イーロン・マスクがテスラのフル自動運転機能を「アーリーアクセス」として年内公開すると発表

Tesla(テスラ)のCEOを務めるElon Musk(イーロン・マスク)氏は米国時間10月23日の決算電話会見で、同社のフル自動運転モードを早ければ今年末に完全実装リリースする可能性があると語った。提供形態は「アーリーアクセス」、事実上の限定ベータとなる見込みでマスク氏はだ確定ではないと念を押した。

「厳しい日程だが、年内にフル自動運転の少なくとも限定リリースはできそうだ」と同氏が会見で語った。そして、年内の限定プライベートベータについて「確実ではない」が「順調に進んでいるようだ」と付け加えた。

これに先立ち、テスラの自動無人運転パーキングロット「Smart Summon」が先月提供された。これは、テスラオーナーが駐車場内で車を呼び出すと歩道まで迎えにきてくれる仕組みだ。初期のテスト利用での成否はさまざまだったが、改善されたソフトウェアアップデートを「来週頃」に公開すると語った。

このSmart Summonのアップデートは、9月末にリリースされて以来「100万回以上」利用された結果のデータに基づいて改善されている。

テスラが公開を予定しているフル自動運転(FSD)モードを利用するには、オーナーはFSDアップグレード・パッケージを所有している必要がある。このパッケージは、8月に価格が6000ドルから7000ドルに価格改定された。

Teslaは今年4月から新しい自動運転コンピューターを全新車に搭載し、独自のカスタムチップへと移行した。これはSD機能をソフトウェアのみのアップデートで実現するためで、かつて同社は前の世代の自動運転コンピューターでも可能だと言っていたが、そのチャレンジが予想以上に困難だったことは明らかだ。同機能の公開時期も複数回延期されている。

マスク氏はその後の質問に対して、「アーリーアクセス」の公開は今年遅くになるかもしれないが、「ドライバーが注意を払わなくてもいいほど信頼性の高い」フル自動運転は「来年末」までかかるだろうと答えた。

ここでの「全機能実装済みFSD」の意味を明確にするために、同氏は後にテスラの自動運転技術の評価基準を紹介し、「無人運転は可能だがときおり監視と介入が必要」であると説明した。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

テスラがソーラー屋根タイルの第3世代を発表

Tesla(テスラ)はソーラー屋根タイルの第3世代を発表する。米国時間10月24日午後に正式デビューの予定だ。同社CEOのElon Musk(イーロン・マスク)氏は米国時間10月23日の決算電話会見で、第3世代の違いの詳細について10月24日午後に正式発表すると語った。

テスラは最初のソーラー屋根タイルを2016年に発表し、2017年に予約受付を開始した。今年6月の年次株主総会でマスク氏は、同製品はすでに第3世代に入っており性能を改善した結果、長期的な電気料金の節約と新しい屋根の購入コストを考慮に入れると、安価な非ソーラー屋根タイルと同等になると語った。

その第3世代は当時すでにテスト中だったようで、今回一般消費者向けに販売する準備が整った。この消費者向けソーラー屋根タイルは、まだ大規模に導入されてはいないようで、予約している顧客の中には、設置時期計画がはっきりしない、と不満を募らせる向きもある。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

アリアンスペースが初の月へのライドシェアミッションを2023年に提供

ヨーロッパの打ち上げ事業者ことArianespace(アリアンスペース)は米国時間10月22日、国際宇宙会議で月探査に関するいくつかの刺激的なニュースを発表した。同社でCEOを務めるStéphane Israël(ステファン・イスラエル)氏によると、今後打ち上げられるAriane 6ロケットは、4年後に月へのライドシェア・ミッションを行う予定だという。

「我々は2023年までに、Ariane 6による月への最初のライドシェアミッションを提供する予定で、政府や民間の顧客を検討している」 と、イスラエル氏はイベントのステージで語った。

このライドシェアミッションでは、最大8.5トンの貨物を月へと向かう軌道に投入することができる。Israël氏によると、Arianespaceは有人宇宙船の輸送を計画している一方で、Ariane 6による着陸機と探査機を投入し、NASAのアルテミス計画を含めた有人ミッションへの準備を整えられるとしている。

Ariane 6は、現在ArianespaceがESA(欧州宇宙機関)の指示の下で開発中の、2段式の中〜大型ロケットだ。来年には初のテスト打ち上げを行う予定で、2023年には商業ペイロードを搭載した初の月周回軌道ミッションを実施することを目標としている。

Ariane 6がこの目標を達成できれば、月への有人飛行を確実にするだけでなく、インフラを設置して月にとどまり、長期間の生活、活動、研究を可能にするための重要な輸送システムになるかもしれない。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

イーロン・マスクがSpaceXの衛星インターネット「Starlink」を使ってツイート

SpaceX(スペースX)でCEOを務めるElon Musk(イーロン・マスク)氏は、同社の衛星コンステレーションことStarlinkが提供するインターネット接続を米国時間10月22日の午前に利用した。Musk氏は軌道上のStarlinkの衛星によるネットワークを通じてシンプルにツイートを発信し、現在の状況を説明した。

Starlinkは、独自の衛星ブロードバンドネットワークを立ち上げて運用するSpaceXの野心的なプロジェクトで、これまで高速なインターネットへの信頼性の高いアクセス方法がなかった地域を含む、世界中へのブロードバンド接続を提供する。

SpaceXは今月、これまでに計画されていた1万2000機に加え、さらに3万機のStarlinkの衛星を軌道に乗せる計画を提出した。同社は非常に高い需要に対応する準備を進めており、将来的にはすべての潜在的な顧客に信頼性の高いサービスを提供するために、小型衛星のネットワークをどの程度拡大する必要があるのかを検討しているという。

SpaceXは昨年の2機のプロトタイプ衛星に続き、2019年5月に最初の60機の衛星を打ち上げた。これらの衛星は、無線信号を受信して変換する、Musk氏のコメントによればピザ箱サイズの地上基地と連携して機能する。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

NASA長官が人類は2035年までに火星に行けると発言、ただし予算が付けば

NASAのジム・ブライデンスタイン長官は米国時間10月21日月曜日に開始された年次国際宇宙会議で、複数の国際宇宙機関の代表者と共同で講演した。最後に講演者全員にある質問が投げかけられた。人類はいつ火星に行けるのか?

ESAのヨハン・ヴェルナー長官が(翌日の)「火曜日」と冗談を言ったあと、ブライデンスタイン長官は自身の信じる本気の答えでフォローした。誰もが政府の援助と必要なサポートが得られるという前提で、早ければ2035年に宇宙飛行士が火星に着陸することが可能だと語った。

「我々は月面着陸計画を加速しているのと同様、火星着陸も加速している。それが現状だ」とブライデンスタイン氏は語り、2024年までに初めて女性を月に送り、初めて米国人を火星に送るアルテミス計画の加速された時間軸に言及した。

「予算が十分にあれば」と、ブライデンスタイン氏は各国のNASAに相当する機関の仲間たちに向かって言った。「2035年までに実現できるだろう」。「目標は5年以内に月に着陸し、2028年までに持続可能にすること」と、ブライデンスタイン氏は代表者講演の後の記者会見で語り、持続可能とは「別の世界で長い期間居住して働ける」という意味だと付け加えた。

ブライデンスタイン氏の挙げた前提は、小さなことではない。NASAは、2024年までに月へ行く計画の議会小委員会の予算聴聞会で、強い懐疑心を持たれたばかりだからだ。2035年を目標とする火星計画の実現性に関するNASAの科学的および技術的評価によると同局は2015年時点ですでにこの時期を検討していた。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Rocket Labは月やその先への小型衛星打ち上を目標に

国際宇宙会議にてRocket Lab(ロケット・ラボ)は、現在の低軌道を越えた、月への貨物輸送を含む軌道への小型衛星打ち上げサービスを開始すると発表した。より長距離を目指すこのサービスでは、同社の宇宙船ことPhoton(フォトン)により、追加のロケットステージと組み合わせて到達範囲を拡大する。同社は、この新しく遠方を目指す宇宙船により、早ければ2020年第4四半期(10月〜12月)に運用が開始できると期待している。

これは昨年打ち上げサービスを開始して以来、LEO(低軌道、地表から約320km〜1900kmの間)に焦点を当ててきた、ロケット打ち上げスタートアップのビジネスを大きく拡大する。Rocket LabのCEO兼創設者のPeter Beck(ピーター・ベック)氏はプレスリリースの中で、これらは軌道への打ち上げに興味がある政府と民間のクライアントの両方から、追加のインバウンドを呼び込むものだと述べた。

Beck氏によると、この需要は有人探査と月周辺のインフラ建設(NASAのアルテミス計画には、国際協力によるLunar Gatewayの月軌道ステーションと、月面基地の建設が含まれる)へとより多くの投資が期待される時にのみ増加するという。小型衛星は低リスクな先行ミッションを提供し、より大きく永続的なプレゼンスを確立するために必要な、先行インフラを確立するのに役立つだろう、と主張している。

ベック氏によると、すでに既存の需要もあり、多くの研究機器とフルサイズの人工衛星が、深宇宙探査の実施を待っているという。つまり、Rocket Labはこれが将来の需要の予測ではなく、すでに市場に存在する満たされていないニーズに対応するものだと強調している。

この目標を達成するためにRocket Labが使用するPhotonは、ElectronのKick Stageの発展型だ。これをElectronと組み合わせることで、Rocket Labの顧客はLEOから地球の軌道を超え、月までのあらゆるミッションのためのソリューションを手に入れられると同社は述べている。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

ボルボが輸送車に特化した自動運転車の事業部を立ち上げ

Volvo Group(ボルボグループ)が、鉱業や港湾業など、あらゆる種類のロジスティクスのハブ間で物を移動する、業務用専用の自動運転輸送にフォーカスした専門的な事業部を設立した。同社はこれまで、すでに個々のプロジェクトで採石や鉱山、スウェーデンのイェーテボリにある取扱量の多い港などで自動運転技術を導入してきた。

同社は自動運転技術のこの種の利用への需要が増えているのを見て、それに特化した事業部門を作ろうと決めたようだ。新たに作ったグループはVolvo Autonomous Solutionsと名付けられ、その公式ミッションを「自動運転による輸送の開発、商用化、および売り上げを加速すること」とした。そのフォーカスする輸送形式は「大量の品物や素材を一定のルートで一定の受け入れ先へ移動するニーズに対応すること」だ。

「このセクターに期待される成長は顧客からの直接的なフィードバックにも由来している」と同社は言う。Volvo Groupの社長でCEOのMartin Lundstedt(マーティン・ルンシュテット)氏は声明中で、「顧客からの問い合わせが非常に増えている」と述べている。

公式には、Volvo Autonomous Solutionsは2020年の1月まで親会社の傘下というかたちになる。しかし、その後の新しいトップはすでに探しており、同社がこの新興市場のポテンシャルを大きいと見ていることは明らかだ。

消費者向け自動車の自動運転とは違って一定ルートで製品や商品を運ぶ自動運転輸送は、現代のテクノロジーの能力の大きさや多様さによくマッチしている。自動運転をこのように業務用に利用すれば、例えば人間が運転する車の多い都市部における運転の混沌と複雑さを解消でき、また一定のルートを維持することによる輸送効率の向上も期待できる。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

ロジテックの新MXシリーズのマウスとキーボードがデスクトップ環境を最適化

Logitech(ロジテック)、日本版ブランドはLogicool(ロジクール)である同社は最近、マウスとキーボードの新製品、MX Master 3MX Keysを発売した。価格はいずれも99.99ドル(日本版参考価格はマウスが1万3500円、キーボードが1万4500円)。いずれのデバイスも、同社の過去の製品ラインナップから多くを受け継いでいる。もちろん、同社が入力デバイスとしてあるべき姿と考えるものを具現化したものだ。そしてその上に、現在の周辺機器に追加可能な最高の機能を付加したものとなっている。

MX Keys

Logitechの新しいキーボードは、同社のクリエーター向けのハイエンド製品、Logitech Craft(日本版はロジクールCRAFT KX1000s)から、多くを受け継いでいる。見た目も使用感もCraftによく似ているが、キーボード本体の左上に配置されていたダイヤルは省かれている。専用のドライバーソフトと組み合わせて使うことで、さまざまなアプリごとに、異なったコントロール機能を発揮できるものだった。

Craftのダイヤルは、確かに好奇心を刺激するものであり、ある種の創造的な作業のワークフローにとっては、実際に極めて便利に使える。たとえば、ビデオ編集で、タイムラインを前後に行ったり来たりするような場合には、感触的なダイヤルによるコントロールが適している。ただし、普通の平均的なユーザーにとっては、それほど必要性が感じられるものではなかったのも事実だ。

MX Keysは、Craftにあったダイヤルを装備しない分だけ、デスク上に占めるスペースは小さくなっている。価格は、Craftよりも70ドル(日本の参考価格では9250円)安いので、たぶんほとんどの人にとっては、ユニークなコントローラーより、価格の方が魅力的に感じれられるだろう。MX Keysは、キー間の指の移動もスムーズで、キータッチの感触も優れている。これらはCraftから受け継いだもの。手を近づけると自動的に点灯する、スマートなバックライトも内蔵する。好みに応じて明るさを調整したり、完全にオフにすることも可能だ。もちろん、バックライトを使わない方がバッテリー寿命は長くなる。

MX Keysは、USB-Cで充電可能なバッテリーを内蔵している。バックライト使用時はフル充電で最長10日間、バックライトを完全にオフにした場合は最長5ヶ月間使用できる。接続には、Bluetoothと、付属のUSBレシーバーの両方が使える。このレシーバーはUnifying(統合)タイプなので、1つのレシーバーでMX Masterシリーズのマウスなど、他のLogitech製品も接続して使うことが可能だ。

キーボードは、最大3台のデバイスに対して同時にペアリングしておくことができ、それぞれ独立したボタンで即座に切り替えて使える。OSとしては、Windows、macOS、Linux、Android、iOSをサポートする。それぞれのキー配列に対応するため、OSによって割り当ての異なるキーには、複数の刻印が施されている。さらにMX Keysを、MX Master 3など、同社独自のFlow機能をサポートするLogitech製マウスと合わせて使用する場合には、異なるOS間も含め、複数のデバイス間でキーボードとマウスを同時にシームレスに切り替えられる。その際には、デバイス間でのコピー&ペーストも可能だ。

MX Keysには、1万4500円という価格からは考えられないような価値があると感じられる。非常に高級感のあるハードウェアを、比較的手軽な価格で入手できる。しかも、Microsoft(マイクロソフト)やApple(アップル)の純正キーボードを含めて、他社のキーボードには、とてもかなわないような豊富な機能を実現している。

MX Master 3

マウスに関しても、Logitechほどの名声と実績のある会社は、他にはほとんど見当たらない。特にMX Masterシリーズは、すでに多くのファンを獲得している。もちろん、それにも当然の理由がある。

MX Master 3は、けっして「車輪(ホイール)を再発明」したわけではない。つまり、すべてをやみくもに作り直したようなものではない。ただし、スクロールホイールだけは例外で、これは新たな発明と言っていい。Logitechは、「MagSpeed」と呼ばれる新たな技術を導入して、スクロールホイールを一新した。高速なスクロールに適した「フリースピン」と、ピクセル単位の繊細なコントロールが可能な「ラチェット」モードが自動的に切り替わる。同社によれば、この新設計によって、以前のスクロールホイールに比べて90%高速で、87%「精確」なスクロールが可能だという。ただ、このような数字は、一般的な使い方では検証するのが不可能だ。とはいえ、全体的にスクロールの感触も良くなったように感じられ、宣伝文句通り操作音も「非常に静か」であることは、簡単に確かめられる。

MX Master 3マウスの形状は、人間の掌の形状にぴったりと合うよう、微妙に変更された新たなシルエットが採用されている。またMX Masterシリーズならではの輝かしい機能、サムホイールの位置や形も変更されている。これも実際に使ってみると、操作感覚が改良されたことが感じられる。ただ、慣れないと親指をぴったりと最適な位置に移動するのが難しい。全体的に、従来モデルのMaster 2Sより操作感覚は良くなっている。本当に重要なのはそこなのだ。

トラッキングに関して言えば、Logitech独自のDarkfield(ダーク・フィールド)技術により、実際にあらゆる材質の面で、確実なトラッキングを実現している。4000DPIという精度は業界をリードするもの。Logitechのデスクトップ用アプリ「Logi Options」によって、感度、スクロール方向、その他の機能を調整できる。MX Master 3も、同時に最大3つのデバイスとペアリングでき、Flow機能と連携して、異なるOS間でのコピー&ペーストも実現する。

MX Master 3の注目すべき新機能の1つは、充電用のUSB-Cポートを装備したこと。以前のモデルは、Micro USBだった。これは特に、Macの最近のモデルを使っている人にはありがたい。可能な限り1つの標準に集約させることで、ケーブルの種類も最少にすることができるからだ。MX Keysの充電ポートもUSB-Cになっているので、どちらも1種類のケーブルで充電できて便利だ。MX Master 3は、フル充電で最長70日間使用できる。また、バッテリー切れの状態から、わずか1分の充電で、3時間も使えるようになる。

結論

Logitechが、サードパーティのキーボードとマウス製品を、長年にわたって先導する立場を守ってきたのには、それなりの理由があったからに違いない。その上でなお、成功を収めた既存の製品よりも、さらに優れたものを開発し、発売し続ける能力には感心するしかない。MX Keysは、この価格帯の製品としては、今入手できる最高のキーボードだと言っても差し支えない。多くの、より高価な製品より優れている。MX Master 3は、何の疑いもなく、ほとんどの人に勧められる唯一のマウスだ。豊富な機能もさることながら、USB-Cによる充電機能も、その理由の1つ。これらのキーボードとマウスの組み合わせは、一般的な仕事はもちろん、創造的な作業でも、またその他のどのような用途でも、デスクトップ用入力装置のペアとして頼もしい存在だ。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

MITがロボットが物体を扱う時間を大幅に短縮する方法を開発

モノを手に取るのは簡単なことのように思える。でもそれは、手に取るために必要なすべてのことを即座に、直感的に理解できる強力な脳を持つ人間にとってのこと。ロボットの場合、進化したロボットであっても、驚くほど複雑な計算をしなくてはならない。壊さないようにつかむなら、なおさらだ。

MITは、ロボットがどう物体をつかむかを決定する時間を短くする新しい方法を開発した。現在10分以上かかっているものが1秒以下と「驚くほど」速くなるという。これは桁違いの高速化であり、人間が反応して対応する時間に近くなる。

これが実現すれば、工業分野などロボットがすでに使われている場所では実際に大きなメリットとなる。この研究チームの方法では、ロボットはオブジェクトを動かない面に押し付けることで、どう扱うかを決めるプロセスを大幅にショートカットする。工場や倉庫でのロボットの用途として一般的なピッキングや並べ替えに応用できるだろう。

MITはこの技術について、ロボットが「複雑な道具」をうまく扱えるようにするためにも活用でき、さらに高度な関節があるロボットマニピュレーターだけでなくシンプルなグリッパーにも有効だろうとしている。

このモデルの有効性を実証するために、研究チームはロボットのグリッパーにT型のブロックを持たせ固定された垂直方向のバーに向かって押す実験をした。結果は仮想モデルのとおりになり、ロボットはつかんだブロックを操作してタブレットの上に立てることができた。これは従来の方法では500秒以上かかっていたが、この方法では1秒かからなかった。

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(翻訳:Kaori Koyama)

AlphabetグループのWingがドローン宅配に初成功

 Google(グーグル)の親会社のAlphabet(アルファベット)からスピンアウトしたドローンのスタートアップであるWingが初の空からの宅配を実施した。Wingは今年初めにアメリカの連邦航空局からドローンによる商用配送のパイロット・プログラムを実施する承認を得ており、FedExと大手薬局チェーンのWalgreensと協力して準備を進めていた。

届け先はバージニア州のコリバー家で商品は「咳止め風邪パック」だった。これにはアセトアミノフェン製剤のタイレノール、咳止めドロップ、ビタミンC製剤、飲用水ボトルが入っていた(なぜ水まで入れてあるのかよくわからないが)。

WingとWalgreensがドローン配送のパイロットプログラムを実施する地区として選んだのが顧客のコリバー家が所在するクリスチャンバーグだった。Walgreensはドローンで商品の戸口配送を行った最初の米国企業となり、FedExもそのロジスティクスを担当したことで、両社とも宣伝効果も含めて大きな成果を挙げたといっていいだろう。

Wingはロジスティクスの中でもっとも困難なラストワンマイルと呼ばれる顧客の戸口までの配送のドローン化を図ろうとしており、同じくバージニア州でSugar Magnoliaと協力している。これは地元のギフトとステーショナリーの専門店で、顧客が注文するのはギフトカードやチョコレートなど比較的小型軽量の商品が多く、ドローン配送の可能性の検証に適している。

Wing drone delivery 3

米連邦航空局(FAA)がWingに交付した航空事業者適格証明(Air Carrier Certificate)はパイロットがリモートで同時に複数のドローンを商用目的で操縦することを認めている。

これは米国におけるドローン配送にとって大きな一歩だった。消費者は今後ますます多くの商品がドローンで宅配されるようになると期待できる。今月初めに宅配便大手のUPSもFAAからドローン宅配サービスの実験の承認を得ている。Wingが成功したことでUPSのテストも大幅に加速されるだろう。パイロットプログラムではない日常の宅配サービスとなるとドローンの利用はしばらく先のことになるだろうが、立法、行政、民間事業者ともこの実験の結果から学ぶことは多いはずだ。

【Japan編集部追記】Wing製作のプロモーションビデオには「サイクリング中に山中でケガをした、子供のバースデーケーキを焦がしてしまった、馬に乗ろうしたら金具が壊れた」などの緊急事態にドローン宅配が対応するようすが描写されている。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

NvidiaのAndroidストリーミングデバイス新型Shield TVがAmazonに一時出現

Nvidia(エヌビディア)がShield TVをアップデートするという事実は、すでに米連邦通信委員会(FCC)への提出書類から報じられているが、米国時間10月19日のリーク情報はより詳細を伝えてる。Amazon(アマゾン)に一時ではあるが、新型セットトップストリーミングデバイスのNvidia Shield Proが掲載されたのだ。

Android TV Rumorsが保存したキャプチャによれば、Nvidia Shield Proの価格は199.99ドル(約2万2000円)で、Nvidiaの新しいTegra X1+チップと3GBのメモリー、16GBの内蔵ストレージを搭載し、2基のUSBポートが用意されている。さらに、その発売日は10月28日と記載されていた。

Amazonの流出ページが正しければ(Nvidiaによる公式製品ページのように見えるが)、新しいShield TVのプロセッサーは「前世代より最大25%高速化した」とされ、4K解像度対応ディスプレイでHD解像度動画の品質を向上させるほか、次世代AIアップスケールが提供される。

製品はDolby Vision HDRとDolby Atmosによるサウンド、そして「ほとんどのストリーミングメディアプレーヤーの4K HDRコンテンツ」をサポートする。また、現行モデルと同じくGoogle アシスタントをサポートし、Alexaによるハンズフリーコントロールにも対応する。

ページに掲載されていた製品画像では、ピラミッドのような新しいデザインでたくさんの専用ボタンが用意されたリモコンが確認できる。詳細説明によると、リモコンにはバックライトやTVコントロール用のIR送信機、そして「リモコン紛失防止用のロケーター」が搭載されているという。

Amazonのページには予想される製品の全体像が示されており、また同時に魅力的なアップデートのようだ。すでに製品ページは消去されてしまっているので、今後の追報に注目してほしい。

アップデート:最初のリークに続き、The Vergeによると今度は小売店のNewegg(ニューエッグ)からのリークが登場した。スペックはほぼ同じだがずっと小型で、microSDカードスロットを内蔵しストレージ容量が半分(16GBではなく8GB)になったShield TV(名前にProはつかない)の小売価格は約150ドル(約1万6000円)だ。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

日本がアルテミスプログラムに向け、NASAのLunar Gateway計画に参加

NHKによると、日本は月を周回する軌道上に宇宙基地を建設する、NASAのLunar Gateway(ルナ/ゲートウェイ)プロジェクトに参加することを正式に発表した。Lunar Gatewayは2024年までに初の米国人女性、そして米国人男性の宇宙飛行士を月面に着陸させることを目指す、NASAのアルテミス計画の重要な要素だ。

この発表は、安倍首相が出席した宇宙開発戦略本部の会議で確認された。日本がNASAの取り組みに参加すべきかどうかを検討するために設置された委員会の勧告を政府が受け入れた。

委員会はLunar GatewayでNASAと協力すれば、日本の利益になると判断した。その中には、宇宙を平和的なベンチャーや研究に関する国際協力の場にするという点で、技術リーダーとしての地位を高め日米関係を強化することも含まれる。

日本がどのようにLunar Gatewayへと参加するかについての詳細は、まだ明らかにされていない。日本の月面探査スタートアップのispaceはこのニュースを歓迎しており、今年発表したDraperとの提携により、何らかのかたちで貢献することを期待している。

「今後の月探査と日米関係を大きな期待とともに歓迎したい」と、ispaceの創設者兼CEOの袴田武史氏は電子メールで伝えている。「Draperとispaceとのパートナーシップは、商業レベルでの持続可能な月開発へと向けた、日米の取り組みを補完するものと確信している」。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

レトロゲーム機のカートリッジがそのまま使えるAnalogue Pocket

Analogue(アナログ)のように、自分たちの使命を、ずっと一貫して、しかも高い品質レベルで遂行しているIT企業は、非常に稀な存在となってしまった。Analogueがこだわりを持って開発した最近のゲーム機には、博物館収蔵品かと思えるようなレベルのハードウェア設計が施され、昔のゲーム機のカートリッジをそのまま利用できるようになっている。入念にチューンされたプロセッサを内蔵し、ファミコン、メガドライブ、スーファミ、その他のレトロなゲーム機用のゲームを、現在のHDテレビ上で、完璧に、1ピクセルの狂いもなくプレイできる。そして同社の新製品、199ドル(約2万1600円)のAnalogue Pocket(アナログ・ポケット)は、同様の高品質で、旧いポータブルゲーム機用のカートリッジをプレイするための、最高の環境を提供することを目指したもの。

Analogue Pocketは、ゲームボーイ、ゲームボーイカラー、ゲームボーイアドバンスのゲームカートリッジを、そのまま差し込むだけで、エミュレーションなしでネイティブにプレイできるポータブルゲーム機だ。本物のゲーム機で遊んだ経験のある人にとっては、昔の記憶のままの感覚で動作する。昔のタイトルで初めて遊ぶ人にも、本物のゲーム機と同じ感覚が味わえるはず。しかも、それだけではない。カートリッジアダプターを使えば、ゲームギア、ネオジオポケットカラー、Atari Lynx(アタリ・リンクス)など、他のゲーム機のカートリッジも動くのだ。

Analogue Pocketは、2種類のFPGA(フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ)を内蔵している。これらのFPGAは、ゲームを当時の意図通りに動作させるためのプロセッサとして機能する。各ゲーム機に内蔵されたシリコンチップを模倣して動作し、オリジナルのハードウェアの動きを忠実に再現するのだ。その結果、ほとんどオリジナルのように感じられる、素晴らしいゲーム体験が得られる。ただしゲームは、3.5インチで1600×1440ドットを表示可能な、615ppiという高解像度液晶ディスプレイを備えた、Analogue Pocketの非常に印象的なハードウェア上で動作する。数字が気になる人のために付け加えれば、これはオリジナルのゲームボーイのディスプレイの約10倍の解像度。しかも、驚くほど鮮やかな色と明るさでプレイできる。実のところ、レトロゲーム機としてだけでなく、あらゆるゲーム機の中でも、最高のディスプレイだ。

またAnalogue Pocketは、Analogue Dockと呼ばれる別売り(価格未定)のアクセサリと組み合わせて動かすこともできる。これにより、HDMI出力と、Bluetoothまたは有線のコントローラーが接続可能となる。つまり、大型テレビに接続して遊ぶ家庭用のゲーム機としても使えるようになるわけだ。このドックは、有線コントローラー用に2つの標準USBポートを装備する。またBluetoothを利用すれば、8Bitdoの素晴らしいワイヤレスゲームパッドでも遊べるようになる。8Bitdoのゲームパッドは、基本的にはSwitch用だが、Game Boyシリーズのゲーム用としても十分に機能する。見た目も、なかなか高級なハードウェアのように感じられる。

ポータブルゲーム機としては、これだけでも十分だろう。しかし、Analogue Pocketの世界は、それだけではない。デジタルミュージックを作成するための、シンセサイザーとシーケンサーも内蔵しているのだ。さらに2つ目のFPGAは、特に開発用に設計されている。それを利用して、デベロッパーのコミュニティが、独自のコアを移植することもできる。それにより、将来的には、さらに多くのクラシックゲームや、移植版のゲームがサポートされることにもなるだろう。

Analogue Pocketは2020年中には発売予定だが、具体的な日程は後日発表されることになっている。これまでに、Nt MiniSuper NtMega Sgなどを発売して、優れたゲーム体験を提供してきた会社にとって、これは次に目指すべき、自然なステップだったと言える。それでも、同社がポータブルゲーム機のきらびやかな歴史に取り組んでくれていると分かったのは、ワクワクするような嬉しい驚きだ。

  1. 2-Analogue-Pocket

  2. 3-Analogue-Pocket-Games

  3. 4-Analogue-Pocket-All

  4. 5-Pocket-Nanoloop

  5. 6-Analogue-Dock

  6. 7-Analogue-Pockets

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  10. 11-Pocket-angle

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

初となる女性だけの宇宙遊泳、NASAがライブ配信

NASAの宇宙飛行士のChristina H Koch(クリスティーナ・H・コーク)氏とJessica Meir(ジェシカ・メイア)氏は米国時間10月18日の朝から、史上初の女性だけによる宇宙遊泳を実施している。2人は国際宇宙ステーション(ISS)の故障した電源制御装置の修理を予定しており、現地時間午前6時30分(日本時間23時30分)からライブ配信が始まり、7時50分(日本時間0時50分)にISSのエアロックを離れる。

この歴史的なミッションは、当初の予定から7カ月後に実施される。当時、ISSには2人の女性のうちの1人が必要とする中サイズの宇宙服がなかったため、宇宙遊泳が実施できなかったのだ。Anne McClain(アン・マクレイン)宇宙飛行士は当時、koch宇宙飛行士と一緒に宇宙遊泳を行う予定だったが、McClain宇宙飛行士の任務は6月に終わった。McClain宇宙飛行士は大きなサイズの宇宙服も試みたが、動きの制限が大きすぎた。

NASAは10月に2つ目の中サイズの宇宙服を送って、同じ問題が二度と起こらないようにしたが、複数の男性宇宙飛行士による宇宙遊泳が可能なのに、女性にはできるなかったという差別への批判に直面した。しかし、NASAは宇宙服に関する差別に真摯な関心を持っていたようで、アルテミス計画のために設計された宇宙服は、あらゆる体型と大きさの宇宙飛行士に最大限の機動性を提供するように設計されていることを強調した。

女性だけによる宇宙遊泳という今回のミッションは、NASAだけでなく、人類の宇宙探査史上においても重要な一歩だ。このエキサイティングかつ重大なイベントは、YouTubeでのライブ配信で閲覧できる。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

ドイツのボッシュがISSロボット宇宙飛行士の「耳」を開発、機械的異常を事前に察知

Bosch(ボッシュ)は、新しいAIベースのセンサーシステムを国際宇宙ステーション(ISS)に送り込む。宇宙飛行士や地上クルーがISSの運行状況をモニターする方法を大きく変える可能性のあるシステムだ。

「SoundSee」(サウンドシー)と呼ばれるモジュールはランチボックくらいの大きさで、Northrop Grumman(ノースロップ・グラマン)の来たるべき補給ミッションCRS-12でISSに向かう。現在11月2日に打ち上げが予定されている。

SoundSeeモジュールは、複数のマイクロフォンと機械学習を使って、宇宙ステーションで検出した音を分析する。これをISSの健康状態の基準値として、その後の音声データと比較し、問題を示唆する変化を読み取って機械的問題をいち早く察知する。

SoundSeeは、今年6月にISSに乗り込んだサイコロ型空中浮遊ロボット飛行士、Astrobee(アストロビー)に乗って移動する。船内をさまようAstrobeeの動きはBoschのSoundSee技術にとって最適だ。BoschはAstroboticとNASAとの共同で自動センシング技術を開発した。最終的にはISS内でシステムがどのように動作しているかの情報を提供し、メンテナンスや修理が必要なシステムの異常を、理想的には問題が起きる前に発見する。

2019年7月に行われたAstrobee初の無人浮遊

Astrobeeと一緒に働く他のシステムと同じく、SoundSeeの究極の目標はISSのクルーが現在手動で行わなければならない作業を自動化することだ。すでにSoundSeeは、地球上でISS内の状況を再現したシミュレーション環境で地上テストを行っている。しかし、宇宙に飛び立ってからが、シナリオ通りに進むかどうかの真のテストになる。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

完全自動航行する「メイフラワー号」が2020年にIBMのAI技術で大西洋を横断

完全自動航行船 「メイフラワー号」が来年9月に大西洋を航海する。自動とは程遠かった最初のメイフラワー号の航海から400周年を記念する。過去4世紀の技術進歩を振り返る素朴な方法だが、自動航海技術の重要なデモンストレーションでもある。海洋研究開発組織であるPromare(プロメア)がIBMから技術面の支援を受けて取り組む。

自動航行するメイフラワー号は表面を覆うソーラーパネルのほか、ディーゼルおよび風力タービンによる推進力で、英国のプリマスから米国マサチューセッツ州のプリマスまでの3220マイル(約5200km)の航海に挑む。成功すれば大西洋を自動運航する初めてのフルサイズの船舶になる。Promareは、この試みによってさまざまな自動航行船の研究開発への扉が開かれることを望んでいる。

船にはプリマス大学の研究者が開発した研究用ポッドを搭載する。具体的には3つあり、海上でのサイバーセキュリティ、海洋哺乳類の観察、海上マイクロプラスチック問題の分野で実験を行う。

IBMがこのミッションでリサーチとナビゲーションの技術面をサポートした。Power Systemサーバーが支えるPowerAIビジョンテクノロジーを提供したのはその一例。Promareと開発した深層学習ベースのテクノロジーが、レーダー、ライダー(レーザーを使った距離測定機器)、光学カメラを駆使して、海上の障害物やさまざまな危険を回避する。

システムはローカル処理とリモート処理の両方を想定した設計になっている。船上のデバイスは通信接続せずに動作可能だ。条件が整って両岸どちらかのノードを介して通信できる場合、本部から定期的に船上のデバイスにアクセスできる。

これは非常にクールなプロジェクトだ。海、深い湖、その他の水生環境の研究方法を変えるかもしれない。自動運航するメイフラワーへの乗船を仮想体験できるVRやARツールを開発する計画もある。来年の航海に向けてプロジェクトの進行から目が離せない。

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(翻訳:Mizoguchi)

ロケットラボが9機目のエレクトロン・ロケットを打ち上げ

Rocket Lab(ロケットラボ)は7台目のエレクトロンロケットを米国時間10月16日に打ち上げた。発射時間は協定世界時(UTC)の午前1時22分(日本時間の10月16日の午前9時22分)。「As The Crow Flies」と名付けられたこのミッションは、ニュージーランドのLC-1発射施設で実施され、Astro Digital(アストロ・デジタル)の積荷を載せて軌道へ向かう。

この打ち上げは元々別の衛星を低地球軌道に飛ばす予定だったが、打ち上げ直前に積荷が変更された。ロケット打ち上げでは異例なことであり、Rocket Labは自社の商業サービスモデルの柔軟性を誇示する結果となった。 Rocket Labのもう1社の顧客は遅延を余儀なくされたが、Astro Digitalは画像用衛星群「Corvus」(コルウス)の1基を軌道に乗せることになり、結果的に打ち上げ時期が早まった。

Rocket Labは予定どおり発射準備が進められ、発射予定時刻の20分前ほどからライブ中継された。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

SpaceXがStarlink衛星3万台追加打ち上げの申請書を提出

SpaceXは、同社の衛星ブロードバンドプロジェクトであるStarlinkのために、3万台の衛星を追加打ち上げする申請書を国際電気連合(ITU)に提出とSpaceNews reportsが伝えた。ITUは世界の帯域利用を管理しており、これまでに1万2000台の打ち上げ許可を取っている。なぜこんなに多く打ち上げるのか?SpaceXはこれについて、ネットワークが予想される需要に「責任を持って」答えるためだと言っている。

「高速で信頼性の高いインターネットに対する需要が世界中で高まる中、特にネットワークが存在しなかったり、高価であったり、信頼性が低い地域のために、SpaceXはStarlinkのネットワーク総容量とデータ密度を責任を持ってスケールすることで「予想されるユーザーニーズ」の高まりに段階を踏んで答えようとしている」とSpaceX広報担当者がTechCrunch宛てのメールで語った。

ITUへの申請は、SpaceXが今すぐ3万台の衛星を打ち上げるという意味ではない。実際には来年打ち上げるのは数百台程度の予定だ。しかしSpaceXは、低遅延大容量ブロードバンドの需要が全世界で急速に高まると予測しており、初期の展開計画はそうした需要のごく一部しか満たさない。加えて、軌道からの通信への関心が高まる中、今後数年間で爆発的な需要増加が予想される。

当初Starlinkは米国北部およびカナダの一部にサービスを提供する計画で、ネットワークが開通する来年早々には開始する予定だった。その後計画は拡大し、約24機の衛星を打ち上げた段階で全世界をカバーするよう変更された。現在のカバレージ対応モデルは、初めてブロードバンドが設置される地域のことを勘案していないため、需要を満たすには最適なノード配置を行う必要がある。

SpaceXは、Starlinkの密集内での運用にも備えている(衛星群すべてが同じ軌道領域にいるわけではなくが、これまで宇宙に打ち上げられた飛行体が累計で約8000体であることを考えると、かなりの追加だ)。SpaceXが想定している対策は、自動衝突回避システムの開発、軌道離脱計画の策定、衛星の軌道情報の共有などで、これまで確立されていた業界標準を満たすか上回るものだと同社は言っている。

天文学者たちの懸念に対応するために、SpaceXは将来のStarlink衛星の地球に面したベース部分を回収する計画だ。 天文学者は衛星群の反射光が天体観測や研究に影響を及ぼすことを心配している。SpaceXは、衛星軌道についても科学研究に重大な影響を与えないよう配慮すると言っている。

Starlinkは5月に最初の衛星群60基を打ち上げた。それぞれ約230kgの衛星が相互に協力しながら地上基地局と通信することで一般利用者はブロードバンド・ネットワーク信号を受けとれるようになる。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

NASAアルテミス計画用の宇宙服は体格に関係なく月面歩行が楽になる

NASAは、Artemis(アルテミス)世代のミッションのための新しい宇宙服を公開した。アルテミス計画は、2024年までに最初の米国人女性と次の米国人男性を月面に送ることを目指している。この新しいデザインの最大の特徴は、基本的にあらゆる点における動きやすさと柔軟性にある。NASAは、月面での船外活動用のフルスーツと、月の軌道上を移動する際のフライトスーツの両方を披露した。

NASAのジム・ブライデンスタイン長官に導かれ、NASAは初めて宇宙飛行士が月面で使用する(この改良型が火星でも使用される)宇宙服のデモンストレーションを行った。xEMU変形型と呼ばれるこの宇宙服は、宇宙服と聞いてみんなが頭に思い浮かべるであろう形とそっくりそのままだ。しかし、アポロ計画で宇宙飛行士たちが月面を訪れたときに着ていたものとは、いろいろな面で大きく違っている。

これは本当のムーンウォークを可能にするものだ。月面活動のために作られた最初の宇宙服は体の動きの制約が大きく「ニール・アームストロングとバズ・オルドリンが月面で基本的にカンガルージャンプで移動するしかなかった」というのはブライデンスタイン長官の言葉だ。この新しい宇宙服なら、より活動的に体を動かせる。普通に歩いたり、腕もさまざまに動かせる。新しいグローブでは指も自由に動かせるようになり、地面の石も比較的楽にを拾える。

「新しい宇宙服は、1パーセンタイル順位の女性から、99パーセンタイルの男性まで実質的に宇宙飛行士になりたいすべての人の体に合わせられるようにデザインされている」とNASA先進宇宙服エンジニアKristine Davis(クリスティン・デイビス)氏は話していた。彼女は米国時間10月15日に開催されたイベントのステージ上で、xEMU異形型を来てデモンストレーションを披露した。

「宇宙に行きたいという夢を持つすべての人が、こう言えるようにしたいのです。そう、みんなにチャンスがあるよってね」とブライデンスタイン長官は、この宇宙服のインクルーシブデザインに触れて、そう言い加えた。

NASAでは、再び月を訪れたときに、持続可能性を確認したいと考えている(実際に作業場を建設して滞在する計画を立てている)ため、宇宙服は北極と南極、さらには赤道付近の温度変化に対応できるように耐熱性能に大きな幅を持たせてある。このxEMUの場合、マイナス156.6度からプラス121.1度まで耐えられる。

NASAはまた、国際宇宙ステーション(ISS)で現在使われている宇宙服からも、大きく進歩していると話していた。ひとつには、この宇宙服には実際に使える脚が付いている。ISS用の宇宙服は、無重力や微小重力の環境で使用するために脚には保護の役割しかない。新しい宇宙風の腕の接続部分にはベアリング使われているため、前述のとおり手を伸ばしたり物を掴んだりと可動域がずっと大きくなっている。

もうひとつの宇宙服はOrion Crew Survival Suit(オライオン乗員救命スーツ)と呼ばれ、打ち上げと着陸のときに着用する軽量な宇宙服だ。通常の使用中は減圧されているが、事故による減圧が起きた際には体を守るように作られている。これをデモンストレーションしたのは、オライオン・スーツのプロジェクト・マネージャーであるDustin Gohmert(ダスティン・ゴーマート)氏だ。彼によると、xEMUほどで強力ではないが、熱と宇宙放射線を防御できるという。

大きなxEMUスーツは、アップグレードが可能なようにも作られている。ちょうどPCのマザーボードのように、新しい改良されたテクノロジーが使えるようになったとき、わざわざ地球に戻って作り直さなくても宇宙空間でアップグレードして使うことができる。

ブライデンスタイン長官は、今月の初めにNASAが発表したとおり、アルテミス計画用宇宙服の製造で民間のパートナーと提携していることを繰り返し伝えていた。また、それらの企業からは、この宇宙服に使われているテクノロジーの今後の発展やアップグレードをどうすべきかに関する助言やアイデアの提供も求めてゆくことを検討していると話していた。

全体としてブライデンスタイン長官は、商業化について、またNASAがアルテミス計画や宇宙全般で民間のパートナーの協力を求めていることについて、熱っぽく語っていた。

「これまでにNASAは、国際宇宙ステーションの補給の権限を民間企業に与えました。【中略】今は民間のクルーを受け入れています。来年の初めには、2011年にスペースシャトルが退役して以来初めて、米国人宇宙飛行士を、米国の土地から、米国製のロケットで打ち上げる予定です」と彼は言った。「これは我が国にとって、非常に建設的な進歩になりますが、それは民間企業によって行われます。【中略】そしてもちろん、地球の低軌道にたくさんの確固とした商業拠点が生まれることを期待しています。最終的に、私たちの活動を可能にしているものは、次に納税者から預かった資産を活用して、月を、火星を目指すことになりますが、そこでも常に商業化を見据えてゆきます。私たちの目標は、これまで以上に、人類の活動を宇宙に広げることにあります」。

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(翻訳:金井哲夫)

GoogleはPixel 4のカメラでハードと画像処理AI/MLを融合、写真の新しい水準を実現

Google(グーグル)が発表した新しいPixel 4に写真機能の強化だけでも大量のテクノロジーが投入されている。こGoogle Researchでカメラ開発の指揮をとってきたMark Levoy(マーク・レヴォイ)教授が登壇してこの点を詳しく解説してくれた。この記事では広角から望遠まで高解像度で撮影するスーパーハイブリッドズーム、HDRをライブでプレビューするテクノロジーを含め、カメラの新機能を紹介する。

被写体、照明、レンズ、ソフト

レヴォイ教授はフォトグラファーの間に以前から伝わる格言から説明を始めた。つまり良い写真と撮るために必要なのは、まず被写体、 次に照明、つぎにレンズ、カメラボディーの順序となる。教授は「我々はこの格言には多少の修正が必要だと気づいた。つまりカメラボディには処理ソフトを含めて考えねばならない」と語った。

Screen Shot 2019 10 15 at 10.59.55 AM

もちろんレンズは依然として重要であり、Pixel 4では現行広角レンズに加えて望遠レンズを加えた。レヴォイ氏は「通常望遠のほうが広角より役立つ」と指摘したが、これはApple(アップル)がiPhone 11 Proに超広角レンズを加えてカメラ3台のアレイを構成したことに対する批判だろう。

Google Pixel 4 Camera

このコンテキストで説明するなら、Googleの「コンピュテーショナルフォトグラフィー」というコンセプトはスマートフォンの筐体に収まる小さい撮像素子(貧弱な画像しか撮影できない場合が多い)に対して強力な処理を加えることによって驚くべき高品質の画像を生み出すテクノロジーといっていいだろう。

レヴォイ氏によればPiexl 4に搭載されているのは「ソフトウェアによって定義されたカメラ」だという。つまり常時複数の画像を撮影し、それらのデータをコンピュータがバックグラウンドで合成することによってユーザーに複雑な操作を要求せずに優れた最終画像を得る仕組みだ。

Screen Shot 2019 10 15 at 11.07.56 AM

Pixel 4でどこが新しくなったのか?

コンピュテーショナルフォトグラフィーにより、Pixel 4ではいくつかの重要な機能が利用できるようになった。ひとつはライブHDRプレビューとデュアル露出コントロールだ。これにより、ユーザーはリアルタイムでHDR(広ダイナミックレンジ)処理を適用した写真をプレビューすることができる。これまではHDR写真を撮影する前のプレビューは撮影後の実画像とかけ離れているのが普通だった。Pixel 4では画像の高輝度領域と低輝度領域をリアルタイムで常に別個に調整することが可能になった。ユーザーは作画意図によって被写体をシルエット化したり逆光でも明るく描写したりできる。

機械学習によるスマートホワイトバランス機能はて適切なホワイトバランスの取得という問題を扱う。 レヴォイ氏によれば、Googleは現行Pixel 3で夜景モードを導入したとき、低照度条件でホワイトバランスを得る方法を開発したという。 Pixel 4ではこの機能が強化され、夜景モードだけでなくあらゆる条件で作動するようになった。逆光などの困難な撮影条件ではホワイトバランスがオレンジやイエロー側に振れる現象が起きやすいが、スマート・ホワイトバランスは白いものは白く描写できる。

Screen Shot 2019 10 15 at 11.02.01 AM

新しいポートレート・モードでは背景に加えるボケなどをいっそう正確にコントロールできるようになった。これは2つの撮像素子から得られるデュアルピクセル画像を処理することで奥行き情報を得て人物と背景の距離差を検出し、人物のみを鮮明に描写する。これにより人物がかなり離れた場所にいても人物に焦点を合わせ、背景をやわらかくボケさせることが可能になったという。人物の描写で髪の毛の一筋一筋や毛皮の衣服などデジタル一眼でも撮影が難しい対象を鮮明に描写できる。

複数カメラの採用により、当然ながら夜景モードも根本的なアップデートを受けた。新しい星空モードを利用すれば夜空を撮影して星や月を見たままに近く描写できる。星空モードが提供する夜の空は非常に魅力的だ。このモードでは数分にわたって撮影を続けることができるが、星の動きの追跡も含めて合成処理は処理はコンピュテーショナルフォトグラフィーが行うのでユーザー側で煩瑣な設定をする必要はない。

google pixel 4 sample images

さらに…

GoogleはPixel 4はスマートフォンの小型センサーに内在するさまざまな限界を打ち破ったカメラだとしている。写真界における世界的な巨匠であるAnnie Leibovitz(アニー・リーボヴィッツ)氏との共同撮影プロジェクトを続行中だ。レイボヴィッツ氏も登壇し、Pixel 3とPixel 4で撮影した写真を何枚か披露した。ただしとりあえずインターネット記事にフィードされる写真と最終成果物の写真集の写真とはかなり違うだろう。


レヴォイ氏はPixel 4の撮影能力はハードウェアのリリース後もカメラソフトウェアのアップデートによって引き続き改良されていくと述べた。つまりPixel 4のカメラはまだ始まったばかりということだ。現行Pixel 3のカメラはスマートフォンとしてトップクラスだが、ステージで披露されたデモ写真を見ただけでもPixel 4の写真はこれを上回っていた。今後実機を手にしてAppleのiPhone 11のカメラと比較してみるのが楽しみだ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook