今週のまとめ ― 激減する(?)国内iPhoneシェア、本気だったGoogleのモジュール型スマートフォン、およびA.I.の近未来についてなど

少々遅くなってしまったが、本稿では先週の訳出記事のうち、なかなかの注目を集めたものや、あるいはちょっと気になった記事などを改めてまとめておきたい。

日本国内でのiOSシェアが急落?

iPhone 6や6 Plusは、発売直後からかなりの頻度でみかけるようになっていると思う。Appleの新モデル買い替え率は75%以上にものぼるそうで(日本経済新聞記事)、たしかに実感でもそのように感じる。

そんな中、少々気になるのが「ヨーロッパでWindows Phone一人負け―日本ではAndroidがiOSのシェアを大幅に奪う」の記事だ。Windows Phoneの話はさておき、日本国内でのiOSシェアが大きく減っているという統計が掲載されている(9月までの3ヶ月セールス統計)。

掲載されている表によると、iOSのシェアが2013年の47.2%から、2014年には31.3%と急落している。そのシェアを食っているのはもちろんAndroidで、年間比で+14.5%となっている。少なくとも電車の中の風景にはさほどの変化は感じられないように思うが、はたしてiOS率が突出して高かった日本に、何か変化がおきつつあるのだろうか。

Fireフォンに「Kindle再び」を期待するAmazon

「シェア低下」というか、ほとんどシェアのない機種についての記事もあった。言うまでもなFireスマートフォンの話だ。覚悟を決めて「Amazonは不評のFireスマートフォンを殺さずに長期な視野で育てる気だ」ということのようだ。

「Kindleだって最初は不人気デバイスだったのだ」という、過去の「失敗体験」をもとに、未来への可能性を見出そうとしているらしい。

Googleのモジュール式スマートフォンは「遊び」ではない…らしい

ちなみに、非実用(あるいは非実在)デバイス扱いであったGoogleのモジュール型スマートフォンは、どうやら実際に動き始めるようだ。先週「スマホがLEGOになったGoogleのProject Ara、初のプロトタイプがお目見え」という記事が公開された。

モジュール型スマートフォンのProject Araについては、翻訳記事でも何度か紹介している。過去記事のタイトルを引いておこう。

Google発のブックマークサービス

ところで先週はGoogle発の注目記事も多かったような気がする。一番多くの注目を集めたのは「Googleの新しいブックマークサービス(旧称 Stars)が一般公開」だろうか。

正式アナウンスがない中、他のサービスとの差別要因や発展性ないし拡張性が見えにくい気もするが、興味深い動きであるのは間違いない。

Googleがブラウザを作ったとき(もちろんChromeの話だ)には「そんなもんいらねえよ」の声もあった。しかしコンテンツを扱うサービスが、コンテンツを表示するアプリケーションを作るのは、確かに「自然」なこととも言えたわけだ。そしてブラウザを作っている企業が、ブックマークを扱って、そしてそれが大きく発展するような可能性も小さくはないだろう。

但し、以下のようなツイートもある。

あるいは次のようなツイートもあり、確かに躊躇いを感じてしまう。

Google Playブックスもひっそり(?)アップデート

ところで拙訳ながらあまり注目を集めず寂しかったのが「Google Playブックス、教科書や料理本の閲覧に便利な“スキムモード”を搭載」の記事だ。

  • 「スキム」(Skim)モードにすることで、フリップにより無限スクロール風にページ間を移動することができます。
  • 「Quick Bookmarks」にてブックマーク間の移動がより簡単に行えるようになります。200ページも離れたところにある注釈などを頻繁に参照する際に便利でしょう。
  • 書き加えたメモやハイライトしたところを一度に確認し、そこから該当のページにジャンプすることができます。教科書などを読むときにとても便利な機能となります。

確か、こうしたモードを備えていた電子書籍リーダーはあったはずだ。しかし新規性云々ではなく、メジャープレイヤーのひとつであるGoogle Playブックスが、この機能を入れたことを喜びたい。

TechCrunch Japan編集長のツイートを載せておこう。

医療分野でもGoogle

ところで以前(今もかもしれない)、新規サービスのアピールを受けた投資家の決まり文句として「ではGoogleが参入してきたらどうしますか?」というものがあった。ことほどさようにGoogleはさまざまな分野に頭を突っ込む。もちろんヘルス分野も含まれる。今回は「Google X、ナノ粒子を飲んでガン細胞を早期発見する画期的検査方法を開発中」という記事が出ていた。

簡単に言えば「いよいよ現実化する現実化したミクロ決死圏」だ(?)。いろいろな未来予測を投入した「ミクロ決死圏」だったが、まさかソフトウェアカンパニーが現実化するとは思いもよらなかったのではなかろうか。

ちなみにWikipediaでみると「Google X(グーグル エックス)とは、Googleの機密施設によって、次世代技術の開発を担うプロジェクトである」そうだ。いろいろな意味でおそろしそうな存在だ。

YouTubeはハイクオリティに対応し、そして有料モデルを準備中?

Googleでいえば、YouTubeの話題もあった。

「パーソナルコンピュータの上で動画を見ることができる」と感動したのは1991年頃のことだっただろうか。但しその時代に見られる「動画」は「ビデオ」とは一線を画すもので、おかげでぼくたちはまだPC上で見るビデオを「動画」と表現する癖がついている。

時代はうつり「YouTubeのビデオ再生が60fpsにアップ、バターのようになめらか」という時代になった。

「解像度720p以上で見ると、フレームが洪水のようにあなたの目に押し寄せる」そうだ。ただ、こうした高画質であっても「まあそんなもの」と受け取る時代にはなりつつあるかもしれない。

また(以前から噂はあったものの)「YouTube、広告のない有料サービスの提供を準備中?!」という記事もあった。

先の「動画」の話との関連でいえば、「インターネット」が普及し始めた当時、サービスを「広告」で運用するというのはあり得ない話だった。だからこそ「広告」でサービスが運用できるようになったことに『大いなる可能性」を感じたりもしたのだった。しかし「広告運用すげー」の時代は古(いにしえ)の話となり、そのあとは「サブスクリプションモデル」などが生まれた。

どうやら、「金を払う準備はできている」という利用者もおおぜいいるようだ。

ティム・クック

さて、長くなってしまった。ただ、日経新聞などでも記事になっていた「ティム・クック」の話題は紹介しておくべきか。

ティム・クック:誇りをもって、自らゲイであることを認めたい」という記事の話だ。あくまで個人的な話ながら、さすがに世界中で、いろいろな視点から話題になった様子だ。

ところでティム・クックは先週「Apple Watchは毎日の充電が必要となる」という話もしている。

これについては「ティム・クックがうっかり漏らしたんだろう」という感想や、「そんな話は当たり前」といった感想まで、さまざまなものがある。「夜間に時計をする人はいないだろう」という意見も多かった。

そう、寝るときに時計をしない人は多い。ただ、「ウェアラブル」は時計ではなかろう。「ウェアラブル」とは「Quantified Self」(身体データの数値化)のための究極のツールではなかろうか。そうした類のデバイスであるにも関わらず「外して充電」というのが正しいのかどうか、疑問に感じる面もある。

その他、注目記事

Microsoft、Office 365のユーザーにOneDriveストレージを容量無制限で提供」という記事はもちろん興味深い。ぜひリンク先の記事を見てもらいたい。あるいは「W3Cが宣言: HTML5の標準規格は最終的に確定した」も注目だ。

全部を紹介すると長すぎるが、それでも紹介したいのは「この救急ドローンはリモート指導つきのAEDを搭載…心停止の生存率をアップ」だろうか。

NHKは「アメリカの“新たな戦争”?~無人機攻撃の実態~」という番組を放送していた。ドローンのせいで、民間人が殺されているという内容だった。しかしドローンは人命を救うのにも役立つらしい。

まあ確かに、新技術とは往々にしてそうした両面を持つものではあるかもしれない。

余談:A.I.はどう世界を変えていくのか

ちょうど東大を目指す人工知能が話題(例:日経記事)になる中、TechCrunchにも人工知能系の話があった。

ひとつは「普通」の話で「音声指示に従って自動で返信メールを書いてくれるA.I.搭載のLess.Mail」というものだ。

受信したメールに対し、人工知能と協力しつつ返信して時短するというものだ。「断ってくれ。でも丁寧にな」というようなインタフェースで、メールの返信が打てるらしい。

そしてもうひとつは、宇宙関係の話から、またいろいろと注目を集めそうなElon Muskの話だ。講演における質疑応答の中で「人工知能研究は現代の悪魔を召喚する」というような話をしたらしい(記事中に貼っていたビデオはMITからの著作権侵害の申し立てで削除されています)。

人工知能はバズワード的扱いをうけた時代もあったように思う。しかし今や、可能不可能の論議を超えた、たとえていえば生命科学における「倫理」のような話をしなければならない段階にあるのかもしれない。

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(翻訳:Maeda, H


羽ばたき飛行するドローン、Bionic Birdがクラウンドファンディング中―ネコも大喜び

鳥か? 飛行機か? いやいや、これは鳥の形をしたBionic Birdというマイクロ・ドローンだ。12月に市販開始予定のこのメカニカル・バードはスマートフォンまたはタブレット上のアプリで操縦される。Bluetooth 4.0接続を利用しており、有効距離は約100メートルだという。

現在Indiegogoでクラウンドファンディング中のBionic Birdのフランス人の開発者はこれを「ひそかなドローン」と呼んでいる。なぜかといえば、バイオミメティクスを利用している、つまり鳥のような羽ばたきで飛ぶからだ。ローターやプロペラを使うドローンに比べてはるかに静かで、自然環境に溶け込む。遠くからは本物の鳥そっくりに見える。

ビデオでもわかるように、あまりによくできているので本物の鳥が仲間だと思ったり、猛禽類がエサになるかどうか確かめに近寄ってきたりするほどだ。

こちらのビデオではネコが大喜びだ。

Bionic Birdのクラウンドファンディングは目標の2万5000ドルをはるかに超えて6万5000ドルあたりを飛翔中だ。これなら無事に量産開始できるだろう。

初期バージョンは1960年代から存在する羽ばたき飛行機をアプリで操縦可能にしたもので、基本的に高級おもちゃだ。

しかしBionic Birdの開発チームは今後サイズや飛行機能を改良していく計画だ。2016年の冬までには尾翼による正確な操縦、安定した連続飛行、ライブ中継可能なHDビデオカメラの搭載などを実現したいとしている。そうなれば鳥に化けたスパイ・ドローンが登場することになる。

現在のバージョンはIndiegogoで1機あたり120ドルの出資で入手できる。出荷は12月を予定している。

バッテリー充電器はタマゴの形をしており、ドローンを上に載せて充電する。12分の充電で8分の飛行10回が可能だという。

胴体は柔軟なフォーム素材でできており、着陸の衝撃に繰り返し耐えられる。羽根と尾翼は軽くて丈夫なカーボン・ファイバー製で、交換可能。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+


Google Inboxを使いたい人は、今朝の「ハッピーアワー」に申し込めば確実に招待される


Googleは、Inbox招待プログラムを拡大して新たな「ハッピーアワー」を提供する。今日(米国時間11/5)西海岸時刻 3 pm~4 pm[日本時間11/6 木 8 am~9 am]の間に、inbox@google.com にメールで申し込めば、今日の5 pm[同10 am]までにアクセスが保証される。

まだアクセスの順番を待っていた人にとって、これは最も確実に招待状を確保できるチャンスだ。なお、現在Inboxを利用できるのはGmailの個人アカウントのみなので、Google Apps経由でメールを利用している人は、少なくとも今はサインアップできないことに注意されたい。

GoogleのInboxは私に最も興味を抱かせた非伝統的メールアプリであり、Mailboxを含む他の新種メールアプリには惹かれなかった私も魅了された。アプリは、Googleが通常のGmailの自動カテゴリー分け機能や、モバイル用アシスタントアプリGoogle Nowで培った機械学習知能を有効活用している。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook


ペンギンコロニーに入るためには、ペンギンモフモフが有効であるとの実証実験

AIを使って人間のように振る舞うロボットが出てきそうな昨今、外見からロボットと見破られないための方法も必要となるだろう。そしてNature Methodの記事によれば、ともかく外見を接近対象(人間など)と同じにするのが非常に有効なのだそうだ。外見を似せることで、RFIDタグの読み取りができるほどの近距離にまで、接近を許してくれることがあるらしい。

もちろん、人類に似せたAIロボットが人類を研究するというのはまだ先の話だろう。なので、Nature Method記事の有効性を確認するため、ペンギンを対象とした実験をみてみたいと思う。テリトリーを侵してコロニーへの侵入を企てると、ペンギンも(人間と同じように)大騒ぎになるのが普通なのだそうだ。

まず、ペンギン観察のために小型のローバーを使ってみたのだが、やはりペンギンにストレスを感じさせてしまっていたのだそうだ。そのような中、うまい方法がないものかと模索した結果、ロボットにモフモフのペンギン着ぐるみを着せてみたのだそうだ。するとペンギンに簡単に接近できたのみならず、暖を取るためのハドルに、ロボットペンギンも混ぜてくれたのだそうだ。

研究者の言葉を引いておこう。

コロニーを作っているペンギンに近づくための方策を探ろうと、コウテイペンギン(学名:Aptenodytes forsteri)へのアプローチを試みてみました。このペンギンは、コロニーの中では個別のテリトリーを主張しません。そのコロニーにローバーを送り込んでみたところ158羽中44羽(28%)が警告的な動きをみせました。この警告動作がみられたときには、直ちに実験を中止しています。ちなみに75羽(47%)は何の反応もみせませんでした。さらに39羽(25%)は自らローバーに近づき、接近してきたものがいったい何であるのかを確認しようとしていました。しかしローバーをペンギンの着ぐるみでカモフラージュしたところでは、成体・幼体双方のペンギンが、すぐ近くにまで接近することを許してくれたのでした。さらにはなんと、仲間に対するのと同様の声かけ行動まで確認することができました。すなわち、ペンギン社会にストレスを与えるkとなく、接近する手段を得ることができたわけです。

まさに研究者の言葉通りであるようだ。着ぐるみをきせることで、調査ロボットはペンギン社会にやさしく受け入れてもらえているようだ。将来的にはロボットにTシャツとジーンズを着せて、人間のフリをしてハッカソンに参加するようなロボットも登場してくるのかもしれない。但し、そういうロボットの登場までにはいましばらくの時間が必要だ。コウテイペンギンがシリコンバレーにいるはずもなく、カモフラージュによる異種生物交流の様子をみることも、いまのところはおあずけといた段階ではある。

via Spectrum

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(翻訳:Maeda, H


消費者製品としてデビューした3DスキャナのFuel3D、$6.4Mを獲得して企業利用も視野に

3Dスキャナって、何に使うのか? それは3Dプリンタにデータを提供するだけじゃない、と考えるオックスフォード大学のスピンアウトFuel3Dは、消費者向けの高精度で手持ち型(ハンドヘルド)の3Dスキャナで、昨年、Kickstarterに登場した。

そのFuel3Dが今日(米国時間11/4)は、Chimera Partners率いる拡張ラウンドにより、640万ドルを調達した。それを同社が“プレIPOラウンド”と自称しているのは、2015年の初頭に実際にIPOを予定しているからだ。資金は、3Dスキャナのアプリケーション開発の拡大に充てられる。

Fuel3Dは昨年Kickstarterで30万ドルを獲得し、その次に260万ドルの資金をVCたちから調達した。そのほかに医療用画像処理の分野で110万ドルの開発契約を某社と交わしている。

今回得られたキャッシュで同社は、新しい垂直市場…眼鏡のカスタム化とバイオメトリクス…をねらう。

それは同社によると、“眼鏡屋さんが眼鏡の‘試着’を仮想化できて、お客に合わせた眼鏡のカスタム化を容易にできるようにするもの”、だ。

バイオメトリクスに関しては具体的な話は得られなかったが、同社は今、“人間の顔専用の270度のスキャナ”を開発中だから、おそらく相手は顔認識の分野だと思われる。

それは複数のカメラを使って人間の顔の耳から耳までのデータを捕捉し、当面は小売企業における仮想試着(眼鏡など)に利用するためのプロダクトだが、バイオメトリクスにも十分応用できるはずだ。

Fuel3DのハンドヘルドスキャナはKickstarterの出資者たちにベータテストのために送られたが、来年は本格的な商用生産に入る計画だ。

CEOのStuart Meadは、声明文の中でこう言っている: “今回の資金によってFuel3Dは来年、スキャナの本格的な商用生産を開始でき、また新たな人材とインフラストラクチャにも投資ができる。合衆国への進出も、可能になるだろう”。

“消費者製品と並行して、いくつかの国際的企業から寄せられている関心にも対応し、3Dスキャナ技術の3Dプリンティングを超えたアプリケーションの開発にも、資金を投じていく”、ということだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


SDカードサイズの開発ボード「Edison」をTCハッカソンで20個ご用意!

