SpaceXはFalcon 9の打ち上げに成功するもフェアリングの回収に失敗


SpaceX(スペースX)は、今年13番目となるロケットであり11番目となるFalcon 9の打ち上げに成功した。同社は、2019年には2機のFalcon Heavyも打ち上げている。今回の打ち上げでは、これまでに2回使用されたFalcon 9ブースターステージを再利用しているが、今回も洋上のドローン船上に着陸させて回収に成功した。さらに、2つに分かれたノーズフェアリングの回収も試みられた。これは宇宙船の貨物を保護するためのもので、上段が目標軌道に到達する前に剥がれ落ちるようになっている。

今回の打ち上げでは、ボーイング製の衛星が搭載され、Kacific(カシフィック)とスカパー JSATに通信サービスを提供することになっていた。この衛星も予定どおりの軌道に投入されたと考えられている。これが第1のミッションだったのは確かだが、その成功は課題の半分に過ぎない。SpaceXにとって重要なのはむしろ残りの半分である、同社の打ち上げシステムのより多くの部分を、徐々に再利用可能なものにしていくということだ。

Elon Musk(イーロン・マスク)氏が創業したロケット会社であるSpaceXは、2015年からFalcon 9ブースターを回収してきた。さらに最近では、Super Heavyも回収している。これまでに合計47回の第1段ロケットの回収を成功させているが、ノーズフェアリングの回収システムは、ごく最近に導入されたものだ。SpaceXでは2017年に、まずフェアリングの降下をコントロールし片方を回収しているが、いったん海に落としてからの回収だった。その後、海中からすくい上げなくても済むように、はしけ型の回収船を使った方法にトライするようになった。そして、今年6月に打ち上げられたFalcon Heavyでは、2分割されたノーズフェアリングの片方の回収に初めて成功したのだった。

しかし今回、フェアリングを回収する試みは成功しなかった。SpaceXはTwitterで、2枚のノーズフェアリングはいずれも「もうちょっとのところで」待機していた船から外れてしまったと明かした。回収チームは、それらを海中から引き上げ、今後のミッションで再利用できないか方法を検討中だという。SpaceXは、以前に回収されたフェアリングを11月に初めて再飛行に使った。マスク氏は以前、この部品を再利用することで、SpaceXは1回のミッションで600万ドル(約6億5700万円)を節約できると述べていた。これは総打ち上げ費用の10%程度に相当する金額だ。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

深海調査のための自動運転深海艇を運用するTerradepthが約8.8億円を調達、創業者はNavy SEALs出身

海洋は、まだその多くが探検されていない。だからそこには、大量の貴重な情報が眠っていることだろう。海洋、中でも深海は、その地図の作成やデータの収集に、機器の操縦をはじめとして多くの人手を要し、費用が膨大なので、短期的な調査しか行われていない。

しかしテキサス州オースチンで元米海軍特殊部隊のNavy SEALs(ネイビーシールズ)にいた二人が立ち上げたTerradepth(テラデプス)は、自動運転の潜水艇を使ってこの状況を変えようとしている。それを適切な規模の船隊として展開すれば、深海に関する情報をサービスとして提供できるだろう。

同社は、ストレージのハードウェアを作っているSeagate Technology(シーゲイト・テクノロジー)がリードするラウンドで、800万ドル(約8億8000万円)を調達した。同社はこの資金で、来年の夏には同社が持つ技術のデモンストレーションを実際の海域で行えるだろう。その後同社は、さらに規模を広げて潜水艇をネットワークでつなぎ、「Autonomous Hybrid Vehicles」、またはAxVと呼ぶ自動運転水中ロボットの船隊を運用するつもりだ。

同社の技術により潜水艇は自動運転で航行するため低コストで大規模運用可能で、そのデータは、元データや同社の機械学習システムが分析したデータ、あるいはクラウド上のサードパーティが分析したデータとして獲得あるいは提供できるとTerradepthは説明する。また彼らは沖合にある機器装置やリソース向けにマルチスペクトル画像や、監視データ、予報予測サービスなどを提供していきたいとしている。

Terradepthのチームには、共同創業者のJoe Wolfel(ジョー・ウェルフェル)氏とJudson Kauffman(ジャドソン・カウフマン)氏のほかに、ソフトウェアやハードウェア、それにロボティクスの専門技術者もいる。彼らの潜水艇は深海潜航と海面航行の両方が可能になっており、深海機と海面機が適宜コミュニケーションを行う。両方を同時に充電でき、集めたデータを人工衛星に送り、さらにデータセンターや顧客に中継できる。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

iPad版Photoshopが被写体だけをAIが自動選択する「被写体を選択」機能を搭載

iPad版のAdobe Photoshopは、デスクトップ版のファンが満足するようなものではなく、幸先のいいスタートではなかった。しかしAdobe(アドビ)はユーザーからのフィードバックを取り入れた機能を追加したアップデートを適宜リリースしているようだ。米国時間12月16日には、iPad版のPhotoshopに「被写体を選択」機能が追加された。この機能があれば、iPad上での写真の操作や合成がこれまでよりもずっと簡単に、そしてフレキシブルにできるようになる。

