SpaceXによる初の宇宙飛行士打ち上げをライブ中継、打ち上げは5月31日延期へ

SpaceX(スペースX)は米国時間5月27日の遅くに、フロリダのケープ・カナベラルから初の有人宇宙飛行ミッションを実施し、自社の歴史の中で大きな節目を迎えようとしている。このミッションは、NASAの宇宙飛行士のDoug Hurley(ダグ・ハーリー)とBob Behnken(ボブ・ベーンケン)を国際宇宙ステーション(ISS)に運ぶ、Crew Dragon宇宙船開発プログラムの集大成となる、「Commercial Crew Demo-2」である。

打ち上げは現在、ケネディ宇宙センターから東部夏時間5月27日午後4時33分(日本時間5月28日午前5時33分)に設定されているが、気象条件にも左右される。ここ数日の天候はあまり良くなかったが、SpaceXとNASAは打ち上げを遅らせるかどうかについて、打ち上げ予定時刻の約45分前に電話で協議する。もし今日の打ち上げが実施されなかった場合、5月30日と5月31日にも予備のウィンドウがある(編集部注:新たな打ち上げ日程は、東部夏時間5月30日午後3時22分(日本時間5月31日午前4時22分)。

これはSpaceXにとって初の有人宇宙飛行となり、2011年のスペースシャトル計画の終了後、アメリカからの初の有人ロケットの打ち上げとして、歴史に名を残すことになる。NASAは2010年にCommercial Crewプログラムを開始し、宇宙飛行士の打ち上げ能力を復活させるために官民のパートナーシップを模索し、最終的にはSpaceXとBoeing(ボーイング)の2社が有人飛行に適した宇宙船の設計・開発を行うことになった。SpaceXはこのプログラムで初めて、クルーを搭乗させた打ち上げを試みる。

Demo-2ミッションは、基本的にはCrew Dragonの最終テスト段階であり、その後は同宇宙船とそれを軌道に運ぶロケットのFalcon9が、定期的な宇宙飛行士輸送のための認証をNASAによって受けることになる。つまり、ISSへの宇宙飛行士の定期的な輸送サービスの提供を開始し、その移動手段としてロシアのSoyuzにくわわることを意味する。

一方、SpaceXはすでにCrew Dragonを民間人や科学者など、他の商業目的の乗客にも提供する計画を開始している。そもそもCommercial Crewプログラムの背景にあるのは、NASAが宇宙飛行士の輸送コストを下げるために、他の有料顧客に座席を提供して打ち上げや飛行にかかる費用を相殺することにある。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

スペースXが米陸軍とスターリンク衛星ネットワークのテストで契約

SpaceX(スペースエックス)は米国陸軍と新たな契約を締結し、軍はSpaceXが提供を予定している衛星ブロードバンドネットワーク、Starlink(スターリンク)をテストし、要求に合うかどうかを3年間に渡って評価する。この研究開発契約を最初に報じたSpaceNewsによると、これは米国軍部が実際の商業購買契約に先立って交わすいたって標準的な普通の契約だという。

SpaceXのStarlinkネットワークは現在まだ開発中で、2020年中に米国とカナダの一部顧客向けに提供を開始する予定だと同社はいう。同ネットワークは、低地球軌道の小型衛星を用いて全世界に低遅延の高速インターネット接続を提供することを目的としている。接続困難地域やサービスを十分受けていない地域の顧客ニーズに答えるべく設計されており、地球からずっと遠くにある静止衛星を利用した既存の衛星通信サービスよりも良好で信頼性の高いサービスになると同社は期待している。

地上局基盤の構築、およびSpaceXネットワークの既存システムへの統合にどんな投資が必要かを陸軍は見極めようとしているとSpaceNewsは報じている。大きな障壁がなければ、SpaceXのソリューションはさまざまな地域で軍が直面する多くの通信問題を解決する可能性がある。当然ながら、軍の活動場所は人口の多い地上ネットワーク基盤を利用できる地域とは限らない。

Starlinkの運用モデルが陸軍のニーズに合わない可能性はいくつかあり、例えばネットワークが依存している地上局は、軍の作戦場所からアクセス可能とは限らない。それでもStarlinkが軍の要件を一部だけでも満たし、大きな改善をもたらす可能性は十分にある。

Starlinkのサービスは、2020年中にSpaceXが数百台の衛星ネットワークを構築する間、定期的に展開される予定だ。SpaceXが軌道に乗せる衛星の数が多ければ多いほど、利用可能な地域は増え、各衛星は地球を周回しながら別の衛星へと接続を手渡ししていくので、通信が中断する可能性も低くなる。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Wi-Fi内蔵型スマートロック「August Wi-Fi Smart Lock」の新モデルレビュー、価格は2万7000円

ここ数年、新製品を発表していないAugust(オーガスト)だが、そんな中、2020年のCESで発表されたAugust Wi-Fi Smart Lockの販売が始まった。前世代のAugust Smart Lock Proに代わってオーガストの新たなフラッグシップ商品となるAugust Wi-Fi Smart Lockは、同社が展開するコネクテッドロックの最新世代で、機能満載のモデルである。デザインが改良され、Wi-Fiも搭載されている。オーガストはこれまで、既設のサムターンとデッドボルトを簡単に取り換えるタイプのロックでスマートロック市場を牽引してきたが、今回のAugust Wi-Fi Smart Lockにはあらゆる点でこれまでの評価をさらに押し上げる改良が施されている。

デザイン

共同創業者の1人にYves Béhar(イヴ・べアール)氏が名を連ねるオーガストのデザインはもともと評価が高い。今回のAugust Wi-Fi Smart Lockもベアール氏がデザインを監修したため、非常にオーガストらしいデザインに仕上がっているが、見た目も触れたときの質感も以前と比べてさらに上質になっている。筆者がレビューしたサテン調ニッケル仕上げタイプもおしゃれで高級感があり(色はブラックも選べる)、手動で施錠・解錠するときに握る外縁部分の独特な手触りも心地いい。また、施錠中かどうかがひと目でわかる新機能として、少し隆起した「ポインタ」という部分が新たに追加されている。

スマートロックのデザイン

しかし、前世代モデルAugust Smart Lock Proのデザインから最も大きく変化した点は、かなり小型化されたということだ。オーガストによると、実際に体積比が45%減、奥行きは20%減とのことだが、その差は歴然と見て取れる。Smart Lock Proは比較的大きかったため、一部のドアには取り付けることができなかった。そのため、小型化によって実用性も機能性も向上したわけだが、それだけでなく見た目もかなり改善され、住宅のインテリアやエクステリアにもなじみやすくなった。

Wi-Fiを内蔵してもこれだけの小型化が実現できた理由の1つは、CR2電池を採用したことにある。Smart Lock Proで使用していた単三電池と比べたら取り扱う店はかなり少ないが、それでもドラッグストアやAmazonなどで簡単に手に入る。

サイズ以外でも設計がすばらしく、手で回せば物理的にドアを施錠・解錠することも簡単にできる。取り付けも前世代と同じく非常に簡単で、手先が特に器用でなくても設置できる。サムプレートを取り外すときに錠前の反対側を仮止めしておくマスキングテープまで同梱されており、専用アプリを見れば、既設のデッドボルトのメーカーに応じてどのサイズの同梱アダプタを使えばよいかが簡単にわかる。筆者が自宅のサムターンをこの製品に交換してみたところ、すべて完了するまでに5分しかかからなかった。

機能

オーガストの技術の核心は、スマホからドアの施錠・解錠ができることである。August Wi-Fi Smart LockではWi-Fiが内蔵されたため、今までよりはるかに簡単にこの技術が使えるようになった。オーガストの従来製品はBluetoothにしか対応していなかったため、Wi-Fiに接続するにはブリッジとなるConnectドングルを別途購入し、家の中のコンセントに差し込んでBluetoothでロックと接続する必要があった。

Connectが不要になったため、セットアップ時にWi-Fi Smart Lockをインターネットに接続すれば、オーガストのスマホ用アプリでどこからでもロックを操作できるようになった。オンラインであればいつでもスマホの画面からドアの施錠と解錠ができるし、他の人に操作の権限を付与するなど、他にも多くの機能を利用できる。

オーガストの製品では、友人にEメールで仮想キーを提供することができる(仮想キーを使用する友人もアカウント登録が必要)。ロックの操作が不要になった人からは権限を取り消すこともできるため、この機能はAirbnbホストに重宝されている。また(いずれまた旅行ができる状況になったときの話だが)自宅にいるペットのエサやりを隣人に頼みたい場合や、自分がいないときに家族に自宅に入っていてもらいたい場合などにも便利だ。さらに、この機能は同居人と共有できるため、同居人が無制限の操作権限や管理権限を持つオーナーになるように設定することもできる。

August Wi-Fi Smart Lockには自動施錠機能もついている。ドアを閉めてからすぐ、あるいは一定時間の経過後に自動的に施錠されるように設定できる。この機能を使うには、セットアップ時に同梱のDoorSenseという磁気センサーをドア枠に取り付ける。

自動解錠については、筆者が試したところ大抵はスムーズだったが、玄関前に来てスマホのAugustアプリで「Welcome home」通知が表示されたのにドアが自動で解錠されず、スマホ画面でアプリを開いてボタンを押さなければならないということが何回かあった。しかし、全体的にはきちんと機能している感じがするし、買い物袋で両手がふさがっているときなどには非常に便利な機能である。

性能

スマートロックの動作

August Wi-Fi Smart Lockでは、デザインが刷新されてWi-Fiが内蔵されたが、中核機能は従来のオーガスト製品からあまり変わっていない。性能については、少なくとも前世代モデルと同程度の信頼性が備わっていると思う。筆者が専用アプリを使って家の内外から何度も施錠と解錠を試してみたところ、一貫してスムーズに機能した。

