英政府が国家安全保障と競争に関する懸念でNVIDIAのArm買収に対するより詳細な調査を開始

チップメーカーのNVIDIA(エヌビディア)が英国のチップ設計会社Arm(アーム)を400億ドル(約4兆5820億円)で買収する計画について、英政府は競争市場庁(CMA)に詳細な調査を行うよう指示し、英国の競争規制当局による綿密な調査が行われることになった。

英デジタル長官Nadie Dorries(ナディン・ドリーズ)氏は、競争および国家安全保障上の懸念を理由に、第2段階の調査を実施するようCMAに書面で指示したことを現地時間11月16日に発表した。

英政府は8月にCMAの予備調査の詳細を発表していた。調査では、この買収がデータセンター、IoT(モノのインターネット)、自動車分野、ゲームアプリケーションの市場における「実質的な競争の低下」につながる可能性があるとして、買収にともなう多くの競争上の懸念を指摘していた。

11月16日に公開されたCMAの第1段階報告書は、競争上の理由からより詳細な調査を推奨しているが、国家安全保障上の問題については判断を下していない。

2021年4月、英政府は国家安全保障上の理由で介入通知を出し、CMAに対してより詳細な調査が必要かどうかを判断するために、この取引の影響に関する報告書を作成するよう求めた。

ドリース氏は11月16日、国家安全保障上の利益は依然として「関連性がある」とし「さらなる調査の対象とすべきである」と述べた。

2002年に制定された企業法に基づき、デジタル長官は、国家安全保障上の問題を含むいくつかの公益上の考慮事項に基づいて、合併に介入するための準司法的な決定を下すことができる法的権限を有している。

ドリース氏は声明の中で次のように述べている。「NVIDIAが提案しているArmの買収に関する競争市場庁の『フェーズ1』報告書を慎重に検討し、さらに詳細な『フェーズ2』調査を行うよう要請することにしました。Armは、世界のテクノロジー・サプライチェーンの中で特異な地位にあり、この取引の影響を十分に考慮しなければなりません。CMAは今後、競争および国家安全保障上の観点から私に報告し、次のステップに関するアドバイスを提供します」。

「繁栄するテック部門に対する政府のコミットメントは揺るぎないものであり、外国からの投資を歓迎しますが、今回の取引の影響を十分に検討することは正しいことです」とドリース氏は付け加えた。

第2段階の調査への言及についてNVIDIAにコメントを求めている。

CMAは第2段階の調査を行い、その結果を政府に報告するまでに24週間(8週間の延長の可能性あり)を与えられる。つまり、少なくとも、NVIDIAによるARM買収は、取引の承認を得るまでにさらに数カ月の遅延が生じることになる。

デジタル長官は、国家安全保障上および(または)競争上の理由から、買収に関連して「不利な公益認定」を行うかどうかの決定を下すことになる。

国家安全保障の問題に関する最終的な判断は、英国の国務長官が行う。国務長官は、CMAの最終報告書を受け取ってから30日以内に判断を下す。

ドリース氏は、公共の利益に反する介入理由がないと判断した場合、CMAに案件を差し戻すが、CMAは競争上の理由で反対の助言をする可能性があり、また(あるいは)懸念を解消するために案件に条件を課すことができる。

つまり、国家安全保障上の理由と競争上の理由の両方、あるいはどちらか一方の理由で買収が阻止される可能性があり、承認にはかなりの障壁がある。

しかし、最終的に両方の懸念が解消され承認される可能性もある(CMAの第1段階の調査で重大な懸念が示されたため、競争面で懸念がなくなる可能性は低いと思われる)。

また、救済措置(特定の懸念に対処するための条件や制限)付きで取引が承認される可能性もある。

高まる懸念

NVIDIAによるArm買収計画は、英国内ではすぐに反対の声が上がり、Armの共同設立者の1人は、NVIDIAに買収されないように「ARMを救う」キャンペーンを始めた

世界的なチップ不足により、半導体分野におけるサプライチェーンの安定性への懸念が強まっている(ただし、Armは自社でチップを製造するのではなく、IPの開発やライセンス供与を行っている)。EUは最近、半導体供給に関する地域主権の強化を目的とした半導体法を制定する計画を発表した

欧州連合(EU)も10月末に独自の詳細な調査を発表するなどNVIDIAとArmの取引を直接調査しており、NVIDIAがArmを買収するための新たな障害となっている。

欧州委員会は、CMAの第1段階の調査と同様の見解を示し、NVIDIAとArmの合併に関する予備的分析では、多くの競争上の懸念があると述べた。

「欧州委員会は、合併した企業が、NVIDIAのライバル企業によるArmの技術へのアクセスを制限する能力と動機を持つことになり、提案されている取引が価格の上昇や選択肢の減少につながることを懸念しています」とEUの幹部は先月述べた。「ArmとNVIDIAは直接競合していませんが、ArmのIPは、たとえばデータセンター、自動車、IoTなど、NVIDIAと競合する製品の重要なインプットとなっています」と、競争担当のMargrethe Vestager(マルグレーテ・べステアー)氏は声明で述べた。

「我々の分析によると、NVIDIAによるArmの買収は、ArmのIPへのアクセスを制限または低下させ、半導体が使用されている多くの市場に歪んだ影響を与える可能性があります。我々の調査は、欧州で活動する企業が、最先端の半導体製品を競争力のある価格で生産するために必要な技術への効果的なアクセスを継続できるようにすることを目的としています」。

EUは2022年3月15日までにこの買収を認めるかどうか判断する。

10月のロイター通信の報道によると、欧州委員会はEUの綿密な調査を回避しようとするNVIDIAが先に提示した譲歩案に揺るがなかったという。

画像クレジット:Omar Marques/SOPA Images/LightRocket / Getty Images

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Nariko Mizoguchi

ソフトバンクがプライベート5G商用化のための研究施設「AI-on-5G Lab.」をNVIDIAと合同で開設

集英社がXR事業開発課を新設し「集英社 XR」開始、NianticとLightship ARDKでパートナーシップも

ソフトバンクは11月10日、5Gの仮想化無線ネットワークvRANとMECが融合した環境でAI技術などのソリューションの実証や技術応用を行う研究施設「AI-on-5G Lab.」を、NVIDIAと合同で開設すると発表した。これより、プライベート5G向けのソリューション開発や、完全仮想化されたプライベート5Gの商用化を推進するという。

vRAN(virtualized Radio Access Network)とは、モバイル機器とインターネットとをつなぐ親局の専用ハードウェアの仕事を汎用コンピューター内のソフトウェアで仮想的に行う仕組み。MEC(Multi-access Edge Computing)は、マルチアクセス・エッジコンピューティングの略で、端末の近くにサーバーを分散配置するネットワーク技法のことをいう。これらを利用することで、事業所などが独自の5Gネットワーク、つまりプライベート5Gを構築できるようになる。「AI-on-5G Labs.」は、そうしたシステムをAIで最適化・自動化し、普及を目指そうとしている。

またvRAN普及のメリットとして、通信機器を汎用サーバー上にソフトウエアで構成することによるコストダウンをはじめ、通信以外の様々なアプリケーションを構成する役割を同時に提供可能な点を挙げている。例えばプライベート5Gを導入している工場において、通信を行っていない夜間帯に、MECに集積された情報をAI学習するための資源として活用することで、工場の生産性向上を図れるという。

この研究施設では、ソフトバンクが2018年から共同研究を行ってきたNVIDIAのGPUなどのハードウェアが使われ、それを用いてvRANとMECの機能を統合し、さまざまな検証が行われる。具体的には、ソフトバンクが提供するプライベート5G上で、NVIDIAのハードウェア、基地局の仮想化、AI処理のミドルウェア、アメリカのネットワークソフトウエアプロバイダーMavenirが提供する仮想化無線信号処理ソフトウェアとコアネットワークのソフトウェア、台湾のFoxconnの物理的アンテナを用いて完全仮想化プラットフォームを構築する。これを使って、プライベート5Gのユースケースの商用化に向けた検証を行うとのことだ。

またソフトバンクは、「6Gに向けた12の挑戦」として、ベストエフォートからの脱却、モバイルのウェブ化、電波による充電などといった目標を示しているが、その中の「AIのネットワーク」の開発検証を「AI-on-5G Labs.」で行うと話している。

NVIDIAがエッジコンピューティング向け超小型AIスーパーコンピューター「Jetson AGX Orin」を発表

NVIDIAは11月9日、ロボットや医療機器などのAIエッジコンピューティング機器に組み込める超小型の「AIスーパーコンピューター」Jetson(ジェットソン)シリーズの新世代機種「AGX Orion」(オライオン)を発表した。

前世代のAGX Xavier(ゼイビアー)とフォームファクター(100x87mm)は同じながら処理速度は6倍、200TOPS(1秒間に200兆回の命令処理が可能)という性能を誇る。NVIDIA AmpereアーキテクチャーGPUとArm Cortex-A78AE CPU、次世代の深層学習セラレーター、ビジョンアクセラレーターを搭載し、複数の並列AIアプリケーション・パイプラインにフィードできるため、高速インターフェース、高速なメモリー帯域、多彩なセンサーのサポートが可能になっている。消費電力は15W。最大でも50Wとのこと。

ソフトウェアは、NVIDIA CUDA-Xアクセラレーテッド・コンピューティング・スタック、NVIDIA JetPack SDK、クラウドネイティブな開発ワークフローを含むアプリケーション開発と最適化のための最新のNVIDIAツールが利用できる。また、トレーニング済みのNVIDIA NGCカタログもある。

またJetsonには、85万人の開発者、Jetson搭載製品を製造する6000社以上の企業からなる巨大なエコシステムがあり、センサー、キャリアボード、ハードウェア設計サービス、AIおよびシステムソフトウェア、開発者ツール、カスタムソフトウェア開発といったサービスや製品が利用できる。これにより、「かつては不可能と思われていた自律動作マシンとエッジAIアプリケーションを開発および展開できるようになる」と、NVIDIAのバイスプレジデント、ディープゥ・タッラ氏は話している。

NVIDIA Jetson AGX Orinモジュールと開発者キットの発売は、2022年第1四半期を予定している。

Jeston AGX Orionモジュール仕様

  • AI性能: 200 TOPS (INT8)
  • GPU:2048基のNVIDIA CUDAコアと64基のTensorコア搭載、NVIDIA Ampereアーキテクチャー
  • GPUの最大周波数:1GHz
  • CPU:12コア Arm Cortex A78AE v8.2 64ビットCPU 3MB L2+6MB L3
  • CPUの最大周波数:2GHz
  • DLアクセラレータ−:NVDLA v2.0×2
  • ビジョンアクセラレーター:PVA v2.0
  • メモリー:32GB 256ビットLPDDR5 204.8GB/秒
  • ストレージ:64GB eMMC 5.1
  • CSIカメラ:最大6台のカメラ(仮想チャネル経由で16台)。16レーン MIPI CSI-2。D-PHY 1.2(最大40Gbps)| C-PHY 1.1(最大164Gbps)
  • ビデオエンコード:2x 4K60 | 4x 4K30 | 8x 1080p60 | 16x 1080p30(H.265)
  • ビデオデコード:1x 8K30 | 3x 4K60 | 6x 4K30 | 12x 1080p60| 24x 1080p30(H.265)
  • UPHY:2 x8(または 1×8+2×4)、1 x4、2 x1(PCIe Gen4、ルートポート&エンドポイント)。USB 3.2×3。シングルレーンUFS
  • ネットワーキング:1GbE×1、10GbE×4
  • ディスプレイ:1x 8K60 マルチモードDP 1.4a(+MST)/eDP 1.4a/HDMI 2.1
  • その他の I/O:USB 2.0×4、4×UART、3×SPI、4×I2S、8×I2C、2×CAN、DMIC&DSPK、GPIOs
  • 消費電力:15W | 30W | 50W
  • サイズとコネクタ−:100mm×87mm、699ピンMolex Mirror Mezzコネクター、一体型熱伝導プレート

NVIDIAが多機能でリアルなAIアバター・AIアシスタントが作れるプラットフォーム「Omniverse Avatar」を発表

NVIDIAは11月9日、仮想コラボレーションとリアルタイムシミュレーションのためのプラットフォーム「NVIDIA Omniverse」(オムニバース)上で使えるインタラクティブなAIアバターが作れる機能「Omniverse Avatar」(アバター)を発表した。

Omniverse Avatarは、単にインタラクティブに動かせるレンダリングされた3Dキャラクターを作るだけではなく、音声、AI、自然言語理解、レコメンデーションエンジン、シミュレーションといったNVIDIAのテクノロジーが駆使され、見たり、聞いたり、多言語で話したりができるAIアシスタントとして機能する。NVIDIAの創業者でCEOのジェンスン・フアン氏はこれを、「インテリジェントな仮想アシスタントの夜明け」と称している。

NVIDIA Omniverseの新機能として追加された「Omniverse Avatar」には、次の要素が盛り込まれている。

  • 音声認識:複数言語の音声を認識するソフトウェア開発キット「NVIDIA Riva」をベースに会話の応対を行う
  • 自然言語理解:「NVIDIA Megatron 530B大規模言語モデル(Large Language Model)」をベースに、複雑な文書の作成、幅広い分野の質問への回答、長いストーリーの要約、他言語への翻訳などを行う
  • レコメンデーション エンジン:大量のデータを処理し、賢明な提案を行うことを可能にするディープラーニング レコメンデーション システムを構築するためのフレームワーク「NVIDIA Merlin」を利用
  • 認知機能:ビデオ分析用のコンピュータービジョン・フレームワーク「NVIDIA Metropolis」を活用
  • アバターのアニメーション:2Dおよび3DのAIによるフェイシャルアニメーションとレンダリングの技術「NVIDIA Video2Face」と「NVIDIA Audio2Face」を使用
  • これらの技術がアプリケーションに組み込まれ、「NVIDIA Unified Compute Framework」を使ってリアルタイムで処理される

フアン氏のアバターを使ったデモでは、同僚とのリアルタイムの会話が披露され、生物学や気象科学などの話題について語った。また、別のデモでは、レストランの2人の客にカスタマーサービス担当アバターが対応し、ベジタブルバーガーとフライドポテトと飲み物の注文を受けることができた。さらに、騒々しいカフェでビデオ通話をする女性の音声を正確に聞き取り、その言葉をリアルタイムで書き写し、その女性と同じ声とイントネーションで、ドイツ語、フランス語、スペイン語に翻訳して見せたとのことだ。

NVIDIAの次世代自動運転ツールキット「Hyperion 8」が2024年の車両モデルに対応

自動運転機能、ロボタクシー、自動運転トラックの導入を目指す自動車メーカー、サプライヤー、スタートアップは、NVIDIA(エヌビディア)の最新のコンピュートおよびセンサーツールキットにあと少しでアクセスできるほど近づいている。

NVIDIAの創業者でCEOのJensen Huang(ジェン・スン・フアン)氏は米国時間11月9日に開催された同社の秋季GTCイベントにおいて、AV開発に必要なセンサー、コンピュート、ソフトウェアを含む量産可能なプラットフォーム「Hyperion 8」を、2024年の車両モデル向けに購入できるようになったことを発表した。

Hyperion 8は、エンド・ツー・エンドのNVIDIA Driveプラットフォームの最新版で、自動車メーカーが好みやニーズに合わせてカスタマイズして使用することが可能だ。Hyperion 8は4月に初めて明らかにされた。しかし、このプラットフォームを構成するカメラ12台、レーダー9台、LiDAR1台をどの企業が供給するかなど、詳細の一部は11月9日まで明らかにされていなかった。注目すべきは、Luminar(ルミナール)がLiDARを提供している点で、これは新規上場企業にとって大きな恩恵となる可能性がある。また、Continental(コンチネンタル)、Hella(ヘラ)、ソニー、Valeo(ヴァレオ)もHyperion 8用にセンサーを提供している。

Luminarの創業者でCEOのAustin Russell(オースティン・ラッセル)氏は「NVIDIAのシステムが(量産車向けに)設計されるのに合わせて、我々も最終的に設計されることになります」と述べた。

Hyperionは、自動車メーカーなどの顧客が、車内の基幹コンピュートやミドルウェア、AI機能など、必要なものにアクセスして調整することができるリファレンスプラットフォームだ。

今回のHyperion 8の提供開始は、秋のGTCイベントでフアン氏が発表した一連の自動車関連の発表の1つだった。主な発表内容は多岐にわたる。6月のDeepMap買収によって強化されたマッピングの開発や、シミュレートされたカメラでリアルなシーンを再現し、データを自動的にラベル付けするツール、デジタルアシスタントの役割を果たして自動運転システムと乗客の間の重要なコミュニケーションを提供し、駐車もこなせるパーソナルコンシェルジュ製品などだ。各新製品の発表はいずれもHyperion 8に適合したり、補完したりするものだ。

結論:この分野には、乗用車用の運転支援システムを開発しているサプライヤーや自動車メーカー、自動運転トラックやロボタクシーのような完全自律走行車の展開に取り組んでいる企業が含まれ、NVIDIAはそうした自動運転マーケットの多くを取り込むことを目指している。

NVIDIAは、Cruise(クルーズ)、Mercedes-Benz(メルセデス・ベンツ)、TuSimple(トゥーシンプル)、Volvo(ボルボ)、Zoox(ズークス)など、自社のDrive Orinコンピュータ・システム・オン・チップを使って開発している多くの顧客を獲得している。NVIDIAは秋のGTCイベントで、Lotus(ロータス)、中国の自動運転スタートアップQcraft(キュークラフト)、中国のWM Motor Technology Co(WMモーターテクノロジーカンパニー)が所有するEVブランドのWeltmeister(ヴェルトマイスター)など、さらにいくつかのブランドの獲得を宣伝した。

NVIDIAの自動車担当副社長であるDanny Shapiro(ダニー・シャピロ)氏は、GTCに先立って行われた説明会で「100%のマーケットシェアを期待しているわけではありませんが、NVIDIA DRIVEで開発している市場のシェアは圧倒的です」と述べた。「その理由は、NVIDIAがエンド・ツー・エンドのソリューションを提供しているからに他なりません。車に搭載されるものだけでなく、データセンター、シミュレーション、車両に至るまで、同じアーキテクチャー上にあることは非常に大きな利点です」。

画像クレジット:NVIDIA

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Nariko Mizoguchi

NVIDIAの次世代クラウドゲーミング「GeForce Now RTX 3080」は1440p/120fpsの超低遅延ストリーミングが可能に

NVIDIAは「デスクトップクラスのレイテンシー」と「PCまたはMacで最大120fpsの1440pゲーミング」を実現する次世代クラウドゲーミングプラットフォーム、GeForce Now RTX 3080を発表した。このサービスは、GeForce Now SuperPodと呼ばれる新しいゲーミングスーパーコンピュータにより提供され、価格は現在のPriorityの2倍となっている。

SuperPodは、NVIDIAによると「これまでに作られた中で最も強力なゲーミングスーパーコンピュータ」であり、3万9200TFLOPS、1147万7760個のCUDAコア、8960個のCPUコアを実現している。同社は、35TFLOPS、つまりXbox Series Xの3倍、または8コアのCPU、28GBのDDR4-3200 RAM、PCI-GEN4 SSDを搭載したPCとほぼ同等の体験を提供するとしている。

画像クレジット:NVIDIA

そのため、MacやPCでは最大120fpsの1440pゲーミング、SHIELDでも4K HDRを見ることができるが、後者のリフレッシュレートについてはNVIDIAは言及していない。また、モバイルでも120fpsをサポートし「次世代の120Hzディスプレイをサポートします」とNVIDIAは述べている。これに対して、GeForce NowのPriorityレベルは、1080p / 60fpsに限定されており、最新のアップデートではAdaptive VSyncが利用可能だ。

また、バッファリングを低減するアダプティブシンクなどのトリックにより「クリック・トゥ・ピクセル(click-to-pixel)」のレイテンシーを56msまで短縮し、他のサービスやローカルの専用PCにも勝てるとしている。ただし、これはGeForce Nowのデータセンターまでの往復遅延(RTD)が15msであることを前提としており、そこは当然ながらインターネットプロバイダーや所在地に左右される。

NVIDIAの主張はさておき、モバイルデバイスでもPCでも、現行のGeForce Priorityレベルよりも明らかにスピードアップしている。しかし、そのスピードにはコストがともなう。GeForce Nowのプレミアムメンバーシップは、年間50ドル(約5700円)から始まり、最近では倍の100ドル(約1万1400円)に値上がりし、すでにかなり大きい要求になっている。しかし、RTX 3080メンバーシップは6カ月間100ドル(約1万1400円、約2倍の価格)で「数量限定」となっており、Foundersと優先的なアーリーアクセスが米国時間10月21日から始まる。とはいえ、謳い文句通りなら、いずれにしても新しいPCを買うよりは安い。

編集部注:本稿の初出はEngadget。著者Steve Dent(スティーブ・デント)氏は、Engadgetのアソシエイトエディター。

画像クレジット:NVIDIA

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(文:Steve Dent、翻訳:Aya Nakazato)

NVIDIAの最新技術はAIの声をより表現豊かでリアルな人間の声のように

Amazon(アマゾン)のAlexaやGoogleアシスタントなどのAIアシスタントの音声は、昔のGPSなどに比べればずっと良いが、それでもリズムや抑揚などは本物の人間に及ばない。しかしNVIDIAがこのほど発表した研究とツールは、そうした自然な発話を捕捉するためにユーザーがAIを自分の声で訓練できる。発表は、Interspeech 2021カンファレンスで行われた。

AIが行なう音声の合成を改良するためにNVIDIAのテキスト読み上げ研究チームは、アバターの本物らしさを競う、放送事業者の大会NAB Showのコンペで優勝したシステムであるRAD-TTSと呼ばれるモデルを開発した。このシステムは、人が自分の声でテキストから音声への読み上げを訓練することができ、AIの習得内容には発話のテンポや調性、音色なども含まれる。

 

もう1つのRAD-TTSの特長は、声の変換だ。ユーザーが別の人物の声で話者の語りを伝えて、その人物の声でAIを訓練できる。それにより、合成音声のピッチや持続、声の強さなどを個々のフレームのレベルで微調整できる。

この技術を使ってNVIDIAの研究者たちは、本物の会話のように聞こえるナレーションを作り、同社のビデオシリーズ「I Am AI」用に、人間の声でなく合成音声を使うことができた。その狙いはナレーションをビデオのトーンとスタイルに合わせるためであり、それは今日までのAIがナレーションしているビデオではうまくできなかったことだ。結果はまだ少々ロボット的だが、これまで聴いたどんなAIナレーションよりも良い。

「ビデオのプロデューサーはこのインタフェースを使って、ビデオの台本を読んでいる自分自身を録音でき、それからAIのモデルを使って彼の発話を女性ナレーターの声に変換できる。この基準的なナレーションがあれば、プロデューサーはAIを声優のようにディレクションすることができ、合成音声を加工して特定の語を強調したり、ナレーションのペーシングを変えてビデオのトーンをもっとうまく表現したりできる」とNVIDIAは説明している。

NVIDIAはこの研究の一部を一般に公開しているが、もちろんNVIDIAのGPUで効率的に動くように最適化されている。オープンソースで試してみたい人は、GPUで加速した会話的AIのためのPythonツールキットNVIDIA NeMoを使えばよい。同社の、コンテナやその他のソフトウェアのハブであるNGCで入手できる。

NVIDIAの説明では「一部のモデルは、NVIDIA DGXシステムの上で数万時間分のオーディオデータで訓練されている。デベロッパーは自分のユースケースのために、どのモデルでも微調整でき、NVIDIA Tensor Core GPU上の混合精度コンピューティングを使って訓練をスピードアップできる」という。

編集注:本記事の初出はEngadget。執筆者のSteve DentはEngadgetの編集者。

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画像クレジット:NVIDIA

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(文:Steve Dent、翻訳:Hiroshi Iwatani)

rinnaが日本語に特化したGPT-2とBERTの事前学習モデルを開発しオープンソース化

rinnaが日本語に特化したGPT-2とBERTの事前学習モデルを開発しオープンソース化

rinnaは8月25日、日本語に特化したGPT-2とBERTの事前学習モデルとその学習を再現するためのソースコードを、GitHubおよびNLPモデルライブラリーHuggingFaceにオープンソースソフトウェア(OSS)として公開したと発表した。ライセンスはMIT。製品開発のための実験過程で開発したもので、日本語の自然言語処理(NLP)の研究・開発コミュニティに貢献するためという。

rinnaは、2021年4月に日本語に特化した中規模サイズのGPT-2(GPT2-medium)をOSS化しており、今回はモデルサイズが異なる2つのGPT-2(GPT2-small、GPT2-xsmall)を公開したことになる。モデルサイズの違いはパフォーマンスとコストのトレードオフとしており、研究者や開発者は最善のモデル選択可能となるという。また、GPT2-mediumも、学習データと学習時間を増やし、より高性能なモデルへとアップデートしているそうだ。

またGPT-2に加え、BERTを改良したモデルであるRoBERTaも公開した。 GPT-2とBERTの公開により利用者は目的に合わせたモデル選択や、追加学習により多様なタスクへの応用が可能となる。

GPT-2は、予測したい単語より前の単語を考慮して次の単語を予測する言語モデルとなっており、BERTについては、予測したい単語の前の単語だけでなく後の単語も考慮して予測を行う。例えばGPT-2では以下図のように「吾輩」「は」を考慮して「猫」を予測するが、BERTでは前の単語「吾輩」「は」と後ろの単語「で」「ある」を考慮して「猫」を予測する。

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また、今回公開のRoBERTaはBERTを改良したモデルにあたり、BERTより高い性能が報告されているという。RoBERTaを用いて、「4年に1度、[MASK]は開催される。」の[MASK]部分を予測すると、オリンピックやワールドカップといった4年に1度開催されるイベントが上位に予測される。

rinnaが日本語に特化したGPT-2とBERTの事前学習モデルを開発しオープンソース化

文章生成タスクにおいては、文章を1単語ずつ順次予測するGPT-2が用いられるものの、文章分類タスクなどの文章全体を考慮したタスクにおいては、BERTが利用される。文章分類タスクの他にも、質問応答タスクや固有表現認識タスクなど多様なタスクに適用することが可能という。

rinnaの研究チームが開発する大規模な事前学習モデルは、すでに同社製品で広く利用しているという。同社は今後も、AIに関する研究を続け、高性能な製品を開発するとともに、研究・開発コミュニティに貢献するために、研究成果を公開していく予定としている。他社との協業も進めることで、AIの社会実装の拡大を目指す。

rinnaの日本語事前学習モデルの特徴

    • 学習データとして、日本語CC-100と日本語Wikipediaの計75GBのオープンソースデータを使用
    • 8つのNVIDIA Tesla V100 GPUを用いて、75GBの日本語テキストを最大45日間かけ学習。その結果、すべてのモデルにおいて、十分に学習された汎用性があるモデルとなっているという。学習された事前学習モデルはHuggingFaceにおいてMITライセンスで公開
    • 事前学習モデルの学習に用いたソースコードはGitHubにMITライセンスで公開。利用者は、日本語CC-100とWikipediaのオープンソースデータを用いることで、自分のマシンでrinnaによる結果を再現可能
    • GPT-2ではモデルサイズが異なるGPT2-medium(3.36億パラメータ)、GPT2-small (1.10億パラメータ)、GPT2-xsmall (0.37億パラメータ)の3つのモデルを公開。またBERTを改良したRoBERTa (1.10億パラメータ)も公開
    • 利用者の目的に沿った多様なタスク(ドメインに特化した文章生成、文章分類、質問応答など)について、rinnaが公開した事前学習モデルを用いた追加学習により実現できる

英国の競争・市場庁が、NVIDIAのArm買収に「競争を阻害するおそれがある」との懸念を示す

英国の競争監視機関は、NVIDIA(エヌビディア)が計画しているチップ開発メーカーのArm(アーム)の買収について、深刻な懸念を示した。

この評価は現地時間8月20日、英国政府によって発表された。同政府は今後、競争・市場庁(CMA)に買収案の詳細な調査を依頼するかどうかを決定することになる。

CMAが政府に提出した報告書の要旨では、この買収が実行された場合、合併後の企業は、NVIDIAと競合する半導体チップおよび関連製品を製造する企業が使用するArmのIP(知的財産権のある設計データ)へのアクセスが制限することで、競合企業NVIDIAの競争力を損なう能力と動機を得ることになるという懸念が示されている。

CMAは、競争がなくなると、データセンター、ゲーム、IoT(モノのインターネット)、自動運転車など、多くの市場でイノベーションが阻害され、その結果、企業や消費者にとっては、製品が高価になったり、品質が低下したりする損害を招く恐れがあると懸念している。

NVIDIAが提案した行動的問題解消措置は、CMAによって拒否された。CMAは合併案について競争の面で詳細な調査を行う「第2段階」に移行することを推奨している。

CMAの最高責任者を務めるAndrea Coscelli(アンドレア・コシェリ)氏は、次のようにコメントしている。「我々は、NVIDIAがArmを支配することによって、NVIDIAの競合他社が重要な技術へのアクセスを制限されるという深刻な問題を引き起こし、最終的に多くの重要かつ成長している市場におけるイノベーションが阻害されることを懸念しています。その結果、消費者が新しい製品を入手できなくなったり、価格が上昇する可能性があります」。

「チップテクノロジー業界は、数千億円規模におよび、企業や消費者が日々利用している製品に欠かせません。これには、経済全体のデジタルビジネスを支える重要なデータ処理およびデータセンター技術や、ロボット工学や自動運転車などの成長産業にとって重要な人工知能技術の将来的な開発も含まれます」。

NVIDIAにコメントを求めたところ、以下のような声明が送られてきた。

私たちはCMAの最初の見解に対応し、政府が持つ懸念を解決することができる機会を楽しみにしています。当社では依然として、この買収がArmとそのライセンス企業、市場競争、そして英国にとって有益であると確信しています。

英国のデジタル・メディア・文化・スポーツ省は、同省のウェブサイトに掲載された声明の中で、英国のデジタル担当長官が現在「報告書全文に含まれる関連情報を検討中」であり、CMAに「第2段階」の調査を依頼するかどうかの決定を「そのうち行う」と述べている。

「この決定を下すための期間は定められていませんが、不確実性を低減するため、合理的に実行可能な範囲で、早急に決定を下す必要性を考慮しなければなりません」と、声明では付け加えている。

この買収案は英国内でかなりの抵抗に直面しており、Armの共同設立者の1人を含む反対派は、合併が阻止されることを求めている。

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画像クレジット:Bloomberg / Getty Images

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

任天堂が新型Nintendo Switch有機ELモデルには「新しいCPUもRAM増量もない」と公式声明

任天堂が新型Switch有機ELモデルには「新しいCPUもRAM増量もない」と公式声明

Nintendo

突如として発表された新型ニンテンドースイッチこと「Nintendo Switch (有機ELモデル)」。従来の液晶ディスプレイに替えて有機ELディスプレイを採用したと謳われていますが、内部スペックがすべて明らかにされたわけではありません。

そこで海外メディアVGCが問い合わせたところ、任天堂が公式に「内部的に大きな変更はない」との声明を出したと伝えられています。

今回の公式発表の前には、新型スイッチは4K解像度への対応ハードウェア性能の向上が噂されていましたが、任天堂はこれらに何の言及もしていません。新たに掲載されたハードウェア仕様によると、解像度はテレビモードつまりドック接続時には1080p、ハンドヘルドモードでは720pまでとされ、従来モデルとまったく同じとなっています。

こうした仕様につき、任天堂広報は「Nintendo Switch(有機ELモデル)は、従来のNintendo Switchモデルより新しいCPUを搭載したり、RAMを増やしたりすることはありません」と述べたとのことです。

米Bloombergをはじめ複数のメディアやリーカー(注目の未発表製品にまつわる有力情報を発信する人)らが、新型スイッチにはより高速なチップが積まれ、ドック時には4Kないし2K表示が可能となり、ディープラーニングにより見かけは高画質にするNVIDIA DLSS技術に対応などを予想していましたが、ことごとく否定されたかっこうです。

もっとも、上記の噂話の中には発売時には新機能を(未確認の問題のため)封印するとの予想もありました。また「高速化されたチップ」については車載チップNVIDIA Orinのカスタムチップを搭載する説も囁かれていましたが、新型スイッチのSoCは公式仕様では「NVIDIA Custom Tegra processor」とされていて、型番が完全に明らかにされたわけでもありません(従来モデルと同じ表記ではありますが)。

今後のソフトウェアアップデートで秘められた力が解放されるのか、それとも有機ELモデルとは別のProモデルが用意されているのか。あるいは、なにもかもが4年目を迎えたスイッチに強化型が追加される「はず」との願いがもたらした妄想だったのか、しばらく展開を見守りたいところです。

(Source:VGCEngadget日本版より転載)

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カテゴリー:ゲーム / eSports
タグ:NVIDIA(企業)OLED / 有機ELディスプレイ(用語)任天堂 / Nintendo(企業)Nintendo Switch / ニンテンドースイッチ(製品・サービス)

NVIDIAのAIペイントソフト「Canvas」はいたずら書きを瞬時にリアルな風景に変える

ここ数年、AI(人工知能)はイラストレーターとフォトグラファーのギャップを埋めてきた。文字通り、ビジュアルコンテンツのギャップを巧みに埋める。しかしこの最新ツールは、作品の最初期段階、つまり白紙のキャンバス状態からAIがアーティストに手を貸すことを目標にしている。

それぞれの色が異なる対象物を表す。山、水、草木、廃墟などだ。キャンバスに絵を描くと、荒削りなスケッチが敵対的生成ネットワーク(GAN)に送られる。GANは、(この場合は)リアリスティックな画像を作ろうとするクリエイターAIと、その画像がどれほどリアリスティックかを評価するディテクターAIの間でコンテンツを行き来させる。この共同作業によって、提案された画像のそこそこリアリスティックな解釈と考えられるものが作られる。

これは、2019年のCVPR(Computer Vision and Pattern Recognition)学会で発表されたプロトタイプ、GauGAN(ゴーギャン?)のユーザーフレンドリーバージョンといえるだろう。エッジ周りがよりスムーズになり、生成される画像も向上し、対応するNVIDIAグラフィクスカードを備えたどのWindowsパソコンでも使える。

関連記事:スケッチを数秒でリアルな写真に変えるNVIDIAのAI

この手法は、非常にリアリスティックな顔や動物、景色などを作るために使用されているが、人間にはわかる何らかの「違い」があるのが普通だ。しかし、このCanvas(キャンバス)アプリは現実と区別がつかないものを作ろうとはしていない。コンセプトアーティストのJama Jurabaev(ジャマ・ユラバエ)氏がビデオで説明しているように、いたずら書きよりも詳細な画像で自由に実験できることがこのアプリの狙いだ。

 

例えば片側に川が流れている草原の朽ち果てた廃墟を鉛筆で手早く描いたスケッチは、最終作品がどう見えるかをそこそこしか表せない。もし頭の中で描いたイメージがあり、その後2時間かけて作画して色をつけた後、太陽は絵の左側に沈んでいくので前景の影がどうにも落ち着かないことに気がついたとしたらどうだろうか。

もし代わりに、これらの要素を簡単な走り書きにしてCavasに渡せば、そうなることが即座に把握でき、次のアイデアに移ることができる。時刻やパレットやその他高度なパラメータも簡単に変えられるので、それぞれの場合をすばやく評価することができる。

画像クレジット:NVIDIA

「もう白いキャンバスが怖くなくなりました」とユラバエ氏は言った。「大きな変更も怖くありません、細部は常にAIが助けてくれることがわかっているので、自分はクリエイティブ面に全力を集中し、あとはCanvasに任せられるからです。

これはGoogle(グーグル)のChimera Painter(キマイラ・ペインター)と非常によく似ている。あの不気味な画像を覚えているなら、そこではほとんど同じプロセスを使って想像上の動物が作られていた。雪と岩と茂みの代わりに、後ろ足と毛皮と歯などがある。使い方はより複雑で間違いも起こりやすい。

画像クレジット:Devin Coldewey / Google

それでも普通のペイントアプリで不気味な円筒形の動物すら描いたことのない私のようなアマチュアにとって、優れたツールであることは間違いないだろう。

キマイラ・ペインターとは異なり、Canvasはローカルで動作し、NVIDIAの強力なビデオカードが必要だ。GPUが機械学習アプリケーションの推奨ハードウェアになって久しいが、リアルタイムGANのようなものには、間違いなく超強力バージョンが必要だろう。Canvsアプリはここから無料でダウンロードできる

関連記事:Googleが機械学習を利用した悪夢のような「怪物ジェネレーター」を開発

カテゴリー:人工知能・AI
タグ:NVIDIA機械学習

画像クレジット:NVIDIA

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(文:Devin Coldewey、翻訳:Nob Takahashi / facebook

ThinkPadがNVIDIA「RTX 3080」モバイル版採用、16:10画面の「X1 Extreme Gen4」が海外発表

ThinkPadがNVIDIA「RTX 3080」モバイル版採用、16:10画面の「X1 Extreme Gen4」が海外発表

大手PCメーカーのレノボが、16インチの高級ノートPC『ThinkPad X1 Extreme Gen4』ワールドワイド向けモデルを発表しました。発売は2021年8月、EU圏での価格は2099ユーロ(単純換算で約27万7000円)からとなります。

ThinkPadがNVIDIA「RTX 3080」モバイル版採用、16:10画面の「X1 Extreme Gen4」が海外発表

従来のX1 Extremeは、15.5インチの大画面を搭載しながら薄型で重量も2kgを切る(1.7kgから。本世代は1.82kg)など、ある程度の可搬性も備える点が特徴。薄型かつ高級なThinkPad X1シリーズの中でも、大画面かつ高速モデルとして位置づけられます。

本体の大きさを活かし、強力(TDP値の大きな)CPUとNVIDIA製の単体GPUを搭載していることから「ゲーミングノート級の性能を備えた薄型ThinkPad」としても知られています。

ThinkPadがNVIDIA「RTX 3080」モバイル版採用、16:10画面の「X1 Extreme Gen4」が海外発表

今回のGen4(第4世代)の特徴は、(先んじて発表されたX1 CarbonやYogaと同様に)画面アスペクト比が16:10へと変更された点。さらに4辺ナローベゼル化も進められており、外観の印象が大きくアップデートされています。もちろん、縦方向のピクセル数増加のメリットも大きなところ。

さらに大きな特徴は、搭載GPU。NVIDIA製のGeForce RTX 3080 Laptop(いわゆるモバイル版)/ビデオメモリ16GBまでを搭載可能となりました。なお下位でも、RTX 3050 Ti Laptopからと強力です。

現行モデル(第3世代、日本向け仕様)ではGeForce GTX 1650Ti Max-Q/4GB構成だったため、大幅な強化となります。GPUパワーを必要とするユーザーにとっては非常に大きなポイントでしょう。

合わせてCPUも、Tiger Lake-HことTDP 45W版の第11世代Core iへと刷新。最上位構成ではCore i9も搭載可能です。

ThinkPadがNVIDIA「RTX 3080」モバイル版採用、16:10画面の「X1 Extreme Gen4」が海外発表

底面パネルを外した状態。およそ半分が冷却機構によって占められています

そしてこれだけの強力なGPUとCPUを搭載可能でありながら、厚さは17.7mm、重量は1.81kgと、第3世代とほぼ変わらない水準に留め置かれている点もポイント。

薄型ノートPCで強力なGPU……となると、やはりポイントとなるのが冷却技術。今世代では、従来世代より搭載されたデュアルファンを強化し、さらにヒートパイプとベイパーチャンバーを組み合わせた大型ヒートスプレッダーによる熱拡散や、キーボード面からの(排水機構を保ちながらの)積極的な吸気といった新技術も導入。

「高性能ゆえに発熱が大きなRTX 3080もオーバーヒートなしで動作可能」とアピールします。

ThinkPadがNVIDIA「RTX 3080」モバイル版採用、16:10画面の「X1 Extreme Gen4」が海外発表

事前説明会では冷却機構部を取り外す様子も。これだけの冷却パーツが一体となっているのがポイントです

ThinkPadがNVIDIA「RTX 3080」モバイル版採用、16:10画面の「X1 Extreme Gen4」が海外発表

画面のアスペクト比の次に外観上の特徴ともなるのが、スピーカー。キーボード左右への移動により聞きやすくなりました

さらに他の基本性能も、これに見合った強力な仕様です。

ディスプレイパネルはアスペクト比の変更により、サイズが16インチに(現行では16:9で15.5インチ)。最上位構成は、解像度3840×2400、最大輝度600nit、ドルビービジョンHDR対応、10ビットRGB(30ビット)カラー対応と強力。さらにオプションで出荷時のカラーキャリブレーション(色較正)も選択可能です。

また下位仕様でも、2560×1600解像度に最大輝度400nitと、こちらもかなり贅沢な仕様。

またフロントカメラも、他のThinkPad 2021年モデルで評価の高いフルHD解像度仕様へとパワーアップ。暗所でのノイズなども低減されています。

RAMはDDR4-3200を最大64GBまで、ストレージは最大2TB(1TB×2)のPCI Express 4.0接続SSDと、こちらも強力。また見逃せない特徴として、事前説明会では、RAMはDIMMでの搭載、SSDはM.2スロット経由での搭載である点が紹介されました。つまり汎用部品でのアップグレードが可能な仕様です。

さらにモバイル通信の面も強化。オプションにて5Gモデム搭載が可能となりました。

ThinkPadがNVIDIA「RTX 3080」モバイル版採用、16:10画面の「X1 Extreme Gen4」が海外発表

電源ボタンはキーボード面右上に。一見しただけでは指紋センサー搭載とわからないデザインです

合わせて使い勝手の面でも、ThinkPadの2021年仕様が取り入れられたものとなっています。例えば指紋センサーはX1 Carbonなどと同じく、電源ボタン兼用仕様に。ワンタッチで電源オンからログインまでが行えるようになりました。

さらにスピーカーは位置がキーボード左右の「一等地」へと移動し、さらに現行モデルより容積を20%拡大し、音質を改善。ドルビーアトモスにも対応します。

  1. ThinkPadがNVIDIA「RTX 3080」モバイル版採用、16:10画面の「X1 Extreme Gen4」が海外発表

    US配列キーボードは、X1 Carbonなどと同様なタイプ。ヘビーユーザー注目の[End]と[Insert]は独立仕様です(X1 NanoやTitaniumのように兼用ではありません)

 

合わせてタッチパッドは横幅115mmまで拡大し、より細かな操作が行えるようになりました。もちろんキーボードはTrackPoint(スティック型ポインティングデバイス)付きです。

バッテリー容量は90Whと、第3世代(80Wh)より拡大。公称バッテリー駆動時間は最大10時間と、GPUの高性能化などもあってか控えめですが、処理能力と本体重量とのバランスを考えると非常に優秀と呼べそうです。

主な仕様は、

  • 本体サイズ:約359.5×253.8×17.7mm(幅×奥行×厚さ)
  • 本体重量:約1.82kg
  • ディスプレイ(例):16インチ/16:10、3840×2400、リフレッシュレート60Hz(最大輝度600nit、ドルビービジョンHDR対応)
  • CPU:インテル製第11世代Core i/TDP 45W(Tiger Lake-H、最上位ではCore i9 vPro)
  • GPU(例):NVIDIA GeForce RTX 3080(16GB/GDDR6)
  • RAM:最大64GB/DDR4-3200(SO-DIMM×2基)
  • ストレージ:最大2TB SSD(NVMe/PCI Express 4.0 x4、本体側はM.2スロット×2基)
  • バッテリー駆動時間:最大10時間
  • バッテリー容量:90Wh
  • USB端子:Thunderbolt 4兼USB Type-C×2、USB Type-A(10Gbps)×2
  • 映像端子:HDMI 2.1(フルサイズ)
  • 拡張端子:フルサイズSDカードスロット、3.5mmヘッドセットジャック(入力、出力)
  • Wi-Fi:Wi-Fi 6E(インテル製)
  • モバイル通信:5Gモデム(オプション)
  • 生体認証機能:指紋認証(電源ボタン兼用センサー)
  • 標準搭載OS:Windows 10 Pro 64bit版
  • ACアダプタ:専用端子(角形)
ThinkPadがNVIDIA「RTX 3080」モバイル版採用、16:10画面の「X1 Extreme Gen4」が海外発表

左側面側の端子。背面側より専用電源(おなじみの角形)、Thunderbolt 4×2、フルサイズHDMI 2.1、3.5mmヘッドセットの順です

ThinkPadがNVIDIA「RTX 3080」モバイル版採用、16:10画面の「X1 Extreme Gen4」が海外発表

右側面の端子は、奥側よりケジントンロック、USB Type-A×2、フルサイズSDカードスロットとなります

といったところ。なお気になるのはACアダプタの大きさですが、今回は公開されていません。

ThinkPadがNVIDIA「RTX 3080」モバイル版採用、16:10画面の「X1 Extreme Gen4」が海外発表

外装はおなじみのカーボンファイバー。上位モデルではカーボンファイバー柄トップカバーも選択可能です

このようにThinkPad X1 Extreme Gen4は、現行モデルまでの長所を受け継ぎつつも、搭載GPUの上限を大幅に強化し、名実ともに「AAA級ゲームにも耐えられる」性能を備えたThinkPadと呼べる存在となったノートPC。

16:10画面の採用をはじめとする使い勝手の強化と合わせて、現行世代以上にクリエイター向けにもアピールできる製品と呼べそうです。

(Source:レノボ ニュースリリース(英語版)Engadget日本版より転載)

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カテゴリー:ハードウェア
タグ:NVIDIA(企業)ガジェット(用語)Thinkpad(製品・メーカー)Lenovo / レノボ(企業)

インテルのノートPC向けCPU市場シェアがAppleシリコンの影響で大きく落ち込む可能性、AMDはシェア堅持か

インテルのノートPC向けCPU市場シェアがAppleシリコンの影響で大きく落ち込む可能性、AMDはシェア堅持か

Apple

アップルがMacのプロセッサをインテル製から自社開発のAppleシリコンに2年かけて移行すると発表してから、1年以上が経過しました。その影響により、今後インテルのノートPC向けCPU市場シェアが大きく落ち込むとの予測が報じられています。

台湾の電子部品業界情報誌DigiTimesによると、M1チップを搭載した4台のMacとそれに続く(Appleシリコン搭載Mac)リリースにより、今年(2021年)のインテルはアップルからの受注のうち50%を失うとのこと。さらに、最終的にはアップルからの受注がゼロになることで、2023年にはインテルのノートPC向けプロセッサの市場シェアは80%を下回るとの見通しが述べられています。

そればかりか、アップルが自社開発した一連のArmベースプロセッサ(Appleシリコン)は、2022年にはインテルのシェアから大きな割合を奪う重要な役割を果たすとの情報筋の予想も伝えられています。

2023年にインテルのシェアが80%を下回るという概算は、具体的にはアップルに供給していた10%のシェアを失う一方で、AMDは10%のシェアを堅持するとの予想から。インテルはWindows PCやサーバー向けのCPU市場ではAMDとの熾烈なシェア争いを繰り広げる一方で、Macは一種の聖域ともなっていましたが、それが消え失せることは手痛い打撃となりそうです。

インテルはそうしたAppleシリコンが自社のビジネスに与える影響を認識しているようで、「Macにできないことがインテル製チップを搭載したPCにはできる」など複数のキャンペーンを展開しています。それに対しては結果的にインテル製CPUを採用した16インチMacBook Proを貶めていることや、MacがPCよりゲーム体験が劣るのはインテルと関係ない他社製GPUによるものではないかとの指摘もありました

現在のM1搭載Macは「低消費電力のわりに高性能かつ低価格」にこそ強みがあり、お金にも消費電力にも糸目を付けないインテル製チップ搭載のハイエンドPCにはピーク性能で及びません。が、32個もの高性能コアや128個ものGPUコアを搭載すると噂される次世代Appleシリコンが登場すれば、プロセッサ市場を一変させるゲームチェンジャーとなる可能性もありそうです。

(Source:DigiTimes。Via MacRumorsEngadget日本版より転載)

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NVIDIAが高精度マップスタートアップのDeepMapを買収、自律走行車テクノロジーを強化

半導体メーカーNVIDIAが高精度マップスタートアップのDeepMapを買収すると発表した。NVIDIAは、DeepMapのマップ技術はNVIDIAの自律走行車テクノロジーであるNVIDIA Driveに活かされるとしている。

NVIDIAの自動車部門バイスプレジデントでジェネラルマネージャーのAli Kani(アリ・カニ)氏は発表の中で「DeepMapのユニークなビジョン、テクノロジー、人材を高く評価して買収することになりました。DeepMapは我々のマップ製品を拡張し、マップの運用をワールドワイドにスケールし、完全な自動運転に関する専門性を高めるものと期待しています」と述べた。

乗用車の完全な自動化を達成する上での最大の課題として、各地域への適合と現在の道路の状況を反映した地図情報の更新が挙げられる。NVIDIAの自律走行スタックにDeepMapのテクノロジーを統合することで、精度が上がって自動車が自分の位置を把握する性能が高くなる。

DeepMapの共同創業者でCEOのJames Wu(ジェームズ・ウー)氏は発表の中で「NVIDIAと協力することで我々のテクノロジーをさらに迅速にスケールし多くの方々に早く利用していただけるようになるでしょう。NVIDIAのチームの一員として我々のジャーニーを続けていくことを楽しみにしています」と述べた。

DeepMapはGoogle、Apple、Baiduに勤務していたウー氏とApple、Googleに勤務していたMark Wheeler(マーク・ウィーラー)氏によって設立された。DeepMapはNVIDIA Driveのソフトウェアデファインドプラットフォームを使って自律走行車全体に対してマップを迅速にスケールすることができ、Over the Airのアップデートでデータストレージをそれほどたくさん必要としない。NVIDIAは今後、連携の一環としてDeepMapの新しい機能にも投資していく。

買収は2021年第3四半期に完了する予定だ。

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カテゴリー:モビリティ
タグ:NVIDIADeepMap買収地図自動運転

画像クレジット:DeepMap

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Kaori Koyama)

NVIDIAのArm買収に国家安全保障上の懸念を理由に英国政府が介入

英国政府は半導体メーカーのNVIDIAによるArm Holdings買収計画に介入し、公益のための監視を始動した。

デジタル・文化・メディア・スポーツ省のOliver Dowden(オリバー・ダウデン)大臣は英国時間4月19日、政府は半導体に関わる契約のあらゆる安全保障問題を調査する意向であると語った

NVIDIA(エヌビディア)による英国企業Arm(アーム)の400億ドル(約4兆3330億円)での買収は2020年9月に発表されたが、未だに規制当局の承認が得られていない。

英国競争・市場庁(CMA)は2021年1月にこの買収提案の調査を開始した。

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NVIDIAの計画に対する国内の反対はすばやく、Armの共同ファウンダーの1人は「Save Arm(Armを救え)」キャンペーンを2020年9月に立ち上げた。そのHermann Hauser(ハーマン・ハウザー)氏は、米国企業によるArmの買収は、米国の利害関係に対する同社の独立性を失わせ、貿易における最も重要な兵器を手放すことで英国の経済主権を脅かすものだと警告した。

関連記事:Arm共同創業者が4.2兆円でのNVIDIAからの買収に反対、独立性確保のため「Save Arm」キャンペーンを開始

デジタル・文化・メディア・スポーツ省による介入(2002年企業法が発効した規制力を使ったもの)は、競争規制当局がフェーズ1捜査を開始するよう指示されたことを意味している。

CMAには7月30日までに大臣に報告しなければならない期限がある。

ダウデン氏は声明で次のように語った。「ARM買収の提案を慎重に検討した結果、本日、国家安全保障を理由に介入命令を発行しました。次の段階として私が関連情報を集めるために、英国の競争・市場庁は、本買収から予測される結果報告を準備中であり、今後の判断に役立てます」。

「私たちは繁栄している英国テック業界を支援し、海外からの投資を歓迎したいと考えていますが、このような取引の招く国家安全保障上の懸念については、慎重に考慮することが適切です」と同氏は付け加えた。

CMAのフェーズ1捜査が完了すると、ダウデン氏には契約を承認する選択肢が生じる。即ち、国家安全保障および競争上の問題が見つからなかった場合、あるいは、指摘された問題の改善を条件に承認するかだ。

ダウデン氏は、さらに捜査を進めるために、CMAに詳細なフェーズ2捜査の実施を命令することもできる。

フェーズ1報告書が提出された後、大臣が次の段階の決定を下すまでの期間は決められていない。ただし、DCMSは「当然実用的」に不確定要素が減り次第、決定は下されるとしている。

ダウデン氏の介入は国家安全保障の理由で実施されているが、NVIDIAのArm買収については、別の懸念も取り沙汰されている。具体的には、英国の雇用およびArmのオープンライセンシングモデルに関してだ。

2020年NVIDIAはこれらの問題を解決するために、Armのライセンシングモデルの維持と英国ケンブリッジのArm事業所の拡張を約束し、英国キャンパスに「新しい卓越したAI研究の世帯的研究拠点」を作ると語った。

しかし、NVIDIA傘下のArmが英国の経済主権に与える結果に対する懸念を和らげるために、どのような商業的譲歩が提案されるのかは想像がつかない。なぜならこれは政治的リスクであり、和らげるためには政治的な、例えば、条約レベルの解決方法が必要になるからだ。それは、NVIDIAの力だけではどうにもならないものだ。

国家安全保障の懸念は、半導体設計や次世代ネットワークのような最先端インフラストラクチャーを供給するテック企業にとって、増大する事業リスクだ。競争が比較的少ない分野では、市場の選択が制限されるだけでなく、政治的思惑を助長させる。

数々の買収提案は、政治経済的情勢の急変を呼ぶ市場統合の引き金だ。

しかし、テック企業の事業は、国家安全保障の名のもとにますます圧迫を受けている。たとえばここ数年、米国政府によるHuaweiなどの中国拠点5Gインフラ供給会社に対する攻撃で、トランプ元大統領は同社による次世代ネットワークの提供を、米国からだけでなく、西側同盟国の国内ネットワークからも追放しようとした。

最近(地理)の政治的圧力は、主要インフラストラクチャー企業だけが標的ではない。トランプ氏は国家安全保障を理由に中国製ソーシャルネットワークのTikTokを揺さぶり落とそうとした。これは、いかにテックツールが地政学的権力に利用され、各国の経済・政治の私欲に後押しされているかを示す好例だ。

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カテゴリー:ハードウェア
タグ:NVIDIAArm HoldingsイギリスCMA

画像クレジット:Chris Ratcliffe/Bloomberg

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Nob Takahashi / facebook

動画配信ソフト「OBS」がNVIDIAの音声ノイズ除去機能を取り込み、キー打鍵音やマイクのホワイトノイズなど低減

動画配信ソフト「OBS」がNVIDIAの音声ノイズ除去機能を取り込み。キー打鍵音やマイクのホワイトノイズなど低減

RyanKing999 via Getty Images

子どもたちの「将来やりたい職業ランキング」に毎度ランクインするようになった”ユーチューバー”ですが、そのYouTuberやその他プラットフォームのストリーミング配信者がよく使っているのが、OBS Studio。OBSはOpen Broadcaster Softwareの略で、アップロード動画の録画にもライブ配信にも無料で使える優良ソフトウェアです。

このOBSの最新ベータ版(v.27 Beta)にて、以前はRTX Voiceと呼ばれていたNVIDIAのAIオーディオノイズリダクション技術が利用可能になりました。

RTX Voiceに対応するグラフィックスボードを搭載したPCが必要ですが、これによりOBSは配信中のキーボード打鍵音の低減、マイクのホワイトノイズやその他の様々な雑音を自動的に排除するようになります。

またこれらは、すべてOBSネイティブでサポートするようになるのもポイント、外部ソフトとの連携ではないため、配信者は複数のソフトウェアを切り替える手間が軽減されます。

ただし、元はNVIDIAの技術なのでOBS単体だけでなく、NVIDIA Broadcast Audio Effects SDKと最新のGeForce Game Readyドライバーの導入が必要です。

少々面倒そうですが、セットアップのしかたはNVIDIAのブログ記事に記されています。一度やってしまえばあとはかんたんなので、対応する環境をお持ちなら導入しない手はありません。

NVIDIAのGame Readyドライバーにはほかにもゲーム『Mortal Shell』でのレイトレーシングとDLSSのサポート、『Valorant』のReflex遅延低減設定などいくつかのアップグレードが含まれています。さらに2021年のLG製テレビなど、G-SYNC対応ディスプレイ6機種のサポートが追加されました。

(Source:NVIDIANVIDIA Developer。Coverage:OBSEngadget日本版より転載)

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NVIDIAが次世代車載半導体「DRIVE Atlan」発表、演算処理性能1000TPSの「車載データセンター」

NVIDIAが次世代車載半導体「DRIVE Atlan」発表、演算処理性能1000TPSの「車載データセンター」

4月12日(現地時間)、半導体メーカーNVIDIAはオンラインカンファレンス「GTC 2021」を開催。この中で、同社のジェンスン・フアンCEOが次世代車載半導体「DRIVE Atlan(ドライブ アトラン)」を発表しました。

NVIDIAの車載半導体は、2018年提供の「Parker(パーカー)」、2020年から供給している「Xavier(エグゼビア)」が現行モデル。来年にはXavierの後継に当たる「Orin(オーリン)」の供給が開始される予定です。すでにメルセデスベンツの次世代車両に搭載されることが決まっており、今回のカンファレンスでも、ボルボの車両に「Orin」の搭載が発表されましたが、早くもその次の車載半導体が発表されたかたちです。

注目の「Atlan」ですが、特筆すべきはその処理能力。「Atlan」はなんと1秒間に1000兆回もの処理を行うことが可能。「Parker」は1TOPS(1秒間に1兆回)、「Xavier」は30TOPS(1秒間に30兆回)、「Orin」は254TOPS(1秒間に254兆回)ですから、これらと比べると「Atlan」は破格の性能を有しているといえます。

高度なAI技術を用いて自律走行を行う無人車両はもちろんのこと、有人車両でもアプリケーションやAI機能が充実したモデルで高い演算能力が求められます。同社は「Atlan」の高い能力を「A Data Center on Wheels(車載データセンター)」と表現していますが、データセンターレベルの能力を車に搭載することができれば、自動運転技術も飛躍的に向上するかもしれません。

「Atlan」は2023年にサンプル提供が行われ、車両への搭載は2025年を予定しているとのこと。

(Source:NVIDIAEngadget日本版より転載)

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NVIDIAとMediaTekがChromium・Linux対応リファレンスプラットフォーム開発で連携、RTX GPUとArm採用ノートPCを示唆

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米NVIDIAと台湾MediaTekは、リファレンスラップトップのプラットフォームを共同開発すると発表しました。

今回の提携で、両社はChromium、Linux、NVIDIA SDK(ソフトウェア開発キット)をサポートするラップトップ(Chromebookかどうかはわかりません)を開発します。現時点では具体的な製品仕様や投入時期などは明らかになっていませんが、NVIDIAによれば「RTX GPUとARMアーキテクチャの組み合わせにより、リアルなレイトレースグラフィックと最先端のAI(人工知能)をラップトップに導入する」ことを目標としています。

Nintendo Switchや車載インフォテイメントシステムに採用されている「Tegra」シリーズなど、NVIDIAはすでにARMベースのプロセッサを多数市場へ投入しています。さらに同社は12日に開催した年次カンファレンス「GTC 2021」にて、ARMベースのデータセンター向けプロセッサ「Grace」を発表しました。こちらはAIスーパーコンピューティングや自然言語処理など、大規模なデータ処理を対象とした製品。

MediaTekのプロセッサはハイエンドスマートフォンではあまり見かけないものの、2020年第3四半期にはシェアで米クアルコムを追い抜くなど、着実にその勢力を伸ばしています。またローエンドからミッドレンジ向け製品が中心のMediaTek製プロセッサですが、RTX GPUの技術が加わることにより、一挙にハイエンド級のパフォーマンスを達成することも期待できそうです。

PC向けプロセッサメーカーの話題としては、韓国サムスンとAMDが協力しAMD製GPUを搭載したラップトップ向けプロセッサを投入するとの観測も登場しています。NVIDIAは2020年にソフトバンクグループからARMを買収しており、今後もARMアーキテクチャへさらなる経営資源の投入を進める可能性があります。

(Source:NVIDIAEngadget日本版より転載)

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NVIDIAがArmベースのデータセンター用CPU「Grace」発表、2023年に搭載システム立ち上げ予定

NVIDIAがArmベースのデータセンター用CPU「Grace」発表、2023年に搭載システム立ち上げ予定

「Grace」という名の由来は、プログラミング言語COBOLの開発者グレース・ホッパー氏とのこと

AppleがM1チップを開発したように、NVIDIAがArmベースの独自CPU「Grace」を発表しました。同社初のデータセンター向けCPUで、AIスーパーコンピューティングや自然言語処理など、大規模なデータ処理を対象としています。

NVIDIAによると、「Grace」を搭載したシステムは、x86ベースの「DGX」システムと比較して、1兆個のパラメーターを持つ自然言語処理(NLP)モデルの学習を約10倍速でこなします。

このパフォーマンス向上を支えるのが、NVIDIA独自の「NVLink」インターコネクト技術です。同技術の適用により、Grace CPUとNVIDA製GPU間で900GB/sのスループットを実現し、これは現在の主要なサーバーの約30倍の速度だとNVIDIAは説明しています。また、LPDDR5xメモリの採用により、Graceシステムのエネルギー効率は10倍に向上、DDR4 RAMの2倍の帯域幅を実現しています。

この「Grace」は、スイス国立スーパーコンピューティングセンター(CSCS)と、米国のロスアラモス国立研究所に採用予定。両施設とも2023年に「Grace」を搭載したシステムを立ち上げ予定で、その頃には他の顧客にも「Grace」を採用したシステムが広がる見通しです。

NVIDIAはこのほか、Amazon Web Servies(AWS)との提携も発表。NVIDIA GPUをAWSのArmベースのCPU「Graviton2」と組み合わせると発表しました。このNVIDIA GPUを搭載したAWSインスタンスは、Androidゲームをネイティブに実行できるだけでなく、モバイル機器にゲームをストリーミングしたり、レンダリングやエンコードを高速化できるといいます。

加えて、NVIDIAはArmベースのHPC(ハイパフォーマンス・コンピューティング)用の開発者キットも発表。同キットには、Armのサーバー向けCPUである「ARM Neoverse」を80コア、NVIDIA A100 GPUを2基、ネットワークやセキュリティの高度化、ストレージを高速化する「NVIDIA BlueField-2 DPU」を搭載しています。

NVIDIAがArmベースのデータセンター用CPU「Grace」発表、2023年に搭載システム立ち上げ予定

エネルギー効率の高いArmアーキテクチャは、膨大な電力を消費するデータセンターと相性が良いとされています。コンシューマーPC分野におけるApple M1の登場に続き、データセンター向けにもArmベースの製品が拡充されたことは、x86アーキテクチャを主力とするインテルの新たな脅威と言えそうです。

(Source:NVIDIAEngadget日本版より転載)

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AIチャットボット「りんな」を手がけるrinnaが日本語特化のGPT-2大規模言語モデルをオープンソース化

AIチャットボット「りんな」を手がけるrinnaが日本語特化のGPT-2大規模言語モデルをオープンソース化

AIチャットボット「りんな」などを手がけるrinna(リンナ)は4月7日、日本語に特化したGPT-2の大規模言語モデルを構築し、GitHubおよびNLPモデルライブラリー「HuggingFace」において、トレーニングコードと言語モデルをオープンソースソフトウェアとして公開した。

また今回公開したモデルは、GPT2-mediumと定義される中規模サイズのものという。今後、パフォーマンスとコストのトレードオフに基づいてユーザーおよび研究者が最善の選択を行えるよう、異なるサイズのモデルも公開する予定。異なるデータでトレーニングした新しいモデルの公開も計画している。

rinnaの研究チームが開発している大規模な言語モデルは、すでに同社プロダクトに広く使用されているという。同社は今後も、異なるテキストスタイルや異なるデータ量を含む、より高精度でより大規模な言語モデルの研究開発を続け、AIチャットボットの能力を高めるとしている。また、日本語の研究コミュニティのために、これらのモデルのオープンソース化を行う。

日本語GPT-2モデルの機能

言語モデルとは、言語データの機械学習を基に、会話や文章の「人間が使う言葉らしさ」を確率としてモデル化したもの。GPT-2の場合は、単語レベルの確率の組み合わせから文の確率を計算する言語モデル(自己回帰言語モデル)を採用している。

例えば、「確率(吾輩は猫である) = 確率(吾輩) × 確率(は|吾輩) x 確率(猫|吾輩,は) × 確率(で|吾輩,は,猫) × 確率(ある|吾輩,は,猫,で)」のような方法で推定を行う。この能力を使って、GPT-2は「吾輩は猫で」という接頭辞(Prefix)を与えられたとき、確率の推定から次にくる単語として「ある」を選択し、文章を自動生成する。

今回rinnaが公開した日本語GPT-2モデルは、一般的な日本語テキストの特徴を有した高度な日本語文章を自動生成できる。ユーザーおよび研究者は、特定のテキストデータを微調整して、このモデルから独自のモデルを作成することも可能としている。

例えば、Prefixとして「誰も到達していない人工知能の高みへ、ともに」という文章が与えられたとき、特定のコンテキスト(デモ1:講演の感想、デモ2:書籍の紹介)で応答文を生成するように、微調整できるという(掲載した画像のデモは生成する文章の文字数上限を設定しており、実際に生成される全文ではない)。

デモ1:講演の感想のコンテキストで文章生成

デモ1:講演の感想のコンテキストで文章生成

デモ2:書籍の紹介のコンテキストで文章生成

デモ2:書籍の紹介のコンテキストで文章生成

rinnaの日本語GPT-2モデルの特徴

rinnaの日本語GPT-2モデルは、トレーニングデータとしてCC-100のオープンソースデータを使用しているという。

またNVIDIA「Tesla V100 GPU」を用いて、70ギガバイトの日本語テキストを約1カ月の長期間にわたってトレーニングしたそうだ。その結果同モデルは、約18 perplexityという性能を達成した。この「18perplexity」は、GPT-2モデルが前に与えられた単語から次の単語を予測するときに、正しいものを含む18のオプションだけを残せるという性能を意味するという。モデルは十分にトレーニングされており、汎用性があるとしている。

rinnaは、Microsoft(マイクロソフト)のAI&リサーチ部門でAIチャットボットの研究を行っていたチームがスピンアウトして2020年6月に設立したAI開発企業。ディープラーニング技術を活用し、AIが文脈に応じた会話文を自動生成して人間と自然に会話する「共感チャットモデル」、AIが話し声や歌声で豊かな感情表現を可能にする「音声合成システム」などの技術を発表している。

これらの最新技術は、同社運営のAIチャットボット「りんな」や、会話内容や音声表現をカスタマイズしてキャラクター性を持たせたAIチャットボット「AIキャラクター」の開発に応用しており、企業のマーケティングなどに採用されているという。

同社は、製品開発のための自然言語処理(NLP)の実験過程で、日本語に特化したGPT-2の大規模言語モデルを構築。日本語のNLP研究コミュニティに貢献するために、開発した言語モデルと、研究者が自分のマシンで実験結果を再現するためのトレーニングコードを、GitHub、およびNLPモデルライブラリHuggingFaceで、オープンソースとして公開した。

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