ベンチャーキャピタルの民主化とは?

あるベンチャーキャピタリストが私にこう言った。テック企業のマーケティング資料に「民主化」という言葉を見つけたら危険信号だと思え。一般に、民主主義には皮肉な落とし穴がついてまわる。白人の男性が不均衡に利益を得る。ふだん私はこんなわびしい話で書き始めることはないのたが、これはテック起業家のLolita Taub(ロリータ・タウブ)氏とJosh Taub(ジョシュ・タウブ)氏夫妻が作った新しいツールが、真に革新的な何かを生み出す可能性があると私が考える理由だ。

タウブ夫妻は、GP-LP(ゼネラル・パートナー[GP]とリミテッドパートナー[LP])を立ち上げた。過小評価されているファンドマネージャーがファンドの立ち上げに必要な資金を手に入れるための マッチングツールだ。このマッチメーキングは、ファンドを立ち上げようとする人たち(GP!)と小切手を書く人たち(LP!)を結びつける役割を果たす。これは、彼らの作ったファウンダー、投資家のマッチングツールから1000回以上の出会いと27件の投資が生まれ、総額400万ドル近い金額が動いたことを受けて作られた仕組みだ。

そし、LPとGPをつなぐことは技術的にもコンセプト的にも比較的単純だ。そしてこれは比較的単純な実験でもある。しかし、5年前はもちろん10年前には決してあり得なかった。Zoom投資は人々が出会い、入念に検討する手段を大きく変えた。このGP-LPツールは、新たに生まれてくるファンドマネージャーが彼らの資金調達プロセスの幅を広げる上で鍵になる場所になると私は考える。

資金調達と言えば、

このツールが、過小評価されている人たちを手助けすることだけに特化している点は、他の多くのツールと異なる部分だ。伝統的シリコンバレーの型にはまらない、女性、LGBTQ+たち、非アイビー卒(あるいは非エリート企業出身者)、裕福でない人たちを対象としている。AngelList(エンジェルリスト)などのサービスが資金を動かしていることはすばらしいが、現在行われている公開の資金調達の恩恵に預かっているのは、そもそもそこに参加するためのネットワークを持っている人たちがほとんどだ。AngelListで資金獲得した人のリストがここにある。

つまりはこういうことだ。今、ファウンダーや投資家が自分たちのコミュニティを活用して小切手に結びつけるためのツールはたくさんある。しかし欠けているのは、コミュニティやネットワークを持たず過小評価されている人たちがチャンスを見つけるためのツールだ。新参のマネージャーが2回目3回目のファンドを立ち上げることに躊躇するLPはまだまだいるが、これは正しい方向への大きな一歩だ。そして今後どこまでうまくいくか、見守っていくつもりだ。

先週は、黒人その他の評価されることの少ないファウンダーにとって大きな1週間だった。

本稿の後半は、防災テック、Airbnb(エアービーアンドビー)、およびヘルスケア・コミュニケーションのS-1申請を取り上げる。私はいつでもTwitter(ツイッター)のここ@nmasc_.で見つけられる。

防災テックは転換点に来ている

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防災テック、例えばデータを使って山火事を消火したり、衝撃的な出来事の後、脳波を分析してPTSTを分析するスタートアップは、重要な時を迎えている。驚いただろうか。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)や進行中の気候危機は、起業家たちに、文字どおりの災害と戦う先を見越したソリューションを開発するエネルギーを与えた。TechCrunchのDanny Crichton(ダニー・クライトン)が、4回にわたって状況を伝えている。

Airbnbの次の旅

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2020年3月以来、Airbnbに注目が集まっている。世界的に名の通っている旅行と短期宿泊サービスだ。ほぼ1年前に同社は、売上が減少し、従業員の約25%にあたる1900人弱を解雇したことを報告した。そして、デジタル・ノマド・ライフスタイルと長期旅行が復活した今、この会社には一読の価値のある成長ストーリーが生まれた。

要点はここだ:AirbnbのCEO Brian Chesky(ブライアン・チェスキー)氏はTechCrunchのJordan Crook(ジョーダン・クルック)と、1日も早いポスト・パンデミックに備えて彼の会社がやっていることについて話した。Airbnbのスタンスが良い結果につながるかどうかはまだわからないが、パンデミックに打ちのめされ、その後復活した会社の共同ファウンダーの考えを知ることは、他のファウンダーが困難と戦う上でも参考になるだろう。

ブライアン・チェスキー:パンデミック中の旅行会社が、赤の他人が一緒に寝泊まりすることに基づく会社を立ち上げるより狂気の沙汰であることはわかっていませんでした。私は今、39歳から49歳になろうとしているように感じています。これまででいちばんクレイジーな一年であったことは間違いありません。

会社は当初、8週間で80%落ち込みました。私は車にたとえて話しています。時速80マイルで飛ばして、急ブレーキをかけ、何も悪いことが起きない、などということはありえません。今は、時速80マイルで走っていて、急ブレーキを踏んだあと、走りながらクルマを修理して、IPO目指して加速しているところを想像してみてください。全部Zoomの上で。

未来の生活が未来の仕事と融合するとき:

1週間の出来事

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Extra Crunch

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(文:Natasha Mascarenhas、翻訳:Nob Takahashi / facebook

たしかに暗号資産には多くの大量の通貨が必要だ

スタートアップとマーケットの週刊ニュースレター「The TechCrunch Exchange」へようこそ。

準備OK?ここではお金の話、スタートアップの話、IPOの噂話などをお伝えする。

こんにちは、米国では5月最終月曜日はメモリアルデーという祝日だ。今回のExchangeはメモリアルデーを記念して、新しい試みとして簡潔にまとめてみよう。

暗号資産(仮想通貨)の話は聞き飽きたという読者には、悪いお知らせだ。彼らは消えて行かないどころか、彼らの進撃のために戦場を整える役割を果たした金融砲が、さらに多くの金融弾を装填しているのだ。

少なくとも、Eric Newcomer(エリック・ニューカマー)氏は「a16z Crypto Fund Balloons to $2 Billion」(a16z(アンドリーセン・ホロウィッツ)の暗号資産ファンドが20億ドル(約2178億6000万円)に膨張)と題した先週の投稿で、そのように書いている。

ここにはいくつかのポイントがある。第1に!20億ドル(約2178億6000万円)規模の暗号資産ファンドに出資できるだけのLP(リミテッドパートナー)需要があること。第2に!20億ドルを投じる価値のある、ホットな暗号資産のアイデアが十分に存在すること。

前者の存在は確信できるが、後者はちょっと考えてしまう。ブロックチェーンの分野に優れた企業が存在しないわけではない。Coinbase(コインベース)の第1四半期の収益を見れば、暗号資産を使ってお金を稼ぐことは可能だ。しかし、これまでに最も成功を収めている企業は、従来の銀行の世界と暗号資産の世界を融合させた企業たちであり、後者に完全に属している企業ではないようだ。

関連記事:上場間近のCoinbase、絶好調の2021年第1四半期決算を読み解く

しかし、そのようなアイデアが次々に掘り起こされていく中で、より実験的な暗号資産のアイデアを追いかける資金が出てくることは予想できる。先のDaily Crunchでも述べたように、こうした市場にはすでに多くの資金が投入されている。

ノン・ファンジブル・トークン(NFT)という言葉を聞いたことがあるだろう。すでにNBA TopShot(NBAトップショット)の誇大広告をなんとかしのげたとしても、さらに気を引き締めて欲しい。NFTの世界ではさらに多くの企業が構築を進めているのだ。その中には、NFTにAR(拡張現実)を導入し、Coinbaseから新たな資金を調達したばかりのAnima(アニマ)や、NFTを実生活に取り込むために600万ドル(約6億6000万円)を調達したばかりのInfinite Objects(インフィニット・オブジェクツ)などがある。

ここが、暗号資産へのベンチャー投資、そしてあの巨大なa16zファンドが興味を持つ点だ。

確かに、暗号資産の取引でも儲けることができる。しかし、さらに未来の暗号資産経済はどうなるのだろうか?彼らは現実世界が理解できる実質的な収益を生み出し、公開企業となることができるのだろうか?(いや、そもそも彼らは公開したいと思っているのだろうか?)。

他人が、失敗するかもしれないアイデアに他人のお金を賭けるのを眺めているのは楽しいものだ。表なら彼らの負け、裏なら私たちの勝ちだ。悪くない!

関連記事:ただ1つのNFT動画を表示するディスプレイでデジタルアートの再構築を目指すInfinite Objects

Twitterのサブスクリプション(とメディア?)の盛り上がり

Twitter(ツイッター)のサブスクリプション製品「Blue」(ブルー)が、徐々に市場に迫っている。それがどのようなものだろうと使うつもりだ。

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TwitterがオランダのニュースレタープラットフォームRevueを買収、作家が報酬を得る方法を提供

しかし、私の頭から離れないのは、Twitterがクリエイターにとっての涅槃(理想の地)のようなものを生み出すのに絶好の位置にいるということだ。なにしろ作家やジャーナリスト、アーティストの多くがすでに集まっているのがTwitterという場所なのだ。すでにファンがいる場所だ。私たちのような変人たちがプラットフォームに費やす時間を、活用できるようにしない理由はない。

これがどのような規模になるかは想像できるだろう。TwitterがスタートアップのRevue(レベニュー)とScroll(スクロール)を買収したことで、Blueのサブスクライバーの収益を、プラットフォーム上のライターたちに分配するニュースレタープラットフォームを構築できるようになった。あるいは、先日友人が私に提案したように、TwitterがMedium(メディウム)を買収することも考えられる。Mediumは膨大なサブスクライバーを抱えており、TwitterはそれをBlueに統合することで、作家やその他のクリエイターたちに一種の追加SNSネットワークを提供することができる。だよね?

もし私が数十億ドル(数千億円)の資金と数千人のエンジニアを自由にできる立場で、株主たちから成長しろと命令されたら、私は猪突猛進で思い切ったことをやるだろう。Twitterが何を考え出すかが見ものだが、それが小手先の計画ではないことを期待しよう。

カテゴリー:VC / エンジェル
タグ:The TechCrunch Exchange暗号資産NFTTwitterサブスクリプション

画像クレジット:Nigel Sussman

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(文:Alex Wilhelm、翻訳:sako)

【コラム】あなたは次世代の価値駆動型VCの在り方にフィットできているだろうか?

編集注:本稿の著者Jonathan Greechan(ジョナサン・グリーチャン)氏は世界最大級のプレシードアクセラレーターFounder Instituteの共同設立者。

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かつてないほど多くの個人が投資活動に参入している。2020年の米国株式取引の約5分の1は個人投資家によるもので、前年の約15%から上昇した。大きなリターンを見込めることから、本格的な投資事業の立ち上げを決断する人の数が増えてきている。

資金調達の世界がより民主的でアクセスしやすいものとなっている中、人々がベンチャーキャピタル会社設立への正しい道筋を見出すのを支援し、適切な人々がVCの領域に参入するようにしていく役割を私たちは担っている。スタートアップは進化しており、新しい投資マネージャーは変化する状況に適応することが求められる。今日のVCにとって、最高のポートフォリオを手に入れるためには資金以上のものを提供する必要があり、最高の機関投資家を自身のファンドに呼び込むためにはインパクトを重視しなければならない。

スタートアップ投資家は、経済的な意味で、大規模な創造的破壊に向けたバックボーンとなり得る。だからこそ、Founder Instituteでは、より多くのVCが強力な価値を保有することの必要性を強く認識している。彼らは、人類にとってより明るい未来を築く企業を支えてくれるからだ。そう考えるのは私たちだけではないようだ。当機関の最初のプログラム「倫理的VCのためのアクセラレーター」には申し込みが殺到した。

2021年に自分のVCファンドを主導したい人に向けて、意欲に燃える投資家が自問すべき主要な質問を以下に挙げよう。

適切な理由で投資を行っているか?

スタートアップへの投資は、単に金銭を得ることではない。将来の業界リーダーとなるスタートアップを選ぶ際に、VCは他の何よりも有益な(あるいは悪影響を及ぼす)力を持っている。金銭だけが目的なら、投資対象は限定的なものになるだろう。優れた企業を見出すということは、その資本の範囲を超えて、企業のビジョンの長期性、社会への現実的な影響、そして消費者がどれほどその企業に愛着あるいはその反対の感情を抱くかを見極めることを意味する。

結局のところ、大半のスタートアップ創設者は、お金を稼ぐためだけでなく、世界に影響を与え、自身のミッションに沿った製品を作るために、自らの血と汗と涙をビジネスの構築に注ぎ込んでいるのだ。最高の創業者を引きつけたいと考える新しいベンチャーキャピタリストは、自分たちのファンドのビジョンとミッションを同じ観点から考える必要がある。

環境、社会、ガバナンス (ESG)の目標に関しては、VC企業は取り組みが遅れているが、時代が変化している兆候もある。企業の中には、外部からの影響力だけでなく、事業目標を推進するためにESGを実施するコミュニティを形成しているところもある。このトレンドを加速させるべく、私たちは弊社のVC Labの参加者に、倫理的で繁栄した健全な世界を作るための金融専門家の行動規範であるThe Mensarius Oath(ラテン語で「銀行家」または「金融家」の誓いを意味する)に忠順を誓うよう求めた。

関連記事:欧州VCファンドがESGイニシアチブに関するコミュニティを構築

どのような価値をもたらすのか?

VCの数は増加の一途をたどり、業界はますます混み合った状態となっている。つまり、単に多額の資金を提供するだけでは、最高のスタートアップを引き付けることはできない。創設者は、量よりも価値を求めている。彼らは概して、空白の小切手よりも、ミッションの調整、接続性、付加価値サービス、業界の専門知識に目を向けている。

優れた創設者は複数の選択肢の中からVCを選ぶことができるのであって、その逆ではないことを忘れてはならない。自分が彼らに適した存在だと納得させるには、同じ業界での実績(または他の業界からの移行可能な経験)と信頼できる筋からの紹介が必要となる。また他のファンドとは一線を画すような、強力なバリュープロポジションやニッチも求められる。例えば、Untapped Capitalは「予想外」で「ネットワーク化されていない」創設者に、R42 GroupはAIと長寿にフォーカスしたビジネスに投資している。

創設者に価値を提供するプロフィールをまだ持っていないと思うなら、自分が何者であるかを正確に説明するために時間をかける価値がある。つまり、ファンドマネージャーとして達成したいこと、投資先企業に対するビジョン、そしてその実現のためにあなただけがどのように貢献できるか、を明確にすることだ。

秘められたソースは何か?

過去に実績のない新規VCファンドとして、リミテッドパートナー(LP)は当然ながらあなたのファンドに投資することに慎重になる。そのため、自分のストーリーを伝え、自分の評価を証明するブランドを構築しなければならない。

基本に立ち返り、自分の強みを正確に洗い出そう。インスピレーションを得るのに苦労しているのであれば「私はXを備えているので、最高の取引をすることができる」「私はXによって自分のポートフォリオ企業の成長を支援する」といった表現を使ってみて欲しい。現段階では、銀行の残高は競争力ではないので、手持ちの資金の量があなたの強みだということには慎重になるべきである。あなたの持つ独自性、信頼性、適合性にフォーカスしよう。多くの戦略的な人脈、広範な業界経験、成功したエグジットのバックシートを有することが、あなたの秘密の要素になるかもしれない。追加のガイダンスとして、私のチームがまとめたリソースをチェックすることで、ファンドマネージャーが自らのニッチを「投資テーマ」に組み入れる一助になればと思う。

リストができたら、自分の強みのトップ3を選び、それぞれの強みが自身のネットワークや専門知識によってどのように強化されるかを詳しく説明するフォローアップセンテンスを書き上げよう。理想的には、これらをテストグループ(友人、家族、仲間の起業家)と共有し、どれが最も説得力があるかを尋ねるのが望ましい。1つの点について全体的な合意が得られれば、それをあなたのVCファンドの命題の主要部分とすることができる。

強固なネットワークが確立されているか?

あなたが誰を知っているかは、あなたがどういった知識を有しているかと同じくらい重要である。最も著名なVCに見られる傾向として、情報と人々の流れの中に身を置いていることが挙げられる。ネットワークは、自分が尊敬されていることを創設者に伝え、彼らが将来のメンター、顧客、投資家、または雇用者とつながるための環境に迎え入れられることを保証するものとなる。

もしあなたが思想的リーダーや、UberやPayPalのような有名企業の出身者であったり、新興業界のコミュニティを始めているなら、ポジティブな取引フローを形成する可能性が高い。ただしこのようなステータスや関係は、ファンドを立ち上げる前に確立されていなければならない。ゼロからネットワークを構築しようとするとあまりに大変で混乱してしまい、自分を支える社会的な証明が得られなくなる。

自分のネットワークが満足のいくものかどうかを直感に頼るのは避けよう。人間関係を書き出し、親密さ(親しい人なのか、単なる知り合いなのかなど)に基づいて人を分類し、特性(消費者、金融、元CEOなど)を定義する。このような「マップ」はExcelシートのように基本的なものにしてカテゴリーごとに列を作ることもできるし、Canvaのようなもっと魅力的なビジュアルツールを使うこともできる。将来のチームと共有し、ネットワークのギャップを埋めることを促進するのに最適だ。

どのくらいの規模のファンドを立ち上げたいか?

VCファンドは他のビジネスと同じように運営される―ビジョンを描き、チームを募集し、組織を作り、資金を調達し、価値を提供し、ステークホルダーに報告しなければならない。始めるには、どのくらいの規模のファンドが必要かを検討し、少なくとも資金全体の10%をLPから調達する必要がある。LPには、企業、起業家、政府機関、その他のファンドが含まれる。

また多くのLPは、ファンド運営者がファンドの総額の少なくとも1%を個人的にまかなう「個人的関与」が望ましいと考えていることも心に留めておいて欲しい。

そうした理由から、500万ドル(約5億4000万円)から2000万ドル(約22億円)程度の小規模なスタートを切り、この「トレーニングファンド」を使ってリターンを示し、その後に続くより大規模な資金調達のための発射台を作るのが最善だ。

ローンチからエグジットまで創設者を支援できるか?

企業とのパートナーシップは長期的なものになるため、資金を提供すればそれで済むということではない。創設者はスタートアップのライフサイクル全体にわたって一貫したサポートを必要としている。あなたが最も一緒に働きたいと感じているスタートアップについて考えてみよう。将来どのように彼らを支援することができるだろうか?エグジット達成に向けてどのようなことができるのか?

スタートアップの成長に合わせて適用できるマーケティング、雇用、資金調達、文化創造に基づいた、さまざまなリソースやコネクションを確保する、というスキル中心のアプローチを取るとよいだろう。あるいは、短距離走的計画を立てて、創設者と頻繁に話し合い、その進捗に基づいてサポートの提供を繰り返すことも考えられる。サポートを構築する方法がどのようなものであっても、提供できる内容、VC側の都合、優先される関与、およびそれを実証する方法について、現実的であることに留意しよう。

ベンチャーキャピタルの将来は、創設者の新しいニーズを念頭に置いて資金を構築した、強固な価値観を持つベンチャーキャピタリストによって牽引されるだろう。かつてのVCは排他的でミステリアスな面を持っていたかもしれないが、2021年は、VCが企業や投資家に対してオープンかつ公正な空間を提供していく年になるかもしれない。

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アプリコットベンチャーズとTLM、総額30億円を目標とした新ファンド「mint」設立

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タグ:コラムFounder Institute

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(文:Jonathan Greechan、翻訳:Dragonfly)

アプリコットベンチャーズとTLM、総額30億円を目標とした新ファンド「mint」設立

アプリコット・ベンチャーズとTLMがプレシード期に特化した30億円規模の新ファンド「mint」設立

ベンチャーキャピタル事業を展開するアプリコット・ベンチャーズTLMは5月26日、新ファンド「mint」を設立したと発表した。引き続き出資者を募集しており、最終的なファンド総額は30億円を予定している。

アプリコット・ベンチャーズおよびTLMはそれぞれプレシード期に特化したファンドを運営していたが、より多くの「0→1」起業を応援したいとの思いから、両者の知見を活かし、創業期における投資先企業の支援体制を拡大するためにmintを設立した。

mintの主な投資対象は、国内を中心とするプレシード期のIT系スタートアップ企業で、追加投資を含め1000万円~3億円程度の出資を行うとしている(すでに6社に出資)。

また、起業を検討・予定している人向けに、起業家コミュニティに参加できる6カ月間無料のオフィス支援プログラム「FLAP」の利用、EIR(客員起業家。Entrepreneur In Residence)制度、社会人向け起業支援プログラム「Springboard」を通じた創業支援を行う。

また、次の分野での支援体制も整えている。

  • コミュニティ:コワーキング・オフィス「GUILD SHIBUYA」「Hatch」勉強会&Slackグループ「Mint Community」の運営
  • エンジニア:創業期の悩みの種であるエンジニア採用・開発組織づくりに注力した支援、勉強会などを通じて交流可能な投資先CTOコミュニティ「PROP」、投資先共同でのLT大会などを実施
  • 専門家ネットワーク:CI、BI、UI/UXデザイン、プロダクトデザイン、ディレクションまで幅広くブランドを支援するクリエイティブチーム「Unthem」(アンセム。GUILD SHIBUYAに入居)といった専門家とのネットワークを構築。GUILD SHIBUYA入居者はUnthemへの相談が可能

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2021年のアフリカへのVC投資は史上最高額を記録するとの予測

アフリカのスタートアップへの投資は、観測されるようになった2015年以来、堅調に伸び続けている。その年、Disrupt Africa(ディスラプト・アフリカ)とPartech(パーテック)は独立して調査を行い、ベンチャーキャピタル投資額それぞれについて、1億8600万ドル(約202億円)と2億7700万ドル(約301億円)という異なる数値を示した。どちらも一大陸の数字としてはばかばかしいほど小さい。たとえば創業4年のSnapchat(スナップチャット)は同じ年に1回のラウンドで5億ドル(約544億円)調達している。しかし、アフリカと急成長中の米国スタートアップ1社への投資の格差は続いているものの、アフリカ大陸に入ってくるお金が増えているのは良い兆候だ。

2019年、アフリカのベンチャーキャピタル投資は史上最高額に達したとPartechのレポートが伝えている。Partechによると、アフリカの234社のテック企業が、250回の調達ラウンドで計20億2000万ドル(約2197億円)調達した。これは2018年のスタートアップ146社、ラウンド164回による調達額11億6300万ドル(約1265億円)から74%成長したことを示している。

2020年には新たな記録が達成されるだろうという共通の期待があったが、それはパンデミック前のことだった。このため、アフリカのテックエコシステムアクセラレーターであるAfricArena(アフリカリーナ)は、アフリカ大陸のスタートアップへの2020年のベンチャーキャピタル投資額を12億ドル(約1305億円)と18億ドル(約1957億円)の間になると予測した。そして、経験に基づく推測なのか計算された予測なのか、PartechとBriter Bridges(ブライター・ブリッジズ)の年末レポートは、総投資額をそれぞれ14億ドル(約1522億円)と13億ドル(約1414億円)と推定した。

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2021年、AfricArenaは最新レポートで、同大陸のスタートアップへのVC投資は22億5000万~28億ドル(約2447億〜3045億円)へと増えると予測している。達成されれば2019年の数字を超える大陸の新記録になる。

予測の背景にある論理的根拠をレポートの抜粋とともに紹介する。

2021年前半の第2四半期は、いくつかの理由で2020年第4四半期に似てくると予測します。ワクチン接種が有意な結果をもたらまでには期待していたよりも時間がかかる可能性が高くなりました。しかし、接種が始まったことで、たとえ実際どれほど長くかかるとしても、パンデミックの終わりに対する大きな不確実性が取り除かれ、時間だけの問題になりました。

その結果、私たちはシードからシリーズBにかけての投資が著しく加速され、いくつかのIPO(ナイジェリアのInterswitchなど)とともに、これまで見たことのないレベルまで投資行動を推進すると予測します。2020年4月現在の2021年への私たちの予測は、16億ドル(約1740億円)以下から30億ドル(約3262億円)以上まで幅があります。ワーストケースのシナリオは、アフリカ経済に対する長引く断続的な影響に基づくものであり、ベストケースのシナリオは、2021年第1四半期における完全復旧を織り込んでいます。上記の観察に基づき、現時点での当社の2021年予測は22億5000万~28億ドルの範囲になります。

4月30日現在、公表されたベンチャーキャピタル総額は8億ドル(約870億円)をわずかに上回る。BFA Global(BFAグローバル)のシニアベンチャービルダーであるMaxime Bayen(マキシム・ベイン)氏による。もしこのペースが2021年いっぱい続けば、アフリカ発スタートアップの調達総額は20億ドル(約2175億円)を超えるかもしれない。

画像クレジット:AfricArena

2020年にはアーリーステージ投資の数は増えたが、成長に賭けるグロースディールの数や、全体的な投資規模が減ったため、投資活動の減少を招いた。Partechによると、シードラウンドは前年比で80%成長し、全投資金額の64%を占めた。全体で、アフリカスタートアップはシードファンディングで2億2000万ドル(約239億円)を調達し、対前年比で47%の増加だった。シリーズAとBラウンドも同じく成長した。シリーズAは9%増(86ラウンド)、シリーズBは16%増(29ラウンド)だったが、投資規模はそれぞれ5%(4億4700万ドル、約486億円)と8%(4億4900万ドル、約488億円)減少した。

グロースディールも16%減少し、5000万ドル(約54億円)以上の完了した取引はわずか2件だった。2019年は10件で、そこにはInterswitch、OPay(オーペイ)、Branch(ブランチ)、Andela(アンデラ)などが入っていた。

2021年に20億ドルの壁を超えるための推進力は、VCが投資件数を増やし、スタートアップが2019年の大型グロースラウンドを再現することにかかっている。前者は、アフリカスタートアップが毎週のように資金調達を続けていることから実現しそうだ。しかし、後者についてはまだやるべきことがある。これまでに1回のラウンドで1億ドル(約109億円)以上調達したアフリカスタートアップは2社にすぎない。フィンテックスタートアップのFlutterwave(フラッターウェーブ)とTymeBank(タイムバンク)だ。

関連記事:アフリカの決済サービスFlutterwaveが約185億円を調達、企業価値が約1090億円以上に

カテゴリー:VC / エンジェル
タグ:アフリカ投資

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Tage Kene-Okafor、翻訳:Nob Takahashi / facebook

分散型投資組織「Komorebi Collective」が女性・ノンバイナリーの暗号分野創業者を支援するために発足

ここ数カ月、分散型通貨の伸びにともない、投資家グループがユニットとして資金を投入し、その投資に対し集合的に議決権を行使する手段として、DAO(Decentralized Autonomous Organizations、分散型自律組織)が注目されている。DAOは、ブロックチェーンの精神に基づき、投資意思決定の透明性を高めることを目的としている。

暗号資産ブームの熱気が高まる中、ここ数カ月の間にハイプロファイルのDAOが続々と誕生している。米国時間5月21日に発足した「Komorebi Collective」(日本語の「木漏れ日」から取ったもの)は、ブロックチェーン分野の女性たちによって設立された新しい組織だ。創設メンバーのManasi Vora(マナシ・ヴォラ)氏がTechCrunchに語ったところによると「卓越した女性およびノンバイナリーの暗号分野創業者」に限定して投資を行うとのこと。

このグループはヴォラ氏をはじめ、Eva Wu(エヴァ・ウー)氏、Kristie Huang(クリスティー・ファン)氏、Medha Kothari(メダ・コータリ)氏、Kinjal Shah(キンジャル・シャー)氏など、主にブロックチェーン関連の非営利団体she256Women in Blockchainの組織から集められたコアチームメンバーで構成されており、彼女らが集団として、投資先を見つけグループに提示するための大部分の作業を行う。厳選されたその他のメンバーは最低5000ドル(約54万円)をコミットしているが、より軽いコミットメントとなる。

それぞれの投資案件は、大多数が女性の主要メンバー36名の投票によって決定される。

暗号資産VC企業Blockchain Capitalの投資家でもあるシャー氏はこう語った。「DAOは、みんなが議決権を持てるようにすることで、ベンチャーファンドのヒエラルキーをより公平にします。私たちは、本当にミッションが合致した支援者にアプローチするよう細心の注意をはらっています」。

DAOの他のメンバーには、Kleiner Perkins(クライナー・パーキンス)、Mechanism Capital、Dragonfly Capital、IDEO CoLab Ventures、Stacks Acceleratorなどの企業に加え、Twitter(ツイッター)、Coinbase(コインベース)、Skynet Labs、Celo Labs、Gitcoinなどで働く多くの個人や創業者が含まれている。

組織自体は、Komorebi Collectiveと一部支援者が共通するプロジェクトであるSyndicate Protocolをベースに構築されている。

同グループは、自分たちの組織の構造が、DAOモデルの持続可能性を証明すると同時に、暗号資産分野における多様性を向上させるようなミッション・ベースのアプローチを取れるようになることを期待している。ここ1年でスタートアップへの投資は爆発的に増加したにもかかわらず、女性が率いるスタートアップは2020年に投資されたベンチャー資金のわずか2.3%しか受け取っていないことが、HBRの調査で明らかになった。

シャー氏はTechCrunchに語った。「女性の創業者が資金を得ることに関しては、まだまだ成長の余地があり、私はそのソリューションの一部になりたいと思っています」。

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カテゴリー:VC / エンジェル
タグ:Komorebi Collective女性ジェンダー暗号資産

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(文:Lucas Matney、翻訳:Aya Nakazato)

セゾン・ベンチャーズとライトアップが中小企業DXを促進するスタートアップに出資・営業支援

ライトアップと、クレディセゾンのコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)セゾン・ベンチャーズは5月24日、中小企業のDXを促進するスタートアップ企業に対する出資や営業支援、経営支援で連携すると発表した。また、6月からはピッチイベントも定期開催する。

両社は有望なスタートアップへの出資に加えて、数十万の法人顧客データベースを活用した「出資後の営業支援」を協力して実施する。またセゾン・ベンチャーズは、クレディセゾンがペイメントビジネス、ファイナンスビジネスなどで培ってきた経営資源を通して、中小企業の事業活動によるキャッシュフローの改善を図る。

また6月からは、DXピッチイベントの定期開催を予定しており、ピッチイベント優秀者への出資や出資企業への営業支援を行う(ライトアップとセゾン・ベンチャーズあわせて年間20〜30社程度の出資・営業支援を想定)。ピッチイベントへ申込みはこちらのGoogleフォームから可能だ。

ライトアップは「全国、全ての中小企業を黒字にする」というビジョンのもと、「世の中が望むサービスをできるだけ多く、できるだけ低コストで提供し続けていく」をモットーに、様々なネット系新規事業を手がけている。セゾン・ベンチャーズは、国内カード業界初のCVCとして、シード・アーリーステージのスタートアップ企業との取り組み強化を目的に設立されたクレディセゾン子会社だ。

両社によると、スタートアップ企業を資金面で支援するVCおよび上場企業は数多く存在するものの、出資後の営業支援を継続的に受けるのは難しいという。

有望なサービスであっても、営業力が不足することで契約数が増加せず継続が困難になってしまうことは起こりうる。これは、サービス提供側のスタートアップ企業にとっても、そのサービスを利用するはずだった中小企業にとっても「大きな損失」となるとしている。

今回の取り組みでは、両社合計で数十万の法人顧客データベースを活用した「出資後の営業支援」を行うことで、中小企業にとって有益なサービスを全国に広めていけるのではないかと考えているという。

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スタートアップが市場に広がっていくのを見るのは楽しい

スタートアップとマーケットの週刊ニュースレター「The TechCrunch Exchange」へようこそ。準備OK?ここではお金の話、スタートアップの話、IPOの噂話などをお伝えする。

ユタ州を拠点とするスタートアップ企業Divvy(ディビー)がBill.com(ビル・ドット・コム)に売却されたことが、私の頭の中をずっと駆け巡っている。その理由は、25億ドル(約2723億3000万円)という巨額のエグジットが、双方の企業にとってそして地元にとっても大きな意味を持つだけでなく、そのターゲットとなる市場が刺激的であることも大きい。

Divvyは、Ramp(ランプ)やBrex(ブレック)などの、いくつかの他のユニコーン企業たちを相手に、企業支出(corporate spend)市場と呼ばれる分野で競争している。だがDivvyが去った今、2つの競合他社は重要な点での差別化を図っている。

そして、Brexは実看板広告を再開しつつある。

先週Brexは、米国のいくつかの都市で実看板広告を展開することを発表した。サンフランシスコで暮らす人たちは、Brexがまだよちよち歩きだったころ、街中にブランド広告をベタベタ掲出していたことを思い出すだろう。基本的には、それは多くのインプレッションを得る安価な手段だったのだ。

今回スタートアップはこの戦略をヒューストン、マイアミ、ワシントンD.C.にも展開しようとしている。それはなぜだろう?先週The Exchangeは、BrexのCEOであるHenrique Dubugras(エンリケ・ドゥボグラス)氏にインタビューを行い、この件について話を聞いた。ドゥボグラス氏によれば、現実世界でのマーケティングを再開するにあたり、2つの目標を掲げたという。まず、Brexは、スタートアップ企業向けのコーポレートカードという当初のブランディングを超えて、そのソフトウェアをアピールしたいと考えている。そして2つ目は、同社がサンドヒル・ロード(世界のVCの1/2が集まるカリフォルニアの通り)のVCを短縮ダイヤルに登録しているような企業(スタートアップ)だけでなく、あらゆるタイプの企業と連携していることを、ビジネスオーナーたちに知ってもらいたいということだ。

Brexがスタートアップ以外の顧客も増やしたいと考えているのであれば、彼らのスタートアップとしての活動があまり知られていない市場で、Brexの名前を広めようとすることは理に適っている。しかし、私たちが注目したのは、もちろんそのソフトウェア面での取り組みだ。

というのも、Brexは最近、年間約600ドル(約6万5400円)のソフトウェアサービスパッケージであるBrex Premium(ブレックス・プレミアム)を展開しているからだ。BrexとRampやDivvyなどのライバル企業たちは、従来のコーポレートカード製品の周囲に、ますます洗練されたソフトウェアを構築するために、特に最近多くのエネルギーと資金を費やしてきた。その結果、そうしたコードベースが、経費精算ソフトなどの他のエンタープライズソフトウェアを置き換えることができるようになってきている。

しかし、Brexが有料であるBrex Premiumを広告でアピールする一方で(ドゥボグラス氏は当初の予想よりも数字が良いという)、競合他社のRampは、その無料ソフトウェアを前面に立ててアピールしている。

RampのCEOで共同創業者のEric Glyman(エリック・グリマン)氏は、The Exchangeに対して、同社のゼロコスト・ソフトウェアを強調した新しい価格紹介のページを示した。そして、彼はこの新しいページが「これまでで最速の成長を遂げた月の原動力となっています」と電子メールで述べている。

広い視点で眺めると、Ramp、Brex、Divvy、そしてAirbase(エアベース)などの競合企業たちを見ていると、古くなった企業の問題を、より軽快で低コストの製品で解決しようとしているスタートアップの集団がいることがわかる。そしてその動きの中で、これまでとは違い、より良いものが必要とされている、未開拓の大きな需要があることが証明された。もしそうでないなら、企業支出の世界でスタートアップの王座を争うさまざまなプレイヤーたちが、ここまで急速に成長することはないだろう。

もっと詳しく知りたい場合は、DivvyとBill.comの取引についての記事がある

さらにスタートアップランドから

今週のExchangeは先週SPAC大忙しだったため、本来であればより掘り下げたいような興味深いニュースの数々を見逃してしまった。ここでは、もっと深く掘り下げられたらきっと面白かったであろう、極めて優れたベンチャーのラウンドをご紹介する。

  • ProducePay(プロデュースペイ)は、シリーズCで4300万ドル(約46億8000万円)を調達した。LAを拠点とするProducePayは、食糧生産者が資本、ソフトウェア、市場データにアクセスすることを支援し、食品購買者(輸入業者など)と結びつける。ProducePayのウェブサイトによれば、ProducePayは、メキシコのバージョ州で、労働者の雇用と栽培事業への投資のために、アスパラガスを栽培している企業に50万ドル(約5447万円)の資金を提供した。同社によれば、返済は作物が出荷された時点から開始される。
  • 農業は大変で、不確実さが多く、お金がかかり、従来の銀行の要求とは必ずしも一致しない。さらに、食糧の生産と消費のネットワークがますますグローバル化していることを考慮すれば、G2VPとIFCが共同でこのラウンドを主導した理由がわかる。
  • そうそう、ProducePayが報告した2020年の収益は、GAAPベースの収益額で倍増したようだ。このスタートアップの粗利益率は「引受方針の改善と、取引量拡大にともなう魅力的な資金コストのおかげで、2019年から2020年にかけて75%以上成長しました」と同社のPRチームは述べている。とてもクールな話だ。

先週調達を行ったまた別のすばらしい企業がPanther(パンサー)だ。調達額は250万ドル(約2億7000万円)である。Pantherが支援するのは、160カ国にまたがる企業採用だ。この会社と今回のラウンドに対する私たちの見方は、この先リモートファーストを推進する企業が増えれば、このようなサービスは必須となるだろうというものだ。またGusto(ガスト)も同じ市場で競合している。ということで、VCM&Aの両方の観点から注目を続けたい。

Pantherはフロリダを拠点としており、リリースによると「Tribe Capital、Eric Ries、Naval Ravikant、Carta Ventures」から資金を調達したとのことだ。

ラウンドをもう1つ。フリーランスに特化したネオバンクであるLance(ランス)は、先週280万ドル(約3億1000万円)を調達した。同社によれば、今回のラウンドは、Barclays、BDMI、Great Oaks Capital、Imagination Capital、Techstars、DFJ Frontier、New York Venture Partnersが主導し、数名のエンジェルが参加している。

フィンテックの世界では、Chime(チャイム)をはじめとする幅広い扱いを行うネオバンクが誕生しており、よりターゲットを絞った取り組みが行われても不思議ではない。さらにLanceのCEOであるOona Rokyta(オーナ・ロキタ)氏は、フリーランスの世界がさらに拡大することを確信している。ここ数年の労働市場の変化を考えると、彼女は賢明な賭けをしているとあえて言っても良いだろう。

今回の締めくくりとして、Alpaca(アルパカ)について簡単にご紹介しよう。TechCrunchもこれまでに、こちらや、こちらで取り上げているスタートアップだ。取り上げた理由は、API配信サービスへの私たちの関心(オンデマンドの価格設定がホットな話題となっている)にマッチすることと、消費者向けフィンテックの世界(他社の株式取引サービスを支えている)に存在している、という両方の性質を備えているからだ。今回CEOのYoshi Yokokawa(ヨシ・ヨコカワ)氏にインタビューを行い、前回成長率について尋ねたとき以降の、同社の状況について話を聞いた。

結局のところ、2020年位から見られた世界的な貯蓄 / 投資ブームの中では、消費者投資の世界について学べることは何でも(そしてRobinhoodは先週かなり多くのことを教えてくれたが)有用なのだ。

ヨコカワ氏によれば、Alpacaは今後数カ月のうちにいくつかの大陸で新しいパートナーと一緒に展開を行うなどの、グローバルな計画を持っている。同社は米国以外の地域で、毎日1000件の新規アカウントを取り扱っており、ヨコカワ氏は今後数カ月でそれが急激に増加すると予想している。また最近では、パートナー企業がユーザーをより簡単に登録できるようにする、ブローカーAPIを構築した。

私たちには成長しているように思える。さらなるミルク、もとい情報がAlpacaから得られたらお知らせする。

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(文:Alex Wilhelm、翻訳:sako)

独立系ベンチャーキャピタル「One Capital」が1号ファンドを160億円でクローズ

独立系ベンチャーキャピタル(VC)のOne Capitalは5月18日、One Capital 1号ファンド(1号ファンド)の運用総額が同日の追加募集により160億円に達し、クローズしたと発表した。

One CapitalはSaaSスタートアップへの出資および支援だけでなく、出資者のイノベーション支援ならびにプロダクト(SaaS)開発も行うVCだ。出資者のイノベーション支援では、デジタルトランスフォーメーション(DX)のアドバイザリーを行なっている。

今回の追加募集には、中小企業基盤整備機構や海外投資家(機関投資家、ファミリーオフィス、個人)が参加。4月15日にリリースしたセカンドクローズより、さらに45億円増加している。これにより運用総額は160億円となり、国内独立系VCの1号ファンドとしては過去最大となった。また、海外投資家比率も4割を超えており、日本のSaaS市場に対する期待が高まっているとしている。

2020年4月に元Salesforce Venturesの浅田氏が設立し、従業員コンディションを解析する「Well」などへの出資を実施してきたOne Capital。SaaS市場の拡大とともに、その活動に注目が集まりそうだ。

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中国のインディーゲームを世界へ発信、明の鄭和にちなんだ「Westward」が33億円のデビューファンド調達を計画

三国時代の遺跡と今日の製造業で知られる中国の都市「合肥」。この街で、無骨な美学とダークなストーリー展開にファンも多い欧米のロールプレイングゲームを制作する小さなスタジオを発見したMaxim Rate(マキシム・レイト)氏は胸を躍らせた。

「デザインとCGが実にすばらしく、中国で作られたものとは感じさせません」と同氏は話す。

合肥のこの例のような、創業間もない中国のスタジオを見つけ出し、彼らが国際的なプレイヤーを獲得できるよう支援することがレイト氏の使命である。中国の規制当局がゲームパブリッシングに関する規則を強化しライセンスの取得を困難にしているため、小規模なスタジオの多くが苦戦を強いられている。2020年以降、Apple(アップル)は中国当局の要請により中国のApp Storeから何千もの非正規のゲームを引き上げている。このような状況下、若手開発者たちは自国以外の地域に目を向けるようになったのだ。

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「問題は、こういったスタートアップに海外展開の経験がないということです」とレイト氏。

自身も熱心なゲーマーである同氏は、2020年中国のクロスボーダー決済会社を辞めた後、中国のゲームを海外に展開するためインキュベーターと投資を兼ねた会社を立ち上げた。Westward Gaming Ventures(ウェストワード・ゲーミング・ベンチャーズ)と名づけられたこの会社は、明の時代に国の支援を受けて「西海」への航海に乗り出した中国の武将であり探検家でもあった鄭和を着想源としている。

TechCrunchのインタビューに応じた同社は、デビューファンドとして2億元(約33億円)の資金調達を計画していると話している。1スタジオあたり200万〜400万元(約3300万〜6600万円)を目安に今後3年間で資金を投入する予定で、現在幅広いジャンルの20~30チームと交渉中だという。

今回設立されるファンドは「Qualified Foreign Limited Partners(QFLP)」と呼ばれており、同氏によるとこれにより初めて外国人投資家が米ドルおよびユーロで中国のゲーム会社に直接投資できるようになる。QFLPのライセンスを保有している機関は限られており、Westwardはライセンスを保有していないものの、中国の大手金融コングロマリットのプライベートエクイティ部門と提携することで外国人による直接投資の正当性を獲得している。同金融コングロマリットは現時点では企業名を公表していない。

このような複雑な規制を乗り越えるため、Westwardは近年中国と海外のゲーム会社によって設立された最大規模の合弁事業で法的および財務的プロセスを監督したアドバイザーなどからの協力を得ている。企業名は明かされていないが、このパートナーシップも外国企業が中国のゲーム合弁事業の過半数の株主となった初めてのケースである。

中国では付加価値サービスなどの機密性の高い分野への外国投資が制限されているため、多くの企業は複雑な海外法人を設立して海外からの資金調達を行っている。こういった制限により、資金に乏しいスタジオがグローバル市場への進出を支援してくれる外国人投資家を獲得することが難しくなってしまい、結果としてTencent(テンセント)やByteDance(バイトダンス)のような中国の大手企業に買収されるか支援を受けるかという2択を迫られることになる。

中国ゲームの台頭

中国の独立系ゲーム会社が海外資本を獲得するためのハードルを下げるということだけがWestwardの目的ではない。海外展開に向けて入念に準備を整えるというのも同社の仕事である。

「中国のゲームスタジオは規模の大小にかかわらず、海外に進出する際にはユーザー獲得の術として広告に大きく依存していました。ゲームが軌道に乗ることもありましたが、その理由が分からずただテストを続けていました。失敗したスタジオはそのまま諦めてしまうこともあります」とレイト氏は話す。

ゲームの海外展開とは、翻訳して公開ボタンを押し、Facebookで広告キャンペーンを展開するだけでできるような単純なことではない。

そのゲームがRPGなのか、ターゲットとなるユーザーはカジュアルそれとも本格的なプレイヤーなのか、グラフィックはどうするのかなどゲームの開発初期段階に関わり、ゲームのポジショニングをサポートするというのがWestwardの計画だ。また開発者に対しては、ワークスペースの提供、技術支援、マーケティングやローカライズのノウハウの提供、パブリッシャーとの連携、海外での運営支援なども行う予定である。

画像クレジット:Westward Gaming Ventures

投資後のサポートを提供するため、Westwardは同社自身も本拠地としている深セン市にあるゲームのインキュベーター、V+ Gaming Society(V+ゲーミング・ソサエティ)と提携した。

地政学的な緊張が高まるにつれ、中国のテック企業は欧米においてますます多くの課題に直面している。自らを「グローバル企業」と呼ぶ企業も多く、中国のルーツを完全に否定することさえも少なくない。

しかしWestwardは、同社が制作を支援するゲームが非中国のゲームであるなどと言って装う必要はないと考えている。「本当に良いゲームなら、それがどこで制作されたかなんて事はほとんどのプレイヤーは気にしません」。

「むしろ、海外のプレイヤーにも理解できるような中国文化の要素がゲームに含まれていたら良いのではと考えています」。

レイト氏、Edward He(エドワード・ヒー)氏とともに同社のパートナーを務めるAmy Ho(エイミー・ホー)氏によると「中国的」であると同時に文化的な境界線を超えることができた数少ない中国のゲームの1つが「Chinese Parents」だという。このシミュレーションゲームはユーザーに中国での子育てを体験させるというもので、世界的なヒット作となっている。

レイト氏がベンチマークとしたのは、20〜30年前に輸出が開始された日本のゲームだという。「日本的」な精神が宿りながらもグラフィックやゲームデザインは「グローバル化」されたものだ。

Tencentの他にも、新進気鋭のスタジオであるLilith(リリス)やMihoyo(ミホヨ)など、すでに世界的に成功した中国メーカーからのタイトルは存在する。以前はSteam(スチーム)の中国ユーザーの多くが海外タイトルの中国語版を急ぐよう求めていたが、今では欧米のユーザーが中国ゲームの英語版を要求することも珍しくないとレイト氏は話している。

政治的な問題よりも、特に小規模なスタジオにとっては「現地の個人情報保護法を遵守しながら、製品の新バージョン制作に必要なキーデータをいかにして収集するか」が大きな課題だとホー氏はいう。

Westwardは資本の50~70%を中国の機関投資家が占めることになるだろうと想定している。中国からの投資があれば、嫌でもセンサーシップの問題が台頭する。ホー氏はWestwardがスタジオにリソースと資本を提供する一方で、スタジオが投資家の影響を受けないように独立性を確保することに努めると述べている。

うまく進めば、同社のサポートにより中国と世界の文化交流が促進されることになるかもしれない。北京は同国のソフトパワーを輸出しようと試みているが、ゲームがそのパイプとなってくれるのではとレイト氏は考えている。貿易戦争が続く中、中国企業に外国人が出資すれば、中国の「ブランド」にも良い影響を与えるかもしれないと、同氏は期待を膨らませている。

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画像クレジット:Westward Gaming Ventures

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(文:Rita Liao、翻訳:Dragonfly)

いまビッグテックの評価額はあまりにも大きくて、驚くことさえ忘れてしまう

スタートアップとマーケットの週刊ニュースレター「The TechCrunch Exchange」へようこそ。準備OK?ここではお金の話、スタートアップの話、IPOの噂話などをお伝えする。

TechCrunch は、公開市場には力を注いではいない。注目しているのはスタートアップだ。しかし、公開テック企業たちは、時に、より広い範囲のテクノロジー市場がどのように機能しているかに関する、興味深い洞察を提供することができる。だから私たちは、すでにIPOにたどり着いた「元」スタートアップたちにも、MVA(最小実行可能注意)と呼べる程度の注意を向けている。

そこで、ビッグテックたちの登場だ。米国では、その名前はよく知られている。Facebook(フェイスブック)、Alphabet(アルファベット)、Microsoft(マイクロソフト)、Apple(アップル)、Amazon(アマゾン)だ。そして、2021年第1四半期の市場にスタートアップたちの成長が熱かったことを示す一連の結果の中で、ビッグテックたちも 同様に驚異的な結果を残した。彼らの結果に関する私たちの報告はここここで読むことができるが、それはストーリーのほんの一部に過ぎない。

ご存知の通り、ビッグテックの業績は良好だった ── まあここしばらくはずっとそうだったのだが ── しかし、いつものような決算の数字が氾濫する中で、ビッグテックの最近の業績がいかに評価額に衝撃的な貢献しているのかということが忘れられていた。

Microsoftの2020年3月の株価は、1株あたり135ドル(約1万4800円)程度まで下落した。それが今は252ドル(約2万7500円)の価値があり、さらに上昇へ向かっている。同様にAlphabetは1株あたり1070ドル(約11万7000円)程度まで下がったが、現在、検索の巨人は1株あたり2410ドル(約26万3400円)の価値となっている。

巨大な株価評価の結果として、現在Appleが2.21兆ドル(約241兆6億円)、Microsoftは1.88兆ドル(約205兆5000億円)、Amazonは1.76兆ドル(約192兆4000億円)、Alphabetは1.60兆ドル(約174兆9000億円)、Facebookは0.93兆ドル(約101兆6000億円)の価値がある。5社を合わせると8.4兆ドル(約918兆1000億円)くらいだ。

2017の7月を振り返ってみよう、私はそのとき、彼らの総計額が3兆ドルに達したことを書いている。それが2018年半ばには4兆ドルになって 、そして、その後3年かそこらで、それは再び倍以上になったのだ。

何故だろう?

Yahoo FinanceのMyles Udland(マイルス・ウランド)記者は、そのパズルの一部について先週記事を書いている。ウランド記者の記事より:

そして、ほぼすべての収益のストーリーがこの同じ筋に従っているようにみえるが、データもまたこれが私たちの単なる想像ではないことを裏付けている。これまでの企業の収益はこうした期待値から大きく外れては来なかった。

木曜日(米国時間4月29日)に発表されたRefinitivからのデータは、企業が推定値を打ち破った割合を示したが、木曜日の朝までに判明した結果が、期待を上回った規模は記録的なものだったのだ。

つまり各社の収益は、巷の予測をより頻繁に、そしてより大きな差をつけて、これまで以上に裏切っているというのだろうか?そうだとすれば、最近の株式市場評価に対する懸念は減るものと思われる。そしてそれは、なぜスタートアップたちがヨーロッパ同様に、最近米国でも多額の資金を調達できたのか、なぜ非公開市場の投資家がフィンテックスタートアップに多くの資金を注いでいるのかの理由を説明するのに役立つ。そしてそれがおそらく、Zomatoが公開に向かい、私たちがロビンフッドの公開を心待ちにしている理由だ。

これはまるで、市場に参加している企業たちが、絶好調であるかのような現象だ。ただし、終わらないビジネスサイクルはないし、永遠に続くブームもないことは忘れないように。

インシュアテックの状況

さて、フィンテックの資金調達に関するThe Exchangeの最近の記事や、先々週のインシュアテックスタートアップラウンドに関するまとめ記事に加えて、より大きなフィンテック業界の一部として眺めることができる、インシュアテックのスタートアップニッチに関していくつかのメモをお届けしよう。

今回私たちは、Accel(アクセル)のJohn Locke(ジョン・ロック)氏から、最近さらに増資を行ったThe Zebra(ゼブラ)への投資と、インシュアテック業界についての話を聞いた。

私たちはZebraのようなインシュアテックマーケットプレイスが、2020年非常に多くの資金を調達できた理由を質問した。ロック氏によれば、それは「保険会社たちが[…]ついに市場を受け入れ、市場と統合された消費者体験をデザインする意思がある」こと「比較ショッピング」をおこなう消費者が増えたこと、そして成長と収益の質の組み合わせによるものだという。

ロック氏によると、Zebraは「売上は1億2000万ドル(約131億2000万円)以上で、100%以上の成長を続けています」とのことだ。つまり、その気になれば、いつでも公開できるということだ。

しかし、その点についていえば、公開保険会社のなかには株式市場で弱みを見せているものもいくつかあった。ロック氏はそれを懸念しているだろうか?彼は中立から前向きな姿勢であり、彼の会社は「市場のすべての企業がうまく行くとは考えていないが、それでも『インシュアテック』が、今後10年間は既存勢力から市場シェアを奪い続けるだろうと考えている」という。もっともな意見だ。

そしてAccelは、他社同様に、この分野でさらに多くの取引を検討している。ロック氏は、2021年のインシュアテック投資のベンチャー市場は、2020年よりも「間違いなく積極的です」と語った。

その他のことなど

最後に、私たちが取り上げて来なかったことに関するいくつかのメモを:

  • まず、Productboard(プロダクトボード)が7200万ドル(約78億7000万円)のシリーズCを終了した。なによりまず、それは巨大なラウンドだ。第2に、ご想像通り、その取引を主導したのはTigerだ。第3に、この製品管理ソフトウェア会社(Productboard)は現在、約4000の顧客を擁している。それは大きな数だ。この会社を「これから2年以内にIPOを行う会社リスト」に追加しておいて欲しい。
  • 中国の自転車シェアリングスタートアップHello(ハロー)が米国で公開される。米国時間5月3日に、またこの話題に戻るつもりだが、そのF-1申請書類はここにある。2020年の売上高は9億2630万ドル(約1012億4000万円)となり、売上総利益は1億960万ドル(約119億8000万円)になった、これにより、これまでの累積純損失は1億737万ドル(約189億9000万円)となった。びっくりだ。
  • 先週はDarktrace(ダークトレース)が公開された。私がその会社を知っているのは、私が好きなF1チームのスポンサーだからだが、ついに英国上場企業として私たちの世界にも登場した。そして、Deliveroo(デリバルー)が成功したあと、Darktraceの上場の驚異的な成功によって、英国は1週間前よりもさらに魅力的な上場場所になる可能性がある。
  • そして。ついにドローン配達時代やってくるのだろうか?英国で上場しているベンチャーキャピタルグループDraper Espritが、Manna(マンナ)の2500万ドルのラウンドを主導した。Mannaはアイルランドで無人ドローンを使った食事配達を行おうとしている。「Mannaは、より環境に配慮し、より静かで、より安全で、かつより迅速な配送サービスを貪欲に追求しています」とUKTNが書いている

長く奇妙な1週間だった。さて最後にThe Exchange執筆チームの2人目のメンバーであるAnna Heim(アンナ・ハイム)記者のフォローをお願いしておきたい。オーケー!ではまた来週!

カテゴリー:VC / エンジェル
タグ:The TechCrunch Exchange保険株価

画像クレジット:Nigel Sussman

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(文:Alex Wilhelm、翻訳:sako)

起業志望・起業初期対象の支援プログラム「Code Republic」が第8期デモデイ開催、第10期も募集中

起業志望・起業初期対象の支援プログラム「Code Republic」が第8期デモデイ開催、第10期も募集中

Zホールディングスのコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)「Z Venture Capital」と、日本および東南アジアで最大級のシードVC「East Ventures」が共同運営する「Code Republic」は4月28日、第8期のデモデイを開催した。

Code Republicは、シード期のスタートアップなど起業志望・起業初期の方を対象に創業資金700万円、キャピタリストとの週次メンタリング、各種勉強会を提供する4カ月間のアクセラレータープログラム。

プログラムを締めくくるデモデイでは、VC・エンジェル投資家を招き、4カ月の成果を発表する。今回のデモデイでは、第8期採択企業および卒業企業の計5社より事業内容の発表を行い、約70名の投資家が参加した。

サケアイ

起業志望・起業初期対象の支援プログラム「Code Republic」が第8期デモデイ開催、第10期も募集中
サケアイは、AIによるレコメンドと唎酒師などの質の高い口コミにより新たな日本酒に出会える口コミアプリ「サケアイ」(Android版iOS版)を提供。

VIVERTA(ヴィベルタ)

VIVERTA(ヴィベルタ)は、「動画で教えるオンラインコース」の販売・運営が誰でも簡単にできるようになるプラットフォーム「Lekcha」(レクチャ)を提供している。

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ステルラ

ステルラは、様々な条件から最適な婦人科クリニックを発見できる不妊治療情報・クリニック検索サイト「婦人科ラボ」を運営。

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coco

cocoは、接客から従業員の評価までを一元管理できる接客強化プラットフォーム「coco」を提供。自動車ディーラーを中心に、すでに2500店舗以上で導入されているという。

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ウォンタ

ウォンタは、APIベースのCMS「microCMS」を提供しており、利用企業2000社超となっているという。これまでのシステム開発にあった様々な問題を解決し、関わる人々の価値創出を最大化するとしている。

起業志望・起業初期対象の支援プログラム「Code Republic」が第8期デモデイ開催、第10期も募集中

第10期参加スタートアップを募集中

Code Republicは、4月21日より第10期参加企業の募集を開始している。シリーズA達成率100%を目標として、スタートアップが最短でPMF(プロダクトマーケットフィット)を達成できる環境を提供するという。2016年の設立以降、合計27社に対して累計10億2000万円の投資を実行、追加調達率は72%、卒業企業の累計時価総額は169億円となり、Baseconnect、Shippioをはじめ多くの企業が成長を続けている。

募集締切は2021年9月5日23時59分。第10期のプログラム期間は、2021年10月中旬〜2021年2月下旬としている。

参加希望の際は、「Code Republic 第10期 応募フォーム」で必要事項を記入の上応募すると、書類選考および面談選考が行われる。書類選考の合否通知は9月中旬を予定。

起業志望・起業初期対象の支援プログラム「Code Republic」が第8期デモデイ開催、第10期も募集中

Code Republic概要

  • 初回投資:創業資金700万円のシード投資を行う。事業成長に応じてZ Venture Capital、East Venturesよりフォローオン投資を実行
  • メンタリング:事業進捗に対して、Z Venture Capital、East Venturesのキャピタリストおよび起業家同士でのフィードバックを実施。起業初期に陥りやすい失敗を防ぎ、最短での事業成長を後押しする
  • 月次発表:Z Venture Capital代表取締役 堀新一郎氏、East Venturesマネージングパートナー 衛藤バタラ氏、East Venturesパートナー 金子剛士氏をはじめCode Republicのアドバイザーに対して、事業進捗を発表。フィードバックにより事業の精度を高めていく
  • 勉強会:隔週でVCや各領域の専門家を招いての勉強会を開催。勉強会では様々な専門知識を習得するとともに、起業家同士のつながりを構築できる
  • デモデイ:プログラムの最後には、投資家70名強を招いたデモデイを開催。各投資家からのフィードバックとともに、次回調達のための関係構築を行う

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マーケティングテクノロジーに注力する投資会社Hawke Venturesが約6億円のファンドをクローズ

マーケティングコンサルタント会社Hawke Media(ホーク・メディア)の投資部門であるHawke Ventures(ホーク・ベンチャーズ)が、初のベンチャーファンドを560万ドル(約6億円)でクローズしたと発表した。

マネージングパートナーのDrew Leahy(ドリュー・リーヒ)氏は、同社が注力しているマーケティング・テクノロジーが、今のところ、他のベンチャーキャピタルの間ではあまり需要がないことを認めている。

「人々はmartech(マーテック)から逃げていますが、【略】それが我々の自信の輪になっています」と、リーヒ氏は筆者に語った。「世界の大企業を見てみると、今ではWalmart(ウォルマート)でさえ、結局のところすべてマーテック企業なのです」。

この表現には異議を唱える人もいるかもしれないが、インターネット上の最も大きなプラットフォームにおいては、マーケティングと広告が中心的な役割を果たしていることは否定でない。それをHawkeは戦略に結びつけた。リーヒ氏によると、同社は各投資先に10万ドルから25万ドル(約1080万円〜2700万円)の小切手を発行しており、追加投資を行う可能性もあるという。

SnapSuits.com(スナップスーツ)の共同設立者でCMOを務めていたリーヒ氏によれば、このファンドはHawke Mediaのために行っていた戦略的なエンジェル投資がルーツであり、最終的に同社のErik Huberman(エリック・ヒューバーマン)CEOとTony Delmercado(トニー・デルメルカード)COO
と連携して、より大きな賭けをするために資金を集めることになったという。

さらに同社では、小切手を切るだけに留まらず、ファンドに出資した51人のリミテッドパートナーのネットワークへのアクセスも提供できると、リーヒ氏は付け加えた。それらのLPには、Deathwish Coffee(デスウィッシュ・コーヒー)の創業者であるMichael Brown(マイケル・ブラウン)氏、MVMT Watches(ムーブメント・ウオッチズ)の創業者であるJack Kassan(ジェイク・カッサン)氏、VaynerMedia(ヴェイナーメディア)の元幹部であるJeff Nicholson(ジェフ・ニコルソン)氏、女優のHolly Robinson Peete(ホリー・ロビンソン・ピート)と元NFL選手のRodney Peete(ロドニー・ピート)夫妻、リアリティ番組「The Real Housewives of New York City(ザ・リアル・ハウスワイブス・オブ・ニューヨークシティ)」のJill Zarin(ジル・ザリン)氏、Video Genome Product(ビデオ・ゲノム・プロダクト)の創業者であるXavier Kochhar(ザビエル・コッチャー)氏、MarketShare(マーケットシェア)の創業者であるJon Vein(ジョン・ベイン)氏などが含まれている。

多くの投資会社が、次世代のFacebook(フェイスブック)やGoogle(グーグル)になる企業に資金を提供したいと言っているが、リーヒ氏は少し異なるところに焦点を置いているという。「私たちは異なるベンチャー企業を作ろうとしています。つまり、次の大きなアイデアは何かと考えるのではなく、自分たちで使える実際的な技術を構築することに力を入れる企業です」。

それは、この投資会社が主に中小企業で使用できる製品に焦点を当てているということでもある。

「私たちは大企業向けのマーテックファンドではなく、中小企業向けのマーテックファンドです」と、リーヒ氏はいう。「私たちは、数十万人のユーザーが関わることのできる技術を探しているのです」。

同社の初期の投資先には、SMSマーケティング会社のPostscript(ポストスクリプト)や、分析会社のYaguara(ヤグアラ)などがある。後者はChord(コード)に買収された

「Hawke Venturesは、Postscriptの初期の投資家の1つとして、設立当初から我々と一緒に仕事をしてきました」と、Postscriptの社長であるAlex Beller(アレックス・ベラー)氏は、声明の中で述べている。「Hawkeの組織全体が、初日から付加価値をもたらしてくれました。当社が会話型コマースの決定的なプラットフォームを構築するにあたり、Hawkeとのパートナーシップを継続できることを誇りに思います」。

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(文:Anthony Ha、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

「今はイノベーションの黄金期」シリコンバレーの投資家イラッド・ギル氏とのインタビュー[後編]

シリコンバレーの起業家で投資家のElad Gil(イラッド・ギル)氏

爆速成長マネジメント」の著者でシリコンバレーの投資家で起業家でもあるElad Gil(イラッド・ギル)氏とのインタビュー後編。前編では初めての起業家が陥りやすい落とし穴とその回避策について、後編では新型コロナウイルスがスタートアップ業界に与えている影響と展望について話を聞いた。

前編:「スケールするために経営陣が必要」シリコンバレーの投資家イラッド・ギル氏に聞くスタートアップアドバイス[前編]

パンデミックがスタートアップに与えた影響

2020年は新型コロナウイルスの影響でスタートアップを取り巻く環境は大きく変わりました。どういった点がスタートアップにとってより難しくなったと思いますか。例えば、対面で話すことが減ったので、企業文化を作るのは難しくなっているかと思います。

ギル氏:企業文化を作ることについては、間違いなく以前より難しくなっています。企業文化は人が集まり、交流することで作られるものですから。社員がリモートワークしている会社からは、すでに出来上がっている仕組みに関してはそのまま維持して回せるけれど、何かイノベーティブなことをしたり、新しいことをしたりするのは難しくなったという話を聞きます。

2つ目は、いくつかの業界では事業を継続するのが非常に難しくなりました。例えば、私が知っているほぼすべての旅行系スタートアップは昨年から壊滅状態です。レイターステージだと、例外的な会社にTripActions(トリップアクションズ)が生き残っていますが、アーリーステージの会社のほとんどは事業を続けられませんでした。

3つ目は、新型コロナウイルスの影響で、多くの人は生き方を変えざるをえなかったことと関係します。在宅で子供を見なければならなくなったり、鬱や気分の落ち込みを経験したり。会社は社員のこうした問題に対処し、社員が新しく増えたストレスに対抗しながらも仕事を続けられる環境を整えなければなりません。

こうした課題にうまく対応しているスタートアップはありますか?

ギル氏:ビジネス面で急成長したところは多くあります。Stripe(ストライプ)、Instacart(インスタカート)、Zoom(ズーム)は、世界がオンライン化する中で急成長した企業の一例です。

企業文化の面でいうと、新型コロナウイルスが蔓延する中でも社員が交流できるよう、例えば、広い公園でマスクをつけて参加するミートアップを開催しているような会社があります。

会社によってはオンボーディングが難しくなったものの、採用はしやすくなったという変化もあります。採用しやすくなった理由としては時間や場所にかかわらず面接できるようになったからです。面接のためにオフィスを訪ねたり、仕事を休んだりする必要がなくなりました。ズームで話せばいいのですから。

オンボーディングが難しくなったのにはいくつか理由があります。GitLab(ギットラボ)は早くから社員のリモートワークに注力してきた会社で、彼らは社員のオンボーディングを3つのカテゴリーに分けています。コンピューターやメールの設定といった技術面でのオンボーディング。業務や役割、目標の設定といった組織面でのオンボーディング。最後に文化面でのオンボーディング。ですが、この3つはどれもリモートで行うのが難しいのです。

コロナ後の世界はどうなると思いますか?

ギル氏:2つの相反する力が世界に働いているように思います。現在のインターネットは、10年前と比べると10倍以上の規模になっていて、この拡大規模は10年前の人たちの想像を遥かに超えているでしょう。インターネットで過ごす時間が増え、たくさんのモバイル端末があり、仕事関連のアプリも大量に出現し、仕事でインターネットを使う時間も増えました。なので、今日設立したどの事業にも、5年、10年前と比べると、10倍規模になる可能性があるということです。つまり、10年前に1000万ドル(約10億円)の売上があった事業は、今やれば1億ドル(約107億円)規模の事業になる可能性があるということです。そして世界中のどこからでも、大規模な会社が作れるようになりました。

これは「分散化」のトレンドですが、一方で「集中化」のトレンドも同時に起きています。

特定の都市に特定の業界の人が集まっているのが、もう1つの重要なトレンドです。業界別に見ると、1つか2つの都市にその業界の物理的な拠点があるのが分かります。例えば、映画業界で仕事をしたいという人に向かって、「どこに住んでもいい」とアドバイスする人はいません。米国なら「ロサンゼルスに住まないとダメだ」と言うはずです。脚本はどこにいても書けるし、撮影も、映像編集も、音楽制作もどこにいてもできますが、それでも最終的に全員、ロサンゼルスに集まります。

世界の都市は業界ごとにまとまるようになってきています。金融だったら、資金調達をするのも、トレード戦略を考えるのもどこにいてもできますが、米国のヘッジファンドのほとんどはニューヨーク州とコネチカット州に集中しています。その理由は、サービスプロバイダーが重要で、経営陣が重要で、人と人のネットワークが重要だからです。新型コロナウイルスで世界の状況は変わりましたが、それでもなお、人は特定の場所に集まって活動を続けるでしょう。スタートアップをする人たちは特定の地域に集まって会社を立ち上げるといった傾向が続くと思います。

新たにスタートアップを立ち上げるとしたら、どのような分野に可能性があると思いますか?

ギル氏:家の地下室で仕事をしている私より、外でいろいろと動き回っている起業家たちの方が良いアイデアを持っているのは間違いないでしょう(笑)。新しいことを始めようとしている起業家集団の方が、どんな個人よりも素晴らしいアイデアを持っているものです。とはいえ、いくつか興味のある分野があるのでお話したいと思います。

1つ目は、バーティカルのコラボレーションSaaSです。例えば、Figma(フィグマ)によってデザインチームがオンラインで協力しながら仕事を進められるようになったのと同じように、財務チームが協力して財務計画を立案したり、データチームが協力して分析やアナリティクスをしたり、BI(ビジネスインテリジェンス)チームが協力して事業に関わるデータの分析ができたりするようなツールです。社内の特定の部署に特化したバーティカルのコラボレーションツールには可能性があるのではないかと思っています。

2つ目は、コンシューマー向けソーシャルアプリです。世界にはまだ、新しいソーシャルな行動が生まれ、広まる余地があると思っています。その理由は、世代間の違いがあるからです。若い人たちは新しいソーシャルネットワークを求めています。Clubhouse(クラブハウス)で人々が突然音声の魅力に気づいたのと同じように、他にも人々の行動を変えるような新しい形のソーシャルネットワークやリアルタイムコミュニケーションが登場するのではないかと思っています。

現在、膨大な量のイノベーションが起きています。例えば、AngelList(エンジェルリスト)を見ると5年前に比べて、スタートアップの数は5倍、10倍に増えています。これは新しく設立したスタートアップの実数ベースの話です。半導体や機械学習、さまざまなSaaS、防衛技術、不動産など、あらゆる分野でイノベーションが同時進行に起きていて、今はイノベーションの黄金期と言えるのではないでしょうか。

2021年4月14日にCoinbase(コインベース)が上場しています(ギル氏はコインベースの初期からの投資家)。暗号資産(仮想通貨)の領域はどう見ていますか。

ギル氏:暗号資産の領域はとても楽しみにしています。コインベースのIPOは、Netscape(ネットスケープ)がIPOした時のように捉えられるようになるのではないかと思っています。かつてネットスケープの上場で、インターネットがメインストリームの存在になると世間の人々が気づいたように、コインベースの上場は、ウォール街や既存の金融業界に対し、暗号資産が世界にとって重要であることを知らせる大きな契機になるのではないかと思っています。

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気候問題専門の投資会社Congruent Venturesが約188億円調達、バイデン政権下で勢い

現在直面している気候の緊急事態を回避するためのテクノロジーとサービスを専門とするアーリーステージ投資会社のCongruent Ventures(コングルーエント・ベンチャーズ)が最新のラウンドで1億7500万ドル(約188億円)を調達した。

資産3億ドル(約323億円)を管理する同社はプレシード、シード、シリーズAラウンドの投資にフォーカスしており、Abe Yokell(アベ・ヨーケル)氏とJoshua Posamentier(ジョシュア・ポサメンティエ)氏によって創業された。2人は20年以上にわたって気候分野に投資してきた。

「インフラと気候に熱心な新政権の始動、そして緊急の気候変動をめぐるグローバルの問題への大幅に遅延していた資金の流入で、輸送やエネルギートランジッション、持続可能な生産と消費のための食料・農業などに取り組む36社超にわたるポートフォリオを当社はカバーしています」とヨーケル氏は声明で述べた。

ポートフォリオの企業には、菌糸体を使った肉のメーカーMeati、産直食料マーケットプレイスのMilk Run、効率的な製造のためのソフトウェアを開発しているPicoMES、電動自動走行トロッコのデベロッパーParallel Systems、アルミニウム添加剤メーカーAlloy Enterprises、自動の温室栽培システムを提供するHippo Harvest、ハードプレスされた廃棄物のリサイクルを行う組織の効率を改善するためのリサイクルロボットを展開しているAmp Roboticsなどが含まれる。

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Congruent VenturesはMicrosoftのClimate Innovation Fund(気候イノベーション基金)、Prelude Venturesの系列会社、Jeremy and Hannelore Grantham Environmental Turst、Surdna Foundation、UC Investmentsのような著名なリミテッド・パートナーを抱える。

「つい最近まで、気候と持続可能性にフォーカスしているアーリーステージ資金は完全に不足していました」と共同創業者でマネージングパートナーのポサメンティエ氏は述べた。「当社は起業家が無数の落とし穴を回避するのをサポートできる最も初期の段階で投資し、起業家がたくましい企業に育て、追加の資金を調達するのを手伝います。その結果、世界最大の部門のいくつかにおける最も差し迫っている環境の問題に取り組んでいます」。

Congruentの企業の3分の1はエネルギーや公共インフラに直接取り組んでおり、米政府が提案するインフラ支出法案で莫大な利益を得るかもしれない。その上、Congruentのリミテッドパートナーには管理する資産が7000億ドル(約75兆5156億円)のインフラ投資家が含まれ、そうした投資家はCongruentのポートフォリオ企業によって開発されたテクノロジーの潜在顧客だ、とCongruentは声明で述べた。

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(文:Jonathan Shieber、翻訳:Nariko Mizoguchi

クリエイターのための経済オペレーティングシステム

スタートアップとマーケットの週刊ニュースレター「The TechCrunch Exchange」へようこそ。

先週のTechCrunchでは、Pico(ピコ)の650万ドル(約7億円)の資金調達を取り上げた。そこでは同社を「ニューヨークのPicoは、オンラインのクリエイターやメディア企業がお金を稼げて顧客データを管理できるようにする」と紹介した。The Exchangeは以前にもPicoを取り上げたことがある。最も近いところでは2020年半ばに、独立系出版やサブスクリプションメディアの世界での話題を紹介している。

関連記事:収益化ツールを統合したクリエイター向けCRMのPicoが7.1億円調達

Picoのラウンド記事では、Anthony Ha(アンソニー・ハー)記者がすばらしい仕事をお届けしたが、私もまた同社とZoom(ズーム)コールを行った。なぜなら、彼らの新しい資金調達は一種の再出発のようなものであり、その件について私はもっと理解したかったからだ。

Picoのチームは、クリエイティブなデジタルツールの歴史的変遷を説明しながら、彼らのビジネスの中で何が変わったのかを説明してくれた。彼らによれば、以前、この世界はコンテンツのホスティングや配信を中心に展開していたという。同社の考えでは、クリエイティブに特化した新世代のツールが登場することで、Substack(サブスタック)やWordPress(ワードプレス)のような、CMS(コンテンツ管理システム)がツールの中心ではなくなる時代がやってくる。むしろ、マネタイズが中心となるのだ。

そこに賭けたPicoは、クリエイター市場向けのオペレーティングシステムを開発することにしたのだ。私の直感では、マネタイズを中心としたクリエイティブなデジタルの世界は、それまでの時代よりも収益性が高いと思える。

Picoの想定では、クリエイターが最初にどこでオーディエンスを獲得したかに関わらず、最終的にはマルチSKU(管理単位)、あるいはマルチプラットフォームになるため、顧客データを一元管理することが重要になる。

スタートアップが提供する今回改良されたサービスは、これまでのようなちょっとしたマネタイズのためのツールであると同時に、CMS(コンテンツ管理システム)やその他プラットフォーム上のデジタルアウトプットの上に置くことができる、クリエイターに特化したCRM(顧客関係管理システム)なのだ。これまでのところ、同社の顧客数は順調に伸びていて、2020年は約5倍の伸びを記録した。この先、Picoがそのビジョンにどこまで乗れるのか、クリエイター経済中の中流階級の形成に貢献できるのかどうかを見極めていきたい。

現実世界の食料品店革命

コロナ禍の期間中、Instacart(インスタカート)の驚くべき飛躍が取り沙汰されるなかで、ほとんどの人びとが、まだ果物や野菜を買うために実店舗に行っているという事実がやや忘れられている。

もちろん食料品店はその事実を忘れてはいない。しかし、彼らは歴史的に薄利多売であり、Instacart時代には顧客獲得競争も激化しているため、あまり安心していることはできない。彼らが顧客との関係を第三者に委ねることなく、よりデジタル化された戦略を追求するにはどうすればよいのだろうか?

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その答の1つが、Swiftly(スイフトリー)かもしれない。このスタートアップが開発している技術は、あらゆる規模の食料品チェーンがデジタル化を進め、最新のモバイル技術を活用し、広告によってより多くの収入を得るとともに、消費者により多くの買い物の選択肢を提供できるような技術だ。イイ感じかも?

Crunchbaseのデータによると、このスタートアップはこれまでに1500万ドル(約16億2000万円)強を調達しているが、米国で無数の店舗を展開する消費者向け小売業者Dollar Tree(ダラー・ツリー)との取引を開始したことで、再び私たちの記憶を呼び起こした。

私はSwiftlyについては昔から知っていた。共同創業者のHenry Kim(ヘンリー・キム)氏がSneakpeeq(スニークピーク)(後のSymphony Commerce[シンフォニー・コマース])を開発していた頃に会ったことがある。Symphony Commerceは、最終的にQuantum Retail(クオンタム・リテイル)に買収された。しかし、サンフランシスコ近辺で長年にわたってキム氏と会話をしてきた中では、Symphony Commerceを創業する前に彼が経験していた食料品市場の話が繰り返し出されていた。

5年以上前から、キム氏が食料品店とデジタルの可能性を声高に語っているのを聞いていたので、彼の希望と計画から生まれた会社が有力なパートナーを獲得したのを見るのはうれしい。

Swiftlyは2つの主要製品を提供している。リテールシステムとメディアサービスだ。リテール部門は、モバイルを使う買い物客に対して、レジ精算サービス、ロイヤリティプログラム、パーソナライズされた特典などを提供している。また、メディア部門は、実店舗に対して、通常は見逃されている消費者向けパッケージ商品(CPG)の広告費を手に入れるチャンスを提供する。同時にアナリティクスを活用することで、販売した広告の効果をより正確に把握することができる。

Swiftlyは、現在大きな公開取引案件を抱えているので、今後数四半期でより多くの資金を調達することになると思う。何か分かり次第お知らせする。

UiPath、SPACそしてすてきなベンチャーキャピタルラウンド

先の2週間、The ExchangeはUiPath(ユーアイパス)のIPOについてかなりの量の記事を書いてきた。おそらく書きすぎといわれるくらいに。しかし、念のためにいっておくなら、同社の最初のIPO価格帯は、出された評価額が予想よりも少し低くなったため、レイトステージ投資家に対する警告のようなものとなった。そして同社はその価格帯を引き上げて、私たちの懸念を払拭はしないまでも和らげてくれた。そして、最終的なプライベートラウンドに比べればまだ割安ではあるものの、調達した価格帯を上回る価格をつけた。その後、取引を開始してからは順調に推移して、CFOも「順調だ」と語っている。

同社のプライベート〜パブリック評価額の経緯を詳しく知ろうと、The Exchangeは、Battery VenturesのジェネラルパートナーでB2B投資家であるDharmesh Thakker(ダーメッシュ・タッカー)氏に、IPOの価格よりも少し高めだった同社の最終的なプライベートラウンドに対する彼の見解を尋ねた。彼の言葉を紹介しよう。

あのラウンドには、スマートマネーが絡んでいました。そうした人びとは、Twilio(トゥイリオ)、Atlassian(アトラシアン)、MongoDB(モンゴDB)、Okta(オクタ)、Crowdstrike(クラウドストライク)などがIPO後に価値を5~10倍に上げたように、重要な価値創造はIPO後3~5年で起こることを理解しているのです。

現在、UIPathは、600億ドル(約6兆5000億円)のオートメーション市場の中での普及率は、わずか1%に過ぎない6億800万ドル(約659億円)です。COVID以降、反復的なタスクのためのインテリジェントなプロセスオートメーションに関する緊急性は高まる一方なのです。企業は、自動化を使ったコスト管理を必要としています。よってUiPathは、ターゲット市場に徐々に普及し成長していく中で、継続的な価値をもたらして行くことになるでしょう。それをIPO直前やIPO段階での投資家たちが実感したのです。彼らは忍耐強く待つでしょう」。

つまり彼は強気だということだ。UiPathのIPOについては、PitchBook(ピッチブック)のアナリストであるBrendan Burke(ブレンダン・バーク)氏が、より辛辣な意見を述べている。彼は同社やその市場について以下のように語っている。

RPAは、自動化の需要に応じて急速に拡張されてきましたが、依然として限定的なソリューションであり、恒久的な価値を持たない可能性があります。私たちはカスタムスクリプトに依存しているRPAを、AIネイティブな挑戦者からの競争リスクに直面している、クラウドネイティブなAIオートメーションへの橋渡しをするテクノロジーであると考えています。エンタープライズオートメーションの未来は、フロントラインのユーザーに対して、ダイナミックなデータストリームに適応し、正確な判断を下すことができるクラウドネイティブな機械学習モデルを提供するところにあります。UiPathの実装はクラウドネイティブではありませんし、インテリジェントな意思決定のためには約75のAIモデルベンダーとのサードパーティ統合が必要です。さらに同社は、事業のリスク要因として、AIエンジニアの採用能力を挙げています。UiPathが、AIバリューチェーン全体に展開できる能力があるかどうかが、長期的な展望にとって重要となるのです。

このような発言を引用したのは、一般的なアナリストの世界では、失礼な発言であることを恐れるあまり、実際のネガティブな発言を引き出すのが難しい場合があるからだ。

関連記事:業務自動化のUiPathが約790億円調達、IPOもまもなく

先を急ごう。先週は紹介しておきたい新しいSPACの案件があった。SmartRent(スマートレント)がFifth Wall Acquisition Corp(フィフス・ウォール・アクイジション・コープ)と合併する。Crunchbaseのデータによれば、SmartRentは非公開時代にRET Ventures、Spark Capital、Bain Capital Venturesなどから1億ドル(約108億1000万円)以上を調達している。

そのため、SmartRentに22億ドル(約2377億3000万円)の株式評価額が与えられた今回のSPAC取引は、VC支援による重要なエグジットとなっている。その投資家向け資料はここから見ることができる。私たちがSmartRentに注目しているのは、やはりSPACを行おうとしているLatch(ラッチ)と同じような分野で活動しているからだ。賃貸住宅のインフラ企業同士の激突となるか?こいつは楽しみだ(LatchのSPAC案件についてはこちら)。

今回の主たる話題の最後になるが、HYPRが先週3500万ドル(約37億8000万円)を調達した。先週書きたかったけれど書けなかったベンチャーキャピタルのラウンドの中で、同社を取り上げたのは、HYPRがパスワードのない未来を約束しているからだ。そして、シリーズC調達を行ったばかりだが、その目的を達成できるチャンスがあるかもしれない。ああ神様、どうか実現しますように。

その他のことなど

先週は、Y Combinatorを卒業したばかりのメンバーが行った資金調達を取材した。Queenly(クイーンリー)とAlbedo(アルベド)の記事を書いている。読んでみて欲しい。

そうそう、Afterpay(アフターペイ)の最近の業績を見る限り、Buy-now-Pay-Later(後払い販売)の市場は今も急速に成長しているようだ。

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画像クレジット:Nigel Sussman

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(文:Alex Wilhelm、翻訳:sako)

「スケールするために経営陣が必要」シリコンバレーの投資家イラッド・ギル氏に聞くスタートアップアドバイス[前編]

シリコンバレーの起業家で投資家のElad Gil(イラッド・ギル)氏

2021年3月18日、シリコンバレーの起業家で投資家であるElad Gil(イラッド・ギル)氏の著書「High Growth Handbook」の日本語版である「爆速成長マネジメント」(日経BP)が発売となった。

著者のギル氏は投資家やアドバイザーとして、Airbnb(エアビーアンドビー)、Coinbase(コインベース)、Pinterest(ピンタレスト)、Square(スクエア)、Stripe(ストライプ)など世界でも有数のテック企業に関わっている。起業家としての経験も豊富だ。2013年から2016年12月までColor Genomics(カラージェノミクス)の共同創業者兼CEOを務め、現在は会長に就任。カラージェノミクスの創業前はTwitter(ツイッター)でコーポレート戦略バイスプレジデントやM&A 、事業開発チームの担当を務めた。ツイッターに参画したのは、共同創業者兼CEOを務めていたMixer Labs(ミキサーラボ)がツイッターに買収されたことがきっかけだった。それ以前は、グーグルに在籍し、モバイルチームの立ち上げなどに関わった。

「爆速成長マネジメント」はギル氏の知見と、シリコンバレーで活躍する投資家、起業家たちとのインタビューを多数収録し、レイターステージのスタートアップが直面する資金調達やマネジメントの課題に対する具体的な対応策が学べる1冊となっている。

今回、私は本書の翻訳に関わった縁で、ギル氏をインタビューする機会を得た。インタビューは2021年4月15日にClubhouse(クラブハウス)上で行い、本書を共訳した翻訳者で連続起業家の浅枝大志氏と日経BPの担当編集者である中川ヒロミ氏も参加した(各人から記事化の了承を得ている)。今回のインタビュー記事は前編と後編に分け、前編は数多くのスタートアップと関わってきたギル氏が指摘するスタートアップが陥りやすい落とし穴とその回避策について、後編は今後のスタートアップ業界の動向についてまとめている。記事はギル氏の発言通りに翻訳しているが、分かりやすさと簡潔さのために多少編集を加えている。

起業家へのアドバイス

はじめに、本書を書くことになったきっかけについて教えてください。

ギル氏:アーリーステージファウンダー向けのアドバイスはたくさんありますが、急激に成長しているスタートアップ向けのものはあまりありません。その理由は、スタートアップの多くは急激な成長する段階まで到達しないからです。ほとんどのスタートアップは失敗します。なので、レイターステージのスタートアップやファウンダーからよくある質問に対する答えと、スタートアップがスケールするための戦術をまとめようとしたのが始まりです。

もともと本ではなくブログ記事をまとめたスタンドアローンのウェブサイトを作る予定でした。けれど、サイトをローンチする数日前に、ストライプの創業者の1人であるJohn Collison(ジョン・コリソン)に見せたところ、「本として出版した方がいいんじゃないか」と言われ、Stripe Press(ストラププレス)(注釈:ストライプの出版事業)から出すことになりました。

本書には起業家向けのアドバイスが多く載っていますが、初めて起業する人は特に何に注意すべきでしょうか?

ギル氏:アーリーステージの会社はレイターステージの会社とは状況が大きく異なるので、ステージごとに気をつけたい点は違います。アーリーステージの優先事項の1つは、プロダクトマーケットフィットに到達することで、これを達成するのは非常に難しいでしょう。2つ目は、共同創業者と喧嘩しないで会社をうまく回すことです。これも非常に難しい場合があります。この2つを達成できれば、第一歩が踏み出せるはずです。

レイターステージに入ると、より多くのことを達成するためにどのように組織を作ってスケールさせるか、ユーザーのニーズにどう対応するか、海外展開、M&Aなど、注力すべき点が変わっていきます。これらを突き詰めると、やるべきことは、社員全員に明確な方向性を示すこと、その方向性を追求するために必要な資金を確保すること、磐石な経営陣を揃えることの3つであると言えます。経営陣が揃えば、会社が小さかった頃には着手できなかったことができるようになります。

CEOが間違えやすい、ミスしやすいのはどういうところでしょうか?

ギル氏:これはCEOの過去の経験によると思います。例えば、初めて起業したCEOと2回目のCEOを比べると、つまり事業をスケールさせたことがある人とない人という意味ですが、2回目のCEOはかなり早い段階から強力な経営陣を揃え始めます。けれど、初めての起業家はそれを疑問に思うでしょう。なぜ上層部ばかり強化するのか、なぜそんなに多くのVP(バイスプレジデント)が必要なのかと。しかし、一度急激なスケールを経験していると、経営陣を揃えることがいかに重要かが分かります。これが1つ目です。

初めての起業家がよく間違える2つ目のポイントは、最初のプロダクトをマーケットに投入した後のイノベーションの頻度についてです。一般的に、早くから2つ目のプロダクトを開発してノベーションを起こせる会社は、その後も継続してイノベーションが起こせます。一方でイノベーションが遅い会社は、2回目のイノベーションがなかなか起こせません。具体例として、ストライプは決済やローンに関わるプロダクトを次々と出しているのに対して、eBay(イーベイ)はいまだに2つ目のプロダクトを出せていません。

3つ目はSaaSやB2Bの分野に特化した話にはなりますが、プロダクトやエンジニアリングを重視するファウンダーは、営業チームを作ることを後回しにしてしまいがちという点です。ボトムアップのグロースや顧客獲得にばかり注力してしまうと、より大きな法人契約を獲得するチャンスを逃してしまいます。例えば、slack(スラック)は法人営業のチームを早くから追加してこなかったため、Microsoft(マイクロソフト)のような会社との戦いで苦戦を強いられています。

「経営陣の構築」「イノベーションの頻度」「営業の採用」と初めての起業家が間違えやすい点を3つ指摘していましたが、これらを回避するにはどうすればいいでしょうか。

ギル氏:経営陣を採用するところに関しては「スケールするために経営陣が必要」というマインドセットに変える必要があります。

営業チームについては、営業を採用することに対しての恐怖心を脇に置くことです。先日、営業を雇うのに抵抗を感じる理由についてのブログ記事を読んだのですが、その理由はたいてい、企業文化に合わないのではないかとか、営業チームを整える準備ができていなのではないかとかいう不安やボトムアップでの顧客獲得しかしたくないという感情的な理由がほとんどであると指摘していました。これに関しては率直に言って、そうした感情を振り切り、実行するしかありません。慣れないことをやるということですが、慣れないことをやるのが大抵の場合、最良の施策なのです。

「イノベーションの頻度」についてはどうでしょうか?

ギル氏:これにはいくつかポイントがあると思っています。会社の初期の段階では事業に注力し、コアプロダクトの再現性があるかしっかり確かめなければなりません。それはつまり、1000万ドル(約11億円)から3000万ドル(約32億円)ほどの収益があり、SaaS企業ならマーケットアプローチの方法を確立していて、コアビジネスをスケールさせるために社内にマネジメント層の基盤ができているか確認するということです。まずはコアビジネスがうまく回っている状態にすることが先決です。

2つ目は、新規事業のためにいくらか独立したリソースを用意することです。新規事業にはリーダーとなる人材やエンジニア、その他社内のリソースが必要になります。また全社員に「この新規事業は会社にとって重要で注力する価値がある」と納得してもらわねばなりません。なぜなら、社内のコアビジネスに携わる人は、リソースがあるなら自分たちのところに投入してほしいと考えるからです。彼らはコアビジネスをスケールさせる中で手薄になっている部分があると感じているでしょう。そのため彼らは会社が新しい事業を始めるのに対して疑問を持ちます。優先順位と組織内での線引きを明確にし、新規事業を作ることが会社にとって重要であると社員に分かってもらうようにしなければなりません。

CEOとして成長する方法

CEOはさまざまな問題に対処しなければなりませんが、CEOとして成長するためにはどのようなことができますか。CEO仲間を作ること、VCからアドバイスをもらうことなどが考えられますが、何が一番有効でしょうか。

ギル氏:私の知っている中で、うまくファウンダーとして、あるいはCEOとして活躍している人は、いくつかのことをしています。

1つは、CEOのネットワークを作っています。同じステージの会社のCEO、あるいは自分の会社より2年先を進んでいる会社のCEOとのネットワークを作っています。2年先の相手は、自分たちの抱える問題に共感でき、タイムリーで今の状況に合った良いアドバイスができます。5年、10年離れていると、劇的に状況が変わっていることがあるのです。

2つ目は、自分の会社とはまったく違うビジネスをしている人と話をしています。例えば、大規模な売上のある非上場のファミリービジネスのCEOの話を聞きに行くようなことです。何十億ドル(何千億円)規模の売上のある会社に話を聞きに行き、どうやって会社を運営しているのか、どうような報酬体系を採用しているのか、問題が発生した時はどのように対処しているのかなどを聞いています。優秀なCEOは成功の原則を普段とは違う場所で探し、自分のビジネスにも適用できそうなアイデアを学んだり、抽出したりしようとしています。

自分と近い分野で動いているCEO仲間から学ぶことに加え、まったく違う分野だけれど、とてもすばらしい成果を出している人から学ぶこと。この2つを組み合わせるのが良いのでしょう。

アドバイスという点でVCに期待できることはありますか。

ギル氏:VCは役に立つことはありますが、そのVCによります。その人が誰で、どんな経験を持っているのか、その人から何を学びたいのかによるということです。例えば、会社の上場に関わってきた経験が多いVCの取締役がいれば、その人から会社を上場させる方法について優れたアドバイスが聞けるでしょう。一方で、会社のオペレーションに関わったことのないVCもいます。その人は経営の戦術的なところでいくらか助けになってくれるかもしれませんが、毎日のオペレーションで役立つアドバイスはあまり期待できないかもしれません。

VCは基本的にアドバイス、ガバナンス、資金の3つを提供するものと考えています。お金は比較的どこからでも調達できます。ガバナンスに関しては、経験があって信用できる人を探すのがいいでしょう。アドバイスは、会社のステージとどんな事業をしているのかによります。アーリーステージでは的確なアドバイスができる人でも、レイターステージの会社には良いアドバイスができない人もいるということです。会社が成功するまでには10年くらいかかるので、その間に経営陣をどう進化させていくかをしっかり考えるべきでしょう。

【編集部】後編は4月21日午前9時に公開予定

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大麻関連企業に融資を行うBespoke Financialが約8.7億円調達

大麻関連の金融会社であるBespoke Financial(ビスポーク・フィナンシャル)は、米国時間4月19日、シリーズA投資ラウンドで800万ドル(約8億7000万円)の資金を調達したと発表した。大麻関連企業に資金調達ソリューションを提供するために奮闘している同社は、今回の資金調達により、重要な投資家を新たに迎え入れることになった。

Bespoke Financialはダイレクト・レンディング会社であり、大麻を扱う企業にいくつかの融資ソリューションを提供している。Bespokeからの短期融資を受けることで、企業は信用を築くことができ、その後の融資や商品でより良い条件を提供できるようになる。

同社によると、融資の実行件数は飛躍的に伸びており、過去1年間で予測を25%上回るペースで推移しているとのこと。同社は2000を超える大麻ライセンス保有者に、1億2000万ドル(約130億円)の融資を提供しているが、これまでに債務不履行はゼロだという。

今回調達した資金を使って、Bespokeは新たな資金調達の仕組みを導入し、さまざまな販売チャネルにおける資金調達の選択肢を拡大することを計画している。

同社共同創業者でCEOのGeorge Mancheil(ジョージ・マンケイル)氏は、今回のラウンドを、会社にとって極めて重要な瞬間であり、Bespoke Financialの方向性と商品を承認する印であると述べている。今回のラウンドでは成長中の同社にとって重要なパートナーを複数得ることができたと、同氏はTechCrunchに語った。

今回の資金調達ラウンドは、Snoop Dogg(スヌープ・ドッグ)のCasa Verde Capital(カサ・ベルデ・キャピタル)とSweat Equity Ventures(スウェット・エクイティ・ベンチャーズ)が共同で主導し、Ceres Group Holdings(セレス・グループ・ホールディングス)、Greenhouse Capital Partners(グリーンハウス・キャピタル・パートナーズ)、DoubleLine Capital(ダブルライン・キャピタル)の共同創業者で元社長のPhilip Barach(フィリップ・バラック)氏、ニューヨーク在住の投資家Robert Stavis(ロバート・スタビス)氏が参加した。

Sweat Equity Ventures(SEV)にとって、これが大麻関連企業への初めての投資となる。SEVは、LinkedIn(リンクトイン)の創業者であるReid Hoffman(リード・ホフマン)氏が出資して設立し、Dan Portillo(ダン・ポーティロ)氏がリーダーを務めている。同社は従来のベンチャーファンドとは異なる仕組みを持っており、創業者と協力してエンジニアリングやビジネスの分野で優れた人材を投資先企業に送り込んでいる。単に小切手を切るのでなく、SEVはこれらのサービスを提供することで、企業の株を受け取る。

「今回は当社にとって初めての大麻産業への投資であり、ますます多くの州で大麻の使用が合法化され、連邦政府も全国的な合法化を検討している中、Bespokeと提携できることをうれしく思います。今回の提携により、Bespoke社の金融および大麻に関する知見と、当社チームの革新的なハイテク企業の規模拡張に関する専門知識が融合し、大麻企業が合理的な資金調達にアクセスできるようになると同時に、投資家にとっても透明性の向上とリスクの監視が可能になります」と、Sweat Equity Venturesのマネージングパートナーであるダン・ポーティロ氏は声明の中で述べている。

Casa Verde CapitalのマネージングパートナーであるKaran Wadhera(カラン・ワドヘラ)氏は、Bespoke Financialが成長を続ける業界の真のニーズに対応していると述べている。Casa Verde Capitalは以前、2019年の700万ドル(約7億6000万円)のラウンドを含め、Bespoke Capitalに投資したことがある。

BespokeのCEOであるマンケイル氏はTechCrunchに対し、同社は単なる貸し手ではなく、大麻業界の真のパートナーとして活動できるような、現代的な融資会社になりたいと考えていると語った。

今回の800万ドルの資金調達を含め、Bespoke Financialはこれまでに2800万ドル(約30億円)を調達した。2019年に設立された同社は、現時点で12名の社員を抱えている。

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画像クレジット:Getty Images under a Getty Images license.

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(文:Matt Burns、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

VC投資にAIを活用する女性投資家3人のグループ「TLC Collective」

ベンチャーキャピタルはネットワークビジネスである。ファウンダーのネットワークから投資家やエンジェルの人脈、潜在顧客や人材、サービスプロバイダバイダーの糸のように細い繋がりまで。これらのネットワークの密度が成功を決める。任務に合った人物や、資本政策に沿った出資者を見つけることができれば、スタートアップは一歩リードできるかもしれない。

それはCasey Caruso(ケーシー・カルーソ)氏が深く考えてきたテーマだ。スタンフォード大学在学中の研究プロジェクトで、彼女は少々変わったかたちのネットワーク密度に目をつけた。畳み込みニューラルネットワーク(CNN)モデルを用いた投資判断の評価だ。3人の共著者は、アルゴリズムを使ってVCを最適化する方法を分析した。これは彼女にとって馴染みのあるクロスオーバーポイントであり、Googleでエンジニアとして働きながらBessemer Venture Partnersでパートタイムで投資していたときに培った技術的経歴に基づいている。

サンフランシスコのローワー・パシフィック・ハイツにある北イタリア料理レストラン「SPQR」のディナーで、彼女は友人で現在ブロックチェーンに特化したPantera Capitalのプリンシパルを務めるLauren Stephanian(ローレン・ステファニアン)氏、Google VenturesのパートナーであるTerri Burns(テリー・バーンズ)氏と投資について語っていた。そこで3人は、すべての道がローマに通じるのと同じように、3人全員が同じ方向に進んでいることに気がついた。テクノロジーを使ってベンチャーキャピタルの意思決定を改善する。「私たちは全員が訓練を受けたコンピューター科学者です」とカルーソ氏は言った。「その基礎訓練のおかげで、3人とも実利的に問題に取り組みます」。

彼女らは昼間の仕事と別に共同作業を開始した。どうすればAIを最初期ステージのベンチャーに適用して、モデルから特徴を識別すると同時に、ビジネスの定性的特長にも対応できるだろうか。そして、2019年に、投資に関する正式な共同体を作ることを決め、投資の基盤としてTLC Collective(3人のイニシャルを組み合わせた)を立ち上げた。

自ら出しあった資金を使って、TLCはテック企業のファウンダーにエンジェルおよびプレシード資金を投資している。これまでに11社への投資を終えており、データディスカバリープラットフォームのSelect Star数週間前に私が紹介した)、オーディオ会議アプリのClubhouse、生物データプラットフォームのWatershed、リモートワークマネージャーのFriday、暗号資産(仮想通貨)リスク・ンプライアンスプラットフォームのTRM、ユーザーインフラプラットフォームのSlytchほか、さまざまな会社がある。

TLCの投資先はさまざまな分野に渡っが、すべてを繋いでいるのがファウンダーの技術志向だ。「私たちは技術志向の強いチームに投資します、なぜなら私たちが非常にテクニカルで、それが第1の断基準だからです」とカルーソ氏は言った。一方、ステファニアン氏は、技術力は重要な指標ではあるが、焦点となる分野は3人で異なっているという。「同じような経歴ですが、興味の対象と持っているスキルは異なります」と彼女は言った。バーンズ氏は消費者に、ステファニアン氏はフィンテックと大企業と暗号資産に、カルーソ氏は先端技術に、それぞれ焦点を当てていると3人は言った。

これまでのところ、グループは3人にとってまだ「サイドギグ」(副業)であり、基礎となるアルゴリズムの改善を繰り返しているところだ。「アルゴリズムを実際に使う場合と、フレームワークやリファレンスとして使うだけの場合を行ったり来たりしています」とカルーソ氏は説明する。「プログラミングの経験を使ってアートとサイエンスのバランスを見つけようとしています」。

投資のペースはほぼ四半期に1回で、当面これが続くだろうとチームは言っていた。今後も自己資金による投資を続けるつもりで、ローリングファンドやクラウドファンディングなどの新しいモデルへの拡張が必要だとは感じていない、少なくとも今のところは。「ローリングファンドのことは考えたこともありません」とCaruso氏は言ったが、グループはOn Deck Angelsの一員であることを認めた。ステファニアン氏は、今あの分野の熱気はすごいという。「自分でシンジケートを立ち上げている人たちから実に多くのメッセージが送られてきます」と彼女は語った。

グループの投資金額は、1回当たり数万ドル(数百万円)から数十万ドル(数千万円)の範囲だ。

彼らのAIモデルを支えているネットワークや、投資先ファウンダーを集めて作っているネットワークと同じく、TLC Collectiveは投資家の中に三角形の繋がりを作っている。繋がりが広がるにつれ、モデルを最適化するためのデータを拡張することが可能になり、新しいビジネスを成長させる最高のテックファウンダーに投資することが彼らの願いだ。

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画像クレジット:TLC Collective

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(文:Danny Crichton、翻訳:Nob Takahashi / facebook

消費者直販スタートアップを支援するBrandProjectが約46.5億円を調達して新ファンドを設立

Freshly(Nestléに買収された)、Persona(Nestléに買収された)、Chef’s Plate(Hello Freshに買収された)など、消費者直販型のスタートアップ企業を支援してきたBrandProject(ブランドプロジェクト)が、同社によれば初の伝統的なベンチャーファンドになるという4300万ドル(約46億5000万円)の調達を発表した。

BrandProjectは、Virgin Mobile Canada(ヴァージン・モバイル・カナダ)の共同設立者であり、LEGO Americas(レゴ・アメリカズ)の社長を務めたAndrew Black(アンドリュー・ブラック)氏によって設立され、BrandProject Studio(ブランドプロジェクト・スタジオ)と連携した1200万ドル(約13億円)のファンドから投資を行ってきた。だが、資金は同社が提供するもののほんの一部に過ぎない。BrandProjectの8人のチームメンバーのうち6人はスタートアップ企業のサポートに専念しており、事実上のCTO、CFO、CMOを務めることも少なくないからだ。ちなみに、前述のFreshlyとPersonaはNestlé(ネスレ)に、Chef’s PlateはHello Fresh(ハロー・フレッシュ)に買収されている。

関連記事:ネスレが健康的な食材を宅配するスタートアップFreshlyを最大1570億円で買収

新たに設立されたBrandProject Capital(ブランドプロジェクト・キャピタル)ファンドによって、同社はより(ある程度)成熟した企業に、より大きな投資を行うことができるようになる。ブラック氏は、この新しいファンドが100万ドル(約1億800万円)から300万ドル(約3億2400万円)の小切手を発行することになると予想している。目標は案件の半分を新規投資に、残りの半分をBrandProject Studioのスタートアップ企業へのフォローオン投資にすることだ。

「BrandProject StudioでもCapitalでも、同じようなタイプのビジネスをサポートしていきますが、Studioでは、私たちにとって早すぎるということはありません。私たちは何よりチームを重視します」と、パートナーのHayden Williams(ハイデン・ウィリアムズ)氏は述べている。「しかし、Capitalの案件であれば、たとえ小規模であっても、何かがうまくいっているという証拠を探すことになるでしょう」。

その対象は引き続き、消費者直販ブランドが中心となる。新型コロナウイルスの影響で、eコマースは膨大に拡大しているが、BrandProjectの戦略は変わらないと、ブラック氏はいう。

画像クレジット:BrandProject

「新型コロナウイルスのために投資対象を調整したことはありません」と、同氏はいう。「私たちは常に、世界が必要としていると思われるカテゴリー、ブランド、セグメントに投資してきました」。

新しいファンドに投資したリミテッドパートナーの1人は、おそらくBrandProjectがこれまで支援した企業で最も成功を収めたFreshlyの共同設立者でCEOを務めるMichael Wystrach氏(マイケル・ウィストラック)氏だ。自身が起ち上げた健康的な食事を提供するスタートアップをネスレに15億ドル(約1620億円)で売却したウィストラック氏は、BrandProjectのことをTechCrunchで読み、同社を調べた後、ニューヨークにいるパートナーのJay Bhatti(ジェイ・バッティ)氏に、いきなり食事を送ったことを回想した。

その時点では、Freshlyは友人や家族からしか資金を調達しておらず「誰からでも小切手を受け取っていた」とウィストラック氏は認めている。しかし、バッティ氏が料理を気に入り、同社が投資を決めてくれたことは幸運だったと述懐する。ブラック氏はFreshlyの暫定的な共同CEOとなり、バッティ氏は暫定的なCTO、そしてパートナーのAndrew Bridge(アンドリュー・ブリッジ)氏は暫定的なCMOを務めた。

「私がBrandProjectで好感持ったところは、我々のところにやって来てビジネスにああしろこうしろと口出ししなかったことです」と、ウィストラック氏は続けた。「『これをやるべきだ』と言われることはありませんでした。それは私たちのビジネスであり、彼らは私たちがビジネスを構築するのを支援するチームメンバーだったのです」。

新しいファンドの背景にある考え方を説明するために、ウィストラック氏は投資のエコシステムを米国の学校に例えた。「アンドリューとチームが入って来るところは幼稚園から小学校で、とても手がかかります。新しいファンドでは、おそらく中学校になるでしょう」。

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(文:Anthony Ha、翻訳:Hirokazu Kusakabe)