過去5年間でデザイナーの採用目標が倍増――大手6社のデータに見るデザイン人材の動向

【編集部注】執筆者のDylan Fieldは、デザインに特化したクロスプラットフォーム・コラボレーションツールFigmaの共同ファウンダーでCEO。Figma設立前には、LinkedInやFlipboard、O’Reilly Mediaでインターンをしていた。

テック業界の古風な父親的存在であるIBMがデザインに力を入れ始めた瞬間、何かが変わりつつあると気づいた。ビッグブルーとも呼ばれる同社のデザイナー対ディベロッパーの比率は、過去5年間で1:72から1:9に変化した。

これはIBMに限った話ではなく、シリコンバレー全体でこれまでにないくらいデザイナーの需要が高まっている。実はFigmaの創業から何年間も、私はこの採用傾向の変化に関する話を耳にしてきた。

統計

このトレンドを裏付けるような数字を入手するため、私たちは知り合い伝いで情報を集めることにした。そして集まった情報をもとに、6つの企業のデザイナーとディベロッパーの比率を割り出し、今年と5年前の数字を比較した結果が以下の図だ。あまりに変化が大きかったためか、このデータはKleiner Perkinのインターネットトレンド2017にも掲載されている。

図を見てもらえればわかる通り、例えばAtlassianは2012年時点ではデザイナー1人に対し、25人ものエンジニアを抱えていたが、2017年にはその割合が1:9にまで変化している。さらにUberのデザインチームの規模は、2012年から70倍以上に成長し、現在の割合はデザイナー1人に対しエンジニア8人だ。

上の数字から、「デザイン思考」とは単なるバズワードではなく、実際に企業は資金を投じてこれまでにないくらいの数のデザイナーを採用しているとわかる。サンプルの数は少ないが、テック界のデザイン人材に関する確かなデータが現状ほとんどないことを考えると、これは貴重な洞察だと言える。また、これは今日の数字でしかないということにも注意してほしい。話を聞いた企業の中には、今後数年間でデザイナーとディベロッパーの比率を1:3にまでもっていこうとしているところもあった(もちろんこれは、適切な人材が見つかればの話だが)。なお、IBMのモバイル事業に関しては、デザイナーとディベロッパーの比率が既に1:3に達している。

調査に協力してくれた企業のほとんどがB2B企業だったため、もっとデザインに力を入れているであろうAirbnbのようなB2C企業のデータはここには含まれていない。Facebookの社員の話では、同社のデザイナーの採用目標は過去2年間だけで4倍に膨れ上がったということだが、Facebookからの公式なコメントは得られていない。

しかし実際に過去数年の間に、Facebookを含む大手テック企業は、採用目標を達成するためにデザイン会社を買収してきた。詳しくは、John Maedaが今年のDesign in TechレポートにまとめたM&Aのデータを参照してほしい。

それでは、なぜデザイナーの争奪戦が始まったのだろうか?

デザインの重要性

まず、テック業界ではエンジニアのコモディティ化が進行しつつある。AWSやReact Nativeのようなフレームワークの登場で、誰でも簡単にアプリが作れるようになった。

その結果、「3人向けのTinder」や極限まで簡素化されたメッセージアプリ「Yo」が誕生した。今やサービスの違いを決定づけるのはユーザーエクスペリエンスであり、これこそデザイナーの専門分野なのだ。

IBMのデザイン部門のジェネラルマネージャーも、最近のポストに「誰もがデザインに長けているわけではないが、誰もがユーザーのことを第一に考えなければいけない」と記している。

デザイン思考は自動化できないスキルのため、大統領候補者が浮動票の多いオハイオ州の有権者にアピールするのかのごとく、各企業がデザイナーの採用にやっきになっているのにも納得がいく。

しかし残念なことに、急増する需要に応えられるだけの人材が市場にはいない。大学はシリコンバレーの動向に遅れをとっており、テクノロジーデザインを専攻できる芸術大学はほぼ存在しない。労働統計局の調査には、UX/UIデザイナーがキャリアの選択肢としてさえ含まれていないのだ。

確立された教育プログラムがないにもかかわらず、プロダクトデザイナーにはさまざまなスキルが要される。コーディングや基本的なユーザー調査手法、データ視覚化技術、アプリやウェブサイトの設計に関する知識のほか、もちろんタイポグラフィーやレイアウトといったグラフィックデザインの基礎も必要になってくる。有名デザイナーの中には、教育が現状に追いつくのには数年かかるだろうと予想している人さえいる。

シリコンバレーでも状況はそこまで変わらない。ハッカーブートキャンプから何百万ドルものお金がつぎ込まれた教育イニシアチブまで、全てはコーディングに関するもので、まるでデザインのことは忘れ去られているかのようだ。

未来への投資

優秀なデザイナーを雇うためには、悪魔に第一子を手渡したり、自分の命をどこかに宿らせるくらいの覚悟が必要だ。そして各社がデザイナーの採用目標を増やすにつれて、状況は悪化していくばかりだ。

次世代のデザイナーを生み出すためには、教育機関やテック業界、デザインツールを開発する企業が一丸となって問題に取り組まなければならない。

Figmaでは学生ユーザーの利用料を無料にし、デザイン職への参入障壁を下げようとしている。しかし、これだけでは十分とは言えないため、現在私たちは他の手段を模索するとともに、他社のアプローチからも学ぼうとしている。もしも、あなた(もしくはあなたの知っている人)がデザイナーを増やすためにやっていることがあれば、是非私たちにも教えてほしい。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

Walmart、全米でVRトレーニングを開始予定――将来的には店舗への導入も

世界最大の小売企業Walmartは、マネジメントやカスタマーサービスといった種々のテーマの従業員向けトレーニングに近々VRテクノロジーを活用し始める予定だ。

このVRインストラクションは、同社がアメリカ中の200か所に開設している”Walmart Academy”というトレーニングセンターへ今年中に導入され、年間推定15万人が参加する同プログラムの効率化を目指す。各トレーニングセンターには、VRコンテンツを利用するためOculus RiftとゲームPCが設置される予定だ。

全てが360度動画ベースのWalmartのVRインストラクションは、参加者がさまざまな場面に直面し、目の前に表示されるインタラクティブな選択肢から自分がとるべき行動を選ぶような仕組みになっている。シナリオの中には、カスタマーサービスやマネジメントに関するもの、さらにはブラックフライデーの混雑具合を再現したものなど季節的な設定も含まれている。

また、ひとつひとつのインストラクションは30秒から5分程度の長さで、従来のトレーニング内容を補完するようなつくりになっている。

WalmartはVRトレーニング環境の開発にあたり、STRIVR Labsと呼ばれる比較的知名度の低いVR企業とタッグを組んだ。同社はこれまで、主に大学生やプロのアスリートのためのVRトレーニングの開発を行ってきた。

一体両社のコラボレーションはどのように始まったのだろうか? 全ては、Walmartのオペレーション部門の幹部が、アーカンソー大学のフットボールチームで使われているSTRIVR製のVRトレーニングを見かけたときに始まった。その後、STRIVRのCEO Derek Belcherにとって「思いがけない問い合わせ」がWalmartから寄せられ、本格的な議論が始まった。そして、今年の1月終わりには国内のトレーニングセンター30か所でパイロットプログラムがスタートしたのだ。パイロットプログラムの期間中、両社は協力しながらWalmartのトレーニングに合うVRコンテンツを模索していたとBelcherは話す。

「VRを使うことに意味があると思えるものは、全て組み込もうとしました」と彼は話す。「その結果、袋詰作業から店長としての仕事まで、さまざまな役職に合ったコンテンツが整っています」

Walmartとの契約締結からは数か月しか経っていないものの、既にSTRIVRには金融サービス企業や大手自動車メーカーなど、数社から引き合いがきているようだ。

「文字通り世界最大規模の企業を初めての法人顧客に迎えるというのは、かなりの大事ですからね」とBelcherはTechCrunchに対して語った。

注目すべきことに、STRIVRは既に黒字化を果たしている。細かな数字は明らかにされなかったが、Belcherは過去2年間で同社が「数百万ドルの売上」を計上しており、実際の数字は1000万ドル強だと話していた。なお、STRIVRはInsignia Venture PartnersやBMW i Ventures、Advancit Capital、Presence Capitalからこれまでに500万ドルを調達している。

現状の契約はトレーニングセンターだけに関するものだが、Belcherいわく、Walmartは最終的にアメリカ国内の5000店舗にVRヘッドセットを導入したいと考えているようだ。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

Mozilla前CEOが設立したBraveが30秒で3500万ドル調達――テック界に広がるICOの可能性

暗号通貨の売却を通じて資金を調達するイニシャル・コイン・オファリング(ICO)に関しては、さまざまなニュースを目にするが、昨日の出来事ほど衝撃的なものはなかった。Mozilla前CEOのBrendan Eichが立ち上げたブラウザ開発企業Braveが、ICOで3500万ドルを調達したのだ。しかも、30秒以内に。

ICOでは投資に対して暗号通貨が配布されるようになっており、投資家は従来の株式よりも多様な形で資産を保有することができる。Braveは資金調達にあたり、独自の通貨Basic Attention Token(BAT)を10億枚売却した。その総額は15万6250ETH(=3500万ドル強)。同社によれば、さらに5億万枚のBATがユーザー獲得や「BATの開発」のために発行されたが、将来的な追加販売は考えていないという。

BraveのICOは過去最高額にあたり、彼らのビジネスはブロックチェーン技術のユースケースとしてはかなり興味深い。JavaScriptの考案者で2014年の疑惑のあとにMozillaを去ったEichは、Founders Fundをはじめとする投資家からこれまで700万ドルをBraveのために調達してきた。現状のネット広告のシステムに本質的な問題があると考えている彼は、ブロックチェーン技術を使って広告システムを効率化し、広告主や出版社、ユーザーという全ての関係者がメリットを享受できるような仕組みを提唱している

北米の若者に人気のメッセージングサービスKikも、モノやサービスの購入に使える”Kin”と呼ばれる仮想通貨の構想を最近発表し、Braveの後に続こうとしている。BraveはBATを広告システム内で流通させようとしており、同社によればBATの導入によって、広告詐欺を抑制できるとともに、出版社や広告主の効率性も向上するという。さらに彼らは、将来的にマイクロペイメントや電子商品の購入にもBATが使えるよう研究を重ねている。

また、Braveは同社のブラウザのメリットとして、短い読み込み時間、強固なプライバシー管理機能を挙げているほか、ユーザーはBraveのブラウザ上でコンテンツを読むだけでお金を稼ぐことができるようになるかもしれない。

直近では、ICOで調達した資金を使って広告プラットフォームの開発を進める予定だ。

ところで、BraveのICOで気になったのは参加者の少なさだ。Coindeskによれば、実際にBATを購入した人は130人しかおらず、中にはひとりで460万ドル(=2万ETH)分のBATを購入した人もいた。全体で見ると、投資総額の約半分がたった5人の投資家によるもので、投資額上位20人が発行されたBATの3分の2を手にしたとCoindeskは報じている。

この状況は、暗号通貨を使った資金調達によって、日常的に使っているサービスの開発元や気になっている企業の所有権を誰でも得ることができるという、Ethereumの哲学に反しているように映る。もちろん、何億ドルという金額の仮想通貨を販売するためには、冒険心溢れる企業や先見性のあるVCのように、多額の資金を運用している投資家も必要だが、個人投資家が入り込める余地を残しておくというのは、ICOが一般化するにつれて重要な課題になってくるだろう。

ICOのスケジュールについては明かしていないKik以外にも、アジアのペイメント企業Omiseが2000万ドル弱規模のICOを今月行う予定で、暗号通貨を使った資金調達に規模の大きな(そしてVCからの投資を受けている)テック企業も興味を持ち始めているようだ。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

Googleスプレッドシートが自動でグラフ作成――機械学習で「探索」が賢くなった

今日(米国時間6/1)、Googleスプレッドシートがさらに賢くなった。機械学習を利用したExplore(探索)の機能が追加されたのは昨年だが、これによりデータについての自動的な分析や自然言語で質問が利用できるようになった。今回追加された新機能ではさらに多様なグラフが自動的に作成される。ユーザーはスプレッドシート右下隅の「探索」ボタンをクリックするだけでよい。スプレッドシートは自動的に「Aシリーズ商品の売上の棒グラフ」などを作成してくれる。

この機能を実現しているのはすでに「探索」で利用されている自然言語理解のテクノロジーだ。 スプレッドシートはこれまでも自動的にグラフを作成してくれたが、これはシート内にグラフにできるデータセットが存在する場合に限られた。新しいExploreでは質問に対する回答にグラフが含まれるようになった。

この新機能でGoogleドキュメントやプレゼンテーション内にエンベッドされたスプレッドシートとの同期を取るのが簡単になった。これまでも貼り付けたグラフの同期を取るのはクリック一つで可能だったが、今後は表そのものを同期できる。

その他に印刷機能も改良されている。われわれはときおりどうしてもシートを紙に印刷する必要に迫られる。そうしたときに新しいシートにはいくつかのオプションが追加された。また新しい統計関数も利用できるようになった。CHISQ.INV.RTというのは「カイ2乗分布の右側確率の逆関数の値を求める」関数だそうだ(なんのことやら私には分からないが…)。キーボード・ショートカットもいくつか追加された。

〔日本版〕Exploreは日本語版ではシート右下の「探索」。日本語版「探索」にはグラフの自動作成機能はあるが、自然言語による質問はまだ利用できない。「ファイル→設定」メニューから言語に「英語」を選ぶと自然言語による質問が利用可能になる(下図)。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

株式のように自分の価値を取引できる「VALU」、購入にはビットコインを利用

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株式会社のように、個人個人が自分の価値を「模擬株式」として発行・(ビットコインによる)取引できるという斬新なサービス「VALU」のベータ版が5月31日リリースされた。すでに堀江貴文氏や家入一真氏、はあちゅう氏などが登録しており、SNS上でもちょっとした話題になっている。ちなみに6月1日15時の段階で、時価総額ランキング1位の堀江氏の時価総額は2900BTCとなっている(なお堀江氏は同サービスを支援しているとのこと)。

VALUではソーシャルメディアのフォロワー数・友達数に応じて自身の時価総額を自動的に算出される。その金額を元に模擬株式(VA)を発行し、自分の価値をシェアしたり取引する仕組みだ。ビットコイン・ブロックチェーンを活用して開発されており、VAの購入はビットコインで行う。

各ユーザーは株主(VALUER)に向けてイベントの参加権やノベリティといった優待を設定できるが、この辺りはクラウドファンディングにおけるリターンの概念に近い。株主は優待を楽しみつつ、支援者の時価総額が上昇した場合には応分の見返りをもらえるわけだ。

今後は動画配信など新機能のリリースも検討しており、ユーザーと支援者(株主)がより楽しめるサービスを目指していくという。

クラウドファンディングに近い印象を受けるかもしれないが、方向性が明確なプロジェクトやプロダクトを支援するのではなく、「顕在化していないが成し遂げたい何か」を持っている個人の可能性に対して投資をするというのがVALUの特徴だ。

サービスを手がけるVALUによると、「会社から独立してフリーのエンジニアとして新規事業の立ち上げに挑戦するも、資金が足りず諦めざるをえなかった」という代表取締役の小川晃平氏自身の経験がサービスの根本にあるのだという。

金融庁に通い、資金決済法の問題をクリア

上述したとおり、VALUでは模擬株式の売買にビットコインを使っている。ビットコインの特徴は特定の国が管理しない通貨だということ(非中央集権的)。

ビットコインを活用している理由について、小川氏は「(ビットコインでは『貧しい国』『貨幣が強くない国』といった環境に関係なく)共通の通貨で対等にお金のやり取りができる。VALUを通して、国境を越え、個人間での支援のし合いがより活発になる環境が整う第一歩になればと思う」とコメントしている。

すでにVALUは日本語と英語に対応しているが、半年以内に全世界で100万人のユーザーを獲得することを目標にしており、送金手数料が安く手続きも容易なビットコインとは相性がいいといえるのではないだろうか。

一方で気になるのは、法的なリスクについてだ。おそらく「サービスのコンセプトはおもしろそうだけど、法律的には大丈夫なのか」と気になる読者もいるのではないだろうか。(実際にSNSでもそのような声があった)

この点についてはサービスの開発が始まった約9ヶ月前から頻繁に金融庁を訪れ、1つ1つの機能について法律面の問題がないか確認してきたという。

たとえばVALUではVALU上で直接ビットコインを購入することはできず、外部サービスで購入しVALUに送金するという仕組みをとっている。日本円への換金もVALU上ではできず、ビットコインで1度出金しなければならない。

このような仕組みにすることで外部サービスを経由する必要性はでてくるが、2017年4月に施行された改正資金決済法における「仮想通貨交換業」には該当せず、仮想通貨交換事業者への登録がなくともサービスの提供ができるそうだ。

現時点ではビットコインはまだ一般的なものとは言えず、「危険なもの」「うさんくさい」という認識の人もいるはずだ。だからこそVALUでも「法律面は相当シビアに考えている」とのことで、現在もアップデートがあれば金融庁に行き、法的な問題がないかを確認しながら安全なサービスを心がけているという。

300万DL突破の全国タクシー、運営元のJapanTaxiが未来創生ファンドから5億円を資金調達

日本交通の子会社で、タクシー配車アプリ「全国タクシー」などを運営するJapanTaxiは6月1日、未来創生ファンドから5億円の資金調達を実施したことを明らかにした。

2011年12月にリリースされた全国タクシーのダウンロード数は現在300万件を突破。全国47 都道府県 、4万9414 台(全国のタクシー台数の約 22%のシェア)を簡単な操作で配車・予約できる点が特徴で成長を続けている。

今回の資金調達を機に「事前確定運賃」や「タクシー相乗り」などの新機能を追加し、2022年までに配車可能タクシー台数12 万台( 全国のタクシー台数の約60%のシェア)、累計アプリダウンロード数を1100 万件を目指していく。

またITを活用した都市部でのキャッシュレス決済や AI による最適マッチング、過疎地域での相乗りタクシーなどにも取り組む。これは未来創生ファンドに出資しているトヨタ自動車代表取締役社長の豊田章男氏が、一般社団法人東京ハイヤー・タクシー協会に加入するタクシー会社 5 社と共同で進める次世代タクシーに向けた取り組みが元になっている。

JapanTaxi、日本交通といえばタクシー広告のデジタル化を推し進めるために2016年7月にフリークアウトとタッグを組んだり、2017年1月にOrigamiが運営するスマホ決済サービス「Origami Pay」を導入したりと、これまでもITの活用やスタートアップとの連携に積極的だった。

2017年3月には全国タクシーの新機能としてJapanTaxi Walletをリリース。東京23区・武蔵野市・三鷹市で運行する日本交通のタクシーを対象に、乗車中の支払い手続きを実現。さらに同年5月には「カカオタクシー」と相互連携しており、世界各国のタクシー配車アプリとの連携を推進し、全国タクシーアプリをグローバルタクシー配車アプリへの進化を目指すとしていた。

CoreOSがコンテナプラットホームTectonicをアップデート、Kubernetesの最新バージョンとetcdデータストアをサポート

CoreOSが今日(米国時間5/31)、サンフランシスコで同社のユーザーカンファレンスを開催している。当然ながらそのイベントでは、同社のあれやこれやがたくさん発表された。そしてその多くは、Kubernetesベースのコンテナインフラストラクチャを管理するTectonicプラットホームに関連している。

アップデートの多くは、単純明快だ。たとえばTectonicは今やKubernetesの最新バージョン1.6.4を使っているが、同社によると、エンタープライズ対応のKubernetesプラットホームでその最新バージョンを使っているのはTectonicだけだ、という。ただしそのバージョンは主にバグフィクスが目的で、メジャーバージョンではない。

しかしさらに重要なのは、デベロッパーが今や簡単に、CoreOSで人気のキー-ヴァリューデータストアetcdを導入し利用できることだ…そのためには新たなツールetcd Operatorを使う。etcdを使いたいデベロッパーは、Operatorを使ってetcdを必要に応じてスケールするが、エラーはサービス側がおだやかに処理し、アップデートも自動的に行う。

CoreOSのファウンダーでCEOのAlex Polviによると、同社が今注力しているのはエンタープライズ顧客の獲得だ。彼の主張では、今エンタープライズと呼べるほどの企業は、コンテナによるアプリケーション開発に注目している(そして既存のアプリケーションはクラウドへ)。しかしAmazon, Microsoft, Googleなど特定のベンダーにロックインされたくはない。“でも1年ぐらいそこにいただけで、請求書は屋根を突き抜け、彼らのAPIをすべて使い、そして完全にロックインされる。われわれは、そんなサイクルを終わらせたい”。

Kubernetesは多くの企業にとってコンテナオーケストレーションプラットホームの第一の選択肢だから、CoreOSも、主なクラウドプラットホームすべての上で(そしてオンプレミスでも)その利用を手伝いたいが、主なプラットホームすべてをサポートすることで、そのようなロックインを避けたい。

Polviによると、同社がエンタープライズへの直接的な営業を開始したのはやっと2016年の最後の四半期からだ。最近ではそれがほぼ軌道に乗り、そしてPolvi説ではKubernetesも離陸したから、CoreOSの営業活動のエンジン全開もこれからだ、という。

〔関連記事:Microsoftのコンテナアプリケーション開発ツールDraft(未訳)〕

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

初回限定版すでに売り切れ、ソニーがインタラクティブなおもちゃ「toio」を発表

物心つく頃からテレビやタブレット、スマホなどに触れている子供たちも多いだろうが、ソニーは子供たちに画面のない遊びにも親しんでもらいたい考えのようだ。本日、ソニーは手を動かしながら遊べるインタラクティブなおもちゃtoioを発表した。発売日は2017年12月1日を予定しているが、本日からソニーのECサイトFirst Flightで先行予約を受け付けている。

toioの本体は、「toioコンソール」とモーターを内蔵した「toioコアキューブ」が2台、このキューブを動きを操作できるコントローラ「toio リング」で構成されている。toioのキューブはレゴブロックと組み合わせることが可能で、例えばレゴで作ったキャラクターをキューブに乗せて遊ぶということもできる。

toio本体

toioで遊ぶには、toio対応タイトルのカートリッジが必要だ。カートリッジをコンソールに入れ、電源を入れると様々な遊びやゲームが利用できる。現時点で発表しているゲームタイトルは、「toio collection(トイオ・コレクション)」と「工作生物ゲズンロイド」の2本だ。

トイオ・コレクションは、キューブに工作を施して戦う「クラフトファイター」やシューティングゲーム、パズルゲームなど5種類のゲームが楽しめる。

工作生物ゲズンロイドでは、キューブと紙を使って生命体のように動く工作ができる。このタイトルにはゲームカートリッジの他、作り方の本と工作シートが付いていて、15種類の生命体が作れる。

現在toioはバンダイともタイトルを開発中で、今後ソニー・ミュージックエンタテインメントの「KIDSTONE」ともタイトルを企画する予定だ。

toioはソニーの新規事業創出プログラム「Seed Acceleration Program」から誕生したプロダクトだ。ソニーの子供向けのプロダクトには他にもロボット・プログラミング学習キット「KOOV(クーブ)」がある。KOOVはソニーグループのソニー・グローバルエデュケーションから発売している。

toioはソニーのECサイトFirst Flightで予約を受け付けている。タイトル1本とレゴブロックの入った「基本セット」は2万9117円だ。本体とタイトル2本、レゴブロックが入った「全部セット」は3万3415円となっている。(ソニーはお得な初回限定版も用意していたみたいだが、本日の17時に確認した時点ではすでに売り切れていた)

toioの価格は、パーツや遊べる内容を考えるとやや高いような印象も受ける。ちなみに任天堂Switchの小売希望価格は2万9900円だ。ただ、toioの最大の違いは、テレビやタブレット、スマホにあるような画面に依存しない遊び方を提案している点だろう。toioはモバイルネイティブの世代にもレゴや紙を使った遊びに親しみを持ってもらいたい考えのようだ。

GoogleのCompute EngineはCPUの種類を自由に選べるようになった、メモリは455GBまで使える

GoogleのクラウドコンピューティングサービスCompute Engineが今日(米国時間5/31)アップデートされ、数々の新しい機能が導入されるが、それらはとくに、もっと高性能なプロセッサーを使いたいとか、大量のメモリがほしい、と願っていたユーザーにとって朗報だ。

今日のアップデートはその多くが、Intelの次世代プロセッサーSkylake Xeonの一般供用(最大64コアまで)がベースだ。Skylakeのサポートは2月にベータに入ったが、これからは、Google Cloud Platformの三つのリージョン(Western U.S., Western Europe, Eastern Asia Pacific)でサポートされ、そのほかのリージョンも近日中に対応される。

さらにGoogleは今日64コアのインスタンスとBroadwll CPUのサポートを、すべてのリージョンで可利用にした。

Compute Engineは今やとても多様なIntel系CPUをサポートしているから(Sandy Bridge, Ivy Bridge, Haswell, Broadwell, そしてSkylake)、その中のどれを選ぶかという選択肢をユーザーに与えている。指定は右図のように簡単にできるし、一度指定すると新型機への切り替えは通常のアップデートとして自動的に行われる。

今後60日間は、Skylakeを用いた仮想マシン(VMs)は、古い機種を使うVMと同じ料金となり、そのあとは、古いCPUを使うVMより6-10%高くなる。

このアップデートでCompute Engineのユーザーは、VMインスタンス一つあたり最大455GBのメモリを装着できる。そうするためには、自分だけのカスタムマシンタイプを指定し、その中で拡張メモリオプションを選ぶ。それまでは、メモリと仮想CPUの数のあいだに一定の比率があり、最大が6.5GBだった。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

売上、キミに決めた! 株式会社ポケモンの利益が2500%アップ

今年は株式会社ポケモンにとって当たり年だ。ポケモンGOは世界的現象となり3DSの最新ポケモンゲームもよく売れている。財政的にも好調だと思うことだろう ―― たぶん前年の2倍か3倍の利益とか。実際には…”quinvigintupled” 。これは25倍を意味するそうだ(調べなくてはわからなかった)。

このニュースを教えてくれたのはTechCrunch(正確にはCrunchGear)出身のSerkan Totoで日本の官報ブログで見つけたそうだ。非公開企業は財務状況をすべて公開する義務はないが、官報には定期的に概要を報告する会社が多い。

昨年の純利益はわずか560万ドルで、その前年の1840万ドル(おそらくポケモンXYによる)から下落していた。しかし今年の純利益は ―― 159億2000万円、つまり 1億4330万ドルだ。

このゲームがお札を刷っていることはもちろん知っていた ―― 2月には売上10億ドルを達成したと報道されていた。残念ながらこの巨額の正確な内訳はわからない。例えば、アプリ内購入がいくらで、スポンサー契約がいくらなのかなど。最近本誌は、マクドナルドなどの企業が驚くような金額を払って店舗に顧客を呼び込もうとしていることを報じた。

おいしい話はそこで終わらない。新しいMagikarp Jump[はねろ!コイキング]がいくら稼ぐか想像もできない。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

イーロン・マスク曰く、米国がパリ協定を脱退したら諮問委員会を辞める

Elon Muskは、もし報道の通りトランプ大統領がパリ協定を脱退すると決断した場合、現在Muskが参加している諮問委員会を「辞めるしかない」と言った。Muskはあるフォロワーからの質問に答えて、水曜日にこの最後通告をツイートした。

[そのときは委員会を辞めるしかない]

現在Muskは、トランプ大統領の経済および製造諮問委員会に籍を置いており、シリコンバレーでTeslaを含め多くの企業が反対していたトランプの移民禁止政策の後も、反対を押して委員会に残ることを選択した。当時Muskは、意見の相違は大統領の考えに影響を与え得る立場を離れる理由にならない、と説明した。

パリ協定は2015年に国連の国際的協定として採択され、温室効果ガスの気候への影響を国際協力によって減少させるために具体的目標を設定した。トランプが米国をパリ協定から脱退させる意向であることを最初に報じたのはAxiosで、大統領は今日(米国時間5/31)、数日以内に決定を正式発表することを明らかにした。

この前にMuskは、「3週間前パリ協定について大統領と直接話した」ことを公言しており、トランプ大統領が彼なりに考えて、協定を続けることが最善の決定だと同意することに「慎重ながら楽観的」だとつい先週ツイートした。Muskは、最終的にトランプがどちらに振れるかはわからないと書いているが、米国が脱退した場合に何が起きるかについての彼の意志表明は単純明快だ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

NTT DataがNoSQLデータベースで各所に散在する企業データを統合化するMarkLogicに戦略的投資

日本のグローバルなITサービスプロバイダーNTT Dataが今日(米国時間5/31)、データベースのプロバイダーMarkLogicに戦略的投資を行った、と発表した。額は公表されていないが、MarkLogicのマーケティングと企業開発担当EVP Dave Ponziniによると、“巨額でもないが、ささいな額でもない”そうだ。これまでMarkLogicは、総額1億7300万ドルあまりを調達し、中でも大きいのが、2015年シリーズFの1億200万ドルだ。

MarkLogicの自己定義は、さまざまなデータサイロに散在しているデータを一つのデータベースに統合化するサービスだ。データの有効利用が企業戦略としてますます重視されるようになった今日、それはどの大企業にとっても、日に日に重要性を増している問題だ。これまでは、買収などを契機として、企業内の複数のグループがそれぞれ異なるデータベースシステムを使っていたが、今ではそれらの情報をすべてまとめる方法を探している。そのためによく行われるのが、すべてのデータをスキーマのないNoSQLデータベースに流しこむ方法だ。そこに、MarkLogicの出番がある。

仕事の性質からいって、同社の顧客の多くがGlobal 2000社であることも当然だ。売上等は公表されていないが、Ponziniによると年商“1億ドル強”、というあたりだ。

NTT Dataは2012年にMarkLogicを使い始めたが、むしろ同社(NTTD)の顧客のためのアプリケーションを作ることが主な目的だった。その後同社はデータベースの再販も手掛けるようになり、Ponziniによると、それによりMarkLogicは、たとえば金融サービス市場などにも食い込めるようになった。今日の投資はそんな両社の関係を強化するものであり、MarkLogicは、自社の事業所はないけどNTT Dataがとても強い市場(スペインなど)に参入できることになる。両社の既存市場が重複している地域においては、NTT Dataの顧客にデータベースを売るのはNTT Dataとなる。

NTT DataのCEO Toshio Iwamoto(岩本敏男)は、今日の発表声明で次のように述べている: “NTT DATAは、MarkLogicとの戦略的関係の拡大に感激している。日本で過去5年間、両社が共に経験した成功を、世界に広げていきたい。MarkLogicのデータベースプラットホームとNTT DATAが開発した知財資本を用いて、複雑なデータ統合化問題を解決するわれわれの能力により、クライアントは彼らのデータから重要なインサイトを析出でき、彼らが属する市場において競争上の優位を獲得できる”。

わずか数週間前に、MarkLogicは同社のデータベースのバージョン9をローンチした。このリリースはセキュリティを強化し、要素レベルのパーミッションやリダクションなどが導入された。MarkLogicのEVP Joe Pasquaはこう語る: “われわれはつねに、もっとも安全なNoSQLデータベースであり続けてきた。しかし今回強化したかった新たな側面は、共有に伴うリスクを減らすことだ”。すべての情報を統合化すると、どのデータには誰がアクセスしてよいのか、という一連の問題が発生する。要素レベルのセキュリティによって企業は、一部の情報を多くのユーザーに隠したままの状態で、データの有効利用を確保できる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Google曰く、Gmailのスパムとフィッシングメールは機械学習を使って99.9%ブロックしている

本日(米国時間5/31)Googleは、同社の機械学習モデルがスパムとフィッシングメールを99.9%の精度で検出できるようになったと発表した。

これは、まだ1000通に1通はすり抜けることを意味しているが、かなり良い数字だとGoogleは言っている。私もそう思う。Google自身のデータによるとGmailが受信するメールの50~70%はスパムだ。各種の検出モデルはGoogle Safe Browsingツールにも組み込まれており、悪質なURLへのリンクを検出している。

フィッシング検出性能をさらに改善すべく、GoogleはGmailの配信を少し遅らせて、さらに詳しくフィッシング分析をするシステムを作った。フィッシングメールは、総合的に分析したほうが検出が容易なため、Googleは疑わしいメールの配信を遅らせ、リアルタイムにアップデートされたアルゴリズムを使うことでさらに詳しい分析を行おうとしている。なお、この対象になるメッセージは全体の0.05%にすぎない。

GoogleがGmailに加えようとしているもう一つの新機能は、主として企業が自社のデータを保護することを目的としている。社外の定期的にやりとりしていない相手からのメールに返信しようとすると、Googleは警告を表示して本当にこのメールを送る意思があるかを確認する。Googleは以前から企業向けにこの種の意図しない(および時として意図的な)データ共有を防ぐために高度なフィルター群を提供してきた。しかし、これを設定したくない企業にとって、この新システムは少なくともある程度の保護になるだろう。

そして最後にもうひとつ、Googleはマルウェアサイトにつながる悪意あるリンクをクリックしようとしていることを知らせる新しいクリック時警告も追加した。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

LINEやFacebookに送れる電子チケットシステム、トランスコスモスが新会社

コンサートなどのチケットをオンラインで受け取り、スマートフォンで入場する電子チケットは、転売を避けたい人気アーティストの公演でも取り入れられることが増えてきた。アプリを利用するもの、QRコードを使うものなどいくつかのサービスが提供されているが、「QuickTicket」は既存のチケット販売・管理システムとのAPI連携により低コストで導入でき、来場者側も専用アプリが不要でLINEやFacebook、メールなどを通して電子チケットを発券できるシステムだ。

トランスコスモスは5月31日、子会社のLeonis & Co.(レオニス)が手がけるこのQuickTicket事業を切り出し、あわせてエンタメ業界向けサービス開発とコンサルティング支援も行う子会社playground(プレイグラウンド)を6月1日に設立すると発表した。playgroundの代表には、レオニス共同代表の伊藤圭史氏が就任する。

レオニスは、O2O/オムニチャネルでのマーケティング支援を行う企業として2011年に設立され、小売業やIT事業者へのシステム提供やコンサルティング支援を行っている。同社は2014年6月にトランスコスモス傘下に入り、トランスコスモスの子会社として、オムニチャネル関連サービスの開発・戦略立案を担当してきた。

2017年2月には、トランスコスモスのECプラットフォーム「transcosmos eCommerce HUB」とレオニスの「QuickTicket」を連携し、ECサイト上での電子チケットの販売からLINEによるチケット発券まで行える、イベント向けシステムの販売を開始している。このシステムは、チャットボットや有人オペレーターとの組み合わせにより、チケット販売時にグッズを紹介したり、場内の店舗で使えるクーポンを配信するなど、チケットの受け取りを起点としたコミュニケーションツールとして利用することが可能。第一弾としてサンリオピューロランドでの運用が始まっている。

新会社のplaygroundでは、電子チケット発券を接点に、新しいコミュニケーションやサービスの提供を実現するコンサルティングサービスの提供を行い、興行品質や顧客満足度、収益性の向上に繋げるための活動を支援していく。また、トランスコスモスとLINEとの共同出資会社transcosmos online communicationsをはじめ、グループがもつ各種のアウトソーシングサービスなどと連携しながら、エンタメ業界に向けた総合的なソリューションを提供していくという。

メアリー・ミーカー、医療分野でのシリコンバレーの役割に言及

今日(米国時間5/31)、メアリー・ミーカー(Mary Meeker)のインターネット・トレンド・レポート最新版が公開され、そこには私たちの将来をテクノロジーががどう形作るかについての考察が満載だ ―― そして、今年は医療問題も取り上げられている。ミーカーが同レポートで医療に言及したのはこれが初めてであり、これは今後の私たちの生活を改善していく上で、テクノロジーが果たす役割の大きさを示すものだ。

レポートから重要な指摘をいくつか拾ってみた。

  • ウェアブルデバイスの勢いは増すばかりで、米国人の25%が所有している(2016年の12%から上昇)。一番多いのが移動速度を追跡するデバイスで、心拍数の測定がそれに続いている。
  • 多くの人々が健康アプリをダウンロードして、健康データを共有する意志を持っている。
  • ミーカーのレポートによると、2016年には60%の人たちが健康データをGoogleと共有してもよいと考えている。
  • 消費者は商用検体検査サービスをかつてないほど利用している。
  • そのほかの良い知らせ。病院や診療所で、患者が自分のデジタルデータをアクセスできるようになった。
  • 医療に役立つデータ量は3.5年ごとに倍増している(1950年には50年で2倍だった)
  • 利用可能な健康データが増加したことで臨床試験が加速され、科学者との共同研究も促進されることが期待される。

考察の多くは驚くものではない。ウェアラブルは遍在し、デジタル化によって従来のシステムを破壊するビジネスが生まれており、そのためにベンチャーキャピタルは健康スタートアップに多額の資金をつぎ込んできた。Rock Healthによると、2016年のこの分野への投資総額は 42億ドルに上り、ベンチャーキャピタルはバイオ分野の専門家を「大慌てで」雇っているらしい。

もちろん難点もある。医療は非常に規制の強い分野であり、アプリのようにとりあえず出して後から修正するというわけにはいかない。Theranosが悲しくも学んだように、製品は初めから正しくなければならない。しかし今年ミーカーが医療分野を掘り下げたことの意義は実に大きい。将来の健康で安心な暮らしを作るうえでシリコンバレーが持つ力をしめすものだ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Niantic、ポケモンGOの集客単価を発表――マクドナルドは最大1日300万ドル支払った計算

Nianticによれば、同社のゲーム、Pokémon GOは日本で延べ5億人の訪問者をマクドナルドなどの店舗に誘引したという。こうした提携スポットでは特別なデジタル・グッズが入手できる。ただしNianticはこれまで誘引した客1人当たりスポンサーがいくら支払っているかは明かしていなかった。

しかし昨日(米国時間5/30)、ブラジルの新聞、Globoに掲載されたインタビューでNianticの戦略的提携担当副社長、 Mathieu de Fayetは (翻訳によれば)「プレイヤーがある場所に行けばアイテムをゲットできるようにすることで、そういう場所の所有者であるパートナーから客単価で0.15ドルが支払われている。われわれは日本でこのシステムにより、すでに5億人を誘引している。[昨年夏のポケモンGOゲームのピーク時には]マクドナルドのは各店店舗1日あたり平均2000人を集客していた」と述べている。

しかしこの記事に対してNianticの広報担当者が訂正を加えた。それによると「0.15ドル」という数字は誤りだという。 おそらく翻訳の際に混乱があったのだろう。Nianticによれば同社の「集客1人あたりコスト(CPV)モデルでは、パートナーは提携スポットでは1日あたりユニーク客ごとの支払い額は0.50ドル以下としている」という。

0.15ドル/人で計算するとこうした提携によるNianticの売上は7500万ドルとなるが、0.5ドルという高い方の数字を採用すれば、2億5000万ドルだ。

日本のマクドナルドが3000店舗でポケモンGOと提携したとすると、ゲームの最盛期には客単価0.15ドルの場合90万ドル、客単価0.5ドルなら300万ドルが毎日Nianticに支払われた計算だ。

提携店舗を「ポケジム」にした場合、プレイヤーはバーチャル対戦ができる。「ポケストップ」の場合はタマゴやポケボールなどのモンスター捕獲アイテムを入手できる。

ポケモンGOはアメリカでSprintとStarbucksの7800店舗と提携している。両者ともこの拡張現実ゲームのマニアであるティーンエージャーや若い大人の歩行客を店舗に集める助けになると期待している。

ただし任天堂の取り分は売上のほんの一部だ。Nianticはライセンス料をPokémon Companyに支払うが、任天堂はこの会社の議決権の32%を所有している。

ポケモンGOがスポンサー企業にとって成功だったとしても、歩行客を現実店舗に呼び込むことを目的とするアプリは一つではない。ただYelpのようなサービスはレストランや店舗に客を送り込んだ成果を数量化するのに苦労している。客がYelpの情報によって行く店を発見したり、決めたりしたとしても、それを証明する方法がない。店舗にジオフェンスのような仕組みあってアプリに情報がフィードバックされるのでなければ客がどのような経緯で来店したか知ることはできない。

ポケモンGOの場合、プレイヤーはスポンサー企業の店舗に行くことで特定のバーチャル・グッズを手に入れるなどできる。ポケモンGO側では客が増えても追加コストはほとんどゼロだがス、ポンサーは集客1人ごとに最大0.5ドルを支払ってくれる。

位置情報ベースの各種の集客アプリも人気の高いバーチャルグッズや割引きクーポンなど追加コストがゼロに近いインセンティブを発見する必要があるだろう。こうすればスポンサーが拡大するにつれて利益率が急激に増加し、サービス開発の初期投資を回収できるようになるはずだ。しかしわざわざ特定の店舗に足を運び、手間をかけて獲得できる賞品がつまらないバッジやスタンプだけだったらYelpのユーザーは失望するだろう。アプリ側はもっとクリエーティブな才能を働かせる必要がある。

画像: Kentaro IEMOTO/Flickr UNDER A CC BY-SA 2.0 LICENSE

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

気候変動に関する世界的協定から離脱したらアメリカの産業にダメージ、とヒラリー・クリントンが主張

気候変動に関する国際協定にアメリカが留まるか脱けるか、トランプ大統領の決断をめぐっていろんな噂がある中*、前国務長官ヒラリー・クリントンが、水曜日(米国時間5/31)にカリフォルニア州ランチョ・パロス・ヴァーディーズで行われたCode Conferenceで、大統領に辛辣な言葉を進呈した。〔*: 日本時間6月1日午前9時現在〕

現国務長官Rex Tillersonや、大統領がパリ協定に留まるよう勧奨する署名運動にサインした多くの企業役員たちの意向を受けてクリントンは、協定の放棄はアメリカとその企業にとって悪である、と述べた。

“クリーンエネルギーの輸出で世界のリーダーになるのは、どこの国でしょうか”、クリントンは中国やヨーロッパにおける国家的支援と、それらの国々における再生可能エネルギー産業の活況を強調した。

“その大きな市場を誰かが手中にしようとしているとき、私たちはそれを捨てようとしているのです”、とClintonはぶち上げた。

パリ協定に署名していない国はシリアとニカラグアの二か国だけであることをクリントンは指摘して、大統領の翻意を促した。

クリントンはさらに、再生可能エネルギーや気候変動に取り組んでいる企業に現政権が示しているネガティブな認識は、グローバル市場におけるアメリカ企業の競争力を削いでいる、と主張した。

これらの企業がアメリカ政府の支持を得られないのは、“恥ずかしいことです”、とクリントンは述べた。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

アーリーステージでの大型資金調達の弊害――フラットラウンドが普通になる日

【編集部注】執筆者のDuncan DavidsonはBullpen Capitalのジェネラルパートナー。

スタートアップエコシステムにとって、2017年は苦難の年になるだろう。2016年にクローズされたシリーズCの約半分が、ダウンもしくはフラットラウンドだった(評価額が直近のラウンドと同じ、もしくはそこから下降した)のだ。シリーズBの段階にある企業はこれから痛みを覚悟しなければいけない。要するに、フラット(ラウンド)は新しいアップ(ラウンド)なのだ。頭字語で溢れるテック界にあえて新しい語を投じるのであれば、「FITNU: Flat Is The New Up」ということになる。

しかも、この変化はシリーズBで止まることはないだろう。もしもあなたの会社がシリーズAを既にクローズしていて、今年新たに資金を調達しようとしているのであれば、この記事の内容があなたの会社を救うことになるかもしれない。あなたの企業がシードステージにあれば、もっとこの記事が参考になるだろう。

何が起きたのか?

複数の投資家によれば、2017年は転換期になるはずだった。アメリカでは2016年のVCファンドの調達総額が過去最高の420億を記録し、私たちは既にバブルを乗り越えたはずではなかったのか?

実はそうではなさそうなのだ。ユニコーン企業をいわゆるプライベートIPOに仕向けていたVCが動揺しはじめた2015年にバブルが弾け、彼らの投資意欲が下がってしまった。これにより、VCコミュニティ全体が勢いを失い、膨大な数のシードラウンドと高い評価額を支えきれなくなったのだ。その結果、少数の企業に投資が集中することになった。

PitchBookの調査によれば、アメリカにおけるシードラウンドの数は、2015年Q2の1537件から2016年Q4の872件へと43%も落ち込んだ。これは過去4年間で最低の水準だ。アーリーステージのラウンド(シリーズA、B)もこれに続き、2014年Q2の830件から2016年Q4は524件まで減少した。

その一方で、ひとつひとつの調達額は膨れ上がっている。2016年に行われたシードラウンドのうち、100〜500万ドル規模の割合は42%で、これは過去10年間におよぶPitchBookの調査史上最高だった。さらに、2016年にアーリーステージ企業に投じられた資金のうち、約半分が2500万ドル以上の規模のラウンドに流れこんでいた。

PitchBookの調査を裏付けるように、Redpoint VentureのTomasz Tunguzも2010年から2016年の間に、シードラウンドの調達額の中央値が27万200ドルから75万ドルへと約3倍に増えたと指摘している。Crunchbaseのデータをもとにした彼の分析では、同じ期間にシリーズAの調達額の中央値が300万ドルから660万ドルへ、シリーズBについては1000万ドルから1500万ドルへと増加したとされている。

なぜフラットラウンドが増えているのか?

バブル期には、シードステージの企業をターゲットとするVCが急増したため、シード資金を獲得できるスタートアップの数も増加した。しかし、シリーズAの企業をターゲットにしたVCの数はほとんど増えなかったので、ファンドの調達額だけが増大した。そして、VCは自分たちのビジネスのニーズに応えるため、1件1件の投資額を吊り上げたのだ。

しかし残念なことに、1000〜200万ドル規模の”超大規模な”シリーズAに値するスタートアップはほとんど存在しない。その結果、シードラウンドを越えてシリーズAまでたどり着く企業の数が急減したのだ。シードラウンドに続いてシリーズAでの資金調達に成功した企業の割合は、2012年の約25%から2014〜2016年にかけて10%以下に下がったとPitchBookは発表している。その後、多くのシード企業が追加資金を調達することに成功したので、恐らく現在の割合は20%といったところだろう。これでも、かつての45〜50%という水準に比べるとかなり低い。

早過ぎる段階で巨額のシリーズAをクローズした企業の多くが、シリーズBでも大金を手にして現金を食い尽くし、シリーズCに至る頃には評価額がそのままか、最悪の場合落ち込んでしまうという現象も起きている。先述の通り、2016年Q3に行われたシリーズCの約半数がダウンもしくはフラットラウンドだったのだ。

この理由は次の通りだ。例えば、シリーズAで投資家が25〜30%分の株式と引き換えに1000万ドル投資したとする。そうすると、ポストマネーの評価額は3300〜4000万ドルになる。シリーズBへの参加を考えている投資家は、シリーズBのプレマネー評価額がシリーズAのポストマネー評価額の少なくとも2倍になることを望んでいるが、もしもその水準に達していなければ、シリーズCまで投資を待った方が良いと考えるのだ。

バブル期であれば、評価額を2倍にするのは何ら難しいことではないので、当時のスタートアップは流れに乗ってシリーズBをクローズした。しかし、市場が冷静さを取り戻した結果、シリーズCでの彼らの評価額はシリーズBと同等、もしくはそれ以下になってしまったのだ。この流れは、今後シリーズCからB、A、シードへと侵食していくだろう。つまり、Mark Susterの見解とは逆に、まだ冬の時代は終わりを迎えていないのだ。

“リシード”ステージ

今年、シリーズA企業は、シリーズBを開催できるレベルまでプレマネーの評価額を上げるのに苦労するだろう。万が一、フラットもしくはダウンラウンドになってしまった場合は、”リシード”のタイミングだ。つまり、シードラウンドをクローズした直後の企業のような姿を目指し、できるだけコストを抑えるようにしなければいけない。

多くのファウンダーが、フラット/ダウンラウンドがスタートアップの”死”を意味するかのように考えている。この理由には、株式の希薄化と対外的な意味での数字のインパクトの両方がある。

しかし、株式の希薄化によって倒産に追い込まれた企業は存在しないし、外からの評価はフラット/ダウンラウンドの後に、その会社がどういう対応をとったかで決まる。新しい現実に沿って組織を改変できたのであれば、その会社は魅力的に映るのだ。ダウンラウンド後に組織の贅肉を落とし、より持続可能なモデルを構築できれば、ダウンラウンド自体は問題ではなくなる。

しかし、シリーズAでの優先株の発行数を考えると、資本構成はもっと難しい問題だと言える。もしも、あなたのスタートアップがシードラウンドで200万ドルを調達し、株主は200万ドル分の優先株を手に入れたとする。さらにシリーズAで1000万ドルを調達し、ここでも調達額分の優先株を発行したとしよう。すると、合計1200万ドル分の優先株が発行されたことになり、さらにここに返済しなければならない負債が加わってくる。

まともな投資家であれば、シードラウンド後の評価額で1200万ドル分もの優先株を発行した企業を好ましくは思わないだろう。さらに、シリーズBをクローズした後に”リシード”の必要性がでてくると最悪だ。そうなると2500万ドル分、もしくはそれ以上の優先株を発行したことになる。何としてでもリシード期間中に、優先株の割合を減らしたいところだ。これはバーンレートを下げるよりもずっと難しい。

次は誰の番?

「フラットは新しいアップだ」というのは、バブル後の状況を表すひとつの表現だ。2014、2015年に期待されていた企業は、シリーズCでフラット/ダウンラウンドを経験した。そして、シードラウンドで100万ドル、シリーズAで1000万ドル調達したような企業が、現在シリーズBに臨もうとしている。しかし、そのうちの多くは、シードラウンド後の企業の姿を目指し、社員を減らし、キャップテーブル(各株主の保有割合や株価などが記載された表)を見直すことになるだろう。廃業に追い込まれるよりは、リシードの道を選んだ方がマシだ。矛盾しているようにも思えるかもしれないが、従業員が少ない方が争いが減り、成長スピードが上がる可能性もある。結局のところ、まだ準備ができていない状態で大規模なシリーズAを敢行したのがそもそもの間違いだったのかもしれない。

シード企業も、明日は我が身と気を引き締めなければならない。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

25〜35%の値上がり幅が理想?――公募価格の考え方

【編集部注】執筆者のAlex WilhelmはCrunchbase Newsの編集長で、VCに関するTechCrunchのポッドキャストEquityの共同司会者でもある。

IPOという観点では、2017年は2016年を上回っている。

昨年の今頃は、まだScureWorksとAcacia Communicationsの2社しかIPOを果たしていなかったが、今年は既に(どんな会社をテック企業と考えるかによるが)少なくとも10社が上場した。その中には、SnapClouderaOktaなどが含まれている。

IPOの数が増えただけでなく、上場直後の株価も大きな伸びを見せていることから、”机にお金を置いてきてしまった”という類の話を耳にすることも多くなった。これはどういう意味かというと、初日の取引で株価が急騰した企業は、理論上は公募価格をもっと高く設定できたはずだということだ。つまり、IPO直後の株価の急騰(IPOポップ)は値付けミスだという主張だ。

実際にそう考えている人は多かれ少なかれいる。

しかし、最近IPOを果たした2社の株価が、数週間前の業績発表後に大きく動いたのを受けて、私たちはこの問題に関する記事を公開した。その中でも触れた通り、小さなバブルのように上昇した株価も、業績が投資家の予測に届かないとわかるやいなや、すぐに下がってしまったのだ。

それでは、IPO直後の株価の上がり具合を予測するのは難しく、公募価格の値決めには芸術と科学の両方が必要だとすると、どうやってどの企業のIPOは上手くいって、どの企業は公募価格の設定を誤ってしまったと判断すればいいのだろうか?

ゴルディロックスと3社のIPO

先週のEquityでは、IPOとM&Aを専門とする弁護士のRick Klineが、IPOポップや彼のIPOに対する考え方について説明してくれた。彼は持論を展開する上で、AtlassianやHortonworks、Snap、Boxといった企業のIPOに触れている。

文章を読むより話を聞く方が好きな人は、こちらのリンク先に飛んで、4:20から彼がこの点について3分ほど話しているのを聞いてみてほしい。今聞いている音楽を止めたくない人は、以下に彼の考えをまとめたのでこちらを参照してほしい。

  • 25〜35%のIPOポップが「理想的」
  • 50%近い値上がり幅だと「机の上にお金を置いてきた」可能性がある

(さらにKlineは、これが絶対的な答えではないと注意を促し、金融業界にいる人の中には35%という上がり幅は大きすぎると考えている人もいると語っている)

また上記の数字は、ある不確定要素を前提にしている。その不確定要素とは、誰も取引初日の終値を予測することができないということだ。

しかしKlineは、もしも初日の終値を予測できたとしても、株価の上がり幅は小さければ小さいほど良いと言っているわけではない。むしろ、企業は「25〜35%」を少し下回るくらいを狙うだろうと彼は話す。”ポップ”としてのインパクトは弱くなるが、それでもかなりの値上がり幅だ。

全ての議論の前提として、彼はIPOポップは良いことだと考えている。しかし「値上がり幅=調達し損ねた金額」だとすれば、なぜ企業はもっと公募価格を高く設定しないのだろうか?

メディアが求める情報

大抵のことがそうであるように、この問題は見た目よりも複雑なのだ。Klineによれば、ポップのための余白を残した価格設定をすることで、公募価格を高くし過ぎて株価が上場後に下がるというリスクを抑えられるほか、IPOポップが発生すれば、その企業の上場が重要事項であるかのようにメディアが取り上げてくれるという。

この点について、Klineは「IPOポップを起こすことで、その企業(の上場)に関して良い噂が広がることになります」と話している。

経験則からも彼の言っていることは正しいように思える。以下のようにヘッドラインを飾りたいと思わない企業はいないだろう。

しかしメディアへの影響という意味では、IPOポップはポジティブな現象を引き起こすだけでなく、ネガティブなことが起きるのを避けるのにも効果がある。

「もしも取引初日の値上がり幅が大したことなければ、IPOのニュースを追っている記者はネガティブなことを書きがちですからね」と彼は言う。

IPOへのメディアの影響について尋ねると、Klineは「(IPOに対する)市場の見方に影響を与える」可能性があると答えた。そのせいで「IPOのニュースをポジティブなものにするため、値上がり幅が大きくなるように公募価格を設定する」企業もいるようだ。

つまり、私たちのようなメディアもある程度この問題の責任を負っていると言える。

控えめなIPOポップ

最後に、例えば値上がり率が1桁台といった、控えめなIPOポップを経験した企業について尋ねた。

恐らくその理由は、公募価格の設定が「挑戦的」過ぎたか、「幅広い投資家の興味や支援を引き出す」ことができなかったからだとKlineは話すが、どちらもハッキリとしたメッセージとは言いづらい。実際に彼も、中にはできるだけ多くの現金を獲得するために、値上がり幅を小さくしようとする企業も存在すると話していた。

それでは、株価が公募価格を下回った場合はどうなのかというと、これは全く別の話になる。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

メアリー・ミーカー、『インターネット・トレンド2017』 を発表――ハイライトとスライドを掲載

インターネットで何が起きているのか、そのトレンドをつかむにはこれが一番スピーディーな方法だ。Kleiner Perkinsのパートナー、メアリー・ミーカー(Mary Meeker)が今年もInternet Trendsを発表した。テクノロジーの世界の「大統領一般教書」と思えばよい。待望のスライドには資金調達の状況、インターネットの普及、有力なインターフェイス、次の大きな波などあらゆる重要事項が簡潔にまとめられている。

われわれはこの記事に2017年版スライドをエンベッドした。こちらは2016版だ

ハイライトを選び、簡単な解説を加えたスライドショーはこちら。 “The best Meeker 2017 Internet Trends slides and what they mean”

2017年版の主要な項目をピックアップしてみた。

  • スマートフォンの売上、インターネットの普及速度は両方とも減速
  • 「モバイル化」は「モバイルへのシフト」ではなく「モバイルの追加」。アメリカではデスクトップの利用は目立って減少していないが、モバイルの利用は1日1人あたり3時間まで急上昇。
  • モバイル利用時間に比べてモバイル広告収入は追いついていない。今後モバイル広告プラットフォームには大きな成長が見込まれる。
  • オンライン広告の規模拡大の85%をGoogleとFacebookが占めた。
  • 向こう半年以内にインターネット広告額はテレビ広告額を追い越す
  • Spotify等が主導する音楽ストリーミングの売上は物理的メディアの売上を上回った。音楽ビジネスは16年ぶりに売上増
  • オンライン・スポーツは爆発的に成長中。対前年比で視聴者40%アップ。ミレニアル世代の半分は伝統的中継に対して強くオンライン・スポーツを選好
  • 悪意あるファイルを添付したメールスパムはクラウドの利用拡大と歩調をあわせて拡大。クリックするときは細心の注意が必要
  • テクノロジー企業が中国経済の成長の動力源。ライブストリーミングと自転車共有が急拡大中
  • インドではデータのコストが低下したためインターネットの普及が進んだ。スマートフォン価格は高止まり。
  • アメリカにおけるテクノロジー系時価総額トップ企業の60%は第一世代または第二世代の移民によって創立された。テクノロジー系非公開トップ企業の場合、第一世代の移民が50%を創立していた。

スライドは巨大で全部で355枚もある。われわれの作成したハイライトはこちら。

“The best Meeker 2017 Internet Trends slides and what they mean”

〔日本版〕過去のメアリー・ミーカーのレポートについてのTechCrunch記事はこちら

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+