オーガスト製品はまた、Alexa、Google Home、HomeKitなどの音声アシスタントにも対応している。筆者はHomeKitを試してみたが、解錠がうまくいかなかったことが少なくとも1回あり、動作が少し不安定な感じがした。しかし全体的には、Augustアプリから直接操作する場合より少し反応が遅いものの、スムーズに動作する場合の方が多かった。音声コマンドで解錠することも可能だが、その場合は専用アプリで認証コードを登録しなければならない設計になっている。誰かがドアの外から大声でAlexaに話しかけて解錠するといった不正操作を防止するためだ。

施錠や解錠が行われるとプッシュ通知を受け取れるようにするオプションのほか、ドアの開閉ステータス、手動・自動・リモートでの施錠・解錠の履歴など、ロックの使用履歴をすべて保存するオプションも利用できる。誰がいつどのように自宅に入ったのかを確認できるため安心できる。

総合評価

コネクテッドロックを長年作り続けて高い評価を受けてきたオーガストは、その実績が買われ、2017年にYaleなど数々のブランドを抱える世界有数の錠前メーカーAssa Abloyに買収された。買収後初の新製品となるAugust Wi-Fi Smart Lockは、オーガストならではの製品開発力が依然として健在であることを感じさせる製品である。簡単に手ばやく取り付けられて人間工学的にも優れており、美しいデザインと高い互換性を誇るAugust Wi-Fi Smart Lockは、スマートロックとして非常に優秀な製品である。特に自動施錠・解錠機能によって、使い走りから犬の散歩まで、毎日の外出が大きく変わる。ちょっとした便利機能が使えるだけで、何気ない日常の動作がこんなにも楽しくなるなんて驚きだ。

August Wi-Fi Smart LockはAugust.comとBest Buyで販売されており、価格は249.99ドル(約2万7000円)。5月17日からは他の小売店でも販売が開始される。

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Category:ハードウェア

Tag:スマートロック August ガジェット

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(翻訳:Dragonfly)

Googleマップのエンジニアが作った公共スペースを安全に再開するためのアプリ

新型コロナウイルス(COVID-19)の脅威は続くが、その中にあって経済活動を円滑に再開しようと提案、あるいは開発されているテクノロジーは多数ある。そうした取り組みのひとつが、Keyholeの共同創業者だったBrian McClendon(ブライアン・マクレンドン)氏から米国時間5月22日に発表された。Keyholeは2004年にGoogleに買収され、Google EarthとGoogleマップのベースになった企業だ。マクレンドン氏が新たに始めたCVKey Projectは認可を受けた非営利団体で、症状を自己診断して一時的なQRコードを生成するアプリをリリースする。そのQRコードは、例えば図書館など、このプロジェクトに参加する各地の施設に入るための健康状態の「パス」として今後機能する。

CVKey Projectは、最終的には公共のスペースを安全に再開するのに役立つ一連のアプリをリリースしたい意向だ。先日、AppleとGoogleがリリースした濃厚接触通知APIを利用して、CVKeyのアプリにも通知機能が組み込まれるかもしれない。CVKeyは、現在の政府のガイドライン下でオープンしている施設と、その施設の新型コロナウイルス感染拡大防止ポリシーに関する情報を提供することも計画している。

CVKeyのアプローチの中心となるポイントは、アプリユーザーが共有スペースに入っても「安全な」人であると確認するために、アプリが生成するQRコードを利用することだ。マクレンドン氏によれば、利用者のプライバシーには配慮してシステムを設計しているという。個人を特定する情報や健康に関するデータが保管されるのはユーザーのデバイスのみで、ユーザーの同意なしにデータがクラウドサーバーにアップロードされたり共有されたりすることはない。共有した結果どうなるかという情報も提供される。ユーザーは自発的に自分の健康に関する情報を提供し、アプリが位置情報を求めることは一切ない。インターネットに接続していなくてもほとんどの機能が動作するとマクレンドン氏は説明している。

自分のQRコードを生成してこのシステムに参加している施設でスキャンすると、施設のポリシーに基づいて、ユーザーが中に入ってもいいかどうかがシンプルなバイナリで示される。施設側には、利用者の健康に関する情報は提供されない。コードが伝えるのは症状に関する項目(症状やその時期など)だけだ。その症状が公共スペースのポリシーに反していないかどうかが判定され、それによってアプリが入場の可否を判断する。

マクレンドン氏は、Google EarthやGoogleマップ、Uberで一緒に仕事をしていたManik Gupta(マニク・グプタ)氏とWaleed Kadous(ワリード・カドゥス)氏、そして公衆衛生の専門家で公共機関や民間組織で長くリーダーを務めてきたMarci Nielsen(マルシ・ニールセン)博士とともにCVKey Projectを立ち上げた。

CVKey Projectのアプリはまもなくリリースされる予定で、同プロジェクトではこのプログラムに参加するパートナーを募集している。新型コロナウイルス対策として作られているものはいずれも単純な解決策ではなく、それはこのプロジェクトも同様だが、感染拡大に対応するための大規模な戦略の一部となる可能性はある。

画像クレジット:Getty Images

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(翻訳:Kaori Koyama)

仕事にも運動にも最適なJabraのElite Active 75tワイヤレスイヤフォン

ここ数年の技術の進歩により、ほとんどの完全ワイヤレスイヤフォンは、以前よりかなり良いものになってきている。そのため、この分野では、ライバル間の差がかなり縮まってきているようにも思われる。とはいえ、何社かが抜きん出ているのも確かだ。そしてJabraは最新の完全ワイヤレスイヤフォンElite Active 75tによって、一歩進んだパフォーマンスを提供する。

概要

JabraのElite Active 75tは、非常に人気の高い同65tシリーズの後継モデルだ。名前に「Active」が含まれていることからもわかるように、特にエクササイズ中の使用を意識して、耐湿性を強化している。価格は199.99ドル(日本では税抜き2万1800円)で、どちらかというと高価な部類に属する。ただし、IP57の防水性と耐汗性を備えていることを考えれば、このカテゴリの同等の製品の多くと比べて、ずっと手頃な価格といえるだろう。

Elite Active 75tは、1回の充電で7.5時間使えるバッテリー寿命を誇っている。コンパクトな充電ケースはバックアップ用の電源として機能し、本体とケース、それぞれ1回の充電で最長28時間の合計使用時間を実現する。このケースには、USB-C経由で充電できる。またわずか15分の充電で、60分間の使用が可能な急速充電機能も備えている。

アクティブなノイキャン機能は実現していないが、パッシブなノイズブロック機能と、調整可能なパススルーモードを備えている。それによって、周囲の音をどれだけ取り込むかを調整できる。これはランニングや他の運動の際に、安全を確保するのにかなり有効だ。

Bluetooth 5.0を採用して、低消費電力と接続距離の延長を両立している。片側のイヤフォンを耳から外すと自動的に再生を一時停止し、付けると再開する。また、4マイクアレイによって、高品質の通話音声を実現している。

デザイン

Elite Active 75tは、デザイン面でも多くの特徴を備えている。前任機の65tは、インイヤータイプとして、市販品の中で最もコンパクトでかさばらないイヤフォンだった。この75tはさらに小さくなり、非常に軽量で快適に使用できる。巧みな形状により、ランニングや運動中にずれ落ちたりすることもない。私がテストした際には、屋外を30分ほど走る間、押し込み直したりする必要は一度もなかった。

これだけ快適なら、運動中はもちろん一日中デスクワークをする際に使うのにも適している。実際に使ってみると、7.5時間というバッテリー寿命も、決して誇張ではなかった。その点も、平日の仕事用に適している理由だ。

JabraがElite Active 75tに盛り込んだもう1つの重要なデザイン的特徴は、両方のイヤフォンに大きな物理ボタンを設けたこと。これは、他の多くのイヤフォンに見られるタッチ式のコントロールよりもはるかに優れていて使いやすい。イヤフォンでのさまざまな操作も、かなり憶えやすい。

デザインについてもう1つ付け加えれば、Elite Active 75tに付属する充電ケースも、市販品の中でもっともスリムにまとめられている。マッチ箱を2つ重ねたほどの大きさしかない。小さなポケットにも余裕で入る。イヤフォン本体と同様に、ケースの外側も薄くにゴム引きされたような仕上げになっている。これにより滑りにくくなるが、写真を見てもわかるように汚れが付きやすい。とはいえ、製品写真を撮影するような場合を除けば、それほど気になることはないはずだ。

ケース内部のデザインも優れている。イヤフォンを収納するくぼみの部分には、マグネットを内蔵しているため、ケースに収納する際に簡単に正しい位置に収めることができる。これによって確実に充電できる。こうした点も含めて、よく考えられたユーザー体験を実現しているといえる。

パフォーマンス

Jabra Elite Active 75tが、すでにユーザーの間で高い人気を得ている理由は明白だ。何よりも、豊かで心地よい音質を実現している。しかも、Jabra Sound+という専用モバイルアプリを使って、簡単に音質を調整できる。特に運動中に使用することを考慮して設計されたイヤフォンとしては、卓越した音質を実現している。

バッテリー寿命についても、カタログスペックどおりだ。1回の充電で利用できる時間も、このクラスではトップレベル。すでに述べたように、屋外での長時間の運動にも、デスクワークに一日中使い続ける場合にも、これは大きなメリットとなる。内蔵マイクの音質は通話相手にとってクリアで、聞き取りやすいようだ。私がテストした範囲では、内蔵のノイズ低減機能もかなりうまく機能する。