TechCrunch Tokyo 2014の前夜祭的な位置付けで、11月15日、16日の週末に予定している「TechCrunch Tokyo Hackathon 2014」の開催まで2週間ちょっととなった。200人が入れる会場を24時間借りた大きめのハッカソンで、すでに160名を超える方に参加登録を頂いている。特別参加エンジニアとして増井雄一郎氏、堤修一氏の参加が決まっているほか、ギークな女優、池澤あやかさんがガチでハックしに個人参加してくれることになっている。

今回のハッカソンは規模が大きいということもあって、特にテーマを設けていない。すでにAPIやサービス、モジュールを提供してくれる企業は多く集まっているのだけど、ここで1つ、ハードウェアをやりたいWeb開発者に朗報があるのでお知らせしたい。

大々的なモバイルシフトと、それに伴うARM攻勢で最近スタートアップ界隈では存在感が薄い気もするインテルだが、ここに来て、やたらとハッカビリティの高そうなSDカードサイズの開発ボード「Edison」(エジソン)を、お正月のCESで発表して注目を集めたのは皆さんご存じの通り。Edisonは端的にいえば、Intel Atom相当の500MHzのデュアルコアプロセッサに1GBのメモリと4GBのフラッシュメモリ、無線モジュール、各種標準I/Oが全部詰まった小型Linuxコンピューターで、5年ぐらい前のPCがSDカードサイズになった感じだ。

国内でも10月末に出荷が始まって、もう手にした人もいるかもしれないが、秋葉原のパーツショップの中には、初回入荷分を売り切ったという話も早速聞こえてきている。今回、TechCrunch Tokyoハッカソンのために、Edison(Arduinoボード)20個、Galileoボード20個、Grove Sensor Kitなどをインテルから提供いただけることが決定した。Edisonを使ってプロダクトを作ったチームには、ハッカソン終了後もそのまま作品としてハックに利用したデバイスを、お持ち帰りいただける。

ちょっとEdisonについて、何が話題となっているのかを簡単に紹介しておきたい。

モノ系のIoTブームを支えているのは、広くはメーカーズムーブメントだが、テック系で言えば、3Dプリンタの登場や、ArduinoやRaspberry Piといった開発ボードの普及だろう。プロトタイピングが身近になり、それまでハードウェアに手を出さなかったエンジニアにまでハンダごてを持たせ、サードパーティ製拡張ボードを含めたエコシステムを育てたのはArduinoの功績だろう。

先行するArduinoやRaspberry Piに対して、Edisonは何が違うのか?

まずサイズが小さいことが挙げられる。開発ボードでありながら、そのままスマート・トイなどに組み込めるというのが大きく異なる。搭載するWiFi(11a/b/g/n)やBluetooth(4.0/2.1)の無線チップは国内の認証を経ているので、Kickstarterでプロトタイプのイテレーションを回すような場合でも、Edision搭載のまま出荷も可能という。インテルのプロセッサといえばバッテリ食いのイメージもあったりしたが、Edisonはボード全体で1W程度の消費電力なのでリチウムバッテリでもそこそこ動くのだそうだ。12月に追加リリース予定のMCU(Micro Controller Unit)開発環境を使えば、I/O部分をMCUでコントロールして、プロセッサ部分は普段は寝かせてしまう省電力な設計も可能になるという。

Edisonはモジュール単体でも発売するが、開発ボードとして使う場合には、ブレークアウト基板キットか、Arduino変換基板キットを利用する。すでにEdision向け拡張ボードもあるが、Arduinoキットを使えば、Arduino向け拡張ボードである「シールド」がそのまま使えるので、Arduino向けサードパーティモジュールと、Linuxを使った開発ができるモダンさを備えているということになる。OSとしてYocto Linuxを搭載しているが、Debian GNU/Linuxの稼働や、その上でのGo言語の稼働も確認されているなど、x86の開発エコシステムが使えるのが非組み込みエンジニアにとっては魅力だろう。Node.jsやPython、HTML5による開発もできて、たとえば、スマート・トイでiPad向けUIを作る場合、HTMLとJavaScriptを使ったりもできるという。このほか開発言語として「Wyliodrin」というScratch風のビジュアル開発言語も利用できるそうで、学校教育を意識している面もあるそうだ。

というわけで、「初物」に近いEdisonを使ってハックしたいエンジニアを、TechCrunch Tokyo Hackathonでは募集中だ。まだチケットには余裕があるので、是非参加を検討してほしい。

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以下はTechCrunch Tokyo 2014本編のチケット。

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DropboxのCEO Drew HoustonがSnowdenの批判に反論

NSAを内部告発したEdward Snowdenが、プライバシーを守りたいなら”Dropboxを利用するな“、と二度も忠告したことが、議論を呼んでいる。今日(米国時間11/4)はDropboxのCEO Drew Houstonが、その非難に応えた。彼は、もっと強力な暗号化の方式はあるけれども、どの方式を使うかは、使いやすさや利便性とセキュリティとのトレードオフだ、と述べ、“ユーザには選択肢を提供している”、と語った。

Houstonのこの発言は、今日アイルランドのダブリンで行われたWeb Summitのステージで述べられた。それはイギリスのGCHQの長官が、テロとソーシャルメディアと政府によるデータへのアクセスについてのエッセイを掲載した日でもある。

Houstonは、政府機関がソーシャルネットワークやそのほかの大手テクノロジ企業からデータを取り出すことの正否について、直接的には何も語らなかった。また、プライバシーが不可侵の権利であるか否かという、倫理的な問題にも触れなかった。むしろ彼は、ユーザ体験に焦点を絞った。

“ゼロ知識暗号化(zero knowledge encryption)を提供しているサイトの動機は十分に理解できるが、それには欠点もある”、と彼は言う。Dropboxが暗号化の方式を今以上に強化したら、検索やサードパーティアプリへのアクセス、モバイルデバイスからのデータへのシームレスなアクセスなどが、とてもやりにくくなるだろう、というのだ。ただしDropboxでも、ユーザがそれを選択することはできる。“うちは、そのためのサードパーティツールを提供しているが、もちろんそれを使えば検索やインデクシング、プレビューの表示などが困難になる。でもトレードオフというシーソーの上では、人びとは自分が選んだどの位置にでも立つことができる”。

彼はDropboxの企業イメージの問題にも、それとなく触れた: “人から石を投げられて、嬉しい人はいない。でも、FacebookやZuckも、これまでさんざん叩かれている。良いことはいっぱいしているはずなのに、急に、不正なことをしている企業にされてしまう。でも企業や人間が、人びとがいろいろ言うほどすごく良いことはないし、また、そんなにひどく悪いこともない”。

ステージ上のインタビューでHoustonは、2009年に協同ファウンダのArash Ferdowsiと一緒にiCloudがまだない頃のAppleを訪れたときの思い出を語った。そのとき彼らは、Steve Jobsからの(巷間9桁の)買収オファーを断わった。そしてCEOの彼は、その後、買収ではなくパートナーシップという企業進化の路線を選んだのだ。

今日Dropboxは、Microsoftとの、Houston曰く“深い統合”を発表した。これで二社のユーザは両方へシームレスに行ったり来たりできる。これはGoogle対抗策でもあるようだが、実際まさに今日Googleも、新たなクラウド事業を発表した。

Houstonは、両社の協働の意義について、“今Dropboxのユーザは12億人いるが、彼らがやってることで一番多いのがOffice文書の保存やバックアップだ”、と述べた。彼は今回のパートナーシップを“うちにとっては異例”と言うが、すでに自前のクラウドプラットホームを持っているMicrosoftにとっては、もっと異例だろう…Dropboxほど、繁盛していないとはいえ。“Microsoftがこのような統合をしたことは、過去に一度もないと思う”、とHoustonは言っている。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Amazonのプライム会員サービスが出店者にも適用へ、個別契約なので一挙には無理だが

Amazonは、有料会員制Prime(プライム)の利用価値を上げることに、このところ非常に熱心に取り組んでいる。今回は、これまでAmazon本体だけからだった各種サービスが、Amazonを利用している商業者、いわゆる出店(出品)サービスからも受けられるようになり、プライムの利用価値がいよいよ本格的になってきた。これからはプライム会員は、例えばイギリスでは、送料無料、当日・翌日配達などのサービスを、AllSaintsのオンラインストアからも受けられるようになる(Re/codeの記事より)。またAmazon.comで検索したとき、結果にAllSaintsの商品も含まれるようになる。ただしそれらをクリックすると、Amazon上でなくAllSaints本来のWebサイトに連れて行かれる。

不思議なことに、Amazonがそうやって顧客をAllSaints.comへリダイレクトするにあたっては、アフィリエイト料金を取るだけだ。9月からのパートナーシップにより顧客は、Amazonへのログインと決済情報を使って買い物を完結するのだが、そのぶんの料金はない。でもなにしろ、プライムはAmazonにとって上客だ。Amazonの、オンライン小売企業としての売上と利益を引っ張っているのは、今やプライム会員であり、最近の調査によると、Amazon本体からのプライム会員のお買い上げ額は、非会員の倍近い。

このほか今日(米国時間11/4)Amazonは、プライム会員だけが利用できる容量無制限の写真保存ストレージのクラウドサービスを開始した。タブレットやスマートフォンのおかげで、今や世の中の全員がフォトグラファだから、このサービスは誰にとっても便利だ。プライムの料金は今年値上げされたが(合衆国)、合わせて音楽のストリーミングが加わり、ビデオのカタログも増加、オリジナルコンテンツの制作もできるようになり、そして今回の、プライムサービスの出店者への拡大が加わる。

この、プライムサービスの出店者への適用は、Amazonと店側との個別の契約になるから、どれぐらい早く、どこまで広がるかは未定だ。Re/codeの記事によると、Abercrombie & FitchやNeiman MarcusはAmazonへの出店にうんと言わなかった。Amazonが自分の店の顧客のデータにアクセスすることと、安物も含めてなんでもかんでも売ってるAmazonで自己のブランドイメージが希釈されることを、これら高級店はおそれたらしい。

しかし、はっきりしているのは、Amazonは顧客に、会費を払うプライム会員になってほしい、と願っている。でも、その気をそそるだけのメリットは、まだ十分に揃っていない。プライムがAmazon本体だけでなく出店者もほぼすべてカバーできたら、航空会社のマイレージみたいに用途の広い特典になる。しかも、Webのほぼ全域にわたって。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


DockerアプリケーションをGoogleのクラウドプラットホーム上で展開運用するための管理サービスをアルファで立ち上げ

Googleが今日(米国時間11/5)、Google Container Engineというもののアルファテストを開始する、と発表した。それは、Googleのクラウドプラットホームの上でDockerによるコンテナを使用するアプリケーションを構築し運用するユーザに提供する、もろもろの管理サービスだ。

Dockerは今のデベロッパ界隈でいちばんホットな技術であり、デベロッパとの会話の中で必ず登場する名前だ。GoogleのCloud Platformのチームも、そのプラットホーム全体ををDockeベースで行くことに決め、顧客であるデベロッパが分散アプリケーションをより容易に構築運用できるようにしたい、と考えている。

基本的に今度の新サービスは、GoogleのオープンソースプロジェクトKubernetesをベースとする”Cluster-as-a-Service”のプラットホームだ。言い換えると、デベロッパは自分のクラスタを、Googleがその巨大なデータセンター向けに開発した独自のコンテナ技術を利用して管理できる。ユーザのアプリケーションは通常、複数のDockerコンテナで構成されるが、Kubernetesはそれらの動的(==ランタイムの)管理を助ける。

Googleによると、自社のクラウドプラットホームの“高速ブートと効率的なVMホストとシームレスな仮想化ネットワークの組み合わせ”は、“コンテナベースのアプリケーションを稼働させるための理想的な場所”だ、という。競合他社はこれに異議を唱えるだろうが、Dockerコンテナアプリケーションに対してこのレベルの管理サービスを提供しているところは、まだほかにない。

Googleは最初5月に、同社のManaged VM service(管理サービスを伴うVMサービス)の一環としてDockerイメージのサポートを開始した。これらの管理つきVMは今アルファを終えようとしており、自動化スケーリングのサポートが加わったことによりデベロッパは、Googleのプラットホーム上でDockerコンテナを、難しい作業を伴わずに利用できる。アルファやベータのGoogle的な定義では、ベータは、アクセス制御なし、課金なし、ただし技術的サポートに関するSLA(service level agreement)もなし、という意味だ。

そして今回のDockerクラスタ管理サービスはまだアルファだから、機能は不十分だし、不測のシステム事故はいつでもありえる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


BeOnは、点灯パターンを学習して侵入者を抑止するスマート電球

ここ数年、いわゆる「スマート電球」が数多く市場に現れ、消費者のスマートホーム化を促してきた。有名なところではPhilips HueやKickstarterプロジェクトのLIFXがある。しかし、以前私も指摘したように、「つながっていて」、アプリで制御できること以外にスマート電球や他のスマート家電は、結局あまりスマートではない。BeON Homeのスマート照明システムは、明かりの力で侵入者の裏をかこうとしている。

現在Kickstarterでクラウドファンディング中のBeOn Burglar Deterrent侵入抑止システムは、犯罪防止の方が犯罪発見よりも重要であるという認識に基づいている。このスマート電球は一般の電球と同じようにソケットに挿入され、壁のスイッチもそのまま使用する、しかし、― 内蔵された「スマート」モジュールのおかげで ― いくつかの知能を発揮する。具体的には、システムがその家の点灯パターンを学習し、留守にしている時も誰かが家にいるかのような印象を与える。

さらに、恐らく同じくらい賢いことに、BeOn電球は呼鈴の音を検知して、順番に照明をつけていく ― ここでも誰かが常に在宅している印象を与え、こそ泥予備軍の偵察作戦を撃退する。BeON Burglar Deterrent電球には、充電式バッテリーが内蔵されているので、停電時にも侵入者を抑止できる。

BeOn電球の明るさは、白色LEDによる800ルーメン(60ワット白熱電球とほぼ同等)。内部にはBluetooth Low Energy、マイクロフォン、CPU、および充電式バッテリーを備えている。よく考えられているのは、電球同士が通信して、呼鈴や充電残量、点灯状態、スケジュールなどの情報を交換することだ。そしてもちろん、専用スマートフォンアプリが用意されていて、リモートコントロールや細かい設定を行える。

もう一つ、私が特に素晴らしいと思う機能は、BeON電球が家庭内の他の音、例えば一酸化炭素検知器のアラーム音を聞いた時、全点灯させて安全に逃げ出しせるようにすることだ。

価格と発売時期について、マサチューセッツ州拠点の同社は、BeOn Burglar Deterrentシステムは、3、6、または9個のセットで販売され、標準的A-Lampおよび埋め込み型のBR30の2種類が提供されると言っている。Kickstarterの早割3個パッケージは199ドルから。出荷は2015年4月からの予定。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook


Web担当者必見!便利な【Chrome拡張機能12選】

皆さん、こんにちは。 J&BLabo を運営する株式会社ジャックアンドビーンズの錠です。 今回は、Web 担当者さんの作業をより効率的にしてくれる Chrome 拡張機能の情報をお届けします!ユーザビリティ(3) [...]

40年近くたった今も、スティーブ・ウォズニアックはApple IIを改良する方法を思いついて目を覚ます

Apple IIはパーソナルコンピュータの歴史において最も重要なシステムの一つかもしれない ― しかし、それは完璧だったという意味ではない。40年近くたった今、スティーブ・ウォズニアックは〈未だに〉もっとうまく作る方法を思いつくことがある。

その詳細は、ウォズと、献身的Apple I再生エキスパートのMike W. との間で交わされたちょっとしたやりとりの中で語られた。

Mike(恐らく世界で最も行き届いた残存Apple Iシステムの保管庫を運営する人物)は、Apple Iの設計のわずかな欠陥に気付いた:電源の気まぐれがシステムメモリーを時折「不安定」にすることがある。そこで彼は唯一理にかなった行動を起こす:ウォズにそのことをメールした。

その結果、ウォズはApple Iにそんな問題があったことを全く知らなかった。「I」が出荷間近だった頃、AppleはApple IIの売り込み始めていて、ウォズはその新しいマシンに集中していた。

ウォズがこう書いている:

しかし、もし当時Appleでわれわれが150台だかのApple Iを売っている間にその問題に気付いていたら、簡単に修正していたはずだ。しかしわれわれは、大型商品までの一時的な繋ぎだったあの製品を十分テストしなかった。実際、Apple Iをすべて買い戻してApple IIと交換しようとしたこともある。

十分満足な結果を得てあの通りやって来られたことは、誰よりも幸運だった。

恐らくもっと興味深いのは、ウォズが今でも、数十年前の設計をどうすればもっと良くできたかを思いついて真夜中に目を覚ますことだろう。Apple IIについてこう書いている:

今年ある晩エクアドルのキトーで、Apple IIのチップを1つか2つ減らす方法と、Apple IIで2種類のグレー(明るいグレーと暗いグレー)を表示する簡単なやり方を思いついて目を覚ましたが、38年遅すぎた。でも私はちょっと嬉しかった、なぜならあの設計を改良することがどれほど難しいかを知っているから。

ウォズの言う「2種類のグレー」が何を意味しているか気になる方へ ― Apple IIは16種類のカラーを表示することができた。16色のうち2色は、異なる階調のグレーだった ― 少なくともソフトウェアレベルでは。しかし、当初の設計の制約のために、その2つの階調は実際に表示されると識別できなかった。Apple IIエミュレーターの中には、それらを異なる色で表示するものもある。

ウォズの返信メール全文はここで読める。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook


OculusのCEO、「製品版ヘッドセットの市販は何年も先ではない、何ヶ月かだ」と語る

今日(米国時間11/4)のOculus VRのCEO、Brendan Iribeの発言はゲーマーに朗報だ。TheNextWebによれば、アイルランドで開催されているWeb SummitカンファレンスでIribeは消費者向けのOculus Riftヘッドセットの市販は「何年も先ではない。何ヶ月かだ」と述べたという。このバーチャル・リアリティー・ヘッドセットはデベロッパー向けやより進んだ機能を実験するプロトタイプまで、すでに数種類が出荷されている。

しかし喜び過ぎないほうがいいだろう。Iribeは消費者向け出荷が軌道に乗るまでには「かなりの月数がかかる」と付け加えている。市販への最大のハードルは入力デバイスが完成していない点だという。 ゲームパッドやキーボードはOculusのような没入型VRには適当ではない。最近OculusはXBox 360のコントローラーやKinnectを開発したCarbon Designを買収している。おそらくこのチームが画期的な入力デバイスを開発しているのだろう。

IribeはまたライバルのVRデベロッパーに対して「没入型ヘッドセットには方向感覚喪失と船酔いという大きな問題があり、適切な対策を取らずに製品を出荷すべきではない」と警告した。Iribeのこの発言は、最近VRプロジェクトで長足の進歩を遂げているソニーを念頭においているのかもしれない。

〔日本版:上にエンベッドしたビデオの最後、18:45あたりでIribeは「何ヶ月か先」と言っている。。〕

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+


MicrosoftとDropboxが提携―Office 365とDropboxストレージが高度な相互連動へ

今日(米国時間11/4)、MicrosoftとDropboxは提携関係を結んだことを発表した。その内容はDropboxがOfficeをサポートし、MicrosoftがDropboxのストレージ・サービスをOfficeに連動させるというものだ。これに先だって、Dropboxのライバルでエンタープライズ向けクラウドストレージに力を入れているBoxもMicrosoftのOffice-as-a-serviceソリューションであるOffice 365を取り込んだサービスをスタートさせている。Microsoft自身も最近、OneDriveの無料ストレージ容量を無制限とした。

今回の提携で、両社は近くウェブとモバイル・アプリの双方で、DropboxのアプリからOfficeドキュメントを編集、OfficeアプリからDropbox内のファイルにアクセス、OfficeアプリでDropboxのファイルをリンクで共有という次の3つの機能を提供するという。またDropboxはWindows Phone版のOffice連携アプリを開発する。〔時期については日本版注参照〕

OneDriveを運営するMicrosoftがライバルとこれほど密接に提携するとは驚きだろうか? 必ずしもそうではない。MicrosoftはOneDriveなしでもOffice 365を売ることができる。逆に、Office 365というサービスを膨大なDropboxユーザーの企業や個人に売りやすくなる。電話で取材したところでは、両社ともにDrobpoxに数億のユーザーがおり、有料で利用している企業だけでも8万社に上ることを重視しているようだった。MicrosoftもOneDriveがそれくらい広く普及しているのだったらあえてDropboxと提携する必要はなかったかもしれないが、残念ながら現状はそうなっていない。

Microsoftはすでにエンタープライズ・クラウド・ストレージの事実上の標準となっているDropboxを無視することは不可能だった。MicrosoftがOffice 365をエンタープライズに本気で売り込もうとするならDropboxコミュニティーを抜きに考えるわけにいかないのは当然だ。OneDrive for BusinessはDropboxのために席を詰めねばならない。

BoxのOffice 365取り込みはBox側の一方的なイニシアチブだった。しかし今回の提携ははるかに高度な戦略的提携だ。両社とも今回の提携にともなって「どちらがどちらいくら払うのか?」についてはコメントを避けた。しかしMicrosoftがDropboxに支払うと考えてもよさそうだ。 Windows Phoneは世界でもっとも人気のあるモバイル・プラットフォームというわけではない。MicrosoftはDropboxを保護育成する必要がある。大企業ユーザーがOfficeをクラウドで使いたい場合、これまでは馴染みのあるクラウドストレージのオプションがなかった。今回の提携でそれが存在するようになったことは大きい。

Microsoftが本気でパッケージ版Officeの売上をOffice 365の売上で代替しようと考えているなら選択肢は限られている。MicrosoftはDropboxを買収することもできるが、aQuantiveの買収が結局62億ドルの損失に終わった苦い記憶がまだ新しい。それなら戦略的提携のほうが安上がりで危険も少ない。

上機嫌のシリコンバレーのベンチャーキャピタリストはDropboxは収益化に成功しつつあると主張する。そうなるかもしれない。ともあれDropboxは、短期的関係かもしれないが、強力な友人を持つことに成功した。

〔日本版〕Microsoftのプレスリリースによると、OfficeとDropboxの連携機能は、まず数週間後に予定されているOfficeのモバイル・アプリのiOSとAndroid版のアップデートで実装される。ウェブ版のDropboxとOffice 365の連携は2015年の前半にリリースされる。Dropbxoが開発するWindows Phone版のスマートフォン、タブレット向けOffice連携アプリの公開は数ヶ月後を予定している。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+


スマートなピルボックスを目指すMemo BoxがKickstarterキャンペーン中

ケンブリッジ大学の学生が、スマート・ピルボックスのクラウドファンディングキャンペーンを展開している。キャペーンを行なっているのはKickstarter上で、目標額は£30,000($48,000)だ。プロダクトの名前を「Memo Box」といい、Bluetoothによる接続機能をもったピルボックスとなっている。2年間をかけて開発してきたものを、いよいよ市場に出そうとしているそうだ。

このピルボックスはスマートフォンと接続する。ピルボックスを忘れて外出しようとしたときなど、AndroidないしiPhoneアプリケーションを通じて通知してくれるようになる。また蓋の開けられた時間などを記憶して、予定時刻になっても蓋が開かないような場合、飲み忘れているのではないかとオーナーに警告を送ってくれたりもする。

共同ファウンダーのMeichen Lu曰く、アラームもインテリジェントになるべきだと話している。たとえばいつもピルボックスを開くのと近い時間に開いたのなら、おそらくは薬を飲んだのだろうと考えられる。それであれば、設定時刻になったからといってもアラームを鳴らさないようにすべきだと言うわけだ。

もちろん蓋を開けたから薬を飲んだのだろうというのは仮定に過ぎない。薬を箱から出したけれど飲むのを忘れてしまったというような事態には対処できない。命に関わるような薬について、このピルボックスのアラートを完全に信頼するのは危険なことなのかもしれない。しかし、日常的なダイエットサプリメントなどの場合については、十分なインテリジェンスを持つものだと言って良いように思う。

「ダイエットサプリメントなどの飲み忘れを防ぐのに使って貰えればと思います。このMemo Boxは利便性と正確性のバランスをとったところでの機能を提供しているものなのです。薬を飲んだかどうかの判断にはベイズ推定モデルを使っていて、ピルボックスを開いたならば薬を飲んだのであろうと判断するようになっています」とLiuは言っている。「たとえば、いつもの時間よりも1時間はやくピルボックスを開けた場合にも、おそらくはちょっとした時間のぶれであるだろうと判断するようになっているのです。もちろん、正確を期すために、利用者に確認をとる場合(利用者側の操作はワンクリックのみ)もあります」とのことだ。

薬の(無用な)再摂取を防ぐ目的でも利用できる。近い時間にピルボックスを開けている場合(システム的には薬を一度摂取したと解される)、その旨を利用者に通知することができるのだ。また、インターネットに繋がっているので、薬を飲んでいないことを他の人に通知するといったこともできる。すなわち、家族がきちんと薬を飲んでいるのかどうかを確認するようなこともできるわけだ。

このMemo Boxを作ったふたりは「less is more」をコンセプトにプロダクトを生み出したようだ。薬を飲んだのかどうかについて、蓋然性に基づく判断をするための仕組みをつくりあげている。正確性を求めて高価なセンサーを用いるデバイスの対極をいくものとなっているわけだ。

「正確性を多少増すために、バランスを無視して高価なセンサーを搭載するようなことは正しいアプローチではないと思うのです」とLuは言っている。「この2年間の開発期間を経て、他プロダクトとは異なるアプローチもあるのだということを学びました。性能が高くても使い勝手の悪いものを作るよりも、自分でも実際に利用するようなプロダクトを作ってみようと考えたのです」とのこと。

Memo Boxにはボタンもついている。ボタンを押すと、アプリケーション上で次に薬を飲む時間を通知するようになっている。

さらに、さまざまなタイプの薬を入れられるようにも工夫されている。クラウドファンディングによる資金調達がうまくいけば、より大きなものも作るつもりであるとのこと。35万ポンド以上が集まれば、希望者に対してはより大きなものを提供するようにしたいとのこと。

価格は早期割引で£25となっている。出荷開始時期は来年の5月を予定している。本稿執筆時点では43日を残して58人から£1,687ポンドを集めている状況だ。

原文へ

(翻訳:Maeda, H


プラスチックレジンを使う超小型3DプリンタiBox Nanは299ドル

【抄訳】

FormlabsのForm 1+はステレオリソグラフィー方式の3Dプリンタでお値段は3299ドル、大量のデスクスペースを占領するし、あなたの貯金から大金を持っていく。もっと気軽に3Dプリントを楽しめる方法はないか? その願いをかなえてくれるのが、上のビデオに登場する小さなマシンだ。

上のビデオでは、iBox Nanoちゃんがチェスのピースを3Dプリントする様子が、コマぬきで撮影されている。UV LEDを使ってレジンを硬化する方式はFormlabsと同じだが、手のひらに乗るぐらい小さなNanoは、わずかに299ドルだ。

レジンを使用する3Dプリンタは、これまでの、プラスチックフィラメントを使うFDMプリンタと違って細かい細部を作れるから、Nanoは小さな物を作るのに適している。

Nanoを動かし制御しているのは、ローコストのマイコン、Raspberry Piだ。プリンタの筐体はレーザーでカットして作ったアクリルの箱なので、射出成形に比べるとコストが安い。安いことは良いことだ。

【中略】

ファウンダのTrent Carterは、3Dプリンタを1年以上使っている100世帯に対して市場調査/消費者調査を行った。そして、ほとんどの人が小さな物しかプリントしないことを見つけた。

彼は曰く、“その理由は、大きな物は10-12時間もかかることがあるし素材の費用もばかにならない。4x4x4″ぐらいの大きさの物だと14−18時間かかり、材料費は30-60ドルはする。もちろん時間や費用は、プリンタのスピードや素材の種類で違うけど”。

“Nanoがプリントしたチェスの駒のルーク(下図)は30mm x 20mmで、所要時間は約2時間、レジンの費用は約50セントだ!”

もちろん小さな物をプリントするのに向いているが、小さな部品を組み立てて大きな物を作ってもよい。プリント精度はZ軸で0.39ミクロン(この値が小さいほどザラザラが少ない)が最小だ。ただし、速いプリントをご希望なら、100ミクロンぐらいが適している。最大プリントサイズは40 x 20 x 90mmだ。Nanoは今、Kickstarterで商用生産のための資金を募っている。

【後略】

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))