ノー。Andreessen Horowitzは2660億ドルでY Combinatorを買収していない。 このページはおそろしいほど完璧にTechCrunchのフォーマットになっているが、TechCrunchの記事ではない。第三者のジョークだ。
レイアウト、ロゴ、見出し、Facebookを利用したコメントまで、記事の本文以外、すべて本物そのままだったから多くの読者が疑いをもたなかったのも無理はない。バイラルに大反響を呼び起こし12時間で2万5000ページビューを記録した。いったいどうやってこれほど精巧なサイト偽造ができたのだろう?
この偽造を可能にしたのはインターネットに存在するもっとも邪悪なツールの一つ、shrturl.coというサービスだ。
TheNextWeb.comのデザイナー、Alexander Griffioenが作ったShrtURLを使うと、インターネット上のどんなサイトでも見た目をそのままにコピーしてテキストを勝手に書き換えることができる。スタイル、デザインは元のサイトとまったく同じだ。Facebookコメントなどのウィジェットまで本物同様に動作する(500 Startupsのファウンダー、Dave McClureまでがおもしろがってコメントしている)。
私はShrturlを試してみたが、なるほど簡単にどんなサイトでもコピーできる。iOS 8はハードウェアなしで動くというTechCrunch記事がすぐに作れた。そこでiMacを無料で提供中.という偽Appleストアや当社はFacebookを買収しましたというGoogleブログも作ってみた。
もちろんこういう記事は一見してジョークと分かる。 しかし社会を混乱させたり個人に迷惑をかけたりするような使い方はいくらでもあるだろう。現にこんな偽ツイートが現れている(John Biggs記者はヘルペスに罹っていない)。
ただしShrturlで作製されたページは48時間後に自動的に削除される。.
それでもこのサービスを悪用する可能性は無限だ。このサイトで作られるページのURLは http://shrturl.co/(characters)となるので、正当なURL短縮サービスと紛らわしい。その上サイトのデザインが本物と完璧に同一なのだから、記事の内容が少々奇妙でも信じこんでしまう訪問者が出るのはやむを得ない。
Y Combinator買収のとんでもなく馬鹿げた記事がJordan Crook名義で書かれていたおかげで、今日は私はTwitterでさんざんな目にあった(偽記事を作ったのはこの人物。ただし、仲間内のジョークのつもりで、これほど大きな騒ぎになるとは思っていなかったようだ)。
その上、ShrturlのリンクをBit.lyでさらに短縮してしまえばいよいよもって正常なリンクに見える。謎の中の謎の中のジョークというわけだ。
昔からインターネットにジョークは付き物だった。もし「面白すぎる」話にでくわしたら―ウェブページであろうと友だちのツイートであろうと―ソースのURLをきちんとチェックすることが必要だ。そのURLがShrtURL.coだったらあなたはかつがれているのだ。
しかしGriffioenはそのうちURLをもっとうまく誤魔化す方法を考えつくかもしれない。ご用心、ご用心。
〔日本版〕shrturlでコピーしたいドメイン名を入力すると現在のページが表示される。カーソルを動かすと編集可能な部分(テキスト、写真)が黄色で表示される。クリックすると編集状態になるので下のサンプル画像のように望みのテキストを入力する。HTMLの知識もプログラミングの知識もまったく必要としない。
なお原文タイトルのA16ZというのはAndreessen Horowitzの略記。AとZの間に16文字あることから。ソフトウェア業界では伝統的に国際化をi18nなどと略記するジャーゴンが用いられてきた。
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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+)