「被写体を選択」は昨年デスクトップ版に搭載された新機能で、画像を1回タップするだけで被写体を選択できる。手作業で選択する代わりに、アドビのAIエンジンであるAdobe Senseiが被写体を認識する機能だ。被写体の選択は、Photoshopユーザーがペンやフリーハンド、あるいはなげなわツール、自動選択、多角形選択ツールを組み合わせて手作業で行っている作業のひとつだ。どの方法もかなりの手間がかかる。

アドビによれば、2019年バージョンのiPadとデスクトップ版「被写体を選択」では、選択範囲の境界がより正確になり、iOSでもほぼ瞬時に選択されるという。この機能では対象の選択を行い、より正確に選択を調整し、自然な輪郭にするなど、多くの機械学習アルゴリズムが協調して使われている。その結果、極めて実用的なレベルで被写体の切り抜きや構図の変更、被写体と背景を別々に編集するといった作業があっという間にできる。手作業での調整はほとんど必要ない。

輪郭が明確で背景とのコントラストが強ければ正確にきちんと選択されるが、アドビは髪や毛皮などの「被写体を選択」が難しい対象でのパフォーマンス向上に取り組んでいるという。同社はクラウドドキュメントの機能も強化している。これはiPad版Photoshopの一般公開とともに導入されたもので、クラウドベースのストレージを利用してPSDファイルを異なるプラットフォーム間で共有できる。テキスト入力やレイヤー管理などのユーザーインターフェイスも改善している。

iPad版のPhotoshopがデスクトップ版と同様のフラッグシップ製品として認められるためにアドビがやるべきことは多いが、同社は適切な方向に進んでいる。2020年にはさらに多くの改善や向上が提供されるようであり、iPad版のIllustratorもリリースされる予定だ。

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(翻訳:Kaori Koyama)

Rocket Labが約8億2000万円のコインをオンラインストアで発売

宇宙開発スタートアップ、Rocket Lab(ロケット・ラボ)のオンラインストアには、宇宙をテーマにした商品である赤ちゃんの服、Tシャツ、帽子、ミッションパッチなどが並んでいる。しかしロケットの打ち上げ事業を手掛ける同社の新製品は、ほかの標準的な商品と価格において異なっている。たった750万ドル(約8億2000万円)で、Rocket Labのニュージーランド発射施設であるLC-1やバージニア州の新しい打ち上げ施設、LC-2をモチーフとし「使命のために(dedicated mission)」とうたう「Gold Mission Success coin」が購入できるのだ。

コインには3層の金メッキが施されているが、それが高価である理由ではない。また、コインを無料で手に入れる方法もある。それはRocket Labsが行うElectronロケットの打ち上げと契約することだ。1社のみで行う打ち上げ(複数の顧客でペイロードを分割しない場合)のコストはコインよりも安価だ。

しかし、コインだけが必要で、56フィート(約17メートル)で2万7000ポンド(約12トン)以上の重さを持つElectronロケットが不要なら、Rocket Labsの最新商品を購入したほうがよいだろう。コインの表面と裏面の加工はかなり良くできており、比較的大きめで直径は25セント硬貨の2倍程度だ。

もし気前がいい人がいれば、購入してみるのもいいかもしれない。著者はどうせならコインよりも、ロケットを購入したいと思うが。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

ポルシェとルーカスフィルムが共同制作したスタースターウォーズの戦闘機

Porsche(ポルシェ)は通常、地上の乗り物にしか関心のない企業だが、今回はLucasfilm(ルーカスフィルム)のデザイナーたちとのコラボレーションで、スターウォーズの宇宙を飛ぶスターファイターを作ることになった。

このスターファイターはTri-Wing S-91x Pegasusと呼ばれ、もちろん実際に飛べるフルサイズの実機は存在しないが、全長5フィート(152cm)の高精度の縮尺モデルを制作中だ。12月20日に米国ロサンゼルスで行われる「Star Wars: The Rise Of Skywalker」(スターウォーズ/スカイウォーカーの夜明け)の封切り初日に披露される。

なお、このS-91xは映画には登場しない。むしろこれは、設計の試作のようなものであり、スターウォーズの宇宙に実際に出演するよりも、むしろ映画のプロモーションが目的だ。でもこのコラボレーションは、本物のPorsche 911やTaycanを作った企業と、本物みたいに詳細な宇宙メカが得意なルーカスフィルムの共作だから、とてもおもしろい。コックピットの内部も、細部までまったく手抜きがない。

ポルシェのデザイナーは、この三座機のコックピットの快適性と人間工学にも配慮している。それは、あの窮屈そうなX-Wingの操縦席や、キャビンのライトが戦闘機というより戦闘潜水艦のようになるTIEファイターのコックピットを作った人には、決してかけらることのない褒め言葉だ。

お値段は発表されていないが、なにしろ超高精細で超高精度だから、欲しい人はひと財産投じる覚悟をしよう。中古のCorellian YT-1300貨物船より高いことは確実だ。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

ボーイングのStarliner宇宙船とAtlas Vロケットがテスト飛行前リハーサルを完了

Boeing(ボーイング)と打ち上げパートナーのUnited Launch Alliance(ユナイテッド・ローンチ・アライアンス、ULA)は米国時間12月7日、商用宇宙船による米国の宇宙飛行士の打ち上げに向けた重要な一歩を踏み出した。フロリダ州のケープカナベラル空軍基地の第41発射施設では、ULAのAtlas Vロケットの上にBoeingのCST-100 Starliner宇宙船が搭載され、ロケットに燃料が補給され、乗組員全員が「integrated Day of Launch Test」と呼ばれるリハーサルに参加した。

このリハーサルは、NASAやULA、Boeingが12月20日(12月19日から変更された)に予定されている、宇宙飛行士が搭載しない状態での初の軌道上飛行試験(OFT)につながるものだ。本日のテストには、実際の打ち上げに至るまでのすべてのステップが含まれており、その中には打ち上げのカウントダウン、クルーカプセルへのアクセスハッチの準備、チェックなどもある。

この種の予行演習は、宇宙船の打ち上げでは標準的なもので、誰が何をいつすべきかを確認し、また実際の環境で想定どおり機能するかを実証する。特に、今回のリハーサルは重要だ。なぜなら、個別にテストを実施することはできるが、すべてを一緒に動かすまでは、どのように動作するのかは正確にはわからないからだ。

前述のように、来年初めに予定されている打ち上げ準備のために、次にOFTが実施される。現在の日程は12月20日なので、すべてが計画通りに進めば、年末までにはボーイングとそのパートナーの目標が達成される。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

Keplerが2機の小型ネットワーク衛星をSpaceXのFalcon 9で打ち上げ

小型衛星スタートアップのKepler Communications(ケプラー・コミュニケーションズ)はSpaceX(スペースX)と協力して、初の小型衛星コンステレーションの目標を達成しようとしている。SpaceXはFalcon 9ロケットにて、Keplerの小型衛星を2つに分けて打ち上げる予定だ。

トロントに拠点を置くKepler Communicationsは、人工衛星を利用した低電力かつIoTに直接接続するネットワークと高速データ転送機能を提供する、より大容量なネットワークを構築する。

KeplerはElon Musk(イーロン・マスク)氏が率いるSpaceXが今年発表したライドシェアプログラムを利用して、合計400kgのペイロードを打ち上げる予定だ。今回の打ち上げでは、Keplerの人工衛星は太陽同期軌道へと投入される。これは、人工衛星が毎日同じ時間に太陽からみて地球上空の同一地点を通過するという意味だ。

Keplerは2020年から2023年までの3フェーズにて合計140機の人工衛星を軌道に投入する計画で、この衛星コンステレーションを中継システムとして運用し、軌道上の他の衛星群にデータを転送することを目指している。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

海外ショッピング時のVAT還付手続きをテクノロジーで合理化するInovat

欧州旅行で買い物をしたことがあるなら、出国時に付加価値税(VAT)が払い戻されることをご存知だろう。VATは居住者のみが課税されるからだ。ただVATの払い戻しを実際に申請するかどうかは、手続きが簡単かどうかによる。普通、払い戻し手続きは紙ベースなので、かなり面倒だ。Inovat(イノバット)は、手続きをシンプルかつデジタル化して煩わしさから解放し、本来受けられる払い戻しに扉を開く。

Inovatは、モバイルまたはデスクトップのアプリでこれを実現する。光学式文字認識(OCR)と機械学習でレシートの写真を読み取り、購入額に対するVATの金額を計算する。空港に置いてあるような、税関職員にまたはオンラインで提出する必要書類も準備してくれる。

Inovatの共同創業者であるIlya Melkumov(イリヤ・メルクモフ)氏とSonya Baranova(ソーニャ・バラノバ)氏がアイデアを思いついた。両氏はそれぞれロシア国民とウクライナ国民として、欧州旅行で買い物のたびにVATの払い戻しの問題に直面してきた。プロのeスポーツプレーヤーであるメルクモフ氏は、オン​​ラインでゲームをしているときにInovatのCTOであるIgor Titov(イゴール・ティトフ)氏に出会った。

メルクモフ氏とバラノバ氏は、時代遅れの手続きをテクノロジーの力で改善できると考えた。現状では、払い戻し代行に高額の手数料がかかったり、レシートの管理や紙の申請書類の準備に多くの手作業を必要とする。金融業界などの分野でさまざまな改善や合理化に利用されているテクノロジーが使えると考えたのだ。両氏は利用可能なソリューションを洗い出し、税金払い戻しの分野で利用されていないものを見つけた。そしてすぐに実際のプロダクトの構築に取りかかった。

「7月に集まり、9月にはプロダクトの最初のバージョンが出来上がり、テストを始めた」とメルクモフ氏はインタビューで筆者に語った。「それから、一部の機能の自動化に取りかかった。スケーラビリティを解決する必要もあった。スケーラビリティを保ちながら、レシートから情報をスキャン・抽出する方法を考える必要があった」。

そこでティトフ氏が登場し、銀行などのクライアント向けの仕事の経験を生かし、技術面から実現を可能にした。開発したアプリは使いやすく、苦痛を伴う複雑なプロセスを、買い物のとき写真を撮るのを忘れないようにするだけの簡単なものに変えた。従来の方法に比べて最大50%も多くの払い戻しをユーザーにもたらすことができるという。

「店でレシートを受け取ったら写真を撮る」とメルクモフ氏は説明した。「アプリがレシートを分析しデジタルフォームを作る。買い物で受け取ったすべてのレシートがQRコードにリンクされた1つのデジタルフォームに集約される。税関職員が、または機械でスキャンすれば、すぐに手続きできる」。

Inovatは現在、英国に専念しており、プロダクトは英国での払い戻し手続き専用に設計されている。メルクモフ氏は、この市場だけでも43億ドル(約4700億円)に相当するため、今のところは英国市場だけでも十分だと考えている。だが同氏は、その先の拡大にしっかりと目を向けていると付け加えた。

「欧州市場は約200億ドル(約2兆2000億円)であり、複数の欧州政府から税金払い戻しのデジタルソリューションを開発するよう連絡を受けている」とメルクモフ氏は説明した。「我々の次のステップは、間違いなく他の欧州諸国への拡大となる」。

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(翻訳:Mizoguchi)

2021年のノースロップ・グラマンによるOmegAロケットの初打ち上げは米空軍の認定飛行に

宇宙開発業界の重鎮ことNorthrop Grumman(ノースロップ・グラマン)は、中〜大型サイズのOmegAロケットの打ち上げに関する初契約を結んだ。OmegaAは、2021年春の打ち上げを目標に準備を進めている。

OmegaAは、ノースロップ・グラマンの以前のロケットからさらにペイロードが増加し、同社の主要顧客である防衛当局および国家安全保障機関に貢献することを主な目的としている。OmegAの開発資金の一部は米政府との契約から拠出されており、その中には米空軍との7億9200万ドル(約860億円)の打ち上げ契約も含まれる。

ただし、最初の顧客は米空軍ではなく、Saturn Satellite Networksになる。これは実際には米空軍による認定飛行という扱いだが、同社の2機のNationSats衛星も軌道に投入されるだろう。

商業打ち上げは、間違いなくOmegAが提供しようとしている計画の一部であり、米政府の代理として国家安全保障に関する衛星を打ち上げることが主たる目標だ。なお、NationSatsはより小さな軌道に投入される静止軌道衛星(地球上の特定の場所の上空にとどまる衛星)となる。その重量は約1300ポンドから3800ポンド(約590〜1700kg)まで幅があるが、OmegAは1万7000ポンド(約7700kg)以上を静止移行軌道に投入することができるので、2つの人工衛星を搭載していたとしても打ち上げに問題はない。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

ウェブ版TwitterにアップロードしたJPEG画像は今後それ以上劣化しなくなる

Twitter(ツイッター)はアップロードされる画像の処理方法を変更し、この新しいシステムは写真を共有するフォトグファラーにもに大いに歓迎されるだろう。TwitterエンジニアのNolan O’Brien(ノーラン・オブライエン)氏によると、ウェブ版のTwitterに写真をアップロードする際に、JPEGの圧縮が変更されずに保存するようになる。この問題はフォトグラファーや愛好家を大いに悩ませてきた。

ただし、画像のサムネールは再圧縮される。しかし、ユーザーがそれをクリックすれば、アップロードした画像がJPEGである限り、圧縮されていない(少なくとも再圧縮でない)画像が表示される。

Twitterは、一部のアプリケーションで読み取れるEXIFデータ(いつ、どのようにして、どこで撮影され、あるいは編集されたかなどの詳細情報)も引き続き削除する。Twitterでは以前からこのデータの削除をしており、それが継続されるのはよいことだ。なぜなら、フォトグラファーはこのから写真の絞り値やISO設定などをチェックしたり、著作権情報を埋め込んだりできるが、一方では位置情報などを読み取りたい悪意ある人に使われる可能性もあるからだ。

オブライエン氏が投稿した上の例は、TwitterがJPEG写真を再圧縮しなかった場合に、どのようにその品質が維持されるかを示している。これは小さな改良だが、Twitterプラットフォームにとっては素晴らしい機能であり、将来的にはTwitterがより写真にフレンドリーなプラットフォームになることを期待したい。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

Blue Originの準軌道打ち上げ機「New Shepard」が12回目の打ち上げで有人宇宙飛行の未来に少し近づく

Jeff Bezos(ジェフ・ベゾス)氏が創業したBlue Originが、準軌道打ち上げ機であるNew Shepardのミッションに再度成功した。それは、人間の宇宙飛行のための宇宙船を目指す前段階として重要なステップだ。それはまた、この再利用型ブースターの6度目の飛行であり、同社の多段ロケットの信頼性と回収可能性の実証という点でBlue Originの新記録でもある。

Blue OriginがNew Shepardで商用荷重を運んだのはこれが9度目で、そのシステムは毎回少しずつ、実際にクルーを乗せられるレベルへと近づいていることが、デモンストレーションされた。今回の打ち上げは研究用の実験機器や、児童生徒たちの勉強で使われる教材を運んだ。それにまた、世界中の児童生徒たちが書いた数千枚のハガキも運んだ。それらの宛先は、Blue Originが学校と児童生徒たちに宇宙教育教材を提供する非営利団体として今年の初めに創ったClub for the Futureだ。

最終的にBlue Originは、New Shepardに有料の宇宙旅客を乗せて飛ばすつもりだ。ただしそれには、民間の宇宙飛行士が研究などの目的で同乗する。New Shepardの上部に搭載するBlue Originのカプセルは旅客定員が6名だが、テストにせよ商用のフライトにせよ、実際に人を乗せるのがいつになるかは、まだわからない。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Wazeが未除雪路の報告機能を追加、雪道運転の安全性を向上

クラウドによるナビゲーションアプリを開発するGoogle(グーグル)の子会社であるWaze(ウェイズ)は、アプリ内で吹雪の間に除雪されておらず、危険だったり通行できない道路を報告したり、他人が投稿した報告を確認できる新機能を追加する。このアップデートは、同社が米国バージニア州運輸省(VDOT)からこの種の報告の導入に関する勧告を受け、市当局との「Waze for Cities Data」パートナーシップおよびデータ共有プログラムを通じて開発されたものだ。

ユーザーはアプリの報告ツールの 「Hazards」→「Weather」の項目から未除雪路を報告でき、この機能は現在Wazeが展開する185カ国のすべてで利用できる。特にバージニア州では、Wazeがクラウド経由による降雪データから得たデータをVDOTに提供し、市当局はそれを独自の除雪情報と併せて、今後の冬季の除雪作業をより効果的に伝える予定だ。

条件によって、雪は冬のドライブに大きく影響する。Wazeが除雪情報を事故や工事などの他の報告と一緒に運用することは、定期的に降雪があり除雪が必要な地域なら、誰にでも受け入れられるはずだ。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

ベゾスのBlue OriginがNew Shepardを打ち上げ予定、ブースター再使用の拡大目指す

Jeff Bezos(ジェフ・ベゾス)が設立した宇宙開発企業であるBlue Origin(ブルー・オリジン)は米国時間12月10日に打ち上げを予定している。打ち上げ時間は米国中央標準時で午前8時30分(日本時間12月10日午後11時30分)に設定されている。打ち上げのライブ配信は、打ち上げの約30分前から始まる。

New ShepardロケットがBlue OriginのWest Texasの発射施設から打ち上げられる。天候が適さない可能性もあるため、チームは状況を見守り、延期しなければならない場合にはその旨が伝えられる。

今回の打ち上げはいくつかの理由で注目に値する。すでに5回使われた再使用可能なブースターが6回目の打ち上げに用いられる。New Shepardは弾道飛行を行うロケットであり、子どもたちを宇宙科学や探査に参加させることを目的としたBlue Originの非営利団体であるClub for the Futureを通じて、子どもたちから寄せられた何千通もの手紙や実験機器などの物資を搭載する予定だ。

【更新1】気象状況により、Blue Originは米国中部標準時の午前10時30分(日本時間12月11日午前1時30分)にロケットを打ち上げる予定だ。

【更新2】気象状況が改善されないため、Blue Originは米国時間12月10日の打ち上げを取りやめ、翌12月11日午前中に再度打ち上げを行うかを後ほど決定する。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

超精細な画像を高頻度で撮れるNear Space Labsの成層圏衛星

宇宙関連のテクノロジーという新しい成長分野では、イメージング(画像処理)が重要な市場のひとつだ。それも当然であり、政府にも民間にもイメージングと地球の観測データへの強い需要が今すでにある。軌道衛星はこの需要の一部を満たし、この種のデータを手頃な費用で制作提供するPlatetなどの企業が今では大きく成長している。しかしNear Space Labsは、それらとは違うアプローチで、特定の用途にもっと適したイメージングソリューションを提供している。

Near Space LabsのCEOであるRema Matevosyan(レマ・マテボシアン)氏はあるインタビューで「会社を興したのは『この新しい技術にまったく新しい角度からアプローチして、航空宇宙工学におけるこの盲点を利用したい』と考えたからだ。盲点とは成層圏、航空機が飛ぶ高度の倍ぐらいの高さのことだ。誰もまだ手を付けていないという創業者有利の見地から言えば、そこではとても広大な領域を一望にでき、しかも得られる画像の解像度は航空機やドローン並みに極めて精細だ。さらにまた、画像獲得の頻度をきわめて高くできる。現在のNear Space Labsの画像取得のペースは週でも月でもなく1日であり、それは、これだけの高解像度の画像では従来あり得なかったものだ」と述べている。

このような超高空からの超高解像度画像は、保険、不動産、ロジスティクス、地方行政などの分野にとってきわめて有益だ。Near Space Labsは必要なものを必要な時に、しかも非常に詳細な画像で素早く提供する。これにより、たとえば大規模な建設工事なら、つねに全体の眺望を見ながら進捗をチェックできる。そのほか、交通政策のためには渋滞の状況を時系列で見たり、同じく時系列で港湾の作業効率をチェックしたりできる。従来からある衛星画像では、それだけの広大で精細な画像の提供を頻繁にはできない。しかも従来衛星では、宇宙船の打ち上げ等の費用がきわめて高い。Near Space Labsの技術は、カバー範囲の広さと高精細という画像の質と、画像提供の高頻度という、従来の衛星技術では両立できなかったものを両立させた。同社はそのような画像を、オンデマンドで提供できる。

マテボシアン氏は 「Near Space Labsのプラットホームは本質的にスケーラブルであり、人々が必要としているところへ容易に打ち上げられる。また、従来技術にように災害に弱いなどの欠点もない。例えば、山火事の最中でも後でも飛行できるが、ドローンや飛行機ではそれができない」と語る。

同氏によると、Near Space Labsは気象観測気球を利用したイメージングプラットホームを毎日配備でき、それはそのあとで運用高度に達し、目的領域を2時間ほど撮影する。撮影が終わったらすぐ回収するので、高解像度の画像にすぐにアクセスできる。ハードウェアもソフトウェアもすべて自社製なので、一種のロボティクスのプラットホームであり、それがデータを集めて顧客に提供する。

Near Space Labsはデータだけでなく取った画像のアナリティクスも作り、顧客にイメージングとその解釈の両方を提供している。同社には、Draper AssociatesやWireframe Ventures、そして自動車メーカーのMiniのアクセラレーター部門のUrban-Xが投資している。Urban-Xは、都市生活の形を変えようとしているスタートアップにフォーカスしており、マテボシアン氏によると、都市政策の変容にも今後の大きな機会があり、特に同社が提供する新しいイメージングには喫緊の需要があるだろう。

上の写真をより高解像度(容量33MB)のバージョンで、Near Space Labsが撮影できる細部がよくわかる

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

電動垂直離着陸機のスタートアップVolocopterが欧州航空安全機から安全承認代行権を取得

電動垂直離着陸機(eVTOL)のスタートアップであるドイツのVolocotper(ヴォロコプター)が、欧州航空安全機関(EASA)から安全認証作業を代行する権限(DOA、Design Organisations Approvals)を受けた。これはVolocopterが航空機の開発と製造において実施してきたプロセスが、商業用にeVTOLを展開する計画を推進できるレベルに達したものであるというEUによる認定だ。

これにより、Volocopterは商用化を進めるうえで大きなアドバンテージを得た。ドイツを拠点とするこの会社は今年、商品を運ぶために設計された貨物バージョンの機体を生産する計画を発表し、農業での使用に焦点を当ててJohn Deereと提携し、機体テストを行うことを明らかにしている。また一方で同社は、都市にて乗員を輸送することを目的とした 「エアタクシー」 の計画も進めている。

これまでVolocopterは、シンガポールとシュツットガルトにて、乗客を乗せた機体での試験を実施してきた。同社は今年の初めに5000万ユーロ(約60億円)の資金調達ラウンドを発表し、2〜3年のうちに一般向けサービスを開始したいと考えている。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

SpaceXが有人宇宙飛行システムの重要な節目を年内達成へ

SpaceXはCEO Elon Musk(イーロン・マスク)氏の立てた大胆なスケジュールの1つを、比較的順調に守っている。予定遵守に関する同社の実績からすると、珍しいが歓迎すべき事態だ。SpaceXは、Crew Dragon(クルードラゴン)カプセルに初めて宇宙飛行士を乗せる際に利用するパラシュートの最新システムの7回目のテストを完了した。

このパラシュートシステムは、現在テスト中のCrew Dragonが実運用にに入った後、搭乗する宇宙飛行士が国際宇宙ステーションから地球に戻る際、安全に下降するためになくてはならないものだ。SpaceXはこのパラシュートシステムを複数回開発しており、現在のバージョン3は耐久性の高い材料と新しい新しい縫製技術によって最大の強度を実現している。

マスク氏は10月に、このMark 3システムのテストに10回連続して成功することが、SpaceXが有人宇宙船で新パラシュートシステムを使用するための信頼レベルだと言っていた。そしてNASAのJim Bridenstine(ジム・ブライデンスタイン)長官は、その10回のテストが年内に完了する可能性を示唆していた。SpaceXは米国時間12月3日にこれまで7回のテストに成功しており、目標の10回を2019年中に達成する見込みであることを公表した。

これは2020年前半に全体デモンストレーションおよび実際の有人飛行を実施するという、ブライデンスタイン長官がSpaceXともう一つの商業有人飛行パートナーであるボーイングについて最近繰り返し語ってていたスケジュールにも沿っている。ボーイングは、有人飛行プログラムに不可欠なもうひとつのマイルストーンである脱出テストを今月行う予定だ。

今週SpaceXは、クルードラゴン用パラシュートの最新改定版Mark 3の7回目のシステムテストに成功した。このパラシュートは@space_stationから宇宙飛行士が地球に戻る際に安全な着陸を可能にするために用いられる

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

ディズニーの新SWアトラクションのこけら落としでリアルなXウイングがデモ飛行

Boeing(ボーイング)はカプセル型宇宙船、Starliner(スターライナー)の最初の有人飛行の準備のため、最後の重要なステップに差し掛かっている。さらに地球上でも、SFの世界を現実にすることに力を注いでいる。ディズニーが宇宙戦闘機、Xウイングの大型モデルを開発するのを手助けしたのだ。そのXウイングは、米国フロリダ州にあるディズニーワールドに新設された「Star Wars:Rise of Resistance」(スター・ウォーズ:ライズ・オブ・レジスタンス)アトラクションのオープニング記念イベントに登場した。

先週のはじめの夕方のセレモニーでアトラクションがオープンした際に、「ほぼ小型のワゴン車サイズ」のXウイングが、イベント会場の上を飛行した。これはThe Driveの記事の表現だが、同メディアは、ボーイングの航空貨物ドローンを改造したと思われるXウイングを、最初に盗撮することに成功していた。その後、同社は関与を認めていたが、Xウイングが実際に同社の航空機であること以上の情報を提供していなかった。

下のビデオのように、Xウイングは夜空に向かって垂直に上昇し、上空でホバリングして回転してから飛び去っている。ただし、Poe Dameron(ポー・ダメロン)が操縦しているかどうか確認しようと目を凝らしても無駄だ。このXウイングは、無人のドローンなのだから。おそらく、ボーイングが最近公開した「Cargo Air Vehicle」(カーゴ・エア・ビークル)の設計をベースにしたものだろう。6基のローターが、この記事の末尾のギャラリーのクローズアップ写真で確認できるはず。

観察眼の鋭いコアなスターウォーズファンなら、このXウイングが、オリジナルの3部作で使われていたフルシリンダータイプのエンジンを備えたT-65ではなく、ライズ・オブ・レジスタンスに登場する分割シリンダーエンジンのT-70であることに気づくはず。これは時代考証的にも正しい。というのも、このアトラクションは、最新の3部作のタイムラインで、レジスタンスとファースト・オーダーが対立した時代を想定しているからだ。

ボーイングのCAV(カーゴ・エア・ビークル)について付け加えると、今年初めに屋外でのホバリングのテストに初めて成功したあと、最近になって前方への移動を含む3分間のテスト飛行を完了した。この貨物ドローンは産業用に設計されたもので、最大500ポンド(約227kg)の荷物を運ぶことができる。まだテスト段階のものだけに、今回のスターウォーズのデモはなおさら興味深いものだった。

  1. "Rise Of The Resistance Media Preview" Media Preview

    ORLANDO, FLORIDA - DECEMBER 04: X-wing fighters drones perform during the dedication ceremony for the "Rise of the Resistance" attraction opening at Galaxy's Edge at Disney’s Hollywood Studios on December 04, 2019 in Orlando, Florida. (Photo by Gerardo Mora/Getty Images)
  2. "Rise Of The Resistance Media Preview" Media Preview

    ORLANDO, FLORIDA - DECEMBER 04: X-wing fighters drones perform during the dedication ceremony for the "Rise of the Resistance" attraction opening at Galaxy's Edge at Disney’s Hollywood Studios on December 04, 2019 in Orlando, Florida. (Photo by Gerardo Mora/Getty Images)
  3. "Rise Of The Resistance Media Preview" Media Preview

    ORLANDO, FLORIDA - DECEMBER 04: A X-wing fighter drone performs during the dedication ceremony for the "Rise of the Resistance" attraction opening at Galaxy's Edge at Disney’s Hollywood Studios on December 04, 2019 in Orlando, Florida. (Photo by Gerardo Mora/Getty Images)
  4. "Rise Of The Resistance Media Preview" Media Preview

    ORLANDO, FLORIDA - DECEMBER 04: X-wing fighters drones perform during the dedication ceremony for the "Rise of the Resistance" attraction opening at Galaxy's Edge at Disney’s Hollywood Studios on December 04, 2019 in Orlando, Florida. (Photo by Gerardo Mora/Getty Images)

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

イーロン・マスクも称賛しそうなレゴ製のTesla Cybertruck

Lego(レゴ)はすでに、Tesla(テスラ)のCybertruckのデザインへの提案を発表しているが、それは純粋にネットミームのためのものだった。しかしこのレゴ製のCybertruckは、Lego Ideasの公式クラウドソーシングサイトに投稿されたもので、非常に忠実に再現されており、オリジナルと同じく特徴的なテールゲートとフロントトラックを備えている。

Lego IdeasユーザーのBrickinNick(ブリッキンニック)氏が製作したこのレゴは、実際のCybertrackのポリゴンのようなサイバーパンク風デザインを見事に再現したもので、同氏によると助手席のドアを開けたり、ランプがスライドしたり、さらにはTesla ATVキットも付属しており、会場でのデモを自宅で楽しめる。もちろん、Elon Musk(イーロン・マスク氏)のミニフィギュアは必須だろうし、交換可能な粉々に割れたウィンドウもあるといいかもしれない。

LEGO Ideasでは、誰でもアカウントを作成してデザインを投稿し、コミュニティがその投稿に投票することができる。十分な票が集まれば、レゴはそのデザインを実際のキットとして製作することを検討するだろう。もちろん、他社の知的財産が絡む際には確かなことはいえないが、このキャンペーンは記事執筆時点ですでに約2000人のサポーターがおり、ユーザーサポートという意味ではうまくいっている。

好むと好まざるとにかかわらず、レゴ製のCybertruckは実に素晴らしいデザインに仕上がっているので、いつか出荷されることを願っている。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

Delphiaはユーザー全体の振る舞いに関するデータを投資資本に変える

多くの企業が個人データの価値について語り、データを誰かに共有するなら管理は当社に任せてほしいと言う。トロントに拠点を置くDelphia(デルフィア)は、個人データを真の金銭的利益に変える方法の開発を目指す。開発しているのは、実効性があり持続的な成長が可能な手法だ。Delphiaは、ソーシャルグラフ(ウェブ上の人間関係やその情報)に値札をつけるのではなく、人を集めて資源として蓄え、集団の振る舞いから真の経済力を引き出したいと考えている。

「データから価値を効果的に生み出す仕組みを作るには、データをまとめ、集合体として機能させなければならない」と、DelphiaのCEOであるAndrew Peek(アンドリュー・ピーク)氏がインタビューで答えた。

ピーク氏によると、一般的には広告主にとっての価値という観点から個々のデータに焦点が当てられることが多く、それぞれの個人データの価値は非常に低い。 Delphiaは対照的に資本市場に目を向けており、機能し続ける仕組みを複製・改善したいと考えている。ヘッジファンドなどの大規模機関投資家は、ユーザーのデータに基づいた機械学習アルゴリズムを常に使っているが、ユーザー自身は報酬や提供するデータいずれの点からも、機関投資家の投資プロセスに積極的に関わっているわけではない。

Delphiaはアプリを開発してこの状況を変えたいと思っている。ユーザーがデータを駆使した投資に積極的に関わり、他のユーザーとも協力できるアプリだ。ユーザーはもっと情報を提供することで、ヘッジファンドにもできないことができるようになる。従来、個人投資家はオンラインで得た売買のシグナルに基づき受動的に投資の判断をしていたが、新しいアプリによって、投資判断で優位に立てる。

「当社からユーザーに毎日いくつか質問を送る。だいたいはユーザーが今何をしているかに関するものだ」とピーク氏は言う。「Appleが新しいAirPodsを発表する。NikeがColin Kaepernick(コリン・カペルニック)の広告を出す。毎日何かが起こっている。ここに当社が関与する。当社はユーザーを知るための質問をいくつか投げ、ユーザーは回答するとポイントが付与される。他のサービスのアカウントに接続して付与されるポイントもある。Twitterのプロフィール、Venmoのアカウント、携帯電話の位置情報履歴、Amazonの購入履歴、YouTube、Redditなどだ」。

集めたデータに基づいて、Delphiaはユーザー全員に代わって、株式市場で戦略的に銘柄選択を行う。手数料を徴収するが、データを投資(提供)するユーザーには半分を再分配する。ピーク氏によると、この仕組みによりユーザーは資金なしでも参加できる。もちろん従来の投資手段と同様に、資金を預けることもできる。Delphiaは当面リテール(個人投資家向け)のみを取り扱う。機関投資家向けの商品は複雑な問題を伴うため、規制当局と協議中だ。今のところリテール投資環境で運用されるということは、あらゆるユーザーが特別な要件なしで参加できることを意味する。

前述のように、Delphiaの仕組みがデータサイエンティストの設計通りに機能するには、プラットフォームに一定数のユーザーが必要だ。正式にアプリの運用を開始する前に、10万人の事前登録ユーザーのクリティカルマスを達成すべく、サインアップページで12月3日に募集を開始した。同社は下にあるような計算機も開発し、従来のリテールの投資アドバイザーやロボアドバイザーと比較して、同社の仕組みが登録ユーザー数に応じてどう機能するかを表示している。


Delphiaの仕組みは間違いなく野心的であり、ピーク氏が全面的に認めているように、ユーザーにしっかりと信頼してもらう必要がある。同社の仕組みはユーザーの信頼を獲得し続ける限り機能し、ユーザーがこの仕組みの優位性を維持するためには参加し続ける必要がある点が新しい。これは断っておく価値があると思うが、データの生成と共有に関して魔神をランプに戻す現実的な方法はないように思われるものの、Delphiaのビジョンは、情報管理の概念をまた取り入れたのみならず、 従来株式市場への投資から締め出されてきた人々に真の経済力を生み出す機会を提供したことは確かだ。

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(翻訳:Mizoguchi)

Einrideがスウェーデンでコカコーラ関連会社と無人電動トラックの商用テストを実施へ

自動運転トラックのスタートアップであるEinrideは、スウェーデンの路上で商用テストを行う新たなパートナーと契約した。これは、同社の自動運転トラックのための有意義なテストになるだろう。EinrideはCoca-Cola European Partnersへとサービスを提供する予定で、同社はスウェーデンにおけるCoca-Cola(コカ・コーラ)ブランド製品の正規ボトラー、ディストリビューター、販売およびマーケティング会社である。

この提携によりEinrideは、Coca-Cola European Partnersのストックホルム郊外のJordbroにある倉庫と、Axfoodの流通ハブの間で自社の輸送システムを商業的に運用し、コカコーラブランドの商品がスウェーデンの地元店舗に発送される前段階として、それらをリテーラーに輸送することになる。

Coca-Cola European Partnersは、現在使用されているソリューションと比較して、EinrideのシステムによりCO2排出量を90%も削減できる可能性があることから、この提携をCO2排出量削減の継続という目標の一環として検討している。両社によると、この試験は今後数年のうちに実施される予定で、またEinrideの公道での試験は当局の承認を得て、早ければ来年中にも実施されることが期待されている。

Einrideは昨年10月に新たに2500万ドル(約27億円)の資金を調達したと発表しており、今年5月からは、同社が開発した電気トラックのEinride Podの公道走行試験を開始している。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter