iPhone 5Cはアメリカのためにあらず。これはその他の国々のためのiPhoneだ

複数の報道が、Appleは9月10日に低価格なプラスチック筐体iPhone 5を発表すると予想している。この4インチiPhoneは、現製品ラインのiPhone 4およびiPhone 4Sを置き換えるためのものだ。同社がこれで、米国の低価格スマートフォン市場で一定のシェアを獲得することは間違いないが、それは副次効果すぎない。新機種は、世界のその他の国々にとって理想的なiPhoneだ。多くの国で、キャリアーは奨励金のない、SIMのみのプランに切り替えつつある。そして、iPhoneは一般の人々にとって高価すぎる。

米国キャリアーは例外であり、標準ではない。AT&T、Verizon、およびSprintは、電話機を持ち込んだからといって安くはしない。以前はカナダでも同じだったが、徐々に変化している。しかしヨーロッパでは、通常の奨励金プランまたはずっと安いSIMのみのプランを選択できる。例えばフランスでは、通話、テキスト、データ無制限(3GB以降は速度制限あり)のブランを月額25ドルで使える。唯一の難点は、電話機を正価で買わなければならないことだ。

同じことは英国にも言え、本誌のNatasha Lomasは現在23ドル(15ポンド)でデータ無制限プランを使っている。そしていつでも好きなときにキャリアーを変更できる。T-Mobileは同じ体験を米国にも持ち込もうとしているが、価格はヨーロッパのキャリアーに遠く及ばない。

16GB iPhone 5に一括で900ドル払いますか?

ヨーロッパ市場の変化は数年前に現れた。安価な奨励金付携帯電話で顧客を誘うのではなく、Freeなど新進気鋭のキャリアーは、高額プランの顧客を奪おうと試み、これに成功した。これらの新プランは、そこそこ安いのではなく、価格は半分から1/3だ。奨励金なしプランは年々人気が増すばかりだ。フランスでは契約者の39%、7480万人がSIMカード契約で、これは小さな市場ではない。

しかし、あなたは16GB iPhone 5に一括で900ドル(679ユーロ)払うだろうか。計算すれば、奨励金付プランよりもずっと安い。しかも、多くの人々は月々の高額な請求書をもう見たくない。唯一の選択肢は、900ドルを受け入れるか、別の電話機を選ぶかだ。メールとFacebookを見て、Instagramで写真を撮るだけのために最新のiPhoneが必要であると自分を説得するのは難しい。殆どの人はガジェットブログを読まない。インターネットを使える携帯電話が欲しいだけだ。

昨今、顧客の多くは、旧型iPhone 4または4Sと、Androidのどれかを選ばなくてはならない。Galaxy S4は665ドル(497ユーロ)で買える。安くはない、しかしそれでもiPhone 5より250ドル以上安い。店頭で3.5インチのiPhone 4Sを見ただけで、AndroidかWindows Phone、あるいはBlackBerry 10を買うべきだと説得されるだろう。

Appleは、奨励金なしプランへのシフトを覚悟することになる

人気のAndroid機と戦えて、iPhone 4Sより画面が大きく、誰もが「新機種」だと認識する低価格iPhoneを発売することは、Appleにとって正しい戦略だ。同社はヨーロッパで市場シェアを再度獲得するとともに、奨励金なしプランへのシフトを覚悟することになる。

しかし、ヨーロッパは物語の一部でしかない。そこは今も北米に続く第二の市場だが、中国はAppleにとって紛れもない第3の市場だ。中国市場ではゴールドiPhone 5Sも売れるかもしれないが、多くの顧客はもっと安い電話機を好むだろう。iPhone 4と4Sが米国より中国でずっと人気なのはそのためだ。現在中国でiPhone 4の価格はAppleストアで500ドルだ。生産コストは未だに高い — Appleは今でもガラスとアルミニウムを使っている — ため、これは利益を圧迫する。プラスチック筐体なら生産コストを下げられる。

iPhone 5Cは、iPhone 5Sより200〜300ドル安くできるかもしれないが、5Cの鍵となる要素はこれが「新しい」機種であることだ。Appleは、新たな市場区分を模索することによって市場シェアゲームを戦おうとしている。iPod mimiやnano、iPad miniの時と同じように。しかし、すべては感覚の問題に帰着する。なぜ私はあれではなく、この携帯電話を買うのか? Appleはこう考えてほしいと思っている:これはiPhoneであり、他の機種と同じ値段で、しかも新しい。

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E Ink、四半期ベースの営業利益は昨年比46%の落ち込み。出荷台数も昨年並みとの予測

KindleやSony ReaderといったE-reader(電子書籍リーダー)は5年前に登場してきたものだ。しかし既にその存在を危うくしつつあるようだ。ディスプレイメーカーのE Ink Holdingsの発表によると、四半期毎の営業利益は昨年比で48%の落ち込みとなり純損失が3360万ドルになったとのことだ。純損失を計上するのは初めてではないが、この4年間で最大規模となっている。また、2013年におけるE-readerの売り上げは1000万台から1500万台になりそうだとのことで、これは昨年とほぼ同様で既に成長傾向にないということが注目に値する。

E Inkの売り上げのうち、70%が電子ペーパー型ディスプレイからのもの。そしてそのほとんどはe-reader用となっている。電子ペーパーは消費電力が少なく、目に優しいというメリットがある。リフレッシュ速度が遅く、また白黒表示しかできないが、それでもE-readerやスマートウォッチなどの特定用途に向いているものだとして市場に受け入れられてきた。

今季の売り上げが伸びていない理由のひとつとして、E-readerのアップグレード時期にあたっているからだとする考えもある。つまり、需要の低下は季節変動要因によるものだという考えだ。しかしシェアのかなりの部分を占めるAmazonのKindleのアップデートは9月のイベント時期に行われており、今期の需要低下を時期的に当然のことであると結論付けるのは難しそうだ。

E Inkはホリデーシーズンになれば売り上げも伸びるはずだと強気の姿勢もみせている。しかし同時にE-readerへの依存度合いを減じたいとも考えている様子だ。また売り上げが伸びるかどうかは、アジアおよびロシアにおけるディスプレイ需要が伸びるのかどうかに強く依存しているという状況だ。

地域的にみれば、電子ペーパーの需要が伸びるところもあるのだろう。しかし全体的に考えれば、将来はさほど明るいものでもないように思える。北米および欧州での売り上げもE Inkが期待するほどのものにはなっていないようだ。E-reader以外にも7インチの格安タブレットが登場してきており、E-readerを選択する理由はなくなりつつあるのかもしれない。たとえばKindle Fireは159ドルだし、Nexus 7も269ドルという低めの価格設定となっている。

確かにE-readerに比べれば、タブレットによる電子書籍読書は快適さの面で劣るものかもしれない。しかし複数のデバイスを持ち歩くというのは、非常に負担になることでもある。E-readerというのは確かに一部の利用者からは絶対的な支持を集めるデバイスではある。しかし、そうした層に行き渡ってしまったとき、さらなる発展というのが望みにくいデバイスでもあるのだ。

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(翻訳:Maeda, H)


自宅に個人用Dropboxを作るLima(元Plug)がChromecastに対応, Kicistarterの資金獲得額10位に

Plugが資金募集Kickstarterで開始してから、その後の36日は、驚異的だった。まず、Plugは商標権問題で名前を変えLimaになった。でもそのほかはすべて、元のままだ。その69ドルのアダプタをUSBのハードディスクにつなぐと、ディスクがパーソナルなDropboxになり、そこらのいろんなデバイスから使える。そして今度は、Chromecastでも使えるようになる。

使い方は、まずその小さなアダプタをルータと、一つまたは複数のUSBハードディスクにつなぐ。そして自分のコンピュータの上でLimaのアプリケーションを立ち上げると、あなたのファイルシステムの完全なシンク模像がLimaの上に出現し、ほかのデバイスからもアクセスできるようになる。家でも、外出先でも。この‘おうちでDropbox’の唯一の制限は、ストレージの容量がUSBドライブの容量に限定されることだ。

Limaの実態は、Linuxが動いている小さなコンピュータだ。そのLinuxはLimaのアダプタとユーザのデバイス(ルータ、コンピュータなど)をVPNで接続する。そうすると実感としては、ブラウザで自分のDropboxファイルにアクセスしてるのと同じになる。ただし、フォルダをどれかのデバイスにキャッシュできる、という便利なオプションがある。それは、Spotifyのオフラインのプレイリストボタンに似ている。また、料金を払う必要がないし、ファイルはAmazon S3など未知の場所に保存されず、あくまでも自分のデバイス上にある。Limaのアダプタは12月発売予定だ。

GoogleのChromecast対応は、SDKを利用してメディアのコンテンツを携帯やタブレットからテレビにストリーミングする。音楽でも写真でもビデオでもOKだ。100ドルちょっと(69ドル+35ドル)で、自分のコンピュータにあるものを、ソファに寝そべって見れるようになるのだ。

“Limaに保存されていたビデオはどれも自動的に再エンコードされる”、と協同ファウンダでCEOのSéverin Marcombesが教えてくれた。“各ビデオのh.264バージョンがLimaのキャッシュに保存される”。

この再エンコード(エンコード変換)は前から、Limaのユーザが自分のビデオを携帯やタブレットで見るために必要だった。とくに、ストリーミングビデオはh.264だけというiOSデバイスではそうなる。そこでチームは、それをさらに一歩進めてChromecastのサポートをiOSやAndroidのアプリに構築したのだ。

Limaのデバイスよりも印象が鮮烈なのが、Kickstarterでの資金募集だ。7月にぼくはこう書いた: “Kickstarterで資金募集が始まったが、目標額は69000ドルと比較的低い。このパリのスタートアップにはすぐに1000人ぐらいの支援者が集まり、目標額を達成するだろう”。ところが結果は、そんな生ぬるいものではなかった。

わずか12時間で、Limaは目標額69000ドルを突破した。24日で85万8000ドルを集めたLimaは、Kickstarterのテクノロジ部門で集めた資金額の第10位にのし上がった。10位内には、Form1(3Dプリンタ)やOculus Rift(拡張現実ヘッドセット)なども登場している。今野次馬たちの心は、100万ドルを突破するかどうかで、やきもきしている。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Apple株、再び500ドルを突破。48日間に時価総額1000億ドル増

Appleの株価 (NASDAQ:AAPL)は現在2.79%アップの503.25ドルで、これはCarl IcahnのTwitterでのロピー活動を受けたものだ。しかし、この2日間の実績によって、過去2ヶ月間の実績が霞むことはない。Appleは、2ヶ月未満の期間に時価総額1000億ドルを獲得した。

今年の6月27日、株価は393.78ドルで引けた。おおよそ2011年2月並みの水準だ。今日(米国時間8/17日)の株価は、わずか48日間で27.8%上昇したことを意味している。最後に500ドル越えで取引されたのは1月27日だった。これはApple株が未だに大きな乱高下と不確定性をはらんでいることを再度証明する結果となった。

総利益は減少しているものの、Appleは2013年Q3に好調な実績を残した。悲喜半ばの四半期が続いた後、同社はアナリストの予測を上回ることができた。振り返れば、Q1、Q2の市場の反応は、実際の数字に対して厳しすぎた。今でもAppleは1450億ドルの現金を有し、良好な市場位置を保っている。iPhoneの販売は未だに年率20%で成長している。

さらにAppleは、昨年1000億ドルの大規模株式買い戻しプログラムを開始し、投資家らはその効果を感じ始めている。その結果1株当たり利益は機械的に上昇した。投資家のCarl Icahnは昨日、株式買い戻しプログラムを加速させるためにロビー活動していることを明かした。その結果株価は、わずか数分のうちに4%上がり、投資家たちがAppleを良質なポートフォリオ要素であると確信していることが証明された

製品に関して、去る4月にAppleの成長予測は悲観的だった — 売上、利益ともに2桁成長を記録した魔法の期間は終わった。しかし、アナリストの予測は歪んでいた。数年に渡り、彼らのハードルは販売台数、市場シェアともに高すぎ、利益と売上は低すぎた。今やアナリストは正確さを増し、Appleに対する認識も同時に変化している。

同社はWWDC以降(MacBook Airの改訂を除き)新製品を発売していないが、キーノートは評論家に大変好評だった。ショウのスターはiOS 7だった。それは、今でもAppleがその中核製品に対して、反発を恐れることなく大胆な変更を施せることを証明した。換言すれば、Appleは今も革新している。

しかし、消費者は今までにもまして、iPhoneの旧機種を買っている — Appleは旧機種の製造コストを圧縮するか代替品を見つける必要がある。新しい旗艦iPhoneに加えて、おそらく低価格のiPhone(おそらくiPhone 5C)を発売するだろう。近々iPhone 5Cによって新たな製品戦略に切り替えようとしていることから、同社の今後数ヶ月間の実績を予想することは易しくなった。iPad miniと同じく、Appleはスマートフォンで新たな市場セグメントを獲得し、利益面で支配を続けようとしている。そうすれば、Androidとの市場シェア戦争で反撃に出られる。これはAppleの評価を大きく高めるだろう。

さらに重要なのは、投資家がすでに来るべき10月のiPhoneイベントを計算に入れていることだ。2012年9月19日、最高潮の夏を受け、株価は702.10ドルのピークを記録した。今年も株式市場は正確に同じシナリオを演じているので、新iPhone発売に続くトレンドが大いに注目される。

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YouTubeの共同ファウンダーが作ったMixBitは多数のクリップをつないでストーリーが作れるモバイル・ビデオ・プラットフォーム

YouTubeの共同ファウンダーの2人が作ったMixBitはまったく新しいビデオ・プラットフォームだ。最近の他のビデオ・アプリとは異なり、MixBitの目的は複数のビデオ・クリップを編集して中くらいの長さのビデオ作品を作るところにある。

MixBitではユーザーは最長16秒のビデオを撮影してデバイスに保存できる。編集後のビデオは最長68分までとなる。さらにユーザーは他のユーザーのビデオを再利用して自分自身のビデオを新たに編集することもできる。

MixBitでは撮影した短いビデオ・クリップを並べ替え、つなぎ合わせて意味のあるビデオ作品が作れる。最大256本のクリップが処理できる。完成した作品はTwitter、Facebook、GooglePlus、MixBitで共有できる。

ビデオの下にはタイムラインに添って素材に使ったビデオ・クリップが並べられ、クリックすると単独で再生できる。また他のユーザーが素材を再利用できるのも大きな特徴だ。このリミックス機能が広く受け入れられるかどうかはもう少し様子を見ないとわからない。

MixBitはVineや Instagramとはタイプが全く異なるプラットフォームだ

MixBitはVineやInstagramとは全く異なる。共通点といえばモバイル・アプリだという点くらいだ。VineやInstagramのユーザーはなにか興味のあるシーンを撮影するや否や公開ボタンを押す。それで終わりだ。しかしMixBitではこれと違い、意味のあるストーリーになるように編集してから公開することになる。

スタート画面もInstagram、Vineとは違う。ビデオの自動再生はない。ほとんどのビデオは1分以上の長さだ。もっとずっと長い作品も珍しくない。雰囲気としてYouTubeアプリに近い。タイトルとサムネールがタイル状に表示されるので、興味を引かれたビデオをクリックして再生する。YouTubeとの違いは、こちらは100%がユーザー撮影のビデオだという点だ。

MixBitは現在iOS版が公開されているが、数週間後にはAndroid版も完成するという。

開発元のAVOSはYouTubeの共同ファウンダー、Chad HurleyとSteve Chenの会社だ。同社はブックマーク・サービスのDeliciousを2011年にYahooから買収して運営している。

〔日本版:こちらは寝転がってごろごろいっている大きなクロネコ

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


Bitcoinへの弾圧は続く。米連邦裁判所が「通貨」と認定

Wikipediaは、Bitcoinをcryptocurrency[暗号通貨](暗号に依存する通貨)と呼んでいるが、これが正式となった。テキサス州の連邦裁判所は、Bitcoinは通貨であり、従って米ドルや金と同じように規制されるべきであると宣告した。この裁定は、Bitcoin取引をさらに規制しようとする試みであり、同通貨の当初の目的を脅かすものだ。

これは、Bitcoinに何らかの価値を認めているように見えるが、Bitcoinの夢想的コンセプトをさらに脅かす判断である。ちなみに、最近国土安全保障省はBitcoin交換サービスのMt. Goxに対し、資金移転規則に則っていないとして差し押え令状を発行した。

今日の決定はそれと同じ方針を行くものだ。BitcoinベースのヘッジファンドであるBTCSTは、「BTCST投資は証券ではない、なぜならBitcoinは金銭ではなく連邦法の規制対象ではないからだ」と主張していると、Amos Mazzant判事は書いている。続けて同判事はBTCSTの抗弁と正反対の内容を述べた。

第一に法廷はBTCST投資が金銭の投資であるか否かを決定する必要がある。Bitcoinを金銭として使用できることは明白である。それは商品やサービスの購入に使用可能であり、Shaversが述べたように、個人の生活費支払いに使用されている。Bitcoinの唯一の制限は、それを通過として受け入れる場所が制限されていることだ。しかし、それを一般の通貨、即ち米ドル、ユーロ、円、元などと交換することが可能である。したがって、Bitcoinは通貨あるいは金銭の一形態であり、BTCSTに投資しようとする投資家は、金銭の投資を行っている。

Bitcoinは、何人もそれを規制することはできないという発想の下に生まれた。中央銀行を置くことはなく、Bitcoinはアルゴリズム規則で定義された文字列にすぎない。誰もが新しいBitcoinを探し出すことが可能で、誰もがそれを本物のBitcoinかどうかを見分けることが可能だ。このすべてはオープンソースのBitcoinアプリケーションおよびいくつかの派生アプリによって扱われる。

Bitcoinネットワークは、ピアツーピア支払いネットワークであり、誰もそれを妨げることはできない。Bitcoinの持つ真の価値は、そのユーザーによってのみもたらさせる。Bitcoin所有者たちがそれを通貨として扱うから、それが通貨になる。それがBitcoinの美しさであり、同時に恐しさでもある。しかし、おそらくBitcoinの創造者、Satoshi Nakamotoは、米国政府がこれを通貨として扱い、規制することなど考えもしなかっただろう。

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(翻訳:Nob Takahashi)


サーバコードを1行も書かずに静的Webサイトを動的CMSに変身できるCloud Cannon–Dropbox APIの巧妙な作例

Cloud Cannonは、デベロッパというよりむしろ、サーバサイドのコードを1行も書かない、HTMLとJavaScriptとCSSだけで仕事をしているWebページクリエイターのためのCMSだ。その静的でビューティフルなデザインを、サーバが介入する動的なCMSに自分で書き換えなくても、ファイルを単純にDropboxのフォルダに置くだけで、あとの面倒はCloud Cannonがほんの数秒でお世話してくれる。ユーザはブラウザ上でテキストをエディットしたり、そこに画像を挿入したり、ふつうのCMS(ブログソフトなど)と同じ感覚でその静的サイトを利用できる。

これは、Dropbox APIの見事な利用例だ、でこの話は終わってしまう。それぐらいシンプルなサービスだ。静的なコンテンツをDropboxからホストしている人は、すでに多いと思うが、しかしGeorge PhillipsとMike Neumegenはそれをさらに一歩進めて、サイトのアドミニストレータがブラウザ上で直接エディットできるようにした。それはちょうど、Webサイト作成サービスSquarespaceを使ってるときのような感覚で。

そのWYSIWYGのエディタで不満なときは、Web上のテキストエディタやあるいはDropboxの上で、ページのソースファイルをエディットできる。クライアントのいる仕事の場合は、クライアントに対し、ここはエディットしちゃだめ!という部分を指定できる。

そのためには、class=”editable”の<div>で、エディットしてよいコンテンツ領域を指定する。ブログをホストしたいなら、静的なブログエンジンJekyllを使える。

使用するドメインは自分のドメインでもよいし、あるいはCloud Cannonが無料で提供する.cloudvent.netを使ってもよい。ただしサービス本体は有料で、1サイト1か月5ドル、20サイトなら月額49ドルだ。

実際にはCloud Cannonは、Dropboxのサーバインフラを使わない。公開フォルダに関しては帯域制限があるからだ。そこでCloud CannonはDropboxのAPIを利用して、すべてを自己のサーバにシンクする。Marco Armentのブログエンジンがやってるように。ユーザは物理的にはCloud Cannonのサーバを使うのだが、Dropboxがそのためのインタフェイスとなる〔API群が豊富便利優秀なため〕。でも実際にサポートするのは静的なコンテンツだけだから、Varnish的なHTTPアクセラレータで正しく構成されていれば大きなサーバは要らない。

Cloud Cannonの主要なアドバンテージは、ユーザがアドミン役になって自分のホスティングソリューションを管理しなくてもよいところだ。そのぶんもちろん、何でもできるという自由度はないが、このプロダクトはとってもクールだし、一見の価値があると言えるほど、よくできている。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Appleの2013年Q3業績:売上353億ドル、利益69億ドル、1株当たり利益7.47ドルで予測を上回る。総利益率は対前年で減少

先ほどAppleは会計2013年第3四半期の収支決算を発表した。売上は353億ドル(前年同期の350億ドルから0.9%の微増)、純利益69億ドル(同88億ドルから21.6%減)、1株当たり利益(EPS)は7.47ドルで前年同期の9.32ドルから19.8%減だ26た。

Appleは今も金銭製造機だが、成長は鈍っている。最近同社は、製品発売サイクルを多少いじった。2012年最後の3ヵ月間でほぼ全製品ラインを一新し、2013年Q1の売上を強化した結果その後に空白を作った。Appleは、MacBook Airを除き、今年も同じパターンを踏襲すると見られる。

Zach EpsteinがTwitterで言っているように、現在世界一利益を上げているスマートフォンメーカーはSamsungで、その利益89億ドルはAppleを上回っている。ただし、Samsungが旗艦スマートフォンのGalaxy S4を発売したばかりなのに対して、iPhone 5の発売は10ヵ月前だ。

それでもAppleは予測を上回った

Bloomberg Businessweekによると、アナリストらの共通見解は、Appleの1株当たり利益が7.28ドル、売上は349億ドルだった。Fortuneの予測もほぼ同じで、売上349.4億ドル、1株当たり利益7.29ドルだった。

保有現金は1450億ドルから1466億ドルに微増。

同社の保有現金は1450億ドルから1466億ドルへとわずかに増えた。これは今もAppleの主要資産の一つだ。このおかげで、資金の心配をすることなく新製品の実験と準備に多くの時間を費やすことができる。Appleは利益を減らしているものの、この数字は伸ばしている。

「私たちは、記録達成の6月四半期にiPhone販売が3100万台を超え、iTunes、ソフトウェア、およびサービスにおける売上が好調に伸びていることを、とりわけ誇りに感じている」とCEO Tim Cookが収支報告で述べた。「来たるべきiOS 7とOS X Marvericksの公開は大いに楽しみだ。また、秋から2014年にかけて発表する予定の驚くべき新製品の開発にも集中して最大の努力を払っている」。

前四半期の決算報告では、今期売上を335~355億ドル、利益率36~37%と予測していた。従来同社の予測は控え目だったが、今回はぴったりだった ― これで株主に逃げられることもないだろう。

iPadの売上はダウン、旧iPhoneの人気は史上最高

数字を細く見ていくと、端末売上は予想通り低調だった。iPadの売上は1460万台で初めて前年同期を下回った。それでもiPhoneは3100万台以上を売り対前年比20%増だった。MacとiPodの販売は、対前期対前年共わずかに減少したが、これは他の〈iプロダクト〉との食い合いが始まっていることからAppleも予想していた。詳しくは本誌の別記事にて。

過去数週間、多くのアナリストが業界全体におけるスマートフォン販売の鈍化を報告している。Appleは、iPhone 4およびiPhone 4Sをいずれも低価格で販売しており、同社の利益を圧迫している。Horace DediuがTwitterで指摘したところによると、iPhoneの平均価格は昨期の613ドルから現在は580ドルまで下がっている。利益が落ちているのに、売上は前年比で増えているのはそのためだ。


Appleの成長なき四半期に関するグラフはこちら

2013年Q4とそれ以降

2013年Q4のApple自身による見通しは、売上が340~370億ドル( 2012年Q4は360億ドルだった)、利益率36~37%)

第2四半期中Appleは新製品を全く発売しておらず、同社自身の予測はかなり低かった。このほどAppleは、伝統的かつ期待されたWWDCキーノートでいくつかの新製品を発表した。MacBook AirMac Proも改訂された。しかし、前者の発売は四半期が終る6月30日のわずか数週間前であり、後者はまだ発売日も決まっていない。

そしてもちろん、AppleはiPhoneとiPadをそれぞれ昨年9月、10月以来リフレッシュしていない。言い換えれば、Q3はビッグな製品のないその他の四半期だった。Cookは収支会見の中でそのことを示唆し、新製品は秋にやってくると言った。リリース文中の発言でも確認されている。Appleは根本的に一新したiOS 7を発表した。このことで評論家たちは驚きの新製品が近づいていることを期待している。革新的製品という意味で、2013年Q4に長らく期待された発表があるのは間違いない。

株式市場に関して、Apple(NASDAQ:AAPL)は7月に入って以来かなり好調だ。6月末に400ドルを割った後、ここ数日間は420ドル以上で取引きされている。現在Apple株は時間外で4.16%高で取引きされており、投資家たちが今日の決算に満足したことを表している。

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(翻訳:Nob Takahashi)


Yahoo、売上減でも株価は7%増で過去5年間最高値に

株式市場が開いて間もなく、Yahoo株(NASDAQ:YHOO)は28.91ドルに急騰し、昨日の終値26.88ドルから7.55%値を上げた。しかもこれは、シリコンバレーの老舗にとってこの5年間の最高値だ。Yahooは昨日Q2の収支を発表したが、それはNASDAQで見られるほど明解な内容ではなかった。売上は前年比1%減の10.7億ドル、1株当たり利益(EPS)は微増の35セントだった。

今日の株価でさらに驚かされるのは、同社の株価実績が過去1年間驚くほど好調だったことだ。2012年7月16日の株価、15.65ドルと比べると、今日の最高値は84.7%の上昇だ。この水準に達したのは2008年5月、62ヵ月前以来のことだ。今この会社は全く新しい時代を迎えている。

Yahooは、EPS(30セント)でアナリスト予測を上回ったが、売上面では1000万ドル足りなかった。そしてその前途は多くの投資家を失望させた。2013年の売上予測、+0.7%は、同社が前期の収支報告書で発表した +1.8%を下回っている。言い換えれば、売上は今でもYahooにとって主要な課題である。

しかし投資家たちは、Marissa Mayerなら事態を好転させられると信じている。指揮をとって1年、彼女は既に著しい行動力を見せており、Tumblrを11億ドルで手に入れたのを始め、Stamped、Qwiki、Astrid、Ghostbird Software、Summly、Xobni等の企業を買収した。

財務面では、50億ドル相当の株式買い戻しプログラムを実施し、株価を上げると共に、同社が自社の将来に大きな自信を持っていることを証明した。その株価への影響は、今やYahooを有名にしている連続企業買収以上だったかもしれない。

従業員、幹部、投資家のいずれもが、Yahooは物事を成し遂げられると信じている。しかし、唯一足りないものがある ― 売上成長だ。現在株式市場は、疑わしきは好意的に、という態度に出ている ― まるでYahooが未だにスタートアップであるかのように。しかし、今後もこの株価実績を維持するためには、変化が必要だ。

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(翻訳:Nob Takahashi)


50億ドルの自社株買い戻しを抱えるYahooにはキャッシュの山, これからも大型買収の続行可能

Yahooの2103Q2の決算報告は微妙な評価になると思われるが、その中の一部の記述は、誰もが知りたがっていたあることに、答えている。あれほど大量に買収をして、お金は大丈夫? そう、Yahooにはまだまだお金がだぶついていて、これからだって、なんぼでも買収ができちゃうのだ。その証拠が、同社の株式買い戻し事業だ。報告書はこう述べている: “2013年の第二四半期においてYahooは2500万株を6億5300万ドルで購入した”。これの総事業費は50億ドルとされている。しかもこれらの株は、いつでも売って現ナマと交換できる。

2012年の9月にMarissa Mayerは、Yahooが保有するAlibabaの株の40%を76億ドルで売ると決定した。そのうちの36億5000万ドルは、Yahooの株に再投資するために取り置かれ、同社が自分の未来に自信を持っていることが証明された。

今日の決算報告でCFOのKen Goldmanは、こう述べている: “Alibabaグループからの36億5000万ドルを株主にお返しし、合計1億9000万株を再購入する措置が基本的に完了したことを、ここにお伝えできることは、欣快である”。

しかし、それだけではない。SECから認められた株買い戻し計画の総額は50億ドルだが、同社はその完了を目指している。つまり、11億ドルでTumblrを買ったりしたから、もうお金がないだろう、という噂は、文字通り根も葉もない噂だった。

企業が自社株を買い戻した場合、その株は後日、廃棄または再発行できる。再発行した場合には、既存の株が希釈されずに新株の番号は前と同じ番号だから、まるで何事もなかった様相になり、会社にとっては大きな勝利だ。

そのほかのアドバンテージもある。たとえばそれはYahooの強い自信を示し、自社の株を最良の投資機会として訴求できる。下図のように、既発行株の減少により株価はやや上がっている。

過去12か月、Yahooの株はきわめて好調だ。2012年7月16日に15ドル65セントだった株価が今日(米国時間7/16)は26ドル88セント、わずか1年で71.8%という驚異的な伸びだ。伸び率ではGoogleやAppleやeBayを凌いでいる。

というわけで、今のところ、Yahooの株式買い戻し事業は奏効し、同社は買収に36億5000万ドルあまりを投ずることができた。同社のポートフォリオの価値は、今ではさらに上がっているからだ。株価がこのように上がり続けるかぎり、それは良い戦略だ。

そこで本日の決算報告は起業家やVCたちに、あることを教えている: Yahooは買収三昧を今後も続けることができる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Google株、今週の決算発表を控えて市場最高値を記録

Google株が急騰している。2013年6月24日以来株価は7.32%上昇し、NASDAQ開場直後に史上最高値を更新する926.47ドルを記録した。木曜日(7/18)の収支報告を控え、期待は極めて高い。悲喜こもごもだった2013年Q1の後、同社にはアナリスト予測を越える売上が期待されている。

Q1決算後、Google株の終値は765.91ドルだった。今日の史上最高値は、約3ヵ月間で20.96%高という驚くべき上昇を意味している。言い換えると、Googleの時価総額、3040億ドルは500億ドル増えている。繰り返すがこれはわずか3ヵ月間の出来事だ。

本稿執筆時点で、株価はわずかに下がり917.59ドルだ(前日の終値からは0.59%安)。Googleは今日何も発表する予定がないため、この史上最高値は、おそらく大がかりな金融決定によるものだろう。Google株が、ふだんより多くのポートフォリオに組み込まれているのかもしれない。

それでも、決算発表を間近に控え、今日のニュースはGoogle全体を改めて熟視する良い機会だ。最近、Googleはより焦点を絞った会社になった。業績の低い製品を切り、愛されたサービス、Google Readerでさえ例外ではなかった。買収に関しては、以前ほど無鉄砲ではなくなった。今年Googleは、「Motorolaを引っぱる」ことなく、小さくてより戦略的な買収を行いつつある。Wazeには11億ドル払わなくてはならないが、Motorolaとその数千人の社員と比べれば小さい。広告は未だにGoogle売上の大半を占めている。

2013年のGoogle I/Oデベロッパー・カンファレンスは、会社の新しい焦点を示す好例だった。Google TVやNexus Qのような失敗する大胆な製品の代わりに、GoogleはAPIおよびGoogle+やGoogle Mapsのような中核製品について話した。

Google+は明確な成功とはまだ言えないが、このソーシャルネットワークには十分なリソースを注ぎ込んでいる。しかしGoogle製品はこれだけではない。Android、Chrome、YouTube、Google Maps、そしてもちろんGoogle検索は、今もGoogleのロードマップにとって非常に重要だ。もしこの会社が収益を多様化する方法を見つけたなら、投資家たちが喜ぶのはまちがいない。

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(翻訳:Nob Takahashi)


自分のUSBハードディスクを自分専用無料のDropboxにしてしまえるPlug, Kickstarterで資金募集中

Plugの69ドルのアダプタがKickstarterで資金募集を開始した。このアダプタにUSB接続の外付けドライブをつなぐと、自分のあらゆるデバイスからそれに“私家版Dropbox”としてアクセスできる。ドライブは通常のファイルシステムの一部としてアクセスされ、この機能のための特殊なフォルダや仮想ドライブを作る必要はない。Plugのアプリケーションを立ち上げたら、そのあとは外見的には通常のファイルシステムがあるだけなので、ワークフローは従前どおりで何も変わらない。ただし、自分のすべてのデバイスに、同じファイルがあることになる。

TechCrunch Disruptの先輩Bitcasaにたいへんよく似ていて、フォルダやファイルをローカルのハードドライブにキャッシュしたり、あるいはそれらをPlugからストリーミングできる。Plugの場合の唯一の制約は、容量がそのUSBドライブの容量に制限されることだ。〔Bitcasa参考記事: (1)(2)(3)。〕

Plugの物理的な実体は小型のLinuxマシンで、それがVPNを作っている。たとえばiPhoneから自分のファイルにアクセスしたくなったら、Plugのクライアントソフトが黙ってそのVPNにアクセスし、ファイルを見せてくれる。その点ではDropboxのアプリとそっくりだが、ただしファイルは自分の家に保存されているので会費などを払う必用がない。要するに自分のストレージデバイスがネットワークに接続されていると考えればよいのだが、ただしPlugのソフトウェアが完全なユーザ自身のファイルシステムの仮象を提供する〔上のビデオ参照〕。

だから協同ファウンダでCEOのSéverin Marcombesは、“うちがPlugでやったイノベーションはハードウェアのイノベーションというよりソフトウェアのイノベーションだ”、と言う。“それは、クラウドがもっと安上がりで速ければクラウドで実装してもよかったのだ”。

Plubのアプリケーションを立ち上げると、すべてのファイルアクセスがPlug経由になる。USB 2.0とEthernet 100だから映画のストリーミングはちょっときびしい。アダプタに複数のドライブがぶら下がっているときは、とくに遅くなるだろう。そこで、ファイルを各デバイスにキャッシュすることもできる。まるでローカルなファイルのようにアクセスできる、とPlugは主張しているが、でも実際にそう思えるようになるまでは時間がかかるだろう。Marcombesはキャッシングの機能を、Spotifyのオフラインプレイリスト機能になぞらえる。Spotifyのユーザならよく知っているあのボタンだ。

Kickstarterでの資金募集は始まったばかりだが、目標額が6万9000ドルと少ないから、このパリ生まれのスタートアップにおそらく1000人ぐらいの出資支援者が集まるのではないか。ただし、実際にアダプタが手に入るのは12月だ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


アメリカ連邦地裁、反トラスト法裁判でAppleに有罪判決―「電子書籍価格操作の共謀と実行で中心的役割」

Appleとアメリカの有力出版社による電子書籍の価格操作の共謀容疑に関して すべての出版社はすでに司法省と和解し、Appleだけが法廷闘争の道を選んでいた。Reutersによれば、今日(米国時間7/10)、 ニューヨークのマンハッタン連邦地裁はiBookstoreの価格操作に関する反トラスト法違反の容疑に関して有罪の判決を下した。また判決で検察側は消費者に代わって損害額を査定し、Appleに賠償を求める裁判を起こすべきだと命じられた。

アップデート: われわれはAppleの広報担当者から以下の声明を受け取った。

Appleはeブックの価格を操作するために共謀したことはなく、この事実に反する訴追に対してあくまでも戦う。2010年にiBookstoreをオープンした際、われわれが目的としたのは、消費者により大きな選択の自由を提供し、当時市場で強く求められていたイノベーションと競争を実現し、 出版産業におけるAmazonの独占的地位を打破することだった。われわれは何ら不正な行為をしていないので、今回の判決に対しては控訴する。

2012年4月に司法省はAppleと出版業界の主要6社を反トラスト法違反としてを訴追した。これに対してAppleは「司法省の主張は根本的に誤りであり、馬鹿げている」と反論した。

出版社6社(ペンギンとランダムハウスの合併により現在は5社) はすべて和解に応じ、Appleだけが法廷闘争の場に残った。EUでのこれに類似したeブック関連の反トラスト法訴訟ではAppleは欧州委員会に対して「有罪を認めないまま和解」の道を選んでいる。

“Appleは価格操作の共謀と実行において中心的な役割を果たしたと認められる

2010年にiBookstoreが発表された際、Appleはストア側ではなく出版社側が価格を設定する、いわゆるエージェンシー・モデルを導入した。Amazonが巨人であり、Appleは新参で、出版社はAmazonによる市場支配を恐れていた。紙の本でもeブックでもAmazonは自ら価格を設定していた。そこで出版社側はAppleに市場シェアを奪い返させ、利益率の向上を図ろうとした。出版社は新刊書についてAmazonの9.99ドルではなく、12.99ドルあるいは14.99ドルに設定した。この値上げに伴ってAppleはiBookstoreだけでなくKindleStoreその他あらゆるeブックストアで同一の価格とするよう出版社に要求した。

Denise Cote判事は「Appleはこの共謀とその実施において中心的役割を果たした。Appleは好機を捉えてきわめて巧妙に動き、エージェンシー・モデルの採用によって誕生したばかりのeブック市場における価格を上昇させた。一部の例では上昇は50%以上にも及んだ」と判示した。PaidContent判決の全文がある。.

Wall Street Journalによればペンギン・グループとハーパー・コリンズは当初Appleの価格設定に反対したが、結局同意した。 出版社はAmazonの価格決定権を奪うためにAppleのiBookstoreを利用し、これに成功した。AppleのKindleコンテンツ担当副社長、Russell Grandinettiはこの訴訟で「出版社はKindleストアからコンテンツを引き上げると脅した。AmazonはやむなくAppleと同様のエージェンシー・モデルに切り替えざるを得なかった」と証言した。

この判決で関連する出版社とeブックストアは向こう2年間、同様のエージェンシー・モデルの採用を禁じられた。

(写真:Casey Hussein Bisson

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


iOS 7、新機能の多くは模倣。Mailboxのジェスチャー、BlackBerryのバック機能、WebOSのマルチタスク等々

今日(米国時間6/10)Appleは、WWDCのキーノート講演でiOS 7を発表した。新OSには魅力的なデザイン改訂がなされたが、その機能やUIの多くは、革新的サードパーティーアプリや、ライバルのモバイルOSに強くインスパイヤーされている。

新しいメールクライアントは、見た目からしてMailboxにそっくりだが、これは新しいフラットUIのためだ。しかし、Craig Federighiがメールの上で指をスワイプして「移動」や「削除」のアクションを見せた時、Mailboxのジェスチャーが強く想起された。

新カレンダーアプリには新しいデフォルトビューが採用された。上部には週間カレンダーが、下部には現在起きているイベントのフィードが表示される。そして、先の日付にジャンプするためのスクロール式月間ビューはSunriseのUIによく似ている。

そしてもちろん、iTunes Radioである。すでに誰もが知るライバル、Pandoraとの比較は避けて通れない。あの小さなスタートアップは大くく成長して上場企業になり、音楽を聞く全く新しい方法を定義した。Spotifyはそのラジオ機能をコピーしたが、今度はAppleだ。Pandoraと全く同じように、お気に入りのアーティストを選んで関連ある曲がエンドレスに流れる自分専用のラジオ局を作ることができる。

真似されているのはサードパーティーアプリばかりではない。ライバルOSも気をつけた方がいい。例えば、Appleはシステム横断の「戻る」機能を新しく提供する。iOSはAndroidと異なり戻るボタンがないことでよく知られてきたが、回避方法を見つけたようだ。画面の左端をスワイプすると、前の画面に移動する。この機能はBlackBerry 10そのままだ。

そしてAppleが新たに採用したマルチタスク画面は、今はなきWebOSにそっくりだ。古き良きWebOSで最高の機能といえばマルチタスクだった。実行中のアプリ毎に、アプリの現状を示すカードがある。カードからカードへとスワイプして求めるアプリを見つけることができる。

新しいフラットUIによって、iOSはWindows Phoneにもかなり似てきた。ボタンとロック画面はよく似ているし、フラットテザインを普及させた主役の一人がMicrosoftであることに驚く人はいないだろう。

盗作はまだまだありそうだ。

[iOSの写真アプリは、flayvrにそっくり]

古いUI要素も一部残されているので、iOS標準アプリの古いユーザーを驚かせることはないだろう。例えば、カレンダーの週間ビューはSunriseには存在しないがAppleは今もこのビューを提供している。Appleが他のOSの機能を模倣するのは珍しいことではないが、サードパーティーからの盗作は納得できない。あの小さなチームたちは、モバイルで最大級のUIイノベーションを生み出したのに、iOSの最新版によって報われることはない。

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(翻訳:Nob Takahashi)


ニューヨークの著名VCが銃規制推進サイトStopTheNRA.comを立ち上げ

今日(米国時間5/1)のDisrupt NYには、ニューヨークのシード専門VC Lerer VenturesのKen LererBen Lererがステージに登場して、彼らの起業家談を語った。とりわけ聴衆の関心をとらえたのは、Ken Lererが銃の規制とWebサイトStopTheNRA.comについて語ったときだ*。(*: NRA(National Rifle Association, 全米ライフル協会)…銃規制反対ロビー団体。)

“StopTheNRA.comを立ち上げるつもりだ”、とKen Lererは行った。公開は、二週間後を予定している。ドメインネームはすでに取得済みで、立ち上げは時間の問題だ。それはBloombergニューヨーク市長のMayors Against Illegal Guns(銃の不法所持に反対する市長グループ)と、銃撃で瀕死の重傷を負った議員Gabrielle GiffordsのAmericans for Responsible Solutions(責任ある対策を推進するアメリカ人)事業と提携する。

このサイトを作った動機は、銃規制に関して積極的に発言していくことだ。“ヴァイラルな広がりがねらいだ”、とKen Lererは言う。

銃購入者の犯罪歴を詳細に調べる、という法案が数週間前に上院で審議され、結局、その法律は成立しなかった。政府は今、振り出しに戻ったような状態だ。

ニューヨークの政策について尋ねると、Ken LererはもっぱらBloomberg市長を絶賛する。“めざましい活躍をしている”、と彼は現市長について言う。“次期市長は、彼ほど熱心ではないかもしれない”。だから彼は、来るべき市長選における、彼自身の推薦候補の名を挙げないのだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Apple、自社株買戻しと配当増額を実施。株価上昇に期待

現在Appleには1450億ドルの現金があり、これを何とかする必要がある。CEO Tim Cookが 収支会見の中で、株の買戻しを行うと発表したのはそのためだ。つまりこれはAppleが保有現金の一部を使って既存株式を買戻して市場から除外することによって、既存株主の持ち株の価値を高めることを意味している。この投資は、配当という形で直接既存投資家に反映される。

Tim Cookはこのプログラムを、Appleのカルチャーこそが同社を際立たせていると繰り返した直後に発表した。

「われわれには素晴らしいイノベーションのカルチャーがある。それはiPhoneやiPadを生みだしたのと同じカルチャーだ」とCookは語った。

昨年Appleは、450億ドルを費し複数年にわたってこれを配当として支払うと発表した。このたびこれを倍以上に増やし、2015年末までに1000億ドルを支払う。今日割り当てられた550億ドルは、株の買い戻しだけでなく配当にも使用される。

株式買い戻しプログラムの利点は、社外株数を減らすことによってAppleが自ら自信に満ちた会社であることを示すことにある。この種のプログラムは一般に株価をつり上げる。数日前、Apple株は400ドルを割った。2012年9月には700ドルで取引きされていた。それは歴然とした沈滞を示すものであり、Appleを少しばかり心配させた

取締役会は、買い戻し額を昨年の100億ドルから600億に引き上げることを承認した。これは公開企業として最大の買い戻し承認額だ。四半期配当も2.65ドルから3.05ドルに増額される。Appleは毎年約110億ドルの配当を支払うことになる。

全体でAppleは毎年300億ドルを支払っている。しかしそれ以上に驚くべきは、同社の保有現金が未だに増え続けていることだ。

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(翻訳:Nob Takahashi)


Apple株ついに400ドルの大台割れ―16ヶ月間の新安値を記録

現在、Appleの株価(NASDAQ:AAPL)は398.11ドルだ。昨日(米国時間4/16)の終値426.24ドルから6.6%下げている。最近最大の下げ幅であると同時に、16ヶ月での最安値を記録した。四半期決算が近づいているおり、その内容に投資家が懸念を抱いているのが大きな理由のようだ。

現在、NASDAQは全体として1.11%下落している。 Reutersによれば、Appleへの部品供給メーカー、Cirrus Logicがウォール街のアナリストの予測を大幅に下回る売上予測を発表した。同社はiOSデバイスにオーディオ用チップなどを製造している。このため一部のアナリストは2013年第2四半期のAppleのデバイスの売れ行きはよくなかっただろうと予想している。

しかし今日の下落はCirrus Logicの問題だけを原因とするには大幅すぎるようだ。現在株価は400ドルを切っているが、iPhone 5の発表以来、Apple株の値動きは投資家を失望させている。Appleの株価が700ドルを回復することは当面ありそうにない。

Apple株は依然として不透明感と乱高下に悩まされている。最新の製品発表は2012年10月のiPad miniだ。つまり昔に比べて新製品発表がない期間が非常に長くなっている。新製品の発表が近づくに連れて株価が上がるのが常だった。不安材料が少しでもあると株価に大きく反映するのが現在のAppleだ。

もちろん売上高が実際どうであったか予測するのは難しい。comScoreの調査によれば、iPhoneはアメリカ市場で依然トップの地位を占めている。しかしHTC OneやSamsung Galaxy S4といった手強いライバルがここ数週間で世界に向けてデビューする予定だ。

スマートフォン市場の競争は6ヶ月前にiPhone 5が発表されたときから激しかった。株の値動きを決定する最大の要因は投資家が感じる印象だ。Appleの営業成績に特に落ち込みが見られなくても、将来に不安を抱かせるような材料が少しでも浮上すれば株価に大きく反映することになる。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


Apple、iOSアプリ発見サービスのAppGratisをApp Storeから削除

Appleは、発見と日替り特典のアプリ、AppGratisをApp Storeから削除した。今のところこの問題に関してAppGratisから発表はなく、ユーザーは何が問題なのかを憶測するほかない。時としてAppleは、アプリの最新バージョンがクラッシュする、あるいはアプリが非公開APIを使っているという理由でアプリを閉鎖することがある。その場合デベロッパーは新しいバージョンを提出してApp Storeに復活する必要がある。しかし問題がもっと大きい可能性もある。

昨年10月、AppleはiOSデベロッパー・ガイドラインに新たに規則を追加した。そこにはこう書かれていた。「App Storeと類似あるいは紛らわしい方法で、購入または宣伝目的に自身以外のアプリを表示するアプリは却下される」。ちなみにAppGratisは、App Storeからアプリを収集し、短い説明を加え1日間有料アプリを無料で配布する。

当時AppGratisのCEO Simon Dawlatは、おそらくAppleが問題にしているのは質の悪い類似アプリでありAppGratisではないと答えた。AppGratisの特徴は、発見と収益分配によって独立系デベロッパーを助けることだ。

他の人気発見アプリの中にもAppleの新ガイドラインの影響を受けたものがある。PocketGamer.bizによると、AppShopperはApp Storeから削除されて以来復帰できていない。AppShopperはApp Storeを検索する方法を提供していて、Apple自身のApp Storeと直接競合していた。しかもユーザーはアプリが値下げされた時に通知を受け取るので、結果的にデベロッパーのユーザー当たり売上を減少させる恐れもあった。

別のシナリオがいくつもあり得る理由はこれだ。おそらくAppGratiが非公開APIを使ったか、些細なガイドライン違反を犯したために、Appleは次期バージョンが提出されるまでアプリを戻さないのかもしれない。いずれにせよデベロッパーは常にAppleレビュー・チームに翻弄される。デベロッパーは、アプリをストアに置いておくために、チームからあれこれと修正を要求されることがある。

ちなみにフランス・パリ拠点のAppGratisは、1月に1350万ドルの資金を調達したところだ。700万のユーザーを擁し、1本のアプリを最大50万回ダウンロードさせる力を持つこの会社は決して新参ではない。もしAppleがAppGratisを追い出したければ、数ヵ月前にそうしてはずだ。

彼らにできることと言えば、Appleの最終決定を待つことだけだ。現在のところ既存ユーザーは引き続きAppGratisを使い続けられる。おそらくわずかなUX変更あるいは、インフラストラクチャーの修正によって、同アプリはApp Storeに復活できるだろう。

AppGratisには取材を申し込んであるので、新しい情報が入り次第この記事を修正する予定。

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(翻訳:Nob Takahashi)


Facebook Home、4月12日よりPlay Storeにて提供開始予定(米国情報)

Facebookフォンに関わるイベントにおいて、FacebookはFacebook Homeのアナウンスを行った。ホームスクリーンを改変して、そこでさまざまな機能を提供しようとするアプリケーションだ。Playストアに登場するのは4月12日の予定で、これから毎月、種々のアップデートを行なっていく予定だとのこと。

タブレットについては現在開発中で、「数ヶ月」のうちに提供される予定なのだそうだ。Androidタブレットを使っている人は、数ヶ月のうちにFacebook Homeが利用できるようになる予定ながら、まだFacebook版は「開発途上」であるとのことだ。

「タブレット上でのFacebook Homeは非常に便利なものになると思います」と、Facebookの関係者は述べている。HTCと共同でFacebookフォンをリリースするが、戦略的にはPlay Station上でFacebook Homeをリリースすることこそ必要なことであると考えているようだ。

「Androidはオープンな環境であることが非常な魅力です」と、Homeリリース前にZuckerbergが言っていた。「Facebook Homeを利用するにあたって、特殊なAndroid OSを用意して頂く必要はありません」とも述べている。Facebookは、多くのAndroid利用者がそのまま利用できる形で提供することこそ重要なのだと考えているのだろう。

但し、Facebook Homeはまず特定のデバイスにのみ対応することになる。機能的にハードウェアメーカーとのすり合わせが必要となる部分があるためだ。まず対応するのはHTC One、HTC One X1、Samsung Galaxy SIII、Samsung Galaxy S4、そしてSamsung Galaxy Note IIということになる。現在のところ、Facebookとの間で調整ができているのがSamsungとHTCであるということなのだと思われる。

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(翻訳:Maeda, H)


Dropboxはエンタープライズ市場を目指す―管理者がユーザーを詳細にモニタできるようDropbox For Teamsをアップデート

dropbox-logo

Dropbox for Teamsに新しい機能が追加された。これによってユーザーである企業IT部門は、個人であれ組織であれ、Dropboxサービスの利用状況を細大漏らさずモニタし、コントロールできるようになる。

こうしたアップデートは、Dropboxが今後の主要なビジネス・ターゲット企業IT向けに定め、会社成長の新しい段階に入りつつあることを示すものだ。

Dropbox For Teamsは2011年後半にリリースされた。昨年8月には2段階認証機能を導入、続いて10月にはこの認証機能を用いて誰がどのようにサービスを利用しているかをIT部門がモニタできるようにするなど可視性を高めた。今日(米国時間2/12)追加された各種のモニタ機能と合わせて、個々のユーザーの行動、アクセス元のデバイス、ユーザー別のストレージ使用容量、リンクされたデバイスやインストールされたアプリケーションのリストなどをIT部門がモニタすることができるようになった。

IT部門の管理者が個人、グループのアクセス、認証、共有などの設定と管理を簡単に実行できる新しいUIもリリースされた。管理者はユーザーのログイン、グループへの招待、共有などの活動履歴をすべて見ることができる。またそれらの記録をレポートに一括ダウンロードすることも可能になった。

3. Activity Tab

ユーザー個人のモニタ・ビューでは管理者はユーザーがアクセスにどんなデバイスを利用しているかモニタできると同時に、必要があればデバイスを削除することもできる。

4. Authentication Tab

2段階認証によってDropboxのセキュリティーはきわめて強固なものとなっている。管理者はパスワードをリセットすることもできるし、特定のグループのデータに「持ち出し禁止」を指定してグループのメンバー以外との共有を禁止することもできる。.

単なる「魔法のクラウド・フォルダ」以上の存在へ

Dropboxはなんでもクラウド上に保存できる、いわば「魔法のフォルダ」というコンセプトの下に出発した。次の章はバックエンドの強化だ。そのカギになるのは先日公開された同期APIのさらなる拡充だろう。同期APIを利用するとモバイル・アプリのデベロッパーはDropboxに保存されたファイルをデバイス内に存在するファイルと同様に簡単に呼び出し、同期し、オフラインで編集し、バージョンを管理することができる。これによってますます多くのアプリがDropboxと連携するようになるだろう。今回のIT向け機能強化と相まってDropboxのエンタープライズ市場への参入の道筋が大きく開けたといえそうだ。

Dropboxはライバルとの競争に勝つカギをエンドユーザー向けアプリのデフォールトのクラウド・ストレージとなることに置いている。一方、現在Box、SugarSync、Mozyを始め多数のクラウド・ファイル共有サービスが存在するようになった。Boxは共同作業環境の強化に力を入れ、Jiveと提携している。またVMwareはVMwareHorizonコラボレーション環境の一環としてDropbox的なファイル共有サービス、Project Octopusを立ち上げている。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+