私にとっては、フィット感もすばらしい。Jabraはイヤフォンをあるべき位置に固定する方法をよく心得ているのだろう。どんなに動き回ったり、汗をかいたりしてもびくともしない。運動中にワイヤレスイヤフォンを耳に押し込み直したり、付け直したりする必要をまったく感じさせないのは、本当に新鮮な体験だった。

結論

ますます競争が激しくなるワイヤレスイヤフォン市場において、Jabraはずっと優れた仕事をしてきた。そしてこのElite Active 75tの成功も間違いないだろう。サイズ、快適性、バッテリー寿命とどの点においても他を寄せつけない。さらに、優れた音質と優れた通話品質を誇っている。フルワイヤレスのイヤフォンの音質をもっと向上させる方法はあるが、通常それにはかなりのコストがかかり、往々にして他の利点のいくつかを犠牲にすることになる。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

NASAとSpaceXによる初の商業有人宇宙飛行の準備完了

NASA(米航空宇宙局)とSpaceX(スペースエックス)は、2010年の商業乗員輸送プログラム開始以来、両社が準備を続けてきた瞬間に限りなく迫っている。SpaceXのFalcon 9(ファルコン・ナイン)ロケットおよび宇宙船Crew Dragon(クルードラゴン)は、NASAのDoug Hurley(ダグ・ハーレー)、Bob Behnken(ボブ・ベンケン)両宇宙飛行士を乗せて国際宇宙ステーションへの旅に飛び立つ準備を完了し、米国時間5月25日にNASAとSpaceXは、最終飛行準備完了確認審査を終えたことを発表した。これは、打ち上げに向けてすべての準備が整ったことを意味している。

NASAの商業乗員輸送プログラムのマネージャーであるKathy Leuders(キャシー・ロイダーズ)氏は25日の記者会見で、現時点までの打ち上げ前確認作業は、Falcon9の地上燃焼テスト、ハーレー、ベンケン両宇宙飛行士がロケットに固定される打ち上げ前最終リハーサルを含め、すべて滞りなく終了したと語った。

SpaceXとNASAにとって唯一残る大きな課題は天候であり、東部標準時間5月27日16時33分に予定されている打ち上げの実施可能性は現在約40%にすぎないが、25日の会見で当局者は,現在の気候は上向きだと話している。

SpaceXとNASAは現在から27日までの天候に細心の注意を払うことになる。そしてこれは人間宇宙飛行士が搭乗する極めて神経を使うミッションであることから、もし天候がよくなければ安全方向に舵を切って打ち上げを延期する可能性が高い。延期に備えて5月30日が予備日として用意されており、さらに5月31日も準備されている。

SpaceXの機能保証担当副社長であるHans Koenigsmann(ハンス・ケーニヒスマン)氏は、22日の地上燃焼テストには「何の障害もなかった」ことを伝え、ドレスリハーサルで本物の飛行士がCrew Dragonに乗り込むところを見たことは、この瞬間の大切さと影響力を強調するものだったと語った。これはSpaceXにとって初めての有人宇宙飛行であり、米国の地から宇宙飛行士が飛び立つのは2011年のスペースシャトルプログラム終了以来の出来事だ。

ケーニヒスマン氏から打ち上げ当日のスケジュール説明があり、ハーレー氏とベンケン氏は4時間前に服装などの準備を整え、Tesla Model Xの宇宙飛行士輸送特別仕様車で約3時間前に到着、カプセルには発射時刻の2時間半前に乗り込む。そこから後はこれまでのFalcon 9打ちあげとほぼ同じで、同氏によると唯一違うのは発射45分前に脱出システムが装着され、10分後に取り外される点で、その後は他のFalcon 9と同じように自動打ち上げシステムが制御を引き継ぐ。

打ち上げられた後、ハーレー氏とベンケン氏は軌道上で19時間過ごし、ドッキングの30分前に、軌道上昇噴射と手動飛行テスト(Crew Dragonはそれ以外完全自動制御下にある)を行う。その後ドッキングして約2時間後にハッチを開く。

ハーレー氏とベンケン氏がISS出発して帰還するスケジュールは流動的で、打ち上げ後6~16週間の間にNASAから発表される。両宇宙飛行士は再びCrew Dragonに乗り込み、宇宙服を装着してステーションを離れてから約2時間後に大西洋に着水して回収される。

これは長年の努力の結晶であり、商業乗員輸送プログラム初の有人飛行となる。成功すればSpaceXは、飛行士を宇宙ステーションと往復させる通常任務としての有人飛行を、早ければ2020年中に開始できる可能性がある。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

中国が火星軌道周回機と探査車ミッションを7月に打ち上げ

中国の現在の宇宙開発計画によると、7月に火星探査ミッションを打ち上げる予定だ。これには火星を探査するための軌道周回機と、地表探査のための遠隔操作ロボット探査車(ローバー)が含まれる。一方アメリカも、火星でのロボット探査車ミッションを計画しており、火星へと最も効率的に飛行できる今年の夏に打ち上げられる予定になっている。

これは中国の宇宙開発計画にとって最初の火星への探査車ミッションとなり、NASAの宇宙探査計画に対抗する計画のうちの1つだ。NASAはこれまでに4回の火星探査車ミッションを実施しており、5回目のミッションはPerseveranceと呼ばれる最新の探査車で、2020年に打ち上げられ2021年2月に火星へと到着する予定だ。

NASAのミッションには、野心的な岩石サンプルリターン計画も含まれており、それを持ち帰るための初となる火星からの宇宙船打ち上げも含まれている。NASAはまた、このミッションで初の大気圏用空中探査機を火星に送り込む予定だ。これは、火星上空を短時間飛行しデータを収集するヘリコプタードローンである。

中国は新たに独自の宇宙ステーションを開発し2022年までに打ち上げるなど、いくつかの宇宙探査計画を進めている。また同国は最近、新しい有人ミッション用の宇宙船の試験打ち上げを行い、これは最終的には中国の宇宙飛行士を月面に着陸させるミッションにも使用されることになる。

一方NASAは、特に月への到達と恒久的な人間の存在を確立することに関連した、宇宙での国際協力を継続するために提案された新しい規則の草案を発表した。同宇宙機関はまた、米国時間5月27日の水曜日にSpaceXのクルードラゴン宇宙船で宇宙飛行士が搭乗した初のデモンストレーション打ち上げを実施し、米国の宇宙飛行士打ち上げへの復活を目指している。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

今週はSpaceX、Virgin Orbitなどの民間宇宙企業にとって重要な週となる

今週は民間宇宙企業関連で過去最大の週となりそうだ。特に重要なイベントはヴァージン・グループの宇宙企業であるVirgin Orbitのロケット空中発射とSpaceXの有人カプセル打ち上げだ。

Virgin Orbitがいよいよ実際に衛星を軌道に乗せた民間宇宙企業というエリートクラブに加入しようとしている。今週予定されているテストは実際に747旅客機を改造した母機に吊り下げたロケットを空中発射することを予定している。一方、SpaceXは有人のCrew Dragon宇宙カプセルを打ち上げる。これによって米国はスペースシャトルの退役後失われていた有人宇宙往還機能を獲得する。またFalcon 9は「有人宇宙飛行可能システム」と格付けされる。

Virgin Orbitがいよいよ最初の衛星実現を目指す

Virgin Orbit 87Virgin Orbiは当初、この5月24日に最初の衛星打上実験を行う予定だったが飛行前のチェックでセンサーに不具合が発見されて延期された。

非常に慎重なチェックが行われるのは、テストがこの上なく重大なマイルストーンを達成することになるからだ。成功すればVirgin Orbitは現役の「衛星打ち上げ企業」に認定される。この資格を主張できる企業は世界でも数えるほどしかない。

SpaceXが歴史的な有人飛行再開に向けて最終承認を得た

SpaceXは先週、同社として初の有人宇宙飛行に向けて最終リハーサルを行い、FRR(最終飛行準備審査)をクリアした。SpaceXは米国時間5月25日にパートナーのNASAと共同で実際の打ち上げに向けたFRRを実施する。これをクリアすればいよいよ5月27日の打ち上げに臨むことになる。もちろん天候や最終チェックによってこのスケジュールが変更される可能性がある。

三菱重工のH-IIBロケットは運用終了

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日本の三菱重工の主力衛星打上ロケットであるH-IIBはISS(国際宇宙ステーション)への物資補給を成功させ、補給船「こうのとり」は大気圏に再突入して消滅した。高い信頼性を誇ったH-IIシリーズだが、今回のミッションで運用は正式に終了し、後継のH3ロケットの打ち上げが2022年に計画されている。

NASAの有人宇宙飛行責任者が突然辞任

SpaceXとNASAの宇宙飛行士2名が新たな歴史を作ろうとしている中、NASAの有人宇宙飛行の責任者が先週突然辞任した。情報によればDoug Loverro(ダグ・ロベロ)氏はNASAの有人月面着陸プログラムにおけるビジネスパートナーの選定にあたってある種の不適切行為があったという。公式発表はなく詳細はまだ不明だ。

ザイリンクスが宇宙空間で稼働する機械学習チップを発表


Xilinx(ザイリンクス)は宇宙のような過酷な環境で作動するICチップに特化したメーカーだ。宇宙空間では激しい温度変化、強い放射線などに耐えなければならない。同社のFPGAプロダクトはこうした用途を前提としており、宇宙空間で作動するチップとして初めて20nmスケールを達成した。これは専用の機械学習機能を初めて搭載しており、エッジコンピューティングの概念を宇宙空間にまで拡張する画期的なプロダクトだ。

NASAは「アルテミス協定」で宇宙空間利用ポリシーの現代化を目指す

宇宙空間はこれまで概して平穏で国際的な紛争は少なかった。第一に宇宙空間に到達するのは困難かつ高価な計画であり、しかも現在、宇宙空間利用に関して適用されている条約やルールが作られた30年から40年前にはわざわざ宇宙空間に出ていくメリットも今ほど明確ではなかったからだ。NASAが発表した新しい宇宙空間利用ルールであるアルテミス協定(Artemis Accords)は現在のルールの多くを踏襲しているが、同時に宇宙利用ポリシーの現代化を図る側面もある。これは関係者の間で賛否の議論を巻き起こすことになるだろう。

ULAが米宇宙軍の実験宇宙機の打上へ

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2010年3月30日にフロリダ州タイタスビルの滑走路をX-37B 軌道実験機がテストのためにタクシー中(画像クレジット:Astrotech)

先週ULA(ユナイテッド・ローンチ・アライアンス)は米国宇宙軍のX-37Bの打ち上げに成功した。X-37Bは謎につつまれた実験的な軍用宇宙機で、新たに設置された宇宙軍として最初の打ち上げとなった。我々も報じているとおりX-37Bはこれまでに長時間飛行しているが、打ち上げは米国空軍が実施していた。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

【マイク編】自宅のテレビ会議環境を最大限に活用する方法

サウンドがリモートの世界を動かす

在宅勤務がすぐに無くなってしまうことはない。そして多くの企業が、リモートワークの実践を、延長または永続化するための、長期的な取り組みを発表している。ということは、現在の自宅のビデオ会議環境を、さらに改善する絶好のチャンスだと捉える人もいるということだ。そこで私たちは、様々な基本要素を詳しく眺めて、読者の方々ビデオ会議やライブ放送の改善に役立つものは何かという探求を始めた。今回取り上げるのは、オーディオに関するものだ。

マイクの基本

前回の特集では、MacまたはPCが単体で生み出すものよりも優れた音を得ることができる、素晴らしい入門レベルのアドオンマイクにスポットを当てた。その中の1つに挙げられたのが、USBを介して直接接続することが可能で、カスタマイズを必要とせずに素晴らしいフルボディのサウンドを得ることができる、ロングセラーのSamson Meteor Mic(サムソン・メテオ・マイク)だ。

また、シンプルで安価なワイヤレスマイクキットのRode Wireless GO(ロード・ワイヤレス・ゴー)も挙げられる。これは単体で使用することもできるし、Rode Lavalier GO(ロード・ラベリア・ゴー)などの小型マイクロホンと組み合わせて多少音質を向上させることもできる。Rodeはまた、Meteor Micと同様に、優れたUSBマイクも提供している、素直に動作して100ドル(約1万800円)程度の価格で売られているRode NT-USB Miniだ。Meteor Micと比較すると、特定の環境での利用をより柔軟にするための、マグネット式デスクスタンドのようなデザイン上の特徴を持っている。そして生み出すサウンドもまた素晴らしいものだ。

Rode Wireless GOの環境をより改善するために、もしく有線小型ウェアラブルマイクをコンピュータやオーディオインターフェースに直接接続して使うために、Sennheiser(ゼンハイザー)から優れた選択肢がいくつか提供されている。それは、たとえどのような使い方をしたとしても、わずかながらもはっきりと認識できる音質の向上をもたらす。

Sennheiser MKE Essential Omni(ゼンハイザー・MKE・エッセンシャル・オムニ)は、舞台制作やその他のプロフェッショナルな現場でよく使用される優れたピンマイクで、その小ささによって、付属のクリップを使用して衣服や髪の毛にさえ簡単に隠すことができる。あるいはイヤーセットホルダーに装着して、口に近い頬の位置に置くこともできる。装着方法によって若干異なるサウンド特性が得られることになるが、大抵の場合は素晴らしく温かみのあるサウンドが得られる。またコストも200ドル(約2万1500円)程度であり(サウンド機器の相対的価格としては)それほど高価ではない。

SennheiserのME 2-IIも、優れた結果を得られるまた別の低コストオプション(129.95ドル、約1万4000円)で、Rode Wireless GOなどのワイヤレストランスミッターと一緒に使うことができるが、MKE Essentialに比べると温かみや存在感がやや劣る。

サウンドに真剣に取り組む

ハイエンドの装着型小型マイクは、その時点で既に高額な領域に入り始めるが、ほとんどのオーディオ機器と同様に上をみたらきりがない。これは、ショットガンマイクにも当てはまる。これは、最高のサウンドを求めるためのまた別のオプションであり、画面の中に見苦しいマイクを写したり、(ピンマイクなどの)物理的に非常に小さなマイクを使うことによるある程度の音質トレードオフを受け容れたり、といった妥協を排することができる。

前回の投稿では、Rode VideoMic NTGをオプションの1つとして利用することについて説明した。これは、実際に試してみるのに最適なミドルレベルのショットガンマイクだ。そして内蔵バッテリー、コンパクトなサイズ、そして最新のさまざまなカメラとのインテリジェントな互換性によって、野外でカメラと組み合わせて利用する際の様々な利便性も備えている。

しかし、ホームスタジオで使用する場合に限れば、その用途にはるかに適したショットガンマイクがある。Rode NTG3が個人的なお気に入りだ。そしてそれは正当な評価によって、放送および映画業界でも人気のある標準だ。NTG3は、標準XLR出力を備え、48Vファンタム電源を必要とする筒状のマイクであり、カメラが固定位置に置かれ演者もどちらかといえば固定位置にとどまっているようなケース(すなわち大多数のひとの自宅作業環境)の動画撮影時には完璧だ。

とはいえ、Rode NTG3は多少お値段が張る ―― 699ドル(約7万5000円)だ。これは非常に高品質な標準のポッドキャスティングマイクよりも高価である。だがその価格に見合うだけのことはある、(必要があればだが)屋外での撮影用に向く耐湿性を備えた非常に高品質のハードウェアを手に入る。そしてカメラの視野から離れたところに設置されていてもそのサウンドは非常に優れたものだ。

また、そのピックアップパターンは超単一指向性だ。つまり、直接正面のサウンドを拾うことに関しては優れているが、側方からのサウンドはあまり拾わないということだ。これは、ロケ地での映画撮影と同じように、ほとんどの共有ホームオフィス空間では有利な性質である。

人気が高くより低価格で入手可能な、別のおすすめオプションは、Sennheiser MKE 600だ。価格はNTG3の約半分の価格である約330ドル(3万6000円)で、外に持ち出してカメラに接続したい場合に備えて、バッテリーが内蔵されている。ただしこれもXLRを使用しているため、コンピューターと一緒に動作させるためには、Focusrite 2i2や、最近リリースされたAudient EVO 4など(もしくは私のようにBlackmagic ATEM Miniのような機材を使っているならiRig Preなど)のプリアンプが必要だ。

MKE 600からのサウンドもトップクラスには違いないが、NTG3が持っているような自己ノイズの排除や、より深い声に適した深く豊かなトーンをキャプチャする能力には劣る。下のビデオでは、両方のショットガンマイクとSennheiser MKE Essentialを比較したものを確認できる。

 

また別のオプションは、一般にはポッドキャスターやラジオのパーソナリティが使っているところを見ることができる、ポールまたはブームに取り付けられたマイクを使用することだ。こうしたオプションには、Shure SM7Bなどの人気機種が存在している(その特徴的な形状からすぐに気がつくだろう)。私はオーディオポッドキャストの 自宅録音の一部をShure Beta 87A超単一指向性マイクで行っているが、下のビデオでもわかるように、無調整のままでも非常に優れたサウンドを提供してくれるにもかかわらず、ライブのビデオ会議やミーティング、そしてイベントなどでこのマイクを使うことをためらわせる理由がある。

 

もちろん、他にもさまざまなオプションがある。RodeとSennheiserの両方に価格の異なるオプションがあり、それらのほとんどは、支払った費用に見合う優れた品質を提供してくれる。オーディオの性質は、高音域、低音域、バランスのとれた音など、好みが分かれる非常に個人的なものだ。そのため自分に合うものを見つけるためには、多くの比較を行い、サンプルを聴く必要がある。

まとめ

結局のところ、映画やビデオ業界で定評のある質の高いブランドにこだわることが、自宅環境を最大限に活用するための優れた方法だ。上記で私が使用しているようなマイクには、さらに物理的な防音措置を施すメリットがある。例えばカーペットやタオルを敷くといった極めて簡単なものから、気泡パッドのような防音素材を買って壁に貼り付けるなどの手段だ。

サウンド はおそらく、ビデオ会議や仮想イベントの設定の中でも最も問題が発生しやすい部分だ。これは科学であると同時にアートでもあり、特にライブ環境では、最高の機器を使用しても制御が難しい変数がたくさんある。しかし、そこをさらに先に進んで行くことで、洗練されたプロフェッショナルに見えるのか、準備不足にみえるのかの違いが現れることになる。そのことはこの先増えて行く仮想フェイス・トゥ・フェイスワールドで差をつけることになるだろう。

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(翻訳:sako)

アップルとグーグルが新型コロナ濃厚接触通知APIをリリース、各国公衆衛生機関はアプリ開発へ

Apple(アップル)とGoogle(グーグル)は新型コロナウイルス(COVID-19)感染者と接触した可能性があることを通知するアプリのAPIを一般公開した。TechCrunchでも先月下旬、コロナウイルス接触者追跡APIとして報じている。両社はその後、名称をウイルスに対するExposure Notification System(曝露通知システム)に変更したが、この方が機能を正確に表現しているようだ。

このアプリのユーザーが新型コロナウイルス感染にしたと確定診断された場合、その情報は公衆衛生機関にもたらされる。公衆衛生機関はアプリを利用している他のユーザーで感染者と接触があった人々に対し感染リスクがあることを警告する。個人を識別できる情報や位置情報などのプライバシーは十分に保護される。

今回の正式公開によりすべての公衆衛生機関がアプリのAPIを使用できるようになった。これまで両社は開発に必要な情報を得るためにベータ版のみを公開していた。正確にいえば、APIを利用するのは公衆衛生機関の依頼を受けてアプリを開発するデベロッパーだ。 つまり両社自らがリスクの通知やモニターアプリを作っているわけではない。

両社によると、米国の州多数と5大陸の22カ国が、感染警告アプリの開発のために感染データを処理できるツールの提供を要請していたという。公衆衛生機関は今回のリリースでAPIを利用できるようになったが、さらに機能の拡充を望んでいる。これまでに両社は、当局者、疫学専門家、アプリのデベロッパーのために説明会や講習会を24回以上開催してきたという。

感染リスクを通知するAPI はユーザーを識別する必要があるため、デバイス内でランダムに生成される鍵を利用する分散型識別システムとなっている。識別鍵はユーザーが使用するデバイス自身の識別情報などにはリンクせず、短時間で破棄されて別の鍵で置き換えられる。このAPIを利用する場合、公衆衛生機関は、感染リスクのあるユーザーとの接触持続時間や距離で独自に設定することが可能だ。

さらに両社は、感染リスクがあると通知されたユーザーが公衆衛生当局に対して自発的に健康状態を提供できるようにする。この場合、当局がユーザーに直接連絡して適切な対応を指示できるようにしていくという。

APIの開発にあたり、両社はプライバシーに最大限に配慮したという。組み込まれたプライバシー保護機能には、例えばBluetoothメタデータ(信号強度や送信電力など)の暗号化も含まれる。このようなデータは、可能性は低いもののデバイスを特定し、ひいてはユーザー自身を特定することに利用される可能性があるためだ。

またユーザーから位置情報の利用許可を得る必要があるアプリにこのAPIの使用することは明示的に禁じられている。公衆衛生当局が開発している感染追跡用のアプリには位置情報データを利用しているものがあるが、そうしたアプリはこのAPIにアクセスできない。このためアプリの開発方針の変更(未訳記事)も行われている。

両社はAPIの公開に関して以下のような共同声明を発表した。

アウトブレイクの発生時に公衆衛生当局が使用してきた最も効果的な手法の1つに、接触追跡と呼ばれるものがあります。このアプローチを通じて公衆衛生当局者は、感染者に濃厚接触した可能性のある人々に接触し、検査し、治療し、助言する。コンタクト・トレーシングの新しい要素の1つが、濃厚接触通知です。プライバシー保護のためのデジタル技術を使用して、ウイルス感染者に濃厚接触した可能性のある人に通知します。Exposure Notificationには、迅速な通知という具体的な目標がありますが、これは無症状で感染する可能性のある新型コロナウイルスで感染の拡大を遅らせるために特に重要です。

この取り組みを支援するために、アップルとグーグルは協力して、Exposure Notifications技術を構築しました。これにより、公衆衛生機関が作成したアプリがAndroid端末とiPhoneの両方でより正確に、より確実に、より効果的に動作するようになります。ここ数週間、両社は協力して、世界中の公衆衛生当局者、科学者、プライバシー保護団体、政府指導者に働きかけ、彼らの意見や指導を取りまとめてきました。

本日より、当社の濃厚接触者通知技術は、iOSとAndroidの両方で公衆衛生機関に提供されています。私たちが開発したものはアプリではありません。各国の公衆衛生機関が、ユーザーがインストールする独自のアプリにAPIを組み込むことになります。私たちの技術は、これらのアプリがよりよく機能するように設計されています。システムはデバイスから位置情報を収集したり使用したりすることはありません。ユーザーの採用が成功の鍵であり、これらのアプリの使用を促進するためには、これらの強力なプライバシー保護が最善の方法であると私たちは考えています。

本日、この技術は世界中の公衆衛生機関の手の中にあり、彼らが先頭に立ち、私たちは彼らの努力を支援し続けていきます。

両社は感染警告機能をモバイルOSそのものに組み込むことを計画しており、今年後半のiOSおよびAndroidのアップデートで実施されると述べていた。ただしこの「第2段階」の内容はさらに修正される可能性がある。両社によれば「新型コロナウイルス感染抑制対策としてどのような機能がシステムレベルに搭載されるのが望ましいか公衆衛生当局と協議を続けている」とのことだ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

新型コロナウイルス 関連アップデート

Fitbitが北米ユーザーを対象に新型コロナ早期検知の研究を開始

Fitbit(フィットビット)の運動量を追跡するためのウェアラブルデバイスは、新型コロナウイルス(COVID-19)やインフルエンザの早期検知に使えるかどうかを確かめるために多くの研究機関にすでに活用されている。そして今度は、Fitbit が自前のFitbit COVID-19研究を立ち上げる。この研究ではユーザーが自身のFitbitモバイルアプリからサインアップできる。

この研究は、新型コロナ感染症状が出る前に感染を正確に検知するためのアルゴリズムを開発できるかどうか探るために活用される。これを確かめるのに必要なデータを集めるため、同社は米国とカナダのユーザーで新型コロナに感染したか現在感染している人、もしくは感染を疑わせるインフルエンザのような症状を有している人に、研究のためにいくつかの質問に応えるよう依頼する。

質問に対する参加者の答えは、新型コロナウイルス感染を初期段階で警告できるパターンを特定するために、ユーザーのFitbitデバイス経由で集められたデータとペアリングされる。症状が出る前の感染検知には多くのメリットがある。個人がより素早く自己隔離でき、他人への感染を予防できる。

早期検知はまた治療面でもメリットがある。医療従事者が早期に治療を開始でき、最悪の症状を防ぐことができるかもしれない。最終的にどんな治療法が開発されるかにもよるが、早期の検知は治療効果に大きな影響をもたらす。

同社は、研究参加者に新型コロナウイルスにかかったかどうか、新型コロナウイルスやインフルエンザウイルスのような症状があったかどうか、症状の内容、人口統計的情報、病歴などについて質問する。研究への参加は任意で、参加を決めてからそうした情報を共有したくないとなった場合はいつでも参加を撤回できる。

新型コロナ早期検知は、経済再開のための安全で実用的な職場復帰戦略をサポートするものになり得る。また、研究結果で明らかにされる精度やどのデバイスを使うかにもよるが、テストと併用することで診断を広範に行う手段になるかもしれない。確認された新型コロナ診断というのは必ずしもテスト結果を意味する必要はない。診断というのは、生体データや症状の出方などいくつかの要因に基づく医師の判断だ。総合的な新型コロナ抑制策によっては、ウェアラブルの活用は新型コロナの感染の規模と広がりの評価において将来大きな役割を果たすことになる。

“新型コロナウイルス

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(翻訳:Mizoguchi

軍資金を全投入して自宅で最高のビデオチャット環境をつくる方法、予算別で紹介

数週間前に比べてビデオ会議を使う機会が増えた、という人は多いだろう。以前から頻繁に使っていた人でも、ここ数週間でさらに頻度が高くなったのではないだろうか。この状況がすぐに変わることはなさそうだ。であれば、ビデオ会議を徹底的に活用してみるのはどうだろう。MacBookに搭載されている標準的なウェブカメラでもビデオ会議の目的は果たせるが、素晴らしい出来にはほど遠い。ビデオ会議の質を上げるには予算に応じてさまざまな方法がある。毎日のバーチャル立ちミーティングをもう少しまともにするとか、バーチャル会議でのプレゼンの質を上げるとか、新しいビデオポッドキャストを立ち上げるとか、さまざまな目的を達成するために手持ちの機器でできる対策や、最高レベルのビデオと音声を手に入れるために必要な機材について、いくつかアドバイスしてみたい。

レベル0

照明を点けて正しい場所に置く

ビデオ会議でカメラ映りを向上させる最も簡単な方法は、手持ちの照明を点けてカメラの背後に置き、顔を照らすようにすることだ。つまり、照明を移動するか、今ある照明がすべて固定されている場合はコンピュータを移動するだけでよい。これだけで劇的に見栄えがよくなる。以下に挙げる例を見てほしい。これは筆者のMicrosoft Surface Book 2の画面だ(Surface Book 2内蔵のカメラは、内蔵ビデオカメラとしては最高の部類に入る)。

証明設定なし

上の画像は部屋の天井の照明しか点いていない状態だ。下の画像は、手持ちの照明を点けてSurface Bookの後ろ斜め上に固定したものだ。ビデオがオンになっているのに気づかずに不意打ちを食らったような感じがなくなって、実際に会議に出席していてもおかしくないくらいの画質になっている。

証明設定あり

背景に映り込むものに注意する

ビデオ会議に出席するたびに周りを完璧に片付けるのは無理だとしても、少し時間を割いてカメラに何が映るのかをチェックしておく価値はある。整然と並んだ装飾品などの他はほとんど何も映らないポイントを見つけるのが理想的だ。背景に入るドアは閉め、開いた窓の前ではビデオを撮らない。パンデミックのせいで部屋が散らかっている場合は、横にまとめてカメラに映らないようにしよう。

システムサウンドの設定を確認する

デバイスとオペレーティングシステムの入力ボリュームの設定がどこにあるのかを確認する。大半のアプリやシステムは妥当なデフォルト設定になっていて、そのまま使っても問題ない。しかし、たとえば自分以外にもう1人画面に収めるためにノートパソコンから離れて座るなど、普通とは違うことをするときは、スライダーを動かして音声入力のレベルを上げ、ビデオ会議出席者にこちらの音声が確実に聞こえるようにするとよい。

おそらくどんなアプリでも音声入力レベルは直接調整できると思うが、Macでは、「システム環境設定」>「サウンド」>「入力」に移動して、お使いのデバイスで入力レベルを直接調整できるかどうか、調整してみて望みどおりの結果が得られるかどうかを確認してみるとよい。

レベル1

外付けのウェブカメラを入手する

大半のノートブックやオールインワンパソコンの内蔵ウェブカメラでは、満足できる結果は得られない。しかし、専用のウェブカメラを購入すれば、まず間違いなく質を上げることができる。今はビデオ会議の質を上げようとして誰もがこぞってウェブカメラを買っている状態なので、在庫切れになっているかもしれない。予算が許すなら、私が下記の動画を撮影するのに使ったLogitech C922 Pro Stream 1080pなどを入手すれば、鮮明さ、微光での性能、発色などを改善できるだろう。

標準的なUSBマイクを入手する

もう1つ、比較的低コストで簡単に大きな効果が得られる方法として、専用の外部マイクがある。上記の動画では、人気のSamson Meteor USBマイクを使った。このマイクは、脚部が折りたたみ可能で専用のボリューム/ミュートコントローラが付いている。必要な機能をすべて備えており、USB端子に差し込むだけですぐに使えて、人の声に最適化された高品質のサウンドが得られる。

ヘッドフォンを入手する

種類は問わないがヘッドフォンがあればビデオ通話やビデオ会議の質が向上する。マイクがスピーカーの反響音を拾ってしまう可能性が最小限に抑えられるからだ。耳を完全に覆うモデルは音質はよいが、いかにも頭に何か着けているという感じで映りたくない場合はイヤホンタイプのほうがよい。

レベル2

専用のカメラとHDMI-to-USB変換インターフェイスを使う

スタンドアロンのカメラ(HDMI出力機能を備えた一般的な小型デジタルカメラで構わない)が手元にある場合は、HDMI-to-USBビデオキャプチャインターフェイスを入手して、より高品質のウェブカメラに変身させてみよう。以下のクリップでは、Sony RX100 VIIを使用している。RX100 VIIは間違いなくハイエンドの消費者向けデジタルカメラだが、他にも選択肢はいろいろとある。Sony RX100シリーズの古いモデルなどを使ってもこれと同じレベルの品質が得られるはずだ。

HDMIインターフェイスを探すときは、Zoom、Hangouts、Skypeなどのビデオ会議用アプリがMacおよびWindows上で、専用のソフトウェアなしで動作することを謳っているものを使うようにする。このようなタイプはUVC機能を備えている可能性が高い。つまり、ドライバをダウンロードしたり特殊なソフトウェアをインストールしたりしなくても、OSがこうしたタイプのインターフェイスをそのままウェブカメラとして認識するということだ。このようなインターフェイスは新型コロナウイルス感染症のため需要が増えており、筆者がこの記事で使ったElgato Cam Link 4Kはおそらくどこでも在庫切れになっているだろう。代わりに、IOGear Video Capture AdapterMagewell USB 3.0 Captureなどが使える。あるいは、Blackmagic ATEM Miniなどのライブ放送専用デッキにアップグレードすることを検討してもよい。これについては後述する。

有線小型マイクを入手する

シンプルな有線小型マイクは音声の質を上げる素晴らしい方法だ。価格も比較的安い。それなりの性能を備えた有線小型マイクでもAmazon(アマゾン)で20ドル(約2,100円)で入手できる。3.5ミリメートルの入力端子がない場合でも、USBバージョンを使えばコンピュータに直接接続できる。RodeのLavalier GOは中価格帯では素晴らしい製品で、Wireless GOトランスミッター/レシーバーキットとも相性がよい。このキットについては次のセクションで説明する。このマイクの短所は、コードの長さによっては、マイク着用時に動ける範囲がかなり制限される可能性があることだ。

マイク

複数の照明を入手して効果的に配置する

照明は凝りだすとキリがないが、手始めにいくつかの照明を購入して最も必要な場所に配置するのは、安価でよい方法だ。アマゾンで、予算に合わせてさまざまな照明キットが販売されている。グースネック型の照明にPhilips Hueのライトをいくつか取り付けて正しく配置し、色温度と明るさを調整するだけで、かなりの効果が得られる。

レベル3

レンズ交換可能なカメラで高速レンズを使う

一般レベルの小型デジタルカメラの次の段階は、レンズが交換可能なカメラだ。レンズ交換可能なカメラを使用すると、最大絞り値の高い(つまりf値が低い)高級な高速レンズを使って焦点のぼけた背景を得ることができる。これにより、被写体と背景を自然な形で切り分けることができ、映画のような映り具合で、全員参加の月次会議で同僚たちをあっといわせることができる。

ワイヤレス小型マイクを入手する

小型マイクは素晴らしいが、ワイヤレス小型マイクはもっとよい。ケーブルの長さが足りなくなるのではとか、作業スペースにある他のケーブルと絡まるのでは、といった心配をしなくて済む。サウンドをコンピュータに取り込むのに使える音声インターフェイスの選択肢も幅広い。おすすめはRODE Wireless GOだ。RODE Wireless GOは単独でも使えるし、RODE Lavalier GOなどのマイクと組み合わせて柔軟な素晴らしいサウンドを作ることもできる。

インナーイヤモニターを使う

この段階ではまだヘッドフォンを使いたいと思うだろうが、是非使ってほしいのは、できるだけ外から見えないように設計されたインナーイヤモニターだ。Shure製のような放送品質の専用モニターもあれば、低遅延でBluetooth最新バージョンに対応したBluetoothヘッドフォンもある。Apple(アップル)のAirPods Proは素晴らしい選択肢だ。また、Bang & Olfusen E8完全ワイヤレス型イアホンも優秀なアイテムだ。私はこのイヤホンをかなり使い込んでいるが遅延が気になったことは一度もない。

3点照明を使う

3点証明

この辺りでそろそろ照明について本格的に考えてみてもよいだろう。ストリーミング、ビデオ会議、その他デスクから行うすべての作業を最もバランスよく最適化するには、ElgatoのKey LightまたはKey Light Airを最低2台用意するとよい。

このような、拡散板が組み込まれたLEDパネルライトは使い方も簡単だ。頑丈な作りの連接型チューブマウントをクランプでデスクにしっかり固定できる。また、Wi-Fiに接続してスマートフォンやデスクトップアプリケーションでコントロール可能だ。色温度も調整できる。つまり、状況に応じて照明の色をブルー寄りまたはオレンジ寄りにできる。明るさも調整可能だ。

Elgatoの照明を3台設置すれば、標準的な3点照明セットアップが完成する。このセットアップはインタビューや、カメラに直接話しかける場合に理想的だ。つまり、バーチャルの会議/イベント/ウェビナーなど、想定されるあらゆる用途に使える。

レベル4

HDMI放送品質スイッチャーデッキを入手する

HDMI-USBキャプチャデバイスを接続すれば大半のカメラをウェブカメラとして使うことができるが、さまざまなオプションを試したいなら、Blackmagic ATEM Miniなどの放送品質スイッチングインターフェイスにアップグレードするとよい。昨年発売されたATEM Miniには、これまで基本的に映像のプロしか使えなかった多くの機能が詰め込まれている。サイズもコンパクトで使いやすく、これだけの機能を備えていることを考えれば信じられない低価格だ。

Balackmagic ATEM mini

高性能カメラとATEM Miniを組み合わせるだけで、実に多彩なビデオ機能が使えるようになる。静止画を準備したり、コンピュータ入力に切り替えてビデオを表示したりできる。グラフィックアプリをライブで操作することも、コードのデモやプレゼンテーションも可能だ。ピクチャー・イン・ピクチャー表示や画面下部の3分割表示、専用のハードウェアボタンでフェードアウトして真っ暗な画面にすることもできる。

ATEM Miniを最大限に活用したいなら、2台目、さらには3台目、4台目のカメラを追加することだ。ほとんどの用途では、それほど多くのカメラは必要ない。1人の人間が話しているときに撮影できるアングルなど所詮限られているからだ。だが、カメラの配置と被写体にちょっとした工夫を凝らせば、ストリーム中に別の映像に切り替えるのも楽しいし面白い。スピーチや長いプレゼンテーションなどの場合は特にそうだ。発売されたばかりの新しいATEM Mini Proには、録画機能とストリーミング機能が内蔵されている。

放送品質ガンマイクを使う

ATEM Miniには1つの音声入力専用端子があるため、非常に幅広い使い方ができる。たとえば、1つの入力端子をiPod touchの出力に接続すれば、iPod touchを手軽なサウンドボードとして使用して、導入部やタイトルに音楽や効果音を付けることができる。正しいインターフェイスを備えていれば、高品質のマイクから音声を取り込むことも可能だ。

ビデオの画質低下を最小限に抑えながらトップレベルのストリーミング品質を実現するには、優れた放送品質のガンマイクがおすすめだ。エントリレベルのガンマイクRode VideoMic NTGは、カメラの上に取り付け可能という柔軟性を備えている。ただし、最大限の結果を得るには、Rode NTG3mをブーム式アームに取り付け、映像に映り込まないようにして、マイク側を自分の口に向けるよう角度を調整するのがおすすめだ。

ガンマイク

アクセント照明を追加する

3点照明についてはすでに説明したとおりだが、前述したように、照明は凝りだすとキリがない。アクセント照明は、映像を一段とプロっぽく見せてくれるし、簡単に手に入る機器で手軽にセットアップできる。Philips(フィリップス)のHueはどんなシーンにも活気を与えてくれる筆者のお気に入りだ。すでにHueシリーズの照明を使っている場合は着色電球で間に合わせることもできる。最近フィリップスから発売されたHue Play Smart LED Light Barなどは基本的にアクセント照明用途に特化して開発された製品で、1台の電源アダプターに3つまで接続できる。壁用のアクセント照明として素晴らしい効果が得られる。

もちろん、この記事で紹介した製品がすべて、基本的なビデオ会議、バーチャルハングアウトやミーティングに必須というわけではまったくない。ただ今後、新型コロナウイルス感染症をめぐる事態が収束して、ある程度通常の生活に戻ったとしても、生活の中でリモートビデオが果たす役割が大きくなると考えているなら、予算と必要に応じてアップグレードする要素を検討してみる価値はある。この記事が何かのお役に立てば幸いだ。

関連記事:約2万円でプロ並の性能を楽しめる万能マイク「Rode Wireless GO」、新色と付属アクセサリーでさらに進化

Category:ハードウェア

Tag:ビデオチャット ガジェット

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(翻訳:Dragonfly)

グラクソ・スミスクラインとMammoth Biosciencesが携帯性の高い使い捨て新型コロナ検査キットを開発中

米国カリフォルニアに拠点を置く2017年設立のスタートアップMammoth Biosciences(マンモス・バイオサイエンス)は、新型コロナウイルス(COVID-19)に向けに、ゲノム編集技術の1つであるCRISPRベースの検査を開発するため、強力なパートナーと契約した。目指すのは、携帯性が高く使い捨て可能な検査プラットフォームを使って、正確で迅速な結果を得ること。同社は、新型コロナウイルス感染者のRNAからSARS-CoV-2を特定できる「DETECTR」プラットフォームを使用して検査を開発する。この検査は、Naturで発表された査読済みの研究を通じて、最近妥当性が認められた。

同社はすでにそのDETECTRプラットフォームを、米食品医薬品局(FDA)による緊急使用許可(EUA)申請へ送り込んでいる。また、グラクソ・スミスクライン(GSK)およびその消費者向けヘルスケア部門と提携して、広範な商用ならびに消費者利用が可能となるように、同社の開発と流通を拡張する予定だ。同社とGSKは、DETECTRに基づくC新型コロナウイルス専用の検査が、今年末までにFDA評価が受けられるように準備することを目指している。

目標は、まず米国内の医療施設で利用できるようにすることだ。新しい検査は20分未満で結果が得られ、患者から採取した鼻腔スワブ(綿棒状の検体採取キット)を使用してその場ですべての手順を実施できるため、医療施設での検査に対する現在の方法と比較して多くの利点を提供することができる。また完全に使い捨てであるため、医療専門家にとってより便利で、さらにはより安全なものである。

その後、パートナーたちは流通の拡大を計画しており、最終的には消費者に直接検査を届けるために店頭売りも考えられている。検査の性質から考えれば、他の在宅診断法と比べても管理はそれほど難しくない。これにより、感染した個人からの感染リスクをさらに低減し、検査をより実施しやすく、広範囲に広げることができる。

現在の開発タイムラインを考えると、少なくとも来年までは出荷されることはないだろう。しかし、進行中の世界的パンデミックの性質を考えると、継続的な戦略の1つとして、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)および新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響を緩和するための検査機能の拡張への関心は続くだろう。

新型コロナウイルス 関連アップデート

画像クレジット: Getty Images

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(翻訳:sako)

米食品医薬品局がColorの新型コロナウイルス高速検査技術を認可、LAMP法による検査工程を自動化

集団ゲノム検査サービスを提供するColorが、同社の新型コロナウイルス(COVID-19)検出技術に対し、米食品医薬品局(U.S. Food and Drug Administration、FDA)から「緊急時使用認可」を得た。同社によると、その精度は現在承認されている最良の方法と互角、そして結果を得るまでの所要時間は約50%早くさまざまな供給要件に応ずる。つまり、より多い検査をより早く、そして従来のようなサプライチェーンの厳しい条件がなくても実行できる。そしてColorはその検査プロトコルを、他の検査機関などに一般公開する。

3月にColorは、処理能力の高い新型コロナウイルス検査施設を立ち上げると発表した。その所要時間短縮の大部分は、遺伝子増幅法の一種であるLAMP法による検査工程各部の自動化だ。この工程の自動化は、既存のRT-PCR検査では不可能とされていた。どちらの検査も分子レベルの検査で、体の中に実際にウイルスが存在することを検出するが、LAMP法は以前にジカ熱やデング熱を検査するテクニックとして使われたことがある。

Colorは、自社開発したLAMP検査プロトコルを無料でほかのラボの独自の実装用に提供する。加えて、同社が集団でのスクリーニング検査や通常の検査用に得たデータに基づいて設計したプロトコルも提供して、労働者の安全を確保したうえでの職場復帰努力を助ける。プロトコルには2つのフェーズがあり、ひとつは職場に感染者が一人も確認されなかったが高い警戒体制を維持したいという場合、第2は感染者が何名かいて封じ込めが必要な場合だ。

Colorはすでにサンフランシスコと協力して、市民の生活に必要不可欠な最前線の行政職員に対し、同社の検査プロトコルを適用している。また、ほかにも、MIT(マサチューセッツ工科大学)とハーバード大学のブロード研究所やコーネル大学医学部ワイル研究所と共同で技術開発を進めている。今は多くの米国人が、ウイルスの拡散防止努力を継続しながらオフィスなどの再開を望んでいるが、Colorのような共同的取り組みには、知識の共有を早めその範囲を広げる利点がある。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

iOS 13.5へのアップデートで新型コロナ接触通知設定が利用可能に

Apple(アップル)は、Google(グーグル)と共同で開発した「接触通知API」のサポートを含むiOS 13.5をリリースした。新型コロナウイルスの感染拡大と戦う公衆衛生機関による接触の追跡をサポートする。このAPIを利用するには、公衆衛生機関が開発するサードパーティアプリが必要となる。アプリは、まだ1つもリリースされていないが、iOSデバイスのユーザーは、すでに「COVID-19接触のログ記録」という設定にアクセスできるようになっている。

ベータ版でも確認されていたように、接触記録の設定にアクセスするには「設定」アプリを使う。まず「プライバシー」セクションを開き、そこから「ヘルスケア」のサブメニューを選ぶと「COVID-19接触のログ記録」という設定が出てくる。これはデフォルトではオフになっている。承認済みのアプリを入手してインストールするまで、この機能をオンにすることはできない。そうしたアプリを利用する場合には、接触通知へのアクセスを承認するよう求めるポップアップが表示される。いったん承認しても、ここに戻れば通知機能をオフに切り替えることも可能だ。また、オプトアウトを選択した場合には、デバイスに記録されたの接触ログを手動で削除することもできる。

アップルとグーグルは、接触通知APIに対して、ユーザーによってコントロール可能な部分をできるだけ多くし、可視性を高めたいと考えていることを強調してきた。接触通知を実現するために、ランダムに生成した一時的なIDを使用し、それもサーバー側には保存しない。また、1つのアプリ内で位置情報サービスと接触通知APIを同時に使用することも禁止している。このように接触記録機能を手動でオンオフできるようにしたことは、このシステムに参加するユーザーが、どのような情報を、いつ共有するかということを、完全にコントロールできるようにするための1つの重要なステップとなる。

接触を追跡することは、感染症の蔓延と戦うための実績のある戦略だ。これまでは、感染した個人から聞き取ったり、感染期間の行動をできるだけ詳しく調査することで、潜在的な接触を追跡しようとしてきた。通信機能を備えた近年のデバイスを利用することで、こうしたことをずっと効率的かつ正確にできる可能性が生まれた。それでもグーグルとアップルは、プライバシーの専門家と協力し、ユーザーのプライバシーをリスクにさらすことなく、こうしたことを実現する手段を見つけ出そうとしてきた。その結果、照合処理も、サーバー側のデータベースではなく、ユーザーのデバイスでローカルに実行するものとなっている。

アップルとグーグルは、このAPIを利用するアプリを開発中の公衆衛生機関に協力している。また両社は、これはあくまでも暫定的な措置であって、いったん新型コロナウイルスの脅威が去れば、この機能自体を無効にするという前提で、最初から設計していることを明らかにしている。

新型コロナウイルス 関連アップデート

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

種子島宇宙センターからISSヘ、H-IIBによる「こうのとり9号機」の打ち上げが成功

宇宙航空研究開発機構(JAXA)は三菱重工業のH-IIBロケットで、宇宙ステーション補給機である「こうのとり」の最後の1機を打ち上げた。この補給機は国際宇宙ステーション(ISS)に物資やペイロード、実験機器などを輸送してきたが、三菱重工は2022年の初飛行を予定している自動ドッキングなどの高度な機能を備えた後継機の開発を進めている。この後継機は、NASAが計画している月軌道ゲートウェイまでの長距離貨物輸送も視野に入れている。

今回の打ち上げは、H-IIシリーズにとってのマイルストーンであり、また次のフェーズへの区切りであるだけでなく、非常に興味深い貨物を搭載しているという点でも重要である。さまざまな実験が予定されているが、中でも注目したいのが「スペースアバター」だ。これは基本的には地球上のユーザーがISSにおけるテレプレゼンスロボットとして使用でき、軌道上にあるISSに搭乗しているかのような体験ができる。

ロケットの打ち上げは、種子島宇宙センターから本日早朝に実施され、動画ではアーカイブをチェックできる。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

軌道上で設定変更可能で機械学習に最適化されたXilinxの宇宙規格チップ

宇宙に特化した半導体メーカーのXilinx(ザイリンクス)が開発した、宇宙空間や人工衛星で利用可能な新型プロセッサーは、いくつもの点で世界一を誇っている。宇宙向けとしては初めての20nmプロセスを実現し、演算能力と省電力性を高めている。そして、ニューラルネットワークをベースにした推論アクセラレーションによる高度な機械学習に対応する性能を備えたのも初めてだ。

このプロセッサーはFPGA、つまり基本的にユーザーが設定を変更できるハードウェアなので、必要に応じて調整が行える。機械学習の面では、演算命令実行回数が「深層学習に最適化したINT8のピーク性能」で最大5.7TOPS。これは、ひとつ前の世代と比較して25倍もの性能アップだ。

Xilinxの新しいチップは、いくつかの理由で人工衛星市場で多大なポテンシャルを発揮できる。ひとつには、プロセッサーのサイズが格段に小さくなったことだ。同社がこれまで作ってきた耐放射線チップは65nmプロセスのみの提供だった。つまりこれはサイズ、重量、電力消費量における大幅な改善を意味する。このどれもが、宇宙での使用を語る際に非常に大切な要素となる。何故なら人工衛星は、打ち上げコストと宇宙空間で使用する推進剤の必要量を減らすために、できるだけ小さく軽く作る必要があるからだ。

もうひとつは、書き換え可能であるため軌道を周回するアセットは、必要に応じてプログラム変更をして別の仕事にあたらせられることだ。その仕事に今回、機械学習アルゴリズムのローカルでの処理が加わった。つまり理論的には、例えば雲の密度と気候パターンを追跡するよう設定された地球観測衛星を、森林破壊や鉱物の露天採掘を推論させる衛星に変更することが可能だ。また、市場の需要が大きい地域に衛星を集合させたい衛星コンステレーションの運用にも、大きな柔軟性をもたらす。

Xilinxのチップはどれも、地上で使うものといろいろな点で異なっている。前述の耐放射線性能もそのひとつだ。また、パッケージは分厚いセラミックでできており、激しい振動といった外部からのストレスが加わる打ち上げ時にも、空気がないために放射線や温度の点で過酷な環境にさらされる軌道上でも、確かな耐久性を確保できるように作られている。

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(翻訳:金井哲夫)

Everlywellの在宅新型コロナ検査キットが米食品医薬品局の認可を取得

Everlywell(エヴァリーウェル)は、新型コロナウイルス(COVID-19)の在宅検査キットに取り組んでいると最初に発表したスタートアップの中の1社だ。当初、規制当局がガイドラインに沿っていないと判断を下す前にキットを出荷することを模索していた。後に同社は、消費者にキットを提供する前に、FDA(米食品医薬品局)の正規の緊急使用許可(EUA)を取得することにした。そうしたアプローチは報われ、FDAは5月16日に同社の技術に対しEUAを出した。

EverlywellのCOVID-19在宅検査キットではユーザーが自分で検体を採取できる。この手のものをFDAが認可するのは初めてだ。他のキットは医療従事者による検体採取が想定されている。また特定の検査所で調べられるものだったりする。そうした点で、今回の認可はユニークだ。Everlywellはあらゆるテストラボにサンプルキットを提供し、さまざまなラボと協力して検査体制を拡充させることができる。

Everlywellのテストキットは、別の新型コロナEUAが認可されている2つのラボのどちらかに送られる。このラボの数は近い将来さらに増えることが予想される。ただし、EUAを申請し、緊急許可を受けるにあたって必要なデータを提出しなければならない。綿棒を使って鼻からサンプルを採取するやり方で家庭で回収された検体がラボに搬送される間も安定した状態を保てることを示すために、Everlywellはビル&メリンダ・ゲイツ財団の支援を受けた研究などから得られたデータを提出・開示したとFDAは言及している。

そうしたデータは同様のテストキット提供を考えている他社も閲覧できる、とFDAは述べている。これにより、競合する製品で認可を得ようとしている企業は証明にかかるかなりの負担を減らすことができる。これはひいては、さらなる検査実施につながる。多くの公衆衛生の専門家らは、新型コロナ抑え込みでは検査が鍵を握ると考えている。

「複数のラボで使え、複数のテストに使用できる在宅新型コロナ検査キットの認可では、患者がテストを受けやすくなるだけでなく、ウイルスとの接触から人々を守ることができる」とFDA機器・放射線医学センターのディレクター、Jeffrey Shuren(ジェフリー・シュレン)氏はTechCrunchへの声明文で述べた。「今日の決定は、私費研究のデータがEUA申請をサポートするために業界で使われるという公私提携の素晴らしい例であり、パンデミックに関する取り組みを続ける中で時間を節約することになる」。

画像クレジット: Sebastian Gollnow / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

フェイスブックがGIFアニメのGIPHYを430億円相当で買収

Axiosによると、Facebook(フェイスブック)は米国時間5月15日に、ウェブ上のアニメGIFの検索エンジンでプラットフォームプロバイダーであるGIPHYを約4億ドル(約428億円)で買収することを確認した。その具体的な条件は公表されていない。GIPHYは現在、共有可能でエンゲージメントの高いコンテンツの中心的な発信源に成長しており、そのアニメーション化されたGIFは、フェイスブックのプラットフォームだけでなくウェブ上のその他のソーシャルアプリやサービスで幅広く利用されている。

特にGIPHYはInstagramに検索機能とステッカー機能を提供しており、今後もその機能を維持していずれはInstagramのチームの一部になるものと思われる。そしてGIPHYは既に行われた統合と今後の統合により、フェイスブックのその他のアプリでも利用できるようになるだろう。人びとは引き続き自分のGIFをアップロードすることが可能で、フェイスブックはGIPHYを自社ブランドで運営し、外部のデベロッパーもGIPHYを利用できるようにするだろう。

フェイスブックによると、同社はGIPHYの技術開発にも追加投資し、コンテンツとエンドポイント開発者レベルの両方で新たな関係を構築していくという。また、GIPHYが受信するトラフィックの50%はInstagram、Messenger、フェイスブック本体、WhatsAppなどフェイスブックのアプリからのものとのことだ。

GIPHYは2013年に創業され、最初は単なるGIFの検索エンジンだった。このウェブサイトの最初の重要な拡張がフェイスブック経由の共有を可能にする機能で、この機能は同社の創業年の後半に導入された。そしてその後すぐに第2の統合としてTwitterでも共有が可能になった。Crunchbaseの最新データによると、GIPHYはこれまでに5回のラウンドで1億5090万ドル(約162億円)を調達している。投資家はDFJ Growth、Lightspeed、Betaworks、GV、Lerer Hippeauなどだ。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

有望な新型コロナ抗体を米Sorrentoが発見、実験室では100%の効果と発表

カリフォルニアの新治療法研究企業、Sorrento Therapeuticsは新型コロナウイルス対策の突破口となる可能性のある物質を発見したと発表した。この物質はパンデミックの原因となっているSARS-CoV-2(COVID-19)ウイルスに対して臨床前実験で100%の感染阻止の効果を示したという。

5月15日にSorrentoは前臨床研究の論文を発表し「4日間にわたる培養で健康な細胞へのSARS-CoV-2の感染を100%阻止する抗体を発見した」と報告した。論文は前臨床研究の報告であり、まだ専門家の査読を受ける必要がある。これはインビトロ(「試験管内」という意味)の研究で、臨床前のものだが、有望な発見だ。SorrentoはさらにSARS-CoV-2ウイルスが変異しても有効な抗体の「カクテル」の開発を進めるという。

SorrentoによればSTI-1499と呼ばれる抗体が候補物質の中で際立った効果を示したのだという。同社は広汎なヒト抗体ライブラリーを持ち、数十億の候補をスクリーニングした。SARS-CoV-2ウイルスはスパイク状のタンパク質を標的細胞の受容体に結合させて細胞に侵入する。STI-1499はこの結合作用を完全にブロックする能力がみられた。つまり、ウイルスがヒトの健康な細胞に感染するのを阻止できるわけだ。

現在、Sorrentoは新型コロナウイルス治療薬を開発中だが、STI-1499は細胞への感染阻止に高い有効性があるため、この「カクテル」に含まれる最初の抗体の候補だという。「カクテル」と呼ばれるのは治療薬はウイルスが細胞と結合するのをブロックする効果のある多数の抗体を含むことになるからだ。これはウイルスがヒトからヒトへの感染ないし特定個人の体内で変異を起こしても効果が持続することを狙っているためだ。

実際、研究者が現在答えを求めている最大の問題の1つは、SARS-CoV-2変異原性だ。例えば普通の風邪のワクチンや抗ウイルス薬の開発が困難なのは、原因となるコロナウイルスが急速に変異する傾向を示すためだ。

Sorrentoが開発している抗ウイルスカクテルのCOVID-SHIELDは、さまざまな変異株に対しても効果があるよう多数の抗体をミックスさせたもになるはずだが、同社ではSTI-1499を単独の抗体として使用する研究も進めるという。Sorrentoは、STI-1499の実用化を加速するためにFDA(米国食品医薬品局)と協議中だとしている。またFDAの使用承認の取得を進める一方で、投与100万回分を生産する準備も進めている。

ただしSARS-CoV-2(COVID-19)を根絶できる「魔法の弾丸」となるようなワクチンや特効薬が、すぐに登場する可能性はほとんどないことに留意しておく必要があるだろう。そうではあっても、これは非常に有望な発見であり、今後の臨床試験の結果や使用承認のプロセスに注目していくべきだろう。

画像クレジット:Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook