元Appleのデザイナーと元Twitterのエンジニアがチームを組んだプレミアムiPhoneカメラアプリHalide

元Appleのデザイナーと元Twitterのエンジニアがチームを組んで、本日(米国時間5月30日)iOSカメラアプリHalideを発表した。iPhoneの写真撮影に新しいオプションが加わった。質の高い写真を撮るためのさまざまなハイエンドツールを提供することが基本アイデアだが、物理的なカメラのダイアルを操作するときのように、様々な機能がジェスチャーを使った体の記憶として馴染むように工夫されている。

アプリのウェブサイトでの説明によれば、新しいアプリのジェスチャーベースのコントロールスキームは「古いライカやペンタックスといった偉大なフィルムカメラのように、直感的で触覚的」を目指したものということだ。

現在iOS向けには、Camera+やCamera Awesomeのような数多くの代替カメラアプリケーションがあるが、これらは「プロのように撮影したい」多数のユーザーに向けてマーケティングされている傾向がある。一方Halideは、まず第一にパワーユーザーを念頭に置いてデザインされている。つまり、写真撮影をある程度理解していて、露出をすばやく変更したり、スワイプでピントをマニュアル調整するようなことをしたいと思う人には、大いにアピールするということだ。

とはえ通常のiOSアプリのような自動モードも組み込まれている。このことで、トリッキーなショットを撮ろうとするときには、手伝いの必要なこともある初心者iPhoneカメラマンでも、アプリを使用できるようになる。

しかし、この自動モードは”A”ボタンをタップすることで解除することができるようにデザインされており、ISO、ホワイトバランス、シャッタースピードなどの特定の値を調整することができる。また、フォーカスピーキング(フォーカスの当たっている部分を強調表示し、ユーザーがマニュアルでピントを変えることができるようにする)、詳細なヒストグラム、適応レベルグリッド、そしてJPGとRAWによるキャプチャなどのプロフェッショナルツールも含まれている。

Halideは、Ben SandofskySebastiaan de Withによって開発された。どちらもハイエンドの写真撮影に関する経験がある。Sandofskyは以前はPeriscopeのビデオ機能に携わり、HBOの”Silicon Valley”とShypの顧問を務め、TwitterでiPhone、iPad、Macアプリケーションの技術リーダーとして働いた。

一方de Withは元Appleのデザイナーで、Sony、T-Mobile、Mozillaなどを顧客としても仕事をしていたことがある。またNylas MailアプリをデザインしたサンフランシスコのデザインエージェンシーPictogramを経営していて、その他にもDoubletwistのデザインなどにも取り組んだ。彼は写真家でもあり、オートバイで旅行するときに写真を撮ることもよくある。

アプリの機能セット以外に、アプリを差別化しているものは、ジェスチャーベースのインターフェースだ。しかし、それらはタップでも利用できるので、すぐにすべてのジェスチャーを覚える必要はない。これにより、全体的な体験がより一貫したものとなり、新規ユーザーがアプリの機能にアクセスする方法を忘れることもない。

チームは、ジェスチャーベースのインターフェースはHalideを使いやすいものにしてくれるものだと考えている。たとえ経験の浅い写真家だったとしても。

「Halideの機能を楽しむには、露出補正、EV、あるいはマニュアルフォーカスなどの概念を理解する必要はありません」とde With。「だからこそ頑固な写真家だけではなく、なるべく多くの人びとに使って貰えることを期待しています」。

このアプリのもう1つの機能が「インスタントレビュー」だ。この機能では撮った写真を左右にスワイプすることで、ゴミ箱行きかお気に入りかをマークすることができる。またHalideで撮影した最後の写真を3D Touchでプレビューすることもできる。

ここ数年でiPhoneのセンサーが改善されて来たにもかかわらず、撮影経験自体が停滞していたことにチームが気が付いたことが、Halide開発のヒントになった。

「友人とハワイに行ったのですが、私は巨大なカメラを抱えてウロウロする奴でした」と、Sandofskyはどのように最初のアイデアを得たのかを説明した。「滝壺近くに行った時には、湿気が原因でカメラのセンサーが結露してしまったので、カメラ内部が乾燥するまで、1日撮影を止めなければなりませんでした」と彼は言う。「翌日は、iPhoneですべてを撮影しました。その当時、iOSには重要な機能が欠けていて、すべてのカメラアプリは問題を抱えていました。にもかかわらず、私はその小さなカメラの品質に感服しました。そして身軽になることで、どんなに旅を楽しむことができるようになったかを実感したのです」。

Sandofskyは、その旅行から自宅に向かうフライトの中で最初のプロトタイプを作成し、その後それをde Withに見せた。するとde Withがユーザー体験に関するさらなるアイデアを持っていることがわかったという。新しいカメラAPIが発表された昨年のWWDCの頃から、開発が正式に始まった。

そして1年後、アプリは発表の準備が整った。

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チームは、新しいアプリがデフォルトのカメラアプリを完全に置き換えるのではなく、ただのスナップ以上の素晴らしい写真を撮りたい時に備えられるようにしたい、と考えている。

このアプリの共同開発者たちはTechCrunchに対して、彼らが「情熱的副業プロジェクト」と呼ぶHalideは、自己資金で開発したものだと語った。

Halideは発売時には2.99ドルだが、来週以降は4.99ドルに値上がりする予定だ。もしそれがうまくいくようなら、チームは将来新しい価格体系を検討するかもしれないが、詳細には触れなかった。

このアプリは英語で提供されており、この後スペイン語、オランダ語、ドイツ語、フランス語へのローカリゼーションが計画されている。

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(翻訳:Sako)

EC向けMAプラットフォーム運営のピアラが総額5億円を資金調達

EC向けのマーケティングオートメーション(MA)プラットフォームを提供するピアラは5月31日、B Dash Venturesが運営するファンド、三菱UFJキャピタルが運営するファンド、エボラブルアジアオークファンほか個人投資家を引受先とする、総額約5億円の第三者割当増資の実施を発表した。

ピアラは2004年に広告代理事業・プロダクション事業会社として設立。アパレルブランド「Marblee(マーブリー)」(2016年にアイ・エム・ユーへ事業譲渡)の運営や、アフィリエイトASPの提供などを経て、現在はAIを搭載した統合マーケティングオートメーションシステム「RESULT MASTER」のほか、ECカート、アフィリエイトシステム、AI搭載接客ツールなどのEC企業向けツール群を展開している。また、これらのソリューション運用により新規集客から顧客育成までを行う、KPI保証型を基本としたコンサルタントによるマーケティングサービスを提供している。

ピアラは4月にも、アジアでITオフショア開発事業などを手がけるエボラブルアジアと戦略的資本業務提携を締結し、ECサイトやキャンペーンページの制作コスト軽減やリソース提供による、顧客企業のマーケティング業務の最適化支援を目指すと発表していた。

今回の資金調達によりピアラでは、KPI保証型マーケティングサービスに必要な売上効率を上げるためのマーケティングオートメーションプラットフォームの機能強化、ビックデータから人のプランニング領域もサポートするAIの開発、グローバルへの対応などに投資していくとしている。

企業の営業活動を自動化するPeople.aiが$7Mを調達、営業の全過程の可視化が鍵

People.aiは、売買が成立するための最良の方法や道筋を示す予測的指針をAIを利用して作成し、企業の営業部長に提供する。同社は今日(米国時間5/30)、Lightspeed Venture PartnersがリードするシリーズAの投資ラウンドにより、700万ドルを調達した。Index VenturesとShasta Venturesが新たに参加したほか、これまでの投資家Y CombinatorとSV Angelもこの投資に参加した。LightspeedのパートナーNakul Mandanが、People.aiの取締役会に加わる。

この営業管理プラットホームが解決しようとする問題は、営業の教育がデータではなく直感に基づいて行われている現状だ。People.aiは、すべての営業活動と、営業が商談締結までに行うアクションを見渡す全体的な視野を提供することによって、これを解決したい、と考えている。同社のソフトウェアによって、営業がどの部分でいちばん時間を消費しているかを突き止め、何が成功に導く要素かを同定する。営業は、体を使うより頭を使え、というわけだ。

目標は、営業マン/ウーマンの営業活動過程を完全に視覚化して、成績トップの者はどの段階で多くの時間を費やしているか、もがいている営業はどこで、成功へ導くやり方から逸脱しているかを見極める。取引の特定の段階に、あまりにも足をとらわれていないか? (客先の)プロダクトマネージャーや役員やそのほかの意思決定者と、十分な時間をとって話をしていないのではないか? そもそも、正しい見込み客にアプローチしているのか? これらの質問に、People.aiのアルゴリズムは答えようとする。

そのソリューションは、営業とクライアントとのあいだの、コミュニケーションのさまざまなタッチポイントにおける活動を調べる。そのために、メールや電話履歴、ミーティングのカレンダーなどを調べて、商談の各段階でどれだけの時間を費やしているか、誰にコンタクトして結果はどうだったか、を示すダッシュボードを作り出す。

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昨年People.aiがローンチしたとき、CEOで機械学習のベテランOleg Rogynskyyは、営業活動をファンクションとして自動化したい、と望んだ。その後同社は、このようなソリューションの提案は大企業に向いている、と考えるようになった。

こういう、問えば答える会話的なAIは、Chorus.aiや VoiceOpsなど競合他社も多いが、People.aiはこれらの企業を単なるデータソースと見なし、自分たちのソリューションはすべてのタイプの営業活動を読み取る、営業のバックボーンだ、と考えている。

Rogynskyyによると、最近では大企業やFortune 500社からの引き合いが増えている。今度の新たな資金は、プロダクトと同社営業チームの規模拡大、そして大企業向けR&Dへの注力に充てたい、という。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Microsoft元CEO Steve BallmerがTwitterに投資をした理由を語る

Microsoftの元CEO Steve Ballmerが、火曜日(米国時間5/30)のCode Conference のステージに立ち、彼がTwitterの大株主になった理由を語った。

“それを価値ある経済的資産にするような本物の機会がある”、と言ってBallmerは、そのソーシャルメディア企業への浮気のような投資だった彼の意思決定を、擁護した。彼が同社のポテンシャルを信じるのは、同社が“人びとに世界中の自分が話しかけたい人と直接的にコミュニケーションできる機会を与える”からだ。

一時Ballmerは同社の4%を保有していたが、今回は“大きなパーセンテージだ”と言うだけで、詳しくは語らない。

MicrosoftがTwitterを買収する、という彼がCEOだったころの噂を彼は否定したが、Twitterがどこかに買収されることはありえる、と考えてはいたようだ。“企業は、長い年月のあいだには、整理されたり、魅力ある資産としてどこかに買われたりするものだ”、という言い方だ。

Ballmerは、Jack Dorseyが二つの企業のCEOであり続けるのは無理、という世間の懸念に同意した。“二つの会社のCEOなんて、想像すらできない”そうだ。

ただしBallmerは、今後、投資はあまりしないらしい。株式投資に対しては考えが変わり、今では債券やインデックスファンドに“戻った”、と言う。

彼は最近、政府の支出を監視するWebサイトUSAFactsを立ち上げたが、その動機は、企業の決算報告などに比べると政府の予算に関するデータが見つけにくいことへの、欲求不満だった。

費目が詳細に分類された政府の支出に関するデータは、“さんざん探してもほとんど見つからない”、と彼は言う。だから彼は、そのサイトが、政策立案者たちやジャーナリスト、そして自分が払ったの税の行き先を知りたい人なら誰もが利用できるリソースになることを、期待している。

彼がオーナーであるバスケットボールチームLos Angeles Clippersには、今かなりの時間を投じているそうだ。彼は、試合中にスマートフォンばかり見ている連中は“嫌いだ”、と語り、拡張現実を利用してアリーナでの体験を改良したい、と述べた。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

インテルのスーパーポータブルCompute Cardが、リアルポケットPCを実現する

私たちのポケットの中には既に、スマートフォンという名前のコンピューターが入っているが、インテルの新しいCompute Cardは、本物のPCをどこにでも持ち運べるものにしてくれる。超高効率なCeleronや、ノートブッククラスのCore i5など、さまざまなプロセッサオプションを用意しているので、インテルのOEMパートナーたちは、このUSBバックアップバッテリのように見える部品を、スマートサインやモジュラーノートなどへ応用することに興味が湧いているようだ。

今年初めにCESで最初の版が発表されたIntel Compute Cardは、今日(米国時間5月30日)のComputexでは、最大4GBのRAMと128GBのフラッシュストレージ、AC 8265無線ネットワーキング、Bluetooth 4.2接続機能などと共に披露された。本日インテルはまた、Compute Card Device Design Kitの公開も発表した。これにより、OEMパートナーたちは、このモジュラーコンピューティングコアと共に動作するデバイスを作成できる。

既に現在、LG Display、シャープ、Dell、HP、LenovoなどのパートナーたちがCompute Cardを用いたアクセサリソリューションに取り組んでいるが、インテルは小さなデスクトップPCケースをレファレンスデザインとして提供している。このケースにはUSBポート、ミニDIsplayPort、HDMI、そしてEthernet端子がついていて、Compute Cardを差し込めば本格的コンピューターにすることができる。

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    The Intel Compute Card is a modular computing platform with all the elements of a full computer, including Intel SoC, memory, storage and wireless connectivity with flexible I/O options. It is slightly longer than a credit card at 95mm x 55mm x 5mm and can plug into a dock. (Credit: Intel Corporation)
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    The Intel Compute Card is a modular computing platform with all the elements of a full computer, including Intel SoC, memory, storage and wireless connectivity with flexible I/O options. It is slightly longer than a credit card at 95mm x 55mm x 5mm and can plug into a dock. (Credit: Intel Corporation)
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    The Intel Compute Card is a modular computing platform with all the elements of a full computer, including Intel SoC, memory, storage and wireless connectivity with flexible I/O options. It is slightly longer than a credit card at 95mm x 55mm x 5mm and can plug into a dock. (Credit: Intel Corporation)
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    The Intel Compute Card is a modular computing platform with all the elements of a full computer, including Intel SoC, memory, storage and wireless connectivity with flexible I/O options. It is slightly longer than a credit card at 95mm x 55mm x 5mm and can plug into a dock. (Credit: Intel Corporation)
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    The Intel Compute Card is a modular computing platform with all the elements of a full computer, including Intel SoC, memory, storage and wireless connectivity with flexible I/O options. It is slightly longer than a credit card at 95mm x 55mm x 5mm and can plug into a dock. (Credit: Intel Corporation)
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    The Intel Compute Card is a modular computing platform with all the elements of a full computer, including Intel SoC, memory, storage and wireless connectivity with flexible I/O options. It is slightly longer than a credit card at 95mm x 55mm x 5mm and can plug into a dock. (Credit: Intel Corporation)
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    The Intel Compute Card is a modular computing platform with all the elements of a full computer, including Intel SoC, memory, storage and wireless connectivity with flexible I/O options. It is slightly longer than a credit card at 95mm x 55mm x 5mm and can plug into a dock. (Credit: Intel Corporation)
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    The Intel Compute Card is a modular computing platform with all the elements of a full computer, including Intel SoC, memory, storage and wireless connectivity with flexible I/O options. It is slightly longer than a credit card at 95mm x 55mm x 5mm and can plug into a dock. (Credit: Intel Corporation)
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    The Intel Compute Card is a modular computing platform with all the elements of a full computer, including Intel SoC, memory, storage and wireless connectivity with flexible I/O options. It is slightly longer than a credit card at 95mm x 55mm x 5mm and can plug into a dock. (Credit: Intel Corporation)

