティヤ・ナデラがCEOに就任した後のMicrosoftの動きをよく観察すれば、今日の決定も納得できるだろう。たとえば、今年のBuildデベロッパー・カンファレンスでMicrosoftは.NET Foundation の設立を発表しているが、この組織が今回のオープンソース化の受け皿となった。

適切な判断といえるだろうが、MicrosoftはXamarin社と同社が後援するMonoコミュニティと協力していくという。XamarinはすでにC#を用いたオープンソースでクロスプラットフォームの.NETフレームワークを開発し多くのデベロッパーの支持を得ている。Somasegarは私に「今回の発表の後、オープンソース化の作業については、数ヶ月かけてMonoコミュニティーと協力していく。われわれはXamarinと非常に密接な協力関係にある」と語った。

Somasegarは「クロスプラットフォーム化とオープンソース化は.NETにとって将来へ向けての大きな一歩だ。Microsoftは.NETをさらに普及させたい。そのための最善の方法は新たなプラットフォームへと拡張することだ」と述べた。

数日前、私はMicrosoftのクラウドおよびエンタープライズ担当エグゼクティブ・バイスプレジデントのScott Guthrieを電話で取材したが、彼も同じ趣旨のことを述べ、「われわれはデベロッパーからしばしばく『.NETはすばらしいプロダクトだと思うが、クローズドでWindowsしかサポートしていないから使わない』という声を聞いていた。水曜日の発表を聞けば.NETを使わない理由がすべて消滅したと知るだろう」と語った。

SomasegarはこれによってMicrosoftのパートナーには多くのチャンスが訪れることを強調した。たとえばDockerの事業開発とテクニカル・アライアンスの責任者、Nick Stinematesは「われわれのDockerオープン・プラットフォームの最大の価値は、 Dockerコンテナを利用してさまざまなインフラにDockerアプリケーションを移植できるポータビリティーの高さにある。オープンソースの.NETランイタイムをすべての主要なOSプラットフォームに提供するということは、Microsofがポータビリティーの概念をアプリケーション・プラットフォームそのものにまで拡大したことを意味する」というコメントを発表してている。

Microsoftはオープンソース・コミュニティーとの会話を開始する手始めとして.NETのコードのGitHubレポジトリを開設する計画だ。最終プロダクトがどのようなものになるかまだ分からないが、Somasegarは「近く.NETアプリをMicrosoft AzureのLinuxのDockerコンテナで動かせるようになる」と述べた。

これにともなって、デベロッパーを法的紛争から保護するため、MicrosoftはMonoプロジェクトとそのユーザーすべてを対象とした新たな特許特約を公表した。

企業が主要プロジェクトをオープンソース化すると、ユーザーは「企業がそのプロジェクトのサポートを止める前触れではないか?」と不安になるのが常だが、SomasegarもGuthrieも「そういう考えは毛頭ない」と強く保証した。

これほど大きな発表であれば、読者には質問したいことも山のようにあるだろう。Somasegarは直接質問に答えると約束してくれた。〔元記事の〕コメント欄に質問を書き込んでいただきたい。太平洋時間11:30amから受け付ける。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+


MicrosoftのCEO、サティヤ・ナデラ、Apple、Googleと比較して自社の本質を的確に指摘

レッドモンドの本社キャンパスで最近開催されたイベントでMicrosoftのCEO、サティヤ・ナデラは、Google、Apple、Microsoftを比較してそれぞれの長所を分析してみせた。

会社評価額でAppleには及ばないがGoogleよりは大きい会社のCEOの発言だけに注目される。ナデラはMicrosoftのCEOに就任して日が浅いにもかかわらず、Nokiaの買収を完了し、クラウド・コンピューティングに向けて巨艦の舵を大きく切ることに成功している。

ナデラはライバルを次のように分析した。

私はApple、Google、Microsoftがそれぞれを何をする会社なのかと考えることがある。それぞれの会社は独特の特長を持っている。簡単な言葉で要約するなら、こうだろう。私の見るところ、Appleの本質は特にはっきりしている。それはティム・クック自身が最近、明快に定義したとおり、Appleはデバイスを売る会社だ。それがAppleの本質だ。Googleはデータの処理と広告の販売を本質とする会社だ。Googleのビジネスはユーザーに不快感を与えずに広告を表示できる能力にかかっており、その点のGoogleの仕事ぶりは文句のつけようがない。

Appleのハードウェア・ビジネスでの大成功は歴史に残る売上と利益をもたらしている。しかしもちろんこの成功は、慎重に考え抜かれた先見性の高いソフトウェア・ビジネス、なかんずく、iPhoneとiPadで作動するソフトウェアのマーケット、App Storeによって支えられている。iPadのローンチが短期間であれほどの成功を収めたカギはやはりApp Storeにあった。来年早々にも市場に投入されるとみられる新たなデバイス、Apple Watchについても、App Storeは決定的な役割を果たすはずだ。

Googleがオンライン広告市場で圧倒的な存在であることは明らかだが、もちろん広告ビジネスがGoogleのすべてではない。その優れた検索機能があって初めて広告を販売できる。もしGoogleが世界の検索市場を支配できなかったとすれば、広告を売ることもできなかっただろう。

しかしこうした事情があっても、ナデラの分析が本質をついていることに違いはない。ナデラは続けてMicrosoft自身の強みについてこう述べる。

さてそこで、われわれ自身の場合についていえば、Microsoftのビジネスとは他の人々にソフトウェアなどのプロダクトを開発する力を与えるところにある。単にわれわれのプロダクトだけが問題なのではない。もちろんMicrosoftにはビジネス・モデル、収益モデルが存在する。しかし私の考えでは、デベロッパーがアプリケーションを開発できるようにするプラットフォームを提供し、また誰であれコンピューティングに関連する人々が所望の成果物を作れるようにする数々のツールを提供するところでこそ、Microsoftが真価を発揮し、本当の差別化を行えるのだと私は考えている。プラットフォームのプロバイダー、ツールのプロバイダーであることこそ、Microsoftの根本的なアイデンティティなのだ。われわれはその意味することろを深く考えねばならない。

さらに簡単に要約すれば、現在のAppleのコア・ビジネスはiPhoneであり、Googleの場合は検索、Microsoftの場合はWindowsとOfficeの販売だ。しかしAppleはiCloud Driveでクラウドに参入を図り、 Googleはクラウドでのコンピューティングと生産性ツールの提供で勢いをつけつつある。Microsoftもこれに似た戦略でAzureクラウド・プラットフォームの普及とOfficeのクラウド化を図っている。

以前の記事でも書いたように、こうした巨大プラットフォーム企業は、多くの場面でライバルの得意分野に参入しようとして戦いを繰り広げている。Apple、Google、Microsoftは3社ともすでに独自のアプリとハードウェアを開発ずみだ。問題はどの会社が過去の強みを活かしながら新分野で競争に勝つ方策を見出せるかという点にある。3社のどれにせよ新分野参入で主導権を握ったものが、この先の10年の競争を有利に進めることに」なりそうだ。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+


DropboxのCEO Drew HoustonがSnowdenの批判に反論

NSAを内部告発したEdward Snowdenが、プライバシーを守りたいなら”Dropboxを利用するな“、と二度も忠告したことが、議論を呼んでいる。今日(米国時間11/4)はDropboxのCEO Drew Houstonが、その非難に応えた。彼は、もっと強力な暗号化の方式はあるけれども、どの方式を使うかは、使いやすさや利便性とセキュリティとのトレードオフだ、と述べ、“ユーザには選択肢を提供している”、と語った。

Houstonのこの発言は、今日アイルランドのダブリンで行われたWeb Summitのステージで述べられた。それはイギリスのGCHQの長官が、テロとソーシャルメディアと政府によるデータへのアクセスについてのエッセイを掲載した日でもある。

Houstonは、政府機関がソーシャルネットワークやそのほかの大手テクノロジ企業からデータを取り出すことの正否について、直接的には何も語らなかった。また、プライバシーが不可侵の権利であるか否かという、倫理的な問題にも触れなかった。むしろ彼は、ユーザ体験に焦点を絞った。

“ゼロ知識暗号化(zero knowledge encryption)を提供しているサイトの動機は十分に理解できるが、それには欠点もある”、と彼は言う。Dropboxが暗号化の方式を今以上に強化したら、検索やサードパーティアプリへのアクセス、モバイルデバイスからのデータへのシームレスなアクセスなどが、とてもやりにくくなるだろう、というのだ。ただしDropboxでも、ユーザがそれを選択することはできる。“うちは、そのためのサードパーティツールを提供しているが、もちろんそれを使えば検索やインデクシング、プレビューの表示などが困難になる。でもトレードオフというシーソーの上では、人びとは自分が選んだどの位置にでも立つことができる”。

彼はDropboxの企業イメージの問題にも、それとなく触れた: “人から石を投げられて、嬉しい人はいない。でも、FacebookやZuckも、これまでさんざん叩かれている。良いことはいっぱいしているはずなのに、急に、不正なことをしている企業にされてしまう。でも企業や人間が、人びとがいろいろ言うほどすごく良いことはないし、また、そんなにひどく悪いこともない”。

ステージ上のインタビューでHoustonは、2009年に協同ファウンダのArash Ferdowsiと一緒にiCloudがまだない頃のAppleを訪れたときの思い出を語った。そのとき彼らは、Steve Jobsからの(巷間9桁の)買収オファーを断わった。そしてCEOの彼は、その後、買収ではなくパートナーシップという企業進化の路線を選んだのだ。

今日Dropboxは、Microsoftとの、Houston曰く“深い統合”を発表した。これで二社のユーザは両方へシームレスに行ったり来たりできる。これはGoogle対抗策でもあるようだが、実際まさに今日Googleも、新たなクラウド事業を発表した。

Houstonは、両社の協働の意義について、“今Dropboxのユーザは12億人いるが、彼らがやってることで一番多いのがOffice文書の保存やバックアップだ”、と述べた。彼は今回のパートナーシップを“うちにとっては異例”と言うが、すでに自前のクラウドプラットホームを持っているMicrosoftにとっては、もっと異例だろう…Dropboxほど、繁盛していないとはいえ。“Microsoftがこのような統合をしたことは、過去に一度もないと思う”、とHoustonは言っている。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


MicrosoftとDropboxが提携―Office 365とDropboxストレージが高度な相互連動へ

今日(米国時間11/4)、MicrosoftとDropboxは提携関係を結んだことを発表した。その内容はDropboxがOfficeをサポートし、MicrosoftがDropboxのストレージ・サービスをOfficeに連動させるというものだ。これに先だって、Dropboxのライバルでエンタープライズ向けクラウドストレージに力を入れているBoxもMicrosoftのOffice-as-a-serviceソリューションであるOffice 365を取り込んだサービスをスタートさせている。Microsoft自身も最近、OneDriveの無料ストレージ容量を無制限とした。

今回の提携で、両社は近くウェブとモバイル・アプリの双方で、DropboxのアプリからOfficeドキュメントを編集、OfficeアプリからDropbox内のファイルにアクセス、OfficeアプリでDropboxのファイルをリンクで共有という次の3つの機能を提供するという。またDropboxはWindows Phone版のOffice連携アプリを開発する。〔時期については日本版注参照〕

OneDriveを運営するMicrosoftがライバルとこれほど密接に提携するとは驚きだろうか? 必ずしもそうではない。MicrosoftはOneDriveなしでもOffice 365を売ることができる。逆に、Office 365というサービスを膨大なDropboxユーザーの企業や個人に売りやすくなる。電話で取材したところでは、両社ともにDrobpoxに数億のユーザーがおり、有料で利用している企業だけでも8万社に上ることを重視しているようだった。MicrosoftもOneDriveがそれくらい広く普及しているのだったらあえてDropboxと提携する必要はなかったかもしれないが、残念ながら現状はそうなっていない。

Microsoftはすでにエンタープライズ・クラウド・ストレージの事実上の標準となっているDropboxを無視することは不可能だった。MicrosoftがOffice 365をエンタープライズに本気で売り込もうとするならDropboxコミュニティーを抜きに考えるわけにいかないのは当然だ。OneDrive for BusinessはDropboxのために席を詰めねばならない。

BoxのOffice 365取り込みはBox側の一方的なイニシアチブだった。しかし今回の提携ははるかに高度な戦略的提携だ。両社とも今回の提携にともなって「どちらがどちらいくら払うのか?」についてはコメントを避けた。しかしMicrosoftがDropboxに支払うと考えてもよさそうだ。 Windows Phoneは世界でもっとも人気のあるモバイル・プラットフォームというわけではない。MicrosoftはDropboxを保護育成する必要がある。大企業ユーザーがOfficeをクラウドで使いたい場合、これまでは馴染みのあるクラウドストレージのオプションがなかった。今回の提携でそれが存在するようになったことは大きい。

Microsoftが本気でパッケージ版Officeの売上をOffice 365の売上で代替しようと考えているなら選択肢は限られている。MicrosoftはDropboxを買収することもできるが、aQuantiveの買収が結局62億ドルの損失に終わった苦い記憶がまだ新しい。それなら戦略的提携のほうが安上がりで危険も少ない。

上機嫌のシリコンバレーのベンチャーキャピタリストはDropboxは収益化に成功しつつあると主張する。そうなるかもしれない。ともあれDropboxは、短期的関係かもしれないが、強力な友人を持つことに成功した。

〔日本版〕Microsoftのプレスリリースによると、OfficeとDropboxの連携機能は、まず数週間後に予定されているOfficeのモバイル・アプリのiOSとAndroid版のアップデートで実装される。ウェブ版のDropboxとOffice 365の連携は2015年の前半にリリースされる。Dropbxoが開発するWindows Phone版のスマートフォン、タブレット向けOffice連携アプリの公開は数ヶ月後を予定している。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+


MicrosoftがSkypeで自動通訳のテスト開始へ―Live Translator、登録受付中

Microsoftの研究開発部門は最近、驚くべきプロダクトを産みだしている。その一つが今年5月にRe/codeのCodeカンファレンスでSkypeチームがデモしたビデオチャットをリアルタイムで双方向に通訳するSkype Translatorだ。Microsoftはこのサービスの限定プレビュー版が公開しようとしている。

公式Skypeブログによれば、Microsoftは近くスタートするSkype Translatorのベータ・テスタの参加者を募集しており、登録を受付中だ。参加は無料だが、製品版はおそらく有料の拡張機能となるだろう。当初はWindows 8.1およびWindows 10 Technical Preview版を搭載したパソコンとタブレットが対象となる。

Skype Translatorは、一方のユーザーが話す言葉をリアルタイムで相手の言語に通訳すると同時に会話をテキストに起こして画面にスクロール表示する。インスタント・メッセージのテキスト翻訳は45言語をサポートするが、音声とビデオのリアルタイプ通訳は当面、比較的少数の言語のサポートにとどまるという。ウェブサイトの登録ページには、アラビア語、中国語(広東語、普通話)、英語、フランス語、ドイツ語、イタリア語、日本語、韓国語、ポルトガル語、ロシア語、スペイン語が選択候補として表示されている。

私もぜひテストしてみたい。世界各地の人々と共に仕事をしたり面接したりしなければならない場合、これは大いに役立つだろう。Skypeによれば、このテクニカル・プレビュー版は年内にスタートするという。コンピュータによる現代版「ロゼッタ石」ともいうべきこのサービスを早く試してみたいものだ。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+


Outlook for Macの新版がリリース。他のOfficeプロダクトは2015年に登場予定

新しいOffice for Mac 2015が話題にのぼるようになってきた。そんな中、先陣を切って新しいOutlook for Macが登場した。まずはOffice 365の利用者に向けてリリースされたものだ。新バージョンではルック&フィールが一新され、アーカイブしたメールの検索がやりやすくなっていて(ローカルにあるものとオンラインにあるものの双方に適用)、全体的なパフォーマンスも改善している。またプッシュメールにも対応している。今回の新版Outlookのリリースと同時に、Word、PowerPoint、Excel、およびOnenote for Macの新版の予定も公式に認めた。来年早々に公開ベータが利用可能となり、第2四半期に正式版がリリースになる予定なのだそうだ。

新しいOfficeアプリケーションがリリースされれば、Office 365の利用者は追加料金なしで新しいものを利用できるようになる。もちろん、安定版ができた暁には、パッケージ版も提供していくこととなっている。

ところで新版のOutlookは、Windowsやデスクトップないしモバイルで利用するウェブ版のアプリケーションに近いものとなっている。個人的にはMac上でOutlookを使う必要性がよく理解できないのだが、企業内メールなどを運用している場合には便利なこともあるのだろう。

いずれにせよ、トータルで見ればMicrosoftがMac上のアプリケーションを提供してくれるのは良いことであると言える。Office系ソフトウェアにもいろいろな候補があるのが望ましい。今年はじめには非常によくできたiPad用のOfficeアプリケーションを提供するなど、MicrosoftとしてもWindows利用者以外へのアプリケーション提供を強化しているようだ。ちなみにWindows版に比べてMac版のOfficeのアップデートが遅れたのは、今回についてはモバイル版の提供を急ごうとフォーカスしたためなのだそうだ。

原文へ

(翻訳:Maeda, H


Microsoftは自己の将来をOffice 365のデベロッパ利用に賭ける…新APIを次々と発表

今日(米国時間10/27)バルセロナのTechEd EuropeでMicrosoftは、Office 365の新たなAPIをいくつか発表し、またiOSとAndroid用のOffice 365 SDKも披露した。APIは、これまでプレビューだったものだ。

Office 365にメールやファイル、カレンダー、コンタクトなどのAPIが加わったことによってデベロッパは、自分のアプリケーションからMicrosoftのOfficeスイートと直接的に対話できる。これらのREST APIを使うと、たとえば旅行アプリがOffice 365のカレンダーにアクセスでき、営業用の自動化ツールがコンタクトやメールやファイルを利用できる。

APIをそのように利用しているアプリケーションの一つがIFTTTだ。たとえばユーザは、Outlookのアカウントに来たメールに基づいて何かをする、IFTTTの‘レシピ’を作れる。

Microsoftは、Office 365の公開APIは今後もっと増やす、と言っている。それらは、タスクやYammar、そして最近発表されたOffice GraphなどのAPIだ。Office 365のAPIは戦略的にもっとも重要、とCEOのSatya Nadellaも言っているから、これらのAPIも、もたもたせずにすぐ出すつもりだろう。

またこれらの新しいAPIをモバイルデベロッパが使いやすいように、iOSとAndroid Microsoft Open Technologies用のSDKも同時にローンチした。iOS用のSDKは当面Objective-Cのみだが、Appleの新しい言語Swiftも、じきにサポートされる。これら二つの新たなSDKが、既存のVisual Studio SDKを補完することになる。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Microsoft、Office 365のユーザーにOneDriveストレージを容量無制限で提供

今日(米国時間10/27)、MicrosoftはすべてのOffice 365アカウントに対して容量無制限のOneDriveストレージを提供すると発表した。現在、Office 365に付随するOneDriveの容量は1TBに制限されているが、この制限が取り払われる。Office 365の契約者はストレージがすべて無料となるわけだ。

これは大いに歓迎すべき決定だが、特に驚きというほどでもない。Microsoftはクラウド生産性サービスのOffice 365の価値を高める努力を続けており、ストレージの無料化は非常に有効な策だ。無料のストレージ容量というのは魅力を作る重要な要素であり、多ければ多いほど良いことは言うまでもない。.

いずれにせよクラウドストレージの単位あたり料金はここ何年も限りなくゼロに向かって低下し続けている。有料サービスであるOffice 365に付随するストレージの無料化は本当の無料化の一歩手前といえるだろう。巨大プラットフォームがそのユーザーすべてに無料かつ無制限のストレージを提供することで無料化レースは終了する。今のところMicrosoftやBoxは有料で無制限のストレージを提供する段階に来ている。

Office 365はMicrosoftにとって成功だった。Microsoftはソフトウェア販売という古びたビジネスモデルからSaaS(ソフトウェア・アズ・ア・サービス)への移転を加速するためにさらに努力を重ねているところだ。

Microsoftの発表の重要部分:

今後、Office 365のすべての顧客に対して一切の追加料金なしにOneDriveに無制限のストレージ容量を提供する。このサービスは今日からOffice 365 Home、 Personal、Universityの顧客に提供される。[...]OneDrive for Businessの顧客についてはここ数日のうちにOffice 365のロードマップでストレージ容量の無制限化が告知される。First Releaseの顧客については、他の数多くの改良とともに2015年に入ってから提供の予定。

つい最近までクラウド・ストレージがギガバイト単位で料金を徴収していたことを覚えているだろうか? なんと馬鹿げた時代だったことか!

画像:FLICKR USER ROBERT SCOBLE UNDER CC BY 2.0 LICENSE

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+


知らない人が作ったPowerPointプレゼンテーションを開いてはいけない

ご用心を! まるで10年前か20年前にタイムスリップしたみたいだが、MicrosoftがMicrosoft Officeにおそろしいバグを見つけた。そのバグが正しく実行されると、どのバージョンのWindowsを使っていても、システム全体が乗っ取られてしまう。

このバグに関するMicrosoftからの情報開示はここにあるが、以下にその要点を挙げておこう:

  1. このバグの被害は至るところで起きうるが、今のところMicrosoftに報告されているのは“限定的で特定のターゲットへの”攻撃だけだ。
  2. 被害が起きうるのは、Windows VistaとWindows Server 2008、Windows 7、Windows 8、Windows Server 2012、そしてWindows RTだ。XPの名がないのはMicrosoftがもはやサポートしていないからだと思うが、この広がりを見ると、XPだけ無事ということはありえないだろう。
  3. このバグが正しく実行されると、現在のユーザが誰であれ、攻撃者はシステムに対してその人と同じパーミッションを与えられる。その人がアドミンだったら、攻撃者もアドミンの権利を持ち、コードの実行、アプリケーションのインストールなど、何でもできる。
  4. WindowのUser Account Control機能を有効にしていると、ファイルを実行してもよいか、というプロンプトが出る。それが確実に自分が指定したファイルでないかぎり、[はい]してはいけない。
  5. そのバグはPowerPointのOLEシステムにある。スプレッドシートなど、ほかのアプリケーションの文書をプレゼンに含めるためのシステムで、サンドボックス化は完璧と思われていたが、このたび、誰かが隙間を見つけてしまったらしい。
  6. Microsoftによると、ハックされたプレゼンテーションがユーザにメールで送られてくるし、また、Web上にあるハックされたプレゼンテーションもおそらく危険である。つまり、本当に信頼できるPowerPointプレゼンテーション以外は、開いてはいけない。

このバグは、どれぐらいおそろしいのか? Microsoftはこう言っている(強調は本誌):

この脆弱性の悪用に成功した犯人は、現在のユーザと同じユーザ権を取得する。現在のユーザが管理者の権限でログオンしていれば、この脆弱性の悪用に成功した犯人は、被害システムの完全なコントロールを得る。そして犯人は、プログラムをインストールしたり、データを見る・変更する・削除するなどしたり、すべてのユーザ権限を有する新しいユーザアカウントを作成したりできる。

では、どうしたらいいのか?

だいじょうぶ。次のようにすれば、あなたは安全だ:

1) 確実に信頼できるプレゼンテーションだけを開くこと。
2) User Account ControlのあるWindowsなら、それを有効にする(デフォルトで有効になっていることが多い)。これでバグが退治されるわけではないが、システムがファイルを実行しようとすると、ユーザの許可を求める大きなプロンプトが出る。よく分からないファイルに[はい]をしないように。
3) Microsoftからのアドバイスを読もう。公式のセキュリティアップデートが出るまでの暫定的なパッチも、ここで提供している。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


マイクロソフトの2015年Q1:売上232億ドル、EPS 0.54ドルで予測越え。時間外で3%高

通常市場取引で1%以上の高値をつけた後、Microsoftは会計2015年度第1四半期の決算を報告した。売上は232.0億ドル、1株当たり利益は0.54ドルだった。前年同期比25%増という売上の伸びは、Nokiaハードウェア部門の買収による。

アナリストらはMicrosoftの売上を220.2億ドル、1株当たり売上を0.49~0.50ドルと予想していた。売上予測を大きく上回った同社は、時間外取引で株価を上げている。

同四半期、Microsoftは58.4億ドルの経常利益を上げた。純利益(税引後)は45.4億ドルだった。期末時の保有現金および現金相等物は892億ドル。

Microsoftの1株当たりGAAP利益 ― 0.54ドル ― は0.11ドルのチャージを含む。同社の1株当たり利益性は対前年比で10%以上減少した。

ハードウェア

報告書によると、Surface製品の売上は9.08億ドルだった。この数字はTechCrunchの決算前業績チャートと比べて、かなり良い。前四半期から2倍以上に増えている。Surface Pro 3は、よく売れていると言わざるを得ない。
携帯電話の売上は26億ドルで前四半期を上回った。計930万台のLumia端末が販売された。

前四半期にMicrosoftは、部分累計で580万台のLumiaを販売し、売上19.9億ドル、損失6.92億ドル、1株当たり損失0.08ドルを計上した。同四半期の総売上は233.8億ドル、1株当たり利益は0.55ドルだった。

クラウド関連

クラウド関連では、消費者向けOffice 365の購読者が700万人となり前期から25%増加した。同社によると「企業向」クラウド売上は対前年比128%アップだった。この数字は消費者向Office 365の売上を含ない。

デバイス・消費者部門の売上は47%増の109.6億ドル。企業向売上は10%増の122.8億ドルだった。

Windowsの一括ライセンス売上が10%上昇したのは、PC市場の回復を踏まえると妥当な結果だ。消費者向Windows売上は1%減少した。WIndows OEM売上は2%減。PCは依然として不振だが急降下状態は脱した。エンタープライズのWindows 7へのアップグレード、および消費者向ハードウェアデザインの改善が、このカテゴリーの安定化に貢献したと見られる。

好調の四半期

総合的に見て、Microsoftにとって好調な四半期だった。Surfaceの売上数値は驚きだった。携帯電話事業における損失は調べてみないとわからないが、Microsoftの製品カテゴリーの殆どが成長しており、これは中期的安定状態の兆候だ。

企業向事業は予想以上の結果だったと思うが、妥当な範囲内ではあった。ハードウェアは、明らかに良い意味で異常値だった。Microsoftが新しいXbox Oneの売上データや、新しいクラウド売上の年間予測値を公表しないことに不満が残る。なぜこの会社が、毎四半期のように、いくつか重要な数値を見せないのか私には理解できない。レドモンドには何かウィジャ盤のようなものがあって、その意志決定に使っているに違いない。

クラウドおよびプラットフォームの戦いの中、Microsoftは時間外取引で高値をつけた結果、時価総額第2位IT企業の地位を守り、当面はGoogleの上を行くことになる。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook


携帯電話からNokiaの名がついに消える…新ブランドは”Microsoft Lumia”に

その長くて複雑な関係も、最初はNokiaがハードウェアを作り続けるというパートナーシップだった。次に険悪な別れが訪れ、MicrosoftはNokiaの携帯電話製造事業を買収した。そして今日(米国時間10/21)やっと、今後は一体誰がWindows Phoneのハードウェアに関するファーストパーティなのか、という混乱に決着がついた。これからはそれは、単純に”Microsoft Lumia”デバイスと呼ばれるのだ。

The Vergeによると、ブランドの改名はフランスから始まり、やがて全世界に及ぶ。製品のブランド名はもちろんのこと、ソーシャルメディアのアカウントも、そのほかのネット上のプレゼンスも、この名前になる。Nokiaという名前の会社は残り、主に地図やネットワーク技術がその事業になる。もう、“ちょっと待て、どのNokiaのことだい?”という質問がなくなるから、世界中の記者やライターたちが安堵の吐息をもらしている。

こうなることは、前からわかっていた。Microsoftがそのハードウェア部門に、彼が助けてやった会社の名前を残すことは、何をどう考えてもありえない。前からMicrosoftは、Nokiaの名前は変える、と言っていた。Lumiaという名前は、元々Windows Phoneデバイスだけの名前であり、長い間にかなり知られ、消費者間に浸透したブランドなので、そのまま“生き”となるのが合理的だ。Nokiaにとっては、今やレガシーの一部にすぎないとはいえ。

新しい(古い?)ブランド名をやっと確定したMicrosoftは、今度はそれを消費者の心にも植え付けて、Nokiaの名をその脳裏から葬り去るために、今後相当なキャンペーン努力をしていくだろう。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Apple絶好調のQ4:売上421億ドル、利益85億ドル

本日(米国時間10/20)の取引終了後、Appleは会計第4四半期の決算報告を発表した。売上は421億ドル、1株当たり利益は1.42ドルだった。アナリストの予測は、それぞれ398.5億ドルと1.31ドルだった。

同四半期、Appleの純益は85億ドルで、前年同期の2013年会計Q4の75億ドルから13.3%上昇した。売上は12%アップだった(前年同期は375億ドル)。

期間中同社はiPhone 3930万台、iPad 1230万台、Mac 550万台を販売した。

通常取引で2%高だった同社株は、予測を上回る決算発表後の時間外取引でさらに値を上げた。直近四半期は、売上374億ドル、1株当たり利益1.28ドルだった。

Appleは最近、新しいiPhone製品であるiPhone 6およびiPhone 6 Plusを発売し、初月売上は過去のどの機種よりも好調だったことを公表した。Appleは新しいiPadも数種類発表した。市場には ― TechCrunchを含め ― iPadの種類が多すぎるという抵抗が生じている。あなたが欲しいのは、iPhone 6 Plusなのか、iPad Air 2なのか、iPad mini 2なのか、それともiPad mini 3なのか?本当におわかりだろうか。

今期の売上は、ホリデーシーズンを含む同社の暦年第4、会計第1四半期の序言でもある。Appleの売上には、ある程度季節変動性がありこの時期に上昇する。同四半期は、さらに売上増が期待できる新しいApple製品の恩恵を、丸々受けることのできる四半期でもある。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook