EC界の寵児マーク・ローリー氏がJet.comを3115億円で売却し4年余りでWalmart退社

Walmart(ウォルマート)のエグゼクティブバイスプレジデントで、米国内eコマース部門の社長兼CEOを務めていたMarc Lore(マーク・ローリー)氏が、自身のeコマース会社Jet.comを30億ドル(約3115億円)でWalmartに売却してから4年余りで退任することになった

ローリー氏の在職期間については、批判と称賛がある。Walmartは、ローリー氏の在職期間中にいくつかの新しい技術イニシアチブを打ち出したが、Jet.comのサービスは2020年5月に閉鎖され、顧客がテキストで商品を注文できるオプションのようなローリー氏の他のイニシアチブも、アーカンソー州を拠点とするWalmartにとっては赤字となった。

「ローリー氏が2021年1月31日に退任した後は、2021年2月1日から、米国の小売eコマースのすべての側面を含む米国事業は、米国Walmartの社長兼CEO、John Furner(ジョン・ファーナー)氏の管理下におかれる」とWalmartは登記で述べている。

Walmartは、金融サービスの開発に特化した新事業を立ち上げるなど、テック関連の取り組みを次々と進めてきた。

そちらのイニシアチブは、フィンテック投資会社であるRibbit Capitalとの戦略的パートナーシップによって行われており、2018年に立ち上げたインキュベーター「Store N⁰8」も含むスタートアップテックのポートフォリオに加えられている。

「過去数年を、誇りを持って振り返っています。Walmartは私の人生を変えてくれましたし、我々が一緒に行った仕事はこれからも長い間、お客様の生活を変え続けていくでしょう。Walmartファミリーの一員になれたことは光栄に感じており、今後もアドバイスやアイデアを提供できることを楽しみにしています」とローリー氏はLinkedinに投稿された声明の中で述べている。「今後、私は休暇を取り、いくつかのスタートアップ企業と仕事を続ける予定です。今後もみなさんに、最新情報をお届けすることを楽しみにしています」。

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(翻訳:Nakazato)

ユニコーンの公開市場での高い評価、誰も何に価値があるのかがわからない

Exchange

スタートアップとマーケットの週刊ニュースレター「The TechCrunch Exchange」へようこそ。

今週もまたユニコーンになったスタートアップが株式を公開し、評価額が急騰するのを見ることとになった。すでにIPO価格で注目されていたが、これほど多くのユニコーンが公開市場で高額な評価を得ているのを見ると、一体誰が誰の価格をつけ間違ったのだろうと疑問が湧いた

まあそれは好みの問題であり、言葉の定義上の議論であり、コップの中の嵐なのだが。それよりも重要なのは、正確にいえば、一体何に価値があるのかを知っている人が誰もいないということで、それが多くの人を金持ちにしたり、頭に血を上らせたりしている。

これは新しいテーマではない。私は何年もそのことに触れてきたが、私たちにとって今、大切なのは企業の評価に対しては3つの明確な区分があり、その間のギャップは縮まるようには見えないということだ。そうしたギャップが広がったという人もいるだろう。

区分1は民間資本群だ。これは、2020年9月のラウンドでAffirm(アファーム)を1株あたり19.93ドル(約2070円)と評価したり、2020年2月にはRoblox(ロブロックス)を40億ドル(約4152億8000万円)と評価したような一群だ。今ではAffirmには1株あたり116.58ドル(約1万2000円)の価値があり、Robloxには295億ドル(約3兆627億円)の価値がある。すごい話だ。

区分2は長期公共投資群だ。IPOの価格設定という文脈で重要な役割を果たす一群だ。彼らは民間資本の関係者よりも、より多くの資金をスタートアップに投下したがる。このグループにとってAffirmは、1株あたり20ドル以下では価値のないものだったが、わずか数カ月後には1株あたり49ドルの価値を持つものとなった。すごい話だ。

区分3は、/r/WallStreetBets(Redditの株式サブグループ)や、Twitterでミームストック(若者に人気の高い価格の不安定な株式)やフィンテック関連で暴れまわる連中のような個人投資家の一群だ。見ている分にはとても楽しいが、連中にはラスベガスで500ドル(約5万円)だって貸そうとは思わないだろう。彼らは、たとえばTesla(テスラ)のような特定の株式に、際限もなく資金を注ぎ込むことを良しとしている。それはしばしば保守的な公的資金よりもはるかに多くの額となる。個人投資家からの需要によって、需給曲線が完全に狂い、新規上場企業の価値が大幅に増幅することがある。Poshmark (ポッシュマーク)が公開初日に高かったIPOの評価額を2倍以上上回ったのはこれが理由だ。

現在、ほとんどの投資家たちはうまくやっている。区分3の価格を払う気のない区分1は、区分2を非難しがちだが、結局民間資本の人たちは単に儲けを他のグループと分け合うつもりがないので文句をいっているように聞こえる。

ともかく、誰が何に本当の価値があるのかを知っているのだろう?最近、投資経験を持つアーリーステージの創業者と、ソフトウェア企業(公開未公開は問わない)の価格と、それが意味を持ったり持たなかったりする理由に関してチャットを行った。彼がいうには、銀行の古い評価モデルでは、ソフトウェア企業の成長は時間の経過とともにゼロになると推定されており、SaaS企業が利益を上げることは稀だとされていたのだという。どちらのコンセプトも間違っていたので、価格が上昇した。

しかし、これまでなら翌年の収益の10倍で評価されていたであろう企業が、なぜ今は中央値で18.1倍の評価を受けることになったのかの理由を、私は誰にも説明してもらえていない。私が知っている、現状を説明するための理論のどれもが、これは正気の沙汰ではないし、誇大広告ではないレンズを介して理解できる価格ではないといっている。

(もし私が間抜け野郎だと思うなら、メールでの説明をお願いしたい。世界がまたまともに動き始めたら、評価に対する最高の説明をしてくれた人にコーヒーをごちそうしよう)。

マイルストーンとメガラウンド

重要なマイルストーンを見ると、いくつかの企業が未公開市場を離れて、新規公開クラブへの入会が行われたにぎやかな週だった。特に、高価格で取引が始まったAffirmとPoshmarkはそれを代表している。そしてBumble(バンブル)は株式公開を申請した。彼らはIPOの良いタイミングを狙っているようだ。

しかし、私の目に留まったマイルストーンなども含み、まだまだたくさんのことが起こっていた。フィンテックの多くのシナリオを1つのサービスにまとめるスタートアップのM1 Finance(M1ファイナンス)は、今週の運用資産残高(AUM)が30億ドル(約3兆1000億円)に達した。2020年2月に10億ドル(約1兆円)に達した同社のAUMは、2020年9月には20億ドル(約2兆円)に達していた。

なぜこれが気になるのか?同社は以前、AUMの約1%に相当する収益を得るように運用しているとTechCrunchに対して語っていた。もしその割合が2020年10月のシリーズCを経てもまだ続いたとするならば、同社は半年未満で、年間経常収益(ARR)として約1000万ドル(約10億円)を追加したことになる。この収益を生み出すペースは私の注意を引き姿勢を正させた(中西部のことに対して決して発信をやめないJosh Inglis[ジョシュ・イングリス]氏に感謝したい)。

しかし、私がM1 Financeのことを持ち出したのには、別の理由がある。私は特定の市場の深さにずっと驚かされ続けている。今なお成長を続けるネオバンクであるOKRソフトウェア市場の意外な深さ、そして多くの現職企業や資金力のあるスタートアップが存在する市場での、M1の残高獲得能力だ。

だからこそ価格が意味をなさないのかもしれない。もしTAM(獲得可能市場)の限界が見えないならば、どんなものでも価格が高くなってしまうのだろうか?

続いて、今週の重要なことについて、いくつか簡単に眺めておこう。

  • GitLabの評価額は現在60億ドル(約6232億円)になった、2020年の年間経常収益は1億5000万ドル(約155億8000万円)に達した。直近の四半期では、前年同期比75%増となっていると推定される。
  • フィンテックスタートアップのLendingPoint(レンディングポイント)が、非公開の評価額の下に1億2500万ドル(約129億8000万円)を調達した
  • ニューヨークに拠点を置くPaige(ペイジ)は1億ドル(約103億9000万円)を調達した。コンピューターを使った診断を支援する。

VisaとPlaidの契約破談にVCからひと言

Mercury Fundのマネージングディレクターでありテキサス州支持者である(Twitterハンドルより)Aziz Gilani(アジズ・ギラニ)氏が、Visa(ビザ)によるPlaid(プレイド)買収交渉が破談に終わった件について、投資家としての意見を記事として寄せてもらえた。この契約に対しては、米法務省が独禁法の懸念から訴訟を起こしていた。完全版はこちらで読める

記事の一部を以下に少し紹介しておこう。

PlaidとVisaの契約が破談になったことから得た大きな教訓は、2021年には何もかもがこれほど速く変化するのかということです。直接上場やIPOを上回るSPACの最大の利点は、これらの流動性の高いイベントをいかに早く完了できるかということです。評価額が週ごとに変化する世界では、米司法省による遅延は取引を台なしにしかねません。たとえ米司法省が最終的に法廷で敗訴したとしてもです。

私は哲学として政府が自分たちの意志を押しつけることは受け入れられませんが、現在のスタートアップ反乱軍の波が、世界のFAANG(ファング)たちに食い荒らされないことも個人的には願っています。ここ数年、多くのスタートアップ企業が「迅速なエグジット」というメンタリティの犠牲になっています。それはMint(ミント)があれほど早急にIntuit(インテュイット)に売却されたことにも象徴されています。迅速で安価な資本が自由に利用できることで、現在のスタートアップたちは大きく成長しているのです。

注目していく価値はあるだろう。

その他いろいろ

なんという1週間だったのだろう。ここでご紹介できるのは少しだけだ。いろいろと注意をそらされて、情報を入手できなかったアーリーステージラウンドもあるが、ひと通り紹介しておきたい。

  • Goldman Sachs(ゴールドマン・サックス)はMarcus(マーカス)にMarqeta(マルケタ)を選んだ。もしこの言葉の意味がわかるなら、これが重要なことだとわかるだろう。そうでないのであれば、気にせず人生を謳歌しよう。
  • Nayya(ナヤ)は、VentureBeatが「保険金給付管理プラットフォーム」と呼ぶものに対し、Felicis(フェリシス)からの資金も含めて1100万ドル(約11億4000万円)を調達した。
  • Minna(ミンナ)は、Tech.eu(テックeu)が「サブスクリプション管理アプリ」と呼ぶものに対して、1550万ユーロ(約19億5000万円)を調達した。
  • Muniq(ムニーク)は、血糖コントロールに役立つシェイクを販売するために、シリーズAで820万ドル(約8億5000万円)を調達した。
  • TechCrunchからはさらに2つのハイライト、素敵なCrossbeam(クロスビーム)ラウンドMoss(モス)へのさらなる資金提供が報告されている。

では今回はこのあたりで。

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アマゾンなどの「プラットフォーム経済」上で成立するスタートアップを支援するCrossbeamが26億円調達

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(翻訳:sako)

アマゾンなどの「プラットフォーム経済」上で成立するスタートアップを支援するCrossbeamが26億円調達

数多くのベンチャー投資家は次なるAmazon(アマゾン)やShopify(ショッピファイ)に資金援助したいと考えるだろうが、Crossbeam(クロスビーム)はそれらのプラットフォーム上で成立するスタートアップを支援する新しい企業だ。つい最近、初めての資金調達を2500万ドル(約26億円)でクローズした。

これまでも、SellerX(セラーエックス)、Perch(パーチ)、Heroes(ヒーローズ)など、Amazonで事業を行う業者を買収し拡大させる潤沢な資金を持つスタートアップを紹介してきたが、CrossbeamのゼネラルパートナーであるAli Hamed(アリ・ハメド)氏も同様に、大きな好機を示す場所としてAmazonを指名する。Amazonでのサードパーティーの売上げが2019年には2000億ドル(約20兆8000億円)に達したことを挙げ、ハメド氏はこう話した。「このスペースでの勝者は100社にのぼるでしょう」。

さらに彼は、同社はAmazonだけに特化しているわけではないと語る。Thumbtack(サムタック)、Spotify(スポティファイ)、 Shopify(ショッピファイ)も、Crossbeamが投資対象とする「プラットフォーム経済」だという。2020年の秋に発行されたMedium(メディアム)の記事で、彼は詳しく説明している。

「Facebook(フェイスブック)の株を持つより、私たちはInstagram(インスタグラム)のアカウントを持ちたいと考えます。Amazonの株を持つより、サードパーティーの小売業者をたくさん所有したいと考えます。さらにGoogle(グーグル)の株を持つより、YouTube(ユーチューブ)のライブラリーを持ちたいと考えます。

なぜか?そうした株の魅力を高めている追い風は、そのプラットフォーム上で商売をしている業者にも及んでいるからです。しかし、資本市場はまだそのスペースに本格的に乗り出していません。従来型のファンドは、そうしたプラットフォームの構成要素に資金提供するようには作られていないからです。一番の問題は、それらプラットフォーム上の経済エコシステムの多くは、成熟したばかりなので、それぞれの資産を評価するための既存のモデルがないことです」

ハメド氏と、ゼネラルパートナーのSavneet Singh(サブニート・シン)氏は、ともにCoVenture(コベンチャー)のパートナーでもある。この企業は、もともとは技術的なサービスを提供する代償にエクイティを得ていたが、今ではスタートアップへの資金貸付に重点を置いている。CrossbeamはCo Venture、Moelis Asset Management(モエリス・アセット・マネージメント)、Fenway Summer(フェンウェイ・サマー)とのジョイントベンチャーだと彼は説明している。ビジネスが軌道に乗ったときに、CrossbeamはCoVentureから追加資金の貸付を受けている。

1つのプラットフォーム上に事業を構築するスタートアップのリスクについて尋ねると、ハメド氏は、1つのプラットフォームでオーディエンスを固め、後に多様なプラットフォームに展開するほうが理に適っていることもあるが、それはプラットフォームによる、と話す。鍵となるのは「そのプラットフォームが自分に代わって儲けを生んでくれるか」だと彼は主張する。

「他のプラットフォームに手を広げてみると、稼ぎを助けてくれるところと、そうでないところとがあります」とハメド氏は電子メールで述べた。「YouTubeは助けてくれます。私たちに代わって広告で稼ぎ、その一部を私たちに分けてくれるからです。Instagramは違います(特別なケースを除いてInstagramは広告収入を分けてくれません)。【略】そのため各プラットフォームの『ありがたさ』は、それぞれなのです」。

最初のファンドをクローズする前にも、Crossbeamはすでにデジタルメディアの企業Wave.tv(ウェーブ・ティービー)、訴訟のための融資企業Litty(リッティー)、オンデマンドの訴状送付スタートアップProof(プルーフ)、サードパーティーのAmazon小売り業者を買収する企業Acquco(アクコ)の6社に投資を行っている。

関連記事:ベルリン拠点のSellerXが約122億円調達、Amazonマーケットプレイスのセラーを買収予定

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(翻訳:金井哲夫)

核融合技術の開発企業General Fusionの支援にShopifyとAmazonの創設者が参加

本日(米国時間1月14日)、簡単な発表があり、カナダの核融合技術開発企業General Fusion(ジェネラル・フュージョン)は、Shopify(ショピファイ)の創設者Tobias Lütke(トバイアス・ルーク)氏が立ち上げた投資会社が、同社の資本政策表に加わったと伝えた。

ルーク氏のThistledown Capital(シスルダウン・キャピタル)からの投資額は公表されていないが、この追加資金によってGeneral Fusionは、その資本政策表に、西側世界のeコマース業界における2つの最大手企業の創設者2人の名前を載せることとなった。

Amazon(アマゾン)の創設者であり最高責任者のJeff Bezos(ジェフ・ベゾス)氏は、10年近く前にGeneral Fusionに投資した最初の人物だ。それ以来、同社は安定して資金調達ができるようになった。2019年には、同社は1億ドル(約103億円)を獲得した。その資本コミットメントは、Crunchbaseによれば少なくとも総額1億9200万ドル(約20億円)という資金の一部となるが、実際にはもっと多いと思われる。

事実、General Fusionは、実証用の核融合炉建造に向けて、2020年は資金調達を続けていた(General Fusionリリース)。

General Fusionの方式は、1970年代に米国海軍研究試験所が提唱し開発された磁化標的核融合(MTF)という技術に基づいている。

同社の方式では、約100電子ボルト(可視光線の光子エネルギーのおよそ50倍)という適度な温度に温められたプラズマをフラックス・コンサーバー(磁場を閉じ込める容器)に磁気を使って封じ込める。そして、そのフラックス・コンサーバーとその中でプラズマを包んでいる磁場を高速で圧縮することで、プラズマは超高温になり、高速な核融合燃焼が始まり、核融合が引き起こされる。General Fusionの最高科学責任者で創設者のMichel Laberge(ミシェル・ラバージュ)氏は、2017年に同社の技術をそう解説していた。

同社が使用するのは、直径およそ3メートルの球体。そこに溶融鉛と液体リチウムを入射し、空洞を作る。この空洞に、磁気によって閉じ込められたプラズマ燃料を断続的に送り込む。すると、球体を取り巻くピストンが球体の中心に向けて圧力波を発生し、プラズマを圧縮して核融合の条件を整える。

核融合反応から逃げ出した中性子は液体金属に取り込まれ、それにより液体金属が発する熱で蒸気タービンを回して発電を行う。熱交換器と蒸気がタービンが動力を生み、蒸気はリサイクルされてピストンを動かす。

近年、General Fusionと北アメリカで最大のライバル企業Commonwealth Fusion Systems(コモンウェルス・フュージョン・システムズ)は、共に技術を大きく進展させ、小型核融合技術の商用化に近づいた。

過去においては、核融合技術は常にあと10年だというジョークが語られていたが、現在これらの企業は、大々的にとはいかないまでも、4年後には初の市場投入ができると見込んでいる。

それに向けてCommonwealth Fusion Systemsは、MRIマシン20台分の磁力を生み出す重さ10トンの磁石を製作している。「この磁石が稼働すれば、投入するよりも多くの電力を引き出せるようになります。核融合のキティーホークの瞬間を迎えるのです」とCommonwealthの最高責任者Bob Mumgaard(ボブ・マンガード)氏は昨年のインタビューで話していた。

その他にも、たとえば2025年を目標に定めるイギリスのTokamak Energy(トカマク・エナジー)など、この技術の商用化を目指すスタートアップ企業が競争を繰り広げている。

General Fusionと同じく、Commonwealthにも潤沢な資金を有する支援者がついている。Bill Gates(ビル・ゲイツ)氏が支える持続可能な技術に特化した投資会社Breakthrough Energy Ventures(ブレークスルー・エナジー・ベンチャーズ)もそのひとつだ。2018年に公式に設立されたこの企業は、Commonwealthに2億ドル(約20億7000万円)の投資を約束している。

これらの企業が核融合技術の市場投入を目指す間、政府もその商用化が円滑に進むよう下地の整備を行っている。

昨年末、トランプ政権は新型コロナ経済救済および包括的予算充当のための法案(米国議会資料)に署名したが、これにはアメリカでの核融合エネルギーの開発を支援するための修正案も含まれていた。

その新しい修正条項が米エネルギー省に実施を指示したのは、核融合エネルギーの科学研究と開発計画、慣性核融合エネルギーおよびその他の新方式を対象とした将来の新しい核融合発電方法を探るエネルギー省公認の計画、国の研究所と核融合技術開発企業による官民の協力体制を作るINFUSEプログラムの再認可、そして、企業の研究開発のみならず本格規模のシステム建造を支援する段階的開発計画の策定だ。

Fusion Industry Association(米核融合工業会)が12月に出した声明によれば、これは同団体がアメリカに求めていた政策活動の、ひとつの礎石となる重要な計画だ。

5年間で3億2500万ドル(約340億円)という予算の放出は、実際にアメリカ政府は核融合業界の貢献に見合うだけの研究に力を入れることの表れだ。そこで作られる実証施設は、核融合技術の導入促進に向けた長い道のりを支えることになる。

2019年創設のThistledown Capitalは、産業界の脱炭素化を実現する技術への投資を目的として結成された。オタワに拠点を置く同社は、すでに大気中の二酸化炭素を回収する技術CarbonCure(カーボン・キュアー)を支援している。

「General Fusionには、世界でもっとも影響力のあるテクノロジー界のリーダーたちから資金協力を引き出してきた頼もしい経歴があります」とGeneral Fusionの最高財務責任者Greg Twinney(グレッグ・トゥイニー)氏は言う。「核融合は地球を救うテクノロジーです。私たちは、よりグリーンな未来を追究するThistledown Capitalのミッションに協力できて、大変に誇りに思います」

関連記事:90億円の新規投資でCommonwealth Fusionの2025年核融合実証炉稼働に道筋

画像クレジット:Oleg Kuzmin/TASS / Getty Images

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(翻訳:金井哲夫)

学研が30億円規模のCVC投資プロジェクト発表、EdTech・Care Techスタートアップとの協創目指す

学研が30億円規模のCVC投資プロジェクト発表、EdTech・Care Techスタートアップとの協創目指す

学研ホールディングスは1月13日、EdTech/Care Tech領域を中心に、国内外の教育・介護市場のイノベーションを目的とした投資活動、「Gakken Innovation-Tech Fund(Gakken Capital)」プロジェクト(仮称)を開始すると発表した。

同投資プロジェクトは、同社グループの「新規事業の創出」「協業・オープンイノベーション」「既存事業の成長・変革」が主たる狙い。投資対象の中心は、EdTech/Care Tech領域で事業展開をしている国内外のスタートアップ企業。2025年までに総額30億円規模の投資実行を予定している。

  • 名称:「Gakken Innovation-Tech Fund(Gakken Capital)」プロジェクト(仮称)
  • プロジェクト主体:学研ホールディングス 投資検討チーム。会計財務、経営戦略、デジタルを主管する社内戦略部門とCVC(コーポレートベンチャーキャピタル)関連の知見・経験を有する外部専門家で構成
  • 投資対象:Ed-Tech/Care-Tech領域の魅力あるサービス・顧客基盤・技術などの特徴を有するスタートアップ企業。「学研グループ」および「学研グループが提携・協業する企業」との技術・販売・人材などの事業/経営シナジーが期待されるスタートアップ企業。学研グループの事業拡張において重要となるDX推進に関連するITサービス・システムの企画・開発力などを有するスタートアップ企業
  • 投資の形態・投資方針:ミドルステージからレイターステージを中心としつつ、高い事業シナジーが見込まれる場合はシードステージからプレシリーズAも想定。案件の発掘、投資対象の企業価値・リスク調査、投資先の決定、投資先のモニタリング・バリューアップ、エグジットなど一連の投資プロセスを外部専門家との協働体制で推進しつつ、投資形態としては同社からの直接投資を想定。マイナー投資を中心に想定しつつも、事業戦略上の必要性に応じて過半数以上のマジョリティ投資も検討。

学研グループは、創業者・古岡秀人の「戦後の復興は教育をおいてほかにない」という信念のもと、1946年の創業以来70余年にわたり、日本の教育を支えてきた。そして、これまで培った知見をもとに、現在「教育」と「医療福祉」の2事業を中心に、顧客が主役のモノづくり、コトづくりを推進している。

近年、「教育」「医療福祉」を含めた様々な業界において、IoT、ロボテックス、AI、VR/ARなどのデジタルテクノロジーの発展によって、既存業界の常識を根底から覆すような「破壊的イノベーション」が頻発していると指摘。さらに新型コロナウイルスによって、世界中の人々の働き方・生き方などの大変革が急加速したとしている。

これら急激かつ非連続的な顧客・市場の変化に対しては、迅速に「変化対応」(継続的イノベーション)するだけでなく、自らの意思で「変化創出」(破壊的イノベーション)をしかけなければならないという。

変化を迅速に事業機会に転じるには、同社グループ自体が顧客・市場の変化に合わせた変革を進めなければならないものの、同社単独で対応するだけでは十分ではないとしている。

そこで同社は、異なる顧客・技術・サービス・人材などの資産を有するスタートアップ企業との(資本を絡めた)深い協働によって、様々なシナジーを貪欲に追求。波及効果として、同社グループの組織・人事・企業風土をより時代にあったものにアップデートすることも狙う。

有望なスタートアップ企業に対する一連の投資(検討)プロセスを通じて、イノベーティブな各企業の資産と、同社が強みを有する資産とを融合させ、教育と医療福祉における国内外の社会課題の解決に貢献していく。

先行きの見えない環境下においても、危機を機会に転じ、さらなる顧客価値を創出し続けて、同社グループが掲げるグループビジョン「想像の先を、創造する」を体現する。

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サムライインキュベートが短期集中型の事業創出・資金調達プログラムへの参加スタートアップ募集

サムライインキュベートが短期集中型の事業創出・資金調達プログラムへの参加スタートアップ募集

サムライインキュベートは1月12日、創業期の起業家や起業家の卵の方々を対象とした短期集中型の事業創出・資金調達プログラムとして、第4回「『The First Movers』 Hands “In” Batch Program」を開始すると発表した。開始日は4月15日で、本日より参加者の募集を開始する。

同社は、創業期の起業家へ機会を提供し、同社理念でもある「できるできないでなく、やるかやらないかで世界を変える」の精神で、本気で伴走する出資スタイルは貫きたいという想いを同プログラムに込めているという。

プレシード期のスタートアップから出資・インキュベーションするベンチャーキャピタル(VC)として、本気でイノベーションを起こそうとする方々と伴走していくとしている。

サムライインキュベートが短期集中型の事業創出・資金調達プログラムへの参加スタートアップ募集

同プログラムの対象領域は、同社運営「Samurai Incubate Fund 6号投資事業有限責任組合」(6号ファンド)の投資テーマである「物流」「ヘルスケア」「リテール」「金融」「建設」「モビリティ」の6領域に限定。新たなビジネスモデルやテクノロジーを掛け合わせた世の中の課題を解決する事業創出を目指す。

領域を揃えることで、すべての起業家が6号ファンド出資企業である大手事業会社との将来的な協業も視野に入れられるため、スタートアップ単独での技術やビジネスの成長のみならず、大企業が持つノウハウやアセット、ネットワークを活用して、より事業を成長させられる可能性があるとしている。

サムライインキュベートが短期集中型の事業創出・資金調達プログラムへの参加スタートアップ募集

また、約4ヵ月の間にPhase1「アイデア創出」とPhase2「アイデアのニーズ検証」を行い、起業家の事業創造を加速。日頃から多くの起業家に向き合い出資・成長支援をしてきている同社キャピタリストがハンズイン(Hands In)で伴走し、ユーザーニーズの仮説検証と事業計画の策定を支援する。同プログラムはこれまで3回開催しており、参加企業からのフィードバックをもとに、内容をアップデートして提供しているという。

なおハンズイン(Hands In)は、一般的にいわれる「ハンズオン」(Hands On)よりも多くの時間やリソースをあて、同じチームとして密な支援をするという意味を込めた同社独自の造語。

サムライインキュベートが短期集中型の事業創出・資金調達プログラムへの参加スタートアップ募集

Phase1において参加チームは、事業アイデア創出のためのレクチャーやディスカッションを通じて事業アイデアを生み出し、Pitch Dayにおいてプレゼンを行うことになる。またPhase1の最初の段階で、参加チームに数百万円の出資オファーを行い、Phase1の期間中に出資を実施。

シード出資を受けてPhase2に進んだ後、実際にユーザーへのリーン検証を通じてアイデアニーズを検証し、初期ターゲット像や事業の提供価値、提供方法について具体化していく。リーン検証とは、MVP(ユーザー体験を再現できる最低限のプロダクト)などを用いて、最短でターゲットユーザーやニーズの検証を行うことを指す。

またDemo Dayでは、その具体化した事業アイデア・事業計画のプレゼンが求められる。より優れた企業には、同社にて数千万円の追加出資を検討する。段階を分けたプログラムにすることで、リソースが限定的かつ事業創造が未経験の場合でも、そのタイミングで集中して取り組むべきことを行い、事業の成功確度を高めることを図っている。

「『The First Movers』Hands “in” Batch Program」提供内容

  • 資金調達:Phase1参加時点で最大500万円の出資をオファー。Phase2終了時には仮説検証の進捗に応じて、追加で合計5000万円までのフォローオン出資を検討
  • 事業伴走:経験豊富なキャピタリストがそれぞれ担当となり、アドバイスや助言だけでなく起業家と二人三脚で支援。プログラム中は、週1回の定例MTGのほか、必要に応じて密に連絡を取り合い、キャピタリストとの議論や相談が行える
  • Framework/ナレッジ:国内外累計190社を超えるシード出資の経験をもとに、事業創造のプロセスを体系的に整理した独自のフレームワーク・ナレッジをデータベース化して提供。不要な失敗を事前に回避した上でプロダクト検証を進められる
  • コネクション:同社のつながりがある大手企業へのインタビューなどをサポート。業界知識・理解が必要な領域でも、現場見学やインタビューなどを通じ事業アイデアの解像度をブラッシュアップ可能。様々なスタートアップや投資家、外部パートナーなどと連携し、レクチャーやイベントなどを実施
  • コミュニティ:キャピタリストだけでなく同時期に一緒に汗をかく起業家とのつながりも創出し密に進捗を共有。ともに切磋琢磨し、一丸となって事業を作り上げていく。サムライ支援先のコミュニティに招待し、Exitや大型資金調達を経験した先輩起業家とのリレーションを築くことも可能
  • 特典:インフラ/バックオフィス系/分析/リクルーティングツールなど30社以上の外部提携パートナーと連携し、シード起業家向けの特典を多数用意。資金やリソース面が潤沢でないスタートアップへの支援を実施

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IPOを果たしたWishの投資家、ウルフソン氏は初日の株価を気にしない

Founders Fund(ファウンダーズファンド)がまだ非常に若いベンチャー企業だったとき、ジャスティン・フィッシュナー・ウルフソン氏を初代社長として迎え入れたことには、何の不思議もないだろう。スタンフォード大学から2つの学位を取得し、学校の学生団体に資産管理サービスを提供する組織のCEOとして2年間過ごしたフィッシュナー・ウルフソン氏は、ベンチャーファンドでためらうことなく自分の意見を述べた。実際、フィッシュナー・ウルフソン氏は、ファウンダーズファンドがSpaceX(スペースX)に対して当初計画していたよりもずっと大きな投資を行ったのは、同氏がスペースXへの投資を推し進めたからだと言っている。

フィッシュナー・ウルフソン氏は、Facebook(フェイスブック)の2012年のIPO以前にフェイスブックで働いていた友人のおかげでもっと良いチャンスを見つけるまでの3年間、ファウンダーズファンドに留まった。その友人たちは所有している株を清算する方法を探し始めていた。選択肢はあったが、同氏の中では適切な選択肢ではなかった。さらに同氏は、フェイスブックのような多くの企業がもっと長く未上場のままでいると予測していたと言っている。フィッシュナー・ウルフソン氏はファウンダーズファンドに別れを告げ、137 Ventures(137ベンチャーズ)を設立して、創業者、投資家、従業員から追加発行分の株式を取得した。

これは10年前のことで、同社は順調にいっているようだ。2019年、同社は4回目のファンドを2億5000万ドル(約259億円)の資本コミットメントでクローズし、運用資産は10億ドル(約1035億円)を超えた。1回の投資をおよそ10社から12社にしぼって行うという同社のアプローチも功を奏しているようだ。2020年9月末以降、同社の投資先企業3社(パランティア、エアビーアンドビー、ウィッシュ)が公開市場に参入した。

TechCrunchは、フィッシュナー・ウルフソン氏から長時間にわたって話を聞き、137ベンチャーズの事業の仕組みや、企業の選別方法から、従業員に既得ストックオプションを長く保有させている企業が及ぼす影響まで詳しく聞いた(「期限が切れようとしている膨大な量の株式を持っている人たちからの絶望的な電話がなくなりました。私は、このような電話がかかってこないことにすっかり満足しています。そういった状況にいる人たちにはとても申し訳なく思うからです」と同氏は語っている)。

私たちは、137ベンチャーズの投資先に含まれているスペースXの早期取引についても話した。

読者はこちらから会話全体を聞くことができるが、今回は、その会話からウィッシュを中心とした内容を抜粋して紹介する。ウィッシュはディスカウントeコマース企業で、2020年に行われたIPOは不発だったと言われている。

TechCrunch(以下TC):137ベンチャーズの投資先企業の2社(パランティアとエアビーアンドビー)は公開市場に参入し、非常にうまくいきました。これとは別に、ウィッシュは上場初日に株価が急落しました。ウィッシュのIPOをどう判断しますか。投資家はこの会社を誤解していると思いますか。

ジャスティン・フィッシュナー・ウルフソン氏(以下JFW):投資界が新規上場企業を理解するには長い時間がかかると思います。結局のところ、IPOは1日だけなんですよね。本当に重要なのは、その企業が今後10年、20年の間にどのように業績を上げていくかです。

私はMicrosoft(マイクロソフト)やAmazon(アマゾン)、もっと最近ではフェイスブックに注目しています。フェイスブックの株価は株式提供後の1、2週間で50%下落しましたが、素晴らしいビジネスを続けています。明日、明後日、市場がどうなるかはまったくわかりません。しかし10年にわたって拡大していく持続可能な優れたビジネスを構築できれば、最終的にうまくいきます。

ウィッシュはビジネスを拡大し、業績を向上させています。 共同創業者兼CEOのPeter Szulczewski(ピーター・シュルチェフスキー)氏は、私がこの業界で出会った中で最高の経営者の1人だと思います。そしてウィッシュはモバイルに関して多くのイノベーションを成し遂げてきました。ウィッシュのプラットフォームには多くの発見があります。店舗でのピックアップの仕組みは非常に革新的でした。ウィッシュは、何百万平方フィートもの倉庫を購入する必要がないアセットライトな方法を採用し、消費者が商品を迅速に入手できるように支援しています。

TC:米国とヨーロッパにある小規模店との間でウィッシュが開始したパートナーシップについてお話ししていましたね。このパートナーシップでは、収納スペースに余裕のある店がウィッシュの商品の引き渡し場所となり、購入者が商品を受け取りに来たときに、その店の客足が少し増えるということですね。これは、ウィッシュのかつての運営方法からの大きな転換です。以前のウィッシュはUSPS経由で中国から非常に安く商品を出荷していましたが、中国の経済状況は今は変わってきています。そうですよね。

JFW:その通りです。ウィッシュは中小企業の客足が伸びるように支援しています。客足は常に大切でしたが、現在の環境ではこうした種類の企業にとってさらに重要になるでしょう。またウィッシュはその地域の消費者が何を求めているかを把握しているため、企業がウィッシュのプラットフォーム全体に蓄積されたデータを活用し、より高い販売収益を上げられるように支援しています。また1か所に商品を出荷するため、非常に多くの人々からの注文を集約できます。これにより物流や出荷にかかる時間、コストが削減されます。消費者は、徒歩または車で5分から15分かけて店舗に出向き、ウィッシュから届いた商品を簡単にピックアップすることができます。こうした仕組みによりウィッシュは、時間は少々かかっても構わないので、商品をより良い価格で手に入れたいという価値観を持った消費者をターゲットにしています。

TC:ウィッシュは中国から安価な商品を手に入れられる場所として知られています。ウィッシュは、主力商品をより多く展開しようとしている今、市場での認識をどう変えていこうとしていますか。

JFW:ウィッシュはまだ市場全体に浸透していないと思います。ですから、その認識を変えるために、多くの取り組みが求められるかどうかはわかりません。率直に言って、ウィッシュのことを知らない人たちはまだたくさんいます。そして市場の進化を見ていると、小売業者がますます増え、小売業者と商品の両者の品質について顧客から返されるデータも増加していることがわかります。そうしたデータはすべて、ウィッシュの非常に優れたシステムで処理されるため、小売業者はそのデータを活用して商品の品揃えを改善し、顧客が求めるものを販売できるようになります。

TC:会社の収益が一定しないのは、サービスの品質にバラツキがあるからだと思いますか。ウィッシュは2018年におよそ57%の成長を遂げ、2019年には10%と成長が落ち込みましたが、今年の最初の9か月で再び成長が上向きました。このような成長の変動があったのはどうしてだと思いますか。

JFW:あらゆる企業は、こうした成長サイクルを経て、効率性に重点を置くようになります。成長だけを重視すると、成長を遂げた後に、それまでの取り組みを台無しにし、効率が低下してしまうという傾向があります。しかし、目を向ける必要があるのは、経営効率を上げる仕組みです。ですから基礎となる指標に注目すれば、2018年から今年にかけての、ウィッシュの成長サイクルにおいても経営効率が改善していることが確認できると思います。

TC:ウィッシュの株式は「急騰」しませんでした。一方、Snap(スナップ)の元幹部であるImran Khan(イムラン・カーン)氏がCNBCに語ったことによると、エアビーアンドビーやDoordash(ドアダッシュ)などが行った最近のIPO後の株価急騰は、株式を引き受けた銀行家の「言語道断な無能力さ」によるものです。これらの株が急騰したのは、銀行家の無能力さが原因だと思いますか、それとも単に市場の不安定性によるものだと思いますか。

JFW:この質問の答えを実際に知っている人はいないでしょう。このケースが示しているのは、結局のところ、初日の株価から有意義な情報は得られないということです。

TC:これらの企業への絶大な支持が流通市場の株価を押し上げているのでしょうか。どのように思いますか。

公開株価は確かに重要です。公開株価は最終的には非公開市場に影響しますし、その逆もまた然りです。非公開市場での評価と公開市場での評価が同時に大きく異なることはありません。ですから、市場が動けば、必ず投資尺度も変わります。ただ、こういったことは平均値で語られる場合がほとんどです。人々は1社または1つの尺度だけに注目しますが、必ずしもすべての企業について調べたうえでそうしているわけではありません。すべての企業に注目することは非常に難しいですからね。

しかし株価が法外な例は必ず存在します。同時に割安な例もあります。確かに投資家としては、より低価格の優良企業により多くの資金を投資したいでしょう。しかし焦点を当てるべきなのは常に優良企業です。長期的に事業を拡大しようとしている企業を見つけることができれば、投資尺度や評価額を気にし過ぎない限り、その企業は投資にうってつけの企業になるでしょう。

TC:現在どの企業を調査していますか。まだWebサイトに掲載されていない投資は何ですか。

JFW:Snapdocs(スナップドックス)です。同社は不動産業者が住宅ローンの処理やその他の文書業務をデジタル管理するのを支援する会社で、2020年10月に6000万ドル(約63億円)の資金調達をクローズしました

同社の創設者兼CEOであるAaron King(アーロン・キング)氏は、人々が本当に求めている製品を開発し、本当に素晴らしい仕事をしてきました。そして今が、同社の成長を大きく加速させる絶好のタイミングです。スナップドックスは2020年、優れた業績を上げました。

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(翻訳:Dragonfly)

仏通信事業者Orangeが同社VC部門Orange Venturesを448億円出資しスピンアウト

フランスの通信企業Orange(オレンジ)がベンチャーキャピタル部門にいくつかの変更を加えている。Orange Venturesは別法人となり、Orange自身が4億3000万ドル(約448億3000万円)を出資する。

この新しい企業構造により、Orangeは第三者の投資家をファンドに引き入れる可能性がある。ソフトバンク・ビジョン・ファンドやReliance Jio(リライアンス・ジオ)など、過去には他の通信事業者がベンチャーファンドを設立して話題になったことがある。

Orange VenturesからOrangeを分離することは、スタートアップと通信会社の間の守秘義務や利害の相反に関しても、信頼を高めるだろう。OrangeとOrange Venturesの間には、より可視的なファイアウォールがある。

Orange Ventures は、Orangeとほぼ同じ分野で事業を展開している企業への投資に注力している。投資対象にはコネクティビティ、サイバーセキュリティ、フィンテック、eヘルスなど多くの分野が含まれている。これまでの投資先にはMonzo、Luko、Raisin、YouVerify、WeaveWorksなどが含まれる

Orange Venturesは現在、パリとダカールにオフィスを構えており、シードステージからシリーズAまたはBまでのスタートアップに投資する傾向にある。同社は単一ラウンドで2000万ユーロ(約25億4000万円)を投資できるという。Orange Venturesには約20人の社員がおりヨーロッパ、アフリカ、中東、米国のスタートアップを審査している。

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(翻訳:塚本直樹 / Twitter

積極的なTencentの投資は2020年最も活発に

Tencent Holdings社長のMartin Lau(マーティン・ラウ、写真左)とTencent Holdings CEOのMa Huateng(マー・ワウタン、写真右)氏(画像クレジット:Brent Lewin/Bloomberg via Getty Images)

中国のテック大手Tencent(テンセント)が、WeChat(ウィーチャット、微信)やいくつかの大ヒットビデオゲームの背後にいるだけでなく、積極的な投資家でもあることは周知の事実だ。パンデミックが世界の多くの地域で経済活動を減速させた2020年の間でさえも、Tencentはその投資的野心で突き進んでいた。

中国のスタートアップデータベースITJuzi(IT桔子)によると、Tencentは1年の間に170以上の資金調達ラウンドに参加し、その投資総額は2億4950万元(約40億円)に達したという。この結果、過去10年間に優れた成果を上げてきたTencentの投資チームにとって、2020年はこれまでで最も活発な年となった。

2020年1月までに、Tencentの投資先800社のうち70社以上が株式を公開し、160社以上が評価額1億ドル(約104億円)を突破したと、TencentのMartin Lau(マーティン・ラウ)社長は、投資先企業たちを前にして語った。これにより、Tencentは世界のトップベンチャーファンドたちと肩を並べることになるかもしれない。

Tencentは2008年に投資・M&A部門を設立し、2012年頃から本格的にファイナンス活動を開始した。2015年以降、毎年100社以上の企業に資金を提供していることが、ITJuziのデータから明らかになっている。

このソーシャルならびにエンターテイメントの巨人は、長い間その投資活動を秘密裏に進めていたため、ITJuziのような第三者機関が収集したデータは網羅的ではないことが多い。同社は2020年への投資についてのTechCrunchからの質問には、回答していない、そのためこの記事は、主に公開された情報や情報を知りえる立場の人たちへのインタビューから導き出されている。

B2Bへの関心

テンセントの全体的な投資戦略は一貫しており、デジタルエンターテインメントを中心とした多様なポートフォリオを構成しているものの、他方では主力であるゲーム以外の分野への取り組みも静かに強化している。たとえば同社は2018年にB2Bへ(未訳記事)の転換を発表して以来、企業向けサービスへの注目を強化し、クラウドコンピューティングやフィンテックなどにより力を入れている。ITJuziによれば、エンタープライズソフトウェアへの投資額は2015年の5件から2020年には28件になったという。

企業向け投資への注力に足並みを揃えるように、Tencentはフィンテック分野にも力を入れている。2015年にはわずか4社だったフィンテック系スタートアップの支援は、2019年と2020年にはそれぞれ18社と15社に増えたことをITJuziのデータは示している。徐々にではあるものの、このような増加が示しているものは、大きな利益を生む一方で多くの制約もともなうこの分野へのTencentの関心の高まりを反映している。

中国では、Tencentは長期に渡って、Alibaba(アリババ)のフィンテック関連会社であるAnt Group(アントグループ)と競合しており(未訳記事)、支払い、融資、資産管理、さらには保険の分野でユーザーにアプローチしている。現在Antが直面している規制上の問題は、(Alibaba創業者の)Jack Ma(ジャック・マー)帝国だけに当てはまるものではなく、Tencentのフィンテックセグメントも含む、小さな競合他社たちを苦しめることになる可能性が高い。

このため、Tencentは中国の金融市場での地位を強化することに関しては、Antほど「積極的ではない」と、Tencentの海外フィンテック事業と提携している人物がTechCrunchに語っている

海外でのフィンテック

またこの地政学的緊張の時代に、同社はフィンテックの海外展開にも慎重になっている。これまでのところ、海外で現地の人々に直接サービスを提供するのではなく、中国から出かけていく観光客に、国境を越えた決済サービスを提供するという範囲に留まっている場合が多い。

「TencentとAlibabaが米国内で行っていることに対しては、多くの精査が行われていて、それが課題となっています」と、Tencentの支援を受けた米国に拠点を置くとあるスタートアップのCEOが、匿名を条件に述べている。

とはいえ、Tencentは投資を通じて海外の金融市場に広がっている。2015年にはTencentは中国国外で1件のフィンテック投資を行った。それが、Crunchbaseが収集した公開データによれば、2020年には8件の投資を行っている。

Tencentの外部投資のかなりの部分は、戦略的な重要性を担っていない。同社はそのポートフォリオのスタートアップが自律的な経営を行うのに任せる傾向がある。そうしたこともあって、2018年には、「Tencent Has No Dream(テンセントにはビジョンがない)」と題されたバイラル記事で、Tencentは製品開発やイノベーションよりも投資や金銭的リターンを優先していると非難された。これはAlibabaが好む事業の支配権を買取り、Lazadaに対して行った(未訳記事)ような、経営陣を揺さぶる強権的なやり方とは、まったく対照的な放任主義だ。

しかし、Tencentの投資の多くは、プレス発表では潜在的な戦略的相乗効果が除外されているとしても、その投資対象事業に付加価値を与えるものなのだ。ここ数年、Tencentは米国をはじめとする欧米諸国への小口投資を相次いで行っている。こうした企業の中には、近いうちにTencentとの協業の機会をもたらすと思われるものはほとんどないが、それでもTencentはこれらの企業の幹部を中国に招待し、お互いに学び合う機会を設けるだろう。

「Tencentがこうした投資を行ったのは、米国は何が行われているのか、またそれを中国ではどのように応用できるのかを学ぶためでした」と語るのは先に挙げたテンセントが支援するスタートアップの幹部だ。

「私たちは、近い将来中国で何か行う計画は持っていません。しかしTencentは中国でも米国でも、とても評判の良い企業です。それにこの先、Tencentと戦略的なパートナーシップを結ぶことができるオプションがあるというのは良いことですよね」。

香港に拠点を置くあるファンドマネージャーによれば、Tencentの中国国外でのフィンテック投資は、同社のゲーム事業の海外展開にも役立つ可能性があるという。2019年にはTencentが、同社のゲーマーの半数を海外ユーザーにすることを目標にすると公約している(South China Morning Post記事)。

「ラテンアメリカと東南アジアのゲーム業界にとって、最大のボトルネックはハードウェアではなく、意外なことに決済なのです」とそのファンドマネージャーはTechCrunchに語った。「もちろんローカライズや互換性も重要です」。

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(翻訳:sako)

世界を揺るがした米議会議事堂での暴動に投資家たちは複雑な心境

米国1月6日は感情的にならずにいるのは難しい日だった。次期大統領Joe Biden(ジョー・バイデン)氏の選挙勝利の正式な認定を妨害しようと暴動者たちがワシントンの議事堂に乱入し、その様を世界中が4時間超にわたって目の当たりにした。乱入前の同日午後早い時間に、暴動者たちは選挙に敗れたDonald Trump(ドナルド・トランプ)大統領によって、議事堂に行って、トランプ大統領の嘘の主張である盗まれた選挙について抗議するようそそのかされた。盗まれた選挙というのは、2020年11月の大統領選投票日の夜にトランプ大統領が広げ始めた嘘だ

議員たちはトランプ大統領に暴動者の行動を非難する声明を出すように求めたが、トランプ大統領はTwitter(ツイッター)に次のように書いて支持者を奨励した。「神聖な選挙の圧倒的勝利が無作法にそして乱暴に素晴らしい愛国者から奪われた」。その後「圧倒的な選挙が我々から盗まれた」という嘘を繰り返すビデオを投稿した。

PBSが同日夜に指摘したように、選挙に敗れた大統領選候補の支持者が選挙人投票数の公式集計を力づくで中断させる事態は米国史上初めて(PBS記事)だ。トランプ大統領のツイートはその後「市民活動に関するポリシーの度重なる重大な違反」を理由にTwitterによって削除されたが、その対応はシリコンバレーの投資家、そして去ろうとしている政権とその支持者に怒りを向けているかなりの数の人にはあまりに遅く、十分ではないととらえられた。

共和党の上院議員12人と下院議員数十人が選挙結果の認定に反対しようとしていたこともあり、今後尾を引くであろう問題は、この不名誉な日がさらに人々を分裂させるのではないか、あるいはトランプ大統領が去った後に怒りは落ち着き始めるのかということだ。

少なくとも一部の投資家は、トランプ政権下では往々にして二の次になっていた基本的な人間としての品位についてもう少しなんとかできたはず、と怒りを感じていたと話す。

Lux CapitalのDeena Shakir(ディーナ・シャカール)氏は過去にオバマ政権のために働き、Twitter上で自身の政治的見解を明らかにしている。しかし1月6日の暴動は「政治についてではありませんでした。我々が目撃したのは民主主義への侮辱、米国の歴史への暴力、我々が住む国の分裂している様の恐ろしい反映です」と同氏は話す。

ベンチャーファームHomebrewの共同創業者であり、1月6日に「どうあろうと(トランプ大統領の娘婿でホワイトハウス上級顧問の)Jared Kushner(ジャレッド・クシュナー)をキャップテーブルに載せようとしないこと」とツイートしたHunter Walk(ハンター・ウォーク)氏は心情を吐露した。「緊急かつ不可欠な人権にかかる疑問だと私が考える問題について声高な意見に耳を傾けることを恐れません」。

1月6日の衝撃がトランプ大統領の支配力を支持したチームに資金を提供したり提携したりするのを難しくするかどうかについて、ウォーク氏はビジネスはビジネスだとして否定的な見方を示した。「当社は素晴らしい起業家に資金を提供し、我々に100%同意しているかどうか純度試験は行いません。政治的に左寄りの人も右寄りの人も支援してきたと確信しています。それは我々にとって、そして彼らにとっても問題ではありません」。

ウォーク氏の公の政治的立場はある程度「ただ投資家を黙らせて小切手を切らせたい」才能ある創業者を失うかもしれないが、「それでもいい」とウォーク氏は話す。「成功するために我々の価値観を譲歩する必要があるとは考えていません」。

一方、シャカール氏は全体的に政治について語ることは常に苦手だとする。1つには同氏は米国の首都を襲った人々のことを「政権の最高権力者によって正当化されただけでなく実際には扇動され、ソーシャルメディアを通じて拡散した対外強硬主義、至上主義のイデオロギーの怒れる加害者」だとみている。

さらに「ヘルスケアという私の専門を考えると、この分野の開発と会話の多くは必然的にパンデミックによって良くも悪くも政治化されました」。

同氏は政治と仕事を分けようとしているが、それも今は無駄だと話す。「一連の出来事とポリシーは我々の現在と将来を表していて、企業を評価するマーケットに影響を及ぼし、トレンドやその他の部分も左右します」。

同氏はまた、そうしたものは「国として、人間としての我々の価値を反映します」と付け加えた。

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画像クレジット:Bloomberg / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

移民の創業者に特化するOne Way Venturesが2号ファンドの資金調達完了

移民の創業者を支援するベンチャーキャピタルのOne Way Ventures(ワンウェイベンチャーズ)は、2号ファンドの資金調達を5750万ドル(約59億円)で完了した。One Wayがデビューファンドとなった2800万ドル(約29億円)の投資ビークルについて発表してから3年になる。

創業パートナーのSemyon Dukach(セミョーン・ドゥカッチ)氏によると、One Wayは新しいファンドで「小切手のサイズ(1回の投資額)」を50万ドル(約5200万円)から100万ドル(約1億300万円)に増やすことができ、機関投資家が参加するシードラウンドを迅速にリードできるようになる。デビューファンドが投資で資金を使い切ってしまった現在、より大型のファンドを立てるのは当然のことだ。これはシードブームの盛り上がり(未訳記事)も反映している。投資家は競争力を維持するために資本の増強を余儀なくされている。

One Wayは、移民の創業者の支援にはっきりと特化している数少ないベンチャーキャピタルの1つだ。移民を支援し、彼らが国に留まるのを助ける別のファンドとしてUnshackled Venturesがある。同ファンドは直近では2019年に2000万ドル(約21億円)のファンドの資金調達を完了した(未訳記事)。

ドゥカッチ氏は、同社の移民への特化は取引を行う上で最大の競争優位の1つになるという。One Wayは、移民の創業者を1つのコミュニティにまとめ、新しい国、文化、環境に適応するという(比喩的な)意味で同じ言語を話す。新型コロナウイルス(COVID-19)は人と直接会う機会を制限しているが、同社はバーチャル本社とバーチャルイベントのコンセプトを試しながらポートフォリオ企業をまとめようとしている。

ベンチャーキャピタルのような閉じた世界でのコミュニティと翻訳が「私たちがほとんど常にラウンドに参加する理由です」とドゥカッチ氏は述べる。

「私たちがこれまで競争の激しいラウンドに入り込むことができたのは、多くの価値を提供する天使のように扱われたためです。価値の一部が、本当にクールなものだという感覚にすぎないときであってもです」

One Wayの投資先にはBrex(未訳記事)、ClasstagChipper(未訳記事)が含まれる。48社のポートフォリオ企業のうち、2社には移民の共同創業者がいない。ジェネラリストであるOne Wayは機械学習、フィンテック、エドテックに大きく賭けている。

トランプ政権下の移民環境は、レトリックと政策の両方の観点から、軽微ではあるがOne Wayに影響を与えたとドゥカッチ氏はいう。同社はモントリオールにベンチャーパートナーであるPhilippe Kalaf(フィリップ・カラフ)氏を擁し、政策変更のリスクをヘッジしている。

パンデミックと選挙の年にファンドの資金調達を完了したことに関しては、One Wayは当初計画していた資本のほぼ2倍を集め、2020年の小切手と現金のお祭り(未訳記事)に加わった。

「2、3のLPには選挙が終わるまで待ってもらいました」とドゥカッチ氏は語った。「バイデン氏が勝てば気持ちよく投資できるということでしたから」。

One Wayは新しい資本の獲得とともにチームを拡大させる見込みだ。同社は、消費者プライバシースタートアップの共同創業者であるEugene Malobrodsky(ユージン・マロブロドスキー)氏のパートナー加入により、ボストンからサンフランシスコに拡大した(PR Newswire記事)。

多くのベンチャーキャピタルと同様(未訳記事)、One Wayも意思決定層の多様性に関して遅れをとっている。現在、One Wayのすべてのパートナーは男性だ。同社はRobinhood and Trusted Healthの元幹部であるNadia Asoyan(ナディア・アソヤン)氏をベンチャーパートナーとして迎える予定だ。ベンチャーパートナーはジェネラルパートナー(GP)とは異なるため、決定を下したり「小切手を書く」際にはGPのサインをもらう必要がある。チームには他に、プラットフォームアソシエイトのAnnie Patyk(アニー・パティック)氏という女性メンバーがいる。

ポートフォリオの観点では、One Wayは50社のうち女性が創業または共同創業した10社に投資している。ポートフォリオには、マイノリティの共同創業者がいる19社と、黒人またはラテン系の創業者がいる7社も含まれている。

ドゥカッチ氏によると、理想的な創業者は戦略を社名に表している。

「片道チケットでやって来たものの、行く会社もなければ最終的にどうなるのかもわからず、言語、文化、ネットワークといった拠り所を持たない人がいます」とドゥカッチ氏は述べる。「そういったことをくぐりぬける人とは、どういう人なのか。将来成功すると予想されるといったことに止まらず、巨大な業界に変革をもたらす可能性を予見させます」。

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タグ:One Way Ventures資金調達

画像クレジット:Henrik5000 / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

メディアとスタートアップにおける「黄金の釜」論

週が改まれば、また新しいニュースレターが届く。今週は、近年Politico(ポリティコ)から独立したJake Sherman(ジェイク・シャーマン)氏、Anna Palmer(アンア・パーマー)氏、John Bresnahan(ジョン・ブレスナハン)氏らが執筆する政治問題を中心としたニュースレターPunchbowl(パンチボウル)の話題だ。この件に関しては、Ben Smith(ベン・スミス)氏も記事(NTYimes記事)を書き、さらにThe Daily Beast(デイリー・ビースト)のMaxwell Tani (マックスウェル・タニ)氏もたっぷりと詳細な記事(The Daily Beast記事)を書いている。

なぜ私たちは、Politico Playbook(ポリティコ・プレイブック)、Axios(アクシオス)、The Daily 202(ザ・デイ202)など、ベルトウェイ(訳注:ワシントンD.C.の別称)の政治を分析するニュースレターがすでに数多く存在する中で、さらに新たなニュースレターが必要なのか。実際、なぜ私たちは、スタートアップ企業を紹介するテック系ニュースレターの情報をこれほど大量に必要とするのか(私が数えた限りでは、この業界を対象としたニュースレターは少なくとも数千はある)。なぜメディアの世界では、かつてはもっぱらロングテールのことを伝えるものとされていたニューメディア系スタートアップが、おしなべて同一のニッチ市場ばかりを繰り返し報道するようになったのか。

そこにあるのが黄金の釜だ。メディアは、他の数あるスタートアップ市場とは少し違っている。多様な製品のための永遠の需要があるように見えるが、大きな金が動く需要はほんのひと握りだ。

メディアには、ワシントンD.C.の政治スクープや投資銀行、M&A、ベンチャーキャピタルに関するニュースによって勝者が大量の読者を勝ち取り、おまけにサブスクリプションや広告による大量の収益も獲得できるという、古風で小さなスタートアップの世界がある。ニッチ市場は他にも山ほどあるのだがリーダーシップ、ユーザー、収入源が限られているために疲弊している。

いい換えればそこは、勝者総取りのトーナメント方式の市場であり、高い勝率でそこそこの収益を得るよりも、一攫千金を狙いたくなる場所なのだ。医療の世界では「全員」がガンの治療を目指す。熱帯病の治療はほとんど見向きもされない(治療できれば無数の人たちが恩恵を受けるに違いないのだが)。結局、ノーベル賞が授与されるのは、単に優れた科学ではなく、一定の注目度のある当代で最大の進歩だ。スタートアップ企業の創設者は、最大のビジネスと最大の顧客市場を目指す。市場を席巻することもない、ちょっとした便利なアプリではない。

ユニコーン企業は小さな市場からは生まれない。

もちろんこのモデルは、多くの市場に大きな負の外部性をもたらす。米国会議事堂周辺で、またはサンドヒルロード(訳注:ベンチャー投資会社が建ち並ぶシリコンバレーの道路)沿いで「最初に読まれるニュースレター」となるための競争がもたらすのは、幅広いさまざまな意見からなる選択肢ではなく、まったく同じ問題のまったく同じ分析の過剰な押しつけだ。新しいマーケティングテクノロジーや州議会などの報道は、もっとたくさんあってしかるべきだ。

スタートアップにおいて、たとえばフィンテックの極めて重要なレイヤーへの参入口は無数にある。資産管理のスタートアップや投資信託の自動投資(いわゆるロボアドバイザー)に特化した製品ですでに使われているものは、少なくとも50、いや100はある。それでも中には大儲けできるレイヤーもあるため、分別ある企業創設者は大抵口を揃えてこういう。「この道の先で報酬を手に入れる」と。

自由市場とは、そうしたニッチな分野でうまく回っていくものと思いたい。ワシントンD.C.のメディア界で注目を集めるための、または資産管理業界でユーザーを獲得するための競争においては、極限までコストを下げ、市場のパイをうんと小さく切り分けて、新規参入者には魅力が薄く、他のニッチ市場のほうがもっと大きな勝算があるように見せさえすればよい。

パイがどんどん分割されるようになれば、それが実現する。だがこの10年間の経験から私が思うに、そうなる可能性は低い。ワシントンD.C.の政治は、政治報道にとって黄金の釜だからだ。スクープを勝ち取るのは、3つのニュースレターの中の1つと決まっている。ウォールストリートのM&A情報は、ビジネスジャーナリズムの黄金の釜だ。最も重要な情報源を集中管理するひと握りの記者が、スクープを独占している。ベンチャー投資に関する報道は、スタートアップメディアの黄金の釜だ。TechCrunchと仲良しの競合他社数社が毎日懸命に記事を書いているのはそのためだ。

いつでも新しい市場が生まれ、古い市場は拡大し縮小していく。どこからともなく突然現れて、その独創性とまったく新しい分野を生み出してはまばゆく輝くスタートアップは必ず存在する。しかし、そのようにして誕生したユニコーン企業もみな、既存の大きな市場の中から生まれた他の10社ほどと、勝者だけに贈られる大きな報酬を競い合っている。

投資家が、1つの分野で15のスタートアップに投資したいと考えても何ら悪いことはない。報酬が得られるのだから、少なくとも報酬があると信じる場所であるからそれは道理だ。変革すべきは、他のニッチに、イノベーションのための同様の動機をもたらす方法だ。もっと多くの市場が黄金の釜を提供できるようにするには、どうすればよいのか。そもそも、そんなことが可能なのか。それとも私たちは、McConnell(マコーネル)、Schumer(シューマー)両上院議員の策謀を伝える100本のニュースレターをマコーネル氏の広告つきで読み続ける運命にあるのだろうか。

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タグ:コラム

画像クレジット:LEONELLO CALVETTI

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(翻訳:金井哲夫)

大阪大学ベンチャーキャピタルが約95億円規模の2号ファンド設立、大阪大など国立大学発スタートアップ支援

大阪大学ベンチャーキャピタルが約95億円規模の2号ファンド設立、大阪大など国立大学発スタートアップ支援

大阪大学ベンチャーキャピタル(OUVC)は1月4日、2021年1月1日付でOUVC2号投資事業有限責任組合(OUVC2号ファンド)を設立したと発表した。投資対象は大阪大学ならびに他の国立大学の研究成果を活用したスタートアップ企業。ファンド規模は約95億円(2021年1月1日時点の予定。2021年4月末までに増額予定)。

  • ファンド名称:OUVC2号投資事業有限責任組合(OUVC2号ファンド)
  • ファンド規模:約95億円。2021年1月1日時点の予定。2021年4月末までに増額予定
  • 運用期間:2021年1月1日~2032年12月31日(最大3年の延長可能性あり)
  • 投資対象:大阪大学並びに他の国立大学の研究成果を活用したスタートアップ企業
  • 有限責任組合員:大阪大学、国内金融機関・事業会社
  • 無限責任組合員:大阪大学ベンチャーキャピタル

OUVCは、2015年7月にOUVC1号ファンドを設立し、大阪大学の研究成果を活用したスタートアップ企業37社・約73億円(2020年12月末時点)の投資を実行。今回、OUVC1号ファンドで培ったノウハウを応用し、大阪大学のみならず他の国立大学の研究成果も社会実装する目的で、後継にあたるOUVC2号ファンドを設立した。

国立大学で生まれたイノベーションの芽を成長させるべく、資金面のみならず、事業戦略立案や経営管理体制の構築、人材採用支援、事業開発支援など、あらゆる面で投資先企業を支援していく。

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タグ:大阪大学大阪大学ベンチャーキャピタルVC / ベンチャーキャピタル(用語)日本(国・地域)

アクティビストのヘッジファンドマネージャーであるダニエル・ローブ氏がインテル経営陣を酷評、新たなVCファンドを準備中

Daniel Loeb(ダニエル・ローブ)氏のアクティビストヘッジファンドであるThird Pointは、残り少ない2020年の日々に多忙だ。パンデミックで大荒れの年だったがリターンは大きく、Reutersによると2020年12月初めの時点で今年の増加率は最大で12.3%とされている。そして同社は明確に、テクノロジーセクターに今後ますます大きい成長ポテンシャルを見ている。

Asa Fitch(エイサ・フィッチ)氏の記事によると、The Wall Street Journalは、このヘッジファンドがIntel(インテル)の会長であるOmar Ishrak(オマー・イシュラック)氏に毒舌満載の株主書簡を送り(WSJ記事)、最近ライバルたちに大きく遅れを取っているこの米国のチップメーカーには経営陣の大規模な刷新が必要だと迫った。私がTechCrunchに2020年の半導体業界の総括記事(未訳記事)で書いたように、インテルにとって2021年は生きるか死ぬかの年であり、今やアクティビストからのプレッシャーもさらに強まり、同社に対する問題解決の要請もますます熾烈を極めている。

WSJによると、Third Pointは同社の株10億ドル(約1030億円)を買い上げた。ニュースの直後には、強まったプレッシャーで同社の前途が明るくなったという投資家たちの期待により、インテルの株価は5%跳ね上がった。

しかしながら、どうやら上場企業でなくても、資本政策表にアクティビストのヘッジファンドを載せられるようだ。

今朝のFinancial TimesでMiles Kruppa(マイルズ・クルッパ)氏が書いているが、このヘッジファンドは新しいベンチャーファンドを立ち上げるために最大3億ドル(約309億円)が欲しいらしい。調達の完了予定は2021年2月だ。同ヘッジファンドは過去にも、Third Point Ventures部門からさまざまな投資をしているが、アクティビストの大きな賭けとは違って、経済紙の大見出しになるような成果は得られなかった。

過去に同社のベンチャー投資は、テクノロジーとヘルスケアとフィンテックがターゲットだった。投資先は、CrunchbaseによるとSentinelOneとYellowbrick Dataだ。この新しいファンドが無事に資金調達を完了するとしても、投資のステージや対象分野が前と同じになるのか、そこがまだわからない。

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画像クレジット:Larry Busacca/Getty Images

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

D3 LLCがバイオ/創薬やデジタルヘルス/ヘルステック特化型1号ファンドを30億円規模で組成

D3 LLCがバイオ/創薬やデジタルヘルス/ヘルステック特化型1号ファンドを30億円規模で組成

D3 LLCは12月24日、30億円規模の1号ファンド「D3バイオヘルスケアファンド1号投資事業有限責任社員」のセカンドクローズを行ったと発表した。

投資対象は、バイオ/創薬、デジタルヘルス/ヘルステックを中心に、広く医療健康への貢献を志すスタートアップ企業。また、日本にとどまらず、世界に通用し海外市場まで視野に入れうる企業の支援を重視する。

同ファンドでは、「日本発・世界の医療健康に貢献」をミッションに、サイエンス・ビジネス双方の専門性を持つメンバーが、投資・経営支援に取り組む。

これまでに同ファンドには、新規事業創造を通じて医療健康への貢献を志す日米の大手事業会社4社がLP(有限責任組合員)として出資。LPと投資先の積極的な連携は、戦略コンサルティングにて一定以上の戦略構築の経験を積んだメンバーが触媒する。

また同ファンドからは、すでに、新モダリティのバイオ創薬、医療機関向けSaaS、新規機能性素材を用いた製品開発などに取り組むスタートアップに出資しており、2021年より投資活動を加速する。

2017年創業のD3 LLCは、ヘルスケア領域特化の、投資・事業・コンサルティング会社。「世界の医療健康への貢献」をミッションに、有望な科学技術シーズや事業アイデアへの資金提供(Discovery)に留まらず、経営者と伴に、有意義なプロダクト・サービスの創造とそれらを顧客に届けるためのビジネスモデルの構築(Development)を通じて、科学技術・アイデアの社会実装(Deployment)を志している。

ベンチャーキャピタルに関しては、投資の数を目的とせず、バイオヘルスケア領域のグローバル・スタンダードにも従い、少数の投資先に丁寧な支援を行うとしている。

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GoogleがインドのスタートアップGlanceとDailyHuntに投資、世界第2位市場へさらに注力

インド時間12月12日、Google(グーグル)はインドの2つのスタートアップGlance(グランス)とDailyHunt(デイリーハント)への投資を発表した。Android(アンドロイド)メーカーであるGoogleにとって、世界第2位のインターネット市場へのさらなる注力を行うことが目的だ。

1億台以上のスマートフォンのロック画面上にニュースやメディアコンテンツ、ゲームを提供している(未訳記事)創業2年目のインドのスタートアップGlanceは、Googleと既存の投資家Mithril Partnersから新たな資金調達ラウンドで1億4500万ドル(約150億1000万円)を調達した。

広告大手のInMobi(インモビ)グループに属するGlanceは、AIを利用してユーザーにパーソナライズされた体験を提供している。このサービスは、普通なら何も表示されることのないロック画面上に、地元に関連するニュースやストーリー、カジュアルゲームを提供する。InMobiは2019年末、グルガオンに本社を置くスタートアップのRoposo(ロポソ)を買収し、これによってプラットフォーム上でショートビデオを提供することが可能になった。GoogleもRoposoに投資している。

Roposoは、月間アクティブユーザー数が3300万人を超えるショートビデオプラットフォームだ。同アプリのユーザーたちは、10以上の言語で提供される、様々なジャンルのコンテンツを、平均して毎日20分程度視聴している。

Glanceは、いくつかのスマートフォンの機種にプリインストールされた状態でも出荷されている。またGlanceは、インドの2大スマートフォンベンダーであるXiaomi(シャオミ)やSamsung(サムソン)を含む、ほぼすべてのトップAndroidスマートフォンベンダーとの提携も行っている。同サービスの1日のアクティブユーザー数は1億1500万人を超えている。

Googleの副社長であるCaesar Sengupta(シーザー・セングプタ)氏は声明の中で「Glanceはインドの多くの現地語でコンテンツを提供し、モバイルファーストやモバイル専用消費のためのイノベーションを提供できた好例です」と述べている。「今でも多くのインド人が、自分自身の言葉で読めるコンテンツや、自信を持って使えるサービスを探すのに苦労しています。そのことは、彼らにとってのインターネットの価値を、著しく制限しています。特に現在のように、インターネットが非常に多くの人々の生命線となっている時期にはなおさらです。今回の投資は、インドのイノベーティブなスタートアップと協力し、すべての人に利益をもたらす真に包括的なデジタル経済を構築する、という共通の目標に向けて取り組む当社の、強い信念を裏付けるものです」。

GlanceとInMobiグループの創業者であり最高経営責任者のNaveen Tewari(ナビーン・テワリ)氏は、今回の投資は「製品開発、インフラ、グローバル市場の拡大へ向けたGoogleとGlanceのより深いパートナーシップ」への道を開くものであると述べている。スタートアップは、新しい資本を米国での拡大に投入に使うことを計画している。

DailyHuntへの投資

Googleは、同じくインド時間12月12日、インドのスタートアップDailyHunt(デイリーハント)の親会社である(未訳記事)であるVerSe Innovation(バース・イノベーション)にも出資していることを発表した。DailyHuntは、同名のサービスやショートビデオプラットフォームJosh(ジョシュ)を含むアプリ全体で、インドの14の言語で3億人以上のユーザーに、ニュースやエンターテインメントコンテンツを提供しているという。スタートアップによれば、Google、Microsoft(マイクロソフト)、AlphaWave(アルファウェーブ)をはじめとする投資家たちから1億ドル(約103億5000万円)以上の資金を調達したということであり、今回の新たなラウンドによって同社の評価額は10億ドル(約1035億3000万円)以上となりユニコーンとなった。

元Facebook(フェイスブック)インドのトップだったUmang Bedi(ウマンベディ)氏が共同で運営するDailyHuntは、新規調達した資金をJoshアプリの拡大、現地語によるコンテンツの拡大、コンテンツクリエイターのエコシステムの育成、AIとMLのイノベーション、そして「バーラト(「インド」に相当するヒンディー語)のためのバーラト製ショートビデオプラットフォーム」の成長に投入する計画だ。

JoshとRoposoは、ニューデリー政府が2020年6月下旬にインドでTikTokを禁止することで生み出した空白を埋めるために(未訳記事)生み出された、沢山のインド製アプリの中に含まれている。禁止以前の時点では、TikTokはインドを最大の海外市場と認定していた。

Googleは今年発表したIndia Digitization Fund(インドデジタル化ファンド)からこれら両方への小切手を書いた。グーグルは今後数年間でインドに100億ドル(約1兆円)を投資することを約束している。すでにGoogleはこのファンドから、インドの通信大手Jio Platforms(ジオ・プラットフォーム)に45億ドル(約4653億円)を投資している

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タグ:GoogleインドGlanceDailyHunt投資

画像クレジット:InMobi

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(翻訳:sako)

シリコンバレーはユニコーン企業ではなくゼブラ企業に報いるべきだ

シリコンバレーにはユニコーン問題がある。

高企業価値のスタートアップが消えていくのを望む人などいないが、本来ならもっと少なくあるべきだ。少なくとも若きファウンダーたちが10億ドル(1000億円)超えの非上場企業の努力と苦労を見たあとの結論はそうなる。

ユニコーンは神話上の動物なので、投資家は魔法のような結果を期待する。電光石火の成長、独占に近い市場そして100倍、1000倍のリターンを得られる記録的IPO。ゼブラ(シマウマ)は特定のニッチを埋めることで繁栄するべく進化してきた実在の動物だ。ユニコーン企業と異なり、ゼブラは細身で効率的で一貫している。

往々にして、実際の製品や現実的なビジネス展望ではなく、企業の名前や外見的な名声がユニコーンの売り物になっていく。ごく最近の、この傾向のおそらく最も顕著な事例といえば、WeWork(ウィワーク)だろう。

同社の2019年のIPO失敗は、10年に一度の大混乱だった。Enron(エンロン)以来、ここまで早く転落した企業はほとんどない。市場がこのユニコーンを試す機会を得た時、それが一芸しかもたないダンボールの角をはやしたポニーだったことに投資家たちは気がついた。Adam Neumann(アダム・ニューマン)氏は、実際の価値ではなく、純資産のために自分の会社を造り、彼の社員や支援者たちが代償を払った。そしてもしこのIPOが成功していたら、2020年3月に新型コロナウイルス感染症が蔓延した時、どれほどの企業価値が霧散していたか、想像してほしい。

現在の経済では、ほとんどのテックイノベーションがベンチャー資金を必要としているが、時としてユニコーンは、度が過ぎた場合のケーススタディになることがある。ラウンドに次ぐラウンドによる資金調達は、WeWorkの場合のように、崩れそうな基盤とあやふやなビジネスプランを隠蔽する。

2020年12月、モバイルビデオのユニコーンであるQuibi(CNBC記事)が創業から1年経たずに廃業した。映画・テレビの評論家は驚かなかったし、この会社の名を聞いたことのあるわずかな消費者もそうだった。

4月初めのタイミングの悪いスタートのずっと前から、まずいアイデアであることをほとんどの傍観者はわかっていた。それならなぜ、Quibiはそんなに多くの資金を受け取ったのか?会社とつながりのあったビッグネーム、たとえばDreamworksの共同ファウンダーであるJeffrey Katzenberg(ジェフリー・カッツェンバーグ)氏やHPの元CEOのMeg Whitman(メグ・ホイットマン)氏に惹きつけられた投資家たちは、この製品が名前から値付けにいたるまであらゆる点で間違っていたことになぜか気づいていなかった。

ユニコーンが何を提供するかは、それがユニコーンであるという事実と比べて重要ではない。ユニコーン企業の対極にあるのが、ゼブラ企業だと私は考える。少々変わっていて、一面の見出しを飾ることも息を呑むニュースになることもないが、存続し、何かをするために作られた会社だ。

ユニコーンは、終わりのないベンチャーラウンドという魔法の森の中にいるかぎりは繁栄し続けるが、ゼブラは自由市場のサバンナを戦い抜く。ゼブラ企業は次のFacebook(フェイスブック)やAmazon(アマゾン)のような巨人にはならないが、次のQuibiやWeWorkになることもない。

ゼブラ企業、たとえばHandshake(ハンドシェイク)やTuro(トゥーロ)や、ある面ではBen and Jerry’s(ベン&ジェリーズ)やPatagonia(パタゴニア)などの出現は、私たちのビジネスと経済に対する理解の幅広い変化を物語っている。新型コロナウイルスが世界の大部分を封鎖する前から、終わりのない成長の魅力はどんどんなくなりつつあった。

経済からこれまで以上の価値を引きだすことに熱中するのではなく、Patreon(パトリオン)のような会社は、同じ1ドルが経済全体をめぐることによって何倍もの価値を生むことに気がついた。価値の一方向な抽出は、価値の循環的流れに取って代わられる。指数関数的な成長は、企業経営のベストな方法でも唯一の方法でもない。

ほとんどの人たちにとって新年は、2020年がようやく終わるという意味でやすらぎの時だ。しかし、過去を振り返り新たしい年がもたらす未来に向けて計画を立てるチャンスを逃してはならない。WeWorkとQuibiの失敗は、容易に繰り返される。現在もシリコンバレーのどこかで、運の尽きた会社に、ベンチャーキャピタルが大金を渡している可能性は高い。私たちはユニコーンに注意を向けすぎてきた。今こそゼブラに、彼らにふさわしい注意を向ける時だ。

【編集部注】著者のRebecca Honeyman(レベッカ・ハニーマン)氏は、SourceCode Communicationsの共同設立者であり、マネージングパートナーでもある。

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タグ:ユニコーン企業

画像クレジット:Julien Fourniol/Baloulumix / Getty Images

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

2020年最後のIPO候補者事情

スタートアップとマーケットのニュースレター The Exchange(ザ・エクスチェンジ)へようこそ。ここではお金の話、スタートアップの話、IPOの噂話をお伝えする。

みなさんこんにちは、お元気でお過ごしだろうか。これが2020年最後のThe Exchangeだ。来週ちょっとした休暇に入る前に、何本かコラムをお届けする予定ではあるが、ポッドキャストのEquityの方はこの忌々しい年が終わるまでエピソードの公開を続ける。

ということで前振りも終わったので、今週の2つのトピックをご紹介しよう。これから誰が株式を公開するのか、そしてスタートアップの中で特定の集団がどれほど早く成長しているのかという話題だ。

この2つのトピックは、特に関連性の高い話題ではないが、だらだらとIPOニュースばかり話して、私が話したかったことを台無しにするつもりはない。ということで、まずはSECの話題をやっつけて、それから楽しい話題に進むことにしよう。

実際のIPOはこれから

先週はIPO関連ニュースで溢れていた、Coinbase(コインベース、未訳記事)とUIPath(ユーアイパス)の非公開申請、Poshmark(ポッシュマーク、未訳記事)の公開申請、そしてBumble(バンブル、未訳記事)が非公開申請をしたのではと伝えられた。要するに、IPO控室の出席簿に新しく4社が加わったということだが、その出席簿の中には公開を遅らせている(未訳記事)Affirm(アファーム)とRoblox(ロブロックス)もすでに含まれている。

そして、Chime(チャイム)、Robinhood(ロビンフッド)、Expensify(エクスペンシファイ)やその他の企業も、すでに公開に踏み切るのに十分な規模となっている。2021年のIPOブランドは、今年にひけをとらない豊作となりそうだ。

公開の場に出ていこうとしているユニコーンたちのおかげで、公開市場は過去最高の高値を更新している。今後数カ月の間に大きな資金の流れを目にすることになるだろう。これは、ベンチャーキャピタルのDPI(実現倍率)とTVPI(投資倍率)のメトリクス(Allen Latta氏ブログ)の総計が、より高騰することを意味する。すなわち現在の利回りに飢えた世界で、アセットクラス全体が、これまで以上に魅力的なものになることを意味する。

物語は続く。

ソフトウェアビジネスは一体どのくらいの規模なのだろうか?

先週の初めにTechCrunchはRamp(ランプ)の新ラウンドを取り上げた(未訳記事)。2月にローンチ(未訳記事)したRampは、当時は一部の人たちからは、Brex(ブレックス)のクローンとして軽視されていた。RampとBrexは、Divvyや他のスタートアップたち(現在はさらに2つ以上)と競合していて、顧客企業がリアルカードとバーチャルカード、およびソフトウェアを組み合わせて支出を管理することを助けている。

Rampは、いくつかの新しいソフトウェア機能とともに、そのプレスリリースの一環として成長指標を発表した。似たような指標に関してDivvyに問い合わせたところ、同じく提供を受けることができた。Brexは数字の提供を拒否したが、まあそれは仕方がない。そうそう、Airbase(エアベース)やPlate IQ(プレートIQ)といったいくつかの競合企業に言及することを忘れていた。

2020年3月に拡大シリーズAで2350万ドル(約24億3000万円)を調達した(未訳記事)ときに取材したのでAirbaseは入れておくべきだった(新しい資本は3倍の評価額で調達されたので、率直にいってシリーズBと呼んでもいいだろう)。Airbaseが重要なのはRampやDivvy、Brexと競合しているからだけではなく、ライバルと同じような製品を提供している一方で、そのソフトウェアにも課金しているからである。

これは私の知る限りでは、多くの企業と契約し、取引から収益を上げることに重点を置いているDivvyやBrexやRampとは対照的なやり方だ(カードの処理に使われているソフトウェアに課金しないやり方は、セールスをやりやすくして、理論的には顧客の成長率を高く保つ方法だ)。

しかし、Airbaseは法人顧客にソフトウェアに課金しているにもかかわらず、ものすごい勢いで成長を続けている。AirbaseのCEOであるThejo Kote(テジョ・コーテ)氏からのメールによると、スタートアップの年間経常収益(ARR)は2020年に2.5倍に成長し、取り扱う支払い額は「年率換算で7倍に増加している」とのことである。

それらはとても素晴らしい数字だ。まだ取材したことはないがPlate IQも成功している企業のようだ。有名投資家のGarry Tan(ゲリー・タン)氏はTwitter(ツイッター)上で、同社は「年間取引で5億ドル(約516億6000万円)以上を達成し、利益を上げている」と述べている。対照的に、比較的若いRampは、管理している支払い額の合計が1億ドル(約103億3000万円)を超えたことを発表したばかりだ。

今回の一連のレポートからわかることは、特定の企業が勝つということではなく、特定の企業が明確なリーダーであるということでもない。それどころか、今週は1つのソフトウェアのニッチ分野を探ってみて、ソフトウェア市場がいかに大きいかを思い知らされた。

これらの競合するスタートアップ企業が、同時にこれほど急速に成長できる余地はどのように生み出されるのだろうか?その答えは、世界経済が巨大であり、ソフトウェアはいまもなお、その重要度をどんどん増している最中だということだ。私の予想では、ここでとりあげた5社のうち3社が上場できる規模まで生き残り、民間のライバルや公開されている巨人に買収されるのは2社にとどまると思っている。

どうなるかはやがてはっきりするだろう。なにはともあれ、VCのツイッターにはタレ込まないように。

マーケットノート

今回は、扱いやすくするために、残りの知るべきことを2つのグループに分けてみた。最初はラウンドに至らなかったもの。2つ目はラウンドに至ったものだ。では始めよう。

  • Slack(スラック)のベンチャーキャピタルファンドがさらに復活している(Slackリリース)。親会社が自己資金でプロジェクトを進めており、資本プールは倍増し5000万ドル(約51億7000万円)に拡大した。
  • StockX(ストックエックス)がIPO規模に到達した(未訳記事)。TechCrunchは先週、その資金調達ニュースを取り上げ(未訳記事)、その古着グッズのマーケットプレイスがIPO候補になっていると書いていた。ということで、内容を見てみた。予想通りに、IPO候補だった。
  • The Informationが今週、SoFi(ソーシャル・ファイナンス)が第3四半期に約2億ドル(約206億6000万円)の収益を上げ(The Information記事)、EBITDA(利払い前税引前償却前利益)がプラスになったと報じている。
  • Axios(アクシオス)がクリエーター経済の成長を報じている。びっくりしないでほしい。十分に真剣に取り組む価値がある分野なのだ、ぜひ取り組んでほしい。もしジョーク満載のポッドキャストがお好きなら、Equityでもこの状況についても話し合っている。
  • Crypto(クリプト)も再び話題にのぼるようになった。資産カテゴリの中での最近の価格上昇は誇大広告に基くものではない(未訳記事)。
  • Robinhood(ロビンフッド)には大変な1週間だった(未訳記事)。IPOを狙う同社の願いは現在の批判の中では実現しないだろう。最近の四半期で、何らかの法的問題がある中で公開を目指しているのは同社だけではない。だがともあれ、この株式取引会社が望んでいた週とはならなかった。そして そのライバル企業のPublic.com(パブリック・コム)はRobinhoodが罰金として支払わなければならなかった額と同じ位の資金を調達した(未訳記事)。やれやれ。
  • スタートアップの評価額は、少なくともシリコンバレーでは、COVID不況の対極にある(未訳記事)。

さて、大規模ラウンドたちを紹介しよう。

大規模で重要なもの

今回の「その他のことなど」コーナーはとてもその名前にはふさわしくない。ということで、今年最後の記事では名前を変えてみた。ご紹介するラウンドはいずれも大規模で重要なものだ。

  • ブラジルのCreditas(クレジタス)が2億5500万ドル(約263億4000万円)を調達した(未訳記事)。TechCrunchはこのラウンドを、ラテンアメリカに焦点を当てたフィンテックラウンドの大きなうねりの中に位置付けたい。
  • Microsoft(マイクロソフト)のご近所であるベルビューに拠点を置くZenoti(ゼノティ)は、1億6000万ドル(約165億3000万円)を調達しユニコーンとなった。何の会社かって? シアトル・タイムズ紙によれば、「スパやサロンを管理するためのクラウドコンピューティング・ソフトウェアを開発している」とのこと。笑っちゃいけない。産業特化型SaaSは巨大なのだ。理髪店業界に特化したSaaSプレーヤーのSquire(スクワイア)は先々週には2億5000万ドル(約258億3000万円)と評価されていた
  • さらにペイメントに焦点を当てたラウンドをとりあげよう。今回より多くの資金を調達したおかげでGoCardlessはほぼユニコーン(CNBC記事)に近付いた。
  • さらにフィンテックの話を続けよう。若い顧客向けに「すべてのファイナンスのニーズに対応するオールインワンプラットフォームを目指す」フランスのLydia(リディア)は、Tech.EUによれば、今週シリーズBを8600万ドルに拡大した(Accelがラウンドを主導した。Public最新のラウンドも同様に主導した同社にとっては多忙な1週間だった)。
  • TechCrunchは、ClickUp(クリックアップ)が10億ドル(約1033億円)の評価額の下に、1億ドル(約103億円)のラウンドをまとめたことを報じている(未訳記事)。同社は6月に3500万ドル(約36億2000万円)を調達した。なぜClickUpを気にするのかって?2020年にいくつかみられた2回ラウンドの一翼を担った企業だからだ。Ramp(ランプ)、Welcome(ウェルカム、未訳記事)、SkyFlow(スカイフロー)。リストはまだ続く。
  • インシュアテックの世界では、デジタル生命保険プロダクトのBestow(ベストウ)が7000万ドル(約72億3000万円)を調達した(fin Ledger記事)。インシュアテックは最近活況で、このスペースのプレイヤーであるAgentSync(エージェントシンク)は、今年だけで2回の調達ラウンドを実施している(未訳記事)。
  • 最後に、特にPayPalのための暗号化作業を請け負うPaxosが、巨大なシリーズCで1億4200万ドル(約146億7000万円)を調達した(Forbes記事)。暗号化ブームとしてこれを書き留めておこう。

さてそろそろJUUL(電子タバコ)の霧に巻かれつつ、Civ 6(シヴィライゼーション VI)の私の宿敵(Twitter投稿)に会いに行くことにしよう。ではごきげんよう。

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カテゴリー:VC / エンジェル
タグ:新規上場 / IPO

画像クレジット:Nigel Sussman

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(翻訳:sako)

ペプシコがM13の客員起業プログラムを支援、健康に関するスタートアップ立ち上げへ

M13内に作られた新しいベンチャースタジオが、その最初の新しい企業パートナーとして、PepsiCo(ペプシコ)と契約した。

この契約によりペプシコは、ニューヨークとロサンゼルスを拠点とするこのベンチャーファーム初のファウンダー・イン・レジデンス(客員起業家)プログラムを支援することに合意。M13は元Techstars Los Angeles(テックスターズ・ロサンゼルス)のマネージング・ディレクター、Anna Barber(アンナ・バーバー)氏(未訳記事)を新しいイニシアチブのリーダーに抜擢した。

このM13 Launchpad(ローンチパッド)プログラムでは、まずペプシコの役員やアドバイザーを活用して客員起業を行い、12週間のプログラムで健康とウェルネスに焦点を当てたスタートアップのアイデアを考え、立ち上げる予定だ。

「現在、消費者は自分の健康について豊富なデータを入手することができ、自宅で検査しようとする人が増えていることから、ますますその健康データの重要性が高まっています。これは、一貫した総合的な健康とウェルネスのソースとして、人々に栄養をより効果的に利用してもらう絶好の機会を生み出します」と、バーバー氏は電子メールで書いている。「この春、私たちはスナック菓子や、食事代替食品、飲料、サプリメントから、栄養を最適化するためのソフトウェアプラットフォーム、データを収集・管理するための接続デバイスまで、あらゆるものに目を向けていく予定です」。

この契約は、M13がすでにProcter & Gamble Venturesのような企業パートナーと一緒に行っている仕事を補完するものだ。そこではプレミアム美容技術のOPTEKindraの更年期製品、敏感肌ケアのためのBodewellなどの企業の開発に貢献している。

このLaunchpadプログラムは独立し、Target(ターゲット)、Anthropologie(アンソロポロジー)、Urban Outfitters(アーバン・アウトフィッターズ)で手ごろな価格の女性用ウェルネス製品を販売しているRaeを設立することができた。

12週間のバーチャルLaunchpadプログラムでは、起業家に毎月1万ドル(約103万円)の奨学金と、卒業時に製品の市場適合性をテストするための十分な現金が支給される。プログラムを卒業すると、各企業にはビジネスを継続的に成長させるための少額のシードラウンドも提供されると、M13は述べている。

カテゴリー:VC / エンジェル
タグ:PepsiCo健康

画像クレジット:Tim Boyle / Getty Images

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(翻訳:TechCrunch Japan)

食領域特化のCVC「Future Food Fund」1号ファンドが20億円で組成完了

食領域特化のCVC「Future Food Fund」1号ファンドが総額20億円で組成完了

オイシックス・ラ・大地の投資子会社Future Food Fundが運営するフードイノベーション領域特化CVC(コーポレートベンチャーキャピタル)ファンド「Future Food Fund 1号投資事業有限責任組合」(FFF1号)は12月14日、食品業界以外の業界からの応募を含め総額20億円に到達、2020年12月をもって組成完了したと発表した。

FFF1号は、日本の食文化や食品業界の発展への貢献を視野に入れ、食領域に特化したスタートアップ企業を中心に投資する目的をもって設立。新たに西松建設、コメダホールディングス、国分グループ本社、オレンジページ、セブン&アイ・ホールディングスより出資を受け、募集を完了した。

FFF1号は、食領域に特化したファンドとしては日本国内で初の設立であること、リミテッドパートナー(LP)が14社加入したことから、多種多様な業界が食領域への関心を高く持っている結果と考えているという。

食領域特化のCVC「Future Food Fund」1号ファンドが総額20億円で組成完了

投資先の企業に対しては、LPとして参加する事業会社のプラットフォームを最大限に活用し、継続的な幅広い実行支援により、エコシステムを構築。スタートアップの持つ新技術や新サービスをより早く実用化・事業化していくことを目指す。

ファンド立ち上げからの実績としては、投資先企業の商品の販売やマーケティングサポートなどをすでに数社へ実施。投資先企業には、サブスクリプションで離乳食販売事業をしているMiL、畜産業にAI技術を用いているFarmnote、素材や製法にこだわったクラフトアイスクリーム製造事業をしているHiOLIなどがある。

これらの企業は、食領域における社会課題に取り組む事業を展開しているスタートアップ企業が中心。投資以外にも、企業間の連携や販売サポートなど様々な形での連携に取り組んでいく。

食領域特化のCVC「Future Food Fund」1号ファンドが総額20億円で組成完了

オイシックス・ラ・大地は、有機・特別栽培野菜、添加物を極力使わない加工食品など安心・安全に配慮した食品の宅配サービスを「Oisix」(おいしっくす)、「らでぃっしゅぼーや」「大地を守る会」の3ブランドで展開。

Oisixでは2013年7月に、必要量の食材とレシピがセットになった、主菜と副菜の2品が20分で完成するミールキット「Kit Oisix」を販売。2020年10月時点で、シリーズ累計出荷数は6500万食を突破した。

同社は「これからの食卓、これからの畑」を理念に掲げ、食に関する社会課題をビジネスの手法で解決する事業を推進していくとしている。

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カテゴリー:VC / エンジェル
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