このようなソリューションが、ノートブックスタイルのケースや或いはホームシアター機器などと一緒に、様々な用途に対して柔軟に、利用者に合わせたPCコンピューティング体験を与えてくれることは容易に想像できる。

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(翻訳:Sako)

VRソーシャルアプリを正式開始したclusterが、エイベックスやDeNAから2億円を資金調達

VRスタートアップ企業のクラスターは今日、エイベックス・ベンチャーズユナイテッドDeNASkyland Venturesおよび個人投資家らからシリーズAラウンドで2億円を資金調達したことを明らかにした。これでクラスターの累計調達額は2.6億円となる。過去のラウンドで投資しているVCにはEast Venturesも含まれる。Skyland Venturesは今回追加投資しており、新たにエイベックスやDeNAが投資家として加わった形だ。エンタメ系コンテンツを持つエイベックスや子会社にネットアイドルのライブ配信サービス「SHOWROOM」を持つDeNAとは事業シナジーを見込む。

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クラスターについては、過去にTechCrunch Japanでもお伝えしている通り、リビングやオフィスの打ち合わせスペースなどをVR空間上に3Dで再現して場を共有するサービス「cluster.」を提供する。ユーザーはVRデバイスを使うか、通常のPCを使って、このVR空間に「入る」ことで利用する。別地点から入ってきているほかの参加者と音声や身振りによるコミュニケーションが可能だ。今日正式ローンチしたclusterには10弱の部屋が用意されていて、誰でも無料で利用できる。また、clusterには有料・無料のチケット決済システムが実装されていて、オンライン・イベントにも活用できる。


clusterの特徴は多くの同時接続が実現できることのほかに、きわめてシンプルな3Dモデルで表現されるアバターを使った他のユーザーとのインタラクションができることが挙げられる。アバターは比較的簡素なポリゴンで表現されている。これは意図的なデザインチョイスで、仮想空間内で実際に交流することを考えたときに重要なのは「精巧な3Dモデル」ではないというのがクラスター創業者の加藤直人CEOの考えだそうだ。

「FacebookのSpacesはインタラクションがありません。例えばVR空間にあるペットボトルには触れない。これが3Dモデルだと触れるのです。会うとか集まるといった体験を提供するにはインタラクションが重要です」

想定しているのはアイドルや声優のファンイベントだが、どの程度本人に似た3Dアバターを用意するのだろうか?

「テレプレゼンスで実際に会っているような感覚を得るためには、3Dモデルがどれだけクオリティーが高いかよりも、どれだけインタラクションが可能かのほうが大切なんです。人間そのものじゃなく、キャラクターだけでも明確にコミュニケーションは成立する、というのが私の大きな仮説です」

「ひきこもりを加速する」を会社のスローガンに掲げる加藤CEOは、アイドルのファンは生身の人間そのものではなく、キャラクターに恋しているのではないかと、さらに踏み込んだ仮説を語る。「アイドルもキャラクターだと思っています。キャラクター文化の一環だと思っているんです」(加藤CEO)

数少ないポリゴンでアバターを表示するのは、帯域やクライアントの処理性能の制約を考えるとエンジニアリング上のテクニックなのかもしれないが、実際には「それで十分」ということらしい。一方で、今回調達した資金は、VR空間やアバターをリッチにしていくコンテンツ制作に使っていくという。3Dモデルはコンテンツもノウハウも流用が効くため、ここで差別化をはかり、そのことでコミュニティーを育てていきたい考えだ。

2次元のカメラ映像や音声を使った従来の「テレプレゼンス」とは一線を画すVR空間ソーシャルサービスとして、ユーザーが納得するものが作れるのか、あるいは実際にチケット代を払って「VR空間に会いに行く体験」を作っていけるのか。エイベックスという強力なコンテンツパートナーと、DeNAというオンラインコミュニティービジネスで知見を持つパートナーを得たことでクラスターは良いスタートラインに立ったと言えそうだ。

Androidの作者Andy RubinのスマートフォンEssential Phone(699ドル)はすばらしいルックスだ

Androidの作者Andy Rubinの新しいプロジェクトをめぐっては、さまざまな憶測が飛び交っていたが、やっと、その答の一部が出たようだ。

Rubinの新会社Essentialが、その最初のスマートフォンとAmazon Echoのようなデバイス、そして“Ambient”と呼ばれる新しいオペレーティングシステムを披露した。この三つはネット上で公開されたが、今のところEssentialが提供しているのは画像とグラフィクスだけなので、最終的な評価はまだ先の話だ。

これまでいちばん話題になっていたのがスマートフォンで、同社自身も先月から、その姿をちらっと見せていた

画像といっても同社提供のもので、第三者が撮った写真等ではないが、その、ベゼルの小さいエッジツーエッジの画面は印象的だ。デザインは、文句なしにすばらしい。この5.6インチのデバイスの最上部からスクリーンがあり、フロントカメラ用の小さなスペースがある。そこからずっと下へと広がり、そして小さなギャップがある。

Essentialによると、スクリーンはチタンとセラミックのブレンドで、AppleやSamusungの製品より強度があるそうだ。

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同じくEssentialのWebサイトによると、内部はQualcomm 835プロセッサー、RAM 4GB、ストレージ128GBだ。フロントカメラの画像センサーは8メガピクセルで、4Kのビデオも撮れる。リアカメラは13メガピクセルで、低照度での撮影を補助するモノクロのセンサーがある。AppleがiPhone 7 Plusでやった、第二レンズによるボケ味画像とは違う。

このほかアタッチメントとして360度カメラが提供される予定なので、スマホにしては相当多芸な写真撮影ができそうだ。そしてヘッドフォーンジャックはないけど、ドングルが提供される。

ソフトウェアについて詳細な発表はないが、このシンプルで強力なハードウェアのデザインから見ると、ソフトウェアも肥満体とは逆の、無駄を省いたシンプルな構成になりそうだ。

699ドルは公式に発表された価格で、この価格帯にはすでに、手強くておもしろいオプションがいくつかある。その中での勝負も、おもしろい。量販のためにはキャリアの採用が重要だが、それがなくてもEssential Phoneには、好奇心で人を惹きつける魅力がありそうだ。発売のスケジュールは未定だが、たぶんアメリカ・ファーストだろうね。

EssentialのEchoコンペティター“Home”も、看過できない。

同社Webサイトの画像から見るとそれは、音楽やスマートサーモスタット、スマート電球、質問への応答、などをコントロールするスマートアシスタント+コントロールインタフェイスのようだ。大きな円形画面と、音声起動であること以外は、まだ詳細は分からない。

ちょっとおもしろいのは、同社のブログ記事によると、Essential Homeはデータの出し入れや保存にクラウドを使わないことだ。これはプライバシー対策として思い切った試みだが、Amazon AlexaやGoogle Homeはこの問題を放棄している。Essential Homeでは、データとサービスはできるかぎりローカルに管理される。多くの人が前のめりで関心を持ちそうな、セールスポイントではないだろうか。

“Homeはhome(家、家庭)だから、プライバシーの心配をせずに好きなことができる場所でなければならない”、とEssentialのWebサイトは言っている

Homeを駆動している新しいOS、Ambientについて、同社はこう言っている:

Ambient OSは、あなたの家や家庭で動くアプリケーションの開発と実行を可能にする一連のサービスと機能を提供する。Ambient OSで、あなたの家がコンピューターになる。Ambient OSはあなたの家の物理的な構成や配置とそこに住む人びとを知り、家と人びとの両方にふさわしいサービスとデバイスを提供できる。

Ambient OSの中心的なコンセプトは、つねに人間がコントロールの主人公でなければならない、という信念だ。そのためそれは、あなたのニーズを先取りしてあなたの家をスマートにはしない。むしろそれは人間から学び、何かの振る舞いを提案することはできるけれども、最終的には人間がその採否を決める。

間違いなく、今後はもっといろんなものが、Essential PhoneやEssential Homeだけからではなく、Rubin本人から出てくるのだろう。彼の新しいベンチャー企業でEssentialの親会社Playgroundは、スマートフォンやアシスタントに限らず、複数のハードウェアプロジェクトを支えるインキュベータだ。 彼が作ったAndroidは、世界で最大人気のオペレーティングシステムで、採用機は20億を超えている。Rubinはその大きな実績の上に、さらに大きな花を咲かせようとしているようだ。

ありがとう: The Verge

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Twitter、フォロー外のDMを受信前にレビュー可能に

Twitterは、フォローしていないユーザーからのダイレクトメッセージを受信前にレビューする機能を追加する。Facebookのメッセージ機能で以前から使われているしくみと同じだ。新しいDM確認機能では、フォローしていない人からのメッセージを受信する設定にしている人が、送られてきたメッセージに対して「削除」または「許可」を選択することができる。

メッセージを送った側は、こちらが「許可」を選択しないかぎり、メッセージが読まれたかどうかを知ることはできない。また、メッセージを削除した場合でも、相手は将来また送ることができる(そのために「ブロック」がある)。フォローしていない相手から送られてきたメディアは「許可」しない限り表示されないので、不快な画像やビデオを見なくてすむ。「メディアを表示」をタップすれば許可する前に見ることも可能。

フォローしていない人からの新しいメッセージは、受信箱で「リクエスト」というフラグがつけられる。自分を含むグループ会話も同様だ。これは、ユーザーがDMをオープンにすることを推奨しつつ、不快なメッセージや望まない相手のやりとりを避ける手段を提供する賢いやり方と言えるだろう。

本機能はiOSとAndroidアプリで今日から段階的に公開されるため、すでに見た人もいるかもしれないが、まだの人も、近々使えるようになるはずだ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Samsungの新機種Notebook 9 Proは、S Pen内蔵でSurface Bookに対抗

Samsungの人気のペンツール、S Pen ―― ペン先の太さ0.7 mmでWindows Inkに対応し4000段階の圧力を感知する、Galaxy Note 7以来製品には添付されていない ―― が新しい居場所を見つけた。Surface Bookのライバル、Samsung Notebook 9 Proだ。

Surface Bookとまったく同じアプローチというわけではないが、Notebook 9 Proは360度のヒンジを備え、ペンツール、取り外し可能なディスプレイなどあらん限りの機能が盛り込まれている。画面サイズは13.3インチと15インチがある。

13インチ機はRAM 8GB、15インチ機はRAM 16GBとグラフィックカードのAMDRadeon 540を搭載し、SSDはいずれも256 GBと少な目だ。その他の仕様はWindows 10 Helloログイン、USB-Cポート、バックライト付きキーボード、Core i7 7500 U CPU(2.70GHz、3.50GHzにターボアップ可能)など。

Samsungは発売時期と価格について何も発表していないが、すぐにわかるはずだ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

ビジネスとして成立するまで資金調達は不要――自己資金経営のススメ

【編集部注】執筆者のZach AbramowitzはReplyAllの共同ファウンダーでCEO。

Yaron Ben ShaulがCEOを務めるHometalkは、もともと業者検索サービスNetworxのユーザー向けのエンゲージメントプラットフォームとしてはじまった。

その後、HometalkはDIY(日曜大工)コミュニティのためのソーシャル・ネットワークへと変化していき、今ではニューヨークにオフィスを構え、イスラエルに開発センターを置いている。

「テクノロジーの力によって、人は手で何かを作ったり直したりする能力を失いつつあります」とBen Shalは話す。「Hometalkはテクノロジーを利用して、逆にDIYのスキルを共有できるような場をつくろうとしているのです」

DIY好きな人は、Hometalkで自分の家のプロジェクトに関する情報を投稿すれば、気の合う仲間からフィードバックをもらったり、掲示板で質問を投げかけたりできる。そのようにして集まったユーザージェネレイテッドコンテンツがPinterestのような見た目のサイト上に並べられ、誰もがDIYのアイディアを見つけられるHometalkを構成しているのだ。

DIYは一見ニッチ分野のように映るが、現在のHometalkのアクティブユーザー数は1500万人で、月に3億PVを記録しているほか、昨年7月からの動画のオーガニック再生数は6億回におよぶ。Yaronによれば、2016年の売上は数百万ドルで、2017年は1500〜2000万ドルの年間売上を予定しているという。また、現在Hometalkは主にプログラマティック広告から収益をあげているが、今後はスポンサードコンテンツの制作やオンラインショップの開設も行うとのこと。

Hometalkはどのようにして自己資金だけでここまで成長できたのか? そしてHometalkとDIY業界の未来はどうなるのか? CEOのYaron Ben Shaulに話を聞いてみた。

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Zach Abramowitz(以下ZA):今日は取材に参加してもらって、ありがとうございます。

まずHometalk以前に、YaronはAlfyというスタートアップを過去に立ち上げていて、実はこの会社はVCから何千万ドルという資金を調達していましたよね。Alfyでのどういう経験から、Hometalkでは外部調達に頼らずに自己資金で全てを賄おうと思ったんですか?

Yaron Ben Shaul(以下YBS):こちらこそ、呼んでいただいてありがとうございます。

Alfyを立ち上げた頃は、まだ起業家としての経験が足りなかったこともあって、「従業員数・調達金額=会社の成功度合い」と考えていました。しかし問題だったのは、資金調達前にプロダクト面でもビジネスモデルの面でもまだまだやれることがあったのに、私たちは焦ってスケールしようとしていたんです。もし、しっかりとした基盤を当時築けていれば、もっと大きな成功をおさめていたと自信を持って言えます。

そんな経験があったので、Hometalkではリーンスタートアップモデルを採用し、外部調達について考える前に、プロダクトマーケットフィットを目標にテストや改良を続けました。

ZA:なるほど。でもプロダクトマーケットフィットはどんなスタートアップにとっても課題だし、プロダクトマーケットフィットに至ったと勘違いして、早過ぎる段階でスケールしようとする企業もたくさんいますよね。

Alfyはプロダクトマーケットフィットに到達していたと思いますか? それとも全くそんなこと考えていませんでしたが? また、早過ぎる段階でのスケールを避けるために、プロダクトマーケットフィットを客観的に判断できるような指標や定義はありますか?

YBS:良い質問ですね。Alfyは”プロダクトマーケットフィット”には達していたと思いますが、”ビジネスマーケットフィット”には届いていなかったと思います。

顧客は私たちのプロダクトを気に入って使ってくれていましたが、会社を長期的に支えるほどの売上には繋がっていませんでした。月のバーンレートは約100万ドルで、Alfyが持続可能な企業へと自然に成長するのに十分なほど、マネタイズがしっかりできていませんでした。

ZA:もしも起業家がスケール前のビジネスマーケットフィットを意識するようになれば、スタートアップが失敗する確率は下がると思いますか?

YBS:間違いないでしょうね。ビジネスマーケットフィットとは、カスタマーエクスペリエンスとビジネスモデルが両立している状態を言いますから。

具体的な数字があるわけではありませんが、ビジネスマーケットフィットを目指している企業が成功する確率は、そうでない企業よりも高いと思います。もちろんイテレーションは必要になりますが、持続可能な売上モデルが構築できなければ、究極的にはそのビジネスは単なるバブルでしかありません。カスタマーエクスペリエンスの向上に注力しているスタートアップはたくさんありますが、ビジネス面がおろそかになると、いずれ行き詰まってしまいます。その結果、業績が落ちて従業員を解雇せざる得なくなり、ギリギリのタイミングで必死に新たなモデルを模索するようになってしまうんです。これは本当に残念なことです。顧客価値を中心に据えながらも、最初からビジネスマーケットフィットを目指せば、企業が長期的な成功をおさめる可能性は高まります。

ベンチャーキャピリストは、その逆を言うことが多いですけどね。Hometalkでは、ビジネスモデルのことは忘れてユーザーのことだけを考えろ、と投資家に言われたこともありましたが、自らの経験からそのアドバイスには従いませんでした。

ユーザー価値の向上という、企業の目的の半分にしかあたらないことに全ての力を注ぎ込み、いつかビジネスとしても成り立てばいいなという考え方で何年間も無駄にしている起業家を、私はこの目でたくさん見てきました。しかし、最適なビジネスモデルを構築するには、現存するプロダクトを段階的に改善するだけでは不十分なことが多く、実際はかなり大きな変化が必要になるということに彼らは気づけていないのです。そして、それに気付くのが遅すぎると、会社の存続さえ危ぶまれることになります。

ZA:では、多くの起業家が誤った指標を追ってしまっているということですか?

YBS:多くのB2C企業のファウンダーは、WhatsAppやSnapchatのように、ビジネスマーケットフィットに達しないままデカコーン企業(評価額が100億ドル以上の非上場企業)になった特別な企業を例に出し、プロダクトファーストの姿勢を正当化しています。そうすると、顧客価値だけを気にしながらつかみどころのない評価額を追い求めるのは間違っていないんだ、と感じてしまうんです。しかし、統計的に見れば、WhatsAppやSnapchatのような企業は例外中の例外です。私は、起業家が成功する確率が高まってほしいと考えているのであって、彼らに100万分の1の確率を追い求めてほしいわけではありません。彼らには、まず本当に1億ドルの価値があるビジネスを構築して、それから10億ドル企業を目指すようにしてほしいんです。

つまり私は、長い時間をかけてでもきちんとビジネスマーケットフィットを目指そうとする企業ほど、長期的な成功を早く手に入れられると考えています。

ZA:外部資金を調達せずに企業を経営する上で、B2BかB2Cかは関係ありますか?

YBS:関係ありません。

ZA:HometalkはNetworxの一部としてローンチされましたよね。いつ頃、Hometalk単独でもやっていけると気づきましたか?

YBS:ご存知の通り、HometalkはNetworxのためのエンゲージメントプラットフォームとして開発されました。もともとは、工事業者の人たちが家や庭の改修プロジェクトに関して書いたり、DIYのコツをサイト上で共有してくれるのでは、と考えていたんです。

実際どうだったかと言うと、コンテンツ面で工事業者の人たちはあまり頼りにならず、むしろコミュニティメンバーが生み出すDIY関連のコンテンツの方が価値があることがわかりました。それに気づいてからは、すぐにHometalkをNetworxから切り離し、ユーザー同士が自分たちの経験談を共有し合うユーザージェネレイテッドプラットフォームへと方向転換したんです。

ZA:その後、外部から資金を調達しようとは思わなかったんですか?

YBS:以下の理由から、資金調達はしたくなかったんです。

1. 当時私たちにとってもっとも価値のあった資産は、会社の自主性と俊敏さでした。外部から(特にアーリーステージで)資金を調達していたら、その資産を手放すことになっていたでしょう。ビジネスマーケットフィットに到達してから資金を調達すれば、自分たちが何者かを解明するためではなく、会社のスケールのためにお金を使うことができます。

2. これは個人的な理由ですが、私は評価額に見合ったビジネスを構築できたと自分で100%の自信を持って言えるようになるまで、他人のお金をリスクにさらしたくないんです。誰かに投資してもらうということには、とてつもない責任がつきまといます。他人のお金よりも自分のお金をかける方がずっとマシです。リスクが桁違いに大きいアーリーステージでは尚更そうです。

3. 早期に資金調達を行っていたら、目の前のことしか見えなくなっていたでしょう。というのも、VCはすぐに結果を求めますからね。しかし私の経験から言えば、自分の会社を長い間存続させたいと思うのなら、長期的な視点を持たなければいけません。

ZA:自己資金だけで夢を叶えようとしている人たちに何かアドバイスはありますか?

YBS:以下が私からのアドバイスです。

・アーリーステージでは、スケールしようとする前に顧客価値と売上が両立するようなビジネスを模索し(スケールのタイミングが早すぎると基盤となるビジネスが安定しなくなる)、顧客とビジネスモデルだけに集中する。

・コストは可能な限り低く抑える。私たちがオフィスをロサンゼルスからワイオミング州のキャスパーに移したときは、引っ越し業者に頼むお金がなかったので、私がトラックを借りて自分で引越し作業をしました。交通費を抑えるために、長い時間かけて陸路で移動し、一泊30ドルのモーテルに泊まったことも何度もあります。今では美しいオフィスや素晴らしい業績を披露できますが、その裏側には10年間におよぶ苦労が隠れているんです。

・形だけの指標にとらわれず耐え忍ぶ。Networxを設立してから3年間は、従業員が1人しかいませんでした。

余計なリソースがなければ、コアビジネスに集中せざるを得なくなり、顧客とビジネスモデルに直に取り組むようになります。つまり、外部資金を調達しない場合、組織のための長期的な展望(投資家との関係性や従業員数など)よりも、ビジネスの中核について深く考えなければいけないのです。

そして最後に、恐らくこれが1番重要なことだと思いますが、全ては最高のメンバーを見つけられるかにかかっています。

ZA:予算が限られている中、どうやって優秀な人材を集めることができたんですか?

YBS:ハイテク人材を雇うお金がなかったので、そもそも彼らのことは狙っていませんでした。人柄を中心に候補者を選別していくしかなかったんです。そのためNetworx・Hometalkのどちらに関しても、高く評価されている社員のほとんどは、いわゆる輝かしい履歴書の持ち主ではありません。しかし、一般に良いとされる経歴を持っていない人の中には、自分の価値を高めようと必死に頑張って成功をおさめる人もいます。

まだオフィスがウェストハリウッドにあったころは、8:00から東海岸の業者とコンタクトをとるために、朝の4:15に私が社員第一号を迎えに行き、こちらの時間の5:00には彼がコンピューターを立ち上げていました。彼の履歴書はなんら特別なものではありませんでしたが、彼の運転スキルはすさまじかったですよ。

ZA:自己資金経営のデメリットは何でしたか?

YBS:創業から数年間はプライベートの時間がとれません。1日中働き詰めで、全て自分でやらなければいけないのです。

しかし、それとは比較にならないほど大きなメリットがあります。私は初めて75ドルのクレジットカード決済を(FAXで!)したときのことを今でも覚えています。誰かが私たちのサービスのために、本当にお金を出してくれたんだというのがわかった瞬間でした。ひとつめのスタートアップで経験したどんな資金調達ラウンドのクローズよりも、その決済の瞬間の方が嬉しかったですね。

ZA:VCからにしろ別の手段にしろ、いつかHometalkでも資金調達を行うと思いますか?

YBS:ちょうど今、VCだけでなくプライベートエクイティファンドからの調達についても考えているところです。ようやくビジネスマーケットフィットを達成できたと感じられたので、現在はスケールの手段を模索しています。

ZA:Hometalkに話を移すと、これまでにローンチされたさまざまなニッチ分野のソーシャルネットワークとDIYソーシャルネットワークの違いは何ですか?

YBS:DIY市場のニーズは極めて細分化しており、ユースケースも多岐にわたります。そこが1番大きな違いですかね。ある人は簡単に掃除したいだけだと思っていれば、ある人は家全体を改築したいと考えていることもあります。また、ある人はニューヨークに、別の人はアトランタに住んでいて、それぞれの家の素材や気候、地形が違うということもあるでしょう。

そのため、誰に対しても価値あるアイディアやツール、知識を提供できるようなプラットフォームを構築するには、ユーザー全員が自分の経験や知識をコミュニティのために共有するクラウドソーシングモデルしかないんです。簡単にいえば、DIYコミュニティのニーズは常にあったということです。

さらに、自分の手を使って何かをするという人間の能力は、かなりのスピードで衰えていっています。Hometalkのゴールは、コミュニティのメンバーがお互いのスキルを高め合えるような場をつくるということなんです。

私の経験上、たとえ数か月の間であっても、脳のある部分を使わなければその能力は無くなってしまいます。例えば、私はWazeを使い始めてから、方向感覚を失ってしまいました。それと同じように、人間は自分の手を使う能力を失いつつあるんです。私たちは、Hometalkのユーザーが金銭的なメリットを享受するだけでなく、自信とノウハウを取り戻す姿を見てきたため、色んな人にDIYを勧めたいと考えています。DIYで学んだことは、他の分野でもきっと役立ちます。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

Uber、Ottoの共同ファウンダー、レバンドウスキーを解雇―Waymo訴訟の社内調査への協力拒否が原因

UberはAnthony Levandowskiを解雇した。LevandowskiはUberの自動運転車事業の責任者であり、自動運転車の子会社Ottoの共同ファウンダーだった。New York TimesがLevandowskiの解雇を最初に報じた。続いて火曜日にUberの社内向けメールが公式にこれを確認した。

LevandowskiはGoogleの親会社Alphabetの自動運転車子会社WaymoがUberを訴えた紛争で中心となる人物だ。Waymoは元従業員のLevandowskiがOttoの立ち上げを加速するためにLiDARテクノロジーを始めとするWaymoの企業秘密を持ち出したと主張している。

法廷でLevandowskiは憲法修正5条〔何人も刑事事件において(責任を問われる可能性がある)己に不利な供述を強制されない〕を理由として証言及びGoogleから不当に得たとされる資料の提出を拒否した。Uberはこれに対してLevandowskiはUberが要求する雇用上のコンプライアンスに違反することになると警告していた。

Uberは広報担当者を通じてLevandowskiとの雇用関係は解消されたことを確認した。Uberは何ヶ月に前からこの問題に関する社内調査にLevandowskiの協力を求めており、その期限を明確に設定していたという。UberはまたLevandowskiが4月に自動運転車事業の責任者を外されたさいに後任となったEric Meyhoferが引き続きその職を続けることを明らかにした。Levendowskiの部下、権限はMeyhoferが引き継ぐことになる。

画像: John Sommers II/Transport Tropics/modified by Bryce Durbin/Flickr UNDER A CC BY 2.0 LICENSE

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Turing Tumbleは巧妙なメカニカル・コンピューター―Kickstarterの教育玩具は大人も楽しめる

近頃はなにもかもエレクトロニクス化されてしまったが、それだけにTuring Tumbleのようなボードゲームは楽しい。

プログラマーでミネソタ大学教員でもあるPaul BoswellはTexas Instrumentsの電卓で遊べるゲームを開発したことで有名だが、 今回はAlyssa Boswellと協力して Turing Tumbleという純粋にメカニカルなコンピューターを作り上げた。ボード上で何種類かの小さな部品を正しく組み合わせることによってさまざなパズルを解くことができる。

Boswellはこれまでもプログラミングを学ぶためのゲームをいくつも開発してきた。ミネソタ大学でコンピューティングを教えている際、他の面では優秀だがプログラミングがいっこうに理解できない科学者を大勢発見した。このフラストレーションがコンピューティングの仕組みを説明するおもちゃを開発する動機になったという。

「プログラミングができる化学者や生物学者は珍しい。実のところどんな分野でも珍しい。そうでないのは計算機科学者くらいのものだ。しかしそれでは困る。私は長年学生にプログラミングを教えてきた。その間、学生であれ教授陣であれ、すばらしいアイディアなのに適当なプログラムが書けないためにプロジェクトを諦めてしまうという事態を繰り返し見てきた」とBoswellは言う。

Turing Tumbleは非常にシンプルは構成だ。ボードのてっぺんからビー玉が転げ落ちる。ボードには格子状に多数の穴が開いており、そこに論理部品をはめ込む。ビー玉が最下段まで落下してフリッパーと呼ばれる部品を押し下げると新しいビー玉が供給され、以下同様にサイクルが続く。

「プレイヤーは6種類の論理部品を利用して論理パズルを解く。 Bitは中でも重要な部品だ。ビー玉が落ちてくるたびにこの部品は反対側に向きを変える。この部品は左向きがゼロ、右向きが1を表す。Gear bitは特に面白い部品だ。Gear bitはBitとほぼ同様の機能だが、名前の通り歯車で、他の歯車と組み合わせることができる。ビー玉が一つの歯車を動かすと次の歯車に動きが伝わる。この部品があるためにボードは全体として『チューリング完全』な機械となる」とBoswell。

こうした理論は表に現れず、見たところはメカニカルなパズルゲームというのが重要な点だ。付属の冊子には51のゲームが紹介されており、子どもたちは遊びながらXORなどの論理回路を組み立てることができる。

このプロジェクトはBoswell夫妻の自己資金がまかなわれる予定で、現在Kickstarterで4万8000ドルの資金集めを行っているところだ。

「メカニカル・コンピューターを調べ始めたところ、1960年代に作られたDigiComp IIという玩具に行き当たった。これは落下するビー玉を動力とする計算機で非常に巧妙だった。私はDigiCompから多くの作動原理を借り、自分のアイディアを付け加えて独自のメカニカル・コンピューターをデザインした。3Dプリンターのおかげでプロトタイプを作成することができた」という。

これは素晴らしい教育玩具だが、もしかすると他のコンピューターがなんらかの理由で全滅したときには計算機として実用になるかもしれない。そんな日が来ないとはいえないだろう。

〔日本版〕Kickstarterのページによれば、プレッジ額は一口399ドルで4万8000ドルの目標に対して3万4875ドルがプレッジされている。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

これが自動運転車が見ている道路だ(ビデオ)

自動運転車はLiDAR、ビデオカメラ、レーダーなど多様なセンサーを利用して自車周辺の情報を収集する。では 詳細な3Dデジタルマップと車載センサーからの情報を総合するとどうなるだろう?

Civil Mapsのプロダクト・マネージャー、Anuj Guptaの説明によれば、このテクノロジーは6次元自由度の環境内で自動運転車が注意を集中すべき領域を特定するものだという。6次元自由度というのはドローンやVRシステムの分野でもよく知られた概念だ。つまりXYZ3軸についてそれぞれ並行運動と回転運動を考えた空間だ(横方向の揺れがロール、縦方向の揺れがピッチ、旋回運動ががヨーと呼ばれる)。デジタルマップとローカル情報を組み合わせれば自動運転車は注意すべき空間を特定して計算量を節約する。つまり一定の計算能力を効果的に利用できる。

マップデータとセンサーデータを統合することによる計算能力の集中によるコスト削減効果はきわめて大きいという。自動車メーカーは自動運転車の路上での安全性と効率性を確保しつつ、製造コストのとバランスを取らねばならない。

もちろんCivil Mapsはマップデータを提供する企業なので、プロダクトを自動車メーカーに売り込むためには、製造コスト削減能力をわかりやすく示す必要がある。「プディングの証明は食べてみることだ」ということわざもあるとおり、実地テストにまさるものはない。そこでCivil Mapsではミシガン州のハイウェイで自動運転車を走行させ、マップデータの利用によって自動車の環境内の位置を局限することによる計算量の削減効果をデモしている。

〔日本版〕Civil Mapsのサイトはこちら

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

「空飛ぶ自動車」のKitty Hawk、テストパイロットたちも大満足

Kitty Hawk Flyerは、昔から「空飛ぶ自動車」としてイメージされていたものに近いように思う。「自動車」としての機能はもっていないものの、一種のATV(All Terrain Vehicle:全地形対応車)と呼んで差し支えないように思う。これまでのATVよりも、より一層「全地形」に対応している。と、そのような言葉上の問題はどうでもよかろう。ともかく最新の乗り物であり、Googleの共同ファウンダーであるラリー・ペイジも出資している。単なる「コンセプト」の段階ではなく、「ワーキングモデル」(working prototype)が存在するのも面白い。

このたび、Business Insiderが、Kitty Hawk Flyerのテストパイロットについての記事を掲載していた。記事中ではデモスタッフへのインタビューなども取り上げられている。テストパイロットはさまざまな経歴をもつ人から選ばれ、選考あたっては飛行経験の有無のみならず、スポーツ全般への関心度、パラグライダーなどへの興味/経験などについても考慮したとのことだ。

また、トレーニングについては、個々のパイロットの経験に応じた個別のトレーニングメニューが用意されてもいるとのこと。Business Insiderの記事によれば、操縦自体はXboxのコントローラーを操作するのに似ているのだそうだ。上のビデオでも、パイロットが操縦のノウハウをマスターして自在にコントロールできるようになった際の感動などについて触れられている。

Kitty Hawkはこの乗り物を年内中にも発売したい考えだ。ビデオ中のテストパイロットの様子をみるに、テック系のオタク以外の人たちも、大いに興味を持ちそうに感じられる。

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(翻訳:Maeda, H

IntelがついにCore i9プロセッサーを発表、最上位機種は18コア32スレッドで1999ドル

今日(5/30)台北で行われたComputexのイベントで、Intelが同社のCore X連番シリーズのプロセッサーの新型機を発表した。ハイエンドデスクトップCPUの最新機種の計画は、今月初めにリークされたから驚きではないが、それでも、この新シリーズの旗艦機種となる18コア36スレッドのIntel i9-7980XEは、ほとんど衝撃的なデビューだ。

1999ドルという、思わず目が潤んでしまいそうなお値段のIntel i9-7980XEは、当分のあいだ、ごく一部の消費者を除いては憧れに留まるだろう。しかしAMDとのプロセッサー戦争においては、Intelの強力な新兵器になる。16コア32スレッドのAMD Ryzen Threadripperは今月初めに発表され、世界最強の消費者機向けCPUになるはずだったが、Intelがその王冠を奪い返したようだ。

Core i9系列のそのほかの機種は、10コア999ドル、16コア1699ドルと現実的なお値段だ(12コアと14コアもある)。すべてのi9プロセッサーがベースクロック3.3GHz、Turbo Boost 2.0では最大4.3GHz、Turbo Boost Maxで4.5GHzの、それぞれデュアルコア周波数だ。このほか、クァッドコアのi5-7640Xおよび4,6,8コアのi7プロセッサーも発売される。発売日は、まだ明らかでない。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

BMWの未来的なコンセプトバイクをスクーターと間違えてはいけない

これはスクーターみたいだけど、実はBMW Motorrad Concept Linkといって、BMWのオートバイ、Motorrad(モトラッド)ブランドの、最新のコンセプトバイクだ。すべてを説明しようとして、長たらしい名前になってしまった。それは、そう遠くない未来にわれわれみんながこれで旅をすべき、あちこち角(かど)だらけの、SF的スタイルなのだ。

Linkは電動車なので、BMWによれば、乗り降りの楽な低いシートを実現している。バイクには珍しくバックギアがある。過密な都市で駐車しやすいだろう。座席の下に収納スペースがあり、そこの切れ込みからメカの一部が見える。

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計器盤はなく、速度や電池残量、ナビ情報などはすべて、風防部分に表示される。なお、その風防部分は、自分の気に入ったデザインのに取り替えることができる。ハンドルバーの下に第二のディスプレイがあり、それはタッチ入力ができるが、そのタッチ入力機能はハンドルバーにもあるから、走行中にも表示を操作できる。

特別デザインの軽いジャケットまであり、それには転倒時等の保護性能がある。そして、腕を振るとトランクのドアを開けられる、モーションコントロール機能まである。

新型モトラッドの以上のコンセプトは、すぐに生産に入るというものではない。現状はあくまでも、BMWが描くオートバイの未来像だ。ぼくは未来的なデザインのスクーターがほしいな、と思っていたから、これはそんなぼくにもいいね。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

「デザイン思考」の伝道者、IDEOのTom Kelleyにインタビュー

High Resolution 16回目のエピソードは、Tom Kelleyとの対談をお届けする。KelleyはIDEOのパートナーである。ビデオでは、イノベーションの定義、創造的な自信を取り戻す方法、現在のデザインチームだけではなく、この先世界のデザインリーダーを生み出すことのできる習慣について語ってもらった。

「イノベーション」という言葉は過度に使われて来た。Kelleyによれば、最も基本的なレベルでのイノベーションとは、実現可能であり価値をもたらす新鮮なアイデアのことであると述べている。アイデアだけではイノベーションではない。

注意を喚き立てるスクリーンや通知で満たされているこの世界では、私たちは容易に注意散漫になってしまう。Kellyは、最も創造的なアイデアが降り注ぐ、静かな瞬間を見つけて守ることの重要性を説明している。そうした瞬間が起き易いのがいつかを知ることができれば、あとは将来の実装に向けて生まれるアイデアを捕まえれば良いだけということになる。

インタビュアーのJared EronduBobby GhoshalHigh Resolutionのホストである。この投稿とエピソードのメモは、フリーランスライターであるGannon Burgettによってまとめられた。興味があれば、毎週月曜日、太平洋標準時の朝8時にTechCrunchに投稿されるエピソードを見て欲しい。iTunesOvercastで聴くこともできる。

*インタビューは英語だがビデオ画面の右下に並ぶ4つのアイコンの一番左のものをクリックすると自動生成された英語字幕が表示される。

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(翻訳:Sako)

レースカーが自動運転車になるとどうなるか、パリのRoboraceはコース学習のため遅かった

週末にパリで行われたFormula E Paris ePrixで、ドライバーのいないRoboraceが、1.9kmのコースを14周、完全に自力で完走した。

この自動運転車には、LiDARセンサーが5基、レーダーセンサーが2基、超音波センサーが18基、光学式速度センサーが2基、AIカメラが6台あり、そして衛星位置情報により自分の位置とルートを知る。すべてのデータをNvidiaのDrive PX2が処理し、Roboraceのプレスリリースによると、このプロセッサーの演算速度は24兆ops(毎秒24兆命令)だ。

プロセッサーは速いけどしかし、Roboraceの車自身は、まだそれほどでもない。

ハードウェアは本格的なレース向けに、300kWのモーター4台、540kWのバッテリーを一つ積み、時速は200mphを超える。しかし、ルートを学習している間、そしてエンジニアが同車の学習方式を学習している間は、後ろに人間が運転する付添車がつき、のろのろとトラックを走る。

では、パリでの初走行を、公式ビデオで見てみよう。次はベルリンのFormula Eに出て、その後もいろんなレースに出る予定だ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

再生中の動画から画面遷移なしで商品を直接購入——スマホ動画広告のFIVEが新プラットフォーム

アプリを中心に、スマートフォン向けの動画広告プラットフォームを展開するFIVE。同社が、これまでのノウハウをもとに、動画広告の枠を使って、遷移なくコマースやアンケートを実施できる新たなプラットフォームを展開する。プラットフォーム名は「Interface by FIVE」。5月30日よりGMOメディアが提供するアプリ「プリ画像」上で第1弾となるクライアントのキャンペーンを開始する。

FIVEは2014年10月の設立。社名の「FIVE」のとおり、5秒程度の短尺な動画広告をアプリ向けに配信する動画広告プラットフォーム「FIVE VIDEO NETWORK」、10代向けアプリに特化した動画広告マーケットプレイス「Moments by FIVE」を展開してきた。現在ではスマートフォンのウェブサイト向けにも動画広告を展開。アプリだけでも月間で約2700万人のユニークユーザー(メディア間重複を除く)にリーチしているという。また、短尺の動画クリエイティブにも強い制作チームを自社内に保有。アプリの特性に合わせた動画制作が可能だという。

FIVEのアプリにおける月間アクティブユーザー数の遷移

全画面動画から遷移なしで商品の購入までを実現

そんな同社が3つ目のプロダクトとして提供するのが、Interface by FIVE(Interface)だ。FIVEが提供するSDKを導入したアプリ上の広告枠に動画を配信。ユーザーは枠をタップして動画を全画面で再生し、動画上のボタンをタップすることで、画面の遷移やブラウザの起動をすることなく、直接商品購入やフォーム入力の画面を表示して、アクションを完結できるというもの——と言葉で説明するよりも、まずは以下の動画を見てもらうのが、一番分かりやすいだろう。

決済機能も備えているため、動画で紹介した商品をそのまま販売することが可能なほか、キャンペーンやサンプリングなどに利用できるとしている。通常スマートフォン上では、アプリから広告を経由して商品を購入したりする場合、いったんブラウザに遷移するため、どうしても体験としては「途切れてしまう」と感じることはないだろうか。Interfaceはアプリ遷移のない、スムーズな購入体験を実現できるという。

「当初のプロジェクト名は『LP(ランディングページ)キラー』でした。LPに遷移すると、体験がぷつっと途切れてしまう。Interfaceは、動画広告なのに外部のLPに遷移しないというところがポイント。そこで購入やアンケートまでが実現できます。動画広告をただ『見るもの』とするのではなく、インターフェースにしていきたいと考えています。グローバルで見てもモバイルコマースは(コンバージョンレートが)1%程度。100人いたら99人がクリエイティブを見ても、買わずに帰ってしまう状況です。この数字を圧倒的に変えられないかと思っています」(FIVE代表取締役社長の菅野圭介氏)

FIVEでは、これまでアプリを中心にした動画広告ネットワークを作ってきた。その中で、例えば10代向けのアプリであれば、どんなキャスティングをして、どんなアプローチをすればユーザーに「刺さる」のか、ということを学んできたのだという。このノウハウは、Interfaceでのクリエイティブ制作においても武器になるという。また、国内の主要インフルエンサーの事務所とも提携しており、「キャスティングでも(商材が)ピンぼけしないようにできる」(菅野氏)とのことで、ただプラットフォームを提供するだけでなく、企画からキャスティング、動画制作、配信、決済までをワンストップで提供していくことがこのプラットフォームの強みだという。今後はネットショッピングの事業者や、商品を持つメーカー、マーチャントと組むことで、「商材×アプリ」として最適な組み合わせを自ら企画し、提案していくことも予定する。

スマートフォンが「自動販売機になる」

菅野氏は「スマートフォン(の画面が)自動販売機みたいなものになる」と語る。もちろんブラウザでECサイトにアクセスして商品を買うという、PCウェブの世界での行動はスマートフォンでもおなじみかもしれないが、菅野氏が言うのは、スクリーンに映った映像をパッと見て、そのまま購入に繋がる。商品の購入を喚起させるところから、ボタンを押して購入するまでの一通りのアクションを実現するインターフェースになる、ということだ。もちろん広告がユーザーに受け入れられるのかという話はあるが、菅野氏は「ビジネス抜きで考えると、(Interfaceを使った)面白いコンテンツ、雑誌の特集みたいなモノができないかとも考えている」と語る。

ただ、Interfaceの展開はこれまでの動画アドネットワークを中心とした同社のビジネスとは、(資産こそ生かせても)大きく構造が変わることは間違いない。菅野氏は「既存事業とは利益率もキャッシュフローも変わるし、成否によって今後の事業計画も大きく変わる」とした上で、「だがFIVEは、もともとアドテク会社になる、というつもりはない。モバイルの映像流通を一手に担いたいと考えている」と語った。「僕らは最初から欲張ってきたが、今となってはそれが良かったと思っている。動画広告のプラットフォームとクリエイティブを両方やって、運用型の動画広告から始まったが、今はブランディングの動画広告もやっている。アプリを中心に展開してきたが、今ではウェブもやっている。ここまでできると、どんなパブリッシャーでも満足度に繋げることができる」(菅野氏)

FIVE代表取締役社長の菅野圭介氏

新社名は「Oisix.daichi」、オイシックスと大地を守る会が経営統合

主菜と副菜が作れる献立キットなどを提供するオイシックスは、2017年5月29日に大地を守る会との経営統合に向け、新社名を発表した。2017年7月1日より新社名「オイシックスドット大地(Oisix.daichi)」となる。

オイシックスは2000年6月に創業した会社だ。食に関するオンラインサイト「Oisix」を運営し、2013年7月からは主菜と副菜の2品が20分で作れる献立キットの宅配サービス「Kit Oisix」を提供している。また、オイシックスの「Food Tech Fund(フードテックファンド)」部門では食に関連する企業への投資や提携を進めている。

一方、1977年に創業した大地を守る会も食に関連した事業を展開している。1985年から旬の食材や加工品、雑貨類を自宅に届ける宅配サービスを展開する他、食材の卸売事業やレストラン事業、お惣菜を販売するまるシェア事業なども手がけている。

オイシックスはプレスリリースで、今回の経営統合について以下のように説明している。

主にインターネットで安心安全でおいしい食品を提供してきたオイシックスと、40年以上、生産者との絆を築いてきた大地を守る会が経営統合することで、消費者目線と生産者目線の両方を持ちながら、これからの食をつくる企業としてミッションの実現を目指します。

経営統合後もオイシックスと大地を守る会が展開するそれぞれのサービスブランドは継続する予定だ。